1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十二日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
小野田紀美君 比嘉奈津美君
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出席者は左のとおり。
委員長 山田 宏君
理 事
石田 昌宏君
小川 克巳君
川田 龍平君
山本 香苗君
田村 まみ君
委 員
衛藤 晟一君
島村 大君
そのだ修光君
羽生田 俊君
比嘉奈津美君
藤井 基之君
古川 俊治君
本田 顕子君
三原じゅん子君
石垣のりこ君
打越さく良君
福島みずほ君
森屋 隆君
秋野 公造君
竹谷とし子君
足立 信也君
石井 苗子君
梅村 聡君
倉林 明子君
国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
厚生労働大臣 後藤 茂之君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 柳樂 晃洋君
内閣府健康・医
療戦略推進事務
局次長 長野 裕子君
内閣府子ども・
子育て本部審議
官 相川 哲也君
厚生労働省医政
局長 伊原 和人君
厚生労働省健康
局長 佐原 康之君
厚生労働省医薬
・生活衛生局長 鎌田 光明君
厚生労働省社会
・援護局長 山本 麻里君
厚生労働省保険
局長 浜谷 浩樹君
厚生労働省政策
統括官 鈴木英二郎君
農林水産省大臣
官房審議官 熊谷 法夫君
経済産業省大臣
官房審議官 澤井 俊君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性
の確保等に関する法律等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/0
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001・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、小野田紀美君が委員を辞任され、その補欠として比嘉奈津美君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/1
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002・山田宏
○委員長(山田宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省医薬・生活衛生局長鎌田光明君外十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/2
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003・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/3
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004・山田宏
○委員長(山田宏君) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/4
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005・森屋隆
○森屋隆君 おはようございます。立憲民主・社民の森屋隆でございます。よろしくお願いをいたします。
まず、法案の審議に入る前に、四月の二十八日、本委員会で我が党の川田理事も取り上げられました欧米を中心に子供さんが重い急性肝炎を発病している事案についてお伺いしたいと思います。
この肝炎は、五月八日までの報道では、昨年十月以降、日本においても可能性のあるケースが計七名確認されていると、こういうふうに承知をしています。この小児肝炎について、諸外国及び国内の発生状況、さらに、死亡及び重症化の状況、患者の年齢層、原因等について、本日までに判明していることについて御説明いただきたいと思いますし、あわせて、疾患に関する情報を分かりやすく私は随時発信する必要がこれあると思っております。厚生労働省の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/5
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006・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
子供の原因不明の急性肝炎につきましては、欧州疾病予防管理センターが最も新しい国別の報告をまとめております。それによりますと、本年五月五日時点で、二十五か国で少なくとも三百例の報告があったとされております。
本年五月三日時点における英国からの報告では、年齢の中央値は三歳、性別は五〇%が女性で、検査が行われた百二十六例中九十一例でアデノウイルスが検出されましたけれども、現時点では、アデノウイルスが原因で肝炎を発症したかどうかも含め、原因については不明であるというふうにされております。
我が国におきましても、四月二十日に厚生労働省から自治体や医療機関に対して注意喚起を行うとともに、WHOの定義に基づき、昨年十月一日以降の子供の原因不明の急性肝炎の入院例について報告を求めております。その上で、報告のあった事例を毎週取りまとめて公表するとともに、国立感染症研究所による分析結果を去る五月十日に公開をしております。
国立感染症研究所の分析結果によりますと、昨年十月一日から本年五月五日までの期間における日本国内の入院症例七例につきましては、三例は男性、四例は女性、年齢の中央値は八歳、死亡例や肝移植に至った事例はなく、五例が既に退院、アデノウイルスのPCR検査の結果が陽性であった事例は一例、新型コロナウイルス、コロナのPCR検査の結果が陽性であった事例は一例でありました。また、現時点では、子供の重症肝炎が増えている兆候はないと分析をされております。
また、情報発信の件でございますが、国立感染症研究所のホームページにおきましては一般の方向けのQアンドAも作成して公開したところでございます。
引き続き、諸外国の感染状況を注視するとともに、情報収集と分析を行い、個人情報の保護にも留意しつつ、必要な情報の発信に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/6
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007・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。オミクロン株の関係もあるんじゃないかということもちょっと言われているかと思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
それでは、法案に関する質問に入ります。
昨年十一月から、厚生労働省の医薬品医療機器制度部会は、僅か三回の開催によってこの緊急時の薬事承認制度をつくるという、こういった取りまとめをされました。
しかし、その部会においても複数の委員から、安全性の確保、この担保をどのように図っていくのかといった、そういった懸念も示されていることも承知しております。
例えば、十日の厚生労働委員会に参考人として出席された隈本邦彦参考人は、安全性が確認されるというならば、なぜ現状、第三相の試験、この安全のチェックをしているのか、第三相で見付けられる副作用というものも当然あるはずであると。そして、第三相なしで認めるということであれば、その分市販後のチェックを厳しくしないとこのバランスが取れないと、こういうふうに発言をされました。また、花井十伍参考人からも、安全対策については原則として全数登録をすべきとの発言がありました。
さらに、これまでの委員会の質疑でも多くの委員から懸念が示されているこの安全性について、改めて、緊急時であってもこの安全性はしっかりと担保がされるということについて確認するとともに、安全性の担保をどのように図っていくのか、これ具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/7
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008・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 医薬品の承認審査におきましては、その安全性につきまして、非臨床試験や臨床試験を通じて確認された毒性、副作用等が効能、効果に比して著しく有害でないかどうかを評価し、そして確認するというものでございます。
したがいまして、緊急制度におきましても、このようなベネフィットとリスクのバランスを考慮しながら許容可能な安全性を担保するという意味におきまして、通常の薬事承認と同等の水準での安全性の確認というのを要件にしているところでございます。
具体的には、非臨床試験あるいは後期第二相試験までで確認されている副作用リスクにつきましては、推定される有効性を踏まえつつ、PMDAにおきまして審査し、そのことを踏まえて薬事・食品衛生審議会に御審議いただくというものでございます。
また、全数調査という御指摘があったという御指摘ございましたが、我々としても、その薬品の特性に応じて、医薬品リスク管理計画、いわゆるRMPでございますけれども、このRMPを策定するなどを通じて市販後の安全対策を充実し、安全性確保に努めることとしておりまして、具体的には医療機関、製薬企業からの市販後の情報収集などを引き続き行っていくということを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/8
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009・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
次に、先日の委員会の答弁なんですけれども、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病とは新型インフルエンザ等の疾病を想定していると、こういった答弁がありました。
感染症法にある一類、二類等のこの類型など、適用に際しての具体的な疾病の基準というのはあるんでしょうか。また、今後、仮に新型コロナウイルス感染症が五類感染症に移行したとしてもこの緊急承認制度が適用される疾病に当てはまるのか、季節性インフルエンザ等の他の五類感染症の流行時であってもそういった疾病に当てはまり得るのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/9
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010・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 緊急承認制度の適用対象となる緊急に使用されることが必要な医薬品は政令で定めることとしておりまして、政府全体でそれを判断し、対応するということになってございます。
その政令の指定に当たっては、御指摘のあった感染症法上の指定と直接連動する制度ではございませんが、一方で、緊急事態の宣言の発出ですとか、今お話のあった感染症の流行状況といった個別具体の状況を総合的に判断して、政府全体として判断していくというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/10
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011・森屋隆
○森屋隆君 緊急時の定義について、次は伺いたいと思います。
緊急時の定義については、既に多くの先生方から質問がされていますけれども、そもそも疾病の蔓延拡大防止するための緊急に使用されることが必要なときですよね。このときとはということなんですけれども、次のこの感染拡大を防止する観点から考えると、昨年の十月の頃というのは、新型コロナウイルス感染症の感染者数がかなりこれ減少したと私は承知しているんですけれども、このようなときも含まれるという理解でよろしいんでしょうか。そして、そうであるのならば、この緊急時というのは当分続くんだろうなと私は思っています。その終わりはどのように判断されるのかについてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/11
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012・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、一般論について、先ほどの答弁と繰り返しになって恐縮でございますが、政府全体として、必要性ですとか蔓延状況などを鑑みて、その緊急時が終わった否かとか、そういったことを個別具体の状況の上で判断していくということとなります。
それで、御指摘のあった昨年十月の件でございますけど、確かに一旦その感染が下降傾向になったということは言われるかもしれませんが、その時期であっても、感染者の再拡大や新たな変異株の出現等に注意を要する状況と言われてございまして、また、感染拡大に対する社会の耐性を高めていくといった観点もございましたので、引き続き、そうした観点からは引き続き経口治療薬など新たな治療薬の選択肢が必要となるという、されていた状況であったと理解しておりまして、医薬品を緊急に使用する必要性があったものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/12
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013・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。その都度判断していくということですね。ありがとうございます。
次に、本法案では、薬機法の第八十三条において、これもこの間質問あったかと思いますけれども、動物のために使用されることが目的とされる医薬品等について、人のための医薬品等に準じた改正が行われると、こういうふうに聞いています。条文では、当該医薬品が有する対象動物について、残留性の程度から見て、その使用に係る対象動物の肉、乳その他食用に供される生産物で人の健康を損なうものが生産されるおそれがあることというふうになっていると思います。
人間が食する可能性がある動物以外、例えばペット等に対する医薬品もこの対象になるんでしょうか。また、対象となる疾病は、動物から人間には感染しない病気、動物だけが感染する病気もこの対象になるのか、併せてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/13
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014・熊谷法夫
○政府参考人(熊谷法夫君) お答えいたします。
動物用医薬品については、薬機法第八十三条第一項の規定により、人用の医薬品に関する規定を読み替えて適用されており、今回の改正案においても緊急承認制度の対象としております。
具体的には、ペット用か家畜用か、また対象とする疾病が動物から人間に感染するおそれがあるかどうかを問わず、動物の生産又は健康の維持に重大な影響を与えるおそれのある疾病の蔓延、その他の健康被害の拡大時には動物用医薬品も緊急承認制度の適用が可能となります。
法案の成立をいただきましたら、動物分野においても緊急承認制度を適切に運用してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/14
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015・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
次の質問なんですけれども、本当に専門家の先生が多い中で素朴な質問で恐縮なんですけれども、臨床試験と治験について伺いたいと思います。
厚労省のホームページのQアンドAでは、新型コロナワクチンは医療品開発に必要な臨床試験、括弧、治験のプロセスを経て世界中で承認されていますと、こういうふうに書いてあるんですが、ここでは臨床試験の後ろに括弧書きで治験というふうに書いてあります。両者が同一のものであるかのように記載されているんですけれども、しかし、国立がん研究センターのホームページなどを見ると、臨床試験は新しい治療法の安全性や有効性を確認するための試験のことを指しまして、臨床試験のうち新しい医薬品や医療機器の製造販売の承認を国から得るために行う試験のことを特に治験というと。まあ厳密には違う概念のように思われるんですけれども。
そこで、臨床試験とこの治験の違い、その関係性について、それぞれ目的等に触れながら説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/15
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016・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、臨床試験でございますが、臨床試験につきましては、法令上の定義はございませんが、一般に、医薬品や医療機器、医療技術につきまして、人での有効性や安全性を調べるため、人を対象として実施される試験のことを臨床試験というものと承知しております。
他方、治験でございますが、治験は薬機法上の言葉でございますけど、これは、今申し上げた臨床試験のうち、承認申請に添付すべき資料を目的とするために行われる試験を治験としているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/16
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017・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
本当に素朴な質問ですけど、なかなか難しい、同じようなことにも何か感じるようなところもありますし、今先生方からも少し笑いがあったんですけど、まあそういうことなのかなと、そういうふうに思います。
次に、治験のことについて少しお伺いしたいと思います。例えば、がん患者の方や難病患者の方に対する治験について伺いたいと思います。
手術などによる根治が困難な患者の方を、治療法が確立されていない難病患者の方に対する新薬の治験、これまでの薬と比べて当然良い効能を持っていることが期待されて、その薬の承認前から治療を受けられるというのは希望の光と、こうなるんだと、こういうふうに思うんですが、当然、一方で、まだ有効性や安全性が確立されていない薬を患者さんに対して用いるため、予期せぬ悪影響が生じる可能性も当然これはあるんだと思います。
そのため、被験者の人権と安全に十分配慮して実施しなければならないと思っているんですけれども、そこで伺いたいのは、例えば、がん患者の方へ治験の実施についてそれが事実上強制されているような場合はないのかということなんです。医師から治療のためにはこれしかないよと、あるいはこちらの新薬の方が効くはずだと、こういったように言われますと、患者さんというのは断ることが大変困難だと私も思いますし、当然、このような事態を防ぐために、その被験者には事前に十分な説明等が行われるということも承知をしています。
具体的にはどのような説明等が行われるのか、また、治験に当たってのその説明に関してはどのようなルールが定められているのでしょうか。これ確認でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/17
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018・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 治験につきましては、先ほど申し上げましたように、薬事の承認申請に添付する資料の収集を目的とする試験を位置付けておりますので、薬機法、薬事の体系におきまして御指摘のあったような人権保護などのルールも定めておりまして、具体的には、薬機法の第八十条の二に基づきまして、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令、いわゆるGCP省令と申しますが、それを遵守するということになっておりまして、そこにおきましては、治験の科学的な質、成績の信頼性の確保、承認申請に必要でございますが、それを定めておりますが、それに加えまして、被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮というものを明記しておりまして、治験への参加が強制されるような事態があってはならないという考え方を示しているところでございます。
具体的には、当該GCP省令におきまして、患者等、患者への説明などにつきましては、治験の責任者の医師が被験者となるべき者に治験に参加させるときは、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について、その当該者、つまり被験者、患者の理解を得るように文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならないとしておりますし、被験者への説明を行わなければならない事項としては、治験の参加をいつでもやめることができること、あるいは治験に参加しないこと、治験をやめることにより不利益な取扱いを受けないことを含めなければならないとしております。
したがいまして、治験への参加は被験者の自由意思による同意を得る必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/18
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019・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
当然、丁寧な説明と文書を交わす、さらには途中でやめてもいいということかと思います。本当、確認いたしました。ありがとうございます。
次の質問に移りたいと思います。
被験者には、治療によって、当然、先ほどもありました薬の副作用等により健康被害が生じることも想定されます。そのため、今説明ありましたGCP省令で、治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る治験者に生じた健康被害の補償のための保険契約の締結その他必要な措置が講じられておかなければならないと、こういうふうにあると思いますけれども、これについて二点伺いたいと思います。
まず、副作用の、これも前回の委員会でもいろいろ討論になったのかと思いますけれども、因果関係の立証などについて、補償を受けるためのこの立証が被験者側に求められるとすれば、これは大変な負担でありますし、なかなか難しいと思います。この点について、被験者に対しての補償が求められているのでしょうか。
また、この健康被害の補償の水準についてなんですけれども、例えば、健康な人を対象とする治験と、先ほど言った患者さんを対象とする治験では一般的に補償額等について差が設けられているのでしょうか。厚生労働省として定められている基準やガイドラインがもしあるんであれば説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/19
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020・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘、あっ、御紹介いただきましたように、先ほど申し上げましたGCP省令におきましては、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害の補償のために保険契約の締結その他の必要な措置を講じておかねばならないとしております。
それを踏まえまして、私どもの方でこのGCP省令の運用に関するガイダンスというものを通知において定めておいて、それを業界等に周知しておりますが、その中におきまして、因果関係の証明などについて被験者に負担を課すことがないようにということを、することと明記しているところでございます。
また一方、その補償の水準でございますけれども、補償については、その治験の内容ですとか合意内容について様々異なるので、我々そのGCP省令の体系では定めておりませんが、一方、その製薬企業、治験を実施する製薬企業から構成される医薬品企業法務研究会という法務担当者から構成される研究会がございますが、そこでガイドラインというものを定めております。
そこにおきましては、因果関係の判断は治験依頼者の責任において行うことと再度明記するとともに、補償金の水準につきましては、健康な人を対象とした治験では患者を対象とした治験に比べて補償金の目安は高めに設定しているというところでございますので、このことを踏まえて、各企業は治験実施に当たって実際に参考とされているものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/20
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021・森屋隆
○森屋隆君 丁寧にありがとうございます。
次の質問は大臣に伺いたいと思います。
衆議院では、本法案の審査と並行して立憲民主党が提出した議員立法三案も審査されました。この中には特定医療品特措法案という法案も入っているんですが、この疾病の治療に関して優れた使用価値を有する医薬品については、特に緊急時の医療上の必要を認められた場合、学会等の意見を参考にしながら、当該医薬品を優先かつ迅速に承認する制度を創設すると、国が医療品等の研究開発の推進から生産体制の整備までをサポートしていくと、治療薬を迅速に確保していくと、こういった趣旨の法案だったと思いますけれども、この立憲民主党提出の三案は残念ながらこれ否決されましたけれども、製薬企業に任せるだけではなくて、国が主体的にこの治療薬を確保する姿勢を示していくということは私は非常に重要なのかなと、こういうふうに感じています。
この点について、後藤厚生労働大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/21
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022・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 医薬品の製造販売につきましては、承認申請に必要な治験の実施とデータの解析、承認後の副作用情報の収集、解析、医療現場への情報提供などの安全対策を含めまして、製薬企業が責任を持って対応する必要があることから、製薬企業からの申請に基づいて承認をしております。
今般の新型コロナへの対応においては、これまでも国やPMDAにおきまして企業からの各種相談に最優先で対応しておりまして、緊急承認制度においても同様に企業からの相談に積極的に対応してまいりたいというふうに考えておりまして、その辺りの意思疎通を図る必要は十分に認識をいたしております。
また、新型コロナ対応として行った治験等の手続の簡素化や企業相談の実施のほか、緊急承認制度によりまして申請に必要な臨床試験データが軽減されることで、申請時の企業負担が軽減されて、日本での承認申請が促進されるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/22
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023・森屋隆
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
次に、三月二十二日、先進的研究開発戦略センター、通称SCARDAが我が国のワクチン開発の司令塔として設置がされました。そこで、SCARDAに期待されることについて二点伺いたいと思います。
まず、このSCARDAの設置によって新型コロナ対策に関して何か変化があるのか、そして我が国の新型コロナウイルスワクチン開発にどのような効果があるのかをお示しいただきたいと思いますし、また、コロナ禍の収束後においてもこのSCARDAが我が国のワクチン開発等で果たす役割について、これまでの体制との違いも含めて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/23
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024・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員から御指摘のとおり、AMEDにSCARDAが、昨年六月にワクチン開発・生産体制強化戦略というのが決まりましたが、それに基づいて設立をされました。感染症有事の際にワクチンを国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは、国民の命を守るための安全保障上も極めて重要なことでございますし、これは、平時からワクチン開発を主導するSCARDAがワクチン開発体制の強化に果たす役割、これが大きいということだと考えております。
厚生労働省としては、SCARDAで開発支援したワクチンが迅速に実用化できるように、例えば、アジア地域の臨床研究・治験ネットワークの充実や薬事承認プロセスの迅速化等、必要な環境整備や支援を行ってまいりたいと考えております。また、厚生労働省の医務技監や国立感染症研究所の所長はSCARDAの開発戦略に関する会議の構成員でもありまして、政府一体となってワクチン開発を平時よりしっかりと推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/24
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025・森屋隆
○森屋隆君 大臣、ありがとうございました。
次の質問も、そういった今大臣が答弁いただいたことも含めて聞こうと思ったんですけれども、大臣、丁寧にお答えいただいたと思っていますんで、次の質問は一つ飛ばしたいと思います。
それでは、現在、このSCARDAでは二つの事業について公募を行っていると承知をしているんですけれども、また、もう既にこの公募に対しても説明会も終わっている、これについても承知をしています。特に、このワクチン・新規モダリティ研究開発事業では一件の開発費が最大で三十億円と聞いています。次のパンデミックを見据えたコロナウイルス感染症の対象に公募を行っていますが、なかなかこの額も大きなものであり、この事業の採択には様々な角度から検討するべきだと、こう当然思っています。真に有益なものになるものを採択していただきたいと思います。
そこで、採択についてどのような基準で行われているのか、これについて、答えられる範囲で構いませんのでお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/25
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026・長野裕子
○政府参考人(長野裕子君) お答えいたします。
委員の御指摘のSCARDAで実施しておりますワクチン・新規モダリティ研究開発事業の公募につきましては、重点感染症などを対象とするワクチン開発とともに、ワクチン開発に資する新規のモダリティーの研究開発について広く研究提案を募っているところでございます。
研究テーマの審査基準としましては、公募要領上において、科学的、技術的な意義及び優位性などに加えて、感染症有事における迅速な開発、生産が期待できること、また感染症に対する有効性及び安全性などのエビデンスが十分であるかなどを示しておって、こうした基準に基づいて採択の適否を専門家の意見なども踏まえながら判断するということとしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/26
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027・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
四月の二十七日に開催された政府の規制改革推進会議において、この製品の市販解禁などが審査がなかなか進まないと、このことについて規制改革推進会議が調査の必要性を指摘しているんですけれども、これに対して、大臣、受け止め、もしありましたらお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/27
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028・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員御指摘の本年四月二十七日の規制改革会議におきまして、既に薬事承認申請されて審査が長期化しているスイッチOTCの品目について、承認審査の経緯の調査を実施する必要があるとの意見が出ましたことは承知をいたしております。
既に申請された品目で審査が長期化しているものの多くは、PMDAから申請者に対しスイッチOTC化における課題について説明を求めておりますが、申請者から回答が示されず、その結果、審査が長期化しているものでございます。
このため、スイッチOTC化の更なる推進に資するように、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議におきまして、令和三年二月にスイッチOTC化に際しての課題、論点等を整理した中間とりまとめを行ったところでございます。これらの課題、論点等は、既に申請され審査が長期化している品目についてスイッチOTC化に際してPMDAが指摘した課題、論点等とおおむね一致をしているところでございます。
今後とも、スイッチOTCの承認審査においては、こうした中間とりまとめで整理された課題、論点等を踏まえて、OTCとしての有効性、安全性等を適切に確認してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/28
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029・森屋隆
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
次に、電子処方箋に関しまして、最後の質問になりますけれども、三点ほどお聞かせいただきたいと思います。
まず、電子処方箋の導入意義の一つとして、重複投薬や併用禁忌が回避できると、こういうふうに御説明がされていると思いますけれども、そこで現状、重複投薬や残薬等はどの程度あって、電子処方箋の導入によってそれがどれぐらい削減できるのか、また、その効果によって医療費がどれだけ削減できるのかといった試算あるいは数値目標というのはあるのか、これを示していただきたいと思いますし、また、他の医療品の処方状況等が確認できることから、当然、医師は処方内容の調整だったりとか、薬剤師さんは疑義照会等によって重複投薬をチェックしていく役割がこれまで以上に求められると思いますけれども、このことからも、そのような指導等を行った場合には、診療報酬上しっかりと評価がなされるという理解でよろしいのか、併せて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/29
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030・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘のとおり、電子処方箋の導入によりまして、過去の処方、調剤情報の閲覧、そして重複投薬等のチェックの結果の表示が可能となりますので、重複投薬等の抑制ができるようになるというところでございまして、これはまずは患者さんにとっての効果的な薬物治療、良い医療を受けるということを目的とするところでございます。
御指摘の、現時点、どの程度重複投薬などがなされているか把握しているかでございますが、まず、具体的に把握しておりません。申し訳ございませんが、電子処方箋により又は電子処方箋の導入により、どの程度重複投薬が抑制され、どの程度医療費が削減されるかということも併せてお示しすることができないというところでございます。ただ、重複投薬等が抑制されれば、当然結果として医療費が抑制されるという考えは持っております。
なお、御指摘の電子処方箋に係る診療報酬上の評価というものでございますが、現時点では存在しませんが、今後、必要に応じ中医協において議論されるものと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/30
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031・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
そういった、どのぐらい残っているのか、あるいは、そういったことは把握していないけれども、これはうまくいけば、結果として医療費の削減になるということですかね。ありがとうございます。そして、診療報酬についてもこれからしっかり議論をしていくということでよろしいでしょうかね。ありがとうございます。
次に、電子処方箋について、今回の法改正で初めて運用が解禁されるわけでは当然ありませんし、また、その対応も義務ではないということで、電子処方箋の対応、できないというか、しないというかですね、薬局等が一定程度私は残る、これは当然そういうふうに考えているんですけれども、その中で、本当に、当面の間、処方箋を印字した紙を渡すというこの運用を変更して完全に電子化することというのは、これ可能なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/31
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032・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、電子処方箋でございますが、先ほど御指摘いただいたような重複投薬なども含めまして、さらにはより良い薬物治療ができるという意味におきまして、患者さん、そして医療機関、薬局にメリットがあり、当然、できるだけ多くの医療機関や薬局に導入いただくということが重要という、こういうふうに考えております。
そのために、厚生労働省といたしましては、令和三年度の補正予算において九・三億円を計上いたしまして、こうしたメリットなどについての周知、広報をいたしますし、また、今年の秋頃からモデル事業というものを実施して、更に具体的にそのメリットなどを理解していただく、あるいは導入に際しての課題を解決していくということを考えてございます。
さらに、導入時の負担の軽減という観点から、医療情報化支援基金三百八十三億円を活用いたしまして、医療機関などへのシステム導入の支援ということで、できるだけ多くの医療機関などに導入していただくための推進策を強力に進めていくということを考えているところでございます。
あわせて、医療機関や薬局の導入を進める観点から、重複投薬等のチェック時間を可能な限り短縮する、電子カルテ未導入の医療機関であってもレセプトコンピューターで電子処方箋の利用を可能とする、薬局におきましては電子処方箋の内容を自動的に取り込んでデータの入力の手間を省くといった、医療現場に寄り添ったシステム設計をすることによって、より広げるという環境整備をしているところでございます。
いずれにいたしましても、今後、その電子処方箋のメリットというものを十分に理解していただくことによってこの普及を進めていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/32
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033・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
最後の質問になります。
電子処方箋に関して、新設される地域医療介護総合確保促進法第十二条の二第二項にあるこの支払基金等による処方箋情報の電磁的提供に係る規定では、処方箋に記録された情報を閲覧できるのは当該患者のみとなっていると思います。しかし、これまでの処方箋に関する規定では、現にその看護に当たっている人も処方箋の交付を受けられたと承知をしているんですけれども、つまり、これまででは、その患者さんが看護に当たっている者もこの処方箋の内容を閲覧し把握することができたのではないかなと、こういうふうに思います。
新しい規定では、この閲覧ができなくなってしまったことによって看護に支障が生じるおそれがあるのではないかと、このように懸念をしていますけれども、この点について厚労省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/33
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034・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 今ここで御審議いただいております薬機法の改正案におきましては、御指摘のとおり、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の第十二条の二におきまして、支払基金等に対しまして、患者が電磁的により当該処方箋に記載された情報を閲覧できるようにすることを義務付けております。
そうしますと、この規定に基づきまして、患者は、患者さんはマイナポータルを通じて処方内容を閲覧することができますが、まさにその内容を親権者や介護者に、条文上明記することをせずともに、スマートフォン等のデバイスを閲覧させることできますし、また、患者本人がマイナンバーカードの代理人設定を行い、代理人がマイナポータルで患者の処方内容を確認することも可能でありまして、支障は生じないというふうに考えているところでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/34
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035・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
なかなか複雑なのかなと思いますけれども、介護する人もその情報を知ることができるということで確認をいたしました。
私の質問は以上でございます。終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/35
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036・石垣のりこ
○石垣のりこ君 立憲・社民の石垣のりこです。
さて、大型連休明け、昨日は全ての都道府県での感染者数が前の週を上回ったと報道されました。沖縄と宮崎では過去最多ということで、全国的に感染者の増大が報告されております。東京でも連続で前の週の同じ曜日を上回っているということで、感染再拡大という言葉が脳裏に浮かぶわけですが、厚生労働省としては、現在の連休明けのこの感染状況をどのように捉えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/36
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037・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 直近の感染状況につきましては、ゴールデンウイークの影響もあることから単純に判断することは難しいものの、直近の一週間では十万人当たり約百七十五人、今週先週比が〇・九八というふうになっております。今後の感染の状況を注視してまいりたいというふうに思っております。
今後の感染状況につきましては、ゴールデンウイークでの人の動きが活発だったことやBA.2系統への置き換わりがおおむね済んでいる、そうしたことの感染の増加要因と、それから一方で、ワクチンの三回目接種が進んでいることや暖かい季節になりまして換気等がしやすくなっていることなどの感染の抑制要因、こうしたことが考えられる中で、引き続き注視してまいりたいと思います。
厚生労働省としては、最大限の警戒をしつつ、安全、安心を確保しながら可能な限り日常の生活を取り戻すために必要な対策も講じていくこととしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/37
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038・石垣のりこ
○石垣のりこ君 変異株に関しても、まだ日本に入ってきていないものも含めて、より感染性の強い、あるいは中和抗体を低下させる懸念もあるようなものも各地で出てきているということで、やはり警戒を緩める状況ではないなというふうに私自身も感じております。
さて、では、緊急承認に関しての質問に移りたいと思いますが、これまで衆参の議論を踏まえまして、論点というのはほぼ指摘されているところかと思います。今回緊急承認を創設するのは、コロナウイルスのような感染症が拡大する緊急の事態において、国内で先行して開発した医薬品等があった場合に、現在ある海外の医薬品等を対象にした特例承認では対応できないというのが主たる理由としてあると思います。
この通常承認以外の例外的な承認制度というのは既に三つあるわけです。条件付承認、条件・期限付承認、特例承認とございます。これ基本的なところをまず確認させていただきたいんですが、これまでのこの承認件数、この三つの承認制度の承認件数、また承認の取消しなどが行われた事例があるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/38
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039・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘の三つの制度につきましてでございますが、これまで、令和四年五月十二日時点でございますが、条件付承認制度、これはその法制化される以前は通知による運用でされておりますが、そのときも含めまして、これまでに条件付承認制度では五品目承認されております。それから、再生医療等製品に係る条件・期限付承認制度におきましては四品目、そして特例承認制度におきましては十品目の医薬品などが承認されてございます。
また、御指摘のございました承認の取消し事例があったか否かということでございますが、現在までに取消しがなされた品目はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/39
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040・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
取消しが行われた事例はないということで、特に特例承認に関しては、一気にこのコロナウイルス感染症下で行われたという事例が多いと把握しております。
その中で、おとといのニュースにあったんですが、特例承認されたソトロビマブについて伺います。
新型コロナウイルス感染症診療の手引き第七・二版で、オミクロン株のBA.2系統に対する有効性が減弱するおそれがあるというとの報告が追記されたということなんですが、この件に関する御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/40
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041・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
ソトロビマブのオミクロン株のBA.2系統に対する有効性につきましては、患者から得られた株を用いた試験におきまして、ウイルス量を半減させるために必要となる薬剤の濃度が従来株に比べまして約十六倍程度必要であったということなどから、令和四年四月十八日に開催されました薬事・食品衛生審議会において、BA.2系統に対して有効性が減弱するおそれがあり、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討することとされたところでございます。
なお、添付文書上は、BA.2系統については有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討することとされておりまして、投与が推奨されないと評価されたものではないと理解しております。
引き続き情報収集し、医療現場に情報提供する等、適切に対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/41
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042・石垣のりこ
○石垣のりこ君 十六倍の用量が必要になるというような、結構なこれは違いかと思いますし、他の治療薬が使用できない場合に本剤の投与を検討することとされていると修正されたということで、推奨されないわけじゃないけれども、かなり選択としては判断をしっかりしていただかないと、この有効性に関してはちょっと分かりませんよというような判断がなされているということだと思います。
ちなみに、このソトロビマブなんですが、承認の際に、国内試験なしの海外第三相試験データの評価、千五十七例の評価がなされていて、国内試験なしで承認されているというふうに資料等で確認できるんですが、この理由について簡単に教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/42
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043・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘のとおりに、昨年九月に特例承認されたソトロビマブにつきましては、海外第三相試験の成績に基づき審査を行っておりまして、その際には日本人を対象とした臨床試験の結果というものは提出されておりません。
その承認審査時の評価でございますが、本剤ソトロビマブは、新型コロナウイルスという外来性因子、ウイルスに対する抗体製剤でありますので、先行承認されておりました類薬のロナプリーブ、やはり中和抗体薬でございますが、その例も踏まえますと、本剤の血中濃度などが日本人と外国人とで大きく異なる可能性は低く、人種差は少ないと考えられることなどから、日本人における有効性、安全性は十分確認できるというふうに判断したものでございます。
また、承認申請時に、承認時にメーカーにおきまして実施中でございました日本人での血中濃度等を確認する試験結果については、からも、そうした有効性、安全性に問題はなかったというふうに伺っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/43
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044・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ありがとうございます。
でも、引き続きこの効能及び安全性に関しては注視していかなければならないというふうに思います。
さて、今回の緊急承認制度なんですが、先日十日のこの厚労委員会で、全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人の花井参考人がこのように指摘されていました。同じ緊急時の承認制度であっても、緊急承認制度は、特例承認制度と比べて海外で承認、流通する以前の国内で開発された新薬等にも適用されることから、医薬品承認における有効性、安全性評価基準の本質的緩和であるというふうに述べられていました。
この点に対して、厚労省の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/44
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045・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般創設いたします緊急承認制度は、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認するために、有効性については推定された段階で承認を可能といたしております。
他方で、緊急時であっても医薬品の安全性を確保することはこれは必要であることから、安全性については現行の承認制度と同水準の確認を行うものでありまして、安全性について緩和が行われるものではないというふうに考えております。
緊急承認制度の運用に当たっては、安全性を確認した上で、国民の皆さんにより早く必要な医薬品等をお届けできるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/45
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046・石垣のりこ
○石垣のりこ君 安全性も含めて、その安全性は同水準で確認されているというのは、これはずっと厚労省の見解として伺っておるところなんですけれども、実際のところ、この特例承認の治験レベルについてちょっと伺いたいんですけれども、コロナでの特例承認された医薬品、海外での試験というのは第何相まで行われているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/46
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047・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 新型コロナワクチン、治療薬についてのEUAでの、段階での臨床試験データでございますけれども、それぞれ個別の製剤によって異なるところでございますが、ワクチンの場合、ファイザー社、モデルナ社、それからジョンソン・アンド・ジョンソン社でございますけれども、いずれのワクチンにおきましても大規模な第三相試験の結果を踏まえて判断がなされているところでございます。
他方、治療薬につきましては、第二相試験の結果を踏まえたものもございますし、第三相試験の結果で判断されたものなど、その時々の状況等を踏まえて個別の判断がなされていると承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/47
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048・石垣のりこ
○石垣のりこ君 では、審査を行うPMDAについての試験について伺いたいんですが、このPMDAの第三相で確認される安全性というのはどのようなものか、またその意義について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/48
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049・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、一般的に第三相試験は、主として医薬品の有効性を確認、検証する目的で実施されるものでございます。
通常の承認審査におきましても、一定期間を超える長期的な副作用の発現状況や極めてまれに発生する副作用などにつきましては、承認までの間に確認することは困難でございますので、承認後も情報を収集していくことで安全対策を行っているところでございますが、第三相試験において得られた、おいても安全性に関する情報等ございますが、そうした情報につきましては、今申し上げたような、承認後に得られた情報と同等、同様に、医薬品の安全対策においては活用しているところでございます。
第三相試験を実施する場合としない場合とにおいてでございますが、安全性につきまして、情報量に違いはございますが、一定期間内に生じる副作用の種類、頻度といった安全性に関し、承認までに確認しなければならない情報に違いはないものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/49
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050・石垣のりこ
○石垣のりこ君 最低限承認に必要な分は担保されているということであろうとは思います。ただ、情報量の違いによって、より安全性が高まったり有効性が高まったり、その逆もあると思うので、これはやっぱり質の違いというのはこれ否めないと思います。
PMDAによる臨床試験の一般指針というのがございますが、臨床開発における相の解説について、第三相については、最も代表的な試験、検証試験というふうに書かれてあります。第三相に実施される試験は、意図した適応及び対象患者群においてその治療薬が安全で有効であるという第二相で蓄積された予備的な証拠を検証するためにデザインされるというふうに記されております。第二相で得られた結果というのは、これ予備的な証拠であると、第三相ではそれを検証するのだというように書かれているわけですよね。なので、第二相の段階では予備的、検証前であると、このように記載されております。
それを受けた上で、今回の薬機法改正案の緊急承認第十四条二の二、これが記載、今回の改正法で追加されるわけなんですけれども、資料の、条文お持ちでしたらそちら見ていただいてもいいんですが、資料の二に改正薬機法条文、比較してあるのが、上の方がこれは通常承認の文言で変わらないところです。今回改正でこの緊急承認の部分で追記される文というのがこちらです、下の方になっております。
読んでいきますと、薬機法の第十四条の通常承認の文言及び改正薬機法案、これ同じですけれども、十四条の二の二で今回創設される緊急承認についての文言から、有効性、安全性に関する部分、黄色が有効性、赤がこれが安全性を示している文というふうに示してございますが、通常承認の有効性の部分は十四条の二の三のイです。申請に係る医薬品又は医療部外品がその申請に係る効能又は効能を有すると認められないときという表現になっております。安全性の部分は、ロの申請に係る医薬品又は医薬部外品が、その効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品又は医薬部外品として使用価値がないと認められるときという、否定を除外するような形で書かれているわけですね。
一方、改正案の緊急承認、今回追加される方はどうなっているかというと、有効性の文は十四条の二の二の二号です。申請に係る効能又は効果を有すると推定されるものであること。ここに推定という言葉が出てきます。安全性は次の三号の部分で、申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がないと推定されるものでないこと。皆さんの頭の中ですっとこれが御理解いただけた方がどのぐらいいらっしゃるでしょうか。非常に混乱します。
大臣、これどう読んだらいいか、解説していただいていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/50
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051・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般創設する緊急承認制度は、安全性の確認を前提に有効性が推定された段階で条件及び期限を付して迅速に薬事承認を与える仕組みでありまして、再生医療等の製品の条件及び期限付承認の規定の条文構成に倣って規定したものでございます。
具体的には、十四条の二の二第一項第二号において、申請に係る効能又は効果を有すると推定されるものであることを有効性に関する承認の要件とし、また同項第三号において、申請に係る効能又は効果に比して著しく有害な作用を有することにより医薬品として使用価値がないと推定されるものではないことを安全性に関する承認の要件といたしております。
このように、再生医療等製品の条件及び期限付承認の規定に倣って規定した結果、通常承認の規定である十四条第二項第三号と異なる規定ぶりとなったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/51
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052・石垣のりこ
○石垣のりこ君 解説はしていただきまして、ありがとうございます。
でも、これ普通に読んで、二重否定なんで、二重否定イコール肯定というのを何か習ったことがどこかの頭の片隅にあるかもしれませんが、法案で使用される言葉の厳密な使われ方の意味合いというのはおいておくとして、二重否定、肯定というふうに置き換えて考えると、医薬品として使用価値がないと推定されるものでないことというこの文言は、医薬品として使用価値があると推定されるものというふうにシンプルに読み替えることも可能なわけですよ。とすると、安全性も推定の範囲に係ってくるというふうにも解釈し得るのではないかと。普通に二重否定イコール肯定という変換をした場合ということになりますけれども、やはり安全性の部分にも推定というのはかかわらずを得ない、有効性の推定というのが相対的にかかわらずを得ないという表現になっているというふうに私自身は捉えております。
リスクとベネフィットのバランスで決まるという点では、通常承認においてもリスクは否定できませんし、薬というのは、本来、医薬品というのはそういうものであろうということも理解いたします。
むしろ、通常承認の有効性、安全性の書きぶりを改めて読んでみると、積極的安全性の確認というよりかは、明らかに有害だと分かる場合以外は安全と考えるというような印象も受けますので、この有効性もしかりなんですけれども、医薬品の有効性と安全性が何で決められるのか。それはリスクとベネフィットのバランスという考え方を土台にするとしても、PMDAの指針にあるように、一相、二相、三相といった試験の相の段階で得られる時間軸の影響ですとか、対象となる治験者の数の違いなどの情報量の違いから、この試験から得られる医薬品等の有効性、安全性の信憑性にその情報量というのがつながってくるわけなので、有効性が推定の二相で確認できる安全性も相対的には一般的に低くならざるを得ないと。
もちろん、最終的に同じような評価を下される場合はあるかもしれませんけど、百を試験してみて得られたものと千を試験して得られたものというのは、仮に同じ結果が出たとしても、それだけの幅広い試験が行われたというその部分の信憑性、信頼性というのは増すわけですよね。この部分で、やはりこの緊急承認における安全性を通常承認の安全性と同じ言葉で確認としてしまうことの、これちょっと問題点というのをここで改めて指摘しておきたいと思います。
かといって、安全性が推定の段階で承認するわけにもいかないと思いますし、例えば条件付確認というような新たな基準が設けられたとして、そうすると今度は、やっぱり補償の程度をどうするのかというような別な問題も派生してくるゆえに、安全性は幅広く見積もって確認とせざるを得ないのではないかというようなところまで推察をします。
その上で、緊急承認のその後には有効性の確認のためにリアルワールドデータの活用というのが指摘されております。昨年十二月の緊急承認に関する厚生科学審議会医薬品医薬機器制度部会、あと、国会質疑でもリアルワールドデータの活用について言及されているんですけれども、逆に、このリアルワールドデータを活用することの限界、注意点について厚労省はどのような見解を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/52
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053・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) リアルワールドデータの利活用、評価の在り方につきましては、これまでガイドラインという形でお示ししております。それを踏まえまして、実際にリアルワールドデータを踏まえた承認というか、リアルワールド、承認、活用した事例があるというのはございます。
御指摘のその注意事項というか、課題といいますか、考えなきゃいけないことにつきましても、このリアルワールドデータのガイドラインに示しております。具体的には、リアルワールドデータの利活用に際し、適切に設計された臨床試験に比べ、例えば医療機関や患者ごとに取得されているデータ、データ項目が統一されていない場合や、医薬品を投与した患者と投与していない患者で年齢や基礎疾患が異なる場合など、データに様々な特性、特徴があることに注意が必要であるということでございます。
いずれにいたしましても、こうしたデータの特徴、そして最新の科学的知見を踏まえまして、医薬品の評価への更なる活用というものに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/53
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054・石垣のりこ
○石垣のりこ君 おとといの参考人の質疑において、薬害オンブズパースン会議の隈本参考人がそのような指摘もされています。望ましい結果が得られるまで複数回にわたり試験デザインの要素を変えて計画や解析を行うことが可能であると、このような注意事項も指摘されているところですので、その辺はしっかりと承認後の検証に関しても行っていただきたいと思います。
さて、緊急承認ではないんですけれども、今般のコロナ禍において、様々な新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品が優先的に審査されて承認されていると認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の体外診断用医薬品、検査キットの承認に関して伺います。
これまで承認された数、種類別に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/54
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055・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘の点でございますが、本日、五月十二日までに、新型コロナウイルス感染症に係る体外診断用医薬品として、核酸増幅法、PCR検査などでございますが、核酸増幅法は四十二品目、それから抗原定量検査は七品目、抗原定性検査は九品目、そして抗原簡易検査は三十二品目が承認されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/55
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056・石垣のりこ
○石垣のりこ君 結構承認されております。承認された抗原定性検査の一例を資料として添付しております。資料の六です。
これ、審査の内容と結論がありまして、最後に承認条件、黄色でマーカーしておりますが、承認条件が付されております。この例の場合は、承認時の以下のデータが極めて限られる、限られていることから、製造販売後に臨床性能を評価可能な適切な試験を実施することとして、SARS―CoV―2の抗原検出に係るデータとかインフルエンザウイルスに関しても示されているんですが、承認時に極めてデータが限られていると指摘されて、臨床性能を評価可能な試験を実施するというふうに書かれている、この期限というのは設けられているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/56
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057・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、承認条件につきまして、これ通常承認でございまして、承認条件を付すことができる場合がありまして、それを踏まえて承認条件を付しているわけでございますが、特段期限というものは付してございません。
一方で、我々の方で、企業の方も理解しておりまして、それに応じてきちんと対応をしていただいていると理解しておりますし、我々の方からもそうしたことを求めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/57
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058・石垣のりこ
○石垣のりこ君 期限がないということなんですよね。多少足りない程度だったらあれなんですけど、極めて限られているデータで行われているというのは、実際の数字を見ていても、数十から数百のデータでこの性能の検査が行われているという点で、辛うじて今は緊急時ということも多分鑑みてのことだと思うんですけれども、こういう抗原定性検査キット、ほかの体外診断薬が承認されていると。一応ただし書は付いているけれども、それに関して期限も設けられていないという状況というのは、これは性能評価に関して、今後の変異株も出ている上で非常に心配されるところだと私自身は感じております。
これ、提出義務がないということだと思うんですけれども、資料として提示した抗原定性検査は偽陰性も偽陽性も出ております。これ、ちゃんと半年以内とか期限を区切って臨床試験の結果を出していただくべきようなものなのではないかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/58
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059・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナの体外診断用の医薬品につきましては、新型コロナの流行を踏まえまして迅速に検査薬を承認する必要があったことから、性能及び有効期間に関する限られた試験成績に基づき承認をし、承認条件として、今委員から御指摘があったように、市販後に臨床性能や安定性のデータを求めている品目がございます。
本年三月までに承認した品目のうち、臨床性能試験に関する承認条件が七十二品目に付与されまして、十三品目で条件が解除されております。また、安定性試験に関する条件承認が八十二品目に付与されまして、二十八品目で条件が解除されています。
先ほども議論になりましたけれども、この承認条件に対する期限は付していないわけではありますけれども、承認条件に係る試験が実施中である製造販売業者に対し、承認条件に係る試験の速やかな実施及び完了を求めておりまして、引き続き、厚生労働省としては迅速な対応、承認条件のクリアを求めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/59
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060・石垣のりこ
○石垣のりこ君 これがほとんど流通していない検査キットとかであれば、まだそれは多少目をつぶるみたいなこともあり得るのかもしれませんが、いや、でも、ちゃんと承認して出されているものですから、性能というのは確認されなきゃいけないわけですよね。
今、検査の中でも、先ほど承認された種類別に数をお答えいただきましたが、大規模に推奨されているのがこの抗原定性検査なんです。イベント会場で使われることも多いですし、抗原定性検査は確かにその場ですぐに結果が出ますので便利です。もう早くできるということで便利ではあるんですけれども、PCR検査に比較して、特に無症状者に対しては感度が劣ることが指摘されております。
厚生労働省としては、無症状者に対する抗原定性検査についてどのような見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/60
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061・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
抗原定性検査キットにつきましては、PCR検査などに比べまして簡易かつ迅速に結果を得ることが可能であること、また、一定以上のウイルス量を有する方への検査として有効であることなどの特性があることを踏まえて、状況に応じその活用を進めているところでございます。
例えば、感染拡大地域の医療機関や高齢者施設などにおける活用については、PCR検査等の頻回な実施が困難な場合に、より頻回に実施することは有効と考えております。一方で、無症状者に対する抗原定性検査キットを用いた検査はPCR検査と比較しまして感度が低下する可能性があるため、確定診断として用いる場合はPCR検査等を推奨しているところでございます。
また、家庭等で体調が気になる場合などに抗原定性検査キットでセルフチェックができるよう、昨年九月に薬局での販売を可能とし、販売に当たっては、薬剤師が検査の実施方法や陽性になった場合の医療機関の受診の必要性、それから偽陰性の可能性があることも踏まえた対応等に関する説明を求めているところであります。
引き続き、抗原定性検査キットの特性を踏まえつつ、その活用を進めていく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/61
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062・石垣のりこ
○石垣のりこ君 濃厚接触者に関しても、待機期間短縮の際に用いられる検査が抗原定性検査というふうに書かれています。これは資料の五に事務連絡を添付いたしました。タイトルが長いので読みませんが、発生場所ごとの濃厚接触者の特定及び行動制限、積極的疫学調査についてということの一枚目なんですけれども。
これ、エッセンシャルワーカーか否かにかかわらず、四、五日目の抗原定性検査キットで陰性確認後五日目から解除を可能とするというようなことで、こういう場面でも、確定診断とは違いますけれども使われているわけなんですよね。
これ、四、五日たって自宅待機しているということは症状もない方であろうというふうに推測されるわけなんですけれども、解除を短くするのに、偽陰性、偽陽性が先ほど出ているデータお示ししましたけれども、こういうことがあり得る、かつ、承認時に極めて少ないデータ量で承認が出され、臨床性能試してくれと言われて、まだ先ほどの数字だと七十二品目掛かっているうちの十三品目、これは抗原定性検査だけではありませんけれども、全てが出されているわけじゃないという状況において、これだけ定性検査キット推しなんですよ。
しかも、下の方見ていただきますと、これ、抗原定性検査キットについては事業者の判断で感染拡大期への計画的な備えとして一定量を事前に確保しておくことが有効と考えられるところであり、こうした点も含め、各省庁、各府省庁におかれましては、別添にて所管団体及び独立行政法人等への周知をお願いしますということで、問合せできる医薬品卸売販売業者のリストが掲載されていると。皆さん、ここで抗原定性検査キットを必要な分問合せしてみてくださいということの案内までされているわけです。これ再通知されているわけです。だから、抗原定性検査キット推しなわけですよ、この積極的疫学調査においても。
ちゃんとその辺で使い方の確認をしてください等のもちろん指針は示されているわけなんですけれども、片や、承認の段階で期限はない臨床試験の条件だけが付されていて、これだけ濃厚接触者の待機期間短縮にも使われ、イベントでも使われ、これ抗原定性検査キットの使い方としてはやっぱり問題が生じるんじゃないでしょうか。
便利なのは分かるんですけれども、ウイルス量が少ないと反応しないわけですから、あくまで抗原定性検査は検査の中では臨時的な役割、取りあえずPCR検査をすることができない、そういう場合に使う。
私もそういう経験はあります。濃厚接触者の濃厚接触者の方に接触したことがあって、念のためすぐにPCR検査でも翌日以降になっちゃうから、抗原定性検査を使ってまずは取りあえずの確認をしてみる。その後に、取りあえず大丈夫だということであれば、どこかの病院というか、一般のPCR検査をやっているようなところに移動して検査を受けるとか、そういう臨時的な役割として抗原定性検査キットは役に立つんですけれども、やっぱり基本はPCR検査というのを軸にこの抗原定性検査を使っていくということをしないと、デルタのような強力な毒性のあるウイルスが入ってきたときに、抗原定性検査を基本にしてしまうことによってかえって感染拡大を助長してしまうようなことにもなりかねないと思います。
研究用から薬事承認したから品質が担保されていると言えないような今ずさんな管理が行われているというふうにもちょっと捉えられるんですけれども、首をかしげていらっしゃいますけれども、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/62
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063・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 済みません、ちょっと首が痛かったものですから、ですけど。
まず、その条件に期限がないではないかということでございますけれども、これ、確かに緊急時に承認したものでございますけれども、通常承認でございまして、きちんと、何というか、必要性、有効性については確認しているということでございまして、通常、その承認条件は、更に確からしさを高めるという観点から性能の確認をするということで付けている考えでございまして、その考え方は今回も同じでございまして、通常承認の場合は特段その期限は付さないということで、それはそういった扱いにしたというところでございます。
ただ一方で、実は、先ほど大臣からも御答弁申し上げまして、私も少し触れましたが、先生が御指摘のような状況でもありますので、きちんとそこは実施中の試験などには確認してほしいという要請がございました。それは、この承認を行いました薬事・食品衛生審議会においてもきちんと確認するようにという御指摘ございますので、我々の方から、四月には、口頭などで個別に企業にお願いする一方で、四月には改めて事務連絡など出して、きちんとその試験は進めるようにということを言っております。その結果、先ほど大臣から御答弁したような承認条件の開示状況などを常に把握しているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/63
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064・石垣のりこ
○石垣のりこ君 何か、一般の方にとってはPCR検査というのはここ二年ぐらいに一気に皆さんの頭の中にも入ったと思いますけれども、抗原定量検査と定性検査があって、それぞれの性質、漠然としか分からなかったりするわけですよね。
取りあえず、この検査をやるということ自体は否定はしないんですけれども、検査の特性をしっかりと把握した上で、かつ、その検査の精度が担保された状態ではないと本当にこれ誤った検査での安心というのを与えかねないと思いますので、その点本当にしっかりと、抗原定性検査の使うべきポイントということも含めてこれ考えていただきたいと思います。
やっぱり抗原定性検査キット推しなんですよ。非常に簡単で分かるから、使いやすいからというのは分かるんですが、ここに基軸を置いてしまうことの問題点、今後の変異株対応も含めて非常に懸念しております。
ちなみに、これまで様々な変異株が出ておりますが、この変異株への対応というのはちゃんとなされていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/64
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065・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、当然でございますけれども、承認時というんでしょうか、承認時にはそのときのはやった、はやっている株、変異の状況も踏まえてデータを出してくれということをお願いしておりますが、その後、製造販売後におきましても、薬事承認されている全ての体外診断用医薬品については、薬機法の省令に基づきまして、変異に対して承認を受けた使用目的を有しないことを示す研究報告がある場合には、製造販売業者に報告を求めております。そして、現時点において変異による性能への影響があるという報告は受けておりませんので、基本的には性能は確保されているものというふうに考えているところでございます。
加えまして、変異株への対応といたしまして、本年一月にオミクロン株の流行状況を踏まえまして、製造販売業者に対してオミクロン株が性能に与える影響の検証を求めました。そして、全ての企業からその影響はないという回答を得ているところでございまして、御指摘の変異株の対応ですとか、またあるいは、きちんとその後のフォローできるかということにつきましては、こうしたことを通じまして対応しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/65
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066・石垣のりこ
○石垣のりこ君 対応はしていただいているということなんですけれども、そもそものデータ量の不足、臨床試験の不足が言われていて、そのデータは出さないけどオミクロン株対応しています、大丈夫ですと言われてもやっぱり信憑性に欠けるものになってしまうと思いますので、やっぱり基本的な確認を今後ともしっかりと行っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/66
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067・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
まず、ワクチンの接種後の遷延する症状と安全対策についてということで、緊急承認制度、これはパンデミックの場合にワクチン等に適用される可能性があるということなので、ワクチンの市販後安全対策についてまず伺います。
新型コロナワクチン接種後の遷延する症状、後遺症については、この自己免疫的な機序で生じることが分かってきたME、CFS、これ、筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群などとの類似性もこれ指摘されているところです。副反応検討部会では、遷延する症状、後遺症について、副反応疑い報告はあるが、新型コロナウイルスワクチン接種が原因と判断されたものはないということですが、この遷延する症状が適切に把握できていないのではないかと思います。
安全対策において、このワクチン接種後の症状を追跡できるシステムはあるのか、また自発報告に期待しているというのがこれ現状ではないかということなんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/67
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068・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
予防接種の安全性等に関する調査につきましては、悉皆性を高めて、より的確に行うということが必要だと考えております。
こうした観点から、予防接種の実施状況と副反応と疑われる症状の発現状況等を個人単位で連結した匿名データベースを整備し、さらに、レセプト情報・特定健診等情報データベース、いわゆるNDB等との連結解析を可能とすることが必要だというふうに考えております。このため、こうしたデータベースを整備するために、厚労省としては具体的な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/68
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069・川田龍平
○川田龍平君 この配付資料一の、衆議院でもこれ配付された資料で、これHPVワクチンについての弁護団のサイトからこれダウンロードしたものですが、これによると、この訴訟を提起している百二十九名の原告団のうち、副反応部会で重症と扱われているのは十九名のみですが、残る百十名中三十八名の方はこの副作用被害救済制度その他の制度で後遺症と診断されていると報告されています。
これ、衆議院では、この答弁の中で、認定基準の違いであるという趣旨の局長の答弁ありましたけれども、制度の違いはあっても、少なくとも後遺症と認定された症例がその後、軽症扱いされたままというのは問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/69
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070・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、お配りいただいたこの事例、今係争中でございますので、個別の症例については見解を述べることを差し控えたいということを前提とさせてください。
その上で、御案内のとおり、一般に副反応が疑われる症状につきましては、現行の制度におきまして、医療機関、そして販売業者から常に情報を収集して、定期的に開催する審議会で評価を行うというものでございます。
その中で、御指摘のこの重症症例というものでございますが、ワクチンでの共通の安全性の観点で特に注視すべき症状として、アナフィラキシー、急性散在性脳髄炎、ADEM、ギラン・バレー症候群、副反応疑い報告の転帰に後遺症と記載された四つの症例につきましては、先ほど申し上げましたように、ワクチン共通なら安全性の観点から特に注視すべき症状であることから、詳細な情報を記載した資料に基づきまして評価を行うという扱いをしているものでございます。
一方、この副反応疑い報告制度と救済制度などの評価でございますが、当然ながら、制度の趣旨が異なるということのために判断が違ったものになることがあり得るものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/70
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071・川田龍平
○川田龍平君 この資料を見ていただくと、この障害年金二級、一級とか、本当にこの重たい年金の受給になっているわけですけど、これも重症症例扱いにはならないということで、やっぱりこれ追跡調査がされていないということだと思います。
そして、この資料二、おめくりいただいて、これも弁護団が作成した救済制度、年金支給の対象となる後遺症認定の状況です。これ、HPVワクチンについては、これ、ほかのワクチンと比べて特に高い頻度で桁違いにやっぱり起きているんですね。
ほかの場合に比べてやっぱり高いんですけれども、これ弁護団が作成したものですが、副作用被害救済制度や予防接種法におけるワクチンごとの認定状況、認定率を整理して公表しているものがあるか、また、救済制度の認定状況は副反応部会や安全対策に報告され、安全対策として生かされているのかどうか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/71
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072・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
予防接種健康被害救済制度におきましては、審査会を開催した後に、審査された事例ごとに、ワクチンの種類に加えまして、因果関係の認定、認定等の審査結果をホームページ上で公表しているところでございます。
また、副反応疑い報告制度におきましては、副反応が疑われる症状と用いられたワクチンとの因果関係について、審議会の議論に基づき評価されたワクチンと専門家による個別症例評価を行うべき症状を定め、評価を実施しておりまして、その結果をホームページ上に公表しているところでございます。
一方、ワクチンごとの認定率という数字につきましては、いずれの制度においても、申請され又は報告された個別事例ごとに因果関係を適切に評価することが重要であり、それらの結果を単純に集計した認定率自体に、あるいはそういった認定率の比較をすること自体には意義が少ないと考えていることから公表していないというところでございます。
引き続き、適切な因果関係の評価に努め、その審査評価件数と結果について公表してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/72
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073・川田龍平
○川田龍平君 このHPVワクチンについては、この資料二にあるように、厚労省の方ではちゃんと認定率出していないということなんですが、このHPVワクチンについては、やっぱりほかのDPT、DTとかポリオとか、この二種とか、それから日本脳炎とか、結核、BCG、それからHibですとか水痘ですとかB型肝炎とかありますけれども、やっぱり本当に、軒並みほかのに比べて接種している数とこの認定された人数との比較をすると明らかにこれ高いんですよね、百万人当たり十三・六九人とか。本当にほかは百万人当たりにすれば一人とか三人とか〇・五人とか本当に低い数字になっている中で、ここまでやっぱり大きな違いがあるということはやっぱり是非認識して安全対策やっていただきたいと思います。
この遷延する症状については、今年の四月八日の衆議院の厚労委員会でも、大臣答弁では、この自己免疫系の副反応を疑う症状も含めて、都道府県が診療体制の整備や相談窓口の周知等の取組を行っていく中で、専門的な医療機関における診療の蓄積により新たな知見が得られることも期待されると答弁されていましたが、この診療体制の整備や相談窓口の整備が都道府県任せ、また専門的医療機関による蓄積任せでいいのでしょうか。
本当に、新型コロナウイルスワクチンの接種の推進は国がこれ推進してやっている方針なのですから、国民のワクチンに対する信頼に応えるためにも、この新型コロナウイルス感染症の後遺症についての研究だけではなくて、ワクチン接種後のこの遷延する後遺症状についても、自己免疫系の症状である可能性も念頭に、病態の解明や治療法に関する研究、これを国が責任を持って促進することが必要だと考えますが、国としての基本姿勢、具体的な対応予定について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/73
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074・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 新型コロナワクチン接種後の副反応疑い報告において、遷延する症状や自己免疫系の副反応を疑う症状が報告されていることは承知をしております。
新型コロナワクチン接種後に生ずる遷延する症状につきましては、その症状が自己免疫系によるものとは限らないものの、都道府県が診療体制の整備や相談窓口の周知等の取組を行っていく中で、専門的な医療機関における診療の蓄積により新たな知見が得られることも期待されると考えております。
厚生労働省では、昨年、コロナワクチン接種後の医療体制、こういった副反応等の相談の窓口、あるいは専門的な医療機関の整備についてお願いをしたところでおりますけれども、先般も改めてこういった遷延する症状についての相談、あるいは専門的な医療機関の診療の体制について都道府県に整備をお願いしたところでございます。
厚生労働省としては、こうした症状につきまして、今後、専門家の意見も聞きながら、治療や病態の解明に必要な研究についても検討し進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/74
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075・川田龍平
○川田龍平君 後ほど総理にも聞こうと思うんですけど、やっぱりこれ厚労省で副反応部会だけでやっていたのでは本当に足りないと思うんですね、間に合わないというか。本当にそれぐらい多くの人たちがこの遷延する症状とか後遺症も出てきている中で、やっぱりもっとしっかり国としてやってほしいと思います。
HPVワクチン接種後にも遷延する多様な症状が報告されています。これ、国が指定した協力医療機関では、二〇一四年に副反応検討部会が出した機能性身体的症状だという考え方に基づいて、主として、主に認知行動療法が行われていると聞いています。しかし、この自己免疫系の副反応であることを指摘する査読論文が多数あり、免疫学的な治療による症状改善の報告もあって、この被害者は免疫学的治療がもっと受けられるようにしてほしいと希望をしています。
薬害エイズの事件でも、これ和解の前に国が拠点病院を設置していたのですが、これは機能せずにかえって差別が生まれていました。それが、国の責任を認めた和解後には治療法も治療体制も飛躍的に前進をしまして、これは医療協議の場を通じて患者の声を反映した政策が行われるようになったことが大きな理由だと思います。
薬害の教訓を生かして、やっぱり患者や被害者のニーズを踏まえた治療研究、それから治療体制が重要だと思いますが、いかがでしょうか。また、副作用、副反応に対する治療法の開発、それから治療体制整備に関する大臣の基本姿勢を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/75
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076・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 医薬品に対する重篤な副作用に関しましては、医療関係者が副作用の早期発見、早期対応が可能となりますように、重篤副作用疾患別対応マニュアルを関係学会の協力の下、作成をし、周知を行っております。令和三年度末で八十マニュアルを公表いたしております。
新型コロナワクチン接種後の副反応を疑う症状への対応については、昨年二月一日付けで通知を発出いたしまして、都道府県に対して医療体制の確保を求めており、現在、全ての都道府県において専門的な医療機関を円滑に受診できる体制が確保され、また接種を受けた方が相談できる窓口も整備されております。
緊急承認された医薬品についても、その特性や使用実態に応じて副作用、副反応への対応を検討する等、適切に対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/76
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077・川田龍平
○川田龍平君 是非、患者のニーズ、そういったものも聞いた上で、やっぱりこの治療研究、治療体制、しっかり整備していただきたいと思いますが、いかがですか、これ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/77
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078・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 十分にお話を伺いながら、万全の体制を取っていくように努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/78
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079・川田龍平
○川田龍平君 是非よろしくお願いいたします。
それでは、先月二十二日の本会議で、代表質問で聞いたんですけれども、この米国EUAの下で使用許可を受けた医薬品を日本で特例承認した後に取り消されたものがあるのかということで質問しましたが、そのときの答弁では、ないというものでした。
しかし、現在、ソトロビマブ、それからロナプリーブについてはどのような扱いになっていますでしょうか。これは取り消されたのではないでしょうか。代表質問では、ないという答弁は、どこからどういう理由でそういう、ないという答弁になったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/79
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080・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、EUAにおきまして取消しという行為は、そのまま紹介して恐縮でございますが、リボークという手続というか、それを適用ということになります。
他方、御指摘のソトロビマブ、あるいは同じく中和抗体のロナプリーブでございますが、これにつきましては、そのリボークではなく、許可の対象の制限という形で、当該中和抗体薬が感受性のない新型コロナウイルス、具体的にはオミクロンの株でございますけれども、そうした感染症が引き起こされている地域では許可の対象外という扱いでございまして、お尋ねが取消し、リボークではないかということで、我々としてはそうではないというふうに答弁したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/80
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081・川田龍平
○川田龍平君 ちょっと、そういうことで言っていますけれども、ただ、この緊急承認された医薬品については、二年以内にこの第三相の検証的臨床試験によって有効性を示すことが必要とされていますが、特例承認制度にはそのような規定はありませんので、米国のEUAの下で承認された医薬品を日本で特例承認した場合、バランスを失することになるのではないでしょうか。
代表質問に対する答弁では承認条件を付けているというものでしたが、資料三、御覧ください。こちらの米国EUAで承認された医薬品を特例承認したものですが、承認条件を記載しています。医薬品医療機器等法施行規則第四十一条に基づく資料には検証的臨床試験の結果は含まれていませんから、この第三相の検証的臨床試験の結果を示す資料の提出について具体的な期限が付されている承認条件はないのではないかと思いますが、ありますか、これ、ありませんかということなんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/81
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082・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 今、条件における資料の提出とその期限というお尋ねと理解したところでございますが、例えば、先生がお示しになった資料の三の一のレムデシビルの(6)にございますけれども、資料の提出の猶予期間は承認取得から起算して九か月ということで、九か月以内に出してくださいということでございまして、特例承認された新型コロナウイルスに用いる医薬品につきましては、今御紹介いたしましたように、承認時に提出を猶予された資料がある場合には、猶予した資料を承認後に提出しなければならない旨を付しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/82
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083・川田龍平
○川田龍平君 これ、相談のときにこれ具体的に話しているとか、そういうこともないんですか、段階に応じて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/83
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084・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 今先生からお示しいただいたのがまさに承認条件でございまして、承認条件には、猶予した資料を承認後に期限を付した一定期間内に出してくださいという条件がございますが、先生お尋ねの、じゃ、具体的に企業に示しているかということでございますが、別途、申請者には、御指摘のとおり、きちんとこの資料と具体的に申し上げて、そしてこの承認条件にございます提出期限を明示した上で資料の提出を求めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/84
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085・川田龍平
○川田龍平君 これは、厚労省若しくはPMDAのサイトに、ここを見ればこの特例承認薬が一覧できて、その後の経過が分かりやすく更新されて、注意も喚起されているというようなコーナーがあるかどうか、それから緊急承認制度が認定された場合の情報提供についてはどのように考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/85
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086・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 特例承認された医薬品につきましては、まず、添付文書におきまして、これは特例承認の医薬品ですというふうに記載するということを義務付けておりますし、また、厚労省あるいはPMDAのウエブサイトにおきましてその一覧を掲載しているというところでございます。
それで、そういった承認条件の対応などが分かるのかということでございますけれども、承認条件が満たされれば、その承認条件を取り消して添付文書上のその条件などからも取り消す、なくなるということでございますけれども、例えば、そうした、何でしょうか、仮に、例えばレムデシビルでございますけれども、承認時に提出を猶予された資料につきましては、提出されたことが評価されたということであれば、それを落としていくということは考えられます。
御指摘の緊急承認時におきましてどうするのかということでは、基本的には同様の対応を行うことを考えてございますが、制度部会などにおきましても、緊急承認された医薬品の情報については丁寧にという御指摘をいただいておりますので、私どもの方でもいかに分かりやすく伝えるかということを念頭に検討し、情報提供をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/86
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087・川田龍平
○川田龍平君 これ是非、緊急承認された薬についても、やっぱり是非、患者の立場で分かるようにやっぱりしっかり伝えてほしいと思うんですね。特に、EUAの場合には希望する患者にファクトシートを渡すということをこれ隈本参考人が言っていましたけれども、この患者向けの文書の中で、やっぱりちゃんと通常の承認ではなくて試験的性格を持つ薬であることが明記されているとか、それから未承認の薬であることというのをやっぱりちゃんと明記をして、やっぱりそこはっきりと分けることを、やっぱり患者にも分かるようにして使ってもらうということを是非していただきたいと思います。
その上で、やっぱり対面の薬剤師の説明とかがとても重要になってくると思うんですが、この電子処方箋についてですが、日本保険薬局協会、ここのデジタル推進委員会が昨年の十二月に実施をしたオンライン資格確認等に関する調査報告書では、患者の理解について、四七・三%の会社が懸念を示しています。電子処方箋になじみがない患者が医療機関や薬局の窓口で説明を求めるといったケースも想定されます。
本法案の趣旨説明では、非接触型の医療提供を行うに当たり処方箋の電子化が必要となると説明されましたが、果たしてこれ、非接触となると本当に医療提供はうまくいくのでしょうかと。患者さんとの対面ケアがおろそかになる懸念があります。対面ケアというのを基本としつつも、導入に当たっては国民に対する啓発が必要と考えます。
厚生労働省資料によれば、本年の八月頃から国民向け広報をスタートさせるようですが、来年一月の運用開始までにどのような活動をする等、浸透を図っていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/87
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088・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、電子処方箋は、効率的に業務を回すということでございまして、患者、例えば患者を待たせることなく調剤とかオンライン服薬指導が可能となりますので、そういう意味におきましては非対面という側面が強まるとは理解しておりますが、一方で、その浮いた分はきちんと服薬後のフォローアップをしていただくとかいうことになりますし、いわゆる対人業務の充実というものにつながるというふうに考えておりまして、そうした観点から、そもそも、私どもといたしましては、かかりつけ薬局、薬剤師を推進しておりまして、こうした電子処方箋による業務の効率化などを通じまして、一方で、対人業務の重要性も高まっていくものと理解されております、理解しているところでございます。
先生から、そういったものをどう国民の皆様に理解していただくかということは、先ほど、途中御紹介いたしましたが、補正予算などで獲得した予算を通じまして周知、広報ということをいたしますが、その際にも、単に電子処方箋ということではなくて、それに併せて対人業務も重要であると、対面サービスも必要、重要であるということも併せて周知いたしますし、また、平成三十年度の診療報酬改定におきまして地域支援体制加算を設定するとともに、令和元年の薬機法改正においてお認めいただきました地域連携薬局なども評価していくということを通じまして、患者さんが適切に医療を受けられるように対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/88
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089・川田龍平
○川田龍平君 これ前回も申し上げましたけれども、日本調剤とか、本当にもう効率化していくと、本当に大きい薬局にまとめて処方箋が行くようになって、結果として、発送されて結局宅配便で薬が届くみたいなことがもう実際起きているわけですので、本当にそうなってきたときに、本当に対面でできなくなってくるんじゃないかという本当に懸念を大きく持っております。
同じ先ほどの調査報告書では、このシステム障害時に緊急避難的な対処方針を設けてほしいとの意見が多数あったとのことですが、通信障害、停電などのときの対処方針、対処方法について、あらかじめ医療機関や薬局にどのように伝えるのでしょうか。大規模災害時などでは社会インフラが混乱して電子処方箋が使えないこともそういう点に入っているんでしょうか。お薬手帳や紙の処方箋などの活用など、リスク管理はできているのか。また、電子データ管理は利便性はいいものの、一度障害が発生すると全く機能できなくなることも想定されます。東日本大震災のときなどもそうでしたけれども、厚生労働省の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/89
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090・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘のとおり、様々な災害というものは想定されるわけでございますけれども、紙のデバイスであれば、確かに電子的なアクセスができなくても紙の情報から情報を得られるところでございますが、一方で、紙の場合には、火災などで焼失するリスクもございますし、その情報が完全であるという保証もないデメリットもございますので、そうした点からすれば、やはり電子的なものでバックアップ体制を取るとかいうことで災害に対処するということは考えられるところでございます。
実際に、電子処方箋に係る処方、調剤情報につきましては、分散した複数のサーバーでデータを保管するということでございますので、災害時にデータを喪失することはないということをしておりますし、また、仮に一時的な障害によりシステムが使えない場合には、その辺は紙での対応、紙の処方箋の発行ということも併せて医療機関等に周知してまいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/90
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091・川田龍平
○川田龍平君 昨年十月のこの徳島県つるぎ町の唯一の公立病院である半田病院において、メーンサーバーとバックアップサーバーがランサムウエアというコンピューターウイルスに感染して約八万五千人の電子カルテが閲覧できなくなるという事件が発生して、復旧には二か月を要したということです。
こうした事件の再発を防止するために、事件後に厚生労働省はどのような対応を取られているのかを御説明ください。また、電子処方箋の導入ではこのようなセキュリティー上の懸念は起こり得ることなのか、起こり得る場合にはどのような対策を取られているのかを併せて御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/91
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092・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、個別のお尋ねの病院に対してどのような対応を取ったかということについて、ちょっと手元に情報がないので、大変申し訳ございませんが、御答弁できませんが。
医療機関への電子処方箋に係るそのハッキングですとか、あるいはランサムウエア感染の対応ということでございますが、セキュリティーに関しましては、ネットワーク回線を通信事業者が独自に保有する閉域ネットワーク、IP―VPN方式などにより構成しておりますこと、それから電子処方箋を保管するクラウドシステムをインターネットから遮断していること、そして医療機関や薬局からウイルスなどが侵入しないようルーター等でデータを選別していること、そして電子処方箋に電子署名を付して改ざん防止をしていることなど、総合的に行うことで高いレベルのセキュリティーを確保しているというふうに理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/92
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093・川田龍平
○川田龍平君 是非こういう事件が起こった後も対応をちゃんとしっかりしていただきたいと思います。
電子処方箋に限らず、医療現場においては重要で機微な個人情報ばかりとなります。今回、法改正では、患者の本人同意を都度取得せずとも、医師、歯科医師、薬剤師等の限定された関係者間における情報共有を可能とすることになっていますが、セキュリティー上、関係者以外が個人情報を閲覧するようなこと、事態にはならないよう、十分な対策が取られているということ、理解でよろしいか、再度確認いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/93
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094・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) この電子処方箋に関する情報、係る情報でございますが、医療機関や薬局が患者の処方、調剤情報を閲覧する行為につきましては、顔認証付きカードリーダー、オンライン資格確認端末でございますけれども、カードリーダーにおいてマイナンバーカードを利用した本人同意を取得するということになっておりますので、医師や薬剤師ではあっても自由に閲覧できないという仕組みとはなってございます。
他方、それ以外の関係者ということでございますけれども、例えば電子処方箋の仕組みを運用する支払基金などにおきましても、こうした情報を自由に閲覧できない仕組みというものをつくっておりますので、患者のプライバシーの確保を図っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/94
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095・川田龍平
○川田龍平君 この未使用ワクチンの問題について伺います。
新型コロナウイルスワクチンの調達では、これまでに接種八億八千二百万回分を確保するために二兆四千三十六億円もの予算が措置されています。現在、日本では億単位の数のワクチンが未使用のまま眠っていますが、これについて、先月十三日の、開催された財政審財政制度等分科会の資料では、ワクチン確保について、世界各国で獲得競争が激化する中、あらゆる可能性を視野に入れてワクチンの確保に努めることは重要であるとした上で、結果として総人口掛ける接種回数を大きく上回る数量の購入となっているが、ワクチンがもたらす感染拡大防止の効果、ひいては経済的な効果も踏まえた上で費用対効果を考えるべきであるとの指摘がされています。
当然、これだけの予算を使いワクチンを購入したわけなので、ワクチンは費用対効果の問題もあると思いますが、優先的に考えなければならないのは、安全性を担保した上での国民に接種すべきかしないかのどうかということを考えることだと思います。
先般指摘したとおり、このワクワク割もそうでしたが、政府がこうした大量の在庫を解消するために接種を促進するというようなことになるのであれば、それは本末転倒と言わざるを得ません。ワクチン接種については、未使用ワクチンがあっても改めていま一度立ち止まって、科学的知見を整理して今後の接種方針を決めるべきときだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/95
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096・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
新型コロナワクチンを確実に確保することは、国民の生命や健康を守る観点から極めて重要と考えております。世界各国で獲得競争が継続する中、国民の皆様にワクチンをお届けできるよう、あらゆる可能性を視野に入れてワクチンの確保に取り組んできたところであり、こうした取組が重要と考えております。
ワクチンの活用につきましては、国内においては、接種会場でも有効期限が近いものから使用するようお願いしつつ、三回目接種と四回目接種の着実な実施に向けて取り組んでいるところでございます。また、国内で使用しない分については、新型コロナを収束させていくための国際貢献として海外供与に活用しており、貴重なワクチンを可能な限り効果的に活用できるよう努めているところでございます。
なお、ワクチンの有効活用は重要であると考えているものの、御質問ありましたような、確保したワクチンについて、ワクチンの破棄を少なくするために接種を推進しようといったようなことは一切考えておりません。ワクチンの接種については、その有効性や安全性を国が分かりやすく発信し、そうした情報を踏まえて国民の皆様が自らの判断で接種いただくことが重要と考えております。
引き続き、国内での使用や海外供与に取り組み、ワクチンの適切な活用に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/96
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097・川田龍平
○川田龍平君 もうこれだけ時間たってくると、別に急いでmRNAワクチンみたいなものでなくても、ワクチンって本当に昔ながらの作り方でもよかったんじゃないかと思ってきます。
先日、ニュースでは、もうキューバでも開発されたということで、キューバのワクチンもできてきた。それから、その前に、ロシアのワクチンなんかも、スプートニクでしたっけ、あるとか、まあ今ちょっとロシアとの関係はあれですけれども、ほかの国でいろいろ開発進んでいて、日本の開発がやっぱり何でここまで遅いのかなというところは非常に考えるところで、何もmRNAワクチンにこだわらなくてもよかったんじゃないかというところはだんだんこれまで時間が掛かってくると思うんですが、その辺どういうふうにこの国内のワクチンの供給を、海外から引っ張ってくることばっかり考えているんですけど、ほかの方法は考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/97
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098・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) まず、海外から供与を受けている、あるいは輸入しているものにつきましては、メッセンジャーRNAワクチンに限らず、例えばアストラゼネカであればウイルスベクターワクチンでございますし、また、日本で製造します武田、ノババックスのワクチンは組換えたんぱくワクチンという形で、様々なモダリティーのものを確保してきているところであります。
また、国内の企業におけるワクチン製造、これをしっかりと推進していく必要がありますので、この研究開発、また生産体制の整備といったところについては全力で支援しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/98
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099・川田龍平
○川田龍平君 この新型ワクチンということで、何か新型コロナだから新型ワクチンみたいな形で、百億円ぐらい掛けて安倍さんのお知り合いのところに研究費分けたりしてやっていましたけれども、やっぱり本当に本来やるべきワクチンの整備ができなかったんじゃないかと思います。
先月十三日に開催されたこの財政審財政等分科会の資料では、この未使用ワクチンの問題について、有効期限が短いものから使用するなど供給されたワクチンの有効活用に努めるとされました。
この有効期間については、期限を超過してもこれ品質が保たれることについて、データが集められれば、そのデータに基づき、薬事上の手続を経て、中間、いや、有効期間が延長されることがありますと。ファイザー社の十二歳以上を対象としたワクチンについては、昨年九月に有効期間が六か月から九か月に延長されました。また、モデルナ社のワクチンについては、最終的に昨年十一月に九か月にまで延長されています。これに伴い、医療機関によっては、有効期限延長のシールを貼り替えたり、有効期限延長の判こを押して対応しているということです。
山井議員、衆議院の山井議員も、目の前でシールがぺたっと貼られて、これ有効期限が延びたからといって使われて、すごく何か心配になったと言っていましたけれども、大丈夫だということなんだそうですけれども。
しかし、こうした取扱いというのは、本当に安全性の観点から問題がないと言えるでしょうか。有効期限を延長できるバイアルについてはロットナンバーを慎重に確認する必要があり、その延長幅もバイアルによってそれぞれ異なる場合があります。多くの接種希望者に日々対応する必要のある医療機関にしてみれば、手違いの原因にもなりかねません。また、国民からは、ワクチンの有効期限にシールが貼ってあってこれ不安になったと、これさっき山井さんの話もしましたけど、本当聞こえてきます。
厚生労働省は、こうした有効期限や取扱いの変更について改めてきちんと周知すべきではないでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/99
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100・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
ファイザー社、モデルナ社、いずれの新型コロナワクチンにつきましても、当初有効期間は六か月であったものの、その後のデータの蓄積を踏まえて、製薬企業からの申請に基づく薬事上の手続を経て、ファイザー社については十二か月、モデルナ社については九か月に延長されているところでございます。
有効期限の延長前に製造され、延長前の有効期限が印字されたワクチンが流通しているケースはあるものの、こうしたワクチンについては有効期限が延長された後のものとして取り扱って差し支えないこととしているところでございます。
厚生労働省としては、国民に不安や誤解が生じないよう、事務連絡や自治体向けの説明会により、自治体や医師会等の関係者に接種会場における適切な情報提供を依頼してきたところでございます。また、これに加えて、厚生労働省のホームページにおけるQアンドAの掲載など広く情報発信も行っており、引き続き必要な周知を行ってまいりたいと考えております。
なお、済みません、先ほどの答弁で、念のためですが、アストラは国内でも製造しているものでございますので、輸入ではございません。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/100
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101・川田龍平
○川田龍平君 一般に、このワクチンを既に接種した人については重症予防効果が期待できるとされています。ただ、時間がたてばそうでもないです。それから、まれにですが、ワクチン接種によりウイルスに感染したときの症状が増強してしまう現象が起きることがあります。
現在接種が進められているこの新型コロナワクチンの開発段階においては、このようなワクチン関連疾患増強が起こらないよう確認され、実用化後についても引き続き情報収集していくことが薬事承認審査の過程で求められたということです。しかし、日々これ新たな変異株、変異型が出現していくことを踏まえれば、いつこのようなリスクが発生してもおかしくはありません。
そもそも、このワクチンは新しい作用機序によるものである以上、接種後の情報収集はこれ十分に行われなければなりませんが、オミクロン株、さらにはXE株の出現など、感染状況が目まぐるしく変化する中で、ワクチン関連疾患増強、このリスク、これはこれまで確認されていないのでしょうか。研究の現状についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/101
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102・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘の疾患増強、いわゆる抗体依存性感染増強、ADEでございますが、まず承認の段階におきまして、そのリスクにつきまして、薬理での検討、そして動物及び人におけるサイトカインの生産、産生の検討などからそのリスクを評価いたしましたが、当然、その市販後におきましても、ADEも含めまして、製造販売後に引き続き国内外の情報収集、指導がある旨を承認条件といたしておりまして、企業において製造販売後調査等も行われております。今までのところ、そうした調査におきましてADEのリスクが高まるといったデータは得られておりません。
一方で、御指摘がございましたように、副反応疑い報告制度というものを我々、基づいて情報収集、そして定期的な評価というものを行っておりますが、これまでの審議会の議論におきましても、副反応疑い報告の状況に基づきまして、ADE、疾患増強を含めて、新型コロナワクチンの安全性について重大な懸念は認められていないと評価されているところでございます。
我々としては、引き続き、副反応に関する十分な情報や国内外の副反応疑い事例の収集に努めるとともに、審議会による評価等を速やかに行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/102
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103・川田龍平
○川田龍平君 医療機関には、まあうちの事務所にもですけど、コロナ感染後のいわゆる後遺症と見られる症状に悩む患者の相談が相次いでいます。
厚生労働省は、この四月からようやく後遺症の実態と影響を把握する調査を始めました。具体的には、国の研究班が今後の流行を踏まえて、オミクロン株の感染後にどんな症状が続いているか、引き起こされる合併症、その要因などについて調査すると承知しています。また、今後、最新の知見を基に後遺症と見られる患者の診察やリハビリの方法などを示した手引きを改訂して、症状に悩む人が地域の医療機関で迅速に治療を受けられるようにしていくということですが、後遺症に悩むこの患者さんが既にたくさんいらっしゃることを考えると、厚生労働省の動きというのはこれちょっと遅かったのではないかと言わざるを得ません。
後遺症については、これまで厚生科学特別研究事業の一環として研究がなされてきましたが、海外では既に幾つかの大規模調査研究が行われています。オミクロン株の流行によりコロナ後遺症に苦しむ患者の数が格段に増加した今、これまで以上に大規模な調査研究が求められます。
そこでお伺いしますが、この四月から始まる調査はこれまでの厚生労働省が行ってきた厚生労働科学特別研究による調査などとどのように異なるのでしょうか。その概要とともに、具体的に御教示ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/103
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104・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症につきましては、実態や病態を明らかにするために、これは令和二年度から実態把握や原因究明に関する調査研究を実施しております。現在、二つの厚生労働科学研究が中間報告の段階でありまして、今月末に研究班より最終報告が出る予定となっております。
また、御質問の今年度も、新型コロナウイルス感染症で入院した患者さんを対象に退院後の追跡調査を行うことで罹患後症状の実態の把握を行いまして、中長期的な予後に関連する要因などについて検討する調査研究を行うこととしております。本研究につきましては、一定の進捗が見られた際にはその成果を御報告いただくことについて、研究者とも連携しながら検討していきたいと思っております。また、御指摘の適切な調査規模が確保されるよう努めるとともに、引き続き国内外の知見も収集して対応に当たっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/104
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105・川田龍平
○川田龍平君 このコロナ禍で一番悲惨であったことは、自宅放置死が相次いだことです。医療現場の逼迫のために、病院に搬送されるべき人が搬送されずに命を落としました。一刻も早く自宅放置死をなくしていくための改善策を打ち出していくことが重要です。
先月二十七日の厚生労働省の発表では、今年に入った第六波において、一月から三月に自宅で死亡した人が少なくとも五百五十五人と、自宅や高齢施設でたくさんの方が亡くなられております。政府の責任は重大です。
自宅放置死防止対策についてどのような対策を、今後、改善策を講じてきたのか、また今後どのような方策を講じていくのか、厚生労働大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/105
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106・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 昨年の夏の感染拡大に際しては、感染の拡大に病床の確保が追い付かない事態や治療開始が遅れて重症化する事例で在宅で亡くなる事例が見られました。改めて、新型コロナにより自宅で亡くなられた方々、そしてその御家族には心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
厚生労働省では、昨年十一月に取りまとめた全体像に基づきまして、保健医療提供体制を強化しながら、オミクロン株の特徴を踏まえて、自宅療養者等が確実に医療を受けることができる流れをつくってきております。
具体的には、自宅療養者に対応する医療機関を一月の一・六万機関から二・三万機関へと増やすとともに、いわゆる発熱外来について合計三・八万機関を確保してまいりました。また、一部の地域で非公表となっていた発熱外来の実施機関名を東京都、大阪府等において一律に公表するなど、現在では公表率は九割になっております。診療報酬の加算措置を延長しておりまして、自宅療養の強化を引き続き進めていくことに取り組んでおります。
今後も、オミクロン株の特性を踏まえまして、地域における体制をしっかり稼働させるとともに、自宅でも安心して療養できる環境整備に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/106
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107・川田龍平
○川田龍平君 最後に、緊急避妊薬のスイッチOTC化について、厚生労働省は先月二十八日に、第二十回の医療用から要指導・一般用への転用に関する評価会議を開催して、緊急避妊薬のOTC化について議論したと承知しています。OTC化に向けて性教育における課題、薬剤師の現状や研修の課題、また地域医療連携などの課題など様々な問題を解決する必要があると考えています。
その上で、今回、二十八日の緊急避妊薬OTC化の会議で、NPO法人HAPから緊急避妊薬供給体制に関するアンケート調査報告書が提出されて、その中で薬剤師と産婦人科医が連携できていないという内容の考察が示されました。
質問に、最後、もうまとめますが、厚生労働省として、このOTC化の議論の中で地域医療連携を進める中でアンケート結果どう見ているのか、また今後の追加調査、公式的な、実施していくのか、見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/107
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108・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 御指摘の緊急避妊薬のスイッチOTC化につきましては、御紹介いただきました評価検討会議において、昨年十月から議論を開始して、そしてこれも御紹介いただきました様々な課題、検討課題があるということで御議論いただいているところでございます。
その中で、三月十日の会議におきまして、OTC化された場合の薬局の対応について薬剤師会などによる詳細な調査は希望するという御意見がありまして、その後、その次の会議が四月二十八日だったんですが、その直前に御紹介いただいたNPOですとかあるいは一般社団法人日本家族計画協会から保険薬局の実態調査というものがあって、それを御紹介したというような経緯でございます。
その二十八日の会議におきましては、やはり科学的根拠に基づく薬剤そのものの有効性、安全性に加えまして、薬局などにおける適正販売、適正使用が確保されるかなどの観点からやはり議論が必要、課題があるという御指摘でございましたので、その一環で、我々としては、必要に応じまして薬剤師会などに対しまして調査の実施をお願いすることも含め、検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/108
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109・川田龍平
○川田龍平君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/109
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110・山田宏
○委員長(山田宏君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時七分休憩
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午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/110
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111・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/111
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112・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。今日はよろしくお願いします。
前回に引き続き、改正事項についての幾つか残余ありましたので、それをまずお尋ねしたいというふうに思います。
本法案の改正の契機となりましたのは、今般のコロナ禍において、国産メーカーの既存薬の中から治療効果の可能性が見込まれていた薬剤が複数あったりとか、あとは承認する制度が、それを承認する制度が存在しないとか、あとは特例承認制度について、あくまで海外での治験データ、実績に基づくが、逆輸入の方式であって、医療の安全保障の観点から、国産の治療薬の早期使用のために制度整備をするべきだというような声が本当に世論としても大きかったという中で今回の改正事項が出てきたというふうに理解をしております。
しかし、感染症の有事は、私の記憶がある限りでも、例えば、今回の新型インフルエンザ特措法の制定の契機となった新型インフルの蔓延は二〇〇九年にありましたし、中東呼吸器症候群、MERSですね、が海外の一部の地域で拡大したのも、その直後の二〇一二年にもありました。いずれも、偶然か、幸運にも日本国内では感染の蔓延という事態には陥らなかったわけですけれども、お隣の台湾の感染拡大など、感染症の有事として差し迫った状況には変わりなかったというふうに考えられます。
そこで、お尋ねします。米国では既に二〇〇九年のときから、本改正の緊急承認制度の議論でよく比較に出されている緊急使用許可制度、EUAですね、これもあったというふうに皆さんは分かっていた。そういう中で、我が国では、厚生労働省の中だったりとか国会の中で、今回の法改正と同様の緊急承認のように近い、そういう議論、検討みたいなことがあったのかなかったのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/112
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113・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、御指摘の件でございますけれども、先生が冒頭おっしゃったとおり、その存在、候補となる薬があったのかとか、それを必要とする感染の状況にあったのか、あるいはそれに対応できる承認制度があったのかとか、そういった状況で検討がなされるべきものと考えておりまして、例えば、二〇〇九年の新型インフルのときには、特例承認制度があって、それでおいてワクチンを対応した一方で、治療薬についてはタミフルというものが存在していたということありまして、また、その流行の状況ということが考えられたんだと思います。また、MERSにつきましても、御紹介もございましたが、当時国内での感染が見られなかったということがあって、特段その薬事に係る審議会や検討会において議論をしたという経緯はなかったと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/113
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114・田村まみ
○田村まみ君 あくまで今回の感染症のこの有事の、新型コロナウイルスの感染拡大の有事、このタイミングで検討が始まったという意味合いだというふうに私は受け止めました。
事が起きてからの検討とかというのは、やはり性急さを、急いでいるというようなことで、混乱の中で、本当に国民や国会もそもそも平静に議論ができているのかというようなところも、きっと後から何かあったときに指摘がされかねないというような懸念も私は持っています。この緊急承認制度については、このコロナの続く中、そして収束する中でも制度そのものの見直しや議論を継続的にしていかなければいけないのではないかというふうに考えております。
一方で、私が以前より、ここは別の話なんですけれども、指摘させていただいている雇用調整助成金の活用とか在籍出向の制度の見直し等は、いつも政府答弁は、状況が落ち着いてから静かな環境で議論をするというような答弁しかいただいておりません。厚労省の皆さんには、是非、感染拡大について予断を許さないとはいえ、多少今落ち着いているこのタイミングで、経済回復に向けての準備という意味でいけば、雇用安定を図るためにも私はこういう制度は今議論するべきだというふうに考えております。この緊急承認制度が今議論されるのであれば、私も是非、経済回復のための雇用の安定に向けての制度改定も是非行っていただきたいということは要望しておきます。
次に、何度も議論がありましたけれども、緊急承認制度の適用の根拠についてお伺いをしていきたいと思います。
今回の緊急承認制度は、薬機法のみを法律の根拠としています。例えば、先ほども引き合いに出しましたが、アメリカの緊急使用許可制度は、連邦食品医薬品化粧品法の各条項に基づいて、食品医薬品局、これに付された権限であって、もう一つ、パンデミック及びオールハザード準備法によって実際の使用許可について規定がなされているというふうに私は理解しております。この法律が我が国でいけばこの薬機法と新型インフルエンザ特措法に当たるというふうに私は理解しようと思えばできるんじゃないか、解釈しようと思えばできるんじゃないかというふうに最初聞いたときに思ったんですね。
この薬機法というのは、あくまで平時の薬事申請と承認について定めている法律であって、改正案が規定する発動の要件とは、まさしく緊急事態であり、政令ではなくて、例えばこのパンデミック、感染症ということでいけば、新型インフルエンザ特措法のような法律も併せて根拠法として制定していくべきだったのではないかと考えますけれども、こういう議論というのはあったんでしょうか、なかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/114
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115・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、先ほどの御質問、そしてお答えと重複いたしますが、今回薬機法で対応したということは、まず、オミクロン、検討の当時、始まった当時は、オミクロンの出現など引き続き予断を許さない状況を踏まえまして、やはり新たな治療の選択肢となる治療等を迅速に薬事承認を行うことが必要じゃないかと、先ほど先生がおっしゃったような状況がありましたので、今の薬機法にはやっぱり緊急時に対応するものとしての特例承認制度があるということですとか、あるいは、御議論もございましたけれども、信頼される形で薬事承認、安全性を確認した上で承認するんだということで、薬事法、薬機法の承認の一類型として対応するということになったわけでございます。
御指摘の感染症全体のことにつきましては、岸田内閣発足当時、十一月の取組の全体像を取りまとめて、それでいろいろ検討するということになっていますので、それはそちらの方での検討ということになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/115
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116・田村まみ
○田村まみ君 先日の参考人質疑の中で、私が、これは私見なんだけれどもどう考えるかということをお伺いしたときに、そもそも議論の中で、緊急時という要請があった上でのどういうふうに承認をしていくかという制度、そこの議論が主だったという印象をお持ちの参考人だったりとか、本当は発動要件についてもっと一番議論したかったんだけどというような御感想をお持ちの参考人がいらっしゃったというふうに前回の質疑で皆さんも聞いていらっしゃったというふうに思います。少しここに対しての懸念というところはまだ残っているんじゃないかというふうに、これまでの質疑の論点として挙げられている回数も思えば指摘せざるを得ないというふうに思っております。
そういう中で、この緊急承認の発動要件と責任の所在について、現状のこの法文では、実際には審査、承認に当たる薬事審や厚生科学審議会の主語が厚生労働大臣というふうになっています。緊急時という状況を鑑みると、少なくとも政府として閣議決定にて発動の要件や対象を決定すべきというふうにおっしゃっておられました。今回の発動の要件等については政令で定めることとなっているという答弁が繰り返しいただいておるところでございますが、政令の決定は閣議決定の方式を取るということになります。
確認です。適用する状況を判断したという責任の所在は誰になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/116
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117・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 今先生から御説明いただきましたように、この法律、今回の法律に基づきまして緊急承認制度というものが動き出すというのは、まずは緊急時の必要性ですとかあるいは代替の困難性を踏まえまして、対象となる医薬品を政令で定めると、そしてそれを踏まえて個別の企業が自社の製品について個別の承認を求めてくるという流れでございますので、まずはその適用対象となる医薬品について政令で定めることでございますので、それは政令ということから様々な状況を見て政策判断等行いますので、厚生労働大臣のみではなく政府全体として判断していくというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/117
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118・田村まみ
○田村まみ君 政府全体ということは、岸田総理が今の時点では責任者ということで合っていますか。
大臣に聞いた方がいいでしょうか、局長に聞いた方がいいでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/118
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119・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 政令で定めることにするということは、閣議決定にかけて政府全体として総合的に判断していくものでございます。もちろん所管の法律は厚生労働大臣の所管でございますから、厚生労働大臣が政策的な責任について、これは全面的にしょうわけでございますけれども、法制的にお尋ねであるとすれば、閣議決定は政府全体の決定であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/119
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120・田村まみ
○田村まみ君 私は、やっぱりこの今回の承認について、薬機法というのは本当に有効性、安全性という意味でいけば安全が確保されるということも大変重要で、そこを守るのはやっぱり厚生労働大臣しかいないというふうに思っているんですね。なので、今の答弁で、やっぱりその政策の部分での責任という意味でいけばそこは厚生労働大臣だというふうに、そこははっきり言っていただいたことは良かったことだなというふうに受け止めさせていただきたいと思います。
その上で、先ほど局長の方から、鎌田局長の方からの答弁の中でも、政令で決める対象となる医薬品をというふうな形で政令での話をお話しいただきました。
四月二十八日の厚生労働委員会で、足立委員より、緊急承認制度の発動要件と適用対象について詳しく質疑が行われていました。確認の意味も込めて、再度、政令の定めについて少し質問させていただきたいと思います。
今回の緊急承認の適用は、国として危機的な状態であり、状況であり、代替手段がないというふうにされたとき、製薬メーカーからの申請に基づいて政令でそれを決めて、その後に承認審査が行われるという流れで間違いがないのかということと、代替の困難性など、適用の対象に関して今後ガイドラインで示すといった答弁もありました。
ここで確認したいのが、具体的にはガイドラインというのはどのような内容が盛り込まれるというような想定をされているのか、政令で定める内容との、このガイドラインとの違いということを分かるような視点で御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/120
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121・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 改めて御説明申し上げますと、まず緊急に使用する必要性、そして代替の困難性といったことにつきまして、そのときの感染状況ですとか、先生が先ほどおっしゃったどのような治療の選択肢があるのかなど、そして病床の状況なども踏まえまして、まず、例えば、今回の件であれば、恐らく新型コロナウイルス感染症に関する医薬品ということで政令を定めます。そして、その後に、政令が定めた後に、個別の企業が自社のワクチンあるいは自社の治療薬が新型コロナウイルス感染症に係る医薬品だとして承認申請を求めてくると。その承認申請に基づいて、もちろんその医薬品が新型コロナウイルス感染症に有効かどうか、安全性が見ますけれども、緊急に必要なのか、代替困難なのか踏まえて、厚労大臣が個別に承認するということになります。
そして、御指摘の代替の困難性の詳細でございますが、今後取りまとめるガイドラインにおきましては、既存の承認薬などがないこと、あるいは既存の医薬品はあるけれども複数の選択肢が必要であること、あるいは供給が十分、不十分かどうか、そしてさらに、極めて高い有効性、安全性が見込まれること、そういった内容に該当すると考えていますので、そういった内容を明確化していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/121
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122・田村まみ
○田村まみ君 更問いになるんですけど、このガイドラインはどこで話し合われて決まるものになるんでしょうか。何か会議体とか何か、どこで決まるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/122
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123・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、どこで決めるかというのは、これは我々厚生労働省の事務方において検討してお示しすることになりますが、それは、内容につきましては、昨年度行われました審議会、制度部会での議論、あるいは、ここで、国会等で御質問、それに対してのお答えを踏まえて作成していくこととなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/123
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124・田村まみ
○田村まみ君 しつこいようですけれども、何か作ったものをもう一回審議会とかで何か確認してもらう、もんでもらうというよりかは、もうこれまでいただいた意見で基本的には厚労省として出すということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/124
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125・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/125
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126・田村まみ
○田村まみ君 これまでの意見をしっかり聞いて反映させていただくことは信じておりますけれども、やっぱりこれだけ様々な懸念点上がっていますので、どこかのタイミングで審議会等でもこのガイドライン、こういう要件でもいいかというのは聞いていただくというのも一つの手段だというふうに思いますので、それも併せて検討いただきたいというふうに思います。
続いて、緊急薬事承認における市販後の安全性の確認、これについても相当な多くの指摘がありました。
今般のコロナワクチンでは、軽微な副反応が極めて多く出ているにもかかわらず、医療機関からPMDAに対しての報告例は少ないというふうに私は見ています。国民が、そもそもどの程度の副反応を報告するのかという基準が分からなかったり、どこに申出するのかということが定かではなく、例えばSNSで副反応あったよというようなつぶやきだったりとか投稿というのは、PMDAに上がっている報告数よりも多かったというふうに感覚的には私は思っております。熱出たよとか何日仕事休んだよとかということは、相当多くSNS等でアップがされていたというふうに受け止めています。
実際に、国民の皆さんがPMDAのホームページを見る可能性はほとんどないというふうに私は認識していますし、保健所や自治体、医療機関に報告する例というのは軽微なものになればなるほどまれではないかというふうに、一医療関係者ではない国民としての私の感覚です。
なので、現状このような状況なので、緊急承認がされた製品について、着実な市販後調査への対応というのも改めて必要性があるのではないかというふうに私も感じております。
先日の参考人質疑で、市販後調査に関して製薬企業の役割を私はあえて伺いました。
そのときの参考人の答弁が、私が一社員だとすると、製薬企業の社員だとすると、一生懸命副反応、副作用を見付けてきて会社に褒められるかというと、その薬が売れなくなったらということ、自分が給料をもらっている会社の利益を考えてしまうのではないかと、国民のために何とか副作用、副反応症例をたくさん集めるという行動は矛盾してくるというふうに考えられるというような発言が参考人からありました。その上で、だから、国あるいはその県、市町村も含めてしっかり監視をして、その公正なルールの中でしっかり競争してもらうように社会の仕組みをつくっていくことが必要だという発言を受けました。
私の解釈ですけれども、製薬企業のMRの方々が手段としては考えられるんだけれども、お願いレベルでは非常に企業側の立場として難しい立場だというふうに受け止めました。
では、私は、手段としては考えられるということであれば、リソースとしてMRの方々、皆様に活躍していただけるように、今後の運用においてMRを活用した情報収集を徹底するような制度化みたいなものも必要だというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/126
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127・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、薬機法の体系というのは、その有効性、安全性、そして品質が確保された医薬品を流通させる、一方で、流通を規制するという体系でございまして、その中で、製薬企業は治験等によってそのデータを作り、そしてそれを審査を受けて、そして販売すると。そして、それは市販後の安全性をもっと更に確認していくというのが責務でございますので、仮にその副反応と副作用等の情報があっても、それをもってまさに薬というものを育てていくというんでしょうか、きちんと提供していく。国民の安心を得るのが企業の責務でございますので、私は、副反応等の情報を集めることが企業の役割、存在と矛盾するものとは考えておりません。
そうした観点から、今も市販後安全対策として、薬機法に基づきまして、まず医療関係者、分かりやすく言えば、薬を投与したお医者さん、注射を接種されたお医者さんが、自らの患者が体調の不良等を訴えれば、それが副反応、副作用と考えればそういった報告しますし、また、そういったことがあれば、企業が更に、その企業、医療機関等々を訪問してカルテ等を拝見してその報告してくる、それが医療機関報告、そして企業報告となります。
また一方で、先ほどSNSということがございましたが、企業はそうした医療機関からの情報だけではなくて、SNS等の情報も拾って、正直こう書いてあったというだけの報告でございますが、実際に今回のコロナに関しては報告ございました。そういった形で徹底してございます。
また、確かに御指摘のとおり、患者さんがPMDAのホームページを見ることがないというのは我々の努力不足でございますが、自らの報告制度もあるということでやっているところでございまして、そうしたことは市販後安全性管理に関する省令におきましても、医薬情報担当者というものを置いて医療関係者を訪問することで情報提供してくださいというふうに言われております。
こうした市販後安全対策は常日頃行っているわけでございますが、この国会の場、そして、先ほども御紹介したこの制度をつくる審議会の場でも、今般の緊急承認制度においてはその対策の充実を求められておりますので、私どもは、そうした御指摘を踏まえまして、市販後安全対策の充実に引き続き努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/127
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128・田村まみ
○田村まみ君 私も悪い人じゃないので性善説で考えれば、今局長が答弁いただいたとおりだというふうに本当に思っていますし、MRの人たちが苦労して自分たちの販売している薬で何か人の命に関係することがあってはということで日々頑張っていらっしゃるということは重々承知しているんですけれども、国会の中でも、私、公益通報者保護法を議論したこともあります。
そういう制度がなければいけないということは、やはり企業の中でそういう発言がしづらいということがゼロではないということも事実だと思いますし、今言った、一般の私の、医療従事者でも何でもない私からしてみれば、やはりMRの方たちというのは相当な御経験と知識があるということであれば、そういう方たちの活用を特出しして決めるというのも一つ、MRの人たちの存在意義になっていくんではないかなというふうに思って御提案させていただいたところです。今彼らがそういうことをやっていないというわけではないので、是非難しい部分があるというところにも光を当てていただければなというふうに考えます。
そして、あわせて、その市販後の安全対策としてリアルワールドデータの利活用も上がっていますけれども、現在、PMDAには医療情報データベース基盤でMID―NET、これが整備されていますけれども、今回の緊急承認制度の創設を機に、安全性情報収集のみならず、創薬支援という観点からも医療分野におけるデジタル投資の推進、これも前回しっかり議論させていただいた電子処方箋もそうなんですけれども、データインフラの統合や標準化含めて、これ、個別の医療機関が登録方式ということなのでなかなかオールジャパンな活動になっていませんので、是非データ統合、標準化、個人情報の保護などの法周りの整備をして、オールジャパンのデータとして活用できるような整備を進めるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/128
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129・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 今先生から御紹介いただきましたPMDAが行っているMID―NETと言われる医薬情報基盤のシステムでございますが、これは現在のところ、その安全性というものに着目して電子カルテなどの情報を収集、解析を行うデータベースということで、現在、全国十拠点、二十三病院で五百七十万人超のデータを持っているということで、これをまず、我々は、患者規模の拡大、具体的には徳洲会の病院などを更に加えるということがありますし、国立病院とは連携していくということもございます。そして、更に利便性を向上させて企業の方などに使っていただくようにしますし、行政利活用ということで、どういった成果が出るのかということを示していただくということを取り組んでまいっているところでございます。
そして、そういったものとMID―NETのようなデータベースの整備を進めて、全体でのそのヘルスケアデータの整備が進めば、さらに、その更なる活用というのも視野に入ってくるわけでございますが、現時点で創薬等における医療情報の利活用のための法的措置としては次世代医療基盤法がございます。この次世代医療基盤法につきまして、匿名加工医療情報のより一層の利活用の推進に向けた見直しを進めておりますので、こうしたことも引き続き関係府省とともに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/129
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130・田村まみ
○田村まみ君 似たようなものが幾つもあるというのが素人感覚での見受けなんですね。
本当に政策目的が違うと、省庁の方たちに聞くと、もう一つ一つの個別の政策が違うって、細かく聞けばそうなんですけども、データの利活用をしていくという中では、やはり構築するたびに相当な予算が掛かっていくということもありますので、やはり一つのシステムの中で様々な活用ができるというようなところも、デジタルが、厚労省は本当にデジタル化が遅れているとよく言われてしまうので、そういう視点でも是非見ていただきたいなというふうに思います。
現時点での活用状況は承知しました。
この薬機法では、通常の医薬品、ワクチンでも市販後調査が法律上に定められているわけなので、有効性や安全性も確認と、確認というふうに今回なっているものを、治験数が少ない状況で上市される緊急承認薬について、全数調査や軽微な症例まで収集できる体制というのがあるということが、やはり今回の法が施行された後の国民の理解も進むというふうに考えています。安全性に対する信頼を確立する国の姿勢が私は問われているというふうに思います。
これも参考人質疑で提示があった意見です。二〇一〇年の、当時新型インフルエンザワクチンで百三十三人の接種後死亡報告があった頃の資料、審議会の資料ですね、ワクチン、予防接種後の副反応検討部会のところの資料が提示されました。そして、その議事録では、評価した専門家の名前もきちっと個別の名前として公表されている状態で示されていたという例示がありました。
なぜ十年前には公表していたのに今公表していないのか。専門家として出席しての発言なら氏名を出すべきだというような指摘もありました。私も、それは信頼度が上がるという感想を持ちました。政府答弁を求めても、多分、公表すると公正中立な審議に支障が出るからという答弁だと思いますので、今日は答弁は求めません。
ただ、この実は氏名表示があった議事録の当時の厚生労働省の政務官が誰かということを調べたら、今この委員会に参加されている足立信也委員が当時政務官でした。足立信也議員の姿勢だったのか、政府の姿勢だったのか、そこは問いませんけれども、やはりこういうのを見たときに、正直な姿勢が政権や政府への信頼となって、それに上乗せされて、専門家の皆さんのこの知見が集まった承認プロセスが信頼性が高まっていくというふうに思っていますので、是非ここも検討いただきたいというふうに思います。
次に、ちょっと改正事項ではないんですけれども、緊急薬承認の議論のきっかけにもなった、日本国内で脆弱になっている創薬力や革新的な医薬品を生み出せる環境への支援についてお尋ねをしたいと思います。
四月二十二日、参議院の本会議で足立委員も代表質問で岸田総理に、ドラッグラグについての拡大、この質問をしましたけども、総理は拡大しているとは言えないという答弁をされました。認識が甘いというふうに私も感じております。日本製薬工業会の取りまとめでは、北米での承認済みの国内未承認薬の調査でドラッグラグの拡大の懸念みたいなものも示されているような状況なわけです。
薬価制度においてイノベーションが評価される薬価制度を進めるべきだと考えますので、今回の改定の内容について少し個別にお伺いしたいと思います。
生産性損失の回避等に関わる評価、これについて御質問します。
現在も診療報酬改定、薬価制度改革議論の中で積み残し課題だというふうに認識をしています。そこで、医薬品等の多様な価値を評価する新たな切り口としては、治療効果に伴う就労継続や就労再開による経済効果、健康維持に伴う公的な介護費用の縮減効果といった生産性損失、これに関わる分析も評価項目として新設することを、私は、就労を促進していく、治療しながらも働ける状況をつくるという意味では是非やっていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/130
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131・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
まず、費用対効果評価制度でございますけれども、これは市場規模が大きい又は著しく単価が高い医薬品、医療機器を評価の対象といたしまして、既に収載された医薬品、医療機器について価格調整に用いております。平成三十一年四月から運用を開始して以降、令和四年四月時点におきまして十四品目が評価を終了したところでございます。
それで、分析対象といたしまして、医療費に加えまして御指摘の公的介護費用あるいは生産性損失を含めることにつきましては、令和四年度改定に向けました中医協の議論におきまして、これまで公的介護費等を含めて分析した実績がない、技術的な課題が残されているということで、今後、諸外国における取扱いを含めた研究を進めた上で検討することとされたところでございます。
現在これを踏まえまして、厚生科学研究におきまして研究を行っておるところでございまして、この研究成果を踏まえながら、引き続き中医協において必要な検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/131
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132・田村まみ
○田村まみ君 創薬大国を目指す日本であれば、諸外国の状況を見てではなく、積極的に国内でその情報をきちっと集めて私は評価をしていくべきだというふうに考えます。
次に、新薬創出・適応外の解消等促進加算の品目要件についてもお尋ねしたいと思います。
この改正については、加算対象が広がったという改正されたと思うんですけれども、この効能追加だけではなくて、薬価収載時には確認できなかった有効性が市販後のエビデンス等によって明らかになった品目などについても新薬創出加算の対象に含めるべきだと私は考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/132
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133・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
まず、薬価につきましては、市場実勢価格に基づく改定を基本としておりますけれども、御指摘のように、その上で、特許期間中の新薬のうち革新的なものにつきましては、イノベーション推進の観点から、新薬創出等加算によりまして薬価の引下げを緩和しております。
御指摘の薬事承認済みの既存効能につきまして、市販後に集積されました調査成績により真の臨床的有用性が直接的に検証されている品目につきましては、平成二十二年度の薬価改定以降、改定時に薬価加算の対象といたしますとともに、新薬創出等加算の対象とする取扱いとしております。
また、今般の令和四年度薬価改定におきましては、更なるイノベーションの評価の観点から、革新的な効能追加があった新薬につきまして新薬創出等加算の対象に追加する見直しも行ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/133
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134・田村まみ
○田村まみ君 やったことをアピールしていただいているんですけれども、もう一つお伺いします。
今回の薬価制度改革の中で、市場拡大再算定のこの制度の見直しも行われました。再算定を受けた品目の類似薬についても、一回限りは併せて薬価が引き下げられるというのを猶予されるという制度なんですけれども、これは悪いことではないというふうに考えますけれども、この市場再算定、販売額を基準に薬価を引き下げる制度があるせいで、私は、イノベーションを公定価格で評価しない国だというようなメッセージがあるというような業界の方々の中での情報誌等での主張も幾つかは見ています。
厚生労働省として、再算定制度を維持している理由は何でしょうか。保険財政の維持が目的なのでしょうか。創薬支援を骨太の方針で掲げているにもかかわらず、こうした再算定という仕組みが必要というふうに考えているのか、厚労省のお考え、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/134
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135・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) まず、市場拡大再算定でございますけれども、個別の医薬品の市場規模が当初の予想を一定以上超えて拡大した場合にその薬価を引き下げる仕組みでございます。
この考え方でございますけれども、またこれでございますけれども、市場拡大再算定の対象となった医薬品と市場で競合している類似薬につきましても、公平な薬価改定を行う観点から、当該対象医薬品と同様に薬価を引き下げる取扱いといたしております。この取扱いにつきましては、中医協における議論を踏まえまして、令和四年度薬価制度改革におきまして一部緩和したところでございます。
御指摘の市場拡大再算定でございますけれども、国民皆保険の持続可能性の観点、あるいは先ほど申し上げましたように、医薬品の市場における競合、公平な競合性の確保等の観点から設けられた仕組みでございますけれども、一方で、日本の製薬産業が絶え間ないイノベーションにより革新的な新薬を生み出すための環境整備していくことは重要と考えておりまして、今後の薬価制度の在り方につきましては、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立するよう、バランスを取りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/135
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136・田村まみ
○田村まみ君 バランスを取る、これは私ももちろん、皆保険制度の堅持は当然のことですので、見なければいけませんけれども、先ほど公正公平なところという視点も言われましたけれども、ただ、市場が拡大するかどうかというのがなかなか分からない部分もある中で、やはり製薬メーカーが本当に開発意欲を持って競争しながら開発しようと思ったときに、二番手のところは、後で拡大したというふうにみなされた、ように見えたときに薬価が下げられるということでは、競争する気にもなくなるというふうな受け止めにもなると考えます。
最後に、もう一つ。今回の薬価制度改革で、原価計算方式で薬価算定がされる新薬について、製造原価の開示度が五〇%未満の品目について、係数が〇・二、辛うじてあったんですけれども、これがゼロになりました。有用性加算及び先駆け加算が本来取得できた製品でも全てがゼロになる見直しがされました。
そもそも、厚生労働省として、製造原価など企業秘密である情報を製薬メーカーが全て開示できるというふうに考えているのかということがお尋ねしたいのと、もう一つ、こうしたペナルティー制度をすることで開示度が上がるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/136
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137・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
薬価制度、これは公的保険給付の一環でございますので、適正な値付けとその根拠に関する透明性の確保が重要であると考えております。とりわけ原価計算方式におきましては、原材料費、製造経費など原価についての情報を製薬企業から開示を受けまして、十分な情報を持った上で適正な薬価を算定する必要があるというふうに考えております。このため、令和四年度の薬価制度改革におきましては、薬価の算定根拠の更なる透明性の確保の観点から、中医協における議論に基づきまして、開示度が五〇%未満の場合には加算を認めないこととする見直しを行ったところでございます。
この見直しにつきましては、加算部分についての見直し、認めないということでございまして、原価に対応する部分を縮減するものではないということでございます。他方、企業にとりましては原価の内訳を開示するインセンティブにはなるものと考えておりまして、今後、このルールを適切に運用し、薬価の透明性の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/137
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138・田村まみ
○田村まみ君 インセンティブがあるから開示ができる情報が全てなんだというふうに理解されているのかどうなのか、そこが確認したかったんです。全部出せというふうに、透明性確保は私も大いに賛成なんですけれども、企業での研究開発を考えたときに、私は全てが開示できるものだというのは少し言い切れないんじゃないかと思っています。プラスの部分だとは言われるけれども、やはり新薬、創薬をしていくという上では、私はここはゼロというのはその創薬の、何でしょう、研究開発の力をそいでいくものになるんではないかと考えます。
そういう上で、医療・医薬総合研究所という、何か、くすり未来塾というところの資料を私、この間見ました。薬価制度を含めたイノベーションを生み出すための環境整備について、厚生労働省の元幹部の人たちが何か勉強会立ち上げて出された提言でした。提言の内容としては、国民皆保険制度を堅持するということと、特許期間中の薬価維持する方策として製薬メーカーによる届出制度、また、流通改善や財源確保の政策として医療機関の購入価格を全国一律の価格で償還していくなど、様々な提案がされていました。
厚生労働省として、今後、薬価制度の改革の議論において、以前も抜本的に見直すタイミングではないかというような議論もさせていただきました。
厚生労働大臣、こういうふうに財政規律ありきではなくて、製薬産業側だったり医療側だったり、そして皆保険制度の維持ということで国民のこの三者の立場に立ったこういう提言について参考にすべきじゃないかなというふうに私は思うんですけど、もし見られていたら御所見なりお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/138
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139・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 経済成長や国民生活の安全、安心につながる創薬のイノベーションは重要な課題でありまして、委員御指摘のとおり、そうした観点から薬価制度を検討する必要があるというふうに考えます。そのため、関係者の御意見を丁寧に伺いながらしっかりと議論していくことが重要であると考えております。
厚生労働省としても、昨年九月に取りまとめた医薬品産業ビジョン二〇二一において、それぞれの医薬品に応じた投資の回収の見込みが重要というふうにまとめておりまして、財政ありきで議論するものではないというふうに考えております。
御指摘の医療・医薬総合研究所、くすり未来塾からは、薬価制度について、特許期間中に薬価を維持する仕組みの充実、収載から一定期間、企業届出価格での保険償還を認めること、薬局グループの薬価差分について、診療報酬の減算によって過半を国に返還し国民負担を直ちに軽減する仕組みの導入といった内容の提言がなされているというふうに承知をいたしております。
薬価制度については、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性の両立のため、両者のバランスも考慮することも必要です。御指摘の御提案も含めて、様々な立場から提言等がなされているものと承知しておりまして、今後の薬価制度の在り方については、引き続き、関係業界からの意見もいただく期間も設けつつ、中医協においてしっかり議論してまいりたい、政策しっかりと取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/139
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140・田村まみ
○田村まみ君 しつこいようですけど、重ねて聞きます。
政策しっかり取り組むというふうに今言葉いただきました。前回、大臣所信、予算の委嘱のときも同じ質問したかもしれませんけど、今の話を聞いて、改めてです、改めて、国民皆保険も含めて堅持するといったときに、どうしても外からの圧力というふうに見えてしまう年末恒例のあの大臣折衝で縮減傾向というふうに見られてしまわないように、中医協での議論もというふうに今言葉いただきました。
是非、中医協の議論、ここをしっかりと大事にしていただいて、大臣折衝に臨んでいくというその意気込みを是非大臣から伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/140
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141・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 私、随分、厚生労働大臣としては薬の、創薬のイノベーションについて前向きな立場の色を出しているつもりでございます。
そういう意味で、本当に今後とも、これは日本のイノベーションにとってももちろん大切であります。そのことは日本の国民を豊かにする本でありますけれども、それに加えて、国の中でしっかりと創薬を行っていくということは国民の命と健康を守るということにもつながっていくわけでありまして、そういう意味では、国民皆保険の持続性ということは、これはもちろん我々制度として考えていかなければならないことですけれども、どうやって創薬の力、創薬エコシステムをつくるかと、そういうことも含めてしっかりと考えていきたい、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/141
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142・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
SCARDAの話等々も、様々創薬に向けてという動きがあるんですけれども、是非今の大臣の言葉を聞いて、またメーカーの、企業の皆さんがしっかり研究開発臨んでいただきたいと思うんですが。
最後になると思います。
パンデミック対応の設備に対する支援策としてデュアルユース構想を国は掲げていますけれども、国内製薬メーカーの既存設備はそもそもデュアルユースを想定しておらず、整備の維持に関しての企業の持ち出しが想定されるんじゃないかというふうなところで、本当に実現できるのかというような疑いの声も上がっています。
米国では、デュアルユースではなくて新たな製造プラットフォームのパンデミックインフルエンザワクチンへの展開を前提として、まずは季節性インフルエンザワクチンに対する設備整備に助成をしているとか、そこで整備した季節性インフルエンザのワクチンの製造の設備、これをパンデミックインフルエンザのワクチンの製造に展開できるようにというような形で支援をしています。
その上で、パンデミックのインフルエンザに対応するための季節性インフルエンザワクチン生産に必要な生産キャパシティーを超える部分の維持費用に対して、こういうところにこそ、例えば国家備蓄等ですね、パンデミックワクチンの国家備蓄とか、こういうところの購入、これを通して持続的に支援をしていくという仕組みの方が求められているものだというふうに思います。
製薬企業が求めている真の支援、整備後の維持費に関する継続的な国の予算確保、ここがなければ、私は、このデュアルユース構想を掲げているけれども言葉だけになってしまいますけれども、厚生労働大臣、この点についていかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/142
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143・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) デュアルユース設備の施設整備支援は経済産業省において実施されているものでありますけれども、平時はバイオ医薬品の製造販売を行い、その収益によって設備の維持管理等を行うという考え方の下でオペレーションをするということでございます。また、事業者の投資を促すために高い補助率が設定されているものと承知をいたしております。
それから、厚生労働省といたしましても、ワクチンを国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは危機管理上も極めて重要と考えておりまして、新型コロナワクチンの開発を行う国内企業に対する支援に、ここを一生懸命取り組んできております。令和三年度補正予算では、国内企業が新型コロナワクチンの開発に成功した場合の買上げに必要な予算として千三百億円の措置をしたところでありまして、こうした予算も活用し、今後もしっかりと支援を行っていきたいというふうに思っております。
なお、ワクチンの備蓄に関しては、例えば新型インフルエンザについて、その発生に備えてプレパンデミックワクチンの備蓄を行っております。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、国内での開発、生産の基盤整備を後押ししてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/143
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144・田村まみ
○田村まみ君 国内での開発、生産がなければ承認制度があっても意味がない、これを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/144
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145・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
それでは、今日、まず最初に、経済産業省さんに来ていただきまして、ちょっと今止まっているかと思うんですけれども、この三回目の新型コロナワクチン接種を受けた方を対象としたいわゆるイベントワクワク割ですね。これ、三回目のワクチンだけではなくて、陰性証明なんかでも使えるということなんですが、これは二〇二一年度補正予算で三百八十八億円を計上して準備を進めてきたんですけれども、先月の岸田総理の答弁でも直ちにスタートすることは考えていないということなんですが、一方で、五月中の再開を目指すという話もあったんですけれども、現時点でこのイベントワクワク割のスタートというのはどういう検討状況になっているのか、それから、どういうことを指標としてこれを実際に行うかどうか決断をしていくのか、その状況を今教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/145
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146・澤井俊
○政府参考人(澤井俊君) お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたように、この事業は消費者の皆様が安心してイベントに参加できるようにというその環境を醸成するために、ワクチンの接種歴ですとかあるいは検査結果を活用しながらイベント業界の需要を喚起するという、こういうことを目的とした事業でございます。
現時点では、キャンペーン時期の開始時期については未定ということでございます。いつから開始するのかということでございますけれども、これにつきましては、感染状況をよくよく踏まえまして判断をしてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/146
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147・梅村聡
○梅村聡君 ですから、恐らく陽性者で見るのか、あるいは病床の逼迫で見るのか、そこは決まった数字があるわけじゃないんでしょうけど、総合的にそこを判断されるということだと思います。
それでは、経産省さんの答弁はこれで終わりになりますので、お引き揚げいただいて結構かと思います。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/147
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148・山田宏
○委員長(山田宏君) 澤井審議官には御退席いただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/148
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149・梅村聡
○梅村聡君 ありがとうございます。
それでは、大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、今回、薬機法を議論する中で、いわゆるその通常承認に比べて今回の緊急承認というものが有効性、安全性に関してしっかり担保がどこまでできるのかということが議論されているかと思いますが、ワクチンに関しても、特例承認ということで法律上は有効性も安全性もこれはクリアができているんだということだと思うんですけど、これ最低レベルのことを僕は言っているんだと思うんですね。
つまり、どういうことかというと、棒高跳びなんか分かるかと思いますけど、通常承認というのは結構楽々と、三相試験も十分やったりとかですね、楽々と跳んでいると。ところが、同じバーが落ちなかったとしても、バーには体触れているんだけど落ちなかったのでセーフと。これも棒高跳びはクリアしたということには当然なるわけなんですね。
つまり、通常承認というのは、完璧かどうか分からないけど、ある程度これまでの医薬の常識であるとかいろんな治験の収集の中でしっかりクリアできているものを、例えば今回の緊急承認だったら、緊急性が高いかとか、あるいは代替の薬がないとか、そういうことで有効性を今回は少し目をつぶりながらも緊急をしていくと。特例承認も一緒だと思いますね。海外のデータはあるから、通常だったら国内で何万人という方の治験をやるんだけれども、その時間がないから、バーに少し体当たるかもしれないけどクリアはしているんだということでやってきたという、そういう背景があるんだと思うんですね。
まず、何でイベントワクワク割とこの話をしたかというと、やっぱり今回のワクチンに関しても、だからこそ発売後ですね、発売後というのは今皆さんが接種していることだと思いますけど、そういうデータを真剣に集めて、あるいは注意深く、より、より観察をしなければいけなかったり、あるいはいろんなうわさも広がるわけですね、打ったらこういうことが起こった。さっきSNSという話がありましたけど、そういうことを、極めて、真面目にと言ったら変ですけれども、しっかり皆で注意してやっていかないといけませんねという中で今特例承認もやっていると思うんですが。
これ、普通に考えたら、いや、それをイベントワクワク割に使おうと言われたら、やっぱり厚労省として、私は、ちょっと経済産業省さん、ちょっと待ってくださいと、陰性証明を使うのはまあいいとしても、このワクチンは、これ国民の皆さんも非常に心配をしているし、しっかり観察をしているものだから、そういうものを打ったか打っていないかと娯楽性の高いものをくっつけるというのは誤解が生じますよと、厚労省としては、ちょっとそれは考えていただきたいと思いますという議論があっても私はおかしくなかったんじゃないかなと思うんですけど。
これ、よその省庁がやったことだからいいんだじゃなくて、厚労省として、こういう使われ方されること、あるいはワクチンの分科会の専門家の方も、こういう話、本当に使うことがどうなのかという議論が、どのように考えておられたのか。ちょっとこれは、何というか、非常に国民の立場に立ったら分かりにくいことなので、ちょっと厚労省としてこういうイベントが出てくることをどう考えておられるのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/149
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150・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) まず、出発点の問題として、安全性は確認をしなければならない、有効性については推定でいいということで、緊急の事態に、例えば治験の範囲だとか、あるいは資料の整え方だとか、そういうことについて特別な扱いをするという制度だというふうに思っておりますんで、基本的に言えば、緊急承認されたワクチンが、例えばさっきおっしゃった例でいえば、すれすれに跳んだワクチンと悠々跳んだワクチンでワクチンの質が違うというふうに思っているわけではありません。もちろん、推定されている分、あるいは、例えば判断の材料について条件を付けて後で足すというようなこともあるわけでありますけれども、少なくとも国民の皆さんに使っていただくことについて、我々としてはしっかりと薬事法の承認を与えたワクチンであるというふうに思って、考えてはおります。
イベントワクワク割に感染状況を前提にしてとか、あるいは経済と国民の健康を感染抑制という観点でどういうふうに考えていくかというような話は、これはそれぞれ皆さんお考えもあるだろうと思いますし、それから、我々もより丁寧にワクチンの性状等をしっかりと確認しながら、客観的エビデンスに従ってどういう判断をしていくべきか、厚労省としてはそういう観点から判断をしたいというふうに思っています。
イベントワクワク割について言えば、新型コロナウイルス感染症対策本部で決定されました基本的対処方針、これ、専門家の皆さんもたくさん入って議論しているわけでありますけれども、そこで民間事業者の取組を推奨するというふうにされたものでありますし、新型コロナウイルス感染症対策分科会、これは内閣官房に置かれたものでありますけれども、そこにおいても、専門家の議論等を踏まえて、結論が出たことの中から各省が運用について議論しているものだというふうに承知をいたしております。
いずれにしても、厚生労働省としては、接種の有無による差別や不利益な取扱いが起きないように、また適切な感染の状況やそうしたものを踏まえた運用がなされるように、厚生労働省としての立場でしっかり見ていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/150
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151・梅村聡
○梅村聡君 これ、個人の感性の問題もありますけど、私の感性ではおかしいことなんです。やっぱり薬とか、そしてワクチンとか、それを承認をするかどうか、これは毒物が体に入らないようにちゃんと規制をしましょうというのが厚生労働省の役割だと思うので、私の感性ではちょっとおかしい話だと思うんです。
だから、何が言いたいかというと、そこで本当にそれ使っていいのかという感性を持っておいていただきたいということなので、結論として、じゃ、それに使いましょうというのは、それは政府全体の話だと思いますけれども、感性としては私はもう明らかにおかしいことだと思っていますので、この感性の話をここでもうしても仕方がありませんけれども、今後いろいろそういうことが出てきたときに、やっぱりそういう観点というのは私は持っておいていただきたいなというふうに思います。ちょっとそのことは、今せっかくここで薬事承認の話をしていますから、やっぱりそういうことを注意していただきたいなというふうには思います。
それからもう一つは、ちょっと一か月ほど前になりますけれども、財務省の財政制度等審議会で、今回の新型コロナの医療に係る公費支出の金額が発表されました。その中で、今回、ワクチンは、購入、流通経費では二兆四千億円、そして接種費用では二兆三千億円が、これが公費から使われたと、だから合計四・七兆円使われたということですけれども。そして、購入費用が八億八千二百万回分ということで、大体、接種費用と流通費用と、そしてワクチンの原価、これの総額と回数がはっきりをしてきましたので、全体像が大体見えてきたかと思うんです。
この審議会の中では、同時に、やはりこれだけ巨額の支出になっていますから、費用対効果をそろそろ検討すべきだということも付されています。その中で、ほかのワクチン等も定期接種化するとか、あるいは公費でそれを負担する場合は費用対効果というのはこれ検討されるわけなんですけれども、こうやって総額も出てきて回数もはっきりしてきましたから、そろそろ費用対効果を検討し始めて検証すべきだと思うんですけれども、これ、大臣としてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/151
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152・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナワクチン接種には感染予防効果や発症予防効果、重症化予防効果があると承知しておりますが、三回目の接種を受けた方は、そうでない方と比べてどの年齢であっても大幅に感染が少なくなっているというエビデンスは示されています。こうした効果がもたらす社会、経済社会での効果というのは、これは相当大きいものだというふうに考えています、経済効果全体まで含めてですね。
御指摘の費用対効果については、一つの大事な視点であると考えておりますけれども、直接、間接の効果を数値で算出するということは、そういう意味では、先ほどワクチンの調達コストだとか、そういうコストについては積み上げすることがある程度もちろん可能であるわけでありますけれども、間接、直接の効果を数値で算出するということは非常に困難なことであるというふうに思っております。
いずれにせよ、政府としては、税金の使い道でありますから、国民に御理解いただけるようにしっかりと国民に説明をしていく必要はあるというふうに考えておりますし、国民への説明はしっかりとしたい、していきたいと思っておりますけれども、今、足下、ワクチン接種をともかくこの新型コロナウイルス対策として、これは、定期接種のような非常にきっちりと、ある程度客観的エビデンスに従って分かっている状況のものでない中で、オンゴーイングでワクチン接種を推進していくということでやっぱり取り組んでいくことが今の状況では必要だろうというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/152
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153・梅村聡
○梅村聡君 今まで費用対効果ということは、なかなか、ワクチンメーカーとのその契約があって金額もはっきりさせれないからなかなか出すのは難しいという、そういう御答弁があったので、金額が出てきたからそろそろどうかなということで御提案させていただきましたので、またどういう指標を使うかということについてしっかり御検討いただいた上で、国民への説明責任をお願いしたいと思っております。
それでは次、四回目接種のお話になりますけれども、今、報道では、四回目は高齢者に関しては打っていただくと。若者世代というか、高齢者以外の方については基礎疾患がある方にワクチンを四回目はすることを検討しているというふうに言われておるんですけれども、これ、そうしますと、四回目は予防接種法上は今の臨時特例接種の枠組みのままでやるのかどうか。そして、今までは国民全体にそれが掛かっていましたから全員の方に接種券を配っていってやれたと思うんですけれども、今回、もし今言われている検討状況のままでしたら、若者世代は、これ接種勧奨と努力義務を掛けたまま臨時特例接種という形にするのかどうか。そうすると、打つ打たないという方が出てきますから、掛けた義務や勧奨というのはどうなっていくのか。ちょっとこの辺りを整理して教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/153
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154・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
新型コロナワクチンの四回目接種につきましては、四月二十七日の審議会で議論されまして、重症化予防を目的として特例臨時接種として位置付けることと、それから次の四点が了承されております。
まず一点目として、使用するワクチンはファイザー社のワクチンとモデルナ社のワクチンとすること。二点目として、接種対象者は、改訂後のワクチンの添付文書の記載や六十歳以上の方に対する有効性に関する報告あるいは諸外国の状況を踏まえまして、この接種対象者は、六十歳以上の方、そして十八歳以上六十歳未満で重症化リスクの高い基礎疾患を有する方、それからその他重症化リスクが高いと医師が認める方とすること。また、今後更に科学的知見等の収集に努める中で、六十歳未満の方への接種についても検討を進めること。それから三点目は、三回目接種からの接種間隔は少なくとも五か月以上空けること。四点目として、自治体による接種勧奨の規定は、先ほど申し上げました全ての、接種対象者の方全てに適用することと。つまり、高齢者の方と、あっ、六十歳以上の方と基礎疾患等のある方ということですが、について適用すること。また、現時点の科学的知見の集積状況も踏まえまして、接種を受ける努力義務の規定は六十歳以上の方について適用することというふうに、となっております。
厚生労働省としては、こうした審議会における議論の結果を踏まえまして、五月末から四回目接種を開始できるよう必要な手続を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/154
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155・梅村聡
○梅村聡君 ですから、六十歳以上の方は多分混乱はしないと思うんですね。
問題は、六十歳未満の方は、自分自身でハイリスクか基礎疾患を持っているかということは分からないので、それ、お医者さんところ行って初めて分かるわけなんですよね。だから、行く前は分からないので、そうすると、どの人にその義務が掛かっているか、臨時特例接種かということが事前に分からないので、恐らく、自治体にチケットか何か分かりませんけど取りに行って、それを持って医療機関に行って、あなたはハイリスクですよと、あなたは打たないといけませんよと言われて初めて臨時特例接種になるかと思うので、これ以上の答弁は必要ないんですけれども、手続的には結構混乱するんじゃないかなと思いますので、その辺りきっちり、運用がうまくいくように、通知を出されたり、あるいは国民に分かりやすい説明ということをお願いできればなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
それでは、今回の緊急承認についてお伺いをしたいと思いますけれども、今回、緊急承認における適用対象となる医薬品等の条件の中に、ほかに代替手段が存在しない場合というのが入っております。ですから、緊急承認をするかどうかの条件の一つが、ほかに薬がないよと、ほかに医療機器がないよというときだと思うんですけれども、これまでの厚労省の説明は、ほかの複数の、先ほど答弁にありましたけど、ほかの複数の医薬品が既に承認されている場合においても、治療の選択肢を拡大し、より安定な供給に資するような場合にはこの制度の適用が認められるということですから、ないだけじゃなくて、あっても安定供給が必要なときは緊急承認使えるよという話だと思うんですけれども。
これ、具体的にちょっとお聞きするんですけど、例えば今の状況ですね、今のワクチンの状況、海外製のものは十分来ているんだけれども、国産のワクチンとか治療薬はやっぱり安全保障の観点から考えたら欲しいと、国としては用意をしたいと。そうしたら、この国産であることを目指して緊急承認制度使えますかと。つまり、この代替性の容認の、要件の中に国産というものは入るのかどうか、これちょっと御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/155
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156・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、端的に申し上げて、国産であるという明示的な要件というものはございません。
ただし、何度か御議論いただきましたように、ワクチン等を国内生産、開発できるということは、やっぱり安全保障上も重要でありますし、また安定供給という観点からは、仮に外国からの調達というものがどのような形になるかによるんですけれども、継続的な供給という観点から見れば不安定というふうにみなされる場合がございますので、そういう意味では、国内産というのは安定供給という観点からは考慮されるんだろうというふうに思っております。
ただ、その量との関係、安定供給で量との関係おっしゃいましたけれども、量があったとしても例えばモダリティーが違うですとか、何でしょうか、その有効性が更にいいだとか、あとは対象者ですね、重症者に効くとか、そういった観点も含めて考えていくということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/156
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157・梅村聡
○梅村聡君 だから、国産という文字が明示されているわけじゃないけれども、状況としては国内できちんと確保できるということが比較的重要な要素になるので、そこは考慮される可能性があるという、そういう考え方でよろしいでしょうかね。そういうふうに認識をいたしましたので、そこはまたしっかり考えていただく観点だと思っております。
それでは、ちょっとあちこち飛びますけれども、今まで医療、医薬品の話をしてきましたけれども、ちょっと医療機器の話でいきますと、最近、医療機関へのサイバー攻撃というのが結構起こっていまして、電子カルテが使えなくなったりとか、そういうことが現実的には起こってきています。
これ、医療機関の中ではネットワークでつながってきていますので、当然サイバー攻撃というのは電子カルテだけではなくて医療機器ですよね。そのネットワークでつながっている医療機器にも影響が及ぼしてくると言われていまして、海外では結構いろんな医療機器のサイバー攻撃に対する脆弱性ということが言われていまして、例えばインシュリンポンプが止まったとか心臓のペースメーカーの脆弱性が明らかになったとか、そういうことが報告されていると聞いているんですけれども、日本の医薬品あるいは医療機器の審査の中では、このサイバー攻撃に対する審査というか、これを念頭に置いた審査というのは現時点では行われているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/157
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158・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 薬機法の体系におきまして、医療機器の基本要件基準というものを定めております。その中にリスクマネジメントの実施ということを明示、明記しております。それを踏まえまして、医療機関のネットワーク等を介して外部からのサイバー攻撃等のリスクについても、その危険性を評価し、適切な手段によるリスク低減策が講じることを求めておりまして、その観点からPMDAは承認審査を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/158
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159・梅村聡
○梅村聡君 だから、念頭に置いては今まで審査はされてきたということなんですが、そうしますと、今回、緊急承認制度で、じゃ、例えばの話ですけれども、医療機器が緊急承認された後に、その間審査は続くわけなんですけれども、緊急承認された後にサイバー攻撃とかそういったものへの脆弱性がもし判明した場合は、これは承認取消しの対象になるということでしょうか。教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/159
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160・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 要は、ソフトウエアの脆弱性が承認取消しになるかということなんですが、これはそうしたソフトウエア等に限らず医療機器全般に言えることだと思うんですが、不具合というか安全性に問題がある、あとは有効性に課題があると発見された場合には、まずはその改修あるいは補修とか、そういったことによって対応するということになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/160
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161・梅村聡
○梅村聡君 これは多分、実際に攻撃が行われて電子カルテが止まって初めて分かる話なので、なかなか事前には分からないですし、恐らく、襲ってくるウイルスというか、ウイルスって電子上のウイルスですね、これによって全然違ったものが出てくるかと思いますので、現実的には事が起こった後ということだと思いますので、この点も、実際追い付いて、世界の流れに追い付いていかないと対策というのはこれ難しいかと思いますので、ちょっと薬機法とサイバー攻撃というのはちょっとつながらないかもしれませんが、こういう観点というのも非常に重要な観点としてあるということを是非念頭に置いて、この法律の議論とこれでさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/161
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162・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
日本人というのは非常に薬に頼る国民性がありまして、今回のワクチンの話もそうなんですけれども、コロナの疑いがなったときに、飲む薬もなくて、とにかく熱があっても何でもうちで水飲んで寝ていてくださいというこの恐怖に耐えられないという、いつ薬を飲んだら治るという時代が来るのだという質問を多く受けております。非常に、とにかく寝ていて安静にしていてというんじゃ不安なんですね。
それと同時に、初めて今回、薬に関して誰かの言うことだけ聞いていればいいというんじゃなくて、自分で考えてくださいと。あなたは基礎疾患があるんですかとか、子供にワクチンを打たせるかどうかということも、自分で情報を集めて、どうするか自分で一度、一度考えて、それから医師に相談するなりしてくださいという、こういう意味におきまして、日々の皆さんの薬に対する積極的な意識改革、それから行動変容というのにつながってきている時期、いい時期にあるんじゃないかと思うんです。
特に、今回は医薬品と医療機器の品質及び有効性と安全性ということですよね。安全性と有効性、これは皆さんにしてみれば両方欲しいわけで、どっちが欠けても、どっちが先かという議論をされていても、そちらで早く両方とも安心できるようなものを作ってくれということになるんだと思います。
そこで、私がずっと聞いていて感じるのは、やはりデータとかファクト、起きていること、それを直視して将来の計画を立てていくということがちょっと苦手なんじゃないかなと思って聞いております。言ってみれば、統計学とか生物統計学のプロという人たちが余り計画性に基づいて現状のデータ分析をしていないんじゃないかなと思うんですが、そこで、今日は、かなりデータ的なことを明白にする質問を七つぐらい用意してきましたので、お答えいただきたいと思います。
患者様の皆様からではなく、薬剤師からの不適正処分の指摘についてちょっとお伺いしたいんですけれども、医師の処方が適正でないと判断するのは、処方箋の記載あるいは患者様の言葉などがきっかけだと考えられます。
そこで、三つぐらい確認したいんです。
一つ目の質問は、薬剤師さんがこの不適正処分を指摘するときに、まず何を手掛かりにどのように判断するのか。二番目に、医師の処方が不適正だと判断された場合、薬剤師さんはどのようにすべきということになっているのか。三番目に、薬剤師さんから指摘された医師はどのような措置をとるのかという、この三つを確認させていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/162
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163・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、その御指摘された不適切な処方というものは具体的にどういうものなのかということは定義が難しいのでございますが、まず、その薬剤師がどのような手掛かりかという言葉から申し上げれば、薬剤師、薬局の薬剤師は、処方内容に薬剤師さんが疑義を感じた場合には医師に問合せを行う必要がございます。これは薬剤師法に定められたもので、疑義照会というものでございます。
この疑義照会は、処方箋を見て様々に薬剤師さんがお考えになるわけでございますけれども、例えば、過去の薬歴を見て過去の薬の処方状況との比較ですとか、あるいは患者さんが持参されたお薬手帳の記載内容でほかにどんな薬を飲んでいらっしゃるのかですとか、あるいは患者さんからどういった病状なのか等を聞いたりとかいうことで、薬剤師がそういった様々な情報あるいはヒアリングなどを通じたことを端緒として始まるというものでございます。そして、今回、電子処方箋の仕組みというものをお願いしておりますが、そういった意味においては、処方、調剤情報の閲覧というデジタル機器の有効、活用に有効でございます。
そして、そうした疑義照会が分かった場合の手順でございますけれども、通常であれば、その調剤を行おうとする薬剤師さんが処方されたお医者さんに接触すると。現時点であれば、電話などによって問合せを行いまして、そして薬剤師が感じた疑義をそのお医者さんに伝え、それに応じてお医者さんが御説明されるということでございまして、それを踏まえて仮に何らかの指示がその処方されたお医者さんからあれば、その指示に基づいて必要に応じて処方内容の記載内容を薬剤師の方で変更するという手順になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/163
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164・石井苗子
○石井苗子君 ありがとうございます。
実際に私は病院で働いていたので、今の疑義照会という言葉はよく分かりますけれども、多くの方は分からないと思います。
ほとんどが、先ほど私が日本人は薬を飲んだら治ると思っていらっしゃる方が多いと申し上げましたけれども、その薬が自分に効くかどうか、効いてきたのかどうかということは医師に対して余りはっきり言わないんです。この薬効かないんですけれども、やめたいですとか言わないんですよね。勝手に、六種類ぐらい処方されている自分の効きそうだなという薬から先に飲んでしまうと。ところが、医師の方は、いや、その薬じゃなくてこっちの薬の方がメーンなんだからと言う。それがなかなか医師に、いや、違うんだと言えないので、薬局に行って薬剤師さんに、この薬効かないんだけどなと、こう言うわけですね。そうすると、この薬は効かないと先生に言ったんですかと、いや、言ったような言わないような。
大体、一番目の質問を、何を手掛かりにどのような判断をするのかは患者様からのクレーム、文句でございます。これを、掛かってきました、私もそれを電話受け付ける役をしていたんですが、大体のドクターが、先ほど私が申し上げたように、薬の効き方なんて薬剤師が分かることではないとかとなってきて、そこに摩擦が起きるわけなんです。
ですので、こういった問題をどのように解決していくかという点について次の質問をさせてください。先ほど、ちょっと質問より先にお答えいただいたような感じがあるんですが、薬剤師さんから処方の不適切が、不適正でもいいんですか、不適正が指摘された件数についてお伺いします。
医薬分業には非常にメリットがあるということをこの間、前回、御説明政府側から受けましたけれども、薬剤師さんが医師の処方をチェックするという利点があるという、まとめるとこういうお話でした。であれば、年間で薬剤師さんが医師の処方をチェックした事例、いわゆる先ほどの疑義照会、何件ありますか。疑義照会した処方箋の割合はどのぐらいで、疑義があるとされた処方箋は薬剤師さんによってどのような点が指摘されているのかという調査があったら結果を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/164
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165・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 薬局薬剤師の疑義照会につきましては、平成二十九年の厚生労働省、我々の調査では、薬剤師が処方内容を確認し、医師に疑義照会を行った割合は、薬局で受け付けた処方箋全体のうち二・八%でございます。これを単純に令和二年度の年間処方枚数に換算いたしますと、約二千万枚程度というふうに推計されます。
また、その疑義照会の内容でございますが、平成二十七年度の日本薬剤師会の調査によれば、内服薬の用法に関する疑義が一五%、患者への聞き取りにより確認された残薬の数を踏まえた投与日数、投与総数の調整が一三%、処方意図の確認が一〇%というものでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/165
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166・石井苗子
○石井苗子君 大体、私の現場でもそうです。この薬は残薬がどのくらいあるけれども、足りないとか多いとか、そういう数的な問題だったり、それから、どうしてこの薬が出ているのかという一〇%、これは、もう先生にこの薬は要らないと言ったんだけれどもやっぱり処方されたんだなということで、そこを、医療現場ではそんなことははっきり聞いていない、要らないんだったらカットすると、ここで決めてほしかったというような、そういうやり取りがあるんですね。
その疑義照会した処方箋の割合、大体二・八%という話だったんですが、では、薬剤師さんが、処方チェックの有効性について次は質問させていただきます。
薬剤師さんが疑義照会した場合、処方が変わるわけです。この場合、薬剤費が減額されることになりますね。年間でどのくらいの医療費の削減効果があるのか、試算がありますでしょうか。疑義照会によって、二番目に、副作用が防げたというような事例がありますでしょうか。あるのでしたら教えていただきたい。疑義照会というので、医療費の削減というのを先ほど私申し上げましたが、医療費の削減以外に何か効果があると言えるものがありましたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/166
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167・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、結論から申し上げますと、お尋ねについて特段それに応じた調査や試算はございませんが、まず、その薬剤師による疑義照会により確かに重複投薬が抑制されれば、それは医療費が適正化されるんだろうというふうに考えますが、一方で、そうしたやり取りの中で薬が増えるというか、場合もございまして、それはなぜかといえば、疑義照会は医療費適正化を目的としたものでなくて、いかに効果的な薬物治療を発揮するかということでございますので、そうした観点からも、その医療費適正化の調査とか試算は行っていないということとなります。
それから、医療費削減効果の、どんな効果が、以外にどんな効果があるのか、副作用を防げた例があるのかということについても特段その調査等はしておりませんが、いずれにしましても、薬剤師というのは、医師と独立した立場で患者さんの服薬情報を一元的、継続的に把握することで重複投薬、相互作用の有無などを確認して、有効な薬物療法を提供するということに私は役割があり、その手段として疑義照会が薬剤師の責務になっているというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/167
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168・石井苗子
○石井苗子君 では、余り試算は出ていないと。もう推計があるかなと思ったんですけれども、出していないといいますか、ファクトとかそういうデータに基づいた分析が出てきていないと思うんですね。ただ、そのメリットはあるとか、独立している、分業しているというようなことなんですが、やっぱり何かのこれだけの効果があったとか、だからいいんだというようなことを、将来的にこれじゃ駄目だとか、数字に基づいて少しやっていかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。
今、副作用が防げたというような事例があるかどうかということも御質問したんですが、答えが返ってこなかったので、多分、推計取っていないんだと思うんですね。そうすると、その薬剤師さんは、頑張って不適正な処方を発見しようとするそのインセンティブというのが出てこないんじゃないかと思うんです。ただ不満とかそういうのを聞いてはドクターのところに電話を掛けてきてと、そんなような感じでインセンティブがあるのかなと思うんですね。
処方を適正にするためには、その動機付けというか、それをやろうというインセンティブを増やしていかなきゃならないし、増やしていければいいと思うんですけれども、何かそのようなことを考えていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/168
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169・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 薬局の薬剤師が医師から独立した立場で薬学的知見に基づきまして重複投薬や薬の相互作用の有無の確認を行うことは、患者への安全で効果的な薬物療法の提供につながることから非常に重要であると考えております。このため、診療報酬においても、薬局の薬剤師が処方医に重複投薬や相互作用の防止に関する疑義照会を行い処方内容が変更された場合や、多剤服用の患者の服用薬を一元的に把握した上で処方医に重複投薬等の解消の提案を行った場合の評価を設定しております。
こうした診療報酬上の評価を通しまして、処方内容の確認や医師への疑義照会が適切に実施されまして、患者が安全で効果的な薬物療法を受けられるように引き続き取り組んでまいりたいというふうに思います。今日、委員が御指摘の薬局の薬剤師の役割というのは、そういう意味で非常に重要だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/169
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170・石井苗子
○石井苗子君 サービス業はいいんですけれども、もう少し、例えば保険点数なんかはどうなっていますか。今言っていらっしゃいましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/170
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171・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 重複投薬、相互作用等の防止加算で四十点、服用薬剤調整支援料で九十点から百二十五点の評価になっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/171
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172・石井苗子
○石井苗子君 分かりました。
これから、私が一番最初に申し上げたように、自分のことは自分で守るという点におきまして患者側がどのようなことを積極的にやっているかというお話をしたいんですが、私どもはお薬手帳というのをいつもお聞きするんですが、十人いたら六人は持ってこないんですね。どんな薬をどうしていたか、何が効かないのか、どこでどうだったのかということを、とにかくお医者さんに行って顔を見たら分かるんじゃないかと、一日五十人ぐらい診ているんですけど、皆さんがそう思っていらっしゃるわけです。
一般的にお薬手帳というのは普及してきたと思われますけれども、実際に使わないで持っているだけだったり、薬局に行くときも持っていないというケースが多いと思われますが、お薬手帳の普及率どのくらいでしょうか。それから、実際に持っている人はそのうちどのくらいの割合になるのか、把握していらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/172
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173・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、お薬手帳、紙とそして電子と二つございますけれども、私どもが行った令和三年度に実施した調査によりますと、お薬手帳利用者でございますが、保有していると回答した患者さんは九六・五%でございました。そのうち、紙のお薬手帳のみを保有していると答えた方が八二・一%、電子版お薬手帳のみを保有している患者は五・二%、両方保有しているという患者さんは九・二%でございました。なお、その回答者の数は八百二十七名でございました。
それから、じゃ、実際にお薬手帳を保有している患者さんのうち、毎回お薬手帳を薬剤師などに見せているという回答をした患者さんは七九・八%、時々薬剤師などに見せているとした患者さんは一〇・二%でございました。こちらは回答数が七百九十八名というものでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/173
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174・石井苗子
○石井苗子君 厚生労働省の調査ですよね。分かりました。
そうすると、その手帳の電子化についてお答えいただきたいんですが、今のパーセンテージですと、この計算でいくと九六・五対五・二%という、非常にバランスが悪いなと思って、持っているけれども有効利用されていない、自分のお薬手帳で自分の薬の管理をしていると自覚している患者さんの数は少ないというふうに理解できるんですが。
これ、医療や保健関係の手帳というのは、以前、疾病管理手帳というのがありましたよね、もうなくなったと思うんですけれども。あと、母子手帳と言われている母子健康手帳というのがあります。あと、介護予防手帳、かかりつけ連絡手帳、もういろいろあるんです、手帳、手帳と。いろいろあるんですが、これらは電子化されていますか、今。
もう一回言います。母子健康手帳、介護予防手帳、かかりつけ連絡手帳、これ電子化されているのか、あるいは、今後電子化を進めてマイナポータルとの連携を図っていくおつもりがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/174
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175・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、電子版お薬手帳につきましては、今回電子処方箋ができた、整備されれば、そのマイナポータルから情報を引き出せるような方向で今検討しているところでございますし、また、電子お薬版手帳相互の、いろんなところが発行主体ございますけど、その相互の連携というのも共有、情報の共有化というのも進めているところでございます。
そして、具体的にお尋ねのあった母子健康手帳、それから介護予防手帳などでございますけれども、今後、内容や用途を踏まえながら、電子化も含めまして、医療機関などの閲覧性の向上の方策について検討してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/175
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176・石井苗子
○石井苗子君 そうなんです。まだマイナポータルとの、マイナンバーとそのマイナポータルの関係が整理整頓できていないので、これからその手帳を一貫性を持って全部電子化していくことが合理的なんじゃないかと。
お薬手帳は、アプリで利用できる電子版お薬手帳という、これ徐々に普及していると理解しております。何でしたっけ、電子薬歴ですか、電子薬歴システムというのを導入されますよね。それで電子管理の薬歴というのが薬局全体の大体七割強ぐらいあるというふうに把握しているんですが、それに間違いなければ、これからマイナンバーカードの保険証が導入されて、オンライン資格確認等システムで参照できるというふうな方向性でいくのであれば薬歴情報などの活用が重要になってくると思われるのですが、こうした中で、全部の関係、お薬手帳、電子薬歴システム、マイナポータルの関係はどのようになっていくかという、最後にお聞きしたいのは、方向性と計画をお聞きして質問終わりたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/176
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177・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、方向性としては、電子お薬手帳とオンライン資格確認システムのレセプト情報、あるいは電子処方箋システム情報のその処方、調剤情報というものをマイナポータルを通じてお薬手帳に取り込んで連携していく、可能としていく方向性は定まっておりますし、それを順次進めていくということでございます。
一方、御指摘のあった電子薬歴は、おっしゃるように、薬局の薬剤師が患者さんの処方歴、副作用歴、指導の内容、それから先ほど御議論のあった疑義照会の内容を電子的に記録、確認するものでございまして、やはり薬剤情報の一元管理という観点からはオンラインシステムと電子処方箋システムの連携が望ましいので、実はその意義はそれを開発しているベンダーも理解していただいているところでありまして、円滑なデータ連携に向けて今ヒアリングを行いながら論点整理を進めているところでございまして、方向性としては見えていると。ただ、まだ緒に就いたばかりでございますので、具体的な計画はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/177
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178・石井苗子
○石井苗子君 今後は患者の目線で合理的になって、医薬、医療費の削減につながることを期待しております。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/178
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179・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
二〇二一年の十月に、先ほども紹介ありましたけれども、サイバー攻撃がされた徳島県の病院で、コンピューターウイルスのランサムウエアですね、感染して電子カルテが使用不能となったと。重大なこれ医療機能の停止を招いた事案でした。
近年、こうした医療機関を狙ったサイバー攻撃というのが報道等で散見いたします。厚労省として、こうしたサイバー攻撃の件数及び被害状況についてどのように確認されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/179
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180・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
厚生労働省が定めております医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、これにおきましては、医療機関がサイバー攻撃を受け、個人情報の漏えい等が生じた場合又はそのおそれがある場合には、厚生労働省に連絡を求めております。この中で、この当該連絡を通じましてサイバー攻撃の件数あるいはその被害状況といったことを把握を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/180
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181・倉林明子
○倉林明子君 件数はどうですかと、被害状況はどうですかと、具体的な中身で聞いているんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/181
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182・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) 個々の事案とかあるいは件数につきましては、ちょっとセキュリティー上の問題がございまして、ここではコメントを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/182
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183・倉林明子
○倉林明子君 被害状況の詳細について、病院特定しようという意図で聞いているんじゃないんですよ。サイバー攻撃の実態として、どの程度やっぱり病院のところに影響出ているのかということは共有する情報として必要だと思いますよ。
これ、警察庁はランサムウエア被害を報告しています。これによりますと、年々増加していまして、令和三年の下半期、これ令和二年下半期と比べると四倍になっているという数字なんですね。これ、病院でも同様の傾向あるんじゃないかと思います。
厚労省は三月にガイドラインを改定いたしまして、医療機関に対し、バックアップデータの保存、サイバー攻撃想定した訓練の実施、これ対策を強化するよう求めているわけですけれども、ガイドラインを改定したから、あとは医療機関に丸投げということではやっぱりセキュリティー対策進まないという問題意識です。一旦やられると、その被害は医療が提供できないというところに及ぶという深刻さがありますので、その点での対策が急いで求められていると思うわけです。
そこで、紹介したいのは、病院団体でつくっています四病院団体協議会、いわゆる四病協ですね、が三月三十一日に緊急提言を発表しております。病院のサイバーセキュリティ対策への公的補助金の支給についてというものの別紙を資料の一としてお付けしております。このぐらい掛かるというものなんですね、いうことで提起があると。具体的に、病床規模に応じた提案がされております。
私、病院の経営が厳しくて予算の制約もあると、当然ですよね、診療報酬で賄っているということですから。必要な対策が講じられていないということでの費用面の措置を求めているわけです。年々深刻になるこのサイバー攻撃から医療提供体制を守るという観点からも、このサイバーセキュリティー対策についてこれ維持していくということについて、私は財政支援必要だと。
大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/183
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184・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 国民の生命、健康を守る医療機関がサイバー攻撃によりその機能を失うことがないように、サイバーセキュリティー対策の強化が不可欠だというふうに考えております。
厚生労働省では、今御指摘もいただきましたが、本年三月に医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを改定しまして、医療機関に対し、バックアップデータの保存やサイバー攻撃を想定した訓練の実施など、対策も強化するよう求めております。
令和四年度診療報酬改定では、診療録管理体制加算の要件として、四百床以上の医療機関において、医療情報システム安全管理責任者を配置し、職員に対する情報セキュリティーに関する研修を行うこと、医療情報システムのバックアップ体制を確保することを定めるとともに、医療情報システムのバックアップ体制の確保状況について毎年厚生労働省に届けることといたしました。これを要件として加算を認めたということです。
今後、本年夏をめどに医療機関におけるサイバーセキュリティー対策の更なる強化策をまとめたいと考えておりまして、引き続き医療機関のサイバーセキュリティー対策を強化するために必要な対応を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/184
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185・倉林明子
○倉林明子君 今、加算の措置をしているんだと、四百床以上で研修等に対して要件付けての加算と。
これ、被害は規模に応じて起こっているんじゃないんですよね。この徳島の病院だって、二百床あったかな、四百床には行かない病院のところでも、何でうちが攻撃されたのか分からないというような規模の病院でも攻撃に遭っているということで、私、このサイバー攻撃というのは医療機能を即座に停止してしまうという実態を踏まえれば、加算対応というよりも、具体的にセキュリティー対策が取れるような財政支援要ると、財政措置が要るんだということを、大臣、聞いておいてほしいんですよ。病院の自己責任ということで丸投げしたらあかんということは重ねて申し上げたい。
次、マイナンバーカード、これ、保険証利用の現状をまず確認しておきたいと思います。
厚労省は、二〇二三年の三月までにほぼ全ての医療機関、薬局での導入を目指すということになっているかと思うんですが、マイナンバーカードの人口に対する交付率、そのうち保険証利用登録件数というのは何件になっているかと。オンライン資格確認の運用を開始した医療機関、薬局、これ全体の何%になっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/185
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186・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
まず、マイナンバーカードの人口に対する交付枚数率でございますが、四四%、交付実績数は約五千五百七十七万枚と承知しております。次に、マイナンバーカードの健康保険証利用の登録件数は約八百四十八万件、マイナンバーカードの交付枚数に対する割合は約一五%でございます。また、オンライン資格確認の導入状況でございますけれども、実際に必要となる顔認証付きカードリーダーの申込みをしている医療機関等は全体の約五八%、そのうち実際に運用を開始した医療機関等は全体の約一八%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/186
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187・倉林明子
○倉林明子君 なかなかこれ厳しいんですよね、到達ね。もう全体で動かしていこうと思ったら、二〇二三年三月というのはもう目の前だと言ってもいいぐらいだと思うんですね。
人口に対するマイナンバーカードの利用登録というのは一五%にとどまっているし、医療機関、薬局というのは運用を開始できているところで一八%ということですから、一体何でこんなに進まないのかというところ、端的にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/187
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188・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
マイナンバーカードの健康保険証利用の普及に当たりましては、まず、オンライン資格確認を利用できる医療機関等を増やすといったアプローチと、国民が医療機関等でマイナンバーカードを健康保険証として利用できることを周知するといった二つのアプローチが必要であると考えております。
御指摘のとおり、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関等については、令和五年三月末までにおおむね全てでの導入を目指しておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現在、全体の約一八%程度が運用開始ということで、まだ利用できる環境が十分に整ってはいないと考えております。
また、マイナンバーカードが保険証として利用できること、あるいはそのメリットについて十分に認知が進んでいないということも要因として考えられると考えております。
このため、厚生労働省では、まず医療機関等における導入加速化に向けまして、医療関係団体における推進協議会の設置、それから診療報酬改定における評価、医療機関等の状況や種別等の特性に応じた導入支援等の働きかけ等を行いますとともに、国民の皆様に対しましては、マイナンバーカードを保険証として利用することでより良い医療が受けられる等のメリットについて丁寧な周知、広報に取り組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/188
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189・倉林明子
○倉林明子君 いや、そういう努力しているのは否定しないんですけれども、それでも進んでいない理由を私は聞いたんですよ。
もう一回、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/189
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190・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) 繰り返しになりますけれども、まずはその医療機関等に対する働きかけ、それから国民に対するメリットの周知、こういった点が重要と考えておりまして、医療機関等における導入加速化に向けた取組と、国民の皆様に対するマイナンバーカードの保険証として利用できることのメリットの周知や広報、こういったことが重要だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/190
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191・倉林明子
○倉林明子君 それは何で進まへんかということの説明には今なっていないですよね。
私、なぜ進まないのかという背景しっかり見ていかないと、幾らそういうことで周知進めたからといって、これ来年の三月までにみんなできるようになるかといったら、そうじゃないと思うんですよ。
NTTのデータ経営研究所、これが二〇二一年六月の調査やっているんですね。これ、資料二枚目にお付けしておきました。これ、ずばりマイナンバーカード未取得の理由というのを聞いているんですよ。マイナンバーカードを取得していないその理由で最も多いのが、他にも身分証明書があるから、これ一番多いんです。三八%、約ですね。次いで多いのが、これ、個人情報の漏えいが心配だと、三七%に上っているんですよ。
これ、総務省が令和三年度情報通信白書で書いているんですね。デジタル化推進の課題ということで、ここで書かれているのは、情報セキュリティーやプライバシー漏えいに関する不安があるという指摘なんです。個人情報の提供への懸念は依然として七割近くが不安に感じていると、ここ根っこにあるんですよね。マイナンバーカードの保険証利用、これ進んでいない背景には、個人情報、情報のセキュリティー、プライバシー漏えいに対する不安があると。私、これはっきりしていると思うんですけど、もう一回、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/191
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192・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) いろんな調査があると思いますけれども、私どもで把握している調査におきましては、健康保険証利用申込みをしない理由につきまして、第一が健康保険証利用申込みができることを知らなかったからが三二・六%、それから健康保険証利用によるメリット、必要性を感じないからが二八・四%、それから手続が面倒だからが二三・四%、それから情報流出が怖いからが一六・〇%ということでございます。
そういった、こういったことも踏まえまして、周知、広報、メリットについての周知、広報ということでございますし、情報流出についてでございますけれども、マイナンバーカードの保険証利用に当たりまして、セキュリティーへの不安を持っている方が一定数いらっしゃることは私どもも承知をいたしております。医療情報につきましては、国民にとって特に機微な情報でございまして、適切に取り扱う必要があると考えております。
このため、悪意のある第三者からの攻撃による情報漏えいを防ぐために、オンライン資格確認で用いる医療機関とのネットワーク回線につきましては、IP―VPN方式、すなわち通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークか、IPsecとIKE方式、すなわちインターネット上に暗号化した通信経路を構築しまして機密性の高いデータ通信を可能にする技術とインターネット標準の電子鍵の交換技術を組み合わせたインターネット回線を使用してセキュリティーを確保しているところでございます。
加えまして、電子証明書による認証、あるいはデータの暗号化を行いまして、データの滅失、漏えい及び改ざん防止を図りますとともに、ウイルス対策にも万全を講じ、安全性を確保しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/192
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193・倉林明子
○倉林明子君 いや、国民感情にかみ合っていないと思うんですよ。いろいろやっているとおっしゃるけど、ばんばん報道では病院がサイバー攻撃に遭うて情報が流出しているんじゃないかと、そういう不安はもうどんどん高まっているわけですね。そういうときにどうやってやっぱり個人情報は守られるのかと、そこの保護が極めて日本は弱いんですよ。だからこそ、その情報が漏れるんじゃないかという不安が解消されない。漏れても守られるという担保がないんですよね。
大臣、欧州、欧州連合、EUでは、EU基本権憲章で個人情報の保護、基本的人権、基本権として明記しております。一般データ保護規則、GDPRで実効性を持たせております。
今年一月に欧州委員会が発表しましたデジタル権利と原則に関する宣言では、個人情報保護の権利に自己情報コントロール権を含むと、これ明記されているんですね。個人情報漏えいに対する不安に対してEUのような具体的な権利保障、対策で応える必要が私はあると思うんですよ。それやってこそ信頼度増して進んでいく話じゃないかと思うんですけれど、いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/193
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194・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 個人情報保護制度一般については厚生労働省で所管しているわけではありませんけれども、現状においても、個人情報保護法、令和二年度にも三年度にも制度改正を行っておりますけれども、本人による個人情報の開示、訂正、利用停止等の請求権を定めた規定を設けるなど、EUの一般データ保護規則、今御紹介あったGDPRと比較しても、既に国際的に個人情報保護制度の、制度の水準は遜色のないものを実現しているというふうに全体としては承知をいたしております。
その上で、厚生労働省としては、健康・医療分野の情報が特に機密性の高い情報であることを踏まえまして、情報の利活用が適切に行われるように、医療機関に対する医療情報システムの安全管理に関するガイドラインなど、個人情報保護に配慮した安全管理基準を定めているところでもございます。
こうした取組を含めて、個人情報保護に確実に取り組むとともに、マイナンバーカードの健康保険証利用が進むように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/194
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195・倉林明子
○倉林明子君 いや、EUと遜色ないというのは、ちょっと実態から見ても違うんじゃないかと私は思うんですね。
個人のプライバシーが守られるというこれ人権としての権利保障が要るんだと、その場合、特に、やっぱり提供しない、取り消す、これ自己コントロール権を国民は持っていると、これとっても大事なところだと思うんです。
そこで、今回導入する電子処方箋について確認したいと思うんですが、オンライン資格確認システムを活用して、電子処方箋の導入に併せて、患者の処方、調剤情報、薬剤情報、これは本人の同意がないまま共有をされるということになりますよね、それは基金のところでですね。これ、電子処方箋に含まれる情報について、患者の側から、本人の側から共有してほしくないと、こういう意思表示を行った場合、要は抜くことができるのかと、共有を止めることができるのか、これは担保されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/195
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196・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) 電子処方箋システムにおきましては、患者さんが、今御指摘のあったオンライン資格確認制度の顔認証端末を用いまして、来院あるいは来局された都度、閲覧を同意されれば、同意した場合には、お医者さんあるいは薬剤師さんが過去の処方、調剤情報を閲覧することができるということになってございます。
他方、まさに今、来院、来局の都度の同意というふうに申し上げましたので、患者さん自らが情報を医療機関や薬局と共有したくないという御判断をされる場合、つまり閲覧の非同意を選択するとなればその共有はなされないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/196
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197・倉林明子
○倉林明子君 本人の、確認ですけど、本人のコントロール権は、それ情報共有から外すということでも可能になっていますかと。取り消すと、一旦は同意したけれども、後からやっぱり取り消したいと、これ可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/197
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198・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) まず、処方情報、調剤情報は、この法律によって医療機関あるいは薬局から支払基金にあるサーバーには蓄積されます。他方、その情報を、過去の他の医療機関あるいは他の薬局が行った処方情報、調剤情報をそのときのお医者さんあるいは薬剤師さんが見るには、先ほど申し上げましたように、マイナンバーカードの顔認証端末を通じて患者さんの同意が必要なので、同意して初めて見られると。(発言する者あり)抜きたいというか、それはもう情報を提供しておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/198
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199・倉林明子
○倉林明子君 だから、一旦同意したら、やっぱりやめたいといってもそこにはコントロール権は及ばない、共有されるんですよ、やっぱりその支払基金のところに。支払基金や国保中央会というのが電子処方箋の管理業務を担うということになって、患者の処方、調剤情報、これ薬剤情報が集積される。これ、膨大な患者のセンシティブ情報が集約されることになるのはこれは間違いないと。
私、こういうセンシティブな情報をサイバーテロから守るためのセキュリティー対策についてはどうなっているのかと。これは安心の担保としても説明要ると思うんだけど、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/199
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200・鎌田光明
○政府参考人(鎌田光明君) この電子処方箋システムのセキュリティー対策でございますけれども、まずネットワーク回線を通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークシステムにより構成すること、それから、電子処方箋を保管するクラウドシステムをインターネットから遮断すること、医療機関や薬局からウイルス等が侵入しないようルーター等でデータを選別すること、そして電子処方箋に電子署名を付して改ざんを防止することなどの対策を講じておりますので、高いレベルでのセキュリティーが確保できているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/200
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201・倉林明子
○倉林明子君 現状でもちろん高いレベルでのセキュリティー対策を講じるって当然なんだと思うんですけれども、これは情報収集、そしてセンシティブ情報、機微な情報が集積されているところに対してやっぱりサイバー攻撃、サイバーテロの狙い、対象になり得ると。そして、サイバーテロはもう日々進化、こういうときに進化と使うのが正しいかどうか分かりませんけれども、あの手この手で情報収集の攻撃を仕掛けてくると、国際的な犯罪集団になっているというところがあります。
そういう点で、現状で安心ということは到底考えておいでではないと思うんだけれども、そういう情報集積しているところを本当に守り切るんだというそこの担保と安心感があってこそやっぱり国民の情報提供も進んでいくということは、しつこいけれども指摘しておきたいと思うんですね。
昨年、これ最後になるかと思うんですけれども、昨年の健康保険法等の改定案で、改定のときに導入されました医療扶助のオンライン資格確認について確認しておきたい。
これ、マイナンバーカードの取得は生活保護の要件ではないということは確認してきたと思うんですね。ところが、保護利用者が、そういうことを確認してきたんだけれども、保護利用者が医療券の利用を希望するという場合があると思うんです、マイナンバーカードは嫌だとおっしゃる場合。そういう場合、利用し続けることは可能になっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/201
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202・山本麻里
○政府参考人(山本麻里君) お答えいたします。
医療扶助については、昨年の通常国会にて成立した、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律により、マイナンバーカードを利用したオンライン資格確認が導入されたところです。
この趣旨については、現行生活保護受給者の適正な受診を確保するため、月単位で医療機関ごとに医療券を発行する仕組みとしているところ、自治体や医療関係者等が参画する医療扶助に関する検討会において、毎月の医療券の受取を不要とする生活保護受給者の利便性や、直ちに資格確認を行うことによる制度の適正かつ効率的な運用といったメリットを踏まえ、マイナンバーカードを利用した資格確認を原則とする方向性が示されたことを踏まえたものでございます。
他方で、この法律案に対する本委員会における附帯決議において、「何らかの事情により制度施行後においても個人番号カードを保有するに至っていない被保護者に対しては、引き続き医療券等の発行を行うなど、必要な医療を受けられる体制を確保すること。」とされておるところでございます。
厚生労働省としては、マイナンバーカードを利用した資格確認を基本としつつ、いただいた附帯決議の内容も踏まえ、生活保護受給者が必要な医療を受けられるよう、その運用の在り方について更に検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/202
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203・倉林明子
○倉林明子君 今、自治体のところで、勧奨のお知らせというのが行って、生活保護受給者のところに行っていて、そこに原則ということで、傍線引いてお勧めしますという文書なんだけれども、勧奨文書が届いていて、これが持たないといけないのかというようなプレッシャーになっているというような声が上がってきているんです。
私、そういう受け止められ方するというのはちょっと違うと思うんですね。個人情報の漏えいの不安というのはこれ生活保護受給者にだって当然あるわけです。一般にはマイナンバーカードを持たないということを選択する権利というのは認められているわけですよね。そういうことが生活保護利用者には認めないと、こういうことにならないように、取扱いには十分御配慮をいただきたい。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/203
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204・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/204
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205・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。
これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/205
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206・小川克巳
○小川克巳君 自民党の小川克巳でございます。
二十二日の代表質問に引き続きまして、総理に質問させていただきます。ただ、私の持ち時間六分でございますので、大変恐縮ですが、二問はお答えいただきたいと思っていますので、できるだけ簡潔によろしくお願いいたします。と言いつつ、質問が少し長いかもしれません。
先般の代表質問の最後に、私は、理学療法士などのリハビリテーション専門職の果たしてきた役割についての御認識、リハビリテーション、介護、医療が連携した包括的な取組を進めていくことについてのお考えをお伺いしました。岸田総理からは、失礼ながら、型どおりといいますか、しかし、その中でも前向きな御答弁をいただきました。本当にありがとうございました。
あの後、総理の口から理学療法士という言葉が出たことに、また本会議場という我が国最高の議場でリハビリテーション専門職が語られたことに全国の理学療法士の仲間から多くの感動が寄せられました。中には、鳥肌が立ったとか胸がいっぱいになったという感想もありました。それほどに感動してくれる理学療法士等の仲間たち、実に純粋で、実に素朴で、給料が安いとか休みが欲しいとか、自分のことなどさておいて、高齢者や障害をお持ちの方々に真摯に向き合う日々を過ごしている私の愛すべき仲間たちです。
そんな彼らの給与水準が十七年間上がっておりません。これでは良質な人材が散逸し、リハビリテーションの質を担保することができないというふうに思っております。
岸田総理の中核的政策である新たな資本主義における分配戦略、人材への投資、この度、一定の条件はありつつも、看護、介護、保育など処遇改善が実施され、公的改革評価検討委員会での議論も進んでいるようですが、他者の役に立ちたいと念願する者の衣食住がまず保障されなければ、他者のことどころではなくなります。人が中心、人材への投資という観点から、恒久的に制度を見直すべきと考えますが、総理のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/206
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207・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、今般の処遇改善の対象につきましては、医療機関に関して申し上げるならば、この看護職員に限定する一方で、現場の要望も踏まえて、処遇改善のための収入を活用して理学療法士や作業療法士など他の職種の処遇改善に充てる柔軟な運用を認めているという内容になっています。また、この処遇改善が継続的なものとなるよう、補助金による支援を補正予算により本年二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降についても診療報酬改定により措置をするということにしております。
そして、今後の処遇改善の在り方については、昨年十二月取りまとめられた公的価格評価検討委員会の中間整理において、これまでの措置で明らかになった課題や対象外となった職種も含め検証を行うべきであるということ、こうした指摘がされていることを踏まえて、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から検討を続けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/207
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208・小川克巳
○小川克巳君 ありがとうございます。是非前向きの検討をお願いいたします。
二題目に参ります。
今回の薬機法改正案での論点の一つは、緊急承認制度導入に対する安心と安全に対する懸念に尽きるというふうに考えております。どれほど安全を期しても想定外の出来事が起こるものであり、本委員会でも多くの委員から様々な懸念に対する質疑が行われました。
総理から改めて、本制度導入に伴って不測の事態が発生した場合には、因果関係の検証ももちろん大事ですが、まずはしっかりとした対応を責任を持って速やかにやるとの明確な御答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/208
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209・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 緊急承認された医薬品については、通常承認と同水準で安全性の確認を行うこと、これをもう前提としております。健康被害が発生した場合には現行の健康被害救済制度の対象となります。現行の健康被害救済制度においては、厳密な医学的な因果関係までは必要とされないとの考え方の下、薬事・食品衛生審議会において専門家の御意見を踏まえて適切に判断されており、一定の場合に診療、診療録等の提出を不要とするなど、救済の迅速化、図ってまいりたいと思います。あっ、図っております。それをしっかりと維持してまいります。
そして、今般創設する緊急承認制度の運用に当たっては、安全性を確認した上で国民の皆様により早く必要な医療品等をお届けするとともに、不測の事態に速やかに救済措置を講ずるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/209
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210・小川克巳
○小川克巳君 是非よろしくお願いいたします。
時間参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/210
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211・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
総理、G7外遊、お疲れさまでした。G7では、総理、マスクしていなかったと思うんですが、このマスクについてはいつ外せるんでしょうかと。日本で個人でマスクを着用する、外すことを判断するのは難しくて、社会規範として習慣化しているところがあると思います。子供については、感情の読み取り能力の影響、また息苦しいための、運動しなくなるなどの弊害もあります。これから夏に向かう中で熱中症の心配もあります。日本は義務化ではありませんが、やはりこのメリット、デメリットありますが、この感染症対策としての意義もある中で、政府としてメッセージを発信していく必要があると思います。
総理は、このマスク着用緩和についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/211
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212・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員の方から、G7、すなわち海外出張の際にマスクをしていなかったのではないかという御視察、あっ、御指摘ありました。これについては、この海外出張先、相手国のルールに沿って対応するという対応をさせていただいた次第であります。
その上で、マイクの、あっ、マスクの重要性についての御質問でありますが、このマスクの着用については、その感染経路、この新型コロナの感染経路、飛沫やエアロゾル、さらには接触感染ということであり、感染の基本的予防策としてマスクの着用、これは極めて重要であると認識をしており、このため国民の皆様にも基本的感染対策の徹底としてお願いをしているところです。
そして、今現在は、この最大限の維持を、最大限の警戒を維持しつつ、できる限り行動制限をせずに社会経済活動を回していきたいと思いますが、今の段階でこれマスクの着用を緩和するということは現実的ではないと政府としては考えています。
ただ、これ、その上で、これまでも人との距離が十分取れれば屋外でマスクの着用は必ずしも必要ではなく、特に気温や湿度が高いときには熱中症のリスクが高くなる、こういったことから、この屋外で、人との、人との距離が十分、たしか従来から二メートル程度という数字も出させていただいていたと思いますが、こうした距離が十分である場合にはマスクを外すことを奨励している、こうしたことを政府としては申し上げてきたことと思います。
こういった点も含めて、引き続き、様々な場面で周知、広報、こうしたことには努めていかなければならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/212
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213・川田龍平
○川田龍平君 是非、屋外ではマスクの着用をしなくていいということをしっかり進めていただきたいと思います。
岸田総理は、今月五日のイギリス・ロンドンでの講演で、六月にはほかのG7並みに円滑な入国が可能となるよう水際対策を更に緩和していくことを表明されました。
現在、ワクチンの三回目追加未接種者については、指定国・地域からの帰国者、入国者の場合は検疫所が確保する宿泊施設での三日間待機が求められ、指定国・地域以外からの帰国者、入国者については原則七日間の自宅待機を求めることとした上で、入国後三日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であればその後の自宅待機等の継続は求めないこととされていて、十日以上自宅待機している人もいます。
現在、日本国内では、ワクチン接種回数で行動を制限されるものではありません。ワクチン接種回数での行動規制というのは差別にもこれつながります。今後も三回目のワクチン追加接種者と未接種者で差を設ける方針、これ改めるべきではないかと思いますが、総理の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/213
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214・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、新型コロナワクチンの接種は、オミクロン株に対しても感染予防効果、それから発症予防効果、そして重症化予防効果、これらがあると承知をしており、三回目の接種を受けた方はそうでない方と比べてどの年齢であっても大幅に感染が少なくなっている、こういったエビデンス、これ示されています。数字的にこの差異が示されている、こうした状況であります。
そして、御指摘のその水際におけるこの待機期間については、このようなワクチン三回目の接種の有効性といった科学的な知見の蓄積等を総合的に勘案して、三回目接種者について、指定国からの入国者は検疫施設での待機に代えて自宅等で待機する、非指定国からの入国者は自宅等での待機を免除する、こうした緩和措置の対象としている、こうした体制を取らせていただいている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/214
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215・川田龍平
○川田龍平君 これ、日本国内ではそういった差別は設けていないんですね。
だから、水際でその三回接種しているかしていないかで差を設けるべきではないと。特に感染症予防効果、あっ、感染予防効果はないですし、それからこの発症予防効果についても、打ってからどれぐらいたったのかによって、それは打ってその効果が出てくるまで、それから出てきてからもだんだん下がっていくわけですから、もうこれはこの三回目接種しているかしていないかでのこの差を設ける必要はないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/215
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216・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申したように、感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果、どれをもっても数字的にこの三回目の接種が行われているかどうか、数字的な違いがあるということ、これエビデンス、まあ手元に今持ってこさせていただいておりますが、数字的な違いがあると、まずそういった認識に立っております。
そういった認識に立った上で、これ入国に際しては、入国する、入国してくる相手国のリスク等もしっかり勘案した上でこの具体的な制度を用意しているというのが今の政府の対応の基本的な考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/216
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217・川田龍平
○川田龍平君 ちょっとそこ認識改めていただいた方がいいと思うんですけれども、大臣、厚労大臣、いかがですか。やっぱり、感染予防効果とそれから発症予防効果も、三日、あっ、その三回打っているか打っていないかでもって、やっぱりその打ってからどれぐらいたっているかも影響しますので、この三回目を打っているか打っていないかで分けることに意味はないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/217
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218・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今総理からも御説明させていただいたとおり、感染予防効果も重症化予防効果も、また発症予防効果についても、今積み上げられてきました客観的なエビデンス、査読された論文等で効果が指摘をされておりまして、例えば感染予防効果について言えば、三回目のオミクロンに対するものでもゼロか月から二か月にかけては七一・六。もちろん御指摘のとおり、三か月になりますと四七%まで効果が下がってまいりますけれども、少なくとも、そうした意味での感染予防効果も立証されておりますし、例えば重症化予防効果等についてはもう少し長く効果は続くということで認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/218
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219・川田龍平
○川田龍平君 持続的にずっと続くわけではないんですね。だから、本当にこれ改めていただいて、是非、これもう三回目の接種をしているかしていないかでもって差別することは絶対にやっぱりやめていただきたいと思います。
それでは、緊急承認制度の発動の具体的な基準の明確化について聞きます。
本法律案では、この緊急承認制度の発動の判断について具体的に規定されておらず、制度の対象となる医薬品等を政令によって定める手続が規定されているにすぎません。
この緊急時の発動の状況について後藤厚労大臣は、新型インフルエンザと新型コロナウイルス感染症と同等の疾病の蔓延状況や感染者の急速な増加が確認された場合、医療提供体制が逼迫している場合などを想定していると答弁しましたが、これでは解釈がどこまでも拡大されてしまいます。これまでの審議においては、緊急事態宣言の発出や感染症法上の指定等を緊急承認制度の適用に連動させる必要性などが指摘されてきましたが、それでも後藤厚労大臣は、緊急事態宣言の発出や感染症の流行といった個別具体的な状況を総合的に勘案しながら弾力的かつ機動的に対応するとの苦しい答弁を終始してきました。
しかし、緊急時における薬事承認についても、平時と同様に、まれであっても健康被害が及ぶことも想定しなければなりません。このため、緊急承認制度で承認された医薬品等の使用については国民に理解を求めることが何よりも重要ですが、政府にはこれ危機感がないと言わざるを得ませんので、緊急承認制度の具体的な発動基準、これを規定することについて岸田総理の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/219
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220・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 緊急承認制度の発動、さらには終了時期等を明確化すると、するべきであるという御指摘、こうした問題意識は重要であると認識をいたします。そして、それだからこそ、この緊急承認制度の適用対象となる医薬品は、法律上、緊急に使用する必要性と代替の困難性、こうした要件を明記した上で、この法律に明記した上で政令で定める、こうした仕掛けにしております。
そして、御指摘のように、緊急に使用する必要性については、これまで特例承認制度を適用した新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と同等の疾病の蔓延状況が生じた場合等を想定し、そして、代替の困難性については具体的な適用場面をガイドラインで示す、こうしたことにしております。こうした制度の運営において、この発動の基準についてもできるだけ明確化を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/220
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221・川田龍平
○川田龍平君 一方、この二年間、我が国を含め世界各国、コロナ対策に、対応に終始してきましたが、治療薬やワクチン等の開発が更に進むことで、本年はコロナ後を見据えた経済社会へと危機対応からの転換が始まることが期待されています。
政府においては、緊急時だから平時への移行を判断する際においても緊急時と同様に弾力的かつ機動的な対応を行うことになりますが、緊急承認制度の具体的な発動の基準がない中で、制度適用の終了時期について適切な判断ができるんでしょうか。ウイズコロナにおいても緊急承認制度がずるずると残り続けることにならないかということについて、総理にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/221
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222・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 緊急承認の終了時期についての御質問ですが、終了時期については、これ、医薬品を緊急に使用する必要性やパンデミックの収束状況を踏まえて個別に判断するということになりますが、国民への分かりやすい情報提供が重要であると認識をしており、政府として、個別の感染症の特性等を踏まえてこの終了時期についても適切に対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/222
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223・川田龍平
○川田龍平君 また、この緊急承認制度については、緊急に使用する必要性と代替の困難性の要件などを踏まえ、対象となる医薬品を政令で定めることで発動されますが、今後、新型コロナウイルス感染症が収束に向かう過程で緊急承認制度の適用の終了に向けた手続、これは先ほど、今お話しいただきましたけれども、この政令改正には閣議決定が必要となります。閣僚お一人お一人の判断が求められますが、緊急承認制度における発動の判断についての具体的な基準がまだない中で、各閣僚が適切に判断することができるのかと。
閣議決定で全閣僚の意思統一を図るといった形式的な対応ではなく、閣議決定の前に政府全体で検討会議を開催するなど、国民に対して見える形で政府は手続を進めるべきと考えますが、総理の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/223
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224・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 閣議決定に至るまでに、各その閣僚はそれぞれの立場でその課題についてしっかり判断をし、そして結果は政府全体としてしっかりとした結論を出すということになるんだと、なります。
そういった考え方に基づいて政府としてしっかりとした判断を行うことになりますが、しかし、それを国民の皆さんにしっかりと適切に説明することの重要性、この委員の御指摘はそのとおりだと思います。
是非、そうしたプロセスを踏んで政府として判断をするわけでありますが、できるだけ分かりやすい形で国民の皆さんにその政府の考え方を発信していく、説明していく、こうした姿勢は大事にしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/224
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225・川田龍平
○川田龍平君 では、次の質問に行きます。
本改正案、本則第三条に検討規定が置かれており、法律の施行後五年を目途として、法律の施行の状況等を勘案し、必要があると認められるときは、改正後の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとされています。
しかし、コロナの流行がたとえあと五年続いたとしても、もっと早期に緊急承認制度の在り方について執行状況を確認していくことが重要と考えますが、なぜ施行後五年を目途とした規定、検討規定なのでしょうか。また、衆参の質疑を通して同様の指摘がたくさんありましたが、有効性について推定という段階で承認するのではなく、EUAのように使用許可という別の枠組みとする方が国民にも分かりやすいと思います。
本法案が成立し施行しても、緊急承認制度の在り方については五年と言わず不断の見直しを行っていただきたいと思いますが、岸田総理の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/225
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226・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 見直し規定でございますけれども、五年の見直しは法律全般について見直しをするということでございます。もちろん、法律は必要なときに必要な見直しをすることを妨げられているわけではございません。
政府としては、今回緊急承認ということで提案をさせていただいておりますけれども、それは、今御指摘のあったアメリカの緊急使用の制度等になりますと安全の確認という点も含めて緩くなるということでございますので、やはり日本の国民の理解からいえば、承認制度の中できっちりと安全の確認を図った上で新しい緊急事態に対する法制を提案させていただいたということでございまして、こうした運用等についてまた御議論をいただければ、必要な制度の見直しは当然議論になるということは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/226
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227・川田龍平
○川田龍平君 時間が迫ってきましたので、総理に二問まとめて質問します。
本会議質問で取り上げましたが、立憲民主党が提出した通称オミクロン・感染症対策支援法案、コロナかかりつけ医法案及び特定医薬品特措法案について、この三法案を衆議院で否決されてしまいましたが、これらの法案の中には自宅放置死を防止するための対策が盛り込まれていただけに、大変残念に思います。ならば、やはり今国会において、政府は薬機法等改正案だけでなく感染症法等改正案も提出するべきでした。
総理は、本年一月の施政方針演説において、本年六月を目途に、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的視点から必要な対応を取りまとめるとしました。そして昨日、新たに設置された新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の初会合が開催されました。
ようやく動き出したようにも見えますが、もっとこれまで作業を前倒しできたのではないでしょうか。それで危機に迅速、的確に対応していると言えるのでしょうか。どのような作業が必要だから六月となるのか。
また、この通常国会の会期が六月十五日となっており、国会が閉会すると参議院選挙もあり、次の臨時国会までまた間が空いてしまいます。六月末までではなく、今国会会期中に感染症危機管理の抜本的強化策について取りまとめを行って国会にも報告すべきと考えますが、岸田総理の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/227
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228・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 感染危機への備え、中長期的には、次の感染症危機への備えについては、本年六月をめどに、これまでの対応を客観的に評価した上で、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、こうした必要な対応を取りまとめることとしてきました。
そして、委員御指摘のように昨日、五月十一日から有識者会議を開催し議論を行っているところですが、御質問は、何でこんなに遅いのか、タイミングが遅いのではないか、こうした御指摘だと思いますが、今申し上げたように、司令塔機能の強化、感染症法の在り方等について、この三年間にわたる様々なこの経験、様々なこの事態、これをしっかりと振り返って検証した上で中長期的な対応を決定していかなければならないということであります。
先ほども答弁の中で少し申し上げましたが、今は平時への移行期間ということで、まだ闘いの最中でありますので、今の闘いもしっかり踏まえた上で中長期的なこの判断をしていかなければいけない、そういったことでもありますので、今のタイミングから議論を行っている、こうしたことであります。
是非こうした議論をしっかり積み重ねて、中長期的な対応を用意していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/228
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229・川田龍平
○川田龍平君 そうであるならば、薬機法についてももう少し検証必要だったかなというところも思っております。
感染症法には前文が設けられており、その中で、過去の感染症患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、教訓として今後に生かすことが必要であることや、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められることが規定されています。
しかし、二年間以上に及ぶコロナ禍において、感染者、医療従事者等への差別や偏見は根強くあるのが現状です。また、コロナの罹患後症状、後遺症に悩まされながらも、周囲から理解が得られていない方もおられます。さらに、入院したくともできない方、自宅放置死が相次いだことなどからも、国は良質かつ適切な医療を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応できていないと考えます。
感染症法の前文や基本理念に立ち返り、差別や偏見に対してどのように対策を取り、良質かつ適切な医療の提供を確保していくのか、改めて総理に最後に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/229
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230・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、偏見や差別の解消に向けてしっかり取り組んでいかなければいけないという御指摘、これはもうそのとおりであると思います。
そして、感染症法においては、過去に感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、教訓として今後に生かすこと、また感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応すること、これを前文に掲げた上で、国及び地方公共団体や国民の責務として感染症の患者等の人権尊重、これを規定しているところです。こうした考え方に基づいて、これまでもこの新型コロナ対応においても対応を行ってきたところです。
今後とも、新型コロナへの対応に当たり、人権に配慮した適切な対応を行うよう、科学的知見に基づき、必要な対応、随時行っていくとともに、偏見や差別の解消が図られるよう、感染症に関する正確な発信、これにも政府として努めていかなければならない、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/230
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231・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございました。
ハンセン病、エイズ予防法といった感染症に対するやっぱり差別や偏見を生み出してきたやっぱり過去の反省をしっかりと立って、やっぱりこの感染者、患者を社会から排除するという形ではなく、治療をしっかりする、医療をしっかりする形での感染症対策をしっかり打っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/231
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232・秋野公造
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てるように質疑をしたいと思います。
総理、二問目から行きます。
薬機法改正の立法趣旨ですが、私は、特例承認については、レムデシビルが世界で一番最初に承認を受けて、重症者の治療を世界で一番最初に可能したのは実は日本だったという意味で機能していたと考えており、緊急承認の立法趣旨は国産のものにより比重があると思います。
長期的な取組はおいておいて、法案成立後、目の前の対応は、国が支援している塩野義と興和に対する審査、希望があればと想定をしていると、そういうことでよろしいか、総理の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/232
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233・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般創設する緊急承認制度は、緊急に使用する必要性、そして代替の困難性を要件として、安全性の確認を前提に有効性が推定された段階で迅速に薬事承認を与える仕組みとなっており、国産のワクチンや治療薬の実用化を促す効果はあると考えております。
そして、緊急承認制度の対象要件を満たす医薬品の範囲、具体的なこの医薬品については政令で、あっ、まず範囲については政令で指定することとなっており、そして、法案が成立した後に政令において新型コロナウイルス感染症に係る医薬品を規定する、このようになっています。
ですから、そういった仕組みの中で、個別の治療薬の適否については、これから企業の申請を受けて、安全性、有効性の観点から緊急承認制度における承認の可否について審査していくということでありますので、これは制度が成立をして、そして実際に運用された結果ということになるんだと認識をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/233
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234・秋野公造
○秋野公造君 ありがとうございます。
緊急承認は、新薬だけでなく既存薬の適応拡大にも道を開くということで、既存薬は承認されている以上、安全性の説明は終わっておりますので、更に道が開きやすいということかと思いますが、そこで、かつて薬害を起こしたフィブリノゲン製剤、これが過去の経緯もあって適応拡大できなかったところ、薬害患者の呼びかけで、先般、真に必要な適応を得た道のり、これを質疑してきたところですが、しかしながら、患者の呼びかけに応じず、よって、製造販売業者がフィブリノゲンを提供しないとされた医学会がAMEDに申請をして採択をされています。AMEDの対応は、薬害の経緯を踏まえず、薬も入手できないのに治験の研究費を支出するというのは非常におかしいと思っておりまして、総理には、AMEDには薬害の過去の経緯を踏まえるよう指導してもらいたいと考えますが、見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/234
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235・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) フィブリノゲン製剤の適正使用についてですが、過去の薬害を踏まえ、薬害被害者の方々、学会の専門家の方々に加え、厚生労働省や製造販売業者も参画し、真摯な議論が行われてきたと承知をしており、秋野議員を始め、御尽力いただいた関係者の方々に敬意を表したいと思います。
そして、御指摘の点については、厚生労働省等の所管省庁に指示を出して、そしてAMEDにおいて、薬害の経緯を踏まえ、患者の立場に立った研究計画とするなど患者視点を大事にした形になるよう進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/235
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236・秋野公造
○秋野公造君 ありがとうございます。
最後、薬価には賃金の上昇を反映させる余地がありませんので、流通改善ガイドラインに賃金の上昇を見込む価格転嫁ということも書き込むべきかと考えますが、見解伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/236
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237・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) お答えいたします。
革新的な創薬の実現や安定的な医薬品流通の確保を図るためには、御指摘の適切な賃金の設定など必要な人材確保に向けた対応が重要であると考えております。御指摘のように、労務費を含めた流通コストを医薬品の取引価格に適切に反映し、価格転嫁する必要があると考えております。
先生から御指摘いただきました流通改善ガイドラインにおきましては、安定供給に必要な流通コストを考慮しない値引き交渉を行うことは、一次売差マイナスの一因となり、医薬品の安定供給や卸売業者の経営に影響を及ぼしかねないとした上で、流通コストを考慮した適切な価格設定の下で取引を進めるというふうにしております。
こうした流通改善ガイドラインの趣旨を踏まえまして、今後、労務費の上昇など流通コストへの反映などにつきまして業界に周知すべく、流通改善ガイドラインの明確化を含め対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/237
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238・秋野公造
○秋野公造君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/238
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239・足立信也
○足立信也君 国民民主党の足立信也です。
総理、厚生労働委員会へようこそ。ということで、今日は何の日か御存じですか。首を振ってもらえばいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/239
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240・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 民生委員・児童委員の日であると承知をしております。今日、朝、車座で対話をしてきたところでありますので、その点、その話題に出ておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/240
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241・足立信也
○足立信也君 看護の日でもあるんですね。ナイチンゲールの誕生日なんです。ウクライナの惨状を見るにつけ、また、この二年以上のコロナの現場の奮闘を考えると、本当に頭が下がる思いです、看護師さんたちにですね。看護の日です。
ということで、薬機法の前に、ちょっと新型コロナについて伺います。通告はしてあるものです。
今、世界、ジョンズ・ホプキンスに報告されていますが、十四・九人に一人が感染として出ています。日本は十五・四人です。大臣の答弁でも民族的特性はないと、もうほとんど一緒なんです。
そこで、去年の二月三日、特措法と感染症法の審議で西村大臣は、基本的に、まん延防止等重点措置はステージ3だということをおっしゃられた。ということは、今、三月二十二日にこれが解除されて、四十七都道府県のうち二十六道県がむしろ患者さんが増えている状況です。
ステージ3の都道府県って、今どれぐらいあるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/241
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242・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ステージ3、レベル3ですが、レベル3と判断している都道府県は、現在はないと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/242
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243・足立信也
○足立信也君 共同通信の調査で、四十七都道府県のうち三十四府県、七二%はまん延防止等重点措置見直すべきだと、九つの県がまん延防止等重点措置は効果なしと答えている。どういうふうに見直すべきかというのは、県によって柔軟な対応ができる仕組みにしてほしいが一番、飲食店中心の対応からの転換をしてほしいが二番、そして高齢者、教育関連施設の対策を強化してほしいが三番になっています。
ということで、一番要望の多かった、政府としては対応をメニューで示して、都道府県がその状況に合った、レベル3であるか2であるか、その対応に合ったものを選んで選択できるという仕組みになっているんでしょうか。メニューはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/243
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244・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) オミクロン株への対策については、その特性も踏まえながら、めり張りの利いた対策を、都道府県の意見も聞きながら用意しなければいけないということで対策を進めてきました。
そして、御指摘のまん延防止等重点措置、この選択のメニューがあるのかという部分については、従来のこの制度の在り方としても、この飲食店対策において、都道府県知事の判断で、認証店に対する時短要請の有無ですとか酒提供の可否、さらには制限時間、これを選択できる、こうした制度としてきました。
また、学校や高齢者施設等における感染対策の強化について、地域の事情に応じて都道府県ごとに実施すべき対策の選択肢を基本的対処方針に明記している、こうした対応も取ってきました。
各都道府県からのアンケートでいろいろと御意見があるということ、これはしっかり受け止めたいと思いますが、そうした要望、今申し上げた体制の中で何が不十分なのか等については、絶えず検証していくべき課題であると認識をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/244
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245・足立信也
○足立信也君 そこで、二類から五類へという議論もいろいろありますが、先ほど申し上げたように、三月二十二日に解除された前後で見ると、二十六道県がむしろ患者さんは増えている。私は、二類から五類というのは結果論だと思っておりまして、そろそろ、数は余り関係ないというのが大体皆さんの認識だと思います。病院、症度ですね、重症度だと思います。
そこで、定点登録、定点報告の形に変えるという、そこがまず一歩目かなと私は思うんですけれども、全数報告をまだずっと継続されますか。大臣でも結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/245
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246・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今、全数でやっているわけでありますけれども、今おっしゃっている話自体は、まずは仕組みからいうと、各都道府県等において、地域の感染状況やあるいは医療提供体制等をしっかりと判断をしていただきながら、国の方に御相談をいただき、我々も一緒になって知恵を出していくということだろうというふうに思います。
いずれにしても、コロナの、新しいオミクロン、あるいは新しいBA.2、今後どういうことになるか分かりませんけれども、性状に合わせた形で捕捉の仕方についても考えていくことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/246
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247・足立信也
○足立信也君 緊急承認制度です。
本会議で私が例を挙げたのは、イレッサとCHOP療法というものでした。これ、イレッサは世界で初めて承認されたもので、大変な副作用が出て、今は患者さんを限定して、遺伝子変異のあるものであったらもういいと、有効だということになっているわけです。CHOP療法は、日本人の体には欧米での使用量では多過ぎて副作用が大変だったということで、大臣にこの前、外国製で日本で初めて承認するものについて、日本人のデータは不要ですかと聞いたら、不要だとおっしゃった。
私は、用量を大変心配するんです。欧米で一相、二相でやっていた用量を日本人にやったら大変なことになったという実感を私は持っていますので、この日本人に対する用量、そのデータは私は本当に必要ないのかなといまだにやっぱり疑問を持っているんですが、それについて、総理の考え、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/247
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248・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般創設する緊急承認制度においては、安全性については通常の薬事承認と同等の水準の試験の成績で確認することとしています。
そして、日本人での臨床試験が実施されていない場合であっても、海外の臨床試験のデータや科学的な知見に基づき、人種差があっても高いベネフィットがあると考えられる場合には、日本人での有効性を推定でき、また、同様のデータ等から安全性が確認できるものとされています。
ただし、これ、医薬品の性質に応じて、例えば日本人における用法、用量を厳密に設定する必要がある場合には、血中濃度などの必要な日本人データを求めること、これも想定していると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/248
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249・足立信也
○足立信也君 経験上、大変危険な事態はあり得るということだけは申し上げておきたいと思います。
最後に、電子処方箋におけるHPKIカードについてに行きます。
この前、例示しましたけれども、このカードが処方箋には必要になってきます。しかし、必要だと分かっている人は勤務医で二〇%、しかし持っているのは僅か五%という、物すごく乖離があるということで、午前中も議論があったんですが、私が一点だけ聞きたいのは、薬局の方から疑義が生じた場合に今は電話で問い合わせて変更ということがありましたが、今度、真正性を確立させるためにそのカードがまた必要になってきたら、例えば、そのドクターがつかまらずに、もう一度電子カルテにログインすることができないとかですね、分かります、すぐにはその本人を確実に特定できないような場合があるわけですよ。これでもやっぱりHPKIカードが必要になるんですか、薬局との問合せの中で。
これは大臣の方がよろしいかもしれない。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/249
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250・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) この電子処方箋には、真正性を担保するために医師等の電子署名を付すこととしております。そして、現時点で利用可能な電子署名の仕組みはHPKIカードのみであり、電子処方箋の有効な運用開始に向け、令和三年度補正予算による保健医療福祉分野の公開鍵基盤普及・啓発等事業、これを活用し、更なる普及を促進していきたいと思います。
そして、お尋ねの、この薬剤師の疑義照会により処方内容に変更が生じた場合、この場合には処方箋を再交付する必要はないため、医師のHPKIカードによる署名は不要であると承知をしています。他方、当該処方箋を薬剤師が医師の同意を得て修正するため、薬剤師のHPKIカードによる署名が必要となると承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/250
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251・足立信也
○足立信也君 薬剤師の方が必要になるということですね。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/251
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252・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
本日はウクライナの質問いたしませんので。
私は看護師で保健師なんですけれども、日本の経済成長の戦略の中に創薬があると思うんですね。本日は、総理に日本の製薬産業についてお尋ねをいたします。
製薬協ガイド二〇二一の情報によりますと、我が国は世界で有数の創薬先進国であることは間違いないと書かれております。世界と比べまして、日本の製薬産業の市場研究開発費に対する売上高や主要国別の売上高などのデータを見ますと、アメリカ、中国に続いて日本が入っています。
アメリカは、創薬のネタを見付けた大学の研究者がベンチャー企業をつくって、そのまま創薬まで手掛けるというケースも多いと書かれております。一方、日本では、ベンチャーに投じられるリスクマネーが少ないので研究者も大企業へ就職する人が多いと、このように分析されておるんですが、大学で研究者が基礎研究を行って製薬企業が製品化するというケースも多いわけなんですが、とするならば、基礎研究に予算をもっとつぎ込まなければならないということになります。
短期的に成果が上がる研究と、長い間成果が出るかどうかが不確実な基礎研究があるわけなんですけれども、岸田総理は基礎研究の重要性についてどのようにお考えかと。創薬を日本の基幹産業にするという決意がおありかどうか、お考えをお聞かせください。そして、何か課題なようなものを感じていらっしゃるようでしたら、そちらもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/252
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253・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 革新的な創薬の実用化に向けて新たなこのシーズを生み出すこの基礎研究、これは言うまでもなく、これは大変重要なものであります。
政府としては、健康・医療戦略推進法に基づく健康・医療戦略に沿って、AMEDを通じ、基礎研究を含めた早期フェーズの研究開発を進める企業やアカデミア等に対し積極的に支援を行っているところです。
今、その基礎研究についてお話しいただく際にベンチャーの話もありましたが、引き続きベンチャーへのこの資金支援も含めてこのイノベーション・エコシステムの強化等を図りつつ、そして創薬全体のこの研究開発支援、これをしっかり、にしっかり取り組んでいく、これが政府における基本的な方針だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/253
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254・石井苗子
○石井苗子君 創薬を日本の基幹産業にするという御決意があるかどうかお伺いしたんですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/254
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255・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 基幹産業の意味、定義、これはちょっと定かなものを承知はしておりませんが、間違いなく基幹産業と言っていいほど大きな存在であると、それだけ重い存在であると私も認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/255
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256・石井苗子
○石井苗子君 ありがとうございました。
私は、医療分野のICT化については積極的な考えを持っている人間なんですけれども、その合理性について質問をさせていただきます。
総務省では、医療、介護、健康分野のネットワーク化推進ということを目的にいたしまして、医療、介護、健康分野の情報連携基盤の在り方、具体的なネットワーク利用モデルを検討するというように書かれております。その一方で、厚生労働省でも、現在、オンラインの資格確認等システムで薬剤情報の閲覧などができるようになってきています。
確かに二つが目指すところは違うということは分かるんですが、同じ医療分野の電子化を推進するのに、連携すると言いながら厚生労働省と総務省という別の省庁で行っているというのは、省庁間の意思の疎通がスムーズにできない、あるいは不効率になるというような心配が私はあるんですけれども、この点につきまして、岸田内閣で、データヘルス関係の政策に関して省庁間の意思疎通や業務の重複、こういったものを回避するために工夫されていることがあったら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/256
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257・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 医療のICT化に関して、省庁の縦割りになっているんではないか、連携が取れていないんではないか、こういった御指摘だと思いますが、この保健医療分野におけるデータの利活用、デジタル化の推進、これは健康寿命の延伸や国民の利便性向上の観点からこれ重要な課題であり、まず、司令塔としては、デジタル庁が司令塔となって、関係省庁連携の下、医療を含む準公共分野におけるデジタル化、これを推し進めている、これが基本的なこの体制であります。
具体的には、この薬剤情報や特定健診情報を含めた保健医療情報を国民自ら閲覧、利用するパーソナル・ヘルス・レコードや、本人同意の下で医療機関等で共有できる仕組みの整備など、データヘルス改革や保健医療分野におけるICTの活用をマイナンバー制度を活用しつつ着実に進めていきたいと思っています。
例えば、この健康、健診等情報を取り扱うサービスを提供する民間のパーソナル・ヘルス・レコードサービスが適切に利活用されるためのルールの整備を総務省、厚生労働省、経済産業省、これ三省で行うなど、関係省庁の連携に取り組んでいるところであり、引き続き政府一丸となって対応を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/257
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258・石井苗子
○石井苗子君 意思の疎通や業務の重複を回避するための工夫をしていらっしゃいますかとお伺いしたら、デジタル庁が出てきて、またほかの省庁が出てきてということになると、その縦割り間の間でそのルールを作るときに余計複雑になるというようなことがデジタル庁によって起こったということがないように期待しております。
時間がありませんので、ちょっと次の、最後の質問は、私がこちらの委員会でも質問させていただいた個人的に気になることと、それから医療費の削減について必要なんではないかという、薬の過剰投与について質問させていただきます。
薬機法の質疑に関して厚生労働省とやり取りをここでさせていただいたんですが、院内処方している病院がその経営のために薬を過剰に出しているというマスコミなどで報道されている点について、実態はどうなんでしょうかとお聞きいたしました。厚生労働省は、マスコミで報道されているということは知っておりますと、そういうことがあるかどうかは分かりませんし、もちろんその実態も把握しておりませんというお答えをいただいたんですが、役所に報告が上がってこなければ実態は分からないというのでは、世間の感覚としてはちょっと乖離があるかなというふうに思うんですね。
エビデンスに基づいて政策を考えるということは当然なんですけれど、もう少し柔軟に情報を集めて、収集して、社会で起こっていることの問題に関して何とか把握して解決していこうという姿勢が持てないのかなと私は個人的に思うんですけれども、さあ、国家公務員のトップにいらっしゃいます総理としては、どのようにこの問題をお考えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/258
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259・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今委員の方から御指摘がありました薬剤の過剰投与については、様々なケースがあるんだと思います。医師が自らの判断で患者の治療に必要と認める範囲において定められた用量を超えて処方するなどの場合など、様々な状況が想定される。しかし、そうした場合でも、この薬剤師が処方内容を確認し、疑義照会を通じてより適切な薬物治療を行っていくこと、こうしたことは可能であると思いますし、さらに、今回の法案に盛り込まれています電子処方箋の導入によって、法令上、医師や薬剤師が患者の過去の処方、調剤内容の確認をより容易に行えるようになるとも考えます。
こうした取組を通じて、重複投薬や多剤処方の解消など、より適切な薬物療法が受けられる環境整備、これをしっかり推進していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/259
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260・石井苗子
○石井苗子君 システムをつくったら、必ずそれが患者様のためになるようなシステムの運営をしていっていただきたいと思います。
薬は患者様のためにあるということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/260
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261・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林です。
総理は本会議で、薬害の発生を防止することは政府の重要な任務の一つであり、命の尊さを心に刻み、高い倫理観を持って医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に最大限の努力をしてまいりますと、こう答弁されました。
緊急承認について議論ずっとしてきました。しかし、これ特例承認とも違って、使用実績ということではないものを承認していくと。さらに、第三相試験がない国産新薬やワクチンにも適用されていくということになるものだということははっきりしていると思うんです。
そこで、参考人質疑で、花井さんから、医薬品承認における有効性、安全性評価、この基準の本質的緩和だという指摘あったんですね。私も本当そのとおりかなと思ってお聞きしました。総理の認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/261
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262・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般創設する緊急承認制度ですが、これは、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認するため、有効性については推定された段階で承認を可能とするというものでありますが、他方で、緊急時であっても医薬品の安全性の確保ということはこれはもう必要であるということから、安全性については現行の承認制度と同水準の確認を行うものであり、安全性について緩和が行われるというものではないと認識をしております。
安全性をしっかり確認した上で、より早く必要な医薬品を国民の皆さんにお届けできるよう、しっかり取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/262
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263・倉林明子
○倉林明子君 薬害団体の当事者でもあり、審議会のメンバーでもある花井さんがやっぱりこういう評価しているということ、本当に指摘は重く受け止める必要あると思っているんです。やっぱり早く認めんなんということから、早い水準で安全性の評価をしていかなあかんということになるということは、これ議論の中でも明らかになったと思うんです。
私は、薬事制度は薬害の教訓を踏まえて整備されてきたと、こういう歴史も紹介されていました。緊急承認で基準を緩和すると、これ花井さんの表現ですけれども、生じるリスクですよね、これをきちんと国民に説明する責任があると思っているわけです。
そこで、新型コロナワクチンというのは特例承認で今活用されております。副反応報告、これは、副反応報告での死亡者、千六百人を超えているものの、これ実は全ての事例で因果関係が認められておりません。そして、評価できずということになっているために、これ安全対策につながっていないと、現状ではですよ、現状では。緊急承認したものについても、現状のこの副反応報告というシステムでは安全性の評価というのが私は困難になるんじゃないかと、現状を見ていてそう思うんだけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/263
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264・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の新型コロナワクチンについてですが、これ個別事例の因果関係の評価には一定の限界があるものの、評価不能となった事例も含めて、厚生労働省の審議会において、集団としてのデータを系統的に検討していくとの方針の下、安全性の評価に取り組んでおり、これまでも心筋炎に関する注意喚起など必要な安全対策を行ってきた、こうした取組が行われていたと認識をしています。
そして、今回のこの緊急承認制度ですが、この制度によって承認された医薬品に対する市販後の安全対策についても、今般の新型コロナワクチン等への対応も参考にして、十分な安全対策、実施してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/264
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265・倉林明子
○倉林明子君 何も生きてないと言うつもりはなくて、死亡者について、それについての安全対策につながっているという状況にないというところ、なかなか深刻だというふうに思っていまして、そういう意味でも、今おっしゃいましたけれども、市販後の安全性評価、これできる体制をしっかり強化していくと、国の責任でこれやっていただきたいということを強く申し上げたい。
さらに、予防接種健康被害の救済制度の方です。
こちら、申請者のうち、今度の新型コロナワクチンを打たれて、その後死亡された方が百九名申請されているということは質疑で分かりました。これ、いまだに実は審査さえできていないと。アナフィラキシーなどが先行しているということで、現状できていないという御答弁ありました。
緊急承認に当たっては、これ健康被害救済制度というのは、因果関係を完全に否定できない症例、これ全てについては、これ百九名いまだ審査もできないというようなことじゃなくて、速やかに救済される制度にしていくと、こういう運用として改善される必要があると、国民の信頼につながることだからと言いたいと思うんだけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/265
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266・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 緊急承認された医薬品については、通常承認と同水準で安全性を確認、安全性の確認を行うこと、これを前提としておるということ、先ほど来から申し上げているところですが、よって、この健康被害が発生した場合には現行の健康被害救済制度の対象となります。
そして、現行の健康被害救済制度においては、この厳密な医学的な因果関係までは必要とされない、こうした考え方に基づいて……(発言する者あり)ただ、これが政府の方針ですから、是非説明させてください。薬事・食品衛生審議会において専門家の意見を踏まえて適切に判断しており、一定の場合にはこの診療録等の提出を不要とするなど救済の迅速化を図っている、こういったことです。
ですから、今般創設する緊急承認制度の運用に当たっても、この安全性を確認した上で、国民の皆様により早く必要な医薬品等をお届けするとともに、この専門家の御意見を踏まえて、必要な場合には速やかにこの救済措置、この救済措置の方についても速やかに講じられるようしっかり取り組んでまいりたいと考えているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/266
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267・倉林明子
○倉林明子君 今、新型コロナワクチンの死亡例で、申請した人百九名、いまだにその審査さえもできていない、こういう現状では駄目でしょうということを申し上げているんですね。やっぱり速やかに、本当に死亡された方が、完全に、因果関係が完全に否定できないという場合は救済する仕組みをしっかり整えておくということが大変重要だということなんです。
承認薬なのに早めに安全を確認するということについて、安全性に加えて効き目がないとかいうことが後から分かったと、その上、死亡しても救済されない、これじゃ、制度全体の信用が失墜することになるということを申し上げておいて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/267
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268・山田宏
○委員長(山田宏君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/268
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269・山田宏
○委員長(山田宏君) 速記を起こしてください。
他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
本案の修正について川田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。川田龍平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/269
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270・川田龍平
○川田龍平君 私は、ただいま議題となっております医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、立憲民主・社民を代表して、修正の動議を提出いたします。
その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
本法律案では、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止するため、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する緊急承認制度を創設することとしています。
しかしながら、同制度は、有効性の確認がない推定の段階で薬事承認を与えるものであり、有効性を確認するこれまでの薬事承認制度とは異なるものであります。それにもかかわらず、緊急承認として薬事承認を与えることは、薬事承認の意義を曖昧にし、国民の薬事承認に対する信頼の基盤を失わせることも懸念されます。このため、法律の施行後も、緊急時の薬事承認の在り方については、米国のEUA制度と同様に緊急使用許可という類型を創設することも含め、市販後安全対策や健康被害救済制度等の運用状況も踏まえた上で検討していかなければならないと考えます。
このような観点から、本修正案を提出いたしました。
修正の要旨は、附則第三条の検討規定に、緊急承認に係る制度の在り方について検討を加えることを明記するものであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/270
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271・山田宏
○委員長(山田宏君) これより原案及び修正案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、川田君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/271
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272・山田宏
○委員長(山田宏君) 少数と認めます。よって、川田君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/272
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273・山田宏
○委員長(山田宏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、川田君から発言を求められておりますので、これを許します。川田龍平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/273
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274・川田龍平
○川田龍平君 私は、ただいま可決されました医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、緊急承認制度が、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるパンデミック等の緊急事態における健康被害の拡大を防止するために医薬品等を速やかに供給するための制度であることを踏まえ、その運用に当たっては、不適切な拡大適用が行われないよう緊急性、代替の困難性等の要件を判断するとともに、通常の薬事承認とは異なる緊急承認の意義や適用の判断について、国民の理解が得られるよう説明責任を十分に果たすこと。
二、緊急承認制度の運用における透明性、公平性を確保するため、審査報告書や審議会議事録の早期公表、承認済みや開発中の医薬品等の情報開示や情報発信に努めること。また、感染症の流行等の具体的状況や審査する医薬品等の性質等により運用の基準が異なり得ることなども踏まえ、有効性の推定と安全性の確認に係るリスクとベネフィットの比較衡量の在り方等、承認審査に当たっての基本的な考え方について早期に整理して明らかにすること。
三、緊急承認制度により承認された医薬品等の市販後の安全対策を徹底するため、製造販売業者による安全性監視計画の設定、徹底したリスク管理、安全性についての情報収集及び収集した情報の専門家による迅速な評価を実施すること。
四、緊急承認制度により承認された医薬品等について、当該承認後に改めて行う承認申請に当たっては基本的に第三相の検証的臨床試験の成績の提出を求めるとともに、当該承認時に付された期限の延長は原則として一年間の延長が一回限りとなるよう運用し、制度の適用を正当化する安全性、有効性等が確認できない場合には、期限を待たずに速やかに承認を取り消すこと。
五、緊急承認制度により承認された医薬品等の副作用、副反応による健康被害が生じた場合には、当該健康被害の情報を速やかに開示するとともに、医薬品副作用健康被害救済制度、又は予防接種法の救済制度の対象となることを確実に周知すること。
六、電子処方箋については、早期に全ての医療機関、薬局等において導入されるよう、システムの導入を支援するとともに、医療機関や薬局に過度な負担とならないよう必要な配慮を行うこと。あわせて、電子処方箋の運用に伴う費用の負担について、電子処方箋の普及状況及び効果等を定期的に検証した上で、基盤整備期間中は国において必要な財政支援をすること。
七、重複投薬の防止等の電子処方箋導入による効果を十分に発揮できるようにするため、電子処方箋の意義、効果を国民に周知するとともに、マイナンバーカードの健康保険証利用の促進に向けた措置を講ずること。また、国民が広くマイナポータルで処方内容を確認できるようになるまでの暫定的措置として行う紙の処方内容の控えの交付を終了するに当たっては、マイナンバーカードを利用しない患者が処方内容を確実に確認できる方策を講ずること。
八、国民が自らの保健医療情報を把握できるようにするとともに、医療機関が連携して質の高い医療を提供できるようにするため、標準規格に準拠した電子カルテの普及促進に向けた医療機関への財政支援等を講ずることにより、電子カルテ情報についても医療機関間で共有できるよう仕組みを速やかに構築し、データヘルス改革を一層推進すること。
九、国民の健康づくりにつながる新たなサービス創出のため、パーソナル・ヘルス・レコードの取組を推進するとともに、オンライン診療やオンライン服薬指導を含め、患者の利便性向上に寄与する保健医療分野におけるデータの利活用やデジタル化等のデータヘルス社会の実現に向けた取組を推進すること。
十、薬事承認制度が製薬企業からの申請に基づくものであることを踏まえ、製薬企業の研究開発支援、申請時の企業負担の軽減、治験等の手続の簡素化、企業相談の実施その他の製薬企業の薬事承認申請を促進するとともに、緊急時には国が主導して医薬品等を確保する仕組みを検討し整備するための措置を講ずること。
十一、国内外の創薬イノベーション基盤強化のため、臨床研究中核病院間のネットワーク形成による効率的な治験データ収集体制の構築、国際共同治験実施のための現地人材育成、臨床研究及び治験ネットワーク構築並びに拠点整備支援等の国内外における治験環境の整備拡充その他の官民におけるデータ利活用の環境整備、薬価制度上の創薬イノベーションの適切な評価を実施すること。
十二、医薬品等による副反応疑い報告制度の運用において情報不足により評価不能とされる事例の割合が多いことを踏まえ、副作用や副反応を疑う症状が発生した場合における健康被害調査の充実、当該症状を訴える患者に対応できる医療機関の紹介その他の当該症状に悩む者への支援を充実するとともに、副作用や副反応の治療のための研究を促進すること。また、健康被害救済制度に関し、厳密な医学的因果関係までを求めない健康被害の救済を確実に実施するとともに因果関係を証明するデータが不足する場合における救済や支援について諸外国の制度を含め情報収集し、検討すること。
十三、予防接種法の救済制度の適用に関し、請求された死亡等と予防接種との因果関係については、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとの考え方に基づいて速やかな救済を行い、国民の信頼に応えること。
十四、医薬品等の市販後の安全対策を充実するため、患者自らが医薬品の副作用、副反応が疑われる事例を報告できる仕組みについて、利用しやすくするための報告方法の改善、報告に対するフォローアップの拡充、報告内容の添付文書の改訂等の安全措置への反映等、報告の活用を促進するための施策を実施すること。また、予防接種の実施状況と副反応疑い症状の発現状況等を個人単位で連結して報告、把握するシステムの整備、予防接種の安全性等に関する調査を的確に行うためのデータベースの整備を実施すること。
十五、国内におけるワクチン、治療薬の開発、生産体制確立のため、治験費用や薬事承認に係る費用の補助、治験や臨床研究に関する国民の理解の増進、医療系ベンチャー企業の育成等の医薬品等の研究開発から実用化までの各段階を総合的に支援すること。
十六、疾病の治療又は予防に関し使用価値を有する医薬品について、特に緊急時に医療上の必要が認められた場合に、当該疾病に関する学会等の意見を参考にして当該医薬品を優先かつ迅速に承認する制度の活用について検討を加えるとともに、国民の生命及び健康の保護の観点から必要不可欠な医薬品、医療機器及び再生医療等製品の国内における生産体制の整備及び研究開発の推進のための施策について検討を加え、これらの結果に基づいて必要な措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/274
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275・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいま川田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/275
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276・山田宏
○委員長(山田宏君) 多数と認めます。よって、川田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることと決定いたしました。
ただいまの決議に対し、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤厚生労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/276
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277・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/277
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278・山田宏
○委員長(山田宏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/278
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279・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01320220512/279
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