1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月十日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
五月二十五日
辞任 補欠選任
和田 政宗君 二之湯 智君
六月一日
辞任 補欠選任
清水 貴之君 片山虎之助君
六月二日
辞任 補欠選任
三木 亨君 山谷えり子君
片山虎之助君 清水 貴之君
六月三日
辞任 補欠選任
山谷えり子君 三木 亨君
六月六日
辞任 補欠選任
那谷屋正義君 杉尾 秀哉君
宮崎 勝君 山口那津男君
六月七日
辞任 補欠選任
杉尾 秀哉君 那谷屋正義君
山口那津男君 宮崎 勝君
六月九日
辞任 補欠選任
二之湯 智君 森屋 宏君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳永 エリ君
理 事
滝沢 求君
三木 亨君
青木 愛君
清水 貴之君
委 員
石井 準一君
猪口 邦子君
尾辻 秀久君
関口 昌一君
松山 政司君
森屋 宏君
芝 博一君
那谷屋正義君
新妻 秀規君
宮崎 勝君
柳田 稔君
山下 芳生君
寺田 静君
橋本 聖子君
平山佐知子君
衆議院議員
環境委員長 関 芳弘君
環境委員長代理 渡辺 博道君
環境委員長代理 近藤 昭一君
国務大臣
環境大臣 山口 壯君
副大臣
文部科学副大臣 池田 佳隆君
大臣政務官
環境大臣政務官 穂坂 泰君
事務局側
常任委員会専門
員 金子 和裕君
政府参考人
文部科学省総合
教育政策局社会
教育振興総括官 安彦 広斉君
厚生労働省大臣
官房生活衛生・
食品安全審議官 武井 貞治君
厚生労働省大臣
官房審議官 宮崎 敦文君
厚生労働省大臣
官房審議官 小林 高明君
厚生労働省労働
基準局安全衛生
部長 武田 康久君
環境省大臣官房
地域脱炭素推進
総括官 上田 康治君
環境省大臣官房
環境保健部長 神ノ田昌博君
環境省地球環境
局長 小野 洋君
環境省水・大気
環境局長 松澤 裕君
環境省環境再生
・資源循環局長 室石 泰弘君
環境省総合環境
政策統括官 和田 篤也君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○石綿による健康被害の救済に関する法律の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
○環境及び公害問題に関する調査
(今後の環境教育の推進に向けた取組に関する
件)
(君津市の産業廃棄物最終処分場問題に関する
件)
(プラスチック資源循環法の施行状況及びプラ
スチックの削減に向けた課題に関する件)
(水俣病の被害者の救済に関する件)
(公害行政における予防原則の考え方に関する
件)
(廃ペットボトルの回収・リサイクルに係る制
度の在り方に関する件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/0
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001・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、和田政宗さんが委員を辞任され、その補欠として森屋宏さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/1
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002・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/2
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003・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に三木亨さん及び清水貴之さんを指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/3
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004・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博さん外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/4
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005・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/5
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006・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
提出者衆議院環境委員長関芳弘さんから趣旨説明を聴取いたします。関衆議院環境委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/6
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007・関芳弘
○衆議院議員(関芳弘君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
石綿による健康被害の救済に関する法律は、平成十八年三月二十七日に施行され、その後、平成二十年に、石綿による健康被害の迅速な救済を図るため、議員立法により、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対し、医療費等の支給期間の拡大等の措置を講ずる改正をいたしました。次いで、平成二十三年には、議員立法により、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金の請求期限の延長等の改正をいたしましたが、前回の改正から十年が経過し、昨今、更なる延長等を求める声が多く聞かれるところであります。
このような石綿による健康被害の救済を求める切実な声に対し、我々立法府としては、これまでの改正の経緯を踏まえて、石綿による健康被害を受けた者及びその遺族に対する救済の充実を図る必要があるものと判断し、本案を提出した次第であります。
次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、本法施行日から二十年を経過する日の前日までに死亡した労働者等の遺族であって、労働者災害補償保険法上の遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅したものに対し、特別遺族給付金を支給するものとしております。
第二に、特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金の請求期限を延長するものとしております。
以上が、本案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/7
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008・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/8
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009・青木愛
○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。
早速質問に入らせていただきます。
この石綿による健康被害、暴露から発症までの潜伏期間が三十年から四十年と非常に長いわけでありまして、現在もまだ予断を許さない状況にあります。
本法律案は、特別遺族弔慰金等の請求期限の延長、また特別遺族給付金の支給対象の拡大及び請求期限の延長を内容とするものと承知をしております。
今回、この延長幅について十年としたその具体的な理由についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/9
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010・渡辺博道
○衆議院議員(渡辺博道君) 特別遺族弔慰金等及び特別遺族給付金につきましては、その認定件数は減ってきておりますけれども、令和二年度においても認定を受けた方がいらっしゃるという状況にございます。
これらについては、請求期限が本年三月二十七日で切れておりますが、石綿による健康被害を受けた方の御遺族に対する救済の充実を図るため、この請求期限を延長する必要があると判断し、前回、平成二十三年の改正と同様に十年の延長の措置を講ずる改正をしたいと考えております。
なお、御遺族の方々に請求期限内に請求していただくには、この救済制度及び請求手続の周知徹底が図ることが大変重要であると考えております。政府には、御遺族や医療機関を始めとする関係者に対するこの救済制度の周知を更に徹底するよう求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/10
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011・青木愛
○青木愛君 ありがとうございます。
そして、この石綿健康被害救済制度の認定者の給付等の財源として、広く一般の企業からも拠出される形で石綿健康被害救済基金が運用されています。現在、およそ八百億円の残高があると伺っています。ここ数年はこの残高も大きく変化していないようであります。
患者団体などから、現在の法律では命の救済につながる治療研究の支援にこの基金が使えないことから、法改正を求める要望が出されております。患者団体からの御要請であります。また、四月には、医療者で構成される日本石綿・中皮腫学会というところがありまして、公的な基金等を活用して診断又は治療法の開発研究を要望する旨の声明文も発表されているところです。
この代表的なアスベスト疾患の中皮腫では、既に二〇一九年にアメリカ医薬品局、FDAで認可されている治療法があるんですけれど、いまだに日本では認可されていないなど、治療研究の現場では十分な資金がないために研究が進まないのが今の現況です。
救済のための八百億円の基金がありながら命の救済につながる治療研究が支援できない枠組み、この枠組みについてどのように提案者の先生方認識されているかを是非お伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/11
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012・近藤昭一
○衆議院議員(近藤昭一君) ありがとうございます。提案者の一人の衆議院議員の近藤昭一でございます。
今御指摘がありました石綿による健康被害の治療法の研究開発を促進することは非常に私どもも重要だと考えております。今御指摘もありましたが、私どもも患者の皆さんから、非常に石綿に対する規制が遅れた中、専門病院も決して多いわけではありません。そして、根治する方法がなかなかない。しかし一方で、他国におきましてそうした治療もあると、こういう指摘もある中であります。そういう中で、患者団体の皆さんからは、この石綿研究、ごめんなさい、石綿健康被害救済基金の活用を求めることがある、私どもも聞かせていただいておりますし、承知をさせていただいているところであります。
ただ、この点については、政府の審議会において、患者の団体の当事者の方も含めて、関係者として議論を進めていくと、こう聞いておるところであります。
我々としましても、効果のある治療法の研究開発を促進する方策について、石綿健康被害救済基金の活用も含めて、政府に対して早期に検討を行い適切に対応するように求めたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/12
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013・青木愛
○青木愛君 ありがとうございます。
積極的な御意見を賜りまして、この点について山口大臣にも是非御意見を頂戴できればというふうに思いますけれども、やはり、この中皮腫という、一旦かかりますとなかなか治療が困難だというところがございましたけれども、アメリカではこの治療研究が進んでいるという、患者御本人にしても家族にしても、一番の願いはやはり治療研究が進むというところだと思います。
むしろ、補償よりも、せっかくの八百億円という基金がありながら、それを使えないというこの枠組み、是非改正をしていただきたいというふうに思いますけれども、環境省としての御所見をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/13
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014・山口壯
○国務大臣(山口壯君) この石綿あるいはアスベストというのは、昔は全く害がどういうものか当然気が付かなかったわけですね。私の地元には造船所もあるんですけれども、造船所で仕事をされていた方で、もう何十年たってから肺の状態が大変だということで、今いろいろと苦しんでおられる方が身近におられます。そういう中で、何とかという気持ちは私も持っています。
今の現行上は、確かに石綿健康被害救済基金については、石綿健康被害救済法において、救済給付の支給に要する費用に充てることと規定されています。他方、この石綿健康被害救済法については、おおむね五年ごとに制度全体の施行状況の評価、検討を行うこととされています。
それを踏まえて、今月六日に中央環境審議会の石綿健康被害救済小委員会を開催し、年度内の取りまとめに向けて議論を開催したところです。御指摘の基金の使途についても本小委員会において様々な意見が委員の方々から出されたところであります。
まずはこの議論を見守らせてください。そして、できるだけ対応をどういうふうにできるのか考えていかなきゃいかぬなと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/14
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015・青木愛
○青木愛君 命の救済という観点から、是非積極的なお取組をよろしくお願い申し上げます。御期待申し上げております。
次に、この給付内容の見直しについてなんですけれども、石綿健康被害救済制度では、療養中の方には月額十万円の給付が、また遺族の方には最大で三百万円の給付が行われます。しかし、家計を支える現役世代の方が発症する例が多くあり、お亡くなりになった場合には御家族の方々にも経済的に大きな打撃を与えることになります。中には、お子さんが未就学児、また就学児を抱える患者さんや御遺族もおられます。
今後、この給付体系の枠組みに関して、個々の被害者の状況に応じた新たな給付、例えば発症時の所得状況ですとか家族構成なども考慮した、そうした給付体系に増額することが是非必要だと考えますが、その点についての御見解も併せてお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/15
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016・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 救済制度に基づく療養手当の給付水準については健康被害に対する救済であり、民事上の責任に基づかないという点で類似する制度との均衡を考慮しながら設定されています。
こうした制度の考え方も踏まえつつ、救済給付の在り方についてはこの石綿健康被害救済小委員会において今後議論いただくこととしています。まずはこの議論を見守らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/16
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017・青木愛
○青木愛君 この点については、提案者にはお伺いさせていただいてもよろしいですか。この給付の内容については、済みません、通告をしておりませんでしたけれども、ちょっと流れの中で、できれば提案者にお伺いするべきかなと今ちょっと思ったものですから。
この給付金の内容ですね、家族構成にも基づいた、個々の状況に応じた給付額の増額が必要なのではないかなというふうに思うんですけれども、その点について一言、もしあればよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/17
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018・渡辺博道
○衆議院議員(渡辺博道君) 突然の御質問でございますけれども、私は、アスベストに関して様々な、先般、労働者の、建設労働者の関係の給付金の関係も対応させていただいておりました。したがって、このアスベストによる健康被害というのは大変な問題であるということは私自身も認識をしております。
ただ、具体的な内容について、どのくらいの金額が妥当なのかという問題につきましては、先ほど環境大臣お話ありましたとおり、審議会の方で御検討をしていただきたいというふうに思っております。ただ、患者の立場をするならば、私は本当に大変な病だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/18
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019・青木愛
○青木愛君 御答弁、誠にありがとうございます。
私も本当にそのように思いまして、やはり、このアスベストの問題は国のやはり判断が当初間違っていたのではないか、そのように私自身は考えるものですから、一旦病にかかりますと、御本人はもとよりその家族もその人生が大きく変わってしまいますものですから、是非、個々のその家族の人生がその後何とか全うできるように、気持ちの上でも是非国の方で支えてあげていただきたいなというふうに思います。
ヨーロッパには予防原則という考え方があります。化学物質あるいは遺伝子組換えなどの新技術に対して、人の健康や環境に深刻かつ不可逆的なリスクを及ぼすおそれが予想される場合、科学的に因果関係が十分に証明されていない状況では規制措置を強化をするという考え方です。一九七〇年代のドイツやスウェーデンなどで使われ始め、現在ではEU全体で採用されています。
ところが、日本は、先ほども申し上げましたとおり、科学的な検証を重視する立場を取り、そのため公害問題や食品の残留農業に関してもEUよりも大変緩い基準となっています。石綿に関してもEUが禁止した時点で日本も禁止しておればよかったと思うんですが、日本はその規制が緩いために、予防原則に立っていないがために禁止の措置をとりませんでした。
命は不可逆的です。発症し、死亡したのでは、幾ら高額の補償金をいただいても命は返ってきません。予防原則と科学的見地について、人の命と健康、そして生態系の保全に多大な責任を負っているこの環境省、環境大臣の、この予防原則という考え方ですね、これについてのお考えを是非示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/19
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020・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 環境保全のための規制を行うに当たっては、我が国においては環境基本計画で予防的な取組方法を原則の一つとして位置付け、様々な環境政策における基本的な考え方としています。
今言われた予防原則という言葉と、それからこの環境基本計画で言う予防的な取組方法、それがどこまで同一かという議論はいろいろあるかもしれませんけれども、我々の考え方として、まず予防的な取組方法を原則の一つとして位置付けている。予防的な取組方法とは、環境影響が懸念される問題について科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら予防的な対策を講じようと、そういう考え方です。環境省の不変の原点である人の健康や環境を守るとの目的に向けて、予防的に対策を講じていくことを念頭に置きながら環境政策の推進に取り組んでまいりたいと思います。
あと、アスベストあるいは石綿の問題については、これから更にまだ、いわゆる建設されたものを、それを取り壊すときなんかに昔使ったものから出てくる可能性ありますから、今我々が更に気を付けなきゃいけないのは、どれだけのものがあるか、要するに、検査というか、すぐに分かる仕組みというものが今出てきつつあるように聞きますから、やっぱりそこはもう少し、この測定の在り方、もう少し気を付けなきゃいけないんじゃないかなという声も私も聞こえます。
したがって、今まで分からなかったことが分かって、今いろんな救済方法があるわけですけど、更にそういう被害が広がらないように、現場ですぐ測定できるというものがもしもあるんであれば、それを更にやっぱり現場の方で、これは国土交通省なのかな、やっぱり取り入れていくようなことも大事だろうかなと思います。もうそれは予防的な取組になるのかもしれません。したがって、政府の中で少しまた更に連絡を取りたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/20
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021・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 青木愛さん、申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/21
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022・青木愛
○青木愛君 はい。
新技術に対して、人の健康とか環境に対する影響が科学的に因果関係が証明されていない間は使わないというのがヨーロッパの予防原則、使ってしまうのが今の日本の立場なんです。なので、環境省、また山口大臣としても、ここの認識をもう一回改めていただきたいというふうに思います。
時間が参りましたので、本改正に御尽力いただきました委員長を始め先生方、また関係者の皆様に心から感謝を申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/22
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023・山下芳生
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
法案を作成された衆議院環境委員長始め発議者の皆さんに心より敬意を表したいと思います。
まず、厚生労働省に伺いますが、厚労省の二〇一一年、中皮腫死亡者の把握に係る調査実施要領では、救済対象となる中皮腫死亡者が依然として相当数存在するとされましたが、今どうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/23
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024・小林高明
○政府参考人(小林高明君) お答えいたします。
人口動態統計によりますと、平成二十七年から令和元年の中皮腫による死亡者数は、いずれも年間千五百人前後で推移をしております。依然として労災保険制度や石綿救済法の対象となる方が多くいらっしゃるものと認識をしております。
厚生労働省としては、石綿による被災労働者や御遺族が確実に補償を受けられるよう、労災保険制度及び特別遺族給付金制度の周知を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/24
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025・山下芳生
○山下芳生君 そこで、周知なんですけどね、一九九五年から二〇〇五年の死亡診断書については三千六百十三件個別周知されましたけれども、二〇〇六年から二〇一六年の死亡診断書については四百三十件しか個別周知されていないと聞きました。なぜこんなに落ちたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/25
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026・小林高明
○政府参考人(小林高明君) お答えいたします。
中皮腫が原因で死亡された方の御遺族に対する個別周知につきましては、特別遺族給付金の請求期限が令和四年三月二十七日となっていたことから、法務局等に保管されている死亡届の情報を調査、確認し、御遺族に対して個別に周知する取組を令和三年度に行ったものでございます。
当該中皮腫死亡者の把握に係る調査につきましては、当初、全国一括で委託業者の調達手続を実施したものの、落札されなかったことから、再度、全国を八ブロックに分けた上で調達手続を実施いたしましたが、関東甲信越ブロックのみが落札をされたことから、やむを得ず同ブロックのみ個別周知の取組を実施したところであります。
本法案の成立により、特別遺族給付金の請求期限が延長された場合には、更なる周知の取組についても検討をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/26
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027・山下芳生
○山下芳生君 延長されるから良かったようなものの、これ、入札が不調で、関東甲信越しか個別にお知らせがされていないという現状、私はこれはあってはならないひどい対応だと思いますよね。もう御存じのとおり、アスベストの健康被害というのは、被害者自身がなかなか、石綿を吸った記憶がない、そして潜伏期間も長いということで自覚がなかなかできないわけですよね。やはり、権利があるのに申請されないというケースが多いわけですから、インターネットで周知していますというだけでは埋もれちゃうと、だから個別周知ということが重要だったにもかかわらず、そういう対応になっていたと。そこは繰り返してほしくないということは指摘しておきたいと思います。
その上で、死亡診断書が五年で廃棄されるケースがあると聞きました。その結果、個別周知が行われていないようなんですが、しかし、二〇〇三年以降、人口動態調査に用いた死亡小票のデータが残っているというふうにも伺いました。このデータに基づいて個別周知をやるべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/27
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028・小林高明
○政府参考人(小林高明君) お答えいたします。
御指摘の死亡小票でございますが、統計法に基づき基幹統計調査として実施される人口動態調査において作成されるものであるが、統計法では、統計の作成又は統計的研究を行う場合や調査に係る名簿を作成する場合に調査データを利活用できることが規定をされており、これら以外の目的での利活用は困難でございます。
一方、厚生労働省では、これまでも個別周知の取組、石綿暴露作業による労災認定等を受けた方が所属していた事業場名の公表、新聞やインターネットによる広告などを通じて制度の周知や請求勧奨に努めてきたところでありまして、こうした取組を今後とも的確に実施することで適正な労災認定等に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/28
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029・山下芳生
○山下芳生君 情報管理をしっかりやることなどで、やっぱりなくなった死亡診断書をいかにしてカバーするかということは是非考えていただきたい。
それから、今、次に、今お話のあった肺がんについては、医学的資料、医学資料、カルテなどがなくても、同僚などが石綿労災認定されていれば本省照会によって特別遺族給付金を支給できることがあります。これまで石綿暴露作業による労災認定事業場として公表を行った事業場の数は延べ一万六千三十四事業場なのに対し、この本省照会は二〇一四年度から二〇二〇年度までにそれぞれ四件、一件、一件、四件、四件、六件、三件にとどまっております。なぜこんなに少ないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/29
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030・小林高明
○政府参考人(小林高明君) お答えいたします。
御指摘の事業場数は、労災保険法及び石綿救済法に基づき、石綿暴露作業による労災認定などを受けた労働者が属していた事業場の情報として公表したものであります。
一方、御指摘の本省照会の件数は、石綿救済法に基づく特別遺族給付金の請求のうち、肺がんにより死亡された事案で労働局から本省へ業務上外の照会がなされた件数でありまして、この数字と石綿暴露作業による労災認定等事業場の数との多寡を一概に比較することは適当ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/30
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031・山下芳生
○山下芳生君 いやいや、そんなに言い切っていいのかなと。ちょっと私納得できないんですけどね。こういう制度がありながら利用されていないということは、やっぱり周知がされていないんではないかなというふうに思うわけですね。肺がんで亡くなったんだけれども、石綿が由来、の由来なんだということを分からないまま、あるいは退職後そうやって亡くなる方もいると思うんですよ。やはり周知大事だと思いますね。余り関係ないというふうに木で鼻くくったような御答弁は、私はいかがなものかと今聞いておって感じました。
やはり、労災認定事業場に対して、ちゃんと肺がんについては同僚がそういうことになれば支給されるんですよということを個別の事業場に通知する、そして問題は、対象となる御遺族にそのことが分かりやすく伝わって漏れがなくなるようにすると、そうやれば私はこの数字上がっていくと思うんですけど、そういうことやっています。やるべきじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/31
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032・小林高明
○政府参考人(小林高明君) お答えいたします。
厚生労働省では、石綿暴露作業による労災認定等を受けた方が所属していた事業場名等を毎年公表しているところであります。
当該事業場に対しては、肺がんが対象疾病となることを含め、石綿による疾病に関する各種給付のリーフレット等を個別に送付し周知を行っております。その際、当該事業場の事業主に対しては、既に離職されている方を含め、事業場で石綿暴露作業に従事していた労働者の方やその御遺族の方に事業場から制度の周知及び請求の勧奨を行っていただくよう文書で依頼を行っているところであります。こうした取組を今後とも的確に実施することで適正な労災認定等に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/32
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033・山下芳生
○山下芳生君 しっかりやっていただきたいと思います。この数字はおかしいなと私は思っております。
次に、やはり政府の責任大きいと思うんですね。
政府がアスベストの使用を全面禁止にしたのは二〇〇六年であります。しかしながら、WHOが人体への有害性を発表したのは一九六四年です。ILOの専門家会議が発がん性を指摘したのは一九七二年です。また、ILOは八六年にはアスベストの中で最も毒性の強い青石綿の使用又は吹き付け作業を禁止する条約を採択いたしましたけれども、日本の批准は二〇〇五年ということで、二十年近くも安全対策を放置したばかりか、通算一千万トンの大量輸入を続けた、そういう国の責任極めて大きいと思うんですけれども、やはり周知徹底に限らず、定期的な健診など、国民を守るために国は責任持って必要な措置を講ずることができるよう制度の改正を更に検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/33
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034・神ノ田昌博
○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
環境省では、労災補償等の対象とならない一般住民等について、石綿関連疾患が発見できるような体制を整備するため、令和二年度から肺がん検診等の既存検診を活用し、自治体の石綿関連疾患の読影精度向上に向けた知見の収集を行う事業を実施しております。さらに、当該事業において、石綿の暴露が推定される集団を対象に、既存検診に加えて、追加的な検査、CT検査等を行い、疾患の早期発見の可能性を検証することで効果的かつ効率的な健康管理の在り方を検討をしているところでございます。
こうした事業の実施により、今後も石綿暴露者の健康管理の在り方について検討をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/34
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035・武田康久
○政府参考人(武田康久君) お答え申し上げます。
厚生労働省におきましては、労働安全衛生法に基づき、労働者が石綿等を取り扱い、その粉じんが発散する場所での業務に従事する場合、雇入れ時や配置換えの際のほか、定期的な健康診断の実施を事業者に義務付けております。このほか、事業者に対して、過去に石綿等の粉じんが発散する場所での業務に従事した経歴がある労働者を雇用している場合にも同様の健康診断の実施を義務付けているところでございます。
委員御指摘のとおり、厚生労働省といたしましても、引き続き、石綿等の業務に従事歴のある労働者の適切な健康管理や異常の早期発見のために必要な取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/35
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036・山下芳生
○山下芳生君 次に、中央環境審議会の小委員会なんですけれども、石綿健康被害救済小委員会ですけれども、当事者の代表がたった一人というふうに聞きました。過労死等防止対策推進協議会は、ILOの三者原則に当事者を加えて、専門家八人、当事者四人、労働者代表四人、使用者代表四人という委員構成になっておりますが、これと比べても不公平な構成になっていると感じるんですが、改めるべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/36
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037・神ノ田昌博
○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
六月六日に第一回目の会合が開催されました石綿健康被害救済小委員会は、法学者三名、石綿関連疾患の専門家三名、当事者団体一名、自治体代表一名、関係団体二名で構成されておりまして、今後、患者団体等からヒアリングを行うなど、様々な立場の御意見を伺い議論を行う予定でございます。
なお、石綿健康被害救済制度は、労災補償等の対象とならない石綿健康被害者を社会全体で救済する制度であることから、救済小委員会において労使問題について協議を行うということは想定してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/37
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038・山下芳生
○山下芳生君 最後の質問になると思いますが、環境省は、労災は損害賠償、救済給付は社会全体による負担であって制度の性格が異なるとしております。
しかし、二〇一六年八月十日の石綿健康被害救済小委員会で大塚委員、現中央環境審議会環境保健部長は、総体的には責任は原因者が負っているはずなので、原因者負担として負担すべきだと指摘いたしました。
労災と救済給付の制度の性格が異なるというのは誤りではないか、どちらも原因者に負担を求めて、救済給付も労災並みの水準にすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/38
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039・神ノ田昌博
○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
石綿健康被害救済制度は、原因者と被害者の個別的因果関係を明確にすることが困難であるという石綿健康被害の特殊性を鑑みまして、民事上の賠償責任とは切り離して、社会全体で被害者の迅速な救済を図ることを目的としております。このため、救済給付の給付水準は民事上の責任に基づかないという点で類似する他の制度、具体的には医薬品副作用被害救済制度、原子爆弾被爆者に対する援護制度等との均衡を考慮しながら設定されております。
救済給付の在り方につきましてはこの救済小委員会において今後議論していくということになっておりますので、まずはこの議論を見守りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/39
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040・山下芳生
○山下芳生君 この大塚委員は、総体的には原因者であると。だって、アスベストって別に自然に発生するわけじゃありませんから、輸入する、使用するという原因者があるわけですから、そういうことで考えると、余りこの労災と救済給付を区別する必要はないんじゃないかという、これは非常に大きな問題提起がされていると思いますので、引き続き検討いただきたいと思います。
以上で終わりますが、発議者の皆さん、ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/40
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041・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/41
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042・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、青木さんから発言を求められておりますので、これを許します。青木愛さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/42
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043・青木愛
○青木愛君 私は、ただいま可決されました石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員寺田静君、橋本聖子君及び平山佐知子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一、石綿による健康被害に対する隙間のない救済の実現に向け、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく救済措置の内容について、改めて効果的な広報を行い周知の徹底に努めること。また、本法に基づく特別遺族弔慰金等の支給の請求期限の延長及び特別遺族給付金の対象者の拡大によって対象となると見込まれる者に対しては、丁寧な情報提供を行うこと。
二、国は、石綿による健康被害者に対して最新の医学的知見に基づいた医療を迅速に提供する観点から、中皮腫に効果のある治療法の研究・開発を促進するための方策について石綿健康被害救済基金の活用等の検討を早期に開始すること。
三、石綿による健康被害の救済に関する法律に基づく救済制度が、個別的因果関係を問わずに重篤な疾病を対象としていることを踏まえ、労働者災害補償保険法において指定疾病とされている良性石綿胸水、また、石綿肺合併症についても、指定疾病への追加を検討すること。
四、石綿にばく露することにより発症する肺がんについては、被認定者数が制度発足時の推計を大幅に下回っている現状を踏まえ、認定における医学的判定の考え方にばく露歴を活用することなどについて検討すること。
五、既に前回の施行状況の検討から五年が経過していることを踏まえ、本法附則の規定による見直しのほか、改正後の法律について、速やかに施行状況の検討を実施すること。その際、療養者の実情に合わせた個別の給付の在り方、療養手当及び給付額の在り方、石綿健康被害救済基金及び原因者負担の在り方等についても検討を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/43
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044・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) ただいま青木さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/44
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045・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 全会一致と認めます。よって、青木さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、山口環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山口環境大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/45
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046・山口壯
○国務大臣(山口壯君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/46
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047・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/47
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048・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
衆議院議員の皆様は御退席いただいて結構でございます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/48
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049・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
環境及び公害問題に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官安彦広斉さん外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/49
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050・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/50
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051・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 環境及び公害問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/51
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052・那谷屋正義
○那谷屋正義君 立憲民主・社民の那谷屋正義でございます。
徳永委員長を始め各会派の理事の皆さんに御配慮いただき、国会議員として最後の質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げながら質問をさせていただきたいと思っております。
それでは、早速質問に入ります。
先月の二〇二二年五月、つまり先月の五月に、ベルリンにおいてG7気候・エネルギー・環境大臣会合が開催をされました。伺うところによると、大臣は直接行かれなかったということだったと思いますけれども、副大臣が代わりに行かれたという話は聞きました。しかし、この会合に臨む、あるいは今後の気候変動対策やエネルギー及び環境の課題を世界的に解決していくに当たり、やはり、環境大臣として今回のこのG7の成果をやはりしっかりと考察されたというふうに思うので、その成果及び評価について見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/52
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053・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 二十六、七、衆議院の予算委員会ということでちょっと私はどうしても行けなかったものですから、副大臣に行ってもらいました。
このG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、ロシアによるウクライナ侵攻という、そういう突発的な状況の中で、気候変動、環境問題に関する我々のコミットメントが揺るぎないということをまず確認し、また国際社会に発信できたということが一つあると思います。
それから、具体的には、一・五度目標の達成に向けてG7が一致して取り組む意思を明確にし、また、野心的な目標をまだ掲げていない他の主要排出国に対してCOP27までの目標強化を求めました。また、脱炭素に向けた具体的な取組として、脱炭素に向けた政府、失礼、都市、地域の行動や、パリ協定六条の市場メカニズムの実施の重要性を確認した次第です。
また、生物多様性分野では、生物多様性COP15における野心的なポスト二〇二〇生物多様性枠組の採択と、その実施の強化に向けた意思も確認しました。
資源効率性、循環経済に関するG7の新たな作業計画として、ベルリン・ロードマップを策定したことも重要な成果です。
こうした結果を受けて、より一層各国と緊密に協力しつつ、日本として積極的に気候変動を始めとする地球環境問題に取り組んでいきます。
来年は、東京でサミットがあります、G7。そこに向けてのしっかりした道筋がこのベルリンのG7でもしけたというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/53
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054・那谷屋正義
○那谷屋正義君 ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。二番と三番を入れ替えるという形でお願いしたいと思いますが。
実は、今のその地域脱炭素ということにおいて、各連合が全国の都道府県レベルでこれについて取組を実はしています。いわゆるそのロードマップというものをそれぞれ作って、そして、地方から始まる、次の時代への移行戦略というふうな銘を打って、それぞれ政策を研究をしているということであります。
で、その、何というんですかね、二〇三〇年までに集中して取り組み、施策を中心に地域の成長戦略ともなる地域脱炭素行程を具体的に行っていくということなんですけれども、これに対して、国の方としてもやっぱり必要なモデルというか、そういったものなり、あるいは資金的なもの、そういったものも当然協力していただきたいなというふうに思うんですね。
地域からということはすごく大事なことで、国からぼおんと言っても地域がなかなか応えてくれないのではやはりなかなかそれは実現しないわけですから、是非そういったことをしっかりと観察しながら、観察というか見ながらそういったことに支援をしていただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/54
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055・山口壯
○国務大臣(山口壯君) この国会を通じて幾つかのツールをいろいろと議論していただき、またお認めいただきました。それは、地球温暖化対策推進法の改正ということで、一つには、脱炭素先行地域ということが可能になるようにという仕組みもつくっていただきました。で、この間、二十九の、あっ、失礼、七十九の申込みをいただいて、二十六の脱炭素先行地域というものを決めさせていただいた次第です。
その基礎となるのは地域脱炭素移行・再エネ推進交付金、これを二百億から始めさせていただくということで、まず一つの道具立てをいただきました。それから、その法律の中で脱炭素化支援機構、これを二百億円の財政投融資でもって、このいわゆる民間の意欲的な事業に対して、こういう分野というのはどちらかというとリスクが高いということもあろうと思い、そういうものに対して呼び水となるというか、そういうものを引き付けられるようにお認めいただいたということもあります。
それから、一月の十八日にクリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会ということでもって、官邸でもってやらせていただいて、それを受けて、五月の十九日に第二回の会合でもって、私とあと萩生田経産大臣との間で中間報告をさせていただきました。その際、総理の方から、十年間で百五十兆円、そしてまた、それの先行調達として、カーボンプライシングを具体化する中で、二十兆円の仮称GX経済移行債、私は、それは脱炭素国債という意味なもので、漢字で言った方が分かりやすいかなという気はしますけれども、そういうものも総理の口からはっきり出ました。これは、実行会議を八月に始めて、実際にどういうカーボンプライシングの設計にするのか。要するに、カーボンプライシングということは、この排出量取引、クレジット取引、そして炭素税、こういうものが具体化する中で、この二十兆の脱炭素国債、仮称GX経済移行債、こういう道具立てもこれから出てきます。
そういう意味で、地域の脱炭素、ここがあって初めて実際全体のカーボンニュートラルということが実現できるわけですから、国、地方公共団体のみならず、やっぱり企業、そして国民一人一人の方々、もうそういう総力を挙げての施策が必要なんで、この国会では非常に大事な道具立てを幾つかつくっていただいたと思います。
環境省的には、この省エネという意味で、令和三年度の補正予算から、ZEB、ZEH等を合わせて約一千億円のまた道具立てもいただいているわけですから、もうそういうもの全部総力を挙げてやっていくことによって、二〇三〇年のまず四六%、あるいは五〇%をクリアさせていただいて、二〇五〇年にはカーボンニュートラルと。
他方、その十年が勝負というのは、今大体、例えばカーボンバジェットといういろんな議論もあります。その中で、大体あと四千億トンぐらいしか貯金がない、貯金というか予算がないんじゃないかと、カーボンの予算がないんじゃないかと。で、毎年四百なり五百億トンが出ているんであれば、あと十年弱じゃないかと。もうそれを超してしまったら、もう不可逆的な状況になってしまうと、後戻り利かないと。そういう科学的な知見も出てきました。そういう意味では二〇三〇年までがこれは勝負だろうと。
で、脱炭素先行地域というのも、二〇五〇年までのカーボンニュートラルというのを二十年早めて、民生部門に限っては二〇三〇年までにそれを実行できるという見通しの立つプロジェクトについて応募していただいていると、そういう今状況です。二十六から、この夏には、七月二十六から八月二十六日に第二弾の募集を掛けさせていただきます。秋に更に地域を増やさせていただいて、二〇二五年までには大体百地域以上の脱炭素先行地域を決めさせていただきたいなと。
ただ、全体で千七百四十一の地方自治体があるわけですから、それを全部カバーできるようなところというのは必ずしも一挙にはできませんけれども、環境省として目を配って、できるだけこの全ての自治体、あるいは企業、あるいは国民、それを国が一緒になって後押しし、あるいは引っ張らしていただくと、そういうふうにやっていこうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/55
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056・那谷屋正義
○那谷屋正義君 今大臣言われたように、後押し、あるいは引っ張っていくというそのことで、すごく大事だというふうに思いますし、地域によっても先進的な取組をするところと、やっぱりちょっと取組が遅れているようなところがあるわけですから、もし先進的な取組の部分について何かガイドなりアナウンスなりあれば、それをまねるというわけではないんですけれども、一つの参考にしながら、どんどん遅れているところも、あっ、これならやれるな、これはやっていこうというふうなことで計画できるんじゃないかと思いますので、是非そういったことも工夫をしていただきたいというふうに思います。
大きな前進を見たというふうな今評価をしていただきましたけれども、一つ気になるのがございます。
お手元に資料をお配りしてございますが、資料一と資料二、これはどちらも朝日新聞の記事であります。
二二年五月二十八日の朝日新聞の記事でありますが、例えば一枚目の方は石炭火力の問題であります。四段目の後ろの方に、G7では昨年も石炭火力の廃止が提案されたが、日本の反対などで盛り込まれなかった、今回も議長国のドイツは三〇年までの段階的廃止を盛り込むことを提案したが、日本の反対もあり削除された。少し飛んで、米国も三五年の発電部門の脱炭素化を掲げる、日本は排出量の多い旧式の発電所を減らす方針は示しているが、全廃は見通せないと。
二枚目の方にも、中段のところに、議長国のドイツは四月上旬の準備会合で、石炭火力を二〇三〇年までにということで、先ほどと同じようなことが記されております。
これを見ると、何か日本がその石炭火力、脱石炭というところに対して余り積極性を感じない。いや、ちゃんとやれる、やる気あるのかというような、私は、性善説に立つならば、誤解を招くんじゃないかなというふうに思うんです。ですから、いや、日本の取組は脱石炭に向けてこういうふうなことをしていくんだと。何で今回は、まあ交渉の経過は余り公表できないというか、お答えできないという話もあるかもしれませんけれども、このように報道されていると、このままでは日本の取組はどうなっているんだということに、誤解を招くというふうに思いますので、是非ここで環境大臣として、いや、そうではないと、こういうふうなことでしっかり取り組んでいくということについてお話しいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/56
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057・山口壯
○国務大臣(山口壯君) それぞれの国によって事情、エネルギー事情が違うというところが大前提にある中で、日本は、二〇一一年に福島の第一原発事故を踏まえて、しばらく石炭等に頼ってきました。ウクライナ情勢、ウクライナにロシアが侵略したというところを踏まえて、例えば、脱ロシア、石油については四%、LNGが九%、石炭が一一%、これ全部脱ロシアでいこうかという考えも底流にあります。
その中で、例えば、総理の方からは、これから自前の国産の自立のエネルギーシステムをということも踏まえられて、再生可能エネルギー、そしてまた原発という言葉も触れられています。去年の秋のいわゆる閣議決定された数字では、再生可能エネルギーは一八を三六から三八に上げると同時に、原子力発電についても、当時六という数字、今は実際は四でしょうけど、二〇から二二に上げるというのが前提になっています。
我々は、原発については、安全を最優先にするということがあって、それから、あとは原子力規制委員会の判断を尊重すると。そんな中で、最大限に再生可能エネルギーを導入することによってパーセンテージが原発が徐々に落ちていくというところを、環境省的には、その再生可能エネルギーを最大限導入するという結果がそうなっていくだろうと、これが我々の描いている姿です。
その中で、石炭については、あしたこれを廃止するとかいうことはできないんですけれども、非効率的なやつはこれはもう廃止していくと。それから、あとはいわゆるアンモニア混焼ですね、そこを、今経産省とのコラボの中で、ベースロードとしてきちっと確保するためにはその部分が今はまだ必要だろうと。他方、アンモニア混焼でもって、できるだけその混焼を専焼にまでいつの時点で持っていけるかというのが一つのポイントだと思います。
G7において改めて石炭火力対策を始め世界の脱炭素化をリードしていく決意を示されたと、これはもうしっかり受け止めています。そして、他方、二〇五〇年カーボンニュートラルへの道のりは各国のエネルギー事情や脱炭素技術の開発の動向により様々で、最終的にG7各国間での調整の結果、御指摘のような記載となりました。
そして、我が国は資源の乏しい島国であると。それから、エネルギーの安定供給の観点から多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要です。その上で、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、何よりも再生可能エネルギーの主力電源化を徹底すると。石炭火力については、その排出されるCO2を削減し、その比率を引き下げるとともに早期に脱炭素化すると、こういう方針です。
具体的には、余り詳細は述べませんけど、いわゆるJERAにおいて、二〇二四年までにその実験を終わると。これ、実は、先般、二〇二四年というのを、二〇二三年というか、二四年頃に実装するというところも発表になりました。まず、我々としては、もうJERAが本当にそこをきちっとやってもらえるように、もう少し、どんどん、まあ叱咤激励と言うと怒られますけれども、後押ししていかなきゃいけないとは思っています。その中で、我々がこの石炭火力についてヨーロッパとの間での意見調整をやらせていただいたというところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/57
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058・那谷屋正義
○那谷屋正義君 年限をしっかりと明記することよりも、とにかく実を取ってやっていくということなのかなというふうに思います。それはヨーロッパとは事情が違うというのもよく分かりますし、ただ、このまま一方的に書かれていると、何か後ろを向いているんじゃないかというふうな誤解もあるので、やっぱり、どこかでそういったことをやはり国民に広くアピールする必要はあるのではないかなというふうに思いますし、是非、二〇五〇年のそこへ向けてやっぱり全力で立ち向かうという環境省の決意がすごくやはり大事な話で、決意と実行力だと思いますので、よろしくお願いをいたします。
済みません、ちょっと時間が最後なくなってまいりましたので、今日、文科副大臣にもおいでいただいておりますので、私も元教員上がりだったもので、どうしてもここだけは聞きたいというふうに思っております。
環境教育の推進ということであります。もう環境委員会における全ての諸問題については、やはり非常に、まあどの法案も国民に直結する課題が多いんですけれども、特にこの環境というのは、もう子供から大人まですごく直結するものが多いというふうに思うわけですね。そうしたときに、子供たちのうちからやはりその環境というものを意識する、そのことというのはすごく大事だというふうに思います。
じゃ、その環境教育を教育現場でやれというふうに言われても、一方で、教育現場は大変な今多忙下にあって、これ以上の負担は勘弁してくれというので、このまま私が質問すると、私、現場から石投げられます。
そうではなくて、教員への負担等の課題も考えられる中で、例えばそこに人を配置する、あるいは環境教育指導員を配置するとか、そういったことをする中で環境教育を推進していくというふうなことは今非常に大事なんではないかなというふうに思うんですけれども、今後の環境教育の促進に係る方針について文科省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/58
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059・池田佳隆
○副大臣(池田佳隆君) 今、那谷屋議員の熱い思い、しっかりと共有をしたいと、まずもって思います。
それで、今、環境教育の推進についての文科省のスタンス、立場、御質問がありましたので、お答えをさせていただきたいと思います。
豊かな環境を維持しながら持続可能な社会を構築していくためには、学校、家庭、地域、それぞれが連携し合いながら、子供から大人まで一人一人が、知識だけではなくて、体験活動などを通じて環境に対する理解と関心を深めていく、そんな行動を一つ一つ具体的な行動に結び付けられるような環境教育、それを推進していくことが重要であると、まずもって考えているところであります。
このために、令和四年度予算におきましては、子供たちが環境等に学ぶ体験活動の推進や持続可能な社会の実現に向けた教育の推進等の取組を支援するために必要な経費、そういったものを盛り込ませていただいているところでございます。
また、文部科学省では、環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律に基づきまして、環境省を始めとする関係省庁と連携して、環境保全に関する知識や指導能力を有する者等の育成、認定等を行う民間事業者等を登録、そしてまた公表させていただいているところでございます。
文部科学省といたしましては、民間事業者等の活用によりまして、教員の負担軽減も図りながら環境教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/59
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060・那谷屋正義
○那谷屋正義君 是非お願いをしたいというふうに思います。
大臣、何か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/60
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061・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 那谷屋先生と一緒に国会活動をさせていただいたことを大変誇りに思います。国つくりは人づくりということで、環境教育について我々もしっかりやっていきます。
で、先ほど、済みません、東京サミットと申し上げましたけど、広島サミットの間違いでした。済みません、記録に残ると思って。
そういうことで、那谷屋先生、これからもまた御指導よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/61
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062・那谷屋正義
○那谷屋正義君 やめろという大臣の決意だったと思いますので、これで質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/62
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063・青木愛
○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。
一般質疑の時間も賜りまして、誠にありがとうございます。
今日は、これまで陳情いただいておりました三つの案件について質問をさせていただきたいと思います。
まずは、産業廃棄物処理場について、これについてはこの環境委員会で何度も取り上げさせていただいている案件でございます。
千葉県の君津市に、環境省が名水百選に選んだ上総掘りの飲料水が自然に湧き出ているところがございます。ところが、この地下水の水源地に当たる丘陵一帯に広大な産業廃棄物処理場、管理型ですが、君津環境整備センターが建設され、増築をされています。第一期、第二期と処分場が建設されて、この八月に第三期の処分場が工事完了して、また搬入が始まろうというタイミングであります。地元の住民や自治体は反対しています。
第一期処分場は、二〇〇一年に工事が着工され、二〇〇四年から営業が開始されました。しかし、二〇一二年に保有水の漏えい事故が発生し、周辺の河川や田んぼが汚染されました。十年が経過した現在も搬入停止状態のままであります。漏えい事故の根本的原因が特定されず、また保有水、汚染水が今も処分場上部まで大量に滞水をしているということであります。
更に驚くべきことは、操業中であった第二期の処分場でも今年の三月、千葉県及び君津市の検査により、廃棄物の新たな適正処理違反が確認されました。第二期処分場においても、現在、廃棄物の搬入を停止している状況であります。
そこで、以下質問をさせていただきます。
処分場からこの保有水、汚染水が外部に漏れ出ますと、地下水や周辺を汚染します。そのために、環境省の省令で基準が定められているわけですけれども、その中に二重の遮水シートを施設することが明記されております。しかし、実際、ここの処分場の第一期については、土堰堤といいますけれども、この土堰堤というのはその処分場の底辺部であったり、こののり面を固めている部分ですけれども、その土堰堤の底面部に遮水シートがありませんでしたので、汚染水が漏えいしたというふうに見られております。また、第二期の処分場には、この土堰堤の底面に一重の遮水シートしか設置されていなかったということで、このことは千葉県も、そして業者も認めております。
このように、第一期処分場の漏えい事故の原因究明がまだ明確にはなっていない中で、一期、二期処分場、いずれもこの基準省令に適合していない、二重の遮水シートがなかったという箇所があり、住民の安全と不安が払拭されておらない中で、この夏の八月から三期処分場の拡張工事が終わり、そこから搬入が始まると、これは是非環境省として止めていただきたいという思いでございます。
見解をお伺いさせてください。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/63
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064・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
まず、技術的な部分でございますけれども、技術省令で遮水シート等の敷設が必要ではないかという御指摘がございました。
最終処分場に係る技術上の基準を定める省令におきましては、埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための措置として、省令の方をちょっと読み上げますと、埋立地がある、埋立地には、一般廃棄物の投入のための開口部及び保有水等集排水設備の部分を除き、一般廃棄物の保有水及び雨水等の埋立地からの浸出を防止するため、遮水工又はこれと同等以上の遮水の効力を有する遮水工を設けることというふうになっております。
実際の具体的なその地域地域での適用につきましては、例えばシートということもありますし、透水係数の低いような土、例えば粘土みたいなものですね、こういったものを採用する場合もあります。こういったものについての判断については、具体的には汚染の防止措置についての都道府県等にて適切に判断されていくというふうに考えておるものでございます。
また、君津の処分場ということでございますと、差止めの訴訟も現在起こっているということを聞いておりますので、そういった訴訟に影響を与えるような部分については発言を控えさせていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/64
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065・青木愛
○青木愛君 発言を控えている場合ではないといいますか、君津市の住民にとっては大変大きな問題でありまして、確かに訴訟も市民団体の方々が自ら立ち上がってくださっています。
この間も、環境省の方から千葉県の方にも問合せをいただいていると思いますけれども、この厳然たる事実があるわけですから、第一期にはその省令で定められている二重の遮水シートが敷かれていなかった、これ千葉県も業者も認めているんですね。そして、第二期の処分場については一重の、一枚の遮水シートしか敷かれていなかったということなんです。なので、ここからの汚染水の漏えい、まだ原因ははっきりはしていない段階ではありますけれども、恐らくそうではないかというところで、今訴訟がもういよいよ佳境になります。これ、待ったなしなんです。この夏、また三期が稼働してしまうかもしれない、こんな状況で。
これを環境省として、環境省にも選んでいただいた名水百選でありますから、地域の、また君津の市民の誇りであります。ここに汚染水がまだまだそのままの状態で滞水していると。この中で三期の操業を進めるなんということは考えられないんですけれども、これ、まあ千葉県の判断だとは思いますけれども、私もこの状況をお知らせさせていただいた以上、環境省としても千葉県に何とか働きかけていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/65
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066・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
産業廃棄物処理施設の設置につきましては、地域の実情に即した処分場の立地点の選定や管理が必要であると。そうしたことから、平成七年から平成十二年頃にかけまして地方分権の議論が行われた際に、法定受託事務という整理で、平成十二年頃にそうした整理が行われたという、そういった流れがございまして、産業廃棄物処理施設のその御指摘の三期の設置の許可につきましては、その法定受託事務の趣旨からいたしますと、当該許可に当たって当該施設が法令で定められた基準に適合しているかどうかの判断については、地域の実情に即して千葉県知事が適切に判断されるべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/66
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067・青木愛
○青木愛君 この省令に、二重シート、管理型、まあ一般、この処分場に二重シートは敷かなければならない、そういうふうに明記されていると考えてよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/67
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068・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 最初に御答弁いたしましたように、地域の実情に即していろんな遮水のやり方があると。遮水工を設けるという基準ございますけれども、その際に、シートを使うのか粘土を使うのかですね、そういったいろいろな考え方、あるいは周りの状態ですね、谷地なのか平地なのかとか、いろんな状態に即して遮水工の具体のやり方というのは変わってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/68
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069・青木愛
○青木愛君 地域の実情で変わってくるということなんですけれども、そうしましたら、この今第一期、第二期処分場で適正違反があり、そして実際に汚染水が漏えいしている、この事態はどのように受け止められますか、環境省として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/69
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070・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 第一期については、委員からの御指摘のとおり、現実に現在でも一期の処分場への搬入は停止している状態であると。まあ事故と呼んでいいのかはあれですけれども、そういう事態が起こったときに千葉県の方で判断された状態が今も継続していると、そういったものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/70
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071・青木愛
○青木愛君 そうした中でこの三期の処分場を進めるということについてはどのようにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/71
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072・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 三期の処分場は三期の処分場の許可として、三期の処分場の施設設計図、それからミニアセス、そういったものをきちっと経た上で当該県知事の方で許可をされているというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/72
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073・青木愛
○青木愛君 この適正処理違反ですよね、この維持管理違反、これが行われた、行われた業者に対してこの第三期の処分場を認める可能性もあるということを言及されていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/73
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074・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 廃棄物処理施設の設置許可につきましては、基本的には技術的な基準その他の基準等を満たせば許可をすべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/74
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075・青木愛
○青木愛君 そうしたら、この環境省の省令の意味がないんじゃないんですかね。この今の環境省の省令ですよね、技術上の基準が定められているわけですけれども、これでは汚染水は漏えいしてしまうということですよね。むしろ省令の方がおかしいんじゃないですか、そうしたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/75
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076・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 省令は、政令も含めまして、法律の条文である施設設置許可の部分の技術上の基準として補っているというものでございまして、その法体系ですね、法律と政令、省令を一体的に、この場合は、施設の設置許可権限を有している千葉県知事が地域の実情を勘案して判断をしているものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/76
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077・青木愛
○青木愛君 許認可は千葉県ということでありますので、しかしながら、このような水源地、この大規模な処分場で、地域住民のまた生活、またその周辺の田んぼだとかいろんなところに影響を与えているわけでありまして、これはもう先人が築いてくださった上総掘りという長年の時間を掛けてつくってもらった清水でありますんで、ここは、環境省しかこうした問題は扱っていただけないと、環境省こその、私は環境省が先頭に立って解決していただかなければならない、そういう重要な問題だと思っております。
今後とも、時間がない中ですけれども、また質問主意書の方も出させていただきますし、あらゆる方法でこの間御相談申し上げますので、どうぞ、御理解はいただいていると思いますので、よろしくお願いをいたします。
じゃ、山口大臣にも、一応、設定させていただいたのでお伺いさせていただきますけれども、こういう産業廃棄物処理場というのは、現状においてはどこかでは必ず今は必要な状況だとは認識はしておるものの、このような、わざわざ水源地に処分場を、また、このような管理違反がある中で増設するべきではないというふうに思うんですけれども、こういう処分場を設置するに当たっての規制という部分で何かお考えがあれば是非お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/77
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078・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 一般論として、廃棄物処理法では、廃棄物処理施設の設置に当たって、施設の設置による地下水などへの生活環境影響について施設の設置申請者に調査させることを義務付けております。周辺地域の生活環境の保全について適切な配慮を行うことになっています。都道府県においては、廃棄物処理法に基づく基準に適合し、生活環境保全上の支障が生じないことを確認した上で施設の設置許可がなされています。
我々としては、この施設設置許可の審査を行う都道府県等と必要に応じて連携しながら、廃棄物処理施設の設置による生活環境の保全上の支障が生じることのないよう、制度の適切な運用に努めてまいると。
で、この水源の保全ということについて、一般論として、まず一般論としてやっぱりそれは重要です。だから、都道府県等の審査に当たっては、この環境保全上の支障を防止する観点から十分な検討を行っていただきたいと、それが望ましいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/78
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079・青木愛
○青木愛君 後押しをいただいたと思います。ありがとうございます。
それでは、全く、ちょっと全然違う話題になりますけれども、これもまた陳情、一件御紹介をさせていただきたいと思います。
二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けまして、各自治体や様々な民間業者が精力的に努力を重ねていただいています。
北海道釧路市の事例を御紹介させていただきたいと思います。水性塗料なんですが、これまで一斗缶で販売してきましたけれども、ある業者の方が、製造時のCO2削減、またリサイクル対応の観点から、段ボールと内側にプラスチック袋を組み合わせた容器、商品名オミリーパックといいますけれども、開発されました。
一斗缶と比較した段ボール容器の長所をまず列記いたしますと、製造時のCO2排出量、これが二割以上少ないことが証明されています。また、段ボールですから軽量であるため、軽くて大量に運送できるということで、運送時のCO2の削減にもつながるということです。使用済容器の回収率が高いことも挙げられます。段ボールケースは循環資源古紙として再利用され、しかも、釧路市では、ボランティアが回収活動をしており、回収による収入をPTA連合会に寄附したり、市内の小中学校の同好会や部活動に役立てているとのことです。また、保温性が優れており、凍結の開始温度が、一斗缶がマイナス一度に対し段ボール容器はマイナス三度ということです。凍りにくいということです。固まりにくいということです。洗浄も段ボール容器は不要です。内側の袋は高品位の固形燃料として石炭やコークスなどの化石燃料の代替として現在は多くの産業で利用されているということです。
この商品は、環境省のグリーン購入法の認定を受けて、国土交通省の新技術情報提供システムに登録をされています。北海道では、リサイクル製品認定制度に認定され、商品の普及を後押ししているとのことです。
このように、全国には都道府県が認定した脱炭素、リサイクルの商品が数多くあるかと思います。こうした民間企業、また自治体のこの発案、こうしたことを全国展開していったらどうかなと考えるわけですけれども、この点について環境省の御見解をお伺いさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/79
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080・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 脱炭素やリサイクルの観点で優れた事例につきましては積極的に情報発信をしていくことが大変重要でございます。例えば、プラスチックや資源循環に係る取組についてはプラスチック・スマートの枠組みを活用した横展開を行っております。また、グリーン購入法により、国等による環境負荷低減に資する製品、サービスの調達を推進するとともに、こうした物品等に関する適切な情報提供を行うことにより需要転換を図っております。
加えて、プラスチック資源循環法に基づく環境配慮設計指針においては、製造事業者等に対して指針に即した製品設計を求めるとともに、指針に適合する特に優れた製品については国が認定を行い、グリーン購入法における配慮などを行うというふうにしております。
こうした取組を通じて普及に努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/80
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081・青木愛
○青木愛君 御答弁ありがとうございます。
こうした民間企業の脱炭素に向けたこういう創意工夫を是非生かす観点が必要ではないかと、その思いで質問させていただきました。
時間となりましたので、終了いたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/81
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082・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。
私も、今話に出ましたプラスチック資源循環推進法、四月から施行されておりますので、この法案に関して、そしてプラスチックごみ対策について伺っていきたいと思います。
四月にスタートしまして、対象業種はコンビニエンスストアやスーパー、小売業や飲食店、宿泊業など、対象、削減対象となるプラスチック製品はフォークですとかスプーン、歯ブラシなど十二品目だということです。前年度に五トン以上の製品を無料で提供した事業者に義務付けられると、対策を義務付けられるということなんですが、開始から二か月余りとなりました。まずは、どのようなスタートになっているのか。様々現場でもしかしたら混乱などあるかもしれません。どのようなスタートになっているのか。
そして、これやはり比べられるのは、レジ袋の有料化というのが以前ありましたけれども、と比べると、やはりちょっと、やはり有料、あのときは有料化でしたので非常に社会的なインパクトも大きくて、大分大きくニュースになりましたが、今回はあくまで義務ということですので、そこまで社会に与える影響でいうと大きくもないのかなというふうに感じなくもないです。
ですので、その辺り、どうやって、やはりこういった取組が始まったんですよということを世の中、皆さんに知っていただくかというのも大事なミッションではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/82
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083・山口壯
○国務大臣(山口壯君) プラスチック資源循環法の四月一日の施行後はもちろんのこと、施行前から事業者による積極的な取組が見られていたということ、ところはあると思います。コンビニ等では木製又は植物由来プラスチックを使用したスプーンやフォーク等への切替え、あるいは宿泊施設ではフロントにアメニティーコーナーを設置して、必要な宿泊客のみがアメニティーを使用すると、そんな取組も進んでいます。
こうやって製造事業者等による環境配慮設計、あるいは自主回収、リサイクル、また市区町村によるプラスチック資源の分別収集、リサイクルの準備等も順次進んでおり、私は良いスタートが切れたというふうに思います。
また、本年一月からこの情報発信ということに関してプラスチック資源循環の特設サイトを設けるとともに、PR動画配信や政府広報、説明会の開催等、いろんなツールを活用させていただいています。引き続き、事業者、自治体、消費者の皆様が積極的にプラスチック資源循環に取り組んでいただけるよう、必要な情報発信に努めてまいりたいと思います。
私は、レジ袋の話というのはちょっと、どっちかというと、賛否巻き起こしてしまって、正直言って、ほかの国ではもうとっくにああいうことを始めていたんで、日本的には正直遅れていたんじゃないのかなという気さえします。今回のやつは私は正直淡々とやらせていただいているんですけれども、そういう意味では、いいスタートで、割とみんなが共有していただきつつあるのかなと。
でも、この大きい図柄をもうちょっと示したいわけですよね。そのプラスチック全体が、例えば海洋プラスチックも含めて、小さくなって魚が食べてそれを我々が食べていると、そういうことに対してやっぱり少し意識を高めていかなきゃいけないし、世界全体の今度枠組みとしてこの間から政府間交渉も始まっていますから、そういう意味で、日本として、こういう取組というものがまだまだこれから更に広さと深さを持っていくんだというところをよく分かっていただけるように情報発信しなきゃいかぬと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/83
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084・清水貴之
○清水貴之君 大臣おっしゃるとおり、本当にこの短期的なこれ損得とかではなくて、やっぱり長期的などれだけのこの社会的な影響があるかとか、こういった環境への影響とか、こういうのが本当に大事な話かなというふうにも思います。
スタートとしてはある程度順調なスタートを切れたという話なんですが、じゃ、今後ですよね、この取組がどう継続していくか若しくは広がっていくかということなんですが、今回そういったプラスチック製品を提供する企業には削減目標の設定が求められるんですが、この削減率や目標年度、これは任意ということで、国への報告義務ですとか実効性の担保というのが、報告義務がないのでこの実効性の担保が課題になっていくかと思います。
プラスチック資源循環法の政令、政省令及び告示の審議を行った環境省と経済産業省との合同会議では、規制の妥当性や実効性の観点及びプラスチック資源循環戦略の目標達成に向けた進捗状況の把握の観点から取組の定量的な把握が非常に重要と、こういった意見もありました。本当にそのとおりかなというふうに思います。
そして、やっているやっていないで、これまたいろいろ不公平感が出ても良くありませんので、今後どうやってこの取組が進んでいるかというのを確認していくといいますか、環境省として見ていくおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/84
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085・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) プラスチック資源循環法におきましては、多量排出事業者に対して目標の設定を求めるとともに取組状況等の公表に努めることを求めております。
具体的には同法の基本方針において、事業者は、自らの取組についてホームページ、環境報告書若しくは統合報告書又は店頭での掲示等を通じて積極的に情報を発信するよう努めることにより、広く国民の理解を促すのみならず、取組の進捗状況を可能な限り定量的に検証することで、当該取組を持続的な企業価値の向上につなげていくことが期待されるということ、それから、国は、当該取組を把握するとともに、全体としての進捗状況を可能な限り定量的に検証していくことと定めておりまして、私どもも十分これを認識しております。
関係主体の具体的なその目標の設定や取組状況の国による把握方法でございますが、事業者の公表情報をしっかりと確認すること、それから事業者に個別にヒアリングをしていくこと、そういったことを今想定しておりますけれども、詳細については今後関係省庁とともに検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/85
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086・清水貴之
○清水貴之君 そして、始まったばかりですから、まだ、今日午前中の本会議はEBPMという話でしたけど、まだエビデンスがどうこうとかいう、そういった話ではないかなとも思うんですが、今後の見通しとして、これからいろいろと検証していく中で、実際にどういった対策がどういった事業者で取られてどれほど効果があったかと、こういったことを検証して、更にそれを広げていく、横展開していく、こういったことも非常に重要な環境省がやっていくべき作業かなとも思うんですけれども、これに関してはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/86
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087・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 先ほども御答弁いたしましたように、基本方針において、そういった関係主体の取組を把握するとともに、全体としての進捗状況を可能な限り定量的に検証していくというふうになっておりまして、各関係主体の公表情報を確認し、必要に応じてアンケート調査やヒアリングなどを実施することによって取組を把握し、その効果について検証を実施するというふうになるというふうに考えております。
また、御指摘のように、優良事例をつかまえました場合については積極的に情報発信をしていくということが大変重要であるというふうに考えておりまして、プラスチック資源循環に係る取組を集めたプラスチック・スマートの活用やプラスチック資源循環の特設サイトにおける周知を通じるなどして横展開をしっかりと図っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/87
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088・清水貴之
○清水貴之君 そして、先ほど紹介した環境省と経産省の合同会議ではこういった意見もありました。カーボンニュートラル、海洋生物、生態系、将来世代への化学物質の影響を最小限にするという観点から、いずれは規制的手法を考えなければならない、こういった意見も出されています。規制的手法ということは、もう少しやはり強い措置が必要ではないかというのも意見として出ています。
先ほど大臣からありましたプラスチックの袋の有料化の話もありますが、今回はあくまで削減の努力義務ということです。有料化しているところもあるでしょうし、していないところ、それは事業者にある程度、やはり事業者さんとしても大変な今状況ですから、まあこれだけコストが上がって、任されている部分が多いからこそのそういう判断だとは思うんですけれども、やっぱりこの辺り、海外のこれ事例を見ますと、日本、プラスチック袋の有料化も遅れていたという話もありますが、もう実際にプラスチックの食器やナイフやフォーク、ストローなども有料化している国というのも多く出てきています。EUとか中国なんかでもそうですね。
となりますと、やはり将来的にはそういったことも見据えて判断をしていく必要も出てくるのかなと思いますが、現状ではどのように考えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/88
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089・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
現状は、プラスチック資源循環法では一律に有料化を求めるものではないという点で御指摘のとおりでございます。この四月にプラスチック資源循環法を施行したばかりでございまして、まずは法に基づく措置の普及に努めるべきかと思っております。
ただ、その上で、法に基づく基本方針で示したとおり、特定プラスチック使用製品の使用の合理化の措置による排出の抑制のための取組の効果について、各関係主体の取組状況を把握し、全体としての進捗状況を可能な限り定量的に検証していき、そうした検証を踏まえて、将来的には様々な選択肢を考えていくということがあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/89
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090・清水貴之
○清水貴之君 そして、今回は提供する側であったりとか使う側の話ですけれども、製造する側とか配送で使う側とか、こっちの方の話に行きたいと思うんですけれども。
まず、よく通信販売、今、特にコロナ禍で非常に利用が増えているという話がありますが、私も注文しますと、本当に大きな段ボールが届いて、何だったっけなと、で、開けてみたら、中入っているのは本当ちっちゃなもので、周りは緩衝材と言われるあの膨らんだビニール袋のものが入っていたりとかですね、これ本当にここまでの包装必要なのかなと思ったりすること多いです。
これ内閣府の世論調査なんですが、二〇一九年のものなので少し前ですが、過剰だと思うプラスチック製の容器包装・製品というこれ世論調査をしていまして、一番パーセンテージが多かったのがお弁当で使う使い分けの、小分け用の容器や飾りと、二番目がレジ袋、三番目が先ほどお話しした通販などで使用される包装とか緩衝材と、次が飲物と一緒に提供されるストロー、かき混ぜ棒ということなんですね。やはり、私もこれ見ていて、ああ、そう、そうだなというふうに思うところがあります。
こういったところも、本当に必要な部分もあるんでしょうけれども、かといって過剰になり過ぎるというのは本当に今の時代に逆行している話だなというふうに思いますので、この辺に対してやはり働きかけていくことも重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/90
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091・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
まず、プラスチック資源循環法においてでございますが、製品の設計段階において過剰な包装を抑制すること等について検討すること、それから、流通又は販売過程においては簡素な包装を推進することやプラスチックに代替する素材を活用すること等を求めているところでございます。
実際に民間企業によって様々な取組が検討されていると承知しておりまして、例えば通信販売ですね、いわゆる通販において、従来、製造事業者が製品パッケージに加えて通販会社が輸送のための緩衝材を用いてこん包していたと。委員御指摘のとおり、非常に大きな空気を運んでいるような状態だった部分もあると思いますが、通販会社が製造事業者と連携して製品パッケージとこん包を一体化するという製品を作り上げ、包装材や緩衝材を減らす実際の取組も既に進められているというふうに承知しております。
環境省としても、プラスチック・スマートなどの枠組みを活用し、こうした優良事例の収集と周知などを図り、過剰包装の合理化の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/91
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092・清水貴之
○清水貴之君 済みません、大臣、一つ飛ばして、これ七番の質問、今の関連すると思います、先に質問させていただけたらと思うんですが、プラスチック製品を製造する事業者の責任についてという話です。
今答弁いただいたのは輸送のときの話、通販事業者とかの話ですが、今度はそのプラスチック製品を作る側の責任といいますか、義務といいますか、こういったお話ですが、拡大生産者責任という言葉がありまして、プラスチックに関わる主体の中では、プラスチックやプラスチック使用製品を設計、製造する事業者が、リサイクル、廃棄物段階までの環境負荷の状況を把握した上で、設計そして仕様に反映していく考え方ということです。ただ、これは、その資源循環法では完全にこの辺は具体化までは行かなかったわけですね。
ただ、国際的にはこういった考え方、やっぱり作る側のところである程度抑制していく、減らしていくということをしなければなかなかこれ使用量も減っていかないわけですから、国際的には広まってくる考え方だというふうに聞いていますけれども、これに関して、大臣、今、国内での考え方若しくは対応というのはどういったものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/92
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093・山口壯
○国務大臣(山口壯君) この拡大生産者責任、これはいろんな政策アプローチがあると思うんですけれども、二〇〇〇年に定められた循環型社会形成推進基本法においては、関係主体がそれぞれ適切に役割を分担した上で、製造事業者は製品の製造段階や廃棄段階において循環型社会形成のための責務を有するということとされています。
また、プラスチック資源循環法でも、同様の考え方の下、製造事業者に対して、プラスチック使用製品設計指針というものがあって、それに即してプラスチック使用製品の環境配慮設計を行うこと、それから、自ら製造したプラスチック使用製品の自主回収、再資源化を率先して実施することを定めています。こうした製造事業者の取組を含め、プラスチック資源循環法では、プラスチック製品のライフサイクル全般でプラスチックの資源循環を促進することとしています。
おっしゃるとおり、ヨーロッパ等では、製造元から、一番上流からいろいろと規制していこうという考え方が強いようですね。この間のUNEAの会議で、これから秋にかけて議論が始まるんですけれども、その法律作って、法律というか枠組みをつくっていきます。我々は、いろんな途上国も含めてできるだけ幅広い網掛けたかったものですから、ヨーロッパの方では割とそうやって厳しいところから行くんですけど、それだとなかなか全部を網掛けられないだろうということで、できるだけいろんな国が参加するようにということでやりました。
だから、考え方の違い、少々あるんですけどね、あるんですけど、おっしゃられたこともできるだけ踏まえながら、その法律的な枠組み、法律というのは条約的な枠組み、それも含めて、日本としてリードしていこうというふうにしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/93
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094・清水貴之
○清水貴之君 確かにおっしゃるとおり、なぜこれだけプラスチックが世の中広まったかというと、便利だからですよね。もう非常に安価に作れて、いろいろ便利に使えるからといってこれだけ広がっているわけで、今それを逆に歯止め掛けていこうという話、これはおっしゃるとおり、途上国などからしたら我々はやっぱりまだそこの段階まで至っていないということもあるでしょうから、こういった枠組みというのは本当に大切かなというふうに思います。
先ほどお話、大臣からも最初いただいたマイクロプラスチックの健康への影響についても質問をしたいというふうに思います。
マイクロプラスチックの健康への影響、非常に大きいんだろうなというふうに想像はいたしますが、なかなかこれも実態が分かりにくいところありますね。特に、海の中なんかに流れ出てしまったものというのはなかなかこれ調査とか研究というのも進みにくいんではないかなというふうに思います。
ただ、こういったものが食物連鎖の中に取り込まれますと、生態系への影響というのが大変懸念されるわけですから、しっかりとここも事例を集めて研究をして対策を取っていくということが大事だというふうに思うんですけれども、これについて環境省はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/94
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095・松澤裕
○政府参考人(松澤裕君) お答え申し上げます。
マイクロプラスチックが生態系や人の健康に及ぼす影響を懸念する声があること、これは環境省の方では受け止めております。それで、先ほど大臣申し上げましたように、国際的な枠組みづくり、海に出て、プラスチックが出てマイクロ化しないように日本としてリードしていくと、こういう形で先取りして取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
これまでの国内外の研究では、人への健康影響を含めまして自然環境下でのマイクロプラスチックによる生態系への具体的な影響、これが確認されるには現時点では至っておりません。
また、人への健康影響については複数の国際機関が検討しておりまして、例えば、国連食糧農業機関、FAOでございますが、魚介類からマイクロプラスチック経由で摂取する化学物質の量は食品全体で摂取する化学物質の量の〇・一%未満であるとし、ナノプラスチックについては現状では十分な知見が得られないとしております。それから、国連が設立した海洋環境保全の科学的側面に関する合同専門家グループというのがございまして、そこでは、現在観察されているマイクロプラスチックの環境濃度では、知識は限られているけれども人への健康リスクは低いということが示唆されると、このようなことを報告されています。世界保健機関、WHOも、飲料水を介したマイクロプラスチックの摂取による人への健康リスクは小さいとした上で、更なる研究が必要との報告をまとめております。
このようなことを踏まえまして、環境省では、令和三年度から海洋プラスチックごみによる生態影響などの評価に向けた検討を始めているところでございます。引き続き、生態へのリスク評価手法の検討や人の健康影響に与える最新の知見、こういったものについて蓄積に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/95
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096・清水貴之
○清水貴之君 日本はやはり海洋国家ですから、この辺りでも是非、議論若しくはそういった調査などをリードしていっていただきたいなというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/96
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097・山下芳生
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
今日は水俣病について質問いたします。
水俣病不知火患者会会長だった大石利生さんは、かつて参議院法務委員会で自らの症状を語られました。大石さんは、三十代の頃、交通事故に遭い、ガラスの破片が足の裏から甲まで突き抜けましたが、痛みを感じず、血だらけの足を見るまでけがに気付きませんでした。また、お孫さんをお風呂に入れてあげると大声で泣き出した。お連れ合いが湯舟に手を入れると、あなたはこの子をゆで殺すつもりかと言われた。自分で五十度のシャワーを浴びてみたが、熱いとは分からなかったそうです。ほかにも、朝起きたときから頭が重い、よく物を落とす、よく転ぶ、家事も仕事もよく失敗する、手が震える、口が回らずしゃべりたくない、少し疲れたらこむら返りで激痛を覚える、夜は耳鳴りで眠れない、やっと眠れたのにこむら返りの激痛で起こされ朝まで眠れないなど、様々な症状が出るとのことでした。
山口環境大臣、水俣病と認定されていないが、こうした感覚障害など様々な症状に苦しむ被害者が多数存在することについてどう認識されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/97
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098・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 先日も、中村房代さんという方でしたけれども、環境省でもって、いろいろ公害の被害者の方々と一緒にお話を聞かせていただきました。
水俣病は、環境が破壊され、大変多くの方が健康被害に苦しまれてきたと、そういう意味で我が国の環境問題の原点です。行政としてはこれまでできる限りの努力をしてきましたけれども、今なお認定申請あるいは訴訟されている方が多くいらっしゃるという事実は重く受け止めています。その意味で、環境省としては、地域の人々が安心して暮らせる社会を実現するために、公害健康被害補償法の丁寧な運用とともに、地域の医療、福祉の充実や再生、融和などに取り組んでいきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/98
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099・山下芳生
○山下芳生君 水俣病はメチル水銀を魚を介して摂取することによる食中毒であります。ところが、一九五六年五月、水俣病発症の、発生の公式確認以来、食中毒としての対応が行われませんでした。
実は、一九五七年八月、熊本県は、水俣湾産の魚介類を摂取したための食中毒として対応しようと考え、食品衛生法適用の可否について厚生省に照会しています。その熊本県の判断の根拠となったのが、資料一でお配りしている熊本大学医学部公衆衛生学教室が行った疫学調査であります。その結果をまとめた、水俣地方に発生した原因不明の中枢神経系疾患に関する疫学調査成績を資料にいたしました。
これ読みますと、まず感染症の疑いについて検証し、これを否定した上で中毒症を疑っています。そして、患者発生の様相から、六ページ右上から四行目ですが、本症が中毒症とすれば、これら地域に特殊の共通原因による長期連続暴露を受けて発症するものと認められるとしております。
続いて、地域に特殊の共通原因について検討します。飲料水の汚染の疑い、農作物の汚染の疑いについて一つ一つ検証し、いずれも否定した上で、最後九ページ右、要約の五にあります、特に漁家に患者発生は多く、家族集積率は四〇%と極めて高率である、また同地域飼育の猫は同様の症状で多数へい死している。そして、要約六、その共通原因としては汚染された港湾生棲の魚介類が考えられると結論付けております。
私、全部読みましたけど、非常に科学的で説得力のある調査報告だと思います。水俣病の公式確認直後、既に熊本大学医学部公衆衛生学教室は、水俣病の共通原因は水俣湾の汚染された魚介類と考えられると見抜いていたということであります。
この疫学調査を基に、熊本県は、食品衛生法を適用し、魚介類の販売、採取、捕獲を禁じる方針を固め、厚生省に食品衛生法適用の可否を照会いたしました。ところが、厚生省は、食品衛生法は適用できないと回答したんです。
厚労省、当時適用できないと回答した理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/99
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100・武井貞治
○政府参考人(武井貞治君) お答え申し上げます。
御指摘の一九五七年当時の食品衛生法第四条第二号においては、有害な、又は有害な物質が含まれ、又は付着しているものと規定されており、有毒な物質が含まれる食品については同号の規制対象となっておりましたが、その疑いのある食品についてはいまだ同号の規制対象となっていない、そういう状況でございまして、当時、水俣湾内特定地域の魚介類全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められなかったため、当該特定地域で漁獲された魚介類に対して、当時の食品衛生法第四条第二号を適用できないと判断したところでございます。
なお、平成十六年の水俣病関西訴訟の最高裁判決においても、食品衛生法等、厚生労働省関係の法律に基づく国の責任は司法上否定されたところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/100
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101・山下芳生
○山下芳生君 あのね、全てが有毒化しているという明らかな根拠は認められていないとおっしゃったんですけど、それ調べるのが食品衛生法に基づく調査だと思いますよ。調べなきゃ分からないですよ。
それから、一九四九年、静岡県浜名湖のアサリがなぜか有毒化、それを食べた周辺住民から多数の死者が出ました。静岡県は、原因不明のまま食品衛生法四条を適用し、住民がアサリを食べないようにした結果、新規の患者や死亡者は発生しなくなっていた。これは、根拠が明らかでなくても食品衛生法を適用し、被害拡大を防止できた例があるんですよ。だから、当時の水俣での判断は私は明確な誤りだと思う。
逆に聞きますが、全て有毒化している明らかな根拠が認められた事件、過去にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/101
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102・武井貞治
○政府参考人(武井貞治君) お答えいたします。
通告がないので、今の質問に対しては手元に資料がございませんが、先ほど申し上げたとおり、この食品衛生法のその規定に基づく判断でございますけれども、それは、明らかにですね、有害な物質が含まれ、又は付着しているものというふうに規定されておりますので、当時もこの規定に基づいて判断したものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/102
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103・山下芳生
○山下芳生君 全然説得力ないですよ。
私、この熊大医学部の疫学調査見せましたよね。いろんな調査をやって、やはりもうこれは水俣湾にすむ魚介類が原因食品だと。まだ原因物質は分かりませんよ。原因食品は特定しているんですよ。それを調べて何が原因物質かを明らかにしなければ、根本から絶てないんですよ。そのための食品衛生法なのに、その適用を拒否した。私は、これは非常に責任重大だと思いますよ。全部の原因物質が明らかになっている例、挙げられないじゃないですか。もう六十年も前から問題になっているのに、一言もいまだに、通告がないからというのは、ないんですよ。私は本当に罪が深いと思います。
罪深さを二つ言います。
一つは、適用させなかったことによる罪深さ。第一に、原因食品である水俣湾内の魚介類について、販売又は販売のための採捕の禁止とならず、その後、被害が拡大したということです。
第二は、原因物質が明らかにならず、水俣病の公式確認から十二年間もメチル水銀が排出され続け、その間にチッソのアセトアルデヒドの生産量が三倍化するなど、被害を大きく拡大したということであります。資料三に、チッソがいかに水俣病の公式認定以降もアセトアルデヒドの生産を増やしたか、書いてあります。このアセトアルデヒドの生産の際に、触媒として水銀を加えてメチル水銀が副生されるんですね。何の処理もされないまま、排水として放出されていたわけですよ。
大臣、罪深いと思いませんか。このとき適用されなかったことによって、被害がううんと拡大しちゃった。私は、先ほど水俣病は環境問題の原点だとおっしゃった、だったら、この二つの教訓を深く胸に刻んで、二度とこういうことが起こらないように努めるのが環境大臣の使命だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/103
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104・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 当時のいろいろな知見、あるいはもう当時からいろんな感覚がある意味で進化してきているんだと思います。その中で、この例えば水俣病に対しても、公害健康被害補償法による認定から始まって、平成七年の政治解決あるいは平成二十一年の政治解決と、徐々に徐々にいろいろと広げてきているところですけれども、先ほど予防的な取組の話も議論になりました。
ですから、そういう意味で、これ二度と起こさないようにという趣旨で、そういうところも振り返りながら、我々、二度と起こさないようにやっていかなければいけないな、それが、環境省がこの水俣病が原点だと、環境省の原点だと言っている肝のところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/104
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105・山下芳生
○山下芳生君 二度と起こさないために、この食品衛生法の適用しなかったことの罪深さを自覚する必要があると思うんです。
先日というか昨日ですね、公式確認から七年後の一九六三年生まれの胎児性水俣病患者、松永幸一郎さんから直接お話を伺いました。国が経済よりも人の命を重要視して排出を止めていたら自分の発症はなかった、違う人生を歩んでいたかもしれないと、こういうことでした。本当に深く受け止めなければならない。
食品衛生法に基づく対応が止められた下で、熊本大学医学部水俣病研究班は、原因物質、病因物質を明らかにすることに注力しました。そして、イギリスのメチル水銀農薬工場で起こった中毒を報告したハンター・ラッセル症候群と水俣病患者の症状が似ていることから、メチル水銀が原因であることを根拠付けました。
環境省、ハンター・ラッセル症候群が報告されたイギリスのメチル水銀農薬工場での中毒患者の人数は何人ですか。その人数だけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/105
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106・神ノ田昌博
○政府参考人(神ノ田昌博君) ちょっとお時間いただければと思うんですが。
ちょっと読み上げさせていただきます。この工場では、十六名の労働者がメチル水銀に暴露されましたが、中毒症状を示したのは四名のみであって、他の十二名は何らかの症状も呈していなかったと、そのような記載がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/106
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107・山下芳生
○山下芳生君 ありがとうございます。
たった四人なんですよ。ハンター・ラッセル症候群から、私は、原因物質がメチル水銀であることを突き止めたことは評価されるべきだと思います。しかし、メチル水銀中毒の症状を狭く捉え、劇症型患者であるハンター・ラッセル症候群の症状がそろった者だけを患者と認めたことには大きな問題があったと思います。そろっていない者は水俣病と認められなくなったんです。こうして、水俣病患者は重症者だけだという誤ったメッセージが伝わってしまい、その結果、冒頭紹介した大石さんのように、日常生活に支障を来す感覚障害がありながら、多くの患者が自分は水俣病でないと思っていた。患者自身に自らがメチル水銀中毒であることを分からなくした。
大臣、メチル水銀中毒患者の症状を狭く定義してしまった、この点も大きな問題と私は考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/107
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108・山口壯
○国務大臣(山口壯君) この二度の政治解決、平成七年とそれから平成二十一年の政治解決によって、ある意味で、この公健法の枠外で広く救済というところもあります。
したがって、今、山下先生の言われたようなところも踏まえての、できるだけそういうことで、きちっと対応したいなということで今来ているんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/108
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109・山下芳生
○山下芳生君 実は、一九七七年、昭和五十二年に通知された判断条件、これが今も生きております、患者の認定にはですね。しかし、この判断基準は、メチル水銀に汚染された魚を食べた人々の健康状態、すなわちどのような症状がどのぐらいの割合で出ているのかなどを調べないまま決められたものであります。その結果、多くの患者がこの判断条件によって公健法による認定申請を棄却されたために、今大臣おっしゃったように、八〇年代以降、水俣病と認めよという裁判が起こされているわけですね。これもやはり、水俣病の病状を狭く定義してしまったことが根本にあります。
資料四を見ていただきたいと思います。
この表の一番上が公健法による認定患者です。この二千九百九十九名だけが正式に水俣病と認められております。その次の一九九五年の政治決着、これは裁判で水俣病と認めよと求めた患者が、水俣病とは認められないものの、メチル水銀に汚染された魚を食べ、四肢の感覚障害が認められた患者に一時金と医療手帳が交付されたものです。その次の特措法、二〇〇四年に関西訴訟で国と熊本県の責任が認められると、新たに認定申請をする患者が増えたことで、二〇一〇年、水俣病の特措法が施行されて、水俣病とは認められないものの、メチル水銀に汚染された魚を食べ、四肢の感覚障害等が認められた患者に一時金と被害者手帳が交付されました。
こういう患者になれない被害者がたくさん生まれて、何らかの救済されたわけですが、一番下の欄、公健法で認定されない者、合わせますと、被害者手帳だけの方も含めると合計で七万人近い患者が水俣病とは認められないものの何らかの救済を受けることになったということでありますが。
さらに、資料五を見ていただきたいんですが、ちょっとこれは数字になります。
この表で、メチル水銀暴露地域と書いてあるのは水俣市のことであります。で、暴露地域の四肢の感覚障害ありと書いているのは特措法で一時金該当となった方であります。特措法の対象は二〇一〇年時点で四十歳以上ですので、四十歳以上の水俣市民で通常のレベルを超えるメチル水銀の暴露を受けた可能性があり、四肢末梢優位又は全身性の感覚障害、あるいは四肢末梢優位の解離性の感覚障害がある者と公式に認められた方であります。それが水俣市で六千四十六人おられました。
それから、暴露地域の四肢の感覚障害なし、その下のCの欄ですけど、これは二〇一〇年の国勢調査の水俣市の四十歳以上の人数一万八千九十二人からこのAを引いた数であります。一万二千四十六人となるわけです。
ここで問題は、この水俣市でこの感覚障害を発症したのは実際メチル水銀暴露のせいなのかどうなのか、これよく分からないですね。そこで右側のメチル水銀非暴露地域、これは熊本県内の暴露と関係ないM町での調査であります。同じようにやりますと、三人と千二百六十七人、このM町の方は資料が六十歳以上の健康の調査しかありませんので、より高齢者の中での割合になっていますから、本来高く出るはずの数字であります。
これを比較しますと、オッズ比って書いてありますけれども、C分のA割るD分のB、これは二百十二倍です。これは相対危険度と呼ばれております。これを使って、メチル水銀暴露によって感覚障害が引き起こされた確率、すなわち、暴露されなければ障害が引き起こされていない方々の割合を暴露寄与、暴露群寄与危険度割合といいますけれども、九九・五%となります。この数式は、二百十二マイナス一を二百十二で割るということになるんですけれども、原因確率とも呼ばれますが、九九・五%ということになっております。
で、これは水俣市だけではありません。続いて、資料六を御覧になっていただきたい。
ここにあるように、芦北町でも津奈木町でも上天草市でも天草市でも、四肢の感覚障害が五%から六八・六%と高率で認められています。先ほどのM町の場合は〇・二四%ですから、極めて高いということが分かります。それぞれの暴露群寄与危険度割合、原因確率にしますと、右に書いています、みんな九五%以上。津奈木町に至っては九九・九%ということになっております。
これは、メチル水銀暴露と四肢の感覚障害との因果関係が極めて明瞭に出たということだと考えなければならない、そう結論付けなければならない数字ですが、大臣、そういうことになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/109
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110・神ノ田昌博
○政府参考人(神ノ田昌博君) ただいま御指摘いただいたデータ等については、現在係争中の訴訟に関わることでございまして、この場での答弁は差し控えさせていただければと存じます。まさに裁判の場で係争中ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/110
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111・山下芳生
○山下芳生君 逃げたら駄目だと思うんですね。
ずっとこの問題でたくさんの方が切り捨てられてきたんですが、一般論として聞きましょう。
こういうオッズ比、オッズ比を出して、その群に対する危険寄与度というものを出すやり方は、私は、例えばワクチンの有効率を計算する場合にも使われているわけですね。普通に使われる計算方法だと。科学的根拠になるわけです、九九とかいうのは。九九ってすごい高いですよ、ワクチンの有効度は五〇%以上になれば有効だというふうに言われているわけですから。そうじゃないですか。
一般論として、このオッズ、危険度、寄与度というものについてそういうことで使われるという点、御自覚ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/111
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112・神ノ田昌博
○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
そういったオッズ比等につきましては、水俣に限らず、いろんな制度ございますけれども、その中で、そういったデータに基づき、対象疾病をどうするか、対象地域をどうするかといったことを、その設定に用いられているということは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/112
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113・山下芳生
○山下芳生君 そうなんです。一般的に用いられるんです。
で、資料七、環境庁の大石武一長官のときから、定型的な症状がなくても、五〇%以上水俣病が疑われる場合は水俣病と認めると言ってこられました。資料八、平成八年には、保健企画課長が、水俣病である蓋然性が高度な者だけでなく、その蓋然性が半分以上ある者については認定だと言っております。
そうであるならば、なぜそれが認定されないのか。判断基準が間違っているというふうに言わざるを得ない。メチル水銀とこれらの症状の因果関係は明確だと思います。
資料九には、ほかの公害病や職業病の原因確率が五〇%以上だったら因果関係ありと認められているという表も指摘しておきました。
大臣、もう最後、時間ありませんから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/113
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114・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 山下さん、申合せの時間が参りましたので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/114
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115・山下芳生
○山下芳生君 はい、分かりました。
是非、こういう数字はもうあるんですから、調査すべきじゃないですか。ちゃんと調査して、今からでも最初の、初動の間違いを正す。まだたくさんの方、御存命で苦しんでいるんですから、これが原点だということの証左になるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/115
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116・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 時間が参りましたので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/116
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117・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 水俣病特措法の三十七条一項で、政府は、メチル水銀が人の健康に与える影響等に関する調査研究を行うことと規定されています。また、三項で、そのための手法の開発を図るものとされています。これに基づいて、メチル水銀の影響を客観的に明らかにする手法の開発について本年秋までをめどに、どこまで手法の精度が上がるかも含めて、まずその成果の整理を行う予定です。
今おっしゃっていただいたことの気持ち、十分受け止めているつもりです。その意味で、これからどういうふうに、オッズというのはちょっと難しくて、私も正直、済みません、今完全には理解できていないかもしれませんけれども、いろんな意味で、その直接のことでなくても、今順番に政治解決で平成七年あるいは平成二十一年と来ていますので、そういう意味で、この三十七条のこの調査研究というものもこれから整理をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/117
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118・山下芳生
○山下芳生君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/118
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119・寺田静
○寺田静君 寺田と申します。本日もよろしくお願いいたします。
私は、本日は、これまで一般質疑などでお伺いをさせていただいたことで、またもう少しお伺いをしてみたいと思うことについて質問させていただきたいと思います。
一つ目ですけれども、今、山下先生からのお話もいろいろありましたけれども、公害問題のことについてお伺いをしたいと思います。
常々、この公害問題に関しては環境省の一丁目一番地だとか環境省の不変の原点だというふうに歴代の大臣もおっしゃっていますけれども、ただ、私もこの間、様々な質疑を聞いておりまして、どうもそういうふうには感じられないというのが正直なところです。役所の皆さんは各々努力をしてくださっているというふうに思いますけれども、環境省全体として見たときに、その過去の様々な議員に対する答弁からは、その被害者の声に真摯に向き合って、これから一つも公害を出さないと、疑わしきものは未然に防ぐと、一人でも、少しでも被害が軽いうちに済むように対処しているというふうには私には感じられないんです。これがどうしてなのか、大臣がまだ、その大臣になられて何年もたっているというわけでもないですので、大臣になられてそんなに時間がないうちに聞いてみたいとずっと思っておりました。
この公害問題に関して、大臣もそうですけれども、ほかの課題に関しては様々御自身の言葉で前向きな答弁をいただいているにもかかわらず、この公害問題になると突然、そのまま、作られた答弁をそのまま一言一句間違わずに読むというようなところが私には見られるように思えて、これがどうしてなのかなと。どうして、この役所の作った答弁原稿から一ミリもはみ出さないというような気概しか感じられないというような感想を持つのはどうしてなのか。びた一文公害問題に関しては譲らないと感じられるその理由を教えていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/119
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120・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 公害健康被害対策は環境省の不変の原点です。その公害の未然防止について、環境を保全する上で維持されることが望ましい基準である環境基準の設定や必要な規制措置を講じています。また、公害健康被害補償法に基づく認定患者への補償給付や公害保健福祉事業の実施によって、その公害健康被害者の迅速かつ公正な保護及び健康の確保を図っているところです。引き続き、環境基本法の下での法制度と科学的知見に基づき、人の健康を守り、それから豊かな環境を保全するべく取り組んでいきます。
これ裁判がありますから、そこは御理解いただければと思います。その中で、この裁判についても、平成七年の政治解決、あるいは平成二十一年の政治解決、順番にこの対象を広げさせていただいていると。そこは、先ほど申し上げたメチル水銀健康影響調査、これは三十七条の一項と三項というところがあるんですけれども、そこで今整理をしているというところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/120
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121・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
大臣も、御自身でも不思議に思われないのかなと私は感じるんです。私も三年前までこの世界にはおりませんで、で、入ってきて初めて聞くと、三月の市田議員の御質問に関してもそうでしたけれども、メチル水銀が人の健康に与える影響を客観的に明らかな、明らかにする手法の開発に取り組んでいるというような御答弁があって、これ六十年以上もたって、今そのことをやっているのって、私はすごく、えっ、今頃、今まで何をしていたんだろうというのが率直な思いでした。
今の御答弁にもありましたけれども、やっぱりずっと答弁書をほとんど読んでいらして、そして係争中であるということを理由に分かってほしいというふうに述べられると、これは本当に一丁目一番地と思っておられるのかなと。こういうことでは、私は、国民の安心、安全というのは担保されないんではないかなというのがすごく率直に疑問に思うんです。家庭の中で食卓を守っていると、ちょっとでも危ないと思うようなものは食卓に載せないというようなことをするわけで、国全体としてはそれを担うのは環境省であると私は思っておりますけれども、率直なこの私の疑問に答えていただけないでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/121
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122・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 繰り返し、やっぱり裁判かかっている以上、余り思い付きのことは言えません。その中で、環境省としてできるだけ、要するに、先ほど申し上げましたね、科学的知見があるから、それによって遅れることがないようにと。
私自身も来させていただいて十か月ですけれども、環境省の職員の方々一人一人、物すごくバイタリティーを持って仕事をしていただいています。それから、それぞれ一人一人が善人です。その意味で、我々、できる限りのこの気持ちの受け止め方させていただいて、そしていろんな省庁連携しながら、お互いの立場、お互いの立場というのは、その被害者の方々の立場、そしてまたどういうふうに行政を進めていくかという立場、その辺を、環境省、できるだけ予防的な取組という観点交えながらやっていかなければいかぬなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/122
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123・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
まだ納得のいかない思いは残りますけれども、先ほど青木議員の石綿に関する御質問の中でもあったと思いますけれども、この予防原則に関してもお伺いをしたいと思います。
大臣もその予防原則に沿って少しやるんだというようなことを答弁もされていたかと思うんですけれども、この予防原則、欧米を中心に取り入れられてきている、化学物質や遺伝子組換えなど新技術に関して、人の健康や環境に重大かつ不可逆的な影響を及ぼすおそれがある場合、科学的に因果関係が十分に証明されない場合でも規制措置を可能にする制度や考え方のことで、一九九二年のリオ宣言でも、原則十五で予防原則について以下のように記されています。環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならないと、深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれのある場合には、完全な科学的確実性の欠如が環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならないというふうに書かれていて、ちょっと難しいなと思うんですけれども、科学的に黒、完全に黒だと言えないことをもって対策を先送りにするな、対策を先送りにすることの言い訳にしてはならないということを言われているんだと思います。
この数々の公害問題の対応もそうですし、今様々、先日来、山下議員からもPFOS、PFOAの指摘もありましたけれども、こうした問題に関してこの予防原則の考え方が十分に使われているとは私は全く思えないんです。この予防原則の考え方、本当に利用されているというふうに思われているのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/123
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124・山口壯
○国務大臣(山口壯君) その予防の考え方については、国際的には、環境影響が懸念される問題に関して科学的に不確実であることをもって対策を遅らせる理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら予防的な対策を講じるとの考え方が定着しており、様々な国際条約においても採用されていると承知しています。
我が国においても、環境基本計画で予防的な取組方法を原則の一つとして位置付け、地球温暖化対策、生物多様性の保全、化学物質対策、大気汚染防止など、様々な環境政策における基本的な考え方としています。例えば、生物多様性基本法では、予防的な取組方法を旨とする規定を置いています。環境省の不変の原点である人の健康や環境を守るとの目的に向けて、予防的な取組方法の考え方に基づく施策を推進、展開してまいります。
私、最初通ったのが二〇〇〇年ですけれども、当時、スターリンクという遺伝子組換えのトウモロコシについて話題にさせてもらいました。それ、トウモロコシを虫が食わないように、虫が食ったらいわゆる消化器官を壊してしまうと、だから虫が食わないと、そういうトウモロコシですけど、じゃ、虫が食って死ぬようなトウモロコシ、人間が食って大丈夫でしょうかと、そういういろんな疑問を呈させてもらいました。それを、要するにアメリカなんかでも、外見が一緒であればそれはオーケーと。そうしたら、トウモロコシ、外見がオーケーだからそれはオーケーと。結構厳しいアメリカでもそうなっていると。そうしたら、日本の場合は、そういうことでスターリンクのトウモロコシはばんばん入っているんですけど、じゃ、あれから二十二年、じゃ、どうなったかと。まだ分からないんですね。だから、その気持ちはよく分かります。
だから、そういう気持ちを持ちながら、やっぱりできるだけ、しかし科学的知見に基づいてというところも大事ですから、そういうバランスの下で、まあ環境省はいろんな役所の中でも予防的な取組に対して敏感なところだと思います。ですから、その辺は大事にしながらこれからもやっていかないかぬなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/124
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125・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
予防の原則を大切にするということであれば、先ほど私が申し上げましたこの市田議員への答弁、メチル水銀が人の健康に与える影響を客観的に明らかにする手法の開発に取り組んでいるというのは矛盾をしているんじゃないかなと私には感じられるんです。
先ほども、大臣も、二度の政治的解決がこの水俣病に関しては図られているというふうにおっしゃっておられましたけれども、まさしくこの政治的解決、もし役所がこの慣性の法則の中で動かないのであれば、是非この政治的決断で解決を図っていただきたいというふうに思います。
次の質問に移らせていただきます。
エネルギー問題のことについてのお伺いをしていきたいと思います。
五月二十四日の私の質疑の中で問わせていただいたんですけれども、再エネと原子力発電の相性が悪いという問題、これは五月十九日の参考人質疑の中で述べられたものでありましたけれども、この相性が悪いというところへの答弁の中で大臣は、再エネと原子力発電の相性については、例えば蓄電池や水素などの蓄える技術のイノベーションを用いて、余った電気を貯蓄するなど解消しながら、可能な限り原発の依存を低減していくというようなことを答弁としていただいております。
この答弁があるとすればなんですけれども、やはり再エネと原子力の相性が悪い、現状では悪いんだということは同意をされているということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/125
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126・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 電力の安定供給というものが絶対これ必要ですから、今、例えばいい天気のときには太陽光で電力が取れる、だけど雨が降ったり雪が降ったら取れないと、そういうところを解決するのは安定した電力供給、それの一つが原発という意見の人も多いですね。
それから、蓄電池の仕組みがもっとたくさんきちっと整えば、それはどんどん今進化していますけれども、整えばその再生可能エネルギーを蓄電して、水素なんかでも蓄電できる仕組みがだんだんできているようですけど、その中でいわゆる安定的な供給が図れる、原子力の役割も図れるかもしれないと、そういう趣旨で申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/126
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127・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
安定的供給については、もちろん私も大事だと思っております。以前からも申し上げておりますけれども、どうしても足りないんだとなるのは年間の数日であって、そこのピークの数時間であるんだと。そうすれば、そういうところを蓄電池で何とかやっていけないのかなと、また、その他の技術でやっていけないのかなと私は思うんです。
五月十九日の参考人質疑の中で、山下参考人の方から、原子力はやっぱりもう高くなってきていると、そして再エネは安くなってきているということも言われました。
現に、私の地元の秋田県沖の洋上風力ですけれども、三つの地域で三菱商事が受注を総取りしまして、これまでの、従来の価格の二分の一から三分の一の価格を実現をしています。これは様々な国の制度や仕組みを活用して、知識を絞ってこの価格を実現をしたということでありましたけれども、このように再エネは日本でも安くなってきているんだと私は思うんです。
山下参考人の方からは、政策的には原発をこれからも進めるところもあるだろうと、それは既に依存しているところが続けていくところがあるだろうけれども、ただ、日本では、その合意形成も含めても、価格の優位性を考えても、本当に電力会社もやりたいのかと、そういう点で疑問符が付くというふうにおっしゃっています。
更に言えば、ドイツの事例ですけれども、再エネを最も優先して、残りの需要と再エネの間の残余需要というものをいかに重要に供給するかというフレキシビリティーというのが最も重要で、ベースロードという概念は存在しないと、そういう点で、既にベースロードには原子力だという議論はちょっと古い議論になってきているというふうにおっしゃっています。
このベースロードには古い、ベースロードは原子力は古いという議論について大臣はどういうふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/127
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128・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 今、ドイツは緑の党とか、そういうことで、いろんな意味で環境に対して先進的な考えを持っている。他方、その中でもウクライナにロシアが侵略した中で、石炭の使用率がどおんと跳ね上がっていると。
私は、先ほどのそのベースロードについての考え方はないというのは、もしもそうであれば、ドイツとフランスとの間の電力のグリッドは断ち切るはずですよ。断ち切っていない、それはフランスが七割から八割の原発でもってエネルギーを賄っている、ドイツは足りなくなればそこから融通してもらうと、それがあるからこそ、そういう話もあり得るんだと思います。
だから、そういう意味では、やっぱり日本が再生可能エネルギーだけで全部やれると、私はそれが理想だと思います。他方、まだそういう仕組みができていないから、じゃ、その間どうするかと、足りなくなったときに近隣の韓国とか中国から賄える仕組みがあるかと、全くないわけですね、今そういう電力のそのグリッドというのは。
だから、それはない以上、その現実を受け止めれば、どういうふうに安定的なその供給システムを確保していくかというところで、今の再稼働については原子力規制委員会がどういうふうに判断するか、それを尊重していくということで、安全を最優先、原子力規制委員会の判断を尊重、その中で我々は再エネの最大限の導入、そして結果的に原発の比率が下がっていくことになるだろうと。
他方、やっぱりその去年の十月に決めた数字では、原発を二〇から二二に、六だったものを二〇から二二に、それから再エネも一八だったものを三六から三八までにという、そういう中での話です。ですから、原発についても、どういうふうに今あるものを原子力規制委員会の判断を尊重していくか、そういう中でのこの再生可能エネルギー、これ両者相まってというところがあるんだと思います。だから、安定供給というのはそのいろんなエネルギーの、いわゆる再生可能エネルギー以外も含めた多様な選択肢をどうしても確保しておかないと、安定供給というのはまだできていないのかなということだと思います。
それから、将来的には、この蓄電の仕組みあるいは水素を使ったそういう蓄電の仕組み、そういうことを整えていくことによって、再生可能エネルギーのこの使用を増やしていくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/128
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129・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
やっぱり、今のお話を経てもなお私がちょっと疑問に思うのは、結局その今ベースロードとして原子力を使い続ける限りにおいて、今足りているから再生可能エネルギー供給大丈夫ですというふうにしていくんであれば、最大限増やして、再エネを増やしていくというところとどういうふうに両立していくのかなということを疑問に思うんです。やっぱり、低減を進める、そのベースロードという考え方をやめない限り、この再エネを最大限活用していく、増やしていくというところは私は図られていかないんではないかなというふうに思います。
次に移らせていただきます。
生ごみのリサイクルのことについてもう少し聞かせていただきたいと思っております。
この間、様々なところに聞き取りをしておりますと、自治体によっては燃えるごみのごみ袋を有料化をしているということがありまして、これは建前としてはごみの減量を主眼として行われているのでありますけれども、内実は、実はごみ処理場の維持管理や建て替え費用のために特別会計のような扱いに自治体の中ではなっていて、つまり、ごみが減ると実際には建て替え費用が捻出などが難しくなるので、実は減ると自治体は困るというのが実際のところではないかという指摘もいただきました。この矛盾を環境省としてどういうふうに解決をするのか、知恵を絞らなければいけないのではないかなと私としては感じております。
もちろん、参考人としてお越しくださった真庭市長のように、真摯にこの気候変動やあるべき論に沿って市政運営をする方が自治体の長であればいいんだと思いますけれども、ただ漫然とこれまでどおりに進めるという慣性の法則の中では、なかなかその自治体には生ごみを減らそうというインセンティブは働いていかないのかなというふうに思うんですが、ここの矛盾をどういうふうに解決したらいいものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/129
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130・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 廃棄物を減らしていくという大きな問題が昔からございます。実際に、統計的には減って、排出量自体は一般廃棄物は実は減ってきているところではございますけれども、そういう中において幾つかの手法があって、委員御指摘のように、ごみ袋を有料化するということで減量化を図っている自治体も聞いております。ただ、その場合に、何年かするとリバウンドが起こったりとか、そういう場合もございます。
委員御心配になっていらっしゃる、そもそもそれがその市町村の収入源になってやめられなくなっているのではないかという点については、私は必ずしもそうではないのではないかというふうに思っておりまして、つまり特別会計でやっているわけでは、つまり企業会計でやっているわけではございませんけれども、実際上、その廃棄物処理施設の運営はかなり負担になるものでございますので、これは御指摘いただいたかもしれませんが、逆に言えば、市町村にとってみれば、減量化されて、そういった収集、運搬の作業のそういう人件費であるとか施設運営費とかが減っていくことがやはり、そのほかの部分に市町村のその財源を回せるようになるわけですから、やはりそちらが一番いいということは当然普通の首長さんであれば思い付くことでありますので、真剣にごみの減量化を図っている。中には、例えば何十種類も分別をすることによって減量化図るような工夫を、工夫と知恵を働かせておられる自治体もございますし、私、担当局長としては、そういった自治体の方が多いのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/130
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131・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 寺田静さん、申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/131
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132・寺田静
○寺田静君 はい。
ありがとうございます。
私としては、生ごみのリサイクルを進めることを通して、義務化をすることを通して減らしていくことが大事ではないかなと思いますので、御検討いただければと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/132
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133・平山佐知子
○平山佐知子君 無所属の平山佐知子です。
四月一日からプラスチック資源循環法が施行され、先ほどからも質問がありますけれども、私はプラスチックのリサイクルについて伺ってまいりたいと思います。
廃ペットボトルの二〇二〇年度の回収率は九六・七%で、リサイクル率は八八・五%と、ペットボトルはプラスチックリサイクルの優等生というふうに言われています。近年は、このペットボトルを原料に新たなペットボトルを生産するボトル・ツー・ボトル、これも急拡大しています。
飲料メーカーでつくる全国清涼飲料連合会は去年の四月、ペットボトルのうちボトル・ツー・ボトルの割合を業界全体で二〇三〇年までに五〇%を目指すと宣言しました。そのため、飲料メーカー各社は、使用済みの廃ペットボトルの回収に向けた独自ルートの開拓をしています。つまり、飲料メーカーは、自治体と個別に協定を結んで、家庭から出る廃ペットボトルを確保しようと取組を進めているというわけです。
しかし、この動きに懸念を示しているのが日本容器包装リサイクル協会、容リ協です。去年十月に容リ協から清涼飲料協会に文書が送られました。その内容は、自治体から直接飲料メーカーへというこの独自ルートの策定は容器包装リサイクル法の精神に沿っていないのではないかというものだったということです。これに対して飲料業界からは、うちの領土に入ってくるなと言っているようなもので理不尽だという声が聞こえてきます。
まず、ここで事実関係を伺いたいんですが、容リ協が問題だと言っているように、この容器包装リサイクル法の指定法人ルートによって容リ協にペットボトルのリサイクルを委託している市町村が、飲料メーカーと協定を結んで、容リ協にペットボトルを引き渡していないということなのかどうか、状況について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/133
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134・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 御指摘の容リ協の文書につきましてでございますが、市区町村が容器包装リサイクル協会に廃ペットボトルを引き渡さずに飲料メーカーに直接引き渡しているということが現実に生じているという事実はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/134
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135・平山佐知子
○平山佐知子君 事実はあるということで、まるで廃ペットボトルの争奪戦のようになってきていると思うんですけれども、この状況を環境省としてはどのように見ているのか。
平成十八年の容リ法改正では、国が策定する基本方針に、分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡し等に関する事項が追加されています。今回はこれについてどう解決していこうと考えていらっしゃるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/135
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136・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、平成十八年の容リ法改正におきまして、当時、海外、特に中国に廃ペットボトルが輸出される事例が増加していたという背景がございまして、基本方針の記載事項に再商品化のための円滑な引渡しに関する事項を追加いたしました。
当該基本方針においては、安定的な再商品化のために指定法人等に円滑に引き渡すことが重要であること、それから、指定法人等以外の事業者に引き渡す場合にあっては、適正にリサイクルを行っていることについて確認するとともに住民に対して正確な情報提供をする必要があることということを定めておりまして、この重要性は現在も変わっていないというふうに認識しております。
近年、技術の進展がございまして、ボトル・ツー・ボトルのリサイクルが広がってきております。飲料製造事業者の一部が再生原料の安定的な確保のため市区町村との協定等を行っている例もございます。市区町村が分別収集する廃ペットボトルについてこのような再生原料確保のための動きが顕在化する一方で、店頭回収されるいわゆる事業系の廃ペットボトルについては異物混入等が多い、つまり品質が良くないために、ボトル・ツー・ボトルのような高度なリサイクルが進んでいないという現状も承知しております。
そういったことを踏まえまして五月二十日付けで地方公共団体に通知を発しておるんですが、その中で、指定法人への円滑な引渡しとともに、飲料製造事業者等と市区町村が協定等に基づきボトル・ツー・ボトルの取組を行う場合において、処理の状況の確認や住民への情報提供に加えて、飲料製造事業者等と協力して、店頭回収の活用やオフィスビルから排出される廃ペットボトルのリサイクルの質の向上など、地域における包括的な取組内容とするよう通知いたしました。つまり、いろんなことをやりなさいということなんですね、きれいなものばかりではなく、つまり。
そういうことでございますので、今後は、その五月二十日付けの通知を踏まえた今後の市区町村の取組状況を注意深く見守りながら、市区町村におけるプラスチックの資源循環に係る取組を支援していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/136
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137・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
廃ペットボトルの資源的な価値がやはり高まってきているのかなということも考えます。中には、ここで容器包装リサイクル法を見直して、容リ協が介在する指定法人ルートの対象外として市場取引に任せることも考えられるという意見も出ているということなんですけれども、こうした指摘に対しては環境省としてどのような見解をお持ちなのかどうか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/137
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138・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) リサイクル自体は、これボトルに限らずですけれども、経済の市況の変化によってかなり影響を受けてくるのは確かでございまして、過去においては、ちょうど二十一世紀になるぐらいと二十一世紀になってからで、中国の方でいろいろ受け入れ始めたとかそういう背景もございますが、非常に不況になったりとか、そういうこともあって、いろんな変化がありましたが、現状の制度を維持してきたところでございます。
それで、その理由として、離島地域を始めとして近隣に再商品化事業が存在しないというような事情にありまして、引き続き処理費用が発生しているような地域が現実にございます。つまり、そういうことをやる、やれる市町村ばかりではなくて、こういう制度があって初めてリサイクル、容器包装リサイクルが回っているような自治体も存在するという、そういう事実がございます。
こうした状況を踏まえますと、市場取引に全てを任せるというのではなくて、指定法人ルートの対象とすることに一定の合理性があるというふうに私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/138
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139・平山佐知子
○平山佐知子君 分かりました。
このペットボトルですけれども、先ほど申し上げたとおり、八八・五%のリサイクル率を誇る優等生ということですけれども、二〇二〇年度の国内向け再生PET樹脂利用量調査によりますと、先ほどの水平リサイクルであるボトル・ツー・ボトルの割合はおよそ三〇%、で、その他を見てみますと、食品用トレーや事務用品などのシートになるものがおよそ四一%、衣類やインテリアなどの繊維となるものがおよそ一六・五%、輸出向けペレットがおよそ一一%となっています。
去年のプラスチック資源循環促進法の質疑の際には、当時、小泉大臣ですとか政府参考人の方から、これからはBツーBなどの水平リサイクルに取り組み、サーキュラーエコノミーにつなげていく旨の答弁がありました。容リ法に加えてプラ法、そして第三のルートとも言える飲料メーカーの協定によって、やっぱり更に廃ペットボトルの争奪戦が激しくなってしまうのではないかなというふうに懸念もされるんですけれども、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/139
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140・穂坂泰
○大臣政務官(穂坂泰君) お答えさせていただきます。
先日、私自身も、ボトル・ツー・ボトルの取組を行っているリサイクル事業者、こちらを視察してまいりました。いろんな意見交換をさせていただいたところ、やはり廃ペットボトルの安定的な確保、これに御苦労されているという現場の声もお聞きしたところであります。
先ほど政府参考人の答弁あったように、市区町村が家庭から回収する廃ペットボトルのみを争奪し合うのではなくて、店頭回収の活用やオフィスビル等から排出される廃ペットボトルのリサイクルの量及び質を向上させるなど、あらゆる主体と連携した取組とすることが重要だというふうに考えています。ですので、環境省としてもこうした取組が進むように、モデル事業やリサイクル設備導入のための支援、これに取り組んでいく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/140
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141・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
この廃ペットボトルの争奪戦が起きる理由の一つには、その他のプラスチック製品というのは用途によって形態ですとか材質がもう様々であるということが挙げられるのかなと思います。樹脂の物性がもういろいろ異なるものをまとめてリサイクルをしましても、メーカーが利用できる品質の再生プラスチックに戻すことがやはり難しいということなんじゃないかと考えます。この結果、現在の再生プラスチック市場では供給側、リサイクル事業者と需要側、メーカーのこの品質や量についてミスマッチが生じてしまっているという具合であると。
欧州では、このミスマッチを改善するために、民間がサーキュラー・プラスチック・アライアンスを発足させて、どの分野の製品で再生プラスチックの利用を促進していくのかロードマップを作成しているということも伺っております。また、欧州委員会は、自動車とか家電、それから包装容器など特定の製品について、この再生プラスチックの利用率目標を設定することとしているそうです。
我が国においても、この官民がやはり一体となって再生プラスチックの安定供給、需要確保を具体化する取組を推進していくべきではないのかと思います。そのためには、再生プラスチックの具体的な用途までを描いて進めていくべきだと思いますけれども、これ、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/141
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142・山口壯
○国務大臣(山口壯君) プラスチックの資源循環を促進するために、いわゆる再生プラスチックの安定供給、需要確保、これはもう極めて重要です。我が国においても、二〇一九年五月に策定したプラスチック資源循環戦略において、二〇三〇年までにプラスチックの再生利用を倍増するというマイルストーンを目指すべき方向として掲げています。
この四月に施行されたプラスチック資源循環法に基づくプラスチック使用製品の環境配慮設計に関する指針において、製造事業者等に対してその再生プラスチックの利用について検討すること等を定めています。また加えて、指針に適合する特に優れた環境配慮設計が行われた製品については国が認定を行って、グリーン購入法における配慮などを行うこととしています。こういうことで、民間事業者の方においても、清涼飲料業界が二〇三〇年度までにペットボトルのボトル・ツー・ボトル五〇%を宣言すると、あるいは乗用車メーカーあるいは家電メーカーにおいても再生材利用に関する定量的な目標を示されている、そういう企業も出てきていると承知しています。
このように、この環境配慮設計を促進する措置を通じて、マイルストーンの達成を目指して、製造事業者等における更なる再生プラスチックの利用拡大を促していくというところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/142
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143・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
それから、環境省は、去年七月から八月にプラスチック分別回収等に関する市区町村のアンケートを行いました。回答した千四百五十五団体のうち、法施行前からプラスチック製容器包装やプラスチック製品の分別回収、リサイクルを実施しているという自治体は三十一団体、この分別回収後に熱回収などを実施している自治体は六十六団体、五年以内に施行することを検討している自治体は八十五団体となっていて、合わせて百八十二団体が既にプラスチック製容器包装とプラスチック製品の分別回収、リサイクルに取り組んでいる又は取り組むことを検討しているという結果でした。
この千四百五十五分の百八十二といいますと一二%程度ということですが、これでプラスチックリサイクル促進されるのかどうか心配にもなってもきますけれども、これについては大臣の見解を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/143
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144・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 今おっしゃられたアンケートというのは、このプラスチック資源循環法が去年の六月に成立した直後に行われて、国が詳細な制度設計を進めている状況下でむしろ実施されたというところもあると思います。市区町村における判断材料が十分でない中で、百八十二団体から前向きな回答があったということでは一定の評価をしていいんじゃないのかなというふうに思います。
今年四月一日に施行されたわけですけれども、市区町村には、容器の包装に加えてプラスチック製品についても分別収集、リサイクルの努力義務が課されているというところも背景としてあります。その政省令、告示の公布、各種手引の公表によって市区町村における制度に対する理解も深まってきており、さらに、特別交付税措置や市町村モデル事業等の支援措置も踏まえて本格的に検討していただける状況になったと認識しています。
環境省として、引き続き、市区町村への技術的、財政的支援を進めて、市区町村の最新の動向を把握していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/144
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145・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
このアンケート、先ほど御紹介したアンケートは法施行前のことでということで、それからまた四月一日からということで、施行はもう四月一日からなので、まだまだこれからあらゆる面から見ていかなくてはいけないのかなというふうに今日改めて思いました。
本当に大きく捉えて、いろんな方々のいろんな思いがあったり、やりにくかったりやりやすかったり、部分というのがたくさんあると思うんですけれども、しっかり全体大きく捉えて、プラスチックがしっかりと循環できる社会にやはり進めていかなくてはいけないなと思いますので、その辺り、また私も考えながら進めていければなと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
では、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/145
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146・徳永エリ
○委員長(徳永エリ君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814006X00920220610/146
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