1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十二日(木曜日)
午前十時二分開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
宮島 喜文君 阿達 雅志君
五月十二日
辞任 補欠選任
阿達 雅志君 佐藤 正久君
中西 哲君 宮本 周司君
吉川ゆうみ君 宮島 喜文君
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出席者は左のとおり。
委員長 石橋 通宏君
理 事
青山 繁晴君
堀井 巌君
矢田わか子君
石井 章君
岩渕 友君
委 員
阿達 雅志君
石井 正弘君
北村 経夫君
佐藤 正久君
中田 宏君
松村 祥史君
宮島 喜文君
宮本 周司君
岸 真紀子君
森本 真治君
河野 義博君
里見 隆治君
三浦 信祐君
山崎真之輔君
ながえ孝子君
安達 澄君
国務大臣
経済産業大臣 萩生田光一君
副大臣
経済産業副大臣 石井 正弘君
環境副大臣 大岡 敏孝君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
政府参考人
農林水産省大臣
官房審議官 川合 豊彦君
林野庁森林整備
部長 小坂善太郎君
経済産業省大臣
官房審議官 福永 哲郎君
経済産業省大臣
官房審議官 新川 達也君
経済産業省電力
・ガス取引監視
等委員会事務局
長 佐藤 悦緒君
資源エネルギー
庁長官 保坂 伸君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 南 亮君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 茂木 正君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
中小企業庁事業
環境部長 飯田 健太君
国土交通省大臣
官房審議官 塩見 英之君
環境省大臣官房
審議官 白石 隆夫君
環境省大臣官房
審議官 森光 敬子君
環境省大臣官房
地域脱炭素推進
総括官 上田 康治君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○安定的なエネルギー需給構造の確立を図るため
のエネルギーの使用の合理化等に関する法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/0
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001・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、宮島喜文君が委員を辞任され、その補欠として阿達雅志君が選任されました。
また、本日、中西哲君が委員を辞任され、その補欠として宮本周司君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/1
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002・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省大臣官房審議官川合豊彦君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/2
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003・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/3
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004・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/4
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005・森本真治
○森本真治君 おはようございます。
立憲民主党の森本真治でございます。よろしくお願いをいたします。
一昨日に続きまして質問をさせていただきたいというふうに思うんですが、昨日、参考人の方にお越しいただいて、様々な御意見を頂戴をいたしました。その中で、今のこのウクライナ情勢、ウクライナ危機等、またこの燃料高騰問題、世界的な資源争奪競争が起き始めているような状況の中でのエネルギー政策をどのように考えていくのかというような私も参考人の方に御意見をお伺いしたところ、やっぱり特に強調されたのが、エネルギー安全保障ということについても特にやはりこの議論の中でも特に意識をして進めていただきたいというような御意見も先生からもいただいたところでございます。
そういう中で、一昨日、私、ロシアの石油の禁輸表明、岸田総理が九日にされて、十日の質疑ということで触れさせていただいたんですが、そのときに大臣からも、やはり国民生活、経済への影響などということも慎重に見極めながら、この間はやはりロシアからの石油の禁輸についても慎重姿勢だったというふうに思うんだけど、G7での足並みをそろえると、そこの大切さということでの今回の決断だったという話もあったと思うんですね。
報道各紙なども、その一昨日、火曜日の報道、各紙報道されていたんですけれども、私の地元の広島の中国新聞は、この報道の中で、一番の見出しがあって、二番目の見出しですね、二番目の見出しは、LNGへの波及警戒というのが大きく二番目にこれは書かれております。そして、これ、私もこの間、委員会でも取り上げさせてもらっているんだけれども、このサハリン2ですね、LNGの調達で、広島は広島ガスさんがあって、LNG調達全体の五割、広島ガスさん、これはサハリン2から調達をしているということで、LNGへの波及警戒、広島ガスなど高い依存度ということが大きくこれニュースとしても報道されているというところでございました。
そういう中で、これは昨日の日経新聞の一面トップでございますが、EU大統領に聞くということで、日経新聞がインタビューを、EUのミシェル大統領にインタビューをされている中で、ロシア産禁輸、ガスもということで、ロシアからの輸入停止措置の中で天然ガスにも広げるということを表明したという記事が昨日これ出ておるんですね。
一昨日の大臣の答弁もあった、やはり国際社会と足並みをそろえなければならないという、まあ私はジレンマという言葉を使わせていただきましたけれども、本当にこの私の地元でも警戒するようなことが起きつつあるんではないかという懸念が広がっております。
まず、これ、経産省、お伺いしたいと思うんですけれども、今回、EU大統領がロシアからの禁輸、天然ガスまで広げるということの発言に対して、国際社会との足並みをそろえなければいけないという、そういうこともあろうと思うんですけれども、まずは御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/5
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006・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) EUのミシェル大統領がロシアからの輸入停止措置を天然ガスまで広げるとの発言をしたことは承知をしております。
エネルギー分野のロシアに対する制裁については、これまでG7を始めとする国際社会と連携し、石炭輸入のフェーズアウトや禁止、石油の原則禁輸など、機動的に厳しい制裁措置を講じてきました。とりわけ石油の原則禁輸は、エネルギー資源の大部分を輸入に頼っている我が国としては大変厳しい決断ではありましたが、G7の結束が何よりも重要なときであり、今回のG7首脳声明も踏まえて決断したところでございます。
一方、先日も御答弁させていただきましたけど、代替措置なき禁輸をしても、これはもう国民が困るだけですし、日本経済がおかしくなってしまいますので、一定の時間を得てしっかり代替措置を考えていかなきゃならないので、フェードダウンを目指していくという大きな方向を決めたというところでございます。
追加の制裁措置については現時点で予断することは差し控えたいと思いますが、一方で、エネルギー自給率がG7の中で最低という我が国の脆弱なエネルギー需給構造を踏まえつつ、エネルギーの安定供給を確保し、国民生活、経済活動をしっかり守りながら、いかにロシアのエネルギーへの依存状態から脱却を進めていくか、現実を、現実と実態をしっかり踏まえながら、慎重に検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/6
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007・森本真治
○森本真治君 ロシアからの依存を低下を、依存度を下げていくという、これはエネルギーの安全保障の観点からも非常に私も重要なことだと思いますし、しっかりとした、今、政府の方でも様々な方策についても考えて、そして一昨日も議論をさせていただいたように、国もしっかりと主体的になって、このエネルギー安全保障の部分、民間任せにすることなくしっかりと対応していただきたいということでございますが、一方で、今世界中でこのロシアに対する制裁措置ということも行われているんだけれども、本当にこのウクライナ危機というものは長期化もしていく様相もある中で、私は本当にこの制裁措置というのの効果というのは、これはなかなか経産省さんも御説明しづらいかもしれないんだけれども、一方ではやっぱり現実的な対応もする中で、表明はしますよ、表明はするんだけれども、実際にその実施という部分がどうなのかというときに、本当にこの制裁措置というものがどこまでの効果を与えているのだろうかということもちょっと思うこともあるのが一点と。
あとは、このサハリン2の権益をもし仮に返上したとしても、これはロシアの本当に制裁になるのかどうかというようなことも含めてなんですけれども、その辺りもしっかりと、認識というか、議論をしながらやっぱり政策の実行を行っていく必要もあろうかというふうに思うんです。国際社会との足並みをそろえるということ大事なんだけれども、本当に今のこの制裁措置の方針を表明していることがロシアの制裁につながっているのかどうかということですね、その辺りもちょっと懸念するところでもあるんですが、その辺りの認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/7
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008・保坂伸
○政府参考人(保坂伸君) お答え申し上げます。
岸田総理や、今、萩生田経済産業大臣からも申し上げましたが、繰り返し申し上げておるところでございますけれども、仮に我が国がサハリン2から撤退をして我が国の権益をロシアや第三国が取得する場合、ロシアを逆に利したり我が国のエネルギー安全保障を害することとなりまして、有効な制裁とならない可能性がございます。
より具体的に申し上げますと、仮に日本勢が撤退しロシアに権益が渡ることになりますと、現在サハリン2からは、日本は長期契約、十五年とか二十年、長期契約で比較的安い価格で輸入をしているわけでございますが、現在、世界中、ガスの争奪戦になってございますので、スポット価格は非常に上がってございまして、仮にロシアに権益が渡るということになりますと、ロシアは日本向けの安い長期契約ではなくてスポットに出しますので、より高い価格で当該権益からの生産物を第三国や市場で売却することでより多くの外貨を稼ぐことになります。制裁に参加しない第三国に仮に、ロシアでなくですね、第三国に権益が渡る場合も、同様に彼らを利することになります。
一方で、我が国企業は、足下ではより高い対価でほかのところから、石油や天然ガスを市場から調達せざるを得なくなります。あるいは、代替調達先が確保できなければ、国民生活や経済活動そのものに多大な犠牲を強いることとなります。
このように、ロシアに対する制裁の実効性を確保する観点からも、サハリン2の権益につきましては引き続き維持していく考えでございます。
いずれにせよ、我が国としては、エネルギー安定供給をしっかり確保しながら、G7を始めとする国際社会とより連携して適切に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/8
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009・森本真治
○森本真治君 昨日の参考人の先生からの御意見でもありましたのは、今の本当にこの状況、まさにこれはエネルギー問題に関して言えばガス危機ですね、石油危機というのがありましたけれども、ガス危機だというようなことを発言をされた先生もいらっしゃったわけです。
天然ガスも、本当に限られたパイの小さな中で、その争奪戦というようなこともこれから起きていくという中で、非常にこのウクライナ問題というものとも絡めながらですけれども、本当に高度なこれは政治判断というものがこれから我が国にとっても求められていくという、非常に私は相当なやはり緊張感を持たなければならない今局面だというふうに思っております。これは、政府はもとより国会も含めた、特にこの経産委員会は所管でございますので、このエネルギー問題のですね、しっかりとした議論というものをこれからもこの委員会でもしていかなければならない、そのようにも思っておるところでございます。
そういう状況でございまして、法案に関わるような、関わる内容についても何点か確認もしていかなければならないというふうに思うんですけれども、これも一昨日、私、問題意識として述べさせていただいたのが、このエネルギー政策をこれから議論をする大前提としてのやはり安定的なエネルギー供給というところ、ここを常に意識しながらのエネルギー政策、そして電力政策などについての議論を進めなければならないというふうに思います。安定的なエネルギー供給というのが非常に今脅かされている事態が発生をしているという中で、三月の地震の後の電力逼迫問題というのもありました。その前からでありますし、ウクライナ問題前からでございますけれども、燃料の価格高騰といった問題もこの間続いてきているわけでございます。
ちょっと私、その都度思うことがあるんですけれども、ちょっと電力の不安定化というようなことが起きるたびに、じゃ、政府として国民に対してどのような、例えば経済への影響を最小限に抑えるということで迅速な対策というものを機動的に行っているのかということ、私よく分からないんです。よく大臣なんかも今回の電力逼迫などで節電のお願いというような、警報を出すとかですね、そういうようなことはあると思うんですけれども、お願いベースで、基本的には経済界さらには国民に協力要請をするというレベルというのでは、やはりちょっともう少し政府としての、何といいますか、主体的な対策というもの、政策というものをもっと示していただきたいなと日頃ちょっと思っていたんですけれども。
この私の認識ですね、本当に国民任せでこういう危機を乗り越えていこうというふうに受け取れてしまうんですけれども、それについての経産省さんの考え、認識を聞かせていただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/9
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010・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、電力というものは国民生活や経済活動に不可欠なものでございまして、その安定供給というものは最終的には国がしっかりと責任を持って対処していくことが重要だというふうに考えてございます。
足下で火力発電の休廃止が急増しているということは、電力システム改革、自由化と安定供給という課題に今直面しており、この対処が非常に重要な時期に差しかかっていると認識しております。これは毎年、なかなか私ども説明が尽きていないのかもしれませんが、年度年度で需給の検証作業ということを専門家を含めて徹底してやってございます。自由化の中でだんだん供給力が細っていくということも見ていられるわけでございますので、これに対して、現状を踏まえ、対策として、供給面、そして最終的には需要面ということになってくるわけでございますが、毎年講じてきているところでございます。
昨年度、二〇二一年度の冬につきましては、昨年行いました検証作業の中でもあらかじめ厳しい予想がされてございました。このため、東京エリアで初めてこの供給力を強化するための公募というものを実施しまして、休止電源の再稼働を促すことで厳冬期、一月、二月というところの冬の急場をしのいだわけでございます。一月、二月の大雪の際には、この公募で活用した、再稼働した電源をフル活用して何とか安定供給を支えていたわけではございます。
一方で、この三月十六日の地震ということによって供給力が失われてきたことと、同時にその時期をちょっとずれたところでの需要の大きな増加ということが三月二十二日の需給の逼迫につながったところでございます。安定供給という観点からいいますと、起こった事象ということを真摯に受け止めて、改めて必要な対策というのを講じていく必要があろうかと考えてございます。
今年の夏、冬の、今年度の夏、冬に対する対策は今検証作業を行っているところでございますが、夏は辛うじて供給力、安定供給が維持できるぎりぎりのラインでございますが、発電所のトラブルや、さきに委員が御指摘ございましたようなウクライナ危機による燃料供給に関する不安というものもございますので予断を許さない状況だと考えますし、また、冬について言いますと、東京エリアでは安定供給に必要な三%を下回るマイナスの水準、全国的にも非常に厳しい状況が続いてございます。
短期的に供給力の確保策としての公募、燃料在庫のモニタリング、追加調達、さらには今回の法案に盛り込んでございます廃止、休廃止の届出制の運用等を通じましてしっかりと対策を講じていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/10
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011・森本真治
○森本真治君 ちょっと今、私、重要な答弁だというふうに思ったのが、安定供給の最終責任と言われたか、責任、国だというふうに言われたところ、ちょっともう一度再確認をさせていただきたいんですけれども。
電力の自由化というのがあって、これ、それまでの電力供給責任というものが電力会社に課せられていたというふうに思うんだけれども、それが、自由化の中で本当にその最終責任を誰が担うのかというところが私は実はこれ不明確になっていたんではないかなというふうに思っているんですけれども、今の御答弁では、本当にこれ、電力が不安定化をしていろんな問題が発生したときでも最終的にはきちんと国が責任を取るという御答弁でよろしかったのか。これ法的な根拠とかもあるのかどうか、ちょっと私もちょっと今きちんと整理していないんだけれども、そこも含めて国が最終責任を負うということでよろしかったんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/11
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012・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
もちろんのことながら、国としましてはエネルギーの安定供給というのの責任を負っているわけでございますので、最終的には国がこの責任を持ってその行政を行っていく。ただ、これを実施していくのは電力事業者さんに当然なるわけでございます。
システム改革の前は、これは地域の独占する電気事業者さんが責任を持って上から下まで全部、発電から小売までということになっておったわけですけれども、現在、システム改革後につきましては、小売電気事業者という方が、方々が契約の下での相対的な供給の責任を負い、そして同時に、一般送配電事業者という送配電の方々が周波数を調整するということで調整するための調整力を持つという義務を負い、これを広域機関という方が全体で調整をしていく、これを全体として指揮管理していくのが国であるという形になってございまして、システムは変わっているわけですが、最終的には国はしっかりと責任を持って電力の安定供給に尽くしていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/12
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013・森本真治
○森本真治君 ちょっとこの後幾つか議論をしたいというふうに思いますが、電力システムとしてしっかりとそこを築いていく責任が国にあるというような言い方かなというふうにも思ったんです。実際に、この後やりますけれども、例えば最終保障供給などは、これは民間ですけれども、じゃ、そこの最終保障供給の機能が崩れてしまうというおそれも今実はあるんではないかという問題意識を持ってこの後やらせてもらおうと思っておるんですけれども。
それで、これももう連日と言っていいほど報道をにぎわしているのが、の一つとして、今日もここに新聞の記事ありますけれども、これは四月二十二日の日経新聞でございますが、電力難民、企業四千件超というようなこれは報道です。
要は、電力市場価格の高騰がもうずっと続く中で、一昨日も何人かの先生議論されておりましたけれども、新電力の破産が相次いでいるというような状況。これ、電力システム改革の中で、競争を促して、電気料金が下がっていって、需要家の皆さんの選択肢が広げていくという、そういうことを目指していたんだと思うんですけれども、もろくもそういう思いが崩れてしまった。まあ市場の失敗と言っていいのかどうかちょっと分かりませんけれども。どんどんと燃料価格が、むしろ競争にしていても高騰しているという状況の中で、そうはいっても、やっぱり会社の、電力会社の方もですね、新電力の方もそこまで電力料金も上げれないということで会社負担も増えて倒産が続発しているというような状況だというふうに思うんですけれども。
今のこの状況、小売の中での非常に混乱が起きている状況について経産省としてはどのように受け止めているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/13
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014・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、今、電力事業、電力小売事業をめぐる環境というのは非常に厳しい状況になってございます。背景として考えますと、一義的には燃料価格が、先ほどの議論にもございましたように、国際的に非常に高騰している状況、高い水準に続いているという状況がございまして、それを受けた形で卸電力市場の価格が上がっていると、いわゆるその電力の調達コストというのが非常に高くなってきているというのが背景として考えられるところでございます。
燃料価格高騰に伴う市場価格の上昇ということ自体は、ある意味、市場としては自然な流れなわけでございますし、国際的には同じようなことが起こっているかと考えています。
問題は、この際に小売電気事業というものが資源価格や市場価格の変動等のリスクの中でどのようにこれ対処していくかと、多様なメニュー若しくは低廉な価格の料金を維持していくことができるかどうか、これが小売事業の方々、事業者の方々の事業戦略の肝になる部分かと思っております。ですので、今回の事象に対して言えば、非常に苦しい経営に直面していらっしゃる事業者さんもいれば、先手先手を打たれて対応を進めていらっしゃる事業者さんもいらっしゃると思います。
市場改革、電力の自由化ということで多様なメニューというのが提供されてきたわけですが、より健全な事業体質、体制ということが構築できる応援をしていく必要があろうかと思っておりまして、昨年の逼迫の教訓を基に、リスクヘッジの検討を行っていただけないか要請をいたしますとともに、その手法に関する勉強会の開催、若しくは変動リスクに対する指針、参考事例集のものを提供してこういったことの応援をしているところでございまして、引き続き、小売事業者の方々の事業の改善、こういったものに対する対応策、対応力の強化ということに取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/14
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015・森本真治
○森本真治君 今の御答弁聞くと、ある意味これは自由競争ですから決して間違ってはいないのかもしれないけれども、大体七百社ぐらいですか、新電力、ある意味いい会社もあれば悪い会社もあるというかですね、これはやっぱり競争の中でしっかりと体力を付けてもらって、しっかりとそこでやっていくという、まあある意味でこれは市場の原理原則の中でというようなことも強調されたのかなというふうにも思いましたけれども。
少なくとも、今、結果として、この市場、自由競争を導入をしたということは、やっぱり電気料金が下がっていって、サービスも、市場というのは民間、サービスも向上させてというところとは違う方向にも今なっているということで、電力に対するこの自由化という、市場の力を借りようというやり方が本当にこれがいいのかどうかということも含めてのやっぱり検証ということにもなってくるのかなというふうに思います。
国際社会全体として今燃料が高騰しているという中でのこの電気料金の値上げということだと思うんですけれども、ちょっとこれ経産省さんの方に今後の見通しも聞きたいんですけれども、本当に、今、原油、天然ガスの供給が不安定化している状況ですね。これは本当にもう長期化していくというか、ある意味もうこれが標準にもなっていくんではないかというような、専門家の皆さん、そういう予想をする方もいらっしゃると思うんですけれども、電気料金も含めてですけれども、今後のトレンドというか、どのようになっていくんだろうかということ、これも国民の皆さんも非常に不安なところだと思うんですけれども、現時点での見通しというか見立てというか、それも聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/15
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016・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) まず、原油や天然ガスに関する需給の見通しでございますけれども、現在、需要面では、オミクロンですとかロックダウンの影響が一時的には懸念されておりますけれども、世界経済、さらに原油の需要は基本的には回復基調で推移してきているというふうに考えてございます。
一方、供給面でございますけれども、こちらは、OPECプラスがその増産をしてきてはいるんですが、そのペースが限定的であること、さらには脱炭素の流れの中で上流開発への投資不足、これが起きておりまして、その結果、アメリカのシェールオイルですとか一部産油国の生産回復の伸び悩みや停滞が生じているという、こういうその構造的な状況が底流にあるというふうに考えております。
加えて、まさに今年のロシアのウクライナ侵略が大きな不安定要因として乗っかってきているという状況であるというふうに認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/16
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017・森本真治
○森本真治君 今後の見立てというか、やっぱりこういうのは長期化していくのか、この燃料の高騰とかですね、まあ今資源がどんどん少なくて、冒頭でもガスの争奪戦とかというような話もさせていただいたけれども、やっぱりこういう状況は長期化していくというふうに考えていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/17
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018・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) ちょっと今後の予測については政府としては予断を持って申し上げられませんけれども、基本的には、こういうその需給がかなりタイトになってきているという構造的な要因がございます。あとは、ウクライナのこの不安定要因、これがどれぐらい長期化するかということにも多くよると思うんですけれども、こういうその構造的な要因が背景にありますので、一定の期間はこの高騰基調というのは続くのではないかというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/18
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019・森本真治
○森本真治君 もう一つ、今のこの新電力の倒産が相次ぐような状況の課題として、価格が高騰しているということに加えて、そもそものこの制度設計の問題もあるんではないかというふうにも、これは、電源を持たない、小売事業者ということですよね、皆さん、電源、電力も買って、事業者さん、それを売っているという状況で、自ら電力をつくっていないという中で、これで事業を継続していくということについては、やはり事業継続というのが困難になるんではないかということを、制度をつくる当初からそういう指摘があったというふうに私も聞いておるんですけども、そもそものこの小売政策、今のこの新電力という形での小売政策のこの制度設計自体についての課題というものは今の状況の中ではあるんではないかというふうにも思うんですけども、その辺りについても聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/19
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020・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
電力システム改革は、従来のその地域独占というものを排しまして日本全国で融通をしていくと、あと自由化ということによって需給に応じた形で実際の参入と退出ということでやっていくということで、効率化を生み多様なサービスを生んでいくということにシステムを変えていくという方向性でございました。
今、それを具体に実施しているところでございますが、特に小売の自由化に関して申し上げますと、まずは多様な数多くの事業者の方々に参入していただいて、様々な工夫の下での事業展開とサービス提供をしていただくということを念頭に置きながら、小売事業者の参入ということと供給力の確保というのは一定程度分けた形で制度の整備を行っているところでございます。ですので、小売事業者の登録に当たりましては、委員から御指摘ございましたように、その事業者さん自身が自ら電源を保有する形でなくとも事業参入ができるということにしているところでございます。
一方で、その供給力の確保というところについては、現状においてかなり逼迫する状況が出てきておりますので、この負担の在り方ということも考えながら供給量の確保策ということは考えていきたいと思っております。
先ほどの小売政策そのものについて申し上げますと、多数の事業者がいらっしゃる中で、様々な経営状況にある。仮に新電力の倒産等が行われますと、託送料金とかインバランス料金の未払などが発生しまして、社会コストの増大ということにもつながりかねないと思ってございます。
そういう観点から考えますと、諸外国の例も参考にしつつ、リスクが大きく変化している中での小売事業者さんの経営体質、財務強化等々についていかにこれを強化できるか、これをどう確認していけるか、こういったことについて今専門家の方々に審議会で御議論いただいておりまして、そういうことも含めて今後あるべき姿というのを検討を深めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/20
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021・森本真治
○森本真治君 今のこの小売政策というか新電力の問題、ちょっと、最後ちょっと私もまとめさせていただくと、まずは一つは、今のこの自由化の中でしっかりと事業者の皆さんの例えば創意工夫とか経営努力というものでまずは今整備をまずしていくという、まだ途中段階だという今の認識かなというふうにも思ったりもしたんですが、一方で、審議会などでもいろんな議論もしているということでございますが、本当にそういうような、もうちょっと様子を見ようという段階として今位置付けていいのかどうかというところについては、ちょっと本当に今予断を許さないような状況にもなりつつあるかなというふうにも思っておりますので、しっかりとこれは委員会、国会の中でも議論をしなければいけない問題だということを改めて今日認識をさせていただきました。
それと、安定供給の最後のとりでというか、最終保障制度、最終保障供給についてのところもちょっと確認をしたいんですけども、まずちょっと、これ参考人の方で最終保障供給というのがどういう制度かということをちょっとまず御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/21
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022・佐藤悦緒
○政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。
最終保障供給制度でございますが、本来、これ、どの小売電気事業者とも契約できない需要家のためにセーフティーネットとして措置されたものであります。ですので、継続的に利用されるようなことであると幾つか課題が生じるものと考えておりまして、最後のとりで、安定供給のための最後のとりでだというような理解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/22
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023・森本真治
○森本真治君 最後のとりでなんだけれども、これ、例えば新電力の会社の、この小売事業者の皆さんからも少し多分声が寄せられているんだというふうに思うんだけれども、もう事業者がいない、もうお願いできる、変える会社がない場合の最後に保障として、セーフティーネットとしてあるというふうに今の御質問、御答弁でも理解するんだけれども、電力会社も七百社くらいあって、今、倒産が三十件もう超えていますけれども、まだ六百社以上の電力会社があるんだけれども、じゃ、そこの方に契約をせずにもう最終保障供給の方でお願いをするという、そういうケースが多くなっていることについて、やっぱりこれは自由競争が阻害されているんではないかというような声が上がっているというふうに私聞いているんですけれども、その辺りのこの制度の在り方自体の今ちょっと課題も出ているんだというふうに思うんですが、経産省さんの認識聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/23
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024・佐藤悦緒
○政府参考人(佐藤悦緒君) お答え申し上げます。
今先生が御指摘いただきましたように、このセーフティーネットが継続的に利用されるということになると、御指摘いただきましたように、新電力と契約するよりも割安となることによって、最終保障供給制度自体が自由競争を阻害しかねないということは私どもとも認識をしているところでございます。また、その一般送配電事業者の調達費用が最終保障供給料金を上回ると、その経営にも影響を与えない、与えかねないということも課題として認識をしております。
他方、需要家の方にとりましては、最終保障供給料金はこれまでの契約水準と比較すると割高なものであるため、現に需要家からは高いとの声もありまして、各主体によって利害関係が相違している状況でもございます。
こうしたことから、それぞれのステークホルダーの間での合意形成を図るため、最終保障供給料金の在り方について、有識者から成る審議会で御議論いただいているところでございます。ただ、検討を加速して、可能な限り速やかにどうするか結論を得てまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/24
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025・森本真治
○森本真治君 制度の課題などについても恐らく認識をされて、今議論をされているんだというふうに思います。いろんなこれまでの電力システム改革の中での課題が本当に顕在化を今しているような状況だというふうに思っておりますので、しっかりとその辺りについては経産省としても鋭意制度の見直しなども含めた議論というものを進めていただければというふうに思います。
ちょっと時間の方が迫ってまいりましたので、ちょっとテーマを次のテーマにさせていただいて、今回の法案でもあります脱炭素燃料や技術への支援強化という観点で何点かお伺いをしたいと思うんですけれども。
特にカーボンリサイクルの取組ということで、これ、私も、経産委員会、何度か取り上げさせていただいておりますけれども、私の地元の広島県大崎上島でこのカーボンリサイクルの研究というものがこの間進んでおるわけでございますが、経産省さんが、私の理解では、二〇一九年、この大崎上島を企業、大学等による研究も行える実証研究の拠点として整備するということを経産省さんとしても発表されているというふうに思うんですが、その内容、また現在の取組状況について御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/25
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026・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございまして、現在、広島県大崎上島をカーボンリサイクル技術の実証研究拠点としまして、CO2から化学品、燃料、鉱物などを生み出す技術の開発、実証を集中的に実施すると、そのための拠点整備を進めているところでございます。既にCO2を原料としたコンクリートは実用化に成功しておりますし、CO2を吸収する藻によるバイオジェット燃料、この生産についても実証が始まってございます。また、水素と反応させてメタンを合成するメタネーション技術の研究も進んでおります。
カーボンリサイクル技術の実証研究拠点整備などを通じまして、カーボンリサイクル技術を確立し、更なるコスト低減や社会実装を進めていくところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/26
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027・森本真治
○森本真治君 御答弁いただいて、個別のいろんな研究という具体的な今お話をしていただいたんだけれども、実は、これ、広島県の方から要望として上がっているのが、この国が進める大崎上島の拠点化、このカーボンリサイクルなどのですね、これのイメージ、あるべき姿というか、今後の将来に向けてどのような将来図を描いてそれに向けて進んでいくとかというような、そういうイメージが明確になっていなくて、整備方法、運営方針等をしっかりと地元としては国と共有をしながら今後進めていきたいという要望が上がっております。
そういう中で、広島県は広島県として独自に、二〇二一年から広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー構想、推進構想というものを掲げて様々な取組をこれから展開していこうということで、カーボン・サーキュラー・エコノミーというのは、これ造語ですけれども、カーボン、炭素と、サーキュラーエコノミー、循環経済ということでございますが、CO2を資源として捉える。要は、CO2は悪者だ、悪玉だということから発想を転換して、CO2を資源と捉えて、CO2が生物や化学品、燃料等様々な形に変化しながら、自然界や産業活動の中で、大気中のCO2を増加させることなく、持続的に循環する社会経済をつくっていこうということで、今広島県がその取組を進めようというふうに考えておるわけでございます。
国としても、是非、この広島県のカーボン・サーキュラー・エコノミー推進構想、しっかりと連携をしていただいて、強力に後押しをしていただきたいと思うんですけれども、経産省のお考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/27
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028・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答えいたします。
広島県の方では、委員御指摘のとおり、昨年、カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会を設立し、カーボンリサイクルの研究開発などを通じて地域振興をしていくという取組をスタートされたというふうに承知してございます。
国といたしましても、この技術の社会実装を加速していくため、広島県内の企業、研究機関などとの共同プロジェクト推進と、こういうことも視野に入れながら、地元の方としっかりコミュニケーション取ってより具体的なイメージを共有しながら、この拠点整備が進むように地元ともしっかり連携して今後の取組を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/28
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029・森本真治
○森本真治君 この大崎上島での様々な取組の実証研究、冒頭、具体的なお話もいただいたんですが、もう一つ確認をしたいのが、大崎クールジェンプロジェクトというものもあります。これについては、石炭火力の高効率化、次世代化に向けて今実証研究が進んでいるというふうに思うんですけれども、その概要について御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/29
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030・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
石炭ガス化複合発電、いわゆるIGCCは、従来の超超臨界圧の石炭火力発電に比べてCO2排出量を約二割削減できる最先端レベルの技術でございます。まさにこの技術を実用化すべく、大崎クールジェンプロジェクトとして二〇一八年までに技術を確立し、実用化に向けた見通しを得たところでございます。
現在、今年度は、この取組を土台としまして、このIGCCから排出されるCO2を分離回収する設備などを併設した上で、回収したCO2を資源として活用するカーボンリサイクル技術の開発、実証試験も進めていくこととしております。
来年度以降は、この成果を基本的には民間事業者に活用していただくことになりますけれども、国としてもしっかりと、二〇五〇年に向けて、IGCCのような革新的な石炭火力やCCUSなどを活用し、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える取組、これを加速することでカーボンニュートラル実現を目指していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/30
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031・森本真治
○森本真治君 今年度までのこの実証研究というIGFCですね、これ、だから今年度である程度その実証研究については見通しが立って、来年度以降は民間などの方でもう実用化などに向けての段階に、ステージに入っていくという意味ですか。
ちょっと是非お願いしたいのが、やっぱり来年度以降、ちょっと国の方でもいろいろ連携というようなお話もあったかなと思いますが、やっぱりここでこの大崎上島を拠点としたクールジェンプロジェクト、まあ第四段階と言っていいのかどうか分からないけれども、やっぱりそこをもう拠点にして、これ広島県などもしっかりと大崎上島を拠点にというような思いも持っているんで、是非そこは国としても予算をしっかり付けてもらって、来年度以降も様々な展開をしていただきたいと思いますので、もうちょっと答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/31
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032・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 御指摘のとおり、現在、このIGCCの実証試験は第三段階、最終段階を迎えておりまして、今年度は、いわゆる石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFC技術の実証をやるという計画でございます。一応、このプロジェクトについては今年度が一応一つの期限ということでございますけれども、その後も、やはりカーボンリサイクルの拠点整備と、これに関して国のサポートはしっかり続けていく予定でございますし、この今までのIGCCの取組をどういうふうに民間事業者と連携して活用していくかということについては、今後の在り方について国としてもしっかり検討を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/32
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033・森本真治
○森本真治君 そのようにしっかりと国としても取り組んでいただきたいという意味におけば、例えば、これ一つ今回の法案でも、供給構造の転換ということで、水素、アンモニアなどの活用とか、あとはCCSの利用促進というようなことが今回の法案ではあるんだけれども、本当にこの今回の大崎でのようなIGCC、場合によってはIGFCという、CCUですよね、カーボンリサイクル技術の推進ということもこれ法的にもしっかりと位置付けていただいて、長期的なこの国家プロジェクトというか、二〇五〇年に向けてしっかりとその姿勢を示す、法的に位置付ければ当然予算もしっかりと付くというふうに私は考えるんだけれども、やはりもっとこれは今回の法案でも踏み込んでいただきたいなというふうに思ったんですけれども、その辺りについての御認識もお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/33
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034・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
今回の法案とまさにIGCCやカーボンリサイクルなどの関係でございますが、今回の法案におきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けまして、CCSのように化石燃料の利用に伴って発生するCO2が大気中に放出されないように回収しまして貯蔵するという措置を、エネルギー源の環境適合利用としましてエネルギー供給構造高度化法に位置付け、電気事業者によるCCS火力の利用を促進することとしております。
御指摘のIGCCやカーボンリサイクル技術を用いた場合についてですが、発生するCO2が大気中に放出されないよう固定化されるものであればエネルギー源の環境適合利用に該当し得ると規定しておりまして、ただ、他方、カーボンリサイクルによって製造された燃料等は使用時においてCO2が再度大気中に放出されているということが想定されるものですから、そのようなものについてはエネルギー源の環境適合利用には該当しないというふうに今回規定しているところでございます。
いずれにいたしましても、エネルギー供給構造高度化法における整理は今私申し上げたとおりでございますが、火力発電の脱炭素化に向けまして、高効率化又はカーボンリサイクル、こういったものは引き続き非常に重要であるというふうに考えております。
したがいまして、広島県大崎上島での実証試験、これは着実に進めていきまして、IGCCのような革新的な石炭火力を含めて、水素、アンモニア、さらにはカーボンリサイクル、こういったものを活用しまして石炭火力の脱炭素化型の火力への置き換え、こういったものを加速してまいりたいと、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/34
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035・森本真治
○森本真治君 法案に、この法律になじむかどうかというようなお話、もう技術的な話なのかなというふうにも思ったりもするんですけれども。
繰り返しになるけど、先ほど、もうとにかくCO2を排出しない、抑えるという、CO2は悪者だから抑えるというところから一歩進んで、CO2を資源だということを、しっかりとこれをやっぱりプラスに捉えて、それをどんどんと進めていくんだという姿勢を、これはまた別の法律とかになるのかもしれないんだけれども、やっぱり是非そういう前向きな姿勢というか、先手先手でいろいろやっぱり攻めていくんだというような姿勢をもっともっと強調していただいて、そして、それについてもしっかりと国としても予算なども含めて財源を付けて二〇五〇年に向かってやっていくんだと、それがまさに成長にもつながっていくという話になるんではないかなというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
ちょっと残りの時間もう僅かになりましたので、少し確認をしたいのが、今回のこの水素、アンモニアを非化石エネルギーに位置付けるというところで、昨日ちょっと参考人の方にもお伺いをしたんだけれども、少しこれは議論があるのかなというふうに思っておりまして、今回この非化石エネルギーに位置付けるということ、その意味ですね。位置付ければどうなるんですか。これ、利用がどんどんと促進されていくというふうに考えていいのかどうかということですね、水素、アンモニアが。ちょっとその辺り、狙いについて聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/35
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036・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラル時代のエネルギーの安定供給確保に向けましては、水素、アンモニアなどの脱炭素燃料の大量の供給、大量の利用が不可欠であると、そのように考えております。ただ、一方、足下では水素、アンモニア等の需給が立ち上がっていないことから、これらの製造、運搬、利用技術の確立や、供給量拡大、価格低下につながる大規模な需要の創出が必要であると、そういった段階でございます。こういったことを踏まえまして、本法案では、エネルギー需給構造高度化法を改正しまして、水素、アンモニアを非化石エネルギー源として位置付け、その社会実装を目指していくと、そのように、ことにしております。
具体的には、一定規模以上の小売電気事業者に対しまして、水素、アンモニアを含む非化石エネルギー源を利用してつくられた電気の供給を求めると、こうしたことによりまして、エネルギー供給事業者による水素、アンモニア利用を促進してまいりたいと、そのように考えております。
また、あわせまして、本法案ではJOGMEC法も改正しまして、JOGMECの業務に水素等の製造や貯蔵等に必要なインフラ整備のための出資等の業務を追加いたしまして、水素等の供給に伴う事業リスクの軽減を図ってまいりたいと思います。
こうした取組を通じまして、カーボンニュートラルの実現に向け、先生おっしゃるとおり、水素、アンモニアの利用拡大、こういったものを強力に促してまいりたいと、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/36
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037・森本真治
○森本真治君 あと、今回、そのいろいろ意見の中で、例えばグレーも含めるのかというような話の議論のときに、とにかくまずは需要を拡大するんだということで、これは参考人の先生も、まず第一歩ということでやっぱりそれで進めてほしいという意見もあったわけでございますけれども、これちょっと、私もちょっと素人的な考えになるかもしれないんだけれども、当初からこれ、導入目標をグレー、ブルー、例えばグリーンなどを分けて目標を設定して、最終的にはグリーンですよね、ブルーもかもしれないけれども、そういうふうに誘導していくということで、最初からそういう目標を立てればやっぱり投資していく具体的な計画も立てやすいだろうし、そのようにも思ったりもするんですけれども、その辺りについては、そういうやり方はなじまないんですか。その辺りについても教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/37
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038・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 水素、アンモニアにつきましては、これ化石燃料や再生可能エネルギーなど様々なエネルギー源から作れると、これが一つの特徴でございます。
一方で、これ、今、水素の製造の技術ですとか、あるいはこれをためて運ぶ技術ですとか、こういったものについては、現時点では様々な技術開発が必要でございます。その技術の進捗状況ですとか、あるいはその水素がどのように運ばれてどのように使われるかという、その需要サイドの立ち上がりも合わせたサプライチェーンの構築の状況、こうしたものを踏まえていく必要がございます。そういう意味では、全体としてまだ不確実性が存在するというところでございます。
したがいまして、導入目標については、現時点では水素の製造源による区別はしていないということです。まずは、製造装置や輸送設備の大型化、効率化といった技術開発を通じまして、水素、アンモニアの商用化をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/38
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039・森本真治
○森本真治君 もう時間来ましたので終わりますけれども、ちょっとなかなか納得もできないなというような答弁もありましたけれども、取りあえず、時間となりましたので、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/39
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040・山崎真之輔
○山崎真之輔君 国民民主党・新緑風会の山崎真之輔でございます。
まずは、本会議で幾つか質問させていただきましたので、その深掘りした質問から伺っていきたいと思います。
最初に、中小企業の省エネに対する取組支援についてでございます。
本法案では、全ての事業者が取り組むべき具体的な事項を規定した判断基準や指針を示し、必要な場合には指導及び助言を行うとされていますが、特定事業者でなければ具体的な義務は課されないというふうに理解をしています。ただ、果たしてそれで十分なのでしょうか。
私の地元浜松市では、省エネ法のこの対象事業者はたった〇・三%にしかすぎません。まずは、全国におきまして対象となる事業者数、その割合、また目指している数値目標等についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/40
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041・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 省エネ法改正案では、省エネや非化石エネルギーへの転換などに向けて、国が中小企業を含む全ての事業者が取り組むべき具体的な事項を規定した判断基準や指針を示し、必要な場合には指導及び助言を行うこととしております。その上で、年間のエネルギー使用量が千五百キロリットル以上の者を特定事業者として指定し、中長期計画や定期報告の提出義務などを課すこととしております。
特定事業者の数は約一・二万社でありまして、日本全体の事業者数で見ますと一部にとどまりますが、そのエネルギー使用量は産業部門の約九割、業務部門の約四割を占め、我が国のエネルギー消費の相当部分をカバーしていると認識しています。このため、省エネ法の義務の対象を特定事業者に限定したとしても十分な政策効果は得られると考えております。
他方、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス排出削減目標の達成に向けては、中小企業に対する支援も含め更なる措置が必要だと思っています。
今後は、改正法案に基づく制度の周知徹底に加え、設備投資に対する補助や専門家によるエネルギー診断などの支援策を通じたエネルギー使用状況の把握、改善提案などによって中小企業を含めた事業者の取組を後押しし、二〇三〇年度の六千二百万キロ、失礼、六千二百万キロリットルの省エネ目標を始めとするエネルギーミックスの実現に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/41
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042・山崎真之輔
○山崎真之輔君 確かに政策効果だけを見れば、特定事業者に義務化を掛ける、これでいいのかもしれませんが、ただ、やっぱりこれムーブメントだと思っていますので、やっぱり小さなところであっても、義務化まで行かないにしても、積極的な働きかけ、これは必要だというふうに思っています。
私の地元は浜松で、自動車産業が盛んで、身近にメッキ屋さんもあれば板金屋さんもあれば溶接屋さんも、様々なそういった町工場が広がっているわけなんですが、正直、義務化されれば当然動くんですけれども、支援策、今の現状の程度では、なかなか、おらのところは脱炭素と言われても分からぬといったような反応がほとんどだと思っています。ですから、これは是非進めていただきたい。
加えて、この省エネとか脱炭素への取組というのは恐らく持続可能な会社経営にとっても今後重要な視点であって、必ずプラスになってくると思うんですね。したがいまして、中小でもしっかりコミットできるようにもっと働きかけを強化すべきだと考えますが、改めて御答弁をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/42
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043・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 問題意識は、先生、全く同じです。
まず、スタート段階ではこういった形で特定事業者指定しますけれども、例えば今おっしゃったように、中小企業は特定事業者じゃないといっても、地元で特定事業者との取引などをしていれば、当然、特定事業者が考える省エネ計画の中に組み込まれていかないとやっぱり取引ができなくなってくると思うんですね。しかし、体力のない中小企業の皆さんにいきなり義務を掛けるよりは、こちらは支援をしていくと、で、体力のあるところは義務を掛けていくということで、社会全体でおっしゃったようにムーブメントを広げていくことがまずは大事だと思いますので、そういう段階的に支援をしながらこれを広げていくということを心掛けていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/43
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044・山崎真之輔
○山崎真之輔君 是非お願いしたいと思います。
さて、その事業者に行動を促していくためには、何よりもまずその現在地を認識していただくことが大事であって、それが出発点だと思います。そのためには、相談に応じていただく、それから省エネ診断をしていただく、こういった施策が重要だというふうに認識していますけれども、まずは、これらの施策、この相談応需とか省エネ診断ですね、ここのこれまでの実績についてお伺いをしたいと思います。あわせて、感じている課題点、今後の改善策についてもお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/44
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045・茂木正
○政府参考人(茂木正君) お答えいたします。
今委員から御指摘いただきました省エネに関する相談というのがございまして、これは地域のプラットフォーム構築事業という形で、これは地域の支援拠点みたいなものをつくりまして、ここから様々な御相談に応じるという取組を今行っております。加えまして、省エネルギー診断事業というのをやっておりまして、こうした取組を通じて、地域ごとの相談窓口を構築したり、あるいは専門家によるエネルギー使用状況の診断や改善提案の実施を通じまして、中小企業の省エネの取組を今、後押しをしております。
最初に申し上げました地域プラットフォーム構築事業でございますが、年間、直近では八百件程度の相談対応を全国で行っております。平成二十七年度に事業を開始しまして令和三年度にかけて、支援地域が元々十八都道府県から始まったんですが、現在は四十七都道府県全体に拡大をしております。支援件数も累積で四千件を超えてきておりまして、こうした事業を着実に積み重ねていきたいというふうに考えています。
それから、省エネ診断でございますが、これも年間七百件程度の支援を実施しています。改善提案を行いますと、通常はその六割ぐらいはその後の二年間の間に運用改善を行ったり、場合によっては設備投資をされたりするというケースもございまして、これは具体的な成果あるいは検討に結び付いているというふうに考えております。
こうした施策、丁寧にその地域地域で行っていくことで中小企業の省エネの取組に対する支援を幅広く行ってまいりますが、より多くの事業者にこの支援の活用というのをしていただかなきゃいけないというふうに考えています。そういう意味では、まず認知度をしっかり上げていくと。それから、中小企業と接点を持つ金融機関ですとか関係機関としっかりと連携をして施策の周知を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/45
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046・山崎真之輔
○山崎真之輔君 相談件数が八百件、それから診断が七百件ということで、これ、都道府県で割りますと十件から二十件程度ということで、正直少ないのかなというふうに思います。今後、PRだとか、それからいろんな金融機関と連携して、是非、発信してくださるということなんですけれども、いまいちまだまだ足下で伸びていない。この原因、これをどのようにちょっと分析されていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/46
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047・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 恐らく様々な理由があるかというふうに存じます。先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、中小企業の皆さんから見ると、なかなかハードルが高いとか、直接自分に余り関係ないんじゃないかとか、そういう御認識があるケースもありますし、一方で、サプライチェーンの中で、お取引先からいろんな要請を受ける中で、やっぱりこれやらなきゃいけないというような思いになって初めて、じゃ自分のエネルギー使用量はどうなるのかというのを確認をし始めると。そのときにこういった御相談をお使いになるというケースがありますので、まだまだそういう意味での認識、認知度の向上が足りないというのは一つの原因かなというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/47
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048・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございます。
省エネ診断が有料だというところが一つネックになっているとはお考えではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/48
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049・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 省エネ診断は以前は無料だったんですけれども、これはいろいろ事情もありまして、今一割負担という形でたしかやらせていただいていると思います。
いろいろ御負担の問題はあるかと思うんですけれども、それほど大きな負担ではなく省エネ診断をやっていただけるような体制になっているかと思いますので、引き続きこうした取組を進めてまいりたいというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/49
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050・山崎真之輔
○山崎真之輔君 確かに、得られる効果からすればこの省エネ診断の金額はさほどではないかもしれませんが、例えば耐震補強なんかは無料で耐震診断ができて、そして自治体によって補助金を出して耐震補強に持っていく。相当な成果が今生まれていますよね。足下の木造住宅、相当高まっていると思います、耐震のレベルが。
そういった意味では、上の企業だけがやっていればいいだけじゃない、その中小がしっかり取り組んでいかなければいけないということでは、やっぱりもうちょっと門戸を開放する、しばらくは無料で、もう一回無料に戻す、こういった施策が大切かなと思いますので、是非足下からきちんとパイを広げるようにやっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次のテーマなんですが、脱炭素に取り組む地方自治体への支援について環境省にお伺いをしたいと思います。
令和四年度予算に盛り込まれている地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の概要を具体的なイメージとともに教えていただきたいと思います。
あわせて、本会議では環境大臣が、脱炭素ドミノ、これを起こしていくと答弁をされました。その意味を詳しくお聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/50
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051・上田康治
○政府参考人(上田康治君) お答えいたします。
まず、再エネ交付金の概要でございます。
環境省としては、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標や二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、地域の脱炭素化が必要不可欠であると考えております。このため、地域脱炭素等を踏まえて、地方公共団体等による主体的かつ計画的に再エネの最大限導入等の脱炭素の取組を政府としても支援していくことが必要であると考えております。
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金は、地域脱炭素ロードマップ及び地球温暖化対策計画に基づき、地方公共団体等が複数年度にわたって計画的かつ柔軟に脱炭素の取組を意欲的に実施することを可能とするため、総合的な交付金制度として創設したものでございます。具体的には、本交付金により、まず第一として、二〇三〇年度までに、あっ、二〇三〇年までにカーボンニュートラルの達成を目指す脱炭素先行地域を少なくとも全国で百か所創出するため、必要となる再エネ設備や蓄電池等の基盤インフラ設備などを集中的に支援することとしております。また、第二に、全国において特に重点的に導入促進を図る必要がある屋根置き太陽光やゼロカーボン・ドライブなどを重点対策加速化事業として支援をしていくこととしております。
また、二つ目のお尋ねでございます、脱炭素ドミノについてのお尋ねです。
こちらにつきましては、昨年十月に閣議決定した地球温暖化対策計画では、地域脱炭素の推進として、脱炭素の取組をその意欲と実現性の高いところからそのほかの地域に広げていくことを実行の脱炭素ドミノと表現し、今後五年間を集中期間として、あらゆる分野において、関係省庁が連携して、脱炭素を前提とした施策を総動員していくこととしております。
具体的には、二〇五〇年カーボンニュートラルという国の目標を二〇三〇年に前倒しで実現することを目指す脱炭素先行地域の創出を、今ある技術で、地域の資源を活用し、地域の課題の解決にも貢献する形で進めていく、こういうことにより周辺地域や同様の地理的条件を有する地域に取組を広げていきたいと考えております。
環境省としては、こうした脱炭素ドミノを起こしていくため、脱炭素先行地域の取組に加え、全国津々浦々で屋根置き太陽光やゼロカーボン・ドライブなどの重点対策を加速化し、計画作り支援や情報、技術的支援なども含めて地方自治体の脱炭素の取組をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/51
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052・山崎真之輔
○山崎真之輔君 理念は大変よく分かりました。そのさきの交付金、この金額、いま一度教えてくださいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/52
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053・上田康治
○政府参考人(上田康治君) 失礼いたしました。
令和四年度予算において二百億円を計上したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/53
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054・山崎真之輔
○山崎真之輔君 そうすると、百か所程度そういった先進地域をつくっていく、で、二百億円。二億円しかありませんね、一か所。これ複数年度にかけてやっていくということで、果たしてそれで十分なんでしょうか、もっと付けるべきだと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/54
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055・上田康治
○政府参考人(上田康治君) 説明が不足しており、申し訳ございませんでした。
今年度、少なくとも二十から三十の脱炭素先行地域をつくりたいということで、その選んだ地域の初年度分、今年度分の予算として二百億円を計上したところでございます。これら計画地域、採択された地域によっては、複数年度ということで年度が替わってまいります。そうした後年度分については来年度以降の予算を検討するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/55
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056・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございました。
地域の期待に、施策に応えられるように、随時その金額も是非上乗せして、脱炭素ドミノですか、これを起こしてくださいますようにお願いします。
それでは、次のテーマに移ります。EVと充電インフラの普及についてお伺いをしたいと思います。
これも本会議でお答えをいただきましたように、遅れている電気自動車の普及それから充電インフラの整備を進めるために、総額四百五十五億円の関連予算事業を盛り込んだということについては評価をしたいと思います。
そこで、充電インフラ整備として計上されている予算額とその具体的な中身について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/56
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057・福永哲郎
○政府参考人(福永哲郎君) お答えいたします。
電気自動車等の普及に向けましては、充電インフラの整備が不可欠だと認識しております。このため、昨年六月に作成したグリーン成長戦略において、二〇三〇年までに急速充電器三万基、普通充電器十二万基の計十五万基の整備目標を掲げたところでございます。この目標の実現に向けて、令和三年度補正予算と令和四年度予算一体で、電気自動車等の普及と充電インフラ整備の支援ということを目的として四百四十五億円を措置したところでございます。そのうち御質問の充電インフラについては、令和三年度当初予算の六倍強に当たる六十五億円を補正予算、令和三年度補正予算で措置したというところでございます。
もう一つの御質問、その事業内容でございますが、現在のインフラの普及状況等を踏まえた支援策ということを意図しておりまして、一つはこれまで支援対象でなかった普通充電器の入替えを補助対象に追加する、もう一つは限定的であった急速充電の支援対象を可能な限り広範にするという点、さらに、高速道路のサービスエリアや充電インフラの空白地帯への設置等については補助率を通常よりも大幅に引き上げるといった、利用実態を踏まえたものになるよう支援措置を充実させたというところでございます。
引き続き、政府でも、こうした補助事業を通じて充電インフラの整備をしっかり進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/57
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058・山崎真之輔
○山崎真之輔君 かなり大きな手当て、そして工夫がされているかなと。特に、イニシャルへの補助を充実していただいたということについては理解をいたしました。
ただ、他方で、やっぱりランニングへの支援を求める声も引き続きあります。というのも、平成二十六年のこの補助金制度創設当時、一気に充電器増えました。ところが、肝腎のEVが普及しなかったことで、充電事業の採算が合わずに撤退する事業者もたくさんおりました。ですから、この先、本当にこれEVが軌道に乗っていくという確かな手応えが見えるまでは、やっぱりある程度の、ランニングであっても、そこに支援を差し伸べるといったような考えは経産省としても持ってもいいのかなというふうに思います。例えば、固定資産税の減免措置、これ以前もありました、あったと思うんですが、こういったことであったり、メンテナンス費や通信料などの維持管理経費に対する補助、こういったものも考えてみるのも一考だというふうに思います。
とにかく、今の日本のEVシフトというのは世界から大変大きな後れを取っていると思います。これ、本気でこれEVと充電インフラ、両輪で加速していかないと、もう立ち遅れることはもう目に見えていますから、本気でこの施策を進めていただきますように、これは要望にとどめておきたいというふうに思います。
それから、次のテーマですが、自動車へのバイオエタノール燃料の導入拡大についてお伺いをしたいと思います。
こちら、本会議の答弁では、その有効性、これは認めつつも、ほぼ全量を海外から輸入していることに伴う経済性等を踏まえて、導入拡大を引き続き検討していくというようなお答えでした。
それでは、伺いますけれども、海外から輸入していることに伴う経済性等とは具体的にどのような課題を指すのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/58
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059・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御質問の課題につきましては、幾つか申し上げさせていただきますと、まず、輸入するバイオエタノールについて、ガソリンに比べて価格メリットがどの程度あるのか、それから、利用拡大に伴う追加投資、これはもう合理的なものなんでしょうかと、あるいは、我が国のガソリン需要が構造的な減少傾向にある中で、製油所の稼働率が更に低下することに伴う機会損失でありますとか地域経済への影響をどう考えるか、あるいは、CO2削減基準を満たす十分な量のバイオエタノールが海外から安定的に供給され得るのか、あるいは、エネルギー自給率に寄与するという意味では、国産のバイオエタノールを活用する余地があるのではないか、さらには、現在使っておりますのはサトウキビ、トウモロコシ由来なんですけれども、むしろ食料競合の観点から欧州ではこうしたバイオエタノールの利用に上限を設けるという国際的な動きもあるんですけれども、こういうことをどういうふうに評価していくかという課題のことを想定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/59
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060・山崎真之輔
○山崎真之輔君 幾つか挙げてくださいましたけれども、例えば価格メリットですね、こちらに関しては、むしろウクライナ危機によって高まっていると思います。なので、欧州では、欧米では拡大が進んでいるんです。それから、食料との競合も御指摘されましたけれども、ここ十年、アメリカではそのトウモロコシの生産量上がっています。ところが、その穀物の価格は現状維持です。ですから、心配するようなことではないと思うんですね。もちろん、細かなところで精緻な議論は必要だというふうには思いますが、これスピードが求められますから、今だからこそしっかりと進めていただきたい施策として御認識をいただきたいと思います。
少し違った視点からお伺いをしたいと思います。
地球温暖化対策計画では、次世代自動車の普及や燃費改善等によって、二〇三〇年度のCO2排出削減見込み量を年間二千六百七十四万トンとする目標が記載されています。これは資料一にあるとおりでございますが、最新の実績から逆算しますと、あとどれぐらいのこれは削減量が必要なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/60
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061・福永哲郎
○政府参考人(福永哲郎君) 委員から御紹介、御指摘いただきましたとおり、本件、地球温暖化対策計画における環境性能に優れた車両の導入による対策に関する数字でございます。
二〇三〇年度は二〇一二年度比で年間二千六百七十四万トンのCO2排出の削減量を見込んでいますが、足下の二〇一九年度の排出削減実績は五百四十六万トンCO2となっております。したがって、二〇一九年度実績と比較して、二〇三〇年度の排出削減見込みを達成するのに追加で必要な削減量は差分となります二千百二十八万トンCO2となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/61
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062・山崎真之輔
○山崎真之輔君 その二〇三〇年度、政府は、これ資料二になりますが、二〇三〇年の乗用車車種別新車台数、新車販売台数の目標として、EVとPHVで二〇から三〇%という目標を掲げています。現在の数値を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/62
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063・福永哲郎
○政府参考人(福永哲郎君) お答えいたします。
政府としては、二〇三〇年における国内の乗用車新車販売時のうち、電気自動車とプラグインハイブリッド車を合わせて二〇から三〇%とする政府目標を掲げているところでございます。足下では、国内の電気自動車及びプラグインハイブリッド車の新車販売台数は二〇二〇年度の約三・一万台から二〇二一年度では約五・二万台と増加しているものの、全体に占める新車販売シェアでは約一・五%となっております。ここに対して電気自動車導入促進、先ほど御指摘いただいた充電インフラ等をしっかり進めてまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/63
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064・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ということで、まだ一・五%しかないということで、大変遅れているんです。あと八年もない中で、さっきおっしゃった二千百万トン以上のCO2をこういった車種を変換していく中で削減していくというのはなかなか簡単ではないんですね。
そこで、環境副大臣にお伺いをしたいと思います。
今申し上げたように、私は非常に厳しい現実の見方をしています。もう現存する車のほとんどが内燃機関、これ有していますから、当然EV化が遅れれば遅れるほどCO2は排出し続けることになります。しかし、このバイオエタノール燃料、これを導入拡大すれば、従来車はもちろんですが、内燃機関を有するハイブリッドやPHVでもガソリンに比べてCO2排出削減、これを図ることができます。是非目標達成のために有効な手段だと捉えていただきたいと思うんですが、副大臣の見解をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/64
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065・大岡敏孝
○副大臣(大岡敏孝君) 山崎先生にお答えいたします。
先生御指摘のとおり、内燃機関は我が国の産業競争力の重要な鍵でございますし、今後もしっかりと守り抜いていかなければならないと考えております。あわせて、現在走行しております車両のほとんどが内燃機関でございますので、バイオ燃料、さらには合成燃料というのは非常に我が国としての大きな選択肢だと考えております。現行のエネルギー基本計画、地球温暖化対策計画にも位置付けているんですけれども、既存の燃料インフラだとか内燃機関そのものを利用可能なバイオ燃料や合成燃料の選択肢を追求し、国際的な導入動向等を踏まえて導入の在り方を検討するというふうに現在でもされております。
現在、環境省としては、このバイオエタノール、直接先生のイメージとは違うのかもしれませんけれども、既にやっておることとしては、ごみを燃やす焼却炉から取り出したCO2と水素でエタノールを作り出しているというのは実証実験を進めております。あわせて、先生御指摘のように、植物からバイオエタノールに持っていく事業につきましても今後しっかりと検討してチャレンジしてまいりたいと考えております。
引き続き、このバイオエタノール、重要なカーボンニュートラル燃料の一つと位置付けておりますので、今後とも実証事業等を通じて、また関連省庁とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/65
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066・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございます。力強い答弁を非常にありがとうございました。
再びちょっと経済産業省にお伺いしたいと思いますが、今、制度の切替えに来ていると思っています。来年四月からの、高度化法第三次告示でのバイオエタノール燃料、この導入目標、これを増やしていきませんか。そして、時代遅れのETBEではなくて、世界で主流のE10、これを導入していくお考えはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/66
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067・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
ETBEかE10という御質問は直接混合方式のことかと理解をして御答弁申し上げますけれども、日本の場合はETBEを採用しております。確かに世界の多くの国では直接混合方式が取り入れられているということは理解はしてございますけれども、仮に日本の今の方式を直接混合方式に切り替えたとした場合、環境への影響、これ海外でも光化学スモッグをどう抑えるかという点が論点になっております。
あるいは、これ、直接混合ですと水と混ざってしまいますので、水と分離しなくなりますので、それがガソリンの品質、それから車体の安全性に影響を及ぼすと、この課題をどういうふうに解決していくかということが必要になってまいります。そのためには、追加の設備投資でありますとか、安全確保のための追加的な人員配置が必要になるというふうに認識しておりまして、ここもしっかり慎重に今後検討していきたいと考えております。
それから、導入量の水準、今二%弱でございますけれども、これを一〇%にまで引き上げるべきという御質問も含まれていたかと認識してございますが、今、バイオエタノールの利用を促進している国は、基本的には自国で安定的に原料を生産する、できる国でございまして、海外からバイオエタノールを輸入してその利用促進を図っているという国は、私は聞いたことがございません。
その利用量も、国内の原料の供給能力に応じて、それぞれの国情を踏まえて設定されているというふうに認識しておりまして、例えば、なお精査を要しますけれども、ブラジル、アメリカなどでは一〇%を超える目標を設定している国もありますけれども、他方で、韓国、中国といった国では我が国と同様、数%の利用にとどまっているというふうに承知してございます。
いずれにしましても、こういういろんな課題について、今後関係する様々な分野の専門家の方々と議論をしながら結論を出していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/67
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068・山崎真之輔
○山崎真之輔君 聞いているのは、五十万キロリットルという原油換算のこの上限、これ上げていきませんかと、まあ上限というか、増やしていきませんかということなんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/68
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069・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 五十万キロという上限を増やすためには、そのためにETBEを製造するための追加的な様々な設備投資が必要になってくると。その他の課題についてもいろいろ申し上げたとおりでございまして、そういう課題を含めて、今後、第三者の専門家の方々に入っていただいてしっかりと検討していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/69
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070・山崎真之輔
○山崎真之輔君 日本はまだまだ遅れていますから、でも、逆にその分伸び代があると思っていまして、可能性があると思っています。
もちろん今すぐに国内でバイオエタノールを生産するといったことは難しいのは承知していますが、だから、まずはアメリカとかブラジルから適切に輸入を増やしていくと。同時に、タイとかアジア諸国への投資を行うことによって、準国産として開発輸入を行って、国内のバイオ燃料のこの需要、これ膨らませて市場を活発化させていく、その間に徐々に国産できるように研究開発を進めていきましょうということだと思います。
その次に来るのが、大岡副大臣もおっしゃってくださいましたが、CO2と水素、これを混合して製造される合成燃料、バイオエタノールから生成されるグリーンなCO2を国内で活用できるようになりますと、これは将来の日本産業の大きな強み、武器になりますし、農林業にも光が当たると思います。
是非、大臣、バイオエタノールに関する戦略を強力に進めていただきたいと思いますが、御見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/70
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071・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 本会議でも御答弁申し上げましたが、バイオエタノールの利用はまさにCO2削減に向けての有効な手段であり、大切なプレーヤーだと思っております。
輸入量を直ちに増やせと言われましても、精製所を造ったりしなきゃならないんで、これ現実的には非常に難しい問題があります。先生の思いから察すると、国内での生産を増やして利用するというんだとすれば、これは少しタイムスパンが要りますけれども、将来的にはいい計画だというふうに思いますので、いずれにしても前向きに取り組んでいきたいと思っておりますが、一方で、今順番を付けてくれたんですけれど、私は合成燃料も同時に開発をしていきたいと思っているんです。
といいますのは、先生の地元もきっとそうだと思いますけど、日本の場合はエンジンで勝負してきたわけですけど、世界はこれゲームチェンジを図ろうとしているわけですね。
日本はプラグインハイブリッドなどの技術も持っていますので、できればこの燃料機関をしっかり使いながら、そして、そのことで多分地元の自動車産業に携わる中小企業の皆さんもお仕事が続くということにもなりますし、それから、全国に張り巡らせたSSのネットワークというのは、これは町づくり、地方を考えたときに、これからも私必要だと思っているんです。
単にガソリンスタンドだけじゃなくて、例えばコンビニ的要素くっついたものもありますし、地方へ行きますと介護ステーションなどを併設しているものもありますので、これがもう全てなくなっていくという世の中が果たして日本にとっていいかというのも一緒になって考えなきゃならないので、バイオエタノールも大事、それから合成燃料も大事、こういったものをしっかり取り組んでいきたいと思いますし、政府としては、航空燃料の代替燃料としてSAFの開発急いでおります。将来ガソリンやディーゼルなどに代替し得る合成燃料の早期実用化、これも喫緊な課題だと思っておりますので、何か一つを特化して力入れるんじゃなくて、もうあらゆる可能性を、選択肢を残しながら、しっかり技術を持って前に進めていきたい。
そのために、グリーンイノベーション基金使わせていただいているんですけど、先日応援演説もありました。もう基金がほとんどなくなりましたので、これは是非追加をさせていただいて、SAFや合成燃料などの代替燃料の製造技術開発をしっかりスピードを持って支援をして、民間企業においても政府と同様の方向で経営資源の優先的に配分をしていただけるように進めていきたいと思っています。
いずれにしましても、経産省としては、引き続き、バイオエタノールや合成燃料など脱炭素に資する代替燃料の利用、在り方について、これ加速を持って検討していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/71
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072・山崎真之輔
○山崎真之輔君 ありがとうございました。
新電力の質問もありましたが、時間が参りましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/72
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073・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章でございます。
エネルギーの基本計画等について質問したいと思います。
この質問はもう本会議から合わせて今日で四回目でありますけれども、特に原発を中心とした質問に特化して聞きたいと思うんですが。
私は地元が茨城県でありまして、東海村の原子力発電所、日本で一番古い発電所、それから、すぐ隣が福島の原発等々ありました。これまで私も、足掛け六年、丸六年間この経済委員会で質問をしました。最初は世耕大臣、それから菅原大臣、地元の梶山大臣、そして萩生田大臣と、四人の大臣の皆さんに質問してきたわけですけれども、政府の方は、二〇三〇年に原子力の割合を二〇から二二%というふうに設定しております。そして、二〇五〇年にはカーボンニュートラルの実現を標榜しております。
しかし、昨日から私質問で言っていますが、原発の四十年ルールという大きなハードルが存在しておりますが、政府は、原発の新設やリプレースに関する国民の問いに対して、これまで明確な回答を一度もしていません。今まで大臣で比較的はっきり物を言ってくださったのは、世耕大臣が意外とはっきりと一歩踏み込んだような話で答弁があったかなと今記憶にあるんですけれども、国会でも、ただ、本質的なエネルギー政策に関する議論は試されていないと言っても過言ではないと思います。私自身も、この原発に関しては質問を何度もしてきました。しかし、政府の答弁は、真摯に議論を行うという姿勢が余り見受けられないので残念でありますけれども。
これまで与党は、何十年もの間、原発を守ることのみに徹してきたのではないかという印象があります。特に、経産省を含めて、この原子力村を守るというような今まで立場に立ってきたような答弁でありましたけれども、今回、ウクライナのロシアの侵攻によりまして、実質、原発への直接の攻撃があったわけです。これは世界を震撼したわけでありますけれども、そういった今までの政府の立場から一歩踏み込んで、国民の皆さんも、あの映像を見たときに、これは日本もただ事ではないと、対岸の火事ではないというふうに思ったのは私一人ではないと思います。たくさんの国民の皆さんがそう思ったと思います。
ですから、国民の皆さんのいろんな疑問あるいは疑念に対して政府は真摯に議論すべき時期が来たと私は思っておりますけれども、萩生田大臣に、特に萩生田大臣は政治力もありますので、その牽引役を期待したいと思います。
政府が答弁を避け続けてきた、二〇五〇年時点での、全ての原発が耐用年数を超えて稼働する原発がゼロになることがこれは明白な状況に対して、原発の新設あるいはリプレースについてどのような考えがあるのか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/73
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074・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 原子力発電所の運転期間に係る安全規制上のルールにおきましては、運転することができる期間を四十年とし、一回に限り最大二十年の運転延長を可能としているものと承知しております。したがって、二〇五〇年までに全ての発電所が耐用年数を超えるという状況にはないものと認識しています。
いずれにしましても、二〇五〇年カーボンニュートラルは簡単なことではなく、日本の総力を挙げての取組が重要であります。Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギー源は存在せず、今後の技術革新などの不確実性を踏まえれば、再エネ、原子力、水素、CCUSなどあらゆる選択肢を追求していくことが重要だと思っています。
なお、新増設、リプレースにつきましては現時点では想定していないというのが政府の方針でありますが、原子力に関しても、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかりと進めてまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/74
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075・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
今御答弁がありましたけれども、人材育成に関してはこの間質問しましたけれども、東海大学の専門の学生を募集するのをもう止めているというような状況でありますから、今の大臣の発言は重いと思います。
特に、現実的に、この間の、今回のウクライナに対してロシア軍が相次ぎ原発を直接攻撃しましたね、もう映像で映っていますから。原子力発電所はテロや武力攻撃の標的になり得るという、今まで北朝鮮からそこに直接来るというのは余り想定していなかったんですが、実際ロシアがあのように攻めてきたわけであります。規制委員会の更田委員長も、武力攻撃で原発が破壊されたら放射性物質の拡散はこれ避けられない。これは、まあこれは委員長じゃなくても誰もが思うところでありますが。
特に福島での、白日の下となったのは、原発が電源喪失すれば簡単に炉心溶融を招くということであります。津波による水没だけで電源が喪失するわけでありますから、テロが、侵略国が意図的にミサイル等で攻撃した場合には、冷却システムに打撃を与えるのはもうたやすいものでありまして、もし攻撃を受けメルトダウンからメルトスルーに至った場合は、大規模な水蒸気爆発が発生する可能性が高いわけであります。
御存じのとおり、水蒸気爆発は福島の水素爆発とは桁違いに威力が違いまして、チェルノブイリでは放射性物質が上空二千メートルまで上がって、イタリアの、二千四百キロ離れたイタリアの農産物までその灰が落ちて、そしてそこで作ったいろんな農産物が日本に輸入されて、イタリアの小麦の輸入が停止されたのも皆さんも御存じのことだと思います。また、日本でも福島産の農産物がついこの間まで台湾でも輸入がストップ掛かっていました。今回、ある条件をクリアして台湾にも輸入が可能になったわけでありますが、本当に大変な事態を招くわけであります。
原発へのテロ等の武力攻撃対策は民間ではこれは不可能でありまして、現在の再稼働の新基準にはテロ対策は含まれておりますけれども、ウクライナで発生したような軍による攻撃等は想定されていないわけであります。早急に検討して何らかの対策を講じるべきであると思いますが、大臣の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/75
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076・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 原子力発電所の安全の確保は、原子力規制委員会が規制する発電所の設備上の対応や事業者の対応にとどまるものではなく、事態対処法や国民保護法の枠組みでの措置など、警察、自衛隊など関係省庁、関係機関が連携して対応することとしております。
こうした対策に終わりや完璧はございません。日本の国民の、日本の国民の命や暮らしを守るために十分か、引き続き関係省庁、関係機関が連携し、対応を不断に検証し、改めるべき点は改善していくことで、安全の確保に万全を期していく必要があると考えています。
なお、原子力安全規制の在り方については、高い独立性を有する原子力規制委員会が一元的に所掌することとされております。このため、経済産業大臣としての立場から意見を申し上げることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/76
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077・石井章
○石井章君 原子力発電所の処理水の問題もまだ地元の理解を得られていない状況でありますけれども、岸田総理が一昨年の日本記者クラブでの討論会で、使用済燃料、核燃料廃棄物の処理期間は、直接処分すると十万年でありますけれども、再処理すると三百年という発言が物議を醸しましたが、再処理工場が稼働したとしても総理が言う三百年が実現できるわけではなくて、廃棄物の処理期間の短縮には再処理工場のほかに高速炉を建設して高速炉サイクルを実現することがこれ前提となっております。
そこで、政府が将来的に目指す高速炉サイクルの実現について、日本原子力学会が一九年に出した提言では、今世紀後半から二十二世紀にかけて技術を確立すると。いわゆるまだ現時点ではその見込みがなかなか立っていないわけでありますけれども、ただ、そういう気持ちであるということでありますが、現実的にそれに向けた現時点での進捗状況についてどのような課題があるのか、政府としての見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/77
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078・石井正弘
○副大臣(石井正弘君) 使用済燃料につきましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、あるいは有害度の低減、資源の有効利用といった観点から、使用済燃料を再処理をいたしまして、回収したプルトニウム等を再利用する核燃料サイクル、これを推進することが政府の基本方針であります。
こうした方針を踏まえまして、まずは現在稼働しております軽水炉において、プルトニウム等を利用する軽水炉サイクルの実現を目指して取組を進めているところであります。さらに、将来的に高速炉においてプルトニウム等を利用する高速炉サイクルが実現すれば、こうした核燃料サイクルの効果は更に高まっていくものと承知をしております。このため、高速炉の開発につきましても、二〇一八年十二月に決定いたしました戦略ロードマップを踏まえまして、米仏との国際連携、あるいは民間イノベーションも活用しながら、今世紀半ばの現実的なスケールの高速炉の運転に向けまして着実に進めていくことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/78
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079・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
二〇〇三年から三年ごとに見直されてきましたエネルギー基本計画でありますけれども、菅前総理が五〇年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言してから初めての改定となったこの第六次エネルギー基本計画でありますが、現時点で具体化されつつある政策を最大限かつ確実に実施することで到達する再エネの導入水準というこのくくりがあります。そして、三千百二十億キロワットを提示するとともに、二〇三〇年の温室ガスについては四六%削減ということに、これに向けた野心的目標として二百から四百キロワット分の追加導入を見込んでおります。合計三千三百から三千五百億キロワットの再エネ導入を目指すとしておりますが、更に再生エネを最優先の原則の下で最大限の導入に取り組むと、電源構成の比率を大幅に引き上げております。私は、その方向性は歓迎しておるわけであります。
二〇五〇年のカーボンニュートラル、あるいは二〇三〇年の温室効果ガスの四六%削減目標の実現に向けて、再生エネの主力を担う太陽光発電の適地欠乏、いわゆるそれに適した土地が足らないということ、それから国民の電気料金への加算なども、もう課題も山積しておるわけでありますが、今後の政府の政策次第では将来的に再エネの電源構成比率を更に格段に引き上げることも可能であると考えますし、期待もしております。更なる再エネ導入について政府の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/79
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080・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) FIT制度導入後、電源構成に占める再エネの比率は、二〇一一年度の約一〇%から二〇二〇年度には約二〇%まで倍増してきています。その中でも、太陽光発電の導入量でいえば、既に平地面積当たりで主要国最大級となっております。
その上で、エネルギー基本計画で、二〇三〇年度に再エネ比率三六から三八%という野心的な導入目標を掲げました。山がちな我が国において、地域との共生を前提とした適地の確保ですとか、太陽光や風力の出力変動への対応、また、御指摘のありました国民負担の抑制など、様々な課題を乗り越える必要があり、この目標実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
このため、条例を含めた関係法令遵守など事業規律が確保されることを前提に、関係省庁や自治体と連携し、地域の理解を得られる公共施設や住宅の屋根、さらには陸上風力に加え洋上風力などの導入拡大を推進してまいります。また、系統の利用ルール見直しや、北海道と本州との海底直流送電線を含む系統整備、出力変動に対応可能な大型の蓄電池の導入拡大を促進してまいります。
このように、野心的な目標の達成に向けてあらゆる政策を総動員しながら取組を進めてまいりますが、Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在せず、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことは難しいと思います。そのため、再エネに加えて、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求することが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/80
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081・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
特に、先ほど、今大臣から答弁がありましたが、蓄電池はその高性能化、低コスト化によりまして改めて多くの関心を今集めております。現在、世界的に今後のエネルギー戦略において重要な位置を占めるのは蓄電池であると言われておりまして、開発競争もますます激化している中で、日本の技術は比較的優位性を保持しております。電池に関する特許出願数も世界でもトップクラスとなっておりますが、しかし、技術的な難易度が高く、技術進展は困難を極めておるのが実情であります。
そこで、政府は、グリーンイノベーション基金事業によりまして、カーボンニュートラルに取り組む企業を支援しております。基金が支援するグリーン成長戦略の重点分野に蓄電池産業も含まれており、特に全固体電池が研究開発支援の対象になっております。
昨今、蓄電池についてのイノベーションでは我が国の技術が世界をリードする可能性も期待されておるわけでありますが、政府は蓄電池の技術開発を更に後押しするためにどのような戦略を描いているのか、石井副大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/81
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082・石井正弘
○副大臣(石井正弘君) 再生可能エネルギーが主力電源となる中におきましても、電力の安定供給を達成をしていくためには、様々な蓄電池の技術開発は極めて重要であると存じます。
そのため、これまで系統において安定的に大型蓄電池を運用する技術を確立するための技術実証を行っておりまして、現在では、この成果として、一般送配電事業者が実際に調整力としても活用をしているところであります。加えまして、より小規模な蓄電池や動く蓄電池といたしましてのEVも含む多数の分散型リソースを束ねまして、一般送配電事業者が調整力などとして活用するといった新たなビジネスモデル構築のための技術実証を行っているところでございます。また、議員御指摘のとおり、高い安全性や急速充電を可能といたします全固体リチウムイオン電池の研究開発等をグリーンイノベーション基金で支援をしているところであります。
こうした様々な技術開発を組合せをしながら、蓄電池の普及拡大を後押しをしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/82
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083・石井章
○石井章君 丁寧で分かりやすい答弁ありがとうございました。
時間が来ましたので、終わりにします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/83
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084・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
法案の質疑に入る前に、物価高騰をめぐる問題について大臣にお聞きします。
先日、札幌市内で事業者の方々から話を伺いました。内装業を営む方からは、鉄骨やベニヤは一年前と比べて一・八倍になっている、しかも資材不足で工期が延びることもある、心が折れて同業者の廃業も続いている、先が見通せないと、こういうふうに訴えられました。クリーニング業を営む方からは、コロナ禍で売上げは三分の二に減少、重油は去年と比べて一リットル当たり二十五円増、コスト削減のために、洋服に掛けるあのプラスチックのカバーの厚さを薄くしたりハンガーを回収をして再利用したり、やれることは何でもやっているんだけれども、このままだと二割以上の値上げを検討せざるを得ないという話がありました。
それで、大臣にもう二つまとめて聞くんですけれども、政府が出した緊急経済対策、これでは規模も内容も不十分だという声も併せて寄せられています。深刻な実態に合った更なる拡充が必要だと思うんですけれども、どういうふうにお考えかということが一つ。
そして、内装業の方から、社会保険料が高過ぎると、何とかならないかと、こういう要望もありました。コロナで仕事がないときでも従業員を守るために何とか仕事をということで頑張ってきたと、こういうふうに話もされていたんですね。こうして頑張っている中小事業者の営業を支えるために、社会保険料の事業主負担の減免など負担軽減を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/84
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085・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 新型コロナの影響に加えて、足下ではエネルギーや原材料の価格が高騰しており、多くの中小企業が厳しい経営状況、経営環境にあると認識しております。政府としても、厳しい事業者を支援するために、先日決定した緊急経済対策に沿って支援に取り組んでまいります。
具体的には、原油価格高騰に対する激変緩和事業について、基準価格を百七十二円から百六十八円に引き下げ、支給額の上限を二十五円から三十五円とするとともに、更なる超過分についても二分の一を支援する制度を設けることで原油価格高騰への備えを万全にします。さらに、物価高騰によるコスト増について、下請の中小企業のみに過度な負担とならないよう価格転嫁対策を着実に実施するほか、資金繰り支援としてセーフティーネット貸付けの金利を更に引き下げます。また、新分野展開などを支援する事業再構築補助金についても、新型コロナに加え原油価格高騰などの影響を受ける事業者への支援を強化するなど、様々な対策を講じてまいります。
まずは、これらの支援策を迅速に実行に移していくことが重要でありまして、その上で、中小企業を取り巻く状況を注視しながら必要に応じ新たな施策を検討するなど、中小企業の皆様をしっかり支えてまいりたいと思っております。
御指摘の社会保険料は、主に厚生労働省により制度が運用されているため、その負担の妥当性について経産大臣の私がお答えすることは差し控えさせていただきたいんですが、経産省としては、中小企業が厳しい経営環境の中にあっても定められた水準の社会保険料を納められる環境を整備するため、中小企業の生産性向上の支援や中小企業に適切に利益が残るよう下請取引の適正化に取り組むことが重要であると考えています。
このため、例えば事業再構築補助金、ものづくり補助金、持続化補助金などにより中小企業の事業再構築や生産性向上を支援するとともに、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言の推進や下請Gメン倍増による体制強化などを通じて下請取引の適正化に取り組んでいるところです。
引き続き、これらの取組を通じて、厳しい状況に直面する中小企業をしっかりと支援してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/85
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086・岩渕友
○岩渕友君 事業者の声、しっかり聞いていただきたいと思うんです。あわせて、強く要望をされたのは消費税の減税なんですね。消費税の減税、そしてインボイスの導入中止を強く求めて、法案の質問に入ります。
今日は、需要側の問題を中心に質問をしていきます。
需要側でも非化石電源の導入を促進するとしていますけれども、化石燃料由来のグレーアンモニアの石炭混焼と純粋な再エネでは電源として全く違います。これ、どのように差別化をするのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/86
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087・茂木正
○政府参考人(茂木正君) お答えいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラル時代のエネルギーの安定供給確保に向けましては、アンモニアの大量供給、大量利用というのも不可欠であるというふうに考えています。その社会実装は、世界全体の実効的な温暖化対策の観点からも有効であるというふうに考えます。
需要サイドにおきまして、この省エネ法においてアンモニアを非化石燃料として位置付けておりますけれども、このアンモニアの供給量の拡大、価格低下というのをいかに進めていくのか、そのためにはまず需要の創出をしっかりしていく必要がございます。
改正法案の非化石エネルギーへの転換に関する措置におきましては、まずは、由来を問わずに非化石エネルギーにアンモニアを位置付けまして、その転換を認めることとしています。ほかの非化石エネルギーと区別するという考え方は今回は取っておりません。
一方で、永続的に、今委員からも御指摘がありましたグレーアンモニア、これCO2を処理していないアンモニアということになりますが、こういったアンモニアを使用し続けるという考え方はございません。
インフラ整備が進みまして、技術開発も進み、コストが下がってくる、こうした進展状況を見ながら、速やかにアンモニア全体のクリーン化を進めてまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/87
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088・岩渕友
○岩渕友君 全く違うものが同じように扱われるというのはおかしいと思います。
石炭にアンモニア二〇%混焼した場合のCO2の削減効果、僅かだと前回も指摘をしました。結局、化石燃料由来の電源の活用を広げることになるのではないかと思います。
エネルギー消費を減らす省エネはCO2を減らす上で決定的ですけれども、日本の省エネ、世界から大きく立ち遅れています。その分大規模な省エネを進める条件があるということです。今ある技術を使って省エネ、再エネの導入を進めることで、エネルギー起源のCO2の九割を削減することが可能だとする研究者の指摘があります。
二〇一九年度の省エネの実績と今回深掘りをした二〇三〇年度の省エネ目標量の差は四千五百四十五万キロリットル差があるんですけれども、産業部門における省エネの深掘りに向けてどのような施策を考えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/88
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089・茂木正
○政府参考人(茂木正君) まず、産業部門における二〇三〇年度の新たな省エネ目標でございますが、これは六千二百万キロリットルの削減という目標設定をしております。これは、それぞれの産業分野の中でも各産業セクターございますので、それぞれの産業セクターにおきまして導入可能な最新の技術を二〇三〇年度までにどれだけ投入できるかという個別の積み上げも乗っておりますし、加えまして、共通として、例えば低炭素工業炉のようなより効率の高い工業炉を導入していく、こうした技術を積み上げた上で、省エネ法による規制を行いまして、エネルギー管理と省エネ対策の実施の強化を行います。また、こうした取組を行う企業を省エネ投資は支援するということです。加えまして、新しい技術、革新的な技術を通じまして省エネポテンシャルの開拓を行い、中小企業向けのきめ細かなサポート、支援等も進めていくと。
こうした施策を組み合わせまして、省エネの更なる推進に取り組んでまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/89
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090・岩渕友
○岩渕友君 日本におけるCO2の排出量は、発電所と産業で全体の六割以上を占めているんですね。産業分野のCO2削減は業界や企業の自主目標に任されていて、その結果削減が進んできませんでした。イギリスと同じように大規模事業所に政府と企業の協定を義務付けて、実効力のある削減施策に踏み出すべきです。
また、業務部門、家庭部門、運輸部門など、いずれの目標も不十分で、目標達成を裏付ける施策が見当たらないんですね。各部門で思い切って予算を付けて推進をするべきです。
中小企業にとっても、脱炭素の取組はコスト面だけでなくて売上げの拡大など事業の成長にもつながります。省エネをどう進めるかというのが重要です。
クリーンエネルギー戦略の策定に向けた検討で、中小企業にヒアリングを行った結果を見てみますと、省エネ設備への更新や専門家による省エネ診断の実施によって大きな排出削減効果を得られる可能性があると、こういう意見があったということで、金属熱処理加工のA社というところは、燃料に特化した専門家に調整を行ってもらった結果、炉のガス使用量が五%減少、自動車部品製造のB社というところは、設備の使い方で無駄が改善できるというようなことは自社だけでは分からないとして、専門家からアドバイスをもらえるのであれば有り難い、こうした意見が紹介をされています。自治体の担当者の方からも伺った話でも、省エネ診断を受けた事業者は省エネの取組効果が上がっているというお話でした。
ところが、先ほど議論もいろいろありましたけれども、省エネ診断事業は、二〇年度までは全額補助で年間五回まで行われていたんですけれども、二一年度から事業者が一割負担をするということになりました。
中小企業の省エネを進めるために、林野庁の地域林政アドバイザー制度のような制度があるというふうにお聞きをしたんですけれども、制度について端的に御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/90
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091・小坂善太郎
○政府参考人(小坂善太郎君) お答えいたします。
地域林政アドバイザー制度は、林地台帳の整備であるとか、森林経営管理制度や森林環境税の創設など、近年、市町村が担う森林・林業関係の業務が増加する中、市町村が森林・林業の知識や経験を有する者を雇用する、あるいは専門の技術者を有する法人に委託することによって市町村の体制を支援する制度であります。平成二十九年度に創設し、必要な経費は特別交付税措置の対象となっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/91
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092・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
大臣、特別交付税で雇用や委託の経費を措置をして、恒常的に省エネ診断を行う人的配置を行うよう検討するべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/92
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093・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 中小企業の省エネ推進に当たっては、業種や業態、エネルギー使用の状況なども多様な中小企業に対して、委員御指摘の地域林政アドバイザー制度のように、全国各地できめ細かに、身近な立場で省エネに向けた取組について相談に乗り、また適切にアドバイスを行う支援体制を構築することが重要です。
このため、経産省では、地域の中小企業の省エネ取組の推進に向けて、四十七都道府県をカバーする相談窓口を各地に設置する地域プラットフォーム構築事業を実施をしています。相談窓口を担うプラットフォーム事業者は、自治体や金融機関などとも連携しつつ、きめ細かに省エネ取組のための計画策定や資金面のアドバイスなどの幅広い支援を提供しています。
こうした取組に加え、専門家によるエネルギーの使用状況の診断事業や工場等への省エネ設備の導入支援などを通じて、引き続き中小企業の省エネの取組を推進してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/93
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094・岩渕友
○岩渕友君 省エネ効果あったということなので、是非検討をしていただきたいということです。
グリーンイノベーション基金二兆円ですけれども、中小企業、農林漁業でも活用できるような予算、省エネ投資のための無利子、無担保、無保証の融資制度の創設なども必要です。
建築物の省エネについて、改正案がやっと提出されたわけですけれども、今は国の定めた断熱基準を満たさない建物が多くて、ここを引き上げるだけでも大きな省エネ効果につながります。
住宅ストックのうち、省エネ基準に適合している住宅の割合、無断熱の住宅の割合について確認をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/94
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095・塩見英之
○政府参考人(塩見英之君) お答えを申し上げます。
我が国の省エネ基準は、昭和五十五年に最初の基準設定をいたしまして、その後、省エネ用の建材、設備の普及状況などを勘案して、平成四年、十一年と段階的に基準を強化してまいりました。
この結果、令和元年度時点におきまして、約五千四百万戸あります住宅ストックのうち、昭和五十五年基準を満たすものは全体の七一%、このうち平成四年基準を満たすものは三五%、このうち現在の基準を満たすストックは全体の一三%となっております一方で、五十五年基準を下回るストックも全体の二九%あるというふうに推計しているところでございまして、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、省エネ性能の高い住宅のシェアを高めていく必要がございますので、令和四年度予算において支援策の強化を図ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/95
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096・岩渕友
○岩渕友君 資料を御覧ください。
日本では、エネルギー基本計画で二〇三〇年の新築基準としているゼロエミッションビル、ゼロエミッション住宅の水準でも、欧州レベルより低くなっています。建物が三十年以上使われるということを考えますと、新しく断熱建築を選ぶ機会というのは各建物で二〇五〇年までにあと一回しかないと、こういうふうに考えられるわけですね。この機会を逃さずに断熱性能の高い建物を選択するということが重要です。
岩手県紫波町の紫波型エコハウスについて話を伺いました。地元産木材の活用、年間暖房負荷、気密性能の三点の数値基準を設けていて、断熱改修をしていない築四十年の一般的な住宅と比較をした場合、水光熱費は年間で約二十万円安くなるということです。また、既存の住宅についても、リビングなどで、ふだん居住するスペースに絞った局所的な断熱改修だけでも高い省エネ効果が期待されるというふうにしています。地元産木材という条件は地域によって違うわけですけれども、地元の工務店などの仕事づくり、雇用づくりにもなって、地域経済への貢献にもなります。そして、確実にCO2削減効果が出ます。
こうした取組を広げるために断熱基準の更なる引上げと導入の支援、既築住宅の省エネ改修に対する導入支援を強化するべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/96
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097・塩見英之
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
新築、それから既存、それぞれへの対応ということでございますけれども、まず新築の住宅の断熱性能につきましては、省エネ基準への適合を義務化しまして底上げをまず図るということが大事でございます。あわせて、省エネ基準よりも高いZEH水準、いわゆるゼロエネルギーハウスに求められます断熱性能への誘導策を強化することで、そうした住宅のシェアを十分に高めまして、二〇三〇年度までに義務化の対象となります省エネ基準をZEH水準に引き上げてまいりたいと考えております。具体的な誘導策としては、ZEH水準の住宅への財政支援に加えまして、令和四年度からは、新たに住宅ローン減税におきまして借入限度額の上乗せ等の措置を講ずることといたしましたし、また住宅金融支援機構によるフラット35の金利優遇なども行うことといたしました。
また、もう一方の既存住宅の改修でございますけれども、今年度から新たな促進策として、省エネ改修に特化した財政支援制度を創設いたしますとともに、住宅金融支援機構によります融資制度を創設したいと考えてございます。加えて、リフォーム税制におきましても、全ての窓を改修しなくても、一部の窓だけ改修すれば減税の対象になるというような形で支援策の充実を図っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/97
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098・岩渕友
○岩渕友君 二〇三〇年の住宅の省エネ化への投資額は〇・九兆円、建築物の省エネ化は〇・八兆円を引き出す見通しが示されています。
欧州では、昨年末、二〇三〇年の温室効果ガス五五%削減を達成するための政策パッケージの一つとして、建物のエネルギー性能指令の改正案を発表しています。EU内の建物全体のエネルギー効率の底上げが柱になっていて、この指令によって改修される建物は約三千万棟に上るというふうに試算をされています。先ほども指摘をしたように、二〇五〇年カーボンニュートラルを考えると、一刻も早い断熱基準の引上げと導入支援行うべきです。
紫波町は、民間事業者と協力して熱利用もしているんですね。紫波町は森林が多い町ではないんだけれども、紫波中央駅前エネルギーステーション事業というものでは、町内の松くい虫の被害に遭った木や間伐材で町で製造した木質チップを主燃料として、木質バイオマスを使った循環型の地域熱供給で、町の新庁舎、保育園、体育館併設ホテル、一帯の住宅四十六軒に熱供給を行っています。新たな事業として特別養護老人ホームでの利用も開始をしています。
重油に支払っていたお金が減って、CO2排出量の削減見込みの施設の規模に、CO2の排出量の削減見込みは、施設の規模にもよるんですけれども、約八割削減、そして導入工事費、木質燃料収入などが地域のメリットになって、これらのお金が二十年間に一定割合で循環していく、二十年間で約六億円の効果になるというふうに試算をしています。熱利用も各地で条件違うんですけれども、こうした事業の紹介や導入支援なども行うべきだというふうに思います。
それで、脱炭素のもう一つの柱は再エネの導入なんですけれども、再エネの潜在力は、様々な条件を加味しても、現在の国内の電力需要の数倍あるわけですよね。その中でも太陽光発電と農業を両立させるソーラーシェアリングが注目をされています。
このソーラーシェアリングについて福島県二本松市で話を聞きました。六ヘクタールの農地に九千五百十六枚の太陽光パネルを設置して、その下にシャインマスカットの苗を植えているんですね。眠っていた土地から六百世帯の電気と二人の雇用が生まれたというふうにお聞きをしました。
二本松市は、再生可能エネルギー地産地消一〇〇%を宣言していて、エネルギーの自給自足を掲げています。自治体や地元の農業委員会の理解に背中を押されたということなんですけれども、こうした地域と共生をして地域経済に貢献する再エネを増やすために、例えば耕作放棄地の再生のための補助金や導入支援となる予算を検討するべきではないでしょうか。最後にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/98
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099・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 既に時間が来ておりますので、簡潔に御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/99
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100・川合豊彦
○政府参考人(川合豊彦君) お答え申し上げます。
農林水産省では、耕作放棄地、荒廃農地やそのおそれのある農地の簡易な整備など、荒廃農地の解消に向けた支援を行っております。これはしっかり予算措置しています。
また、営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立する有用な取組であります。営農型太陽光発電の普及に向けましては、発電設備の下で栽培する作物や栽培技術の検討や各地の取組事例や支援制度の周知が必要と考えておりまして、このため、農水省では、発電設備の下にある地域ごとの最適な栽培体系の検討を行うほか、営農型太陽光発電取組支援ガイドブックを作成しまして、取組事例や必要な手続、支援制度などを紹介するとともに、営農型太陽光発電の事業化を目指す農業者に対する相談対応を行うことなどを通じまして営農型太陽光発電の導入を推進しているところであります。
今後とも、優良農地を確保しつつ、地域活性化に資する形で営農型太陽光発電の導入を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/100
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101・岩渕友
○岩渕友君 終わりますけれども、化石燃料への投資から省エネ、再エネの投資に切り替えるということを求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/101
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102・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) それでは、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時六分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/102
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103・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、吉川ゆうみさん及び阿達雅志君が委員を辞任され、その補欠として宮島喜文君及び佐藤正久君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/103
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104・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 休憩前に引き続き、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/104
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105・ながえ孝子
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。
まず、第六次エネルギー基本計画についてお伺いをしたいのですが、二〇三〇年の電源構成で再生可能エネルギー比率三六から三八%を目指すということですが、再生可能エネルギーを主力電源とするように最大限の導入を目指すという大号令の割に、ちょっと抑制的かな、物足りないかなという印象を持っております。
といいますのも、二〇二一年現在、再生可能エネルギー二二・四%、速報値ですけれども、二割超えまで来たわけですよね。その前の二〇二〇年が二〇・八、その前の二〇一九年が一八・五というところから見ますと、かなり順調に伸びてきています。
CO2四六%削減、これ大変野心的です。この野心的なCO2マイナス四六%に倣って、再生可能エネルギー、グリーンの方も四〇%を目指していただきたいなと思うんですね。これ、基本計画の決定前なんですけれども、日本の三十四の道府県で構成されている自然エネルギー協議会では、二〇三〇年には再生可能エネルギー四〇%超えにすることを目指して六次のエネルギー基本計画に盛り込んでくださいということを国に求める提言書も出しております。
萩生田大臣の多分就任前の作業でありましたのでお聞きするのは大変恐縮ではあるんですけれども、この再生可能エネルギー導入三六から三八ということに対して、大臣のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/105
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106・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) FIT制度の導入後、電源構成に占める再エネの比率は二〇一一年度の約一〇%から二〇二〇年度では約二〇%まで倍増してまいりました。その中でも、太陽光発電の導入量でいえば、既に平地面積当たりでは主要国最大級となっております。
その上で、エネルギー基本計画で、二〇三〇年度に再エネ比率三六から三八%という野心的な導入目標を掲げました。山がちな我が国において、地域との共生を前提とした適地の確保や、太陽光や風力の出力変動への対応、国民負担の抑制など様々な課題を乗り越える必要があり、この目標実現に向けて全力で取り組んでまいります。
このため、条例を含めた関係法令遵守など事業規律が確保されることを前提に、関係省庁や自治体と連携し、地域の理解を得られる公共施設や住宅の屋根、さらには陸上風力に加え洋上風力などの導入拡大を推進してまいります。また、系統の利用ルール見直しや、北海道と本州との海底直流送電線を含む系統整備、出力変動に対応可能な大型の蓄電池の導入拡大を促進してまいります。
このように、野心的な目標の達成に向けて、あらゆる政策を総動員しながら取組を進めてまいりますが、Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在せず、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことは難しい日本にとって、再エネに加え、原子力、火力、水素、CCSなど、あらゆる選択肢を追求することが重要と考えております。
目標は三六から三八ですけれども、御案内のとおり、洋上風力なども具体的に始まりましたので、三八になったら止まるということじゃないですから、これはもうそれを超えていくという覚悟で前進していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/106
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107・ながえ孝子
○ながえ孝子君 おっしゃるとおり、今二〇二二年。二〇三〇年までまだ八年あります、十年近く。十年間でどれほどのことができるのかというのをちょっと見てみましたら、ドイツでは、二〇一〇年に一七%だった自然エネルギーの割合、二〇二〇年の前半には五〇%超えを達成しております。例えば、逆にイギリスは、二〇一二年から二〇一九年まで、七年ですね、その間に石炭火力の割合、三八%から二%にまで激減をさせているという例もありますので、政府が、野心的とおっしゃいました、高い目標を掲げて、明確な目標をしっかりとこれを皆さんに知らしめて、企業と自治体、そして国民の皆さんとその実現に向けて本来の力が発揮できるような環境を整えていけば、十年間で本当に大きなことができると思っていますので、大臣もおっしゃったように、目標を超えるように頑張ってまいりましょう。
続いての質問なんですが、その再生可能エネルギー拡大の鍵は、やっぱり接続の保証が重要だと思います、そうでなければ事業化というのは難しいので。日本では、新規に電源を系統に接続する際、系統の空き容量の範囲内で先着順に受入れを行って、空き容量がなくなった場合には、系統を増強した上で追加的な受入れを行うというルールが存在しております。
これもよく話に出るんですけれども、欧米ではやっぱり自然エネルギー優先ルールの国もありますし、既存系統の容量を最大限に活用をして、混雑時の出力制限など一定の条件付で接続を認める制度を導入している例が多いです。コネクト・アンド・マネージの考え方ですよね。
アメリカのカリフォルニアでは、ほとんどの系統運用者が再エネ事業者に対してこういった一時的な出力抑制を許容したノンファーム接続を求めていまして、そういう条件下でも、再エネ建設にはファイナンスが付いて、導入量が伸びています。とにかくつなぐということがビジネス、市場をつくっていく上では大変重要かと思います。
倣って日本でも、現状の電力系統に大幅な投資をしないで、もちろん系統が整備されることが一番なんですけれども、工事完了まで長い時間も掛かりますので、運用方法の工夫によって再エネの接続を促進しようと、系統の空き容量を柔軟に活用するコネクト・アンド・マネージの検討が求められていました。
その中のノンファーム型の接続ですね。これはおととし私も質問させていただいて、二〇二一年から全国へ展開するとお聞きをしております。それから、それの実施状況ですね。それと、日本版の中では、実態に近い想定で空き容量を算定する想定潮流の合理化、あるいは緊急用の枠の活用ですよね、N―1などなど、日本版のコネクト・アンド・マネージ、これは二〇二二年度に全面展開する予定だとお聞きをしておりますが、進捗状況などを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/107
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108・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 再エネの主力電源化に向けまして、系統の制約、これを克服していくということが非常に重要です。既存の送電網をより低コストで利用したり、接続しやすいルールの見直しと、これを随時進めているところであります。
今委員からも御指摘ありました、いわゆるノンファーム型接続でございますが、これは、つまり、送電網の空き容量を超えて再エネが発電した場合に、出力を一部抑えることを条件により多くの再エネの電源を既存の送電網につなげるという、こういう仕組みでございまして、二〇二一年の一月から全国の空き容量のない基幹送電網で受付を開始しております。現時点での受付量ということでございますが、二〇二一年の十二月末時点でございますが、全国で約三千万キロワットの接続検討が申し込まれておりまして、うち約三百万キロワットについては既に契約申込みの段階まで進んでいるというところであります。
これ、今後、接続申込みが行われた後、実際の契約になり、工事が行われて、その後、実際に接続ということになりますので、最初の事業がノンファーム型で接続されて稼働するのは恐らく二〇二四年頃になるのではないかと考えています。
それから、基幹系統のノンファーム型接続の話を今申し上げましたが、基幹系統より下位のローカル系統というのもございまして、こちらのノンファーム型の接続の適用についても現在検討を進めておりまして、今年度の末頃を目途に全国内で接続受付を順次開始するということを目指して作業を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/108
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109・ながえ孝子
○ながえ孝子君 分かりました。
そのほかの日本版のコネクト・アンド・マネージ全体についてはいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/109
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110・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 日本版のコネクト・アンド・マネージということでございますけれども、こうやってノンファームで接続をいたしましても、ケースによっては、既につながっているファームの接続というのがございまして、こちらが、こちらに対してノンファームの接続が劣後してしまうというケースもございます。したがって、そういうことが起きないように今優先接続ルールというのの見直しも現在行っているところであります。
これは、例えば、石炭火力などよりも再エネが優先的に基幹となる送電網が利用できるようなルールの抜本的な見直しについても、これも遅くとも二〇二〇年中には実施を目指しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/110
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111・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
ノンファーム接続によって容量不足の問題というのは解決に向かっていくんだろうと思っておりますが、やっぱりおっしゃったように系統の効率化に向けた全面的な検討を模索というのはこれからも必要だろうと思っています。
やっぱりその接続の対象として、電源の制御を伴う接続の対象として考慮されているのは、あくまで新規なんですよね。なので、既存の電源の制御は考慮されていないので、発電設備の大多数を占める既存電源の運用の効率化、これに向けた議論はこれからだろうと、今もう進んでいるとお聞きをしましたが、やっぱり系統増強には長い時間と多額の資金等が掛かりますので、あるものをうまく使うという意味で、今の既存の電源を含めて、接続のルール、それから給電ルールですね、これの見直しなどなど、なるべく本当に出力抑制を生まないように効率的な在り方を構築するということがこれから開かれた電力システムの構築に向けて不可欠であろうと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
昨日の参考人質疑で平野参考人がおっしゃっていたのですが、資本主義が一番脱炭素に向けて圧力を掛けていると。ああ、いい表現だなと思ったんですが、つまり、各企業ともカーボンニュートラルというのは経営上の大きなテーマで、企業としての責任としてその取組はしっかりと進めていかなくてはならず、それを顧客にも見てもらって、理解をいただいて、応援してもらって、評価を高めていくことが企業価値につながると、それが世界の本流である。ああ、なるほどなと思っています。
確かに、CO2マイナス六〇、あっ、四六%、そして再生可能エネルギー拡大を進めていくには、企業の力、役割というのは大変大きいです。再生可能エネルギーを利用していることがビジネスで評価されるという、売上げにつながる時代になってきたわけですから、既に企業では意欲的な取組も進んでいます。
自然エネルギーの電力を一〇〇%利用することを目指すRE一〇〇という団体がありまして、これに加盟する日本の企業、現在七十社です。これ、二〇二〇年の三十五社から二年間で倍増しているということですね。アメリカ、イギリスに続いて三番目に多い国になりました。加盟各社は遅くとも二〇五〇年までに一〇〇%の目標を達成するために、自家発電ですとか、自然エネルギー一〇〇%の電力を購入する、あるいは自然エネルギー由来の証書を購入するなど、様々な手段を駆使して脱炭素化に取り組んでいます。
日本でも、城南信用金庫さんの一〇〇%で運用するよというニュースを始め楽天あるいは不動産のヒューリック、二〇二五年までに一〇〇%、それから丸井グループ、アスクルは二〇三〇年までに一〇〇%と、本当にこの目標を高く掲げて頑張っています。この流れは加速をしております。
どの業種もやっぱりライバルの海外企業に後れを取ってしまうとグローバルでの競争で生き残れなくなるという危機感からこの取組進めておりますが、企業が日本国内で自然エネルギー一〇〇%を達成するには課題も幾つかありまして、先日、昨日の平野参考人も、やっぱりこれシステムの安定化に向けた追加制度の導入ということを挙げていらっしゃいました。
企業がこの利用拡大に取り組むために何が必要かという意見を取りまとめた提言というのがあるんですが、その中から今日はちょっと一つ、電力の購入契約、PPAについて確認をさせていただきたいと思っています。
企業がいかに電力を活用しやすくするかという仕組みですけれども、PPAというのは、企業や自治体など需要家が小売の電気事業者を介在させずに発電事業者と直接電力購入契約を締結できるようにするもので、いろんな取組進んでおりますが、一つ残っていたオフサイトですよね、オフサイトコーポレートPPA、これについていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/111
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112・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
需要家に対する電力供給につきましては、現行の電気事業法に基づきまして、原則、需要家の保護等の観点から、小売事業者を経由してこれを行うことになってございます。これは、小売電気事業者に対して説明、契約内容の説明義務等を掛けまして、しっかりと供給をするということを義務付けているということの裏返しなわけなのでございます。
一方で、今委員から御指摘ございましたように、産業界での需要家サイドにおいては、サプライチェーンのカーボンニュートラル化の取組でも大変進んでいることもよく認識してございます。小売電気事業者を介さずに特定の再エネ設備から直接購入したいというニーズが高まっていると。
私どもとしましても、こういったことに対する対応した形の制度の改正も必要だろうということで、昨年十一月に関係省令を改正いたしまして、一定の条件で需要家保護を担保することを前提とした上で、需要家が遠隔地の電気発電事業者等から再エネ電気を直接購入する、いわゆるオフサイト型PPAを可能とする制度を導入したところでございました。こういったニーズに即した形での制度の見直しということはしっかりと進めていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/112
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113・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
号令が掛かってから本当に一段とその経産省さんの取組というのは頑張っていらっしゃるなと、この点は本当に評価をしたいと思っています。
トラッキングシステムという、これも実業界が求めていたものですけれども、これも実現に向けて進みましたし、これからも、でもね、デジタルの技術の進展とともに要求されるものもどんどん新しいものが出てきていますよね、ブロックチェーンをいかに使うかとか。ですので、是非、海外の例も見ながら、本当に柔軟に、現場の要望を聞きながら、利用しやすい仕組み、どんどんと取り入れていっていただきたいと思っています。
ちょっと時間の都合で質問を飛ばさせていただきまして、これ、自治体の役割の方も大変重要でありまして、午前中も議論がありました。再生可能エネルギーの地産地消を進めることで地方創生の起爆剤ともなり得るということで、バイオマスですとか太陽光発電、早く取り組んで地域おこしに大成功した自治体もたくさんございます。首長さんの関心も高いですよね。なんですけど、成功するには自治体自らの、まあ実行力の強化というんでしょうか、これが必須になります。
例えば、地域でこの再生可能エネルギー育てていこうと思えば、複雑な土地利用規制を調整して住民の皆さんとの関係もつくりという、調整力に重ねて技術的な知識も必要となりますと、実態として極めて人材不足です。ほとんどの自治体がこの再生可能エネルギー導入に向けては、経験値、ノウハウですね、そして人材、何より財源が不足しております。
午前中も答弁の中にありました地域の脱炭素ロードマップを支える支援パッケージ、私これとってもいい取組だなと思いまして、意欲的に取り組む自治体についてはこれから複数年度掛けて、百ぐらいのところにはもう本当に丸抱えで支援していくよという取組、これはすごく意欲的な、ああ、いい取組だなと思っているんです。
私も地元愛媛県に帰りまして、やってみませんかということでいろいろ声を掛けたんですけれども、まずそこで分かったことは、自治体にはこの再エネとか脱炭素とかグリーン化とか、こういう担当部署がないんですよね。明確になっていません、司令塔が。つまり、それだけの経験値を持った人材がいないということであります。ですので、これから自治体がこの自然エネルギーの普及に自律的に積極的に取り組めるように、やっぱり国からの大きな支援が必要だろうと思っています。
特に人ですよね。この支援の形として、地域で人材が生まれるような仕組みをつくるためのノウハウを国が自治体に渡していくというところが重要かなと思っています。特に地方自治体というのは異動が付き物ですから、大体これ異動していってしまうというところがあります。
ドイツでは連邦環境省が気候変動マネージャーという地域密着型の専門家を雇用しているんですね、雇用支援をしています。午前中も林政アドバイザーという紹介がありましたので、ああ、似たような仕組み、早速、ああ、農水省さんやっていらっしゃるんだなと思いましたけれども、そういった仕組みもありますし、進んだ自治体もあります、日本でも。例えば、長野県では、この自治体の職員だけじゃなくて、民間の人材も入れてチーム力をつくっていこうということで、市民、企業、大学、それから行政、これがつながりまして、自然エネルギーの普及を長野県で目指していく自然エネルギー信州ネットという、まあ協働ですね、共に力を出し合う協働ネットワークが活躍しております。そういった例も参考になるのかなと思っておりますが。
こういったきめ細やかな人づくりについての自治体支援について、今考えていることなど教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/113
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114・茂木正
○政府参考人(茂木正君) お答えさせていただく前に、ちょっと一点だけ。先ほど私の答弁の中で、優先接続ルールの検討を、二〇二二年度中と言うべきところを、私、二〇二〇年度と申し上げたようでありまして、もう終わっていますので、二〇二二年度中です。今年度中にきちんと検討するということで、修正をさせていただきます。
その上で、地域と共生ということで、やはりその再エネを進めていくという観点からも、やはり地域の理解がどう得られるかというのは非常に重要でございまして、特に近年は、自治体でも、再エネの条例だけでも六年間で七倍ぐらいの条例ができています。それから、二〇二一年度だけでも百八十を超える自治体が条例を作っているということでありまして、やはり地域自らが考えて、どうやって再生可能エネルギーを入れていくのか、あるいは地域全体を脱炭素化していくのかという取組に真剣に取り組んでいるということだと思います。
そういう意味で、私どもとしても、自治体におけるそうした取組を支援できる人材の育成ですとか、あるいはノウハウの提供ですとか、こうしたものをやっていきたいというふうに思っています。
政府全体では、環境省で、先ほども別の方の答弁でございましたけれども、計画策定の支援をしていますし、それから総務省では、エネルギーの知識を持った外部専門家、これを自治体に招聘する場合の、外部専門家の招聘の費用の補助というのもやっております。
経産省としては、こうした取組と連携をしながら、例えば、自治体が条例を作っていくというときにいろんなノウハウが必要になりますので、条例のデータベースを構築をいたしまして自治体間での情報共有を強化すると同時に、自治体の方にも参加いただく中で、地域の連絡会というのも開催をしております。それから、自治体の職員の方に、いろんなノウハウの共有や人材育成をやっていただく方にこの会に出ていただいて、横の連携を取っていただいていろんなノウハウを共有していくという取組を進めているところであります。二〇二一年の十月にはオンライン形式で連絡会やりまして、ここには約三百の自治体に参加いただいているところであります。
こうした取組を通じまして、地域と共生した再エネの導入に向けて、自治体における再エネの人材の育成を支援してまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/114
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115・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございます。いろんな取組、力を入れていらっしゃること、よく分かりました。
ただ、力のある自治体とか意欲のある自治体はどんどん手挙げてそういったものを共有していけるんですけれども、そこにもう声も上げられない自治体というのも確かにあるわけでございまして、是非プッシュ型でお願いしたいと思います。全体の底上げというか、押し上げていかないことには気候変動問題というのはなかなか動かないので、これからもよろしくお願いをいたします。
時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/115
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116・安達澄
○安達澄君 無所属の安達澄です。
今日もどうぞよろしくお願いいたします。
前回からの積み残しとなっています水力発電の可能性、そのポテンシャルについてまずお聞きします。
過去の国会審議でも何度か取り上げられているんですけれども、国交省で河川局長を務められた竹村公太郎さんという方がいらっしゃいます。その竹村さんが御自身の著書の中で、既存ダムの運用の変更やかさ上げをすることで、日本の電力の二割を賄える可能性があるというふうにおっしゃっています。二割というのはこれ理論値でしょうから、精査はもちろん必要だと思うんですけれども、現在の日本のトータル電源に占める水力発電の割合、これ八%程度と認識していますけれども、ですから、この水力発電の潜在能力というのは大きいのではないかと期待するところであります。
昭和三十二年に制定された特定多目的ダム法という法律があって、二つの目的がうたわれています。まずは電力のための利水、そしてもう一つが洪水を予防するための治水です。その治水ですけれども、洪水予防のために、あふれるといけませんので、日本のダムは満水容量の半分ぐらいしか水をためていないというふうに認識しています。ただ、今は気象衛星、レーダーなど、かなり技術も相当に進歩をしています。この空き容量を上手に活用すれば、つまり運用を見直してかさ上げすれば、それはその分、水力発電に活用することができるというのが竹村さんの御提言になるわけですけれども。
何でこんな話を今するかというと、二〇五〇年のカーボンニュートラルの前に、二〇三〇年に一三年度比で四六%を削減しなきゃいけないという大きなハードルの高い目標がもう七、八年後に迫っています。もうすぐだと思うんですけど、その残された時間がない中では、既存のものを有効に活用するというのも重要だと思います。新たにダムを造るんではありません。既存のものを有効に使う。そのためには、運用の見直しや省庁の壁を越えた連携が必要かと思います。
数年前からこの議論は検討はされているようですけれども、改めてお聞きします。この水力発電の利活用に対する経産省の見解と、国交省との連携ですね、それはその後ちゃんと進んでいるのか、この点について教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/116
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117・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
水力発電は安定した出力を長期的に維持することができるカーボンニュートラルな電源でございまして、適切な維持管理を行えばこれ百年以上使える大変重要な電源だというふうに認識してございます。
昔から日本は水力ダムの発電の開発というのは非常に積極的に進めてきたところであるわけなんですけれども、一方で、開発リスクは非常に高いわけですし、住民の方々との調整というところがございます。新規建造なかなか難しい。
となりますと、今委員御指摘ございましたように、既存のダムというものを使った形での開発というのが非常に重要な視点だというふうに考えてございます。その点、竹村さんの御指摘を含めた、AIを活用した水量管理のお話、若しくはかさ上げを含めた出力の増加のお話、若しくは新規地点の開発のお話、いずれも私どもも参考にさせていただきながら、国土交通省さんが軸になりますけれども、利水を担当している農水省さん、若しくは各都道府県の関係のダムでありましたらそういった方々とともに、今、意見交換会、勉強会を開催して定期的に議論を進めてきているところでございます。
まず、治水との絡みで申し上げますと、どうしてもこの洪水の防止ということとのバランスということになってまいります。御指摘いただいたように、その流量の管理というのは、AIがどんどん進んできましたので、長時間流量、流入量の予測等のデジタル技術を活用することは可能でございます。今、これを私どもも予算支援して技術開発を今進めているところでございますが、これを実際に適用していくところを、国交省さんと具体的にどこのダムでどうしてやっていくかということを、具体化の話を今進めてきているところでございます。
一方で、新しい開発のところ、かさ上げのところ等々ございます。こちらの方は、やはりその水利権の調整のところをどう考えていくか、ここの具体の調整は一個一個、個別に考えなければならないところもございます。また、どうしてもコストの問題というのが直面するところでございまして、一部にはFIT法、FIT制度による支援というのは可能なわけですけれども、どうしてもその適用範囲等々の問題もございます。どういう場合にどういう支援が必要か、これはもう個別、これまた個別に関係の省庁さんとよく議論を進めながら議論を深めていきたいと。こういう形で引き続きしっかりと取組を進めていっているところでございますし、今後とも進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/117
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118・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
水力発電は、ダムに限らず、例えば小水力発電などは、エネルギーの地産地消とか地域内でお金を回していくという観点からも非常に有効かと思います。竹村さんの著書にもあるんですけど、一八九八年ですか、に来日したアメリカ人のグラハム・ベルさん、電話の発明で有名な方ですけど、その方は地質学者でもあるそうなんですが、そのベル氏が、日本は山が多くて雨が多い、よく降ると。つまり、日本では水資源が有効なエネルギーになる旨示唆したそうです。クリーンエネルギーの重要な一つの手段として、日本の特性も踏まえ、今あるものを有効に是非活用していただきたいと思います。エネルギー基本計画の中にもしっかり進めていくというふうにありますので、既存のものを有効に活用する、是非進めていただきたいと思います。
次に質問移ります。
昨日の参考人質疑の中でもキーワードとして出てきました省エネについてお聞きしたいと思います。
この家庭部門での省エネということですけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルの前に、先ほど申したとおり、二〇三〇年に四六%削減という喫緊の課題があります。日本は四六%削減を掲げる中で、家庭部門においては六六%の削減を目標にしています。地球温暖化対策計画で示されている数字ですけれども、六六%という数字は余りに大き過ぎて、一般の人々にはちょっとぴんとこないというか、何をどうすればいいかというふうに考えている方もいます。なかなか普通の方が今カーボンニュートラルとかグリーンといってもまだ余りぴんときていないなというのが私の正直な印象なんですけど、中でもその関心のある方、意識の高い方はこの六六%という数字は知ってはいます。
ただ、私も、よく地元であったりとか、ふだんもよく言われるんですけど、具体的に、じゃ、どうすればいいのというふうに聞かれるんですよね。
この間、私の大学の後輩、今大学の先生しているんですけど、学生にこういう教え方をしているらしくて、例えばテレビでドラマを百分見るとすると、その百分ドラマのもうそのうちの六十六分はもう要は見れないと。だから最初の三十三分だけ見て、あとは、三十四分だけ見て、あとは見れないんだという、それぐらいのことをやらなきゃいけないという何か教え方をしているんですけど、それが本当に正しいかどうかなんですけど、いずれにせよ、この六六%削減というのに対して国民の皆さんはどういうことをすればいいのかというのを具体的に教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/118
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119・白石隆夫
○政府参考人(白石隆夫君) お答え申し上げます。
昨年閣議決定いたしました地球温暖化対策計画、これは二〇三〇年度に我が国の温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四六%削減するという目標を掲げておりまして、その達成に向けて家庭部門におきましては六六%の削減を目安としてございます。
この非常に高い削減目標でございますけれども、この家庭部門の目安、大きく分けて三つございまして、再生可能エネルギーの拡大等による使用する電力の排出係数の相当程度の削減、こちらも入ってございます。それから、家電の省エネ性能向上等のそのメーカー等の対策、こういったものもあります。そして、こういったものと併せて、家庭におけるその何か各種の省エネ、それから再エネの取組、こういったものがなされる、こういうことが相まって達成されるというふうに考えてございます。
環境省といたしましては、例えば家庭におきましては、省エネの取組として小まめな節電、省エネ家電への切替え、家の断熱のリフォーム、それから屋根への太陽光発電の設置、これ再エネでございますが、こういった各種の取組をお願いしたいというふうに考えてございます。こうした家庭において取り組むことができる行動の具体的な選択肢につきましては、環境省としてはゼロカーボンアクション30として取組呼びかけてございます。
また、予算措置でございますけれども、環境配慮行動に取り組む消費者に対するインセンティブを拡大するため、食とくらしのグリーンライフポイント推進事業、これR三補正で百一億円計上してございますが、こういったものを執行することによりまして、環境配慮ポイントを発行する企業や自治体を支援するという取組をしてございます。
このほか、行動科学の知見を活用したナッジ手法の活用による消費者に対する効果的な情報提供の促進を含めて、家庭部門の排出削減、脱炭素型のライフスタイルの転換に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/119
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120・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。
私も、今おっしゃったゼロカーボンアクション30ですか、ホームページも拝見させていただいて、見ました。いろんな項目がある中で、やはり分かりにくいものもあるなと思います。あと、実際に実現できるのかどうかというものもあります。
具体的に言うと、やはり屋根に太陽光パネルを付けるとか、ZEHとかで、ZEHといってももうほとんどの人には分からないと思うんですけど、これ実際ランキングとかもいろいろ出されていますけど、やはりもう一般の人は正直で、そういうZEHとか太陽光パネルとかなると、やってみたいランキングですか、これももう下位の方になったりしていますよね。だから、やはり、どういう取組が具体的にできるんだ、やれるんだというのを分かりやすくコミュニケーションをしていかないと、六六%というのはやっぱりなかなか達成できないだろうなというふうに思います。
政府もちょっと苦手としている、する部分かもしれませんけど、やはり国民の皆さんに向けたそのコミュニケーションの部分ですね、具体的にこうやっていくんだと。やはりこれ意識変革も大事だと思うんですね。
このアクション30の中にもありますけど、例えば洋服を長く使うとかあります。ただ、今やっぱり日本はファストファッションといいますか、ワンシーズンでちょっと服を変えたりとかそういうのもあるんですけど、そういう様式も変えていかなきゃいけないということになるので、かなりやっぱり国民の意識の変革も必要となるので、そのためにはやはり環境省からのコミュニケーション非常に重要になると思いますので、是非六六%という数字、高いハードルを達成するためにも前向きに進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
続いて、その家庭部門は日本のCO2の排出量全体の、これ二〇一九年度の数字ですけれども、一四%、全体の一四%を占めます。それと同じ規模、一四%出している産業が、ちょっとこの間も取り上げました鉄鋼業になります。一産業だけで家庭部門と同じ一四%排出しているわけですけれども、その脱炭素化のための投資額として、いろんな各業界、素材産業、セメント、化学、そして鉄、トータルすると二十数兆円が必要ということがこの間集計されて、経産省も推計をしています。
二十数兆円のうち鉄鋼業が十兆円ということになるんですけれども、その鉄鋼業に関して言うと、まず石炭、二酸化炭素を排出しているものをもう根底から変えて、水素を使って製鉄をするという水素還元製鉄と言われるものですけれども、これはもう非常にレベルの高い話になります。この技術について、これ今は世界、いっせいのせで競争はスタートしているんですけど、この技術の実現性について経産省としてどのように考えているのか、お聞かせいただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/120
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121・新川達也
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
製鉄プロセスでは、鉄を溶かすための高温の熱が必要であるということとともに、現行技術では、酸化鉄であります鉄鉱石を鉄に還元するために、石炭を蒸し焼きにしたコークスという材料を還元剤として用いております。すなわち、溶かすためのエネルギーの発生に加えて、還元反応のために大量のCO2が発生するということとなります。このため、カーボンニュートラルの実現のためには、全く異なる製鉄プロセスを確立するという非連続な技術開発が求められている状況にあると認識をしております。
具体例としては、御指摘のありましたコークスの代わりに水素で鉄鉱石を還元する水素還元製鉄がございますが、技術的に未確立な部分が多く、民間の取組だけではなかなか進まないのが現状であると認識をしております。このため、グリーンイノベーション基金を活用しまして、官民が連携して革新的な技術開発を進めていく必要があると認識をしております。
経済産業省としては、二〇〇八年度から民間企業と連携しましてCOURSE50というプロジェクトを進め、製鉄所で発生する副生ガスの中の水素を還元剤として利用する技術開発を進めてきております。本プロジェクトでは、既に小型の試験炉においてCO2排出量を一〇%削減するという当初目標を上回る一二%削減という成果を生み出しております。他方、技術開発にはまだ乗り越えるべき課題が多くございまして、早期に水素還元製鉄の社会実装を実現すべく、その開発を官民が連携して着実に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/121
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122・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
今、鉄や化学含めた素材産業ビジョンというものが作られているかと思います。六月にもまとまるクリーンエネルギー戦略、ここに盛り込まれるのかなというふうに考えていますけれども、海外は、これまでも議論にも出たりしていますけど、ドイツ、スペイン、カナダとかは、アルセロール・ミッタル社に、脱炭素化に向けた商用化段階ですね、研究開発だけではなくて商用化段階の設備投資に最大五〇%の公的支援を行ったりとか、中国は、これは国営メーカー宝鋼ですけれども、ここには八千五百億円の支援を行う、この宝鋼というのは元々は日本の技術支援でできた製鉄所ですけれども、そういうものが決定したりとか、一方で、日本は現時点ではグリーンイノベーション、千九百三十五億円と業界全体で把握しています。
最後、大臣にお聞きしますけれども、そのクリーンエネルギー戦略に向けて、もちろん半導体も大事ですし、蓄電池も大事なんですけれども、やはり素材産業も日本を支える大事な産業だと思います。是非、競争力維持のために海外に負けないような戦略を是非お願いしたいんですけれども、最後にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/122
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123・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のとおり、鉄鋼業は、我が国産業基盤を支え、産業全体の競争力の源泉を生み出す重要な存在です。世界的な脱炭素化の流れの中で、我が国産業部門の約五割のCO2を排出する鉄鋼業が国際競争力を維持し、持続的に成長し続けるためには、カーボンニュートラルへの対応は喫緊の課題です。今般、産業構造審議会において、鉄鋼業を含む素材産業の将来像について議論いただき、カーボンニュートラルの実現に向けて、鉄鋼業界で十兆円規模の脱炭素投資が必要と見込まれている事実や、今後の政策の方向性を提示しました。
経産省としては、我が国鉄鋼産業が国際競争力を維持しながら脱炭素化を実現することができるよう、グリーンイノベーション基金を活用した水素還元製鉄の技術開発などに取り組んでいます。政府として、どのような支援が必要か、具体的な検討をこれから進め、革新的な技術開発や社会実装に向けた取組を最大限支援していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/123
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124・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
昨日の参考人質疑の中でもあったんですけれども、やはりもう官がしっかり背中を押す、研究開発だけじゃなくて、そのビジネス化までの支援も必要だとありました。さっきのヨーロッパの例もそうですけど、研究開発だけじゃなく、社会実装のところまでの支援を是非お願いして、私の質問を終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/124
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125・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/125
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126・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、エネルギー使用合理化法等改正案に対し、反対の討論を行います。
四月五日に公表されたIPCCの報告書では、二〇二五年までに世界全体の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要があると示し、将来の技術革新に頼るのではなく、現状ででき得る対策の総動員を促しています。ところが、本法案はそれに逆行し、最大のCO2排出源である石炭火力発電を延命する新たな仕組みをつくるものであり、絶対に容認できません。
反対理由の第一は、化石燃料を使用し、製造過程で大量のCO2を放出するグレーアンモニアも含めて非化石エネルギーと定義して利用を促進し、二〇五〇年時点でも最大四十基もの石炭火力を残すことを前提にしたものだからです。
一・五度目標達成のためには切迫した事態に直面しており、G7各国では日本を除き、石炭火力の廃止時期を決め、取り組んでいます。累積排出量も多い日本が石炭火力の廃止を決断することが、国際的に果たすべき最低限の責任です。
質疑の中で、グレーアンモニアからの脱却の時期も示せず、二〇五〇年時点でも、現在の世界全体の貿易量の二千万トンを大きく上回る三千万トンのアンモニアを必要量としていることが明らかになりました。世界の脱炭素の流れに逆行するとともに、将来にわたってエネルギーの海外依存を強めるもので、エネルギー自給率の観点からも重大な問題です。
第二は、石炭火力延命のために、新たに巨額の水素、アンモニア、CCSへの設備投資への出資、債務保証をJOGMECの業務に追加し、国費投入の道を開き、巨大商社、電力大手、資源会社の事業リスクを国民に転嫁することになるからです。
JOGMECは、既に投資先の六割が事業を終結し、二千八百億円もの繰越欠損金を抱えています。さらに、今回、座礁資産となるリスクが非常に高い事業に対し巨額の税金を投入することは、石油公団の二の舞になりかねず、許されません。
世界の流れは、化石燃料への投資から引き揚げ、再生可能エネルギーへの投資へと大きくかじを切っています。省エネ、再生可能エネルギーへの投資は、産業界、日本経済の健全な発展につながるものであり、若い世代、次世代のためへの投資でもあります。
エネルギー政策の抜本的転換を求めて、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/126
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127・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/127
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128・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、矢田さんから発言を求められておりますので、これを許します。矢田わか子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/128
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129・矢田わか子
○矢田わか子君 私は、ただいま可決されました安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び碧水会の各派並びに各派に属しない議員安達澄君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 我が国が国際的に約束した温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けて、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換の一層の促進等を図ることが、我が国産業の新たな技術優位の確立につながるよう、必要な技術開発やその支援措置等の拡充に早急かつ強力に取り組むこと。また、太陽熱や廃熱等も含め、既存のエネルギー源等の活用の在り方についても積極的に検討を進めること。
二 ロシアによるウクライナ侵略等最近の国際情勢の変化に的確に対応して、我が国の資源・エネルギー政策を再検証しつつ、資源・エネルギーの安全保障・安定供給の確保及び価格の安定に全力で取り組むこと。そのための措置として、事業者に対する支援を通じた資源・エネルギーの調達先の一層の多角化や調達への国の関与強化等による安定供給確保に努めるとともに、代替資源の研究開発支援、再生可能エネルギー等の一層の導入促進、蓄電池の活用、地域間連系線の整備や小規模分散型電源への転換促進への支援、ヒートポンプの導入拡大支援、送配電網の高度化などの送配電ロスを低減するための取組、我が国海域でのエネルギー・鉱物資源の開発及び事業化支援等による資源・エネルギーの自給率の向上に向けた実効性のある取組等を総合的かつ早急に進めること。
また、電力需給逼迫の常態化や電力価格の高止まりに対する喫緊の措置として、再生可能エネルギーその他国内で稼働可能な電源のベストミックスを図ることにより当面の電力供給の確保のための実効性のある施策を講ずること。
三 電力自由化の下での我が国全体の供給力確保に対しては国が最終的な責任を負うべきであることに鑑み、中長期的に必要不可欠な規模の電源の維持・確保に向け、容量市場について、その制度目的に照らして改善すべき点がないか検証しつつ、安定的で着実な運用を図るとともに、電力自由化の下での安定供給とカーボンニュートラルの両立に資する投資環境を早急に整備すること。あわせて、発電所休廃止に係る事前届出制の運用に当たっては、休廃止を行おうとする事業者の自律的で合理的な経営判断を最大限尊重すること。
四 揚水発電が、電力需要変動に対する調整機能、再生可能エネルギーの出力制御の抑制及び災害時における電力供給源としての機能等において重要な役割を果たしていることを踏まえ、その最大限の活用及び維持開発が図られるよう、必要な制度措置の検討を早急に進めること。
五 水素・アンモニアについては、その特性に応じ、エネルギー効率及び経済性に配慮しつつ、用途ごとの利用の在り方を明確にして活用するよう努めること。また、今後の再生可能エネルギーの導入状況や技術開発の進展状況、製造コスト等の観点から不断に検討を加え、できるだけ早期に温室効果ガスの排出を可能な限り抑えた製造方法等への移行を進めること。
六 営農型太陽光発電については、その大きなポテンシャルを踏まえ、引き続き関係省庁で連携して、導入拡大のため必要な措置を講ずるよう努めること。
七 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構における出資・債務保証の範囲拡大に伴う業務の実施に当たっては、必要な専門人材の確保に留意しつつ、その業務が多額の国費を用いるものであることを踏まえ、支援措置の有効性及び効率性に十分に配慮するとともに、国民への適切な情報開示に努めること。
八 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する基本方針の策定に当たっては、気候変動対策及びサステナビリティに関する国際的な議論や動向を踏まえ、民間企業による企業価値と競争力を高めるための経営判断及び自助努力による取組に十分に配慮すること。
また、特定事業者等に対して非化石エネルギーへの転換に関する中長期的な計画の作成を求めるに当たっては、サステナビリティに関する基準やESG評価への対応のために事業者が作成している計画の活用を可能とするなど、その負担の最小化に配慮するとともに、主務大臣による指導及び助言に当たっては、そうした事業者の経営判断や取組を可能な限り支援・尊重すること。
あわせて、取組の評価に当たっては、サプライチェーン全体による取組等の効果を考慮しつつ、目標となる基準の妥当性について現実に即した不断の見直しを行うとともに、評価結果に基づく罰則の適用や低評価の結果公表は慎重に行い、高評価の結果を積極的に開示するなど、事業者にインセンティブを与える措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/129
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130・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいま矢田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/130
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131・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 多数と認めます。よって、矢田さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、萩生田経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。萩生田経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/131
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132・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/132
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133・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/133
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134・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X00920220512/134
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