1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十日(火曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
小野田紀美君 北村 経夫君
松川 るい君 阿達 雅志君
四月二十五日
辞任 補欠選任
森 ゆうこ君 小沼 巧君
三浦 信祐君 若松 謙維君
四月二十六日
辞任 補欠選任
小沼 巧君 森 ゆうこ君
若松 謙維君 三浦 信祐君
石井 章君 東 徹君
四月二十七日
辞任 補欠選任
中西 哲君 山崎 正昭君
東 徹君 石井 章君
四月二十八日
辞任 補欠選任
山崎 正昭君 中西 哲君
五月九日
辞任 補欠選任
森 ゆうこ君 宮口 治子君
五月十日
辞任 補欠選任
中田 宏君 松下 新平君
里見 隆治君 若松 謙維君
三浦 信祐君 安江 伸夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 石橋 通宏君
理 事
青山 繁晴君
堀井 巌君
矢田わか子君
石井 章君
岩渕 友君
委 員
阿達 雅志君
石井 正弘君
北村 経夫君
中田 宏君
中西 哲君
松下 新平君
松村 祥史君
宮口 治子君
森本 真治君
河野 義博君
里見 隆治君
三浦 信祐君
安江 伸夫君
若松 謙維君
山崎真之輔君
ながえ孝子君
安達 澄君
国務大臣
経済産業大臣 萩生田光一君
副大臣
経済産業副大臣 石井 正弘君
環境副大臣 大岡 敏孝君
大臣政務官
財務大臣政務官 高村 正大君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
政府参考人
経済産業省大臣
官房審議官 龍崎 孝嗣君
経済産業省大臣
官房審議官 木原 晋一君
経済産業省大臣
官房審議官 福永 哲郎君
経済産業省大臣
官房審議官 新川 達也君
経済産業省大臣
官房審議官 門松 貴君
経済産業省通商
政策局長 松尾 剛彦君
経済産業省電力
・ガス取引監視
等委員会事務局
長 佐藤 悦緒君
資源エネルギー
庁長官 保坂 伸君
資源エネルギー
庁次長 山下 隆一君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 南 亮君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 茂木 正君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
中小企業庁事業
環境部長 飯田 健太君
国土交通省大臣
官房技術参事官 遠藤 仁彦君
環境省大臣官房
審議官 白石 隆夫君
環境省大臣官房
審議官 松本 啓朗君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○安定的なエネルギー需給構造の確立を図るため
のエネルギーの使用の合理化等に関する法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/0
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001・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、松川るいさん、小野田紀美さん及び森ゆうこさんが委員を辞任され、その補欠として阿達雅志君、北村経夫君及び宮口治子さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/1
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002・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/2
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003・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に石井章君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/3
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004・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、経済産業省大臣官房審議官龍崎孝嗣君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/4
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005・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/5
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006・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。萩生田経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/6
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007・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) おはようございます。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現のためには、我が国のエネルギー構造を需給両面から転換していかねばなりません。まず、需要側においては徹底した省エネを進めるとともに、非化石エネルギーへの転換や電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図る必要があります。次に、供給側においては再エネの更なる導入拡大を進めるとともに、水素等の脱炭素燃料の利用促進や二酸化炭素の回収、貯蔵等の脱炭素技術の社会実装、太陽光や風力発電設備等に不可欠なレアメタル等の権益確保を図る必要があります。加えて、こうしたエネルギー需給構造の転換を進める中でも、安定的なエネルギー供給の確保は大前提であり、十分な供給力、調整力の確保や電力システムの柔軟性向上のための制度整備も必要です。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部改正です。
第一に、エネルギーの使用の合理化の対象に非化石エネルギーを追加し、エネルギー全体の使用の合理化を求める措置を講じます。
第二に、非化石エネルギーへの転換を促進するため、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対し、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の策定等を求めます。
第三に、電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図るため、現行の電気の需要の平準化を電気の需要の最適化に見直し、事業者の取組に関する指針を整備する等の措置を講じます。
次に、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法及び鉱業法の一部改正です。
第一に、再生可能エネルギーの導入促進のため、機構の業務に、海外の大規模地熱発電等の探査事業に対する出資業務と洋上風力発電のための調査業務を追加します。
第二に、水素等の脱炭素燃料の利用促進のため、水素等を非化石エネルギー源として位置付け、一定規模以上のエネルギーを供給する事業者に対して水素等を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の作成等を求めるとともに、機構の業務に、水素等の製造や貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。
第三に、二酸化炭素を回収、貯蔵する技術の利用促進のため、一定規模以上の電気を供給する事業者に対して当該技術を用いた火力発電の利用を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の作成等を求めるとともに、機構の業務に、二酸化炭素の貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。
第四に、レアメタル等を安定的に供給するため、機構の業務に、国内におけるレアメタル等の選鉱、製錬事業に対する出資業務等を追加するとともに、レアアースを鉱業権の設定対象に追加します。
また、これら機構の業務追加を踏まえ、機構の名称を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に改めます。
次に、電気事業法の一部改正です。
第一に、発電所の休廃止が増加する中、電気の安定供給に必要な供給力を確保するため、発電所の休廃止について事後届出制から事前届出制に改めるとともに、経済産業大臣と広域的運営推進機関が連携し、国全体の供給力を管理する体制を強化します。
第二に、電力システムの柔軟性向上のため、脱炭素化された供給力、調整力として導入が期待される大型蓄電池を発電事業に位置付けるとともに、蓄電池の系統への接続環境を整備します。
以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/7
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008・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/8
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009・里見隆治
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。こうした形で質問の時間をいただきましたこと、まず関係者に感謝を申し上げたいと思います。
早速、法案について伺います。
本法案は、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現のために必要な法改正であり、内容は賛成いたします。これをいかに現場に実装、定着させていくか、これが重要でありまして、本日はその観点から質問させていただきます。
まず、今後のエネルギー需給の見通しについて確認をさせていただきます。
資源エネルギー庁の二〇三〇年度におけるエネルギー需給の見通しにおきましてこのように記されております。
経済成長や電化率の向上等による、電力の向上等による電力需給の増加要因が想定、予想されるが、徹底した省エネ、節電の推進により、二〇三〇年度の電力需要は八千六百四十億キロワットアワー程度、総発電電力量は九千三百四十億キロワットアワー程度と見込むとして、二〇一九年度から低減する見込みを描いています。
ここで電化率の向上といいましても、発電のためのエネルギーも非化石エネルギーに転換していこうというのが本案、本法案の趣旨だというふうに受け止めております。また、電化率の向上といいながら、電力の需要、供給量は低減していくと見込んでいますけれども、これはまさに、徹底した省エネ、節電の推進に懸かっております。
例えば、省エネ法で計画作成や報告を需要家に求めても、需要家単独での電化の取組には限界があり、そしてこの計画作成、その前提となる具体的な設備改修などが促されるように経済産業省として事業者にインセンティブを与えるような財政上の措置を含めて支援を講じる必要があると思います。お考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/9
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010・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 今委員から御指摘がございましたように、省エネを推進していくためには、省エネ法による規制と併せまして、税や補助金等による支援措置によって事業者の省エネの取組を後押ししていくということが非常に大切だというふうに考えております。
具体的には、工場において生産設備やエネルギー供給設備をより省エネ型の設備に更新していくための補助、また、専門家による工場等のエネルギーの使用状況の診断や改善提案なども非常に重要です。これは、自らエネルギーの使用状況やその特性を十分に把握し切れていない事業者もいらっしゃいますので、こうした方たちへの支援としてこうした診断や改善提案というのも非常に重要だというふうに考えております。
また、税制措置としては、これは炭素生産性の向上、つまり単位生産当たりのCO2の排出量がより少ない設備ですね、こうした設備投資に対する税制上の措置というのも講じておりまして、これらの措置で規制と支援を組み合わせることで徹底した省エネを推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/10
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011・里見隆治
○里見隆治君 まさに規制とそして支援が必要だと、その点をよく推進を強くお願いしたいと思います。
次に、大臣にお伺いしたいと思います。
この電化率の向上の一つの象徴が自動車の電動化であります。グリーン成長戦略の中で、二〇三五年に乗用車の新車販売を一〇〇%電動車とするという目標が示されております。今後、エンジン部品の関連の中小企業サプライヤーや自動車整備事業者の事業転換が課題となってまいります。こうした課題への挑戦は、グリーン成長戦略に向けた投資であり、雇用の維持にもつながるものであります。
サプライチェーン全体での脱炭素化という観点から国として強力に支援すべきと考えますけれども、経産大臣のお考え、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/11
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012・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 自動車の電動化を進めていくに当たって、部品サプライヤーや自動車整備に携わる皆様など、地域の自動車産業を支える方々に前向きに取り組んでいただくことが重要です。例えば、エンジン部品の中小サプライヤーが新たに電動車部品の製造に挑戦する、あるいは整備事業者が電気自動車や燃料電池自動車の整備に挑戦するといった事業転換の取組について積極的に支援をしてまいります。
具体的には、事業再構築補助金に新たなグリーン成長枠を設け、売上減少要件を撤廃し、補助上限額を最大一・五億円に引き上げることで支援を強化してまいります。また、先生御指摘、先生のお地元の愛知県を含め、全国各地域に支援拠点を設けて、部品サプライヤーや、対象とした相談窓口の設置、事業転換をサポートする専門家の派遣も含め、きめ細かな支援策を講じてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/12
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013・里見隆治
○里見隆治君 今大臣から私の地元愛知の取組についても触れていただきました。ありがとうございます。
まさに中部経済圏、これは愛知、岐阜、三重、この三県とそして名古屋市、これらの自治体が民間とも協力する体制をしいておりまして、中部水素利用協議会というものを立ち上げまして、日本初の大規模水素受入れ、配送事業を社会実装し、商用化につなげるべく活動しておられます。
同協議会の試算によりますと、水素受入れ基地やパイプライン、ローリーなどの配送設備の初期投資コストが約一千億円程度必要であると、また、既存エネルギーと水素とのコストギャップが二百億円、これは年間当たりですね、発生するなど、投資コストが大きな課題となっております。
こうした地方自治体、民間を挙げての取組に対して、これを促すような、コストギャップの部分について、これを国として是非とも御支援いただきたいと、支援を充実いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/13
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014・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 水素は、化石燃料を使用しないゼロエミッション火力への転換の鍵です。加えて、産業や運輸など幅広い分野の脱炭素化を可能とするカーボンニュートラルに不可欠なエネルギーです。ウクライナ情勢等を踏まえ、エネルギー安全保障の確保が更に強く求められる中、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立できる水素の社会実装や商用化の加速が一層重要だと思っております。
私自身、小型の水素発電や水素運搬船を実際に目にしまして、技術的には商用化を見通せる段階にまで近づいていると感じました。他方、現時点では、既存の化石燃料に比べ、先生御指摘のように割高な燃料であることや、インフラ整備に多額の投資を要することも事実であります。
商用化に向けて、効率的な供給インフラの整備を通じてコスト低減を図るとともに、地域でしっかりした、しっかりとしたニーズをつくり上げていくことが必要です。そのためにも、既存燃料とのコスト差ですとかインフラ整備の在り方などにも着目しながら、水素の導入拡大、商用化に向けた大胆な支援措置の検討をさせていただいております。
今後、水素をクリーンエネルギー戦略の重要な柱とし、社会実装を加速してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/14
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015・里見隆治
○里見隆治君 今大臣も御答弁いただいた大規模水素の受入れ、また配送事業、これを社会実装、商用化を進める際に、その主要な基盤となる港湾の観点からの支援というものも必要だと思います。
これは国土交通省の所管になろうかと思いますけれども、国交省がカーボンニュートラルポートの形成に向けた取組を行っていただいています。重要な取組であると認識しておりまして、地元名古屋港でも様々な取組伺っております。
本日は資料を配付しておりますので、その概要を資料を御覧いただきながら質疑させていただきたいと思いますけれども、まず、国土交通省に現在の課題認識と今後の取組の方針についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/15
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016・遠藤仁彦
○政府参考人(遠藤仁彦君) お答え申し上げます。
国土交通省では、港湾、臨海部におきまして、水素、アンモニア等の大量かつ安定、安価な輸入や貯蔵等を可能とする受入れ環境の整備や、港湾地域の脱炭素化を図るカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでおります。
各企業が脱炭素化に取り組む際、水素等の調達が必要となりますが、個別企業の対応ではなく、港湾地域に立地する企業が連携をして取り組むことによってより多くの水素等の需要を創出をし、安定、安価な供給が実現できると考えております。このため、今後、各港湾におきまして、港湾管理者が官民の関係者と連携をし、カーボンニュートラルポート形成計画を作成するとともに、各関係者がこの計画に基づく取組を進めてまいります。
国土交通省といたしましては、港湾管理者によるカーボンニュートラルポート形成計画の策定に対する支援や水素等を用いた港湾荷役機械を導入するための実証事業等を行ってまいります。
引き続き、経済産業省を始めとする関係省庁と連携をしながら、水素等のサプライチェーンの構築に寄与するカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/16
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017・里見隆治
○里見隆治君 国交省ではこのカーボンニュートラルポートの形成を取り組んでいただいていますが、その関連で、経済産業省ではカーボンニュートラルコンビナート研究会、これを昨年十二月に立ち上げていただきまして、この三月に論点整理を示されております。多くのコンビナートは臨海部に位置しておりまして、さきに取り上げましたこのカーボンニュートラルポート、その取組も踏まえて、自治体と企業と連携して水素、アンモニアなど脱炭素燃料の導入に向けた検討を進めるべきだと考えます。
経済産業省のお取組についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/17
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018・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) カーボンニュートラルを実現するためには、アンモニア、水素などの供給拡大に合わせて、それを受け入れて利用する石油精製、鉄鋼、発電などCO2を多く排出する事業者が集積したコンビナートのカーボンニュートラル化を進め、供給、利用両面一体となってサプライチェーンを構築していくことが重要でございます。
経済産業省では、これらの分野において、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用し、合成燃料、水素還元製鉄、アンモニアの高率での混焼、専焼などに関する技術開発や実証を進めているところであり、将来的にはコンビナートは水素、アンモニアの受入れ、利用の有効な拠点になり得るというふうに考えてございます。
今御質問いただきましたカーボンニュートラル研究会、あっ、カーボンニュートラルコンビナート研究会でございますが、国交省にも御参加いただき、三月に論点整理を行ってございます。その中では、例えば、地域で企業、自治体などが参加する協議会などを活用して、学識経験者なども交えて客観的な議論、検討を進めていくこと、あるいは、エネルギーのみならずマテリアル、原材料ですね、の安定的かつ効率的な供給確保を前提としてこのカーボンニュートラルコンビナートの実現を進めていくことが重要であることなどの御指摘をいただいているところでございます。
その上で、こういう、その水素、アンモニア等の効率的なサプライチェーンを構築するためには、先を見据えた計画的なインフラ整備を進めていくことが重要であるというふうに考えておりまして、そのための推進策の在り方について、カーボンニュートラルポートを進めておられる国交省とも連携して、今後引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/18
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019・里見隆治
○里見隆治君 よく経済産業省、国土交通省でこのカーボンニュートラルポート、そしてコンビナートの連携をして進めていただきたいと思います。
これまで水素、アンモニアについて触れていただいておりましたけれども、触れてまいりましたけれども、私は、一方でバイオ燃料にも注目をしております。
バイオ燃料の使用は、乗用車用のガソリンや、トラック、船舶で利用される軽油など、様々な燃料の脱炭素化に向けて有効な手段の一つだと考えます。とりわけ、我が国では消費量の多いガソリンの代替燃料であるバイオエタノール、二〇五〇年のカーボンニュートラルへの移行期間におきまして自動車等の内燃機関の利用を維持するという、そのためにも現実的かつ有効な手段であると認識しております。
現在のバイオエタノールの利用状況、また今後その利用促進に当たっての課題、取組方針についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/19
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020・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 御指摘のとおり、バイオ燃料は運輸部門の脱炭素化に向けた取組を推進するための有効な手段の一つでございます。
ガソリン代替のバイオエタノールにつきましては、我が国では、エネルギー供給構造高度化法の告示において、国内の石油精製事業者に対し、二〇一一年以降、導入目標を設定してその導入を推進しているところでございまして、直近のものは二〇一八年度から二二年度、今年度までの五年間でありまして、毎年原油換算で五十万キロリットルのバイオエタノール、これはそのガソリン全体の約二%弱に相当する量でございますが、これをガソリンに混合し需要家に供給していくということを求めているところでございます。
この来年度以降についてまた目標を更新していく必要があるわけでございますけれども、その在り方につきましては、現状では今ほぼ全量を海外から輸入しているという実態、他方で、国産資源の利用可能性がどの程度出てくるのか、それから経済性、コスト、国際的な導入動向なども踏まえながら、関係する様々な分野の専門家とも議論して検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/20
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021・里見隆治
○里見隆治君 今話題にしておりますバイオ燃料の中でも、航空分野における脱炭素化、これが必要であります。いろんな状況がありますが、国際航空分野においては国際的なCO2排出抑制の規制が掛かっておりますので、これは非常に選択肢が限られている、つまりバイオ燃料にもしっかりと取り組まなければならない、そういう分野だと認識しております。
航空分野の脱炭素化は待ったなしの課題でありまして、航空燃料の、水素や電化で代替することは困難でありますので、燃料、液体燃料であるバイオジェット燃料、いわゆるSAF、持続可能な航空燃料の利用が不可欠だと考えます。
このSAFの導入促進に向けた経産省の取組についてお伺いします。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/21
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022・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 航空分野の脱炭素化に向け、CO2削減効果が期待できるSAFの供給体制の確立は急務です。このため、経済産業省としては、当初予算事業においてSAFの製造技術開発、実証に取り組む事業者を支援するとともに、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用してSAFを大規模に製造するための技術開発を支援するなど、SAFの製造技術開発を進めているところです。また、供給側の石油精製事業者と利用側の航空事業者との間で業界を超えた取組が一層進展するよう、国土交通省と共同で、持続可能な航空燃料の導入促進に向けた官民協議会を先月設立をしたところです。
今後、経産省としても、SAFの早期導入が進むよう、関係省庁とも連携し、技術開発や実証に取り組む事業者を積極的に後押ししてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/22
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023・里見隆治
○里見隆治君 大臣、是非よろしくお願いいたします。
この法案については、私、準備していた質問は以上なんですけれども、最後に、法案とは別なんですが、事業復活支援金について最後申し上げておきたいと思います。
昨年、一昨年、コロナ関係の対策で一時支援金、月次支援金と、そして今回の事業復活支援金と、支給要件を順次広げていただくなど対応いただいております。一つ一つ改善をいただいていることは感謝申し上げたいと思います。
実は、私と同じ公明党の竹谷とし子議員からも同様の事案が寄せられているかと承知しておりますけれども、こうした申請については、現在、システムによって行われております。ただ、これ、システム上、確かに効率的、迅速だということもあるんですが、一旦引っかかるとなかなか進められないと、これ、多く要望として現場から伝わっているところであります。
このシステム上の支給申請手続において、実際には支給要件を満たすにもかかわらず、申請者が誤って申請取下げボタンを押してしまうと再申請をできないという実態がございます。これは不正受給を防止する観点からだというふうに当局からは、事務方からは説明を受けておりますけれども、実際には支給要件を満たしているにもかかわらずシステム上はねられて再申請ができなくなると、この点は改善すべきではないかというふうに考えております。
今後、デジタル化を進めてオンライン申請がより標準化されていく、そのまさに先駆けとして昨年来の一時支援金、月次支援金、そして今回の事業復活支援金のシステム上の申請手続があったかと思います。そういう意味では、この迅速性、確実性、また不正受給をなくしていくという観点は非常に重要でありますけれども、一方で、必要な給付が必要な方に届くように、その意味では、最後はデジタルではなく、一番最後の、まあラストワンマイルといいますか、一番最後の部分はアナログであっても、時間が掛かってでもお届けできるような、そうした仕組みをしっかりと構築しなければ、今後のデジタル化への対応というのは難しいのではないかと。誰一人取り残さないという観点からすると、その考えにもとるというふうに思います。
今日は答弁を求めませんけれども、是非こうした観点で、このシステム上の手続がより円滑に、そして必要な方に必要なサービスが届くようにという観点で検討、御対処いただくようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/23
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024・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
本法案において非化石エネルギーを定義している中、原子力発電による電気も含まれております。現状と二〇三〇年度見通しの電源構成ギャップが大きく、実現へのギャップ解消を図っていく必要があります。加えて、今般のウクライナ危機による、我が国のエネルギーの安定供給、そして電源構成の戦略をよくよく考える必要性があります。その上で、原子力事業について、事業者は今後の予見可能性と事業性を見出すことができなければ、結果として経営判断で事業撤退して、そして技術確保の困難を招き、人材流出を招いてしまうということ、そしてそれを防ぐことができません。
政府として、原子力を非化石エネルギーとするならば、どう具体的にこれらの対策を打つのか、見立てを明示をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/24
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025・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今委員御指摘のとおり、原子力というものは、二〇五〇年エネルギーミックス、カーボンニュートラルということを目指していく上で大変重要な脱炭素電源だというふうに考えているところでございます。一方で、震災後の事業環境の悪化というものに伴いまして、原子力のサプライチェーンを維持する上で重要な企業にも廃業ですとか原子力事業からの撤退というのが相次いでいるという現状にございます。そういう意味で、我が国が持つ高いレベルの技術、人材、産業基盤の維持強化を図っていくということは大変重要な状況になっているというふうに認識してございます。
このため、昨年十月に閣議決定いたしました第六次エネルギー基本計画の中におきまして、将来に向けた原子力利用の安全性を抜本的に高める技術の開発、また産学官の垣根を越えた人材、技術、産業基盤の強化ということを進めることを記述しているところで、規定しているところでございます。
具体的に申し上げますと、経済産業省におきまして、例えばでございますけれども、事故時に水素を発生しない安全な燃料、これは事故耐性燃料と呼ぶわけでございますが、こうしたものの開発など、メーカーによる新たな技術開発の支援を行っていくということでございますですとか、機器製造から撤退する企業の開発成果やデータを別の企業が承継する取組と、こういうことによって重要な技術というものがしっかりと基盤として維持されていくということを後押しする取組ですとか、こういった支援策を政府も前面に立ちまして取り組んでいきたいと考えてございます。
引き続きまして、産業界の実態をよく踏まえつつ、将来を見据え、産業界とよく連携しながら、政府としましても技術開発や人材育成にしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/25
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026・三浦信祐
○三浦信祐君 極めて大事な予見可能性、これについてもよく、多くの技術者の皆さんであったりとか関係者の皆さんとよく議論を重ねていただきたいと思います。
原子力人材の確保と育成は国家的課題でありまして、可及的速やかに対応すべきだと思います。現下の国内では、民間企業の経営判断で人材放出、体制改変が生じていることは、経営上の判断という部分で見れば理解はできます。しかし、技術と人材の途絶は、そのまま国力、国際競争力の低下、そして今後生じ得る廃炉人材喪失によるリスクに直結をしていきます。官民連合を一気に進めて、連合体、また技術集積のマネージを図るべきだと私は考えております。
SMRでしたり、またHTRも今動いておりますけれども、高温ガス炉や高速炉等の革新炉は世界が求める技術であり、日本にはその力があります。現実的課題を直視し、体制を確保すべきと考えますけれども、萩生田大臣、是非これを進めていただきたいのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/26
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027・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 将来の選択肢としての原子力を維持していくためには、我が国が持つ高いレベルの技術、人材、産業基盤の維持強化を図っていくことが必要です。そのためには、御指摘のとおり、SMRですとか高温ガス炉、高速炉等を含めた革新炉の開発に向け、国立研究開発法人や大学などの研究機関に加えて、プラントメーカーやサプライヤー、さらには電力会社や建設会社など、幅広い関係者が一丸となって取り組んでいくことが必要です。
幅広い関係者による効果的な連携が可能となるよう、経産省として、研究開発への支援に加え、技術ロードマップの更なる具体化やサプライチェーンの関係者に対する働きかけなどを強化していくことで、開発体制の確保を含め原子力の産業基盤の維持強化にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/27
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028・三浦信祐
○三浦信祐君 国民の皆様の理解も必要だと思いますので是非、その安全性であったりとかプロセスについての見える化も是非大臣の下でしっかりと進めていただきたいと思います。ましてや、今使っていないから人材がいなくなった、ところが世界が求めてきたときに人がいない、こういう実態というのは今回のコロナ禍でも明確になったと思います。これをしっかりと先手を打つということも重ねてお願いをしたいと思います。
アンモニア発電について質問いたします。
アンモニアは炭素を含まないため発電現場における燃焼で二酸化炭素を排出しないことから、既存施設を活用した上で脱炭素化を図ることができます。したがいまして、アンモニア発電は日本にとって重要なエネルギー源として活用すべきだと私は考えております。アンモニアを燃料とした石炭ボイラー、将来的にはガスタービンでの活用への技術開発と混焼技術の向上とともに、大気汚染を招く原因物質の確保、抑制技術の向上も欠かすことはできません。先般も、地元、私の地元であります神奈川県の横浜市で行われております混焼技術を高めた安定燃焼技術開発の現場でもお話を伺いまして、着実に進展が図られていることを学んでまいりました。
今後の実用化を確実にしていくために、政府は確実に研究技術開発支援を図っていただきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/28
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029・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) カーボンニュートラルの実現に向けて脱炭素型の火力への転換が重要でございますが、その鍵を握るのがアンモニアの活用でございます。既に、アンモニアのボイラーへの吹き込み方法の工夫などによりまして窒素酸化物の排出量を抑制する基礎技術は開発してございまして、二〇%混焼におきましては石炭の燃焼時と同等の水準までNOxを低減し、環境への影響は抑えられるということを確認してございます。
昨年度から碧南火力発電所における実機実証を開始し、二〇二四年度には百万キロワットの実機燃焼炉での二〇%混焼試験を行うべく取組を進めており、二〇二〇年代後半には実用化をする予定でございます。さらに、グリーンイノベーション基金を活用し、窒素酸化物の抑制などの課題を解決し、混焼率の引上げや専焼化を可能とするための技術開発にも取り組んでございます。
こうした技術を国内のみならずアジアなどの他国にも展開していくことも目指しておりまして、既にインドやインドネシアとの間でアンモニアの混焼やその先の専焼に向けた具体的な議論を開始してございます。
これらの方策を通じてアンモニアの燃料利用の普及拡大に努めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/29
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030・三浦信祐
○三浦信祐君 国内のみならず世界での勝負をしていくということは極めて大事だと思いますので、これはバックアップのみならず牽引するぐらいの覚悟で進めていただきたいと思います。
その上で、アンモニア発電の実用化には、アンモニア自体の確保、また、今後の需要の急増も想定をして、サプライチェーン構築への必要なインフラ整備も重要であります。海外との連携とともに、権益の確保も必須であります。アンモニアの流通体制全般の確保を国家戦略として取り組んでいただきたいと思います。
具体的な答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/30
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031・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) アンモニアは、石炭火力のゼロエミッション化を見据え、二〇三〇年には年間三百万トン、二〇五〇年には混焼率の引上げや専焼化によりまして年間三千万トンまでの国内需要が拡大していくことを見込んでございます。
将来的な需要拡大に当たっては、新たな燃料アンモニアのサプライチェーンの構築が必要でございます。アンモニアは肥料などの既存の原料用インフラも活用可能でありますけれども、今後の大きな需要増に対応するためには、生産、輸送、貯蔵、受入れなどに関わるインフラの大幅な整備増強が必要となります。
先生御指摘の、いわゆるアンモニアを安く作れる国でいかにそういうプロジェクトに参画していくかという権益のような視点も大事になってまいります。このため、今般の改正法案では、JOGMECの機能に水素などの製造や貯蔵に必要なインフラ整備のためのリスクマネー供給支援を追加する改正事項などを盛り込んでございます。
また、アンモニアの利用拡大には事業安定性の確保が重要でありまして、現時点ではまだ市場が未熟、未成熟でありますので既存の化石燃料と比べて割高でございます。そうした中で、事業者による予見可能性を高め、早期の市場形成を促すため、本年三月に小委員会をエネ庁の方で立ち上げまして、既存燃料とのコスト差やインフラ整備の在り方などに注目した検討を行っているところでございます。
こうした取組を通じまして、アンモニアの商用サプライチェーンの形成、さらには新しい産業集積拠点の形成に向けて、具体的な推進策の検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/31
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032・三浦信祐
○三浦信祐君 今検討していただいていると思いますけど、是非これ加えていただきたいのが、まず、貯蔵をするという観点での集約化、これ分散すると多分コストが上がってしまいます。なので、大規模集約化ということの議論をしっかり進めるということ。もう一つは、インフラと一体となって技術を輸出していくということ。これは、物だけ輸出してもやっぱり長期的には更にアップデートができなくなりますので、そこも加えて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
二酸化炭素の回収、貯留、すなわちCCSについて伺います。
CCSの研究技術開発を進めることが重要でありますが、現在国内で稼働している火力発電に適用可能性を希求する必要があります。
端的に伺います。
国内における現有の火力発電へのCCSの適用可能性について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/32
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033・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 火力発電の脱炭素化に向けては、CCSというのが鍵となる重要な技術というふうに考えてございます。
このCCS技術につきましては、二〇三〇年の事業化に向けて、コスト低減、適地の開発、事業環境整備といった様々な課題がございまして、本年一月から有識者によるCCS長期ロードマップ検討会を開始し、集中的に議論してきているところです。
これを踏まえ、先月開催した第四回の検討会におきまして、政府として、二〇三〇年までに企業がCCS事業を開始するための事業環境整備を行うと、これを目標とした上で、今後、そのCCS事業実施のための国内法整備に向けた検討、CCSのコスト低減に向けた取組、CCS事業への政府支援の在り方の検討、CCS事業に対する国民の理解の増進、海外CCS事業の推進などを含む中間取りまとめ骨子案をお示ししたところでございます。今後、五月中旬にこの中間取りまとめを公表し、クリーンエネルギー戦略にも反映してまいりたいと考えております。
その上で、検討会の下に立ち上げるワーキンググループで、このCCS実施のための法整備でありますとか、コスト削減あるいは詳細なビジネスモデルを検討するワーキンググループでの集中的な議論を通じて、年内にはこのCCSの事業化に向けたより詳細なロードマップを取りまとめて提示していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/33
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034・三浦信祐
○三浦信祐君 出てきたカーボンをキャプチャーするためには、現有の火力発電所のところでそれがちゃんと地中埋設できるかという土地の確保であったりとか、そういう観点性の技術の部分もよく議論をしていただきたいと思います。
CCSの先にキャプチャーしたカーボンを活用すること、特にエネルギー源として活用することができればエネルギーエコシステムができ上がります。物理的には、もう炭素と酸素を分離するということは極めて難しいことは承知の上でありますけれども、炭素を利活用することが究極のイノベーションであると私は考えております。
キャプチャーしたカーボンの利活用に関する研究技術開発の現場と課題について伺いたいと思います。その上で、国家戦略としてキーテクノロジーとして位置付けて、研究開発、ビジネス性も踏まえつつ、強力に研究開発投資をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/34
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035・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 炭素を利活用いたしますカーボンリサイクル技術はカーボンニュートラルを実現していくためのキーテクノロジーでございまして、様々な施策を通じて技術開発をより進めていくことが重要だというふうに考えてございます。
予算事業による支援により、既にCO2を原料としたコンクリート、これは実用化に成功しております。また、CO2を吸収する藻によるバイオジェット燃料生産についても実証が始まっております。また、水素と反応させてメタンを合成するメタネーション技術の研究も進んでいるところでございます。その上で、昨年にはこのカーボンリサイクル実行計画を改定し、克服すべき技術面での課題やコスト目標などについての検討を深め、取組を進めているところでございます。
今後は、こうした検討を土台としまして、政府による後押しを更に進めるべく、グリーンイノベーション基金も活用しつつ、コンクリート、燃料、化学品などの多様な分野でのカーボンリサイクル技術を確立し、更なるコスト低減や社会実装を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/35
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036・三浦信祐
○三浦信祐君 是非これを進めていただきたいと思いますし、また各大学との連携ということで人材育成も必要でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
リサイクル技術について伺いたいと思います。具体的には、我が国が資源国家に成長するために必要なリサイクル技術の開発について伺いたいと思います。
我が国は、これまで、多くのレアメタル、レアアース等を活用して省エネ技術や大容量の情報処理能力、また、効率、能率性の向上を図り、社会経済活動の発展を支えてまいりました。今後、デジタル技術、量子技術と脱炭素社会の構築によってこれらの素材が更に利活用され、必須となります。
経済安全保障の観点で今般の世界情勢を踏まえれば、レアメタル、レアアースの確保は欠かすことはできません。国内におけるリサイクル研究、技術開発ができれば、我が国は資源国家となる可能性は十分にあると私は考えております。
これまでは家電リサイクルを軸として政策を推進してきたことは承知をしておりますし、これも加速すべきだと私は思います。しかし、目が届いていない部分もたくさんあります。例えば、素材からの元素分離等の研究技術進展が図られれば、現下ではとてもコスト的には見合わなかったとしても、価格交渉力が付くことで大きなインセンティブが働くことも期待ができます。
レアメタル、レアアース確保のために、リサイクル技術、抽出技術等の推進を軸とした対策も実施していただきたいと思います。例えば、大学研究機関、素材メーカー、完成品メーカー等と行政が検討会を持って具体的な課題抽出とコストフォローも議論して展望を開いていただきたいと思います。萩生田大臣、是非取り組んでいただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/36
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037・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 資源小国である我が国にとって、レアメタルなどの供給を安定的に確保するためにはリサイクル技術の開発促進は極めて重要だと私も思います。
先生御指摘のように、例えば航空機のタービンブレードや電動車のバッテリーなどにも多くのレアメタルなどが含まれており、こうした工業品から効率的にリサイクルを行うことは希少なレアメタル等の安定供給に向けて鍵を握っているものと承知しています。他方で、廃棄された工業品からレアメタルなどを回収する際のコストは高く、そのコスト低減は実用化に向けて乗り越えるべき課題と認識しております。
このため、経産省としては、まず、小型家電の分野で製品や部品を自動選別するプロセスの開発や高効率的な製錬システムの開発といった低コストのリサイクル技術の開発を進めてきているところでございます。
引き続き、関連の技術開発を積極的に後押しすることでレアメタル等の供給確保に資する対策を着実に推進してまいりたいと思いますし、今先生から御提案のあった供給機関ですとかメーカーさんですとか、少しその関係する皆さん横断的にテーブル囲んでもらって、どういうところにどのくらいの隠れたレアメタルがあるのか、抽出するためにどういう技術が必要なのか、これ少し深掘りしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/37
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038・三浦信祐
○三浦信祐君 大臣、ありがとうございます。
実は、このリサイクル技術は即座に使えないということでなかなか研究費も取りづらいとか、そして、将来構成を考えたときに技術者をなかなか生み出しづらいということもありますので、なかなかこれが行政に声が上がっていないケースもあると思いますので、是非、今、深掘りをしていただけるということを進めていただきたいと思います。
新電力の事業撤退について伺いたいと思います。
今般のエネルギー市況の激変によって生じている新電力事業撤退に伴い、最終保障供給制度の利用事業者が激増しております。利用者への電源供給途絶を避けるためにセーフティーネットとして活用されておりますが、今後の状況によっては、本制度の継続利用による、生じる課題があると私は考えております。どのように対応されるんでしょうか。加えて、制度活用の方が利するいわゆる逆ざや状態となっております。スポット市場の割高設定を超えてでも、現下割安となってしまっている本制度による不平等を解消すべきだと思います。どのように課題解決をするということを考えておられるんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/38
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039・佐藤悦緒
○政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。
最終保障供給制度につきましては、本来、どの小売電気事業者とも契約できない需要家のためのセーフティーネットとして措置されたものでございますので、継続的に利用されるようなことがあれば様々な課題が生じるものと認識をしております。
具体的に申し上げます。
最終保障制度を活用した方が新電力と契約をするよりも割安になるという、先ほど先生が御指摘いただきましたような逆ざやの状態が続きますと、そのことによって自由競争を阻害しかねないこととまず認識しております。また、一般送配電事業者の調達費用が最終保障供給料金を上回る、ここでも逆ざやが発生しておりまして、これが続きますと、その経営にも影響を与えかねないことを課題として承知しているところでございます。
他方、需要家にとっては、最終保障供給料金はこれまでの契約水準と比較すると割高なものであるため、現に需要家からは高いとのお声もいただいておりまして、各主体によって利害関係が相違している状況になっております。
こうしたことから、それぞれのステークホルダーの間の方での合意形成を図るため、最終保障供給料金の在り方について、有識者から成る審議会で議論をいただいているところでございます。検討を加速しまして、可能な限り速やかに結論を得てまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/39
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040・三浦信祐
○三浦信祐君 是非速やかに課題解決のために検討を進めて結果を出していただきたいと思います。
二つ質問飛ばさせていただきました。恐縮です。
以上で終わります。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/40
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041・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、里見隆治君が委員を辞任され、その補欠として若松謙維君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/41
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042・宮口治子
○宮口治子君 立憲民主党の宮口治子でございます。本日は経済産業委員会で質問する機会をいただきまして、ありがとうございます。
萩生田大臣に質問する機会をいただけたということで、通告にはございませんが、政治と金の問題で萩生田大臣に伺いをさせていただきたいと思います。
本会議でも申しましたが、私が国会議員としてここにいるのは、直接の理由、それは広島県で大規模買収事件があり、補欠選挙ではなく、異例の再選挙が行われたからでございます。当時、岸田総理は、自民党広島県連会長というお立場で、自民党の中から真実を明らかにする、自民党を変えていくと広島の皆様の前でおっしゃっておりました。そして、そのとき萩生田大臣は文部科学大臣として政府の中にいらっしゃいました。
大臣、当時も政府の中にいた一人として現状をどう考えていらっしゃるか、コメントいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/42
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043・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 所管外なんで詳しい答弁は控えたいと思うんですけど、いずれにしましても、先生が今この場にいらっしゃるプロセスを考えると、地元でどういうことがあったのか詳細には私、事実は分かりませんけれど、いずれにしても、政治に不信感を持たれるような事案があったということは、これは否めないと思います。
当時、文部科学大臣ですから、子供たちに言うならば教育という大切な仕事をしておりましたので、ルールにのっとってしっかり前に進むということは極めて大事なことだと思いますので、岸田さんが当時県連の会長だったんですか、地元の皆さんに対しての御説明は御説明としてしっかりこれからもするんだと思いますけれども、政治が信頼を取り戻すために、できることは政府の一員としてしっかりやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/43
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044・宮口治子
○宮口治子君 あの買収事件の火はまだくすぶり続けておりまして、広島では本当にまだ混乱が続いているという状況でございます。どうかこれを終わったことということにしないでいただきたいと思っております。ありがとうございました。
さて、本題に入ります。
クリーンなエネルギーの生成や使用促進等による環境負荷の軽減ももちろん重要です。それは後ほど質問させていただくこととしまして、まずは、本法案の通称が省エネ法案となっているにもかかわらず、法案内にて省エネに関する記述が少ないことが気に掛かります。
エネルギーの供給側の変化はもちろん、エネルギー需要側の抑制、省エネも引き続き推し進めていかなければならないかと考えます。経済活動を維持拡大しながら省エネを実現することができれば、生み出す電力総量も、現状、海外からの輸入に依存しているエネルギー総量も減らすことができます。気候変動対策に加え、経済や安全保障上の観点からも省エネは重要なテーマではないでしょうか。
省エネ、エネルギー節約を促進するための現在の検討状況について、政府の認識、見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/44
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045・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現や二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス排出削減目標の達成に向けまして、徹底した省エネの推進というのが極めて重要でございます。
昨年十月に策定いたしました第六次エネルギー基本計画においては、これ産業部門、業務・家庭部門、運輸部門の部門ごとに導入可能な対策や技術を取り入れることで二〇三〇年の最終エネルギー消費で約六千二百万キロリットルの省エネを見込んでおりまして、現在この達成に向けた取組を進めているところでございます。
具体的には、省エネ法の執行の強化、また先進的な省エネ技術の開発や、工場、事業場における省エネ効果の高い設備への更新に向けた支援などに取り組むとともに、住宅、建築物の規制的な措置の強化やゼロエネルギー化に向けた支援などに関係省庁とも連携しながら取り組んでいるところでございます。
また、今般御審議いただいている省エネ法の改正案では、産業・業務部門の省エネの深掘りのために、業種ごとに目指すべき省エネ目標であるベンチマーク基準を法律上に位置付けまして、エネルギー多消費業種における省エネ取組をより一層促すこととしております。
こうした施策を通じまして、省エネの更なる推進に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/45
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046・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。今、担当官の方から省エネの検討状況についてお聞かせいただきました。
大臣、今回の法律は供給側のCO2削減の話だけではない、省エネもしっかり進めていきますという決意をお聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/46
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047・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) エネルギー資源の大部分を海外に頼る我が国においては、省エネを推進することにより限られた資源の有効利用を図ることが極めて重要です。
これまで、我が国は、省エネ法による規制と補助金などによる支援を車の両輪としてエネルギー消費効率の改善を進め、世界最高水準の省エネを達成してまいりました。一方で、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度に温室効果ガスの排出量を四六%削減するという野心的な目標の達成に向けては、更なる取組が不可欠です。
このため、現行の省エネ法における規制措置の執行強化や今回の法改正案において、非化石エネルギーへの転換や需要の最適化に関する措置と併せて、省エネについて、業種ごとに目標、目指すべき目標であるベンチマーク基準を法律上に位置付けることなどを通じて省エネを強力に推進していくという思いに変わりはなく、引き続き規制と支援を車の両輪として徹底した省エネの推進に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/47
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048・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
続いて、電力需要最適化についてお伺いします。
本法案では、電力需給の状況に合わせた事業者側の電力使用量の調整を推奨することで、電力需給の最適化に向けた一つの取組として位置付けられています。
この施策について、理想からいえば、電力の需要サイドで需要が最適化されれば、その分、供給量の余剰を持つ必要がなくなりますし、供給量の変動が大きいというデメリットも目立つ再生可能エネルギーを普及していく観点からも望ましいことであると期待しております。
一方で、その現実可能性については疑問が残ります。先日の本会議においても大臣にお伺いしたように、電力の需要量調整を行うということは、事業者側の事業活動が電力の需給バランスという外部要素によって変動していくことを意味し、製造業を例に取れば、変動分を吸収し得るだけの稼働率の余裕を日頃から持っていなければ対応は難しいのではないでしょうか。
先日、本会議で同様に質問した際、電力使用量の調整を月次で評価することにより事業者の対応難易度を下げるという回答をいただきましたが、確かにハードルは下がるものの、そもそも電力需要という外部要因による事業活動の変動が事業者にとって許容し得るかという懸念が払拭されません。この取組を実現させるには、事業者がこのデメリットを受け入れるだけのインセンティブを設計する必要があります。
改めて伺います。
事業者に推奨される電力供給量の変動に応じた電力需要の増減対応の実現可能性及び期待効果はどのように想定、試算しているか、その実現のための事業者に向けたインセンティブの設定、考え方について政府の考え方をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/48
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049・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 省エネ法改正案におきまして、電気の需要最適化の措置でございますが、再エネの出力制御時に、技術的かつ経済的に可能な範囲で需要をシフトした事業者について、その需要のシフトを省エネとして評価するものでございます。この措置では、今委員からも御指摘ございましたが、エネルギーの使用実態を踏まえまして、月単位での需要のシフトを評価するなど、柔軟でかつ予見可能な形での制度設計を行うこととしておりまして、これによって多くの事業者が実現可能となるというふうに考えております。
効果でございますが、例えば、現在でも九州地域の製造業で、出力制御時への、再エネですね、再エネの出力制御が発生しているときに製造工程をシフトする、電気が余っている時間帯に製造工程をシフトするということでございますが、これによって、日によっては出力制御量の、九州エリアでの出力制御量の約一割程度の需要の創出をすることが可能になっております。これ、言い換えますと、再エネの出力制御量を一割程度場合によっては抑制できるということになるわけですが、こうしたケースもございます。
事業者へのインセンティブという観点でございますが、こうした需要シフトを行いまして省エネをしたものとして評価を受ければ、こうした事業者については国が例えば優良事業者として公表するということや、省エネ補助金などの支援措置と組み合わせることでインセンティブをつくっていくということを検討しております。
今後、多くの事業者において需要の最適化が実施されるよう環境整備を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/49
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050・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。
電力需給バランスを考える際、供給サイドからも考える必要があります。需要側の完全な平準化が難しく、単純な発電量の平準化も、特に再生可能エネルギーの発電容量を上げていく視点から難しい以上、常に発生する需給ギャップを埋める手だてが必要になります。
需給ギャップを埋める方向性は、大きく、最低供給量を上げ最大需要量を上回る、供給量を任意に増減できる発電方法の総量又は待機量を上げる、蓄電により供給量調整を行うことの三つの方向性があり、現在は一つ目と二つ目のハイブリッドで対応していると認識しています。再生可能エネルギーは、この一つ目と二つ目の方向性とは非常に相性が悪い電源であり、再生可能エネルギー容量の拡大を目指すに当たっては三つ目の蓄電が非常に重要になってまいります。
再生可能エネルギー発電技術とセットで発展が必要なこの蓄電の技術についてお伺いいたします。
現在の蓄電技術の開発状況及び国の支援状況についてお示しいただけますでしょうか。また、国内主要都市の電力需要の変動を現行の蓄電技術により吸収することは現実的に可能か、一定の仮定がある上ではありますが、関連する試算があれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/50
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051・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 再エネの最大限の導入を進めながら電力の安定供給を確保するということを考えますと、今委員から御指摘ございましたとおり、風力や太陽光のような自然変動する電源との組合せという観点から、やはりその調整力、需要と供給を一致させるための調整力を確保していく必要があります。こうした観点から、蓄電池の開発、普及促進というのは私どもも重要だというふうに認識しております。
蓄電池については、特に系統の調整に活用できる大規模な蓄電池としてはリチウムイオン電池やレドックスフロー電池、それからNAS電池といった既存の電池がございまして、技術的にはこうした電池は確立されてきております。ただ、需要と供給が瞬時に変動していく電力システムの中で安定的にこうした大型蓄電池を運用する技術というのをしっかりと確立していく必要がありまして、こうした技術実証をこれまで行ってきているところであります。
また、今回、法改正で蓄電池を発電事業に位置付けまして、電力系統に円滑に接続できるようにいたします。あわせて、電力系統に直接接続する先ほど申し上げましたような大規模な蓄電池についても、今、導入費用に対する補助というのも昨年度の第三次補正予算で予算を取りまして実施をしているところであります。
引き続き、再エネの導入拡大や電力の安定供給に資する蓄電池の導入を進めてまいります。
それから、後段の御質問については、私ども今具体的な数字は持っておりませんので、また引き続きそうした検討は進めてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/51
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052・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。検討よろしくお願いいたします。
次に、水素、アンモニアの活用による環境負荷の削減についてお伺いします。
本法案では、水素、アンモニアをエネルギー供給構造高度化法の非化石エネルギー源として位置付けており、化石燃料を使用せずあらゆる分野での脱炭素化を図れる水素、アンモニアの使用促進はしていくべきと考えます。
しかし、水素、アンモニアは、使用時点ではCO2は発生しませんが、製造段階ではエネルギーを必要としており、CO2が発生します。そのため、水素、アンモニアへの転換により環境負荷の軽減効果はどの程度見込めるのか、ライフサイクル全体を通じて評価するべきではないでしょうか。先日、本会議で同様の質問をした際に、CO2削減の試算を行っているわけではないが、クリーンな水素、アンモニアを製造するための技術開発を積極的に支援するという旨の回答をいただきました。
そこで、まず確認をさせてください。
CO2削減の試算、特にグレー水素と呼ばれる製造方法におけるCO2削減の試算について、政府として行っていないということで間違いはないのか、そして、外部機関でこのような試算を行っているところはないでしょうか、あればそちらの試算をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/52
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053・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 水素、アンモニアは、化石燃料や再生可能エネルギーなどの様々なエネルギー源から製造することが可能だというのが一つの特徴でございます。製造方法も多様でございますので、その製造方法によってCO2が排出するというものも存在します。
CO2の削減の試算については、国として何か特段行っているものではないんですけれども、これ国際機関においてこうした試算が行われております。国際エネルギー機関、IEAでございますが、ここにおいて行った試算では、例えば水素を天然ガスから水蒸気で改質して製造する場合でございますが、こうした場合には、水素一キログラム当たり製造するのに約九キログラムのCO2を排出するという試算がございます。それから、水を電気分解して製造する水素というのもございます。この電気分解のケースでも、その電源がどういった電源から供給されているかによって製造時にCO2が排出されることになります。例えば天然ガス火力発電の場合には、水素一キログラム当たり約十八キロのCO2を排出するという試算がございます。
いずれにせよ、こうした水素の製造過程において出てきたCO2をCCSのような形で固定化すれば、これはブルー水素というような形でCO2削減量、あっ、排出量はゼロに近づいていると、くるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/53
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054・宮口治子
○宮口治子君 水素、アンモニアの製造段階におけるCO2排出量を削減することで環境への負荷軽減を図っていると考えますが、現時点ではCO2削減の試算を行っているわけではないということですが、もし、現在の技術では水素、アンモニアの製造により発生するCO2の方が化石エネルギーの使用により発生するCO2よりも多い場合、現時点での水素、アンモニアの使用促進は環境負荷を増やすことになりかねません。
改めて、水素、アンモニアの使用促進による環境負荷の考え方についてお伺いします。
CO2削減の試算を行っていない現状において、環境への負荷を、負荷の軽減をどのように見込んでいるか、大臣の認識、見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/54
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055・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 水素、アンモニアは、化石燃料を使用しないゼロエミッション火力への転換の鍵だと思っております。また、幅広い分野の脱炭素化を可能とするカーボンニュートラルに不可欠なエネルギーです。製造方法によってはCO2を排出するものも存在しますが、我が国としては、永続的にCO2を処理していない水素、アンモニアを使い続ける考えはございません。
クリーンな水素、アンモニアを製造するため、引き続き、再エネ由来の電気を活用した製造装置の大型化ですとか効率化といった技術開発などを積極的に支援してまいりたいと思います。そして、コスト低減などの進捗状況を見つつ、速やかに燃料として使用する水素、アンモニア全体のクリーン化を進め、環境への負荷を軽減を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/55
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056・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
環境への負荷の軽減のためには、グリーン水素の割合を増やしていく必要があるかと考えます。
現状、グリーン水素というのはどのくらい生成されているか、また今後の目標についてどのように設定しているか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/56
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057・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 再生可能エネルギー由来の水素、いわゆるグリーン水素ということでございますが、これまで国内では福島県の浪江町にございます福島水素エネルギー研究フィールドで太陽光を活用した国内最大の水の電解装置による水素製造実証を行ってきたところです。ここで製造される水素の量は年間大体二百トンでございまして、大体燃料電池自動車約二千台に燃料供給するというぐらいに相当します。
課題はやはりコストでございます。まずは水電解装置の大型化などの技術開発を行いまして、これグリーンイノベーション基金を活用して進めておりますが、再エネ由来の水素の供給コストを下げていくということを目指しているところです。
また、令和三年度の補正予算では、先ほどもございましたが、北海道を始めとする再エネが拡大が見込める地域に水電解装置を導入する事業というのも支援をしております。国内再エネを活用した水素製造を推進しているところでございます。今年の三月に、この事業においても北海道で水電解装置を導入する事業者が採択されたところであります。これがある意味、グリーン水素の、実際のフィールドで行われるグリーン水素の事業ということになります。
こうした取組を通じまして、二〇三〇年に向けて、再エネの導入拡大と併せまして、こうした余剰再エネを活用した国内水素製造基盤、いわゆるグリーン水素の製造基盤を確立してまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/57
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058・宮口治子
○宮口治子君 アンモニアは燃焼してもCO2を生成しないため、いわゆるカーボンフリー燃料としての期待が高まっています。また、冷却や圧縮によって容易に液化することができるので、輸送や貯蔵に適しています。一方で、アンモニアを燃料として利用する場合、窒素酸化物が生成し、これも環境負荷要因として見過ごせません。
そこで、アンモニア発電について、窒素酸化物の環境負荷についてどのように評価をしているか、またアンモニア発電について現状どこまで開発が進んでいるか、そして今後の燃料アンモニア導入に向けたロードマップはどのようになっているか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/58
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059・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
まず、アンモニアの導入に向けましては、二〇三〇年には年間三百万トン、二〇五〇年には年間三千万トンまで国内需要が拡大していくということを想定してございます。
既に、窒素酸化物につきましては、アンモニアのボイラーへの吹き込み方法の工夫などによりまして、その排出を抑制する基礎技術を開発しております。二〇%混焼においては石炭の燃焼時と同等の水準まで低減し、環境への影響は抑えられることを確認してございます。
そこで、昨年度から碧南火力発電所における実機実証を開始し、二〇二四年度には百万キロワットの実機燃焼炉での二〇%混焼試験を行うべく取組を進めており、二〇二〇年代後半には実用化をしていく予定でございます。
また、グリーンイノベーション基金を活用しまして、窒素酸化物の抑制などの課題を解決し、混焼率の引上げや専焼化を可能とするための技術開発にも取り組んでいるところでございます。
また、こうした将来的な需要拡大に当たっては、新たな燃料アンモニアのサプライチェーンの構築が御指摘のとおり必要となってまいります。
このため、今般の改正法案でも、JOGMECの機能に水素などの製造、貯蔵に必要なインフラ整備のためのリスクマネー供給支援を追加することを盛り込ませていただいているところでございまして、今後、これらの方策を通じてアンモニアの発電利用の拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/59
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060・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。
近年、世界的に再生エネルギー、自然エネルギーの価格が下がってきています。日本においても経済産業省が試算を行っているかと思いますが、太陽光発電、風力発電、火力発電、原子力発電のコストについて、試算結果を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/60
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061・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 総合エネルギー調査会の発電コスト検証ワーキングというのがございまして、こちらにおいて、事業用の太陽光、陸上風力、石炭火力、LNG火力、原子力について、一定の前提の下で二〇三〇年に新たな発電設備を更地に建設、運転した場合のキロワットアワー当たりの発電コストというのを試算しております。
再エネについては、二〇三〇年に事業用の太陽光が八・二円から十一・八円キロワットアワー、陸上風力が九・八円から十七・二円となっています。石炭火力は十三・六円から二十二・四円キロワットアワー、LNG火力は十・七円から十四・三円キロワットアワー、原子力については十一・七円キロワットアワーというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/61
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062・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。
今お示しいただきましたように、二〇三〇年には、太陽光発電は、発電コストだけで見ると、天然ガスや石炭などの相対的に安価な火力発電や原子力に比べても同等、あるいはより低コストになると予想されています。また、風力については、陸上及び洋上の両方で、かなり幅はありますけれども、二〇三〇年には火力発電に近いものとなるとされています。
なお、太陽光については、日本は導入が進んだ国であり、この点は、様々な政策を実施していただいた政府や、技術開発を行っていただいた民間企業の皆様の御努力が実ったと思っております。ありがとうございます。
一方、ここまで再生エネルギーの価格が下がってきた場合、そもそも、火力、原子力などの経済合理性がなくなってきているのではないかと考えます。原子力においては安全性やリサイクルの問題が解決し切れず、また、地政学的な問題から天然ガス等の供給が行われないなどのリスクが排除し切れません。また、現在の円安がどこまで続くのかは不明でありますが、海外から調達する火力発電のための化石エネルギー源は、現状のコスト想定よりもかなり高いものになる可能性は十分にあるかと思います。
二〇五〇年の段階では火力発電を一定の比率残すシナリオが中心となっているとの認識ですが、低コストで国内で賄える再生エネルギー、自然エネルギーに思い切って各種政策を振り向けるべきではないでしょうか。
なお、自然エネルギーについては幾つかの課題があることは理解しております。太陽光、風力などは自然の状況に左右されるため安定して電気を生み出すことが難しいこと、太陽光であればメガソーラーなどを設置するための適した土地がなくなってきていることなどです。これらの課題については今後とも議論していく必要はありますが、政策や技術革新、例えば分散型の発電、蓄電や設置場所が比較的自由な太陽電池の開発などにより解決していくことなどが考えられます。
このような変化は従来は十分には見通せなかったものです。しかし、現時点でのコスト、今後の技術革新、不安定化する国際情勢などを考えると更に大きく再生エネルギーへかじを切ることが必要になっていると考えます。政府の御認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/62
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063・保坂伸
○政府参考人(保坂伸君) お答え申し上げます。
ただいま茂木の方からお答えをさせていただきましたコストの件でございますけれども、このコストにつきましては、新たな発電設備を更地に建設、運転した場合のキロワット当たりの発電コストを試算した結果でございます。太陽光のような自然変動電源が大量導入されますと、蓄電池、火力の効率低下や揚水の活用などに要する統合コストが高まるため、こうしたコストも発電設備のコストに加えて考慮する必要はございます。そのほかに調整電源等のコスト等も加えて考える必要がございまして、あくまでSプラス3Eの大原則を踏まえつつ、発電コストのみならず、統合コストの低減を含めて全体を考えていきたいというところでございます。
コストについてはまずお答え申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/63
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064・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
CCSについては、火力発電や化学工業のCO2排出をオフセットするという非常にグリーンな技術です。また、その技術は日本企業の得意とするところであり、産業振興としても意味があると考えます。
これについては実証実験が行われたと承知していますが、実証実験の結果、評価についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/64
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065・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
これまで、経済産業省といたしましては、二〇一二年度から北海道苫小牧市におきまして日本初の大規模なCCS実証試験を実施しておりまして、二〇一九年十一月には目標としておりましたCO2三十万トンの海底への圧入を達成したところでございます。この事業は、住民の生活圏に近い市街地近傍での世界初のCCSプロジェクトでございまして、地域社会と緊密に連携しながら行った世界のロールモデルとなり得るCCSだと考えてございます。
現在は、貯留後のこのCO2がしっかりとどまっているということの確認、あるいはその安全面での問題がないということを担保するために、貯留層の温度、圧力の観測、あるいはCO2分布範囲の把握、さらには海流や生物など海洋環境への影響に関する調査など、様々なモニタリングを継続しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/65
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066・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
今お話が出ました苫小牧での実証実験の結果、安全性についても大きな問題は見付からなかったとの認識で、安全性については更なる検証が望ましいと思いますが、まずは実用化、実業化に向けて前進したことは関係者の皆様にお礼を申し上げたいと思います。
一方、先ほどにも述べましたように、火力発電など化石エネルギーは必ずしも低コストな発電方式ではなくなってきています。私としては、二〇五〇年の段階では自然エネルギーをできる限り一〇〇%にするべきだと考えていますが、もし二〇五〇年で火力発電の構成比が二ないしは三〇%残るとしても、更にその先は減っていくものではないでしょうか。その意味では、火力発電のためのCCSの必要性そのものを並行して減少していくという、ある意味時限性のある技術ではないかと思います。また、地震が多いなど日本の地理を考えると、CO2を貯蔵できる場所がそもそも多くないのではないでしょうか。
これらを考えた場合、国として、CCSの後押しより再生エネルギーの技術の革新などに支援を振り向ける方がより合理的ではないでしょうか。
ただし、CCSは国内だけでなく海外での事業化も視野に入るものだと考えます。日本が先駆けて事業化し、技術給与やシステムでの販売も可能かもしれません。特に、海外では、古い油田にCO2を注入し、原油回収率を向上させるような活用法も含めたCCUSの需要があると考えます。
なお、世界のCCUSの市場規模などに関しては、二〇五〇年で十から十二兆円の市場があると見込まれているようですが、どの国でどの程度の市場があるか、どのようなCCUS市場であるかなどについては現時点ではやや不明瞭のように見えます。
そこで、お伺いしたいと思います。
CCSは、国内ではどの時点でどの程度の需要があるとお考えでしょうか。特に、国内ではそもそも必要性が減少していく技術ではないかという点について見解もお伺いしたいと思います。また、CCS、CCUSの海外での事業展開に関して、どの程度有望であるとお考えでしょうか。ポテンシャルとして日本企業が得られる売上げ、利益などについて、その試算などがあればお教えいただけますでしょうか。現時点で詳細な計算が困難であれば粗い概算でも構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/66
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067・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けましては、火力発電所の脱炭素化を進めるためにCCUS技術の活用は必要不可欠であると考えてございます。電化や水素化などでは脱炭素化ができずCO2の排出が避けられない石油精製産業や素材産業などにおきましても、まず国内でCCUSを最大限活用するということが必要になってくるというふうに考えてございます。
CCSの国内での事業化に向けましては、コスト、適地、それから事業環境整備などの様々な課題がございますので、今この課題の解決に向けたロードマップの策定を進めているところでございます。
委員御指摘のとおり、日本国内のみならず、海外、特にその化石燃料に依存するアジア諸国などの新興国においても、今後はカーボンニュートラルの実現に向けてCCS、CCUSの必要性は高まっていくというふうに考えてございます。
具体的にどれぐらいの市場規模になるかというところの試算についてはちょっと今、現時点で我々も持ち合わせておりませんけれども、今後、アジアの諸国との間では、特にASEAN諸国、アメリカ、豪州などと連携して、昨年、我が国はアジアCCUSネットワークというものを立ち上げてございます。この中で、CCUSに関する知見、経験の共有やポテンシャルについても調査を実施してまいりたいと考えております。
また、共通のルール作りやプロジェクト形成、さらにはアジア全域での貯留ネットワークの構築などを進めていきまして、これらを通じてアジアワイドでのCCS、CCUSのネットワークの構築を実現していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/67
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068・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。
それでは、最後の質問とさせていただきます。
昨年から今年の冬にかけて、特に東京電力管内では電力需給が逼迫し、大規模停電のおそれがありました。東電管内など大都市を中心に予備率の慢性的な不足が構造的問題として指摘されています。今年の冬と、あっ、夏と冬においても、電力供給の予備率が必要最低限の三%を下回る見通しとなる地域が出ると予測されているなど、直近の電力供給は極めて厳しい状況となっているかと思います。
こういった電力予備率の慢性的な不足に対し、送電、送発電容量の向上をどのような方法で行おうとしていますでしょうか。大臣、お聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/68
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069・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 世界的な脱炭素化の潮流などの影響により、足下では火力発電の休廃止が増加しており、電力需給の厳しい状況が続いています。このため、電力需給の安定に向けて、規制、支援の両面で発電所の過度な退出を防ぎ、必要な供給力を確保することが必要です。
このため、経産省としては、これまで、容量市場を創設して、発電所の維持に必要な固定費を回収するための枠組みを導入するなど、必要な供給力を確保するための措置を講じてまいりました。その上で、今回の改正法案では発電所の休廃止の事前届出を盛り込んでいるところでありまして、これにより発電所の休廃止に係るきめ細かな管理を実現する予定です。
さらに、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、脱炭素電源への新規投資を促進していく必要がございます。このため、現在、初期投資に対する長期的な収入の予見可能性を付与する仕組みについての制度検討も行っているところであり、早期の導入に向けてスピード感を持って検討を進め、必要な供給力をしっかりと確保される環境を整備してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/69
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070・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。
以上で私からの質問は終わりたいと思います。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/70
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071・森本真治
○森本真治君 お疲れさまでございます。立憲民主党の森本真治でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
持ち時間は二十分でございますので、今日幾つか通告させていただいておりますが、恐らく全部できませんので、先ほど理事会で木曜日も質疑が続行ということが決まりましたので、今日と、また次回に向けても今日の通告の部分でさせていただきたいというふうに思いますので、全てできない場合は御理解をいただければというふうに思います。
それで、まず、ちょっと通告の質問の前に、大臣、急でちょっと恐縮なんですけれども、そもそもの今回の法案の議論をする前提として、またエネルギー政策というものを考える上でのちょっと大臣のお考えを冒頭確認をさせていただいて質疑を進めさせていただきたいと思うんですけれども。
私自身は、このエネルギー政策というものを考える、また様々進めていく上での大前提、根本になければならないのはエネルギーの安定供給、絶対ここだけは譲ってはいけない部分だと私自身は思っておりまして、そこの部分を、これまでの答弁などでは、例えば脱炭素化の取組と同時並行的に安定供給というような話とかもするんだけれども、全ての根本は私、安定供給だというふうに思っているんですね。その点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/71
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072・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のとおり、まず第一義的に大切なのは安定供給です。三月二十二日、もうあとちょっとでブラックアウトというところまで行きまして、本当に肝を冷やしました。おかげさまで、国民の皆さんの御協力いただいて何とか乗り越えることできましたけれども、引き続き厳しい状況続きますので、まずは安定供給を第一にしてしっかりやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/72
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073・森本真治
○森本真治君 御案内のとおり、今、本当にこの電力、エネルギーの安定供給というものが非常に脅かされていくような状況が今あると思います。過去にも、例えばオイルショックというようなことがあったりとか、いろんなこのエネルギーを取り巻く環境というのはあったんだけれども、私自身は、先ほどの大臣の御答弁のような三月の事態もあった、さらにはウクライナ情勢、そして燃料費の高騰、そしてこの電力システム改革ということがこの間行われてきたけれども、ある意味道半ばというか、理想とはちょっと違うような結果にもなっているんではないかとかというようなこともあろうかと思います。
もちろん、短期的に対応しなければならないことと中長期的に対応しなければならないこと、両面があるわけでございますけれども、何よりも強靱なこの電力システムというものですね、これをしっかりと確立をしていく、その視点に立った、私はこれからのこのエネルギー問題、電力のシステム問題というものを考えていく必要があろうかと思っております。
そういう中で、これもちょっと今朝になって急遽で恐縮だったんですけれども、今朝の報道を、新聞各紙が取り上げておりましたのが、ロシア産の石油の禁輸ということを総理が昨日表明をされたということでございました。
これについては、各紙おおむね、今のロシアの情勢、ウクライナ情勢の中で致し方ないというような話があるんだけど、これは産経新聞の「主張」というところにあります。ロシア産が日本の石油輸入に占める割合は四%程度ではあるんだけれども、岸田総理や萩生田大臣はこれまで禁輸に慎重姿勢を示していたと、にもかかわらず今回この表明をしたということがありました。
まず、今回、このような表明、石油の、ロシア産の石油の禁輸を決めたその経緯といいますか、なぜこのような判断をされたのかということについて御説明いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/73
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074・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 石油のほぼ全てを輸入に頼っている我が国としては大変厳しい決断でありましたが、G7の結束が何よりも重要なときということもあり、今回のG7首脳声明も踏まえ、ロシア産石油の原則禁輸という措置をとることにいたしました。
一方で、今すぐロシア産石油を禁輸できるわけではなくて、一定の時間軸の中で秩序立った形で代替エネルギーを確保しながらロシアのエネルギーへの依存状態から徐々に脱却していくことをコミットしておりまして、まずは国際社会と大きな方向は歩みを共にしようという、こういう判断をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/74
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075・森本真治
○森本真治君 これからスケジュールというか、当然ながら国民生活、経済への影響がないようということでのいろんな対応も取っていくんだというふうに思うんですけれども。
一方、この記事の中での書き方としては、例えば、日本はロシアからの輸入量が限定的で、国内全体の調整には、あっ、調達には支障がないと判断をしたというような、これはまあ記事なんで事実かどうかは分かりませんけれども、そういうような記事の書かれ方もあります。一方で、やはり今後、更なる物価高ですね、価格上昇のおそれというような懸念があるというような書き方もあるんですね。これはちょっと皮肉っぽく書かれておりますけれども、私の地元の中国新聞などでは、「「代替なき決断」再び」というような、これは多分石油、あっ、石炭のこととの流れだというふうに思うんだけれども、そういうような皮肉っぽい書き方もされているんですね。やっぱり、ここはきちんと国民の皆さんに不安感を払拭してもらわなければいけないというふうに思うんですね。
この石油の、ロシア産石油の禁輸の影響、さらには、今もう石炭については、四月の八日でしたか、表明をされておりますけれども、石炭禁輸の影響などについて、今後の見通しについて政府としてしっかりと国民に説明する責任はあると思いますので、政府としてのお考えを是非御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/75
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076・保坂伸
○政府参考人(保坂伸君) 先ほど大臣の方からも御説明いたしましたが、今回の措置でございますけれども、大変厳しい決断でございました。G7の結束が今現状何よりも大事ということで、重要なときだということで、G7首脳声明を踏まえて今回の措置をとることとしたものでございます。
委員御指摘のように、そのエネルギーの価格の高騰については、こういうG7の声明等で当然懸念がございます。コロナ禍からの経済の回復の重荷となるということも想定をされますので、こういう事態を防ぎまして、国民生活や経済活動への影響を最小化するという努力をしたいと思っております。
この関係で、政府としましては、先日取りまとめた原油価格・物価高騰等総合緊急対策を着実に実施していくこととしておりまして、具体的には、燃料油価格の激変緩和措置や実質無利子無担保融資の九月末までの延長などによる中小企業の資金繰り支援、地方創生臨時交付金などを活用した地方公共団体による電気・ガス料金など物価高騰を受けた生活者や事業者の負担軽減などに政府全体できめ細かく対応することとしております。こういう間に代替の石炭あるいは石油というものについて確保を図っていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/76
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077・森本真治
○森本真治君 総合緊急対策についても触れていただきまして、ちょっとまた後ほど伺いますけれども。
実際に、これは昨日なんですけれども、厚生労働省が発表した三月の毎月勤労統計調査、実質賃金が三か月ぶりに低下という記事がございます。結局、名目賃金の伸びが物価上昇に追い付かない。この物価上昇というのが、御案内のとおり、やはり原材料費の高騰などということで、実際の数字としてももうこういう影響が出ている中で、しっかりとこれは政府一体となって、緊急経済対策もされるということでございますが、この中身についても我々としては非常に、今後予算委員会で審議しますけれども、非常に不満を持っておるわけでございます。本当に今のこの状況が、実態というもの、危機感というものが政府は持っているのかというふうに思わざるを得ないんですけれども。
先ほど御答弁、緊急経済対策と言われましたけれども、例えば、じゃ、今回の石油の禁輸とか四月の石炭の部分なども、ついても、これ含めた緊急経済対策になっていたんでしたっけ。そこも加味した今回の予算規模とかということでよかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/77
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078・保坂伸
○政府参考人(保坂伸君) まず、石油につきましては、先ほども申し上げましたとおり、燃料油価格の激変緩和措置や実質無利子無担保融資の九月までの延長などによる中小企業への資金繰り支援等で対応するということで考えてございます。
石炭につきましては、全体、価格高騰、これは電力の方の影響等が大きいかと思いますので、全体、規制料金の、経過措置として規制料金を存続しているというようなことも含めまして、この間に代替措置を見付けていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/78
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079・森本真治
○森本真治君 規制料金などということですけれども、これは私の理解では、もうどこの電力会社もこの間ずっとその上限の部分にはもう達し続けているということで、今後は、更に上がっていけば事業者負担ということの影響がどんどんと出かねないような状況が続いているということですよね。
この間に何とか代替調達、代替調達ということの努力をするということでございますけれども、これは是非もう民間任せにすることなく、しっかりと政府としても、これはオールもう日本という、ジャパンということでですね、官民がこれ一体となったこの対策ということをしっかりとやっていく必要があると思いますけれども、それについてのお考えも聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/79
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080・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
今、国際的な原油価格、それからLNG、石炭の価格も含めて高騰していた中で、さらにロシアのウクライナ侵略という状況が重なっておりまして更なる価格高騰を招いていると。大変今緊張感を持って対処すべき状況にあるというふうに考えてございます。
こうした中、海外見渡しましても、ドイツ、イタリアは積極的に首相や大臣が前面に出る形でLNGや天然ガスの獲得に走ってございます。中国、韓国なども、エネルギー安全保障の観点から、政府を挙げて資源獲得に邁進しているという状況がございます。
我が国も、昨年秋以来、積極的に資源外交を進めております。産油国、産ガス国に対して増産の働きかけを行ってきているところでございまして、直近では、先週も萩生田大臣がアメリカに出張し、グランホルム・アメリカ・エネルギー省長官に対してLNGの増産要請を行うとともに、日本としてJOGMECなどの公的支援により開発を支援するということを伝達し、先方からも謝意が示されたところでございます。
まさに資源の安定供給の確保のために、こういうその代替供給源の確保を含めて、民間のみならず、国としてもしっかりと前面に立ってエネルギーの安定供給に努めていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/80
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081・森本真治
○森本真治君 国としてもしっかりと責任を持ってという御答弁だったというふうに思います。
繰り返しになりますけれども、この緊急対策のその最中というか、電力料金も上限の中で抑えられている最中にしっかりとというふうに言われていますけれども、場合によってはこれやっぱり長期化していく可能性もあるわけですよ。もうこれ国際競争というか、お互いに資源調達というのがどんどん過熱化していくという中においていえば、これ繰り返しになりますけれども、今回発表された総合緊急対策では私は、これからの議論になりますが、余りにも不十分だと言わざるを得ないというふうに思います。
大臣、やっぱり状況は刻一刻と今変化している状況です。しっかりと、万全を期すという意味でも、やっぱり私はこの緊急経済対策もう一度、まだ通常国会、期間がありますから、しっかりとこれ検討をし直すというか、そういう状況をしっかりと見極めて、追加追加、先手先手の対策というものを取る必要があろうと思いますので、もう一度この緊急経済対策、政府一体となって、これ経産省主導でやっていただきたいと思いますが、更なる充実を求めたいと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/81
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082・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 先生、的確な御質問をいただいて有り難く思います。
今回のことで石油の禁輸をすると、G7と足並みをそろえるといえば、普通の国民の皆さんはそうだろうということで一定の御理解いただくわけですよね。しかし、そこにはコスト高という背景が出てくるということはまだ国民の皆さん分かっていない。そういう状況の中で、支持しますかといえば、支持しますという世論調査の答えになるんですけど、じゃ、だからといって、これはどんどんどんどんそのエネルギー費用がどんどん上がっていく中で、本当に日本が、資源がない国が国際社会と足並みをそろえることが本当に国民にとっていいことなのかということは、やっぱりどこかで立ち止まって考えなきゃならないことも私必要だと思っています。
今朝、記者会見でかなり細かくお話ししたんですけれど、やっぱりここは、方向は決めましたけど、いつ、どういう形にやるかというのは、やっぱり日本なりのルールでやっていくしかないと思うんですね。もう次の代替国がないのにとっととキャンセルだけしちゃったらこれ行き場をなくすわけですから、そういう意味では慎重にやりたいなと思っています。したがって、今先生の御提案は、一連のこういうエネルギーを取り巻く環境が変わっていく中で、更なる対応ができるように柔軟な対応をするべきじゃないかということでございますので、そこは気持ちは一緒でございます。
したがって、この限られた会期の中で、補正予算などの準備もしていますけれども、その中にも我々の思いも入れ込ませていただいておりますし、また、こういう形の中で不測の事態が生じた場合は、それこそ、そのときこそ予備費というのが意味を成すんだと思いますので、いずれにしましても、変化に合わせて対応できるような先回りした考え方というのはアンテナ高くやっていきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/82
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083・森本真治
○森本真治君 大臣の御答弁、すごく思いは共感をさせていただいておりますけれども、しかしその一方で、政府全体、さらには与党の中の調整というのもあるんでしょう。予備費という話もありましたけれども、これまでの予備費を今回使って、それと同じ額だけをまた戻すという全く意味不明な、理解不能な今回検討がなされているということについてはしっかりと我々としては声を上げていかなければならないというふうに思います。
国際社会と実際の国民生活、経済とのこのジレンマですよね、どのように調整を図っていくのかという中で、ちょっと本題の方、といってももう残り僅かなんですけれども、少しもう一点確認したいのが、これも報道で見ました。今月末に予定されておりますG7気候・エネルギー・環境相会合に向け今共同声明の検討がなされておるというふうに思うんですけれども、その中で、石炭火力、これは二〇三〇年までに廃止というような議論がなされているという報道でございました。まさにこれもジレンマですよね、国際社会とそして我が国のエネルギー事情との。
という中で、実際にこのような報道がありますけれども、今のこの事実関係についてお答えできるようでありましたら、参考人で結構でございますので御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/83
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084・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今月下旬に開催予定のG7気候・エネルギー・環境大臣会合に向けてでございますが、報道については、声明等調整中でございまして、コメントはちょっと控えさせていただきたいと思います。
その上で、石炭火力というお話での報道でございますので、このカーボンニュートラル一般で申し上げてまいりますと、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すということは、日本も共に、世界とともに進んでいく、目標を共有しているところでございますし、日本もこれに貢献していきたいと考えているところでございます。一方で、国によって事情は様々、エネルギーをめぐる状況は千差万別だと認識してございます。日本の場合、資源が乏しく、周囲が海で囲まれているという状況を考えますと、Sプラス3Eを満たす単一のエネルギー源がないという現状で考えますと、バランスよく活用することが重要だと、こう考えるところでございます。
この石炭火力ということについて申し上げましても、火力発電というのが現状の日本の供給力の四分の三、七五%以上を占めているという現状がございます。また、ウクライナ危機をめぐります資源の確保の中で、若しくは今需給逼迫にまさに今直面しているという中で、いかに国民生活を支える電力の供給を安定的に実現するかということと現実として向き合いながら政策を決めていかなければならないというふうに考えていくところでございます。
そういう下で、二〇三〇年のミックス、二〇五〇年に向けた進め方ということはエネルギー基本計画の中でも定め、方針を進めているところでございまして、こういう前提の下で石炭火力の比率をできる限り引き下げていくというふうに考えてございます。
二〇三〇年に向けましては非効率石炭のフェードアウトというものを着実に進めていく、二〇五〇年に向けては水素、アンモニアやCCUS等を活用することで脱炭素型の火力に置き換えていくということを進めながら、日本の安定供給ということを確保しつつ、脱炭素化に向けた取組を進めていくというのが我々の今の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/84
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085・森本真治
○森本真治君 現実の中で高らかに、高い目標を示して、もちろん、その目標に向かってあらゆる政策を総動員するんだという考え方ももちろん重要、その一方で、やはり本当にそれが余りにも絵に描いた餅に終わってもならないし、その辺りをどのようにやっていくのかということは非常にこれからまさに問われていくことになっていくんだというふうに思いますけれども。
ちょっとこれは、まあ恐らく御答弁きちんとはできないんだというふうに思いますが、今のこの状況が一過性のものとしてみなすのか。それとも、例えば先般の震災の後の電力の逼迫のこともそうですけれども、これ災害だって、これまでは想定外のことが起きたというような感じでやっていたけれども、もうこれからはこれ想定内として起こるわけであって、このエネルギーの、ああ、燃料のこれから調達の課題についても、今だけの特別の事情なんだというふうに考えるのか。
冒頭申し上げましたけれども、やっぱり常にエネルギーシステム、電力システムの強靱化ということを考えていったときには、やはりここでしっかりとした、やはりもっともっと踏み込んだ議論というのが必要だというふうにも思っておりまして、そうしたら、場合によってはエネルギー基本計画の見直しということ、先般作ったばっかりではありますけれども、やっぱりそういうところも真剣にこの状況の中で議論する必要もあるんではないかというふうに思っておりますが。
先ほどちょっとお話ありましたけれども、その辺りについての柔軟な対応ということも検討する必要はあるんではないかと私自身は問題意識持っているんですが、その辺りについてももし御答弁いただけるようでしたらお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/85
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086・保坂伸
○政府参考人(保坂伸君) 元々、このロシアのウクライナ侵略の前から、脱炭素化の影響もございまして、上流投資のところが全体として世界で不足ぎみになっていたところでございまして、コロナから経済が回復してくるに当たりまして、既に原油の価格はこのロシアの前から、昨年の中盤ぐらいからもう上がり始めていたということでございます。
これは、脱炭素化に向けた代替の発電の施設等の確保の仕方、世界中の確保の仕方等のスピード等の問題等もありまして、全体のその原油等の需給が結構厳しいところにこの今回のロシアの侵略ございまして、私どもは、ある程度この全体の価格の高さは、ここまで高いものが続くかどうかはちょっと別として、従前のものよりはある一定の価格の上昇は見込んだ上で産業構造等を変えていかなきゃいけないというふうに考えております。
他方、エネルギー基本計画につきましては、それぞれの電源構成等が示しておりますけれども、今この時点でそこまで見直す必要があるかというところは考えてはいないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/86
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087・森本真治
○森本真治君 ちょっと時間が来ましたので、続きについては次回の質疑に回させていただきたいと思いますので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/87
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088・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) それでは、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/88
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089・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、三浦信祐君が委員を辞任され、その補欠として安江伸夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/89
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090・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 休憩前に引き続き、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/90
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091・北村経夫
○北村経夫君 自由民主党の北村経夫でございます。萩生田大臣に初めての質問となりますけれども、よろしくお願いいたします。
ロシアのウクライナ侵略によりエネルギー安全保障の重要性というものが改めて再認識されているところでございます。このエネルギー安全保障とは、端的に言えば、世界情勢の影響を抑えながら、安定かつ妥当な価格でエネルギー需給をできる環境を目指すものだというふうに思います。
今回改正の省エネ法を始め電気事業法などエネルギー関連法が目指すものは、供給サイドと需要サイドがバランスを取りながら、連携しながらエネルギー、安定したエネルギーを確保する、つまりエネルギー安全保障を強化するという法案だと私は理解をしているところでございます。
そうした観点から質問をさせていただきますけれども、萩生田大臣には、連休中、訪米をされました。訪米中には国家経済会議、NEC委員長やエネルギー長官と会談されまして、経済とエネルギー安全保障の再構築に向けて日米が緊密な連携を取っていくということを確認されたわけでありますけれども、私は非常にタイムリーだったというふうに評価しているところでございます。
それでは質問に入ります。
まず電力についてであります。
午前中もちょっと出ておりましたけれども、三月二十二日、東京電力及び東北電力の管内において電力需給が逼迫したため、経産省から各方面に節電要請が出されました。
まず、その節電要請を実施するに至った経緯を説明をしてください。そして、今年の夏と冬の電力需要のピーク時にまた逼迫するのではないかという、専門家の間では厳しい見方もありますけれども、政府の対応策について併せて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/91
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092・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今お尋ねございました三月二十二日の東京電力、東北電力管区における電力需給逼迫でございますけれども、まず契機になりましたのは、三月十六日の福島県沖地震の直後に火力供給力が相当程度低下したということがございます。直後に十四基、二十二日の時点で六基が停止したという状況にございました。
また、これに加えまして、その後、十九、二十、二十一と三連休だったわけでございますけれども、この期間中に天候の予報が徐々に徐々に悪化してまいりまして、二十二を迎えるに当たりまして、この時期にしては異例の高水準の需要の予測になったところでございます。
具体的に申し上げますと、十九日の時点では四千三百万キロワットであった需要の見通しが、二十一日の夕方の時点で四千八百四十万キロワットと。これはその当初の予測を三百万キロワット上回る極めて高い水準になりまして、そのことを受けまして、東京電力及び東北電力の送配電事業者の方から火力発電所に対する増出力の要請ですとか自家発のたき増しの要請、保守点検の停止、発電所の稼働、他エリアからの電力融通、需要抑制等々、あらゆる対策を講じていただいたわけでございますけれども、それでもなお逼迫のおそれがあるために、二十一日の二十時に逼迫警報を発出し、節電のお願いをするに至ったわけでございます。
これは、今回、この三月の末の時点でということでございますと、ベースにございますのは、この二〇二一年度自身も、電力の需給の見通しの中においては冬季は非常に厳しい予測でございました。元々、公募を通じた電源の再稼働、休止電源の再稼働等々、様々な対策を講じたわけですが、地震、さらには需要のぶれということを受けてこういう事態が生じたというわけでございます。
状況を考えますと、需要の増、同時に供給力の減ということから、日本国内の電力の需給というのは極めて厳しい状況が当面続くことが予想されるところでございまして、二〇二二年度につきましても、夏は辛うじて安定供給ラインが確保できるわけですが、発電所のトラブル、ウクライナの情勢等を踏まえますと、予断許さない状況だと認識してございます。
またさらに、冬は東京エリアではマイナスの水準となる見通しでございまして、短期的に追加供給力公募を徹底して行うこと、また燃料の調達対策というものも調達、融通を含めてしっかりと行っていくこと、さらには、供給面のみならず需要面を含めたあらゆる対策を講じていくこと、こういったことを需給検証を踏まえ万全を期していくべく現在検討しているところでございまして、これからしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/92
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093・北村経夫
○北村経夫君 二十二日の問題点とこれからの課題への対処、教えていただきました。
今回の二十二日の逼迫状況のときには、逼迫警報の発令のタイミングについても問題が、課題があったんだろうというふうに思っております。
昨年経産省が示した需給逼迫時の対応手順では、前日の十八時めどに需給逼迫警報、これは第一報でありますけれども、それを発令することになっています。今答弁ありましたように、今回は前日の二十時、夜の八時を回っていたわけであります。そして、NHKなどマスコミが初の需給逼迫警報と報じたのが二十一時三十分を過ぎております。さらに、東北電力管内に至っては、当日、三月二十二日の午前十一時半にようやく第一報の警報が出されたわけであります。
万が一停電になれば経済や国民の生活に甚大な影響を与えるわけでありまして、なぜ今回対応が遅れたのかしっかりと検証していただき、そして、マスコミ対応を含め十分な猶予を持って対応するよう切にお願いしたいわけでありますが、一言、何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/93
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094・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今委員御指摘ございましたように、今回、様々なところからこの警報の出し方、要請の仕方についても御指摘頂戴しているところでございます。
今回、この警報といいますか、国民の皆様方に協力お願いするに当たりまして、どれぐらいの確度を持って、これお願いしますと国民生活にも多大なる影響が生じるところでございます。この、前もってどれぐらい時間を持ってお伝えすべきか、影響がどう考えるべきか、今回いただいた様々な御指摘を踏まえながら今審議会の中で検討しているところでございますが、様々な御意見を踏まえながら今後の改善に生かしていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/94
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095・北村経夫
○北村経夫君 大変難しい判断だろうと思いますけれども、できるだけ影響が少なく終わるように努めていただきたい、そのように思っております。
次に、電力の安定供給について伺います。
日本の電力消費量は、政府、事業者、そして一般家庭の協力によりまして、過去十年間で一二%減少しているわけであります。発電事業者の見通しでは、今後も供給量を減少させる方向、つまり事業を縮小させる傾向にあります。そうした中で、電力は、コロナ、天候による急激な需要の増減、電力自由化による価格の変動、そして何よりも世界情勢による原材料価格の乱高下で極めて不安定な状態に陥っているわけであります。このため、事業者は余剰発電を確保する余裕がなくなりつつある、体力が低下しているんだろうというふうに思います。
そこで懸念されるのは、供給サイドの安定供給という絶対条件が危うくなっていくことであります。率直に申し上げて、私は、電力の自由化そのものが要因の一つになっていくのではないかという問題意識を持っております。例えば、発電所の固定費を回収する枠組みがないまま自由化されました。このため、発電事業者間の過当競争で採算が取れなくなった火力発電所が廃止に追い込まれているケースがあります。火力発電所の設備容量は、過去五年間で六百万キロワット以上減少しているとのデータもあります。発電事業者も営利団体でありますから、赤字を抱えて営業を続けることはむしろ不健全だと言えます。このような状況をどう認識をしているのか伺います。
また、現在、相対契約などにより、供給力を確保していなくても小売市場に参入できる。このため、供給側の最も重要な責務である安定供給、これが軽視される可能性があるのではないか。私は、この仕組みが大きな落とし穴になるのではないかと、そう懸念しているところでございます。併せて見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/95
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096・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今お尋ねいただきましたこの電力システム改革、自由化というものと安定供給の両立をどう考えていくか。自由化ということによって競争が進み、効率的なサービスが供給される、競争が促進されるという側面と、一方で、自由化の中で様々なファクターによって事業が立ち行かなくなる、その中で安定供給ができるシステムをどう実現するか、この大きな課題がございます。
その中で、特にこの変動型、太陽光ですとか風力ですとか、自然条件によって変動する出力を持つ電源と、これをバックアップしなければならない調整力となる電源というものをいかにバランスを取りながら安定供給を確保するか、これが今、これは日本のみならず世界中の関係者が直面している課題だと思っております。電力システム改革を進めていく上で、これに対応するのは非常に重要な論点であり、これはしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。
特に前者、電力自由化と安定供給という観点で申し上げますと、電力の自由化の下で卸電力市場が拡大してまいりました。その中で、FITに支援された再エネというのが導入が拡大すると価格が落ちるわけでございまして、価格が落ち、かつ、再エネの導入による稼働率が下がる火力電源というものがなかなか採算が立ち行かない。今委員御指摘ございましたように、そういうときに、この調整力、バックアップとなる、若しくは供給力となる火力調整力、火力発電というものがいかに維持されていくかということが今大きな課題だと認識してございます。
一方で、この小売事業者の役割と発電事業者の役割、全体のシステムということももう一つの課題だと認識しているわけでございます。元々小売事業というものをシステム改革の中では登録制といたしまして、その登録をする際には、自由参入というのをより促進する観点から、その際に参入の過度の妨げとならないように、電源を自ら持つ必要はないという制度にしているところでございます。
一方で、その供給力の確保という観点で考えますと、容量市場という形で中期的な電源の量というのを確保するメカニズムを二〇二四年度から導入するわけでございますが、あわせて、昨年から実施しているような追加供給力公募という形で、休止している電源を金銭支援を通じて再稼働を促していく仕組み等々を準備しているところでございます。
今直面している非常に逼迫した状況というのが現にございます。もちろん原子力の再稼働の状況いかんにもよるところでございますが、日本の供給力をしっかり確保していくために、容量市場、さらには供給力公募、これをより円滑にするためのものが今回法案の中に盛り込ませていただいております廃止届出の事前への移行というお話でございますけれども、そういった運用、さらには、老朽火力ばかりに頼っていられませんので、新規火力の投資をいかに、若しくは火力というものを脱炭素との兼ね合いでいかに促進していくことができるかといったような電源投資のお話、様々なものを自由化の中で実現していくような仕組みづくり、こういったことを検討していく必要があると、システム改革の不断の見直しに取り組んでいきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/96
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097・北村経夫
○北村経夫君 この電力の自由化について、もう少し大きな視点で捉えてまいりたいと思います。
電力の全面自由化を契機に多くの新電力業者が参入していますけれども、現下の厳しい情勢下にあっては再編は避けられないものと思います。そうした中で、何より重要なのは、政府が将来の電気事業の姿というものを見せることなんだろうというふうに思っております。
振り返れば、電力の自由化という制度は、東西冷戦が崩壊した後の一九九〇年代後半に多くの国で制度がスタートしております。例えば、アメリカにおいては、一九九八年、マサチューセッツ州とカリフォルニア州で小売化が、自由化が始まったわけであります。そして、ドイツやイギリスにおいては一九九九年、フランスにおいては二〇〇七年であります。日本においては全面自由化が二〇一六年に始まったわけであります。
そもそも、なぜこうした国々が電力の自由化を導入したのか。それは、冷戦が終わり世界秩序が安定したから、そこからもたらされたその安定した秩序を前提に電力の自由化が実現したというふうに言えるのではないかと思うわけであります。ロシアのウクライナ侵略によりましてその国際秩序が脅かされ、大前提である国際秩序というものが壊されているという、その前提が壊れているんだろうというふうに思っております。
そこで、萩生田大臣に伺います。
国際情勢が不安定になっている中で、今後の電力に関わる市場や事業者の役割をどう想定していくのかお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/97
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098・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 現行の電気事業法の下では、法律に位置付けられる電気事業者ごとにそれぞれの立場に応じた安定供給に対する責務を負っています。具体的には、小売電気事業者は発電事業者との契約などにより自らの顧客に対する供給能力を確保する義務、一般送配電事業者はエリア全体における電力需給バランスを調整、確保する義務を負っています。また、東日本大震災の教訓を踏まえて設立された電力広域機関により、地域間連系線の増強や地域間での電力融通の円滑化など、安定供給の確保に資する取組も進めてきたところです。
その上で、電気は国民生活や経済活動に不可欠なエネルギーであり、その安定供給に対する最終責任は国が負うものです。このため、経済産業省としては、これまで、国全体で必要となる供給力を確保するため、容量市場を創設し、昨年冬には休止中の電源の再稼働を促す追加供給力公募や燃料の追加調達なども実施してまいりました。さらに、今回の改正法案で盛り込んだ発電所の休廃止の事前届出制を通じて、今後、国においてきめ細かに供給力を確保していくことも可能となります。
先生御指摘のとおり、今般のウクライナ情勢により、ロシア産以外の燃料が世界中で取り合いになるなど、我が国のエネルギーを取り巻く環境は一層予断を許さない状況にございます。一方で、国際情勢がいかなる状況にあっても、電力を含めてエネルギーの安定供給をしっかりと確保できるよう、今後もあらゆる対策を講じてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/98
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099・北村経夫
○北村経夫君 代替エネルギーについてこれから質問をさせていただきますけれども、今大臣がいろいろ最後の辺りで答弁されましたけれども、まさにロシア情勢によって我が国は今代替エネルギーの確保に奔走しているわけでございます。日本は、二〇二〇年時点で、ロシアから石炭の一一%、液化天然ガス九%、原油四%を輸入しているわけでございます。エネルギーの約九割を輸入している日本にとって、このロシアの割合というのは無視できない状況であるわけであります。岸田総理は、先月八日の記者会見で、ロシアからの石炭輸入を、輸入禁止を表明され、そして昨日は、G7首脳声明を踏まえまして、ロシア産石油も原則禁輸すると発表がなされました。
そこで、次に焦点となるのは輸入割合が九%と高い液化天然ガス、LNGの問題になりますけれども、これは火力発電の主な燃料であり、この取扱いを今後どうしていくのか、また、我が国はこのエネルギーをですね、依存度を低減させるために代替エネルギーを各国から、増量を求めているわけでありますけれども、仮にエネルギー調達、確保ができたとしても、エネルギー価格が上昇する可能性もあるわけでありまして、そうした影響をどう認識しているのか、改めてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/99
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100・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
エネルギー資源の大宗を輸入に頼っている我が国としては、安定供給に万全を期しつつ、G7と連携し、エネルギーのロシア依存度低減に取り組んでまいります。具体的には、先ほどありましたとおり、G7首脳声明も踏まえ、代替供給確保のための一定の時間軸の下で石炭輸入のフェードアウトや禁止、原油の原則禁輸などに取り組んでいくことになります。あわせて、我が国としては、原油、天然ガスの供給源の多角化、上流開発投資の促進、再エネや原子力の利用を含め、あらゆる手段を講じ、エネルギー源の多様化及び供給源の多角化を進めていくことが重要であります。
特に、委員御指摘のLNGにつきましては、昨年後半以来、価格も高騰しておりますし、ロシアのウクライナ侵攻以降、欧州がロシア依存を減らそうとする中で世界的な争奪戦というような状況が生じているところでございます。日本政府としましては、積極的な資源外交を進めてきておりまして、先週も萩生田大臣がアメリカに出張し、アメリカのエネルギー省長官に対して増産要請を行うなどの対応をしてきたところでございます。
加えて、今後も地政学リスクによるLNG途絶などの危機に対応していく必要性は高まっているというふうに考えておりまして、LNGの開発や調達について、国が一歩踏み込んだ形で支援していくことが必要だというふうに考えておりまして、更なる検討を進めてまいります。
また、御指摘の価格の高騰と、これがコロナからの、コロナ禍からの経済の回復の重荷となる事態を防ぎ国民生活や経済活動への影響を最小化していく観点から、先日取りまとめました原油価格・物価高騰等総合緊急対策を着実に実施していくこととしてございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/100
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101・北村経夫
○北村経夫君 ありがとうございました。
昨年十月に閣議決定されました第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度のエネルギーミックスとして、再生可能エネルギーを三六から三八%にするという目標を設定しておりました。しかし、再生可能エネルギーの多くは、自然現象、日照時間や風といったものに大きく影響を受けるわけであります。その出力の間欠性に課題があるということを改めて我々は認識をしておくことだというふうに思っております。また、供給事業者は、短期的な利益のみならず、投資資金の回収など中長期的な利益の見込みが立たなければ新事業に着手することはありません。そのことを考えますと、国と事業者の役割、官民の役割をいま一度見直す必要があるのではないかと考えます。
そこで、エネ庁に伺います。
上流投資において大きな役割を担う商社のような民間事業者の投資をいかに促進させていくのか、さらに、国が担うべき役割をどう想定しているのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/101
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102・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 再エネにつきましては、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限導入していくということが基本方針でございます。
我が国では、二〇一二年に再エネ電気を固定価格で買い取るFIT制度を導入いたしまして、その結果、平地面積が少ないなどの日本特有の自然条件がある中でも、足下では再エネ比率が二〇一一年度の約一〇パーから二〇%に倍増し、導入容量も再エネ全体で世界第六位、特に太陽光発電は世界第三位となるなど、着実に再エネの導入が進展しているというふうに認識しています。
事業の予見性という観点では、今年度から、このFIT制度に加えまして、市場連動型のFIP制度を導入したところでございます。FIP制度は、再エネ発電事業者が自ら発電した電気を市場取引を行いまして、その売電実績に応じて一定のプレミアムを交付するという制度であります。FIP制度に基づいてプレミアム支援を行いながら事業者の投資インセンティブをしっかりと確保していくと。同時に、例えば、先ほどございました自然変動性あるいはその間欠性の問題にも対応するように、蓄電池を活用するなど電力需給に応じた効率的な発電、売電行動を促していきたいというふうに考えています。
また、委員から御指摘がありました地域との共生、これは非常に重要でございます。国民負担の抑制と地域との共生に向けて、再エネコストの低減に向けた取組や地域と共生可能な形での適地の確保、こういったものを関係省庁と連携してしっかり取り組むことでバランスの取れた導入拡大を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/102
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103・北村経夫
○北村経夫君 ありがとうございました。
今最後に言われました地域との共生というのは本当に大事な問題だというふうに思っております。再エネでいろんなこと、事業が各地で行われているわけでありますけれども、多くは地元の住民の皆さんとトラブルが起きたり、説明が不十分であったりしたところからそういったことが起きているケースがあるわけでありますので、その辺はしっかりと経産省としても丁寧な対応をお願いいたします。
次に、原子力発電について伺います。
カーボンニュートラルの実現には、電気料金の上昇を抑制し、国民生活や経済活動の安定を確保することが何よりも重要であります。現下の燃料価格の高騰、そして安定電源の容量不足を踏まえれば、準国産燃料であり、またベースロード電源として原子力発電所の役割を再評価すべきだと私は思います。
萩生田大臣が最近のインタビューで、新増設やリプレースは今の段階では考えていない、再稼働は新基準適合と地元理解を前提に進めたいと述べておられるのは承知をしております。
その上で伺います。
今後、コロナ、ウクライナ危機のような緊急事態、さらには大地震やそして災害、そういうことも想定しておかなければならないわけでありまして、日本のエネルギー安全保障を考えると、原子力発電所の再稼働のみならず、リプレースや新増設、この選択肢を将来に向けて排除すべきではないと考えますけれども、改めて大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/103
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104・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 直ちに使える資源に乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国において、Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギー源は存在せず、今後の技術革新などの不確実性を踏まえれば、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求し、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことが重要だと思っております。
その上で、原子力は実用段階にある脱炭素のベースロード電源であり、安定供給の観点からも、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していくこととしています。
こうした方針の下、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかりと進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/104
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105・北村経夫
○北村経夫君 足下からしっかりといろいろな検討もお願いしたいというふうに思っております。
次に、海洋資源の開発について伺います。
他国の影響を受けず独自にエネルギーを確保する新たな方策も当然この代替エネルギーとして追求をすべきことであります。青山委員が以前から指摘され、先月の本会議でも質問されましたように、日本は豊富な海洋資源を有しているわけであります。例えば、日本近海には天然ガス資源が眠っており、山口県沖で試掘調査が始まっております。国産資源を活用することで日本のエネルギー自給率を向上させることは、エネルギー安全保障上の観点からも大変重要であります。
国産エネルギーの開発について、今後どのように取り組んでいくのか、改めて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/105
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106・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
我が国近海の国産海洋資源は、地政学リスクに左右されない安定的なエネルギーでございまして、引き続き開発を推進していくことが重要であります。
委員御指摘の島根、山口県沖での天然ガス田の探鉱事業は、今月の五日からINPEXが試掘調査を開始したところでございます。本事業は、海洋ガス田の開発としては約三十年ぶりの国内の新規プロジェクトでございまして、仮に生産に至る場合には、天然ガスの国内自給率を現在の約二%から約三%へと押し上げる過去最大のプロジェクトとなり得るものでございます。このプロジェクトにはJOGMECからも総出資額の五〇%に当たる約百六十五億円の出資を予定しておりまして、政府としてもしっかりサポートしてまいります。
また、更なる国内資源開発案件を発掘するため、特にリスクの高い探査と初期の試掘に関して、JOGMECが所有します三次元物理探査船「たんさ」を用いて、二〇二八年度までにおおむね五万平方キロメートルを目標として日本近海の資源探査を実施するとともに、有望海域につきましては政府自ら試掘調査を実施してまいります。
加えて、日本海を含む日本周辺海域に賦存が確認されておりますメタンハイドレートについては、二〇二七年度までに、民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されるということを目指して、技術開発などの取組を実施しております。
政府としては、こうした取組を引き続き実施し、海洋国産資源の開発利用の早期実現にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/106
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107・北村経夫
○北村経夫君 ありがとうございました。この目標達成に向けて、確実な努力をよろしくお願いいたします。
次に、ガソリンスタンドなど小売業について伺います。
ガソリンスタンドといったものは、エンドユーザーから見ればエネルギー業界の供給側と思われがちでありますけれども、実態は小売業の中小企業、零細企業であるわけであります。そして、地域のライフラインそのものであり、高い公共性を有しております。それゆえに、カーボンニュートラルの重要性は理解をしておりますけれども、現在の原油高における卸売価格の上昇分を卸売、価格に転嫁し切れずに苦しい経営状態に陥っているガソリンスタンドは多くあるわけであります。
もしこうしたエネルギー小売業界が消滅するようなことになれば、それは国力の減退につながっていくんだろうというふうに思っております。現在様々な補助金が活用されておりますけれども、なお一層きめ細かい支援が必要であります。今後の対策について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/107
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108・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
現下の原油価格高騰の下で経営環境が必ずしも容易ではないという状況にあることに加えまして、カーボンニュートラルの実現に向けてガソリンなどの石油製品の需要が減少していくということが見込まれております。こうした状況の中で、いわゆるガソリンスタンド、SSは、引き続き、平時、災害時を問わず最後のとりでとして石油製品の安定供給という重要な役割を担っていただく必要があります。
このため、ガソリンスタンドの設備の更新による経営力の向上、これを後押ししていくことが重要だと考えております。具体的には、令和三年度補正予算で措置いたしました脱炭素社会における燃料安定供給対策事業、予算額は百八十億円でございますが、により、今後も残り続ける石油製品の需要に対して安定供給を確保できる体制の確保を支援しているところでございます。
加えて、現在第六回目の公募を行っております総額一・八兆円の事業再構築補助金も活用しながら、ガソリンスタンドの事業者の皆様が更なる経営の多角化を図れるよう、新たな取組への挑戦を応援しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/108
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109・北村経夫
○北村経夫君 今、補助金のことを説明されましたけれども、なかなか、事業転換していくにはこれはなかなか難しい問題も抱えているわけでありまして、その辺も踏まえて更にきめ細かい施策というものを取っていただきたいと思います。
ありがとうございました。
次に、コンビナートについて伺います。エネルギー需要拠点の象徴的存在でありますコンビナートであります。
私の地元山口県では、周南・下松地区、そして宇部・山陽小野田地区、岩国・大竹地域という三つのコンビナートが、コンビナート群がありますけれども、この三つのコンビナートが地元経済の屋台骨を有しているわけであります、成しているわけであります。そのエネルギー源は石炭火力が主となっております。
このような地域というのは全国各地にあるんだろうと思いますけれども、この産業構造においてエネルギー源を転換することは多大な設備投資と燃料コストの増加が見込まれるわけであります。このため、周南コンビナート地区では脱炭素推進協議会というものを設立して二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、実現に向けていろいろな対応の検討を始めています。
こうした地域の取組に対しまして、国はどのような政策あるいは施策を講じていくのか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/109
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110・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
コンビナートを始めとする産業集積拠点においてカーボンニュートラル化を着実に進めることは喫緊の課題でございます。中でも、委員の御地元にあります周南コンビナートもそうでありますけれども、多くのコンビナートにおいてエネルギー源となっております石炭火力発電などを化石燃料を使用しないゼロエミッション火力に転換していくことが重要でありまして、その鍵を握るのが水素、アンモニアの導入拡大でございます。また、発電のみならず、水素、アンモニアなどの脱炭素燃料は産業や運輸などの幅広い分野の脱炭素化にも資するものでありまして、その社会実装の加速化が一層重要になってございます。
他方、現時点では既存の化石燃料に比べて割高な燃料であることも事実でありまして、商用化に向けて、需要の拡大と効率的な供給インフラの整備を通じてまず価格低減を図ることが必要であります。
このため、資源エネルギー庁においては、三月下旬から総合資源エネルギー調査会に新たな小委員会を設置しまして、既存燃料とのコスト差やインフラ整備の在り方などに着目して、水素、アンモニアの導入拡大、商用化に向けた検討を行ってきたところでございます。
今後、その小委員会での議論も踏まえながら、カーボンニュートラル化を進めるための、コンビナートを含むサプライチェーンの構築や新しい産業拠点、産業集積拠点の形成に向けて具体的な推進策の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/110
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111・北村経夫
○北村経夫君 今言われました小委員会での具体的な推進策、このタイムスケジュールというのはどういうふうに考えていらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/111
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112・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 今この小委員会の結論をいただいたところでございまして、今、政府全体でクリーンエネルギー戦略、カーボンニュートラルに向けてどういうふうに民の投資を促すために官の支援策を更に強化していくかというまさに検討しているところでございます。その中で、あるいは今後の夏、またその先に向けた様々な予算要求等の中で、できる限り速やかに具体化をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/112
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113・北村経夫
○北村経夫君 こうした地元においては、このカーボンニュートラル実現に向けてそれぞれが努力をしておられるわけでありますが、国が明確な指針を示し、そして支援策も示していただくと地元もより前向きに取り組めることだろうというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
最後になりますけれども、我が国のエネルギー自給率は先進国の中でも極めて低い状況であります。食料自給率というのもカロリーベースで三七%と、これも深刻であります。しかし、エネルギー自給率はそれ以上に深刻で、一二%という状況になっているわけであります。
この自給率は、東日本大震災の前は二〇%ありました。そして、二〇一四年頃は六、七%まで落ちていったわけであります。その後、再エネ導入がスタートいたしまして、拡大によりまして上がってはきてはいるわけでありますけれども、エネルギー自給率一二%というのは深刻な状態だということを改めて我々は認識しておかなければならないんだというふうに思います。
一方で、先ほどから出ておりますように、現在の電気料金、ガス料金は統計が存在する一九七〇年以降で過去最高になっているわけであります。脆弱性が原因で国民生活と国の安全が脅かされるような状態はひとときもあってはならないわけでありまして、世界情勢を見極めながら、場合によっては現行計画を、現行の基本計画を見直す決断も辞さない覚悟でこの現下のエネルギー危機を乗り切るべきだと考えております。
最後に、萩生田大臣に今後の御決意について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/113
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114・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 昨年十月にエネルギー基本計画を策定した時点では、今回のロシアによるウクライナ侵略は想定もしていなかったものでありまして、ロシアの軍事的プレゼンスの高まりも含め、エネルギーをめぐって国際的な緊張感が高まる可能性は認識しており、エネルギー基本計画の中では安定的で安価なエネルギーの供給確保の重要性を盛り込んでいるところです。具体的には、安定的で安価なエネルギー供給の確保に向けて、既に再エネ、原子力、水素、CCUSなどあらゆる選択肢を追求していくことを基本的な方針として示しております。
エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台でありまして、安定的で安価なエネルギー供給を確保することで、いつの時代、いかなる状況下でも国民生活や企業活動を守り抜く決意に変わりはございません。
二〇三〇年度四六%削減や二〇五〇年カーボンニュートラルといった目標の実現に向けて、エネルギー基本計画に基づきエネルギー政策を着実に進めていきますが、その際、脱炭素化に向けたエネルギー転換は関連産業への影響にも配慮しながら進めるとともに、我が国の置かれた状況を冷静に受け止め、あらゆる選択肢を追求し安定的で安価なエネルギー供給もしっかりと確保してまいりたいと思います。
今先生から御提案のあったような基本計画の見直しを直ちにという考えはないんですけれど、しかしここは、この先どういう状況が続くのか、どういう展開があるのか、ここはもう柔軟にしっかり見ていきたいと思いますし、三月二十二日の件、この委員会でも度々話題になっていますけれど、一生懸命増やしてきた太陽光発電がまさか一キロワットアワーも出せないという事態が起こるとは思っていませんでした。まさに脆弱性があるというのは承知の上でしたけれども、本当に天気が悪ければ発電能力が評価されない、確保されないということがもう明確になりましたので、こういったことも含めてとにかく国民生活しっかり守っていく、そのためのエネルギーの安定確保、これを役所挙げて、また国を挙げて全力で取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/114
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115・北村経夫
○北村経夫君 現実を見据えた御答弁、感謝申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/115
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116・矢田わか子
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会、矢田わか子です。
ウクライナの情勢によって日本を取り巻くエネルギー、資源の供給環境、大きく変化しつつあります。昨日も、今日、先ほどの委員の中でもありましたとおり、日本としてはロシア産の原油、石油については禁輸をするという宣言もなされています。一方で、LNGに関しては、日本はサハリン2への、そのロシアへの制裁の対象とせず操業を続けるということでございますが、最近プーチン大統領は、西側諸国のロシアへの制裁に対する報復としてエネルギー資源の輸出禁止の方針も打ち出しています。こちらが要らないと言わなくても向こうが渡しませんよという事態も想定されるということですが、具体的な措置は明らかではありませんけれども、予断を許さない状況にあるというふうに認識をしています。
こうした中で、第六次のそのエネルギー基本計画、そこで示されている再生可能エネルギーの電源比率、二〇三〇年時点で、現在一八%から倍以上の三六から三八%だと、すごく野心的な見通しを立てていらっしゃるわけですし、あと原子力発電についても変わらず二〇から二二パーだという計画なんですが、こうした取り巻く環境が変化する中で、第六次計画について見直しというのか補足するというのか、そういう必要性がなかったのか、ないのかということを考えております。
ただし、再生可能エネルギーについては安定供給のための技術的な問題、それから導入コスト、国民の負担の問題、若しくは、今回法改正行われますが、その対象となる需要側における様々な制約等の課題も残されておりますので、特に原子力発電についても、私たち自身が本当に足下を見詰めて、この原子力をどのようにしていくのかということを、もう避けては通れない根本的な論議をしていく時期にあるんじゃないかと思っています。ただ、テロへの対策含む安全性の確保、それから事故時の避難体制の問題、あるいは廃棄物の処理の問題等、やはり国民の不安、これをしっかり取り除かなければいけない課題も当然残っているわけであります。
この大きな変化の中で、政府としてこの計画、どう位置付けて、その計画の実現に向けてどのような基本姿勢で臨んでいくのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/116
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117・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 委員御指摘の第六次エネルギー基本計画では、エネルギーをめぐって国際的な緊張感が高まる可能性も認識した上で、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度四六%削減目標の実現に向けた野心的な目標として、二〇三〇年度における再エネ比率三六%から三八%と原子力比率二〇から二二%をお示ししました。
再エネについては、導入目標の実現、更なる導入拡大に向け、様々な課題を克服することが不可欠です。このため、地域との共生を前提とした再エネの導入に適した場所の確保や、太陽光等の出力変動に対応するための調整力の確保、国民負担を抑制するためのコスト低減などに取り組んでまいります。
原子力につきましては、安全性の確保を大前提に、地元の理解を得ながら既存の発電所の再稼働を着実に進めてまいります。その際、国も前面に立って立地自治体等関係者への丁寧な説明を尽くすなど、地元の御理解に向けて最善の努力をしてまいります。
引き続き、我が国の置かれた状況を冷静に受け止め、エネルギーの安定供給確保に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/117
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118・矢田わか子
○矢田わか子君 今回のロシア産の石油の禁輸についても、代替策がなく踏み切ったんじゃないかというような指摘もある中で、ステップを踏んでその代替策というものを論議していかなければいけないと思っています。
特に原子力なんですが、今、着実に再稼働というふうなお言葉あったんですけれども、エネルギーのこうした環境の変化によって、いわゆる欧米先進国も原子力発電へシフトを強めようというような動きがあります。
その中で、私ども国民民主党も、資料一をお配りしているように、あらゆる事態に着実に対応できる安全性の確保を前提にですが、非化石電源として原子力発電の役割を重視すべきというふうに考え、この資料一のようにまとめさせていただいておりまして、法令に基づく安全基準を満たした原発の再稼働と新しい原子力技術の推進、そして原子力技術者の、オペレーター等の確保という二点を求めて、その施策のために当面二千億の予算が必要なんじゃないかということを打ち出しさせていただいております。
三月には東京・東北エリアで電力需給の逼迫というような深刻な事態が発生しましたけれども、既存の電力インフラの効率的な活用とともに、当面の対策として、安全基準を満たしたやはり原子力発電の再稼働を優先する政策、それから発電所やメーカーの技術者など技術の継承、それから人材の確保のための政策、推進してもいいんではないかと思いますけれども、見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/118
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119・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 原子力発電所の再稼働に当たっては、安全性の確保を大前提に、独立した原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合にはその判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めるというのが政府の方針であります。安全最優先の再稼働を着実に進めていく上でも、発電所の運転や保守管理等を支えている現場の技術、人材の維持強化を進めていくことも極めて重要な課題です。
他方、こういう事態が起きたからといって、政府側から独立した原子力規制委員会に審査を早めろとか審査の内容を変えろと言うのは適当ではないというふうに私は思っておりますので、まずは、きちんと判断されたもので安全性が確認され、そして地元の理解をいただいたものについてはしっかり、そこからは加速をもって稼働、再稼働していきたいと思っています。
経産省としても、経済界全体で現場を含む組織マネジメントの更なる高度化ですとか人材育成の、人材の技術者育成も計画的に進めていくよう事業者や関係機関に指導を行うとともに、設備の管理、補修やリスク対応等に関する専門研修など、大学ですとか公益法人、企業などが行う現場人材の育成に向けた取組に対して支援を行っております。
今後とも、原子力の現場を支える人材あるいは技術、産業基盤全体を維持強化していくため、官民連携の下でしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/119
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120・矢田わか子
○矢田わか子君 今ある原発で、全国の原発で再稼働しているのは十基。今点検中のものがありますので、現状としては四基のみが運転しているということであります。新規規制の基準に合格しているものが七基ありますけれども、まだ動かせるというような見通しが立っておらず、実質的には再稼働は進んでいないというふうに思います。かつ、第六次の計画において、新増設とか建て替えについても見送りになったというような背景があります。
やはり、今現状を見たときに、少しやっぱりリスク管理も含めて、実質LNGの輸入がこれ本当に止まらないという保証はなくて、止まった場合に、ロシアからのLNGの輸入は二一年度で六百五十万トンです。六百五十万トンって、百万キロワットで大体九十五万トンLNGを使いますので、同規模の原発七基稼働でLNGの代替策となると。そこまでのこの計算をしつつ、一旦やっぱり広げて、いろんな可能性を含めて考えていかなければ国民生活が、エネルギーが急遽この高騰したり、なくなったりということで大混乱に陥るというふうなことの危険性も想定しながら私たち自身は進めておくべきでないかというふうに思っています。
加えて、大臣からもありましたとおり、やはり技術の継承とか新しい新型原子炉の開発等も世界的な競争が今激化しております。実質、小型モジュールの原子炉、SMRだとか高速炉についても国際連携でも実証進めていかれるというふうに思いますけれども、現場で開発しているメンバーからも、その先が見越せない中で、これから先のやはりストーリーを書いていただかないと、企業としてもそこに対して本当に投資していっていいのかというような思いもあるわけです。
是非、国内でなかなか議論が進んでいないという面もありますので、一歩踏み込んだ論議が起こるように、経産大臣からも少し検討の場を設けていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/120
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121・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 先生御指摘のように、原子力を学ぶ学生さんや研究者、また既に一度は事業者に就いて技術者として働き出した人たちが、稼働停止の状況にございますので、実際の仕事、本来の仕事ができていないという状況にあります。それは技術の劣化にもつながることになると思っていますので、何とかそういうことのないように、先ほど申し上げたような研修制度を充実させて、常に現場をしっかり見れる体制というのは国としてもつくっていきたいと思っています。
あわせて、お話がありましたように、新設、リプレース、現時点では考えておりませんけれど、もうどんどんどんどんその技術は進歩しています。SMR始め新しい技術に移行していく段階で、日本が手をこまねいて全くこの研究に入らないということは考えておりません。
先日、米国を訪問しましたけれども、やっぱり日本の技術で協力を求められる部分、この原子力では数多くございますので、そういった機会を通じて人材育成、これは途絶えることなくしっかり続けていきたい、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/121
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122・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございます。
カーボンニュートラルを目指す上で、やはり日本が今持ち得る設備の中で原子力というものが、もう稼働しなくてもずっと維持費は掛かるわけですし、新しい技術革新を起こし続けていく上で、もう一度日本の中においてですね、ベースロード電源として本当にどうしていくべきなのか、是非検討をいただきたいということで御要望を申し上げておきたいと思います。
続いて、電気・ガス料金における燃料費の調整制度についてお伺いをします。
原油、天然ガスなどの燃料のこの上昇によって、大手電力十社が六月の家庭向け電力料金の引上げを発表しております。平均的な家庭における料金、去年の六月に比べてもう既に一割から二割値上げとなっているという見込みです。この料金の変更は、消費者の負担増とともに電力会社にとって経営を大きく圧迫している、そんな状況です。
特に、十社のうち北陸、関西、中国、四国、沖縄電力の五社は、燃料費の値上がり分を料金に反映させる燃料費調整制度におけるもう上限額に既に達成をしております。この六月の値上げで東北電力もこの上限に達します。都市ガスにおいても、原料価格が基準平均原料価格の一六〇%以上になった場合は料金調整できないという上限が設定されておりますので、いずれ電力と同じような状況になるということです。料金の引上げ、需要側にとっては、省エネのインセンティブになるとはいえ大きな負担になりますが、供給側は経営上の限界が来ると。これは電気、ガスの安定供給にとって大きな不安材料となります。
資料二を御覧ください。
既に、新電力、せっかく電力の自由化ということでやり始めたにもかかわらず、もう三月までに三十一社は倒産、廃業、撤退をしています。四月以降も事業撤退、新規受入れ停止が続いているような状況です。経済安全保障法案においても質問させていただきましたが、いずれ政府は国民負担の軽減と事業者の経営支援の対策を打っていくべきではないかというふうに思いますが、御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/122
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123・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 電力、ガスは国民生活の基盤であるため、家庭などの規制料金については、原燃料価格の上昇に伴う価格調整に上限を設けることで電気・ガス料金の急激な上昇に一定の歯止めが掛かる仕組みとしております。
一方で、先生御指摘のとおり、世界的に燃料価格が高騰する中、エネルギー供給事業者が厳しい経営状況に直面していることも事実でありまして、大手の事業者も含めエネルギーの安定供給を担う企業の経営状況にも目を配ることも必要であります。まずは、今後の原燃料価格の動向やその高騰が継続する期間なども踏まえつつ、経営状況をしっかりと注視してまいりたいと思います。
その上で、燃料費調整制度などの規制の対象とならない自由料金メニューを始め電気・ガス料金の値上げがこれら企業の経営に寄与する側面がありますが、その場合には需要家にとって更なる負担を強いることにもなるため、電気・ガス料金の更なる上昇が生じる可能性も見据えて万全の対策を講じることが不可欠です。
このため、本年四月、政府として緊急総合対策を決定し、地方創生臨時交付金を通じて、コロナ禍において電気・ガス料金を含む物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担軽減を図ることとしたところです。加えて、利益率が減少し、実際に倒産や事業撤退が続く新電力等については、その資金繰りを支援するため、日本政策公庫による貸付けの金利を引き下げるなどの取組を進めてまいりました。
引き続き、原燃料価格や電気・ガス料金の動向をしっかりと注視しつつ、電力・ガス会社の経営状況だけでなく、需要家の皆様の負担の状況にも目を配り適切な対応を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/123
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124・矢田わか子
○矢田わか子君 一方で、政府は一月末から、ガソリン、灯油などの価格の安定化、元売への補助金、価格抑制政策、実行しておられます。
私たちは、ずっとトリガー条項の凍結解除、諦めずに求め続けているわけですが、一月末から四月まで、エネルギー特会からもう既に八百九十三億ですよ、一般会計から三千五百億、さらに今後、六月から九月まで補正予算で一兆円程度の予算をつぎ込まれるという予定になっています。もうこれで既に一兆五千七百億円という、財務省がトリガー条項を凍結解除することによってそれだけ掛かると試算されている金額とほぼ同程度になっていくわけです。
したがって、凍結解除については与野党でまだ継続協議というふうにお聞きしておりますけれども、財源的にこの同程度になるようなことにもなってきておりますので、是非この凍結解除に向けては引き続き協議をさせていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。
続いて、発電所の休廃止の事前届出制についてお伺いをします。
原子力発電の稼働を大きく制限され、そして太陽光など電力供給の変動が大きい再生可能エネルギーを補完するために、いまだやはり火力発電所の役割、大きいものがあります。
一方、今回の法案で発電所の休廃止の事前届出制、導入されることになっていますが、この措置については事業者からやはり強い懸念の声が出ているということであります。発電事業者は、老朽設備で赤字覚悟で稼働を続けていかなければいけないという状況になってしまうという可能性もあり、自律的なこの経営判断を阻害する、制約するものであるというところからの懸念なんですね。
そういうことはないということだとレクチャーのときにお聞きしておりますけれども、この事前届出制を制度化するのであれば、次なる発電所、要するに、効率のいいものを建て替えていくなり維持をしていくなりするための後押しをする政策についても政府として投資環境の整備必要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/124
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125・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、発電事業というのは自由化されてございます。ですので、電源維持に関する意思決定というものは事業者の方々が経済合理性に基づき自主的に判断されることとなるものでございます。で、伴いまして、今回の事前届出制の導入というものは、あくまでもこの電源維持、電源投資というものを行うために供給力を募集して、これに対し一定の資金支援をした上で再稼働をしていただくわけでございますが、この追加的な供給力対策を時間的余裕を持って行うことができるようにするために事前にその届出を国に対して行うように求めるような案でございまして、国が事業者に対して一方的に発電所の維持を命ずるようなものではございません。
一方で、加えて、委員から御指摘ございましたように、この発電所の維持というもの、さらにはその容量を増やしていくということについての制度的な仕組みを併せて講じることは大変重要なことだと考えているところでございます。
電力自由化の進展及び脱炭素化の流れを背景にして火力発電の休廃止が続いている状況でございますので、中期的な供給力の確保策として二〇二四年度以降で対応することになっております容量市場の創設、その着実な実施ということに合わせまして、この供給力を増していくための新規投資、これを長期的な収入の予見可能性を付与する方法の詳細というものを現在審議会の中で検討しているところでございます。
今後、スピード感を持ちましてこの議論を進めていき、具体化に向けた検討を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/125
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126・矢田わか子
○矢田わか子君 事前届出制が決して公的な機関からの、やはり政府からの圧力とならないようにお願いをしたいなというふうに思います。
続いて、CCSのことについて事前にお願いをしていたんですが、質問がかぶりましたのでもう要望だけにさせていただきたいと思います。
資料三にCCS長期ロードマップ検討会のロードマップ案というのをお示しをさせていただいております。年内に向けて取りまとめをしていくということでありますが、このCCS、やはり将来のカーボンニュートラルの切り札的なこの技術になるかどうか、又はその国際的な評価を受ける技術になるのかどうかというのは本当に今後の技術革新に懸かっているというふうに思いますので、是非経産省としてもしっかりと展望を描いて進めていただきたいということで御要望を申し上げておきたいと思います。
続いて、グリーンイノベーション基金の増額についてお伺いをしていきます。
今、カーボンニュートラルを実現するために様々な技術開発が期待されている中で、中でも日本が世界的にもリードしていると言われていますCO2を排出しない新しい非化石燃料の開発や、再生可能エネルギーと蓄電池を組み合わせることによる安定的な電力供給システムの構築、この二つが実現性のある有力な技術の一部として更に重視されるべきではないかと考えています。
私ども国民民主党は、先ほど資料一で示しましたとおり、ウクライナ情勢、資源価格高騰を受けた緊急総合対策として、合成燃料などCO2を排出しない非化石燃料について、国内製造基盤構築等に一兆円の予算を取るべきだという要求を打ち出しています。
一般的に最も理想的な非化石燃料として期待されている合成燃料、発電所や工場などから排出されるCO2と再生可能エネルギーの電力を使って自ら取り出したH2Oを合成して製造されるもので、政府としても、NEDOを通じてCO2を原料としたカーボンリサイクル、液体合成燃料製造技術の研究開発として委託研究に補助金を既に出されていますが、規模が小さいというふうに思います。
これらの研究支援の原資となっているそのグリーンイノベーション基金、もう既に七割は使い先は決まっているわけです。更なる技術開発と社会実装への支援金として基金の追加措置講ずるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/126
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127・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 委員御指摘の例えば合成燃料につきましては、カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献するだけではなく、先ほど他の委員からも御質問ありましたけど、ガソリンスタンドのネットワークですとか、それから日本が得意とする内燃機関など、既存のインフラや設備を活用できるという利点がございます。一方で、高効率な製造技術が確立されていないことや製造コストが高いことなどが課題であります。
このため、経産省としては、既に、総額二兆円によりますグリーンイノベーション基金のうち約五百五十億円を活用して合成燃料の製造プロセスの高効率化や低コスト化のための技術開発を支援しており、この予算を活用して商用化に向けた取組をしっかりと後押ししてまいりたいと思います。
今委員から基金の追加をするべきだという御提案がありました。私、実はこの間までの国会では二兆円のグリーンイノベーション基金、二兆円のグリーンイノベーション基金と言っていたんですけど、もう残りはあと僅かでございますので、二兆円と言うのはやめました。ニーズはもっとありますので、有り難い御質問でありまして、これ是非、次の機会がありましたら追加をしていきたいというふうに思っています。
最新の技術動向ですとか国際環境の変化も踏まえながら、産業界を始めとする様々な御意見にも耳を傾けながら、今後の対応はしっかり検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/127
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128・矢田わか子
○矢田わか子君 大臣、ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと思います。
続いて、地熱発電の支援強化についてもお伺いをしていきたいと思います。
なかなかこの地熱発電、日本には潜在的な能力があると言われているにもかかわらず、ほとんど動いていないんですよね。まだ一九年で〇・三%しかない。二〇三〇年には一%にするということですが、ただ、百五十万キロワットしかないわけです。日本のこの地熱発電のポテンシャル、更に高めていくということについてお伺いをしていきたいんです。
まず、環境省に国内の地熱発電促進する政策について御見解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/128
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129・大岡敏孝
○副大臣(大岡敏孝君) 矢田わか子先生にお答えいたします。
御指摘のとおり、地熱発電、天候に左右されない安定的な再生可能エネルギーであると考えておりますし、一方で、温泉は日本の大切な文化、また国際的な魅力であって、これを犠牲にするわけにはいかないと考えております。そのため、環境省では、地元合意、地域の合意形成というものを大前提として、昨年、自然公園法と温泉法の運用の見直しを行ったところでございます。
具体的には、これまで、国立・国定公園の第二種、第三種特別地域内の開発は原則認めないとしていたんですが、自然環境とちゃんと調和が図られた優良事例については容認をして積極的に進める方針に転換をいたしました。
また、温泉法の運用につきましても、従来は穴を掘るのに、掘削許可をするのに距離を離せとかいろいろ言っていたんですけれども、泉源ごとに正しく利用するとか管理するとかという計画が立てられたものについては、こうした規制を撤廃することとしたものでございます。
こうした運用の見直しも踏まえまして、今後も引き続き自然環境をちゃんと守る、そして温泉という文化、国際的な魅力をしっかりと守ると、そして地元合意ということを大事にしながら、余剰した、余剰の熱量についてはフル活用する方向でこれからも開発を推進していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/129
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130・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございます。
日本の地熱発電のプラントメーカー、先日も富士電機さんへ行ってきましたけれども、世界でも第一級の技術力を持っているんですね、既に。もう本当活用しないともったいないと、外にばかり輸出しているんですわという話です。日本では使えないんだと、いろんな法律の整備が進まない限りというようなお答えなんですね。
まず、今回の法案でJOGMECの出資業務に海外の大規模地熱発電の探査事業が追加されますが、もし海外で事業化が成功したとして、この事業を国内で地熱発電にどのように活用されるのかということをお聞きしたいのと、もう一点は、地熱発電というのは発電能力は小規模、地産地消的な分散型の電力供給であれば特に問題ないんですけれども、やはり、狙うのはやっぱり一万キロワット以上の大型の発電設備です。そうした場合に、どうしても系統系の、系統連系系の費用の負担ということが生じてきます。その費用の補助などについての軽減策についてもお聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/130
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131・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) まず私の方から、JOGMEC法に関する部分についてまず先にお答えいたします。
今回の改正法案では、JOGMECは、国内地熱開発に不可欠な技術、ノウハウを獲得できる海外の地熱探査事業に参画する事業者につきましてはリスクマネーを供給することができるという改正を検討しているところでございます。
具体的には、海外での地熱探査事業を通じて国内地熱で活用可能な最先端の技術や国内における大規模開発などのノウハウを獲得できるような事業に対して、出資を民間企業と併せてJOGMECが行うということを想定しておりまして、これにより国内の地熱発電の導入を更に、海外の大型発電のノウハウも吸収することなどによりまして、国内の地熱開発を加速化していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/131
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132・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) 系統の関係は私の方から答弁申し上げます。
地熱発電を含みます再エネを大量導入する上で、電力系統への接続というのは大変重要な環境整備だと認識してございます。系統の形成及びその運用をしていくためには、これ時間とコストが非常に掛かるところでございますので、再エネをできる限り急いで大量に導入していくという観点からは、まずは既存の送電網をより低コストで利用しやすいようにルールを見直していくことが大変重要だと考えてございます。
具体的に、送電網の空き容量を、容量の空き容量を超えて再エネが発電した場合に出力を一部抑えることを条件としましてより多くの再エネを接続する仕組みというものを、いわゆるノンファームという言い方をしておりますけれども、導入いたしました。二〇二一年一月から、基幹となる送電網については全国展開しているところでございます。
また、今後導入を拡大していく上では、日本全国大で再エネのポテンシャルということを念頭に置きながらネットワークを形成していく、こういったマスタープランを作っていくことが大変重要だと考えてございます。二〇二二年度中に策定し、計画的に送電網の整備を進めているところでございまして、こうした既存系統の利用と形成、両面含めまして地熱発電を含む再エネ大量導入に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/132
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133・矢田わか子
○矢田わか子君 今、地熱開発の助成金交付事業始まっているというふうに思います、やはりポテンシャル高い国立・国定公園を中心に開発を進めていただきたいと思います。地熱の資源は八割は自然公園と重なりますけれども、是非、日本ならではの、やはり天候に左右されない大事な安定的なエネルギー源としての活用を計画的に進めていただきますよう要請を申し上げておきたいと思います。
続いて、環境配慮型の電線の普及促進についてお伺いします。
電力に関しては、発電所から需要家への電力の供給するプロセスにおいて送配電のロスを低減するということが極めて重要になるというふうに思います。
現在、電線に関して様々な技術開発行われていますけれども、技術的には、発電所から送られる送配電における五%の電力ロス、それから工場や事業所内での低圧ケーブルによって発生する通電ロス、これ、まあほぼ四%程度と言われていますが、それに対して最適な電線サイズを選定して設計するという技術と、もう一つは、送配電に、配送電における電源、電線、ケーブルを超電導電力ケーブルというものに置き換えることによって電力ロスを大きく減らすことができるというふうにされております。
こうした技術について、これまでもせっかく政府が投資してきてこういう技術開発が進んでいるわけですので、ロスを半減することができるという試算の下でどう生かしていくのかということが大事だと思います。
送配電に関する電線の技術開発、それから送電、配電の設備の改良に関し更なる支援策の強化求められると思いますけれども、今後の対応についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/133
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134・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 送配電ロスの低減に向けて、経産省としては、平成十九年度からマイナス百九十六度以下の超電導ケーブルの実用化に向けた技術開発を行ってまいりました。
具体的には、超電導ケーブルシステムの安全性に関する検証や冷却システムの効率化といった技術開発を実施してまいりました。この結果、直流送電において、送電効率九九・九%以上の見通しが得られるとともにシステムの安定性が実証されるなど、超電導ケーブルの技術が確立をしました。
さらに、再エネの主力電源化が求められる中、再エネ導入エリアから電力の大消費地までの長距離送電ロスの低減が重要な課題です。このため、長距離送電に当たって、交流送電に比べて送電ロスが少ないというメリットがある直流送電の活用も考えています。実際、北海道から東京までの直流送電による長距離の海底直流送電網の整備などを検討中です。
こうした取組も通じて、送電ロスを可能な限り低減しながら再エネ大量導入と電力の安定供給に向けた系統整備、強化を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/134
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135・矢田わか子
○矢田わか子君 これまでも支援していただいてきたものですので、その成長の果実をきちっと刈り取ってしっかりと実装に生かしていけるように、導入を進めていただきたくお願いを申し上げておきたいと思います。
続いて、家庭、産業の電化促進とヒートポンプの活用の支援についてお伺いをしていきます。
カーボンニュートラルにおきまして、需要者側が再生可能エネルギーを含むエネルギーの効率化を追求するために幾つかの対応が考えられるわけですが、その一つが、家庭部門や産業部門における電化の促進であります。特に製造業です。製造業においては大量の熱源や電力を消費する産業や業種が多くあります。こうした産業において、これまでも製造過程における省エネ技術の導入、それから電化への試み、あるいは再生可能エネルギーの活用について努力が行われてきたわけであります。
今後について、例えば、製鉄業における水素還元製鉄など新しい技術開発、その実装には膨大な投資がまた必要とされているということです。製造業の大きな事業所では自家発電を行うところも多いんですけれども、こうした自家発電に再生可能エネルギーを導入するとともに、大きな資金が必要とされますが、政府として今後どのように支援していくのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/135
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136・石井正弘
○副大臣(石井正弘君) 水素還元製鉄についてのお尋ねがまずございました。
この技術は難易度が高くて世界的にも未確立な部分も多いということから、技術が未確立な研究開発段階には国が全額を支援する、そして、技術確立の可能性が高まった後の実証段階におきましては国が最大三分の二を負担する、こういった形で社会実装までを目指しました革新的な技術開発を推し進めることといたしております。
また、鉄鋼業、化学工業などの各社が保有する石炭火力等の自家発電設備につきまして、バイオマスなど再生可能エネルギーへの転換などを図るべく、予算額六十一億円で三分の二の補助率によって事業可能性、事業実施可能性調査、これを実施をして支援をいたしているところでございます。
ヒートポンプについても冒頭お尋ねがございましたが、この導入促進につきましては、産業・業務部門に向けまして、工場や事業所におけるヒートポンプ等の高効率設備、この導入支援を行っているところであります。また、家庭部門におきましては、関係省庁とも連携をいたしまして、住宅のネット・ゼロ・エネルギー化、これに向けた支援を行っておりまして、この中で高効率ヒートポンプ給湯器、この導入につきましても支援をいたしております。
こういった支援措置を通じまして、引き続き需要家のエネルギー転換あるいは省エネを促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/136
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137・矢田わか子
○矢田わか子君 石井副大臣、聞いていないところまでありがとうございます。
電化促進の一環として、ビルとか店舗、冷暖房はやはりヒートポンプ導入、大きな省エネ効果ありますので是非お進めをいただければと思います。支援策もお願いしたいと思います。
続いて、蓄電池の発電事業化について大臣にお伺いしたいんです。
我が国において、大型の蓄電池、なかなか普及しない面があります。今回の電気事業法の改正案、蓄電池から放電する事業を発電事業と位置付け、系統電力の調整力としての活用も期待されております。現在、電機メーカーや電池メーカーが開発しています電力系統用の電力貯蔵システム、いわゆるESSですね、は従来の発電所や変電所、そして太陽光など再エネ発電所などに設置され、電力供給網の安定性を確保するとともに、周波数の調整や負荷調整など電力品質の向上を目指しています。
現在のところ、製造コストの問題、あるいは火災防止など安全性確保の課題などが残されていますが、国としても更なる開発支援を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/137
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138・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 再生可能エネルギーが主力電源となる中において、電力の安定供給を達成するためには蓄電池の技術開発や普及促進は極めて重要です。
このため、系統において安定的に大型蓄電池を運用する技術を確立するための技術実証を行っており、現在では、この成果として一般送配電事業者が実際に調整力としても活用しているところです。また、現在、再エネの大量導入に向けて調整力としての系統蓄電池の導入費用に対する補助も行っているところであり、更なる普及促進を図ってまいります。
なお、今回の法改正において、蓄電池を発電事業に位置付けるなど電力系統への接続の円滑化を図っていくこととしておりますが、これに加えて、今後、大型の蓄電池に備えた電気を、蓄えた電気を、失礼しました、電力市場に供給することで発電事業者が収益を確保できるような環境整備も進めてまいりたいと思います。
それより何より、大型の蓄電池の国内生産をこれ急いでまいりたいと思います。半導体、皆さんに御理解いただいて、新しいスキームで復活への道を一歩踏み出しました。もう次は蓄電池だと思っていまして、夏までにその大きな方針を固めていきたいと思います。
残念ながら、レアアースの話が午前中ありましたけど、同じようにコバルトの確保などがやっぱり国内でできないものがございます。こういったものも含めてサプライチェーンの強靱化を図るべく、私、もうアフリカにも行って現地で直接掘り当ててくるという、そのくらいの覚悟でこの蓄電池で勝負するしかないと思っていますので、政府挙げて全力で取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/138
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139・矢田わか子
○矢田わか子君 大臣、ありがとうございます。
本当に、まさに蓄電池、正念場に今あるというふうに事業所の方々からもお聞きしております。アフリカまで行って掘り当てるというような強い覚悟をいただいたこと、大変心強く思っております。是非、この発電事業として今回位置付けるというのは大きな一歩だというふうに思っておりますので、超大型の蓄電池システム、様々な調整システム、今後求められていきますので、技術的な更なる進歩、それからそうしたことに対するその支援策についても充実強化を心よりお願い申し上げます。
最後に、太陽光発電の設置の多様化についてお伺いしていきます。
最後に一枚資料をお配りしましたが、太陽光発電も進化しているわけですね。これは東芝さんのペロブスカイトというものですが、ビルの側面、壁とかに張れるようなパネル型のものです。窓ガラスにもフィルムを張り付けて発電する技術、ようやく実用段階を迎えているということであります。
今後、この研究開発ということで、まだ課題を残しているということでもありますので、これをでも克服した暁にはより広い範囲で発電が可能となるということでもありますので、経産省としても是非支援の継続が必要と考えますが、見解をいただきたいということと、それと併せて、この太陽光パネルの設置に関しては、フィルム状ですので、単純に屋根の上にぽんと置くというものではないので、設置の技術的な問題からやはり一定のコストが掛かるんじゃないかというような予測があります。
環境省としてビルのそうした壁面に対する設置で助成する措置を講ずる必要があると考えますけれども、その方向性について何か見解があれば、環境省からも一言お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/139
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140・茂木正
○政府参考人(茂木正君) まず、太陽光発電の導入拡大に際しまして、やはり地域の理解が得られやすい適地というのが非常に重要なわけですけれども、そういう中で、今委員から御指摘があった例えば屋根ですとかビルの壁面ですとか、こういったところに導入できる太陽光の開発というのは非常に重要だというふうに考えていまして、あらゆる手段を追求していこうというふうに考えております。
この中で、ビルの壁面ですとか、例えば耐荷重が低い屋根ですとか、こういったところに設置できる太陽光発電として、これグリーンイノベーション基金を活用しまして、軽量で曲げられるような太陽光電池としてペロブスカイト型の太陽電池の開発を進めています。
技術課題としては、やはり連続生産してどうやってコストを下げていくかという技術と、それからやはり耐久性、やはり十年、二十年もたなきゃいけませんので、こうした耐久性をしっかり発揮できる技術開発をしっかり進めながら、これは建材と一緒になって社会に実装できるような技術として市場化していく必要があるというふうに考えています。
将来の市場投入に向けた支援をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/140
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141・白石隆夫
○政府参考人(白石隆夫君) 環境省からお答え申し上げます。
環境省におきましては、現在は、実用化された技術を利用した設備を対象に屋根等を活用した自家消費型の太陽光発電の導入支援を実施してございます。
議員御指摘のペロブスカイト太陽電池、今NEDOの指摘も、御支援もあって技術開発されていますが、これが、こういった従来にないメリットを持つ技術が近々社会実装可能となった暁には、再エネの大量導入を推進する観点から、関係する省庁とも連携しながら政府として必要な支援策を検討していくことになるんじゃないかというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/141
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142・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございます。
日本が世界初で新しいやはり技術を世の中に打ち出していくわけです。これから実装段階に入ります。ここが大事なんです。技術を生み出して、そこからビジネスにつなげていくというところで、やはり民間企業任せにするんじゃなくて、国を挙げての御支援を心よりお願い申し上げます。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/142
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143・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、中田宏君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/143
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144・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。
それでは、通告に従いまして質問をしたいと思います。
国連安保理事国でありますロシアが自ら平和ルールを破って今回の事態が起こっているわけでありますけれども、それまで、そうじゃなくても高めでありましたエネルギー価格が更に高騰をしております。日本のエネルギーは天然ガスに過度に依存しているわけであるために有事に非常に弱いと。三月には東京電力管内に需給逼迫警報も発令されました。自明のことながら、エネルギーは国家における安全保障上の重要な課題でもあります。世界情勢不安により、三月の全国消費者物価指数は前年比〇・八%アップ、前月から見ても〇・二%ポイントが上昇しております。
民間のシンクタンクの分析ですと、上昇を牽引したのはエネルギーと食料品。エネルギー価格は、前年比プラス二〇・八%と上昇を続けております。食料品価格でも前年比二%と上昇が拡大をしており、大変な事態になっておるわけでありますが、また、原材料価格の高騰によりまして、企業の価格転嫁による食料品の価格が上昇に歯止めが掛からない状況となっており、三月のCPIコア、エネルギーと食料品だけでも前年比プラス一・九八%ポイントアップと、資源・原材料価格の上昇が物価の上昇に大きく影響していることが明白となっております。
収入は上がらない、デフレは続く、このようなコストプッシュインフレにより石油から穀物まで幅広く生活必需品の価格が上がっております。特に、特にですね、低所得者の方々の暮らしを大変苦しめておるわけでありますが、我々日本維新の会は、大臣も御案内のとおり、三月十五日、原油価格、穀物価格などの高騰による物価への影響が落ち着くまでの間、軽減税率の国税部分の方を減税し、段階的に三%まで軽減するなどの対策を盛り込んだ提言書を萩生田大臣に手渡ししたわけであります。すぐできる対策を直ちに実施すべきだということを本会議でも私は質問しましたが、引き続きお願いをしたいと思います。
大臣からは、我々日本維新の会のこの異常なエネルギー価格の高騰から日本経済と国民生活を守るための対策が必要だという提言に対して、問題意識は共有しているとの返答をいただきました。そして、原油価格高への対策として燃料油に対する激変緩和事業の延長や拡充、セーフティーネット貸付けの更なる金利引下げなどの中小企業に対する資金繰り支援などをしっかり取り組んでいくとのお約束をいただきましたので、期待しております。
そこで、財務省の方来ていると思うんですけれども、御質問したいんですが、物価への影響が落ち着くまでの間、軽減税率の国税部分を減税し、段階的に三%まで軽減すること、そして、特にガソリン税等に上乗せされております当分の間税率の当分の間とはいつまでなのか、また、ガソリン税に消費税が課税されておりますタックス・オン・タックスという不可解な仕組み、これはもう以前から問題になっておりますけれども、この仕組みを解消すべきではないかと思いますが、これらについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/144
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145・高村正大
○大臣政務官(高村正大君) お答えさせていただきます。
消費税につきましては、社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から社会保障の財源として位置付けられており、軽減税率が適用される食料品に係る部分も含め、全世代型社会保障制度を支える重要な財源であることから、税率を引き下げることについては考えておりません。
揮発油税等の燃料課税の旧暫定税率については、道路特定財源の廃止を踏まえ、民主党政権下において検討が行われた際に、地球温暖化対策の観点や厳しい財政状況を踏まえて税率が維持され、特定の期限を定めず、当分の間税率とされたものと承知しております。
地球温暖化対策の必要性や厳しい財政事情といった状況は現在より深刻となっており、仮に燃料課税の当分の間税率を廃止した場合、国、地方で年間約一・六兆円の大幅な減収になることも踏まえれば、廃止することについては慎重であるべきだと考えております。
そして、タックス・オン・タックスの件でございますが、消費税が揮発油税等にも掛かり二重課税となっているという御指摘については、揮発油税等の個別間接税は原価の一部を構成するものであり、消費税の課税標準である価格に個別間接税を含むという取扱いは国際的なルールになっておることを踏まえれば、このこと自体に特段の問題があるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/145
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146・石井章
○石井章君 今年三月二十二日に発生した東京エリアにおける電力需給逼迫の原因は、三月十六日に発生した地震によりまして、先ほど来出ていますけれども、二百五十万キロワット分の火力発電機が停止しました。そしてまた、出力低下して二百三十万キロ分の連系線容量が低下したことと、突然の季節外れの寒波によって最大需要予想が想定を上回ったことが要因とされております。
この二つの事象の同時発生は、これは自然発生も含めて、事前に対策、予防することは経済的に不合理だという試算もあります。しかし、これまでの災害や事故で明確になったように、私たちは何事にも絶対はあり得ないということを再認識しなければならないと思っております。今後、気象、季節や燃料調達などの様々な要因によりまして潜在的に大停電が起きる可能性はあります。特に都市部では、急激な電力需要の変化によりましてブラックアウトが起こる可能性も高い。もし電力の全系崩壊が発生すれば、病院や鉄道、航空、物流など多方面での、国民の命と生命に多大な影響を及ぼす可能性がありまして、政府は万一の場合のリスク対応に備えなければならないのは当然であります。
そこで、電力需給逼迫によるブラックアウトを防ぐための課題と対策の状況についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/146
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147・石井正弘
○副大臣(石井正弘君) 委員御指摘のとおり、電力は国民生活やあるいは経済活動に不可欠でありまして、その安定供給は国がしっかりと責任を持って確保するということが重要と考えております。
足下で火力発電の休廃止が増加をしている中、我が国の電力需給は厳しい状況が続いております。今年の冬は東京エリアで初めて公募を実施をいたしまして、休止電源の再稼働を促すことでようやく安定供給を確保できました。一月、二月の大雪の際には、公募で確保いたしました電源等を稼働させまして安定供給を支えたところであります。一方で、三月は、地震によります火力発電の停止、あるいは悪天候による電力需要の増加等によりまして需給が逼迫をいたしました。今年の夏や冬の電力需給、これも厳しい見通しであるということから、公募によって休止中電源の再稼働を促すほか、燃料の追加調達を行って追加的に供給力を確保してまいりたいと存じます。
また、今回の改正法案には発電所の休廃止の事前届出制を盛り込んでおりまして、供給力を精緻に管理することが可能となるところであります。さらに、現在、三月二十二日の東日本の電力需給逼迫に関する検証を行っているところでありまして、その中で、電源や燃料の確保のみならず、需要抑制の対策の在り方等あらゆる対策を検討しております。
今後、供給と需要の両面からしっかりと対策を講じまして、電力の安定供給に万全を期してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/147
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148・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
次は大臣にお伺いしますけれども、欧州委員会は、企業の経済活動の持続可能性を判定するためのEUタクソノミーを定めております。二月二日、そのタクソノミーに原子力と天然ガスを加えました。福島第一原発事故以来、原子力に否定的であったEUが、気候変動問題によって原子力重視へとかじを切った影響は大きいと考えております。
先日の答弁で萩生田大臣は、原子力政策の方針に変わりはないと明言されましたが、そこで再確認ですけれども、先般、経産大臣より、ウクライナ有事を機に原子力発電の位置付けを欧州のようにこれまで以上に重視していく意向はないのかとの発言について、第六次エネルギー基本計画による各電源構成においても原発の位置付けに変化はないということか、経産大臣の、こういう質問に対して経産大臣はどのように認識されているか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/148
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149・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) エネルギー基本計画の中では、エネルギーの安定供給の確保に向けて再エネ、原子力、水素、CCUSなどあらゆる選択肢を追求していくことを基本的な方針としており、これを直ちに見直すことは考えておりませんが、その上で、すぐに使える資源の乏しい我が国にとって、実用段階にある脱炭素のベースロード電源である原子力は安定供給の観点からも重要な電源であると考えており、この位置付けにも変更はございません。
こうした観点から、も踏まえ、原子力発電所については、地元の理解を得ながら着実に再稼働を進め、エネルギー基本計画でお示しした二〇三〇年度の原子力発電比率二〇から二二%の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
また、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求するという方針の下、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかりと進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/149
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150・石井章
○石井章君 二〇三〇年の電源構成に変化がないということは、電源構成における原子力の比率は先ほどおっしゃいました二〇から二二%のままというわけでございますが、現在、原子力を支える技術の先行き不安が課題となっております。
これまで、格納容器の製造や運転技術など、そのほとんどが国内で賄えてきたわけですが、特にその技術を支えてきた人材育成が不安視されております。福島第一原発の事故以降、稼働する原発の減少と原子力に対する若い人たちのアレルギー等によって全国的に大学や大学院の原子力関係学科に入学する学生の数が大変減少していると、そういう傾向が続いております。例えば、半世紀前に専門学科が設置され、これまで技術者なども三千人以上輩出してきました東海大学の原子力工学科でさえ現在は学生の募集を停止しているという状況であります。
このまま人材が先細れば、継承されてきたノウハウが失われるとともに、様々なトラブルを誘引する可能性もあると思います。また、廃炉や核のごみといった原子力が抱える重要な課題に対応する科学力や技術力が失われていくことも危惧されております。
このような、原発の安全性はもとより、廃炉や放射性廃棄物の処分にも影響を及ぼしかねない人材育成や技術継承の問題について政府はどのように対応していくのか、その方策についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/150
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151・石井正弘
○副大臣(石井正弘君) 我が国は、これまでの原子力発電所の建設、運転経験を通じまして、発電所の保守、運転保守、あるいはプラント機器、部材等の製造の現場において極めて高いレベルの技術を有してきたところであります。
他方、震災後の事業環境の悪化に伴いまして、原子力サプライチェーンを維持する上で重要な企業にも産業や原子力事業からの撤退が相次いでいるものと承知をいたしております。また、物づくりの機会が失われていく中で、高いレベルの技術を着実に承継していくということが大きな課題となっている、このことも認識をいたしております。
そのため、第六次エネルギー基本計画におきましては、産学官の垣根を越え、原子力の人材、技術、産業基盤の強化を進めていくと、このようにしているところであります。
経済産業省におきましても、例えば、機器製造から撤退する企業の開発成果あるいはデータを別の会社が承継をする取組、あるいは発電所のメンテナンスを行う企業の社員を対象といたしました廃止措置の工事工程等の講義や現場実習等に対する支援等を行っているところであります。
今後とも、産業界の実態を踏まえつつ、将来を見据えて、技術承継を含め、技術、人材の育成にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/151
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152・石井章
○石井章君 先ほども申し上げましたけれども、昨年の六月に閣議決定された二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略において、二〇〇〇年の電源構成における原子力の比率は二〇から二二%とされておりますが、福島第一原発の事故から十一年たった現在の総電力における原子力の比率は一割を下回っております。電力調査統計によれば、二〇二〇年度の電力供給における原子力発電の割合は四・四%でありました。目標を達成するためには、八年後までに二〇から二二%に引き上げなければなりません。
政府の予測によると、二〇三〇年時点の総発電電力量は一万六百五十億キロワットとされておりますが、原子力で約二千二百億キロワット程度を賄うということになります。設備利用率を七〇%とすれば、約三千五百万キロワット程度の設備容量が必要との試算になり、二〇三〇年の電源構成における原子力の比率、二〇から二二%を満たすには約四十基程度の原発が稼働していなければならないと推計されますが、政府が目標としている原発の電源構成比率を満たすためには二〇三〇年時点で何基の原発が稼働していなければならないと考えているのか、具体的に明快な答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/152
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153・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
二〇三〇年度のエネルギーミックスにおける原子力比率についてでございますけれども、実際のその設備利用率等につきましては、発電所ごとに大きく異なるところでございますので、ちょっと確定的にお答えするのはなかなか難しいところではございますが、運転年数に応じた出力規模の平均値を用いまして機械的な形で算出してまいりますと、大体二十五から二十八基程度で達成できる計算となるということを承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/153
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154・石井章
○石井章君 簡単な答弁ありがとうございました。
先般、自民党の議連、議員連盟の方々が、ウクライナ情勢の影響を理由に、停止中の原子力発電所を稼働させようと、規制基準で設置が義務付けられているテロ対策の分ですね、テロ対策の施設について、施設の完成がなくとも再稼働が可能となるように規制基準の運用を見直すべきだと原子力規制委員会に申入れを行ったわけでありますけれども、実は、私の地元、水戸出身の原子力規制委員会の更田委員長は、安全上の議論は商業的な利益などに影響されない、そして、初心を忘れてはならず、安全に妥協は許されないと、安易な再稼働の議論に明確にくぎを刺されております。また、萩生田大臣も会見で、いかなる事情により、安全性を最優先すると明言されております。私は、その国民の生命あるいは財産を守るのは最優先する、責任はある、その姿勢は心より評価をしております。
その中で、疑問を感じているのは、現在のペースで二〇三〇年の原発の電源構成比率目標の実現、達成は可能なのかどうか。先ほどの答弁ですと他人事のような答弁なんですが、その、あなたが担当のこの、もうこの二〇三〇年から、目標値の設置年代にはその地位にいないと思いますけれども。
萩生田大臣は、さきの本会議でも、国も前面に立ち、原子力の意義や必要性等について丁寧な説明を尽くすと、これ大変重要なことです。立地自治体など関係者の御理解と御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいく方針であるという、本当に絵に描いたような答弁で、真摯な姿勢をお示ししていただいている、岸田内閣の特徴を表しておりますけれども、現在の再稼働のペースで、原発の二〇三〇年の電源構成比率目標の実現は、答えにくいと思うんですが、可能かどうか、どう考えているのか、大臣、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/154
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155・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 原子力発電所の再稼働につきましては、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合には、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくというのが政府の一貫した方針であり、この方針の下、現在十基が再稼働しております。
二〇三〇年度エネルギーミックスにおける原子力比率の達成に向けては、事業者が連携して安全性、信頼性を向上させ設備利用率向上につなげるとともに、一部の炉については、法令で認められた四十年を超える運転期間延長を行うことによって達成することは可能であると考えています。
今まで、新基準で原子力規制委員会が様々な指摘をし、それに、初めて指摘されたことに対して初めてどう対応するかということを繰り返しそれぞれの発電所が行ってきましたんで、一定の時間が掛かったのは事実だと思いますけれど、だんだん予見性が分かってまいりましたんで、こういうところはこういうふうに直す、こういうところはこういうふうに強化をするということが見えてきましたんで、そういう意味では、これから先は、基準は厳しいものが残りますけれど、事業者側の対応というのはスピードが上がるんではないかということも期待できるんじゃないかと思います。
なお、二〇三〇年に至るまでの再稼働のペースについては、事業者の判断や原子力規制委員会による適合性審査の状況、さらには地元の御理解や避難計画の策定の状況などによって決まるものであり、予断を持ってお答えすることは適切ではないと考えておりますが、経産省としては、発電所の再稼働が円滑に進むよう、産業界に対して事業者間の連携による安全審査への的確な対応を働きかけるとともに、国も前面に立ち、立地自治体など関係者の理解と協力を得られるよう粘り強く取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/155
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156・石井章
○石井章君 ありがとうございます。期待しております。
政府は、原子力が二〇から二二%、先ほど来提案しておりますけれども、その実現には四十年ルールという大きなハードルも存在していることも事実であります。政府は、これまで新増設やリプレースについて、考え方について発信しておらず、国会での根本的なエネルギー政策や原子力事業についての議論が試されておりません。既存の世界の秩序が大きく今揺らいでいる今こそ、政府は政治的な損益を優先するこれまでの姿勢を改めて、改める、改めてですよ、広く国民と我が国がエネルギーの将来像について真摯に議論すべきであると思います。この続きの質問は次回に回したいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/156
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157・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
法案の質疑に入る前に、これまでも質問で取り上げてきた宮城県丸森町耕野地区のメガソーラー設置計画について質問をいたします。
この計画をめぐっては、乱開発による災害の発生や生活用水として活用をする水源の枯渇、こうしたことが懸念をされているとともに、計画をめぐって事業者が贈賄事件を起こしていて、非常に問題があるんですね。
三月二十九日に地元の振興会や区長会を始めとした五つの団体の皆さんからFIT事業の認定取消しの要望をいただきまして、現地とつないで、経産省への要望を、要請をオンラインで行いました。私も現地に伺ったことがあるんですけれども、二〇一九年の台風十九号で甚大な被害を受けて、その復旧の途上の状態だったんですね。住民の方々からは、災害に弱い地域で、これ命に関わる問題だということや、地域の信頼、地域との共生が踏みにじられたということで、怒りの声が次々と出されたんです。全くそのとおりだなというふうに思いますし、FIT認定の取消しは当然だというふうに考えています。
対応をいただいたエネ庁の方からは検討しているというふうに回答あったんですけれども、このままだとなし崩し的に計画が進んでしまうということで、住民の皆さん、非常に不安が高まっているんですよね。
これ、今、検討状況がどうなっているのかということと、一刻も早く認定取消しをするべきだと思うんですけれども、どうなっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/157
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158・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 今委員から御指摘ございました丸森町の事案でございますが、丸森町における太陽光発電設備の設置に関しまして、本件事業に関与したとされる会社の代表者が逮捕、起訴され、罰金刑に処されているということは私どもも承知をしております。
再エネ特措法では、認定基準として、事業が円滑かつ確実に実施されると見込まれることを求めておりまして、この観点から、経産省において、仙台地検が保有しております本件事案に関する記録を閲覧するなどして、現在、事案の精査、分析というのを行っているところでございます。この本件が認定事業、認定基準違反に当たり得るか否かという点につきましては、現時点において一概に評価はできませんが、そうした考えも取り得るというふうに考えております。
ただ、一般論でございますが、仮に認定の取消しといった不利益処分を行う場合にはしっかりとした事実関係の確認を行う必要がございます。必要な手続を行った、取った上で対応していく必要もございます。本件についても丁寧に事実関係を確認した上で適切に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/158
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159・岩渕友
○岩渕友君 こうした場合は認定基準違反に当たり得るということですけれども、もちろん検討必要なんですけれども、住民の皆さんたちが反対しているのに事業者がどんどんなし崩し的に事業を進めようとしているというようなことが現地ですごく不安になっているので、そういう意味で事態が非常に切迫をしています。これ、速やかに認定取消しを行うように強く求めておきたいというふうに思います。
続いて、法案について質問をいたします。
本法案は、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現のために我が国のエネルギー構造を需給両面から転換を図る、安定的なエネルギー供給確保のための制度整備を行うとしています。この目的のために、どういう方法、方向で取組を進めていくのか。
四月五日に、IPCCの第三作業部会が遅くとも二〇二五年までにCO2の排出を減少に転じさせる必要があると発表をして、ロシアによるウクライナ侵略による世界的なエネルギー危機の下で真剣な検討が求められています。
本法案における最大の改正内容は非化石エネルギーの定義の変更です。石炭火力の脱炭素化を図るとして、新たに水素、アンモニアを非化石エネルギーに加えて供給側と需要側の両面で推進をするというものです。
化石燃料を使用して製造過程で大量にCO2を大気中に排出をする、あっ、放出をするグレーアンモニアも含めて非化石と位置付けることについて、衆議院の我が党の笠井亮議員の質問に対して大臣も、化石由来のものを非化石と呼んでいいのかと言われると違和感があると、こういうふうに認めています。大臣自身が違和感があると認めざるを得ないような定義変更は、これ説明が付かないんではないでしょうか。本会議では、このこと聞いたんですけれども、この点について明確な答弁がなかったので、改めて大臣にお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/159
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160・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 二〇五〇年カーボンニュートラル時代のエネルギーの安定供給確保に向けては、アンモニアの大量供給、大量利用が不可欠であり、その社会実装は世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であると考えています。
四月二十二日、衆議院の経済産業委員会で、化石由来のものを非化石と言われると違和感があることは私も認めると申し上げましたが、一方で、足下では水素、アンモニアの需給が立ち上がっていない中で、水素、アンモニアの需給を早急に立ち上げることの政策的な重要性から、まずは由来を問わずに利用を拡大させて、その上でCO2の排出処理ができていないものの割合を下げていくことを結果的にカーボンニュートラルに進んでいく手法の一つとさせていただきたいとも申し上げております。
これまで申し上げているとおり、永続的にCO2を処理していないアンモニアを使い続ける考えはございません。インフラ整備や技術開発、コスト低減などの進展状況を見詰めつつ、速やかにアンモニア全体のクリーン化を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/160
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161・岩渕友
○岩渕友君 今の答弁聞いても何でなのかということがよく分からないというか、説明になっていないというふうに思うんですよ。同時に、今も答弁にありましたけれども、永続的にグレーアンモニアを使い続けることはしないんですと、速やかにクリーン化を進めるんだというような答弁でした。
この速やかなクリーン化というのは、いつ頃の見通しになるでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/161
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162・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
アンモニアの発電分野での利用の実用化の時期は二〇二〇年代後半を目指してございます。既に複数の日本企業が、そのタイミングにできる限り間に合うような形で海外でCCUSでCO2を処理したクリーンなアンモニアの製造に関する事業可能性調査を開始しているというところでございます。その上で、グリーンイノベーション基金を通じて二〇三〇年までにより効率的なアンモニア製造技術や再生可能エネルギー由来の製造技術を開発しているところでございます。
これらを総合的、並行的に進めることによって、できるだけ早期に燃料アンモニアのサプライチェーンを構築し、同時にアンモニア製造のクリーン化を進めていくという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/162
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163・岩渕友
○岩渕友君 今の答弁にもあったように、結局はグレーアンモニアからいつ脱却できるのかというその時期については答えることができないということですよね。
利用面では、アンモニア二〇%混焼の導入、より高い混焼率や専焼化のための技術開発を進めるというんですけれども、アンモニア混焼の商用化の時期についての見通しはどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/163
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164・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
アンモニアの混焼につきましては、昨年度から碧南火力発電所における実機実証を開始しておりまして、二〇二四年度には百万キロワットの実機燃焼炉での二〇%混焼試験を行うべく取組を進めております。これを踏まえて、設備改修などの期間が掛かりますので、二〇二〇年代後半には二〇%混焼を実用化させる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/164
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165・岩渕友
○岩渕友君 二〇三〇年度の商用化の規模の見通しはどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/165
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166・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
昨年閣議決定しました第六次エネルギー基本計画におきましては、二〇三〇年には年間三百万トンの発電分野でのアンモニアの需要を見込んでおります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/166
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167・岩渕友
○岩渕友君 今答弁にあったように、二〇三〇年度時点で約三百万トンの国内需要を見込んでいると。それで、事前に少しレクを受けて聞いている中身でいうと、大規模な石炭火力発電所で二〇%混焼をした場合、一基、百万キロワットにつき年間約五十万トンだと。で、三〇年時点で六基から十基程度の二〇%混焼を見込んでいるというふうに回答があったんですね。
資料の一を御覧ください。
これ、経産省の見通しでは、二〇三〇年でも、この黄色い部分ですけれども、二〇%混焼の開始というふうにあります。開始といっても、先ほどお話をしたように、僅か六基から十基程度の見込みだということなんですよね。アンモニアを合成する方法も、製造についても、ハーバー・ボッシュ法に代わる技術の確立を目指しているという段階なんです。これでは速やかにクリーン化を図るというふうにはやっぱり言えないと思うんですね。
さらに、二〇三〇年のCO2排出削減目標、国際約束との整合性が取れません。IPCCの報告書のように、遅くとも二〇二五年までにCO2の排出を減少に転じさせなければ一・五度目標は達成できないとする非常に切迫した事態になっているわけですよね。こうした事態に直面しているのに対して整合性がないんではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/167
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168・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 日本国内の排出については、既に二〇一三年度をピークに排出量を削減しており、パリ協定の一・五度努力目標とも整合的な形で二〇三〇年度四六%削減という野心的な目標を掲げ、その一環として国内火力発電の燃焼時のゼロエミッション化に向けたアンモニア利用を推進しています。
こうした日本国内でのアンモニア利用を二〇二〇年代後半、つまり二〇二五年以降にも実用化することを目指しており、その際に、化石燃料由来のアンモニアを製造する場合、製造国でCO2を排出することとなりますが、世界全体での二〇二五年以前のピークアウト、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献するためにも、より効率的なアンモニア製造技術や再生可能エネルギー由来の製造技術の開発を支援し、その上でブルーやグリーンのアンモニアの割合を増やすといった取組を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/168
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169・岩渕友
○岩渕友君 そもそも、グレーアンモニアは化石燃料由来ですよね。経産省自らが、一トン製造するのに一・六トンのCO2を排出するとしています。アンモニア二〇%混焼でも、製造過程を含めるとCO2の削減効果は僅か四%にしかならないという試算なんですよね。グレーアンモニアはCO2の排出削減に全く貢献しないものだということです。
改めて確認をしますけれども、COP26のグラスゴー気候合意で排出削減対策として明記されているのはCCUSだけだというふうに認識をしています。水素、アンモニアは記述があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/169
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170・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
COP26の成果文書でありますグラスゴー気候合意でございます、お尋ねは。これは、パリ協定の目標に向け各国の努力を促進するものでありまして、いわゆる排出削減措置として特定の手法を限定するものや、委員が御指摘のそのCCUSを含む特定の手法を対象として推奨しているというものではないというふうに私ども現時点で理解してございます。
したがいまして、排出削減手段の一つでありますアンモニアの活用について、グラスゴー気候合意と矛盾するものではないというふうに認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/170
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171・岩渕友
○岩渕友君 国際的には排出削減対策と認められていないということなんですよ。
大臣は本会議の中で、当面は化石燃料由来の輸入アンモニアに頼らざるを得ないというふうに答弁をしています。いつまでこの化石燃料由来の輸入アンモニアに依存をするのか。本会議では、将来的には国内でも国産アンモニアの確保にも取り組むと、こういうふうに答弁がありましたけれども、じゃ、この将来的というのはいつ頃のことを予定しているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/171
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172・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) まず、アンモニアの発電分野での利用に向けましては、新たに大量かつ安価なアンモニアを確保するということが必要になってまいります。
現在、グリーンイノベーション基金を通じて、二〇三〇年までにより効率的なアンモニア製造技術や再生可能エネルギー由来のいわゆるグリーンアンモニアの製造技術の開発を進めておりまして、こうした技術を導入していくことで国産アンモニアの導入をできるだけ早期に実現していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/172
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173・岩渕友
○岩渕友君 具体的な時期については言及なかったわけですよね。つまりは、具体的には示せないということなんですよ。
二〇三〇年時点と二〇五〇年時点のアンモニアの必要量と、それぞれの時期について、輸入と国産アンモニアの割合、量の見通しはどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/173
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174・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) まず、燃料用途でのアンモニアのいわゆる国内での需要の想定でございますが、二〇三〇年時点では年間三百万トン、二〇五〇年時点では年間三千万トンを想定してございます。
それぞれの将来の燃料アンモニアの調達先につきましては、国内、国外を問わず様々な選択肢の中から事業者が経済合理性や安定供給性などを勘案して決めていかれるものだというふうに考えてございまして、現時点では割合の想定は具体的には行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/174
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175・岩渕友
○岩渕友君 今答弁があったように、国内の需要想定は示しているけれども、じゃ、その輸入と国産アンモニアの割合がどうだとか量の見通しがどうなっているのかということについては、これも結局具体的な見通し示せないということなんですよね。
二〇五〇年の三千万トンは、現在の世界全体の貿易量の約二千万トンを大きく超える量になります。その確保が危ぶまれるのではないかというふうに思うんですね。これでは、将来にわたってエネルギーの海外依存を強めることになります。
大臣は記者会見で、ウクライナの情勢などを踏まえてエネルギー安全保障の確保が更に強く求められているというふうに述べていますけれども、求められていることと逆の方向に進もうとしていると、こういうふうに言わざるを得ません。
政府が示している資料では、二〇五〇年にアンモニア等を活用しながら脱炭素型の火力に置き換えていく、できる限り発電比率を引き下げていくとしていますけれども、アンモニア国内需要三千万トンというのは、二〇五〇年にアンモニア専焼の場合、高混焼の場合で一体何基になるのか、基数の見通しを示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/175
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176・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
二〇五〇年三千万トンのアンモニアを発電分野で活用するといたしましたときには、アンモニアを専焼した場合には、石炭火力に換算いたしますと十ないし二十基程度に相当します。また、高混焼、五〇パーないし六〇%の混焼を行った場合には、二十ないし四十基程度に相当いたします。
ただし、これは石炭火力がこれらの数残っているということではございませんで、繰り返し申し上げましているとおり、脱炭素型の火力に置き換わっている状態と、水素、アンモニア、CCS等の活用によって脱炭素型の火力に置き換わっている状態、その上での基数ということを補足させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/176
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177・岩渕友
○岩渕友君 今いろいろ答弁いただいたんですけど、結局は二〇五〇年に最大四十基も使っているという見通しなわけですよね。IEAが公表をした二〇五〇年ネットゼロに向けたセクター別ロードマップでは、二〇三〇年に先進国でのCCUS対策の取られていない石炭火力の段階的廃止とあります。これ、国際的に到底認められるものではないんだということを指摘しておきます。
水素、アンモニアはコスト面でも大きな課題があります。コストが高いことは、この間の経産省の検討会などでも示されています。例えば、発展途上のエネルギー源、技術であるため、大半の既存燃料と比して当面高い、価格低下が進みにくい、こんなことが書かれています。
資料二を御覧ください。
これは、三月二十九日に開催をされた総合資源エネルギー調査会の水素、アンモニア関係の小委員会の初回の会合でJERAから提出をされた資料より作成をしてみた、作成をしたものです。これを見ていただいても、非常にコストが高いわけですよね。しかも、再エネのコストは今後どんどん下がっていく見通しだと。一方、アンモニアは逆に上がる見通しです。
同会議では、現状はアンモニアの需要は大半が堆肥用と、多くは地産地消で国際市場は限定的、将来の利用拡大に対応した燃料アンモニアの新たなサプライチェーンの構築が不可欠としています。グリーンイノベーション基金で燃料アンモニアサプライチェーンの構築に上限五百九十八億円もの国費負担、大規模サプライチェーンの投資額、供給コストとして日豪褐炭水素プロジェクト、商用アンモニアサプライチェーン、これいずれも総事業コスト二兆円を超えるということになっています。化石燃料由来、高コストで実用化に向けた課題も大きく、多いということです。初期投資等、プロジェクト費用だけでも非常に巨額なものになっているんですね。
JERAからは、アンモニアという新たな燃料の導入のためには、発電、貯蔵設備のみならず、上流段階における燃料製造設備等への大規模投資が必要になる、アンモニア発電の導入、普及に向けて、再エネ電源と同様の政策支援をお願いしたいと、こういうふうにあります。ENEOSは、水素サプライチェーンの構築に向けて、二〇三〇年までに一兆円から一・五兆円、二〇四〇年までに数十兆円、事業としての不確実性が大きく、民間だけで投資リスクを担い切れない、こういうふうに示しているんですね。
大臣、こうしたリスクが高い事業をJOGMECが引き受けることは国民の理解を得られないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/177
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178・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) JOGMECによるリスクマネー供給の支援の目的は、資源の安定供給確保に向けて、投資規模の大きさや地下リスクなどを背景に、民間企業のみで資金調達が困難な場合にリスクを補完することであります。
新たな燃料アンモニアのサプライチェーン構築においては、製造、液化等の設備に巨額の投資が必要であり、回収期間が長期にわたるほか、民間企業のみで投資に踏み切ることは困難なほどリスクが高いことは事実でありますが、だからこそJOGMECが支援を行っていくことが適切であると考えています。
こうした高いリスクのある事業の実施に当たっては、これまでも既にJOGMECは石油や天然ガスなどリスクの大きい資源開発事業を支援しており、そうした支援を通じて蓄積してきたノウハウをアンモニアへも、アンモニアへの支援でも活用することが可能であります。
他方、国費を適切に管理する観点から、JOGMEC内で厳格に案件採択に当たっての審査を行うとともに、経済産業省としても適切に監督を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/178
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179・岩渕友
○岩渕友君 コストが高くても、次の世代や将来世代へのための投資であれば必要ですけれども、国際社会が石炭火力発電の廃止期限を区切って取り組んでいるというときに、排出削減効果も乏しい、次世代にとって負債となる石炭火力発電を使い続けるためにアンモニアへの政策支援をするというのは、国民の理解を得られるものではありません。
衆議院での我が党の笠井亮議員の質問で、JOGMECが繰越欠損金を増やし続けているということが明らかになりました。さらに、今回、座礁資産となるリスクが非常に高い事業への新たな出資、債務保証を追加して巨額の税金を投入するということは許されません。
この関係事業は地方でも進められています。宮城県では、仙台塩釜港を対象に、全体事業費六千万円、これを活用して、水素、燃料アンモニアの貯留、受入れ施設を造るというものなんですね。宮城県内、三つの港に化石燃料由来の水素と燃料アンモニアの貯留施設を造る予算案が県議会に提案をされています。
これ、地方にも座礁資産のリスクを負わせることになるということを指摘して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/179
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180・ながえ孝子
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。
まず、足下の経済のことから伺いたいと思います。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響と急激な円安とで物価が押し上げられています。私の地元、愛媛県なんですけど、直近の愛媛県内の中小企業経営者へのアンケート調査では、経営上の一番の問題を仕入れ単価の上昇と答えた企業が四九・一%に上っています。およそ半分ですよね。これは二〇〇三年の調査開始以来最も高い数字だそうです。ということは、つまり、地域の中小企業にとってはかなり経営を圧迫してきている、厳しい状況になっているということです。
日銀の黒田総裁は、エネルギー、資源価格の高騰については金融政策では対応しないとしています。まあ、欧米の金利引締めとは日本は一線を画すんだという姿勢を示しているので、この円安はまだ当面続くことが予想されます。
加えて、岸田総理がG7でロシア産の石油の禁輸を決めました。反ロシアの足並みをそろえるということは理解をするんですけれども、ですが、これによって更に原油価格が上がるんではないかというおそれもあります。
ですから、この先も原材料費、輸送費高騰で企業経営は圧迫されて、食料品始めいろんなものが値上がりしていますから家計への影響も大きいです。消費は冷え込みます。
スタグフレーションに陥るのを防ぐために、経済産業政策でどんな手をお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/180
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181・高村正大
○大臣政務官(高村正大君) お答えします。
スタグフレーションとは、一般に、経済活動の停滞や景気後退と著しい物価上昇が同時に生じている状況を指すことが多いと思われますが、そうした状況に陥ることがないよう、しっかりと経済情勢を注視し、適切に経済財政運営を行っていく必要があると考えております。
その上で申し上げれば、原油価格や物価高騰等への対応としては、先般、四月二十六日に関係閣僚会議において決定された総合緊急対策に盛り込まれた施策について、一般予備費やコロナ予備費を活用して迅速に対応するとともに、補正予算を編成し、新型コロナや原油価格、物価高騰等による予期せぬ財政需要にも迅速に対応し、国民の安心を確保していくことを考えております。
また、足下の経済を下支えし、経済成長を実現していくためには、これまでの予算の繰越しや令和四年度予算の迅速かつ着実な執行に力を入れることなどによりコロナ禍から経済社会活動を回復させるとともに、科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障などの成長戦略等を実現し、新しい資本主義を起動させていくことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/181
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182・ながえ孝子
○ながえ孝子君 先日の物価高騰に対する緊急経済対策ですよね。今まで言ってきたことをまとめたんだなという印象を私は受けているんですね。まだまだ足りないと思っています。
例えば、先月、東京商工リサーチの行った価格転嫁に関するアンケート調査によりますと、価格転嫁ができていないと答えた企業が六八・六%に、およそ七割に上っています。しかも、事業規模が小さいほど転嫁が困難であることも明らかになっています。
その物価高騰緊急対策では、価格転嫁に対して、パートナーシップによる転嫁円滑化、この文言の下、取引適正化の取組を進めて価格転嫁、あるいは賃金引上げの環境を整備するとあるんですよね。これは是非とももちろんやっていただきたいです。下請企業の価格転嫁は是非、下請Gメンを増員というのも打ち出していますから、是非実現をしていただきたいと思っているんですけれども、加えて、メーカーですとか販売業の場合は、長いデフレの、それに続くコロナ、ただでさえ売上げが落ちているのに価格を上げて更に売上げを落としたくないという、消費マインドを心配しまして価格転嫁ができない企業も多いです。
この価格転嫁の環境はどう整備していくつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/182
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183・保坂伸
○政府参考人(保坂伸君) 済みません、御通告の中に入っておりませんので、お答えするのが資源エネルギー庁長官で恐縮でございますけれども、私ども経済産業省としては、転嫁、価格転嫁について、中小企業庁の方で価格転嫁対策をきちんと講じておりまして、Gメン等で価格転嫁をウオッチしているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/183
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184・ながえ孝子
○ながえ孝子君 例えば、いろんな声を聞いておりますと、家計の購買力が高まれば転嫁しやすいのにという声もあります。
今日はちょっと御提案を一つ、私の持論なんですけど申し上げたいと思っています。スタグフレーションに陥らないように、家計消費を押し上げるために、この際消費税を減税してはどうかと思っています。
そもそも、これだけ円安が進んだというのも、日本のコロナからの回復力が弱かったということがあります。日本のGDPは二〇一九年〇・五%減ですよね。二〇二〇年が四・六%減です。二年連続でマイナス成長になっておりまして、二〇二一年は一・七%プラスにはなりましたけれども、世界を見ると、欧米は五%台なんですよね。日本がとても遅れていると。これが金利差を生む原因にもなりました。
長いデフレからやっぱり脱却できない、できていないところで消費税が一〇%に上がったというのが、これが長くずっと尾を引いているなという私は印象を持っています、これ根底にあります。減税すれば空気感が変わります。景気の気は空気の気でもありますので、是非これは、これも通告していないので恐縮ではありますけれども、これについてはいかがお考えでしょうか、消費税減税。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/184
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185・高村正大
○大臣政務官(高村正大君) お答えいたします。
先ほど石井先生からの質問にもございましたけれども、消費税については、社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から社会保障の財源として位置付けられており、全世代型社会保障を支える重要な財源でありますことから、税率を引き下げる、こういったことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/185
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186・ながえ孝子
○ながえ孝子君 減税すれば、やっぱり空気感が変わります。この際、一旦税収は落ちるとしても、後々の成長のために、やっぱりこれは段取りとして私はかなり効果を発揮するんではないかと思っています。
といいますのが、減税すれば消費マインドは刺激されます。ですから、消費喚起で小売が増えて、それがメーカーに波及しまして、そこから原材料を生産する農林水産業まで遡っていくことができます。だから、逆のトリクルダウンが起こるんではないかと思うんですね。その効果は大きいと思います。よく、景気が拡大すると大企業がもうかって、そこからだんだん川下へという考えがありますけれども、逆のトリクルダウンを起こす、その一つの突破口になるんではないかと思っています。だから、時限的でも消費税減税って効果が大きいと思うんですよね。
重ねてお伺いします。
消費税減税、やりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/186
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187・高村正大
○大臣政務官(高村正大君) 同じ答弁で大変申し訳ございませんが、全世代型社会保障を支える重要な財源であるというこの観点から、税率を下げるということは考えておりません。申し訳ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/187
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188・ながえ孝子
○ながえ孝子君 御丁寧におわびまで言っていただきまして、ありがとうございます。
今日はこのぐらいにいたしまして次の質問に移らせていただきたいと思いますが、この類いの質問はこれまでにもありましたけれども、新電力企業の撤退や倒産が急増しています。そもそも、二〇二〇年から二〇二一年の電力市場での価格高騰などを受けまして撤退が目立ってきておりました。
まず数字を確認させていただきたいんですが、二〇二〇年、二〇二一年の電気小売事業者の倒産、撤退件数はどのぐらいでしょうか。あるいは、それ以前の平均値と併せて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/188
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189・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
小売電気事業に関しまして、電気事業法に基づきます廃止等が行われた事業者数としてお答え申し上げますけれども、二〇二〇年度が十五社、二〇二一年度が十七社でございます。二〇一六年度から二〇二一年度までの年の平均を取りますと大体八・七社。この二〇二〇年度より前でも大体約五社ぐらいの平均になるかと思いますので、この一、二年、需給逼迫で価格高騰したこと等の影響があることも想定されますけれども、廃止等の数は増えているというふうに認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/189
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190・ながえ孝子
○ながえ孝子君 そうなんですね、増えてきているんですよね。
電力システム改革の目的には、電気利用の選択肢や事業の、事業機会の、企業の事業機会の拡大というのがありました。つまり、新しいビジネスとしての期待なんですよね。二〇一六年の小売全面自由化によって新電力の参入は一時急速に進みました、増えました。活況を呈したと言ってもいいかと思います。が、多くの小売事業者は卸電力市場から電力を調達するということで、発電分野の電源投資は進んでいなかったんですよね。で、現在のような卸電力市場の価格の高騰が続くと大変リスクの高いビジネスとなっているということです。
エネルギー価格の高騰はまだ当面続くことが予想されますし、今は新電力も結構緊急融資的なものでしのいでいるところが多いと思いますので、これからですよね、この新電力の撤退急増を受けてどう対策するのか。それから、持続可能な自由な競争市場、これはプレーヤーの数が減ってしまいますとなかなか競争市場としては回りにくくなるかなということも心配されますので、これをどう確保していこうとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/190
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191・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
今、現時点におきまして、小売電気事業者の登録の数というのは、五月六日時点で全部で七百四十三社ございます。全面自由化以前に比べますと相当数増加しているところでございます。これは、委員御指摘のように、自由な形の競争が生まれ、それによるコストダウン等、多様なサービスの提供という意味では、需要家の方から選べる選択肢が非常に増えてきた。再エネ電力を売られる方もいらっしゃれば、料金についても様々な形の提供が進んでくる、ほかのサービスとの連携による提供も進んでくる、いろんなことが進んだり、大変このシステム改革の成果だと思ってございます。
他方で、併せて委員から御指摘ございましたように、卸電力市場から調達のウエートが非常に高く、同時に、この電力の小売ビジネスというのは、値段、多様性ということと同時に、この価格、調達する価格の変動に対するいかにリスクをヘッジするかということが併せて事業戦略の肝になってくるところでございます。昨今、非常に経営が苦しくなっている事業者さんがいる一方で、リスクヘッジをされたり先物で取引をされたり、様々な形でこのリスクに対して対応していらっしゃる事業者さんも一定程度のウエートでいらっしゃるのも事実でございます。
それこそ競争の時代の中になってくる中で、いかにこのリスクヘッジということに対して対応できるか。昨年の逼迫の対策として、リスクヘッジを検討するということをエネ庁としても要請申し上げるとともに、リスクヘッジの手法についての勉強会を開催いたしましたり、参考事例集、ガイドラインのようなことも作ってみたり、様々な形で応援しているところでございます。
もちろん、それでもなかなか難しい事業者に対する金融的な支援策等も講じているわけでございますが、こういった自由競争の中で、いかにこのリスクに対する対応ができる小売供給体制ができるかということに対する対応策ということはしっかりと考えていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/191
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192・ながえ孝子
○ながえ孝子君 せっかく生まれた自由市場なので、是非成熟に向かっていくように引き続きサポートをお願いしたいなと思っています。
電力システム改革の今後についても、ちょっとこのところいろんな問題が起こっているので、早急にいろんなことを検討する必要があるんではないかなという心配も持っているんですけれども、政府としてはどのようにこのシステム改革の今後を描いているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/192
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193・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) 福島事故を受けて、我々、その電力システム自体、よりああいうその災害に対して強靱な、当時、地域独占の下で上から下に垂直でということでなかなか融通が利かない供給体制であったという反省に基づきまして、電力広域的運営推進機関という機関を通じた全国大での融通ができるメカニズムを整えていくということと、さきの御質問にもございましたように、小売の自由化ということをベースにした自由な競争によって様々なサービスが提供されるようになっていくというものと、こういったことを軸にシステム改革を進めてきたところでございます。
一方で、卸市場の拡大がされ、かつ、この今日の議論でもたくさん御質問頂戴しましたけれども、コストの低下、稼働率の低下に伴う発電所の退出というものがすごく進んできているところでございます。いかにこの自由化というものと、安定供給ということと、更に言えば再エネの導入というものと、これのバックアップの供給力を確保するということと、起こりつつある様々な環境の変化に伴いまして、安定供給とより質の高い電力供給サービスというのを確保ということを両立するためのシステム改革は非常に重要な点だと考えてございます。
特に、昨今の電力の需給逼迫ということを考えますれば、今ある私ども国民生活に必要不可欠の電力の供給を確保するための供給力をどう確保していくか。このための容量市場という市場制度というのを準備しているわけでございますが、これを補うための追加供給力公募、これを確実に実施するための届出制の事前化というのが今回の法案に盛り込んだ内容なわけでございますが、こういったものをいかに着実に実施するか。同時に、更なる供給力を増やしていかないとなかなか今の逼迫状況というのは脱していくのは難しくなってくるわけでございますので、予測可能性の下で、自由化の下での投資を生んでいくような環境づくり、そういった自由化の下で今直面する課題に対する対応策、こういったものを不断に見直しをしていく、今まさにそういうことを分析し、次なる対策を検討していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/193
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194・ながえ孝子
○ながえ孝子君 分かりました。
ここからは生活者の観点から幾つか質問させていただきたいんですが、まず、ディマンドリスポンスについてですが、今回、需要構造の転換ということで、電気需要の平準化から最適化を図るという、この狙いは大変理解いたします。
今回、電気事業者に対して電気需要最適化を促す電気料金の整備等に関する計画の作成を求めるということですが、簡単に言うと、昼間が安い料金プランを用意するよう事業者に求めるわけですね。
これまでの我々の、生活者の常識としては、夜間が安いからお得だよということでありました。夜間型の料金プランというのがもうすごく広く広まっているかなと思うんですが、これらとどう整理を付けるんでしょうか。あるいは、これはもう業者任せでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/194
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195・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 今回の省エネ法の改正案では、再エネの出力制御時の需要のシフトというのを促すために、今御指摘あったとおり、需要家に対して出力制御時の需要のシフトを省エネで評価するという措置を行いますが、これに加えまして、電気事業者に対しても需要のシフトを促す電気料金メニューの整備を求めると、これ、法律の中でもこれを規定しております。
それで、具体的には、電気事業者に対しまして、例えば再エネの出力制御が発生している昼間の時間帯の電気料金が安くなるプランですとか、あるいは需要のシフトに何らかの需要家側にインセンティブが付けられるようなサービスとか、こういったものを幅広く取組を求めていくことにします。
この措置は、現行の省エネ法でも、電気事業者に対して求めているいわゆる電気の需要の平準化というのが現行法でございますが、この平準化というのは、いわゆる夜間に安い料金プランを出して、元々夜間で電気が余ったところを使っていただきたいということなんですが、少し需要構造変わってきていますので、今回の新しい法改正においては、この電気の需要の平準化を促す電気料金メニューに代えて新たな電気料金メニューを措置していただくというのをお願いするということになります。
法改正後に、国が電気事業者に向けまして省エネ法に基づくガイドラインなどを提示いたしまして、どういった対応が求められるのか、これを具体的にお示しをしていきたいというふうに考えています。
電気の需要の最適化が確実に促されるように、国としてもしっかりとした環境整備を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/195
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196・ながえ孝子
○ながえ孝子君 私の深読みかもしれないんですけれども、今までから代えてというところに力がこもっていたようなので、夜間料金プランから昼間の料金プランに変わっていくのかなという印象を受けました。
そうすると、例えばエコキュートという給湯システムがあります。これ、ヒートポンプ技術を使うので環境負荷が少なくて、夜間の安い電気料金プランで沸かすので大変お得なんだということで人気集めていますよね。二〇二〇年の出荷台数が七百万台を超えたということでもありますが。
これ、お湯を沸かしてそこで置いておくので、当然、気温の低い夜よりも外気温が高い昼間の方が実際効率良くなります。実際、エコキュートを昼間動かすと、夜間運転と比較して平均で一一%程度省エネ効果があるという実験結果もあるそうなんですけれども、でも、夜間稼働するのが一般的なんですよね、エコキュートといいますと。
現在のエコキュート、昼間に稼働させられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/196
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197・茂木正
○政府参考人(茂木正君) エコキュートですが、これ、大気中の熱と電気を使って給湯を行うという給湯機でございます。これ、今委員から御指摘ございましたとおり、通常、電気料金が安い夜間に稼働するように設定されておりますけれども、当然、これ複数の機器が出ておりまして、いずれの機器も、多少の違いはございますけれども、稼働時間の変更をすることは可能です。これは設定を変えるということになりますので、再エネ出力制御が発生している昼間の時間帯にそうしたメニューの電気料金が出てくれば、これに対応した形で機器の設定を変えるということが可能になってまいります。
当然、電気事業者がこれまで例えばオール電化のメニュー等であらかじめこのエコキュートを例えば導入するというケースの場合には、通常、夜間料金で沸かすような設定で需要家さんのところに置かれているというケースが多いと思いますので、こうしたものも、新しい料金メニューの普及に伴いまして設定変更をお願いをしていくと。機種としては当然その稼働時間を変えることは可能ですので、料金メニューに応じたエコキュートの設定をし直すということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/197
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198・ながえ孝子
○ながえ孝子君 確かに機種はいろいろあります。設定変更できるとうたい文句でやっているんですけれども、でも、実は、いろんなプログラムがされていて、そこから選べる方式になっている機器でも、任意で時間設定ができるとはいえ、昼間の時間帯が選択肢にすらないということが多いんですよね、結局。なので、実は追加の費用が発生するということなんです。
だから、私が申し上げたいのは、ディマンドリスポンスを進める意義というのは大変理解はいたしますけど、エコキュート一つ取っても追加の支出、負担が必要になるんです、国民の皆さんには。ですから、これ、国民の皆さんの理解と協力がとても重要だと思います。だから、上げDRにしろ下げDRにしろ、やっぱり国民の皆さんのやっぱり納得がなければ、特に電力逼迫時に何とか我慢してくださいというのは効果を現さないと思うんですよね。
今回、実績に応じて報奨金を付けましょうというダイナミックプライシングなんかも出ているようで、こういうふうな新しい料金体系も設けていきましょうという流れも私はとても賛同はいたします。ですが、これもどういうタイミングでどういうふうに皆さんに周知していくんだということがすごく大きな問題かなと思っていますが、その進め方についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/198
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199・茂木正
○政府参考人(茂木正君) まず、この法改正を行った後に、先ほど申し上げたように事業者に向けてガイドラインのようなものを公表していきます。当然、そうなりますと、事業者の方でも新しい料金メニュー、これは事業者の置かれている環境によって料金メニューは様々なものが出てくると思いますが、こうした料金メニューが出ていく過程で、当然事業者から需要家の方にそうした説明、丁寧に行っていくということになりますし、私どもとしても、国としても、制度変更が行われましたら、これは国民の皆様もそうですし、それから機器メーカーの皆様にも御協力いただくべく、様々な広報ですとか御説明をしっかりとしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/199
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200・ながえ孝子
○ながえ孝子君 是非そこのところは本当に、まあ大臣もよく丁寧な説明が必要だとおっしゃいますけれども、それを欠かさずお願いしたいと思っています。
それでは、まだ時間があるようなので、通告していないんですけれども、一つ聞かせていただきたいんですが、この法案では、大型蓄電池を発電事業者に位置付けて系統への接続環境を整備するということなんですが、現状、系統接続がうまくいかない、うまく進んでいないというのが再エネ比率が上がらない大きな理由になっています。
ですから、再エネ電気をしっかり運ぶためにはしっかり系統の増強が必要だということなんですが、おととしの国会で、再生可能エネルギー電源の大量導入を促せるようにということで効率的運用を、それからレジリエンスの強化のためにということで推進機関が広域系統長期方針を立てて、それから広域系統整備計画を作って進めることを決めました。今年度中に策定されると聞いてはいるんですね。
六月にはクリーンエネルギー戦略で系統整備というのも検討項目として挙げられていると聞いているんですが、その辺の整合性といいましょうか、きちんと、何か、私は、このおととしちゃんと法律を決めた、それがそのレールで進んでいくんだと思っていたんですけれども、今度新たにまたクリーンエネルギー戦略というのが出てくるようですけれども、その辺の整合性といいましょうか、それはしっかり整っているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/200
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201・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
その二年前の国会にお出しさせていただきました電気事業法の改正としての中身に、広域運営推進機関が作るマスタープランの策定と、そのときの費用の負担、これをFIT法の中で対応していくと、再エネ特措法の中で対応していくというものにして、今それを具体化するための施策を実施している最中でございます。
具体的なものがそのマスタープランの策定ということになるわけでございまして、これは日本全国の基幹系統が中心になってくるわけですけれども、どういう形で再エネをポテンシャルに応じて入れていくべきだろうかと。従来型の中央、その原子力、火力発電所、水力というところを軸とした発電所と需要地の間をつなぐというものから、分散型の電源ということを念頭に置きながら、若しくは需要地自体の変化ということを念頭に置きながら、大きな中央的な基幹道というのをどう作り替えていくか、そのためには大型の長距離の直流送電の議論も当然今始まっているところでございまして、未来に向けた絵姿を描いているところでございます。
そういう意味で、またお尋ねございましたクリーンエネルギー戦略も当然そのことを念頭に置きながら、私どもも、マスタープランの策定というものは二〇五〇年という長期のことを見据えていきながら、今見極められるところでどういうところからどういう順番で手を着けていけばよいか、北海道と本州をどうつないでいくか、九州と四国、若しくは九州と本州をどうつないでいくか、若しくはエリア間の連系線をどう太くしていくか、どの順番だろうか、コストがどれぐらい掛かっていくだろうか、こういったことを今専門家の中で議論をし、マスタープラン化しようとしているところでございます。
あわせて、冒頭で御質問ございました蓄電池というものは、その中で再エネを導入、そのときの変動を吸収していくための設備として導入を進めていかなければならない、これの接続の話は、この系統をつくるということとともに、運用ルールとして併せて検討していかなきゃいけない重要な課題だと認識してございます。
系統をつくっていく方がマスタープランとしてのお話、同時に、再エネの接続もそうでございますが、これを吸収するための蓄電池の利用、このための接続ルール、こういったことも併せて検討を進めていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/201
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202・ながえ孝子
○ながえ孝子君 分かりました。ありがとうございました。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/202
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203・安達澄
○安達澄君 無所属の安達澄です。どうぞよろしくお願いいたします。今日も質問の機会をありがとうございます。
まず最初に、一つだけ法案関連以外の質問をいたします。通告に沿ってやっていきます。
このゴールデンウイーク期間中に、萩生田大臣はアメリカを訪問されました。現地では、レモンド商務長官やタイ通商代表と会談をされています。
半導体の開発で協力することが日米間で合意されたりとか、非常に実りある訪問であったというのはもちろん認識していますけども、一点お聞きしたいことがあります。二〇一九年末の国会でも大きな議論となって、そして、その後の交渉が注目されるというか待たれています日米貿易協定、その第二段階の自動車関税の件についてです。
今回の大臣のアメリカ訪問に際して、レモンド商務長官やタイ通商代表との間でこの自動車関税の件について少しでも話題にすることはあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/203
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204・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 日米貿易協定において、自動車及び自動車部品について、関税の撤廃に関して更に交渉する旨明記されており、今後交渉を行うことが日米間で合意されております。また、協定合意の際の首脳間の共同声明において、今後の交渉については、どの分野を交渉するのか、まずその対象を日米間で協議することとしております。
今回、私の訪米では自動車及び自動車部品の関税撤廃について話合いは行っておりませんが、日米間では、この日米共同声明に沿って、外交ルートを通じ、引き続きそうした協議を行っていくことになると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/204
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205・安達澄
○安達澄君 今回そういう話をしていないと、自動車関税についてはしていないということでしたけども、プレスリリースされていますファクトシートですね、我々の部屋にもお配りいただいていますけども、レモンド商務長官との五月四日の閣僚会議では四つのテーマについて話し合っています。その中の一つに貿易・投資というテーマもあったと報告されています。
ただ、その貿易・投資のそのくくりの中でどんな話をされているかというと、ビジネスマッチングプログラムですか、それの何かアメリカ向けJ―Bridge、これのセミナーを四回開催したとかそういうことが話題になったようですけども、わざわざアメリカまで行かれて閣僚レベルの会談の内容がそこなのかと、そこですかというのが私の印象です。
二〇一九年の国会で、私も当時の茂木外務大臣に質問をしたところ、茂木大臣は、国益を懸けて全力で交渉したんだと、力強く頼もしく自動車関税の撤廃については答弁されていました。当時の梶山経産大臣も、そばでしっかりとお聞きになっていました。政府が当時国益を懸けて全力で交渉した自動車関税問題、撤廃が前提とのことでしたけども、なぜ、せっかく大臣はカウンターパートナーにもお会いしたにもかかわらず、関税撤廃についての今後のスケジュール、スキームについて話題にすらしなかったのかというのが不思議でなりません。
確認ですけども、昨年十一月に日本にタイ通商代表いらっしゃったと思いますけども、そこでお会いしていると思いますが、そこでもこの話題には出なかったという認識でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/205
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206・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 十一月に訪日された際に、この自動車に関しての話合いはしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/206
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207・安達澄
○安達澄君 自動車産業を所管する経産省にとっては、これからのこの第二段階こそが大事だと思うんですけども、どうもその二〇一九年のときと今と比べると熱量が違うなというふうに、熱量の差が余りに大きいなというふうに感じています。アメリカ側のしたたかさというか、それ以上に実質的に棚上げされてしまっていることに対して、言うべきことも実は言えていないんじゃないかと、そういう、ちょっと日本のその外交力といいますか、交渉力の弱さを感じずにはいられません。
非常に残念ですけども、話題にすらしなかった、できなかったという事実はよく分かりました。日本の外交力を強くしなきゃいけないなと思うんですけども、私はそういう外交の経験はもちろんありませんけども、歴代のその国内外のリーダーたちによると、結局のところ、外交は人と人との信頼関係、それを醸成する、それに尽きるというふうに言われています。萩生田大臣にも、是非、そのレモンド商務長官とかタイ通商代表との間に人間同士の関係、ひいては言うべきことはちゃんと言う関係を築いていただいて、国益のために是非頑張っていただければと思います。私が言うのも大変僣越ですけれども、リーダーにしかできない仕事ですので、期待しております。
では、エネルギー法案の質問に移ります。
今回の法案審議において、衆議院でも、参議院本会議、そして今日もそうですけれども、度々蓄電池に関する質疑が行われています。再生可能エネルギーの安定供給、主力電源化、そして電気自動車の普及など、蓄電池はカーボンニュートラルの実現の鍵を握っています。
現在、官民協議会の下で蓄電池産業戦略が議論されています。今年の夏頃にその戦略が取りまとめられるものと認識しています。それはそれで非常に大事な戦略になるものと期待していますけれども、遡ること十年前にも、ですから二〇一二年にも蓄電池戦略というものが経済産業省の蓄電池戦略プロジェクトチームから発表されています。それによると、目標として、二〇二〇年ですね、二年前の二〇二〇年の世界全体の蓄電池市場の五〇%のシェアを日本が占めるんだというふうに掲げられていました。
そこでお聞きしますけれども、二〇二〇年にその目標は達成できたんでしょうか。そして、まとめてお聞きしますけれども、その結果や実績を経産省としてどのように総括して評価していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/207
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208・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
御指摘の二〇一二年に策定いたしました蓄電池戦略、経産省で蓄電池戦略プロジェクトチームをつくりまして策定いたしました。この内容は、当時一八%であった日本企業のシェアを二〇二〇年に五割にする目標を掲げたというものでございました。しかしながら、中国や韓国企業の台頭によりまして、直近の日本企業のシェアは、車載用、定置用合わせて一五%、約一五%にとどまっておりまして、目標達成には至っておりません。
まだ、当時、EVが本格的に普及する前であった二〇一二年の戦略でございまして、例えば車載用の蓄電池について言えば、EVの航続距離を伸ばす、あるいは充電インフラを増やすといった主に国内市場での普及のみを念頭に置いた目標が掲げられておりまして、また、普及拡大に当たってのコスト低減や技術面での課題、これを主に研究開発によって解決するアプローチが取られていたというものでございます。
日本の企業のシェアの低迷、この原因は、急速に伸びるグローバル市場の需要を取り込めなかった、これも一つの要因だというふうに認識をしております。二〇一二年の戦略においてもその視点は弱かったと言わざるを得ないと思いまして、この点は真摯に反省しなければならないというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/208
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209・安達澄
○安達澄君 もう日本は、半導体、液晶パネル、そして太陽光パネルのもう失敗を繰り返すことはもうできないと思います。しかも、リチウムイオン電池、これはノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんの研究開発のたまものです。つまり日本の技術です。その吉野さんがおっしゃっているのが、日本は川上は強いが川下は弱いということです。研究開発は先行しているのにビジネスで負ける、GAFAMのような企業が日本では生まれない、育たないともおっしゃっています。もちろん、個々の企業の努力が一番大事ですけれども、政府の産業政策も重要です。
大臣は、先月二十二日の蓄電池に関する官民協議会の中で、蓄電池市場の現状を踏まえれば最後のチャンスというふうに発言されています。先ほども半導体の次は蓄電池だというふうに述べられていました。
ここを大臣にお聞きします。
過去の反省や教訓、吉野さんの御提言、そして最後のチャンスという大臣御自身の御覚悟、これらを踏まえて、日本の蓄電池産業戦略をどのようにつくり上げていかれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/209
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210・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) その前に、先ほど外交上の御指摘がございました。御指摘は御指摘で真摯に受け止めたいと思うんですが、二国間の外交上の外に対するブリーフの在り方というのは両国でルールを決めてやっていますので、例えば、その中身によっては日本側が有利な結果を勝ち取ってアメリカが劣勢に置かれるものもあれば、その逆もありますから、その手のものって外交上の外へ出さないという部分があります。今回、自動車のことは正直話題にならなかったのは事実でありますけれど、我が国の基幹産業である自動車がこういった非常に納得できない課税状況にあることは私承知しています。
他方、これトランプ政権下でのことでありましたので、二〇一九年当時はこれは大きな話題だったんですけれども、当然、積み残しになっていますからどこかでけりは付けなきゃなんないんですが、バイデン政権下ではやや感触の違いというのもありますので、これはこれできちんと担当当局でしっかりやっていきたいなと、こう思っておりますので、是非御信頼をいただきたいなと思います。
こんな程度でアメリカに行ったのかと先生に言われっ放しだと、ちょっと私も立場がなくてですね。恐縮なんですが、私は実は、オバマ政権の最後の一年間とトランプ政権の最初の一年間がちょうど官房副長官で、全ての日米首脳会談、テタテまで含めて全部出席をしたという希有な政治家でございまして、それを武器に今、日米交渉様々やっておりまして、今回非常にくたびれるほどいろんな成果は持って帰ってきたつもりでいるんですが、私が成果を持ってきたということを国内で発表すれば、成果を取られたのはアメリカだということになってしまいますので、そういう下品な報告じゃなくて、両方でやっぱり納得したものを外に出しているという外交上のルールを是非御理解いただきたいなと、そんなふうに思っております。
二〇一二年の蓄電池戦略では、当時、コストの高かった蓄電池の初期導入をいかに進めるかという観点から、コスト低減などのための研究開発や、電気自動車普及のための国内の充電インフラの整備などに重点を置いたものとなっておりました。
一方で、現状は、規模の経済が蓄電池の競争力を左右する大きな要因となっており、世界的に大量生産のための投資競争が激化していることからも、国内製造基盤の確立と海外市場の獲得は蓄電池戦略を描く上で重要な視点であります。このため、新戦略においても、国は一歩前に出て、研究開発のみならず、実用化や更にその先の設備投資までを支援する方向性を示したいと考えています。
具体的には、既に先月発表した新戦略の中間取りまとめにおいて、二〇三〇年断面で世界シェアの約二割に相当する六百ギガワットアワーの製造能力を確保することを目指すことを盛り込むなど、過去の反省を踏まえた内容としております。
本年夏頃をめどに策定する最終取りまとめにおいては、上流資源の確保なども含め、我が国の蓄電池産業の競争力強化に向けた全体戦略をしっかり描いていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/210
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211・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
いつもこういう質問をするんですけれども、当時のプロジェクトメンバーで今も蓄電池産業戦略ですね、に関わっている職員の方っていらっしゃるんですかね。そもそも、蓄電池産業を担当するその部署の人数とかももし分かれば教えていただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/211
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212・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
蓄電池産業政策を所管する課室、ここの中では十三名が蓄電池産業戦略の検討に関わっておりまして、また、そもそも蓄電池、幅広いですし、裾野が広い。さらには、ユーザー数もすごく多いものですから、そういう政策も含めれば数多くの人員が関連業務に関わっております。私も相当昔いろんなポジションでやりました。
二〇一二年の蓄電池戦略プロジェクトチームに所属していて現在の蓄電池産業戦略の策定に関与している職員、五人います。彼らの知見も聞きながら、今回の戦略をきちんと取りまとめていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/212
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213・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。
十三人、それ以外にもいろいろ携わっている方がいらっしゃるということでしたけど、やはりここはもう本当に大臣の組織マネジメントにもなると思うんですけど、私、なぜこういう質問をするかというと、やはり人材の配分ですよね。
この間の、二か月ぐらい、ちょっと前に取り上げさせていただいたクールジャパンの話ですけど、例えば、クールジャパン政策課には三十六人いらっしゃるわけですよね。半導体は三十人とおっしゃっていました。蓄電池が十三人。これが多い、その蓄電池が十三人、多いか少ないかというのは私には今判断できませんけど、数だけ見るとやっぱり何かバランスを欠いているなというふうに思います。
まあ人事戦略なので、これまでのいろんな歴史もあるでしょうけども、やはりそのときのテーマというか重要性を鑑みて、柔軟にやはり官僚の皆さんの組織の在り方も、これはもう、これもまさに大臣にしかできないお仕事ですから、是非期待したいところだなと思います。
次に、今質問した蓄電池には欠かすことのできないレアメタルに関する質問に移ります。
これも、また二〇〇九年に、二〇〇九年です、レアメタル確保戦略というものがありました。その戦略の中では、二〇三〇年の目標として、ですからまだ七、八年後ですけども、レアメタルの自給率、これを五〇%にするんだというふうに掲げていました。
二〇三〇年に実際実現できそうなのか否か、現状も含めてその後の進捗を教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/213
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214・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
レアメタルは蓄電池やモーターなどの製造に欠かせない原材料であります。政府としては、その安定的な供給確保に中長期的に取り組むため、二〇一〇年に策定したエネルギー基本計画におきまして、海外資源開発やリサイクル、代替材料開発を推進することによりレアメタルの自給率を二〇三〇年に五〇%以上とすることを目指すとしたところでございます。なお、私自身がこの二〇一〇年のエネルギー基本計画の策定にも関わってございました。
委員お尋ねのレアメタルの自給率の進捗状況につきましてですけれども、我が国企業が海外資源開発権益などを有する鉱種及び国内でリサイクルによる再資源化を行っている鉱種など、代表的なレアメタル十四鉱種について算出しましたところ、二〇一八年度時点で平均約二六%となってございます。目標のその五〇に対してはまだギャップがございますけれども、この計画を策定した直前の二〇〇九年度と比べますと、当時は約一五%でございましたので、その後様々な、オーストラリアのレアアースプロジェクト、アルゼンチンのリチウムのプロジェクトなどの権益獲得に成功してございますので、着実に自給率向上の成果は出ているというふうに考えてございます。
なお、昨年十月、直近のこの第六次のエネルギー基本計画におきましては、少し考え方を変えてございます。レアメタルにつきましては、かつての自給率の考え方の基礎となっております海外鉱山への出資比率とは関係なく日本企業が引取り権をもらえるというようなことが多いこと、また鉱種ごとに資源の偏在とか輸入国の偏りなどがかなりいろいろ異なっているということを踏まえまして、一律の自給率目標はもう設けることはやめまして、鉱種ごとにきめ細かく安定供給対策に取り組むということにしてございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/214
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215・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。そういうことですね。ありがとうございます。
元々その五〇%というハードルは高いというのはもう当然認識しています。二〇二〇年三月には、策定された新国際資源戦略、この中では、海外資源確保の推進とか省資源、代替材料の開発、ほかいろいろ施策として挙げられています。これもレアメタル確保戦略、二〇〇九年のときの流れもくんでいると思うんですけども、そして、やはり大事なのが、先ほどもお話にも出ていましたけども、リサイクルですね。携帯電話や家電製品など、使用済製品に含まれるレアメタル、これ一つ一つは微々たるものですけど、国全体では膨大な量になります。都市鉱山とも呼ばれています。
そこでお聞きします。
重要な戦略であるそのレアメタルのリサイクルについて、長年の課題である技術開発、そしてリサイクルシステム、循環システムについて、どのように進んでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/215
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216・木原晋一
○政府参考人(木原晋一君) お答え申し上げます。
二〇〇九年に策定しましたレアメタル確保戦略におきましては、製品の部材に使用されるレアメタルの安定供給確保が重要であり、海外資源開発の取組などとともに、リサイクルによる資源確保を重要な政策として位置付けてございました。
この戦略も踏まえ、これまで、例えば都市鉱山と言われる廃小型家電等のリサイクル技術開発等に取り組んできておりまして、近年は、デジタル技術の進展も踏まえて、一つには、画像認証技術を活用した、廃小型家電等を製品レベル、部品レベルで自動選別するプロセスの開発や、二つ目に、高効率な製錬システムの開発を行うなど、引き続きリサイクル技術の開発に官民一体で取り組んでございます。
また、技術開発と併せて、廃小型家電等の回収の仕組みについてでございます。資源有効利用促進法によりまして、製造業者等が取り組むべき事項として自主回収、リサイクルを求めてきているということに加えまして、二〇一二年に小型家電リサイクル法を制定しまして、認定事業者等による小型家電の回収、リサイクルを促進する制度整備など、制度面でも着実に対応を進めてございます。
経済産業省としましては、引き続き、技術開発と回収を一体的に進めることでレアメタルのリサイクルを一層促進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/216
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217・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
先ほどの蓄電池とちょっと同じ質問になるんですが、人数は結構なんですけど、そういったこのレアメタルに、まあ鉱山、鉱物ですね、こういったものに関するその知見とか技術の継承ですね、人材の育成など、経済産業省としてしっかり担保できているのかどうか、そこを教えていただきたいんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/217
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218・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 御指摘のとおり、レアメタルに関しては、中長期的な戦略に基づき、軸がぶれない取組を継続していくということが重要であると考えてございます。
経産省におきましては、まず、研修の面で、定期的に鉱物資源確保政策研修というのを実施しておりまして、政策の目的、実態、他省庁を含む政府の政策ツールなどについて学ぶ機会を設けてございます。
また、職員の適性に応じて、人事ローテーションの面でも、鉱物資源政策に関する部署、鉱物資源課、金属課、それから資源循環経済課と、上流、中流、下流とございますけれども、そういうところを相互に行き来するということでありますとか、資源国の在外公館やJOGMECとの往来、交流を行うということなどによって、職員がレアメタルの安定供給やそのリサイクル、代替技術開発などに関する政策を体系的に身に付けられるような、そういうその人事面での配慮も行っているところでございます。
このほか、レアメタル関連施策の実施に当たり、金属鉱物資源分野の専門家を多数擁しますJOGMECと日々連携するなどして、その知見のメンテナンス、ないしは更にそれを強化していくということを行っているところでございます。
こうした取組によって、政策立案に必要となる知見の取得及び蓄積した過去のノウハウを生かして、政策遂行を引き続き適切に行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/218
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219・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
私も、最初、鉄鋼メーカーでまさに石炭の調達の仕事とかをしていたんですけど、やはりその部署には資源にもうずうっと長く携わる方もいて、やはりそういう知見がないとぶつっと切れてしまいますので、是非そういう戦略も大事にしていただきたいというふうに思います。
済みません、ちょっと時間が来ましたので、水力発電についてもちょっとお聞きしたかったんですけれども、これ、次回、木曜日に回させていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/219
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220・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/220
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221・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、明十一日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/221
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222・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認めます。
なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/222
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223・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00720220510/223
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