1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和三年六月九日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十九号
令和三年六月九日
午前十時開議
第一 令和元年度一般会計歳入歳出決算、令和
元年度特別会計歳入歳出決算、令和元年度国
税収納金整理資金受払計算書、令和元年度政
府関係機関決算書
第二 令和元年度国有財産増減及び現在額総計
算書
第三 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算
書
第四 消費者被害の防止及びその回復の促進を
図るための特定商取引に関する法律等の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防
止のための特別措置に関する法律の一部を改
正する法律案(衆議院提出)
第六 水循環基本法の一部を改正する法律案(
衆議院提出)
第七 令和三年東京オリンピック競技大会・東
京パラリンピック競技大会特別措置法の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
第八 産業競争力強化法等の一部を改正する等
の法律案(内閣提出、衆議院送付)
第九 特定石綿被害建設業務労働者等に対する
給付金等の支給に関する法律案(衆議院提出
)
第一〇 強制労働の廃止に関する条約(第百五
号)の締結のための関係法律の整備に関する
法律案(衆議院提出)
第一一 政治分野における男女共同参画の推進
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
委員長提出)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
日程第一 令和元年度一般会計歳入歳出決算、令和元年度特別会計歳入歳出決算、令和元年度国税収納金整理資金受払計算書、令和元年度政府関係機関決算書
日程第二 令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書
日程第三 令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。決算委員長野村哲郎さん。
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〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
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〔野村哲郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/1
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002・野村哲郎
○野村哲郎君 ただいま議題となりました令和元年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
令和元年度決算外二件は、昨年十一月三十日の本会議において、財務大臣から概要の報告を聴取いたしておりますので、その内容につきましては、これを省略させていただきます。
委員会におきましては、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを精査するとともに、政府施策の全般について国民的視野から実績評価を行い、その結果を将来の予算編成及びその執行に反映させるとの観点に立って審査を行ってまいりました。
まず、内閣総理大臣を始め全閣僚出席の下での全般質疑を行った後、全六回に及ぶ省庁別の審査など、合計九回の審査を行い、二〇二五年のプライマリーバランス黒字化に向けた今後の取組、水際対策やワクチン接種などの新型コロナウイルス感染症対策の在り方、特別支援教育における専門性向上及び指導体制充実の必要性、地方公共団体の情報セキュリティー対策のための支援の在り方など、行財政全般について熱心な論議が交わされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
六月七日、質疑を終局し、委員長より、令和元年度決算について本会議で議決すべき議決案を提出いたしました。
以下、その内容を申し上げます。
一、本件決算は、これを是認する。
二、内閣に対し、次のとおり警告する。
内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。
1 厚生労働省は、令和二年六月に新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)を公開したが、アプリ改修時の動作テストが不十分で、同年九月末から一部利用者に対して接触通知を配信できていなかったことに気付かず、三年二月になって事態を公表したことは、遺憾である。
政府は、アプリの不具合が発生したのがまさに感染拡大の時であり、利用者等からの指摘があったにもかかわらず、長い間放置していたことを重く受け止め、発注者としてシステムの開発や運用保守を実施するに当たって必要となる責任を自覚した上で、再発防止を含めた体制整備に万全を期すとともに、COCOAに関する情報を適時適切に提供してアプリの利用及び感染時の登録を促進し、感染拡大防止に役立てるべきである。
2 内閣府の企業主導型保育事業により整備した二十五施設の病児保育室又は一時預かり室について、八施設で看護師等の確保ができないなどの理由により病児保育等を全く実施していなかったこと、三施設で病児保育等の実施を中止し再開する予定がないこと、また、補助事業者である公益財団法人児童育成協会が、助成申込書を審査する際に、実施体制等に係る計画の提出を求めず職員の確保等に係る審査を行っていなかったこと、病児保育室等の整備後において、利用実態を把握し必要に応じて指導を行う仕組みを整備していなかったことは、遺憾である。
政府は、補助事業者を通じて事業者に制度を十分に周知するとともに、病児保育の実施体制に係る計画等を審査の際に提出させるなどの改善を図り、整備された病児保育室等については、政府自身もその利用実態を十分に把握し、適切な指導監査を行うべきである。
3 総務省の複数の幹部職員が、利害関係者との会食において、当該利害関係者から飲食費の負担や贈答品等を受けていたことなどが明らかとなり、国家公務員倫理規程違反として懲戒処分が行われるに至った。当該幹部職員のうち総務審議官は、総務省の内部調査において、事実と異なる説明を繰り返し、追加の懲戒処分が行われた。また、自己の飲食に要する費用の負担が一万円を超える会食の際には倫理規程上の届出を行う必要があるにもかかわらず、総務省の幹部職員はその認識が欠如していたことも内部調査で明らかになった。公務員倫理に反する行為により、情報通信行政がゆがめられたのではないかとの疑念を国民に抱かせ、公務への信頼が損なわれたことは、遺憾である。
政府は、利害関係者との不適切な会食等の実態や情報通信行政への影響の有無を調査するとともに、可能な範囲で公表し、公務員倫理に関する意識啓発や監督体制の強化等の実効性ある再発防止策を講じるなど、公務に対する国民の信頼回復に向けて徹底的に取り組むべきである。
4 株式会社東北新社は、平成二十九年一月に放送法に基づく基幹放送事業者の認定を受けたが、令和三年三月、同社は認定申請時及び認定時において同法が定めるいわゆる外資規制に違反していたことが明らかになり、同社から認定基幹放送事業者の地位を承継した株式会社東北新社メディアサービスの認定が取り消される事態となった。総務省による審査が不十分であったことにより、本来基幹放送事業者として認定すべきでない事業者を認定していたことは、遺憾である。
政府は、外資規制違反という重大な瑕疵を看過したことを重く受け止め、今般の事態に係る審査プロセスを徹底的に検証するとともに、可能な範囲で公表した上で、審査体制の強化を図るなど再発防止に万全を期すべきである。
5 国立大学法人佐賀大学が平成二十四年度の運営費交付金を原資として措置した震災復興医療体制整備システムについて、佐賀大学及び九州地区の六国立大学法人の保有する医療データを佐賀大学で集積、分析し、災害時に効果的な薬剤配給等ができるよう支援を行うことなどを目的に運用することになっていたにもかかわらず、佐賀大学が参加大学と役割分担等について十分に合意形成を図らなかったなどのため、当該システムに医療データが取り込まれず、二十六年の納品以降全く利用されていなかったことは、遺憾である。
政府は、当該システムの活用状況について把握しておらず、システムの運用を佐賀大学が断念せざるを得なくなったことを重く受け止め、国立大学法人等が行う運営費交付金による新規事業について、予算の執行状況や事業の進捗状況を適時適切に確認し、必要に応じ指導するなど、再発防止に万全を期すべきである。
6 日本年金機構は、事務処理誤りによる過払い年金が発生した場合の返還請求に係る事務を行っているが、事務処理の遅延等により過払い年金の一部又は全部について五年間の消滅時効期間を経過して返還請求が行えなくなった事案が多数発生していたことは、遺憾である。
政府は、年金事務所等において返還請求に係る事務処理の遅延が生じていたにもかかわらず、機構の本部において進捗管理を十分に行っていなかった事態を重く受け止め、再発防止策を講じるとともに、事務処理誤りによる過払い年金の発生を予防するための取組を進めるよう指導監督を徹底すべきである。
7 東京電力ホールディングス株式会社(東京電力)柏崎刈羽原子力発電所において、IDカード不正使用や核物質防護設備の機能の一部喪失等の一連の不適切事案が発生し、テロ対策に重大な不備があるとして、原子力規制委員会から特定核燃料物質の移動を禁じる是正措置命令が下されたことは、遺憾である。
政府は、福島第一原子力発電所事故を引き起こした当事者である東京電力において、組織的な管理機能の低下や安全文化の劣化が問題となっていることを深刻に受け止め、東京電力が原子力規制委員会の検査に真摯に対応し、徹底的な根本原因の究明と管理機能の抜本的な対策を講じるよう厳しく指導すべきである。
8 環境省は、平成二十七年度から再エネ発電により水素を製造して燃料電池自動車等に供給する水素ステーション(地域再エネ水素ステーション)の導入事業を実施していたが、会計検査院が十九事業を検査したところ、十七事業において、再エネ発電電力量により、水素の製造に必要な電力量(必要電力量)の全量相当分が賄われていなかった事態のみならず、そもそも必要電力量を明確に把握できていない技術的な課題があることも明らかとなり、同事業を廃止する事態となったことは、遺憾である。
政府は、制度設計に当たって当然行うべき技術的検証を怠ったことにより、このような事態を生じさせたことを重く受け止め、今後同様の事態を繰り返すことのないよう、検証と公表を行い、新たな事業を実施する際には事前に技術的な実効性について確認することを徹底し、再発防止に万全を期すべきである。
以上が議決案の内容であります。
また、議決案と併せて、委員長より八項目から成る内閣に対する措置要求決議案を提出いたしました。
討論の後、採決の結果、令和元年度決算は多数をもって是認すべきものと、内閣に対する警告案は全会一致をもって委員長提出案のとおり警告すべきものと議決されました。また、措置要求決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
次に、令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書は多数をもって是認すべきものと決定し、次いで、令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。
なお、同日、国会法第百五条の規定に基づき、会計検査院に対し、検査要請を行うことを決定いたしました。
検査項目は、放射性物質汚染対処特措法三事業等の入札、落札、契約金額等の状況についてであります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) 三件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。古賀之士さん。
〔古賀之士君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/3
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004・古賀之士
○古賀之士君 立憲民主・社民の古賀之士です。
ただいま議題となりました令和元年度決算及び令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書に反対、令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書及び内閣に対する警告決議案に賛成、以上の立場から討論いたします。
まず、議場の皆様にお伺いいたします。通常国会は来週で閉じる予定ですが、果たして本当にいいのでしょうか。
昨年の臨時国会の会期末、感染拡大が続き、特に大阪などは医療崩壊が懸念される危機的状況にあるとして、私たち野党は会期の延長を求めました。しかし、与党はこれを拒否、大事な時期に政治の空白、政策の空白をもたらしましたが、その結果はどうなったでしょうか。会期中から上昇傾向にあった感染者は、GoToキャンペーンの中止が遅れたこともあって年末年始にかけて急増し、二回目の緊急事態宣言に追い込まれたではありませんか。
あのとき国会が続いていれば幾ばくかの感染者の命が救えたのではないか、資金繰りに悩む経営者を助けられたのではないか、ぎりぎりまで節約する一人親家庭に手を差し伸べられたのではないか、そう考えると残念でなりません。もし、この通常国会を予定どおり閉会すれば、臨時国会での教訓を全く生かしていないことになります。
私たちは、国民の命と経済を救うために、これからも議論を続けるべきです。そもそも、現行の緊急事態宣言が六月二十日までなのに、国会がそれより早い十六日に閉じてしまうのは、誰がどう考えてもおかしいです。おととい、決算委員会でも、解除か継続かの判断の時期を明示するよう求めた福山幹事長の質問に対し、政府は、言を左右にして答えませんでした。まさか、また決戦は金曜日よろしく国会閉会後の十八日に判断するとすれば、これほど国民をばかにした話はありません。
働きたくても働けない、中でも非正規労働者の方々に働くべきときに働かない国会議員の姿がどう映るかを考えれば、今国会の会期については延長する以外に選択肢はあり得ない、そう申し上げておきます。
さて、本題であります令和元年度決算については、警告が八項目、措置要求も八項目と、多くの決議を行いました。これほどまでに火だるまになった決算について、一体誰が容認できるでしょう。
このうち、例えば地域再エネ水素ステーション導入事業への警告について検討しましょう。
再エネ発電により水素を製造して燃料電池自動車に供給する事業において、十九の事業中十七の事業が必要電力量を満たしていなかったばかりか、信じ難いことに必要電力量そのものの把握すらできないというお粗末な実態があり、事業の廃止に至っております。政府は温室効果ガスの四六%削減という目標を掲げていますが、水素の利用はその大きな役割を担うはずです。しかし、実際の事業はずさんなまま進められていました。今回の警告は、単に一事業にとどまるものではなく、日本の将来を左右する政策が砂上の楼閣であることを指摘する重大なものです。
なお、自動車における脱炭素化の推進については、立憲民主党と国民民主党が議員立法を提出いたしますので、議場の皆様も御理解と御協力をいただきますよう、この場を借りてお願い申し上げます。
措置要求についても、災害拠点病院の自家発電機が浸水によって機能しなくなる問題を指摘しています。十年前の東日本大震災の際、浸水によって原子力発電所の非常用発電機が機能しなくなり、大惨事につながったことは記憶に新しいところです。にもかかわらず、災害時に命を救う役割がある拠点病院がこの教訓を学んでいなかったことについて、愕然とせざるを得ません。この措置要求も、一事業に対する指摘ではなく、我が国が抱える根本的な課題として捉えなくてはならないでしょう。
また、会計検査院による「政府情報システムに関する会計検査の結果について」では、年金給付に関しては、およそ四百万件の手続のうち、電子申請は何と一件もないという驚くべき事実が指摘されていました。これに対して厚労省は、申請に必要な書類をあらかじめ年金受給者に郵送しているためという紙本位主義というべき説明をしています。こうした電子政府へのやる気を根本から疑わせるような言い分に接しますと、せっかく誕生するデジタル庁の行方はさぞ暗かろうと心配になるのは私だけではないはずです。
ただし、現状でも、紙なら万事うまくいくというわけではありません。国会審議の中でも、政府に対する各種資料要求について、近年、開示内容を制限したり、時間の掛かる対応が増えたりしています。国政調査権を背景とする資料要求については最大限迅速に対応すべきであると政府に強く警告いたします。
感染リスクのコントロールをしながらしっかりと経済を回していく、私たちの仕事や暮らしを守ることにもっと軸足を置いた取組が必要です。これは昨年六月に行われた安倍前総理の記者会見の言葉です。では、この一年間はどうだったでしょうか。
一年前の去年六月八日の感染者数が全国で二十一人だったのに対して、昨日は千八百八十四人と九十倍ですから、感染リスクはコントロールできていません。リーマン・ショック以来、十一年ぶりに生活保護が増加、完全失業率も悪化、経済成長率に至っては戦後最悪の下落となるなど、経済は回らず、仕事や暮らしは守れませんでした。
それだけではありません。例えば、留学を希望する学生の多くが、去年、突然その機会を奪われたばかりか、先進国とは呼べないほどのワクチン接種状況により、今年も渡航できそうにない状況です。政府の怠慢で学生の学びの場と希望が失われることに、私は強い憤りを感じております。
もっとも、それも当然です。この間の政府は、全ての道はオリンピックに通ずであるかのように、国民の命や暮らしよりもオリンピックを重視した政策を取ってきたからです。無論、政府の中には、この状況でオリンピック開催の準備を進めるのはいかがなものかという意見を持っている人も多いかと思います。しかし、これまで人事権を振りかざしてきた菅総理に諫言できるわけもありません。
今の官邸は、言わば、牟田口中将の必勝の信念に対し、補佐すべき幕僚はもはや何を言っても無理だというムードに包まれてしまったという、あのインパール作戦の状況とうり二つという声もあります。
事実、おとといの決算委員会で、水岡会長がオリンピックを中止する選択肢はあるかと再三再四質問したにもかかわらず、総理は訳の分からない主張を繰り返すばかりでした。牟田口は作戦の成功を楽観視していたのであり、彼にとってコンティンジェンシープランを検討する必要性はほとんど認められなかったという「失敗の本質」の記述がそっくりそのまま当てはまるのではないかという声すらあります。
入院先が見付からずに自宅のベッドで一人苦しんでいる人、突然のリストラで不安に押し潰されそうになっている人、おいしい酒とさかなを出すことにプライドを懸けているのに営業を再開できず悩んでいる人、こうした国民を置き去りにして国会を閉じ、ひたすらオリンピックへと邁進する姿、この現在の政府の姿には、もう一つの案、コンティンジェンシープランを持たない深刻な状況にあると申し上げ、いま一度、この国会を閉じずに、与野党を超えた国民のための審議を求めて、私の討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/4
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005・山東昭子
○議長(山東昭子君) 柴田巧さん。
〔柴田巧君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/5
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006・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和元年度決算の是認に反対、令和元年度国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、令和元年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に反対、そして、内閣に対する警告決議案には賛成の立場で討論をいたします。
行政の無駄や不正が後を絶ちません。会計検査院の検査報告では、件数二百四十八件、金額にして二百九十七億円の国費の無駄遣いが指摘されました。前年度の三百三十五件、一千二億円に比べると大幅に減っており、過去十年でも最少でありますが、これは、新型コロナウイルス感染症拡大によって会計検査院が各地に出向く実地検査を抑制したからにほかなりません。
しかし、そのような中でも、過去何度も同じ指摘を受けながら、国費の不適切な支出が繰り返されている状況は改まっていません。消費税率を引き上げ、負担増を求めておきながら、行政の無駄や不正が後を絶たないのでは、国民の理解を得ることは不可能であります。
まずこのことを申し上げ、以下、具体的な問題点を指摘しながら、反対理由を述べます。
まず第一は、独立行政法人の多額の繰越欠損金が回収不能のおそれがあることです。
独法三十法人四十三勘定の平成二十三年事業年度末から令和元年事業年度末までの繰越欠損金の状況を会計検査院が検査したところ、このうち十一法人で赤字に当たる繰越欠損金が計六千二百九十九億円に上ることが明らかになりました。十一法人のうち四法人では、既に新規事業の実施を取りやめたり、一部事業の廃止が見込まれたりしており、今後、国が出資した計千七百五十五億円の大半が欠損金の清算に充てられ、回収不能となるおそれがあります。
独法の大半は国から出資を受け、公的事業を実施をしています。しかし、ずさんな運営が行われ、赤字が出たらそのツケを安易に国民負担に求めることはあってはなりません。
繰越欠損金を抱える独法及び所管する各省は、今回の会計検査院の検査結果を重く受け止め、徹底的な検証を行うとともに、効率的な業務運営に真剣に努めるべきです。また、この際、独法全体にわたるガバナンス等の問題がないか総点検すべきだと強く申し上げておきます。
第二の問題点は、エネルギー使用合理化等事業者支援事業の不適切な実施です。
資源エネルギー庁は、エネルギー使用合理化に取り組む民間事業者等に対し、その経費の一部を補助する事業を実施をしていますが、補助する事業者を選定し補助金を交付する事務は、一般社団法人環境共創イニシアチブに委託をしています。
会計検査院が検査したところ、事業により達成された省エネルギー量の実績を正しく計算すると、交付申請した際の計画量を達成していない事態や、エネルギー管理支援サービス契約を締結してより効果的な省エネルギーの実現を目指すことを申請をしながら、これによる運用改善が全く行われていなかった事態などが明らかとなりました。
政府においては、各交付先において計画していた省エネルギー量の達成状況を改めて確認し、達成できていない場合には補助金返還を求めるとともに、エネルギー管理支援サービス契約に係る運用改善が確実に行われるよう、補助事業者に厳しく指導監督すべきです。
第三の問題は、官民ファンドの投資実績が低調で、大きな累積損失が生じていることです。
民間が担い難いリスクマネーを供給し、民間投資を喚起することを目的とする官民ファンドは、令和元年度末時点で十三あり、政府からの出資額だけでも一兆円を超えています。しかし、投資実績が低調で、幾つものファンドで多額の累積損失が出ています。
このうち、農林水産省が所管する農林漁業成長産業化支援機構、A―FIVEは、赤字が続き、廃止が決まりました。A―FIVEによれば、廃止の時期は令和七年度末で、累積損失が百二十億円になる見通しとのこと。
官民ファンドへの主な資金源は財務省所管の産業投資資金で、国が持つNTT株やJT株の配当を元手に、年一千億円から四千億円を産業投資に注いできました。このように官民ファンドの原資は国民の公的財産であり、多額の損失が発生し、廃止が決まったことは極めて遺憾です。このA―FIVEを含め、令和元年度末で官民ファンド全体の累積損失額は四百九十六億円に膨れ上がっています。
官民ファンドは、民間資金は集まりにくいが政府が進めたい産業分野のベンチャー投資とされていますが、成長可能性のある産業なら民間ファンドから資金が集まるので、官民ファンドに持ち込まれるのは、どうしても成長性、収益性の見通しが持てない案件が多くなるのが実情です。しかも、官民の寄り合い世帯は生き馬の目を抜く投資の世界には不向きで、官の判断の遅さが致命傷になりかねません。
官民ファンドの経営状況を一層厳しく監視するとともに、A―FIVE以外の赤字ファンドも早期清算に向けた議論を開始するなど、明確な出口戦略を早急に示すべきであります。
第四は、ODA事業において、その効果を十分発現していない事態が続いていることです。
外務省及び国際協力機構、JICAが実施するODAについて会計検査院が検査したところ、対パプアニューギニア無償資金協力で、学習環境改善等を目的とした校舎の建設に当たり、現地の大使館が工事への進捗状況を十分に確認しておらず、安全性等の問題で現地当局から建築停止命令等を受け、完成間近であった校舎が学校の敷地所有者に取り壊されていた事態が明らかになりました。
また、対ソロモン諸島無償資金協力においては、整備した防災連絡システム機材が取り外されたままとなっていたり、一部が所在不明となっていたりして、住民への緊急の災害関連情報の提供に支障が生じるおそれがある状況となっていた事態が判明をしました。
このように、ODAが効果を十分発現しない事態は実は今回が初めてではなく、ここ数年同じような指摘を会計検査院から受けています。外務省とJICAにおいては、これまで発生した事態の原因を検証し、これ以上同種のことを繰り返さないために、ODA事業に係る体制の強化や現地の大使館員等に対する研修を行うなど、ODA事業が効果を十分発現して相手国の発展、振興に真に資するよう、真剣に取り組むべきであります。
最後に申し上げます。税金の無駄遣いをやめ、真に必要な予算を確保するには、まず議員自らがその身を切る覚悟を示し、実践をすることです。
我が党が大阪で与党となった平成二十三年に、大阪府議会で議員定数を百九から八十八に削減をする条例改正案を可決し、その本気度が理解されて以降、大阪府・市で抜本的かつ実のある行財政改革が断行されてきました。大阪市の借入れは八年間で約一兆六千億円以上が削減をされ、同時に教育の無償化などが実現をしました。
翻って、国では税金の無駄遣いに歯止めが掛からず、一昨年には参議院で議員定数が六も増えました。反面、国民には消費増税で更なる痛みを強いていることは全く理にかないません。
隗より始めよです。日本維新の会は、今国会に歳費及び期末手当二割削減など、身を切る改革関連十三法案を提出をしています。なお、期末手当については、国会で検討の土壌にのっていないことから、自主的に三割を党に寄附した上で、党より災害地やコロナ関連などへの寄附に充てています。さらに、文書通信交通滞在費の使途を公開するとともに、企業・団体献金は一円も受け取りません。このように徹底した身を切る改革を実践しているのは日本維新の会だけであります。
コロナ禍でやむを得ないとはいえ、国の財政事情は一層悪化をしています。日本の未来に投資するために、税金の無駄遣いの是正始め行財政改革を足踏みすることなく進めていかなければなりません。そのスタートは議員自らの身を切る改革だと確信をしています。
我が党は、これからも率先してこれに果敢に取り組んでいくことをお誓いをして、私の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/6
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007・山東昭子
○議長(山東昭子君) 芳賀道也さん。
〔芳賀道也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/7
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008・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
私は、会派を代表し、令和元年度決算案外二案に反対、警告決議案に賛成の討論を行います。
決算案に反対する理由は数多くありますが、そのうち五つを指摘させていただきます。
この令和元年度、夏の参議院選挙で、私も含めて四十人の新人議員が誕生しました。この四十人の中には、広島県選挙区で当選し、後に公職選挙法違反で有罪、当選無効となった河井案里候補も含まれます。
参議院選挙に先立つ四月十三日には、安倍前総理主催の桜を見る会が開催。史上最多の一万八千人が出席しました。桜を見る会は、安倍事務所が地元有権者を八百人も招待するなど税金の私物化の場となり、また、反社会勢力と思われる方が出席し、マルチ商法の疑いで逮捕された方にも安倍前総理から招待状が届くなど、多くの問題がありました。全容解明が必要です。
令和元年度決算案に反対する理由の第一は、税金の私物化の場となった桜を見る会に予算の三倍の五千五百十八万円も支出され、そして、参加者名簿が廃棄されたとして非公開であることです。昨年の決算委員会でも、桜を見る会の不適切な運営について、内閣に対する措置要求決議がされました。
また、与党の問題ではありますが、この年に自民党から河井案里陣営に支出された一億五千万円の使途がいまだに公開されていません。桜を見る会前夜祭でのホテルの明細書や出席者名簿も含め、安倍前総理や二階幹事長の説明責任が果たされていないことも問題です。
お金をばらまいて票を得るという腐敗した選挙、そして、権力者とその周囲がコネを使って利益を貪るという政治を終わらせるためには、徹底した全容解明と原因究明、そして再発防止が必要です。
この決算案に反対する第二の理由は、効果のない消費税率引上げ対策です。
政府は、消費税率引上げに伴う対応として、軽減税率やプレミアム付き商品券、キャッシュレス決済に対するポイント還元制度、マイナンバーカードを活用した消費活性化策、住宅購入支援として住宅ローン減税の拡大や次世代住宅ポイント制度など、はたまた商店街活性化策や国土強靱化など、合計二兆二百八十億円を当初予算に計上しました。
しかし、消費税の差引き歳入額を見ると、前年度の十七兆六千八百八億円から令和元年度に十八兆三千五百二十六億円へと六千七百十八億円しか増えていません。二兆円も対策費を計上したのに税収が六千七百億円しか増えていないとは、一体何のための消費税率引上げ対策だったのでしょうか。この年の十月に消費税率が八%から一〇%になり、新型コロナの感染拡大以前に、十月から大きな景気後退の引き金を引いたことは、その後のコロナ禍と相まって、経済の混乱を招いた明らかな失策でした。
また、消費税は所得の低い人ほど負担が大きい、逆進性の高い税金です。野党は、この逆進性の対策として給付付き税額控除の導入を提案しており、専門家もその必要性を指摘しています。しかし、政府が導入した消費税率引上げ対策は富裕層に有利なもの、消費税引上げ対策から遠いものばかりです。このような予算の使い方には反対です。
決算案に反対する第三の理由は、イージス・アショアなどアメリカの有償軍事援助、FMSが防衛関係費の際限のない拡大につながることです。
イージス・アショアはこの年度に契約され、その年の債務負担額が千七百三十一億円、イージス・アショアの秋田県の配備計画は余りにもずさんで、多くの批判を受けました。河野防衛大臣が配備中止を決定。昨年の決算委員会では、イージス・アショアについて防衛省経理に関する決議がありました。
また、この年度にF35A戦闘機六機の新規契約がなされ、債務負担額七百四十四億円など、FMSが前年から七〇%以上増えて七千十七億円に膨張。昨年の決算委員会で、アメリカの有償軍事援助の問題について警告決議がありました。
決算案に反対する第四の理由は、当初予算が経済成長について非常に楽観的過ぎるシナリオと問題のある統計データに基づいて組まれていたことです。
同じ会派の大塚耕平議員が当時の予算審議の中で指摘していたことですが、この年の当初予算案の前提は、GDPが名目でプラス二・四%、実質でプラス一・三%成長するという余りにも楽観的な経済認識でした。実際には、内閣府の今年五月十八日発表のデータによると、令和元年度の成長率は名目でプラス〇・三%、実質でマイナス〇・五%なのです。
さらに、この前提となっている各種の経済データに統計不正の疑いがあります。立憲民主党の小川淳也衆議院議員の指摘によれば、第二次安倍政権以降、五十三件の統計手法が見直され、そのうち三十八件はGDP、国内総生産に影響する統計です。政府がその検証データも公開しないまま、与党は予算案を通過させました。その年の決算委員会では、厚生労働省の毎月勤労統計調査について警告決議がありました。そして、公的統計の整備に関する業務の実施状況等について会計検査院の検査要請が決議されています。
決算案に反対する第五の理由は、私たちの会派、国民民主党の伊藤孝恵議員などが要請した会計検査院の検査要請項目四項目が自民党の反対で削除されたことです。
例えば、国民民主党の伊藤孝恵議員は四月十九日の決算委員会にて、内閣府IT本部が政府の全省庁の情報システムを発注前から一元的に管理すると昨年竹本大臣が答弁したにもかかわらず、今の内閣IT本部が伊藤議員が指摘するまで経済産業省の新システムTeCOTを把握していなかった問題を指摘。また、五輪用入国者健康管理アプリ、オリパラアプリを十二月二十八日という仕事納めの日に政府が発注し、一月八日締切りという極めて異例の短期間で競争入札した問題を指摘。事前説明会が開かれなかった上、五社のコンソーシアムが落札するという異常さでした。さらに、ワクチン接種管理システムを受注したITベンチャーに過去の実績が少なく、公共事業の受注が三百万円以上千五百万円以下の契約が可能なレベルでしかないのに、随意契約で三億八千万円も受注したこと。
このような異常な経緯について会計検査院に検査を要請すべきだという伊藤議員の指摘は、まさに的を射ています。それぞれ担当の大臣も否定していません。伊藤議員は、新型コロナ対策の各種給付金の事務費が不透明な問題も指摘。しかし、自民党の強い反対で、いずれも会計検査院への検査要請項目から外されました。大変残念です。会計検査院に調べられると困ることでもあるのでしょうか。自民党が要請項目を五項目からたった一項目へと大きく減らしたことで、参議院の存在意義でもある決算重視の方針がないがしろにされてしまいました。
以上のように、第一に、税金の私物化の場となった桜を見る会に予算の三倍にも上る五千五百十八万円も支出され、参加者名簿が廃棄されたとして非公開であること、第二に、効果のない消費税率引上げ対策、第三に、イージス・アショアなどアメリカの有償軍事援助、FMSの問題、第四に、非常に楽観的過ぎる経済成長シナリオと問題のある統計データに基づいて組まれた予算であること、そして第五に、国民民主党の伊藤孝恵議員などから提案があった的確な会計検査院の検査要請項目が自民党の拒否により除外されたことなど、多くの理由で令和元年度決算案に反対いたします。
良識の府である参議院の皆様に、この決算案に反対をいただくようお願い申し上げて、私、国民民主党・新緑風会、芳賀道也の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/8
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009・山東昭子
○議長(山東昭子君) 岩渕友さん。
〔岩渕友君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/9
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010・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、二〇一九年度決算、国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、内閣に対する警告決議、国有財産無償貸付状況総計算書の是認に賛成の立場から討論を行います。
討論に入る前に、オリンピック問題について申し上げます。
東京五輪の開催について、中止、延期を求める国民世論が高まり、政府分科会の尾身会長が、今の状況でやるというのは普通はないと国会で答弁するなど、専門家からも感染拡大や医療体制の逼迫の危険が指摘されています。菅総理は、おとといの決算委員会で、オリンピックは国民の命と健康を守れなければやらないと答弁しましたが、国民が納得する基準を示すことができませんでした。それにもかかわらず、我が党の小池晃議員が政府分科会に諮問するべきと何度求めても応じませんでした。科学的根拠も示さず、都合の悪い意見には耳を塞いでオリンピックを強行するなど、断じて許されません。オリンピックの開催は、感染爆発を招くリスクと医療に更なる負担を掛けるものであり、直ちに中止するべきです。
以下、主に二〇一九年度決算に反対の理由を述べます。
反対する第一の理由は、消費税一〇%の増税によって、国民に五・七兆円もの負担増を押し付けるとともに、社会保障の切捨てを行ったものだからです。
増税は、コロナ禍の下、国民の命と暮らしを脅かし、営業への深刻な打撃となっています。世界では五十八もの国・地域が消費税、付加価値税の減税に踏み出す一方、菅政権は一貫して消費税の減税を拒否してきました。日本共産党は消費税五%への減税を提案していますが、消費税率の引下げを決断することが、冷え込んだ家計を温め、苦境に立たされている中小企業・小規模事業者の営業を守ることになります。
消費税が導入されてから二一年度予算額までの累計で、国民は四百四十七兆円もの消費税を納める一方、同時期の法人税三税は三百二十六兆円減、所得税、住民税も二百八十七兆円の減収となりました。消費税は、大企業と富裕層への減税を含む税収減の穴埋めに使われ、社会保障の充実にも財政再建にも役立ちませんでした。しかも、コロナ禍で医療の逼迫が広がる中、消費税を財源とした補助金で病床削減を支援する法案が強行されました。社会保障に使うどころか、社会保障削減のために消費税が使われるのです。
バイデン米大統領がトランプ前政権が引き下げた法人税率の引上げを提案し、イギリスが約五十年ぶりに法人税の引上げを決めるなど、大企業や富裕層に能力に応じた負担を求める動きが世界の流れになっています。日本も応分の負担へと転換し、国民の暮らしを守るために使うべきです。
中小企業対策費は過去最低を更新し、コロナ禍で、農林水産関連費とともに、雇用と地域経済を支える中小企業・小規模事業者への直接支援は極めて不十分です。野党は衆議院で持続化給付金再支給法案を提出しましたが、中小企業・小規模事業者や農林水産業者の営業、営農を支える対策が必要です。
文教費も、長時間労働の是正が急務である公立小中学校教員の抜本的な増員に背を向けるものとなっています。保護者や教職員の長年の運動によって、小学校全体での三十五人学級が実現しました。早急な実施と中学校での具体化など、更なる拡充が必要です。そのためにも、非正規教員を正規化するなど、教員の抜本的な増員を強く求めます。
反対の第二の理由は、安倍前政権の下、新防衛計画大綱と中期防衛力整備計画を策定して、戦争する国づくりを進めてきたからです。
一九年度の軍事費は五兆六千億円となり、五年連続で過去最高を更新しました。安倍前政権は、トランプ前米大統領の求めに応じて米国の有償軍事援助、FMSによりF35戦闘機などの高額な米国製武器の爆買いを進めてきましたが、予算に計上されていたイージス・アショアが断念に追い込まれたことは、その矛盾と危険をあらわにしました。
補正予算でF35A戦闘機や巡航ミサイルといった兵器等を前倒しで取得するための歳出化経費を常態化させ、一九年度補正後の後年度負担額は五兆六千億円を超えました。将来の財政を圧迫し、国民に必要な施策の実施が困難になる危険性が増大しており、反対です。
民意に背き、莫大なコストと期間が掛かる辺野古新基地建設も直ちに中止するべきです。しかも、沖縄戦の激戦地で今も戦没者の遺骨が多数収集されている沖縄本島南部の土砂を埋立てに使うなど、到底許されません。
反対の第三の理由は、コロナ対策に財政を集中すべきときに、三大都市圏環状道路や国際コンテナ戦略港湾、技術面、安全面、環境面で問題が指摘されている東京外郭環状道路やリニア中央新幹線の建設など、新規大型開発を進めているからです。
安倍前政権は、補正予算で特例公債、建設国債を発行し、高速道路のネットワーク化や世界レベルのホテル建設を含む民間都市開発、日本の大企業によるMアンドAやインフラ整備などの新規大型開発を進めるなど、大盤振る舞いを行っています。加えて、一兆四千億円を超える財政投融資計画も新たに追加しました。超低金利を利用した新規事業の予算化は、財政負担を増やし、財政、金融を更に困難へと追い込むことになり、容認できません。
原発再稼働や破綻した核燃サイクルを推進するものとなっていることも大問題です。
東京電力福島第一原発事故から十年たっても非常事態宣言は発令されたまま、ふるさとに戻ることができない方々は数万人に上ります。
菅首相は二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言していますが、脱炭素を口実に原発を強力に進め、高効率を理由として石炭火力にしがみつくことは、世界の脱炭素を主導するどころか、温室効果ガスの一・五度抑制の達成に努力する世界の足を引っ張るものです。原発ゼロを決断し、省エネ、再エネ中心のエネルギー政策へ転換するべきです。
二〇一九年度決算は、総理大臣が主催する政府の公的行事として、桜を見る会に予算の三倍もの税金が投入されたものです。安倍前総理も菅総理も、国民へのまともな説明も行わず、疑惑の解明に背を向け続け、安倍前総理は少なくとも百十八回も虚偽答弁を行うなど、国会審議を妨げてきました。この点からも決算を断じて容認することはできません。
桜を見る会や森友、加計問題で浮き彫りになった政治の私物化とモラルの崩壊は、河井克行元法相と河井案里元参議院議員の大規模買収事件、吉川貴盛元農林水産相による鶏卵汚職事件、菅原一秀前経済産業相の公選法違反事件など、安倍・菅政権の下で相次ぐ政治と金の問題、東北新社やNTTによる総務省への接待で行政がゆがめられた問題などの大本に関わる重大な問題です。疑惑の真相解明を徹底的に行うことを求めます。
とりわけ、河井事件は二〇一九年の参院選を舞台にした事件です。原資となった疑いのある自民党本部からの一億五千万の交付は、政党助成金という税金が絡んでいます。誰の責任で支出され、どのように使われたのかを明らかにすることは、決算重視の参議院としてゆるがせにできないことを強調し、討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/10
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011・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/11
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012・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一の令和元年度決算の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。
これより採決をいたします。
まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することについて採決をいたします。
本件決算を委員長報告のとおり是認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/12
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013・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)
次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することについて採決をいたします。
委員長報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/13
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014・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。(拍手)
次に、日程第二の国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。
本件を委員長報告のとおり是認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/14
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015・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)
次に、日程第三の国有財産無償貸付状況総計算書について採決をいたします。
本件を委員長報告のとおり是認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/15
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016・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)
先ほど議決されました内閣に対する警告に関し、内閣総理大臣から発言を求められました。菅義偉内閣総理大臣。
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/16
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017・菅義偉
○内閣総理大臣(菅義偉君) ただいまの御決議に対しまして所信を申し述べます。
政府としては、従来から国の諸施策の推進に当たって、適正かつ効率的に執行するよう最善の努力を行っているところでありますが、今般八項目にわたる御指摘を受けましたことは、誠に遺憾であります。
これらの御決議の内容は、いずれも政府として重く受け止めるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善、指導してまいります。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/17
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018・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第四 消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方創生及び消費者問題に関する特別委員長石井浩郎さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔石井浩郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/18
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019・石井浩郎
○石井浩郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生及び消費者問題に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、通信販売における契約の申込みに係る書面等への不実の表示を禁止するとともに、販売を伴う預託等取引を原則として禁止する等の措置を講じようとするものであります。
なお、衆議院におきまして、契約の申込みの撤回等を電磁的記録により行う場合の効力発生時期について、通知を発したときとすること、契約書面等の電磁的方法による提供に関する規定について、施行期日を一年延期し二年以内とするとともに、施行後二年を経過した場合の検討規定を設けること等について修正が行われております。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、契約書面等の電磁的方法による提供を全ての取引類型に広げた経緯、消費者の実質的な承諾の取り方等の消費者保護策、詐欺的な定期購入商法、送り付け商法、販売預託商法に関する対策の実効性及び改正内容の周知徹底等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の川田委員より反対、日本共産党の大門委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/19
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020・山東昭子
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。福島みずほさん。
〔福島みずほ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/20
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021・福島みずほ
○福島みずほ君 福島みずほです。
私は、立憲民主・社民を代表して、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
菅政権のコロナ対策は、余りに後手後手、余りに支離滅裂です。アベノマスクとGoToキャンペーンに見られるように、本気でコロナ対策をしようとしているとは思えません。アクセルとブレーキを同時に踏むような政策を常に取っています。経済を優先し、PCR検査を拡充をせず、補償や支援は不十分で、人々の生活は困窮をしています。
コロナ禍の前から保健所や病床の削減を行い、コロナ禍の中、この一年間でも二万床以上病床削減をしています。そして、病床削減に対して消費税が財源となる百九十五億円の予算を付け、病床削減を促進しようとする医療法改悪法まで成立をさせました。公立病院、公的病院の再編、統廃合を進めることをやめません。コロナ禍に対応するどころか、なぜ真逆の政策を推進するのでしょうか。
病床が切迫しているにもかかわらず、感染拡大につながりかねない東京オリンピック・パラリンピックを強行しようとしています。専門家会議の意見を聞こうとすらしません。オリンピック・パラリンピックを強行し、感染が拡大したら一体どうするんですか。責任が取れるんですか。
仕事がない、お金がない、住まいがない、地面の底が抜けるような暮らしをしている人たちにたくさん会ってきました。貧困と絶望が広がっている中で政治の公助の出番です。菅政権は自助と言い、全く対策が取れていません。それは、安倍政権、菅政権が人の命と暮らしを守ることが政治であるという認識なくして政治をやってきたからではないでしょうか。命と暮らしを守らない政治には退陣をしてもらわなければなりません。
また、菅政権は、デジタル庁関連法案を成立させ、重要土地規制法案を提出しています。この重要土地規制法案では、なぜ基地や原発や様々な施設の一キロメートルのところに住んでいたら調査の対象になり、報告聴取まで受けなければならないのですか。注視区域や特別注視区域の定義も全く分かりません。機能を阻害するおそれがあるとして、なぜ内閣総理大臣の勧告や中止命令を受けなければならないのですか。中止命令に反すれば懲役刑となる可能性もあります。
重要土地規制法案は、情報収集し、人々の監視をし、内閣総理大臣の権限を強めるものです。菅総理の学術会議のメンバーの任命拒否に端的に表れるように、菅政権の本質は監視と弾圧と排除です。基本的人権を侵害し、民主主義を損なうこのような政治を一刻も早くやめさせなければなりません。
特商法改正法案で元々予定されていた内容は、すなわち、豊田商事、安愚楽牧場、ジャパンライフ、そしてケフィアといった巨額の被害を生み出してきた預託商法を原則禁止とするものです。
一端を挙げれば、豊田商事は被害額二千億円、被害者三万人、安愚楽牧場は被害額四千二百億円、被害者七万三千人、ジャパンライフは被害額二千百億円、被害者一万人、ケフィア・かぶちゃんグループは被害額一千億円、被害者三万人など巨額の被害を出し、実に多くの人たちに被害を与え、生活を破壊し、裏切って苦痛を与えてきたのです。
この預託商法の原則禁止、詐欺的利用の絶えなかった定期購入商法を厳罰化すること、そして、送り付け商法による被害の根絶を図ることなどの改正事項は、消費者被害の防止、利益の保全を図るものであり、全面的に賛成です。安倍総理が主催をした桜を見る会がジャパンライフの広告塔として使われ、長い間、預託法に基づく消費者被害を拡大させてきたことは痛恨の極みです。遅きに失したとはいえ、特商法の改正は必要でした。
しかし、なぜその特商法の改正の中に電子契約が入っているのでしょうか。消費者庁の有識者会議で議論になっていなかった契約の電子化について、なぜ導入することになったのか。消費者庁は、経済界が契約書の電子化を求めても、消費者保護にならないと応じてこなかった経過があります。規制改革推進会議成長戦略ワーキング・グループ第三回会議で問題提起をされたことは、オンライン契約の際の印鑑廃止、書面の電子化を進めることだけでしかありません。
菅政権がデジタル改革を強力に打ち出す中、規制改革推進会議に求められてもいない契約書面にまで井上大臣が電子化を広げ、オンライン取引以外の対面型、訪問販売、連鎖販売等まで拡大をしてしまいました。
契約書面を紙で交付することは、契約内容の確認、クーリングオフ制度の告知、そして第三者による契約の存在の認知など、消費者を守る重要な機能を果たしてきています。書面交付義務を電子データに変えることは、契約内容やクーリングオフの規定を消費者が気付きにくくなり、消費者被害が起きやすくなる危険性があります。
特商法は、訪問販売など業者と消費者の間における紛争が生じやすい取引について、勧誘行為の規制等をしてきた法律です。元々紛争や詐欺などが起きやすい類型について、一般法とは別に特別法を作り、規制をしてきたものです。
訪問販売など対面で行う契約に、なぜわざわざ電子契約を導入するんですか。訪問販売で高齢者を対象に詐欺商法をしてきた人たちが、分かりにくい電子契約を悪用することは、火を見るより明らかです。消費者被害が起きたときにどう一体責任を取るんですか。消費者被害に関する国家賠償請求訴訟で消費者庁が被告になるんですか。このままでは、消費者保護に尽力してきた人たちの努力が無駄になってしまいます。
電子契約を導入することに関して、様々な消費者団体、弁護士会、地方議会などから反対の意見書が数多く届けられています。消費者問題に取り組んでいる人たちから懸念の声が上がり、削除すべきだという要望が出され、国会の審議でも強く求められました。私たちも削除を要求いたしました。しかし、井上大臣が全く応じなかったことは本当に残念です。消費者委員会での内閣提出法案は、これまでは全会一致で可決をされてきました。初めてこの国会で反対せざるを得ないことは痛恨の極みです。
井上大臣は、地方創生消費者特別委員会での私の質問に、本法案は規制改革会議の要請であると答えました。そこで、大臣は規制改革会議の側に立つんですか、消費者保護の立場に立つんですかと質問をしたところ、井上大臣は、これはどちらの側に立つということではないと答弁をしました。ひどい答弁です。消費者担当大臣が消費者保護の立場に立たなくて一体どうするんですか。消費者保護の立場に立たない消費者担当大臣は要りません。
消費者庁は、消費者被害に遭った当事者の皆さん、消費者問題に取り組んできたたくさんの団体や弁護士、司法書士の皆さん、多くの市民の皆さんたちの消費者庁をつくってくれという声に全ての政党が応えて、二〇〇九年九月一日に設立をされました。今回の特商法改正法案は、消費者庁設立に力を注ぎ、消費者庁を応援し、消費者被害に取り組むたくさんの人たちの思いや努力を裏切るもので、断じて許すことはできません。
消費者保護よりも規制改革会議や菅政権にそんたくをする井上担当大臣に強く抗議し、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/21
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022・山東昭子
○議長(山東昭子君) 大門実紀史さん。
〔大門実紀史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/22
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023・大門実紀史
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
会派を代表し、特定商取引法等改正案に反対の討論を行います。
本改正案は、書面交付の電子化を除けば大変いい改正案です。豊田商事やジャパンライフなど悪質な事件を引き起こしてきた預託商法の原則禁止や一方的に商品を送り付け代金を請求する送り付け商法の規制など、消費者保護に資する様々な改正が含まれています。
これらの改正内容は、長年悪徳業者と闘ってきた消費生活相談員や弁護士など現場の方々が強く要望してきたものです。特に預託法の改正については、消費者庁が事業者に配慮して規制を掛けることをかたくなに拒んできましたが、現場の粘り強い運動と野党の国会質問、そして前消費者担当大臣の決断によってようやく実現したものです。
ところが、昨年末、消費者保護よりもデジタル戦略を掲げる菅首相に迎合しようとした井上大臣の独断によって、突然、書面交付の電子化が改正案に盛り込まれました。書面交付の電子化は消費者保護どころか被害を拡大するマイナスの改定です。
ジャパンライフ事件ではたくさんのお年寄りがだまされましたが、契約書が紙であることで被害が発覚したり、紙が残っていることで裁判に訴えることもできたのです。全国の消費者団体や弁護士会から書面交付の電子化に一斉に反対の声が上がったのは当然です。
井上大臣の誤った独断が日夜消費者を守るために頑張っておられる現場の方々の猛反発を招き、消費者庁の信頼を地に落としたのです。あなたは一体何のために消費者担当大臣になったんですか。
しかも、井上大臣の答弁には三つのごまかしがありました。
第一は、書面の電子化は消費者の利便性の向上のためという答弁です。しかし、それは一般商取引の話であって、消費者被害の多い訪問販売や電話勧誘の世界で利便性など高まってもらっては困るんです。このことは消費者庁も百も承知していたから、あなたの指示が出るまでは書面交付の電子化を拒否してきたのです。
第二のごまかしは、訪問販売などを含む全面的な書面の電子化は、内閣府の規制改革推進室の事務方から求められたものだという答弁です。しかし、菅総理も述べておられたように、規制改革推進室が消費者保護や国民の安全に関わることまで書面の電子化を求めた事実は一切ありません。
規制改革推進室の政府参考人も私の質問に対し、我々が想定していなかった訪問販売などにおける書面の電子化は、消費者庁自ら積極的に提案してきたと明確に答えています。規制改革推進室が求めてきたという大臣の答弁は明らかに虚偽答弁です。自分から言い出したことを他省庁の、しかも事務方の責任にするなど、井上大臣、余りにもみっともないと思いませんか。
第三のごまかしは、書面交付の電子化は第三者機関である消費者委員会にも了承していただいたと、まるで消費者委員会からお墨付きをもらったような答弁を繰り返してきたことです。
確かに、消費者委員会の建議は書面交付の電子化を前提にしたような書きぶりになっています。しかし、消費者委員会の議論では書面交付の電子化に反対、慎重な意見が多数を占めていました。にもかかわらずそういう建議になったのは、消費者委員会の事務局が、委員の方々に対し、電子化は菅内閣の方針であらがえない、消費者委員会としては電子化を前提にした建議を出すべきと誘導したからです。誘導したのは、ほかでもありません、委員会質疑でも明らかにしたように、消費者庁から消費者委員会に送り込まれた事務局長です。
消費者委員会のある委員の方は、これだけの要件を満たさなければ電子化には反対、そういうつもりで建議を了承したのにと、悔しい思いを語っておられました。自分の行いを正当化するために真面目な委員の方々の思いを利用するなど、井上大臣、恥ずかしいとは思いませんか。
菅総理や麻生副総理からの指示によって、消費者庁は政省令において書面電子化による被害防止のための措置を検討することになりました。麻生さんの御指名でしたので、私も消費者庁の相談に乗り、意見交換をしました。焦点は、書面交付の電子化を消費者本人が承諾する方法でした。
お年寄りなどを被害から守るためには、書面交付の電子化を書面、すなわち紙で承諾するという方法を取り入れること、また、家族など第三者を関与させることが必要だと提案をいたしました。電子書面で契約するか否かを紙で承諾することにすれば、その紙には当然、契約の主な内容についても記載されることになり、契約そのものを紙で行った場合と同じ効果が期待されます。また、契約の段階から家族など第三者が確認する仕組みを導入すれば、お年寄りがだまされるのを未然に防ぐことにつながります。
これらの提案は、消費者庁の答弁の中で、今後検討していくことが確認されました。また、与野党筆頭理事の御尽力で、附帯決議に書面と第三者の関与という文言を入れていただきました。さらに、消費者庁は、オンラインで完結する取引に限定して電子メールでの承諾を認め、それ以外の取引は当面紙での承諾を必要とするという具体案を答弁で示しました。法案が成立する前から政省令についてこれだけ委員会で具体的に議論したことは今までありません。
しかし、よくよく考えてみれば、紙をなくすための法改正にどうやって紙を介在させるかというばかげた議論をさせられていたことになります。それもこれも、消費者保護に反するようなことを無理やり法改正に入れ込んだ、井上大臣、あなたの責任です。
いずれにせよ、消費者被害防止策の具体化は全て今後の検討に委ねられており、現段階で被害を防げる保証は何一つありません。したがって、この法案に賛成することはできません。
井上大臣、あなたは二十人目の消費者担当大臣です。今までの二十人の大臣はみんな短期間で交代し、名前も顔もよく分からないまま去っていった大臣もいます。しかし、二十人の消費者担当大臣の中で負の遺産、マイナスの改定を残したのは、井上大臣、あなただけです。あなたの名前は決して忘れられることはないでしょう。
これまで消費者庁が提案した法案は、少なくとも委員会では全て全会一致で可決されてきました。それは、消費者問題が党派を超えた課題であり、たとえ不十分であっても一歩前進という評価があったからです。しかし、今回は、前進どころかマイナスの改定です。消費者問題特別委員会の発足のときからいる委員として、先日の委員会での採決が初めて全会一致の賛成とならなかったことをとても残念に思っています。
消費者相談の現場にいる方々の願いは、この本会議においてもこのまま採決するのではなく、書面交付の電子化部分を一旦削除して、それ以外の法改正を後日改めて全会一致で成立させてほしい、書面の電子化については消費者団体、弁護士会などの意見をよく聞いてから出し直してほしいということにあります。
このことを最後まで強く求めて、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/23
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024・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/24
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025・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/25
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026・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第五 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長上月良祐さん。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔上月良祐君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/27
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028・上月良祐
○上月良祐君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための施策の一層の推進を図るため、対象鳥獣の捕獲等の強化、捕獲鳥獣の有効利用等のための措置を講ずるとともに、銃砲刀剣類所持等取締法に基づく技能講習の免除期限を延長しようとするものであります。
委員会におきましては、提出者の高鳥修一衆議院農林水産委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/29
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030・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/30
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031・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第六 水循環基本法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長江崎孝さん。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔江崎孝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/31
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032・江崎孝
○江崎孝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、地下水の適正な保全及び利用を図るため、水循環に関する施策に地下水の適正な保全及び利用に関する施策が含まれていることを明記するとともに、水循環に関する基本的施策として地下水の適正な保全及び利用を図るために必要な措置を追加しようとするものであります。
委員会におきましては、提出者衆議院国土交通委員長より趣旨説明を聴取した後、地下水の水質に影響を及ぼす土地利用への対応、地下水協議会の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/32
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033・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/33
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034・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/34
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035・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第七 令和三年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長太田房江さん。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔太田房江君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/35
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036・太田房江
○太田房江君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、令和三年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に参加する選手が、自己の疾病の治療の目的で覚醒剤を携帯して輸入すること等ができるよう、覚醒剤取締法等の特例を設けようとするものであります。
委員会におきましては、輸入された覚醒剤の管理の在り方、コロナ禍における大会開催の意義等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、れいわ新選組の舩後委員より反対の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/36
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037・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/37
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038・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/38
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039・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第八 産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長有田芳生さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔有田芳生君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/39
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040・有田芳生
○有田芳生君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、新型コロナウイルス感染症の影響、急激な人口の減少等の短期及び中長期の経済社会情勢の変化に適切に対応して、我が国産業の持続的な発展を図るため、情報技術の進展、エネルギーの利用による環境への負荷の低減等に対応する事業変更を行おうとする者についての計画認定制度の創設、経営革新計画の承認制度等の対象事業者に係る要件の見直し、下請中小企業の取引機会を創出する者の認定制度の創設等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、我が国の産業競争力強化の現状と今後の取組方針、脱炭素化やデジタル社会の実現に向けた取組に対する支援の必要性、中小企業の足腰強化に向けた支援の在り方、下請取引適正化に向けた更なる取組の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩渕理事より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/40
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041・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/41
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042・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/42
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043・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第九 特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律案
日程第一〇 強制労働の廃止に関する条約(第百五号)の締結のための関係法律の整備に関する法律案
(いずれも衆議院提出)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長小川克巳さん。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔小川克巳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/43
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044・小川克巳
○小川克巳君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律案は、石綿にさらされる建設業務に従事した労働者等が中皮腫その他の疾病にかかり精神上の苦痛を受けたことに係る最高裁判決等において国の責任が認められたことに鑑み、当該最高裁判決等において国の責任が認められた者と同様の苦痛を受けている者について、その損害の迅速な賠償を図るため、給付金等の支給について定めようとするものであります。
委員会におきましては、提出者である衆議院厚生労働委員長とかしきなおみ君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、強制労働の廃止に関する条約(第百五号)の締結のための関係法律の整備に関する法律案は、我が国が強制労働の廃止に関する条約(第百五号)を締結するため、同条約が禁止する強制労働に該当するおそれがある罰則に関する規定に係る関係法律の規定中、懲役刑を禁錮刑に改めようとするものであります。
委員会におきましては、発議者を代表して衆議院議員西村智奈美君より趣旨説明を聴取した後、国家公務員の政治的行為等に係る罰則を廃止する必要性等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/44
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045・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
まず、特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/45
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046・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
次に、強制労働の廃止に関する条約(第百五号)の締結のための関係法律の整備に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/46
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047・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/47
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048・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一一 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣委員長提出)を議題といたします。
まず、提出者の趣旨説明を求めます。内閣委員長森屋宏さん。
─────────────
〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔森屋宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/48
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049・森屋宏
○森屋宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会を代表いたしまして、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が三年前に施行されてから今日に至るまで、政治分野への女性の参画は徐々に進んできてはおりますが、依然として諸外国と比べると大きく遅れている状況にあります。
本法律案は、こうした現状に鑑みて、政治分野における男女共同参画をより一層推進するため、政党等の自主的な取組を促進し、国及び地方公共団体の施策を強化しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、政党等の取組を促進するため、政党等の取組項目の例示として、候補者の選定方法の改善、候補者となるにふさわしい人材の育成、セクハラ・マタハラ対策の実施を明記しております。
第二に、国及び地方公共団体の施策を強化するための具体的施策を明記しております。すなわち、環境整備に関する施策の例示として家庭生活との両立支援のための体制整備を明記し、実態調査の対象に社会的障壁の状況を加え、人材の育成等に関する施策の例示として模擬議会、講演会の開催の推進を明記しております。加えて、セクハラ・マタハラ対策の重要性に鑑みて、研修の実施など、その発生防止に資する施策を講ずるものとする規定を新設しております。
第三に、政治分野における男女共同参画の推進についての基本原則として、衆議院、参議院及び地方公共団体の議会並びに内閣府、総務省その他の関係行政機関等が、適切な役割分担の下で積極的に政治分野における男女共同参画の推進に取り組むことを追加しております。
第四に、現行法において国及び地方公共団体に課せられている努力義務規定を義務規定とすることにより、それぞれの責務を強化しております。
第五に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。
なお、本法律案は、内閣委員会におきまして全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/49
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050・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/50
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051・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120415254X02920210609/51
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