1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和二年六月五日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十二号
令和二年六月五日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(令和元年度
政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政
策への反映状況に関する報告について)
第二 復興庁設置法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第三 聴覚障害者等による電話の利用の円滑化
に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 著作権法及びプログラムの著作物に係る
登録の特例に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 自動車の運転により人を死傷させる行為
等の処罰に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第六 金融サービスの利用者の利便の向上及び
保護を図るための金融商品の販売等に関する
法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
第七 個人情報の保護に関する法律等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第八 強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立
を図るための電気事業法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
第九 地域共生社会の実現のための社会福祉法
等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(令和元年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告について)
総務大臣から発言を求められております。発言を許します。高市早苗総務大臣。
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/1
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002・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 令和元年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告の概要について御説明申し上げます。
政策評価制度は、各行政機関が、その所掌する政策の効果を測定、分析し、評価を行うことにより、政策の企画立案や実施に役立てることを基本とする制度です。これによって、効率的で質の高い行政や成果重視の行政を実現していくとともに、国民の皆様に対する行政の説明責任を果たしていくことを目的にしております。
令和元年度は、政府全体で二千二百四十七件の評価が実施され、政策の改善や見直しに反映されております。また、総務省では、複数の行政機関にまたがる政策の評価を行うとともに、政策評価の客観的かつ厳格な実施を担保するため、各行政機関が行った政策評価の点検などを行っております。
政策評価の実施においては、客観的な情報やデータに基づき政策効果を把握して評価を行い、政策の改善や見直しに適切に反映させることにより、エビデンスに基づく政策立案、すなわちEBPMを実践していくことが重要です。
このため、政策評価制度を所管する総務省としても、各行政機関と連携し、政策効果の把握、分析手法についての共同研究を行うとともに、EBPMの考え方を踏まえた政策評価の点検、各府省の政策評価担当者に対する研修などを行うことにより、今後とも、政府全体のEBPMの取組を後押ししてまいります。
以上が、令和元年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告の概要でございます。
なお、総務省では、ただいま御報告申し上げました政策評価法に基づく政策の評価のほかに、総務省設置法に基づき所管府省とは異なる立場から、各府省の業務の現場を調査し、政策効果や業務運営上の課題を実証的に把握、分析して、改善方策を提示する機能を担っております。
政府の行政評価・監視機能等と立法府による行政監視機能が相まって行政運営の改善が図られることは、国民の皆様の行政に対する信頼を確保するために重要だと考えており、引き続き行政評価・監視機能等を適切に発揮し、行政運営の改善に努めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。島村大さん。
〔島村大君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/3
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004・島村大
○島村大君 自由民主党の島村大です。
冒頭、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた皆様に謹んで哀悼の意を表しますとともに、今なお病と闘っていらっしゃる皆様にお見舞い申し上げます。
また、国民の命、健康を守るために、感染リスクを抱えながらも最前線で奮闘されている医療従事者を始めとする皆様、人々の暮らしに不可欠な仕事に携わる皆様、自粛要請への理解などを通して感染抑制に御協力をいただいている皆様に心から敬意を表し、御礼を申し上げます。
それでは、私は、自由民主党・国民の声を代表し、ただいま議題となりました政策評価等年次報告について、高市総務大臣に質問いたします。
憲法上、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるとされるこの国会において、行政監視機能は立法機能と並び議会としての権能の根幹を成すものです。また、我が国で採用される議院内閣制において、とりわけ参議院は任期が長く、長期的な視野で良識の府として行政監視機能を十全に発揮するものと解されています。
平成初頭、度重なる行政不祥事の発生に高まった国会の行政に対する監視・監督機能を強化すべきとの国民の声などを背景に、参議院に期待される行政監視機能を向上させるため、平成十年一月、行政監視委員会が創設されました。衆議院では決算行政監視委員会が一つの委員会とされた一方、本院では行政監視と決算が別の委員会とされたことは、行政監視機能を重視する参議院独自性の表れと言えます。
創設から二十年以上にわたり、行政監視委員会は様々な調査や決議などの行政監視活動を続けてきましたが、平成三十年六月、議長の諮問機関である参議院改革協議会において、当時の吉田博美参議院自民党幹事長を座長として各会派の代表者による議論が行われ、行政監視機能の強化に議院全体として取り組むとする報告書が取りまとめられました。
報告書では、本会議を起点とした新たな行政監視の年間サイクルを構築し、行政監視委員会の活動を一層充実させることが求められました。その実現のため、本院において精力的に活動、協議が重ねられた結果、新たな行政監視の年間サイクルのスタートとなる本日の本会議が実現しました。行政監視委員会を中心とした本院の行政監視機能の強化に尽力をいただいた方々に心から敬意を表します。
本日、参議院では、新たな行政監視サイクルのスタートとして政策評価の年次報告を取り上げました。政策評価制度は、国の各行政機関が自ら所掌する政策について評価を行い、その結果を政策の企画立案や実施に反映させていくものであり、全政府的に取り組まれる統一的な仕組みとして予算や決算に並び立つものです。
その目的は、効率的で質の高い行政や成果重視の行政を実現するとともに、国民に対する行政の説明責任を果たしていくこととされていますが、政府における政策評価は、予算や決算、個別の法案の審査とは異なる多様な視点を国会に提供するものと考えられます。この政策評価制度について、本院ではその重要性に鑑み、制度開始以前から調査や提言、決議等を行ってきたところです。
平成十年六月、現在の行政監視委員会の創設を提言した行財政機構及び行政監察に関する調査会は、調査の最終年において政策等の評価制度について調査し、提言を行いました。そこでは、政府による評価結果の国会への報告の制度化を検討する必要性や議会における審査への活用がうたわれています。当時の議論を踏まえれば、本日の本会議は、実に二十年ぶりの悲願であると言えましょう。
また、政策評価制度に関し、参議院では、行政監視委員会における調査活動を踏まえ、これまでに行政監視委員会、本会議においてそれぞれ三度の決議を行ってきました。こうして政策評価制度とともに歩んできた参議院は、今後もその活用に努め、ひいては政策や行政の発展、その質の向上へとつなげていく決意を持って臨んでいかなければなりません。そこで、これまで本院において積み重ねられた政策評価制度に関する取組を踏まえ、改めて政策評価制度の意義について、大臣の御見解をお伺いします。
ただいま総務大臣から御報告のあった政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告は、政策評価法に基づきこれまでも毎年国会に提出されていますが、十八回目の今回、初めて本会議で報告されたことは、国会、国民への説明責任を果たすとともに、国会における政策評価の活用への期待が大いに感じられるところであります。この法律により国会報告が求められている意義を踏まえ、これまで積み重ねられてきた国会報告に対する大臣の所感をお伺いします。
総務省が行う調査のテーマは、府省横断的な行政課題の増加により政策の全体像の把握が難しくなっているとの観点や、複数の施策、事業に共通する行政上の特性に応じた総合的な調査が効果的であるとの観点から行っており、行政監視委員会の調査においても活用することとされています。
例えば、現在、我々が直面している新型コロナウイルス感染症など我が国が抱える課題が複雑高度化する中で、単一の府省にとどまらない課題に的確に対処し、政府としての総合的な政策改善を実現するためには、複数省庁にまたがる課題について実際に現地調査網を活用して現場の声を拾い上げていく総務省の調査を一層充実させていく必要があると考えますが、大臣の御見解をお聞かせください。
今回の一連の感染症対策による現状を見て改めて感じるところは、高市総務大臣が昨年十一月の行政監視委員会で私の質問に答えていただいた際の、生活者の視点で政策を立案し、不断に検証し、改善していくことの重要さです。
国民一人一人の心に寄り添っていくことの重要性は、参議院自民党としても問題意識を持って議論を重ねており、昨年の秋に、不安に寄り添う政治のあり方勉強会として中間報告も取りまとめたところです。高市大臣も生活者の視点の重要性を御持論とされ、このような視点はこれまで以上により一層政策の立案、検証、改善を行うに当たって重要となっていると考えています。そこで、総務省の行政評価・監視機能の発揮に当たっても、生活者の視点を重視した取組が期待されていると考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
生活者の視点と併せて重要なのは、政策の実施の最前線に立つ地方自治体の関係です。これまで参議院行政監視委員会においても、法律に基づく行政計画策定や各府省からの多数の通知等の発出などによって地方自治体に負担や混乱が生じている現状について議論がなされてきました。
全国の知事、市町村長の皆さんを始め地方自治体の関係者の皆さんは、今も地域住民のために最大限知恵を絞って奮闘しておられます。一方で、地方自治体に対する国の対応についても、これまで以上に地方の負担や混乱をできるだけ避けるような対応が求められていると考えています。
そこで、総務省の調査、勧告機能発揮に当たっては、このような地方の置かれた厳しい環境についても目配りし、地方が抱えている様々な課題についても、その解決の後押しをしていくことも重要ではないかと考えます。最後にこの点について総務大臣の御所見をお尋ねし、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/4
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005・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 島村大議員からは、まず、参議院における取組を踏まえた政策評価制度の意義についてお尋ねがありました。
参議院におかれては、これまで行政監視機能の向上に取り組んでこられ、平成十年には行政監視委員会を創設し、政策等の評価制度について御提言をいただきました。
平成十四年の政策評価法の制定後は、行政監視委員会において政策評価の取組を聴取し、審議に活用いただくとともに、政策評価の運用改善などについて院として決議いただくなど、政策の不断の見直しや改善に向けた取組を続けてこられました。
政策評価制度は、行政機関に政策の実施状況を自ら評価させ、より効果的かつ効率的な実施を図る不断の改善努力を引き出すとともに、国民の皆様にその政策の意義をしっかり説明させるものであり、国民の皆様の行政に対する信頼を確保するために極めて重要であると考えております。
この度、本院では、政策評価の年次報告を本会議の議題として取り上げられ、院としての行政監視機能を更に充実させるための新たな行政監視の年間サイクルがスタートすると理解しております。行政府において政策評価法を所管する立場からは、参議院における取組を踏まえつつ、同法の的確な運用に一層努めてまいりたいと考えます。
次に、政策評価の国会報告の意義と所感についてお尋ねがありました。
政策評価法に基づくこの国会報告は、毎年度行政機関が行っている全ての政策評価の実施状況を取りまとめたものであり、これまでも本院の行政監視委員会を始め、国会審議に活用いただいており、行政機関における評価、改善の取組や、国民の皆様に対する説明の状況の把握に役立つものと考えております。今般の本院におけるこの取組を伺って、担当する大臣として、この国会報告を的確に行っていく責務を改めて認識したところでございます。
次に、複数府省にまたがる課題の調査の充実についてお尋ねがありました。
総務省の調査は、行政が行う様々な業務について、その実施や運用を担当する府省とは異なる立場から行うものであり、また、全国にある総務省の現地機関を通じて現場を調査し、実情や実態を把握して行うものです。
これにより、担当府省では把握しにくいような実情や取り組みにくいような課題も実証的に把握、分析して関係府省への改善勧告を行うことができ、昨年十二月、地籍整備に関し、現場の連携不足の実態を踏まえて国土交通省と法務省の連携を促したように、府省の枠を超えた改善方策を示すこともできます。委員御指摘のように、我が国の直面する課題が複雑高度化する中で、このような複数の府省にまたがる調査の重要性は増していると認識しており、今後もこのようなテーマに積極的に取り組んでまいります。
次に、生活者の視点の重要性についてお尋ねがありました。
先ほども申し上げましたように、総務省の調査は、担当府省とは異なる立場から行うものであり、そのような立場から施策や事業を見るときは、受け手となる国民、それも生活者としての国民の皆様の視点が重要だと思っております。
このため、政策評価・監視機能を発揮するに当たっては、国民の皆様からお寄せいただいた行政相談などを生かしながら、生活者の視点を重視して調査の企画、実態把握、分析を行い、行政の実態や課題を国民の皆様に明らかにするとともに、各府省の取組や改善の材料を提示していきたいと考えております。
最後に、地方の実情を踏まえた調査の在り方についてお尋ねがありました。
施策や事業が期待された効果を発揮するためには、実施の最前線である地方自治体がそれらを十分に実施できる状況になければなりませんが、国が考えた政策の中には、個別の地方の現場には簡単には当てはまらない場合があります。このため、総務省の調査においては、地方の置かれている現状の把握や担当者に対する取材を重視し、勧告を行うに当たっても地方の実情を無視したものにならないように配慮しています。
例えば、地域において認知症の高齢者の方を支援する認知症初期支援チームの実態を調査したところ、国が制度を企画した段階では必ずしも想定していなかった活用事例が見られましたことを踏まえ、先月、厚生労働省に対し、各地の取組を踏まえた柔軟な対応を可能とするよう勧告しました。
議員御指摘の府省横断的な視点や生活者の視点、地域の実情の重視といったことは、国民の皆様の信頼に応えて行政をより良いものにしていく上で大変重要だと考えており、今後とも、総務省の調査の特徴を生かしながら行政評価・監視に取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/5
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006・山東昭子
○議長(山東昭子君) 吉川沙織さん。
〔吉川沙織君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/6
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007・吉川沙織
○吉川沙織君 立憲・国民.新緑風会・社民の吉川沙織です。会派を代表して質問いたします。
参議院は、昭和五十二年以来、議長の下に参議院改革協議会を設置し、各会派合意の下で様々な改革を行ってきました。平成十年の行政監視機能の向上を目的とした行政監視委員会の設置もその成果の一つです。
しかし、行政監視委員会は、近年、特に現政権発足以降は開会すら困難な状況が続き、その職責を果たしてきたとは言い難い状況にあります。そのような中、平成三十年六月、参議院改革協議会は、行政監視機能を強化し、新たな行政監視サイクルを構築するとの報告書を取りまとめました。今行っているこの本会議質疑がその第一歩となります。
翻って、近年、公文書改ざんや統計不正など、行政による不当、不適正な活動が頻発しています。これらに対して国会が与野党の別なく事実関係をただし、改善を促すことこそ行政監視機能の発揮であることに異論はないはずです。
参改協報告書の冒頭、「参議院は、これまで取り組んできた決算審査の充実とともに、行政の適正な執行を監視、監督することを活動の柱の一つとし、行政監視機能の強化に議院全体として取り組む。」とうたい、与党か野党かは関係なく参議院として、決算と並んで行政監視も重視していくと意思表明する一方、総理始め全閣僚出席の下で質疑を行う決算に対し、行政監視については、新たなサイクルの起点となるこの本会議ですら総理の出席がかなわなかったことについては、院としての姿勢が問われるのではないでしょうか。
参議院改革の在り方への考え方に会派間で様々な違いがある中、本院として行政監視機能の強化を図ることに各会派が一致した背景には、行政による不当、不適正な活動が頻発していることへの危機感、不信感があったという事実を政府は厳粛に受け止めるべきです。今般の本院における行政監視機能の取組をどのように受け止めるか、総務大臣に伺います。
今国会においては、法制定時に国会で明言され、長年にわたる安定的な運用を経て、誰もが当然のこととして認識してきた法解釈を突如、明快な根拠もなく変更した検察官定年延長の事案がありました。このような解釈変更のありようは、政府に求められる法律の誠実な執行にもとる行為であるだけでなく、実質的には法改正と同じ効果をもたらすものであり、国会が唯一の立法機関であることに鑑みても、看過できない重大な問題です。政府が考える法律の誠実な執行とはどのようなものであるのか、官房長官の認識を伺います。
総務大臣の報告にもあったように、政府全体の取組としてEBPM、証拠に基づく政策立案が推進され、データ等の根拠を可能な限り求め、検証するとされています。
本院が平成二十七年七月に全会一致で可決した政策評価制度に関する決議においても、数値や明確な根拠に基づく評価を実施することを政府に求めましたが、例えば、規制の新設や見直し等の政策評価では、規制の遵守のために生じる負担が数値によって定量化されているのはたった一八%にとどまっています。政策評価におけるデータ等の根拠に基づくEBPMの実践状況及び各府省への働きかけを強化する必要性について、総務大臣に伺います。
政府は、EBPMと統計の改革は車の両輪として一体として進めていくとしていますが、厚生労働省の統計不正を機に、残念ながら、政府統計等に対する信頼は地に落ちました。六月二日に閣議決定された公的統計基本計画では、PDCAサイクルの確立や第三者監査の導入等により統計の品質を確保するとしていますが、経済産業省では、平成二十八年末の統計数値の改ざん発覚後も統計の不適正事例が発生していたことが私の質疑を通じて明らかになっており、省内ですら再発防止を徹底できなかったことは明白です。政府全体として実効性をいかに確保していくか、総務大臣に伺います。
EBPMにおいて求められる証拠として、統計等データに加え、公文書が適正に作成、保存されることが必要不可欠です。公文書は、意思決定や事務の合理的な跡付けのために欠くことのできない証拠ですが、現政権下では、公文書管理の原則に反する事案が後を絶たず、EBPMに逆行すると指摘せざるを得ません。
以下、行政監視の視点から具体的事案に即して伺います。
公文書管理法は、行政機関において検討過程や結果を記載した文書を作成し、意思決定権限を有する者が署名、押印など決裁を行うことにより機関としての意思決定又は確認を行う文書主義を初めて法定化したものです。
しかしながら、政府は、検察官定年延長に係る法解釈変更について、再三、口頭で決裁したと強弁しており、また、法務省内の会議や内閣法制局との打合せに関する文書、議事録についても公表されていません。公文書管理法に定める文書主義の徹底を怠り、国民に対する説明責任をないがしろにしてきたのではないですか。政府の文書主義に対する考え方について、官房長官に伺います。
法務大臣は、二月二十七日の衆院予算委員会で、検察庁法改正案の策定過程に関する文書について、法案の成案が得られた段階で、経緯を明らかにするために必要な文書が作成、管理されることになる旨答弁しています。改正案や法解釈変更などに関する省内の協議、法務省と内閣法制局との協議などの記録はいつ公表されるのでしょうか。法案の閣議決定からもうすぐ三か月が経過しますが、公表に時間を要している理由を法務大臣に伺います。
新型コロナウイルスへの対応については、公文書管理法施行後初となる歴史的緊急事態に指定されましたが、専門家会議については政策決定そのものを行っていないとして、議事概要の公表にとどまっています。歴史的緊急事態の指定は、将来の教訓として生かすため記録を残すことを目的とするものですが、教訓とし得るか否かは、政策決定の有無で一律に判断できるものではありません。公文書管理法の趣旨に立ち返り、現在及び将来の国民に説明する責任が全うし得るか否かという観点から、政策決定の有無にかかわらず、議事録を始めとする記録を作成すべきと考えますが、官房長官の見解を伺います。
現政権発足以降、内閣に権限が集中されてきた中で、公務員は周囲の空気を読み、そんたくしつつ、自由な主体的意識を持つことなく、自らの良心を行動の制約とせず、より上位の者に抑圧、規定され、その抑圧を下位の者に順次移譲していく抑圧移譲の原理の下で働き、責任の帰属の明確化を避ける曖昧な行政運営が冥々行われています。
このようなそんたくの暴走を抑止する基本的で究極的な方法が文書主義の徹底です。意思決定過程について文書を作成し、決裁を受け、残す。文書をもって責任の所在を明確にする。政府が説明責任を果たすために必要不可欠な原則ではないでしょうか。
次に、唯一の立法機関である国会の立法行為、そして国会による行政統制という観点から伺います。
立法府と行政府の関係については、これまで束ね法案と包括委任規定を問題として、四年半前から議運理事会、本会議や予算委員会、質問主意書等で再三指摘してきました。束ね法案は、法律案を束ねることによって国会審議を形骸化し、立法過程が不透明になるおそれがあるとともに、国会議員の表決権を侵害し、立法府の空洞化を招来しかねないという問題を抱えているものです。
政府は、今国会も束ね法案を国会に提出していますが、束ね法案を国会に提出することが結果的に国会議員の表決権の侵害になる場合があるという認識をそもそも持ち合わせているのでしょうか。官房長官の見解を伺います。
政府は、束ね法案を国会に提出する際の基準について、政策の統一性や趣旨、目的の同一性、内容の関連性があると認められるときとしています。
しかし、昭和三十八年九月十三日閣議決定の「内閣提出法律案の整理について」では、「付託される常任委員会が同一であること」が明示されており、平成十七年四月一日の衆院本会議では、「できる限り同じ委員会の所管に属する事項に関するものであることが望ましいこと」も基準にしているとの答弁もあります。従来、改正法案を束ねるに当たっては、所管委員会の同一性が意識されていたことは明白です。
しかし、それが近年は変節し、所管委員会の同一性、立法府の審議の在り方を意図的に無視することがあるように見受けられます。立法府の審議の在り方への影響をも考慮するならば、政府においては、改正法案の所管委員会の同一性がより重視されてしかるべきではないでしょうか。官房長官の見解を伺います。
行政府により立法府の審議の在り方が規定され、国民の負託を受けた国会議員は賛否の意思表示を個々の改正法案ごとに行うことができず、その職責を十分に全うすることができない。束ね法案とは、立法府の存在意義にも関わる問題であるということを認識するべきです。この状況を改善する第一義的な責めは、改正法案をどのように束ねて国会に提出するかを決定している政府が負うものです。立法府と行政府の関係が改めて問われている今こそ、政府が累次の答弁で述べてきた束ね法案の考え方を見直すべきではないでしょうか。見解を伺います。
具体的な細目的事項を掲げない形で実施命令の根拠規定を法律に設けようとする包括委任規定についても、私は束ね法案と並んで繰り返し取り上げてきました。国民の権利義務に関わらない細目的事項を定める実施命令の体裁で制定されたものが、実際の行政運営の中において実質的に国民の権利を制限したり、国民に義務を課したりする場合があるのではないか、法律による行政の原理がないがしろにされるおそれがあるのではないかとの問題意識によるものです。
行政による法律の誠実な執行をより確実にする観点から、政府においては、定めようとする実施命令の内容を法案審査の段階で可能な限り明らかにし、その内容に問題がないことを法律の制定前に立法府が確認することができるようにするべきではないでしょうか。見解を伺います。
先般閣議決定された令和二年度第二次補正予算案においては、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円追加計上することとしています。事案の性質上、予備費による対応の必要性を否定するものではありませんが、補正予算の約三分の一を占め、しかも十兆円というかつてない規模の予備費は、もはや異例ではなく異様と形容するべきです。
十兆円もの予備費は、憲法の想定する範疇を超え、予算の事前議決の原則の意義を没却させるものにほかならないのではないでしょうか。官房長官の見解を伺います。
リーマン・ショックや東日本大震災時の補正予算の規模にも匹敵する十兆円の予備費を計上しつつ、今国会の会期を延長しないとするならば、政府としては、当分の間、立法府による財政の事前統制には服さないと宣言したに等しいのではないでしょうか。政府は、十兆円の予備費計上と今後の補正予算案の編成や臨時会の召集とをどのように整理しているか、見解を伺います。
予備費は、ありていに言えば、政府が国会に対して予算執行の白紙委任を申し出るようなものです。したがって、憲法及び関係法律に予備費の限度額等の定めがないとしても、おのずと限界があり、その見極めは政府の良識に委ねられ、実際、これまでの政府は節度をわきまえてきたはずです。行政府の矜持が残されているのであれば、せめて、これまでにない規模の予備費の執行の適正性を確保するために、これまでにない対応策を併せて示すべきではないでしょうか。見解を伺います。
今、コロナ禍の中で、アルベール・カミュの「ペスト」が改めて注目されています。カミュが示唆するペストとは、自分が善であることを疑わず、自分の外側で悪の存在を想定し、その悪と戦うことが自分の存在を正当化すると考えるような思考のパターンだとする読み方があります。
現政権は、民主主義イコール多数決という短絡的論法で、国論を二分する重要な諸課題を数の力で強権的に進めてきましたが、これは多数の専制そのものです。多数の専制の弊害を避けるためには、徹底した自由な討論と少数意見の保障が不可欠であり、それは国会に求められている最も重要な役割のはずです。
いま一度、民主主義の意味を問い直し、良識の府である本院が行政監視機能を果たすために、法律による行政を取り戻すために、そして参議院が参議院であるために、立法府に身を置く議会人として力を尽くしていくことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/7
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008・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 吉川沙織議員からは、まず、参議院における取組についての受け止めについてお尋ねがございました。
参議院におかれては、行政監視委員会の設置、累次にわたる決議など、一貫して行政監視機能を重視してこられ、今般の改革においてその機能を更に充実され、この本会議報告に至ったものと承知しております。議員は、参議院改革の考え方に会派間で様々な違いがある中、行政監視機能の強化を図ることについて意見の一致を見たことを指摘されましたが、ここに至るまでの間の御関係の先生方の御尽力に深く敬意を表します。
また、意見の一致の背景に、行政による不当、不適正な活動への危機感、不信感があったとの御指摘につきましては、行政部内にあって行政の評価・監視機能を担う機関の長としても真摯に受け止めさせていただきます。国民の皆様の行政に対する信頼を確保するためにも、行政評価・監視機能を通じて行政運営の改善を着実に進めていくことが重要であり、今般の本院の取組を踏まえつつ、気を引き締めて任に取り組んでまいります。
次に、政策評価におけるEBPMの実践状況と各府省への働きかけの強化についてお尋ねがありました。
現在、政府では、客観的な証拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMの実践に取り組んでいるところであり、政策評価においてもこれを重視しています。EBPMの実践には、従来の政策立案におけるロジックや因果関係の証拠による検証など、考え方に大きな変革を求められるところがあります。他方で、形式的なデータの収集と羅列になっては意味がないということから、まずは考え方の浸透、定着を図る取組を行っているのが現状でございます。
具体的には、今回の年次報告にもあるとおり、関係府省との実証的共同研究や、総務省による政策評価の点検におけるロジックの重視、外部有識者の活用、各府省の担当者に対する研修などに取り組んでまいりました。今後とも、政策評価の質の一層の向上を目指し、各府省のEBPMの取組を後押ししてまいりたいと考えております。
最後に、統計不正の再発防止についてお尋ねがございました。
昨年一月に明らかとなった統計の不適切事案を受け、統計委員会の再発防止策や昨年末の統計改革推進会議の総合的対策を具体化するため、六月二日に公的統計基本計画の変更を閣議決定しました。この中では、PDCAサイクルの確立、第三者監査の導入などを通じて統計作成プロセスの改善を図るための取組の強化を政府として決定しております。これらにより、今後の再発防止はもとより、公的統計に関する皆様の信頼を回復するための取組が本格的に動き出すものと考えており、今後、各府省の御協力も得ながらその着実な実現に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/8
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009・菅義偉
○国務大臣(菅義偉君) 法律の執行についてのお尋ねがありました。
政府は、法律を誠実に執行しなきゃならず、その執行は法律の趣旨、目的などを踏まえ、その規定に従って適正に行われるべきものであると考えております。
その上で、法令の解釈については、規定の文言、趣旨等に則しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、論理的に確定されるべきものであり、このような考え方を離れて自由に解釈を変更できるものではないと考えています。
もっとも、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えております。なお、御指摘の解釈変更は、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知をしております。
公文書管理法に定める文書主義についてお尋ねがありました。
公文書管理法には、一定の事項について文書を作成しなきゃならない旨が定められているところであります。具体的にどのような場合に文書を作成するかという点については、業務の内容、性質などを勘案して、各行政機関において適切に判断されるものと承知しています。
また、同法施行令は、署名、押印等による決裁を行うところを前提とする文書の類型を定めているところ、それ以外の文書についていかなる方法で意思決定をするかは、各行政機関が定めるルールに沿って適切に判断されるものと承知をしております。なお、御指摘の解釈変更のプロセスについては、公文書管理法等を踏まえ、法務省において適切に行ったものと承知をしております。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の記録の作成についてお尋ねがありました。
専門家会議は、行政文書の管理に関するガイドラインにおける政策の決定又は了解を行う会議等に該当し、ガイドラインに沿って適切に記録を作成していると承知をしております。
その上で、第一回の会議において、構成員に自由かつ率直に御議論いただくため、発言者が特定されない形の議事概要を作成するとの方針を構成員に説明をし、御了解いただいており、以後この方針に沿って適切に対応しております。
専門家会議については、ガイドラインにおいて議事録の作成までは求められていませんが、公表しております議事概要は議論の内容が分かるように丁寧に作成しており、引き続き担当部局で適切に対応してまいります。
法律案の束ねについてお尋ねがありました。
御指摘の昭和三十八年の閣議決定においては、法律案が付託される常任委員会が同一であることが例示されていますが、これは委員会が同一でない場合の法律案の束ねを否定するものではなく、政府においては従来から法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案の趣旨、目的が一つであると認められること、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められること、これらの事項を十分に検討した上で一つの改正法案として提案することが適当であるという結論に達した場合、そのような形で提案してきており、こうした考え方を見直す必要はないと考えております。
なお、国会の審議の在り方については国会で御判断をいただくものと考えております。
実施命令の取扱いについてお尋ねがありました。
法律などを実施し又は施行するため必要な事項を定める実施命令については、個別の法律等による特別の委任がなくても制定することができるとされている一方、個別の法律等において実施命令の根拠規定を設けることもあると承知をしております。
いずれにしろ、実施命令において規定することができる事項は、その性質上、実質的に国民に義務を課し、又は国民の権利を制限する内容を含まない細目的事項に限られるものであり、実施命令に関する取扱いについては従来から適切に対応してきたものと考えます。
予備費についてお尋ねがありました。
第二次補正予算に計上する新型コロナウイルス感染症対策予備費については、状況の変化に応じて臨機応変に対応できるよう、万全の備えとして十兆円を追加することとし、その使途については、国会の議決をいただく予算総則の範囲に限定することとし、感染拡大防止に要する経費など、新型コロナウイルス感染症に係る緊急を要する経費に限っていると承知しております。
今後、第二次補正予算の御審議をお願いすることになるため、今後の補正予算の編成について、現時点において予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。
今回の予備費については、新型コロナウイルス感染症に係る緊急を要する場合に使用することになると承知をしております。予備費の執行の適正性の確保については、今回の予備費について、予算総則で新型コロナウイルス感染症に係る緊急を要する経費に限っており、さらに、予備費の支出については事後において国会の承諾をいただくことになっており、その際の御審議においても政府として丁寧な御説明を尽くしていきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/9
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010・森まさこ
○国務大臣(森まさこ君) 吉川沙織議員にお答えを申し上げます。
検察庁法改正案の策定過程に関する文書の作成等についてお尋ねがありました。
本年三月、国家公務員法等の一部を改正する法律案について成案が得られましたので、法務省においては、そのうちの検察庁法改正部分について、策定の過程を明らかにするため、必要な文書を作成しているところです。現在、担当部局において鋭意作業を進めていますが、法案審査資料、関係省庁とやり取りをした文書等の整理に時間を要しております。現時点においては時期を特定することは困難ですが、可及的速やかに作成したいと考えています。作成後は、開示等のお求めに対応できるよう適切に管理いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/10
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011・山東昭子
○議長(山東昭子君) 高橋光男さん。
〔高橋光男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/11
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012・高橋光男
○高橋光男君 公明党の高橋光男です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました令和元年度政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告について、関係大臣に質問いたします。
冒頭、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対し心からお悔やみ申し上げますとともに、感染された方々、御家族の皆様にお見舞いを申し上げます。
さて、平成三十年六月の参議院改革協議会報告書において、参議院における行政監視機能強化を目的として、本会議を起点とした新たな行政監視の年間サイクルを構築することが確認されました。本日はその出発であり、これまで参議院改革を積極的に推進してきた我が会派として歓迎いたします。
初めに、政策評価を所管する高市総務大臣に伺います。
この度の本会議開催の意義を政府としてどう受け止め、本日を端緒として国民の行政への信頼向上に努めていくお考えでしょうか。改めて御決意を伺います。
続いて、政策評価制度の改善についてお尋ねします。
各行政機関の政策評価は、法律上、原則自己評価、すなわち内部評価です。政策効果の定量的な把握に重点が置かれ、評価そのものの厳格性に欠ける部分がなくはございません。実際、各行政機関における目標管理型の政策評価は、例年、これまでの取組を引き続き推進が約九割、評価対象政策の改善、見直しを実施したのは全体の僅か一割程度にとどまります。
政策評価の客観性、厳格性、透明性を高めることが行政への信頼を高める第一歩だと考えます。そのためには、外部シンクタンク等の第三者機関の一層の活用、PDCAサイクルの徹底、とりわけ評価、チェックを次なる政策の企画立案、アクションに生かす努力、そして国民への見える化が重要と考えますが、高市大臣の答弁を求めます。
さて、先月二十五日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が解除されました。四月七日の発出以降、解除に至るまで、医療従事者を始めとする全ての関係者の皆様の御尽力、御協力に心から感謝申し上げます。
新型コロナ対策における国と地方に係る施策について、初めに消防・救急隊員への手当に関してお尋ねします。
消防・救急隊員の皆様は、日々、一一九番通報による出動要請に対応し、医療従事者よりも先に新型コロナ感染の疑いがある方々に接しています。感染リスクが高い隊員の皆様への防護資器材の安定供給とともに、特別手当を行うべきと考えます。
この点、今般、人事院規則改正による防疫等作業手当に係る特例措置及び財源として新型コロナ対応地方創生臨時交付金の活用が可能となりました。しかし、その運用は基礎自治体の判断に委ねられています。第二次補正予算で手当てされる医療・介護・障害福祉サービスの従事者と同様、消防・救急隊員の皆様にも全国的に公平に手当が行き渡るよう、交付金活用事例集への掲載はもとより、国として基礎自治体への周知、助言が不可欠と考えますが、高市総務大臣の御所見をお願いします。
次に、特別定額給付金についてお伺いします。
まずは、今日まで自治体の職員の皆様の不眠不休の御対応に深く敬意と感謝を申し上げます。一日も早く国民の手元に給付金が行き渡るよう、国としてシステムの改善、自治体現場に寄り添ったきめ細やかな支援、外国人への多言語相談対応等、引き続き全力を挙げていただくことをお願い申し上げます。
一方で、今回、自治体間の対応のばらつき、マイナンバーカードを利用したオンライン手続の混乱等、多くの課題が浮き彫りとなりました。大都市ほど給付が遅れるといった課題を解決するには、行政手続の合理化、とりわけオンライン化は不可欠です。この点、今年度行政評価等プログラムにおいて、総務省行政評価局の調査テーマとして行政手続の実態調査があることを踏まえ、本給付金以外にもオンライン申請受付を行った各省支援策を含めた包括的な検証を行うとともに、申請者本位の迅速かつ簡素な手続によるサービスを実現していくことが急務と考えますが、高市大臣の御所見を伺います。
さて、新型コロナ対策では、第一波を踏まえた第二波、第三波への備えが目下最優先であります。
一方、平成二十九年、総務省は、国際的脅威となる感染症への対応に係る行政評価を実施し、厚労省に勧告しましたが、勧告対象となった水際対策や国内蔓延防止策等については、フォローアップが必ずしも十分ではありませんでした。
感染症対応は、政府全体の取組であることは言うまでもございません。一方で、行政監視の一年のサイクルを踏まえ、新型コロナへの政府対応を省庁横断的に検証し改善していくことも、中長期的な感染症対策の上で有意義であると確信いたします。
そこで、改めて、新型コロナウイルス感染症を受けての国際的脅威となる感染症への対応をテーマとして、総務省による統一性・総合性確保評価等を実施すべきと考えますが、高市大臣の答弁を求めます。
最後に、保健分野を始めとする国際協力について伺います。
国は、新型コロナ対策において、昨年度予備費、今年度補正予算等により、多くの国際機関等に任意拠出金を供与しています。世界全体でコロナに打ちかつために国際協力は不可欠です。DAC統計によれば、過去十年間、保健分野が我が国ODA全体に占める割合は僅か二から三%で推移。先進国の中で断然最低レベルです。
我が国として、特にアフリカ始め保健システムが脆弱な国々や生きるすべをなくした難民を置き去りにしないための支援を続けることは、人間の安全保障の観点からも国際的な責務であります。国際機関、財団、NGO等と連携しながら、ワクチンや治療薬を平等に提供していくことは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジやSDGs達成の観点からも必要不可欠であると考えます。この点、公明党の要望も踏まえ、昨日、Gavi増資会合で我が国が追加の二億ドルの支援を表明したことを高く評価します。
他方、国民が苦しむ中で血税を用いる以上、国際協力の必要性につき理解を促すことも欠かせません。そのためには、各拠出先機関がそれぞれの開発課題の解決に貢献したかを客観的かつ厳格に評価すること、また、その成果を国民に広く目に見える形で説明責任を果たすことが重要であり、一層の取組を求めたいと考えますが、茂木外務大臣の答弁を求めます。
本日開始した行政監視の新たなサイクルは、国政を不断に検証し、正すべきは正し、国民の負託に応えていくための参議院の新たな挑戦であると考えます。同時に、行政による施策が国民に裨益するよう現場に行き渡らせることが何より大事です。そのために公明党は、北海道から沖縄まで全国に張り巡らされた議員ネットワーク力を最大限に発揮し、現場第一で全力を尽くしていくことをお約束申し上げ、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/12
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013・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 高橋光男議員からは、まず、今般の本会議開催の意義と国民の皆様の行政への信頼向上に努めていく考えについてお尋ねがございました。
参議院におかれましては、行政監視委員会の設置、累次にわたる決議など、一貫して行政監視機能を重視してこられました。今般の改革においてその機能を更に充実され、この本会議報告に至ったものであり、これを起点として新たな行政監視の年間サイクルがスタートするものと理解しております。国民の皆様の行政に対する信頼を確保するためにも、行政評価・監視機能を通じて行政運営の改善を着実に進めていくことが重要であり、今般の本院のお取組を踏まえつつ、気を引き締めて任に取り組んでまいります。
次に、政策評価の客観性、厳格性、透明性を高めるために、御提案を交えたお尋ねがございました。
政策評価においては、御指摘の客観性、厳格性、透明性が極めて重要であると考えております。御提案に関しましては、各行政機関において、政策評価法に基づき、有識者会議を開催することによる学識経験者の知見の活用を始め予算要求等における評価書の活用、評価に関連する資料の公表など、自ら行っている政策評価の客観性などの確保に取り組んでいるところです。
また、政府における政策評価制度の適切な推進を図る総務省といたしましては、各行政機関の政策評価の点検の実施など、客観性、厳格性を高める取組や、政策評価に係る積極的な周知、広報など、透明性を高める取組を進めているところでございます。議員の御提案も交え、現状の取組にとどまるところなく、事案の性質に応じ、必要性、効率性を勘案しながら適切に対応をしてまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症対応に従事した救急隊員などへの手当についてお尋ねがございました。
新型コロナウイルス感染症に立ち向かう救急隊員などが安心して活動できる環境を整備することは大変重要なことと考えております。各自治体において、救急隊員などが新型コロナウイルス感染症対応に従事した場合の手当について、引き続き、周知し、適切な対応をお願いしてまいります。
次に、オンライン申請受付を行った各種支援策の包括的な検証についてお尋ねがございました。
特別定額給付金を含めたオンライン申請については、今般の新型コロナウイルス対策を機に各種の支援策がつくられ、事例が重ねられるものと考えています。行政運営の改善を目的とした調査を担当する総務省としては、申請者本位の迅速かつ簡素なサービスの実現という生活者の視点から、このようなオンライン申請の取組についても関心を持ちつつ対応をしてまいります。
最後に、新型感染症対策について、総務省が統一性・総合性確保評価等を実施すべきとの御指摘がございました。
平成二十九年の感染症対策に関する行政評価・監視につきましては、当時の我が国の水際対策や国内の蔓延対策の実態について調査を行い、勧告したものでございます。この勧告を受け、厚生労働省においては、平成三十年七月公表の調査結果のとおり、改善に向けた検討などに着手したものと承知しています。その後の状況につきましては、昨年来、エボラ出血熱や新型感染症への対応で厚生労働省が繁忙を極めているため、確認できておりません。
総務省としては、今後、関係機関の現下の状況や業務の状況を見極めつつ、必要な調査を行うべきだと考えております。その際、議員御指摘の統一性・総合性確保評価とするかどうかも含め、適切に判断をしてまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/13
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014・茂木敏充
○国務大臣(茂木敏充君) 高橋光男議員から、保健分野を始めとする国際協力に関して、国際機関の評価及び説明責任についてお尋ねがありました。
新型コロナ感染症が世界的に拡大する中で、特に医療提供体制、保健システムの脆弱な途上国への支援は重要と考えており、二国間支援、JICA、国際機関への拠出等を通じ積極的な支援策を講じてきているところであります。国際機関経由の新型コロナ対策支援についても累次の予算により手当ていただいており、御指摘のとおり、各国際機関の貢献について評価を行うとともに、国民に広く目に見える形で説明責任を果たすことが重要であります。
このため、外務省としては、国際機関等への拠出金等に関する評価や国際機関への拠出金についての行政事業レビューを実施し結果を公表しています。また、随時、国際機関による具体的な事業やその成果についてもホームページやSNSを通じて発信しています。今回の新型コロナ対策支援についても、その成果について国民に丁寧に説明していく考えです。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/14
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015・山東昭子
○議長(山東昭子君) 音喜多駿さん。
〔音喜多駿君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/15
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016・音喜多駿
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
会派を代表して、政策評価等の実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告に対して質問をいたします。
まず、報告書に基づき政府の取り組むエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング、EBPMの総論について伺います。
EBPMは、どのように定義するかが極めて重要です。特に、エビデンスの定義を幅広くしてしまいますと政策効果の検証が常に曖昧になり、エピソードばかりが選択されてしまう余地が生まれます。
政府によるエビデンスの定義を見てみますと、データ等の証拠を可能な限り求めるとしており、データ以外の「等」を含む余地を残しています。この定義では政策手段の決定に必ずしも直結しないものが含まれることとなり、EBPMの本来の意味である証拠に基づく政策形成が変質しかねません。エビデンスの定義は政策効果に限定したものに絞って設定すべきと考えますが、総務大臣の見解をお伺いいたします。
海外においては、英国のブレア政権、米国のオバマ政権などEBPMの先進事例が多数あります。英国、米国いずれにおいても政策と効果の因果関係を示すエビデンスが重視されています。その中でもランダム化比較試験あるいはそのシステマティックレビューによるエビデンスが評価され、政策決定への活用を促す仕組みが既に導入されています。こうした実践例を参考に、報告書をより充実していくべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
EBPMで最も重要なのがデータの充実です。情報を一元化するためには、行政のICT化と公文書のデジタル化が急務と言えます。しかしながら、我が国の行政文書のデジタル化率はまだ約六%と悲惨な状況であり、EBPM充実の観点からも公文書の総デジタル化と永久保存の定めを設けるべきであると考えますが、特命担当大臣の答弁を求めます。
公文書については、新型コロナ対策で注目を集める専門家会議の議事録が問題になっています。
政府が策定している行政文書の管理に関するガイドラインでは、歴史的緊急事態においても、政策決定を伴わない専門家会議は議事録作成義務がありません。議事録については、即時公開ができないとしても、作成して保存をしなければ後世に重要な歴史的データを残すことができません。行政文書の管理に関するガイドラインの規定については、議事録作成を原則義務化するとともに、場合によっては公表するのは一定期間後にできるように改めるべきと考えますが、特命担当大臣の答弁を求めます。
行政内部での政策評価は、どうしてもお手盛りや形骸化といった批判を受けるものであります。特に、我が国のエビデンスの定義に照らせば、利害関係者が恣意的な内容を用いる可能性も出てきかねません。行政機関外部からの評価、特に、会計検査院の関与をより拡充させることが重要と考えますが、総務大臣の見解を伺います。
また、我が国には、行政は絶対に間違えてはいけないという行政の無謬性神話が根強く、政策を変更することが難しい状況になっています。EBPMを実施する政策分野については、行政がデータに基づき試行錯誤することを国民に納得してもらう努力が必要と考えますが、総務大臣の見解を伺います。
EBPMの取組と検証、評価は極めて重要である一方で、政策立案を担当する行政内部からは評価疲れの声も聞こえてきます。霞が関、官僚の働き方改革が必要不可欠であり、官僚の負担を減らす国会改革も同時に求められています。
ネット中継付きで、時に大きな声で官僚を追い詰める野党合同ヒアリングなるものは、果たしてお互いにとって、国民にとって有益なものであるのかどうか、いま一度立ち止まって考えるべきではないでしょうか。また、議員の要求する膨大な資料やレクチャーについても、オンライン送付、オンラインレクチャーの推奨をするべきであり、この改革を国会に促すとともに、各省庁の中でも毅然としたルールを設けるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
次に、女性活躍推進とEBPMについて質問をいたします。
令和元年度には女性活躍の推進に関する政策評価を実施しておりますが、科学的エビデンスの観点からは、当該委員会でも議論のあったワクチン行政の改善が急務です。特に、新型感染症が猛威を振るい、ワクチンへの期待が高まる中、HPVワクチン、子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨が停止されている状態は、重大な矛盾であると言わざるを得ません。
私自身、このワクチンの安全性と効果を啓発するために、二〇一七年、HPVワクチンを三回接種しております。このワクチンは、適齢期の女性にはもちろんのこと、特定のがん対策として男性にも効果が認められています。現在では、HPVワクチンによる子宮頸がん等への予防効果を示す研究は多数ある一方で、ワクチンが重篤な副作用を引き起こす因果関係、エビデンスは見付かっておりません。
我が国は現在、先進国の中でほとんど唯一、毎年約一万人以上がマザーキラーとも言われる子宮頸がんを新たに発症している状態であり、女性活躍の視点からも極めて大きな問題です。HPVワクチンの積極的勧奨の放置はEBPMの観点に基づくものではないと考えますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
新型コロナウイルスの感染拡大においても、正しい医療知識を身に付けることが風評被害から身の安全を高めることにつながりました。ワクチンに対する正しい知識を啓発するためにも、女性活躍のためにも、HPVワクチンの積極的勧奨の早期再開をその契機とすべきと考えますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
次に、地方分権とEBPMの観点から質問いたします。
地方の政策決定では、時に少数の強い声に施策が左右され、科学的な根拠に基づかない政策や条例制定がされることが散見されます。地方分権が進んでいくのは歓迎すべきことではありますが、間違った根拠に基づくものは是正をしていく必要もあります。報告書にあるEBPMの取組について、国が地方自治体にもノウハウを提供し、推奨するべきと考えますが、総務大臣の答弁を求めます。
エビデンスに基づかない条例の例として、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例があります。本条例は、ゲーム依存症から子供たちを守るためと称して、ゲームの利用時間制限を設けています。しかしながら、依存症を防ぐためにこうした時間制限を掛けることは、有効性及び科学的根拠が現時点では存在せず、政府もそれを閣議決定された答弁で認めております。EBPMの観点からは、香川県のゲーム条例はエビデンスに基づいたものではないと評価できると考えますが、厚労大臣の見解を伺います。
一方で、政府は、本条例に関する質問主意書に対する答弁の中で、地域を飛び越えて県外事業者にもその効力を及ぼす可能性を示唆しています。一般的に、地方自治体が定めた条例は属地主義が適用されるべきであり、香川県ゲーム条例についても、属地主義の観点から県外事業者に効力は及ばないと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
また、属地主義を超える条例が乱発されることは、地方分権、地方の自律だけではなく、自由主義社会の観点からも脅威であると考えますが、総務大臣の見解を伺います。
香川県でこうした条例が定められたことを機に、国でもゲーム依存症対策をする動きが高まっています。今後の国のゲーム依存症対策においては、科学的証拠に基づく政策決定を行うべきと考えますが、厚労大臣の見解を伺います。
最後に、地方の条例に関連して、地方議会のオンライン出席について伺います。
先日、大阪府議会は、委員会について、オンラインで出席できる条例を制定しました。総務省は、地方議会宛ての通知の中で、オンラインで委員会が開催できる場合を感染症対策など極めて狭く限定しておりますが、大阪府は、緊急時だけではなく、育児や介護などやむを得ない理由にも活用できるとしております。この点、大阪府議会の取組については、通知内容にとらわれず、地方分権の観点及び働き方改革の観点から前向きに評価をするべきと考えますが、総務大臣に見解を伺います。
政府は、地方議会のオンライン出席に関する質問主意書の中で、民間の会議と委員会を同列に論じることはできないと議会のオンライン化を否定する答弁をしております。しかし、この言い方は余りにも民間の取組を軽んじるものではないでしょうか。EBPMの観点からそのように断じる根拠はあるのかどうか、総務大臣の答弁を求めます。
コロナによって密になった会議ができない状況であるのは民間事業者も議会も同じであり、議会だけは特別という発想はそもそも改めるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
今回のコロナにおける各地の地方議会は、オンライン出席を進めようと思っても、地方自治法の定めと解釈によってそれが妨げられました。本会議はいまだにオンライン出席を全く認めないという方針を総務省が堅持しています。地方議会は議員のなり手不足なども深刻であり、問題解決にはそれぞれの議会に合ったルール作りを認めるべきです。これを機に、地方議会の出席ルールについては地方自治法を改正し、自由に定めることを認めるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
地方の実態に応じて、住民サービスの向上や行政の効率化の図られる余地はまだまだ十分に残されています。我々日本維新の会は、EBPMの観点からも、より一層の地方分権推進が必要であることを強く申し上げまして、私からの質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/16
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017・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 音喜多駿議員からは、まずエビデンスの定義についてお尋ねがありました。
EBPM、すなわち証拠に基づく政策立案は、個別具体の事務事業から総合経済対策のような大規模な政策まで有効な取組として、政府全体でその浸透、定着を図っているところです。
エビデンスの定義については、このように様々なレベルの政策におけるEBPMを視野に入れた統一的な定義は確立していないものと承知しておりますが、一般的に申し上げれば、エビデンスは政策のよって立つ論理を証拠付けるものであると考えております。このような状況においては、エビデンスと言えるかどうかを定義で限定するのではなく、エビデンスのレベルや質をもって、その過不足や論理の妥当性を考えていくべきものであろうと認識しております。
議員御指摘の、エピソードばかりが選択され、政策効果の検証が曖昧になるとの弊害については、むしろエビデンスの定義の問題ではなく、選択されたエピソードでは、エビデンスとしてはレベルが極めて低いか、そもそも政策の論理が成立していない、つまりエビデンスになっていない事例と評価すべきことではないかと考えます。
次に、政策評価の年次報告で、海外事例を参考にするよう御提言を賜りました。
政策評価については、各国において、その国の実情や政策を踏まえて様々に取組が行われており、我が国においても参考にすべき事例があるものと考えております。現行の政策評価法も海外の仕組みや事例についての研究を踏まえたものであり、総務省では同法を所管する立場から各国の取組についての情報の収集も行っております。
海外事例の知見については、各行政機関が行う政策評価の中に生かすことや、今回の報告書におけるトピックのような形で取り上げることなどが考えられますが、その内容や性質に応じて取り扱いつつ、政策評価法の定めに従い適切に報告書をまとめてまいりたいと考えます。
次に、政策評価において、行政機関外部からの評価、特に会計検査院の関与の充実についてお尋ねがありました。
政策評価法は、行政機関に対し、政策評価の客観的かつ厳格な実施を図るため、政策の特性に応じて学識経験者の知見を活用することを求めております。行政機関外部からの評価の活用は、このような取組の一環として位置付けられるものであると考えられ、政策の特性に応じて行っていくことが望ましいと考えております。
なお、会計検査院につきましては、内閣に対し独立の地位において会計検査を行うべき機関と承知しており、内閣に属する行政機関の営みである政策評価に関し、その評価過程で関与することは適切とは考えてはおりませんが、他方で、行政機関は、自らの政策評価において会計検査院の既往の指摘について必要な考慮を行うことは当然と考えております。
次に、EBPMに際して行政が行う試行錯誤について国民の御理解を得る努力が必要ではないかとの御指摘がございました。
EBPMは、証拠を得つつ、政策のロジックなどを不断に見直し改善するという考え方を含んでおり、議員御指摘のとおり、試行錯誤を重ねる可能性を含んでいる考え方でございます。また、政策評価の取組は、国民の皆様に対する説明責任を果たすために行うものであり、国民の皆様の御理解は不可欠です。したがって、政策評価におけるEBPMの取組については、引き続き、政策評価の広報の際に的確な発信を行っていきたいと考えております。他方において、EBPMにより各行政機関が個々の政策において行う試行錯誤については、当該政策についての説明責任を果たす中で誠実に果たしていくべきことであると考えております。
次に、国会議員とのレクチャーなどのオンライン化についてお尋ねがありました。
御指摘の新たな運用については、まずは国会において御判断いただくことであると考えます。その上で、一定の方向性をお示しいただいた場合には、総務省としても適切に対応してまいります。
次に、EBPMの取組について、国が地方公共団体にもノウハウを提供し、推進すべきという御指摘がございました。
地方公共団体へのEBPMのノウハウの提供については、国、地方を通じた政策改善と、行政に対する国民の信頼確保を進める上で重要であると考えております。
総務省では、平成二十七年七月の本院における政策評価制度に関する決議を踏まえつつ、国の機関と地方公共団体の職員を対象とした研修の機会などにEBPMに係る情報提供をしております。今後とも、EBPMに関する的確な情報提供に努めてまいります。
次に、地方公共団体が制定する条例と属地主義の関係についてお尋ねがありました。
お尋ねの条例の効力については、個別具体に判断されるべきものです。その上で、一般論として申し上げますと、地方自治法第十四条第一項の規定により、地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて地域における事務などに関して条例を制定することができることとされています。
条例は、原則として、当該地方団体の区域内であれば住民であるか否かを問わず効力を及ぼすとともに、当該区域外にある者に対しても、例えば当該区域内において条例の規定の対象となるものを所有するような場合には、当該地方公共団体の条例の規定が適用されることがあり得るものと考えています。
次に、区域外に効力を及ぼす条例の制定についてお尋ねがありました。
地方公共団体の区域外にある者に対しても条例の規定が適用されることはあり得るものであり、そのような規定を設けることが直ちに問題になるものとは考えておりません。
次に、大阪府議会の取組についてお尋ねがありました。
総務省におきましては、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止措置の観点などから、委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合に、テレビ電話会議システムなどを活用して委員会を開催することは差し支えない旨の通知を発出させていただきました。オンラインによる委員会の開催を検討している地方議会においては、この通知の趣旨を踏まえて御対応いただきたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症対策以外の観点からの委員会への出席の在り方については、現在実施が検討されている新型コロナウイルス感染症対策としてのオンラインによる委員会の開催の取組や運営上の工夫などもよく踏まえた上で考えていくべき課題であると認識しています。
次に、民間の会議と地方議会との取扱いの違いについてお尋ねがありました。
地方議会は、多様な住民の意見を集約して団体意思を決定する重要な役割を果たしています。議員の意思決定は疑義が生じる余地のない形で行われる必要があり、また、議会の会議の内容及び議員の活動は住民の皆様にも公表すべきものでございます。こうした議会の役割や性質を踏まえますと、民間における一般的な会議と地方議会の委員会を同列に論ずることはできないと考えております。
最後に、地方議会への出席方法を自由に定めることについてのお尋ねがありました。
地方議会は、多様な住民の意見を集約して団体意思を決定する重要な役割を果たしております。これも、新型コロナウイルス感染症対策以外の観点からの議会への出席の在り方につきましては、現在実施が検討されている新型コロナウイルス感染症対策としてのオンラインによる委員会の開催の取組や運営上の工夫などもよく踏まえた上で考えていくべき課題であると認識しております。(拍手)
〔国務大臣北村誠吾君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/17
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018・北村誠吾
○国務大臣(北村誠吾君) 文書管理の電子化と永久保存、また、議事録の作成及び公表についてお尋ねをいただきました。
政府は、昨年三月に決定いたしました行政文書の電子的管理についての基本的な方針に基づきまして、今後作成する行政文書は電子媒体を正本また原本とすることを原則とするなど、文書管理の電子化に向けた取組を着実に進めておりますが、保存期間満了後も廃棄しないで全てを永久に保存し続けることは、行政文書の整理、保存、移管又は廃棄等の適切な管理や効率的な行政運営といった公文書管理法の理念との関係で慎重に検討をする必要があろうと考えておるところであります。
会議の記録の作成につきましては、公文書管理法上、意思決定に至る過程を合理的に跡付け又は検証することができるよう文書を作成することを求めており、行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、作成する文書の形式を会議の性質や内容等に応じて規定することが合理的であると考えておるものであります。なお、御指摘の専門家会議につきましては、ガイドラインの懇談会等に該当するものとして議事の記録が作成されていると承知いたしております。
作成された文書の公開につきましては、情報公開法の規定などに基づき、各府省において適切に対応されているところと承知いたしており、公文書の管理と相まって、国民に対する説明責任が適切に果たされるよう取り組むことが重要であると認識しておるところであります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/18
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019・加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 音喜多駿議員からは四問の御質問をいただきました。
HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えについてのお尋ねがありました。
HPVワクチンについては、子宮頸がんの予防が期待されるため、平成二十五年四月から定期接種化されているところであります。
しかし、ワクチン接種後に多様な症状について報告があり、同年六月からこれらの症状の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切に情報提供ができるまでの間、積極的な勧奨を差し控えているところであります。この対応は、専門家から成る審議会におけるワクチンの有効性、安全性に関する評価を踏まえて実施をしているものであり、EBPMの観点に基づくものではないとの御指摘は当たらないものと考えております。
HPVワクチンの積極的勧奨の再開についてお尋ねがありました。
厚生労働省としては、HPVワクチンに関する知識の啓発は重要であると考えており、積極的勧奨の差し控え以降、審議会での議論を踏まえてリーフレットを作成し、ワクチンの有効性、安全性について国民に周知を行ってきたところであります。
平成三十年度に行った自治体及び国民への調査の結果、必ずしも十分にワクチンに関する情報が行き届いていないことが明らかになったことから、リーフレットを活用した情報提供の在り方について審議会において議論を行っているところであります。今後とも、審議会における議論を踏まえながら、国民への適切な情報提供に努めるとともに、必要な検討を進めてまいります。
香川県のゲーム条例についてお尋ねがありました。
香川県において、本年三月十八日に香川県ネット・ゲーム依存症対策条例が成立したものと承知をしておりますが、本条例については、地方公共団体の議会が制定したものであり、見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
なお、国立病院機構久里浜医療センターが十歳から二十九歳までの者を対象に実施をしたネット・ゲーム使用と生活習慣のアンケートの結果によれば、例えば、ゲームをやめなければいけないときにしばしばゲームをやめられませんでしたかという質問に、はいと答えた割合は、ゲーム時間が長い者ほど多くなる傾向にあると承知をしているところであります。
科学的根拠に基づくゲーム依存症対策についてお尋ねがありました。
ゲーム依存症については、学業、仕事等の社会生活や、本人、家族の健康、日常生活に対して悪影響を及ぼし得ることから、その対策は大変に重要と考えております。このため、議員御指摘のとおり、科学的根拠に基づきゲーム依存症対策を進めていくことが重要であると考えております。
これまでも、ゲーム依存症に対する普及啓発や相談職員への研修等を行ってきたところでありますが、今後とも、実態調査や診療、相談事例の実態、さらには有識者の意見や他の依存症に関する知見なども踏まえつつ、ゲーム依存症対策を進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/19
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020・山東昭子
○議長(山東昭子君) 井上哲士さん。
〔井上哲士君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/20
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021・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。会派を代表して質問します。
日本国憲法で、国民の代表機関、国権の最高機関、唯一の立法機関として位置付けられる国会が、行政への監督・監視機能を果たすことは重要な責務です。
私も参加した参議院改革協議会において、行政監視機能の強化に院全体で取り組むこととし、年間サイクルの起点として本会議での政府報告と質疑を行うことを決め、本日が第一回目です。
参議院は、解散がなく、任期が六年で半数改選であり、継続性、安定性という特性を持っています。それを生かし、中長期的な課題とともに、その時々の重要課題や国民の声に機敏に応えた行政監視機能をしっかりと果たさなくてはなりません。政府の全省庁は、参議院の行政監視活動の強化に全面的に協力すべきではありませんか。総務大臣の答弁を求めます。
国会の行政監視機能への挑戦とも言えるとんでもない内容が第二次補正予算案に盛り込まれました。十兆円の予備費です。
巨額の予備費は、憲法に定める財政民主主義をじゅうりんするものであり、政府に白紙委任することはできません。財務大臣の認識を問うものです。
国会が行政監視機能を果たすためには、意思決定過程の透明化、議事録などの作成と公開、公文書の適切な管理と公開は不可欠です。
ところが、安倍政権の下で、自衛隊の日報、森友、加計、桜を見る会などでの公文書の隠蔽や破棄が相次いだことは、行政監視の妨げになってきたのではないですか。総務大臣の答弁を求めます。
さらに、政府の新型コロナ専門家会議の議事録も作成されていないことが明らかになりました。
専門家会議は、コロナ対応の政策決定に決定的影響を与えています。官房長官は一日の会見で、専門家会議が公文書管理のガイドラインで議事の記録作成が必要とされる懇談会に該当することを認めました。議事録を作らなかったことは間違いだったのではないですか。速記録はあるとしています。詳細な議事録を作成して公開するべきです。以上、官房長官、いかがですか。
次に、賭けマージャンで辞職した黒川検事長をめぐる問題です。
政権の都合で黒川氏を検事総長にするために違法な定年延長を閣議決定し、それを合法化するための検察庁法改定案に定年延長を盛り込んだのではないか、この疑問にまともな説明がありません。
森法務大臣は、二月二十七日の衆議院予算委員会で、法案策定過程を記した文書を法案の成案ができた段階で作成すると説明しました。ところが、いまだに作成中としています。なぜ法案の閣議決定から二か月半以上たってもできないのですか。法案作成過程に説明が付かない問題があるからではありませんか。
さらに、その黒川氏が、緊急事態宣言の最中に賭けマージャンをしながら、懲戒処分以下の訓告という措置しかされず、しかも、その決定過程の説明が二転三転していることに批判が広がっています。
人事院のホームページでは、国家公務員倫理法に基づく処分の場合、通報から処分が行われるまで比較的短い場合でも二か月程度は要しますと明記しています。実際、黒川氏の処分後に賭博の常習性を示す事実が報道されています。なぜ僅か数日の調査で訓告としたのですか。以上、法務大臣の答弁を求めます。
検事長の任命権者は内閣であり、懲戒を決めるのも内閣です。法務省の案を了承しただけと言いますけれども、了承自体が判断です。なぜ、懲戒処分はしない、訓告でよいという判断を行ったのですか。官房長官、お答えください。
検察刷新会議が設置されますが、以上述べた黒川氏の定年延長や検察庁法改定案の変更、懲戒処分としなかった経緯を議論の対象としなければ国民の信頼回復はないと考えますが、いかがですか。
昨日、法務省は、黒川検事長が辞任した後も管内の捜査や公判に支障が出ていないと答弁しました。重大かつ複雑困難な事件の捜査、公判の対応のために、余人に代え難いと定年延長を閣議決定した根拠も、検察庁法改定案特例規定の立法事実もないことはもはや明確です。いずれも撤回すべきです。以上、法務大臣、お答えください。
コロナ禍で売上げが激減した中小企業に国が支払う持続化給付金が手続をしてもなかなか送られない、コールセンターがつながらないなど、倒産の危機に直面しながら一刻も早い給付を待っている業者から悲鳴と怒りの声が上がっています。
この持続化給付金の七百六十九億円が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に委託され、何と九七%の七百四十九億円が電通に再委託されていたことが明らかになりました。
この協議会は、電通や、竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣会社パソナ、IT業のトランスコスモスなどが二〇一六年五月十六日に成立しました。同じ日に、経産省からおもてなし規格認証の事業の公募が発表され、これに協議会が応募し、設立したばかりなのに、一者のみ認定機関として採択をされ、四千六百八十万円の補助金が交付されています。しかも、この協議会の定款をネット上で調べると、定款案の作成者は経済産業省の情報システム厚生課となっています。
この協議会は、経産省が関与して設立されたのではありませんか。なぜ、実績もない協議会が選定をされ、補助金を交付されたのですか。
その後、この法人は今回を含め経産省の事業を十四件、千五百七十六億円受注していますが、法人の職員は僅か二十一人です。事務所の入口には、お問合せはコールセンターまでの張り紙があるだけで、ホームページもありません。代表理事は、応札の経過を含めて運営体制を一切知らないと述べています。法律で義務付けられている官報への決算開示を設立以来一切していなかったことも明らかになりました。その実態は、巨額の委託を受けるには余りにも乏しく、ずさんではないですか。
経産大臣は、二日、電通が直接受注しなかった理由を、過去に、国の事業に応募したのに振り込み元が電通だったことで問合せが殺到したため、電通では直接受注しないことを原則としていると聞いていると述べました。つまり、この法人は、国の事業の委託費を電通や身内企業で分け合っている実態を国民から見えなくするための役割を担っているのではありませんか。
再委託を受けた電通は、給付金支給業務をパソナ、大日本印刷、トランスコスモス社に外注しています。再委託先には、業務上知り得た情報についての守秘義務が課せられますが、これら外注企業には守秘義務は掛からないのではないですか。
再委託、外注を通して、中小企業の経営実態に関する情報や確定申告の内容など、膨大な企業・個人情報が外注先に蓄積し、ビジネスチャンスにすることもできます。こんな形で個人情報が扱われていいのでしょうか。
持続化給付金事業の全体像を明らかにするため、実施計画などの入札資料を国会に提出すべきです。以上、経産大臣の答弁を求めます。
さらに、ゴー・ツー・キャンペーン事業でも事業費の二割、三千億円以上の事務委託費が見積もられており、同様の問題が起きると懸念が広がっています。作業を一旦中断し、根本的な見直しを求めます。
以上、参議院が国民への責務として行政監視機能を発揮するために、真摯な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/21
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022・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 井上哲士議員からは、まず、参議院の行政監視活動への政府の協力についてお話がございました。
本日の本会議を起点としてスタートする新たな行政監視の年間サイクルを始めとした今般の改革については、行政監視機能の強化に関する政府への要請事項として、去る五月十八日に参議院議院運営委員長から政府に対して要請がなされ、各府省にも伝達されております。以上の経緯を踏まえ、政府としては真摯に対応すべきものと考えております。
次に、公文書の隠蔽や破棄が行政監視に妨げになるのではないかとのお尋ねがございました。
行政文書については、公文書管理法の定めるところにより、各府省において適切に作成、保存が行われる必要があります。一般論として申し上げると、公文書の違法な隠蔽や破棄が行われれば、行政監視における事例や事案の確認に支障が生ずる可能性があると考えます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/22
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023・麻生太郎
○国務大臣(麻生太郎君) 井上議員から予備費についてお尋ねがあっております。
新型コロナウイルス感染症につきましては、有効な治療薬またワクチンが開発されるまでの間に、第二波、第三波の可能性が排除できません。したがって、今後はある程度長期戦もあり得るということを見据えて、状況の変化に応じて臨機応変に対応する必要があるのははっきりしておると思いますね。
新型コロナウイルス感染症については、諸外国で制限を緩めた後、再び感染者が増加傾向に転じた例が確認されております。緊急事態宣言の解除後に事態が急変する可能性も、これは排除できません。一方で、補正予算の編成からその成立まで、ある程度の時間を要します。したがって、事態の急変に対し臨機応変に対応するため、万全の備えとして十兆円追加することといたしております。
この予備費につきましては、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいてこれを設けることができるとされておりますので、その上で、その支出については事後に国会の承諾を得る仕組みとなっております。今後、第二次補正予算の一部として、国会で御審議をいただきたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/23
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024・菅義偉
○国務大臣(菅義偉君) 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の記録の作成についてお尋ねがありました。
行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、懇談会について作成する議事の記録については、会議の態様等によっては発言者が特定されない形もあり得るものと承知しています。
その上で、専門家会議の記録については、第一回の会議において、構成員に自由かつ率直に御議論いただくために、発言者が特定されない形の議事概要を作成するとの方針を構成員に説明をし、御了解をいただいており、以後、この方針に沿って適切に対応いたしております。公表しております専門家会議の議事概要は、議論の内容が分かるように丁寧に作成されており、引き続き担当部局において適切に対応してまいります。
黒川前検事長の処分についてお尋ねがありました。
内閣が任命権を有する者については、懲戒処分を行うか否かも含め、通常は、まず所属府省の長として行政事務を分担管理する国務大臣が検討を行うことといたしております。黒川氏の処分については、法務省において必要な調査を行った上で、法務省及び検事総長として訓告が相当であると判断し、決定をしたものと承知をしています。
検察庁を所管する法務大臣が、必要な調査を行った上で訓告が相当であるとの報告をしてきたものでありますから、私は、その判断を尊重して、異論がない旨の回答をしたのであります。(拍手)
〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/24
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025・森まさこ
○国務大臣(森まさこ君) 井上哲士議員にお答え申し上げます。
まず、検察庁法改正案の策定過程に関する文書の作成等についてお尋ねがありました。
本年三月、国家公務員法等の一部を改正する法律案について成案が得られましたので、法務省においては、そのうちの検察庁法改正部分について策定の過程を明らかにするため、必要な文書を作成しているところです。
現在、担当部局において鋭意作業を進めておりますが、法案審査資料、関係省庁とやり取りをした文書等の整理に時間を要しているものであり、法案策定過程に御指摘のような問題はありません。必要な文書について、可及的速やかに作成したいと考えています。
次に、黒川氏に対する訓告の処分についてお尋ねがありました。
黒川氏が金銭を賭けてマージャンを行ったことは甚だ不適切であり、強い遺憾の意を覚えるものであって、検察に対する国民の信頼を損ねるものであることから、法務省としては、できる限り速やかに必要な調査を行うことといたしました。そして、法務省として必要な調査を行った結果、監督上の措置として最も重い訓告の処分と決定したものです。
なお、法務省においては、黒川氏が約三年前から月一、二回程度金銭を賭けたマージャンをしていたことを事実として認定し、この事実も踏まえて、常習として賭博をしたものとは認められないと判断しており、黒川氏に対する処分後の報道があることを踏まえても、その判断は変わらないものと考えております。
次に、国民の皆様からの信頼回復についてお尋ねがありました。
法務省及び検察が適正にその役割を果たしていくためには、国民の皆様の信頼が不可欠です。しかしながら、今回の黒川氏の行動は甚だ不適切なものであり、法務省及び検察に対して国民の皆様から様々な御意見、御批判をいただいております。そこで、法務・検察行政刷新会議(仮称)を設置し、国民の皆様からの信頼回復に向けた議論や検討を行うことといたしました。
黒川氏の勤務延長及び黒川氏に対する処分はいずれも適正に行われたものであり、また、検察庁法改正案の内容も適切なものであって、これらの適否を同会議の議題とする考えはありませんが、引き続き、様々な機会を捉えて丁寧に御説明してまいりたいと考えています。
最後に、黒川氏の勤務延長や検察庁法改正案についてお尋ねがありました。
黒川氏の勤務延長については、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、具体的には、業務の継続的遂行に重大な障害を生じさせないため、定年後も引き続き勤務させることとしたものであり、この勤務延長は必要であったと考えております。
また、御指摘の検察庁法改正案の規定については、社会経済情勢の変化及びこれに伴う犯罪の複雑困難化が進んでいる中で、公務の運営に著しい支障が生ずる場合があり、必要な規定であると考えております。
他方で、黒川氏が辞職することとなり東京高検検事長のポストが空白となったため、最適な後任者を速やかに選任し、その結果、空白の期間は比較的短く、具体的な業務の支障が生じるまでには至らずに済んだものと承知しています。
したがって、黒川氏の辞職によって具体的な業務の支障が生じていないことは、黒川氏の勤務延長の根拠を失わせるものではなく、また検察庁法改正案の規定の立法事実を否定するものではないものであって、御指摘は当たりません。(拍手)
〔国務大臣梶山弘志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/25
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026・梶山弘志
○国務大臣(梶山弘志君) 井上議員からの御質問にお答えをいたします。
サービスデザイン推進協議会の設立への経済産業省の関与と、おもてなし規格認証事業の選定理由についてお尋ねがありました。
当時のサービス産業担当の職員から聴取をいたしましたが、一般社団法人サービスデザイン推進協議会の設立に際し、協議会の定款案の作成に当省職員が関与した事実は確認できませんでした。また、おもてなし規格認証の選定においては、外部有識者の委員会で、サービスデザイン推進協議会が提案した実施体制案が必要な経験、実績を十分有する企業群によるコンソーシアム形式であることを確認しており、これを踏まえて、経済産業省としてもおもてなし規格認証を運営できると判断をし、補助金を交付したものであります。
サービスデザイン推進協議会の実務実態と事業受託に際しての協議会の役割についてお尋ねがありました。
この協議会は、平成二十九年度補正予算のIT導入補助金において六万二千八百九十三件の事業者への補助を執行するなど、事業実施能力を有する事業者であります。
持続化給付金事業において、同協議会は事業全体の統括と振り込み関連業務を担っております。現在、協議会の職員は、各地の審査会場を直接訪問して行う監督や助言、感染症対策の観点から分散して業務を行っておりますが、このような状況下におきましても、一か月で百万件以上の給付を行っているところであります。その上で、協議会と外注先を含めた事業の実施体制について、個別企業の存在を隠す趣旨との疑念を払拭できるようにしっかりと説明をしてまいります。
外注先の守秘義務についてお尋ねがありました。
経済産業省とサービスデザイン推進協議会の間の契約において、協議会からの再委託先のみならず、その先の契約先も含めて、守秘義務を課すことを求める条項がございます。
入札資料の国会への提出についてお尋ねがありました。
持続化給付金の事務局事業の入札に係る資料につきましては、ノウハウなど競争上の地位を害するおそれがある部分について入札事業所の確認作業を行っているところであり、サービスデザイン推進協議会の契約書、サービスデザイン推進協議会からの提案書の確認を終え次第、週明けにも提出をさせていただきます。事業の全体像について疑念を払拭できるよう、しっかりと説明をしてまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/27
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028・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第二 復興庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。東日本大震災復興特別委員長青木愛さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔青木愛君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/28
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029・青木愛
○青木愛君 ただいま議題となりました法律案につきまして、東日本大震災復興特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、東日本大震災からの復興の状況を踏まえ、東日本大震災からの復興を重点的かつ効果的に推進するため、復興庁の廃止期限の延長、復興推進計画等に基づく特例措置の対象となる地域の重点化、福島県による福島復興再生計画の作成及び国の認定、復興に係る必要な財源に関する所要の措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、復興・創生期間後の復興庁の体制、復興事業及び財源確保の在り方、水産業、農業、観光等の事業復興支援、災害公営住宅家賃低廉化の継続、心のケアと健康調査、福島第一原発に係る廃炉及び処理水、汚染土壌の処理、帰還困難区域の避難指示解除の方針、東北の科学イノベーション創出等、多岐にわたる質疑が行われました。その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して紙委員より反対の旨の意見が述べられました。
討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し二十六項目から成る附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/29
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030・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/30
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031・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/31
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032・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第三 聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長若松謙維さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔若松謙維君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/32
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033・若松謙維
○若松謙維君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、聴覚障害者等による電話の利用の円滑化を図るため、国等の責務及び総務大臣による基本方針の策定について定めるとともに、電話リレーサービス提供機関の指定に関する制度及び同機関のサービス提供業務に要する費用に充てるための交付金に関する制度を創設する等の措置を講じようとするものであります。
なお、衆議院において、総務大臣は、基本方針を定めようとするときは、聴覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないものとする修正が行われております。
委員会におきましては、公共インフラとしての電話リレーサービスの意義、聴覚障害者等の意見反映の在り方、通訳オペレーターの育成確保策、サービスの普及に向けた周知、広報の重要性等について質疑が行われました。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/33
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034・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/34
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035・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/35
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036・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第四 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長吉川ゆうみさん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔吉川ゆうみ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/36
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037・吉川ゆうみ
○吉川ゆうみ君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、著作物等の公正な利用を図るとともに著作権等の適切な保護に資するため、いわゆるインターネット上の海賊版による被害の拡大を防止するための措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、本法律案による海賊版対策の実効性、海賊版対策における国際連携の在り方、国民への普及啓発の重要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案につきまして附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/37
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038・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/38
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039・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/39
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040・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第五 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長竹谷とし子さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔竹谷とし子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/40
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041・竹谷とし子
○竹谷とし子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、自動車運転による死傷事犯の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、危険運転致死傷罪の対象となる行為の追加を行おうとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、危険運転致死傷罪の適用範囲、あおり運転事件における証拠収集の在り方、あおり運転をなくすために必要な施策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/41
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042・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/42
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043・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/43
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044・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第六 金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長中西祐介さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔中西祐介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/44
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045・中西祐介
○中西祐介君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財政金融委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るため、金融サービス仲介業の創設、第一種資金移動業等の種別を設ける等の資金移動業に関する規制の整備等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、金融サービス仲介業の利用者保護を図るための課題、資金移動業者に対する送金上限額に応じた規制見直しの意義と効果、金融機関等のセキュリティー向上に向けた取組の重要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して大門実紀史委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/45
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046・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/46
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047・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/47
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048・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第七 個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長水落敏栄さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔水落敏栄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/48
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049・水落敏栄
○水落敏栄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、個人情報の保護及び有用性の確保に資するため、個人情報の漏えい等が生じた場合における報告及び本人への通知を義務付け、個人情報等の外国における取扱いに対する個人情報の保護に関する法律の適用範囲を拡大するとともに、個人情報に含まれる記述等の削除等により他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工した仮名加工情報の取扱いについての規律を定める等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、個人情報の保護の強化とデータの利活用の在り方、個人データの漏えい報告や利用停止等に係る要件等の明確化と周知の必要性、個人情報保護法制の今後の課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/49
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050・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/50
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051・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/51
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052・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第八 強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長礒崎哲史さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔礒崎哲史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/52
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053・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るため、一般送配電事業者による災害時連携計画策定の義務化、配電事業の許可制度の創設、再生可能エネルギー電気の取引について、市場価格に一定のプレミアムを上乗せして交付する制度の創設、緊急時における独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構への発電用燃料の調達業務の追加等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、電力システム改革の評価と課題、災害時の事業者間連携に係る課題、送配電網の強靱化に向けた投資や人材確保の必要性、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と今後の取組、経済安全保障の観点からの資源確保の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩渕委員より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/53
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054・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/54
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055・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/55
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056・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第九 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長そのだ修光さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕
─────────────
〔そのだ修光君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/56
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057・そのだ修光
○そのだ修光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、地域共生社会の実現を図るため、地域生活課題の解決に資する支援を包括的に行う市町村の事業に対する交付金の創設、地域の特性に応じた介護サービス提供体制の整備等の推進、医療・介護のデータ基盤の整備の推進、社会福祉連携推進法人制度の創設、介護人材確保及び業務効率化の取組の強化等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、地域共生社会の理念、重層的支援体制整備事業に係る財政支援の在り方、介護・福祉人材の確保策、介護福祉士の国家試験に係る経過措置延長の是非等について、安倍内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行ってまいりましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲・国民.新緑風会・社民を代表して田島麻衣子委員より反対、日本共産党を代表して倉林明子委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/57
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058・山東昭子
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。田村まみさん。
〔田村まみ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/58
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059・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党の田村まみです。
私は、立憲・国民.新緑風会・社民の会派を代表し、ただいま議題となりました地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案に関し、反対の立場から討論させていただきます。
冒頭、安倍総理に一言申し上げます。
新型コロナウイルス感染症への対応を検討する政府の専門家会議の議事録が残されていないことに批判が集まり、今改めて安倍政権の公文書管理への姿勢が問われる事態となっております。
政府は、三月、新型コロナウイルスへの対応について、公文書管理のガイドラインに基づく歴史的緊急事態に初めて指定し、担当する北村国務大臣も、国家、社会として記録を共有すべき歴史的に重要なものとし、適切に文書を作成し、保存、管理する方針を決めました。
しかし、菅官房長官は五月二十九日の閣議後の会見で、議事録は残さなくても問題ない、第一回会議にて、発言者を明記しないことを構成員に説明をし、了解いただいたと繰り返し、議事要旨で対応した理由を説明してまいりました。その同じ日に、専門家会議の尾身茂座長は、会議のメンバーから発言者の記載のある議事録の作成を求める声があったと紹介しています。その委員の御発言は、第一回目の会議が行われたときとは状況が変わったという問題意識から、再考の必要ありという考えからなのではないでしょうか。
新型コロナ対策は、国民の命や健康を守ることはもちろん、国の行く末に関わる大きな政治判断をしなければならず、その政府決定の根拠は一体どこにあるのか、議事録がなければ科学的、歴史的にも検証することすらできません。議事録のない専門家会議が提言する新しい生活様式を示されても、国民はワクチンも治療薬もない暗闇の中を手探りで歩かされているようなものです。先を照らす光は号令や耳触りのいい言葉ではなく、事実です。
国民の知る権利を守り、政府対応を事後的に検証するためにも、後世への貴重な遺産となる専門家会議の議論を議事録として残すことを安倍総理に強く求めたいと思います。
これを申し上げ、以下、法案に反対する理由を述べます。
反対する大きな理由の一つは、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験の義務付けに係る経過措置の延長をし、介護職の社会的地位向上を妨げるものだからです。
今から遡ること十三年前、平成十九年の法改正により、介護福祉士の資質向上を図る観点から、養成施設卒業者は、介護福祉士になるため、国家試験に合格することが義務付けられました。
この国家試験の義務付けは、介護人材の不足等の理由から、現在に至るまで何度も延期されてきました。平成二十八年の前回改正において、衆参両院で決議された附帯決議が踏みにじられ、本案によって経過措置が更に五年間も延長されようとしています。その五年間の根拠も質疑で明らかになりませんでした。立法府の意思をないがしろにする政府の取組姿勢を見過ごすわけにはいきません。
そして、この経過措置の延長をめぐっては、社会保障審議会社会福祉部会においてたった二回の議論しかなく、反対の意見が圧倒的多数を占めたにもかかわらず、最終的にはなぜか両論併記で片付けられています。
厚生労働省は、福祉部会における議論のどこをどう十分に検討して、経過措置の延長という改正案を提出してきたのでしょうか。そもそも初めから延長ありきの政策決定過程であったとしか思えません。
五年間という期間だけでなく、外国人留学生の合格率が低いことを経過措置の延長の理由の一つに挙げられましたが、現状把握、分析するにも、介護人材の推移は二〇一七年度分しか出ていないなど、その原因を分析、検証した上で、教育の質を上げ、合格率の上昇につながるような施策を講じるにも、議論ができません。国家試験に合格しなければ介護福祉士になれない福祉系高校の卒業者の不公平感はますます高まり、現介護福祉士の社会的評価が今以上に損なわれます。介護人材不足に拍車を掛けているのは、この残酷な判断をした厚生労働省ではないでしょうか。
法案に反対する次の理由は、介護人材の確保に関する改正も極めて不十分であることです。
政府が提出した法案は、市町村の介護保険事業計画の記載事項に介護人材の確保の取組を追加するという、実質的に見れば現状と何ら変わることのない内容になっていると指摘せざるを得ません。
今、本当に必要なのは、新型コロナウイルス感染症の感染リスクと日々隣り合わせで働く介護現場の職員の献身的な御尽力に報いるような、賃金アップに直接つながる具体的な処遇改善案を規定した法案です。我々が提案している処遇改善策は、賃金アップに直接つながる助成金を支給するものです。
また、介護の現場におけるハラスメント対策も極めて不十分です。
UAゼンセン介護クラフトユニオンが二〇一八年に行った二千四百十一人の介護従事者へのアンケートでは、利用者やその家族からハラスメントを受けたことがあると答えた割合は七四・二%、千七百九十名に上ります。しかし、政府案には介護現場におけるハラスメント対策に関する規定が一切ありません。我々野党が提出している法案では、事業主に対し、介護現場におけるハラスメント防止措置に関する努力義務を課しています。
このように、介護人材の確保は喫緊の課題とは言いつつ、条文のどこを見回しても、その人材の当事者である介護現場で働く労働者の視点は入っていません。
また、現場を見ていない政府の姿勢は認知症施策にも表れています。
四月に公表された調査研究報告書では、認知症の本人に認知症施策に関する意見を聞いていない自治体が半数に上っており、政府が目指す方向が市町村と十分に共有されていないことが浮き彫りになりました。
地域の実情に応じた認知症施策の推進は重要ですが、ただ単に法律に理念だけを規定して、その具体的な施策は現場の市町村や地域住民の方々に丸投げするだけでは、到底うまくいきません。認知症を患った方々がどのような思いで、そしてその認知症の方を介護する御家族がどのような思いで日々過ごしているのか、当事者の思いに寄り添った支援策を、そして最前線で対応する市町村としっかり共有すべきです。
さらに、この地域共生社会の実現に向けて新設される重層的支援体制整備事業。介護、障害、子ども及び困窮に関わる地域課題を既存の支援、取組を活用しつつ包括的な支援体制を構築する、この考えは誰も否定しません。しかし、事業内容、人材、処遇、事業予算の確保、配分方法、そして事業実施の際の事務委託先など、質疑では明らかになりませんでした。
審議の終盤でも、条文解釈に曖昧な点が露呈することがありました。重要広範議案であれば、法律解釈に誤りがないように逐条審査が可能な程度の審議時間の確保が必要です。それが参議院における先達の知恵であったのではないでしょうか。
一人一人の多様性を認め合い、人のつながりや支え合うことを基軸に、誰もが参画し、持続可能な社会の実現が必要不可欠です。この法律改正では、住んでいる地域で、自分らしく、自分だけではなく、互いを尊重し合う地域共生社会を目指すことができると国民の皆様に明確に説明できる状態にはなっていません。このことを強く申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/59
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060・山東昭子
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
〔倉林明子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/60
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061・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は、日本共産党を代表して、地域共生社会の実現のための社会福祉法等改正案に反対の討論を行います。
新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が出される中で、介護、障害、保育など、福祉事業は私たちの社会にとって不可欠の存在であることが明らかになりました。同時に、現場で働く人たちの強い責任感によってどうにか維持されている地域の福祉基盤は、とても脆弱であることが露呈しました。
今、第二波に向け備えるのであれば、政府がやるべきは、助け合いを求めることではなく、危機にあっても生存権を保障し得るセーフティーネットの強化と、地域福祉の基盤と言える介護・障害福祉を始めとした福祉事業が安定して維持できる抜本的な対策です。
経済活動の自粛が広がり、雇用情勢は一気に悪化しています。新型コロナ感染症の影響による解雇、雇い止めは、五月二十九日時点でも一万七千人に達する勢いです。多くの人が営業や外出の自粛要請により仕事をなくし、収入の減少に苦しんでいます。住宅も失う人々、今日、明日の食費にも事欠くシングルマザーと子供たちが急増しています。
時間の経過とともに、生活に困窮する人たちが一気に増えることも予想されます。生存を脅かされることがないよう、生活保護制度の入口を広げ、困った人が利用しやすくするための対策が緊急に必要です。
一つ、申請書類の簡略化とファクスや郵送で申請も可能とすること。二つ、速やかな決定につながり、申請者のハードルを下げるために、資産要件の適用を一時的に停止すること。家族や親族に対する扶養照会の一律停止を直ちにやるべきです。生活保護への偏見を払拭するため、権利であることを含め、積極的な利用を促すための手だてを取ることを求めます。
新型コロナ感染症拡大に伴い、介護・障害福祉などを担う事業所は窮地に立たされています。
きょうされんが障害児者の支援に関わる事業所に行った調査では、四月、五割の事業所が減収に陥り、居宅介護では平均百十一万円もの減収になっています。今日、明日の存立に関わるところまで追い込まれている事業所もあります。就労支援の事業所では、働く障害者の工賃が払えない事態となっています。
全国介護事業者連盟が行った第二次調査では、九割以上が経営に影響を受けている、受ける可能性があると回答しています。三月以降の利用者減少などによる大幅減収に加え、マスクや消毒等の負担がのしかかり、事態は更に深刻化しています。このままでは感染が収束しても事業を再開できず、長期化すれば介護崩壊につながりかねません。
これらの事業所による支援が途絶えれば、高齢者や障害のある人が地域で生きることはできません。福祉現場で働く人たちは、常に感染リスクと向かい合いながら、利用者の日常生活を維持するために懸命に働いています。しかし、経営難は、一時金切下げや賃金カットなど従事者にも影響が及んでいます。感染の第二、第三波への体制を準備しなければならない今、賃金が保障されず離職するなどの事態を招いてはなりません。
マスク、使い捨てエプロン、ガウン等、衛生・防護用品を国の責任で安定供給を確保すること、必要とする利用者、従事者がPCR検査を受けられるよう体制整備することを求めます。全ての事業所に昨年度の実績に見合う収入補填を早急に行うべきです。全ての福祉職に特別の手当を支給すべきです。
新型コロナ感染症が拡大する中で、高齢者と家族の生活は激変しています。こんなときに、介護保険、医療費の負担増などもってのほかです。撤回を強く求めるものです。
介護・障害福祉などの事業所、職員、利用者、家族は、新型コロナウイルス感染症への対応に日々追われて疲弊しています。本法案は、現場に大きな変化を迫るものであり、介護の現場からも障害の現場からも、なぜこのような余裕のないときにと声が上がっています。
私たち抜きに私たちのことを決めないでとの原則は貫かれなければなりません。共生をうたう法案であるなら、当事者、関係者が知らないうちに、十分に議論に参加できないまま成立させることがあってはなりません。
本法案に反対する第一の理由は、地域福祉推進の主体に地域住民等を位置付け、複雑化した課題の解決を求めていることです。その一方で、国、地方自治体は、支援者や住民をつなぐ共助の場の創設や連携強化などの役割にとどまっています。地域福祉の理念をゆがめ、公的責任の更なる後退につながります。
包括的な支援体制や断らない相談支援は、その必要性はあるものの、民間への丸投げや、財政的にも人的にも十分な裏付けがなく、このままでは実効性が確保できません。韓国のソウル市が、同じく制度から漏れる人をなくすよう、福祉を届ける対策として専門職の公務員によって出かける福祉を実現したことと余りにも対照的と言わなければなりません。
八〇五〇問題やダブル介護などの問題は、社会保障制度の後退と担い手である公務員が削らされ、制度から遠ざけられた結果ではありませんか。自己責任の強調で、助けを求められなくなって社会的に孤立を深めているのではありませんか。
複雑な課題を抱えた人たちが地域で尊厳を持って生きていくためには、まず公的支援が保障されることが不可欠です。公的責任を前提として、住民の主体的な活動があるべきです。自己責任、家族責任の更なる強化を一方で進め、制度を利用できない人たちを拡大しながら、自助、互助を求め、国、地方自治体の責任を後退させることは許されません。
第二に、社会福祉連携推進法人は、社会福祉法人同士の資金融通や人材確保の協働化を進め、効率化、大規模化に向けて、中小法人の合併や事業譲渡へ道をつくるものです。効率化のみが追求され、大規模法人を基本とした報酬や支援制度に変えられれば、小規模法人の経営は成り立たなくなります。小規模法人の存続が困難になれば、地域における支援の多様性は失われ、個別性の強い支援を必要とする人々の生活は守れません。
介護・障害福祉等の事業所は、コロナ禍にあって、利用者と家族の命と生活を支え、地域に不可欠な存在であることが明らかになっています。規模に関わりなく安定した経営が可能な報酬体系、財政的保障を確立することこそ今求められています。
第三に、人材不足を理由に、介護福祉士養成施設卒業者の国家試験に係る経過措置を延長することです。福祉部会でも反対意見が多数あり、法案審議中にも関係者から介護福祉士の地位向上に逆行するとの抗議の声が寄せられております。また、准介護福祉士という二重構造を前提としており、介護報酬の差別化等、介護職全体の労働条件を低水準に固定化することになりかねません。
政府がやるべきは、ケア労働を軽視する政策を改めることです。介護現場で働く職員の専門性を正当に評価し、著しく低い賃金水準、実情に合わない職員配置、人員基準の抜本的な引上げを強く求めて、討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/61
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062・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/62
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063・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/63
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064・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120115254X02220200605/64
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