1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月二十九日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
三月二十五日
辞任 補欠選任
杉 久武君 山口那津男君
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出席者は左のとおり。
委員長 馬場 成志君
理 事
宇都 隆史君
和田 政宗君
小西 洋之君
高橋 光男君
井上 哲士君
委 員
岩本 剛人君
佐藤 正久君
武見 敬三君
中曽根弘文君
松川 るい君
三宅 伸吾君
田島麻衣子君
羽田 次郎君
福山 哲郎君
山口那津男君
上田 清司君
音喜多 駿君
鈴木 宗男君
伊波 洋一君
国務大臣
外務大臣 林 芳正君
副大臣
外務副大臣 小田原 潔君
外務副大臣 鈴木 貴子君
大臣政務官
外務大臣政務官 上杉謙太郎君
外務大臣政務官 本田 太郎君
外務大臣政務官 三宅 伸吾君
事務局側
常任委員会専門
員 神田 茂君
参考人
元駐ロシア大使
館特命全権公使 河東 哲夫君
慶應義塾大学総
合政策学部准教
授 鶴岡 路人君
国際政治学者 グレンコ・ア
ンドリー君
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本日の会議に付した案件
○外交、防衛等に関する調査
(ウクライナをめぐる諸問題に関する件)
○二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に
関する臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/0
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001・馬場成志
○委員長(馬場成志君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十五日、杉久武君が委員を辞任され、その補欠として山口那津男君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/1
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002・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 外交、防衛等に関する調査のうち、ウクライナをめぐる諸問題に関する件を議題といたします。
本日は、本件調査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、元駐ロシア大使館特命全権公使河東哲夫君、慶應義塾大学総合政策学部准教授鶴岡路人君及び国際政治学者グレンコ・アンドリー君でございます。
この際、参考人の皆様方に一言御挨拶申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、河東参考人、鶴岡参考人、グレンコ参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、河東参考人からお願いいたします。河東参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/2
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003・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) 河東でございます。よろしくお願いします。
今日は、最初に、今回のウクライナ情勢について、どうしてこういうことになっているのかという、これからどういうふうになり得るかということについて、十五分ぐらいでお話し申し上げたいと思います。
お手元にこの地図から始まる資料があると思いますので、これに従ってお話し申し上げたいと思います。
この地図なんですけれども、これではよく分かりませんけれども、元々ウクライナというのは古い歴史を持ったところであります。これの右側の方に、キエフのところにドニエプル川が走っているんですけれども、ここを使ってバルト海とそれからコンスタンチノープルを結ぶ通商路として発展したのがキエフであります。ですから、スラブ民族なんですけれども、スラブの本家はむしろウクライナの方にあるわけですね。ロシアはロシアが本家だって言っていますけれども、むしろウクライナの方が本家であります。
それから、そのウクライナにはコサックという連中が東側の方にいますけれども、コサックはこれはロシアから逃げてきた連中であります。だから、必ずしもそういった人たちはロシアに戻りたいという意識は持っていないわけです。東ウクライナは分かれております。
それで、今回の情勢なんですけれども、これは二つの言葉でくくることができると思います。一つは、一九九一年十二月のソ連の分裂の後始末というのか、それから起きた論理的な帰結であります。それからもう一つは、ソ連の分裂に応じてNATOがどんどん拡大してきたということの一つの帰結であります。クライマックスですね。まあそういったところであります。
今回、ロシア軍は、この地図の北方のミンスクの方から、北方のベラルーシの方向からキエフに向かって攻めてきたのと、それから右側のハリコフ、ハリコフの方に攻めてきた人と、人というか軍と、それからその右下のマリウポリですね、そこに攻めてきた軍の大体三方に分かれていました。総計が最初は十万人ぐらい。十万人をその三つに割ったわけですから、随分兵力が分散しました。それから、南方のヘルソンとオデッサには、これは海から攻めたし、それから、まあクリミアからだと思いますけれども、陸上でも攻めているということであります。
次の紙の方なんですけれども、なぜこうなったかということでありますね。プーチンの頭の中なんですけれども、それについて想像してみたんですけれども、やっぱり、その括弧一ですけれども、ウクライナというのはソ連時代、ソ連第二の共和国でありました。これは、GDPからいっても、人口からいっても、ソ連第二の重要性を持ったところであります。ですから、ロシアと不可分の経済関係にあります。今でもそうであります。
特に、軍需関係ではウクライナがソ連全体に対して非常に重要な意味を持っていたわけですね。例えば、今、中国が持っている遼寧という航空母艦、これは元々はクリミアで造られた、ウクライナで造られたヴァリャーグという航空母艦でありましたし、それから、ロシアが今も持っている最大のICBM、アメリカ向けのICBM、SS18、これもウクライナで組み立てられたものであります。それから、ヘリコプターのエンジン、それから軍艦のエンジン、これもほぼウクライナが独占供給していたのが切れていると、そういう状況であります。
あと、ロシア軍自体にウクライナ人が非常に多いというそういうこともあるんですけれども、切っても切り離せないというふうにロシアは思っているわけですね。これを西側に取られますとロシアは矮小化するというふうにロシアは思っております。それだけではないので、安全保障上の脅威になるわけです。
プーチンはウクライナが現在核兵器を開発しているというふうに思っておりまして、多分そういう情報があるんだと思います。ですから、今回、ロシア軍はチェルノブイリとそれからザポロジエの原発を占拠しておりますけれども、これは多分、そのウクライナによる核開発を止めようと思ったのか、それとも核開発の証拠を握りたいと思ったのか、証拠がなければでっち上げようと思っているのか、いずれかであると思います。
それから、プーチンが自分で言っていることなんですけれども、ウクライナがNATOに入って、それによってそのNATO軍、米軍のミサイルがウクライナ領に配備されると、これはロシア、モスクワにとって直接の脅威になると。ハリコフ辺りからは七、八分でモスクワに届くんだというふうに言っております。ハリコフからは本当に至近距離ですから、そういうことになります。
それから、括弧の二なんですけれども、それよりも更に直接の問題というのがありました。それは、二〇一四年、クリミア半島だけではなくて、ドネツ、ルガンスクの一部もロシア軍が、親ロシア軍が押さえたことであります。最初のその地図を御覧いただきたいんですけれども、右側の方に色が変わっておりますけれども、ここがロシア軍が押さえているところであります。そこにルハンスク、それからドネツクと書いてございますけれども、その二つの州の一部を押さえたわけです。全部を押さえたわけではないということを意識する必要があります。
そういうわけで、そのクリミア半島を制圧して以来、この二つの州、ドネツ、ルガンスクの州の一部を押さえてきたわけなんですけれども、これをウクライナが取り返す勢いを増やしているわけですね。
括弧の三ですけれども、これは二〇二一年、ウクライナ軍が、二〇一四年は十万人ぐらいしかいなかったのが、現在は二十六万人に増えております。それから、NATO側から、NATO、米軍からいろんな兵器の供与を受けて強くなっています。これがドネツ、ルガンスク奪還の勢いを示していたわけです。例えば、トルコからドローンを輸入して、ドローンをその停戦地域を越えて親ロシア支配地域に送り込んで爆撃したりとか、そういうことを始めました。それによって、プーチン、ロシアは危機感を持ったということですね。
さらにもう一つ、もっと大きな情勢なんですけれども、NATO拡大ですよね。バルト三国であるとか、その前には東欧諸国に拡大しましたし、それに対抗してロシアは欧州正面の兵力を強化したわけです。そうすると、それに対抗して今度はNATO、米国も強化して、双方が挑発行動を最近は繰り返すようになっておりました。ロシア、ロシア空軍はノルウェー至近距離とかそういうところに飛ぶし、それから米軍は、クリミア半島のセバストポリというロシアの軍港がありますけれども、そこの至近距離に迫ってミサイルを発射する訓練をしたりとか、そういう非常に危ない挑発行動を双方が繰り返すようになっていたということがあります。そういうことがあって、プーチンの危機感をあおっていたと思います。プーチンの頭の中では、今やらなければじり貧になるという意識があったのではないかと思います。
次の二ポツなんですけれども、じゃ、戦況はどういうふうに展開しているかというと、今、ロシアに不利に展開しているというふうに言われておりました、おります。
一つには、連絡が悪かったんですね。プーチンがそのウクライナに攻め込むんだぞということを下部に徹底させたのが、まあ数日前ぐらいではなかったかというふうに思われております、数人は知っていたかもしれませんけれども。それによって、中堅幹部であるとか現場は全然用意ができていなかったし、兵隊に至っては、自分がウクライナに行くとは全然思わずに、演習に行くんだと思ってトラックに乗ったらウクライナにいたんだって言ったりとかですね、それは兵隊ではあり得ることなんですけれども。
それから、もう一つ致命的なことは、ロシアの、ロシア軍の通信能力が不備であったということであります。これは、この十年ぐらい掛けて通信装置を随分近代化してきたというふうに言っているんですけれども、実際には機能していないんですよね。ですから、そのモスクワの本部はウクライナでロシア軍の第何師団がどこで何をやっているかというのを極端に言えば把握できていないという、そういうことを言うその内部の人もいます。これでは戦えないわけです。
特に空軍が使えていないというのが、みんなが指摘するところであります。これは昼なんですけれども、昼はロシアの空軍はほとんど活動してこなかったんですね。なぜかというと、多分撃墜されることを恐れていたんだろうと思います、ウクライナ側に。それから、友軍、ロシア軍の方に撃墜されることも恐れていたんだと思います。通信が不備ですから、飛んでいる飛行機がどこの飛行機か分からずに撃墜するということがありますから。それは、二〇〇八年の八月のあのジョージア、グルジア戦争のときに起きたことであります。空軍が使えていない、夜間は使えますけれども。
それから、その司令機能がどうなっているか分からないわけですね。第二次世界大戦、米軍は、欧州方面をアイゼンハワー、太平洋方面はマッカーサー総司令官がいましたけれども、今回、ウクライナ方面の総司令官がロシア側には見当たらない。しかも、そのショイグ国防相とゲラシモフ総参謀長、この二名が数日前まで二週間ぐらい失踪しておりました。
それから、括弧の二なんですけれども、戦術がいかにも悪かったということであります。先ほど申し上げましたように、当初十万の兵力を三方に分散させて侵入するというのは、これはもう相手を見くびって、最初からウクライナが降参するのを見越して、占領軍として入ったとしか思えないわけですよね。
括弧の三なんですけれども、ウクライナ軍の兵力を見くびったと。これは、二〇一四年クリミア併合のときの経験がありますから、見くびったわけです。
そこにはスティンガーとかジャベリンという兵器の名前が書いてありますけれども、これは技術的なことで省きますけれども、非常に面白い兵器であります。これは、スティンガーというのは、たった一人で持って、そのスティンガーの筒先を飛行機に向けて飛行機が飛んでいく方に振りますと、振ってから発射しますと、ミサイルが飛んでいって、自動的に相手の飛行機をトラッキングして撃ち落としてくれるというものであります。ただ、射程が限られています。ジャベリンは、戦車に向けて同じようなことをやる、これも一人で扱える兵器であります。トルコ製のドローンも入ったと。
そういうことがあって、そのウクライナ側はかなりの戦果を上げております。そこに書いてございますけれども、欧州正面二千四百両って書いてあるのは間違いで、昨日、専門家の小泉氏に確かめたんだけれども、全国で、全国で二千四百両の戦車なんだそうであります。そのうち四百両弱をもう既に破壊されています、と思われます、三週間で。
それから、そこに書いてありますけれども、五、六名もの将官が戦死しています。大将、中将、少将、大佐クラスぐらいまで六、昨日七名目かな。このウクライナ正面に割かれている将官が合計で二十名なんだそうでありまして、そのうちの三分の一が既に戦死したんだそうであります。
これは、まあ通信の不備もあって、偉い人が現場に出ていかないと、その命令権、司令権を持っている人がほかにいないんだそうですね。そうすると、どうしてもその将官が前線でさらされるので、そこで死んでしまうと。それから、昨日の亡くなった人は部下に裏切られて、ほとんど意図的に殺されたんだということもインターネットには書いてありました。
それと、士気の低さ、補給の悪さ、そういった問題があります。
三ポツのこれからどうなるということなんですけれども、あとしばらくでやめますけれども、おととい、おとといだと思いますけれども、ロシアの軍の参謀次長、参謀次長、参謀長は相変わらずいないんですけれども、参謀次長が記者会見をして、これからロシア軍は転進すると、まあ転進という言葉は使いませんけれども、方向を変えるということを言っております。これまで、先ほど申し上げたように、三方から攻めていた、四方から攻めていたんですけれども、これを東ウクライナの確保に重点を置くということを言っています。
まだキエフ方面、それから南方から撤退したという話は確認できていないんですけれども、もし東ウクライナに集中した場合、戦況はロシア有利に展開する可能性はあります。というのは、ウクライナ側は、東ウクライナになると、今度は守るんじゃなくて攻めなきゃいけないんですけれども、攻める方の兵備はウクライナの軍は足りないんではないかと思われます。それから、特にウクライナは空軍をもうかなり失っているんだと思います。
ただ、もしその東ウクライナからロシア軍が押し出されそうになったときに、ロシアは戦術核兵器を使う可能性が高いですね。それから生物化学兵器も使うでしょう。生物化学兵器というのはウクライナにも開発の拠点はたくさんあるし、それからロシアにも開発の拠点はたくさんあるので、どっちが使ったかは分からないんだけれども、まあ使われるでしょう。
それから、最悪の場合には、何かのはずみで米軍が乗り出しますと、米軍が乗り出すとロシアの方が沸き立つわけですよね。ロシアは全てのことにアメリカを見ますから、アメリカ軍が出てきたということになると、もう本当に大祖国戦争、防衛戦争になっちゃって、プーチンは絶望の余り核に手を掛ける可能性もあるかもしれません。そうすると、我々にとっても危ないことになり得る可能性は一%ぐらいはあると思います。
あとは、我々にとって問題なのは、括弧の二なんですけれども、二〇二四年、ロシアで大統領選挙がありますけれども、これに向けてプーチンの地位はどうなるんだというのが非常に大きな問題ですね。二四年までもつのかどうかということですよね。もったとしたって、誰が次になるんだろうということであります。もし民主勢力が出てくると、ロシアは物すごく荒れますね。ロシアは民主主義で治めることはできない国であります。かといって、保守主義が治めることももうできなくなっている、そういうことですね。
最後になると思いますけれども、括弧の三なんですけれども、最悪の場合にはロシアは中央権力が空洞化して分散傾向を強めることがあり得ます、これはソ連の末期には実際にあったことなので。
分散傾向というのはどういうことかというと、地方が税収をモスクワに送らなくなるようになるわけです。それから、地方の知事は大統領だというふうに名のって、地元で選挙をやって、そこで選ばれた大統領だというふうに言って威張るようになります。そうしますと、ロシアって広い国ですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/3
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004・馬場成志
○委員長(馬場成志君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/4
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005・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) もう終わります。
真ん中で分断されるわけですね。そのときの中国の出方はとか、そういう問題がいろいろあります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/5
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006・馬場成志
○委員長(馬場成志君) ありがとうございました。
次に、鶴岡参考人にお願いいたします。鶴岡参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/6
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007・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) 今御紹介いただきました慶應義塾大学の鶴岡と申します。よろしくお願いいたします。
本日は参考人質疑ということでして、中身いろいろ考えたんですけれども、一つはやはり、戦況分析してもしようがないんで、この今回の戦争の構図というものをどのように捉えたらいいかということで、まず抑止ということに着目をして今回の戦争の構図を考えてみたいと思います。その上で、日本の課題ということで、生物化学兵器が使われた場合の対応と、対ロ制裁、今までは強化の方向ですけれども、今後、この停戦合意などができた後にはいかに緩和を進めていくのかと、そういう新しい課題も出てくるわけです。その辺りについて本日はお話しさせていただきます。
まず一つ目の、この抑止ということであります。
これは、NATOとロシア、あるいはアメリカとロシアというものは、やはり今の状況においては敵対関係でありますので、これは相互抑止をする、お互いに抑止をし合う関係ということになります。
基本的な構図としては、まあ釈迦に説法かもしれませんけれども、例えばNATO側から見れば、ロシアが○○、何かをするのであれば、こちらは△△をして対応すると、この脅しの結果、ロシアが行動を変える、行動を変化させるということになれば、アメリカの抑止、NATOの抑止は成功したということになります。これは逆も同様でありまして、ロシア側からもNATOに対してこのような警告、抑止のメッセージというものがなされているわけです。
実際に、この戦争が始まる前は、アメリカ側、NATO側は、これ、もしウクライナに侵攻した場合には重大な結果を招くということで、経済制裁というものを前面に打ち出していたわけです。ただ、残念ながら経済制裁ということでは抑止が成立しなかった、その結果として侵攻が起きてしまったわけです。
戦争開始後ということになりますと、今度はロシア側から様々な抑止のメッセージが出されているというのが現状です。NATOがウクライナ上空に飛行禁止区域を設定するという話に関しては、飛行禁止区域を設定したらそれは参戦とみなす。参戦とみなすということはNATO側に対しても攻撃を行うということでありまして、これは飛行禁止区域の設定を阻止するためのロシア側からの抑止のメッセージだったということになります。あるいは、ポーランドのミグ29という戦闘機をウクライナに供与するという話に関しても、戦闘機を供与したら参戦とみなすといったような抑止のメッセージが出されたわけです。
その結果、非常に残念なことに、このロシアの抑止メッセージ、警告をある意味そのまま真に受けたという形になりまして、NATO側はいずれも断念をするという形になっています。ですから、これを抑止の構図ということで見ますと、一方的にロシアがNATOを抑止しているというのがこれまで多く見られてきた状況です。
先週の三月二十四日にNATO首脳会合が行われまして、ここにおける最大の焦点は、ロシアが生物化学兵器を使用した場合にNATOとしていかに対応するかということだったようです。共同声明においては、深刻な結果を招くということで警告をしています。深刻な結果に何が含まれるのかというのは必ずしも明確ではありませんけれども、事務総長ないしバイデン・アメリカ大統領の発言などから総合すると、やはり軍事的対応というものが含まれるんだろうと思われます。
やはりこれ、NATOにとっては、今までウクライナに介入、軍事介入しないというのは、これ、ウクライナに対しては防衛義務を負わないからだという説明を行ってきたわけです。それに対して、化学兵器を含めた大量破壊兵器というものが実際に使用されることになると、やはりそれは局面が大きく変わる、次元が大きく変わると。
ですから、これはもうウクライナを支援するかしないかということではありませんで、この国際社会、国際規範の中において大量破壊兵器が使われてそのままでいいんですかと、こういった別の問題になってくるということです。ですから、ここは、恐らくNATOとしては相当な決意を持って今ロシアに対して抑止のメッセージを出そうとしているということです。これは、更に大枠で考えますと、今までどうしてもロシアの側が主導権を握って抑止をやってきたということの、この主導権をNATOが取り返すというような意義がある動きということになります。
NATOが介入しますとこれは第三次世界大戦になるとか全面核戦争になる、だからロシアを刺激すべきでないという声、もちろんその懸念は常に存在しますし分かりますけれども、ただ、じゃ、ロシアから一方的に抑止され続けていいんでしょうかと、これが我々は非常に考えなければいけないと思うんですね。
といいますのも、この核兵器を持っている国を相手にしたときに、あらゆるこちらの行為が第三次世界大戦、全面核戦争に直結すると本当に考えるんであれば、核兵器持っている国を抑止することをできなくなってしまうわけですね。当然、この地域にも核兵器を持っている国があるわけでして、日本はそれらの国々を抑止する立場にあるわけです。ですから、このロシアの議論にそのまま乗って、NATOが少しでも介入すると全面核戦争になるというような議論は是非やめていただきたいというのが、こういった問題を見ている立場からの率直なところであります。
やはり、何らかの介入と全面核戦争の間には様々なステップがあるわけですね。これをいかにコントロールしていくかというのが抑止においては最大の課題ですので、そこをすっ飛ばした議論をしてしまうと、もう抑止自体を全く信用していないということになってしまうんだろうと思います。
ただ、核兵器を持っているこの現状変更勢力、この力による現状変更を行う国々、しかもそれは核兵器を持っていると、こういう場合は、やはり紛争が、あるいは侵攻が発生してしまうと扱いが難しいというのも現実でありまして、それは今回我々がよく分かってしまったことであります。ですから、この侵攻が起こる前にいかに抑止をするかということが非常に大きな課題になるということも一つ教訓だろうと思います。
次に、日本の課題というところで二点取り上げさせていただきます。
一つは、ロシアが生物化学兵器を使用した場合にいかに対応するかということでして、これ、NATOとしても段階がありまして、恐らくその軍事的な対処というものがオプションとしては承認されたような形になっているんだと思いますけれども、やはりその第一ステップは、このロシアによる生物化学兵器使用を認定できるかということなんですね。
といいますのも、ロシアがたとえ生物兵器使ったとしても、使いましたと言うわけがないんですね。で、まあウクライナが使ったとかアメリカが使ったとかいろいろ言うわけですね。そうしますと、アメリカやNATOの側としては証拠を集めないといけない。しかし、ウクライナにおいて本当に証拠を迅速に集めることができるのか、あるいはどのような証拠を集められるのか、そして、その証拠の精度、確度でNATOの三十か国の国が本当にコンセンサスに達することができるのかと、こういう問題はNATOも抱えているわけですね。ですから、この化学兵器使用の認定がない限りは、NATOとしても当然次のステップに行くわけにはいきません。
ここで、日本にとっての問題は、これ、NATOでたとえ、例えばですね、ロシアによる化学兵器の使用というのが認定されたときに、日本も果たして一緒に認定できるのかどうかですね。これは、どのような情報、インテリジェンスをアメリカやイギリス、NATOが日本に提供するのかということにも関わってきますし、また、日本のそういったインテリジェンスを評価する基準というものがNATOと違う部分もかなりあるかと思いますので、たとえ同じエビデンス、同じ情報を見たとしても、日本の場合は違う結論に達することもないわけではないですし、今までもロシア関係ではそういった事例があったかと思います。ですから、これは、日本にとって同調して認定するのかというのは、それは現段階から真剣に考えておかなければならない問題だと思います。
その上で、NATOがロシアによる化学兵器の使用、まあ生物兵器でもいいですけれども、使用を認定した場合に、次に軍事作戦を実施すると。これは限定的なものだと思いますけれども、地上部隊の派遣というのは考えられないと思いますが、空爆、ミサイル攻撃等々を含めた限定的な軍事作戦をNATOが実施するときに、日本はそれを支持することはできるんだろうかと。あるいは、外交上支持できないということですと、理解をするとかですね、いろいろな段階があろうかと思いますけれども。
ただ、今までこの問題に対しては極めて強い姿勢で、G7の足並みをそろえるという観点を含めてですね、対応してきた日本が、ここに、この段階でどういう判断をすることになるのかと、これは日本として事前にしっかりと頭の体操を含めて考えておく、準備をしておくということが必要なんだと思います。
ただ、まあNATOも、これ、軍事作戦の実施ということに関しては非常に慎重、あるいは反対の国というのもありますので、この認定ですね、事実認定の部分で時間が掛かるということはNATOにおいても十分考えられることです。ですから、日本が対応を迫られるときに、もう本当に時間がないということにはならないのかもしれませんけれども、ただ、それを願って待っているというわけにもいきませんので、この課題はしっかり考えていかなければならないと思います。
最後に、対ロ制裁の緩和の話です。
今までは、先週のG7首脳会合でもまだ強化ということで一致していますけれども、やはりこういう問題は強化の局面の方が足並みをそろえるのはやりやすいんですね。
今後問題になってくるのは、停戦協議、今日も実施されますけれども、これ、停戦協議、そしてさらにロシア軍の撤退の協議というものが本格化したときに、当然ロシア側は条件の一つとして制裁の緩和ないし解除というものを求めてくるわけです。ですから、それをどこまでG7の側として、そしてその一員としての日本として対応することができるのかというところは、今の段階からこれも考えておく必要があるんだろうと思います。
先日のバイデン大統領の発言、これ、プーチンは権力にとどまるべきではないという発言ですね、あれがその後様々な波紋を呼びましたけれども、ただ、この今までの米欧の制裁に関する議論を見ていると、ここに二月二十六日の米欧の声明、これ、SWIFTからの排除とロシア中央銀行に対する制裁決めたときの声明ですけれども、今回の戦争がプーチンにとっての戦略的失敗になることを確実にするという極めて強い文言を使っています。ですから、このプーチン体制自体を終わりにしない限り危機の本質はなくならないという意見自体は、アメリカ、ヨーロッパに極めて広く存在しているんだと思います。
この戦争犯罪としてプーチン大統領を訴追するということも、これも、たとえ停戦が実現しても戦争犯罪なくならないわけですね。そうしますと、この戦争犯罪の訴追を続けるということと制裁を緩和するということをどのように両立させていくのかという辺りが非常に大きな問題になるわけです。
ですから、この戦争が終わったとき、そして停戦協議が成立して撤退が実現したときに解除する制裁と、たとえこの撤退が実現した後も解除しない制裁、まあ一番考えやすいのはプーチン大統領個人に対する制裁というのは解除しないということにはなるんだと思いますけれども、じゃ、そうしますと、ほかは全て制裁解除するのかという、これもまた厄介な問題だと思います。
また、制裁の外側で、既にエネルギー企業などがロシアから撤退をしているわけですね。あれは別に制裁の対象になったから撤退しているわけではないわけですね。
そういったものを含めて考えたとき、あるいは、ヨーロッパにおいても今、ロシアの化石燃料、石油、天然ガスに依存を中長期的にしないようにする、脱却するというような方針が今決められようとしているところであります。
ですから、そういったその制裁と直接関係ない部分も恐らく視野に入れつつ、制裁をどのように緩和するのかという辺りの頭づくりをそろそろ始めないといけないのかなというふうに考えております。
私の方からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/7
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008・馬場成志
○委員長(馬場成志君) ありがとうございました。
次に、グレンコ参考人にお願いいたします。グレンコ参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/8
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009・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
なぜ今回こういう形でロシアはウクライナを侵略したかという問題から説明をしたいと思います。
よく言われるのは、ロシアの目的というのは、例えばウクライナの中立化だったりとか、ウクライナがロシアと西側、NATO諸国との間の緩衝地帯になるとか、その戦略的な観点からロシアの意図が議論されています。
しかし、これは実はそこまで大事なことではなくて、根本的な問題は別にあります。根本的な問題というのは、プーチン大統領を始めとする現代のロシアの指導層というのは二つの考え方に基づいて動いています。一つ目は、一九九一年のソ連崩壊は間違いだったという考え方と、もう一つは、ウクライナ人とロシア人は一つの民族だという考え方に基づいているんですね。
なので、彼から、彼らから見ると、間違いだったソ連崩壊をもう一回復活する、つまり、旧ソ連諸国は本来ロシアの領土だから、もう一回、そういった国々をもう一回ロシアの領土にするというのはプーチン大統領を始めとするロシアの指導層の考え方なんですね。
その中でももう一つ大きいのは、ロシア人とウクライナ人は一つの民族だと彼らは考えているんですね。一つの民族だから、彼らから見ると一つの国になるべきなんだというふうに考えています。
なので、彼らから見ると、ウクライナを軍事力で占領して征服することが彼らの正義なんですね。つまり、彼らには悪いことをしている自覚は一切ないんですね。完全に正しいことをやっているという認識です。正しいことをやっているので、彼らの道徳心だったりとか良心だったりとか、そういったものに訴えても意味がないんですね。彼らは信念、価値観に基づいてやっているんですね。
だから、今回のウクライナ侵略、ウクライナにおける戦争というのは、ロシアがウクライナを全土占領して完全に自分の領土にするのが目的なんですね。この目的は昔から一貫して変わらないんですね。今まで、例えば二〇一四年のクリミア侵略だったりとか、同じ二〇一四年のウクライナの東部、ドンバスへの侵略だったりとか、そういうものは全て後々ウクライナ全部を占領して併合するための準備段階だったんですね。そして、この二〇二二年に入ってから、もはやウクライナを完全に支配するには直接の軍事力を使うしかないとプーチン大統領が判断したと思われます。
それでは、ロシアが侵略の口実として言っているNATO東方拡大という問題があるんですけど、これは現実と何の関係もない議論ですね。実は、NATO拡大というのはそもそも表現として間違っています。一九九一年以降、NATO、北大西洋条約機構に加盟した全ての国は自分の意思で加盟しているんですね。無理やり入れられた国が一つもないんです。
では、何でその国々がNATOに入っているかというと、諸国はロシアの脅威があるから入っているんですね。つまり、再びロシアに侵略されるのが怖い、だから集団防衛体制に入るんですね。それをロシアは非常に嫌がるんですね。なぜ嫌がるかというと、それはNATOがロシア本国にとっての脅威だからではなくて、NATOに入った国をこれ以上侵略できないからなんですね。
ロシアはウクライナ以外にもほかの国に侵略したいんですね。例えばバルト三国ですね。でも、できません。できない理由はNATOに入っているからです。だから、もし、例えばウクライナ、あるいはモルドバ、あるいはジョージアがNATOに入るとどうなるかというと、その国々をこれ以上ロシアは侵略して征服できなくなるんですね。だから、これほど必死にNATO加盟に反発しています。
つまり、目的は、NATO加盟、NATO拡大を止めること自体ではなくて、その国々の侵略が妨害されるのが嫌だからNATO拡大に反発しているんですね。なので、このロシアの戦争の目的は、ウクライナの完全支配、完全な征服と併合という前提の上で考えていただきたいんですね。
では、戦争は既に一か月続いているんですけど、今はしばらく大きな動きはないんですね。ロシアは、侵入して一部の地域を占領しましたけど、これ以上大きな動きはなくなっています。それは、ロシアの当初作戦、つまりウクライナを一週間以内で完全に制圧してかいらい政権をつくるという作戦は失敗したからなんですね。しかし、作戦が失敗しても目的が変わらないんですね。ウクライナの侵略、完全な支配という目的は変わりません。それは一緒ですね。
では、これからそれはどうなるかというと、戦争が長引くと思われます。目的達成までロシアは諦めないからなんですね。それで、様々なシナリオが考えられているんですけど、今の状況が何か月か続くというのも考えられるし、例えばロシアはウクライナの北部から軍隊を東部に移して東部を集中的に攻撃するというシナリオも考えられます。または、ロシアが投入した兵力もそろそろ疲弊してきているので、一旦ロシアにも休戦が必要になったとなった場合は休戦になる可能性があるんですね、なるかどうかは分かりませんけど。
しかし、重要なのは、仮に休戦になったとしても、目的が変わらないわけだから、次の戦争は必ず起きるんですね。つまり、休戦になって、休戦になっている間にロシアは次の戦争の準備を間違いなくします。一〇〇%します。なぜなら、目的はウクライナ完全制圧というのが変わらないからなんですね。だから、今回休戦になったところで、それは大きな戦争の終結ではなくて、あくまで大きな戦争の延期にすぎないんですね。だから、仮に休戦になったところで、ロシアは今回の作戦失敗を反省して、今度こそウクライナ全土を確実に制圧する作戦を練って、それに基づいてウクライナを再び攻撃します。少なくとも、ロシアはそれを計画するのが一〇〇%なんですね。
それでは、これからどうすればいいのかという問題は一番大事かと思います。
ロシアは、当初作戦が失敗した後で、意図的に民間人を狙うようになりました。民間マンション、高層マンションだったりとか防空ごうだったりとか避難所だったりとか、そういったものをわざと空爆や砲撃を行います。目的は何かというと、わざとなるべく多くの民間人の犠牲者を出すことです。
なぜそうするかというと、ロシアから見ると、ウクライナ人、ウクライナ国民から侵略に抵抗する意思を奪いたいからなんですね。なので、なるべく多くの民間人の犠牲者を出して、出すことによって、多くのウクライナ人はもう降伏してもいいからとにかく殺りくを止めてほしいと思うようにするのがロシアの目的なんですね。だから、ウクライナ人の抵抗する意思を奪う目的でわざと民間人の犠牲者をたくさん出している状態なんですね。これはもちろん全く受け入れられない完全な戦争犯罪なんですけど、もう残念ながらそれはロシアの戦略になっています。
その状況で、この殺りくあるいはこの戦争全体をどう止めればいいのかという問題は一番大事かと思うんですけど、ここはやっぱり、ロシアから戦争を継続する能力、特に財力をロシアから奪うことが大事になります。もちろん、ウクライナは実際戦っているんですが、ほかの国々は派兵して一緒に戦うことはなかなか難しい、無理だと思われています。では、派兵しないでどのようにほかの国がこの戦争を止められるのかというと、それはやっぱり経済制裁となります。
既に多くの自由民主主義諸国、日米欧の民主主義諸国は多くの制裁を実施しています。実施していますが、今の制裁はやっぱり即効性は乏しく、効果が出るまでにしばらく時間が掛かるんですね。なので、もっと本格的な即効性のある制裁を実施するべきですね。例えば、アメリカが発表したように、ロシアのエネルギー資源を買わないようにすることですね。あるいは、全体的にロシアとの貿易を一度止めることなんですね。
もちろん、貿易を止めれば、自由民主主義諸国の国民も痛い思いをします。アメリカの国民、ヨーロッパ諸国の国民や日本国民も生活が苦しくなります。それは間違いないんです。
しかし、ここで御理解いただきたいのは、生活が苦しくなることと大量に殺されることとどちらがつらいのかという問題ですね。私は、やはり殺される方がつらいと思います。それで、もし自由民主主義諸国の国民、例えば日本国民が、生活は今より少し苦しくなったことによってウクライナ人の命を救える、ウクライナ人を殺りくから救えるということであれば、一時的に我慢してもいいのではないかという考え方もあるんですね。
私は、なるべくこういう考え方に基づいて動いていただきたいんですね。もし全ての自由民主主義諸国、日本、ヨーロッパ、アメリカが同じ共通認識に基づいて動いて、みんな力合わせてロシアに対して最大限に厳しい経済制裁を実施することができれば、ロシアは早い段階で財政破綻に陥って、早い段階でロシアが戦争を継続する能力、つまり戦費に使うお金と占領地の維持管理に使うお金がなくなるんですね、早い段階で。そのお金がなくなれば、ロシアは仮に戦争を続けたくても続くすべがないので、撤退せざるを得なくなるんですね。それを目指すべきだと思います。
今は侵略戦争が成功するというあしき前例をつくってはいけないと思うので、今はやはり自由民主主義諸国が人権と平等、法の支配といった価値観に基づいて動く時期なのではないかと私は思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/9
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010・馬場成志
○委員長(馬場成志君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/10
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011・和田政宗
○和田政宗君 自由民主党・国民の声の和田政宗です。
まず、参考人のお三方に詳しくお話をいただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。
まず、グレンコ・アンドリーさんにお聞きをしたいというふうに思います。民間人への攻撃についてです。
私もおととい、ウクライナのハリコフ出身の友人と二時間ほどお話をしました。ナザレンコ・アンドリーさんという友人なんですけれども、彼の出身地、まさに民間施設、民間人への攻撃がすさまじいものがある、彼の出身の学校も砲撃をされ、軍事施設は全くないところに爆撃、砲撃が行われている、こういう状況である、極めて悲惨な状況であるという話でした。
テレビなどでは我々は、いろいろな状況というものはテレビが伝えているところでは把握をしているわけでありますけれども、実際にこの伝わっていないことで伝えたいこと、こういったものがございましたらよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/11
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012・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) 御質問ありがとうございます。
私は、もちろん今ウクライナにいないんですが、現地のテレビニュースだったりとか現地の人の話をインターネットを通じて見ているんですが、地域によって本当にひどいことになっています。もちろん、ひどさはその東部、西部によってちょっと違っていて、西部だったらミサイル砲撃による被害が多いんですが、まだ一般人の生活は普通に成り立っています。それに対して、首都のキエフですね、首都のキエフは、一般人の生活がもうできなくなって、残った住民はマンションにこもって、外に全く、時々しか出られない状況ですね。首都のキエフにもミサイルが飛んで民間人の被害者が出ているんですね。
更にひどい状況が、和田先生がおっしゃったハルキウですね。その中で一番ひどいのは、今包囲されているマリウポリ市ですね。マリウポリ市におけるロシアの人権侵害や戦争犯罪は本当にすさまじいものであります。殺りくもそうですけど、殺りく以外にももう信じられない無法行為が行われています。例えば、マリウポリの一部の地区をロシア軍は既に占領して、その住民を無理やり車両に乗せてロシアに移動させているんですね。強制連行ですよ、拉致事件ですよ、これは。とんでもない人権侵害です。
で、後で彼らをどうするかというと、一つは人質として使います。これから今日も停戦交渉があるんですけど、停戦交渉はしばらく続きます。停戦交渉において、ロシアはこの人質たちについてもちろん絶対言及します。そして、彼らは、無事で帰ってほしいなら言うことを聞きなさいと絶対言います。つまり、完全な人質外交です。
もう一つは、プロパガンダに使います。その中で協力者を探して、そしてうその証言を言わせるんですね。ウクライナ軍はこれだけひどかった、ウクライナはとんでもない国だ、それに対してロシアはこんなに優しい、住居も与えるし食べ物も与えるし、みんな親切というふうにカメラの前に言わせます。こういったようなことを言います。
さらに、全体的にマリウポリでは、もう今ウクライナの当局が入れないから数えられないんですけど、もう少なくとも五千人の犠牲者は出ています。あの町だけで、一か所だけで五千人の民間人だけの犠牲者が出ている状況です。
マリウポリからの映像が出ています。本来白色の民間マンションは、もう、並んでいますけど、真っ黒です。ミサイル砲撃を受けて真っ黒になっています。悲惨な状況です。弾飛んでいるから、亡くなった人さえ墓地まで持っていけないんです。そのマンションの前に手回りのもので何とか穴を掘って埋めるんです。そこでお墓を作るんです。そういうのは、もうその町ごとでそういう状況です。
また、さっき言ったように、避難所の砲撃、爆撃機も行われています。その爆撃機をやっている方も、その避難所って分かっているんですね、分かった上でやっているんですね。誤射じゃないんです。
なので、全体的に民間人をわざと狙った砲撃によって多くの犠牲者が出ていて、このロシアによる、もちろん侵略戦争自体は戦争犯罪なんですけど、その侵略戦争の中でも特に抵抗するすべを持っていない民間人を意図的に狙うのはなおのこと悪質なものなので、これをどうにかやっぱり理解して、やっぱり人命は尊いという価値観で生きている自由民主主義社会なのであれば、ウクライナ人の命はほかの国の国民の命と同じぐらい尊いというふうに考えるのであれば、ここでやっぱり自分事として関わって、まあ直接の派兵はできないのはしようがないんだけど、直接の派兵以外全て、全てのことを自分事としてやっていただきたいというのは私の訴えです。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/12
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013・和田政宗
○和田政宗君 続けてグレンコ・アンドリーさんにお聞きをしたいというふうに思います。
このロシアの侵略について、テレビのコメンテーターなどが、ウクライナがこのまま戦うと人命が失われたり被害が広がるから降伏した方がよいという論を展開している人がいますけれども、これについてはどういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/13
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014・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) ここで降伏したところで人命は救われません。
なぜなら、さっき言ったように、ロシアはウクライナの中立化とかじゃなくて完全支配を目指しています。なので、降伏すれば、まずその仕組み的にどうなるかというと、ウクライナ国土はロシア領土になります、事実上。もちろん誰も認めないんですけど、事実上なります。そうなると粛清が始まります。大量に、独立の意識を持っているウクライナ人が大量に殺されたり投獄をさせられたりします。
ロシアは、占領地で基本的にめちゃくちゃなことをやっています。刑法とかその裁判だったりとか、そういう建前のことは一切ないんです。もうその場で殺します。もう既に占領地において、その占領地の住民が例えばヘルソン市とかいろんなところで出ていて、占領軍出ていけとデモをするんですけど、実弾撃ちますからね。というか、実弾どころか戦車で砲弾を撃ちます、その丸腰の民衆に対して。彼らは平気でやります。
なので、もしウクライナが降伏して全土がロシア軍に占領されたら、大量殺りくが行われます。その全ての、ロシアの支配は嫌だとかウクライナは独立するべきと考えている人たちは粛清されて、その数は今戦争でロシアに殺されている人より多くなるのは間違いないんです。なぜなら、ウクライナは四千万人の人口がいるんですけど、今は基本的に殺りくは戦っている地域付近で行われるんですけど、全土が制圧されたら全土で殺りくが行われるようになるので、決して降伏は人命救助にはつながりません。私ももちろん人命救助は一番大事だと思うんですけど、ここでやっぱり現実を見た上での、どうすれば、冷静に見てどうすればより少ない犠牲で済むのかというふうに考えるべきですね。
さらにもう一点。
仮に、これはもう完全な現実、現実問題としてですよ、そんな理想論じゃなくて現実問題として、ウクライナは政権がいて国民がいます。ゼレンスキー大統領いるんですよね。仮にゼレンスキー大統領が、私がこれ以上の殺りくを止めるために仕方がなく苦しい判断を下しますと仮に言ったとしても、国民は聞かないんですよ。もう間違いなく聞かないんです。もう私は知っています。そういう国民と交流しています。誰ももう、降伏という選択肢を国民一人一人はもう考えていないんですね。仮に政府が降伏だと言っても、もう降伏しないんです。抵抗が続きます。
なので、その場合は、政権と国民が行動が不一致になれば、それは更なる混乱と更なる殺りくにつながります。そういう面から見ても、降伏は、更なる、今より、今以上の殺りくにつながるだけなので、選択肢としては最悪の選択肢です。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/14
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015・和田政宗
○和田政宗君 ウクライナ国民の、国を守るためにあらゆる手を必死に尽くすということについてしっかりと敬意を表したいというふうに思います。
そこで、そして次は河東参考人にお聞きをしたいというふうに思うんですが、米国が軍事介入をすると我々も危ないというお言葉があったというふうに思うんですが、これはすなわち、日本の米軍基地に対する攻撃が行われたり、北方領土で、我が国固有の領土である北方領土でロシアは先週軍事演習やっていますけれども、北海道が攻められる、そういうようなことも想定されているのかどうか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/15
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016・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) そちらの方よりも、むしろロシア人がまあ燃えてしまうということですね、アメリカが憎しということで。
彼らは、何が起ころうが全部アメリカがやっていることなんだと、ウクライナ側が戦っているのもアメリカがやらせていることなんだというふうにほぼ思っていますから、そこに実際にアメリカ兵士がウクライナ領に現れると、本気で戦おうという気になりますからね。だから、今はロシア人、一応プーチン支持していますけれども、実際には値段がどんどん上がっていくとか物がなくなることも嫌なんで。ところが、そのアメリカ兵が出てくると、これはもう生活よりも国の名誉、それから自分たちの生活が懸かっているというふうに思っちゃいますから、ヒットラー・ドイツに攻められたときと同じ意識になりますよね。それが怖いというふうに申し上げたわけです。
極東の方では、極東のロシアというのは主力ではありませんから、モスクワのように絶対守らなきゃいけないという意識はロシアはあんまり持っていないと思うんですよね、極端に言えば。しかも、その極東のロシア軍というのは脆弱ですから、まあ津軽海峡を通ったからどうだとかなんとか言いますけれども、艦艇の数を比べますと、駆逐艦以上の数を比べますと、日本の海上自衛隊はロシアの太平洋艦隊の十倍ですね、十倍の数の艦艇を持っています。ですから、あとは日本海は海上自衛隊の潜水艦で簡単に制圧できますから。極東側は余り怖くないですね。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/16
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017・和田政宗
○和田政宗君 さらに、河東参考人にお聞きをしたいというふうに思いますが、過去の歴史を見てみますと、戦争を始めるときには、この停戦の調停国というものの算段を、停戦の見通し、これはまあ日露戦争のときもそうだったというふうに思うんですけれども、そういったものを付けて開戦をする。
私はこれは歴史上のというようなことで申し上げますけれども、そういったときに、これ、ロシアはどう考えて開戦をしたのか。数日で制圧、占領できるということでそういったことを思わないでやったということであるならば、ロシアは今どういう国なら仲介を頼める、仲介できるというふうに考えているのか、日本はそこに含まれるのかどうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/17
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018・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) 日本は恐らくその中に含まれないと思います。調停ができる国というのは、やっぱりそれなりに自分で軍事力を持っているし、政治力も持っているし、それからその戦っている国の双方に人脈を持っていて、言うことを聞かせることができる国であることが必要なんですけれども、日本はそれだけの条件は備えていないと思います。
だから、いろんな国が調停する格好をしているし、現在トルコが出ていますよね。トルコであればその場を提供することぐらいはできると思いますけれども、こういう条件でおまえはのめというところまで調停できる国というのはないと思います。まあ中国ぐらいですかね。そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/18
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019・和田政宗
○和田政宗君 最後に、鶴岡参考人に、国連安保理、また国連改革のことについてお聞きをしたいというふうに思いますが、ウクライナのゼレンスキー大統領、日本の国会での演説で、現在のこの仕組みというのは侵略国を止めることができていない。これについてどういうふうな改革のありようがあるか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/19
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020・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
ゼレンスキー大統領の演説の中で、この国連改革ということではありますけれども、この戦後を見据えて新しい国際秩序、そして国際的な協力の枠組みを考え、その中で日本の役割に期待を表明したということだと思います。
ですから、具体的に国連改革をウクライナが日本に求めているということよりは、やはりこれは戦後について日本のリーダーシップを期待したいと。このやはりウクライナにおいて戦後という話が出てくるというところが非常に重要でして、そこには復興というものも当然含まれるわけですので、その文脈で日本への期待が高かったということだと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/20
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021・和田政宗
○和田政宗君 時間が参りましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/21
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022・羽田次郎
○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。
参考人の皆様におかれましては、お忙しい中、当委員会でそれぞれの御専門のお立場でお考えを御披露いただき、また御答弁をいただきますことを私からも御礼申し上げます。ありがとうございます。
ロシアによるウクライナ侵攻から一か月以上が経過してしまいました。その間、病院、学校、住居を含む民間施設、そして原子力施設までもが攻撃の対象となってしまいました。その一つ一つが人道的にも許されない戦争犯罪だと私も考えております。
そんな中で、去る二十三日、先週の水曜日の夕刻に、ゼレンスキー大統領が心に響く国会演説をしてくださいました。言葉だけでなく、国民を残して国を離れるようなことをせずに、自分の姿を見せながら世界を説得する姿に深い感銘を皆さんも受けたんだと思います。
各国で演説をされましたし、先日、NATO、そしてNATOの事務総長、欧州委員会の委員長、そしてG7の首脳が集まるところにもメッセージをお寄せになったと思いますが、それぞれの参考人の皆さんにお聞きしますが、そのゼレンスキー大統領の国会演説やその他各国での演説についての御感想ですとか、若しくはゼレンスキー大統領が求めていることに対するお三方の思いというのをお聞かせいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/22
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023・馬場成志
○委員長(馬場成志君) まずは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/23
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024・羽田次郎
○羽田次郎君 じゃ、まずは鶴岡参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/24
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025・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ゼレンスキー大統領、非常にその演説を依頼する国を選んで演説を実施しているということでありますし、また、それぞれの国の状況を考えた上で様々な中身を練っているということだと思います。ですから、その結果として、日本においても非常にすばらしいスピーチになったんだろうと思います。
やはりその国がなくなるかもしれないという極限の状態において、大統領があのような形で国内のみならず世界に対して発信をし続けられると。これはやはり、国際社会対ロシアという今回の紛争の構図というものを示して、それを固めていくという観点で非常に大きな役割を果たしているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/25
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026・馬場成志
○委員長(馬場成志君) それでは、河東参考人はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/26
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027・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) ゼレンスキー大統領のスピーチなんですけれども、大体予想どおりではなかったかなと思います。特に良かったのは、ドイツに対するスピーチでは、ドイツの、何というのかな、利益至上主義、経済至上主義を批判しましたけれども、日本に対しては非難がましい言葉がなかったというのが一つですよね。
それから、現在の日本政府によるロシア制裁を評価して、これを続けてほしいということで、特に日本に対しては過大な要求と思われるようなものはなかったと思います。ですから、いいスピーチライターを抱えているなと、ひょっとして在京大使かなと思って聞いておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/27
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028・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) ゼレンスキー大統領の演説の内容を聞くと、意外とよく日本の事情を調べたなという印象を受けています。
さっきもあったように、他国、ほかの国における演説においては積極的に、ああしてほしい、こうしてほしい、あれを提供してほしいとか、これ欲しいのような要求も多くて、またドイツに関しては要求どころか批判もあったんですけど、日本に対して批判も全くなかったし、要求もあんまりなくて、どっちかというとお願いぐらいの感覚だったんですね。
なぜなら、それは、恐らくですけど、日本人が基本的に批判されるのは嫌がると。強く求められるのは、あれくれ、これくれと求められるのはすごく嫌がる性格あるんですね。それをよく調べたという印象を受けました。そして、だから、もし日本人に対してほかの国のように強く、あれくれ、これくれと言ったら、逆に煙たがられて逆効果になるということをよく理解した上で、やっぱり日本人向けにはそれに合わせた口調にしなきゃいけないと理解して、そういうスピーチ、そういうマイルドなスピーチになりました。
そして、逆に日本人が好きそうなこともよく分かって、分かった上で述べていますよね。例えば、日本が今までの歴史では何度もその苦しい状況から復興して発展を成し遂げる経験があるので、その経験を参考にしたい、その経験を共有していただきたいという形で、あれ欲しい、これ欲しいじゃなくて、一緒に頑張ろう的な表現が多かったんですね。その一緒に頑張ろうは、まさに日本人が好きそうな論調なので、それに合わせた内容だったと思います。
あともう一つ事例として挙げられるのは、日本も核の悲劇を体験しているので、その核、この場合は兵器じゃなくて原子力ですけど、原子力というものはやっぱり扱いを丁寧にしなければならないものなんですね。雑に扱えない。日本人も今その原子力の扱いについて雑ではなくて丁寧にしなきゃいけないという認識がすごくあって、それを踏まえた上で、ロシアはこんな雑な扱いをするんだと言っているんですね。つまり、扱いどころか、最大限に丁寧に扱わなければならない核・原子力施設に対して砲撃を加えるというとんでもない暴挙に、とんでもない暴挙に踏み切っているわけですから、その核の恐ろしさを知っている国としてこれ許していいですかという一つのアピールにはなったのではないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/28
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029・羽田次郎
○羽田次郎君 ありがとうございます。
私も、先日のゼレンスキー大統領の演説の中で、特に、先ほど鶴岡参考人からもお話ありましたけど、戦後の復興に関する御要望はあったんじゃないかなと、再び町に市民が戻ってこられるような形にしてほしいというようなことをおっしゃったと思います。
日本としても、全国で学生や団体による募金活動で国際機関を通じたウクライナ支援募金活動とか行われていますし、政府も、一億ドルの支援金に加えて、また先日のG7首脳会合でも一億ドルの緊急支援を行うというような形で、またウクライナ避難民の積極的な受入れも行うということで、日本国としても、日本国民としてもウクライナ国民に寄り添った支援をしていきたいと、そういう思いはここでも私も改めて表明したいと思います。
そして、先ほど鶴岡参考人が触れましたので、その戦後の復興支援で日本がどんなことを支援したら現地の方たちは助かるのかという何かお考えがあれば教えていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/29
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030・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) これは様々なものがあるんだと思います。やはり一つは、復興の基礎となりますインフラですね。今ロシア軍は意図的に民間のインフラを破壊しているという状況です。ですから、水道ですとかこの燃料のシステム等々ですね、そういったところの再建というものは必要になってくるんだと思います。
ただ、それと同時に、やはりこのソフトの方面ということでして、この戦争で心に傷を負った人たちが恐らく数え切れないほどいらっしゃるんだと思います。そういったところに、もちろん人の貢献ということも考えられるんでしょうけれども、ただ、なかなか言葉の問題等々ありますので、日本人が直接というよりは、その現地でそういう活動を支えていくといったようなものも必要なんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/30
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031・羽田次郎
○羽田次郎君 ありがとうございます。
ロシアがグルジア、今のジョージアに侵攻したときに、アメリカ軍が都市のすぐそばの空港に物資を運ぶことによって、それで、そこにアメリカ軍機がとどまることでロシアのその後の攻撃に対する抑止力になったというような話を、その当時のジョージアの、まあグルジアの大統領がおっしゃっていたそうですが、そうしたことを今回ウクライナでもすることが可能なのかどうか。例えば、その米軍機なりNATOの飛行機が現地に駐留することで、そうした、その支援物資を届けるという軍事目的じゃない目的で駐留することで何かそうした抑止力になり得るのか、若しくはそうした何か手段があるのかどうか。特にNATOの、ベルギー大使館でNATOの担当をされていた鶴岡参考人と、あと河東参考人にも、もしお考えあればお聞かせいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/31
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032・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
これ、なかなか地上部隊ということでウクライナに米軍ないしNATO諸国の部隊が入るというのは現実的には極めて難しいんだろうと思います。
ただ、そのことは、何もNATO側ができないということは意味しないということです。ですから、実は今の段階でも相当、この情報という観点では、NATO、アメリカを筆頭としてNATO諸国はウクライナに提供して助けていると。これは空の情報ですね。ロシア軍機がどのような方向からどういうふうに飛んでくるかといったようなこと、あるいは地上にロシア部隊がどのように展開しているのかといったような、そのインテリジェンスの情報は相当提供して、その結果としてウクライナ軍が抵抗、効果的な抵抗をできているということがございます。
ですから、このNATOによる支援というのも、介入か全く何もしないかということではなくて、その間に様々な選択肢があるということです。ただ、重要な点は、やはりこのNATOとしての決意を見せる、アメリカとしての決意を見せることによってロシアの更なる行動というのをいかに抑止できるのかと、やはりそこがどうしても鍵になってくるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/32
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033・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) この件、もし台湾にあり得ることとの関連でお考えになっているんであれば、台湾とそれから今回のウクライナに対するアメリカの関与というのは全く違い得るということは最初に申し上げておきたいんですけれども。
今回のウクライナに対しては、やっぱり同盟国ではないからこれだけの関与にとどめているし、それからロシアがアメリカを主敵というふうに捉えているからこういうふうになっているんですけれども、それでもやっぱり米軍はかなり関与していると思うんですよね。
表には出てこないんですけれども、アメリカのその議会のコントロールを経ない特殊部隊がありますから、多分CIAが管轄しているんだと思いますけれども、特殊部隊がウクライナに長年出ている可能性が、部隊というよりは将官クラス、彼らが訓練していますよね、ウクライナ軍を。それから、ジャミングの設備を出している可能性があります。ジャミングはロシア軍の通信を攪乱してしまう電子装置なんですけれども、これを今まで随分出しているみたいですね。ジャミング、それから訓練、それから対戦車砲、ミサイルのジャベリンと、対空ミサイルのスティンガーの大量の供与、そういうものがありますから、今のところはそれがいいんだと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/33
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034・羽田次郎
○羽田次郎君 最後になると思いますが、ロシア軍のウクライナ侵攻とともに、独立系のテレビ局のドシチですとか、あと、ノーベル平和賞を受賞されたドミトリー・ムラトフ氏が編集長を務める独立系新聞のノーバヤ・ガゼータ紙も休刊となってしまいまして、そういう中で情報がかなりコントロールされているロシアの状況だと思うんですが、グレンコ参考人は今現地でロシアの人ともいろいろとやり取りがあるとは思うんですが、今現地での情報というのは市民の人たちは得ることが、ほかに手段というのはあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/34
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035・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) 今のところはインターネットがつながっています。フェイスブックだったりとかインスタグラムだったりとかは禁止されましたけど、一応ネット自体はつながるので、自分から積極的に情報を得ようと思えば得られるんですけど、ただ、現時点でロシアの五割から七割、いろんな世論調査によって、の人がやっぱりこの侵略戦争に賛成しているので、ロシア世論の正常化は残念ながらまだまだ先の話になっています。
元々、おっしゃったようなドシチだったりとかノーバヤ・ガゼータだったりというようなメディアは元々戦争に反対する人が読んでいたものであって、それが仮に今回休刊に追い込まれなかったとしても、ロシアの世論が変わらなかったわけなんですね。やっぱり、今回の状況になる前からロシアの国民の多くはやっぱりロシアの国営大手メディアを見ているわけですから、それによってロシア政府寄りの立場になってしまうんですね。だから、ここでそのロシア国民が認識を正常化するには、ここでやっぱり制裁を強化して、彼ら自身は自分の生活が苦しくなることによって、ああ、やっぱり政府がやっていることは間違っているんだなと思わせる必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/35
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036・馬場成志
○委員長(馬場成志君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/36
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037・羽田次郎
○羽田次郎君 今後とも、停戦のためにも今後も皆様の情報発信をお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/37
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038・高橋光男
○高橋光男君 公明党の高橋光男と申します。
三人の参考人の皆様には、本日、大変お忙しい中、様々な参考となる御説明をいただきまして、心より感謝申し上げたいと思います。
私からは、まず鶴岡参考人にお伺いしたいと思います。
御説明の中でこれからの対ロ制裁のお話があったかというふうに思います。その中で、制裁強化局面よりも緩和局面の方がG7等の結束維持は難しい可能性という御指摘は確かにそうかなというふうに思ったんですが、今の現状を考えると、先日のG7の首脳会合で確認されたことは、これから必要に応じて追加的な制裁を行っていくことと同時に、やはり今行っている制裁を軽減したりとか回避したりとか、また穴埋めを行わないようにしていくことも同時に確認をされたところでございます。
こうしたところにおいても、やはり制裁の実効性を確保していく上で、今G7の間でも課題があるという状況の中で、やはりこの制裁を強化していくことがロシアに対する圧力を高めていく上で大変重要であるというふうに考えているんですが、今の局面においてどのようにその制裁の効力といいますか、実効性について分析されているかについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/38
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039・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
御指摘のとおり、まだ今は強化局面であります。ただ、強化局面なんですけれども、この石油、天然ガスの禁輸ということに踏み切らないんであれば、やはりなかなか今の段階から抜本的に制裁を強化するというのは難しいんだろうと思います。その結果として、やはりこの制裁逃れのようなもの、そしてこの穴を塞いでいくといったような対策が重要性を増していると。
これは、様々な局面、側面があると思います。一つは、やはり中国が念頭にあって、特にアメリカ、ヨーロッパでは議論が進んでいるということでありますし、あと、オリガルヒたちですね、この新興財閥、政府に近い人たち、彼らの資産凍結といったような話も、なかなか個人で、その制裁対象の個人が全ての資産を持っているわけではございませんので、それをどのようにトラッキングして、この資産は本当に誰のものなのかということを丁寧に突き詰め、突き止めていくと、そういった努力は各国で求められているんでしょうし、暗号資産等々新しい分野についての取組というものも今大きな課題になっているんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/39
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040・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。
その中で、やはりこの日本が果たし得る役割というところに私は関心を持っておりまして、そこの部分はもちろんG7全体の結束が大変重要だと思うんですが、日本だからこそこうした役割を果たせるのではないかとか、やっぱりそういったところで何か主導性を発揮できる余地というものはあるのかどうかについてお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/40
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041・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 鶴岡参考人に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/41
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042・高橋光男
○高橋光男君 はい、鶴岡参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/42
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043・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) これは既に岸田政権がかなり力入れているかと思いますけれども、このアジア太平洋、インド太平洋地域において対ロシア包囲網を広げていくと。ただ、なかなか、端的に申しまして、インド等々、働きかけは行いつつも難しい国というものがあるわけですけれども、ただ、この努力とアプローチというものは今後も続けていく必要があるんだろうと思います。
あと、もう一つは中国でして、やはりこの中国に対して、この段階でロシアを実質的に助けることは中国の利益にもならないんだということは、それがどういう効果を持つか別として、日本としては言い続けていくということは必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/43
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044・高橋光男
○高橋光男君 そこで、やはりこの中国の関係というのが私も大変大事かというふうに思うんですが、河東参考人にお伺いしたいと思います。
事前にいただいた資料の中で、やはり今後の中国がどういうふうになっていくのかということで、先ほどもちょっと最後お時間がなかったのでもう少し詳しいこの中国の出方というところについてお伺いしたいと思うんですが、例えば勝ち馬に乗るというような御指摘もなされているというふうに承知をしております。本当に今後のこの危機への対応に当たって、本当中国の出方、先ほども唯一調停とか仲介できるとすれば中国の存在ではないかということを御指摘になったかと思うんですが、今後のその中国の対応等についてどのように今分析をされていらっしゃるかについてお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/44
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045・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) それはこれからの戦況、戦争の状況次第だと思います。
もしロシアの敗色濃厚になってきて世界からの孤立というのが強まってくると、やっぱり中国は、中国にとってロシアというのは負担、負担一方になってくると思いますね。これまで中国にとってロシアというのは使える存在だったわけですけれども、それはアメリカに対抗する上で使える存在であったのが、もしロシアが負けてくると、しがみつかれるだけのライアビリティーになってくる可能性があると思います。そうなった場合、中国がロシアを捨てるかどうかは分からないんですけれども、捨てたら今度は中国が孤立しちゃいますからどうするかという問題ありますけれども、そこに注目しています。
その前に、今回のロシア制裁なんですけれども、日本としては、ロシアを止めようと思ってその主役になる必要は僕は全然ないと思っています。この問題については、日本はG7の後ろにくっついていって彼らのやるようなことをやっていけばいいんだと思います、それもほぼ同時に。一国だけで延ばして、後から一国だけでやると目立ちますから。その意味では、今回は非常によくやっているんだと思います。
ですから、ロシアに対する今回の出方、我々の出方というのは、将来、中国が台湾に対して何かやった場合に、必ず西欧諸国の、いや、欧州諸国の協力を確保するため、それからアメリカの出方を確保するため、そのために日本は今回対ロシア制裁に協力していくんだと、そういうふうに私は思っております。ちょっと違うことについて申し上げましたけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/45
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046・高橋光男
○高橋光男君 率直な御意見、ありがとうございます。
確かに、G7と足並みをそろえていくこと、大変重要だというふうに思うんですが、中にはそのこと自体がやはり目的化してしまって、やっぱりそれで本当に日本として果たす役割として十分なのかといいますか、その部分というのは議論があろうかというふうに思いますし、ちょっと今日の御説明をお伺いする中で、なかなか外交的、政治的な解決に向けて日本が果たし得る役割というのは一体何なんだろうかということを考えさせられる御説明でもあったかというふうに思います。
そこの部分で、是非また河東参考人にお伺いしたいと思うんですが、制裁というところはちょっとおいておいて、今後、やはり中長期的に見て、地政学的に見て、やはりロシアが一体どうなっていくのか、プーチンによる今回の暴挙がロシア自身の将来に与える影響、この辺りについてどのように見られているのかということについてお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/46
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047・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) 先ほど申し上げましたように、プーチンの後がどうなるかというのは非常に大きな問題であるわけですよね。あのとき、先ほど申し上げましたけれども、ロシアというのは民主主義では治まらないということは一九九〇年代の経験でもう本当に分かったわけです。アメリカはあの広い国でも民主主義で治まりますけれども、それは経済がいいからで、アメリカにいれば生活が良くなるという確信があればみんな一応まとまっているわけですけれども、ロシアはそうじゃないわけですよね。中国も同じなんですけれども、民主主義では治まらない。
だから、だから日本はどうしたらいいかということになりますと、それはもう非常にリアルポリティックな話になってきて、ロシアが分裂した隙に北方領土を取り返すとか、それも後腐れがないようにうまくやるとか、そういう話になってくるんだと思います。
ロシアを良くするために、ロシア人の生活を良くするために、民主主義を導入するために日本は何ができるかと、そういうようなことは私は考えないですね。そういうことは誰もできません。ロシア人自身もできません。そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/47
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048・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。
そうしましたら、アンドリー・グレンコ参考人にお伺いしたいと思います。
今、このプーチン政権ですけれども、この政権自体が今後の展開次第で体制転換をしていく可能性についてどのように見られているかについてお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/48
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049・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) プーチン政権がこの二十年間の間にロシアにおいて絶対的な権力を持ち続けていたので、もうこの段階に入ったら完全な独裁体制ができ上がりました。つまり、独裁者であるプーチン大統領の本人の意思で全ては動いています。一切反対の意見が通らない国になったのは今のロシアなんですね。だから、今のロシアでは、もちろん野党も存在しないし、自由のメディアももう最近存在しなくなったし、完全に、まあ悪く言えば北朝鮮化してしまってきているんですね。
その中で、ロシアの民衆がそれを変えられるかどうかですけど、現時点では、私は国民側からそれを変えるのは無理だと思います。なぜなら、独裁体制を支えるのは国民の支持ではなくて、物理的な力なんですね。
プーチンが二十二年間の間に非常に強力な治安部隊を、でき上がったんですね。実は、ロシアでは正規軍より内務省の職員の方が数が多いんですね。つまり、外の脅威に向かうより中を抑える方に力が入れられているんですね。
ロシア各地にあるOMONとかいう治安部隊があるんですけど、それはどんな民間人の意思表示がしても、指示があればどんな残虐な形でもそれを潰すんですね。なので、もう国民側が仮にプーチン政権に反対だと言っても、完全に力で潰されています。唯一プーチン政権が替わる可能性があるとしたら、それは国民側からの政権交代ではなくて、体制の中の動きですね。
例えば、いわゆるオリガルヒ、ロシアの新興財閥の人たちが、彼らは西洋の様々な制裁などによって自分たちの財産が奪われ始めて、彼らはこれ以上プーチン体制が続ければ自分たちの財産が奪われたり自分たちの立場や快適さが奪われるということになれば、もうプーチンを切らないと自分たちが危ないということになれば、彼らは自分の財力とか政治力を使ってプーチンを倒す動きになる可能性があるんですね。
逆に、それは唯一の可能性だと私も思うので、現実問題としてプーチン体制をロシアで替えるのは、そのオリガルヒたちに働きかけて、彼らが体制の中からトップを替えるという方向に行くことが現実的な路線だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/49
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050・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございます。
最後に、アンドリーさんにもう一度、もう一つお伺いしたいんですが、先ほどもゼレンスキー大統領の国会演説の中で触れられた復興というところについて、もちろん今そういったことを見通せる状況じゃないかもしれませんけれど、私はやはり、日本はこれまで、例えば二十年前、アフガニスタンに対してであったり、十年前も東日本大震災があった直後にこのアフガニスタンに対して支援国会合ということもやったわけでございまして、私は国際社会に対して、やっぱり今回のこのロシアの侵略を受けてもう国土が傷ついたウクライナに対して、全世界がやはりその支援に向けて力を合わせていくべきだというふうに考えております。
その中で、是非、日本が果たすこの役割について、これ期待も含めて是非御意見いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/50
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051・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) そうですね、まず、もちろん復興の話がもう今からでも考えなければならないんですが、まず、その復興が必要な時期が早く訪れるにはやっぱり、繰り返しになりますけど、この戦争をまず早く止めなければならないと思うんですね。
なので、復興における役割を果たす前に、この戦争を止める段階ででも日本が果たす役割も私はかなりあると思います。日本はやっぱり経済大国であって、世界においては影響力はそれなりにあるので、やっぱりここで積極的にロシアの蛮行を糾弾して、制裁の圧力で、さっき言ったようなロシアの体制を追い込むんだったりとか、そういったことにまず貢献するのが一つの大事な役割だと思います。
それが済んで、戦争が終結して、ウクライナが自由になった段階でやるべきことなんですが、それはもう本当に戦後復興ということになるんですね。
例えば、今まで中東だったりとかアジアで様々な紛争があって、その後、復興というのが、復興の事業があったんですが、やはり全ては限定的なものであって、やっぱり今までのそういう、例えばアフガニスタンの国民は残念ながらまだ完全に西洋型の自由民主主義にはまだ慣れていないという部分はあったので、なかなかその本当の意味の復興事業が難しかったんですね。
多分、ウクライナがそういう時期に入るときは、多分、近いものとして、第二次世界大戦直後のヨーロッパぐらいの規模の復興事業が必要になると思うんですね。なぜなら、今回の戦争でもう基本的に全部破壊されるんですけど、ウクライナはやっぱりヨーロッパの国であって、民主主義国家であるんですね。やっぱり……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/51
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052・馬場成志
○委員長(馬場成志君) グレンコ参考人、大変恐縮ですが、高橋委員の時間が来ておりますので、簡潔に言っていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/52
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053・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) 簡潔に、はい。
じゃ、それだけ言います。もうとにかく大規模な、もうゼロからインフラなどや生活基盤をつくり直す必要があるので、そこで日本が今までの戦後復興を始めとする復興の経験はかなり役に立つと思うので、これは日本はアメリカとともに参加するべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/53
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054・高橋光男
○高橋光男君 ありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/54
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055・上田清司
○上田清司君 国民民主・新緑風会、新緑風会の上田清司です。
参考人の先生方には、本日、誠にありがとうございます。
早速ですが、グレンコさんにお伺いしたいと思います。
グレンコさんのコラムなどに、もし休戦してもロシアは必ずまた再侵攻をすると、こういうことを言っておられますが、この理由について改めてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/55
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056・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) その理由は、基本的に、ロシアはウクライナを何としてでも自分の領土にしたいからなんですね。今回の侵攻でそれができなかったからといって、その自分のものにしたいという願望自体が変わらないんですね。
特に、プーチン大統領がもう自分の考え方を完全に隠さなくなって、もうむき出しにしているんですね。その考え方で、ウクライナは国ではなくロシアの領土というのははっきりしているんですね。彼は、この部分を諦めるというのは自分の信念をねじ曲げることになるんです、向こうの論理からいうとですね。だから、彼はそれは絶対できないんですね。ねじ曲げられないんだけど、今は軍事的にすぐ制圧できないとなったときに、そこは、彼は一旦休戦に応じて、今度こそ必ず確実に全部制圧できるように準備するんですね。その準備をロシアが実際にできるかどうかは別の問題なんですけど、少なくとも、そうする準備、そのつもりでいるのは間違いないんですね。
間違いない以上、我々は考えなければならないのは、休戦になったときに、じゃ、逆にこっちから見ると、ロシアが再侵攻しないためにどうすればいいのかというのが根本的に最も重要な問題になると思うんですね。やっぱり、一回戦争が止まったときに、再戦争は最悪なので、もう一回戦争が起きないために全力を尽くすべきですね。
そのためには、やっぱり二つのことを同時にしなければならないんですね。
一つは、ウクライナの防衛力強化なんですね。それはやっぱり根本的ですね。再侵攻してもウクライナが自国を守れる自衛手段をしっかり持つことなんですね。その中で、もちろん戦車や戦闘機も必要になるし、特に地対空ミサイル、防空が最も重要になるんですね。やはり戦争で勝つには制空権を取らなければならないので、逆に守っている方が、その攻めてくる敵が制空権を取られないように、逆に、敵の空の、空軍力を逆に減らして敵の進撃を止めることが大事ですね。
なので、そこでやっぱり自由民主主義諸国が、なるべくウクライナに対して多くの自衛手段、特に空を守る手段ですね、防空装備などの空を守る手段をなるべくたくさん提供して、次のロシアの再侵攻が起きるときに、もうウクライナでもうロシア空軍は何もできないような状況になる、そういう状況まで今のうちに急いで準備しなければならないんですね。それは一つ。
もう一つはやっぱり、さっき言ったように、ロシアからもう一回戦争を起こす能力を奪うことなので、そこでやっぱり制裁の圧力は必要になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/56
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057・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
河東参考人と鶴岡参考人にお伺いしたいと思います。
アメリカはかつて、イラク、アフガン、あるいは南米諸国など、比較的軍事的な小国に対して制裁的な攻撃を一方的にやってきた歴史を持っております。にもかかわらず、やはり大国ロシア、軍事大国ロシアとなると、改めて戦争の拡大等に関して抑止的に振る舞っている嫌いがあるのかな、こんなふうに思いますし、もちろんウクライナがNATOの加盟国でないという決定的な理由もあるのかもしれませんが、メガホンで頑張れ頑張れと言っているだけで、一部武器の供与やその他制裁などはやっているわけですが、徹底的にロシアと戦うような姿勢を示していないというふうに私は思っております。
ということは、大国に対してはなかなかこの勢力均衡とか抑止力というのは有効でないのかということを思わざるを得ないんですが、この点についてどのように御判断されるか、お伺いできればと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/57
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058・馬場成志
○委員長(馬場成志君) どなたにですか、上田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/58
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059・上田清司
○上田清司君 河東先生から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/59
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060・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) これはやっぱり、欧州方面と、それから台湾、日本周辺比べると、ちょっと状況は違うと思うんですよね。
欧州方面では、確かに米軍は控えていて、行動を控えて抑制していて、僕はそれは非常にいいことだと思います。グレンコさんには悪いんだけれども。
ところが、台湾の方はどうかというと、その中国に対してもうちょっと強く出られるとは思うんですよ、米軍は。海軍の話ですからね、主として、海軍と空軍。欧州は陸軍ですよね。まあそういう違いもあるし、それから、台湾とアメリカは実質的に同盟関係にあるし、日本とは本当の同盟関係にあるんで、そこはウクライナに対する出方とは違うと思います。
それから、ウクライナに対するアメリカの出方がそうだからといって、日本はアメリカをもう頼りにできないということには全然ならないと思います。それは、寒い冬の中でシャツ一枚着ていたってしようがないからシャツも脱いで外に飛び出していくというようなことと同じであって、アメリカを今捨てるということは日本の防衛上物すごく不可能なことだと思いますよね。
アメリカがそういうふうに日本を見捨てないように日本としてもできるだけ努力していかなければいけないし、それから、トランプみたいな人が大統領になったときに備えて日本は自主的な防衛力を更に充実していくことが、それを両輪としてやっていくことが必要だろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/60
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061・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 上田委員、お三方に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/61
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062・上田清司
○上田清司君 鶴岡参考人にも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/62
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063・馬場成志
○委員長(馬場成志君) それでは、鶴岡参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/63
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064・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
アメリカがどのようなときに介入をする、あるいは守るかということは、やはり第一には、その対象となる国が重要であるということなんだと思います。その観点では、日本がいかにアメリカにとって重要な国であるということを証明し続けられるかが必要になってくるんだと思います。そして同盟ということです。やはり同盟のコミットメントは非常に重いものですので、この同盟を、日本の観点では日米同盟をしっかり維持強化していくということです。
ただ、他方で、この今回の話で、ロシアが核兵器を持っている以上はなかなかアメリカが強く出られないということは、もし本当にそういうことなんだとしたら、それは若干我々の方でも心配が生じてしまうということです。ですから、化学兵器が使われたようなときに、化学兵器を含む大量破壊兵器が使われたときにアメリカが本当に行動できるのかというのは、これはウクライナ防衛のことではありませんで、やはりこの化学兵器が使われても何もアメリカは対処しなかったというあしき前例というのはつくってはいけないと、ここは日本の観点でもしっかり見ていく必要があるんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/64
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065・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 上田委員、止めますか。止めますか。このまま続行していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/65
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066・上田清司
○上田清司君 はい、続行します。グレンコさんにはまた改めて。今はお二方にだけ御指名させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/66
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067・馬場成志
○委員長(馬場成志君) それでは挙手してください。
上田委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/67
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068・上田清司
○上田清司君 鶴岡参考人に続けてお伺いしたいんですが、実は先に回答を言われてしまったんですが、実は、核の傘のまさに有効性ということについて、今回のウクライナの、ロシア侵攻について非常に懸念されることが起きているんではないかと思わざるを得ないような環境にあるのかなと思っております。
日本有事あるいは台湾有事において、まあ仮定の話にはなかなかお答えにくいということかもしれませんが、米中直接対決に至るようなことをやはり避けるというのがやっぱりアメリカの立場だと私は思っております。大国同士は極力直接対決を避ける。第二次世界大戦後の米ソの対決にしても、代理戦争はあっても、直接対決はキューバ危機以外は基本的には余りなかったと私は理解しておりますけれども、そういう意味で、大国同士の直接対決を避けるという、こういうことを考えれば、大国の核の傘というのは余り有効性がないのではないかと思わざるを得ないと一つの仮定論が出ますので、この点について鶴岡参考人とグレンコ参考人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/68
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069・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 参考人に、離席の場合はお申出の上ということでお願いを申し上げます。
それでは、鶴岡参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/69
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070・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
核の傘あるいは拡大核抑止、これの信頼性という話は、これもゼロか一〇〇ということではないんだと思います。一〇〇もあり得ないですし、ゼロも今の状況ではあり得ないと。そうしますと、日本にとっての課題というのは、それを一でも二でも引き上げていく、この信頼性をですね、これが課題になってくるわけです。その観点では、やはり様々な段階に応じて、我々日本、そして日米同盟としてどのように対処するのか、これをきめ細かくシナリオに応じて対処を準備しておくと、これに尽きるんだろうと思います。
ですから、その信頼性、核の傘の信頼性が揺らぐことへの懸念を持つということはこれは非常に健全なことでありますが、そこで、だからもう日米同盟は駄目だという議論ではなく、我々にできることを一つずつやっていくと、もうこれしかないんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/70
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071・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) 核の傘の有効性に関しては、やはり根本的に、核保有国が守る義務のある国と、守る義務、法的義務のない国だと全然扱いが違います。守る義務のない国については、確かにおっしゃるとおり、核の傘を期待するのはなかなか現実的に難しいし、実際にウクライナが今侵略されてもアメリカが核の傘を提供してくれないということを考えても、守る義務のない国についてはそれは恐らくないでしょう。
一方、では、守る義務のある国についてはどうかというのは多分みんな一番気になるところなんですけど、これについては、確かに、極端に言うと、そのときの米大統領のそのときのアメリカの内政状況に基づいて最終判断するので、一〇〇%どうなるかは言えないんですけど、ただ、少なくとも今回のウクライナ侵略をめぐるヨーロッパの情勢を見る限りでは、アメリカは、同盟国、つまり防衛義務、法的な防衛義務のある同盟国に対しては軍事力でその国々を守るつもりでいるという印象を私は受けています。
それはなぜ言えるかというと、バイデン大統領がはっきりと、NATO加盟国には、武力攻撃を受けた場合はそれについてはアメリカは軍事力で守ると言っているし、その意思表示として、NATOに加盟している東欧諸国に既に部隊を増強しています。今までポーランド、リトアニアで部隊があったんですけど、今度はルーマニアだったりとかブルガリアだったりとか、つまり、ロシアに直接面していなくても、その方面の全ての国に、全てのNATO加盟国に部隊を置く。置くというのは、もし侵略された場合は米軍でそれを守るということを考えるときに、その同盟国に関しては核の傘は少なくともないということはないはずです。
では、日本の場合はどうかというと、日米同盟があるわけですから、そこでアメリカは日本を守る義務を負っているわけなんですね。その場合は、核の傘が日本の場合はその抑止力はもろいと考えるのも、それはそれでちょっと違うかなと考えています。決してもろくないし、かなり強力だと思います。少なくとも、非同盟国と比べれば圧倒的に強力です。
でも、さきに言ったように、最終的に米大統領の判断という面もあるので、義務が負っていても、なので、そのいざというときに、もう極限の状態でアメリカの大統領が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/71
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072・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 上田君の時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/72
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073・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) はい。
防衛義務を履行するかどうかという判断するときに、やっぱり最終的に日本はどう動くかを見るので、ここでアメリカが、ちゃんと核抑止力を含めて全ての手段でアメリカは守る気になるのは、日本も国防努力を最大限にするべきだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/73
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074・上田清司
○上田清司君 三参考人にはありがとうございました、貴重なコメントを。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/74
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075・音喜多駿
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
参考人の皆様、今日は大変お忙しい中御足労いただきまして、誠にありがとうございました。
まず、グレンコ・アンドリー参考人の方からお伺いしたいと思います。
テレビ討論番組等々で、あの橋下徹さんとの議論なども拝見させていただいておりました。橋下徹さんは日本維新の会の創設者でございますし、我々も深い敬意を抱いておりますけれども、今は民間人ということで党とは関係がございませんし、このウクライナ情勢については我が党の公式見解とはかなり大きな隔たりがあるということはあらかじめ申し上げたいと思います。
その上で、アンドリー氏は、このウクライナ侵略以前から、ロシアのスパイの存在、そして要人買収の存在があるということを著書等で述べておられます。我が国にはまだスパイ防止法であるとか独自のインテリジェンス機関がなくて、こうした諜報活動に対して非常に脆弱、弱い面があるということを課題として認識しています。
そうしたふだんロシアが行っている諜報活動について、グレンコ参考人が今把握されていることを是非教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/75
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076・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) ありがとうございます。
まず、その個人の、それぞれの人の立場の、冒頭におっしゃった話なんですが、さっきおっしゃった人は、確かに法律上が関係ないんですが、ただ、残念ながら、あなた方の党にロシアの侵略を明らかに弁明している人もいるので、その人についてもそろそろ考えた方がいいのではないかと、私の個人的な意見であります。
では、そのロシアによる諜報活動に関してですが、ロシアは、基本的なやり方としてやっているのは、要人、つまりヨーロッパ諸国における首脳だったりとか大臣だったりとか、そういった人に接触して様々な接待を行って、あるいはロシアの企業にそういう人を採用して高給のお給料を支払うことによって手懐けるという手段を取っています。
有名な事例でいうと、オーストリアのカリン・クナイスル元外相だったりとか、あるいは同じオーストリアのシュッセル元首相といったような人たちがロシアの国営企業で役職を持って、そこで高い給料をもらっているわけですね。彼らはそれによってロシアに有利な発言をしているし、恐らく、まあこれは予測の範囲にはなるんですけど、予測の範囲でいうと、多分それぞれの国がロシアに有利に動くように自分たちの政治的な圧力を使っているというふうに思われています。
さらに、事例ですね、更に有名な事例というのはドイツのシュレーダー元首相なんですね。そのシュレーダー元首相は、もう長年ガスプロム関連の企業で役職、会長を務めているわけなんですね。務めながら、もう明らかにロシアに有利なことをもう何度も何度も繰り返して言っています。今回の侵攻が始める前からずっと、ウクライナはクリミアを諦めて連邦国になるべきだ。つまり、統一制をやめてそれぞれの地方がそれぞれの政府を持つ、つまりロシアがまさにウクライナを征服しやすくするための政策の一つなんですね。
なので、私はもちろん諜報機関関係者に知り合いがいるわけではないので、本当の裏の事情は私も知り得ないんですけど、ただ、少なくとも、表の情報で、ロシアは他国で人を手懐けて、その手懐けた人を動かして、それぞれの国においてロシアに有利な世論だったりとか動きだったりとか、そういったようなことをしているのは間違いないんですね。
欧州委員会の発表では、NATOの首都であるブリュッセル、ベルギーのブリュッセル市においてはロシアのスパイと中国のスパイが数百人ぐらい潜んでいるというふうに発表しているんですね。
では、その状況で誰がどういう人かというのは、やっぱりその人は、明らかにおかしいことを言っている場合はまず疑って、疑った上でそういう機関、日本の場合は公安警察でしょうか、私もそんな詳しい仕組みは分からないんですけど、そういった機関のやっぱり周辺を調べて、実際はどうなの、彼はただ自分の考え方や信念でやっているのか、あるいはこれでやっぱり指示を受けてやっているのかという調査はしっかりするべきだと思います。
例えば、おととしと去年一回ずつ、日本でロシア人によるスパイ事件がそれぞれ発覚しているんですね。たしか二〇二二年二月、二〇二〇年ですね、二月に一回、あと去年も一回あったんですね。でも、そういう人が普通に外交特権を使って普通に出国をしているんですね。まあそれ自体は外交特権だから仕方がないにしても、やっぱり、じゃ、その事件自体はそれで終わっていいのか。私は違うと思いますよね。私が思うのは、本人、スパイ本人が外交官特権を使って逃亡したとしても、事件の経緯だったりとかそういうのをよく調べて、やっぱりそのロシアの諜報活動に対して抗議なり再発防止の対策なり、それは取るべきなんじゃないかなと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/76
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077・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。
党内にも様々な議論ございますけれども、日本維新の会もロシアの非難決議は全員一致で賛成しておりますので、しっかりと一枚岩で活動してまいりたいと考えております。
続いて、河東参考人にお伺いしたいと思います。
私、都議会議員時代に一度御挨拶させていただいたことがございまして、その後、メールマガジン等も受信しておりまして、様々な情報をいつもありがとうございます。
先ほどの質疑応答の中で、日本はそのG7の中で独自の役割というのはないのではないかと、協調していって、後ろから付いていくぐらいでよいというようなことを述べられておりました。一方で、二〇一四年のクリミアの事変から日本は独自の外交をやってきておりまして、ロシアに対していわゆるちょっと融和的というか、そうした外交を繰り広げてきたところでございます。
では、河東参考人からすると、この今までの日本の独自外交というのはどのように総括されているのか。そして、仮にこれがちょっと失敗であったというか、効果がなかったとすれば、今後は日本はどのように立ち回るべきかということについて御見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/77
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078・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) そのことは多分安倍政権時代のことをおっしゃられているんだと思うんですけれども、あの頃、私なんかは外務省辺りに意見上げていたのは、やっぱりロシアとの関係というのは重要だから進めていく必要はあると。それから、その中で北方領土問題も必ず解決をしなきゃいけないんだけれども、この問題というのはそんなに簡単には解決しませんけれども、話合いは続けていかないといけないんで、そのためには首脳間の信頼関係が最も重要だと、膝を詰め合わせて話し合えるような関係をつくることが一番重要だということを申し上げていたし、それから外務省の幹部も同じことを考えておりましたからその方向に進んだんですけれども、それによって安倍総理が何か前のめりになり過ぎちゃったという感じは私は受けていました。
で、そのことは何度も政府に申し上げたんだけれども、そのまんま前のめりで進まれて、ロシア側のその可能性を過大評価していたと思いますよね。しかも、あのときは米ロ関係がどんどん悪くなっていった時期で、しかも、その二〇一四年のクリミアの併合でそれはもう決定的に悪くなったんですよね。にもかかわらず、随分頑張って制裁措置はなかなかとらず、結局アメリカに言われて一国だけ遅れてとったことによって、日本だけがロシアに特に憎まれて、ばかにされて、目立ってしまったということがあると思います。
ですから、今はどうするかということなんですけれども、ロシアは平和条約交渉をやらないとか言っておりますけれども、まああんまり騒がずに、交渉はこれからもやれということで、ああ、やるんだぞということで話を続けていけばいいし、それから制裁措置の方はG7の動向も見つつしかるべく続けていけばいいし、情勢が少し収まったらばロシアとの協力関係も少しずつ回復していけばいいんだろうと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/78
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079・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。ありがとうございました。
もちろん、足下では制裁が一番重要なことではございますけれども、北方領土問題の解決についてもしっかりと我々も尽力をしてまいりたいと思います。
続いて、鶴岡参考人にお願いをいたします。
今日はエスカレーションのコントロール、エスカレーションラダーのお話についても触れていただきましたが、開戦当初と申しますか、バイデン大統領が、アメリカのバイデン大統領が早々に軍事介入をしないとかなり強く宣言したことが今回ある意味では失敗だったのではないかと、ロシア側の増長を招いたのではないかというような言説も見受けられるところですが、この辺りの分析について何かあればコメントをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/79
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080・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
全体として、ロシアが強い姿勢に出たとしてもアメリカの反応というのは弱いんではないかと、そういう印象をロシアに与えてしまったのは事実だと思います。
ですから、それはその十二月になってからのこの米軍は送らないんだという発言のみではなく、やはり昨年六月のジュネーブでの米ロ首脳会談等々、様々なものを通じてアメリカは強く出てこないんではないかというメッセージが伝わってしまったんだろうと思います。ただ、その米軍を送らないというのも、やはり当然、あそこまで明確に言う必要はなかったというのも事実だと思います。
ただ、その全てのオプションがテーブルの上にあるという言い方をしていれば抑止ができたかと言われると、この点に関しては私は非常に懐疑的です。
ただ、この米軍を送るという話は、これ地上部隊というイメージなんだと思うんですね。ですから、この地上部隊を送る以外に様々な直接的な関与の方法はあるということです。ですから、今回、化学兵器がもし使われたような場合には空爆やミサイル攻撃が考えられるわけでして、それは米軍を送らない、地上部隊を送らないということと両立し得るんだということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/80
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081・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。
鶴岡参考人のSNSや著作等も拝見しておりまして、一つ、EUの問題が専門のお一つだと思うんですが、イギリスのEU離脱ということの今回の影響について、イギリスがEUを離脱してEUの結束が、ある意味、外部から見たら綻びがあったかのように見えたことで、今回のロシアのこの動乱の一つの遠因のようになったんじゃないかというような指摘も見受けられるところですが、この辺りのちょっと、EUのこの今の状態からロシアのこの侵攻についての関係性、影響ということについて分析があればお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/81
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082・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) そのアメリカは強く出ないんじゃないかということと同時に、やはりヨーロッパは足並みが乱れるんではないかというのが恐らくプーチン大統領の計算だったんだと思います。蓋を開けてみれば、しかし、非常に強い制裁になっておりまして、これはプーチン政権にとっては大きな誤算だったんだと思います。
イギリスとEUの関係も、この今回の事態に至ってはかなり協力関係が進んでいるとは思います。ただ、そのヨーロッパが足並み乱れるんじゃないかという判断の一つにブレグジット、イギリスのEU離脱があったということは、まあ否定はできないんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/82
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083・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。
あと一分になりましたので、以上で終わりますが、お三方の参考人の御意見交えて、この現下の、私も、ロシアの侵略を一刻も早く止めてウクライナに平和が訪れるようにしっかりと尽力させていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/83
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084・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は、三人の参考人、ありがとうございます。
まず、河東参考人と鶴岡参考人にお聞きいたします。
今回のロシアの侵略がこれどういう性格を持っているものなのかということなんですが、よくG7、西側対プーチンとか、自由と民主主義対専制という言い方もされますけれども、私は、国連憲章に基づく世界のこの平和の秩序そのものに対する挑戦、そういう点でいえばプーチン対この国際社会ということではないかと思うんですね。
実際、国連総会での非難決議が百四十一か国でありましたけど、戦後、米国やロシア、ソ連などの侵略への非難決議の中で、六回ありますけど、今回含めて、最高の賛成数だったわけですね。国連の討論なんか見ていますと、非常に小国がそういうやっぱりこの国際秩序の破壊への危機感を持った討論なんかをされております。
こういう、まさに国際秩序への挑戦だというこの図式で、国連、取り組んでいくということの重要性、そこで国連の果たす役割や日本の果たす役割についてどのようにお考えか、それぞれお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/84
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085・馬場成志
○委員長(馬場成志君) それでは、まず河東参考人からいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/85
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086・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) この件というのは、やっぱりロシアによる国連憲章違反、もろの違反だと思います。
しかも、ロシアというのはソ連の時代に国際連合をつくった言わば幹事国ですから、幹事が会員に暴力を振るうというのはその会は成り立ちませんので、やっぱりその国連を改革することが必要だと思います。
中には、国連をなくして新しい国連をつくれと、そうすればロシアの拒否権もなくなるという人もいるんですけれども、まあロシアも入っている国連があることはそれなりのメリットがあると思います。悪いことをしたときに国連が針のむしろになるので、針のむしろにはロシアを入れておいた方がいいんだろうと思います。
その代わり、ロシアが拒否権を行使しても、行使すると安全保障理事会が麻痺しますから、安全保障理事会を棚上げして、廃止するのは無理ですから、廃止することにロシアが拒否権を行使しますから無理ですから、安全保障理事会は棚上げして、それに実質的に代わるような力を持ったボディーをつくることがいいんだろうと思います。
それはもう現場の方々が考えることだと思うんですけれども、やっぱり総会の強化だと思いますよね。総会、国連総会については幹事会をつくることができるという規定もありますから、その幹事会を安全保障理事会に代わるものとして、日本もその中に必ず入るというようなことが必要だろうと思います。
岸田総理も、国連の改革が必要だというようなことと、それから拒否権の問題、たしか言及しておられたと思いますけれども、それを更にフォローしていくことが必要だろうと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/86
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087・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
国連の改革ということに関しては、なかなか短期的な答えはないんだろうと思います。そうした中で、日本にとってやはり重要なのは、今御指摘のとおり、この今回の戦争、侵略というものはもうこの国際社会全体にとっての挑戦であると、この原理原則の部分をこれは幾ら強調しても強調し過ぎることはないということですので、日本はずっと発信し続けるということだと思います。
その際に注意しないといけないのが、これが西側対ロシアとか米欧対ロシアなんではないと、これは国際社会全体対ロシアないしプーチン体制なんだということですね。これは日本として、この米欧だけではないというのを声高に言う立場としては、やはりアメリカ、ヨーロッパよりも日本が言った方がその点は説得力があるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/87
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088・井上哲士
○井上哲士君 ありがとうございます。
次に、グレンコ参考人にお聞きしますが、最初の意見の中で、ロシアは、このウクライナは一つの民族であって、一つの国になるべきだと、それが正義だということで今回の侵略を行っているというお話がありました。当初は、そういうこともあるので、例えば古都であるキエフなどには余り攻撃しないんじゃないかという話もあったわけですけど、おっしゃったように、今、逆にその意図的に民間人を相手にしているというお話もありました。
そうしますと、結局、同じ民族と言いながらそこを殺害しているということがあり、その結果、非常にこのウクライナの中での反ロシア的感情も高まっているという指摘があって、出発の意図とかなり違ったことに今なっていると思うんですけど、これはどういうことだとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/88
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089・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) ロシアはその同じ民族だという論理で侵略を実行しています。それは間違いないんですね。では、じゃ、何で彼らから見ると同じ民族にもかかわらず民間人を意図的に攻撃したり、こんな蛮行に踏み込むのか、なぜ彼らから、考えからいうと同胞、同胞を攻撃するのかというと、それは、論理は彼らは何だっていいんですね。例えば、抵抗している人たちが裏切り者と考えたりとか、あるいは、実際にロシアは民間人の攻撃しない、あれはそのウクライナの裏切り者の自作自演だとか、そういうことは幾らでもつくれるんですね。目的はウクライナの完全な支配であって、その後は手段なんですね。
それで、ちなみに、プーチン大統領から見ると、じゃ、ロシア人自身の命が尊いかというと、全然そんなことないんですね。プーチン大統領は今まで何度もロシア人自身を大量に死に追いやっているんですね。現に今回の侵略戦争で多くのロシア人も当然死ぬわけですね。攻撃してくるわけで、戦争になって、死ぬし、今までチェチェン戦争だったりとか多くの戦争でロシア人自身を死なせているんですね。
そもそも、プーチン政権ができた経緯でいうと、どうやってできたかというと、それは一九九一年に、プーチン当時首相になって、首相になってすぐ、プーチンの指示で、ロシアで四か所で民間マンションが爆破されたんですね。それ、あの当時かなり有名な事件だったんですけど、モスクワとブイナクスク市とヴォルゴドンスク市で合計四か所のマンションが爆破されたんですね。それはプーチンの指示で行われたんですけど、ロシアの国営テレビのプロパガンダで、それはチェチェンのテロリストがやったとして、それでチェチェンをやっつけるぞという狂気にロシア社会が駆られて第二次チェチェン戦争が始まったんですね。
つまり、こんな残虐なことをプーチン大統領はロシア人自身に対して平気でやるんですね。なので、彼にとっても自国民の命や他国民の命は別にどうでもいいんです。だから、彼の思想で、同じ民族なんだけど、じゃ、逆らう、同じ民族ならそれを殺さないかというと、そんなことは全くないんです。彼らの価値観においては、ロシア人だろうがほかの国の人だろうが、一般人の命は価値がないという独裁的な考え方なので、これは何も驚くことではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/89
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090・井上哲士
○井上哲士君 続いて、河東参考人と鶴岡参考人にお聞きしますが、今回のウクライナへの侵攻で、先ほどありましたようなNATOの拡大、NATOの脅威に対抗するということと、もう一つは、ウクライナの、彼らの言うところのナチ政権が問題なんだと、こういう言い方をしています。
プーチン大統領は、二〇一四年のいわゆるマイダン革命もアメリカの支援を受けた極右民族主義とネオナチの仕業だと、こういう言い方もし、そして今、このナチ政権が和平合意を守らずに東部ロシア系住民を集団殺りくをしている、これを守るためにナチ政権を打倒する、で、平和を取り戻すんだと、こういう言い方をしているわけですね。
他国の政権気に入らないからといって侵略をするような権利は国連憲章で全くないわけで、そもそも成り立たない話だと思うんですが、ただ、こういう今一連のそのウクライナ政権に対して行っている批判について、事実関係どのように把握をされて評価されているか、それぞれお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/90
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091・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) NATO拡大については、プーチンさんの言い分にも一分の理があると、まあ真理があると思います。
ただ、NATO拡大の場合、さっきグレンコさんもおっしゃったように、それはそのNATOに入れられる国自身の希望であったわけですよね、切なる希望であったわけですよね。そこをロシアは見ていないと。ロシアは、それはアメリカが強引にバルト諸国を入れたんだと、力でねじ伏せて、そう見ているわけなんですけれども、真実は逆であるわけですよね。
それから、ウクライナにナチがいる云々の話なんですけれども、それはいます、テレビで実際に出てくるわけだから。たいまつ行進なんかはネオナチがやりますよね、毎年。彼らがハリコフとかそれからマリウポリを主として守っているわけなんだけれども、それはウクライナの国内問題ではないかと思います。
それだからといって、その一番の問題というのは、ロシアが二〇一四年に武力で東ウクライナに攻め込んで、今でも制圧しているということが一番の根っこにあるわけですから、そこにそのウクライナ人の、ネオナチであろうがリベラルであろうが、取り返そうと思って何で悪いと、そっちの方が国連憲章にかなっていることで、ロシアがやったことは国連憲章に違反しているんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/91
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092・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) このNATO拡大の件は、もちろんロシアはそのように主張するわけですけれども、このウクライナのNATO加盟自体全く何も進んでいなかったんですね。ですから、進んでいないものに脅威を感じていたというのが実態だったんだろうと思います。そこには何らかの擦れ違いもあったということなんだと思います。
もう一つ、そのウクライナが完璧な国家でないことは当然です。汚職も問題ですし、様々な問題を抱えている国です。ただ、だとしても、どんな問題を国内で抱えていたとしても、侵略していいということには全くならないということです。
最後に一点、この東部でのジェノサイドというロシアの主張についてです。これについてはロシアの主張も非常にいいかげんでありまして、例えば一万四千人が殺されたという数字を出すわけですけれども、その数字というのは、二〇一四年以降のドンバスの紛争で亡くなったロシア側、ウクライナ側、軍人、民間人全てを足した数字なんですね。ですから、そういった数字を持ってきて虐殺だということには無理があるわけですし、その虐殺、ロシア系住民への虐殺がなかったということは、この国連においても、そしてOSCE、欧州安全保障協力機構においても証明されているということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/92
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093・井上哲士
○井上哲士君 じゃ、再度お二人にお聞きしますけど、プーチン氏が核兵器の先制使用をかざして恫喝をしているということでありますけど、これまで、核兵器を保有をしていれば核兵器の使用が止められると、いわゆる核抑止力論ということが言われてきたわけですけど、自分の国の国民にどんな被害があろうともその使用もいとわないというような指導者が出たのを見たときに、この核抑止力というもの自体が問われているんではないかというふうに思うんですけれども、その点、それぞれからお考えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/93
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094・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) 核抑止力は効かないときもあるかもしれないけれども、大体の場合に考慮に入れられると思います。特に北朝鮮の指導者であるとか、まあロシア、中国もそうなんですけれども。
それが効かないかどうかということは、アメリカ軍のその核装備が西太平洋では随分手薄になっていることは事実だと思うんですよね。だから、そのアメリカ本国の核兵器を使わざるを得ないから核抑止力が薄くなるというのは、それは事実だと思うんですけれども、アメリカ軍はそれがあるから、現在、西太平洋方面の核配備を強化しようとしていますよね。昔のトマホーク、核弾頭を装備したトマホークを再配備しようと今していますよね。
それからもう一つは、今問題になっている日本に中距離核ミサイルを配備するかどうかということなんですけれども、そういったその中距離核ミサイルと、それからトマホーク両面で中間段階の核抑止力を整備しようとしているわけですよね。それにどういうふうに対処、日本が対処するかというのは別の問題ですけれども、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/94
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095・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
核抑止については、核兵器が実際使われていないということであれば核抑止が機能している可能性があると。これ、ただ証明はできないんですね。核兵器が使われてしまったときに核抑止が崩壊してしまったというのが分かるというだけであります。これは抑止論において常に抱えている難題だとは思います。
ただ、今回課題になっている、問題になっているのは、恐らくロシアの限定的な核の使用ということなんだと思います。戦略核を撃ち合うという話ではありませんで、地域紛争を抑えるために、エスカレーション抑止とロシアでは言いますけれども、この限定的な核兵器の使用と。それに対して、NATO側、アメリカ側で、この同じレベルでの対処手段が限られるんではないかというのが、この米欧、日本を含めてですね、この専門家の間、そして政府関係者の間で対応を迫られて議論してきた問題です。
これについては、まだ必ずしも答えは出ていませんけれども、やはりその国家が自らの体制の存続、そして国家自体の存続というものを重視している限りにおいては、やはり核抑止というのは効く、効果を発揮する可能性があるというところは期待が持てるんだと思います。
ただ、他方で、最近ロシアの議論でありますように、このロシアがいない世界は存在する必要がない、存在する意味がないと、そういった議論にまでなってきますと、これはなかなか核兵器によっても抑止することができない話になってきてしまうのかなというふうな感想は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/95
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096・井上哲士
○井上哲士君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/96
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097・伊波洋一
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
まず最初に、河東参考人にお伺いします。
その前に、今日は御三名の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
私は、停戦がいつ実現するのだろうか、あるいは停戦の可能性、あるいはその停戦に向けての取組として現在様々な国の間での取組があると思うんですが、今対面式で停戦協議が始まったということが報じられておりますが、河東参考人の御所見として、この停戦の取組、停戦協議の取組と、それから見通し、どの程度掛かるのだろうかということについて、もし御所見があればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/97
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098・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) 停戦はこれまで何回も繰り返されて、いわゆるミンスク合意というのも停戦の合意でありますけれども、それを親ロシア側が破るか、それともウクライナ側が破るかして、これまで何回も破られてきた経緯ですよね。
今回の二つの大きな問題があると思います。
一つは、NATOとロシアの関係をどうするかということなんですけれども、いわゆるNATOの拡大なんですけれども、こっちの方は収めるのは割と難しくないんではないかと思います。これまでNATO、アメリカと、それからロシアが相互に挑発をエスカレーションしてきたというのが大きな問題なんですけれども、このエスカレーションが起きないように、例えば相互に非核地帯を、非核ゾーンを設けるとか、それからそのゾーンでの部隊の増強はやめるとか、部隊の構成の大きな変更は相互に通知するとか、そういう合意をすることは冷戦時代にも行われていましたし、今回も可能だと思います。
ただ、難しいのは東ウクライナのことだろうと思います。ここは、停戦することは簡単なんですけれども、必ずどちらかに不満が出てくるんで、ロシア軍が完全に引けば、それは我々にとってはいいんだけれども、ロシアの方は不満でしょうし、そういうことはまずないだろうし、それから、ウクライナ政府とそれから親ロシア政府の間で境界線を引いたところで、その境界線を必ずどちらかが破るだろうと思います。
ですから、東ウクライナについての停戦というか和平というのは難しいだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/98
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099・伊波洋一
○伊波洋一君 当初、ゼレンスキー大統領もこの停戦協議には応じないという主張がとても強かったと思うんですけど、まず撤退をという形だったと思うんですが、ここへ来て停戦の条件についても言及をするようになっているように報じられておりますが、やはり今回のロシアの侵攻は広域に及んでおりますし、まさにウクライナの都市を破壊をして、まさに戦争であるという状況の中で、先ほど来言われているように、ウクライナ全体を取るかもしれないような思いだったかもしれませんが、しかし現実には、今ウクライナ軍も攻勢の、その守りは一応守っていると。
そういう中で、やはりNATO諸国も、あるいはアメリカも、一応停戦に向けての思いを持ってこれを見ているんだと思うんですが、そういうふうに見てよろしいでしょうか。河東参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/99
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100・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) それに賛成でございます。
元々、そのアメリカとそれからヨーロッパ諸国は、グレンコさんには申し訳ないけど、そのウクライナがバッファーゾーン、緩衝国であって構わないという立場から発していたと思うんですよね、バイデンは。だから、そういう方向で落ち着くんであれば、彼らはそれでいいでしょう。
あと、収拾の、停戦の可能性なんですけれども、付け加えますと、どこか東ウクライナの親ロシア勢力とウクライナ政府の間で停戦ラインというものについて合意が行われたらば、そこの停戦ラインに国連のPKOなり国際PKOが駐留することも一案だろうと思うし、そういう案は既に方々の論壇で出ています。ただ、そういう力を持ったPKOがどこにいるのかという問題はありますけれども、PKOの質がどんどん落ちているから。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/100
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101・伊波洋一
○伊波洋一君 やはり、EU諸国、NATO傘下のEU諸国、あるいはほかの東欧諸国も含めて、これ以上の戦争というものはやはり誰も望んでいないでしょうし、それから難民の、この一千万人を超える、国内を含めての難民の状況、やはりそれが更に戦争が継続すればますますひどくなっていくということはもう明らかだと思うんです。
そういう中に、また天然ガスの問題にしてもEUにとって大変厳しい状況もありますし、停戦に向けた動きが、やはりそこが可能であるならば、それに向けてそれぞれの国々は努力をしていこうとするんだろうと思っています。
そういう中で、ロシア政府の意向や、あるいはまたウクライナ政府の意向というものが、やはり歩み寄る立場のところに行くという見通しとしては当面ないと見るのですか、それとも、やはりそこへ行くべきであると思うんですか、どちらでしょうか。済みません、河東参考人に同じくお伺いしますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/101
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102・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) ロシア政府が停戦の方向に行くということですか。(発言する者あり)あり得ると思いますね。やっぱり今は立場がかなり難しくなっているから、当面はあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/102
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103・伊波洋一
○伊波洋一君 その当面というときに、どのくらいの、まあ言いにくいでしょうけど、やはり望むところ、どのくらいまでにはやはり実現をしてもらいたいと思っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/103
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104・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) そこは分かりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/104
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105・伊波洋一
○伊波洋一君 ありがとうございました。
次、鶴岡参考人にお伺いします。
先ほど、戦術核の方の議論も言及がありました。やはりロシアも、当然ウクライナも、最終的な破局には行きたくないと思っていると思うんですね、それぞれの政府自体は。そういうときに、もちろん制裁も有効であるわけですが、そこへ歩ませるための大きな力としては、今、更に何が必要だと。先ほど来からお話は聞いておるんですが、その和解に向けて、その停戦なり、停戦に向けての取組、国際的な取組の後押しになるようなもの、幾つか挙げていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/105
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106・鶴岡路人
○参考人(鶴岡路人君) これ、停戦はこれ交渉事ですので、ロシア、ウクライナ双方が譲歩をしてでもまとめたいと、この機運が高まらないといけないと。ですから、今のままの状態を続けていくことがコストが高過ぎるということになれば、交渉というのはより進んでいくと。ただ、この交渉における力関係というのは現場の軍事バランスに関わってくるということですので、交渉を優位に進めるために更に軍事作戦を強化するということは十分考えられるわけでして、まさにロシアがそれをやっているんだと思います。
もう一点、国際社会の方でということでいいますと、今回、この中立化、ウクライナの中立化と、これはNATOに参加、加盟しないということで使われていますけれども、これとセットになるのが安全の保証という考え方なんですね。ウクライナ側が明確に求めているのは安全の保証です。これは、アメリカやイギリスを中心に関係国が安全を保証してほしいと。ですから、これは、この中立という話と安全の保証がセットで成立するためには、アメリカやイギリス等々、ウクライナが安全の保証の提供を求めている国々がどれだけ安全の保証を受け入れられるかということに関わってくるんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/106
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107・伊波洋一
○伊波洋一君 ありがとうございました。
次に、グレンコ参考人にお伺いします。
先ほどのお話で、まず降伏というのはあり得ないというふうなお話がありました。停戦というのはあり得るとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/107
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108・グレンコ・アンドリー
○参考人(グレンコ・アンドリー君) 停戦はもちろんあり得るし、停戦を実現しなければならないとも思います。また、ウクライナ政府としても、現に毎日人が殺されているので、取りあえず停戦を実現しなければならないという考え方であります。
ただ、現実問題として停戦を実現するにはどういう条件がそろわなければならないかというと、それは、ロシアがまず進軍を止めることに合意する、それは停戦の絶対条件なんですね。その攻撃が続いている状態で停戦にならないわけなんですね。
だけど、今ロシアの、さっき言ったように目的が変わらないわけなんですけど、目的が変わらないのに停戦に応じるというのはどういう状態かというと、それは、ロシア軍は、ウクライナ軍の守りもあって、西洋の制裁もあって、これ以上の攻撃はもう難しい、これ以上の攻撃があってもうまくいかないだろうという場合は停戦に応じる可能性があります。
ただ、それはやっぱり一時停戦になる可能性は非常に高いんですね。つまり、停戦、文字どおりの戦闘行為だけが止まって、ほかは何も決まらないということは十分あり得るんですね。なぜなら、停戦というか休戦が行っても、では、和平はどうか、つまり、戦闘行為が行われた、その止まった後の、じゃ、両国の何らかのこの状況全体を解決する合意が可能かどうかというところなんですけど、それは非常に難しい状態であります。
さっき鶴岡先生もおっしゃったように、ウクライナは、ロシアはそこまでNATO加盟にこだわっているのであれば、分かりました、じゃ、そこは諦めます、ただ、その代わりにロシア軍はウクライナ国土から撤退してください、それも絶対条件になるんですね。
それと、ウクライナは、ただ、再侵攻の可能性はいつでもあるから、NATOに加盟しない約束をする代わりに何らかの別の安全保障の仕組みが必要になるんですね。つまり、NATOではない組織が、あるいは国がウクライナの安全を保証するという仕組みなんですけど、それはあり得るかというと、あり得ないんですね。
なぜなら、例えば、アメリカ若しくはイギリス若しくはトルコのような国が、じゃ、NATOの代わりに我が国はウクライナを守る、いざというときにという約束をアメリカもイギリスもトルコもしますかというと、しないんですね。なぜなら、その国々はNATO加盟国だから、既に同盟国があるので、その同盟国を守らなければならないんですね。同盟国でもないウクライナを守ることは、現実的に彼らは引き受けない、引き受けられない義務なんですね。
なので、ウクライナは、NATO非加盟の代わりに求める別の安全保障の仕組みは現時点で全く見えてこないわけですから、なので、それをまとめて言うと、軍が残ったまま一時休戦があり得ても、現時点で両側が納得するような合意の見通しは全くない状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/108
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109・伊波洋一
○伊波洋一君 最後に、河東参考人にいま一度お聞きしますが、ですから、停戦が実現して、休戦が実現しても、和平を、ある意味で休戦の線でもそうですけれども、これだけ軍が侵攻している状況の中で、さらに、そこの中のいわゆる別の政府を承認しているロシアとの関係の中では、ある一定の、まあ変な言い方ですけど、領土割譲か分からないけど、そのあるエリアが親ロシア地域として残らざるを得ないような、残らなければロシアも合意できないような状況になっているのかなとも思うんですが、そういう協議を経ることもあり得るとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/109
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110・河東哲夫
○参考人(河東哲夫君) それは情報がないんで何とも申し上げられないですけれども、可能性としては十分あるし、それはロシア側が言うようなことだろうと思いますよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/110
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111・伊波洋一
○伊波洋一君 いろいろと専門的なお立場での見解、ありがとうございました。
是非、和平が一日も早く実現してロシア軍が撤退することを、一日も早く撤退することを希望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/111
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112・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様方に一言お礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
参考人の皆様におかれましては、御退席いただいて結構でございます。
先ほどの質疑の中で、グレンコ参考人の発言中に不適切と認められる言辞があるとの指摘がありました。委員長といたしましては、後刻理事会において速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/112
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113・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。林外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/113
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114・林芳正
○国務大臣(林芳正君) ただいま議題となりました二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案につきまして、提案理由を御説明いたします。
二千二十五年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を開催するに当たり、我が国は、国際博覧会条約上の義務として、我が国政府を代表する博覧会政府代表を任命する必要があります。
この法案は、博覧会政府代表の任務の重大性等に鑑み、これまでに我が国で開催された国際博覧会の場合と同様に、政府代表の設置及びその任務、給与等について定めるものです。
この法案では、外務省に、特別職の国家公務員である二千二十五年日本国際博覧会政府代表一人を置き、政府代表は、二千二十五年日本国際博覧会に関する全ての事項について日本国政府を代表することを任務として定めています。
また、関係府省の長は、政府代表の任務の円滑な遂行を図るため、必要な措置をとることを規定しています。
加えて、この法案では、政府代表の任免手続、俸給月額等について定めているほか、二千二十五年日本国際博覧会の終了の日から起算して一年を経過した日に効力を失う旨を定めています。
政府代表の給与等については、令和四年度予算案に計上しているため、また、大阪・関西万博に向けた準備に遺漏なきを期すため、本法案は四月一日から施行する必要があります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/114
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115・馬場成志
○委員長(馬場成志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00520220329/115
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