1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月二十四日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
藤川 政人君 羽生田 俊君
藤末 健三君 衛藤 晟一君
熊谷 裕人君 打越さく良君
五月二十日
辞任 補欠選任
今井絵理子君 古川 俊治君
五月二十三日
辞任 補欠選任
藤井 基之君 酒井 庸行君
秋野 公造君 佐々木さやか君
五月二十四日
辞任 補欠選任
衛藤 晟一君 柘植 芳文君
酒井 庸行君 藤井 基之君
竹谷とし子君 若松 謙維君
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出席者は左のとおり。
委員長 山田 宏君
理 事
石田 昌宏君
小川 克巳君
川田 龍平君
山本 香苗君
田村 まみ君
委 員
衛藤 晟一君
酒井 庸行君
島村 大君
そのだ修光君
柘植 芳文君
羽生田 俊君
比嘉奈津美君
藤井 基之君
古川 俊治君
本田 顕子君
三原じゅん子君
石垣のりこ君
打越さく良君
福島みずほ君
森屋 隆君
佐々木さやか君
竹谷とし子君
若松 謙維君
足立 信也君
石井 苗子君
梅村 聡君
倉林 明子君
国務大臣
厚生労働大臣 後藤 茂之君
副大臣
厚生労働副大臣 佐藤 英道君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 鰐淵 洋子君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局家庭局長 手嶋あさみ君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
政府参考人
法務省大臣官房
審議官 堂薗幹一郎君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 茂里 毅君
文部科学省大臣
官房審議官 里見 朋香君
厚生労働省健康
局長 佐原 康之君
厚生労働省子ど
も家庭局長 橋本 泰宏君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 田原 克志君
厚生労働省保険
局長 浜谷 浩樹君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/0
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001・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、藤末健三君、藤川政人君、熊谷裕人君、今井絵理子君、秋野公造君及び藤井基之君が委員を辞任され、その補欠として衛藤晟一君、羽生田俊君、打越さく良君、古川俊治君、佐々木さやか君及び酒井庸行君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/1
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002・山田宏
○委員長(山田宏君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
こども家庭庁設置法案、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこども基本法案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/2
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003・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/3
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004・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/4
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005・山田宏
○委員長(山田宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
児童福祉法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/5
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006・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/6
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007・山田宏
○委員長(山田宏君) 児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/7
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008・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
私は、議員になる前、十数年以上ですか、児童相談所の嘱託弁護士をさせていただきました。本当にもう日夜子供たちの権利のためにと奔走されている児童相談所の児童福祉司の皆さんには、本当に頭が下がっていました。その方たちが子供たちを迅速にしっかりとこの法改正を機に更に保護できるように、そう願っております。
その点は厚生労働省の方も気持ちは同じだと思うんですけれども、それが確かなものなのかという観点から、細かく今日は確認させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
まず、一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入についてですが、これは本当に権利擁護の観点から必要な手続であると考えますけれども、やはりもう本当に大変な現場の児童福祉司の方々の観点からすると、一時保護状が却下された場合の不服申立て期間が翌日起算で三日というのは短過ぎると悲鳴のような声が上がっています。却下する事例を余りお考えでないのかもしれないんですけれども、審議会では七日でも厳しいという御意見もあったと伺っています。
例えば、もう週末とか年末年始とかに却下された場合などを考えてみますと、児童相談所がなかなか厳しいなということで、一時保護するかどうかということについてもう萎縮してしまうんじゃないかと。そういう効果を生む可能性はないか、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/8
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009・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護状の請求が裁判所に却下された場合の不服申立て期間についてお尋ねいただきました。
この不服申立て期間を長く取ることといたしますと、司法の判断が確定しない状態で行われる一時保護の期間が長期にわたるということになりますので、今回の迅速性を担保した開始時の司法審査の趣旨というものに照らしまして適当ではないのではないかということに留意する必要がございます。
その一方で、児童相談所の申立てまでの準備期間を確保すべきでございますので、児童相談所における具体的な手続ですとかあるいは審議会等での議論も踏まえて、却下の翌日から起算して三日間としたものでございます。週末等についての御懸念もいただいたわけでございますが、例えば金曜日に一時保護状の請求が却下されたという場合に、翌日の土曜日から起算をいたしますので不服申立ての期限は月曜日ということになりますので、少なくとも月曜日いっぱいその時間が使えるというふうな部分もウイークデーの中でございます。
そういった点などもいろいろ考慮いたしまして、児童の心身の安全を図る観点から、適切に一時保護がなされるように、不服申立ての手続も含めて、実務者から構成される作業チームにおいて今後しっかり検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/9
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010・打越さく良
○打越さく良君 これまで二十八条申立てなどに鑑みましても、家庭裁判所が判断できるような資料を整えるには相当な時間を要して、不備があれば戻されるというような負担感が現場には非常に強くあります。とりわけ、もう二十八条以上にスピーディーさが求められる一時保護直前の時間を書類を整える事務作業に当てたり、最も手厚く対応すべき一時保護直後の時間をそういった作業に当てるというのは、本当に子供さんたちのためになるのかということが疑問でございます。
一時保護が必要という判断を行う場合は、実際上多くの場合は不明なことが多いと、それでも最悪の場合を想定して、えいやと思い切って一時保護を行って、後で調査を進める中で全貌が見えてくるというのが実態だと思われます。
一時保護の要件を法令上明確化ということですが、これは今までの一時保護ガイドラインに沿ったものになるのか、具体的に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/10
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011・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案における一時保護の開始の司法審査の導入に当たりましては、一時保護の要件を法令上明確化するということといたしておりますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できますよう、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで現場で行われている一時保護の実情というものを踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。
司法審査の導入後も、引き続き、児童の安全確保の観点から必要に応じて一時保護を行うことができますよう、実務者から構成される作業チームにおいて適切な要件を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/11
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012・打越さく良
○打越さく良君 繰り返しになりますけれども、裁判官の判断材料となる資料の準備などで児童相談所の業務負担が過重になることとか、あるいは一時保護が却下された場合にその子供の世帯との関係をどう築き上げるかとか、再度介入すること、必要があれば介入しなければいけないんですけれども、それが困難になるんじゃないかと、やっぱりそういった懸念が尽きないわけですね。
今後件数が増えると想定されることにも鑑みて、裁判官の児童福祉の専門性の確保あるいは人員の確保、そして厚生労働省あるいはこども家庭庁との連携について、厚生労働省と最高裁にそれぞれお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/12
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013・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護所の、一時保護開始時の司法審査の導入に当たりましては、裁判所が一時保護開始時の適正性を判断することとなりますが、個々の裁判官が適切に判断することが可能となりますよう、厚生労働省としては、一時保護開始の要件を法令上明確化するとともに、今後、制度の運用の詳細につきまして施行までに実務者から構成される作業チームにおいて検討していくわけでございますが、その際には法務省や最高裁判所とともに検討を進めてまいりたいと考えております。
一時保護については、子供の生命、安全を守るためにちゅうちょなく適切に一時保護を行うこととしておりますが、当該一時保護の制度趣旨等が一人一人の裁判官まで伝わり、制度が法の趣旨にのっとって円滑に運用されますよう、法務省や最高裁判所と連携しながら十分な準備を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/13
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014・手嶋あさみ
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
今般の改正法案における一時保護開始時の司法審査は、一時保護の要件を明確化した上で、中立な第三者としての裁判所が客観的要件の具備を迅速に審査する制度と承知をしております。
そして、一時保護の要件は、ただいま厚生労働省の方から御答弁ありましたように、今後、内閣府令において客観的に明確な形で規定される方向で検討が進められるものと承知をしております。
委員御指摘の専門性の確保の点に関しましては、そういった要件の明確性が確保されることにより、裁判官であれば地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所のいずれの裁判所においても対応が可能と考えられているものと承知をしておりますが、裁判所が行う児童虐待に関する手続の判断が重大な結果につながり得るということについては十分承知をしているところでございまして、改正法が成立いたしましたら、一時保護開始時の司法審査の制度趣旨、内容を的確に周知するとともに、必要な研修等を実施することなどを含めまして、所要の準備をしっかりと行ってまいりたいと考えております。
また、御指摘の人員の確保の点に関しましては、具体的な制度運用の在り方について、児童相談所の一時保護状の請求の在り方を含めまして、改正法が成立しました後に厚生労働省が設置を予定されている実務家を含む作業チームにおいて検討がされるものと承知をしてございます。
裁判所の人員の確保につきましては、裁判所全体の事件の動向や事件処理状況等を踏まえまして検討していく必要があることから、現時点で確たることは申し上げられないところでございますが、最高裁判所としましては、作業チームでの検討等も踏まえて、新たに導入される制度が円滑に運用されるよう必要な体制を整えてまいりたいと考えております。
最後に、御指摘の連携の点についてでございますが、先ほど申し上げました作業チームにおいて、裁判所としても実務的な観点から課題を指摘するなどの必要な協力をしてまいりたいというふうに考えております。
最高裁判所としましても、新たに導入される制度が円滑に運用されるよう、厚生労働省ないしこども家庭庁と連携して、必要な準備を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/14
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015・打越さく良
○打越さく良君 是非お願いします。
私、日弁連などで最高裁の方とか法務省の方と、あともう新しい手続などあるといろいろ相談させていただいていた一員でもあるんですけれども、そういうときって、もう本当に最高裁の方とかしっかりやりますといって、もうこんないろいろ仕事を任されて、無理ですとかそういうこと決しておっしゃらないみたいなところあるものですから、いや、本当にもっと人員要るんだとか、そういうこと遠慮なくおっしゃっていただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それで、委員長、最高裁にはこれで終わりですので、お取り計らいのほどお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/15
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016・山田宏
○委員長(山田宏君) 手嶋家庭局長には御退室いただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/16
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017・打越さく良
○打越さく良君 現場の懸念としては、お子さんが帰りたくないと言っても一時保護を認めないという場合があるんじゃないかということなんですね。心理的虐待の場合には、証拠を直ちに提出するのは困難です。子供が自ら一時保護を望む場合は、何らかの異常な、異常事態のサインと言えます。子供の思いを尊重する必要があります。
現場の裁量に委ねず、確実に一時保護を認める仕組みを構築していただきたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/17
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018・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案における一時保護の開始の司法審査の導入に当たりましては、一時保護の要件を法令上明確化することとしておりますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるように、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。
お尋ねのような、例えば子供が帰宅を拒否するなど一時保護を求めているケースについて、現行制度においてもそのことのみをもって機械的に一時保護を行っているわけではありません。一方で、現行の一時保護のガイドラインの中で、児童の置かれている環境等を調査し、援助方針を決定するために児童を一時保護するような、いわゆる調査保護を認めているところでもあり、御指摘のような子供が一時保護を求める場合も、子供の最善の利益を考慮した上で調査保護の対象となり得るものと考えております。
このように、司法審査の導入後も引き続き児童安全確保の観点から必要に応じて一時保護を行うことができるよう、現場における一時保護の実態を踏まえながら、実務者から構成される作業チームにおいて適切な検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/18
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019・打越さく良
○打越さく良君 今言及していただいたので、五番の調査のために保護を認める制度についてはちょっと省きますけれども、本当にこれ、調査のために保護を認めるという制度が今まで以上に重要になると思いますので、しっかりと子供の意思を尊重するように現場で運用していただきたいと思います。
そして次に、一時保護をしてほしいという明確な意見がお子さんにない場合、そういった意見を明確には表明しない場合というのはどうなのでしょうか。その場合にも、適切に一時保護を実現する必要があると思います。
というのは、子どもシェルター全国ネットワークからシェルターで取り扱われたあるケースと御紹介をいただいたんですけれども、精神疾患のある保護者から暴行被害に遭ったお子さんが、その暴行直後に会った児童相談所の児童福祉司に対して保護を希望しなかったと、それで、学校関係者と、あるいは学校関係者がつながった弁護士と面談して、いろいろと働きかけて、ようやくその子が置かれた状況がネグレクトであって親子分離が必要な状況であるということが分かってきたと、そういったことを子供自身も分かってきて、希望を言っていいんだというふうな勇気を持つことができた、そしてようやく一時保護を希望して、一時保護が開始されるに至ったというようなケースがあるそうです。
もう、そういった虐待を受けているお子さんたちの中では、ひどい目に遭うのはこれ自分のせいなんだという思いも浮かんでしまって、もうこれは虐待で保護されていいんだという気持ちをなかなか持てないということがあるかと思います。
そこで、虐待環境にあるのに一時保護を望まない子供に、お子さんについて適切な保護を行うにはどうしたらいいかと、どのような方法が考えられるか、お考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/19
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020・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まず、現在の仕組みの下でございますけれども、現行の一時保護のガイドラインの中で、子供の安全確保のため必要と認められる場合には、子供や保護者の同意を得なくても一時保護を行うというふうにされております。したがいまして、子供が明確に保護を求めていない場合であっても、虐待を受けているなど保護を必要とする状況にある場合には、ちゅうちょなく子供の最善の利益のため一時保護を実施しているものというふうに認識しております。
なお、そのような場合でも、子供に対して、一時保護を行うことや、なぜそういう一時保護をするのかということの理由の説明というものは十分に行う必要があるというふうに思っております。
今後でございますけれども、今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護の要件として児童虐待のおそれがあるときということを規定することといたしております。したがいまして、仮に子供が一時保護を明確に希望していない場合であったとしても、児童相談所が、虐待のおそれがあり、必要と認める場合には一時保護を実施できるということにつきましても法令上明確になっているものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/20
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021・打越さく良
○打越さく良君 先ほどのケースのように、お子さんが弁護士と面談することによって適切な意見形成することもあるということですので、一時保護開始時に適宜子供の支援をする弁護士に協力を求めていただきたいと、これは要望いたします。
そして、次ですけれども、司法審査の導入に当たっては、児童相談所の業務負担あるいは人員体制の確保等の課題を整理し、検討することも併せて行っていかなければならないと考えております。
二〇一七年の児童福祉法改正で、二か月以上保護を継続し、親権者の意に反する場合には家庭裁判所の承認を得なければならなくなりました。これは必要な制度であるんですけれども、一方で、この審判の申立てなどで事務手続がどれだけ増えて、児童福祉司の負担がどれだけになったのかということも検証していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/21
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022・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十九年の改正によりまして、二か月を超える一時保護に係る家庭裁判所の司法審判手続というものを導入したところでございますが、児童相談所や児童福祉司の事務負担への影響については、令和二年度に全国の児童相談所の実態調査を行ったところでございます。その中では、例えば約三分の二の児童相談所におきまして申立て案件一件当たりの証拠書類の作成に五時間以上の期間を要しているなど、職員の負担が大きいということが報告されております。こうした司法とのやり取りに関する事務の増加を踏まえて、弁護士の配置など、児童相談所の体制の強化について財政支援を行っているところでございます。
したがいまして、今般の改正によります開始時の司法審査の導入に伴い、いろいろ業務的な負担が増えてくるところに対しましては、そういった追加的な業務が最小限になるような様々な工夫も検討しなければなりませんし、同時にまた、児童相談所の体制の強化ということにも併せて取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/22
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023・打越さく良
○打越さく良君 是非お願いします。
児童福祉司の数を本当に増やしていただいているんですけれども、それ以上に虐待の件数も増えていて、本当に負担というものは増しているのではないかと思います。
私、児童相談所の仕事をさせていただいて、本当に一つ一つのケースに高い緊張感を持って取り組んでくださっているなと思っておりました。そして、もう虐待の通告があると、原則これ全ての事例について、担当児童福祉司のほか各種専門職が一堂に会して、緊急的に会合して、そして調査を開始して情報を集める、その多様な、様々な関係機関に連絡したり、そして四十八時間以内にお子さんの安全を確認する、保護者と会ったり子供と話したり、子供の身体の傷とか生活の様子を確認したり、そうしたことで、本当に業務の負担というのは多大なものだと思っております。そして、それがもう一日に何件も重なるということもあります。
そういった相談担当件数を抱えている児童福祉司の方たちの負担というものを見極めなければいけないと思うんですが、児童相談所の全相談担当件数を児童福祉司一人当たりで割った平均対応件数、あるいは児童虐待対応件数を児童福祉司一人当たりで割った平均対応件数、把握していらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/23
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024・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今、まず人数だけお尋ねだったので、児童福祉司一人当たりの虐待相談対応件数及び虐待相談も含めた全体の相談対応件数ですけれども、新プランの前年度である平成三十年度は、一人当たり虐待相談対応件数が約四十七件、全体の相談対応件数が百四十七件、令和二年度は、一人当たり虐待相談対応件数約四十五件、全体の相談対応件数が百十六件ということになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/24
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025・打越さく良
○打越さく良君 ありがとうございます。そうやって努力していただいて、負担は若干は軽減しているのかなと思うんですけれども、やっぱり相当いろいろ大変な負担であるというふうに考えております。
そして、新プランの虐待相談が四十ケースという業務量はどのような算出に基づいているのでしょうかということと、続けて、児童福祉司の配置基準が、二〇一九年政令改正で人口三万人に一人以上ということになったと思いますけれども、その根拠も教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/25
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026・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 済みません、先ほどの答弁の中で、二か月を超える司法審査についての時間数でございますが、申立て件数一件当たりの証拠書類の作成に五時間以上の期間を要しているというふうなことで申し上げましたが、八時間以上の期間を要しているというのが約三分の二の児童相談所であるということで、ちょっと訂正させていただきます。
それから、今お尋ねの件でございますけれども、増加している虐待相談への対応に当たりまして適切に対応を行うため、児童虐待防止対策体制総合強化プラン、いわゆる新プランにおきまして、児童虐待相談及びそれ以外の相談を合わせた児童福祉司一人当たりの業務量を五十ケース相当から四十ケース相当にするという考え方に基づきまして、児童福祉司の配置基準を人口四万人に一人から三万人に一人ということに見直しをしたものでございます。四万人に一人の状態で五十ケースというところでございますので、それを四十ケースの方に減らすということに合わせまして、三万人に一人というふうな形で見直しをしたものでございます。
さらに、人口当たりの基準に加えまして、平成二十八年十月より、虐待相談対応件数が全国平均と比べて四十件多くなるごとに児童福祉司が一名上乗せ配置される仕組みとしておりまして、児童虐待対応件数が多い児童相談所については、より手厚い配置を求めるようにさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/26
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027・打越さく良
○打越さく良君 今の御答弁と重なるかもしれないんですけれども、人口比だけではないということが今の御答弁でも分かったんですけれども、主に人口比を基準にするということが合理的なのかという思いがございまして、児童福祉法十三条二項で、政令を定める基準を標準として都道府県が定めるということで、各自治体の裁量に委ねているところがおありなのかというふうに思っています。そうしたことで、業務量が各自治体間で差があるのではないかと思われます。
NHKが二〇二一年の四月時点で児童相談所を設置する全国七十四自治体に調査したところ、七八%、五十八の自治体で児童福祉司が基準よりも不足していたと、その数は全国で千二百人と。特に、大阪は二百八人、東京は百六十七人ということで、人口比で考えても深刻な不足があるんですけれども、人口比だけではなくて、個々の児童相談所が実際にどれだけ担当しているのかというケースの件数の方が業務量を適切に物語るのではないかと思われます。
それで、自治体ごと、そして個々の児童福祉司の業務量の調査も必要なのではないかと思いますけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/27
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028・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 先ほど計算式のような形で御答弁申し上げましたが、虐待相談対応件数四十ケース相当になるように、人口三万人に対して児童福祉司一人を配置するという基準としておりまして、これはケース、ケースの数ということを勘案して設定したという考え方になるものでございます。
業務量につきましては、児童福祉司の業務量について令和三年度に調査研究を実施しておりまして、介入や支援を担当する児童福祉司については面接時の記録や資料作成に多くの時間を要しているということや、スーパーバイザーである児童福祉司についてはスーパーバイズや個別ケースに関する資料作成等に多くの時間を費やしているということが調査結果として出ております。
先ほど大臣の方から件数につきまして御答弁申し上げましたが、一人当たりの相談対応件数、全体として減少しているものの、児童福祉司一人当たりの虐待相談対応件数を四十件相当とする配置標準と比べますと、令和二年度時点でも一人当たり五件程度上回ってございますので、相談対応件数に対してなかなか児童福祉司の人数が追い付かない現状でございます。
そういった実態も踏まえながら、今後とも児童相談所の体制強化に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/28
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029・打越さく良
○打越さく良君 そうした体制の強化に努力していただいているということは理解しましたけれども、やはりまだ一層の努力をお願いしたい。
本当に虐待死事件などが相次いでおりまして、やっぱりその取りこぼしのリスクというものを是非回避していただきたいと。個々の児童福祉司がどれだけ担当しているのかということをつぶさに見ていただいて、各自治体の裁量ではなくて、ナショナルミニマムというものを設定していただきたいと、これは要望させていただきます。
次に、子供家庭福祉の実務者の専門性の向上についてということで、専門性の確保については更に課題が様々にあるのではないかと思います。
厚生労働省の二〇〇六年四月の今後の児童家庭相談体制のあり方に関する検討会の、あっ、検討会じゃない、済みません、研究会の報告書で、現場においては、児童福祉司に必要な専門性を確保するために五年から十年程度の経験が必要であるというふうにあるんですね。これは本当にそのとおりで、重く受け止めていただきたいと考えております。
児童福祉司は、もう本当に保護者たちの不安定な精神状態にも直面したりとか、それが職員数が少ない状況で更に追い打ちを掛けられて疲労感が積もっていくという状況にあると思います。そういうふうな状態が、意欲がそがれていって早期の異動にも影響するのではないかと私は推測するんですけれども、ですから、新たな資格を創設する前に、業務を継続していけるような、そういった条件づくりこそ必要ではないかと考えております。
それで、子ども家庭福祉士は、児童福祉司の任用要件として児童福祉法に位置付けられ、百時間の研修を要するとされています。ただ、専門性の蓄積を阻んでいるのは人事異動の頻繁さではないのでしょうか。なぜ短期間の異動になっているのか、検証していらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/29
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030・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 児童福祉司の異動につきましては、地方公共団体におきまして、組織運営や各職員のキャリアパスなどの観点を考慮して適切に実施されているものと認識をしておりますけれども、他方、異動があるため専門性の蓄積が困難となっているのではないかとの指摘がなされているところでもございます。
昨年度に調査研究事業において実施した実態調査によりますと、令和二年度において、児童相談所の児童福祉司の一所属当たりの標準的な在職期間については、三から四年と回答した自治体と五から六年と回答した自治体の合計が九五%でありまして、児童福祉司の人事異動期間については、一般行政職の人事異動期間と同等であると回答した自治体が約八四%でございました。
委員御指摘のように児童相談所が一般的に業務が過酷であるために職員の疲弊により短期で異動するということでもないと、そういうふうには思いますけれども、厚生労働省においては、児童福祉司の増員等の児童相談所の体制強化を行っていることに加えまして、令和二年度には児童福祉司の特殊勤務手当を月額二万円増額し、処遇改善を行っております。
また、令和三年度の調査研究事業において、自治体で子供家庭福祉分野の相談援助業務を行う職員が定着し、専門性を高めていけるように、自治体現場における採用や育成等の実態を把握して、自治体の規模等に応じたキャリアパスのモデルを作成いたしております。
こうした取組を通じて、児童相談所に児童福祉司が定着するように引き続き支援してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/30
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031・打越さく良
○打越さく良君 今のお話では一般の行政職と変わりはないということなんですけれども、ただ、現場のお話からすると、ハードワークでそう長くは、長期にはいられないという実感は伺っています。
それで、児童相談所は、子供、お子さんに関する相談や虐待通告、緊急的な保護、入所措置のフォロー、サポートなど、もうたくさんの業務を担っていらっしゃる。それに当たり、複数の専門職員がチームを組んだ合議制を大切にしてきたと思われます。
子ども家庭福祉士が百時間研修を経てそうした現場をリードすることになるというのは、ちょっと現実的ではないんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/31
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032・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童相談所で対応に当たる児童虐待等の事案については、親や子供の抱える課題や置かれている環境等が複雑で複合的な事案が増えておりまして、適切な対応に当たっては、複数の職員が様々な視点から会議等を通じて協議をし、そして援助方針を決定していく必要がございます。
今般創設する認定資格につきましては、児童相談所等において児童や保護者に対して適切な相談援助等を行う職員一人一人の専門性向上につなげることを狙いとしておりますが、援助方針等の決定というのは引き続き組織的に実施していく必要があるというふうに考えております。
また、御指摘いただきましたように、相談援助を行う職員としての専門性というものには、これは現場での実践、OJTというものを通じて身に付けていくものというふうに考えておりますので、今回のこの認定資格の取得のためには、研修受講の前提として、一定の相談援助の実務経験というものを課すことといたしております。
いずれにいたしましても、研修の在り方を含め、新たな認定資格の取得者が現場に多く輩出されまして、その専門性が十分に発揮されるよう、今後、施行までに適切な研修カリキュラムの検討や認定資格取得を促進するための環境整備などを図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/32
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033・打越さく良
○打越さく良君 済みません、今の御答弁伺っても、この子ども家庭福祉士の専門性というのはどういう専門性なのか、ちょっと私にはまだイメージが付いていないんですね。
専門性を高めるということは必要だと思うんですけれども、高めるのであれば、何というんでしょうか、大学院程度のものというか、弁護士とか医師とか、そういう専門職性みたいなことだったら分かるんですけれども、内容もこれからというような、内容も不明な研修では、専門性を高めることになるのかどうかも今のところ不明なんじゃないかなというふうに考えております。
繰り返しになりますけれども、児童福祉司になるためのプロセスに必要なものというのは、知識とかだけではなくて、もう本当に様々な困難を抱えた家族との関わり方というものが問われる職務であって、もう本当に、通告後ですね、虐待発生の現場に複数の方たちで現認とかあるいは状況把握、それを初対面で行うと。もう身体的に本当に、殴られたりいろいろ物を投げ付けられたりとか、そういう危険もあるようなことへの対処も含めて様々な専門性に問われるわけですね。
改めてですけれども、今児童福祉司になるには、地方公務員試験に合格することと専門学校修了など幾つかのルートを経てなるんだと思いますけれども、ちょっとこの質問項目にないんですけれども、どんなルートがあるか、ちょっと挙げていただけるならお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/33
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034・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童福祉司の任用要件につきましては、児童福祉司として相談援助業務を行うために必要な資質を担保する観点から、現行の児童福祉法におきましては、社会福祉士、精神保健福祉士、それから都道府県知事の指定する児童福祉司若しくは児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業した者、それからもう一つは、大学において心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者、こういった者などを規定しておりまして、そういった多様な人材で一定の専門性を有する方に担っていただく、こういった制度になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/34
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035・打越さく良
○打越さく良君 多様ということで言えるかもしれないんですが、私からすると、言い方悪いかもしれませんが、パッチワーク的な資格制度になっているんではないかと思います。
そのこと自体を検討していただく必要があるんではないかと。そうした検討をしないまま今回新たな資格を創設するということについては、現場の方々が、私が伺った範囲では肯定的ではないんですね。現場に必要な能力をそんなこの百時間ぐらいの研修で何か得た資格がカバーするわけじゃないというような、自負と自信の表れではないかと思いますが、現場の声を受け止めた上で立ち止まっていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/35
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036・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般、子供家庭福祉分野の新たな認定資格の検討に当たりましては、厚生労働省社会保障審議会社会的養育専門委員会やその下に設置したワーキンググループの場におきまして、都道府県や児童相談所等の自治体ですとか、あるいは児童福祉施設の団体など実際に資格取得者を輩出する現場の方々からの御意見というものもいただき、検討を重ねてきたものでございます。
今御指摘いただきましたように、この百時間の研修というものが全てではない、それはもう全くそのとおりであるというふうに思いますけれども、現場の方々の専門性を高めるにはどうしたらいいかということをやっぱりこの社会的養育専門委員会等の様々な場でいろいろ御議論いただく中で、やはり早急に今求められているものというものは、現場の方々、現にもうその業務に就いておられる方々の資質をいかに高めるかということを最優先でやるべきだといったことで、今回の認定資格の創設というふうなことに至ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/36
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037・打越さく良
○打越さく良君 しつこいようですけれども、やっぱりその専門性を高めるというのは、チームワークで力量を高めていくと、OJTで力量を高めていくと、それが必要なのではないかと思います。
もう本当、現場の方たちからは、しつこいようですけれども、こういう児童相談所、本当大変な現場に異動させられていて、なまじこの資格を取得したらここから異動できなくなるんじゃないかというような実際声もあるんですね。ですから、繰り返しになりますのでもうこの四番は飛ばしますけれども、今おっしゃっていただきましたけれども、引き続き現場の意見を聴取して、実態を踏まえていただきたいと、これは要望させていただきます。
そして次に、今までもちょっとお話に出ていましたけれども、自治体の現場からは、国が考えている児童福祉司のキャリアラダーと自治体の人事異動の考え方には大きな差異があるのではないかというふうに指摘されています。
つまり、自治体の体制は基本的にはゼネラリスト志向ということで、今回のような国が考えているスペシャリスト志向ということとは合わないのではないかと。特に政令市、中核市は基礎自治体で、職域が幅広いわけですね。交通とか病院とか水道とか清掃とかいろいろなところがあると、特定の業務に長期間の配置を行う人事は困難であるということで、現在、やむを得ず一般職の方にスーパーバイザー、SVに発令するため、SV研修の受講者の人選に入っているということも伺っております。
多くの自治体では、福祉職の採用を行っているものの、決して子供家庭福祉の実務者という、この特定分野の専門性の向上を保証する体制になっていない。子供家庭福祉の実務を積んだ方が評価されて昇進していく、例えばSVになれば係長というようなキャリアパスがないわけです。専門性が生かされる仕組みがなければ、異動後に激務の児相には戻りたくないというような現状を改善できないのではないかと思われます。こうした制度と自治体の体制のミスマッチがあるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/37
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038・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 地方自治体におきまして、児童相談所などの児童福祉の業務だけでなく、広く福祉分野の業務を行っており、福祉職の方も含む職員の方々が人事異動等で幅広い分野を担当する実態が見られるということは、先ほど大臣からも答弁いたしましたように、国としても承知いたしております。
こうした中で、今般新たに導入する認定資格につきましては、国の基準を満たした研修等を経ることを要件とすることで資格取得者の専門性を確保する一方で、自治体の意見にも配慮いたしまして、社会福祉等の相談援助の資格保有者には、児童福祉分野に限らず、相談援助の実務経験があれば研修の受講資格を与える制度設計とすると、そういったことで、人事異動等もある現場の実態を踏まえた上で、専門性向上のために活用できるものといたしております。
他方で、福祉専門職の職員が様々な分野に異動していく中でも、長期的には児童福祉分野の専門性を中心的に伸ばして、児童福祉司のスーパーバイザーや児童相談所長など、そういった管理的業務に就く人材を養成するということも重要と考えるところであります。
厚生労働省におきましては、令和三年度の調査研究におきまして、自治体現場における採用や育成等の実態を把握して、自治体の規模等に応じたキャリアパスのモデルというものを作成いたしました。私どもといたしましては、地方自治体において新たに創設する認定資格ですとか、あるいは今回作成しましたキャリアパスモデル、こういったものを活用しながら、子供家庭福祉分野の人材の資質の向上ということに取り組んでいただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/38
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039・打越さく良
○打越さく良君 そうすると、次の質問にもそのような御答弁重なるのかもしれないんですけれども、子ども家庭局の、子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループとりまとめというものが二〇二一年二月二日に発表していただいていますけれども、その中で、ソーシャルワークの専門資格は統合に向かうべきという議論がある中で、これ以上資格を分断させるべきではないという意見も出されていたのではないでしょうか。今後の展望として、高度な専門性が求められる児童福祉司養成に関しては、先ほども触れましたけれども、大学院への進学を支援することなどの検討も含めてしっかりしていただくべきなのではないかというふうにも考えております。
民間資格を慌てて創設するのではなくて、専門職養成の在り方とか人事制度、専門職としての賃金体系なども含めた労働条件の保障も含め、包括的な制度として構想するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/39
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040・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 児童福祉分野の職員の専門性については、資格制度の在り方を検討することのみで問題が解消するのではなく、資格制度の在り方と併せて、現場の質の向上策として研修等の充実やキャリアパスの提示など様々な観点から検討をする必要があるというふうに考えております。
このため、例えば御指摘の人事制度については、児童福祉司は公務員であり異動があるため専門性の積み上げが難しいとの指摘があるところでありまして、これを踏まえて、厚生労働省においては、令和三年度の調査研究において、自治体現場における採用や育成等の実態を把握いたしまして、自治体の規模等に応じたキャリアパスのモデルを作成するなど、必要な対策を講じているところであります。
今回の認定資格の導入にまずはしっかりと取り組み、子供家庭福祉の現場の専門性の向上を図っていく必要があるとは考えておりますけれども、その施行に加えて、専門性を高めるための様々な観点からの検討は引き続き実施していく必要があるというふうに考えています。その上で、必要があれば、本法案の附則第二条にも規定されている見直し検討規定に基づきまして、その内容に応じて必要な見直しを検討してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/40
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041・打越さく良
○打越さく良君 是非、包括的な検討をお願いします。
次に、改正法案の六十条の三、十七項の意見表明等支援事業についてですが、この条文上、子供の支援が目的ということは明記されておりません。支援を受けるのが子供なのか児童相談所なのかと、都道府県その他の関係機関かというのが分からないわけですね。
子供の支援が目的ということを明らかにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/41
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042・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 委員御指摘の今般の児童福祉法改正案の意見表明支援事業の規定は、子供の最善の利益のため、子供の立場に立ってその意見、意向を把握し、必要に応じて行政機関や児童福祉施設等の関係機関等との連絡調整を行うことを規定したものでありまして、明記はしておりませんけれども、委員御指摘の子供の支援の趣旨は含んでいるものと認識をしております。
今後、施行に向けてガイドライン等の策定を検討してまいるわけですけれども、こうした考え方を自治体にも周知して、子供の権利保護の観点に資する適切な運用が担保されるように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/42
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043・打越さく良
○打越さく良君 この意見表明等支援事業ですけれども、これは、子どもの権利条約を批准している国としての義務を履行するためのものだということでよろしいですか、よろしいでしょうか。子どもの権利条約十二条の意見表明権の保障のためのものであると明記していただければいいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/43
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044・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 児童の権利に関する条約十二条の理念も踏まえて、また、児童福祉法第二条においては、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮される旨の規定がされておりまして、今回設ける意思表明等支援事業もその趣旨を実現するために運用されていくものと考えております。
今後、施行に向けてガイドライン等の策定を検討してまいりますけれども、意見表明等支援事業は子供の意見表明等を支援するための事業であるという考え方を自治体にも周知し、子供の権利擁護の観点に資する適切な運用が担保されるように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/44
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045・打越さく良
○打越さく良君 趣旨を踏まえていただいているということですけれども、やっぱり意見表明権の保障ということで明記していただくべきではないかというふうに考えております。
そして、法案の六条の三の十七項で、意見聴取その他これらの者の状況に応じた適切な方法により把握するとあるんですけれども、いささか曖昧ではないかという危惧が言われております。お子さんから聴取しない場合もあるのかと。で、子供の意見や意向でないものを子供の意見や意向ということで把握したよということにならないのかという懸念なわけですね。
そうしたことがないように歯止めを掛けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/45
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046・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この子供の意見表明等支援事業、支援におきましては、審議会等での議論も踏まえまして、例えばゼロ歳児とか幼児等も対象としておりますので、そのような自ら意見を述べる能力がまだ未熟な場合であっても、言葉のみならずその態様や行動変化など客観的な状況を酌み取ることということも想定いたしております。例えば、乳児について、親と一緒に面談したときと親と離れた乳児院での様子との違いとか、そういったものを観察するなどが考えられるわけでございますが、意見聴取以外の具体的な方法については、今後、現場の方々や有識者の意見等も踏まえて施行までに検討してまいりたいというふうに思います。また、自ら意見を述べることが可能な子供に対しては意見聴取ということが原則なされるものというふうに思います。
今委員から御懸念を示されたように、本人から意見聴取ということをせずに、ほかの方から聴取を行うのみで子供の意見や意向を把握したとするような運用ということは私ども想定いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/46
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047・打越さく良
○打越さく良君 重要な御答弁いただけたと思います。ありがとうございます。
法案の三十三条の三の三、児童の意見又は意向を勘案してとあるんですけれども、この勘案してというのはどういう意味なのかということも懸念されています。これはなぜ尊重としていただけないのかということですね。
子どもの権利委員会から、二〇一九年、日本の第四回、第五回定期報告書に関する総括所見の中で、子供に影響する全てのことについて子供の意見表明権を保障し、子供の意見が正当に重視されることを確保するよう促していたと思われます。我が党の子どもの総合基本法案三条三項、あるいは与党の方からのこども基本法案三条の三号と四号にも意見表明の機会確保と意見の尊重ということが書かれていたと、挙げられていたと思うんですが、そういうわけで、意見は勘案ではなくて尊重するというふうにしていただきたいんですが、そのように規定を考えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/47
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048・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の意見表明等支援事業は、意見表明等支援員が子供の立場に立って、その意見、意向を把握し、必要に応じて行政機関や児童福祉施設等の関係機関等に連絡調整を行うものでありまして、法律上の用例も踏まえて、意向を勘案というふうに規定したものでございます。
現行の児童福祉法の第二条におきましては、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮される旨が規定されており、今回設ける児童相談所等の意見聴取等義務や意見表明等支援事業も子供の意見を尊重するとの趣旨を実現するために運用されていくべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/48
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049・打越さく良
○打越さく良君 そのようなお考えであるということを、是非、何というんですかね、いろいろな形で発信していただきたいと。やっぱり、子供の支援に関わる方たちにとっては、こうした勘案ということだと尊重しないという、尊重しなくても許されるということなんだろうかとかですね、そういった懸念もございますので、そういうことではないんだということを是非発信していただきたいと、これは要望させていただきます。
そして、条文案によればですけれども、三十四条の七の二の第一項ですけれども、都道府県は、意見表明等支援事業を行うことができるということで、関係機関との連絡調整その他の、その他必要な支援を図る機関として何を想定していらっしゃるのでしょうか。また、この点についてガイドラインを何らか示すおつもりかも併せてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/49
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050・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案において創設する意見表明等支援事業では、意見表明等支援員が子供の一時保護や入所措置の決定等や入所措置等がとられている間の処遇についての意見、意向について把握をし、そして、必要に応じて児童相談所、都道府県その他の関係機関の連絡調整等を行うことというふうに規定しております。
このお尋ねいただきました児童相談所、都道府県以外の関係機関といたしましては、入所措置等がとられ児童が生活している児童養護施設ですとか、あるいは里親家庭などを想定いたしております。
具体的には、今後、策定を検討するガイドラインにおいて、自治体や有識者の意見を踏まえながら、施行までに具体的な調整先の関係機関やその調整方法などを検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/50
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051・打越さく良
○打越さく良君 ガイドラインも示していただけるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/51
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052・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今後、ガイドラインの策定をさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/52
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053・打越さく良
○打越さく良君 法案の六条の三、十七項で、児童の福祉に関し知識又は経験を有する者とあるんですけれども、これがちょっと曖昧ではないかと、これ専門性が必ずしも明らかではないということで、専門性がなくてもいいことになってしまうのではないかという懸念が広がっております。検討会ではたしかそうではなかったのではないでしょうか。
専門性について、都道府県によってばらばらにならないように、国が統一基準やガイドラインなどを示す必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/53
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054・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 現在、これに関しましてモデル事業を行っております。このモデル事業におきましては、弁護士やNPO、大学等に意見表明等支援員の役割を担っていただいている例があるというふうに認識しておりますが、今後、全国にこの取組を広げていく上では、意見表明等支援を行う方の専門性やその質を担保するということが重要でございます。
社会保障審議会におきましても、意見表明等支援員の都道府県等における養成研修について、国において研修プログラムの例を作成して提供するなど必要な支援を講じる必要があるということが指摘されております。
このため、厚労省といたしましては、今年度に実施する予定の調査研究等を通じて研修のカリキュラムの例を策定して自治体に示し、専門性を有する意見表明等支援員の養成を促すことを検討しておりまして、こうした取組を通じて今御質問いただきました質の担保ということを図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/54
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055・打越さく良
○打越さく良君 今の御答弁でも、これから委託する調査研究を参考にということでおっしゃっていただいたんですけれども、そのほかに、もう今までにも厚生労働省が委託した研究成果としてアドボケート制度の構築に関する調査研究というものがございましたが、これなども御活用していただけるのでしょうか。
その他、子供アドボケートについて様々な研究や実践が積み重なっています。国が統一基準やガイドラインなどを策定するに当たってはこうした研究成果や知見を生かしていただきたいということで、御答弁いただいたかなと思うんですけど、もう一度お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/55
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056・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 厚生労働省では、近年、平成三十年から意見表明支援に関する調査研究を毎年実施してきております。これらの調査研究の成果は厚生労働省で開催した検討会において資料に用いられるなど、今回の改正法案の検討にも活用してきているわけでございますが、今般の児童福祉法改正案において創設する意見表明等支援事業の施行に向けて今後様々な検討を重ねていくわけでございますが、その中でもこれらの研究で得られた知見というものを最大限活用してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/56
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057・打越さく良
○打越さく良君 是非よろしくお願いします。
改正案の施行は令和六年四月一日とされていて、都道府県では早急に整備する必要があると思われます。いつ頃までにアドボケートについての国の統一基準やガイドラインを作成する予定なのでしょうか。なかなか明確には難しいかもしれないんですが、今分かる範囲でお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/57
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058・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 意見表明等支援事業は令和六年四月一日施行でございますが、厚生労働省としても、意見表明等支援員の研修の参考となるプログラムの例の開発等の支援を実施することにより、その着実な実施を図ってまいりたいと思います。
この研修プログラムの例の作成は、既にモデル事業等において意見表明等支援を実施している自治体や有識者の意見を踏まえながらしっかりと調査研究を行った上で、施行までに可能な限り早くお示しし、都道府県等に準備いただけるように検討したいと考えております。現時点で、なかなか具体的な時期につきましては御容赦いただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/58
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059・打越さく良
○打越さく良君 よろしくお願いします。
済みません、一時保護所の設備・運営基準の策定等については次回にと思いますけれども、本当にこの一時保護所というものは児童養護施設とケアの内容とか運営の在り方というものが基本的には違うんじゃないかということで、一時保護所は短期間で原則として二か月を超えない、その一時保護所内の閉じられた中での生活が基本というような生活ですけれども、児童養護施設の場合には、それよりは長い、継続した人間関係の中で、学校とか幼稚園とか、そういう地域生活も送っていけるというような形でかなり違っていると思うんですね。子供と職員との関係とか子供が過ごす生活環境というのはかなり違うということで、余りにもこの児童養護施設の最低基準の準用というのはどうしたものかと思っていたものですから、今回改正するということは一定評価いたします。
そうした上に、一時保護職員を児童福祉の専門職員として位置付けていただきたいと思うんですけれども、今後は位置付けていただけるということなのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/59
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060・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 御指摘いただきましたように、現行の一時保護所の設備・運営基準というのは児童養護施設の基準を準用することといたしておりまして、一時保護所においては、児童養護施設の基準に沿って、児童指導員や家庭支援専門相談員等の児童福祉の専門職員を配置することとされております。
今般の児童福祉法改正案におきましては、一時保護所に入所する子供がより丁寧なケアを要するということから、一時保護所の設備・運営基準について独自の基準を策定するということといたしております。一時保護所に配置すべき児童福祉の専門性を有する職員の配置につきましても、児童養護施設の基準を準用するのではなく、今後策定することとされている一時保護所の基準の中で位置付けることを想定してございますが、具体的には、施行までに自治体等の意見を聞きながらよく検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/60
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061・打越さく良
○打越さく良君 具体的にはこれ今後策定していくということなのですけれども、どのような基準になるのかということ、見込みなどについて伺うのは次回に回させていただきたいと思います。
どうもありがとうございます。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/61
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062・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の社民党の福島みずほです。
まず、子供の意見表明権を明示している条文はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/62
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063・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童福祉法におきましては、第一条において、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、子供の権利保障を理念として定めまして、第二条において、国民の努力義務として、子供の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身共に健やかに育成されるよう努めなければならない、そういう旨が規定されております。
これらの規定におきまして直接定めておりますのは子供の意見の尊重ということでありまして、今委員が御指摘されました意見の表明の権利ということまで含むものではございませんが、これらの規定の趣旨を踏まえて、その実効性を担保する施策を推進するということは重要と考えております。
こうした中で、今回、令和元年の児童福祉法改正法の附則の検討規定も踏まえて審議会等で議論いたしまして、一時保護や入所措置等を実施する際の児童相談所等による意見聴取義務ですとか、あるいは都道府県等の事業として意見表明等支援事業を創設すること、こういったことを子供の意見表明に関する取組ということで盛り込んだところでございまして、今後は、これらの法律上の規定に基づいて、しっかりと子供の権利の擁護ということの取組を推進してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/63
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064・福島みずほ
○福島みずほ君 意見の尊重ということと意見の表明権というのは違うと思うんですね。
改めてお聞きしますが、附則第七条四号、二〇一九年の児童福祉法附則なんですが、「児童の保護及び支援に当たって、児童の意見を聴く機会及び児童が自ら意見を述べることができる機会の確保、当該機会における児童を支援する仕組みの構築、児童の権利を擁護する仕組みの構築その他の児童の意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されるための措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」、ここでははっきりと子供が自ら意見を述べることができるということが書いてあります。
附帯決議も、「子どもが意見を述べることを支援するための制度を構築し、子どもの最善の利益を確保するため、いわゆるアドボケイト制度の導入に向けた検討を早急に行うこと。」としております。
社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の報告書二十六ページ以下も、「子どもの意見・意向を聴き、子どもが参画する中で、子どもの最善の利益を考えて意思決定が成されることが必要である。」、つまり、子供の意見を聴きとなっていて、子供の意見表明権と言っているんですね。
子供の意見の尊重と表明権の保障は違うと思いますが、なぜ、子供の意見表明権、はっきり書いていないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/64
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065・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 先ほど答弁いたしましたように、今回の改正案の中に盛り込んでおりますものは、今委員から御指摘いただきました令和元年改正法の附則の第七条四項のところを基にしまして、審議会等で様々議論を重ねた結果として盛り込んだものでございます。
子供の意見の表明ということについては、これはいろんな場面というものがあると思いますけれども、今回の審議会等で意見を、議論を重ね、そして法案の中に盛り込むということにしたものにつきましては、この一時保護とか入所措置、そういった子供の身の上にとって本当に重大なことが生じるときに、しっかりと子供の意見を聞いて、その上で判断していくということを制度上担保するために盛り込もうということで提案させていっているものでございまして、また、そのほかの場面の様々な子供の意見の表明ということの取扱いについては、また幅広く御議論いただく場面もあろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/65
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066・福島みずほ
○福島みずほ君 子どもの権利に関する条約のいわゆる肝の部分、あんこの部分は、まさに子供の意見表明権だと思います。附帯決議や附則であって、そして、その部会、審議会の報告書にも書いてあるのに、なぜ子供の意見表明権を明示的に書かないのかというのが理解ができません。子供の意見の尊重と意見表明権を明示することは別のものです。
今回、子供の意見を尊重とかですね、そういうのはあるけれども、でも、必ずしも子供の意見表明権の保障ではないんですね。この点について、しっかりこの条文にないというか、反映されてないんじゃないかと、検討結果が、ということを、専門家委員会の検討結果も反映されていないということを強く申し上げ、これは明記すべきだということを強く申し上げます。
次に、司法審査についてお聞きをいたします。
司法審査は必要だと思います。適正手続はまさに必要です。ただ、これ、子供のこれまた意見表明権をどう保障するか。これは、例えば国費による子供代理人の必要性とか、確かに子供代理人の必要性と、お金が非常に掛かるかもしれません。しかし、司法審査の場合における子供の意見表明権の保障というのをするためには、代理人も必要だし、伴走型で支援する人も必要だと思います。この点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/66
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067・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護の開始時の司法審査に際しまして、子供の意見については、児童相談所が可能な限り疎明資料に盛り込んで裁判所に提出する形とすることを考えてございます。具体的には、今般の児童福祉法改正案において、児童相談所等による子供への意見聴取を法律上義務付けておりまして、そこで聴取した内容を疎明資料に盛り込むということになります。
これに加えまして、都道府県における事業として、弁護士を含め、NPO、ソーシャルワーク専門職など多様なバックグラウンドを持つ意見表明等支援員を養成し、意見聴取等の際に支援することを制度上位置付け、制度的に位置付け、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
今委員の方から、国費による代理人選任というふうなお話ございました。そういったことに、子供の代理人というふうな取組を行っているようなシェルターなどの事案があるというふうにも承知しております。一般論で申し上げますと、それぞれの都道府県における判断とはなりますけれども、その子供の担当の弁護士というのが意見表明等支援員として都道府県における事業の中で位置付けられ、地域において子供の権利擁護を図るための意見表明等支援に取り組んでいただくということもあり得るものというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/67
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068・福島みずほ
○福島みずほ君 この司法審査には賛成なんですが、児童相談所の一時保護委託、あるいはこれが消極化してしまうんじゃないか、つまり保護控えが起きるんではないかという懸念についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/68
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069・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 一時保護が子供の安全を守る観点からちゅうちょなく適切に実施されることが重要であると考えておりまして、委員御指摘のような、司法審査の導入によって手続が増すことで児童相談所が一時保護をちゅうちょしたり、一時保護の実施が遅れたりするような運用があってはならないというふうに考えています。
このため、今般の司法審査の導入に当たって、一時保護の要件を法令上明確化することとしておりますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるよう、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。
また、司法審査の導入による手続が煩雑となりまして、それを理由として保護を控えるといったようなことがないように、裁判所に提出する疎明資料の作成や裁判所との間で疎明資料のやり取りを行う事務等の新たに発生する事務については、人材確保も含めて児童相談所の司法とのやり取りのための体制強化が必要と認識をいたしております。
厚生労働省としては、弁護士を配置した場合や弁護士事務所等に委託を行った費用の補助を行っており、さらに、法的対応を行う事務職員を配置した場合の費用の補助を令和四年度に創設する等、これまでも児童相談所の法的対応の体制強化を図っているところでありまして、今後更に必要な支援をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/69
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070・福島みずほ
○福島みずほ君 是非それはよろしくお願いいたします。
三十三条の六の二に必要な措置とありますけれども、意見表明支援事業についての必要な措置というのは、具体的に厚生労働省、何をお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/70
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071・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 意見表明等支援につきましては、これまでもモデル事業を通じて普及を図ってきたところでございますが、より一層の取組を推進するため、今回想定する意見表明等支援事業については、都道府県に必要な措置の実施に係る努力義務というものを課しております。
この必要な措置の中身でございますが、一つは、それぞれの地域における担い手の候補となる、例えば弁護士とかNPOとか専門職の団体などと調整をいたしまして効果的な事業体制について検討するということ、これが一つ。それから二つ目といたしまして、意見表明等支援の担い手となる者に対する研修などの人材確保、養成ということに取り組むということ、これが二つ目。そして、事業実施に必要な予算の確保を行うこと、これが三つ目ということで、こういったものを想定しております。
今後、施行に向けてガイドラインの策定等を検討してまいりますが、こうした考え方についても整理をし、丁寧に自治体等に周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/71
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072・福島みずほ
○福島みずほ君 これはいずれ全国で義務化するということでもよろしいんでしょうか。この意見表明支援制度についてです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/72
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073・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今現在、モデル事業などもやってございますけれども、まだまだ広がりが十分とは言えない状況でございます。これから施行に向けてしっかりと準備をし、そしてなるべく多くの地域においてこういったことに取り組んでいただくよう、私どもとしては精いっぱい促してまいりたいというふうに考えてございますが、これを将来義務化できるかどうかという点については、今後の普及状況などを見ながら、今後また判断していかなければいけないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/73
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074・福島みずほ
○福島みずほ君 是非、全国で義務化できるように、発展していくように、よろしくお願いいたします。
ちょっとさっきの意見表明権ともダブるんですが、意見表明等支援事業を意見聴取等措置を補完するものと位置付けていることについての問題点、あるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/74
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075・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童の権利に関する条約第十二条の理念も踏まえまして、児童福祉法の第二条においては、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮される旨が規定されており、今回設ける児童相談所等の意見聴取等義務や意見表明等支援事業も、その趣旨を実現するために運用されていくものというふうに考えております。
具体的には、今回の児童福祉法改正案におきまして、児童相談所等が、一時保護や施設入所措置等の際に子供の意見や意向を勘案して措置を行うよう意見聴取等義務ということを設ける、これが一つあり、そしてもう一つ、意見表明等支援員が上記の措置等の際や処遇について子供の意見や意向を把握し、必要な支援を行う、この二つ目としてこれがあるという、この二つの規定を設けているわけでございます。
今申し上げたこれらは、それぞれが子供の最善の利益のために、子供の意見や意向を把握するために重要な制度でございまして、今委員が御指摘されましたような補完的な関係にあるというふうなものではないというふうに認識しております。
その上で、子供の意見や意向については、それぞれの制度に基づき、子供の置かれた状況や子供のニーズに応じて意見表明等支援員や児童相談所、関係施設の職員など適切な関係者が把握をして、そして適切な子供への支援につなげていくということが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/75
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076・福島みずほ
○福島みずほ君 児童の福祉に関し知識又は経験を有する者というふうにしておりますが、この子供の意見表明権を保障するには、子供アドボカシーを理解し、子供の側に立ち、子供のいわゆるマイクとなる専門性を有する必要があると考えています。
児童福祉に関し知識、経験を有するだけで誰でもできることではありません。子供の意見表明支援に関する専門性という文言を入れるべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/76
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077・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 意見表明等支援員は、子供の最善の利益のために、子供の立場に立ってその意見や意向を把握し、必要に応じて行政機関や児童福祉施設等の関係機関等との連絡調整を行う役割を担うものでありまして、一定の専門性が必要であるというふうに認識しております。
その上で、条文上は、弁護士や社会福祉士等の専門職とか、あるいはノウハウのあるNPOなど、非常に多様なバックグラウンドを持つ人材が担うということを想定しておりますので、したがって、有する、そういった方々が有している専門性も様々であるということから、条文上は、専門というふうな言葉ではなくて、児童の福祉に関して知識又は経験を有する者というふうな規定の仕方をさせていただいていると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/77
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078・福島みずほ
○福島みずほ君 独立性と守秘義務についてお聞きをいたします。
守秘義務も非常に大事、担当の職員に言わないでねと子供はよく言うというふうに調査報告書でありますけれども、守秘義務も必要です。それからもう一つ、独立性も必要です。場合によっては、その児童養護施設の職員に対する不満やいろんなことが、こうしてほしいとか、こういう規則は嫌だとか、もう帰りたいとか、いろんなことが出てくると思います。
それで、一見衝突する、児童養護施設にとって不愉快なことも、不愉快というか、子供たちはもちろん言う可能性があるわけで、そうしたときに、やっぱり独立性の担保、児童養護施設から独立していること、守秘義務ということが必要だと思いますが、これについて明言の規定はありません。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/78
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079・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今委員から、独立性とそれから秘密保持ということと二点御指摘いただきましたが、まず秘密ということに関しましては、法律の条文上、明文をもって担保してございます。
その上で、独立性の方の問題でございますけれども、社会保障審議会の専門委員会におきましても、一定の独立性を担保する必要がある旨の指摘を受けておりまして、意見表明等支援員は、一時保護や措置等を実施する児童相談所等からの独立性が重要であるというふうに認識しております。
そのため、例えば児童相談所が自らこの事業を行うというふうなことは想定しておりませんで、児童相談所からは独立性を有する方が実施するということを想定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/79
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080・福島みずほ
○福島みずほ君 子供にとっては、自分が言えるんだ、審議会とかいろんなところにアクセスできるんだというために、今までの調査研究の事業報告書によると、明石市などは、というか、分かりやすく子供に伝えるように、児童養護施設にあるとかいろんなことが書いてありますが、子供たちにどうやって周知するか、分かりやすく、例えば動画でやるとかですね、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/80
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081・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まさに、子供たち自身が意見を表明する主役でございますので、そういった子供たちにどういうふうにこの趣旨を理解してもらえるか、そこのところは重要な検討課題だというふうに思っております。
いろいろモデル事業の中でも様々な経験を蓄積してきておりますので、そういったものを踏まえながら、今後よく検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/81
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082・福島みずほ
○福島みずほ君 司法審査や子供の意見表明支援事業、支援制度の導入によって子供の権利保障がどのように改善されるかの検証と、より良い制度改善への、五年後の法案見直しがとても必要だと思います。
モデル事業についての事業報告書を読まさせていただきました。明石と岡山県と大分県の事例についてですが、やはり、例えば子供たち、大人に言っても無駄だと思っている場合が多いが、この取組について、これは一時保護所の場合ですが、自分の後に続く子供のために少しでも役に立つなら協力したいなどという感想を話す子供がほとんどであると。ほかの子供のためにも言いたいというのがあるわけですね。
それから、例えば、髪を染めることやピアスの許可などは即時に対応している。こうした生活環境の改善に対して、一時保護所を何度か利用した経験のある子供からは、一時保護所が劇的に改善した等の声が聞かれている。ただし、スマートフォンの持込み、窓を増やす、起床、就寝、入浴時間の変更等は人員体制や設備面の改善が必要となるため、すぐには対応することは困難であり、繰り返し、理解が出ているけれども、でも子供たちがまさにエンカレッジしていく、つまり自分自身が伝えた意見が実際に生かされ、改善につながる様子を見ることが、子供たちの無力感を軽減し、エンパワーメントすることにつながっているというふうに報告書にあります。そういうふうになると、全て自分の言ったことが改善されなくても、ほかの子供のために頑張ろうと思って言ったことがその次につながるとかですね、いい、本当にいい循環になると思います。
ですから、私が本当にお願いしたい、あるいは質問は、さっき言ったこの制度の導入により子供の権利保障がどのように改善されるかの検証とより良い制度改善への法案見直し、是非していただきたい。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/82
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083・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 子供の権利擁護に関しましては、令和元年度より厚生労働省の補助事業でモデル事業を実施するとともに、子供の意見表明等支援に関する調査研究も行いまして、その実態的な把握や先進的な取組の支援を行っております。
今般の児童福祉法改正案において導入する一時保護開始時の司法審査や社会的養護を受ける子供を含めた意見表明等支援事業につきましては、いずれも児童福祉法の規定に基づき、その子供の権利保障の理念の下、子供の最善の利益のために実施されるものでございます。
今後、改正法案が成立した暁には、それぞれにまずはその円滑な施行に取り組んでいくことが重要であると認識しております。その上で、委員御指摘のように、引き続き、子供の権利擁護などの実態把握を必要に応じて実施することによりまして、これらの施策の施行の状況を把握し、それを勘案して必要があると認めるときは、改正案における施行後五年をめどとした見直し検討規定に基づきまして必要な見直しを検討していくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/83
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084・福島みずほ
○福島みずほ君 今後の検証も必要ですし、大臣の力強い答弁で、是非この後、本当にこれが、本当にどのような形で、各地域で実際どのように実施されて、どのような成果があり、どんな問題があり、どんな課題があるのか、是非それを検証しつつ、また前進してやっていただきたいということを強く要望いたします。
刑務所や少年院や児童養護施設やいろんなところに行くと、図書室、図書をよくどんなかなと思ったりします。児童養護施設ではちょっと見たことがなく、刑務所などではどんな図書室があるのかというのは見たことがあるんですが。
かつて、刑務所、少年院、児童養護施設などで図書費の割合がどれぐらいかというのをあらかじめ聞いたことがありますが、どこも、グロスというか、まとめて予算というふうにやっているので、図書費だけを取り出して幾ら図書費を掛けているかということをなかなか出てこないというのがありました。
しかし、細かくいろんな調査や、もらうと、やっぱり図書費ってすごくお金が掛けてない、ほとんどお金を掛けてないというところも本当にありました。もちろん、学校に図書館、図書室はあるわけですが、そっちも貧弱な場合も大変あります。ほとんど図書費を掛けてない、お金がないという児童養護施設もありました、実際。
児童養護施設を退所した子供たちと話し、ある女性はすごい頑張ってファンドレイジングをつくると。それで、例えば、私がミヒャエル・エンデの「モモ」をプレゼントしたいと言うと、それをプレゼントして寄附すると、その本、要するにファンドレイジングで何千万とお金が集まって、児童養護施設にいる子供たちにその自分がプレゼントしたい本をプレゼントするという、そういうファンドレイジングを企画して大成功というか、非常に成果を上げていました。
しかし、それは反面、公費で購入する図書が、図書費が低かったり貧弱だという問題があると思います。退所した子供たち、子供と話していると、例えば寄附に、賄っていると、例えば高齢の男性だと本が子供たちと合わなかったり、あるいは本が古かったり、すごく前の本だったり、前の本でもいい本たくさんありますが、同じような本だったり、合わないということもあります。寄附に頼るのもいいけれど、本の寄附ですね、でもそれはまたちょっと子供たちのニーズとも違うと思います。
子供たちの心の栄養、心の耕しのための図書って本当に大事で、この図書費の増額というのを是非していただきたい、いかがでしょうか。図書購入の現状と図書の購入予算の増額の必要性についてお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/84
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085・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 児童養護施設における子供たち、これまで生育環境に恵まれず育ってきた場合も多いわけでありますけれども、読書はこうした子供たちの豊かな情緒を育むために非常に重要であると、先生と認識を共有しております。
図書の購入に係る費用としては、措置費における児童の日常生活に必要な経費の中で支弁しておりまして、そういう意味では一括ということになっているわけでございます。
児童養護施設における図書購入の実態については現状で把握しておらないわけでありますけれども、厚生労働省としては、今後、児童養護施設の在り方を検討する中で、学校現場での読書支援や地域の図書館の活用状況や、児童養護施設における図書の整備状況や図書へのニーズなども踏まえた対応が必要であると考えております。まずは施設関係者から入所者の読書支援ニーズなどを伺った上で、その対応について具体的に検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/85
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086・福島みずほ
○福島みずほ君 是非よろしくお願いします。
携帯電話のことなんですが、かつてこの委員会で、一時保護所における携帯電話、スマートフォンなど持ち込めないということでどうかというので、それはなかなか今も難しいというふうに聞いておりますが、児童養護施設における携帯電話の使用の現状とか、それからインターネットの扱いというのはどうなっているでしょうか。WiFi環境はどうなっているでしょうか。
子供たちにタブレットを一台ずつ貸与するとか、いろんなギグ教育構想とかありますけれども……(発言する者あり)あっ、GIGAか、GIGA、ごめんなさい、GIGA教育、失礼しました、GIGA教育構想。まあそれはどう評価するかというのは評価も様々ですが、しかし、タブレットを子供に与えると、そうするとWiFi環境が整ってないと非常に困ると思いますが、児童養護施設でこのWiFi環境が整ってないところもあるというふうに聞いております。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/86
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087・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まず、携帯電話の件でございますけれども、児童養護施設における児童の携帯電話の使用についての実態というものは私ども把握はいたしておりません。ですが、児童養護施設に入所する子供たちにとりましても、就学や就労の際、あるいは日常生活におきまして、様々な情報にアクセスするための通信手段として携帯電話は欠かせないものになっているだろうというふうに認識しております。
したがいまして、施設に入所している子供たちの携帯電話の利用については、これを一律に禁止しているものではございませんで、各施設の特性を踏まえ、所持するかどうかも含めて、子供の年齢、利用頻度、閲覧の制限など、各施設において適切に御判断いただいているというふうに認識しております。
また、携帯電話に係る費用につきましては、児童の日常生活に必要となる諸経費の中で措置費も活用できるということにしております。
それからあと、WiFi環境についてのお尋ねもいただきました。
児童養護施設におけるWiFi環境につきまして、施設のICT化の推進に必要な環境整備に係る支援を行っているところでございます。児童の学習機会の確保や学習環境の改善のためにはWiFi環境の整備は大変重要であるというふうに考えておりますので、このWiFi環境の整備状況の実態というものを私ども調査をいたしまして、支援の必要性について引き続き検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/87
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088・福島みずほ
○福島みずほ君 WiFi環境がないところもあるというふうに聞いておりますので、是非お願いします。
また、これまた退所した人たちと話をしたときに、アパートを借りる際や就職の際の保証人の問題で困っているというのがありました。今まではというか、所長さんが二年間は身元保証人になると。今度から五年間は身元保証人になるというふうに改善されたというふうに聞き、これは本当によかったと思っています。就職して、でも、また何か働きたいというときに身元保証人がいなくて本当に困ってしまう、仕事に就けないという話も聞きますので、その身元保証人問題について一言お願いいたします。
そして、児童養護施設所等の入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査というのを読みました。やっぱり退所した後どうなのか。ですから、子供シェルターの後、ステップハウスがあり、ステップハウスに見学に行ったこともありますが、退所した後、あの子供たちの支援が必要だと。で、この調査の結果だと、退所に向けての不安や心配だったこと、生活費、学費四七%、仕事のこと三八・八%、将来のこと三五・八%。公的なサポートへの意見、要望は、今後利用してみたいサポートやサービスでは、奨学金や生活費の貸付け、生活保護などの金銭面に関する支援二九%、住宅の確保に活用できる給付金や食事の提供など住居や食事、食料に関する支援が二六・七%。やっぱり支援をしてほしいと思っているわけです。
この支援してほしい、相談したいというのは一般の人にも、別に児童養護施設退所者だけの問題ではないけれども、このアンケート結果を見ながら、退所した後への支援も本当に、相談窓口を設けるか何か、やっぱり支援をしていただきたいという思いを強くいたしました。
この退所した後のことについて、答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/88
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089・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まず、身元保証人の件でございますけれども、児童養護施設等から退所を予定している児童等が就職やアパート等の賃借契約、あるいは大学等へ進学する際に身元保証人を求められる場合があるというふうに承知いたしております。
このため、施設長等が児童等の身元保証人となりまして損害を被った場合に備えて損害保険契約を締結する場合にその保険料に対して補助を行うということで、施設長等が身元保証人になる場合のハードルを引き下げ、施設を退所する児童が身元保証人を確保しやすくしているところでございます。また、令和三年度に保証人の対象範囲を拡大しまして、退所者支援を行う民間団体等を補助対象に追加するとともに、同一の保証人から複数の保証人を受けられるよう運用の改善を実施いたしました。
さらに、先ほど委員から御指摘いただきましたが、令和四年度には、対象児童等につきまして、措置解除等から二年以内の者であったところを措置解除等から五年以内の者まで拡大したところでございます。
引き続き、こういった支援に取り組みたいと思います。
それからあと、退所後の支援の必要性ということについての御指摘をいただきました。
今回の改正案の中におきまして、施設入所等の措置を解除された方、いわゆるケアリーバーの方々の実情を把握をし、そしてその自立のために必要な援助を行うということにつきまして、これは都道府県が行わなければならない業務というふうに位置付けるということをいたしております。あわせて、社会的養護自立支援拠点事業というものを法定事業として設立いたしまして、退所後の方々が通いとかそういった形で集まっていろいろ情報交換をするとか、あるいはいろんな相談援助に乗るとか、そういった形での退所後の支援ということを柔軟に行えるような枠組みというものもつくらせていただこうと思っております。
是非こういったものを活用しながら、退所者に対する支援というものをきちんと行っていく、そういう体制を整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/89
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090・福島みずほ
○福島みずほ君 頑張ってください。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/90
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091・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
まず、この児童福祉法の質問に入る前に、診療報酬改定についてお伺いしたいと思います。
今年もこの診療報酬改定が行われましたが、やはり現場は非常に慌ただしい状態だったと伺いました。本日、議事録を配付させていただいておりますが、先月の四月四日に自民党の石田筆頭理事がこの診療報酬の改定時における現場の混乱について行政監視委員会で質問をされていました。これ風物詩と表現されていましたけれども、診療報酬の改定があるたびに現場が疲弊するこの報酬改定のプロセス、全く見直されていません。三月初旬に正式な算定要件が出されても詳細までは分からず、結局、三月末に大量の疑義解釈資料が出され、今年三月三十一日だったと聞いておりますが、四月一日から新たな診療報酬となると。しかも、この後の疑義解釈の資料が連発されると。これが報酬改定があるたびに毎回繰り返されているということです。
そのほか、改正された診療報酬を四月一日から算定するためには四月の二十日までに管轄の地方厚生局に届出をする必要があるなど、診療報酬の改定作業については現場の感覚と大きなミスマッチが生じているのではないでしょうか。このような状態が繰り返されているとなると、厚生労働省が現場の状況を正しく認識しているのか甚だ疑問です。例えば、診療報酬改定の通知を前倒しすることや届出までの期間にゆとりを持たせるなど、日程の調整することはできないのでしょうか。
診療報酬改定による現場の負担軽減について、関係者の意見も参考にして前向きに検討していただきたいと強く思うところですが、厚生労働省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/91
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092・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
診療報酬改定につきましては、予算編成過程を通じて内閣が決定した改定率を所与の前提といたしまして、社会保障審議会において策定された診療報酬改定の基本方針に基づき、中医協におきまして具体的な診療報酬点数の設定等に係る審議を行い実施しております。
こうした流れの下、今御指摘ありましたけれども、例えば令和四年度の診療報酬改定におきましては、本年一月十四日に厚生労働大臣が中医協に対しまして診療報酬改定に係る諮問を行い、二月九日に中医協が厚労大臣に答申を行い、三月四日に告示通知を発出し、その後、疑義解釈の発出等を行っているところでございます。診療報酬につきましては、中医協における関係者の丁寧な議論に一定の時間を要する一方で、医療を取り巻く諸課題にできるだけ早く対応する必要があることから、現在こうしたスケジュールでの改定を行っているところでございます。
他方で、診療報酬改定に伴う医療現場の負担の軽減を図る御指摘があることは承知をいたしております。関係者の御意見を丁寧にお聞きしながら、どのような対応ができるか検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/92
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093・川田龍平
○川田龍平君 これ毎年、保険医協会さんからの要望をいただいています。これはJAの厚生連の五月号の雑誌ですけど、この裏表紙のところにある広告にも、「医科点数表の解釈」って、二千ページに及ぶこの本が、これ四月版なんですけど、これ六月発刊なんですよ。だから、間に合わないんですよね。
だから、結局、その見る、見るですね、本当見るものがないような状況でやらなきゃいけないということで、今回、改定で保険適用となった不妊治療、これが三月三十一日に疑義解釈で、これ二十五ページの九十五項目に及ぶ解釈が示されて、これ医療機関では多岐にわたる対応に追われました。その結果、東京においてですが、届出期間に間に合わない、また不受理とされた医療機関があると聞いております。高額な不妊治療がこれ保険診療で認められなくなり、医療機関も患者も双方で途方に暮れてしまったということです。
今次改定で新設された項目については、六月末まで届出を延長するとともに、今からでも周知徹底を図るべきではないかと思います。さらに、このような混乱を避けるためには、次回以降の点数改定では十分な周知を確保していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/93
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094・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 中央社会保険医療協議会における関係者の丁寧な議論に一定の時間を要する一方で、医療を取り巻く諸課題にできるだけ早く対応する必要があることを踏まえて改定作業を診療報酬改定には行っておりまして、先ほど政府参考人から詳しく申し上げたとおりであります。
他方で、委員から御指摘いただいた診療報酬改定に伴う医療現場の負担の軽減は重要な課題であると考えておりまして、関係者の御意見を丁寧にお伺いしながら、どのような対応ができるか検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/94
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095・川田龍平
○川田龍平君 これ本当に、今医療機関だけじゃないというお話もありましたが、これもう厚生労働省の職員も、これ三月は不夜城状態だと。本当に、これもう国会の審議のせいにしていますけど、そうじゃないところもあるんじゃないかと思います。そういう徹夜でやらされているというところですね。是非これ改正していただきたいと思います。
児童福祉法の質疑に入りますが、今回の児童福祉法の改正案の内容、これ都道府県、市町村における家庭支援、ケアリーバーに対する自立支援、入所措置等の際の児童の意見聴取や一時保護開始時の司法審査の導入、障害児通所支援や障害児入所支援など、非常に多岐にわたる内容となっています。
加えて、衆議院では、成人年齢が十八歳となったことに伴いAV出演問題が現役の高校生にも及んでしまうのではないかとの問題意識から、十八歳未満の児童の健全育成にも関わるものとして議論もなされたところです。特に、今回の児童福祉法には、児童に対してわいせつ行為を行った保育士の資格管理の厳格化も含まれているところであり、子供を性被害から守ることは喫緊の課題であると認識しております。
そして、児童虐待については、令和二年度の児童虐待相談対応件数が二十万件を超えて、右肩上がりの状況に終わりが見えません。児童虐待による死亡事例も毎年のように発生しており、虐待という域を出ているような、信じられないような事件も報道されています。
悲しい性被害や虐待の事件を減らすことができるのか、そして、子育てに励む保護者に対して適切な支援を届け、子供たち、ケアリーバーの方々などが未来に希望を持ち、支え合う社会をつくることができる法律案となっているのか、しっかり聞いていきたいと思います。
まず、衆議院における修正部分について政府に伺います。
昨年の夏、福岡県において、保育園に通っていた園児が送迎バスに取り残され、熱中症で亡くなってしまうという痛ましい事件が発生しました。現在、幼稚園や認定こども園には、学校保健安全法により安全計画の策定が義務付けられていますが、保育所についてはこうした事件を、事故を防止するための安全計画がありません。
二度とそのような悲しい事件が起きないように、我が党の小西洋之議員が昨年の十二月に本会議の代表質問でこの問題を取り上げ、保育所における安全計画策定に係る法改正の必要性を訴えてまいりました。残念ながらこの政府の提出の児童福祉法改正案には盛り込まれなかったため、立憲民主党が修正案を各党に提案し、最終的に衆議院にて七会派共同提出の形で修正案を提出するに至り、修正議決されました。今回の衆議院修正により、保育所を含む児童福祉施設等に対し、安全計画の策定が義務化されることとなりました。
改めて、政府として今回の衆議院における修正についてどのように受け止めているのか、お伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/95
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096・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今回、衆議院で行われました修正は、児童福祉施設等の運営に関する基準を都道府県等が条例として定める際に、国が定める基準に従うべき基準の一つとして、児童の安全の確保に関するものを追加したものというふうに承知いたしております。
保育所を始めとしました児童福祉施設等について、児童の安全確保を図っていくことは重要でございますので、本修正を踏まえ、その趣旨の説明において言及された保育所等における安全計画の策定について検討していく必要があるというふうに考えております。具体的な対応につきましては、各保育所等の実態なども踏まえて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/96
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097・川田龍平
○川田龍平君 是非よろしくお願いします。
それから、虐待対応の判断そのものにデジタル、これ、アプリやAIを取り入れてその察知や把握するという自治体が、試行が進んでいると聞いています。東京都の江戸川区の児童相談所や三重県なども新たな仕組みを導入したと聞いています。導入が進む背景には、虐待リスクの把握に欠かせないベテラン不足という人材面での課題があるとも聞いています。
このデジタル導入での効率という観点においてはそれなりに評価されているようですが、AIはその判断を補佐するもので、そのアルゴリズムで結果を確定するものではないと考えております。
虐待の未然防止の判断を効率よく迅速に補佐することは重要だと考えますが、厚生労働省として、今後、こういったデジタル技術によるアプリやAIなどのこの普及についてどのように考えているのか、見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/97
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098・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 厚生労働省におきましては、児童相談所における一時保護の判断に資するためのAIツールについて令和四年度から設計、開発を行いまして、令和六年度に全国での運用を開始することを目標といたしております。
現在考えている具体的な内容としては、AIが過去の類似事例に照らして一時保護の必要性や再発の可能性を表示する機能等を考えておりますけれども、あくまで職員が行う一時保護の判断のサポートが目的でありまして、職員に代わって判断するものではなく、緊急を要する一時保護判断の一助となるものというふうに考えています。
厚生労働省で今後開発するAIツールにつきましては、個人が特定される情報を除いたリスク情報のアセスメント情報を蓄積するということでございまして、過去の類似事例に照らし一時保護の必要性や再発の可能性を表示する機能等を考えておりまして、個人に直接ひも付くものではなく、御懸念は当たらないというふうに考えておりますが、御指摘を踏まえてしっかり運用していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/98
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099・川田龍平
○川田龍平君 本日、妻の書いたこの「デジタル・ファシズム」という本を配付しようと思ったら、全国区の選挙区の議員は配付すると寄附に当たってしまうということで今日配付できなかったので、資料としてコピーしたものを急遽配付させていただいておりますが、こちらに書いてあるように、アメリカのペンシルバニア州では、公共福祉予算の削減に伴い、福祉事務所をデジタル化してAIの予測分析システムを導入しています。これは、貧困家庭や困窮者など福祉に関する住民グループに関する膨大な個人情報を基に、どの子供が虐待や育児放棄にさらされるリスクが高いかを特定して、数値を基に虐待予測を出して、早期介入を実施するものと聞いています。
これが、しかし、その結果、その地域の微妙な人間関係が考慮されていなかったり、真面目に働き始めていた親が人種や家族背景などの過去のデータから自動的に危険レベルに振り分けられた結果、虚偽の通報が見抜けずに子供から引き離されてしまうなど、判断を誤るケースが頻発したといいます。その判断が子供と家族の人生を左右する児童福祉というこの分野は、人間の目による判断が非常に重要です。
あくまでもベテラン職員の育成に力を入れ、やはりこのAIデータはその補佐的な役割にとどめるべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/99
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100・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 委員御指摘のこの米国ペンシルベニア州における信用スコアに関する取組について、詳細は承知はしておりませんけれども、先ほど、厚生労働省で今後開発するAIツールについては個人が特定される情報を除いたアセスメント情報を蓄積しながら個人にひも付かないように的確に運営するということは答弁をさせていただきました。
AIが過去の類似事例に照らして一時保護の必要性や再発の可能性を表示する機能等、これをAIを使って利用していきたいというふうに考えておりますけれども、あくまで職員が行う一時保護判断のサポート目的でありまして、職員に代わって判断するものではなく、緊急を要する一時保護判断の一助となると、そういう位置付けで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/100
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101・川田龍平
○川田龍平君 是非お願いします。
デジタル化によって、現場で経験を積んだ方でさえも、最終的に自らの経験値よりもアルゴリズムによって出した虐待危険度指数の方、判断を信じてしまうという結果になったといいます。さらに、たとえ虐待の事実などなかったとしても、調査をされること自体が人々に監視されているというトラウマを植え付けます。そして、一度調査対象になってしまうと、保護者は子供が二十三歳になるまでアメリカではこの州の児童虐待登録簿に名前が載せられてしまう。これは保護者だけではなく、その子供が成人したときに就職を不利にするなど、大きな傷を付けてしまいます。私たちはこの公共サービスにおけるデジタル化のリスクを決して軽視してはなりませんということも言っていますが、本当、デジタル化にはメリットもデメリットも存在して、プライバシーという機微の個人情報の管理も極めて重要です。本当に機械による管理というものについてはやっぱり非常に慎重に扱う必要があるということを是非考えていただきたいと思います。
次に、民法における懲戒権について伺います。
私もこの参議院の国会質疑では本件については議論させていただいておりますが、懲戒権の規定、これ児童虐待を正当化する理由に使われるということで問題視されてきました。令和元年の改正法により、児童福祉法とこの児童虐待防止法において体罰を行うことは禁止されましたが、懲戒権の扱いについては附則において検討事項とされました。
法制審議会において懲戒権規定については削除する方向となっていると伺っていますが、これ早く法改正すべきではないかと思います。
これ、今年の二月二十四日の、ちょうどあのロシアの武力侵攻が始まった日に森ゆうこ議員が予算委員会で聞いて、今国会で改正するのかということで、現時点でどのような改正内容、またスケジュールを想定しているのかを法務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/101
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102・堂薗幹一郎
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
御指摘のとおり、本年二月に法制審議会から民法、親子法制等の改正に関する要綱の答申を受けたところでございます。答申では、親権者の懲戒権に関する民法の規定を削除し、親権者について、子の人格の尊重や、その年齢及び発達の程度への配慮を求めるとともに、体罰を禁止するなどの規律を新設することが盛り込まれているところでございます。これは親権者の親権行使の目的や範囲等を明確にするものであり、児童虐待の防止に資するものと認識しているところでございます。
答申の内容は、いずれも喫緊の対応が必要な課題を解決するために重要な意義を有するものでございますので、できる限り早期に改正法案を国会に提出したいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/102
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103・川田龍平
○川田龍平君 厚労省にも、懲戒権規定、これ削除された場合において、児童福祉法及び児童虐待防止法若しくはその他の厚生労働省所管の法律において、具体的に何らかの改正などを要する部分が生じるんでしょうか、厚労省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/103
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104・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 懲戒権の規定の取扱いというものがほかの私どもの所管しております法律への及ぼす影響の部分につきましてはまた精査をさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、私どもとしては、元々、体罰によらない子育てということを推進するための啓発ということに取り組んできております。私どもとしては、まずはそういったところにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/104
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105・川田龍平
○川田龍平君 是非、法務省と厚労省も、それから政府全体として、やっぱりこの児童虐待なくすために、体罰の問題についても是非対策取り組んでいただきたいと思います。
続いて、子供の意見聴取に係る仕組みの整備について伺います。
法律案では、一時保護や施設入所措置などの際に児童の意見を聴取することを義務化することとしております。それに併せ、新たにこの意見表明等支援事業を創設し、児童の意見表明を支援することとされています。
児童の意見は、行政にしっかり届けるためには、行政とは独立した立場の専門的知識や技術を身に付けた意見表明等支援員、アドボケーターの配置が必要と考えますが、アドボケートの養成や配置について政府としてどのような取組を行うことを考えているんでしょうか。都道府県が行う意見表明等支援事業に対する政府の支援の在り方についても併せて説明をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/105
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106・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 子供の意見表明等の支援に関しまして、厚生労働省では、児童相談所が行う一時保護等の措置の際に子供の意見、意向を受け止める体制の構築を図るため、令和元年度からモデル事業を行っております。これは、補助率、国十分の十で実施しておりまして、令和三年度には十一自治体で取り組んでいただいております。
今般の意見表明等支援事業につきましては、これまでのモデル事業における取組を踏まえつつ、その制度化に際して、厚生労働省といたしましても、都道府県が実施する意見表明等支援員の研修の参考となるプログラムの例の開発ですとか、あるいは、現在実施しております子供の権利擁護のモデル事業の取組など好事例の紹介も含めた周知などを行うとともに、必要な財政支援を実施することによりその着実な実施を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/106
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107・川田龍平
○川田龍平君 意見表明等支援事業では、児童の意見又は意向を把握する者について児童の福祉に関し知識又は経験を有する者とされていますが、具体的にはどのような者がそれに該当すると想定されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/107
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108・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この意見表明等支援事業におきましては、その担い手である意見表明等支援員は、弁護士ですとか社会福祉士等の専門職、あるいはノウハウのあるNPOなど、多様なバックグラウンドを持つ人材が担うということを想定いたしております。
こうした中で、子供の意見、意向の把握という点から一定の専門性が必要となってまいりますことから、このような多様なバックグラウンドを持つ者が意見表明等支援員として活動いただくために、各自治体が策定した研修プログラムを受講いただき、養成を図ることを検討しております。
国としても、意見表明等支援員の研修プログラムの例の作成などを通じまして、この都道府県における養成に係る支援、しっかりと行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/108
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109・川田龍平
○川田龍平君 是非、子供家庭福祉の実務者の専門性向上など、やっぱり本当、これから子供家庭福祉の認定資格の話も出てきます。これ、厚労省の資料によると、この資料を見ると右下のところが点線囲みで白紙になっていて、本当に、何か議論してきたけど途中で落とされたみたいなところがありますが。
本当に、この保育士の実務経験四年積んだ方がソーシャルワークに関する研修を受講して、そしてこういう新しい資格を取得していこうというのは非常に、特に保育士の方のやっぱりキャリアアップとか、本当に今、処遇改善だけではなくて今後の、保育士の人が途中でやっぱり辞めていく人たちがいる中で、やっぱり保育士がキャリアアップできるその仕組みが必要ではないかというふうに言われてもいます。本当に、保育士の方が年を取ってからやっぱり子供相手でできなくなるとかそういったことを考えると、保育士が行政職に進む道であったりとか社会福祉士の、そういった子供家庭福祉の方にやっぱりしっかりと資格を取れるような形でキャリアアップできるということはとても重要なことだと思いますが、それについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/109
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110・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたような子供家庭福祉についての今回導入を予定しております認定資格の中では、保育士の実務経験四年持っておられる方々につきまして、ソーシャルワークに関する研修をしていただいた上で指定研修を百時間程度受けていただき、試験等も受けていただいた上で認定資格を取得していただくということを一つのルートとして想定しております。
全体的に子供の人数が減っていく、そういう時代を迎えまして、保育士、各それぞれの保育所における状況というものが、待機児童の解消という局面から、だんだん今度は定員割れというふうなことに対応、どういうふうに対応していくかというふうに局面が変わってきてございます。そういった中で、保育士が持っている専門性というものを地域の子育て家庭に対してどうやって還元していっていただくのかということを考えましたときに、今回の改正法の中で、地域子育て相談機関というものを設けるというふうな規定がございます。地域のそれぞれの子育て家庭が気軽に相談できるような、そういった存在として創設するわけでございますが、そういったものの中では、やはり地域の中で信頼を集めている保育所というのがそういった相談機関としては大変有力な担い手として想定されているところでございまして、そういったところで相談を担う、相談支援を担う保育士には是非こういった認定資格なども取っていただいて、様々なソーシャルワークについての技能というものを身に付けていただきたい、そんなことも期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/110
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111・川田龍平
○川田龍平君 是非、本当、子供の声をしっかりと聞ける保育士の方たちのやっぱり役割が本当重要視されてくるんではないかと思いますので、この意見表明などでも、やっぱりしっかりとこういった形で保育士の方たちが働ける場があるといいなと思います。
次に、法律案では、都道府県等は子供の権利擁護に係る環境整備を行うことが定められますが、都道府県の児童福祉審議会などとされており、都道府県独自の権利擁護機関の設置も想定されていると思います。既に都道府県によっては、この児童福祉審議会ではなく独自の権利擁護機関を設け、設置しているところもあります。
児童福祉審議会となると、その活動の幅は児童福祉法に、範囲にとどまってしまうために、児童の権利擁護としては限定的なものになってしまうのではないでしょうか。こども家庭庁設置法案における議論でも、国の権利擁護機関、子供コミッショナーの設置を求める声がある中で、都道府県児童福祉審議会の守備範囲を超えた児童の権利擁護全体をカバーするような自治体の体制が必要ではないでしょうか。
厚生労働省として、都道府県における児童の権利擁護機関のあるべき姿についてどのように考えているのか、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/111
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112・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 各都道府県におきまして、児童福祉審議会の調査審議等を含め、子供の権利擁護に関わる体制が整備されることは重要でありまして、今回の法改正案では、児童福祉審議会その他の機関の調査審議及び意見の具申が行われるようにすることなど、児童の権利擁護に係る環境の整備を都道府県の業務として明確に位置付けております。
このうち、児童福祉審議会を活用して、施設に入所する子供たち等の意見を受け止め、必要な調整を図る仕組みについては、これまで調査研究事業を通じて具体的な手法等を検討しておりまして、自治体のモデル事業も実施して普及を促進しているところでございます。
一方、児童福祉協議会ではない形で、その所掌を超えて、より広い範囲で権利擁護を行う取組についても、一部の自治体の事例を承知しておりますけれども、こうした仕組みは現状では事例も少なく、児童福祉審議会との関係性の整理など、全国一律で進めるには課題があるものと認識をいたしております。
このため、今後の自治体の取組やその広がりの状況等について注視するとともに、まずは、今般の改正法案で都道府県の業務として位置付ける児童福祉協議会を含めた子供の権利擁護のための取組が進むように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/112
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113・川田龍平
○川田龍平君 それでは、時間も近づいてきていますので、まとめて質問しますが、この一時保護状の請求期限について、これどのような根拠で七日以内とされたのでしょうか。土日や連休など挟んだ場合に、今、本当に現場では非常に不安視されております。児童相談所における土日や休日、勤務体制、これからこの人材確保、非常に重要だと思いますが、それについて厚労省に。
そして、裁判所の方には、これまで児童福祉法における承認審査では家庭裁判所が関わってきたと承知しています。今回、一時保護の開始時の一時保護状の請求先を家庭裁判所の裁判官に限定しないこととされていますが、地方裁判所や簡易裁判所の裁判官については、一時保護に関する判断について専門性を身に付ける必要があるのではないでしょうか。また、一時保護状の審査を、請求を審査する裁判官の専門性の在り方についてどのように考えているのかを、裁判所に二問お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/113
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114・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) それでは、前段の御質問にお答えしたいと思います。
一時保護の事後請求の審査期限につきましては、審議会等において、迅速性の観点から短くするべきだといった御意見もございましたし、一方でまた、児童相談所の事務負担に配慮すべきといった御意見もございました。そういった様々な御意見があった中で議論を経て、一時保護開始から七日間というふうに改正案において規定をしているわけでございます。
一時保護状の請求については、その件数も多数となることが予想されるところでありまして、司法審査に係る児童相談所の事務負担が過剰なものとならないようにする必要がある、これは私どもとしても強く認識いたしております。裁判所の方に提出する請求書類については全国共通の様式を設けることや資料の簡素化について、今後、施行までの間に実務者から構成される代表チームに、あっ、作業チームにおいて検討していきたいというふうに考えてございますし、また、児童相談所の体制ということにつきましても、人員確保も含めて、司法とのやり取りのための体制強化ということをしっかりとさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/114
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115・手嶋あさみ
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
今般の改正法案における一時保護開始時の司法審査は、一時保護の要件を明確化した上で、中立な第三者としての裁判所が客観的要件の具備を迅速に審査する制度であると承知をしております。そして、この一時保護の要件は今後内閣府令において客観的に明確な形で規定される方向で検討が進められるものと承知をしておりまして、そういった要件の明確性が確保されることにより、裁判官であれば、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所のいずれの裁判所におきましても対応が可能と考えられているものと承知をしております。
お尋ねの一時保護状の請求、審査する際の裁判官の専門性の在り方という点でございますけれども、裁判所が行う児童虐待に関する手続の判断が重大な結果につながり得るということについては十分承知をしているところでございまして、一時保護状の請求を審査する裁判官において、児童虐待及びそれに関連する問題について必要な知見を深めることは重要であるというふうに認識をしております。
裁判所におきましては、これまでも児童虐待などをテーマに専門家に御講演をいただくなどの研修等を行ってきているところでございますが、先ほど申しましたとおり、改正法が成立をいたしましたら、一時保護開始時の司法審査の制度趣旨、内容を的確に周知いたしますとともに、必要な研修等を実施することなど含めまして、所要の準備をしっかりと行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/115
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116・川田龍平
○川田龍平君 是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/116
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117・山田宏
○委員長(山田宏君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二分休憩
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午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/117
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118・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、竹谷とし子君及び酒井庸行君が委員を辞任され、その補欠として若松謙維君及び藤井基之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/118
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119・山田宏
○委員長(山田宏君) 休憩前に引き続き、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/119
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120・石田昌宏
○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏です。よろしくお願いします。
悲しいことに、虐待の死亡の二八%をゼロ歳ゼロ日で占めています。このことを、この死亡、虐待死を防ぐことを念頭に、まず質問したいと思います。
まずは、これから生まれてくる命を宿す女性の支援に関してです。
兵庫県の神戸市に小さないのちのドアという、思いもよらない妊娠で途方に暮れてしまっている女性に寄り添って支える小さな法人があります。例えば、思い掛けず妊娠をして、そのことを彼に伝えたら彼が逃げてしまい、そして家族に伝えたら家族から捨てられ、家を失い、町をさまよっている女性がいます。勇気を出して産婦人科に行ったところ、もうこれはおろすしかないというふうに言われてどうしたらいいか分からない、そんな途方に暮れている女性がいます。
もう誰にも言えないとか、流産してくれればいいのにとか、もういっそのこと、もう自分も死んでしまいたいとか、そんな思いが頭の中にぐるぐる巡っている、そんな女性が小さないのちのドアにたどり着いて、そして助産師を中心としたスタッフたちが寄り添って、そして傷を癒やしていきます。そんな場所が小さないのちのドアです。
妊娠そして出産するという二つの大きな喜びが、妊娠して家族から捨てられ、そして出産は堕胎しろと言われて、逆に二つの大きな悲しみになってしまう。そのことを避けたいと、小さないのちのドアでは、せめて生まれてくる命を大切にしたいといって、彼女たちはその人たちに寄り添って、家族のように寄り添い、そして励まし、そして女性は出産し、生まれてくる命の喜びを感じることができます。もう二度と産みたくないという思いが、次こそいい出会いをして、また出産したいという思いに変わって自立していきます。そんな丁寧できめ細かな支援が必要な妊婦が日本にはいますが、残念ながらこういう支援をしている場所は極めて少ない状況です。
住むところや頼る人がいないなど、社会的ハイリスクを持った妊婦を支える事業を進めることを要望します。厚生労働省の取組をまず聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/120
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121・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今お話ございました予期せぬ妊娠などによりまして孤立しがちな困難を抱える妊婦を把握して、そして必要な支援の方につないでいくということは大変重要なことでございます。
このため、現在、妊産婦等の孤立感解消を図ることを目的とした産前・産後サポート事業による妊産婦悩み相談対応ですとか、あるいは都道府県等が行うSNSやアウトリーチによる相談支援、緊急一時的な居場所の確保など、妊娠に悩む若年妊婦や特定妊婦と疑われる方への支援の補助のほか、母子生活支援施設等における居場所の提供等を含む妊娠期から出産後までの継続した支援を行う産前・産後母子支援事業、こういった事業を今実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/121
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122・石田昌宏
○石田昌宏君 このような支援は本当にエネルギーが掛かります。是非、そういったエネルギーを掛けて人の命を救っている人たちへの支援をしっかりとしていただきたいと思います。
様々なメニューがありますけれども、予算も十分取るべきです。そろそろ来年度に向けた、来年度の予算に向けた議論が省内でも始まっていると思いますけれども、妊娠したことで孤立した女性に対する支援に関してたくさんの予算を取るべきだと思います。是非、大臣の意気込みをですね、予算取るぞという意気込みを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/122
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123・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 困難を抱えて孤立している妊産婦等を把握し、必要な支援につなぐことは非常に重要であり、これまでも様々な取組を行ってきております。
今般の児童福祉法改正法案では、生活に困難を抱える妊産婦等に一時的な住まいや食事の提供、医療機関等の関係機関との連携及び調整等を行う妊産婦等生活援助事業を法律上位置付けるとともに、都道府県等がその体制整備やハイリスク妊産婦への利用勧奨等を通じて、着実に支援を届けていくこととしております。
加えて、困難を抱えて孤立する妊産婦がこうした支援に適切に結び付くよう、こども家庭センターや婦人相談所の連携をより進めることなどに取り組む必要もあるというふうに考えておりまして、こうした支援が円滑に提供され、困難を抱えて孤立する妊産婦が必要な支援につながることができる環境が整備されるように、財政支援を含めた様々な支援についてしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/123
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124・石田昌宏
○石田昌宏君 是非期待しています。頑張ってください。
次に、生まれて間もない乳幼児の虐待に関してお伺いいたします。
児童虐待防止法では、虐待が行われるおそれがあると認めるときには、都道府県知事は権限を行使し始めるとされていますけれども、このおそれがあるというのに幅があればあるほど、逆に誤認、間違えも生じやすくなってしまいます。このことが特に今生じているのが、虐待による乳幼児頭部外傷、AHTに関することだと思っています。
厚生労働省が関与して作っていて、臨床現場で虐待による乳幼児頭部外傷の診断基準として使われている子どもの虐待対応の手引きでは、九十センチ以下から転落や転倒で硬膜下出血が起きることはほとんどないと言われているという、こういった表記があって、事実上、事故で起きることはないので、このような外傷を見た場合にはほぼ自動的に虐待として通報するといったことが一般的な手順になっています。
ところが、この手引きの記載に関して異議を唱えている医者も結構たくさんいます。つまり、このおそれがあるの範囲が広い状況に今なっています。
また、最近は、裁判の事例なんですけれども、元々ほかに内因性の疾患があったものの、それを十分除外して診断することなく、頭部の症状だけをもって通報した事例に対して裁判で無罪の判決が出ました。
このように、AHTの症状があれば自動的に通報する手順というのが冤罪を生み、親との愛着形成が極めて重要な乳幼児、この時期に親子を引き離すといった現象が続いて起きています。
大臣、このように、現にいるんですけれども、虐待していないのに子供が長期間一時保護されて、それに苦しんでいる家族の方々へのお声を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/124
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125・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 虐待による乳幼児頭部外傷が疑われた事例については、刑事裁判によりその保護者が無罪とされた事例があることは承知をしております。それらの事例において、結果として親子が分離される期間が生じたことに対する御家族の御心労については、大変なことだったとお察しを申し上げる次第でございます。
一方で、児童相談所においては、子供の安全確保のためにちゅうちょなく適切に一時保護を行う必要があるものと認識しております。刑事裁判における証拠に基づいた判断基準とは異なる考え方に基づいて運用される点にも十分留意する必要があるというふうに考えます。
乳幼児頭部外傷については、児童相談所において医療機関等の関係機関と連携して十分な情報を集め、医師の診断のほか、子供の状況、保護者の状況、生活環境等から総合的に判断する必要があると厚生労働省としてもお示ししているところでありまして、引き続き、児童相談所により適切に一時保護を実施していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/125
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126・石田昌宏
○石田昌宏君 この課題はかなりいろんな意見があって、令和二年に日本小児科学会が、虐待による乳幼児頭部外傷の疾病概念は医学的根拠の蓄積によって確立されており、世界の数多くの学術団体がその医学的妥当性について合意している等として、関連学会に対して賛同の見解の表明を求めています。
また一方で、脳神経外科で硬膜下血腫として診断された乳幼児百六十例を分析した結果、約六割が低いところからの転倒、転落であると、虐待を疑われる例は三割しかないといった研究結果も昨年出されています。
脳神経外科学会や日本小児神経学会は、手引きに対して、脳神経外科医の知見が反映されるように求めています。
このように、子ども虐待対応の手引きに関しては医学的根拠の是非が揺さぶられている状況に今あるわけなんですけれども、したがって、見直しをしていく必要があるのかなというふうに考えています。
虐待による乳幼児頭部外傷に関して、手引きの見直しはするというふうに考えてよろしいでしょうか。また、見直しするならいつ頃になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/126
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127・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この子ども虐待対応の手引きにつきましては、平成二十五年に改定されたわけですけれども、それから八年を経過いたしまして、その間、法制度の変更等もございますし、厚生労働省としても見直しの必要性ということは認識いたしております。
この乳幼児頭部外傷につきましては、厚生労働省としても、脳神経外科の医師を含め各分野の有識者に委員として入っていただいた上で、乳幼児頭部外傷に対する児童相談所の対応等の実態について分析する調査研究を令和二年度から実施しておりまして、これまで児童相談所等の現場における実態把握を行ってきたところでございます。この実態把握などを行い、またいろいろ検討を進めてきている中におきまして、手引きにおける乳幼児頭部外傷の記載について、関係者より改正の必要性が指摘されているということは承知しております。
今後、これまでの調査研究の結果に加え、医学に関する最新の知見や関係学会の議論の動向を十分に踏まえた上で、手引きの見直しについて検討してまいりたいと考えております。具体的には、法案が成立した暁には、速やかに、まずは関係学会等の御意見をお聞きしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/127
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128・石田昌宏
○石田昌宏君 速やかにということですので、法案ができた暁には是非急いでスタートしていただきたいというふうに思います。
虐待のおそれの範囲について話をしていますけれども、この判断をより正しくするためじゃないかなと思うんですけれども、厚生労働省は、今年の三月三十一日に、虐待による乳幼児頭部外傷事案の診断等に協力可能な医師の確保に向けた取組の積極的な活用についてという通知を出しています。医師の頭部外傷の診断に関してセカンドオピニオンを求めることを促すような内容かなというふうに思います。
この取組は極めて重要であって、是非進めていただきたいし、きちんと運営していただきたいし、フォローもしっかりとしていただきたいんですけれども、もう一歩進めて、これはやったらいいなという話ではなくて、特に病院が通報する場合には比較的その一時保護までの間に時間を取りやすいので丁寧な対応ができると思います。例えば、乳幼児頭部外傷の理論を提唱している分野と異なる分野の医師のセカンドオピニオンを前提として手続をするといった仕組みができないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/128
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129・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 虐待による乳幼児頭部外傷事案の対応に当たりまして、児童相談所においては、セカンドオピニオン等を医療機関に求める場合には、小児科や脳神経外科、法医学等の多様な分野の専門家の意見を基に御判断いただくことが重要と考えております。厚生労働省では、乳幼児頭部外傷事案につきまして、先ほど委員から御指摘いただきました通知を本年三月に都道府県等に発出いたしまして、厚生労働省の方から関係学会に対して協力を要請するなどをさせていただいているところでございます。
それで、乳幼児頭部外傷事案につきまして、まずは児童相談所によるこの取組の活用状況ということを踏まえた上で、児童相談所が多様な分野の医師に医学的助言を得ながら適切に対応できるように、医療機関等との連携の強化に向けた環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/129
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130・石田昌宏
○石田昌宏君 分かりました。
次に、一時保護の開始に当たっての司法の関与についてお伺いしたいと思います。
乳幼児の虐待というのは、子供たちが自分の状況を表現できないわけですから、全ての関係者は子供の代弁者として、チャイルドファーストの原則を持って行動しなければなりません。これは単に虐待の被害を疑われる子供をいち早く保護につなげるということだけではなくて、虐待がない子供を誤って親から分離することもない、これがチャイルドファーストで必要だと思っています。頭部外傷の事案では、この観点に課題があるかどうか問われている話だというふうに考えています。
愛着形成が極めて重要な時期に制度の運用によって虐待のない親子を強制的に分離するというのは、ある意味でネグレクトといった虐待を制度が生んでいると捉えかねられません。それだけに、確実な判断と、保護された場合でもその判断が常に確かであるか担保し続けるための迅速かつ正確な手続が必要。だから、私は今日みたいな質問をしているわけです。
改正案では、一時保護の開始に当たって、裁判官が判断する仕組みが導入されています。しかし、裁判官が子供や保護者の意見を直接、機会は用意されていません。児童相談所に提出した資料にのみ基づいて判断するとされています。このことに関して、幾つか質問したいと思います。
まずは、一時保護状の請求なんですけれども、この請求は一時保護開始の前にするのでしょうか、後にするのでしょうか。緊急性があるから後になるといったことはあり得るというふうに思います。しかし、例えば医療機関で発見される場合が結構ありまして、この場合は治療が進んでいる間は入院しているわけで、ある意味、一時保護状の請求をするまでに時間の猶予がある場合が多いと思います。過去の事例を見ても、入院から一時保護の開始までが数十日とか、場合によっては数か月間、間が空いているような例もたくさんあります。
確かに、入院などで子供の安全は確保されていますから、事前にしっかりと十分調整を踏まえていくことを進めるべきだというふうに考えますけれども、厚生省、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/130
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131・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案で導入する一時保護の開始時の司法審査につきまして、事前にすべきか、それとも事後にすべきか、いろいろ議論がございました。そういう中におきまして、一時保護は緊急的に保護を実施するケースが多いという実態に鑑みまして、一時保護状を請求するタイミングについては、必要な一時保護をちゅうちょなく実施できるように事前又は保護開始後七日以内というふうにしております。
委員御指摘いただきましたように、一時保護の事案の内容によっては事前請求が可能なものもあるだろうというふうに考えております。
今般導入する司法審査に係る運用や実務の詳細につきましては、施行に向けて実務者を構成員に含む作業チームにおいて検討していくわけでございますが、その中で、児童相談所において事前の一時保護状の請求が可能と判断した場合は適切に事前の請求を行っていただくべきものというふうに考えておりまして、現場における一時保護の実態というものを十分に踏まえ、委員御指摘いただきましたような入院しているようなケースなど含めまして、どのような場合に事前に請求を行うことが可能なのかということは、これはまた十分に検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/131
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132・石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。
丁寧に検討していただきまして、事前の場合についても一定の指針を出していただきたいというふうに思います。
次に、一時保護の司法審査に当たっては、裁判所は児相の方からの話だけじゃなくて、親とか関係者とか、意見を直接聞くことができるようにすべきだというふうに考えていますが、そうはなっていない仕組みになっています。一時保護は、普通は、虐待疑われているわけですから、保護者が同意していない状況で行われることが大半だと思います。児童相談所と例えば保護者の間の対立も生じやすくなります。そのような中で、児相が客観的に保護者の主張も含めて文書化できるかというのにもなかなか苦労があると思います。
それなら、せめて、例えば児相が意見を出す際などに、親が作った、親などが作った文章を、児相が加筆修正とかまとめるとかすることなく、そのまま裁判所に提出することを通例とすべき、こういったこともあり得ると思います。それが誤認を減らす可能性を増やすことになりますし、児相側も要約とか要りませんから、負担の軽減にもなると思いますが、この仕組みについて、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/132
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133・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護開始時の司法審査につきまして、児童の安全を確保しながら、併せて一時保護の判断の適正性を迅速に判断する必要がございますので、迅速性と適正性の両立が求められるわけでございます。
このため、親や子供の意見を裁判所が直接聞くいわゆる審判形式というものも検討したわけでございますけれども、審判の結果が出るまで司法の判断がないまま一時保護を長期間継続するという取扱いは、今回の開始時の司法審査の趣旨に照らして適切ではなかろうということで採用せず、今般、児童相談所が裁判所に関係書類を提出した上で、一時保護状による方式というものを採用したわけでございます。
この一時保護を行う際の親や子供の意見につきましては、児童相談所が一時保護状を請求する際に、可能な限り疎明資料に盛り込んで裁判所に提出するという形とすることを検討しております。
具体的に一時保護状を請求する際の疎明資料に盛り込む内容等につきましては、これ、委員御指摘のような親権者等が作成した意見書等をそのまま疎明資料の中に含めるというような運用も含めまして、今後、施行までの間に実務者から構成される作業チームにおいて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/133
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134・石田昌宏
○石田昌宏君 是非そういった工夫をしていただきたいと思います。
これから、実務者等を含めた検討チームですか、で検討があると思いますけれども、その実務者等というのは、例えばどういう人が入っていく予定になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/134
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135・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) やはり、この児童相談所の業務というものによく精通した児童相談所の方に関わり合いを持っておられる弁護士の方ですとか、そういった様々な関係者に集まって議論していただくことを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/135
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136・石田昌宏
○石田昌宏君 その中で是非当事者からの意見を聞く場も是非開いていただきたいと思います。もちろん実務者が中心に検討することはとても大事ですから、それは進めていただきたいんですけれども、様々なケースがあると思いますから、よくケースの分析が必要になります。その際に、当事者の方からの意見も是非聞いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/136
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137・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) そういった一時保護のケースを経験されたような親御さんですとか、そういった方々の御意見を拝聴するなどのそういった機会などもできれば設けたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/137
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138・石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。極めて運用が大変だと思います。
また、今日午前中の質疑にもたくさんありますように、児相側の負担というのもあります。この辺丁寧に詰めていかないと、目的はいいけれども実際運用が難しかったとなってはなりませんし、それが結果的に虐待の、虐待した子供たちの一時保護の遅れや、場合によっては誤認につながることもしてはならないことだと思いますから、どうぞ迅速に、かつ丁寧にいろんな人の意見を聞いてお願いしたいと思います。
それから、一時保護始まった後であっても、それが確かなものかを常に確認していくこともとても大事です。事後的な救済の仕組みも必要かと思います。
本改正案では、不服について児相側の申請は認めていますが、子供や保護者からの不服の申立ては認めていません。検討会などの議論を見ていると、子供や保護者側も不服申立てを認めるべきだという意見も出ていますが、結果、採用されなかったわけですが、その採用されなかった理由を教えていただきたいというふうに思います。
衆議院側の答弁の方で橋本局長の方からは、保護者側の請求が認められて二か月以内に一時保護が解除されるケースについては把握していません、令和二年度に調査しました結果の中で、平成三十年度に一時保護決定に関する取消し訴訟が一件容認され、一時保護が解除されているものと承知していますということがあって、取消し訴訟をしたらいいんじゃないかというような話だと思うんですけれども、それは実際には一件しか現実的にないんですね。うまく運用されているようには思えません。
改めて御質問しますが、不服の申立てを採用しなかった理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/138
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139・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護開始時の司法審査は、裁判所が迅速にその適正性を判断する仕組みとしておりますので、不服申立て手続については、一時保護状の請求が却下された場合において、一時保護を行わなければ子供の生命や心身に重大な危害を生じ得るようなケースに限って児童相談所が申し立てることができるというふうにしております。
今御指摘いただきましたように、子供や親からの不服申立てということにつきましては、親や子は行政訴訟等の提起が可能という点以外にも、児童相談所の体制や手続、親や子の意向をどう受け止めていくかなど、様々課題が多うございまして、また、一時保護の司法審査は相当多数の件数になるということが見込まれ、まずはその開始時の審査の円滑な施行が重要であるというふうに考えてございますので、今般の改正案においてその制度化は見送ったところでございますけれども、審議会の報告書においても、不服申立てを認めるべきというふうな意見があった旨明記されたところでもございまして、将来的な課題というふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/139
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140・石田昌宏
○石田昌宏君 将来的な課題ということなので、その課題として是非検討を進めていっていただきたいというふうに思います。
どう受け止めていいかといった課題が多いという話ですけれども、それを解決するためにも必要な話だと思いますので、将来的な課題でありながらも、きちんと確実に議論を進めていただきたいというふうに思います。
次に、面会等の制限についてお伺いします。
一時保護中であっても乳幼児期に必要な愛着形成を阻害しないように、親子関係をきちんとできるようなことを進めていく必要があります。しかし、実際は、子供の保護を優先する余りなんでしょうか、愛着形成を阻害しているように感じる場面もよく聞く話になります。
私が直接聞いた事案の中でも、乳児院で一時保護されている子供に面会をしたいと思っても、児相の方が、コロナがあって職員が今大変なんだ、まあ確かに大変だと思います。だけど、その理由によって、結果的に親と子の面会がもう一か月どころか何か月もできていないといった事案もあります。これ、一番やっぱり愛着形成の時期ですから、本当に頻度をよく会っておかないと、結果、子供が親のことをもう忘れちゃうとか、そんな状況まで生まれてしまっているんですね。それがさっきネグレクトにならないかという話をしたわけです。
このように、よく見てみると、一時保護においてこれは何で起きているかと調べると、面会とか通信について、児相の方が、法律上の根拠と言っていいのか、行政指導なんでしょうね、の名の下で事実上強制的に面会や通信を制限しているといったことがあるという話は聞くことがあります。
これ、厚生労働省としてはどのような認識をしていらっしゃるのでしょうか。件数含めて数字も教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/140
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141・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護や施設入所中の子供と保護者の面会や通信につきまして、児童虐待防止法第十二条に基づきまして、必要があると認めるときは、児童相談所長等はこれを制限することができるというふうにされております。
児童相談所運営指針におきましては、子供と保護者の面会や通信の制限については、児童虐待防止法第十二条に基づく行政処分ではなく行政指導として行うものもあり得るということから、行政処分又は行政指導のどちらで行うべきかについて、実情に応じて判断して対応する、そのようにされております。
お尋ねいただきましたデータでございますけれども、令和二年十月から令和三年三月までの期間における接近禁止命令、それから面会、通信制限の実施状況を含めた調査を全ての児童相談所を対象に実施しております。これの結果によりますと、児童虐待防止法に基づく措置というものが全体で二十件、それから児童福祉司指導としての措置というものが全体で百二件、それから行政指導としての対応というものが四千九百八十七件という結果になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/141
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142・石田昌宏
○石田昌宏君 となると、今ちょっと数字暗算できないんですけれども、九割どころかもっと多くの割合が行政指導として行われているという感じで、法的根拠に基づいて行っている例はかなり少ないと思います。
確かに手続等があってこれ大変だということは理解しますし、今日午前中の質疑でもさんざんありましたけれども、児相の体制の弱さというのはあると思いますから、その体制を強めていくことは是非すべきですけれども、同時に、余りにもちょっと裁量的な面会や通信の制限、これ本来はあってはならないことですから、これが行われているとしたらばかなり遺憾なことだというふうに思います。
大臣のお考えを聞きたいんですけれども、このように行政指導を中心とした今面会や通信の制限の実態を見て、もうこれ改善していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/142
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143・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 一時保護や施設入所中の面会、通信制限については、児童相談所運営指針においては、行政処分又は行政指導のどちらの位置付けで行うべきか、実情に応じて判断することとされておりますが、先ほど政府参考人から答弁したとおり、大部分が行政指導によって行われていると承知しております。
このような事態について、社会保障審議会の専門委員会の報告書においても、行政指導ではなく、司法審査の対象となり得る行政措置が現場において適切に実施されるように通知等で促していく必要があると指摘されておりまして、厚生労働省としても、その趣旨を踏まえ、今後も自治体における実態について伺いつつ、適切に措置や指導が実施されるよう対応を検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/143
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144・石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。
是非、対応をしっかりしていただきたいというふうに思います。こういった手続、一個一個丁寧にすることは確かに負担ではあるんですけれども、それが誤認をなくしていったりとか、人の幸せを求めていくことに寄与するというふうに思っています。
私、時間の計算が苦手で、若干時間がありそうなので、一個飛ばした質問が実はあるんですけれども、飛ばした質問を復活させたいというふうに思っています。
SBS、それからAHTの話なんですけれども、これはやっぱりかなり、さっきも言いましたけれども、やっぱり揺さぶられているというか、その根拠性がやっぱり崩れつつあるんではないかなという気がしてならないんです。
揺さぶられ症候群とか虐待による乳幼児頭部外傷が児童虐待と関係すると言われた始めたきっかけというのは、実は一九七一年のガスケルチさんというイギリス生まれのアメリカの学者の方の論文がスタートになるというふうに言われています。この理論が発展してきて今に至っているという形になります。
ところが、このガスケルチさん本人は、二〇一二年のジャーナル・オブ・ヘルス・ポリティックス・ポリシー・アンド・ローという学術誌で、これらの話は仮説であって、証明された医学的、科学的事実ではないというふうに御本人が述べてしまっています。正しい理解をするには仮説と知識を区別する必要があるということも述べています。
つまり、やっぱり、子ども虐待の手引き、先ほど見直すと方向はおっしゃってくださいましたけど、ここに書かれている内容が少なくとも完璧な根拠性を持っていない仮説であるということも同時に伝えていただかないと、今時点の運用ですらやっぱり正しいものじゃなくなってくる可能性があります。
また同時に、この問題は、やっぱりかなり精度良く高い診断基準を設けていく必要がありますけれども、そのためには研究がもっと必要だというふうに考えます。実際にこのことによって判断されている子供たちの例が多いわけですから、一刻も早くより高い診断基準を作るための研究を推進すべきだというふうに思います。
厚生労働省も是非研究の推進という点でお力を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/144
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145・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この手引きにおきます乳幼児頭部外傷に関する記述につきましては、平成二十五年に手引きが改正された際におきましても、当時の国内外の医学的知見や有識者による検討を経たものでございます。その上で、乳幼児頭部外傷の医学的な診断基準については、専門家である多様な分野の医学の学会等により知見が蓄積され、そして整理されていくものというふうに認識しております。
厚生労働省といたしましては、医学的な研究の前提となる科学的な知見の集積度合いをお伺いするほか、委員御指摘いただきました研究も含めましてどのような対応があり得るのかということについて検討する必要があるというふうに思っておりまして、そのためにも、先ほど申し上げましたとおり、まずは各関係学会等の御意見というものをしっかりとお伺いしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/145
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146・石田昌宏
○石田昌宏君 是非よろしくお願いします。
流れが悪くなってしまいましたけれども、次の質問に行きたいと思います。
今のは乳幼児の話をしましたけれども、今度はその次ですね、判断ができる力を持った大きな子供って変ですね、中学生とか高校生とか、そういった場合の虐待のケースについてお伺いしたいと思います。
今日お話でも出ていましたけれども、意見表明等支援事業というのが今度新しい法改正の中でつくられていきます。これは極めて有効だというふうに思っていますが、この意見表明というのはまた何かというと結構いろいろとあって、一時保護中の子供に対しては、例えば今の保護所での生活をどうしたいかとか困っていることは何かとかいったその今の話もありますし、その後どういう暮らしをしたいかとか、広く言ったら自分の人生どう送っていきたいかとか、様々な意見というのがあって、この表明を支援するには多様な支援の仕方が必要だというふうに思っています。
また、意見を表明するといっても簡単な話ではなくて、先ほども打越先生の話の中にもあったようなことだと思いますけれども、本当に、例えば親が精神疾患の場合で、実際親を助けるという意味で親の手伝いだとか、また小さい弟や妹の手伝い、いわゆるヤングケアラーといった状況になっていて、逆にそれがもう自分の生活の中で当たり前だと思っている子供たちがいて、それが当たり前じゃないんだよということを丁寧に理解してもらうためには、意見言ってごらんなさいという話じゃ無理で、ほかにもいろんな可能性がある、例えば、行政のサービスを使ってもっと自分自身解放してもいいんじゃないかとか、親がもっと治療が受けられれば親も病気が治っていってまた違った状況になるんじゃないかとか、そもそも学校に行っていないんだけど学校に行ったっていいんですよといったメッセージだとか、様々な情報を伝えていかなければならないわけですね。
また、虐待を受けているような場合だと、虐待で、親に逆らってもいいんだよとか、虐待から逃げてもいいんだよとか、そういったことも大切であって、そういった自分自身が立ち残っていく力とか、場合によっては勇気といったものを込みながら意見表明というのをしていくことも大事だと思いまして、その支えがとても大事です。
したがって、まずは傾聴して、子供へきちんといろんな意見表明をして、あっ、情報提供をして、意見形成を支援していくことをいかに丁寧に進めるかということがとても大事で、今日も午前中もずっとおっしゃっていましたけども、人材の養成とかは極めて大事になると思います。
今後、そういったガイドラインを作ってきちんと人材の養成をしていただきたいというふうに思いますが、その方針についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/146
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147・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案におきまして、都道府県等において意見表明等支援事業を設けることとしております。意見表明等支援員は、子供の最善の利益のため、子供の立場に立ってその意見表明等の支援を行うことといたしております。
意見表明等支援の対象となる子供というのは、虐待を受けて傷ついていたり、あるいは大人への信頼をなくしていると、こういった事情にある子も見られます。したがって、意見を形成し表明するということ自体に困難を抱えているということも考えられますので、子供の意見にじっくりと耳を傾ける、そしてまた必要な範囲で情報提供を行うなど、こうした子供の特性に配慮した方法で適切に意見表明等のための支援を行う必要があるというふうに考えております。
ただ、この情報提供という点につきましては、過度に支援員が情報提供して意見形成を促すということになりますと逆に子供の意見を誘導するというふうなことにもつながり得るので、そこは留意が必要だろうというふうにも思っております。
今後、施行までに、意見表明等支援事業の具体的な運用や手続につきましては、ガイドライン等を策定することを検討しております。その具体的な内容につきましては、今御指摘いただきましたような点も含めて、既にモデル事業等において意見表明等支援を実施している自治体や有識者の意見を踏まえながら、よく検討させていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/147
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148・石田昌宏
○石田昌宏君 ガイドライン作ってくださるそうで、よかったと思います。本当にそのガイドラインを丁寧に作っていただきたいと思います。確かに、おっしゃるとおり、自然に出てくる意見じゃないと、誘導してはいけませんし、やり方というのは極めて難しいと思います。先ほど午前中の意見のように、専門性の高い人材の育成も必須だと思いますから、まずガイドライン作りからしっかりと始めていただきたいと思います。
そして、子供が意見が大体まとまってきたとしても反対する親がいるわけですから、その意見を実現しようと思ったらば、言ってみたら闘いがあるんだと思います。子供だけではできませんから、児相の職員もそうですし、また民間の方もそうですし、様々な方がある意味で子供と一緒に闘うとか子供と伴走していくとか、そういった人たちの存在は極めて重要になってきます。
児相では児相の職員中心にやっていただいていると思いますけれども、同時に民間のシェルターなどもたくさんありまして、民間シェルターでは必ず担当の弁護士はいて、弁護士さんが様々な役割をやってくださっているというふうに思います。きっと打越先生もそんな仕事をなさっていたんだなというふうに思いながら午前中の質問を聞かせていただきましたけど。
単に子供の弁護するというだけじゃなくて、時には親と対峙して、子供が自立した生活ができるように親を説得して、例えば子供の持っている通帳、子供の通帳を親からちゃんと子供のところに手渡してもらうような支援をするとか、その交渉をするとか、場合によっては学校とか職場に行ってその人の生活を支えていくとか、親に代わって子供の支援が必要になります。
特に民間の方では、さっき言いましたけど、弁護士さんを中心にそんな仕事をなさっているというふうに聞いていますけれども、そういった弁護士たちの活動を支える仕組みも大事だと思います。国選の弁護人を付けろといった意見もあります。それも含めながら、弁護士の活動を支えていく仕組み、特に民間シェルターにおいてを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/148
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149・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたような子供シェルターなどにおきまして、弁護士が子供の代理人となって親との交渉や関係機関との調整を行っている例があるということは私どもも承知しておりまして、私どもとしてもこういったお取組については注視してまいりたいというふうに思います。
また、今般の児童福祉法等改正案において創設する意見表明等支援事業において、子供の意見、意向の把握や、必要に応じて関係機関との調整を意見表明等支援員が行うこととなるわけでありますが、弁護士や社会福祉士等の専門職、それからノウハウのあるNPOなど、多様なバックグラウンドを持つ人材が担うことを想定しておりまして、それぞれの自治体における御判断とはなりますが、シェルターの弁護士にも必要に応じて支援員として御活躍をいただければというふうに思っております。
その上で、法的な対応ということにつきましては、基本的には、子供の意見聴取後に児童相談所において一時保護等の措置を実施した場合において、その方針が親権者等と対立する場合に生じるものというふうに認識しておりますが、子供の最善の利益や子供の安全ということを最優先にして、児童相談所としては毅然として対応する必要がございます。
このため、厚生労働省としても、児童相談所における弁護士の配置促進ということを含めまして、法的な対応体制の強化ということを支援しておりまして、弁護士の活用を今後とも積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/149
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150・石田昌宏
○石田昌宏君 時間が来ました。
前向きな答弁も多かったと思いますけれども、かなり複雑な問題ですから、丁寧に丁寧に対応していくことをこれからも期待いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/150
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151・山本香苗
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
児童虐待による痛ましい事件が相次いでいます。これを受けて、この間、数次にわたって児童福祉法等を改正してまいりました。しかしながら、虐待対応件数は減るどころか増えています。
こうした状況をどう認識して、どのように対応していこうとお考えなのか、まず大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/151
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152・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 児童虐待の問題につきましては、これまでも、今御指摘のとおり、累次の法改正を行って対策を強化してまいりましたけれども、児童相談所における児童虐待相談対応件数は年々増加をいたしておりまして、令和二年度には二十万件を超えるとともに、複雑かつ複合的な事案も増加しておりまして、その深刻さを増しているものと認識いたしております。
子育て世帯を取り囲む環境は、地域のつながりの希薄化や核家族化などによりまして、負担や悩みを抱えて子育てに取り組んでいる子育ての世帯が多くなっております。このため、虐待が起こってからの対応の強化に加えて、家庭への支援を強化し、虐待の発生を未然に防止することが必要であると考えております。
このため、今般の児童福祉法改正案においては、家庭への支援を強化して虐待の発生を未然に予防するために、全ての妊産婦、子育て家庭、子供への一体的に相談支援を行うこども家庭センターの設置や、訪問による家事支援などの創設など、子ども・子育て支援の種類、質、量の充実を図ることとしております。加えて、充実を図る子ども・子育て支援が確実に支援を必要としている家庭や子供につながるように、サポートプランの作成を市町村の業務に位置付け、市町村が必要と判断した場合には利用勧奨、措置によりプッシュ型で支援を提供することを可能とすることにしています。
また、虐待が起こってからの対応の強化としては、児童相談所の体制強化に引き続き取り組みつつ、子供家庭福祉の実務者の専門性向上の観点から、実務経験者向けの研修等を経て取得する認定資格制度の導入や、児童相談所が民間と協働して支援を強化するために、里親支援の強化として里親支援センターを児童福祉施設として位置付けることを盛り込んでおります。
このように、今般の改正案を通じまして、引き続き児童虐待の防止に全力で取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/152
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153・山本香苗
○山本香苗君 大臣が今おっしゃっていただいたように、起きてからでは遅いと、未然に防ぐと、私はここにしっかりと力を注いでいかなくてはならないと思っております。
そうした中で、今大臣の御答弁の中にもございました、サポートプランの策定というのを市町村の業務として今回明記をしました。
しかし、そもそも、様々な課題を抱えて支援を必要としていながらも把握されていない子供や御家庭があります。ここをどう把握して、確実に支援につなげていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/153
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154・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今委員から御指摘いただきましたとおり、支援が必要な子供や子育て世帯に対しまして、子育て支援や家庭支援につなげていくということで、しっかりその状況を把握していくということが重要でございます。
このため、今般の改正案におきましては、全ての子供、妊産婦、子育て家庭へ一体的に相談支援を行う機関としてこども家庭センターを設置するとともに、身近な場所で相談ができますよう、保育所や認定こども園、幼稚園、地域子育て支援拠点など、子育て支援を行う施設等を地域子育て相談機関というふうな形で整備をしまして、子育てへの悩みなど幅広く子育て世帯等からの相談を受け付けるなどいたしまして、相談支援の充実を図ることとしております。
こういったことを通じて、多くの子育て世帯が支援にしっかりとつながっていくように、そういった取組を進めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/154
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155・山本香苗
○山本香苗君 今おっしゃっていただいた今回新たにつくる取組と、もう既存でですね、そもそも要対協における取組があります。これとの関係性を整理してお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/155
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156・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案におきましてこども家庭センターが作成することとなるサポートプランについては、要支援、要保護児童などの子育て世帯に対して計画的に支援を結び付けていくためのものでございまして、家庭支援のための具体的な支援メニューですとかあるいは支援の期間や利用頻度、こういったことを盛り込んで作成することを想定しております。
また、作成したサポートプランについては、子育て世帯自身に対してお示ししながら支援を進めていくことを想定しておりますが、関係機関とともに効果的な支援に役立てていくため、要対協の枠組みの下で確認、共有するということも想定いたしております。
さらに、こども家庭センターが要対協の事務局となるということを基本的に想定しておりますので、今、両者の関係性がどうなのかということのお尋ねがあったわけでございまして、まあ二重にやるようなことにならないのかというふうな御懸念かというふうに思いますけれども、要対協におけるケース会議とサポートプランの取組というものが一体的なものとして運用できるように、今後、施行までに自治体の意見もお伺いしながらしっかり検討させていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/156
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157・山本香苗
○山本香苗君 要は、要対協で協議した結果がサポートプランという形で制度化されて、関係者間で誰がどう対応するのかと、こういった役割分担を明確にしていくということが一番いいんだと思うんですが、実効性のあるサポートプランを作ってきちっと確実に支援を届けていくためには、その要対協のメンバーがきちっとその子供やその御家庭をよく分かっている人や、また、実際支援に携わっているような人が入っていなかったらできないわけです。ただ、残念ながら、多くの自治体では、ほとんど要対協、進行管理だけしているというような状況です。ここ、どう変えていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/157
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158・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたように、要保護児童等の早期発見や保護のみならず、個々の家庭の実情に応じた支援を行うためには、地域の関係機関が当該児童等に関する情報や考え方を共有して、そして適切な連携の下で対応していくことが重要でございます。
このため、要対協において、子育て支援に関わるNPOや子供食堂など、多様な民間機関と行政機関が連携して、協働してケース検討会議や支援を行うことが大事なわけでございますけれども、現状におきましては、NPO法人が参画している要対協は一割程度、それから子供食堂が参画している要対協は一%程度というのが今の実情でございます。
官民連携の手法といたしまして、民間機関を要対協の構成機関に加えることや、構成機関には加えないまでも、事案に応じて個別ケースの支援を依頼するというふうなことなどが考えられます。この点、要対協の枠組みを活用しなければ、個人情報の取扱いがネックとなって効果的な支援につながりにくいといった声が寄せられておりますので、昨年度の調査研究事業におきまして、既に民間機関と協働が進んでいる要対協の好事例の収集ですとか、あるいは個人情報の適切な保護と民間機関との情報共有の在り方の検討を行いまして、今年の四月に各自治体に周知を図ったところでございます。
さらに、今般の改正案において創設することとしておるこども家庭センターでは、地域の子育て支援ボランティアや子供食堂など、NPO等の地域資源による活動内容の実態を把握し、地域に根差した子育て支援等の取組を促進することとしておりますので、今後、実際に支援に関わっている方々の御意見も伺いながら、実効性のある支援ということに向けた関係機関との連携についてしっかり検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/158
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159・山本香苗
○山本香苗君 是非、ここは肝ですので、しっかりやっていただきたいと思うんですが、それだけではなくて、支援を必要としているお子さんや御家庭がSOSを決して出していないわけではないんです。出しているけれどもSOSとして受け止めてもらえなかったと、こうした経験をしている子供たちは少なくありません。実際、東京の目黒区であったり、千葉県野田市、また大阪の摂津市で痛ましい虐待事件がありましたが、これらの事件においては、子供を信じる力、子供の声に耳を傾ける力、子供を温かく見守っていく力、これが周りの大人に足りなかったんだと思います。
今回、先ほど来より出ていますこども家庭センターにおいては、是非、これ全て子供を対象としているセンターだということでございますので、子供たちを信じて、子供たちの声、SNSやピアサポートなど様々な方法で継続的に聞いて、かつ集めて、それを支援につなげて生かしていくという体制というものを是非とも整えていただきたいと思います。
と同時に、今、トラウマによって心に傷を抱えている子供たちがいます。多いです。こうした子供たちのSOSは時として暴言や暴力、家出や自傷行為など問題行為として表れることが多々あります。この問題行為の背景にトラウマがあるということを念頭に置きつつ、支援の必要性を把握していただきたい。こういう新しいアプローチも徐々に広がってきておりますが、是非推進をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/159
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160・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) こども家庭センターは一体的な相談機関でございますので、子供を始め様々な相談を適切に受け付け、支援につなげていく必要がございます。
このため、相談支援については、対面のみならず、電話やメール、SNS等の様々なツールが考えられるわけでありますが、現在、それらを積極的に活用している自治体の事例を収集するなど、効果的な相談体制について研究し、どのような対応ができるか検討してまいりたいというふうに思います。
それから、あとトラウマケアということについても今御指摘いただきました。こども家庭センターにおいて、親からの虐待により心の傷やトラウマ等を持つ子供を始めとした様々な課題を抱える子供について、適切に状況を把握してアセスメントをしていくということが重要と考えております。
このように専門的な支援の必要性が高い児童については、その対応に応じて、こども家庭センターにおいて配置される予定の保健師や心理担当職員等の専門職が対応するほか、高度な専門性を要するケースについては、要保護児童対策地域協議会の枠組みも活用しながら、必要に応じて精神科医等の在籍する医療機関や児童相談所へつなぐといった取扱いについて施行までに運用を検討してまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、様々な相談支援に適切に対応するため、こども家庭センターにおいて相談援助に従事する職員の専門性の向上が重要でございますので、市町村向けの職員の研修の充実ですとか、今回創設する子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得促進などによりまして、人材の確保も併せて図ってまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/160
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161・山本香苗
○山本香苗君 幾ら支援があってもつながらなかったらゼロと、こういう事態は絶対に避けなくてはいけないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
支援を必要とする御家庭やお子さんを把握して確実に支援につなげていくためには、ニーズに合った支援メニューを用意していかなくてはなりません。
先日、大阪の西成区釜ケ崎で、子供の命をど真ん中に、四十年以上にわたって子供の居場所を始め地域の子供たちのため様々な活動を実施しているこどもの里に行ってまいりました。地域の居場所は、子供たちにとって逃げ場であるとともに、子供の声を聞く場所であり、子供たちの抱えている困難を可視化する場所なんだと、居場所の中で子供の生活のしんどさ、親たちの生活のしんどさが見えてくる、そのように伺いました。また、地域によって状況も違う、だからこそ、子供たちが歩いて通えるぐらいのところに、中学校区に一つぐらい誰もが安心して通えるような居場所が必要だといったお話を伺いました。私も全くそのとおりだと思います。
是非とも、中学校区に一つぐらいという目標を具体的に掲げて、この子供の居場所づくりを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/161
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162・佐藤英道
○副大臣(佐藤英道君) 全ての子供たちが孤立せずに健全に育っていくことができるようにするため、子供たちの居場所を確保していくことが重要と考えております。
昨年十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針においても、放課後児童クラブや児童館、子供食堂等の子供の居場所づくりを進めることが盛り込まれており、厚生労働省としてもしっかりと取り組んでまいります。
具体的にどの程度のエリアを単位として普及を図っていくこととするかは今後検討していくことになりますけれども、主に就学前の世帯には地域子育て支援拠点といった場の活用を、また、主に就学後の世帯には、この児童育成支援拠点に加えて、放課後児童クラブの活用をすることなども含めて、身近なところに居場所をつくっていくこととしたいと思っております。
その中で、今般の児童福祉法改正案により創設する児童育成支援拠点事業については、一つ、令和三年度補正予算にあるモデル事業の実施により円滑な施行に向けた取組を行うこと、二つ目に、制度が施行される令和六年度からは子ども・子育て支援交付金の対象として位置付け、国としても予算面の支援を行うこと、三つ目に、市町村において、子ども・子育て支援事業計画の作成を通じて、計画的な体制整備を進めることなどにより、要支援児童等の困難を抱えた児童に着実に支援が行き届くよう取組を進めてまいります。
こうした要支援児童等に居場所を提供する取組について、現状では一部の地域での先駆的な実施にとどまっており、その体制整備には一定期間を要すると考えておりますが、対象児童の送迎も可能とすることなどを通じ、必要な子供にしっかりと支援が行き届くよう対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/162
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163・山本香苗
○山本香苗君 余り送迎じゃなくて、通える、子供たちが通える範囲で是非考えていただきたいと思います。
こどもの里では、子供の居場所以外に様々な事業を実施するとしているんですが、その中で、家庭の事情で家に帰りたくないと、親が仕事で家にいないと、こうしたときに児相を介さずに柔軟に子供を一時的に預かる取組を自主事業として実施しております。
この取組は、見守り強化事業を今、今年から本格的にやっていただいていますけど、これを活用して実施することも可能だと思いますが、今回の改正案において充実される子育て短期支援事業、これを先取りしたようなものになるのではないかと思いますが、是非この制度設計に当たっては、こどもの里の取組も参考にしつつ、子供たちのニーズに合った形で柔軟に運用できるようにしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/163
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164・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたように、何らかの理由によって家にいることが難しい子供を受け入れて、そして支援を実施していただいていると、そういう事例があるものというふうに承知しております。
子育て短期支援事業につきましては、今般の児童福祉法改正案において、子供だけではなく保護者も一緒に受け入れて支援することを可能にするということに加えまして、子供自身から利用希望があった場合にも受け入れて支援できるようにするための運用改善を図るということにも取り組んで、緊急的なシェルターとしての役割も含めて、より子育て世帯や子供のニーズに沿ったものとなるようにしていくことといたしております。
今後、今回の法改正を踏まえた具体的な運用方法について検討しお示ししていただくこととしておりまして、その際、今御指摘いただきましたような先駆的な取組の状況もよく参考にさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/164
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165・山本香苗
○山本香苗君 よろしくお願いいたします。
今回の改正案においては、先ほども出ていましたけれども、産前・産後母子支援事業を妊産婦等生活援助事業として法定化することになっておりますが、大阪市においては、令和二年十月からこの事業を民間委託して、当事者を中心に実家のような柔軟なサービス提供を行っていただいております。令和四年三月末までに百七十一名を支援して、無事十八名の方が出産できたと伺いました。その十八名のうち五名は健診未受診で、妊娠検査すら受診していない方がおられました。受診費支援や病院等への移動支援を想定した事業の制度設計にしてもらいたいというお声をいただいておりますので、是非そうしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/165
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166・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案で新設する妊産婦等生活援助事業は、妊娠していることが疑われる方や妊娠が分かった方から出産後までを対象として支援の必要性が特に高い妊産婦等に対し、居場所の提供や食事などを含む包括的な支援を提供することといたしております。
今御指摘いただきましたような妊婦の受診費やあるいは病院等への移動に関する支援については、現行制度におきましても特定妊婦と疑われる方の産科受診への同行を支援する事業ですとか、あるいは妊婦健診費用に関する公費負担等が行われておりますので、こうした施策の活用も含めて一体的に支援を行うことを想定いたしております。
また、今後、事業の詳細について検討していく中で、病院等への同行支援など、提供する支援の具体的な内容についても検討し、困難を抱える妊産婦等にとって使い勝手の良い仕組みとなるように、今の御指摘も踏まえて検討させていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/166
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167・山本香苗
○山本香苗君 もう一つ、訪問により生活支援を行う子育て世帯訪問支援事業というのがあります。これ、極めてニーズが高くて、早く全国で実施をしていただきたいと思っております。
私の地元大阪の豊中市においても、研修受けた地域住民の方がエンゼルサポーターとして社協が必要と認めた御家庭に訪問をして、御家庭のお困り事に対応しております。是非、こうした好事例を周知するとともに、地方自治体の取組状況をしっかりフォローして、速やかに全国展開できるように後押しをしていただきたいと思います。
また、支援対象については、ごちゃごちゃ言わずに、幅広く是非やっていただき、取れるようにしていただきたいと思いますし、あわせて、障害福祉サービスと他の福祉サービスを使える可能性のある方については、こっちは障害福祉だとかというふうに言われるんですよ。じゃなくて、サービスにつなぐまでの間はちゃんと使えるんだと、提供されるまで使えるんだと、こういうことを明確にしていただきたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/167
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168・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般新たに創設いたします子育て世帯訪問支援事業について、子ども・子育て交付金の対象として位置付けることで財政的な支援をしていくことといたしておりますが、それに加えまして、地方自治体との意見交換の機会を設けて先行事例の周知や普及に向けた課題の確認等も行いつつ、しっかりと自治体に対して実施を促してまいりたいというふうに考えております。
また、支援対象者の範囲でございますが、現在の支援の提供体制が十分でない状況下においては、まずは要支援、要保護児童、特定妊婦、支援を要するヤングケアラーなどに確実に支援を行き渡らせるということが必要でありますけれども、支援の提供体制整備を進める中でより広い対象層に量的に広がっていくものと考えており、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
また、障害の関係でも御指摘いただきましたが、障害福祉サービス等を使える可能性がある方についても、そうした理由だけをもって今回の支援対象から外すといったことがないように適切なアセスメントを行うなど、具体的な運用方法をお示しする際には十分に留意してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/168
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169・山本香苗
○山本香苗君 今回、様々な家庭支援事業というのを創設するわけですけれども、これらについては市町村が必要に応じて利用勧奨と措置を行うことが可能となっていますが、この運用を誤ると、支援を必要とする家庭や子供たちに逆に支援がつながらなくなる可能性があります。
当事者を中心として、何に困っているのかと丁寧に当事者の意向を聞いて、一緒にどうしたらいいか考えながら一緒にやってみると。そうした中で信頼関係を築いて支援につないでいく、こうした丁寧なやり方、運用を是非徹底をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/169
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170・佐藤英道
○副大臣(佐藤英道君) 議員御指摘のとおり、子育て世帯に対して継続的に関わって支援を提供していく上では、身近な存在である市町村が信頼関係を構築しながら支援に当たることが重要と考えます。平成二十八年の児童福祉法改正ではこの考え方を明確にし、市町村において子育て世帯への支援に当たっていただいております。
こうした中で、今般の児童福祉法改正案により導入する利用勧奨や措置の仕組みについて確実に実施を進めていく観点からも、市町村において強権的な運用がなされ、子育て世帯との信頼関係に支障が生じるといったことがないように、一点目に、市町村が子育て世帯にとって身近な存在として支援に当たる存在であるとの平成二十八年の児童福祉法改正と考え方を変えるものではないこと、第二点目に、サポートプランの作成等の業務を行うに当たっては、子育て世帯に寄り添い、抱える悩みや課題等をよく踏まえて対応いただくことなどを、具体的な運用方法をお示しし、周知徹底してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/170
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171・山本香苗
○山本香苗君 それで、大臣にお伺いしたいんですけれども、今申し上げたように丁寧な対応しなくちゃいけないわけです。これを絵に描いた餅にしてはいけないわけです。そのためには国による支援の充実がもう不可欠でございまして、先ほど、午前中もありましたけど、あっ、先ほどもありましたけれども、しっかり予算を取っていくと、力強い御支援を大臣からお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/171
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172・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 市町村における子育て世帯への家庭支援など包括的な支援体制を整備するため、まずは全ての妊産婦、子育て世帯、子供へ一体的に相談支援を行うこども家庭センターの設置を進めることとしております。
加えて、具体的な家庭を支援する事業として訪問家事支援の事業などについて、子ども・子育て支援事業計画の作成を通して地域のニーズとそれに応じた計画的な体制整備を促すこと、子ども・子育て支援交付金の対象として位置付けて財政支援を行うこと、令和三年度補正予算において安心こども基金を活用して各市町村における先行的な実施を促すことなど、多くの地域で体制整備が円滑に進むよう取組を進めていくこととしております。
今般の児童福祉法改正案の狙いである家庭への支援を強化して虐待の発生を未然に予防するということを実現できるように、市町村に対する支援にしっかり取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/172
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173・山本香苗
○山本香苗君 しっかり取り組んでいくという言葉を是非具体化していただきたいと思います。
次に、社会的養育経験者への支援について伺いますが、今回、児童自立生活援助事業を拡充することによりまして、いわゆる十八歳の壁が撤廃されます。この点については関係者の方々から歴史的な前進と大変高く評価をしていただいておりますが、十八歳超えて支援を継続するかどうか、それを判断するのは都道府県です。都道府県によってばらつきが出ないようにしていただきたい。また、本人が延長を求めているにもかかわらず、施設がいっぱいなど大人の都合で措置延長されないということは絶対ないようにしていただきたいと。
延長に当たって本人の希望や意向を十分聴取するとともに、要否を検討する都道府県ごとに設置される自立支援協議会には本人の意向を代弁する方、退所後のこの想像を絶する厳しさを分かっている方、そういう、例えば施設の職員であったり支援者の方々等を必ず入れると、こういうことを実現していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/173
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174・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 施設への入所措置等を経験された方が安定した生活を継続していくことができる環境を整えるため、必要な支援を行うことは非常に重要でございます。
今般の改正案におきまして、施設入所措置等を経験した方等の実情把握及び必要な援助について、都道府県等が行わなければならない業務として位置付け、都道府県等が関与する枠組みとするほか、児童自立生活援助事業について、都道府県が必要と判断する時点まで年齢制限の弾力化を図るとともに、二十歳以上の方への支援も義務的経費に位置付けることとしております。
自立支援の必要性や支援の内容等については、都道府県が支援を受ける方の自立支援に関係する方等を集めた会議の場を設定しまして個別ケースごとに決めることを想定いたしておりますが、その決定に本人の意向が十分反映されるように、会議の在り方や構成員等につきまして施行までに一定の考え方を示すこととさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/174
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175・山本香苗
○山本香苗君 その中に先ほど申し上げたことを是非反映していただきたいと思います。
そこで確認ですが、平成二十八年の児童福祉法改正におきまして、就学者自立生活援助事業というのが法定化されまして、学籍のある子供は自立援助ホームに入居できる期間が二十二歳の誕生日の年の年度末まで引き上げられました。要するに、二十歳前に自立援助ホームに入ったら、入った学籍のある子供は、児相の判断を求めることなく二十二歳までは自動的に入居できることになっているんですが、今回の改正案においては、自立援助ホームにいる学籍のある子供たちも児童自立生活援助事業の対象となって、二十歳で一旦この支援が必要か否かの判断の対象となるということになっているため、二十歳で出されてしまうんじゃないかといった懸念の声が上がっています。
そこで確認です。自立援助ホームにいる学籍のある子供たちについては、新たな仕組みにおいても今まで同様、少なくとも二十二歳までは入居できる、決して支援が後退することはないということを明言していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/175
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176・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童自立生活援助事業を必要とする方に必要な支援が途切れなく提供されるということが重要というふうに認識しております。
今回の改正案においては、二十歳を超えて児童自立生活援助事業を利用できる要件について、現行の高校や大学等に就学している二十二歳の年度末までの間にあるものという要件を拡充しまして、就学していなくても、求職中であるとか福祉サービスへのつなぎが必要であるとか、そういった都道府県知事がやむを得ない事情により支援が必要と認めた方については、必要な時期まで事業を利用することを可能としたものでございます。
それで、現在、高校や大学等に就学中で児童自立生活援助事業を利用している方については、これはやむを得ない事情があるものとして引き続き児童自立生活援助事業の対象となるものというふうに考えておりまして、都道府県等に対してはこうした改正法の趣旨について丁寧に説明し、現在事業を利用している方はもとより、より支援を必要とする方に確実に支援が届くように、施行に向けて取り組みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/176
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177・山本香苗
○山本香苗君 今回十八歳の壁が撤廃されるとはいえ、措置解除となった後に挫折して困難に陥っても、この児童自立生活援助事業の支援は受けられません。また、社会的養護を必要としながら保護されず、苦しみながらも生き抜いてきた子供たちも対象外です。
しかし、本来はこうした子供たちこそ私は最も手厚い支援が必要なんだと思っております。なので、今回の法改正の中でこの点だけは私はじくじたる思いでいっぱいなのですが、ただ、今回の改正案においては、社会的養護自立支援拠点事業が法定化することとされ、この中で、施設等から退所した子供や、そもそも社会的養護につながれなかった子供たちも支援していくことを都道府県の業務として位置付けました。
本当に困ったときに安心して助けを求められる場所にしていかなくてはならないと強く思っております。そのためには、通所のみならず、宿泊を伴う支援が必要不可欠です。本人の意向を踏まえて、養護施設や里親、自立援助ホーム等、様々な形で一定の期間ショートステイできる、宿泊を伴う支援ができる仕組みを是非とも創設していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/177
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178・佐藤英道
○副大臣(佐藤英道君) 今般の改正児童福祉法案により創設する社会的養護自立支援拠点事業におきましては、支援が必要な者が安心して自立への一歩を踏み出せるよう、相互交流の場の提供や、自立に向けた情報提供や相談支援、必要なサービス等へのつなぎ等を行うこととしております。
こうした中で、まずは、入所措置等の経験者や、施設入所には至らなかったが児童相談所が何らかの形で関与して把握した者などに対しては、確実な支援の提供を可能とすることが喫緊の課題であると考えておりますが、市町村は、社会的養護自立支援拠点事業が必要と判断される者を把握した場合には都道府県等に報告することとされており、事業の提供体制が整っていく中で支援がより広く行き届くよう、事業の在り方について継続的に検討してまいりたいと思っております。
また、児童養護施設等を退所した者が、退所等した者がやむを得ない事情により宿泊を伴う支援が必要となることも想定されることから、数日ではなく、一定の短い期間の宿泊を伴う支援としてどのような対応が可能かについて、予算面での対応も含めて今後検討を重ねてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/178
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179・山本香苗
○山本香苗君 是非とも実現をするべくしっかり後押ししてまいりますのでよろしくお願いしたいと思いますが、社会的養護の中で自立援助ホームってとても大事だと私は思っているんですけれども、まだその存在とか活動というのが余り知られていないという実態があります。
ちょっと申し上げますと、自立援助ホームというのは、義務教育終了後、様々な理由で家庭にいられなくなって、また児童養護施設等を退所し働かざるを得なくなった、原則として十五歳から二十歳までの子供たちが暮らす場所です。
設立当初は、児童養護施設の対象児童、すなわち自立のこの一歩手前の子供たちを支援するというところが主だったんですが、近年では家庭から直接入居する子供の割合が四割と最も高くなっています。つまり、家庭に問題がありながらも思春期年齢になるまで問題が発見されず、公的な支援につながらなかった子供たちが増えているということです。
虐待経験や障害のある子供の割合は養護施設も高いんです。また、ちょっと前までは学生はまれだったんですが、今は右肩上がりで増えておりまして、直近では入所者の五八%と伺いました。すなわち、自立援助ホームは設立当初よりもかなり多様でかつ困難な課題を抱えている子供たちを支援しているわけなんですけれども、養護施設よりも職員配置基準は六名定員に対して二・五と少なく、かつ個別ケアを行う職員の配置もありません。子供たちにニーズに合った適切なケアを提供していくために、是非ともこの自立援助ホームの実態や役割を踏まえ、配置基準等を見直していただきたいと思います。
あわせて、養護施設に入っている子供たちには修学旅行費が支給されますが、自立援助ホームに入っている子供たちには支給されないため、修学旅行に参加できなかったという事態が発生しています。是非、養護施設の子供たちも、同様、修学旅行費を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/179
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180・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まず、職員配置基準の問題でございますが、現在、自立援助ホームは、虐待を受けた児童や障害等のある児童など細やかな対応が必要な児童等が入所しておりまして、入所児童等の状態に応じた支援ができるよう、支援体制の整備を図ることが重要であるというふうに認識しております。このため、自立援助ホームに対する支援については、児童養護施設等体制強化事業によりまして、補助職員の雇い上げに必要な費用の補助を行い、支援体制の強化を図っているところであります。
社会的養育専門委員会の報告書においても、措置費の在り方について、ケアニーズに応じた支援がなされるよう速やかに検討を開始すべきであるというふうな指摘がなされているところでございますので、自立援助ホームにおける職員の配置基準等も含めまして、今後、施設等の関係者の意見を伺いながら検討を行うこととしております。
引き続き、自立援助ホームに入所する児童等がニーズに応じた支援を受けられるように検討してまいりたいと思います。
それからもう一点、修学旅行費についての御指摘をいただきました。
自立援助ホームが措置解除後に就労や就学を行いながら社会的自立を目指す比較的高年齢の児童等が入所することを想定した施設であることから、現在、自立援助ホーム入所中の児童に対しては修学旅行費は支給されておりません。
一方で、修学旅行は、これから自立していく子供たちの成長にとって重要な経験になるというふうに認識しておりまして、児童養護施設における状況や自立援助ホームに高校生が一定数入所するようになっている現状も踏まえて、今後検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/180
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181・山本香苗
○山本香苗君 是非とも早くこれを実現をしていただきたいと思います。
今日は、鰐淵政務官、来ていただきまして、ありがとうございます。今言った問題、この自立援助ホームの入所者には高校進学を希望する子供がいます。高校に入学するに当たって親の同意が求められるため、親の虐待によりホームに入っている場合、親から同意を得ること自体が難しく、高校進学を断念しているケースがあると伺いました。こうしたケースにおいては親の同意を不要とし、施設長の同意で可能とすべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/181
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182・鰐淵洋子
○大臣政務官(鰐淵洋子君) お答えいたします。
高等学校の入学の手続や入学者選抜への手続、出願の手続につきましては、それぞれの高等学校やその設置者である各都道府県教育委員会等において判断し、決定をしております。
虐待等を背景に児童福祉施設に入所している子供が入学などの手続において保護者の同意を得ることが難しい場合には、各教育委員会等におきまして、例えば書類の保護者記名欄に当該施設等の施設長の氏名を記載する、また、特別の事情を有する旨の申告書を記載、提出すること等の柔軟な対応を取っている例もあると承知をしております。
御指摘の自立援助ホームに入所している方が高校への進学を希望する場合の取扱いにつきましては、文部科学省としましては、学ぶ意欲を有する若者の高校進学の機会を確保することが大変に重要であると考えておりますので、どのような取組が可能か、厚生労働省ともしっかりと連携取りながら検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/182
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183・山本香苗
○山本香苗君 是非、施設長の同意で可能という文部科学省の見解を示していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
もう一つ、高等教育の修学支援新制度のおかげで、自立援助ホームにおいても大学や専門学校等に進学する子供たちが増えておりまして、入所者全体の七%から八%を占めると伺いました。
ただ、自立援助ホームにいる子供たちは、家賃を含む施設利用料を払っているにもかかわらず、児童養護施設等というくくりの中で自宅通学と位置付けられていると伺いました。自宅通学と自宅外通学では給付額が倍近く違います。自立援助ホームの子供たちを自宅外通学と位置付けていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/183
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184・鰐淵洋子
○大臣政務官(鰐淵洋子君) お答えいたします。
日本学生支援機構の給付型奨学金では、学生本人が生計維持者と別居し、学生本人の居住に係る家賃を学生本人が負担しており、かつ自宅外通学であることの妥当性を判断する要件を満たす場合には自宅外通学と認められております。
自立援助ホームにおきましては、学生から施設利用料を徴収している場合、利用料に家賃に相当する費用が含まれていれば、居住に係る家賃を学生本人が負担していることになりますので、現行制度においても自宅外通学と認めることが可能でございます。
現在の奨学金に関するホームページ等には、自立援助ホームの利用料を自ら負担している場合には自宅外通学と認められることにつきまして記載がなされておりませんでした。このため、委員の御指摘も踏まえまして、利用者にとってより分かりやすいものとなるように、QアンドAの記載も含めまして、学生支援機構とともに検討を進めまして、より一層の周知に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/184
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185・山本香苗
○山本香苗君 ということは、家賃を含む施設利用料を払っている場合、自宅外通学と認めていただけるということなんですけれども、今、自宅通学として給付額をもらっている子供たちは、いつからいつまで遡ってもらえるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/185
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186・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答え申し上げます。
先ほど御説明ございましたように、自宅外通学と認められることについてしっかり周知をさせていただきまして、日本学生支援機構とともに、いつからこういったことが措置ができるかも含めて、検討をさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/186
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187・山本香苗
○山本香苗君 できる限り、私は、今でもできるんだということを知らなかったがゆえに受けられなかった子供たちのことを思うと、本当に申し訳ない思いでいっぱいになります。
私は、この社会的養護の関係って、もっと早く気付けばよかったということがいっぱいあるんですね。先ほど、午前中、福島さんがおっしゃっていた携帯電話の件もありましたけれども、実は、これもコロナ禍において施設の高校生がアルバイトができなくなって携帯電話が払えなくなったと、何とか携帯電話代を措置費で見てくれと言われて、初めてそこで措置費の中で見るようになったんですよね。つい最近です。
我々も現場の声を聞いていろいろ制度を見直していきたいと思いますが、是非、厚生労働省においても、また文部科学省においても、そういう子たちの立場に立って、是非いろんな制度を見直していただきたいと思います。お願いして、質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/187
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188・足立信也
○足立信也君 国民民主党の足立信也です。
五月というと、古い、あっ、どちらもいらっしゃらないけど、医籍登録って昔は五月だったんですね。私もちょうど今年医師になって四十年ということなんですが、この四十年間で今ほど感染症に対する世界的な認識が大きくなっているの、まあないなと思います。もちろん、新型コロナウイルス感染もそうですが、小児の急性肝炎、それからサル痘、こういうことが大きいなと思います。
大臣も大変だと思うんですけど、髪の毛が逆立つ思いでやられていると思うんですけれども、私も何度かそういう経験あります。怒髪天をつくと言いますが、怒りだけじゃなくて、忙しくて精いっぱい頑張っているとき、髪の毛逆立ちますよね。是非頑張っていただきたい、そのように思います。
とはいえ、四十年間を振り返ると、最初の頃は結核で、これ治療法がほぼ完成してほとんど下火になってきた。その後、エイズですね、エイズウイルス。フレディ・マーキュリーが亡くなったときは、もう一体この後どうなるんだろうと思いました。それと相前後してC型肝炎のウイルスが同定されて、これまたどうなると思ったら、いずれも治療薬がもう確立されてきた。その後、SARS、新型インフルエンザ感染症、MERSと。
結論から言うと、みんな収束に向かって乗り越えられたということなので、是非、私もまあ収束は近いなと思っていますが、その関係で、まずは一問だけ新型コロナウイルス感染症について質問します。
この前は佐原局長がどなたかの質問に、感染経路について、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染とおっしゃったと思うんですね、答弁で。これを聞いていた多くの方々が、エアロゾル感染というのは明確に言われたので、これ面白い反応がありまして、やっぱり空気感染だったじゃないかという人と、やっぱり空気感染じゃなかったじゃないかという人、両方いるんですよ。
これ、不明確なんです、はっきり言ってですね。空気感染と言ったり、エアロゾル感染と言ったり、マイクロエアロゾル感染と言ったり。これ、この先、例えば、私も試験問題作る側なので、空気感染という経路をいうと、四つなんですよ、麻疹、結核、水痘、天然痘。それに今度、新型コロナウイルスとか入るのかと。
つまり、これ検証して今後決めるのか、それとも、今は、この今のマイクロエアロゾルによる感染形態を空気感染と呼ぶのか呼ばないのか、これちょっとはっきりしていた方が、国民の皆さんはどっちとも取っている感じがあるので、まず第一問は、これは今後も含めて厚生労働省としてはどういう位置付けでやるんだろうかと、あるいは検証で決めるんだろうか、それともWHOがこういう感染経路だと言うのを待っているということなのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/188
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189・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今委員から御指摘がありましたけれども、新型コロナの感染経路につきましては、飛沫や接触のみならず、エアロゾルの吸入により感染すると認識しておりまして、これまでも基本的対処方針や一般向けのQアンドAにおいてお示しをしております。
それではっきりするわけでありますけれども、エアロゾル感染は、飛沫より小さく水分を含んだ状態の粒子であるエアロゾルによって引き起こされ、換気の悪い密閉空間などにおいて粒子がしばらくの間空気中を漂い、飛沫感染で一般的に言われている一メートル程度を超えて少し離れた距離まで感染を起こすものである一方で、いわゆる空気感染は、麻疹や結核のように飛沫より小さく水分を含まない状態の粒子である飛沫核によって引き起こされ、例えば空調などを通じて粒子が空気中を長時間漂うことで長い距離でも感染を起こすものであります。
政府としては、両者は異なる概念であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/189
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190・足立信也
○足立信也君 最後のところでちょっと明確になったのは、エアロゾル感染であって空気感染とは呼ばないということをおっしゃったということで、できるだけ日本のメディアの方もやっぱり統一してほしいんですね。もうどっちでも取れるようなことは是非やめてもらいたいという思いで、空気感染ではないということです。
じゃ、児童福祉法に行きます。
二〇二〇年、おととしのこれ出生数が八十四万八百三十五人、最低ですね、そして虐待相談対応件数が二十万五千二十九、これ最高ですよね。これに対してどうするか。それから、今の養育の問題、核家族、少子化、地域のつながりの希薄化、そういったことが問題意識だろうと思います。
ただ、虐待件数については、いろいろ質問もしますけれども、これコロナ禍という特殊事情もやっぱり相当ありますので、これコロナ禍だからこういうふうになっているという点と、そうではなくて、コロナ禍の因子を除外してもこういう傾向にあるということを是非検証でですね、これ見直し規定で五年後を目途に見直すんでしょうが、そのときにやっぱりコロナ禍の検証というのを是非入れて、それがどう影響しているかということが大事な点だと思います。
それから、この虐待に関係するんですが、石田理事、もういらっしゃらないですね、質問でありました頭部外傷のことなんですが、二〇一二年に自公民で死因究明推進法というのを作りました。その前段階で、二〇〇九年か一〇年に死亡時画像診断の検討会というのをつくりました。これは死亡時だけではなくてその前も役立つわけですが、要するに、先ほど揺さぶりのことありましたが、揺さぶりはレントゲンでは分かりませんし、発達段階の子供の骨折も、若木骨折といって、エックス線では分からないことが多いです。だから、CTとかMRIが必要になってくる。今それは学会になって、先ほど橋本局長が、学会の、ガイドラインを作るに当たって学会の意見をと言いましたが、この学会のノウハウって相当たまっていますから、是非それは生かしてほしいなというのが一つの要望です。
となると、普通の小児科等々はCTとかMRとか置いていないですよね。なかなかそこは分かりにくいところがあるんですよ。だから、せめてそういう医療機器があるところじゃないと、先ほどの私が申し上げた、今まで蓄積した、もう十何年から、十何年以上やっていることですから、それを、蓄積がありますので、是非それを活用できるような場所の指定も必要なのかなと私は思いますので、是非そういう検討してもらいたいと思います。
やっぱり、この児童福祉分野というのは全てにおいて人材不足だと、これはもう皆さんおっしゃるとおり。で、特に保育士として働くことに不安を感じて、その不安の理由の最も多いのが、労働条件、労働環境ということになっています。
今、潜在看護師、あっ、ごめんなさい、潜在保育士、もう七十万人とも言われています。ここで処遇改善のことはやられましたが、この前、看護師、介護職員のことで、処遇改善だけでは解決しないんだという話をしました。同じように処遇だけではやっぱり駄目で、世の中にどういう大事な職業だということをきちっとメッセージになることが大事で、そこには人員配置基準というのがすごく私は大事だと思うんですよ。今の四、五歳の人員配置基準って、これ昭和二十三年から変わっていないですよね。一番最後に変わったのも、ゼロ、一歳の一九九八年ですよね、全盛期ですよね。
幼稚園落ちた日本死ねという例のメールがあって……(発言する者あり)あっ、保育園ね、ごめんなさいね、保育園落ちた日本死ねね。あれ以来、二〇一六年に要件の緩和というのはあったけれども、実際の配置基準というのは、もうそれ以降の取組の中で、私は少し比率を高める、もう十四年たっているわけですから、そういう検討がないと、ああ、この職業は非常に今この日本にとって非常に大事なんだなというメッセージ、先ほど言いましたけどね、というふうに思うんですが、この人員配置基準の見直しという点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/190
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191・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 保育士の適切な労働条件、労働環境を確保することは、保育士確保や保育の質の向上の観点から重要でありまして、今先生御指摘のように、累次の改善による処遇改善を実施しているほか、保育支援者の配置やICT化による業務負担軽減、効率化などに取り組んでまいりました。
また、保育士資格を持ちながら保育所等に勤務していない方、いわゆる潜在保育士の再就職支援に当たっては、都道府県等に設置している保育士・保育所支援センターによる保育所等とのマッチング支援などを行っております。
お尋ねの保育士の配置基準の改善については、これまでも子ども・子育て支援の質の向上のメニューとして、平成二十七年度より、三歳児に対する保育士の配置を二十対一から十五対一とする改善を行った保育所へ、公定価格上の加算をするという形で実施してまいりました。一方で、消費税分以外で財源を確保することとされている、いわゆる〇・三兆円超の質の向上事項に含まれる一歳児や四、五歳児の配置改善については未実施となっております。
子供政策に関する財源確保については、昨年十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針においても、政府を挙げて国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方も含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくこととしております。
一歳児や四、五歳児の配置改善などの〇・三兆円の事項についても、引き続き毎年度の予算編成過程において財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/191
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192・足立信也
○足立信也君 私と言っていること同じなんですが、要するに、一歳、四歳、五歳のところの人員配置基準は見直す方向性は持っているということですか。そういう理解でいいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/192
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193・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 〇・三兆円等の質の向上事項に含まれる分については未実施となっているという認識でございますので、そこは今後とも、財源の問題も含めて内閣府と連携し、毎年度の予算編成過程においても財源の確保に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/193
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194・足立信也
○足立信也君 次は、こども家庭センター、これ設置が努力義務になっているものですけど、これについてお伺いします。
母子保健法上の子育て世帯包括支援センターと児童福祉法の子ども家庭総合支援拠点、二つを見直して一つにということなんですが、これ実施率が、この二つも努力義務なので、設置数が相当違いがありますよね。そこから生じるいろんな不安があるので、まずは、その子供世帯包括支援センター、子ども家庭総合支援拠点、それぞれ努力義務の下で設置された数というものはどんなものなのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/194
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195・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 令和三年四月時点における設置数でございますが、子育て世代包括支援センターが二千四百五十一か所、子ども家庭総合支援拠点が七百十六か所となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/195
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196・足立信也
○足立信也君 この新しいこども家庭センターも努力義務なんですが、これ三倍以上の開きがある施設数で、対等に合併になるのか。それとも、得意分野が異なるわけですよね、まるで。得意分野が異なるというか、要するに母子保健法上の方が圧倒的に多いわけですよね、今までの。
そうなった場合に、特に未設置だったこの少ない方の分野ですね、子ども家庭総合支援拠点という、この強化は一体どういうふうにやるんだろうと。まあ不得手な分野と言えるかもしれない、三倍以上の数に開きがあるので。ここのところの例えば指針を作るとか、今までやっていなかった、なかった分野に関してはどういうふうにやっていくんだろう。そういうかなり丁寧な指針というものを作る予定なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/196
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197・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) こども家庭センターにおきましては、現行の子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターについて、これらの設立の意義や機能は維持した上で組織を見直して一体的に行うこととしておりまして、現在、九二%の市町村において子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターのいずれかの機関が設置されておりまして、その中には子育て世代包括支援センターのみ設置している市町村が多くなっております。
こうした中で、特に小規模な自治体においては、新しい機能の強化に当たって専門職の確保等の体制構築に課題があると考えておりまして、この点については、これまで市町村において相談支援や指導等に関わったOBも含めた経験者の活用や市町村向けの研修の充実、児童福祉法改正案において導入することとしている家庭福祉の認定資格の積極的な取得促進などによりまして、厚生労働省として市町村において適切な人材が確保できるように支援をしてまいりたいと思います。
また、こども家庭センターについても、現行の子ども家庭総合支援拠点や子育て世代包括支援センターと同様の設置要綱等を今後、施行までに検討しまして、人員配置の基準等を定めていくことになりますけれども、委員御指摘のような新たな機能強化に関して特に留意すべき点があれば、自治体等の関係者の意見も伺いながら、必要に応じて設置要綱等に盛り込むなど、何らかの対応を考えてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/197
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198・足立信也
○足立信也君 対応を考えてくださるということで。本当にばらばらだと思うんですね、全国で。得意分野、数の多いところとそうじゃないところ、そこをまた新たにやるわけですから、相当丁寧な対応が必要だと思いますので、是非よろしくお願いします。
家庭支援事業についてなんですが、従来の母子保健施策の中でも妊産婦健診、新生児訪問、乳幼児健診、それから子育て支援施策の中では乳児家庭全戸訪問事業というのがあって、さらに今回、三つの事業が創設されて、二つの事業の支援を拡充されると。非常に多い状況なんですけれども、これで本当に見落としなく、事業そのものがこれ可能なのかなというのが私の心配なところです。
特に、子ども家庭総合支援拠点を整備していなかった、今の話で数が相当差はありますから、いなかった市町村は、乳児家庭の全戸訪問事業と子育て世帯の訪問支援事業をスタートさせることになるわけですね、今度。本当に可能なんだろうかという意識です。
そこで、例えば、別の例ですけれども、保育士さんたちは仕事が非常に多くて持ち帰りが多いという話も聞きますし、保育士さんは、実際の現場の経験に乏しい保育士さんが、ごめんなさい、保健師さんが非常に多いという話も聞きます。
訪問事業というのは大体日中が多いと思うんですけれども、不在の家庭も多いと思う中で、今まで乳児家庭全戸訪問事業で実際に訪問できた割合ってどれぐらいなんでしょう。実績をお聞きしたいんです。そして、多分今の状況だと、核家族も増えて共働き世帯も増える中で、どうなんでしょうか、昼間というのも相当限定されると思うんですね、いらっしゃる方が。どの時間帯で訪問できているというような実績があったら、この二点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/198
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199・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成三十年度における乳児家庭全戸訪問事業の訪問対象家庭数に対する訪問率、すなわち訪問した家庭の割合でございますが、これは九五・六%というふうになっております。
それから、あともう一つお尋ねがございました時間帯ごとの分布ということについては把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/199
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200・足立信也
○足立信也君 いや、私としては、相当多いなと思うんですけど、今後ますます昼間に訪れるというのは難しくなるような気がするんですね。そうすると、今度訪れる側の労働環境の問題もまた生じてくるということもありますので、相当人の配置、専門性、それからガイドライン等々は大事になってくるなと、そういう気がしております。
これに関して、これは、今国会が始まるときに、始まった直後に、厚生労働省の法案の説明のポンチ絵なんですけど、最初は、この子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充というところで、これ相談機能の充実というふうに書かれていたんですが、相談機能の整備、直近のこの法案の説明のポンチ絵では、相談機能の整備から相談機関の整備というふうに変わってきているんです。
これの意味するところは、相談機関の整備なので、単純に考えるとまた新たな箱をつくる話かなと思うんですけど、最初の説明では相談機能の整備であったのが相談機関の整備に変わったと、この意図するところというのはどういう意味の違いがあるんでしょうか、あるいはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/200
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201・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきました点につきましては、身近な相談機能を地域に整備するというふうにしました社会的養育専門委員会の取りまとめを踏まえまして、今度、法律案を提出する段階で法律案の文言を検討する、その過程におきまして、地域子育て相談機関という表現を用いることとなりましたものですから、法律上の表現に合わせまして、法案の概要資料におきましても表現をそろえる形での表記に修正をしたものでございます。
今御指摘いただきましたこの文言の修正は、今申したような背景でございますので、専ら法制上の技術的な表現の整理でございまして、これによりまして、身近な相談機能を地域に整備するというふうに提言されました社会的養育専門委員会の取りまとめの趣旨、内容というものが変わるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/201
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202・足立信也
○足立信也君 専ら法制上のと、取扱い、文言の取扱いと、内容が変わっているわけじゃないと、そういうことですね。
この相談機関というのは私はかなり重要なことだと思うんですが、そこでお聞きしたいのは、その相談機関、資料によると、保育所とか認定こども園、あるいは地域子育て支援拠点事業を行う場所、まあ市町村が認めるものというふうになっていますが、この相談機関にはそれ専門の、相談対応専門の職員、あるいはその専門の資格を持っている人のような必置義務というのはあるんでしょうか。それが一点と、全然ふだん利用していない、例えば保育所に全く行ったことのない人が相談機関として訪れて相談する、それも可能なんでしょうか。二点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/202
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203・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この地域子育て相談機関は、相談の敷居が低くて、物理的にも近距離にある、そういう身近な相談機関を整備し、子育て家庭との接点を増やすことによりまして、その状況把握の機会を増やすということを趣旨としております。
まず、その職員配置の要件を含めた具体的な在り方については、今後、法律の施行までの間に地域により異なる子育て支援の資源の状況も考慮しつつ検討したいと考えておりますが、専門的な資格を有すること等を絶対的な条件とすべきか否かというところについては、身近な相談機関を整備するというこの改正の趣旨を踏まえながらよく検討をしていきたいというふうに思います。
それからあと、どんな家庭が利用するのかという点につきましては、今申し上げたことと同様の趣旨から、保育所や認定こども園などが地域子育て相談機関となる場合において、これらを利用していない家庭であったとしても利用できるようにすべきというふうに考えておりまして、そのような家庭にも気軽に御利用いただけるように、地域子育て相談機関が地域住民に対して支援内容などの情報を提供することも法律上規定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/203
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204・足立信也
○足立信也君 後半部分の利用したことのない人も相談に訪れることができる、これは非常にいいこと、当然そう思うんですが、先ほど、施行までに考えられる、今後検討されるって言ったその専門職員を置くかどうか、あるいは専門資格のある方を必置にするかどうかはこれから検討と言われても、その機関としては、これ、人をまた増やすか部署を設けるかみたいな形でかなり準備期間が必要になってくると思うんですが、その検討するというのは、いつ頃結論が出て、いつ頃それが相談機関となるであろうところには話が行くようになるんですか。施行に間に合うんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/204
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205・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この規定も含めまして令和六年の四月からの施行ということを予定しておりますので、それに向けて十分地域において準備ができるような時期にいろいろな内容を決めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/205
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206・足立信也
○足立信也君 当然思うのは、そういうことをふだんからやっていると非常に習熟していていいかなと思うんですけど、六年四月からですから、もう人事面から考えると、次の人事ではそういう人を雇っている必要もあるなと思うと、余り時間はないような気もします。
そこで、対象の年齢等をやっぱり考えると、じゃ、この幼稚園というものは相談機関になり得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/206
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207・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 地域子育て相談機関となり得る施設については、改正法案におきましては、保育所、認定こども園、地域子育て支援拠点事業を行う場所その他の内閣府令で定める場所であって、的確な相談及び助言を行うに足りる体制を有すると市町村が認めるもの、このように規定しております。
今御指摘いただきました幼稚園でありますが、法令上、法文上の例示には含まれておりませんけれども、幼稚園が地域子育て相談機関となることが適切な場合もあるものというふうに認識しておりまして、文部科学省の方とも連携しつつ、幼稚園も対象に含まれるように省令の検討を進めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/207
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208・足立信也
○足立信也君 そうですね。私もそういう意図で質問したわけで、当然のことながら、保育所はいいけど幼稚園は駄目よということはちょっと当てはまらないと思いますのでね。
これは、今、省令で決めたいとおっしゃいましたが、これは内閣府令になるんでしょうか、行く行くは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/208
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209・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今回の児童福祉法の改正案の中で省令レベルで規定するものにつきましては、別途御審議いただいておりますこども家庭庁設置法案との関係もございますので、仮にあちらの法律が成立した場合ということを念頭に置いた形で全ての改正規定を構成しております。
そういったこともございますので、現行であれば厚生省令で定めるということになろう、あっ、厚生労働省令で定めるということになろうかと思いますけれども、そういった事情がございますので、内閣府令で定めるというふうな形で規定させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/209
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210・足立信也
○足立信也君 それでいいと思うんですけどね。
なぜかというと、元々が厚生労働省のもので省令で定めると、こうなっている中で、やっぱり文科省の方の所管である幼稚園はなかなか例示として挙げにくかったのかなという気がしていまして、それが内閣府で府令で定めるというふうになってくると、実現性としては、先ほど入れられるようにしたいという話だったので、より実現性が高いかなという気がします。
次は、子育て世帯への訪問支援事業、先ほど申し上げましたが、その対象にヤングケアラーを含むと、こうされています、今までの説明ですとね。
この政府の、政府が四月に公表した小学校六年生の実態調査では、やっぱり認識として、家族の世話をしていることがイコールヤングケアラーではないと、これはそうですね。自らの権利といいますか、それが障害されているという条件が入ってくると思うんですが、ましてや支援が必要なケアラーだと言われることのこれ負の側面もありますよね。調査することによって、あなたはヤングケアラーだと、自分の本来持つべき権利、人権と呼ぶのか、それが障害、侵されているというような感覚にされてしまうわけで。これ、数としては十五人に一人というような数値がほぼ出ている。世話をしているという意味ですよ。大分県でも調査をしていて、小五から高三までの調査では二十五人に一人が家族の世話をしているということです。
今現在、自民、公明、国民民主党の三党で、検討チームで検討されておりますけれども、これは、大事な点は、この調査でも分かるように、ヤングケアラーの方というのは本人にその問題の認識がないというところからスタートしなきゃいけないということが非常に大事なところで、言葉で言うのは簡単だけれども、ヤングケアラーだという認識を一体どうやって、その本人にもそうだし、周りにもそれを理解してもらうのかというのが何よりも大事だと思うんですね。ちょっとした例ですけど、例えば精神障害や発達障害で、診断が付けば付くほど取組が複雑になったりするわけですよ。ヤングケアラーだという、そうなってしまうことによって、また相当複雑な要因が絡んでくるので、周囲と隔絶したりしますしね。
そこでお聞きしたいのは、まずお聞きしたいのは、訪問できる状況、例えばヤングケアラーというのは子供だけで自分の兄弟を世話をしている人が非常に多いじゃないですか。そこに訪問して、一体どういう、子供にですよ、あなたはヤングケアラーなんだと、それはあなた自身の権利がちょっと侵害されている部分があるんだというようなことをどうやって分かってもらうようにするのかなということが非常に私としては難しいと思っているんですよ。
まず、そのヤングケアラーというものは、その認識ですね、周囲と本人の、ここをどう図っていくんだろうと。しかも訪問でですよ。その点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/210
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211・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案の中で新たに創設する子育て世帯訪問支援事業につきまして、ヤングケアラーとされる子供がいる家庭についても支援対象として含めることとしておりまして、その具体的な範囲については施行までの間に検討したいというふうに考えております。
今委員が御指摘いただいた点でございますが、今後支援対象者となるヤングケアラーの要件についても施行までに検討することになりますが、ヤングケアラーは、その性質上、本人や家族等にその認識がないことも多く、周囲がヤングケアラーに寄り添い、自覚や支援の受入れを促すということも重要というふうに考えております。
したがいまして、ヤングケアラーのそういった気付きということを促していくようなこと、それはやはり、学校という場であったり、あるいはその他いろいろ御相談いただくような、ふだんそういったお子さんに接する機会の多い様々な関係者が多機関協働で連携していく、その中でヤングケアラーという人たちを発見していくということがまずまず入口として必要になるわけでございます。そういった形で、何らかのきっかけで見付けた場合において、周囲の方からそういった家庭に対する寄り添い、そして自覚や支援の受入れを促すという働きかけが始まるんだろうというふうに思っております。
その上で訪問ということになるわけでございますが、子育て世帯訪問支援事業については、原則として保護者からの申請ということを必要とするわけでありますけれども、今般の制度改正において、申請はなくても市区町村が必要と認める場合には事業の利用勧奨を行って、それでもなお申請がない場合には措置を行うということを可能としておりまして、こういったヤングケアラーのいるような家庭につきましても、市区町村が必要あると認めた場合には、ヤングケアラー自身あるいはその保護者にその認識が十分なかったとしても、プッシュ型の支援を行うということは可能だというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、この仕組みについて、詳細につきまして今後検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/211
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212・足立信也
○足立信也君 検討チームの動向とも相まって、非常にセンシティブな話で対処が困難だと思いますので、慎重に検討していただきたいなと、そういうふうに思います。
いずれにせよ、今までのことで、家庭支援事業、これ、従来あるものに加えて新設が三つで拡充が二つでと、相当事業が多いですね。いろんな、メニューがいっぱいあるといえばあるわけで。ということは、やっぱりこの相談を受ける、最初に相談を受けるところの機能というのが非常に大事だと思うんですね。見付け出して、あなたにはこの事業を使って支援したいと、そういうことを振り分けるといいますかね、的確に指示できるというか、その相談機能。しかも、それはやっぱりワンストップで、そこに相談に行けば道筋が立てられるというような機能が物すごく大事、というか一番肝だと思うんですよ、そこが。で、これはもう間違いなくといいますか、ベテランの方がその相談、最初の窓口に集中して、現場の方はなかなか、また若い人ばっかりになってしまうみたいな感じが僕は考えられるんですが、政府として、この窓口相談事業、私は極めて大事だと思う、窓口機能、しかもそれができるだけワンストップでということを考えた場合に、どのように取り組もうとされているでしょうか。そこをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/212
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213・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今御指摘のあるように、今般の児童福祉法改正案によりまして、訪問による家事支援等の家庭支援のための事業や妊産婦等への居住も含めた支援事業等、新たに事業が創設されまして、子育て世帯等の抱える悩みや負担感、孤立した状態の解消を図っていくこととしております。
これらの事業による支援が着実に支援対象につながるためには、今先生からの御指摘もありましたけれども、それぞれの実施主体が適切に事業を実施することに加えて、まずは多くの子供や子育て世帯、妊産婦等とできるだけ早期につながりを持つこと、それから、それぞれの子育て世帯に寄り添い、各家庭の抱える悩みや課題等を把握すること、適切に。そして、家庭の抱える悩みや課題等の解消に向け、それぞれが必要とする支援につないでいくことといった、そういう機能、対応を適切に行う必要があります。
このため、改正案においては、市町村がこども家庭センターを設置することとしまして、全ての子供や子育て世帯、妊産婦等の相談窓口としての役割を果たすとともに、子育て世帯の課題も踏まえて、計画的に支援を提供していくための支援計画、サポートプランの作成を行い、地域において家庭支援に取り組むNPO等の発掘など、民間主体との連携推進を進めること等に取り組むことといたしておりまして、委員御指摘のワンストップも含めた窓口機能等の充実を図ることを、このこども家庭支援センターを設置することで進めていくということでございます。
また、事業を実施する関係機関と連携し、適切な支援につないだり、その支援の状況を把握することも重要でありまして、こども家庭センターは、都道府県や児童相談所等との関係機関との連携、要保護児童対策地域協議会、要対協の事務局として、その枠組みの下、サポートプランを含め、支援の状況の関係者との確認、共有も行うことを想定しています。
こども家庭センターを中心に、家庭支援の事業等が適切に支援を要する方に提供されるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/213
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214・足立信也
○足立信也君 その部分が本当に大事だと思います。最初の入口という面でですね、是非そこはしっかり検討してもらいたいと思います。
次は、児童相談所、一時保護所を含む児童相談所のことについて、ちょっと項目を省きながらお聞きします。
これは、一時保護が解除されたケースで、保護開始のときに親権者の同意のない割合というのが、計算上大体二二%ぐらい同意がないというふうになっています。
そこで、内閣府令で今度定める一時保護の要件、一時保護の在り方としては、緊急保護とアセスメント保護というのがあるわけですが、その要件というものはどういう形になりそうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/214
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215・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案におきまして、一時保護の要件を法令上明確化することとしておりまして、児童虐待のおそれがあるときというのと、少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたとき、この二つにつきましては改正法案の中で明示しているわけでございますが、その他の要件は内閣府令で定めるというふうにしております。
今御指摘いただきました緊急保護とアセスメント保護につきましては、現行の一時保護のガイドラインの中でお示ししておりまして、まず緊急保護については、子供の安全を確保するため緊急的に家庭から引き離して児童相談所において保護するものでありまして、児童虐待を受けた子供のほか、棄児、迷子、それから家出した子供等で現に適当な保護者や宿所がない場合、それから子供の行動が自己又は他人の生命、身体、財産に危害を及ぼすおそれのある場合などに実施する必要があるというふうにされております。
それから、アセスメント保護でございますけれども、児童の置かれている環境等を調査し援助方針を決定するために児童を一時保護するものでございまして、調査のために保護する場合などに実施するものとされております。
内閣府令で定める一時保護の具体的な要件については、実務者から構成される作業チームにおいて今後検討していく予定でございますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるように、今御指摘いただきました緊急保護やアセスメント保護を含めまして、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとすることを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/215
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216・足立信也
○足立信也君 内容は分かりました。
ちょっと時間の関係で絞りますけど、児童自立支援、あっ、ごめん、児童自立生活援助事業で、実施場所をこれ拡充する、内閣府令でということになっています。先ほどのと似たような感じで、いかにワンストップするか、ワンストップでやっていくかというのが大事な点だと思うんですね。
いろんな取組がありますが、例えばこれ、我が党の説明のときに例を出していただいたと記憶しているんですが、おおいた子ども支援ネット、これ、ネットでのワンストップ機能ですね。自立援助ホームや子供シェルターの「みらい」、放課後等デイサービスの「なないろ」、子供センターの「かおるおか」等々、ネットでワンストップでこういう支援の内容があるということなんです。
この児童自立生活援助事業、これの、どのような場所でどのような機能を備えているというのを考えているのかどうか、それをちょっと確認したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/216
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217・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 現在の児童自立生活援助事業は、児童養護施設を退所した措置解除者等につきまして、自立援助ホームにおいて居住を含む支援を提供しております。
今般の改正案において、それぞれの状況に応じてより柔軟に、また継続して同じ施設などで自立支援を受けることができるようにするために、児童自立生活援助事業の弾力化を行いまして、場所といたしましては、児童養護施設等の施設ですとか、あるいは里親家庭、それからファミリーホーム、こういった場所での実施も可能とすることを検討しております。そこで提供される機能というものは、まさに自立援助ホームにおいて今提供しております居住を含む支援ということを念頭に置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/217
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218・足立信也
○足立信也君 次は、この児童福祉司に関してなんですけれども、これも任用要件を内閣府令で定めるというふうに、ごめんなさい、ちょっと飛びますので、なっています。この福祉司に関しては、今回、年数であるとか能力によって認定資格というものが、国家資格も含んだような、こうなっていますが、そこの任用要件というものは内閣府令で定めるってなっているので、その要件をまず聞かせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/218
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219・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案において創設する新たな子供家庭福祉の認定資格でございますが、児童福祉法上は、児童相談所における児童福祉司の任用要件としまして、児童虐待を受けた児童の保護等の専門的な対応を要する事項について的確な措置を実施するのに十分な知識等を有する者というふうに位置付けまして、その詳細については内閣府令にて規定するということにしております。
それで、今後、施行までに具体的な中身を検討するわけでございますが、内閣府令におきましては、一つは、児童福祉法で規定する知識等を有する者ということで、子供家庭福祉の認定資格を有する必要があるということ。それから、認定資格の要件といたしましては、一つは、一定の実務経験を有する社会福祉士や精神保健福祉士、それから、その他、保育士、相談援助等の実務経験等が対象、実務経験者などが対象になるということ、それから二つ目といたしまして、国の定める基準にのっとった認定機関による指定研修やソーシャルワークの研修、それから試験、これを受講すること、こういったものを内閣府令の中で定めていくということを想定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/219
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220・足立信也
○足立信也君 今日も質問でずっとあるように、この児童福祉司の不足、しかし、その養成を急ぐが余り、現場としては若い人に偏ってしまっている、ベテランが非常に少ないという状況の中で、これは早く増やす必要もあるし、かつ、十分な資質の涵養といいますか、研修も必要だという態度でしっかりやってもらいたいなと思います。
ちょっと行ったり来たりで申し訳ないんですが、今回、午前中ですかね、質問ありました、その保育士の資格管理のところで、わいせつ行為を行った保育士の場合、ちょっとそこまで行きますけどね、観点、厳しく、そして資格の停止等々も含め、あるいは、いろいろ理解はできるんですが、これ、今非常に問題として感じるのは、冤罪であった場合にどう対応するんだろうと。一度貼られてしまったレッテル、あるいは報道も含めて、これが冤罪であった場合のそこの復権といいますか、その点について説明が余りなかったような気がするので、その点についてはどう考えられているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/220
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221・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案におきましては、児童へわいせつ行為を行った保育士について、刑罰の対象となるかどうかにかかわらず、登録の取消しを行うとともに、保育士の雇用等の際に活用することとされているデータベースに当該保育士の氏名、取消し事由、行ったわいせつ行為に関する情報などを登録することといたしております。
お尋ねのこの冤罪であった場合でございますが、例えば、裁判によって有罪判決が確定して登録取消しが行われたけれども、その後の再審手続等によって無罪であったことが判明した場合です。それからあと、刑罰によらないわいせつ行為について、都道府県知事による事実認定に基づき登録取消しが行われたけれども、事実認定とは異なる事実が後ほど判明した場合、こういったケースなどが考えられるわけでございます。
いずれの場合においても、登録取消しの根拠となったわいせつ行為が行われていないということが明らかになった場合には、当該保育士に対して行われた登録取消処分は取り消され、保育士資格を回復するとともに、データベースに登録されていた情報は書き換えられるということになるものというふうに考えております。
いずれにいたしましても、保育士の登録取消しの手続に当たりましては、慎重に事実関係の確認を行う必要があるというふうに考えておりまして、文部科学省において策定している教員に係る基本指針なども参考にしながら具体的な運用について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/221
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222・足立信也
○足立信也君 慎重にと最後におっしゃられているのは、私もそう思います、かなりこれは慎重に対処しなきゃいけない話だと。流れに乗ってみたいなことにならないように是非お願いしたいと思います。
最後に、ちょっと飛ばしたところで、四十三条の児童発達支援センターに関して、田原部長がちょっと、なかなか質問がないなという顔していたので聞きます。
これ、医療型と福祉型の一元化ですね。私も、医療保険を一本化しようというときに、いや、一元化だろうと。これ、ただ単純に僕は説明してほしいんですよ。一本化というのは、一つの仕組みでこうやると。一元化というのは、ばらばらの仕組みなんだけど、それをこう取りまとめますよと、という感覚が私はあるんですが、この一元化というのは一本化ではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/222
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223・田原克志
○政府参考人(田原克志君) お答えいたします。
現行の児童発達支援センターは、障害種別にかかわらず支援を行う福祉型児童発達支援センターと、それから肢体不自由児のみを対象としてリハビリを併せて提供する医療型の児童発達支援センターとに分かれております。
課題としては、身近な地域に医療型児童発達支援センターがあっても、肢体不自由のない障害児は通所することができないということ、それから、肢体不自由児の中には知的障害や発達障害等を重複している子供も多くいらっしゃいまして、医療型児童発達支援センターがリハビリに重点を置いた人員基準等でございますので、乳幼児期に重要な遊びを通した様々な領域の発達支援を十分に行うことが難しいことなどがあるということを背景といたしまして、現場から児童発達支援センターとして一つにすることを求める声が寄せられてきたものでございます。
こうした改正内容を踏まえまして、一元化の一般的な意味が多くの組織等を一つの原理で統一することとして用いられているということから、今般の改正の関係資料におきましては一元化というふうに表現をしたところでございます。
今般の改正によりまして、従来の医療型児童発達支援センターを含む全ての児童発達支援センターにおきまして、障害種別にかかわらず、身近な地域で必要な発達支援が提供されるようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/223
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224・足立信也
○足立信也君 この発達支援センターで一本化だというふうに理解していいですね、逆に、感覚的には。まあ、そういうことだろうと。一元化と言ったというのは組織の話ですので。ということを確認して、実質的には、私どもが受け入れやすいのは一本化だなという理解にしておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それで質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/224
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225・田原克志
○政府参考人(田原克志君) 一本化というのは、これも一般的な意味としては、分かれている組織や意見をまとめて一つにすることということで意味が用いられておりますので、少しその児童発達支援センター、約七百か所ございますが、それを一本化するというような表現にしますとその七百あるセンターを一つにするというふうな誤解も懸念されるということから、一元化という言葉の方がよろしいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/225
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226・足立信也
○足立信也君 以上で終わります。分かりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/226
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227・山田宏
○委員長(山田宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、衛藤晟一君が委員を辞任され、その補欠として柘植芳文君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/227
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228・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。本日もよろしくお願いいたします。
法案の中身の前に一つお聞きをしたいと思うんですが、今週末、テレビのニュース等で、金曜日以降、後藤大臣が何回もニュースに登場されまして、何でかというと、マスクの基準緩和といいますか、その基準を、一つの目安を発表されたということで、ワイドショーを中心にもういろんなテロップが出て、あれだけそのワイドショーがマスクのことで時間を取るというのは、僕はもう想定外のことだったんです。逆に言うと、それほど関心が高いのかなというふうにも思います。
特によく言われるのは、保護者の方から、小さな子供さんのマスク、これをどうしていくのかということは、これはもう我々も地元でもたくさんお声掛けをいただいておりまして、よく聞かれるんですね。やっぱり議員をやっていますと、この場合はどうですか、この場合はどうですかということをよく聞かれるんですけれども、私からの答えとしたら、まあ常識で考えていただいたらいいんじゃないかと思うことも多々あるわけなんですね。
例えば、今回の発表でも、徒歩で通勤などで、屋外で人と擦れ違うことはあっても会話をほとんど行わない場合は着用する必要はないと。基準としては分かるんですけど、我々、話す気がなくてマスク取って歩いていても、いきなり向こうから見付かって立て板に水のようにぶわっとしゃべられて、マスクどこやいうてやらなあかんようになるわけですから。やっぱりこの目安というのはすごい大事なんですけれども、これなかなかそれほどきっちり守れるということでもないですし、また、距離が例えば二メートルと言われても、私と大臣の間が今二メートルあるかどうかというのは、これあるんだと思うんですけど、そういうのも一々メジャーで測っているわけじゃないですから、これなかなか難しいんじゃないかなというふうに思います。
それはいいとして、何でこれが恐らくそこまでニュースになったかといいますと、五月十七日の全国知事会と国の意見交換会ですね、この中では、後藤大臣は、屋外のマスク着用について、マスクは飛沫感染防止の観点から着用緩和することは現実的ではないと。十七日の時点ではそういうふうにおっしゃったというふうに一応報道はされているんです。で、二十日になって、基準を発表しますという。これが報道では基準緩和だというふうに実は報道されているんですけれども、これ確認なんですけれども、基準の緩和があったのかどうか、あるいはそうじゃなくて、元々基準はあったんだけど、それを例に当てはめて明確をされただけなのか。
まず、この十七日から二十日にかけて、どういうふうな考え方の違いが出たのかということを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/228
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229・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナの感染経路は飛沫、エアロゾルの吸入、接触感染等でありまして、感染防止のためには三密の回避や換気などに加えてマスクの着用が極めて重要であって、会話をする際などにはマスクを着用していただくよう、様々な場面で国民の皆様にお願いしてきているところです。
一方で、人との距離が十分取れれば屋外でマスクの着用は必ずしも必要でなく、屋外で人との距離が十分ある場合、具体的には、少なくとも二メートル以上の距離を確保できている場合等にはマスクを外すことも推奨してきました。このことについては、これは二十日より前、十七日よりも前も同じことを申し上げてきています。
このマスク着用に関しては、どういった場面で外してよいのかという御疑問の声や、マスク着用が長期化する中で、表情が見えにくくなることにより特にお子さん等影響を懸念する声があった、また、気温、湿度が高くなる季節になるために、マスクを着用していると熱中症のリスクも高まるのではないかという懸念、こういうものが出されておりまして、五月十九日のアドバイザリーボードにおいても、発達心理等保育の専門家からお話を伺うとともに、専門家有志から屋外と子供のマスク着用についての考え方を整理するということで意見も出されています。
こうしたことを踏まえまして、基本的感染対策としてのマスクの着用の位置付けとか考え方について何ら変更するものではありませんけれども、今般、身体的距離が確保できないが、会話をほとんど行わないマスクの着用の考え方を明確化することとしました。
ですから、そこのところは、先ほど申し上げたように、基本的な感染対策としてのマスク着用の位置付けについて考え方を変更するものではないけれども、一部明確でなかった部分、明文的にはお示ししていなかった部分を明文的にお示ししようと思ったのが、身体的距離が確保できないが会話をほとんど行わない場合のマスクの屋内、屋外共通の着用ということになります。
こうしたマスクの着用等については、これまで、徒歩での通勤など屋外で人と擦れ違うことはあっても会話はほとんど行わない場合はマスクを着用する必要がないことから、屋外のケースですね、それから、通勤電車の中など屋内で距離が確保できない場合で会話をほとんど行わないときなどについては着用を推奨すること、こうしたことを明確にしたという位置付けでございます。
変更をしたという点からいうと、オミクロン、これは一点あるんですけれども、オミクロン株が感染が拡大したときに、子供の、二歳児以上の保育園等に通っているお子さんについては可能であればマスクをしていただくようにということを言っていたんですけれども、これは、オミクロンの状況等も考えて二月以前の状況に戻すと、この点については変更、見直しということに当たります。
ですから、その一点を除くと、全体は基本的には確認ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/229
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230・梅村聡
○梅村聡君 ですから、考え方そのものは変わっていないけども、今おっしゃった中では、二歳以上の未就学児ですよね、この方々に関しては一律の着用は認めませんよということがはっきりしたという、そういう整理だと思うんですけれども。
そうすると、じゃ、その屋内で、今回の説明の中では、通勤電車など距離が確保できない場合で会話をほとんど行わないときはマスク着用推奨ということで、通勤電車というのを例に取っているんですけれども、これも屋内という意味だと思うんですけれども。
これちょっと分かりやすく言えば、この参議院厚生労働委員会のこの場所は実は距離が取れているのか取れていないのか、あるいはこれ会話なのかどうかですね、大臣と私とのやり取りというのは片一方がしゃべってこっちがしゃべってですから、これ会話なのかどうか、例えばここに当てはめていたら、これ距離が十分取れている状態なのか、取れていない状態なのか、ちょっと、分かりやすくちょっと御説明いただきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/230
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231・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
先日お示ししました子供以外の屋内でのマスク着用の考え方は、今大臣からも答弁ありましたとおり、取扱いが従前と変わるものではありません。
二メートル以上を目安として他者との距離が確保できない場合は、まず会話の有無にかかわらずマスクの着用を推奨しているところでございます。また、二メートル以上を目安として他者との距離が確保できている場合、会話がほとんどないときはマスク着用は必要ない、他方、会話を行うときは着用を推奨しておりますけれども、十分な換気など感染防止対策を講じている場合はマスクを外すことも可能としております。
ただし、屋内は換気の状況や建物の構造などが一律ではないため、マスクを外すことが可能な場合を一律にお示しすることは困難でありまして、マスクを外す際には、それぞれの場面において、感染拡大防止対策が講じられているか確認の上、適切に御判断いただきたいというふうに考えております。
なお、御質問のありましたこの参議院厚生労働委員会の室内におきましては、適切な感染防止対策が講じられており、発言者と答弁者との距離は確保されているとは考えられますけれども、全体の状況を踏まえ、理事懇談会の口頭での合意として、マスクを着用することとされているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/231
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232・梅村聡
○梅村聡君 はい、分かりました。
つまり、我々質問者と答弁者の間は十分確保ができているけれども、それ以外、総合的に確保ができているかどうかは、厚労省が言うことじゃなくて理事会で判断するということですから、まあ極端に言えば、ひょっとすると、発言者と答弁者がマスクをして、その方、ほかの方々がやじを飛ばさなければ、やじを飛ばす場合はマスクをしないといけないけども、それがなければ実はそういうマスクなしでもできる可能性があるんじゃないかという、そこが大事なところだと思うんです。
是非世の中に発信していただきたいのは、これはあくまでも目安を出している話であって、義務とかルールとか、それが守っていなければ例えば差別をされたり制裁が加えられたり、そういうものではないんだってことをちゃんと私は、まあ言っておられると思うんですけども、マスコミの報道はそうはなっていないですね。そうじゃなくて、これは一メーター五十センチだからこれはとんでもないことだみたいな話になっているので、まさに理事会って言葉出していただいたの、僕、すごい分かりやすいことだと思って、やっぱり総体的にどう考えるかということなので、そういうことをきちっと伝えていただければ、小さい特に子供さんがもう究極にマスクが絶対必要だとか駄目だとかというそういう議論にはならないんじゃないかなと思いますので、今日はせっかくの機会だったので、ちょっとそのことをまず確認をさせていただきました。大変分かりやすい説明で、ありがとうございました。
それでは、子供さんの問題に進んでいきたいと思いますけども、今回、最初は妊産婦さんへのサポートということで、一つ、出産育児一時金のことを取り上げたいなと思います。
これ、出産育児一時金というのは、元々、今から数十年前は恐らく三十万円の時代とか三十五万円の時代とかがあったかと思いますけども、現在は四十二万円ということになっております。
以前は、出産をされて、その証明書を健保組合に出さないとその給付が受けられなかったですから、特に出産される方は現金が手元にないと出産ができないと。お金は一か月半ぐらい後に振り込まれてくるというそういう制度だったんですけども、私のお隣の足立信也議員が政務官のときに直接支払制度というものができまして、これは、直接支払、すなわち産婦人科にその出産育児一時金が直接振り込まれると、サインをすれば直接振り込まれるというそういう制度に変わったわけなんですけども。
その制度ができたことは非常によかったと思うし、多くの妊産婦さんは助かったと思うんですけども、心の中でちょっとだけ私、引っかかっていたことがあるんです。それは何かというと、この名前が出産育児一時金という名前なのに、全額を産婦人科を始めとする分娩施設が取ってしまってええんかなということを、私ずっと実は心のどこかに引っかかっていたんですね。
今、ホームページ、厚生労働省のホームページを見ると、出産育児一時金の目的としては、出産に要する経済的負担を軽減するため一定の金額が支給される制度という説明があるんですけど、この説明だったら出産育児一時金じゃなくて出産一時金という名前の方がふさわしいんじゃないかなと思うんですけど、これ、育児という文字が入っている理由を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/232
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233・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
出産育児一時金につきましては、平成六年に、それまでは保険給付として現金給付されておりました分娩費と育児手当金という二つの仕組みを廃止いたしまして、出産前後の諸費用の家計負担が軽減されるように創設したものでございます。
創設当時の支給額につきましては、分娩介助料、それから出産前後の健診費用、育児に伴う初期費用等を総合的に勘案して、御指摘のような三十万円で設定されました。その後、平成十二年の医療保険制度改革に際しまして、支給額を引き上げた場合の保険財政への影響を勘案いたしまして、出産育児一時金は分娩料のみを補填するものと位置付け、引上げを行わなかった経緯がございます。現在、こういった経緯を踏まえ、こういった経緯を経て、支給額につきましては公的病院の出産費用を勘案して定めておりまして、産科補償制度の掛金も含めて四十二万円となっております。
このように、制度上は育児に伴う初期費用も支給対象とすることが可能であるために、名称は出産育児一時金という名称となっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/233
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234・梅村聡
○梅村聡君 ですから、実質は分娩費用を賄うものということに現実的にはなっておると思いますので、是非、名称は分かりやすく出産一時金というふうに、次何か議論をされるときには変えるべきじゃないかなということを指摘をしておきたいと思います。
今問題になっているのは、この出産育児一時金は四十二万円の支給という御説明があったんですけども、これ、都市部を中心に四十二万円ではもうなかなか賄えないと。自民党さんの党内の議論、ニュースで聞きましたけど、これをやっぱり引き上げるべきじゃないかと、そういう御意見があるかと思うんですが、これ具体的に、都道府県ごとに安い地域とそれから高額な地域があると思いますが、これどれぐらい差があるのか、ちょっと具体的データがあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/234
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235・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
令和元年度の公的病院における室料差額等を除いた出産費用につきましては、一番高いのが東京都が平均約五十三・七万円、それから一番低い鳥取県が平均約三十四・一万円、全国平均では約四十四・四万円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/235
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236・梅村聡
○梅村聡君 公的病院の平均額の四十二万円からということになっていますけど、今金額を聞きますと、東京都が五十三・七万円で、鳥取でしたっけね、鳥取が三十四・一万円ですから、これ一・五倍以上の差があるということになるかと思います。
そうしますと、そういう状況で、じゃ、その出産育児一時金だけを引き上げてこれ問題が解決できるのかといったら決してそうじゃないと思うんですね。特に問題、問題というか実際に起こることとしては、出産育児一時金が、じゃ、仮に五万円上がったと。じゃ、五万円上がったら、当然、自由診療ですから、分娩施設からいえば、じゃ、上がったんだからその分上げようじゃないかというて、これ結局イタチごっこになってくるわけなんですね。上がったらまた足りなくなるから一時金を、出産育児一時金上げようかと、上げたらまた上に上がっていくということですから、もちろん悪い政策ではないかと思いますけど、ずっと追い付いていかないんじゃないかなと。
つまり、そういう政策をもしすれば、ちょっとこれ質問になりますけども、これはあくまでも妊産婦さんへの要するに保険給付だから、これを引き上げたからといって引き上げたことを理由に分娩費用を上げないでくださいねと、そういう指令というか、お勧めというか、それは厚労省からできるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/236
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237・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
今先生から御指摘のとおり、出産費用につきましては自由診療として産科医療機関等において価格設定を行っておりまして、その価格設定につきまして厚生労働省から指示することは難しいものと考えております。
他方で、医療機関からの費用やサービスの選択肢の明示につきまして、社会保障審議会医療保険部会の取りまとめにおきまして、多様な出産形態や費用、サービスを踏まえ医療機関を選択できるよう、医療機関において選択肢の明示を促すことも検討することとされております。このため、現在、医療機関から事前にサービスの選択肢がどの程度説明されているかなどを含めまして、出産費用の実態把握等に関する調査研究を実施しております。
こうした調査結果等も踏まえまして、出産育児一時金の支給額や医療機関からの選択肢の明示の促進等について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/237
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238・梅村聡
○梅村聡君 ですから、支え合いとして医療保険の保険者からの給付ということになっていますけれども、現実的に価格をコントロールするのは難しいということになってくるかと思いますが、そうしますと、昔からあって古くて新しい議論の中に、出産費用に関しても保険適用をしていけば金額のコントロールは付くんじゃないかという議論が昔からあるわけなんですね。一方で、その反論としては、地域で少なくとも一・五倍ぐらいの差があるわけだから、全国一律の診療報酬でやるというのは、正直なかなか経営、分娩施設の経営を考えたら難しいんじゃないかという意見も当然出てくるわけです。
一番大きな意見は、出産は疾患じゃないから疾患保険であるこの医療保険を使うのはよくないと、よくないというか、理屈としては駄目だということですよね。これ実は、今日の朝、うちの党の部会の中でこういう考え方があるんだと披露したら、いや、そうはいっても、命懸けで取り組んでいる分娩が疾患じゃないからという話をされたら、それはまた違和感があるという考え方も当然あるわけなんですね。
一つの考え方として、そうしたら、疾患じゃないから保険適用ができないという考え方以外に、保険適用をするというのはどんなデメリットがあるのか、これちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/238
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239・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 正常分娩を保険適用とすることにつきましては、今御指摘のように、身体の一時的な異常である疾病や負傷に対して行われるという療養の給付の基本的な考え方を見直す必要があること、これは今御指摘のあった点です。それに加えまして、定率の自己負担が新たに求められることによりまして、地域によっては新たな自己負担が発生することになります。原則三割の自己負担等です。
出産においては、分娩時の安心感や産後のケアの充実等のため、必ずしも医療的な必要性によらないものも含めた多様なサービスが提供されておりまして、妊婦さん側がそれを自由に選好している実態がある中で診療報酬でどのようにそれを定型的に評価していくのかという課題もあること、そうしたことから慎重な検討を要するものというふうに認識をしています。
こうしたことから、出産に関する費用については、引き続き出産育児一時金という現金給付により対応することが適切であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/239
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240・梅村聡
○梅村聡君 今御説明をいただいたんですけど、実は今の御説明にぴったし当てはまるのが、実は不妊治療も一緒だと思うんですよね。不妊治療に関しても、これまで自由診療で様々なバリエーションがある中で、いろんな議論があったけども、やっぱり今の少子化対策であるとか、あるいは現役世代をどう支えるかということによってこの辺りの理屈というのは全部乗り越えていったんだと思うんです。
そう考えていくと、値段、点数の付け方というのは難しいかと思いますが、ずっと未来永劫そういうことが乗り越えられないからというのは、これは逆に検討していけば僕は可能なところあるんじゃないかなと。あるいは、自己負担ということに関しても、必要だったらその負担割合を変えるとか、あるいはクーポンみたいなものを使って上乗せ金額を払えるとか、いろんな工夫の仕方というのはあるんじゃないかなと思いますので、是非、子供さんをやっぱり支えていく、それから子供さんを産み育てやすいことを考えていくという点で議論していく論点はあるんじゃないかなということを申し上げまして、この話は終わりにしたいと思っております。
そうしたら、ちょっと最後に、今日の議論の中でもずっと続いておりますけども、いわゆる一時保護における司法審査の導入について、これ一番最後の質問だけ、最後、時間が来ましたのでさせていただきたいと思いますけども。
これ、子供さんが虐待等を疑われて一時保護をするときに、親権者の方の同意があるかないかによって司法審査を導入するかどうかということが決まるわけなんですけども、これ、同意というのは具体的に、口頭で取られることなのか、あるいは書面を使って取られることなのか、まずこれを教えていただきたいことが一つと、それから、同意といっても必ずマルとバツで答え返ってくるとは限らないですよね。例えば、一時保護でも一か月だったらそれは保護してもらっても構いませんとか、そういう条件付きの同意が出てきたときには、これ具体的に同意と見るのか、それとも同意はなかったと見るのか、この辺りの運用の仕方についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/240
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241・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護開始時の司法審査につきましては、一時保護を行うことについて親権者等の同意がある場合等を除きまして、児童相談所等が一時保護状を請求するということといたしております。
具体的な同意の取得の方法につきましては、今後、施行までの間に実務者から構成される作業チームにおいて、今御指摘いただきましたような口頭なのか書面なのか、こういったことなども含めまして、どのような方法で同意を取得することとするかということなども、点も含めて、よく現場の方々の意見も伺いながら詳細を検討してまいりたいと考えております。
また、親権者等から明確な同意が取れてない場合については基本的には司法審査の対象とするということを考えてございますが、今おっしゃられたような何らか親権者等が条件付きで一時保護の実施に同意しているというふうな場合など、個別具体的なケースに係る判断基準についてもこの作業チームの中で詳細を検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/241
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242・梅村聡
○梅村聡君 基準作りということを是非お願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/242
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243・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
私は、福島みずほさんがこの間質問した、あっ、いないや、したときに、子供の虐待が増えてきているということを聞いて、どのくらい増えているのかなと思って一生懸命調査したんですけれども、かなり増えているということでございまして、こちらの法律を改正した第一義というか一行目が、児童虐待相談への対応件数が増加しているというのが一行目に書いてあります。
今朝の朝のニュース。子供がへその緒を付けたまま捨てられていたと、それを通りがかりの子供が見付けて母親に助けを求め、母親が通告して、預かっているということなんですが、一体どこに預かっていて、これは物心付いたときに、自分はどういう生まれであり、これからの人生はどうなっていくのかということについて、私はここも、そこからが児童虐待になるんじゃないかと大変心配になりました。
で、今日御質問させていただくのは、児童福祉法等改正案の提出の背景について、増加の一途をたどっている今申し上げた児童虐待相談件数、またその件数の多さ、深刻さ、こうしたものが増している児童虐待の現状を踏まえて、関係閣僚会議や関係省庁の連絡会議において対策を定めるとともに、法改正を通じてその対策強化を図ってきたはずなんですが、悲惨な虐待死の事例の発生が続いている状況であります。大変残念な説明が政府からなされているというのが現状です。
十八歳未満の子供への児童の虐待の件数ですけれども、三十年連続で増えております。三十年連続で増えているんです。平成の三十年、私たちは平和であったはずなのに増え続けておりまして、二〇二〇年度、過去最多になりました、二十万五千二十九件。で、前年度よりの五・八%の増加と。五・八%の増加というとちょっとしか増えていないような気がしますけれども、五・八%掛けますと一万一千二百四十九件になります。一万一千二百四十九件も増えているということなんですね。
では、最初に質問させていただきます。
児童虐待の原因についてお伺いしたいと思います。厚生労働省の認識と、今回の法案が児童虐待を減らすことにどのような効果を期待することができるのか、これ後藤大臣に、大きな質問ですけれども、お答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/243
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244・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) まず最初の虐待の発生原因についてでございますけれども、保護者がこれまでどのような家庭で育ってきたかや、就労や家計の状態、心身の問題などの親側の背景要因と、子供の障害や疾病等の育児負担の問題、予期せぬ妊娠だったかといった受容の問題など、多様で複雑かつ複合的な要因により発生するものと認識しておりまして、これについて子ども虐待対応の手引きでお示しをしているところです。
今般の児童福祉法改正案において法改正の効果、狙いという点でございますけれども、まず、家庭への支援を強化して虐待の発生を未然に防止するために、全ての妊産婦、子育て家庭、子供への一体的に相談支援を行うこども家庭センターの設置や訪問による家事支援などの創設など、子ども・子育て支援の種類と質と量を充実を図ることといたしております。
加えて、充実を図る子ども・子育て支援が確実に支援を必要としている家庭や子供につながるようにサポートプランの作成を市町村の業務に位置付け、市町村が必要と考え、判断した場合には利用勧奨、措置によりプッシュ型で支援を提供することを可能とする。また、虐待が起こってからの対応の強化としては、児童相談所の体制強化に引き続き取り組みつつ、子供家庭福祉の実務者の専門性向上の観点から、実務経験者向けの研修等を経て取得する認定資格制度の導入や、児童相談所が民間と協働して支援を強化するため、里親の強化として里親支援センターを児童福祉施設として位置付けること等の内容を盛り込んでいます。
このように、今般の改正案を通じまして家庭への支援を強化する、そうしたことで、引き続き児童虐待の防止に全力で取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/244
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245・石井苗子
○石井苗子君 私はまだ一期生なんですね。だから、六年しか国会にいないんですけれども、ここに来てから六年間、いろんな委員会に行きまして、法務委員会にも行きましたけれども、ほとんど同じ発言なような気がするんですよね。新しく何か改正することができたら、もうちょっと三十年間増え続けているということがないのではないかと思うんです。
育児の負担、教育費の負担、そして予期せぬ妊娠と、へその緒が付いたまま捨てていくというような、ほとんど、何をしているんだろうかという感じがするんですけれども、今おっしゃったようなこと、何か目新しいことがあってめきめきと減ってきたということが国の政策でないというのを大変私自身も残念に思って、これからもっと頑張って仕事していかなきゃならないかなと思っております。
児童虐待というのは、多くの場合、一つのことが原因ではないと、私も病院で働いていて様々な要因があるんだなと思っております。家庭関係、家族関係が複雑になって不安定になり、そして子供の虐待が引き起こされるという状態がほぼほぼ多く見られる状態でございますが、これまでの調査や研究で、虐待の加害者になった養育者の中に自分も虐待を受けた人が多くいるということ、これ診察していて非常に不思議に思ったんですが、事実なんですね。多くいます。
虐待されていた親が子供を虐待するというのはなぜなのか、厚生労働省としてその理由というのを把握していらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/245
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246・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成三十年度の調査研究におきまして、虐待種別と虐待者の生育時の状況との関係というものを調査してみましたところ、その多くのケースが虐待者の状況不明とされている点には留意する必要がございますが、虐待者が同じ種別の被虐待経験があるという頻度が高く見られたという結果が示されているということは認識いたしております。また、子ども虐待の手引きにおきましては、虐待に至るおそれのある要因、虐待のリスクとして留意すべき点の一つとしまして、保護者の被虐待経験というものが挙げられております。
他方、虐待は身体的、精神的、社会的、経済的な要因等が複雑かつ複合的に絡み合って起こると考えられておりますので、それらの要因を多く有しているからといって必ずしも虐待につながるわけではないということにも併せて留意が必要かと思っておりますが、いずれにいたしましても、そのような調査研究が出ているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/246
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247・石井苗子
○石井苗子君 なぜなのかという理由にはまだ把握が至っていない、なぜなのかというところなんですけれども、これ依存症に関係があるということがいろいろ論文を読むと出てきます。精神疾患の患者さんが虐待を行うケースが多いということも調査や研究で論文が出てきて分かってきております。
精神疾患と一言で言いますけれども、うつ病だったり不安障害だったり、あと統合失調症というものもありますが、アルコール依存症などなど、軽い依存症という原因があります。親がこのような疾患で、依存症で苦しんでいる場合、子供を虐待する可能性が高くなるという調査研究結果が出ておりますけれども、じゃ、なぜアルコール依存症になって子供にそれを、はけ口を求めるのかということなんですが、精神疾患を持っている、不安障害その他いろいろな原因な親から直接暴力を振るわれることもありますし、それと同時に、親が自分をどうすることも、コントロールすることもできなくて自傷行為や自殺未遂ということを繰り返して、子供が心に傷を負うということが多くあるという調査結果も出ています。
精神疾患の親が子供を虐待するのはなぜなのかと、厚生労働省として、もう何度も何度も聞いて申し訳ないんですけれども、精神疾患の親が子供を虐待するのはなぜなのかという理由をお調べになっていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/247
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248・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 保護者が精神疾患を持っている場合には、保護者自身の精神的に不安定な状態というのが児童虐待のリスク要因の一つになるというふうに子ども虐待対応の手引きでお示ししております。一方で、保護者の精神疾患を安易に虐待の原因や不十分な養育能力と結び付けるのではなくて、保護者や家庭の持つ要因の一つとして検討するように心掛けなければならない旨もお示ししております。
その上ででございますが、精神疾患ということも含めまして、保護者が精神的に不安定である場合には、育児に対する不安や日常的な生活ストレスが蓄積しやすかったり、感情のコントロールがうまくできなかったり、社会生活や対人関係に困難が生じることなどが虐待、児童虐待のリスク要因としては挙げられるというふうに思います。
そういったことでございますので、保護者に精神疾患が認められたりその疑いがある場合には、適切なアセスメントを行った上で、医療機関等の関係機関と連携して必要な支援を行っていくことが必要というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/248
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249・石井苗子
○石井苗子君 そうなんですね。自分が何をやっているのかとか、あるいは自分が虐待を受けて育ったということを紛らわそうとして、いろんなコントロールをしようとして依存症になり、その依存がまたアルコール依存症だと、子供に暴力を振るってしまうというようなこともあるんですね。ですから、そういうふうに科学的に分析していくと、子供はどうなるかというと、SOSを出してきてくれればいいんですけれども、SOSを出せない子供がいて、とうとう最後まで救うことができなかったという。
なので、親に対するアプローチというのももう少し科学的にやって、虐待をするのはあなた自身がそういう性格をしているからではなくて、かつての自分の人生がそうだったということも分からせてあげるということの治療も必要なのではないかと私は思うんですが、人間というのは、育児の方法などは社会的に学んでいくものなんですね。社会的にそれを学んでいって、ようやく育児ができるようになるんだと物の本には書いてあるんですけれども、だからこそ、親が虐待に向かわないようにするためには、社会が子育てをする親をサポートすると。虐待に向かわないようにするために、子育てする親をサポートするということが重要になってくると思います。社会で子育てをする親、社会で子育てをする親を支えることが、虐待の心理的要因である子育てに対する疲労、精神的な疲弊ということの軽減にもつながると思うんです。
ちょっとこういうことをしゃべりながら、昨日、私が経験したことをお話ししたいんですが、明らかに子供の泣き声がおかしかったと思ったので、様子を見ておりました。そうすると、子供が、自分を置いていかないでくれと。まず、年の頃は三つだと思います。で、置いていかないでくれと言っていて、母親は、自分が手に荷物をいっぱい持っているから、あなたを抱けないのは当たり前でしょうと分からせようとしているんです。なので、私が荷物を持って、あなたはこの子供を抱き上げてやってくれとお願いしたんですが、私は看護師です、保健師ですと言ったんですけれども、信用してもらえませんでした、もらえなかったです。
搭乗するときに、何番から何番、子供の、お子さんいる方から先に搭乗してもらうと。待ってくれと、今お子さん連れている人が、お子さんがこういう状態なんだから、誰か抱いてやってくれないかと言ったら、あなたは二十三番だから乗るなと言われて、この飛行機に乗るんですと、私も、荷物ぐらい持ってもいいじゃないですか、多少番号が違ってもと言っても、これも社会も駄目ですと言うわけですね、あなたは二十三番まで待ってくれと。
だから、こういう、社会が支えるという、疲弊感の軽減にもつながっていないなと思って、体験談を話したんですけれども、厚生労働省として、子育てする親に対するサポートの体制、先ほどお述べになりましたけれども、プログラムというのは新しいものというのがこの平成の三十年間増え続けていますが、新しいものというのは何か、厚労大臣、目新しいものというのは、これなら前と違うだろうというようなもの、ございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/249
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250・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案におきましては、虐待の発生を未然に予防するという観点から、地域のつながりの希薄化や核家族化などにより、負担や悩み、孤立感を抱えることが多くなっている子育て家庭への支援強化を図ることといたしております。
具体的なメニューでございますけれども、一つは、子育て世帯が保育所等の身近な場所で気軽に相談支援を受けることができる地域子育て相談機関の整備に市町村は努めると、これが一つでございます。それから二つ目といたしまして、訪問による家事の支援事業を創設するということ、これが二つ目として、重要なものとしてあろうかと思います。それから三つ目といたしまして、講義やグループワーク等を通じて子供との関わり方を具体的に学ぶ機会を提供する事業、親子関係形成支援事業というふうに命名しておりますけれども、これを創設するということ。こういったものが新しいメニューとしてあろうかというふうに思っておりまして、こういったものを総合しまして、子育て家庭の悩みや負担が、負担や悩み、孤立感の解消などにつなげていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/250
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251・石井苗子
○石井苗子君 こういう問題が移ると、新しいシステム、新しいセンター、新しいということで、新しいシステムだけつくるんですが、そこで働いている人たちが確保されているのか、そこに対する、先ほどからたくさん出ている予算というのはどのようにあてがわれているのかというようなことを順番に考えていかないと、三十年間増え続けているものがそうそう簡単には減っていくという方向に行かないのではないかと思うんですが、市町村のその子ども家庭総合支援拠点、これは現在の設置状態というのはどうなっていて、そこに、国からの子ども家庭総合支援拠点というものに対してどのぐらいの財政支援があるのか、補助金の制度について少しお話をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/251
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252・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) こども家庭センターに関しまして、その基となる子育て世代包括支援センター、それから子ども家庭総合支援拠点、これの設置状況で見ますと、まず、子育て世代包括支援センターが二千四百五十一か所となっておりまして、市町村の中で九二・一%の設置率となっております。それから、子ども家庭総合支援拠点の方は七百十六か所となっておりまして、市町村の中で三六・四%というふうになってございます。
今後、このこども家庭センターをなるべく多くの市町村に広げていきたいというふうに考えておりますので、私どもとしては、財政的な支援はもちろんでございますけれども、様々な、人材確保のための様々な支援、研修に対する支援ですとか、あるいは認定資格の取得に対する支援ですとか、そういったことも含めまして総合的に進めてまいりたいというふうに考えております。
また、新しく創設する市町村の事業につきましては、子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業というふうに位置付けることによりまして、国の方から子ども・子育て支援交付金というものが各市町村の方に行っておりますけれども、そういったものの支援対象に含めるというふうな取扱いにしたいというふうに考えておりまして、そういったものを財政的な裏打ちを持ちながら、各市町村で計画的に整備を進めていただく、こんなことを想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/252
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253・石井苗子
○石井苗子君 子育て世代包括支援センターとか子ども家庭総合支援拠点など、などなどあるんですが、児童虐待の対応拠点になるようなところは、どのような人材をどのような補助金で確保して、これからどういうプログラムで何を具体的に問題を変えて、解消していこうとしているのかということを明確に言っていただきたいと。
児童虐待のその対応拠点になるようなところには、四年前に決めました公認心理師といったような方々、新しい国家資格ですね、こういう人たちを財政の補助金をもってきちんと雇うとか、臨床心理士と資格を持った心理職の人たちを配置して、今言ったような、依存症だとかという言葉が、どのような治療があるのかということがよく分かっている、対応ができるとか、心理職というのが配置されているのかどうなのか、様々な様々なとおっしゃいますけれども、この一点についてはどうでしょうか。カウンセラーの配置に対して財政支援というのを設けていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/253
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254・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童相談所におきまして、心理に関する専門的な知識及び技術等を指導する職員といたしまして、児童心理司というのがおります。これまで、児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づきまして、千三百六十人から約二千三百五十人への増員を図る取組を進めているところでございまして、令和三年四月一日時点で二千七十一人が配置されております。
また、全国の子ども家庭総合支援拠点におきましては、心理アセスメントや、子供や保護者等の心理的側面からのケアを担当する心理担当支援員というのがおりますけれども、これが平成三十一年四月一日現在で百九十九人が配置されております。
虐待対応に当たりましては、保護者や子供の心理的な観点からの対応も重要であることから、令和五年度以降の児童相談所の体制に関しましては、児童相談所の虐待相談対応件数や、今般の法改正による児童相談所の役割の増加等の状況を踏まえまして、次期プランの策定も含めて検討していくこととしております。
また、今般の児童福祉法改正により創設することとしておりますこども家庭センターにおける心理専門職の配置による体制強化につきましては、自治体の意見も聞きながら検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/254
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255・石井苗子
○石井苗子君 やっていない。財政支援についてはいかがでしょうか。どのくらいの予算でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/255
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256・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童相談所に対する財政支援につきましては、こういった常勤職員の方々についての費用につきましては地方交付税措置ということでさせていただいているところでございます。
また、先ほど申し上げました子ども家庭総合支援拠点に対する支援でございますけれども、これにつきましては、子ども家庭総合支援拠点運営事業というもので財政支援をさせていただいておりまして、これの予算額がこの児童虐待・DV対策等総合支援事業、二百十三億円の中の内数ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/256
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257・石井苗子
○石井苗子君 二百十三億円の中の何数っておっしゃいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/257
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258・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今申し上げた補助金は、いわゆる統合補助金というふうなものでいろんなメニューが合わさっておりまして、そういったもの全体で二百十三億円でこの財政支援がなされているということでございます。その中の一部が使われているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/258
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259・石井苗子
○石井苗子君 全体を合わせて二百十三億円で、その中の一部が使われていますということでしたね。分かりました。
そうしたら、大臣に最後にお伺いしたいんですが、トラウマという言葉がありますが、これギリシャ語で傷という意味ですけれども、この心理療法を行う場合に、基本的に精神科医が行うということになるんですが、カウンセリングのトレーニングを積んでトラウマの治療ができる精神科医が今非常に少ないです。
その少ないという意味において、基本的にこの医師というのは、長いこと時間を掛けてカウンセリングをするということは忙しくてできません。一方で、公認心理師や臨床心理士のカウンセリングを受ける場合は医療保険が適用される場合が少なくて、高額でやっているので続けられないということも多いんです。
ここのところをもう少し、社会的に子育てをサポートするというのであれば、ある一定の財政支援をして雇うべきだと私は思っておりますが、精神疾患の場合に、このようになかなか患者様の心理療法ということの治療が難しいわけなんですが、このような現状を理解していただきますと、十分な親子のカウンセリングという治療が受けられるようにしたいと私は思っております。
そんなに深刻に、深い精神疾患があるわけではなくて、その手前でもう少し役に立たないかと、社会的なサポートというのでしたら、この三十年間増え続けている虐待死というものをストップするために十分な治療を受けられるようにしていただきたいと思うんですが、そこに予算を割いてですね。大臣、何か新しいコメントがあったら最後にお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/259
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260・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 先ほども局長の方からも答弁をさせていただいているわけでありますけれども、令和五年度以降の児童相談所の体制については、児童相談所の虐待対応件数や、今般の法改正による児童相談所の役割の増加等の状況も踏まえた上での次期プランの策定を含めて検討をすることになるわけでありまして、こうしたプランの作成と同時に、それをしっかりと実行していくための財政制度、人的な問題、そうしたことを、できるだけのことをやっていきたいというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/260
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261・石井苗子
○石井苗子君 まだまだやることがたくさんあるということが分かりました。
ありがとうございます。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/261
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262・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
児童相談所で、虐待対応件数というのは二〇二〇年度で二十万件を超えたと。先ほど来御指摘のように、もう増加の一途という状況です。
一方、市区町村での虐待事例対応というのも、余り表面には出てきませんけれども、ございまして、それを資料の一枚目に、市町村と児童相談所のということでグラフを並べております。数字としては、対応件数が、児相の、これ市町村七五%ということで相当な件数になってきているんですけれども、児相、市町村、これ相談の中身に違いはあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/262
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263・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十八年の児童福祉法改正におきまして、この虐待事案対応も含めた子育て家庭への対応に関する都道府県と市区町村の役割分担、これが、都道府県の方では、市町村に対する援助、助言ですとか、あるいは一時保護や措置等の専門的な知識、技術、広域的な対応が必要な業務を行う、これが都道府県なり児童相談所の役割であると。それから、市区町村の方は、子供の身近な場所における子供の福祉に関する支援等の業務を行うこと、これが市町村の役割である。そういう役割分担の下で、児童虐待についてそれぞれ相談対応等を実施しているものというふうに承知しております。
このため、端的に申し上げれば、児童相談所におきましては、保護者支援を含めた相談支援に加えまして、一時保護の必要性の判断を行う、そういうところが非常に重きを置かれている一方で、市区町村の方におきましては、子ども・子育て支援の提供ですとか、一般的な子育ての悩みを聞く中で場合によっては児童相談所の方へのつなぎを行っていく、そういったことに対応の重点が置かれているというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/263
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264・倉林明子
○倉林明子君 そういう役割分担、重点の置き方の違いはあるし、権限も違うんだけれども、実態としては、市区町村で受けている相談の中身ということでいうと児相と変わらぬという状況、相談にも応じているという実態あるわけですよね。私、虐待対応ということでいいますと、この市区町村の役割って極めて大きくなってきているということを申し上げたいと思うんです。
市区町村には、今お話もあったように、予防型、支援型ということでの役割、対策というのを求められているわけで、これ地域のサービスによってサポートし、子供や家族の問題というのを把握して、これ自発的に援助を求めないような保護者であっても必要な支援、これ見極める専門性、また、これソーシャルワーカーに対する不信感とか反発とか持っている保護者、こういう人であっても、保護者や子供とも向き合って必要な支援につなげるということでいうと、極めて専門性を求められる、市区町村の役割でですね、と思うんだけれども、認識は大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/264
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265・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 虐待対応事案も含めて子育て家庭への対応について、市町村は、先ほども局長の方から答弁をしましたが、子供や子育て世帯に身近な場所でその養育など子供の福祉に関する支援等の役割を担うものという位置付けになりますから、市町村において児童虐待相談等に対応する職員については、今先生からも話がありましたように、虐待の未然防止の観点も含めて、支援を要する家庭の相談を受け付けて、アセスメントも丁寧に行い、適切な家庭支援につなげていくこと、要保護児童対策地域協議会、要対協の枠組みを活用し地域の関係機関と日頃からネットワークを形成することのためには必要な専門性を有すること、これは重要だというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/265
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266・倉林明子
○倉林明子君 そうだと思うんですね。
高度な専門性が、こういうふうに虐待への相談対応って一層比重が増している中で役割すごく大きくなっているんですね。体制整備というの、追い付いてないんじゃないかということを具体的に指摘したいんです。
二〇一六年の法改正で、市区町村に設置の努力義務が課された、先ほど来議論もありました子ども家庭総合支援拠点ですね。これ、達成年度ということで、要は全自治体にと、達成年度では二〇二二年度とされていたと思うんですけれども、直近の設置自治体数、全体の何%になっているか、確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/266
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267・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 子ども家庭総合支援拠点の設置状況につきましては、令和三年四月時点で設置している自治体は六百三十五自治体、設置率でいうと三六・四%ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/267
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268・倉林明子
○倉林明子君 つまり、七割近い自治体で未設置の状況になっているんです。だから、極めて深刻だと思うんですよ。
これ、支援拠点における職員配置というのがどうなっているかということで、これ二枚目に、最低配置人数ということで、人口規模別の配置、最低配置人数ということで決めている数はあるわけですね。支援拠点で見た場合、どんなに小さな規模の自治体でも、子ども家庭支援員を常時二名置かんなんということになっています。人口五・六万人以上のところで言うたら、虐待対応専門員が常時一名、十七万人以上になると心理担当支援員常時一名、ここにならぬと心理担当は出てこないんですよ。
人口規模に応じて配置がそれぞれ追加されているという状況は分かるんだけれども、人口規模別でこの支援拠点の設置自治体数というのは比率で一体どのぐらいになっているか、御紹介ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/268
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269・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 先ほど申し上げましたように、子ども家庭総合支援拠点の設置自治体数は六百三十五あるわけでございますが、児童人口別で設置自治体の比率を見てみますと、例えば、児童人口がおおむね七・二万人以上の自治体におきましては設置率が五三・三%と、十六自治体ということになっております。それから、これに次ぐ規模のところで、二・七万人以上七・二万人未満の自治体、これで見ますと八〇・四%ということで七十八自治体となっております。一方で、一番規模が小さい〇・九万人未満の自治体、これで見ますと二六・四%ということで三百四十七自治体ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/269
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270・倉林明子
○倉林明子君 虐待対応専門員ということで見ますと、これ人口が五・六万人未満の自治体には配置しなくていいということになっているし、中規模、大規模は、全国で見たら、自治体数では、中規模のところ、八〇・四パーってこれ設置率高いんだけれども、自治体数で見ると一割にすぎないんです。九割の自治体ということで見て、九割の自治体には心理担当いないんですよ、いなくていいという配置人数の基準になっているということは見て取れると思うんですね。
その上、よう見てほしいんだけれども、最低常時二名というような書き方になっていますけれど、一名は非常勤可という状況なんです。それはちっちゃいところも含めてありますので、兼務も可能という位置付けになっているという実態は分かりますよ、実態は分かるんだけれど、大規模のところでも、これ非常勤が、心理、虐待、これ全部非常勤でいいということになっているんですよね。
この職員配置が、一応最低配置人数は示されているんだけれども、それ自身本当不十分だと思うわけですが、この職員配置のための国の財政措置というのは、拠点整備を決めたその拠点整備の前後でどう変わったのかという、市区町村に対する財政措置、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/270
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271・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十八年の児童福祉法改正によりまして、基礎的な地方公共団体である市町村は、子供の最も身近な場所における子供及び妊産婦の福祉に関する支援業務を適切に行わなければならないことが明確化されるとともに、子供とその家庭及び妊産婦等を対象に、実情の把握、子供等に関する相談全般を担う拠点の整備に努めなければならない、こういうこととされました。
家庭相談に係る財政措置でございますが、平成二十八年の法改正前は、子ども家庭総合拠点のような相談窓口の設置を想定していなかったことから、相談窓口の運営に要する経費の補助等はございませんで、子供の安全確認等を行う職員の配置に係る経費の支援等にとどまっていたものでございます。
先ほど申し上げました平成二十八年の法改正というものを契機にいたしまして、市町村がこうした拠点の体制整備を行えるように、平成二十九年度より、子ども家庭総合支援拠点の運営に必要な経費の補助を創設いたしますとともに、平成三十一年度より、地方交付税におきまして、標準団体当たり二名分の職員の財政措置というものが講じられております。
こうした取組を通じまして、市町村の相談体制の整備を今支援しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/271
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272・倉林明子
○倉林明子君 市区町村が拠点整備をするということになったら、地方交付税二名分も基本付くようになったということですけれども、くるめた中での、先ほど説明もあったけれども、その一部の位置付けなんですね。つまり、市区町村が本気で拠点整備すると、心理や虐待の対応専門員もきちんと置こうということになったら、持ち出し覚悟でないと踏み出せないと。結局、それが設置自治体が伸びていないという一番の足かせになっているということを私指摘したいと思う。
財政的な裏付け、これ明確にするためにも、最低基準、ここはきちんと運営していけるような、きちんと窓口対応ができるような最低配置基準、これは法定化すべきだと、で、裏打ちも財政として付けていくと、こういう方向向かうべきだと思います。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/272
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273・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 現行の子ども家庭総合支援拠点は、児童福祉法の規定に基づきまして、その設置については市町村の努力義務となっておりまして、職員配置を含めて、子ども家庭総合支援拠点を設置する際の要件については、厚生労働省の設置運営要綱により、予算補助の補助要件としてお示しをしております。現在、子ども家庭総合支援拠点を設置する自治体のほとんどは国で示す配置基準を満たしております。
委員の御指摘は、自治体の一部の意見として、財政的な裏付けを求める観点から、職員配置基準の法定化を望む声があるとの御指摘だと理解しておりますけれども、一方で、特に小規模自治体からは、専門職の配置が厳しく、それを理由に拠点の体制構築が難しいとの声も伺っているところでございます。
このため、子ども家庭総合支援拠点について、全国一律で配置基準を法定化することは困難と考えておりますけれども、引き続き、財政支援を行うとともに、しっかりと自治体の意見も伺いながら、その設置が進み、こども家庭センターの全国的な展開につながっていくように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/273
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274・倉林明子
○倉林明子君 市町村が大変だから、それに配慮して努力義務で設置進んでいないというようなことになっているんだと思うんですよ。
一方、これ児相には、児童相談所にはですよ、やっぱりこの虐待問題の解決に向けて、人員配置目標もこれ予算も前倒しにするということも含めて取られてきたんです。それがあったから、児童福祉司の確保という点では十分できた、できてはいないけど、前に進んできているんですよ。
そういう実態見ると、市町村は置いてきぼりやという声が上がっているということで、今すぐ義務化、法定化ということには無理があるという状況は分かるんだけれども、これ本当に市町村に求められる役割発揮していこうと思ったら、児相と同程度にですね、児相と同程度に体制整備に対し予算措置も含めた責任を持つべきだと、これ趣旨なんです。
大臣、もう一回どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/274
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275・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 同じことを……(発言する者あり)言うたらあかん、でも、同じことなんですが。
財政配置基準の法定化を財政的な裏付けを求める観点から望む声もあるというふうには承知しておりますけれども、一方で、専門職の配置が厳しいところでは一律の体制構築が難しいという声も伺っているわけでありまして、引き続き、財政支援を強力に行うとともに、しっかりと自治体の意見も伺いながら、全国的な展開につながっていくように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/275
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276・倉林明子
○倉林明子君 冒頭紹介したように、児童相談所に寄せられるその虐待対応件数と市町村の窓口で取り扱っている虐待対応件数というのは、本当に肩並べるぐらい増えてきているんですよ。そこで解決できる、解決していこうと思ったら、専門職の配置ということに国が予算付けるよということ要るんですということは重ねて申し上げたい。そこに責任持ってほしいということです。
続いて、市区町村の虐待対応はこうやって伸びてきているんだけれども、体制どうだったのかということで、私、検証するに当たっては、二〇二一年、大阪府の摂津市で三歳の男の子が同居していた母親の交際相手に殺害されると、こういう事件が起こりました。これを振り返りたいと思うんですけれども。
親子は、実は摂津市が虐待リスクありということでずっと見守ってきた家庭だったんです。知人、保育所、これ通報が市にあったんですよ。なんだけど、命守ることできなかった。摂津市の担当職員って十二人体制で、虐待対応、社会福祉士五人で年間数百件当たっていたということでした。これ、人口規模の最低配置からいうと上回る職員配置になろうかと思います。
この市町村の対応の中で救えない命が起こったということに対して、大阪府の児童虐待事例等点検・検証専門部会、これ検証作業を行いまして、今年一月にまとめた報告書があります。見させていただきました。国への提言があるんですね。その一部ですけれども、研修の充実等、専門性の向上や組織としての相談対応力の蓄積、一人で抱え込まない組織体制の整備が不可欠だといたしまして、専門職の任用とともにその配置が組織内で促進されるような技術的支援、財源の確保等の施策をお願いしたい、こういう中身になっています。
大臣、受け止めどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/276
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277・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 大阪府の摂津市で三歳の男の子が実母の交際相手から暴行を受けてお亡くなりになったことは誠に残念でありまして、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
摂津の事案については、大阪府が検証を行いまして、本年一月三十一日に報告書として取りまとめられ、課題の整理と再発防止策をまとめておりまして、当該報告書においては、国に対して市町村組織体制の強化等に関する提言がなされたものと承知をいたしております。
市町村における子供家庭福祉分野の職員の専門性の確保は重要な課題であるというふうに認識しておりまして、厚生労働省としては、現行でも市町村において相談援助業務を行う職員の専門性向上に向けた研修に必要な経費の補助を行うなど、自治体の取組を支援しているところでございます。
また、今般、虐待防止や家庭支援等の観点から、市区町村において児童福祉と母子保健の相談支援等を一体的に対応を行うこども家庭センターを設置することとしておりますが、当該センターにおいても専門性を有する人材を各地域で確保していくことが重要と考えており、その確保に当たって、これまで市町村において相談支援や指導等に関わったOBも含めた経験者の活用や、市町村向けの研修の充実、児童福祉法改正案において導入することとしている子供家庭福祉の認定資格の積極的な取得促進などによりまして、市町村において適切な人材が確保できるよう、財政支援も含めて検討してまいりたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/277
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278・倉林明子
○倉林明子君 現状の最低配置人数、先ほどお示ししましたけども、子ども家庭支援員というのは最低配置数のうち一名、心理担当支援員、虐待対応専門員、非常勤でも可、この専従職員配置数ということにはなってないんですね。多くの相談員は地方自治体で雇用の不安定さが問題になっている会計年度任用職員と、こういう方も多いんですよ。経験積めない状況が仕組みとしてあるんですね。これ、組織として対応力の蓄積ということが求められているんだけど、困難になっているんですよ。
で、言いたいんです。改めてこの新たなこども家庭支援センターをつくるということになるわけですけれども、配置基準、大臣は柔軟な配置を認めるという答弁をしているんだけれども、柔軟ってどういうことですかと、基準というのはどうなるんですかと。御説明を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/278
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279・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 四月二十七日の衆議院厚生労働委員会において、小規模自治体を含め、こども家庭センターを円滑に設置できるように、柔軟な人員配置を認めること等により、その設置を促進してまいりたいというお答えを確かにいたしました。
今後、施行までに人員配置の具体的な内容については検討していくわけでありますけれども、例えば、柔軟な配置として、小規模市町村についてはセンターを統括する職員について他の業務との兼務を認めることなど、いろいろな点を想定していますが、市町村の現場の意見を丁寧にお伺いしながら今後検討をまとめていきたいと思います。
また、小規模自治体を始めとした市区町村がセンターを円滑に設置できるように、柔軟な人員配置に加え、人材確保のための充実した財政支援を行うことなどによりまして、こども家庭センターの全国的な設置を促してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/279
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280・倉林明子
○倉林明子君 小規模の話だけしているんじゃないんですよね。大きいところでも、この資料のとおり、非常勤、兼務オーケーになっているんですよ。兼務とか会計年度任用職員、非正規、無資格と、これでいいっていうような現状追認が柔軟な対応では困るわけですよ。そこを指摘しているということを受け止めていただきたい。
虐待対応専門員、心理担当支援員、これ全員非常勤でもいいというような規定は、引き続き適用させるというようなことあってはならないと思うんですよ。しっかり見直して、財政措置と併せて、専門職が専任できる配置基準と、これ原則とすべきだと思いますよ。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/280
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281・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 現行の市町村が設置する子ども家庭総合支援拠点については、その設置運営要綱におきまして、人口規模に加えて、児童虐待相談対応件数等に応じまして、必要となる専門職員の配置人数を設置、設定しております。子育て相談支援は、内容やその支援方法が地域の実情により異なることから、必要な職員を常時配置することとしつつ、その雇用形態については非常勤形態でも可能とするなど、そういう意味で柔軟な相談体制の整備を可能とする仕組みといたしております。
その上で、市町村における子供家庭福祉分野の職員の専門性の確保は重要な課題であると認識しておりまして、厚生労働省としては、市町村において相談援助業務を行う職員の専門性向上に向けた研修に必要な経費の補助を行うなど、自治体の取組を支援しているところであります。
子ども家庭総合支援拠点における職員の雇用形態についても、引き続き各市町村における地域の実情に応じて適切に配置をしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/281
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282・倉林明子
○倉林明子君 やっぱり、人的配置、専門性を高めるということは、子供の権利保障の土台にもなるんですよ。最低基準というのを通知にとどめない、処遇もしっかりしてこそ定着も図れると。そういう定着、専門性を評価した上で定着、蓄積の、経験を蓄積していくということが対応スキルを上げていくと、虐待を減らしていくという本当、近道だということを申し上げたいと思います。
新設される子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業などの場というのは、これ、支援にとどまらず、虐待のリスクを早期に発見し、社会的養護につなげるという役割も期待されるわけです。これ、支援を受ける際の利用者負担について、まだこれからだということは聞いているんですけれども、令和三年度にモデル事業をやられています、このときの設定はどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/282
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283・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 令和三年度補正予算において安心こども基金を活用して実施しております子育て世帯訪問支援臨時特例事業でございますが、こちらについては利用者負担を軽減する措置というのをとっております。具体的には、当該事業の補助単価としては、支援に要する費用と訪問に要する費用とを勘案して設置しておりまして、設定しておりまして、子育て世帯に対して一時間支援を行った場合の利用者負担額の上限は、例えば生活保護世帯ですとゼロ円、それから住民税非課税世帯ですと四百九十円というふうになっております。
それからあと、同様に安心こども基金を活用して実施しております保護者支援臨時特例事業というのがございます。こちらにつきましても利用者負担を軽減する措置をとっておりまして、具体的には、当該事業の補助単価としては、支援に要する費用を勘案して設定しているところ、八回程度の講義とグループワーク等に参加することを想定した場合の利用者負担額の上限は、例えば生活保護世帯ですとゼロ円、それから住民税非課税世帯ですと三千二百円というふうになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/283
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284・倉林明子
○倉林明子君 子供の居場所支援についてはこれは無料ですよね、モデルでやった場合について、モデルじゃない、設定として考えているのは無料だったと思うんです。利用者負担というのは支援を受ける際のハードルにやっぱりなるということを指摘したいと思うんです。
先ほど紹介あったように、二番目のやつで言うたら、住民税非課税世帯で一回三千二百円という設定になっていましたよね。このように利用料負担を設けると、一定の額を求めるということについて、これで本当に必要な保護、支援につなげることができるのかと。見付けるということも含めての支援、必要な支援があると思うんだけれども、つなげるということにもつながって、つなげていくことができるのかという率直な疑問です。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/284
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285・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般新たに創設する子育て世帯……(発言する者あり)短く、はい。基本的には利用者負担を求める運用とすることを考えているわけでありますけれども、委員御指摘のように、低所得者であるために利用者負担を行うことができない等により利用を諦めることを避ける必要があるというふうには考えておりまして、令和三年度補正予算等により、住民税非課税世帯など経済的な負担が困難な家庭の利用者負担の軽減を図る仕組みを設けておりまして、令和六年度からの本格実施に向けて具体的に検討を進めて、支援を必要とする家庭が適切にサービスを利用することができるように必要な予算の確保等を含めて努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/285
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286・倉林明子
○倉林明子君 そこ大事なところで、問題は、支援が必要なのに自覚がないと、自分は必要だと思えない人もいるし、家庭への介入ということでいうと拒む、そういうところこそやっぱり支援必要な場合もあるわけですよね。そういう利用料金の負担が発生することで利用を更に遠ざけるということになると、必要な支援、養護につながっていかないということにもなりかねないという危惧があります。
少し言わはりました、予算措置も確保して非課税世帯無料にというようなお話もありました。きっちりそこは利用者負担原則無料で、せめて非課税世帯については負担ゼロと、これで頑張っていただきたいと、確認の意味も込めて、最後、答弁求めたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/286
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287・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今回創設する子育て世帯訪問支援事業や親子関係形成支援事業におきましては、従前の一時預かり事業等と同様に、受益と負担の関係から、基本的には利用者負担を取る取扱いとしております。
一方で、諦めることがないように避けなければならないというふうに考えておりまして、このため、令和三年度補正予算により先行して実施している事業において、病児保育等の既存の取組を参考として、所得階層や利用者の負担感などを考慮して利用者負担を軽減する具体的取組を行ったものでありまして、今般の児童福祉法改正案において新設される事業が本格実施される令和六年度以降の利用者負担については、今後、自治体の意見等も踏まえつつ、令和三年度補正予算の先行実施事業の実施状況等も勘案して、利用者負担の上限額について検討し設定することとしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/287
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288・倉林明子
○倉林明子君 利用者負担のハードルを下げると、非課税はゼロにと、これで是非検討していただきたい。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/288
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289・山田宏
○委員長(山田宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01620220524/289
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