1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和三年三月十二日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第九号
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令和三年三月十二日
午前十時 本会議
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第一 国務大臣の報告に関する件(令和三年度
地方財政計画について)
第二 地方税法等の一部を改正する法律案及び
地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣
旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(令和三年度地方財政計画について)
日程第二 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
以上両件を一括して議題といたします。
まず、総務大臣の報告及び趣旨説明を求めます。武田良太総務大臣。
〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/1
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002・武田良太
○国務大臣(武田良太君) 令和三年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、令和三年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
本計画の策定に際しては、通常収支分については、地域社会のデジタル化や防災・減災、国土強靱化、地方創生の推進、地域社会の維持、再生等に対応するために必要な経費を計上することとしております。
あわせて、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減収となる中、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで実質前年度の地方財政計画を上回る額を確保することといたしております。
また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。
以上の方針の下に、令和三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ九千三百三十七億円減の八十九兆八千六十億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ五千六百五十六億円減の三千三百二十八億円などとなっております。
次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
現下の経済情勢等を踏まえ、固定資産税及び都市計画税の令和三年度の評価替えに当たり、現行の土地に係る負担調整措置等を継続した上で、令和三年度に限り、負担調整措置等により課税標準額が増加する土地について前年度の課税標準額に据え置く特別な措置を講ずることとしております。
また、住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置の適用期限の三年延長、自動車税及び軽自動車税の環境性能割の税率区分等の見直しを行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
令和三年度分の通常収支に係る地方交付税の総額について、前年度を八千五百三億円上回る十七兆四千三百八十五億円を確保するとともに、令和元年度における地方交付税の精算減額について、後年度の地方交付税の総額から減額することとしております。
あわせて、令和三年度及び令和四年度における措置として、地域デジタル社会推進費を設けるほか、普通交付税の算定に用いる単位費用の改正を行うこととしております。
また、令和三年度分の震災復興特別交付税について、新たに千三百二十六億円を確保するとともに、河川等におけるしゅんせつ等に要する経費に充てるため発行できることとされている地方債の対象に防災重点農業用ため池等を追加するほか、自動車税減収補填特例交付金の交付年度の延長を行うこととしております。
以上が、令和三年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。吉田忠智さん。
〔吉田忠智君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/3
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004・吉田忠智
○吉田忠智君 皆さん、おはようございます。本日、トップバッターで質問させていただきます立憲民主党の吉田忠智です。
私は、立憲民主・社民を代表して、ただいま議題となりました令和三年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
昨日で、あの東日本大震災から十年が経過しました。大地震、巨大津波、あってはならない原発事故とその後の関連死で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々、今なお避難生活をされている皆さんにお見舞いを申し上げます。
立憲民主党は、先日、復興大臣に対し三十四項目の提言を行いました。被災地の方々の声を聞くと、人が戻ってこない、空き地が埋まらないとの悩みを抱えています。避難者が戻れない、戻らない状況を打破すべく、真の復興に向けた新たな取組を今こそ改めて打ち出すべきと考えます。
そうした中で、先日、福島県沖を震源とする大きな地震が発生し、被害が出ました。今後、大きな余震も想定されています。この経験を風化させることなく、復興の加速と原発に頼らないエネルギー政策の確立に向けて、国会としてもその役割を果たさなければならないと、皆さんと確認し合いたいと思います。
これまで新型コロナウイルスでお亡くなりになられた多くの方々の御冥福をお祈り申し上げます。罹患された方々にお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い御快癒を祈念申し上げます。
そして、一日も早い収束に向けて献身的取組を続ける医療従事者の皆様、エッセンシャルワーカーの皆様に心からの敬意を表し、感謝申し上げます。
自らを犠牲にして、命を救うために懸命に職責を果たす方々を支えるべく、政治はその役割を果たさなければいけませんが、まずは、大変残念な問題から確認せざるを得ません。総務省の接待問題について、まず質問をいたします。
先ほど、東北新社の子会社の放送認可を取り消す方針だと総務大臣が明らかにしたとの報道がありました。外資規制違反という重大な問題であり、総務省の責任も重大だと申し上げざるを得ません。引き続きこの問題は厳しく追及していく決意です。
菅総理の総務大臣時代の秘書官であった長男菅正剛氏が勤務する東北新社が、総務省の幹部官僚への接待を行うことにより、衛星放送事業の許認可や外資規制違反逃れなどで東北新社への便宜供与を図ったのではないかという問題に、今、国会の多くの時間が割かれております。
また、NTTと総務省との接待問題も明らかになり、携帯料金値下げやドコモ子会社化などで通信行政がゆがめられたのではないかとの疑念も高まっています。
電波の許認可権を持つ役所の官僚が民間事業者から接待漬けになっていた事実は看過できません。菅首相の天領である総務省において、政権と行政、業界の癒着が次々に明るみに出ていることについて、武田良太総務大臣にまず質問いたします。
東北新社やNTTからの接待が放送行政及び情報通信行政に影響を及ぼしたことは断じてないと断言できるか、改めて確認したい。
東北新社やNTT以外の放送・情報通信関係者からの接待の有無について調査するつもりはあるか。
再発防止策についてどのように考えているか。現時点でできることはあるか。
今回の接待問題は国会審議にも影響が出ており、大臣の責任は極めて重い。どう考えるか。
行政がゆがめられていないか調査する委員会は全て第三者で構成するとのことだが、本当か。なぜ最初から第三者のみの調査を考えなかったのか。
現職の大臣を含む政務三役がNTTから接待を受けたとの一部報道があるが、事実関係を把握しているか。
過去の政務三役を調査対象に含める考えはあるか。
報道のように政務三役が利害関係者の接待を受けた場合、法的、倫理的な問題が生じると考えるか。
総務大臣の明快な答弁を求めます。
次に、新型コロナウイルスワクチン接種体制についてお尋ねいたします。
希望者全員が安心、安全、円滑にワクチン接種できるようにするという一大国家事業をめぐり、地方自治体は政府の情報発信の迷走の中、混乱しています。
全国の県、市町村の声を聞いてみました。国に照会を掛けても回答がなかった、国のQアンドA集が課題を網羅できていないため対応に時間を要するなどの声が寄せられていますが、最も多かったのは、実現不可能なワクチン量を前提とした実現不可能な予防接種の開始時期を周知するのではなく、安定的な供給が可能となる時期まで待って予防接種を開始するようにしてほしいという声でした。高齢者への優先接種分のワクチン提供量と提供日時が判明するのはいつになるのかとの自治体からの問合せに対して、厚生労働省は、正確なワクチン配送日は配送の数日前にお知らせする見込みですと回答し、地方自治体は困惑しています。
そこで、河野太郎ワクチン担当大臣に質問をします。
ワクチン接種に係るこれまでのプランニングとハンドリングをどのように考えますか。人材、情報の不足など多くの声が寄せられていますが、国としてどのような改善点がありますか。医療従事者の確保について、国として責任を持って地域の医師会にまで強く働きかけるべきではないでしょうか。
ワクチンの供給量と時期についての情報は、自治体の業務計画作成の基礎になります。政府は、これまでの反省を踏まえ、どのような計画をいつまでに、どのように作成しますか。
また、現状の国の予算では不足が見込まれることから、ワクチン接種体制を確実に整備するには自治体の財政上の懸念を払拭する必要があります。ワクチン接種に係る全ての経費を確実に全額国の負担とすべきと立憲民主党は第一次提言で示しておりますが、大臣の御見解をお聞かせください。
マイナンバーを使った新たな予防接種システムを構築すべきとの意見を耳にします。マイナンバーの活用についての議論は、平時に慎重に行うべきです。もはや有事とも言える現在の状況で、拙速にマイナンバーを新たなシステムとして導入することは、自治体職員に入力、点検等の仕事量を増やし、自治体を疲弊させ、ワクチン接種業務そのものに混乱や悪影響を与えかねません。緊急を要する今回のワクチン接種では拙速な取組はやめ、マイナンバーの利用を見送るべきと考えますが、いかがですか。
また、マイナンバーを活用したワクチン接種記録システムには法的不備という根本的問題があります。
いわゆるマイナンバー法では、第九条、利用範囲、第十九条、特定個人情報の提供の制限により、特定個人情報の利用は地方自治体の中でのみ認められてきました。しかし、今回政府が検討するワクチン接種記録システムでは、仮に自治体コードのようなものを入れたとしても自治体の外のシステムでの利用となり、マイナンバー法違反になります。マイナンバー法改正を行った上でこうしたシステム構築をするのが憲政の常道と思われますが、大臣の御見解をお聞かせください。
次に、地方自治体の本旨とデジタル改革の前提について質問します。
菅政権肝煎りのデジタル化政策は、地方自治の本旨への理解を欠いていると言わざるを得ません。
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案では、標準化を義務としており、地方自治体の選択の余地がありません。義務を努力義務にとどめ、自治体の意見を尊重し、反映させるべきであると考えます。
デジタル社会形成基本法案でも、基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関し実施する責務を有する、第十四条、情報の活用を積極的に推進するために必要な措置が講じられなければならない、第二十九条、地方公共団体が保有する情報を国民が容易に活用することができるようにする、第三十条など、自治体への押し付けとも言える強引な規定が散見されます。
昨年六月二十六日に第三十二次地方制度調査会が提出した二〇四〇年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申では、国、地方を通じた行政手続のデジタル化について、標準を設定する主たる目的が、住民等の利便性向上や地方公共団体の負担軽減であることを踏まえ、地方公共団体が、合理的な理由がある範囲内で、説明責任を果たした上で標準によらないことも可能とすることが必要であると総理に提言しています。
そこで、総務大臣に伺います。
標準によらないことも可能とするとの理解でよろしいですね。地方自治の本旨とこの標準化の関係をどのように考えるか、今後の議論の前提としてお示しください。
心配されるのが個人情報保護です。自治体はこれまで、長年にわたって住民と対話しながら個人情報保護に関する条例を築き上げてきました。要配慮個人情報を原則収集禁止にせず、本人直接収集を原則としないなど、規律が緩い行政機関個人情報保護法の水準で一元化することによって、今までせっかく積み上げてきた個人情報保護の歴史そのもの、意義そのものがないがしろにされ、地方の独自性を失い、個人情報の保護のレベルが低下するのではないですか。自治体の条例制定権、データ主権の観点から、大いなる疑念を持つものです。御見解をお示しください。
さて、地方財政計画と地方税、地方交付税について質問いたします。
二〇二一年度は新型コロナウイルス感染拡大による国税、地方税の大幅な減収の下で、一般財源総額確保とその地財対策の内容が大きな焦点となりました。
今回の財源不足は専ら歳入の減少が要因で、地方税と交付税原資となる国税の法定率分が前年度を大幅に下回ったことによるのは言うまでもありません。
二〇二一年度の地財対策は、新型コロナの影響で大幅な財源不足が見込まれる中、あらゆる地財対策を動員し、交付団体ベースで前年度を上回る一般財源総額を確保したものの、一般会計からの実額負担よりも、交付税総額からの控除要因を後年度に先送りした対策が目立っており、当座の財源不足をしのいだ対策です。
また、問題の臨時財政対策債についても、二〇一四年度とほぼ同額ですが、当時に比べて今回は既往償還分の占める割合が高くなっており、臨財債の残高も増加しています。後年度の一般財源総額の余地を考えると、地財対策の内容はもはや限界と言えます。
私は、今回の地方財政対策の全体的特徴を踏まえ、地方財政改革の必要性を提案したいと思い、総務大臣にお尋ねします。
骨太方針二〇一八では、一般財源確保総額ルールが二〇二一年度までとなっています。また、国、地方折半ルールも二〇二二年度限りとなっています。これを機会に、これまで事項要求にとどめてきた法定率の引上げを含む、抜本的な地方財政改革に進むべきと考えますが、総務大臣の御所見はいかがですか。
自治体の実情を無視した質より量の公共事業や前のめりの上からのデジタル改革を推進することよりも、まず、人々が社会経済活動にいつでも安心して復帰したり接近したりできるよう、居住、教育、保健福祉、公共交通など様々な生活保障の経費を充実させるための真に骨太な抜本的地方財政改革に取り組むべきと考えます。
総務大臣、地方交付税法第一条には、「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」と定められています。地方自治を守る総務大臣の御決意を最後にお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/4
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005・武田良太
○国務大臣(武田良太君) 吉田議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、倫理規程違反の事案による情報通信行政への影響について御質問をいただきました。
初めに、この度は、度重なる総務省関係者の会食に関わる事案により国民の疑念を招く事態となったことにつき、改めて深くおわびを申し上げます。
行政がゆがめられたのではないかとの疑念に応えるべく、検証委員会を早急に立ち上げることといたしております。検証委員会は、国会での御指摘も踏まえ、その構成については、検事経験者を含め、全て第三者の有識者で構成するよう、具体的な人選を進めているところであり、客観的かつ公正に検証いただけるよう、具体的な検証内容や方法についても有識者の御意見を伺いながら準備を進めてまいります。
次に、倫理法令違反の疑いのある事案の調査対象について御質問をいただきました。
倫理法令違反の疑いのある事案の調査については、倫理審査会から御指導をいただくとともに、これまでのコンプライアンス対応で相談に乗っていただいている弁護士の方に加え、検事経験者のある弁護士の方にも参加いただいて調査を行っているところであります。具体的な調査対象についても、倫理審査会や弁護士の方々の御指導を仰ぎつつ、検討を進めてまいります。
次に、再発防止策について御質問をいただきました。
二月二十四日に公表した報告書では、多くの職員が倫理法に対する認識の甘さを口にしていることを受け、過ちを犯さない、繰り返さないために、幹部職員、管理職員への研修の実施による意識付けの徹底、総務省独自ルールによる厳格な事前事後チェック体制の整備、監察体制の整備といった再発防止策を盛り込んでおり、その実施に向けて早急に着手できるよう具体的な検討を進めているところであります。
さらに、今回、通信事業者と総務省関係者について、新たに倫理法令に違反する疑いがある会食が判明したことを深刻に受け止め、改めて調査を実施しているところであり、調査の結果を踏まえつつ、再発防止を徹底してまいります。
次に、私の責任について御質問をいただきました。
倫理法令違反の疑いのある事案の調査について、検事経験のある弁護士の方にも参加いただき、常に第三者のチェックをいただきながら、正確に、かつ徹底的に真相究明を進めてまいりたいと考えております。
今後は、こうした疑念を招くことが二度と起こらないよう、私自ら先頭に立ち、総務省一丸となってコンプライアンスを徹底的に確保し、国民の信頼回復に努めることで大臣としての責任を果たしてまいります。
次に、検証委員会の構成について御質問をいただきました。
検証委員会の構成について、その人選に当たっては、当初から、客観的かつ公正に検証いただくため、第三者の有識者に構成員になっていただくよう、また、各界各層の納得のいく構成となるよう検討を進めてきたところであります。さらに、その後の国会での御指摘も踏まえ、現在は、検事経験者を含め、全て第三者の有識者で構成することとしたものであります。
次に、NTTからの政務三役に対する接待についての報道、またこれに関する調査、問題点について御質問をいただきました。
報道は承知をいたしておりますけれども、NTTからの政務三役に対する接待についての事実関係については把握をしておりません。
次に、政務三役は特別職の国家公務員であり、倫理法令の対象ではないため、既に総務省政務の職を退任されている方はもちろん、仮に在任中の話であったとしても、倫理法令による調査を行う対象にはならないものと考えております。
なお、検証委員会については、過去の政務三役を対象に含めるかという御指摘の点につきましても、委員会を構成する有識者に対し報告し、その御意見を伺いながら準備を進めてまいります。
さらに、政務三役は、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範において、関係業者との接触に当たって、供応接待を受けること、職務に関連して贈物や便宜供与を受けること等であって国民の疑惑を招くような行為をしてはならないとされているところであります。規範の趣旨に抵触するか否かについては、個々の事情等も踏まえ、総合的に勘案し、自ら適切に判断して対応すべきものと考えております。
次に、地方公共団体の情報システムの標準化の趣旨について御質問をいただきました。
第三十二次地方制度調査会の答申においては、標準化の対象を基幹系システムと概括的に示しており、地方公共団体間で事務内容に相当程度の差異がある部分を含み得るため、地方公共団体によっては標準によらないこともあり得るとされたものであります。
これに対し、法律案では、対象を情報システムによる処理の内容が各地方公共団体において共通し、かつ、統一的な基準に適合する情報システムを利用して処理することが、住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与する事務に限定した上で、標準に準拠したシステムの利用を義務付けることとしております。
一方で、標準化の対象事務と一体的に独自サービスを処理する場合、機能追加等を可能としているところであり、今後とも、地方公共団体の御意見を丁寧に伺いながら、行政サービスのデジタル化の恩恵を迅速に全国に普及させてまいります。
次に、地方自治の本旨と標準化の関係について御質問いただきました。
地方公共団体の情報システムの標準化は、現在、各地方公共団体におけるシステム改修や維持管理に係る負担の軽減を図るとともに、地方行政のデジタル化の基盤となり、住民の利便性の向上や行政運営の効率化に資するものであります。各地方公共団体において事務処理の内容が共通しているもの等に限定して標準化の対象としていることから、標準化の取組は地方の自主性、自立性を損なうものではないと考えております。
また、標準化は、地方公共団体の職員が、住民への直接的なサービスの提供や地域の実情を踏まえた企画立案業務など、職員でなければできない業務に注力できる環境を整えることに寄与するものであります。
次に、個人情報保護法の改正と地方自治との関係について御質問をいただきました。
今回の改正は、これまでの各地方公共団体の条例による個人情報保護措置を踏まえつつ、全ての地方公共団体に適用される全国的な共通ルールを法律で規定することとしたものでありますが、今回の改正後も、法律の範囲内で、条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは可能とされております。したがって、個人情報保護を後退させ、あるいは条例制定権を制約するものではないと考えております。
次に、交付税率引上げなどの抜本的な地方財政改革について御質問をいただきました。
地方財政の健全な運営のためには、本来的には臨時財政対策債のような特例債に頼るのではなく、地方交付税総額を安定的に確保することが望ましいと考えております。地方交付税については、今後とも、交付税率の見直しなど制度的な対応の議論を行ってまいります。また、令和四年度以降も、地方団体が予見可能性を持ちながら安定的な財政運営を行うことができるよう、必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保すべく最大限努力をしてまいります。
最後に、抜本的な地方財政改革も含めた地方自治を守る決意について御質問をいただきました。
地方団体が自主的、自立的にそれぞれの地域が直面する課題に取り組み、行政サービスを安定的に提供するためには、地方税財源を十分に確保する必要があります。このため、地方の自主財源である地方税の充実確保に努めるとともに、なお税源の偏在が残ることから、地方交付税の財源調整機能と財源保障機能が発揮されるよう、地方交付税総額を適切に確保することが重要であります。
今後とも、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保すべく最大限努力をしてまいります。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/5
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006・河野太郎
○国務大臣(河野太郎君) 初めに、新型コロナウイルスのワクチン接種のプランニングとハンドリングについてお尋ねがありました。
ワクチンは感染対策の決め手であり、短期間のうちに全ての国民に対して接種できる体制を構築していく必要があります。このため、これまでも自治体に対し、できる限り速やかに丁寧な情報提供を行ってまいりました。
また、自治体においてワクチン接種に係る人的体制を整備していただいておりますが、政府としては、自治体の接種体制の構築に向けた準備を後押しするため、医療関係団体に対し接種体制の構築についての協力を依頼するとともに、都道府県医師会理事の会議において厚生労働省から定期的に説明を行うなど、医療関係団体との連携体制構築に努めております。
次に、ワクチンの供給量と時期についてお尋ねがありました。
具体的スケジュールとして、まずは四月五日の週から順次ワクチンを各都道府県に送付し、四月十二日から全国で高齢者への優先接種を始め、六月末までに高齢者全員分のワクチンを配送する見込みです。今後、新たな情報が確定次第、自治体に速やかにお知らせしてまいります。
次に、ワクチン接種の経費についてお尋ねがありました。
合理的に必要と考えられるワクチン接種の費用については、国が全額負担することとしております。
次に、ワクチン接種記録システムへのマイナンバーの利用についてお尋ねがありました。
現在、個人単位の接種状況などを、マイナンバーを活用して自治体において逐次把握するワクチン接種記録システムの構築に取り組んでいます。
このシステムにおいては、マイナンバーを利用することにより、住民が他の市町村から転入してきた場合に、転入先の市町村が従前の市町村の接種情報についてマイナンバーをキーに提供を受けるなど、市町村間の情報照会、提供を迅速に行うことができるようになることが期待されます。引き続き自治体と意見交換を行いながら、現場の実務を十分に踏まえたシステムとなるよう、しっかり検討してまいります。
最後に、ワクチン接種記録システムとマイナンバー法の関係についてお尋ねがありました。
マイナンバー法では、同法第九条及び別表第一により、公衆衛生の向上及び増進に寄与する観点から、社会保障分野に関する事務として、各市町村が、予防接種法及び新型インフルエンザ等対策特別措置法による予防接種の実施等に関する事務においてマイナンバーを利用できることとされています。これにより、予防接種の対象把握、予診票、予防接種済証の発行、予防接種の記録、健康被害の救済措置に関する事務においてマイナンバーの利用が可能となります。
また、住民が市区町村から転入してきた場合に、転入先の市区町村が従前の市区町村の接種情報についてマイナンバーをキーに提供を受けるなど、市区町村間の情報照会、提供を行うことができるようにすることを検討しています。
こうした情報照会、提供については、今回の新システムの必要性や、情報照会、提供の都度本人の同意を得ることを想定していることを考慮すると、マイナンバー法第十九条第十五号の人の生命、身体保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるときに該当し、許容されるものと考えています。引き続き現行のマイナンバー法を遵守した上で、ワクチン接種記録システムの構築に取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/6
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007・山東昭子
○議長(山東昭子君) 杉久武さん。
〔杉久武君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/7
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008・杉久武
○杉久武君 公明党の杉久武です。
私は、自民、公明を代表して、ただいま議題となりました令和三年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたしますが、その前に、総務省の接待問題について、安易に接待を受け、必要な届出も行わず、およそ認識の甘さとコンプライアンスの欠如は深刻であると言わざるを得ません。さらに、衛星基幹放送に係る外資規制のチェック体制の甘さによるずさんな認定は極めて遺憾です。総務省は襟を正し、徹底した調査を行って事実関係を明らかにするよう厳しく求め、質問に移ります。
昨日、三月十一日で東日本大震災から十年となりました。改めて犠牲となられた皆様に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
岩手、宮城、福島の被災三県では、津波の被害を受けた地域などではインフラ整備が完了しつつある一方で、福島県内には東京電力福島第一原発事故の影響が大きく残る地域があります。被災者の気持ちに寄り添い、風化、風評の二つの風を乗り越え、人間の復興を成し遂げていくことが必要です。
来年度からの第二期復興・創生期間のスタートに当たり、震災復興に向けた災害に強い地域づくりに対する総務大臣の決意を伺います。
次に、地方財政計画について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、地方税や地方譲与税が減収となる一方、水準超経費を除いた一般財源総額については、前年度を〇・二兆円上回る六十二兆円が確保されました。
また、国の加算など地方交付税の原資を最大限確保することにより、地方交付税総額については、前年度を〇・九兆円上回る十七・四兆円が確保されました。
他方、臨時財政対策債は、新型コロナ対策の必要性から、三年連続の減少から増加へと転じましたが、その増加額は可能な限り抑制されています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症への対応によって地方財政は大変厳しい状態が続いており、新型コロナを克服していくためにも、継続的、安定的な地方財源の確保が必要と考えますが、総務大臣の見解を伺います。
次に、固定資産税について伺います。
本年は、三年に一度の固定資産税評価額の評価替えのタイミングとなります。
固定資産税をこれまでの同様の手法で課税すると、地価が上昇傾向にあった令和二年一月一日の公示地価を基に評価額が算出されるため、その後、新型コロナウイルス感染症の影響で下落した地価については十分反映できないとの懸念がありました。
そのため、本改正案では、新型コロナウイルス感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、納税者の負担感に配慮する観点から、令和三年度に限り、負担調整措置等により課税標準額が増加する土地については、商業地や住宅地、農地など全ての土地について、前年度の課税標準額に据え置く特別な措置を講ずることとなりました。
コロナ禍で打撃を受けた事業者や家計にとって、税負担が過重になるとの懸念に対処した極めて適切な措置と考えますが、この特別な措置の狙いについて総務大臣に伺います。
次に、車体課税について伺います。
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や自動車大手の減産の影響で、令和二年の軽自動車を含む国内新車販売台数は、前年比一一・五%減の約四百六十万台と平成二十八年以来の五百万台割れとなりました。
こうした背景の下、令和二年度末が見直しの時期に当たる自動車税及び軽自動車税の環境性能割については、軽減された税率が適用される対象車の割合を現行と同水準としつつ、目標年度が到来した燃費基準の達成状況も考慮しながら、新たな燃費基準の下で税率の適用区分を見直すこととなりました。
さらに、税率を一%分軽減する特別措置については、当初は今月末までとされていましたが、その適用期限を九か月間延長し、令和三年十二月三十一日までに取得した車両が軽減の対象となります。
自動車業界は、世界的な脱炭素の動きを受けた電気自動車の急速な普及や、内燃機関自動車に対する規制の強化、さらには5Gネットワークに接続した自動車による自動運転技術の飛躍的向上に向けた大改革に直面しています。
車体課税についても、本来であれば自動車業界が直面する大改革に即したものでなければなりませんが、他方で、経済がコロナ禍であることを踏まえれば、急激な変化は望ましくなく、一定の猶予期間が必要です。
今回の車体課税改正の目的と効果についてどのようにお考えか、総務大臣の見解を伺います。
次に、中古商品軽自動車に係る軽自動車税について伺います。
軽自動車税は、毎年四月一日を賦課期日として課税されますが、中古販売事業者の多くは、商品である中古軽自動車や中古オートバイの軽自動車税を負担しています。
一方、登録車については、昭和六十一年の地方税の改正の過程で、商品として保有する中古自動車に係る自動車税については一か月分の自動車税の軽減制度が導入され、その後、軽減額が三か月分まで拡大され、現在に至っています。
具体的には、賦課期日において当該自動車が中古商品自動車であることについて日本自動車査定協会による証明が講じられ、かつ、当時の自治省から全都道府県に、この軽減制度を条例化するように通知がなされたことにより、現在も全四十七都道府県で実施されています。
一方、中古商品軽自動車に係る軽自動車税の減免については、徐々に実施自治体が増え、業界団体による昨年四月時点の調査では、全国で約百の市町村で軽自動車税の減免が実施されておりますが、まだごく一部にすぎません。
令和二年における中古軽自動車の販売台数は約三百四万台と、新車販売台数の約百七十二万台を大きく上回っており、軽自動車は市民の重要な交通手段となっています。
私の地元大阪市でも、公明党市議団による長年の訴えにより、ようやく来年度から中古商品軽自動車に係る軽自動車税の課税免除が開始されることとなりました。
先ほど申し上げた通知による事務は平成十二年に地方分権推進計画に基づき廃止されており、軽自動車税の減免を登録車と同じ手法で全国に広めることは残念ながらできませんが、地域の貴重な移動手段である中古軽自動車の流通促進と公正な中古軽自動車の市場の確保のために、各市町村で商品軽自動車の軽自動車税の減免に取り組んでもらえるよう、国としても何らかのメッセージを出すべきであると考えますが、総務大臣の見解を伺います。
最後に、地方行政の効率化と見える化についてお尋ねします。
統一的な基準による財務書類が地方公共団体に義務付けされ、整備が進んでいます。
各種指標の分析や簡易に要約した財務書類を作成して、住民に分かりやすく財政状況を説明するなど、活用が進んでおります。
加えて、今年度より都道府県と政令市では、内部統制制度が導入されています。内部統制制度の導入により、地方公共団体では、組織として、あらかじめリスクがあることを前提として、法令等を遵守しつつ、適正に業務を執行することが求められます。そうした組織的な取組が徹底されることによって、首長にとってはマネジメントが強化され、政策的な課題に対して重点的に資源を投入することが可能となります。
今後、地方行政のデジタル化の一環として進められる地方公共団体の情報システムの標準化と合わせて、これらを有機的に連携させ、地方自治体の行政の効率化と見える化を更に進めていくべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
新型コロナウイルス感染症との闘いは続いております。一日でも早い収束を図るためにも、両法律案を令和三年度予算と併せて早期に成立させる必要があることを申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/8
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009・武田良太
○国務大臣(武田良太君) 杉議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、震災復興に向けた決意について御質問をいただきました。
東日本大震災の発生から丸十年が経過しました。最愛の御家族や御親族、御友人を亡くされた方の深い悲しみはいまだに癒えないものと思いますが、ここに、改めてお亡くなりになった皆様方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
菅内閣の一員として、閣僚全員が復興大臣であるとの強い思いの下、第二期復興・創生期間においても、人的、財政面での支援を始めとして、被災自治体が震災復興に向けた取組を確実に実施できるよう被災自治体の支援に万全を期してまいります。
次に、継続的、安定的な地方財源の確保について御質問をいただきました。
現下の地方財政は、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税収が大幅に減少するとともに感染症対応に多額の支出を余儀なくされるなど、大変厳しい状況にあると認識をいたしております。
このため、令和三年度においては、一般財源総額について、水準超経費を除く交付団体ベースで実質前年度を〇・二兆円上回る六十二兆円を確保するとともに、地方交付税について、前年度を〇・九兆円上回る十七・四兆円を確保したところであります。
今後も、新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立って取り組んでいただいている地方団体の財政運営に支障が生じないよう、必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保すべく、最大限努力してまいります。
次に、固定資産税の負担調整措置について御質問を賜りました。
令和三年度は、固定資産税の三年に一度の評価替えの年であります。従来から、評価替えの際には、税負担の上昇幅を一定範囲に抑えつつ負担の均衡化を段階的に図る負担調整措置について、三年間の仕組みとして講じてきました。令和三年度税制改正においては、令和三年度から令和五年度までの間、現行の仕組みを継続することとした上で、令和三年度に限り、負担調整措置等により税額が増加する土地について、前年度の税額に据え置く特別な措置を講ずることとしております。
今回の措置は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ納税者の負担感に配慮する必要があること、一方、固定資産税は市町村財政を支える基幹税であり、安定的な確保が重要であることといった点を念頭に置いて講じたものであります。
次に、車体課税改正の目的と効果について御質問をいただきました。
令和三年度税制改正では、自動車税及び軽自動車税の環境性能割について、新しい二〇三〇年度燃費基準の下で税率区分を見直すこととした上で、全体として自動車ユーザーの負担が増えないように配慮することといたしました。これにより、コロナ禍にある我が国経済の状況に配慮しつつ、環境性能がより優れた自動車の普及を後押しすることにつながるものと考えております。
次に、中古商品軽自動車に対する軽自動車税の減免について御質問をいただきました。
軽自動車税種別割は財産税的性格と道路損傷負担金的性格を併せ持つ税であり、いわゆるナンバープレートが付され、道路を走行できる場合には、地方税法上、課税対象となるものであります。
一方、軽自動車税種別割については、条例に基づき減免することが可能であり、一部の市町村で減免を行っている事例があることは承知をしておりますが、その減免については、各市町村において適切に判断すべきものと考えております。
最後に、地方行政の効率化と見える化について御質問をいただきました。
統一的な基準による財務書類等は、地方公共団体のコスト情報やストック情報を見える化し、比較可能な形とするものであり、また、内部統制体制の的確な整備及び運用により、行政サービスが安定的、持続的かつ効果的に提供することが期待されております。
地方行政のデジタル化は、地方公共団体の職員が住民への直接的なサービスの提供や地域の実情を踏まえた企画立案業務など、職員でなければできない業務に注力できる環境を整えることに寄与するものであります。
このような行政サービスの質の向上や行政運営の効率化につながる取組が相まって、人口減少が進行し、地方公共団体の職員の確保がより難しくなる中においても持続可能な形で行政サービスを適切に提供し続けることができるものと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/9
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010・山東昭子
○議長(山東昭子君) 柳ヶ瀬裕文さん。
〔柳ヶ瀬裕文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/10
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011・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
私は、我が党を代表して、ただいま議題となりました令和三年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
十年前の昨日三月十一日、東日本大震災が発生しました。改めて、尊い命を失われた皆様、御遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げ、今も大変な御苦労をされている被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。
現在も四万人を超える方々が避難されている現実を真摯に受け止め、我が党は、身を切る改革を実践し、復興支援に全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、質問に移ります。
まず、総務省の接待問題について伺います。
東北新社からの総務省幹部に対する繰り返しの接待に加え、NTTからの高額接待も明らかとなり、総務省と放送・通信事業者の関係性が問われています。
総務大臣は、今回の事案について、職員の倫理法令違反に対する認識の甘さや知識の不足が大きな要因と答弁されていますが、個人の資質やモラルの問題と問題を矮小化するのではなく、背景にある電波行政に通底する構造的な問題に目を向けなければなりません。
デジタル化が進展する中、電波の需要はますます高まっています。ラジオやテレビなどの放送、携帯電話はもちろんのこと、先進技術であるAIやロボット、自動走行も、電波がなければ機能しません。しかし、電波の帯域は有限で、使い勝手の良い帯域は極めて希少なものとなっています。放送・通信事業者にとっては、この希少な帯域を確保できるかどうかがまさに死活問題であり、激しい争奪戦を繰り広げているのです。
問題は、その電波の割当てについて政府が強い権限を握り、全ては総務省の判断次第と言われているように、ブラックボックス化していることです。総務官僚が不透明な強い裁量権を持っている、だから、そのブラックボックスをこじ開け、事業者にとって有利になるように裁量を働かせてもらおうと接待に至る。もし、このプロセスが透明で公正性が明らかに担保されているならば、接待は必要ないでしょう。
ですから、今回の接待問題は、電波行政そのものの構造的なゆがみが端的に顔をのぞかせたにすぎません。研修の実施や監察体制の整備といった表面上の対策では不十分であり、電波行政の公正性、透明性について根本から見直すべきであります。
そこで、幾つか提案をしてまいります。
まず、電波の割当てについては、我が党がかねてより主張してきた透明性が高く経済的価値に重点を置いた電波オークション制度を導入するべきです。
令和元年の電波法改正により経済的価値に対する評価が部分的に導入されるようになりましたが、依然として総務省の裁量の余地は大きく、透明化されているとはとても言えない状況です。このような時代遅れの比較審査方式を採用しているのは、OECD諸国の中で唯一日本だけとなりました。デジタル社会の推進に不可欠である新規プレーヤーの参入促進、業界の新陳代謝が図られることにもつながる電波オークション制度を導入すべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
また、利用価値の高い周波数帯が有効活用されていないことも問題です。地上波デジタルテレビは四十チャンネル分、四百七十から七百十メガヘルツという広大な帯域を占有していますが、実際に運営されているチャンネル数は僅かであり、縮減できるはずだと以前から議論されてきました。
しかし、放送事業者は周波数帯の整理や移動に消極的であり、既得権益を手放そうとしない。そして、なぜか総務省も積極活用に前向きではありません。放送事業者と総務省に特殊な関係があるのではないかと疑念を抱かせるものであります。放送局に割り当てられている広大な帯域の再配分、有効利用を早急に進めるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
また、今回の接待問題が生じた背景の一つとして挙げられているのが、衛星放送におけるスロットの割当てをめぐる問題です。
放送用の衛星を実際に保有し、電波法に基づき総務省から電波の割当てを受けているのは民間企業である衛星の管理運営会社です。にもかかわらず、総務省は、衛星放送事業者に対する認定などを通じ、事業者に対するスロット割当てを実質的に管理しています。なぜ総務省が口を挟む必要があるのでしょうか。そこに合理性は見出せません。その理由を明快にお答えいただくとともに、衛星放送のスロット割当ては、不必要な行政の介入を排し、衛星を保有する会社と放送事業者に任せるべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
そして、最大の既得権益を長年享受してきたのは、テレビとラジオを合わせて九波も有しているNHKであります。貴重な電波帯域を広く占有し、国民から受信料を徴収しながら、公共放送としての役割をどれだけ果たしているのか、不信が広がっています。
本年一月に新たに策定された経営計画では既存業務の改革をうたっていますが、ラジオ一波、衛星放送一波の削減程度では極めて不十分と考えます。NHKの果たすべき役割を明確化、再定義し、公共放送として不可欠な業務を絞り込んだ公共NHKとそれ以外の民間NHKに分割するプランを我が党は提案していますが、そのような抜本改革が必要だと考えます。総務大臣の見解を伺います。
電波は希少な資源であり、これを有効に活用できるかどうかは、我が国の成長に直結する重要な課題であります。今回の接待問題を機に、電波行政の公正性、透明性を根本から見直し、その恩恵を広く国民が享受できるようにするべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
次に、地方の自立について伺います。
日本維新の会は、自立する個人、自立する地域、自立する国家を実現することを理念に掲げ、停滞する現状を打破しようと試みる改革政党です。地域の自立のためには、税源と権限の各地域への大幅な移譲が不可欠です。このため、安定財源として消費税を地方財源とし、社会保障や教育に関する事務の権限を地方に移譲するとともに、地方交付税を廃止して国への財政依存を断ち切り、各地方間の格差は水平的な財政調整で行う、このようなことを提案しています。真の地方の自立に向けて地方交付税制度を含む国と地方の在り方を抜本的に見直すべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
令和三年度の地方財政計画では、十兆円を超える地方の財源不足が見込まれることを踏まえ、財源確保策として、交付税特別会計の借入金償還計画の大幅な見直し、将来の国からの加算分の前倒しを行うなど、後年度への負担の先送りや財源の先食いを多く含んだものとなっています。
令和四年度以降も、経済の回復が遅れた場合、令和三年度に匹敵する大規模な財源不足が再び発生する可能性もあります。この際はこうした財源確保策はもはや持続可能ではないと考えますが、どのように対応していくんでしょうか。総務大臣の見解を伺います。
また、巨額の財源不足への対応で、臨時財政対策債は五・五兆円と三年ぶりに残高が増加する見込みとなっています。臨財債は平成十三年度に臨時的な措置として導入されましたが、これまで二十年以上続き、事実上恒久化されています。また、その残高は令和三年度末見込みで五十五・一兆円と巨額の債務となっています。地方財政においては、毎年度巨額の財源不足が発生していますが、我が党が繰り返し主張しているように、合理性のない臨財債は即刻廃止し、法定率の引上げなどによって財源不足に真正面から対応すべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
最後に、統治機構改革について伺います。
これまで各政権において、地方の自立、地方分権が叫び続けられてきましたが、いまだ真の地方の自立からは程遠い状況にあります。
私たちは、これからのグローバル競争を支えるプレーヤーは国家ではなく都市であると考えています。グローバル都市が地方を牽引し、地方の切磋琢磨が国家を牽引する、その骨格を成すのが道州制です。これからの時代に適応した道州制を含めた統治機構改革をどのように進めていくのか、総務大臣の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/11
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012・武田良太
○国務大臣(武田良太君) 柳ヶ瀬議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、電波の割当てについて御質問をいただきました。
オークション制度は、透明性や迅速性の確保などにつながる一方、諸外国では落札額が高騰し落札者の事業運営に支障が生じるなど、デメリットもあります。オークション制度については、こうしたメリット、デメリット、導入した各国における様々な課題も踏まえ、引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、放送局に割り当てられる周波数帯の再配分、有効利用について御質問をいただきました。
放送局に割り当てられている周波数については、混信を避けつつ、同じ周波数を地域ごとに繰り返し利用する形で有効に利用しております。また、ホワイトスペースと呼ばれる僅かに空いている周波数もラジオマイクやエリア放送といった用途で利用するなど、これまでも周波数を有効に利用してまいりました。
総務省としては、今後とも、新しい技術を導入すること等により、周波数の更なる有効利用に向けて取り組んでまいります。
次に、衛星基幹放送のスロット割当てについて御質問をいただきました。
衛星基幹放送は、放送用に確保した有限な周波数を占有し、当該周波数の電波を用いて放送を行うものであるため、その確実かつ適正な実施を図る観点から、ビジネスベースではなく、引き続き国が経理的基礎、技術的能力、技術基準への適合性等といった業務を行う適格性を確認する必要があると認識をいたしております。
次に、NHKの改革について御質問がありました。
我が国の放送は、公共放送と民間放送による二元体制の下で、お互いが切磋琢磨することによって発展してきたものと認識をいたしております。
NHKは、公共放送として広告主の意向や視聴率にとらわれない豊かで良い番組を放送することによって、文化水準の向上に寄与することや地方向け番組の提供などが求められております。現状、NHKにおいては、報道や教養を始めとする豊かで良い番組を放送することにより、公共放送の基本的役割を果たしており、直ちにNHKを分割するべきとは考えておりません。
今般、NHKが策定した中期経営計画では、受信料の引下げやチャンネルの削減等が盛り込まれ、改革に向けての一歩が踏み出されたところであります。まずは、これらの方針が着実に実行されるようNHKに求めていきたいと考えております。
次に、電波行政の公正性、透明性について御質問をいただきました。
携帯電話を始めとする電波の利用は、現代の経済社会や国民生活にとって極めて重要な基盤となっているものと認識しています。このため、周波数の割当ては、電波法等に基づき公正性、透明性を十分に確保した手続により実施しています。
例えば、携帯電話向けの周波数の割当てでは、審査基準を含めた割当て方針についてパブリックコメントを行うとともに電波監理審議会に諮問した上で策定をいたしております。さらに、この割当て方針に沿って基地局整備計画の審査を行い、電波監理審議会に諮問した上で、計画の認定とともに周波数の割当てを行っています。
このような割当て手続に加え、電波法等の規定に基づき、電波の利用状況を調査し、評価についてパブリックコメントを行うとともに、電波監理審議会に諮問した上で公表することで、利用状況についても透明性を確保しております。
引き続き公正性、透明性を確保した電波行政の推進に取り組んでまいります。
次に、消費税の地方への移譲や地方交付税制度の廃止など、国と地方の在り方の抜本的な見直しについて御質問をいただきました。
消費税は国、地方それぞれの社会保障の財源とされており、消費税を地方に移譲するのであれば、社会保障について地方に大きな責任を担っていただく必要がありますが、これは結果的に大きな地域間格差を生じさせることにもなりかねないことから、慎重な検討が必要と考えております。
また、地方交付税制度は、財源の均衡化を図るとともに、標準的な行政サービスを提供するために必要な財源を保障する大変重要なものと考えております。
御指摘の水平的な財政調整については、他の地域のために地方税を徴収し、拠出する側の住民の理解が得られるのかといった課題もあるものと考えております。
次に、今後の財源不足への対応について御質問をいただきました。
令和三年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により地方交付税法定率分が大幅に減少する中、地方交付税総額を確保するため、覚書加算の前倒しなど国の加算をしっかりと確保した上で、やむを得ない措置として交付税特別会計借入金の償還の繰延べなどを行ったところであります。
令和四年度以降においても、地方団体が安定的な財政運営を行うことができるよう地方の財源不足について適切な補填措置を講じ、必要な地方税、地方交付税等の一般財源総額を確保すべく最大限努力してまいります。
次に、臨時財政対策債の廃止と交付税率の引上げ等について御質問をいただきました。
地方財政の健全化のためには、本来的には臨時財政対策債のような特例債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要と考えております。このため、経済あっての財政との考え方の下、当面は感染症対策に全力を尽くし、また、経済再生に取り組むことにより地方税等の歳入の増加に努めるとともに、効率的な行財政運営により、めり張りを付けて歳出構造を見直すことで財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。
また、地方交付税については、地方財政が巨額の財源不足を抱えており、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する状況が続いていることから、今後とも、交付税率の見直しなど制度的な対応の議論を行ってまいります。
最後に、統治機構改革について御質問をいただきました。
総務省の所管ではございませんが、道州制は地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革であると認識をいたしております。
我が国の統治機構の在り方については、国の在り方に関わるものであり、各党各会派での議論や国民的な議論が必要になってくるものと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/12
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013・山東昭子
○議長(山東昭子君) 芳賀道也さん。
〔芳賀道也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/13
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014・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主・新緑風会の芳賀道也です。会派を代表して質問をいたします。
まず冒頭、東北新社の衛星基幹放送事業者認定について一言申し上げます。
総務省は、二〇一六年十月時点の認定申請書に外資比率二〇%未満という虚偽の記載があり、認定取消しに向けて必要な手続を進めていくということです。
しかし、外資比率は有価証券報告書に記載されているはずです。さらに、二〇一七年十月の子会社、東北新社メディアサービスへの事業承継認定の際も外資比率が二〇%を超えているのは明白です。このときの事業承継認定は局長決裁で、決裁者は当時の山田真貴子情報流通行政局長でした。これらの事実から、山田局長は虚偽記載があったと知っていたと推察できます。今後、事実関係を国民に明らかにしていただきたいと思います。
また、一連の不祥事、接待を受けた官僚の処分や辞任が幕引きであってはなりません。真相究明のため、予算委員会や総務委員会へのNTT澤田社長のほか、東北新社社長、役員、菅総理の御長男、この参考人招致や、日弁連第三者委員会ガイドラインに沿った第三者委員会設置をすべきではないでしょうか。総務大臣に伺います。
さらに、行政がゆがめられたことはない、供応や贈収賄ではないというならば、東北新社及びNTTの許認可に関する全ての検討過程のメモ類やメール、文書、会議録、議事録を公開し、そのことを自ら証明すべきではないでしょうか。総務大臣に全ての関係書類等の公開を求めます。
総務大臣、公開できないまずいことでもあるのでしょうか、お答えください。また、公開できないのであれば、その理由を国民に分かるように御説明ください。
菅総理大臣は、今年一月の施政方針演説にて、新型コロナウイルス感染症の一日も早い収束への取組を約束しています。
しかし、地方交付税法改正案では、新型コロナ対策としてプラスになったのは、保健所に勤める保健師を二年間で九百名増やして現状の一・五倍にするため、新年度に給与関係経費約二十億円を計上しただけではないでしょうか。確かに改正案では衛生費、保健衛生費の単位費用が二、三%程度は上がるものの、補正係数などの計算方法に変更はなく、新年度の保健衛生費、衛生費の増減は不透明です。
また、地方財政計画の上でも、各自治体が独自で感染対策のために検査の拡充や医療機関との連携を深める場合の自治体独自予算の目安となる単独の一般行政経費がほぼ横ばいです。
新型コロナウイルス対策に最優先で取り組むはずの菅内閣が、地方交付税、地方財政計画を通じて保健師の増員以外に感染対策、検査体制、医療体制の充実をどのように行うのか、武田総務大臣、具体的に御説明ください。あわせて、新型コロナウイルス対策のため、保健衛生費、衛生費を大幅にアップさせる必要があると思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。
市町村長の皆さんから、新型コロナ対策を進める際に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の使い勝手が非常に良いと聞いています。しかし、この地方創生臨時交付金は、今年度の繰越しはありますが、新年度分としては予算計上ゼロ、新型コロナ対策を最優先するはずの菅内閣なのに、地方創生臨時交付金を新年度に計上しなかった理由を、御担当の坂本大臣、御説明ください。
また、この交付金を通じて政府は新型コロナ対策の責任を各自治体に押し付けています。新型コロナが続く限り、地方に責任を負わせるのであれば、財源としてのこの交付金を新年度も計上すべきですが、坂本大臣の見解を伺います。
新型コロナの感染拡大で多くの自治体の税収が減り、各自治体の新型コロナ対策の支出が増えています。地方交付税の増額その他により自治体財政の安定を図っていただいた武田総務大臣など、総務省関係者及び財務省の方々の御努力には感謝申し上げます。
しかしながら、リーマン・ショックの際もそうですが、これまで自治体の税収が大幅に落ち込んで地方交付税の増額で穴埋めした際には、後の年度の地方交付税から分割で返す、そして臨時財政対策債、臨財債という地方版赤字国債を発行して賄うことを繰り返しています。
来年度の地方財政計画では、臨財債の発行額が五兆四千七百九十六億円と、二兆三千三百九十九億円も増加。また、今年一月に可決した地方交付税法改正案により、令和二年度第三次補正の地方交付税の加算額二兆六千三百三十九億円のうち、一兆七千六百八十八億円を令和九年度から令和二十六年度まで毎年九百八十三億円減額することで賄います。
経済が右肩上がりの時代なら毎年税収も大きくなるからいいのでしょうが、人口減少に伴って経済全体の伸びが止まり、税収の伸びもそれほど期待できない今の時代は、負担の後回し、若い世代へのツケ回しはもう効かないのではないでしょうか。
新型コロナが収束するまでは仕方ないとしても、自治体財政が後年度負担に頼らないために、抜本的な改革が必要です。武田大臣から、自治体の借金減らしのための長期計画の御説明と、抜本的な自治体借金対策に向けた自治体財政の充実について見解を伺います。
昨日、三月十一日で東日本大震災から十年となりました。私の地元山形県にも避難を続けている方がいらっしゃいます。
復興で特に問題なのは、被災された皆さんにとって本当に必要な支援策にはなっていないということです。インフラだけ、一部の先端企業だけが復興の名の下に整備が進む一方、帰還が始まった区域でも帰還が進まず、復興から取り残されている地域、世帯が少なくありません。個人や暮らしの復興が進んでいません。立派な復興の建物、道路ができても人々が帰ってこない理由はなぜだとお考えでしょうか。平沢大臣に伺います。
十年たっても何も変わっていない、十年たっても前を向けないという被災された方たちの思いに、政府は全く寄り添っていないのではないでしょうか。平沢復興大臣に、被災者と復興への基本的なお考えを伺います。
被災者の心の復興も道半ばです。孤独や孤立への対策、心のケアが見落とされがちです。買物や通院ができないという皆さんの支援、災害公営住宅などでの孤独死を防ぐ見守り活動を行う団体への支援拡大、孤独を感じたときの相談体制などの充実強化を求めます。平沢復興大臣、御答弁ください。
人口の高齢化に伴って、高齢ドライバーが増えています。既に政府は、サポカー補助金を導入し、事故防止の安全装置を付ける高齢ドライバーの自動車を支援しており、これは非常に有り難い支援です。
国民民主党は、昨年十二月に令和三年度税制改革についての考え方をまとめ、サポカー減税の導入を提唱しています。地方税法改正案に関連して御提案ですが、都道府県税である自動車税にサポカー減税を実施して、より広く恒久的にサポカーへの移行を支援すべきだと考えますが、武田大臣の見解を伺います。
所得税法改正案では、デジタルトランスフォーメーションにつながる設備投資について、税額控除や特別償却などで支援しています。しかし、地方税を見ると、確かに法人事業税や法人住民税では法人税に準じた対応をしていますが、固定資産税の中でも、設備投資した各種設備やコンピューターに係る市町村税の償却資産税では、圧縮記帳や割増し償却などの制度がなく、配置した機器に丸ごと課税されてしまいます。
日本税理士会連合会も提唱していますが、償却資産課税を国税の法人税申告に完全に連動したものに変え、償却資産を申告する事業者側も、課税する市町村側も、負担を減らすようにすべきではないでしょうか。武田大臣の見解を求めます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/14
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015・武田良太
○国務大臣(武田良太君) 芳賀議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、NTTや東北新社関係者の参考人招致や、第三者委員会についての御質問をいただきました。
御指摘のありました参考人招致など国会の運営については、国会にてお決めいただくものと承知をいたしております。
また、行政がゆがめられたのではないかとの疑念に応えるべく立ち上げる検証委員会については、検事経験者を含む第三者の有識者で構成することとしており、客観的かつ公正に検証いただけるよう、委員会の構成はもとより、具体的な検証内容や方法についても有識者の御意見を伺いながら準備を進めております。
次に、NTT及び東北新社の許認可に関する検討過程の文書等の公開について御質問をいただきました。
御指摘のありました検討過程の文書の公開に関しては、情報公開法等にのっとり適切に対応しているところであります。なお、法令上、非開示事由に当たるものについては開示できないものと承知をいたしております。
いずれにせよ、行政がゆがめられたのではないかとの疑念に応えるべく立ち上げる検証委員会において客観的かつ公正に検証いただけるよう、具体的な検証内容や方法についても有識者の方々の御意見を伺いながら準備を進めてまいります。
次に、地方財政面での新型コロナウイルス感染症への対応について御説明をいただきました。
新型コロナウイルス感染症への対応については、ほとんどの事業を全額国費対応とするとともに、地方団体の判断によって自由度高く地方単独事業に取り組むことができる財源として、地方創生臨時交付金が措置されております。
御指摘の検査体制や医療体制等の充実についても、全額国費の緊急包括支援交付金などにより措置をされております。その上で、普通交付税においても、保健所の恒常的な人員体制を強化するため、感染症対応業務に従事する保健師数を増員するとともに、その他の保健所職員数も増員するなど、衛生費及び保健衛生費の単位費用を充実をいたしました。
なお、令和三年度においては、地方団体が行政サービスを安定的に提供できるよう、地方が自由に使える一般財源総額について、水準超経費を除く交付団体ベースで実質前年度を〇・二兆円上回る六十二兆円を確保するとともに、その中で、地方交付税総額についても、前年度を〇・九兆円上回る十七・四兆円を確保したところであります。
次に、地方財政の後年度負担の抑制のための長期計画と抜本的な対策についての御質問をいただきました。
令和二年度の第三次補正予算における国税の減額補正による地方交付税の減少に伴う後年度の減額精算については、将来の総額への影響をできる限り緩和する観点から、過去の補正等に伴う精算の一部が終了する令和九年度から精算を開始することとした上で、十八年間で分割精算することといたしております。
また、地方財政の健全化のためには、本来的には臨時財政対策債のような特例債になるべく頼らない財務体制を確立することが重要と考えております。臨時財政対策債の発行につきましては、地方の財源不足が税収や国の歳出の動向など様々な要素によって変動せざるを得ないため具体的な見通しを立てることは困難でありますが、経済再生に取り組むことによる地方税等の歳入の増加や効率的な行財政運営により、その抑制に努めてまいります。
また、地方交付税については、地方財政が巨額の財源不足を抱えており、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する状況が続いていることから、今後とも交付税率の見直しなど制度的な対応の議論も行ってまいります。
次に、自動車税のサポカー減税について御質問をいただきました。
自動車の安全技術の性能向上と普及促進については、人口減少、高齢化が進む我が国にとって重要な課題と認識をいたしております。一方、いわゆるサポカーに対する自動車税の軽減については、衝突被害軽減ブレーキの新車乗用車搭載率を九割以上とする目標を既に達成していること、軽減措置による更なる普及促進の効果などを踏まえれば、慎重な検討が必要であると考えております。
最後に、固定資産税の償却資産課税を国税の法人税申告に連動したものに変えることについての御質問をいただきました。
法人税の減価償却は、取得価額を使用期間にわたって費用化するために行うものであります。一方、固定資産税における償却資産については、資産課税として、課税対象の資産価値を評価するために減価を行っているものであり、法人税の減価償却とは趣旨が異なることについて御理解を願いたいと考えております。
総務省としては、償却資産課税について、これまでも電子申告率の向上や事務の簡素効率化に取り組んできたところであり、引き続き納税者及び課税庁双方の事務負担の軽減に努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/15
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016・坂本哲志
○国務大臣(坂本哲志君) 地方創生臨時交付金についてお尋ねがありました。
地方創生臨時交付金については、第一次、第二次補正予算で合計三兆円を措置しておりましたが、さらに、全国知事会等の増額要望を踏まえ、第三次補正予算で一・五兆円を追加措置したところです。
この一・五兆円のうち地方単独事業分一兆円については、交付限度額を既に全自治体に対してお示ししております。
現在、各自治体において事業実施に向けた準備が進められているところであり、まずはこれら事業が円滑に執行できるよう交付手続等を迅速に進め、各自治体の取組をしっかりと支援してまいります。(拍手)
〔国務大臣平沢勝栄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/16
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017・平沢勝栄
○国務大臣(平沢勝栄君) 東日本大震災からの復興に関しまして、インフラを整備しても避難者が帰還しないこと、被災者の思いに寄り添っているのかということ、心のケア等の被災者支援はどうなっているのかということ、この三点について芳賀議員から御質問がありました。
被災された方々を含め、被災地において人々が安心して暮らせるため、まずは、住まいや交通物流網などのインフラ整備が必要であり、こうした整備を着実に進めてきたところでございます。それと同時に、地域のコミュニティーの再生や産業、なりわいの再生など、ソフト面での取組にも力を入れてきたところでございます。こうした取組によりまして、避難者数は着実に減少しているところでございます。
原子力災害による避難の長期化や個々の御事情により生活の基盤を移されている方もいらっしゃると承知しておりますが、引き続きふるさとに戻りたいという方々への思いに寄り添って対応してまいります。
次に、御指摘の被災者の孤立防止や心のケア等を図るため、生活支援相談員による見守りやコミュニティーづくりの支援、心のケアセンターによる相談支援、買物、通院等のためのバスの運行等、日常生活上の困り事への支援、こういったことを、自治体の取組への支援に引き続き力を入れてまいります。
いずれにしましても、発災から十年が経過し、個々の地域や被災者によって状況は様々に異なってきています。今後も現場主義の方針の下、被災地と緊密に連携を取り、引き続き被災者の声によく耳を傾けながら復興に全力を尽くしていく覚悟でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/17
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018・山東昭子
○議長(山東昭子君) 伊藤岳さん。
〔伊藤岳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/18
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019・伊藤岳
○伊藤岳君 私は、日本共産党の伊藤岳です。日本共産党を代表し、地方財政計画外二法案について関係大臣に質問いたします。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から十年がたちました。大震災で亡くなられた方々に心よりの哀悼をささげます。また、被災された皆さんに深くお見舞いを申し上げます。
まず、総務省接待問題についてです。
東北新社との会食でも、NTTとの会食でも、関わった総務省幹部職員は当初、倫理規程に反する接待はなかったと答弁していました。ところが、それを覆す事実が次から次へと明らかになり、答弁の虚偽が明らかになりました。この間の総務省の内部調査がずさん極まりないものであったことを総務大臣は認めますか。
接待問題は官僚だけでないことも明るみに出てきました。総務大臣、副大臣、政務官の任にあった政治家が、在任中あるいは退任後に頻繁にNTTからの接待を受けていたと報じられました。指摘を受けた政治家から、会食した事実、NTT側に費用を負担してもらっていた事実を認める発言が次々と出されています。
武田総務大臣は、昨日と一昨日の予算委員会でNTTとの会食の有無を問われましたが、国民から疑念を招くような会食はないとの答弁を繰り返し、会食の有無については答えませんでした。虚偽答弁が明らかになる前の官僚の言い回しと全く同じではありませんか。その官僚の姿勢を厳しく批判したのは、武田大臣、あなたではなかったですか。
事実をありのままに明らかにすることを拒む大臣の下で、まともな真相究明など望むべくもありません。武田大臣、NTTとの会食の有無と回数、時期、費用負担などを明確に答えるべきです。
総務省では、二〇一九年にも重大な問題がありました。かんぽ生命保険の不正販売をめぐり、当時の総務事務次官が、行政処分を受ける側である日本郵政株式会社に処分の検討状況などを情報漏えいしていたのです。この件で事務次官は処分され、その際に総務審議官に昇進したのが谷脇康彦氏でした。
ところが、その谷脇氏は、まさにこの時期に、NTTや東北新社との意見交換なる高額接待を繰り返していたのです。
武田大臣、総務省はかんぽ事件から一体何を教訓としたのですか。関係業者との癒着という闇が放置されてきたではありませんか。総務大臣の答弁を求めます。
今朝、総務省は、東北新社子会社の衛星放送基幹事業認定取消しの方針を発表しました。外資比率を誤って申請したとのことですが、なぜ不正申請がまかり通ったのか。接待で行政がゆがめられた疑いがいよいよ濃くなってきました。
事実関係の解明なしに国民の信頼回復はありません。総務省における調査に信頼が置けない以上、国会がその役割を果たさなければなりません。総務省は、誠実に国会の求めに応じ、真実を隠すことなく明らかにすべきです。総務大臣、いかがですか。
東北新社の社長や菅正剛氏、NTT関係者などの国会招致、真相究明の集中審議を強く求めるものです。
コロナ禍は、地方行財政の在り方について抜本的な見直しを求めています。
感染拡大を今度こそ抑え込むために、PCR検査の徹底実施、公衆衛生体制と医療体制の確立が急務です。保健所削減、公立・公的病院を再編統合してきたことの弊害が明らかになったのではありませんか。厚生労働大臣の答弁を求めます。
総務大臣、住民の命と暮らしを支え、ケア労働に手厚く、貧困と格差を是正する地方行政に今こそ転換するべきではありませんか。
生活保護制度は、コロナ禍の中、最後のセーフティーネットとして注目されています。
ところが今、就労支援などの名の下、パソナなどの民間派遣事業者が地方自治体と委託契約を結んだケースワーク業務の中で、不当な運用が見られることは重大です。
ある政令指定都市では、生活保護の受給者が支援によって就職し、保護廃止となった場合、一人当たり六万円が委託料に加算される特約条項が盛り込まれています。成果に応じて事業者への報酬が追加されるこうした仕組みが、生活保護受給者への管理の強化、意に反する強引な就職支援につながる危険性を強めています。
実際に、民間職員が、何でもいいから求職活動をしろと強要する、求職活動をしなければ保護が受けられなくなるなどの強い言葉で利用者に実質的な指導を行う事例も確認されていることは看過できません。民間職員によるケースワーク業務のこうした危険性について、厚生労働大臣はどう認識していますか。
生活保護のケースワーク業務の外部委託は、自民党が二〇一二年総選挙マニフェストで、生活保護政策についても自助、自立を基本に、ケースワーカーを民間に委託と掲げ、パソナ会長の竹中平蔵氏が産業競争力会議で雇用の規制緩和を広げるべきと強く要望し、安倍政権の下、二〇一九年十二月に政府が閣議決定をして持ち込まれたものです。まさに、政府、自民党、民間派遣業者、三者が一体となり、公的サービスの市場化の旗の下で推し進められてきたものです。
菅総理は、生活保護は国民の権利だと答弁しました。しかし、こうした事態は、その言明に逆行するものではないですか。国民の基本的権利であり、国が責任を持ち、地方自治体と力を合わせて運営すべき生活保護制度が民間事業者によって実質的に切り崩される事態は直ちに改めるべきです。厚生労働大臣の答弁を求めます。
正規のケースワーカーの人員体制の後退は、ケースワーカー一人当たりの受持ち世帯数を極端に増やしました。厚生労働大臣、正規職員を中心としたケースワーカーなどの職員増を図るべきではありませんか。
そもそも、地方から人手と財源を奪ってきたのは、自治体職員の定数削減を迫る集中改革プランや、地方交付税削減をもたらした三位一体改革を推進してきた自民・公明政権です。総務大臣、その反省はありますか。
コロナ禍で求められていることは、国と地方自治体が果たすべき公的役割を民間に投げ出す在り方を根本から転換して、住民生活を支える公的基盤を再構築することではありませんか。厚生労働大臣、総務大臣の答弁を求めます。
最後に、地方財政についてです。
昨年来のコロナ禍で政府の対応が小出し、後手後手になる中、地方自治体は、補正予算を組み、財政調整基金を取り崩すなど懸命な努力を続けています。コロナ禍に対応する地方自治体の財源確保、貧困と格差の是正に向けた地方税財政への転換が求められます。
財政制度等審議会は、来年度の地方財政について、新型コロナ対応を名目とする安易な歳出拡大は許容しないとして、社会保障関係費の自然増を抑制して、地方の歳出水準を前年度と実質同額に抑え込む方向で歳出改革を貫くとしました。
総務大臣、こうした実質同水準ルールは取り払って、コロナ禍の下、地方自治体が必要とする費用や社会保障費の自然増などの財政需要額をしっかりと反映するべきではありませんか。
財源不足を地方債の特例発行に頼るやり方をどこまで続けるのですか。地方交付税の法定率の抜本的な引上げを求めます。
以上を述べて、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣武田良太君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/19
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020・武田良太
○国務大臣(武田良太君) 伊藤議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、国家公務員倫理法違反の疑いのある事案の調査について御質問をいただきました。
二月二十四日付けで調査報告書を提出した後に新たに倫理法に違反する疑いがある会食が判明したことは事実であり、深刻に受け止めております。
結果として総務省における聞き取り調査ができていなかった部分があったものであり、現在省内で行っている倫理法違反の疑いのある事案の調査については、検事経験のある弁護士の方にも新たに参加していただき、常に第三者のチェックをいただきながら、正確に、かつ徹底的に真相究明を行っております。
次に、NTTとの会食の有無について御質問をいただきました。
個別の事案一つ一つにお答えするのは控えさせていただきますけれども、私は、国民の皆さんから疑念を抱かれるような会食や会合、応じたことはございません。引き続き国民の皆様からの疑念を招くことないように自らを律し、職務に励んでまいります。
次に、かんぽ生命保険の不正販売問題に関して、前総務事務次官が懲戒処分を受けた際の教訓について御質問をいただきました。
令和元年十二月二十日に行われた前事務次官への懲戒処分を受け、当時の高市総務大臣からは、国家国民の最大の利益を追求するために行政は常に公正公平であるよう訓示を行っていたところであります。しかしながら、今般、幹部職員において倫理法に違反する利害関係者との会食等が判明したことは事実であり、深刻に受け止めております。
今回のような疑念を招く事態が二度と起こらないように、私が先頭に立って、しっかりとした検証を行った上でコンプライアンスを徹底的に確保し、国民の信頼回復に努めてまいる所存であります。
次に、調査に関する情報の公開について御質問をいただきました。
一連の事案については、国会からの求めに応じてこれまでも誠心誠意御対応し、御説明差し上げているところであります。また、現在省内で行っている倫理法違反の疑いのある事案の調査については、検事経験のある弁護士の方にも参加いただき、常に第三者のチェックをいただきながら、正確に、かつ徹底的に真相究明を進めてまいりますが、その調査結果については、国会の求めに応じて真摯に対応してまいります。
加えて、行政がゆがめられたのではないかとの疑念に応えるべく立ち上げる検証委員会については、国会での御指摘も踏まえ、検事経験者を含む第三者の有識者で構成することとしており、客観的かつ公正に検証いただけるよう、具体的な検証内容や方法につきましても有識者の御意見を伺いながら準備を進めてまいります。この結果についても国会の求めに応じて真摯に対応してまいります。
次に、地方行政の在り方について御質問をいただきました。
総務省としては、社会経済環境の変化に対応し、質の高い公共サービスを引き続き効率的、効果的に提供するためには、地方公共団体における業務の在り方を不断に見直すことが重要と考えております。
地方公共団体においては、行政需要の変化に合わせて、例えば、総職員数が減少基調で推移する中、児童相談所等の職員や防災担当職員等は増加させるなど、必要な措置を講じてきたものと承知をいたしております。
総務省としては、今後とも、地方公共団体における的確な行政運営に資するよう、必要な支援に努めてまいります。
次に、集中改革プラン及び三位一体の改革への認識についての御質問をいただきました。
平成十七年からの五年間、簡素で効率的な行政の実現を図る観点から、職員数の削減目標を掲げ、地方公共団体に対し、集中改革プランによる取組を要請してまいりました。
この間、総職員数が減少する中でも、警察や消防、防災関係職員等は増員されるなど、めり張りのある人員配置を行われてまいりました。プラン終了後も総職員数の減少基調は続きましたが、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理の推進に取り組んでいただいたと認識をいたしております。
三位一体の改革は、かねてより地方から要望があった三兆円の税源移譲の実現による地方の自主財源の強化、補助金改革による地方の自由度の拡大を目指して行ったものであります。
改革においては、結果として地方交付税の削減が急激に行われたこともあり、特に財政力の弱い団体には厳しいとの声もあったと認識しておりますが、全体として見れば、地方の自立や地方分権の進展に資するものであり、分権改革の実現に向けた大きな前進であったと認識をいたしております。
次に、地方公共団体の公的役割について御質問をいただきました。
今般の新型コロナウイルス感染症への対策を含め、多様化し増大する住民ニーズに的確に対応することは、地方公共団体の重要な役割であります。
人口減少や厳しい財政状況など経営資源が制約される中で、地方公共団体が持続可能な形で住民サービスを提供していくためには民間委託などを活用しながら業務改革を進め、職員でなければできない業務により注力できる環境を整えていくことが重要であります。
このような認識の下、各地方公共団体においては、どのようなサービス提供の方法がより効果的、効率的か地域の実情を踏まえて判断いただき、その役割を適切に果たしていくことが求められると考えております。
次に、地方財政計画の財政需要について御質問をいただきました。
新型コロナウイルス感染症への対応については、ほとんどの事業を全額国費対応とするとともに、地方団体の判断によって自由度高く地方単独事業に取り組むことができる財源として地方創生臨時交付金が措置されております。
その上で、令和三年度の地方財政計画において、社会保障関係費の自然増などを踏まえ、標準的な行政サービスの提供に必要な経費を計上し、一般財源総額について、水準超経費を除く交付団体ベースで実質前年度を〇・二兆円上回る六十二兆円を確保しております。今後とも、地方財政計画に必要な歳出を適切に計上し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を適切に確保してまいります。
最後に、臨時財政対策債と交付税率の引上げについて御質問をいただきました。
地方財政の健全化のためには、本来的には臨時財政対策債のような特例債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要と考えております。このため、地方税等の歳入の増加に努めるとともに、効率的な行財政運営により、めり張りを付けて歳出構造を見直すことで財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。
また、地方交付税については、今後とも、交付税率の見直しなど制度的な対応の議論を行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/20
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021・田村憲久
○国務大臣(田村憲久君) 伊藤岳議員にお答えいたします。
公衆衛生体制、医療提供体制の在り方についてお尋ねがありました。
保健所については、各自治体の判断により、地域の実情を踏まえながら必要な体制の確保を行っていただいているところでありますが、市町村との役割分担の明確化やその機能強化を進める中で、結果として集約化が進んでいるものと承知をいたしております。
一方で、今般の新型コロナウイルス感染症に係る保健所の対応状況を踏まえ、地方財政計画に基づき、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を令和三年度から二年かけて約九百名増員させることとされたほか、都道府県単位での専門人材派遣の仕組みの活用や自治体間の職員の応援派遣の調整等も推進することとしており、引き続き各保健所の体制整備を支援してまいります。
また、今般の対応では、地域の医療提供体制の確保に向け、公立・公的医療機関を始め多くの医療機関において感染症患者の受入れや一般の患者への対応など重要な役割を果たしていただいています。
今後、高齢者が急増する二〇二五年、また、更なる高齢化の進展と現役世代急減による労働力の制約が強まる二〇四〇年を見据えつつ、今般のような事態に機動的に対応できるよう備えるためには、地域の実情を踏まえながら、病床の機能分化、連携を進めていくことが重要と考えています。引き続き自治体等と緊密に連携しながら、必要な公衆衛生体制及び医療提供体制の確保に向けた取組を進めてまいります。
次に、生活保護受給者への就労支援についてお尋ねがありました。
生活保護受給者への就労支援事業は、生活保護法上、事業を適切、公正、中立かつ効率的に実施することができる者に委託することができるとされており、こうした規定に基づき、各自治体において適切に事業を実施していただくべきものと認識しています。
厚生労働省としては、各自治体に実施状況等の評価、検証を行うこと等を求めており、自治体の情報交換などを通じ、事業の適正かつ効果的な実施を図ってまいります。
生活保護業務の民間委託についてお尋ねがありました。
生活保護のケースワーク業務は、国民の権利に深く関係する業務であるとともに、業務に当たっては高度な専門性が求められるものであり、生活保護受給者の生活に深く関わり、公権力の行使に当たる業務については自治体職員が行うことが必要と考えています。
他方、ケースワーカーが真に必要な業務に重点化できるよう、ケースワーカーの業務負担軽減は重要な課題です。現行制度で外部委託が可能な業務の範囲について現在整理を進めているところであり、取りまとめた上で自治体に周知していきたいと考えております。
ケースワーカーの増員についてのお尋ねがありました。
生活保護制度は、最低生活の保障を行うとともに生活保護受給者の自立の助長を行うことを目的としており、これを担うケースワーカーについて、生活保護の受給世帯に応じて適切な配置がなされることが重要であります。このため、社会福祉法で定める被保護世帯の標準数に応じたケースワーカーの人数の配置に必要な交付税措置を行っています。都道府県等に対する事務監査において常時標準数を満たしていない福祉事務所を把握した場合は、ケースワーカーの充足について指導するなど、引き続きケースワーカーの適切な配置を促してまいります。
民間委託の在り方についてお尋ねがありました。
公権力の行使に当たる業務などについては、国と地方自治体の職員が担うことが必要である一方、厳しい財政事情の中で、引き続き良質かつ低廉な行政サービスを提供するという観点から、民間委託等の業務改革に取り組むことも重要と考えております。
生活保護業務においても、ケースワーカーが真に必要な業務に重点化し、ケースワーカーの質を高めることができるよう、業務効率化等に引き続き取り組んでまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/21
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022・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
本日は散会いたします。
午後零時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X00920210312/22
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