1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和元年十一月七日(木曜日)
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議事日程 第四号
令和元年十一月七日
午後一時開議
第一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件
裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
裁判官訴追委員の予備員の順序
検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
国土開発幹線自動車道建設会議委員の選挙
日程第一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案(内閣提出)
国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/0
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001・大島理森
○議長(大島理森君) これより会議を開きます。
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002・大島理森
○議長(大島理森君) この際、御紹介申し上げます。
ただいまフェミ・グバジャビアミラ・ナイジェリア連邦共和国下院議長御一行が外交官傍聴席にお見えになっておりますので、諸君とともに心から歓迎申し上げます。
〔起立、拍手〕
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裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/2
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003・大島理森
○議長(大島理森君) お諮りいたします。
裁判官弾劾裁判所裁判員盛山正仁君から裁判員を、また、裁判官訴追委員津村啓介君から訴追委員を、裁判官訴追委員の予備員山本和嘉子君から予備員を、辞職いたしたいとの申出があります。右申出をそれぞれ許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/3
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004・大島理森
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。
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裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
裁判官訴追委員の予備員の順序
検察官適格審査会委員及び同予備委員の選挙
日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
国土開発幹線自動車道建設会議委員の選挙発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/4
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005・大島理森
○議長(大島理森君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員並びに裁判官訴追委員及び同予備員の選挙を行うのでありますが、この際、あわせて、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員、検察官適格審査会委員及び同予備委員、日本ユネスコ国内委員会委員及び国土開発幹線自動車道建設会議委員の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/5
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006・福田達夫
○福田達夫君 各種委員等の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名され、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の職務を行う順序については、議長において定められ、裁判官訴追委員の予備員の職務を行う順序については、議長において改めて定められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/6
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007・大島理森
○議長(大島理森君) 福田達夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/7
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008・大島理森
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に山下貴司君を指名いたします。
また、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に門山宏哲君を指名いたします。
なお、その職務を行う順序は第四順位といたします。
次に、裁判官訴追委員に
柴山 昌彦君 越智 隆雄君
及び 渡辺 周君
を指名いたします。
また、裁判官訴追委員の予備員に
小田原 潔君 及び 國重 徹君
を指名いたします。
予備員の職務を行う順序は、田所嘉徳君、小田原潔君、斉木武志君、井野俊郎君、國重徹君の順序といたします。
次に、検察官適格審査会委員に
葉梨 康弘君 城内 実君
及び 山川百合子君
を指名いたします。
また、
宮路拓馬君を葉梨康弘君の予備委員に、
古賀篤君を平沢勝栄君の予備委員に、
稲富修二君を山川百合子君の予備委員に
指名いたします。
なお、予備委員小林鷹之君は城内実君の予備委員といたします。
次に、日本ユネスコ国内委員会委員に大串正樹君を指名いたします。
次に、国土開発幹線自動車道建設会議委員に鈴木俊一君を指名いたします。
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日程第一 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/8
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009・大島理森
○議長(大島理森君) 日程第一、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、日程第二、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長松本文明君。
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一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔松本文明君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/9
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010・松本文明
○松本文明君 ただいま議題となりました両案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案は、本年の人事院勧告に鑑み、一般職の国家公務員について、俸給月額、住居手当及び勤勉手当の額の改定等を行うものであります。
次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職の国家公務員の給与改定に準じ、特別職の職員の給与の額を改定するものであります。
両案は、去る十月二十九日本委員会に付託され、翌三十日武田国務大臣から提案理由の説明を聴取しました。十一月六日、質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、順次採決いたしましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/10
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011・大島理森
○議長(大島理森君) これより採決に入ります。
まず、日程第一につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/11
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012・大島理森
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第二につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/12
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013・大島理森
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三 農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/13
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014・大島理森
○議長(大島理森君) 日程第三、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長吉野正芳君。
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農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔吉野正芳君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/14
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015・吉野正芳
○吉野正芳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、我が国で生産された農林水産物及び食品の輸出の促進を図るため、農林水産物・食品輸出本部の設置並びに基本方針及び実行計画の策定について定めるとともに、輸出証明書の発行等、輸出事業計画の認定その他の措置を講ずるものであります。
本案は、去る十月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日江藤農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十一月六日質疑を行いました。質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/15
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016・大島理森
○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/16
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017・大島理森
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/17
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018・福田達夫
○福田達夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
議院運営委員長提出、国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/18
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019・大島理森
○議長(大島理森君) 福田達夫君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/19
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020・大島理森
○議長(大島理森君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/20
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021・大島理森
○議長(大島理森君) 国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長高木毅君。
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国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔高木毅君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/21
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022・高木毅
○高木毅君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
本法律案は、人事院勧告に基づく一般職の国家公務員の給与改定に伴い国会議員の秘書の給料月額及び勤勉手当の支給割合の改定を行おうとするものであります。
本法律案は、本日、議院運営委員会において起草し、提出したものであります。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/22
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023・大島理森
○議長(大島理森君) 採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/23
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024・大島理森
○議長(大島理森君) 起立多数。よって、本案は可決いたしました。
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公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/24
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025・大島理森
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣萩生田光一君。
〔国務大臣萩生田光一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/25
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026・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国の教師の業務は長時間化しており、近年の実態は極めて深刻となっております。持続可能な学校教育の中で教育成果を維持し、向上させるためには、教師の働き方を見直し、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにすることが急務であります。
この法律案は、このような観点から、公立の義務教育諸学校等における働き方改革を推進するため、教育職員について労働基準法第三十二条の四の規定による一年単位の変形労働時間制を条例により実施できるようにするとともに、文部科学大臣が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定及び公表することとするものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、かつて行われていた夏休み中の休日のまとめ取りのように集中して休日を確保すること等を可能とするため、公立の義務教育諸学校等の教育職員について労働基準法第三十二条の四の規定による一年単位の変形労働時間制を条例により実施できるよう、地方公務員法第五十八条第三項の規定の適用について必要な読替え規定を定めることとしております。
第二に、文部科学大臣は、教育職員の健康及び福祉の確保を図ることにより学校教育の水準の維持向上に資するため、教育職員が正規の勤務時間及びそれ以外の時間において行う業務の量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針を策定及び公表することとしております。
第三に、この法律案は、令和三年四月一日から施行することとしておりますが、教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針に関する改正規定は令和二年四月一日から施行することとしております。
このほか、必要な準備行為を定めることとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
――――◇―――――
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/26
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027・大島理森
○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。村井英樹君。
〔村井英樹君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/27
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028・村井英樹
○村井英樹君 自由民主党・無所属の会の村井英樹です。
ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、与党を代表して質問いたします。(拍手)
自由民主党は、学校における働き方改革について、教育再生実行本部を中心に議論を進めてまいりました。
平成三十年五月の第十次提言では、勤務のガイドラインの制定、学校指導体制の充実等による負担軽減を、同年十二月の第十一次提言では、業務負担軽減を前提とした一年単位の変形労働時間制の選択的な導入等を提言いたしました。
こうした提言を踏まえ、文部科学省でも中央教育審議会で審議を重ね、本年一月に答申がなされました。
この答申では、教職員や専門スタッフ等の充実、勤務時間管理の適正化や業務改善への支援等とともに、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインの実効性強化や、休日のまとめどりのための一年単位の変形労働時間制の活用が提言されました。
このように、本法案は、与党や中教審などにおける丁寧な審議の積み重ねを踏まえて立案された、絶対に必要な法案と考えております。
今、学校はブラックな職場と言われています。公立の小学校教師の平均残業時間は年間約八百時間、公立中学校では年間約千百時間。こうした状況は、教師の勤務環境という面から問題なのはもちろん、人材獲得競争が激化する中で、有為な人材を教師として確保することを困難にし、最終的には教育の質の低下につながる教育政策上の大問題であり、その意味で、学校の働き方改革は喫緊の課題です。
そこで、まず、学校の働き方改革について、萩生田文部科学大臣にお伺いします。
学校の働き方改革は、教師の職場環境を改善することはもちろん、それにより教育の質を向上させることこそがその本質であると考えますが、見解をお聞かせください。
次に、今回の法案では、校長からの勤務命令を行うことが認められている、いわゆる超勤四項目以外も含めた教師の在校等時間の上限目安を月四十五時間、年三百六十時間とした上限ガイドラインについて、法律上の指針に格上げすることとしています。
率直に言って、この上限ガイドラインを全ての学校で達成することは簡単なことではありません。もちろん、今回の改正は上限までの時間外勤務を奨励するものではありませんが、時間外勤務の現状を踏まえれば、上限ガイドラインを達成するだけでも、かなりの残業縮減が必要です。
そこで、萩生田文部科学大臣にお伺いします。
今回の指針で定める上限の目安時間が全国で守られるよう、どのように実効性を高めるのでしょうか。また、指針を踏まえた残業の縮減に向けては、さまざまな取組が必要となりますが、具体的に何をすることでどの程度の業務の削減が可能となるのか、御所見を伺います。
かつて、学校週六日制のころ、教師は、土曜授業を行った分、夏休みなどに休日のまとめどりをしていました。中教審の答申で休日のまとめどりが提言された背景は、それが教職の魅力を増す一つの重要な選択肢だからです。
現在、小学校の教師は、年間平均十一日程度、夏休みには五日程度有給休暇をとっていると思われ、これに五日程度の休日のまとめどりを合わせると、夏休みに十日程度休めることになります。
一方、今回の法案に関しては、見かけ上の残業時間が減るだけだ、連日十時間勤務が続くのか、実際には夏休みも休めない、育児や介護がある教師は働きづらくなるなどの不安も耳にします。
こうした懸念は中教審でも指摘されており、休日のまとめどりのための一年単位の変形労働時間制を活用するには、徹底した業務削減の上、上限時間の遵守を大前提とする必要があります。
そこで、萩生田文部科学大臣にお伺いします。
今回の一年単位の変形労働時間制の導入は、夏休みなどの休日のまとめどりを可能とするための改正であると理解しておりますが、先ほど申し上げたような不安の声を払拭するためにどのような取組を考えておられるのか、答弁を求めます。
本年一月の中教審の答申では、中長期的な課題として、教師の勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含めた検討が必要とされています。
近年、保護者や地域の意識が変化し、子供に関することは何でも教師の仕事として業務量が拡大する中、確かに給特法のあり方の検討は必要ですが、どこまでが業務か切り分けがたい教師の職務の性質を踏まえれば、現実的には給特法を直ちに廃止することはできません。
だからこそ、まずは今の枠組みでできることについて、全ての関係者がそれぞれ最大限に取り組み、その成果をしっかり社会に示すことが必要であり、今回の法改正を給特法などの法制的な枠組みの検討に向けた重要な一里塚にすべきであると考えています。
その上で、萩生田文部科学大臣にお伺いします。
文部科学省は、三年後に教師の勤務実態調査を実施し、その結果を踏まえて給特法の抜本的見直しも視野に入れて考えるべきですが、御所見をお聞かせください。
結びに、言うまでもなく、教育は国家百年の計であり、教職はその中核的役割を担う非常に重要な仕事です。教師が教師でなければできない仕事に全力で取り組み、未来を担う子供たちを育んでいくことができるよう、自由民主党が先頭に立って取り組んでいくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/28
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029・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 村井議員にお答えします。
まず、学校の働き方改革の目指す方向性についてお尋ねがありました。
我が国の学校教育はこれまで大きな蓄積と高い成果を上げてきましたが、文部科学省が実施した教員勤務実態調査によれば、厳しい長時間勤務の実態が明らかになっています。
志ある教師が疲労や心理的負担を過度に蓄積して心身の健康を損ない、ついには過労死等に至ってしまうような事態は、決して起こしてはならないと考えています。
また、その勤務環境から、意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり、我が国の教育水準が低下することは、子供たちにとっても我が国や社会にとってもあってはなりません。
その上で、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、みずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対して更に効果的な教育活動を行うことができるようになることこそが学校における働き方改革の目的であり、そのことを常に原点としながら取組を進めてまいりたいと思います。
次に、指針の実効性と業務縮減に向けた取組のお尋ねがありました。
本年一月に策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインは、あくまで指導助言として各教育委員会に対して通知しているものにすぎないため、その実効性を高める観点から、今回法律上の根拠を有する指針に格上げすることとしています。
その上で、本指針を参考にして各地方公共団体において教師の勤務時間の上限に関する方針等を作成し、条例や規則等で根拠づけていただくよう、文部科学省において条例モデル案を作成し、各地方公共団体にお示しの上、条例や規則等の規定を促し、その状況を積極的に発信することとしております。
また、業務縮減に向けた取組としては、予算、制度、学校現場での改善の総力戦を徹底して行い、その組合せで成果を出していくことが必要ですが、例えば、ICTの活用による負担軽減により年間約百二十時間、スクールサポートスタッフの配置や留守番電話の設置などにより年間約六十時間、中学校における部活動指導員等の外部人材の活用により年間約百六十時間などの在校時間の縮減が可能であると考えております。
実際に、本年一月のガイドラインを踏まえ、実務を大幅に縮減した学校も出ているところであり、条件整備や制度改正の検討にしっかり取り組むとともに、今回の指針化により、学校における働き方改革を全国の学校に着実に展開してまいります。
次に、休日のまとめどりのための一年単位の変形労働時間制のお尋ねでありますが、本年一月の中央教育審議会の答申においても、一年単位の変形労働時間制を導入することで、学期中は勤務が現在よりも更に長時間化しては本末転倒であることや、所定の勤務時間を現在より延長した日に授業時間や児童生徒の活動時間も現在より延長されるようなことがあってはならないと指摘されており、導入に当たっては、まずは業務の削減を前提とする必要があると考えています。
また、現在の学校の運営の状況を踏まえれば、夏休みにおける休日のまとめどりも五日間程度が限界であると考えられることから、際限のない勤務時間の上乗せはできません。
一年単位の変形労働時間制においてはさまざまな労働日や労働時間の定め方がありますが、公立学校の教師については、具体的に、改正法が成立した場合に新たに制定することとなる文部科学省令や指針において、指針における在校等時間の上限や部活動ガイドラインの休養日や活動時間の基準を遵守すること、画一的に導入するのではなく、育児や介護を行う者その他特別の配慮を要する者など個々の事情に応じて適用すること等を規定することで、一時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりという中央教育審議会の答申の趣旨を踏まえた運用が各教育委員会や学校においてなされることが担保される制度とすることとしております。
次に、給特法の見直しに向けた所見のお尋ねでありますが、現在の給特法の仕組みは、教師はどこまでが業務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものであります。
一方、給特法制定から半世紀を経た今、保護者や地域の意識の変化の中、子供に関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積み上がっている状況です。また、働き方改革推進の観点から労働法制も大きく転換しており、給特法のあり方についても検討する必要があると考えておりますが、見直しに当たっては、確かなデータと国民的な議論が必要です。
そのため、今回の法改正を踏まえ、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討を行う必要があると考えております。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/29
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030・大島理森
○議長(大島理森君) 山本和嘉子君。
〔山本和嘉子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/30
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031・山本和嘉子
○山本和嘉子君 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの山本和嘉子です。
私は、共同会派を代表して、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、そして加えて、英語民間試験に対する政府対応の問題、また、共通テストに記述式を導入することに関して、萩生田文部科学大臣に質問をいたします。(拍手)
質問に先立ち、今般の台風十五号、十九号、豪雨災害によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災されている皆様に心からお見舞いを申し上げます。
立憲民主党、国民民主党を始めとする野党は、約二年にわたって文部科学委員会で、英語民間試験導入に対して地道に質疑を重ねてまいりました。採点の公正性や地域間格差、経済格差の問題、実施団体の利益相反の疑いも含めて、さまざまな問題点を指摘してまいりました。
このように長期間議論され、制度上に不備があるにもかかわらず、学生や私たちの声に耳を傾けず、一方的に実施団体側の意向を真に受けて、制度設計を見直すことを怠り、強行しようとしたことが今の大問題を引き起こしているのです。
あげくに、萩生田大臣の身の丈発言は、英語民間試験制度が経済格差や地域格差を内包していることを容認する発言です。本来、文部科学大臣は教育の機会均等を実現するのがその大きな役割ですが、身の丈発言はそれとは真逆の、まさに萩生田大臣の本音が出たものと言わざるを得ません。貧しい家庭で育った高校生もいます。大学受験にそんなにお金をかけられない高校生が、身の丈に合わせてと言われてどれだけ傷ついたか。いえ、それ以上に、そういった高校生を育ててきたお父さん、お母さんも親として傷ついています。
教育はひとしく平等に受けられるものです。そのように憲法第二十六条に書かれています。大臣、あなたは高校生から、憲法を読めと言われているのです。
最も公平であるべき受験がゆがめられたことは、文部行政への不信感を増幅させているのです。文部行政を所管する最高責任者の文部科学大臣の辞任に値します。大臣の見解を伺います。
さらに、国語と数学の記述式の入試問題についてもお聞きします。
昨日お渡しした国語の記述式のプレテストは、大臣、ごらんになりましたでしょうか。そして、解けましたでしょうか。ごらんいただいたと思いますが、解答率〇・七%のとても難解な問題もあり、多くの生徒が戸惑っています。さらに、自己採点が難しいことから、二次の出願ができないと不安の声も上がっています。記述式試験の問題を解いた御感想をお聞かせください。
一昨日、衆議院文部科学委員会参考人質疑の際、ベネッセコーポレーションの参考人が、アルバイトでの採点をお認めになりました。大臣、考えてみてください。もし御自身が受験生で記述式の入試問題を受けるとして、教員や専門家でないアルバイトに採点されて不安な気持ちになりませんか。
ところで、どんな研修を受けたアルバイトが採点するのですか。およそ一万人が必要とされている採点者のうち、アルバイトはどれくらいの人数なのか、大量のアルバイトの研修がそもそもできるのでしょうか。あわせてお答えください。
今、英語の次は、国語と数学の記述式の中止という声が高校生から上がっています。難解な記述式の試験の採点をアルバイトにさせることに高校生が不安に思っています。このまま強行するのでしょうか。
昨日の夕方、高校生が、記述式の入試の中止を求める四万人の署名を提出いたしました。大臣は高校生に会いもしませんでした。加計学園の皆さんに対しては官邸までお招きされたにもかかわりませず、悲痛な思いで全国の仲間の思いを背負った高校生にお会いにならないとは、血も涙もありません。高校生の気持ちを、大臣、どう思いますか。本来ならば、署名を集めた高校生に会って話を聞くべきではないでしょうか。
高校生にとってこれからの人生を左右する大学入試に公平公正な採点ができないような問題を採用することは、絶対に中止するべきです。こんなまじやばい入試制度、まじやばいは高校生や受験生の間で言われておりますけれども、もっと現場の声、高校生の声に耳を傾け、抜本的な制度設計の見直しが不可欠です。声を聞かないまま、不公平な制度をこのまま強行することに強く反対します。
そもそも、萩生田大臣は官房副長官時代、加計学園獣医学部設置認可をわざわざ期限を区切って決定に結びつけたという疑惑はいまだ解消されていません。大臣は落選中に加計学園が運営する大学で客員教授を務めており、その御恩返しというべき配慮だったのではないでしょうか。
加計学園からどれぐらいの期間、どれくらいの報酬をもらっておられたのでしょうか。また、獣医学部設置認可に当たって、萩生田大臣は、安倍総理のお友達の加計理事長のために尽力した、その見返りによって文部科学大臣に就任されたとしか思えません。とんでもないことです。即刻、大臣をおやめいただきたい。
この英語民間試験の問題により、安倍政権は、経済的に厳しい高校生や地方の高校生のことなど全く考えていないということが明確になりました。安倍政権は高校生や受験生の敵です。高校生の人生よりも一部の民間企業の利益を優先させる、森友、加計問題、今回の英語民間試験問題、全て教育利権を優先させる、そんな安倍政権にこの国の教育を任せておくわけにはいきません。
引き続き、給特法の質疑に入ります。
本法律案の主な改正内容は、一年単位の変形労働時間制を地方公共団体の判断により導入できるようにするとともに、文部科学大臣が、教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定し、公表するということですが、その内容については、既に多くの反対意見や懸念の声が上がっています。
学校の働き方改革において最も重要なことは、教員の労働環境の改善、大幅な増員、そして業務量の削減であります。しかし、今回の法律案は、その大事な部分にどのような効果があるのか、全く見えてきません。
教員の働き方改革については、大臣自身も先日の文部科学委員会における所信的発言で、「学校における働き方改革は特効薬のない総力戦である」と述べているように、一筋縄ではいかない問題です。現場の声を聞き、議論を積み重ね、さまざまな角度から判断していくことが必要です。
そもそも、教員の長時間勤務が常態化している要因を分析せずに、その改善策を講ずることはできないのです。本法律案による教員の長時間勤務の縮減見込みはあるのでしょうか。文部科学省は、この制度の導入は教員の長時間勤務の縮減につながらないと説明しています。そうであるならば、なぜこの制度を導入しなければならないのでしょうか。長時間勤務が減らないのなら、全く意味はありません。この変形労働時間制の導入自体が、逆に勤務時間を増幅させていると言われていますが、文部科学大臣の御所見を伺います。
さらに、本法律案では長時間労働の是正策の多くが地方公共団体の判断に任されているということですが、全く無責任です。文部科学省は傍観せず、その役割を果たすべきです。休日のまとめどり期間中には部活動を行わないこと、繁忙期として長い勤務時間を設定した期間には時間外勤務を行わないことなど、地方公共団体において適切な運用がなされるよう、制度の趣旨を踏まえた厳しいルールを策定すべきではないでしょうか。策定しなければ、自治体に丸投げで、実効性がないのと同じです。文部科学大臣の御見解をお伺いいたします。
教員の過労死は、御遺族にとっても学校にとっても大変不幸なことであり、絶対に回避しなければなりません。一年単位の変形労働時間制に関しては、御遺族の方から、夏休み等の長期休業期間に休みのまとめどりを予定したとしても、今の教員の労働環境では夏休みまでもたないのではないかという懸念が示されています。
神奈川県過労死家族会の工藤祥子さん、きょうも工藤祥子さんや中野さん、山口さんがわざわざ傍聴に来ていただいておりますが、工藤祥子さんは、二〇〇七年に当時中学校の体育教師だった御主人を過労死で亡くされました。工藤さんの御主人は、六月に行われた修学旅行から帰ってきて十日後に亡くなられたとのこと。四月の新学期以降、主に新しい環境下で行事の多い五月から七月の過労死事案も多いということでございます。
文部科学省として、教員の過労死事案の発生時期について把握しているのでしょうか。また、一年単位の変形労働時間制を採用した場合に過労死事案が増加することを懸念する声について、文部科学大臣のお考えをお伺いいたします。
本法律案において、一年単位の変形労働時間制の導入のほかに、文部科学省において教員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定すると内容に盛り込んでおります。これは、平成三十一年一月に文部科学省が策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインに法的な根拠を与えるものと文科省は説明しています。
上限ガイドラインでは、原則として月四十五時間、年三百六十時間といった時間外勤務の上限の目安が示されておりますが、そうした上限が、その時間までは勤務することが許される、頑張るべきであるといった意識となってしまう可能性は高いと思います。中教審の答申にも、そうした事態は避けなければならないと述べられていますが、具体的な対策については何ら触れられておりません。
文部科学大臣が定める指針に沿った勤務時間の管理は、最終的に誰の責任で実施されるのでしょうか。指針の内容を教員に適用するために、都道府県や市町村の議会での議論を経て条例や規則が定められることになりますが、文部科学省は、各地方公共団体における条例等の整備の進捗状況を確認、把握する予定がありますか。また、その結果について、一覧表をつくって結果を公表するなどのお考えをお持ちかどうかも伺います。
教員が子供たちに対して効果的な教育を行うことができるようになることが学校の働き方改革であるならば、今回の給特法の改正内容は、その目的にどの程度資するものなのでしょうか。現在、関係者から多くの懸念が示されている状況であり、文部科学省は、国会審議を通してしっかりと説明するべきです。
また、学校における働き方改革を推進するためには、給特法の趣旨や教員の勤務のあり方について議論することが重要です。不安や疑問点などの懸念を抱かせている時点で、大学入試における英語民間試験の導入と同じように信頼を失う行為だと言わざるを得ません。
せざるを得ない残業は残業と認めてください。残業には残業代等の対価を支払ってください。
不払い残業を合法化している給特法の廃止を含めた抜本的な見直しが急務と考えます。文部科学省は給特法の見直しを三年後に行うと言っておりますが、本当にそのおつもりがあるのか、明確にお答えください。
本法律案については、逆に長時間労働や過労死をふやすという危惧があるため、十分かつ慎重な審議が求められること、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/31
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032・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 山本議員にお答えします。
まず、私の辞任に関する見解についてお尋ねがありました。
十月二十四日のテレビ番組における発言の真意については、どのような環境下にいる受験生においても、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて、適切な機会を捉えて二回の試験を全力で頑張ってもらいたいとの思いで発言したものです。
しかしながら、結果として、国民の皆様、特に受験生の皆さんに不安や誤解を与えることになってしまったと考えており、おわびをするとともに、十月二十八日、発言の撤回をしたところです。
私としては、入試における英語四技能評価を充実し、経済的な状況や居住地にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられるような仕組みを整備することが文部科学大臣としての責務であると考えていることから、辞任は考えておりません。
その上で、私のもとに新しく設置する検討会議において、今回延期することを判断せざるを得なかった要因等を十分に検証した上で、受験生を第一とする立場に立ち、受験生が安心して受験できるような仕組みとするよう、私の責任において全力で取り組んでまいります。
次に、記述式問題の所感についてのお尋ねでありますが、平成二十九年十一月に実施した一回目の試行調査においては、国語の記述式問題の一問の正答率が〇・七%であったことは承知しておりますが、この要因は、解答に必要な条件設定について、どの程度まで複雑とすることが可能かどうかの検証を行ったことによるものと承知をしております。
一方、二回目の試行調査においては、解答上の条件の整理等を行った結果、正答率が一五・一%となり学力の識別力が高く、みずからの力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりするなどの思考力、判断力、表現力を評価できる問題が出題されていると考えています。
また、自己採点については、大学入試センターにおいて、正答の条件の意味や内容をわかりやすく整理して高等学校へ周知するなど、必要な対策を講じてまいります。
次に、採点のお尋ねでありますが、大学入学共通テストにおける記述式問題については、一定の条件を設定した上で、その条件への適合性を評価するものであり、多数の受験者の答案を短時間で正確に採点することが必要です。そのため、採点に当たっては、その観点から、処理能力や信頼性、実績等を有する民間事業者を活用することとしています。
大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、適正な試験等によって質の高い採点者を確保すること、必要な研修プログラムを行うことなど、採点者の質を向上するための取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合等には、採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行い、独立して採点した結果が一致するまで当該答案に対する採点作業を行うことなど、採点の正確性を確保するための取組を求めているところです。
採点者については、結果としてさまざまな属性の方が含まれ得ると承知しておりますが、多層的な組織体制と品質チェックの充実により、採点の質は確保されるものと考えております。
次に、研修等のお尋ねでありますが、大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、採点者及び採点監督者に必要な研修プログラムとして、正答の条件等を踏まえた採点作業に関する研修、システム操作に関する研修、内容面、形式面に係る正答の条件等に関する研修、採点の演習等を採点開始日までに完了することや、守秘義務に関する事前研修も行うことを求めており、採点の質は確保されるものと考えております。
採点業務については、適正な試験等によって質の高い採点者を確保することが求められているところ、御指摘の方が何名含まれることになるかを現時点で示すことは困難ですが、多層的な組織体制と品質チェックの充実により、採点の質は確保されるものと考えております。
次に、研修等のお尋ねでありますが、大学入試センターにおいては、採点事業者に対し、採点者及び採点監督者に必要な研修プログラム、正答の条件を踏まえた採点作業に関する研修、システム操作に関する研修、内容面、形式面に係る正答の条件等に関する研修、採点の演習を開始日までに完了すること、守秘義務に関する事前研修も行うことを求めております。
次に、署名を集めた高校生についてのお尋ねでありますが、昨日、四名の高校生が文部科学省に来省し、大学入学共通テストの二〇二〇年度実施の中止を私宛てに求める旨の署名を提出したことについては承知をしております。
全ての高校生と面会することは時間的に困難ですが、私としても地元の高校生の意見を聞くなどしているところであり、今後の検討に当たっても、さまざまな機会を通じて、高校生等の意見を聞きながら、受験生が安心して受験できるような仕組みとすることができるよう努めてまいりたいと思います。
次に、記述式問題の実施についてのお尋ねでありますが、記述式問題の採点につきましては、先ほども答弁をしましたとおり、大学入試センターにおいて、事業者に対し、採点者の質を向上するための取組を求めるとともに、採点の正確性を確保するための取組を求めているところです。
引き続き、大学入試センターと協力しながら必要な措置を講じ、円滑な実施に向けて万全を期してまいります。
次に、加計学園獣医学部新設のお尋ねでありますが、獣医学部の新設に関して、あたかも私が働きかけをしたような個人メモ等が取り上げられましたが、これまで国会等で説明しているとおり、私が総理から指示を受けたり、文部科学省や内閣府に対して指示を出したりすることはありません。
さらに、私が民間人だったころ、千葉科学大学客員教授であったことは事実ですが、加計孝太郎氏とは特に個人的な交流はなく、親しくおつき合いをいただいているという事実や、加計学園の便宜を図るために調整や指示を行った事実はありません。
なお、二〇一〇年から千葉科学大学で教鞭をとっておりましたが、その間の報酬額については、民間人としての私的な教育活動に関する話であり、また、同様のポストについている方がいらっしゃいますので、お答えは差し控えさせていただきます。
私としては、令和という新しい時代を迎え、子供たちが次代を担えるような教育の実現に向け、文部科学大臣としての職責をしっかりと全うし、皆さんの信頼を得ていくことが重要と考えております。
次に、給特法改正法案による教員の勤務時間の縮減のお尋ねでありますが、学校における働き方改革は、特効薬のない総力戦であり、取組を総合的に進めてこそ成果が上がるものであると認識をしております。
本法律案は、こうした総合的な取組の一環として提出しているものですが、今回の改正により策定することとなる指針を法律上位置づけることで、各地方公共団体においても同様の指針を条例や規則等に位置づけ、業務の適正化に向けた取組が促進されることにより、教師の長時間勤務の確実な縮減に資するものと考えております。
一方、休日のまとめどりのための一年単位の変形労働時間制の活用については、これを単に導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものではありませんが、総合的な取組により勤務時間の縮減を図った上で導入すれば、夏休み等において一定期間のまとまった休日の確保が可能になるなど、教職の魅力向上に資するものであると考えております。
なお、本年一月の中央教育審議会の答申においても、一年単位の変形労働時間制を導入することで、学期中の勤務が現在より更に長時間化しては本末転倒であると指摘されており、導入に当たっては、まずは業務の削減を前提とする必要があると考えております。
また、本制度においてはさまざまな労働日や労働時間の定め方がありますが、公立学校の教師については、具体的に導入に当たっての要件を文部科学省令や指針において規定することで、一時間単位の勤務時間の積み上げによる休日のまとめどりという中央教育審議会の答申の趣旨を踏まえた適切な運用が各教育委員会や学校においてなされることが担保される制度とすることとしております。
次に、一年単位の変形労働時間制に関するルールのお尋ねでありますが、休日のまとめどりのための本制度の活用に当たっては、平日十日間を含む十六日間連続の学校閉庁日を設けている岐阜市のように、長期休業期間において業務を確実に減らすことが必要であると考えており、例えば、部活動の大会の日程を含めたあり方の見直しに関する関係団体への働きかけ、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業期間中の研修日程の見直しなどを行っているところです。
さらに、改正法が成立した場合に新たに制定することとなる文部科学省令や指針において、指針における在校等時間の上限などの遵守、所定の勤務時間を通常より延長した日に、延長を理由とした新たな業務の付加はせず、所定の勤務時間を通常より延長したとしても、在校等時間が増加しないようにするなど、規定をすることとしております。
また、各地方公共団体における制度の詳細は条例において策定されることとなりますが、文部科学省としては、条例のモデル案をしっかりとお示ししたいと考えております。
このような取組により、本制度を選択した地方公共団体において、在校等時間の確実な減少と休日のまとめどりが可能となるようにしてまいりたいと考えております。
次に、教員の過労死についてのお尋ねでありますが、過労死等の公務災害の発生時期については集計を持っておりませんが、志ある教師の過労死等の事態は決してあってはならないものであり、文部科学省としては、その根絶を目指して、学校における働き方改革の実現に向けた取組を総合的に進める必要があると考えております。
また、今回の休日のまとめどりにおいて、在校等時間の超過勤務を少なくとも上限ガイドラインで示した月四十五時間、年三百六十時間等の上限以内とすることを導入の大前提としております。
ただし、その場合にあっても、学校行事などで所定の勤務時間である七時間四十五分におさまらない場合に、それを一時間単位で積み上げ、長期休業中に休日のまとめどりをする仕組みです。
その際、現在の学校の運営の状況を踏まえれば、夏休みにおける休日のまとめどりも五日間程度が限界であると考えられることから、際限のない勤務時間の上乗せはできません。
したがって、この休日のまとめどりについては、在校等時間が現在より確実に減少されることを前提に、決して長時間化することはない制度とし、その制度のもとで確実に運用を行ってまいります。
次に、指針に沿った勤務時間管理の責任のお尋ねでありますが、今回の法改正により策定することになる指針は、服務監督権者たる教育委員会が講ずべき措置を定めるものであり、指針に沿った勤務時間の管理の責任は各教育委員会が有することとなります。
指針を踏まえ、在校等時間が上限の目安時間を超えている場合には、学校の管理運営に係る責任を有する校長や教育委員会は業務削減等の取組を積極的に果たす必要があり、文部科学省としても、社会への明確なメッセージの発信、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実や、効果的な事例の横展開などを通じ、教育委員会や学校をしっかり支えてまいります。
次に、指針に関する条例等の整備状況の確認のお尋ねでありますが、今回の法改正により策定することとなる指針を参考にして、各地方公共団体において、教師の勤務時間の上限に関する方針等を作成し、条例や規則などで根拠づけることが重要であり、文部科学省としても、条例モデル案を作成し、各地方公共団体にお示しの上、条例や規則等の制定を促すこととしております。
なお、具体的な方法は今後検討してまいりますが、各地方公共団体における条例や規則等の制定の状況についても確認し、その結果を積極的に発信してまいりたいと考えております。
次に、今回の法改正内容が働き方改革に資するかどうかのお尋ねでありますが、今回の法改正の第七条第一項において、教育職員の健康及び福祉の確保を図ることによる学校教育の水準の維持向上のために、文部科学大臣が指針を定めると規定されており、専門職である教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境を確立し、教育の質の向上を図ることが本改正案の目的です。
そのために、今回の法改正により教師の勤務時間に関する上限ガイドラインを指針として法律上位置づけることにより、業務の適正化に向けた取組が促進され、在校等時間の縮減の実効性が高まるものと考えております。
さらに、休日のまとめどりのための一年単位の変形労働時間制の活用については、総合的な取組により勤務時間の縮減を図った上で導入すれば、夏休み等において一定期間のまとまった休日の確保が可能になるなど、教職の魅力向上に資することとなり、能力のある質の高い方々が教師を目指すことを後押しし、子供たちに対して効果的な教育を行うことができると考えております。
次に、給特法の抜本的な見直しのお尋ねでありますが、給特法は、教師はどこまでが業務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえ、時間外勤務命令をいわゆる超勤四項目に限定した上で、時間外勤務手当等は支給しないかわりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価をして教職調整額を支給する仕組みであり、所定の勤務時間を超えて学校で教育活動を行っていたとしても、不払い残業にはなりません。
一方、給特法制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で、子供に関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積み上がっている状況です。また、働き方改革推進の観点から労働法制も大きく転換しており、給特法のあり方についても検討する必要があると考えておりますが、見直しに当たっては、確かなデータと国民的な議論が必要です。
そのため、今回の法改正を踏まえ、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討を行う必要があると思っております。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/32
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033・大島理森
○議長(大島理森君) 畑野君枝君。
〔畑野君枝君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/33
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034・畑野君枝
○畑野君枝君 私は、日本共産党を代表し、公立学校教員給与特別措置法改正案について質問します。(拍手)
まず、大学入試制度について伺います。
萩生田文部科学大臣は、英語民間試験の導入延期について、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、ひとしく安心して試験を受けられる制度設計になっていないと答弁しました。経済格差、地域格差を生み出す、教育の機会均等の原則に反する制度だと認めた以上、きっぱりとやめるべきです。
多くの英語教育の専門家が、当初から、格差とともに、目的も内容も異なる試験結果を公平公正に比較できるのかという根本問題を指摘してこられました。そうした専門家や全国高等学校長協会などの意見がなぜ反映しなかったのか。なぜ営利企業の参入を認めたのか。抜本的な見直しのためには、今回の入試制度改革の政策決定過程における全ての会議録を公開し、国民的な検証を行うべきです。
大学入試共通テストの国語、数学の記述式の導入も重大です。
五十万人もの受験生の記述答案の採点業務を民間に丸投げし、学生バイトを含む採点者でどうして公正な採点や機密の保持が確保できるのか。高校生、教育関係者の多くが不安を募らせている記述式の中止を強く求めます。
給特法について伺います。
本法案は教員の長時間労働を是正するためといいますが、政府は、教員の深刻な長時間労働の実態と原因をどう認識していますか。
教員は、文科省の調査でも、小学校で三割、中学校で六割が過労死ラインに達するほどの異常な長時間労働を強いられています。
その原因は、学習指導要領の改訂による授業時数の増加、勤務時間内には終わらないほどの過剰な業務量を放置する一方で、必要とされる規模の教員をふやしてこなかったことにあります。
さらに、給特法が四%の教職調整額の支給と引きかえに労働基準法第三十七条の割増し賃金の規定を適用除外したことが、時間外勤務を規制する手段を奪い、際限のない長時間勤務の実態を引き起こしてきました。
こういう認識はありますか。
給特法は、教員に労働基準法第三十七条を適用し、時間外労働に対して割増し賃金を支払うよう、抜本的に改めるべきです。
ところが、法案は、長時間労働を強いる仕組みには一切手をつけず、一年単位の変形労働時間制を導入するとしています。
この制度の狙いは、一年間の平均週労働時間を四十時間以内にすることを条件に、いわゆる繁忙期に一日八時間を超えて働かせることができるようにするものです。
これでは、平均勤務時間一日十一時間を超えるという学期中の労働時間を更に長くすることになるではありませんか。
現場の教員は、平日は長時間、休みは夏休みまで待てというのは間違っていると強く批判しています。しかも、夏休み期間中にまとめて休日をとるといいますが、教員には研修、プール指導、補習、部活動指導等の業務があります。夏休み期間中が閑散期だという根拠はどこにもありません。
一年単位の変形労働時間制は、一年間という長期間にわたり八時間労働制という原則を崩す、労働者にとっての重大な労働条件の不利益変更です。だから、一般労働者にこの制度を導入する際は、労使協定の締結が前提とされ、厳しい条件が課されています。にもかかわらず、公務員である教員には、労使協定さえ結ぶことなく、条例で導入を可能として、どうして労働者としての権利を保護することができるのですか。
これは、労使協定という労働者保護の仕組みをも教員から奪い、無権利状態におとしめるものであり、断じて許されません。
以上のことを指摘し、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/34
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035・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 畑野議員にお答えいたします。
まず、英語民間試験の導入延期についてお尋ねがありました。
子供たちに英語四技能を身につけさせることは、これからのグローバル社会を生きていくために必ず必要なことだと考えております。
大学入試において英語四技能をどのように評価するかについては、大学入学共通テストや各大学の個別試験の中での英語四技能評価をどのようにするのか、経済的な状況や居住地域にかかわらずひとしく安心して試験を受けられるような配慮が十分なのかなどについて、高校や大学関係者などの意見も聞きながら、指摘された課題を十分検証しつつ、今後一年を目途にしっかり検討をしてまいりたいと考えております。
次に、検討・準備グループの議事録公開についてのお尋ねでありますが、本検討・準備グループは、全国高等学校長協会からの代表者も含め、大学入学希望者学力評価テストの具体的な実施内容、方法等について検討を行ってきたものですが、会議を公開した場合、構成員の自由な意見交換が制約され、円滑な運営が妨げられるおそれがあり、審議を公正円滑に実施する上で支障が生じると考えられること、大学入学者選抜等に係る非公開の情報をもとに検討を行う必要があることなどから、第一回会議から第九回会議まで非公開で行われたものです。
本検討・準備グループの議事概要については、非公開を前提に作成したものですが、今後の検証に必要な情報であることから、当時の委員の同意や機微な情報の取扱いも含め確認をとりつつ、公開をしていきたいと考えております。
また、大学入試は高等学校段階で習得した知識や技能等を適切に評価することを目的としていますが、英語に関しては、約五十万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとして話す、書く能力を含めた試験を実施することは、日程面も含めて、現状において実現は極めて困難です。
一方、民間の資格検定試験は、四技能を総合的に評価するものとして社会的に認知され、高等学校教育や大学入学者選抜で活用が進んでいます。
このため、大学入試において四技能を評価することができるよう、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格検定試験の活用を推進することとしたところです。
次に、記述式の導入及び採点者についてのお尋ねでありますが、大学入試センターにおいては、採点事業者に、適正な試験等によって質の高い採点者を確保すること、必要な研修プログラムを行うことなど、採点者の質を向上させるための取組を求めるとともに、一次採点は複数名で独立して行うこと、複数名の採点結果が異なる場合等には、採点監督者が採点結果の確認や不一致のあった答案の採点などを行い、独立して採点した結果が一致するまで当該答案に対する採点作業を行うこと、採点作業中に適宜採点結果の品質チェックを行い、その結果を採点作業の改善につなげること、採点の正確性や機密の保持を確保するための取組などを求めているところです。
なお、文部科学省としては、引き続き、大学入試センターと協力しながら、大学入学共通テストの円滑な実施に向けて万全を期してまいります。
次に、教員の長時間労働の実態と原因のお尋ねでありますが、文部科学省が実施した平成二十八年度教員勤務実態調査においては、小学校、中学校のいずれの職種においても、十年前に実施した同調査と比較して勤務時間が増加しており、教師の厳しい勤務の実態が明らかになっています。
この要因としては、平成十八年度と比較し、若年教員の増加、総授業時数の増加、中学校の部活動時間の増加が挙げられます。
次に、学校の業務量と教員の規模についてのお尋ねでありますが、保護者や地域の意識の変化の中で、子供に関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積み上がっています。
そのために、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減する必要があると考えています。
同時に、学校の指導、事務体制の効果的な強化充実が重要であり、令和元年度予算においては、平成二十九年の義務標準法改正による定数改善や小学校の英語教育のための専科教員千人を始めとする合計千四百五十六人の定数改善を計上しているところであり、引き続き、令和二年度概算要求においてもさらなる充実を盛り込んでいます。
さらに、このような取組に加え、本年四月から、中央教育審議会において、小学校高学年における教科担任制導入など、新しい時代を見据えた学校教育の実現に向けて、教育課程、教員免許、教職員配置の一体的な検討が行われており、中教審での議論も踏まえ、引き続き、持続可能な学校の指導、事務体制の効果的な強化充実に取り組んでまいります。
次に、給特法の抜本的改正のお尋ねでありますが、現在の給特法の仕組みは、教師はどこまでが業務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものであります。
一方、給特法制定から半世紀を経た現在、保護者や地域の意識の変化の中で、子供に関することは何でも学校や教師の仕事として業務が大きく積み上がっている状況です。また、働き方改革推進の観点から労働法制も大きく転換しており、給特法のあり方についても検討する必要があると考えておりますが、見直しに当たっては、確かなデータと国民的な議論が必要です。
そのため、今回の法改正も踏まえ、まずは教師でなければできないことに教師が集中できるよう、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討を行う必要があると考えております。
次に、一年単位の変形労働制による勤務の長時間化についてのお尋ねでありますが、今回の休日のまとめどりにおいては、在校時間等の超過勤務を少なくとも上限ガイドラインで示した月四十五時間、年三百六十時間等の上限ライン以内にすることを導入の大前提としております。
ただし、その場合であっても、学校行事などで所定の勤務時間である七時間四十五分におさまらない場合に、それを一時間単位で積み上げ、長期休業期間中に休日のまとめどりをする仕組みです。
その際、現在の学校の運営の状況を踏まえれば、夏休みにおける休日のまとめどりも五日間程度が限界であると考えられることから、際限のない勤務時間の上乗せはできません。
したがって、この休日のまとめどりについては、在校等時間が現在より確実に減少させることを前提に、決して長時間化することのない制度として、その制度のもとで確実に運用を行ってまいります。
次に、夏休みが閑散期である根拠のお尋ねでありますが、長期休業期間中の教師の業務については、児童生徒が登校せず、実態としても学校閉庁日を設ける自治体が多く見られるなど、比較的穏やかになるものと認識しております。
今回の休日のまとめどりを学校現場に導入する前提としては、長期休業中の業務の縮減が必要であり、文部科学省としては、学校閉庁日の制定とともに、研修の整理、精選、部活動の適正化、高温時のプール指導などの見直しなどの長期休業期間中の業務の見直しを求める通知を本年六月に発出したところであり、部活動の大会の日程を含めたあり方の見直しに関する関係団体への働きかけや、独立行政法人教職員支援機構の夏季休業期間中の研修日程の見直しを図ることなどにより、長期期間中の業務の縮減を後押ししてまいります。
次に、一年単位の変形労働制を労使協定ではなく条例で導入することについてのお尋ねでありますが、地方公務員の勤務条件は、住民自治の原則に基づき住民の同意が必要であり、議会が団体意思として制定する条例によって決定することとされております。
公立学校の教師も地方公務員であり、休日のまとめどりの推進のための一年単位の変形労働時間制は勤務条件に関する制度であることから、勤務条件条例主義にのっとり、労使協定ではなく条例により導入することが必要であると考えています。
なお、地方公務員法においては、職員の勤務条件に関する事項は職員団体との交渉事項であり、法令等に抵触しない限りにおいて書面による協定を結ぶことができる旨が規定されております。本制度の導入についてもこの勤務条件に該当することから、導入に当たっては、各地方公共団体において職員団体との交渉を踏まえつつ検討されるものと考えております。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/35
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036・大島理森
○議長(大島理森君) 森夏枝君。
〔森夏枝君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/36
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037・森夏枝
○森夏枝君 日本維新の会の森夏枝です。
私は、我が党を代表して、ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
本年六月のOECDの調査によれば、小学校、中学校とも、教員の週当たりの勤務時間が五十時間を超え、調査国中最長であり、教育委員会への報告書作成や部活動が大きな負担であると指摘しています。
教育の質の向上には、教師みずからが授業を磨くことや人生を豊かにすることが大事な要素ですが、働き過ぎで時間がとれない現状は子供たちのためにもなりません。
私は、体育大学出身で、スポーツの指導者だったこともあり、学校教育には思い入れがあります。指導力のある教員を育て、地域とともに歩む学校を築くべきです。
また、教員の職務とみなされるのは、校外実習、修学旅行、職員会議、非常災害対応の四項目だけであり、あとは教員の自発的行為とみなしている現状は問題です。
本法改正によって、地方公務員には適用しない変形労働時間制を適用可能にし、業務量の適切な管理に関する国の指針を定めることになります。しかし、給特法の肝心な部分の超勤四項目と教職調整額の見直しを見送りました。
文部科学大臣に質問いたします。
超勤四項目以外の業務を教員の自発的行為とみなすことは適切とお考えでしょうか。また、自発的としながらも、過労死ラインを超えている時間外労働となることがある現状をどのように考えているのでしょうか。お答え願います。
令和二年度から、小学校におけるプログラミング教育が必修化されます。しかし、準備状況は自治体によりまちまちであり、予算不足やIT環境未整備の問題が見られます。
創造性を育てるプログラミングは、児童が興味を持てる授業が好ましく、プログラミングが嫌いになる授業は避けるべきです。
文部科学大臣に質問いたします。
小学校のプログラミング教育の設備等の準備状況はどうなっていますでしょうか。また、プログラミングを教える教員の養成は間に合っているのでしょうか。お答え願います。
平成三十年度児童生徒の問題行動・不登校等の生徒指導上の諸課題に関する調査結果によりますと、高等学校の中途退学は横ばいであるものの、いじめ、暴力行為、小中学校における不登校、そして自殺については、いずれも増加傾向にあり、見過ごすわけにはいかない速さでふえております。
児童生徒の問題行動に対する対策として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが導入されましたが、目に見えた改善がなされておりません。スクールカウンセラーについては、配置実績なしと活動が年間三十四日以下の学校を合わせれば七一%を占める一方、常駐している学校はわずか〇・四%しかありません。
制度を導入したものの、人材不足であることは明らかであり、効果が上がらないのは当然です。対応が追いついておりません。
文部科学大臣に質問いたします。
スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの育成の計画及び見込みはどのようになっていますでしょうか。また、短期的には今いる人材で対処するしかないと考えますが、年々増加傾向にある児童生徒の問題行動に対する措置を政府としてどのように考えているのでしょうか。お答え願います。
神戸市の教員のいじめの問題は、教育委員会が制度疲労を起こしたあらわれです。大阪府、大阪市では、教育基本条例を定め、教育委員会任せにせず、首長が主体性を持って教育改革を推進できる仕組みをつくりました。
また、日本維新の会は教育無償化を主張してまいりました。少ない人材で国を運営せざるを得ない将来を見据え、国が責任を持って人材を育てるべきです。教育無償化がそのために必要な政策であると改めて主張して、私からの質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/37
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038・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 森議員の質問にお答えする前に、畑野議員の質問に追加して一点お答えをさせていただきたいと思います。
給特法が長時間勤務の実態を引き起こしたとのお尋ねであります。
時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しないかわりに、勤務時間内外を問わず包括的に評価をして教職調整額を支給する給特法の仕組みにより、所定の勤務時間外に行われる超勤四項目以外の業務は教師がみずからの判断で自主的、自発的に勤務しているものと整理され、これが強調される余り、勤務時間を管理するという意識が希薄化し、長時間勤務につながっているとの指摘がございます。
しかしながら、超勤四項目以外であっても、校務として行うものについては、超過勤務命令に基づくものではないものの、学校教育に必要な業務として働いていることに変わりはありません。
そのため、文部科学省としては、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを策定し、超勤四項目以外の業務を行う時間も含めて在校等時間として定め、これを勤務時間管理の対象とすることを明確にした上で、その上限の目安時間を示したところであり、本法案における指針においても同様の内容を示すこととし、勤務時間管理を徹底してまいります。
森議員にお答えします。
まず、給特法のいわゆる超勤四項目についてのお尋ねがありました。
給特法は、時間外勤務命令をいわゆる超勤四項目に限定した上で勤務時間の内外を問わず包括的に評価をして教職調整額を支給し、時間外勤務手当等は支給しないこととしており、この仕組みは、教師がどこまでが業務であるのか切り分けがたいという教師の職務を踏まえたものです。
一方で、この仕組みにより、所定の勤務時間外に行われる超勤四項目以外の業務は教師がみずからの判断で自主的、自発的に働いているものと整理されるため、勤務時間管理の意識の希薄化や長時間勤務等につながっているとの指摘もございます。
しかしながら、超勤四項目以外であっても、校務として行うものについては、超過勤務命令によるものではないものの、学校教育に必要な業務として働いていることに変わりはありません。
このため、文部科学省として、本年一月に公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを策定し、超勤四項目以外の業務を行う時間を含めて勤務時間管理の対象とすることを明確にした上で、その上限の目安時間を示したところであり、同様の内容を今回の法改正による指針においても示すこととしております。
なお、超勤四項目と教職調整額を含む給特法のあり方については、まずは教師でなければできないことに教師が集中してできるように、働き方改革の強力な推進により業務を縮減し、その成果を社会に示しつつ、三年後に教師の勤務実態状況調査を実施し、その結果などを踏まえながら、教師に関する勤務環境について、給特法などの法制的な枠組みを含め検討を行う必要があると考えております。
プログラミング教育の設備等の準備状況、教員の養成についてお尋ねでありますが、来年度から小学校で開始されるプログラミング教育を始め、学校に必要なICT環境の整備は進んでおらず、地方自治体間で整備状況にばらつきが見られるなど危機的な状況であると認識をしています。そのため、これまでの地方財政措置を活用した環境整備の促進に加え、最終的に、児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、ICTを十分活用することのできる環境を達成するため、その整備促進を図ってまいりたいと考えております。
令和の時代にふさわしい学校となるよう、今後とも、関係省庁や産業界とも連携しながら、ICT環境の充実を図ってまいります。
また、教師が円滑にプログラミング教育を実施できるよう、文部科学省では、小学校プログラミング教育の手引を作成するとともに、官民の連携も図りつつ、指導事例の普及や教員研修用の教材の作成、周知などを行っております。
今後、各教育委員会や学校などの準備状況も把握しながら、全ての学校で円滑に開始できるように、積極的な支援を行ってまいります。
最後に、児童生徒の問題行動への対処のお尋ねでありますが、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーについては、今年度予算において、スクールカウンセラーは全公立小中学校、スクールソーシャルワーカーは全中学校区への配置に要する予算措置を行ったところですが、引き続き、配置時間の充実など学校における専門スタッフとしてふさわしい配置条件の実現を目指してまいりたいと考えております。
あわせて、今ある人材での対応の充実に向け、スクールカウンセラー等の専門性の向上に向けた研修の実施や、問題行動への対応事例の収集、共有による対応力の向上を図るとともに、例えば、いじめ、自殺対応としては、いじめ防止対策推進法に基づく対応の徹底に向けた校長等への行政説明や自殺予防教育の推進、不登校対応としては、教育支援センターの機能強化や民間団体との連携等に注力しつつ、学校等における組織的対応や関係機関との連携を促しているところであり、引き続き、対応の充実を図ってまいりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/38
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039・大島理森
○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/39
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040・大島理森
○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十二分散会
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出席国務大臣
文部科学大臣 萩生田光一君
農林水産大臣 江藤 拓君
国務大臣 武田 良太君
出席副大臣
文部科学副大臣 上野 通子君
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去る十月三十一日は、会議を開くに至らなかった。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120005254X00520191107/40
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