1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十九日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
衛藤 晟一君 中田 宏君
武見 敬三君 北村 経夫君
五月十八日
辞任 補欠選任
三浦 信祐君 佐々木さやか君
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出席者は左のとおり。
委員長 石橋 通宏君
理 事
青山 繁晴君
宮本 周司君
矢田わか子君
石井 章君
岩渕 友君
委 員
阿達 雅志君
石井 正弘君
北村 経夫君
中田 宏君
中西 哲君
松村 祥史君
吉川ゆうみ君
森 ゆうこ君
森本 真治君
河野 義博君
佐々木さやか君
里見 隆治君
山崎真之輔君
ながえ孝子君
安達 澄君
国務大臣
経済産業大臣 萩生田光一君
大臣政務官
経済産業大臣政
務官 吉川ゆうみ君
事務局側
常任委員会専門
員 山口 秀樹君
政府参考人
経済産業省大臣
官房サイバーセ
キュリティ・情
報化審議官 江口 純一君
経済産業省大臣
官房技術総括・
保安審議官 太田 雄彦君
経済産業省大臣
官房審議官 蓮井 智哉君
経済産業省大臣
官房審議官 福永 哲郎君
経済産業省大臣
官房審議官 苗村 公嗣君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 南 亮君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 茂木 正君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
中小企業庁事業
環境部長 飯田 健太君
環境省大臣官房
審議官 白石 隆夫君
環境省環境再生
・資源循環局長 室石 泰弘君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/0
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001・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、衛藤晟一君、武見敬三君及び三浦信祐君が委員を辞任され、その補欠として中田宏君、北村経夫君及び佐々木さやかさんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/1
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002・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官江口純一君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/2
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003・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/3
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004・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/4
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005・阿達雅志
○阿達雅志君 自由民主党の阿達雅志です。本日は質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。
早速、この高圧ガス保安法について質問させていただきます。
今回、この法律、法案の中で、一般ガス導管事業者に対して共同で災害時連携計画の作成、届出義務を法定をしております。ただ、実際に、私は今までのいろんな災害を見てくると、阪神大震災、中越地震、東日本大震災、熊本地震、あるいは二〇一九年の台風十五号、十九号ですね、こういったときに、実際には電力会社の皆さんあるいはガス会社の皆さんが、管轄外であっても、実際にその復旧作業のときに集まっていただいて、そして作業をしていただいていると。これはやはり、電力、ガスというものが安全上の問題で専門家でないとできないという中で、こういうことを電気事業連合会あるいは日本ガス協会がやってきたと、こういうことがあるわけです。
その中でも、特にガス事業の場合は、ガス事業法百六十三条の中にガス事業者、規定があります。これは、ガス小売事業、一般ガス導管事業、特定ガス導管事業、ガス製造事業者全てを含む形で連携して災害のときに当たるという、こういうことで、これに基づいて、経産省でガス事業者間における保安確保のための連携及び協力に関するガイドライン、そしてガス協会の方で非常事態における応援要領という形で、現実問題、これ災害のときの連携がなされているわけですね。
一方で、電気事業については、こちらは電気事業法二十八条の規定というのが、電気事業者及び発電用の自家用工作物を設置する者の間には相互に協調しろというのがありますけれども、やはり法的分離の後ではそれでは足りないということで三十三条の二で災害時連携計画というのが規定をされ、ただ、ここも一般送配電事業者相互の連携と限定をされていた。それから、三十四条で情報の提供ということで、一般送配電事業者というのがやはり対象にされて。
どうもこの辺り、システム改革をやって、そして法的分離をやったときにそれぞれの事業者を細分化し過ぎた、この結果として本当に災害、有事のときに連携できない、そういったことが起きていて、それをパッチワークで埋めてきたような気がしてしようがないんですね。
それは、法的分離のときに人的交流制限を、人的規制を付けています。これは、小売と送電の間で余り交流するなとかですね、いろんな制限を付けた結果、結局そういう災害のときに連携して動けないんじゃないかと。これ、実は私、システム改革の法案審議のときに指摘をさせていただいて、本当にこういう法的分離をやった後にこういう災害時の保安体制できるんですかというのをお聞きをしたんですね。そのときは、いや、ちゃんとやれますと言っていたのが、その後、何かパッチワーク的に法律改正が出てきているというのを感じた、感じているものですから、なぜ今回、一般ガス導管事業者ですね、に限って共同で災害時連携計画の作成、届出義務を法定したのか、これについての立法事実を説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/5
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006・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今御指摘をいただきましたとおり、ガス事業の分野におきましては、ガス事業法百六十三条における連携協力義務の規定を踏まえまして、国が策定いたしましたガイドラインですとか業界が定めた応援要綱等に基づいて、これまで適切に被災地域内外の連携が行われてきたものと承知しております。
一方で、今後、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震といった更なる大規模災害の発生が懸念する、される中、電力分野の災害時連携計画の成果を踏まえまして、事業者間の連携体制に万全を期すため、一般ガス導管事業者に対して災害時連携計画の策定、届出を義務付けることといたしました。
一般ガス導管事業者に限り義務を課すこととした理由でございますけれども、これは、一般ガス導管事業者が公益性を有する社会インフラである導管網を維持運用しており、託送供給や最終保障供給に係る義務を課されているためでございます。
具体的な計画におきましては、現行の応援要綱の内容に加えまして、地方公共団体との連携や事業者間の共同訓練等の事項について記載を求めることを想定しており、これにより事業者間の連携の更なる円滑化を図ることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/6
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007・阿達雅志
○阿達雅志君 やはり、今の話を聞いても、なぜ本当に一般ガス導管事業者に限ったか、ちょっと私自身今のでは納得し切れない部分があって、それはやはり、一般ガス導管事業者がやる部分って所詮その開栓、閉栓のところまでなんですね、元栓の。その室内の部分というのは、これ、小売の方にやっているわけで、ここの保安体制が本当に一貫しているのかどうかという中で、今回もう全部を入れるんだったら私納得できるんですが、やっぱり一般ガス導管事業者に限ったというところが何かパッチワークのような気がしてしようがないという印象を受けました。
ただ、余りここを突っ込んでいてもあれですので次に行きたいと思いますが、実は私、これ、次の質問をするためにあえて聞いたんですけれども、やはり、今回こういうウクライナの問題含めていろんなことが起きている中で、電力事業、ガス事業のシステム改革というのが川上から川下まで全フェーズにおける供給力への投資モチベーションを低下させた、あるいは、こういう一貫したオペレーションというのを崩したことによっていろんなところで問題がやはり生じているんじゃないかと。
これ、経産省、今までもいろいろ質問をしても、とにかく市場をつくってそれで何とか対応するんですということはありました。前回の電力事業についての委員の先生方のいろんな質問を聞いていても、どうもその経産省のお答えというのはパッチワーク的に対応しているように聞こえてしようがないんですね。
一方で、その市場をつくって、例えば電力の場合に、容量市場をつくったからそれで問題解決するかというと、容量市場、例えば今、二〇二五年分の容量市場をやったって、これやったことに供給力の増強というのはどう役立つのか。つまり、電力にせよガスにせよ、こういう巨大な設備投資をする、その回収というのは最低でもやっぱり十五年とか二十年掛かるわけです。それだけの投資をするものを、目先の数年先の市場で果たしてこういうモチベーションを本当につくっていけるのか。やっぱり、こういう設備投資のリードタイムが掛かる。それから、投資回収リスクということでも、これ従来は、地域独占、総括原価方式の中で回収は確実だったわけですね。それが今、これだけ不安定な、一次エネルギーの金額が動いたり、それから実際に工事をやろうとしている間に、今だったら鉄鋼価格がどんどん上がる、セメント価格が上がる、こういう中で本当に投資をしていけるのか。それからさらに、今、カーボンニュートラルという問題の中で、じゃ、石炭火力やめますと、じゃ、やめた代わりに何を今投資すればいいかという、こういう指針について何も出てこない。
こういう、全体としてこれ川上から川下まで含めて投資モチベーションが低下しているんじゃないかという気がするんですね。
川上って申し上げたのは、上流投資、これ考えても、従来は、石油、石炭、天然ガスというのはこれ戦略商品でしたから、だから国の方でも相当バックアップをして、石油公団があったり国際石油開発があったり、いろんなところがいろんな支援をやる中でやってきた。ところが、いつの間にか、これ、戦略商品から国際商品だということで、そういうビジネスベースの話になってきたら、やっぱり投資が回収できるかどうかというのは民間会社にとって一番大きな話なんですね。そこへさらにシステム改革によって回収が確実でなくなったという、これがやっぱり大きな影響があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/7
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008・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) これまで、電力システム改革を通じて、小売全面自由化や送配電部門の分離、電力広域的運営推進機関の設立などに取り組んでまいりました。この結果、小売電気事業への新規参入に伴い様々なメニューが登場して自由化の選択肢が拡大しているほか、安定供給の観点でも、電力広域的運営推進機関を通じた地域間の電力融通の円滑化や地域間連系線の増強など、一定の成果が現れてきていると認識しています。
一方で、先生御指摘のとおり、電力自由化に伴う新たな課題にも直面しておりまして、例えば脱炭素化の流れなども相まって火力発電の休廃止が増加し、足下では電力需給が厳しい状況が続いています。このため、国全体として必要な供給力を確保するため、発電事業者が固定費を回収できるための仕組みとして容量市場を創設したほか、昨年からは、公募に応じた発電事業者に対して追加燃料調達に必要な経費を支払う仕組みを導入するなど、安定供給を確保するための措置を講じてまいりました。
さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、脱炭素電源への新規投資を促す必要がございます。このため、初期投資に対する長期的な収入の予見可能性を付与する仕組みについても早期の導入に向けて検討を進めています。
また、ガス事業については、ガスシステム改革後もガス製造設備の休廃止などによる供給力不足は生じておらず、必要な供給力が確保されているものと認識しています。
低廉かつ安定的な電力、ガス供給の両立を実現するためのシステム改革に終わりはないと思っておりまして、今後とも、新たな生じる課題に対して、制度を不断に見直しながら、必要な供給力をしっかりと確保される環境を整備していきたいと思います。
先生からパッチワークじゃないかという御指摘いただいて、やや反論しづらいところもあるんですが、他方ですね、他方、かつてはもう一社独占だったわけですよね。当然、自社で回収ができるから大きな投資はするんですけれど、これを自由化したことによって様々なメリットも出てきていますので、そういう意味では、過去に比較すると大型投資した、する人がいなくなるんじゃないか、しても回収がしづらくなるんじゃないかという御批判は考えなきゃならない部分はありますけれど、ちょうどカーボンニュートラルって新たなフェーズを迎えますので、そこに対してはまた新たな支援というものもメニューとして考えながら安定供給に全力を挙げていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/8
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009・阿達雅志
○阿達雅志君 大臣の率直な御答弁、心から敬意を表します。
このシステム改革のときに、やはりこの公益性の部分、電力もガスも公益企業と言われてきたわけですね。この公益のやはり一番大きい部分というのは供給力だったと思うんです。その供給力をどうするかの議論が、どうしても価格という、自由競争の中で価格というその議論に押されてしまって全体の制度設計がされたんじゃないかと。
そういったところを、特にやっぱり電力にしてもガスにしても需要が変動しますから、オフピークとピークとのこの差の部分、この余剰能力を誰が持つかというのがやっぱり供給力という意味で根本になると思うんですね。だから、そこの部分をやはり公益ということで考えるのであれば、国がやっぱりしっかりと支える仕組みをつくっていかないといけない。
ですから、私は、ちょっと今、システム改革終わりはないとおっしゃったときに、終わりはないのは確かなんですが、その終わりがない方向が、新しい市場をどんどんつくる形で終わりがないということであってはちょっと話がおかしくなるのではないかなということを危惧しますので、意見として申し上げさせていただきます。
それから、今、サハリンのLNGの権益、この問題というのが先日からもいろいろ委員会でも出ています。この権益維持ができるかどうかというのは、これ、日本側の問題だけでなくてロシア側の問題もあるわけですが、一方で、万一ロシアからのLNG輸入が停止したときの電力供給、それからガス供給の維持というのは、やはりこれしっかり考えておいていただかないといけないんじゃないかと。
それは、今まで、いや、その代わり代替を探しますとかそういう議論もありました。ですが、実際のその代替というのを考えたときに、これ、LNGというのは、例えば今からアメリカでガスの生産を急速に増やしたとしても、実際に液化施設を造り、そしてタンカーを増やして持ってこないといけない。そういったロジスティックスまで考えると、どうしても早くても三年掛かるわけですね。そうすると、その三年の期間、サハリン2から来ている五、六百万トンの天然ガスが来なくなる可能性を考えると、電力の場合に、じゃ、LNGのスポットといっても、これスポットマーケット自体が、LNGのスポット自体が今申し上げたように簡単ではない。
それから、どこかでガスを増産したとしても、それをLNGの形で日本へ持ってこれるかどうかのロジスティック、タンカーの数まで含めて問題があるとすると、やっぱりその短期的な問題と中期的な問題という中で、やっぱりしっかりとその今の産ガス国への働きかけ、それからLNG上流開発とかそういう中長期の問題と別に、短期的なことについてはこれしっかりとやっぱり予想しておいていただかないといけない。先日もお話があったとおり、あるガス会社さんなんかだったら、サハリンから五〇%天然ガスを取っているわけですね。それが飛んでしまったら、じゃ、その供給を誰がどうやってやるか、そういうことがありますから。
多分、この部分は経産省の方に直接お聞きをしても皆さん非常に答えづらいところだとは思いますけれども、今までの委員会での皆さんの議論も踏まえて、これ止まらないようにするにはまずどうすればいいのか。これ、本当にG7の中で一緒に、G7の中でガスが問題だといっても、パイプラインをベースにしている欧州とLNGをベースにしている日本は違いますから、そこの部分については是非大臣にもしっかり主張をしていただいて、G7あるいはアメリカと同じ行動でなくてもこの部分については私はいいと思いますので、考えていただきたいということで、多分回答が非常にしづらいと思いますので、あえてこれは質問にはいたさず、せずに、意見として言わせていただきます。
次の質問に行かせていただきます。
そういう中で、今後カーボンニュートラルというのを進めていくときに、今までも、水素、アンモニア、これについて経産省として注力していくという話がございました。ただ、私ちょっと、合成メタンですね、これについてもう少し経産省、踏み込んでいただいていいんじゃないかというふうにも思います。
それは、やはり既存のインフラを最大限活用するということになると、ガスにしても自動車にしても、それ以外の石油化学にしても、こういうメタネーションで進めていくというのが非常に大事だと思うんですが、そういう意味で、この部分については日米で協力するという話もいろいろ出てきているというふうに理解をしています。日本、エネルギー安全保障とクリーンエネルギー・トランジションに関する共同宣言とか、そういう話も出ています。一方で、やはりこのCO2カウントをどういうふうにするかとか国際的にまだ処理されていない部分もあるんで、やはりこれ国際連携必要であろうと。
こういう合成メタンについて日米共同検討を進めるべきではないか、また、合成メタンに関する大規模投資を支援するスキームを水素、アンモニアと連携する形でしっかりクリーンエネルギー戦略で考えるべきではないかと思いますが、御所見をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/9
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010・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
今先生おっしゃっていただいたとおりですが、水素と回収したCO2から生産する合成メタン、これはガス体エネルギーのカーボンニュートラル実現に向けて我々も有望な手段の一つだと、そのように考えております。
合成メタンの生産ですが、これには安価で豊富な再生可能エネルギー電気を必要とするということでございまして、この場合、日本国内というよりも、むしろ再エネコストが安価な海外での大規模生産というものも想定されております。また、製造した合成メタンを日本に輸出するということで、これはLNGの輸出施設があるということも重要な条件でございます。このような観点から、委員御指摘の米国というのは、将来的に合成メタンの生産、それから輸出国として有望な国の一つであるというふうに考えております。
このため、先ほど御指摘もいただきましたが、既に民間企業による検討も進められておりまして、JERAや東京ガス、三菱商事は、米国での合成メタン製造に関するFS調査を実施しているところであります。また、経済産業省としましても、今月上旬に萩生田経済産業大臣が訪米した際に、米国エネルギー省との間でCCUS、カーボンリサイクルの協力覚書に署名しましたが、この覚書の中で合成メタンも含まれている有力な分野でございます。
米国は、合成メタン実用化に向けまして日本の有望なパートナー候補国であります。また、ガス会社等によるFS調査の結果なども踏まえて、今後、日米間でどのような協力が可能かというのを引き続きしっかり検討してまいりたいと思っております。
さらに、合成メタンの大規模導入に向けましては、委員御指摘のとおりでありますが、今後、企業による大規模な研究開発や製造設備の投資が必要であります。これを後押しするため、今月十三日に取りまとめましたクリーンエネルギー戦略の中間整理におきましても、国内、海外のサプライチェーン構築、CO2排出に係る制度、ルール整備、こういったものを進めるということにしているところでございます。
今後、具体的な支援策の在り方につきましては、メタネーション推進官民協議会におきましてしっかり検討してまいりたいと、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/10
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011・阿達雅志
○阿達雅志君 一問質問が残りましたが、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/11
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012・森本真治
○森本真治君 おはようございます。立憲民主党の森本真治でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
法案のことに、質問に入る前に、大変恐縮ですけど、ちょっと二問ほど先に確認をしたいことがありますので、よろしくお願いいたします。
まず一点は、これ、昨年の十二月二十日のこの委員会で私の方が取り上げて理事会協議案件になっていたんですが、国土交通省の統計改ざん問題に端を発しまして、この影響が、経産省の方での制度であります中小企業に対する融資額の八〇%を保証するセーフティーネット保証第五号の業種指定に影響を与える、指定に与える、影響を与える可能性があるという、昨年、大臣がそういう発言をされて、恐らくこの間、そのことについて調査をされていたんではないかというふうに思うんですが、これについては当委員会に報告するようにというお願いをしておりましたので、経産省の方のこの間の調査内容について御報告をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/12
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013・飯田健太
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
今委員御指摘ありましたセーフティーネット保証五号でございますが、御指摘のとおり、業況が悪化している業種に属する中小企業に対して融資額の八〇%を保証するものでございます。このうち、その建設関連の業種の指定に当たりましては、国土交通省から御提供いただいておりました建設工事受注動態統計を活用してきたところでございます。
これにつきまして、昨年末に国土交通省の方で統計不適切処理の事案が発覚したということでございましたので、その後の本年の一月からのセーフティーネット保証五号の指定に当たりましては、国土交通省からその代わりになる業況データの提出を順次受けておりまして、建設関連業種四十九業種のうち、一月一日に八業種を、一月二十一日に十三業種を指定したところでございます。本年四月以降の指定につきましても、同種の業況データに基づいて指定を順次しているところでございます。
加えまして、過去の指定業種に影響を与えた可能性についてでございます。
こちらにつきましては、先週十三日の遡及改定検討会議におきまして、今後、適正かつ速やかに遡及改定を実施、公表するという方針が出されたものと承知をしております。国土交通省からは、今年の秋頃までには遡及改定を実施するという旨を聞いておりまして、まずはその結果を待ちたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/13
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014・森本真治
○森本真治君 御答弁いただいたように、まず国交省さんの方はこれから過去の部分について調べていくということでございますので、それを受けないと経産省さんの方でも状況、影響などについての結果は報告できないという答弁かなというふうにも思いました。
本来は保証を受けれることができたのにそれが受けれなかったのではないかとか、その逆のパターンもあろうかと思いますが、これは非常に重要な問題だということは認識をお持ちいただいているというふうに思います。
秋頃以降ということで、夏には改選も迎えるということにもなりますので、このまま協議案件として残しておいていただくということがなかなか難しいというふうにも聞いておりますが、是非臨時国会にはこの結果についてしっかりと報告も国会にはしていただかなければならない非常に重要な問題だということがございますので、このことについて取り上げさせていただいたところでございます。
それともう一点、これも喫緊の課題でございますので、是非ちょっと法案の前に取り上げさせていただきたいというふうに思います。
これは一昨日の新聞各紙でございますけれども、日銀が発表した四月の国内企業物価指数が前年同月比一〇%上昇したということを各紙が報道をしております。二桁に乗ったのが、これは比較可能な一九八一年以降では最大で初の二桁というようなこととか、過去を見てみますと、第一次オイルショック、第二次オイルショック以来のこの二桁に乗ったというようなこの状況が報道であります。
まず、この国内企業物価指数が前年同月比で二桁に乗っていっているという今の状況について経産省さんはどのように認識して、このままこれは注視するのか、対策を取るべきではないかというふうにも思ったりもするんですが、その辺りの考えについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/14
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015・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) 御指摘のとおり、二〇二二年四月の企業物価指数でございますが、前年同月比プラス一〇%ということでございます。その背景でございますが、原油を始めとする世界的な原材料価格の高騰があるものと認識してございますし、まさに足下では、ロシアのウクライナ侵略などを受けまして、原油に加えて穀物の国際価格なども変動を伴いつつ高い水準で推移しているというところでございます。
こうしたことにつきまして、引き続き企業に与える影響について注視してまいりますし、さらには、今御指摘ございました、特にサプライチェーン全体でコスト上昇なども適切に転嫁できるようにということが重要だと思っておりますので、取引適正化の取組などを強化しているところでございます。
こうした取組を通じまして、適切な利益が下請企業などに残るようにも寄り添った支援をしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/15
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016・森本真治
○森本真治君 原材料費の高騰という今御答弁がありましたけれども、専門家の皆さんのいろんな分析の記事も見ておりますと、原材料費の高騰ということも関わるんですが、輸入インフレというようなこと、これは原材料費の高騰だけではありません。円安というのも、これどんどんと上がっていっている状況があるわけでございます。
ちょっとこの問題については後ほどまた聞きますけれども、一方で消費者物価指数ですね、消費者物価指数の方との、この企業物価指数、この上昇率にはギャップが実は広がっているというような状況もあるようでございます。つまり、これは何を意味しているかといいますと、価格転嫁ができていないということですよね。今、岸田政権、そして経産省もそうだと思います、この価格転嫁対策ということが新しい資本主義、最重要課題だというふうに私は説明を予算委員会以降も伺っていると思いますよ。
全くこの岸田政権の最重要課題についての対策ができていないんじゃないんですか。その辺りについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/16
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017・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) 御指摘の企業物価指数と消費者物価指数のギャップの件でございますけれども、企業物価指数の需要段階別・用途別指数でございます。こちらによりますと、この四月時点で素原材料、それの価格指数が前年同月比では六五・五%の上昇。これに対しまして、中間財の価格指数は一八%の上昇、最終財の価格指数が四・九%の上昇となってございます。
また一方、御指摘のありました消費者物価指数でございますが、これはまだ三月時点の数字でございますけれども、〇・八%の上昇というのが前年同月比で出ておりまして、総じて見ますと、御指摘のとおり川下に向かうほど価格転嫁が進んでいない可能性が高いというふうに認識してございます。
まさに、先ほど申し上げましたけれども、サプライチェーン全体でどういうふうにコスト上昇を価格転嫁できるかと、そういった環境を整備するために、経済産業省としては取引適正化の取組を更に強化しているところでございます。
具体的には、三月の価格交渉促進月間のフォローアップとして、二千社に対する下請Gメンのヒアリング、十五万社の下請中小企業者に対する調査を実施しておりますし、これらを踏まえて、下請振興法に基づく指導、助言を実施するでありますとか、さらに、パートナーシップ構築宣言ですね、サプライチェーン全体の共存共栄を目指すこの宣言につきまして、より多くの大企業の参加を促すなど、既に宣言、あわせて、既に宣言した企業の取組を調査するということもございまして、あわせて、実効性の向上に向けたフォローアップを行ってまいります。加えて、今年から倍増した下請Gメンの聴取した現場の声も踏まえ、業種別のガイドラインや自主行動計画などの更なる改善なども図ってまいります。
こうしたことで、適切な利益が下請企業に残るよう、中小企業に寄り添ってしっかり全力で取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/17
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018・森本真治
○森本真治君 今、本当、現実、現状がもうどんどんと悪化をしているというか、非常に懸念されるような状況の中で、先ほど、政府としての、経産省としての取組の説明もございましたけれども、どんどんとこれ悪い数字というか、懸念される数字が今進んでいる。これは、私たちはもう予算委員会の当初からずっと言っていた話が一向に改善をされないという中での今回の補正予算、もう間もなく、先日閣議決定をされたということですが、二・七兆円の補正予算案、そのうちの一・五兆円は予備費、予備費を使うので予備費に穴埋めするという、これはもうこの委員会でももう取上げもさせていただいて、全く意味不明な今回の補正予算の審議をこれから国会でも始めていくという、そういう状況になるわけでございます。
私たちはもうこの状況、大変な危機感を持っておりますから、二十一兆円の緊急対策の提案もさせていただいております。桁が一つ違います、政府とはですね。もうそのぐらいの危機感を持って取り組んでいかなければならないというふうに思うんですが。
これは、前回も大臣の方にその危機感については御説明をされ、認識は承ったんですが、さらにこういうような数字も出てきた。これも以前の委員会でも言いました。実質賃金も下がっているという直近の数字も出てきた、物価高騰に賃金の上昇も追い付いていないという、本当に国民生活が苦しくなっているというのはこれもうデータとしてもうどんどんと今出てきている状況です。前回も大臣に聞きました。改めて、今回の補正予算の不十分さ、緊急対策の不十分さについては指摘をさせていただかなければならないと思います。
経産省として政府全体に対してしっかりとこの危機感、共有してもらうように主体的に取り組んでいただきたいと思いますが、改めてその考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/18
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019・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 萩生田大臣でよろしいですか。どなたに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/19
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020・森本真治
○森本真治君 大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/20
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021・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 新型コロナの影響に加えて、足下ではエネルギーの原材料の価格が高騰しており、中小企業を始め多くの事業者が厳しい経営環境にあると認識しております。政府としても、厳しい事業者を支援するために、先日決定した総合緊急対策に沿って支援に取り組んでまいります。
具体的には、原油価格高騰に対する激変緩和事業について新たな制度をつくらせていただきました。またさらに、物価高騰によるコスト増について、下請の中小企業のみに過度な負担とならないよう価格転嫁対策を着実に実施するほか、資金繰り支援としてセーフティーネット貸付けの金利を更に引き下げることとしました。また、新分野展開などを支援する事業再構築補助金についても、新型コロナに加え原油価格高騰などの影響も受ける事業者の支援を強化するなど、様々な対策を講じてまいりたいと思います。
まずはこれらの支援策を迅速に実行に移していくことが重要だと思っておりまして、その上で、原油高、物価高騰に苦しむ事業者の皆様を取り巻く状況を注視しながら、必要に応じ新たな施策を検討するなど、事業者の皆様をしっかり支えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/21
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022・森本真治
○森本真治君 ちょっと確認です。
今御答弁もいただきましたけれども、今、政府なり経産省ですね、今の経済政策の最大の課題は、この物価上昇をいかに抑制していくのか、この物価上昇の懸念に対して、国民生活が非常に厳しくなっていく、最優先はこの物価上昇をどう抑えていくかということだと私自身は考えるんですけれども、そういう認識でよろしいのかどうかも、どなたでも結構ですが、御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/22
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023・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) 物価上昇の、ついての認識ということでございますけれども、やっぱり急激に特に物価上昇するということにつきまして、それは、マインドの悪化や購買力の低下を通じまして民間の消費や企業活動を下押しするということで、実体経済に影響を及ぼすという可能性があると認識をしてございます。
このため、先ほど大臣からもお話ございましたけれども、物価高、あっ、原油高ですとか物価高騰による国民生活や経済活動への影響を最小化するように、まずは、先ほどもありましたけれども、緊急総合対策、あっ、総合緊急対策に盛り込んだ支援策を着実に実行に移していくことが重要と考えてございますし、引き続き、原油高、物価高騰に苦しむ中小企業を始めとする事業者の皆様を取り巻く状況を注視しながら、事業者の皆様をしっかりと支えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/23
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024・森本真治
○森本真治君 御答弁いただきました。
しかし、その一方で、私、政府としてのその最大の、今のこの物価高対策ということが最大の課題ではないかというふうに私は認識をしているんだけれども、政府としては本当にそういう認識に立った政策が実行できているのかどうかということの一つが今の日銀の政策ですよ。いまだに円安を進めようとしているんじゃないんですか。
まあアベノミクスというのがあって、私は、新しい資本主義というのは、岸田政権、このアベノミクスからの転換だというふうに思っていたら、どうもこの間の答弁では、アベノミクスはそれはしっかりと評価しながら、さらにそこで出てきた課題について対応するという、そのようなことを答弁を岸田総理もされているんではないかというふうにも思うわけでございますね。どんどんと円安を進めさせていくような今の日銀の政策、それと、日銀というのは政府の子会社だというふうに元総理の方も言っていらっしゃると思うので、日銀のことは日銀だという、私、答弁は通用しないと思いますよ。
これ、日本全体としてのやっぱりこれ経済政策の問題ですので、政府は物価抑制を目指そうとしているにもかかわらず金融政策などにおいてどんどんと今の円安を進行させようという、この全く整合性の付かない政策が行われている今の日本の状況については大いに危機感を持つんですけれども、そのことについての御答弁をください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/24
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025・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) 為替レートですとか金融政策の動向に経済産業省としてコメントすることは、恐縮ですが、差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、円安が進めば、先ほど先生も御指摘のとおり、輸入価格の上昇を通じて企業のコスト上昇につながります。一方、輸出を行う企業の中には円安メリットを享受する企業も出てきているということでございまして、個々の企業によって相当状況が、影響の波及の仕方等が異なっておるものですから一概に申し上げるというのはなかなか簡単ではないと思っておりますが、引き続き、先ほど申し上げましたとおり、企業が、原材料費の上昇などによるコスト上昇、これに苦しんでおられる状況に対応できるように、生産性の向上、金融面での支援、取引適正化などにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/25
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026・森本真治
○森本真治君 ちょっと今、心配するような答弁もありましたね。円安を享受している企業もあるというような答弁もありましたね。
確かに、悪い円高、良い円安というような経済政策でもあったんではないかというふうに思いますけれども、私は、悪い円安ということが非常に、今は非常に顕在化しているということだというふうに思いますよ。岸田政権の経済政策について非常に、先ほどのような答弁も含めてであれば、何らこの間の状況が変化していないということが改めて認識もするところでございますので、しっかりとこのことについては、本当に今の政権の経済政策で正しいのかどうかということは、これは、間もなく始まるであろう予算委員会でも我々としてはしっかりとその辺りについては論争、議論をしなければいけない、そのようにも思っておるところでございます。
ちょっと長くなりましたけれども、法案の質疑に入らせていただきます。
各論の質疑に入る前に、この産業保安規制のそもそも論についてちょっとまずは経産省さんの考えをお伺いしたいというふうに思います。
ポンチ絵の方も経産省さんで作っていただいておりまして、今回の法案の提案の背景ということでございます。様々な今のこの取り巻く環境、テクノロジーの進展であったり、また人材不足ということも非常に深刻化している。この間、この経産委員会でも多く議論もされております電力の供給構造の変化であったり災害への対応、そして気候変動というようなことに対応するということでの法案の今回の提案だというふうに思うんですが。
これは、まず、私の、この審議をする上での自分の考え方の問題意識としてまずお伝えしたいのが、今、この分野については様々な電力システム改革なども含めてで新規参入というのがどんどんと増えてきた、その中での事業者の、レベルと言ったら大変ちょっと誤解があるかもしれませんけれども、レベルでもいろんな差がある、そして保安レベルであったり保安意識についても様々な差があるという中で、事故の件数も増加しているんではないかという、そういう前提の中での対応をしていかなければならないということだというふうに思うんですけれども、そういう中で、この産業保安規制について、そこに関わる分野の私はやっぱり人というものをしっかりとやっぱり意識した今後の取組ということが必要だというふうに思います。
人材不足の対応についてもなんですが、まずその前に、やはりこの作業の安全とか、特に危険な箇所への例えば太陽光発電所を造っていくというですね、実は私の自宅の近くにも、のり面に、いきなりこれ急斜面に太陽光パネルがわあっと設置されたんですよ。その上に実は人家、民家もあるというようなところで、近所の皆さん、えっ、大丈夫なのというようなことも実際に私の地元でもあるということの中でのこの安全面。これは、保安の作業をする人もそうですし、その周辺の環境もそうですね。
やっぱりその安全ということを第一にした様々な取組を行っていく必要があるんだというふうに思うんですが、まずは、この産業保安規制の運用においての大前提として、講習、そしてその作業をする、関わる人たちの安全というものを常に意識しながら様々な制度について運用していくべきだというふうに思いますが、その大前提についての考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/26
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027・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、産業保安規制の運用に当たって、講習及び作業の安全は最優先事項でございます。このため、こうした安全の確保に向けて、例えば保安確保を担う電気主任技術者等の資格制度や産業保安関連設備が満たすべき技術基準を定めてございます。また、今回新たに創設するスマート保安に関わる認定制度におきましても、事業者に対して厳しい認定制度を課した上で、認定時だけではなく、認定後も行政による厳格な審査、監督を実施することとしてございます。このように、安全確保を大前提として制度設計を行っていくこととしてございます。
引き続き、安全最優先の原則の下、産業保安規制を適切に推進してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/27
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028・森本真治
○森本真治君 いろんな規制を強化してしっかりとそういう安全ということを確保していくんだという制度を実態に、それが実際に実態として運用としてできるのかどうかということは本当にこれは重要なポイントでございますので、しっかりとその辺りについての経産省としてのやっぱりフォローも行っていただかなければならないということと、今回の法案の中で、人材不足への対応と、対処ということでのスマート保安の促進ということでございます。
私自身は、当初、この最初に思ったのは、人材不足をどう解消していくのか、それは、人をどう手当てしていくのか、確保していくのかというところがやっぱり一番に来て、さらにいろんな技術を活用する中でそこを更に充実させていくということですよね、という認識でおったんだけれども、今回の法案だけを見ると、実は、その人材が不足するんで、スマート保安を促進して人手不足のところをそれで確保しようという、それも重要なのかもしれないんだけれども、やっぱり現状をきちんと、そのレベルを維持するという意味では、そもそものこの人材確保というものをどうしていくのかということ、やっぱりそこの経産省としての目標ですよね、思いというものは今回の法案の中ではなかなか感じられないなというふうに思ったんです。
いろんな課題もあろうかと思います、人手不足問題というのはですね。もう人口が減っているということがそもそもの一番大きな、どこの業種も今人手不足で悩むような状況ではあるんだけれども、やっぱりこの分野に対してどう人材を確保していくのかということをそもそもまず考えていく必要があろうかと思いますので、そのことについてのお考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/28
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029・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
スマート保安を推進していく中でも、テクノロジーに依拠することが困難な保安分野も確実にございます。そうした中、どれだけテクノロジーが進展しても、現場の技術者の確保やその技術、技能の継承の重要性が変わることはございません。保安人材が枯渇しつつある中、産業保安分野全体でしっかりと保安人材の確保、育成に取り組むことが重要だと考えてございます。
本法案が、そういう何か人材を全部その何かテクノロジーに置き換えるというような、そういう認識が、ちょっと誤解をもし与えるようであれば、そういったことは考えていないということはきちっとこの法案の周知の中でもしっかりと広報していきたいと考えてございます。
経済産業省としましては、これまでも、保安人材の確保、育成に向けましては、例えば電力分野におきましては、若者向けのPRや第一種電気工事士の資格取得等に必要な実務経験年数の短縮化を行ってまいりました。また、化学、石油、化学プラントにおきましては、事業者が円滑にAIを導入できるよう、その具体的な活用方法を示したガイドラインなどを作成し、知見、ノウハウの周知を図るとともに、プラントにおけるAI、IoT等の導入を見据えた実践的な人材育成支援も実施しているところでございます。
御指摘のとおり、スマート保安の導入は、保安の、保安人材の不足に対処するものであると同時に、これによって保安現場における働き方を改革して、労働環境を改善して、保安の現場を魅力あるものにして人を引き付ける、より付加価値の高い業務として認識されることで技術者の待遇改善にもつながる可能性があると考えてございます。保安業務の職業としての魅力が向上することにつながるようしていきたいと考えてございます。
経済産業省としましては、引き続き、スマート保安を推進しながら、産業保安分野の人材確保、育成にしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/29
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030・森本真治
○森本真治君 そういう思いをどう具体的な形にして示してあげて、後押しをしてあげれるのかということですよね。
これはこの分野だけではないけれども、やはり大企業と中小企業の体力の差などの中で、当然それは御認識をいただいて、中小企業庁さんなども一生懸命応援をされていただいているというふうに思うんだけれども、このスマート保安、さらにはこれデジタルとかDXとかでもそうですけれども、今求められているけれども、本当にしっかりとそういう対応ができるのは大きな力のある事業者、そして中小企業の皆さんがどんどんと、じゃ、では逆にですね、淘汰をされていくというようなことが起きやしないのかということですね。
しっかりとそういう中小企業とか体力のない皆さんにでも今のこの時代に沿ったそういう事業が進んでいけるような後押しというのが政治の役割とか行政の役割なのかなというふうにも思いますので、このスマート保安の促進がそういう事業の淘汰に加速をされていくということがあっては私はいけないと思うし、本当にしっかりとその頑張った人がきちんと成功していけるような環境もつくっていく必要がある。
そして、人材不足の懸念についても、今思いはお伝えいただきましたので、じゃ、それを具体的にどのように実行していくかということは、具体的なこれはもう施策とかそういう中でしっかりと具体化していただければというふうに思っております。
ちょっと時間が、通告の質問が全部できないかもしれませんので、ちょっと順番を変えさせてください。
先に、特に声が寄せられた、この法案の審議に際して私のところに届いた部分ということで、最初に、太陽光、風力発電設備の保安規制の見直しということですね、そちらの方から先に進めさせていただきたいというふうに思いますけれども、これは、今回制度を変えて、出力十キロワット以上五十キロワット未満の太陽光発電と出力二十キロワット未満の風力発電を小規模事業用電気工作物に位置付けて、いろんな規制をこれから課していくということでございます。
これは御案内のとおりでございますけれども、FIT制度の開始以降、小規模な太陽光発電、風力発電の導入が急速に進んだということで、先ほど私のちょっと自宅近くのお話もさせていただきましたけれども、非常に大量にこういう導入が進んだことによる事故の件数も事故率も増加をしてきているということで、地域でもいろんな問題が発生しているということは、これは衆議院の議論も含めてですけれども、いろいろと委員の皆さん、議員の皆さんも問題意識を持たれているというふうに思います。
今回は十キロワット以上ということでの新たな規制なんだけども、十キロワット未満ですね、というか、その十キロワットという基準に設定したということ、このことについてのまず理由を説明いただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/30
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031・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今般の小規模な再エネ発電設備への新たな保安規制につきましては、昨今の斜面での太陽電池発電や小型風力等の事故の発生ですとか、こういうような場所、設備形態の多様化といった環境変化を踏まえて、発電施設内外の安全確保に万全を期すために行うものでございます。
一方、一般住宅の屋根に設置されている出力数キロワット程度の太陽電池発電設備につきましては、住宅メーカー等によって適切に施工管理されるということに加え、一般消費者に対する負担等も考慮する必要があるから、あることから、出力十キロワット未満の太陽電池発電設備については今般の新たな規制措置の対象外とする予定でございます。
なお、一般住宅の屋根に設置される太陽電池発電設備の安全性につきましては、技術基準におきましてJIS規格による設計方法を用いることが規定されているほか、住宅メーカーの業界団体が作成、公表している住宅用太陽光発電システムの保守点検チェックリストなどを用いて適切に確認することが求められているものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/31
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032・森本真治
○森本真治君 今、御答弁は、十キロワット未満についてはいろんな、今そういう安全性についてのいろんな対応がされているという御答弁かなというふうにも思ったんですが、ちょっと具体的に把握をされていたら教えていただきたいんですけれども、ただ、この太陽光発電の、これは資源エネルギー庁のデータでございますが、太陽光発電の総導入件数は二百四十万超ですね、二百四十万件あって、そのうちの十キロワット未満というのは百七十三万件ですから、七二%は十キロワット未満というデータを見させていただいております。
実際、では、安全性についての対応が今されているというような答弁だったと思うんですけれども、この事故件数ですね、事故状況については把握をされておりますか。一応確認だけさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/32
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033・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
十キロワット未満の太陽光発電設備につきましては、済みません、住宅用のその太陽電池発電設備に関する重大な製品事故につきましては、消費者生活用製品安全法に基づきまして製品の製造事業者、輸入事業者から報告がございまして、独立行政法人製品評価技術基盤機構において事故の原因分析などを行っているところでございます。
なお、その消費者、あっ、済みません、失礼いたしました、消費生活用製品安全法に基づきまして、直近十年間、二〇一二年四月一日から二〇二二年三月三十一日でございますけれども、この間、十年間で百二十六件の報告があったというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/33
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034・森本真治
○森本真治君 当面は特に規制ということについては新たなことは考えずに状況を見ていくということだというふうに思いますが、この太陽光発電の導入というのは、特に自宅、家庭ですね、についても今後更に増えていくということもあろうかと思いますので、しっかりと状況を認識していただきながら的確な対応も求めたいというふうに思います。
それと、これはまた懸念として御指摘、私のところにも寄せられた意見の中で、いわゆる規制逃れということをやっていくということがあるんではないかということですね。
現在も、この規制で上限出力五十キロワット、この未満になるようにということで、いわゆる規制を、規制逃れをしようということで、分割案件ということでですね、そういうような問題が発生されているということでございますが、この間もそういう規制逃れというようなことがあったと思うんですが、まずはこの現状についての認識ですね、それと、今後はさらにその十キロワット未満については対象にならないということは、さらにこの新しい制度を導入しても、イタチごっこではないけれども、また規制逃れというようなことは起きやしないかという懸念がこれ寄せられておりますので、この現状認識と、新たな制度の中でのそういう対策についてのお考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/34
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035・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今般の改正法で、改正法案で導入いたします小規模事業用電気工作物について、太陽電池発電設備につきましては、その出力が十キロワット以上五十キロワット未満であるものを対象とすることを想定しております。
この点、電気事業法におきましては、柵、塀等によって明確に区切られる一の構内に設置される電気工作物ごとに出力を判断することとなっておりますので、例えば、太陽電池発電設備が十キロワット未満で区切られ、個々に系統と接続されるような場合には小規模事業用電気工作物に当たらないということになってしまいます。
他方で、いわゆる分割問題につきましては、二〇一四年度以降、再エネ特措法の認定に当たりまして、意図的な分割が行われていないか審査することとしております。また、その電気事業法施行規則を改正いたしまして、今年の四月一日から、社会的コストの観点から、特段の理由もないにもかかわらず、意図的に柵や塀によって分割して別々に系統と接続することを認めないこととしているところでございます。
こうした措置によりまして、不適切に保安規制を逃れるような案件は抑制されていくものというふうに考えております。
こうした取組とも連携をいたしまして、太陽電池発電設備が特段の理由がないにもかかわらず分割によって規制を逃れるようなことにならないように、引き続き適切な対応を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/35
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036・森本真治
○森本真治君 いろんな問題意識は持たれていらっしゃって、いろいろちょっと対応を考えていかなければならないという御答弁だったというふうに思うんですが。
これ、ちょっと一点確認ですけど、これ、当然、遡及的に適用ということは、法律ができた以降ですよ、この法律がですね、ということにはならないという理解でよろしかったですよね。ちょっとまず、というのが、今の現状の部分に対しての規制はどうなるのかということですよね、現状に対しての、その辺りはどういうふうに考えればいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/36
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037・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今回の電気事業法の改正案では、十キロワット以上五十キロワット未満の太陽光発電設備などに対しても、基礎情報の届出義務と、運転開始後も当該設備の安全性を継続的に確認する義務を課すこととしておりますけれども、これらの規制は、改正法の施行後に新設される発電設備のみならず、例えば現行の規制を回避するために分割された発電設備を含め、既設の発電設備についてもしっかりと適用することとしております。
その上で、今後は十キロワットを下回るように意図的に分割する太陽光発電設備などを設置することも想定されますが、一般的に、こうした出力規模が小さい発電設備は危険性が高くないものの、仮に安全性に疑義があると認められるような場合には、再エネ特措法に基づいて入手した情報なども活用しながら、機動的に報告徴収ですとか立入検査を実施するなどを通じまして、これらの発電設備の安全を確保してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/37
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038・森本真治
○森本真治君 今の政府ですね、この電力エネルギー政策、やはり再生可能エネルギーをしっかりと導入をさせていくということをやっぱり目指していかなければならないというのは、私もそのとおりだというふうに思います。だからこそ、しっかりとしたやっぱりその一方で規制というものの中で、やっぱり国民の皆さん、地域住民の皆さんから不信感を招くようなことがこのエネルギーの促進に足かせになっていくというようなことだけは決してあってはならないというふうに思います。
実際に、私も、いわゆるこの悪徳というかですね、やっぱり悪い事業者というかですね、ちょっとトラブルを起こされるような方というのは、いろんな相談も来ているのも事実でございますから、しっかりと、今後のこの規制の制度をつくる以上はしっかりと、それが運用をされるための様々な体制強化ということも経産省さんとしてしっかり行っていただきたいというふうに思っております。
ちょっと時間が残りになりましたので、ちょっともう、これ最後の方に通告をしておりましたけれども、燃料電池自動車に係る規制の一元化ということ、こちらの方をさせていただければというふうに思いますが。
これについては、高圧ガス保安法と道路運送車両法の一元化ということ、規制の一元化ということでございますが、これ実際、例えば事業者さんとか、こういう一元化をすることによって、事業者さんであったりユーザーの皆さんがどのようなメリットが享受できるのかということですよね。具体的に本当変わったなとか、これ使いやすくなったなというふうに思うのかというところ、この辺りをしっかり私も説明をしていかなければならないというふうに思いますが、一番はやっぱり費用の関係、コストの関係かなというふうにも思うんですが、ちょっと総括的に、この規制の一元化の意味、意義ですね、この辺りについてちょっと御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/38
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039・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
これから道路運送車両法で一元的に規制を行っていくことになりますけれども、道路運送車両法に基づく車検に伴う整備費用につきましては、国が一律に定めているものではなく、整備、各整備工場において定められているものでございまして、一概に費用について申し上げることは難しいところではございますけれども、規制が一元化した後は、例えば私がMIRAIに乗っていて、その高圧ガスの検査と車検の検査を別々に行わなきゃならない、その日にちが分かれていたりすると二回手間が掛かりますし、その間、車が使えなくなるとか、そういうようなことはこれから一元化によってメリットが出てくると考えてございます。
そういった面も含めまして、手続面、いろいろ手間の面とかも含めまして、最大限そういった負担を合理化することによって燃料電池自動車のユーザーにとって利便性を向上しつつ安全がしっかり確保される制度になるよう、国土交通省とも連携しながら制度の詳細な制度設計を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/39
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040・森本真治
○森本真治君 これまで、先般まで審議をいたしました省エネ法の改正でも、やっぱり水素利用ということですね。これを促進していくという法案があって、今回の法案の中でもやはりこれからの水素の利用の促進ということが重要なんだろうと思いますが、先ほどの再エネ、風力、電力のところでもそうですが、それを促進していく以上は、やっぱり車の両輪、やっぱり規制というものもしっかりと、保安規制という環境整備、これが不可欠だというふうに思うんですね。
今後の水素保安戦略の中での車の両輪というか、やっぱりこの保安の在り方についてもどのように示していくのかということ、ちょっと時間来ましたので、最後にお伺いして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/40
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041・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 時間来ておりますので簡潔に御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/41
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042・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) 水素保安戦略の具体的な内容は、今月中に有識者検討会における議論を開始することとしてございます。規制が整備されていない分野はないか、あるいは逆に過剰な規制になっている分野はないか、水素利用の拡大の要請や水素利用テクノロジーの進展などを踏まえながら規制の在り方について検討していくこととしてございます。今月中にも検討会を立ち上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/42
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043・森本真治
○森本真治君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/43
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044・河野義博
○河野義博君 公明党の河野義博です。
本法律案では、高圧ガス、都市ガス及び電気の分野で、テクノロジーを活用しつつ、自主的に高度な保安を確保できる事業者に対しては、各種の手続や検査の合理化、柔軟化を認める認定高度保安実施事業者制度を創設することにしています。
私は、これ初めて聞いたときに、本当に大丈夫かと思いました。経営のトップのコミットメント、高度なリスク管理体制、テクノロジーの活用、サイバーセキュリティーなどの関連リスクへの対応というのは、今もうどの事業者もまともな事業者ならやっているはずでありまして、どういった認定要件なのかをまずつまびらかにしておく必要があるんではないかなというふうに思います。電力システム改革のおかげでというのか、せいでというのか評価が分かれますが、金融プレーヤーが電気事業者の衣を着て本当に保安をまともにやっているんでしょうかという方々もいらっしゃる中でこういうことをやらせて本当にいいのかと、かつ、国はもう認定事業者がやった話ですからというふうに逃げるんじゃないかという不安が私にはあるわけであります。
レクを受けましたら、決してそういうことではないと、電気でいえば旧一般電気事業者のようなしっかり、保安もしっかりやれるようなところにしかさせませんということは伺いましたけれども、ここで改めて議事録に残しておきたいというふうに思いますので、それぞれ、高圧ガス、都市ガス、電気の分野でどういった事業者を認定対象としていくのか、その件数はどのようになっていくのかということをお示しをいただいて、そして、やはり最終的には国が認定責任を負うんだということも明らかにしておきたいというふうに思いますが、役所の答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/44
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045・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今般の新たな認定制度の対象でございますけれども、安全確保を大前提に、厳格な要件の下、IoT、AI等のテクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できると国が認定する事業者に限定して行うこととしております。
認定対象の類型といたしましては、高圧ガス保安法、ガス事業法、電気事業法のそれぞれの保安の規制体系を踏まえたものとしております。
まず、高圧ガス、高圧ガス分野におきましては、法律上、事業所単位で規制をしておりますことから、高圧ガスの製造を行う第一種製造者の事業所ごとに認定をすることといたしております。例えば高圧ガスを製造するコンビナートですとか化学工場等でございまして、当面の認定数は八十から百程度を想定しております。
都市ガス分野におきましては、法律上、事業所単位で規制を行っていることから、ガス小売事業者、一般ガス導管事業者、特定ガス導管事業者及びガス製造事業者を認定することとし、この認定制度はテクノロジーの活用を要件とするため、ガス小売事業者につきましては、ガスタンク等のガス工作物を有する事業所に限定することといたしております。当面の認定数は、四類型の事業者を合わせまして二十程度と想定をしております。
電力部門、分野におきましては、電気工作物の設置者は、実態として火力部門、水力部門等の組織単位で保安業務を管理していることから、原子力発電所以外の電気工作物の設置者について組織ごとに認定することといたします。当面の認定数は全体で二十程度と想定をしております。
いずれも、数につきましては、当然事業者の認定申請を待ってということでありますので、現時点での想定というふうに御理解をいただければと思います。
また、事業者から、認定申請を国が審査する際は、IoTなど高度なテクノロジーの活用によって今まで以上の保安を確保することができるか否かに加えまして、経営者自らが保安確保に関する理念や基本方針等を策定するなどコンプライアンス体制を整備すること、組織としても高度なリスク管理のための体制を構築していることなどの非常に厳しい要件を満たしているかを審査し、認定事業者の適正性を担保してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/45
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046・河野義博
○河野義博君 これは、最終的には国がやっぱり認定責任を負うという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/46
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047・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申します。
保安の確保自体の第一義的な責任は事業者にありますけれども、仮に認定に不備があったとすれば、そうした意味で国も責任を負うものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/47
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048・河野義博
○河野義博君 次に、人材確保に関して私も伺いたいと思っています。
産業保安分野では、保安人材が高齢化する一方で若年層の雇用が困難な状況にあります。保安人材の確保は喫緊の課題であります。特に、第二種、三種の電気主任技術者につきましては、再エネ発電設備の増加によって将来的な人材不足、特に地方においてはその懸念は大きなものになっています。
電気主任技術者免状に係る認定校へのアンケート調査では、卒業生は二割しか電気関係業界に就職をしておりません。裏を返せば、八割が潜在人材となっております。こういう状況が示されてあるわけですが、その要因として仕事の認知度の低さや魅力が感じられないということが挙げられているわけであります。
衆議院の委員会の質疑の中でも、政府はこれまでも産業保安分野の人材不足に対応するため様々な取組を講じてきたと御説明をいただいていますが、大切なことは、講じる、策を講じることじゃなくて、実際に人を増やしていくことだと私は思うんですけれども、その効果をどのように評価をしておられますでしょうか。
他方で、私も事業をやっていたときそうですが、電気主任技術者は電力OBに頼っているというのが現場の実際の現状だと思います。定年退職した人材の再雇用の受皿としても有望でありまして、潜在的な対象者に早めに資格を取得を促していくということも一つ手段としてはあり得るのかなというふうに考えますけれども、今後どのように電力保安分野を始めとする産業保安人材の確保及びその育成に取り組まれるおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/48
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049・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 保安人材の高齢化や少子高齢化に加え、再エネ発電設備の増加により、産業保安人材、特に電気主任技術者が将来的に不足する可能性というのが指摘をされております。
従来、3Kとも表現されることもございましたが、スマート保安の導入によりまして産業保安の現場環境は改善する可能性があります。例えばドローンを活用することで鉄塔など危険な高所点検が減少し、より多くの点検を安全に実施できるようになります。
こうした働き方改革や労働環境の改善を通じた保安業務の魅力向上を民間協議会を通じて若者や電気保安業務の経験者向けにPRしていくことや、現在年間二回の決められた受験日時を受験者の都合に合わせて柔軟化すること、そして、スマート保安技術の導入を通じた電気主任技術者の配置や外部委託の要件見直しなどにも取り組んでいるところです。
加えて、将来的な人材不足の懸念に対応するため、電気主任技術者の確保やその育成、配置の在り方について更に見直すべきところがないか、諸外国の制度や取組なども参考にしながら今後検討を深めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/49
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050・河野義博
○河野義博君 次に、災害時連携計画に関しまして、一つの計画を事業者が連名で届出をすることになっています。
電気における計画に関しては、電力十社は会社同士相互の連携計画となっております。いずれも電力は一定規模程度の事業者でありますので、同一の計画を作成、実行というのが比較的しやすいというふうには感じていますけれども、都市ガスは百九十三者、規模が大小様々、その八割は百名以下の中小企業であります。相互の連携の記載には工夫が必要だと感じております。また、自治体との連携、DXの活用、被災地の人員の供出など、大手の取組をそのまま中小事業者が行うというのには困難なのかなというふうに感じるわけであります。
逆に、大手事業者にとっては、一方的に支援をすることを義務化されることも相互の連携の趣旨から外れるというふうに考えられまして、同一の計画を作成するには、かなり柔軟性を持たせるなど工夫が必要ではないかというふうに考えます。
さらに、発災場所や被災事業者、応援事業者のバリエーションが非常に多い都市ガスの復旧に関しては、計画が具体化されるほどこれまでの柔軟な対応が逆に硬直されていると、硬直化するというおそれも指摘されています。
ガス業界においては、電気と同様の計画を目指すのではなく、事業者の規模の違いを始めとする都市ガス業界の実態を踏まえた計画内容となるような配慮が必要だと思いますけれども、認識をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/50
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051・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
御指摘をいただきましたとおり、都市ガス分野における災害時連携計画につきましては、基本的に都市ガス事業の特性や実態を踏まえたものになるように工夫していくことが大切だというふうに思っております。
具体的には、委員の御指摘にもございましたように、中小企業も含めた百九十三者が共同して計画を作成することとなりますので、計画策定時には、一般社団法人日本ガス協会が地方の幹事企業と連携し、丁寧に意見集約を行って計画に反映していくことといたしております。
また、計画の内容につきましても、業界で定めました既存の応援要綱等に基づきまして、中小事業者でも対応してきた応援派遣に関する事項ですとか、各事業所において行われてきた自治体との連携に関する事項について記載を求めることを想定しております。
さらに、都市ガス独自の内容を盛り込んでまいりたいというふうに考えております。
例えば、共同訓練の事項でございますけれども、復旧に必要な情報を俯瞰的に把握でき、中小事業者も活用訓練実績のあるガス防災支援システム、G―Reactと呼ばれるものがございますので、これを用いた応援受入れの演習等について記載をすることなどは考えております。
経済産業省といたしましては、日本ガス協会と相談、連携をしつつ、災害時連携計画の必要性に関する事業者への説明等について積極的に、かつ丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/51
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052・河野義博
○河野義博君 次に、二〇五〇年カーボンニュートラルの切り札とされております洋上風力に関して伺います。
洋上風力を実施する際には、発電事業者によって施設計画の検討やアセスが行われております。この洋上風力と海洋環境の両立に当たって、政策的、技術的課題が指摘をされております。
一つは、対象海域に関する各種のデータが不足しているということ。そして、それに伴ってデューデリジェンスや環境アセスなどに必要となります風況、海流、海底地盤、漁業資源等の調査データが圧倒的に不足しているということ。こういったデータの収集のためには広範な海域において長期にわたる調査が必要であり、また、適切な評価手法の確立もまだ緒に就いたばかりでありまして、現状こういった課題が解消されないために、事業者による施設検討や環境アセスの実施において障害となっております。
二つ目には、実施予定の海域に関する保全要素や保全水準が整備をそもそもされていないという点にありまして、対象海域に対する保全水準等が定められていれば環境との調和に向けた配慮事項を把握できますが、現状ではそういった保全水準そもそもが示されていないために、何を配慮するべきだと、こういう要素が不明確になっています。
こうした課題解決に向けて、政府はどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/52
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053・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 洋上風力の拡大に向けまして、案件形成を加速化し民間事業者による調査の重複を排除する観点から、経産省では、開発の初期段階から政府が関与する、いわゆる日本版のセントラル方式の早期の確立を目指して現在検討を行っているところです。
具体的には、風況や気象、海象に加えまして、地盤調査等の調査手法の確立を目的とした実証事業を今年度まで実施するとともに、JOGMECが地盤調査等を担うことを可能とする内容を含む法案を今国会で成立させていただいたところです。今後、速やかに施行に向けた準備を進めてまいりたいというふうに考えております。
その上で、一般的なその漁業関係の調査としては、国主導の調査の中で漁業実態の調査というのは行っていきたいというふうに考えています。その後、漁業影響の評価をどうするかということですが、この点は、その漁業影響の評価の在り方については、海域ごとの特徴がございますので、こうした特徴を踏まえまして、法定協議会が地域ごとに設置されますので、その中で具体的な調査手法をあらかじめ定めるという形が流れになります。
その上で、実際にその漁業に関する調査手法をどうするかと。この明確化につきましては、これは魚種、漁法、それぞれかなり異なりますので、海域ごとの特徴を踏まえまして、引き続き水産庁などの関係省庁と連携して検討を進めてまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/53
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054・白石隆夫
○政府参考人(白石隆夫君) 二つ目の質問についてお答えいたします。
環境保全地域の設定のない海域におけるその洋上風力等の関係でございます。
我が国は広範なEEZを持っておりますので一律な環境基準の設定というのはなかなか難しい面があろうかということございますので、現実的には、大規模な発電事業を行う場合に、環境影響評価法に基づく環境アセスの手続を適切に進めていただくということが大事だろうというふうに考えてございます。
実際その事業を行います事業者、環境アセスメントの手続におきまして、騒音でありますとかバードストライク、海生生物の生育環境の変化といった洋上風力発電事業が環境に及ぼす影響につきまして調査、予測、評価を行った上で、実行可能な環境保全措置を検討することになります。その結果をその地域への説明、アセス図書の縦覧によりまして公表して広く意見を聞きまして、それを踏まえて環境の保全の観点からより良い事業計画を作り上げていくことになると認識してございます。
環境省といたしましても、その事業者における環境アセスメントの手続が円滑に進みますように、事業者の参考となるような情報提供などの支援に引き続き努めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/54
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055・河野義博
○河野義博君 ちょっと、言いたいことはたくさんあるんですが、時間が限られておりますので。
まあ元々ルールがなかったんです。で、ルール作っていただいて進み始めた。それは大きな前進だと思います。まだ現役でいらっしゃるので余り言わないでおこうと思っていますけれども、昔は、ルールないから勝手にやってくれと言われた時代もあったんです。だから、できないからルールを作ろうと言ってきて、まあここまで進んできましたので、これもしっかり、切り札でありますので、しっかり応援していきたいというふうに思います。
最後に、送電線に関しましては、昨年マスタープランを検討していただいておりまして、全国の送電網の形成には約二兆二千億円から四兆八千億円もの投資が必要と試算されています。これは単年度で回収するわけではありませんので、広く負担を求めるということで、掛かるものはしようがないと私は思っておりますが。
北海道と東京を結ぶ海底直流送電の整備に一兆円から二兆円の規模の費用が想定されています。心配しているのは、これが安く早く海底直流送電線でできるんだったらいいんですが、海底直流送電線という何となくキャッチーなテーマにみんな食い付いて、本当にそれでいいのかということをちゃんと考えているのかという不安が私はありまして、例えば陸上に鉄道網もあれば高速道路網もあるわけでありまして、それを使って送電網を整備するということ、研究行われていますので、しっかりと比較検討しながら取り組んでいくべきだと思います。
実際、先ほどの質問の答弁にも、これだけ決まっていないことがたくさんあって、これだけこれからやらなきゃいけないことが積み上がっているにもかかわらず、直流送電線を海底に長い距離引くというのが本当に現実的なのか、二〇三〇年にそんなことできるのかと私思うわけでありまして、既存施設をしっかり活用した方が早く安くできるんじゃないかということを繰り返し申し上げております。どのように受け止めていただいておりますでしょうか。
また、二〇五〇年に向けては送電線が要らなくなることも想定していろいろなことを今着手すべきだと思っています。海外から褐炭から取り出す水素を船で持ってくるということも、短期的には、目先の事象としては取り組まざるを得ないのかもしれませんが、長期的には国産水素をやっぱり作っていかないと、エネルギー安全保障の観点からも、国の形はこれは変わりませんので、輸入の水素に頼っていくという世界じゃなくて、時間は掛かるけれども、国産水素に今こそ着手してほしいと私は思うわけであります。そのためには、オフグリッドの大規模な洋上風力発電所から水素を作るということも考えられるかと思います。
長期的に取り組むべき課題であるからこそ、国産水素の大導入という課題にも今取り組むべきというふうに考えますけれども、最後に大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/55
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056・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 再エネの大量導入とレジリエンス強化に向けて、地域間連系線の整備が重要です。そのため、全国大の送電ネットワークの将来的な絵姿を、マスタープランを二〇二二年度中に策定し、計画的に送電網の整備を進めていくこととしております。
その中で、先生御提案の鉄道や道路敷の既存インフラの活用というのは、できるところはそれ使うべきだと私も思うんですが、特別高圧の送電線敷設の際には送電線と既存インフラとの距離を一定程度確保しないと危ないという、こういう保安上の観点がございまして、物理的な制約などを考慮する必要がある場所もあります。
都市計画ってやっぱり大事だなと思うんですが、本当はこの北海道と本州つなぐ海底トンネルなどは、共同溝的な役割を将来的にしっかり見据えて大きな径で造っておけばこういうことも可能だったんだと思うんですけど、今となってはそういう話もできませんので、是非、これは今後の課題としてマスタープランの中でしっかり書き込みをしていきたいと思っています。
いずれにしましても、法律的な整備の在り方は検討して続けてまいりたいと、検討を続けてまいりたいと思います。
また、余剰電力を活用した水素製造につきましても、国内における水素の製造、供給基盤の構築にも寄与し、エネルギー自給率向上という観点からも必要です。
このため、水素製造をより効率的に低コストで行うべく、水電解装置の大型化や、あるいは水素の製造効率を高める技術開発をグリーンイノベーション基金も活用しながら取り組んでいます。加えて、令和三年度の補正予算を活用しまして、北海道を始め再エネ拡大が見込まれる地域での水電解装置の導入を支援をしておりまして、先月、北海道において導入する事業者を採択したところです。
これらの取組を通じて、再エネの大量導入やレジリエンス強化、水素の御指摘のとおり国内供給体制の確立、しっかりやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/56
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057・河野義博
○河野義博君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/57
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058・矢田わか子
○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
今回の高圧ガス保安法等の改正につきましては、近年の産業保安分野において、テクノロジーが進展されたり、若しくは保安人材が不足しているというような環境変化から保安規制の見直しが必要だということは十分に理解をしております。ただ、懸念される事項について、この時間をお借りして質疑でもって確認をしていきたいと思います。
まず、スマート保安の推進ということで、質問順序変えますけれども、産業保安監督部の今後の対応についてお伺いをしていきたいと思います。
現在の産業保安監督部は、全国に五つの監督部と三つの支部、並びに沖縄を所管する那覇産業保安監督事務所によって構成をされています。かつては、鉱山保安監督部と、火薬、ガス、電力等の保安行政を一元的に掌握する地方出先機関、そして原子力安全・保安院の内部組織として活動されてきたものと承知をしています。その後、二〇一二年の九月に、保安院の廃止に伴い、経産省の商務情報政策局の産業保安グループがこの業務を掌握し、経産省本体の地方支部部局に移行したという経過があります。基本的にそれぞれのまず業務は継続してきたものと思われますが、それで間違いないかということであります。
それから、今回の法改正によって肝となるのが、このスマート保安の促進ということも含め、認定高度保安実務者、実施者に関わるこの認定制度というものが創設されるというわけでありまして、各種の手続、それから検査などの合理化、柔軟化が図られるわけですけれども、これに伴って、各産業保安監督部、支部の業務も一定合理化を図るということで、重点業務の在り方が変わってくるものと考えられます。
実際、資料一を御覧ください。
そこにお示ししたとおり、今までもなんですが、高圧ガスに関する事故件数、近年も実は減ってきているというわけではなくて、ある程度のこの事故がやっぱり起こっているわけです。区分別の事故件数、製造事業所が多いんですけれども、そうした事故や、それから製造事業所内では冷凍事業に関わる方々のやっぱり類型が多いということ。加えて、この人身事故の被害状況を見ていただきましても、死傷者含め決して下がってきているわけではなくて、重傷者の方も出て、一定程度ですけど出ているということでもあります。
こうしたことを含めて、昨年は六百件程度事故発生して人身事故三十件というデータもありますけれども、現場への立入調査、安全対策をより確実にする重要な業務と考えているんですが、業務の見直しに対して、こういう事故防止に向けてどのような方針を持っていらっしゃるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/58
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059・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
まず最初に、産業保安監督部が担う役割、任務、こうしたものにつきましては、今回の改正に伴って変更がなされるものではございません。引き続き、しっかりと産業保安の確保に努めてまいります。
その上で、今回創設いたします認定高度保安実施者事業制度につきましては、安全の確保が大前提でございますので、このため、国において事業者に対して設立時に、あっ、済みません、認定時にその直接審査をするのみならず、認定後も適時適切な立入検査によって認定要件への適合状況を確認し、仮に法令違反等を確認した場合には速やかに認定を取り消すなど、行政による厳格な監督を実施してまいります。
この認定制度における認定事業者を含めまして、その事業者に対する立入検査につきましては、経済産業省本省及び産業保安監督部等で連携してしっかりと実施してまいりますけれども、このためには、御指摘のとおり、産業保安監督部における既存業務の効率化などを図ってまいる必要があるというふうに考えております。
具体的には、産業保安監督部も含めた手続業務の効率化のため、保安ネットという、と呼ばれます行政手続の電子化システムについて、二〇二〇年一月から段階的に運用を開始しております。現在、電気、都市ガス等の法令に基づく申請のうち、電子化対応済みの申請につきましてはオンライン申請率が八〇%を超えるところでございますけれども、引き続きオンライン申請の拡大に取り組んでいくことでこうした届出業務、受付業務の合理化を図っていくということをしてまいりたいと思います。
また、電力分野におきましては、民間機関が実施可能な安全管理審査の対象設備の拡大ですとか、設備の現地確認における外部専門家の活用なども進めてまいります。
加えまして、検査体制の強化を図るべく、産業保安監督部におきまして、産業保安分野での勤務経験のある人材等の中途採用ですとか、検査の経験、ノウハウを有するベテラン職員の再任用など、立入検査に関する人員確保も進めてまいりたいと考えております。
また、研修による職員スキルの向上にも取り組んでまいります。例えば、高圧ガス分野につきましては、立入検査等を担う自治体職員も含めまして研修期間の、研修期間や内容の拡充ですとかオンデマンドによる受講を可能とするなど、目利き能力を一層向上させていくための取組を行ってまいりたいと思います。
こうした取組によりまして、立入検査業務を適切に実施できる体制を構築し、安全の確保を図ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/59
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060・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございます。
人材の話も出ましたけれども、今回、やはりこれ、人材不足ということも含めてだと思いますし、あとテクノロジーを活用していくということも含めて特例措置をやっぱり設けていかれるということではあると思いますが、やっぱり重大事故の防止に向けては、気を緩めることなく、適時適切に、必要であればやっぱり立入検査をするということも含め、保安の実施状況を十分にこの監視をいただきたいというふうに思いますので、御要請申し上げます。
今ありましたとおり、特に懸念するのは中小事業者なんですね。保安要員のやっぱり確保、育成について課題があるというふうに思われます。保安業務については、今お示しいただいたとおり、AIとかドローン、高度センサーなど新しいテクノロジーを活用して十分に、まあこの活用していくということについては意義を感じておりますが、一方で、金属の腐食や減肉摩耗等について、どうしても人の目による確認が必要なものというのもやっぱり残ると思います。保安要員の経験によるものでしかやはり安全確認できない業務もあると思いますので、そこにはやはり訓練を積んだ経験豊かな保安要員が常時必要となってきます。
なかなか、でも、この保安要員の確保が難しいという現実があるのと、技術や技能の伝承というのも難しいということでありまして、関係業界ではいかにこの保安要員を確保し育成していくのかが大きな経営課題となっています。再雇用制度などもありますけれども、おのずとこのまま行けば限界に達するのではないかというような声もあります。
高圧ガスに関わる事故はやっぱり大きな被害をもたらすということを鑑みても、事故が起きてからでは遅いわけであります。だから、特に中小企業に対してどのようなこの国が支援をしようとしているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/60
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061・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) テクノロジーのみに依拠することが困難な保安活動も存在する中、どれだけテクノロジーが進展しても、現場の技術者の確保やその技術、技能の継承の重要性が変わることではございません。保安人材が枯渇しつつある中、中小企業を含めた産業保安分野全体でしっかりと保安人材の確保、育成に取り組むことが重要です。
先生御指摘のように、幾ら機械を使っても全てを代替できるというわけじゃございません。やっぱり、たくみの技といいますか、肌で感じて培ってきたその経験者の目やあるいは鼻、こういったものも重要でありまして、各企業はそういう人たちの人材もしっかり継承していくことをお願いしています。他方、なかなか、一日中命綱を付けてプラントのトンネルの中で検査をし続けるという職業を若い人たちがなかなか目指さなくなってきています。
したがって、うまく組み合わせて人材確保しながら、そして、今まではそういう保安分野の人というのはもうその専門職でほかに異動ができなかったんですけど、そうじゃなくて、ホワイトカラーの人たちにもこのICTを活用して基礎的な検査ができるような技術を上げていくという、両方やっていきたいと思っています。
あわせて、検査、監督しなくてはならない都道府県などもちゃんと通訳ができるレベルの職員を育てなきゃならないんで、決してこれ、今までいた人たちが機械に代わるんじゃなくて、逆に専門性を持った人たちを国全体でしっかり底上げしていくということを同時にやっていきたいと思っています。
経産省としては、これまでも、保安人材の確保、育成に向けて、電力分野において、若者向けのPRですとか第一種電気工事士の資格取得などに必要な実務経験年数の短縮化を行ってきたほか、石油や化学プラントにおいて事業者が円滑にAIを導入することができるように、その具体的な活用方法を示したガイドラインなどを作成し、知見、ノウハウの周知を図るとともに、プラントにおけるAI、IoTなどの導入を見据えた実践的な人材育成支援も実施しております。
日々の保安活動や検査の機会などを捉えて、官民協力してこれらの今までの技術や技能の継承というものにも取り組んでいくほか、熟練作業員の人たちのそういったものをシステム化をしてスマート保安の取組の一助になるような、こんなこともやっていきたいと思います。
それから、一企業にクローズしないで、AIなんかにどんどん映像を読ませていくと不具合なんかを見付けやすくなりますので、こういったことも横展開を仕掛けていきたいなと思っていまして、新たなテクノロジーを導入してスマート保安に取り組む中小企業に対する技術実証の支援というものをしっかりしていきたいと思っております。
引き続き、きめ細かな対策を通じて、中小企業を含めた業界団体における人材確保、育成に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/61
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062・矢田わか子
○矢田わか子君 大臣、ありがとうございます。いろんな分野について、DXも含めてですね、しっかりと連携をしながら、人材確保それから技能伝承を含めやっていただけるというふうに理解をいたしました。
テクノロジーの進展とともに、やはり的確に対応して保安水準の高度化、そしてその持続性ということも確保するために、規制体系の見直しというのも不断に見直していかなければいけないんじゃないかというふうに思いますので、こちらも御要請したいと思います。
人については、是非、若者や女性ですね、女性にとっても魅力的な職場となるように、環境の整備というものも併せて御支援をいただければというふうに思います。テクノロジーがどれだけ進展しても、やっぱり最後は人だと思います。人が最後のとりでだと思いますので、やはり人に備わる保安力というものをしっかりテクノロジーと融合させて高度な、その高度で強靱な保安体制確立をお願いを申し上げておきます。
続いて、電力やガスの分野におけるテクノロジー活用と人為的な保安リスクの対応について、もう少し深く聞いていきたいと思います。
自然災害のみならず、サイバー攻撃とか設備破壊など人為的な営業妨害事件も想定した保安業務の徹底が求められると思います。
例えば、かつて、記憶に新しいのは、一九九八年、坂出送電電塔、鉄塔事件というのがありました、倒壊事件ですね。香川県の坂出市で何者かが四国電力の送電鉄塔を倒壊させた器物破損の事件であります。鉄塔台の部分のボルト八十本のうち七十六本が何者かによって抜き取られたということで、配電地域の停電、倒れた送電塔による道路の封鎖など、地域の経済と生活に大きな影響を与えた事件であります。結局、犯人見付かっていないんですよね。迷宮入りしています。同時に、このようなボルト抜取り事件というのはほかの地域でも起きているということです。
サイバー攻撃だけじゃなく、こうした人為的な妨害に対してもどのように保安体制取っていくのか。例えば、巡回増やすといっても人員確保の限界ありますし、センサー技術、デジタル技術などの活用考えられますけれども、なかなか完全とまでいかないと思いますが、このリスク回避の方策についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/62
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063・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
サイバー攻撃のみならず、人為的な事業妨害、フィジカルなそういうアタックに対するそういう対応が重要だということは御指摘のとおりでございます。
ちなみに、御指摘をいただきました坂出送電塔倒壊事件の再発防止策としましては、鉄塔のボルト、ナット類に鋼板をかぶせて容易に開けられないような対策を取りますとか、あと巡視点検の強化を図ることといたしました。
御指摘のとおり、第三者からの人為的な事業妨害に対する保安体制については、まず、事業者による一般的なセキュリティー対策の一環として、警備会社への業務委託や自社社員による定期見回り、ウオークダウンが行われているところでございます。
その上で、電気事業法やガス事業法におきましては、特定の設備につきましては、柵、塀等の設置、立入りを禁じる旨の表示、出入口の施錠など、取扱者以外の者が出入りする、出入りの制限する措置を講じることが技術基準に規定されてございます。それを踏まえまして、例えばガス分野では、業界団体が作成をいたしました指針におきまして、立入りを監視するための赤外線センサーや録画装置の設置が定められているところでございます。また、法令等におきましては、法令上におきましては、電気工作物やガス工作物を損壊したり、その機能に障害を与えて電気やガス供給を妨害した者に対しては懲役、罰金、刑事罰を科すことも定められてございます。
加えまして、本改正法案でスマート保安を推進していくという中で、IoTセンサー等のテクノロジーを活用した設備に関する遠隔あるいはその常時監視が行われれば、人為的な事業妨害によって設備異常が生じたときに早期に発見が可能になると、そういうことを期待してございます。
安全確保は事業者の基本でございます。事業者は常に緊張感を持って安全確保に努めるよう、経産省としてもしっかり指導監督してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/63
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064・矢田わか子
○矢田わか子君 リスク管理ということで、是非御対応の強化をお願いしたいと思います。
続いて、都市ガスの復旧活動における小売事業者の役割についてお伺いをしていきます。
自然災害とか爆発事故などによる導管破損から都市ガスを再供給する復旧活動においては、これまで、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの経験から、業界が緊密なこの協力体制を取って早期の復旧を実現してきました。
資料二を御覧ください。
大都市圏の被災となった阪神・淡路大震災のときのものです。復旧対象世帯が八十五万七千四百軒に上りまして、当時最大で一日約九千七百人の要員がこの作業に携わりました。四年前の大阪北部地震でも約五千百人が動員されています。これはもう本当ガスの現場の方々が、もう県を超えて全員ばっと一斉に入って、そういう体制しいて復旧に当たってくださったということであります。
特に、最終段階では、地域ブロックごとのガス管の開閉に伴いまして、個別の消費者の家を一軒ずつ回って、安全を確認しながら開閉栓をコントロールするという必要があります。そのために本当に多くの人手が必要になるわけです。
これまではこの作業に小売事業者の協力を得てきたという経過がありますが、一方で、都市ガスの自由化により多くの小売事業者が市場に参入してきた中で、実際に、新規事業者、これらの復旧活動に本当参加できるのかどうかという懸念も生じてきています。
利用者は一日も早い復旧をやっぱり求めるわけですから、それに対して対応してあげたいという気持ちはやはり皆さんあるわけなんですが、都市ガスの供給事業者においては、そういう一日も早い復旧は至上命題なんです。けれども、小売事業者についても、売るだけじゃなくて、復旧のときにも技術や保安のノウハウをやっぱり身に付けてもらって活動に参加してもらうという必要があると考えます。
国としても復旧技術の向上のための支援策を強化する必要があると考えますが、対応方針をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/64
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065・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
大規模災害時におきます一般ガス導管事業者とガス小売事業者の役割分担につきましては、平成二十八年に国が策定したガイドラインにおきまして、平常時には一般ガス導管事業者が行うとされているガス栓の開け閉めについて、大規模災害時には早期復旧を図るためガス小売事業者も担うこととされております。委員のお話にありましたとおり、やはり非常に一軒一軒回っていく中で人手が要るということでこういうことになっているというふうに承知しております。
こうした中、この論点につきましては、昨年の審議会において改めて議論がなされました。その際には、現場経験の乏しい小売事業者に業務を行わせるのではなく導管事業者に集約すべきという意見があった一方で、早期復旧の観点では導管事業者だけで全てカバーすることは現実的ではないとの意見がございました。
こうしたことから、昨年末に取りまとめました審議会の報告書では、足下は現状の業務分担を変えないものの、引き続き検討を継続すると整理した上で、保安業務に日頃従事していない小売事業者、要員に対する教育訓練については、従前どおり小売事業者の社内に加えて、一般ガス導管事業者による教育訓練によって必要な技能を補完することといたしました。こうしたことで、そういう意味では、開閉、ガス栓の開け閉めに必要な知識をしっかり身に付けてもらって取り組んでいただくというようなことをしているわけでございます。
経済産業省といたしましては、この審議会の報告を踏まえまして、大規模災害時における一般ガス導管事業者とガス小売事業者の役割分担や教育の実施方法について引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/65
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066・矢田わか子
○矢田わか子君 資料を見ていただいたら分かるとおり、本当に多くの人手掛かるんですね。東日本大震災のときは、これ復旧対象戸数が四十万二千戸なんです。四千六百人が最大。皆さん一斉に復旧体制に当たっています。熊本地震等も書いてありますけれども。
是非、発生したときに事業者が連携するというのは重要なやはり課題になると思いますし、参画するやっぱり小売事業者が、まず小売事業者の適性というんですか、を確認をしておく必要性があると思うんです、本当できるんですかということ。そして、その技術向上への支援だとか事業者間の連携の在り方、それから役割分担についても、もう勝手にやれではなくて、やっぱり政府も一定程度関与いただいて、調整力を発揮していただきたいと思います。
大臣、一言いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/66
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067・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘のとおりだと思います。
昨今、自由化の結果、新しい企業の皆さんが参入してきたことは歓迎したいと思うんですが、私、常々申し上げているのは、やっぱりこのエネルギー分野に入ってくるというのは、一定の覚悟を持って入ってきてくれないと、上澄みだけ取って利益が得れるんではないかという業種ではなくて、持続可能な社会のインフラを維持していかなきゃならない大切な仕事でありますので、当然その会社の中にも、そういう技術者を養成するという企業側もマインドが必要だと思いますし、我々もちゃんとその育成するためのカリキュラムなどの支援策というのをしっかりやっていかなきゃいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/67
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068・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございます。
そうなんです。参入するには覚悟が要る。そのお言葉を是非新規参入の方々にも徹底いただきまして、是非、使う限りは、使う方々の安全をということを常に頭に置いていただくということを事業者の皆様にも共有していきたいなというふうに思います。
続きまして、カーボンニュートラル実現に向けた保安規制の整備の中で、FCV、燃料電池自動車の高圧ガス燃料装置の検査体制一元化の課題についてお伺いをしていきます。
今回の改正で、FCVについては、高圧ガス保安法上の検査が道路運送車両法上の新規検査と継続検査、いわゆる車検ですね、の際に実施されることになり、製造事業者や車の所有者にとっては利便性が増すというふうに言われております。
FCVは、グリーン水素を燃料にすれば究極的なゼロエミッションの自動車になるということで、二十年以上も前から大変期待されてきた、そして開発が行われてきた車であります。一時は、FCVを制する者は世界の自動車産業を制すると言われる時代までありました。しかしながら、やはりコスト面、それから水素ステーションのインフラの問題、普及がまだまだ進んでいないということによってなかなか市場全般には普及していない状況にあります。
そんな中での今回の措置なんですが、事業者やユーザーの利便性を向上させるとしても、例えば検査費用が一体どの程度下がるのか、あるいは民間の指定整備工場ですね、今そこに車を持っていって本当にその検査してもらえるのか、やはり一定の検査場に限定されてしまうのか、そうした不明の点が多いということであります。
今回の法改正においてどのように利便性が増すのか、具体的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/68
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069・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
委員御指摘の燃料電池自動車につきましては、現在、高圧ガス保安法と道路運送車両法の二つの法律における規制が課されておりまして、その結果、製造事業者にはそれぞれの法律で定めている出荷前の検査手続や不具合時の報告などが求められているほか、ユーザーには高圧ガス保安法上の容器再検査に加えて道路運送車両法上の車検を受ける必要があるなど、製造事業者やユーザー双方に手続上の負担が生じているところでございます。
今後、燃料電池自動車を含めた電動車の普及を促進するためには、安全性はしっかりと確保した上で、こうした普及の妨げとなる手続を見直すことが重要だと考えてございます。
例えば、ユーザーにつきましては、道路運送車両法に基づく車検のみを行い、高圧ガス保安法に基づく容器再検査を失念した場合、もう一度水素ステーションにおいて充電を、あっ、水素ステーションにおいて充填を断られているというケースが発生しております。先ほども御審議いただきましたけど、例えば高圧ガス保安法の検査時期と車検の時期がずれていたら二度手間になってしまうと、その間、車も使えない、それによるいろんな不具合も、不都合も生じてしまうということが一元化すると解消されていくんじゃないかと期待してございます。
こうしたことが、こうした利便性を向上させるように、今回の規制の一元化は、製造業者とユーザー双方にとって利便性が大幅に向上するものと考えてございます。
あと、御質問にありました、実際に車検の方に移してきちっと整備ができるのかということでございますけれども、今、自動車燃料装置用の水素容器の検査は、傷がないかと、クラックがないかという等を外観で検査をいたしまして、ガス検知器等でガスの漏れを確認するなど、自動車の整備士が十分技術的に行える作業内容であると承知しております。
現在、燃料電池自動車の登録台数は、二〇一一年三月末現在で約五千台ということでございまして、これに対し、燃料自動車の容器再検査は約二百二十か所の自動車整備工場で取り扱うことができることから、当面は十分な自動車整備工場の数が確保されていると認識してございます。
また、本改正事項につきましては、施行期間を公布の日から一年六か月を超えない範囲としてございます。その期間に自動車整備工場に適切に周知を図るとともに、希望する自動車整備工場には容器検査を行うための必要な準備をしっかりやっていただくようしたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/69
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070・矢田わか子
○矢田わか子君 今、五千台というふうな話ありましたけれども、もうこれ、技術革新が進むと一気に増える可能性もありますので、あわせて、やはり整備工場についても、今、全国二百二十か所しかないわけですので、一気に増えたときの対応が図れるように、今からきちっと準備を進めていただきたいなというふうに思います。
最後に、今回、太陽光等の保安規制の見直しがありますので、太陽光パネルについてお伺いをしていきたいと思います。
太陽光パネルについては、設置数も事業者も急増しており、そして設置形態も多様化をしています。そのような中で、自然災害による発電所の整備の崩壊やパネルの敷地外への散逸などがあった場合に、こういった事故ですね、事件、事故というのか、事故率というのも増加傾向にありまして、二〇一九年で百三十五件、八・二%に達しています。その放置されたパネルって発電をし続けますので、その危険性があるわけですので、やっぱり安全性の問題についてきちっと対応していかなければいけないという課題認識です。
あわせて、寿命が来たそのパネルの廃棄の問題やリサイクルの問題も現在大きな課題となっています。
そこで、資源エネルギー庁、本年の七月から、事業用の太陽光発電設備が使用済みになった際の廃棄等の費用を積み立てることを義務化されています。その対象が十キロワット以上の太陽光発電事業の認定事業者に限定されています。
FIT制度は二〇一二年に始まりましたが、パネルの寿命は大体二十年から三十年と言われています。このため、二〇三五年頃からパネルの廃棄が急増するということであります。したがって、現時点からその積立制度を導入することは妥当な判断であったと思われますけれども、住宅用の十キロワット以下の場合のパネルの廃棄物処分の問題はどうするのか、放置されたパネル、不法に遺棄されるパネルの問題をどのように防止されるのか、今後の対応についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/70
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071・茂木正
○政府参考人(茂木正君) 今御指摘ございましたとおり、太陽光パネルの廃棄というのは、これ二〇三〇年代の半ばぐらいには出てまいります。したがいまして、地域と共生した再エネを促進するという観点からは、この廃棄の問題にしっかり取り組むことが重要だというふうに考えています。
発電事業が終了しまして太陽光発電設備の廃棄処理を行うと、これは事業者自身の責任で行うというのがこれまず大原則ということになります。その上で、放置や不法投棄に対して懸念が高まっておりますので、太陽光発電設備の解体や撤去、廃棄に係る費用が適切に確保されるように、原則源泉徴収的な外部積立てというのを今年の七月から開始します。この制度の周知徹底を現在行っているところです。
当然、この後、太陽光発電設備が放置、不法投棄されるということは、これは厳に事業者の責任でしっかり処理していただくということですから起きないようにしていただきたいんですが、仮に起きた場合には、これは廃棄物処理法の法律によって自治体が行政代執行を行うということがあり得ます。この場合には、自治体がこの積立金を取り崩して処分をするという制度になっています。
その上で、今委員からございました十キロワット未満のところはどうするのかというところでございます。十キロワット未満については、これ通常は住宅に設置されている太陽光でありまして、余剰買取り制度というのの制度の対象になっております。一般的にはこれ住宅に設置されていますので、そのまま住宅ごと放置されるというケースは少ないというふうに考えておりますし、また、住宅が解体されるときに併せてこれは廃棄処理が行われるということが見込まれておりますので、積立制度の対象にはしていません。
ただ、これしっかりと処理していただくということを認識持っていただくという意味でも、業界団体が策定した販売基準というのがございまして、この中で、太陽光設備の適正処理の必要性というのを所有者に認識していただくということで、販売事業者に対して廃棄手続や費用に関する事項をしっかりと説明をいただくように求めています。
それから、今後廃棄量の増加が見込まれる住宅向けの太陽光発電設備についても適正配置に向けた分かりやすい情報発信をしていくということで、こちらも経産省としてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えています。
いずれにしましても、経産省として、これは環境省ともしっかりと連携しながら適正な廃棄を推進してまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/71
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072・矢田わか子
○矢田わか子君 FIT制度始まったときに、そのFITでお渡しした代金には廃棄代も含めているんですよというふうなことも説明されていたんですが、やっぱりそんなの忘れている人も多いですし、知りませんわということにならないように、やっぱり十キロワット以下といっても、今、省エネに対する意識も高まる中で、多くのおうちが自分の家に太陽光パネル付けているような人方も多いです。したがって、義務化をするかどうかも含めてですが、やはり同じように十キロワット以下の方々についても、何らかのやはり動機付けを含め、しっかり今からやっていかないと同じような問題になるのではないかなと思いますので、御検討をお願いしておきたいと思います。
最後に、太陽光パネルのリサイクルの問題について触れます。
将来的にやはり太陽光パネル、大量の廃棄が見込まれる中で、これを埋め立てて処分することは、もう東京湾など埋立地が限界になろうとしている中で極力避けるべきで、また、資源の有効活用という観点からも、寿命を終えたパネル、当然リサイクル技術の開発急がなければならないと思います。しかしながら、太陽光パネルは、生産国や年式によってアルミやカドミウム等の有害物質を含む製品も存在します。その解体や再利用には環境と安全に配慮した技術が必要になります。
現在、政府としても、民間企業とNEDOとが協働して、コストや環境負荷を抑えた使用済太陽光パネルのリサイクル技術の開発を本格化させているとお聞きしています。
資料三を御覧ください。
民間企業においても、やはりパネルのリサイクルを促すために分解技術の開発や事業化が進んできています。こんな中で、更に促していくためには、官民が連携した研究開発を促進するとともに、事業化に意欲を持った中堅・中小企業への支援強化、必要だというふうに思います。
今後の対応方針についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/72
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073・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 将来的に太陽光パネルの大量廃棄が見込まれる中で、資源の有効活用の観点から、そのリサイクルを進めることは重要な課題です。
一方で、現状では、太陽光パネルをガラス、樹脂、銅などの金属などに分離するためのリサイクルコストが高い状況にあるため、現在、経産省においては、今先生も御披露いただきましたが、NEDOでリサイクルコストの低減に向けた技術開発に取り組んでいるところであり、環境省とも連携して大量廃棄時代に向けた準備を進めてまいりたいと思います。
この四月からは、農水省、国交省、環境省と共同で検討会を立ち上げまして、再エネ発電設備の適正な導入及び管理に関する更なる対応について関係省庁の取組に横串を刺す、通す形で議論を開始しました。この検討会では、太陽光パネルの適正な廃棄、リユース、リサイクルなどについても議論を行っているところでありまして、引き続き、環境省等の関係省庁と連携して更なる対応策を検討してまいりたいと思いますし、先行して中小企業の皆さんが汗をかいていただいていることは評価したいと思いますので、実証結果、そういうものをしっかり横展開できるようにしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/73
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074・矢田わか子
○矢田わか子君 太陽光パネルは、我が国メーカーが技術的な開発をして世界をリードしてきた歴史があります。このリサイクル技術も大きく育てていただければ、リードしていければ、またそれは一つの新たな産業ということになるし、グローバルに大きく利益を上げるようなもしかしたら産業に育つかもしれません。
新たに今は、もうガラスではなくて、東芝さんが開発しているペロブスカイトのようにフィルム状のような新しい太陽光パネルなんかも検討されておりますので、もう作り出すと同時に廃棄に向けても同時にやはり検討するぐらいのスピード感が私は必要だと思いますので、併せて御要請をしておきたいと思います。
環境省から一言あればお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/74
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075・室石泰弘
○政府参考人(室石泰弘君) 環境省といたしましても、廃棄されて不法投棄されたりとか、そういう前にリユースとかリサイクルに取り組んでいくということが一番大事だというふうに考えておりますので、先ほど御答弁ございましたけれども、経産省とも一緒になって、そういった技術開発を含めて、あるいは廃棄の仕方とかそういったガイドラインを出すとか、そういったことを含めましてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/75
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076・矢田わか子
○矢田わか子君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/76
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077・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/77
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078・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/78
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079・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章です。
それでは、通告に従いまして質問したいと思います。
スマート保安の促進について、まず一点目質問します。
今回の法案については、高圧ガスの保安法あるいはガス事業法、電気事業法、この三本立てになっておりますけれども、今回の法案に関しては、テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者ということでありますけれども、いろんな手続等が検査面で必要になってきます。
それらを合理化、柔軟化を認めることとしておりますけれども、具体的な内容について質問したいと思いますが、経産省の審議会の方の答申では、意欲ある中堅事業者に対し、保安レベルやテクノロジーの活用における二極化が生じないよう、技術支援や人材育成支援などによって中堅事業者の底上げを措置することが必要だと指摘しておりますが、そこで、高圧ガス、都市ガス、そして電気の各分野において、中堅事業者に対して新たな認定制度の活用を促すために今後どのような取組や支援策を考えているのか、政務官に御質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/79
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080・吉川ゆうみ
○大臣政務官(吉川ゆうみ君) お答え申し上げます。
産業保安分野におきましては、大企業のみならず、中堅・中小事業者でございますとか、あるいは零細事業者など多様な主体が存在しておりまして、先生おっしゃいますように、それぞれが保安の担い手として日々の保安管理業務に的確に取り組んでいくことが重要であるというふうに認識をいたしております。
今般、スマート保安の推進のため新たな認定制度を創設することとしておりますが、委員御指摘のとおり、中堅事業者の方々を含め、経済産業省といたしましては、この認定制度を活用いたしまして、活用していただくべくですね、様々な事業者に対する多角的な支援を行っているところでございます。
具体的には、保安分野におけるデジタル技術の活用を含め、デジタル投資を後押しするDX投資促進税制を措置しているほか、知見やノウハウの面での支援策といたしましては、プラント設備へのAI導入のためのガイドラインの作成、また、電気、ガス設備に関するスマート保安等の取組に対する経済産業大臣賞の表彰などを行っているところでございます。
引き続き、こうした支援策をしっかりと広報、周知することにより、中堅事業者の方々を含め様々な事業者がスマート保安にしっかりと取り組んでいただけるよう環境を整備してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/80
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081・石井章
○石井章君 ありがとうございます。今の丁寧な御答弁ありがとうございます。
それで、産業の保安分野においては、大企業のみならず、中堅や中小企業、そして中小零細企業も含まれるわけでありますけれども、こういった企業の日々の保安管理業務が直接今度関わってくるということであります。特に、対象となります第一種製造者が約一万五千、第二種製造者が八万七千、そして高圧ガスの貯蔵者、あるいは消費者など多様な主体が日本全国には存在いたしますけれども、そこで経産委員会の、経産省の審議会の方でも、高圧ガスの保安協会からは、近年の死亡事故の発生が多発していることに対して、中小事業者に焦点を当てた保安力の向上への取組についての検討が最大限必要だということが指摘されております。
そこで、死亡事故は減少傾向にあるとは聞きますが、いまだ中小の事業者を中心に死亡事故が発生していることについて、政府の認識、そして対策についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/81
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082・吉川ゆうみ
○大臣政務官(吉川ゆうみ君) お答えを申し上げます。
保安に関する技術の進展、あるいは過去の経験も踏まえた事業者のリスク管理体制の整備、強化などの取組を通じまして、例えば高圧ガス分野における一九七〇年代と比較した二〇一〇年代における死亡事故の件数、これは三〇%まで減少をするなど、産業保安分野における重大事故は大幅に減少しているところでございます。
他方で、引き続き中小事業者におきましては重大事故が発生していることは事実でございまして、例えば、高圧ガス分野において、二〇一九年十一月、炭酸ガスを冷媒として使用している冷凍設備の修理中に、法令に基づく安全措置を講じていなかったということが原因で一名の方が死亡されるというような事故が発生をしております。
こうした事故を防止するためには、環境変化に応じた保安規制の適切な見直しを行うなどとともに、設備などの変更届出や工事計画の届出、これらを通じまして事業者に法令の遵守を求めていくことが基本であるというふうに認識をいたしております。
このため、今般の法制、改正法案におきましても、多くの中小事業者が設置者となっている小規模の再エネ発電設備につきましては、事故が発生しているという状況を踏まえ、設置場所の基礎的な情報の届出でありますとか技術基準への適合性の事前確認義務を設置者に対して課すということといたしております。
加えまして、今回導入する認定制度を通じスマート保安が普及すれば、IoTによって設備の常時監視を行い、収集したビッグデータをAIによって解析をさせ、設備異常の予兆を検知して事故を未然に防ぐなど、保安レベルの一層の向上につながっていくというふうに認識をいたしております。
引き続き、保安規制の適切な見直し及び執行に加えまして、スマート保安等の新たな取組も進めることで中小事業者に対する負担軽減にもしっかりと配慮しながら事業者における安全確保を図ってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/82
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083・石井章
○石井章君 もう確かにそのとおりでありまして、特に中小零細事業者というのは資金力も資本力もなくてなかなか国の指針どおりにはできないのが現状でありますが、我が国全体のことを考えますと、産業保安のレベルの持続的向上と、それから高度化に向けては企業の規模を問わず多様な事業者を幅広く支援していくことが重要だと考えておりますが、今後、政府として具体的にどのような取組、具体的ですよ、具体的にどのような取組や支援策を講じていく考えなのか、これは経産大臣の方にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/83
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084・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 国民生活に重要なインフラ設備の保安には企業規模を問わず様々な事業者が携わっております。そのため、経産省としては、中小企業を含めた幅広い事業者の取組を後押ししています。
具体的には、目視の代わりにドローンなどを検査に活用することを認めるための規制改革やスマート保安の技術実証に関する補助事業、保安人材の育成確保に向けた広報や、AI、IoTなどの新技術に関する人材育成カリキュラムの作成など、様々な施策を講じているところです。
加えて、スマート保安の重要性を認識し、官民で連携してその取組を推進するため、令和二年六月より各保安分野の業界団体と経産省が参画するスマート保安官民協議会を開催しています。スマート保安の具体的な実践に関し、最新のテクノロジーを活用した取組の共有や規制、制度の見直しなど、官民一体となって産業保安分野における共通的課題の取組を進めているところです。
今後とも、これらの取組を一体的かつ複層的に実施し、我が国全体の産業保安レベルの維持向上につなげてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/84
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085・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
特に中小零細企業の方に負担にならないような形で進めていただければと思います。
次に、サイバーセキュリティーの確保に向けた取組についてお伺いいたします。
スマート保安を促進するに当たっては様々な設備や機器がインターネットに接続されるわけでありますけれども、近年、サイバー攻撃のリスクが高まることが考えられます。実際に、外国では変電所などの産業施設がサイバー攻撃による被害を受けているのが実際でありますけれども、その中で、ガスや電気に関する保安設備関連のシステムはもちろんながら非常に重要な社会インフラでありますから、サイバーセキュリティー確保の重要性は格段に増してきていると思います。このため、法案では、高圧ガスと都市ガス及び電気の各分野でサイバーセキュリティー対策推進のための改正も含まれておりまして、IPAの業務に保安に関わるサイバーセキュリティーに関する重大な事態が生じた場合等における調査を追加できるとされております。
そこで、IPAに関して、原因究明の調査を要請する重大な事態というのは具体的にどのような状況を想定しているのか、また、重大な事態が発生した場合の対応について、その具体的な手順やスキームについて、認定高度保安実施事業者以外の事業者のサイバーセキュリティーの確保について今後どのような取組を行っていくのか、三役にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/85
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086・吉川ゆうみ
○大臣政務官(吉川ゆうみ君) お答えをいたします。
今般の法改正によりまして、独立行政法人情報処理推進機構、IPAが調査を行うこととなる保安に関わるサイバーセキュリティーに関する重大な事態とは、例えば、高圧ガス設備に対するサイバー攻撃による機器の不具合によりガスの漏えいが生じ爆発事故が発生するといったような、保安の観点からの社会的に影響のある事象を想定いたしております。他方で、本制度の保安の観点からは、保安の観点から措置するものでございますので、例えば、単に事業者のホームページが閲覧できなくなるといったような事象に関しましては調査の対象として想定をいたしておりません。
また、保安に関わるサイバーセキュリティーに関する重大な事態が発生した場合における具体的な手順、スキームについてでございますけれども、まず、高圧ガス、都市ガス、電力の産業保安分野では、事業者が事故発生、事故報告規定等に基づき、例えばガス設備の損傷でありますとかガス爆発等の事故の発生について経済産業省に報告するということとなっております。このため、サイバー攻撃によって発生するといったような事故のうち、保安の観点から社会的に影響があるという事象が発生した場合におきましても経済産業省に報告がされるということとなっております。
その後、経済産業大臣が保安に関わるサイバーセキュリティーに関する重大な事態であると判断した場合には、IPAに対して今回の調査の要請を行い、IPAにおきましてサイバーセキュリティーの観点から原因究明の調査がなされるというような形になっております。
その上で、この調査結果を経済産業省におきまして、国の事故調査委員会における事故の総合的な検討でありますとかサイバーセキュリティーに関する法令、ガイドラインの策定及び改正、他の事業者への注意喚起等に活用いたしまして、産業保安分野におけるサイバーセキュリティー対策を推進してまいりたいというふうに思っております。
そして、今回新たに創設する認定高度保安実施事業者制度におきましては、その認定事業者は保安確保のためにIoTなどのテクノロジーを活用している事業者であるため、サイバー攻撃等を受けた際に産業保安に与える影響が大変大きいというふうに考えられることから、サイバーセキュリティー対策の実施を要件といたしまして、必要な対策をしっかりと進めていこうというふうに思っております。
他方、この認定事業者以外におきましても、電力、ガス、石油、化学分野も含め、重要インフラの事業継続や保安確保のためにはサイバーセキュリティー対策が不可欠であるというふうに認識をいたしております。このため、独立行政法人情報処理推進機構と連携いたしまして、これまでも様々な取組を進めてきているところでございます。
例えば、具体的には、IPAに制御システムセキュリティーの中核機関として産業サイバーセキュリティセンターを設置いたしまして、電力、ガス、石油、化学分野等の企業からセキュリティー担当者が模擬プラントを用いた実践的なプログラムを受講して、サイバーセキュリティーの中核を担う二百名以上の専門人材も現在輩出しているというところでございます。
また、経営者自身の責任の下、サイバーセキュリティーの対策に取り組む重要性を踏まえまして、経営者に対策を指南するガイドラインの策定でありますとかその実践のための実例集、実践状況の見える化に資する可視化ツール、このようなものの策定を進めているところでございます。
さらに、IPAをハブといたしまして、電力、ガス、石油、化学などの十三業種二百七十組織の業界団体、関係組織の間におきましてサイバー攻撃等に関する情報を共有し、また高度なサイバー攻撃対策につなげる体制、これを構築しております。
加えまして、政府のサイバーセキュリティ戦略本部が策定している重要インフラにおける情報セキュリティ確保に係る安全基準対策指針を参考にして、電力、ガス、石油、化学の各分野におきまして、業界団体を中心とし、サイバーセキュリティーに関するガイドラインを策定、サイバーセキュリティーの水準の底上げを図っているところでございます。
今後も、御指摘いただきましたように、こうした産業保安分野のサイバーセキュリティー対策をしっかりと取っていこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/86
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087・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 答弁はできるだけ簡潔にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/87
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088・石井章
○石井章君 丁寧な御答弁ありがとうございました。よく分かりました。
サイバーセキュリティーに関しては、今いろんな攻撃があって、今、例えばガス爆発事故があったときに経産省に届け出るとかというのは、それはもう今事故が起きた場合に一番先に連絡するのは一一九番ですから、その後いろんなことで届出が必要になってくるのはよく分かります。それはガスも含めて、電気も全て今インターネットで、例えば全部のセキュリティーの場所からIPAの方に多分つながっていて、もし遮断された場合には、瞬時のうちにそこの現場がどうなっているかというの分かるようなシステムになっていると思います。だから、それを細かく今説明してもらったので、非常にありがとうございます。
また、それで、審議会の報告書では、保安人材の確保、これは非常に大事なことで、これは資格がなきゃ駄目な分野でありまして、多様な人材の活躍を推進するとしております。午前中の質問でも、長年培った技術者とかたくさん汗をかいた人を熟練工として雇うとか、そういう問題じゃなくて、やっぱり資格があって、全部、太陽光も一つの施設に一人の管理者が必要になっています。
そういうことも含めて、特に外国人などもこれから活用しなきゃならないと思うのですが、経済安全保障やサイバーセキュリティーの観点から課題を、いろんな課題を配慮した上で人材活用を進めてきていると思いますが、いわゆる国籍にかかわらず重要なシステムを扱う人物の資質は重要でありますが、経済安全保障やサイバーセキュリティーの観点からの人選とは具体的にどのような基準、身元照会方法等が考えられるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/88
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089・吉川ゆうみ
○大臣政務官(吉川ゆうみ君) お答えいたします。
産業保安分野におきましては、スマート保安の普及が進む場合におきましても保安人材の重要性は何ら変わらないというふうに認識をいたしております。現状では、保安現場におきまして、資格保有が必要となる職務について、外国人材が活躍している状況は極めて限定的と承知をいたしておりますけれども、今後は、保安人材の枯渇が進むことが想定される中におきまして、シニア人材や女性、外国人も含め、多様な人材プールから優秀な人材を確保、育成することが必要であるというふうに考えられます。一方で、民間事業者におきまして、安全確保の観点から、新規人材の採用、あるいは任用の過程で必要な審査、評価を既に行っているということも認識をいたしております。
こうした保安人材の採用等に関しましては、一義的には事業者の判断によるものでございまして、現時点において国として人選の基準でありますとか身元照会方法等を定めるというような予定はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/89
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090・石井章
○石井章君 短い答弁ありがとうございます。
時間が、最後の質問、また吉川政務官に質問なんですけれども、さきの衆議院の質疑で、届けてある七番目なんですけれども、さきの衆議院の質疑で、基礎情報の届出について、既設の再エネ発電設備に対しても求めると政府答弁がありましたが、現在FITを利用している設備だけでも六十万件を超えているわけですが、それをどのように対応していくのか、最後の質問といたします。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/90
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091・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今御指摘をいただきましたとおり、今回の電気事業法の改正案によりまして、FIT認定を受けている小規模事業用電気工作物となる十キロワットから五十キロ、あっ、十キロワット以上五十キロワット未満の太陽電池発電設備は全国で既に六十万件程度存在しており、こうした既設の再エネ発電設備の安全性の確保も重要でございます。
このため、今回の改正案では、基礎情報の届出義務と技術基準への適合性維持義務について既設の再エネ発電施設に対しても課すこととしております。この点、基礎情報の届出内容につきましては、FIT認定の際に事業者が登録する情報と重複する部分が存在しますので、その中でも事業者名、設備の所在地等の主要な情報は公表されているところでございます。
したがいまして、当該届出制度におきましては、事業者の手続負担を考慮いたしまして、FIT認定を受けた既設の設備については、改正法附則第四条第五項に基づき届出を不要とすることとしております。加えて、膨大な事務手続を処理するため、届出に係る手続を原則オンラインでできるように効率化を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/91
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092・石井章
○石井章君 ありがとうございました。時間が来ましたので、終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/92
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093・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
高圧ガス保安法への認定高度保安実施者制度の導入について質問をします。
本法案は、事業者任せの自主保安制度について、更に事業者の裁量を拡大する規制緩和をしようとするものです。けれども、この間の経過を見ても、高度な保安能力を有していると大臣認定を受けた事業者の法令違反が後を絶たないという状況です。これまでに認定を取り消された事業者は二十事業所にも達しています。
初めに、高圧ガス保安協会の法的な位置付けについて確認をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/93
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094・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
高圧ガス保安協会は、高圧ガスによる災害の防止に資するため、高圧ガスの保安に関する調査、研究及び指導、高圧ガスの保安に関する検査等の業務を行うことを目的とし、高圧ガス保安法に基づき設立された民間法人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/94
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095・岩渕友
○岩渕友君 今答弁にもあったように、法的にも位置付けられている高圧ガス保安の専門機関ということです。この高圧ガス保安協会の近藤会長が高圧ガス小委員会で、協会が把握をしているだけで、この十年間に三割弱が法令違反を、法令違反行為を行っていると、こういうふうに述べているんですね。
この指摘を五月十一日の衆議院の経済産業委員会の中で我が党の宮本徹議員が紹介をしたところ、大臣は、この発言の事実関係は分からないと、こういうふうに答弁をされたんです。この答弁聞いて、非常に驚いたんですよね。
それで、二〇二一年十月二十五日に開催をされた第二十回の産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会高圧ガス小委員会の近藤会長の発言について、議事録の二十三ページの十三行目から二段落分の発言を読み上げてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/95
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096・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
昨年十月二十五日に開催された第二十回高圧ガス小委員会での近藤会長の御発言を申し上げます。
最近、一流企業と言われるトヨタや三菱電機で検査不正が次々と発覚しております。高圧ガスの世界でも、保安レベルが比較的高い認定事業所でも、高圧ガス保安協会が把握しているだけでも、この十年間で三割弱が法令違反行為を行っております。個別の企業を非難するつもりはありませんが、今年九月には太陽石油が過去十年間に六十七件の違反をしたとして愛媛県から処分を受けたことは、記憶に新しいところであります。
これらの事実は、今回の制度改正の前提である自律的に高度な保安を確保できる事業者の存在がいかに危ういかを示しているわけでございます。規制を事業者任せにする制度は絵に描いた餅で、保安レベルの低下は確実でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/96
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097・岩渕友
○岩渕友君 資料の一を御覧ください。
この近藤会長の発言を資料としてお配りをしているんです。それで、二枚目のところの赤い枠で囲ったところが今読み上げていただいた部分なんですよね。
それで、この二枚にわたって発言、ここの部分の発言全部紹介しているわけなんですけれども、非常にどこの部分にも重要な指摘が行われているんですね。是非皆さんにも見ていただきたいと思って配っています。
それで、大臣、この会長の発言なんですけれども、この法案の前提となる議論を行った小委員会の中で行われた発言なんですよね。こういう重要な指摘を知らないまま法案出したということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/97
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098・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 経済産業行政、多岐にわたっておりまして、様々な会議が日々行われております。私は、全ての会議に出席することもできませんし、全ての議事録に目を通す機会もございません。答弁書に、例えば、発言は承知していますがというお答えの仕方ももしかしたらあったのかもしれませんが、私、存じ上げないので、正直にそう申し上げました。
その後、議事録を入手しましたので、それは読ませていただきまして今は理解しておりますけれど、この問題意識は、まさに法案を出す前提でありますので、まさに協会の会長もこういう思いを持っているということは決してそごはないのではないかなと私は思っております。
安全性高めるためにスマート保安を提出させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/98
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099・岩渕友
○岩渕友君 この会長の指摘というのは、今大臣もおっしゃったように、やっぱり審議の大前提になる議論の中で出されてきたものなんですよね。一番最初に確認をしたように、高圧ガス保安協会そのものは法的にも位置付けられて、この会長の発言って非常に重いわけですよね。
この資料の一の一、一枚目のところの資料を見ていただきたいんですけれども、黄色く線を引いています。近藤会長は、基本制度小委員会が示した案は、国や自治体の規制からの実質的な撤退、効率重視、事業者負担の軽減、事業者の自律性への過度な信頼がベースとなっており、安全性の確保がないがしろにされているとして、このようなずさんな議論を前提とした制度改正には反対だと、こういうふうに述べて、中身について三点述べているわけですね。
一点目は、テクノロジーに名を借りて、これと関係のない手続を緩和するのは筋違いということ。二点目は、事前調査もなしに国が簡易な審査で認定することは制度の根幹として矛盾する。ずさんな審査で認定し、かつ、認定期間を現在の二倍の十年に延ばすことは、保安レベルを大幅に下げるものだ。そして三点目は、新たな認定事業者は自治体の許認可が緩和され、保安人材の配置が少なくなり、定期自主検査がなくなって法的講習は任意になることは、事業者の自律性に過度に依存したもので不適切という、この三点なわけなんですね。
さっき大臣がいろいろあって分からないというふうにもおっしゃったんだけれども、まさかそういう答弁返ってくるというふうにちょっと私も思っていなかったので。これだけ重要な指摘をしているわけなんですよ。
大臣、法案は、高圧ガス保安協会などの事前調査をなくすものとなっていると会長も指摘をしています。高圧ガス保安協会と専門家による現地調査が事前規制として重要な役割を果たしてきました。この重要な役割を果たしてきたのに、何でこれがなくなってしまうのか、なくしてしまうんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/99
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100・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答え申し上げます。
近藤会長の御発言については御指摘のとおりでございますけれども、その後、審議会で議論を行いまして、現在では我々の改正案について近藤会長から賛成という御意見をいただいているというところは申し上げたいと思います。
御質問の現行の認定事業者制度では、認定審査におきまして、認定要件の適合性を技術的、専門技術的な観点から確認するため、高圧ガス保安協会により事前調査が認められておりました。御指摘のとおりでございます。その結果も踏まえて認定審査を行ってございます。
一方で、改正後の新制度では、認定要件が、を強化をいたしまして、審査項目が、法令遵守の体制やテクノロジー、サイバーセキュリティーなど多角化することを踏まえまして、現行の事前調査制度を発展的に解消いたしまして、国から、高圧ガス保安協会を含め、こうした新たな要件について専門的知見を有する専門機関に意見聴取、調査依頼を行うことができる制度を措置することといたしました。これにより、新制度の下ではより一層保安レベルが向上していくものと、今までの分野に限らず、サイバー、テクノロジーあるいはサイバーアタックとかですね、そういうところに関する保安の観点も含めた上で保安のレベルを上げていくということを考えてございます。
さらに、新制度の下では認定時の審査体制や認定後の監視体制についても強化することといたしてございます。具体的には、認定時の審査体制につきましては、第三者委員会を活用した多角的な視点からの審査を実施をいたします。また、認定後の監視体制につきましても、抜き打ちによる立入検査や高圧ガス保安法の電子申請システムに事業者に対するアラート機能を追加する等などのシステム改善を行うほか、自治体の職員に対する研修期間、内容の確実、内容の拡充を通じた審査の目利き力の向上を図っていくことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/100
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101・岩渕友
○岩渕友君 発展的に解消するという答弁でしたけど、結局はなくなるということなんですよ。
資料の二を御覧ください。
これは、産構審の保安・消費生活用製品安全分科会で提出をされたものにうちの事務所で加工したものです。黄色いところに、黄色く線を引いてあるところを見ていただきたいんですが、認定事業所の法令違反について、直近五年において法令違反は減少というふうにあるんですけれども、本当に減っているのかということです。この資料二では、一番上のところに、直近十年では累積二十四件の高圧ガス保安法の違反だというふうにあります。
資料の三を見ていただきたいんですけれども、実際には、二〇一二年に東ソー株式会社南陽事業所、同じく二〇一二年のJX日鉱日石エネルギー、現在のENEOSですよね、水島製油所B工場、いずれも認定取消しされているんですけれども、この二件については二十四件に含まれていないんです。
直近十年では累積二十四件の法令違反とあるんですけれども、実際には少なくとも二件は含まれていないということでいいか、確認をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/101
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102・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
昨年十二月に公表した産業構造審議会保安・消費生活用品、生活用製品安全分科会の最終報告案におきまして、直近十キンでは延べ二十四件の高圧ガス保安法違反が認定事業者に確認されたことを報告をいたしました。
今御指摘のあった二件につきましては、これは法令違反ではございませんで、災害を起こしたということで認定取消しを行っておりますので、法令違反ということでは含めてございません。
他方、今般御指摘もございまして改めて報告書の内容を精査しましたところ、結果的には二十四件の延べ件数自体には変更は生じなかったのですけれども、一件の誤ったカウントと一件のカウント漏れがございまして、結局プラス一、プラス、マイナス一で、延べ件数自体には変更はないのですけれども、そういったことがあることが判明いたしました。
審議会に提出した資料に誤りがあったことは誠に申し訳なく、今後このようなことが決してないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/102
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103・岩渕友
○岩渕友君 これ、法案の審議の前提崩れちゃうと思うんですよ。
そもそもは、昨日の夜、担当者の方から連絡があって、私のところではね、確かに二件含まれていないので、二十六件だということを確認していたわけですよ。なんだけど、昨日の夜になって、精査したら、この二件については、認定取消しはしたんだけど、ヒューマンエラーで事故が起きた場合は法令違反じゃないと、だから二十四件のままでいいんだというふうに連絡があったんですよね。でも、今の話だと、それとはまた別に、一件、一件、また別な案件あるという話なわけですよね。
これね、今日時間ないから、それ後でしっかり確認したいというふうに思うんですけど、ヒューマンエラーだからというふうに言うんだけど、非常に重大な事故なんですよね。東ソーの認定取消しは、亡くなられた方もいる、そういう重大な事故なんですよね。なのに、昨日確認して、また間違いがあって、今日また更に間違いがあるって、これちょっと、本当に前提が崩れているということになりますよね。
これだけじゃないんですよ。一件とカウントしている法令違反は一件だけじゃないんです。例えば、今年の三月に認定が取り消された太陽石油株式会社が二〇二一年九月二十二日に出した当社四国事業所での高圧ガス保安法上の不備に関する愛媛県からの行政処分についてという文書の中で、二〇一一年四月から二〇二一年三月までの十年間において、計六十七回の高圧ガス保安法に抵触する違反が確認されましたとあります。先ほど近藤会長も紹介したところで、紹介していたとおりなんですね。
この資料三にもそのことを、二十四番目のところに書いていますけど、六十七件の法令違反も一件というふうにカウントしていたということでいいか、確認をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/103
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104・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) 法令違反数、先ほどの法令違反数につきましては、事業者単位で一件として法令違反数をカウントしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/104
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105・岩渕友
○岩渕友君 実は、事前にやり取りした中で、これはもうカウントの仕方の問題なんですって、こういうような話があったんですよ。六十七件の法令違反、六十七件もあるのにそれが一件になるということが、これ、カウントの仕方の問題だということで済まされるのかということだと思うんですよね。
さっきの話もそうですし、今の話もそうなんですけど、もう審議の前提となる資料に重要な事実が反映もされていないと。非常にもう命や安全に関わる問題を議論しているにもかかわらず、そういう事態がこの今審議やっている今のこの場でも起きているというの、これ大問題だというふうに言わなくてはならないですよね。
加えて言うと、資料の三の、二〇一二年のコスモ石油に、二〇一一年かというふうに書いてあるんですけど、この二十四件の法令違反について、この一覧表を作るに当たって、実はいろんな資料を提出してもらったんです。それでいろいろ精査して突き合わせていったら、この二〇一二年のコスモ石油の案件は、実は二〇一一年だったということが後から分かったんですよね。
非常に、だから、昨日、私たちも混乱したし、いや、これ何なんだということで、もうめちゃくちゃじゃないか、ぼろぼろじゃないかということでなったんですよね。もう何を信用したらいいのか本当に分からないなというふうに思いながらこの準備もしてきました。
大臣、今のこういうやり取り見て、まずどう思うのかと。そして、法令違反減っているというんですけれども、こういう実態で本当に減っているって言えますか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/105
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106・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) まず、審議会に提出した資料に誤りがあったことは誠に遺憾であります。今後はこのようなことが決してないよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
なお、審議会の最終取りまとめの一任を受けた審議会の分科会長に対して、当省から本件について説明をさせていただきました。修正後の内容を踏まえた上で、審議会の最終取りまとめの結論に変わりはないことについては御了解をいただいております。
いずれにしても、この御指摘は重く受け止めなきゃならないと思っておりますので、これはもちろん、指定の在り方と資料の作り方、両方ミスがあったんだというふうに思いますので、よくここはおわびをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/106
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107・岩渕友
○岩渕友君 いや、こういうことがないようにと言うんですけど、もうずっと繰り返されてきて、今のこの段階でまで発覚するというので、これ、こういうことがないようにしますと言うだけで、じゃ、それ担保できるのかということだと思うんですけど、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/107
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108・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) お恥ずかしい限りでございますので、今後このようなことがないようにしっかりやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/108
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109・岩渕友
○岩渕友君 例えば、六十七件を一件にしたり、法令違反を、これ、もう少なく見せようと、そういうふうにしているということなんじゃないんですか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/109
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110・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) 認定事業所において複数の法令違反が生じていることについて、こうした事実をしっかり重く受け止め、安全確保に向けて制度の不断に見直す取組を進めていく必要があると考えてございます。
個別の法令違反単位の件数は手元にはございませんけれども、御指摘のとおり、法令違反を個別にカウントすること、すると、事業者単位でカウントするよりも件数が多くなることは事実でございます。
他方、審議会では、新たな認定制度の検討に当たりまして、高度な保安体制を有すると認められる認定事業者のうち、どの程度の認定事業者が法令違反を行っているかに着目して議論したものでございますから、その際、事業所、認定事業所のベースでカウントしたものでございます。
一方で、太陽石油のように、認定事業者において複数の法令違反が生じたことは誠に遺憾でございます。認定取消しを始め厳正な対処を行ってきたところでございます。
こうした点も踏まえ、新たな認定制度では、認定要件にテクノロジーの活用やより効果的に法令違反や事故を防ぐための厳しい要件を追加するなどの要件強化を行っており、新制度の下で事業、認定事業者に法令違反が起こらないようにしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/110
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111・岩渕友
○岩渕友君 法令違反の件数についてもカウントの仕方の問題だという話があって、昨日、切取り方の問題だという話もあったんですね。これ、もう法令違反を少なく見せようということを意図してやっているんじゃないかと思わざるを得ないんですよね。でも、結局は、既存の認定制度うまくいっているから、規制緩和して新しい認定制度をつくるんだと、もうゴールありきだと、結論ありきだと。だから、こういうふうになるし、事業者任せの無責任な姿勢がこうした事態招いているということですよね。
実は答弁も間違っていたということが分かって、衆議院の質疑の中で、二〇一一年から二〇一二年にかけてコンビナートで重大事故が相次いでいるということで事故の内容について質問したのに、我が党の宮本議員が質問したのに対して、三件の重大事故について答弁があったんですね。一件目が二〇一一年十一月十三日の三井化学株式会社岩国大竹工場の爆発事故、二件目が東ソー株式会社南陽事業所における爆発事故だと答弁があったんだけれども、実際には、事故が起きた事業所、工場が逆に答弁されていたということだったんですね。
これ、事実はどうなのか確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/111
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112・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) 宮本議員の質疑におきまして、事故発生日とその対応する事業者名を逆にしていた発言をいたしておりました。大変申し訳ございません。おわびを申し上げます。
正しくは、二〇一一年十一月十三日に発生したものは東ソー株式会社南陽事業所における爆発事故、二〇一二年四月二十二日に発生したものは三井化学株式会社岩国大竹工場における爆発事故でございます。
この二つを、日付をちょっと逆にしてございました。大変申し訳ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/112
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113・岩渕友
○岩渕友君 ただの間違いだとかということではちょっと済まされないのかなというふうに思うんです。それは、これが重大事故で、どちらの事故でも亡くなっている方がいらっしゃるということで、三井化学岩国大竹工場の爆発火災事故では、工場周辺の九百九十九軒の住宅にも被害が及んでいるわけですよね。この三件の重大事故のうち、認定を受けていた事業所は二件で、多数は大臣認定を受けた事業所でこうした重大事故を起こしていたということなんですよね。
衆議院の議論で、その事業所任せの自主保安では安全性は確保されないということが証明されたじゃないかと、こういうふうに述べて質問をしたのに対して、実は大臣が、ガス分野における重大事故は大幅に減少していると、二〇一〇年代における死亡事故数は一九七〇年代の三〇%にまで減少しているというふうに答弁をされていたんです。そう、さっきもあったんですけど、これ通告はしていないんですけれども、死亡件数が三〇%まで減少しているからいいというわけにこれいかないと思うんですね。これが規制を緩める理由にはならないんですよ。一件でもあったら駄目なんじゃないですか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/113
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114・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) もちろん、死亡事故に限らず事故は起きてはならないというふうに思っていますので、その点は、今回法案を皆さんにお認めいただく上で、その手続上の簡易になる部分もありますけれど、先ほど来申し上げているように、中身については厳しい審査をするということを申し上げておりますので、しっかり精度を上げていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/114
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115・岩渕友
○岩渕友君 この質疑を通じて、今日も含めてですけれども、資料もずさんだし、対応もずさんだし、答弁もずさんだし、正直言って、もう怒りを通り越してあきれちゃうというか、何なんだこれはという思い、正直ありますよね。何を信じていいか分からないし、その根拠データの正確さについてもう疑問を持たざるを得ないと、こういう状況が今回の質疑で明らかになりました。
事業者任せの産業保安と規制の在り方について立ち止まって根本から真摯に検証、総括すべきだし、そもそも審議の前提となる資料がこんなに間違っていて、それが正されないまま、じゃ、これもう採決というふうになるのかということだと思います。
これ、引き続き審議する必要があるということを求めて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/115
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116・ながえ孝子
○ながえ孝子君 碧水会のながえ孝子です。
法案の質問の前に一つお伺いしたいことがあります。
世界経済の減速感が強まっています。日米欧共に、今年一月から三月期の成長率は低下というニュースが流れました。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー不足ですとか原材料の供給不足、この影響はこれから本格化するということですから、かなり深刻な問題です。
今資料としてお配りしたものは、中小企業家同友会が継続的に実施している中小企業の景況調査の結果をグラフにしたものです。
経営上の問題点として挙げられている主な項目の推移をずっとグラフに表したものなんです。びいっとこう上がっております緑色、右肩上がりと言ったらいい意味になるかもしれませんけれども、逆ですね。この緑色の線、これは仕入価格の上昇、これが経営上の一番の問題だと指摘する割合の動きです。七期連続で上がっておりまして、この一月から三月期五五%、半分を超えました。これは一九九〇年の調査開始以来最も高くなっているということですから、本当に苦しいんですね。特に製造業、建設業での上昇は大変厳しいものとなっています。仕入価格上昇に価格転嫁が追い付かないよという声も増えてきています。
続けて御覧いただきたいのが、グラフの青い線です。これ、一旦高い山を真ん中当たりで描いて、おととし、二〇二〇年の半ばからなだらかに下がってきているのが、これ民間需要の停滞、これを一番の問題点としている企業の割合です。だから、おととし後半から民間需要回復してきたというふうに受け止めている事業者は増えてきたんですけれども、去年の秋頃から再び上昇しています。売れなくなってきているんですよね。
ほかの経営上の問題点、人手不足ですとか取引先の減少などへの心配が割とこの最近落ち着いてきているのに比べて、この需要の停滞、再上昇しまして、四割近くまで増えてきています。これ、現場の肌感覚です。
実際、数字を見ましても、昨日、内閣府の発表によりますと、個人消費の落ち込みといいましょうか、私は微減だったなと思うんですけど、前期比〇・〇三%減、まだこのぐらいで済んだのは消費が底支えされているのかといいますとちょっと違っておりまして、一月から三月期ですから、寒さの影響で家庭などでの電気使用量が増えたことで、消費全体として微減にとどまったというような分析だそうです。
仕入価格の上昇、それから民間需要の停滞がセットになっている、つまり価格転嫁が大変厳しい状況ですよね。
以前にもお聞きしたんですけれども、中小企業が価格転嫁できるような環境をつくっていく、大変重要なことだと思いますが、どういう対策をお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/116
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117・飯田健太
○政府参考人(飯田健太君) お答え申し上げます。
今委員御指摘ございましたけれども、原材料価格や燃料費が高騰しておるということは私ども認識をしてございます。まさに、こうしたコスト増を取引先に転嫁することが困難だと感じておられる事業者もたくさんいらっしゃると思います。
私どもといたしましても、取引適正化の取組はこういった観点から非常に強化をしているところでございます。幾つか御紹介いたします。
まず、一つ目でございますが、三月を価格交渉促進月間ということにしておりまして、これ二回目なのでございますけれども、ここのフォローアップを今行っております。二千社に対しまして下請Gメンがヒアリングを行う、あるいは十五万社の下請中小企業に対する調査を現在実施しております。これらを踏まえて、下請振興法に基づく指導、助言なども実施してまいりたいと思っております。
二つ目でございますけれども、サプライチェーン全体で共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言というのを進めてございます。こちら、より多くの大企業の参加を促すとともに、既に宣言していただいた企業の取組をこれから調査をいたしまして、実効性の向上に向けたフォローアップも図っていきたいと考えております。加えまして、約千七百の業界団体に属する親事業者やパートナーシップ構築宣言を行いました約八千社の企業に対しまして、適切な価格転嫁に配慮するよう要請も行いました。
こうした取組を通じて、適切な利益が下請企業に残るよう、中小企業に寄り添った支援に全力で取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/117
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118・ながえ孝子
○ながえ孝子君 それは以前にも伺いました。
私が今回問題点としてお聞きしたいのは、全体に消費マインドをどうつくっていくかという問題なんですよね。民間需要の、これは本当に今まさに頭を抱えているところだと理解はいたします。
その仕入価格をいかに抑えるかとか、いかに供給をスムーズにするかとか、あるいは厳しい局面をしのいでもらえるように中小企業の融資を含めてどう財政支援をしていくかって、これもすごい重要なんですけれども、やっぱり消費意欲を醸成していくといいましょうか、これ政府にしかできない景気浮揚策、これを実施していただきたいと思っています。
以前から消費税減税というのを私は提案として申し上げてきているんですけれども、消費税は、もう皆さん御存じのように、消費者の負担をお願いしようが、お願いしよう、関係ないですよね。企業の年間売上げから仕入れを引いたものに対して掛かってくる、付加価値に掛かってくる直接の事業税です。だから、これは赤字だろうと関係ありません。納税しなければなりません。
ですから、これが少し負担が軽減されるとなりますと、本当、特に中小企業の皆さんにとっては一息つけるんですよね。何よりも、やっぱり国民の皆さんに与えるインパクトは大きい、非常に空気感が変わってくるということを前々から申し上げております。
消費税については、もう所管外でもありますし、答弁の内容もよく存じ上げておりますので返答は求めません、答弁は求めませんけれども、是非、萩生田大臣に申し上げたいのは、是非、大きな視点から空気を変えていくといいましょうか、やっぱり日本経済、明るい方向に持っていくんだという覚悟がやっぱり伝わると思うんですよね。そういう政策を是非進められるように、政府の中でも御提案をいただけたらと思っています。よろしくお願いをいたします。
じゃ、法案の質問に移らせていただきます。
今回新たに設けられる認定高度保安実施事業者制度について伺いたいと思います。
保安人材の不足などがありまして、IT技術を活用し、効率化も図りながら質をやっぱり担保するというのが大変重要だと思います。こういった新たな基準作り、これのためには、やっぱり何よりやっぱり安全が担保されなければと思っています。
この視点で質問させていただきたいんですが、これまでの現認定制度、スーパー事業者認定制度、加えて自主保安高度化事業者制度、これ平成二十九年に導入されて五年が経過しております。今回この新制度実施された後は、これを廃止して新制度に移行するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/118
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119・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) お答えを申し上げます。
スーパー認定事業者制度と自主保安高度化事業者制度は、二〇一七年に開始をいたしまして、現在、スーパー認定事業者制度は十三事業者、それから自主保安高度化事業者制度は三事業所、スーパー認定事業所、事業者制度は十三事業所が認定をしてございます、活用されてございます。
これらの二つの制度は、保安体制について一定の要件を満たすことを求めておりまして、特にスーパー認定事業者制度は、テクノロジーの活用というものを要件として求めてございました。他方、先ほどちょっと数を申し上げましたとおり、スーパー認定事業者制度は十三事業所、それから自主保安高度化事業者制度は三事業所が活用するにとどまっており、事業者の保安レベルの向上のためには更なる対策が必要かというふうに考えてきたところでございます。
このため、スーパー認定事業者制度は、今回の法改正において、スーパー認定事業者制度を含めた現行認定制度を、テクノロジーを活用して自立的に高度な保安を確保できる事業者を認定する制度へと発展的に解消するとともに、スマート保安促進による、スマート保安の促進による保安レベルの向上と人材不足への対処を強力に進めるということといたします。
なお、新制度開始後も、現行の認定事業者が新制度に円滑に移行することができるよう、現行認定制度は新制度の開始後三年間は申請可能として、その後三年半は制度の効力が存続することとしたいと考えてございます。
自主保安高度化事業者制度は、今後の在り方について、新たな認定制度の詳細設計と併せて検討をしていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/119
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120・ながえ孝子
○ながえ孝子君 しばらく二本のラインで走るということですが、このスーパー事業者認定制度と自主保安高度化事業者制度、この認定を受けた事業者の事故発生状況というのはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/120
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121・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) スーパー認定事業者制度の認定を受けた事業者につきましては、軽傷者が発生した事故が二件起きてございますが、死者や重傷者の発生するような重大事故は起きてございません。
また、自主保安高度化事業者制度の認定を受けた事業者につきましては、負傷者の発生する事故、重大事故、いずれも起きてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/121
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122・ながえ孝子
○ながえ孝子君 そして、先ほど岩渕委員からも指摘がありましたように、新たな認定制度の中で、検査の在り方、国と事業者双方が実施している検査を事業者による自主検査のみとすることになります。この検査の質を担保する仕組みがとても重要だと思うんですけれども、これまでも法令違反が少なくないという話もございました。認定事業所のこれまでの法令違反の状況はと実は質問通告は申し上げていたんですけれども、先ほどの答弁の中、あるいは質問の中で、この数については、いろんな間違いがありながら、まあこのぐらいの数だなというのはよく分かりました。ただ、それが信用置けるものなのかどうなのかというのもあやふやになってきたかなと思っています。
やっぱりこの、何でしょう、自主努力によって、何とか自主検査で安全を担保しようということなんですけれども、これまでのいろんな事故ですとかそれの教訓として、やっぱり自主検査、事業者任せの限界というのは明らかになってきたろうなと思うんですね。先ほど来の答弁聞いていて、まさにその心配は大きくなってまいりました。
行政が必要に応じて立入検査などをして、しっかりと事業者による検査が行われているか、結果どうなのかという状況を確認することとなっております。これについては、午前中の答弁の中でも、これ自治体職員がしっかりと行うんだと、その研修の仕組みもしっかりやるんだという説明もあったんですけれども、自治体の職員自体、非常に人手不足といいましょうか、スキルの伝承もきっちりいっているかどうかというのも非常に疑問のあるところでありますが、そういったことを含めて、これで安全は確保できるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/122
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123・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) これまで、認定後の事業者の安全確保につきましては、事故などを端緒に立入検査を実施して、法令違反を確認して事業者を指導、処分するなどのことを通じて事業者の適正、適切性を確保するとともに、二〇一三年以降は、認定期間の中間年における立入検査を開始いたしまして、これによる行政の厳格な監督を通じて保安レベルの維持向上に努めてきたところでございます。
今回の審議でこれまで御指摘があったとおり、事故や法令違反が生じているのも事実でございます。これを重く受け止め、しっかりと対策を行っていく必要があると認識してございます。
具体的には、まず、立入検査体制、仕組みを更に強化する。国が認定基準への適合性を確認、適合性を確認する検査を実施する際には、自治体や民間企業の経験者を活用するとともに、従来の定期的な中間検査だけではなくて、抜き打ちの立入検査も実施することと考えてございます。
また、経済産業省の制度担当部局の体制を拡充するということも重要でございます。制度執行を担当する自治体の職員に対しても、同じように研修の期間、内容の拡充やオンデマンド化を図り、目利き能力を一層推進させていきたいと考えてございます。
さらに、テクノロジーやデジタル技術を活用して法令違反や事故の防止に向けたより実効的な行政監視につなげていくと。いろいろデジタル化することによって、改ざんができない、あるいは検索ができるようになる、必要なときに書庫から何か必要な書類を探すんじゃなくて、すぐに検索、必要なデータをできるような、そういうことを、このスマート保安によってそういう実効的な行政監視につなげていきたいと考えてございます。
あわせて、保安に関する各種手続の電子化を進めているところでございまして、今後、高圧ガス保安法の国の電子申請システムに必要な法令、手続を事業者に対して通知するアラート機能を追加して、法令上求められている手続に漏れがないよう注意喚起を行っていくこととしております。
これらの取組によりまして、認定後も行政による厳格な監視が働く仕組みを構築して、安全確保に万全を期していく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/123
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124・ながえ孝子
○ながえ孝子君 民間の感覚ですと、抜き打ち調査、立入検査なんというのは当たり前だと思っています。定期検査なんというのはもうあることが分かっているんですから、ちょっと悪質に考えれば、そこだけ備えればいいみたいなところがあるので、是非、そういった現場にも緊張感が伝わらないといけませんし、それはまず監督省庁が緊張感を持って事に臨んでいただかないと、人命が懸かっています。数で何件何件って数えますけど、一件でも起こると本当に大きな被害及ぶ、本当に人の命に関わる問題ですので、しっかりと緊張感を持ってやっていただきたいなと思います。
では、変わりまして、明日、首都直下型の地震、あるいは南海トラフ地震起こっても不思議じゃないという状況です。防災・減災の視点はとても重要なんですが、午前中もこの問題に指摘がありました。都市ガス分野における災害時連携計画、作成、届出を義務付けとしておりますが、電力分野ですとか、災害時連携計画、これはしっかりこの制度を参考にしながら今度はガスでやろうということだそうですね。
でも、考えると、電力分野というのは一般送配電事業者十社と限られています。その届出に当たっては広域的運用推進機関が取りまとめを行うというのに比べて、一般ガスの事業者というのは百九十三者ですか、取りまとめを行う機関というのも法の定めはありませんし、これ、どういうふうにまとめていって、実効性のある計画というのがしっかりできるんだろうかと。
午前中もありましたように、もう民間事業者同士ではいろんな日々のコミュニケーション通して、そういった災害があったときのことというのは、自治体を中心にいろんな話合いの場も持たれていると私もお聞きをしておりますし、こういったところもうまく連携を取りながら進めていかねばならないと思うんですが、実効性のある計画をどうやって作っていきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/124
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125・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
今お話をいただきましたように、都市ガス分野における災害時連携計画については、中小企業を含めた百九十三者が共同して計画を作成することになります。こうしたことから、計画の策定に当たりましては、一般社団法人日本ガス協会が地方の幹事企業と連携をして、丁寧に意見集約を行いながら計画に反映していく予定としております。
改正案につきましては、改正案では、国が事業者の連携の仕組みを確認し、必要な場合には計画の実施や変更を求めることができる規定を措置をしておりまして、迅速な復旧作業のための実効性は更に高まると考えております。
なお、具体的な計画におきましては、今ある民間の取組を踏まえた上で、事業者間の連携が更に円滑になるように、現行の応援要綱の内容に加えまして、事業者間の共同訓練、こういった事項についても記載を求めることを想定しておりまして、より一層の連携強化を進める、図っていくということにしております。
経産省といたしましては、日本ガス協会とも相談、連携をしながら、災害時連携計画の必要性に関する事業者への説明等について積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/125
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126・ながえ孝子
○ながえ孝子君 本当に、明日大きな地震が来ても全く不思議ではないという状況ですので、早い取組進むように、またお願いをしたいと思います。
ちょっと時間が迫っているんですけれども、一つ、太陽光パネルの問題もお聞きしたいと思っておりましたが、午前中、結構丁寧な質問と丁寧な答弁があったので、私の方から重ねて要望ということで申し上げたいと思います。
太陽光パネルの問題、地元でも幾つも私の事務所の方にも御指摘ですとかいろんな御意見頂戴しておりまして、急斜面に太陽光パネルが設置されて、大雨が続く際など周辺の方は心配ですよね。その備えなども相談したいからと、設置者に連絡取りたいけれども、役場に聞いても分からないと、設置者が替わっていますというような事例が結構増えています。発電を終了したのに撤去しないで地元の住民の方とトラブルになっているという例も増えています。
再エネを拡大していくについて、この太陽光発電ですとか再生可能エネルギーに対する印象が悪くなるというのが大変心配でございます。ですので、これから太陽光パネルなんというのは、二〇三六年ピークを迎えるんですか、最大で二十八万トンごみとなってしまうということも出ております。ですから、処理の仕組みを、それも是非3Rで、リユース、リデュース、リサイクルですね、これにのっとって本当にごみにしてしまわないような取組を進めていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/126
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127・安達澄
○安達澄君 無所属の安達澄です。どうぞよろしくお願いいたします。今日も質問の機会をありがとうございます。
今回の法案ですけれども、業界からの要望、声を反映しながら作り込んできたものというふうに認識しています。保安人材が不足する中で、ドローンやIoTセンサーなどの最新のテクノロジーを活用して安全をしっかり担保した上で保安業務を効率よくしていく、いわゆる保安スマート化ですけれども、それに伴って、例えば新たに設けようとしています、先ほどからも出ています認定高度保安実施事業者制度についてですけれども、安全確保は大前提ですけれども、各種の手続、そして検査を合理化、柔軟化しようとしています。
そこでなんですけれども、先月、北海道の知床で観光船が沈没するという痛ましい事故が起こりました。業者のずさんな安全管理が問題になっていますけれども、一方で国も、所管は国土交通省ですけれども、監査や検査、事故の三日前には国交省が所管します日本小型船舶検査機構による検査も行っていました。それにもかかわらず、結果的に見逃してしまいました。抜き打ち検査なども実施していたようですけれども、にもかかわらずこのような事故が起きたことは事実であり、このような業者が人の命を預かる業務を行っていたということ、行わせていたということは国も深く反省して改善していかなくてはいけないと思います。
監査や検査そのものが、報告書などの書類は提出されていたとしても、やはり形式的で型にはまった監査、検査、そういった面もあって、必ずしも実効性がなかったんではないかというふうにも推察します。安心、安全のために日々実施される保安業務も、ずさんなやり方や管理の下では、結果として人命を奪う重大な事故や災害につながりかねません。
そこでお聞きしますけれども、今回の法案ですけれども、認定高度保安実施事業者制度で保安業務に絡む各種の手続や検査、合理化、柔軟化しようとしている中で、業界とか省庁は異なりますけれども、今回の知床での事故を教訓として、特に実効性の観点から今後の保安行政にどう生かすべきか、経産省はどのようにお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/127
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128・太田雄彦
○政府参考人(太田雄彦君) まず、今回の知床遊覧船事故でお亡くなりになられた方、御遺族の方々にお悔やみを申し上げたいと思います。
今回の知床遊覧船事故につきましては、現在、国交省の方で検証が進められていると承知してございますけれども、産業保安分野における安全確保のためには、行政による検査等の実効性をやっぱり適切に確保していくと、今まで御審議いただいておりますけれども、そういうこととともに、事業者に、事業者におけるコンプライアンスの向上を図るということが重要だと認識してございます。
第一に、検査の実効性の確保につきましては、今回新たに導入する認定制度におきまして、事業者の認定後に機動的に立入検査を行い、認定要件への適合状況を改めて確認した結果、仮に法令違反等を確認した場合には速やかに認定を取り消すことといたしてございます。また、立入検査に関する体制の強化のため、例えば高圧ガス分野では、自治体や企業の経験者を活用して、活用するとともに、経済産業省、それから自治体の職員の研修を通じまして目利き能力を一層向上させることを進めてまいります。
第二に、コンプライアンスの向上に向けてでございますけれども、新認定制度における事業者への認定審査時に、コンプライアンスに対する意識が組織全体に浸透して安全文化が醸成されていくことをしっかりと確認していくということをしたいと考えてございます。
具体的には、例えば金融業界のように高いコンプライアンスを求められるような他の分野もですね、他の分野の取組も参考にしながら、経営トップ自らが保安に関する理念や基本方針を策定するなど安全確保に向けて明確に関与すること、トップのコミットメント、それから、法令遵守を実効的に行うためにちゃんと社内規定が定められているかということ、それから、社内に検査組織を設けた上で、その検査組織を監査する、その検査組織を監査する組織を併せて、社内規制庁みたいなのを併せて設置するなど適切な社内監査体制が整備されていることを国が直接審査してまいります。
今後、運用を含めた認定事業の、認定制度の詳細を設計していくことになりますけれども、先生御指摘の点は、まさに、事故、我々保安に携わる者は、自分たちの失敗から、もう失敗が起きたときは駄目ですから、他者にいかに学ぶかということが大事だという御指摘かと思います。他分野での事故等からの教訓を参考にしながら、安全確保に、大前提に検討を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/128
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129・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
先ほども申したとおり、抜き打ち検査をしてもやはりこういった事故も起こります。
今、太田さんもおっしゃいましたけど、よく製造の現場とかでも、ヒヤリ・ハット事件と言いますけど、一つの小さな事故の、たとえ小さな事故であっても同じようなケースがやっぱりその裏には三十ぐらい隠されていたりとかいうこともあります。いろんなそういう事例も横で共有しながら、緊張感を持った、是非そういった保安行政努めていただきたいというふうに思います。
次に移ります。
私自身が工場とかでも勤務していた経験から、設備を日々保安する現場では、形式知だけではなくて、何かおかしいぞとか、何かちょっと変なにおいがするぞという、そういう暗黙知ですね、暗黙知とか、あとやっぱり人間の五感、こういう部分も非常に大事かと思っています。先ほど大臣はたくみというふうにおっしゃっていましたけど、そういう部分というのはこれ間違いなくあります。
今、技術が目覚ましく進化していますので、かなりの部分でその暗黙知を形式知にしたり見える化にできていることだとは思います。ますますこれからそういうのが可能になってくるんだと思うんですけれども、ゆえに、ちょっと私の経験は一部古い部分もあるのかもしれません、とはいえ、人間の五感や勘も捨てたものではありません。
時代とともにスマート化を進めていくのは当然ですけれども、生身の人間ならではの、アナログ的ではありますけど、この優れた感性の部分が薄れていくことのデメリットとかマイナス面、この辺はどうお考えになっていますか。で、どう対処していくのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/129
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130・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答え申し上げます。
スマート保安を導入する場合でも、安全確保のためには、テクノロジーに現場の技術者の知見、経験を適切に組み合わせていくことが重要であると考えております。どれだけテクノロジーが進展をいたしましても、現場の技術者の重要性が変わることはないということを認識しております。
そうした観点から、保安人材が枯渇しつつある現状も踏まえまして、経済産業省といたしましては、保安人材の育成確保に取り組んでいるところでございます。具体的には、電力分野において、業界団体等に働きかけを行い、若者向けのPR、プロモーションを行うとともに、高圧ガス分野でもAIやIoT技術等に関する人材の育成カリキュラムを作成しているところでございます。
加えて、その保安レベルを維持向上させていくためには、暗黙知を形式知化し、現場で広く教育していくと、共有していくということも重要であると考えております。熟練層の大量退職ですとか若年層の雇用不足等によって保安人材が枯渇しつつある状況に対応するため、民間企業において、熟練運転員の意思決定方法を標準化することで一般の運転員の的確な判断と迅速な対処に貢献するシステムの開発、導入を行っている事例もあるというふうに承知しております。
経済産業省といたしましては、スマート保安の促進を通じてこうした取組を後押しするとともに、保安人材の育成確保を通じた技能伝承も進めることにより現場の技術者が蓄積した知見を引き続き活用し、保安レベルの維持向上を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/130
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131・安達澄
○安達澄君 ありがとうございます。
やはり、人間の持つそういう知見というか五感というのは非常にやっぱり重要でして、ちょっと今話を聞きながら思い出したんですけど、私がやっぱり製鉄所勤務のときに、もう、鉄も今もう全部コンピューター化、機械化されていて、人間がスコップでなんて、そういう世界ではないんですよね。もう全部コンピューター。画面を見て、数値を見て、要はボタン一つでいろいろ鉄を造っているわけですけど、映っている画面の数値だけを、デジタルですけど、こう見ると、もうちゃんと数字は全部正しいというか、正常の範囲内なんですよね。ところが、やっぱりその数字を見て、やっぱり現場のあるベテランの方ですけど、どうも、その製鉄所の高炉ですね、高炉の設備を見て、数値を見ていて、どうも腹の具合が悪いと、腹の具合がおかしいと言うんですよね。数値は正しいんですよ。結果どうなったかというと、やっぱりその数日後、その高炉はトラブルを起こして生産を一旦ちょっと、まあ止めるわけではないんですけど、生産調整をせざるを得なかったという。
やはり、やっぱりそういうコンピューターを超えたやはり何かそういう人間の勘というか技術というのはあると思いますので、そこはそこでちゃんと大事にしながら、で、同時にスマート化を進めていくという、そこも大事にしていただきたいなというふうに思います。済みません、ちょっと余談でしたけれども。
じゃ、済みません、最後の質問にさせていただきます。今いろいろ人材のこともお答えいただきましたので、ありがとうございます。
先ほどもちょっといろいろ話が出ましたけれども、やはり資金とか人材、そういう体力のある大企業はスマート化が進められると思います。ただ、やはり余力のない中小企業は取り残されてしまったりするんじゃないかと思います。
私も、ちょっとこの法案に当たっていろんな業者さんから話を聞いたりすると、やっぱりもう大手さんはもう既にドローンを使っていろんな検査、メンテナンスをしています。そのノウハウをどんどんためて、今それを外に売る、まあ外販とかももうしているわけですよね。大手はそうやってどんどんできるんですけど、一方、やっぱり中小との格差というか、差が開いてしまいかねません。
そういう二極化してしまう懸念、もしそうであるならば、それに対してどういう対応を取られるのか、そこを最後お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/131
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132・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) 近年、今お話をいただきましたように、高圧ガス、都市ガス、電力等の産業保安分野において、IoT、ビッグデータ、AI等のテクノロジーを活用しまして保安レベルを持続的に向上させる取組、スマート保安が進みつつあります。
そうした中で、電力分野では、大手の事業者は設備点検に関するスマート保安技術を外販するような事例も出てきておりまして、こうした新たなビジネスが生まれている状況にございます。一方で、一般的に中小事業者は大手事業者よりスマート保安技術の導入や活用が進んでいない傾向にあるということもしっかり認識をしております。
産業保安分野におきましては、大規模設備を有する大手企業だけではなく、必ずしも規模は大きくないものの国民生活にとって重要なインフラに関わる設備の保安を担う事業者など、様々な事業者が産業保安に携わっているというふうに承知しております。こうしたことから、幅広い事業者がスマート保安を導入し、保安人材の不足に対処しつつ持続的に保安レベルを向上させていくことが我が国全体の産業保安の底上げに資すると考えております。
こうした認識の下、経済産業省では、資金面での支援として、令和三年度補正予算において、新たなテクノロジーを導入してスマート保安に取り組む中小企業の技術実証を支援するとともに、保安分野におけるデジタル技術の活用を含め、デジタル投資を後押しするDX投資促進税制を措置しているところでございます。
また、スマート保安の推進に向けた人材や知見、ノウハウ面での支援として、事業者が円滑にプラント等にAIを導入できるよう、その具体的な活用方法を示したガイドラインなどを作成し周知を図るとともに、中堅・中小事業者に対しては、プラントにおけるAI、IoT等の技術導入を見据えた実践的な人材育成支援を実施しているところでございます。
経済産業省といたしましては、引き続き、こうしたきめ細かな支援や取組を通じまして、中堅・中小事業者も含めた業界全体がスマート保安を活用した保安力の持続的向上に取り組んでいけるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/132
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133・安達澄
○安達澄君 ありがとうございました。
少し早いですけれども、終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/133
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134・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 一旦速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/134
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135・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) 速記を起こしてください。
暫時休憩いたします。
午後二時二十一分休憩
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午後二時二十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/135
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136・石橋通宏
○委員長(石橋通宏君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814080X01120220519/136
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