1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十一日(水曜日)
午後二時開会
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
阿達 雅志君 宮島 喜文君
宮口 治子君 森 ゆうこ君
五月十一日
辞任 補欠選任
松下 新平君 中田 宏君
森 ゆうこ君 岸 真紀子君
安江 伸夫君 三浦 信祐君
若松 謙維君 里見 隆治君
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出席者は左のとおり。
委員長 石橋 通宏君
理 事
青山 繁晴君
堀井 巌君
矢田わか子君
石井 章君
岩渕 友君
委 員
石井 正弘君
北村 経夫君
中田 宏君
中西 哲君
松村 祥史君
宮島 喜文君
岸 真紀子君
森本 真治君
河野 義博君
里見 隆治君
三浦 信祐君
山崎真之輔君
ながえ孝子君
安達 澄君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
参考人
九州大学副学長
・水素エネルギ
ー国際研究セン
ター長 佐々木一成君
早稲田大学商学
学術院経営管理
研究科教授 平野 正雄君
特定非営利活動
法人気候ネット
ワーク理事長
弁護士 浅岡 美恵君
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本日の会議に付した案件
○安定的なエネルギー需給構造の確立を図るため
のエネルギーの使用の合理化等に関する法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/0
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001・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、宮口治子さん及び阿達雅志君が委員を辞任され、その補欠として森ゆうこさん及び宮島喜文君が選任されました。
また、本日、若松謙維君、安江伸夫君、松下新平君及び森ゆうこさんが委員を辞任され、その補欠として里見隆治君、三浦信祐君、中田宏君及び岸真紀子さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/1
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002・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、九州大学副学長・水素エネルギー国際研究センター長佐々木一成君、早稲田大学商学学術院経営管理研究科教授平野正雄君及び特定非営利活動法人気候ネットワーク理事長・弁護士浅岡美恵さんでございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、大変御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の本法案の審査に参考にさせていただきたいと存じますので、どうか本日はよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、佐々木参考人、平野参考人、浅岡参考人の順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただければと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず佐々木参考人からお願いをいたします。佐々木参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/2
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003・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 九州大学の佐々木です。
本日は貴重な機会いただきまして、委員長の石橋先生を始め委員の先生方に心より感謝申し上げます。
実は私、今から八年前の二〇一四年の六月の二十三日でございますけれども、この参議院の経済産業委員会の先生方に脱炭素イノベーションハブである九州大学伊都キャンパスを御視察いただいて、対応させていただきました。誠にありがとうございました。
今回の法改正に関しては、私が三十年以上専門分野としてきました水素などの脱炭素燃料に焦点を当てて御説明させていただきます。現在、総合資源エネルギー調査会の水素政策とアンモニア等脱炭素燃料政策の小委員会の委員長も務めております。
お手元の資料で御説明させていただきますけれども、二ページ目を御覧ください。配付資料の右上にページ番号を付けております。
エネルギーは国民の日々の暮らしに欠かせません。石炭の時代から石油の時代、そして現在は多くの天然ガスを輸入しております。近年、地球温暖化、気候危機を踏まえ、脱炭素社会、カーボンニュートラルの実現が世界的な課題になっております。
ただ、このようなエネルギー需給構造の転換には数十年単位の時間が掛かります。例えば、資料の下の方に書いておりますけれども、我々が家庭で日々使う都市ガスは天然ガス由来でございます。これは、液化天然ガス、LNGを日本が半世紀以上前の一九六九年に輸入し始めたことで実現したものですが、輸入したクリーンなメタンガスが各御家庭に供給されるまでには各地域で二十年近く掛かっております。このように、エネルギーの需給構造の転換には長い年月が掛かりますし、官民の長期的な投資があって初めて実現するものでございます。
現在のウクライナ情勢を踏まえて液化天然ガスの輸入をドイツなども急遽始めますが、日本が半世紀以上前から長期契約で確保してきたことは、エネルギー価格の高騰の抑制にある程度貢献していると思います。
次の三ページ目を御覧ください。
今回の法律改正の中で、水素などの脱炭素燃料が非化石エネルギーに位置付けられることになっております。
二〇一四年十二月に水素自動車が発売された頃は、水素といえばFCVと呼ぶ水素自動車の燃料というイメージが強かったと思います。しかし、その後、欧州を中心に水素に対する考え方が変わってまいりました。つまり、再生可能エネルギーをより使いやすくし、社会全体を脱炭素化するためには炭素を含まない燃料が必要で、それが水素でしょうという認識が広まってきました。
大規模に再生可能エネルギーを使えるようにし、その図の②にありますように再エネ由来の水素を非電力部門でも使えるようにし、③と書いておりますけれども、再エネのバッファー機能も果たせるようになります。さらに、右側に書かれておりますように、運輸部門、産業用エネルギー、住宅用熱電供給の脱炭素化、さらに回収炭素を水素と合わせて工業原料化できるのが水素という認識が広まってまいりました。
つまり、社会全体を脱炭素化するためには、再エネの電気を増やすだけではなくて、電力と燃料と原料、これらを全て脱炭素化すると、それができるのが水素だということになります。
次の四ページ目を御覧ください。
このような認識は、我が国のエネルギー戦略にも反映されてきております。この図は、二〇二〇年一月に策定された革新的環境イノベーション戦略の概要をまとめたポンチ絵でございます。
左上にありますように、再生可能エネルギーを増やすということは国民全体の思いです。余剰の再エネを水素に変えると燃料や原料に使えるようになります。
二つ目ですけれども、ただ、地方圏と異なりまして、例えば大都市圏の東京のエネルギー需要を東京の再エネだけで賄うことは残念ながらできません。他方、海外では、再生可能エネルギーが大量に入手でき、化石資源と同じか安い地域が出てきました。海外からは日本まで再エネ電力を送電線で運んでくるわけにはいきませんが、図の右上にありますように、水素や水素キャリアを船で安く大量に運べるようになれば海外の再エネを日本でも使えるようになります。
さらに、図の右下にありますように、回収したCO2から合成燃料や工業原料となる炭化水素を作るには、CO2を出さずに作った水素が必要になります。
このように、脱炭素社会をつくるための炭素を含まない化学的なエネルギー媒体、これが脱炭素燃料の水素や水素キャリアになります。
次の五ページ目を御覧いただければと思います。
二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて世界は大きく動き出しております。我が国は二〇三〇年の高い目標も既に立てています。
電力につきましては、エネルギー基本計画では、二〇三〇年には一%、将来的には二〇五〇年に一〇%を水素や水素キャリアの燃料アンモニアで賄うことが考えられています。一%というのは少ないように見えますが、水素換算で年三百万トンを発電用燃料などに使うことになります。いずれも流通量は現在はまだ限られておりますので、新たな供給網、つまりサプライチェーンを国内外につくっていく必要があります。また、非電力では、電化できないところで水素などの脱炭素燃料が必要になってきます。
このように、脱炭素燃料は、電力と非電力の両方でカーボンニュートラルの実現に重要になってまいります。
次のスライド、六ページ目を御覧ください。
この水素技術は、エネルギー資源に乏しい我が国が地道に技術開発を積み重ねてきた分野でございます。我が国は世界に先駆けて水素戦略を策定し、水素閣僚会議も日本が主導して開催されています。
ですが、この数年、その価値が世界的に認知され、追われる立場になってきました。このページにはドイツや米国、EU、フランス、中国の状況がまとめられていますが、各国とも国家戦略や普及目標を策定し、多額の資金を投入し、本格普及に注力しています。日本が世界をリードするとはとても言えない状況になってきて、まさに猛烈に追い上げられているというのが現状です。ですので、我々も更に数歩先を行く必要があります。
最後の七ページ目を御覧ください。
代表的な脱炭素燃料である水素は、ここに書いておりますような価値や課題があると言えると思います。このリストは本委員会の先生方が九州大学にお越しいただいた頃に作ったものでございますけれども、今でもこれらの価値や課題は変わっていないと言えます。
特に、国の存立にも関わるエネルギーを特定の資源や資源国に依存することの危険性、これは今日のウクライナ危機から我々がまさに学んだことでございます。ガソリンは中東からの原油価格に連動しますが、水素ならば国内外の安い多様な資源から作ることができます。さらに、日本が輸入する鉱物性燃料は、貿易統計では毎年十兆円を大きく超えております。時間が掛かるとは思いますけれども、国産の水素を将来増やすことで、エネルギーの輸入代金の一部でも国内に還流させて福祉や教育などに使えるようにしたいところであります。
我が国には、北海道や東北、四国、九州など、再生可能エネルギーが豊富な地域があります。地方圏がエネルギーで自立することは地方創生にもつながります。
ただ、このような未来社会を実現するためには多くの課題があるのも事実です。これらの脱炭素燃料は、化石燃料よりもまだまだ高いのが実情です。既存の化石燃料の場合はインフラが既にありますが、新たな脱炭素燃料のインフラや供給網の整備はこれからです。インフラを造りながら、化石資源由来のいわゆるグレー水素から、CO2を回収したブルー水素、そして再エネ由来のグリーン水素に着実に換えていくことで水素の製造時のCO2排出も減らせます。これはアンモニアなどでも同じです。
また、輸入水素から国産水素に少しずつ換えていくことで、脱炭素燃料の国産化率、つまりエネルギー自給率を上げていくことが可能です。
また、国民に水素を安心して使っていただけるように、国民の皆様方に御理解をいただく不断の努力が欠かせません。
最後になりますけれども、グリーン分野は、二〇五〇年に向けて成長が期待され、世界各国で官民の投資競争が加速しています。今回の法律改正で水素、アンモニアなどの脱炭素燃料が非化石エネルギーとして位置付けられることは、エネルギー需給構造の高度化に向けてその価値が明確になります。脱炭素社会に向けた投資も拡大し、グリーン成長の加速につながり、エネルギーの安定供給にも寄与します。本法律案は、カーボンニュートラルに向けて社会全体が動き出す大きな一歩になると考えます。
私の説明は以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/3
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004・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ありがとうございました。
次に、平野参考人にお願いをいたします。平野参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/4
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005・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 早稲田大学の平野正雄でございます。
本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
私の専門は経営戦略でありまして、必ずしもエネルギーの専門家ということではございませんが、しかしながら、現在、資源エネルギー調査会のメンバー、その下の石油・天然ガス小委員会の委員長、その他、グリーンイノベーション・ワーキンググループの座長等々、資源エネルギー庁のエネルギー政策の立案に関わってきております。
今日は、私の方から、新たなエネルギー危機とその戦略的対応についてということで、簡単に意見を述べさせていただきます。この資料の中で下線部が引いてあるところが本法案にも関係があるところということですので、御参照いただければと思います。
私は、現在、新たなエネルギー危機に我が国は瀕しているという、こういう認識でおります。それは大きく分けると三つあるというふうに考えており、一番目が国内電力の安定供給の確保、二番目が、これが非常に今ハイライトされているエネルギー安全保障の確立、それから三番目、これは、やっぱりカーボンニュートラルの達成というのは、ただいま佐々木先生の御説明にもありましたけど、非常に超長期のトランジションであり、様々なやはりリスクを含包しているものという意味においてはこれもリスクファクターとして考えていく要素も必要だろうということで、この三つが我々が直面している大きなエネルギー上の課題。今日は、この一番目と二番目を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。
一番目の国内電力の安定供給ということに関しましては、御承知のように、電力自由化により、安定供給責任というのがかつての旧一電と言われるほぼ独占的な電力会社からシステム全体で担うようになったということがございます。
しかしながら、これは当初の狙いでもあるわけですけれども、多様なプレーヤーが参入した結果、旧一電と呼ばれるような電力会社の経営体力というのは徐々に低下をしていくという中において、現在彼らは経営の合理化という視点において不採算発電所の破棄等が行われています。
結果として見ると、我が国の電力の供給の余力というものが徐々に失われてきて、昨今でもこの三月に停電の危機がこの東電管内、関東一円で叫ばれるようなことにもなったわけですが、そういう意味におきましては、一定の目的を持って進めている電力の自由化ですけれども、電力供給の余力という意味においては、それが弱体化し、システム全体が脆弱化しているという点は指摘をしておくべきだろうというふうに思います。
その大きな方針としては、やはり電力というものが、これは電力として消費する形においては極めてクリーンなエネルギーでありますので、今後も主力のエネルギー源であることは変わりないわけですが、その元となる電力の生成の形態として見ると、やはり複数のもの、一つのものに依存するのではなく、それぞれ役割が違う複数のものに分散してやっていくことが重要だろうと思います。
今後の中心というのは間違いなく再エネということで、日本の国情を考えると、元からの水力と太陽光、それからここに徐々に風力ということになっていきますけれども、これはそのエネルギーの地産地消を進めるという安全保障上も望ましいという観点がございます。そういう意味におきましては、再エネの主力電源化の推進というのは、これは着々と進めていくべきものだという認識をしています。
一方、御案内のように、再エネの電源というのは極めて不安定な電源でもあります。そういう意味におきましては、安定的な電力供給を果たしていくある種のバッファー役、調整役、それから、先ほど申し上げました超長期のカーボンニュートラルを実現していく、そのトランジションを支えていくための熱源として、やはり化石燃料、具体的には火力発電、特にその中においてもCO2の発生力が低い天然ガスというものの重要性、戦略的重要性というのは一層増しているという認識であります。
なおかつ、天然ガスも炭素を含みますからCO2を発生いたしますけれども、そこに脱炭素化の技術、CCS等を加えることによってクリーンな形で天然ガスを使い続けるという道、この一定量をやはり電源として、あるいは熱源として天然ガスを残していくという意味においては、柔軟性の観点、戦略性の観点でも大事だろうと思います。
また、原発活用に関しては様々な意見があろうとは思いますけれども、しかし諸外国を見ていますと、今回のウクライナ危機でも欧州なんかは非常に、もう一回原発の強化ということで、英国、フランス等は新設等も考えているということであります。この位置付け、我が国は非常に固有の難しい課題があることは認識していますけれども、政治の皆様方にはしっかりとこの原発利用に関する道筋を開いていただければというふうに思います。
政策という意味におきましては、このシステム安定化という観点におきましては、現在既に、例えば容量市場、先物市場を立ち上げる。それから、本法案にも入っておりますデマンドレスポンス、需要シフトですね。すなわち、今実際に、太陽光の割合が増えてくると、日中に非常に電力が発生してそれが余剰になる、逆に夕方、夜、要するに日が陰って夜になってくると電力が不足するということで、かつては夜電力を使えということでしたけど、それが逆転したと。それに合わせて当然需要サイドの方もシフトをしていただきたいということでデマンドレスポンスという概念が出ていますけれども、こういう需要シフトというものも重要ですし、PPAというのは、直接的に需要家と、それから主に再エネですけれども供給者が契約するということで、システムから切り出すことによって安定した電源を各社が獲得していく、こういう制度ももう既に整備をされています。
それから、先ほど申し上げましたように、火力の一定量維持ということに関しましては複合的な支援が必要だろうと思います。
そういう中においては、例えば石炭を利用していくという意味にも、ベースロードという意味でも石炭は一定の役割はあるかと思いますけど、これはアンモニア混焼、やがてアンモニア専焼することによって、実は石炭火力というものがクリーンなアンモニア火力に転換していくという技術的な道筋はあります。同様に、天然ガスに水素を混ぜていく、あるいは出てきたCO2をCCSということで回収していく、こういうことをする。
それから、この後も申し上げますけれども、一方で天然ガスというのは、非常に今競争が激しくなり価格も高騰しています。こういう中で、安定的に天然ガスあるいは化石資源というものを引き続き日本は確保していくという努力もすべきだろうということを申し上げておきたいと思います。
二番目、エネルギー安全保障の確立ということでは、先ほどの再生可能エネルギーの推進というのはもちろん大きな貢献をするわけですけれども、同時に、安定的に海外資源調達、特にLNGを中心に実現していくことは重要だろうと思います。
御案内のように、昨今のこのロシアのウクライナ侵攻に伴い、そしてEUが一気に今資源の脱ロシア化が進行しているということは、ほかのところに今燃料源を求めてきているということで、とりわけLNGの需給が逼迫しています。石油と違いまして、LNGというのは、供給の余力がなく、なおかつ備蓄がコストが掛かり難しいということがありますので、非常にタイトでボラティリティーが大きいマーケットになっております。こういう中において、今後もLNGというのは非常に価格が高止まりしていく、あるいは玉不足ということが懸念されます。
また、サハリン1、2は今もうまさに焦眉の課題でありますけれども、これは今は権益を維持するという方針だと思いますけど、途絶リスクというのも十分に想定して我が国は対応を短期的には考えていくべきだろうと思います。
課題ということでは、長期の、特にLNGの安定確保という意味においては二つの構造的な課題があるというふうに私は認識しております。
一個は、これまで、先ほど佐々木先生もおっしゃいましたけど、日本はLNGを比較的安価に、安定的に調達できていたのは長期契約なんです。ところが、この長期契約の更新というのがほとんど起きていません。なぜかといえば、電力各社にとってみると、LNGを長期的に使い続けるという道筋が見えない。すなわち、再生可能エネルギーに転換していくとすると、これも不採算資産になってしまうという経営上のリスクがあるわけです。ですから、そこの部分に関しましては、例えば、買い込んだ長期の契約というものが、将来もし余剰になったらそれが転売できるような市場を整備する、その他の手当てが必要だということです。
もう一個は、日本はかつては世界で最大のLNGのバイヤーでした。これが、もう御案内のように、今、中国に昨年抜かれたと思いますけど、バイイングパワーというのが喪失しています。日本は、経済の発展のペース等も含めて、それから省エネ化の推進も含めて、実は燃料あるいはエネルギーに対する需要というのは徐々に徐々に漸減していっていますけれども、それにつけても、中国や欧州に対してバイイングパワーを喪失してきているということは構造問題だというふうに認識すべきだというふうに思います。
したがって、政策としましては、今回の法案にも入っておりますけれども、やはり資源の上流開発というのは、座礁資産化を恐れる企業単体に行っていくということは、特に三十年とか五十年というような長期の開発ということに関しましては、やはり公的金融の拡充というのは必要だろうと思います。
それから、余剰ガスの転売、一部価格補填などは、仕向地条項の緩和、それからトレーディング事業に向けてのやはり制度整備、こうしたLNGの流通市場の形成ということをやることによって、実は我が国にとってみるとLNGの入手可能性、安定性というのを高めていくと。その上で鍵になるのはアジアだと思います。
アジア連携でLNG流通市場形成、流動性確保と書きましたけれども、アジアは、御承知のように、カーボンニュートラルはもちろん取り組んでいくわけですけれども、彼らはまさに今経済発展のたけなわ期にあります。そういう中におきましては、化石燃料を安価に使い続けたいという意欲が実は欧米あるいは先進国とは違います。そういうところに対して、我が国が、まずは天然ガスを使い続けるための輸送、備蓄などの技術、それから、実は、天然ガスであっても、あるいはほかの化石燃料であっても、こうした脱炭素の技術を我が国が提供することによって、彼らの、言ってみれば安定的な、しかもクリーンな発展を支えていくという、こういう役割を日本は果たせるはずです。
結果として見ると、アジアとの連携ができ、そこでLNGの流通市場が形成されますと、これは一定以上安定した供給というもの、あるいは安定した調達につながるということですので、これは資源外交も含めて極めて戦略的な政治の命題だというふうに思います。
最後に、その他ということで掲げました自国の資源開発という意味においては、これはまた超長期になりますけれども、これこそリスクが大きい部分ですので、公的な資金投入をしながらメタンハイドレート等の開発、それからイノベーションの促進、そして、これも法案にいろいろとちりばめられていますけど、一段の省エネ推進というものを確実に進めていくということで、需給両面でエネルギーの構造転換を果たしていくということが安定的な我が国のエネルギーの環境を整える道だというふうに思っております。
私からは以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/5
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006・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ありがとうございました。
次に、浅岡参考人にお願いをいたします。浅岡参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/6
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007・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 浅岡でございます。
本日は貴重な機会をありがとうございます。
時間が限られますので、私は、本日は、化石燃料由来の水素、アンモニアを特に石炭火力で非化石エネルギーと位置付けて推進する、また、エネルギー源の環境適合利用という形で法律の改正を、これらの利用を進めていくということにつきまして大変問題があると思いますので、その点に焦点絞ってお話し申し上げます。
次をおめくりくださいませ。
その前提といたしまして、気候危機に対する対応は全く喫緊の課題でございますが、特に、昨年十一月、グラスゴーで開かれました会議でグラスゴー気候合意が採択されました。これは一・五度の気温上昇にとどめるということを国際社会が決意を示したものでありまして、日本も参加しております。一・五度にとどめるということは、これ、そのために排出できるCO2の量は四千億トンとIPCCからは出されております。ということから、二〇五〇年にカーボンニュートラルとすることでは問題は解決いたしませんで、二〇三〇年に世界で半減程度する、これがあって初めてできるものであります。これを、残余のカーボンバジェットと言われているものであります。
次をおめくりくださいませ。
こうした考え方は、既にヨーロッパにおきましては裁判所でも取られているものでございます。
昨年三月にドイツの憲法裁判所は、ドイツの気候保護法の二〇三〇年に九〇年比五五%削減という日本より高い目標ですが、これでも駄目だという決定をいたしました。それは、ドイツの残余のカーボンバジェットを基に計算する、これは人口比でたかだかそうだという計算の下でいたしますと、二〇三〇年までにドイツの残余のカーボンバジェットのほとんどが尽くされてしまって、残り十億トンぐらいしか残らないと。これでは原告らの若い世代の将来の自由が制限されると、こういうことであります。
これを日本に置き換えますと、一・五度を目指すというときは、日本の残余のカーボンバジェットCO2は六十五億トン程度、年間十億トンも出しているわけでありますから、もう六年ぐらいしかないと。ということで、気候危機に対応するという国際的な社会の取組は、いかにしてCO2の排出削減、温室効果ガスの排出削減を行うか、総量を削減するかという課題でございます。
次をおめくりください。
ここの上の表は、トランジション・ゼロというイギリスの研究団体が作りました今年二月の報告の一部でございますが、グレーのアンモニアでありましても、ライフサイクル全体で考えますと、これを火力で燃やすと、燃料とするといたしますと千百五十三グラム・パー・キロワット・アワーのCO2を排出します。石炭が千二百六十グラムですから、ほぼ変わりません。この数字自身はIEAの数字によっております。すなわち、アンモニアを混焼する、専焼するといいましても、排出削減にはならないというのが国際的な評価でございます。
次をおめくりください。
次は昨年十月のIEAのレポートでありますが、そこでもほぼ同じこうした表が提出されております。ガスから、あるいは石炭から作製されるアンモニアについては九五%回収ができるCCS付きというのが前提になっていると、こういうものであります。どこかで削減してくれればいいわということではなく、これらを併せて考えなければならないところに今はあるわけでございます。
次をおめくりくださいませ。
アンモニアのコストが高いことは争いはございませんし、グリーンアンモニアはとりわけ高いわけですが、この問題は、これはトランジション・ゼロのコストの将来予測でありますけれども、二〇三〇年になりましても、このコスト差は縮まるどころか開くと、再生可能エネルギーのコスト低減に対して競争力がないというものであります。IEAの昨年十月の報告でもほぼ同じことがありまして、途上国におきましてもとてもコスト対応力がない、せいぜいピーク需要のときの対応に考えられるぐらいだという報告でございました。
また、CCSにつきましても大変課題がございます。世界で火力発電所に設置されているCCSはただ一基しかございません。それは大変コストが高いからであります。日本で陸地に適地がなく、海域でこれを探索すると更に高コストになりますし、そもそも回収は不完全であります。長期の貯留も大変課題を有している、その他もろもろ問題が指摘されております。
次、お願いいたします。
こうしたアンモニア混焼とかCCSの問題につきまして、世界ではよく知られていることでありますし、さらにアンモニア混焼は、NOxとかPM二・五の大気汚染物質が生成されたり一酸化二窒素の温室効果ガスが生成される。様々な、上流、下流でのこれは海外に依存するということは、安定供給にも、エネルギーの安全保障にも差し支えるということになります。
次、お願いいたします。
これらのことを踏まえまして、IEAでは、まず一番排出量の多い発電部門につきましてCO2の削減を行っていく、これは一・五度を目指すというときのロードマップでございます。
次、お願いいたします。
じゃ、それを電力部門でどうして行うのかと。この昨年のIEAのロードマップにおきましては、これから石炭火力を造らないというのは当たり前でありますけれども、二〇三〇年までには先進国はCCUSを備えないものは段階的に廃止する、そうでなければとても一・五度に向かうということにはならない、これはIEAが言っていることであります。
では、どうするのかと。次、おめくりくださいますと、再生可能エネルギーは発電部門で例えば上の欄のように拡大していくということであります。二〇四〇年には八四%、二〇五〇年には八八%、これは世界全体でこういう流れにあると、これを御覧いただく必要があります。
次、お願いいたします。
その安定供給、電力の安定供給が重要であると、それはそのとおりでございますが、それにどのように対応するのかというのは、現時点では対応をもう変えていかなければなりません。ピーク時対応というのはごくごく僅かな時期であります。最も需要の多い時期の一千万キロワットにつきましても、それが使っておるのは四十日であります、それも真夏のときだけであります。これを一千五百万キロワットにいたしましても七十日ほど、それもほとんどが夏であります。若干、冬の厳寒のときに今回の需要が地震と重なって起こりましたということですが、極めてまれなる事象でありまして、それに対しては、火力を用意するということではなくて需要側の調整を行う、エリア間の連系線を強化する、本来のことをやっていくということであります。
時間限られますので、大変早口になって恐縮ですが、次を御覧ください。
日本でなぜこのような石炭火力にアンモニア混焼が行われているのかといいますのは、右の方にあります表は、パリ協定が発効いたしましてから造られました石炭火力発電所、また今まだ建設しているというようなもので一千万キロワットもございます。
次、お願いします。
IEAの昨年の資料におきましても、二〇二〇年以降石炭火力を増やしてきたという国は、途上国含めてもう本当に日本ぐらいだという状況にあります。
次、お願いいたします。
この状況が日本の特殊な状況でありまして、ある意味で政策判断を間違えたと私は思いますけれども、二〇二〇年十月に菅前首相が二〇五〇年カーボンニュートラルというのを宣言いたしました。そのときに前後いたしまして、突如、アンモニア混焼、石炭でのアンモニア混焼ということで官民協議会なども生まれてきたということでありまして、本当に、造ってしまった石炭火力を使いたいということに尽きるわけでありますが、世界の潮流には合わないものであります。
次、お願いいたします。
今経産省の方で示されているこれらの石炭火力が将来どうなるのかということは、この程度しか示されておりません。フェードアウトもしっかりいたしませんが、アンモニアなどの導入の計画というのも、せいぜいこのCというところであろうかと思いますが、本当に数基あるかというぐらいのものでありますが、それでも世界のアンモニア需要量を、現在の需要量を更に上回るような量を予定していると。大変間尺に合わない話であります。
こうした日本の政策は、次にありますように、世界的に大変厳しい評価を受けておりますし、次、十三ページ御覧いただきます、あっ、十九ページ、ちょっとページがおかしいですが、御覧いただきますと、世界の各国のアンモニアに対する、そのどこでどう使うのかという政策の見通しを示しておりますトランジション・ゼロの資料ですけれども、火力発電に使うというようなことに非常に重きを置いているのは日本ぐらいで、まあ韓国が最近追随というのがあるようでありますが、やはりこれは大きな政策判断の問題を提起していると思います。
次はIPCCの第六次評価報告書第三作業部会の新しい報告でありますが、どんな対策があるのか。先生方もおっしゃられましたように、再生可能エネルギー、風力、太陽光等は大変安くてポテンシャルが大きい、CCSは高くてポテンシャルも小さいと。
次は省エネですから飛ばしますが、その次、最後から二番目、二十二ページ御覧いただきたいと思いますが、こうしたIPCCで示されましたような動きは決して最近出てきたことではなく、世界の主要なビジネスの中ではもう既に進んでおります。再生可能エネルギーを主導されているビジネスの中で、RE一〇〇を宣言している企業の四四%が既にサプライチェーン全体での再エネを要求しております。日本にも同じことが求められているわけでありまして、日本のビジネスの参入チャンスを失うことになりかねない。
最後のページは、どうしてこうなるのかという点では、二〇五〇年、なお再生可能エネルギーは半分程度で、残りは火力、原子力がベースだという考え方を踏襲されていることが一番大きい要因だと思います。ここで世界の潮流に対応いたしていきますためにも、再生可能エネルギーを本当に主力にする、そのための政策措置をより、これよりも急いでやっていただきたいというのが私たちの、私の意見でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/7
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008・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/8
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009・青山繁晴
○青山繁晴君 自由民主党の青山繁晴でございます。
今日は、参考人の先生方、わざわざおいでいただき、心からありがとうございます。
さて、私は、もちろん参議院議員なんですけれども、研究者の端くれでもありまして、その立場から御質問いたしたいと思います。
今日の参考人の皆さんの中から、自前の資源から水素を作るということについては比較的言及が少なくて、ちょっと心配しながら資料も事前に拝見したんですけど、まず、早稲田大学の平野先生から最初にお聞きしたいと思います。
先生の資料の一番最後に、それからさっきの口頭で説明いただいた中でも一番最後に自国資源開発のことを指摘いただきまして、メタンハイドレートという一つの例もお示しをいただきました。おっしゃるとおり、メタンハイドレートから、メタンハイドレートは燃焼させるだけではなくて水素が取り出せるということはもはや世界の常識でありまして、萩生田経産大臣も予算委員会での答弁で水素が取れることが重要だと御指摘をなさいました。
平野先生にお伺いしたいんですけれども、先ほどこの自国資源開発についてお話しになったときに、資料にはそう書いていないんですが、口頭で述べられたときに超長期ということもおっしゃいました。御存じだとは思うんですけれども、この特に表層型のメタンハイドレートにつきましては、既に経済産業省が、二〇二七年度、僅か五年後ですね、には商用化、商用化ですからイコール実用化ではありませんけれども、一般企業が参入する道を開くというもう目標も、比較的短期の目標も立てております。
そのことの関連で、平野先生には、このメタンハイドレートから水素を作ることを含めた、あるいはそれを始めとする自国資源開発についての先生のビジョンをお聞かせ願えるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/9
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010・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 御質問ありがとうございます。
私は最後に書きましたが、決してこれプライオリティーが低いということではなく、我が国の自国資源開発というのは極めて重要だと思っています。この場合に、二つ自国資源開発あると思います。
一つは、我が国の領域にある資源、特に海洋資源を積極的に開発をしていくという観点で、このメタンハイドレートもその一つだと思いますし、昨今は、たしかINPEXさんが中心になって、これは山口県それから島根県沖の天然ガスの開発というものにも着手をし、自国内における資源、それから地熱等も含めてですが、積極活用しようというのは政策の非常に重要な柱だと思っています。
二番目は、やはり海外の権益の拡大ということで、自主開発のエネルギー源というのを増やしていくと。これは一貫して実は増え続けていますけれども、第六次のエネルギー基本計画でも最終的には六〇%程度までやはり自主開発比率を上げていくということでありますので、これは、狭義には自国の開発ということにはなりませんけれども、広義には我々の権益を広げていくことによって安定調達をやっていく、この二つは極めて重要だという認識でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/10
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011・青山繁晴
○青山繁晴君 次は、ちょっとまた平野先生に戻るかもしれませんが、次は九州大学副学長でいらっしゃる佐々木先生にお伺いしたいと思います。研究者としての私は、正直、佐々木先生のお名前を燃料電池の泰斗としてお聞きしております。
先生の先ほどの御発表、それから資料にも七ページのところに明記されてありますけれども、国の存立にも関わるエネルギーを特定の資源や資源国に依存することの危険性とお書きになって、その下に、先ほど口頭でも言わば志を込めて語られましたけれども、自前の資源から水素を作ることを将来増やして、エネルギーの輸入代金の一部でも国内に還流させて福祉や教育などに使いたいと。それはまさしく私も思いを同じくするところであります。
それで、その上で、今、平野先生にもお聞きしましたとおり、日本は海洋国家で、今まで海洋資源というのは当然水圧とあるいは呼吸できないという当たり前の困難に阻まれてきましたが、海中ロボットの発達によってかなり状況が変わってきました。
そうしますと、例えば日本海側の海底の状況を鑑みますと、自然状態でメタンの粒々が上がってきて、それをメタンプルームと今称しておりますが、それが実は、現状のままにしておきますと、海面から蒸発をしてCO2の温暖化効果の二十五倍と目されるメタンが大気に出ていく。これの調査はまだ始まったばかりで具体的な量は私自身も把握できておりませんが、しかし温暖化の促進効果があるのは事実です。
そうすると、それを途中で、つまり掘削、海底掘削をせずに海中に人工膜を置きまして、この人工膜というのも、もう具体的に東京ドームに使われている人工膜を造っている太陽工業という大阪の会社が私たちの研究にも参入をして、途中でつかまえるだけ。もう一度言いますが、掘削しませんから海底環境を大きく変えることがなく、あるいは漁家の方々の漁労の邪魔をすることも少ないと。これが、現に資源エネルギー庁によって調査と開発、我々とも連携してそれが進んでいるわけです。
以下は佐々木先生には言うまでもないんですけれども、このメタンからは、一つは水蒸気改質法ですよね。ただし、これはCO2が出ます。出ますが、工業的にはもう確立されています。あと、まだ、まだまだ開発途上ですけれども、直接分解法と光触媒法であればCO2を見ることもありません。
こういうところからの国産の水素を作ることについては、佐々木先生はどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/11
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012・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) お答えしたいと思います。
まずは、先生のお話を、参議院の本会議の話もインターネットで聞かせていただきました。
結論から申し上げますと、メタンハイドレートから水素を取り出して使いますと、国産のブルー水素という形で使えます。なので、やはりこの水素を使うときに、やっぱりグリーン水素を使いたいという方が多くの方の思いですし、やっぱり世の中はそういう方向に動いています。
なので、グリーン水素を作るときには、まず第一義的には、水の電気分解という皆さんよく御存じの方法で作るというのがまず一番目に出てくると思いますけれども、もちろん、先生がお話しされましたように、国内にメタンあるんですよね。ハイドレートがありますので、それを安く取ってくるという技術をきっちり確立するということ、さらにそこから出てきたCO2を回収して化学工業などで炭素源として使うと、その二つがきっちりなれば国産のブルー水素としてちゃんと使えますので、そちらの技術開発も是非やっていただければ、我々としても選択の幅が広がって、ブルー水素を国内でも国産として使えるようになると思います。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/12
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013・青山繁晴
○青山繁晴君 それではもう一点、これは浅岡先生を含めましてお三方に順番にお聞きしたいんですけれども、今三人の先生方の御説明の中で、今の佐々木先生のお話でも、再生可能エネルギーを中心に水素を作ってくださいというお話があります。ただ、それが、全国民がみんなそれを望んでいるという見解表明もさっきありましたけれども、そこは正直申し上げてそうではないんじゃないかと考えます。
といいますのは、具体的に、今まで日本がずっと取り組んできた太陽光はパネルの多くは中国製であって、しかも北京五輪のときも、無理な人工雪を降らせた周りにパネルがたくさん設置されて田畑を耕せなくなった現実も私たちは見ました。そして、大きな問題は、この太陽光パネルがやがて廃棄物になったときに一体誰がそれを処理するのか。中国企業が引き取ってくれるめどは今のところ全くないです。
それから、さっき佐々木先生が不肖私の代表質問のことを取り上げてくださったんですけれども、代表質問というのは私一人で質問を作るわけじゃなくて、自由民主党の政審というところと協議をします。そのときに、政審の側から洋上浮力というものが出てきたんですが、実はこの洋上風力、洋上浮力じゃなくて洋上風力については、余計に中国製のものがたくさん入ってくるという懸念が一つあり、しかも日本は、例えばデンマークの海と違って、必ずしも洋上風力に全部適しているわけじゃありません。そうすると、相当距離を離して大きな構造物を中国の手によって造って、それは明らかに海洋環境を変え、漁労の姿も、つまり漁家の方々のお仕事も変えるであろうと。さらに、それがやがては廃棄物になるわけですけれども、遠く洋上にあるものを一体どうやって回収するのかということがあると思います。
つまり、再生可能エネルギーは非常にきれいなイメージですけれども、実際には、今参考人の先生方から一部指摘もあった、中国の言わば収益源になっていって、後始末をしてくれないという問題が感じられます。このことについてはどうお考えでしょうか。
まず、平野先生からお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/13
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014・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 簡潔に申し上げます。
これは風力、太陽光に限らないんですけれども、このエネルギー政策全般が非常に複雑なのは、政策決定、意思決定に関して三つぐらいの軸を重ね合わせて考えなきゃいけない。
一つは、やっぱり経済合理性として合うかどうかという観点。これは徐々に、再生可能エネルギー、少なくとも太陽光に関しては来ていますけれども、そこの今度はコスト換算の中において廃棄のコストその他も含めてトータルコストで見るとどうかという、そういう厳密な議論が必要だろうとは思います。
それから、二番目が安全保障の観点であるわけです。今、青山先生が御指摘のような中国依存ということを広げていくということの今度は経済安全保障上の問題というのがあると思いますので、やはり経済合理性に加えてこの安全保障の観点。
三番目、これは本来一番目に来るべきことかもしれませんけど、いわゆる脱カーボン、クリーン化にどこまで貢献できるか。
この三つを重ね合わせた中で最適解を出していくので、一つの解に全部依存するということには多分ならないというふうに個人的には考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/14
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015・青山繁晴
○青山繁晴君 済みません、時間がなくなってきましたが、佐々木先生はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/15
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016・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 今の話は、本質的には、だからエネルギー政策と産業政策というのをちゃんと両方セットで考えるということだと思います。
なので、海外製で再エネの割合を増やす、増えるということはエネルギー政策上は良かったと思いますけれども、先生がお話しされましたように、産業政策としてはやっぱり再エネの技術をできるだけ国産のもので入れる、それから地域のメリットをきっちり、地域の理解も得られるようにする、そして地域の利益としてちゃんとお金としてフィードバックされると、それもセットで入れて初めて先生がお話しされたところも含めて解決するのかなと考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/16
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017・青山繁晴
○青山繁晴君 じゃ、時間が来ましたので、済みません、浅岡先生、聞く時間が。国会は時間制限厳しいので、申し訳ございません。
ちなみに、代表質問には洋上風力をそういうわけで入れませんでした。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/17
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018・森本真治
○森本真治君 立憲民主党の森本真治でございます。
本日は、お三方、先生方、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
まず、私からお三方、先生方それぞれにお伺いしたいんですが、今回のウクライナ危機を始めとする、例えば今のこの燃料高騰問題もそうですけれども、この我が国のエネルギー政策にとって非常に今大きな局面を迎えているということは御案内のとおりなんですが、それぞれの先生方、この間、様々御専門の中で取組をされていらっしゃると思うんですけれども、今般のこの状況がどのように今後のエネルギー政策、ちょっと一旦立ち止まってみなければいけないとか、いや、改めてやはりその重要性再認識したとか、それぞれの先生方の御専門分野においてでもですね、それぞれ先生方、今この状況の中でこのエネルギー政策を考える上での御所見をそれぞれお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/18
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019・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) それでは、順番にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/19
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020・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 私のプレゼンの中でも少しウクライナ情勢の話に関わったことを話させていただきましたけれども、先生がお話しされましたように、エネルギー政策もやはりもう一度きっちり考え直す時期に来ていると思います。
今の、先ほどの議論にもあったんですけれども、技術開発をして脱炭素を進める、それから産業政策としても良くするというだけじゃなくて、やはり今まで以上に、このエネルギーの安全保障、安定的な確保というのがもう少し前面に出た形で、技術開発もそうですし、国の戦略を考えるというのが大事なポイントだと思います。
水素の場合にはいろんなやっぱり燃料から作れるという多様性がありますので、それのメリットをやはり前面に出したいと思っていますし、それはほかの技術開発でも共通だと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/20
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021・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 今回のウクライナ危機、一番エネルギーという観点で直撃を受けているのは欧州でございます。特に、その化石燃料の中においても天然ガスというのが今焦眉の課題であります。
先ほども申し上げましたように、この天然ガスというのは、実際には、実はそんなに供給余力がマーケットにあるわけではないということでありますので、石油以上に厳しい今危機の状態。ですから、石油危機ではなくてこれはガス危機だというふうに認識をすべきだと思います。
それを今度、時間軸上で考えてみたときには、短期的にはこれはカーボンニュートラルの動きにも影響を与えているように思います。短期的には欧州は、まずロシアの石炭、それから長期的には天然ガスも抜け出して自立していくということで、脱ロシアを進めていくという過程においては、実際に現状起きていることは、石炭をむしろもう一回活用するという動きがドイツなんかでも出てきています。結果的には、その石炭にどういう脱炭素の技術を組み合わせるかという問題になるわけですけれども、一時的には、したがって脱炭素の取組というのは後退しているような局面もあるだろうと思います。
ただ、中長期的には、先ほど申し上げましたように、再生可能エネルギーというのは本質的に地産地消のエネルギーでありますので、海外資源に依存しないという意味においては経済安全保障とも整合的なものだと思っていますので、むしろ加速をしていくという、こういう短期と中長期で少し複雑な動きになっているのかなという認識でおります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/21
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022・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 私も、欧州の動きにおきましても、少し、目先におきましては少し流れが止まるという面があるかもしれませんが、中期といいましてもそう遠くない時期、数年のうちには元の軌道に戻し、その後、再生可能エネルギーをより拡大し、そちらに転換していくという動きがより加速されて脱炭素化の動きは進むと思います。それは、エネルギー自立のために不可欠であるということをよく学んだからであります。
石炭火力を少し長くするとしましても、それは一年、二年という、そんなタームの話で済ませることになると。ドイツが大きく脱炭素の方針を、脱石炭の流れを変えていくというふうには見えておりません。また、それが経済合理的であるということを最もよく知っているのも欧州であろうと思います。日本におきましてもやはりそうした流れを見誤らないように見ていただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/22
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023・森本真治
○森本真治君 エネルギーの安全保障というものについての特に今関心というものが非常に大きくなっているという話もあったと思います。
そういう中で、平野先生の方にお伺いしたかったのが、先生の話で、ちょっと原発の話なんですけど、ベースロードとしての原発活用ということでお伺いしたいのが、この原発の是非とか安全性ということではなくて、エネルギー安全保障の観点での原発というのがですね、まあこれ、ウランも結局輸入に頼っているという中で、例えば今般のような、天然ガスのようなウラン争奪戦が起きるとか、ウラン生産国でウクライナ侵攻のような事態が発生すれば、これ本質的な問題として、我が国の課題として何にも変わらないんではないかという問題意識をちょっと私持っておりまして、そういう観点でのこのベースロードとしての原発活用という部分は、このエネルギー安全保障の観点でいえば果たして原発というものは有効なのかどうかというところについての先生のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/23
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024・平野正雄
○参考人(平野正雄君) ありがとうございます。
私、冒頭、戦略論が専門だというふうに申し上げました。戦略においては、やはり複数の、要するに、数少ない資源、数少ない原料、あるいは数少ないマーケットに依存するというのをいかに回避して多様化をしていくかということは、長期的な安定性、これは科学的にも証明されていることなんですけど、そういう中でいきますと、ウランというのは、確かに海外に依存した鉱物資源であることは変わりありませんが、それの産出国、私詳しくはありませんけれども、恐らく日本の同盟国、カナダとかそういうところで多く調達できるものだというふうに思っています。
そうしますと、その石炭、石油、化石燃料とは全く違う形でのやはりエネルギーの調達の道をやはり確保していくという意味においては、安定性に寄与するというのは、まず、そういう戦略論的にはあり得るというふうに思います。
それから、二番目には、国内の今度は電力供給の安定性という観点でいったときも同様でありまして、再生可能エネルギーは、もう申し上げるまでもないですけれども、クリーンではありますけれども不安定であるという中において、安定的な、しかも比較的、これもコストの範囲をどこまで取るかということにもよりますけれども、ローコストに電力を提供できるという意味においては原子力というのは魅力的なベースロード電源であるということは、これは欧州ですら、その再生可能エネルギーを推進している欧州ですら原発をむしろ増設するという動きに出ているのでもお分かりのように、合理的なことだろうと思います。ただ、そこに安全の問題とか地元の方々の理解みたいなことが必要だということは申し上げるまでもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/24
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025・森本真治
○森本真治君 ありがとうございます。
続きまして、佐々木先生と浅岡先生に、お二方に、今回の法案のことなんですけど、水素、アンモニアを非化石エネルギー源として位置付けるということについて、若干ちょっと視点の違う質問になるんですが、それぞれの先生のお立場だというふうに思うんですが、まず佐々木先生に、今回のこの議論で、グレー、ブルーも非化石エネルギーと位置付けることについての適当なのかというような議論、それについての先生の御所見。で、浅岡先生には、まずは需要を立ち上げる必要があるということですね、この水素の需要を立ち上げることをまず第一段階としてやった後の第二ステップとしてなるべくグレーを使っていかないという、まあこれ、ある意味、政府の説明でもあるんですけれども、それに対しての浅岡先生の御所見。それぞれお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/25
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026・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) では、まず佐々木参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/26
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027・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) この水素、アンモニアを非化石に位置付けられるかというのがこの国会でもかなり議論になっているというのは拝聴させていただきました。
それで、この技術に関わっている、まあ三十年以上関わっている人間からいきますと、初めから理想のクリーンなものを安く供給しろと言われても、これなかなかやっぱり難しいんですよね。なので、例えば、分かりやすい例ですと、我々、電気自動車、エコで入れましょうといっても、電気自動車の電気のかなりの部分は今化石由来なわけですよね。でも、化石由来、電気は化石由来だから電気自動車は入れませんということは、多分皆さん言わないはずだと思うんですよ。
ですから、水素も、まずはグレーも含めた形でまずマーケットをつくる。その中で、政策的にはやっぱり着実にブルーそしてグリーンに行くように、これは別の政策をきっちり入れればそのトランジションが着実に進むと思いますし、むしろヨーロッパ、アメリカ、海外では特に投資家の方からやっぱりグリーンに移るようにという非常に強烈なプレッシャーも掛かっておりますので、そちら、グリーンに行くというのは、まずかなり早く行くんじゃないかなと安心しているところがあります。
なので、法律上、グレーは駄目だと法律に書かれてしまうと、じゃ、毎回使う水素はこれグレーなんですかと、使えませんですかというので現場もかなり混乱しますので、やっぱり政策的にグリーンに誘導するということを明示した上で、やはり当面はグレーもある程度は認めるというのがやっぱりリーズナブルなやり方じゃないかなと考えております。
もちろん、御批判があるのはよく分かっておりますし、技術開発している者としてはやっぱりグリーンをいかに安くするかというところに注力したいと考えています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/27
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028・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 続いて、浅岡参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/28
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029・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 御質問の趣旨は、先生、済みません、私の方への質問の趣旨は、今のお話ではなくて、段階的にやるということでよろしいのではないかという御質問でございますね。
その段階が、石炭火力にこのグレーのアンモニアを混焼するという方法を取ることは全く不適切だと思います。それは、最初に、冒頭に申し上げましたように、何しろ一・五度の目標に向かって世界が動いているというときであります。それはなぜかというと、気候変動の影響が余りにも深刻で、将来世代にとっても、現在世代ですら大変だと、そういう気候の危機に現状にある中、二〇三〇年まで、この十年間に半減もしなければならないという状況です。
しかしながら、今、石炭火力で幾らかの部分で二〇%混焼するみたいな話ですとほとんど減らないことも申し上げましたが、ほとんど火力、石炭火力発電所の排出量はそのまま続くことになります。そうしたことにつきまして私たちも試算をいたしましたけれども、この方式で石炭火力を使っていきますということになりますと、それだけで日本のカーボンバジェットのほとんどが消費される、それくらいのボリュームになります。火力でこうしたグレー、ブルーのアンモニアを使うことによって事を進めていくという、ステップにするということ自身が、そこが問題で、そのほかのところで何かなさるというのであれば適切な場所もあるかもしれませんと私も思います。
それから、グリーンでありましても、グリーンの水素を何とか作ります、あるいはブルーの水素を作ります、この水素を火力で燃やしますというのは発電効率が僅か二二%ぐらいにしかなりません。およそ現実性がない、経済合理性がない。やっぱり発電で使うということ自身に問題があると。だから、ほかの国々も、経済合理性の観点からも環境の適合性の観点からもそうした選択はしていないと、これはちゃんと踏まえなければならないと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/29
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030・森本真治
○森本真治君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/30
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031・河野義博
○河野義博君 公明党の河野義博です。
今日は、三人の参考人の先生方、大変貴重な御提言を賜りまして本当にありがとうございます。
まず、佐々木先生に二問お伺いをしたいと思います。
カーボンニュートラル、脱炭素化社会実現に向けては、もう水素社会の実現なくしては成し得ないというのはもはや共通の認識だというふうに思います。その中で、先生のレジュメの七ページ目にもありますけれども、やはり国産化も、水素は国産化も可能であると、エネルギーの安定確保にも将来貢献をするという大変重要な御示唆が含まれておりました。
私も全く同じ問題意識を持っておりまして、この百年間、化石燃料を輸入し続けてきた国の形を変えるいいチャンスにもしていかなければなりませんし、また、この大量な、安価な国産グリーン水素の導入というのは、カーボンニュートラル実現に向けて各産業界からも強く要望があるところでありますので、やっぱり時間が掛かるからこそ今すぐに取り組んでおかなければならない課題なんだろうと私は思っています。
その中で、どのような、まあいろんな選択肢があるとは思うんですけれども、どういうふうな方向性を向いて我々は進んでいくべきなのかなということを最近考えております。
一つは、やはり大規模なオフグリッドの洋上風力発電所、系統につながっていない、系統制約のない洋上風力発電所を大規模に造って、そこから再エネの電力で水を電気分解していくのかなと。そこから大消費地に向けて運んでいくというのは一つ考えられるだろうというふうに思いますし、今すぐやれることとしては、今もう昼間の太陽光が余剰電力となってしまっています。
今回の法改正の趣旨には、今までは休日、夜間の電気というのが安くて余っているものだと思っていましたが、もう世の中変わってしまっていて、昼の太陽光が一番安い電力だということが明らかになっていますので、今回の法改正でそういう電気を使うタイミングも変えていこうということがこの法案の中の趣旨に含まれていますのですばらしい内容だというふうに思っていますが、太陽光、昼間の太陽光でやっぱり水素を作っておくというのも一つの今すぐやれることとしてはあるんだろうかというふうに思っています。
私の前振りが長くなってしまいましたが、まあ長期的な課題ではありますけれども、国産の再エネ由来のグリーン水素を安定的に安く調達する方策として何かアドバイスをいただけたらというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/31
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032・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 水素社会実現に向けて、こういう法律の中でも水素を法律の中に位置付けていただいて、これが水素社会実現に向けて一つの大きな一歩になると期待しております。
今先生がお話しされました、国産のエネルギーで水素を作るという話なんですけれども、これ、十年以上前はまだなかなかそういう議論はなかったんですよね。ヨーロッパでやっぱり脱炭素化で再エネ入れようとしたときに、電気を入れるだけじゃやっぱり難しいですねと。やっぱり何か化学的な形、ためやすいようなものでCO2出さないような燃料に変えないと社会全体が脱炭素化できませんね、つまり燃料と原料のところ、そこを変えるにはやっぱり水素が必要ですねというのが一つありますし、日本でも、やはり福島以降、再エネを入れようとしたときに、やっぱり余る電気というのは、例えば九州もそうですし、この前には四国も東北も、やっぱり電気を入れられないような時間、日ができてきました。
なので、そうすると、実はこういう動きって、まあ我々はその重要性に気付いたのこの十年ぐらいなんですけれども、水の電気分解ってある種ローテクなんですけど、これを大量にエネルギー用途で使うという技術開発を今まで余りやってこなかったんですね。ですから、今まさに水の電気分解を安く大量にエネルギーとして使えるようにシステムを開発する、そこが一番のボトルネックでして、それを今開発していて、形に今なりつつあるということです。
ですから、そこのボトルネックが解決すると、地域に再エネ余り始めていますし、地域で水素を使おう、例えば車で使おう、バスで使おうというのも出てきますので、やっぱりそこのボトルネックが今解決し始めています。それを社会に入れるところをもう一度少し背中を押していただければ、水素社会実現というのは十分にできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/32
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033・河野義博
○河野義博君 ありがとうございます。
もう一点お伺いしたいのは、FCV、水素を燃料とする自動車に関してであります。
先生、長年この分野取り組んでこられて、世界的な権威でおられますけれども、なかなかFCVが普及しなかった点というのをちょっと立ち止まって考えておくタイミングなのかなと思っています。
欧州はもうEV化の流れがあって、FCVが入っていく余地が今後どうなっていくんだろうというのも心配であります。一方で、EV化では賄えないバスや中型トラック、こういったところには水素燃料車の拡大余地がまだまだあるんだろうなというふうに思っておるわけであります。
水素ステーションもいろんなところに造っていきまして、先生の御協力もいただいて水素ステーション増えてきたんですけれども、実際に水素入れに来る車がないというような状況もある状況にございますけれども、水素燃料車が増えなかった理由をどのように分析しておられるか。また、でも、これ日本の冠たる技術ですから、しっかりとこの灯を絶やさずに続けていくべきだと思いますが、今後のこのFCVの取組についてちょっとアドバイスをいただけたらというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/33
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034・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 水素で走る車もそうですけれども、こういうような新しい脱炭素燃料を使おうとしたときに、既存の燃料との価格差でやっぱり順番に入っていくというのがあるんですね。ちょうど今、水素ステーションで商用で売っている水素が大体一立方メートルで百円ぐらいということで、これがいわゆるセダンタイプのハイブリッド車と同じぐらいの価格で、とんとんで入り始めるかなということで、まず乗用車から発売が始まりました。ただし、乗用車は、誰がいつ水素ステーションに行くかというのはまさに分からない、非常に不安定な状況で使う量も少ないということで、先生がお話しされたように、なかなかまだ普及が進んでいないというのは反省するところだと思います。
今技術開発で何やっているかというと、むしろ商用車のところが、電気自動車、蓄電池ベースの電気自動車ではちょっとやっぱり難しいなと。例えば長距離トラックですね、CO2をかなり排出していますけど、やっぱりそういうところ、いわゆる商用車にもうちょっと使えるようにということで今技術開発がされていますので、モビリティーはそちらの方で使えるようになれば水素ステーションの経営も良くなると思います。
それとともに、モビリティー以外のところを使うということですね。水素発電もそうですけれども、鉄鋼とかそういう産業分野で、やっぱり工場で熱って必要なので、そこで脱炭素燃料で水素などが使えればまたそちらで用途も増えるということで、今一生懸命用途拡大をしていますし、それが用途拡大すれば水素の価格は安くなって、普通に水素が充填できて皆さんが使える社会になるのかなと思います。一年、二年で難しいんですけれども、五年、十年では着実にいくと理解しています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/34
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035・河野義博
○河野義博君 ありがとうございました。
FCVとともに内燃機関も日本の冠たる技術でありますので、合成燃料などを通じてしっかり応援していくべきなんだろうというふうに思います。
済みません、ちょっと時間があと限られておりますが、平野参考人に伺いたいと思います。
新たなエネルギー危機とその戦略的対応についてという非常に現実的かつ的を射た御提案を、御提案というか御提言を賜りまして、多くの点で非常に大きく賛同いたします。私も同じような問題意識を持っておりましたので、特にレジュメの二ページ目、今このトランジションの関係でなかなか化石燃料に資金も付きにくいという状況もございます。一方で、カーボンニュートラル実現のためには、やっぱりLNG火力発電を中心とした調整力というのはこれは不可欠でありまして、しっかり資源を取り負けない環境をつくっておくということが大事であります。
それに向かって今回補正予算を組むという方向、政府の方向でありますが、この政府の指針の中に、今回の閣議決定、閣議了解された内容の中に、燃料供給の緊急対応策等の強化ということで、LNGや石油の上流開発投資へのリスクマネー供給支援、LNG調達、管理に関する国の関与の方向性強化、また火力供給対策などについて検討するということを盛り込みました。この政府方針をどのように評価されるかということに関してコメントをいただけたらというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/35
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036・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 御質問ありがとうございます。
まさに、これも先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、企業の投資の間尺からいくと、長期といっても十年ぐらいなんです。彼らはやはりその中から、当然ですけれども、資本コストを上回るリターンを追求するということの合理性を求められている。これはこれで重要な、企業改革としては重要なことなんです。
そうすると、このように十年を超えるような長期の例えば資源開発を行う、あるいは長期の購入契約を行っていくということになると、企業の経営判断の間尺と合わなくなってくるという部分があります。別の言い方をすると、今盛んに言われるような表現として座礁資産化ということがあります。つまり、積極投資をして開発をしたんですけれども、需要がそのときにはもう減っていて、なくなってしまうと座礁資産化してしまうと。これは非常に大きなリスクで、個々の、要するに市場に任せておくと進んでいかない部分だというふうに認識をしています。そういうところに対して公的な補助、リスクマネーを提供することによって、超長期の言ってみれば投資のインセンティブを渡していくということも重要だと思います。
それから、先ほど申し上げましたように、そこで精製されたLNGだったらLNGというのを、自国内の使用というのは、もうこの脱炭素化の流れとそれから経済発展のペースからいって、徐々に日本は実は減ってきます。そういう中において、余剰部分を活用できるような天然ガスの市場というのはこれまだございません。こういうものを開発をしていくことによって、実は今度は企業が長期投資の経済合理性も見出していくということになりますので、補助金だけではなく、そういう外交的な取組、制度的な取組もセットでやっていくということが重要だと認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/36
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037・河野義博
○河野義博君 時間が参りましたので、終わらせていただきます。
浅岡先生には、本当に今日も大変貴重なお話をありがとうございました。またの機会に質問させていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/37
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038・矢田わか子
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会、矢田わか子です。
今日は貴重なお話をいただき、ありがとうございます。
まず、今回の法律改正の目的を考えたときに、脱炭素社会を実現していくという至上命題がある中で非化石等を活用していかなくてはいけないんですが、それは時間軸としてはまだまだ先まで掛かるというような中にあって、現実的に見て、それを並行して進めつつ安定的なエネルギー需給構造を確立していくためにということで今いろんな論議をしているわけですが、まず、平野参考人に。
先ほど来から御説明いただいている状況の中で、ここで、ばんとこのウクライナの情勢が起こり、大きくこの国際のエネルギーの環境が変化があったわけですね。この変化の中で経済活動もやらなくちゃいけないし産業活動も当然維持していかなければいけない、そして国民の生活と雇用も守らなければいけない。そのときに、おっしゃるような大胆かつ緻密な戦略、当然要ると思うんです。
ただ、ここに、平野参考人に是非お聞きしたいのは、後ほど佐々木参考人にも新しくということで水素のことをお聞きしていくんですけど、これまだまだ先まで掛かるわけですので、足下を見たときに、原子力を何らかのいろんな理由があって動かせないこの状況の中で、じゃ、何に頼るのといったときに、私はやっぱりこの天然ガス、LNGですね、活用していかざるを得ないんだろうなと、今後十年ぐらいはと思っているわけです。
その安定的確保を図っていかなければいけない中にあるにもかかわらず、今このような状況がありますと。で、LNGの需要国として、流通市場の形成といった、その産業としてのこれまでは目的があったと思うんです。しかしながら、このLNGの世界的な供給不足という事態の下で、これから本当に転売のための余剰LNG、本当に出てくるのかということなんです。あるいは、この仕向地条項ですね、これを緩めるというか緩和することによって取引が本当に増えるのかということもあると思います。
日本にとってはその国内需要をまだ賄うだけで精いっぱいというような足下状況の中で、こうした状況をどのように見ていらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/38
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039・平野正雄
○参考人(平野正雄君) おっしゃるように、今回のウクライナ危機というのは、長期的にもありますけれども、短期的には非常に差し迫った危機的な状況というのを招いていることは間違いないと思います。特にそれは、先ほど申し上げたように、ガスにおいて顕著だと思っています。
一番その差し迫っているものというのは例のサハリン2ということで、日本の依存度というのは、サハリン2に関してはたしか三%、四%、ロシアの天然ガスが九%ぐらいで、電力に回っているのが六パーぐらいでしたか、ちょっとこの数字あやふやでございますけれども。したがって、これが途絶するということは、政治的、ロシアの判断においても起きるわけです。
例えば、御案内のように、先月、突然ブルガリアとポーランド向けにガスの供給をロシアが止めると、それをほかの欧州の国が支援するという、こういうことがありました。そこでのやはり我々にとっての重要な示唆というのは、そのためのもう対応のシナリオを考えていくという意味においては、自国でできることというのは、ほかの熱源、ほかの電力源というものをどういうふうに活用していくのかということがあります。
そういう意味におきましては、先ほど来問題になっている例えば石炭火力ということに関しては、私も超長期においてこの石炭火力が温存されていくということは望ましいとは思いませんけれども、短期的には活用していく、したがってその設備を温存していくということも一定量必要だという認識があります。
それからもう一つは、さっきの欧州の例でいきましたけれども、消費量がそんな多い国ではないということもありますけれども、ポーランドやルーマニアが難を逃れたというのは他国との連携があるからだと思います。そういう意味におきましては、友好国との関係、米国は今や天然ガスの輸出国でありますけれども、こうしたところとの連携で融通し合うという、こういう関係性というのをやはり常に大事にしていくということが日本の安全保障上、エネルギーの安全保障上も極めて重要で、これは短期にも中長期にも効くことだというふうに認識しています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/39
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040・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございます。
サハリン1、2の権益維持していくと、昨日も大臣に対しての質疑の中で確認しているわけなんですが、先生もおっしゃったとおり、途絶リスクというんですか、万が一向こうからもう出さんわと言われたらどうしはるんですかというようなことも含めて私も考えなければいけないかなと思っています。ちょっといろいろ聞きたいんですが、また機会があればお願いしたいと思います。
続いて、佐々木先生ですね、水素エネルギーの専門家ということでもあるので是非教えていただきたいんですが、二十年以上も前から水素エネルギーを動力とするFCVの開発が行われてきました。日本ではトヨタとホンダですね、乗用車の搭載に成功して、実用化までしてきましたですよね。
当初はガソリンから水素を取り出すガソリン改質による燃料電池の開発が行われていましたが、この技術では現存のガソリンスタンドが活用できるというメリットがあったと思いますけれども、最終的には高圧水素ボンベに圧縮水素を注入する方法となりました。このこともあって、燃料電池の自動車については、コスト面とともに、水素ステーションのインフラ整備、まだ国内に百か所ぐらいしかないんでしょうかね、しかないという課題も出てきて、普及がやはり遅れているんじゃないかと思っています。
しかも、ホンダは昨年、燃料電池乗用車の生産中止決めていますので、今度はトラックやバスなどの商業車へ活用が期待されているわけですが、EVが世界的に主流になっている中で、この燃料電池車の今後の普及の在り方、そのためにどのような対策が必要だと思われるか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/40
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041・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) これよく、そういう水素自動車の普及が遅いということでお叱りをいただくんですけれども、技術開発をしている人を知っている身から見ると、実はこの水素自動車の開発ってすさまじいことをやっています。つまり、五年ごとぐらいにモデルチェンジするんですね、皆さん車を替えられるとそうだと思いますけど、その五年ごとのモデルチェンジに、要は一桁たくさん造る技術開発、生産技術開発もしながらやっているんですね。ですから、なかなか大量に安く水素自動車を造るというのにやっぱり時間が掛かる。大体トヨタさんに言うんですけど、プリウスの開発ペースとほぼ同等かそれ以上ぐらいのペースでやって、でも今の状態です。なので、そこは技術者の方々、温かく見守っていただきたいというのがまず一つございます。
あと、じゃ、黙っているわけではなくて、やり方が幾つかあります。一つは、やはり乗用車だけに限定してしまうとマーケットが限られてしまうということですから、一つは、先ほどもお話ししましたように、バスとかトラックとか商用車にやっぱり展開するということ。さらには、列車とかそういうところでも使えるようになってきますので、やはりいろんなところで使ってもらうようにというのが今まさに始まっています。
トヨタさんなんかも、以前は技術をこう抱え込んでいたんですけど、もういろんなところで使ってくださいというかなりオープンイノベーションの方にシフトしてきておりまして、今いろんな企業さんが水素の燃料電池を使って列車を走らせたりトラックを動かしたりということをやっていますので、時間は掛かりますけれども、これからその技術開発は加速していくと思います。
商用車に注目しているというのは実は日本だけじゃなくて、むしろヨーロッパ、アメリカ、中国はむしろ商用車の方かなり力入れていますので、そういう面では世界的にもそのマーケットは増えていくと考えています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/41
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042・矢田わか子
○矢田わか子君 先ほども説明ありました、天然ガスから水素を取り出す生産過程でCO2が排出されるいわゆるグレー水素と言われるこの生産方式、いずれは克服しなければいけない課題なんだろうと思っています。それについての見方について教えていただきたいのと、あと、現在、アンモニア、水素の需要拡大に対応するために、日本企業も積極的にこの方式を使った水素生産への投資活動を行っています。排出されたそのCO2を回収する技術、いわゆるブルー水素、これにもまだ展望があるのかどうかということ。それから、グリーン水素にすべきなんでしょうけど、コストですよね、生産コストダウンについての展望。もう一つ言えば、原子力の発電による電力から水素を取り出すというイエロー水素、色がいろいろ違いますけども、これの生産方式どのように評価されているのか、簡潔にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/42
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043・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) やはり今、技術開発の本筋はやっぱりグリーン水素をいかに安く作るかというところになっていますし、もちろんグレー水素でCO2の排出の許容もヨーロッパなどで今どんどん状況が、基準が厳しくなってきていますので、それに向けて日本の企業さん中心に必死に頑張っているというところがあります。
あと、原子力から水素を作るという話も、もちろん議論は聞いておりまして、やっぱり多様なものから水素を作るという観点では、技術開発はこれからされるのかなと思っておりますので、何しろできることは何でもやって、皆さんに安く水素を使っていただける、脱炭素燃料を使っていただけるように技術陣は今一生懸命やっているということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/43
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044・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございました。
浅岡参考人、一つお聞かせください。
浅岡参考人は、カーボンニュートラルに向けての手段の一つとしての燃料として、アンモニアや水素の活用について、その製造過程においてもCO2が排出されるやないかということを問題視されているというふうに思います。
CO2を排出しない非化石燃料が開発されたとしても本当にカーボンニュートラルのための切り札になるのかどうかについてどのように評価されているのかということと、あわせて、日本では活用、実用化が遅れている風力発電や地熱発電、さらには多くの発電所で稼働がストップされている原子力発電についてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/44
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045・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 水素につきましては、確かに将来的には大変重要なエネルギー源でありますし、特に高温の熱を利用するような産業の部門において、あるいは大変重い自動車類でとか、輸送機関の大変高密度のエネルギーを要するようなところ等が出てくると思いますし、アンモニアというのは水素のキャリアとして元々位置付けられ、その重要性も今後ともあると思います。
しかしながら、今申し上げていることは、私たちが申し上げていることは、火力で燃やしてしまうというようなものは、とてもコストは合わないし、効率的にも合わないし、そもそも脱炭素、一・五度目標のようなことを世界が議論しているときに、全く間尺の、タイムスパンの合わないものであると。ですから、そこに固執してやっておりますと、日本の経済そのものが、本当にやらなくてはいけないところが抜けてしまうと。
先ほど申しましたように、世界の脱炭素の動きは、気候変動の影響はますますひどいものが目の前に見えてまいりますから、それに後押しされてますます加速されてくると、このことを頭に置き、ちょっと時間軸を変えていただく必要が、物を考える時間軸として考えていただく必要があると思います。水素やアンモニアは全く要らないんだと言っている趣旨ではございません。使い道が違う、研究対象も違うということであります。
それから、風力や地熱、まあ太陽光も含めてですけれども、ヨーロッパ等でたくさん導入されている、はるかにたくさん導入されているわけですが、それなりのちゃんとした規制はあるわけです。日本でいろいろ問題を起こしているという、これは何のその準備もちゃんとできていなかったと。そういう意味では直さなければいけないところもありますが、変動性電源であるという点については、既に十分な経験があり、対応策が取られていると。それらをちゃんと学んで、日本で使えないものではありません。
さらに、電気自動車が進み、それが電池の役割をするものが今後非常に拡充されていくという中で考えますと、変動電源であるからというように再生可能エネルギーを言ってこられたことに対する考え方も、やっぱり世界の動きにキャッチアップしていく必要があると。そうしないと、日本の経済が回っていかなく、それこそ回っていかなくなるということがあります。
地熱等は、それはもちろん給源でありますから開発していただいたらいいと思います。
原子力につきましては、多くの問題抱えていることであります。ヨーロッパは原子力に回帰していると言われますが、大変コストが高くなり、今まで考えているものからいうと倍、三倍のコストになりまして、現実化するかどうかは非常に危ういとみんな見ているというのが現実であろうと思います。
風力につきまして、特に洋上風力等、それは地域がちゃんと受容でき、そして様々な問題も解決しながら、連系線の問題も解決しながらやっていく、それはどの国もやっていることだということを私たちは見誤ってはいけないと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/45
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046・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/46
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047・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。
参考人の皆さん、本日は誠にありがとうございます。
それでは、質問に入りたいと思います。
政府の二〇三〇年のエネルギーミックスにおける各電源構成の比率についての御意見をお伺いしたいと思います。
二〇二一年四月、二〇三〇年度の新たな温室効果ガス排出削減目標として、二〇一三年から四六%削減することを目指して、更に五〇%の高みに向けて挑戦を続けている新たな方針が示されたわけであります。
第六次エネルギー基本計画では、徹底した省エネルギーや非化石エネルギーの拡大を進める上での需給両面における様々な課題の克服を野心的に想定したという需給の見通しが示されておりますけれども、二〇三〇年における各電源構成の比率はベターなものなのかどうか、参考人それぞれの皆様に御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/47
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048・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) それでは、まず佐々木参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/48
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049・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 私が、これがベターかどうかというのはちょっと、なかなか言うのは難しいなと思っています。やはり多くの議論の中で今の比率というのが決まったのかなと思いますし、ある程度国民が皆さんそこそこ納得いただくような多様な目標ということだと我々は理解しておりますので、それに向けてそれぞれの技術で何ができるかということにやはり頑張るということが我々に課された使命じゃないかなと理解しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/49
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050・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 続いて、平野参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/50
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051・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 第六次のエネルギー基本計画は、当然このウクライナ危機前に定められたものと。先ほど申し上げましたように、短期的にはやはりカーボンニュートラルの取組にいろいろなプラスマイナスの影響を与えていることは確かです。加えて、本格的にこの二〇五〇カーボンニュートラルの宣言がされ、二〇三〇に目標が定められたことにより、様々な技術開発、これは国がグリーンイノベーション基金で資金を援助している部分は相当ありますけれども進んでいます。こうしたことの進捗、それから世界的なエネルギーの需給、コストがどういう形で推移していくのかというようなことというのは今非常に動きが速くなっているというふうに思います。
これを踏まえて、改めて、第七次になるのか分かりませんけれども、見直していくというファクターは随分出てきているというふうに思います。その結果どうなるかということに関して私は今何も申せませんけれども、要素として見ると、やはり、化石燃料の依存度というのをやっぱり長期的には下げていく、加速したいという思いはあると思います。
ですので、現実線として引き続きトランジションとして化石燃料を使っていく部分と、エネルギーの自立を進めていくという意味において再生可能をどこまで進めていけるかという、この両面の中から改めて数字を見直していくという余地はあるのかもしれません。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/51
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052・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 浅岡参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/52
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053・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 何度も申し上げますが、一・五度を目指して気候を安定化させていく、温度の上昇を安定化させていくというために、二〇三〇年の目標は四六%、国際的に世界からは低きに過ぎると見られております。また、それがちゃんと達成されないということでは、大変世界に対する応分の負担をしているというふうにはみなされないわけであります。
その観点からいきますと、石炭火力が二〇三〇年一九%も残っていると、これは大変先進国として異様なことだと指摘されているものでございますし、原子力を二〇から二二%って、これはどなたが考えましても現実性がないということは認められている問題だと思います。早期に退出していくことが大きな流れとして求められているわけでありますけれども、この原子力について本来見込めないものが見込まれている。
じゃ、現実社会でどうなっていくのかというところを考えますと、今の再生可能エネルギーの比率の割合でいきますと、結局は原子力の足りない分は石炭で補っていって更に排出量が増える、およそ四六%削減は達成できないということになる割合、エネルギーミックスだと思います。
やはりここで削減目標の深掘りは国際的に求められております。また、再生可能エネルギーをもっと増やすこと、これも国際的に求められております。それをやる覚悟で、しかるべき周辺の様々な制度整備が大変遅れておりますので、これを挽回すべく、ここに注力をいただきたいというのが私の考えでございます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/53
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054・石井章
○石井章君 二〇三〇年のエネルギーミックスにおける各電源構成の比率では、原子力の割合は二〇から二二%とされておりますけれども、昨日の委員会で、質疑で、政府答弁は、その発電量を賄うには原発が約三十基必要と試算しているとの答弁がありました。しかし、原発の四十年ルールでは、一回限り二十年延長が可能でありますけれども、それを行ったとしても二〇五〇年には多くの原発で耐用年数が終了します。
原子力の比率二〇から二二%を満たすには、電源の新規設置やあるいはリプレースを認めなければ二〇五〇年時点での電源構成比率は達成できないのは明白と考えますが、政府はいまだにそのことを認めようとしません。このまま原発の新規設置やリプレースなしで原子力の比率二〇から二二%を満たすことは可能だと皆様お考えでしょうか。答弁しにくいと思うんですが、お聞かせください、参考人の皆さんそれぞれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/54
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055・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) お三方でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/55
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056・石井章
○石井章君 はい、それぞれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/56
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057・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) それでは、もう一度、佐々木参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/57
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058・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 私自身は、大学のときに核融合の研究をしていたので、原子力のことも勉強しました。それで、そのときからいろんなことも考えながら、この原子力の技術、今は直接関わっていないので一国民として考えますと、やはりこの特に原子力については、やはり国民で議論して、やはり最後は政治できっちり決めるという部分がないと、これ、技術がいいとか悪いの話ではないという非常に重い話だと思っています。
なので、ここでその意見を申し上げるのもなかなか難しいところがありますし、やはり我々も議論を続けるというところが大事なポイントじゃないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/58
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059・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 先ほど申し上げましたように、エネルギー政策は、その安全性、それからクリーンという、これ極めて重要なんですが、その度合いと、それから経済合理性の観点、そして安全保障というのが今非常に重要視されてきて、こうした多次元の方程式をやっぱり考えていくということになると技術のみ経済のみで議論していくということにならないということになりますと、そういうことを含めて、これは佐々木先生と同じ意見になりますけれども、最終的にはやはり政治の方々が、この問題を正面から向かい合って、国としての方針をやっぱり打ち出していただくということがどうしても必要なテーマではないかというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/59
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060・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 原子力につきましては可能な限り早期に低減させていくというのは、少なくともこの点については大きな方針だと思います。そこで、二〇から二二%、二〇三〇年にエネルギーミックスで置くと、このこと自身を見直すべきだと思います。
そして、国民的な議論はもっと深められるべきでありますし、本当にこの核廃棄物の最終処分をどうするのかと、この問題も含めましてしっかりした議論がなされていくべきだと思いますが、これありきで、これを達成するために新設が必要だというような話になることは適切ではないと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/60
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061・石井章
○石井章君 今回のロシアのウクライナ侵略によるエネルギーの危機は、化石燃料固有の偏在性や枯渇性といった脆弱性が露見したものと考えておりますけれども、化石燃料への依存が続く限りこのような危機が繰り返されることは歴史が物語っております。
脱化石燃料は人類の大きなテーマとなっておりますが、その中で必然的に自然エネルギーへの期待は高まっていますが、化石燃料を自然エネルギーが代替するには出力変動性の問題では難しいとの論説が定着しております。反面、様々な工夫、デマンドレスポンスやフレキシブルな需給調整の活用、先ほどから出ていますグリーン水素の活用などによって可能となる識者の意見も多く存在しておるのも事実であります。
そこで、将来的に自然エネルギーをベースロード電源と置き換えていくために必要となる政策や課題についてもしお聞かせいただければ、簡単で結構ですから、それぞれの参考人からお聞かせいただければ、これで質問終わりますので、答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/61
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062・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) それでは、佐々木参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/62
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063・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 化石資源から自然エネルギーへの転換なんですけれども、本当に、このウクライナ危機以降、我々議論をしてよく聞くのは、化石エネルギー資源は多分これから少しずつ上がっていく方に行くかなと、ただし、再エネはやっぱり技術開発進めばほとんど下がる方向に行くと。そうすると、実はウクライナ危機を踏まえてこの要は価格差がひっくり返る時期がかなり早くなるんじゃないかなという、そういうところもあります。
なので、特にこの法律の中で蓄電池を発電事業に入れるというところはすごく大事なポイントだと思いますし、短期の調整は蓄電池でできますし、季節をまたぐような調整は水の電気分解等と水素で組み合わせるという、そういうようなことをすればもっともっと自然エネルギーを早く安く使えるような時代になるんじゃないかなと今感じ始めているところです。
是非それに向けて技術開発も我々きっちりやっていきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/63
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064・平野正雄
○参考人(平野正雄君) このエネルギー政策は、やはり需給両面の改革を進めていくということも非常に重要な観点だと認識をしています。そういう意味における需要面において、省エネの一段の推進ということもありますし、それから地産地消の究極として見るとやっぱり家庭電源、これは蓄電池それから太陽光の発電も含めてそういうことを進めていくということ、それに対する政策的な補助、インセンティブみたいなことをやっていくことによって需要構造そのものを大きく転換していくという要素も極めて重要かと思っています。
また、大規模利用に関しましては、これももう議論があったとおりなんですけれども、その変動性を許容する、あるいは吸収するという技術はいろいろあると思いますし、電池だけではなく水素、それから先ほど来議論になっていますけどアンモニアというのも一時的なその転換先として見るとあり得るわけでありまして、こうしたほかの燃料、ほかのエネルギーに転換一度することによってまたその電気エネルギーなり水素エネルギーを取り出していくということにより安定化をしていくということで、再生可能エネルギーを安定電源に転換していく技術開発、これも極めて重要だという認識をしています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/64
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065・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 更に目標を高く設定いたしまして、そして、そうしたビジネスをより早く起こしていくということが大事でありますが、作りました再生可能エネルギーを系統への接続を優先的に行う、このための制度整備が必要であります。先着優先ルールの改定はもう必須のことでございますし、系統の増強も大事なことであります。
ただ、もう一つの大事な側面は、これは地域の資源でありまして、地域の住民等にそのメリットが還元される仕組みでなければ本当に進んでいくものでもなく、そして地域にちゃんとしたゾーニングを行うとか様々な対応策の制度整備も行っていく、これも大変重要なことだと思っています。これら含めて大変対応が遅れている、このことにもっと急いで対応してやっていただきたいと私は思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/65
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066・石井章
○石井章君 御丁寧な答弁ありがとうございました。質問を終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/66
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067・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三人の参考人の皆さん、今日は貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
まず初めに、佐々木参考人にお伺いをいたします。
今日、参考人も少し述べていらっしゃったんですけれども、参考人が日経新聞の中で、水素であればいいわけではないと、グレー水素を使う場合は化石燃料が水素に替わっただけ、こういう批判は避けられないというふうに述べておられました。
政府が検討をする日豪褐炭水素プロジェクトなんかは三十年ということで、コストの面から考えても、この褐炭を使って化石燃料由来への依存が続くのではないかというような懸念があるんですけれども、参考人はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/67
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068・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 先ほど申し上げましたように、ちょうどこれは水素自動車が出たときに、これ究極のエコカーだといったときに、いや、ガソリン、化石資源が形だけ変わって、そのいいとこ取りだけしたんじゃないですかという御批判をいただきましたし、それはもうそのときからこれはやっぱりこのまま続けるわけにいかないということで、やっぱりグリーンの方にシフトするというのが私も含めた皆さんの同じ思いだと思います。
その観点でいきますと、グレーは今でも残っておりますけれども、やはり今、技術開発とかサプライチェーンをつくるのは基本的にブルーか若しくはグリーンという方向が、これは日本だけじゃなくて世界的な動きであります。
その中で、確かに褐炭から水素を作るという話も、何か石炭系かという御批判もあると思いますけれども、私が知っている範囲では、その褐炭から出てくるCO2はきっちり安定な地層に埋めて、いわゆるブルー水素として持ってくるという理解をしているんであります。
あと、いわゆるあの技術開発というのは、褐炭のための技術開発ではなくて、むしろ海外から水素を液化して持ってくるというのが一番の技術開発なんですね。ですから、もちろん世の中は今どんどん変わっていまして、むしろ再エネをあの技術を使って持ってくる、液化して持ってくるという方向ももちろん企業さんは当然視野に入れてやっておりますので、褐炭ありきの技術開発ではないということは申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/68
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069・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、平野参考人にお伺いするんですけれども、気候危機が非常に深刻になっていて、世界で炭素への投資からの引揚げが進んで、脱炭素の流れはこれからも一層加速する見通しだと思います。
一方で、世界では再エネとか省エネへの投資が大きく動いている下で、日本では石炭火力を使い続けるという政策が示されています。化石燃料への投資よりも再エネとか省エネへの投資の方が効果が大きいですし、雇用や地域経済への波及効果も大きいと思うんですけれども、参考人はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/69
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070・平野正雄
○参考人(平野正雄君) おっしゃるとおり、今、実は産業界に脱炭素の圧力を一番掛けているのは資本市場なんですね、ダイベストメントということなんです。
結果、さっき申し上げましたように、炭素系の例えば電力あるいは炭素系の資源の開発をしていくということに関してはむしろ資金が付かないということで、もう実質的にはストップが掛かっていたというのが実はこのウクライナの前まではその流れでした。
したがって、世界中の大手のエネルギー企業も急速にもう上流投資というものを回避する、あるいは石炭の開発もストップするという動きがあったことは確かです。これも先ほど来申し上げているように、実はこのウクライナ危機で状況は、これは短期的かもしれませんけれども、大きく変わりまして、世界の投資家の人たちも、もう少しバランスを持ったトランジションを考えていかなければいけないという、こういう発想になっているというふうに私は認識をしております。
そういう過程の中において、石炭から出てくるCO2というのをどういう形で処理するのかと、その効果についてはいろいろ議論はあるかもしれませんけれども、アンモニアの混焼もあれば、CCSという技術開発も進んでおります。そうしたことの組合せの中において、やはり多様なエネルギー源というのを我が国の場合というのはうまく使い続けることによって全体として安定化を図っていくということが必要だと思っています。
地産地消を進めていくということ、それがエネルギー安全保障上も重要だということは、私も先ほどから申し上げているとおり、そのとおりだと思いますし、地域経済にもそこはプラスの部分があるというふうに思っていますので、その流れは当然ですけれども加速をしていくということなんですけど、いかにこの五〇年のトランジションをマネージするかという観点の中においては、かなり柔軟な発想というのも必要じゃないかというふうに個人的には考えます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/70
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071・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、浅岡参考人にお伺いするんですけれども、先ほども少し話題になっていたんですが、今、その電力需給の逼迫が問題になっていると、これをどのように見ていらっしゃるのかということと、エネルギー安全保障、非常に重要になっているわけですけど、そのために日本がやるべきことについてどのようにお考えかというのを改めてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/71
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072・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 電力需給の逼迫につきまして、私たちの市民生活上の記憶もあるわけですが、特に今年につきましては、震災、地震と、それから三月というもう既に暖かくなっていて定期点検入れてもいいかと思うようなときに寒波が襲ってきたと。こうした希有なることが二つ重なったということの中で、また対応策もちょっと遅れたというようなことが非常に慌ただしいことになったわけでありますが、この二つが重なる可能性というのは極めてまれだということが一つ指摘されておりますし、元々ちゃんとデマンドレスポンスを対応するというような、大口の需要家のところでは逼迫のときにはこうしてくださいねという約束がちゃんとなされていて、それには、ただ削減すること、電力を減らすことによってメリットをちゃんと与えるというような仕組みがあれば非常にスムーズに進むことになります。
やっぱりここは、需給調整をしていくことでありますとか、他の送電網との連系線を本質的にもっとちゃんと増強していく、これをもっと加速させるというようなことを考えることによって対応できるものであります。少なくとも夏場はそうしたピーク需要の需給逼迫はもう本当に考えられなくなってきているわけでありますので、あとは冬場、定期点検の時期を考えながらやる。今までやっているんですけど、そうした気候の変動を含めて対応していくというふうなことが本当に大事でありまして、僅か本当に数日のことなんだということがもっともっと皆様に知られることが必要であろうというふうに思います。
それから次に、二つ目の問題として、エネルギーの安全保障という観点でありますけれども、何度も申し上げますが、本当にどの国も今非常にいたく認識したのは、エネルギーの自給というものが非常に重要である、これはエネルギーだけではなくて食料も含めて自給をしっかり高めていくということの重要性であります。そこの自給の柱になるのは再生可能エネルギーの拡大、拡充であると、このことも非常に深く共有されていっています。
トランジション、エネルギーの転換には何十年も掛かる。ところが、今、気候変動への対応は、その余裕の時間がもうないのです。あと十年でどれだけ減らすか、あと二〇五〇年まで本当に一世代の間に大転換をしていくか、この短い、もう本当に差し迫った、これは今までちゃんとやってこなかったことが大きな要因でありますが、これからそれを遅らせるような話は本当に将来世代に対してとんでもない地球を残す、生活環境を残すということが、多くのこの政治の世界の中で認識していただきたいと。
欧州の裁判所で日本で言えばびっくりするような判決が出されているというのは裁判官自身がそう考えているからでありますので、やっぱりそのタイム、時間感覚、非常に切迫しているんだと、グラスゴー気候合意の中にありますように残された時間は少ないんだと、これを、日本のエネルギー政策の中でも優先順位を付けていく、あるいは投資の優先順位を付けていくという中でも反映させていただきたいと願うところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/72
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073・岩渕友
○岩渕友君 続けて浅岡参考人に伺うんですが、補足資料の中にオランダ・ハーグ地裁でのシェル・グループの判決のことについて紹介されているんですが、気候危機対策に取り組むことが企業に求められていると思うんですが、取り組まない企業がどうなっていくのか、こうした点で日本の企業の取組、どのように見ていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/73
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074・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) オランダでは二〇一九年の十二月に、オランダの国としての削減目標を、二〇二〇年二〇%は少な過ぎる、二五%に引き上げろという最高裁の判決がございました。そこでの基本的な考え方をベースにいたしまして、昨年六月に、企業も同じように、世界のコンセンサスとなっている、科学が求め、そして世界のこうした国際交渉や国際合意の中でコンセンサスになっている削減目標の最低のところは、大排出をするようなシェルのような企業は守ること、それを、削減を実行することがデューティー・スタンダード、そういう義務である、それは法律上、法的な義務であると。
こういうふうに、デューティー・スタンダード・オブ・ケアと、こういう言葉で、オランダの法律の中もあります。この考え方は、企業が当然遵守すべき注意義務があるんだと、これは日本の裁判所でも当然考えることでありまして、その基準が、温室効果ガス、二酸化炭素の排出削減という点では一定のタイムスパンで二〇三〇年四五%削減、これは国際合意であると、この企業が行わなければならないと。
さらに、この判決の重要な点は、スコープ3という、上流の、関わっている上流企業の方での削減、そして下流の消費者の方まで含めて、そこで排出されるものも含めてこのような目標を守ることが義務だというふうになってきています。
これは、あわせて、先ほど世界全体がRE一〇〇に移行していくということと裏合わせになっているわけでありまして、こういうものに沿っていく流れでなければ、投資はもちろん融資も付きません、ダイベストも進むでしょう、それだけではなくてサプライチェーンの中から外れていくと、こういう時代がもうそこに来ているということを示していると思います。
日本も、日本の企業もこうしたものから離れた存在ではやっていけない、これからはやっていけないと。それがカーボンニュートラルというか、二〇三〇年半減させ、二〇五〇年にはカーボンニュートラルにしていかなければならない、これは気候危機を回避していくための本当に必要な措置だと、そういうことが反映されているものだと御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/74
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075・岩渕友
○岩渕友君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/75
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076・ながえ孝子
○ながえ孝子君 碧水会という会派におりますながえ孝子と申します。
今日は、三人の参考人の皆様、大変示唆に富んだお話をありがとうございました。
では、まず平野参考人からお伺いしたいのですが、先ほど資本市場が一番脱炭素に圧力を掛けているという言葉がありまして、大変納得をしながら聞かせていただきました。
ただ、この日本というのは、まあ世界の流れはそうなんですけれども、日本というのは、特にこの気候変動の問題についてはどうも遅れているといいましょうか、世界の流れにいま一つ敏感になり切れないところがあるんではないかなと。世界を見ている企業についてはもう既に動いています。ですけれども、これを何とか、その要因と、世界に追い付き追い越せのように加速させる御意見があれば教えていただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/76
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077・平野正雄
○参考人(平野正雄君) 御質問ありがとうございます。
もう今、企業の中において、このカーボンニュートラルの取組というのはもう経営の中枢事項という位置付けはほぼ、少なくとも大企業は確立していると思います。しかも、その視点は、いわゆる、いかにカーボンの排出量、それもサプライチェーン全体にわたって減らしていくかという、そういう防衛的な観点だけではなく、このカーボンニュートラルというのを潜在的な成長機会にいかに転換するかというようなことというのが今非常に企業の中心的な課題になっているということは、これはほぼ間違いないというふうに思います。
したがって、例えば、どんな素材でも、こうしたものを言ってみれば脱炭素の素材に転換することによって、その価値を顧客に理解をしていただきサポートしていただくことによって経済性も成り立たせるという、企業ならではのこうしたチャレンジというのをいかに成長機会に転換するという意味においては、非常に今、営みは実は日本の企業はかなり加速しているというふうに私は思います。
それを後押ししているのは、御指摘のとおり、資本市場もその部分を非常に期待をしているということであり、今市場に対する開示情報というのも非常に厳しくなっておりまして、このカーボンの全体のフットプリントも含めてどれぐらいCO2の削減に取り組んでいるかということに関しましてはほぼディスクロージャーをしなければいけないという状況になってきていますので、実は企業は、ある意味においては国というものを超えて非常に市場と向かい合いながら進んでいくというところがあると思います。
そういう市場の力が届かないような非上場の企業であるとか中小の企業の方々というのは、当然のことなんですけれども、大企業との取引とかそういう中においてやはり同じような要求というのが求められていますし、それ自体が企業の、発注する大企業の側の方も成長につなげていくということで動いていますので、うまくそこが連動していくということが非常に重要なのかなというふうに思います。
ただ、それでも取り切れないような短期の投資負担その他については、特に中堅、中小の企業の場合というのは、一定量の公的な援助であるとか税的な優遇であるとか、そういうことの御支援というのが引き続き必要ではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/77
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078・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございました。
続けて、平野参考人に。
資料を拝見しておりまして、一段の省エネ推進のところにアンダーラインが引かれておりまして、これは強く、声を大きくおっしゃりたいのだなと受け取りました。そこについての何か御意見がありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/78
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079・平野正雄
○参考人(平野正雄君) このアンダーラインは、この法案に多少カバーされているところということで、まあもちろん強調の意味もあるんですけれども、引かさせていただきました。
今回のこの法案の中においても、前半部というのは需要側の方の改革ということで、省エネ推進の政策が幾つか入っているという認識をしています。先ほど来申し上げましたように、実はこのエネルギー構造転換の中において、需要側の方のエネルギーの使用の、単に量だけではなくて質的な転換を果たしていくということも必要だと思っています。つまり、ローカーボンの生活をいかに実現していくかと。
それはエネルギーだけに限らず、さっきも言いましたように、こういう素材も含めてなんですけれども、リサイクルとかそういう形でやっていくことによって、非常に地味で積み上げ型になりますけれども、確実に炭素の消費量が減っていくということというのは、これは積み上げですから効いてくることは間違いないと思うんですね。
こうした国民の理解とか行動変容みたいなことというのをセットで進めていくというのが、技術的な部分もありますけれども、そうしたまあマインドと言うんですかね、そういうものの転換を、国もコミュニケーションをし、認識を深めていただくということが非常に重要じゃないかなというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/79
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080・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございました。
では、続いて浅岡参考人にお伺いしたいのですが、資料を拝見しておりまして、再エネ拡大のためには今回我々が審議している法案とはまた別の法整備も必要ではないかと、これを求めるというようなことをおっしゃっておりましたが、この辺り詳しくお話しいただいてもいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/80
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081・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) 再生可能エネルギーが現在、せっかく太陽光が発電いたしましても余っていて、強制的に止めてくださいと言われているものが特にこの連休のときとか起こるわけでございますね。こうした、使えないというのは系統との連系ができていない、また優先的にそれを買い取って、そして例えばそれを水素、発電に余っているんだったら使いましょうと、この辺はもう既にヨーロッパなどでは当然ながらなされていることでありますが、うまく使うという発想がございません。
まずは、系統には先着優先ルールなんかがどんとございまして、原発とかなんとか、まあ枠取りみたいなのがあって、余っているときだけ、余剰の分だけ連系します、接続させますと、こういうルールになっているものですから、ここをまず改めて、まずは再生可能エネルギーが発電したものは一〇〇%使い、そこを次は火力などで調整をしましょうという、そのベースロードと火力や原子力を置くものですから、再エネは余っている送電網のところだけというふうな発想になって、それはまだ現在、今も基本はそうなんですね。
ここをまず改めることと、そしてそれを、九州で余りますというのを本州の方に送れない、連系線が弱い、北海道でもう大変発電できるものを東京に送れないと、こういう問題を、もう十年も二十年も前からこの問題の解決は言われていたんですけれども、まだまだそこが動いていないと。
これらをしっかりやっていくことなしに、再エネを拡大するような事業参加もまた難しく、今ちょっと何となく動きが弱っていると。まあ風力だけ、ある意味で政府後押しで洋上風力を進めようと、そこだけは進んでいるというようないびつな状況が今生まれているかと思います。
これから十年の再エネをどうして増やすかという点では、太陽光は大変重要な要素でありますし、ポテンシャルはたくさんあることはいろんな先生はおっしゃっておられる、平野先生もおっしゃっていたことでございましたけれども、その中では、もっと国民にも呼びかけて、屋根をもっと活用しましょうとか休耕田をちゃんと活用しましょうとかいうことができるように、そういう意味での政府の呼びかけのようなことも必要なのではないか、あるいは農耕地をうまく使えるような制度整備も必要なのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/81
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082・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
接続の問題はもう本当におっしゃるとおりだと思います。
では、続いて佐々木参考人にお伺いしたいのですが、実は、私は不勉強なので、水素の分野というのは日本がこれ世界リードできると、もう本当に残された大事な技術だと思っていたんですけれども、お話をお聞きしますと、リードとも言えない状況になってきていると。更に数歩先を行くようなそういうことが必要だというお話を聞かせていただいて、ああ、そうなんだと、本当に改めて認識いたしました。
じゃ、数歩先を行くために必要なものは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/82
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083・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) いろんな要素があると思うんですよね。
スライドのところに海外の取組がありますけれども、やっぱり総合的にパッケージをつくるというところが大事ですけれども、特に大事なポイントは、日本ってやっぱり技術開発は一生懸命やるんですよ、でも、技術開発して、いい技術はつくるんですけど、本当にそれを社会に出していくところの一番のところがむしろ海外に先にやられてしまうというのを、何かいろんな分野で繰り返しているんですよね。
なので、特にグリーンイノベーション基金なんかでも技術開発はしているんですけど、やっぱりあそこで開発、いいものを開発したものをいかに社会に出していくかという、その最後の最後までの一気通貫のやっぱりシステムをきっちりつくるというのが、これがやはり日本がまだまだ弱いところじゃないかなと思います。
なので、ここはやはり社会実装するために、民の取組に対して官がやっぱりもう一段、二段背中を押していただく、この制度を是非つくっていただきたいと思いますし、そこの資料にありますように、本当に海外はすさまじい勢いでやっていまして、兆円単位で投資されていまして、もう例えば水素ステーションの数もとうとう中国に抜かれましたし、こういう状況がまさに今起こりつつありますので、我々も頑張りたいと思いますし、是非国全体で、やはりこれ、本当にカーボンニュートラルは世界的な大競争がされているという真っただ中だという危機感を共有できればなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/83
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084・ながえ孝子
○ながえ孝子君 しかと受け止めさせていただきました。
それと、水素がそうやって社会でみんながその豊かさを享受できるような世の中になっていくためにはかなり時間掛かりますよね。そうすると、ずっと技術開発を続けながら、例えば佐々木参考人の意思を継いだ後継者も必要でしょうし、人材育成がすごく大事かなと思っています。
大学で教鞭も執っていらっしゃいまして、人材育成の分野で御意見ありましたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/84
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085・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) そこは私が個人的には一番強調したいところです。
グリーンイノベーションの会議で平野先生とも一緒で、オンラインでも発言はさせていただきましたけれども、二〇三〇年とか二〇五〇年の話なんですね、この話というのは。これは、ここにいる皆さん方、私も含めたメンバーが実は主導権を握るというか、必ず、全面的に活躍する時代ではなくて、まさに今の若い人に要はこの日本の未来を託さないと駄目なんですね。だからこそ、そのカーボンニュートラルに取り組む若い人をいかに育てるかというところが、もう私の頭の中の半分以上はもうそこに集中しています。
なので、特に大学ですと、この委員会のマターでないかもしれませんけれども、特に日本の中でこの分野の研究者になりたい、博士課程に行ってこの分野で自分は世界をリードする人になりたいと、そういう方をやはり我々は集中的に今支援するようにしておりまして、文科省の方でもフェローシップの事業をつくっていただいたりしていますけれども、特にこのグリーンイノベーションの中でやっぱり人を育てると、こここそが私はこの分野、一番大事な分野じゃないかなと思います。
是非、エネルギー政策、産業政策と併せて、人材育成、将来の若い人を育てるというところも是非検討して考慮いただければと思います。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/85
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086・ながえ孝子
○ながえ孝子君 どうもありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/86
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087・安達澄
○安達澄君 無所属の安達澄と申します。
今日は貴重なお話をありがとうございました。
私、以前は鉄鋼メーカーに勤めていまして、海外で石炭を調達して、それを日本に運んで製鉄所でばんばん燃やしていたわけですから、非常にちょっと肩身が狭い思いではあるんですけど、ただ、それはそれでやはり技術、高炉法というのは三百年の歴史があって、現時点ではしようがないと。それがとにかくカーボンニュートラルに向けて今ダイナミックに業界も動いているわけですけれども、ちょっとそのキャリアを踏まえて、三人の先生方に一つずつ質問させていただきます。
まず最初に、佐々木参考人にお伺いしますけれども、鉄は石炭を使わずにこれから水素でやるんだと。その使う量がやはりもう半端じゃなくて、今、量でいうと、もう本当、二〇五〇年の話ですけれども、仮に全て造り方が変われば七百万トンぐらいの水素を業界全体で使うと。その当時、日本で、じゃ、どれぐらい調達できそうかというと、まあ二千万トン前後というふうに認識しています。
それ以上に問題なのがやっぱりコストなんですね。先ほど、佐々木参考人の話ですと、今は百円、それが二〇五〇年には二十円という数字が政府からは出ているんですけど、今と同じコストで鉄を造ろうとすると、もう八円ぐらいじゃないともう勝負にならないという、そういう厳しい現状がある中で、水素って非常に夢のあるようなプロジェクトのようには聞こえるんですけれども、現実問題、本当にそういうのがちゃんとキャッチアップしていくのかどうかという点についてはどう考えればよろしいですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/87
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088・佐々木一成
○参考人(佐々木一成君) 非常に重要なポイントです。三年ぐらい前にこういうようないろんな、こういうグリーン技術のポテンシャルを考える検討会に出まして、各業界さんがどのぐらいの価格、水素が安くなったら経済的に成り立つんですかという話をいろんな業界から聞いたんですよね。そして、その中で鉄鋼系の方が言われて、今私が委員長をやっている水素政策の委員会の資料にも出ていますけど、一立方メートルで今普通に買えるのが百円なんですね。それが八円じゃないと石炭と勝負になりませんよと言われて愕然とした思いが思い出します。
なので、ポイントは二つでして、やっぱり水素を安くするという不断の努力は続けます。これはやっぱり水素関係の供給側が頑張って、少なくとも二十円以下にするというのはマストだと思います。でも、それだけでやっぱり八円まで下げるというのは難しくて、むしろ委員会でも、グリーンイノベーションの会議でも言っているんですけど、むしろグリーンスチールというものに対する環境価値をやっぱり社会に認めてもらって、国際的にも認めてもらって、それに付加価値を足して高く売れるようにするという、その両面がやっぱり必要だと思っています。
これは、やはり国際基準を作るという観点でも大事ですし、やっぱりむしろグリーンスチールを買いたいという企業さん増えているんですよね。グリーン調達という面で増えていますので、その両セットで鉄鋼でも使えるようにしたいというのがポイントじゃないかなと考えています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/88
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089・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。
業界としてはやっぱり一番今CO2を出しているところですので、非常に重要な取組になると思いますので、よく分かりました。ありがとうございます。
続いて、平野参考人にお伺いします。
経営戦略が御専門ということで、ちょっとその観点にもなるんですけど、やはり企業からすると、もう当然、それはもうカーボンニュートラルはやらなきゃいけませんし、先ほどの話ですとそれも市場がちゃんと見ているんだということで、当然取り組んでいると思うんですけど。
一方で、世界全体でですよ、日本のCO2排出量を見ると三%とか四%で、もう圧倒的に中国、アメリカ、インド、ロシアですかね、これでもう半分以上になって、日本はその次で、トータルでいえば三%、四%。とはいえ、もう世界が約束して今やるわけですけど、ただ、企業からすると、やはり正直者が損をするようなことにはなりたくないなという疑心暗鬼の部分もあって二の足を踏んだりする。先ほどの話ですと大企業ではないのかもしれませんけど、ただ、本当にどこまで研究開発、そしてそれを実装化していく、どこまで投資していいのかという不安もやっぱりいろいろ抱えていると思うんですね。
例えば、じゃ、また鉄の話行きますけど、今、佐々木参考人、付加価値という話ありましたけど、造り方変えても透明の鉄ができるわけでもないんで、同じものを造るのに造り方だけ変えてコストがどんと高くなるという、普通に考えるとモチベーションがやっぱり湧きにくいはずなんですけど、ここでやっぱり政府の出番が出てくると思うんですけど、そういう企業とか経営者に対して、やはり政府としてどういう後押しというか導きをするべきだというふうにお考えになりますか。役割ですね、政府の役割。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/89
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090・平野正雄
○参考人(平野正雄君) ありがとうございます。
確かに、CO2のグローバルな排出量からいくと、日本というのはそれほどもうもはや大きくないと。これ逆に言うと、経済規模そのものが相対的に縮小して、それから、ある意味では一定以上の効率性があるということも、これはポジティブに認めるべきだというふうには思います。
ただ、企業にしてみると、目線はやはり国内ということには閉じてはいないというふうに思います。特に産業機器であるとか、あるいはこういうプロセス系の企業であるというところに関して言うと、そうした脱炭素なりカーボンニュートラルの技術そのものというのが次の重要な商材だという認識がまず一つあります、これはこういう企業にとってみると。
先ほど申し上げましたように、アジア連携の重要性ということを申し上げましたが、アジアはやはり日本よりもより切実にやはり化石燃料を使い続けたいと。先ほどありましたけど、石炭火力なんかもむしろアジアは増設をしていくという動きもあるわけです。ただ、それは、同時にやはり脱炭素の取組ということを無視してはできないということですので、そういうのは非常に日本の産業にとってみると重要な事業機会になっていくということだと思います。
そこに対して、今、グリーンイノベーション基金が政府で相当大きな財源をつくっていただいて支援をしていると。鉄鋼の水素還元もその一つですけれども、それ以外様々なものがありますけれども、基本的にはこれは全て産業用途のものでありますので、こういうものを世界展開いかにしていくかというこの販売力、マーケティング力、意思のところというのが非常に企業にとって、まず大企業が中心になりますけれども、重要かなと思います。
それから、付加価値転換は、さっき申し上げましたけれども、やっぱり最終需要家である、まあ日本に閉じていないというふうに申し上げましたけど、やはり国民の意識みたいなことを変えていき、こうした脱炭素の価値というものを認識もするし、そういうカーボンニュートラルの社会を実現していくためのやはり関与の仕方、そういう意識を国民がひとしく持っていくということは非常にその転換を早めていく重要なことだと思うんですね。
そういう意味においては、やっぱり教育の世界も含めてなんですけれども、それも高等教育だけではなくて、むしろ中等教育とか若い人たちにとってみても、こういう脱炭素の流れであるとか、あるいはカーボンニュートラルの重要性、そういうものの価値をちゃんと見ていくというようなことの教育をしていくということも、これも政治の役割だろうというふうに思います。
社会全体でこうしたことを、もちろんコストが上がっていく部分というのはありますけれども、これを価値に転換していくというのは企業の役割ですし、それからそういうものを支援するようなまた市場をつくっていくということも重要じゃないかなというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/90
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091・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。
じゃ、最後に浅岡先生にお聞きします。
再生エネルギー、これにどんどんシフトしていく、それはもう確かに重要なことですし、クリーンで一番いいとは思うものの、やはり電力の安定供給という観点で、再生エネルギー一本足打法になってしまうとやはりリスクが高いなというふうに思います。私も、そうやって資源を調達するときはいかにリスクを分散するかというのがもう大前提でしたので、高くてもやっぱり買わなきゃいけない、分散しなきゃいけないというふうにありました。
浅岡さんは、その辺について、一本足打法なってしまうと、この間の三月の二十二日ですかね、ああいう電力需給が逼迫したりとか、ああいうこともやはり現実問題ありました。その辺も踏まえてどのようにお考えになりますか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/91
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092・浅岡美恵
○参考人(浅岡美恵君) まず大前提として、再生可能エネルギーを拡大するというところの大前提は、エネルギー需要を大きく削減していくということがまず必要なわけです。二〇五〇年にかけては本当に半減程度していくことが必要だと。
そこにはいろんな方策がございます。例えば、製鉄の話ございましたけれども、高炉はもう、一か所、一基の高炉で日本の排出量の一%を出すわけですよね。そういうものでありますが、もう既に日本などはたくさんの鉄がある、非常に鉄があると。これを電炉でやっていくことによって相当大きな削減になり、それでも十分な性能のものを造っていくと。こういうのをエネルギー需要を削減していくというような話につながるものが様々にあるわけでございます。
そうして需要を削減した中で、再生可能エネルギーへのシフトは、IEAですら八八%まで再生可能エネルギーには転換していくんだというこの基本ベースがあるということは、それはできるし、それがコスト合理性もあるということを見ていることであります。
再生可能エネルギーというのは、一つではなくて大変多様なのです。風力と太陽光は夜と昼と役割が違うというふうにありますし、水力や、揚水もその範囲とすれば非常に安定的なベースを確保できるものであり、地熱もそれに近いものでありますとか、多様なわけです。風力の中でも、場所によってそれは風況も違います。トータルで合わせると全体として調和ができると。日本の国土はいろいろな地形状況がありますから、そういう意味でバランスが平準化されていくと。
私は、スペインでそれをコントロールしていたコントロールセンターも見に行ったことありますけれども、本当にそういう平準化効果というものが、あっちで動き、こっち側は止まり、あっちは動きという中で行われている。そうしたことを、まず再生可能エネルギーというのは、基本はそういう、最大限活用する、多様性を含めてもっと広めていくことによってそれがおのずと平準化される部分があります。
それでも、確かに一部、そういう変動性に対応しないといけない部分。これはよく、最近になって本当によく言われているのは、自動車がEV化していきますと燃料電池が、燃料電池じゃなくて自動車の電池というものは今後どんどん増えていきます。十年ぐらいいたしますとそれがまた置き換えられていくというところで、その古くなった、自動車で使われないような電池でも大変そのストックとして蓄電池的な役割というのは十分働くものだと、そんなようなことなどが次々と出ておりまして、今まで一般に言われるような、再生可能エネルギーが非常に不安定だから火力でバックアップが要るんだ、そんなような話ではないと。
火力に頼る限りにおきましては、鉄鋼でもそうなんですけど、IEAでも、CCSで収められるところは世界中で三%ぐらいしか需要がないと考えられて、それくらいしかない、コスト的にもそれくらいしか見合わない、それもピーク時の対応にだけ、コスト的にも途上国ですら、それが対応、見合うものというのはそんなぐらいだと。
これがやはりいろんな研究の中で今時点でもそこまで来ているということなので、もう少し柔軟に日本の次の進路、まさにこれはリスクなんですけど、まさにそれが機会なんで、リスクと機会だというふうに国連も常に強調しておりますので。
また、機会につきまして、鉄鋼につきましては、本当に機械メーカーが国際市場に参入しようとするときに、非常にCO2排出ばっかりの鉄というものは使えないと、そういうことまで言われるのはもうそう遠くない時期だと、そう理解していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/92
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093・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/93
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094・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げたいと思います。
本日は、参考人の皆様に長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。今日いただきました御意見、しっかり今後の審査に生かしてまいりたいと思います。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00820220511/94
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