1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和二年十二月三日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
十二月三日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 加田 裕之君
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出席者は左のとおり。
委員長 上月 良祐君
理 事
堂故 茂君
藤木 眞也君
山田 修路君
田名部匡代君
紙 智子君
委 員
加田 裕之君
高橋 克法君
高橋はるみ君
野村 哲郎君
舞立 昇治君
宮崎 雅夫君
山田 俊男君
石垣のりこ君
郡司 彰君
森 ゆうこ君
河野 義博君
熊野 正士君
高橋 光男君
石井 苗子君
舟山 康江君
須藤 元気君
国務大臣
農林水産大臣 野上浩太郎君
副大臣
外務副大臣 宇都 隆史君
農林水産副大臣 宮内 秀樹君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官 熊野 正士君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
政府参考人
内閣府総合海洋
政策推進事務局
次長 田邊 靖夫君
外務省大臣官房
審議官 曽根 健孝君
農林水産省生産
局長 水田 正和君
水産庁長官 山口 英彰君
海上保安庁次長 石井 昌平君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/0
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001・上月良祐
○委員長(上月良祐君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府総合海洋政策推進事務局次長田邊靖夫さん外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/1
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002・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/2
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003・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/3
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004・舞立昇治
○舞立昇治君 自由民主党の舞立昇治でございます。
まずは、野上大臣、宮内副大臣、熊野政務官、私からも御就任のお祝いを申し上げたいと思います。その上で、自民党の水産部会長といたしまして早速質問に入ります。
まず、この今回の水産流通適正化法案についてでございますが、近年、違法、無報告、無規制のいわゆるIUU漁業が多発する中、一昨日の十二月一日に施行された改正漁業法の中では、特定の水産動植物の採捕や違法漁獲物の授受を禁止するなど生産段階での違法漁獲の防止策を講じているところでございますが、IUU漁業の撲滅のためには、生産段階での規制に加え、その規制の網を逃れて取引される違法漁獲物が流通していかないように、そして、仮に流通してもその経路や違法漁獲した主体をきちんと捕捉できるように、輸出入品を含め流通面での規制強化が必要であるところ、本法案につきましては、生産から小売までの各流通過程における事業者間での情報伝達、取引記録の作成、保存、輸出入時の証明書添付の義務付け等の措置を講ずるものであり、平成三十年の水産改革の積み残しの課題の一つとして、生産から加工、流通、販売まで幅広い関係者との協議がようやく調い、成案を得たものとして私も賛成いたします。
その上で、内容といたしましては、特定第一種や二種の水産動植物に関する魚種や指定基準あるいは届出番号や漁獲番号など、具体的なことは省令事項が多く、その考えについては、私、大体お聞きしておりますので特に取り上げませんが、今後、水政審等で議論されていくと思いますので、関係者と十分協議、理解を得ながら進めてほしいと思いますし、しっかり党の方にもホウレンソウしていただくよう申し入れたいと、こう思います。
質問といたしましては、今回の制度の導入により、漁業者や漁協、卸、仲卸、加工、小売など実に多くの関係者が存在する中で、取引記録の作成や保存、漁獲番号の伝達、これらに対応した電子化など、一定のあるいは相当の事務経費負担が生じることになりますが、円滑な施行と適切な運営に向けて、これらの関係者に対する負担軽減策、支援策を十分に講じる必要があると考えますが、見解と対応方針を長官に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/4
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005・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
我が国の水産流通の実態につきましては、鮮度を重視した迅速な流通を可能とする必要がありますことから、産地と消費地においてそれぞれ市場が存在して、卸売業者や加工業者など多数の関係者が複層的に関与する複雑な流通構造になっております。また、市場ごとに独自の伝票で取引が行われる、こういった特徴があるわけでございます。このため、今回の制度構築により情報の伝達や取引記録の作成、保存の義務を新たに課した場合には関係者の間に一定の事務負担が生ずる可能性があると承知しているところでございます。
こうした実情を踏まえ、現場での円滑な制度運用に向け、既存の伝票等の有効活用や電子的方法の導入など、現場の負担を大きくしない形での制度導入について、現場の実態をよく調査しながら、最大二年ございますこの準備期間を活用して検討を進め、負担の軽減が図られるような形での制度運用を実施していく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/5
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006・舞立昇治
○舞立昇治君 ありがとうございます。
今施行まで二年ありますが、二年はあっという間に過ぎてまいります。全国各地での丁寧できめ細かい周知の機会、そして予算面での支援を十分にお願いいたしたいと思います。
次に、先ほどの、この今回の法案の実施によりまして漁業関係者には新たな負担が生じることを取り上げましたが、現在、昨年からの記録的不漁や新型コロナ問題等の影響で、大変水産関係者、厳しい経営状況に陥っているのは御承知のとおりです。
これらの対応として、漁業者には様々な支援メニューが用意されておりますが、漁業者を支える、リードする漁協には、支援策はあるものの、十分とは言えないのが現状でございます。魚が揚がってこなければ、売れなければ、当然漁協経営は倒れてしまいます。全漁連の岸会長始め多くの漁協関係者からは、遊休資産の処分に係る支援など、漁協経営に対し真水による一層の支援を求める切実な声が上がっております。
漁業者が生き残っても漁協が倒れれば水産業は成り立ちませんし、七十年ぶりの水産改革も、ましてや今回の流通適正化の取組も行うことはできないため、漁協への更なる効果的な支援策をいま一度早急に検討し、実行すべきと考えますが、長官から前向きな答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/6
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007・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今般の水産改革において、漁協は、新たな資源管理の適切な実施を図りつつ、販売事業の強化等により漁業者の所得向上を実現するという重要な役割を担うことが期待されております。
これまでも、漁協がその役割を果たしていくため、例えば資源管理や漁場環境の整備の面では、漁業者の自主的な資源管理の取組を推進する体制構築への支援や、藻場、干潟の保全等への支援を実施しております。また、販売事業については、生産、加工、流通、販売が連携して水産バリューチェーン全体で生産性を向上させる取組への支援や、浜の活力再生プランに位置付けられた産地市場の統廃合に必要な施設の整備等への支援を実施してきたところでございます。
一方で、コロナ禍や不漁等の影響により、漁協の主たる事業である販売事業の取扱高や漁協が自ら営む漁業の水揚げ高が減少するなど、漁協の経営は厳しい状況にあるということは先生の御指摘があったところでございます。
このため、今般の経済対策におきましては、販売事業のより一層の強化に向けて、市場機能の再編強化によりコスト削減や魚価の向上を目指すなど、前向きな取組を後押しする支援策についても検討しているところでございます。
今後とも、漁協が現下の厳しい経営環境を克服し、将来にわたって水産改革の下でその役割を発揮できるよう、漁協系統や都道府県とも連携し、必要な支援策を実施してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/7
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008・舞立昇治
○舞立昇治君 ありがとうございます。是非深掘りしていただきたいと思います。
今の支援の検討状況ではいまだやはり水産庁と漁協との間に温度差を感じるところでございますので、何とかこの温度差をできる限り水産庁長官が前面に立ってなくしていただきまして、水産庁はここまでやってくれた、寄り添ってくれたと感謝されるように、漁協の窮状を踏まえ、引き続き最大限、この地財措置の検討も含めまして、いただきたいと思います。
次に移りますが、先ほどは漁協、今度は漁業者の関係でございますが、漁業者にとって生命線でございますのが収入安定対策事業で、その財源が枯渇しかねない目下深刻な状況にあります。
まずは、本年三月の本委員会での私の質問に対する江藤前大臣の答弁をかいつまんで引用しますと、「この段階において積立ぷらすを漁業者の方々が不安になるような方向で見直すようなことはあり得ないと私は思っております。私が思っているということは、起こらないということだと思っていただいていいと思います。それぐらいの覚悟を持って私はこの席には座らせていただいております。」、「今回のコロナも含めて、そして海の状況、」そして「水面の温度の変化も含めて極めて厳しい状況下にある日本の漁業、そして、おっしゃったように、いろんな経済連携協定や、それから漁業法の改正による漁獲割当てとか、いろんなことを皆様方にお願いしている。それから、漁場の管理、水源の管理もお願いしている。そういう中において、積立ぷらすについて、マイナスの方向で見直すというよりも、更に漁業者の方々に安心感を持っていただけるような方向で議論するのが今やるべきことだと私は考えております。」。
この答弁、私は歴史に残る名答弁として感動したのでございますが、後任の野上大臣も同じ考えか、あるいはそれ以上に熱い思いを持たれているのかお伺いしますとともに、その上で、配付資料を御覧いただきたいと思いますが、平成二十九年度までは、この積立ぷらす、比較的安定して運営できておりましたが、本年度見ていただきますと、一次補正分を含めまして、昨年度の支出実績よりも少ない三百四十二億円しかない状態でございます。現在の不漁やコロナ不況による支払ペースだと、今月で基金はほぼ枯渇する見込みと伺っています。
ついては、二次補正予算編成の際に政府全体で約束いただきましたが、本年度の不足分はぎりぎりまで予備費で補填いただき、そして、全くゼロというかマイナスからのスタートになる来年度分につきましては、今年コロナで大幅な不振に陥った養殖の多額な支払が見込まれるなど、本年度より来年度は更に多額の支払が予想されるため、三次補正と来年度当初でいかに多く漁業者が十分安心できる基金を積み立てられるかが焦点となります。
当初予算では水産庁予算の大幅な予算増が余り期待できない中では、特に三次補正で大幅に積み増すことが必要と考えますが、大臣の決意をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/8
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009・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今委員から御指摘がありましたとおり、近年、サケやサンマ、これはもう記録的な不漁になっております。私も連日、関係者の皆様、漁業者の皆様からもその厳しい状況、極めて厳しい状況、お聞きをしているところでございます。
その結果、今御指摘のあったように積立ぷらす、国費分の払戻しにつきましては、昨年度は過去最高の約三百五十九億円になっております。さらに、本年度は新型コロナの影響によりまして魚価の低迷ですとか需要の減退から支払が更に増嵩傾向する状況にありまして、先生御指摘のあったこのような状況に今なっているわけでございまして、この積立ぷらすはこれまで以上にセーフティーネットとして重要な役割を担っているというふうに考えております。
このため、令和二年度の第一次補正予算におきまして基金の積立て、積み増し等の措置を行ったところでありますが、本事業の実施に当たっては、今先生から様々御指摘がございましたが、コロナ禍も含めて大変厳しい状況にある今漁業者の状況でありますので、この皆様が安心して漁業に継続できるように、取り組むことができるように、現行の積立ぷらすによる支援に万全を期していきたいというふうに考えております。
また、この予算についても、今このようなぎりぎりの状況になっておりますので、この予算を確保に向けて、円滑に事業が実施できるように、これも全力を尽くして予算を確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/9
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010・舞立昇治
○舞立昇治君 ありがとうございます。
江藤前大臣と同じ気持ちであるということが拝察できました。是非一歩も引かない姿勢で財政当局との交渉に当たっていただくようによろしくお願いいたします。
その関係で、予算の関係でございますが、この本年度の三次補正、そして来年度の当初予算編成、本格化しておりますけれども、もちろん予算は必要額の積み上げの結果であり、最初から額ありきでないことは重々承知でございますが、二十年前までは当初だけで三兆四千億超あった農林水産予算が一兆円以上減った現状におきまして、先ほどの積立ぷらすの件を始め、水産関係予算、浜の再生や新型コロナへの対応、改正漁業法への対応、資源調査、管理への対応、成長産業化への対応、不漁や外国漁船の違法操業への対応、TPP等への対応、国土強靱化への対応、このままずっと三十分も話せますけれども、さらには今回の流通適正化法案の円滑な実施に向けた対応など課題山積の中、現在の予算水準では十分に対応できないと思うのは私だけではないと思います。
この点、ここ二年は水産改革を実施していく上で水産関係予算は補正、当初合わせて何とか三千億円台を確保し全体の底上げが図られておりますが、昨年は三千五億円とぎりぎりでございましたのに対し、今年はコロナ禍も加わり昨年より多くの予算が必要とされるところ、また水産改革を進めていく上で、今関係者の間では三千億を超える数字が重要な指標の一つ、政府・与党の評価指標となっているところ、大臣始め水産庁には最大限御努力いただきたいと思いますが、補正、当初合わせて三千億を大幅に超える財源確保に向けて大臣の決意をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/10
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011・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今お話あったとおり、令和三年度の水産関係の概算要求におきましては、改正漁業法に基づく水産政策の改革もございますので、様々、今委員がおっしゃったような新たな管理システム、水産業の成長産業化、競争力のある加工・流通構造の確立、水産基盤の整備、漁業機能の再編、集約化等々、所要の予算を要求しており、さらに、今般の経済対策においても、今の積立ぷらすを始めとする緊急に必要な事業等々も中心に今検討しているところであります。
これを踏まえて、水産関係予算につきましては令和三年度当初と補正予算を合わせてこれ必要な額をしっかりと確保していかなければならないと思いますが、今先生からお話のあった本当にもう真摯な思い、切実な思いをしっかりと受け止めて、私も精いっぱいの努力を行ってまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/11
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012・舞立昇治
○舞立昇治君 大臣、強い決意、ありがとうございました。
続きましては、ちょっと毛色を変えますが、スルメイカや甘エビ、カニ等の好漁場でございます大和堆周辺水域等における外国漁船の違法操業問題についてでございますが、本年三月の委員会でも取り上げましたが、今年更に、その後、深刻な事態が発生し、年二回目となる質問に真摯に対応いただきたいと思います。
御承知のとおり、去る九月二十九日、本来我が国の排他的経済水域の中に、北朝鮮の公船が出現する事態が発生しました。その際、北朝鮮の船を退去させるどころか、我が国の漁船に対して移動を要請し、退避を余儀なくされた事案が発生しました。その際、すぐに問題解決されていればよかったのですが、不漁やコロナ不況から起死回生を図ろうとする漁業者の思いもむなしく、一か月にもわたり好漁場である海域で操業ができない事態が続いたことに、私は強く憤慨したところです。
また、今回、北朝鮮の公船を盾にして、その背後で中国船とおぼしき漁船が漁をしまくっているという情報も耳にしました。危機のレベル、ステージがより深刻なものに変わったと判断しなければなりません。ましてや、水研機構の調査によれば、中国は日本の十倍ものスルメイカを漁獲しているといいます。許せない情報でございます。
中国は、自国の管轄下にある漁船ではないとしらを切ってくると思いますが、今回、我が国が退避したことの足下を見て、今後も北朝鮮と結託し、日本のEEZにより深く分け入って侵入してくるおそれがあるところ、今回のような弱腰の対応を二度と繰り返してはならないと思いますが、今後の対応につきまして大臣の決意と覚悟をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/12
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013・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 本年九月二十九日に、大和堆西方の我が国排他的経済水域におきまして漁業取締り船が北朝鮮の公船を確認したことから、我が国漁船に対しまして一時的に一部水域からの移動を要請したところであり、その後、長期にわたったわけでありますが、安全確保のめどが立ったことから、十月二十八日から段階的に自粛要請を解除したところであります。
今後の対応につきましては、関係省庁と協議をしました結果、大和堆西方の我が国排他的経済水域におきましても中国漁船や北朝鮮公船が出現したときであっても、我が国漁船の安全を確保しつつ操業を行えるよう、現場勢力である水産庁また海上保安庁が連携をして対応することといたし、特に北朝鮮公船は武器を有している可能性が排除されないわけですから、我が国漁船の安全確保につきましては、関係省庁間で連携をした行動を取って、万全を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/13
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014・舞立昇治
○舞立昇治君 ありがとうございます。
今大臣がおっしゃっていただいたように、北朝鮮とか中国とか韓国とか我が国の経済水域に入ってくるというのは、もうそれは国益と国益、国と国との考えの話ですから、なかなかこの農林水産分野だけで対処できることではない。しかしながら、そういった事態があってもきちんと我が国のEEZで我が国の漁業者が安全に操業できることが重要でございまして、是非、同じような事態が起こったとしても、海保と連携してしっかりと漁業者が安全操業できるように頑張っていただきたいと思っております。
もうこの先ほどの質問に関連しては、現在、外国漁船の違法操業により影響を受ける漁業者に対しまして、韓国・中国等外国漁船操業対策事業、いろいろと、また台湾にしてもロシアにしてもいろいろとありますけれども、外国漁船の投棄漁具等の回収や処分、監視活動や漁具、施設被害の復旧、減船などへの支援がなされているところでございますが、被害が長期化、深刻化し、さらには資源管理の実施や新型コロナの影響等を勘案しますと、従来の支援内容に加え、より逸失利益の補填という観点を重視し、一層の支援策の拡充が必要と考えますので、今日は答弁求めませんが、しっかりと対応いただきたいと思います。
野上大臣は官房副長官等の要職を歴任され、すばらしいリーダーシップ、行動力、政治力をお持ちでございます。そのお力で様々な重要課題が少しでも前進するように、そして予算面では、補正を含め是非この農林水産予算全体の底上げを図り、是非最も少ない水産関係予算もきちんと措置していただきたいと思っております。
以上、野上大臣だけに拝みたいことがまだまだ山ほどございますけれども、全ての水産関係者が安心して良い年を越せるように、引き続きコロナ対策や水産日本の復活に向け全力を尽くしていただくようお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/14
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015・田名部匡代
○田名部匡代君 立憲民主党の田名部匡代です。今日はよろしくお願いいたします。
まず、質問に入らせていただく前に、大臣に伺いたいと思います。
報道等で元農林水産大臣吉川大臣の献金問題についていろいろと報じられているところでありますが、大臣も記事を御覧になっていると思いますが、まず大臣の受け止め、認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/15
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016・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 御指摘の報道があったことは承知しておりますが、捜査活動に関することであり、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、本件につきましては、吉川元農林水産大臣から報道各社に対しまして、当局から説明を求められることがあれば、現在入院治療中ではありますが、誠実に対応させていただきますとのコメントが出されたと承知をいたしております。
一般論として申し上げれば、政治家は自らの行動について説明責任を果たしていくことが求められているものと考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/16
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017・田名部匡代
○田名部匡代君 御本人がきちんと説明するのは当然のことでありますけれども、報道によりますと、この鶏卵業界、鶏卵生産販売大手のアキタフーズでありますけれど、この時期、家畜のストレスを減らす飼育方法、アニマルウエルフェアをめぐって国際機関、基準作りが進んでいたということでありまして、その中で、日本のケージ飼育に否定的な基準案が示されるまさに世界的潮流に反して、厳しくしないように、これ便宜供与を要求したのではないかと。その献金を渡した側の方は現金提供を認めて、渡してはいけない違法性があるお金だと分かっていたというように説明をされていると新聞報道ではあります。これ、まさにそうした要求があった中でその要求が政策に反映されていたのではないかという懸念があるわけですが、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/17
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018・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) まさに、御指摘の点、捜査活動に関することでありますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、農水省としても、その捜査活動に関することにつきましては、協力要請があれば適切に対応してまいりたいというふうに考えております。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/18
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019・田名部匡代
○田名部匡代君 今も話がありましたけれども、政策がねじ曲げられたのではないかという懸念があるということで、大臣、これはそういった事実があったのかなかったのか、農林水産省の中できちんと検証するべきだと思うので、大臣にそのことをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/19
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020・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) まさにその点につきましては捜査に関わる点につきますので、協力要請があれば適切に対応してまいりたいと思いますが、御指摘の政策についての判断については妥当なものと認識をしておりまして、それぞれ政策についてはしっかりと説明をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/20
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021・田名部匡代
○田名部匡代君 しっかり調査をしていただきたいということを強く申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、今回提出された法案の中身に触れる前に、改正漁業法について伺いたいと思います。
随分と当時も委員会で激論があったなというふうに思っていますけれども、七十年ぶりに改革が行われた、特に水産資源の管理強化であるとか民間資本の導入促進、こういったことが柱の法案でありました。一日からスタートしたわけでありますけれども、現場からは様々な声が聞こえています。当然、もちろん期待する声もありますけれども、不安の声もある。また、まだよく分からないという声もあるわけですけれども、このときに附帯決議も盛り込まれ、衆議院の附帯決議盛り込まれましたけれど、特に法案にある資源管理の強化について、船ごとに漁獲量を割り当てることとなったわけなんですけれど、漁獲可能量、漁獲割当ての設定等に当たっては、漁業者及び漁業者団体の意見を十分かつ丁寧に聴き、現場の実態を反映することが求められました。また加えて、漁獲割当ての沿岸漁業の導入については、多種多様な資源を漁獲対象としている特性を十分に踏まえて、資源評価の精度向上、管理手法の確立、また漁業経営への影響緩和策の充実等万全の体制が整うまで慎重を期すことも決議をされたわけであります。
こうした七十年ぶりの大改革がスタートして、これはきちんと現場に周知されているのかということ、これ密漁の罰則も強化されたわけでありますし、これが広く周知されているのかということと、附帯決議に盛り込まれた内容についてどのように取り組んでこられたのかということをまず長官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/21
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022・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今先生から御指摘がございましたように、改正漁業法につきましては、ちょうど二年前に法案の成立をさせていただきまして、本年十二月一日から施行ということになっております。
改正漁業法の内容につきましては、この資源管理、新たな資源管理のシステムを導入するなり、また沿岸漁場の漁場利用の在り方についての見直しをするなり行っておりますところでございまして、本法案との関係におきましては、密漁対策について、全国で組織的かつ悪質な密漁の対象となっておりますナマコ、アワビ等の特定水産動植物について採捕禁止違反の罪を新設して、三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金の刑を科すなど強化をしたところでございまして、浜辺で違法に採捕した場合にも罰則の対象となることでございます。
このような改正内容につきましては、浜の利用者からの求めに応じたものも含めまして、水産庁職員が現場に出向く形で三百回以上にわたる説明を行ってきたところでございます。
この中で、特に密漁の関係につきましては、これは広く一般を対象にする必要がございましたので、水産庁ホームページに密漁対策のコーナーを新設したところでございます。また、アニメとコラボいたしまして、遊漁者向けのパンフレットの作成をし、また沿岸密漁対策のパンフレット、ポスター、クリアファイルの作成や配布をしております。さらに、遊漁者の皆さんがよく読まれる釣りの新聞や雑誌、またテレビ番組等を通じた啓発を行うなど、国民に幅広く周知が図られるよう行っているところでございます。
なお、今お話がございました改正漁業法による漁獲可能量の設定等に当たっての漁業者や団体の意見を聴くというお話、附帯決議の内容でございます。これについては、先ほど申しましたように、改正漁業法の内容等については三百回以上の説明会を行い、周知を図ってきたところでございますが、実際にTAC魚種の漁獲可能量を設定する、こういう手続を今進めているところでございます。
法施行後から開始する漁期から新たな管理を開始することになっておりまして、特に現行のTAC魚種、八種、八魚種ございましたが、これについては、既に資源管理方針に関する検討会、いわゆるステークホルダー会合と呼んでおりますが、これを実際に開催いたしまして、現場の漁業者の意見を十分に聞きながら、理解を得ながら一歩一歩進めているところでございます。一つの魚種当たり大体二日から三日会議を開催いたしておりまして、かつ一回の会議でまだ御了解が得られない場合は二回開催するという形で、丁寧な説明をしているところでございます。
これに加えまして、これから新たなTAC対象魚種の検討をしていかなければいけないわけでございますが、これについては、水産政策審議会の下に専門家や漁業者も参加した新たな部会を設けまして、資源評価結果や水産庁が検討している内容について報告し、また水産資源の特性や採捕の実態、漁業現場の感覚など幅広い範囲での意見交換を行い、論点や意見を整理することとしております。
さらに、こういった公式の会合とは別に、漁業者等の要望に応じまして浜ごとの説明会についても引き続き行うこととしておりまして、漁業者の理解と協力を得た上で検討を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/22
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023・田名部匡代
○田名部匡代君 長官、丁寧な御説明、ありがとうございました。
今の罰則強化のことについては、まさにレジャー客なんかが、何というか、レジャー感覚で密漁なんかをして個人用に捕っちゃうようなことも罰則の対象になりかねませんので、広く周知をしていただきたいというふうに思っていますし、また新たな資源管理適用する場合でありますけれど、漁獲量が減少した理由が乱獲なのか、それとも温暖化等の環境の変動によるものなのかというのは、きちんと具体的なデータを示して現場にも説明をする必要があると思いますし、本当に漁獲量の制限をしなければほかに方法がないという状況なのか、そうでなければ持続的な水産資源を維持できないのかという、そういうことを様々今丁寧にやっていらっしゃるということでしたので、これからも引き続き現場と丁寧にやり取りをして情報共有をしていただきたいというふうに思っています。
それでは、法案、提出された法案について伺いますが、長官、通告をさせていただき、そしていろいろとレクも受けさせていただきました。質問の順番やら中身が多少いろいろ変わっているかもしれませんが、長官なら何を聞いても答弁書がなくてもお答えできると思いますので、しっかりと御対応をお願いしたいと思います。悪気はございませんので、ごめんなさい。
法案の第一条、基本的なことから伺いたいと思います。
本法案の役割、目的は、国内流通や輸出入の適正化を図ることで違法漁業の抑止、また水産資源の持続的な利用に寄与することであって、これらによって漁業や関連産業の健全な発展に資することというふうになっております。非常に重要なことだと思っております。ただ、これだけではなくて、併せて漁獲割当て、また秩序ある漁業操業の確保であるとか栽培漁業の振興など、総合的な政策を展開する必要があるというふうに思っております。
今回、検討会を通じて、非常に何度もその検討会を重ねて意見を聞いて、丁寧に進めてこられたのかなという感想は持ちました。これが成立した場合、実施についても、実態を踏まえて慎重かつ丁寧な進め方が求められていると思っています。
各現場の理解なくして法案の本来の目的は達成できないというふうに思っておりますので、まずは大臣、政府の基本的な対応方針、考え方について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/23
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024・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) お答え申し上げます。
近年、違法漁獲が多発をしておりまして、改正漁業法の中では、生産段階、この漁獲をする段階における違法漁獲の防止に対応してまいりましたが、この違法漁獲はこの漁獲物を正規流通に乗せて利益を得るために行われますので、改正漁業法の実効性、これを担保するためにも、併せて流通段階で違法漁獲物の流通防止も必要となってまいります。これが、違法漁獲物が流通しますと、適正な漁業者の経営も圧迫するということにもつながりますし、この流通を防止することが必要であります。
また一方で、国際社会においてもIUU漁業撲滅の実行が求められておりますので、海外の違法漁獲物の流入を阻止するためにも、この改正は必要ということであります。これらを踏まえまして、事業間における情報の伝達、あるいは取引記録の作成、保存、輸出入時の証明書添付の義務付け等を図ってまいらなければなりません。
そして、その法案の検討に当たりましては、先ほど長官からも御説明申し上げましたが、関係者も参画する検討会、七回を開催をして幅広い議論が行われてきたところでありますが、今後、この魚種の指定ですとかあるいは制度運用につきましても、施行まで二年間、最大あるということになりますので、この間にできる限り丁寧に説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/24
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025・田名部匡代
○田名部匡代君 是非そのようにお願いをしたいと思います。
私も平成三十年三月の委員会で密漁、違法操業への対応について取り上げたことがあるのですけれど、先ほど申し上げたようにレジャー感覚というのもあるんですが、もう非常に悪質な密漁がある。
青森県の下北半島、むつ市川内町の漁協の話なんですが、これ地元の東奥日報という新聞の記事にあったんですけれど、暴力団による密漁で被害額は何と総額約二億円と推定される組織的なナマコの密漁がありました。このケースでは、まあほかもそうかもしれませんが、ダイバー役にボート操縦役にボートへの積み上げ役、箱詰め役、運搬役、さらには買取り業者まで加担をしていて、その業者が干しナマコに加工して中国に流していたということで、まさにこういう本当に悪質。漁業者、現場にとっては非常に大きな問題であるにもかかわらず、刑が軽くて罰金も安いと、今までであれば。ローリスク・ハイリターンなため、本当にこの売りさばけない仕組みをきちんとつくるということが強く求められていました。ですから、新たな法律でこういうことがしっかりと、何というか、流通段階で止められる、こういう仕組みができていけばいいなというふうに期待をしている一人であります。
今般、この法律に基づいて規制対象となるのはナマコとアワビというふうにお伺いをしています。ほかにも、シラスウナギであるとかイセエビ、サザエ、ウニなども考えられますし、そういったものが密漁されているという報道もあります。
今回その対象になる魚種についての考え方と、今後追加される場合にどういう手続で決定をしていくことになるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/25
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026・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今先生から御指摘がございましたように、本法律では、違法な漁獲での漁獲物が、その生産段階での罰則は改正漁業法の中で罰金を大幅に引き上げまして、最高刑は三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金ということで、指定された水産動植物についてはその対象となるということでございます。具体的には、そちらの対象はアワビやナマコ、あと、三年後からでございますが、シラスウナギも対象にするということになっているところでございます。
一方、今回のこの水産流通適正化法案の中では、国内で漁獲される水産物については特定第一種水産動植物という形で指定をするということになっておりまして、この指定の考え方としましては、漁業関係法令違反の件数が多いということ、また生産額が大きく容易に流通過程に混入しやすいということ、また漁獲量が減少していることといった基準で、違法かつ過剰な採捕が行われるリスクを勘案して対象魚種を指定することを考えているところでございます。
一方で、我が国の水産流通の現状は、鮮度を重視した迅速な流通を可能とするために産地と消費地に市場が存在しておりまして、多数の関係者が複層的に関与する複雑な流通構造になっているということ、また、市場ごとに独自の伝票で取引が行われているため、情報の伝達や取引記録の作成、保存の義務を新たに課した場合には関係者間の事務手続に一定の負担が生ずるということが起こるわけでございます。
こういったことを踏まえて、リスクベースの観点及び実行可能性の観点を加味し、ナマコ、アワビを指定することを今想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/26
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027・田名部匡代
○田名部匡代君 いや、今申し上げたように、サザエやウニやシラスウナギやエビだとかというのは、既にこれは非常に多額な被害額で報道で取り上げられたりしているんですね。これ、海上保安庁の取締りで減少にあるものの、アワビやサザエなどを含めた被害総額は年間三億円、こういうことを考えると、この現段階でナマコやアワビだけで十分なのかなということ、まあこれからいろいろ検討されていくんでしょうけれど、そのときにどういう基準で、これだけの被害額が報告がある中でどういう基準でやっていくのかということをちょっと、手続的なことを教えていただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/27
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028・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今答弁申し上げましたのは、当方で今考えておる指定の基準という、指定の考え方でございます。
具体的な魚種の指定に当たりましては、学識経験者や生産・加工・流通団体、さらにNGOなども参加いたしました実務関係者による検討会での議論を行っていただくということを考えております。そういった場の中で指定の基準等についても考え方をまとめていただき、その上で、水産政策審議会の諮問も得て、省令で具体的な指定をしていくと、こういう手続を取りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/28
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029・田名部匡代
○田名部匡代君 ありがとうございました。こういったことも丁寧に行っていただきたいというふうに思います。
特定第二種水産動植物等は、外国の政府機関により発行された適正漁獲の証明書などがないと輸入することができないとされていますけれども、WTO協定の内外無差別の原則との整合性に問題はないのか、原則は満たされているとお考えなのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/29
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030・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
この本制度に基づく特定第二種水産動植物に対する輸入規制でございますが、これ、国際社会においてはIUU漁業撲滅の実行が今求められているところでございまして、水産物輸入大国である我が国としましても、海外の違法漁獲物の流入を阻止するための措置としてこれを講ずるということにしたものでございます。
また、規制内容として検討している輸入時に外国政府が発行する証明書の添付を求める措置は、FAOが平成十三年に採択したIUU漁業の排除等のための国際行動計画の一つのモデルとして位置付けられているところでございまして、EU等でもう既に導入されているものでございます。
WTOの内外無差別原則では国内の漁獲物についても同様の取扱いを行う必要がありますが、今回の漁業法改正によりまして漁獲実績の報告が国内の漁業にも義務付けられておりまして、そういった点で特段の問題は生じないと考えております。
なお、この法律につきましては、WTOのTBT協定に基づきまして加盟国への通報を今行っているところでございまして、引き続き本制度への各国の理解を得てまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/30
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031・田名部匡代
○田名部匡代君 ありがとうございました。
ちょっと質問飛ばさせていただきます。
先ほど少し舞立委員も取り上げておられましたけれども、私の地元青森県八戸市はイカの大変捕れるおいしい産地でありますけれど、非常に今苦しい状況にあると。これまでも何度も問題になっていますけれど、私の地元八戸では、今年一月から十月の水揚げ累計を見ても、スルメイカで水揚げ累計を見ても非常に悪化をしているんですね。六十八年ぶりに七万トン割れをした昨年よりも下回る、更にこれ非常に厳しい状況になっていて、これがやはり違法中国船に締め出されたということと関連しているのではないかという記事が載っていました。
まさに、スルメイカ操業中、中型イカ釣り船が自国のまさにEEZで違法に漁獲する外国船に締め出されて、加えて魚価の低迷で昨年よりも厳しい状況になっているということなんですけれども、先ほど舞立さんも非常に怒りを持って取り上げておられましたが、水産庁、九月から十月下旬まで安全確保のため一時的に大和堆で日本漁船の自粛を求めていると、漁業者に対して、ということについて、これ少し、どういう状況だったのか、御説明をいただきたいんですけれど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/31
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032・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
本年九月二十九日に、大和堆西方の我が国排他的経済水域内において漁業取締り船が北朝鮮公船を確認しましたことから、我が国漁船に対しまして一時的に一部水域からの移動を要請していたところでございます。今回はこの自粛期間が長期にわたり漁業者の皆様に御迷惑をお掛けしましたが、その後、安全確保のめどが立ちましたことから、十月二十八日から段階的に自粛要請を解除しております。
今後も、海上保安庁と連携して、外国漁船等の監視、警戒に当たり、漁業者の皆様に安全に操業していただけるよう、関係省庁とも万全を期していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/32
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033・田名部匡代
○田名部匡代君 地元漁業者は、国から明確な説明がなかったと、この問題が解決しない限り日本のスルメイカの復活はないんだというふうに非常に強い思いを語っておられましたが、これ、水産庁のみならず海上保安庁を始め、関係機関と連携して取締りを強化していかなければならないわけで、まさに舞立委員からあったように弱腰では駄目だというふうに思っております。
一方でまた、安全も確保していかなければなりません。海上保安庁でも、領海警備、治安の確保、海難救助、海上防災、海洋調査、業務は多様になっておりまして、そういう中で連携をしてこういった問題にも取り組んでいかなければならないということなんですが、ここにはやっぱり人員も確保しなければなりませんし、また新たな技術なども導入していかなければならない、そして予算をしっかりと確保していかなければならないというふうに思っておりますけれども、これ、もし大臣がお答えできれば大臣で、今後どのようにこの取締りを強化されていくのか。大臣じゃなければ、長官でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/33
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034・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) 今先生から御指摘がございましたように、大和堆での対応等にこれから全力で当たっていかなきゃいけないという状況がございます。
水産庁では、本年三月に新造の大型漁業取締り船二隻を就航させ、イカ釣り漁業の漁期が始まる前の五月から、これら二隻を含め大和堆周辺水域に漁業取締り船を重点配備しております。また、漁業取締り船と海上保安庁の巡視船との配置の見直しなどを行い、海上保安庁との連携強化を図っているところでございます。
今回の操業自粛を踏まえまして、今後の対応について関係省庁と協議した結果、大和堆西方の我が国排他的経済水域において中国漁船や北朝鮮公船が出現したときであっても、我が国漁船の安全を確保しつつ操業を行い得るよう、水産庁と海上保安庁が連携して対応することとしております。
さらに、水産庁といたしましては、令和三年度中に新たに二隻の大型漁業取締り船を就航させることにしておりまして、取締り能力を強化するとともに、さらにその取締りに当たる人員の増を要求し、これまでも人員を増やしてきておりますが、更なる増加を図っていきたいと思っております。
今後とも、海上保安庁との一層の連携を強化を図り、漁業者の皆様に安全に操業していただけるよう万全を期していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/34
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035・田名部匡代
○田名部匡代君 ありがとうございました。
大臣、本当に漁業者の生活が懸かっている、また命も懸かっている問題でありまして、今いろいろと今後の取組、長官から御説明いただきましたけれども、是非大臣からも、農林水産省だけで対応できることではないかもしれませんけれど、強い御決意をいただきたいと思いますが、一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/35
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036・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今長官から今後の対応等々につきましても御答弁をさせていただきました。
漁業者の皆様が大和堆水域等々で安心して漁業ができるように、もう全力を尽くして関係省庁とともに連携をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/36
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037・田名部匡代
○田名部匡代君 また、これ本年一月の日経の記事によりますと、函館港でのイカの輸入額が過去最高、前年同月比十五倍、加工品の輸入も増加しているという記事がありました。
これ、新たな法案の中で輸入規制の対象と加工品もなるということでよろしいのか、その加工の原料について、それもきちんとチェックされるということなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/37
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038・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
特定の水産動植物につきまして、この違法漁獲の防止措置を実効性のあるものにするためには、それが加工品となったものについても規制を掛ける必要があると考えておりまして、特定第一種水産動植物や特定第二種水産動植物を原料とする加工品についても本法案の対象となることにしております。
なお、加工品の範囲を定めるに当たっては、原材料の使用が判別可能かどうか、また加工品としての流通が一般的なものかどうか等を考慮しながら、先ほど申しました検討会の場等の意見を聞きながら、具体的な品目を定めることを検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/38
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039・田名部匡代
○田名部匡代君 ありがとうございます。
たとえ加工品であっても、原料が違法漁獲によるものであってはならないわけでありますから、しっかりとこういうところも規制をしていただきたいというふうに思っています。
ただ、それぞれの国で発行する証明書というものの信頼性ということについて、別に疑って掛かるわけではないですが、どうなのかなというふうに思うわけですけれども、ちょっとその発行体制について、他国のですね、どういうふうな状況になっているのかということを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/39
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040・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
この特定第二種水産動植物につきましては、輸入の際にその外国政府機関の発行した証明書が添付されていることが要件になりまして、添付のないものの輸入を禁ずるということにしております。
この証明書の内容につきましては、実際にはもう既にEUがこういった制度を導入しているところでございます。EUでいわゆるそういう信頼性に足るということで証明事項も定められておりますし、このEUに輸出をする国の中には、中国等も含め、アジアの国も含まれております。ですので、こういった実際に今証明書を発行して運用しているEU等の実態を調査しながら、我が国においても信頼性のある形での証明書発行ができるよう努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/40
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041・田名部匡代
○田名部匡代君 やはり我が国が求める水準にきちんと持っていってもらわなきゃいけないですし、他国が発行するその証明書はきちんと信頼できるものでなければならない。これは、やっぱり我が国の漁業者、真面目に一生懸命、苦労のある中で生産活動、漁業活動をしていただいている皆さんの暮らしを守るということでもありますし、まさにそれは国民の利益につながってくることであると思うので、しっかりとそこは、どういう状況になっているのかということも調査をし、そして信頼あるものとなるように努力をしていただきたいというふうに思っています。
これ、次に、実施に当たって、漁業者とまた漁業者が所属をする各地域の漁業協同組合が届出採捕者の主体となることが予定されていると聞いています。ただ、これ、全国を見ると、漁協といっても、職員を最小限しか抱えていない零細漁協など、今後負担が増えるのではないかなということが懸念されるわけですけれども、こうした状況下で業務を新たに担うことができるのか、そういう体制になっているのかということ。加えて、やはり今後電子化をしっかりと進めていくことも必要なのではないかなというふうに思っているのですが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/41
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042・宮内秀樹
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをいたします。
先生おっしゃるように、漁協といいましても大小様々でもありますし、漁協や関係者の負担を減らす取組ということは大変重要だというふうに考えております。
本制度は、税法に基づきまして取引伝票や領収書などの帳簿書類の作成、保存が事業者に既に課されているということを踏まえまして、これらの伝票等を利用することで義務の履行が果たせるように、関係事業者の負担軽減に配慮した設計としているところでございます。
こうした中で、正規な漁獲物であることを識別するために、今回、これらの伝票等に新たに漁獲番号の記載を求めることとしておりますが、この点につきまして、容易に義務履行が可能となるような方策を検討してまいりたいというふうに考えております。現在、資源管理を推進する観点から、スマート水産物を推進すべく、産地市場、農協等の電子化を図ろうとしているところでありまして、こうした中で、漁獲番号の円滑、迅速な伝達についてどのようなことができるか、しっかり二年の間に考えて進めてまいりたいというふうに思いますし、当然電子化が重要であるというふうに思っております。
この我が国の水産流通は、産地市場と消費地市場というふうに分かれて多くの事業者がその流通に関わるという特徴があって、市場ごとに独自の伝票等による取引が行われているなど複雑な流通形態となっておりますので、農林水産省共通申請サービスの活用を検討するなど進めていくと同時に、ソフトウエア同士の連携等によるシステムの構築を推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/42
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043・田名部匡代
○田名部匡代君 しっかりと、大きな負担にならないようにサポートをしていただきたいと思います。
こういう制度ができたことによる受益者というのは国民全体だというふうに思っていますので、やはりそれは国がというか、農林水産省も責任を持って、漁協なり対応していただく皆さんへの丁寧な説明やサポートをこれからも続けていただきたいというふうに思っています。
ちょっと話があちこちになるんですけれども、今漁業者が販売するのは、必ずしもそこの地元の漁協を通す、所属をする漁協を通すわけではなくて、ネット販売であるとか、直接旅館に入れるだとか、店舗に入れるだとかという様々な販売ルートがあると思うんですね。調査によると市場外流通は既にもう四八%ということになっているんですけれども、こういった場合はどのような手続をすればよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/43
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044・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
本法案に基づく情報の伝達義務や取引記録の作成保存義務につきましては、特定第一種水産動植物を取り扱う事業者間での取引についてはこれが対象となることになっております。
したがいまして、ネット販売や旅館への販売という形でも、いわゆる事業者、BツーBで流通をするような場合についてはこの法律の対象となることになりますし、ネット業者等につきましてもこの届出の義務というのが発生するということになります。
なお、本制度は違法漁獲物の流通防止を目的としているものでございますので、直接消費者の利益ということではございません。したがいまして、例えばネット販売で消費者に向けて販売されるような場合に、その消費者に対して例えば漁獲番号等を伝達するという義務は課していないというところでございます。
また、漁業者の方の立場から見ますと、本法案により届出を義務付けられておりますけれども、その届出されている方というのは適法に採捕を行うということが認められている方でございますので、直接個人に販売する際にもこれは適法な漁獲物を販売していることが証明されているわけでございます。
一方で、届出がない漁業者、いわゆる密漁者ということになるかと思いますが、そういった方については、この法律という前に、先ほどから御説明しておりますいわゆる漁業法の規定の中で密漁としての罰則等の適用があるかと思いますので、そちらの方で厳重に取り締まりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/44
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045・田名部匡代
○田名部匡代君 しっかりそのようにしていただきたいんですが、世の中にはどんな法律を作っても悪いことをする人はいるものでありまして、こういった場合に備えて偽造防止対策はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/45
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046・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) 違法漁獲物に虚偽の番号を付して、それで適法な漁獲物として偽造する、それを混入させるというような場合が想定されるわけでございますけれども、本法案によりまして、流通、加工、また輸出も含めて取扱いをする、水産動植物の取扱いをする事業者に対しましては全て届出義務が課されております。
その中では、例えば主要な取引商品が何であるかとか年間の販売予定数量がどれぐらいであるかといったような情報も行政機関把握していくということにしておりますので、その中で、違法な漁獲物の混入が疑われるような特異な取引、数量が急に増えたとか違うものを扱っているとか、こういった疑義のある事業者に対しましては行政として立入検査を行うと、こういった形で防止を図っていきたいと思っております。
また、本法案では、違法漁獲物の混入等の疑いがある場合には、その取扱事業者は本法案に基づいて行政機関に対して通報するよう求めております。通報の努力義務を課しているところでございます。したがいまして、仲間内の中で、何か異常なことをやっている、おかしなことをやっているぞというような話があれば、これもまた行政の方に届けていただいて、我々の方から監督に行くという措置を講じたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/46
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047・田名部匡代
○田名部匡代君 ありがとうございました。
ちょっともう時間がなくなってきたので、地元のことにも関連することで、ちょっと個別の話に入りたいんですが。
アワビなどについては独自の取扱基準があって、青森や北海道、岩手や宮城というところでは、既に原産地表示などを発行して取引が行われる、そういう仕組みをつくっているんです。これ、新たな制度が導入された場合はどういう対応をすればよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/47
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048・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/48
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049・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 山口長官、時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/49
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050・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) はい。
今御指摘がございましたような、漁連など民間事業者が独自に産地証明書を発行しているような取組、この場合には、その産地証明書に漁獲番号等今回の法律で義務付けられている情報を記入して伝達していくということで、この法案と整合性を持った対応が可能だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/50
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051・田名部匡代
○田名部匡代君 時間なので終わります。長官の丁寧な答弁、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/51
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052・高橋光男
○高橋光男君 おはようございます。公明党の高橋光男です。本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
この機会に、我が国の漁業、水産業をお支えいただいている全ての関係者の皆様に感謝を、心から感謝を申し上げて、早速質疑に入らせていただきたいと思います。
まず、大臣に伺います。本法律案の意義及び制度構築に向けた取り進め方についてでございます。
この法案の目的は、既に今日も何度か御紹介されていますように、第一条にございます。国内外で違法に採捕された特定の水産動植物の流通を防止するため、漁獲証明制度を導入することによって、国内の流通及び輸出入の適正化を図っていくこと、そうすることによって、違法な漁業の抑止、水産資源の持続的な利用、そして漁業及び関連産業の健全な発展等に役立たせることです。
実際、我が国では、密漁により、ナマコやアワビといった、こうした魚種の国内漁獲量が近年大幅に減少しています。一方、水産物は、一度流通すると適法に漁獲されたものか違法なものか判別が困難です。そのまま放置すれば、水産資源の持続的利用に悪影響を及ぼし、適正な漁業者の経営を圧迫します。
資源管理の徹底に関しましては、生産段階の規制を強化する改正漁業法が一昨日施行されました。他方で、国際的には、違法、無報告、無規制の英語の頭文字を取ったいわゆるIUU漁業の撲滅の実行が求められています。限りある海洋資源、水産資源の持続的な利用のためのIUU漁業の撲滅の必要性は、SDGs、これ、ゴール十四、海の豊かさを守ろうという中で明確に明記されておりまして、そしてまたG20の大阪首脳宣言などでも確認されているところでございますが、そこで、まず大臣にお伺いします。
この法律は、我が国のSDGs等の国際約束や改正漁業法との関係でどのような意義を有すると認識されていますでしょうか。また、本法が定める特定水産動植物は第一種、第二種と区別されていますけれども、これらの制度の違いや制度構築に向けた今後の取り進め方について、簡潔に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/52
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053・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今月一日に改正漁業法施行されたわけでありますが、密漁対策としまして生産段階におけるこの採捕に関する罰則の強化を行いましたが、やはり流通段階でのこの規制の、流通の防止を図っていくという必要があります。
また、国際社会におきましては、今御指摘のありましたSDGsですとかあるいはG20大阪会合首脳宣言等でこのIUU漁業を撲滅する方向性が打ち出されておりますので、海外の違法漁獲物の流入を阻止する措置を講ずる必要があるということであります。
これらを踏まえて、本法案におきましては、国内流通及び輸出入の適正化のための措置を講ずることによってこの流通防止を図るということにしているわけでありますが、このうち特定第一種水産動植物におきましてはナマコ、アワビを想定しており、また第二種の特定水産物におきましては、IUU漁業による漁獲が行われるおそれが大きい魚種ですね、イカ、サンマを想定をしているところであります。
具体的な特定水産動植物の指定など制度の運用につきましては、学識経験者ですとかあるいは生産・加工・流通団体などの実務経験者による検討会で議論を行った上で、さらに水産政策審議会の意見を聞いて、最終的には政省令で定めることとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/53
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054・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。
ただいま御説明いただいたこの法律案に基づく新たな制度、これを今後構築していくためには、現場の皆様の御理解、御協力が不可欠なことは言うまでもございません。そのためには、負担軽減を極力図っていくことが何より大事だと思います。
この点、特定第一種水産動植物に関しましては、採捕した事業者、すなわち漁業者等には、日本国内におきまして一次買受け業者や加工・流通業者などの取扱事業者に対して譲り渡すに当たっては、行政機関への届出に基づく漁獲番号等を伝達することが求められます。これを受けて、取扱事業者は漁獲番号を含む取引記録を作成、保存し、事業者間で伝達することが義務付けられます。
こうした義務に関しまして水産庁は、法律が施行されるまでの期間において、伝達義務や取引記録義務に係る電子化に向けたシステムの開発など、現場での円滑な制度運用に向けた支援を講ずることを検討することと承知いたします。具体的には、政府において、施行までの二年間、最大二年間で制度を周知し、個人の方や中小零細企業も含めて全ての関係者がシステムを利用できるようにすることを目指しているものと承知いたします。
そこで、現場の負担が過重なものとならないようにしていく観点から、幾つかお伺いしていきます。
まず、高齢者への配慮です。漁業就業者は平均年齢が五十九歳と農業に次いで高く、約四割が六十五歳以上です。こうした方々を始め、従来から伝票などは手書きの紙で管理している方が多いのが実態です。電子的なシステムに不慣れな方々へのきめ細やかな支援が必要かと考えますが、どのような対策を取られる予定でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/54
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055・熊野正士
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
情報の伝達や取引記録の作成、保存の義務を新たに課した場合に、関係者間の事務手続に一定の負担が生じる可能性があることは承知をしてございます。一方、電子化のメリットといたしましては、取引記録の保存が容易かつ負担も少なくできると考えております。
こうした実情を踏まえまして、現場での円滑な制度運用に向け、特に高齢者の事業者の皆様の負担を大きくしない形での制度導入について、現場の実態をよく調査しながら検討していく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/55
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056・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。是非ともきめ細やかかつ丁寧な支援、周知徹底も含めてお願いしたいと思います。
私の地元兵庫にも約五千人の漁業就業者の方、就業者の方だけでもこれだけいらっしゃいます。そういった方々全員に、高齢者のみならず、しっかりと対応していただくことをお願い申し上げます。
続きまして、漁獲番号等の届出や取扱事業者への伝達を行う届出採捕者は、これは漁業者や漁業協同組合、まさに漁協が想定されているものと承知しますが、極力漁業者への負担を軽減する観点からは、個人ではなく団体、つまり漁協が主体となって事務管理を行い、そこにしっかりと支援していく形が適当かと思います。また、消費者に無償譲渡する場合や特定かつ少数の消費者に販売する場合など、こうした場合には例外的に取引記録義務や伝達義務の対象外とすべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/56
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057・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
本制度は、現時点でも税法に基づいて取引伝票や領収書などの帳簿書類の作成、保存が事業者に課せられていることを踏まえまして、これらの伝票等を利用することで取引記録の作成、保存等に係る義務の履行が果たせるようにしまして、関係事業者の負担軽減に配慮した設計としているところであります。
届出事業者は漁業者がなるわけでございますが、実際には、その漁業者は所属する団体がございます。漁業者の多くは漁協を通じて漁獲物の販売を行っておりますので、実際には漁協が代行することが多くなると考えております。
また、御指摘のございました消費者に無償譲渡する場合や特定かつ少数の消費者に販売する場合については、検討会の取りまとめでも指摘されましたとおり、流通段階の混入の可能性が少なく、また経済的な利得も少ないことから、本制度の義務を対象外とする方向で検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/57
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058・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございました。
漁協が代行していただく、またさらには、先ほど無償譲渡や少数の消費者に販売する場合は例外的に扱う方向だという明確な御答弁いただいたと思います。しっかり御対応をお願いします。
そして最後に、システム導入に当たってのまさにその漁協への支援についてお伺いします。
国は、来年度概算要求中のスマート水産業推進事業というものがございますが、この中で、漁獲証明等システム普及事業を通じて漁獲番号等を含む取引伝票の発行をするためのシステムの開発、また関連機器の普及を行い、トレーサビリティー、すなわち流通過程の追跡を確保していく計画と承知いたします。しかしながら、そうしたシステムの普及の現場となる漁協は補助金なしには導入できるところは少ないというのが実態です。そうした漁協の皆様の実態、実情に寄り添いながら、かつ具体的な工程表を明らかにして支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/58
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059・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
この取引伝票の発行やその漁獲番号等の情報の伝達、これを行うに当たりまして取引における正確かつ円滑な情報の伝達を行う必要があるわけでございますが、漁協等におきましてもこの電算システム等を導入しているところが多うございます。それらのソフトウエア同士の連携等によるシステムの構築を現在、今御紹介のありました事業等でその検討をしているところでございます。
特に、こういう電子化といいますのは先行して実施している事業者もいらっしゃいますので、それらの取組を参考としつつ、各コンピューターメーカー等が有している既存の電算システムの間の連携に向けてどのような形でこの伝達等を可能としていくか、こういったことを検討していきたいと考えております。
また、これも御指摘がございました、水産庁では現在、資源管理を推進する観点からスマート水産業を今推進、スマート水産業の構築を図っているところでございまして、その中で産地市場、漁協等の電子化を約四百市場等において進めようということで計画を立てているところでございます。このスマート水産業による水揚げ情報等の電子化、こういった中で漁獲番号の円滑かつ迅速な伝達についてどのようなことができるか、これについても検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/59
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060・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。
しっかりと現場の方々に透明性を持ってこの作業、そうしたシステムの導入を進めていくことを重ねてお願い申し上げます。
続きまして、私もこの大和堆での違法漁船取締り強化、また違法操業によるスルメイカ等の国内外での流通規制についてお伺いしてまいりたいと思います。
この日本海のほぼ中央にございます好漁場、大和堆における違法操業、これは我が国の排他的経済水域、EEZの中にございます。しかしながら、近年、特にイカの漁場が形成される六月から十二月にかけて、違法操業を目的として侵入しようとする中国や北朝鮮の漁船が確認されています。昨年の退去警告延べ隻数は五千百二十二隻、北朝鮮が約四千、中国が約千隻でした。今年は、十一月十八日現在、北朝鮮は一隻と激減するも、これに対して中国が四千百七十八隻と激増しています。
国際法上、EEZは我が国の主権的権利が及びます。国内法においても、平成八年、EEZの権利行使等に関する法律が制定され、その第五条におきましては、農水大臣の許可のない外国人による漁業又は水産動植物の採捕は禁止されています。水産庁は、海上保安庁巡視船と連携しつつ、警告や放水等で対処していますが、九月末には、水産庁が漁業の安全確保のためこの地域における操業自粛を求めるといったような事態も起きており、例年に比べ深刻な状況となっています。
こうした違法操業を撲滅するに当たっては、現場での取締り強化はもちろん、中国等への抗議、これ、先週の日中外相会談でも政府は中国に実効的な措置をとるよう申入れを行ったと承知しますが、この密漁によって採捕された水産動植物が国内外で流通しないように厳しく規制していくことが求められています。
そのための具体策について、二点お伺いしたいと思います。
まず、特定第二種水産動植物が、これが対象になるわけですけれども、その魚種については、先ほど大臣も御答弁いただいたようにイカ、サンマが想定されていますけれども、この地域で違法操業で漁獲されたスルメイカ等も対象になるという理解でよろしいでしょうか。また、施行まで二年間ありますけれども、そうした魚種の国内流入を早期に阻止するためには、第二種水産動植物に係る制度については第一種よりも迅速に導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/60
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061・熊野正士
○大臣政務官(熊野正士君) お答えいたします。
特定第二種水産動植物の具体的な魚種の指定に当たっては、学識経験者や生産・加工・流通団体などの実務関係者による検討会で議論を行い、またWTO上のTBT通報によって各国の意見も聞いた上で指定することになりますが、イカが指定される場合はスルメイカも対象になると考えてございます。
IUU漁業の撲滅は喫緊の課題であることから、特定第二種水産動植物に係る制度については、特定第一種水産動植物に係る制度と併せて、準備が整った段階で実施できるよう対応を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/61
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062・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。
そして、続いてこの国際的な対応についてお伺いしたいと思います。
国外におきましては、国際的なIUU漁業対策として船舶の入港拒否、また流通の規制等が行われております。国外というのは国際的な取組としてございます。
まず、入港拒否につきましては、二〇一六年にFAO、国連食糧農業機関で発効しました違法漁業防止寄港国措置、いわゆるPSM協定というものがございます。これに基づき、寄港国、この寄港する、船が寄港する国、これは地域の漁業管理機関が作成するIUU船舶の一覧表に掲載されている場合など、船舶がIUU漁業等に従事したことの十分な証拠を有する場合には入港を拒否することができます。しかしながら、中国や北朝鮮は加入していません。
一方で、昨年十一月の国連持続的漁業決議におきまして、我が国の提案により全てのPSM協定未加盟国への加入を求めるとともに、特に巨大な水産物市場を有する寄港国が早期加入することの重要性を確認しています。この場合、中国などそうした国に当たるかと思います。そこで、中国や北朝鮮に対しPSM協定に加入するよう外交的働きかけを強化すべきではないでしょうか。
また、韓国では、EUのIUU漁業規則に基づく違法漁船の制裁警告を受けて、特定水産動植物への漁獲証明制度を導入しています。一方で、韓国は大和堆地域では違法操業を行ってはおりません。一方で、特定水産動植物の漁獲証明制度を有していることから、こうしたことを踏まえて、スルメイカを始め、第三国による違法漁業のおそれの大きい魚種については共同で漁獲証明の対象とするよう働きかけ、日韓協力の下で日本海において違法に漁獲される魚種の流通を制限していくことが有意義と考えますが、いかがでしょうか。大臣の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/62
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063・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) いわゆるPSM協定につきましては、今、六十七か国、我が国も含めてでありますが、六十七か国で締結をしておりまして、我が国としてもこの締結国を増加させていくということは重要であると考えております。
委員御指摘のとおり、令和元年の国連総会の持続的漁業決議におきまして、PSM協定の早期締結を中国や北朝鮮等に対しより強く奨励するパラグラフの追記を提案し、これが採択されたところでありますので、この未締約国につきましては、引き続き、二国間対話の場面ですとかあるいは国連等々の様々な場面で働きかけを行ってまいりたいと思います。
また、もう一点のお尋ねの件でありますが、本法案が成立いたしますと、我が国も韓国と並んでこのIUU漁業撲滅に向けた体制が整いますので、日本海におけるIUU漁業への対応についても関係国と協調して取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/63
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064・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/64
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065・高橋光男
○高橋光男君 はい。
時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/65
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066・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
本日は、外務省の方にもおいでいただいておりますので、漁業を営む国民の皆様の安全と生活の維持について細部にわたって質問させていただきます。
まず、日本のNGOが作成した日本の漁業リスク指数というのがあります。これによりますと、日本は百五十二か国中百三十三位です。特に、脆弱性の指数というのがありまして、百五十二か国中百五十一位、つまりワースト二位ということでございます。これ、どういうことを意味しているのかといいますと、日本の漁業は違法、無報告、無規制な漁業にさらされるリスクが極めて高いという意味でございます。日本の漁業がこのように評価されていることについて、所管する農林水産大臣としてどのような感想を持っているのか。これ、一つ目の質問です。
次に、これまでのIUU漁業取締り政策に関して農林水産省として反省する点が多々あるとおっしゃるかもしれませんが、どのような点が足りなかったのかという具体的な御説明をお願いします。これが二つ目。
最後に、今回の改正によってIUU漁業取締りにどのような改善効果があるのか。簡単に、この三点について大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/66
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067・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今委員から御指摘のありましたIUU漁業指数でありますけれども、これは海外の民間企業とNGOが開発したものでありまして、二〇一九年の一月に公表されました。その結果によりますと、今お話ありましたとおり、我が国は全百五十二か国中、下位から十九位であったと承知をしております。
これは、IUU漁業指数の評価項目、これいろいろな評価項目あるんですが、例えばEEZの広さというものがあります。これは広いとその指数が下がるということになりますし、あるいは港の数ですとか世界の水産物流額に占めるシェアですとか、あるいはたんぱく質として魚類の摂取量等というのがあります。いわゆる魚食が多いとまたその指数が悪くなるということでありますが、そういうことによって我が国が低い評価を受けたということであります。
これまで我が国としては、IUUリストに掲載されました漁船の寄港規制に加えまして、IUU漁業漁獲物の我が国への陸揚げの禁止措置等を行う等、FAO加盟国としての責任を果たすとともに、本年十二月一日、改正漁業法が施行されたわけでありますが、生産段階における違法漁獲の防止に対応するなど、IUU漁業の撲滅に向けて積極的に取り組んでまいりました。
また、本法案によりましてIUU漁業によりまして漁獲された水産動植物の輸入規制を措置していること等によりましてIUU漁業対策が進むと考えておりますが、今後ともこのIUU漁業撲滅に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/67
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068・石井苗子
○石井苗子君 ちょっと足りなかった点が何だったのかという指摘をさせていただきましたが、大臣、足りなかった点というのは何だったと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/68
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069・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) まさに今回の法律で対応しております輸入規制というところではないかと思いますが、今回の法律でこの輸入規制、しっかりと対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/69
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070・石井苗子
○石井苗子君 それでは、大和堆周辺の違法操業について先ほどから質疑が続いておりますが、平成三十年に漁業法違反の罰則、これ強化されました。法定刑が引き上げられて、密漁に対してそれなりの抑止効果が出てくると思われますけれども、これ、近年の傾向だけで結構でございます、密漁で有罪になった場合の刑量を教えてください。最近の裁判が下した結果でいいですが、事例などを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/70
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071・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
まだ改正前の漁業法の規定に基づく事例でございますけれども、無許可操業に対しましては法律上は懲役三年、罰金二百万円という刑等が規定されているところでございますが、本年六月、山口県沖において無許可で潜水器を使ってナマコなどの密漁をした事例がございまして、これについて、本年十一月に船長に対しまして懲役十か月、執行猶予四年、罰金六十万円等といった判決が出ているところでございます。
本年十二月一日に漁業法が改正されまして、ナマコ、アワビ等の特定水産物につきましては採捕禁止違反の罪が新設されまして、三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金を科すこととされました。また、今御紹介いたしました無許可操業等の罪につきましては、罰金額の上限が二百万から三百万に増加するなど、罰則の強化が図られたところでございます。これらの規定により密漁の防止に大きな効果が出てくるものと期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/71
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072・石井苗子
○石井苗子君 ありがとうございます。
私は、今年の三月の本委員会でも、大和堆周辺の水域内での外国船違法操業問題について質問いたしました。その際の質疑では、北朝鮮の船の操業について質問したんですが、先ほどの質疑にも出てまいりましたけれども、今年になってこの水域の違法操業は、北朝鮮船に代わり、ほとんどが中国船になっています。
水産庁の発表を読みますと、本年、今年操業している外国船に退去警告をした数は、九月三十日の時点で、先ほど発表がありましたが、中国船が二千五百八十六件に上り、令和元年の七百二十六件の四倍に近くなっています。これに対して、北朝鮮に対する撤去警告数ですね、これが二千百六十四件から一件になっていると。
先ほども質疑がありましたが、なぜ北朝鮮船が減って中国船が増えたのかですが、それは中国に対して北朝鮮が漁業権を売却したからだと言われておりますが、この点について日本政府はどのような事実を確認していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/72
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073・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
大和堆で中国漁船の違法操業が増えているという実態は今先生から御指摘があったとおりでございますが、その原因等につきましては、イカを求めて来ているんではないかということは分かるわけでございますが、直接的な原因は我が方としてはよく分かっていないところもございます。
一方で、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの報告書におきましては、安保理決議で禁止されております北朝鮮の漁業権の売買が確認されたということが報告されておるところでございます。
例えば、この二〇一九年三月に公表された報告書においては、少し古くなりますが、二〇一八年の一月から十一月に、日本海の漁場において北朝鮮の漁業許可証を所持していると見られた十五以上の中国漁船に関する調査を分析し、北朝鮮の潜在的な収入源となる漁業権の売買を確認したということ、また外国漁船による北朝鮮当局発給の漁業許可証の使用及び船籍偽装という二つの手法があることを指摘して、ある中国漁船から北朝鮮の漁業許可証が発見されたということ、また別の事案では、中国漁船が船籍偽装のために北朝鮮旗を掲げていたと、こういった報告がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/73
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074・石井苗子
○石井苗子君 ある程度は把握していらっしゃるというふうに理解いたしました。
私の素人の法解釈で申し訳なくて、もし間違ってたら指摘していただきたいんですが、先ほどの国連の制裁決議というのがあります。この制裁決議で北朝鮮は外国に漁業権を譲渡できないことになっていると私は理解しているんですが、もし北朝鮮が決議を無視して中国に漁業権を売却したとしても、中国は当然のことながら日本の排他的経済水域内では操業できないと理解しているのですが、これ間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/74
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075・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
日本と中国の間では日中漁業協定がございまして、この東シナ海においては日中暫定措置水域や中間水域及び二十七度以南水域というのが設定されておりまして、これは沿岸国主義というのを取らないということになっております。それ以外の我が国EEZ内では、漁業主権法の規定に基づきまして、中国の船については農林水産大臣の許可を受けなければ漁業を行ってはならないということになっております。
今御指摘のございました大和堆を含め、日本海において中国漁船による違法操業が発生している水域につきましては、我が国EEZ内であり、中国人が漁業を行うために船舶ごとに農林水産大臣の許可を受けなければなりませんが、現在許可を受けて操業している船はないというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/75
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076・石井苗子
○石井苗子君 つまり、操業しちゃいけないということで間違いないということなんです。
そうしますと、水産庁の説明によりますと、違法操業で退去警告、退去警告した中国船、北朝鮮船二千五百八十七隻に対して、放水した漁船は三百二十九隻ということで七分の一です。これ放水の数が少ないと私は思うんですけれども、撤去警告や放水というのはどのぐらいの効果があるものなのでしょうか。外国船は、通常は退去警告しただけで退去して、警告で退去しない場合も放水すれば退去するということなんでしょうか。ここをちょっとお伺いしたいんですけれども、違法操業する外国船を発見した場合、必ず日本の排他的経済水域から外に退去させているのかどうか。つまり、放水の効果というのをどのように捉えていらっしゃるのかをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/76
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077・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
この大和堆周辺水域における外国漁船等に対する取締りの内容でございますが、本年は、水産庁の方では、十二月二日で延べ四千百七十八隻の外国漁船等に対して退去警告を実施しており、そのほとんどが中国漁船であります。
今先生からもお話がございましたように、まず、外国漁船を発見しましたときは、こちらの取締り船といたしましては、まずは電光掲示板等で中国語等、韓国語等の表示をして、ここは我が国の二百海里水域であると、出ていきなさいという表示をします。また、スピーカー等で、大音響のスピーカーを持っておりまして、それでもって退去してくださいと警告をします。これによって退去する船が大多数でございまして、それでもまだ居座るような船につきましては放水という形で強制的な措置を講じているということでございます。
基本的に、この放水等を行って退去させているのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/77
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078・石井苗子
○石井苗子君 二千五百八十七隻に対して、三百二十九隻に放水して退去させたと。させるようにしているではなくて、退去させたというふうに、そうですね。
外務省にお伺いします。これまでの質問に対してお伺いするんですけれども、外務省としては、この大和堆周辺水域での中国船の違法操業に対して外交ルートで中国側にどのような抗議をしたのか、抗議をどのようにしたのか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/78
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079・曽根健孝
○政府参考人(曽根健孝君) お答えします。
大和堆周辺水域における中国漁船による違法操業につきましては、中国政府に対し、外交ルートを通じまして日本側の懸念を伝達するとともに、漁業者への指導、これは中国側の漁業者に対する指導等、対策強化を含む実効的措置をとるように繰り返し強く申入れを行ってきております。先般の十一月二十四日の日中外相会談の場におきましても、茂木外務大臣から王毅国務委員兼外交部長に対しても強く申入れ、要請を行ったところでございます。
外務省といたしましては、引き続き、水産庁、海上保安庁を始めとする関係省庁と緊密に連携しつつ、我が国漁業の安全な操業の確保のためにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/79
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080・石井苗子
○石井苗子君 外務省の方、どのように強く抗議をしたんですか。どのように強く抗議したんですか。内容を教えてください、言葉を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/80
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081・曽根健孝
○政府参考人(曽根健孝君) 中身につきましては、繰り返しになりますけれども、漁業者に対する指導等の対策強化により、実効的措置、そういうものをしっかりとるようにということで申入れを行っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/81
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082・石井苗子
○石井苗子君 野上大臣にお伺いします。
水産庁は、九月三十日から十月二十九日まで、約一か月ですね、この大和堆海域の一部への入域、入域といいますが、自粛を要請しています。日本船に求めています。大臣の記者会見、そのまま読みますと、本年九月二十九日の午前八時頃、大和堆西方の日本の排他的経済水域内で監視活動中の水産庁の取締り船が、船の、船籍といいます、の不明の船舶を確認したので、各省庁で情報収集及び分析をした結果、北朝鮮の公船と特定できた。九月二十九日以降も北朝鮮の公船らしき船舶が確認される旨の情報があった。このため、水産庁が我が国の漁船に対して一時的に一部海域からの移動を要請したとあります。
排他的経済水域内に北朝鮮公船がいたことは操業する日本の漁業者の安全に対してどのくらい現実的かつ具体的な危険があったのか、まずお答えください。
次に、今回の事件では、九月二十九日に北朝鮮公船を確認したとき、そのとき誰がどのように対処したのかも教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/82
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083・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 当該水域は、昨年の八月二十四日に海上保安庁巡視船が小銃らしき武器を保有した北朝鮮公船らしき船舶に接近される事案が発生した水域でありまして、一時的に一部水域からの移動を要請したことについては、我が国漁船の安全を確保するため、やむを得ないものであったと考えております。
今後の対応につきましては、関係省庁と協議した結果、中国漁船や北朝鮮公船が出現したときであっても我が国漁船の安全を確保しつつ操業を行えるよう、水産庁と海上保安庁が連携して対応することといたしました。特に、北朝鮮公船は武器を有している可能性が排除できないため、我が国漁船の安全確保につきましては、関係省庁間で連携した行動を取り、万全を尽くしてまいらなければならないと考えております。
また、九月二十九日、どのような対応をしたのかということでありますが、付近の漁業取締り船及び海上保安庁巡視船は、同漁船に伴走警戒をして安全な海域まで保護するとともに、当該公船及び周辺海域を監視をしたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/83
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084・石井苗子
○石井苗子君 分かりました。
その日本の取締り船が漁船を保護したということですが、今、武器を持っているという御発言がございました。
外務省にお伺いします。こういう事態の状況判断をいたしまして、この件に関して外務省は北朝鮮に何らかの対応というのをなさいましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/84
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085・曽根健孝
○政府参考人(曽根健孝君) お答えいたします。
委員御指摘の件も含めまして、我が国の排他的経済水域内の船舶が北朝鮮の公船と特定されたこれまでの事例につきましては、北朝鮮に対して、我が国の立場について申入れを行ってきております。
外務省としては、引き続き、水産庁、海上保安庁等を始めとする関係省庁と緊密に連携しつつ、我が国の領海、接続水域、さらには排他的経済水域での安全及び利益の確保、我が国漁船の安全な操業の確保のために、北朝鮮に対しては申入れを含めしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/85
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086・石井苗子
○石井苗子君 今のは日本の立場を申し出ただけだと思うんです。
本来、漁業者が適法に操業できる水域で安心して操業できる秩序をつくるのが日本政府の責務ではないのかと思っております。日本の漁船が適法に操業できる海域で今回のような操業自粛をさせるというのは本末転倒ではないかと私思うんですけれども、相手があることだから仕方がない、努力しているということでは済まないと思うんですが、この辺、大臣の見解を最後にお伺いします。漁業者に対しては何らかの補償をしてくださっているのでしょうか、質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/86
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087・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/87
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088・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今回の操業自粛による影響も含めまして漁業収入が減少した漁業者には、いわゆる漁業共済、積立ぷらすによる補填が行われており、また、外国漁船による操業の影響を受けている日本漁船に対しては、韓国・中国等外国漁船操業対策事業によりまして、外国漁船の操業状況の調査、監視活動ですとか、外国漁船の放置した漁具の回収、処分等を行った場合に支援を行っております。
これらの措置によりまして、引き続き、大和堆周辺水域で操業する漁業者が漁業を継続できるようにしっかり対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/88
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089・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/89
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090・石井苗子
○石井苗子君 失礼なのは相手国の方なんです。是非、日本の漁民の皆さんの生活を守っていただきたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/90
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091・上月良祐
○委員長(上月良祐君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、高橋はるみさんが委員を辞任され、その補欠として加田裕之さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/91
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092・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
今日は、法案に関する質疑の前に、昨日から新聞紙上、報道をにぎわしておりますアキタフーズグループから吉川元農林水産大臣が現金を受け取ったと、この疑惑についてお聞きしたいと思います。
まず、野上大臣にお聞きします。
野上大臣は、アキタフーズの関係者と面識はあるでしょうか。そしてまた、過去にパーティー券の購入や何らかの金品の提供を受けたことがあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/92
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093・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 私自身は面識はございません。また、パーティー券等々購入の実績もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/93
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094・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございます。
ということは、当然、大臣就任後も特にないということだと思います。ありがとうございます。
報道によりますと、吉川元大臣は刑法における賄賂罪の中の受託収賄罪の疑いがあると思われます。まだ疑いですのでまたそこは本人の問題だと思いますけれども、大臣に次にお聞きしたいのは、一般論として、農林水産省の業務に関してこのようなことが起こる、また、起き得ることについてどう思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/94
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095・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 御指摘のような報道があったことは承知しておりますが、そのこと自体につきましては、捜査活動に関することでもあり、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
農林水産省としても、この捜査活動に関することにつきましては、協力要請があれば適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/95
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096・舟山康江
○舟山康江君 いや、それ違います。捜査は捜査として、実際にいわゆる収賄があったのか、口利きがあったのかということはそうですけれども、今、農林水産省を舞台として農林水産大臣という職務権限のある者が疑いを掛けられていると、こういったことであります。
少なくとも疑惑がある以上、私は、農林水産省の現在のトップである大臣がやはりこのガバナンスの問題としてしっかり調査をする、過去どうだったのか、政策決定がゆがめられていなかったのか調査をする責任があると思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/96
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097・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 捜査の件につきましては今申し上げたとおりでありますが、御指摘の政策等々についての判断につきましては妥当なものだと認識をしております。それぞれしっかりと説明をしてまいりたいと思いますが、いずれにせよ、農林水産行政について国民に疑念が持たれることがないようにしっかり対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/97
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098・舟山康江
○舟山康江君 いや、そこは疑惑はかなりあるんですよ。しかも、農林水産省に関しては、残念ながら、今年の七月にも、西川元農林水産大臣ほか農林水産省幹部がアキタフーズから接待を受けていたと、これも明らかになりました。
やはり何らかの、これ、農水省を舞台に何かがあった疑いが掛けられているわけですよ。そこはしっかり調査をする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/98
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099・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今申し上げましたとおり、農林水産行政の政策につきましては、これはしっかりと説明をしてまいりたいと考えております。
また、御指摘の件については、現時点におきましては事実関係の詳細は承知しておらず、捜査活動に関することでもありますので、まずは捜査活動に関する協力要請があれば適切に対応してまいりたいと思いますが、いずれにせよ、農林水産行政について国民に疑念が持たれることがないように、これしっかり対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/99
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100・舟山康江
○舟山康江君 捜査とは別にということをお聞きしているんですけれども。
これ、具体的に、例えば鶏卵生産者経営安定対策事業への要望とかアニマルウエルフェアに関連する問題とか、そういったことが言われたということなんですね。少なくとも事業が特定されているわけですから、この事業に関してどのような意思決定があったのか、政策決定のその立案過程ですね、そこを検証する、その必要はあるのではないかと思います。それは、捜査で有罪とかなんとかではなくて、農林水産省のガバナンスの問題として、少なくともどうだったのか、やはりこういった案件を契機に調べる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/100
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101・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 例えば、今御指摘のありましたアニマルウエルフェアの国際基準の策定につきましては、これ平成二十九年九月に第一次案がOIEから加盟国に提示をされました。その後、数次の修正を経て、現在まで検討が継続中であります。
農林水産省では、この検討に当たりまして、養鶏の生産者団体、消費者団体や学識経験者等の多くの方から出された意見を踏まえまして、平成三十一年一月及び令和元年七月に多様な飼養形態が認められるべきとの旨のコメントをOIEに提出したものでありまして、この判断は妥当なものであったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/101
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102・舟山康江
○舟山康江君 そこね、妥当だということをきちんと明らかにするためにも、やはり政策立案過程を検証するべきではないんでしょうかね。
農水省に関して、残念ながら、先ほど西川元大臣のことも触れましたけれども、二〇一四年分の政治資金収支報告書によりますと、これ月が分かりませんので断定はできませんけれども、江藤前農林水産大臣が副大臣の年ですね、二〇一四年に、やはり同じ秋田代表から百万円の献金を受けているということが報告されております。
これは、私は今直ちに関係があるということは申しませんけれども、ただ、二〇一四年九月まで副大臣だったわけですけれども、少なくともその年に献金を百万円受けていると、こういったこともあって、これもまた疑いを向けられる一つの要因ではないのかなという気がするんですね。
そういう中で、やはり農林水産行政が正しく行われているんだということはしっかり明らかにする、今トップを担っていらっしゃる大臣はその責任があると思いますし、もう一つ、やはりこの農林水産施策が正しく実施されているかをチェックする責任が私はこの農林水産委員会にあると思っています。
そういう中で、吉川元大臣からこの場で説明いただく必要があると思います。これは農林水産施策のためでありますので、委員長、是非お取り計らい願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/102
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103・上月良祐
○委員長(上月良祐君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/103
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104・舟山康江
○舟山康江君 先ほど触れました、この七月に西川元農林水産大臣ほか幹部が接待を受けたということの報道がありましたけれども、この際は何か調査をしたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/104
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105・水田正和
○政府参考人(水田正和君) お答えいたします。
突然の質問でございますので、ちょっと確認をできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/105
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106・舟山康江
○舟山康江君 是非この件に関しても確認して、この委員会、理事会等に報告いただきますようお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/106
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107・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/107
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108・舟山康江
○舟山康江君 私も大変残念だなと思っているんですね。まだ疑惑とはいえ、こういった疑いの目が農林水産行政、私は本当に今、コロナを契機に、改めて農林水産業非常に大事だと多くの皆さんが認識され始めている中でこういった疑惑が向けられていること自体、大変残念に思っています。是非、大臣始めとして、省内で明らかにしていただきたい、このことをお願い申し上げます。
さて、法案審議に移りますけれども、まず、今回の法案の前に漁業法が改正されました。この漁業法改正の一つの目的は、密漁を防ぐ仕組みをつくるということだったと私は理解しております。
そういう中で、特定水産動植物を指定をして、許可なく採捕した場合には罰金が科されると、このような改正が行われたわけですけれども、要は、捕る方をきちんと抑えていけば大丈夫だということだったと思いますけれども、今回、新たに流通面からも規制を掛けることにした背景は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/108
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109・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 改正漁業法が施行されるわけでありますが、ナマコ、アワビ等の特定水産物の密漁に対しまして三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金を科すということで、生産段階での違法漁業の防止のための措置を講じてきたところでありますが、やはり水揚げ以降の流通の過程においてこの違法漁獲物が流通してしまいますと、これ、適法に漁獲されたものと判別が困難になることから、流通段階においても違法漁獲物を識別できる仕組みを設けて、その流通防止を図ることが必要と考えております。
両方の法律を連携をして運用することで、生産面から流通面まで切れ目なく防止措置を講ずることが可能となり、防止に高い効果を発揮できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/109
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110・舟山康江
○舟山康江君 先ほども質問の中で、違法、無報告、無規制のIUU漁業、日本は高リスクと評価されているということがありました。
まずは、違法の漁業、捕る方ですね、そこをしっかり抑えていくということと、それが流通しないようにと今回法律で抑えていくということですけれども、これによって、このいわゆるIUU漁業指数ですか、日本が非常に高リスクと言われているものはかなり改善されると考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/110
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111・宮内秀樹
○副大臣(宮内秀樹君) お答えをいたします。
御指摘のように、IUU漁業指数ですね、海外の民間企業とNGOが開発したものでございますけれども、下から十九位ということであるということを承知いたしておるところでございます。これは、IUU漁業指数の評価項目のうちのEEZの広さ、隣国との漁業境界の合意の有無、港の数、世界の水産物輸入額に占めるシェア、それからたんぱく質としての魚類の摂取量等におきまして我が国は低い評価を受けた結果であるというふうに考えております。
これまで、我が国といたしましては、IUUリストに掲載された漁船の寄港規制に加えまして、IUU漁獲物等の我が国への陸揚げの禁止措置を行うなど、FAO加盟国としての責任を果たすとともに、本年十二月一日に施行されました改正漁業法の中で生産段階における漁業漁獲の防止に対応するなど、IUU漁業の撲滅に向けて積極的に取り組んできたところではございます。
本法案によりまして、IUU漁業により漁獲された水産動植物の輸入規制を措置することといたしておりまして、IUU漁業対策は進むというふうに考えておりますが、今後とも、IUU漁業撲滅に向けましてしっかりと取り組んでいくということでやってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/111
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112・舟山康江
○舟山康江君 是非そう期待したいと思いますけれども、やはり海外における違法漁業の一つの典型は、全ての今日質問者が触れておりましたけれども、大和堆における違法操業ですね。北朝鮮及び中国漁船によるものですけれども、もういろんな話がありましたので、お配りの資料を御覧いただきたいと思います。
実際にこの地域でのスルメイカ、これ冷凍ですけれども、激減しております。これ、今年に関しては九月三十日までですけれども、かなり激減しているということ。そして、水産庁、海上保安庁連携して退去警告をしているということでありますけれども、先ほどのいわゆる立入り自粛ですね、大和堆への立入り自粛のきっかけになったのは北朝鮮公船を確認したことだとおっしゃっていましたけれども、実際には、今年は中国の船がもう圧倒的なんですね。北朝鮮だけじゃなく、中国が圧倒的だということであります。
私もこれ、三月の予算委員会、また十一月の予算委員会と取り上げてまいりましたけれども、これまず水産庁、海上保安庁にお聞きしたいのは、国が変わった、多く来る国が変わったことで、対処方法とか何か、いわゆる警告している際に何か昨年までと違いがあったのかどうなのか、例えば船が大きくなったとか、言っても効かないとか、いや、すぐどくようになったとか、何か対応に当たって違いがあったのかどうか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/112
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113・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今先生から御指摘がございましたように、違法操業を行っている外国漁船の数につきましては、今年の十二月二日現在で四千百七十八隻の外国漁船に退去警告を実施しておりましたが、そのほとんどが中国漁船になったというところでございます。
北朝鮮の船が多いときの特徴といたしましては、いわゆる小型の木造船が多数でやってきまして、なかなか、こちらの放水を浴びればもう逆に壊れてしまいそうな船でございますので、逆に注意深くやらなきゃいけなかったわけでございますが、中国漁船の方はそれよりも大型の船が多うございますし、いわゆる鋼船、鋼の船ということになっておりますので、それに対して放水等をもって退去警告をやっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/113
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114・石井昌平
○政府参考人(石井昌平君) お答え申し上げます。
海上保安庁では、今年も日本イカ釣り漁船の漁期前の五月下旬から大型巡視船を含む複数の巡視船を大和堆周辺海域に配備し、日本漁船の安全確保を最優先に、水産庁取締り船と連携し、厳正に対処、対応しております。
五月下旬以降、大和堆周辺海域に近づこうとする中国の漁船延べ百二隻に対し退去警告を行い、我が国EEZの外側に向け退去させております。北朝鮮の漁船とそれから中国の漁船、同様に厳正に対応しているところでございます。
引き続き、必要な体制を整え、日本漁船の安全確保を最優先に、水産庁と密接に連携しつつ、万全を期してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/114
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115・舟山康江
○舟山康江君 海上保安庁の退去警告、今年非常に少ないんですよね。何で少ないのかなというのは今日は聞きませんけれども、少なくとも今まで、北朝鮮に対しては国交がないから難しいんだという話がありましたけれども、中国とは国交もありますし、漁業協定等も結んでいる。外交ルートでもしっかり対応できると思うんですね。三月の予算委員会においても茂木大臣から、やっぱりこれやっちゃ駄目なんだと、しっかりと徹底した指導、取締りを要請していきますと言っていましたけれども、先ほど石井議員からもありましたけれども、要請だけでは、効かなきゃ何にもならないと思うんですよ。
今日、しっかりやっていただいている宇都副大臣に来ていただいていますけれども、是非、もう本当、要請で言って効かなきゃ何にもならないわけですから、これしっかりと実効性のある措置をとっていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/115
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116・宇都隆史
○副大臣(宇都隆史君) 御指摘の海域における中国船また北朝鮮船の違法操業を極めて重要な課題だと認識しておりまして、これまでも累次の機会に違法操業の停止等申入れをしているところですが、特に本年異常に拡大している中国漁船の違法操業に関しては、これにつきましては、各省庁から提出のあった漁船の写真あるいはレーダーで把握した位置情報等も含め、向こうが反論できない客観的なデータを突き付けることも含めて違法操業の停止等を強く申入れしているところでございます。
また、具体的には、先日の日中首脳会談、十一月二十四日におきましても、茂木大臣の方から王毅国務大臣に対して強く要請したところでございます。
今後ともしっかりと対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/116
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117・舟山康江
○舟山康江君 要請だけではなかなか、全然、だって効いていないんですよね。そして、しかも先ほどお話があったように大型化しているから、ある意味北朝鮮より脅威なんですよ。しっかり対応いただきたいと思います。
今日、内閣府に来ていただきましたけれども、内閣府も総合海洋政策本部という本部を持っているわけですから、毅然とやっていただきたいなということをお願いだけ申し上げます。
こういった大和堆辺りで漁獲されているものは、これ、まさか漁獲証明なんか出されていないんですよね。そこ、どう確認するんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/117
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118・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今回の法律、水産流通適正化法案の中におきまして、特定第二種水産動植物としてイカを指定するということを想定しているところでございますが、今おっしゃっているような違法な漁獲については、当然これは排除していくのが法律の趣旨でございますので、そういったものの証明が出てくることはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/118
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119・舟山康江
○舟山康江君 何か、相手国の証明をある意味信じること、信じるしかないのかもしれませんけれども、場合によっては大和堆で捕られたものが合法ですよなんて出されてきたときにどう判断するのか、そこは大きな課題だと思いますし、もう一点、時間がなくなりましたので要望だけにとどめますけれども、これ、届出が必要な特定第一種水産動植物の指定基準、これは省令に委ねています、加工品の範囲とか指定とか。ここについてやっぱり基準を明確にしていかないと、広過ぎれば漁業者困るし、狭過ぎれば実効性ないし、そこの基準はやはり省令といえどもある程度はっきりさせていただきたいと思いますけど、これ、お答えいただいていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/119
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120・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/120
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121・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今御指摘のございました指定の基準等につきましては、学識経験者やこの関係業者の方々が入った検討会の場で議論させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/121
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122・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/122
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123・舟山康江
○舟山康江君 はい。ありがとうございました。
いずれにしても、やっぱり実効性を担保するためにしっかりと今後細部を詰めていただきたいと、このことをお願い申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/123
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124・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
私も冒頭、先ほど田名部議員、そして舟山議員が質問していた、吉川元農水大臣のこの現金を受け取っていたという報道をめぐって疑惑があると。報道では非常にリアルに書いているわけですね。三回渡して、うち一回は大臣室でというような記述まであります。
極めて重大な、これが事実だとすると問題でありまして、この裏金で政策をゆがめられたんじゃないかというさっきの指摘ですね、田名部議員が言っていましたけれども、そういう問題とともに、もう一つ、舟山議員も取り上げられておりましたけれども、今年七月に報道されていた内閣官房参与西川元農水大臣と、そのときに農水省の職員が二人、豪華客船のクルーザーで招待を受けていると、接待を受けているということも明るみに出ているわけでありまして、農林水産省自身のそういう意味では癒着が疑われる問題でもあるというふうに思うわけです。
ですから、アキタフーズ、問題となっているアキタフーズから接待を受けた農水省の職員がいないのかどうかということは、今農水省全体に責任を持っておられる野上大臣、大臣の責任においてこれをしっかり調査すべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/124
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125・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今御指摘のあったような報道があったことは承知をしておりますが、捜査活動に関することでもあり、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。なお、農林水産省としても、捜査活動に関することについては、協力要請があれば適切に対応をしてまいりたいと考えております。
いずれにしても、農林水産行政について国民に疑念を持たれることがないように対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/125
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126・紙智子
○紙智子君 先ほど要請もありましたとおり、やっぱり農水委員会としても、この問題、政策がゆがめられたら大変なわけですから、そういうことを検証するということでの対応をしていくということでの提案もありましたので、是非、引き続いてこの問題やっていきたいと思います。
さて、もう一つ、法案の前に、コロナの問題でも一言質問しておきたいと思います。
それで、漁業もこの新型コロナ感染症による需要の減少による出荷量が減少していると。魚価の低迷で影響を受けています。各地でお話を聞いてきましたが、現状は厳しいの一言だと。本年五月に沿岸漁業者への支援を求めたところ、当時、江藤農水大臣でしたけれども、沿岸漁業に対して何ができるか検討すると言われました。で、二次補正予算で休漁中の漁業者に対する対策が出されました。
現在の予算の執行状況について説明をいただきたいのと、それから執行状況をどのように認識しているかということをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/126
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127・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 今先生から御指摘いただきました新型コロナウイルス感染症の影響によりまして休業を余儀なくされている沿岸漁業者等に対する支援としまして、第二次補正予算におきまして資源・漁場保全緊急支援事業を創設したところであります。
これは、例えば漁船による漁場の耕うん、清掃ですと一日一隻六万円ですとか、あるいは藻場によるウニ駆除等でありますと一日一人一万円ですとか、そのような支援をしてきているところでありますが、十一月末時点での執行状況としましては、各地の要請に基づきまして、十八道県の沿岸漁業者等に対しまして四・三億円の交付決定を行っております。各地の要請に対して対応できているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/127
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128・紙智子
○紙智子君 対応できているという話なんですけれども、十八道県にとどまっているというふうに私は思いますね。これ、一層の周知を求めたいと思うんです。高級魚は売れないから操業を打ち切るか自粛しているという話が出てくるんですね。
東京の豊洲市場での二〇二〇年度上半期の取扱高が公表されていますけれども、それを見ますと、場内取引で約二百七十億円の減、前年同月比では数量で八%の減で約二十万トン、金額で一三%減、約千七百八十四億円でした。産地価格は更に下落しているということです。沿岸漁業の支援とともに、やっぱりこの漁業者を支えている漁協、ここへの支援も求めておきたいと思います。
さて、法案に入りますけれども、特定水産物流通適正化法案についてです。
北海道の道南地域では、ナマコの密漁対策に非常に苦労しています。組織的かつ巧妙で、見張りを付けて闇に隠れた密漁しているということなんですね。相手が暴力団だということで尻込みするというのもあります。あるいは、漁協の倉庫の鍵を壊して盗むこともあるというふうに聞きました。こうしたナマコなどの密漁をどう防ぐのかというのは本当に切実な課題になっているというように思うんですね。
今度の新法については、生産現場、海の上ということではなくて流通段階で密漁を発見する手法を取り入れたということです。なぜこれ流通段階にするのか、そして流通段階に規制を掛けることで効果があるのかということをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/128
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129・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
近年、漁業法令に基づく適切な権限を有さない者による違法漁獲、いわゆる密漁が多発しているところでございまして、今先生からの御指摘がございました組織的な犯罪、いわゆる暴力団等による密漁という件数も増えてきているというふうに承知しております。
このような中で、本年十二月一日に施行された改正漁業法では、この生産段階における違法漁獲の防止について対応してきたということでございます。具体的には、特定の水産動植物を採捕した者に対する罪というのをつくりまして、懲役三年以下又は罰金、三千万円以下の罰金を科すというような罪も設けたところでございます。
一方で、違法漁獲といいますのは、その漁獲物が正規流通に乗せて利益を得るために行われるのが通常でございます。改正漁業法の実効性を担保するためには、併せて流通段階での違法漁獲物の流通防止も必要というふうに考えているところでございます。また、国内においては、その違法に漁獲された水産物が流通することは国内水産資源の減少につながりますし、適正な漁業者等の経営の圧迫を誘引する可能性がございます。この点からも、この輸出品も含めて違法漁獲物の流通を防止することが必要と考えているところでございます。
これらを踏まえまして、本法案において特定の水産動植物について国内流通の適正化のための措置を講ずることによりましてこの違法漁獲物の流通防止を図る、この漁業法の改正と併せますと、生産から流通において切れ目なくこの密漁対策、違法漁獲物の流通防止対策を講じるということにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/129
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130・紙智子
○紙智子君 生産現場については実態に合った形で、一方、流通段階で密漁を発見するという仕組み、こういうことだと思うので、これは賛成できるものだと思っています。
そこで、対象魚種についてお聞きしますけれども、特定第一種水産動植物は、国内において違法かつ過剰な採捕が行われるおそれが大きいと認められるなど、必要度が高い魚種となっていますけれども、対象魚種はどのようにして決めるのでしょうか。また、新たに追加するときはどのような手続になるのでしょうか。その選定する基準と決め方について説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/130
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131・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) この国内で違法漁獲のおそれのある魚種でございます特定第一種水産動植物の指定に当たりましては、漁業関係法令違反の件数が多いこと、また生産額が大きく容易に流通過程に混入しやすいこと、さらに漁獲量が減少していること、これらのものをメルクマールに対象魚種を指定するというふうに我々としては考えているところでございます。なお、具体的な対象魚種については、先ほど御指摘がございましたナマコやアワビを想定しているところでございます。
いずれにしましても、この具体的な魚種を指定するに当たりましては、学識経験者や生産・加工・流通団体の代表、またNGOの代表も入った実務関係者による検討会で議論を行いたいと思っております。指定の基準等についても御議論いただき、具体的な水産物の指定がなされますと、それを受けまして水産政策審議会での諮問を得て省令で指定するという手続を取りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/131
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132・紙智子
○紙智子君 検討会を通じてということになるんですけれども、対象魚種の選定する基準ということで、例えば今ナマコとかアワビというのも話が出たんですけれども、ナマコは対象にするんだけど例えばホヤは対象にならないとするならば、その基準というのは何なのかということなんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/132
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133・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
具体的な品目、何を対象にしていくかということについては、これから、今申しましたように、法律が施行されるまでの間にこの検討会において議論していただくということになるかと思っておりますが、一方で、我が国の水産流通は産地と消費地に市場が存在しておりまして、多数の関係者が複層的に関与する複雑な流通構造になっているということ、また、市場ごとに独自の伝票で取引が行われておりますので、この情報の伝達や取引記録の作成、保存の義務を今回課すわけでございますが、関係者の間にこの一定の負担が生ずるということになるわけでございます。
そういったことで、このリスク、違法な漁獲が行われるリスクとこの防止の実行可能性、こういったものを勘案しながら、先ほど申しました検討会の場で議論いただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/133
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134・紙智子
○紙智子君 ということは、その基準ということでは特になくて、その検討会でこの後決めていくということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/134
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135・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
検討会の場では、今先生からも御指摘がございましたような指定の基準、考え方についてもそこで取りまとめをいただきたいと思っておりますし、それを水政審議会の方で最後は了承いただくという形を取りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/135
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136・紙智子
○紙智子君 取りあえず分かりました。
じゃ、漁業者や事業者に漁獲番号などの記録を作って保存するなどの事務作業が発生すると思うんですね。法律には新たな負担を財政支援する仕組みはないと思うんですけれども、この支援策が必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/136
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137・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
本制度につきましては、元々税法で伝票や領収書などの帳簿書類の作成、保存が事業者に既に今でも課されているわけでございまして、こういった状況を踏まえまして、これらの伝票等を利用することで義務の履行が果たせるように、関係事業者の負担軽減に配慮した設計としているところでございます。
こうした中で、正規な漁獲物であることを識別するために、今回新たに伝票等に漁獲番号の記載を求めることとしておりまして、この点については、容易に義務履行が可能となるような方策を検討することとしております。
現在、資源管理を推進する観点からスマート水産業を推進するために、今、産地市場、漁協等の電子化を図ろうとしているところでございまして、こうした中で漁獲番号の円滑な伝達についてもどのような措置がとれるかについて検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/137
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138・紙智子
○紙智子君 基本的には、漁業者のところはそんなに負担にはならないということでよろしいんですよね。
それで、北海道では今、ナマコをブランド化して、地域ならではの海産物を提供する取組が行われています。密漁は漁業者のみならず地域経済にもそういう意味では非常に大きな影響を与えますので、現場の実態に合った取組が進むように、財政支援も含めて対策をお願いしたいと思います。
さて、十二月一日に新漁業法が施行されました。この日に合わせて、JCFU、全国沿岸漁民連絡協議会がフォーラムを開きました。水産庁は、北海道で新漁業法の影響についてはないというふうに説明をしていましたが、瀬戸内海でも余り関係ないと言っていたようです。ところが、北海道もそうだったんですけれども、蓋を開けてみたら話が違うと怒りが広がっています。
そこで、今日は新漁業法とプレジャーボートの関係についてお聞きします。
昨年、質問主意書で、新漁業法の施行に当たり、遊漁船業者とプレジャーボート業者への指導、管理が必要になるが、検討状況を明らかにするように求めたところ、改正前は都道府県の規則で行っているが、施行後については検討が進められているという回答がありました。それで、その検討内容と現状を報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/138
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139・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 遊漁につきましては、これ、沿岸漁業者と同じ資源や漁場を利用しておりますので、資源管理への協力を求めていくことが必要と考えております。
遊漁に対する規制は、今お話ありましたとおり、都道府県の漁業調整規則において定められておりますが、今般の漁業法の改正に合わせて見直しを行った結果、遊漁者が使用できる漁具、漁法につきましては、釣りざお、手釣り、たも網等の漁獲能力が低いもののみを認めている現在の厳しい規制を引き続き継続することが妥当であるとの結論に至りました。このため、都道府県に対しては、漁業法改正に伴う漁業調整規則の改正に際して、現行の規則を維持するよう必要な助言を行っています。
また、遊漁の資源管理につきましては、新たな漁業法に基づく国の資源管理基本方針におきまして、国及び都道府県は、遊漁者に対して、資源管理基本方針及び都道府県資源管理方針に基づく資源管理の実施について協力するよう指導するものとすると定めたところであります。
具体的な対策につきましては、現在、漁業関係団体、釣り関係団体等と協議の上検討を進めているところでありまして、今後とも都道府県あるいは関係機関と連携して、遊漁者に対し適切に指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/139
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140・紙智子
○紙智子君 現在、プレジャーボートによるクロマグロ漁というのが問題になっていまして、北海道で漁協と懇談したときに言っていたんですけど、プレジャーボートが津軽海峡で当たり前のように捕っていると。漁師には漁獲ルールを守っているのに、これおかしいんじゃないかという声が出ていました。
水産庁から遊漁についてという資料をいただきました。遊漁におけるクロマグロの採取量の調査について、平成三十一年度の調査結果と書かれていて、採捕量は推計値で十二・三トンとあります。ところが、括弧して、プレジャーボートを含まないと書いてあるんですよね。
プレジャーボートの漁獲量というのはどうなっているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/140
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141・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今先生から御指摘がございましたように、平成元年一月から十二月の間の調査を行いました、クロマグロの採捕量の推計を行いましたのは、いわゆる遊漁船業を営む者に対しまして調査を行ったところでございます。
プレジャーボートにつきましては、対象となる方々がどこに属しているかとか、どういった形で調査をするかといったところについて、まだちょっと技術的にも検討をしなければいけないということで、現時点では調査を行っていない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/141
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142・紙智子
○紙智子君 ちょっとびっくりなんですよね。把握していないのかというふうに思うんです。漁業者にはクロマグロの漁獲枠を守れと言っているのに、一方では把握していないということです。
それで、ちょっとお聞きするんですけれども、そもそもプレジャーボート、遊漁船の漁獲枠というのはあるのかということ。新漁業法で資源管理を強化するために沿岸漁業者には漁獲成績報告書という提出が義務付けられていると思うんですけれども、これプレジャーボートにも漁獲報告書というような、そういう提出のことというのは何か義務付けあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/142
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143・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
今先生から御指摘ございましたように、改正漁業法に基づきまして、この知事許可漁業の許可を有する者や漁業権を有する者に対しましては一定の報告義務が課されることになっておりますが、一方、遊漁者につきましては、現在のところ漁業法に基づく漁獲量等の報告は義務付けられておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/143
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144・紙智子
○紙智子君 それで、やっぱり現地では非常に困っている声が出ています。青森でも、さっき報告もありましたけど、香川の方でもそうだし、クロマグロもそうなんですけれども、漁業者には現場で資源管理を強化を相当厳しく求めているのに、捕れない一方で、横の方でプレジャーボートでもう揚げていると、そういうのを見ると本当に複雑な心境になると。もちろん釣りの楽しみをやってもらうことは構わないけれども、しかし、自分たちは捕れない中で、一方でそうやって制限がないということに対しては何らかのちゃんとルールを国が作るべきじゃないかという声が上がるのは、私、当然だと思うんですよね。
ですから、是非そこのところは、沿岸漁業、漁獲量の確認とか沿岸漁業の調整というのは必要だということで、大臣のところでしっかり対応を取ってほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/144
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145・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/145
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146・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) はい。
資源管理、適切に推進していくためには、やはり遊漁者に対して資源管理への協力を求めていくことが必要であると考えております。
しかしながら、遊漁者六百七十万人とも言われておりまして、その採捕量の把握、なかなか容易ではないわけでありますが、今水産庁ではICTも活用して採捕報告アプリの開発ですとかクロマグロの採捕量調査等を進めているところでありますが、これらの取組を踏まえまして、遊漁者に対する指導や沿岸漁業者との調整の在り方について更に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/146
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147・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 時間が参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/147
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148・紙智子
○紙智子君 はい。
新漁業法は施行されたんですけれども、沿岸漁民を置き去りにした改正案という問題は、やっぱり解決していないと思うんです。何のための誰のための漁業法の改正だったのか、沿岸漁業と漁村にちゃんと寄り添ってやっていく必要があるということでは、引き続いて取り組んでいきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/148
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149・須藤元気
○須藤元気君 こんにちは。須藤元気です。
私は魚屋をやっておりますが、豊洲に仕入れとか行っても、魚の鮮度の良しあしというのは分かるんですが、どの魚が違法なものなのか識別することは不可能です。ですから、この法案の目的である、違法な漁獲物の流通を防止し国内流通を適正化する措置を講ずる必要性を十分に感じておりますし、大賛成であります。大賛成する法案の質問作りが意外に難しいということを学びました。
さて、本法案においては、国内における違法漁獲物の流通防止のための規制を設けるとのことですが、その背景としては、いわゆる密漁の増加という実情があると思います。例えば、海に遊びに行って海岸でアワビやサザエを始めとする魚介類を捕るというようなことがあるとします。普通の人は海でこうした魚介類を勝手に捕ることが密漁であるという認識が少ないと思います。
先月の十一月中旬、千葉県九十九里浜の海岸でハマグリが大量に打ち上げられました。漁協によりますと、この現象は周辺のおよそ十キロ以上の範囲で起きたということです。九十九里浜全域は漁業権が設定されているため、一般人がハマグリを許可なく捕ることは禁止されているにもかかわらず、多くの人々がハマグリを持ち帰ってしまいました。漁協では、海岸をパトロールしてハマグリを勝手に捕らないようにと呼びかけたとのことです。
勝手に捕ってはいけないことが周知徹底していないか、分かっているけど知らないふりをしているか、モラルの問題にもなりますが、まずはしっかりと国民に漁業権というものを認知してもらうことが大規模な密漁に対して抑止力になるのかと思います。
そこで、お聞きしますが、現在の我が国の密漁やその取締りについては現在どのような状況にあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/149
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150・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
密漁の検挙件数でございますが、これは近年増加しておりまして、平成三十年には全体で千四百八十四件となっております。このうち、漁業者以外によるものが近年増加しておりまして、この千四百八十四件のうち千百八十五件が漁業者以外のものになっておるわけでございます。
この漁業者以外による違反の中には、ある程度巧妙なといいますか、悪質なものがございまして、夜間に潜水器を用いて、また役割分担をして、潜る人、船を動かす人、また車を運転して運び出す人、こういった組織的かつ悪質な密漁が、暴力団等の仲介もあってやっているという、そういう話がございます。
一方で、今先生も御指摘ございましたように、アワビやサザエを漁業権の行使ができる権限がないのに勝手、無断に捕ってしまうような、こういった漁場利用のルールを認識しないでいる一般の方々による個人的な消費を目的としたような密漁もあるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/150
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151・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
田名部先生がおっしゃっていましたけれども、青森県のナマコの被害額が二億円という現実もあるわけです。それを踏まえると、この最高三千万円の罰金ではちょっと少ないぐらいだと私は思うので、是非今後も罰則をちょっと厳しくしていただきたいと思います。
さて、今お話しいただいた近年我が国沿岸で多発する違法漁獲については、潜水器を用いた夜間操業など悪質、巧妙化しており、現行犯でないと捕まえられない状況にあるとお聞きします。
実は、私、ダイブマスターというスキューバダイビングのプロ資格を持っております。ダイビングは、通常、日のあるうちに潜ってきれいなサンゴや魚を見るわけですが、上級者で、上級者が結構好むんですけれども、ナイトダイブという夜に潜るものがあります。なぜ夜に潜るかといいますと、エビやカニ、甲殻類の多くが夜行性でして、昼間に見れないそれらを見るためです。夜行性生物が多く見られる一方で、寝ている魚も結構いまして、実は魚も寝るんです。
こうした特徴を悪用した夜間の密漁というものがある話を私も耳にしています。夜は漁獲量も多く、ばれにくいということです。
このように、夜間の違法漁獲など横行していけば水産資源の減少につながることになり、水産業への大きな打撃となります。こういった違法漁獲への対応、例えば漁業法による対応はどうなっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/151
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152・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
密漁対策につきましては、十二月一日に施行となりました改正漁業法において、全国で組織的かつ悪質な密漁の対象となっておりますナマコ、アワビ等の特定水産動植物について採捕禁止違反の罪を新設いたしまして、三年以下の懲役又は三千万円以下の罰金を科すなどの罰則を強化したところでございます。
また、無許可操業等の罪については罰金の金額の上限を二百万円から三百万円に、また漁業権侵害罪につきましては、今までは二十万円の罰金の上限でございましたが、これを百万円まで引き上げるということで、密漁の抑止に大きな効果が期待できるような措置を講じたというところでございます。
一方で、この罰則強化による密漁の抑止効果を最大限生かすためには、漁協や都道府県、警察及び海上保安庁等の関係機関が連携いたしまして情報の共有や合同取締りの強化をしていただく、また、漁業者自らによる監視、またパトロール活動等を行っていただく、こういったこととともに、一般市民へのこの密漁、要するに漁業権のあるところで魚介類を捕ってはいけないよといった啓発活動、また、密漁対策としての例えば夜間でも見れるような監視カメラの設置、こういった支援も国として行っているところでございまして、こういった総合的な密漁対策を推進していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/152
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153・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
違法漁獲物の流通を防止し、国内流通を適正化することを本法案は目的としているものと理解しています。本法案においては、漁業者の届出、情報の伝達、取引記録の作成、保存などの義務が新たに課されることになるわけですが、これらによって本当に違法漁業の抑制につながるのでしょうか。この違法に漁獲されたものと適法に漁獲されたものを流通過程で混入するなどの抜け道はないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/153
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154・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) 本法案によりまして、漁業者あるいは漁協には、あらかじめ漁業法等の規則を遵守して採捕する旨を届け出ることが義務付けられますので、行政機関が適法な漁業者をまず確認することができます。
また、先生今お話しいただきましたとおり、漁獲番号をこの事業者間で伝達をして、その取引記録を作成して保存することが義務付けられておりますので、仮に密漁品の混入等の疑義案件が生じた場合には、行政機関が関係事業者に立入検査を行う、あるいは取引記録に記載された漁獲番号を確認することで流通経路の追跡調査が可能になるわけです。
さらに、密漁行為そのものについては、当該疑義情報について漁業法に基づく、これは漁業取締り部局になるということでありますが、ここに情報を回付をして、漁業法に基づく監督を行うことになります。
本法案によりまして流通段階における監督、それから漁業法における生産段階における監督、この連携がより一層緊密になりますので、違法漁業の抑止につながるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/154
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155・須藤元気
○須藤元気君 どんなにルールを厳しくしても、何かずるしようとする人はずるするので、そういった人たちにも抜け道がないように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
この水産資源については、多くの国々や地域、漁業管理機関が、将来にわたって資源が維持されるよう、国際的な資源管理に向けて努力しております。そうした中で、違法操業を行うIUU漁業が世界各地で行われており、水産資源に悪影響を与えております。SDGsなどにおいてもIUU漁業を撲滅すると示されており、国際社会が協力して取り組むべき問題であると思います。
IUU漁業が問題となっているスルメイカの違法操業の実態として、国際的なNGOや日本の水産研究・教育機構を含む世界の八組織によって行われた研究によれば、二〇一七年から二〇一八年にかけて、北朝鮮の東沖において中国船と見られる船が推定十六万トンを違法に漁獲したと見られています。
そこでまず、IUU漁業については現在どのような状況にあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/155
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156・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
IUU漁業による漁獲量でございますが、これは、今、全世界において二千六百万トンに上るという推計が出されているところでございます。特に公海域におきましては、国際規制の枠外でのIUU漁業活動が問題になっているというところでございます。
また、令和二年十月現在におきまして、地域漁業管理機関、RFMOと申しておりますが、これにおいて特定されたIUU漁船は二百七十七隻ございます。このうち、我が国に隣接する北太平洋公海を管轄しておりますNPFC、これは北太平洋漁業委員会と申しますが、ここでリストアップされておりますのが三十三隻、これらがIUU漁船として登録されている現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/156
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157・須藤元気
○須藤元気君 IUU漁業の撲滅のために輸入規制を設けている国はいまだ少数です。その上で、なぜ日本は輸入規制を行おうとしているのでしょうか。個人的に賛成なんですが、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/157
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158・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
このIUU漁業に関しましては、国際社会におきまして、資源保護の観点から、平成二十七年に国連サミットで採択されたSDGsや令和元年六月のG20大阪会合での首脳宣言の中で、IUU漁業を撲滅するという方向性が打ち出されているところでございます。
また、EUやアメリカでは既にIUU漁業への対策として輸入規制を導入しておりまして、これらに次ぐ水産輸入大国である我が国も可及的速やかに同様の制度を導入して、IUU漁業の撲滅に向けて働きかける必要があると考えております。
このことから、本法案においては、国際的にIUU漁業のおそれの大きい魚種について、輸入時に外国政府が発行する証明書の添付を求める措置を講ずることとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/158
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159・須藤元気
○須藤元気君 素朴な疑問なんですけれども、諸外国が日本の制度に従い証明書って発行することができるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/159
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160・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
先行して制度を導入しておりますEUにおきましては、サンマなどの水産物を輸入する際に、外国政府が発行した証明書を添付することが求められております。これらの国がそのサンマ等の水産物を輸出しようとする場合には輸出国側で証明書の発行を行う必要があるということでございまして、この輸出国において証明書を発行する体制が整っていることが条件となるわけでございます。
EUが輸入時に求める証明書の記載事項としましては、漁船名や魚種、重量、漁獲日等があり、また漁獲海域等も記載することになっております。我が国が輸入時に求める証明書でも同様の記載事項とする方向で検討しているところでございます。
こういった形で、EUに魚介類を輸出している国であれば、我が国が証明書に関して求める水準を満たすことは可能になるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/160
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161・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
ちょっとしつこいんですけれども、これ、もし証明書が発行できない場合、違う形で輸入されてしまうという懸念もありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/161
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162・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
本法案の輸入規制が導入されますと、特定第二種水産動植物やその加工品につきましては、輸入時に外国の政府機関が発行する証明書等の添付が求められることになります。これがなければ税関で輸入を認めない、そこで輸入を差し止めるということになるわけでございます。
したがって、違う形での輸入というのは余り想定しておりませんが、そういった違法なことが行われないよう、この法案の施行までにいろいろ調査、検討をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/162
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163・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
次に、本法案の施行期日についてお聞きします。
公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日とするとありますが、現在も違法漁業が横行している状況を考えると、すぐにでも本法案は施行するべきと思います。しかし、公布から施行までに最大二年間の期間が設けられています。私がせっかちな性格だからかもしれませんが、のんびりした対応のようにも思います。農水省の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/163
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164・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
水産物の流通につきましては、多数の関係者が複層的に関与して複雑な構造となっているわけでございます。本法案によりまして、この特定水産動植物を取り扱ういろいろな事業者に対しまして、届出義務や伝達義務、取引記録の作成保存義務等を課すこととしておりますので、こういった方々が漏れなくそういった義務を果たせるようにするためには、丁寧に周知、説明を行うとともに、制度の実効を担保するための準備行為、これに十分な期間を確保することが必要だということで二年、最大二年程度の準備期間が必要ということで、施行の時期を公布の日から起算して二年を超えない範囲ということで、政令で定める日に施行すると規定させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/164
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165・須藤元気
○須藤元気君 そして、本法案については、公布から施行までに最大二年間の期間が設けられる一方で、漁業者等の届出については施行日の六か月前から行うことができるとされております。なぜ施行日を分けているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/165
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166・山口英彰
○政府参考人(山口英彰君) お答えいたします。
本法案が施行されますと、施行日以後は、この特定第一種水産動植物の採捕の事業を行う者、いわゆる漁業者であっても、届出をせずに特定第一種水産動植物の譲渡し、いわゆる販売等ができなくなるということになります。施行日以後にこういった事業者間の譲渡しのための必要な行為、例えば情報の伝達や取引記録の作成義務が課されるわけでございますので、この届出につきましては、施行日以後に行うのではなく、施行日の前に一定の準備期間、準備行為を行う期間として早めにその措置ができるよう、施行日の六か月前においても届出ができるという規定を入れたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/166
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167・須藤元気
○須藤元気君 水産物の流通や輸出入の適正化については、水産資源の持続的な利用、ひいては水産業全体にとって非常に重要なことであると考えます。国内の流通の適正化を図るとともに、水産物輸入大国である日本として、EUやアメリカと同様に適正な輸入を担保する措置を講じていただき、真面目に取り組んでいる漁業関係者のためにもしっかりと対応をしていただくようにお願いいたします。
これで私の質問は以上になります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/167
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168・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/168
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169・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、田名部さんから発言を求められておりますので、これを許します。田名部匡代さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/169
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170・田名部匡代
○田名部匡代君 私は、ただいま可決されました特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及び日本共産党の各会派並びに各派に属しない議員須藤元気さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律案に対する附帯決議(案)
我が国において、違法に採捕された水産動植物が流通することにより、国内の水産資源が減少し、適正に操業を行う漁業者等の経営に影響を及ぼすおそれがある。これらに対応するため、輸出品を含めて違法漁獲物の流通を防止し、国内流通を適正化することは喫緊の課題である。また、国際社会においてIUU(違法・無報告・無規制)漁業撲滅の実行が求められており、水産物輸入大国である我が国としても、海外の違法漁獲物の流入を阻止する措置を講ずることが急務である。
よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 本法制定の第一義的目的は、国内外において違法に採捕された水産動植物の流通を防止することであることについて、漁業者、漁業協同組合、流通・加工業者及び消費者等の国民全般に周知し、十分な理解と協力を求めること。
二 特定第一種水産動植物等、特定第二種水産動植物等を定めるに当たっては、我が国水産業の実情を踏まえ、漁業者、流通・加工業者の経営及び地域経済に及ぼす影響について十分に配意し、慎重に行うこと。
三 漁業者等の届出、漁獲番号等の情報の伝達及び取引記録の作成・保存等の制度の創設・運用に当たっては、関係する漁業者、漁業協同組合、流通・加工業者及び産地・消費地市場等の過度な負担とならないよう、電子化等制度運用体制の整備に必要な支援を行うこと。
四 近年、我が国の排他的経済水域内における外国漁船による違法操業が、頻発かつ恒常化している事態に鑑み、違法外国漁船を早急に排除し、我が国の漁船の安全操業を確保すること。また、違法漁獲物及び加工品の我が国への流入を確実に阻止すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/170
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171・上月良祐
○委員長(上月良祐君) ただいま田名部さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/171
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172・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 全会一致と認めます。よって、田名部さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、野上農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野上農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/172
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173・野上浩太郎
○国務大臣(野上浩太郎君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
附帯決議につきましては、その御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/173
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174・上月良祐
○委員長(上月良祐君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/174
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175・上月良祐
○委員長(上月良祐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120315007X00620201203/175
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