1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月二十四日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
水岡 俊一君 那谷屋正義君
五月二十四日
辞任 補欠選任
二之湯 智君 和田 政宗君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳永 エリ君
理 事
滝沢 求君
三木 亨君
青木 愛君
清水 貴之君
委 員
石井 準一君
猪口 邦子君
尾辻 秀久君
関口 昌一君
松山 政司君
和田 政宗君
芝 博一君
那谷屋正義君
新妻 秀規君
宮崎 勝君
柳田 稔君
山下 芳生君
寺田 静君
橋本 聖子君
平山佐知子君
国務大臣
環境大臣 山口 壯君
事務局側
常任委員会専門
員 金子 和裕君
政府参考人
農林水産省農村
振興局農村政策
部長 山口 靖君
農林水産省農林
水産技術会議事
務局研究総務官 山田 広明君
資源エネルギー
庁次長 山下 隆一君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 茂木 正君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
国土交通省鉄道
局次長 鶴田 浩久君
環境省大臣官房
地域脱炭素推進
総括官 上田 康治君
環境省地球環境
局長 小野 洋君
環境省水・大気
環境局長 松澤 裕君
環境省自然環境
局長 奥田 直久君
環境省環境再生
・資源循環局長 室石 泰弘君
環境省総合環境
政策統括官 和田 篤也君
原子力規制委員
会原子力規制庁
原子力規制部長 市村 知也君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/0
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001・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、水岡俊一さんが委員を辞任され、その補欠として那谷屋正義さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/1
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002・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官上田康治さん外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/2
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003・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/3
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004・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/4
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005・猪口邦子
○猪口邦子君 ありがとうございます。私は、自由民主党、猪口邦子です。
本日は質問の機会をいただきまして、理事の先生方、関係の皆様方に心から感謝申し上げます。
それでは、山口大臣に、この地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問申し上げます。
日本は今まで官民連帯、連携の下、工夫して、達成しなければならない様々な政策課題、これに果敢に取り組み、一定の成果上げてきました。今回この温対法の改正法案、まさにこの時代のそのような主流化して取り組まなければならない課題であると考えております。政府も地方公共団体も企業も市民社会も、問題意識をシェアして、そして責任ある対応をする。政治主導も大事だし、中央省庁の指導力も大事。
日本は今まで、日本らしい、そのような取り組み方、これを私は開発してきたと思います。その要素がこの法案には組み込まれているので、私はこれを力強いと、心強いと思っているんです。
例えば、古くは、資源が乏しいこの国にあって、高度経済成長を遂げる過程で、輸出主導型経済発展、これは旧通産省や大蔵省が編み出したメソッド、あるいは第一次石油危機後のエネルギーの獲得や多角化、省エネ、このようなときも使われたメソッド、先輩たちは皆、不可能と思えるそういう課題に取り組んで成功していますので、我々の世代もできるだろうと。
で、そのメソッドの要素を五つ考え付いたんですけれども、まず、財投ですね、財政投融資を組み込んでいるという点であります。
財投は、租税負担によることなく、国、まあ国を中心にですね、地方公共団体等に民間からはリスクや採算面で投資しないマネー供給する方法で、伝統的には、非常に有名ですけれども、新幹線や高速道路、基盤的インフラ、あるいは小学校の施設まで、このような強化のために活用され、今も活用されています。
今回の改正法の特徴は、財政投融資の産業投資が民間資金を呼び込む効果、これを誘導する。しかも、かつてと違って、今はESG投資、巨大、三千八百兆円とも言われるわけですから、政府が財投を活用することによって、脱炭素はこの国の最優先、主流化された政策テーマであるというシグナリングの効果が出てきますので、この民間投資呼び込み効果は大きいということであると思いますね。
今までのエネルギー特会では、まず、それ、法的位置付けがなかった上、やはり今回、財投、新たな出資制度、規定を整備しています。それで、この株式会社脱炭素化支援機構、これに出資したり、金融機関や企業も出資、融資するわけですから、やはりこの脱炭素化が乗数効果的にかなり進む。そして、地方公共団体に対する財政上の措置、これは現行では規定がないところ、こういうことを、さらに交付金もつくっていますので、新設していますので、こういうふうにやっていく。さらに、このエネルギー特会のときは、CO2削減事業、エネルギー起源のそれだけに限定されていたんですけれども、この度はそれを含め様々なこと、私としては技術突破力などにも融資が向かえばいいかなと思っております。
そしてさらに、その原資を回復しなければならないというのが財投でありますので、国としては、長期にわたって事業に関与したりガバナンスを強化する、大臣はまさにその役割を発揮されると思いますけれども、そのような利点がここにはあると思います。
そして次に、やはりこの国がずっと貫いてきた考え方で、国土の均衡ある発展、この考え方があります。今回のこの改正法案と大臣の対処の仕方はまさにこれを反映していて、政務自ら全国行脚ということもその哲学を反映していると思いますし、やはりこの千七百を超える基礎的自治体、どの自治体も取り残さずにという考え方、ここに今まで我が国が得意としてきた、そしてここは政策的に強化、意図を持ってしなければ、なかなかその分断が大きくなると。誰一人取り残さないは国連用語ですけれども、我が国はどの一つの地域も取り残さないと頑張ってきたと思いますので、是非大臣に、こういう特徴を先輩から受け継いで、今最先端のこの分野、環境省設置二十年目、ついにこのようなメソッドで堂々この大きなテーマに取り組むということの感想もお伺いしたいんですけど。
あと三つほどまず申し上げますと、まあそうはいっても、やはり先行地域奨励制度、これも実は昭和から得意の方法で、何とか百選というのは、私も上智の教授やっていた頃、疏水百選という審査員を務めたことがありまして、これは土地改良とかそういうことに関わるんですけれども、今回、百以上でもオーケー。ですから、やはりこういう奨励制度があって、だけど、どの地域も取り残さないというメッシュメソッドを取っていて、それの横展開。
あと、四番目としては、どの時代の課題もやっぱり技術突破力、これで支えられたと思いますので、それは我が国の自動車の競争力から今日の蓄電池の技術まで、こういう技術突破力は日本の特徴だから、ここも重視してもらいたいと。
最後には、やっぱりこの国の国民の勤勉性ですよ。目的を設置したときに、大臣はやはり国民、社会からの協力を得ることができると思います。
そういう特質を生かしてこの主流化すべきこのテーマに取り組んでいただきたいんですけれども、大臣の、今の私の意見につきましての考えをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/5
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006・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 御指摘のとおり、脱炭素は我が国にとって今後の最重要課題の一つであり、あらゆる政策を総動員していかなければいけないと思っています。その中で、今回の温対法の改正法案には、主要な行政ツールを提供するものであると考えています。
今おっしゃられたことをまず総括して、私は一言で言って脱炭素ドミノを起こしたいというふうに考えています。国内でもっても脱炭素ドミノ、そして海外でもJCMとか我々の仕組みを使って脱炭素ドミノ、岸田総理はそれをゼロエミッション共同体という、アジア・ゼロエミッション共同体というふうに言われているわけですけど、この脱炭素ドミノをどういうふうに起こすかということだと思います。
まず一つは、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の二百億、それプラス、今回のその法律の中でもう一つ書かせていただいているのが脱炭素化支援機構、これは財政投融資ですよね。前のグリーンファイナンスの機構であればエネルギー特会なものですから、どうしてもそれに直結したものでないといけないんですけれども、今回は、例えば植林とかあるいはプラスチックごみの話とか、いろんなものも含めて対応が可能だということでお認めいただければという趣旨です。
そして、その中で、民間の呼び水、民間投資の呼び水になるようにという気持ちもあります。二百億、二百億ですから、正直言ってまだまだ少ないんですけれども、これを受けて、先般、先週の五月十九日、官邸でもって、クリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会、そこで岸田総理が十年間百五十兆、私からは、いや、もう二〇五〇年まで視野に入れれば少なくとも四百兆円という話もありますと、そういうことも申し上げて、その中で、取りあえずの先行して調達するものとして二十兆円のGX経済移行債、これは新しい国債だと思います、まあこれからそこは詰めていくんですけれども、そういう意味で、今まで赤字国債と建設国債しかないものを、新しい国債をつくっていくというところで、これはもう大胆な試みです。その意味で、日本のこれからの最重要課題の一つだということを私はもう断言していいと思います。
それを、このイノベーションですね、その二十兆円、まあ今まで正直、中国辺り、非常に二十八兆円ぐらいのイノベーションを使っている、日本は五兆円だと、非常に大きなハンディキャップあったと思うんです。今年、グリーンイノベーション基金が二兆円、あるいは大学ファンドが十兆円、それでも足りないですね。ですから、どういうふうにそこを埋めていくかということに気持ちとして腐心しているわけですけれども、この法律では二百億、二百億です。でも、全体のその文脈の中で、このGX経済移行債の二十兆円とか、全部当てはめると、やはり世界の四千兆円とも言われるこのESGマネー、それをかなり呼び込めるように持っていきたいなというふうに思っています。
先ほどおっしゃっていただいた千七百四十一ある自治体、これをやっぱり一つも残さないようにという気持ちでいます。全国行脚、一都一道二府四十三県、まあ四十七しかないんですけれども、もう今四十は既に終わりました。もうあと七で、六月の中旬までには全部終わります。
ただ、本当は全部、千七百四十一カバーしたいんですけれども、それぞれの県、あるいは道、府一か所ずつということでやらせていただいていますが、全国七か所ある地方環境事務所、ここがこれからは大きな役割を果たしていくと思います。今年度から増員認めていただいて、また地域脱炭素創生室というものもつくらせていただいて、だから相当、人材的にも、どちらかというとリクエストの強い、この専門的な、この脱炭素に対する専門的知識、それもカバーできるように伴走支援をしっかりやらなければいけないということで、どこも取り残されないように持っていきたいと思います。
脱炭素、二〇五〇年カーボンニュートラル実現しようと思ったら、もうそこは全部、千七百四十一の自治体全部に関わってもらわなきゃいけないんで、そこは誰も取り残されないように持っていきたいし、そのことが町おこしにもつながるようにというのが今回の法律の趣旨なんで、それを全国行脚で今訴えているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/6
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007・猪口邦子
○猪口邦子君 大臣、本当に前向きの御答弁いただいて、ありがとうございます。
私たち、よくネットワークという言葉使うんですけれども、ネットワークというのは関心ある人たちの間の交流で、メッシュワークなんですね、今大臣がおっしゃったのは。メッシュの構造でどこも取り残さないという情熱。そして、先ほども申し上げたように、この財投債での資金、これはやっぱり原資回復しなければならないというので、それは末永く、大臣は、この出資先についてガバナンスの強化、その事業の進捗の関心を持ち続けるということが好循環を生んだ、これはもう日本の歴史の中にあるメソッドですので、その良さを生かすと、お願いします。
人材のこと、今大臣おっしゃいましたけれども、この法案審議につきましては先週まで与野党共に充実した質疑が続いていまして、この人材のことも多く指摘されて、大臣も答弁されています。
そのほかに、私、二つ申し上げておきたいことがあって、人材を強化するにはあと二つ方法があると。
一つは、今申し上げたように、分野を主流化すると、やはりそこにちょっと時間、ラグがあるかもしれないけど、みんなが移行し始めるということだと思います。ですから、その分野を輝くものにしていく、それは本当に大臣の仕事だと思います。
それから、自助、共助、公助とよく言うわけですけれども、お互いに助け合う共助の部分は時間と自由がなければ気持ちがあってもできないので、そこで、私が自民党で一億総活躍推進本部長として推進してきた選択的週休三日制というのがあります。これは、週休二日で間に合わないときに、もちろん育児や介護でもいいんですけれども、地方兼業、そのようなことに、一泊二日でいいから、自分の持つ何らかの専門性あるいは善意、これは仕事としてでもボランティアとしてでもいいから、例えばこの脱炭素のそのようなヘルプができるのであればそういうところでヘルプしたらいいんじゃないかと。
こういういろんな工夫をして人材強化、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/7
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008・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 脱炭素、これからの我が国の国家戦略の重要な柱の一つとして位置付けられると。私は、脱炭素を制する者は次の時代を制するというふうにもう確信しています。あるいは、グリーンを制する者は世界を制すると言っても過言ではないと思います。
そういう意味では、本当に専門的な知識を要求されるんだと思います。その意味でこの分野の専門的人材については明らかに人員が不足していますし、その意味でそれはもう今後増強していく必要があります。
この地域の脱炭素化に取り組む人材支援については、これまで環境省としては、実践的なセミナーを通じて地域で脱炭素事業の中核を担う人材を育成してきたほか、今年四月一日に全国七か所の先ほど申し上げました地方環境事務所に地域脱炭素創生室を新設させていただいて、大幅な増員、順次約七十名の増員を認めていただくなど、支援体制の強化を図っているところではあります。
御提案の主流化に関しては、その地域の脱炭素化が脱炭素を成長の機会と捉える時代における地域の成長戦略ツールだと、町おこしと脱炭素を両立させていくと、それがこの地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の意図であります。それがもう全国行脚で何とか分かっていただこうと思って、今やらせていただいているところです。
先般、いわゆる脱炭素先行地域ということでお申込みいただいて、短い時間だったですけど七十九の申込みをいただいている。正直、私はよくそこもきっちり申込みいただいたなと思います。
全部いいプロジェクトだったんです。でも、厳正にその評価委員会で選定していただいて二十六に絞ったんですけれども、春秋、春秋とこれからやっていきますので、百以上、先ほど言及いただいて、百以上これから選んでいきたいと思っています。そういうことで、この地域の脱炭素がその町おこしにつながるということ、これが本法案で書かせていただいている大きな心です。で、もうそのことで全国で脱炭素ドミノを起こしていきたい。
今御提案いただいた選択的なこの週休三日制の活用については、専門的人材がどうやって地域における脱炭素に、取組に関与しやすくできるかという仕組みという点では、もう恐れながら非常に傾聴に値するというふうに思うんですけど、そういう意味で何ができるかよく検討させていただきたいと思います。
そういう意味で、今後とも、その地域における脱炭素分野の人材の能力向上、あるいは専門的人材派遣等の支援措置を一層強化せねばならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/8
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009・猪口邦子
○猪口邦子君 ありがとうございます。
今、大臣は世界について言及されました。この、どの地域も取り残さないメッシュワーク、これはやはり世界に発信して、日本がこれをなし得たときには、相似形で世界大にどの国もこの脱炭素を、それぞれの国がまたそれぞれの地域を見る、そして国際的にもお互いにこのメッシュワークでどの国も取り残さない国際的潮流をつくる、これをやはり日米、先進民主主義国中心に推進する。
そして、ちょうどG7の気候・エネルギー・環境大臣会合がもうすぐ始まるでしょう。大臣もその派遣チームを主導されていると思いますけれども、もし何かありましたらお願いしたいのと、あと、この秋にはCOP27があります。まさにこの温対法改正法案のメソッドを世界に説明するとても重要なチャンス。しかも、エジプトのシャルム・エル・シェイク、アフリカでこのCOPの会合が開催されるのは二〇一六年以来です。つまり、今、冒頭私が申し上げた、我が国が長年工夫して取り組んできた、貧しくても困難があっても艱難辛苦乗り越えて政策課題を達成する、この工夫、アフリカの国々にこそお伝えすべきだと思いますので、大臣はこの発信の役割を担っていただきたいと思います。
そして、バイデン大統領、これはバイの会談での話ですが、今来日中でありまして、まず、バイデン大統領は、IPEFという、インド・パシフィック・エコノミック・フレームワークというインド太平洋経済枠組みを創設とおっしゃって、我が国も参加を表明したんですけれども、特徴は、今までの経済連携ですと、EUであるとかあるいはTPPなど、関税引下げ、関税率撤廃ということなんですが、今回、バイデンさん、やはり国内産業のことを思って、これを出さずに脱炭素などについて議論していますので、大臣は、まあカウンターパートはどなたになるのかちょっと分からないですけれども、例えばケリー特使であれば国務長官経験者であり上院の外交委員長、こういう方とこの脱炭素は、例えばアジア太平洋地域、特に太平洋地域でソロモン諸島と中国とのニュースが走ったわけですけれども、やはりパシフィックというのは平和の海という意味ですから、ラテン語からきている、ですから、ここが平和であるためには、先進民主主義国、そして今我々はまさにこの法案を議会であるここで審議し採決しようとしている、こういう努力をする国がリーダーシップを取らなければならない。そういう意味で、日米でこのアジア太平洋における脱炭素を連携してやる、こういう海外発信もお願いしたいんです。バイでもマルチでも、大臣はきっとこれを力強くやってくださると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/9
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010・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 戦後秩序が根底から揺らいでいる現在だと思います。その意味で、新しい国際秩序を形成する時期に来ていると。そういう中で、ロシアによるこのウクライナ侵略をやっぱりこれは本当に早期に終わらせるため、それはG7を始めとする先進民主主義諸国で心合わせをすることが重要だと思います。
今回のG7への対応については大岡副大臣に行っていただくわけですけれども、その新秩序の主要な柱にもなる気候変動対策で日本がリーダーシップを発揮すると、もうそういうことが重要なんだよということを強く打ち出していただきたいなというふうに今打合せをしています。
この二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けてはもう地域の脱炭素化が必要不可欠と、環境省としてはということで、先ほど申し上げましたが、二十六件、行く行くは千七百四十一の全ての、こうした脱炭素のドミノをやっぱり国内のみならず海外にも広げていくということで、今、先ほど言及いただいた、全世界にJCMというもの、今アジア中心の嫌いが少しありますけど、でも、アフリカにもこの十七か国のうちには幾つか含まれています。これをできるだけパートナー国を広げて、十七から大体三十ぐらいには持っていかなきゃいかぬなと。その中で今おっしゃっていただいたようなことをいろいろ共有させていただければと思います。
アメリカとの間では、途上国における脱炭素化を支援するために都市間連携事業を実施している中で、国内外の都市の先進事例を共有して都市の取組を推進する方策を議論する脱炭素都市国際フォーラムというものを推進したりしています。
我が国は、この市場メカニズムの実施に関して、各国政府と今いわゆるオンラインでもって国際会議を開催しているところで、このJCMについて、市場メカニズムにやっぱり詳しくないという人がいわゆる途上国の中にも多いわけですから、ですから、そのキャパシティービルディングということでこのオンライン会議も活用しながらやらせていただいているところです。この世界における脱炭素ドミノの実現にそういうことを通して貢献していくということだと思っています。
米国との協力については、この世界の新秩序形成のために日米両国が指導力を発揮するということが非常に重要だと思っています。特に、民主主義を共有しながら、それを、やっぱりいいんだよと、こっちの方がいいんだよということをできるだけ共有していきたいというふうに思います。
環境省はそのうちの重要な柱である気候変動対策を担っているということで、いろいろとアメリカとの間でも共有していくわけですけれども、この来年秋に開催、あっ、失礼、本年秋に開催されるCOP27も含めて、様々な二国間、また多国間のチャネルを通じて、この日本の地域脱炭素の取組を積極的に発信し、アジアを始めとする世界の脱炭素化に貢献していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/10
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011・猪口邦子
○猪口邦子君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/11
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012・青木愛
○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
早速質問に入りますが、先ほど新しい国債のお話と、そしてその新しい機構の財政投融資のお話がありましたので、ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、そちらの方から質問をさせていただきたいというふうに思います。
日本で脱炭素投資を拡大するためには、日本の企業による気候変動関連情報の開示が不可欠だと考えます。科学的なデータに基づく情報開示の徹底は投資家の投資判断を促すものであります。しかし、実際はそうなっていないという現状だというふうに思います。この情報開示が行われなければ、やはりなかなかこの民間投資呼び込むことはできないのではないかというふうに考えますけれども、その現状について、まずどのように分析されておられますでしょうか。その辺りから伺わせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/12
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013・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 国内外でESG金融が拡大する中、我が国としてその脱炭素投資を呼び込むということも、私自身は非常に重点を置いています。その中で、企業が気候変動に関する情報を投資家等に向けて開示するということは、これはどうしても必要だというのは、おっしゃるとおりだし、ここは大事だと思います。
そのため、環境省では、TCFD提言に沿った企業の気候関連情報開示を支援してきました。具体的には、自社のリスク機会が財務に及ぼす影響を分析するいわゆるシナリオ分析について、個別の企業に対して支援を行うとともに、実施手順や分析に必要なデータ等をまとめたガイドブックを作成、公表してきたところです。今後、企業のTCFD提言に沿った情報開示の取組を更に広げるため、ガイドブックを企業にとってより使いやすいものにするとともに、ガイドブックの内容を解説するセミナーの開催など、積極的な情報発信に取り組んでいかなければならないと思います。
今まで企業、これ手当てしてきたところというのは、いわゆる一般的に言って割と大きな企業が多いものですから、日本の大宗を占めるやはり中小企業も含めてこういうことが共有されるように、相当環境省としては、いわゆる国内のキャパシティービルディングというのも必要だなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/13
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014・青木愛
○青木愛君 私も詳しくなくてよく分からない部分もあって教えていただきたいのですけれども、これは、各日本の企業が言わば脱炭素に寄与しているんだということの情報開示が必要だということだと、ざっくり言うとそういうことだと思うんですけれど、なかなかその情報開示には、賛成の企業は日本が一番多いという昨日レクでのお話でしたけれども、実際はそうなっていないという状況の中で、今回、新しい機構をつくったり、また、岸田総理がまた新しい国債を発行したりということでこれ取組を進めていくんですけれども、まずはこうした、何でしょう、民間投資を呼び込むためのその情報開示の方が先なのではないかというふうに思うんですけれども、その情報開示をするための国の支援がまず先行されなければこれはうまく進んでいかないのではないかと率直に思ったわけなんですけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/14
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015・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
情報開示の支援については委員のおっしゃるとおりかと思います。
環境省では、先ほど大臣からございました様々なガイドライン、ガイドブックの作成を始めとして、情報開示の支援を既に実施いたしております。大企業はもとよりですけれども、中堅、中小に至るまで情報開示の支援を既に進めておりまして、今後も特に中堅・中小企業を中心に更に情報開示を進めていただけるように、ガイドブックとか、あるいは情報開示のその仕組み、システムですね、情報開示できるシステムの整備なども進めていきたいと考えておりますので、情報開示とその投資といったことを並行して進めていく必要があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/15
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016・青木愛
○青木愛君 済みません、ガイドラインとかガイドブックということの範囲を超えて、超えてですね、それでは、この新機構のその二百億という財政投融資を呼び水効果として考えていらっしゃるということと、今回の、岸田総理が二十兆円規模の資金をグリーントランスフォーメーション経済移行債で確保して民間資金を呼び込むとしているんですけれども、この民間資金を呼び込んで、それぞれ、何というの、規模ちょっと違うなと思うんですけれど、この民間資金を呼び込んでまずやることというのは何なんでしょうか。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/16
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017・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 国だけでやることというのは非常に限りがあると思います。実際に、このいろんな事業をやる、例えばどんなものがあるだろうかということでずっといろいろ考えてみると、食品バイオマスのこの肥料、燃料等への循環利用とか、プラスチックリサイクルのCO2回収、メタネーションとか、ペット・ツー・ペット、ペットボトルの水平リサイクルとか、使用済プラスチックのケミカルリサイクル、いろいろあります。これは国がやるというよりも、むしろ民間の方々がこの意欲的な脱炭素事業としてやっていただく、そのことを国が後押しさせていただくと。
それから、企業のそのTCFD、タスクフォース・クライメートリレーテッド・フィナンシャル・ディスクロージャーという、今までのフィナンシャル・ディスクロージャーというのは言ってみればお金のことが中心だったと思いますけれども、それはやっぱりクライメートリレーテッドなデータということで、新しい観点だと思うんですね。そういう環境に配慮していなければその会社に投資したものも引き揚げると、ディスインベストメントと、そういうこともこれからどんどん起こっていくと思います。
だから、日本的にはやっぱりそういう環境に配慮しているというところを、やっぱりこのガイドブック云々というのは非常に周知徹底させてもらうことによって物すごく使い勝手のいいものにできていると私は思います。その意味で、それをもう少し共有させてもらって、そしていわゆる企業的にこれからそれを取り組まなければその成長機会まで奪われかねないと、あるいはそれを取り込むことによって成長機会がゲットできると、そういう感覚を共有させてもらうことが非常に大事だと思いますので、二十兆というのは言ってみればシードマネーです、シードマネーで、大体これでレバレッジ効かせて、場合によっては十倍ぐらいということもあり得ます。ですから、非常に大きな効果があると思うので、私は、ここから正直日本の経済は反転攻勢掛けられるぞというぐらいに思っています。
ですから、今おっしゃっていただいたとおり、それ国だけでやることではないので、やっぱり国、それからもちろん地方自治体、それから企業、それから国民一人一人、みんな総動員でこの脱炭素を目指す中で日本経済がぐっと行くためには、私は、そのお金が必要だろうと。で、そのお金だけでも足りないと、全体では二〇五〇年まで目指すと四百兆円以上掛かるだろうという試算もあります。
ですから、そういう中の一部として考えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/17
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018・青木愛
○青木愛君 山口大臣、お金が足りない足りないとおっしゃるものですから、私も、何というんでしょう、環境に配慮をしている、脱炭素に貢献をしている企業でないと投資を呼び込めないという状況下の中において、今後投資、民間投資を呼び込むためには、まず企業の方が、これまでの委員会でも、鉄鋼業、自動車産業、設備を全部転換しなければならない、莫大な相当な予算が掛かるのではないかというお話もありましたけれども、まずはそういう企業の、環境に負荷を掛けない、そしていろいろな設備の転換、これをまず先にやらないと民間投資を呼び込むことができないのではないかって思うわけなんです。
なので、この今回の二百億であったり、この岸田総理がおっしゃっているその新しい国債であったりという、このここで呼び込む民間資金というのはまずそこを整えるための資金であって、その後のESGマネー、四千兆円ある、それを更に呼び込むという、そういう順番なのかなと思ったんですけれども、その辺の整理はどういうふうに考えればよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/18
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019・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 全国行脚とともに、各産業界とも対話を重ねさせていただいています。
一番最初は鉄鋼業界でした。その後、ガス、石油、電力、自動車工業会、それから昨日は、昨日ですね、航空業界。特に一番目の鉄鋼業界については、例えばですね、例えばCO2、コークスと燃やせばCO2、要するに石炭ですね、石炭と燃やせばCO2、H2、水素と燃やせばH2O、そしたら今までの高炉を変えなければいけないわけですね。高炉を変えるのに幾ら掛かるかと、何千億円じゃなくて五兆から六兆なんですね。これ民間だけでやるというの私は無理だと思います。
その意味では、言ってみれば、浮沈が懸かっているというふうにおっしゃるんだったら、官民一体でやるけど、そっちからも出してもらえますかと。内部にとどまっているものがあれば出してもらえますかと、かなりきつい会話をさせてもらっています。
したがって、民間でまずやるというのは、正直私は無理だと思います。やっぱりそこは国が手を差し伸べて、イノベーションでもって鉄鋼業も、例えばCO2を出さない鉄鋼業、水だけしか出ない鉄鋼業、こういう造り方でできた鉄というのは、もう一回世界で物すごく言ってみれば売れると思います。世界に冠たる鉄鋼業界、これもう一回回復したいと思うし、自動車もそうですね、自動車も相当お金掛かると思います。今、電気自動車という話ありますけれども、この電気自動車というのが結局インフラがまだ整っていないという言い訳もありますよね、その充電のシステム。そういうことも全部含めると相当なお金掛かると。
それから、蓄電池のシステム、申し訳ない、これ大分中国に遅れているような気がします、残念ながら。だから、ここも相当後押ししたい。大体、去年、電気自動車、日本で二万台しか売れなかったんですけど、中国、二百九十万台売っているんですね。それは、向こうは十倍大きいっていったって、百倍これ売っていますから。だから、そういう意味で、やっぱり相当日本は国が後押しをすることによって、例えば自動車工業会、五百六十万人の雇用の方がおられるので、もちろん内燃機関と電気自動車と両にらみでやっておられますけれども、やっぱりここは国が相当引っ張りながら持っていくということが大事なのかなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/19
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020・青木愛
○青木愛君 ありがとうございます。
それでは、質問、冒頭から進めさせていただきたいと思います。
昨年の十一月、イギリス・グラスゴーで開催されましたCOP26、この首脳会合におきまして、岸田総理は、気候変動という人類共通の課題に日本は総力を挙げて取り組んでまいりますと決意を述べた上で、目標の達成に向けこの十年が勝負ですと、高い野心を持って共に全力を尽くしていこうではありませんかと各国に呼びかけました。
岸田総理が二〇三〇年までの期間を勝負の十年と位置付けたことを受けまして、山口環境大臣は、今年三月三日の環境委員会で、環境省は、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意でこの変革に取り組みますと所信を述べられました。
この勝負の十年とは何なのか、どれほど深刻なものなのかということを国民に分かりやすく御説明をいただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/20
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021・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 我が国においても、既に記録的な猛暑あるいは度重なる豪雨や台風などで多くの犠牲者をもたらしている、そういう意味で、既にこういう異常気象による被害というのが感じられるところだと思います。
先日公表された気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書においては、人間活動が原因となり引き起こされた気候変動が幅広い分野で悪影響を及ぼし、それに関連した損害を引き起こしていることが示されたところです。地球温暖化の進行に伴い、このような猛暑や豪雨等のリスクが更に高まると予想されており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面していると思います。このような中、IPCCからは、気温上昇を一・五度ないし二度に抑えるためには、二〇三〇年までに急速かつ大幅な温室効果ガス排出削減を行わなければ後戻りできない旨報告がなされています。
以上の科学的知見を踏まえれば、世界全体で早く大きな削減が必要であることから、二〇三〇年までの期間を勝負の十年、ディサイシブディケードと述べているところです。
この二度と一・五度というのは、この場でもよく議論がありました。今まで二度だったものがこのグラスゴーでもって一・五度と、二度だとデスセンテンスだということを確かに南太平洋の国々の方はおっしゃっていました。そういう意味で一・五度まで何とか頑張ろうかというところを合意したわけですね。
その中で、何でそう思うかという、この間もカーボンバジェットの話、していただきました。全体であと余力が四千ぐらいと、毎年四百ずつ出していったらあともう十年もないぐらいじゃないかと。で、それを超えると後戻りできなくなるというところがだんだん科学者の知見でもって共有されてきていると。そういうことでは、二〇三〇年までは一つの勝負の十年と、もうここでがっちりやらないともう全体で大変なことになるという危機感を我々共有しているところです。
そういう意味では相当なアクセルを踏んでいきますので、やっぱりそれを、やっぱり企業も付いてきていただけるように、やっぱりそのことによってむしろ、このカーボンニュートラルを目指すそのプロセスの中でむしろ企業もある意味で強化されるように、それがイノベーションがどうしても必要なんで、そこは相当大きなお金が必要だろうなというふうに思います。
先ほど私自動車の話もしましたけれども、やっぱり内燃機関が日本の一番の得意技で、もうそこは物すごくよく分かるし、ただ、内燃機関と電気自動車は取りあえず両にらみでもいいけれども、やっぱりヨーロッパ、アメリカは日本の自動車業界を出し抜くためにこの電気自動車ということをやってきている面もあると思います。
だから、それを乗り越えながらいわゆる脱炭素の世界に向かっていく。で、そのことが日本だけでできないわけですね。日本だけで二酸化炭素を減らしたって、全部みんなで力を合わせないと意味ないんで、そういう心合わせもしながらということで、日本が、例えばJCMを通じたような格好でもってパートナーを増やしていく。
あるいは、岸田総理が言われたのは、百四十八億ドルの適応、ミティゲーションじゃなくてこのアダプテーションですね、洪水なんかが起こったときに適応していくためのお金。ミティゲーションというのは、この二度から一・五度減らすため、あっ、失礼、抑えるためのこの二酸化炭素を減らすミティゲーションですけれども、アダプテーションというのは、そういう異常気象が起こったときにいろいろと災害が起こると、そういうことに適応していくためのお金も必要だと。もう途上国からこういうお金の要求が大きいわけですね。そのことに対しても、岸田総理、目配りしながら、百四十八億ドルということで今までの二倍にしますということをおっしゃられたりしています。
だからもう両にらみしながら全世界でもって歩調を合わせて一・五度やりましょうというのがこの間のグラスゴーで、次のエジプトに向かっては更にそれを共有して更に強化できるかというところがこれから議論になっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/21
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022・青木愛
○青木愛君 山口大臣が今答弁の中でおっしゃった後戻りできないというのは、すごくメッセージとして伝わるのではないかというふうに今拝聴いたしました。
やはり、二〇五〇年までカーボンニュートラルを達成させるためには、この十年、相当気合を入れないとそれが達成できないということだと思います。気候の極端化が進み、また氷河の溶解、海面の、海温の上昇による海水膨張によって太平洋上の島々も水没をしていく。また、食料の危機、病原菌、また動植物の移動、様々な危険が伴うということであります。今何とかしないと、今享受しているこうした我々の生活も営めないんだ、後戻りができないんだ、取り返しが付かないんだということを、余り不安をあおるようなことではまたいけませんけれども、でも、やはり深刻な課題なんだということをやはり国民一人一人に認識していただけるように、大臣のこの発信力に期待をするところでございます。
それで、今回の法案の中で、脱炭素先行地域を二〇二五年度まで少なくとも百か所創出をすると、二〇三〇年度まで実行するということになっています。
今回、百二の地方公共団体から七十九件の計画提案が提出されまして、第一回目として二十六件が評価をされました。選考された提案と選考から残念ながら漏れてしまった提案、どのような相違があったのか、今後応募する自治体が参考になりますように説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/22
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023・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
第一回の脱炭素先行地域の選定の募集は今年一月から二月にかけて実施し、御指摘のとおり、全国百二の地方公共団体から七十九件の提案をいただいたところです。これらにつきまして、学識経験者で構成する脱炭素先行地域評価委員会において、書面審査及びヒアリングを実施していただいた結果、二十六提案を脱炭素先行地域としてふさわしい提案として評価いただき、環境省において選定したところでございます。
評価委員会においては、脱炭素先行地域にふさわしい再エネ導入量、地域課題の解決への貢献可能性、先進性、モデル性、実現可能性等が高く評価された地域の提案が選定されたところでありますが、具体的な評価ポイントとしましては、先行地域の対象範囲で取り組む意義や必要性が明確であり一定の広がりや規模が確保されていること、民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを達成するための取組を確実に実施する体制がある程度明確であること、単なる再エネ設備の導入にとどまることなく地域経済の循環や地域課題の解決、住民の暮らしの質の向上につながることが意識されていることなどが評価のポイントとなったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/23
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024・青木愛
○青木愛君 それで、今回選考された中に、横浜市みなとみらい21地区における公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデルというのがございます。地域間連携は非常に重要だと思っておりまして、これが一つのいいモデルになるといいなと思うんですが、この域内での脱炭素化事業のほかに、この再エネに関する連携協定を締結した東北の十三市町村から再エネ電気を調達をすると、横浜に調達をするということなんですけれど、これどういう内容なのかということと、これは双方にメリットがある交付状況になるのかどうなのか、ちょっとその辺の詳しい話を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/24
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025・山口壯
○国務大臣(山口壯君) みなとみらい21地区の六十四施設のうち三十二施設を対象とする横浜市の脱炭素先行地域の主な取組というのは、施設屋上などオンサイトにおける太陽光発電設備の導入、市内の郊外部の市営住宅や小中学校の屋上、調整、これは池ですね、調整池等の未利用スペースを活用したオフサイトにおける太陽光発電設備の導入、あるいは再エネポテンシャルの高い他市町村と連携した再エネ電力の調達等を行い、脱炭素化を図るとともにLED化などによる徹底した省エネ化を行うものです。
本提案は、エネルギー需要は大きいものの再エネ導入ポテンシャルが限られる大都市の脱炭素化モデルの構築を目指すものであり、評価委員会では、オンサイトの取組に加え、市内の郊外部を活用したオフサイトの取組、さらには再エネポテンシャルの高い他の自治体との連携など、様々な手法を組み合わせたモデル性の高い取組として評価されました。
なお、電力消費量が多い都市部は再エネ導入ポテンシャルが限られている場合も多いことから、再エネ導入ポテンシャルが高い地方公共団体との地域間連携は、安定的な再エネ電力供給や地域経済活性化の観点から極めて有効だと思います。
引き続き、地域間連携を含め、地域の特性を踏まえた地域脱炭素の取組について支援をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/25
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026・青木愛
○青木愛君 再エネポテンシャルの低い、だけれどもエネルギー需要の大きい都市部と、再エネポテンシャルが高い、だけれども人材や財源が限られている地方、この地域間連携、電力の融通というのは大事な視点だと私も思うんですけれども、今回のこのケースにおいて、この東北十三市町村にはその交付金が行かないというふうにレクの中で伺ったんですけれど、この東北の十三市町村、電力供給をする側のメリットをどのように考えたらよいのか、その辺を教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/26
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027・上田康治
○政府参考人(上田康治君) 東北十三市町村も含めたそれぞれの自治体のメリットという御質問かと思います。お答えいたします。
まず、今回、計画の提案において、仮に、例えば横浜市とその東北十三市町村が共同提案という形で一つのプロジェクトで提案された場合にはそれぞれの取組について支援をするということでございますが、今回はその提案については横浜市からの提案ということで、その関連する施設への支援となったところでございます。
他方、この背景にあります東北十三市町村と横浜市の間の連携の協定と、議員の方からも御指摘ございましたけれども、そちらを見てみますと、連携協定の対象分野としては、再エネの創出に関することに加えて、それぞれの地域の、地域の活力に創出に関すること、また、再生可能エネルギーに関する相互連携した国等への政策提言に関すること、このようなことが盛り込まれていると承知しています。
とりわけ、この中の二つ目の地域の活力の創出に関することということについては、それぞれの市区、市町村の間で関連する事業者とか住民がそれぞれ意識をして、例えば東北の特産物を横浜の方に持ってきて売ってみようとか、環境に限らず様々な連携をしながら活性化を図る、そうした取組を御検討されていくものというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/27
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028・青木愛
○青木愛君 双方の自治体の中でその辺を考えていくということだと思います。また、この東北の十三市町村は自らが提案者となってまた別のプロジェクトの対象ともなり得るということで確認をさせていただきました。
あと、それで、やはりこの大都市部のみなとみらいでありますので、LEDのお話はあるんですけれども、この徹底した省エネ、どこまで省エネができるのかという、そこまで追求したモデルをできれば提示していただけると有り難いなと思うんですけれども、一部太陽光も調整池に設置をするというところではありますけれど、やはりこういう都市部だからこそのもうちょっと明確なモデルとしてのメリットを示していただけると有り難いなというふうに思いますので、引き続きよろしくその辺お願い申し上げます。
そして、ブルーカーボンについて伺わせていただきます。
ブルーカーボンですね。脱炭素先行地域づくりガイドラインに、脱炭素先行地域の範囲の類型として、住生活エリア、ビジネス、産業エリア、自然エリア、施設群、この四つが示されておりまして、この自然エリアの中に漁村を挙げています。
森林がCO2を吸収することはよく知られていますけれども、海域で、特に日光が当たる海域で育つ海藻、藻類、光合成を行って大量のこのCO2削減に貢献しているということは余り知られていないかと思うんですが、この海の植物による吸収はブルーカーボンと呼ばれているわけです。
そのことを五月の本会議で質問いたしましたところ、山口大臣の方から、ブルーカーボンは、温室効果ガスの吸収源としての役割に加えて、水質改善、生態系保全等の相乗効果も期待できるため、重要な気候変動対策の一つだと答弁をいただきました。
そして一方で、インベントリーに計上可能であるか検討も進めているとの発言でございましたが、CO2の吸収源として大変重要だという認識をお持ちでいらっしゃるのであれば、このインベントリーの検討結果を待つまでもなく、四方を海に囲まれた日本でありますので、このブルーカーボンの活用を今から積極的に進めるべきだというように考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/28
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029・山口壯
○国務大臣(山口壯君) この海藻などの海洋生態系による二酸化炭素の吸収、固定のことを指すブルーカーボン、私も青木議員と認識はかなり共有しています。
このインベントリーを環境省としては所管しているわけですね。温室効果ガスの排出・吸収量目録、いわゆるこのインベントリーを所管する立場として、吸収量の我が国のインベントリーに計上が可能であるか検討を進めていると。これ、各国との調整も必要なようですから、そういう意味で関係省庁と連携しながらブルーカーボンの活用の在り方について検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/29
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030・青木愛
○青木愛君 認識は共有させていただいていると思います。インベントリーの計上は可能かどうかということも、日本にとっては国際社会の中で大変重要だというふうに認識をいたします。ただ、CO2の吸収源という実態があるわけですので、やはりこれは早めに進めるべきだと、明確な指針を示すべきだというふうに思います。よろしくお願いいたします。
地球が誕生したときには大気に酸素がなかったわけですけれども、二十数億年前に海底にシアノバクテリアという藻が繁殖をして、光合成によって海水中の大量の二酸化炭素を吸収して大量の酸素を海中そして大気中に放出して、そして陸上の生物が生命活動をなし得たという歴史でありますので、海中の植物をもっと評価するべきだということも申し添えておきたいと思います。
次に、営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングについて懸念するところをお伺いします。
三月二十四日の環境委員会、大臣所信に対する質疑におきまして、千葉県匝瑳市の営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングの取組を紹介をさせていただきました。二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度削減目標の実現に向けて、この営農型太陽光発電を全国的に普及させることは大変重要なことだと私は考えております。
一方、平成二十八年の行政事業レビューでは、恐らく営農型太陽光発電の普及を意識することなく、FITの対象となる太陽光発電の新規出資を行わないことにしたとの記述がございます。
営農型太陽光発電については、FIT対象であっても脱炭素化支援機構による出資対象に含めるべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。FIT対象である太陽光発電はその機構の出資対象にはならないというそんなお話が出ていますけれども、やはりこのソーラーシェアリングについては、食料の自給率、そしてエネルギーの自給率、一石二鳥の大変有効な手段だというふうに考えるんですけれども、ここは機構の、新機構の出資対象にしてもよろしいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/30
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031・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
営農型の太陽光発電につきましては、農業生産と再エネ導入を両立させて、地域と共生をしながら再エネを導入することができる有効な取組として認識しているところでございます。
脱炭素化支援機構の支援対象案件は、環境大臣が定める支援基準に沿って、脱炭素投資の知見、経験等を有する脱炭素化委員会において決定することとしており、営農型太陽光発電についても、このようなプロセスにのっとって適切と認められる場合には支援されるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/31
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032・青木愛
○青木愛君 済みません、FITの対象となっている太陽光発電とその下で育てる営農の部分の併設であっても、この機構、新機構の対象となり得るという御答弁でよかったでしょうか、確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/32
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033・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
この支援基準に基づいて機構が判断する際に、機構がその運用を図っていく中で、関係省庁とも相談しつつ、御指摘の案件についても適切に検討してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/33
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034・青木愛
○青木愛君 まあ検討ということなんでしょうかね、衆議院の方でも田嶋委員がこの点質疑されていると思うんですけれども。
やはり食料の自給率、そしてこのエネルギーの自給率、これを最大限高めることはもう最重要課題だというふうに思います。特に日本は耕作放棄地がたくさんございまして、まさに一石二鳥、一石三鳥の営農型、このソーラーシェアリングだというふうに思いますので、導入が進むインセンティブが働くような形で前向きな取組を御検討といいますか、前向きに御決断をお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは次に、五月十九日に行われました環境委員会の参考人質疑において三人の参考人の先生方からの御意見を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
参考人は、真庭市の太田昇市長、特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の山下紀明主任研究員、そして特定非営利活動法人気候ネットワーク東京事務所の桃井貴子所長の三人でございました。いずれの先生方も、具体的に活動をして実績を上げられている皆様でありましたので、大変参考になりました。
まず、その中で、真庭市についてお伺いをいたします。
真庭市は、森林組合と提携をしてバイオマス発電を進めています。材料は間伐材で、山林の手入れを怠ると災害時には河川に流れてきて災害要因になるところを、逆に脱炭素資源として有効活用をしていらっしゃいます。
さらに、生ごみも資源として活用しています。燃やすごみの約四割が生ごみだそうで、大量の生ごみは水分を含んでいるので、焼却に余計なエネルギーが必要となり、CO2も発生をさせます。しかし、その生ごみをふん尿関係と一緒にして混ぜて発酵をさせるとメタンガスが発生し、そのガスで発電を行っているということでした。残りかすは液肥として農家に配っています。し尿処理施設も減らすことができたとのことでした。
これは全国展開できる一つの重要なモデルだと考えますが、この評価と横展開の可能性について御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/34
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035・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
生ごみや、し尿、浄化槽汚泥等の廃棄物系バイオマスの再利用、利活用については、地域へのエネルギー供給を図る観点も含めまして、気候変動対策にも資することであります。飼料化、堆肥化、燃料化、メタンを高効率に回収する施設など、地域に応じた効率的な整備を推進すべきものと評価しているところでございます。
環境省では、地域の生ごみ等のバイオガス化施設の導入に当たっての留意点をマニュアルとして取りまとめまして、自治体のメタンガス化施設導入を支援しております。その中で、真庭市のように、生ごみと、し尿、浄化槽汚泥を一括してメタン発酵させ、バイオガスを回収し発電するとともに、生成される消化液を液肥として地域で有効利用するといった、多段階的にバイオマスを利用する好事例についても紹介しておるところでございます。
自治体に対しましては、循環型社会形成推進交付金を通じまして生ごみのメタンガス化施設の整備を支援しておりまして、高効率で熱利用を行う施設には交付率をかさ上げするといったようなこともしております。こうした支援策を活用し、また好事例を紹介しながら、横展開をしながら、生ごみの資源化を進めていくところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/35
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036・青木愛
○青木愛君 ありがとうございます。
ちょっと質問を飛ばさせていただきますが、山下参考人の著作の中に再エネ導入の取組の成功事例と失敗事例は紙一重であるとの記述がありまして、御質問しましたところ、失敗を回避するため着手の段階で心掛けるべきことということで、まず再エネを考えるのはやめましょうというお話でございました。むしろ、町の未来像を最初に考えましょう、それが近道であり、王道であると思っていますとの御答弁でした。また、地域のトラブルを回避するためには信頼関係が大切だということで指摘がございました。
この意見について御見解を伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/36
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037・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 二〇一八年に閣議決定された第五次環境基本計画に基づいて、環境省は、各地域の資源や活力を最大限に生かしつつ、環境、経済、社会を統合的に向上させる地域循環共生圏の実現を目指していきます。地域脱炭素ロードマップでも、この考え方に基づき各施策を実施しているところです。具体的には、地域の主体性の下に、地域内外の多様な主体と協働しながら、地域課題の同時解決につながるような事業設計を行い、地域にとって利益となる形で再エネ導入を進めていくことが重要と考えています。
この再エネ導入と地域課題の同時解決を行った事例として、これ全国行脚しながらずっと紹介しているところなんですけど、福島県土湯温泉においては、一〇〇%地域出資により、中小水力発電と温泉バイナリー発電を行っています。この過程で発生する温水を活用してオニテナガエビの養殖を始めることで一年間で約五千人を集客したり、あるいは売電収益を活用して地元の高齢者や高校生に対してバスの定期代を支給するなど、地域活性化につながる取組を行っておられます。
また、御指摘のとおり、再エネの導入推進のためには地域のトラブル回避も重要だと思います。このため、環境省としては、この地球温暖化対策法に基づく促進区域の仕組みを運用することなどにより、地域における合意形成を図りながら再エネ事業の導入を促進してまいりたいと思います。
こうした考え方を全国行脚でずっと言っているわけです。そういう意味では、この土湯温泉の映像を見ていただいたり、あるいは、地域共生型再エネの重要性も含めて、地域脱炭素と町おこしを同時に実現するモデルというものを全国に展開し、また地域脱炭素のドミノを起こしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/37
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038・青木愛
○青木愛君 ありがとうございます。
そして、桃井参考人からは、石炭火力発電に対して反対の意見が述べられました。
CO2削減のため石炭火力にアンモニアを二〇%混焼したとしても、アンモニアを化石燃料から製造する過程で大量のCO2が発生する、実質四%の削減にしかならない、しかも莫大な費用が掛かるとの御指摘がございました。しかも、この大量のアンモニアは海外から輸入することになります。また、CO2を回収し地中等に閉じ込めるCCSも技術的に確立をしておりません。日本の地理的条件や経済性、環境性などの観点から実用化には程遠いという意見が述べられました。
この点について御見解を是非お伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/38
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039・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。経済産業省としての考え方を御説明申し上げます。
現在、日本の電力供給を支えることとなっております石炭火力というものはCO2を排出する環境面での課題があるということはよく承知しているところでございまして、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、安定供給を大前提に、いたずらに延命させず、できる限り発電比率を下げていく、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めていくというのが基本的な方針でございます。
その際、代替として用いる燃料というのを探していかなければならないわけでございまして、アンモニアというのはカーボンニュートラル時代におけるエネルギーの安定供給確保に向けて利用拡大が不可欠なフェーズになっていると考えております。
一方で、これを現実のものにしていくためには供給力の拡大、価格の低下につなげるということが重要であり、そのためには大規模な需要を創出していく必要があるわけでございまして、この由来を問わず、このアンモニアというものの取引、市場というのをつくり出していくことが大変重要だと考えているところでございます。
もちろん、永続的にCO2を処理していないアンモニアを使い続けるという考えはございません。インフラ整備や技術開発などの進展状況を見つつ、速やかにアンモニア全体のクリーン化というのを進めていくほか、製造方法の効率化等に向けたコストダウンにも努めていきたい。同時に、二〇%混焼にとどまることなく、混焼率の引上げ、専焼化に向けた取組、技術開発も進めていきたい考えでございます。
また、CCSについてもお尋ねございましたけれども、こちらは、カーボンニュートラルというのを実現していくために火力発電所の脱炭素化を実現するというためには不可欠なものだと考えてございます。また、石油精製産業や素材産業等におきましても、電化や水素化では脱炭素化ということが実現できません。ですので、そう考えますと、CO2の排出が避けられないということを考えると、国内でのCCSの最大限の活用ということが不可欠だと考えます。
こういう考え方から、経産省としては、苫小牧におきまして日本初のCCSの実証実験を実施しておりまして、二〇一九年十一月に目標の三十万トンの圧入を達成し、技術実証を終えた段階でございます。
今後、これをいかに先に進めていくか集中的な議論を行うための検討会を本年一月から開催し、今月十一日に中間取りまとめを示したところでございまして、今後、年内に長期ロードマップを取りまとめ、引き続き議論を深めていきたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/39
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040・青木愛
○青木愛君 代替エネルギーとしてアンモニアが必要だということでございましたけれども、桃井参考人は、代替エネルギーはLNGでいいのではないかという意見も表明されていたかと思います。
このアンモニア、海外に依存しているわけですよね。やはりもう大前提は、やはりエネルギーは自国で賄うということが本当に大事なことだと思うんですけれども、このアンモニアは、海外に依存している上に天然ガスから生成するということでありますから、わざわざ天然ガスからCO2を出して生成することはないんじゃないかなと率直に思うわけなんです。天然ガスをそのまま使うと、液化してLNGとして運んできてその天然ガスを使えば、わざわざアンモニアに変換しなくても、CO2を出さなくても、そのまま天然ガスを使った方が効率がいいというふうに思うんですけれども、この火力、石炭火力ありきで考えるからこのアンモニアの混焼を、複雑なその工程を考えなければならないというふうに捉えているんですけれど、どうでしょうか。
まあ天然ガスも海外依存ですね、今のところは。天然ガスもアンモニアも、いずれも海外依存なんです。私は、エネルギーは自国で賄わなければなりません、ならないと思いますが、今のところ、そうですよね。その天然ガスからわざわざアンモニアをCO2を出して作る必要はなく、天然ガスをそのまま使えばいいんじゃないかと。その方が効率がいいというふうに聞いておりますので、その辺はどうでしょうか、石炭火力ありきの複雑な工程にしてしまっているのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/40
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041・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国の電力の安定供給、同時に脱炭素化というのを実現するためにはあらゆる選択肢を追求していくことが重要だと考えています。その際、アンモニアを使った石炭火力の混焼ということもございますし、同時に、LNGからつくられるガス火力、これを水素等を混焼させながら脱炭素度等を高めていくという取組も必要になってまいります。
一方で、委員御指摘いただきましたように、国内安定供給ということも重要な要素になってまいります。できる限り国内で自立できるようなエネルギー源というものを提供していくことが重要なわけでございまして、必ずしも輸入のアンモニアに頼るということが唯一の方法ではございませんので、国内外のサプライチェーンの構築というのが重要である。同時に、それは国内の再生可能エネルギー資源等を活用したアンモニア製造の実用化をするということも大変重要な視点だと思っているところでございます。
いずれにいたしましても、今現存しております石炭火力発電所、同時にガス火力発電所、原子力発電所、さらには水力、再生可能エネルギーの発電所、それぞれ今エネルギーのミックスの中で日本の国内の安定供給というのは維持しているところでございますが、これを現実的な形で脱炭素化したエネルギー供給に変えていくということについては、現在存在している発電供給構造ということを念頭に置きながら脱炭素化というのを徐々に実現していくという方策を、あらゆる手段を模索していかなければならないと考えております。
そういう観点からは、アンモニア、このマーケットを広げ、現実的な脱炭素化への実現するための道筋というのは引き続きしっかりと追い求めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/41
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042・青木愛
○青木愛君 まあ、あらゆる選択肢と言われると、何というのかな、そうなのかなと。何というのかな、そういうふうなあらゆる選択肢、でも時には確かな指針を示すということが大事だということもあると思います。いつまでたってもやっぱり原子力をベースロードとして、そして火力発電も、石炭火力もそこに位置付けている限りはなかなか前に進まないのではないかなというふうに思っています。
原発も一回稼働してしまうと、それを今度抑制することができなくなりますので、やっぱり調整機能は原発にはありませんですね。石炭火力もCO2を排出をするということであります。そこに、幾らそこを何とかしようと思っても、もうそうしたら、もっといい方法、いい方向にもっとかじを進めていくべきではないかなと、明確にですね、と思うんですよね。
環境省が試算を出している再生可能エネルギーのこのポテンシャルですけれども、資料配らせていただきましたけれど、この電気需要量の約二倍のもうポテンシャルがあるんだという試算なんですよね。再生可能エネルギーだけで、だけで二倍あるんですよね。これをいかに使うか、ここにもっと注力をしてほしいんですよね。
この二倍もある再生可能エネルギーのこのポテンシャルを、いかにこれを実現可能なものとして送電網に送っていくかということなんですけれども、天候に左右されるという課題がよく指摘をされるんですけれども、それを支える部分として蓄電池の開発、これもなかなか目覚ましい開発が、その答えがなかなか返ってこない今状況だというふうに思うんですけど、まあ進んでいる部分もあると思うんですけれども。あるいは揚水発電ですね、水力発電との併設であったりいろいろあると思うんです。グリーン水素に変換するとかいろいろあると思うんですけれど、その辺のちょっと状況を教えていただけませんでしょうか。
蓄電池の開発状況、水素の活用、揚水発電等の状況、あとマイクログリッドの実施状況、あと広域間での電力の融通、あと五十ヘルツ、六十ヘルツの問題解決したそうですけれども、その辺ちょっとざっくりと、これだけの、二倍あるこの再エネのポテンシャル、いかに生かすかというところのその課題解決の方法を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/42
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043・茂木正
○政府参考人(茂木正君) お答え申し上げます。
まず、環境省の方でお示ししているこの二倍のポテンシャルがあると、これは一定の条件の下で試算をしますとこういう考え方もあるということでございますが、政府全体としては、こういったポテンシャルも念頭に置きながら、実際に具体的な対策としてどこまで導入していけるのかというのを最大限追い求めているというのが今の現状でございます。
政府全体としては、まず二〇三〇年までに三六%から三八%、これを目標にして再エネを最大限導入していくという取組を進めているところです。再エネを実際に導入していくに当たって、課題は、今委員から御指摘があったような送電網の問題もございますが、まず一つは、やはり地域の御理解をいただきながらいかに適地を確保していくかと、立地させていくかというのが一つポイントになります。それからもう一つは、今御指摘あったような送電網の課題。それからもう一つは、やはり国民負担を抑制しながらこれをいかに実現していくか。こういった課題を同時に解決していく必要があるかというふうに存じます。
それから、御質問ございました再エネを、自然変動電源でございますから、これを有効活用するためのいわゆる送電網全体の調整力ですとか、こういったものがどういう状況かということでございますが、現状、再エネが変動しますと、これを支えているのは火力発電でございます。一方、これからカーボンニュートラルを実現していくという観点からは、御指摘ありました、例えば揚水発電を有効に活用する、それから蓄電池を送電網の中に導入していく、それから水素を活用して調整力を脱炭素化していく、こういった取組に加えまして、ほかのエリアに余ったときには融通をするというような電力融通の円滑化ということを進めていくことも重要です。需給調整における揚水発電の最大限の活用、これしっかり進めていきます。
それから、電力系統に直接接続する大規模蓄電池や水電解装置の導入支援というのも行っていますし、それから、コストを下げるための技術開発というのも現状行っておりますので、こうした取組をしっかり進めていきます。
それから、五十ヘルツ、六十ヘルツの問題、そして送電網の指摘もございましたが、これについては、地域間連系線の増強に向けまして、現在マスタープランというのを作成しております。これを二〇二二年度中に策定しまして、これを具体化していくということでございます。
それから、小規模な蓄電池、それから、EVもこれ蓄電池でございますので、こうした多数の分散型のリソースを組み合わせることによって調整力を確保することもできます。これ、技術としてこういうのを的確に運用するための技術開発、技術実証を現状行っているところです。
こうした取組を通じまして、再エネの最大限の導入のため、調整力の確保に加えまして、調整力の脱炭素化、それからほかのエリアの電力融通の円滑化、分散リソースの活用などを進めてまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/43
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044・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 青木愛さん、時間が来ておりますので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/44
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045・青木愛
○青木愛君 はい。
再エネのこの需要を上回る分はそれをグリーン水素として蓄積するのが私は有望策ではないかなというふうに考えます。水を電気分解すれば発生しますし、海外から輸入する必要もありません。福島で実証実験が行われています。これの全国展開を進めていただきたいというふうに思います。
また、真庭市の太田市長からは、石炭火力よりもむしろ原発が危険だという意見も述べられました。若狭湾に面した福井県の高浜原発で事故が発生したり攻撃を受けた場合、琵琶湖が汚染され、近畿の府県は人が住めなくなる、神戸市も琵琶湖の水を使っていますと述べられていました。山口大臣にこの御見解を伺いたかったですけれども、時間がありませんので、こういうお話がありましたということをお伝えさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/45
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046・柳田稔
○柳田稔君 少し質問がダブるかもしれませんが、まず冒頭ですね、先日の参考人質疑で、水素、アンモニア燃料、並びに二酸化炭素を地中に埋める方法ですね、CCS、CO2削減には余り役に立たないという御発言があったんですが、政府はこの発言についてどう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/46
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047・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 先週十九日木曜日の参考人質疑において、アンモニア、水素については、製造段階でCO2を排出し、その上コストが高いと御指摘があり、またCCSについては実用化に程遠いという御指摘があったということは承知しています。
アンモニア、水素、CCSは、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略などの政府方針において、二〇五〇年カーボンニュートラル実現のための重要なエネルギー、技術と我々は位置付けています。
その実用に向けて、アンモニア、水素については、製造段階でCO2を排出しない再エネ由来のアンモニア、水素の製造方法や、コスト低減のための技術開発が進められているところです。
環境省としても、地域資源を活用した再エネ由来の水素の製造、輸送を行うといった脱炭素水素サプライチェーンを構築する実証事業をこれまで全国十地域で実施するなどの取組を行ってきました。これらの実証においては、技術的にはサプライチェーン構築が可能であるけれども、御指摘のとおり、そのコストが課題となっています。コスト低減に向けて既存のインフラを活用するなども実証内で検討しているところです。
あと、CCSについては、二〇三〇年以降の社会実装に向け、環境省は福岡県大牟田のバイオマス発電所においてCO2の分離回収実証を実施しており、またさらに、CO2の分離回収から輸送、貯留までの一貫した技術確立のための実証事業も進めながら、実用化に向けた検討も進めているところです。また、経済産業省でも、苫小牧において、陸から海底下の地層への圧入実証を実施していると承知しています。
引き続き、関係省庁と連携しながら、カーボンニュートラル実現に向けてアンモニア、水素、CCSの活用には全力を尽くしてまいらなければいけないなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/47
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048・柳田稔
○柳田稔君 長い目で見ると有効だと、投資に見合った分の二酸化炭素の削減はできると、自信を持っておっしゃっていただけるのかなと思ったら、少々不安になりましたけど、まあこれはこの程度で。
次に、今年の四月五日、IPCC第六次評価報告書第三作業部会報告書の内容について、中身と、さらにこの報告書に対する日本の考え方、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/48
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049・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
IPCCの第六次評価報告書、ワーキンググループ3の報告書でございますが、これは気候変動の緩和策に関する最新の科学的知見を世界中の論文からまとめたものということでございます。
まず、その内容でございますけれども、地球温暖化の今後の見込みにつきましては、現状の対策では二十一世紀中に温暖化が一・五度を超える可能性が高いということがまず示されております。
その上で、地球温暖化を一・五度あるいは二度に抑えられる可能性が高い排出はどういうことかというモデル分析の結果も載っておりまして、これによりますと、世界の温室効果ガス排出量が遅くとも二〇二五年以前にピークアウトするというような排出経路を取らなければ一・五度や二度に抑えることはできないというような結果でございます。
また、排出削減対策につきましては、再生可能エネルギーそれからCCSを併用した化石燃料由来のエネルギーへの移行、さらにはエネルギー効率の改善、二酸化炭素除去技術の導入といったエネルギー供給側の取組と需要側の取組について、削減ポテンシャルや費用対効果を分析しております。
政府の受け止めでございますけれども、まず、やはり地球温暖化のレベルを一・五度に抑えるためには、世界全体の温室効果ガス排出量を緊急に急速かつ大幅に削減する必要があるという待ったなしの状況であるというふうに受け止めております。
また、削減ポテンシャル、様々示されております。エネルギー需要側、供給側、それぞれの様々な対策について評価がなされておりまして、やはり、まず最新の技術については早急に社会実装をしていくと。さらに、まだ技術開発が終わっていないものについては技術開発をしっかりと進めていき、そういった技術をそれぞれ各国の事情に応じて導入していくということが重要だと考えておりまして、我が国におきましても、同じく地球温暖化対策計画あるいは長期戦略に基づきまして対策を進めていく必要があろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/49
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050・柳田稔
○柳田稔君 簡単に言うと、ここ十年が勝負ですよと、大変大切な時期ですよと。日本政府としても、この十年しっかり頑張っていきたいと、そういう思いで受け止められたのかなと。それで総理もこの十年という言い方をしているんではないかと私は思うんですが、環境省としてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/50
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051・小野洋
○政府参考人(小野洋君) おっしゃるとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、一・五度に抑えるためには急速かつ大幅な削減が必要だということでございまして、このためには今後の十年というのは非常に重要であるという認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/51
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052・柳田稔
○柳田稔君 そこはみんな多分一致しているんですよね。
これからの議論は、二〇五〇年に向けての、四十年掛けてやるべきこと、これも当然ありますよね。節エネとかいろんなことをしていく、いろんな技術を開発していく、実用化していくという道筋もこれはあるわけですが、その中でも特にこの十年が大切なんだというふうに思うんです、私は。
先日のこの環境委員会での質疑を聞いていますと、答弁聞いていますと、カーボンニュートラルに向けて、二〇五〇年に向けて、こういうこと、いろんなことをやっていますというふうなお話だったと、私はそう思うんですけれども、特にこの十年に限って、大切なこの十年に限って新たに何をしなければならないか。どう思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/52
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053・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
この十年、二〇三〇年までに実施する対策につきましては、地球温暖化対策計画に網羅的に示されております。
一言で申し上げますと、革新的な技術開発というのは、多くが二〇三〇年以降二〇五〇年に向けて実用化を目指しております。二〇三〇年までということでございますと、特に既存の技術で既に利用可能なものがまだたくさんございますから、そういった技術を大量に、しかも急速にあらゆる分野で導入していくということが重要だと考えておりまして、地球温暖化対策計画もそのような計画内容になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/53
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054・柳田稔
○柳田稔君 その計画って去年のことですよね。最近また新たに考えを打ち出したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/54
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055・小野洋
○政府参考人(小野洋君) 地球温暖化対策計画は昨年の十月に閣議決定をしたものでございまして、この計画は特にこれから変更もなく実施していくということでございます。
さらに、昨今、クリーンエネルギー戦略というのを経済産業省が中心になって今、この前、中間取りまとめということでございますけれども、策定中でございます。これについては、地球温暖化対策計画なりエネルギー基本計画と別に相反するものではなくて、更にその具体的な実施の道筋というものを深掘りしたものというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/55
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056・柳田稔
○柳田稔君 冒頭質問したとおり、今年の四月五日のIPCCの報告書ですよね、それを受けて、この十年が大変大切なんだという認識をされたわけですよね。
で、同時に、ロシアがウクライナに侵攻して、エネルギーの原料価格が暴騰してきたと。この日本においては、更に円安が重荷になっているという状況を考えたときに、これが一時的なものだったらいいんですけれども、そうではないということは、今の日本政府が話していますよね、石炭はもうロシアから輸入しないとか言っているわけですからね。それは最近の話ですからね。
そういったときに、考えたときに、四月五日のIPCCの報告書もあった、何かしなきゃならないということで、ヨーロッパの各国は新たな方針を決めて打ち出していますよね。それは先日局長が答弁してくれたとおりですよ、経産省のね。
さあ、それなのに、日本は何の新たな方針も打ち出さないのかなと、これが私にとっては大変大きな疑問なんですけど、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/56
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057・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 現下のウクライナ情勢というもので、十月の数字がそれで変わることはないとは思います。というのは、それ目いっぱいまずやることが私的には非常にもうこれ大変だなというふうに思っています。
その中で、この自前の国産のエネルギーシステム、自立したものを確立していくということで、そのロシアのウクライナ侵略、石炭一一、ガスが九、石油が四、これをまず脱ロシア化していくというところでは、ほぼ、だんだんだんだんその認識は共有されていると思うんです。
その中でいけば、じゃ、その数字がありますよね、石炭三二から一九にとか、あるいはガスを三七から二〇と、それから再生可能を一八から三六なり三八なり、そういうことを、どういうふうにしてまずこれを実行していくかというところも結構これ大変だと思います。
再生可能エネルギーは、この脱炭素電源の重要性というのは以前にも増して高まっているという意味では、環境省としては、更に加速させて再エネ最大限導入に向けて全力で取り組んでいくというところが、まずはもうそこを実行していかなきゃいかぬなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/57
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058・柳田稔
○柳田稔君 それでいいんですよ。さっきも言いましたように、二〇五〇年に向けてどんどんどんどん進めていただきたいんですが、この十年が大変大切だと総理も言っているわけだから、何かの手を打たないといけないんじゃないかと、私はそう思うわけですよ。
で、一番簡単な方法は、石炭の発電やめればいいんですよね。極端に減らしていけばいいわけですよ。思いません、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/58
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059・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 石炭は、これ、さっきの数字は二〇三〇年までですけど、三〇年までに三二から一九に減らしていくということで、三〇年までに非効率的なやつをフェードアウトさせるとか、そういうことでやっていくんだと思います。
でも、ヨーロッパと全く状況は私はやっぱり違うと思うんです。経産省的な発言になるかもしれませんけど、やっぱり電力の安定供給という点から、今はちょっとまだ石炭外せないんじゃないのかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/59
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060・柳田稔
○柳田稔君 そうなんですよ。EUに行くと、隣の国から電力買えるんですよね、送電線もありますから。ただ、日本は島国で、ほかの国から電力を持ってくるなんということはできないわけですよ。
だけど、何回も言いますとおり、この十年が本当に大切だったらば、何かしないといけないんじゃないですか。私は、簡単に言うと、環境委員会ですからね、ここは、地球温暖化阻止、気候変動にどう対応するかが主なテーマですから、そうして考えると、石炭をなるべく速やかに減らしていった方がいいんじゃないかと、この考えについてはどう思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/60
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061・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 石炭については、もうとにかく我々は、再生可能エネルギーを最大限主力電源として導入していくと、その中で比率を落としていくと。それから、この非効率的なやつは三〇年までにもうとにかく、今日なんかの新聞でも出ていましたね、古いやつ四基なくしていくというのが出ていました。
その中でも、さらにアンモニア混焼とかで進めていくと。アンモニア混焼は、私も正直相当目を光らせているつもりです。去年の六月から始まって、最初はこのバーナーを整えると。割と着実に進んでいるという認識は私も持っていますので、そこはもちろんもっともっと早くしてほしいなというところはありますけれども、そういう格好で石炭の火力発電から出てくるCO2を抑えていく、そういう取組だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/61
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062・柳田稔
○柳田稔君 五〇年に向かってやることはいいんですよ。誰も否定するわけじゃないんです。ここ十年ですよ、何かしなきゃならないというのは。
だから、新たな方針を打ち出すんだったらば、何回も言いますけど、私は、石炭を速やかにどんどん減らしていくというのが一番いい方法かなと実は思っているんです。それに対するお答えはちょっとぼやかされましたけれども、私は、それが一番いいのかなと実は思っているんです。
でも、一方では、減らすはいいけど、電力の安定供給という責任が国にはあるわけですよね。これをどう行っていくかという一番大きな問題があると、それは認識しているわけですよ。
そこで、その代替になるのは、今の技術でいうとですよ、新たな技術をつくって実用化するには相当時間掛かりますからね、この十年でやるなんというのは到底無理ですから。そうすると、今ある技術、実用化されているものの中でどれが、何がこの石炭の代替になるのかと考えたら、私は、原発かな、原子力発電かなと思うんですよ。原子力発電というのは二酸化炭素を出しませんので、気候変動にはいい発電方法だと私は思うんです。
どう思います、私の考えについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/62
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063・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 原子力については、その安全性を最優先させて、そしてまた、原子力規制委員会が、その審査基準に合致しているかどうか、オーケーかどうかということを判断して進めていくと、それが環境省の立場ですね。
総理は、もう新聞でお読みになっておられるがごとく、もう再生可能エネルギーと原発ということを言及されています。今回のバイデンさんとの間でも、SMRについて進めていこうかということ、新聞情報によればそういうことも言われています。
だから、環境省的には、原発は安全を最優先、そして原子力規制委員会でオーケーとなったものを進めていくと、そういう立場です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/63
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064・柳田稔
○柳田稔君 山口大臣が頑張れる時期が来ましたね、環境大臣として。今こそ気候変動に対してこの十年間やるべきだと言って声を上げる時期が来たんじゃないかと私は思うんです。
もう時間も余りありませんから、じゃ、規制委員会の方にちょっとお願いさせてもらいたいと思うんですが。
今、動いているの十基ですよね。それも全部西日本なんですよ。臆測するに、いろいろ考えられますが、まあそういうことかなと。一番難しいのは国民が納得してくれるかどうかというところかなと個人的には思っているんですが、それにつけても、規制委員会の審査、何とかならないものかなと。
今お話が、ずっと質疑したとおりに、もう燃料買うために莫大な金を日本は出しているわけですよね、海外に。で、何かあるとエネルギー危機が起きてくると。日米の首脳会談でも台湾の話が出ていました。
そうすると、国産ですぐ使えるようになるのはもう原子力発電しかないのかと、エネルギーの安全保障の上からもね。そうしたときに、規制を緩めろと私は一切言いませんよ、そんなことは。ただし、適合性審査を加速していただきたい。どうにかなりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/64
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065・市村知也
○政府参考人(市村知也君) お答え申し上げます。
規制委員会は、原子炉等規制法に基づきまして、事業者から受けた申請について科学的、技術的見地から厳正に審査を進めているところでございます。その際に、先生御指摘のように、審査を効率的に進めることというのは私どもとしても大変重要なことだというふうに考えて進めております。
そのために様々な工夫をしておりまして、例えば、規制庁からの指摘が申請者に正確に受け取られるようにしっかりしたコミュニケーションを図るということで、そういう確認の場を設けて、必要に応じてそのことを文書に残しておくということであるとか、あるいは、審査会合に申請者が希望するメーカーあるいは研究機関といった専門家の方々を出席をする、あるいは、同型炉の審査が並行して進んでいる場合には、他の事業者ももう審査に同席をしていただいて審査を進めるということを認めたりをしています。
また、申請者が適合性を示すために具体的な調査、分析、解析というものを実施します。そういった作業に入る前に、個々の作業方針が適切かどうかということを後々その手戻りにならないようにしっかりあらかじめ確認をしていくというようなことを、審査会合を機動的に開催をして確認をするというような取組を行っております。
いずれにしても、御指摘のその効率化というのは双方、規制側と申請者側双方の努力が必要でございますので、引き続き安全確保を最優先に、効率化をしっかり視点に置いて作業を進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/65
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066・柳田稔
○柳田稔君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/66
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067・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。
私も、まず初めに、先日総理が表明をいたしました脱炭素化社会の実現に向けての今後十年間での二十兆円の支出、これについてお伺いをしたいと思います。
このように総理が直接表明をされる、そして具体的に行動をされていくというのは、そういったメッセージにもなりますし、現実にお金が動いていくわけですから、非常に脱炭素化に向けてはいい動きだなというふうには思うんですが、ただ一方で、これ見ていまして、どういった形で進めていくのかというのが少しよく見えてこない部分がありました。
今回、法案の審議は脱炭素化支援機構、これの審議をしているわけで、投資を積極的にやっていこうという一つのこれスキームですね。今回の二十兆円は政府からの補助金事業というふうな書き方もされていたりしましたので、そうすると、補助もどんどんどんどん出していく、投資で民間資金も呼び込んでいく、これを、大臣、どうなんですかね、ミックスさせながら全体として盛り上げていこうという、そういった狙いということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/67
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068・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 先般、五月十九日に開催されたクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会、一月十八日にやって、それで、萩生田経産大臣と私にいろいろ課題を言われました。それで、私の方は、地域脱炭素、それから国民一人一人のライフスタイルの変容、それからカーボンプライシングの方向性、そういうことを言われました。
その中で、今回のこの、仮称ですけど、仮称、GX経済移行債、私は脱炭素債と言った方がいいんじゃないかなと思っていますけど、それについてはこれから、具体的なことというのはここから詰めることになっています。
そういう意味で、総理から、今後十年で百五十兆円超のGX投資を実現するため、成長志向型カーボンプライシング構想を具体化する中で、裏付けとなる将来の財源を確保しながら二十兆円とも言われている必要な政府資金をGX経済移行債、仮称、で先行して調達し、速やかに投資支援に回していくことと一体で検討する、そういう発言があったわけですね。
この懇談会において、私からは、地域脱炭素の実現という文脈で、二〇五〇年カーボンニュートラル実現には少なくとも四百兆円の投資が必要だとの見通しもあるということまで言わせていただいて、それで、今後十年で官民協調による百五十兆円というこの脱炭素投資目標、もうこれは何としても実現しなきゃいけないと、そういう言い方させてもらいました。
資金需要の立ち上がりの早い既存の最先端技術、ベスト・アベイラブル・テクノロジーですね、の社会実装に向けた巨額の投資も不可欠であること、そして二〇三〇年までの包括的ロードマップへの対応について、カーボンプライシング、規制、資金支援策やその巨額の財源措置などが課題で、この点について政府として明確に考えを示す必要があること、こういうふうに提言したところ、総理からばちんとこういう、これはGX経済移行債ということが出てきたんです。
この名称は仮称ということであって今後具体的に検討されるということになりますけれども、この二十兆円のGX経済移行債の具体化も含めたロードマップについては、総理発言踏まえて、この夏に官邸に新たにGX実行会議というものを設置、が設置されます。その中でこの実行に向けた具体化の議論がなされる予定です。
環境省としても、その在り方についてきっちり議論に関わって、させていただきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/68
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069・清水貴之
○清水貴之君 GX債じゃなくて脱炭素債、その名称、僕もそちらの方がいいんじゃないかなと今お聞きしていて感じました。DXってデジタルトランスフォーメーション、まあ一般的になってきていますが、まだちょっとGXなじみがなくて、債券とか投資とかになるとEXとかいうのもありますから、なかなかちょっとややこしいなという感じもしないでもないですけれども、でも、この今回のその支出の支援対象と想定するのは、これまでも出ました水素、アンモニアの供給網の整備ですとか、電気自動車や再生可能エネルギーの普及拡大に必要な蓄電池、あとはCCS事業などということなんですね。
こちらも先ほど質問出ましたが、気候ネットワークの桃井参考人、先日の参考人質疑では、水素、アンモニア混焼による発電事業に否定的な見解が出されました。このアンモニアの混焼なんですけれども、アンモニアを輸入し、混焼する見込みですので、現状ではアンモニアの製造過程で大量のCO2を排出するため、CO2の削減、排出削減効果は僅かであると、に加えて発電コストが高いということなんです。
こういった否定的な見解もある中でこの分野にこれから多額の投資をしていこうということなんですが、その必要性や今後の見通しについて教えてもらえますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/69
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070・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
政府といたしましては、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けまして、現時点で実用段階にある脱炭素技術に限らず、水素、アンモニア発電といったイノベーションを必要とする新たな選択肢を追求していくということとしておりまして、水素、アンモニアの活用は重要な技術の一つと認識しております。また、IPCCの第六次報告書におきましても、カーボンニュートラルに向けた緩和のための対策技術として評価をされているところでございます。
アンモニア、水素の製造段階におけるCO2の排出でございますけれども、製造段階においてCO2を排出しない再エネ由来のアンモニア、水素の製造方法あるいはそのコスト低減のための技術開発が進められてございます。
環境省といたしましても、地域資源を活用した再エネ由来の水素の製造、輸送を行うといった脱炭素水素サプライチェーンを構築する実証事業をこれまで全国十地域で実施するなどの取組を行っており、既存のインフラを活用することで低コスト化にも取り組んでおります。
引き続き、関係省庁と連携しながら、環境省といたしましてもCO2削減に向けたアンモニア、水素の活用に貢献してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/70
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071・清水貴之
○清水貴之君 同じように、桃井参考人からCCSについても否定的な見解が示されました。
現状、苫小牧で実証実験が行われているということなんですけれども、何百年にもわたって地中にとどめ置ける保証がない、漏えいリスクもあると、日本に貯留する適地がないですとか、高コストで再エネのような規模拡大による費用縮小がなかなか見込めないですとか、回収、分離、貯留、運搬、様々やらなければいけませんので、ここでもそのいろいろ工程でエネルギーが掛かってくる、発生してしまうというのが否定的な見解の理由だったんですけれども、これについてはどのようにお答えされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/71
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072・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
先ほどの水素、アンモニアと同様でございますけれども、再エネ、省エネを最大限進めてもなお排出が避けられないCO2がございまして、これを回収して貯留するCCS、さらにそのリサイクルするCCUS、重要な技術の一つであると考えております。また、同じくIPCCの報告書におきましても、カーボンニュートラルに向けた緩和のための対策として評価がされております。
先ほどございましたが、これまで環境省でも、経産省が苫小牧においてその陸域から海底下地層への累計圧入三十万トンを達成して、経産省でございますが、しておりますけれども、環境省では、福岡県の大牟田市のバイオマス発電所においてCO2の分離回収実証を行って、一日当たりこれ六百トンでございますが、回収できるということを確認しております。また、分離回収から輸送、貯留までの一貫した技術確立のための実証事業、それから海底下貯留後の適切なモニタリング等の総合的な検討も進めてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/72
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073・清水貴之
○清水貴之君 こういった今後の可能性を今探っていくというのは私必要なことではないかなというふうに思っています。今もう何でもです、とにかくもうやれることをどんどんどんどんやっていこうと、可能性を探っていこう、技術開発を進めていこうということについては賛成です。
ただ一方で、先ほど大臣も、アンモニア混焼、目を光らせているという発言がありましたけれども、限られた資源を振り分けていくわけなので、まあ今やることはいいんですが、どこかで、もしかしたら、これは余り可能性が高くないですとかちょっと難しいなということも出てくるかもしれません。そうすると、その資源というのは、もしそこ撤退したらほかのことにも回せるわけですね。こういう事業って何か一回やり出すとなかなか引きにくいといいますか、引き際が難しいという、これ企業の事業でも何でもそうだと思うんですけれども、でも、その辺というのは見ながら、いろいろ有効的な活用、そして実効性の高いところにどんどんどんどん力を注いでいっていただきたいなというふうに思っております。
続いてなんですけれども、これは同じ参考人でいらっしゃった真庭市の太田市長からの話だったんですが、地元の自治体に対する新規参入業者の情報、こういったものをもっと伝えてもらえないかという話です。
真庭市で今起きているのが、真庭市外の合同会社が市外の会社と連携して真庭市内にバイオマス発電所を造ろうとしていると。地元住民会からも市、議会に対して反対の要望書が出され、議会が採択をした、地元業界からもその地元のバイオマス発電事業に影響が出るということで反対の要望書が提出されたと。市としてはこれを重く受け止め必要な対応を実施しているんですが、FITの認定申請上、地元市町村との調整、これ要件に入っていないということで、対応できることが限られているということなんですね。これから考えていく上で、FITというのは経産省に出されるわけですから、その申請の情報というのをもっと地元自治体と共有できないかという話と。
あとはやはり、今、その地産地消、エネルギーの地産地消というのが言われている中でやっぱり全く実績のない会社が営利目的だけで入ってくると、で、経営実態とか能力も分からない。何か今、はやっているなと、こういった脱炭素関係というのがはやっているな、補助金も出るな、投資も来るな、お金出てくるなというので、これから新規参入しようとか何か狙っているような、そういった人たちもこれ間違いなくいると思うんですね。これが本当に頑張ってやってくれて地元自治体のためになればいいんですけれども、じゃ、そうじゃないと、営利目的だとしたら、もうからないと思ったら撤収していくという可能性も大きいわけですから、こういったのはやっぱり地元自治体としっかり合意を取りながら進めていっていただきたいと。
太陽光発電では、先日も質問させていただきましたが、環境大臣が埼玉県の案件で、大規模太陽光発電ではストップを掛けるという話もありましたけど、やっぱりなかなか小規模なもの、これどうしていくか。で、実際に太陽光などは景観を乱すとか危ないとかいうことで様々な、全国的にもいろんなところで反対運動が起きたりとかトラブルに発展してしまっていることもありますよね。
地球にいいこととみんな思って進めようとしている中で、なかなかこういうやっぱり反対運動が起きてうまく進まないというのは、これは余りよろしくないことかなというふうに思っておりますので、こういった地元合意に向けて、これも地元自治体だけでは限界があるということですので、ここも国のサポートをしっかりしながら進めていっていただきたいというふうに考えておりますが、これについていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/73
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074・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
地方自治体に対する再生可能エネルギーの事業に関する情報の共有について全般的なお尋ねかと思っております。
地域に再エネ事業が設置されるというときに様々な入口があるかと思っております。例えば、FIT制度を使う場合、市町村が関与する場合、またアセス制度とか条例に引っかかる場合、様々なケースがございますが、それぞれのルートにおいて可能な限り地方自治体に情報が共有できるようにその関係省庁と連携して努めているところでございますし、また、そうした相談について環境省で、地方環境事務所に体制を今回強化しておりますので、そうした相談にも前向きに丁寧にその対応をしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/74
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075・清水貴之
○清水貴之君 絶対に増えてくると思いますので、対応をどうぞよろしくお願いします。
そして、同じ太田市長からなんですが、FITというのは期間限定ですから、それが終わった後の燃料代、真庭市はバイオマスですのでバイオマス発電に関する燃料代の話なんですけれども、今FITがありますので一般的な価格より高い値段で売電ができているけれども、FIT終了後の価格は三分の一に下がってしまうと。とすると、年間売上高の六割をこれ燃料代が占めているということですから、もう三分の一に下がったら、それだけでもう単純に見ても完全に燃料代の方が上回ってしまうということです。
もちろん、各発電事業者とかその関係者の企業努力といいますか営業努力というのも、原料代を下げるとか、こういったことも必要になるかとは思いますが、なかなかこれ、やっぱりそれだけでは補い切れない部分が出てくると思います。これは、もちろんバイオマスだけではなくて、もうFITに関わる全ての事業に関してだというふうには思うんですけれども、これについては現時点ではどのように考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/75
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076・茂木正
○政府参考人(茂木正君) お答え申し上げます。
再エネ特措法に基づくFIT制度でございますけれども、これ本来、設備投資費用や燃料費の通常要する費用と、それに適正な利潤を加えて調達価格を決めておりまして、これは、再エネで発電した電気を一定期間、この場合は二十年という期間で電力会社が買い取るということで、事業者の投資回収の予見性を高めると同時に、確実に投資回収できる仕組みになっております。
バイオマス発電設備や適正な維持管理によって、二十年間の買取り期間終了後もほかの電源と競争的な電源として活用が期待されます。当然、二十年の間に償却されまして、設備投資コストについてはもう既に回収しております。それから、高い値段で買っておりますので、事業としては既に採算が成り立っているところで二十年の期間が終わるわけです。
一方で、バイオマス発電の場合には、今御指摘ございましたとおり、国内で限りあるバイオマス燃料の安定調達と持続可能性の確保というのが必要になってまいりまして、燃料費の低減をどうやって進めるかというのが一つのポイントになってきます。
経産省では、これ林野庁とも連携しまして、例えば建材用途と競合しないような木質バイオマス燃料の植林とか育林とか伐採、搬出方法の実証といったエネルギーの森実証事業というのをやっておりまして、こういうことを通じて、いかにコストを下げて安定的に供給していくのかということに取り組んでいます。
こうして燃料費の低減を図ることで、引き続き、再エネ特措法に基づく調達期間を終わった後もバイオマス発電設備が活用される環境をつくっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/76
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077・清水貴之
○清水貴之君 ということは、あれなんですかね、FIT制度、これ二十年でもう最初から制度設計していますから、その後何か補助的なものというのは今のところは考えないということなんですかね。
というのも、二十年で、おっしゃったとおり、もう最初から制度設計していて、十分もう事業として成り立っているとなったら、じゃ、もうやめようかと、もういいかという人たちも出てくると、これ思うんですね。となりますと、せっかく造った施設が、脱炭素に貢献する施設なわけですよね、これが生かされないことになる可能性もこれ出てくるかなと思うんですけれども、ここについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/77
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078・茂木正
○政府参考人(茂木正君) FIT制度の本来の目的は、やはりその初期に高いコストの電源を安定的に動かしていただいて、二十年間でコストを回収して、その後、自立的に市場で動いていただくというのが目的になります。これはバイオマスだけではなくて、太陽光、風力、皆同じでございまして、やはり二十年間の間にきちんと採算性が取れた電源を、その後はマーケットで安定的に運用していただくということでありますので、FIT法そのものでそうした支援をしていくということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/78
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079・清水貴之
○清水貴之君 分かりました。
あと、これも真庭市の太田市長、取り組んでいらっしゃるのが生ごみの資源化です。太田市長、真庭市では二〇二四年に稼働予定ということで、家庭の生ごみをメタン発酵させ、液体肥料として再生させると、資源の地域内循環を目指すということで、これ、ダブルでいいことがありまして、ごみの処理費というのが減る、これで年に約二億円削減できると、そして、ごみを燃やす量が減りますから、これも温室効果ガス、年二千百十三トン削減できるということなんですね。
この生ごみの再資源化ということなんですけど、ネットで調べますと、いろんな自治体、各自治体で取り組んでいらっしゃるところも多くて、そういった事例が出てくるんですけれども、これ、環境省としてはどのようなサポートをしているんでしょうか。事業としてやるのは各自治体だと思うんですけれども、全体として、これがどう効果的だとか、実証実験をするとか、そういった、で、またいい例を横展開していく、この辺りはやっぱり国が率先して是非やっていただきたいなと思いますが、これについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/79
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080・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
生ごみの資源化を着実に推進するには、地域の実情等に応じた最適な方法を選択し、導入することが重要でございます。環境省では、地域の生ごみ等のバイオガス化施設の導入に当たっての留意点をマニュアルとして取りまとめまして、自治体のメタンガス化施設導入を支援しておるほか、複数の導入事例についても紹介しておるところです。
また、自治体に対して、循環型社会形成推進交付金を通じまして施設の整備を支援するとともに、高効率で熱利用を行う施設には交付率をかさ上げして、手厚く支援をしております。さらに、環境省の委託事業でございますが、生ごみからできたバイオガス液肥を地域の資源として有効活用するような実証事業も行っております。
こうした支援策を活用する、それから実証事業の成果を横展開する、そういったことをしながら生ごみの資源化を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/80
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081・清水貴之
○清水貴之君 時間ですので質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/81
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082・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/82
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083・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) ただいまから環境委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/83
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084・山下芳生
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
前回の質疑で大臣は、グラスゴー気候合意の一・五度目標について、日本も実行していかないといけないと答弁されました。また、この十年の取組が決定的に重要との合意についても、カーボンバジェットという科学的根拠があり、それに基づいて危機感を持っていると答弁されました。いずれも重要な答弁だと思います。
そこで聞きますが、資料一は、先週の当委員会での参考人質疑で気候ネットの桃井参考人が配付され説明されたもので、このグラフは、同じ二〇五〇年ネットゼロでも、どのような排出経路、排出曲線をたどるかで累積排出量は大きく変わるということを意味するものであります。
大臣、この認識は共有できますよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/84
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085・山口壯
○国務大臣(山口壯君) この図の示すとおり、二〇五〇年のゴールがゼロであっても、どういう道をたどるかによって取りあえず変数が変わるというのはよく分かります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/85
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086・山下芳生
○山下芳生君 資料二は、IPCCの一・五度特別報告書シナリオデータベースに基づいて作成された、一・五度に抑えるための排出経路、排出曲線を示したグラフであります。
環境省に伺いますが、IPCCの一・五度に抑えるこの排出経路、排出曲線が、こうしてスキーのジャンプ台のように、初期に急降下し、やがて緩やかに降下する線を描くのはどうしてなのか、御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/86
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087・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
まず、このIPCCに掲載されている排出経路でございますけれども、これは、様々な仮定に基づく数百にも及ぶシナリオに基づくシミュレーション分析の結果、これを、その分析取りまとめまして、その傾向を述べたものというものでございます。
それぞれ、様々なシミュレーション、集合体でございますので、その個々について一律に理由を説明するというのはなかなか難しいところではございますが、一般論として申し上げると、このようなシミュレーションモデルでは、様々な仮定を置いた上で、対策コストが安くて削減効果が大きいとされる対策から順に採用される仕組みという、そういうことになってございます。世界的には、コストが安くてさらに削減効果が大きい対策というのがまだ十分残っているということがございますので、初めの方にこのような対策が採用され、大きな削減が実現すると。しかし、次第に、対策効果が高い、対策コストが高い対策や削減効果が小さいものしか残らなくなって、だんだんとその傾きが緩やかになるということではないかと考えております。
なお、コストとかあるいはその社会実装の実現可能性というのはまた国別に異なってきますので、これは世界全体のカーブでございますが、国別にはまた違う結果になり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/87
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088・山下芳生
○山下芳生君 ありがとうございます。
私なりに、四点考えることがあるんじゃないかと。
一点目は、やはり初期に急な排出削減をするほど累積排出量を抑えることができ、一・五度に抑えるための残余のカーボンバジェットを長もちさせることができるということになります。
それから二つ目に、逆に緩やかな削減だと、残余のカーボンバジェットを早く使い切ってしまうと。これ、一旦一・五度を超えるオーバーシュートした分を回収しようとしますと、その分非常に巨大なコストが掛かってしまうことになると。
三点目に、初期に急な排出削減を行うことは不可能ではないと先ほど御答弁もありました。例えば最大の排出源である石炭火力発電所、世界にも日本にもたくさん残っておりますから、この電力という、発電というのは代替手段、再エネがあるわけで、そのポテンシャルも技術もあるわけですから、それは可能だと。
そして最後、四つ目、おっしゃったように、航空あるいは船舶、鉄鋼分野での化石燃料の使用を代替する、その実用化のための技術の確立にはまだ時間が掛かるということでこういう曲線になるであろうということだと思われます。
大体、御答弁も、私もそう思って聞きました。
資料三を御覧になっていただきたいんですけれども、これは、国際的な環境問題のシンクタンク、クライメート・アクション・トラッカー、CATがIPCCのシナリオデータベースに基づいて分析し、日本における一・五度に整合する排出経路を示したグラフです。御覧のように、二〇三〇年の排出削減、NDCは、二〇一三年比で六二%削減を目指すべきだとされております。
環境省、CATが日本に二〇三〇年六二%削減目標を提示したのはどのような根拠からでしょうか、御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/88
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089・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
このクライメート・アクション・トラッカーの日本の一・五度ベンチマークという報告書でございますけれども、我々もこの報告書を超える内容についてはちょっと承知しておらないところございますので、報告書に基づいて御質問にお答えいたしますと、まず、IPCCの一・五度シナリオデータベースに報告されている総合評価モデルのシナリオに基づいて、一・五度と整合する国レベルの排出曲線というのの分析を実施しております。
日本の一・五度目標と整合する排出経路でございますが、これは、OECD地域の排出経路を各OECDの加盟国に配分しておるわけでございますが、その配分の仕方は必ずしも明確でございませんが、人口と豊かさと技術、この三つの掛け算で表した方程式、こういったある方法を用いまして、これをOECD諸国の中で加盟国に分配したということのようでございます。そういった結果に基づいてこのような結果が出ているというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/89
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090・山下芳生
○山下芳生君 そうだと思います。基はIPCCの地域別のシナリオ、日本の属するOECD、あるいはEUはこれほど、このぐらい減らしてほしいと。そして、その中の国別を、人口だとか豊かさあるいは技術をベースに国別に分配したらこういうことになるということでありまして、その結果、二〇三〇年の目標は六二%必要、目指すべきだということになっているわけですね。逆に言いますと、日本が二〇三〇年六二%削減を目指さなければ世界全体の一・五度目標の達成は困難になるというシナリオの説明だと思います。
そこで、その次の資料四見ていただいたら、このCATは、日本だけではなくて、G7などの他の先進国の二〇三〇年目標についても評価をしております。
これによりますと、各国の二〇三〇年削減目標とCATから提示された目標の差が、イギリスはもうゼロと、よくやっていると、ドイツは四と、頑張っていると。これに対して日本は一〇ないし一六%の差分が残っていると。書いてあるように、日本のNDCは、期待される目標値と差分が先進国の中で一番大きい。つまり、一・五度目標と先進国の中で最も整合しない目標を掲げているのが日本ということになるわけであります。
そこで、山口大臣に伺いますが、大臣は、昨年十二月十五日の衆議院予算委員会で我が党の宮本徹議員の質問に、二〇三〇年度の四六%削減目標の数値によって一・五度目標はしっかり実現できると我々は踏んでいると答弁されましたが、この発言の根拠を私にも理解できるように御説明いただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/90
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091・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 四六%あるいは五〇%の高みを目指していくという中で、現実にずっとこの線を延ばしていけばこのゼロに近づいていくということで、私は、今の数字でも十分行くというふうに、まずしっかりそれを実現していくことが一番先に求められているんだろうなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/91
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092・山下芳生
○山下芳生君 いや、私が聞いているのは、二〇五〇年ゼロに向かっていくのではなくて、二〇三〇年、あるいは一・五度に整合する曲線はこうだというふうに申し上げました。で、ある一つのモデルとしては、六二%の削減が二〇三〇年でされなければ世界全体の一・五度達成できないですよと、こう言っているわけですね。これと、大臣は、一・五度をしっかり実現できると我々は踏んでいるとおっしゃった。五〇年ゼロじゃないんですよ。一・五度の目標はしっかりできると答弁された、その根拠を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/92
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093・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 二〇三〇年、五〇年でこの一・五度が、とにかく二〇五〇年もう一・五度。だから、そういう意味で、別に二〇三〇年までに一・五度じゃないんじゃないんでしょうか。
要するに、四六あるいは五〇を目指す中で、いろんな道はあると思います。国別に、別にIPCCの議論もカーボンバジェットも国別に割り当ててはいません。日本的には、日本のみでなく、いわゆるJCMでもう各国のゼロエミッションも手伝っていきます。
だから、国ごとにやるというのは、正直言って、国ごとでも頑張るけど、日本はもうさらに、日本、自分の国だけではなくてほかの国の面倒まで見ようとしている中ですから、もうその国だけを見るというのはちょっと私的にはどうなのかなというふうに違和感もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/93
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094・山下芳生
○山下芳生君 いやいや、二〇五〇年にどういう経路をたどるかで累積排出量は大きく変わってくるというのは冒頭に大臣もお認めになったんですね。そういう考え方でいくと、今の二〇三〇年四六%削減の経路では一・五度と乖離がありますよということを国際シンクタンクから指摘されているのに、いや、大丈夫だと言うだけでは、私は国際的な説得力を持たないんじゃないかと、こう思っているんですが、もう一回だけ御説明があればどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/94
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095・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 国際機関もいろんな見方するでしょうし、日本は実績値で見ても、去年、それから今年、去年というか、去年の数値見れば、もうきちんとその実行経路の中に収まっていますので。まあ確かに去年はコロナもいろいろあったんでしょう。だから、そういう意味では、この努力を更に続けていくことによって、そこは私は可能だというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/95
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096・山下芳生
○山下芳生君 やはり私の問いには答えられておりません。一・五度と整合しないんじゃないかということについて、こういうことで整合しますという根拠を持った御説明がないんですね。
それは無理もないと思います。だって、二〇三〇年になっても最大の排出源である石炭火力を一九%も残すということに計画がなっているからです。日本全体のCO2排出量の約四割を電力、発電部門が占め、その六割を石炭火力発電所が占めているわけです。それを二割も残して、また二割まで下げられるかどうかも分からない。そういう中で、一・五度と整合しないという指摘に、いや、大丈夫だということがなかなか言えないということだと思わざるを得ません。これを、石炭火力を再生可能エネルギーに置き換えれば全部ゼロになるわけですから、もう大きく目標を引き上げることができる、そうすべきだと、そのポテンシャルも技術もあると改めて述べておきたいと思います。
そこで、次に資料五を御覧になっていただきたい。
これは、ドイツの憲法裁判所が二〇二一年、カーボンバジェットを踏まえて削減目標を強化するように判決を出しました。これを受けてドイツ政府は、二〇三〇年の目標を五五%から六五%にすぐさま引き上げて、二〇五〇年カーボンゼロを二〇四五年に前倒しいたしました。同じように、オランダの最高裁判所やアイルランドの最高裁判所、フランスの国務院、行政裁判所でも計画を引き上げるよう判決が出ております。
私は、こうした裁判所が判決を出し国の計画に関与しているのは、温暖化による危険な気候変動というのが国民の生命、健康への切迫した脅威であり、しかも将来生じることが確実であり、世代間の公平の問題も含むものであると、こうした危険から国民を守るのは国の責務であり、政治の課題であるという考えが根本にあると思います。そして、これらは人権問題だという思想が各国の裁判所の判決の根底にはあると思います。
もう一度、この資料の下の方に、ドイツの憲法裁判所の決定が紹介されています。将来の自由の制約の進路は現在の許容排出量で定められる。将来の自由に対する影響については、進路を変えることができる現時点でバランスの取れたものにしなければならない。
非常に大事な思想だと私は思いますけれども、大臣、こうした人権の問題、将来世代に対する責任の問題、こういう考え方、いかが認識されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/96
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097・山口壯
○国務大臣(山口壯君) ドイツの仕組みはいろいろあるんでしょうから、憲法裁判所のその決定が云々というのは、ちょっと私は別にそこまで言及しない方がいいと思うんですけれども。
要するに、日本経済が成り立たなければ人権もなかなか危ういんじゃないんでしょうか。そういう意味で、この石炭を今どうするかというのは、電力の安定的な供給ということも含めて、日本経済がどういうふうに成り立っていくか、どういうふうに成長していくかということとも両建てで考えざるを得ないと思うんです。その中で一・五度をどういうふうに実行して、実現していくかということで、四六あるいは場合によってはもう更に高いところの五〇、そういうことで去年の十月に閣議決定したところです。
したがって、そういう中で、さらにウクライナが、ウクライナの侵略起こっている。だから、やっぱり再生可能エネルギー、自前で国産のシステムをつくっていく、それを我々、加速化していきます。道具立ても今回の法案でもって、この地域脱炭素移行、再生可能エネルギー、再生可能エネ、再生エネルギー推進交付金二百億、それから脱炭素化支援機構二百、こういう道具立てプラス、今回は二十兆円のこの経済移行債ということで、いろんな道具立てでもってその再生可能エネルギーのこの促進というのをやっていこうとしています。
だけど、まず、まずこの四六、五〇をまず実現しないことにはその上もないと思うんです。ですから、私は、この四六、五〇、まず実現していく、で、いろんな中でそれを加速化していく。もうそこが一番今実態として、この経済をどうやって守りながら、その人権の話についてもその中できちっとカバーしていくと、そんなところだと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/97
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098・山下芳生
○山下芳生君 残念です。この十年が決定的に重要だと何度も言いながら、それと反するような事態になっていることを指摘されているのに、経済だ、まず経済だと言うので、環境大臣がそれでいいのかなと率直に感じざるを得ません。
資料六に、石炭火力の温存が前提となった政策によって石炭火力が残るだけでなく、それに代わるはずの再生可能エネルギーの普及も阻害されていると。これも先日の参考人質疑で桃井参考人が、様々な問題があると、ここに列挙しているようなことを挙げられました。
それから、資料七には、日本の再生可能エネルギーの予算はエネルギー関係予算の一割ほどしかないと、本気出してないということも示しております。
資料一つ飛ばして、資料九を是非御覧いただきたい。朝日新聞の連載ですけど、お読みになった方も多いと思いますが、日本はかつて再生可能エネルギー分野で世界のトップを走っておりました。風力発電用の風車は、かつて輸出しておりましたけれども、国内市場を育てることがされないで、今では自国で使う風車も外国製です。
資料十、太陽光発電の技術も世界一でありました、かつては。しかし、他国が再エネの大規模導入を政策的に進めてきたのに、日本は再エネを軽視し、補助金を打ち切り、今やほとんどのメーカーが撤退をいたしました。
この特集は、こうして再エネ敗戦といった状況になったと厳しく指摘をしております。大臣、こういうこれまでの教訓がありながら、いまだに石炭火力にしがみついて再エネを軽視し、その結果、私は成長も脱炭素も滞っていると思います。
たしか先ほど経済とおっしゃったけど、脱炭素に踏み切ってこういう再エネを成長させてこそ経済も成長できると。いつまでこういう旧来の石炭火力にしがみつくことをやっているのか。この再エネ敗戦の教訓に学んで、石炭火力から再エネ大量導入に転換する決断を大臣が本来は先頭に立ってやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/98
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099・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 再生可能エネルギーを最大限導入する、そのことに変わりはありません。
この風力についても、確かにこれ、ここから物すごく努力すべきですね。羽根を造っているのが中国だったら寂しいじゃないですか。今までは安かろう悪かろうで、少々安ければ中国にまで行っていたけど、結局今は権威主義的な資本主義との間で自由主義の資本主義が非常にまたある意味でうまくいかないという状況まで来てしまっていると。
そうしたら、我々は、この経済安全保障という観点からもサプライチェーンをどうやって整えていくのか。やっぱり自前で国産のエネルギー、風はそこにあるけど部品は外にあるなんていったら調子悪いですよね。ですから、そこはやっぱり国産のこの仕組み、要するに、この風力発電についても洋上風力も含めて自前でできるようにというところはとどめていかなきゃいかぬと思います。
この脱炭素化支援機構、今回の法案で議論いただいている脱炭素化支援機構の中で、やっぱりいろんな投資対象の分野のイメージ持っているわけですけど、やはりこの浮体式の洋上風力発電事業、その辺も物すごく大事なことだと思っています。それに二十兆の話が加わって、実際に相当大きなここのモード転換をしなきゃいかぬなというふうに思います。
確かに、ベスタスとかいろいろいい会社があるんでしょうけど、やっぱり日本で造れるように、もう一回その日本の製造、そのマニュファクチャラーを確保していくというところを、どうしても持っていきたいと思っています。実際にはやりたいなというところも幾つかあるんです。だけど、最初から洋上風力って手が出ないから、最初は陸上風力から始めて、そして洋上風力まで行こうかなと、そんなことも考えているようです。
それで、イギリスと違って、イギリスは浅瀬が何か多いそうだから着床式でもいくんでしょうけど、日本の場合、すぐすとんと海が深くなるからどうしても浮体式にならざるを得ない。そうすると、技術もたくさん要るけれども、でもそういうお金もたくさん要るけれども、そこからやっぱりもう一回ぐっと起き上がっていくと。要はその再生可能エネルギーをどんと使っていくというところまでもう蓄電池の発達も含めて持っていかなきゃいかぬという気持ちです。その中で、石炭火力の比重は相対的に下がっていくように持っていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/99
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100・山下芳生
○山下芳生君 時間参りましたので、その大臣の決意を本当のものにしていくためにも、石炭火力の廃止をしっかり期限を決める、そして再エネの予算をどんと増やすということが不可欠だということを申し上げて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/100
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101・寺田静
○寺田静君 寺田と申します。
毎回無所属の私にも質問の時間をいただいて、ありがとうございます。
再生可能エネルギーのことについて私も質問してまいりたいと思います。
現在、再生可能エネルギーの導入を急ぎ、早期にエネルギー自給率を高める目的で、経産省と国交省が、これまでの発電コストの安さだけではなくて、運転開始時期の早さへの評価を高める方向で洋上風力発電の事業者を公募で選ぶ際の評価基準を見直していると聞いております。早期実現のためには地元住民の理解が欠かせないものというふうに考えております。
私の地元秋田県でも、秋田県沖の三地域で公募をしていた洋上風力発電の事業者が決まり、発電所の建設が進んでいます。少子高齢化も最も進む秋田県でこれからの時代に大きな可能性を感じる、大臣も午前中の質疑の中で、脱炭素を制する者はこれからの時代を制するというようなお言葉も述べられていたかと思いますけれども、脱炭素に大きく資する再生可能エネルギーに係る事業が進むということで、長年懸命に県を始め多くの自治体が企業誘致のために努力をしてきたこともあって、当初地元には、雇用が生まれる、お金が落ちるとして、主に地域経済の発展、活性化の観点から地元自治体や事業を営む方々を中心に大きな期待感が生まれました。
また一方で、地方が疲弊する中、脱炭素というよりは経済効果としての側面が注目され強調されたことで、計画が具体的になるにつれて、一般の住民の方々からは、今までの慣れ親しんだ大自然の景観が変わることへの嫌悪感や風車の稼働による騒音、低周波音による健康被害への不安、また渡り鳥や海洋生物などへの影響の懸念が示されるようになってきています。
先日の参考人質疑の中で、環境エネルギー政策研究所の山下参考人より、風車へのバードストライクの懸念に関して、AIとカメラで鳥を識別をして、鳥が接近した際には風車の羽根の速度が遅くなるような技術も開発途上であること、また質疑後に更にお話をお伺いしましたところ、鳥を認識すると風車から警告音が出るような仕組みは既に海外でも実用化されているとのことでした。
このようなところの技術開発支援を是非強力に進めていただきたいと思いますし、また事業者にこうしたものの設置を促したり、さらには義務化することなどを通じて、地元の懸念の一つ一つを払拭していくことが地元の合意形成を丁寧に進めていく上で非常に重要であると考えております。また、こうしたことが、ひいては気候変動対策として要となる再生可能エネルギーを広めていくことにもつながるんだと思います。
環境への配慮を行う環境省の役割とはこのようなものではないかと思いますが、御所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/101
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102・和田篤也
○政府参考人(和田篤也君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、再生可能エネルギー、非常に重要な政策の一つである一方で、数年前からは悪い再エネ、良い再エネと、こういうようなキーワードも逆に出るようになってきまして、再エネだから何でもいいんだということではなくて、良い再エネをより一層きちっと入れていくということが注目されている状況下にあろうかと思います。
そのような中で、再生可能エネルギーの中でも特にいろいろとポテンシャルの点で制約のある日本の中にあって、導入ポテンシャルの点で注目されておりますのが、委員御指摘のように洋上風力なんかがあろうかと思います。
これについては、今ありましたようにバードストライクの、もちろんその低周波空気振動の問題などもありますけれども、バードストライクといったような、特に洋上に位置することなものですから、バードストライクの問題も非常に指摘されているところであります。したがって、一歩間違えると悪い再エネになってしまうということになるわけですが、そのような中にあって、今、参考人の情報提供ということで、AIシステム、それからさらには、いろいろな認識システムと連動させることによってバードストライクを軽減するといったことなんかが技術情報としても大分出回るようになってきたところでございます。
環境省としても、このような技術情報というものを踏まえて、もちろんちょっとAI掛ける何とかというような技術もありますけれども、環境省としては、さらに、レーダーシステムとの連動でより長距離を見渡せるようなということの観点も踏まえて対策を打つというようなことも考えられないかなといったようなことも考えているところです。
したがいまして、技術を磨くことによって良い再エネをより入れていく、それからさらには、良い再エネにすべく、より事業者が情報を扱いやすくするといったようなことで情報データベースシステムといったものも提供させていただいているところでございます。このような取組を通じて、風力発電のみならず再生可能エネルギー全体がいわゆる良い再生可能エネルギーとしてしっかり導入されていくように、環境省としてもアセスメント制度なども通じてしっかりと支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/102
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103・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
大臣にはこの洋上風力に関してのことを聞いていただくのは初めてなので丁寧にお話をさせていただきたいと思いますけれども、今まで三年弱の間、この促進地域の決定、また公募の開始といったところから、私もこの間、環境省の皆さんや、またアセスメントに関わる外部の方から御意見を聞いてまいりました。
そうしましたところ、環境アセスメントというのは性善説なんだと、まあ、そういったことはないだろうというような感じでやられているというようなお声ですとか、国交省の方のアセスメントは割としっかりしているけれども環境省の方はどうなのかということですとか、また、バードストライクに関しても、もし風車の周りに明らかに鳥の死骸が落ちているというようなことがあれば風車を止めて調査をすることになるだろうが、実際には、洋上では波もあるし流れているし、リアルタイムでそうしたことを確認できるかということを考えれば難しいのではないかというお話、また、渡ってくるその渡り鳥が減って、渡り鳥の死骸が確認できればよいけれども、渡り鳥が減っているというだけでは、渡ってくる元の方で何があるかも分からないし、その減っているというだけでは風車を止めるという決定をするのは難しいのではないかというお声、様々なお話を聞いてまいりました。こういうお話を聞いてまいりますと、それでは一体どうやって今の地域の方々の懸念の声に応えればいいのかというところを私も本当に疑念を強めるに至りました。
私ももちろん、大前提を申し上げれば、脱炭素を強力に進めていくために再エネを加速度的に増やすべきだというふうに思っております。また、同じ東北の人間として、福島の方々が原発事故であのような大きな被害を被ったことを考えれば、エネルギー源に関してはそれぞれに美点と欠点があって、全方位にいいエネルギー源というのはないのだから、ほかの何かを引き受けるということになっても、やはりあのような過酷事故のある原発を減らすためにはそれ以外の選択肢を広げていく必要があるだろうというふうに思っています。そのためにも、どうか地元のこの不安、懸念の一つ一つに丁寧に向き合って、解消のためにお力を貸していただきたいというふうに思っております。
次に、脱炭素ドミノを起こすためのアプローチについてお伺いをしたいと思います。
私の地元秋田県の北部にある鹿角市というところで、全国に先駆けて二〇三〇年カーボンニュートラル宣言をいたしました。四月末現在では全国六百九十六の自治体が二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言をして、既に人口のカバー率でいえばほぼ網羅をしているというふうに聞いておりますけれども、先般の脱炭素先行地域の公募に手を挙げた自治体は百二で、その七十九件の計画の中で採択をされたのが二十六件ということで、宣言地域、この六百九十六と採択をされた二十六との間にはかなり大きな開きがあります。
今後も年に二回募集をして、二〇二五年、あと三年で百地域ほどに増やしていくとのことですけれども、自治体としては人材もなくて計画も立てられない、何から手を着けたらいいのか分からないというところも多いのもまた事実であると思います。環境省さんとしてはどのように支援をされていくのか、お教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/103
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104・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
今般、脱炭素先行地域として二十六件の提案を選定いたしました。今後、御指摘のように、年二回程度募集し、評価委員会の評価を経て、百地域にとどまることなくできるだけ多くの地域、これを選定したいと考えております。
先行地域を含め、地域脱炭素の推進に当たっては、御指摘のとおり、必要な財政支援の充実、専門人材の不足への対応、脱炭素の各制度に関する情報提供などが必要と認識しており、大臣、副大臣、政務官が中心に行っている全国行脚でも御意見をいただいているところでございます。
このため、環境省としては、まず、自治体において、そもそも何をしたらいいんだろうかとか、職員と一緒に勉強したい、市民と一緒に勉強したい、こういった声にもお応えできるよう、計画作り支援であるとか情報、技術の支援、こうしたものを行うことで地方公共団体の取組を後押ししていきたいと考えております。
また、人材の育成といった面については、環境省において、地域での再エネ導入計画を立案するための実践的なセミナーであるとか先進地域の現地調査、意見交換を行うなど、地域脱炭素を担う中核人材の育成に取り組んでいるところでございます。このほか、内閣府等が進める企業の専門人材を地域に派遣する事業にも連携して取り組んでおり、内閣府の地方創生人材支援制度によるグリーン専門人材では、今年度、十三市町村に十四名を派遣しているところでございます。
環境省としては、これらの取組を通じて、今年度から地域脱炭素を推進する体制を強化した地方環境事務所を中心に、応募を検討している地方公共団体に対して相談に丁寧に対応するなど伴走支援を行い、地方公共団体の脱炭素の取組を積極的にサポートするとともに、人材確保、育成事業の強化充実を図るなど支援措置を一層強化し、脱炭素ドミノにつなげてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/104
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105・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
この今もお話にありました地域脱炭素創生室の定員は、東北については六名だということでした。先ほどの鹿角市ですけれども、二〇三〇年にカーボンゼロというふうに宣言をしています。市内には需要の約三倍の再エネ供給量が既にあるということで、ただ、この鹿角市も先行地域には応募をしていないんですね。いろいろもちろん細かなところはあるとは思うんですけれども、素朴に考えたときに、全国初の二〇三〇年ゼロを宣言している地域がどうして先行地域になっていないのかなと、何となくつじつまが合わないような気がするんです。
お話をちょっとお伺いをしたんですけれども、この間環境省さんからの働きかけなどがあったんでしょうかと聞いても、そうしたものはなくて、むしろ、宣言をすることを連絡をしたときに、本当に二〇三〇で間違いないですかということを確認をされたというような反応だったというふうに聞いております。地域の自主性をある程度重んじられているのかもしれないんですけれども、ただ、環境省さんとして、地域のそれぞれの現在地、可能性を細かく見て引っ張り上げていっていただきたいなと思っております。
次に、一問ちょっと、予定していたものが清水議員の方からちょっと質問がありましたので、生ごみについては一問飛ばさせていただいて、地域電力の窮状についてお伺いをしたいと思います。
電力の地産地消を実現すべくできてきたこの地域新電力の多くが今窮状に陥っています。電力の市場価格のリスクのほかにも、地域新電力が抱える課題はそれぞれに異なっているものと思います。
環境省さんとしてその一つ一つに丁寧に手を差し伸べていくことが私としては環境省の目指す方向であると思うんですが、この間いろいろお話を伺いましても、なかなか、経営の問題は経産省なんだということでお話が進まないなというふうに考えているんですが、本当にこの地域新電力の窮状に環境省さんとして手を差し伸べることはできないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/105
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106・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の達成に向けて、地域の脱炭素化を進める上で、地域新電力のような地方自治体が積極的に参画した官民連携の取組、これを進めることは有効だと考えております。
環境省としては、こうした官民連携の取組を後押しすべく、これまでも、事業スキームや事業性の検討など、地域における再エネ事業の実施運営体制の構築を支援してきたほか、地域の脱炭素人材を育成していく中で、持続可能な地域新電力の在り方についても研修など、これを行っているところでございます。
また、今年度予算に盛り込んだ二百億円の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金による地方公共団体への財政支援を通じて、地域の再エネ導入を促進し、エネルギーの地産地消を目指す地域新電力が調達する電源の多様化を結果として後押しすることができるものと考えております。
このほかにも、経済産業省において様々な取組も進められていると承知しており、今後とも関係省庁とも連携し、持続可能な地域新電力等の地域エネルギー会社を支援することで脱炭素とまちづくりを同時に実現するモデル、これをつくってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/106
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107・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
例えば、先ほど申し上げました鹿角市では、市内の水力発電所で発電をされた電力を購入したいと思っているんですけれども、発電所が県営であって、県としては県内にある水力発電所の電力をまとめて購入をする事業者を公募するので、地域の、地元の地域電力にはなかなか手が出せず、東北電力が結果として購入をしているという事実があります。県は県として、その県民の財産である県の発電所のコストを下げたり、高値で売り切るという使命を負っているというのは私は理解できると思うんです。
ただ一方で、これは地域のその電力を地産地消するですとか、地域のこの活性化も共に担っていくというような、この環境省の目指している方向性とは私は違うんじゃないかなというふうにも感じておりまして、なかなかその自治体間の仲介をするようなことは難しいとは思うんですけれども、環境省の目指すような方向が実現をされるようにお力を貸していただきたいというふうに思っております。
最後にもう一問、原発に関しての大臣のお考えをお伺いをしたいと思います。
昨日のツイッターですけれども、大臣は、オーストラリアの新首相は再生可能エネルギーの超大国になるという新政策を打ち出した、この発想はすごいと思いますというようなつぶやきをされています。大臣も御就任以来、原発や福島への思いを語られることもありましたけれども、参考人の方からもそれぞれ原発に関する御意見もいただきましたので御紹介をしながら、改めて大臣の原発への考え方を聞きたいと思います。
真庭市長の太田参考人からは、個人的な意見としながらも、例えば神戸市の水源は琵琶湖であることなどは余り知られていない、仮に高浜原発で事故があれば近畿一帯の水源が汚染されて住めなくなると、こうしたことを考えれば、原発をすぐにとはいかないかもしれないが、なくしていかなければならないと、日本が全滅しますとおっしゃいました。
山下参考人からは、太陽光プラス蓄電池などのセットの価格も下がって、再生可能エネルギー全体のコストが下がってきたこともあり、原発の経済合理性や優位性はもう失われているのではないかというものがありました。
また、桃井参考人からは、二十四時間稼働しなければならず、すぐに出力を落とすことが難しい原発や石炭火力は再生可能エネルギーとの相性が悪いとして、これらをベースロードとしているうちは再生可能エネルギーを加速させることは難しいのだから、再生可能エネルギーを環境省の、再生可能エネルギーを推進したいという環境省の立場との矛盾を指摘をされたというふうに私は感じております。
先ほど、電力の安定供給というようなお話も午前中ありましたけれども、また今年もう既に電力が足りないというような警報も一度ありましたけれども、それでは本当に足りないのかというと、実は東日本大震災の後でも電力が足りないと本当になったのは、この一年間の、三百六十五日のうちの僅か数日、その数日のうちのピークの二、三時間で、また温暖化の進行によって今もう少し日数が増えてきたのかもしれませんけれども、そしてもちろんこうしたときにも確実に安定的に供給ができること、万一にも停電が起こらないことは非常に大事だと思いますけれども、ただ、この一年間のうち数時間あるいは数十時間だとしたら、それを蓄電をしたり、徹底した省エネをすること、また揚水力発電などを併用することによって、その他の選択肢でクリアをしていく方策を徹底的に講じることを第一優先にすべきではないかというふうに私自身は考えます。
環境省としては、あれだけの過酷事故、公害事故、事後処理、また地元住民に向き合い苦しみを目の当たりにしてきたのですから、国の考え方は考え方として、環境省は環境省として立ち位置を明確にすべきではないかと私は思います。まして、原発の経済優位性にも疑問が呈され、再エネとの相性が悪いとの指摘をされていると。建物の省エネ化などにも、原発事故があって、あのような事故が起こる可能性のある原発をやめたいから太陽光、蓄電池、建物の省エネなど協力をと国が求めれば、私は、多くの国民は、またそして真庭市長のお言葉も借りれば、自治体も、お言葉を鑑みれば、自治体も協力をしてくれるはずだと私は感じます。大臣の御意見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/107
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108・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 去年の十一月に私が行ったのは、グラスゴーの、イギリスのその最後の大臣会合のずっと部分なんですけれども、やっぱりいろんな大臣とバイの会談、あるいはその全体会合の場で話しかけられて、まあ国名は余り明らかにしない方がいいですけれども、複数のやっぱり国の大臣から、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現のためには原子力のこと考えているのかと。私は、当時、福島のこともあって、我々は非常にそこら辺は国民の理解なしには進められないというような答えをしました。
ウクライナが今回、ロシアのウクライナの侵略があって、自前の国産の自立したエネルギーシステムということで、岸田総理の方からも再生可能エネルギーとともに原発のことも言及がありました。昨日のバイデンさんとの日米会談でも、SMRのことについても言及がありました。
私の立場というのは、現下のウクライナ情勢や気候変動対策の緊急性を踏まえれば、自前の国産エネルギーである再生可能エネルギーを始めとする脱炭素電源の重要性は以前にも増して高まっており、環境省としては、再生可能エネルギー最大限導入に向けて全力で取り組んでいきます。他方、安定供給のためには、再生可能エネルギー以外も含めた多様な選択肢を追求することが重要だと思っています。
その上で、原子力については安全を最優先すると。そして、原子力規制委員会の判断を尊重して進めていくということが政府の方針でもあり、環境省の方針でもあります。
再エネと原子力発電の相性については、例えば蓄電池や水素などの蓄える技術のイノベーションを用いて、余った電気を貯蓄するなどして解消しながら、エネルギー基本計画にある、安全を最優先して、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減すると、それが政府方針であり、私自身もそれに沿って進めていこうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/108
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109・寺田静
○寺田静君 時間となりましたので終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/109
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110・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、二之湯智さんが委員を辞任され、その補欠として和田政宗さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/110
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111・平山佐知子
○平山佐知子君 無所属の平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
今日は、いわゆる野立ての太陽光発電などについて伺ってまいります。
まずは基本的なことから伺いたいんですが、野立ての場合、太陽光発電用のパネル、どんな地目でも設置することは可能なのかどうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/111
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112・小野洋
○政府参考人(小野洋君) お答えいたします。
野立ての太陽光発電パネルの設置でございますが、これは農地法などの国の法律、あるいは地方自治体の条例に基づき、様々な規制が課せられております。
ということでございますので、その設置が可能かどうかということについては、先ほど申しましたような各種の規制に適合しているか否かということで判断されるものと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/112
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113・平山佐知子
○平山佐知子君 大変複雑なんですよね。事前にレクでも聞きましたけれども、この大規模な太陽光発電を行う際には、やっぱり国土が狭い日本ですので、じゃ、どこに置くのかというのが、前回の参考人質疑の中でも、景観の問題も含めて難しいということも議論をさせていただきました。
そして、今教えていただいたように、地目ですとか様々な法令ですとか、更に言えば自治体の条例であったり、さらに、同じ地目でもやっぱり場所によって使えたり設置できなかったりということがあると。そういったことも一因となりまして、山林伐採を伴う太陽光発電が多くなってしまうのではないかというふうに懸念も生じているというわけです。
技術革新などによってカーボンニュートラル実現できたとしても、やはり山林などが持っているこのCO2の吸収能力、最終的にはこれ必要になってくるわけですね。ですから、木を切って山を削って太陽光発電行うというのではなくて、自然破壊につながらない形でしっかりとこの適地を考えていくべきという考えであります。
本改正案では、資金支援によって拡大する先進的な取組の想定例に、営農型等の太陽光発電挙げています。
以前も、まあ午前中も少しお話ありましたけれども、青木先生から、千葉県の匝瑳市での成功事例ありました。もう少し伺っていきたいなと思うんですけれども、市町村農業委員会が実施した利用状況調査によりますと、令和二年の遊休農地の面積はおよそ九万七千ヘクタールであることが確認をされています。当然、先ほどの千葉県のように、営農型で、遊休農地を減らしながら農業振興にもつながり、かつ発電もできるというのが最も望ましいと思うんですけれども、全国にある遊休農地をこれ全て営農型で復活させるのはやっぱりなかなか厳しいものもあるのかなというふうに思います。
そこで、遊休農地を活用して野立てで太陽光発電をする、例えば先日申し上げた再エネの地域マイクログリッドを農協ですとか農業委員会などが構築して太陽光発電事業を営むことは可能なのかどうか。恐らく農地転用許可ですとか地目変更などの手続が必要だとは思うんですけれども、その可能性について伺いたいということが一つ。
また、農水省所管の農山漁村再生可能エネルギー法を活用してこの地域マイクログリッドを構築する場合、農地転用許可ですとか地目変更の手続などはどうなるのかどうか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/113
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114・山田広明
○政府参考人(山田広明君) お答えいたします。
農山漁村再生可能エネルギー法等に基づきまして、農協や地元の企業が設備の整備計画を作成し、市町村の認定を受けて太陽光発電事業を営むことは可能でございます。他方、農業委員会について言及ございましたが、農地法等に定められた農地等の利用関係の調整に関する業務を行う組織でございますので、太陽光発電事業を行う主体となることは農業委員会はできません。
また、国民への食料の安定供給のために国内の農業生産の基盤である優良農地を確保していくことは重要であると考えております。一方で、二〇五〇年カーボンニュートラル社会の実現も重要な課題と認識しております。
農山漁村再生可能エネルギー法は、農山漁村において農林漁業の健全な発展と調和の取れた再生可能エネルギーの発電を促進することを目的とする法律であります。具体的には、市町村を中心とした地域が主体となって協議会を設立し、再生可能エネルギーの導入による地域の活性化や、農林漁業の健全な発展に資する取組、農林漁業との土地利用の調整等について、地域の合意を得た上で、市町村が基本計画を作成することとしております。設備整備者はこの基本計画に沿って設備整備計画を作成して、その計画を市町村が認定するという仕組みで、農山漁村の再生可能エネルギーの導入に向けた取組を推進しております。
この仕組みを活用する場合、通常、農地転用が認められない優良農地に位置付けられた農地であっても、農用地区域外にある再生利用困難な荒廃農地の転用が可能です。この場合、農地転用等の許可手続をワンストップで行うことが可能であり、改めて農地転用の手続を行う必要はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/114
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115・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
もっともっとイメージとしてはもうすごくハードルが高いのかなと思っていましたので、全体のバランスと、もちろん地域の合意ということもありますけれども、やっぱり農山漁村再エネ法というのが手続可能な部分もあるんだなということで知りました。ありがとうございます。
私の地元静岡県でも、残念ながら、後継者不足でこの遊休農地というのが増えています。その中で、一つ、地目変更ができるかどうかで懸念が生じている件がありますので、地元の声として、それについて政府の見解を伺いたいと思います。
静岡県は全国有数の茶の産地なんですけれども、最近整備された茶畑というのは平たんに造られているものが多いんですけれども、昔からあるこの茶畑ですが、急峻なというか、山の斜面に造られているものも多くて、その結果、乗用型の茶刈り機などが入ることができずに耕作放棄地になってしまっている茶畑も多くあります。
地元の首長さんと話をしていたときに、茶の木というのは根が余り深くないので、それが荒れてしまって崖崩れのおそれがあるところも増えてしまっていて、できれば植林をして山に戻したいと考えているんだけれども、地目が農地になっているため、それもなかなかかなわないんだというお話がありました。
こうした農地に関しては、地目変更などの手続は難しいのかどうか。開発ではなくて自然に返すという意味では問題はないように思えるんですが、その辺りの見解を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/115
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116・山口靖
○政府参考人(山口靖君) お答え申し上げます。
農地は農業生産の基盤であり、国民のために限られた資源でありますので、農地法により、農地転用を制限し優良農地の確保を図っており、林地化につきましても転用規制の対象となります。
この場合、土地改良事業などの農業投資の対象になった農地などは林地化が認められない場合もありますが、例えば、先生おっしゃった山際で営農条件が悪い場合ですとか、耕作放棄のために農地の荒廃化が相当程度進行しているような場合につきましては、一般的には林地化が可能になっているというふうに考えております。
また、今国会で成立いたしました改正農山漁村活性化法に基づきまして、地域が話合いを行って地方公共団体が策定する活性化計画に林地化等の措置を位置付けた場合には、農地転用手続の迅速化が可能となる措置も講じたところでございます。
この措置につきましては、環境省を始め関係省庁にオブザーバーとして御参加いただいた検討会の取りまとめに基づくものでございますので、農水省といたしましては、今後とも、この改正農山漁村活性化法に基づきまして、農山漁村地域の計画的な土地利用につきまして、環境省など関係省庁のお力も借りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/116
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117・平山佐知子
○平山佐知子君 農地をやみくもに開発していくことは食料安全保障の観点からも問題はあると思うんですけれども、現実的に今後農地として活用することが厳しい場所もあるわけですね。開発ではなくて植林など自然に返すということであれば、土砂崩れを防止して、最終的にはCO2の吸収源になるとも思いますので、まずは全国のそうした遊休農地、その現状の把握にも努めていただきたいと思います。
もう一つ、有効活用、有効利用できるのではないかと思うところがありますので伺ってまいります。
フランスのノルマンディー地方では、全長およそ一キロの世界初の太陽光発電道路、ワットウエーが開通いたしました。ワットウエーの魅力は、普通のアスファルトの道路上にそのまま設置するので、特別な工事も必要なくて、取替えも簡単。気になる耐久性についても、少なくても十年、駐車場などの交通量の少ないところだと二十年ももつということなんです。
また、道路ではありませんが、日本でも路面型太陽光発電の取組は既に進められています。例えば、二〇一八年五月にコンビニエンスストアの駐車場で試験的に導入をされて、それが店舗での使用電力の一割を賄ったということです。
一方、線路内の太陽光発電に関する検証事業も行われ、また、線路脇ののり面も太陽光発電の設置場所としての期待が高まっています。今年三月には、国交省の鉄道分野のカーボンニュートラル加速化検討会が発足し、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、鉄道分野全般にわたる二酸化炭素排出削減の取組に加え、鉄道の特性を踏まえた再生可能エネルギーの活用などが検討されるということであり、線路脇内ののり面への太陽光発電の設置も検討対象の一つとなっているようです。
この鉄道分野のカーボンニュートラル加速化検討会を設置した意図、改めて国交省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/117
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118・鶴田浩久
○政府参考人(鶴田浩久君) お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、社会全体として取組が始まっております。その中で鉄道ですけれども、従来から大量輸送機関としてエネルギー効率が高くて電化も進んだ交通機関でございますけれども、近年では電力の調達方法も注目されるようになっている中で、鉄道分野でもグリーン電力を活用する動きなどが始まっております。
そのような状況を踏まえまして、鉄道分野のカーボンニュートラルに向けまして、先進的な事業者の取組を、更に取組を進めると、それから幅広い鉄道事業者に横展開していくと、こういった動きを加速化するために、今年の三月八日に、有識者、鉄道事業者、それから関係省庁にも御参画をいただいて検討会を設置したところでございます。
今後、検討会での議論も踏まえながら、取組の持続可能性という意味で事業性も重視しながら、脱炭素化が前に進むような方策の検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/118
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119・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
これから本格的な議論をしていくというところだということでしたけれども、この線路脇ののり面への太陽光発電の設置に向けた課題ですとか、実用化の可能性について伺いたいということ、それから、全国の鉄道の線路脇ののり面に太陽光発電を設置できたとした場合の二酸化炭素の排出量の削減効果の見込みを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/119
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120・鶴田浩久
○政府参考人(鶴田浩久君) お答え申し上げます。
線路脇ののり面に現在一般的に普及しています太陽電池を設置する場合を考えますと、その荷重に耐えられるような補強工事を行う必要がございますので、設置費用が増大するといったような課題がございます。
一方で、次世代型として開発が進められている太陽電池の中には、軽くて柔軟性があって耐荷重の小さい場所にも設置可能なものもございます。こういったものが実用化されますと、線路脇ののり面への設置が拡大する可能性が増してくるというふうに考えております。
現在、鉄道、全国の鉄道、二万八千キロほどございますが、そののり面でどの程度のCO2削減効果があるかといったことについて定量的に試算したものはございませんけれども、効果的な取組が重要だというふうに思っておりますので、御指摘のようなのり面といった鉄道資産を活用したり、それから沿線地域と連携したりといった様々なアプローチでCO2削減方策を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/120
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121・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
本当にいろんなところ、まだまだポテンシャルがあるのだなというふうに考えながら、いろいろ各省庁連携の上やっていかなくてはいけないなということを思いました。
今日は様々伺ってまいりまして、また先日の委員会では家庭用太陽光発電の普及策についても取り上げました。こうした施策は、先ほども申し上げたように、環境省だけでやっぱり完結するものではなくて、やっぱり農水省であったり経産省、国交省、いろんな各省庁連携の上やはり実施する必要があるものばかりだと改めて思った次第です。
山口環境大臣には強いリーダーシップを是非発揮していただいて、各省庁の担当分野にも積極的に働きかけを行っていただいて、国としてこの脱炭素社会に向けた施策の実現ですね、是非図っていただきたいと考えます。
大臣の決意を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/121
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122・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 私の地元の隣に、昔、尼子氏という人がいたそうです。彼は、戦勝つには策多ければ勝つ、策少なければ負ける、そういう意味で、今日、農水省あるいは国交省にも来ていただいているわけですけど、国交省の方には鉄道ののり面ということは私からも検討をお願いして、今やっていただいているということを伺いました。
その意味では、本当に全省庁もちろん一体となって、政府一丸となって、この二〇五〇年カーボンニュートラルあるいは二〇三〇年度目標の実現に向けて総動員していく必要があるという認識は十分持っています。環境省としては、この気候変動対策全体を取りまとめる立場から、強力にリーダーシップを発揮し、目標実現に向けて全力で取り組んでいきます。
日本の温室効果ガス排出量、吸収量の算定、要因分析、あるいは地球温暖化対策計画のフォローアップなどを通じてこの目標実現に向けた進捗を環境省として所掌しているわけですけれども、先週十九日、今日も朝から言及していただきましたこのクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会において総理から、成長志向型カーボンプライシング構想を具体化する中で、将来の財源を確保しながら二十兆円とも言われている必要な政府資金をGX経済移行債で先行して調達し、速やかに投資支援に回していくということの表明がありました。
これ、環境省としてこの一月以来、省一丸となって全国行脚あるいは産業界との対話を行い、私の方からもイノベーション国債二百兆円どうですかというようなことも総理にも申し上げて、あるいは経済界でもいろいろと、その中で、経団連がグリーン国債四百兆円と言ったり、そういうことのある意味で若干貢献したんじゃないのかなという気もします。
そういう意味で、脱炭素が、町おこしあるいは脱炭素、これ両立するものだと、そういうことを訴えながら、カーボンプライシングについても、一番きついところですけど、こういうことについても理解を求めながらやってきたところです。
今後とも、関係省庁と連携しながら、先頭に立たせていただいて、脱炭素社会のグランドデザインの実現に向けて全力を尽くしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/122
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123・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
強いリーダーシップとまた丁寧さ、地域を回ってということで、引き続きお願いをしたいと思います。今後ますますそういう意味では環境省の役割というのは大きくなっていくのかなというふうに思いますけれども。
今日は質問にしませんでしたが、意見だけ申し上げさせていただきますと、例えば橋やビルを建てるのに使われる骨材となる砂利を採取している場所でも、砂利採取法の規制によって、その跡地利用には工区が全て完全に完了しないと手を着けることができないという規制があるそうです。結果、広い土地があって、そこに太陽光発電とか風力発電とか設置しようと思っても、やはりその全て完了するまで時間が掛かってしまうという声も地元からいただいております。
様々な省庁が所管する法律がありますけれども、是非、先ほどからもおっしゃってくださっているように、環境省には、この全体を通して見て温暖化に有効なのかどうかとか、脱炭素を実現するのかどうかという、この大きな視点でもってそのリーダーシップを引き続き取っていただきたいとお願いを申し上げます。
ここで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/123
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124・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/124
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125・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、青木さんから発言を求められておりますので、これを許します。青木愛さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/125
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126・青木愛
○青木愛君 私は、ただいま可決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員寺田静君、橋本聖子君及び平山佐知子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一、地方公共団体による温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策を策定及び実施するための費用への財政措置に当たっては、地方公共団体ごとの地理的条件や気象条件等の特性に応じたきめ細かな支援を行うように努めること。また、地方環境事務所の体制を充実させるとともに、専門的な人材が不足している地方公共団体への支援を強化すること。
二、株式会社脱炭素化支援機構が我が国における脱炭素社会の実現に向けた公的な役割を担っていることに鑑み、外国資本の株式保有の比率が高いものとならないよう、政府は責任を持って監督すること。
三、株式会社脱炭素化支援機構が、脱炭素化に資する事業への投資需要に適切かつ柔軟に応じられるよう、株式会社脱炭素化支援機構の事業資金について、引き続き所要額の確保に努めること。
四、株式会社脱炭素化支援機構の役員等の選任に当たっては、適材適所を徹底し、公務員の新たな天下りの手段との疑念を持たれないよう、その運用に万全を期すとともに、株式会社脱炭素化支援機構が投資対象に関する専門的知見を備えたものとなるよう、投資に関する豊富な経験や知見等を有する人材を確保すること、また、人材の育成に当たって必要な措置を講じること。
五、株式会社脱炭素化支援機構に設置される脱炭素化委員会は、支援対象事業者及び支援の内容の決定等の株式会社脱炭素化支援機構の業務に関する重要な意思決定を行うことに鑑み、同委員会の運営等において、公正性・中立性・透明性の確保が図られるよう、政府は責任を持って監督すること。
六、事業年度ごとの業務実績評価の公表に加えて、株式会社脱炭素化支援機構に対し、出融資決定時における適切な情報開示や、実行後における当該出融資の適切な評価、情報開示を継続的に行うことを求めることを通して国民に対する説明責任を果たすように努めること。
七、株式会社脱炭素化支援機構による資金供給が、民間資金の呼び水の役割を果たしつつ民業補完に徹するものとなるよう、脱炭素化に資する事業に係る資金の需要、資金供給の状況等の把握を的確に行うように努めるとともに、一部の官民ファンドが多額の累積損失を生じさせていることに鑑み、株式会社脱炭素化支援機構による出融資においては、全体として長期収益性を確保し、脱炭素化に有益な出資案件を見出していく規律ある運営がされるよう、政府は責任を持って監督すること。また、廃棄物関連施設への支援については、燃焼中心でなくリサイクルが進められ、過度に地方公共団体の負担増にならないよう監督し、森林関連事業の支援に当たっては、主伐を伴う場合、再造林の計画について確認すること。
八、株式会社脱炭素化支援機構の支援対象事業の選定が国産技術の活用促進等も視野に入れて戦略的に行われるように努めるとともに、営農型太陽光発電など再生可能エネルギーの導入拡大の切り札となる事業の形成が戦略的に進むよう、地域の理解を促進するための助言などソフト面の支援の充実強化に努めること。また、脱炭素の国際的な動向を把握し、適切に対応すること。
九、支援対象事業の選定において、収益性や政策性のみならず、地域の環境への配慮という視点も重視し、支援対象事業が原因のトラブルを発生させることがないよう、株式会社脱炭素化支援機構に対し、地域との共生を確保することを求めること。また、全国の再生可能エネルギー事業等の地域における導入に当たっての課題を十分に把握すること。さらに、地域の金融機関と積極的に情報交換を図るとともに、地域における雇用の確保など公正な移行に配慮すること。
十、株式会社日本政策投資銀行のグリーン投資促進ファンド等が既に脱炭素分野への既存の資金供給を行っていることに鑑み、株式会社脱炭素化支援機構との相乗効果を発揮する連携が実現するように努めること。
十一、附則第四条に定める施行後十年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の施行状況について検討を行うとともに、検討の結果を踏まえ、適宜適切に見直しの措置を講ずること。
十二、地域金融も含め、今後ともESG金融の普及拡大に必要な措置を講ずるよう努めること。また、企業による気候変動関連情報の開示の充実・促進に向け、関係省庁が連携の上、引き続き検討を進めていくこと。
十三、温室効果ガスの吸収源としての役割に加えて、水質改善、生態系保全等の相乗効果も期待できるブルーカーボンの活用の在り方について、引き続き検討を進めていくこと。
十四、地球温暖化対策に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるよう努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/126
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127・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) ただいま青木さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/127
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128・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 全会一致と認めます。よって、青木さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、山口環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山口環境大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/128
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129・山口壯
○国務大臣(山口壯君) ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/129
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130・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/130
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131・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00820220524/131
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