1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月二十六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
榛葉賀津也君 小林 正夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 斎藤 嘉隆君
理 事
足立 敏之君
大野 泰正君
長浜 博行君
塩田 博昭君
浜口 誠君
委 員
青木 一彦君
朝日健太郎君
こやり隆史君
佐藤 信秋君
鶴保 庸介君
長峯 誠君
牧野たかお君
野田 国義君
白 眞勲君
鉢呂 吉雄君
伊藤 孝江君
竹内 真二君
小林 正夫君
浜野 喜史君
室井 邦彦君
武田 良介君
木村 英子君
増子 輝彦君
国務大臣
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
副大臣
国土交通副大臣 中山 展宏君
大臣政務官
法務大臣政務官 加田 裕之君
事務局側
常任委員会専門
員 清野 和彦君
政府参考人
法務省大臣官房
審議官 堂薗幹一郎君
国土交通省大臣
官房公共交通・
物流政策審議官 寺田 吉道君
国土交通省大臣
官房土地政策審
議官 市川 篤志君
国土交通省大臣
官房危機管理・
運輸安全政策審
議官 島田 勘資君
国土交通省自動
車局長 秡川 直也君
国土交通省海事
局長 高橋 一郎君
国土交通省国際
統括官 山上 範芳君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別
措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/0
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001・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、榛葉賀津也君が委員を辞任され、その補欠として小林正夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/1
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002・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) この際、斉藤国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。斉藤国土交通大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/2
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003・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、今回の事故によりお亡くなりになられた方々及びその御家族の皆様方に対しまして心よりお悔やみを申し上げます。また、今回の事故に遭遇された皆様に重ねて衷心よりお見舞い申し上げます。
事故の概要について御説明いたします。
令和四年四月二十三日午後一時頃、北海道知床沖航行中の遊覧船KAZUⅠから浸水している旨の救助要請があり、直ちに巡視船艇、航空機等を現場海域に急行させ、人命救助を最優先に、現在も関係機関等とともに懸命に捜索救助活動を行っております。また、国土交通省として、現地での対応に万全を期すため、二十四日には私が現地に赴いて今後の対応を指示するとともに、二十五日からは渡辺副大臣を現地対策本部に派遣し、陣頭指揮を執らせております。
次に、乗客の御家族の皆様への支援についてですが、本省に御家族等のための相談窓口を開設し、二十四時間体制で対応することとしております。また、昨日より、現地において現地対策本部を始め関係機関が参加する定期説明会を毎日三回開催し、最新の捜索救助の状況等を御家族に提供しております。
今後とも、御家族の皆様へ適切な情報提供を行うとともに、御要望に対して可能な限りしっかりと対応することとしております。
さらに、運航会社等への対応として、二十四日から、海事局及び北海道運輸局の職員が事業所に立ち入り特別監査を開始するとともに、全国の旅客船事業者に対して安全確保の再徹底を指示し、また二十五日から、全国の運輸局において旅客船事業者に対する緊急安全点検を実施しております。
国土交通省としては、引き続き、捜索救助活動を始めとする事故対応に全力を挙げて取り組むとともに、安全対策の徹底に万全を期してまいります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/3
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004・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省大臣官房土地政策審議官市川篤志君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/4
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005・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/5
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006・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/6
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007・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 皆さん、おはようございます。立憲民主党の鉢呂吉雄です。
今、斉藤鉄夫大臣から北海道知床沖の海難事故についての報告がございました。
私も一昨日、大臣の後だったと思います、後になりましたけれども、現地に赴きまして関係者からいろいろ聞かさせていただきました。
既に十一名の方がお亡くなりになっておるということで、本当に心から、言葉はありませんけれども、お悔やみを申し上げたいと思います。同時に、残されたまだ十五名の方、関係捜索救助機関の皆さん、大変な、本当に二十四時間昼夜を分かたずの活動、救助活動をしておる、心から敬意を表するところでございますし、一刻も早くこの十五名の方の捜索救助がなされることを願ってやみません。大臣からも、是非その点について懸命な御努力をお願いいたしたいと思っています。
さて、一昨日、三歳の少女が発見されて以来、昨日は平穏な海だったというふうに報道機関から聞いていますけれども、お一人も救助されることがなかったと。一昨日の女の子は、知床岬先端ですけれども、そこから十四・五キロ東側ということですから、日本が実効支配しておらない国後島と知床の間の中間線から見ますとほぼ数キロの手前と、こういうふうに、昨日、海上保安庁からも聞いております。
そういう中で、新聞報道でもありますけれども、SAR条約というのがあって、こういった海上の遭難者については関係国が協力をしてこの救助に当たると、捜索救助に当たると、こういう条約があるし、ロシア側ともそういう形でこの協定を結んでおると、こういうふうに聞いておるところであります。
その協力を、海上保安庁第一管区からは既に、常時ロシア側にも情報を伝えておるというふうには聞いておりますけれども、所管の政治の責任者として、この実効しておらない海域に捜索を広げることについてロシア側にきちんと協力を求めると、こういう状況、いろんな状況ありますけれども、人道的な形で行うということについての大臣の御発言をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/7
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008・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) ロシアに対しては、捜索救助を行うに当たり相互に協力すること等を定めた二国間協定に基づき、本事案の概要を伝え、関連情報の提供を依頼しているほか、今後の捜索救助に関し所要の調整を行い、了承を得ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/8
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009・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 いろんな情報では、漂流物が来たときの情報提供にとどまるとか、いろんな形あります。問題は、その中間線を越えて捜索救助活動をどちらが行うか。日本が行うのであれば、日本が行うということについてのやっぱり双方の了解が必要だと私は思うんですが、そういった踏み込んだ、実態としての救助活動に踏み込んだその協力関係ということになるのかどうか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/9
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010・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほど、この二国間協定に基づき、今後の捜索救助に関し所要の調整を行い、了承を得ていると申し上げましたが、この調整、了承の中に、日本の船が、捜索活動が、いわゆるロシアが実効支配しているところに入って捜索活動をするということも含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/10
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011・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 これは、いろんな面で微妙な点も通常でもあります。したがって、やはり政治のレベルできちんとそのことの了解点というか合意をすることも大切かなと私自身思いますので、過去の経験からいけば、そのことについて大臣としてきちんと対応していただきたいと思います。
もう一つは、やっぱりこの観光船の発見がこれ非常に重要です。伝えられるところによると、岩礁もありますけれども、少し沖は百メートル超える海溝、深い海という形で、今もう既に水中短波機器が投入されておるというふうに聞いていますけれども、伝えられるところでは、大型の最新鋭の探知機、これが三十日にならなければ着かないというようなことも聞いておりますが、このやっぱり観光船を、船体を探知して調べるということは非常に大事だと思いますが、これに対する大臣のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/11
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012・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 船体の発見というのは、救助を行う上で最も大切な点でございます。今、その船体の探索に全力を挙げているところでございます。これには最新の技術を使ってということで、今、いろいろなことを今試みているところでございますが、現在、現地には、先ほど鉢呂委員おっしゃったような形で探索作業を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/12
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013・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 私が行ったおとといは、発生してから一日程度でした。なかなか情報が、特に捜索救助活動の情報が様々な形で伝えられないという話もございました。
今、大臣がさっきお話ししたように、一日三回説明会を行うということでやられておるようですが、非常に観光客の乗客の御家族の皆さんは大変焦燥感が募るばかりだと思いますから、その辺は丁寧に、まあ三回なんていうことに決めないで適宜情報の、救助活動のいろんな転換があればその都度やっぱり丁寧に御説明をするということが大事かと思いますので、その点はよろしくお願いをいたしたいと、これは先ほど報告がございましたから答弁は求めません。
そこで、若干、今は救助活動に専念する段階でありますけれども、この観光船は昨年も二度事故を起こして、最初の五月十五日には三名の乗客が軽いけがをしたと、二回目は岩礁に浅瀬で座礁して、六月十一日ということは私も国交省から昨日聞いておりますし、国交省としては、昨年六月に監査を実施して、安全運航のための基準遵守を求めて、そしてまた運航点検の適切な記録作成などの指導を行って、それに対してこの会社の側は、指導内容を基にして、指導内容を基にして改善報告書を提出したと、再発防止策としては見張りの強化などを盛り込んだと、こういうふうに昨日国交省から聞いております。
基準の遵守、基準というのは会社自体が作るということで、それに対して国交省側でこれでいいというようなことだと思います。一番この目新しい中では見張りの強化というふうに会社側が盛り込んだというふうに聞いておるんですが、これについて、国交省として、きちんと見張りの強化などを、昨年六月以降ですけれども、されておるのかどうか、確認をしておるのかどうか、これ、大臣、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/13
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014・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 有限会社知床遊覧船は、昨年五月及び六月に海上の浮遊物への接触や浅瀬への乗り上げを起こしており、事故後に北海道運輸局が特別監査を実施したところでございます。特別監査の結果、北海道運輸局より同社に対して、船員による見張りの確実な実施や安全管理規程の遵守等の指導を行い、昨年七月に同社から北海道運輸局に、これらの事項についての改善報告がありました。
今回の事故については、四月二十四日より国土交通本省及び北海道運輸局の職員による特別監査を開始しており、事故時の状況、運航管理体制、昨年の同社への指導を踏まえたその後の安全管理規程の遵守等について確認を進めているところでございます。今回乗船していた船長及び甲板員が必要な安全教育を適切に受けていたかについても、今回の特別監査の中で確認を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/14
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015・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 ということは、昨年のこの監査、指摘、そしてそれに対する改善報告、その後の確認はしておらないと、大臣の御答弁からそういうふうに推測をするわけですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/15
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016・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) はい、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/16
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017・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 見張りの、先ほど大臣は強化とは言いませんで、言いませんでしたが、私の事前の段階では、見張りの強化、それはどういうことなんだというふうに聞いたら、船長と甲板員、今回も二人なんですけれども、このどちらが見張りの強化役なんだと言ったら、二人とも見張りという業務をやるということであります。そしてまた、強化ということですから、従来も二人、それが強化ということにはもうなっておらないのではないかと。今回の事案を見ると二人しか乗っていませんでした。
そして、先ほど大臣もお話ししました、伝えられるところ、船長は、二年前にこの甲板員になって半年を経て船長に登用、そして甲板員、今回乗っていた甲板員はこの四月、ですから、まあ今回は初めての出航になっておりますから、初めて見張り役をやると、見張り役でなくて甲板員をやると。こういうふうに言わざるを得ないところで、本当にこれが熟練した見張りの強化になっておるのかといったら、とてもなっておるとは言えないのではないかと、こういうふうに思うわけでありますけれども。
もう一度、大臣、これについて本当に強化であるのか、今回初めて分かった事案であれば、大臣の答弁でいいんですが、昨年そういう形で監査までして、指摘もして、報告書まで受けておると、こういう段階で、この二人のこういった経歴からいって、知床半島沖は非常に複雑で大変岩礁も多い、こういう中で本当にこれ強化になったのかどうか、もう一度御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/17
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018・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の事故を起こした船舶は、最長航行時間が八時間以下かつ七百トン未満の船舶に該当することから、船員法に基づく運航要員は二名となっております。このため、運航要員の数は法律に違反するものではありませんが、運航管理体制が安全管理規程に従ったものであったかについては確認する必要がございます。
国土交通省としては、四月二十四日から開始している特別監査において、同社の運航管理体制についても確認を進めてまいりたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/18
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019・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 少し話題を変えて、今月の二十日、二十一日に、船体、船の中間検査、これは普通は四年、五年での検査なんですけれども、毎年中間検査として一年に一回行うと。これは船舶安全法に基づいて定期的な検査を受けるというふうに法律で決まっておると思うんですが、四月の二十日に検査を受けて確認済みと。これは海事局やあるいは北海道運輸局が直接やるのではなくて、日本小型船舶検査機構、ここが受託をしてやっておるようですが、これについて合格したと、こういうふうになっておるんですが。
いろいろなこの地元での発言もあります。船舶、船底、船首のところに穴が空いておったんではないかとか、こういう指摘もあるようでありまして、これについては今は現在進行形でありますから必ずしも大臣が適切に答えるということはできないかも分かりませんが、やっぱり責任は重いと。昨年のこういった指摘もある中、そして、今回もそういった船体の検査をしておると。あるいは、まあ今日は時間がありませんからあれですけれども、様々な運航の体制というのがどうであったのか。他の関係の観光船が出航しないという中で、そういう行くなという指摘もあった中で行ったと。全体で行けば助け合うこともできるんだが、単独で行けばなかなかそれは助けに行くったって数時間掛かる中で、単独で無理やり、無謀にも行ったと。
こういったものを考えると、私は、やっぱり運航計画、実際のこの規程と、こういったものについてもやっぱり国交省として大変重い責任があるのではないかと、特に昨年からの経過がありますから、国交省として、これは一遊覧船の無謀な形だと、こういうことだけでは済まない重い責任があるのではないかと、こういうふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/19
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020・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) KAZUⅠは、本年四月二十日に、船舶安全法に基づき日本小型船舶検査機構による中間検査を受検しております。この中間検査では、船体の外観を確認したり、改造や損傷の有無を船主に確認する等、あらかじめ定められた方法に従って検査を行い、問題は確認されなかったと聞いております。
なお、船体の損傷の有無については、四月二十四日に開始している特別監査において確認を進めることとしております。まずはこの監査をしっかりと行っていきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/20
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021・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 今日はこの法案の審議でありますから、国交省の重い責任も私は同時にあると、昨年の経過からいけばということで、また自後、この論議する機会がありましたら、その特別監査の内容も含めてまた論議をしたいと思っています。
今日は、所有者不明土地活性化法の審議ということであります。
まず、最初に大臣に。土地基本法というのは、バブル期に旧法、そして三年前ですか、新しく改正された土地基本法というのがございます。私もいろいろ、それが、土地基本法が一番の大きな基になる法律で、今回の土地所有者不明、先行して新法ができたんですが、その下で行う所有者不明土地活性化法だと思っています。
そこで、土地基本法の旧法と新法の違いは、目的、第一条が大きく違います。この中で地域という言葉が二回、この基本法の第一条、目的のところに出てきます。これは、大臣、どのような視点でこの地域というのが入ったのかどうか、これを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/21
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022・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回、所有者不明土地への対応につきまして、新しい法律、三年前にできたわけですが、この基本的な考え方として、所有者不明土地への対応は個別の土地の状態や周辺地域の状況に応じた対策を行っていく必要があり、その実効性を確保するためには地域また地域コミュニティーの果たす役割が極めて大切であると、このように認識しております。この点については、御指摘のとおり、今回の方向性、土地審議会、土地政策分科会企画部会のとりまとめにおいても同様の方向性が示されているところでございます。
今般の法案においては、条文上、地域コミュニティーという文言は使用しておりませんが、お尋ねのように、具体的な条文の中に、その地域の必要性、例えば、改正後の第四十七条において、地域において所有者不明土地などの利活用に取り組む法人を市町村長が指定することができることとなっておりますが、NPO法人や自治会などがその対象になり得ること。また、改正後の第四十六条において、地域の多様な関係者が一堂に会して所有者不明土地対策計画の作成などについて協議を行う協議会を規定しておりますが、その構成員としてNPO法人や自治会などの参画も想定されていることとしておりまして、まさに地域、地域コミュニティーの活動が位置付けられていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/22
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023・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 大臣、先に越されて答弁されてしまったわけですけれども、まあいいんです。
土地基本法には先ほど言った地域というのはどういう関連で述べられているかというと、良好な環境をその地域でつくらなきゃいけないと、あるいは災害に対する予防とか発生したときの復旧復興、こういったものはやっぱり地域で決める必要があると、そして地域の持続的な、安全で持続的な可能性というものを地域でやっていく必要があると。これが土地基本法の第一条に、条文に書いてあることで、私はまさにそのとおりだと、こういうふうに思います。
この先ほど大臣が言われた分科会の、国土審議会土地政策分科会長、山野目さんという方、ですから、この論議を引っ張っていたリーダー格の部会長ですけれども、彼は、二〇一八年の中間とりまとめや翌年の部会とりまとめでも、大臣に先越されて言いましたけれども、地域コミュニティー、これに着目すると、まあいいんです、その審議会でも何度も、地域コミュニティーが大事だという論議がもう頻繁に出るようになったと、こういうふうに述べられて、ただし、この今回の土地所有者不明、所有者不明の法律には、きちんと地域とか地域コミュニティーという表現は条文上ありません。ないんです。ただし、大臣が先ほど四十七条等言いましたから、それはまさにそのとおりであります。
私の言いたいのは、そこは是として、大臣がそういうふうに、是として、やっぱりこの際、法律の条文に地域コミュニティーというのを規定付けるのもなかなか難しいという面はあるんですが、今や条文にやっぱりそこをきちんと明記する、そのことによって国民の皆さんにも明らかにすると、そういうところが一番大事なんだと、これが必要かなと、こういうふうに指摘をさせていただきたいと、こういうふうに思います。時間がありませんから、もう私の方から答弁を言っているようなもので、よろしくお願いをいたしたいと思っています。
で、問題は、質問の四なんですけれども、飛びますから、そういった地域コミュニティーが主体的に土地を利用、管理するその仕組みは大切なので、そこを支援する国の助成事業とか、そこを支援するということが大切ではないかと私思うんですが、いかがでしょうか。なかったらいいです。それは見ないで答えていただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/23
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024・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まさに今回の法律の基本的な考え方として、土地の低未利用地、また使用者不明土地、活用していく、そこをいろいろな立場で、もちろん行政も含めまして、これを支援していくというのが基本方針、基本的な精神でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/24
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025・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 今回の法律の前段になる、昨年十二月に、令和三年十二月に国土審議会土地政策分科会企画部会のそのとりまとめ、いわゆる答申だと思いますけれども、この中でも、地域一体となってこの課題がある土地、これは所有者不明ばかりでなくて、いろいろな課題がある土地があるんです。所有者不明というのは突き詰めていけば所有者は明らかになるんですけれども、実際は、その地域できちんと活用するというところまで行くには、やっぱり地域における一体となって課題を解決するそういった体制が大事だと、こういう答申、これをしておるんです。私もそのとおりだと思っています。
その地域コミュニティーも、例えば民間業者も、先ほど町内会、自治会とかという話もありましたけれども、そういうものも含んで多様なものがあると、これも大臣、認めていただきたいと思うんです。このとりまとめでは、新潟県の田上町では、みどり福祉会というのが、放置された竹木の繁茂に悪影響が及んでおると、それをきちっと土地所有者を探索して、そして必要な手続を行ってという事業もやっておるし、あるいは、営利法人ですから株式会社、この鹿児島県の西之表市の川商ハウスですか、ここでは空き地の流通促進に努めておると。こういった多様な主体が地域コミュニティーとして活動する、そのための支援を行っていただければ有り難いなと、こういうふうに思います。
そこで、近代的土地所有権の問題点と硬く書いています、大きく二番目に入らさせていただきますが。
日本の近代は、土地については、個人の絶対的所有権というのが基本になって今日まで来ました。私も、議員になって三十二年、一九九〇年初当選ですが、そのときはバブルの絶頂期、バブルがもう壊れかかっているときでした。
私は函館から選出された議員だったものですから、函館へ行った方は分かるとおり、函館の夜景というのはもう大変なドル箱でして、そこに地上げの事業所が横行して、古い、あそこは日本やアメリカ、あるいはロシアと最初の通商基地になったところなんですが、そこにある歴史的な建造物を一気に壊すと、そして更地にして高い建物建てるという全盛期だったんですね。函館では、いわゆる市民の皆さんがそれに対して危機感を持って、私の記憶では、茶屋亭という非常に趣のある料亭風のやつを、更地化にしては駄目だと、寸前でそれをとどめたというようなことがございました。
ですから、日本はもう土地を、何かこの地上げの対象にしたり、投資の対象にしたり、金もうけの対象にすると、そして今はその逆転の、誰も土地に振り向かないというところが田舎とか中小都市のところでは広がっておると、こういう中であります。
一言で言えば、今回は所有権、所有者が不明のところとなっていますけれども、東京辺りは相変わらず、住むための土地の流通ではなくて、やっぱり投資の対象になっておるのではないかと、こういうような嫌いが今も続いています。まあ、隣のソウルなんかも、全然もう庶民が買えるような地価になっておらないと。日本もそういうところが今でもあるという中で、土地問題というのは非常に複雑、そしてまた重要だと。
私の視点は、絶対的に個人の所有権というものが今日まで優先されてきました。しかし、今、この場で、この期に及んで、人口減少、高齢化という中で、その従来の日本の土地に対する権利関係、大きく見直す時期に来ておるのではないかと、私はこう思うんです。やっぱり土地というのは限られておりますし、様々な使い方がある。個人が自由で、この売り買いも自由だと、この段階を過ぎておるのではないかと、こういう考えなわけですけれども、大臣の御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/25
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026・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、鉢呂委員のお話を聞きながら、私も、ちょうど今から三十五、六年前になりますが、昭和の終わりから平成の二年まで東京におりまして、当時、もちろん私、家を持っておりませんでしたけれども、今買わなければ一生買えないなどというような風潮がはびこって、まさにバブルの最盛期でしたけれども、その前後で、今から考えると人生のいろいろな、大きなそこに負債をしょって人生を狂わせていった人をたくさん見ておりまして、土地政策というのは大きな一人一人の人生に関わってくるというのは、私も実感をしております。
先ほどの御質問に対しましては、所有者不明土地問題の解決に向けた民事基本法制の見直しの検討に先立って、登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会が設置され、法務省や国土交通省も参画の上、土地の所有権の在り方を含め、平成三十一年二月に報告書が取りまとめられております。
この報告書において、土地の所有権の在り方については、所有権絶対の原則は、元来、所有権に対する公共の観点からの制約があり得ることを前提としており、土地基本法の公共の福祉優先等の基本理念や各種法令で定められる土地所有者の責務等に基づき、社会経済情勢の変化に合わせて、所有権に対する適切な制約の在り方が追求されることが妨げられるものではないとの見解が示されており、国土交通省も同様の見解を有しております。
これまでも、所有者が不明であるかどうかにかかわらず、土地を公共の利益となる事業の用に供することが必要な場合には、土地収用法に基づき所有者等に対する正当な補償の下で土地を収用することが可能となっております。現行の所有者不明土地法では、所有者不明土地の場合について手続の特例が設けられており、収用の迅速化が図られております。
また、御指摘の、あっ、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/26
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027・鉢呂吉雄
○鉢呂吉雄君 私も同様の考え方で、なかなか複雑な権利関係が入りますから、そうはいっても、収用法で全部いけるかというとなかなか難しいと。こういう中で、時間、国民の意識の転換も必要だと思いますし、それに伴ってのその法整備も必要になってくると。
今回のこの所有者不明土地の活用、どういうふうに考えたらいいのか。一つは、土地というのはやっぱり、だからさっき言ったように、何事ももうできる、個人でできる自由な商品だと、これはやっぱり一歩脱却をして、様々な今、法整備もこの三、四年、五年で作ってきているから、私はそれは是としたいと。
こういう中で、今回もいろいろ皆さんの省庁に聞いてみますと、空き地あるいは所有者不明のところをいろんな形で利用すると、使用するということの方向は、お膳立ては前回の基本法の中で作られておると。なかなかそれがその使用方向になっておらない、一つしか申請の手続に至っていないということでありますので。もう一分しかないのであれします。
そういう中で、私は、もっとこれを活用すると、プラスの面で。何か、所有者不明だとか空き地だとかというと何かあれですけど、先ほど言ったような地域の主体をしっかり付けて、そこでそういった空き地をどういったものに利用していくんだ、いや、普通の小さな公園でもいいし、あるいは保育園を建てるとかコンビニを造るとか、そういう形で、積極的な意味合いで、土地がそこにあるんだということはいいことなんですから、ないよりは、そういう形の発想の転換も求めていくと。
これはあくまでも利用権というか使用権をあれするわけで、所在不明者が出てきた場合には十年とか二十年とかの期限の後にはもう更地にして返すという形ですから、もっとそれを積極的に利用してもいいのではないかというふうに御提言をして、答弁は要りません、もう時間が来ましたので終わらさせていただきます。
ありがとうございました。
〔委員長退席、理事長浜博行君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/27
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028・野田国義
○野田国義君 おはようございます。立憲民主党の野田国義でございます。
私からも、知床の遊覧船事故、犠牲になられた皆様方に、お亡くなりになられた皆様方に心から御冥福をお祈りをしたいと思うところでございます。
鉢呂議員の方からいろいろな御指摘ございましたので多くは言いませんけれども、私、もう一つ大きな問題は、この当時は、出航するときは三十センチぐらいの波だったそうで、それが三メーター、今日の新聞には六メーターと書いていた新聞なんかもあります。そういうことで、気候が本当に変わったということでございまして、船長始めそういう、どういうふうに海を状況を読んでいくかというようなことが大切なことであったのであろうと思っておりますし、また、一番今回、ああ、このことじゃないかなと思ったのは、コロナ禍で非常に経営状況が厳しくなっている、そういう資金繰りが厳しいというようなこともあったようでございます。そこで、やっぱり今申し上げましたように、無理をして出航してしまったということがこの事故の原因にもなったんではないのかなと。
ですから、これは船だけの問題じゃなくて、いろいろこのコロナ禍で経営が悪化している、バスを始めそういった運輸関係のことも考えて対策を講じていかなくてはいけない問題ではなかろうかと私は思っているところでございますけれども、斉藤大臣におかれましての今回の事故、思いというものをちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/28
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029・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私も直ちに現場に行きました。御家族ともお話をさせていただき、二度とこういう事故を起こしてはならないという思いも強くしたところでございます。
今回、どういう会社が状況にあったのか、そのときに出航するという判断が適切であったのかどうかということも含めて、今、特別監査をしっかり実行しております。二度と起こさないという決意の下、しっかり監査をやり、その結果をまた今後の行政に反映させていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/29
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030・野田国義
○野田国義君 本当に、あと十五名の方ですか、救出がされていないということでございますので、それと、やはり船体ですよね、これを早く引き揚げていただくということが重要なことだと思いますので、全力を尽くしていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。
〔理事長浜博行君退席、委員長着席〕
それから、話をちょっと変えますけれども、円安ですよね。それで、私、前回の質問のときに、ウクライナ危機もあり、またロシア問題もあり、燃油が高騰しているということで、この対策をしっかりしていただきたいという質問をさせていただきました。
そこで、三千五百億からのその対策費、これはどこから、どこの予算を使っているんだという話もさせていただいたところでございますけれども、そこは予備費を使っているという答えがあったように記憶しているところでございますけれども、しかし、これはこれから先も本当にこのエネルギー危機というものがまだ長く続く可能性もあると、まだ円高によってもウクライナ危機によってもですね。ですから、ここをどうされるのかということが答弁で、後で読み返してみましたところ、なかったわけですね。ですから、ここをどうされるのかということで御質問をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/30
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031・秡川直也
○政府参考人(秡川直也君) 燃料高騰対策なんですけれども、岸田総理から三月末に、緊急対策を四月中に取りまとめろという指示をいただいております。
国交省としても、その政府全体の検討を踏まえて、今予備費というお話ありましたけれども、予備費とか補正予算を念頭にしっかり対応していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/31
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032・野田国義
○野田国義君 ですから、我々ももう再三、そして随分前から、このもう補正予算で対応していかなくちゃいけないんじゃないかということを申し上げてきておったところでございます。それで、ようやく六・二兆円ですか、昨日、そういう数字が出てきているようでございますけれども、私はやっぱり、本当にこれエネルギー問題だけじゃなくて、国民の生活が、この円安、そして危機によって非常に物価が上昇して生活が困っておられると、困っていると、国民が、多くの国民が、そこをやはり補正予算をしっかりと組んで対策を講じていただきたい、再度お願いを申し上げたいと思うところでございます。よろしくお願いいたします。
それでは、所有者不明土地特措法改正について御質問を幾つかさせていただきたいと思います。
本当にこの問題、大きな問題だと思います。何か九州ですかね、が不明土地だ、あるいは四国をそこに入れた面積になるとか、そんなことが大きく報道されまして、本当に私もびっくりしましたけど、多くの国民も驚いているんではなかろうかと思っておるところでございますんで、しっかりとした法律を作っていかなくちゃいけないと思います。
そこで、この特定所有者不明土地の範囲が朽廃した空き家等の建築物の存する土地に拡大することを踏まえ、地域福利増進事業等が円滑に行われるよう、建築物の除去に係る費用について市町村等に対する必要な財政支援が私は必要になるんじゃないかと思っております。
そして、ちょっともう一つも一緒に聞きたいと思いますが、災害時の発生を防止するため、管理不全の所有者不明土地に対する市町村長による代執行制度が創設されることに伴いまして、その執行が適時適切に行われるよう、ガイドラインの作成や制度の周知徹底を行うこととともに、必要なここも財政のいわゆる支援がないとなかなか進まないんじゃなかろうかなと私は思っているところでございますけれども、この二つ、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/32
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033・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今般の改正におきまして、地域福利増進事業などをより使い勝手の良いものとするため、地方公共団体からのニーズも踏まえ、対象となる所有者不明土地について、朽廃した空き家等の建築物が存在する場合も、場合にも拡大することとしております。この改正により、朽廃した空き家等を撤去して地域福利増進事業を実施しようとするケースが増加することが見込まれます。このため、国として、事業を実施する市町村等に対し、予算の範囲内で財政支援を行っていく旨を法律において明確化するとともに、令和四年度予算において新たな補助制度を創設したところでございます。
国土交通省としましては、こうした支援活動を通じて、所有者不明土地を地域のために有効に利活用する地域福利増進事業制度がこれまで以上に積極的に活用されることを期待しております。
それから、代執行についての支援ということでございますが、今般の改正においては、令和二年の土地基本法改正により、土地政策の基本理念として土地の適正な管理の確保が明確化されたことを踏まえ、この理念を施策として具体化し、所有者不明土地の管理の適正化を図るため、市町村長による代執行制度等を創設することとしております。
この代執行に関わる財政的支援につきましては、予算の、この今回の改正案におきまして、予算の範囲内で財政的支援を行っていく旨を明確化するとともに、令和四年度予算において、市町村が作成する計画に基づく事業に対する新たな補助制度を創設したところでございます。
代執行の費用負担につきましては、代執行の一般原則にのっとり、対象となる管理不全所有者不明土地の所有者が負担することとなりますが、代執行の対象となる土地の所有者等がそもそも不明の場合や、所有者が見付かっていても費用の全額を徴収することが見込めない場合については市町村が当該費用を負担することとなるため、代執行に要する費用についても今回創設する補助制度の対象とすることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/33
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034・野田国義
○野田国義君 やはり、この法律を円滑に進めていくにはそういった財政的支援ということが欠かせないものであると思いますので、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。
それから、この所有者不明土地法は、平成三十年に施行をされて、令和元年六月一日に全面施行されました。これまでの、もう三年間がたつわけですが、同法に基づいた施策の活用状況がどのような評価をしているのか、今回の法改正にどのように結び付いているのか、やはり評価というか検証をしていくことが大切だと思いますし、また後でも質問いたしますが、なかなかこれがちょっと件数が少ないとか、そういう問題があるようでございますが、どう評価されているか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/34
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035・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
令和元年六月一日に全面施行されました所有者不明土地法でございます。この法律に基づきます制度の活用実績でございますが、現時点で公共事業の用地取得の合理化、円滑化のための土地収用法の特例、六件の裁定がございます。それから、所有者不明土地を地域住民等のための施設として利活用することを可能とする地域福利増進事業は一件の裁定がございます。加えまして、これらの制度を活用するための前提となります固定資産課税台帳を始めとする土地所有者等関連情報の利用、提供の特例につきましては、昨年十二月時点で約七百八十件の活用実績が上がっているところでございます。
こうした現行法の実績に対する評価に関しましては、情報の利用、提供の特例が約七百八十件活用されているなど、制度を活用して所有者不明土地を何とか利活用しようという動きが広がってきている一方、地域福利増進事業の裁定が一件にとどまっていると。この事業制度の使い勝手をより良くするための各種の改善措置を講ずることが必要ではないかと考えてございます。
こうした評価に基づきまして、今般の改正におきまして、地域福利増進事業制度について、その事業の対象を拡充するほか、一定の事業につきましては土地等使用権の上限期間を延長し、事業計画書などの縦覧期間の短縮、こういった事業スキームの改善を図るなど、より現場の声を反映した使いやすい制度に見直すことといたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/35
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036・野田国義
○野田国義君 今申されましたように、非常に少ない数字に私はなっていると思っているところでございます。
毎年十五件程度のペースとなるが、それで、三年間で一件の申請にとどまったものが、法改正で、今回の法改正でどうやって増加するんだろうかなということを考えるわけでありますけれども、今回の設定数の目標値は何に基づいて算出をされているのかということ、このことをお聞きしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/36
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037・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
委員御認識のとおり、所有者不明土地法の制定時でございますが、地域福利増進事業における土地の利用権の設定数について、施行後十年間で累計百件という目標を掲げておりました。これは、当時、地域福利増進事業の利用方法として容易に裁定されるものとして、ごみなどを不法投棄されている所有者不明土地を公園や広場として整備する、それから特定空き家を略式代執行した後の空き地が所有者不明土地である場合に、当該空き地を公園や広場に整備する場合などを想定した上で、国土交通省の方で実施いたしましたアンケートなどを基に設定いたしたところでございます。
お話にありましたとおり、現時点においては、地域福利増進事業の裁定数、これは新潟県の粟島浦のケースでございますが、その一件にとどまっております。
お尋ねの今回のKPIの考え方でございますけれども、今申し上げました法制定時に設定いたしました施行後十年間で百件というKPIを達成するには、残り約六年半で一年当たり十五件の活用がされることが必要になります。今回の改正法案の検討、見直しが施行後五年とされていることも踏まえまして、今回改めて施行後五年間で七十五件というKPIを設定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/37
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038・野田国義
○野田国義君 ちゃんと実効性のあるものにしてほしいというのと、実行を伴う計画であってほしいと思いますので、その辺りのところをよろしくお願いをしたいと思います。
それから、ちょっと根本的なところをお聞きしたいと思いますけれども、この所有者不明土地の全貌の把握の困難性、これ非常に、片方ではそんな予測、九州、それから四国を合わせたようなとか、いろいろ出ておりますけれども、現実は非常にこれ、所有者不明土地を調べるということがいかに難しいか。
地方公共団体へのアンケート調査結果によりますと、域内に登記簿上所有者が不明の土地が存在するか把握しているかとの問合せに対しまして、法務局等を通じて把握しているが七%、公共事業等自らの事業の関係での存在を把握しているが二四%。一方で、あるとは認識しているが調べていないが何と四五%、あるかどうか分からないが二五%と、その合計は七〇%も占めているところでございます。
国土交通省においても所有者不明土地の全貌は把握していないとのことでございますけれども、そもそも所有者不明土地の全貌を把握することは可能なのか、本当にできるんでしょうか。この実態を把握するためにはどのような作業を要するのか、またそのような作業の実現可能性の有無についてどうお考えなのか、見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/38
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039・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
所有者不明土地でございますが、これは所有者を探索して初めて所有者が不明であるかどうか判明するものでございまして、その全貌について網羅的に把握するためには、恐らく全ての土地について所有者の有無を確認する作業が必要になってくると思われまして、現実的にはなかなか困難ではないかと考えてございます。
なお、法務省さんのホームページによりますと、登記事務処理を行っている情報システムに記録されている土地の筆数ですね、これは全国で約二億三千六十二万筆、平成三十一年三月末現在でございますので、なかなか全貌を把握するというのは現実的には容易でない作業ではないかという認識をしてございます。
他方で、地籍調査がございます。これ、土地の所有者の立会いを得まして土地の境界ですとか面積などを明確化する地道な作業でございますけれども、これ、国土調査法に基づいて毎年実施されております。これが所有者不明土地の実態把握の手掛かりの一つになるのではないかと考えておりまして、我々も活用させていただいております。
例えば、令和二年度の地籍調査におきましては、不動産登記簿によっては所有者などの所在が判明しなかった土地が筆数ベースで約二四・〇%存在していることを把握してございます。
それから、先ほどアンケートの御紹介もございましたけれども、市町村を始めとするその地域においてどの程度その実態把握できているのかというお尋ねにつきましては、今般の改正において、市町村を始めとする地域の関係者が所有者不明土地対策を計画的かつ一体的に推進できるようにするために、市町村が計画を作ることができるという制度を設けてございます。この計画を作成するに当たっては、まず土地に関する実態の把握、その調査が必要でございますので、地域に、地域地域において所有者不明土地の実態把握に資する、この制度が資するというふうに考えてございます。
国土交通省といたしましては、先ほど申し上げました地籍調査を着実に実施していく中で所有者不明土地の実態把握に努めることはもちろんでございますけれども、市町村によります実態把握調査を通じまして地域の関係者の皆様が所有者不明土地対策を着実に推進していけるよう、役立つ情報を把握できるよう、しっかりと支援してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/39
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040・野田国義
○野田国義君 今答弁ありましたように、実態把握がなかなか難しいと、そもそも論に返ったところでございますけれども、ここも本当に非常に大きな問題ではなかろうかなと思っているところであります。
実を言いますと、ちょっと私事で申し訳ないんですけど、昨年十月、父が亡くなりましたので、私のところは専業農家でしたので、お茶畑、四千五百平米ぐらいあるんですね。あっ、済みません、四万五千平米ぐらい。それで、そのお茶畑の一部が弟に、その父の弟に、叔父にですね、相続していた、いわゆる財産を分与していたというところがあるんですが、しかし、その弟の方はもう五、六年前に亡くなっていると。しかし、そのままになっているんですよね、当然。ですから、それと片方は今やっているところなんですが、銀行関係はもうさっと押さえに入りますよね。しかし、土地の方はもうそうやって、亡くなったら亡くなったでほったらかしというような状況、この差があるんですよね。銀行は厳しいのであれですけれども。だから、こういう差、だから、そういうところが恐らく日本全国にはたくさんあるんじゃないのかなと思うんです。
それと、先ほど鉢呂議員がおっしゃったように、いわゆる田舎の二束三文というのが、そういう土地はもう相続してもしようがないということでまたほったらかし、登記料の方が高いというような状況があって、こうやってどんどんどんどん増え続けているのではないかと、そのように思っているところでございます。
それから、所有者不明土地における法務省ですね、この関わりが非常に重要だと私は思っておりまして、所有者不明土地問題の要諦は登記制度の充実であり、そのためには、法務省においては引き続き所有者不明土地問題に関連する法律の的確な運用に大いに期待されているところでございます。
法務省における今後の取組の見通しと、今後この所有者不明土地に対する決意を、法務省がちょっと決意を持ってもらわないとなかなか解決できないと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/40
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041・堂薗幹一郎
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
所有者不明土地問題の解決に向けて、法務省の所管する不動産登記制度の適切な運用を含め、総合的な対策を講じることが重要であるというふうに認識しているところでございます。
まず、法務省では、所有者不明土地特措法に基づく長期相続登記等未了土地解消作業として、公共事業が実施される地域内にある長期間にわたり相続登記がされていない土地について、その登記名義人の法定相続人を探索する作業を平成三十年十一月から全国の法務局で実施をしているところでございます。
本作業につきましては、これまでの成果を踏まえ、公共事業がより円滑に実施されるよう、法務省として今月一日から運用を見直しまして、これまでの国、地方公共団体に加えまして、公共性の高い事業を実施する民間事業者からの要望につきましても本作業の受入れ対象とするなどしたところでございまして、引き続き新たな運用に基づく作業を着実に実施してまいりたいと考えているところでございます。
また、所有者不明土地の発生予防の観点から昨年の四月に不動産登記法の改正がされまして、相続登記や住所等の変更登記の申請義務化、相続登記の手続的負担を軽減するための相続人申告制度の新設、それから、相続登記の漏れを防止する観点から、特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的に証明する制度の新設など、総合的な見直しが図られたところでございます。
この新しい不動産登記法の各規定は令和五年四月から順次施行される予定でございまして、現在法務省において必要な政省令の整備等の検討を進めているところでございますけれども、今後とも、新制度の施行に向けた運用上の準備を進めるとともに、関係機関、関係団体とも連携して国民に向けた丁寧な周知、広報を行うなど、新制度の円滑な施行に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/41
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042・野田国義
○野田国義君 この所有者不明土地、今も述べられましたように、そのやっぱり登記ですよね、このところが非常に重要でございます。所管官庁は法務省ということでございますので、やっぱり法務省と国土交通省、しっかりとした連携を取りながら対策を講じていただきたい、このことをお願いをしたいと思っております。
そして、最後になりますけれども、ランドバンクですね。非常に、何か空き家バンクとかありましたけど、今度はランドバンクということ出てきたようでございますけれども、国土交通省による令和四年度税制改正要望事項の項目に所有者不明土地の発生抑制のためランドバンクが取得する土地に係る特例措置の創設があったものの、しかしながらその創設が見送りになったと承知をいたしております。
一例として、都市再生推進法人に対しては土地譲渡に係る税制優遇措置がある一方で、今回は本件が見送りとされた背景について、その具体的な説明をしていただきたいと思いますが、いかがでこういうふうになったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/42
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043・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
御指摘いただきました所有者不明土地の発生抑制のためにランドバンクが取得する土地に係る特例措置の創設は、令和四年度の税制改正要望におきまして、一つは、土地を一時的に取得する推進法人に対しまして不動産取得税の課税標準の軽減措置、二つ目、推進法人から土地を取得する者に対して登録免許税の税率の減免措置を要望したものでございました。
その後、この推進法人制度の法制化や支援措置について検討を深める中で、国土交通省がこれまで令和二年度及び令和三年度に実施してまいりましたいわゆるランドバンクモデル調査の結果ですとか地域地域におきますこうした法人の活動の実態を踏まえまして、この推進法人の主な業務について精査いたしました結果、所有者不明土地を利活用しようとする方々に対する地域福利増進事業等に関する情報の提供ですとか、所有者探索の結果確知できた所有者に対する適正な管理を行うための助言などのほか、所有者不明土地の予備軍たり得る低未利用土地、これの利用促進のため、所有者とその利用希望者とのマッチングですとか土地利用のコーディネートなどの実施といった業務が想定されるところでございます。
このため、当該法人が土地を一時的に取得するような、相応の費用の負担を伴うような業務は、当面主たる業務としては想定し難いと判断いたしたところでございます。このため、推進法人制度の創設初年度となります令和四年度につきましては、市町村が作成する計画に基づく事業に対する新たな補助制度を創設することにより、こうした推進法人の取組を支援することといたしました。
国土交通省としましては、まずは推進法人による志ある着実な活動、これが各地域に広まるよう支援いたすとともに、今後指定される推進法人の活動状況を踏まえて、必要に応じて更なる支援措置の検討を行ってまいりたいと考えております。
なお、御指摘ありました都市再生推進法人につきましては、自ら実施する都市開発事業等に必要な土地を取得する際の税制特例が存在しているものと承知しておりますが、この不明土地法に基づきます推進法人につきましては、先ほど申し上げましたとおり、土地のマッチングやコーディネートを主たる業務として想定しておりまして、現時点においては必ずしも同様の制度措置が必要ではないのではないかと、あるとは認識してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/43
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044・野田国義
○野田国義君 この所有者不明土地をやはりなくすためには、いろいろなことが絡み合っているわけでありますけれども、やはり今申し上げましたように税制の優遇措置とか、あるいは最初に申し上げましたように財政的な支援とかメリットとか、インセンティブを与えないとこれなかなか動かないんじゃないかなという気がいたしますので、その辺りもしっかり考えていただいて対策を講じていただくことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/44
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045・浜口誠
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。よろしくお願いしたいと思います。
まず冒頭、斉藤大臣の方から北海道の知床遊覧船の事故についての御報告をいただきました。亡くなられました十一名の皆さんに心からお悔やみを申し上げたいと思います。一方で、まだ十五名の皆さんが行方が分からないということですので、是非全力で十五名の皆さんの捜索救助活動をやっていただきたいというふうに思いますし、また事故原因の究明、そして今後の再発防止策についても並行してやっていただきたいというふうに思っております。
大臣も現地に行かれて御家族ともお会いをされたということですが、今後の対応についての大臣の思いですとかお気持ち、これ通告しておりませんけれども、是非この場でお聞かせいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/45
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046・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、捜索救助活動と御家族への対応、この二つが一番大きな役目ではないかと思っております。現地対策本部、本省から各部局合わせて二十名以上行きましてこの対応に当たっておりまして、その陣頭指揮を執るべく、初日は私が、そして二日目から渡辺副大臣が、そしてこの後もしっかり政務でリーダーシップを取る形を取っていきたいと思っております。
御家族の方からは、捜索活動に全力、一秒一分でも早く見付けてほしいということと、その情報を適宜適切にしっかり教えてほしいという強い御要望、私自身いただいたところでございまして、そこに、それに対して丁寧に対応していきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/46
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047・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
是非、今大臣がおっしゃっていただいたところ大変重要だというふうに思っておりますので、是非御家族の皆さんにもしっかりとした情報提供をしていただきたいなというふうに思っております。
それでは、法案関係の議論に入らせていただきたいと思います。
この所有者不明土地法については、平成三十年にまず制定されております。その中には、法施行三年後を経過した場合において、その施行状況について検討を加えて、必要がある場合についてはその結果を踏まえて必要な措置を講ずるということが規定をされております。
そこで、この平成三十年に制定されて施行された所有者不明土地の成果と課題、この点について大臣としてどのような御所見を持たれておるのか、まず冒頭、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/47
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048・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、浜口委員のその御質問にお答えする前に、ちょっともう一つ付け加えさせていただきます。
最初の御質問に対してでございますが、捜索救助活動に全力を挙げる、また御家族の対応ということを申し上げましたが、もう一つ、特別監査を実施しております。再発防止に向けてしっかりとした特別監査を行っていきたいと思っております。
今の御質問に答えさせていただきます。
まず、三年前にできました所有者不明土地法の成果でございますが、公共事業の用地取得の合理化、円滑化のための土地収用法の特例については令和四年二月末時点で六件、それから所有者不明土地の利活用を可能とする地域福利増進事業については令和四年四月一日時点で一件の裁定がなされております。また、これらの制度を活用するための前提となる固定資産課税台帳を始めとする土地所有者等関連情報の利用、提供の特例については令和三年十二月末時点で約七百八十件の活用実績が上がっております。
次に、現行の所有者不明土地法の課題でございますが、大きく三つあるものと考えております。
第一に、先ほど申し上げた活用状況や近年の自然災害の激甚化、頻発化を踏まえ、地域福利増進事業等の制度をより使いやすいものに見直すことが必要であると考えております。先ほどの野田委員との議論でありましたように、ちょっと活用実績が少ないという課題でございます。
第二に、令和二年の土地基本法改正により、土地政策の基本理念として土地の適正な管理の確保が明確化されたところですが、この理念を施策として具体化することが求められていると考えております。
第三に、所有者不明土地問題は一朝一夕に解決できる問題ではないことから、地域の関係者が連携して着実に対策に取り組んでいくことができる環境整備が不可欠であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/48
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049・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございました。
今回の法改正に伴いまして、先ほど大臣も触れていただきましたが、地域の福利増進事業については、新たに災害関連施設ですとかあるいは再生可能エネルギーの発電設備、こういったものが事業の対象に追加されます。なぜこういった新たな対象を付け加えたのか、その理由と、あと、これまでの地域福利増進事業、たった一件ということで先ほど来御報告をされておりますけれども、なぜそういう利活用が進まなかったのか、この辺の要因について国交省としてどのように捉えられているのか、その二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/49
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050・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
まず、地域福利増進事業に今回災害関連施設の整備に関する事業等を追加する理由でございますけれども、それにつきましては、特に近年、自然災害が激甚化、頻発化する中で、地域レベルで日頃から十分な備えを行っていただきまして地域の防災力を向上させる、いわゆる事前防災が重要となってございます。また、地域防災力の向上の観点からは、備蓄倉庫などの災害関連施設のほか、災害時にバックアップ電源としても活用できる再生可能エネルギー発電設備の重要性も高まっております。
国土交通省が昨年行いました地方公共団体を対象としたアンケート調査によりますと、回答いただきました千二百六十二の市町村のうち百四十二の市町村から、この地域福利増進事業として備蓄倉庫等の整備といった災害応急対策に資する施設の整備を行いたい、それから四十八の市町村から、地域福利増進事業として再生可能エネルギー発電設備の整備を行いたいとの声が寄せられているところでございます。
それから、これは衆議院の国土交通委員会の方でも同趣旨の御質問をいただいた際に御紹介できなかったんですけれども、国土交通省が実施しております所有者不明土地と思われる土地を活用する事業のいわゆるモデル調査におきましても、例えば、東京都八王子市において、特定非営利活動法人コミュニティ科学ネットワークが駐車場を整備する事業の一環として地域で活用できる太陽光発電設備を整備する事業ですとか、愛知県稲沢市におきまして、愛知県土地家屋調査士会が南海トラフ地震に備えて防災広場を整備する事業の一環として備蓄用防災倉庫等を整備する事業などが検討を進めておったところでございます。
このため、本改正におきまして、地域福利増進事業の対象事業といたしまして、防災用の資材や食料を備蓄する倉庫などの災害関連施設や、災害時にバックアップ電源として活用でき、地域住民等の共同の福祉や利便の増進を図る再生可能エネルギー発電設備を整備する事業を新たに追加することといたしております。
それから、活用実績がなぜ一件なのかというお尋ねでございますけれども、一つには、そもそも、この地域福利増進事業をやろうとする場合に所有者の探索をしなきゃまずいけないわけですけれども、それにかなりの時間を要するということで、例えばこの一件、新潟県粟島浦村のケースですと約二年掛かったと承知しております。
それからもう一つは、所有者探索をした結果、結果的に相手方、所有者が分かったので、あえてこの事業を使わなくとも、所有者の方々の協議を経た上でその事業を進められるという、そういう実態があるものというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/50
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051・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。事例も含めて大変分かりやすく御答弁いただきましてありがとうございます。
そうした中で、今回、再生可能エネルギーの発電設備等が追加されると、大事な視点だと思います。その一方で、やっぱり太陽光発電なんかの設備を新たに造るときは、無理な開発を行ったり、あるいは造った太陽光発電等の設備のメンテナンス等を含めて地域住民の方とのトラブルになってしまうような事例も散見されておりますので、こうした状況にならないように、しっかりとした対応を今回の地域福利増進事業においてもやっていく必要があるというふうに考えておりますが、その点に関して国交省の御所見がありましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/51
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052・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
地域福利増進事業は、地域住民等の共同の福祉や利便の増進を図るために行われるものですので、地域住民の方々の意見が適切に反映された事業であることが重要でございます。
このため、地域福利増進事業につきまして裁定申請をしようとする事業者は、その事業の内容についてあらかじめ、協議会の開催、意見募集の実施など、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされております。
また、裁定を申請する際には、他の法令の施行についての権限を有する行政機関の長の意見書を添付することとされておりまして、例えば、条例を含む他の法令におきまして地域住民の意見を反映するための措置を講ずることが規定されている場合には、都道府県知事は、当該措置が講じられているか否かを把握した上で裁定の可否を判断することとなります。
さらに、都道府県知事は、裁定を行うときに、地域住民等の共同の福祉や利便の増進を図る見地から関係市町村長の意見を聴かなければならないということとされておりまして、例えば反対運動の有無などの地域住民の意見を把握することも可能な制度となってございます。
このような一連の手続を通じまして、都道府県知事が裁定に当たり周辺住民の皆様の意見を把握した上で適切に対応することは制度的に担保されているものと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/52
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053・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
しっかりとした地域住民の皆さんの合意の下に、この事業、適切に実施をしていただくことを改めて求めておきたいと思います。
続きまして、購買施設ですとか、あるいは今回追加になる再生可能エネルギーの発電設備等を民間の事業者の方が整備する場合については、その土地の使用権の上限期限を、従来までは十年だったのを今回二十年に延長するということになっております。なぜこの二十年という期間に今回したのかということと、この二十年以上を更に延長するということは可能なのか、もう二十年来たらそこですぱっと民間事業者の方の土地の使用権限というのは終わらせないといけないのか、その辺りの対応についてお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/53
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054・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
現行の地域福利増進事業を活用する場合、整備対象施設の耐用年数が十年を超えるときであっても、使用権の存続期間の上限期間が十年であることによりまして十年後の原状回復を前提とした事業計画が必要となりますので、民間主体の資金調達がなかなか困難なケースが考えられるといったことがございます。そこで十年という、そういう観点から、十年という上限期間そのものがこの制度活用の支障になっているのではないかという御指摘がございました。
現に、所有者不明土地対策に取り組む団体に関する当方が実施しておりますモデル調査におきましては、十年間で原状回復が必要となると資金計画上の負担が大きく、長期に使用できる施設の整備が可能となることが望ましいといった要望がございました。こうした状況を踏まえまして、特に民間事業者が事業主体となることが想定される事業につきましては、使用権の存続期間の上限を二十年まで延長することとしたものでございます。
それから、その二十年の延長についてのお尋ねでございますけれども、事業期間終了後に事業者が事業を継続したい場合には、都道府県知事によります使用権の存続期間の延長についての裁定を経た上で継続して事業を行うことも可能となっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/54
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055・浜口誠
○浜口誠君 そうするとあれですか、二十年以上もどこまででも延長は可能だということなんですかね。どこかでやっぱり最終的な使用権限のエンドというか期限はあるのか、もうずっと認められれば半永久的にその使用権限というのは延長されるのか、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/55
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056・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) 現実には、事業者さんの御意向等を踏まえて、あとはその裁定を行った知事さんのモニタリングなんかも踏まえて延長が適切かどうか判断されることになると思いますけれども、制度的には必要があれば更新、更新を重ねることができるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/56
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057・浜口誠
○浜口誠君 分かりました。
続きまして、今回の法改正によって、所有者不明土地の円滑な利用の仕組みの土地として、朽廃した空き家とかあるいは工場等の建物がある土地であっても事業の対象の土地として加えていくということになっております。実際、その建築物が対象の建築物に該当するかどうかの判断基準というのは何か具体的に基準を設けて判断していくのかどうか、その辺りの基準についての考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/57
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058・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
具体的にどのような建築物が該当するか否かの判断につきましては、地域福利増進事業などの裁定を行う都道府県知事が判断することになりますけれども、その判断に当たって考慮すべき事項につきましては政令で定めることといたしております。政令では、例えば、一つには建築物の土台、柱、壁、屋根といった構造部ごとの損傷具合や全体の傾斜具合といった建築物の損傷、腐食、その他の劣化の程度、それから建築時からの経過年数ですとか現に利用されていない年数などを規定する方向で現在検討してございます。
国土交通省としては、この政令の規定に加えまして、より具体的な判断基準をガイドラインで定めることとしておりまして、全国十ブロックに設置されております所有者不明土地連携協議会などを通じまして地方公共団体や民間事業者への周知を図るなど、現場における判断に支障が出ないように対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/58
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059・浜口誠
○浜口誠君 是非ガイドライン等をしっかりと整備していただいて、ばらつきの出ないような全国一律の判断基準で運用されるように対応していただきたいなというふうに思っております。
続きまして、今回、事業計画等の縦覧期間については、従来は六月ですね、半年、六か月だったものを二か月まで短縮するということになりますけれども、例えばですけれども、二か月に短縮してしまったために、後から土地の所有者の方が名のり出て、従来の六か月だったらトラブルにならなかったんだけれども、二か月にしてしまったためにトラブルになるようなケースが増えてしまうようなことがないのかと、そういった懸念点も正直あるかなというふうに思っていますけれども、この二月に短縮することに対しての影響ということについてどのような御見解を国交省として持たれているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/59
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060・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
今般、地域福利増進事業の裁定申請書等の縦覧期間を六月、六か月から二月に短縮したのは、他の制度における公示、縦覧に関する規定を参考としてございます。具体的には、令和三年の民事基本法制の見直しによりまして創設された所有者不明土地管理制度において、裁判所が所有者探索のために公示する期間が一月とされたこと、それから、裁定制度よりも強い権利制限を伴う制度でございます土地収用法に基づく土地収用の縦覧期間が最長二月とされていることを参考としてございます。
このように縦覧期間を短縮したとしましても、事業者による探索が十分に実施された後、その探索内容を都道府県知事が確認した上で縦覧され、また、確知所有者に対しては縦覧に先立ち通知もされる制度となっていることを踏まえますと、所有者の権利保護に欠けることにはならないものと考えてございます。
なお、実際の新潟県粟島浦村の事例におきましては、二年間にわたる所有者探索の後に裁定申請がなされておりますけれども、六月の縦覧が行われましたけれども、異議申立ては特に見られなかったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/60
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061・浜口誠
○浜口誠君 ほかのケースでもあれですかね、期限を超えてから何かいろいろ所有者の方が名のり出られてトラブルになったようなケースも、ほかの場合でもほとんどないというかゼロだという認識でよろしいでしょうか。新潟の件は分かりましたけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/61
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062・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
福利増進事業の今実績がその新潟の粟島浦のケース一件でございますので、ほかの事例についてはまだこれからということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/62
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063・浜口誠
○浜口誠君 トラブルにならないようにしっかりと、この二月にすること自体は否定するものではありませんけれども、そういったことにならないようにしっかりとした事前の対応もお願いをしておきたいというふうに思います。
続きまして、実際に、この所有者不明土地の災害等を防止するという観点から、今回、市町村長による勧告、命令、そして代執行というのが新たに創設されることになります。大変重要な対応だというふうに思いますけれども、先ほど野田委員の方からもこの代執行の件、御質問ありましたけれども、具体的にどういった手続を経て代執行という対応に至るのか、必ず勧告、命令をした上で代執行というこのステップを踏まないといけないのか、もうダイレクトに代執行という形の対応ができるのか、その点も含めて具体的な手続についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/63
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064・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
まず、代執行の基準でございますけれども、今般の法案におけます代執行につきましては、市町村長は、管理不全所有者不明土地の確知所有者がいない場合、確知所有者はいるものの災害等防止措置の実施に必要な共有持分を有していない場合、災害防止措置の実施の命令を受けた確知所有者が災害等防止措置を講じない場合等において、管理不全所有者不明土地における災害等防止措置に係る事態を放置することが著しく公益に反すると認められるときに実施することを可能としております。
先ほどお尋ねの、必ず勧告、命令をかませるのかということにつきましては、確知所有者がいる場合にはその方々には勧告、命令をした上で代執行という手続になりますが、全員分からない、不明という場合にはダイレクトに代執行にも行けるという、そういう手続になってございます。
国土交通省といたしましては、より具体的な判断基準についてガイドライン等で定めて周知することによりまして、現場における判断に支障がないよう対応してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/64
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065・浜口誠
○浜口誠君 分かりました。ありがとうございます。
続きまして、土地所有者の探索に関してお伺いしたいと思います。
先ほど、二年ぐらいその探索で掛かったというようなお話もありましたけれども、今回の法改正によりまして、必要な公的情報について利用ですとか提供を可能とする措置がとられるということですけれども、具体的にどういった情報が利用できるようになるのか、その情報の中身について伺いたいと思います。
さらに、この所有者の探索をより迅速、効率的にしていくために、こうした公的な情報については紙ベースではなくてデジタル情報として利用できるようにしていくのかどうか、この点についても併せてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/65
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066・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
まず、公的情報の内部利用、外部提供につきまして、具体的にどのような情報が利用可能となるのかとのお尋ねでございました。
現行法におきましては、地域福利増進事業等の実施の準備のために必要があるときに限って、固定資産課税台帳や戸籍簿等に記載されている土地所有者と思料される者の氏名、名称、住所、本籍、出生、死亡の年月日及び連絡先の利用、提供が可能とされております。
今般の法案におきましては、市町村長が管理の適正化のための勧告を行うための必要があるときなどにおきましても、土地所有者と思料される者の氏名、名称、住所、本籍、出生、死亡の年月日及び連絡先の利用、提供を可能とすることといたしております。
それから、より探索しやすくするためのデータのデジタル化、データベース化に関するお尋ねにつきましては、所有者の探索ですとかあるいは所有者不明土地等の利活用を促すためには、関連する情報をデジタル化、データベース化することは重要であると考えてございます。
国土交通省におきましては、今般の法案に合わせまして総務省と協議をさせていただきまして、所有者不明土地の予備軍とも言えますいわゆる低未利用土地に関するデータベースにつきまして、その整備、運用に関する費用を特別交付税の対象としてその整備を促進することといたしたところでございます。
今後とも、所有者探索あるいは所有者不明土地等の利活用を促進するため、市町村におけます情報のデジタル化、データベース化を支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/66
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067・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
是非、デジタル化、こういった社会の今状況になっていますので、いろんな面でデジタル化、DX進めていただきたいなというふうに思っていますので、市町村への支援もしっかりと国交省として行っていただきたいというふうに思います。
次は、連携の強化、先ほど大臣の冒頭の御答弁の中にも、関係者の連携をしっかりと強化していく必要があるんだと、それが一つの課題だという点で御答弁いただきましたけれども、大変重要な視点だと思います。今回の法改正の中でも、利用の円滑化ですとか、あるいは管理の適正化の観点から、市町村においては所有者不明土地対策協議会の設置が可能となるということになっております。
じゃ、具体的にこの対策協議会のメンバーというのはどういった方々をメンバーとして参画をいただくのか、この参画されるメンバーの連携が所有者不明土地対策の一つのキーになっていくんではないかなというふうに思っておりますので、メンバーについての考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/67
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068・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、この協議会に地域の多様な関係者が参画していただきまして、その知見ですとかスキル、ノウハウの共有を図りながら、効果的な所有者不明土地対策が地域地域で着実に推進されることが重要と考えてございます。
お尋ねの協議会の構成員につきましては、法第四十六条におきまして、市町村、それから所有者不明土地利用円滑化等推進法人、地域福利増進事業の実施者のほか、必要に応じまして、都道府県ですとか国の関係行政機関、それから学識経験者、宅地建物取引業者、土地家屋調査士、司法書士など地域の専門家の方々を加えることができることといたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/68
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069・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
是非、いろんな専門家の方も含めてこの対策協議会のメンバーに入っていただいて、所有者不明土地対策を着実に推進をしていただきたいと思います。
また一方で、今回の法改正によって、市町村長は、特定非営利活動法人とか一般社団法人等に対して所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定することができると、こういった内容盛り込まれております。じゃ、具体的にこの推進法人に指定されるための要件ですとか条件、どういったものを課していくのか、その点についての考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/69
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070・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
所有者不明土地利用円滑化等推進法人につきましては、法第四十七条におきまして、特定非営利活動法人等であって、所有者不明土地を利活用しようとする者に対する地域福利増進事業等に関する情報提供や、所有者探索の結果確知できた所有者に対する適正な管理を行うための助言などのほか、低未利用土地の利用促進のため、所有者と利用希望者とのマッチングや土地利用のコーディネートなどの事業の実施を適正かつ確実に行うことができると認められるものを市町村長が指定することができることとしております。
より具体的な推進法人の指定要件や基準につきましては指定することとなる市町村において定めることとなりますけれども、国土交通省としましては、ガイドラインですとか技術的助言などを通じまして指定基準の例を市町村に周知することにより、市町村が適切な指定基準を定めることができるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/70
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071・浜口誠
○浜口誠君 分かりました。ありがとうございます。
続きまして、次のテーマは、この国交委員会の中で昨年、一昨年でしたかね、私から質問をさせていただいて、どういった内容だったかというと、森林の境界の明確化と地籍調査のこの二つが非常に似通った対応をそれぞれ国土交通省と林野庁さんでやっていただいているので、もっと効率的に連携を取っていただいて森林の境界の明確化と地籍調査というのをやっていただきたいという現場の声から、そういう意見が非常に多く上がっておりましたのでこの委員会でも取り上げさせていただいて、その後、それぞれ国交省と林野庁の方から、森林境界明確化と地籍調査の活動の連携という事務発出を、事務連絡を発出をしていただきました。大変、現場からは、それぞれから事務連絡が出されたことは良かったということで、評価もいただいております。
ただ、事務連絡を出したらそれで終わりではなくて、具体的な連携がどこまで進んでいるのかというのがすごく重要だというふうに思っていますので、その後、事務連絡が発出された後、この二つの取組の連携の改善がどのように進んだのか、その辺りについて今日はお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/71
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072・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
山林における地籍調査と林野庁の森林境界明確化活動は、土地の境界確認という点においては共通した作業が行われることから、地方公共団体の地籍調査担当部局と林務担当部局において情報共有や事業成果の相互活用が重要であると認識してございます。このため、委員の御指摘もいただきましたが、令和三年一月には、両部局間の連携につきまして、林野庁と国土交通省から随時通知を発出してきたところであります。
内容としましては、先行して実施された森林境界明確化活動において所有者の確認を得て設置された境界ぐいを地籍調査においても活用することや、そこでの所有者の立会いを改めて求めないことなど、それぞれの調査の効率化や土地所有者の負担の軽減等を期すための具体的な運用方法について通知を発出したところでございます。
お尋ねの具体的な連携事例でございますけれども、例えば奈良県の曽爾村、それから徳島県の那賀町などにおきまして、地籍調査担当部局と林務担当部局との間で森林境界明確化活動と地籍調査で調査場所が重複しないようにする調整を行っていただいていたり、既存の測量データや境界ぐい等の成果を相互に活用することの確認などを行っていただいているというふうに承知しております。
国土交通省としましては、引き続き林野庁さんと連携して、このような優良事例を横展開するほか、各種の研修や会議の場におきまして徹底を行って、効率的な調査の推進に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/72
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073・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
是非、森林の境界の明確化の活動と地籍調査、しっかりと連携してやっていただく必要がまだまだあるというふうに思っていますので、今好事例も御紹介いただきましたけれども、しっかりと横展開していただいて、全国で効率的な対応になるように引き続き御努力いただきたいと思います。
一方で、こういった森林境界の明確化ですとか地籍調査に対しては、最新技術でありますリモートセンシング技術というのをもっと活用していく必要があるというふうに思っております。このリモートセンシング技術についての今の活用状況と今後の更なる活用に向けた課題認識について、国交省としてどのような認識を持たれているのかという点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/73
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074・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
地籍調査や森林境界明確化活動の実施に当たっては、委員御指摘のとおり、航空レーザー測量データなどのリモートセンシングデータを活用する調査手法を普及することが、調査の迅速かつ効率的な実施を図る上で大変重要であると考えております。このため、国土交通省としましては、当該手法に関する地方公共団体向けの研修の開催や優良事例の横展開に加えまして、この四月には当該手法を活用するための具体的な方法や取組のポイントを示した手引を作成するなど、その活用促進に努めているところでございます。
これまでの実績でございますが、当該手法が令和三年度に十六市町で導入され、令和四年度には二十八市町村で導入が予定されておりまして、着実にその活用が進んでいると認識してございます。
更なる活用の促進に向けましては、地籍調査の実施主体である市町村などにおいてこうした新たな手法に対する心理的なハードルを下げていくことが課題であると考えております。当該手法を用いた国のモデル調査ですとか、既に当該手法を活用した市町村の取組について、林野庁や都道府県と協力しながら市町村等を対象とした説明会を開催するなど、当該手法の普及に一層努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/74
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075・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
是非、今後の効率的な地籍調査や森林境界の明確化に向けて大変活用すべき技術だと思いますので、二十八市町村まで広がってきているということで、更なる活用拡大というところを国交省さんとしても働きかけていただきたいと思います。
それと関連して、航空レーザー測量データというのがありまして、これは国土交通省さんも持っているし、林野庁さんも国土地理院も都道府県等も持っていて、かなりこの測量データというのが全国の相当な地域を既にカバーしているというふうに承知しておりますが、この航空レーザー測量データというのをもっと地籍調査とか森林境界の明確化に活用していく必要があるんじゃないかなというふうに思っていますけれども、横連携も含めて、今後どのような対応をされていくのか、この点を最後にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/75
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076・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、地籍調査を効率的に進めるためには、既存の航空レーザー測量データなど既存のデータをできる限り活用することが大変重要であると認識しております。このため、地籍調査の作業規程などにおきまして、航空測量の実施に際して既存の航空測量の成果を可能な限り活用することを規定するとともに、地方公共団体の地籍調査担当部局と林務担当部局におけます相互のデータ保有状況の共有や事業成果の相互活用を促すなど、調査における既存データの活用を推進しているところであります。
令和三年度にリモートセンシングデータを活用した調査手法により地籍調査を実施した十六市町について、既存データの活用状況を確認いたしましたところ、いずれの市、町においても、国土地理院が公開している空中写真ですとか県の林務担当部局が整備した航空レーザーデータなど、何らかの既存データを活用して調査が進められている状況を把握いたしました。
引き続き、既存のリモートセンシングデータの地籍調査への活用に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/76
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077・浜口誠
○浜口誠君 是非よろしくお願いしたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/77
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078・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/78
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079・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/79
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080・伊藤孝江
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。今日はよろしくお願いいたします。
まず、法案に関連しまして、所有者不明土地の実態把握の必要性についてお伺いをいたします。
この所有者不明土地の関連の問題につきましては、これまで、制度面では、平成三十年の所有者不明特措法の制定や令和二年の土地基本法の改正、そして昨年の民法、不動産登記法の改正など、次々と改正がなされております。ただ一方で、令和二年に実施した国土交通省の調査でも所有者不明土地の割合は二四%、同じく令和元年の法務省調査でも不明土地の割合は二〇%ということであり、顕著な減少傾向にあるとは言えません。
今後、一連の制度の見直しの成果や課題を見ていくという意味でも、全国の所有者不明土地の実態をしっかりと継続的、長期的に把握していくことが大切になります。もちろん、長年の課題であるため、すぐに目に見える成果を出すことは簡単ではありませんし、また、全国の二億筆を超える土地の状況を網羅的に把握するということは難しいと思いますけれども、一過性の政策としないためにも、腰を据えた長期的な各所の取組を期待したいと思っております。
この国交省と法務省の実態調査、これ、それぞれサンプル調査で抽出の仕方なども違うということもありまして、両方が必要だということはお聞きをしました。今後とも、継続的に長期的なスパンで全国の所有者不明土地の割合や解消状況について実態調査を行い、その成果を公表していただきたいと思っております。この政策が進めば、解消率の数値目標を定めるようなことも将来的には必要かと考えております。
まずは、今後とも、この全国の所有者不明土地の割合や解消状況の把握のため、どのような実態調査を継続的に行っていくのか、国交省、法務省両省に御質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/80
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081・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
所有者不明土地は、所有者探索をして初めて所有者が不明であるかどうか判明するものでございまして、全国の割合や解消状況について、委員御指摘がありましたとおり、網羅的に調査を行い把握することは現実的にはなかなか困難でございます。
他方、土地の所有者などの立会いを得まして土地の境界ですとか面積等を明確化する地籍調査は、国土調査法に基づき毎年実施されているものでございまして、所有者不明土地の実態把握の手掛かりの一つになるものと考えております。例えば、令和二年度の地籍調査事業における土地の所有者等の状況に関する調査結果においては、不動産登記簿により所有者等の所在が判明しなかった土地が筆数ベースで二四・〇%存在していることを把握してございます。委員御指摘のとおりでございます。
また、今般の改正におきましては、市町村を始めとする地域の関係者が所有者不明土地対策を計画的、一体的に推進するため市町村が計画を作成できることとしておりますが、この計画の作成のためには土地に関する実態把握調査が必要となります。地域における所有者不明土地の実態把握に資するものと考えております。
国土交通省としましては、地籍調査を着実に実施していく中で所有者不明土地の実態把握に努めるとともに、市町村による実態把握調査を通じて地域の関係者の皆様が所有者不明土地対策を推進していく上で役立つ情報を把握できるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/81
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082・堂薗幹一郎
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
昨年四月の民事基本法制の見直しにより、令和五年四月以降、改正民法、不動産登記法等による新制度が順次施行されることとなっておりまして、相続登記の申請義務化を始めまして、国民生活に大きな影響があるものと考えております。
これらの新制度につきましては、施行前後の状況を把握して分析を行うことは、所有者不明土地の解消に向けた新制度の効果や今後の中長期的な施策の在り方を検討する上で重要であるものと考えております。そして、このような分析を効果的に行うためには、新制度の施行前後を通じて継続的に所有者不明土地の発生状況や発生原因等について実態調査を行うことが必要であると考えております。
そこで、法務省といたしましては、例えば、全国の法務局で毎年行っている人口密集地区を対象とする登記所地図作成事業に際しまして、対象土地のうちの所有者不明土地の割合や発生原因について継続的に調査分析するなど、適切な方法により実態把握を行うことを検討したいと考えているところでございます。
法務省としては、このような実態把握を含め、国土交通省を始めとする関係省庁と連携して、引き続き所有者不明土地対策を進めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/82
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083・伊藤孝江
○伊藤孝江君 今日の午前中にもありましたけれども、本当に法務省と国交省がしっかりとそれぞれの特徴も生かしていただきながら、それぞれにとって一番効果を発揮できるようなやり方をお力を合わせて連携しながらやっていただければというふうに思います。
次に、所有者不明土地のまずは発生予防の観点で一点お伺いをさせていただきます。
この発生予防の観点から最も期待をされるのが、先ほども、今言及していただきましたが、令和六年四月一日から始まる相続登記の義務化になります。これにより、施行日前の相続のケースも含め、これまでに相続登記がなされていない土地について全て三年以内の相続登記が義務付けられることになり、これにより影響を受ける国民の割合は数千万人に上ると言われています。
その観点から、法務省もホームページやパンフレットで新制度の広報、周知を行っており、私も議員会館の部屋に法務省のこの広報ポスターを掲示させていただいています。法務省にしてはかなりチャレンジングなというか、字がいっぱいあるポスターですけれども、結構目立つのを作っていただきまして、本当に努力されているんだなということも感じています。
ただ、地元で話をしておりましても、国民への浸透度はまだまだだというふうに感じています。特に、不動産をお持ちの方や高齢者の方には関心が高いテーマと思われ、より分かりやすく幅広い広報を行う必要があります。
新制度の開始まで二年を切ったところではありますけれども、この段階で国民にどこまで認識されているのか、認知度をしっかり把握して、どういった情報発信や相談対応が必要か、国民のニーズを丁寧にすくい上げ、受け止めていただきたいと思います。
そこで、今回の改正法が成立して、今回のというのはその相続登記の義務化ですね、の改正法が成立をして一年が経過したこの時点で、例えば新制度の認知度や要望等について広く国民から意見を聞くアンケート調査を実施するなど、制度の周知状況をしっかり把握し、更なる準備を進めていただきたいと考えますけれども、法務省に今後の取組をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/83
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084・堂薗幹一郎
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
昨年の不動産登記法改正には、令和六年四月一日に施行される相続登記の申請義務化を始め、国民の皆様に新たな負担を課すものも含まれることから、負担軽減のための環境整備策を含めた制度の内容について、国民一般に分かりやすく、十分な周知を図ることが重要であると考えているところでございます。
法務省では、これまでも、不動産登記推進のイメージキャラクター、トウキツネを用いまして、ホームページやポスター、パンフレット等による広報を進めてきたところでございますが、相続登記の申請義務化の開始まで二年を切ったことを踏まえ、今後は、地方自治体や専門資格者団体などとも連携し、新しい制度の内容や手続に関する情報発信に一層努めていきたいと考えているところでございます。
そのような広報、周知に当たりましては、委員御指摘のとおり、国民の意見や要望を踏まえることが重要であると考えておりますので、法務省といたしましても、今後、幅広い世代を対象としたアンケート調査を実施するなど、国民の認知度や必要とされる情報のニーズなどを適切に把握する方法を検討し、それを踏まえ、一段と効果的な広報、周知の実施に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/84
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085・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
では次に、所有者不明土地の利活用についてお伺いをいたします。
まず、利用の円滑化について国交省にお伺いをいたします。
所有者不明土地法の制定時に創設された地域福利増進事業、土地収用法の特例制度の実績は、地域福祉増進事業が一件、土地収用法の特例制度が六件ということで午前中も議題に上っておりましたけれども、今回、これらの現行制度にどのような課題があると考えてどのような改正を行ったのか、また、今回の改正で、地域福利増進事業について施行後五年で累計七十五件というこのKPIを達成することができるのかどうかということについて、国交省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/85
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086・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、地域福利増進事業の活用実績は新潟県粟島浦村における防災空地一件にとどまっておりまして、より現場の声を反映した使いやすい事業制度に見直すことが必要であると考えてございます。
このため、今般の法案におきましては、第一に、所有者不明土地に老朽化の進んだ空き家などがある場合であっても地域福利増進事業等の対象とすることとし、第二に、地域福利増進事業の対象事業として災害用の備蓄倉庫や再生可能エネルギー発電設備の整備を追加することとし、第三に、事業期間の延長、事業計画書等の縦覧期間の短縮といった事業スキームの改善を行うことといたしました。
また、御指摘の地域福利増進事業に関するKPIにつきましては、制定時には施行後十年で累計百件という目標を掲げておりましたけれども、今回は施行後五年間で累計七十五件というKPIを設定しております。これは、国土交通省が令和三年二月に実施いたしました全地方公共団体を対象としたアンケート調査におきまして、災害対策に資する施設の整備について百五十弱の市町村から、それから再生可能エネルギー発電設備の整備について五十弱の市町村から、それぞれ地域福利増進事業としてこれら事業を実施したいとの声が寄せられていることをも踏まえまして設定したものでございます。
今般の改正によります各種事業スキームの改善内容について、今後、全国十ブロックに設置されている所有者不明土地連携協議会などの場を通じまして地方公共団体や民間事業者等へ広く周知を図ることによって、制度活用のペースアップを図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/86
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087・伊藤孝江
○伊藤孝江君 もう一点、利用の円滑化に関連しまして、法務省にお伺いをいたします。
新たな課題として、この法務省には、隣地所有者が不明である場合の運用改善についてもお願いをしたいと考えています。具体的には、相続によって取得した土地を相続人が処分したいと考える場合などに、対象となる土地の隣地の所有者が不明であったり、又は連絡が取れないと、土地の処分のための登記手続に手間が掛かるということになります。
取引の前提として、対象となる土地の範囲を明確にするための分筆や地積更正の登記をするために、隣地所有者との間で土地の境界、筆界を確認して確認書面、筆界確認書を登記所に提出するという実務が行われていますけれども、近年の所有者不明土地の増加により、この隣地所有者の確認がなかなか取ることができず、取引が困難になったり、結果、断念しなければならないという例があるとも承知をしております。
このような例は、まさに近年の高齢化や都市化によってますます増えていくものと思われますが、取引の円滑化、活用といった観点からは、時代に合った柔軟な登記実務の対応が求められます。この問題についてどのように対応されていくのか、法務省に御質問させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/87
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088・堂薗幹一郎
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、所有者不明土地をめぐる課題といたしまして、隣地が所有者不明土地である場合に、分筆や地積更正などの登記に必要とされる筆界確認書を取得できず、土地の取引をちゅうちょする場合があるとの御指摘があり、昨年六月に関係閣僚会議がまとめた所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針におきましても課題として挙げられていたところでございます。
この問題に対応するため、法務省では登記実務の見直しに向けた検討を進めてまいりましたが、今般、隣地所有者が不明である場合に筆界確認書の添付を不要とする基準などを明確化した新たな運用を始めることとし、その開始に向けた民事局長通達を今月十四日付けで全国の法務局に発出したところでございます。
その中で、主な見直しの内容といたしましては、一つ目に、法務局に精度の高い地図がある場合など登記官の調査によって筆界が明確と認められる場合には筆界確認書の提供を求めないとすること。二つ目に、筆界確認書を求める場合にも、相続人全員ではなく相続人のうち現に占有する者のみとするなど、その範囲を必要最小限のものとすること。三つ目に、押印や印鑑証明書の添付は求めないとすることでございます。
このように申請人の負担を一定程度軽減しているところでございますが、筆界確認の重要性は従来と変わらないことから、登記官が必要な調査を行うことによって筆界認定の適正性を十分確保することとしているところでございます。
この見直しによりまして、従来は対応困難であった事案についても登記申請が可能となり、土地取引の円滑化に資するものと考えておりまして、今後、各地の法務局において事務取扱要領を改定した上で、今月、九月末をめどに全国で統一的な運用を開始する予定としております。
法務省としては、今回の見直し後の運用が円滑かつ着実に実施されるよう、日本土地家屋調査士会連合会を始めとする関係機関とも連携の上、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/88
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089・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
現実を踏まえた運用の改善という形で御対応いただいたということはもう大変有り難いと思っています。あとは、今おっしゃっていただいたような形で、実際に実務の中で本当に対応していただくことができるようにというところまではまだ時間の掛かる対応が必要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
では次に、管理の適正化についてお伺いをいたします。
災害等の発生防止に向けた管理の適正化のための措置として、行政的手段である代執行制度とともに、今回、民事的手段である民法の管理不全土地管理命令に関する特例を創設することとされております。ここでいう代執行制度とは、ごめんなさい、代執行制度とは、この新しい制度はどのような役割分担になるのか教えていただけますでしょうか。国交省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/89
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090・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
今般の改正は、対象となる管理不全所有者不明土地の状況や必要となる措置の内容に応じまして市町村が適切な手段を取ることができるよう、行政的、民事的措置の両面から手段の充実を図るものでございます。
今般の改正において創設する代執行制度については、例えば所有者の全部が不明である管理不全所有者不明土地を対象とする場合、勧告や命令を行うことなく市町村長が自ら必要な措置を講じることとなり、迅速な対応が可能となるという特徴がございます。
一方、管理不全土地管理制度の特例につきましては、市町村長が自ら措置を実施するものではなく、裁判所によって選任された法律専門家等の管理人が継続的に必要な管理行為を行う制度となっております。
このため、代執行制度については、例えば早急に災害の危険性を除去する必要がある場合など、迅速な措置が必要となる場合に活用が想定されます。
他方、代執行の対象となる土地に価値のある残置物が存在しているような場合には、市町村長による処分が困難であることが想定されます。この場合、管理不全土地管理命令制度の特例については、価値のある残置物が存在していても、裁判所が選任した管理人がその残置物を処分することが可能であります。他方で、この管理不全土地管理命令制度の特例は手続に時間を要する場合があるというものと考えてございます。
改正後の運用に向けては、それぞれの制度の特徴ですとか活用が想定されます具体的な事例などをガイドラインで明示することとしておりまして、それを踏まえて、市町村が対象となる土地の実情に応じて適切な手段を選択していただくことを期待してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/90
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091・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
元々、市町村によってというのか、なかなか、積極的にいろんな制度を活用しようというところとそうではないところも、実情としては違いがかなりあると思いますし、今おっしゃられたような役割分担を、どういう制度の使い方をするのが一番いいのかというところはしっかりと周知徹底していただきたいというふうに思います。
今回の改正では、所有者不明土地について所有者不明土地管理命令や管理不全土地管理命令を請求する場合に、併せて所有者不明土地の上にある建物についても所有者不明建物管理命令や管理不全建物管理命令の請求を行うことを可能としておりますけれども、その趣旨はどのようなものになるのでしょうか。
またあわせて、土地と建物それぞれについて管理命令を請求しようとする場合、予納金の負担が大きくなる可能性がありますけれども、何か支援策が講じられるのかということについて、国交省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/91
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092・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
土地と建物とは別の不動産ではあるとはいえ、実態としては互いに密接に関係しており、所有者不明土地や管理不全土地など課題のある土地の適正な管理の確保のためには、建物の処分等を併せて行うなど土地と建物に対する一体的な対応が必要とされる場面が多く想定されます。
このため、市町村長等が裁判所に対し所有者不明土地管理命令や管理不全土地管理命令の請求をする場合において、当該土地に存在する建物の適切な管理が特に必要であると認めるときは、所有者不明建物管理命令や管理不全建物管理命令についても併せて請求できることといたしたものであります。
これらの管理制度において、土地や建物の管理費用や管理人の報酬については、制度上は対象となる土地や建物の所有者が負担することとされておりますが、実務上はあらかじめ請求人が裁判所に予納することが想定されます。このため、市町村長等がこれらの管理制度を活用する場合には、対象の土地の売却金等では費用や報酬を賄うことができないなど、市町村長等が費用、報酬相当額を負担せざるを得ないことも想定されます。
令和四年度予算におきまして、市町村が作成する所有者不明土地対策計画に基づき所有者不明土地対策を実施する地方公共団体等を支援するための補助制度を創設しております。この補助制度によりまして、市町村長等が負担することとなる予納金についても必要に応じて支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/92
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093・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
私も、元々弁護士のときに、今回のこの管理制度に関連する相続財産管理人であったり、また不在者財産管理人の制度で管理人も何度もさせていただきましたけれども、やっぱり予納金がしっかりあるのかないのかというところで、どんな対策を取ることができるのかというのが現実にはもうかなり変わってきます。
そういう点では、取り得るべき方法を選択をする、考えるときに、しっかりと予納金があって、一番いい方法を考えることができるというような環境だけはしっかりつくっていただきたい。そのためには、先ほどおっしゃられたようないろんな補助の制度も含めて、迅速に、なおかつ十分な形で対応できるようなことで進めていただければというふうに思います。
次に、推進体制の、所有者不明土地対策の推進体制の強化のための制度についてお伺いをいたします。
今回、この地域における推進体制の強化を図るために、地元の事情に精通をした司法書士や宅地建物取引業者又は土地家屋調査士といった専門家の先生方の御知見をお借りしつつ取り組んでいくことができるというような連携体制づくりが重要というふうに考えますけれども、こうした専門家の方々との連携においてどのようにこれから取り組んでいくのかということについて、中山副大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/93
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094・中山展宏
○副大臣(中山展宏君) 先生おっしゃるとおり、所有者不明土地や低未利用土地等の課題がある土地への対応の実効性を持たせるためには、市町村だけではなく、地域で活動する専門家などの関係者が連携して一歩ずつ着実に取り組んでいくことが重要です。
このため、今般の改正では、市町村において対策計画の作成や施策の実施に必要な協議を行うため、推進法人や地域福利増進事業の事業者のほか、必要に応じて司法書士や宅地建物取引業者、土地家屋調査士などの地域の専門家等で構成される協議会を設置できることとしております。
また、これまでも全国十ブロックの地方整備局等を拠点として連携協議会を設置し、地域の専門家による講習会等を通じた普及啓発活動を行ってきたところでございます。今後は、その活動対象を土地政策全般に拡充するとともに、宅地建物取引業の関係団体にも参画いただくなど、更にその活動を強化してまいります。
引き続き、地域において専門家等の関係者と連携した所有者不明土地対策の推進が図られるよう、所有者不明土地、所有者不明土地法に基づく制度の普及等に積極的に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/94
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095・伊藤孝江
○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/95
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096・こやり隆史
○こやり隆史君 自民党のこやり隆史でございます。
質疑に入る前に、私の方からも、北海道の知床遊覧船事故に伴いまして命を亡くされた皆様に御冥福をお祈りいたしますとともに、継続して昼夜を問わず救助活動に当たっていただいている海上保安庁、あるいは地元の警察、救急、あるいは地元の皆様に対しまして感謝を申し上げたいというふうに思います。引き続き、まず探索、救助活動をしっかりとやっていただきますとともに、御家族を始めとする関係者へのケア、そして原因究明と再発防止策について、できるだけ早く対策を前に進めていただきたいということを申し添えさせていただきたいと思います。
この今回の所有者不明土地の問題でございますけれども、その背景にあるのは人口減少であったり、高齢化社会の進展ということがあると思います。それに加えまして、三年にわたる新型コロナ感染症、これが我が国を襲い、そうしたことが相まって、この各地域の様々な課題あるいはひずみがあらわになり、それが拡大してきているということかと思います。
したがいまして、この土地の問題に入ります前に、一つ、地方公共交通機関についての維持について一つ確認をさせていただきたいというふうに思います。
先日、JR各社、春のダイヤ改正を行いまして、これ、JR発足以降最大の運行削減規模となっています。また、私の地元のJR西日本においては、これ各路線の、かなり深刻な経営赤字になっている路線について発表を行うという、ちょっと例年にない行動が見られます。私の地元の滋賀県でも近江鉄道の課題というのもありますし、湖西線であったり、あるいは旧東海道線といった主要な幹線におきましても、継続して、その列車の本数が継続され続けているというような状況になっています。
こうした動きが徐々に今までも進展をしてきましたけれども、これがコロナによって急速に進んでいると。このコロナが収まったら、一時的な動きとしてまた元に戻るということであれば皆さん安心をするんですけれども、どうもこの行動変容というのが長期的に影響を及ぼして、これが簡単に戻るような状況ではないんではないかと、これ皆さんのお気持ちだというふうに思います。単なる経営上の、経営上の問題だけではない、様々な課題が凝縮された形でこの地方公共交通機関の経営あるいは運営に影響を及ぼしているというふうに思います。
岸田政権、まさにデジタル田園都市国家構想を進め、まさに地方の再生、創生、地方創生についても力を入れておられます。こうした状況の中で、やっぱりこの今までの状況とは一段違う深刻な状況が地方公共交通網にのしかかっているということで、これまでの個別の対策ではなくて、より抜本的に料金体系の在り方、あるいは各民間鉄道会社に対する経営支援をどうするか、するかどうかということも含めて、やっぱりこれまでと違う対策を講じていくタイミングになってきているんではないかというふうに思いますけれども、こうした問題につきまして、国交省のその解決に向けた決意といいますか、考え方についてお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/96
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097・中山展宏
○副大臣(中山展宏君) ありがとうございます。
先生おっしゃるとおり、地域の公共交通は地域住民の生活や経済活動を支える不可欠なサービスであり、デジタル田園都市国家構想を推進し、地方の活性化を図っていく上で重要な社会基盤であります。公共交通については、コロナ以前から人口減少による需要減などの課題を抱えておりましたが、新型コロナの感染拡大及びその長期化により、公共交通を取り巻く経営環境は一層厳しいものとなっております。
このため、国として、公共交通機関の感染症防止対策や運行維持に対する支援、政府系金融機関による資金繰り支援、雇用調整助成金など、これまでにない手厚い対応を行っております。このほか、地方創生臨時交付金を活用して、各自治体においても地域の実情に応じた地域公共交通に対する支援を行っていただいております。
先生から御指摘をいただきました特に鉄道については、今後の運賃・料金制度はどうあるべきかについて、交通政策審議会に小委員会を設けさせていただいて検討し、夏までに大まかな方向性を打ち出したいと考えております。
また、公共交通が地域にとって不可欠なものであることを踏まえて、国土交通省として、公共交通事業者の経営が非常に厳しい状況となっていることに鑑みて、適切にその維持が図れるようにしっかりと支援してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/97
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098・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。
まさに今、検討していただいて夏までにというお答えもございました。やはり他のインフラ予算に比べて、やっぱり鉄道予算というのは限定的であると、国交省の中の予算でも限定的であるというふうに思います。また、これは民間主導で鉄道が運営されているということもあるんですけれども、やはり国民全体の足であるということを踏まえると、少しその公共交通インフラ整備の中で、やっぱりこの鉄道整備についても、やっぱり従来の延長線上ではなくて、やっぱりより一歩進んでこれからどうしていくかということを考えないと、恐らく相当の数の鉄道網についてその運行を断念するところが続発してくるんじゃないかということを危惧しておりますので、是非力を入れて取り組んでいただきたいというふうに思います。
所有者土地改正法に入らせていただきます。
午前中から審議が行われておりますので一部重複しているところもあるかと思いますが、確認のためということで御容赦いただければというふうに思います。
まず、一連の改正、平成三十年からなされてきており、また、これは与党、政府、協力しながらその対策進めてきたというふうに理解をしています。
今回の改正につきましても、更に土地の適正な利用確保を、管理を確保するため、我が党でも特別委員会をつくってそれで審議をしておりますし、そうした提言も踏まえて今回の法改正に至っているというふうに認識をしておりますけれども、具体的に今までの、これまでの取組の中で何が課題となっていて、今回の法案はその課題に対して的確にどういった形で対応してきているかということについて、端的に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/98
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099・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
所有者不明土地法の施行後の運用状況や土地基本法の改正、民事基本法制の見直しなどの状況の変化を踏まえまして、大きく三つの課題があると考えております。
一点目は、制定時に規定されました利用の円滑化のための措置につきまして、より使いやすいものに見直していくことが必要である。
二点目としましては、適正な管理が行われず周辺に悪影響を及ぼす所有者不明土地の増加が懸念されておりますので、令和二年の土地基本法改正によって位置付けられました土地の適正な管理の確保、この基本理念を施策として具体化することが求められていること。
三点目につきましては、地域の関係者が連携して着実に対策に取り組んでいく仕組みを構築することが不可欠ではないかと考えてございます。
このため、今回の法案では、利用の円滑化のための措置について、一つは、老朽化した空き家等が存する場合であっても所有者不明土地の利用、活用を、利活用を可能とするとともに、災害用の備蓄倉庫等の整備に関する事業を対象事業に追加することとしたところであります。
二つ目は、適正に管理されていない所有者不明土地について、災害の発生や環境の著しい悪化を防止するため、市町村長による代執行等を可能としたところであります。
三つ目は、こうした所有者不明土地対策を地域の関係者が一体となって取り組めるよう、計画、協議会、推進法人制度のほか、計画に基づく活動に対する補助制度や国土交通省の職員の派遣制度の創設等の措置を講じることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/99
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100・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。
一つ目のお答えにありました利用円滑化の促進という点に関しまして、先ほどもちょっと議論があったんですけれども、地域福利増進事業、これの対象を広げるということで、再エネ施設あるいは災害関連施設を追加をするということでございます。とても分かりやすいといいますか、この二つ、恐らく誰も、何というか、文句を言わないというか、まあそうなんだろうなということかと思いますけれども。
その上で、この二つが追加されたその背景といいますか、根拠というものをお示しいただくとともに、さっき浜口委員とのやり取りでもあったんですけれども、しっかり周辺自治体も含めて管理、監視をしていくというようなやり取りがありました。そうした仕組みがあるんであれば、やっぱり土地利用を促進する、あるいは管理を適正していくという観点からは、この二つに限定する必要もないんではないかと。
各地域地域にいろんな課題があって、土地利用のやり方、いろんなものがあると思います。そういう意味で、少しでも地域にとってプラスになる土地利用を促進していくという観点からは、この今の、今回拡大した対象にこだわらなくてもいいんじゃないかという気もするんですけれども、その点についてのお考えを伺いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/100
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101・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
まず、改正の背景につきましてでございますが、近年の自然災害の激甚化、頻発化、そうした中で事前防災が重要となっておりますので、地域防災力の向上の観点から、災害時のバックアップ電源としても活用できる再生可能エネルギー発電設備の重要性が高まっております。
また、国交省が昨年行いました地方公共団体を対象としたアンケート調査によりますと、百四十二の市町村から、備蓄倉庫等の整備といった災害応急対策に資する施設の整備を地域福利増進事業として行いたい、それから四十八の市町村から、再生可能エネルギー発電設備の整備を地域福利増進事業として行いたいとの声が寄せられているところでございます。
また、国土交通省が実施してまいりました所有者不明土地と思われる土地を活用する事業のモデル調査におきましても、例えば、千葉県八千代市において、一般社団法人やちよ・ひと・まちサポートセンターが、大雨により道路が冠水した場合などに活用するための避難通路を整備する事業を支援しているところでございます。また、愛知県稲沢市におきましては、愛知県土地家屋調査士会が、南海トラフ地震に備え防災広場を整備する事業の一環として備蓄用防災倉庫等を整備する事業を行ったところでございます。
このため、今般の改正におきましては、地域福利増進対象事業として、防災用の資材や食料を備蓄する倉庫などの災害関連施設や、停電時に電力を確保するための非常用の発電施設などの再生可能エネルギー発電設備などの、地域の災害対策に役立つ施設の整備に関する事業を新たに追加することとしております。
また、お尋ねの、各地方公共団体の判断によって対象事業を広げるべきではないかという御指摘につきましては、この地域福利増進事業制度は不明所有者の意思にかかわらず事業者が土地を使用することを認める制度でございまして、対象事業の追加には、不明所有者の権利保護とのバランスを踏まえた慎重な検討が必要でございます。このため、対象事業の範囲につきましては、各地方公共団体の裁量に委ねるのではなく、国会の御審議を経て法律上規定することが適切であると整理をいたしておるところでございます、させていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、今後とも、市町村や民間事業者等のニーズなどを踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/101
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102・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。
国会の審議を経てということはそのとおりかもしれません。他方で、地域福利増進事業であって、災害関連であるとか、必ずしもそういうものでもない、目的は地域の福利を増進する事業であるという観点から、その対象がどうあるべきかということについてやっぱり引き続き継続して御検討いただいて、法案として、改正が必要であれば国会に提出していただくという形で、その利用の促進を図れるような制度にしていっていただきたいというふうに思います。
あと、こうした所有者不明土地であって、今回、適正な管理が促進される制度を更に整備をしていただくということでございます。そして、この法案にも市町村長による代執行を可能とするといった措置が入っていますけれども、土地の方はまさにそうした形で権利の整理がより進んでいくということかという一方で、土地利用を図っていくという観点からは、上にある建物が例えば廃墟ホテルであるとかそういったものは、どちらかというと、権利の整理もありますけれども、この廃墟ホテルなり廃業した家屋、建物を撤去する費用、これが莫大な費用が掛かって、これはどうしようもならないというような形で土地利用が進まないというケースも結構あるんだというふうに思います。
そうした意味で、今、空き家対策などいろいろ措置を国交省の方でも取り組んでいただいておりますけれども、抜本的にこの空き家対策について措置を強化していただくとともに、今回のこの所有者不明土地対策とこうした空き家対策のような上物の支援措置、これの連携が大変大事になってくるというふうに思いますけれども、その点について御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/102
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103・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) 委員御指摘のとおり、所有者不明土地問題と空き家問題とは、土地と建物とは別の不動産であるとはいえ、実態としては一体的な対応が必要とされる場面は多うございまして、互いに非常に密接に関係する問題として対応していかなければならないと考えております。
このため、令和四年度予算におきましては、今般の改正により創設することとしている所有者不明土地対策計画や空き家法に規定する空家等対策計画に基づく事業などにつきまして、それぞれ補助を行うための予算を措置し、地方公共団体の取組を支援することとしております。
また、こうした財政的支援に加えまして、今般の法案におきましては、現場の実態を踏まえ、老朽化した空き家などが存する所有者不明土地についても公益性の高い事業に利活用することのできる地域福利増進事業等の対象とすることや、市町村長が所有者不明土地管理命令等を裁判所に請求する際に、併せて建物の管理命令を請求することを可能とすることなどの内容を盛り込んでいるところであります。今後とも、空き家対策との一層の連携を図ってまいりたいと思います。
また、改正後の運用段階におきましても、所有者不明土地法に基づく基本方針において、いわゆる空き家法に基づく対策と連携して取り組むべき旨を明確化することを検討しており、全国十ブロックの所有者不明土地対策連携協議会の活動対象の拡充、空き家、空き地対策に詳しい宅地建物取引業の関連団体にも参画いただくといった方向で調整をしております。縦割りに陥ることなく、空き家対策との連携を強化してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/103
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104・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。
是非いろんな形で連携をしていただいて使いやすいものにしていただければというふうに思います。
あと、まさに三つ目の今回の改正の柱で、推進体制の強化についてお伺いをしたいと思います。
所有者不明土地対策、これは一口に言えば簡単ですけれども、内容も様々ですし、それぞれ土地に絡んだいろんなものが根にありまして、なかなか、解決するというのは本当に、そういう意味では労力が要るということかと思います。
この実施主体というのは市町村になるというふうに思いますけれども、当然、各市町村、人員が十分であるはずもございません。そうした中で、民間の力も合わせながら地域一体となって進めていくということがこの改正案の柱になっているかと理解をしておりますけれども、その鍵であるのが推進法人の指定制度を創設するということかと思います。この制度の創設の前にモデル調査も行いながら取り組んでこられたということでございますけれども、本当の意味でこの地域の法人がしっかり動いていただくためにどうした工夫を、どういった工夫をこの制度に盛り込んでいただいているのか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/104
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105・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
委員お話ありましたとおり、令和元年度から令和三年度にかけまして、国土交通省においてモデル調査を実施してまいりました。合計二十三団体を対象といたしております。このモデル調査を通じまして、地域で課題解決に取り組む法人による地道な取組を円滑に進めていくためには、市町村の関与ですとか、その法人の社会的信用の確保が重要であるということが確認されたところでございます。
そこで、今般、土地の所有者、事業者などが安心して業務を依頼できる環境を整備するために、地域における土地に関する課題の解決に向けた活動を行う民間法人を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として市町村が指定をし、公的な信用力を付与する制度を創設することといたしたものでございます。
この仕組みをしっかりと機能させるため、国土交通省といたしましては、全国十ブロックに設置されている連携協議会などを通じまして、土地に関する課題の解決に取り組む法人によります先行事例を周知していくとともに、こうした法人が所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定されることの効果を周知すること、それから、所有者不明土地等の利活用を望む市町村に対し、当該推進法人と連携する効果などについて周知することによって、地域づくりの言わば新たな担い手といたしまして市町村の補完的な役割を果たすことができる、期待される推進法人による取組が広がっていくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、市町村が作成する計画に基づいてこの法人が実施する所有者不明土地や低未利用土地の利活用などの取組を、今般の法改正に合わせまして創設する補助制度の対象としたところであり、地域の志ある取組を財政的にもしっかり支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/105
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106・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。今、いろんな工夫をしていただいているということでございます。
地域の法人へ公的な信用を付与するということ大事かと思いますけれども、やっぱり法人、一番大事なのは熱意であると思います。そういう意味では、その熱意をより熱くする方向で、その承認の、指定の仕方であるとか、その熱を冷まさないように、しっかりと制度の運用、運営を図っていっていただきたいというふうに思います。
あと、こうした形で民間の力も借りていくということでありますけれども、肝腎の市町、市町村の人員も不足しております。そうした中で、今回の法改正に伴って財政的あるいは人的支援を行っていただけるというふうに理解をしておりますけど、具体的にどんなものかということと、あと、人的支援の中で、先ほどもありましたけれども、職員派遣制度を拡充するというようなことを予定をされているということでございますけれども、恐らく地方整備局から職員を派遣するということだと思いますが、その肝腎の地方整備局も多分人員不足であるというふうに思います。
そういう意味で、やっぱりこの派遣制度をしっかり機能させていくためにも、地方整備局自体の人員の充実ということも含めて全体の体制を強化していかないといけないと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/106
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107・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
財政的な支援につきましては、令和四年度予算におきまして、所有者不明土地対策計画に基づき公共団体や所有者不明土地利用円滑化等推進法人などが行います取組を支援するための補助制度を創設したところであります。具体的には、対策計画を作成するために必要な土地に関する実態把握調査や対策を講ずるべき土地の所有者の探索、草木の伐採や残置物件の除去など管理不全状態の解消といった取組を支援することといたしております。
次に、お尋ねの人的支援につきましては、市町村によっては公共事業等を恒常的には実施していない場合も多く、用地取得など土地関係の業務を通じたノウハウ蓄積ができていないことが課題であると認識しております。
現行の所有者不明土地法におきます職員の派遣制度は、地域福利増進事業等の実施の準備のため土地所有者等の探索に関する専門的な知識を習得させる必要があるときに限って国土交通職員の派遣を要請することができることとされております。
今般の法案では、こうした場合に加えまして、所有者不明土地対策計画の作成や管理の適正化を図るための代執行等の準備や実施のために必要な場合においても派遣を要請できることとしておりまして、今後、地方公共団体からの要請が増えることを想定しております。
このため、これらの業務を担う地方整備局等におきましては、令和四年度より体制を強化することといたしておりまして、今後とも、地方公共団体からの要請にできる限り応えていけるよう、地方整備局等の必要な人員体制の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/107
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108・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。
是非、全体として、今も災害派遣であるとか、もう日常茶飯事的に整備局からの派遣がされていて、その中でまたプラスこうした派遣の拡充ということでございますので、単に一つの地方整備局で足らなければもう少し範囲を広げるとか、より柔軟な形での人的配置であるとか、いろんな工夫もしながら強化をしていっていただければというふうに思います。
次に、この本法を進める上で重要な基礎的な取組といたしまして、地籍調査について御質問させていただきたいと思います。
地籍調査、これはもう言うまでもなく土地の境界、面積あるいは土地に関する情報を正確なものにしていく作業、まあ地道な作業であります。これによって、土地取引の円滑化はもとより、災害発生時における早期の復旧復興、社会資本整備、まちづくりの効率化など、いろんな面でその効果が現れてくる事業であるというふうに理解をしております。
現在、十箇年計画に基づきまして市町村中心に進められているというふうに理解をしておりますけれども、全体で今五二%の進捗状況であると理解をしています。また、これ全国で並べてみますと、物すごいばらつきが生じています。特に、私の関西では、大体一〇%前後の進捗率になっていて、これは多分大きな都市部があるところは進捗がなかなか進まないのかなということも理解をしていますけれども、余りにも、全国平均が五二で、関西は例えば一〇とか八とか、私の滋賀県はたしか八だったと思います。そういう意味で、八か一〇強だったと思います。物すごいばらつきが全国的に見るとあるということだと思います。
そういう意味で、十箇年計画しっかりと進めていただくということだと思いますけれども、この地域のばらつきも踏まえて、よりこうした調査を積極的に強化をしていく必要があるんではないかというふうに考えておりますけれども、是非これは大臣の決意をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/108
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109・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 地籍調査は、社会資本の整備やまちづくりの円滑な実施、また災害発生時の早期の復旧復興に大きな効果を発揮するなど、大変重要な施策と認識しております。また、所有者不明土地対策の観点からも、地籍調査は、土地所有者の立会い等を得ながら毎筆の土地についてその所有者や地番などの調査を行うものであり、所有者不明土地の解消又は発生抑制にも貢献するものと考えております。
このため、令和二年に閣議決定された第七次国土調査事業十箇年計画においては、この年の国土調査法等の改正により措置された効率的な調査手法の活用を促進しつつ、地籍調査のスピードアップを図り、優先実施地域での進捗率を現在の約八割、約七九%から、約九割、八七%とする目標を掲げております。
また、この目標達成に向け、国土交通省としましては、地籍調査の効率的な実施方法や地籍調査の効果等に関する優良事例を広くPRするとともに、地籍アドバイザーや国の職員の派遣等、地方公共団体への様々な支援に努めているところです。
引き続き、地籍調査の計画的実施に必要な予算の確保に努めるとともに、今年度から新たに国土交通省の職員が市町村に赴くなどして現場のニーズを丁寧に酌み取る、言わば自治体キャラバンといった取組を実施する予定であり、地方公共団体に対する支援を一層推進することにより、地籍調査の円滑化、迅速化に取り組んでまいりたいと思います。
また、こやり委員御指摘のその全国的なばらつきについても、国土交通省としても問題意識持っております。これをどう解消していくかも含めて、しっかり取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/109
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110・こやり隆史
○こやり隆史君 ありがとうございます。
大臣おっしゃるように、各自治体でかなり温度差があると思います。キャラバンをしているというお話もありましたし、そうした形でしっかりと進めていって、広めていっていただければと思います。
今日、法務省、お呼び、通告していましたけれども、さっきも全く同じ質問がありましたので、質問は控えさせていただきます。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/110
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111・室井邦彦
○室井邦彦君 維新の会の室井でございます。
私は、最初の質問、地域福利増進事業の活用の進め方について質問をさせていただきます。
その前に、北海道の知床の遊覧船の、小さなお子さん二人も犠牲になられたということでありますけれども、この委員会の理事会のときにざっと説明を聞きました。時間のないところでなかなか説明も難しいことでありましたし、私もまだまだ理解度が、その五分やそこらの説明で理解できませんが、ちょっと後日、この質問の機会を与えていただけると、この事故について、思っておりますけれども。
ただ、ここでちょっと気になったのが、二十三日の午後一時十三分頃、浸水しているという連絡が入ったと。その後、実際に現場で捜索をしたのがその十時間後。私の見方が誤っているのかどうか、これを見ておるとそういうふうになるわけでありますけれども、その前に、テレビで見ておりますと、双発機が上空を、海の上飛んでいたというそういう場面がありましたけれども、あのときに、もし仮に人が浮いているとか、そのときの状況を見たときに、その場で縄はしごをすぐ降ろして引き上げるとかという行動ができないな、あんな飛行機じゃ、一体旋回して何をされているのかなと、そんな、素人なりにちょっと不思議に思ったんですけれども、またいろいろとお聞かせをいただきたいと思います。
現場におられる方は寒いところをもう必死に捜索をされておる、このことについては感謝を申し上げますし、よろしく捜索のほどお願いしたい、このように思っております。
続いてもう一件、私の地元のことでありますけれども、福知山脱線事故がありまして、三年間空間が空いておりましたけれども、その慰霊祭が行われたということで、実は私、その当時衆議院議員でありまして、九時過ぎ、十時頃に事務所に、尼崎の事務所に入りまして、いやに中央市場の付近の上空にヘリコプターとか飛んでいますので、上京する前に、その当時、民主党でありました、上京する前に現場を、行こうということで行きました。そうしたら、まあいろんなうわさでは、ダンプカーが遮断機を引っかけたとか、いろんなことありまして、私が入ったときには、これは置き石の可能性があるとか、まあその当時でありましたから。で、その後、一台の車両が見当たらないと、どこへ行ったか分からぬという訳の分からない騒ぎがありまして、中央市場の奥に走っていったのかなとか。
そんな状態のときに私入りましたもので、結局朝から夜中まで、現場に、何もできないまま、黒、白という言葉を聞きながら、十何時間現場にいたということで、この脱線事故で百七名の方がお亡くなりになられて、五百六十二人の方が負傷されたという大きな事故でありましたけれども。
やはりこの原因は利益の追求というようなことで、JRもそういう方向で随分、一分一秒、民間との、鉄道との競争をしていたような感があったようであります。結局、このような大きな事故を起こして、利益どころか大きな問題を起こし、多くの方を傷つけ、命を奪ってしまったという、何をしていることか分からない。経営者の皆さん方にももう一度、再びしっかりと反省をしていただきながら、大臣にも、我々のこの運輸、交通、空港、人の命を預かる仕事でありますので、ひとつ、我々もそうでありますけれども、ひとつ身を引き締めながら、しっかりとまた点検をしていただきながら、二度とこのようなことが起きないようにひとつ頑張っていただくように改めてお願いをしておきます。
それでは、この地域福利増進事業活用のこの進め方でありますけれども、有権者で結成、構成される所有者不明土地問題研究会が行った推計では、所有者不明土地は二〇一六年時点で約四十一万ヘクタール、さらに、あったものが、この二〇四〇年には約七百二十万ヘクタールに増加したと、こういう現状でありますが、その利用、管理に要するコストとして、この二〇一六年時点では単年当たり、単年度当たりですね、約一千八百億円の経済の損失が、二〇四〇年時点には約三千百億円まで増加するという恐ろしい数値が示されておるわけでありますが。
この所有者不明土地問題の解決策として、この地域福利増進事業は、特定所有者のその不明土地に土地等の使用権を設定して公益性の高い事業のために活用すると、地域活性化に資する制度と非常に期待をしておるところでありますが、令和三年十二月時点で全国で、これ本当の数字だと思いますけれども、一件の申請事例のみで、裁定までに至った事例はないと聞いておるわけでありますが。
今回のこの法改正によって、地域福利増進事業の制度は活用の幅が更に広がり、所有者の不明土地の活用の円滑化が促進されるというふうに期待をされておるわけでありますが、この地域福利促進事業の活用を検討したことのある市町村はということになりますと一一%という結果を踏まえると、まだまだ制度に対する認知度は低い、こういう現状であります。
積極的な意向に市町村を変化させる、押し上げるというか変化させる必要性を感じるわけでありますが、どう取組を進めていくべきであるのか、是非この点をお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/111
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112・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、国土交通省におきまして令和三年二月に市町村を対象に実施したアンケート調査におきまして、地域福利増進事業について活用を検討したことがあると回答した市町村は一一%にとどまっているところでございます。
地域福利増進事業の活用の促進に当たっては、こうした状況も踏まえ、何よりもまず、市町村を始め現場で対策に取り組んでいただく関係者の方々に対し、制度について知っていただくことが重要であると考えております。
これまで、地方整備局などを拠点に、全国十のブロックに所有者不明土地連携協議会を設置し、市町村などに講習会等を通じた制度の普及啓発、市町村向けパンフレットによる周知、地域福利増進事業の具体的な手続を示すガイドラインの公表などによって市町村に対する周知に取り組んできたところであります。
今後は、より多くの市町村に取り組んでいただけるよう、今般の改正によってより使いやすい制度に見直したことも含めまして、所有者不明土地連携協議会における講習会の開催やガイドラインの改訂等を通じまして、これまで以上に積極的な周知活動に取り組んでまいります。
なお、地域福利増進事業の活用実績につきましては、この四月に新潟県粟島浦村で一件の裁定事例が出たところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/112
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113・室井邦彦
○室井邦彦君 何度か私も国土交通委員会で委員をさせていただいておりますけれども、いろいろと工夫をされながら努力しておるということはよく承知しておりますけれども、その割には効果が上がっておらぬなというようなことを感じております。更に努力して推し進めていきたい。で、有効に、この資産というか、有効に活用しなくちゃいけない、これが行政の手腕だと、このように思っておりますので、是非お願いを、積極的に、更なる、積極的に取り組んでいただきたい、お願いをしておきます。
次に、管理の適正化に向けた市町村に対する支援でありますが、所有者不明土地が適正に管理されないことによって周辺地域に対する深刻な影響が全国に懸念をされていると。市町村に対するアンケート調査でも、約六割に及ぶ市町村が管理不全土地に対する市民からの苦情を多く受けております。この管理不全土地の問題が継続的に発生していると聞いておりますし、現実に私も、尼崎のところにもこういう問題が多く山積しておるということであります。
この管理不全土地が及ぼす危険性、また緊急性の高い場合、市町村の対応として条例に基づく代執行がありますが、しかし、法律の後ろ盾がない、強力な後ろ盾がないために執行のハードルは非常に高い。そして、判断基準や手続のガイドラインが整備さらにされていないということもあって、より、更なる、ハードルの高いところに更なるハードルを高くしていると。現状はそういうことが言えるわけでありまして、制度運用上のこの隘路、いわゆる行き止まりになっておるということであります。
ここで、今回のこの法改正において、法の目的規定を改定し、そして管理の適正化を位置付け、特に災害等の発生防止に向けた管理の適正化を円滑に進め、市町村の負担が過度なものにならないように配慮をしながら、国及び都道府県による運用上の具体の支援の必要性を特に感じております。
ここで、所有者不明土地等の管理の適正化に向けた市町村の取組を支援するためにどう考えておられて、どうこれから取り組んでいくつもりであるか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/113
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114・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
今般の改正におきましては、令和二年の土地基本法改正により、土地政策の基本理念として土地の適正な管理の確保が明確化されたことを踏まえ、この理念を施策として具体化し、所有者不明土地の管理の適正化を図るため、災害等の発生防止に向けた市町村長による代執行などの仕組みを創設することとしております。
この仕組みの実効性を確保するためには、御指摘のとおり、対応する市町村の負担が過度なものとならないよう、国や都道府県による支援が重要であります。
このため、今般の改正においては、国として市町村を財政面、人材面でしっかりとお支えできるよう、財政面につきましては、予算の範囲内で財政支援を行っていく旨を法律上明確化した上で、補助制度を創設し、計画に基づいて実施される事業を支援するとともに、人材面につきましても、管理の適正化のための仕組みの活用に関して市町村の要請に応じて国土交通省職員を派遣し、情報やノウハウの提供を実施することといたしております。
また、都道府県におきましては、公共事業等の土地収用手続を担っていることから所有者探索に資するノウハウを有していることを踏まえまして、今般の改正によって市町村相互間の連絡調整を行っていただくことはもちろん、市町村に対し広域的な見地からの助言等の援助を行うよう努めなければならない旨を新たに法律上規定することといたしております。
具体的には、都道府県は、複数の市町村が共同して所有者不明土地対策に取り組む場合の連絡調整を行っていただくこと、それから、市町村が設置した所有者不明土地対策協議会に積極的に参加していただくこと、それから、所有者探索を始めとするノウハウの提供といった支援を行っていただくことを期待してございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/114
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115・室井邦彦
○室井邦彦君 時間がないので続けますけれども、次は、土地政策と都市政策、この一体的な推進についてお伺いをしたいと思います。
高度経済成長期には、都市の急激な人口増、そして産業の集中が起こり、都市の過密化と市街地の無秩序な拡散が進みました。都市を市街化区域そしてまた市街化調整区域に線引きをいたしまして、各種の用途規制や開発許可制度を運用することによって、計画的なこれによって市街化を進めてきたと、このように理解をしておるところでありますが、しかし、近年、人口減少、高齢化の進展に伴い、都市のスポンジ化が進行し、都市のコンパクト化の推進に重大な障害を生じさせつつある。
地域に応じた市街地の調整を、整備を一層推進することが更に強く求められると考えておりますが、この将来的に所有者不明土地の発生につながるおそれのある低未利用土地ですね、低未利用土地等の地域において、課題のある土地の利用を実効性のあるものにするため、今回の法改正ではこの所有者不明土地対策の推進体制を強化する仕組みが整備されることになる、このように大いに期待を掛けておりますが。
この所有者不明土地対策は、コンパクトシティー化や都市のスポンジ化対策と一体的な取組として推進していくことが重要と考えますが、人口減少時代における土地政策と政策、都市政策を総合的、もう一度申し上げます、ごめんなさい、土地政策と都市政策を総合的、効率的に推進とするためには、推進していくためにはどう取り組んでいくのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/115
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116・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) ありがとうございます。
この御質問にお答えする前に、冒頭、今回の海難事故に対しまして、室井委員の福知山線事故の経験、体験をまた踏まえまして、国土交通省に対してしっかりやるように御激励いただきまして、ありがとうございます。
午前中、鉢呂議員や野田議員にもお答えしましたとおり、一つは捜索活動に全力を挙げる、そして監査活動をしっかりやっていく、御家族への対応、この三本を柱にしっかり対応していきたいと思っております。
なお、午前中の鉢呂議員との質疑の中で、有限会社知床遊覧船への対応について、昨年七月の同社に対する指導等についてお答えしましたが、その後の昨年十月に、同社に対して、監査ではありませんが、北海道運輸局職員が本船及び事務所を訪問し、見張りの確実な実施を含めた改善内容について確認をしておりますので、御報告をさせていただきます。
申し訳ございません、御質問に、土地政策と都市政策の総合的な推進について御質問がございました。
コンパクトシティーの推進など、まちづくりを進める際、まちづくりを進めるに際しても、低未利用地、低未利用土地の活用を促進することが町中の魅力の維持向上に資するとともに、所有者不明土地の発生の抑制にも寄与すると認識しており、御指摘のとおり、本法案に基づく施策を含む土地政策と都市政策との連携をしっかりと図ることが重要であると考えております。
改正法の施行に向けては、所有者不明土地法に基づく基本方針を改定することとしており、その際、法に基づく制度の活用に当たっては、立地適正化計画を始めとする地域のまちづくりに関する計画など、関連施策と十分に整合性を確保して取り組むべき旨を明確化することを検討しております。
あわせて、まちづくりの観点からも、国が示すガイドラインなどにおいて、コンパクトシティーの取組の中で所有者不明土地の存在が課題となっている場合には、本法案に基づく施策を始めとした所有者不明土地対策と連携して取り組むよう促すことを検討しております。
いずれにいたしましても、土地政策と都市政策との連携をこれまで以上に強化し、総合的、効率的な地域づくりが行われるよう取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/116
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117・室井邦彦
○室井邦彦君 質問を終わります。デジタル化の推進についてはまた改めてまたお聞きしたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/117
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118・武田良介
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
まず、知床遊覧船の事故について伺いたいと思います。
亡くなられた方に心から哀悼の意を表したいというふうに思いますし、いまだ発見されていない方もいらっしゃいます。救命救助に全力を挙げていただきたいと、お願いを申し上げたいと思います。
斉藤大臣は現地に既に入られました。今回の事故ですけれども、既に様々な指摘が地元の方、関係者の方からなされている状況であります。
運航業者である知床遊覧船が、この日、出航という判断をしたことに対する疑問、あるいは今年四月二十日に日本小型船舶検査機構の中間検査では問題が指摘されなかったということだけれども、その検査そのものに対する疑問、あるいは航行ルートに問題はなかったのか、あるいは船長の経験不足はなかったのか、様々な指摘があるわけであります。
大臣は特別監査を行うということですけれども、何を確認する必要があると考えてこの特別監査を指示されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/118
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119・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の事故への対応に当たりましては、私自身も事故翌日の二十四日に現地に赴き、同日に開設した国土交通省の現地対策本部等において対応を行う職員に対して、行方不明者の捜索に全力で取り組むこと、当該遊覧船事業者に対する監査を早急に実施することに加えて、現地にお越しになった乗船者の御家族に対する支援や十分な情報提供に最大限努めること等を指示しました。また、同日中に東京に戻り、国土交通省事故対策本部会議において、二十五日から現地対策本部に渡辺副大臣を派遣し陣頭指揮を執ること等を指示したところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、捜索救助活動を始めとする事故対応に全力を尽くしてまいります。
そして、今回の特別監査におきましては、事故時の状況、運航管理体制、乗組員の安全教育や、昨年の同社への指導を踏まえたその後の安全管理規程の遵守等について重点的に監査を行うこととしております。一昨日二十四日、昨日二十五日に監査を行い、社長からの聞き取りや関係書類の確認等を行っており、本日以降も実施してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/119
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120・武田良介
○武田良介君 安全管理規程というお話もありました。
これ、海上運送法の規定では、その事業許可申請をすることになっているわけですよね。ですから、それに伴ってこの事業計画、安全管理規程、届け出なければならないということになっています。
ですから、提出された事業許可申請書、あるいはそれに対して国が出した許可書、事業計画、安全管理規程、これどういうものだったんだろうかと。私も事態を把握したいというふうに思っておりましたので、ずっと国交省の方にも問合せをしているんですけれども、これなかなか資料を提出いただけないわけなんです。
大臣も特別監査を強調されております、事実を確認したいということをおっしゃっている。これ、我々も事故調査するために必要なものでありますので、是非これらを当委員会に資料として提出していただきたいというふうに私は思っておりまして、委員長のお取り計らいをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/120
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121・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 後刻理事会で協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/121
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122・武田良介
○武田良介君 海上運送法では、この不定期航路事業を営もうとする者、これは航路ごとに国交大臣の許可を受けなければならないというふうにされているものでありますので、いつどのような審査をして許可がされたのか、今後解明が必要になってくるというふうに思っております。
知床遊覧船は去年二回の事故を起こしていると、先ほどもお話がありました。五月には浮遊物に衝突する事故、六月には浅瀬に乗り上げ事故を起こしているということであります。
これ、国交省に確認をしましたら、今回事故が発生した航路の事業許可日、二〇〇一年の七月六日ということなわけです。しかし、報道でも既に証言等出ているように、会社の社長さんも替わっているということであります。船長さんも経験が浅い方に替わっている。ですから、その事業許可以来の会社の体制の変更について、事業許可、事業計画など、変更申請が適切になされていたのかどうか、こうした問題も私は把握をしたいし、これ大臣としても把握すべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/122
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123・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 有限会社知床遊覧船は、昨年五月及び六月に海上の浮遊物への接触や浅瀬への乗り上げを起こしており、事故後に北海道運輸局が特別監査を実施いたしました。特別監査の結果、北海道運輸局より同社に対して、船員による見張りの確実な実施や安全管理規程の遵守等の指導を行い、昨年七月、同社から北海道運輸局に、これらの事項について改善報告があったところでございます。
そして、先ほど申し上げましたが、その後、昨年十月に同社に対して、監査ではございませんが、北海道運輸局職員が本船及び事務所を訪問し、このときの指摘がちゃんと行われているか、見張りの確実な実施を含めた改善内容について確認をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/123
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124・武田良介
○武田良介君 様々対応を取られているという答弁であるわけですけれども、次々されている指摘では、この船長の経験不足、あるいはそういう体制をつくった事業者の問題、こういった問題も指摘をされている。当然だと思うんですね、私。
知床半島の先まで船で行くには、せめてゴールデンウイークぐらいまで、海が少し穏やかになってこないと、早かったんじゃないかと。ほかの事業者よりも早く今年初めての航行を行ったというふうにも言われているわけでありまして、今回の事故、一つ一つの事故事案に対しての検証、これはもちろん必要だというふうに思いますし、同時に、背景にある事業者の姿勢、さらに国交省の対応も含めてこれ検証が必要になってくるというふうに思っておりますので、そのことを指摘をさせていただきたい。
私、先ほど来言っているように、なかなか、どういう事案なのか全体像を把握したいんだけれども、国交省の方から説明いただけないこともあって、先ほど驚いたんですが、鉢呂委員の質疑を聞いていて驚いたんですが、船舶安全法に基づいて四月二十日に行われた日本小型船舶検査機構による中間検査では問題は指摘されなかったということなんですよね。しかし、検査は、外観を見ると、そして船長に聞き取りをするという答弁がありました。
これ、私、非常に驚きました。全国の運輸局で、今日の説明を聞いても、旅客船事業者に対して緊急安全点検を実施するという説明ありましたけれども、こうした船舶へのチェック、こういうことをこれまで中間検査というところではやってきたと。今どういう検査をしているんだろうかと、十分な検査されるんだろうかということを率直に思ったんですけれども、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/124
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125・高橋一郎
○政府参考人(高橋一郎君) お答えを申し上げます。
船舶検査につきましては、船舶安全法に基づきまして、船舶安全法五条に基づく定期検査におきましては、五年ごとに船体外板の状態の確認、タンク内の確認などなど必要な検査を行いますとともに、船舶安全法五条の三号に基づく臨時検査では、海難等による大規模な修理を行った場合や船舶の安全性に影響のある改造を行った場合には臨時で行う必要な検査を実施しておるところでございます。また、そのほか、委員御指摘の中間検査として、船舶安全法五条二号に基づきまして、毎年、旅客船につきましては、船体の外観の確認、主機関等の効力試験などの検査を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/125
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126・武田良介
○武田良介君 だから、今回やっているこの緊急の安全点検というのが十分になるのかどうかということだと思うんです。四月の検査では見過ごしたということでは、結果こういう事故が起こっているわけですから、ならないというふうにもちろん思いますし、仮にそうであるとすれば、検査の強化、あらゆる手だてを取って、必要になってくるだろうということも思いますので、指摘をさせていただきたい。
この問題の最後に大臣に伺いたいと思うんですけれども、今回のこの事故を受けて、大臣、海外出張されるというお話もあったんだけれども、どうされるのかなというふうに思っておりましたら、海外出張については諸般の事情により取りやめることになりましたという文書が届けられました。諸般の事情って何だろうかと私も思ったわけです。当然、私は、大臣も現地に行かれた、今回の事故を受けて救命救助に最優先に取り組んでいく、そして事故の原因究明に先頭に立って仕事をしていく、そのために、それが諸般の事情だと、日本に残って仕事をされるんだということだというふうに思ったんですが、そういうことでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/126
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127・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) はい、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/127
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128・武田良介
○武田良介君 亡くなられた方がいらっしゃるわけですよね。残された御家族の方もいらっしゃる。まだ発見されていない方もいらっしゃる。そういう方たちがたくさんいらっしゃる中で、今、今日、様々な指摘があるという問題だけは指摘をさせていただきました。これ事実だとすれば、本当に悲しいことだし、悔しい思いだし、許されないという思いを皆さんお持ちになるんじゃないかというふうに思います。
海外出張ということも、シンガポールでカジノを中核にするIRの視察というものも含まれておりました。これ自身、私必要ないというふうに思いますけれども、しっかりとこの事案に対応しなければならないということを申し上げて、限られた時間になってしまいましたけれども、法案について聞かせていただきたいというふうに思います。
現行の所有者不明土地特措法、これが国会で成立してから四年になりました。この法律で土地収用法に代わる知事裁定の制度が創設をされているわけであります。四年前の現行法の議論では、収用手続への移行から土地取得までに三十一か月掛かっていた収用手続を、知事裁定に変えることで二十一か月に短縮することが目標だというふうに政府は説明をされておられました。
実際、知事裁定の制度によって極めて短時間で土地取得がされているということが分かります。資料の一を付けさせていただきましたけれども、例えば上から四つ目は東海環状自動車道の新設工事で、これ、三重県いなべ市の土地、二十五・六七平米ですけれども、ここが対象だったと。これは、裁定に要した期間は八か月と極めて短期間だというふうに思います。
土地取得に要する期間を短縮する目標との関係でこの知事裁定制度の実績をどのように評価をされているのか、そして、裁定後に真の権利者から申出があるとか、そういった土地所有権をめぐるトラブルは生じていないのかという点について、国交省に確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/128
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129・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答えいたします。
所有者不明土地法に規定されております公共事業の用地取得の合理化、円滑化のための土地収用法の特例制度につきましては、お話ありましたとおり、令和四年二月時点で六件の裁定がなされております。また、この制度につきましては、所有者不明土地の収用手続に要する期間を制定前の約三十一か月から二十一か月へ短縮するというKPIを掲げておりますが、この裁定のありました六件の事業につきまして収用手続に要した期間は平均すると約十五か月となっております。
このように、特例制度の活用によりまして土地収用手続のスピードアップが図られており、制度創設の効果が発揮されているものと考えております。
裁定のあった六件の事業につきましては、いずれも所有者不明土地法の規定に基づく所有者の探索が行われております。また、都道府県知事による裁定に当たりまして、不明所有者等の関係者から異議が出されてはおりませんで、また、裁定後に不明所有者が現れて異議を申し立てるなどの問題は特に発生していないと承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/129
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130・武田良介
○武田良介君 トラブルはないということで確認をいたしました。
財産権に関わってくる話でありますので、今後とも、土地収用法の手続を避けるために所有者の探索をおろそかにすることがないように、くれぐれも運用には気を付けていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
相続などを契機にした土地の共同所有の場合に、一筆の土地の一部でも所有者が分からない場合は所有者不明土地ということになるわけであります。この場合、一部の所有者が判明している所有者は確知所有者というふうに言われるわけですよね。
法案は、三十八条から四十条で、所有者不明土地のうち管理不全状態にある土地について、土砂災害の防止や周辺地域の環境悪化防止のため、市町村長はこの確知所有者に必要な措置を講じるべきことを勧告できると、従わない場合に命令、代執行ということであります。これらの権限を市町村長に与えること自体は必要であるというふうに思いますので、その点を踏まえた上で質問させていただきたいと思いますが。
例えば、一筆の十分の一の確知所有者に対しても、一筆全体について必要な措置を求める勧告がされるわけですよね。そこから命令、代執行というふうになるわけですけれども、勧告に応えたくても、例えば高齢だとか、あるいは離れて住んでいる、資力が十分にない、様々な、場合によっては、機械的に運用することになると確知所有者に対して気の毒な状況も生まれるのではないかというふうに思いますが。確知所有者の方は、管理できるのにそれをただただ怠っているという方だけではないというふうに思うわけであります。
管理の責務のみ強調するということでありますと、資産価値よりも管理コストの方が高い、コストの方が大きい土地なんて相続したくないという風潮も広まりかねないというふうに思います。そうした風潮が広がるということは、今後の国土づくりに対しても決していいことではないというふうに思いますけれども、この点について大臣の御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/130
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131・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず第一点目の、確知所有者に酷ではないかという観点ですけれども、今回創設する勧告、命令、代執行制度は、令和二年の土地基本法改正において土地所有者は土地を適正に管理する責務を有する旨が明確化されたことを踏まえ、市町村長が管理不全状態にある所有者不明土地の確知所有者に対し、所有者の責務として管理不全状態を解消し、災害の発生等を防止するために必要な措置を講ずるよう、勧告、命令し、代執行できることとするものです。
その際、確知所有者に対して、所有者の責務を超えた措置を求める不合理な勧告や命令がなされないよう、条文上、一つに、改正後の第三十八条において、必要の限度において勧告することができると規定し、二つ目に、改正後の第三十九条において、確知所有者が有する共有持分により実施可能な措置に限って命令することができると規定しておりまして、三番目に、さらに改正後の第四十条第一項において、管理不全状態を放置することが著しく公益に反する場合に限って代執行することができると規定しておりますので、確知所有者に酷な事態が生じないよう手当てしているところでございます。
それから、土地は相続したくないという風潮ということに関しまして、このような状況に踏まえ、令和三年に民事基本法制の見直しの一環として相続土地国庫帰属法が制定され、相続等により土地を取得した方々が法務大臣の承認を受けてその土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする、いわゆる相続土地国庫帰属制度が創設され、来年、令和五年四月二十七日から施行されることとなっております。
また、今回の法案でも、地域で所有者不明土地や低未利用土地等の利活用に取り組む特定非営利活動法人等を市町村が指定する制度を創設するなど、所有者不明土地等の所有者が土地を利活用し適正に管理する機運を高める取組を推進するための新たな制度を創設しているところでございます。
相続土地国庫帰属法や今回の法案の附則には、施行後五年を経過した場合に施行の状況についての検討を行い、必要があるときには見直す旨が規定されており、国土交通省といたしましても、法務省を始め関係省庁としっかりと連携し、適切な対応を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/131
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132・武田良介
○武田良介君 もう時間が来てしまいます。
最後にお聞きしたかったのは対策協議会の話でありまして、推進法人も今回規定をされます。これに対しては監督の仕組みが入るということになっているんですね、推進法人は。しかし、協議会の方にはこの監督の仕組みというのがない。
先ほども少しありましたけれども、資料の二も付けました。不明土地、農地、林地も結構多いんですよね。こういうところに太陽光パネルだとか、乱開発のようにやられてしまわないのか、協議会の方にも監査の必要があるのではないかと、この点についてだけ、国交省、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/132
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133・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 時間が来ていますので、端的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/133
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134・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) はい。
お答えいたします。
協議会に関しましては、法律上、国や都道府県の監督権限は規定いたしておりません。
一方で、地域福利増進事業を活用して再生可能エネルギー発電設備を行う場合には、都道府県知事は、地域住民の共同の福祉や利便の増進を図るものかどうか、その施設の利用条件が公平かつ適正な利用を図る観点から適切かどうか、事業者が事業を遂行する十分な意思と能力を有するかどうかといった観点から事業内容を確認した上で、事業の実施に問題がないと判断した場合のみ裁定を行うこととされております。また、事業期間中においても、都道府県知事は、必要に応じて事業者に事業に関する報告をさせることや、立入りの実施等を行うことにより、事業の実施状況をモニタリングすることになります。
また、再生可能エネルギー発電設備の整備につきましては、電気事業法など関連する法律や都道府県の条例などによる規制の適用も受けることになります。これらの規制に従っていない事業については、国や都道府県が、個別の法律や条例に基づき事業内容の是正を図ることも可能でございます。このため、地域福利増進事業として実施される再生可能エネルギー発電施設、設備の整備につきましては、国や都道府県知事の監督の下、適切に実施されるものと考えております。
国土交通省としても、適切に事業が実施されるよう、関係する法令の遵守や地域福利増進事業制度の趣旨について、所有者不明土地法に基づく基本方針やガイドライン等により丁寧に周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/134
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135・武田良介
○武田良介君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/135
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136・増子輝彦
○増子輝彦君 無所属の増子輝彦でございます。今日は時間いただきまして、ありがとうございます。
私からも知床遊覧船事故について一言触れさせていただきたいと思います。改めて、お亡くなりになった犠牲者の皆さんに心から御冥福をお祈り申し上げると同時に、まだ行方の知れない方々の一日も早い、一刻も早い救助をお願いしたいと思っています。大臣も早速現地に飛んでいただきました。
私、常々こういう事故が起きると思うんですが、やっぱり日本のこの安全対策、例えば八街市の学校に通学する子供たちのあの事故、そして今回のこの事故、何か日本では、犠牲者が出ないとなかなか思い切った、この徹底した安全対策が少し緩んでいるのではないかと、私はそういう心配をしているわけです。
今回も、全容解明まだこれから先だと思いますが、徹底的に全容解明されながら、しっかりと安全対策を私は講じていただかないと、陸海空、特に斉藤大臣所管するこの国交省は、いろんな意味で命と紙一重の部分の交通機関がたくさんありますから、しっかりとこの辺のところを対応していただきたい。これもハード面やソフト面含めて徹底した私は安全対策を心から大臣にもお願いを申し上げておきたいと思っています。そして、今救助に当たっている全ての皆さんに心からお礼を申し上げながら、もう一度しっかりとこの救命に当たっていただきたいということをまず冒頭に話をさせていただきたいんです。答弁は結構でございます。
法案の方に入らさせていただきたいと思います。
御案内のとおり、平成二十三年の三月十一日に発生した東日本大震災からもう十一年が経過をいたしたわけであります。私の地元福島始め多くの被災地では、今なお復興に向けた対策が講じられておりますが、こうした復興の過程の中で、人口減少におけるまちづくりや経済の活性化、あるいは生活支援の在り方などなど、震災以前からある数々の課題がより深刻な形で露呈したものがございます。そうした被災地で表面化した課題の一つに、この今回の法案の所有者不明土地問題がありました。
改めて、所有者土地不明とは、不動産登記簿の所有者台帳により所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡が付かないなどの土地のことと言われておりますが、東日本大震災では、住宅の高台移転や土地の区画整理などの用地取得の過程で所有者が不明の土地や相続手続が未了の土地がたくさん見付かりました。災害公営住宅の整備が遅れるなどの復興事業にも大きな影響を及ぼしました。
例えば、岩手県の資料によりますと、平成二十五年十一月末の時点で、復興事業の用地取得のための契約予定件数は、県、市町村合計で約二万件。そのうち、権利者調整の終わった、調査の終わった約一万三千件について、こうした相続未処理や多数共有などにより権利関係の調整が必要な事案が全体の三割の約四千件があったと言われています。
また、復興庁によると、防災集団移転促進事業の用地取得率は、平成二十五年九月末時点で、岩手、宮城、福島三県の平均で四八%にとどまっております。土地取得が難しいため移転先用地の区域を変更したケースは、平成二十八年三月末時点で、三県で六百三件、岩手百六十五件、宮城三百七十九件、福島五十九件に上ったわけであります。
お手元に資料を配付させていただきましたが、不明土地の問題は私の地元福島県における中間貯蔵施設の確保に当たっても表面化をいたしました。この資料、少し古くなりますが、二〇一六年の六月五日の地元の民友新聞社が、実は、名なしの土地問題として取り上げました。二〇一六年三月末時点で中間貯蔵施設用地の約二千四百人の地権者のうち、所在が分からない持ち主は約八百九十人、三七%超に上り、全容は今も把握できない状態であります。今年の三月末で依然として分からない方々が二百六十名おられるわけであります。
このように、東日本大震災を契機に顕在化した所有者土地不明の問題は、その後、平成二十九年六月の所有者不明土地問題研究会が、所有者不明土地は、先ほど来何度も質問の中に出ておりますが、九州の面積を超える四百十万ヘクタールまで広がっているとの試算を当時公表し、大きな関心を集めたわけであります。政策課題として広く認知されるに至って、平成三十年の所有者不明土地法制定、令和二年の土地基本法改正、令和三年の民事基本法制の見直し、そして今回のこの所有者不明土地法改正という一連の制度改正につながったものと認識をしております。
そこで、まずお聞きしたいと思いますが、東日本大震災時の現場においては様々な工夫を講じながら所有者不明土地問題に対応したと考えておりますが、そこからどのような教訓を得てその後の一連の制度改正が行われたのか、具体的に教えていただきたいと思います。市川土地政策審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/136
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137・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
委員お話しいただきましたとおり、東日本大震災におきましては、不動産登記簿からは所有者が分からない土地の存在によりまして復旧復興事業に大きな影響があり、被災された方々はもちろん、関係者の皆様が大変な御苦労をされたものと承知しております。
これまで国土交通省といたしましては、関係省庁と連携しながら、復旧事業等に必要になる用地取得の迅速化を行うための取組を実施してまいりました。
例えば、平成二十三年には、被災した地方公共団体に代わって国土交通省が直轄で地籍調査を行う特例などが東日本大震災復興特別区域法により創設され、平成二十五年には用地取得加速化プログラムを策定し、関係省庁の実務支援チームによる市町村の用地担当者の支援、それから柔軟な運用による土地収用や財産管理制度手続の迅速化などを実施しております。また、平成二十六年には、用地取得の取組を強化するため、被災地特化型用地取得加速化パッケージを取りまとめ、所有者不明なまま土地収用を行おうとする際に活用できる不明裁決申請に係る権利者調査のガイドラインを作成いたしました。
被災地の実態を踏まえ、またこれまでの取組を通じて得られた教訓を生かし、所有者不明土地の利用の円滑化と所有者の効果的な探索を行うことを目的として、平成三十年に所有者不明土地法が制定されたところでございます。その後、お話しいただきましたように一連の法改正も行われ、今般の法案におきましても、自然災害が激甚化、頻発化する中で、地域福利増進事業の対象事業の拡大等の事業スキームの改善を行ったところでございます。
いずれにいたしましても、東日本大震災を始めこれまでの災害の経験を通じて得られた教訓、現場のニーズをしっかり受け止め、対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/137
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138・増子輝彦
○増子輝彦君 ありがとうございました。
東日本大震災の被災地は、平成二十三年当時でも全国に比べて地籍整備が結構進んでいた地域がありましたが、復旧復興に時間や労力を要しました。こうした東日本大震災の教訓を踏まえれば、地籍整備が進んでいない地域で万が一大規模な災害が発生した場合には、東日本大震災の被災地以上に復旧復興に多大の時間や労力を要することが懸念されております。
南海トラフ地震、首都圏直下型地震等の発生の懸念や気候変動等による豪雨災害の激甚化、多発化を踏まえると、災害発生時の早期の復旧復興を図るため、事前防災の重要性が増していると考えています。
令和二年の土地基本法の一部を改正する法律案の国会の審議録を改めて読み直しましたが、東日本大震災の被災地である福島県や、あっ、失礼しました、岩手県や宮城県は、全国に比べて地籍整備が結構進んでいました。そのために復興事業が早く進んだという事例がありました。地籍調査の進捗に地域差がある中で、東日本大震災を契機に、災害への備えとして地籍調査の重要性を強く認識されてきたと今私は考えています。
そこで、もう一度、市川土地政策審議官にお尋ねしますが、災害発生時の早期の復旧復興を図るため、事前防災の観点から地籍整備を重点的に進めていくことが重要であると考えていますが、具体的な効果を含めて、どのように地籍整備を進めていく方針なのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/138
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139・市川篤志
○政府参考人(市川篤志君) お答え申し上げます。
地籍調査は、災害に対する事前の備えとして大変重要な施策であると認識してございます。
委員御指摘のとおり、東日本大震災からの復興において、例えば当時の地籍調査の進捗率を見てみますと、岩手県では九〇%、宮城県では八八%と、全国平均の四九%に比べ大きく進んでいる状況にあったため、用地取得等が円滑に進み、防災集団移転事業や復興道路の整備などの早期の実施につながったものと認識しております。
また、令和元年十月の台風十九号の被災地の復旧の例をちょっと見てみますと、茨城県の一級河川、久慈川の復旧工事におきまして、地籍調査実施済みであった地域では工期の大幅な短縮が図られたものと承知してございます。
このような災害時におけます地域整備の、地籍整備の重要性を踏まえ、南海トラフ地震、首都直下地震といった大規模災害の被災想定区域を含めた優先実施地域について、効率的な調査手法の活用の促進により、地籍調査のスピードアップを図ってまいりたいと考えております。
先ほど来答弁申し上げております優先実施地域での進捗率、令和十一年までに約九割に引き上げる目標を掲げておりますが、この目標達成に向け、優良事例のPR、地方公共団体の支援の強化、それから大臣から御答弁申し上げました自治体キャラバンといった取組を通じまして、地籍整備の加速化に取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/139
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140・増子輝彦
○増子輝彦君 ありがとうございました。
九割の達成を目標に、なかなか大変だと思いますが、しっかりと関係省庁力を合わせて頑張っていただきたいと思っています。
所有者不明土地問題の対応においては、所有者不明土地を使いやすくする、所有者不明土地の管理の適正化を図ることが重要だと思っています。今般の所有者不明土地法の改正は大きな前進であると考えていますが、やはりこれ以上所有者不明土地を増やさないためにも、所有者不明土地の発生予防こそが重要だと考えています。
そこで、法務省にお伺いしたいと思いますが、令和三年の民事基本法制の見直しにおいて、所有者不明土地の発生予防の観点から、相続登記の申請義務化が措置されたことは大きな第一歩であります。新制度を国民に広く根付かせるとともに、国民一人一人がこの義務を果たすことができるよう、そんな仕組みを整備する必要があると考えていますが、どのように取り組んでいくのでしょうか。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/140
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141・加田裕之
○大臣政務官(加田裕之君) 増子委員の質問にお答え申し上げます。
所有者不明土地の発生を予防することを目的としまして、令和六年四月から相続登記の申請が義務化されることとなっております。相続登記の申請義務化を真に意義のある実効的なものとするためには、国民の皆様に所有者不明土地問題の実情を含め、申請義務化の趣旨、目的を理解していただくことが重要であると考えております。また、相続登記の申請義務の実効性を確保するためには、申請に当たっての手続的な負担や費用などの負担を軽減することも重要です。
まず、手続面では、簡易な義務履行手段である相続人申告登記という新たな登記を設けたり、相続登記の漏れを防止する観点から、特定の者が所有権の登記名義人となっている不動産を一覧的にリスト化しまして所有する所有不動産記録証明制度を新設したところでございます。さらに、申請人の費用面での負担につきましても、令和四年度税制改正によりまして、相続登記の登録免許税について免税措置の拡充等がされました。
法務省としましては、相続登記の申請義務化の円滑な施行に向けて、新しい制度の手続に関する政省令等の整備を進めるとともに、今後とも、その制度の趣旨や環境整備策を含めて、自治体、専門資格者団体等の関係機関、関係団体と連携しまして丁寧な周知、広報に努めるなど、委員御指摘のようにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/141
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142・増子輝彦
○増子輝彦君 ありがとうございました。
加田政務官、御退席されても結構です、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/142
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143・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) じゃ、政務官、御退室いただいて結構です。御退室いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/143
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144・増子輝彦
○増子輝彦君 ありがとうございました。
所有者不明土地問題に対しては、政府においても段階的に一連の制度改正に取り組んできているわけであります。この問題は一朝一夕に解決することが私は困難なもので、不断の検証と、できるものから速やかに見直していくということが大変重要な姿勢だと思っています。
そこで、現行の所有者不明土地法の附則を見てみると、施行後三年を経過した場合において、施行の状況に検討を加え、必要があるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずると見直し規定を置いており、今般の改正はこの三年の見直し規定を踏まえたものと認識しています。
一方、今般の法案では、附則に見直し規定を置いていることは同様であるものの、その規定を見てみると、施行後五年を目途となっています。見直しまでの期間が長くなっています。
そこで、大臣にお伺いしたいと思っています。
所有者不明土地法の見直しについては、遅くとも五年を目途に検討すること自体は決して否定はいたしておりませんが、必要であれば五年を待たずに見直しを行うということが必要だと考えておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
時間がありませんのでもう一つ、二つ続けて。
本格的な人口減少、少子高齢化時代の到来に伴い、土地を所有し管理する個人が減少していくということが所有者不明土地や管理不全土地、空き家の増加につながり、安全、安心で豊かな国土を形成していく上での極めて大きな問題となっていることは大臣も全く認識していることだと思います。こうした状況の中で、土地は誰のものなのか、土地の所有権は絶対なものなのかということが問われている時代に入ったのかなと私自身は思っています。大臣がどのような御認識を持っているのか。
そこでお尋ねします。今回の改正は、本格的な人口減少、少子化、少子高齢化時代の到来という社会経済情勢の変化を踏まえ、所有者不明土地や管理不全土地に対する対策を講じようとするものだと考えております。土地の所有権の在り方についてどのように考え、具体的にどのような対策を講じてその効果を期待しているのか、大臣に御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/144
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145・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) まず、初めの第一点の御質問の見直し規定五年についてでございます。
今般の法案につきましては、附則第四条において、施行後五年を目途として改正後の規定についての検討を行い、必要があるときには見直す、そういうふうに定めております。これは、令和三年の民事基本法制の見直しにおいて創設された相続登記や住所変更登記の義務化等の制度が令和五年から令和八年にかけて段階的に施行されることから、その施行状況も十分に踏まえて対応する必要があるためでございます。
所有者不明土地問題は、東日本大震災の教訓も踏まえ一連の制度改正が行われてきたところですが、この問題は一朝一夕に解決できるものではなく、中長期的に粘り強く取り組んでいく必要があると認識しております。
国土交通省としては、所有者不明土地法や民事基本法制に基づく各種制度の施行状況を的確に把握しつつ、改正後の規定については検討を加え、必要に応じ見直しを行うべきものと考えております。
それから、二点目の土地の所有権についての基本的な考え方という御質問でございます。難しい問題です。
土地の所有権の在り方については、国土交通省、法務省等も参加した登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会が平成三十一年二月に報告書を取りまとめました。それによりますと、まず第一点として、所有権絶対の原則は、元来、所有権に対する公共の観点からの制約があり得ることを前提としているという点。それから二番目に、土地基本法の公共の福祉優先等の基本理念や各種法令で定められる土地所有者の責務等に基づき、社会経済情勢の変化に合わせて、所有権に対する適切な制約の在り方が追求されることが妨げられるものではない。この二つの見解が示されておりまして、国土交通省も同様の見解を有しております。
令和二年には土地基本法が改正され、土地所有者の責務として、土地の適正な管理を行うこと、それから、国及び地方公共団体の責務として、地域住民等が適正な土地の管理を補完する取組を推進するため必要な措置を講ずることと位置付けられたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/145
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146・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 大臣、時間が来ておりますので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/146
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147・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) はい。
これらの考え方に基づきまして、いわゆる土地所有権、個人の所有権が絶対的なものであることではないという、いろいろな見解の中で適正に管理されるべきものと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/147
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148・増子輝彦
○増子輝彦君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/148
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149・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/149
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150・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、野田君から発言を求められておりますので、これを許します。野田国義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/150
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151・野田国義
○野田国義君 私は、ただいま可決されました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員増子輝彦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読させていただきます。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一 再生可能エネルギー発電設備は、環境や景観への悪影響、土砂災害の要因になることも危惧されることから各地で住民とのトラブルも起きていることを踏まえ、地域福利増進事業の対象事業として、再生可能エネルギー発電設備の整備を追加するに当たっては、法の趣旨を踏まえ、防災用の非常電源や住民参加の地産地消に資する発電設備等に限定するなど、その要件を厳格に定めること。また、当該設備の整備後においても適切な運用がなされるよう、関係省庁の連携の下、継続的な確認等の措置を講ずること。
二 特定所有者不明土地の範囲が朽廃した空き家等の建築物の存する土地に拡大することを踏まえ、地域福利増進事業等が円滑に行われるよう、建築物の除却に係る費用について、市町村等に対する必要な財政的支援を検討すること。
三 災害等の発生を防止するため、管理不全の所有者不明土地に対する市町村長による代執行制度が創設されることに伴い、その運用が適時適切に行われるよう、ガイドラインの作成、制度の周知徹底等を行うとともに、必要な財政的支援を検討すること。
四 所有者不明土地等の地域における課題がある土地への対応を実効的なものにするため、市町村が所有者不明土地対策計画の作成等のために組織することができる協議会において、宅地建物取引業者、司法書士、土地家屋調査士等の専門家の積極的な活用が図られるよう取り組むこと。また、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の活動が円滑に行われるよう、ノウハウの共有や必要な情報提供等を図るとともに、税財政上の特例措置等を検討すること。
五 「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」の枠組みを当分の間、維持し、所有者不明土地問題等に係る諸課題について、関係行政機関の緊密な連携により政府一体となって引き続き総合的に取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/151
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152・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) ただいま野田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/152
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153・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 全会一致と認めます。よって、野田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、斉藤国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斉藤国土交通大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/153
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154・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/154
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155・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/155
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156・斎藤嘉隆
○委員長(斎藤嘉隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814319X01020220426/156
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