1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和四年四月七日(木曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
四月五日
辞任 補欠選任
舞立 昇治君 宮本 周司君
山本 博司君 里見 隆治君
四月六日
辞任 補欠選任
森 ゆうこ君 羽田 次郎君
四月七日
委員宮本周司君は公職選挙法第九十条により
退職者となった。
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 石橋 通宏君
理 事
青山 繁晴君
堀井 巌君
矢田わか子君
石井 章君
岩渕 友君
委 員
阿達 雅志君
石井 正弘君
北村 経夫君
中西 哲君
松村 祥史君
吉川ゆうみ君
羽田 次郎君
森本 真治君
河野 義博君
里見 隆治君
三浦 信祐君
山崎真之輔君
ながえ孝子君
安達 澄君
国務大臣
経済産業大臣 萩生田光一君
副大臣
経済産業副大臣 石井 正弘君
大臣政務官
経済産業大臣政
務官 吉川ゆうみ君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
政府参考人
内閣官房内閣参
事官 松本 加代君
警察庁警備局警
備運用部長 安田 浩己君
農林水産省大臣
官房審議官 熊谷 法夫君
農林水産省大臣
官房審議官 伏見 啓二君
経済産業省大臣
官房審議官 矢作 友良君
経済産業省大臣
官房審議官 弓削 州司君
経済産業省貿易
経済協力局長 飯田 陽一君
資源エネルギー
庁次長 山下 隆一君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 茂木 正君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
中小企業庁経営
支援部長 佐々木啓介君
原子力規制委員
会原子力規制庁
長官官房審議官 森下 泰君
防衛省大臣官房
審議官 町田 一仁君
参考人
株式会社日本貿
易保険代表取締
役社長 黒田 篤郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/0
-
001・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、山本博司君、舞立昇治君及び森ゆうこさんが委員を辞任され、その補欠として里見隆治君、宮本周司君及び羽田次郎君が選任されました。
なお、本日、宮本周司君の退職に伴い一名欠員となっております。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/1
-
002・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
貿易保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官松本加代君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/2
-
003・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/3
-
004・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
貿易保険法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に株式会社日本貿易保険代表取締役社長黒田篤郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/4
-
005・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/5
-
006・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/6
-
007・中西哲
○中西哲君 おはようございます。自由民主党の中西哲でございます。質問の機会をいただきましてありがとうございます。
貿易保険は、戦後以来、我が国の輸出を支えてきた非常に重要な制度であり、日本の対外取引の発展にとって不可欠なものであります。しかしながら、そのような重要な制度を一手に担う株式会社日本貿易保険、いわゆるNEXI、このNEXIにおいて昨年二つの法令違反がありました。法改正を行うに当たって、まずは大前提として、こういったことが再度起きないようしっかりと再発防止策が講じられているのかを確認する必要があると考えております。
そこで、まずお尋ねいたします。
昨年の法令違反を受けて、NEXIと経済産業省はどのような再発防止策を講じたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/7
-
008・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
昨年の法令違反を受けた対応でございますけれども、経済産業省は、昨年四月の九日に日本貿易保険、NEXIから貿易保険法違反に対する再発防止策について報告を受け、その場でNEXIに対して厳重注意を行うとともに、再発防止策の速やかな実施とその実施状況についての報告を求めたところでございます。
これを受けて、五月十四日にNEXIから再発防止策の実施状況について報告がありました。
具体的な内容でございますけれども、一つ目の法令違反である外国債券購入の問題については、現場対応力の強化という観点から、例えば資金運用担当への月二回の研修を行う、複層的なチェック機能という観点からは、法務を統括する法務・コンプライアンスグループを新設する、さらに、内部監査については、内部監査グループの人員を強化するなどの対策を行ったこと。それから、二つ目の保険料誤徴収の問題につきましても、複層的なチェックを行うよう業務のフローを見直したことについて報告を受けております。また、NEXIは、会社全体の法令遵守体制を強化するため、外部専門家を中心とするコーポレートガバナンス委員会を取締役会の助言機関と位置付けるといった見直しを行ったところでございます。
一方、経済産業省におきましては、昨年の国会質疑の中でいただいたNEXIに対する監督が不十分であったとの御指摘や文書主義を徹底すべきとの御指摘も踏まえて、監督の強化を行っております。
具体的には、昨年六月以降、貿易保険の在り方に関する懇談会を開催し、有識者による複数回の議論を経て、昨年十一月、株式会社日本貿易保険向けの監督指針を策定し、その中で、経済産業省の監督機能を強化し、NEXIと経済産業省との間で文書に基づく報告が行われるよう、その手続や報告様式を定めたところでございます。
今後も、NEXIが業務を適切に実施するよう、経済産業省としても監督指針にのっとり引き続き必要な監督指導を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/8
-
009・中西哲
○中西哲君 ありがとうございます。
NEXIと経済産業省双方でしっかりと対応されていることが分かりました。言うまでもないですが、再発防止策は一度講じたらおしまいではありません。今後も必要に応じて不断の見直しを行い、しっかりとした対応を引き続き取られることを求めます。
さて、その上で、今般提出されました貿易保険法の一部を改正する法律案の中身についてお尋ねしたいと思います。
昨今の国際情勢は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延や、また直近ではロシアによるウクライナ侵略により混迷を極めております。対外取引を行う我が国の企業が様々なリスクに直面する中、今回の法改正は我が国企業が安心して海外展開を行うことをサポートするため行われるものと聞いております。
そこでお尋ねいたします。
今回の法改正の趣旨と概要はどのようなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/9
-
010・吉川ゆうみ
○大臣政務官(吉川ゆうみ君) お答えいたします。
我が国の経済の持続的な成長を実現していくためには、著しい経済成長を遂げる新興国を始めとする海外の旺盛な需要を獲得していくことが重要であると認識をいたしております。他方、日本企業の輸出、投資、融資などの対外取引におきましては、戦争、自然災害、感染症等に起因する民間の保険では引き受けられないリスクが存在をいたしております。このため、従来から公的保険制度として貿易保険制度を整備し運用をしてきたところでございます。
しかし、今般、コロナウイルスの世界的な感染拡大を契機に、我が国企業が行う対外取引が様々なリスクに直面していることが顕在化してまいりました。また、グローバルサプライチェーンの複層化や国際分業の進展など、我が国企業の対外取引を取り巻く環境は急激に変化していると認識をいたしております。
このため、貿易保険制度におきましても、こうした状況にしっかりと対応すべく、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた見直しとして、新型コロナウイルス感染拡大を含む当事者の責めに帰さないリスクの引受け、またサプライチェーン強靱化に向けた見直しとして、我が国企業のレジリエンスを強化するための間接投資先を含むサプライチェーン全体のリスクの引受け、そして国際連携強化に向けた見直しとして、国際分業が進む中、他国との協働による積極的な案件形成に向けてNEXIの国際的な連携の強化をしていくなどの措置を講じるために今般本法案を改正する、提出するものでございます。
本改正によりまして、我が国企業の対外取引を一層後押しすることで我が国経済の持続的な成長につなげていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/10
-
011・中西哲
○中西哲君 ありがとうございました。
NEXIが様々な対外取引に係るリスクをカバーしていることがよく分かりました。また、今回の法改正は非常に意義のあるもので、改正の趣旨に賛同いたします。
しかし、NEXIは政府により全額出資を受ける特殊会社です。仮に債務超過に陥るようなことがあれば、政府による債務保証や財政措置がされることになります。当然ながら、このような国民による負担は最大限回避する必要があります。
そこでお伺いします。
今回の法改正では貿易保険のカバー範囲を広げることになります。これによって多額の保険金支払が生じ、NEXIの財務に問題が生じることがないのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/11
-
012・弓削州司
○政府参考人(弓削州司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今回の法改正により、例えば、追加費用をカバーする保険の対象を当事者の責めに帰することができないものに拡大したり、スワップ取引保険や信用状確認保険といった新たな保険を創設するなど、貿易保険のカバー範囲を拡大することになります。
今回の法改正によりまして最大で年間数千億円程度の引受け増加を見込んでおりますが、二〇二〇年度のNEXIの年間引受実績は約六・一兆円であり、法改正によって現在の引受金額が大幅に増加するものではありません。
その上で、財務基盤につきましては、収支相償の原則に基づき、それぞれの保険のカバーするリスクに見合った保険料を御負担いただくことを想定しております。
また、仮に何らかの事由が発生し一時的に保険事故が多発する事態になったとしても、NEXIに約一・八兆円の支払原資があることに鑑みますと、保険金の支払に支障が生じ、政府として措置を講じる必要があるような事態にはならないと考えております。
経済産業省としても、今後見込まれる貿易保険引受額の増加にNEXIが財政面でも適切に対応できるよう監督してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/12
-
013・中西哲
○中西哲君 NEXIの財務への影響が回避されていることがよく分かりました。ただ、幾らすばらしい制度であっても、利用者に届かなければ意味がございません。
私の地元高知では、有限会社戸田商行、日本で最後のもくめん屋さんで、もくめんというのは木材を薄く削って作った天然の緩衝材のことですが、そのもくめんをベトナムへ輸出する際に貿易保険を利用すると聞いております。実はこの会社、私の友人の会社でして、一度その工場を見に行ったことがございまして、最近またその製造機械を新調しまして、非常に順調にやっている会社でございます。
たまたまこういった例はありますが、多くの地元の方はNEXIや貿易保険の制度のことを知らないのではないかと思います。貿易保険はいい制度ですから、これは非常にもったいないことでございまして、そこでお伺いします。
今後、中小企業の海外展開支援に向けてNEXIの認知度をどのように上げていくのでしょうか。中小企業の貿易保険の利用拡大に向けてどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/13
-
014・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 政府としては、二〇三〇年度までに中堅・中小企業で三十五・五兆円の輸出額、現地法人売上高の達成という目標を掲げて取り組んでいるところです。新型コロナウイルスの拡大や国際情勢の不透明性が高まる中、中小企業の海外展開に当たってのリスクを減らす観点から、貿易保険を一層御活用いただきたいと考えています。
こうした問題意識の下、これまで、地域の中小企業に伴走している全国百十の地銀や信金との連携ですとか、全国で千四百の拠点を持つ民間損害保険会社との協力を通じて中小企業に対し貿易保険制度を紹介し、関連する保険商品を提供してまいりました。また、中小企業の要望も踏まえ、昨年より海外のバイヤーの格付情報の提供といった取組も始めております。さらに、今回の法改正では、信用力が乏しく、海外の企業と取引する中小企業の要望も踏まえ、信用状確認保険を創設することとしております。
今後、さらに中堅・中小企業の支援を担う自治体や商工会、商工会議所に連携していただいて貿易保険の認知度を高める取組を進めるとともに、四十七都道府県に事務所を有するジェトロとの一層の連携を通じた企業への貿易保険の紹介、また保険申込みなどの手続のデジタル化を通じて企業の利便性を高めるといった取組を進め、中小企業の海外展開をしっかり支援してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/14
-
015・中西哲
○中西哲君 中小企業の利用拡大に向けた取組、よく分かりました。先ほどジェトロの話がありました。ジェトロは各地の支所が非常に地元と密な付き合いをしておりますので、非常に効果があると思います。是非、貿易保険の制度をもっと周知していただいて、地方の中小企業の海外展開を支援していただければと思います。
さて、先ほども少し触れましたが、現在もロシアによるウクライナ侵略が続いております。今般のロシアによるウクライナへの侵略は強く非難されるべきものであり、断じて認められないものであります。そして、このような事態の影響を受ける日本企業は、最大限政府の支援が必要なものと考えます。貿易保険もこうした支援策の一つですが、保険の利用者にとってはどういった場合に保険金が支払われるのか、その基準が明確になっている必要があると考えます。
そこでお伺いします。
ロシアによるウクライナ侵略の影響を受ける日本企業は、どのような場合に貿易保険による支援を受けられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/15
-
016・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
貿易保険制度は、本邦外で生じた当事者の責めに帰することができない事由等で貨物が実際に輸出できないこと、あるいは輸出した貨物の代金が回収できないこと等によってその企業に生じた損失を填補するという制度でございます。
今御質問のございました今般の状況に即して申し上げますと、例えばロシアに対する制裁措置としての輸出禁止措置によりまして本邦企業が貨物を輸出できなくなった場合、あるいは、これもロシアに対する制裁の結果として、決済手段がなくなったことによりまして輸出した貨物の代金を回収できなくなった場合、こういった場合にはその事象に応じ、よって具体的に生じた損失の額に応じて保険金を支払うということになるわけでございます。
日本貿易保険、NEXIに対しましては、今般の事態によって影響を受ける本邦企業を支援するために経済産業省からも特別な指示をしておりまして、これを受けて、NEXIにおきましては、相談窓口を設置するとともに、保険事故の通知があった場合には所定の手続に従いまして速やかに保険金を支払うという方針で臨んでおります。
なお、今申し上げました相談窓口につきましては、四月六日の時点で全体で約二百件、中小企業からは五十二件の相談が来ているというふうに聞いております。
引き続き、日本貿易保険、NEXIにおきまして、今般のロシアによるウクライナ侵略の影響を受けている事業者に寄り添った対応が行われるよう、経済産業省としても常に状況を注視しながらNEXIを指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/16
-
017・中西哲
○中西哲君 ありがとうございます。しっかりと日本企業を支えていただければと思います。
関連しますが、ロシアに対する経済制裁の結果、現在、原油価格は非常に高騰しておりまして、依然として一バレル当たり百ドルという高い価格が続いております。ウクライナ戦争が終息の見通しが依然として不明な中、原油価格が下がる要素は少ないのではないかと思っております。
こうした中で、国内のガソリン、灯油、重油、軽油などの高騰が続いております。お配りした資料は、資源エネルギー庁がまとめた全国のガソリン販売価格と私の地元高知県でのガソリン販売価格の推移です。三月二十八日現在、全国平均が百七十四円、高知県の平均が百七十八円です。
私は県西部の宿毛市という豊後水道に面した方なんですが、住んでいますが、宿毛市では今年の初めから百七十九円で販売しているスタンドがほとんどだったです。この前、日曜日に帰りましたら百八十一円というスタンドもありまして、私の東隣、四万十市なんですが、ここの国道沿いのスタンドは百八十二円という表示がもう既に出ております。輸送料が掛かるんだろうという、この話をすると同僚議員から話があるんですが、私の宿毛市のすぐ西隣は愛媛県愛南町、ここは五円とか十円安いんですよ、いつも。まあそういう状況でございます。
政府では補助金によるガソリン価格の引下げを行っておりますが、このグラフ見る限り、政府の対策が余り効果がないように思われるんですが、現在、政府はトリガー条項の凍結解除を始め様々なガソリン価格等の高騰対策を検討中とのことですが、現状をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/17
-
018・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答えいたします。
まず、価格高騰対策についての検討状況でございますけれども、原油価格が御案内のとおり高止まりの状況が続いていることを受けまして、先般、岸田総理から国民生活や経済活動への影響に機動的に対応していくための緊急対策を四月中に取りまとめるよう御指示をいただいたところでございます。
今後、この総理の指示も踏まえまして、原油価格の高騰がどの程度長期化するのか、また、三党協議の方も進められておりますので、その状況も注視しながら、何が効果的な対策かについて政府全体で検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
それから、御指摘の、このいわゆる激変緩和対策の効果が不十分ではないかということでございますけれども、確かにこれ、全国平均のガソリンの小売価格を、今の制度は百七十二円をターゲットに、その上がるのを抑制しようということでございます。これはあくまでも全国平均でございます。委員御指摘のとおり、高知県のガソリンの価格は全国平均に比べると若干、数円高いという傾向に私どもの調査でも確認されております。
他方で、この激変緩和対策が講じられる前の段階では、高知県と全国平均のガソリン価格の差が六・六円ぐらい、一月の下旬ですけれども、六・六円ぐらいあったんですが、直近、四月四日時点が直近ですが、これですと三・八円に格差が縮まっているということですので、この激変緩和事業によって高知県のガソリンの値段も抑制効果は確実に出ているというふうに私どもは見ております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/18
-
019・中西哲
○中西哲君 ありがとうございます。
先ほどの答弁の中でも、百七十二円を目標にという話がございました。今から七、八年前でしょうか、私、まだ県会議員のときですが、ガソリン価格が上がったことがあって、そのときに、我々の、その当時の高知の県会議員の感覚では、百七十円超えるとこれはきついけど、まあそこまでだったら何とか我慢できるかなという話をした覚えがございまして、この我が国、ここ二十五年ほど、GDPも上がっていなければサラリーマンの平均給与も上がっていないんですよ。
幾らこういう状況とはいえ、政府が対策を打って百七十二円止まり、一番効果があってということだと思うんですが、これは何らかの対策を打たないと、私なんかは、道路特定財源を一般財源化したときに、もうガソリンに対する特別税飛ばせという話を県議会でもしておりましたが、やっぱり一般国民にとっては高いという感覚がありますので、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
続いて、原子力発電所の警備についてお伺いします。
ウクライナ戦争で現実に原子力発電所がロシア軍に攻撃され、放射性物質による環境汚染が心配されました。私は、十年ほど前に愛媛県の伊方原発を二度視察した際に、原子力発電所の原子炉格納容器はミサイル攻撃にも耐えられるという話を聞きました。しかし、東北大震災の際の福島第一原発の事故以来、日本の原子力発電所の核燃料棒の格納プールが破壊された際には大規模な放射性物質による環境汚染が現実のものとなりました。原子炉格納容器は破壊されなくとも、核燃料棒の保管プールを破壊すれば放射性物質による環境汚染が広がることが明らかになったわけでございます。
福島第一原発の事故以来、核燃料棒の保管プールは攻撃されにくい工夫が進められていると聞いております。現在の保管状況がどうなっているのかお聞きします。あわせて、原発への攻撃は戦闘機やミサイルなどの空からの攻撃、海上からの攻撃、陸からのテロ攻撃などが想定されますが、現在の警備状況はどうなっているのかお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/19
-
020・森下泰
○政府参考人(森下泰君) お答えします。
先ほど議員から武力攻撃と原発の使用済燃料プールについての御質問ですけれども、まず事実関係といたしましては、先ほど伊方発電所の格納容器の話もございましたけれども、ミサイルという、そういう原子力施設の使用済燃料貯蔵の施設も、プールも含めまして、これらについては武力攻撃を想定したものにはなっておりません。
続きまして、保管方法、状況についての御質問でございましたけれども、基本的には先ほどの使用済燃料プールに貯蔵しておりますけれども、一部の発電所におきましては、より安全性の高い保管方法といたしまして、キャスクという貯蔵容器に入れまして、先ほど原子力建屋、あっ、原子炉建屋とは別の施設に保管をしている、使用済燃料を保管している場合もございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/20
-
021・中西哲
○中西哲君 ありがとうございます。
私、数年前にテロ対策の専門家が書かれたこの日本の原発がテロに遭ったらどうやって警備するかという本を読んだときに、やっぱり、現在、十九か所五十四基の、停止している分がありますけれども、全部で、原発、そういう施設があるわけです。そういう施設を自衛隊が、まあどの程度の部隊かにもよりますけれども、テロ攻撃に耐えられる部隊を全部の十九か所に配置するとなると、なかなか自衛隊員の数が全く足りないという話がございました。
そのときはそれほど問題にはならなかったんですが、今回のウクライナの戦争で国民の多くも非常に原発の警備について関心を持っておると思います。第一義的には警察が警備されているんですが、自衛隊とも協力、協調しながら、国民が安心できる警備体制をこれから構築していっていただきたいと要望いたします。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/21
-
022・森本真治
○森本真治君 おはようございます。立憲民主党の森本真治でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
冒頭、私の方からも、先ほど中西委員も言及をされましたけれども、今回の貿易保険法改正案でございますが、NEXIにおいて二つの法令違反があったということで、本来は昨年の通常国会で審議をする予定だったものが提出を見送ったということでございます。
法改正よりもNEXIの業務実施体制の強化を優先するとしたわけでございますけれども、これは、この法案、昨年は参議院先議ということで法案の審議を進めていくことについてこれ与野党で一致をしておったものでございますが、NEXIにおいて法令が遵守できていなかった、また経産省においても監督が適切になされていなかった。法案を提出しなかったことについて、この間、このコロナの問題もありますし、ウクライナの今回のような事象もあります。提出が遅れたことによる影響がなかったのかということですね。
このことも大変気になるところではございますが、先ほど再発防止には、防止策には取り組んでいるという答弁もありましたけれども、このようなことを二度と起こさないようにということ、大変遺憾の意をこれは表したいというふうに思いますし、改めて、経産省とNEXIの双方に再発防止の徹底を強くまずは求めたいというふうに思っております。
その上で、質問でございますけれども、まず、貿易保険の在り方のこのそもそも論について御質問をしたいと思いますけれども、貿易保険というのは、企業の輸出、投資、融資などの様々な対外取引において生じる民間の保険では救済できないリスクをカバーする保険だということは認識をしておりますが、一方で、この民間の保険でも、テロ、治安リスク保険といったような貿易保険に近い商品を提供しているところもあるというふうにも聞いております。
そこで、まずお伺いしたいんですけど、何が民間の保険では救済できないリスクに当たるのかということですね。このNEXIの保険と民間保険会社の保険とではどのようにこの範囲を、カバー範囲を分けているのかということ、今回の法改正でNEXIの保険によるカバー範囲が広がりますけれども、民業圧迫にならないのかということですね。
ちょっと数問まとめてでございましたけれども、まずその辺りの御説明をお願いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/22
-
023・弓削州司
○政府参考人(弓削州司君) お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、貿易保険制度は、企業の輸出、投資、融資等の対外取引において生じます民間の保険では引き受けられないリスクをカバーするものであることが貿易保険法の法目的として規定されているところでございます。今回の法改正によっても、民間の保険では引き受けられないリスクをカバーするとの貿易保険の骨格が変わることはありません。
今回の法改正事項につきましては、日本損害保険協会の会長会社を務めておりました東京海上日動火災保険株式会社からも御参加いただいた貿易保険の在り方に関する懇談会において議論を重ね、さらに、個別に複数の民間損害保険会社とも丁寧な意見交換を行った上で御理解をいただいたところでございます。本法律案はこうしたプロセスを経て提出させていただいたものでございまして、民業圧迫になるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/23
-
024・森本真治
○森本真治君 民間会社、また有識者の方々などの懇談会ですね、それの中で議論を丁寧に行ってきたというような御答弁だったというふうに思いますけれども、今後もしっかりとこの民業圧迫とならないようにということは丁寧に進めていかなければいけないのかなというところがあるのと、また、例えば、今後なんですけれども、民間会社の方が、今このNEXIの方でカバーしている領域に、やっぱり収益性というか、そういう中で参入できるのではないかというような判断もしてくることもあると思うんですよね。そうなった場合は、その領域は民間の方に譲っていくというような前提で考えていいのかということですね、その辺りの考え方についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/24
-
025・石井正弘
○副大臣(石井正弘君) 貿易保険制度は、企業の輸出、投資、融資等の対外取引において生じる民間の保険では引き受けられないリスクをカバーするということでございまして、先ほど政府参考人からの答弁もあったところでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大あるいはロシアによるウクライナ侵略など、日本企業の対外取引をめぐる環境は現在大きなリスクにさらされているところであります。そうした中、日本企業が直面するこういった様々なリスクに対しまして、民間保険会社もNEXIもどちらも十分に対応できていないと、こういった事態は避けなければなりません。
例えば、今回の改正案におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって増加費用が発生する場合など、日本企業の海外取引におけるリスクを低減するために必要なものではあるところでありますが、民間保険会社において対応することが困難であるということを確認をした上で措置を行うものであります。
その上で、御質問に対するお答えでありますけれども、仮に将来民間保険会社がNEXIの行う貿易保険事業に参入を進め、十分かつ安定的にサービスが提供できる見通しが明確になる場合におきましては、NEXIの業務範囲を見直すことを含めまして適切な措置を講ずる必要があると、このように考えております。
経済産業省といたしましては、日本企業が必要とする支援がしっかりと行われますように、NEXIの業務の在り方につきまして民間保険会社と引き続き丁寧な意見交換を行ってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/25
-
026・森本真治
○森本真治君 副大臣の方から丁寧に御答弁いただきまして、民間会社とNEXIのところの領域が重なって民業圧迫にならないようにという視点と、お互いがカバーできていない穴の部分ですね、そういうところがないようにしっかりとやっていかなければならないということで、丁寧に今の現状についても把握しながら、民間企業が本当にそのリスク少しでも低減できるような努力というのは続けていかなければならないなというふうに思っておりますけれども。
ちょっとこれ、ごめんなさい、通告はちょっとしっかりしていなかったかもしれませんが、参考人の方で結構なんですけれども、当然これNEXIも経営という観点が必要なんだけれども、民間リスクを解消していく中で非常にこの収益性にもNEXIの方でも影響が出るような場合も出てくるかもしれないんだけれども、それでも、それは国なりがしっかりと担保してそこをカバーしていくという考え方でいいのかどうかということですよね。ちょっとその辺りの、ついての考え方も、ちょっと今やり取りしながら思ったので御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/26
-
027・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
貿易保険制度はあくまでも公的保険制度でございますので、日本貿易保険においては言わば収益を上げることを目的とした法人ではございません。
他方で、将来の保険金の支払に備えるという意味では、しっかりと保険商品を提供する一方で、その結果としていただいた保険料収入というものを将来の保険金の支払に備えてしっかりと蓄えていくということが重要でございまして、その意味で、先ほど御答弁申し上げたとおり、現在手元には一・八兆円の支払原資があるわけでございますが、これで全て足りるということでは当然ございませんので、今、引受残高十二兆円を超えておりますので、いざというときに備えてしっかりと業務運営、効率的に運営しながら、そこから生まれた収益については将来の支払に対して準備金を積んでいくということを基本な方針として、かつ収支相償ということを原則として経営をしっかり進めていくということであろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/27
-
028・森本真治
○森本真治君 ありがとうございます。
それでは、法改正の内容についても聞いていきたいと思いますけれども、今回の法改正の柱の一つがこのコロナウイルス感染症を踏まえた対応ということでございますけれども、例えば、外国でのプラント建設工事の最中に新型コロナの影響を受けて現地での工事が中断した場合、従業員を退避させるための費用、建材の倉庫保管費用などが追加が掛かるということになるんですが、現行の法律ではこういった追加費用が発生したときに、戦争、革命、内乱、この三つのどれかに当てはまる、当てはまらないと保険金の支払ができないというところを、今回、非常リスク、自然災害だったり感染症、当事者の責任のないところで起きるリスクについては、これを非常リスク全般に広げていくということでございますけれども。
まず最初に確認ですけれども、この追加費用にこの保険のカバー、追加費用に関する保険のカバー範囲、これまで戦争、革命、内乱ということに限定していた理由ですね、なぜ限定していたのか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/28
-
029・弓削州司
○政府参考人(弓削州司君) お答えを申し上げます。
追加費用をカバーする保険は、平成二十五年にアルジェリアで発生したテロ事件をきっかけとして、平成二十六年改正時に改正されたものでございます、あっ、創設されたものでございます。
テロによりまして日本企業が手掛けていたプラント建設を中断せざるを得なくなり、建設工事従事者の退避費用や資材の保管費用等の追加費用が発生したものの、平成二十六年改正前にはこれをカバーする保険がなかったことから、戦争、革命、内乱によって追加的に発生する費用を貿易保険のカバー対象に追加したものであります。これは、当時の検討におきまして、民業圧迫を避ける観点から慎重な対応をし、追加費用を対象とする保険のカバー範囲を限定的に規定したものでございます。
一方で、一定の、今回の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を受けまして、民間保険会社を始めとする関係者と貿易保険の在り方に関する懇談会を含めて十分な議論を行いました。その結果、民間保険会社は、新型コロナウイルス感染症を含む非常リスクにより生じる追加費用につきましてカバーできないことが明らかになりました。そのため、今回これを貿易保険の対象とすることが適当と判断したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/29
-
030・森本真治
○森本真治君 御答弁、これまでの御説明ということで伺っておりますと、具体的な事象が発生して、その中で保険がカバーできていない、そういう中で追加的に対象を広げていっているという考え方なのかなというふうにも思いまして、今回もこのコロナウイルスということがあったんでまた議論をして広げていくという考え方だと思うんですけれども。
そういう考え方もあろうかと思うんですけれども、そもそも保険というのは不測の事態への備えですよね。こういうことが、想定していなかったことが起きたときのために備えるのが保険という仕組みだというふうに私は考えるんで、ある程度は、具体的な事象が発生してから追加追加というよりも、事前にある程度いろんな想定をしてメニューをそろえておく、企業の皆さん、事業者の皆さんにとってもやっぱりそれに備えておくということなんで、ちょっとその辺りの考え方というのをもう少し広げていって、これは当然民間事業者と、あっ、民間の保険会社との調整は要りますが、やっぱりそうして領域を一応広げて商品をそろえておくという考え方もあるんではないかというふうに思うんですけれども、その辺りについての御認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/30
-
031・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
ただいまの御指摘、非常に重要だというふうに思っておりまして、基本的には同じ考え方の下で、今回、追加費用については今まで保険の填補事由を限定していたわけでございますけれども、きっかけは新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するということで検討を始めたわけでございますけれども、今回広げるに当たっては二点ございまして、一つは、これを新型コロナ感染症のような感染症だけを追加したということではなくて、当事者の責めに帰することができない非常リスク全般に広げたというのが一つ目でございます。
それから二つ目は、実際に追加費用として認定する範囲につきましては、従来は、戦争、革命、内乱のときには人件費であるとか貨物保管料ということでこれも限定されていたわけでございますけれども、今回の法改正におきましては、様々な費用が今後想定されるということを想定、考えまして、政令に委任する形で機動的な対応ができるようにということで今回の法改正に臨んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/31
-
032・森本真治
○森本真治君 非常リスク全般ということなんで、かなりこれはそういう私が今申し上げたような意味も込められているのかなというふうに思いますし、私も自分でこういうふうに言いながら、これから将来どのような事象が発生するかということを事前にそれを考えておくというのも、なかなかこれも難しい話だというふうにも思いながらも、一つのこの議論ということでは必要だというふうにも思いますので、ちょっとそこら辺は確認もさせていただいたところでございますが。
実際に今回のこのコロナの関係でも、もう既に二年以上たっているわけでございますから、これから収束に是非向かっていってもらいたいと思いますから、場合によっては、これからどんどんと医療の方も進歩していけば、急速にこのコロナの感染も収束していけば、このコロナの対応といってもどこまでこの保険が実際に使われるのかということも、まあだから、ちょっと後手後手になっているんではないかというような感じもしたものですから、少し問題意識を持たせてもらっておりますけれども。
実際に、これ一年前にきちんと法案が成立していたら補償された、補償されることにもなった事業者というのもあったんじゃないかというふうにも思うところでございまして、そういう面では、冒頭申し上げましたように、提出が遅れたことによる影響というものがどのぐらいあったのかということも気になるところでございますので、この法案の提出が一年遅れたことによる事業者への不利益というものが実際にあったんではないかというこの私の問題意識に対しては経産省としてはどのように認識をしているのかということと、もし実際にそういう認識を持たれて、実際にそういう事象は相談などでもあったんであれば、この保険を遡及適用するような対策など、これも必要ではないかというふうに思うんですけれども、その辺りの認識についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/32
-
033・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) まず、法案の、失礼しました、法令違反などによって法案提出が遅れまして、国会の皆さん、なかんずく先議を決めていただいた参議院の皆さんに御迷惑掛けたこと、改めておわびを申し上げたいというふうに思います。
その上で、国際情勢が時々刻々と変化し、また企業活動も多種多様であることを踏まえると、昨年の法案を見送ったことで全体として企業にどのような影響が及んだか定量的にお示しするというのは少し困難かと思っております。また、保険の性質上、既に生じた損害について保険を遡及適用することはできません。
一方で、NEXIは、現行制度の下でできる限り日本企業支援を行ってまいりました。具体的には、新型コロナウイルス感染拡大を受けた直後から約一・五兆円の保険引受枠を設定し、日系企業の海外子会社の資金繰り支援や保険手続の期限猶予など、コロナで苦しむ事業者への支援を実施をしてまいりました。
その上で、経産省としては、本法案によって事業者を一刻も早く支援する観点から、本法案が国会で成立した際にはできるだけ早く施行したいと考えておりまして、公布後三か月を超えない範囲で施行することとしております。さらに、施行後速やかにNEXIが新たな貿易保険商品を海外に事業展開する企業に提供できるように、経産省としても指導監督をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/33
-
034・森本真治
○森本真治君 速やかな施行とNEXIの方でも対応していただくということを私の方からもお願いをしたいというふうに思います。
先ほどもありましたけれども、やはり新たな、この一年の間でロシア、ウクライナ情勢ということが起こりまして、この影響を受ける日本企業が非常に多くあるのではないかということを危惧するところでございます。そういう面でも、このロシアの、ウクライナ情勢の中でのこの貿易保険、NEXIの役割ということも非常に重要になってくると思うんですけれども、事前に伺いますと、貿易保険の、ただ、利用率ですね、これ、日本企業、輸出全体の六%にとどまっているということも伺っております。
中西委員もいろいろ御質問されたので、できるだけ重複も避けたいというふうにも思うんですけれども、まず、このロシア、ウクライナ向けの保険というところでお伺いしたいんですが、責任残高がどの程度あるのかということですね、そして、先ほど輸出全体では六%ということでお話ししましたけれども、ロシア、ウクライナ向けの輸出全体のどの程度をこれ占めているのかということですね、ちょっとこの数字教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/34
-
035・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
まず、保険の責任残高でございますけれども、二〇二二年三月末時点の貿易保険の責任残高は、ロシア向けが約二千九百億円、ウクライナ向けが約四百四十億円でございます。
また、二〇二一年の両国向けの、ロシア、ウクライナ向けの輸出全体に対する輸出に関する貿易保険の引受けの金額の割合でございますけれども、ロシア向けが約一五%、ウクライナ向けが約四二%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/35
-
036・森本真治
○森本真治君 ロシア向けで一五%ということですから、逆に八五%がこの保険ということではないんで、今般のこの情勢の中で代金が回収できなくなったとしてもそういう皆さんは救済されないということなので、何らかのこれも対策も必要になってくるのかなというふうにも思っておりますけれども。
ちなみに、先ほど、この相談窓口、この情勢の中で設置しているというふうに伺って、大体二百件ぐらいの相談ですか、中小企業で五十数件ということでありましたけれども。これ、今この保険に入られている方の中で保険対象とならないような事象が、この相談の中とかでもケースというのがあるのかということと、もしそういうケースがあるのであれば、保険対象の拡大の検討も必要になってくるのかというところ、その辺りのお考えをお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/36
-
037・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
現在のロシア、ウクライナ情勢により影響を受けます日本企業をしっかりとお支えすることは非常に重要なことであるというふうに思っております。このような考え方の下、先ほど答弁申し上げましたけれども、NEXIにおきましては、相談窓口を設置するとともに、保険事故の通知があった場合には速やかに保険金を支払うという方針で臨んでいるところでございます。
現在、相談窓口には、先ほど申し上げた二百件、あるいは中小企業から五十二件の相談が来ているわけでございますが、その具体的な内容については、既にロシア又はウクライナ向けの保険契約を締結していただいているお客様からは、どのような事態になった場合に貿易保険がカバーできるのかというその保険の填補事由についてのお問合せが多数来ております。また、ウクライナ、特にウクライナと新たな貿易取引を予定していた事業者の方々からは、そもそも貿易保険、どのような貿易保険が、貿易保険の商品があるのかといった問合せ、あるいはその内容についての問合せが寄せられているところでございます。
今御指摘の中で、保険契約締結いただいている方から保険の対象の拡大についての相談とかはないのかということでございましたけれども、基本的に、今既に契約を結んでいただいている方については、その保険契約の中でどういった場合に保険金をお支払いするのかというのをこれは約款の中で明示的に定めておりまして、それを確認していただいた上で契約をしておりますので、その上でその対象となっていないものを対象にしてほしいという形での御相談というのは今のところはないというふうに聞いております。
いずれにしろ、国際情勢刻々と変化いたしますので、私ども、事業者が直面する民間保険では対応できないリスクに応じて貿易保険を提供するということでございます。
引き続き、既存の契約あるいは新規の契約をお考えになっている事業者の方々の声を聞きながら、制度及び運用の両面から丁寧に対応をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/37
-
038・森本真治
○森本真治君 これ、相談窓口はこれNEXIの相談窓口だと思うんで、相談される方は確かに保険に入られている方の相談なのかなともちょっと思ったんですが。
これ、例えば経産省として、ロシアといろいろ取引、ウクライナと取引をされている方などの相談窓口というのがちょっとあるかどうか分からないんですけれども、ちょっと、これももし御答弁いただければでございますけれども、そういう保険、今そういう相談を受ける中で、新たにこの保険の対象としてやっぱり考えていかないといけないような事象、まだ、ちょっとこれまだ期間短いんですけど、そういうような問題意識というのが今経産省としてあるのかどうかということもちょっと併せて確認をしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/38
-
039・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
貿易保険そのものについての相談窓口については、今御指摘のあったNEXIに相談窓口を設けているわけでございますが、それにとどまらず、様々な相談の可能性がございますので、経済産業省直接にということではございませんけれども、ジェトロへの相談窓口の設置ということで貿易や投資に携わっている方々から広く相談をいただけるような窓口を設置をしておりますし、また、その影響を受けて国内で事業を営んでいらっしゃる中小企業の方々への影響もございますので、これも中小企業の関係機関に相談窓口を設けて対応させていただいているところでございます。当然、経済産業省に直接お問合せが、担当課の方にお問合せがあれば、これも丁寧に対応していきたいというふうに考えております。
その上で、保険の対象については遡及適用はできないというのは先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、じゃ、どんな状況であれば保険が適用できるのかということにつきましては、現行制度の中でどういうことで対応できるかというのは若干専門的なところもございますが、これはNEXIの方で、一つ一つ御相談をいただきながら、新規の契約であればそういった保険商品を御紹介するということでございますし、既存の契約であれば様々な事案、様々な状況がございますので、それは一つ一つ御相談をいただいて実際に保険金のお支払ができるかどうかということで相談に対応していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/39
-
040・森本真治
○森本真治君 ちょっと大臣、今いろいろ議論もさせていただいて、まずこの貿易保険という枠組みの中で何ができるかという議論もあるんだけれども、予算の審議のときにもいろいろ議論があった、ロシア経済大臣の意味は、影響する日本企業に対してどうフォローするかというところでこれはまあ残している、予算も含めてという議論もやらせていただいたんですけれども、保険のその領域の議論もありますけれども、やっぱり経産省として、今後様々な、保険に入っていない事業者などの影響などについては当然これから注視をしながら対応を考えていくと思うんで、これはもちろん現行制度の枠組みだけではなくて、新たないろんな対策も必要になってくると思うんで、しっかりとその辺り、認識はされていると思うんですけれども、大臣の方からしっかりとその辺りの対応についてのお考えも是非御答弁いただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/40
-
041・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のロシアへの経済協力八項目で、結果として、ロシアに進出している企業約二百社につきましては、もちろん相談をできる体制は組んでいますけれど、向こうからの相談を待つだけじゃなくて、プッシュ型で状況を確認せよという指示をさせていただきまして、業種別、あるいは個社に対して今どういう状況かということをきちんとヒアリングをさせていただいておりまして、特別課題があった場合には、国会でも御審議いただきましたけれども、目的使用にならない範囲でコンサル事業ですとかこういったことでサポートしていこうということで準備は進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/41
-
042・森本真治
○森本真治君 是非しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
ちょっと時間が迫っておりますので、次に、もう一つ、今回の法改正の柱、国際連携強化に向けて貿易保険事業を行う外国法人への出資というものがございますけども、ビジネスリスクの高い地域、例えばアフリカへの日本企業の進出をサポートするためにと、地域の国際金融機関への出資をするということでございますが、今回のこの法案の提出が遅れた理由というのが、法令違反に当たる外国債券の保有があったということで提出が遅れたんですが、ちょっと私、その辺り少し御説明いただきたいんですけど。
今回の外国法人への出資を認めるということと法令違反、これ外国債券の保有ということが違法だったということなんですが、ちょっとその辺りの整合性ですね、外国債券の保有は駄目なんだけど外国法人への出資は認めるという、ちょっとその辺りがよく理解ができないんで、その辺りをちょっと、何で債券駄目で出資はいいのか、外国のですね、その辺りちょっと御説明お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/42
-
043・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
今回の法改正におけるNEXIの業務に出資機能を追加するということにつきましては、企業の国際分業が進む中で、貿易金融分野の国際連携を更に強化するとともに、特にビジネスリスクが高い国、地域への日本企業の展開を後押しするためのものでございまして、これはいわゆる余裕金の運用と法令上、法律上は言っておりますけれども、NEXIが手元に持っている資産を運用することを目的とした外国債券の保有とは目的が異なるものでございます。
その上で、貿易保険法上、日本貿易保険、NEXIは、外国貿易その他の対外取引の健全な発達を図るとの法目的に沿って業務を行うこととされておりますので、法律上、今回の改正におきまして、出資先につきましてはNEXIと同様の保険、貿易保険事業を行う外国法人に出資先を限定するとともに、出資に当たっては経済産業大臣の認可を必要としているところでございます。
個別の認可に当たりましては、大前提としてNEXIの財務への影響を考慮することは当然でございますけれども、これに加えて、日本への裨益を確保し、日本政府の政策目的を実現するために政府の方針と整合しているものであるかどうか、出資先が公的な多国間組織であるかどうか、本邦企業からの具体的なニーズがあるかどうか、こういったことを基準といたしまして個別に審査をし、認可の判断を行うこととしております。
また、この当該認可に先立ちまして、NEXIが貿易保険法に基づいて事業計画を定めるわけでございますけれども、この計画につきましては、経済産業大臣が財務大臣との協議を経て認可することとしており、経済産業大臣だけの裁量で出資を認めるものではございません。
その意味で、資産、手元の資産の運用という意味では、その資産の運用先については法令で限定をしている、した上でNEXIの裁量で運用ができるということにされている資産運用と、それから国際連携を強化するための出資とは、手続も含めて違う形で運用させていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/43
-
044・森本真治
○森本真治君 外国債券の保有ということ、これ法令違反、違法なんだけど、若干ちょっと誤解を恐れずにというか、ただ、私これ説明受けると、このドイツ復興金融公庫債というのも比較的信用の高い債券だったというふうに思うんですね。
そうすると、これ逆に、今のこの法令、外国債券の保有ということを認めない法令の方にもう少し検討も必要なのかなというふうにも思ったりもしたんですけれども、その辺りについてはどうですか。やっぱりそれなりの政府も関与している債券、外国債券だったと思うんですけれども、その辺り、今後、逆にこっち側、そちら側の方の法令の見直しというようなことはこれ検討する、されないのかどうかということもちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/44
-
045・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) 現在の貿易保険法あるいは関連の省令においてNEXIが保有できる外国債券は、外国政府及び国際機関の発行する有価証券であって外国通貨をもって表示されるものとされております。
御指摘のございましたドイツ復興金融公庫につきましては、ドイツの政策金融機関ではありますけれども、ドイツ政府そのものではないために、ドイツ復興金融公庫債は外国政府の発行する有価証券には当たらず、現行法令上、NEXIは当該債券を保有することができないということになってございます。
一方で、この債券、ドイツ復興金融公庫債につきまして、貿易保険の在り方に関する懇談会の中では、その債券の安定性や流動性は既に貿易保険法上保有が認められる他の外国債券と遜色ないという御指摘もございました。また、他の政府機関と比較してもNEXIの資産運用先は限定的であるという認識の下で、公的金融機関として資産の安定運用を大前提とした上で、こうした債券をNEXIが保有できるものとして追加すべきという御指摘もいただいたところでございます。
これらの議論、あるいはただいま委員から御指摘をいただいたことも踏まえまして、NEXIにおける再発防止策、この債券の保有に関する再発防止策の実施状況を更に確認した上で、NEXIの資金運用先、資産運用先にこのドイツ復興金融公庫債あるいはそれと同等の債券を追加することにつきましては、今後改めて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/45
-
046・森本真治
○森本真治君 時間が来ましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/46
-
047・河野義博
○河野義博君 公明党の河野義博です。
私は、これまで日本企業の海外進出や海外でのビジネス展開に果たしたNEXIの役割を高く評価をいたします。日本企業の国際優位性が薄れていく中、日本企業が活躍するためのこれは大きな、そして残念ながら数少ないツールであります。本改正案の内容も、いずれも必要な改正でありまして、当然賛成をいたします。
私は、実は前職時代、二〇一一年に日本企業として初めて洋上風力発電事業にイギリスで参画をいたしましたが、その事業権益を取得する際、NEXIが権益取得会社に、プロジェクトファイナンスの融資調達に対しまして海外事業貸付金保険を引き受けてくれまして、期間十四年、そしてポンドで、当時二百億円、円でいうと二百億円程度のこの保証を付けてくれました。百七十二メガワットの洋上風力発電事業。当時はリーマン・ショック後、欧州は金融情勢が芳しくありませんでした。NEXIの保険がなければこのプロジェクトファイナンスは組成できませんでしたので、本当にNEXIには感謝をしております。
当時、海外での銀行借入れに対しまして、一方で邦銀、日本の銀行はNEXI保証が付けばこれを担保とみなしますので、リスクマージンを大きく減らせる。したがって、事業者の借入金利というのは大幅に下がったんですけれども、一方で海外の銀行、外銀は、NEXIが保証を付けますと言っても大して金利は下がらないという状況でありました。これ、もう十年前の話でありますので今どうなっているのかは詳細には存じ上げませんけれども、当時は外銀に対してはさほどの効果がなかったという印象を持っております。
また、非常に感謝をしておりますが、唯一の難点はやっぱり審査期間が非常に長く掛かるということでありまして、やっぱりこの日々日々変化するビジネスの状況に付いていけるようにすることも非常に大事なんじゃないかなというふうに思っております。
そこで、昨今、インフラプロジェクトにおける国際連携は進んでおりまして、日本のインフラプロジェクトについても多国間の連携の下で融資を組成するケースが出てきています。NEXIの近年の経営計画におきましても認知度の向上を図っていくことを目下の課題として掲げておりまして、海外ミッションへの積極的な参加や在外公館との連携強化などを図ることが示されてきました。
国際金融の分野におけるNEXIの存在はどのように認識されておりますでしょうか。国際金融分野におけるNEXIの認知度を向上させることが私は大変大切、大変重要だと思いますけれども、今後の取組方針について大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/47
-
048・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 企業の海外プロジェクトにおける国際連携が進む中、日本企業が参画するプロジェクトの組成を積極的に支援する観点から、国際金融機関や外国の輸出信用機関などに対してNEXIの認知度を高めることは、先生御指摘のとおり、大変重要だと思います。
こうした考えの下、NEXIにおいては、これまで、日本政府による海外ミッションへの積極的な参加や在外公館との連携強化に加えて、国際金融機関等を招聘したワークショップの開催ですとか、海外の金融機関や事業者が集まるイベントにおけるNEXIの紹介などの取組を行ってきたところです。
加えて、潜在的なプロジェクトの情報共有等を促進するため、新興国への投資に係る非常リスクを保証する国際機関である多数国間投資保証機関、MIGAや、外国の輸出信用機関との間で八十九の協力協定の締結なども行っております。
さらに、今回の法改正においては、NEXIが引き受ける融資に係る保険の対象を拡大し、貸付人に国際機関や外国政府等を、また、借入人に国際機関を追加することとしました。これにより、NEXIによる支援が可能な案件のファイナンス主体が幅が広がるとともに、認知度を向上させることにも資すると思います。
今後とも、様々な国の機関や企業と協働するプロジェクトに日本企業が参入することを後押しするため、国際機関や外国の政府機関等との連携を強化し、国際的にNEXIの認知度をしっかり高めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/48
-
049・河野義博
○河野義博君 海外事業における権益取得のためには融資組成が非常に重要でありまして、その審査期間の迅速化、円滑化というのは不可欠であります。
NEXIにおけるこの海外事業貸付金保険の審査期間は通常どの程度でしょうか。また、この期間短縮に向けた取組がありましたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/49
-
050・弓削州司
○政府参考人(弓削州司君) お答え申し上げます。
プロジェクトファイナンスに係る海外事業資金貸付保険の審査期間は、案件によって異なるため一概に申し上げられないところでございます。
御指摘の審査期間に相当するものではございませんが、一般的には、初期の相談から保険の契約締結まで数か月から長いもので数年の期間を要しております。これは、初期の相談時にはプロジェクトのストラクチャーが検討中であったり相手国当局等との調整が未了であるなど、保険審査に必要な情報が整っていないことが多いことによるものでございます。
一方、保険審査に必要な情報が整った以降の審査そのものに掛かる期間につきましては、NEXIとしては、事業者の事業スケジュールを最大限考慮して対応しているところでございます。
その上で、例えば、同一セクターにおける過去の案件審査で得た知見を最大限活用することで審査期間短縮に努めております。また、プロジェクトファイナンスに係る知見の蓄積を目的とした社内人材の育成や、プロジェクトファイナンス組成経験者の中途採用などに継続的に取り組むなど、審査体制の強化に取り組んでいるところでございます。
経済産業省といたしましても、NEXIが事業者のニーズに応じて迅速に対応できるよう、引き続き指導監督してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/50
-
051・河野義博
○河野義博君 ありがとうございます。海外でのNEXIの認知向上また審査の迅速化、引き続きお願いをしたいと思います。
ロシアによるウクライナ侵略やそれに伴う経済制裁により、対外取引をめぐる事業環境のリスクが高まっています。OECDを始め各国の輸出信用機関は対ロシアのリスク評価を最低レベルに格下げしたとされておりまして、NEXIもロシアとベラルーシを最低レベルに下げました。
そこで、改めてですけれども、ロシアにおける本邦企業への付保状況はいかがでしょうか。戦争による非常危険が発生した場合、NEXIが被る損失の総額はどの程度になると試算をされておられますでしょうか。また、仮に全て損失となった際にもNEXIの経営自体には大きな影響はないと私は承知していますが、その状況も教えていただきたいと思います。
貿易保険法二十八条では履行担保制度を規定しておりまして、NEXIの資金調達が困難になる場合には政府が必要な財政上の措置を講じるということとされております。今後、対外取引をめぐるリスクが更に高まりNEXIの保険金支払が急増したような場合には一般会計から財政支援なども検討されるんでしょうか、状況を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/51
-
052・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
まず、ロシアにおける本邦企業への付保の状況と、それからNEXIが被る可能性のある損失の総額でございますけれども、三月末時点のNEXIの保有する責任残高は、ロシア向けで約二千九百億円でございます。保険金の支払は、企業にどれぐらいの損失が生じたかどうかによって決まってまいります。それから、具体的に本邦企業にどの程度の損失が発生するかというのは今後の状況次第で変わるというふうに思われますので、その見込みをお示しすることは困難であることは御理解いただければと思います。
ただ、仮にこの責任残高の全てが保険金支払の対象になる場合、これは約二千九百億円ということであるわけですが、現在、NEXIには約一・八兆円の支払原資がございますので、これが直ちにNEXIの経営に重大な影響を与えるということではないのではないかと考えております。
また、ロシアに限らず、NEXIが引き受けている保険に関して、対外取引に関するリスクが更に高まり、現在保有しております総資産を上回る保険金の支払が必要となる事態に備えて貿易保険法は手当てをしておりまして、まず最初に政府保証による資金調達、これを想定しております。それでもなお資金が不足する場合には、ただいま委員から御指摘のございました政府による財政上の措置を講ずることが規定されているところでございます。
ただ、保険事故が発生した場合は、まずは約一・八兆円の支払原資から保険金を支払うということでございますので、一足飛びに直ちに第二十八条の財政上の措置を講じるような、講じるということではならない、講じることにはならないということでございますし、経済産業省としては、今後とも、引き続き、本邦企業の対外取引をめぐる環境変化、そしてNEXIの保険金の引受け及び支払の状況等に十分に注意を払いながら、万が一の場合には必要な措置を検討していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/52
-
053・河野義博
○河野義博君 戦争が発生しましたが、民間企業は損失が出てもそれがしっかり補償される、またNEXI自体の経営も揺らぎないということが周知されましたので、しっかり安心感が広がったのではないかというふうに思います。ありがとうございます。
昨今、資源エネルギー価格が高騰しております。OPEC諸国の増産やアメリカのシェールオイル・ガスの増産が期待されているところであります。OPECには総理や、また大臣も含めてトップセールスをしていただいておりまして、感謝する次第でありますが、なかなか相手があることで思うように進みません。また、アメリカのシェールに関しても、資金調達に課題があると言われておりまして、半年は掛かるだろうというふうに言われています。
NEXIでは、二〇二〇年十二月にLEADイニシアティブというものを立ち上げまして、風力発電や水素案件などの環境分野のインフラ輸出の促進のみならず、産油国などのパートナーシップ強化というのも後押しをしているわけであります。
昨今の化石燃料からのこの世界のダイベストメントの流れ、この流れによってなかなか米シェールといっても資金調達が課題があるという中で、私はとりわけNEXIが産油国などへの融資をこれ積極的にやるというメッセージを改めて示すことが非常に大事ではないかというふうに思っていますが、現在の取組状況と、LEADイニシアティブの今後のこうした取組、どのように生かしていくのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/53
-
054・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
我が国のエネルギー安全保障や日本企業の将来のビジネス機会の拡大のためにNEXIが産油国向けの融資等について貿易保険を積極的に引き受けるということは、産油国との関係強化を図る上でも重要であるというふうに考えております。そのため、今御指摘のございましたLEADイニシアティブにおきましても、こうした案件を明確に位置付けて支援を行っているところでございます。特に足下の国際情勢を踏まえれば、日本のエネルギーの安定供給のため、これまで以上に強力に支援を行っていく必要があるというふうに認識をしております。
この観点から、具体的な例を申し上げますと、本年三月にNEXIはクウェート石油公社との間で協力覚書を締結し、この覚書に基づき、近日中に同公社への融資に関する保険を引き受ける予定にしております。また、サウジアラビア公共投資基金とも協力覚書を締結済みでございまして、今後、同国向けの日本の企業の製品の輸出促進、あるいは具体的なプロジェクトファイナンスなどの組成に向けて協力していくこととしております。
経済産業省といたしましても、引き続きNEXIとともにLEADイニシアティブに沿った具体的な案件の組成に注力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/54
-
055・河野義博
○河野義博君 今回の改正案では、前払の輸入保険に対しまして、本邦に、日本に全量輸入される場合のみならず、我が国の企業が仲介者として第三国に荷物を供給するいわゆる仲介貿易に対しても前払輸入保険の対象とすることとしています。これ、私は非常に大事な取組だと思っています。全量日本に輸入しなくて、第三国に売ってもそれにしっかり保険が掛かっているということは非常に大切であります。長期契約がないスポット物であっても、海外に、第三国に流してもそれが保証されるということは非常に大きな安心感につながると思います。
これは非常に適宜、時機を得たすばらしい改正案だと思いますけれども、本改正事項は、原油やレアメタルなどのエネルギー供給上重要な資源について、通常時に日本に物品が輸入されないとしても、我が国企業がこれらの資源を利権として有しておくことで非常時には当該資源を日本に輸入できるといったメリットも考慮して措置されるものであると私は承知していますが、改めて、仲介貿易を前払輸入保険の対象とすることの意義についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/55
-
056・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
今御指摘ございましたとおり、最近の資源価格の高騰あるいはロシア、ウクライナ情勢を踏まえて、LNG等の供給源の多角化を始め、資源の安定的な輸入確保に向けてあらゆる取組を取っていくということが重要であるというふうに認識しております。このため、今回の法改正におきましては、今御指摘のございましたとおり、輸入に関する貿易保険についても対象を広げ、制度を充実させることにしております。
具体的には、現行では、前払取引に関する保険について、日本に貨物を全量輸入する取引のみが対象になっておりまして、仲介貿易は対象外になってございました。しかし、最近では、特に新型コロナウイルス感染症拡大の影響による業況悪化等もございまして、貨物の購入代金の前払が求められる取引も増えております。その中で、例えばLNG等の資源の取引のように、緊急時には日本に輸入することを前提として資源を調達し、平時は第三国にも輸出することができる、こういった日本に裨益する取引、日本の資源の安定供給の確保に資する取引もございます。このため、今回の改正におきまして、仲介貿易を含めた日本に裨益する前払取引を保険の対象とするとしたところでございます。
経済産業省としては、今回の前払購入保険の導入も含めて、引き続き資源の安定供給確保に向けてしっかり取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/56
-
057・河野義博
○河野義博君 次に、電力市場に関して伺います。
資源エネルギー価格の高騰によりまして、電力価格も非常に高騰しております。電力小売を行ういわゆる新電力、二〇一六年に小売が全面自由化されて以降、最多の倒産件数となっています。新電力と契約をしていた一部の事業者について、電気料金が昨年の春に比べて四倍になるなどの価格高騰が生じたことにより、収益が確保できず、廃業するしかない、こういった厳しい状況にある企業も少なくありません。
そこで、今の電力価格高騰に対する経済産業省としての受け止めを教えていただきたいというふうに思います。何か今後対策は取っていかれますでしょうか。また、小売会社の倒産が相次いでいますが、その原因をどのように分析しておられるか。需要家への影響の分析と併せてお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/57
-
058・山下隆一
○政府参考人(山下隆一君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、足下でも、燃料価格の高騰に伴いまして電気料金の上昇が続いているところでございます。このため、家庭などの需要家につきましては、燃料費調整制度というものがございまして、価格高騰に備えた仕組みというのはございますので、これを存続させまして、あと、その調整に上限を設けることで一定の価格の上昇に歯止めが掛かる、こういう仕組みになってございますので、こういったメニューを選択することを可能としているところでございます。
こうした中で、足下でも新電力を含む小売電気事業者の数は増加をしておりまして、今年三月末時点で七百五十二社に及んでございます。燃料価格の高騰、あるいは電力調達コストの上昇、こういったことに伴って休廃止に至る事業者も出現しているのも確かでございます。
このために、事業者の撤退などに備えまして、新電力と契約できない場合も大手電力会社に供給義務を課す最終保障供給の仕組みをあらかじめ措置をしておりまして、需要家への電力の安定供給に万全を期しております。また、契約中の事業者が撤退などいたしましても契約の切替えが円滑に行われますように、電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口におきまして、需要家からの問合せに対して親身に寄り添って事業者には丁寧な対応を促しております。さらに、本年四月から、セーフティーネット保証五号の指定業種として新電力を含む小売事業者を指定いたしまして、新電力の資金繰り支援を実施することといたしたところでございます。
電力は国民生活の基盤となるライフラインでございまして、安定供給や需要家保護に支障を及ぼすことのないよう、引き続き小売市場の動向を十分に注視してまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/58
-
059・河野義博
○河野義博君 例えば家庭であれば、小口の事業家であれば、新電力と契約をしていて新電力の値段がもうとんでもなく上がってしまった、そうしたら、じゃ、旧一般電気事業者に切替えができますと、そういう御説明だったわけでありますが、じゃ、結局誰のための電力システム改革だったんだろうと私は率直に思ってしまうわけでありまして、こういった状況に陥った原因として、特に自前の発電所を持たずに電力の調達を卸売市場に依存していた新電力は、市場価格高騰により調達コストが大幅に上昇し、採算性が悪化をしております。加えて、膨大なインバランス分の支払が重荷になったこと、これは指摘をされている。その一方で、三月二十二日には初めて電力需給逼迫警報を出す事態に至るなど、陥るなど、我が国の電力事情は綱渡りの状況が続いています。にもかかわらず、老朽火力は廃止するしかないといった状況にもなっておりまして、まさに電力事情はもう八方塞がりであります。
そもそも、この一連の電力システム改革による市場の設計自体に問題があった可能性も私はあるんじゃないかというふうに思っていますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/59
-
060・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) これまでの電力システム改革においては、東日本大震災の教訓を踏まえ、安定供給を確保する、電気料金を最大限抑制する、需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大するという三つの目的を掲げ、電力広域的運営推進機関の設立ですとか小売全面自由化などに取り組んできたところです。
こうした取組により、地域間連系線の増強などによる需給逼迫時の地域間での電力融通の円滑化ですとか、電力小売自由化により再エネに特化したサービスメニューの出現などによる需要家の選択肢の拡大など、一定の成果が現れていると認識しています。
他方、脱炭素化の流れなども相まって、火力発電の休廃止の増加など、電力自由化に伴う新たな課題にも直面しています。このため、電力需給の安定に向けて、規制、支援の両面で電源の過度な退出を防ぐことが必要だと思っています。
こうした課題に対応するため、これまで、容量市場の創設などを実施し、供給力の確保を行ってまいりました。加えて、今国会に提出している電気事業法等の改正案では、発電所の休廃止届出について、事後から事前に変更することによって時間的余裕を持って追加供給力の公募などの必要な対策を講じることができる制度に見直すことにしたいと考えています。
電力自由化による低廉かつ安定的な電力供給の両立を実現するためのシステムの改革は今後とも継続していくことが必要でありまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現など社会の大きな変化に伴い生じる新たな課題に対しても、エネルギーシステムを不断に見直すことによって安定的かつ持続的な電力供給を実現してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/60
-
061・河野義博
○河野義博君 システム改革の三つの目的でありました安定供給、それから料金の最大抑制、事業機会の拡大、できたのは事業機会の拡大だけだったと思います。
安定供給は危うくなっています。料金は上がっています。これは燃料代だけのせいでは必ずしも私はないと思っています。システム改革、これ、改革は不断にしていく必要があるんではないかと率直に思うわけでありまして、今国会で法改正も検討されていますが、その以降の展開も見据えて、やっぱり将来的な予見性がなかりせば事業者は付いてきませんので、しっかりとやっぱりビジョンを示すということが大切なのではないかなというふうに思っています。
次に、洋上風力に関しまして、先般、秋田、それから千葉で実質的に公募の初めての開札が行われまして、落札者が決まりました。
その落札者が決まる前に既に始まっていた入札、秋田県の八峰及び能代沖の公募についても、これ私、大臣の御英断をいただいたと本当に感謝をしておりますが、一旦取りやめて次の案件と一緒にやると。これはやっぱり早く安価に電力、洋上風力を設置させるという御意図だろうというふうに思っておりますけれども、早期稼働を担保する仕組みとすべく、締切り期間を延長して、今年の夏以降、新たに指定する促進区域と併せて公募実施するというふうに述べられました。これは非常に感謝を申し上げます。ありがとうございます。公募における評価方法の反省点を直ちに次の公募に生かしていくという姿勢は大変評価されるべきだというふうに考えております。
一方で、見直しにおいては、多様な産業形成を促進する観点から、同一事業者による落札区域数を制限することについても検討がなされていると聞いております。
私は、一律に落札区域を制限するのではなくて、公募評価をより透明性の高い洗練されたものにすることによって、多様な事業者による参入と健全な競争を促し、地域の発展にも貢献し得る産業形成を目指していくべきだと考えています。大切なのは、地域とそして国内産業にしっかり配慮した事業者が安価に早期に大規模にやれる事業環境を整えていくことだと私は考えておりますけれども、政府の考え方を大臣にお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/61
-
062・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 洋上風力発電は、大量導入、コスト低減、経済波及効果が期待される再エネ主力電源化の切り札です。
洋上風力発電の公募におきましては、引き続き価格低減は重要であるものの、それに加えて早期の導入という観点も各社の競争を促す仕組みとするため、三月二十二日からの審議会で今後の見直しの方向性の議論を開始したところです。
具体的には、選定プロセスや公募占用計画に関する透明性の向上ですとか、早期稼働等に政策的な重要項目を明確化するための評価制度の見直し、また、多様な事業者が公募に参画する競争環境の構築などについて、審議会における外部有識者、事業者を始め、幅広く意見を伺いながら検討しております。
委員御指摘の複数区域の公募を同時に実施する場合の同一事業者による落札区域数の制限につきましては、多様な産業形成を促進する観点と談合などの助長リスクのバランスに鑑みて検討して、健全な競争環境というのを整備してまいりたいと思います。
前回の入札は、きちんと作られたルールによって公正公平に行われました。しかし、見直してみて、例えば稼働開始時期などの評価点が低かったりとか、それから今先生いみじくもおっしゃっていただいた地元との信頼関係とか地元の理解度というのは、やや、そのどういう評価をするかというのが薄かったという私反省をしましたので、こういったものをトータルで考えてしっかりやっていきたいと思います。
決して何かその事業者の複数落札を阻止することを目的ではなくて、より良い競争にしていくために、今回一度足を止めて中身を見直していただいて、そして結果として稼働時期を早くするという結果を導くことができるように努力していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/62
-
063・河野義博
○河野義博君 その上で、改めて、やはり日本版のセントラル方式の導入が急がれるべきだというふうに思っています。
最後に、岡山県美作市の市議会では、事業用太陽光パネル税を創設する条例案を可決をいたしました。本税は地方自治体が条例で新設できる法定外の目的税として導入が予定されておりますけれども、本条例が施行されればほかの自治体への波及効果なども考えられるわけでありますが、政府が掲げるカーボンニュートラルとの整合性に関して、大臣としてどのようにこれは状況をお受け止めになられておられますでしょうか。また、このような条例制定の動きの背景には、太陽光発電所設置に係る災害の発生や地域との共生など、解決すべき課題もあると思われます。このような解決策に向けた取組についても併せてお伺いをして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/63
-
064・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 岡山県美作市の事業用発電パネル税条例につきまして、昨年十二月に市議会で可決されたことは承知しております。地方議会における判断として重く受け止めております。
本条例は現在総務省の地方財政審議会において議論中ということでありますので、個別案件やその波及効果に対して経産省としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で一般論で申し上げれば、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現ですとか二〇三〇年の新たな温室効果ガス排出削減目標の実現を目指すためにも、再エネについて地域との共生を図りながら導入を進めていくことは重要です。
御指摘のように、再エネの導入拡大に伴い、災害や地域トラブル、不法投棄などへの懸念が一部の地域で広がっておりまして、安全確保などの観点から再エネの適正な導入を求める条例を制定している自治体が存在することは承知しております。
このため、再エネ特措法では、発電事業者に対して、所在する自治体が定めた安全性や地域とのコミュニケーションを求める条例を含む関係法令の遵守を求めており、違反があった案件については指導、改善命令を経た上で認定を取り消すこととしています。加えて、地域の実情に応じた対応を促すため、経産省では、各地域の条例などの情報を自治体間で共有するための会議の開催や、条例データベースの構築、FITの認定申請があった段階で当該事業の申請情報をプッシュ型で自治体に共有するなど、取組を通じて自治体とも連携しているところです。
こうした取組に加え、今後、再エネ発電設備の適切な導入及び管理に向けた施策の方向性について、関係省庁とも連携しながら検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/64
-
065・河野義博
○河野義博君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/65
-
066・山崎真之輔
○山崎真之輔君 国民民主党・新緑風会の山崎真之輔でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思いますが、最初に新型コロナ関係についてお尋ねをしたいと思います。
今回の貿易保険法改正案では、新型コロナ等を踏まえた貿易保険の填補事由の拡大等を行うこととされています。御承知のように、新型コロナは中国武漢で初めての感染者が現れて以来、二年以上が経過しても猛威を振るい続けていますし、また今後も同様の感染症が起こる可能性もありますので今回の改正は必要なことだと理解をしていますが、ただ、実際には、NEXIの不祥事対応に昨年時間を要しまして、法改正は一年程度遅れてしまいました。これにより、本来カバーされるはずであった損失がカバーされなかったのではないかという懸念はありますが、この間もNEXIの現行制度で可能な対応を行っていただいているとは聞いております。
そこで、まず、新型コロナ関連の保険金支払の案件数や、それから支払保険金の状況について確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/66
-
067・弓削州司
○政府参考人(弓削州司君) お答えを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を受けて日本企業の対外取引に様々な影響が出ている中、NEXIは公的金融機関として積極的に日本企業への支援を行ってきているところでございます。
委員から御指摘のありましたNEXIのこれまでの新型コロナウイルス感染症に関連する保険金の支払は、約七十件、約五百四十億円でございます。その具体的な例を申し上げますと、日本企業の投資先であります中米の自動車部品工場がアメリカに所在する主要販売先である自動車メーカーが新型コロナウイルス感染症によるロックダウンによりまして減産を決定したことを受けて事業休止したことにより損失が発生した事例がございます。このときには約十四億円の保険金が支払われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/67
-
068・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございます。七十件あって五百四十億円ということでございますが、それなりのボリュームがあったというふうに受け止めたいというふうに思います。
先ほど森本先生との議論でもありましたけれども、この遡及適用はできないけれども、しかし資金繰りの支援だとか様々なことをこの一年間の間でもやられていたということで、そこは評価したいんですが、実際にこの一年、法適用ができなかったこの中で大きなトラブルということは特になかったのか、それから、先ほどいろんな支援をされたということなんですが、そういった実際に引き合いがどれぐらいあったのかについても御確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/68
-
069・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
今委員御指摘にあったトラブルというのは特に、私は大きなトラブルがあったとは聞いておりませんけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、先ほどの議論にも出ておりましたとおり、一・五兆円の保険の引受枠を設けましたので、それに関連して、実際にそれ、その保険を、契約を結びたいということで様々な形で御相談があったというふうに思いますし、現にその結果として保険契約に至った事例も多数あるというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/69
-
070・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございます。とにかく万全の体制でそういった企業活動をフォローをしていただきたいなというふうに思います。
ただ一方で、貿易保険の在り方に関する懇談会では、コロナの影響は大きく広範囲に及ぶために、保険契約者の大半が保険金を受け取れる制度になってしまうと貿易保険が補助金的運用をされる危険性があると、また、後追いで保険料が増えて保険契約者にリスクが跳ね返ってくるなどの指摘もされているというふうに聞いています。
今回の法改正を受けまして貿易保険の填補事由を拡大していった場合、保険料やNEXIの財務収支にどのような影響があると分析をされているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/70
-
071・吉川ゆうみ
○大臣政務官(吉川ゆうみ君) お答えをさせていただきます。
この貿易保険制度は、御存じのとおり、民間保険では救済できないリスクをカバーするための制度でございまして、日本企業の対外取引を後押しするために大変重要なものでございます。
この制度創設以来、その公的性格や財務負担の視点、観点から、一貫して貿易保険事業に係る収入と支出を中期的にバランスさせるという収支相償の原則の下で運用されてまいりました。今回の法改正におきましても、NEXIは中長期的な収支相償の原則の下で貿易保険事業を行うという骨格は変わるものではございません。
その上で、保険料について申し上げましたら、申し上げますとすれば、今回の法改正を受けて貿易保険のカバーするリスクの範囲が拡大するものにつきましては、それに応じて適切な保険料を御負担いただくということになりますが、これらについては事業者が追加の有無を選択できる、このようにするため、全ての被保険者の保険料が一律に上がることにはならないというふうに考えてございます。
また、このNEXIの財務への影響につきましては、今回の法改正により最大で年間数千億円の引受け増加を見込んでおります。仮に何らかの事由が発生して一時的に保険事故が多発するというような事態になったとしても、御存じのとおりNEXIには約一・八兆円の支払原資がございますということを鑑みますと、NEXIの財務に直ちに支障が生じるような事態にはならないものと考えております。
経済産業省といたしましても、このNEXIが中長期的な収支相償の原則を維持しつつ貿易保険の引受けを行うよう、しっかりと監督をしてまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/71
-
072・山崎真之輔
○山崎真之輔君 御丁寧な答弁ありがとうございました。せっかくこの拡大をするわけでございますから、持続可能な制度になりますように指導監督を強化していただきますようにお願いいたします。
次に、ウクライナ危機に関連して伺いたいと思います。
ロシア軍の行動は日に日に残虐さを増してきておりまして、許すことはできません。ウクライナに連帯の意を表すとともに、強い覚悟で経済制裁に臨むのは当然のことだと思います。
しかし、そうしたことに伴って日本企業の海外取引への影響はますます拡大することが懸念されますが、現時点で把握しているそれに関連するような相談件数や保険金支払の見通しについてお伺いをいたします。また、戦争が長期化した場合には、保険金支払がかさみ財務収支が著しく悪化することで、この貿易保険法に基づく財政上の措置を講じる必要が出てくるのではないかと心配いたしますが、政府参考人の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/72
-
073・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
ロシアによるウクライナ侵略を受けて、NEXIは、本年二月二十五日付けで相談窓口を設置するとともに、既存の保険契約について所定の手続に沿って保険金を迅速に支払うこととしております。
相談窓口には、四月六日時点で、全体で二百件、中小企業で五十二件の相談が来ておりまして、先ほどの答弁でもございましたけれども、既にロシア又はウクライナ向けの保険契約を締結していただいている既存のお客様からは、どのような事態に陥った場合に今結んでいる貿易保険の契約でカバーできるのかといったお問合せが多数寄せられております。また、ウクライナと新たな貿易取引を予定していた事業者から、そもそも貿易保険というのはどのようなものであるのか、どういった内容になるのかといったお問合せをいただいているところでございまして、引き続き、ロシア、ウクライナ向けの貿易保険の引受けは継続しておりますので、こうした御相談、お問合せにしっかりと対応していきたいというふうに考えてございます。
あわせて、二つ目の御指摘として、今後どの程度の保険金の支払が想定されるのかということがございました。これは、今後の国際情勢によって変わりますため、その見込みをお示しすることは困難であるということは御理解いただきたいと思いますけれども、三月末時点のNEXIの保有するロシア向け、ウクライナ向けの保険の責任残高はそれぞれ二千九百億円、四百四十億円でございます。仮にこの責任残高全てが保険金の支払の対象になったとしても、今は一・八兆円の支払原資がございますので、直ちに今御指摘のございましたような財政上の措置を講じるような事態になるということは考えてございません。
引き続き、経済産業省といたしましては、NEXIの事業運営、しっかりと注視をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/73
-
074・山崎真之輔
○山崎真之輔君 もう一つウクライナ危機に関連してでございますが、私は、現時点でサハリン1、サハリン2プロジェクトからの撤退は考えていないとの岸田総理の判断を評価しております。LNGは、ロシア産の代替がすぐに利くものではありませんし、また電気代やガス代が上がるといった国民生活への影響を回避する必要があるからでございます。
同様に、原油価格の高騰対策も重要でございまして、これにはトリガー条項凍結解除が必要だと思っています。これまで幾度も申し上げていることでございますが、大臣も先日、トリガー条項と補助金の組合せ等について検討を進める考えを示したと報道がされていました。機は熟しているというふうに思います。
改めて、トリガー条項凍結解除に対しましての萩生田経済大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/74
-
075・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) ロシアによるウクライナ侵略を受けて、原油価格は高止まりの状態が続いています。こうした原油価格や物価高騰対策として、岸田総理からは、国民生活や経済活動への影響に機動的に対応していくための緊急対策を四月中に取りまとめるよう御指示をいただいているところです。
今後、総理の指示を踏まえ、原油価格の高騰がどの程度長期化するのか、また、今のガソリンに関しては三党協議も続いておりますので、こういった議論の結果も注視しながら、何が一番効果的な対策か、政府全体で検討を急いでまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/75
-
076・山崎真之輔
○山崎真之輔君 前から大分答弁が前向きになってきたかなというふうに思いますので、とにかく今月中に決着を付けていただきたいというふうに思うんですが。
先ほど、中西先生の質問の中でこの激変緩和措置についても言及がございまして、私もちょっと聞いてみたいんですけれども、百七十二円で維持をするために今その補助金を原油の元売業者に突っ込んでいるかと思います。ただし、それ以上に実際の小売価格はその値が上がってきているというのが現状だと思うんですが、これ、何で百七十二円に抑えられないのか。その原因、多少なりとも承知はしているつもりなんですが、まずその御見解について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/76
-
077・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
まず、百七十二円というターゲットは、この激変緩和事業を拡充、上限額を五円から二十五円に拡充したときに、ちょうど全国平均のガソリン価格が百七十二円でしたので、それ以上の上昇を回避しようということで設定している水準でございます。それで、この価格になるべく近づくように、毎週の原油価格の連動幅を踏まえて、今週はじゃ幾ら元売に補助金を出すかということを決めております。
基本的には、それを踏まえて全国のSSがそれぞれの店頭価格を決定するということであるんですけれども、SSには元々補助金が入る前の段階で持っていた在庫があったりします。そのまだ在庫があるので、まだ完全には値段を新しい卸値に反映し切れないということがあって、若干そこの時間の遅れが生じるということがございます。
それから、いろいろそれぞれの地域の競争環境なんかもありまして、もちろん、全国の卸値とともに、それぞれの土地土地の周辺のお店との競合関係なんかも見ながらそれぞれが値段を設定しているということもありますので、若干そこは完全には対応していないんですけれども、我々、傾向を見ていますと、若干時間差はあるんですが、時間を追うごとにそこの効果がしっかり出てくると。直近では、そのもう二十五円以上に効果が出ているというようなことも確認できておりますので、長い目で見ますとそこはしっかり効果が出てくるというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/77
-
078・山崎真之輔
○山崎真之輔君 長い目で見てと言われましても、やはり最終消費者は、やはり目の前の価格、これを早く抑えていただきたいという思いでございますから、そういった意味では、ちょっと検証していただきたいのは、やっぱりその補助金を出している、原油売りの元売業者に出している、ところが実勢価格は変わっていない。そこはやっぱり、その分の突っ込んだお金ってどうなっちゃっているのというのは、国民結構疑問視しているんですよ。だから、やっぱりトリガー条項凍結解除のように税金で二十五・一円下げる。これ、真水になってくるわけだから分かりやすいんですよね。
そういった意味で、激変緩和事業は必要だと思いますが、それだけだと効果が享受できませんから、分かりませんからこのトリガーが必要なんですというふうに申し上げているわけでございます。是非、そういったことも踏まえて、一段とスピードアップしてこのトリガー条項凍結解除はやっていただきたい。ちまたでは、これ、当然発動すると税収が減ってくるわけで、一・五兆円ぐらい減るというような試算がありますけれども、一方で、エコノミストの統計、試算によれば、家計とか企業への減税効果によって実質GDPの押し上げ効果も生じるということも言われています。
もう燃料も高い、物価も高い、そして円安も止まらない中で、この検討に値する施策がトリガーだと思っていますので、必ず実現していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、中小企業関係についてお尋ねをしたいと思います。
私は、大企業のみならず、中小企業が利益をちゃんと上げて労働生産性を高めることによって賃金も上がり、そして経済を循環させていく、これが、当たり前のことなんですが、これからの日本経済には必要だとつくづく思っています。そして、そのためには、中小企業であっても海外で挑戦できるような環境を整えてあげることが肝要です。いかにリスクを軽減できるかということだと思っています。
そこで、まずは中小企業からの貿易保険の引受実績の近年の推移についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/78
-
079・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。幾つかの指標に基づいて御説明いたします。
貿易保険の中小企業の利用者数でございますけれども、NEXIが株式会社化された二〇一七年度には約三百九十社でございました。これが、二〇二〇年度には約四百三十社に増加をしております。また、中小企業向けの引受けの件数でございますけれども、二〇一七年度には約一万件であったものが、二〇二〇年度には約一万二千件に増加をしておりまして、全引受件数に占める中小企業向け引受件数の割合も、二〇一七年度には約一〇%でございましたが、二〇二〇年度には約一五%に増加をしております。
こうした背景には、中小企業の利用拡大に向けて行ってきた全国の地銀、信金等との連携を通じた貿易保険の紹介、そして引受けといった既存の取組が一定の効果を、成果を上げているということだというふうに考えておりますが、他方で、金額ベースで見ますと、中小企業の利用割合は直近数年間においてはおおむね全体の四%台にとどまっているというのが実態でございまして、これを踏まえれば更なる利用の拡大を図る必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/79
-
080・山崎真之輔
○山崎真之輔君 件数、金額共に伸びてはいるものの、十分な伸びではないというふうに私は受け止めております。
中小企業のこの貿易保険の利用が伸びていないことの原因としまして、貿易保険の在り方に関する懇談会では、利便性の向上とか手続負担の軽減が重要と指摘をされていますが、大臣として、どのようにこの課題を認識されて、そして今後どのように取組を進められていくのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/80
-
081・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、対外取引を行う日本企業には、その影響を最小限に抑える観点からも貿易保険を最大限活用していただきたいと考えています。
これまで、貿易保険の利用者の裾野を拡大する観点から、NEXIにおいて地域の中小企業に伴走している全国の百十の地銀ですとか信金との連携ですとか、全国で千四百の拠点を持つ民間損害保険会社との協力を通じて中小企業に対して貿易保険制度を紹介し、関連する保険商品の提供を行ってまいりました。
一方で、委員御指摘の懇談会においては、更なる利便性向上に向けて、NEXIにおいて保険申込手続の簡便化やデジタル化、また海外のリスク情報を始め提供する情報の拡充などを進めるべきとの御指摘をいただいたところです。
こうした御指摘を踏まえ、今後、中小企業を始めより多くの企業に貿易保険を御利用いただけるように、四十七都道府県に事務所を持つジェトロとの一層の連携強化、また保険手続のデジタル化を通じた利便性の向上、ニーズに応じた海外のバイヤーの格付情報の提供、農林水産事業者向けの保険について、年単位の輸出全般、全体での包括的な保険の引受けが可能となるように拡充などの取組を進め、中小企業の海外展開を支援してまいりたいと思います。
CPTPP、そしてRCEPが始まったのは今年なので、なかなか中小企業の皆さんが輸出という概念を持っていなかった一面もあったと思います。先ほど、私、何か胸張って地銀、信金との連携と言うんですけど、じゃ、信金の方が貿易のことを本当に、地元で貿易やっている会社があるかというと、中小企業でなかなかない中で、一方的な情報提供だけをしてきたというところもありますので、まさに今年からフェーズが変わったと思います。
また、例えば農産物でいいますと、十年前まで、日本の果物や野菜をシンガポールや香港で売るといったときに、そんなことできるのかと言われていたのはつい最近までだったので、それが数兆円まで来ましたので、そういう意味ではどんどん変わってきていますので、この貿易保険の意義というものを是非金融機関や関連の皆さんによく知ってもらうようにアピール力を上げて、是非認知度を高めていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/81
-
082・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございます。
本当にフェーズが変わってきたというふうに思います。ただ、一方で国際情勢も緊迫していますから、そういったリスクをいかに取って、そして中小企業の海外展開を後押しできるか、ここが試されていると思いますので、是非、中小企業向けのPRも力を入れていただきたいというふうに思います。
次に、LEADイニシアティブについてお尋ねをしたいと思います。
二〇二〇年に策定されたインフラシステム海外展開戦略二〇二五におきまして、我が国企業が二〇二五年に三十四兆円のインフラシステムを受注することがKPIとして設定をされていますが、現在の状況についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/82
-
083・松本加代
○政府参考人(松本加代君) お答えいたします。
我が国企業によるインフラ受注実績につきましては、現時点で積み上げができている二〇一九年では約二十七兆円に達しておりまして、二〇一〇年の約十兆円をスタート地点として増加基調を維持しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/83
-
084・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございます。
そうはいいましても、ここ数年コロナ禍で、少しその実績が抑えぎみになっているのではないかなというふうに考えておりますが、とにかく、残りもう三年しかありませんから、巻き返しを図っていただきたいというふうに思います。
そうした中で、NEXIは、この戦略に貢献するためLEADイニシアティブを創設し、二〇二五年まで一兆円規模の案件形成を目指すとされていますが、その概要と現在の状況についてお伺いをしたいと思います。そして、時間がないので併せて、近年は国内外で人権デューデリジェンスの重要性がますます叫ばれてきています。特に目が届きにくい国外、海外では細心の注意が求められていると思うんですが、そこで、こういったリスクに対応しつつ積極的な海外展開を後押しするためにNEXIとしてどのように対応していくのか。この二点について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/84
-
085・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
NEXIは、インフラシステム海外展開戦略二〇二五に掲げられている三つの目標、具体的にはカーボンニュートラル、デジタル変革への対応を通じた経済成長の実現、展開先の国の社会課題の解決、SDGs達成への貢献、自由で開かれたインド太平洋の実現を図るために二〇二〇年十二月にLEADイニシアティブを創設いたしまして、これらに資する案件に対して積極的に貿易保険の引受けを行っております。
例えばということで具体的な事例を申し上げますと、カーボンニュートラルに資する案件といたしましてはアラブ首長国連邦における廃棄物焼却発電プロジェクト、民間資金の活用を通じたアフリカ諸国での新型コロナ対策支援プロジェクト、自由で開かれたインド太平洋の実現に資する案件として日米豪三か国共同で実施をするパラオにおける光海底通信ケーブル輸出プロジェクトに対する貿易保険の引受けを行っております。
NEXIは、このLEADイニシアティブによりまして、二〇二五年度までに一兆円規模の案件形成を目指しておりまして、引き続き日本企業の海外展開を積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
あわせて、人権デューデリジェンスについての御質問がございました。
NEXIは、個別の保険の引受けに当たりましては、貿易保険における環境社会配慮のためのガイドライン、これに基づきまして、保険契約の対象となるプロジェクトにおいて、プロジェクトの実施者が人権の尊重への望ましくない影響を回避あるいは緩和する取組を適切に行っているかどうかを確認をしております。この確認の結果は、そのプロジェクトに対する保険の引受けの可否、引き受けるか引き受けないかの意思決定に反映されることとなります。
また、NEXIは、その後もプロジェクトの実施者によるモニタリングの状況を確認をするということにしておりまして、NEXIの事業運営において人権の尊重が適切に組み込まれているものと承知をしております。
なお、現在、NEXIではガイドラインの改訂を行っておりまして、多様なステークホルダーの意見も踏まえまして、人権デューデリジェンスの重要性をより強調するよう改訂作業を行う方針でございます。
引き続き、NEXIにおいても、人権の尊重に対する適切な対応を行う企業の海外展開をしっかりと後押しをしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/85
-
086・山崎真之輔
○山崎真之輔君 時間ですので終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/86
-
087・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。
まず冒頭、質問通告に具体的には出していないんですが、今ずっと国民の山崎さんの質問の中で、当然ながら、トリガー条項の解除について、これ大事な案件なので大臣に確認だけ聞いておきたいんですけれども、一月末の萩生田大臣の会見ですと、トリガー条項に対してはかなり前向きな解除する話がありました。その後、まあどこから横やり入ったか知りませんが、恐らく財務省関係だと思うんですが、勝手な発言するんじゃないということで、大分後退してしまったんです。
そこで、今度、国民の玉木さんが、いろんな自民党さんとの国対とのやり取りもあったと思うんですけれども、とにかくトリガー条項を解除するのであれば予算賛成すると。これ、立憲さんとの選挙協力などもあったんですけれども、それも難しくなったとしてもトリガー条項を解除しろと。これは党のためなのかどうなのか。
このトリガー条項というのは誰のために解除するのかというのは、先ほど定光さんですか、いつの間にか百七十二円などと変なこと言い出しましたけれども、これ、民主党の菅政権時代にトリガー条項、いわゆる財務省の勝栄二郎さんのときにトリガー条項をきつく縛ってしまった、で、今まで続いている。しかし、二十五円十銭、先ほど中西先生がおっしゃっていましたけれども、これはいわゆる道路特定財源の暫定税率分を分かりやすく引くというのがトリガー条項ですね。これに対して百六十円が基準だった。ここ二十五年間、国民の所得が上がっていないんだから、いきなりかなり百七十円などというのは、後で抗議文出しますけれども。
これやっぱりしっかり経産大臣が、萩生田さんは恐らくトリガー条項を解除した方がいいというのは、もうずっと今までの話の気脈を見るとそうなんですけれども、山崎さんの質問ですと、また何かまたちょっと後戻りしちゃったような感じなので、じゃ、もう一度ちょっと大臣の本音を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/87
-
088・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 就任以来、トリガー条項の解除に別に前向きな姿勢を示したことはないんですけれど、せっかくあるツールで国民生活の、今コロナ禍からの回復期を守るために使えるものは何でも使うという思いでいろんな検討をしてきました。
その中の一つがトリガー条項の解除ということだったんですけど、その後、年末に向かって、それだとやっぱり法案、法制、法改正に一定の時間も掛かるし、それから、百六十円に三か月待たなきゃならないという中で年末を迎えてしまったらこれは機能しないなという中で、激変緩和の新しい制度をつくらせていただきました。
やってみましたら、ガソリンと軽油だけじゃなくて、昨日も北海道の市長がお見えになったり、おとといは福島始め漁協の皆さん来てくれたんですけど、灯油や重油に対して一定の抑制効果があるということをすごく感謝をしていただいていまして、そうすると、この四種、原油に補助金入れた方がもしかしたらいいんじゃないかと思いながら新年を迎えました。
しかし、高騰が続くものですから、これだけだとなかなか行かないし、僅か五円という金額ですと、これは幾ら高騰抑制対策といっても限度があるなと思って、そうなってくるとやっぱりもう一回トリガーというのも視野に入ってきたんですけど、いろいろ相談した結果、二十五円まで上がりましたので、また少し声を小さくしたということでございまして。
別段、せっかくつくっていただいた制度ですから、これが本当にいいのか、あるいは今やっている激変緩和事業をうまく組み合わせることがいいのかというのは、まさに今月政府全体でしっかり議論してみたいと思いますので、現段階で私がトリガー条項の解除に前向きだということではないですし、別に財務省に言われたから言葉がちっちゃくなったわけでも全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/88
-
089・石井章
○石井章君 貴重な御答弁ありがとうございました。
それでは、貿易保険法改正案について御質問したいと思います。
ロシアのウクライナ侵攻の対外取引等への影響ということでありますけれども、ロシアによるウクライナ侵攻やそれに伴う我が国を含めた各国の経済制裁等により、ウクライナやロシアとの直接的な取引のみならず、サプライチェーン全体に大きな影響を及ぼすことが想定されております。我が国の企業もロシアとのビジネス継続について大変難しい判断が迫られております。このような非常時において、政府一〇〇%出資の公的機関である日本貿易保険、NEXIが果たすべき役割も重要性が増しております。
そこで、NEXIでは今般の事態を受けて日本企業向けの相談の窓口を設置しておりますけれども、そのトータル問合せ件数、どのような相談が多くなっているか、簡潔に御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/89
-
090・黒田篤郎
○参考人(黒田篤郎君) お答えを申し上げます。
今回のロシアによるウクライナへの侵略とこれに対する各国の経済制裁等により日本企業が受ける影響を最小限にとどめるとともに、影響を受ける事業者をしっかりとお支えすることが重要だと認識をしております。
その観点から、NEXIは、経済産業省からの指示も踏まえまして、本年二月二十五日付けで相談窓口を設置いたしました。また、保険事故の通知があった場合には、所定の手続に従い、またそれぞれの事情を勘案し、速やかに保険金を支払うことを公表してございます。
相談窓口では、四月六日、最新時点で二百件、うち中小企業からは五十二件の相談を承っております。具体的には、例えば、既にロシア又はウクライナ向け保険契約を締結いただいている既存のお客様から、戦争による支払不履行や日本が非友好国に指定されたために支払不履行があった場合に貿易保険でカバーできるだろうかといったようなお問合せとか、あるいは、中小企業の輸出事業者の方から、新たな、特にウクライナ向けの貿易取引に関し留意すべき事項などのお問合せをいただいているところでございます。
NEXIとしては、これからの、これらの御相談に丁寧かつ迅速に対応して、貿易保険の役割をしっかりと果たしてまいりたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/90
-
091・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
また、今月に入ってロシア軍のキーウ州からの撤退が始まりまして、その後、だんだんだんだん分かってきたのは、戦争犯罪と言える民間人の殺害がもうネットで配信されたり、あるいは他国のメディアがテレビでどんどんどんどん流しています。ロシアに対する制裁を強化すべきという声は更に高まっておりますが、その中で、日本企業においても、ロシアのウクライナ侵攻への抗議を示すべきだという国際世論の高まりを受けて、ロシアでの事業を自主的に停止する事例が増えております。
今後もその流れは加速するということでありますが、貿易保険に関しては、衆議院の法案審査において、ロシアに対する制裁措置としての輸出規制により本邦企業が貨物を輸出できなくなった場合や決済手段がなくなったことなどにより輸出した貨物の代金を回収できなくなった場合に、具体的に生じた損失の額に応じて保険金が支払われるということになります、そういう答弁がありました。
そこで、日本企業がロシアのウクライナ侵攻に対する社会的責任として自主的に事業を取りやめて損害が発生した場合、保険金の支払の対象となる可能性があるのか、経産大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/91
-
092・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 貿易保険制度上、被保険者の責めに帰することができない事由で損失が生じた場合に保険金支払を行うことが、行うこととされております。
その上で、ロシアのウクライナ侵略に関連付けてお答えすれば、例えば、海外投資保険については、諸外国のロシアに対する輸出禁止措置などの影響で直接又は間接に部品調達が困難になった結果、自社の判断として事業停止せざるを得なくなったという会社があったとすれば、この場合にあっても、輸出禁止措置自体は企業の責めに帰することができない事情であることから、事業停止との因果関係をNEXIにおいて個別に認定できれば保険金を支払うことになると思います。また、自社の判断で事業を売却したものの、ロシアに対する金融制裁の影響で売却益を日本又は第三国に送金できない場合などについても、個別因果関係や具体的に生じた損失の額などを認定した上で保険金を支払うことになります。
具体的にどのようなケースが保険金支払に該当するかについては、NEXIが事業者からの問合せに対して丁寧かつ迅速に相談に対応するよう指導監督してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/92
-
093・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
それで、総理が、三月三十一日の衆議院本会議において、我が国のLNG需要の九%を供給するサハリン2については安全保障上重要なプロジェクトであると明言しています。そして、撤退しないという方針を明確に示されました。その後、経産大臣も会見において、サハリン1、サハリン2、アークティックLNG2のいずれかについても撤退しない方針を示されております。恐らくこれ、広島県のガスの供給がここから来ているのが非常に大きいというのも影響していると思うんですが。
対してロシアは、各国が制裁を強化する中で、ルーブル相場を下支えするために、三月三十一日には、日米欧を含む非友好国との天然ガス供給契約についてルーブル建ての決済を義務化する内容の、プーチン大統領が署名したということになっておりますが、このロシアによるルーブル払い導入の動きについて萩生田大臣は、先日の四月一日に、直ちに日本に影響があるとは考えていないという発言されています。
現在、ルーブルの支払を求めてきているものが、事例があるのかないのか、まず政府に確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/93
-
094・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
天然ガスのルーブル払いに関するロシア大統領令が三月三十一日に発出されたということは承知してございます。日本企業がルーブルでの支払をロシアから求められているかどうかにつきましては、これは個別の民間企業のビジネスに関わることでございますのでお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
また、天然ガス以外の輸出品についてもロシア連邦がルーブルでの支払を求める考えを表明しているということも承知してございます。これにつきましても、現時点で詳細は明らかでないため、予断を持って申し上げることは困難かと考えてございます。
一点付け加えますと、日本企業が参画しておりますサハリン2のプロジェクトに関しましては、いわゆる今回ロシアがルーブル払いを求めるというふうに決定した対象が、いわゆるその気体でのガスを供給を受けている会社であって、なおかつ、いわゆるそのガスプロム、いわゆる国営企業であるところのガスプロムから供給を受けている非友好国の企業ということでございますので、サハリン2につきましてはその要件には直接該当しないというふうに我々は理解してございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/94
-
095・石井章
○石井章君 時間もそろそろなので、NEXIの社長に最後にお伺いいたします。
NEXIの法令違反事案とかそういったもの、文書、違反とか出たわけでありますけれども、NEXIの役職員の数は二〇二二年四月一日時点で二百二十九名とのことであります。プロパーの職員数、経済産業省からの出向数の内訳はどのようになっているのか、まずお伺いします。また、特殊法人化以降、内部のガバナンスの強化や専門人材の確保等はどのように行われてきたのか、黒田社長、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/95
-
096・黒田篤郎
○参考人(黒田篤郎君) お答えいたします。
本年四月一日時点での役職員の内訳でございますけれども、常勤役員は五名でございます。職員は二百二十四名でございまして、そのうち経済産業省からの出向者は六名でございます。これがお求めの数字でございます。
次に、ガバナンスの強化等でございますけれども、二〇一七年の株式会社化に際しまして、会社法に基づく取締役会、監査役会の設置などに加えまして、次のような内部ガバナンスの強化に努めてまいりました。
三つ申し上げます。一つは、経営の執行の慎重な判断を担保するための経営会議の設置でございます。二つ目は、社長直結となる内部監査部門の設置でございます。三つ目は、法令遵守を監視するコーポレートガバナンス委員会の設置でございます。
さらに、昨年大変御迷惑をお掛けいたしました法令違反事案を踏まえまして、更なる内部ガバナンスの強化として、次のような取組を再発防止策として公表し、実施をいたしました。
一つ目は、コーポレートガバナンス委員会につきまして、企業経営経験者や弁護士など外部有識者中心の構成に見直し、入替えを実施をいたしました。二つ目は、現場で日常的に生じている問題を幹部間で早期に共有するための、役員と部長以上の幹部で構成される業務モニタリング委員会を設置、運営をしてございます。三つ目は、法務を統括する部署として、社内弁護士を長とする法務・コンプライアンスグループを設置をいたしました。
以上に加えまして、株式会社以降、次の三点を柱として人員体制の整備に取り組んでおります。
一点目は、将来の安定的な人的基盤の構築を目的とした新卒採用の実施でございます。二点目は、専門性や経験を有した中途採用の実施でございます。三点目は、能力のある契約職員の正社員への転換でございます。その上で、職員の専門性の向上につきましては、毎年度、社内で様々な専門能力を育成する研修計画を策定し、その着実な実現をしているところでございます。
以上のように、引き続き内部ガバナンスの強化及び専門人材の確保等、体制の強化に取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/96
-
097・石井章
○石井章君 御丁寧な答弁ありがとうございました。しっかり職務に励んでください。
以上です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/97
-
098・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、ロシアへの追加制裁について大臣にお伺いをいたします。
ウクライナの首都キーウ近郊で多数の市民の遺体が見付かったということを受けて、欧米各国がロシアに対する追加制裁を発動する方針を示しています。EUは石炭の輸入を禁止する方針を明らかにしていて、米国政府もエネルギー産業を標的とした追加の経済政策を発表する見込みだと報道されています。
政府は、サハリンの資源開発事業からは撤退しないというふうにしていますけれども、今回の民間人殺害によって国際社会でより厳しい制裁が必要だという認識が広がる中で、政府として方針を見直すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/98
-
099・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 我が国として、ウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めており、強い衝撃を受けております。無辜の民間人の殺害は国際人道法違反であり、断じて許されず、厳しく非難します。
サハリン1とサハリン2については、自国で権益を有し、長期的な資源の引取り権が確保できるものであり、エネルギー安全保障上極めて重要なプロジェクトです。仮にプロジェクトから撤退してしまうと、同水準の価格での代替調達は困難であり、一層の資源価格の高騰を招いたり、権益をロシアや第三国が取得するとロシアを更に利することとなり、有効な制裁とならない可能性があります。こうした考え方に基づき、我が国としてはサハリン1とサハリン2からは撤退しない方針を示しています。
今後、我が国として、エネルギー安定供給を確保しながら、G7を始めとする国際社会と連携し、適切に対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/99
-
100・岩渕友
○岩渕友君 情勢が非常に急激に変わる中で、やっぱり方針は見直すべきだというふうに思います。
それでは、法案について質問をしていきます。
貿易保険の目的は、通常の保険によって救済することができないリスクを軽減することであって、元々は輸出の振興策として実施をされてきました。保険契約額の上位三十社を大手商社、大手メーカーやメガバンク、あと大手損保会社が主に占めています。
二〇二〇年度の保険金額のこの上位三十社の資本金別内訳について、その割合はどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/100
-
101・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
二〇二〇年度の貿易保険の引受金額の上位三十社でございますけれども、その資本金額の規模別の割合は、一兆円以上が一〇%、一千億円以上一兆円未満が五〇%、百億円以上一千億円未満が三〇%、十億円以上百億円未満が一〇%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/101
-
102・岩渕友
○岩渕友君 今の答弁にもあったように、資本金十億円未満というのは一社もないんですよね。この三十社が占める引受保険金額の割合は七四%を占めています。日本の貿易保険は諸外国と比べて国がリスクを負う範囲は広いと。貿易に占める保険の割合は六%になっていますけれども、米国の〇・二%、ドイツの一・四%、イギリスの三・九%、こうしたことと比べても高いものとなっています。
その一方で、じゃ、中小企業の引受割合はというと、件数で一五・三%、金額で四%にしかすぎないんですね。現行法では直接投資先に生じた損害によって本邦企業に損失が生じた場合のみ対象となっていますけれども、本法案では間接投資先の損失や日本に貨物を輸入しない第三国向けの仲介貿易を新たに保険の対象とします。
資料の一を御覧ください。
これ、本社企業の輸出高、そして第三国向け輸出高の推移なんですけれども、日本からの輸出額より日本企業の海外現地法人からの第三国向け輸出額が二〇一七年度には百兆円を超えるまでになって、この二十年間でまさに日本企業の巨大な多国籍企業化が急速に進んでいるということが分かります。海外の現地法人の内部留保の残高が二〇一八年には四十兆円を超えるということで、日本国内に還流をしていないんですね。その一方で、一〇〇%の政府出資ということなので、問題が何か起これば国民の税金が投入をされるということになります。
こうした実態から見ても、結局は、巨大な多国籍企業のリスクを一層貿易保険に肩代わりをさせるものになると、際限のない国民負担をもたらすということになるのではないでしょうか。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/102
-
103・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 新型コロナウイルス感染拡大や国際情勢の急激な変化など、新たなリスクに直面する日本企業の対外取引を後押しするためには、貿易保険によって民間保険ではカバーできない新たなリスクについても低減することが重要です。
こうした問題意識の下、グローバルサプライチェーンが高度化する中で、日本企業のサプライチェーン全体を強靱化する観点から、今回の法改正において、間接的な海外投資ですとか仲介貿易における前払購入契約も保険対象に追加することとしました。
一方で、今回の法改正においても、保険料収入と保険支払を中長期的にバランスさせるという収支相償の原則は何ら変わりません。このため、貿易保険の対象範囲の拡大に応じた保険料を負担するのは被保険者でありまして、国民負担を前提したものではありません。
引き続き、NEXIが中長期的な収支相償の原則を維持しつつ、適切に貿易保険事業を運営できるようにしっかりと監督してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/103
-
104・岩渕友
○岩渕友君 今答弁いただいたわけですけれども、この海外投資保険について、多国籍企業グループの損失まで保険の対象とするということが日本経済と日本国民の裨益となるのか、また貿易保険法の骨格は維持しているというふうに言い切れるのか、非常に強い懸念を持つものです。
貿易保険は、これまでインフラシステムの海外展開を促進するための公的金融枠組みとして活用をされてきました。特に第二次安倍政権以降、原発輸出プロジェクトをトップセールスで売り込んできました。二〇〇一年度から二〇二〇年度までにNEXIが引き受けた原子力案件、これがどのくらいあるでしょうか。件数と保険金額の合計は幾らになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/104
-
105・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
今御指摘のございました二〇〇一年度から二〇二〇年度までにNEXIが保険を引受けをいたしました原子力案件でございますけれども、件数につきましては合計で五十八件でございます。それから、保険金額の引受けの合計は約千七百億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/105
-
106・岩渕友
○岩渕友君 資料の二を御覧ください。
今答弁いただいた数字がここに記載をされています。今話があったように、案件は五十八件だと、一千七百二十五億円というふうになっています。これだけの原子力の案件と金額に上るということなんですね。
ところが、二〇一八年度以降を見ていただければ分かるように、ゼロになっているわけです。イギリスやトルコやベトナム、計画されていた案件あったわけですけれども、これ総破綻をしているということなんですね。
一方で、東南アジアを中心に、石炭火力発電所プロジェクトの保険引受けも行われてきています。石炭火力発電所プロジェクトの保険引受けは、二〇一五年度以降の公表分のみで件数と保険金額の合計、幾らになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/106
-
107・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
二〇一五年度以降、NEXIが保険の引受けを行った石炭火力発電所案件でございますけれども、公表されているベースでの件数は九件、保険金額の合計は約三千五百億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/107
-
108・岩渕友
○岩渕友君 資料の三を御覧ください。今答弁があったように、合計で九件だと。三千五百四十七億円というふうになっています。
NEXIは、これを見ていただければ分かるように、パリ協定で石炭火力発電など化石燃料依存からの脱却が欠かせないと、こういうふうにされた後も付保を続けてきました。国際協力銀行と合わせて、日本の石炭火力の輸出に対して世界一位、二位、こうした規模での支援を行ってきています。
ところが、現地では人権問題だとか環境問題などが発生をして、私もインドネシアのチレボンの案件、石炭火力発電所の案件について、現地の方々から直接訴えを聞いてきましたし、質問も行ってきましたけれども、現地のNGOであるとか国際NGOからも批判の声が上がっているんですよね。
本法案は、当事者の責めに帰さない事由により生じた損失を補填事由に追加をして対象費用も広げるものとなっています。石炭火力発電の輸出に当たって、相手国のエネルギー政策の変更などで事業が中断をするだとか事業が中止になった場合も、これ当事者の責めに帰さない事由ということになるのでしょうか。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/108
-
109・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
今回の法改正によりまして、取引の相手方の債務の履行遅滞等が生じた場合、あるいはそれ以外の御指摘のあったようなケースにつきましても、それが輸出者の責めに帰することができない場合は保険金支払の対象となります。
委員御指摘の石炭火力発電につきまして、石炭火力発電案件につきましても、こうした貿易保険制度の要件に当てはまる場合には、輸出相手国のエネルギー政策の変更も含めまして保険金支払の対象となり得ると考えております。
ただし、いずれにしろ、実際に保険金をお支払いできるかどうかということについては、具体、個別の案件に応じてその具体的な内容を確認し、NEXIにおきまして審査をした上で保険金支払の要否について判断をするということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/109
-
110・岩渕友
○岩渕友君 今の答弁にもあったように、相手国のエネルギー政策の変更などでも対象になるということです。
アジアの国々は、石炭火力発電よりも再生可能エネルギー、これを導入したいということを望んでいるわけですよね。インドネシアでは、石炭火力発電所の建設計画が非常に多いと、余剰電力に政府も困っているという状況だと聞いています。そうした中で、今答弁にあったように、相手国のエネルギー政策の変更などで事業が中断したような場合にも対象になるというのは、これ問題だと思うんですね。
二〇二一年六月のG7のサミットでの首脳宣言などを踏まえて、NEXIは排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の直接支援は二〇二一年末までに終了するということが確認をされています。ところが、政府は、既設の石炭火力へのアンモニア、水素混焼導入支援は可能だというふうにしています。
こうなってくると、結局は、石炭火力発電を使い続ける、こうした仕組みづくりをアジア各国に押し付けると、そのためにNEXIを活用するということになるのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/110
-
111・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) そんなことは考えておりません。
石炭火力発電の輸出支援については、今先生御指摘のG7の首脳コミュニケの内容などを踏まえて、昨年、インフラシステム海外展開戦略が二〇二五を改訂をしまして、NEXIにおいて、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への新規の支援は昨年で確かに終了しました。
世界のカーボンニュートラル実現に向けては、特にアジア等の新興国のエネルギーの安定供給と持続的な経済成長を実現しつつ、各国のカーボンニュートラルに向けた現実的なトランジションの取組を加速することが必要であります。この観点から、経産省としては、昨年六月、アジア・エネルギー・トランジション・イニシアチブを打ち出し、アンモニアあるいは水素の混焼を含むあらゆる技術を動員した現実的なトランジションに向けた具体的な取組を支援しているところでありまして、NEXIもこれに貢献することが期待されます。
引き続き、パリ協定を含む国際ルールと整合的に、かつ相手国の実情に応じた対応をしていくことを通じて世界の実効的な脱炭素化に積極的に貢献してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/111
-
112・岩渕友
○岩渕友君 そんなことは考えていないという答弁でしたけれども、IPCCが先日の報告で、二〇二五年までに二酸化炭素排出削減の必要性について強調しました。日本がインフラ海外展開戦略で石炭火力に固執しているということが輸出相手のアジア諸国をこの戦略に巻き込むことになるし、世界の排出削減を妨害するものになります。そして、これが座礁資産になった場合は、その被害に税金が投入されるということになります。
気候危機対策に逆行する石炭火力発電所を始めとしたインフラ海外展開戦略は直ちに見直すべきだ、このことを求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/112
-
113・ながえ孝子
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。
法案の質問の前にちょっとお聞きしたいことがあります。
燃料、原材料費が高騰を続けておりまして、企業運営には大変なダメージですね。元々体力の弱い中小企業にとっては、これからコロナからの再生だと意気込んでいたやさき、先の見通しが立たなくなったという声を聞いています。
値が上がっているだけじゃなくて物が入ってこなくなっていますね。ですので、とにかく仕入れは、調達はしたいから、もう値段はいいと、入ってきたときの値段でいいからという契約をせざるを得ない状況で、消費マインドは冷えたままなので、これ価格転嫁もできないというふうに不安の声を聞いております。コストプッシュ型のインフレですから、経営者の皆さん、このままスタグフレーションに向かうんではないかと大変心配をしております。
通告はしていないんですけれども、こういった声に大臣、どう応えていくか、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/113
-
114・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のような状況のある業種ございまして、承知はしているつもりです。したがって、コロナ禍で少し冷え込んだ経済の中で、例えばゼロゼロ融資などをお借りした皆さんに対しては、そのリスケを積極的にやるということは金融庁と連携してやってまいりました。
今、今月末までに新たな経済対策、支援事業というのを一回見直そうということで総理から指示もあったところでございますので、我々、Gメンなども全国に散らばったところでございますので、中小企業の皆さんの生声を聞いて、必要な対策はしっかり考えていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/114
-
115・ながえ孝子
○ながえ孝子君 やっぱり中小企業の皆さんにとっては資金繰りの支援が重要かなと思っています。
その点では、先日、地域の金融機関とやっぱり中小企業の皆さんが共存共栄の道を模索するといいましょうか、つくっていくというのが大変重要なので、そういった意味で、総理、財務大臣、それから経産大臣ほか五人の大臣の名前で、関係機関へ事業者等に対する金融の円滑化についてという要請文が出されました。これは具体的な行動指針を示しての要請でありまして、例えば、現下の決算状況、仕入れ状況や条件変更の有無の事象のみで機械的、硬直的に判断せず、事業の特性、需要の回復や各種支援施策の実施見込みなども踏まえて、官民金融機関等及びメーン、非メーンが密に連絡し、丁寧かつ親身に対応することなどと、大変丁寧な要請文だったんですね。
これは私も評価したいと思っているんですが、ただ、これは言うはやすし行うは難しの業務なんだと思います、経験も要りますし。これからも是非注視をしていただいて、経産省としても力を尽くしていただきたいなと思います。
変わって、物価高で従業員の皆さんの生活費もかさんできているので、中小企業主としては、従業員の皆さんの暮らし考えて、その物価上昇分に見合う賃上げをしたいんだけれども、体力的にこの賃上げ期待に応えられないという悩みを抱えていらっしゃいます。
賃上げの春ですよね。政府は賃上げ促進税制を拡充しました。業績の好調な企業に積極的に賃上げに取り組んでもらうというのは望むところであります。ただ、企業にすると、一旦上げてしまうと容易に引き下げることはできません。ですから、経営環境によっては収益を後々圧迫しかねない大きな負担となりかねないので、先の見通しが利かないとなりますと、一時的な税優遇だけではなかなか大幅な賃上げというのは難しいのだろうと思います。ですから、やはり経産省には企業の成長を支える支援をしっかりとやっていただきたいなと思っています。
今年の賃上げ予想、東京商工リサーチのアンケートによりますと、中小企業で平均一・五三%という数字が出ております。ですから、プラス三%あるいはプラス四%の賃上げができる企業というのは、相当業績も良くて、将来の売上げ増加も見込める本当に一握りの優良企業なんだと思います。
中小企業は、そもそも納税している、まあできると言った方がいいかもしれません、企業がおよそ三割です。中小企業のおよそ六六・二%は赤字です。税額控除は受けられません。納めていたとしても、納める金額がそもそも少ないと、これ増加させる人件費の分の方がかえって負担になってくるということなので、使いたくても使えないというのが実情です。でも、一方、体力のある優良企業は最大四〇%の税控除を受けることができるということで、コロナで広がった企業間格差、一層広めてしまうんではないかという指摘もあります。
ですから、これらを踏まえて、中小企業の賃上げをいかに支援していくか、経産省としてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/115
-
116・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 経営が厳しく賃上げ余力に乏しい中小企業において、賃上げの原資をしっかり確保できるように、中小企業の生産性を高めるとともに、下請取引の適正化により、中小企業に適切に付加価値が残り、賃上げできる環境を整備することが重要です。
先生御指摘いただいたように、促進税制だけではやっぱりこれは解決しないというのは我々も同じ思いでございまして、逆に、この税制が直ちに使える企業は使っていただくことは大いに結構なんですけれど、他方、そのために人員削減などをしたのではもう本末転倒なことになってしまいますよね。従業員減らして給料増やしたというんじゃ、これでは全く意味がないわけでありまして、こういったものを、環境を整えていくために、事業再構築補助金ですとかIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金において、賃上げする場合に補助上限額を引き上げる特別枠の設定ですとか審査における加点などによって賃上げに取り組む企業の生産性向上を支援してまいりたいと思っています。
また、下請Gメンの倍増や、そのヒアリング結果に基づく業種別ガイドラインの、自主行動計画の改善、公正取引委員会と連携した下請代金法の執行強化、パートナーシップ構築宣言の推進などにより、下請取引の適正化を進めてまいりたいと思います。
こうした取組を通じて中小企業の賃上げをしっかりと後押ししてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/116
-
117・ながえ孝子
○ながえ孝子君 これからも、現場の声を聞いていろんなメニューをたくさんつくって、力を入れていただきたいと思います。
では、貿易保険法についてお伺いをいたします。
中小企業も恩恵にあずかれるようにという視点の質問は先ほどから出ておりますので割愛をさせていただきまして、最近大きな成長を遂げて、天然資源が豊富で、貿易相手国として高いポテンシャルを見込めるアフリカですね、こことの経済関係構築というのは大変重要だというのはみんながもう本当に納得だろうと思うんですけれども、日本は出遅れております。例えば中国は、対アフリカ輸出、急激に伸びていて、二〇〇一年からの十五年間で何と十八倍に伸びています。これに対して、日本は一・五倍にとどまっております。
私の地元愛媛県なんですけど、実は愛媛県のある中小企業がアフリカのマラウイと貿易をしておりまして、大変貴重なケースなんですけれども、日本から中古車を送って、それを現地でレンタカービジネスとして展開をしているということなんですね。元々は愛媛大学にマラウイから留学に来られていたという縁から始まったようなんですけれども、お聞きしてみると、貿易保険使っていますかと聞きますと、御存じなかったんですね。ああ、そうなのかと。じゃ、ビジネスを始める上で、どこが一番こう、情報提供とか相談に乗ってくれるとか、力を貸してくれましたかとお聞きしますと、実はJICAだったんですね。ああ、そうなのかと。
JICAと愛媛大学はとてもとても力を貸してくれたということなので、ある意味産官学の取組だなとも思いますし、アフリカの場合は、やっぱりODAから延長線上でビジネス展開ということもすごくあり得る話なので、そういった面では、JICA含めての連携といいましょうか、今後のアフリカ市場開拓への取組をどう支援していくか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/117
-
118・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
今、JICAのケース御紹介いただきましたけれども、私ども政府の関係機関の中で、この日本企業の海外展開についてはしっかり御支援していきたいというふうに思っております。
その中には、私どもでいいますと例えばジェトロがその中心的な役割を果たしますし、あるいは、外務省という意味ではありませんけれども、途上国という意味ではJICAが大きな役割があろうと思います。あるいは、大きなプロジェクトということであればJBICであるとか、あるいはそれぞれの海外のインフラ関係の政府の関係機関がございまして、こういったところでしっかりと情報を共有しながら、時にはJICAだけの御支援でそれが成功することもあるかもしれませんけれども、他方で、様々な貿易の手続については、ジェトロが関係の専門家も派遣をして様々なアドバイスをしているという事業もやっておりますので、複層的に政府が、あるいはその関係機関が中小企業を支援していくようにしていきたいというふうに考えております。
とりわけ、アフリカにつきましては、今年TICADがあるわけでございますけれども、今後の経済成長が期待できる一方で、日本企業にとっては少し経験が少ない分野でもございますので、なおさらのこと政府全体としてしっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/118
-
119・ながえ孝子
○ながえ孝子君 是非よろしくお願いをいたします。
この貿易保険が地方の経済にどう寄与できるかというのをちょっと考えましたら、もう一つ、第一次産品ですね。先ほど萩生田大臣のお話にもありましたけれども、これまで農林水産品の輸出の貿易保険のカバー率というのは二〇一九年までの五年間で平均一%ほどということですから、これからなんですよね。
貿易保険の在り方懇談会でも、農林水産分野で広く活用してもらうようにという指摘がありまして、例えば利便性の向上ですとか手続負担の軽減など、報告書の指摘を受けて改善をしていらっしゃると思いますが、改善状況の進み具合を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/119
-
120・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
今、政府全体では二〇三〇年までに農林水産物・食品の輸出額を五兆円にするという目標の実現に向けて、政府一体となって輸出にチャレンジする事業者の後押しをしているところでございます。
今委員が御指摘がございましたとおり、貿易保険の在り方懇談会につきましても、こういった農林水産分野での貿易保険の利用促進のための様々な対応について御指摘をいただいたところでございます。
これを受けまして、日本貿易保険、NEXIにおきましては、今年四月一日付けで、農林水産物の輸出促進に向けた支援強化のために、いわゆる包括保険の加入要件につきまして、農林水産物の輸出の場合には、従来五社以上を求めていた取引先の数を、二社以上でも包括保険を御利用いただけるといった形で要件の緩和をしております。これによりまして、一つ一つの輸出契約ごとに手続を取るということにはなりませんので、保険手続の手間を削減できるということに加えまして、保険料自身も輸出契約ごとの保険契約と比較して最大四分の一程度まで抑えることができるというふうに聞いております。
さらに、輸出促進支援を行う地方の農政局や、あるいは地域にネットワークを持っている民間保険会社、輸出事業者を支援するジェトロと連携をし、NEXIの保険に関する広報を強化してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/120
-
121・ながえ孝子
○ながえ孝子君 引き続きよろしくお願いをいたします。
私の地元愛媛県はミカン県でありまして、国内市場は縮小見込みですから、高付加価値のかんきつを、現在、海外七つの国と地域に輸出をしております。これまでアジア中心だったんですけど、やっぱり高付加価値商品が売れる国とエリアということで、カナダに続いて今ヨーロッパを開拓しようと検討に入っているところです。
ネックは、やっぱり輸出先の国ごとに検疫体制が違うんですよね。農薬基準が違いますので、国内向けとは別に輸出用の産地をつくっていかなければならないということだと聞いております。検疫の問題は国と国との交渉事なので、是非規制撤廃に向けて御努力をいただきたいということと、輸出用となりますと量の確保も大事になってくると思うんですけれども、どこの産地も高齢化との闘いです。かんきつは特に水はけの問題があるので、急傾斜地、山の中に園地が点在をしておりまして、農家ごとに品種や栽培方法も異なっています。
こういった問題を踏まえて、輸出用園地を増やしていくことについて、今後産地をどう後押しするのか、農水省にお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/121
-
122・熊谷法夫
○政府参考人(熊谷法夫君) お答え申し上げます。
輸出解禁のための植物検疫協議については、現在、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律に基づき、農林水産物・食品輸出本部が策定した実行計画を踏まえて戦略的に協議を進めているところです。これまでの成果として、二〇一一年度以降で九か国、三十件の輸出解禁、条件緩和が実現しております。直近では、昨年十月にベトナム向け温州ミカン、十一月に米国向けメロン、本年三月にインド向けリンゴの輸出解禁を実現したところです。
果樹を含めた農林水産物の輸出促進に向けては、在外公館やジェトロを通じた輸出先国の規制情報等の収集及び国内への周知、GFPグローバル産地づくり推進事業による輸出先国の規制に対応した輸出向け園地づくりの支援、産地生産基盤パワーアップ事業等による輸出に際して必要な施設整備等への支援などにより産地の育成を図っております。
引き続き、こうした取組を通じて農林水産物の輸出拡大を推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/122
-
123・ながえ孝子
○ながえ孝子君 是非よろしくお願いいたします。
時間が来たので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/123
-
124・安達澄
○安達澄君 無所属の安達澄です。どうぞよろしくお願いいたします。
昨年の一月ですけれども、ロサンゼルス港でユニクロのシャツが輸入差止めを受けました。その理由は、中国新疆ウイグル自治区の強制労働をめぐるアメリカ政府の輸入禁止措置に違反したためとされています。一方で、ユニクロ側は、非常に遺憾だとした上で、サプライチェーンにおいて強制労働などの深刻な人権侵害がないことを確認しているというふうにコメントしています。
まずお聞きします。
このユニクロがNEXIの貿易保険に加入していたのか否かは分かりませんけれども、もし仮に別の事業者で人権問題に起因するこのようなトラブルが発生した場合には、この貿易保険は適用されるという認識でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/124
-
125・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
貿易保険制度については、事業者の責めに帰さない事由によって障害が生じた場合に保険金をお支払いする制度でございます。したがいまして、このサプライチェーンの人権問題に関連いたしましても、例えば外国における人権関連の確認の制度が突然変更になりまして輸入が差止めになった場合には、それが仮に貿易保険に加入していただいていれば保険金をお支払いすることができるものと考えております。
他方で、例えば保険契約の締結前の時点において、輸出先国において既にこの人権を理由とした輸入差止めを行うことが発表されていた場合、この場合には、もう既に輸入の差止めを輸入者、被保険者が知っているわけでございますので、こういった場合には保険金をお支払いすることはできません。
いずれにいたしましても、具体的な事例に即して、実際に保険金を支払うことができるか否か、具体的な内容を審査した上でケース・バイ・ケースで判断することになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/125
-
126・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
国際的な潮流を踏まえると、もう人権とビジネスはこれもう喫緊の課題になっています。
次にお聞きします。
その人権デューデリジェンスに対する経産省の取組、考え方を教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/126
-
127・矢作友良
○政府参考人(矢作友良君) お答えいたします。
近年、国際社会におきまして人権問題への関心が高まる中、企業がサプライチェーンも含めました人権尊重の取組をしっかりと行わない場合、これは、不買運動とか投資の引揚げ、あるいは既存のその顧客との間で取引停止等々の様々なリスクに直面するということがあろうというふうに承知してございます。
経産省といたしましても、累次にわたりましたセミナー等を開催いたしまして、まずその産業界へ周知啓発活動、こういったことを行うことによりまして、企業に対してサプライチェーンにおける人権尊重の取組を促してきたところでございます。
その一方で、昨年十一月に公表しました企業調査におきまして、まだその日本企業の取組が不十分であると、それゆえガイドラインの整備を望む、こういった要望も多く寄せられたところでございます。
このため、経済産業省では、三月の九日に人権デューデリジェンスに関して検討会を立ち上げまして、業種横断的なガイドライン作りを開始したところでございます。国際的なスタンダードにのっとったもの、かつ、具体的なその取組方法が分からないと、こういった企業の声に応えるものを今夏までに策定していきたいと、このように考えてございます。
こうしたガイドラインの策定などを通じまして企業の人権尊重に向けた取組を後押ししまして、日本企業の国際競争力の維持強化につなげてまいりたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/127
-
128・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
昨年十一月の確かに調査を見る限りでは、まだまだやはり企業側の意識は低いなというのが実態ですので、是非経産省のリーダーシップを求めたいというふうに思います。
ビジネスにおける人権尊重、これは二〇一一年の国連指導原則で求められています。その国連ですけれども、先月の二日、第五回国連環境総会でアニマルウエルフェアに関する決議が採択されました。ここからは、人間からちょっと動物に話を移します。
アニマルウエルフェアとは、まだ余り聞き慣れない言葉かもしれません。簡単に言うと、畜産動物の福祉とよく訳されます。アニマルウエルフェアに焦点を当てた決議案が国連で採択されるのは初めてで、日本を含めた百九十三か国全てが賛成をしました。農水省のホームページにはこうあります。家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要、その結果、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながるとあります。人間社会で人権を尊重するように、動物の福祉に対してもきちんと配慮する。人権問題と軌を一にして、最近ではこのアニマルウエルフェアという考え方が世界中に広がりつつあります。
しかし、残念ながら日本はまだ取組が遅れています。その結果、世界からの評価はとても厳しいものになっています。その理由ですけれども、例えば、ケージと呼ばれる狭い金網の籠の中で、採卵鶏と言いますけれども、卵を産む鶏を飼育したり、ストールと呼ばれる鉄柵の施設に子供を産むお母さん豚を拘束したり、そうするとこれはもう身動きが取れなくなってしまうんですけれども、つまり、農水省の言う家畜を快適な環境下で飼養するということが実現できていないじゃないかと、世界からそう見られてしまっているということであります。
ちょっと資料を用意していますけれども、資料一を御覧いただくと、これはそのアニマルウエルフェアに関する国際評価であります。一番は、これ畜産動物の飼育、保護に関する国別の評価でして、AからGまで七ランクあるんですけれども、残念ながら日本は一番下のGというところに位置付けされています。ほかの国では中国、ロシア、エジプトと並んでいますけれども、例えば、ニュージーランドとかはC、韓国はD、インドEとかいう形の中で、日本は一番最下位にランクされています。
そして、企業はどうかというと、これは二番になるんですけれども、後ほど説明しますけれども、BBFAWが影響力あるグローバル企業百五十社をピックアップして、その中から日本は五社が選ばれているんですけど、その五社のランクがどうかというと、これも六段階ある中の一番下に位置付けられています。イオン、セブン&アイ、日本ハム、明治ホールディングス、マルハなどそうそうたる日本を代表する食品企業、小売企業ですけれども、世界のレベルでは一番下というのが実態であります。
そんな中、政府は、農林水産物・食品の輸出を昨年の初の一兆円超えから二〇三〇年には五兆円まで拡大する計画です。世界が相手です。このアニマルウエルフェアの問題に関しては、生産者はもちろんですけれども、畜産物を仕入れる立場である食品メーカーや流通、小売などの企業側の対策や取組も重要になると考えます。
まず、主管である農林水産省にお聞きします。
まとめてお聞きしますけれども、このアニマルウエルフェアに対する現時点での取組や考え方、そして今後の方向性などを教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/128
-
129・伏見啓二
○政府参考人(伏見啓二君) お答え申し上げます。
アニマルウエルフェアは、先生も御指摘がございましたとおり、家畜を快適な環境下で飼育し、家畜のストレスや疾病を減らす取組でありまして、その推進は重要で、重要な課題であると考えております。農林水産省では、世界の動物衛生の向上を目的とした国際機関である国際獣疫事務局、略称OIEと申しますが、そのOIEが策定する国際基準を踏まえまして、アニマルウエルフェアに対応した家畜の飼養管理の指針の普及定着を図るとともに、アニマルウエルフェアの実践を含んだ農業生産工程管理というGAPと、GAPの取得推進等を行っているところでございます。
また、今年の一月二十七日には、先生からもありました生産、流通、食品加工、外食や動物福祉の関係者にも御参加いただき、アニマルウェルフェアに関する意見交換会の第一回目を開催したところでございます。
今後とも、最新の科学的知見等の情報収集やアニマルウエルフェアの重要性、メリットについて、生産者、食品加工業者、流通業者、消費者などの理解醸成を図りながら取組を拡大してまいります。
引き続き、先生の方から、そのビジョン、今後どうしていくのかとお話がございました。農林水産省といたしましては、二〇三〇年の輸出額五兆円の目標の達成に向けまして、令和二年十一月に取りまとめた農林水産食品の輸出拡大実行戦略に基づきまして、マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者の後押しや、農林水産物・食品輸出本部を最大限活用しつつ、輸出の障害を克服するための対応の強化等を図っていくこととしております。
このように、マーケットインの発想で輸出にチャレンジしていく上で、アニマルウエルフェアに関しても、国際基準であるOIEコードを満たすとともに、各輸出先の消費者の求める水準に配慮した畜産物を供給していくことも必要であると考えております。
一方で、例えば輸出先国がアニマルウエルフェアを非関税障壁として恣意的に利用する動きを見せるような場合には、農林水産省としては、科学的根拠に基づかない処置は問題であることを主張する等の対応を取っていくことも必要と考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/129
-
130・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
一月二十七日の意見交換会、議事録読む限り、本当非常にいろんな意見があるなというふうには認識しております。ただ、世界の潮流踏まえると、やはり前に進めていかなきゃいけないテーマだと思いますので、是非主管である農水省には頑張っていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
このアニマルウエルフェアの問題をこの経産委員会で取り上げる理由は二つあります。もう、ちょっと簡単に言いますけど、一つはやはりもう企業価値、特に食品や流通、小売業の企業価値の創造、その観点からです。このアニマルウエルフェアというものが、先ほどちょっと紹介した指標ですけれども、イギリスを本拠地とするビジネス・ベンチマーク・オン・ファーム・アニマルウエルフェアという指標がありまして、これ投資家向けにデータを公表しています。これはESG投資の参考の一つにもなっています。ですから、この企業価値の創造という観点からも、やはり経産省がリーダーシップ発揮をするテーマではないかというふうに思っています。
そして、二つ目は日本食のブランディングです。前回、経産省も深く関わるクールジャパンの話をしましたけれども、海外から観光客が日本を訪れる際、そこで最も期待するのが食です。データでもお示ししましたけれども、このような国はもうほかにありません。
資料二を見ていただきたいんですけれども、これは訪日外国人が何にお金を使うかということで、一人当たり大体十六万円を使って帰るんですけど、一番大きいのは買物です、三四%。ただし、この中の二割ぐらいはやはりそういうお菓子だ、お酒だということで、やはり食に関係するものなんですね。そして、飲食費が丸で囲んでいます二二%になります。さっきの買物代の分も合わせるとやはり食の部分が三割ぐらいを占める、非常に大きなポーションになっています。
外務省調べ、農水省の推計によると、海外での日本食レストランもぐんぐん増えています。二〇一三年は世界に五万五千軒あったのが二〇二一年には十五万九千軒で、三倍にも伸びています。これはもう一過性のブームではなくて、日本食が日常的になっているということが言えると思います。
先月十六日の衆議院の経産委員会で、大臣はこのような答弁をされています。二〇三〇年までに農林水産物・食品輸出額五兆円という目標の実現に向けて、関係省庁、機関が一体となって輸出にチャレンジする事業者を後押ししているところというふうにあります。
輸出に関わる実務、貿易、販路拡大ノウハウとか貿易保険など、経産省所管のジェトロ、NEXIの後押しは非常に重要ですけど、どんどんやっていただきたいんですけど、これはもうまさに今の仕事だと思います。やはり、明日、あさっての仕事も重要であって、その中の一つが食のブランディングと考えると、やはりこのアニマルウエルフェアも一つだと思います。
最後に大臣にお聞きします。
二〇三〇年、その先見据えて、食品メーカーなどの企業価値、食のブランディングの観点から、この分野で経産省として何をすべきか、どうお考えでしょうか。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/130
-
131・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 近年、SDGsなど持続可能性に配慮した取組に対する社会的要請が高まっており、先生御指摘のアニマルウエルフェアの推進も我が国が取り組むべき重要な課題の一つと承知しています。
経済産業省としても、アニマルウエルフェアの推進は、食品メーカー等のグローバルな企業価値の向上、また日本の食品のブランド力向上を通じたクールジャパンの推進など、幅広く農林水産物・食品の輸出拡大を通じた経済効果をもたらす可能性のあるものと認識しています。
現在、政府としては、畜産業を所管する農林水産省が中心となって、アニマルウエルフェアの国際基準に対応した家畜の飼養管理指針の普及等に加え、本年一月に食品メーカーや流通事業者など関係者の意見交換会を新たに立ち上げ、相互理解を深めるための取組が進められていると承知しています。
経産省としては、これまでもジェトロを通じた国際的なアニマルウエルフェアの動向に係る情報発信などを実施してまいりましたが、引き続き、農林水産省等関係省庁と連携して、アニマルウエルフェアの対応を含めたブランド価値向上につながるマーケットインの発想で、農林水産物・食品輸出にチャレンジする企業の後押しに貢献をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/131
-
132・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
マーケットインで、そしてプッシュ型で農水省と連携して是非前に進めていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/132
-
133・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/133
-
134・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
我が国の貿易保険の利用割合は諸外国と比べても高い上、保険金額の上位三十社のメガバンク、巨大商社、大手メーカーや大手損保会社などが専ら利用してきました。本法案は、これら一握りの巨大企業が負うべきリスクを国民に転嫁してきた問題点を更に拡大するものとなっています。
反対理由の第一は、海外の間接取引先に生じた損害による損失補填や、日本に貨物を輸入しない第三国向けの仲介貿易の追加によって、海外現地法人の子会社など、再投資先の損害にまで保険金支払を拡大し、必ずしも我が国に裨益しない巨大多国籍企業グループのリスクを貿易保険に肩代わりさせるものだからです。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や半導体不足を契機とした国際的なサプライチェーンの寸断の下で、従来型の海外投資、海外投融資による内部留保の拡大や国内産業の空洞化に無反省なまま、日本経団連の要求を丸のみにし、際限ない国民負担をもたらすおそれがあり、容認できません。
第二は、気候危機対策に逆行する石炭火力発電所を始め、インフラ海外展開戦略を推進するものだからです。
政府は、第二次安倍政権以降、トップセールスで売り込んできた原発輸出プロジェクトが総破綻してもなお、多くのアジア諸国を巻き込んで石炭火力発電所プロジェクトを推し進めようとしています。
相手国政府のエネルギー政策の変更による事業中断を保険金支払の対象に追加する本法案は、石炭火力発電所の輸出に固執するものにほかなりません。パリ協定の目標を達成するために、石炭火力発電所への投資から撤退する世界の本流に合流すべきです。
第三は、昨年、法令で禁止されている投資先への資金運用など、二つの法令違反が相次いで発覚したNEXIによる再発防止や、経産省による監督体制強化の取組が始まったばかりにもかかわらず、本法案が余裕金の運用先を追加しようとしているからです。
さらに、新設される出資業務によるアフリカへの資金供給が、化石燃料から再生可能エネルギーへの公正な移行を阻害してきたゆがみを一層深刻にする危険があることも指摘し、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/134
-
135・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
貿易保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/135
-
136・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、矢田さんから発言を求められておりますので、これを許します。矢田わか子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/136
-
137・矢田わか子
○矢田わか子君 私は、ただいま可決されました貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び碧水会の各派並びに各派に属しない議員安達澄君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
貿易保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 ロシアのウクライナ侵略等による国際情勢の不安定化やビジネス活動のグローバル化・複層化の進展等に伴う様々なリスクの高まりに対応し、我が国企業が安心して対外取引を行うことができるよう、利用者のニーズ等を踏まえつつ株式会社日本貿易保険における貿易保険業務の一層の充実強化に努めるとともに、政府においても更なるリスクの軽減のための適切な支援を行うこと。
二 株式会社日本貿易保険が貿易保険事業を行う外国法人への出資を行うに当たっては、出資先との連携による情報共有の強化や意思決定への関与等を通して、利用者の利便性の向上や国際協調案件の形成等を図るなど、我が国企業の海外における事業展開等に資するものとなるよう努めること。
三 中小企業等の海外展開の推進に向けて、貿易保険の利用実態等を踏まえつつ、バイヤーの信用確認の負担軽減を始めとする利便性の更なる向上や既存の保険商品の見直し等も含めた負担の更なる軽減に取り組むとともに、関係機関と連携して相談支援体制の一層の充実強化に努めること。
四 株式会社日本貿易保険において、認められていない外国債の保有及び保険料の誤徴収という二つの法令違反事案が判明したことを踏まえ、貿易保険業務を適切に行うための法令遵守意識の向上及び組織・人員等の体制整備に引き続き努めるとともに、文書主義の徹底を図りつつ政府においても適切な監督を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/137
-
138・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいま矢田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/138
-
139・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 多数と認めます。よって、矢田さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、萩生田経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。萩生田経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/139
-
140・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/140
-
141・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/141
-
142・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00520220407/142
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。