1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月七日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 三木 亨君
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 俊郎君
理 事
西田 昌司君
藤末 健三君
森屋 宏君
牧山ひろえ君
山本 博司君
委 員
大家 敏志君
櫻井 充君
三木 亨君
宮沢 洋一君
宮島 喜文君
勝部 賢志君
熊谷 裕人君
古賀 之士君
難波 奨二君
杉 久武君
大塚 耕平君
浅田 均君
小池 晃君
大門実紀史君
浜田 聡君
渡辺 喜美君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
内閣府副大臣 黄川田仁志君
財務副大臣 岡本 三成君
財務副大臣 大家 敏志君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宗清 皇一君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 茨木 秀行君
金融庁監督局長 栗田 照久君
外務省大臣官房
審議官 遠藤 和也君
財務省大臣官房
総括審議官 小野平八郎君
財務省国際局長 三村 淳君
国税庁次長 重藤 哲郎君
厚生労働省大臣
官房高齢・障害
者雇用開発審議
官 奈尾 基弘君
経済産業省大臣
官房首席エネル
ギー・地域政策
統括調整官 小澤 典明君
資源エネルギー
庁次長 山下 隆一君
防衛省大臣官房
サイバーセキュ
リティ・情報化
審議官 上田 幸司君
参考人
日本銀行総裁 黒田 東彦君
日本銀行決済機
構局長 神山 一成君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
(財政政策等の基本施策及び金融行政に関する
件)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/0
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001・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、岡田直樹君が委員を辞任され、その補欠として三木亨君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/1
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002・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官茨木秀行君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/2
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003・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/3
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004・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君及び同決済機構局長神山一成君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/4
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005・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/5
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006・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/6
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007・森屋宏
○森屋宏君 おはようございます。自民党、森屋宏でございます。
参議院にいさせていただきまして九年目でございますけれども、財政金融委員会、初めての参加でございます。県会議員等をして地方の姿はもう長く見てきましたけれども、こうしてマクロの、国会において財政政策あるいは金融支援について議論をさせていただくということは初めてでございます。どうか先生方あるいは役所の皆さん方の御指導をいただきたいというふうに思います。
今日は、二年弱続いてまいりましたコロナ禍ということの中での財政支援で、財政政策であったり金融支援、どういうふうなことだったのだろうかというふうなことをテーマにさせていただいて、そして地方財政に対する支援もありましたので、こうしたところをテーマに今日はお話を、質問をさせていただきたいというふうに思っております。
ところで、まず最初に、まずはロシアによりますウクライナ侵攻、大変世界経済に大きな影響を与えているというふうに思います。いろんなテレビでも、あるいはウクライナからの、あるいはヨーロッパからの報道等を見ていても、まさか二十一世紀になってこんな事態が起きるなんて夢にも思っていなかったというふうな発言をされている方々が世界中で大勢おいでになりますけど、私もまさにそういうふうに思います。
しかし、私たちの国の周辺事情ということを考えますと、これはもう他人事ではなくて我が事としてやはりしっかりとこのことを、進んでいかなければいけない、取り組んでいかなければいけない大きなことだというふうに思います。
そこでまず、今回のウクライナ情勢の国内経済に与える影響及びその対応についてお話を、現状において刻一刻と変わっておりますけれども、現状についてまずお話を伺いたいと思います。
先ほども言いましたように、今回G7で連携を取ってということが強調されております。私たちの周辺環境を考えても、G7の中で協調して世界に対してやっぱり何がしかの発信を常にしていくということは大変重要なことでなかろうかと思います。G7としてどのようにこれから協調して対応されていくのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/7
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008・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ウクライナ情勢が日本に、日本経済に与える影響についてでありますが、森屋先生御指摘のとおり、状況が刻一刻と変わっておりますので、確定的に申し上げることはなかなか難しいわけでございますが、エネルギー価格を始めとする国際商品市況やサプライチェーン、金融市場に与える影響を含め、幅広く注視をしていく必要があるんだと思っております。
そのうちエネルギー価格につきましては、高騰のリスクがあるということは以前から指摘をされておりまして、国民生活等への不測の影響を緩和するため、三月四日に原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめたところでございます。
また、ウクライナ情勢や原油価格高騰等の影響を受けました中小企業に対しましては、この対策におきまして、資金繰りに支障が生じないよう、きめ細やかな支援を引き続き徹底することを金融機関等に重ねて要請するとともに、日本公庫等の低利融資により支援していくこととしております。
そして、国際協調でございますが、G7を始めとする国際社会と緊密に連携することが大切であると考えております。ロシアに対する経済制裁によりましてロシアに対して最大のコストを課するよう、今後とも連携を密にしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/8
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009・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございました。
何度もお話ししますけれども、これは本当に他人事ではなくて、私たちにとりましては非常に近いところで将来起きる可能性のあるということで、私は何よりもやっぱりG7との連携、武力衝突が起きる前に、これはもうない方がいいわけでありまして、その前に外交努力としてできるということを考えると、やっぱり我が国が、一つの国がそういうふうな努力をしていくんではなくて、やっぱりG7という枠組みの中で、同じ思いを持ったグループの中でやっぱり世界にその思いというものを発信していく、これ非常に重要なことだと思いますので、どうか大臣におかれましても、G7の会合等もこれから重ねられていくと思いますので、どうか積極的な参加、そして我が国の立場というものを是非訴えていっていただきたいなというふうに思います。
また、コロナに併せてのこのウクライナの影響ということでありますから、昨日の予算委員会も一日聞いていましたけれども、参加しておりましたけれども、やはりいずれ何らかの形で少なからず国民の皆さん方にも影響がこれから出てくるんだろうなというふうに思います。そうした意味で、国内においてはしっかりと国民の皆さん方にこれからの取組というものを、あるいは現状というものを時あるごとにやっぱり大臣の口から発信をしていただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、今日の本題に入らさせていただきたいと思います。
二年と何か月かという形でコロナ禍ということで暮らしてきたわけでありますけれども、若干ちょっと私の地元の話からさせていただいて、ちょっと環境からお話をさせていただきたいと思います。
私の地元は山梨でございます。東京から一時間半くらいで甲府に着きますけれども、人口は僅か八十万というところでございますけれども、地域産業の中心は、世界的なロボットの会社もありますし、半導体装置産業も大変世界を代表するような企業があります。そういうことで、電気機械等の基幹産業と、装置産業と言われる産業が主産業でございます。県下の製造品出荷額は約、直近ですと二兆五千億ぐらい、その七〇%をそうした産業が占めているという、実は機械、電機というところが主産業でございます。
その周辺を埋めるような形で、富士山がありますので、インバウンド観光でありましたり、桃とブドウというのは日本でも一番の出荷量。最近でありますと、中国、台湾、韓国等々にですね、海外に高価値のある果物として出荷をしておりまして、これも大変最近では多くの金額を出しているということでございまして、二〇二〇年の年明けまではインバウンドも本当に、西田先生の京都と同じように、非常に良くて、ホテルの新規の計画であったり、あるいは増築、あるいは既存のホテルが改装していくというふうなことが多く計画をされているというところで、いよいよというところで二〇二〇年の春を迎えたというのが実情でございます。
そうした中で、今回のコロナ禍で国が行ってきた財政政策あるいは金融政策について振り返っていきたいというふうに思いますけれども、端的に言って、製造、先ほど言いました私たちの地域の製造業でありますけれども、最初は働き方の少し抑制、リモートワークであったり、工場も稼働を少し休めたりということで、一旦は、実は製造過程が、ラインが止まるというふうなことがありましたけれども、その夏ぐらいには復活をしてまいりまして、昨年辺りは、ロボット会社にしましても半導体を作っている会社も実は過去最高益というふうなことを出しているということでございます。
一方、先ほどから言いますように、インバウンド関係のホテルあるいは飲食というところは大変厳しいところを過ごしてきたということで、地域の景色というのはどういう景色かといいますと、実は過去最高益を出している産業界、製造業を中心としたところと、一方には、ホテルや飲食、そしてインバウンド関係というようなところがあって、地域の中で景気感といいますか、経済が二分化されたような、極端にそういうところが出ているというのが今現状じゃなかろうかというふうに思います。
そうした中で行われてまいりました、国によります、まずは財政政策について少しお聞きをしていきたいというふうに思います。
二〇二〇年から特別定額給付金でありましたり、一人親の世帯臨時特別給付金、そして子育て世代への臨時特別給付金等々、いろいろな財政政策において支援をいただいてきたというふうに思います。特に、二〇二〇年、最初に、四月に実施されました特別定額給付金、全国民に十万円を配るということでございました。その多くが、ある報告によりますと、多くが貯蓄に回ったんではなかろうかというふうな分析もあるようでございます。今回のように突然発生した社会変化において、迅速な対応は国民の命や生活を守る意味において国の責務であるというふうに思います。一方において、その効果というものは常に検証されるべきであり、次なる事態に備えておくということが重要なことではなかろうかというふうに思います。
そこでまず、今回の給付の効果、この特別定額給付金について財務省の見解をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/9
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010・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 森屋先生御下問の特別定額給付金についてでありますけれども、緊急事態宣言を全国的に拡大した状況を踏まえ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行い、低所得者や新型コロナの影響の大きかった世帯について、その所得、消費を下支えしたと考えております。
他方、家計の消費と貯蓄の状況を経済全体で見てみますと、二〇二〇年度は給付金等の政策対応の結果、可処分所得が増加した一方で、外出自粛等の影響で消費が抑制されていることもあり、結果的に貯蓄が増加したことは事実であると考えております。こうしたことは統計に反映されておりまして、二〇二〇年度は前年と比べまして、消費は十八・四兆円の減少、一方貯蓄は三十・七兆円の増加、結果として可処分所得が十二・四兆円増加となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/10
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011・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございました。
この現象というのは日本だけじゃなくて世界各国、財政出動して個人給付するということが、いろんな政策が行われたわけなんですね。今たまたま朝一番で予算委員会に出てまいりまして、公聴会で慶應義塾大学の総合政策学部教授の中室先生のお話をちょうど伺ってきたら、やっぱりアメリカでも同じことが起きたと。結局、アメリカの場合にクレジットカードの支出額を見ると個人の消費が分かるということで、それの分析をされているようですけれども、COVID―19で、いつ誰にどのような影響をもたらしたかを詳細に分析し、次の打ち手に生かすデータ政策の動きが今加速しているというふうなことだそうです。一つには、結論ではありませんけれども、必要な支援をプッシュ型で迅速に追うことが必要だというふうな一定の結論が今出ているというふうなことは、たまたま今そんなお話を伺いました。
そこで、我が国においても、今後、これからもいつこのような緊急の公的給付をしなければならないときがあるのか分かりませんけれども、しかし、この時期にやっぱりしっかりとした給付を、対象者を絞った給付の在り方というのは、それぞれの子ども手当なんかの基準ということであれば厚労省が自らいろんな議論をしていただいていくわけでありますけれども、しかし、給付ということになると、やっぱり財務省の方で迅速かつ的確な給付の在り方というのをあらかじめやっぱり議論をして整備をしていく必要があるんではなかろうかというふうに思いますけれども、これについて御所見をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/11
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012・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 一昨年の定額、特別定額給付金の際も必ずしも迅速にお届けすることができなかったという、そういう経験も踏まえまして、昨年五月に成立した公金受取口座登録法によりまして、特定公的給付に指定された給付金の支給事務を行う際には、市区町村が所得情報の確認等を容易に行えるようになるとともに、マイナンバーを利用した照合作業が可能となりました。また、マイナンバーを活用し、あらかじめ給付金等の受取口座を登録しておくことで迅速かつ確実な支給を受けられるようにする制度も創設されておりまして、現在、デジタル庁において公金受取口座登録のためのシステム整備など準備が進められていると、そのように承知をいたしております。
公的給付の制度設計や執行は事業実施省庁において行われるものではありますが、必要な方に迅速かつ効率的に給付がなされることは重要なことであると考えております。デジタル庁や事業実施官庁とよく連携し、これからも適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/12
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013・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございました。
コロナが出る前から、私、政治の立場に参画させていただいて、特に国政に来て、一つ、いつもいろんな意味で自分自身で思うことが一つありまして、それは何かというと、体制なんです、政治体制。アメリカのような大統領制というのと日本のような議院内閣制、いろんなスピード感というのがやっぱりそこに違いが出てくる。どちらがいいのかというふうなことをいつも悩んでくるわけですけれども、特に今回のコロナ禍においては、やっぱりそれぞれの国の今お話があった財政の支援の出動の、政策の面についてもいろんなやり方があって、いろんな賛否があるんだというふうに思います。結論的には、私はやっぱり日本のような議院内閣制、やっぱりいいんだろうなというふうに思っているんですけれども、やっぱりそこでスピード感というのは非常に大切なことだというふうに思います。
是非、何か起こったときにこの議論をするんではなくて、平時のときにしっかりとした、この制度、特にマイナンバーを活用した在り方と今大臣からもおっしゃっていただきましたので、是非その辺をしっかりとこれからは議論をしていただきたいというふうに思います。
それでは次に、金融支援についてお話をさせていただきたい、質問をさせていただきたいと思います。
新型コロナウイルス感染症対策の初動として行われました金融、政策金融による積極的な融資支援は、多くの企業を救い、地域経済の安定に寄与したと感謝をしております。日本政策金融公庫が出された資料によりますと、今回の融資の申込み全体を分析をしてみると、今まで日本政策金融公庫とお付き合いがなかった人たち、会社、企業が五割なんだというふうなことが出ていますし、私、地元の政策金融公庫に行きましてお話何度も伺いましたけど、やはり今までのお客さんじゃない方とお付き合いができるようになった、そういう方々を支援することができたというふうなお話を伺いました。大変有り難いことだというふうに思っております。その結果、二〇二一年の企業倒産件数、五十七年ぶりの低水準であったというふうなことも言われているわけです。まあ大変緊急時の支援としては有り難かった。
一方で、私、余り経済ということは分かりませんけれども、通常の経済循環の中で、どうしても企業というものは倒産、おやめになってしまう、倒産してしまうということがあるわけですね。まあ、通常を見ましたら、通常の、平時の経済循環の中で約、日本国中で八千から九千ぐらいの企業倒産があるんだというふうなお話でありましたけれども、この二〇二一年は約六千弱ということでありましたから、それが五十七年ぶりの低水準であったというふうなことだというふうに思います。
今後の地域経済の再生を考えていく上で、こうした現状は、急激な倒産企業の、今後、コロナが明けて次のステップに行くときに、ある意味でそうした耐え忍んできた企業が一気に倒産をしてしまうというふうなリスクもあるんではなかろうかというふうに思います。
そこでまず、コロナ禍で行われた金融支援について、財務省として、これからの出口戦略どういうふうにお考えになっているのか、お願いいたします。あっ、出口戦略じゃありません、ごめんなさい。その前に評価ですね、金融支援の評価について、まずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/13
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014・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 僣越ですが、私から評価をと思います。
新型コロナの影響を受けた中小・小規模事業者の事業継続のため、資金繰り支援は重要であると考えております。このため、令和二年三月より政府系金融機関では実質無利子無担保融資等を行っており、今年の一月末時点で約九十八万件、約十八兆円の融資を決定いたしました。
こうした資金繰り支援等により倒産件数が抑えられているとの見方が、先生も言及されましたけれども、民間の調査でも示されているところであり、感染状況や経済状況が見通せない中、新型コロナの影響を受けた多くの中小・小規模事業者の資金繰りや事業継続を支え、成果を上げてきたと評価をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/14
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015・森屋宏
○森屋宏君 そこで、いよいよ出口戦略ということになると思うんですね。全国を細かく見ているわけではありませんけれども、想像するに、地域の格差、よく、早く経済回復していくところとそうじゃない地域、あるいは、私のところなんかもそうなんですけれども、同じ業態でもやっぱり早く良くなっていくところとそうじゃないところ、いろんな濃淡があって、何か一様に全体、全国の経済状況良くなっていくというふうにはなかなかならないんじゃないかというふうに感じることも多くあります。
そこで、いよいよ、これからの金融、政策金融における資金繰りの支援について、出口戦略どのように今現状考えていらっしゃるのか、大臣からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/15
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016・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 御質問の資金繰り支援の出口戦略でございますが、これにつきましては、今後の感染状況や資金需要の状況等を踏まえ検討していく必要があると考えております。新型コロナの影響が長期化する中で、資金繰りのみならず、増大した債務に苦しむ事業者など様々な課題を有する事業者がいらっしゃると認識をしておりまして、今後はより一層こうした方々にも目配りしながら必要な支援を講じていくことが重要であると考えております。
そのため、三月四日に、経済産業省、金融庁、財務省の連名で中小企業活性化パッケージを公表いたしました。このパッケージは、成長と分配の好循環のエンジンであります中小企業について、実質無利子無担保融資の六月末までの延長などコロナ関連の資金繰り支援の見直しや、全国銀行協会が策定した中小企業の事業再生等に関するガイドラインなど、収益力改善、事業再生、再チャレンジの促進を図るための施策を取りまとめたものであります。
昨日、私からも直接官民金融機関に対しまして、こうした政府の支援メニューも有効に活用して、厳しい経営環境にある事業者支援にしっかりと取り組んでいただくように重ねてお願いをしたところであります。コロナの影響を受けた事業者の方々に対しては、資金繰り支援のみならず、事業再生支援等にもより一層力を入れてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/16
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017・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございます。
いつが出口ということは言えないわけですけれども、しかしながら、そこに向かっていくことは確かだと思います。どうか、取り残さない、先ほど言いましたように、元気になるところはどんどん元気になってもらうけれども、取り残しません、国はしっかり見ていますということを、是非そういう姿勢でこれから向かっていっていただきたいと思います。
そして、金融支援についての最後ですけれども、地域の金融機関が大分体力を落としているんじゃないかなというふうに感じるんですね。私は、昭和五十年代に就職期を、大学を出てきて就職を迎えた、職業に就いていった世代なんですけれども、私たちの田舎ですと、大学出てきて大体地域で勤めるといったら、役所とかそれからやっぱり金融機関なんですね。相当多くの金融機関に同級生が就職をして、最後は支店長ぐらいをして退職をしていったというふうなことなんですけれども、今の金融機関を見て、昔のように、本当に昔は、私たちの世代のときは、もう本当に細かく毎日金融機関の人たちが会社を訪問して、社長さんたちの相談に乗って、そしてあるときに、国のこういう金融支援とかがあったときにはそれを紹介したりとかという、本当に末端の政策実行のための部隊であったなというふうに思うんです。
ところが、最近の地域の金融機関を見ていくと、お店はあるんですよ。お店はあるんだけども、ATMになってしまったりして、実際にそこには行員はいないというふうな姿もかいま見られるところがあります。大臣も所信の中で、地域金融機関等の地域経済の回復、成長に一層貢献できるような持続可能なビジネスモデルの構築を図っていくんだというふうにおっしゃっていますけれども、改めて、地域金融機関の役割についての重要性、認識をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/17
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018・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 森屋先生御指摘のとおりに、政府の金融支援策を行き渡らせて地域経済を維持、再生、発展させていくためには、事業者にとって身近な存在であり、また身近な支え手である地域金融機関の役割が極めて重要であると、そのように考えております。
地域金融機関においては、個々の事業者の実情を十分に、実情を丁寧に把握して、地域の商工会や信用保証協会、中小企業再生支援協議会等の支援機関と密接に連携しながら、事業再生構築補助金等の各種施策も活用しつつ、積極的に地域の事業者を支援していただくことを期待をいたしております。
先ほども申し上げましたけれども、昨日、私から直接金融機関の方々に対し、資金繰りや事業再生等の支援の徹底をお願いしたところであります。金融庁として、引き続きまして、地域の事業者に必要な支援が行き届きますように、地域金融機関の取組、これをしっかりと促していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/18
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019・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございました。
全国金融協会が、全国銀行財務諸表分析というのがあって、これ見ると、各金融機関の店舗数というのが報告があるんですよ。そうすると、二〇一六年と二〇二〇年度末というのがあるんですけど、実は数字上見るとそんなに減っていないんですよ、店が。でも、実情はもっと違うというふうに思います。是非またどこかの場面で調査等していただければと思います。
最後でありますけど、地方財政についてということで質問を二点させていただきたいと思います。
まず、まず今回のような本当にコロナ禍ということでパンデミックが起きたわけですね。そのときに、場面場面によって国は積極的な財政措置を行ってきたわけであります。大変これは地方にとっては有り難かった、助けられたというふうに思います。
こうしたように、緊急時における積極的な国の財政措置、コミットメントというのは不可欠ではなかろうかというふうに思います。これについて、まず大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/19
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020・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 新型コロナ感染症対応に当たりましては、これまで緊急包括支援交付金あるいは地方創生臨時交付金など、地方自治体が地域の実情に応じ着実に対策を実施できるよう、必要な財源措置をしっかりと講じてきたところでございます。
今後、今回のような非常事態が起きた場合におきましては、その事態の内容に即して必要となる施策の効果的な実施や、国の厳しい財政事情といった観点も踏まえながら、財政面からも適切に対応していくことが重要であると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/20
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021・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございます。
最後になりますけれども、今の話の続きであります。
私、県会議員に初めて当選しましたのが一九九九年、どういう年であったかといいますと、国において地方分権一括法が定められ、法律が制定され、二〇〇〇年から施行されるということでありました。国と地方の新たな役割というのを分担、それに合わせて財政構造、財政の国と地方の在り方、役割の在り方というのが議論されてきた、あるいはいろんな施策が実施、実行されてきたこの二十数年だというふうに思います。
私は、全くの政治の素人で参画しましたから、皆さんに教えていただいて、このことを見てきて一つ良かったなというのは、地方交付税の原資というものが国の、言ってみれば親の借金を知らずに地方がそれをもらっているみたいなことで、なかなか、特別会計でどれだけの国費をそこに積んで、地方がそれを分配をされているかというもののその感覚というのが余りなかった。でも、臨時財政対策債、この今積み合わせが上がっていますから、この問題性を今は総務なんかでは指摘をしていますけれども、これは一つの成果があったんじゃなかろうかというふうに思います。
ただ、この二十年間、三位一体の改革という名の下に、地方団体の自主性とか主体性を高めるために多くの補助金というのが廃止されてしまって、どちらかというと一般財源化をされてきたという流れだというふうに思うんですね。
一方においては、しかし、先ほどから話がありますように、全てが地方の主体性、自主性の下に一般財源化して地方にお配りしますよということになると、なかなか国が積極的に進めていこう、こういう世界が変動が厳しい中で、我が国としても迅速なやっぱり政策の実施というのをしていかなければならないときに、なかなかそのスピード感というのが失われるんじゃないかなというふうな気がいたします。
大きなスキームの話するつもりはありませんけれども、少なくとも、一般財源化された中においても、この積極的な、今、岸田内閣が挙げているような政策実現を見ましても、やっぱりその補助金スキームというのを活用してダイレクトに国が政策の財源を持って政策をリードしていくということは、もう一度その役割というものを考えていく時期に来ているのではなかろうかというふうに思います。これについての御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/21
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022・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) お答えの前に、先ほどの十万円の定額給付金の効果を言うときに、結果として可処分所得が十二・四兆円増加と申しましたけれども、結果として貯蓄が三十・七兆円増加というのが正しい話であります。訂正しておきます。
今、森屋先生の御指摘のとおり、災害対応を始め一定の政策分野につきましては、国としてスピード感を持っての施策実現が求められています。このため、国の財政措置については、これまでの交付金一般財源化等々の議論の経緯もありますので、それを踏まえつつ、国として対応すべき政策課題の趣旨や内容に応じて、森屋先生の言う補助金化も含め、最も効果的、効率的な執行となるように不断の検討が重要であると考えております。
また、県議会当選同期の森屋先生の強い問題意識でもございますので、引き続き予算編成過程で各省庁とよく議論をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/22
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023・森屋宏
○森屋宏君 ありがとうございます。
こういう政策というのは、やっぱりその時代時代で柔軟に、何がやっぱり今、今のときに、正しいということはありませんけれども、適切な財政出動、あるいは金融政策もやっぱり議論を不断にしていかなければいけないというふうに思います。
特にこの、私が政治に参画させていただいた二十何年間というのは大きな変革のときであったというふうに思います。そこにこのコロナのパンデミックというのは起こったわけですから、恐らく、先ほども言いましたように、この明け方というのは、皆さん一様に日本経済が一気に、今まで過去にあった金融の落ち込みみたいなときのようじゃなくて、恐らくばらばらにそれぞれが、地域の中で元気が出るところは元気を出してもらう、しかし、なかなかそこに元気になれないところは国がしっかり責任を持ってそこを見ていくというふうな姿勢というのは、私これから大切になるんじゃなかろうかというふうに思います。
そして、あわせて、恐らくここから次の段階に行くときには、コロナ前のときに、先ほど冒頭言いましたように、私のところも外国人観光客もたくさんおいでになっていた、そしてまた機械とか電機とかいった、ロボットとか半導体装置の皆さん方が非常にいいというお話をしましたけれども、コロナ前の段階に戻ってよしとするんじゃないんだと思いますね。DXを始め、あるいは働き方改革を始め、やはりこの期を、二年半、あるいはこれからもしかしたら三年ぐらい掛かってしまうけれども、この経験を生かして、前に戻るというよりも、むしろ前よりも更にレベルアップした次元に国全体として、あるいは地方も含めてその段階に行くんだということでなければ、将来、歴史が後に行ったときに過去を見たときに、あの三年間は何だったんだ、失われた三年間であったと言われるだけではいけないというふうに思います。
あの期を通して、大変厳しかったけれども、日本の国というのは更に進化して新たな経済大国、あるいは平和、安全を見ても、外国の皆さん方が日本に来て、何て安全な、女性が夜一人で歩けるこんな国があるのか、先進国の中であるのかなんて言われるくらいのやっぱりそうした体制というものが我が国にあるわけであります。ですから、ここからやっぱり真剣にこのコロナ禍の次元というところを私たちは共有をして、やっぱり更にいいところに持っていかなければいけないというふうに思います。
そうした意味で、この財務省を中心とした財政の在り方、あるいは金融の在り方というのは非常に大きな役割を担っているんだろうなというふうに思います。
今後ともまた御指導いただけますようにお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/23
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024・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえでございます。
昨年に引き続きまして、大臣所信についての質問を担当させていただきたいと思います。
今回は、岸田内閣発足後、そして鈴木大臣就任後初めての質問の機会ですので、麻生前大臣の下での財政政策、それから金融行政の評価についてまずは御質問したいと思っております。
麻生前大臣は、平成二十四年十二月の第二次安倍内閣発足以来八年九か月にわたり財務大臣と金融担当大臣を務め、その在任日数は、第二次大戦前を含めて歴代三位、現憲法下では最長となりました。その任期中には、法人税の最低税率を始めとする国際課税のルール作り、金融関係の国際機関としては日本初となったIFIAR、監査監督機関国際フォーラムの常設事務局誘致など、一定の成果を見た政策もございました。
しかし、消費税率の二度の引上げにもかかわらず、コロナ禍以前においても財政健全化については思うように進まなかったと言わざるを得ないと思うんですね。
また、金融行政においても、金融処分庁から金融育成庁への転換や、国際金融センターとしての機能強化などを打ち出したものの、道半ばとなっている点も多くあります。
鈴木大臣は、就任時の記者会見で、麻生カラーと鈴木カラーは違い過ぎちゃって、普通にやっていれば麻生カラーとはすごく違う、麻生流に仕事をするということは所詮それは無理ですといった発言をされていました。
それでは、麻生前大臣当時の政策そのもの、さらには財務省、また金融庁で生じた種々の問題点につきまして、どのように評価され、今後の政策運営に生かしていくおつもりなのか、鈴木大臣の認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/24
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025・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 麻生前大臣、大変長らくこの財務大臣、金融担当大臣を務められましたので、この間様々なことがあったと私も理解をしております。いろいろなことがありましたが、まず、私として最初に触れなければならないのは森友学園案件であると、こういうふうに思っております。
森友学園案件につきましては、改めて真摯に反省をして、そして決裁文書の改ざん、もうこんなことはあってはならないことでありますが、これも含め、今後二度とこうしたことが起こらないように、麻生大臣在任中からも様々取組を進めてまいりましたが、それを更に進めて、財務省の失った信用を回復をしなければいけないと、こういうふうに思っております。
具体的には、組織風土の改革を目指した財務省再生のための取組、これは財務省再生プロジェクトと我々呼んでおるわけでございますが、これを進めてまいります。例えば、これまで組織理念の浸透やコンプライアンスの確保に向けた取組、働き方改革や業務効率化、コミュニケーションの樹立などにこれからも取り組んでまいりたいと思います。
こうした取組を継続、進化させ、コンプライアンス、内部統制が実質的に機能し、国民の視点に立った、時代にふさわしい働き方ができ、高い価値を社会に提供できる組織風土をつくり上げてまいりたい、私も財務大臣としてこのことはしっかり肝に据えながら仕事をしていきたいと思っております。
財政健全化につきましては、麻生大臣の下では、平成二十五年度以降、新型コロナの前まで、当初予算の新規国債発行額を八年間連続で縮減させ、プライマリーバランスを改善させるとともに、GDPは過去最高となるなど、経済再生と財政健全化の取組を着実に進めてきたと評価をしているところでございます。
他方で、日本の財政は、少子高齢化が進む中、社会保障におきましては受益と負担の間にアンバランスが生じているという、そういう構造的な課題に直面をしており、さらに、足下では新型コロナの影響等によりまして財政状況が大幅に悪化しているということ、これは事実であり、強く認識をしているところでございます。
財政は国の信頼の礎でありまして、財政健全化の旗を下ろすことなく、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出そして歳入両面の改革を進めていかなければならないと思っております。
そして、金融行政の転換でございますが、金融面では、麻生前大臣の在任期間中、一貫して金融処分庁の印象から金融育成庁への転換を目指し、企業、経済の持続的成長と安定的な資産形成等に資する金融行政の推進を指揮してこられたと思っております。
特に、新型コロナの感染拡大後は、その影響を受けた事業者への支援を最優先事項と位置付け、金融機関による資金繰り支援の徹底に全力を挙げてこられました。
こうした方向性については私もしっかりと引き継いで、金融仲介機能の発揮を通じて力強く経済を支えていくとともに、国内外の資金の好循環の実現や多様な金融サービスの創出に向けて必要な政策を着実に進めてまいりたいと、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/25
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026・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 麻生大臣につきましては、一つ一つの政策の是非もさることながら、在任中に相次いだ財務省を揺るがす不祥事へ正面から向き合わない姿勢に疑問符が付されました。また、批判や自らと異なる意見に謙虚に耳を傾けるという姿勢は残念ながら全然見受けられませんでした。鈴木大臣におかれましては、そのような意味でも、是非、麻生カラーとは異なる鈴木カラーを示していただきたいと思います。
岸田内閣の発足前、平成二十四年末の第二次安倍内閣以降、長期にわたり継続してきた経済財政政策、いわゆるアベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間需要を喚起する成長戦略の三本の柱を掲げてきました。しかし、その成果については疑問があり、疑問であり、格差や貧困の問題の改善にはつながらず、コロナ禍であることを別にしても、日本経済が長期低迷から抜け出せない、抜け出せていないと言えます。
一方で、岸田内閣において新たに打ち出された新しい資本主義では、成長戦略と分配戦略の双方を重視し実現する成長と分配の好循環を目指すという考え方が示されました。昨年の十一月の緊急提言を踏まえて新たな経済対策が作成されたほか、今期国会で審議されている税制改正法案にも、賃上げ税制やオープンイノベーション促進税制の拡充などが盛り込まれています。
ただ、新しい資本主義がアベノミクスの考え方を修正し、日本の目指すべき進路や将来像にどのような変革、どのように変革させるのかはいまだに明らかではないと言えると思うんですね。むしろ、安倍元内閣総理大臣は、日経ビジネス二月七日号において、今の段階で新しい資本主義を理解している人はほとんどいない、マクロ政策としてはアベノミクス以外にはないとの考えを主張しています。
岸田内閣の主要閣僚の一人として、これまでのアベノミクスによる成果をどのように評価しているのか、また新しい資本主義ではどのように変わると考えているのか、鈴木大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/26
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027・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) アベノミクスにつきましてはいろいろな評価があるということは私も承知をしているところでございますが、私といたしましては、アベノミクスによりまして、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大したほか、総雇用者所得も増大するなど、我が国経済の成長に大きな役割を果たしたと、そのように認識をいたしております。
そして、岸田内閣においてこれから新しい資本主義を進めるわけでありますが、それは、アベノミクスなどの成果の上に立ちまして、新しい資本主義、市場や競争に全て任せるのではなくて、官と民が協働して成長と分配の好循環を生み出してまいりたいと、そのように思っております。
このために、成長戦略として、科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障といった分野に予算を重点的に措置をするとともに、分配戦略といたしましては、各種の施策の実施により賃上げの実現等を目指すこととしております。
今後とも、デジタル化や気候変動問題への対応など、デジタル化というのは日本の脆弱性が示されたわけでありますし、気候変動問題というのも大きな課題であるわけでありますが、そうした社会課題を、むしろ投資分野、投資分野として官と民が協働して社会課題を解決しながら成長を実現することで持続可能な経済社会を目指していく、それが岸田内閣での一つの方向性であると、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/27
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028・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 私たち立憲民主党は、昨年の九月、党内で設置されましたアベノミクス検証委員会におきまして、客観的なデータに基づきアベノミクスの総括を行いました。
アベノミクスは、お金持ちを更に大金持ちに、強い者を更に強くしただけに終わった、期待されたトリクルダウンは起きずに、格差や貧困の問題の改善にはつながらなかったと事実認証いたしました。その上で、適正な分配と安心を高めることこそが何よりの経済対策と、総括に基づいた対案も具体的に私どもは提案しております。
岸田政権がアベノミクスと異なる新しい資本主義を標榜されるのならば、今からでも私は遅くないと思います、政権与党としてのアベノミクスの検証を具体的、そして客観的なデータに基づき行うべきだと私は強く思っております。
鈴木大臣には、財政金融政策につきまして、アベノミクスの総括を行う意欲はございますでしょうか。通告しておりませんけれども、関連ですので御答弁よろしくお願いいたします。先ほどの御答弁では、大きな役割を果たしたとか、何か絶賛されているように聞こえたんですけれども、具体的に、私どものようにデータとかいろんなファクトを用いて総括するというのは当然のことだと思うんですけれども、その当然のことをおやりになるお気持ちがあるかどうか、そして、どのように行うのかという基本的なことをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/28
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029・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、アベノミクスにつきましては様々な評価があるんだと思います。そして、私どもの評価としては、先ほど申し上げたところでございます。
そうした成果によって、特に日本の国はデフレの状況が非常に大きなマイナス要因でありましたが、少なくともデフレという状況ではなくなった、そういう上に立って、岸田内閣が目指す新しい資本主義、その中で安定した経済成長、それを目指していきたいと、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/29
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030・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 今の私の非常に基本的な質問なんですけれども、ふわっとしたお答えしかもらえなかった。非常に残念です。
そうじゃなくて、私どもみたいにデータとかファクトをもってきっちりとアベノミクスを総括するおつもりありますかというのが質問で、ふわっとしたお答えは結構ですので、是非それを、是非お答え、はっきりとそういう総括を行う意欲はあるのかどうかということをお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/30
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031・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもの評価はそういう評価でございますので、改めて何かこれを検証するというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/31
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032・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 アベノミクス、評価しない、総括しないんですね。すごく残念です。是非、皆さん、今聞いていらっしゃる皆さんはどう思われるか分かりませんけれども、正しいようにやっていただければと思います。
今後の財政金融政策を遂行するに当たり、長きにわたったアベノミクスを評価し、それを起点としてのアベノミクスとの立ち位置、距離感、関係を明確にするのはやはり必須の作業だと思うんです。安倍元総理に、今の経済政策はアベノミクスの看板の掛け直し的なことを言われながら、反論一つもしないんですよね。反論一つしないのも、理解に私は非常に苦しみます。
衆参と審議を重ねながら、新しい資本主義の中身、ちゃんと中身を皆さんに伝わるようにしてもらいたい。絶賛するだけだったら、もう看板の掛け替えだけですよ。なので、非常に見えづらいという意見が国民的にも沸き上がっていますので、アベノミクスとの相違点が見えるように是非お願いいたします。
さて、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が顕在化してから二年が過ぎました。この間、ワクチン接種や治療薬の開発などが進みましたが、変異株による感染の波が繰り返し生じており、その収束はいまだ見えていない状況にあります。
日本でも、去年の九月末に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、その後しばらくは感染者の発生も低くなっていましたが、感染力の強いオミクロン株が国内でも猛威を振るって、現在では多くの都道府県でまん延防止等重点措置が発動されるに至っているのは御承知のとおりでございます。
内閣府が二月十五日に公表した昨年十月から十二月期の実質GDP成長率は、年率換算で五・四%となりました。七月から九月期が緊急事態宣言等の影響で年率三・六%のマイナス成長となっていたのに対しては高い成長率とはなりましたけれども、実質GDP自体はコロナ禍前である二〇一九年十月から十二月期の水準にもまだ至っていません。
また、今年一月期から三月期の成長率の見通しについては、日本経済新聞がまとめた民間エコノミスト十人の予測では平均一・三%、日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査では一・七%となっており、今後オミクロン株の感染拡大による景気の減速が懸念されております。
GDPがコロナ前の水準に回復する時期については、令和四年度予算編成に当たって閣議決定された政府経済見通しでは、二〇二一年度中とされています。他方で、さきに申し上げました民間エコノミストの見通しでは、十人のうち九人が二〇二二年四月から六月期にならないとコロナ前水準への回復はできないというふうに回答したとのことです。
オミクロン株による第六波がGDPを始めとする経済指標にどのような影響を及ぼすと見込んでいらっしゃるのか、また、コロナ前の水準への回復時期を現時点でどのように見通されているのか、内閣府にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/32
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033・黄川田仁志
○副大臣(黄川田仁志君) お話がありましたとおり、先月二月十五日に公表された二〇一二年の十月―十二月期のGDP速報では、年率換算プラス五・四%ということでありまして、これはコロナ前の水準を一〇〇とした場合に九九・八%まで回復しておりまして、おおむねコロナ前の水準を回復する結果となったと評価しております。
一方、二〇二二年に入って以降は、オミクロン株の感染拡大によって消費者マインドが低下し、外食、旅行などの対人サービスを中心に個人消費の持ち直しに足踏みが見られるなど、新型コロナによる国民生活や経済への影響が依然として続いているのは御承知のとおりでございます。
また、足下ではウクライナ情勢が緊迫する中で原油価格が急速に上昇しておりまして、こうした原材料価格の高騰や今後の新型コロナの感染状況、世界的な供給制約等による景気の下振れリスクには十分注意する必要があると思っております。
こうした中、これらに対して、政府として、感染拡大により厳しい状況にある方々に対しては経済対策において安心感をお届けするための手厚い支援を講じており、原油価格高騰に対しては、先週末、三月四日には緊急対策を取りまとめるなど、ウクライナ情勢を受けて対策を拡充しているところでございます。
これらの迅速かつ着実、これらの施策を迅速かつ着実に実施することを通じまして、足下の経済の下支えを図り、景気の下振れリスクに対応し、傷ついた日本経済を一刻も早く自律的な成長軌道に乗せてまいる所存でございます。
こうした政策方針の下、経済財政運営に万全を期していくことを通じまして、政府経済見通しでお示しした経済の姿を実現するように取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/33
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034・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 岸田総理は、財政の健全性を示す基礎的財政収支を黒字化させる時期につきまして、二〇二五年度という目標を維持する考えを示していますけれども、その目標の前提となっていますGDP成長率が名目で三%、それから実質で二%と、過去二十年間でほとんど実現できていない非現実的な想定となっております。政府の経済見通しに信頼が失われているのも大きな問題だと思います。
さて、内閣府が公表した二〇二一年の実質GDP成長率は一・七%と、三年ぶりにプラス成長となりました。もっとも、アメリカやユーロ圏などと比較しても低水準にとどまっており、日本の景気回復が相対的に遅れているとの指摘も見られています。日本の場合、二〇一九年十月に行われた消費税率の一〇%への引上げによります景気減速など、コロナ禍前に既に経済状況の悪化が見られていました。加えて、新型コロナワクチンの接種状況が経済成長等を左右しているとする見方もあり、例えば第一生命経済研究所は、欧米諸国に比較して低いブースター接種率が景気回復の遅れをもたらしているとの、そういったレポートも公表されています。
これらの指摘も含めて総合的な要因があるかと思いますが、あっ、複合的な要因があるかと思いますが、日本だけが景気回復の遅れを甘受せざるを得ないのはなぜなのか、政府の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/34
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035・黄川田仁志
○副大臣(黄川田仁志君) 今、ただいま米国やユーロ圏など比較して非常に見劣りしているというお話がありましたが、私どもではユーロ圏と比較してもそんなに見劣りしていることではないというふうに考えております。まあ米国と比べると多少小幅に下回っている背景がありますが、その背景としては、まあブースター接種の遅れというよりも、やはり米国に遅れて感染が拡大したということで、緊急事態宣言に伴う行動制限や自粛による経済活動の抑制、個人消費がそれによって一進一退で推移したこと、そして、二〇二一年を通じて見られた半導体不足に加えまして、二一年夏の東南アジアの感染拡大に伴う部品供給不足などの供給制約が生じまして、個人消費や輸出、設備投資を下押ししたという要因が考えられます。
これらに対してもしっかりと対策を行いまして、しっかりと私たちが目指している経済成長に乗せられるように頑張ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/35
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036・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 やっぱり謙虚にこういったレポートを受け止めていただきたいと思うんですね。
私は、この日本に際立つ回復の遅れは日本のコロナ対策の失敗を意味していると考えております。これだけ巨額の対策予算を計上し、そして経済対策を実施したのですが、それが実効性を伴う使われ方をしていない。大きな割合を占める執行の未達、会計検査院も指摘した中抜き等により、水膨れで見せかけの規模の大きさと異なり、本当に必要なポイントに支援の手が届いていない、それが要因となっているのではないかなと思います。是非、こういった指摘も謙虚に受け止めていただければと思います。政府は、コロナ禍からの回復が諸外国に比べて立ち遅れているという事実を直視し、なぜそうなっているのかという自省を真摯に行い、施策の改善に努めるべきだと思います。
ちょっと次の質問もしたいんですけど、また次回の機会にと思います。
鈴木大臣におかれましては、いい意味で鈴木カラーを押し出していただくことを希望しまして、終わりたいと思います。
是非、アベノミクスの検証、総括をしないというふうにさっきおっしゃっていましたけれども、それは私は無責任だと思いますので、是非しっかりと責任持った形でスタートしていただければと思います。お願いいたします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/36
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037・勝部賢志
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志でございます。
牧山委員に引き続いて質疑をさせていただきますが、昨年十月四日の岸田内閣発足時に鈴木大臣が就任をされました。解散・総選挙後の臨時国会、年をまたいで通常国会を経て、先週三月三日にこの参議院財金委員会でようやく大臣の所信を、私の計算に間違いがなければ御就任から百五十一日目、通常国会丸ごと一会期分を経て聴取をすることができました。非常に長い間時間が掛かったものというふうに思っておりますが、せっかくの機会でありますので、しっかりとした質疑をさせていただきたいと思っているんですけれども。
その前に、先日、今日もそうでありますが、委員会室で間近に拝見をして、改めてDNAの偉大さにつくづくと感心をいたした次第でございます。言うまでもなく、大臣の御尊父は鈴木善幸第七十代内閣総理大臣でいらっしゃいますが、テレビや新聞を通じて私が知るかつての鈴木善幸総理大臣にますます生き写しのようになられたと感じ入っている次第でございます。
その温厚篤実なお人柄で知られた鈴木総理大臣は、増税なき財政再建を掲げ、目刺しの土光敏夫氏を会長とする第二次臨時行政調査会の発足、軍事力のみに頼らない経済や外交を含めた総合安全保障の概念を導入した総合安全保障関係閣僚会議の新設、そして政治改革などなど、後に至る政治の道筋をつくられた御功績は極めて私は大きいものと受け止めております。
そして、足らざるを憂えるよりも、等しからざるを憂える政治を目指したい、これは首班指名後の記者会見での一言でありました。天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかずとの孟子の門人である公孫丑から引用された初めての所信表明演説の末尾の一言。そして、ほえるライオンより賢いネズミでありたい、これはレーガン大統領と首脳会談を行われたとき、専守防衛の日本の防衛政策を言い表したとされる一言であります。
これらきらきらと光り、そしてすとんと胸に落ちる言葉に触れ、まさにその時宜に応じ天命を受け、ふさわしい役割を果たされた名宰相のお一人であると思いますし、その奥深い政治理念こそ今の、現在、まさに再び天命を待つものではないかというふうに思っております。その血を受け継がれます鈴木大臣におかれましては、今般、戦後最長であります、先ほど牧山委員からもありましたが、麻生大臣からバトンを受け継がれたわけで、存在感の塊のような方でありましたものですから、長期政権の後を受け継ぐ者はあれやこれや大変だというのが通り相場ですけれども、先ほどありましたように鈴木カラーを存分に発揮されて、今後の国の財政あるいは様々な施策のかじ取りに邁進をいただけたらと思っております。
そして、私も当委員会の質疑などを通じて現場の声や地域の声をしっかりと届け、誰もが安心して暮らしていける、そして夢と希望が持てる、そういう社会をつくるために全力を尽くしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは質問に移らせていただきますけれども、牧山委員からは非常に基本的なことについて大臣に所見をお伺いをしてまいりましたけれども、私からは、今本当に喫緊の、そして最大の課題となっている対ロシア制裁問題について少し詳しく絞ってお話を聞かせていただきたいというふうに思っております。
言うまでもなく、衝撃のロシアによるウクライナ全面戦争は非常に深刻化しております。プーチン大統領による核戦力使用の恫喝、あるいは、あろうことか、原子力発電所攻撃などは常軌を逸したあるまじき所業であると断ぜざるを得ないというふうに思います。そして、まず何よりも、一日も早い戦闘停止に向けて日本政府も我々国会も万策を尽くしていかなければならないと強く思っています。
一方で、近年何かと乱れがちでありました我が国を含めた世界先進各国の足並みは、今回はきれいにそろっています。速やか、かつ一致した、広範な対抗措置が講じられてきておりますが、その効果はいかに、このことが今問われていると思いますが、こういった動きの中で、グローバル企業がロシアに対する取引停止ですとか、あるいは投資の引揚げ、市場撤退、こういったことも官民統一した大きな流れとなっています。
このような動きになったのは、戦後初とも言えるヨーロッパでの全面的侵略戦争という歴史的衝撃と合わせて、何よりも、二〇一四年、クリミア半島併合時に、我が国を含めた国際社会の対応が、甘さあるいは緩さ、そういったものがあって現在のより深刻な状況を招いたという共通の認識があるからではないかというふうに考えています。
そういう意味からも、我が国政府が、あるいは企業の一挙手一投足が世界からも注目をされているということを念頭に、国際法と我が国の国是である憲法の平和主義、平和的生存権の理念を遵守した確固たる対応が今後とも速やかに行われなければならないと考えています。まさに、天の時は地の利にしかず、地の利は人の和にしかずであります。
国会、国民の皆さんへの丁寧な説明をして合意形成をした上で、ウクライナへの人道支援、停戦和平に向けた外交、なかんずく中国、インドへの働きかけ、そうした広範な経済政策など、政府には万策を尽くしていただきたいというふうに思いますが、やはり今政府としてできることはこの経済政策あるいは金融政策が制裁の中心になるというふうに考えられますので、少し詳しくお聞きをしたいというふうに思うんですが。
まず、これまで政府がとってきた金融制裁措置、相次いで例えば金融措置だとかあるいは外為法に基づく措置などを行ってきましたけれども、その内容と経過について取りまとめて簡潔にお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/37
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038・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございましたロシアへの金融制裁、国際社会への影響を見極める、その一方で、ロシアに対して最大のコストを課すという観点から、G7を始めといたします国際社会と緊密に連携しながら対応してきているところでございます。
これまでに講じてまいりました金融関係の措置でございますけれども、まず、二月の二十三日に、ロシア政府によります新たなソブリン債の我が国における発行ですとか流通、これを禁止すると、こういった措置に始まりまして、その後、侵略の翌日の二月二十五日にロシアの三つの銀行に対する資産凍結措置、それから、二十八日、二月でございますけれども、ロシアの中央銀行との取引を制限する制裁措置、これも講じてございます。さらに、三月三日でございますけれども、SWIFTから七つのロシアの銀行を排除すると、この決定がなされましたので、これに合わせまして、七つのうち、既に三つの銀行は先ほど申し上げました二十五日に資産凍結をしてございましたが、それ以外の四つの銀行、これも新たに資産凍結の措置講じまして、これによりましてSWIFTから排除された七つの銀行全て資産凍結の対象にしたというところでございます。
それ以外に、ロシア政府の関係してございます個人、団体についての資産凍結措置ということで、これはいわゆるドネツクあるいはルハンスク人民共和国と称するものの関係者も含めますけれども、これまで九十八名の個人、それから二つの団体に対しましても資産凍結措置を講じてきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/38
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039・勝部賢志
○勝部賢志君 ロシアの財政事情に詳しい専門家によりますと、プーチン大統領は約二千億ドル、日本円に直して二十三兆円もの資産を持つと言われています。しかし、その富の流入元も所在も非常に注意深く隠匿しているために見付けることも困難で、凍結ともなればなおさらだとも言われております。
そういった中で、今ほど御説明をいただいた措置をとられているわけですけれど、最後にお話のあった資産凍結の対象、個人ですとか団体、その実績といいましょうか、その措置をとることによってどのような影響が出てくると、影響額を含めてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/39
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040・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
今回資産凍結の対象にしてございます個人ですとか団体のその資産の額、資産凍結の対象になる額について、何か現時点でこの手元で集計した数字、集計したような数字というものがあるわけではございませんけれども、いずれにしましても、この今回とりました制裁の措置がどういう効果をもたらすか、我々としてもよく注視しながら、今後の対応も各国とも連携しながら講じてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/40
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041・勝部賢志
○勝部賢志君 この資産凍結をするまでの間に約一か月の猶予期間があるというふうに伺っているんですが、この約一か月の間に、資産凍結をする対象の銀行はもう既に表明されているわけですから、そこに預けている人たちがその資産を移すということも一か月の間に容易にできるのではないかというふうに思うんですけれど、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/41
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042・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
先ほど御紹介申し上げました様々な金融制裁措置の中で、金融機関に対します資産凍結措置、これにつきまして、委員御指摘のとおり、三十日間の猶予期間というものを設けているところでございます。こちらの猶予期間でございますけれども、ロシアとの間で様々な送金ですとか決済を行っている本邦の企業等々いらっしゃいますので、そうした方々への影響を軽減するための措置ということで設けさせていただいているものでございます。
先ほども少し申し上げましたように、制裁措置全般としまして、内外への影響を見極めながらロシアに最大のコストを課すという中で、内容も講じてきて、検討してきたわけでございますけれども、まさに委員御指摘のような資本が逃避するようなリスクというものも一方でございますが、他方で、本邦の企業等々への経済社会活動に与えます影響、こういったものも考えなければなりませんので、そういったことも総合的に勘案する中で、この金融機関向けの資産凍結措置につきましては三十日間の経過期間を設けたということでございます。
これは、期間の長短ございますけれども、欧米なども同様の措置を講じていると、同様の経過期間を講じているというふうに承知をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/42
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043・勝部賢志
○勝部賢志君 私も専門家ではありませんのでちょっと詳しく分かりませんけれど、しかし、ただ、このように聞いていると、この資産凍結ということをうたってはいますけれども、その経済的な措置の効果というか、制裁の意味合いが極めて弱いのではないかというふうに思えてならないわけですね。ただ、まあこのぐらいのことしかできないというのが現状なのかもしれません。
そこで、今般、金融制裁では国際銀行間の送金決済システム、SWIFTからの排除が注目を浴びております。これは、ベルギー法に基づく協同組合の名称であるのと同時に、その決済ネットワークシステムの呼び名もSWIFTとなっているわけですけれども、このことについて少し概要を教えていただきたいのと、あわせて、国際金融取引に占めるこの重要性についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/43
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044・神山一成
○参考人(神山一成君) お答えいたします。
まず、SWIFTの概要でございますが、SWIFTは、委員御指摘のとおり、ベルギー法に基づく協同組合法人といたしまして、国際金融取引に関するメッセージ、すなわち参加金融機関間の資金決済に必要な支払指図の情報を伝送するネットワークシステム、運営しております。
次に、国際金融取引に占める重要性でございますけれども、SWIFTは、二百以上の法域で一万一千以上のユーザーに対し広くサービスを提供しております。二〇二一年中のメッセージの伝達は、一営業日あたり四千二百万件、年間百億件を上回ったと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/44
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045・勝部賢志
○勝部賢志君 このSWIFT排除は、以前イランの核開発をめぐる経済制裁の中で実施され、イラン経済は自国通貨の暴落など大きな打撃を受けたと言われています。しかし、二〇一四年のクリミア併合時には、各国の意見が割れて、SWIFT排除は不調に終わったと承知しています。
それが今回は速やかに排除の決定に至ったわけですけれども、今御説明いただいたように、非常に大きな団体というか、加入している組織であり、その排除、そこから排除されることは事実上決済ができなくなるというふうに言われていて、効果があるものというふうに受け止められる中での措置だというふうに思っております。
そのSWIFTを、できるだけ早くその排除の方針を決めようというふうに世界が動いたことについては評価をするものでありますけれども、そもそもなんですけど、この民間が主体であるこのSWIFTがこの度の制裁措置を講ずることとなった政治的なプロセス、意思決定をどのようにしてきたのか。報道などでは、EUがとかですね、日本の国がという、国が主語になって決めたというふうに言われているんですけれども、このSWIFTが排除を決める意思決定のシステムというのはどのようになっているのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/45
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046・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
このSWIFTからのロシアの七つの銀行の排除でございますけれども、まずは政治的には、欧米諸国からこういうことをやろうというお話がございますとともに、我が国も、二月の二十七日の日曜日でございましたけれども、岸田総理から、この取組に欧米諸国とともに取り組むということを決定し、また表明をいただいたところでございます。
その上で、G7を始めとする国際社会の中で様々緊密に連携しながら、内容の議論もあったわけでございますが、御指摘のように、SWIFT、最終的にはEUの決定ということでございまして、SWIFT、これ本部がベルギーにある団体でございます。
したがいまして、EUの規制枠組みに服するということでございますので、最終的には、この各国の緊密な連携の結果といたしまして、SWIFTの所在地である欧州の、EUの当局が、この欧州における金融制裁措置ということで、対象となる七つの銀行に対してSWIFTはサービスを提供するなという趣旨のEUの規制を発表したと、こういう流れでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/46
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047・勝部賢志
○勝部賢志君 意思決定のシステムというのは分かりました。EUが主体になって決めたということですね。
EUが決めたのは、二十四日でしたか、五日でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/47
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048・三村淳
○政府参考人(三村淳君) EUの正式な決定の表明、三月二日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/48
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049・勝部賢志
○勝部賢志君 三月二日ということで、日本が決定したのは、先ほどおっしゃいましたように、三月の二十七、あっ、失礼しました。ちょっと待ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/49
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050・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 質問してください、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/50
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051・勝部賢志
○勝部賢志君 あっ、待ってくださいね。失礼しました。
日本が決定したのはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/51
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052・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答えを申し上げます。
三月の二日、日本時間で申しますともう夜の時間帯でございましたけれども、EUから正式表明ございました。私ども、先ほど申し上げたかと存じますが、翌日の三日に閣議了解もいただけまして、残る四行につきましても資産凍結を講じますことで、二月の二十五日に既に資産凍結を講じておりましたものと合わせまして、三月の三日には七行全て資産凍結措置を講じてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/52
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053・勝部賢志
○勝部賢志君 分かりました。
少し勘違いをしておりましたんですけれども、SWIFTの決定はEUで先んじて決めていただき、それに合わせて日本もその次の日には決定をしたということであります。
そういったプロセス、日本の国内ではどういう意思決定がされたんでしょうか、併せて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/53
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054・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
これ金融制裁に関わることでもございますし、政府部内の具体的なプロセス、意思決定のプロセスについては御容赦願いたいと存じますけれども、先ほど申し上げましたように、EUの決定も踏まえまして、速やかに翌日の朝、閣議了解の手続をいただきまして、関連の財務省等の告示の改正の手続も終えさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/54
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055・勝部賢志
○勝部賢志君 鈴木大臣は、この決定に関わっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/55
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056・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 手続の上では関わりはございますが、決定ということについては報告を受けたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/56
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057・勝部賢志
○勝部賢志君 一刻を争う戦争という事実が起きている中での判断で、極めてトップレベルというか、高度な政治判断の下で決められたと思いますし、先ほど言ったように、これを他国に遅れないようにするということも大事なことだというふうに思うんですが、私は、やはりその状況はもう以前から少しずつ分かってきていたわけですので、やはり政府間内での意思疎通というか、大臣含めた関係者の、その影響だとか効果だとか、あるいは日本経済に与える影響だとか、そういうことをしっかり判断をする、そういう議論が必要ではなかったかというふうに思っています。そのことは指摘をさせていただきます。
これから引き続き様々な制裁、更に加えて措置がなされる場合には、是非そういう議論を事前にしておくべきだということを指摘をさせていただきます。
その上で、ちょっと時間がなくなってきましたけれども、このSWIFTの効果について、壊滅的打撃を与えることができるという評価もあれば、抜け道があって効果が薄いという評価もあります。論者によってはその評価に違いがあるんですけれども、とりわけ今回、ロシア最大の銀行でありますズベルバンクと、それから石油、天然ガスの決済に直結するガスプロムの二行は除かれているということなんですね。その上での七行の排除ということで、この効果についてはどのように認識をされていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/57
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058・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
個別具体の銀行がなぜ今回排除の対象になったのかならなかったのかという個別の理由についてはお答えを差し控えたいと存じますけれども、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げてございますように、今回の七行につきましては、G7を含めました国際社会の緊密な連携の上で、最終的にはSWIFTの所在地としてEUがこの七行を排除するという決定を下したということでございます。
これ自体の今後の制裁措置の効果について、まだ現時点で確定的なことを申し上げるのは若干難しい状況でございますけれども、当然我々としましても、今後の状況の推移、それからその制裁の効果等見ながら、引き続き国際社会と連携しながら、今後の対応も考えてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/58
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059・勝部賢志
○勝部賢志君 SWIFTの排除で貿易や決済ができないというのは誤解だと、テレックスなど昔ながらの方法を使えば、事務処理の手間は掛かるけれども決済はできなくならないという意見もあると聞いています。
今回、プーチン大統領は、制裁を受けることを当初から想定をしており、外貨や金を積み増し、あるいは耐え忍ぶ用意をしてきたとも一方では言われていると。その上、SWIFT排除、先ほど言ったように、大きな二行は除外されている。そして、加えて、ロシアの中央銀行が創設したSPFSやそれから中国独自で行っているCIPS、これも決済システムですけれど、そういう存在などがあるとも言われていて、まさに抜け道だらけだというふうにも言われているわけですね。この辺どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/59
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060・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
まさしく経済制裁講じますれば、当然にその制裁を講じていない国でございますとか金融機関ですとかチャネルですとか、そういったところに取引が流れるんではないかと、こういった副次的な効果、これを最小化しなければならないのは御指摘のとおりでございます。
そこで、今回、先ほど来申し上げておりますように、日本としても、このSWIFTの排除の対象になりました七つの銀行は全て資産凍結ということにいたしてございます。これ、資産凍結という形にすることによりまして、SWIFTだけではございませんで、今委員御指摘のございました例えばCIPSですとかSPFSですとか、こういったチャネルを使っての取引につきましても、日本にある金融機関についてはこれ全てこの七行との取引は禁止されると、資産凍結でございますので、そういうことになってございます。
こういった形で、私どももできるだけこの副次的な効果を最小化するということで、今後とも、引き続き国際社会とも連携しながら講じてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/60
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061・勝部賢志
○勝部賢志君 効果を先ほどお聞きしましたけれども、明快なお答えはありませんでした。そして抜け道も、資産凍結をすればある程度防げるんだというお話もありますけれども、専門家からは、先ほど言ったように抜け道がたくさんあるんだというふうにも言われています。
一方で、その日本の経済や、他国、戦争に関係ない地域の経済や、あるいは民間の方々の企業の運営にも影響を与えるということもあるから、なかなか難しいというのは分からなくはありませんけれども、しかし、他方、本当に今戦争の真っ最中、これを止める、我々先進国が止めれるのはこういった制裁がまずは第一なんだということでありますから、私は、国において、政府はしっかりとこの効果や、あるいは抜け道や、ほかに対策はないのかということを、先ほど申し上げましたように、議論も十分にされていないという状況なんで、これはやはり金融、財政をつかさどる大臣はこれはもう先頭に立ってこれは考えるべきだと思いますけれども、大臣の所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/61
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062・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) やはり基本は、こうした明白な国際法違反のロシアに高いコストを払わせるということが、これがもう究極の目的であると、そういうふうに思っております。それでは、そこで重要なのは、やはりG7を始めとする国際社会とよく連携をして、緊密な関係の中でより効果を高める措置を考えていくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/62
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063・勝部賢志
○勝部賢志君 この金融措置や、例えば、先ほど二〇一四年の話を引き合いに出しましたけれども、日本の国がロシアに対して遠慮をしているのではないかとか、それから、他の諸外国、とりわけ先進G7から後れを取っているのではないか、追随をする対応に終始しているのではないかという批判の声もあります。
私は、冒頭申し上げましたように、本当にこれは世界危機の状況なので、これに対応する日本の役割というのは極めて大きいと思いますし、是非しっかりと対応をしていただきたいと思っているところです。
鈴木大臣は、三月一日のG7財務大臣会合後の記者会見で追加制裁の可能性については明言を避けられました。しかし、米政権では暗号資産の対策ですとか石油の禁輸措置なども検討しているということでありますけれども、欧米各国からの打診を含めて、追加措置、あるいは我が国はその対応について今どのように考えておられるのか、見解をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/63
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064・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今後の更なるこの制裁措置についてでございますが、事態が刻一刻と変化しておりますので予断を持って申し上げることはなかなか難しいわけでありますが、三月一日に開催されましたG7の財務大臣・中央銀行総裁会議におきましても、協調して制裁を実施することが実効性確保の観点からも重要であること、それから、今後も速やかに更なる行動を取ることということで一致をしておりますので、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携をして適切に、必要なときは速やかに対応をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/64
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065・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/65
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066・勝部賢志
○勝部賢志君 質問はまだ幾つか用意をしていたんですけれども、時間になりまして、少し冒頭話し過ぎたかもしれませんが、引き続き、委員会、いろいろな質疑の場面ありますので、そこでまた質疑をさせていただきたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/66
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067・山本博司
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、所信に対する質疑ということで、財政と金融、基本的な見解に関しまして伺いたいと思います。
まず初めに、予算に関して伺いたいと思います。
新型コロナウイルス感染症による厳しい状況、これは依然として続いておりますけれども、特にオミクロン株の感染拡大に直面している現状、厳しさが更に増しております。感染者や濃厚接触者の増加で社会機能維持への負荷、これも重くなってきている次第でございます。
この感染症による危機を乗り越えて、新しい資本主義に向けて成長と分配の好循環を実現していくことを目指していくためにも、この二〇二一年度補正予算、そして今審議されております二二年度の本予算のこの十六か月予算、これを迅速に執行し、国民生活と経済の再生、これを図ることが大変重要であると思っている次第でございます。
そこで、大臣にお伺いしますけれども、この十六か月予算の意義ということに関して見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/67
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068・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、日本の経済につきましては、新型コロナの国民生活や経済への影響というものが依然として続いている状況でございますことから、まずは新型コロナ対策に万全を期していく必要があり、同時に、この感染症による危機を乗り越えて、新しい資本主義に向けて成長と分配の好循環を実現していく必要があると、そのように考えております。
このため、政府としては、いわゆる十六か月予算の考え方に基づきまして、令和三年度補正予算と令和四年度予算を一体的に編成をして、これらの実現のための諸施策に必要な予算措置を盛り込んだところであります。
政府といたしましては、この十六か月予算の考え方に沿って、令和三年度補正予算に盛り込まれたきめ細やかな支援策を早期にお届けするとともに、令和四年度予算の早期成立を図り、盛り込まれた諸施策を着実に実行していくことが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/68
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069・山本博司
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。
今大臣がおっしゃられたとおり、この十六か月予算の早期執行と、特に二二年度本予算の早期成立が求められるわけでございますけれども、この予算案の中で、特にコロナ対策に関して伺いたいと思います。
この二二年度予算案の中には、コロナ対策の予備費としておよそ五兆円、これが計上されております。昨今のこうしたオミクロン株の感染拡大の状況を見ますと、予期し得ない状況、これも考えられる次第でございます。
私は、昨年、菅内閣、また岸田第一次内閣の厚生労働副大臣を担当させていただきました。また、ワクチン接種推進担当の内閣府の副大臣も兼務させていただいた次第でございますけれども、今、特にこのワクチンの三回目の接種の加速化であるとか、また、療養施設とか治療薬、経口薬ですね、この確保を含めて、この医療提供体制の拡充というのが大変重要になってくると思う次第でございます。
それとともに、ポストコロナの展望、これも描いていかなくてはならないんではないかと思います。そのときそのときのこの状況を、臨機応変に対応が求められると思いますけれども、公明党は一貫してこのワクチンの確保や治療の確保を含めて提言をしてまいりました。
この予備費を含めて、コロナへの対策予算、どのように編成をしているのか、岡本副大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/69
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070・岡本三成
○副大臣(岡本三成君) 山本委員には、前厚労副大臣の時代から様々御指導をいただき、ありがとうございます。
現在、オミクロン株の感染拡大に直面をし、国民生活や経済への影響が依然として続いている中で、新型コロナ対策に万全を期すことが大変重要であります。
令和三年度補正予算におきましては、公明党の皆様からも様々な御要望、御提案をいただきまして、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、病床の確保や医療人材の確保に要する十分な規模の緊急包括支援交付金、ワクチンの接種体制確保のための費用、治療薬につきまして、承認をされました経口治療薬等の買上げ費用、飲食店向け時短要請協力金など、総額二十兆円規模の予算を確保いたしました。
オミクロン株の感染拡大等に関しまして、これらの予算を活用して現在対応をさせていただいております。
あわせて、十六か月予算の考え方の下、令和三年度補正予算と一体として編成をいたしました令和四年度予算におきましても、新型コロナ予備費五兆円、先ほど委員御指摘のとおり措置をいたしまして、予期せぬ状況に備えて現在対応しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/70
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071・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
このコロナ対策に関連しまして、予算の繰越しに関して伺いたいと思います。
二〇年度予算では、過去最大の三十兆円を超える予算、これが未執行となりました。三回編成しました補正予算約七十三億円のうち四割を使い残していたということもございます。
この予算、国内景気の下支えをする経済対策の重要な柱でございますので、早期執行が求められたわけでございます。しかしながら、未執行の場合は翌年に繰り越すことも可能であると思います。二一年度予算におきましても未執行の部分は発生することが想定をされます。まずは予算の早期執行、これを進めることが前提ではございますけれども、その上で翌年度への繰越しということもあると思う次第でございます。
そこで、この繰越しということをどのように考えているのか。予算の単年度主義にたがうことになるのではないかと、こういう意見もあるわけでございますけれども、財務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/71
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072・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 令和二年度から令和三年度への繰越しにつきましては、昨年三月末の時点で約三十兆八千億円でした。新型コロナ対策については、感染の影響が不明の中で万全の対応を期すため、切れ目ない支援を行うべく十分な予算を措置したことや、コロナ関係の事業の中には地方自治体や事業者等からの申請を受けて支出するものも多いことなどの事情もあり、予定した年度中に支出に至らなかったものもありますが、足下では、令和二年度から三年度へ繰り越された予算につきましては、GoToトラベル事業等を除き、おおむね着実に執行が進んでいると承知をしております。
また、令和三年度補正予算につきましては、執行を担う各省庁とよく連携をし、事業の状況等を確認しながら、予算の効果的、効率的な執行を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/72
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073・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
鈴木大臣にお伺いをしたいと思います。
二月十八日の閣議後の会見におきまして、今のところは危機のさなかにあり、必要な財政出動はちゅうちょなく行う段階と、こう考え方を述べられた一方で、累次のコロナ対策の編成で、足下の財政状況、より一層厳しさを増しているのは事実、こうされまして、財政健全化の旗はしっかり掲げ続けなければならないと、このように述べられたと伺っている次第でございます。大臣が言われる危機のさなかはちゅうちょなく行う、大変重要なことであると思う次第でございます。
また、新型コロナ対応で計上しました関連予算、このことを特別会計化することにつきまして、経済を立て直した後に検討する必要があるとの発言をされたとも伺っている次第でございます。
そこで、このコロナ対策の特別会計化についての見解を大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/73
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074・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今現在、我が国は新型コロナという危機のさなかにあるわけでありまして、国民の命や暮らしを守るためには、必要な財政支出、これはちゅうちょなく行わなければならないと、そのような段階にあると思っております。そのために、これまでにない巨額の補正予算等によりまして新型コロナに対応してきたところでありますが、それにより足下、財政状況がより一層厳しさを増している、これは事実でございます。
今後、まずは新型コロナの危機を乗り越え、経済を立て直し、財政健全化に向けた取組を、向けて取り組んでいく、こうした基本的な方針を踏まえまして、コロナ対策の特別会計化についてという御指摘の点につきましては、その必要性等も含めて検討していく必要があるのであると、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/74
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075・山本博司
○山本博司君 私は、この特別会計化ということに関しましては、将来的な話というふうに理解しておりまして、まだまだ時期尚早という気がするわけでございます。今は、やはり必要な財政出動、ちゅうちょなく行っていくという方向で是非御検討をいただきたいと思う次第でございます。
その上で、この財政健全化について伺います。
先日の所信の中で、鈴木財務大臣は、財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗を下ろすことなく、経済財政運営と改革の基本方針二〇二一等における二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成に向けて、歳出歳入両面の改革をしっかり進めてまいります、こう述べられまして、財政健全化目標の堅持を表明をされているわけでございます。
この財政健全化に関しましては、歳入歳出の見直し、これが不可欠でございますけれども、そのためにも着実な経済成長が求められているわけでございまして、まずこのコロナ対策、万全を期すべきと考えておる次第でございます。
この財政健全化に対する取組に関しまして、どの部分に優先的に注力して進めるお考えなのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/75
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076・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 新型コロナの危機を乗り越え、経済を立て直し、財政健全化に向けて取り組んでいくことにより、次の世代に未来をつなげていくことが我々の責任であると考えております。このため、新型コロナ対策に万全を期しつつ、成長戦略として科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障といった分野にしっかりと予算措置を行い、経済成長を実現してまいりたいと考えております。
また、分配戦略として、各種の施策の実施により賃上げの実現等を目指し、成長と分配の好循環を図ってまいりたいと考えております。
その上で、財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗を下ろすことなく、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出歳入両面の改革にしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/76
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077・山本博司
○山本博司君 この財政の健全化に対しましても、やはり歳出歳入の見直しも、やはり経済成長の軌道が確かなものになることが大前提になると思う次第でございます。
今、今後の先行きに関しましては、各政策の効果や海外経済の改善もございまして、着実に景気が持ち直していくことが期待をされるわけでございますけれども、しかしながら、下振れリスクにも十分注意をする必要もございますし、その際に、大変懸念材料が物価高でございます。この物価動向に関しましては、足下の物価上昇、為替による影響もございます。また、原油などのエネルギー価格の高騰を抑えるためには、円安是正、これも検討課題であると思う次第でございます。
その上で、このガソリンなどの燃油価格の高騰の状況、長期化しますと、今大変コロナ禍で苦境に立つ、もう二年もこういう状況が続いているわけでございますので、事業所の皆様、経営、大変命取りにもなるということで、大変厳しい状況もございます。
今、さらにはウクライナ情勢、この緊迫化によりまして、更なる原油価格の高騰も懸念されているわけでございます。今、激変緩和措置を含めて、実効性ある対策、これは大変重要でございますけれども、政府を挙げてしっかり取り組む必要がございます。そのために、今日は経産省からこうした高騰対策に関しましての内容に関しまして、説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/77
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078・山下隆一
○政府参考人(山下隆一君) お答え申し上げます。
先週の金曜日でございますが、原油価格高騰対策について、官房長官の下で関係閣僚会議が開催され、政府として原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめたところでございます。
経済産業省といたしましては、燃料油の急激な価格高騰を抑えるために、今年度の一般予備費を三千五百億円活用し、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とした激変緩和事業について当面の間の緊急避難的措置として、元売事業者に対する価格抑制の原資の支給額の上限を一リットル当たり五円から二十五円に引き上げ、国民生活等への不測の影響を緩和するといったことを取りまとめたところでございます。
なお、与党からいただいた提言なども踏まえまして、トリガー条項以上の規模とするべく支援上限の大幅な拡充を行ったものでございます。
今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するかも見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、何が真に効果的な対策か、政府全体で不断の検討を行ってまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/78
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079・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
これ、当面の緊急対策ということでございますけれども、実効性のあるものにしていく必要があるわけでございます。
その意味で、この、財務省にお伺いをしますけれども、財源の確保を含めて答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/79
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080・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 今ほど話もありましたけれども、先週四日に関係閣僚会議で拡充を決定をし、五円から二十五円に引き上げることとし、この制度の拡充に必要な予算を手当てするために、同日、令和三年度一般会計予備費について三千五百億円の使用を決定したところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/80
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081・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
今世界中で加速する、こういうインフラを背景にしまして、コロナの感染拡大への対応、これまで大規模なこの金融緩和を導入してきた世界各国の中央銀行、ここへ来まして量的緩和の縮小であるとか利上げなどの金融引締め、かじを切っている次第でございます。もしこの雇用改善、さらには賃金の上昇が本格化する前に物価上昇がどんどん続いていきますと、家計の所得環境を圧迫し、消費にも影響する可能性がある次第でございます。
今、様々なお話ございましたけれども、政府におかれましては、物価やこうしたエネルギー価格を含めまして、今後とも世界経済の動向を注視していただきたいと思う次第でございます。
それでは、最後の質問になりますけれども、今回の予算、税制改正におきまして、賃上げに積極的な企業に対しまして法人税から一定割合を控除する税制を強化するということであるとか、補助金による支援、これによりまして賃上げをしやすい環境づくりに力を入れている次第でございます。
総理からも、業勢が回復した企業には三%超の賃上げを期待するという発言もございましたけれども、いよいよ春闘も大詰めとなっておる次第でございます。
成長と分配の好循環のための施策をしっかり進めていくことが重要でございまして、こうした賃上げに向けた取組に関しまして、最後に鈴木大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/81
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082・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 岸田内閣におきましては、賃上げは成長と分配の好循環によりまして持続可能な経済を実現するために重要課題と位置付けているものの一つであります。
そのため、政府といたしまして、賃上げに向けたあらゆる施策を総動員することとしておりまして、山本先生今御指摘のような賃上げ税制の拡充に加えまして、看護、介護、保育等の公的価格の引上げ、補助金によります中小企業の生産性向上のための支援、公共調達における加点措置、下請対策の強化など、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備、そして最低賃金の見直しなどの施策に取り組んでいきたいと考えております。成長の果実が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、消費の拡大を通じて更に次の成長に結び付くという好循環、これが実現すること、これが重要であると考えます。
財務省としても、引き続き関係省庁と連携して持続的な賃上げの実現を目指してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/82
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083・山本博司
○山本博司君 以上で質問を終えて、後の同僚の杉議員に託したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/83
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084・杉久武
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。
我が党の山本理事に続きまして、私からは消費税のインボイス制度の導入に関連して質問をいたしたいと思います。
インボイスにつきましては、御承知のとおり、現下の消費税制に対応した仕入れ税額控除を可能とする制度でございまして、正式には適格請求書等保存方式と呼ばれておるものでございますが、このインボイス制度が来年十月から導入となります。
このインボイス制度は、複数税率の下、標準税率が一〇%と二桁になる中、消費税納税の透明性を図る上で必要不可欠な制度であると考えております。
そこで、まず国税庁に質問をいたしますが、来年十月から導入されますインボイス制度でありますけれども、原則として来年三月三十一日までにこれを、登録申請書を提出しなければなりません。そこで、現在までの登録申請書の提出状況について確認するとともに、期限となります三月というのは例年確定申告の時期でございますから各税務署が混雑することも予想されますので、会社経営者や個人事業主などの方に対しては、できるだけ早めに手続を行う等、周知を図るべきと考えますが、国税庁の対応について見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/84
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085・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答えいたします。
インボイス制度に関する登録申請につきましては、昨年、令和三年十月一日から受付を開始しておりまして、今年、令和四年二月末現在で約二十八万の事業者が登録を行っているところでございます。
令和五年十月から登録事業者となるための原則的な申請の期限は、今委員からもお話がございました令和五年三月末でございますが、事業者の方が制度開始までに円滑に準備が行うことができるよう、登録を予定している事業者の方にはその申請期限を待たずに早期の登録申請を行っていただくことが重要と考えております。
そのため、これまで、税理士会あるいは関係民間団体等に対して、登録予定事業者の早期登録申請の依頼、あるいは申告書の送付をする際にインボイス制度に関するリーフレットを同封するといった個別のプッシュ型の周知などを行ってきたところでございます。また、今後、個人の課税事業者を対象に、登録手続を案内するダイレクトメールを送付するほか、登録申請の手続をサポートする登録申請相談会も実施したいと考えております。また、限られた期間内に多くの登録申請を円滑に処理するため、登録を予定している方には御自宅等からe―Taxを利用した登録申請をお願いしているところでもございます。
今後も、このような周知、広報を通じまして、事業者に広く制度が理解され、早期の登録申請を行っていただけるよう、引き続き、関係省庁とも連携しながら必要な取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/85
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086・杉久武
○杉久武君 このインボイス制度は様々御意見もございますが、このインボイスを導入することによりまして、透明性の極めて高い適格請求書が介されることになりまして、売手、買手とも正確な税額を確認するようにできる、できるようになることから、ミスや不正の防止に極めて大きな貢献があるものと考えております。
他方、円滑な導入のためにも、今御紹介いただきましたが、今後も様々な手当てをしていく必要がございますので、国税庁として全力で取り組んでいただきたいというふうに思います。
このインボイスの導入に関連いたしまして、私から一点、今日指摘をしておきたいのが、シルバー人材センターの課題でございます。
御承知のとおり、シルバー人材センターは、高年齢等の雇用の安定等に関する法律に基づきまして都道府県知事の指定を受ける公益法人でございます。人材センターは、地域の日常生活に密着した就業機会を提供し、高齢者の皆様が労働を通じて、生きがいを得たり、社会参加を促進したりするとともに、地域社会活性化にも貢献する組織でございます。
そして、このシルバー人材センターが仕事を受注する際、仕事の発注元に行う請求については消費税が含まれます。発注者の請求の内訳としては、会員の収入に対する分配金や、一定の基準により定められた交通費、分配金に対する定められた事務費や、仕事に対して掛かった材料費などでございますが、これらも全て消費税が含んだ額となっております。そして、人材センター自身は、納税義務者たる課税事業者として消費税を納めております。また、センターと同様に、高齢者である会員の皆様も消費税法では事業者に含まれますから、会員の就業に対する分配金には消費税が含まれている、こういう立て付けが一般的だというふうに思います。
ただ、課税売上げを受け取る金額が年間一千万以下の事業者は消費税法上は免税事業者として取り扱うことができますから、この会員の皆様は申告納税する必要がない。このため、会員が受け取る分配金等には消費税が含まれているものの、会員は免税事業者であることから申告や納税が免除されている。今現状、こういう立て付けであるというふうに思っております。
その上で、人材センターの話によりますと、こうしたシルバー人材センターに対してインボイスが導入されますと、会員は免税事業者であることからインボイスの発行ができませんので、シルバー人材センター側ではインボイスに基づく仕入れ税額控除ができなくなる、こういう課題が現場で指摘をされております。
そこで、まず、今日は厚労省に来ていただいておりますので、厚労省に質問いたしますが、この話の前提となるセンターの会員である高齢者の方の平均月収が大体どれぐらいなのか、また、仮に高齢者の会員の皆様が課税事業者となってインボイスを発行することなど可能なのかどうか、厚労省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/86
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087・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) お答え申し上げます。
シルバー人材センターが提供する業務は、臨時的かつ短期的な就業又は軽易な就業となってございますので、会員に支払われる報酬は一人当たり月額平均で約三万八千円程度でございます。
また、高齢者である会員が自主的に税務署長に申請をしてインボイス発行事業者になることは可能かでございますが、数多くおられる高齢者の会員の方の御理解を得られるのは難しいものではないかと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/87
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088・杉久武
○杉久武君 今御答弁ございましたとおり、センターの会員の方の平均月収は月三万八千円程度ということになりますので、年換算しても、まあそうですね、四十万、五十万円というレベルになろうかと思います。
これは、一般の個人事業主と比べましても比較にならないほど低い報酬額ということになりまして、そのような方々がインボイスを発行する課税事業者になるというのはなかなか現実的ではないという、そういう御答弁だったというふうに思います。
しかし、インボイスがなければ、今度はセンター側の方では、会員に対して出した仕事に対する仕入れ税額控除ができなくなるということになりますので、センターでは会員からの預かり消費税に相当する財源を捻出する必要が生じてしまいます。じゃ、その財源をどうしていくのかというのが課題だというふうに思いますが、この財源については、当然、高齢者の収入に対して求めるわけにはいかないというふうに思いますので、対応を検討しなければいけないというふうになります。
その中で、シルバー人材センターそのものは、これは公益法人でございますので、センターの運営は収支相償と。つまり、公益法人が行う公益目的事業については、収入から費用を差し引いた金額がゼロ、ゼロかマイナスとなるようにしなければならないという基準がございますので、新たに発生する税を納めるための財源をどこから持ってくるのか、これが課題でございます。
したがいまして、シルバー人材センターにとっては、このままの状態でインボイスが導入されますと、センターの運営自体がもはや成立しなくなるという問題がございまして、本件に関しましては、地方議会からも政府に対して意見書が送られているというふうに理解をしております。
そこで、厚労省に伺いますが、こうしたインボイス導入に伴うシルバー人材センターが抱える問題の解決について、厚労省では、シルバー人材センターへの仕事の発注元の一つである地方公共団体に対して通知をなされていると理解をしておりますが、その通知の内容について確認するとともに、人材センターへの発注元となっているその他の民間企業や、なっている民間企業や地方自治体などのこの発注割合についても確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/88
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089・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) お答え申し上げます。
インボイス導入に向けた対応といたしまして、厚生労働省から地方自治体に対しまして、インボイス制度の導入や、近年の最低賃金の上昇傾向を踏まえた適正な価格でシルバー人材センターへ発注を行うこと、また、最低賃金額が年度途中に改定されることを踏まえて必要な予算額を確保しておくことなど、インボイス制度の導入によってシルバー人材センターが会員に支払う配分金を下げることのないよう対応していただくことについて要請したところでございます。
また、お尋ねのシルバー人材センターに係る発注者の受注割合でございますが、民間企業が約五割、地方自治体が約三割、個人、家庭が約二割となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/89
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090・杉久武
○杉久武君 ありがとうございます。
発注元の一つである地方自治体の方では、ある意味この価格の付け方等に対して配慮をするようにということで今回通知が出されたわけでございます。
ただ、人材センターでは、地域の家庭や企業、今申し上げました公共団体などから請負又は委託契約によって仕事をしているということでございます。先ほども答弁にもございましたとおり、人材センターの仕事の約三割が地方公共団体、そして五割が民間と、一割が個人、家庭等になっているということでございますけれども、その仕事量の約三割の地方公共団体の部分については、先ほどの答弁のとおり、厚生労働省が通知を出して、賃金の上乗せ等の改善をお願いしているところでございますけれども、やはりあと残りの七割の部分について、またこれも手を打っていかないと、なかなかこれは難しい課題なんではないかなというふうに思います。
そこで、厚生労働省に質問いたしますが、シルバー人材センターへ発注する仕事の多くを占める民間の部分についてどのような取組ができるのか、その見解を伺いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/90
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091・奈尾基弘
○政府参考人(奈尾基弘君) 厚生労働省といたしましては、地域における高齢者の生きがいの充実と社会参加を促進する、実行する担い手といたしまして、今後もシルバー人材センターの役割はますます重要になると思ってございます。
インボイス制度導入後におきましても、シルバー人材センターが民間企業からの発注も含めて必要な収入を確保し、安定的な事業運営を継続するため、受注金額の増加に資する支援など経営基盤の強化を図るために必要な支援を行っていきたいと考えてございます。
このような観点から、令和四年度予算案におきましても、シルバー人材センターへの補助金を増額いたしまして、介護分野でシルバー人材センターをより一層活用した介護分野就業機会促進事業を新たな施策として盛り込んでいるところでございます。
インボイス制度の円滑な移行を図る観点から十年間の経過措置が設けられてございますが、そういう中で、今後も、シルバー人材センター事業への影響や実務的な対応等の実情を把握し、どのような支援が可能か、関係省庁とも連携しながら検討してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/91
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092・杉久武
○杉久武君 ありがとうございます。
今答弁もいただきましたが、なかなかこれ相手が民間である以上、厚生労働省からできることも正直限りがあるのかなというふうに感じております。
そこで、最後、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、やはりこの問題は厚労省だけの問題にすることなく、私は、やっぱりインボイス制度を導入する以上、財務省自身もこの問題に対してしっかり認識を持っていただき、かつ、この問題の解決について責任を持って主体的に動いていただきたいという点でございます。逆に、財務省がこの問題に主体的に取り組むことをせず、解決に向けた道筋を示すことができなければ、インボイス導入について様々意見がある中で、この人材センターの問題がインボイス導入の足かせになっても私はいけないというふうに思っておりますので、ここは大変危惧しているところでございます。
そこで、最後に鈴木財務大臣に質問いたしますが、先ほど申し上げましたとおり、インボイス制度を導入する以上は、やっぱり財務省にはこのシルバー人材制度が今後も円滑に存続、継続できるように責任を持って主体的に行動していただきたいと考えますが、財務大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/92
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093・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 来年の十月からインボイス制度が始まるということで、これの円滑な導入につきましてはそれぞれ関係省庁と連携しながら進めるということでありまして、例えば今御指摘のシルバー人材センターに関するものにつきましても、厚生労働省、総務省と連携しながらやっていかなくちゃいけないということで、お答えは先ほど厚労省からお答えがあったのとかぶってしまうわけでございますけれども、インボイス制度のこの移行後も、六年間、これは免税事業者からの仕入れであっても一定の割合は仕入れ税額控除ができる経過措置を設けておりまして、時間を掛けて緩やかに価格へ転嫁することが可能となっております。そして、先ほどの発注価格への転嫁要請もこうした経過措置を踏まえた取組であると考えております。
そして、厚生労働省からも御説明ございましたが、厚生労働省において、シルバー人材センターが安定的な事業運営を継続できるよう、令和四年度予算案におきまして補助金の増額等必要な支援も行うこととしております。
財務省としても、引き続き、関係省庁とよく連携をしながら、必要な取組、これはしっかりとやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/93
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094・杉久武
○杉久武君 しっかりとやっぱり関係省庁と連携していただいて、今大臣からもしっかりと連携して取り組むという御答弁もいただきました。
シルバー人材の方がこの就労機会を失われることがないように財務省としても取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、時間になりましたので、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/94
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095・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 午後一時に再開することとし、休憩します。
午後零時九分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/95
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096・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/96
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097・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。どうぞよろしくお願いいたします。
大臣には先週の本会議で、このロシアのウクライナ侵攻に関して、中国の決済システムのCIPSの話も伺いましたし、先ほど他の委員からも発言に出ましたロシアのSPFS、これについてもお伺いしました。
御答弁の内容も踏まえて少し議論をさせていただきたいと思いますが、そもそも、御承知の皆さんも多いと思いますけれども、このSPFSというロシアの決済システムは、二〇一四年にロシアがクリミア半島に侵攻したときに、いわゆるそのSWIFTから排除されるというこの対応があって、その当時のメドベージェフ首相がSWIFT排除は宣戦布告に等しいと言ったんです。そのぐらいの経済的インパクトがあるがゆえに、その年からロシアはこのSPFSというのをつくり始めたんです。で、翌年、中国がCIPSをつくり始めました。
ロシアの方は、私の知り得る限りではそれほど海外には浸透していませんが、実はここにドイツとスイスが参加しているんですね。ということは、ドイツはロシアから相変わらずLNGとそれから原油も提供を受けていますので、そういうルートで決済しようと思えばできるという、まあ頭の体操ですけれども、そういう事実を取りあえずお伝えをした上で、そのSPFSの翌年から構築され始めた中国のCIPSですけれども、先般、本会議では日本の銀行は三行のみというふうにお答えいただいたんですが、これはいわゆる直接参加行でありまして、その下にぶら下がっている間接参加行も含めて、改めて日本の銀行が何行参加しているのか、お答えをいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/97
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098・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) CIPSへ直接参加している日本の金融機関は三行でありまして、具体的には、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行傘下の中国現地法人でございます。
そして、日本の間接参加行につきましては、CIPSのウエブサイトでも公表されておらず、網羅的に把握しているわけではありませんけれども、報道によりますと、二〇一九年四月時点では、三菱UFJ銀行、みずほ銀行の二行のほか、地域銀行二十一行と外国銀行の東京支店七つの計三十行とされていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/98
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099・大塚耕平
○大塚耕平君 こういう事態でありますので、是非、個別行を全て、少なくともどこかということは把握をしていただいた方がいいと思います。
それで、私の知り得る限りでは、もちろん中国国内の銀行が一番たくさん参加していますけれども、外国としてCIPSに最もたくさん参加している国は日本です。日本がCIPSに一番たくさん参加していますので、これは、個々の金融機関のネームを把握するとともに、どういう決済が行われるかということは、これは財務省、金融庁、しっかりモニタリングをするべきだと思いますし、そうしていただきたいと思いますが、大臣のその点についての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/99
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100・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今のロシアにおけるウクライナへの侵攻という、そういう国際法上許されない状況にありまして、G7を始めとする西側諸国と我が国も連携をして制裁に当たっていることでございますので、必要に応じて先生おっしゃったような措置をとってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/100
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101・大塚耕平
○大塚耕平君 是非よろしくお願いします。
もう頭の体操の世界ですけれども、幾らロシアの銀行と取引停止しても、その取引停止をした、西側が停止をした銀行と、例えば中国の銀行でもいいですけれども、そこが取引をして、その中国の銀行と日本の銀行が取引をすれば容易にこれ決済ができるわけでありまして、まあ、中国だけにとどまりません。
それと、決済インフラとしては、実は、二〇一八年に、トランプ大統領のときに、アメリカがイランとの核合意を一方的に離脱をして、そのときにやっぱりイランに対してSWIFT排除の制裁をやろうとしたんですが、ヨーロッパは本当はこれ付き合いたくなかったというふうに報道されています。しかし、SWIFT排除に付き合わないと、付き合わなかったその国やその国の銀行も今度SWIFT排除の対象になるために、当時、その二〇一八年当時はやむを得ず欧州の国々と欧州の銀行は追随して制裁に参加したというふうに伝わっていますけれども、そのときに、その二〇一四年、一五年当時のロシアや中国と同様に、SWIFTしか決済インフラがないと、アメリカがSWIFT排除やりたいと思ったときにもう付き合わざるを得なくなると。決済ができなくなるので、ヨーロッパも二〇一九年からINSTEXという独自の決済システムをもうつくっています。二〇二〇年からこれは運用が始まっています。
したがって、今回こういう事態ですから、まさかヨーロッパがロシアと水面下でいろんな取引をするとは到底思えませんけれども、ただ、インフラ的にはそういうことなんですね。だから、SWIFTばかりに目が行っていますけれども、SPFS、CIPS、INSTEX。で、やっぱり決済インフラがいかに国際政治や国際経済において重要な意味を持ってきているかということのあかしだと思いますので、是非適切に対処をしていただきたいと思いますが。
まあ、中国は、中国元を決済するときには極力CIPSを使えということを、中国に進出してきている銀行や、海外の銀行でも人民元の取引があるところにはそういうことを推奨していて、やがては義務化するんじゃないかという話もありますが、日本の銀行がそういうプラットフォームの上に乗ってしまうと、これは今度は中国が日本の銀行にはCIPSを使わせないとかということになると、これは日本が今度首を絞められる話でありまして、まあ、この際ですから、僕は日本の銀行には、外貨決済をするときには、人民元も含めて、極力、当面はですよ、SWIFTを使うように御指導されてはどうかと思いますが、この点についてはどういうお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/101
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102・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) SWIFT、それからCIPSのこの中身につきましてはもう既に先生からお話ございましたし、先生の方がずっと詳しくていらっしゃるわけでいらっしゃいますが、SWIFTの場合に限って言えば、人民元でクロスボーダー決済をする場合には何らかの決済手段が必要となりますが、中国では資本規制が厳しくて外資の金融機関が人民元を自由に調達できないために、中国が提供するCIPS等の決済インフラを利用しない場合には円滑な人民元の決済に支障が生じるおそれがあるということもあると思います。
しかし、今の先生の御指摘は、CIPSに依存し過ぎると逆に中国からCIPSを排除されたときにどうにも経済活動ができなくなるという御指摘だと、こういうふうに思っております。いずれにしても、そういうことも含めて幅広い観点から検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/102
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103・大塚耕平
○大塚耕平君 昨日の夕方から今朝にかけて流れているニュースでは、アメリカのVISAとマスターカードがロシアでの業務を停止するというふうに言っていました。実は、二〇一四年のクリミア半島侵攻のときにも同じことがあって、ロシアは、したがって、その年からミールという独自のカードを発行して、それに日本でいうと社会保障制度の利用なんかもできる機能も連動させて、今国民にはかなり普及しています。ただ、海外ではそれほどまだ使えませんけれども。つまり、今回もVISA、マスターがそういうことをやった、それを予想してその独自のカードシステムをつくっているわけですね。
二〇〇〇年代に中国のインバウンドの皆さんがたくさん日本に来て、銀座のデパートで爆買いで、何か日本としては大喜びしていた時代に、中国の決済アプリをそこで使うようになっちゃうと決済アプリも決済システムも向こうに依存することになりますよということを当時この委員会でも申し上げましたし、百貨店業界や銀行業界の人にも申し上げましたが、残念ながらまずい方の予想が的中して、もう日本のタクシーに乗っても中国の決済アプリも使えるし、その先には銀聯というカードがくっついているし、そして、それがもし円、人民元という形で決済されると、その先の最後の銀行間の決済のときにはCIPSが使われるというですね、こういう構造をだんだんだんだんつくっているわけですね。
ロシアもヨーロッパもさっき申し上げたとおりで、つまり、独自のクロスボーダーの決済システムや独自の決済アプリや世界に通用する独自のカードを戦略的につくっていくということをやらないと、我が国は全て受け身になってしまう、こういう状況にあるということが今回のロシアに関連して起きていることから透けて見える我が国の将来像だというふうに私は感じていまして、以上、私の意見を申し上げましたけれども、大臣のもし御所感なり御所見をお伺いできれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/103
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104・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回、ロシアがウクライナに侵攻するということで、日本はG7を始めとする国際社会と連携をしながら、ロシアにこうした国際違反を起こすということについてはもう最大のコストを求めるということで、連携しながら制裁措置もしているところでありますが、そういう過程において、今、大塚先生からお話がございましたとおり、様々な課題といいますか、様々な波及的なものがあるということがだんだん明らかになりつつあると思っております。
また、制裁そのものにつきましても、どうしてもどこかに抜け穴があって、その抜け穴を塞ごうという、また相手からすれば抜け穴をつくっていこうという中で、どんどんその辺も変化していくと思いますので、今回の一連のことでそういうことが明らかになりつつありますので、そこはしっかりと研究をする必要があるんじゃないかと、問題意識をしっかり持たせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/104
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105・大塚耕平
○大塚耕平君 是非よろしくお願いいたします。
今日はもう一問お願いをしておりますけれども、質問に入る前にちょっと御紹介をしておきたいんですが、この財金の委員の皆さんに毎月月初にお配りいただいている、こういう国債関係資料というのがございまして、大臣。これは、異次元の金融緩和が始まって日銀のバランスシートがどんどん膨張している過程で、平成二十七年二月二十六日の当委員会において、やはり毎月この日銀のバランスシートの状況や日銀の持っている国債の残存期間等について継続的にデータを開示してくださいということを理事会にお願いをして、理事会が了解をしてくださってずっと配られている資料です。そのときお願いしておいてよかったなと思うんですが、もし機会がありましたら事務方から資料を入手して御覧いただきたいんですけれども、例えば日銀のマネタリーベースの対名目GDP比は、安倍さんが総理に就任された二〇一二年十二月には二八%、黒田さんが総裁になった二〇一三年の三月には二九%ですが、そこから九年たって、今は一二三%。最大は去年の十二月の一二四ですが、まあこれまた更新していくと思います。
それから、日銀の総資産の対名目GDP比は、同様に、二〇一二年の十二月は三二%、翌年の三月、つまり黒田総裁が決まったときには三三%、今は一三五%。まあこれは去年の八月と同じ、ピークですね。相変わらずピークをこうやって更新し続けているんですが、大分年数たちましたけれども、私も元中央銀行員で、元日銀職員からすると、これは背筋が寒くなるような数字であります。
それで、いろんなことを考えて、異次元金融緩和とその後のコロナ対策の超金融緩和もありますので、これは出口戦略なんかも絡めながらいろんな工夫をしていかなきゃいけないんですが、その一環として、去年の総選挙のときに、日銀保有国債の一部を永久国債化するということ、もちろんそれだけではなくて、別途持っている資産、例えばETFとかですね、REITとか、これは一方で売却するということもセットで提案しているんですけれども、この日銀保有国債の一部永久国債化というこの手法について、現時点で大臣の御所見を伺いたいと思います。御発言いただく前に、これは去年の十一月の本会議で岸田さんにお伺いしたところ、一蹴されるかと思ったら、岸田さんは慎重に検討が必要な事項だと思いますと、こういう御答弁されました。その上で、大臣の御所感をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/105
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106・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 日銀保有国債の一部永久国債化の手法について御提案がございましたが、金融政策の具体的な手法そのものにつきましては、日銀の独立性を尊重するということで、金融緩和の出口の在り方を含めて日銀に委ねられるべきものと考えておりますが、その上で、財源確保のために日銀保有国債の一部を永久国債化することは、政府が日銀の機能を利用して財政調達を行うことになるものと考えられ、財政ファイナンスとのそしりを受ける懸念がございます。
その場合、財政及び金融政策の独立性に対する信認が損なわれ、日本国債の金利が急騰するおそれがあるなど、国民生活に多大な影響を及ぼし得る多くの問題点があるんだと思います。
そういう問題点を踏まえながら、総理がおっしゃったことと合わせていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/106
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107・大塚耕平
○大塚耕平君 ありがとうございました。
この提案をもし実行するときには、これは財務省に永久国債を発行してもらわないとできない話でありますので、今後いろいろ議論をさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/107
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108・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
今、大塚委員の質問を聞いていまして、ソ連、ロシアがウクライナに侵攻した、侵略していると、これに対するそのカウンターアタックですね、こういうやり方があるんではないかというお話を聞いておりまして、まさしく、その何か、まず流動性を止めると。その後は、ソルベンシーですよね、弁済可能であるかどうかというところを止めてしまうというのがカウンターアタックとして有効ではないのかというお話を聞いておりまして、私は、まあ二年前からコロナに私たちは攻められていて、コロナが攻めてきて、我が国あるいは世界の経済に起きたのと同じようなこと、順次いろいろなことが起きてきて、私たち困っているわけですけれども、それを逆手に取ってロシアを懲らしめるというか、戦争をやめさせるというふうに、こう二重写しになりまして、なかなか興味深いお話をしていただきましたので。
黒田総裁お越しでございますので、私は、中央銀行の総裁が、マクロ経済政策に関して、とりわけ財政、金融ではなしに財政政策に関して、一バンカーとしてどのような御意見をお持ちなのかということをお聞きするために来ていただいているわけでありますけれども。それに先立って、今の大塚先生のお話ではありませんけれども、私たち日本人あるいは日本が、あるいは世界、世界経済がどういう立ち位置にあるのかというところから質問させていただきたいと思っているんですけれども。
コロナが、日本だけでなしに世界やられているわけですけれども、コロナが襲ってきて、その新型コロナウイルス、COVID―19というのが発見されて人類に襲いかかってきて、まずどういうところをやられたかというと、需要がまずなくなってしまったと、人が来なくなって需要が飛んでしまったと。それだけだと、手持ち資金の問題、流動性の問題だけで終わったわけでありますけれども、それが長引くにつれて、単に需要面だけでなしに供給面にも事が及んできていると。だから、最初、その流動性を何とかしなければならないと、リクイディティーのところですよね。だから、お金を供給すると。で、企業に関しては融資をすると。そこで、今その段階だと思っています。
これが更に長引きますと、政府としても、資本性資金を注入とかいうことで、こっちの、BSでいうと負債の方のエクイティーのところにお金を放り込んでいるんで、不良債権化する可能性があると。だから、ソルベンシーリスクといいますかね、そこに至ってしまっては困るなと思っている、その前段にあると、私たちはいると私は思っております。
同時に、コロナにやられて、国によって回復の度合いが違っております。それで、先に回復している例えばアメリカとか、そのほか幾つかの国ありますけれども、そういうところでは経済が回復して、そして十分なお金を供給したので物価が上がっていると。物すごく物価が上がって、アメリカなんかではインフレの状態であると、だから金利を上げていく必要があると。これに対して、日本はまだそこまで経済が回復していない。
したがって、金利の低いところと、まだ異次元の緩和と言っている国と、経済が回復してインフレをどう抑えていったらいいのか、金利を上げざるを得ないと、そういうところに追い詰められているというか、そういう状況にある国とますます金利差が開くと、これはまた円安、為替の問題になるわけですね。同時に、オイル高、原油高の問題があります。だから、そういう状況の中で、このウクライナの、ロシアがウクライナを侵略するという事態が起きていると、これが私の理解なんですね。
黒田総裁にまずお伺いしたいのは、先日、指し値オペというオペレーションをされております。この時期にどうして、申し上げておりますように、アメリカなんかはインフレが物すごくて、それで金利を上げてこれからいくだろうと、FRBなんかもそういう予告をしておりますけれども、そういうさなかにあって、指し値オペというのをされたその意図といいますか、目的ですね、目的と、それから政策の効果としてどういうことを期待されておったのか、この二点について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/108
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109・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、日本銀行は、いわゆるイールドカーブコントロールの下で十年物金利がゼロ%程度で推移するように必要な国債の買入れなどを行っているわけですが、その際、このゼロ%程度という長期金利についてはプラスマイナス〇・二五%、この幅で変動するということは想定していたわけです。
ただ、そうした下で大幅な金利上昇が起こったりした場合には、一定の利回りで金額の制限なしに国債を買い入れるという指し値オペ、あるいはそれを連続して行う連続指し値オペなどの手段を持っているわけですが、先月十四日には御指摘の指し値オペを実施したわけです。これは米国の長期金利上昇の波及に伴う我が国の国債金利の上昇圧力を抑制するためでありました。
まさに委員御指摘のとおり、米国はコロナから急速な回復を見せておりまして、既にGDPはコロナ前の水準をかなり上回っておりますし、インフレ率は七・五%に達しているということで、FRBの議長は金利を引き上げるという姿勢をはっきりと明言しておられますけれども、一方、我が国の場合はコロナの影響からの回復がまだ完全にはなっておりませんでして、昨年の第四・四半期のGDPは五・四%成長しましたけれども、それでもまだ、コロナ前の水準にまだ達していないというところであります。
それから、物価上昇率は、最近の上昇率はプラス〇・二%ということで、米国のようなインフレの状況には全くなっておりません。したがって、こうした下で、先ほど申し上げたイールドカーブコントロールによって、経済の回復、そして二%に向けた物価の上昇を促進していくという目的で行っております現在の大幅な金融緩和というものは当分続けていく必要があると。
したがって、それに対して、米国の影響でやや長期金利が急上昇したものを止めるという意味で指し値オペを行いました。結果的には指し値オペをアナウンスすることによって実際には国債の買入れは必要なかったわけですけれども、その結果、先ほど申し上げたような金利の幅の中に落ち着いたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/109
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110・浅田均
○浅田均君 これ、アナウンス効果はあったって、結局これ、今回買い入れますよと、〇・二五%だったら無制限に買い入れますよとアナウンスされて、実績というか、実績はどうだったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/110
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111・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 今申し上げましたように、実績は買入れゼロでした。アナウンスしたことによって、長期金利が先ほど申し上げた幅の中に落ち着いてきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/111
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112・浅田均
○浅田均君 実際にその、何回もやるとこれはオオカミ少年みたいになると思うんですけれども、アナウンス効果というのがほぼほぼ本来の目的であって、実際幾ら来るかというのは余り考えていなかったという理解でいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/112
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113・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 過去に何度か指し値オペを行っておりますけれども、多くの場合に実際には買入れがなかったわけですけれども、かなりの額の買入れを行ったこともございます。
元々イールドカーブコントロールの下で十年物国債金利をゼロ%程度、プラスマイナス〇・二五%の幅で変動するという形にするために随時国債の買入れを行っております。それがベースにあって安定していたわけですけれども、時にですね、この間のように米国の金利上昇の思惑が非常に強くなって米国の長期金利がかなり上がったときに日本の長期金利も上がったので、それは、先ほど申し上げたような日米の経済、インフレ、その他の状況からいってかなり違いますので、そういった長期金利の上昇は望ましくないということで指し値オペを行ったということになります。
今回はそういうことで一切買い入れる必要もなかったんですが、過去にやはり買い入れたこともありますので、指し値オペというのは、そういう意味では、ラストリゾートではないんですけれども、非常に急速に長期金利が上がったりしたときには非常に有効なものだと思いますけれども、基本的には、イールドカーブコントロールで長期金利が安定するように必要な国債の買入れを行っていくというのが基本だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/113
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114・浅田均
○浅田均君 今の御発言の中に指し値オペがラストリゾートではないと、最後の手段ではないと、何か、それならお心の中にこれが最後の手段だというのは何かあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/114
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115・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 別にラストリゾートというのは、ほかに何もなくてどうしようもなくてやるという意味ではなくて、国債の買入れを適宜行っておりまして、それがイールドカーブの安定に貢献していることは事実なんですけれども、時に急速に外国の長期金利の影響などで上がったりした場合にはその指し値オペというのは極めて有効ですので、そういう意味では、常時使う手段というわけではないということですけれども、これは必要に応じて利用し、かつ効果も十分あるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/115
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116・浅田均
○浅田均君 また今の御発言の中で、私が理解しているYCCという、イールドカーブコントロールというのは短期金利をマイナス〇・一ぐらいにして、長期金利、十年がゼロぐらいになって、それより先がプラスになるというようなカーブを想定、想定って、理解しているんですけれども、それとその今回の指し値オペというのは、何かこれを強固なものにする、あるいは何かこの組合せですね、こういうイールドカーブコントロールをしているさなかに指し値オペをやるという、この二つの関係はどういうふうに整理したらいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/116
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117・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、イールドカーブコントロールの下で、短期の政策金利、これ日銀当座預金のごく一部ですけれども、それにマイナス〇・一%の金利を付けると、そして十年物国債金利をゼロ%程度に維持するように国債の買入れを行っていくということによって、超短期と十年の金利というものを設定して、その下で、御指摘のような形で、適切なイールドカーブ、特に十年を超える、二十年、三十年といった超長期債についてはある程度プラスでないとかえって年金基金とかなんかの利回りが大きく低下したりすると、それが消費者のコンフィデンスに影響したりするマイナスもあり得ますので、超短期のマイナス〇・一%、そして十年のゼロ%程度というところできれいなイールドカーブを描いて、特に超長期のところはある程度プラスになるようにしていくということで、十年物国債だけじゃなくて短期とか中期とか、それから長期、超長期の様々な国債を組み合わせて購入することによってそういった望ましいイールドカーブをつくっているわけです。
それが基本なんですけれども、その下で、時折、十年物金利がプラスマイナス〇・二五%の幅を超えてよその国の需要などによって大きく変動する場合には国債の買入れを増額するということもできますし、それから指し値オペといった形で極めて効果的に、即そういった異常な上昇を止めるということができるので、その両者は別に矛盾するものではなくて、むしろイールドカーブコントロールの下で適切な国債買入れを月々行っていくと。それが基本ですけれども、時折、長期金利が急に上がったりした場合には、この指し値オペでそれを止めるということがイールドカーブコントロールをする上でも非常に有益であるというふうに考えておりますので、必要に応じて利用していくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/117
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118・浅田均
○浅田均君 黒田総裁のお話を聞くことは、白川元総裁の本、僕、いろいろ読ませていただいているんですけれども、あの本よりもはるかに面白いというか興味深い御発言がいろいろ出てくるので、鈴木大臣まで質問しようと思ったんですけど、そこになかなか至らず、あとシリーズで二回、三回とやる必要があるのかなという思いを残しつつ、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/118
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119・大門実紀史
○大門実紀史君 大門です。
今もありましたけど、ロシアへの経済、特に金融の制裁、本当に知恵と力を集中して、政府挙げて取り組んでいかなきゃいけないし、今、大塚さんと浅田さんのお話聞いていて、やっぱりかなりレベルの高い議論をされたと思うんですけれど、この問題で、このロシアに対する金融、特に金融制裁の問題で集中審議をやるぐらいの価値は、価値というか役割がある、責任があるんではないかと思いましたので、またそういうことも考えていっていただきたいなと思います。
今日は、鈴木大臣とは初めての質疑になります。よろしくお願いしたいと思います。麻生大臣とはもう八年九か月議論しまして、大体お考えのことは、もう麻生さんの場合は、時々意味不明のこともありましたけど、大体分かるんですけど、分かったんですけど、鈴木大臣とはこれからということでございますので、まず、経済全体について、経済の在り方について、大臣あるいは政治家の鈴木さんとしてどういうふうなお考えをお持ちなのかということをお聞きしたいなと思っております。予算委員会や本会議で岸田総理には伺った点とダブりますので、そんなに難しいことを聞くつもりはありません。
まず、もう通告してありますから財務省が多分答弁書いろいろ書いていると思うんですけど、余りこだわらずに、御自分の自由なお考えをも述べてもらえれば、麻生さんいつもそうでしたから、お願いしたいなというふうに思います。
まず、資料を配りましたので、資料を見ながらということで結構なんですけど、日本は成長できない国になったということがこの間いろいろ指摘されております。本会議では言葉だけ、数字だけ言いましたが、それがグラフがこれでございまして、二〇〇一年から二〇二〇年の年平均のGDP成長率で、名目でいきますと、これは数字入れていませんが、アメリカは三・六五、EUが二・五九、日本は僅か〇・〇六であります。実質で見ても、日本はアメリカの約四分の一で、EUの半分以下ということになります。
なぜなのかということをやっぱり今問うべきで、いろんな政策の下に、この認識がないとこれからの政策間違うんじゃないかと思うんですけれど、まず、鈴木大臣は、なぜ日本の成長率だけがこんなに落ち込んだのか、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/119
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120・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) この表を見てまず感じますことは、やはり日本は長らくこの間デフレの状況にあったということだと、こういうふうに思います。一九九〇年代、バブル崩壊以降、一つは生産年齢人口が減少する中でデフレが長引きました。企業は投資や賃金を抑制をして、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷、デフレが更に加速、企業に賃上げを行う余力が生まれにくい悪循環が生じたんだと思います。そのことによって日本経済は低成長が続いてきたと、そのように承知をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/120
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121・大門実紀史
○大門実紀史君 本会議で岸田総理がお答えいただいたことと全く同じで、それはそうだと思うんですけど、少し詳しく、次の資料、二枚目なんですけど、一人当たり実質賃金の伸び率の国際比較なんですね。これは九一年からずっと長いスパンで取っております。
九一年から日本はバブル後の落ち込みがずっと続いてきました。実質賃金も抑えられたというのは分からなくはないんですけれども、EU、いや、アメリカと、欧米はこの九〇年代の終わり頃まではいろんなことが続いて、通貨危機だとかいろんな金融不況だとかですね、余りそう伸びなかったんですけれども、大体九九年辺りからずっと実質賃金が伸びていきます。しかし、日本はずっと伸びないということなんですね。
日本だけが通貨危機に襲われたわけでもなければ、世界的な不況に巻き込まれたわけでもありません。ほかの国は伸びていったのに、日本は伸びないと。この原因は何だとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/121
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122・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) いろいろ要因はあるのかもしれませんが、我が国において、いろいろな国内投資、IT投資とか人的投資、それを含む設備投資の伸びが主要先進国と比べて低調に推移した中で、競争力が低下をして、このような結果につながっているのではないかと、そのように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/122
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123・大門実紀史
○大門実紀史君 競争力、生産性でいくと、一人当たりは伸びているんですね。でも、賃金は伸びていないんです。それは、本会議のとき申し上げましたけど、何が起きたかなんですが、やっぱり二〇〇〇年、二〇〇一年ぐらいから特にそうなんですけれど、一九九五年に日経連、当時の日経連が新時代の日本的経営というものを出しまして、それまでは、大体正社員が当たり前の日本社会で、日本的経営といって、それが日本の企業の強みと言われてきたんですね。それが、いわゆる新自由主義的な転換をやって、九五年に新時代の日本的経営というのを出して、政府もそれに応えて、新時代の日本的経営というのは、もう正社員が当たり前じゃないよと、非正規雇用を増やしますよと、賃金毎年上がると思わないでくれよというようなものなんですけれども、それに基づいて非正規雇用を増やす派遣法の改正をやって、どんどん増えてきたと、低賃金の労働者が増えたと、不安定雇用が増えたと。
これ私だけが指摘しているわけではなくて、ミニ経済白書も指摘しておりますけれど、そういうことがあったのでほかの国とは、ほかの国も非正規雇用は伸びているんですけど、やっぱりいろんな手を打っているんですね。消費が落ち込まない、賃金全体が落ち込まないようにやっているんですが、日本は非常に極端にですね、それやったためにずっと伸びないと、低賃金構造が固定化されてしまって伸びないのではないかというふうに思います。
もう一つ、次の資料を見ていただきますと、それが、家計消費伸び率の国際比較とありますが、当たり前なんですけど、賃金上がりませんから家計消費が伸びないというふうなことにつながっていくわけですね。さらに、次のページ、これ、みんなあれですから、政府が出している資料ですから。次のやつは可処分所得の伸び率ですね。可処分所得ですから、税や社会保険料を引いた後ですけれども、いわゆる自由に使える所得ですが、これも諸外国に比べて、欧米に比べて全然伸びないという事態になっております。
この可処分所得が伸びないというのは、またもう一つ意味があると思うんですが、その辺いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/123
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124・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) やはり、社会保障費の負担でありますとか、あるいは税の負担とか、そういうものも影響しているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/124
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125・大門実紀史
○大門実紀史君 もう細かい資料一々全部付けてませんけど、いわゆる国民負担率が高い国は、負担が高いと経済を阻害するというようなことを言われてきたときがあったんですよね、ずっとね。全然そういう結果になってないんですね。国民負担率と経済成長とは関係ないというのがこの間出ておりますよね、OECDから、IMFからですね。そういう中で、この可処分所得が、重くなっても、重い国も経済は伸びているという関係があるんですよね。
ですから、言いたいことは、今おっしゃいましたけれど、ほかの国は、税や社会保険料負担以上に、やっぱりその前の所得が伸びたんだろうということが一つ言えるわけですね。したがって、おっしゃったように、税と社会保険料の負担もあるんですけれど、大本の所得が伸びなかった、その原因がやっぱり特別に日本はあるんではないかということが言えるんではないかというふうに思います。
資料はありませんが、本会議のときに申し上げたんですけど、競争力という点で落ちているわけですね。これはスイスのシンクタンクですけれども、競争力ランキングというのをずっと発表していますけど、一九九〇年代というのは日本はもう競争力一位だったんですよね。直近では三十四位に落ち込んでおりますし、これも本会議で申し上げましたけど、半導体は八〇年代は世界一のシェアを有していましたけど、今や韓国、中国に圧倒されて、半導体どうしようということを今慌てていろんな手を政府は取ろうとしているような事態になっております。それだけじゃなくて、半導体だけじゃなくて、いろんな製造業、一番最先端で頑張らなきゃいけない電気自動車の生産も大変遅れていると、追い付けないと、頑張っているけど追い付けないという状況になっております。
これは本会議のときに岸田総理は明確にお答えされなかったんで、ちょっとじっくり聞きたいんですけれど、なぜ日本の競争力が急にここまで落ち込んだのかというところはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/125
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126・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほども述べましたけれども、日本では、低い経済成長と長引くデフレによりまして、企業収益が国内投資に十分向かわずに現預金が増加をしている状況が続いている一方で、人的投資、IT投資を含む設備投資の伸びが主要先進国と比べて低調に推移する中で競争力が低下してきたと、そのように承知をしております。
こういう状況に対しまして、岸田政権では、新しい資本主義の下、市場や競争に全て任せるのではなくて、官と民が協働して賃上げ、人材投資といった人への投資やデジタル化など、我が国の課題を投資分野とすることで、課題を克服しながら競争力を回復をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/126
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127・大門実紀史
○大門実紀史君 その前段の方ですね、前段の方をちょっとばくっと、そういう話じゃなくて。
日経新聞がこの点については何回か特集をしておりまして、非常にリアルな分析をしております。中国、韓国で何が起きてきたのかというのを含めてですね。
それを参考にいたしますと、要するに、ITバブルが起きた頃、二〇〇〇年前後とかですね、IT不況でああなったときに、日本企業の対応が、どこだってあのときはITバブルとかあったんですけれど、人は大事にしたんですね、ほかの国は。日本はそのときに、目先の、もうその当期の利益を何とか出すためにやっぱり人を整理するということで、私もあの当時、二〇〇〇年初め、二〇〇一年、二年ぐらいですかね、特に大阪のIT関係とか電機メーカーの大リストラの調査に行って国会でも取り上げさせていただいたんですけれど、あの松下でさえ、人を守ってきたパナソニックでさえ、とうとうリストラに踏み切るということで、当時、技術者の方々ともお話ししましたし、私の兄は実はソニーにおりまして、当時ね、ソニーでも、ソニーというのはやっぱり人を大事にしてきたパナソニックと同じようなところがあるんですけど、相当、これから育つべき、育つような若い人たちも含めてリストラをして、そのときに何が起きたかというと、中国がやはり日本の人材を欲しがって、日経新聞によると、二〇〇〇年代半ばにはもう何千人という規模で日本人技術者が中国企業で働いていたというのを調査して報道しておりますよね。
当時、韓国企業は何をやったかというと、そういう人たちに向けてヘッドハンティングをやったと。日本よりも、そんなリストラされそうとか賃金下げられるとか早期退職を求められるならば、もっと高い給料出せますからということで、韓国の企業はどんどん人を、日本人をヘッドハンティングしたと。その後はもう御存じのとおり、ファーウェイにしろサムスンにしろ急成長するわけですね。これはもう日本人技術者がその礎をつくったわけであります。
そのことが一番の原因だと。日本はやっぱり技術で発展してきた国ですから、資源がない国ですからね、ということを踏まえないと、口だけ人の投資とかなんとか言ってもやっぱり違うんじゃないかと思うんで、そこのところの反省といいますか、きちっと持っている必要が、これ、日本の企業の在り方のことなんですけど、思うんですよね。
それを政府もそういうことを意識して、次の人への投資の支援とかも考えるべきだと思うんですけれど、そこのところの問題意識の捉え方が重要だと思うんですが、鈴木大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/127
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128・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 当時のやはり企業戦略というのもあって、今から思うと、企業戦略的にどこに投資をして力を入れていくかというのが見誤った部分もあると思います。それと同時に、大門先生おっしゃったように、技術者がヘッドハンティングされるというようなことの中で、日本で培ってきた技術が海外に流出されて海外でのその分野の発展の種になっていったということ、こういうこともあるんだと思います。
一九九〇年代以降の日本の経済の低迷ということをやはりいろんなところで分析をして今後に続けていかなければならないのではないかと、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/128
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129・大門実紀史
○大門実紀史君 今はもう、その当時、当時のというか、まあ今も続いているんですけど、いわゆる株主資本主義という株主の、経済がこれだけ金融化、マネー化しますと、株主株主ということになって、株主資本主義ということが批判、今もう批判される流れになりましたけど、当時は物言う株主とか株主株主というときがあって、働いている人たちよりも取引先よりも株主にいかに配当するかとか株価を上げるかばっかりをやった結果の一つがそういう人をコストとして考えるような経営になったと、なったんではないかということで。
その点では、新しい資本主義というのはいまだよく分からないんですけれど、岸田総理のお話を伺っていると、株主資本主義に対して公益資本主義というような考え方が打ち出されてきて、自民党の、参議院の自民党の若手の方々の中にもこの勉強会をやられたり、あるいは岸田さんが、その自民党の中の公益資本主義の勉強会なんですかね、呼ばれてお話しされたことも知っておりますので、新しい資本主義というのは要するに、そういう株主のことばっかり考えるんじゃなくて、ステークホルダーという言葉が本会議で出ましたよね。そういうステークホルダーのことも考えていくような資本主義のことをおっしゃっているのかなというふうに思いますけれど、鈴木大臣、いかが捉えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/129
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130・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ここのところ企業が業績好調で内部留保も大分たまっているということで、それが結局、人の投資あるいは新たな発展に向けての様々な投資に向いていないということがずっと続いているわけであります。
そういう中におきまして、岸田総理においては、民間だけでなく、民間と官も協力をしながらそういったものを、まずは賃金を引き上げていく、それからリカレント教育も含めて人への投資に振り向けていく。そして、たまった内部留保についても、なるべく設備投資等新しいこの技術の発展につながるようなところに振り向けていくと。そういうことを総合的に考えているんだと理解をしております。
岸田総理のお考え全てを言っているわけではございませんが、そういうことが今重要だと総理も考えているんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/130
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131・大門実紀史
○大門実紀史君 そうですね、岸田総理が直接公益資本主義というお言葉をお使いになっているわけではありませんが、伺っていると、あのときの議論をかなり反映されておっしゃっているのが新しい資本主義かなというふうにも思います。
そうすると、やっぱりおっしゃったように、従業員のことをもっと大事にするとか、取引先の、特に中小企業を大事にするというようなことが重要になってくると思うのと、同時に、次の資料に、お配りしましたけれども、まさにそういう経営の結果どうなったかというのがこの資料で、これとその次の資料もそうですね。これも、もう、これは予算委員会で御説明したかと思いますけれど、二〇〇〇年までは売上げも伸びて利益も伸びて、そして内部留保も積み上がったと。この時期は賃金も一定上がったし、設備投資も一定伸びていったということで、健全な時代といいますかね。
ところが、二〇〇〇年以降は、先ほど言いました、やっぱり賃金抑え込みの政策が続いたので、売上げは横ばいの中で賃金を抑え込んで利益を増やすということになって、そして結果的には、次のページですよね、大企業の財務の動向ですけど、これは新しい資本主義実現会議で、もうとうとうあれですよね、政府の会議でもこういう資料を、今までこういうの共産党しか出さなかったけど、政府の会議でもこういうのが出るようになってきたんだなというふうに思いますよね。
人件費は横ばい、設備投資逆に減っている、だけど配当金は増えるし、あっ、利益は増えて配当金に回して、内部留保は増えて、そして、内部留保というのはどこかにそういう勘定科目があるわけではありませんから、バランスシートの反対側ですけれども、現預金が倍増すると。金余り現象、余剰資金が増えたということになるわけであります。今、それはもう鈴木大臣がおっしゃっていただいたとおりの流れになっているわけですね、なってきたわけであります。
そこで、これも本会議、予算委員会でも提案いたしましたけれど、このたまりにたまった内部留保ですね、どうするのかと。これは、賃金を抑え込んだ、設備投資を抑え込んだ、だから増えたというのはもう政府もそこまでお認めになっていますけど、私、減税した分ですね、特に、余り遡ると訳分からないですから、少なくとも安倍政権のときに法人税減税行われましたですね。あのとき、ここでも議論しましたけど、なぜ法人税減税やるのかというと、賃金引上げに、設備投資に回してもらうためだということを明確におっしゃっていたわけですけど、さっきの資料に見ると回っていないわけですね。
つまり、する必要のなかった減税をしたのではないかと。全部とは言いませんが、かなりする必要のない減税をして、それが内部留保に積み上がったのではないかということは、もう蓋然性として十分考えられるんですけど、財務省として、少なくとも安倍政権での減税が内部留保に回ったという点はいかが捉えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/131
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132・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生がお示しになった資料にもあるわけでございますけれども、政権交代以降、高水準の企業収益を背景として内部留保が増加をしてまいりました。これが当面使う当てのない現預金として保有されている場合、経済の好循環につながりにくいことから、経済成長を実現していくために、今賃上げや設備投資に向かうことが重要であると、そういうふうな認識を持っております。
そして、この間、法人税等の引下げがあったわけでありますが、これは、稼ぐ力のある企業に対して、結局それがまた企業の利益になって、現実としては内部留保がたまるというような格好になっておりますけれども、まさに賃上げとか設備投資に回してもらいたいと、そういうインセンティブのためにも行われたものであると、そういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/132
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133・大門実紀史
○大門実紀史君 おっしゃったとおり、あのときは安倍総理も麻生財務大臣も本当に本気で賃上げへ回すべきだと、内部留保をですね、あるいは設備投資もっと回すべきだというような議論されていましたから、あのときの法人税減税の目的はそういうことが強くあったというのはもうそうだと思うんです。結果的にそうなっていないんじゃないかと、全部とは言いませんけどね、それを指摘しているところでございます。
そこで、これは初めて鈴木財務大臣あるいは財務省に聞くんですけれども、内部留保に課税するという案を発表しました。今までもこの議論は、議論だけは幾つかあったんですよね。韓国や台湾がどうしたとかいろいろあって、フローといいますかね、内部留保に回す分を減らさせようというふうな内部留保課税というのはなかなかちょっと難しいところがあって、効果はどうなんだとかいろいろ議論があって、韓国もやり方変えたりですね、あったりするんですけど。
私たちの提案は、対象は、対象は内部留保だと、対象はですね、いう考え方で、ストックを、ストックを対象にしたというのは初めての、世界でも初めての提案かも分かりませんけれど、そういう提案でございます。ただし、何もかもに掛けるわけじゃなくて、内部留保が増加した分から設備投資の増加額を引くと、あるいは給与を引き上げた増加した分を引くと、あと環境に回した分、SDGsもありますので、その分引くということで、先ほど現預金が倍になっているというのがありましたが、何も全部よこせとか全部返せといった話では更々ありません。ほんのその一部を少なくとも還元したらどうかという案でございますね。
今、九十・四兆現預金があります。大企業の内部留保、大企業というか、内部留保というのは企業にとって、本会議で申し上げましたけど、必要な貯蓄でありますから、ゼロにしろなんて更々思っておりません。ため過ぎではないかという点だけ申し上げているわけでいうと、この現預金の九十・四兆というのはちょっと幾ら何でもと、幾ら何でもこんな余剰資金はあり過ぎじゃないかということは、これでここは分かると思いますが、そういうのがありますので、ありますけれども、いろいろ考慮して二%の税率で、ストックの方を描いていますので、ずっと恒常的にというわけにはいきませんから、五年の期間限定でということで考え打ち出しております。
使い道は、十兆円程度の財源になりますので、元々賃金を抑えて、まあ減税もありましたけど、賃金を抑えた分がありますので、賃上げにやっぱり使うべきだということで、この間政府の方も力を入れよう、力を入れようとされている中小企業、最低賃金引上げ、その中小企業支援に大胆に回したらどうかということですね。
中小企業、最低賃金引上げと中小企業に大胆な支援というのは、安倍政権発足した最初の頃に、ドイツとフランスで経済対策として、大きな経済対策として、引上げで、中小企業大変だろうという手当てじゃなくて、中小企業にも大胆に支援して最低賃金も引き上げるという大きなパッケージの経済政策として、アメリカとフランスでやったのが参考になりますよということで御提案して、安倍首相も、ちょっと研究させてくれということで担当者が私のところに来て、フランスとアメリカの詳しい資料下さいと来られたことがありますけれども。
積極的な方向でそれは捉えられたと思うんですけれども、ただ、賃上げ額がちょっとちまちまちまちましていて経済対策にならない、ほどにはならないし、中小企業支援もちょっとね、本当に微々たる支援で、ああいうのじゃなくてもっと大胆な支援をやるべきだということで、この十兆円を、アメリカは三年ぐらいで毎年百五十円、二百円レベルで上げていましたから、そういう大胆なことに、もちろん中小、小さいところの配慮とか、ちょっと別に適用除外とかいろんなことをやらなきゃいけませんが、そういうことに使うためにこの十兆円を回したらどうかというような提案でございます。
財務省としての見解というのは初めて聞くことになると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/133
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134・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 大門先生の御提案は、内部留保に課税をして、それで期間、時期も限定的にやって、そうするとある程度、十兆円ぐらいの税収があって、それを人への投資の充実のために使えという御提案だと、そういうふうに理解をいたしました。
それで、十兆円の前にですね、その内部留保に対する課税でありますけれども、財務省といたしましては、これはやはり二重課税に当たるのではないかと、こういう指摘がございますので、内部留保への課税につきましては慎重な検討が必要になると、そのように考えているところであります。
一方において、先ほど来申し上げておりますが、内部留保をため込むだけではなくて投資や賃金引上げ等に積極的に取り組むことは重要であると考えておりまして、そのための、今般、税制改正において、成長と分配の好循環の実現に向けて賃上げに係る税制措置を抜本的に強化をするオープンイノベーション促進税制の拡充を行うとしたところでございます。企業においては、こうした税制措置も活用して、成長と分配の好循環の実現に向けて積極的な賃上げや設備投資に取り組んでいただきたいと考えております。
内部留保についての課税、二重課税に当たるという御指摘で、先ほど先生から、このストックに対する課税であり二重課税には当たらないのではないかというような御指摘もあったやに聞きましたけれども、委員御指摘の内部留保、ストックは法人税が課税された後の利益剰余金、フローが積み上がったものであると認識しておりまして、それに課税することはやはり二重課税に当たるとの指摘があると、そういうことも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/134
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135・大門実紀史
○大門実紀史君 正確に言いますと、財務省はそういう、経済界がよく言うんですね。今回は、減税し過ぎた分、つまり課税が少なかった分を更にもらおうという話だから、二重課税の論とは違うんですね。
ただし、財務省、今正確に聞くと、財務省は、そういう見解もありますということを最後付け加えておられるんですよね。といいますのは、これはもう前から、ほかの党も含めていろいろ言ったときに、経済界が二重課税になるから駄目だとずっと言い続けるわけですね。そういう見解を財務省が、財務省自身が持っているんですかと聞いたら、そこはノーコメントなんですね。そういう見解がありますよとしか言わないんですね。
なぜかといいますと、実は二重課税というと今もいっぱいあるわけですよね。相続税関係もあれば、まあ分かりやすいのは所得税で取られて、また消費するときに取られて、二重課税というのは、それが駄目だという言い方をすると財務省も困っちゃうんじゃないかと思うんですね、ですよね。
だから、正確に言うと、確認しておきたいのは、おっしゃっているのは、そういう論がありますよと、そう言う人がいますよという意味ですよね。財務省そのものが二重課税ということになれば、この二重課税論、財務省と正面から、これどうなんですか、あれどうなの、全部やらなきゃいけないんですけど、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/135
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136・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 財務省で用意いたしました答弁書を読んでみますと、そういう指摘があるというふうにございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/136
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137・大門実紀史
○大門実紀史君 この議論は引き続きしたいと思います。やっぱり通常のその財界がよく言うような、その利益準備金、二回掛ける、そういう話じゃありませんので、掛かっていないものを更にいただくって話でございますので、二重課税には当たりません。
今日はもうこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/137
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138・渡辺喜美
○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美でございます。
鈴木大臣の御答弁聞いておりまして、大変お慣れになってきたなという感じを受けております。是非御自分のお言葉で答弁していただければと思います。
また、黒田総裁におかれては、大変お忙しいところ来ていただきまして、誠にありがとうございます。
この間の国連の決議ですね、ロシアのウクライナ侵略に対して、賛成が百四十か国以上、反対が五か国、棄権が三十五ですか、圧倒的に賛成が多い。でも、人口を見てみますと、大体半々ですね。世界七十八か国のうち、賛成は半分の三十九億人、反対、棄権が同じぐらい、半分弱ですよ。
こういう非常事態のときには、いつもそうでありますが、次の時代の萌芽というものが見られる。まあ、いい悪いは別として、どうも次の時代はブロック化が更に進んでいくなという印象を受けます。今まで少しずつ続いてきたことが、ゲームチェンジャーが現れることによって急加速をしていくということはよくあることであります。
棄権した国の中で何でインドが入ってんのって、私、正直驚いた。JR東海の新幹線の中でウェッジという雑誌配っていますけど、そこに面白い記事が出ていました。インドはロシアから武器を購入しているというんですね。地対空ミサイルを去年購入して、今年、実戦配備に付けているというわけで、どうもそういう腐れ縁があるようだというんですね。
インドの武器購入状況、誰が答えるのか随分もめたようですけど、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/138
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139・上田幸司
○政府参考人(上田幸司君) 防衛省からお答えさせていただきます。
委員御指摘のとおり、インドは二〇二〇年時点で世界第一位の武器輸入国でございますけれども、伝統的にソ連時代から、ソ連、ロシアとこの分野で関係深うございます。
金額で申し上げますと、二〇二〇年時点で三五%、約三割以上、これは大分以前よりは下がっておるんですが、それでも一番大きいと。それは、先生御指摘のとおり、地対空ミサイルはS400のことだと思いますけれども、こういったものを最近購入している、あるいは、単に購入しているだけではなくて、技術の支援ですとかライセンスを受けまして、かなり多くの軍事装備、武器をロシアから調達したり支援を受けていると、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/139
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140・渡辺喜美
○渡辺喜美君 インドがソ連から、ロシアから武器を購入するというのはパキスタン対策ですよ。しかし、これ日本の安全保障にとっても決して無関係ではないですね。インドがパキスタンばっかりの体制になっちゃいますと、今度は中国がインド向けのミサイルを、じゃ、日本向けに配備し直すみたいなことだってあり得るわけでありますから、こういうことには関心を持ってやっていかないといけない。早い話が、ブロック化が好むと好まざるとにかかわらず進んでいくとすれば、インドは是非こっちの方に引き付けておかなければいけないと思うんですね。
防衛省、お忙しいですから、どうぞ帰って結構です。委員長。帰って結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/140
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141・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 上田審議官においては中座して結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/141
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142・渡辺喜美
○渡辺喜美君 先ほど来、SWIFTの話が出ておりますが、日経の編集委員の太田泰彦さんとお読みするんでしょうか、面白いことを昨日電子版に書いていましたね。SWIFTというのは、ベルギーに本部のある協同組合だが、実は第二データセンターがバージニア州にあるんだと、CIAの本部があるところですね。そこでリアルタイムで情報を同期していると。つまり、アメリカのインテリジェンスですよ、金融インテリジェンスという側面もあったんだというわけですね。
SWIFTを排除するというのはイランでも行われた。けれども、これについては、例えばバンコ・デルタ・アジアのときのようにSWIFT排除をやらないで相当効果を発揮するやり方もあったわけですね。どうも国務省とアメリカ財務省との関係で、国務省が先走ったんじゃないかという説を唱える方もいらっしゃるわけであります。
今回、じゃ、例えば、完全にこれで締め上げるかというと、先ほど来御議論ありますように、そうではないですね。例えば、天然ガスをロシアから輸入する、その代金を制裁対象になっていない銀行経由で払うというのは可能ですよね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/142
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143・三村淳
○政府参考人(三村淳君) 恐れ入ります。
一般論といたしまして、日本の企業が、SWIFTから排除されていない金融機関を通じまして制裁対象ではないロシア企業に対して支払を行うということは禁止をされておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/143
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144・渡辺喜美
○渡辺喜美君 ネトフリのオリジナルドキュメンタリーで、ウォーター、オン、何と言ったっけ、ウィンター・オン・ファイヤーか、というのがあって、これ、二〇一三年にヤヌコビッチ大統領が、この人一回、二〇〇四年ぐらいに追放されているんですけど、復帰して、もう一回追放される、国内クーデターといいますか、騒乱があったんですね。それ見ていて、ウクライナ人の一旦手に入れた自由、独立、これを守ろうとする士気、モラールがいかに高いかということを感じました。今回、プーチンも引くに引けない、大体、独裁者というのは、政治を動かす原理として、脅迫というのを使いますね。それから利益の供与、象徴の操作、シンボルの操作、この三つですよ。特にプーチンのような独裁者は脅迫のシステムというのを非常に使いたがるわけで、まあこれははっきり言って、制裁は相当長期にわたって、プーチン政権倒れるまで続くような気がしてなりません。
アメリカのシェールガスの世界は多産多死業界と言われて、でも、脱炭素というんで最近めっきり投資が減っちゃったというわけでありますが、林外務大臣も、大臣になられてから、何でアメリカはシェール増産しないんですかっておっしゃったそうでありますけれども、どうなんですか。どのような見通し、分析しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/144
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145・小澤典明
○政府参考人(小澤典明君) お答えいたします。
米国政府のエネルギー情報局によります短期のエネルギー見通しによれば、米国の天然ガスの生産状況は、二〇二一年には年間約七億一千七百万トンほどでございましたが、二〇二二年には約七億三千六百万トン、二〇二三年には約七億四千八百万トンまで拡大すると予想されております。また、同見通しによれば、米国からのLNGの輸出量についてですが、これは二〇二一年には約七千五百万トンほどでございましたが、今後、二〇二二年には約八千八百万トン、二〇二三年には約九千三百万トンにまで増加すると予想されてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/145
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146・渡辺喜美
○渡辺喜美君 JPモルガン・チェースという外資系銀行がありますが、そこのレポートによりますと、原油価格は百八十五ドルまで行くだろうという記載がございます。いや、今の水準でも相当きついのに百八十五ドルかよと。もうこれは第三次オイルショックと言っても過言ではない、そういう数字であります。
お手元に、毎度使うこのCRB指数のチャートというのがございます。たしかこの前このチャートをお配りしたときは、一番の底、一三〇ぐらいのときだったんじゃないですかね。それが今はもう三〇四ですよ、昨日の数字でね。
さあ、こうなると相当これは日本のCPIにも影響が出てくるなと思うんですね。インフレ目標二%というのは、実はこれ単なる物価目標ではなくて、どこの中央銀行もそうですが、雇用とワンセットの話ですよね。日本は失業率というのはそれほど高くはない、二・八ぐらいですよ。でも、御案内のように、これは相当げたを履いている数字、つまり、雇用調整助成金というやつでかさ上げされて二・八になっているんですね。ですから、実情というか実力はもっと低いと考えるべき。
一方、エネルギーだ穀物だというのがこういう具合にとんとことんとこ上がっちゃうと、まあ当然、総合CPI指数には反映してきますよね。では、いわゆるコアコアと日本で言われる生鮮食品やエネルギー価格を除いた実力の物価指数はどれくらいだったら、総務省の発表では、一月マイナス一・一ですよ。去年の十二月も十一月もマイナスですね。いや、それ渡辺さん、携帯料金のせいですよってなことを言う方がいらっしゃいますが、黒田総裁、どのように評価されておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/146
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147・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価の前年比は、一月はマイナス一・一%とやや大きめのマイナスになっておりますけれども、御承知のように、昨年春以降に実施された携帯電話通信料の引下げが、この除く生鮮食品、エネルギーの前年比に対してマイナス一・七%程度の下押し要因となっているという影響が大きいと思います。
したがいまして、こうした一時的な要因を除いた実力ベースの物価上昇率はプラス〇・六%のプラスとなっているわけですが、それでも物価安定の目標である二%にはなお距離があるというふうに評価しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/147
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148・渡辺喜美
○渡辺喜美君 私は、コアコアの数字が大事、非常に大事だと思うんですね。
ここで、じゃ、その穀物だ、エネルギーだがもうとんでもなく値上がりをした、そして総合指数が二%を超えた、じゃ、それで物価目標達成ということになるんでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/148
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149・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) もちろん、日本銀行は二%の物価安定の目標の実現を目指して大幅な金融緩和を行っているわけですが、もちろん単に物価だけが上昇すればよいというふうに考えているわけではありません。企業収益や雇用、賃金が上昇する下で物価も緩やかに上昇していくという好循環の形成を目指しております。
この点、賃金の上昇を伴わず原油などの資源価格の上昇が牽引する、いわゆるコストプッシュ型の物価上昇は、家計の実質所得の減少あるいは企業収益の悪化を通じて景気に悪影響を及ぼすために、二%目標の持続的、安定的な実現にはつながらないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/149
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150・渡辺喜美
○渡辺喜美君 まあ要は、今非常に心配されているのが、リセッションという言葉が現実のものになってくるのではないかということですよ。
アメリカでミゼラブル指数というのがあるんだそうですね。インフレ率と失業率、これを足した数字をミゼラブル指数といって、大体このミゼラブル指数が高いと大統領がすぐ替わっちゃう、選挙で落選したりするというわけでありますが。
こういうCRB指数などによっても物価の高騰が押し上げられて、そういうことに対して金融引締めをやったらどういうことになるか、それってリセッションを促進することにならないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/150
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151・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 米国の場合は、御案内のとおり、このウクライナの戦争が始まる前に既に実は消費者物価の上昇率が七・五%ほどに達しておりまして、コロナ感染症からの景気回復が極めて急速で、しかも労働市場がかなりタイトになって、そうした中で賃金が上がる、そして消費者物価が七・五%も上がるということで、米国の場合は金利の引上げをしようという方向になっているわけですが、我が国の場合は、先ほど来申し上げているとおり、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率はプラス〇・二%ですし、先ほど申し上げたいわゆる実力ベースでも〇・六%ぐらいですので、米国のような状況になっていません。
その下で、仮にこのエネルギー価格とか穀物価格が上昇して、物価の上昇率が非常に高くなって二%を超えるというようなことになればどうかということになるかもしれませんが、現状、こういったエネルギー価格や穀物価格の上昇などを踏まえても、我が国の予想物価上昇率とか賃金の伸びは低位にとどまっておりますので、米国のような状況に元々ないということがありますので、景気に悪影響を及ぼし得るような金融緩和の縮小とか金融引締めによってこうしたコストプッシュ型のインフレに対応するのは適当でないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/151
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152・渡辺喜美
○渡辺喜美君 とにかく、総合物価指数が二%超えたから、じゃ金融引締めだなどとやっちまったら、またいつか来た道ですよ、これは。とにかく、日本が名目成長率がこの三十年間一・一というのは、もう最大の理由は、増税やっちゃいけないときに増税し、金融緩和をすべきときに金融引締めをやってきた、もうこれに尽きるわけであります。是非その辺りは、せっかくデフレ脱却が見えかかってきているわけでありますから、是非冷静な御判断をいただきたいと思うのであります。
今、アメリカのFRBの話が出ましたけれども、通貨マフィアの世界、通貨の危機の実体験を持つ黒田総裁はどのように今お考えになっているでしょうかね。この二枚目の資料で、これは吉國眞一さんという元日銀におられた方ですかね、この方がフォーサイトというところでコラムを書いて、これフォーサイトがつくったグラフのようでありますが、まあ外貨建てというのは結構どの新興国も少ないんですね。トルコですよ、案の定トルコは今通貨危機のさなか。インドが何かルピーが今売られているそうでありますけれども、ロシアなどは外貨建て非常に少ない。中国などはほとんどないということですかね。
そうすると、かつて、一九九七年だったですか、アジア通貨危機というのは。その頃、現場の最前線におられたのが黒田総裁だと思いますけれども、今どうなんでしょうか、アメリカの利上げに対して、こうした新興国、途上国の危機耐性、危機に耐える力というのは向上しているんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/152
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153・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 一九九七年のアジア通貨危機の場合にはアジア諸国が連鎖的に危機に見舞われましたけれども、その際は、一つには、対外債務が非常に大きくて、外貨建ての債務が大きくて外貨準備も少なかったと、そうした下で起こった事象なわけですけれども、委員御指摘のとおり、現在アジア諸国は、一方でこの外貨建ての国債とか外貨建てで借り入れるというものが小幅になっておりまして、他方で外貨準備を相当大きく持っております。
したがいまして、少なくともアジアの新興国や途上国に関する限りは、米国の金利が引き上げられても危機的な状況になるとは考えておりません。
そもそも、米国が金利を引き上げるということは、インフレであるということもあるんですが、景気が極めて強いわけですね。したがって、米国のアジア諸国からの輸入も相当増えていますので、こういった状況で米国の金利が上昇したとしても、アジアの新興国に重大な影響が及ぶという可能性は少ないというか、極めて薄いというふうに思っております。
なお、このロシアにつきましては、現在、G7を中心とした欧米、日本が経済、金融の制裁を行っております。したがいまして、この外貨建ての国債の比率は二割程度だと思いますけれども、ルーブルは大幅に下落しておりますし、それからロシア国債の価格もかなり下がっておりまして、この表から見るだけで、ロシア国債の返済に滞りが生ずることはないと、通貨危機のようなことがないというふうには言い切れないというふうに思います。格付会社は大幅に格付を下げておりまして、もう投資不適格というふうにロシア国債はしているぐらいである。
ですから、一般的なアジア諸国が米国の金利引上げに対してバルナラブルということはないと思いますけれども、ロシアはアジアというよりもヨーロッパでしょうけれども、いずれにしても、この表からだけ、ロシアに九八年のような、九八年にロシア国債はデフォルトしていますけど、そういうことが絶対にないというふうにも言い切れないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/153
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154・渡辺喜美
○渡辺喜美君 プーチン大統領になって、もう一回デフォルトしているんですよね、たしかロシアは。そうすると、デフォルトしたから何なのって感じても、ロシアの大統領がですよ、ああいう独裁者がそう感じても不思議はないなという気がいたします。
確かに市場では、例えばS&Pがロシア国債の格付をダブルBプラスからトリプルCマイナスに下げたと、総裁がおっしゃるように、もう投資不適格もいいところですよ。もうジャンク中のジャンクですよね。CDSレートがもう五〇%ぐらいになっているというわけでありますが、果たしてそれがどの程度効き目があるのかということなんですよ、問題は。
三枚目に、ロシアの外貨準備の、これは日経新聞が、いつだったか忘れましたけど、報じた推計ですね。これを見ると、外貨準備の米ドルというものを減らしたと。二〇一七年、もうクリミア併合から三年たったときでありますが、そのときよりももう半分に減らして金の保有を増やしていると。その金は、実はロシア国内に持ち込んでいるわけですよね。
ですから、そういうことを着々と進めてきているというわけで、多くは語れないのかもしれませんけど、日本銀行にもロシア中銀の外貨準備ってのはあるわけですよ。こういうものは凍結してあるんだというわけでありますが、ちょっとそれはお答えできませんということかもしれませんけど、これは凍結してどの程度の効果があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/154
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155・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行自身については、海外の中央銀行が円の預金を持っている状況であるとかその金額については、それぞれの国の外貨準備の政策ですので申し上げられませんけれども、対ロシア制裁として、政府の主導の下で、日本銀行としても政府と緊密に連携しながら対応を行っているところであります。
そういったことを踏まえて、委員の御指摘のとおり、ロシアの外貨準備のうち米ドルの比重は下がっているようです。一方で、ユーロその他の外貨準備は構成比が増えているようですが、欧米、日本等、G7を中心に対ロシア経済金融制裁を行っておりますので、ロシアの外貨準備のうち、すぐ使える部分というのはかなり減っているというふうに思います。
その上で、今のところ、主要国による経済金融制裁がかなりの効果を持っておりまして、先ほど申し上げたように、ルーブルがかなり下がり、ロシア国債の価格も大幅に下落し、株式市場はたしか閉鎖されているということでありますので、こういった状況はあるとは思いますけれども、相当な効果を少なくともロシアの金融に対しては持っているということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/155
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156・渡辺喜美
○渡辺喜美君 私も、是非制裁が効いてほしいなと心から思っております。でも、さっきから申し上げているように、独裁者というのは、国民の犠牲において支配を遂行するわけですね。ロシア国民が立ち上がってプーチン政権倒してくれるのが一番いいと思っている人は世界中にたくさんいると思いますけれども、相当念入りに着々と進めてきているなという感じをどうしても受けてしまうんですね。さっきも大塚さんの御議論の中でありましたが、CIPS経由でお金が取引されるようになるじゃないかと。
これも、通貨の世界をよく知る黒田総裁に是非お伺いしたいことなんですが、アメリカが世界一の経済大国になったのが一八九〇年頃ですか。基軸通貨になったのは一九四五年ですよね。ということは、五十年以上、半世紀以上掛かっていると。仮に、この十年ぐらいで中国経済がGDPでアメリカ経済上回るということになったら、すぐに、じゃ、人民元が基軸通貨になるんですかといったら、そうはならないと思いますよ。第一、使い勝手が悪過ぎる。
まあ、国際金融のトリレンマというのがありますけれども、自由な金融政策と自由な資本移動と固定相場制というのは、もう二つまでしか成り立たないというわけでありますが、基軸通貨というのは、必要な要素というのは何なんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/156
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157・黒田東彦
○参考人(黒田東彦君) もちろん、基軸通貨というものについて明確な定義があるわけではありませんけれども、やはり御指摘のとおり、主要な国際通貨として使われるためには、単に経済規模や貿易額が大きいというだけでなく、通貨の価値が安定していること、そして資本取引が自由で流動性の高い金融資本市場が存在すると、いわゆる委員のおっしゃった使い勝手の良いということですね、そういったことが必要だと考えられます。
それから、国際通貨がポンドからドルになったのは御指摘のとおり戦後でありますけれども、米国経済が英国経済を上回ったのは第一次大戦の前という説と後という説といろいろあるんですけれども、米国経済が世界最大の規模になり、貿易額も最大になったとしても、すぐにドルが国際通貨になったのではなくて、やはり四十年とかですね、委員のおっしゃる五十年とかタイムラグがあって、その間にドルの使い勝手が良くなるというか、資本取引が自由になり、流動性の高いマーケットがニューヨークを中心に広がっていったということがあり、その上にやはり物価、通貨価値が安定していたということもあって、ドルが圧倒的な国際通貨になったということだというふうに私も認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/157
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158・渡辺喜美
○渡辺喜美君 IMFも言っているようですけれども、エネルギーとか穀物価格の高騰というのは、これかなり長期間続くと考えた方がいいと思いますね。そうすると、財政政策においてこうした対策をやっていかなきゃいけない。
何度も議論されていますように、ガソリン価格、二十五円補助金出して、蔵元にですね、値上げしないようにというわけでありますが、バレル百二十ドルとかいう水準だったら何とか持ちこたえるかもしれませんけど、百五十ドルだ、百八十五ドルだということになっていくときに、果たして、蔵元に二十五円出して、それで済みますというわけにいかないんじゃないですかね。
やっぱりここは、トリガー凍結解除、これをやった上で、それでも足りないというときに蔵元に補助金出すという合わせ技が必要かと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/158
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159・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 渡辺先生ただいま御指摘になられました、燃料油価格の激変緩和事業でございますが、現下の価格急騰による国民生活などへの影響を緩和するために、先週の金曜日、四日の日に関係閣僚会議において拡充を決定し、支援の上限を五円から二十五円に引き上げたところでございます。
それで、これは取りあえず三月中の措置であるわけでありまして、三月中は予備費からの、令和三年度一般会計予備費からの三千五百億円、これは、二十五円この支援を発動した上で、対象も、対象となる石油製品の使用量を、新型コロナ発生以前の平時の平均的な使用量が生じても対応できるような規模としておりますので、少なくとも三月中はこれで大丈夫でございますが、その先、原油の価格の動向というものも見極めなければなりませんが、四月以降の燃油価格高騰対策については、国民生活や企業活動への悪影響を最小限に抑えることができるよう、何が実効的で有効な措置かという観点から、政府全体として引き続きしっかりと対応してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/159
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160・渡辺喜美
○渡辺喜美君 とにかく非常事態の中ですので、国家の反射神経を研ぎ澄ましてやっていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/160
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161・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 大変申し訳ございませんけれども、申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/161
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162・渡辺喜美
○渡辺喜美君 以上、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/162
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163・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/163
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164・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木財務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/164
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165・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、成長と分配の好循環の実現に向けた積極的な賃上げ等の促進、カーボンニュートラルの実現等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うため、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げ等を促す観点からの賃上げに係る税制措置の拡充等及びオープンイノベーション促進税制の拡充等を行うこととしております。
第二に、カーボンニュートラルを実現する等の観点から、住宅ローン控除制度の見直しを行うこととしております。
このほか、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/165
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166・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00220220308/166
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