1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月七日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
下野 六太君 秋野 公造君
六月六日
辞任 補欠選任
秋野 公造君 下野 六太君
六月七日
辞任 補欠選任
竹谷とし子君 杉 久武君
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出席者は左のとおり。
委員長 山田 宏君
理 事
石田 昌宏君
小川 克巳君
川田 龍平君
山本 香苗君
田村 まみ君
委 員
衛藤 晟一君
島村 大君
そのだ修光君
羽生田 俊君
比嘉奈津美君
藤井 基之君
古川 俊治君
本田 顕子君
三原じゅん子君
石垣のりこ君
打越さく良君
福島みずほ君
森屋 隆君
下野 六太君
杉 久武君
竹谷とし子君
足立 信也君
石井 苗子君
梅村 聡君
倉林 明子君
国務大臣
厚生労働大臣 後藤 茂之君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 鰐淵 洋子君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
政府参考人
内閣官房こども
家庭庁設置法案
等準備室審議官 川又 竹男君
文部科学省大臣
官房審議官 淵上 孝君
厚生労働省大臣
官房生活衛生・
食品安全審議官 武井 貞治君
厚生労働省医政
局長 伊原 和人君
厚生労働省健康
局長 佐原 康之君
厚生労働省子ど
も家庭局長 橋本 泰宏君
厚生労働省社会
・援護局長 山本 麻里君
厚生労働省社会
・援護局障害保
健福祉部長 田原 克志君
厚生労働省保険
局長 浜谷 浩樹君
厚生労働省政策
統括官 大島 一博君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/0
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001・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
児童福祉法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省子ども家庭局長橋本泰宏君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/1
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002・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/2
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003・山田宏
○委員長(山田宏君) 児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/3
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004・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
本年五月二十五日、熊本地裁民事第三部は、二〇一三年八月から三回に分けて実施された、史上最大、削減総額六百七十億円の生活保護引下げ処分の取消しを求めた訴訟において、当該処分を取り消し、原告の請求を認容する判決を言い渡しました。
全国二十九の地方裁判所で三十の原告団が同種の訴訟を提起していますが、これまでに言い渡された十の地方裁判所判決のうち原告の請求を認容したのは、二〇二一年二月二十二日の大阪地方裁判所判決に次ぐ二例目です。
この引下げは、物価下落率に基づいて生活扶助基準を減額するデフレ調整、これ削減額五百八十億円に及びましたけれども、このデフレ調整と、生活扶助基準と低所得世帯の消費実態との格差を是正するゆがみ調整、こちらは削減額九十億円に及びました。
このデフレ調整とゆがみ調整を根拠とした引下げでしたけれども、大阪地方裁判所の判決は、デフレ調整については、十一年ぶりの特異な物価上昇が起こった二〇〇八年を起点として物価下落を考慮した点と、被保護世帯の支出割合が相当低い、テレビ、パソコンなど教養娯楽耐久財の物価下落を増幅する独自の指数を用い、消費者物価指数の下落率二・三五%より著しく大きい四・七八%の下落率を設定した点を捉えて、この引下げが違法であると判断しました。
熊本地方裁判所判決は、これに加えて、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会生活保護基準部会が検証したゆがみ調整の検証結果について、生活保護基準を増額する方向の数値も含めて一律二分の一としたことと、デフレ調整という手法を初めて導入して生活扶助基準額が更に減額されたことに関し、生活保護基準部会などの専門的知見を踏まえた適切な分析及び検討、検証を怠った点において判断過程に過誤、欠落が認められ、違法であると判断しました。
この判決は、これらの諸点がいずれも生活保護基準部会等の専門的検討を経ていないこと、つまり学識経験者から成る専門委員会の専門的知見をないがしろにしたことを直接に問題にした点において、大阪地方裁判所判決よりも更に踏み込んだ内容となっています。この点、どのように受け止めておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/4
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005・山本麻里
○政府参考人(山本麻里君) お答えいたします。
ただいま委員が御紹介いただきました熊本地裁判決におきましては、生活扶助基準の改定が適法であると認められなかったものと承知をしているところでございます。
なお、御紹介いただいた平成二十五年の生活保護基準改定は、生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、年齢、世帯人員、地域差のゆがみを直すとともに、デフレ傾向が続く中、当時の基準額が据え置かれていたことに鑑み、物価の下落分を勘案するという考え方に基づき、生活扶助基準の必要な適正化を図ったものであります。
こうした基準の改定については、厚生労働大臣の合目的的な裁量に委ねられており、その手順も含め適切なものであったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/5
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006・打越さく良
○打越さく良君 いや、違法であると判決で判断されたのですから、その点真摯に受け止めていただきたい。今の御答弁は大変残念です。
そして、現在、来年度の基準見直しに向けて生活保護基準部会での検証作業が続いているということですけれども、厚生労働省は、昨年六月二十五日の第三十九回基準部会で、現在都市部から地方部まで六級分ある級地を三区分に統合する方向性を示し、基準部会での検証を一回で終わらせようとしました。
部会委員から強い異論が出たため、九月七日の第四十回部会でもう一度だけ検討したものの、九月二十一日に六区分とする必要があるという結果は得られなかったという取りまとめだけ行って、基準部会での検証を終えてしまいました。その後は、国と地方の実務者協議の場での議論に移っています。
しかし、級地区分をどのように統合するかは、個々の生活保護基準に直結します。特に生活保護利用者は都市部に多く住むので、級地の統合によって都市部の生活保護基準が下がり、多くの人が保護費減額の不利益を被ることが予想されるのですから、生活保護基準部会における専門的検証が不可欠であるはずです。
熊本地裁判決が出た今、改めて基準部会にデータを全部出し、専門的検証に付するべきではないでしょうか。付さないということであれば、なぜ専門的知見による検証が不要だと言い切れるのか、そのことを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/6
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007・山本麻里
○政府参考人(山本麻里君) お答えいたします。
現在検討している級地区分の見直しについては、五年前、平成二十九年十二月十四日でございますが、社会保障審議会生活保護基準部会の報告書において引き続きの課題とされたことから、令和二年度に同部会の委員に研究会メンバーとして御参加いただき、専門的な知見に基づく検討を行っていただくとともに、令和三年度にも同部会において審議を重ねていただいたところでございます。
こうした専門的な知見に基づく議論の結果、令和三年九月に、同部会において、生活保護基準における級地区分の検証に係る分析結果のまとめが取りまとめられたものと承知をしており、級地区分の階級数や個々の市町村の級地区分の指定については、基準部会において追加的に検証を行っていただくことは考えておりません。
なお、厚生労働省としては、級地区分の見直しについて、同部会の分析結果等を踏まえてその必要性の有無を含めて検討しているところであり、同部会による分析結果のまとめでも提言されているように、令和四年末にかけて自治体等との調整を丁寧に行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/7
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008・打越さく良
○打越さく良君 今のお話ですと、あたかも級地区分をどのように統合するかという話だけを議論しているようで、その生活保護基準とは別の検証をしているんですというようなお話、受け止めをされているのかと、そういう設定をされているのかと思われたんですけれども、山田篤裕委員が第三十九回基準部会で御指摘のとおり、級地と保護基準は分かち難いということで、級地を統合すれば必然的に基準は変わるのですから、それが当たり前なんですから、別問題かのようにおっしゃるのはいかがなものかと、明らかに不合理であるというふうに思います。
そして、私が先ほど提案させていただいた専門的検証はもう経ないと、そういうことで、来年春になって突然都市部の基準が大幅に下がると、その根拠はブラックボックスで分からないというようなことになれば、様々にまた各地で司法判断を求めるような訴訟が提起されるのではないかということで、それは全く混乱の極みではないかということを申し上げます。
それでは次に、意見表明等支援事業についてお伺いします。
この児童福祉法の改正法案の意見表明等支援事業についてですが、先日の二日、畑山参考人がおっしゃっていたナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たち抜きに私たちのことは決めないでという本当に重要な御指摘いただきましたけれども、それがようやく法律の中で形になると、ものだと思います。ですから、意義は大変あると考えております。
しかし同時に、畑山参考人が御指摘なさったとおり、厳しい状況を生き抜いてきた子供に意見を求めても簡単なことではないと、意見表明することは簡単なことではないともあります。意見を形成することへのサポートが大変重要になります。言葉にならない表現をすることもありますし、安心して話すことができるという経験を繰り返し繰り返し経験してようやく意見表明ができるのだという、これも畑山参考人が御指摘なさっていたんですけれども、本当にそのとおりかと思われます。こうしたことは津崎参考人も指摘されていました。こうした意見を形成するまでのサポートも必要ではないでしょうか。
また、畑山参考人がおっしゃっていたことですけれども、子供たちが自分の置かれている状況をどれだけの子供たちが把握しているか、なぜ措置されているのか、いつまでこの世界、生活が続くのか、親はどうしているのか、どんな世界がこれから始まっていくのか、大切な人に会えるのか、学校に行けるのか、自分のことなのに何も分からないという不安な状況があるということを指摘なさっていたわけですけれども、情報提供、さらに情報の管理についてガイドラインが必要と思いますが、この点についてのお考えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/8
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009・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まず、今、前段で御質問いただきました意見の形成に対する支援という点でございますが、今般の児童福祉法改正案におきまして、都道府県等において意見表明等支援事業を設けることとしております。意見表明等支援員は、子供の最善の利益のため、子供の立場に立ってその意見表明等の支援を行うこととしております。
意見表明等支援の対象となる子供は、虐待を受けて傷ついていたり、大人への信頼をなくしていたり、今委員から御指摘ございましたように、先日の参考人質疑の議論でもございましたような、自分が特別な環境で暮らしているということに気が付かなかったりするなど様々な事情があるわけでございまして、意見を形成し表明することに困難を抱えているということも考えられます。
このため、情報を過度に意見表明等支援員が提供して意見形成を促すことが子供の意見を誘導するようなことにもつながり得るので、その点は留意する必要がございますが、やはり子供の意見にじっくりと耳を傾けたり、必要な範囲で情報提供を行うなど、児童の特性に配慮した方法で適切に意見表明等のための支援を行うということの必要があるものと考えておりまして、今後、施行までに策定を検討するガイドラインにおいて、その点も含めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
この情報提供を行う範囲の問題でございますが、意見支援員が意見表明等支援を行う中で必要な情報提供を行う場合につきまして、子供の年齢や態様など、個別の事案に応じて状況が異なりますので、その必要な情報の内容や範囲というものを網羅的に今お示しするということはなかなか難しいというふうに考えております。その上で、必要な情報提供の範囲につきまして、典型的な事例における例示のようなことが可能か否か、ガイドライン等を今後策定していく中で、現場の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/9
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010・打越さく良
○打越さく良君 確かに網羅は難しいかもしれないんですけれども、なかなかその現場の判断に任せるということも非常に不安定なものではないかと。必要な情報を必要なときに提供していただけるということが子供たちにとってかなわないということにならないように、是非お願いしたいというふうに思います。
それから、改正法案の六条の三の第十七項に児童相談所、都道府県その他の関係機関との連絡調整とありますけれども、この連絡とは何を指すのでしょうか。意見表明等支援事業者又は意見表明等支援事業に従事する者に、子供から聞いたことを児童相談所や都道府県に伝達させるということでしょうか。もしそうだとすれば、これは意見表明等支援事業者又は意見表明等支援事業に従事する者を児童相談所、都道府県その他の関係機関の附属機関かのように利用するということになるのではないかという危惧があるんですけれども、それはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/10
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011・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきました意見表明等支援事業におきまして、支援員は子供の最善の利益のため、子供の立場に立ってその意見、意向を把握し、行政機関や児童福祉施設に対して子供の意見を代弁することとしておりますが、子供の意見等を関係機関等に単に伝達するということを法文上は連絡というふうな形で規定をしております。
具体的には、一時保護や施設等への入所措置に対する子供の意見ですとか、あるいは児童福祉施設の処遇に対する子供の意見ですとか、こういったものを支援員が児童相談所や施設に伝えるということが想定されるわけでございます。
その上で、今、附属機関のようなというふうなお話もあったわけでございますけれども、今般の児童福祉法改正案におきましては、意見表明等支援事業と併せて、児童相談所長等が一時保護や施設入所措置等の際に子供の意見や意向を勘案して措置等を行うよう意見聴取等を義務付けております。
これらは、それぞれ、子供の最善の利益のため、子供の意見や意向を把握するために重要な制度でございまして、一方が他方のツールとして用いられるような補完的な関係、附属機関のような関係、そういったものではないというふうに認識しております。
その上で、子供の意見や意向につきましては、それぞれの制度に基づき、子供の置かれた状況やニーズに応じて、意見表明等支援員や児童相談所、施設の職員など適切な関係者が把握し、適切な子供への支援につなげていくということが重要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/11
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012・打越さく良
○打越さく良君 今の御答弁にあったようなことを是非現場でも理解を徹底していただきたいと。あたかも附属機関というか、児童相談所とかの附属機関のような扱いをされないように是非理解を徹底していただきたいというふうに思います。
それから、法案の三十四条の七の二の第五項に、「意見表明等支援事業に従事する者は、その職務を遂行するに当たつては、個人の身上に関する秘密を守らなければならない。」とありまして、守秘義務が定められていますけれども、第六条の三の第十七項の連絡とこの第四条の七の二の第五項の守秘義務の規定、これ何かそごがあるような受け止めもあるかと思うんですけれども、その関係はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/12
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013・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の改正案におきまして、「意見表明等支援事業に従事する者は、その職務を遂行するに当たつては、個人の身上に関する秘密を守らなければならない。」、このように規定しております。
このため、意見表明等支援員は、子供から把握した意見、意向を関係機関等に連絡を行う際には、原則として子供の同意を得た上で伝達するものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/13
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014・打越さく良
○打越さく良君 済みません、原則として子供の、何というか、もう一度、済みません、ちょっと受け止められなかったので、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/14
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015・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 守秘義務ということとの関係についてのお尋ねでございますので、まさにそういった聞き取ったことを連絡をしていいのかどうかということについて子供の方の同意を得た上で伝達する、これが原則だというふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/15
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016・打越さく良
○打越さく良君 その伝え方が本当に重要だと思うんですね。子供に大人から伝えていいよねというような言い方をしたら、子供としてはノーはなかなか言いづらいと思うんです。だから、何かすごく形式的に同意書みたいなものを、何というんですかね、子供に示して、これ何かレ点でもチェック付けてみたいな感じになると、子供たちとしては、本当にそれに対して、これどうやって扱われるんだろうとか、どういうことなんだろうと分からないままに、大人に対しては文句言えないというか、そういうことにならないように慎重な扱いをしていただきたいんですけれども、その点は今後検討していただけるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/16
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017・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 意見表明等支援事業、この事業、まだまだこれからいろんな形で、実際にやっておられる方々の御意見なども踏まえながらいろんな中身を詰めていかなければいけないわけですけれども、やはり今おっしゃったような、様々、意見の形成に当たって、誘導ということにならない範囲の中でいろいろと必要な情報を子供に対して伝えながら子供の方の意見の形成というのを促していくような、そういった意見表明に至るまでのプロセスのところも丁寧に行いながらやっていくということがこの事業では求められるんだろうと思います。
そういった点、また今、委員から御懸念としていただいたものも受け止めた上で、また今後検討させていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/17
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018・打越さく良
○打越さく良君 是非形式的にならないように、子供の葛藤とか、なかなか大人に対して意見を言っていいものかどうかと、本当は嫌なんだけどという気持ちとかを表明しづらいとか、そういうところも慎重に検討していただいて、形式的なものにならないようにお願いいたします。
そして、法案の第六条の三の十七項、児童相談所、都道府県その他の関係機関との連絡調整というところですけれども、この調整というのは、この調整を行うのは、児童相談所、都道府県その他の関係機関なんでしょうか、それとも意見表明等支援事業者又は事業に従事する者なのでしょうか。この後者は、意見表明等支援事業者又は事業に従事する者ということであると、そちらの方は子供の意見や意向の表明を通じることを通じて子供の最善の利益の達成に寄与するはずの方だと思うんですけれども、そういう方が調整をするものではないと思うんですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/18
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019・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案におきまして新設する意見表明等支援事業の規定においては、支援員が子供の意見、意向を把握し、それを勘案して児童相談所等の関係機関との連絡調整その他の必要な支援を行うこととしております。
委員御指摘の調整につきましては、支援員が関係者との間で利害調整を行い、子供への支援内容を決定することまでは基本的には想定しておらず、例えば、弁護士等の支援員が子供の権利擁護のため、都道府県設置の児童福祉審議会等の権利擁護機関において子供の意見を踏まえて案件を提起することなどを想定しているということです。
いずれにせよ、意見表明等支援事業の実施の詳細については、今後、施行までの間にガイドライン等の策定を検討しておりまして、その中で具体的な連絡調整の手法についても、現場の御意見も伺いながら検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/19
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020・打越さく良
○打越さく良君 ありがとうございます。
現場の声だけではなくて、是非子供の意見も踏まえていただきたいんですが、その点いかがでしょうか。済みません、きっちりとは事前に通告していないんですけど、この点についてのお考えもあればお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/20
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021・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) そういう姿勢で考えるということで、もちろん、子供の意向等を踏まえてどういうふうに生かしていくかというのがこの制度の趣旨でございますから、先生の言うとおりで考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/21
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022・打越さく良
○打越さく良君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
済みません、言い忘れていたんですけど、社会・援護局長には私の質問終わっていますので、取り計らいのほどお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/22
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023・山田宏
○委員長(山田宏君) もう一度お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/23
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024・打越さく良
○打越さく良君 社会・援護局長へは質問は私は終わっているんですけれど、取り計らいのほどということで。委員長に任せます。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/24
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025・山田宏
○委員長(山田宏君) 山本局長には御退席いただいて構いませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/25
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026・打越さく良
○打越さく良君 里親支援センターを児童福祉施設として位置付ける今回の法改正は、子供の養育環境を向上させる狙いがあるとして、それ自体異議があるものではございません。しかし、今回の改正の背景には、里親が様々な困難を抱え、バーンアウトなどに直面していることもあるのではないでしょうか。そうした実態を是非この機会に直視していただきたいと考えております。
地元でも、里親から短期で養育困難として断られるお子さんたちがいるということを聞いております。そうすると、子供たちにも非常に大きな傷つきとなるということで、二日の当委員会で津崎参考人も、施設でうまくいかないよりも里親でうまくいかない方が傷つきが大きいと指摘なさっていたと思います。そうした実態を把握しておられるのでしょうか。委託解除総数のうち里子との関係不調の件数、その割合を教えてください。また、複数の不調を経験する子供もいるというんですけれども、その点も把握しておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/26
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027・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 里親に委託されている児童との関係不調そのものの件数については把握はしておりませんが、里親委託を解除され、その後、施設の方などに入所をしたり、あるいはほかの里親に委託するなどした児童の数は、令和元年度中の一年間におきまして四百三十二人であったというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/27
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028・打越さく良
○打越さく良君 複数の不調を経験している子供というのは把握されていらっしゃらないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/28
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029・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 個別事情、それぞれいろいろ複雑なものはあるだろうと思いますので、ちょっとその今お尋ねいただいた件数については把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/29
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030・打越さく良
○打越さく良君 非常にそういった複数の不調を経験する子供たちというのが非常に大きな傷つきを経験しているということは指摘されているところです。
そして、NHKの二〇一八年の調査によれば、里親の二六・六%、四人に一人以上が養育に困難を感じるなど委託解除の経験があるということで、里親経験もある津崎参考人も、数字的に里子を増やすことは単純にはいかないということで、数値目標ありきの問題点を指摘されていたかと思われます。
そもそも、新しい社会的養育ビジョンが公表された当初から、フォスターケア・ドリフト問題が指摘されていました。しかし、ビジョンでは、欧米でのフォスターケア・ドリフト問題を検証した形跡はありません。里親委託率が高い各国でも、フォスターケア・ドリフト問題、そして、子供たちが信頼関係を築けないまま保護を離れた後、相当数ホームレスを経験したり貧困にあえいでいたり、犯罪率が高いことが問題視されてきました。アメリカでは、うつ病やPTSDに罹患している割合も一般の子供たちよりも多いという検証もあります。日本でも、里親不調は子供にとってなお一層傷つきとなるということで、子供たちは大人への不信感を更に募らせるという御指摘もございます。
このビジョンの当初、その深刻さを認識しておられたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/30
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031・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十九年にまとめられましたこの新しい社会的養育ビジョンにおきましては、里親不調に関する課題も指摘されておりまして、その解決策の一つとして、包括的な里親支援、フォスタリングの重要性が指摘されております。「里親不調という子どもにとって新たな心の傷となる状況を防ぐためにも、フォスタリング業務が専門性の高いソーシャルワーク組織として成熟していくことが必要であり、担当者が長期にわたって従事し、継続的で一貫したチームを形成することが欠かせない。」と、こんな記述もございます。
御指摘いただきましたように、里親制度というのは家庭と同様の温かい養育環境の下で社会的養護が必要な子供を養育するものでありまして、その委託の変更、解除というのは子供に大きな影響を与えるということから、不調に陥らないように委託前に十分調整するということはもちろんでございますが、委託をした後も里親家庭に対してフォローや支援を行うということが非常に重要というふうに認識しております。
このため、今般の児童福祉法改正案におきましては、里親支援センターを創設し、里親家庭に対して包括的かつ一貫した伴走支援を行うということとしたところでございます。
今後も、都道府県が策定した都道府県社会的養育推進計画に基づく取組ですとか、あるいは里親支援センターの具体的業務内容等の検討に伴う調査研究などの機会を捉えまして、継続的に里親委託における様々な課題や改善方法というものを私どもとしても把握をして、子供の最善の利益にかなう形で里親委託が推進されるように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/31
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032・打越さく良
○打越さく良君 今般そうやって取り組んでいただくということは評価するんですけれども、ただやはり、施設よりも里親へというシフトが良かったのかと、そうしたビジョンの姿勢は良かったのかは、私としては検証していただきたいと考えております。
そして、NHKの二〇一八年のアンケートでも里親の八割が養育困難を経験しているということで、様々な指摘によると、里親と里子で特別養子縁組が成立した後でも、養親の方から養育困難の訴えや虐待等が生じた事案も一定数あると言われています。また、養子縁組成立後に支援を拒否したり里親会を退会する場合も一定数あるということなんですが、その場合、ケアがどうなっているのか把握できないことになっているのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/32
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033・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童福祉法上、里親やあるいは養子縁組家庭への援助というのは都道府県等が行うべき業務というふうに位置付けられております。これに基づきまして、里親養育包括支援、すなわちフォスタリング事業などを活用しつつ、各自治体において里親家庭や養子縁組家庭への支援を行っていただいているものというふうに認識をいたしております。また、養子縁組につきましては、民間団体を通じて養子縁組を行った家庭もございますので、そういった家庭については、いわゆるあっせん法に基づきまして、民間あっせん機関による支援も併せて行っていただいているというふうに承知しております。
これまでも、フォスタリング事業の現状ですとかあるいは養子縁組成立後の支援における課題などにつきましても調査研究を実施してきておりまして、今後も、調査研究等を通じた実態把握に私どもとしても努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/33
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034・打越さく良
○打越さく良君 努めてはいただいているんだと思うんですけれども、ただ、やはりなかなか把握でき切れてない、そういう事案もあるように思われます。
そして、そもそも、里子についても、あるいは施設についても子供たちは意見を聞かれてこなかったのではないでしょうか。特別養子縁組についても子供は意見を聞かれていないのではないでしょうか。二日のこの当委員会で畑山参考人が、どれだけの子が、措置されている施設や里親家庭を選べたかと指摘なさっていましたけれども、本当にその点も重いものだと思います。
虐待されて家庭生活そのものに拒否感がある子供もいると思いますが、その点も把握しておられるのでしょうか。年長の子供たちは里親よりも施設を望む場合もあると。私も児童相談所の嘱託弁護士をしていたときに、そういう年長の子供たちは、やっぱりこのまま施設がいいなと言っているような子供たちの話も伺いまして、それは実感があるんですけれども、そうしたことも踏まえてこられたのかと。その辺り、御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/34
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035・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 子供の意見、意向というものがどれだけ生かされているかというふうな観点からの御質問かと思います。
現行法の下におきまして、子供本人に対しては、運用上のガイドラインに基づいて、里親委託や入所等措置の理由などについて説明が行われているというふうに承知いたしておりますが、どうしても行政の措置というふうなものの性質上、子供本人の意見のみにのっとって入所措置等を選択するといったことまではなされておりません。
一方で、里親委託や入所措置等の決定は児童のその後の生活に重大な影響を与えるものであり、また、処遇等についての意見、児童の意向も踏まえたものとすることがその後の養育環境として適当であることもございますので、今般の児童福祉法改正案におきまして、入所措置や里親委託などの際には児童相談所等が子供の意見聴取等を行わなければならないこととしたところであります。
今般の児童福祉法改正案を契機といたしまして、子供の意見、意向を聴取した上で、そのとおりの対応を必ずしも取るものではございませんが、可能な限り子供の意見、意向を踏まえて、最善の利益が図られる養育環境の提供となるような取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/35
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036・打越さく良
○打越さく良君 ビジョンの方に遡りますけれども、数値目標の設定とか、そもそもその里親委託重視ということ、そのビジョンを策定するに当たって、このときは子供たちから意見を聞いたのでしょうか。ケアリーバーたちからもお話を聞いたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/36
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037・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきました新しい社会的養育ビジョンは、新たな社会的養育の在り方に関する検討会において議論いただいて策定したものでございます。
これを取りまとめるまでの検討過程におきましては、ケアリーバーや施設等で生活している中高生等といった当事者団体からヒアリング等により意見を伺ったところでございます。平成二十八年の十月でございますが、特定非営利活動法人のIFCA、あるいはCVVと、こういった団体からの御意見をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/37
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038・打越さく良
○打越さく良君 でも、実感としては、なかなか自分たちのことを聞かれてないんじゃないかというような御指摘もあるので、重く受け止めていただきたいと考えております。
そして、ビジョンの方が、年長の子供だけではなくて年少の子供たちについても、乳幼児は数か月以内、学童期以降は一年以内というふうに掲げたのは合理的だったのでしょうか。この子供たち、様々なニーズがあると思うんですね、状況も様々で。そうしたそれぞれのニーズに合わせるべきではなかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/38
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039・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきました新しい社会的養育ビジョンにおいては、里親委託を進めつつ、ケアニーズが非常に高く、施設等における十分なケアが不可欠な子供については、小規模、地域分散化された養育環境を整えた施設でケアを行うが、その滞在期間は、原則として乳幼児は数か月以内、学童期以降は一年以内というふうにされました。
この内容につきましては、新たな社会的養育の在り方に関する検討会におきまして、社会的養育分野の有識者から成る構成員の方々に御議論いただき決定されたものでございます。御指摘の数か月あるいは一年といった期間に関しても、検討会における御議論の中で設定されたものでございまして、具体的には、検討会の中で構成員から、里親等の家庭養育を実効性を持って進めていくためには施設入所措置に関する期間の具体的な数値目標が必要であること、あるいは、ある程度の目安を区切ることで子供の将来を見据えたソーシャルワークが可能になると考えられること、こういった御意見がございました。
全体として、家庭養育を推進する観点からは一定の目標数値を置くということも必要であると考える一方で、児童の措置や委託を行う先やその期間については、個々の具体的なケースの状況に応じて、子供の利益を第一に考えながら決定していくということが重要であるというふうに考えてございますので、今申し上げたような視点に立った制度の運用ということを進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/39
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040・打越さく良
○打越さく良君 具体的ケースを考えてということなんですけれども、なかなか、現場の実感からすると、非常にそうした具体的なケースの様々な事情を踏まえない上からの改革を、何というか、決められたというような受け止めもございますので、そのようなことがもし厚生労働省の認識と違うのであれば、繰り返し、個々の子供たちのニーズに合わせてということなんだということを伝えていただきたいというふうに考えます。
それから、里親委託を受けた子供たちの社会的自立ですね、そうしたことが施設の子供たちより高いということも検証されてこうしたビジョンになったのかどうか、その点教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/40
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041・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 里親に委託されている児童の中学卒業後の進路として高等学校等への進学を選択した児童は、令和元年度において九七・二%となっております。一方、児童養護施設においては九四・九%となっておりまして、里親に委託されている児童の方が若干高くなっております。
また、高等学校卒業後の進路として大学等への進学を選択した児童は、里親に委託されている児童が三〇・三%となっておりまして、児童養護施設の場合は一七・八%となっておりますので、比較しますと、里親に委託されている児童の方が高くなっているというふうな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/41
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042・打越さく良
○打越さく良君 事前にそのような、レクでも教えていただいたんですけれども、ただ、それは、様々困難が多くて里親との措置解除になって施設に戻ってきたような子も含めて施設ということかもしれませんし、なかなかそこを、また更に検証していただきたいと考えます。
そして、施設には、里親が見ることができない困難な子供をケアする治療的役割をビジョンは求めたわけですけれども、困難な子供たちが集中することで、安定的な環境になるのかということは現場では疑問に持たれています。問題のある子供たち、問題のあるというか問題を抱えている子供たちのケアを集中的に担うならば、なおさら職員配置基準を考慮しなければならなかったのではないでしょうか。
そもそも、施設側からの生の声とすると、本当に財源的手当てもないままに必死に頑張ってきたけれども、その意義を評価されないどころか、何かあたかも断罪されたかのようにこのビジョンを捉えたわけですね。
このビジョンには、職員の安定的雇用や労働環境の改善について言及がなかったのではないでしょうか。現場ではもうそういったことこそ望んでいまして、子供たちの安定的な環境のためにも大変重要な課題だったというふうに考えております。そうした設備環境の改善、職員配置基準の改善こそが課題であったのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/42
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043・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十八年の児童福祉法改正によって明確化されました家庭養育優先原則に基づき里親等委託の推進の取組を行いますとともに、児童養護施設等においてもできる限り良好な家庭的環境を確保するため、小規模化された施設環境を確保し、施設の専門性を生かした支援を実施するということとしたところでございます。
児童養護施設等の設備環境の改善については、従前より施設整備に係る費用の補助を実施しているところでございますが、令和三年度から、児童養護施設等の小規模化の推進に向けた取組を実施する場合には補助率のかさ上げを実施しているところでございます。
さらに、児童養護施設における職員配置基準の改善についてもお話ございましたが、五・五対一の基準を超えて、最大四対一までの職員配置を可能にするとともに、心理療法担当職員等の専門職員の配置支援など、児童養護施設等に入所する施設が適切な養育を受けることができるよう、職員配置の改善に努めているところでございます。
今回の社会的養育専門委員会報告書におきまして、措置費の在り方について、ケアニーズに応じた支援がなされるよう速やかに検討を開始すべきであるというふうな御指摘もいただいたところでございますので、児童養護施設等における設備の基準や職員の配置基準等も含め、今後、施設等の関係者の御意見を伺いながら検討を行うことといたしております。
引き続き、児童養護施設等が入所児童のニーズに応じたケアを提供できるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/43
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044・打越さく良
○打越さく良君 現場の声ということで、先ほども申し上げましたけれども、何かむやみに、社会的養護施設の方が懸命に頑張っているのに否定的に捉えられたというような御認識も広がっておりますので、是非、そういうことではなくということで、現場の要請にも耳を傾けていただきたいというふうに改めて申し上げます。
そして、ビジョンの下、先ほど局長もおっしゃったとおり、いろいろ小規模化も進んでいるということなんですが、それでかえって、宿直や一人勤務など、労働環境が悪化したとも言われています。職員の方たちが孤立し、研修に行くのもままならない、そのために、今局長おっしゃったようにいろいろと工夫もされているんですけれども、現場では、そういった研修に行くのもままならないということも言われています。
そして、小規模化で人数が減るほど距離が近くなってにっちもさっちもいかなくなると、煮詰まって精神的ストレスが増えてしまうというようなことも言われているんですが、そういうことも把握しているでしょうか。もう少し規模があった方が、相性が悪い人もいれば相性がいい人もいるというような形で、子供たちも職員も逃げ場があるというか、そういったいいこともあったんだということも言われています。
小規模では、新人がベテランの方から教えていただく環境ということにもならないと。そして、様々な、いろいろ困難抱えている子供たちですから、暴れたり暴力振るったりとか、そういうこともあるわけですけれども、そういった子の対応も非常に職員の方が困難になって、煮詰まって早期離職につながりやすいとも言われていますけれども、そうした現状認識と対応についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/44
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045・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 平成二十八年の児童福祉法改正において家庭養育優先原則が法律上明確化されるとともに、児童養護施設等の入所施設においてもできる限り良好な家庭的環境を確保すべきであるとされまして、質の高い個別的なケアを実現するとともに、小規模かつ地域分散化された施設環境を確保することが重要であるとされたところでございます。
このため、児童養護施設等の小規模化に伴い、より家庭的な環境の中でのきめ細かい支援を行えるように、職員配置基準の手厚いものとするための職員の加配や、地域小規模児童養護施設等のバックアップ活動に係る人件費等の支援等を実施しているところでございます。
一方で、委員御指摘のとおり、施設の小規模化を進める上では、職員のケアも重要であります。夜間業務等の負担を軽減するための補助職員の雇い上げに要する費用の補助を実施してきたところであり、さらに、平成四年度には、児童養護施設等に従事する……(発言する者あり)あっ、平成って言いました、失礼しました。令和四年度には、児童養護施設等に従事する職員が悩み等を気軽に相談できる環境の整備を行った際の費用の補助を創設したところでございます。
厚生労働省としては、里親委託の推進と並行して施設の小規模化の推進を図り、より家庭に近い環境の中で子供のケアニーズを踏まえた支援ができるように、施設の現場のニーズを踏まえた取組を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/45
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046・打越さく良
○打越さく良君 私の問題意識としては、家庭養育優先というこの方針が社会的養護を批判的に言及することにつながったんじゃないかということで、家庭養育優先というのは、それ自体が目的ではなくて、子供の一人一人のニーズを優先すると、子供の権利保障ということにあったはずなんじゃないかということで、施設か家庭かということを二項対立に捉えるようなことではなく、子供たちのことを踏まえた尊重するような養育を実現していただきたいと、それをお願いいたします。
次に、ケアリーバーについて、厚生労働省の方で調査もしていただくようになって本当に前進だというふうに考えますが、調査していただいても回答が少ないと。回答しないケアリーバーの方こそ本当に過酷なんじゃないかということで、厳しい状況を察することができるかと思います。
それで、この二日の当委員会でも畑山参考人が言及なさった、三年で三十人、一・三%もが亡くなっているというのは、本当に痛ましくて言葉もございません。IFCAの調査では、食料確保すら困難という方が二割もいるということで本当に痛ましい状況ですけれども、畑山参考人がおっしゃったとおり、ケアリーバーの調査の定期化、継続化が必要なんではないかと思いますが、これについての御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/46
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047・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童養護施設を退所した方等について退所後の状況を把握することは、退所者等の自立支援に関する施策を検討する上で重要であるというふうに考えております。
このため、厚生労働省では、令和二年度に、児童養護施設の退所者等を対象とし、退所後の生活状況や就学、就労の状況、支援ニーズ等を把握するための調査研究事業を実施いたしました。今後、各地域において各々の状況に応じた適切な支援が実施されますよう、都道府県等が主体となって退所者等の実態把握を進めていただく必要があると考えておりまして、令和三年度補正予算に必要な費用を計上させていただいております。
こうした中で、従前の取組を踏まえつつ、今般の児童福祉法改正案においては、児童養護施設の退所者等に関する実態把握について、都道府県が行うべき業務に位置付けることとしております。また、今後、都道府県社会的養育推進計画において、自立支援に関する資源の計画的整備に関する事項を盛り込むことを検討しております。
厚生労働省としては、こうした取組が支援をする方に届くよう、まずは都道府県等における実態把握の取組を促し、施設退所者等に対する支援の充実に取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/47
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048・打越さく良
○打越さく良君 そうしたことも有り難いんですけれども、畑山参考人がおっしゃったとおり、都道府県に任せるだけではなくて、国としても是非ということは私からも要望させていただきます。
そして、時間が近づいてまいりましたので、ちょっと一つ飛ばさせていただいて、三番目のところですけれども、児童自立支援生活援助事業の年齢要件等の弾力化について二十二歳の上限撤廃が盛り込まれましたけれども、児童相談所としては、その関与すべき範囲、何ができるかを明確化してほしいと、そうでなければ現場が混乱するということです。
現状においても、十八歳、十九歳が自立援助ホームを使いたいとやってきた場合に一時保護はできないと、行動観察もできないまま自立援助ホームに送り込む必要があったりとか、継続指導や心理診断を行ってよいか判然としなかったそうなんですね。
ほかの児童と同様の見立てができる権限を児童相談所に付与していただかなければ、受入れ側の施設も安心して預かれることができないのではないかということですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/48
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049・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案においては、措置解除者等の実態把握及び必要な援助を都道府県が行わなければならない業務として位置付ける中で、児童相談所長等は、児童自立生活援助や、あるいは社会的養護自立支援拠点事業の実施が適当であると認める児童について都道府県の知事に報告すること等としております。
こうした中で、児童相談所においては、例えば、施設措置等を実施している児童の状況や児童自立生活援助事業等の利用を希望する者の状況を把握しながら自立支援の必要性についてアセスメントを行い、そして児童が自立支援を必要とする場合には適切に都道府県等に報告等を行い、そして、都道府県が設けること等を想定している自立支援を検討する場においてそれまでの児童の状況や必要な支援に関する情報を提供すると、こういったことを行っていく必要があるというふうに考えております。
このため、措置解除者等への支援に当たりましては、これまで以上に児童相談所は重要な役割を果たしていくということになると考えておるところでございますが、今般の児童福祉法改正案による自立支援に関する改正内容について現場で円滑に施行していくことができるよう、児童相談所が果たすことが想定される役割等について、施行までの間に一定の考え方を示すこととしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/49
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050・打越さく良
○打越さく良君 二日の当委員会で畑山参考人が指摘なさったとおり、この社会的養護自立支援事業への期待は大きいんだけれども、拠点さえ設けたらケアリーバーがやってこられるかといったらそうじゃないと、交通費がなくて相談にも行けない、日々生活でいっぱいいっぱいで通いはハードルが高いということを御指摘されていました。
アウトリーチ型、伴走型支援が必要と思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/50
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051・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 社会的養護自立支援拠点事業は、入所措置等を経験した者や児童相談所による一時保護等の経験者等に対しまして、都道府県等が必要と認めた場合に利用勧奨を行うこととし、また、通いや訪問により、自立に向けた情報提供や相談支援を提供する等のアウトリーチ型の支援を行うことを想定しております。
加えて、社会的養護自立支援拠点事業では必要なサービス、機関等へのつなぎを行うこととしておりますけれども、具体的には、利用者の個別の状況や課題等に寄り添い、適切な就労支援や障害福祉等の福祉サービス、法的支援等へとつなぐことができるハブ機能を果たすことを想定しております。
現在、予算事業である社会的養護自立支援事業において、地域での自立した生活に向けた相談支援を行う生活相談支援担当職員の配置や、医療的支援が必要な場合の医療機関との連携調整等を含めた伴走型支援を行っているところであり、これまで同事業で行われた取組の状況等も踏まえつつ、有効な支援の在り方について支援関係者や当事者の方々の御意見も伺いながら、施行までの間に検討をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/51
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052・打越さく良
○打越さく良君 是非、当事者の状況、意向に沿った形でお願いします。
そして、最後に一言ですけれども、親子再統合事業ですけれども、これ、誰がどう必要とかを判断するのかと、リスク評価を誰がするのか、スクリーニングは確実にできるのかということですね。日本では、余り改善していない家庭に子供が復帰すると、非常に、昨年の滋賀の事件などでも痛ましい事件がございました。再統合するにはスクリーニング、統合できるノウハウなどが必要だと思いますが、その点、ガイドラインなどを発表するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/52
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053・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 現行制度におきましても、家庭復帰に当たりましては、その適否を判断するためのチェックシートを国からお示ししております。各児童相談所においては、このチェックシートも活用いただきながら判断をしていただいているものというふうに認識しております。
今般の児童福祉法改正案におきまして、親子再統合支援事業を創設し、親子関係の再構築に向けて、民間事業者とも協働しながら親や子に必要な支援を行っていくこととしておりますが、あくまで一時保護や入所措置を解除し家庭復帰を行うかどうかの判断については、これは児童相談所が行うものでございます。
今後は、親子再統合支援事業の具体的な内容については施行までに検討してまいりますが、児童相談所には、この事業も活用して、民間事業者とも協働しながら、家庭復帰に向けた親や子への必要な支援に取り組んでいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/53
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054・打越さく良
○打越さく良君 家庭裁判所であれば、調査官などもいらして、非常に専門的に検討してそれを、裁判官がその調査官調査を踏まえて例えば面会交流なども決める、判断するんですけれども、そういうノウハウというかそういう知見が、なかなか民間あるいは児童相談所にも果たしてしっかりとあるのだろうかということ懸念されますので、施行までにしっかりと検討していただきたいと考えて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/54
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055・石垣のりこ
○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこです。
児童福祉法等の一部を改正する法律案に関しては、これまでの議論の中で大きな争点というのは示されているとは思うんですが、まだ具体的イメージが描けているところまでは行っていないということで、議論の余地はまだまだあるとは感じております。
三年前の同法案の改正後の状況把握も含めて、もちろん短期間で解決できるものではないにせよ、何らかの措置がとられて解決に向けて動き出しているのかどうなのか、それによって今回の改正の課題というのもまたあぶり出されてくる面が少なからずあるというふうに考えております。
本日は、その中でも、令和六年四月から新設されることになるであろうこども家庭センターについて伺いたいと思いますが、まず、現状把握、認識からなんですけれども、今回の法改正によりまして、資料一のとおり、二つの拠点、機能が統合される形でこども家庭センターができるということになっておりますが、これ、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の現在のこの二つの、統合されるであろうこの二つの設置自治体数、そして、これ、全国の設置率並びに両施設とも設置していない自治体数、設置していない自治体の割合をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/55
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056・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 令和三年四月時点における設置自治体数と設置率でございますが、子育て世代包括支援センターが千六百三自治体で設置率は九二・一%となっております。それから、子ども家庭総合支援拠点が六百三十五自治体で設置率は三六・四%となっております。あと、両方設置している自治体というのが六百二十八自治体、これが全体の三六・〇%でございまして、一方で、両方とも設置していない自治体というのが百三十一自治体で全体の七・五%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/56
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057・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ということで、それぞれの設置率、数も差があるというのが現状だと思います。
これから、この両施設、自治体の努力義務によってこども家庭センターに統合、新設されることになるというわけなんですが、そもそも、まずはこれらの実態の数字について、大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/57
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058・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 子ども家庭総合支援拠点を設置している自治体は、現行、全体の約三六%となっておりますけれども、児童人口がおおむね〇・九万人未満である自治体では設置率が約二六%であるなど、特に小規模な自治体では整備が進んでいないものと認識をしております。
子ども家庭総合支援拠点を設置しないことについて、自治体ごとに異なる事情もあると考えておりますけれども、整備の必要性を国が指針等により自治体に対して周知徹底する中で、十分にその意図が伝わらなかったこと、特に小規模自治体においては、設置の必要性等を理解しつつも、支援員の確保等の体制構築に課題があること等が主な要因であるというふうに考えております。
厚生労働省としては、これまでも、こうした要因も踏まえつつ、市区町村子ども家庭総合支援拠点運営事業など子ども家庭総合支援拠点の運営に係る経費の支援を行ってきておりまして、引き続きこうした取組を通じて設置を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/58
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059・石垣のりこ
○石垣のりこ君 引き続き設置を促していくということなんですけど、結局二年後にはこども家庭センターの方に集約されていくということで、どういうふうに設置を促して、そして統合に向けて動かしていくのかというところで、結構現場の方も悩まれるのではないかと思うんですね。
両施設が廃止されて、自治体の努力義務によってこども家庭センターに統合されるということで、現行二施設の設置も不十分でありますのに、これ具体的にこの両施設の整備についてどういうふうにお考えなのか、お答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/59
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060・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案が成立した暁には、子育て世代包括支援センター、母子保健と、子ども家庭総合支援拠点、児童福祉の機能を維持した上で組織を見直し、一体的に相談支援を行うこども家庭センターを令和六年四月から創設することとしています。
このため、施行までの間は子育て世代包括支援センターや子ども家庭総合支援拠点の整備は引き続き進めていただくこととしておりますけれども、その際には、令和六年四月のこども家庭センターの創設を見据えた整備に努めていただくことが望ましいと考えております。
具体的には、引き続き、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の設置のための財政支援を行っていくこととしておりますけれども、令和三年度補正予算において、こども家庭センターの整備を見据えたそれぞれの機関の設置が可能となるように、一体的相談機関として二つの建物を一つにする場合などのハードの面の整備費を補助することや、児童福祉と母子保健を統括して支援する人材の配置に必要な費用等を補助すること等の必要な支援も行っております。
加えて、こども家庭センターについて、拠点、それから包括支援センター未設置自治体における課題も把握した上で、小規模自治体への支援についても、人材確保のための財政支援を行うこと、複数の自治体が共同で設置することを可能とすることや柔軟な人員配置を認めることなどを検討しまして、自治体の意見も伺いながらその設置をしっかりと支援してまいりたいというふうに思っています。
さらに、子育て支援体制の整備が進むように、都道府県や市町村向けの説明会の開催等により、丁寧に説明、周知をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/60
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061・石垣のりこ
○石垣のりこ君 利用する側としては、ワンストップで窓口が一本化していくというのは分かりやすいとは思うんですけれども、実際その現場でそれの対応をされる自治体の職員の方もそうですし、拠点の皆さんもそうだと思うんですが、見直されるたびにいろんなメニューが提示されて、そのメニューに沿って何をやったらいいのか、人も足りないし、取りあえずメニューだけは用意して皆さんに提示するけれども、御利用される方がいても結局何をやったらいいのか分からないような状態になってしまうと、メニューだけが形骸化しているというような御指摘も聞いております。何すべきか見えていないという事業がやっぱり実態として相当あるのではないかと。
例えば、平成二十六年度創設されました産後ケア事業というのがあります。この表の中にも下の方に小さな項目として出ておりますが、退院直後の母子に対して心身のケア、育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保が目的です。二〇二四年度末までに全国展開を目指すとされているんですが、三つのサポート内容があって、宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型とあるんですけれども、利用した方、これももちろん全部意見を聞いているわけではないですが、病院に産後宿泊したと、泊まれたのはいいんだけれども、病院側も何をしていいのかよく分かっていなかったようで、ただ泊まっただけで、知らないところに泊まったので余計生活リズムも崩れて、何のために泊まりに行ったのかよく分からなかったというようなお声が実際にあって、これが全部の施設でそうだということではないと思いますけれども、せっかく用意されたメニューも、しっかりとやっぱりその現場の皆さんの状況を踏まえながら生かされていくものにならないといけないのかなというふうに思います。
今回の改正において、冒頭でも申し上げましたが、具体的なまだ絵が見えないところがありますので、今後検討されていく上でしっかりとこういう点も、現状がどうなっているのか、今までの改正でどういうところに問題があったのかということも含めて検討していただきたいと思います。大臣、もう一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/61
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062・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今、産後ケア事業を例に出していろいろと御指摘をいただきました。まさに今、全国展開を目指して普及に努めているところでございます。そういった中で、必ずしも現場の方々にこの事業の趣旨なり目的なりといったところが伝わっていない面もあったのかというふうな御指摘かというふうに思います。
今回の法改正の中におきまして、新しい事業を創設するといったものも多数含まれてございます。そういったものを具体的なものとしてどういうふうな中身にしていくのかということにつきましては、既に先進的に取り組んでいただいているようなところの事例というものをよく参考にし、そういったところの中で何が効果を上げていて、そしてまた何が課題になっているのか、そういったところを私どもとしても十分把握しながら、そして意見交換をしながら中身を詰めていきたいと思いますので、そういったものをしっかりと検討した上で、現場の方々にも同じイメージを持って事業に取り組んでいただけるように、私どもとしても、施行に向けて十分周知徹底ということもしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/62
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063・石垣のりこ
○石垣のりこ君 よろしくお願いしたいと思います。
どんな問題を解決する上でも、まず、現状どうなっているのかということを把握するということがまず第一歩だとは思うんですけれども、その点において、今度は新型コロナウイルス感染症の問題について伺いたいと思います。
まず、アドバイザリーボードの発表資料において、これ、四月の二十六日のこの厚生労働委員会で我が党の川田委員が指摘をしているんですが、感染者の公表データが、厚生労働省の発表しているデータと国立感染研究所が公表しているデータに違いがあると。接種歴不明の陽性者の集計方法に関して問題提起をしているわけなんですね。これ、ワクチン接種歴別の新規感染者数に関する表として提示されているわけなんですが、この後、新聞等でも報道されまして、資料の二枚目、朝日新聞の記事がございますが、入力なしをワクチン未接種と分類していたという問題がございました。
まず、事実確認をしたいと思います。四月二十日のアドバイザリーボードでの発表分まで、ワクチン接種歴の未記入者、不明者を未接種の陽性者と分類していたというのは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/63
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064・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
まず、HER―SYSにおける発生届の入力画面におきましては、ワクチン接種歴を入力する欄は、当初、ワクチン接種者が非常に少なかったことから、医療機関や保健所などの現場の入力負担を少しでも軽減する観点から、接種歴を特に選択しない場合には未接種としておりました。このような形で入力されたデータに基づき、これまで、単純集計ではありますけれども、ワクチン接種歴別の新規陽性者数に関する資料を作成してきたことから、昨年十二月、HER―SYSの入力画面のデフォルトを未記入に変更した後も、従来どおりの取扱いにのっとり、入力データを機械的に集計してアドバイザリーボードに毎回公表してきたものでございます。
一方で、国立感染症研究所におきましては、昨年十二月以降、ワクチン接種歴が未記入の方を一律に接種歴不明であるとした上で資料を作成し、やはり同じアドバイザリーボードで公表してきた経緯がございます。
厚生労働省の資料、数字と感染研の数字との乖離が大きくなってきたこと、また、このことについては本委員会でも四月に御指摘をいただきまして、五月十一日のアドバイザリーボード提出資料以降は、感染研における取扱いとの整合性を確保する観点から、厚生労働省の資料におきましても、接種歴が未記入の方は感染研と同様に接種歴不明として扱うこととしたものでございます。
それから、接種不明者のことについても御質問がございましたが、先ほどお答えした内容と重複する部分があって恐縮でありますけれども、このHER―SYSにおける発生届の入力画面におきましてはワクチン接種歴を入力する欄は三つございまして、接種歴あり、接種歴なし、接種歴不明の三種類が存在しております。
その上で、接種歴不明については、これを未接種、未接種者として振り分けたということではありません。あくまでも接種歴不明の方は接種歴不明として分類しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/64
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065・石垣のりこ
○石垣のりこ君 済みません、接種歴不明の方の陽性者を未接種の陽性者というふうに合わせてカウントしていたということではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/65
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066・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 接種歴不明の方については、これはあくまでも接種歴不明ということで、未接種というふうに分類したということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/66
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067・石垣のりこ
○石垣のりこ君 それは、四月二十日の公表分までは接種歴不明の方は未接種の陽性者というふうにしていて、それ以降、二十七日のアドバイザリーボードでは公表されておりませんので、その次に開かれた五月十一日以降は分けて陽性者をカウントしたというふうに、ちょっと済みません、私の方では認識していたんですけれども、それとは事実関係は違うということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/67
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068・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 五月に修正する前は、まず、先ほども、繰り返しで恐縮でございますが、ワクチン接種歴の入力画面というのは三つございまして、ない場合、接種歴なし、それからあり、それから不明というのがございます。不明に記載している場合には接種歴不明ということで集計をしておりますので、未接種に入れた、入れているというわけではございません。
また一方で、この三つの選択がされていない未記入の場合につきましては、厚生労働省では未接種として分類し、感染研の方では接種歴不明というふうに分類した、していたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/68
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069・石垣のりこ
○石垣のりこ君 では、未記入の場合を未接種の方に組み入れて、その陽性者としてカウントしていたことに対する妥当性というのはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/69
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070・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 未記入の方の中には、これは実際には接種した方も未接種の方も含まれておりますので、これをどういうふうに処理していくのかというのは、あるいは、それはどれが、どういった形が適切なのかというのは議論があるところだと思います。
ただ、今回は、ADBの場で公表する資料として、厚生労働省とそれから感染症研究所、二つの集計方法が異なるということについては適切でないというふうに判断をしまして、厚生労働省の方で修正をするということにさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/70
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071・石垣のりこ
○石垣のりこ君 この振り分けは自動的に行われるんでしょうか、それとも手作業で振り分けるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/71
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072・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) これは、手作業ではなくて、自動的に行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/72
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073・石垣のりこ
○石垣のりこ君 何と言ったか、済みません、聞こえないんですけど。何で行っているとおっしゃいました、今。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/73
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074・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 済みません、失礼いたしました。
これは、手作業で行っているわけではなくて、システム上の振り分けで行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/74
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075・石垣のりこ
○石垣のりこ君 システム上の振り分けということで、そのシステムは、この今日、今問題にしているワクチン接種歴別の新規感染者数というデータが出ているのは、八月、去年の八月十八日のアドバイザリーボードからのものです。ただ、今の形のように年代別になったのは十月の十三日のアドバイザリーボードの発表資料からです。ワクチンの接種歴、今は三回目の方もいらっしゃいますので、三回目の接種歴になったのはもっとその後になるわけですけれども、この中で、自動的に振り分けてカウントされるというようなシステムが変更されたことってありますか。
済みません、これは事前通告ではなくて、今のやり取りの中での疑問なんですけれども、お分かりになる範囲で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/75
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076・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 済みません、質問の御趣旨をよく理解していないかもしれませんが、HER―SYSの入力をどういうふうに、集計上、お答え、それぞれのお答えを集計、どこのところに集計していくのかということについては、これは手作業でやっているわけではなくて、一つ一つ確認しながらやっているということではなく、システム上で振り分けているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/76
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077・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ちょっと複雑な話になりましたのでちょっと別途またレクなどでも伺いたいと思いますけれども、ちょっと事実関係、もう一つ確認させていただきます。
先ほど、八月の十八日からワクチン接種歴別の新規感染者数、これ当初は今のように年代別ではなくて、六十五歳未満、六十五歳以上で大きく振り分けられたものでした。それが年代別になったのが十月の十三日からと申し上げました。この段階では、十一月の九日のアドバイザリーボードの資料までは、新規陽性者のうち接種歴が不明の者は含まれないというただし書が表の下の方に米印で小さく書かれているんです。それが、十一月十七日のアドバイザリーボードからこの表記が消えています。これはどうしてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/77
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078・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) このワクチン接種歴別新規陽性者数のデータというものにつきましては、最初、去年の七月二十一日のアドバイザリーボードから出させていただいております。その後、様式の変更というのを何回かやっておりまして、これ我々もちょっと試行錯誤をしながらやっているところがございますが、現在の様式になりましたのは十月十三日のアドバイザリーボードからのものになります。
御指摘の脚注につきましては、これは十月十三日に現在の様式になる以前の様式に、計算方法の中で本来用いられていました脚注なんですけれども、したがいまして、十月十三日の時点で本来必要でなかったものなんですけれども、これにつきまして削除が適切に行われていなかったということで、十月十七日のアドバイザリーボードの資料から削除したという経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/78
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079・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ということは、この表の形式になった段階では、既に新規陽性者のうち接種歴が不明の者は含まれないんじゃなくて、含まれているということになったという判断でよろしいですか。ということでよろしいですか。事実関係です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/79
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080・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) もう一度お答えいたしますと、接種歴が不明、HER―SYS上接種歴が不明というふうに明確にお答えいただいた場合には、これは接種歴不明として分類しております。一方で、HER―SYSの入力画面上、接種歴がないとかあるとか不明であるという記載がなかった場合には、これは未記入の場合ですので、これを未接種として集計していると、集計していたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/80
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081・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ちょっとこればかりやっていると大変なんであれですけれども、その十月十三日から本来消すべきであったものを消していなかったというところで、ここの部分の表記は誤りであったということだと思いますが、この表記がその後およそ一か月、四週続きます。十月の二十日分、二十六日分、十一月九日分の四週にわたってのアドバイザリーボードの同じ表の中に示されております。なので、これは間違いであるということが今お示しいただいたのかと思います。
この表記が消えたタイミングが十一月の十七日のアドバイザリーボードからなんですけれども、この段階から、表の中で、未接種の方と一回目の方の十万人当たりの陽性者数の数が一部逆転現象が見えてくるんですね。六十歳から六十四歳の新規陽性者十万人当たり、未接種の方だと二・四人が、一回目の接種を終えた方だと五・三人で増えているというような現象が十一月の十七日当たりからちょうど出てきて、その後、最終的にもう、一回目のみ接種されている方の数が少なくなっていくのでまた表の見直しが行われていくんですけれども、こういう、表記が突然変わったり集計方法の母集団の定義が変わったりすることによって、この表自体のもう信頼性が失われるものだというふうに私自身は考えます。
問題になっているのは、その二回目接種だけではなくて、最近発表されているこの四月の二十日と五月の十一日以降に発表された集計データの集計方法が変わったと、未接種の陽性者の定義が変わったというところが大きいと思うんですが、そもそも、こういう集計の仕方をして示されているワクチン接種歴別の新規感染者数の表から、何らかのワクチンの有効性又は効能が読み取れるものであるのかどうなのかということを是非伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/81
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082・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) 御指摘のこの資料につきましては、ワクチン接種歴別の新規陽性者数のデータではありますけれども、これは一定期間内に発生した新規陽性者数を単純に集計したものでありまして、ワクチン接種から検査までの期間が考慮されていないことなどから、これにより感染予防効果が明らかになるというものではございません。
例えば、オミクロン株に対する一、二回目接種による感染予防効果につきましては、査読付きの海外の論文におきまして、これは経時的に一旦は低下するけれども、三回目接種により一時的に回復するというようなことが示されているものでございます。
こういったワクチンの効果につきましては、厚生科学審議会のワクチン分科会の方で議論していただく際には、しっかりとした研究デザインの下で行われているデータを基に判断をさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/82
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083・石垣のりこ
○石垣のりこ君 そうなんですよ、しっかりとした研究デザインがないままこういう曖昧なデータを出して、それが一つの根拠として、全てじゃないですよ、一つの根拠として、ワクチンの接種を進めると、回数をするとこれは予防効果があるんだというようなデータとして示されているということなのが私は非常に問題なんだと思います。
私自身も、これは全然別件のお話から、ワクチンパスポートを使ってイベントに参加するということは、ワクチンを打ったから感染を予防する効果というのが示されているのかどうなのかということの問いをしましたときに、ああ、実はこういうデータがありまして、一回目、未接種よりも二回目、二回目より三回目の方がより感染者が、陽性者が減っていますと、こういうデータも出ていますということを示されたものですから、何か話が違うなということで、今日質問させていただきました。
先ほどの資料二の新聞報道にもありますように、これ部分的に切り取られたというような御意見もあるかもしれませんけど、一応報道としてはこうされているわけですよね。専門家組織座長の脇田国立感染研究所所長、未接種、二回接種済み、三回接種済みと進むことで新規感染者は減る、感染を防ぐことができると説明していたと。あとは、厚労省関係の、内閣府関係の方もいらっしゃったと思いますけど、ちょっとここに示されていないですね。あと、松野官房長官も、三十日の記者会見で、資料においては、三回目接種済みの十万人当たりの新規陽性者数は二回目接種済みの場合と比べて低く抑えられていると述べ、資料を根拠にワクチンの効果を主張したと、こういうふうに報じられている。私自身もそのようにレクを受けているというところで、そもそも問題は、これ、データの危うさそのものと、さもその危ういデータを基に意味があるかのように提示をし続けてしまったことって物すごく問題があると思うんです。
ありとあらゆる政策、もちろん数字としてカウントできるものとできないものがあるということは承知しておりますが、結局、EBPMといって、根拠に基づく、データに基づく政策立案と言いながら、その根拠のところがこんな曖昧なデータで、どうしようもないデータ使っていろんな政策が決定されていくということは本当に問題だと思います。
これ、今回は子供の法案で、福祉法の、児童福祉法の改正案の話がメーンではあるんですけれども、いろんな政策がこういう根拠が曖昧なものを基に決定されていくということは日本の方向性を誤ることだということを、小さなことかもしれませんけれども、いや、小さなことじゃないですね、非常にこれすごく大きな話であって、データの数字の一つが真逆、データの、どういうデザインをするか、切り取るかによって真逆の結果を生むこともあるわけですから、こういう扱いについては確実に検証して、少なくとも、データの集計方法を変えるのであれば、しっかりとそれを示して、双方、変えたときと変えなかったとき、新旧を一定期間提示するのが筋だと思うんですけれども、大臣、その部分やっていただけませんでしょうか。御回答お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/83
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084・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナのワクチン接種歴別の新規陽性者数の集計において、従来、ワクチン接種歴が未記入の方については、厚生労働省は未接種に計上し、国立感染研究所、感染研は接種歴不明に計上し、それぞれ厚生労働省のアドバイザリーボードに報告しておりました。しかしながら、感染研における取扱いとの整合性を確保するとの観点から、厚生労働省の資料においても、接種歴が未記入の方は感染研と同様に接種歴不明として取り扱うこととした、その経緯はこれまで質疑の中で明らかになったわけでございます。
今般の取扱いの変更については本委員会で御指摘もありました。集計方法を統一するなど誤解のない情報発信に努める旨答弁しておりまして、変更後もアドバイザリーボードや国会等でその説明は行っております。
この再集計についてでございますけれども、このワクチン接種歴別の新規陽性者数のデータにつきましては、HER―SYSによりまして把握した一定期間内に発生した新規陽性者数を単純に集計したものでありますけれども、HER―SYSのデータは日々データが入力、更新されるものでありまして、過去のデータを完全に再現することはできないため、再集計を行うことといたしてはおりません。
また、今般の取扱いの変更については、厚生労働省の資料と感染研における取扱いを同一にしたという点において適切な対応であったというふうにも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/84
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085・石垣のりこ
○石垣のりこ君 過去に遡るのが難しかったら、この先、半年なり一年間なり、新旧の表を出すというのも一つだと思います。是非とも御検討いただきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/85
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086・森屋隆
○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆です。よろしくお願いをいたします。
まず、児童の意見聴取等の措置について伺いたいと思います。
子供の最善の利益を考慮した福祉の保障を実現するには、当然、行政の決定や支援の在り方を決める上で、その子供の参画を保障することが重要だと思います。
先日お話を伺った畑山参考人も、御自身の著作において、子供たちの人生、ケアに関する重要な決定において、子供たち自身の当事者参画はとても重要であると、こういうふうに言っています。なぜなら、どうせ言ってもどうにもならない、どうせ仕方がないといった経験の積み重ねをしてきたこの子供たちにとって、自分の意見が尊重され、意思決定の場に参画できる経験そのものがエンパワーメントにつながると、こういうことであります。ここで重要なのは、自分の意見が尊重されて、そして意思決定の場に参画できるということでありますから、そのことをやっぱり畑山参考人は特に訴えていたんだと思います。
しかし、その裏を返せば、この意見聴取等の仕組みが形式的なものになってしまうと、かえって子供たちにとってエンパワーメントが失ってしまう、こういうことにつながるんじゃないかと、こういうふうに思われます。もちろん、全ての場合において子供たちの意見を反映することが必ずしも適切であるとは限らないと思いますけれども、少なくとも、子供たちが自分の意見が無視されたり、こういうことが感じるようなことがあってはならないと思っています。
そこで、特に子供たちの意見が処遇に反映されなかった場合に、そのような対応を取った理由などをきちんと説明するようなことが大事だと思います。適切なアフターケアの在り方についても検討をお願いしたいと思いますが、これについては後藤厚労大臣の前向きな答弁をお願いをしたいと思いますし、また、アフターケアのこの実施が児相にとって過重な負担にならないよう、国からの支援も併せてお願いしたいと思います。この点についても大臣からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/86
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087・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法等改正案において、一時保護や施設入所等の措置等の際に児童相談所長等は意見聴取等の措置を行わなければならないこととしておりますけれども、子供の最善の利益のために児童相談所が講じる措置が子供の意見と異なる場合もあり得るものと認識をいたしております。その場合においても、児童相談所においては、丁寧にその理由を子供に対して説明するなど、委員の御指摘のとおり、事後的にもフォローする必要があると考えております。現行の運用の中でも、児童相談所において子供への丁寧な対応に取り組んでいるものと認識をいたしております。
引き続き、子供への丁寧な説明やフォローは児童相談所の本来業務として適切に実施していただく必要があるものと認識しておりますが、今後、意見聴取等の措置の具体的な運用や手続についてガイドラインの策定を検討する中で、委員の御指摘も含め、児童相談所等の自治体関係者からも十分に御意見を伺いながら検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/87
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088・森屋隆
○森屋隆君 よろしくお願いをいたします。
次に、意見表明等支援事業について伺いたいと思います。
この事業は、一時保護や施設入所措置等の実施やその措置における処遇の関わる意見又は意向について適切な方法により把握し、必要な支援を行うものであります。意見や意向を把握することはもちろん重要なんですが、それに加えて、そもそも子供たちが自分の意見や意向を言わば発見するための支援も私は非常に重要だと考えています。
畑山参考人はこういうことを言っています。インタビュー記事の中で、物心付いた頃から施設で育ったので、この環境が人と違うことは気が付かなかったと、こういうふうに言っています。幼い頃から施設に入所していた方は自分がそういった環境で育ったことに気付かず、そうであることを知ったとするならば、今まで気が付かなかったこの意見、そういったものが実はあったんではないかと、こういうふうに言っています。こうした意見に気が付き伝えることで自分の処遇に反映させることが大切なのではないでしょうか。
そこで、このような、持っていたかもしれない意見というものに子供自身が気が付くことができるよう適切に支援すること、この事業を担う意見表明等の支援員の重要な私は役割だと、こう考えています。この辺について、後藤厚労大臣の御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/88
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089・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案におきまして、都道府県等において意見表明等支援事業を設けることとしておりまして、意見表明等支援員は、子供の最善の利益のため、子供の立場に立ってその意見表明等の支援を行うこととしております。意見表明等支援の対象となる子供は、虐待を受けて傷ついていたり、大人への信頼をなくしていたり、委員御指摘のように、自分が特別な環境で暮らしていることに気付かなかったりする等の事情により、意見を形成し表明することに困難を抱えている子供もいると考えられます。
このため、過度に意思表明等支援員が情報提供して意見形成を促すことは子供の意見を誘導することにもつながり得るため、その点を留意する必要はありますけれども、子供の意見にじっくりと耳を傾けたり、必要な範囲で情報提供を行うなど、児童の特性に配慮した方法で適切に意見表明等のための支援を行う必要があると考えます。
今後、施行までに、意見表明等支援事業の具体的な運用や手続についてはガイドライン等を策定することを検討しております。その具体的な内容については、既にモデル事業等において意見表明等支援を実施している自治体や有識者の意見も踏まえながら、御指摘いただいた点も含めて検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/89
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090・森屋隆
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
是非、子供が、こういうことも言っていいんだなと、そういうふうに思えるような環境をしっかりつくっていただきたいと思います。
次に、一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入について伺いたいと思います。
我が党の打越委員が先日の委員会で、この法改正に設けられた家庭裁判所による審査のために現場の負担がどの程度あるのかという、こういった御質問をしました。これに対しまして、政府は、三分の二の児童相談所で、この申立て件数一件に当たり、証拠書類を作るのに八時間以上要していると、職員の負担が大きい旨答弁をされました。
このように、既に設けられている司法審査の制度は、実際に現場の負担を招いている現状があります。今回の司法審査の導入では、一時保護を裁判官に請求できる猶予は、一時保護開始から僅か七日間です。この七日間という期間は余りにも短く、これまで以上に大きな負担を招くというふうに思います。加えて懸念されるのが、一度同意があっても、例えば六日目に撤回されると、そういったことがあれば、結果的には七日目に請求できるようにあらかじめ書類等を準備しておく、実際にはほぼ全ての一時保護に関して書類の準備をしなくてはならないと、こういうふうになるんじゃないかと思います。
政府は、今回の司法審査の導入により業務負担が増えるところに対しては、追加的な業務が最小限になるよう工夫も検討しなければならないと、こういうふうに言っていますし、児童相談所の体制の強化も併せて取り組んでいくと、こういうふうに述べています。
しかし、平成二十九年改正法で導入された司法審査に伴う負担増についても、いまだに現場の意見を聞きますと解消されていないと、こういうふうにお聞きしています。そうした中にあって、今回、追加の業務が最小限になるように工夫し、また検討すると、そして児相の体制強化にも取り組むと、こういうふうに言われても、前回のものがなかなか改正されていないわけですから、現場としては、ちょっと、そうは言われても実際どうなのかなと、こういうふうに不安に思っています。
この現場職員が安心できるよう、新たな司法審査の導入が本当に過度な負担増にならないための取組について、これは後藤厚労大臣から、この検討に当たっての具体的な方針を示していただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/90
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091・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案において、一時保護開始時の司法審査を導入することとしているわけでありますけれども、その件数も多数となることが予想されるところであります。委員御指摘のとおり、児童相談所の事務負担が過剰なものとならないようにしっかりと検討していく必要があります。
具体的には、裁判所に提出する請求書類については全国共通の様式を設けることや、資料の簡素化について、今後施行までの間に、実務者から構成される作業チームにおいて検討をしてまいります。
また、一時保護開始時の司法審査の導入に当たり、児童相談所が裁判所に提出する疎明資料の作成や裁判所との間で疎明資料のやり取りを行う事務が新たに発生することになりますため、人材確保も含めて、児童相談所の司法とのやり取りのための体制強化が必要と認識いたしております。
厚生労働省としては、弁護士を配置した場合や弁護士事務所等に委託を行った費用の補助を行っており、さらに、司法のやり取りを行う事務職員を配置した場合の費用の補助を令和四年度に創設するなど、これまでも児童相談所の司法とのやり取りの体制強化を図っているところであります。今後、更に必要な支援をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/91
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092・森屋隆
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
是非、現場が負担が年々年々増しているようでありますから、今大臣が御答弁いただいたように、是非財源も含めて、人員も含めてよろしくお願いしたいと、こういうふうに思います。
次に、新たな司法審査の導入による一時保護の対象の変化について伺いたいと思います。
先日の参考人質疑において、浜田参考人は、今回の司法審査の導入により、必要な場面で必要な一時保護を行うことができなくなるのではないかとの懸念を示していました。その理由は、裁判所が明らかに一時保護の必要がないと認めるときは一時保護状を発付しないという立て付けであるとのことからです。
この一時保護の範囲が狭まるのではないかという点について、社会的養育専門委員会においても同様の指摘があったと承知をしています。現在は一時保護ができているケースの少なくとも一部でできなくなるということを許容できるのかとの問題提起に対して、これまでのところ厚労省からは特段回答を得られていないと、こういうふうに認識をしています。
しかし、実際に制度を運用する上で重要な論点の一つであるかと思いますので、厚労省としてのこの点についていかなる見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/92
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093・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 子供の生命、財産、生命及び安全を守るために、児童相談所がちゅうちょなく適切に一時保護を行うことが必要でございます。
その上で、今般の児童福祉法の改正法案における一時保護の開始時の司法審査は、行政とは異なる第三者の裁判所が審査し、その適正性を判断するものであり、手続の透明性の確保の観点から導入するものでございます。そして、司法審査の導入に当たりましては、一時保護の要件を法令上明確化することといたしておりますが、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を確実に開始できるよう、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとすることを予定しておりまして、施行に向け、実務者から構成される作業チームにおいて適切な要件を検討することといたしております。
今御指摘いただきましたように、今般の司法審査の導入で、裁判所の判断でその請求が却下されて一時保護を実施できなくなるケースもあるだろうというふうには考えております。ただ、裁判所は、一時保護の要件に該当すると認められないとき及び明らかに一時保護を行う必要がないと認められるとき、そういうときのみ一時保護状を却下するということとしておりまして、加えて、仮に一時保護状の請求が却下された場合でも、児童相談所が一時保護を解除した際に子供の生命及び心身に重大な危害が生じるおそれがあるときは児童相談所からの不服申立て手続を設けておりますので、そのような前提に立って、必要な一時保護が確実に行われるよう、施行までの間に、関係者とともに具体の運用について検討を重ね、現場の方にも十分周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/93
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094・森屋隆
○森屋隆君 次の質問と少し、今答弁いただいたことに含まれているのかもしれませんけれども、社会養育専門委員会の報告書では、親権者等が一時保護に同意した場合であっても、子供が一時保護されることに反対の意見を表明している場合は司法審査の対象とすべきとの意見があったと紹介されています。
先日の参考人質疑でも、浜田参考人は、子供が一時保護されることに反対している場合でも、親権者等が同意すれば司法審査なく一時保護が開始されることになるため、子供の意見を手続に反映させることについて引き続き検討すべきではないかとの言わば宿題を提示しました。
それでは、子供が一時保護に反対している場合の司法審査について本改正案ではどのように対応されているのかということなんですけれども、厚労省は、子供が一時保護を明確に希望していない場合であっても、児童相談所が虐待のおそれがあり必要と認める場合には一時保護を実施できるということについても法令上明確になっているものと考えている旨答弁しています。
そこで、まず伺いたいのは、そもそもこの考えは、明確に希望していない場合よりも一歩進んだ、反対している場合にも当てはまるのでしょうか。これ御説明していただきたいと思いますし、その上で、子供が反対している場合にも一時保護が可能であるなら、その際、親権者の同意があれば司法審査を不要とした理由、これ併せて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/94
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095・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) まず、子供が反対している場合の一時保護ということについてでございますが、現行の一時保護ガイドラインにおいても、子供の同意がなくとも子供の安全確保が必要な場面であれば一時保護をちゅうちょなく行うべき旨お示ししているところであり、児童相談所において、子供の最善の利益のために適切に一時保護を行っているものと認識しております。この点は今回の改正後も変わるものではございませんので、あくまでも子供の最善の利益のために必要と判断する場合にはちゅうちょなく一時保護をする、それは子供の意向がどうであれということでございます。
その上で、司法審査との関係でございますが、今般導入する一時保護開始時の司法審査について、親権者等の同意がある場合には司法審査の対象とはしておりませんが、その際、子供が不同意である場合でも同様に対象とはしておりません。これにつきましては、児童の権利に関する条約では、親の意に反する場合の親子分離について司法審査が必要である旨が要請されているということや、あるいは、親権者等が同意している一時保護について子供の不同意を理由に司法審査をするということは、実質的に見て、親権の行使が適切かどうかを裁判所が判断するという意味を有することにもなるというふうに考えられますので、親権との関係の整理が必要ではないかとの意見があることも踏まえたものでございます。
この点につきましては、社会的養育専門委員会の報告書においても、親権者等が一時保護に同意した場合であっても、子供が一時保護されることに反対の意見を表明している場合は司法審査の対象にすべきとの意見があった旨明記されておりますので、私どもとしても将来的な課題というふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/95
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096・森屋隆
○森屋隆君 是非、将来的ということであるかと思いますけれども、これは必要なところだと思いますし、余り長くならない中で、私は、いろんな検討を本当に早くしていくべきだと、こういうふうに思っています。
次に、子供家庭福祉の実務者の専門性向上について、これまでの国会審議でも様々な課題が指摘されてきました。具体的には、児童福祉司に人事異動があるために専門性の積み上げがなかなか難しいのではないかということでありますし、あるいは、先ほども出ていましたけれども、新たに導入されるこの認定資格所得者の質が本当に担保されているのかということについても少し伺っていきたいと思います。
この人事異動の課題に関して、前回の法改正のときにも、この衆参両院の附帯決議において、児童福祉司を担う人材の専門性の向上に当たっては、地方自治体の職員が十分な経験を積み上げることが必要不可欠であることから、当該職員の人事異動等に際し、地方自治体に対し配慮を求めるなど、必要な措置を講じることなどが求められました。
そこで伺いますが、政府は、この附帯決議を踏まえ、児童福祉司について頻繁な人事異動が行われないよう配慮を求めるなどの措置、この措置をどのように講じてきたのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/96
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097・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童相談所や市町村において地方公務員として児童福祉の現場で相談援助業務を行う方々については、人事異動があるため専門性の積み上げは難しいとの指摘があるところでございます。令和元年の児童福祉法等改正案におきましても、今御指摘いただきましたように附帯決議がなされております。
厚生労働省としては、この附帯決議も踏まえまして、令和三年度の調査研究事業におきまして、自治体で子供家庭福祉分野の相談援助業務を行う、相談援助業務を担う職員が定着し、キャリアを通じて専門性を高めていけるように、自治体現場における採用や育成等の実態を把握し、自治体の規模等に応じたキャリアパスのモデルを作成しまして全国の自治体に周知し、この調査研究の内容も参考にしながら人材養成を行っていただくようお願いさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/97
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098・森屋隆
○森屋隆君 この人事異動の頻繁さについては、本改正案の審査においても何度も指摘がありました。例えば、先日の参考人質疑でも津崎参考人から、多くの自治体において、福祉専門職であっても一般行政職の人事ルールが適用され、専門職としての積み上げができにくい実情に置かれている、こういった指摘がありました。
そのほか、専門性の観点以外からも、衆議院では、こども家庭センターの職員を念頭に、支援を受ける子供たちにとって、職員と継続的なコミュニケーションを取ることによって信頼関係が構築をされて、そして安心して悩みを打ち明けられると、こうした観点からは、職員の異動頻度や担当者の変更の頻度などについてやっぱり下げていくべきではないかと、こういう指摘があります。こういった指摘を踏まえれば、高度な専門性や継続性の支援が求められる福祉職の地方公務員には、通常の行政職の職員と異なった人事異動のルールを設定することが必要ではないかと、こう思っています。
そこで伺いますけれども、児童福祉司に携わるこの地方公務員の人事異動に関する特別なルールを設定するには、実際にはなかなか難しいということを聞いていますけれども、国として、特にこの児相職員の定着のために具体的に何ができるのかということについて説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/98
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099・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 地方公務員である児童相談所や市町村の児童福祉に携わる職員の人事異動というのは、それぞれの自治体の人事に関わることでございますので、この人事異動に関する特別なルールを国の方が設定するというのは、やはり地方分権の観点から困難であるというふうに考えております。
他方、今御指摘いただきましたように、人事異動があるために専門性の蓄積が困難になっているんではないか、そういう指摘があることは私どもとしても承知しておりますし、児童相談所に職員が定着するということは重要であるということは認識いたしております。
そのため、今プランを立てまして、児童福祉司の増員等の児童相談所の体制強化を行っているところでございます。それによる負担感の軽減ということを図ることが一つでございますが、同時に、令和二年度に、児童福祉司の特殊勤務手当を月額二万円に増額しまして処遇改善を図ったところでございます。
それから、先ほど私御説明した、申しましたように、令和三年度の調査研究事業におきまして、自治体の規模等に応じたキャリアパスモデルの作成ということもさせていただいて、繰り返し児童福祉の職場に異動してまた戻ってくるといったことも含めてキャリアが蓄積できるような、そういった方策も含めて人事異動を検討していただきたいと、そういった趣旨のお願いをさせていただいているところでございまして、こういった取組を通じて、児童相談所に児童福祉司が定着できるように引き続き支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/99
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100・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
当然、それぞれの自治体の人事異動はこれ裁量でありますから、国がどうこうということは難しいのかもしれないですけど、今言われたようにアドバイス的なお願いもしているということで、理解をいたします。
そして、この人事異動の頻度に関する問題意識、非常に高まっていることもこれ事実だと思います。そして、各自治体に周知されるようお願いをしていただいているということも分かりますけれども、後藤厚労大臣からも、今答弁ありましたけれども、大臣の言葉としてもう一度メッセージいただけたら有り難いなと思っています。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/100
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101・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 厚生労働省として、自治体職員の専門性向上は重要であると認識しております。この点、社会保障審議会の報告書において、公務員であり、異動があるために専門性の積み上げが難しい側面はある一方、地方自治体の特性を踏まえつつ、福祉専門職の採用を定着させ、その専門性を生かしていく人事システムを構築し、キャリアパスを明確にして専門性を高めていく必要があるというふうに指摘されておりまして、この社会保障審議会の報告書について、全国の自治体に周知をしております。
こうした中で、厚生労働省としては、自治体において福祉専門職の職員に異動があり、様々な福祉分野を経験していく中でも、中長期的には、児童福祉分野の専門性を中心に伸ばし、児童福祉司のスーパーバイザーや児童相談所長などの管理的業務に就く人材を養成することが必要と考えておりまして、研修等の支援も行っております。
その上で、先ほど政府参考人からも答弁したとおり、令和三年度の調査研究において、自治体における採用や育成等の実態を把握して自治体の規模等に応じたキャリアパスのモデルを作成し、自治体に周知をいたしております。
厚生労働省としては、それぞれの自治体において、異動がある中においても子供家庭福祉分野の人材の資質の向上に取り組んでいただけるように、今後とも更なる周知を含めた必要な支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/101
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102・森屋隆
○森屋隆君 大臣、ありがとうございます。
是非お願いしたいと思いますし、各自治体の人事ですから、国が強制的にこうだということはないとは思うんですけれども、この改正案そのものもそこがうまく機能しなければやはり本物のものになっていかないと思いますので、よろしくお願いします。
時間が来ましたので、一点だけ。そもそも論になるのかもしれませんけれども、新たなこの認定資格について、当然専門性を高めていっていいものにしていくということに間違いはないと思いますし、私もそうだと思います。そういった中で、この子供家庭福祉指定研修の受ける時間なんですけれども、この研修時間をそもそも百時間とした根拠ですよね、百時間が妥当なのかどうなのかということなんですけれども、これについて具体的にお聞かせいただけたら有り難いと思います。最後の質問になるかと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/102
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103・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案において、社会福祉士等の専門職や子供家庭福祉の現場における現任者を対象といたしまして、子供家庭福祉分野の研修を受講すること等により取得する認定資格を創設することといたしております。
この資格取得のための研修時間数については、社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会の議論におきまして、高い専門性を身に付けるため、多くの時間を掛けて充実したカリキュラムを学習すべき、そういう意見があった一方で、実務者というのは実務経験により蓄積された専門性があるということや、働きながら研修を受講することになることから、その負担に配慮した時間数とすべき、そういった観点からの御意見もあったところでありました。
その上で、ほかの資格における養成校における養成課程と実務者研修との間の時間数のバランスなども参考にしながら、百時間程度とすることとさせていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/103
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104・森屋隆
○森屋隆君 時間になったから終わりますけれども、今後も現場の意見を是非聞いていただいて、どういうやり方がいいのかも含めて、引き続き検討もしながらいいものにしていってもらいたいと、こういうふうに思っています。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/104
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105・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
この児童福祉法の審議ももうほぼ今日最後、そしてこの国会の厚労委員会での質疑も実質ほぼ最後かなと思いますので、いろいろと質問させていただきます。
先ほど石垣委員からも質問がありましたコロナワクチン接種歴不明のデータの取扱いについて、私も、五月十七日のこの本委員会、それからその前の委員会で、取扱いが変わって、そのための指摘もさせていただきましたが、現在、このワクチン接種不明者が全体のこれ約三分の一を占めるようになって、このデータの取扱いで感染予防効果が全く変わってきます。
これは科学的に分析していく中で問題ではないかと申し上げましたが、現在、厚生労働省、この全体の三分の一を占めるデータ、これをどう考慮していくのか、この感染予防効果、今上振れしてしまっているわけですが、このデータの取扱い、政府が最終的にこのワクチン接種を進めていく中で、国民への情報開示、説明、極めて重要だと考えておりますが、今後、このデータをどう扱うのかを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/105
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106・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
御指摘のとおり、ワクチン接種後の感染状況を可能な限り正確に把握し今後の対策に生かしていくことは非常に重要なことだと考えております。新型コロナウイルス感染症の全ての発生届のうち、ワクチン接種歴が未記入の割合につきましては、日によっては数字が、日によって数字が異なるため一概には申し上げられませんが、四月以降の状況を申し上げますと、四月から五月にかけては、未記入の割合はおおむね約一八%から二四%程度の間で推移をしております。六月に入ってからは、未記入の割合は一七%台となっている日もございます。
今後とも、自治体や医療機関に対する様々な説明会等の機会を通じまして、ワクチン接種歴の正確な入力を徹底するように働きかけてまいりたいというふうに考えております。また、新型コロナワクチンの効果につきましては、これまで審議会において、主に海外の様々な知見に基づき評価を行っておりまして、厚生労働科学研究における国内のデータに関する調査研究の結果につきましても、しっかり吟味しながら適切に活用してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/106
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107・川田龍平
○川田龍平君 是非しっかりとデータを精査して、これはちゃんと分析することが必要だと思います。今後もこれ、こういったワクチンの問題というのはすごく重要だと思っておりまして、イギリス政府が、新型コロナウイルスのワクチンで二回の接種を受けた人たちの自然免疫系が損傷を受けているということを認めていて、本当にいろんなデータが今出てきています。
これ、本当に、厚労省が言っていることよりも、最近、ブルームバーグとか経済の記事の方がしっかりしているんじゃないかと僕は思っているぐらい、ジェトロとかですね、そういうところを見ると、四回目接種については、これは今の季節必要ないということまで言っているんですね。はっきり言っているんですよ。
そういったことをやっぱりちゃんとこれは厚労省として出してもらわないと、やっぱり無駄にこのワクチン打ったことによって逆に免疫を損傷させてしまうようなことが起こるかもしれない、その可能性もあるわけですので、是非そこはしっかりと情報を精査して、ちゃんと正確な情報を出していただきたいと思います。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/107
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108・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 客観的エビデンスに従ってしっかりと判断していくことが基本だと思いますから、データを示しながら分かりやすい説明をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/108
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109・川田龍平
○川田龍平君 是非これはよろしくお願いいたします。
では次に、平成三十年四月に施行された障害者総合支援法の施行三年後の見直し規定を踏まえて、昨年三月以降、社会保障審議会の障害者部会で議論が行われ、昨年十二月に中間整理がなされました。このうち、障害児支援に関する論点についてはこの度の児童福祉法改正案にも盛り込まれましたが、それ以外の論点についても、先週の六月三日に障害者部会で報告書案が議論されるなど、大詰めを迎えているところと承知しています。
また、障害者雇用率制度を始めとした諸制度や施策については、障害者部会と並行して労働政策審議会障害者雇用分科会においても議論されており、先週の六月二日にもこの意見書の取りまとめに向けた議論が行われています。さらに、昨年十月に設置された地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会においても、検討会報告書の取りまとめに向けた議論が行われているところです。
これらの部会や検討会では既に報告書案や意見書案が示されているところですが、取りまとめに向けたスケジュール、法案提出をする場合はその内容、提出に向けたスケジュールなどについて、現時点で示せる範囲でお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/109
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110・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 精神障害を有する方が、精神症状の変化に応じて必要なときに適切な医療、福祉等のサービスを地域で安心して受けられるように、昨年十月から、当事者、家族に加えて、医療、福祉、自治体、学識経験者等を交えまして、実効的な仕組み、具体的には、精神保健に関する地域の相談支援体制、精神医療の提供体制、入院患者の権利擁護のための仕組み等、検討会で議論を進めているところでございます。
その上で、現在、社会保障審議会障害者部会において、精神障害を有する方を含めて、障害のある方がその希望に応じて地域で安心して暮らせるよう、障害のある方の居住相談、就労支援の在り方等について、障害者総合支援法や精神保健福祉法等の改正も念頭に、総合的に検討を進めている状況でございます。
現在、具体的な見直しの内容について、法改正が必要な事項も含めて検討を進めているところでありまして、どのような改正案としていくのか、引き続き丁寧に検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/110
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111・川田龍平
○川田龍平君 これらの部会、検討会で議論されている内容は大変多岐にわたっており、どれも非常に重要なテーマです。障害者関係の法律は、障害者総合支援法等改正案、これは百九十回の国会、廃案となった精神保健福祉法改正案、これ百九十三回国会、障害者雇用促進法改正案は百九十八回国会と、それぞれ違う年次に提出をされて、時間を掛けて議論が行われています。
一方で、近年の国会では束ね法案が多く出されておりますが、この束ね法案は、十分な審議時間が確保されないこと、あと、それから国会議員の表決権、これを侵害していることなど問題が多いと認識しています。障害者関係のこれらの法案が束ねられて拙速に議論されることも懸念をしています。
もし同じ会期に国会において障害者関係の法案を複数提出することを検討されるとしても、束ね法案とするのではなく、別個に提出いただくことをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/111
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112・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 現在、具体的な見直しの内容につきまして、法改正が必要な事項も含めて検討を進めているところであるというふうに先ほど申し上げましたけれども、どのような改正案とするかについては、束ね改正を行うかどうかも含めて、引き続き丁寧に検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/112
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113・川田龍平
○川田龍平君 是非、これはもうくぎ刺しておきますので、束ねないようによろしくお願いいたします。束ねて必要なところは束ねてもいいんですけど、やっぱり精神保健福祉法と障害者総合支援法は分けてほしいなというふうに思っております。
厚生労働省は、先月、五月二十五日の社会保障審議会で、健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードに一本化される方針を提案したと報じられています。
現在、マイナンバーカードの取得率は四四%、そのうち保険証として利用できる登録をした人は約一五%にすぎません。医療情報というプライバシー性の高い情報が漏えいすることへの不安から、カードではなく保険証を選択する利用者も多い中、保険証廃止という方針は、あくまでカード取得は任意という中で性急過ぎると考えます。
国民の不安解消がまず先決であり、この方針を一旦撤回、改めて議論すべきであると考えますが、厚労省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/113
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114・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、患者同意の下で過去の薬剤情報等を医療機関等で共有でき、質の高い医療の提供あるいは医療保険の効率的な運営につながるなど、患者の方々、医療機関、薬局、保険者、被保険者、一人一人にとって様々なメリットがあるものと考えております。
また、今後、閲覧情報の拡大、あるいは電子処方箋の仕組みの構築も予定されておりまして、オンライン資格確認につきましては、今後のデジタル社会におきまして、医療機関、薬局が患者の医療情報を有効に活用して、安心、安全でより良い医療を提供していくためのデータヘルスの基盤となるものでございます。
このため、令和五年三月までにおおむね全ての医療機関等への導入を目指して取組を進めてまいりましたが、運用開始施設は約二〇%にとどまっておりまして、導入目標を達成するために更なる対策が必要ということで、委員御指摘のとおり、先日の社会保障審議会医療保険部会におきまして、令和五年四月からの保険医療機関、薬局におけるシステム導入についての原則として義務化すること、システム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう関連する財政措置を見直すこと、令和六年度中をめどに保険者による保険証発行の選択制を目指し、さらに、オンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指すことといった対策をお示しして御議論いただいたところでございます。なお、加入者からの申請がある場合には、保険証は交付される仕組みと考えております。
また、一方で、委員御指摘のセキュリティー面に対する不安につきましては、医療情報、国民にとって特に機微な情報でございまして、適切に取り扱う必要があるというふうに考えております。
このため、オンライン資格確認におきましては、医療機関等と支払基金等との間のネットワークにつきましては、通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークなど高いセキュリティーを確保すること、医療機関等に対しましても、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを定めまして、ウイルス対策ソフト、OSの更新など、リスクに対してセキュリティー対策を適切に適用することなどを求めておりまして、引き続き、医療情報の適切な保護を図りつつ、その普及、利活用の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/114
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115・川田龍平
○川田龍平君 しっかり、これは健康保険証も使えるようにしておいてくださいということです。
政府がまとめる経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針に国民皆歯科健診を義務付ける制度の検討を明記すると報じられました。それを踏まえて、三日の後藤大臣の記者会見においても、厚労省として積極的に推進していく考えをお示しになられました。歯の健康維持は、生涯を通じ非常に重要でもあり、最終的には医療費削減にもつながるのではないかと考えます。
今回なぜ義務化という形になったのか、その経緯について教えていただきたいと思います。その上で、義務化となる場合の健診の仕組みづくりをどのようにしていくのか。国民が歯医者さんを選ぶことができるのと同じように、皆健診ということであれば、全国どこの歯科医でも、医院でも健診ができる仕組みが求められると思いますが、厚労大臣、厚労省の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/115
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116・伊原和人
○政府参考人(伊原和人君) 御指摘のいわゆる国民皆歯科健診のことでございますけれども、先月三十一日の経済財政諮問会議で示された骨太の原案におきまして、生涯を通じた歯科健診、いわゆる国民皆歯科健診の具体的な検討という文言が盛り込まれておりまして、今後これが決定されますと、これに基づいた検討を進めていくことになります。そういった意味で、まだ具体的なその中身というものについては何ら決めておりません。今後検討していくことになります。
そうした中で、やはりこの歯と口腔の健康を保っていくと、そのために健診というのは非常に重要な項目だと思っております。厚生労働省では、これまでも、自治体が実施する歯科健診に対する財政支援や、それから自治体において受診率を高めるために行われている工夫、例えばがん検診と一体に行われる健診の横展開、こうしたことを進めてまいりました。
もし、今回、この文言が決まった暁にはこの具体的な検討を進めてまいりますけれども、広く国民の皆様に口腔のチェックを受ける機会を持っていただける環境整備、これが大事だと思っておりますので、その具体化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/116
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117・川田龍平
○川田龍平君 これはもう患者さんが選べるように是非していただきたいと思います。広く選べるようにお願いいたします。
それでは、児童福祉法改正案について。
コロナ禍は、様々な子供をめぐる困難な状況を深刻化させました。その中でも、小中学校の不登校、これが八年連続で増加をし、施行されたこの二〇二〇年度には過去最多の約十九万六千人となっています。
平成二十九年二月に施行された教育機会確保法に基づき同年三月に策定された基本指針にのっとって、これまで文科省では、この下で不登校対策、多様な学びの機会の確保に向けた取組がされていると思いますが、この取組の現状、課題認識について、また、多様な学びの機会を確保し子供たちに選択肢を用意することは、深刻な状況にある子供の自殺予防の観点からも意義があるのではないかと考えますが、文科省、厚労省にそれぞれ認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/117
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118・鰐淵洋子
○大臣政務官(鰐淵洋子君) お答えいたします。
様々な背景を持つ不登校児童生徒に対しましては、多様な場で社会的自立に向けた学習等に取り組むことができるよう、不登校特例校や教育支援センター、学校内の教室以外の別室における個別の学習、相談支援等、きめ細かな支援体制を構築することが重要でございます。このような個々の状況に応じた多様な学びの場が確保されることで、不登校等児童生徒自らが自分自身を価値ある存在と認め、自分を大切に思う自尊感情の育成にも寄与すると考えられます。
また、そうした多様な学びの場におきまして、教職員のみならず、スクールカウンセラー等の様々な大人が関わることで相談につながりやすい体制が構築され、様々な悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見につながり、自殺予防にも資すると考えております。
文部科学省としましては、関係機関とも連携を図りつつ、多様な学びの場の確保を通じた児童生徒の自殺予防に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/118
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119・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 厚労省の方としての取組でございますが、今回の児童福祉法の改正案の中におきましても、市町村が取り組む事業といたしまして、子供たちの、主に学齢期の子供たちが念頭に置かれているような居場所づくりの支援といった事業も盛り込んでいるところでございます。
こういったものを地域の中できめ細かく展開していく、その中で、学校を始めとする教育の関係者としっかりと連携していくということにつきまして、文部科学省としっかりと連携しながら進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/119
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120・川田龍平
○川田龍平君 是非、この学校以外の居場所のつくり方、居場所づくりというのは非常に大事だと思いますので、是非しっかり、これ厚労省としてもしっかり進めていただきたいと思います。
昨年の四月二十七日に、自殺対策を推進する議員の会から、コロナ禍における教育現場での自殺総合対策に関する緊急要望書を、緊急が昨年の四月に出ているわけですが、その後の経過、対策講じられたのか、文科省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/120
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121・鰐淵洋子
○大臣政務官(鰐淵洋子君) お答えいたします。
今委員の方からも御紹介いただきました、昨年四月に、自殺対策を推進する議員の会より、コロナ禍における教育現場での自殺総合対策に関する緊急要望につきまして御提言をいただいております。
文部科学省としましては、この提言の内容を踏まえながら、児童生徒の自殺予防に関する協力者会議におきまして、令和三年における児童生徒の自殺者数の増加の原因の分析を行うとともに、今後講じるべき施策について御議論いただきまして、令和三年六月に審議がまとめられました。
文部科学省におきましては、この審議のまとめを受けまして、例えばSOSの出し方に関する教育を含む自殺予防教育の更なる推進、またスクールカウンセラー等の拡充、そして一人一台端末を効果的に活用した心身の状況把握に関する調査研究、取組事例の普及などに取り組んでいるところでございます。
児童生徒の自殺の要因は、学校問題に加えまして家庭問題や健康問題など様々であることから、関係機関と連携した効果的な自殺対策に全力を尽くしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/121
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122・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございます。
本当、子供の自殺については、本当にこのコロナ禍で非常に大変深刻になりましたし、また、今も、さらに、増加はしていませんけれども、でもやっぱり、子供の数が減っている中でやっぱり非常に深刻な問題が続いていると私は思っております。
今回、その自殺対策を推進する議員連盟の中でもまた新たな提言をまとめておりますので、また是非、引き続きそういった内容も踏まえて取組を更に強化していただきたいというふうに思います。
鰐淵政務官については、ここで退室していただいて結構です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/122
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123・山田宏
○委員長(山田宏君) 鰐淵文科大臣政務官には御退席いただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/123
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124・川田龍平
○川田龍平君 それでは、一時保護状に対する不服申立て手続について伺います。
法律案では、一時保護状の請求が却下された場合に、児童相談所は、却下の翌日から三日以内であれば裁判所に取消しの請求をすることが可能となっています。一方で、子供や親権者側については、一時保護状の発行に対する不服申立て手続は設けられておりません。
厚労省の審議会においても、子供や親権者などからの不服申立て手続を認めることが必要であるとの意見があったと思いますが、なぜ認めないのか、改めて説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/124
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125・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護開始時の司法審査は、裁判所が迅速にその適正性を判断する仕組みとしております。不服申立て手続については、一時保護状の請求が却下された場合において、一時保護を行わなければ子供の生命や心身に重大な危害を生じ得るようなケースに限り児童相談所が申し立てることができるということとさせていただいております。
今御指摘いただきましたような子供や親からの不服申立てということにつきましては、社会保障審議会の報告書におきましても認めるべきとの意見があった旨明記されたところでございますし、将来的な課題というふうには認識しておりますが、親や子は行政訴訟や行政不服審査の提起が可能という点もございますし、それ以外にも、児童相談所の体制や手続、親や子の意向をどう受け止めていくかなど課題も多く、また、一時保護の司法審査は相当多数の件数になると見込まれ、まずはその開始時の審査の円滑な施行が重要であるというふうに私ども考えておりますので、今般の改正案においてはその制度化は見送ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/125
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126・川田龍平
○川田龍平君 この行政不服審査、行政訴訟、原則二か月以内という、一時保護期間に鑑みるとそれほどスピーディーな手続ではないように思います。
一時保護に対する子供や親権者等の不服申立て手続について、迅速化を図るような取組なされているんでしょうか。また、一時保護に対する行政訴訟等の不服申立ての結論が出るまでに掛かる期間の目安と、迅速化に向けた取組について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/126
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127・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 行政不服審査法に基づく行政機関における審査請求につきましては、同法に行政庁が標準処理期間を定めるという努力義務規定が、努力義務が規定されているということも踏まえまして、各自治体において迅速な処理に努められているものというふうに認識しております。引き続き適切に取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、訴訟につきましては、訴訟というものの性質上、慎重な審理ということも必要でございましょうし、それはまた、それぞれの訴訟の事情によるものというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/127
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128・川田龍平
○川田龍平君 この衆議院の附帯決議において、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握することが求められています。児童の安全を確保するためにちゅうちょなく一時保護することは必要ですが、子供や親権者にとって実効性のある手続を設けることも必要ですので、今後の検討課題としていただければと思います。
次に、児童に対してわいせつ行為を行った保育士について伺います。
昨年の通常国会において、児童にわいせつ行為を行った教員についてはその免許の授与について厳格化が図られたところであり、その附帯決議において保育士についても同様の対応をすることが盛り込まれたところです。そして、この法律案には、児童にわいせつ行為を行った保育士について資格管理を厳格化することが盛り込まれております。
児童をわいせつ行為から守るには、保育士の資格管理だけでは足りませんが、日本版DBSの導入に向けた先駆的な取組として、まずは速やかに保育士についてこの制度を導入していただきたいと思います。
そこで伺いますが、改正案では、わいせつ行為を行った者の再登録について都道府県児童福祉審議会の意見を聴取することにしておりますが、教員と同様の厳しい審査が行われるということでよいのか、厚労省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/128
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129・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童へのわいせつ行為を行った保育士が再び保育の現場で同様のわいせつ行為を行うということはあってはならないことでございますので、児童をわいせつ行為から守る環境整備を行うということは極めて重要でございます。
このため、今回の法改正においては、基本的には、昨年の通常国会で可決、成立した教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律により行われる児童生徒等にわいせつ行為を行った教員の免許管理の厳格化と同様の内容の改正を行うことといたしております。
今委員から再登録の仕組みについて御指摘ございましたけれども、具体的な中身の一つといたしまして、児童へわいせつ行為を行い保育士登録を取り消された者等について、審査を経て再登録が適当と認められる場合に限り再登録できる仕組みの創設ということを盛り込んでございまして、この仕組みの運用に当たりましては、教員について先行して行われている取組を十分参考とさせていただきながら、厳格な施行に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/129
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130・川田龍平
○川田龍平君 次に、一問飛ばして、わいせつ行為を行ったベビーシッターについて伺います。
法律案では、わいせつ行為を行ったベビーシッターについては、事業停止命令等の情報について公表できることが規定されています。しかし、既に、認可外保育施設指導監督の指針では、事業停止又は施設停止命令等を行った場合は、その名称、所在地、設置者及び管理者名、処分の内容等について報道機関等を通じて公表することとされています。
今回の法改正は、現在も行っている公表に対する法的根拠を明確化するものであると理解してよろしいでしょうか。明確化していないことによる不都合が現時点で存在しているのでしょうか。改正の必要性について確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/130
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131・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) わいせつ行為等によりまして事業停止命令を受けたベビーシッター等の情報の公表につきましては、現在、厚生労働省が示す指導監督指針、これは局長通知でございますが、こういったもの等に基づきまして、各地方公共団体の判断で行われているところでございます。
しかしながら、実際に公表を行う地方公共団体が個人情報保護の観点などから必要な公表をためらうことも想定されますことから、今般の児童福祉法改正案におきましては、事業停止命令を行った際にこれを公表することができる旨を法律上明記することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/131
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132・川田龍平
○川田龍平君 大臣、最後の、一番最後の質問に移ります。
児童自立生活援助事業の対象者の年齢要件などを緩和するほか、新たに社会的養護自立支援拠点事業も創設される内容となっています。自立支援を必要とするケアリーバーの方への支援が後退することがないよう、必要な支援は継続していただけるようお願いしたいと思いますが、大臣のお考えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/132
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133・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案による措置解除者等への自立支援の提供については、令和二年度に児童養護施設の退所者等を対象として、退所後の生活状況や就学、就労の状況、支援ニーズ等を把握するための調査研究事業を実施し、そこで明らかになった課題や、それまでの予算事業等で実施した取組から浮かび上がった課題に対応する観点から検討を進めたものでありまして、今後ともしっかりと充実していくこととしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/133
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134・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/134
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135・山田宏
○委員長(山田宏君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十六分休憩
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午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/135
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136・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、竹谷とし子君が委員を辞任され、その補欠として杉久武君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/136
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137・山田宏
○委員長(山田宏君) 休憩前に引き続き、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/137
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138・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。今日はよろしくお願いいたします。
児童福祉法の一部を改正する法律案の質問に先立ち、先ほど来ありましたけれども、厚生労働委員会、もしかしたらこの後なかなか質疑の時間がないかもということで、私も新型コロナウイルス関連のことを少し聞かせていただきたいというふうに思っております。
その前にもう一つ、マスクについて一言申し上げたいと思います。マスクを外すことの可否について、個人の判断に委ねられるというのは大変困難です。今日も外食産業の皆さんが見に来ていただいていますけれども、やはり現場で、屋内での外してもいい状況だったりとかということが、厚労省側としては分かりやすく示されているという御主張されているんですけれども、やはりその場面場面によって判断がまだ求められているような提示の例になっているというふうなこともあり、現場では、外してもいいと思うお客様は外すけれども、一方で感染が、リスクがあるんじゃないかということで、着けなきゃまずいんじゃないか、食べているとき以外はというような主張をされることもあって、それに基づいて結果的に行き過ぎた消費者からの申出になってカスタマーハラスメントみたいなことも起きるという事例を聞いていますので、是非その点についてはもっと明確に言っていただきたいですし、なるべく早く、私は、着ける場面だけを提示するというふうなコミュニケーション方法に変えていただきたいと思います。
特に、五月二十三日に示された政府の基本的対処方針では、屋外では原則マスクを外してよいことが示されていますけれども、夏場に熱中症の危険性、今言われていますし、今実際に倒れている学生の子たちがいるという報道もあります。周知はされていると言いながらも、結果的に現場で実行されていなければ、後で取り返しの付かないことになったというふうなことになりかねません。
是非、科学的な根拠に基づいての意思決定はしているというところにとどまらず、実際に国民一人一人の行動変容につながるまでの周知啓発の努力をお願いして、まず初めに、必要な感染の対策としての蔓延と重症化の予防となるワクチンの追加接種について質問したいと思います。
今回のパンデミックの下、ワクチン接種では、短期間に国民全体へのワクチン接種を想定して準備し、実行するというこれまでにない対応となりました。想定どおりにワクチンが国内に入ってこない、超低温での輸送、保管が必要であるため、国内流通でトラブルが起きたりと大変な混乱状況が生じた中で、医薬品卸産業に携わる多くの企業の皆様と自治体の皆様の多大な努力の下で接種が行われていました。
その上で、四月に承認されました武田薬品が国内で生産するヌバキソビッド、ノババックス社のワクチンですけれども、この接種が今始まっています。このヌバキソビッドは、国内生産、そして通常のワクチン同様の温度帯での流通が可能ということで、今問題視されているワクチンの廃棄の懸念も低減されるというふうに考えますし、ワクチンの種類としても、これまでに実績のある技術が使われているということから、国民に対する新たな選択肢の提供という意味が大きいというふうに考えております。
政府として、この新たなワクチンの特徴を踏まえてどのように活用し、国民の理解、接種につなげていくつもりなのか見解を伺いたいと思いますし、あわせて、今高齢者等の重症化リスクのある方たちの臨時接種で行われている四回目の接種、これ以降の新型コロナウイルスのワクチン接種の対応について、現時点での見解をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/138
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139・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) お答えいたします。
武田社のノババックスワクチン、ヌバキソビッドにつきましては、特例臨時接種として、一回目から三回目までの接種を行う場合に使用するワクチンとして位置付け、また、一、二回目接種に使用したワクチンの種類にかかわらず三回目接種に使用できることとしております。
このワクチンは、国内で製造が行われることからワクチン供給の安定性の確保につながるとともに、従来の新型コロナワクチンとは異なる組換えたんぱくワクチンでありまして、ワクチンの種類の多様性を確保できることは望ましいことと考えております。
武田社のノババックスワクチンの接種に当たりましては、その有効性や安全性などにつきまして、リーフレットやQアンドAをホームページで公表することやSNSで発信すること等を通じまして国民お一人お一人に丁寧にお知らせし、適切な情報を速やかに提供できるよう努めているところでございます。
引き続き、有効で安全なワクチンが国民に行き渡るようしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
また、四回目の接種につきましては、これは重症化予防を目的として高齢者等に対して行うこととしております。その円滑な実施に向けては、これまでにも各自治体にきめ細かく情報共有するとともに国民向けのリーフレットを作成しており、引き続き自治体と緊密に連携して円滑な接種を進めてまいりたいというふうに考えております。
なお、五回目以降につきましては、今のところまだ、何といいますか、そこまでの検討は進んでいないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/139
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140・田村まみ
○田村まみ君 済みません、私の通告の仕方の微妙な違いだったのか、もう一点聞かせていただきたいんですけど。
今、四回目の臨時接種をされるという方特定してやっているんですけれども、それ以外の、三回目までは臨時接種だったけれども今回対象じゃなかった人たちも含めて、去年、おととしと、冬場になっていくとコロナの感染拡大が起きるんじゃないかというような、気温の変化によっての懸念が特に言われていたわけなので、今後、三回目と呼んでいいのか、もう四回目と呼ぶのか、回数というよりも、今後の、臨時接種なのか、新型コロナワクチンの国民全体への接種の考え方みたいなことは何かお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/140
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141・佐原康之
○政府参考人(佐原康之君) その点につきましては、今、厚生科学審議会のワクチン分科会というところで、ワクチンにつきましては御議論いただいているところであります。
今後どういうふうに接種を行っていくのかということについては、これからの感染状況でありますとか、あるいは三回目、四回目を打った後の効果がどういうふうになっているのか、あるいは持続時間が、期間がどのようになっているのかというようなことを見極めながら検討していく必要があると考えております。現時点でこういうふうな方向性というものはまだないというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/141
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142・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
落ち着いてきて国民の皆様も少し安心が出てきているんですけれども、私たちは、今から冬に向けての想定もしながら、実際に急に接種をしろといってまたワクチンの数量が確保できないとか、そういうようなことが起きないように準備を今から進めておくべきだという意味で今日御質問させていただきました。
特に、廃棄の問題、繰り返しになりますけれども、今廃棄の問題大きく取り上げられています。パンデミックの中で、そして緊急対応の中で、私は、廃棄自体が悪いという指摘は当たらないというふうに思っていますが、今後どのように有効活用していくかということだったり、必要なときに適切な量が確保できるか、そういう視点での検証というのは必要だというふうに思っていますので、是非、今、追加接種と呼んでいますのであえて言いますけど、追加接種が伸び悩む我が国の現状において、今後のコロナの劇的な治療薬が開発されていない中では、ワクチンが唯一の感染予防とそして重症化予防の切り札になっていくと思いますので、その部分での備えを是非お願いしたいと思います。
続きまして、先週ぐらいから骨太の方針について様々議論が出てきていまして、どうしてもこれ聞いておきたいので、もう一問だけ聞かせていただきます。
全世代型の社会保障構築本部の会合で、岸田総理が、勤労者皆保険制度の取組を進め、働き方に中立的な制度を構築していくと発言をしています。この間、全世代型社会保障構築会議や経済財政運営と改革の基本方針、骨太の二〇二二の原案などにこの勤労者皆保険制度という言葉が出てきております。
これは一体どのような制度、定義というふうな形で考えたらいいんでしょうか。この勤労者皆保険制度を実現するということで、解決すべき現状の課題と制度のありようについて現時点でどのように考えているか、説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/142
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143・大島一博
○政府参考人(大島一博君) 勤労者皆保険でございますが、兼業、副業、フリーランスなども含め、どのような働き方をしてもセーフティーネットが確保される、誰もが安心して希望どおりに働くことを可能とすることを基本的考え方としています。
現状の課題としましては、社会保険の制度からこぼれ落ちるケースが生じたり、あるいは事業主の保険料負担の差異から労働市場にゆがみをもたらしたりといった指摘がされているところであります。
先月取りまとめられました全世代型社会保障構築会議の中間整理では、まずは令和二年年金制度改正法に基づいて被用者保険の適用拡大を着実に実施し、さらに、企業規模要件の撤廃も含めた見直しや非適用業種の見直し等を検討すべきである、その上で、フリーランスなどを含め、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的な検討を進めることが考えられるとされているところであります。
これを踏まえまして、厚生労働省としましても、この勤労者皆保険の実現に向けた検討や取組を進めてまいる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/143
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144・田村まみ
○田村まみ君 被用者保険の適用拡大というところが、この制度決まった中で、二〇二四年の十月以降の五十人以上というところ、そこまで着実に行うというのは、もう法改正をしているわけなので当然のことだというふうには認識しています。
これ以上の改正を考えなければいけないかどうかというところについての現時点での認識、教えていただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/144
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145・大島一博
○政府参考人(大島一博君) まさにこれはもう、これからの年金制度の中の大きな議論の一つのテーマと思いますが、この中間整理では、企業規模要件の撤廃も含めた見直しといった検討での事項の提示がされているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/145
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146・田村まみ
○田村まみ君 当時の法案の審議のときには、私、もう最初から撤廃を期限決めて、どうやったら皆さんが適用されるかというところを考える方が現実的なんじゃないかという主張をずっとさせていただきました。この委員会室で、すぐにでも人数の規模要件撤廃すべきだと言ったら、ちょっとざわついた記憶があります。ただ、本当に二年もたたないうちにこんな議論が始まるということは、まさしくあのときに実はちょっと審議が足りなかったんじゃないかというところは思うところであります。
その上で、三号被保険者について伺います。
五月の十七日に公表されました、先ほども話ありました全世代型の社会保障構築会議の中間整理では、女性の就労の制約となっている社会保障や税制について、働き方に中立的なものにしていく必要があるとまとめられました。また、国会答弁の中でも政府から同様の発言があったと承知しています。
本中間整理の取りまとめを受けて、この社会保険を始めとする共助について、包摂的で中立的な仕組みとし、制度による分断や格差、就労のゆがみが生じないようにするとしています。これが、まさしく私は、いわゆるパートで、主婦で、就労制限をしながら働いている人たちに大きく影響するというふうに指摘しております。
具体的に、この議論を待たずに早く、厚生労働省として、私は三号被保険者の国民年金の加入の在り方の見直しをやるべきだというふうに考えています。今後の議論ではなくて、厚生労働省として一歩踏み込んでやるべきだと考えていますが、どうでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/146
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147・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 国民年金第三号被保険者制度は、昭和六十年の年金制度改正において基礎年金制度を設けた際に、それまで任意加入となっていた被扶養配偶者について、自分名義の基礎年金を確保することで女性の年金権を確立するために設けられたものでございます。
第三号被保険者制度については、平成二十七年の社会保障審議会年金部会における議論の結果、第三号被保険者を将来的に縮小していく方向性、単に専業主婦を優遇しているとの捉え方ではなく、多様な属性を持つ者が混在していること、まずは被用者保険の適用拡大を進めつつ、縮小、見直しに向けたステップを踏んでいくべきことが指摘されたところでございます。
また、第三号被保険者の数は、平成七年度に千二百二十万人に達して以降減り続けておりまして、女性の就労の進展といった時代の変化を反映した趨勢と考えられます。
全世代型社会保障構築会議の中間整理においても、被用者保険の適用拡大が図られると、女性の就労の制約となっているいわゆる百三十万円の壁を消失させる効果があるとされておりまして、この観点から、被用者保険の適用拡大の取組を着実に進めることが重要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/147
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148・田村まみ
○田村まみ君 やっとテーブルには上がってきたという印象です。三年前に国会に来たときからずっとこれに関しては問題提起させていただいていたんですけれども、ここから議論が始まるということで、大変大きな改正になるというふうに私も捉えているので、早く議論を着手し始めなければ手遅れになるということ、あわせて、この議論がスピード感を持って行われなければ、最低賃金が上がっていく中で自然と消えていくんじゃないかというような消極的な私は対応というふうにみなされるというふうに思っていますので、是非、女性の年金権というものが、今の時代に対してはこの考え自体があり得ないというふうに多くの人たちが今考えるタイミングになってきていると思いますので、是非厚労省が先んじてこの議論を進めていただきたいということを改めてお願いしておきたいと思います。
それでは、児童福祉法等の一部改正についての議論の方に戻っていきたいというふうに思います。
先週の二日の厚生労働委員会と内閣委員会の連合審査の方で、最後の一問で野田大臣に、民生委員、児童委員についてのお尋ねをしました。今般のこども家庭庁の設置法によって児童委員の制度や企画、運営、運用が移管されると承知しています。しかし、時間の限りがあったため具体的な確認が幾つかできませんでしたので、改めて、現在所管のある厚生労働省に御確認させていただきたいと思います。
こども家庭庁設置後も児童委員の委嘱については引き続き厚生労働大臣が担うと、衆議院厚生労働委員会での答弁、拝見しております。自治体では、推薦に係る進達事務や委嘱、解嘱状の交付事務、表彰事務といった仕事が具体的には発生しておりますが、委嘱については厚労大臣が引き続き担うと。制度や企画、運営が移管されても自治体の現場では事務が増加することがないのかという大変懸念の声が上がっております。
また、民生委員法と児童福祉法に基づいて、各自治体で民生委員や児童委員及び主任児童委員の推薦要綱で定めて実施をしているので、ここに委員の推薦基準が示されているわけなので、こういう今後も委員の推薦基準の変更、これがないというふうに理解してよろしいのか。二点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/148
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149・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) こども家庭庁の創設によりまして、民生委員は厚生労働省、それから児童委員はこども家庭庁が所管するということになりますが、地域で御活躍いただいております民生委員、児童委員の業務や役割に変更が生じるものではございません。
そこで、こども家庭庁の創設後も民生委員、児童委員の地域での一体的な活動に支障を来すことのないよう、民生委員、児童委員の委嘱、主任児童委員の指名を引き続き厚生労働大臣から行うこととしておりまして、委員御指摘の自治体での推薦や委嘱、解嘱に係る事務ですとか、あるいは表彰事務等が増加するということはございません。
また、こども家庭庁の創設に伴いまして、民生委員、児童委員の選任要領を変更する予定はございませんので、各自治体における推薦基準が民生委員、児童委員ごとに変更されることも国としては想定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/149
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150・田村まみ
○田村まみ君 今のところ、国としては想定していないというお答えいただきました。ちょっと後の質問に関わるかもしれませんので、今繰り返しました。
次に、委員となられる方々の負担の懸念も声として上がっています。民生委員と児童委員の方は、訪問や相談といった受け持った事案に対して、自治体に対して活動記録を報告しています。委員の方々は自分が生活する中での傍らで委員を務めていただいているわけなので、従来からのこの活動記録について、その報告そのもの自体が煩雑だと。もう実態は見守りをして、そこで声掛けて、本当に何かあったときに報告を上げるというのが本来の役割なわけなんで、なかなかこの辺は、行政として行っていることで報告書を求めることも分かるんですが、これ自体が大変だなという率直な声もいただいているわけです。
その中で、今後こども家庭庁に児童委員の所管が移行しても、活動記録の報告に関して、これについても何か負担が変わるとかということがあるのかないのか、説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/150
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151・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 民生委員、児童委員の活動記録につきましては、民生委員、児童委員が相談支援や訪問等の活動件数を集計し自治体に報告されるとともに、多種多様な活動実績を記録、分析し、活動に対する評価や反省を通じて次の活動に役立てているものというふうに承知いたしております。
このこども家庭庁の創設によりまして、地域で御活躍いただいている民生委員、児童委員の業務や役割に変更が生じるものではございませんので、この活動記録についても事務の負担増となるようなことは検討いたしておりません。
いずれにしましても、法案が成立した暁には、各地域で御懸念や支障が生じることのないように、関係者の皆様の御意見もお伺いしながら、こうした対応について各自治体、関係団体への周知をしっかりと行ってまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/151
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152・田村まみ
○田村まみ君 現実にも、福祉課題というのは、生活の中でということで複合化しているということが今の認識です。民生委員と児童委員が活動の線引きが難しいというのはもう分かっていることなんですけれども、この活動の記録が別々に求められるんじゃないかという懸念が声として上がってきたので、今御質問させていただきました。その点についても、現場の状況を確認しながら、是非今後の対応を考えていただきたいというふうに思います。
最後に、地域からの声として、今般の法改正によって民生委員と児童委員の所管が分かれることによって、もしかしたら、いずれかの委員しか引き受けてくださらない、どちらかの方だけをやっていくというようなことが言われるんじゃないかという懸念をされています。実態としては、民生委員については今自治会の会長さんが選ばなければいけない。なかなか、推薦というよりかは、もう頼み込んでやってもらうというのが現実というのは皆さんも周知の事実だと思います。
所管が分かれてなり手不足に拍車も掛かるんじゃないかというような懸念もありますので、そもそも、この民生委員のなり手不足に対しての課題、そして、それがひいては、その民生委員を選んでいかなきゃいけない、お願いをしなければいけない自治会長さんの負担にもつながるんではないかというのが地域からの課題として上がっていますが、現状、厚生労働省として、自治会長そのもののなり手不足や地域の福祉に関係する人々のなり手不足についての課題認識、そして、今どのようにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/152
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153・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 民生委員、児童委員のなり手がなかなかいないという問題は、私どもとしてもかねてよりお聞きさせていただいているところでございまして、厚生労働省としては、民生委員、児童委員のなり手不足に対応するため、地域の実情に応じた自治体等の創意工夫による民生委員活動の負担軽減に資する取組について、全国会議の場等を通じた周知等の取組を行っているところでございます。
それで、今委員から御指摘いただきました、民生委員、児童委員のどちらか片方だけというふうな方が生じるのではないかという御懸念についてでございますが、児童委員については、児童福祉法第十六条第二項におきまして、「民生委員は、児童委員に充てられたものとする。」というふうに規定されております。したがいまして、全ての民生委員が児童委員を兼ねることとなっております。この規定につきましては、こども家庭庁の創設に当たっても改正しないこととしておりますので、児童委員制度のこども家庭庁移管により、いずれかの委員のみ委嘱を受ける方が生じることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/153
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154・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
法文の方にも記載があるということで私も説明差し上げているんですけれども、なかなか負担の大きさを考えたときに、どちらかでいいんじゃないのみたいな話にならないかなというようなところが会話の中で出てきましたので、改めて質問させていただきました。
そもそも、地域の中でのその福祉だったりとか、見守りを担っていただく方々の負担に対しては特段の配慮が必要だというふうに思っていますし、もう一つは、いわゆる現役世代の人たちがどうやったらその活動に参加できるかと思ったときには、逆に、分ける方がもしかしたら、少しの時間対応するということでなり手が増えていくという可能性もゼロではないというふうに思いますので、新たな民生委員、児童委員の在り方ということだったり、なり手不足をもっと広範囲に考えていくという視点でも、是非今後検討していただきたいというふうに指摘をしておきたいと思います。
続きまして、ヤングケアラー支援についてお伺いします。
本改正では、家庭を訪問して家事、養育に関する援助などを行う子育て世帯訪問支援事業を創設することになっていますけれども、この事業の拡充により、今後、自治体では、ヤングケアラーに関する対応も求められていくと承知しています。こうした追加的な相談支援の取組に対して国から財政的な支援を講じる予定は、厚労大臣、あるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/154
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155・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ヤングケアラーについては、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の育ちや教育に影響があるとされておりまして、心身の健やかな育ちを促すためにもしっかりと支援をしていくことも必要と考えております。
今般の児童福祉法改正案で創設する子育て世帯訪問支援事業について、ヤングケアラーも支援対象として位置付け、訪問による家事支援を提供していくことになります。このため、全国の自治体で積極的に実施いただけるように、改正法が施行される令和六年度以降、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援交付金の対象として位置付けて国としての支援を行うほか、令和三年度補正予算を活用して、これは施行前から法の施行に先駆けて実施する訪問家事支援事業においても財政支援を行うことといたしております。
ヤングケアラーへの支援に当たっては、子供にとって身近な存在である市町村に御協力いただくことが必要不可欠でありまして、引き続き、全国の市町村とよく連携しつつ、財政支援を含めた必要な支援に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/155
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156・田村まみ
○田村まみ君 意気込みは伝わりましたが、この後幾つか指摘をさせていただく内容について、まだまだ財政支援が必要なんではないかという視点で質問させていただきます。
地方自治体の中には、ヤングケアラーに対する支援がまだまだ乏しいというより、経験も不足して実行にまで移っていないというところもあるというふうに思います。一部の自治体議員の皆さんから、例えば国からのマニュアルや指針のようなものがあった方がやりやすいのではないかというような声もあります。一方で、画一的な支援が行われればいいというわけではないので、なかなかこのマニュアルや指針というのも難しいということは承知しています。
社会課題としてヤングケアラーの存在を各自治体としても認識しているけれども、やっぱり実績不足から、要保護児童としての認定との線引きも難しいといった現実もある。ヤングケアラーに関する取組は始まったばかりですので、全国の自治体や支援団体における先行事例の集約と共有、こういうのを国として進めていくことが重要だというふうに考えますが、現状、そういった取組、厚生労働省として行われているかどうか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/156
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157・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 支援が必要なヤングケアラーの判断基準や具体的な支援方策、それから先進的な取組につきまして、これらを整理して自治体に周知していくということは大変重要というふうに認識しております。
厚生労働省では、令和三年度の調査研究によりまして、先行して様々取り組んでおられる全国の自治体や支援団体等の状況もお伺いしながら、ヤングケアラー発見の着眼点や連携して行う支援の内容をマニュアルにまとめまして、自治体に周知し、活用を促しているところでございます。
また、令和四年度予算におきましては、関係機関と支援者団体とをつなぐコーディネーターの配置ですとか支援者団体等によるピアサポート等の悩み相談などのヤングケアラー支援を先進的に行う自治体に対して補助を実施しております。
こうした取組を通じて、地方自治体において支援が必要なヤングケアラーを早期に発見し適切な支援につなげる施策が推進されるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/157
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158・田村まみ
○田村まみ君 実際に取組が進んでいる場合もあるんですけれども、まだまだ接点が少なかったり、自治体全体となると優先順位も様々あるという中で、やっぱりこのヤングケアラーの皆さんの発見というか把握は、学校現場での児童の長期欠席とか遅刻や服装等の乱れなどで発見されるケース等が現場から報告されています。このため、学校現場を所管する文科省との連携はもとより、今後はこども家庭庁も設置されるわけなので、厚労省と三省で連携が必要となるというふうに考えています。
現時点での対応として、厚労省側から、こうしたヤングケアラーの学校現場での把握や報告といったことに対しての体制について何らかの発信をされているのか、文科省とのどういった連携を今図られているのか、説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/158
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159・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今御指摘いただきましたように、学校の教職員は、子供と接する時間が長くて日々の変化に気付きやすいというところがございますので、ヤングケアラーを発見しやすい立場にあると考えられます。したがいまして、学校においてヤングケアラーを発見し、福祉、介護、医療等の関係機関につなげる取組というものが期待されるものというふうに認識しております。
厚生労働省では、早い段階から文部科学省の方と連携いたしまして、昨年三月、合同プロジェクトチームを立ち上げて支援策についての検討を重ね、その上で、一つは、文部科学省の協力も得て、ヤングケアラー発見の着眼点や連携して行う支援の内容をマニュアルにまとめて本年四月に自治体の方に周知した、これが先ほど申し上げたとおりでございます。
二点目といたしまして、令和四年度予算においては、自治体における教育委員会と福祉、介護、医療の部局との合同研修への補助ですとか、あるいは関係機関と支援者団体をつなぐコーディネーターの配置等の取組など、ヤングケアラー支援を先進的に行う自治体に対する補助を行うことといたしております。
引き続き、文部科学省と連携いたしまして、学校現場との協力などをしっかり行いながらヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげる取組を推進してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/159
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160・田村まみ
○田村まみ君 今、例として、今実施している枠組みとしてプロジェクトチームの例出していただきましたけど、これはまだ解散していないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/160
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161・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) このプロジェクトチームそのものは、文部科学大臣、あっ、文部科学省と厚生労働大臣の副大臣が共同で立ち上げたものでございまして、報告をまとめた段階で、一応その段階で終了しております。
ただ、この報告を基に、予算措置とかそういったものを講じているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/161
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162・田村まみ
○田村まみ君 済みません、もう一度答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/162
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163・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 失礼いたしました。
報告書をまとめた段階で、一旦そこで一区切り付いたわけでございますけれども、解散しているわけではございませんので、また今後いろいろ必要な検討事項とかあれば、また改めて活動をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/163
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164・田村まみ
○田村まみ君 枠組みにこだわるわけではないんですけれども、今度、こども家庭庁も設置されていて、改めて、所掌のはざまで抜け落ちてしまうとか取り残されてしまう児童が出ないように、省庁間の連携については今後も随時検討して、しっかりと連携して取組ができるように努めていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
国民民主党では、ヤングケアラーを支援することの重要性に鑑みて、国及び地方公共団体がヤングケアラーの実態に関する調査を定期的に、そして全数で行うこと、そしてその上で福祉的、教育的な支援が行われるように、その対策を講ずるための議員立法を提出しております。
ヤングケアラーに関する政府の取組についてお尋ねしましたけれども、やはり支援の施策を様々準備していくに当たっては、何よりも当事者の実態把握、これが不可欠だというふうに考えております。これまで行われた実態調査というのは、数量を抽出してやっている部分で全数ということではないです。本人自体がその自覚がないというところも今課題化されているわけですので、是非、この国民民主党提出法案の中では、特に定期的で全数の実態調査を盛り込んで対策を進めるべきだということを法案として盛り込んでいますので、この調査の必要性について、法案の審議は別として、この全数で定期的な調査の必要性、これについての厚生労働大臣の今の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/164
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165・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 本年二月に国民民主党から、議員立法でヤングケアラーの支援に関する法案を参議院に提出されたことは承知をいたしております。その内容は、昨年五月の厚生労働省と文部科学省の合同プロジェクトチームの報告書に記載された施策と方向性は同じものであるというふうに認識しておりまして、まずは報告書に沿った施策を速やかに実行に移していきたいと考えております。
委員御指摘のヤングケアラーに関する調査につきましては、その必要性はあるものと考えておりまして、現在、厚生労働省においては、文部科学省とも連携して、小学生から大学生までを対象とした実態調査を行ったほか、地方自治体単位での調査に要する経費を補助するなど、ヤングケアラーの実態調査を推進しているところでございます。
委員御指摘のヤングケアラーの全数調査の取扱いについても、自民、公明及び国民民主党の三党において、ただいま実務者による協議が行われていると承知しておりまして、その議論を注視し、必要があれば、更にどのような支援の取組が可能か、対応を検討してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/165
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166・田村まみ
○田村まみ君 この課題については、やはりこのヤングケアラーという単語が報道されるようになって大きく大人の人たちにも認識されたという実態はあると思いますけれども、まだまだやはり当事者である子供たちが、自分がそういう状況なのかどうなのかが分からないとか、なかなか言い出せないというようなところがあるというふうに思いますので、私は、やっぱりこの全数の定期的な実態把握のための調査必要だということで、改めてこの委員会でも強く要望しておきたいというふうに思います。
次に、この改正法案の中でも、障害児入所施設の移行調整について、これが取り扱われておりました。一部、こども家庭庁設置法案の連合審査でも聞けなかった質問もさせていただきたいと思いますので、本日、内閣府にも来ていただいております。
まず初めに、障害者の方が成人になるタイミングでの移行が課題となっていますが、そうした観点から、障害児入所施設にいる段階から将来の移行を見据えた運用が必要だというふうに考えますが、現行の制度運用では障害児入所施設と障害者施設は分かれています。
まず、厚労省にお尋ねします。そもそも、障害児入所施設と障害者施設を分けている理由、これについて御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/166
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167・田原克志
○政府参考人(田原克志君) お答えいたします。
障害児入所施設は、虐待等により家庭において養育されることが困難な障害のある児童に対しまして、家庭復帰まで、あるいは大人になるまでの間、できる限り良好な家庭的環境の中で継続的で安定した愛着関係の下で発達を支援し、育成する役割を有しております。
障害児入所施設におきます現場での支援におきましても、施設の職員との愛着関係、信頼関係の形成や日常生活動作の習得、コミュニケーション能力の形成等に重点を置きながら、子供たちの発達支援、育成に当たっていただいております。
一方で、障害者の支援施設につきましては、入浴、排せつ、食事の介護等の支援を提供する役割を担うものでありまして、障害児入所施設と障害者支援施設とで役割が異なっていることから、それぞれの専門性が十分に発揮されるよう、別のサービス類型となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/167
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168・田村まみ
○田村まみ君 今厚労省から御説明ありましたけれども、障害児入所施設と障害者施設ですけれども、今回のこども家庭庁の設置法によって、障害児支援施策の関係を始めとする厚生労働省の障害保健福祉部が所掌する障害児支援に関する事務はこども家庭庁の支援部門に移管されるというイメージ図になっておりました。
施設入所を始めとする成人時の移行措置に関して、成人の障害者の支援については引き続き厚労省の所掌として残しているところから、内閣府にお伺いしたいんですけれども、こども家庭庁設置法案の条文上では二省庁が連携するということになっていますけれども、今後のその連携というのは具体的にはどのように取られるのか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/168
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169・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) こども家庭庁は、こどもまんなか社会の実現を目指し、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点に立って、子供を誰一人取り残すことなく、その健やかな成長を社会全体で後押しすることとしており、障害のあるなしにかかわらず、全ての子供の育ちの保障を担うこととしております。
その上で、障害のある子供が大人になり、引き続き必要な支援を受けながら安心して地域で生活を送るためには、成人に対する支援、サービスへの円滑な移行、接続が重要であることから、今回の改正案において、障害児入所施設の入所児童が地域のグループホームなどへ移行する際の調整の責任主体を明確化するなどの措置が講じられております。
その上で、こども家庭庁設置後でございますけれども、引き続き、障害のある子供が成人になる際の地域生活への移行を推進するとともに、その具体的な体制としては、障害児、障害者を共に支援対象とする法律につきまして厚労省との共管とすること、障害児施策について、こども家庭庁に置くこども家庭審議会のみならず、必要に応じて厚生労働省の社会保障審議会障害者部会と合同で障害福祉施策全体の中で審議すること、必要に応じ、地方自治体への通知につきまして厚生労働省と連名で発出することなどによりまして、年齢による壁が生じることのないよう、厚生労働省と緊密な連携を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/169
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170・田村まみ
○田村まみ君 今のを受けて、厚生労働省はどのようにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/170
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171・田原克志
○政府参考人(田原克志君) お答えいたします。
障害児入所施設に入所しております障害児につきましては、十八歳以降、大人として尊重され、居住の場や日中活動の場を含め、一人一人にふさわしい環境へ移行していくことが大変重要でございます。こうした障害児入所施設からの移行支援に関しては、都道府県及び政令市を移行調整の責任主体として明確化する等の児童福祉法改正案を現在御審議をいただいております。
このほかにも、相談支援事業者が、障害児入所施設に入所中の十五歳頃から大人としての生活の場への移行、そして定着までを一貫して支援することを可能とする仕組みを設けることや、移行支援対象者の中長期的な見通しを考慮しながら、各都道府県等におきまして新たなグループホーム等の整備を検討していくこと等が必要であると考えております。
こうした検討は、現在も障害児施策の担当と障害者施策の担当が互いに協力して行っているところでございますけれども、こども家庭庁設置後におきましても、こども家庭庁と厚生労働省の担当者が相互の業務に関する連絡会議等により緊密に相談しながら検討を行うことや、相互の業務を併任する等の人事上の工夫を行うこと、また、それぞれの審議会を合同で開催し、あるいは相互に報告等を行うこと等を通じまして、両者で密接に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/171
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172・田村まみ
○田村まみ君 こども家庭庁の設置によって所掌が分かれるけれども、連携しなければいけないところは、人事の面だったりとか、その会議の持ち方で今いろいろと両省庁が工夫していくというようなお話がありました。本来であれば、庁をつくらなくとも、様々な課題が複合化している福祉の課題というところについては、このように壁なくして、きちっと誰一人取り残されることのない対応がほかの分野でも必要だということを、是非、その例を見てほかの課とか局がまねしたくなるような形でのしっかりとした連携取っていただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
その上で、この児童福祉法の改正案では、都道府県や政令市に、障害児入所施設の入所児童等の移行調整が求められることとなっています。
厚生労働大臣、施設入所に対して自治体からは、半ば強制的な移行が行われないように利用者本人の意向を十分に確認して丁寧に調整を進めていってほしいというふうに声が上がっています。厚生労働省として具体的に、これまでも対応していなかったわけではないけれども移行ができなかったという現実がある中で、具体的にどのような対応をされるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/172
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173・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の改正案では、障害児入所施設から大人にふさわしい環境への移行調整について、都道府県及び指定都市が責任主体であることを明確化し、関係者との協議の場を設け、地域資源の整備等を含めた総合的な調整を行うこととしております。
この移行調整の際には、適切な意思決定支援の下、児童本人の意思を最大限に尊重し、児童本人の利益を最優先に検討していくことが重要と考えております。
このため、令和三年十二月に、障害児の新たな移行調整の枠組みの構築に関わる手引書をお示ししまして、まず、障害児入所施設において早い段階から将来の生活のイメージが持てるように、おおむね十五歳頃から、将来の居住の場と日中活動の場について具体的な選択肢を情報提供し、本人の希望する生活イメージを話し合うこと、個人ごとの移行支援計画を作成し、面談等で確認した本人、保護者等の意思や状況等を記録しながら定期的に見直していくこと等としております。
また、都道府県及び指定都市においても、移行調整が難しい場合については、本人の支援に関わる関係者が参加する個別ケース会議を設け、課題点を確認した上で必要な移行先の条件や支援内容等を検討すること、特別な事情により十八歳までに移行困難な場合は障害児入所施設への入所延長の判断等を行うことなど、丁寧に移行調整を進めることとしております。
国としても、都道府県、指定都市の担当者とコミュニケーションを図りながら、定期的に進捗状況を把握するなど、現に入所している者の福祉が損なわれるようなことがないように十分留意しながら、丁寧に進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/173
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174・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
私も、高校生、大学生の頃に、重度の障害を持った方たちを、地域で独り暮らしされるという方たちのボランティア行っていたんですけれども、やはり、御家族が反対して、なかなか自立で、一人で生きていくというところが選択できなかったというような声もいただいているんですよね。
今回、こども家庭庁できる中でもその意見表明の話が多く出ていましたけれども、特に障害お持ちの方は、なかなか自分が思っていても、親御さんが反対する中で自立というところに行けないということも例として聞いていますので、是非、今言ったようなことがきちっと対応されるようにということと、施設の中でそのような聞き取りがされて本人の状況が確認できたとしても、やっぱりその後の社会の問題ですね、地域包括ケアも含めてどうやってそういう方たちが自立的に生活できるかというところを各所で考えていかなければ、自分が元々生活していた地域に必ずしも意に沿った施設があるわけではないので、そういうことも含めて、何ですかね、接続がしっかりとされるような支援をしていただきたいということを求めておきたいというふうに思います。
次に、多分大きくは最後の質問になると思うんですけれども、児童福祉法の三十三条一項の一時保護についてお伺いしたいと思います。
今日も一時保護については様々議論が午前中ありました。今回の改正案で、一時保護が必要な場面を、児童福祉法の三十三条の一項で、児童相談所長が必要であると認めるときには一時保護が可能とされています。しかし、児童虐待のおそれがあるとき、少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたときの他の内閣府令で定める場合というふうに、改正の法文というふうになっています。
また、あわせて、四項では、裁判官が前項の規定による請求云々、ただし、明らかに一時保護の必要がないと認めるときはこの限りではない。裁判所の判断は、まず第一項に規定する場合に当たると認めるときには一時保護状を発する、ただし、明らかに一時保護の必要がないと認めるときにはこの限りではないというふうになっています。
そこで、お尋ねします。法文を読み取る限りにおいて、裁判所の判断で、一時保護がなされるべき事案で一時保護状が発付されない事態の懸念、これを参考人質疑のときに浜田参考人からも示されておりました。厚生労働省としては、具体的にどのような場面を想定しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/174
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175・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正案におきまして、一時保護の要件を法令上明確化した上で、一時保護状の請求を受けた裁判官は、これらの要件に該当する場合には、明らかに一時保護の必要がないと認めるときを除いて一時保護状を発付するということとされております。
一時保護の要件に該当するときには一般的には一時保護の必要性もあるものというふうに考えられ、この明らかに一時保護の必要がないと認める場合というところにつきましては、児童相談所の判断に明らかな裁量の逸脱又は濫用があるような場合でございまして、そのような場合には、一時保護状が却下されるということはあります。
司法審査の具体的な運用方法については、子供の安全を確保するために必要な一時保護が引き続き確実に開始できる制度となるよう、現行制度下において様々な場面で実施されている一時保護の実態にも留意しつつ、実務者も構成員に含む作業チームにおいて施行までにしっかりと検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/175
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176・田村まみ
○田村まみ君 なので、ちょっとその場面が思い付かないので聞いてみたんですけれども、これまでにこの法文を設定するのに何か懸念された事態みたいなことが具体的にあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/176
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177・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 具体的にどのような場面を想定するかというところにつきましては、最終的には個々の事案における裁判官の判断によるということになってまいりますが、明らかに一時保護の必要がないと認めるときに該当するケースとして、私ども、いろいろと立案段階で議論しましたケースとして申し上げておきますと、例えば、今回明確化した法令上の一時保護の要件には該当するものの、親権者等以外の親類宅などで安全に子供を保護できることが明らかであって、その様態や家庭環境等の事情に照らして明らかに保護の必要性がない場合であるにもかかわらず児童相談所がその事実を考慮しなかった場合など、そういったケースなどがあり得るのではないかというふうなことを考えておったわけでございますけれども、いずれにしましても、今後、実務者のチームにおきまして、具体的な部分を詰めた上で検討させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/177
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178・田村まみ
○田村まみ君 現実的に、浜田参考人からも、一時保護の目的規定に必ずしも峻別されない形の一時保護も今も行われているけれども、そこは冷静な現場の判断でということだというふうにおっしゃっていましたし、現状の一時保護が極めて広範囲な目的で行われていることに着目すると、何かこれまでとは違う制限が掛かるのではないかという懸念、そういう懸念が述べられていました。
いずれにしても、子供の最善の利益は前提とするということは当然だというふうなことで、今後の議論でということになっておりますが、答弁いただきましたが、三十三条の一項で、内閣府令では一時保護がなされる事例が列挙されていくというふうにこの法文を見ているときに受け止めています。
これまでにできていた一時保護ができなくなるんではないかという懸念、列挙されない事例が起きたときにこの一時保護がなされないんではないかという懸念がありますので、漏れなく列挙するということは無理というふうに考えたときには、一時保護ができるよう、もうどんな場合でもできるように、包括的に読めるような内閣府令の記載にするべきだというふうに考えますけれども、こちらについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/178
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179・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案において一時保護の要件を法令上明確化することとしておりまして、児童虐待のおそれがあるとき、少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたときは改正法案中の中で明示しておりますが、その他の要件は内閣府令で定めることとしております。
内閣府令で定める一時保護の具体的な要件については、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討していく予定でございますけれども、児童相談所がちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるよう、いわゆる調査保護など、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。
まずはできる限り類型化に努めた上で、委員お尋ねの包括的な規定についても、当該規定をもって裁判官が一時保護の適正性を迅速に判断可能な規定ぶりとする必要がある点に留意すべきとは考えますけれども、包括的な規定の必要性も含め、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/179
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180・田村まみ
○田村まみ君 是非、実務者の人たちがやっぱり包括的なものが要るということで議論が進めば可能性が出てきたというふうなところは今答弁いただいたというふうに思っていますので、いま一度浜田参考人にもそれはお伝えしたいなというふうに今聞いていて思いました。
最後に、この今回の改正法によってこの一時保護の開始の判断に関する司法審査が導入される中で、行政のチェックをしていくという意味では重要だと思いますし、もちろん親権者との難しい案件に対しても、この司法審査があるということで現場の混乱というところが解消されるということに寄与することは理解しています。しかし、児童相談所における法務などの事務処理の負担が増えるという懸念はもう厚労省にも伝わっているというふうに認識しています。
そこで、例えば医療機関での医療クラークのように、業務分担を例に、一時保護状の請求の書面の作成といった業務については、例えば一時保護の親権者からの同意や、また考え方の整理とか統一の書式、そういうものを作って、現状の人員不足を勘案した事務手続の簡素化だったり業務分担を現場の声を聞いて進めていくべきだというふうに考えますけれども、厚生労働大臣、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/180
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181・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 今般の児童福祉法改正案において一時保護開始時の司法審査を導入することとしておりますけれども、その件数も多数となることが予想されるところでありまして、委員御指摘のとおり、児童相談所の事務負担が過剰なものとならないよう、しっかりと検討していく必要があると考えます。
具体的には、委員の御指摘のように、一時保護の司法審査に当たって、どのような方法で同意を取得することとするかの考え方や、裁判所に提出する請求書類について全国共通の様式を設けることや資料の簡素化を行うことなどについて、今後、施行までの間に、実務者から構成される作業チームにおいて議論し、検討してまいります。また、一時保護開始時の司法審査の導入に当たり、児童相談所が裁判所に提出する疎明資料の作成や裁判所との間で疎明資料のやり取りを行う事務が新たに発生することになるため、人材確保も含め、児童相談所の司法とのやり取りのための体制強化が必要と認識しております。
厚生労働省としては、弁護士を配置した場合や弁護士事務所等に委託を行った費用の補助を行っており、さらに、司法のやり取りを行う事務職員を配置した場合の費用の補助を令和四年度に創設するなど、これまでも児童相談所の司法とのやり取りの体制強化を図っているところであり、今後、更に必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/181
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182・田村まみ
○田村まみ君 今、それ以外の業務のところの費用は出ると言ったんですが、そもそもの児童福祉に関わっている方々の処遇改善、これもしっかりとやっていただきたいということを求めて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/182
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183・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
今日も児童福祉法等の改正の質疑に入るんですけど、まず前段、答弁は要りませんので、ちょっと私からお願いというか、依頼になりますけれども。今日のお昼休みも新型コロナ対策の与野党の連絡協議会がありまして、やはりこの中でマスク問題というのは出てきました。
私の地元の関西でも、先週、体育大会、高校生だと思いますけど、体育大会で三十名の生徒さんが救急車で熱中症で運ばれたと。それから、その翌日は、兵庫県ですけど、二十二名の中学生が、これも熱中症で救急搬送されたと。しかも、これをニュースで見ましたら、何と六百人の生徒が全員マスクをして体育大会の練習をしていたと。
これ、もうコロナが怖いのか熱中症が怖いのか全く分からない状況でして、先ほど田村委員からも指摘がありましたように、外してもいいよではなくて、熱中症対策の場合は、もうこういう場面は外さなければならないというところまで、これ文科省とももう一度連携を取っていただいて、しっかり指示を出していただくことが私は大事なことじゃないかなというふうに思いました。
それからもう一点は、これは生徒さんだけではないんですけれども、なぜ人がマスクをするのかというのを聞くと、感染防止を期待しているという面もあるのかもしれませんが、最近比較的多いのが、マスクをしていれば、感染者が近くにいても濃厚接触者にならないから。つまり、濃厚接触者にならないから、そのためにマスクをしているんだと。外していれば濃厚接触者になる、やっていれば何もなくその次の日からも動けるという、この濃厚接触者という概念が残っている限りは、これ幾ら指示を出してもなかなかマスクを外すことにはならないんじゃないかなというふうに思います。
ですから、以前から私が申し上げていた、この濃厚接触者の扱いをどうするか、これをセットで議論をしないと、多分マスクを外すという流れにはならないんじゃないかなと思いますので、特に生徒さんの熱中症対策と、それから濃厚接触者とマスクの関係をどう考えるのか、ここをまたしっかり整理をしていただきたいなというふうに思いますので、これは依頼ということで、また検討していただきたいなと思っております。
それでは、今日、質疑の方に入っていきたいと思いますが、これも先ほどから続いておりますいわゆる一時保護の際の司法審査の導入について改めてお伺いをしたいと思っております。
先週六月二日の参考人質疑でも、私、これ、参考人の浜田弁護士に質問をさせていただきました。今回、司法審査を導入するというのはいろんな考え方があるかと思いますが、今まで政府の説明は、一時保護手続の適正性、そして透明性の確保、これが司法審査の導入の一つの大きな目的だという、こういう説明があったんですけれども。
じゃ、逆に言いますと、司法審査を導入するメリットは何なんですか、どういうメリットが考えられるんですかという、こういう質問をしましたら、参考人の方から、浜田弁護士からは、行政を監視していくというのは一つの役割なんじゃないかという、こういう答弁があったんですけれども。ただ、行政を監視するというのは、これは何もメリットではないと思うんですね。例えば、子供さんであったりとか保護者の方にとって直接のメリットかというと、私はそうではないと思うんですけれども。
改めて、今回一時保護に関わる親権者等が保護を拒否した場合、この司法審査の導入のメリットというのは一体何なのかということを、これをもう一度教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/183
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184・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 委員から御指摘のあった六月二日の児童福祉法案の参考人質疑において、新たに導入する司法審査の意義として、参考人より、行政に対する司法のチェック機能が果たされることがあるのではないかといった指摘があったものと承知しております。
厚生労働省の考え方としても基本的に同様でありまして、これまで児童相談所等が必要に応じて実施する一時保護について、行政とは異なる第三者の裁判所が審査して適正性を判断することで手続の透明性が確保されるといった意義があるものと考えております。
加えて、一時保護の司法審査の手続の過程において、児童相談所においてもこれまで以上に丁寧にアセスメントを行うことや関係機関と連携を強化することが考えられるため、より一層子供の最善の利益を考慮した適切な一時保護がなされるものと認識しております。さらに、裁判所から当該一時保護状の発付があれば、親権者等の理解が、理解や納得感を得やすくなり、具体的な支援の段階に進むことができるとの意見も伺っております。
このような今般の一時保護の開始時の司法審査の意義について、児童相談所に御負担をお掛けすることとなるわけでありますけれども、児童相談所等の皆様に丁寧に説明し御理解いただいた上で、円滑な施行に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/184
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185・梅村聡
○梅村聡君 答弁としてはそれでいいかと思うんですが。
それからもう一つは、今回司法審査を入れるというのは、やっぱり世界の流れというものを意識されていると思いますので、その辺りは理解できるんですが、逆に言うと、行政が例えば何か一時的に人の権利を制限したりとかいうことというのは、別に児童相談所以外の場面でもそれは当然あることだと思うんです。
一時保護に関して、例えばアセスメントを丁寧にするとか関係機関と協力するということは、これは何も司法審査があろうがなかろうが、本来は行政がやるべき課題であって、これ、ピアレビューという言い方もあるかと思いますが、その司法審査を入れるからそういうものができるんだとかいうことではなくて、私は、役所そのものが、行政そのものが、本来はそういう機能も含んで自分たちでピアレビューできるという、これが私はベストなんじゃないかなと感じておりますので、今回は一定の理解はさせていただきますけれども、やっぱり、あらゆる行政機関は外部からチェックされるんじゃなくて自分たちでチェックできる体制をつくっていく、これがやっぱり僕は大切なことじゃないかなと思っておりますので、その点は是非問題意識を共有させていただきたいと思っております。
それでは、次の課題に行きたいと思いますが、今回、児童にわいせつ行為を行った保育士さんに関して資格管理の厳格化が図られると、これも法律事項に入っているかと思います。
具体的にはこれ、これまで教員ですね、教職員の方への基準と合わせていくんだと、児童福祉法をそれに合わせていくんだということが一つのテーマだと思うんですけれども、じゃ、具体的にこれは何を指すのかということについては、今年の四月一日から施行されています教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律、これの第二条第三項に規定する児童生徒性暴力等、これを指すことになるんだと思います。
私も実は、自分が医療現場で働いていまして、今も時々お手伝いをすることがあるんですが、やっぱり非常に難しいなと感じることがあるんですね。というのは、例えば医療行為そのものが、それがわいせつ行為じゃないかというふうに例えば患者さんや御家族から指摘されたときに、さあ、実際はそんなこと一切ないんだけれども、じゃ、それはそうじゃないということをどうやって証明するのかって、これも非常に難しい問題だと思いますし、特に保育所等は、やはり性的な、いわゆるそれに近い行為ありますね、着替えであったりとか、あるいはおむつの交換であったりとか。
だから、やっぱりそこの線引き、どういったものがわいせつ行為に当たるのかというガイドラインをしっかり作らないと、これ現場の保育士の皆さんも、正直安心して仕事をするということには僕はならないんじゃないかなと思っておりますので、これ、こういったガイドラインであるとか、あるいはどういう形で正当な業務をすればわいせつ行為等に当たらないのか、こういう基準というのをこれから作られるのかどうか、どういう取組をしていくのかを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/185
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186・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今回の児童福祉法の改正法案におきましては、児童へのわいせつ行為を行った保育士の登録を取り消すこととしておりますが、ここで言う児童へのわいせつ行為とは、先行して教員免許の資格管理の強化を行いました教員職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律における児童生徒性暴力等と同じものとなっております。具体的には、児童に性交等を行うことや児童ポルノ所持等の罪に当たる行為をすること、衣服等の上から又は直接に性的な部位その他の身体の一部に触れることなどが定義として規定されております。
このうち、性的な部位その他の身体の一部に触れることとの定義に関しましては、今委員からも御指摘いただきましたように、乳幼児の着替えやおむつの交換など正当な業務として行う場合には、必要な範囲、対応にとどまる限りにおいては該当しないとするなど、詳細な取扱いについて、既に今年四月一日から施行されている幼稚園教諭の取扱いを参考に施行までに整理し、現場の保育士の方々が安心して業務に専念できるようしっかりと周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/186
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187・梅村聡
○梅村聡君 これからその場面場面をしっかりガイドラインを作っていただけるということになったかと思いますけれども。
そうしますと、これ具体的にこの法律が施行された場合、あるいは現行もそうだと思いますけれども、具体的には都道府県が、保育士がわいせつ行為を行った場合には保育士の登録を取り消すんだということになるかと思いますが、これ現行、この法律が今回新しくなる前の今の時点、現行は、都道府県は、その保育士さんがわいせつ行為を行ったと、これ保育所の中の場合と外の場合とがあると思いますが、現実的にはそういった行為を行ったというのは、都道府県はどうやってその情報を得ているのか、まず現状教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/187
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188・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 保育所等の施設に勤務する保育士がわいせつ行為などの罪を犯した場合の情報の把握につきましては、国から都道府県への通知に基づきまして、保育所を管理する都道府県において事案の積極的な把握に努めるようお願いしているところでございます。
具体的には、各都道府県は、あらかじめ保育所を始めとする保育士が勤務する施設等に対しまして、各施設等に勤務する保育士が逮捕されるなど欠格事由に該当するおそれが生じた場合には、当該保育士の氏名などの情報を都道府県に報告するように依頼しております。
保育所に勤務している場合にはそういった取扱いでお願いしているわけでございますが、一方で、保育士資格を有しているものの保育所等に保育士として勤務していない者が児童わいせつ等を行った場合については、本人からの申出や報道等により都道府県が把握する場合も考えられますが、都道府県がその事実を全て把握するというのはなかなか困難であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/188
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189・梅村聡
○梅村聡君 だから、現状がまず難しいんだと思うんです。全例を把握するのは正直なかなか難しいのかなというふうに思います。
具体的には、今御説明があったように、保育所に勤めておられる方と勤めておられない方というこの二つでまず状況が変わってくるかと思いますし、仮に勤めていたとしても、その保育所の中で行われたわいせつ行為なのか、それとも、例えばプライベートでどこか遊園地とかそういうところに行って、そこでわいせつな行為を行った場合か。先ほどおっしゃったように、逮捕だったら、これ身柄が来ないわけですから、これは何かあったかなと分かるかと思いますけど、じゃ、罰金刑のときはどうなのかとかですね、これ、全例把握するというのは非常に難しいことなんじゃないかなと思います。
実は、私と同じ医師も時々そういう事案というのがありまして、これは、全国の病院の事務長さんは今非常に困っておられます。医療現場と関係ないところでそういう犯罪を犯したと、それで逮捕されたり、逮捕じゃなくても、釈放されたとしても、これは全く分からないと。分からないんだけど、何となく都道府県の警察から都道府県の県庁かどこかに、あなたのところに勤めているドクターはこういうことをやったみたいですよと。そうしたら、県庁はそれを把握して医療機関に、ちょっとおたくに勤めている誰々医師はこういうことをやったという話があるんですけどといって大騒ぎになるという。
こういう、よく分からない中で情報が何となく流れてきて、ああ、そういうことがあったんじゃないか、なかったんじゃないかとかいうことで、今、きちっと把握するという仕組みを一体どうやってつくるのかということが問題になるかと思いますが、今回のこの法律が通れば、そういった全例把握、罰金であったりとか、禁錮刑以上は分かるかと思いますが、これは、具体的にどのようにきっちりこの法案が通れば把握できるようになるのか、どういう仕組みを考えておられるのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/189
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190・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今回の児童福祉法の改正法案におきましては、保育士を任命又は雇用する者は、保育士が児童にわいせつ行為を行ったと認められる場合には速やかにその旨を都道府県知事に報告しなければならないといたしまして報告を義務付けるとともに、報告すべき内容にはプライバシーにも関わる機微な内容が含まれるため、都道府県知事への報告については法令上の守秘義務違反に該当しないということを規定しております。
しかしながら、保育士資格を有しているものの保育士として施設等に勤務していない者については、勤務先が保育士資格を保有している事実を把握していない場合も考えられまして、現行と同様、児童に対してわいせつ行為を行った場合に、その全てについて都道府県が把握するということはやはり困難ではないかというふうに考えております。
厚生労働省としては、まずは今回の法改正を受けて、保育士を任命又は雇用する施設等からの報告がしっかり行われるよう、改正の趣旨、内容について周知徹底を図りまして、児童をわいせつ行為から守る環境整備を行ってまいりたいと考えております。
さらに、保育士資格制度及び教職員免許制度を超えた幅広い職業横断的な取組ということにつきましては、今後新たに創設されるこども家庭庁におきまして、教育や保育などの施設等が、教育・保育施設等や児童が活動する場、例えば放課後児童クラブとか学習塾とかスポーツクラブとか部活動など、こういったものにおいて働く際に性犯罪歴についての証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSと呼ばれる仕組みの導入の検討を進めることとされておりますと、進めることとされていると承知しておりまして、こうした対応なども含めて、関係省庁とともに児童を性被害から守る取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/190
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191・梅村聡
○梅村聡君 ですから、一歩前進はしたんだと思うんですね。保育士を雇っている方は、自分たちの雇っている保育士さんが犯罪を犯したとか、あるいは、保育所の外で行ったことでも知ったらこれは報告をしなければいけないよということで、これは一歩前進だとは思いますが、網羅的に全部を把握するということに関しては、これまだこの法律だけでは十分ではないかと思いますので、ここは非常に課題として今後も考えていかなければいけない点じゃないかなというふうに思います。
それで、前回、厚生労働委員会と内閣委員会の連合審査会がありまして、そのときに私の隣の石井苗子委員が、具体的にこれ、わいせつ行為を行った保育士さんを、じゃ、例えば登録が取り消されたと、教職員だったら免許が取り消されたということだと思いますが、この人をもう一度現場に戻すということが、これは教育をすればそういう行為をしなくなるから戻れるのか、いや、元々実はそういう嗜好を持っている方をもう一度現場に戻すというのは、その方にとっても非常に酷なことなんじゃないかと。この辺の考え方をはっきりさせないと、一定の期間が過ぎて、例えば欠格期間が終わりましたから、この方は全くそういうことはしない方ですと自信を持って子供さんとか保護者の方にお勧めできるのかといったら、ここは非常に微妙なところだと思うんです。
教職員の方の話をちょっとさせていただきますと、今年の四月から法律が施行になりましたけれども、ガイドラインが出されています。このガイドライン、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針、ここの二十三ページに、再免許授与の基本的な考え方としては、再授与審査の基本的な趣旨は、児童生徒性暴力等を行ったことにより懲戒免職等となった教員が教壇に戻ってくるという事態はあってはならないと、実はこういう記述があるんですね。あるいは、この法律の審査の最初の趣旨説明もこのように書いてあります。令和元年度には、大変残念ながら、百二十一名の公立学校教員が児童生徒に対するわいせつ行為を理由として懲戒免職となりました。被害を受けた方々の心情に思いを致せば、このような教員が教壇に戻ってくるという事態はあってはなりませんと。
これ趣旨説明でもこういうふうにされていますから、基本的には、じゃ、なぜ再登録の審査をするのかと考えれば、これは戻ってこないということが前提なんだよという考え方の中で、実は教職員の方は再登録というか、これ再登録じゃないですね、再免許を授与するという考え方に立っているんですけれども、これ今回の児童福祉法の改正では、そういった保育士の方は二度と戻ってきてはならないということが前提なのか、ちょっとこの基本的な考え方ですね、この理解の仕方について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/191
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192・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今回の法改正におきましては、児童へのわいせつ行為により保育士の登録を取り消された者について、都道府県児童福祉審議会がその後の更生状況などを厳格に審査し、保育士の登録が適当と認められる場合に限り再登録が可能となる仕組みを創設することといたしております。
したがいまして、再登録審査というのは、児童へのわいせつ行為により保育士登録を取り消された者が再び保育士の資格を取得する道を完全に閉ざすということを目的としているわけではございませんが、現行法では、一定の期間を経過すれば再登録が形式的な届出により可能となっているところを、今般の法改正後は、一定期間が経過した後においても、保育士として再登録が適当か否かを改めて総合的に判断し、改善更生の状況その他その後の事情により保育士の登録を行うのが適当であると認められる場合に限り再度資格を付与する仕組みとすることで、児童にわいせつ行為を行った保育士が更生もしないまま再び保育現場に戻ってくるという事態を避けることとなります。
この見直しの内容というのは基本的に教職員免許の再授与審査と同様の趣旨であり、具体的な審査の在り方等については、先行して実施している教職員免許の運用内容なども参考としながら、児童へのわいせつ行為を行った保育士が再び保育の現場で同様のわいせつ行為を行うことがないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/192
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193・梅村聡
○梅村聡君 ですから、実際は、再登録の審査というのは、やっぱり普通に考えれば困難を極めると思います。第三者がその方とずっと接していて、更生期間というか、そのプログラムに寄り添っている方だったらそれは判断できるかもしれませんけれども、やっぱり第三者がそれを、もう二度とわいせつ行為をしないということを証明するというのは、僕は正直なかなか難しいことだと思いますので、そう考えますと、今はっきりとした答弁はなかったですけれども、教職員と同じ趣旨で行っていくということから私が類推するには、恐らく、基本的には元に、更生が一定の期間でできるんだよという前提ではないんじゃないかなという御答弁だと私は捉えました。これ、捉え方もいろいろあるかと思いますが、少なくとも、第三者が客観的に二度とわいせつ行為を行わないということを判断するのは非常に難しいことじゃないかなということ、これを是非指摘をさせていただければなというふうに思います。
それでは次、望まない妊娠についても少しお聞きしたいと思いますが、これ、いろいろニュース等で、望まない妊娠をした女性の方がなかなか言い出せないと。例えば、身近な方とか親類縁者も含めてなかなか言い出せずに週数だけがどんどん進んでいって、人工妊娠中絶も不可能だということで出産に至ると。自宅であったりとか、ニュースでは、トイレ等というニュースなんかもありますけれども、そういった状況というのがこれニュース等では我々よく拝見をします。
ちょっとこれ提案なんですけれども、例えば企業等に協力を求めて、例えば妊娠検査薬の会社の妊娠検査薬のパッケージとか、あるいは生理用品であったりとか、あるいはそういう方がひょっとしたら立ち寄るかもしれない公共施設か漫画喫茶とか、そういうところに、相談窓口というのはここに連絡をしてください、あるいはQRコードでここを取り込んだら悩んでいてもちゃんとサポートをしますよと、そういう相談窓口を商品のパッケージとかあるいは公共施設とか、そういうところにもっと幅広く載せることによって相談窓口につなげやすい環境をつくっていくことが大事かと思いますが、これに対する見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/193
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194・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 予期しない妊娠や性の悩みを持つ若者などが一人で悩まずに適切な相談窓口につながるような周知を行うということは重要というふうに考えております。
そのため、厚生労働省におきまして、若者向けに性や妊娠の悩みに対応する知識や相談窓口の情報を提供する健康相談支援サイトといたしまして、スマート保健相談室というものを本年三月末に公開したところでございます。その中で、予期せぬ妊娠等の相談窓口の一覧に加えまして、当該サイトを周知するためのポスターとかカード、シールなどを掲載しております。
本サイトの周知啓発といたしまして、健やか親子21の応援メンバーである企業や団体、自治体に御協力いただきまして、ポスターやカード等の活用や、企業等のウエブサイト内での紹介等を実施しているところでございますが、今後、更なる周知につきまして、今委員から御指摘いただいたことも踏まえて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/194
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195・梅村聡
○梅村聡君 やっぱりこれ、要するに周知徹底が大事だと思いますので、是非いろんな機会を捉えていただければなというふうに思います。
それからもう一つ、妊婦健診についてちょっとお伺いをしたいと思いますが、これ、全市町村が十四回分の妊婦健診の助成を今行っているところだと思います。
これ、厚生労働省のホームページを見ましても、妊婦一人当たりの公費負担額の全国平均は十万五千七百三十四円というふうにホームページに掲載をされていますけれども、これ、民間団体の子どもと家族のための緊急提言プロジェクトというところが、二〇二二年四月、先々月ですね、出産費用に関する調査が行われていまして、ここの自由記載欄に、助成はあるんだけれども、毎月の妊婦健診だけで更に持ち出しが四千円から一万円掛かると、妊婦健診だけで実は妊娠期間中に合計数十万円の持ち出しがやっぱりあるんだと、こういうことが実は記載をされているんですけれども、厚生労働省は、この妊婦健診に当たり妊婦の方が支払う金額、具体的に自腹で支払う金額、これどの程度になっているかということは現時点で把握されているのか、また実態調査を行っているのか、これ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/195
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196・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 妊婦健診につきましては、厚生労働省の告示によりまして、出産までに十四回程度健診を実施することや、妊娠週数に応じた医学的な検査項目をお示ししております。また、平成二十五年度からは、これらに係る費用の全てが地方交付税として措置されているところでございます。
厚生労働省では、地方自治体に対して妊婦健診の実施状況の実態を調査しておりまして、全ての自治体で十四回以上の妊婦健診の費用助成が実施されているとともに、全国平均で約十万五千円の公費負担が行われているという状況になっております。
一方で、都道府県別で見ますと、公費負担の金額や検査項目にばらつきが見られております。また、医療機関によっては、国が示している検査項目以外の検査を任意で実施しているところもございまして、こうした検査の実施が妊婦の方の自己負担となっているといった意見があることも承知いたしております。
このため、厚生労働省におきましては、引き続き自治体に対する実態調査を行って妊婦健診の自己負担軽減のための取組を促していくとともに、国の方で定めている検査項目以外の検査の実施に当たっては、妊婦の方々が費用やサービスを踏まえて検査項目を選択できるよう、医療機関からの選択肢の明示の促進等についても検討を行うなど、妊婦の方々が安心、安全で出産できる環境整備に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/196
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197・梅村聡
○梅村聡君 これ、妊婦健診は自由診療になっていますので、これ様々なお勧めをされるんですね。私が聞いた話は、超音波検査やるかと。これ3Dなので子供さんの顔が記念に撮影できるよとか、そういう費用まで上乗せされて、助成があるのに、じゃ、持ち出しがこれだけ出るというのは、やっぱりそれはちょっと私は趣旨とは違うと思いますので、是非実態調査をしていただいて、お勧めメニューですね、厚労省としてのお勧めメニューはこういうものなんだみたいなことをきちっと示した上で費用も考えていただきたいと、このことを最後に指摘しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/197
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198・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会の石井苗子です。
さて、内閣委員会と厚生労働委員会の連合審査というのをこの間やらせていただきました。縦割り行政の弊害ということをちょっと質問させていただきましたけれども、私も、今ちまたに出ていきますと、縦割り行政の弊害というのは一体具体的に何なんだと、縦割りのどこが悪いんだという、こういう質問を町中で受けるんですね、もっと具体的に言ってくれと。
総理は、縦割りという方が責任の所在がはっきりしていて、縦割りのメリットというのはそこにあるんだというようにおっしゃっておりました。しかし、最も縦割りの弊害が出たのが、やっぱり幼稚園、保育園、認定保育園と一元化しましょうといったのが三元化になっちゃったというような、どうしてもその一つ一つの責任の所在をはっきりしたいということが挙げられる。それによって、政府の言い分としては質の向上が担保されると考えますということなんですが、この政策に関する縦割りの弊害というのを私お聞きしたんですけれども、これまで弊害についてきちんと認識していらっしゃるかどうかという、この自覚の点につきまして、私は最初に今日質問させていただきたいと思うんですね。
幼稚園を所属する文部科学省との間、この意思の疎通がうまくいっていないという文章はよく目にするんですけれども、これ厚労大臣、子供の政策に関してこれまで縦割りの行政に弊害があったということで何か反省している点とかいうのがあったら教えていただきたいんで、反省点ってありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/198
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199・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 厚生労働省としては、子供家庭行政を進めるに当たりまして、これまでも、例えば保育所や児童相談所などの福祉の現場と学校教育の現場とが円滑に連携できるように、文部科学省とヤングケアラーへの支援に関する副大臣級のプロジェクトチームを開催する、文部科学省及び内閣府とともに保育、児童教育の分野に関する課長級の三府省会議を開催するなど、関係府省庁との連携を深めて縦割りの弊害が生じないように努めてきたと。ですから、やっぱり努めてきたということは、そういうことの問題意識を十分に持っていたということだというふうに考えております。
さらに、政府としては、これからの子供や若者に関する施策を進めるに当たって、常に子供の最善の利益を第一に考えて、子供に関する取組施策を我が国社会の真ん中に据えて進める、こどもまんなか社会を目指すための新たな司令塔として、こども家庭庁を令和五年四月に創設すべく、関係法案を国会に提出し、御審議いただいているところです。
こども家庭庁創設後も、その司令塔機能の下で縦割りの壁を克服し、子供への支援が行き渡るように厚生労働省としても努めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/199
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200・石井苗子
○石井苗子君 やってきた、努めてきた、努力してきたと。やろうと思ったけどできなくなってきたというような、こういう、失敗した、反省したというような御返答ではなかったと思うんですが。
縦割りの自覚があるかどうかと最初に申し上げましたように、義務教育の移管ということは文科省の解体につながりかねないわけでございまして、文教族と言うのも変でございますが、議員の皆様は、これは死守しなければならないと、全力を掲げてそうすると思うんですが、結果、幼稚園から高校まで文科省に残るということでございますと、教育行政は文科省が主導するんだと、ここには指一本触れさせないんだというような雰囲気があると。
それで、日本維新の会は、私個人じゃないですけど、日本維新の会は、縦割り行政の弊害のことを、文科省を改編して子供政策を一元化に行う教育子ども福祉省に代替わりしていくことがいいんじゃないかという、この設置法案というのを提言してきたわけなんですが、これは将来的にどうなるか。これ、もう政治の世界で、子供を中心に、子供を真ん中に添えてというんだったら、少し変わっていくのがいいんではないかと個人的にも思います。
その関連で、子供中心にということで、先ほどから出ております一時保護のことについて、この手続の質問をさせていただきます。
児童相談所は、保護に必要とする手続というのあるんですね。これは、福祉法、児童福祉法三十三条に定められた一時保護の手続というのは、強制的に子供を親権者から引き離すというものですから、かなり慎重でなければいけないと私は思います。
一時保護の手続、かなり複雑ですので、まず整理したい。一時保護の手続、流れについて、簡単に御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/200
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201・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童福祉法に基づきまして、児童相談所長等は、必要があると認めるときには、子供の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は子供の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、子供の一時保護を行うことができるというふうにされております。
児童相談所における虐待ケースにおける一時保護のプロセスでございますが、まず、虐待のおそれがあるといった関係者からの情報、いわゆる虐待通告、これを受け付けまして、緊急受理会議というものを開催した上で、速やかに主たる担当者や調査、診断の方針、あるいは子供の安全確認の時期や方法、こういったものを検討いたしまして、その会議の結果に基づき、一時保護が必要な場合は一時保護を実施するということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/201
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202・石井苗子
○石井苗子君 一時保護の判断ということで、私は、特に注目したいのが緊急判断についてなんですが、この一時保護の判断を誤ると子供の命を危険にさらすことになるわけです。不幸にして児童虐待事件が起こるたびに、その児童相談所や自治体の関係者が、今御説明があったように、適切に判断しというふうにおっしゃっていますけれども、新聞記事などSNSだの読んで、記者会見が行われている場面のニュースを読みますと、なかなかそれは規則どおりに、判断どおりにいかないという、もめ事が生じているということが頻繁に起きております。
児童福祉法三十三条、児童相談所長は、必要があると認めるときには一時保護を行うことができるとなっております。この必要があると認めるときの判断は、緊急性とも考えられる、緊急性ということが判断要因としてあると思うんですが、どのように行っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/202
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203・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護の必要性や緊急性の判断に当たりましては、子ども虐待対応の手引きにおいてお示ししております一時保護決定に向けてのアセスメントシートというものを用いるなどしまして、リスクを客観的に把握し、リスクが高い場合にはちゅうちょなく一時保護を実施するように児童相談所運営指針でお示しをいたしております。
この一時保護決定に向けてのアセスメントシート等におきましては、例えば、子供や保護者が保護を求めているかどうか、当事者の訴える状況が差し迫っているかどうか、既に虐待により重大な結果が生じているかどうか、あるいは、次に何か起これば重大な結果が生じる可能性が高いかどうか、虐待が繰り返される可能性が高いかどうか、虐待の影響と思われる症状が子供に現れているかどうか、保護者に虐待につながるリスク要因があるかどうか、虐待の発生につながる可能性のある家庭環境等かどうかと、今申し上げたような様々な要素というものを勘案して、児童相談所において緊急の一時保護を検討するということについてお示ししているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/203
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204・石井苗子
○石井苗子君 正確なアセスメントシートだったと思います。
いつか読む本という映画があるんですが、そこの主人公が出てくるのが、児童相談所のそのアセスメントをやるシーンがございまして、イエス、ノー、イエス、ノー、イエス、ノーでこれを、今言ったのを丸して矢印を付けていくんですね。それで、まるで警察の逮捕みたいに出動といって緊急判断をしたということで、子供を緊急性がありますからって引き揚げてしまうんですが。
そういうアセスメントシートによってもまだ、先ほど言った記者会見なんか見ますと、いや、児童相談所の人は昨日まで私の意見を聞いてくれたのに、今日急に来て、けんかをしたからといって子供を取り上げてしまったというようなことで、児童相談所の人が辞めてしまうというような、そういうマイナスな事件を起こしたりしているので、この解決方法としてAIによる緊急判断というのを考えていると。
一時保護の判断は非常に難しいので、厚生労働省は、この判断にAIを活用しようという試み、AIを活用した緊急判断に資するツールの開発促進という取組を進めているというのを発見したんですが、通告の対象となっていた児童についてリアルアセスメントの項目を入力し、アセスメント情報を蓄積しておく、蓄積された情報をAIが解析、予測することで一時保護の判断の参考とし、指針の表示を行い、職員をサポートすると。
これは、AIがそう言っているんですから、私が言っているんじゃないんですからというような感じになるんでしょうか。一時保護の判断においてAIのサポートを使うというのはどうしてなんでしょうか。AIというのは一時保護の判断に有用でしょうか。どんなシステムになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/204
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205・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 厚生労働省におきましては、児童相談所における一時保護の判断に資するためのAIツールにつきまして、関係閣僚会議決定も踏まえて、令和四年度から設計、開発を行い、令和六年度に全国での運用を開始することを目標といたしております。
このAIツールの具体的な内容といたしましては、AIが過去の類似事例に照らして一時保護の必要性や再発の可能性を表示する機能などを考えておりまして、AIツールの有効性につきましては、児童相談所において職員の経験の差の補正が期待されるなど、緊急を要する一時保護の判断をサポートすることとなるものと考えております。ただ、あくまでもサポートでありまして、判断をするのは人間でございます。
また、AIツールの設計、開発の状況については、令和四年度予算で必要な経費を計上の上、現在、設計、開発に係る仕様書の案を公表して意見を募っているところでございますので、開発に向けて鋭意取り組んでおります。
厚生労働省としては、AIツールの令和六年度以降の運用に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/205
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206・石井苗子
○石井苗子君 しっかりと取り組んでくださいと思うんですけれども、私はAIで犯人捜しというのを経験したことがございまして、私が犯人になったときに、この人に似ている人を捜してこいと言ったら、AIが真っ白なコーヒーカップを捜してきたというミスがありました。私の顔はコーヒーカップに似ているということなんです。
そういうことは明らかなミスでございますから、人間がいなければ分からないんですけれども、AIが緊急性のサポートをするといって、人間が諸事情を総合的に判断しなければいけないわけですね、コーヒーカップであるわけないんですから。しかし、そういうようなことに、その一時保護に関わる児童相談所の職員に対する研修というのはとても大事なんです。何でもかんでも信じちゃいけないんです。だけど、これ、どのような研修があるのか、私はアセスメントシートの方がよっぽど正確だと思うんですが、研修、何かプログラムがあったら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/206
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207・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 済みません、最初に、先ほどAIツールについて御答弁申し上げました中で、AIツールの開発につきまして、令和四年度予算で必要な経費を計上の上、現在、設計、開発に係る仕様書の案を公表して意見を募っていると申し上げましたが、正しくは令和三年度補正予算でございました。訂正させていただきます。
それから、今お尋ねいただきました職員に対する研修でございますけれども、児童福祉司につきましては、児童福祉法に基づき、児童福祉司の任用後に法定研修を受講するほか、おおむね五年以上の勤務経験を有する児童福祉司が指導的な立場のスーパーバイザーとなる場合、その前の研修受講ということが義務付けられております。
この児童福祉司の任用後の研修の中身でございますけれども、一時保護の基礎的な知識といたしまして、子供虐待における一時保護事例の知識、子供虐待事例のケースマネジメントの基本、本人、家族、関係機関等からの相談、通告による事実や所見に基づく虐待の判断の手法、警察等の関係機関との連携、そういった様々なことを学ぶことといたしております。
それから、児童福祉司スーパーバイザーになる前の研修におきましては、より実践的な内容といたしまして、一時保護も含めた児童相談所の様々な対応について、演習形式でアセスメントやプランニングの実践的な力をロールプレーも活用しながら学ぶほか、スーパーバイザーに必要となる指導、教育の技術を身に付けるということといたしております。
これらの研修は、一時保護の必要性の判断を含めて児童福祉司の質の向上にとって大変重要であるというふうに考えておりますので、引き続き取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/207
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208・石井苗子
○石井苗子君 ちょっと聞いても、すごく大変なんです。それ、何年プログラムですか、二年ですか、一年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/208
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209・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 児童福祉司の任用後の研修カリキュラムにつきましては、全体といたしまして、一こま当たり九十分の割りで、全体として、四、六、九、十二、十四、十八、二十こまほど設定されておりますので、そういったその時間数で学んでいただくということが想定されております。それから、スーパーバイザーの方の研修でございますが、これは、一、二、四、五、六、七、十一、十二、済みません、児童福祉司の任用後研修につきましては二十こまで三十時間、それから、スーパーバイザー研修につきましては十九こまで二十八・五時間ということが予定されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/209
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210・石井苗子
○石井苗子君 一週間として、大体一年、毎日やっても、そういう研修を仕事をしながらやるというのは相当大変だと思うんですが、ただでさえ忙しいのにもう勉強ばっかりしなきゃいけないというような、そんなプログラミングを作ってもしようがないなと私は思うんですが、ちょっと質問を変えさせていただきます。
一時保護所の今の言った定員について質問させていただきます。
一時保護のための一時保護所という施設がございます。一時保護所は児童福祉法の第十二条の四で決められておりまして、児童相談所にある施設となっておりますが、あるいは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内にある、設置されている場所ということで、置き去りとか非行などについて子供を一時的に預かると、保護するという施設でございます。
全国に何か所あって、定員は今何人でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/210
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211・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 令和三年四月一日時点におきまして、児童相談所設置自治体は七十四自治体でございますが、一時保護所は計百四十五か所設置されておりまして、その定員は全体で三千二百七十名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/211
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212・石井苗子
○石井苗子君 こういう方々も、先ほどのAIの研修というのを受けるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/212
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213・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 先ほど私申し上げましたのは、児童福祉司あるいは児童福祉司のスーパーバイザーの研修のカリキュラムでございます。
児童福祉司は、児童相談所の中でもいわゆる相談支援部門の方に置かれている職員でございますので、一時保護所というのは、そういった相談支援の結果として一時保護をした子供たちの世話をする、そこで暮らすということをサポートする職員でございますので、先ほどの申し上げた研修プログラムとは違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/213
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214・石井苗子
○石井苗子君 分かりました。
そのプログラムを受けた人はスーパーバイザーであって、ここに、一時保護所のところに来て、そこの定員の方たちが実際に子供たちの面倒を見るということなんですけれども、ちょっと調べましたところ、その定員が、一時保護所の中に入る定員がかなりオーバーしている施設も多いと聞いております。
定員オーバーをしているという状況における理由は何が挙げられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/214
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215・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 都市部の一部の一時保護所におきましては定員超過が慢性的に続いている現状がございまして、子供の処遇改善や適切な支援の実施の観点から、定員超過の解消というのは急務であるというふうに考えております。
この定員超過の理由でございますけれども、様々なことが考えられますが、昨年、定員を超過している一時保護所がある自治体に私どもの方がヒアリングを行ったところ、例えば家庭復帰するための環境整備に時間を要したことや、あるいは、適切な受入れができる入所施設や里親が見付からなかったことなどによりまして一時保護が長期化することがあって保護所の定員超過の原因になっていると、そんなふうな意見が多かったというふうに認識しております。
厚生労働省としては、これまでも一時保護所の整備のための整備費等を補助してきたわけでございますが、令和三年度の第一次補正予算におきまして、定員超過解消に向けて自治体が定員超過解消のための計画を策定し厚生労働省が承認した場合には、整備費の補助率を、通常であれば二分の一であるところを十分の九までかさ上げすることといたしました。このような取組を通じて、一時保護所の定員超過解消に向けて、私どもとしてはスピーディーに取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/215
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216・石井苗子
○石井苗子君 かなり深刻なんですね、これね。私も一回視察に行きましたけど、老朽化激しいです。本当に古い建物でしたけれども、部屋が狭くて足りなくて、障害をお持ちのお子さんといいますか、お世話をする人たちも含めて配慮が非常に不十分です。
これ問題だと思いますけれども、施設を増やす努力、このような課題ですね、狭いとか汚いとか臭いとかというようなこと、早急に対処していますでしょうか。厚生労働大臣としてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/216
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217・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護所につきましては、児童養護施設の設備運営基準を準用しているところでありますが、一時保護は子供にとって不安の強い状況であり、より手厚い対応や環境が必要となるというふうに認識しております。
一時保護所におきましては、先ほど答弁しましたように、定員超過している一時保護所の整備への補助率のかさ上げを行っておりますが、従前より一時保護所の整備について国から補助を行っておりまして、その中には老朽化等を理由とした改築も含まれますし、また個室対応が可能となるような環境整備に係る加算なども行ってきたところでございます。
さらに、今般の児童福祉法改正案におきましては、一時保護所について独自の設備・運営基準を新たに設けるということとしておりますので、今後、現場の御意見も伺いながら、一時保護中の子供の環境改善に向けた取組について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/217
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218・石井苗子
○石井苗子君 これは早急にやっていただきたいということをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
先ほどから私の隣の梅村ドクターが質問していることでございますが、私は病院に勤めておりまして、子供のわいせつ行為というのが、これは臓器、器官を破壊するほどの行為であって、もう本当に取り返しが付かないような、しかも幼児にですよ、そういうわいせつ行為があるということも見てきました。これは、子供を預けるときに、安全で安心の基本的なところが、建物が整っているとか冷暖房が整っているとかということではなくて、中でどんな人が私の子供を一日見ていてくれているのかということで、もう根本的に大事なことだと思っております。
この保育士の資格の取消しについて質問させていただきますが、児童福祉法に基づく国家資格です、保育士というのは。十八条の十九で、都道府県知事が保育士登録を取り消す要件について定めてもおります。この要件に該当すると登録の取消処分を受けることになるということがあるわけなんですが、時間があれですね、近年、登録が取り消された件数を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/218
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219・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 保育士登録の取消しは各都道府県により行われておりまして、現行制度におきましては、わいせつ行為を含む禁錮以上の刑や児童福祉関係法の違反による罰金の刑に処せられた場合などの欠格事由に該当したとき、あるいは虚偽又は不正の事実に基づき登録したときに登録を取り消さなければならないほか、保育士としての信用失墜行為を行った場合や秘密漏えいを行ったと認められるときに登録を取り消すことができることとされております。
こうした現行制度の下で、平成十五年から令和二年四月までの間に保育士登録の取消処分を受けた者は、合計で百二十七名、男性が六十七名、女性が六十名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/219
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220・石井苗子
○石井苗子君 いずれにしましても、ちょっと時間が迫っていますので、ちょっとまとめて質問させていただきたいと思うんですけれども、どの施設に所属する保育士がどのような事件で多かったかということなんですが、平成の十五年から令和の二年の間で六十四人で、保育所の保育士が多かったということで、今の男性と女性の区分ですけれども、ちょっと私の情報とは異なっております。
それはちょっと先送りにして、保育士の採用における性犯罪歴の把握について最後に質問させてもらいます。
日本版のDBS、これ私、この間も質問しましたけど、現在は制度がない中で、採用する側というのは、保育士を採用する過程で何らかの方法で過去に性犯罪歴があったかどうかを把握する必要があると、このように思うんですが、現状では把握する仕組みがないようでありますが、法改正をした後、過去にこういうわいせつな行為によって保育士の登録を取り消された者をデータベース化するということになっています。
このデータベースは保育士の採用でどのように活用されるのか、これを教えてください。わいせつの行為で登録が取消しになった者が再登録を申請した場合に審議会の意見を聴く仕組みを導入すると、こうありますけれども、ここは有効に機能するのでしょうか、自信のほどを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/220
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221・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 児童へのわいせつ行為が行われることは断じて許されるものではありません。また、児童へわいせつ行為を行った保育士が再び保育の現場でわいせつ行為を行うことはあってはならないことであります。
保育士が児童へのわいせつ行為を行った場合にはその登録を取り消す。欠格期間が経過した後においても、都道府県の審議会による審査を経て再登録が適当と認められる場合に限り再登録できる仕組みを創設するとともに、ここからがお尋ねのことですが、児童へわいせつ行為を行い保育士登録を取り消された者等の情報が登録されたデータベースを構築し、保育士の任命又は雇用の際に活用するなど、児童をわいせつ行為から守る環境整備を行うことといたしております。
今回の法改正は、採用しようとする保育士の過去の性犯罪歴を網羅的に把握できる仕組みとはなっておりませんけれども、こうしたデータベースの活用により、再びその保育士による児童へのわいせつ行為が起きないよう取組を進めることといたしております。さらに、よろしいですか、もう時間があれだと思うので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/221
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222・山田宏
○委員長(山田宏君) 時間ですので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/222
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223・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) さらに、今後新たに創設されるこども家庭庁において、教育・保育施設等や児童が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入の検討を進めることとされていると承知しておりまして、こうした対応なども含め、関係省庁とともに児童を性被害から守る取組を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/223
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224・石井苗子
○石井苗子君 ありがとうございます。
時間が来ましたから終わりますが、日本版DBS、是非よろしくお願いいたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/224
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225・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
まず最初に、来年四月から、医療機関に対しマイナ保険証への対応を義務付けることと、将来は現在の保険証を原則廃止するという方針、先ほども議論ありました。これに対して、余りにも強引じゃないかという批判の声が上がっております。
そもそもですけれども、マイナンバー法というのは、マイナンバーカード、マイナンバー法では、マイナンバーカードは個人が申請しない限り交付されないという立て付けになっておりまして、あくまでも取得は任意というものであります。
そこで確認したいんですけれども、医療機関に対応を義務付けるとした、義務付けが可能だという根拠はどこにあるのか。マイナ保険証、これ、事実上、原則今の保険証廃止というようなことになりますと、事実上強制するということになろうかと思うんですけれども、その法的な根拠は一体どこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/225
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226・浜谷浩樹
○政府参考人(浜谷浩樹君) お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げたところと少し重なりますけれども、マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認につきましては、今後のデジタル社会におきまして、医療機関等が患者の医療情報を有効に活用いたしまして、安心、安全でより良い医療を提供していくためのデータヘルスの基盤となる仕組みでございます。また、患者の方にとりましては、自ら同意した上で、過去の薬剤情報、特定健診結果を医療機関等に提供することによりまして、より良い医療が受けられるといったメリットがございます。
このため、保険診療を行う医療機関等におきまして、マイナンバーカードの保険証利用を希望する患者さんに対応できるよう、原則として、システムを導入して体制を整備することを義務化することとしたものでございます。
なお、御指摘のとおり、マイナンバーカードの取得は任意でありますことから、保険証の原則廃止に当たりましては、加入者から申請があれば保険証は交付される仕組みを考えておりまして、加入者個人に対しましてマイナンバーカードによる保険証利用を強制するものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/226
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227・倉林明子
○倉林明子君 いや、医療機関に対して義務付け可能だという明確な根拠が今説明あったのかなというふうに思うんですよね。私、これ、余りにもマイナンバーカードの普及ありきじゃないのかということを言いたいわけです。
これ、医療機関のセキュリティーの対策の脆弱性について繰り返し指摘してきましたが、この対応がいまだ不十分だという指摘がある中なんですよね。さらに、不慣れな高齢者への対応というのは窓口の業務負荷にもつながりかねないという懸念も指摘されているわけです。
一方、その利用する方どうかといいますと、個人情報が詰まったマイナ保険証と、これ持ち歩くリスク、紛失した場合の情報悪用のリスク、これについても不安解消されているかって、されていないと思うんですね。
マイナ保険証の普及が予定どおり進まないと、これ一体なぜなのかと、これ分析はどうされているのか、大臣の認識をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/227
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228・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認については、患者同意の下、過去の薬剤情報等を医療機関等で共有できる質の高い医療の提供、医療保険の効率的な運用につながるなど、患者の方々、医療機関、薬局、保険者、被保険者の一人一人に様々なメリットがあるというふうに思います。
しかしながら、国民の皆様にマイナンバーカードが保険証として利用できることそれ自体や、具体的なそのメリットについて十分認知していただいていないことが、マイナンバーカードの保険証利用が普及していない要因として考えられると思います。
また、マイナンバーカードを保険証として利用できる医療機関等について、運用開始施設は現時点では約二〇%にとどまっておりまして、利用できる環境が十分に整っているとは言えない状況にもあります。
このため、令和五年四月から、医療機関等におけるシステム導入を原則として義務化することを含む更なる対策を検討するとともに、国民の皆様に対しても、マイナンバーカードの保険証利用のメリットについて丁寧な周知、広報に更に取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/228
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229・倉林明子
○倉林明子君 いや、メリット知らないから使っていないというのは一面的だと思いますね。
私、やっぱり政府の情報管理に対する根強い国民の不信が、マイナンバーカード、何ぼマイナポイント付けても進まぬという背景にあるということをしっかり認識すべきだと申し上げたい。
医療機関の対応の義務付け、現在の保険証の廃止と、これ来年の四月からだなんという強引な進め方はきっぱりやめるべきだと言いたい。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/229
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230・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 令和五年四月から、保険医療機関、薬局におけるシステム導入については原則として義務化をしていくということでございます。また、保険証発行の選択制の導入を目指すことといたしますけれども、先ほどからもお話し申し上げているように、保険証を持ちたい方に対する発行ということは、これは保障していくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/230
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231・倉林明子
○倉林明子君 医療機関もそのセキュリティーへの対応できないということで、これ対応できないと、実際、こういうところだってあるわけですよね。
医療情報というのはやっぱり究極の個人情報だし、医療情報のデジタル化そのものを私否定しているんじゃないんですよ。これ、マイナンバーカードにひも付けると、こういうやり方は、非常にリスク、漏えいのリスクを高めることになると。こういうやり方が国民の理解を得られていないんだというところは重ねて指摘を申し上げたい。こういう強引なやり方というのは、中止を重ねて求めておきたいと思います。
児童福祉法について伺います。
日本において子供たちに対する必要な保護がどれだけされているのかと。これ、資料を厚労省のところで見てもありませんでしたので、国際比較を国会図書館に調査してもらって、それを資料として今日は付けております。
これ御覧になっていただきますと、フランスやドイツというのは、社会的養護を受けている子供の数というのが日本の五倍を超えているんですね。アメリカでもこれ二倍、日本の二倍の子供が社会的に養護されているという数字になろうかと思います。
社会的養護の児童数が日本で本当に少ないという現実は、必要な保護ができていない子供が多くいるという可能性があると、こういうふうに思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/231
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232・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 一人一人の子供の命を守るために必要な保護は、確実に実施しなければならないというふうに考えております。
それぞれの国にはそれぞれの制度があるわけでありまして、申立てを行って認められるに際して、どのような保護を、制度を持つのか、在宅支援等も含めて行うのか、そうしたことを、各国においていろんな制度があり、一概に数字だけから判断をできないところもあるのではないかというふうに考えております。
こうした中で、困難な状況にある子供を適切に社会的養護の枠組みの下で保護を支援していくためには、虐待を受けている等の困難を抱える子供の情報を児童相談所が適時適切に把握するとともに、適切な保護や支援につなげていくことが大切だというふうに考えております。
児童相談所の体制強化等を図ってきたところでございますけれども、必要な支援について引き続き検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/232
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233・倉林明子
○倉林明子君 いや、津崎参考人も、児童虐待で児相が二十万件だと、しかし、長期分離保護できているのは二ないし三%なんだと、九七パーが在宅なんだと、その上で、そういう市町村のサービス提供も不十分だと、こういう指摘されているんですね。必要な保護につなげられていない子供が多くいるんじゃないかと、いると、こういう認識必要だと思うんですよ。児相、市町村、社会的養護のこの体制強化というのが本当に求められていると、認識として持っていただきたいと思うわけです。
それで、次に、司法審査、再々議論にもなっておりますけれども、新たな司法審査の一時保護の要件について確認したいと思います。
改正法三十三条では虐待のおそれがあるときというふうにされているわけですが、何をもってどの程度の立証が必要となるのか、その要件はこれまでと変わるのか、どう変わるのか、変わるんだったらどう変わるのか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/233
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234・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般導入します一時保護開始時の司法審査においては、児童相談所は、一時保護の事前又は開始後七日以内に、法令に規定する一時保護の要件に該当し、一時保護の必要があると認められる資料を添えて、裁判官に一時保護状を請求するということとされております。
この立証の程度でございますが、あくまでも虐待のおそれがあるとの心証を裁判官に抱かせる程度に合理的な根拠があれば足りると、現実に虐待がされているとの心証を抱かせるまでの立証が必要とされるものではございません。
また、資料の内容については、個別の事案により異なると考えられますが、このような心証を抱かせるのに十分な資料とする必要があると思います。具体的には、施行に向けて、実務者を構成員に含む作業チームにおいて検討してまいりますが、御指摘の、虐待のおそれがあるときに該当することを理由に一時保護を行う場合においては、例えば児童本人や親権者等への面接の結果ですとか、あるいは関係機関への調査の結果、こういったものを提出するということが想定されるというふうに思います。
いずれにしましても、円滑に制度が運用されるように、施行までの間に、一時保護請求、一時保護状請求の疎明資料の内容や様式等については、実務者を構成員に含む作業チームにおいて丁寧に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/234
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235・倉林明子
○倉林明子君 明らかにそういう疎明資料を整えていかなあかんというところでは、やっぱり実務負担の議論もありましたけれども、大きな変化になっていくんだということは今の説明でも分かりました。
そこで、新たな司法審査で、三十三条の四項、これも御指摘ありまして、明らかに裁判官が、明らかに一時保護の必要がないと認めるとき、一時保護状を出さない場合があると。これどういうときかということに対しまして、答弁は、児相の濫用、逸脱ということが御説明あったかと思うんです。さらに、具体的にどうかということに対して、親類宅で安全確保ができるのに、それをできる場合というような説明だったかと思うんですね。
じゃ、こういう親類宅で安全確保ができると、できるのに一時保護の司法審査に出てきたと、こういう場合、裁判官は、こういう状況があると、要は虐待のおそれがあるという判断に濫用、逸脱があるというようなことを何によって、何によって裁判官は判断することになるのか。説明を聞いてももう一つ分からなかったので、御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/235
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236・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 具体的にどんな疎明資料というものを求めるか、細かくはこれから検討してまいりますけれども、先ほど申し上げたような児童本人や親権者等への面接の結果だとか、あるいは関係機関への調査の結果、そういったものの中で児童相談所の裁量の逸脱といったものがあるかどうかということが判断できるような場合が、場合によっては出てくるかというふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/236
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237・倉林明子
○倉林明子君 衆議院で最高裁の最高裁長官代理が答弁しているんですけれども、一時保護の要件の明確性が確保されることによって対応が可能だと、こういう答弁なんですよ。
私は、この要件というものを、だからできるだけ具体的に明示していくということがやっぱり求められると思うんだけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/237
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238・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今般の児童福祉法改正におきましては、一時保護の要件を法令上明確化することとしておりまして、児童虐待のおそれがあるとき、それから少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたときは改正法案の中で明示しているわけでございますが、そのほかの要件につきましては内閣府令で定めることといたしております。
内閣府令で定める一時保護の具体的な要件については、実務者を含めた作業チームにおいて今後検討してまいりますが、児童相談所が子供の最善の利益のためにちゅうちょなく適切な一時保護を開始できるように、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/238
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239・倉林明子
○倉林明子君 だから、要件の明確性、ここの担保が最高裁、裁判官の判断に大きく影響が出るということですから、具体的な明示、それに対する懸念も出ていますので、一つ具体的に紹介したいと思うんですね。
親などの虐待などから家から逃げて保護につながらないと、こういう十代の子供たちが自ら助けを求めて駆け込むと、そういう施設で子供シェルターがあります。この子供シェルターを弁護士さんたちが自ら立ち上げて、NPO法人として運営されているところからの声なんですけれども、今回導入される司法審査に対して子供自身が家に帰りたくないと表明したと、これも一時保護の要件とされるのかどうか、するべきじゃないかという御意見ですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/239
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240・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 今お尋ねいただきました、子供が帰宅を拒否し保護を求めているようなケースにつきましては、現行制度におきましても、そのことのみをもって機械的に一時保護を行っているわけではございませんが、虐待の有無等に関する十分な情報がなくて引き続き調査が必要な場合というものも含め、児童の安全確保の観点から、必要に応じて一時保護を行っているところでございますので、こういった一時保護の実態を踏まえながら、具体的にどのような規定ぶりが適切かということについて、作業チームにおいて検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/240
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241・倉林明子
○倉林明子君 帰宅拒否した場合調査保護の対象にもならないケース、逆に、今の説明ひっくり返して言うと、ならないケースというのはどんな場合が想定されるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/241
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242・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) ちょっと具体的にどのようなケースを想定するかというところについて、ちょっとにわかに御説明するのは難しゅうございますが、今回、一時保護のケースにせよ、それから施設への措置や里親委託にせよ、子供の意見というものを児童相談所が意見聴取をしなければならないということを義務付けるわけでございますが、そういった中で把握した子供の意見というものを十分勘案していくわけでありますけれども、あくまでも子供にとっての最善の利益というものを考えて責任を持って判断する、結果的には子供の意見と逆のというふうな結論になる場合もあるというところでございますので、そこのところについては、一律な形で子供の意見というものをそのまま措置の対象とするというふうな形にはならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/242
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243・倉林明子
○倉林明子君 性虐待とかネグレクト、教育虐待、これ可視化されないですよね。子供の証言以外に実は証拠となるものがないと、こういう場合が子供シェルターのところなんかはほとんどだというわけですよね。
そうなると、子供の帰りたくないということをもって一時保護の要件にしないと、リスクが本当に高いんですよ。そういう場合、調査保護として掛けているというんだけれども、しっかりこの帰りたくないということで要件に入れるということは本当に必要だと思うわけです。しっかりこれから検討ということですけれども、こういうことも含めて入れていただきたいということです。
次の質問ですけれども、浜田参考人は、児相の一時保護はこの法改正の下でも従前どおりにできると、裁判所の審査はちゃんと通るべきだと、そのためにも、一時保護の要件について内閣府令で定める場合については、これまで一時保護されていたケースについては漏れなく列挙されなければならないという指摘もされていました。そのとおりだと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/243
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244・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) この内閣府令で定める一時保護の具体的な要件につきましては、実務者を含めた作業チームで今後検討するわけでございますが、現行の一時保護ガイドラインや様々なケースで行われている一時保護の実情を踏まえた適切な規定ぶりとする予定でございます。
この点、社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会の報告書におきましても、一時保護の要件の明確化に当たっては、子供の最善の利益を守るためのちゅうちょなき一時保護の運用を損なわない観点にも十分留意する必要がある旨盛り込まれておりまして、そこのところも踏まえて、作業チームにおいてしっかり、現場の御意見も伺いながら検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/244
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245・倉林明子
○倉林明子君 結果として、これまでできていた一時保護が後退するようなことがあってはならないんだということで、重ねて求めておきたいと思います。
参考人の質疑でも、子供の意見表明権、これ保障することが本当難しいんだということを改めて学ばせてもらったんですけれども、この子供シェルターの実践を聞かせて、勉強させてもらったときに、改めて重要な役割を果たしているなと思ったのが子供担当弁護士という方々です。児相とは別の立場で子供の声を代弁、そして権利を保障するということで、親権者とも闘うし、関係者とともに調整する役割と、これ発揮しているわけですね。
児相からも独立した子供の立場で権利代行ができると、こういう子供担当弁護士ということも必要だと思いますけれども、これ、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/245
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246・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 一時保護の開始時の司法審査に際しまして、子供の意見については、児童相談所が可能な限り疎明資料に盛り込んで裁判所に提出する形とすることを考えております。
これに加えまして、都道府県における事業として、弁護士や社会福祉士等の専門職、ノウハウのあるNPOなど多様なバックグラウンドを持つ意見表明等支援員を養成し、子供からの意見聴取等の際に支援することを制度的に位置付け、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
今、子供シェルターというふうなお話をいただいたわけでございますが、子供シェルターにおいて、弁護士が子供の代理人となって親との交渉や関係機関との調整を担っている例があるということは私どもも承知しておりまして、国としてもこういった取組については注視してまいりたいと思いますし、都道府県における事業として、弁護士や社会福祉士等の専門職、ノウハウのあるNPOなど多様なバックグラウンドを持つ意見表明等支援員を養成することとしておりますので、こういったシェルターの弁護士にも必要に応じて支援員として御活躍いただければというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/246
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247・倉林明子
○倉林明子君 親権者から通帳や奨学金を児童に取り返すとか、学費、生活費の交渉とか、やっぱり弁護士だからこそできる仕事というのがあるんだということが、支援員としても協力をということありましたけれども、子供担当弁護士という、こういう役割発揮ということも検討を是非していただきたいというふうに思います。
次に、里親について伺いたいと思います。
新しい社会的養育ビジョンに基づいて、里親制度は七五%まで広げるという数値目標を掲げております。
津崎参考人のお話、紹介もあったんだけれども、自らの経験も踏まえて、理念はその方がいいと、しかし、数字増やすためにどんどん難しい子も里親で委託したらいいんだと単純にはいかないというふうにおっしゃっています。下手すると失敗する、失敗しますと、施設でうまくいかないより傷つきが大きいと。
改めて、私は、どんなケースで里親不調になっているのか、事前にうまくいかないというような要素はもうできるだけ少なくすると、そういう取組必要だと思うんですね。これまでのケースの調査や分析、こういうことをしっかりしていくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/247
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248・橋本泰宏
○政府参考人(橋本泰宏君) 平成二十九年度に実施しました調査研究事業におきまして、里子の養育を受託している全国の里親家庭に対するアンケート調査を行いました。里親不調の経験が一回以上あったと回答された百九十の家庭に対する質問への回答の中で、不調の原因ということで挙げられておりますのが、一つは、障害児や被虐待児などのケアに対応し切れなかったためというのが四十五人いらっしゃいました。それから、里親家庭に暴力とか器物破損、性被害等の危害が及んだためということを挙げられた方が三十六人、それから、里子が家庭復帰を強く望むようになったためというのが二十八人、こういった回答があったわけでございますが、その他というふうに回答された方が七十人と最も多くて、委託後不調となる背景には様々な要因が存在するものというふうに改めて認識いたしております。
里親等委託率の向上に向けましては、委託後の個々の里親家庭の状況に応じたフォローや支援が重要であるというふうに認識しておりますので、今回創設する里親支援センターにおいて包括的かつ一貫した伴走支援を行いますとともに、都道府県が策定した都道府県社会的養育推進計画に基づく取組や里親支援センターの具体的業務内容等の検討に伴う調査研究などの機会を捉えまして、継続的に里親委託率の向上に向けた課題や改善方法などを把握しまして、里親委託が推進されるように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/248
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249・倉林明子
○倉林明子君 いや、だから、目標があるから里親をどんどん増やしていこうということにやっぱりベクトル向かっているんですよね。
ただ、その場合、その理念はいいと参考人もおっしゃっていましたけれども、単純にいかないと。先ほど紹介あったように、難しい子がどんどん里親のところに来るということになると、欧米の委託率の高いところのように里親転々とすると。こうなると、傷つき体験を追体験ということになって、本当に、参考人もおっしゃっていましたけれども、そういうことはできるだけ避けるということをすべきだと思うんですね。
そういう観点からいっても、里親制度の数値目標、高い目標ですよ、これ、やっぱり一旦立ち止まって、こういう目標設定をいついつまでにやりましょうというようなやり方というのは、立ち止まって見直すということ必要じゃないかと私は思うんですけれども、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/249
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250・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 平成二十八年度の児童福祉法改正において家庭養育優先原則が明記されたことを踏まえて、国の定める指針の下、都道府県等で社会的養育推進計画を策定し、計画的に里親委託等を進めております。こうした中で、厚生労働省としても、国の計画策定指針において里親等委託率を七五%以上とする目標等を示しておりまして、地域の実情に応じた取組の強化を促しているところです。
国としては、目標とした里親等委託率を機械的に追求していくということはあってはならないものと考えておりまして、個々の具体的ケースの状況に応じて、子供の利益を第一に考えたきめ細かい対応が必要と考えております。
一方で、全体として、家庭養育を推進する観点からは、一定の目標数値を置いて計画的な里親委託の推進を図ることも一方で必要であるというふうに考えております。このため、令和三年度からは、里親への包括的支援体制について、一定の要件を満たした取組内容を定める計画を策定した自治体に対して里親支援に関する事業の補助率のかさ上げを行うとともに、今般の児童福祉法改正案においては、里親支援に特化した機関である里親支援センターを児童福祉施設として位置付けて、里親支援を更に強化する取組を進めることといたしております。
個々のニーズに合った形で向上が図られるようにやってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/250
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251・倉林明子
○倉林明子君 いや、数字ありきということになると、やっぱり里親の目標掲げると、いつまでとなったら、そっちの方にベクトル向かうということが、そういうリスク、困難を抱えて本当に厳しい状況に追い込むことが懸念されるから言っているんですよ。数字ありきが子供や里親傷つけたり苦しめたりするというようなことを絶対やったらあかんのだと申し上げておきます。
次、大学生、最後に、大学生の生活保護の問題について議論もありましたが、私からも聞きます。
大学生の生活保護というのは、現状の取扱いでは、大学生であることで、どんなに困窮していても生活保護利用ができないんですよ。生活保護法は、国が生活に困窮する全ての国民に対しとしているんだけれど、何で大学生だというだけで、どれだけ困窮しても対象にならないのか。これ、簡潔に御説明を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/251
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252・山本麻里
○政府参考人(山本麻里君) 生活保護を受給しながら大学等に就学することにつきましては、一般世帯で高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方や奨学金やアルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方等とのバランスを考慮する必要がございますので、認められていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/252
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253・倉林明子
○倉林明子君 一般世帯とのバランスって、いや、本当にちょっと考えなあかんときに来ているんじゃないかと思うんですね。
大学生となった後に親の家計急変、バイトなどができない、コロナでね、リアルになりましたけど、収入減、体調壊した。一時的に生活保護使いたいという困窮状態に大学生だって陥ることあるんですよ。そういう場合、休学か退学かということでないと生活保護受けられないんですよ。虐待から逃げた大学生、治療が必要でも親の保険証使えないと、退学、休学しないと、これ医療扶助の対象にならないんですよ。
今では大学の進学率というのは七割を超えているわけです。大学で学ぶことが私はぜいたくと言えるのかと思うんです。困窮する大学生に対して学びを保障すると、貧困から抜け出す道を開くことにもつながると思うわけです。生活保護の対象に大学生もきちんと含めるべきだと思います。大臣、簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/253
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254・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 生活保護を受給しながら大学等に就学することについては、世の中がだんだん変わってきたという委員の御指摘についても、そういうことも考えなければいけないとは思いますけれども、一般世帯で、高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方や、奨学金やアルバイトで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方等とのバランス等もやっぱりあるというふうに考えておりまして、慎重な検討を要する必要があると思います。
一方で、生活保護世帯の子供の大学等への進学を支援するために、進学準備給付金の創設や、自宅から大学等に進学する場合の世帯員の減少に伴う住宅扶助費の減額の取りやめなどの取組も行っておりますし、また、文部科学省の方では、修学支援新制度において、生活保護世帯を含む低所得世帯の子供たちを対象として、授業料及び入学金の減免や生活費の支給といった支援を行っておりまして、生活保護制度のみならず、他の諸施策も併せて講じることで生活保護世帯の子供の大学等への進学支援等を充実させることが重要であると考えておりまして、今後とも、全体として取り組んでいくことだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/254
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255・倉林明子
○倉林明子君 いろいろあっても穴になっているんですよ。大学生が困窮した場合の生活保護の利用ができないんですよ。それをできるように検討するということが、生活困窮で学びを断念させないと、ここが求められると思うんです。
当事者だけじゃなくて、これは社会にとっても学びが中断されるというのは損失になるんだと、そういう見地からも取り組んでいただきたい。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/255
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256・山田宏
○委員長(山田宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
児童福祉法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/256
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257・山田宏
○委員長(山田宏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、川田君から発言を求められておりますので、これを許します。川田龍平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/257
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258・川田龍平
○川田龍平君 私は、ただいま可決されました児童福祉法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点の再編や支援計画の作成については、地方自治体における負担増によって、それぞれの機能が停滞することのないよう、必要な人材確保のための支援を行うとともに、円滑な施行に向け、地方自治体と適切に連携すること。
二、保育士の人材確保が困難な状況にある中、新たに身近な子育て支援の場として保育所等を活用し、地域子育て相談機関とするに当たっては、保育士等の一層の処遇改善と職員配置基準の改善を併せて検討すること。
三、子育て世帯訪問支援事業、児童育成支援拠点事業及び親子関係形成支援事業の各事業の実施に当たっては、各市町村による担い手の確保が重要であることから、必要な人材確保のための支援を行うとともに、業務に見合った処遇について検討を行い、必要な措置を講ずること。
四、一時保護所の設備・運営基準の策定に当たっては、子どもの視点に立って子どもの最善の利益を考慮するため、子どもから意見を聴取し、可能な限りその意見を反映すること。また、一時保護される子どもの個別事情に十分対応できるものとするよう、十分検討を深めること。
五、里親支援センターの設備・運営基準の策定に当たっては、里親等の当事者から意見を聴取し、可能な限りその意見を反映して実効性のあるものとすること。
六、自ら公的な支援にアクセスできない妊婦との接点を持つための具体的方策を検討するほか、妊産婦等生活援助事業の実施に当たっては、支援が必要な妊産婦に対し適切な支援を提供できるよう、新たな人材を確保するため職員の処遇改善を含む方策を検討し必要な措置を講ずるとともに、充実した研修を実施し、資質の向上を図ること。また、人材不足を理由とした人員配置の弾力運用を安易に行うことのないようにすること。
七、児童養護施設等において年齢を理由として一律に措置を解除する運用がなされないよう、措置延長や児童自立生活援助の積極的活用に向けた取組を行うこと。
八、社会的養護自立支援拠点事業においては、措置解除後のみならず、十八歳までに社会的養護につながれなかった子ども等も幅広く支援するとともに、安心して相談できる場となるよう、一定期間住まいを提供する支援や社会的養護経験者によるピアサポートを積極的に活用すること。また、通えない子どもたちも想定し、アウトリーチによる支援も実施すること。
九、意見表明等支援事業に関し、子どもの意見・意向表明や権利擁護に向けた環境整備について、都道府県によって差が生じることで子どもに不利益となることがないよう、一定の要件を提示すること。また、子どもへの意見聴取等が適切に実施されているかについて評価及び検証を行うこと。
十、意見表明等支援事業は、意見聴取とともに関係機関との調整を行うものであるから、子どもから聴取した意見について、これを代弁し、意見の実現に向けて関係機関との調整及び交渉を行うための運用方策について検討すること。
十一、意見表明等支援事業の成果と問題点の双方について実施状況を調査し、次期児童福祉法改正時に、同事業を全ての都道府県の義務とすることを含め必要な見直しを検討すること。
十二、意見表明等支援員が児童相談所、都道府県その他の関係機関から独立した立場で子どもの自由な意見・意向の表明を支援することが可能となるよう、独立性及び守秘義務等の必要な措置を講ずること。
十三、意見表明等支援員には高度の専門性が必要であることから、弁護士や社会福祉士等、その担い手を確保し、専門的な知識や技術を身につけるにふさわしいプログラムにより必要にして十分な研修が行われるよう、ガイドラインを作成し都道府県に対して周知すること。
十四、一時保護された子どもが自由に意見を表明する権利を確保するために、児童の権利に関する条約第十二条第二項に照らし、代理人との相談・面会を希望する子どもに対し弁護士を派遣することができる事例を都道府県に対して周知すること。
十五、一時保護された子どもについて、意見表明を支援するとともに、意見の実現に向けて交渉し法的手続をとることを内容とする弁護士の活動について実態を把握し、その結果を踏まえ、子どもと伴走する弁護士と児童相談所の連携方策を検討すること。
十六、子どもの最善の利益のため、一時保護時の子どもへの意見聴取等を適切に行い、子どもの意見・意向を考慮した対応の徹底を図ること。
十七、一時保護時の司法審査の運用や実務の詳細を施行までに定める作業チームには、一時保護が子どもの権利や親権の行使等に対する制限であることを踏まえて、現に一時保護を経験した子ども又は親権者等及びその意見を正確に反映できる実務者も構成員に加えること。
十八、一時保護時の司法審査に対応するための児童相談所の人材確保と処遇改善を検討すること。
十九、児童相談所が裁判官に一時保護状の請求をするに当たっては、子ども及び親権者等の意見が裁判官に正確に伝わるよう適切な方策を講ずること。
二十、裁判所が一時保護状を発した場合、行政不服審査や行政訴訟の提起が可能であること等を理由に子ども又は親権者等の不服申立て手続を設けなかったことに鑑み、児童の権利に関する条約第九条第二項の趣旨を踏まえ、行政不服審査や行政訴訟の活用実態を把握し、次期児童福祉法改正時に必要な見直しを検討すること。
二十一、新たな子ども家庭福祉分野の資格取得者の質の担保を図るほか、資格取得者の児童相談所、市町村、児童福祉施設等における配置が進み、地方自治体において実効性が上がるような方策を財政措置を含めて検討し、必要な措置を講ずること。
二十二、子どもをわいせつ行為から守る環境整備について、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務している実態があることから、保育士に限らず、子どもに接する業務に携わる者全体を対象とする、いわゆる「日本版DBS制度」の導入に向けた検討を加速すること。また、万が一冤罪等であった場合には、身分回復を行う等の必要な対応を講ずること。
二十三、児童に対するわいせつ行為を行う可能性が高い者を保育所等で保育に従事させないことが重要であることから、こうした者が保育所等で保育士として採用されないための適切かつ実効性のある採用過程の在り方等について検討すること。
二十四、児童が保育士による児童生徒性暴力等を受けたと思われる事案が発覚した際の地方自治体や保育所の設置者による事実確認に当たっては、被害児童の人権に配慮し、再発防止に資するものとなるよう、留意すること。また、被害児童及び保護者等への負担に十分に配慮した上で、実施すること。
二十五、前項の地方自治体や保育所の設置者による事実確認は、必要に応じて、専門家の協力や関係機関間での連携を図りながら、事実関係を客観的に確認するため、公正かつ中立に行うこととし、通報者の保護なども含め、国において、具体的な確認方法や客観的な判断基準を定めること。
二十六、保育所の設置者が、地方自治体の支援を受けながら、専門家の協力を得つつ、児童生徒性暴力等を受けた児童の保護及び支援並びにその保護者等に対する支援を継続的に行うことができるよう、必要な措置を講ずること。
二十七、保育所が送迎バス等の付加的サービスを含めた児童の安全確保に関する計画を策定することを、都道府県等が従うべき国の運営基準として定めること。その際、計画内容の職員間の共有や体制確保、定期的な訓練や研修、保護者への説明の実施などにより、その実効性を確保させること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/258
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259・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいま川田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/259
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260・山田宏
○委員長(山田宏君) 全会一致と認めます。よって、川田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、後藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤厚生労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/260
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261・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/261
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262・山田宏
○委員長(山田宏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/262
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263・山田宏
○委員長(山田宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814260X01820220607/263
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