1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月十四日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
山口那津男君 河野 義博君
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出席者は左のとおり。
理 事
宇都 隆史君
和田 政宗君
小西 洋之君
高橋 光男君
井上 哲士君
委 員
岩本 剛人君
佐藤 正久君
武見 敬三君
中曽根弘文君
松川 るい君
三宅 伸吾君
田島麻衣子君
羽田 次郎君
福山 哲郎君
河野 義博君
上田 清司君
音喜多 駿君
鈴木 宗男君
伊波 洋一君
国務大臣
外務大臣 林 芳正君
防衛大臣 岸 信夫君
副大臣
外務副大臣 小田原 潔君
外務副大臣 鈴木 貴子君
大臣政務官
外務大臣政務官 上杉謙太郎君
外務大臣政務官 本田 太郎君
外務大臣政務官 三宅 伸吾君
事務局側
常任委員会専門
員 神田 茂君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 澤田 史朗君
内閣官房内閣審
議官 青柳 肇君
法務省大臣官房
審議官 柴田 紀子君
出入国在留管理
庁出入国管理部
長 丸山 秀治君
外務省大臣官房
地球規模課題審
議官 赤堀 毅君
外務省大臣官房
審議官 遠藤 和也君
外務省大臣官房
審議官 徳田 修一君
外務省大臣官房
審議官 渡邊 健君
外務省大臣官房
参事官 岩本 桂一君
外務省国際協力
局長 植野 篤志君
外務省領事局長 安藤 俊英君
厚生労働省大臣
官房生活衛生・
食品安全審議官 武井 貞治君
防衛省大臣官房
政策立案総括審
議官 川嶋 貴樹君
防衛省防衛政策
局長 増田 和夫君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
(ソ連の対日参戦に関する件)
(ウクライナ情勢に関する件)
(北朝鮮帰還事業に関する件)
(国連憲章に関する件)
(日露関係に関する件)
(石炭火力発電の輸出支援に関する件)
(国民保護措置に関する件)
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の
特例に関する法律を廃止する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
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〔理事宇都隆史君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/0
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001・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
馬場委員長が都合により出席できませんので、委員長の委託を受けました私が委員長の職務を行います。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、山口那津男君が委員を辞任され、その補欠として河野義博君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/1
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002・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澤田史朗君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/2
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003・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/3
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004・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/4
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005・和田政宗
○和田政宗君 皆様、おはようございます。自由民主党・国民の声の和田政宗です。
早速質問に入ります。
まず、国民保護法と警備業について質問をいたします。
各地の防衛省の関連施設等では民間の警備業の方々が警備に当たっています。重立ったところでは、市ケ谷の防衛省庁舎で警備に民間警備の方々を活用しているはずですけれども、それでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/5
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006・川嶋貴樹
○政府参考人(川嶋貴樹君) 防衛省でございます。お答え申し上げます。
防衛省の内部部局あるいは統幕、各幕、情報本部、それから、もちろん大臣、副大臣、政務官もいらっしゃいますけれども、市ケ谷庁舎におきましては、旧防衛庁が六本木から市ケ谷に移転いたしました平成十二年以降、警備職員の業務の一部を補完するために民間会社に警備業務を委託してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/6
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007・和田政宗
○和田政宗君 これは、警備業の方々は防衛関連施設の警備に当たっているということでありますけれども、武力攻撃事態等を想定した場合に、警備業の方々が防衛関連施設の警備に当たっている、これに加えて、住民の避難に関する措置、生活関連等施設の安全確保に関する措置等についても警備業の方々は役割を果たし得るというふうに考えます。
国民保護法上の指定公共機関へ追加すべきだと考えますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/7
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008・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
国民保護法の指定公共機関は、武力攻撃事態等において、国や地方公共団体のみでは実施が困難な措置を実施する観点から、公共的機関、公益的事業を営む法人のうち、業務の公益性や対処措置との関連性などを総合的に勘案して指定するものでございます。
一方で、この制度におきましては、指定を受ける民間機関からすれば、武力攻撃事態等において行政機関と並んで措置を実施するという特別の負担を課されるものでもあることから、指定公共機関に実施を求める措置の具体的な内容は法律で定めることとされ、また、指定の対象となる機関の範囲も政令で定めることとされております。
委員御指摘の警備業者についてでございます。現行の国民保護法では実施を求める具体的な措置が想定されておりません。指定公共機関への追加につきましては、警備業の公益性の度合いや武力攻撃事態等への対処との関連性などを踏まえまして、当該事業者の御意見も伺いつつ、総合的に判断することが必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/8
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009・和田政宗
○和田政宗君 やはりどんなときにも国民を守り、国の施設等を守っていくということが重要であるというふうに思いますので、しっかりと検討を進めていただきたい、実施をしていただきたいというふうに思います。
次に、戦争犯罪について聞きます。
ウクライナでロシアの侵略により多数の民間人が殺害されたことについて、松野官房長官が、多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪だ、処罰されなければならないと述べるなど、日本政府はロシアの行為を戦争犯罪と認定をしています。
昭和二十年八月、日ソ中立条約を一方的に破棄し、満州や我が国領土である南樺太、千島列島に侵略を始めたソ連は、ウクライナと同様に多数の避難民や民間人を殺害しました。八月十四日には、満州葛根廟において、避難中の女性、子供ら千数百人が白旗を掲げたにもかかわらずソ連軍によって機関銃で攻撃され、戦車でひき殺されました。死者は千人以上、そのうち二百人は小学生でした。
この事件は外務省の公文書にも記されていますし、各地でのソ連による残虐行為は数を挙げれば切りがなく、おびただしいものになります。
これらソ連の残虐行為は戦争犯罪に当たると考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/9
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010・林芳正
○国務大臣(林芳正君) さきの大戦におきましては、当時の全ての国民が何らかの戦争の犠牲を被り、一般市民の中にも筆舌に尽くし難い労苦を経験された方が多数おられると承知しております。
また、例えば満州について申し上げれば、終戦の前後、避難中の多数の民間人が、今お話がありましたように、ソ連軍により殺害された痛ましい事件について、外交史料館に保管された公文書にも記録が残されているものと承知しており、これは国際法の根底にある基本思想の一つたる人道主義には合致しないものであったというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/10
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011・和田政宗
○和田政宗君 確認ですが、人道主義に合致をしないということは、これはイコール戦争犯罪であるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/11
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012・林芳正
○国務大臣(林芳正君) いわゆるこの戦争犯罪を規定する条約等が当時はまだなかったということもございまして、先ほどのような考え方を申し述べたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/12
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013・和田政宗
○和田政宗君 これは外務省ですとか関係各所とやり取りをさせていただいて、私はジュネーブ条約等によってこれは戦争犯罪と認定ができるというふうに思っておりますが、現状ではいろいろな整理が必要だというようなことであるというふうに思いますが、外務大臣より言及がありましたように、このような残虐行為はどんな時代であっても許されないわけでありまして、それについて政府がしっかりとした見解を示したことについては評価をしたいというふうに思いますし、現在ウクライナで行われている戦争犯罪については、即刻停止をさせるために日本政府は外交努力を続けていただきたいというふうに思います。
そして、旧ソ連と日本の条約について質問をしたいというふうに思います。
樺太千島交換条約は今も有効でしょうか。また、南樺太を日本に割譲したポーツマス条約についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/13
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014・徳田修一
○政府参考人(徳田修一君) お答え申し上げます。
委員から御質問のございました一八七五年の樺太千島交換条約、これ、我が国が千島列島をロシアから譲り受ける代わりに、ロシアに対して樺太全島を譲り渡すことを規定してございます。一九〇五年のポーツマス条約、これは、我が国が樺太の北緯五十度より南の部分、いわゆる南樺太をロシアから譲り受けることを規定してございます。
日ロ間でこの樺太千島交換条約及びポーツマス条約を失効させる旨の明示的な合意が行われたことはございませんけれど、我が国としては、サンフランシスコ平和条約に基づき、千島列島及び南樺太に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/14
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015・和田政宗
○和田政宗君 その点を整理をしたいというふうに思うんですが、サンフランシスコ平和条約では、日本は千島列島と南樺太の放棄を表明をしましたけれども、ソ連はこの条約に参加をしておりません。この条約で放棄した地域が最終的にどこに帰属するかについては、これは何も決められておりません。
この地域が最終的に日本に帰属することがあり得るのか、またその場合はどのような場合か、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/15
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016・徳田修一
○政府参考人(徳田修一君) お答え申し上げます。
我が国は、サンフランシスコ平和条約に基づき、千島列島及び南樺太に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しております。その帰属先についての見解を述べる立場にはないというのが政府の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/16
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017・和田政宗
○和田政宗君 従来どおりの答弁という形でありますけれども、最後の、やはり戦争犯罪とまたこの条約等につきましても、まあ従来の答弁が繰り返されておりますが、やはりこれだと私は戦後は終わらないというふうに思っています。
しっかりと我が国が国際社会においてリーダーシップを外交的に発揮をしていく中で、もう戦後の秩序というものは今回のロシアのウクライナ侵攻によって破壊をされたわけでありますから、我々がしっかりと戦後の状況を清算をして平和のために邁進をしていかなくてはならないというふうに思いますので、日本政府においては、こういったことについてもしっかりと見解をもう一度整理をしていただいて行動をしていただければというふうに思います。
通告はしておりませんが、外務大臣、これについて、私の意見について感想がありましたらよろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/17
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018・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 先日、国会のお許しを得てNATOの会議にも出席をいたしてまいりました。今回のロシアのウクライナ侵略によって、言わば国連の安保理の常任理事国による国際法違反ということが明確になったと。そういうことを受けて、新たな国際秩序に対するこの必要性、国連改革に対する必要性というものが多くの国から述べられたわけでございまして、そういう状況の中で我々は日本の国益を守るべく全力を尽くしてまいらなければならないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/18
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019・和田政宗
○和田政宗君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/19
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020・小西洋之
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。
ロシアのウクライナ侵略の問題について質問させていただきます。
まず、外務大臣に伺います。
プーチン大統領が、先日、ベラルーシのルカシェンコ大統領と会談をしまして、共同会見を行っております。その中でプーチン大統領が、このウクライナのブチャでの多数の民間人の殺害行為、まさに戦争犯罪だと思いますが、これについてフェイクであると述べ、また、このウクライナへの侵攻について、ロシアの安全保障のためのものであり、ほかに選択肢、方法はなかったというようなことも言っております。またさらに、ウクライナは反ロシアの拠点であり、ネオナチの芽が育成された、まあネオナチがいる、これが戦争目的であるというふうに述べているんですが、これらのプーチン大統領の発言について政府としてどのような見解をお持ちであるか、答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/20
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021・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 今、小西委員から御指摘のありましたプーチン大統領の発言については承知をしております。
この発言の逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、我が国としては、ロシア軍の行為によってウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止め、強い衝撃を受けております。多数の無辜の民間人の殺害は、重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪でございます。断じて許されず、厳しく非難をいたします。こうした残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、ロシアは戦争犯罪の責任を厳しく問われなければならないと考えます。我が国としても、戦争犯罪が行われたと考えられることを理由に、ウクライナの事態を国際刑事裁判所、ICCに付託をしておるわけでございます。
また、ロシアがウクライナ侵略を開始した原因については様々な発言や議論があると承知しておりますが、問題の本質は、プーチン大統領が平和的解決に向けた各国からの働きかけを聞き入れず、ウクライナの非軍事化や中立化といった一方的な要求を実現すべく武力行使に及んだことであると考えます。
いずれにせよ、ロシアによるウクライナへの侵略は、いかなる理由をもってしても正当化されるものではなく、国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、明白な国際法違反として厳しく非難されるべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/21
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022・小西洋之
○小西洋之君 ありがとうございました。
先日、バイデン大統領がプーチン大統領は政権にあるべきではないとの発言をして、こういう事態においてそれぞれどういう発言、またそれに対してどう対応するかというのは政治的にも難しい問題だと思うんですが、そうしたことを悩みながら次の問いをさせていただきたいと思います。
ロシアの左派政党、公正ロシアのミロノフ党首という方が、一部の専門家によるとロシアは北海道に全ての権利を有していると、日本の脅しとも受け止められるような見解を一日に同党のサイトで発表したと報道があります。
日本政府としてそのような事実関係を確認しているのか、これが一つ。また、こうした見解及びこの発言の行為というものは国連憲章などの国際法の趣旨に反するものと考えますが、政府の見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/22
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023・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 今御指摘がありましたミロノフ・ロシア下院議員の対外発信を承知しております。このミロノフ下院議員の主張は、一議員の個人的な見解にすぎず、根拠が全くないものであり、受け入れられないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/23
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024・小西洋之
○小西洋之君 まあ一議員の発言なのでそのような対応で私もよろしいかと思うんですが、やはりこういう暴論、暴言に対しては、我が国はしっかり普遍的な価値、またあるいは普遍的な制度をもって淡々と対応すると。
私、今おっしゃっていただきましたけれども、私は国連憲章に、当然、趣旨に違反するような発言だと思いますし、私たち日本国の国会議員においては、日本国憲法があり、憲法の前文に、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と、このような発言を憲法の下で許されないという憲法で、我々は国民のために働いておりますので、そうしたことをロシアの方々にも認識をしていただきたいと思います。
では、続いて、外務大臣に伺わさせていただきます。
今この侵略、ウクライナへのこの侵略戦争ですが、今度この東部地域の大きな大規模な侵攻が開始されるのではないか。向こう二週間ぐらいが勝負ではないかというような専門家の発言もございます。
五月九日に独ソ戦の戦勝記念日が、まあロシアにとってですが、来て、そこまでに戦争の成果ということで大規模な侵攻、またそれによって大きな戦争犯罪などが引き起こされるのではないか、世界中の皆さんが本当に心配をしているところであると思います。
こうした無辜の市民を殺傷する戦争犯罪を阻止するために、これは私の考えなんですが、各国の外務大臣、首脳、すなわち各国の政府が連携をして公式の外交文書を作成して、それをプーチン大統領、あるいはロシアの国防大臣、あるいは参謀長、あるいは新しく任命されたというシリアの侵攻の経験もあるというウクライナ侵攻のこの総司令官、そうした人たちに対して、即刻戦争犯罪を中止すること、かつ将来において絶対に戦争犯罪を行わないようにこのロシア軍の部隊に対して命令を出す。ロシア軍の部隊に戦争犯罪を起こさせないようにする力はプーチンらにしかないわけで、プーチン大統領にしかないわけでございますから、そうしたものをこの各国政府の連名の正式な外交文書で要請を出す。
その心でございますが、もちろん戦争犯罪は国際刑事裁判所において捜査、逮捕、処罰されることになっておりますけれども、仮にこうした正式の外交文書による要請を受けてなおプーチン大統領がそうした命令を軍の部隊に出さないのであれば、その後に起きた戦争犯罪についてはもう明らかにプーチン大統領も私は責任を負うことになるというふうに考えるわけでございますが、こうした取組を行う決意について、外務大臣の答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/24
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025・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 我が国といたしまして、ロシア軍の行為によりウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止め、強い衝撃を受けております。無数、多数の無辜の民間人の殺害、これは重大な国際人道法違反であり戦争犯罪であります。断じて許されず、厳しく非難をいたします。
こうした残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、ロシアは戦争犯罪の責任を厳しく問われなければならないと考えます。我が国としても、戦争犯罪が行われたと考えられることを理由に、ウクライナの実態を国際刑事裁判所に付託しておりまして、引き続きICC検察官による捜査の進展を期待をしております。
複数の国が、例えばフランス、トルコ、ドイツ、イスラエル、また直近でオーストリア等がプーチン大統領に対して直接の働きかけを行っておりますが、プーチン大統領が自らの強硬な立場を和らげて歩み寄ろうとする兆しが全く見られない。それどころか、ブチャで多数の無辜の民間人の殺害、今お聞きいただいたように、フェイクだと断じております。このような状況においては、ロシアが国際社会の声に耳を傾けて侵略をやめるようロシアに対して強い制裁措置を講じていくことが必要だと考えておるわけでございます。
我が国としては、力による一方的な現状変更の試みを許さず、国際秩序の根幹を守り抜くために、今委員からもお話がありました、我が国だけではなくてG7を始めとする国際社会と連携して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/25
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026・小西洋之
○小西洋之君 いや、私ももちろん世界中の人たちが、この戦争犯罪をとにかく起こさないでほしい、もちろん即刻の撤兵、撤退をしなければいけないというふうに思っているわけでございますが。
今大臣が最後におっしゃったこのG7との連携というのを三月にも質問させていただいていますが、ずっとおっしゃっているんですが、その具体的な連携、少なくとも、私の認識する限り、プーチン大統領に対して前線の部隊にこの戦争犯罪を行うなというこの命令を出すことを要請する、それを正式の外交文書で行っているという取組は多分していないと思いますので、そうした取組をするべきではないか。それを世界の今おっしゃったようなG7を始めとする主要国が連携してこの数日のうちに行うということは、私は非常に意味があるし、もうあらゆる手段を尽くしてこうした侵略戦争、そして戦争犯罪を阻止する新しい世界秩序をつくる闘いでもございますので、そうしたあらゆる取組を検討すると、大臣の力強い答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/26
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027・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 今の小西委員の御指摘、これ十分に踏まえて、我が国は、引き続き国連を含む国際社会と緊密に連携しながら、一般市民に対する武器の無差別使用を含むロシアによる侵略を直ちにやめさせ、戦争犯罪の責任、これを追及するための外交努力を続けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/27
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028・小西洋之
○小西洋之君 もう誰一人として、小さな子供も無残に殺されておりますので、こうしたことをとにかく即刻止めるための強力な実効性のある国際的な取組というものについて日本が主導的な役割を果たすことをお願いをいたします。
法務省に伺いますが、国際刑事裁判所に日本の検察官を派遣するという報道がありますが、今どういう状況なのか。大したことがないんであれば一言だけで結構です、時間がありますので。答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/28
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029・柴田紀子
○政府参考人(柴田紀子君) お答えいたします。
委員御指摘の報道は承知しております。我が国はウクライナの事態の国際刑事裁判所に付託しておりまして、引き続きICC検察官による捜査の進展を期待しておりますが、それとともに、ICCの捜査の活動は極めて重要であると考えておりますので、法務省としてはしっかり協力すべきと考えております。
また、現段階では検察官の派遣については決まっておりませんが、現状や支援の具体的必要性について調査等をすることなど、ICCに対する支援として何ができるかについては、あらゆる選択肢を不断に検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/29
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030・小西洋之
○小西洋之君 あらゆる選択肢、検討中ということで、それでよかったんですが。
では、次の、外務大臣、質問をさせていただきます。
何とかしてこの侵略を止めるということですけれども、三月十六日、国際司法裁判所は、ロシアに対して仮保全措置というものを命令をしております。即時にこの軍事行動を停止せよというものでありまして、大臣も参加した四月七日のG7の外相声明では、この法的拘束力のある命令に即時に従わなければならないと声明をされております。
この仮保全措置については、ロシアと中国の裁判官二人が反対したんですが、残りの十三人は賛成。そして、この二人の裁判官も、この状況を悪化させる行動を取らないこと、ここの部分については賛成した、すなわち全会一致でございます。
この状況を悪化させる行動を取らないことという国際司法裁判所のこの仮保全措置命令について、この実行をやはりロシアに、先ほど申し上げたようなこの国際的な強力な枠組み、仕組みを講じてより働きかけていくべきだと思うんですが、また、この部分についての新たな共同声明を出すとか、大臣のお考えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/30
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031・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 経緯は今委員から御紹介をいただいたとおりでございますが、三月十六日にこの暫定措置命令というのがICJから出されております。我が国としても、この三月十七日に外務大臣談話を発出して、ICJによる暫定措置命令を支持するとともに、国際社会と連携し、ロシアに対して直ちに暫定措置命令に従うこと、これを強く求めてきております。ロシアは、ICJのこの暫定措置命令に対して、軍事行動停止命令を拒否するという旨を発表しておるところでございます。
その後、今御紹介いただいた四月七日のG7外相会合の共同声明でも、ロシアは二〇二二年二月二十四日にウクライナの領土で開始した軍事作戦を停止することを求めるICJの法的拘束力のある命令に即時従わなくてはならないという我々のG7の共通の見解を示しております。
他方で、プーチン大統領は、依然として国際社会の声に耳を傾けずに、自らの強硬な立場を和らげ、歩み寄ろうとする兆しが全く見られないどころか、軍事作戦を当初の目標達成まで続けると、こういう旨を表明をしておるところでございます。こうした状況においては、国際社会が連携してやはりロシアに対して強い制裁措置を講じていくことが必要であると考えております。
我が国としては、力による一方的な現状変更の試みを許さず、国際秩序の根幹を守り抜くため、G7を始めとする国際社会と連携し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/31
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032・小西洋之
○小西洋之君 ここにいる先輩、同僚の皆さん、同じ思いなんだと思うんですが、何とか、もちろん我々国会議員も国会決議を作ったりいろいろな取組をしていますが、日本政府に、主体的な取組でこの侵略戦争を止めるために、世界において、世界の真ん中で輝くと安倍総理の時代には言っていたんですが、今どこが輝いているんだと思うんですが、是非、林大臣に頑張っていただきたいと思います。
もう一つ伺わせていただきますが、六番ですが、国連の事務総長の、グテレス事務総長のこの侵略戦争停止のための姿というのがなかなか見えないように感じます。
過去の戦争ですね、第二次中東戦争あるいはキューバ危機、そして一九九〇年の湾岸危機においては、フセイン大統領、すなわち戦争当事国の首脳と、国連事務総長が乗り込んでいってこの戦争停止、和平の仲介について働いていたところでございます。
今、先ほど申し上げましたように、ウクライナの東部で大規模な侵攻が起きる可能性が、まさにもう起きるわけでございます。今こそ事務総長が、日本を始めとする各国がそれをしっかり支えて、強力な国際政治世論をつくる形で、ロシアのこの侵攻を止めるための働きを安全保障理事会の常任理事国であるロシアに対して、プーチン大統領に対して直接乗り込んで働きかけていく、そのような取組が私は必要だと思うんですが、そうした取組が必要であると考えるかどうか。そしてまた、それを実行させ、また大きな力添えをするために日本政府としてどういう取組をすることを考えているか。
先月も同じ質問をさせていただいております。一か月たっておりますので、どうか、日本政府ここにありと、大臣の答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/32
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033・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 先月の十六日に御質問いただいております。そのときにもお答えしたことは繰り返すことはいたしませんが、最近の動きとして、三月二十八日でございますが、グテーレス事務総長は自らのあっせんの一環として、グリフィス国連人道問題担当事務次長兼緊急援助調整官に対して関係国と人道的停戦を追求するように指示をいたしました。この指示に基づいてグリフィス事務次長がロシアとウクライナを訪問いたしまして、四月の四日にロシアのラブロフ外相、また七日にウクライナのシュミハリ首相とそれぞれ協議等を行っております。四月五日、今度はグテーレス事務総長御本人が安保理会合に出席して、ブチャにおける残虐な行為等について独立した調査を要請し、我が国を含むG7はこれを支持をしております。
引き続き、今後の状況を踏まえながら、国連やG7を始めとする国際社会と連携して、有効と考えられる取組を適切に検討、対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/33
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034・小西洋之
○小西洋之君 次長の取組は私も知っているんですが、いや、そういう局面ではなくて、やはり国連事務総長が林外務大臣を始めとする各国の外務大臣を引き連れて直接乗り込むだとか、そしてそのことによって大きな国際政治世論をつくって、で、ロシアも当然国際政治世論は気にしている、だからブチャのあの戦争犯罪が明らかになった後に、南部でいろんな、死体を隠したりだとかそういう報道がされておりますけれども、とにかくこの日本が主体的にこうした強力なこの国際政治の取組を、特にこの事務総長がやっぱり動くということが私は大事だと思いますので、引き続きお願いをしたいと思います。
続けてでございますが、仮にですが、仮に中国政府がロシアに、ロシア軍に軍事支援をした場合には、中国政府は国際法上の責任を負うという答弁をいただいておりますが、かつてですね、仮に中国政府がロシア軍に軍事的な支援を行った場合は、ロシア軍は今、国際人道法違反の戦争犯罪を行っておりますので、そうした戦争犯罪についても、すなわち国際人道法上も中国政府は責任を負うことになる、そのような理解でよろしいでしょうか。日本国政府の見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/34
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035・林芳正
○国務大臣(林芳正君) このロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナと主権、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反でございます。
この中国によるロシアに対する軍事支援と、この仮定の質問にはお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、一般論で申し上げますと、国連憲章に違反するロシアによる武力の行使や国際人道法に違反するロシア軍の行為について、その事情を知りながらロシアを支援、援助する国は、その支援、援助について国際法上責任を負うことになります。
このロシアによるウクライナ侵略について、今こそ国際秩序の根幹を守り抜くために国際社会が結束して毅然と対応することが必要でありまして、米国を始めとする同志国と連携して中国に対しても責任ある行動を求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/35
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036・小西洋之
○小西洋之君 答弁いただいていると思うんですけど、ちょっと確認です。
大臣がおっしゃっていただいた国際法上の責任を事情を知りながら行った場合は負うという、その国際法上の責任の中には国際人道法上の責任も当然に含まれると、そういう理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/36
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037・林芳正
○国務大臣(林芳正君) おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/37
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038・小西洋之
○小西洋之君 私は一九七二年生まれで、日中友好を旨としている国会議員なんですが、中国のためにも、中国が責任ある世界の大国となるように、真の友好国である私たちはやっぱりこうしたことをしっかりと中国に発信をしていかなければいけないというふうに考える次第でございます。
済みません、最後、防衛大臣、通告できていませんが、ウクライナの今回の侵略に際して、PKO、自衛隊のPKOの飛行機を派遣するというような報道がありますが、今そういう何か検討状況などについて答弁いただけることがあれば、お願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/38
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039・岸信夫
○国務大臣(岸信夫君) 今回のロシアによるウクライナ侵略に対しましては、我が国としても、G7を始めとする国際社会と連携しながら、ウクライナ及び避難民を受け入れる近隣国に寄り添った支援を引き続き実施していく考えであります。
御指摘のような支援も含めて、今後のウクライナ避難民への支援の在り方については、政府全体で検討しているところであります。防衛省・自衛隊として、引き続き関連省庁と連携しながらできる限りの支援を行っていく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/39
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040・小西洋之
○小西洋之君 今日の質問ですが、何とかこの侵略戦争、戦争犯罪を止めるために、日本国政府、日本国としてできることをとにかくやり切っていただきたいという思いで質問させていただきました。
ちょっといきなり名前を出してあれですが、遠藤審議官ですね、出席いただいている、総政局と中東欧部局を総合、両方とも担当する方というふうに聞いておりますが、やはりその外務省の官僚の方が今日私が申し上げたような戦略を立案をして、立派な大臣がいらっしゃるわけですから、大臣を支えながら、ウクライナ国民、そして世界の平和のために頑張っていただきたいと思います。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/40
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041・羽田次郎
○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。
再び質疑の機会をいただきましたことを御礼申し上げます。
ウクライナ避難民についてできる限り人道的な対応を行うという岸田内閣の方針については、基本的に私も賛同しております。そして、政府の前向きな方針には、これまでのかなり限定的であった日本の人道外交の殻を破る、枠を広げる好機と考えております。
今日は、限られた時間ではございますが、長年にわたり人権侵害、人権じゅうりんに苦しんでこられた帰還事業で北朝鮮に渡った方々の問題、そして日本人拉致問題の解決方法についてのアプローチについて、質問と提案をさせていただきたいと思います。
まず、一九五九年から一九八四年の間に北朝鮮帰還事業によって北朝鮮に渡った在日朝鮮人及び日本人の人数を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/41
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042・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
昭和三十四年十二月から昭和五十九年七月までの間に実施されました北朝鮮への帰還事業により北朝鮮に渡航した方は九万三千三百四十人でございます。そのうち日本人の方は六千八百三十六人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/42
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043・羽田次郎
○羽田次郎君 ありがとうございます。
資本主義国から社会主義国への世界でも類を見ない数の大移動だと思います。一九五〇年代から六〇年代には社会党、共産党を中心に自民党を含む各政党がそろって帰還事業に賛成し、一九五九年には岸信介内閣、言うまでもなく今日いらっしゃる岸大臣のおじい様でございますが、その内閣において事業の実施を閣議了解しています。
帰還事業は、日本赤十字社と北朝鮮の赤十字会が在日朝鮮人の帰還に関する協定をインドのカルカッタで調印し、日本赤十字社が帰還希望者の登録や帰還事業の運営を行い、赤十字国際委員会が助言という形で関与し、朝鮮総連、日本政府、北朝鮮政府が様々な形で関わりながら実施されました。
当時、日本においては在日朝鮮人の方々に対する多くの差別があったと記録されています。一生懸命勉強してもなかなか思いどおりの職に就くことができない、食うに食えない、そういう状況がある中で、北朝鮮においては最高指導者だった金日成を中心に理想の国づくりを行っている、地上の楽園である北朝鮮に行けば差別のない生活が待っている、高等教育を受けることもできる。朝鮮総連や朝鮮学校による宣伝はもちろん、日本の各種新聞やメディアにおいてもそうした報道があり、多くの方々が人生をこの事業に託して海を渡りました。
一九五九年当時、日本は韓国とも国交がありませんでしたが、帰還事業で北朝鮮に渡った方々の九五%以上が朝鮮半島南部である韓国の出身又は日本生まれだったとのことです。北朝鮮の港に帰還船が到着するとき、船上にいた帰還者の多くが、歓迎に来た大勢の人々の服装や靴やそうしたぼろぼろの格好を見て、既にだまされたと思ったそうです。
到着後にも、期待していた状況とは全く違い、一切の人権も自由もない、そして、現地の方々も嫌がる仕事、例えば炭鉱で働く、寒村で厳しい農作業をするという方が大半でした。日本から来たということで低い身分に区分され、北朝鮮でも大変な差別を受け、着のみ着のまま、冬にはマイナス四十度にもなるような場所で生活を強いられていたそうです。事業が始まった当初は三年ほどで日本に帰国できる約束でした。ところが、実際に帰国できた方はほとんどいませんでした。
現地の正確な情報を提供し、日本への帰国希望者には帰国できる状況をつくることも、当時の日本政府に責任があったとも考えられます。しかし、日本政府からは正確な情報が提供されることはなく、百八十七次帰還船まで事業は継続され、結果的に大変多くの方々が不幸な状況に置かれ、今日このときも苦しみの中で暮らす方々がいらっしゃいます。
そこで、林大臣に質問です。
日本政府として閣議了解をし、後押しした事業について、なぜ正確な情報を入手し、その情報を帰還事業への参加検討をしていた在日北朝鮮人の方々やその方々に付いていくか悩んでいた日本人の配偶者の方々に提供することができなかったのでしょうか。
また、日本への帰国希望者を受け入れる体制をつくれなかった理由についてもお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/43
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044・林芳正
○国務大臣(林芳正君) いわゆる在日朝鮮人の帰還事業につきましては、政府は、一九五九年二月の閣議了解によりまして、北朝鮮帰還問題は、居住地選択の自由という国際通念に基づいて処理することを確認し、帰還を希望する者の意思確認及び帰還のために必要な仲介を赤十字国際委員会に依頼するとの方針の下に対応した経緯があると承知をしております。
この帰還事業については、日本人配偶者問題を含めた人道上の問題とも関連しており、様々な評価があるということは承知をしておりますが、お尋ねの日本政府の対応含め、当時の状況の下で行われたことについての評価、またその背景等を一概に申し上げることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。
いずれにいたしましても、政府としては、いわゆる日本人配偶者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施することとした二〇一四年の五月のストックホルム合意の履行、これを引き続き北朝鮮に求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/44
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045・羽田次郎
○羽田次郎君 今、林大臣のお話の中でストックホルム合意についてお話ありましたが、日朝政府間協議で、残留日本人、日本人配偶者、日本人拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に対する調査を包括的かつ全面的に実施することが合意されました。しかし、北朝鮮は同年七月四日に特別調査委員会の設置を発表し、そして日本は日本独自の経済制裁を一部解除いたしましたが、北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射を原因として日本政府は経済制裁を再び科し、そのことで事実上全ての合意は白紙に戻ってしまったような気がしております。
ストックホルム合意がしっかりと履行されなかった理由について、日本政府としてはどのように分析されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/45
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046・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 二〇一四年五月のストックホルム合意につきましては、北朝鮮との間でそれまで固く閉ざされていた交渉の扉を開き、北朝鮮に日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明させた点で有意義であったというふうに考えております。
我が国としては、引き続きストックホルム合意は有効であると考えており、北朝鮮が、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査を全面中止し、特別調査委員会の解体を宣言したこと、これは極めて遺憾だと考えております。問題は、北朝鮮がストックホルム合意の履行に向けた具体的な行動を示していないことにあるわけでございます。
我が国としては、ストックホルム合意の履行を引き続き北朝鮮に求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/46
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047・羽田次郎
○羽田次郎君 一九九七年から二〇〇〇年にかけて、三回にわたり合計四十三名の北朝鮮に在住する日本人配偶者の方々が一時帰国されました。残念ながら現地の状況について詳細に語られることはなく、北朝鮮で幸せに暮らしていますと話されています。家族を北朝鮮に残してきている中で、やむを得ないことだと思います。
帰国を希望する方に対しては、その思いが実現できるように政府として働きかける必要があると思います。多くの方々がもう八十代、九十代になっていらっしゃる。少なくとも千八百三十一人いた日本人配偶者のうち、御存命の方は本当に少なくなっていると推察されます。その中には、死ぬまでに日本に帰りたい、一目でも家族の顔を見て死にたい、それだけを支えに生きている方もいらっしゃるとのことです。
北朝鮮政府は、新型コロナの防疫を理由に、中国との国境地域に流れる川の全域に鉄条網とコンクリート壁を設置し、国境を完全に封鎖しております。しかし、既に脱北し、中国で帰国を希望している方々が相当数いるとも言われております。そうした帰国希望者及びその家族が例えば中国大使館、領事館に保護を求めた場合、どのような対応をされるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/47
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048・岩本桂一
○政府参考人(岩本桂一君) 我が国は、脱北者の問題につきましては、北朝鮮人権法の趣旨も踏まえつつ、人道的観点から適切に対処をしてきております。
その脱北者の受入れ国政府とのやり取りを含めて、その具体的な対応については今後の脱北者支援に支障を及ぼしかねないためお答えを差し控えさせていただきますが、我が国としては、これまで政府が関知している範囲では百名を超える脱北者を受け入れてきており、今後とも、帰還事業により北朝鮮に帰還した方々を含め、脱北者事案につきましては人道的観点から適切に対処していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/48
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049・羽田次郎
○羽田次郎君 少なくとも政府としてはそうした御努力をされているということで少し安心したところでもございますが、やはりもう高齢になった方々は大勢いらっしゃるので、是非そうした御努力をいま一度続けていただくことをお願い申し上げます。
日本人拉致被害者については、交渉が手詰まりになってしまったようにも見えております。北朝鮮政府が一旦死亡と発表した人々を帰国させるには何らかの、まあある意味、北朝鮮にとって都合のいい理由が必要だとも考えられます。北朝鮮政府と交渉する上で、日本人拉致被害者の方々と帰還事業で現地に渡った方々を人道的対応として一緒に帰国させる、例えば日本人配偶者とその家族という名目で大勢を一度に、今回ワルシャワから林大臣が多くの避難者をお連れしたように政府専用機を活用して帰国していただくような、そうしたことはできないのでしょうか。
拉致という本来許されない重大な犯罪を曖昧にすることで北朝鮮政府の心的ハードルを下げる、場合によっては議員外交や政党間外交により交渉する発想も必要ではないかと私は考えますが、林大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/49
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050・林芳正
○国務大臣(林芳正君) このストックホルム合意につきましては、先ほども触れさせていただきましたけれども、北朝鮮側は、従来の立場はあるものの、拉致被害者や日本人配偶者を含む全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施する意思を表明したところでありまして、政府としてはストックホルム合意の履行を引き続き北朝鮮側に求めていきたいと考えております。
その上で、今後の対応でございますが、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も検討してまいりたいと思います。
そして、議員外交というお話がございました。国会議員の先生方が議員としての立場から外国政府等に我が国の事情等を直接説明して訴えかけて働きかけると、これは大変重要なことであると考えております。北朝鮮と交渉を進める際にも、過去の交渉経緯等も踏まえて、また北朝鮮側の体制も十分勘案し、二元外交になってはいけませんが、こういうことに留意しながら日本側として一丸となって対応する必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/50
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051・羽田次郎
○羽田次郎君 大変分かりやすい御答弁、そして議員にとっても励みになるような御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
帰還事業の夢のような宣伝に触発されて一人北朝鮮に渡った川崎栄子さん、当時はまだ高校生でした。先日、その川崎さんが訴えを起こした、帰還事業に対する北朝鮮政府の責任に対しての訴えでございましたが、その件についてはまあもう時間もございませんしまたの機会にと思っておりますが、その判決が出た際に川崎さんが、人権の問題に対しては時効が成立してはならないという言葉について、大変胸に突き刺さり、今後このことについてもまた機会があればお話しさせていただきたいと思います。
そして、ウクライナ避難民の方々についても質問する予定ではございましたが、残りあと僅かとなっておりますので、本当に林外務大臣が日々体を張って外交努力をされてきて、やっと本当に日本も外交、人道外交の姿が見えてきたなという、そのことに一国民として感謝を改めて申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/51
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052・上田清司
○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。
〔理事宇都隆史君退席、理事和田政宗君着席〕
本日は、いわゆる旧敵国条項についてお伺いをしたいと思います。
一九九五年の国連総会で既に死文化しているという認識を示す決議が採択をされ、二〇〇五年の国連首脳会合で国連憲章上の関連する条項における敵国への言及を削除するという国連加盟国の決意を示す成果文書が採択をされているところで、関係各国、関係者の御努力に敬意を表するところでございます。
ただ、削除されたわけではありませんし、この旧敵国条項の削除そのものには国連憲章の改正が必要であり、改正には国連安全保障理事会全ての常任理事国を含む参加国三分の二の承認が必要だと、批准が必要だということになっていますが。
二〇〇五年以降、この高いハードルを越えるために、例えば、常任理事国に対してどのようなアプローチをしたかとか、あるいは、少なくとも他の加盟国の三分の二は常にプールしているとか、いつでもアプローチができるとかというような、こういうことができているかどうかについてお伺いしたいと思います。
何回ぐらいこういうことができているのか、あるいは仕掛けておられるのか、そういう年度と、何回そういうことができたか、お伺いしたいと思います。
〔理事和田政宗君退席、理事宇都隆史君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/52
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053・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 今、上田委員からもございました旧敵国条項でございます。
委員からもお触れになっていただきましたけれども、九五年の国連総会で既に死文化しているとの認識を示す国連総会決議が圧倒的多数の賛成により採択をされております。そして、二〇〇五年の国連首脳会合では、国連憲章から敵国への言及を削除するとの全加盟国首脳の決意を示す成果文書がコンセンサスで採択されております。したがって、いかなる国も旧敵国条項を援用する余地はもはやないと考えております。
今お尋ねのありました、その機会を捉えて働きかけということでございますが、これまでも、二〇〇五年以降も、更なる、実際にこれを削除するということに向けてやってきておるところでございます。今後も機会を捉えてこの旧敵国条項の削除を求めていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/53
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054・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
私が気にしているところは、やっぱりこういうのも積み重ねだと思いますので、極端なこと言えば、毎年、毎回そういうアプローチをする必要があると思うんですが、具体的な事実として政府参考人にお伺いしますけれども、国連総会に向けて三分の二以上の加盟国の賛同を得るための、基本的にはもうそれはプールしていると、そして、あとはもう常任理事国だけの問題だと、具体的には常任理事国のどの国が反対しているのかと、じゃ、その国をどういう形で説得できるのかということについての基本的な認識についてお伺いしたいと思います。
まず、事実関係だけをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/54
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055・遠藤和也
○政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。
ただいま大臣から御答弁あったとおりでございますですけれども、例えば、二〇〇五年の国連の首脳会合におきましては、その国連憲章から敵国への言及を削除するとの全加盟国首脳の決意を示す成果文書がコンセンサスで採択をされているというところでございます。
したがいまして、いかなる国であっても、いかなる国も旧敵国条項を援用する余地はもはやないというのが我々の認識でございますですし、そういった状況の下で働きかけ等を引き続き行ってきておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/55
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056・上田清司
○上田清司君 どうも頭が悪いみたいですね、大変失礼ながら。質問にちゃんと答えない。
あのね、過去、条項の改正は四か所あり、これが一九六八年と一九六五年、二回、あっ、二年の、二年で四回の条項改正があったわけですね、それ以降何もないという話ですから。でも、水面下でこういうことをやって提案しているというような形で本当にやっているのかと。見えないじゃないですか。何年にこういう形で提案したけれども取り下げられたとか、そういう話を私聞きたいんですよ。やっているんですか、本当に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/56
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057・遠藤和也
○政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、これまでも、国連の設立の五十周年あるいは国連設立の六十周年の際に、いわゆる旧敵国条項に関しまして総会での決議等を発出されたというところでございます。
これまでも、そうした、例えばですけれども、国連何周年といったような様々な機会を念頭に関係国との間で様々やり取りを行ってきておるというところではございますですけれども、具体的な詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただければと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/57
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058・上田清司
○上田清司君 あのね、憲法六十二条、六十三条、ちゃんとこういう場では答えなくちゃいけないようになっているの。答えないということは憲法違反なの。九十九条、公務員は憲法を守るの。しかも、四十一条、立法府は国権の最高機関なの。何が差し控えるだ。何年何月にこういうことをやりましたということは、何の国家機密でもなければ何の友好国との関係も損ねるものでもないんです。ばかなこと言わないでください。
委員長、厳しく指摘してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/58
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059・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 答えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/59
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060・遠藤和也
○政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。
ただいま申し上げましたとおりでございまして、国連の設立何周年といったような機会という時期におきましてはこういった議論、一般論として申し上げれば、より取り上げやすい時期というふうには申し上げられると思います。そうした状況も踏まえまして、これまでも様々申し上げ、意思疎通等をやってきておるところではございますですけれども、大変恐縮ではございますが、外交上のやり取りにつきまして、相手国との信頼関係等ございますものですから、差し控えさせていただければと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/60
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061・上田清司
○上田清司君 今私が話したのは、相手国との信頼関係ではありません。日本国として、ルールに基づいてきちんと資料を提出したり各国に提案しているかどうかという確認です。これは、資料をどういう形で、毎年毎年、口を開けば国連安保理改革とかということを時の総理はずっと言っておられるんです。じゃ、しぶとくしぶとく、毎年毎年これルールでやらない限りうまくいきません。そういう意味で資料の提出を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/61
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062・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 後刻理事会にて協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/62
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063・上田清司
○上田清司君 ありがとうございます。
駄目ですよ。相手国との信頼関係だって、ちゃんとやらないから信頼関係ができないんですよ。
それでは、ちょっと論点変えさせていただきます。
政府の水際対策で、四月六日の時点で、現在、検疫所の宿泊所で三日間の待機の国々が七か国に指定されているところでありますが、その中でベトナムが入っておりますが、ベトナムの新規感染者の数が今日大体二万人程度、タイも二万人程度ですが、タイは外されているんですが、この差というのはどのような判断になっているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/63
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064・安藤俊英
○政府参考人(安藤俊英君) お答え申し上げます。
水際措置に係る指定国・地域につきましては、各国・地域における感染状況や当該国からの入国者の日本の水際での陽性率などを踏まえました流入リスクを政府全体で総合的に判断して指定しているところでございます。
今後の指定につきましても、こうした要素を勘案しつつ、政府全体で検討してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/64
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065・上田清司
○上田清司君 具体的なピンポイントというのはないんですか、タイとベトナムこういう違いがあるんですという。いろいろ考えてというのは当たり前のことなんです。でも、何かメーンがあるんでしょう、メーンになる違いが、それをお聞きしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/65
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066・安藤俊英
○政府参考人(安藤俊英君) 先ほど申し上げましたとおり、水際措置に係る指定国・地域につきましては、各国・地域における感染状況、それから当該国からの入国者の日本の水際での陽性率などを踏まえた流入リスク、これにつきまして政府全体で総合的に判断して指定しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/66
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067・上田清司
○上田清司君 なかなかかみ合わないですね。
昨日、プレジデントオンラインを読んでいましたら、英国人の、本当は日本に行きたいんだけど、外してほかの国々にせざるを得ないという判断とか、あるいは東南アジアでは観光復活に向けて次々と開国を進めているよというような話が出ております。シンガポールでは何をしているかとか、あるいはフィリピン、インドネシア、カンボジアなどでは何をしているかなどが詳しく出たりしておるんですが、どうも日本国では、そういう意味での、コロナの感染をブロックしなくちゃいけない、一方ではビジネスやあるいは観光で広く各国の受入れもやらなくちゃいけないというこの二面作戦が十分していないんではないかと。
特に、ベトナム大使館の方から私どもの方に少しお話がございまして、技能研修生の受入れ体制が極めて弱くなっていると、これもいろいろ判断があるかと思っています。送り出し機関で当然半年ほどの研修をして、そして日本の受入れ機関に受け入れていただく。当然、半年間の研修を受けて、それぞれが希望に燃えてやっていらっしゃるところでストップが掛かれば、なかなか困難な家庭事情も生まれてくると。もちろん受入れ企業も一定程度必要としている、研修生といえども戦力として受け止めているわけですから、その労働の戦力としての戦力が期待できない状態になっていると。うまくマッチングしていないということですので、こうした水際対策が本当に両方とも満足させるような形ができるのかどうかということについて広く研究をなさっているかどうか、どうもその辺が弱いんじゃないかと。大体、大使館がさほど、私みたいなところに問合せに来る、まあでも、ちゃんと担当者ですからきちっとした話でありますので、私はそれは相当困っている話だなと、たまたまそういう縁があったので私どもに来たんですけれども、そういうことを踏まえると、しっかりとなさっているかどうかということについて非常に疑問を持っています。
そういった点についてもう少し丁寧な対応をできるかできないか、その点だけきちっと御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/67
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068・安藤俊英
○政府参考人(安藤俊英君) 委員御指摘ありましたとおり、技能実習制度につきましては、人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力の推進にとどまらず、知日層の拡大や現地日系企業の人材確保等、中長期的な二国間関係の増進にも資するものというふうに考えてございます。
外務省といたしましては、こうした外交的意義に照らしまして、制度本来の目的に基づく適正な運用を確保するため、引き続き、主務省庁である法務省及び厚生労働省、その他関係省庁と緊密に連携協力してまいりたいと考えてございます。
それから、水際措置の関係でございますけれども、三月一日より、技能実習生を含めました外国人の新規入国につきまして、観光目的を除き、受入れ責任者の管理の下で認めてきているということでございます。
外務省といたしまして、可能な限り迅速に査証審査、発給してきているところでございますが、今後ともしっかり遺漏なき対応を進めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/68
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069・上田清司
○上田清司君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/69
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070・鈴木宗男
○鈴木宗男君 私は上田先生ほど気が強くないものですから、気が弱いものですからですね、遠藤審議官は帰った、遠藤審議官に言っておいてください。上田先生が言った頭が悪いというのは、裏を返せば、勉強はしてきたんだからしっかり頑張れという上田先生の話だということを遠藤さんにお伝えをいただきたいなと、こう思っております。
今、今週からサケ・マス交渉が始まっておりますけれども、妥結には至っておりませんが、今進捗状況はどうなっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/70
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071・徳田修一
○政府参考人(徳田修一君) 委員から御指摘のございましたサケ・マス漁業交渉でございますけれども、今月の十一日から日ロ漁業合同委員会を開催し、日本水域での操業に関する協議を行っているところでございます。現在も交渉は続いているというところでございます。
見通しにつきましてまだ予断を持ってお答えすることは困難でございますけれども、日本の漁業者が受入れ可能な操業条件などが確保されるように、外務省といたしましても、水産庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/71
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072・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、日本と昔のソ連ですね、あの東西冷戦構造の厳しい時代でも、このサケ・マス交渉だけはつながってきたんです。それがまた今日の私は日ロ関係に生きてきたと、こう思っております。
今、日本も非友好国のリストに入っていますから日ロ関係厳しい関係ですけれども、このサケ・マス交渉だけは何としてでもまとめていただきたい。これは大臣からも厳しく、強くここは事務方を督励していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/72
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073・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 私も、農林水産大臣時代を含めて、この交渉がいかに大事かと、そして、特にこの地元の皆様にとっては大変大事なものであると、かなり毎年毎年この交渉どうなるかということを本当に心配されておられるということを私も感じてまいりました。
そういった意味で、今回、この協議が始まったということは、今委員が御指摘のあったこういう状況の中で、まあ一安心と言っていいと思いますけれども、しかし、こういう状況でございますから、この、今政府参考人からお話があったように、見通しについては例年よりも厳しめに見ておかなければいけないのかなという指摘をされる方もいらっしゃるわけでございますので、私といたしましても、外務省はもちろんでございますが、水産庁と連携しながら、しっかりといい結果が出せるように督促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/73
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074・鈴木宗男
○鈴木宗男君 地元根室含めて、これ日本の水産業にも影響する話でありますので、くれぐれもよろしくお願いします。
あわせて、サケ・マス交渉が終わると、追っかけ、通常ですと貝殻島昆布交渉が始まるんですよ。この貝殻島昆布交渉についてのこの見通しというか、事務的な今の受け止めはどういう認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/74
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075・徳田修一
○政府参考人(徳田修一君) お答え申し上げます。
貝殻島周辺におけます昆布操業は民間取決めに基づく操業でございまして、毎年、民間主導でロシア側との交渉が行われてきているところでございます。
本年の交渉につきましては、現在、ロシア側と日程調整中であると承知しておりますけれども、引き続き、外務省といたしましても、水産庁とも連携しながら、交渉の実施に向けて側面支援をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/75
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076・鈴木宗男
○鈴木宗男君 民間取決めではあるのは百も承知ですから。これも上田先生の言葉を借りれば、答弁に、答えてないということになるんですけどね。
要は、政府が中に入ってのですよ、これどうしてもこの交渉事になるわけでありますから、この点も是非ともしっかり取り組んでいただきたいとお願いをいたします。
そして、大臣、やっぱり私は元島民の皆さんに会うときいつも言われるのは墓参であります。去年、おととしとコロナで墓参できませんでした。元島民の皆さん、もう八十七歳であります。そして、一万七千五百人引き揚げてきて、今残っている数は五千五百人を切りました。もう三分の二以上の人が亡くなっているんですね。今年は何とか墓参したい、もう一回生きているうちに行きたいというのが、これ切なる元島民の声なんですね。どうか大臣、このこともしっかり頭に入れて墓参について取り組んでいただきたいと思いますが、大臣のお考え、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/76
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077・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 新型コロナでこの北方墓参などの事業が二年間にわたって実施できていないということは誠に残念でございます。今、鈴木先生からお話がありましたように、やはりかなり御高齢になられておりますので、何とか、コロナもこういう状況で、徐々に収束に向けた動きが見えてくると、こういうことを期待しながら、今年こそはと思っておったわけでございます。そうした中で、今回、大変残念ながら、ロシアによるウクライナ侵略ということが起こったわけでございます。
そういった中で、この侵略については、G7を始め国際社会と結束して毅然と行動する必要があるということは繰り返し申し上げてきたところでございますが、この北方領土問題に関する我が国の立場や、今お話のあった北方墓参、これは御高齢になられた元島民の方々の思いに何とか応えたいという私自身の思いにはいささかも変わりがないわけでございます。
なかなか今展望について申し上げる状況にはないと考えておりますけれども、是非、この北方墓参のシーズン近づいてきておるわけでございますから、当面どうしていくかということはしっかりと検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/77
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078・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、三月二十一日のロシア外務省の声明として、現況においてはもう平和条約締結交渉はしない、停止をするという話、あるいは九一年から始まったビザなし交流もやめるという話、さらには四島における共同経済活動についても日本は除外するというこの三点、出されました。しかし、墓参だけは触れられていないんですね。これは別枠だからであります。このことを是非とも事務方も頭に入れて、この点、私はロシアも配慮してくれていると思っております。しかも、頭に、現況においてはということですから、今の状況が改善されればまた別の展開があるわけでありますから、私はそれらもしっかり先を読みながら、この墓参については、大臣、よろしくお願いをする次第であります。
そこで、事実関係として伺いますが、今回、日本政府は、ロシア大使館の外交官、通商代表部の職員、これ八人を国外退去しました。そこで、報道では、追放だとかPNGに掛けたとかいろいろ言われております。私は、やはり正しい事実をしっかりと発する、あるいはまた受けてもらうというのが大事なんですけれども、これは、正確には私は国外退去という受け止めをしているんですけれども、外務省、政府としてのこの表現というか発表はどういうふうになっているんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/78
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079・徳田修一
○政府参考人(徳田修一君) お答えを申し上げます。
総合的な判断をした結果、正式に国外退去を求めたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/79
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080・鈴木宗男
○鈴木宗男君 そこで、国外退去とPNGの関係が必ず取り沙汰されます。日本の報道では、PNGに指定したという流れで書かれております。私は正しくないと思うんです。今、徳田さんが言ったとおり、国外退去だと思います。だとするならば、PNGの指定は掛けていないという私は理解をしているんですが、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/80
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081・徳田修一
○政府参考人(徳田修一君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、また詳細につきましては人定事項に関わるため立ち入りませんけれども、今回については、異なる立場や役職にある計八名の駐日ロシア大使館の外交官及びロシア通商代表部職員について、現下のウクライナ情勢も踏まえ、総合的に判断し、正式に国外退去を求めたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/81
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082・鈴木宗男
○鈴木宗男君 徳田さんね、私は、聞いているのはそういう話じゃないんですよ。指定を掛けたかどうかということ聞いているんですよ。なぜ、PNGの指定は掛けていないんですから、それは事実じゃないですか。あなたですね、私は職を懸けて言いますよ。あなたも、じゃ、職を懸けますか。そういう人をちょっとばかにしているというかですよ、何で正直に言わないんです。これ、やっぱり後々の外交関係につながるから私言っているんですよ。日本の国益にも、損なうことになるから言っているんですよ。何でそれ、あなた、正直に言えないの。これ、大臣、しっかり答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/82
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083・林芳正
○国務大臣(林芳正君) この外交関係に関するウィーン条約上、このペルソナ・ノン・グラータは、接受国が外交官を対象として通告することができるとされております。
今回対象とした八名の中には外交官としての地位を有する者とそうでない者がいるというところ、それらの者をまとめて国外退去を求めたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/83
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084・鈴木宗男
○鈴木宗男君 徳田さんね、今大臣が国外退去を求めたと、それでいいんですよ。またここで私は何も混乱させるつもりはないし、それは大臣はしっかり分かっているから、私は大臣を信頼して、今の答弁でいいんですけれども、事務方がそういう答弁を言うと、今度、相手国のメディアは、そっちに引きずられたら、何だ日本はとんでもない国だと。PNGというのはこれまでの歴史の中で三件しかないんですから、金大中事件のときと、あとシリアのときと、あと例のコートジボワールの大使館が賭博で場所を貸した、この三件しかないんですから、今回はその八人が、三件に、このPNGに引っかかるなんていうのは誰も考えないんですよ。
ここら辺ですね、きちっと私はやっぱり正直にね、正しい発信をする。これ、今の問題はどこかでけりが付くわけですから、入口の議論は駄目なんです、出口を見据えた議論をするのが私は賢い外交だと、こう思いますので、大臣、私は大臣はしっかりバランス取ってやっていると思いますので、これでまた、みんな、それは徳田さんを含めてみんな一生懸命やっておることも私分かっていますから、ここはきちっと国民とやっぱり国際社会によく理解される、変な打ち返しはされない、これが賢明な外交だと、こう思いますので、よろしくこの点もお願いします。
それで大臣、私は二月二十八日の予算委員会でも三月二十二日の予算委員会でもですよ、岸田大臣もおられました、林大臣もおられましたけれども、岸田総理に、やはりこのウクライナ問題は一にも二にも話合いだと思っております。経済制裁掛けて停戦に持っていけるか、戦争が終わるかといったら、私は終わらぬと思います。あわせて、武器供与だ、財政支援だとなれば戦争が長引きますね。私は、これは逆に被害が増える、特に戦争で一番かわいそうな思いをするのはお年寄りや女性や子供たちなんです。あのかわいそうな姿をテレビで見たらいたたまれませんよ。私はやっぱり停戦に持っていくのが一番だと、それには話合いしかないんですよ。
この点、大臣、制裁で私は停戦ができるとは思っていません。話合いが一番だと思いますけれども、大臣の認識はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/84
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085・林芳正
○国務大臣(林芳正君) この幾つかの国が、例えばフランスやトルコ、ドイツ、イスラエル、オーストリア等がプーチン大統領に対して直接の働きかけ等を行っております。プーチン大統領が自らの強硬な立場を和らげて歩み寄ろうとする兆しは全く見られないどころか、プーチン大統領は軍事作戦を当初の目標達成まで続けると、こういう旨も表明をしているところでございます。
こうした状況においては、今委員からはこの制裁ということについて言及があったところでございますが、やはりまず耳を傾けてもらわなければいけないと、国際社会の声にですね。そして、耳を傾け、侵略をやめるようにロシアに対して強い制裁措置を講じていく、これは必要であると考えております。
我が国として、力による一方的な現状変更の試みを許さずに国際秩序の根幹を守り抜くため、G7を始めとする国際社会と連携して積極的に取り組んでまいりたいと思っております。このことは、外交努力を続けるということも当然含まれていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/85
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086・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、私は、この攻めるぞ攻めるぞなんと言って挑発するのは逆に危険だと思っていますね。だから、私は、この三月二十四日の例えばG7の首脳会合、あるいは四月七日のNATO外相会談、会合やG7の外相会合で、この世界の主要国が、ここは話合いだと、ここは両国とも自制すれと、こう強く言うのが私は一つの手法だ、あるいは国際世論を、世界中を巻き込んでの逆に両国に対する一つの指示だ、あるいは話合いに持っていくための手法だと、こう思っているんですね。
その点、なぜ、あのG7の首脳会合でも、あるいはG7の外相会談やNATOでの外相会議でも、どうやったらこのウクライナを助けれるかという議論が行くんですけれども、それはそれで一つの議論ですけれども、武器の供与をしても私は逆に時間が掛かってしまうという懸念もあります。強くロシアに向けてもここはやめろと、力による侵攻はいけないということを強く言って、とにかく話合いだという声が出ないのが不思議でならないし、私は岸田総理にもあなたが先頭に立ってその首脳会合でも話合いの旗振り役をやれと言ったんですけれども、それが見えてこないんですね。
私は、せめて林大臣、あなたもいずれは総理・総裁になれる私は有為な政治家だと思っておりますので、林大臣からでもきちっとG7の外相やあるいはG20の外相に私は呼びかけるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/86
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087・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 過分のお言葉をいただいて大変恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、このいろんなやり取りをする中で当然の前提として、いろんな外交上の取組をやるということはもう大前提であります。
この目的である今の事態をいかに止めさせるかという目標についても共有をした上で、先ほど申し上げましたような状況の中で、この当面制裁措置をとっていくということは先ほど申し上げたとおりでございますが、今委員がおっしゃったように、この話合い、外交上の取組ということの重要性というのは常にこうした場においては当然の前提として議論をされておるというふうに私も承知をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/87
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088・鈴木宗男
○鈴木宗男君 私は、政治の究極の目的は世界平和だと思っているんです。民主主義はやっぱり話合いなんですね。ここは粘り強く私は言うしかないと、こう思っております。
あわせて、日本には日本の置かれた立場もあります。私は、インドを見ながら、インドは国連制裁、非難決議にも棄権したし、また制裁にも参加していませんね。ここはやっぱりインドの置かれている地政学的な状況等から、私はインドの判断だと思うんですね。
逆に、日本はそういったことも参考にしながら、堂々たる、私はやっぱり国際の平和、安定というものに向けて、日本としての発信というものを私はお願いしたい。特に林大臣はできると、こう思っておりますので、大臣、しっかり対応いただきたいなと、こう思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/88
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089・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
ロシアによるウクライナでの無差別の攻撃と非人道的虐殺行為、許すことができません。話合いで解決するという国連憲章に基づく国際秩序そのものが壊されているわけでありますから、私は、国際的世論を広げて侵略を中止させて、そして戦争犯罪を裁く、そのための外交努力、そして非軍事の人道支援を更に強めることをまず政府に求めておきたいと思います。
その上で、今日はODAによる石炭火力発電所の輸出支援について聞きます。
昨年のODA特でも質問しましたが、政府は一昨年の十二月に新たな火力発電輸出支援の厳格化を行いました。しかし、進行中の案件には適用せず支援を続けていることが抜け穴になっていると指摘をしました。
これ以来、気候変動の取組は世界で更に進んでおります。
先日、五日ですね、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第三作業部会が新しい報告書を公表をしております。地球の平均気温上昇を産業革命前から一・五度に抑えるためには、二〇二五年までに温室効果ガスを増加から減少に転じさせることが必要だと強調をしました。削減政策を強めなければ今世紀末までに三・二度の温暖化をもたらすと警告をしております。そして、大量に温室効果ガスを排出する化石燃料については使用全般の大幅削減、それから低排出エネルギー源の導入などの大規模な転換を必要とすると述べております。
一方、G7の中で唯一石炭火力発電輸出を進める日本に国際的な批判が続いております。IPCCの今回のこの報告、そして日本への国際的な批判を、外務大臣、どう受け止めていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/89
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090・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 今委員から御指摘のありましたこのIPCCの報告書でございますが、各国の現在の気候変動対策では二十一世紀中に温暖化が一・五度を超える可能性が高いと、こういう見通しも示され、各国の更なる取組が呼びかけられていると承知をしております。
石炭火力発電の輸出につきましては、我が国は、二〇二一年六月のG7首脳会合におけるコミットメント、これに基づきまして、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の支援を昨年で終了をしたところでございます。
引き続き、パリ協定を含む国際ルールとの整合性を確保しつつ、相手国の実情に応じた対応を通じて、世界の実効的な脱炭素化に積極的に貢献をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/90
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091・井上哲士
○井上哲士君 国連のグテーレス事務総長は、この報告書を受けて、温室効果ガスの大量排出を続けている政府と企業について、より安価で再生可能な解決策がグリーンジョブ、エネルギー安全保障、一層の価格安定をもたらすにもかかわらず、彼らは化石燃料の既得権益と過去の投資のために地球を窒息させつつあると、こういう指摘をしております。
新規案件には中止をしたと言われましたけれども、先ほども言いましたように進行中の案件が続いていることが抜け穴になっていると、相手国の事情ということを言われましたけれども、やはり国際社会が取り組む温暖化に逆行する事業を進めることは相手国の立場にもならないと、こう思うんですよね。
そこでまず、日本がODAで支援しているバングラデシュのマタバリ火力発電所について聞きます。
現在、フェーズ1の工事が進んでおり、住友商事が請負業者として参加をしております。この拡張案件としてフェーズ2の準備が進んでいます。住友商事は、昨年、気候変動に対する方針を発表して、新規の石炭火力発電には参加しないことを表明しながら、マタバリ2については例外としておりました。ところが、二月二十八日にこの方針を見直して、この例外事項を削除したと発表しました。これによってマタバリ2への取組を断念をすることになるわけですが、同社がこの方針を転換した理由を外務省はどう承知されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/91
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092・植野篤志
○政府参考人(植野篤志君) お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、本年二月二十八日に住友商事が同社の気候変動問題に対する方針というのを改定されて、実質的にマタバリの石炭火力発電計画のフェーズ2に参画しないという旨を明らかにされたことは承知しておりますけれども、個別の企業のその方針転換の理由について政府として御説明する立場にはないんですが、脱炭素化への国際的な潮流等を踏まえてそういう決定をされたものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/92
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093・井上哲士
○井上哲士君 方針見直しに大きな影響を与えたのが投資家の動きだったんですね。
昨年、オーストリアの環境金融NGOのマーケットフォースが、パリ協定の一・五度目標に沿った経営を行う事業戦略を盛り込んだ計画の策定を求める株主議案を提出をしました。この提案は総会では採択されませんでしたけれども、投資家からは二〇%の賛同を得たと。その下での方針転換なんですね。昨年のCOP26で国際的に一・五度目標を目指す合意をしたことも踏まえて、マタバリ事業はこれ以上の推進には無理があると判断したと見られると、こういうふうにも指摘をされております。
今、ダイベストメントなど一・五度目標に沿った経営を求めるこうした投資家の動きというのは更に広がると思いますけれども、外務省はどういう認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/93
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094・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) IPCC報告書では、エネルギー部門全体を通しての温室効果ガス排出量の削減に向け、化石燃料使用を含め更なる取組が呼びかけられているものと承知しております。
気候変動問題への危機意識の高まりから、投資家や金融機関の間で化石燃料への投資からの引揚げの動きが出ていることは承知しておりますけれども、今回のIPCCの報告書が更なる引揚げにつながるかについては、予断を持ってお答えすることは控えたいと存じます。
世界の持続的な経済成長と気候変動への対応を両立させるためには、単に化石燃料への投資を引き揚げることだけではなく、再生可能エネルギーの導入拡大に加え、引き続き、多くの国々が依存せざるを得ない化石燃料の環境負荷を低減するための技術開発を促進し普及していくことも必要と認識しております。
また、今回のロシアによるウクライナ侵略を契機とするエネルギー情勢がエネルギー安定供給の重要性を再認識させる中、石油、天然ガスのほぼ全量を海外に依存する我が国として、再エネや原子力を含めたエネルギー多様化に加え、上流開発投資を通じたエネルギー供給源の多角化を図ってまいることも必要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/94
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095・井上哲士
○井上哲士君 ダイベストメントを含む世界の動き、更に広がっています。
今、この石炭火力などの問題と同時に再エネのことを言われましたけど、アメリカのシンクタンク、エネルギー経済財政分析研究所、IEEFAはこのほど、このマタバリ石炭火力のプロジェクトを中止して再エネを柱とした電力マスタープランへの移行を提言する報告書をまとめております。この中では、国営の電源開発公社の財務状況の悪化を指摘し、その原因として、現在建設中の発電容量が供給過剰になって、大部分が輸入化石燃料であることが電源開発公社の財務状況を圧迫することなどを指摘して、JICAの支援をやめるように求めております。
一方、バングラデシュの英字紙、デーリー・スターの三月十日付けはこの住友商事のフェーズ2からの撤退を報じておりますけど、その記事の中で同国のエネルギー大臣のコメントがあります。こう言っているんですね。バングラデシュ政府として石炭火力のフェーズ2を継続しない可能性があり、もしそうなら液化天然ガスをベースにした発電計画になるだろうと述べております。私、政府の大臣自身がこのフェーズ2を継続しない可能性があったという発言、大変重要だと思っています。
ちょっと通告していませんが、この発言については、外務省、認識されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/95
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096・植野篤志
○政府参考人(植野篤志君) そういう報道があったということは承知しておりますけれども、マタバリのフェーズ2については今後どういう対応をしていくかということをまだ正式に決定しておりませんで、バングラデシュ側と引き続き協議をしているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/96
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097・井上哲士
○井上哲士君 こういう大きな世界的動き、そしてバングラデシュ政府でもこういう動きがある。そうであれば、まだ始まっていないマタバリ2にしがみつくんじゃなくて、この再エネを中心にした支援シフトに変えていくと、それこそ日本の国際貢献だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/97
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098・林芳正
○国務大臣(林芳正君) このマタバリの超超臨界圧石炭火力発電計画は、今委員からも御指摘がありましたように、フェーズ1とフェーズ2があるわけでございます。フェーズ1については、二〇一四年の五月から円借款を供与してこの建設工事が進められており、同事業は二〇二四年をめどに完工ということでございます。フェーズ2については、今政府参考人からも答弁をさせていただきましたが、日本政府として支援するか否かについては現時点で未定でございます。この昨今の石炭火力発電をめぐる国際的な議論、今委員からも御指摘があったようないろんな潮流等踏まえつつ、バングラデシュ側と緊密に議論をしてまいりたいというふうに思います。
中長期的にやはりバングラデシュに対する再生エネルギー分野での支援、これは重要だというふうに認識をしておりまして、この具体的な支援内容については、現在日本の支援により実施中の総合エネルギー・電力マスタープラン策定プロジェクト、この結果を踏まえつつバングラデシュ側と協議をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/98
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099・井上哲士
○井上哲士君 是非再エネ支援へと大きく転換を改めて求めたいと思うんですが、もう一点、インドネシアのインドラマユ石炭火力発電という点もお聞きいたします。
これも度々国会でも取り上げてまいりましたけれども、既にエンジニアリング・サービス借款行われてきました。一方で、様々な問題が起きております。この事業の本借款についてはインドネシア政府からの正式要請はまだないとお聞きしておりますが、当初、この石炭火力は二〇一九年から運転開始予定だったのが延期を繰り返してきまして、昨年十月に発表された二〇二一年から二〇三〇年のインドネシア電力供給総合計画では運転開始が二〇三一年以降と、こう変わっております。
当初のこの電力事業計画が大きく変わっているのではないかと思いますけれども、認識いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/99
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100・植野篤志
○政府参考人(植野篤志君) お答え申し上げます。
今委員がおっしゃられたとおり、インドラマユの火力発電事業に関しては、昨年十月にインドネシア政府が発表した電力供給事業計画二〇二一から二〇三〇において、その二〇一九年からの運転開始予定を二〇三一年以降に延期というふうになっておりまして、この延期に関しては、系統内の需要による調整というふうに記載されていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/100
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101・井上哲士
○井上哲士君 昨年のグテーレス国連事務総長の発言では、OECD加盟国は二〇三〇年まで、それ以外の国は二〇四〇年までに火力発電を段階的廃止するよう求めております。
二〇三一年から運転開始になりますと十年しかないわけですね。それ以上続けますとパリ協定と整合いたしません。そこでやめれば資金回収ができずに座礁資産になると。
ですから、相手国のためにとっても、こういうものについてはもう支援しないということを日本からむしろ表明をして様々な再エネ支援などに転換するということこそが私は日本がやるべき国際協力だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/101
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102・林芳正
○国務大臣(林芳正君) この昨年の二〇二一年六月G7首脳会合におけるコミットメントに基づきまして、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の支援を既に終了いたしました。
バングラデシュのマタバリ、またインドネシアのインドラマユでは、いずれもこのコミットの前からの支援を検討しているわけでございますので、政府が直接支援を行わないとしておる新規の案件には含まれないわけでございますが、同時に、これまで申し上げてきたとおり、いずれの計画についても、今後の対応については石炭火力をめぐる国際的な議論の潮流、これを踏まえつつ、それぞれバングラデシュ政府とインドネシア政府と協議の上で検討することとしておるところでございます。
再生可能エネルギーの導入を始めとする脱炭素化社会に向けた支援について、エネルギーをめぐる状況、その国その国で千差万別でございますので、各国の固有の事情をしっかりと踏まえて着実に推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/102
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103・井上哲士
○井上哲士君 気候危機という国際的課題に対する責任、それからパリ協定に違反して座礁資産になって結果的に相手国の負担になるような事業を続けるのかどうかと、私、姿勢が問われていると思います。
石炭火力輸出は中止をして再エネ支援などに転換するということを改めて強く求めまして、質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/103
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104・伊波洋一
○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。
前回に引き続いて、沖縄県や南西諸島における国民保護の体制について伺います。
基本指針の沖縄県の住民避難についての項目に明記された県外での避難住民の受入れについては、前回は明確な答弁がいただけませんでした。日本政府に計画が存在するのであれば、南西諸島を攻撃する側も、別に殊更、県民を狙って攻撃してくるわけではない以上、県民がどこに避難できるのか事前に明らかにできない理由にはならないと思います。本当は計画が存在していないのではないですか。県外での避難住民の受入れの体制について、現時点で計画はあるのかないのか、明確にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/104
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105・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
住民避難につきましては、計画の内容があらかじめ決定されるものではなく、武力攻撃事態等の現状及び今後の予測、武力攻撃災害の状況、地理的特性等を個々の事案に応じて総合的に勘案して決定し、適切に対応していくものになるわけでございます。
その上で、政府の内部におきましても、様々な事態を想定し、沖縄県の国民保護に関し、避難の適切な実施のための体制づくりに資するよう関係省庁間で連携して必要な検討を実施してきているところでございます。この中で、避難先についても検討を行ってきております。
なお、検討の内容につきましては、その現状を含め詳細を明らかにすることは今後の対応に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えをすることは差し控えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/105
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106・伊波洋一
○伊波洋一君 自衛隊施設、米軍施設等の周辺地域における住民の避難という項目では、「国及び地方公共団体は、避難施設、避難経路及び運送手段の確保に当たって、平素から密接な連携を図る」と書かれています。
しかし、日米共同作戦計画では、台湾有事における重要影響事態認定を受けて、南西諸島などの四十か所に米軍が展開すると言われています。この米軍が展開する四十か所には、自衛隊の施設のほか、民間の空港や港湾も想定されます。
地方公共団体の国民保護計画では、離島の住民は空港や港湾から島外へ避難するという計画が立てられています。例えば、宮古島市がホームページで公表している、平成三十一年三月作成、宮古島市国民保護計画では、住民は一旦待機場所に集合して、宮古島空港、下地島空港や平良港から避難をするという計画です。南西諸島の各地方公共団体あるいは全国でもそのような避難実施要領のパターンが作られていると考えられます。
自衛隊施設の周辺地域における住民の避難の避難経路として、米軍や場合によっては自衛隊も展開することが予想されるような空港や港を住民避難に利用できるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/106
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107・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
武力攻撃事態等におきましては、事態の個別具体的な状況に即して対応する必要がございますが、一般論で申し上げれば、都道府県知事による避難の指示を受け、市町村長が避難実施要領を速やかに作成し、必要に応じて武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律における空港や港湾などの施設の利用調整の仕組みを適正に活用しつつ、住民を安全かつ迅速に避難させることとなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/107
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108・伊波洋一
○伊波洋一君 防衛施設周辺での住民避難についての国と地方公共団体の平素からの密接な連携はなされていないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/108
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109・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
防衛施設周辺地域における住民の避難につきましては、国と地方公共団体の間で平素から密接に連携を図ることが重要であると認識をしております。このため、防衛省・自衛隊において、自衛隊施設周辺における住民の避難が必要となる状況を含め、あらゆる事態を想定の上、各種訓練等を行うとともに、関係省庁や自治体との連携を平素から強化しているものと承知しております。
また、米軍施設・区域の周辺地域における住民の避難につきましては、平成十七年の国民保護に関する基本指針の閣議決定後、関係省庁で検討を行うとともに、米側と調整、協議を行い、その結果について平成十八年九月に都道府県宛て通知を発出しております。これに基づきまして、例えば沖縄県国民保護計画におきまして在沖米軍との連携に関する内容が反映されているものと承知しております。
政府といたしましては、引き続き、適時適切な情報提供の実施などを通じまして、平素から緊密に連携を図り、地方公共団体が住民の避難に関する措置を円滑に講ずることができるよう対応してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/109
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110・伊波洋一
○伊波洋一君 実際に平素からの連携が取れているのであれば、わざわざ武力攻撃の対象となり得る軍事目標である空港や港湾を避難経路として計画するでしょうか。少なくとも米軍が展開する可能性があることが地方公共団体や住民に知らされ、住民避難の計画に反映されるべきです。「避難に当たって配慮すべき地域特性」として列挙された離島、沖縄、防衛施設の周辺地域、いずれの住民の避難についても国は基本指針で求められた宿題をやっていません。国民保護法は全く絵に描いた餅で、このままでは島々の住民の命は守れません。
先日の委員会では内閣官房から、これまでの国民保護共同訓練の実施に加えて、令和三年度より、新たに地域ブロック別に国民保護に関する検討会形式の訓練を開催するとの答弁がありました。令和三年度より新たに地域ブロック別の国民保護に関する検討会形式の訓練を開催すること、このことはいつ決まったのでしょうか。また、理由、背景はどのようなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/110
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111・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
議員御指摘の検討会形式の訓練につきましては、令和二年度におきまして次年度以降の国民保護訓練について検討した際に、国と地方公共団体の間で最新の情勢認識を共有するとともに、国民保護関連の各種課題に関する検討や意見交換を実施する必要があるとの考え方から、全国を六ブロックに分けまして地域ブロック検討会を実施することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/111
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112・伊波洋一
○伊波洋一君 南西諸島の米軍新基地や、あるいは自衛隊配備の理由とされてきた安全保障環境の深刻化などとは余り関係なく、訓練の平準化や偏りをなくす目的でブロックの輪番制になっているということです。
同じく国民保護訓練について、令和八年度の国の重点計画を沖縄県で実施することを予定しているという答弁もありました。これまで沖縄県では実動訓練は行われてきたのでしょうか。今回の予定が初めてでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/112
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113・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
沖縄県におきましては、これまで、県が主導として行います実動での国民保護訓練を平成二十六年、平成三十一年の二回実施していただいているところでございます。国重点訓練といたしましては令和八年度に初めて実施することとなりますが、過去の二回と合わせまして実動訓練としては三回目の訓練となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/113
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114・伊波洋一
○伊波洋一君 令和八年度に沖縄県で実施するのはどのような訓練でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/114
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115・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) 令和八年度に沖縄県で行う予定としております国民保護実動・図上訓練につきましては、緊急対処事態を想定いたしました訓練を行うこととなっておりますが、それ以外の具体的な内容につきましては現時点において白紙でございまして、今後しっかりと詰めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/115
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116・伊波洋一
○伊波洋一君 令和八年度に予定されている訓練も、緊急対処事態を想定したものだと聞いて驚いています。沖縄県でこれまで四回行われてきた訓練も、想定は緊急対処事態です。内閣官房国民保護ポータルサイトでも、緊急対処事態とは武力攻撃事態に準ずるテロ等の事態と説明されています。
日本政府は、この間、県民投票で七割が反対をする米海兵隊の辺野古新基地建設計画や、地元合意のない離島への自衛隊のミサイル部隊配備などを強行してきました。政府が県民の意思を無視して南西諸島の軍事的緊張を高め、台湾有事では南西諸島が戦場になるという中で、私は、では武力攻撃事態等に備えた住民避難の備えがあるのかとただしてきましたが、政府の本気度が疑われます。
沖縄県での実動訓練の想定が、武力攻撃事態ないし武力攻撃予測事態ではなく緊急事態であるというのは問題ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/116
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117・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、令和八年度の沖縄県の訓練は緊急対処事態を想定することとなっておりますが、緊急対処事態につきましては、委員御指摘のとおり、武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態又は当該行為が発生する明白な危険が切迫している事態と認められる事態でございまして、国家として緊急に対処することが必要なものとされておりますが、後日、武力攻撃事態であることの認定が行われることとなる事態も含むとされておるところでもございます。
このような中で、今後、沖縄県の訓練が効果的なものとなりますように、先ほど申し上げましたとおり、沖縄県ともよく相談をしながら訓練の内容を詰めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/117
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118・伊波洋一
○伊波洋一君 令和八年度の国の重点訓練を沖縄県で実施することを予定したというのは、いつ決定したのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/118
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119・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) お答えいたします。
令和二年度でございます。その際に、令和三年度以降の国重点の国民保護実動・図上訓練につきまして、全国を六ブロックに分けて、各年度で武力攻撃事態等と緊急対処事態を想定した実動・図上訓練をそれぞれ一ブロックで輪番制により実施することといたしました。
令和八年度の緊急対処事態を想定した訓練につきましては、九州ブロックの担当となりましたが、ブロックの中で御調整をいただいた結果、沖縄県で実施をしていただく予定となった経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/119
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120・伊波洋一
○伊波洋一君 それは九州ブロックで決めたことであって、国が決めたことではなかったということでも言えるわけですね。
米デビッドソン前インド太平洋軍司令官が、二〇二七年の第二十一回共産党大会までに中国が台湾に侵攻するおそれがあると証言して以来、政府・与党の皆さんは二〇二七年までに台湾有事が起きると盛んに繰り返しています。しかし、そうであれば、沖縄県での訓練を二〇二六年度などと言わず、もっと早い時期に実施すべきではありませんか。
台湾有事を日本有事にしてはならないというのが私の意見ですが、二〇二六年度に緊急対処事態を想定しての訓練では、日本政府のアリバイづくりにしかならないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/120
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121・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) 令和八年度に訓練を実施することにつきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
ただ、令和八年度に訓練を実施しますといいましても、その年だけやるわけではございませんで、訓練へ向けての諸準備、検討、それから協議などについても重要な課題、重要なプロセスであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/121
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122・伊波洋一
○伊波洋一君 本年一月十四日、高知県で、令和三年度高知県・山口県・愛媛県国民保護共同実動・図上訓練が行われました。これについては、高知県が他国から武力攻撃されるおそれが生じたため、全県民を一か月掛けて県外に避難させるという想定が、リアリティーを欠き、いたずらに不安をあおるとして大きく報道されました。
この訓練が設定された背景、内容、また得られた教訓などはどのようなものでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/122
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123・澤田史朗
○政府参考人(澤田史朗君) 高知県での訓練につきましては、高知県民六十九万人を県外に避難させるとの想定で行いましたが、現行の公共交通機関の輸送力では所要期間が二か月と当初見込まれていたところでございます。その後、県におきまして、貸切りバスの確保、航空機や船舶のチャーターなどによる輸送力を確保し、所要一か月で短縮ができるものと見込んだところでございます。
このような検討を行うに当たりまして、国としましても、船舶や航空機のリストの提供、それから空港における滑走路やエプロン等の諸元についての情報提供などの支援を行ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/123
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124・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/124
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125・伊波洋一
○伊波洋一君 一月の高知県での訓練は、高知県民約六十九万人を県外に避難させるために県単独で約二か月の時間を要するところ、国が総合調整して一か月に短縮することができたと聞いています。
沖縄県は、百四十五万を超える人口です。これについて、引き続き次回以降、どのような形で避難をさせるのかただしてまいりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/125
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126・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/126
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127・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 次に、旅券法の一部を改正する法律案及び東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案の両案を一括して議題といたします。
政府から順次趣旨説明を聴取いたします。林外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/127
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128・林芳正
○国務大臣(林芳正君) ただいま議題となりました二件につきまして、提案理由を御説明いたします。
まず、旅券法の一部を改正する法律案につきましては、主として次の点を改正するものであります。
改正の第一は、旅券の発給申請手続等の電子化を進めるため、必要な事項等を定める規定を整備することであります。
改正の第二は、旅券の信頼性の維持のため、旅券の査証欄の増補を廃止し、旅券の査証欄に余白がなくなったときに、より低額な費用で新たに一般旅券を発行できるようにすることであります。
改正の第三は、旅券の発行後、申請者が六か月以内に当該旅券を受領せず、当該旅券がその効力を失った場合において、申請者が失効後五年以内に再度一般旅券の発給を申請した場合に、効力を失った一般旅券の発行経費を徴収することとすることであります。
改正の第四は、国外において発行された一般旅券については、外務大臣又は領事官がやむを得ない事情があると認めるとき、当該一般旅券の発給を申請した者が発行後六か月以内に当該旅券を受領しない場合においてもその効力を失わないこととすることができるようにすることであります。
改正の第五は、大規模な災害に際して申請者の経済的負担の軽減を図るために特に必要があると外務大臣が認める場合において、手数料を減額し、又は免除することができることとすることであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
次に、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律を廃止する法律案につきまして御説明いたします。
本法律案は、東日本大震災から十年が経過し、令和三年三月十二日以降、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律に基づき震災特例旅券の発給の申請が行われることは想定されないため、同法を廃止するものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/128
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129・宇都隆史
○理事(宇都隆史君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120813950X00920220414/129
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