1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月三十一日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月二十九日
辞任 補欠選任
竹内 功君 岡田 直樹君
森本 真治君 難波 奨二君
三月三十日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 佐藤 啓君
三木 亨君 末松 信介君
難波 奨二君 石垣のりこ君
三月三十一日
辞任 補欠選任
末松 信介君 足立 敏之君
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 俊郎君
理 事
西田 昌司君
藤末 健三君
森屋 宏君
牧山ひろえ君
山本 博司君
委 員
足立 敏之君
大家 敏志君
佐藤 啓君
櫻井 充君
自見はなこ君
藤川 政人君
宮沢 洋一君
宮島 喜文君
石垣のりこ君
勝部 賢志君
熊谷 裕人君
古賀 之士君
杉 久武君
大塚 耕平君
浅田 均君
小池 晃君
大門実紀史君
浜田 聡君
渡辺 喜美君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
内閣府副大臣 黄川田仁志君
財務副大臣 大家 敏志君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宗清 皇一君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
金融庁総合政策
局政策立案総括
審議官 井藤 英樹君
金融庁総合政策
局審議官 有泉 秀君
金融庁企画市場
局長 古澤 知之君
金融庁監督局長 栗田 照久君
財務省主税局長 住澤 整君
財務省理財局長 角田 隆君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
原子力規制委員
会原子力規制庁
原子力規制部長 市村 知也君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/0
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001・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、森本真治君、竹内功君及び三木亨君が委員を辞任され、その補欠として末松信介君、佐藤啓君及び石垣のりこ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/1
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002・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
保険業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁企画市場局長古澤知之君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/2
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003・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/3
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004・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/4
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005・古賀之士
○古賀之士君 おはようございます。古賀之士でございます。
財政金融委員会の委員長始め各委員の皆様方、そして鈴木大臣を始め政府担当者の皆様方、今日もどうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、鈴木金融担当大臣にお伺いをいたします。
共済、少額短期保険及び認可特定保険についてでございます。
少額短期保険業者に関する経過措置の期限が来年となりますが、現在における検討状況はどのようになっていますでしょうか。法律での対応が必要とすれば、恐らくは来年の通常国会で日切れ法案となるでしょうが、これだと遅過ぎて、契約者の予測可能性を奪い、不利益につながるのではないかという懸念もございます。鈴木担当大臣の御見解をお尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/5
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006・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) おはようございます。
御指摘の経過措置でございますが、これは、平成十七年の保険業法改正前から共済事業を行っていた者について激変緩和のために設けられているものですが、現在その適用を受けている業者は減少していると承知をしているところでございます。
そして、先生お尋ねの今後の対応の方向性についてでありますが、現時点で確たる見通しが立っているわけではありませんけれども、金融庁では、経過措置の適用を受けている少額短期保険業者に対しまして、経過措置終了を見据えた対応状況をヒアリング等により確認をし、本則の範囲内で保険金額を引き受ける業務体制に円滑に移行できるよう促しているところでございます。
本経過措置はあくまで激変緩和ということでございますので、こうした本来の趣旨に照らしまして、可能な限り早期に本則に収束させることが適当であると、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/6
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007・古賀之士
○古賀之士君 是非、これは契約者の皆さんたちの不利益にならないように、そして、できるだけ早く、今見通しがなかなか立っていないという御答弁でしたけれども、その見通しも含めて、まずは見通し前のアップデートされた情報でも結構ですので是非公開をお願いいたしたいと存じます。そしてまた、その見通しについてもできるだけ早く御提示いただければと思っております。
次の質問は、認可特定保険業者における問題でございますが、当分の間というのが、平成二十二年の改正の件でございますが、この当分の間というのは、鈴木大臣、いつまでを考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/7
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008・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先生御指摘になられました認可特定保険業者の制度でありますが、これは、根拠法がなく共済事業を行っていた旧公益法人等が平成十七年の保険業法改正の時点で取り扱っていた保険について、行政庁の認可を前提にして、当分の間従来と同様の事業を継続できることとされているものでございます。本制度の実施状況につきましては、その後大きな変化は生じておらず、現時点において当分の間の取扱いを含めまして特段の見直しは考えていないところでございます。
いずれにいたしましても、認可特定保険業者をめぐる状況につきましては、引き続き注視をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/8
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009・古賀之士
○古賀之士君 大臣の今御答弁の中に、大きな変化は生じていないので当分の間はというようなお答えがございましたが、ただ、現実的に見ますと、少額短期保険というのはニーズが高まっております。皆様方も少額の短期保険に入っていらっしゃる方も知らず知らずのうちに、例えばクレジットカードの中に入っていたり、あるいはまた様々な日常生活の中で少額の短期保険に関わっていらっしゃる方というのは結構今増えている状況です。
ですので、むしろ少額短期保険については、保険の枠を拡充するなど充実することを考えていくべきとも考えますが、鈴木担当大臣の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/9
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010・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほどお答えしたとおりでございまして、全体として取り巻く状況に大きな変化はないものと、そのように金融庁としては認識をいたしております。したがいまして、いましばらく当分の間ということを踏まえて、状況をしっかりと見守ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/10
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011・古賀之士
○古賀之士君 済みません、では、その少額短期保険といわゆるその認可特定保険業者におけるこの違いですね、どんな違いが、今その明確にあるので、あるのかないのか、ちょっとその辺も含めてお話をいただけると有り難いんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/11
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012・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
認可特定保険業者と少額短期保険業者でございます。少し細かい点もあって恐縮でございますけれども、まず、法人の形態といたしましては、認可特定業者につきましては一般社団若しくは財団法人というところでございますのに対しまして、少額短期保険業者は株式会社又は相互会社となっているところでございます。
それから、保険の提供する相手方でございますが、認可特定保険業者は、先ほど大臣から答弁ございましたように、平成十七年当時の経過措置ということでございますので、平成十七年当時と同一の特定の者ということに対しまして、少額短期保険は制限がないということでございます。
取扱商品につきましても、平成十七年当時と、認可特定保険業者については実質的に同一ということが求められているわけでございますけれども、少額短期保険については少額、短期、掛け捨てということで、そういった取扱商品の対象の差が生じているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/12
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013・古賀之士
○古賀之士君 したがいまして、やはりその平成十七年の取扱いを考えていくと、やはりもうそれから十五年ぐらいたっているわけですから、是非現実の今需要と、それからそれぞれの業者さんの考え方、こういったものもしっかり受け止めていただいて、金融庁として次の道、見通しを是非発揮していただきたいと、そういう要望を申し上げておきます。
では、続いて資料の一、お手元御覧ください。
これは、生保労連の調査に対してでございます。この生保控除についてのお尋ねでございます。生保労連の調査では、生命保険料控除について、九割近くが重要と答えています。また、七割以上が重要とも答えております。控除の重要性はこれで明らかなんですが、拡大又は縮小、廃止について、いずれも七割近い方が影響があると答えてもいらっしゃいます。
こうした結果を財務大臣としてどのように受け止めていらっしゃるでしょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/13
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014・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 私どもといたしましても、生命保険料控除制度につきましては、高齢化が進展する中におきまして私的保障による老後の生活等のリスクに備えは重要である、そういうことを踏まえまして、保険契約者の自助努力を支援するものとして位置付けられているものと、そのように承知をいたしております。
御指摘の生保労連の調査におきまして、生命保険料控除の拡大又は縮小、廃止は、どちらも七割近い人が影響があると回答をされておりまして、今後の生命保険料控除の在り方について議論するに当たりましては、こうした生保労連の調査結果等も踏まえつつ議論をしていくものと考えておりますが、これに加えまして、控除により歳入に多額の減収が生じているという状況、そして生命保険への加入率も相当の水準に達していることなども踏まえれば、課税の公平性、生命保険の社会保障を補完する役割や普及状況、私的年金等に係る各種の優遇制度があること、そして厳しい財政状況なども踏まえまして丁寧に議論をしていく必要があると、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/14
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015・古賀之士
○古賀之士君 今、加入率も非常に増えてきているということで、税の取扱いとしては、全くその重要性を無視しているわけではもちろんございません。
時間の関係で、通告させていただいた二番と三番をまとめてお尋ねをいたしますが、この生保労連の調査では、現行の保険料控除は複雑であり、簡素化すべきだというお答えが八割も上っております。こうした結果をどう受け止められるか。そして、もう一つは、この生保労連の調査では、死亡保険金の相続税非課税限度枠の拡大が、限度額の拡大が七割となっています。こうした結果をどのように受け止められているか、大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/15
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016・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 生保労連の調査につきまして先生から御指摘がございました。大変複雑だという御指摘で、その調査結果であるとお聞きしましたが、特に平成二十四年以降の契約か、そうでないかによりまして控除額の算出式が異なる点がその御指摘にある点であると、そういうふうに思います。
生命保険料控除につきましては、長期貯蓄を奨励するという制度目的は達成されているとの指摘等があった中で、保険契約者の自助努力を支え、支援するという観点から検討を行いました結果、保険ニーズの多様化や社会保障を補完する分野の重要性を踏まえまして、平成二十四年以降、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の限度額を四万円とするとともに、新たに同額の介護医療保険料控除を創設する見直しを行ったところでございます。制度改正のあった平成二十四年以降の契約か、あるいはその前からの契約かによって差が生じているところでございます。
今後の生命保険料控除の在り方につきましては、こうした調査結果もあることから、引き続き分かりやすい広報に努めることが必要であると考えております。それに加えまして、先ほど申し上げた観点などを踏まえて丁寧に議論をしていく必要があると考えてございます。
そして、死亡保険金に係る相続税の非課税措置でございますが、これは相続人の生活の安定等に配慮して設けられた措置でございます。他方、本措置につきましては、制度創設、昭和二十六年と聞いておりますが、その後の累次の改正によりまして相続税には相応の基礎控除が措置されている中、本制度の妥当性が低下しているのではないか、様々な金融商品が相続財産に含まれている中、死亡保険金についてだけ他の商品にはない特別の取扱いになっていることは、課税の中立性の観点から問題ではないかといった御指摘がございます。
また、節税目的と思料される商品も見受けられるところでありまして、相続税という一定の資産を相続する者のみが課せられる税におきましてこのような非課税措置を講じる必要性がどの程度あるのかといった課題もあると思います。
こうした状況を踏まえれば、御指摘の調査結果は承知をいたしておりますけれども、死亡保険金の非課税限度額を拡充することにつきましては慎重な検討が必要であると、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/16
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017・古賀之士
○古賀之士君 最初の質問の保険料控除のその簡素化、シンプル化についての御答弁を是非もう一度、八割の方がそういう認識を持っていらっしゃいますので、いま一度しっかりと御検討いただけると有り難いです。
それから、死亡保険金の相続税非課税限度額の拡大について、これについては、今大臣がおっしゃった点も確かにあります。と同時に、相続そのものの非課税の限度額が以前に比べると少なくなってきているという現実もございます。この生命保険における死亡保険金というのは、ある意味、残された家族、遺族が、本当に迷惑を自分が掛けないようにという思いで掛けられているものでございますんで、是非そういった趣旨も踏まえて、全体の相続の枠が、非課税枠が少なくなっている中で、せめてこの生命保険の死亡保険金の枠については限度額をむしろ広げていただいて、残された家族の皆さんたちが少しでも安心できるような、そういう制度になっていただけると大変有り難いと思っておりますので、要望を込めて、希望を込めてお伝えをしておきます。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
二〇二一年の保険モニタリングリポートについてでございます。
まず、金融庁の参考人にお尋ねをいたします。
コロナ禍でこの非対面募集の強化が進んでおりますが、内部監査やリスク管理等でこれ十分なモニタリング、対応ができているのかどうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/17
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018・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
今御指摘のありました非対面募集の増加など、コロナ禍の下での保険募集等により生じ得る新たなリスクにつきましては、まず保険会社各社がそのリスクを洗い出して評価した上で、モニタリング、内部監査を行っているものと承知しております。
例えば、非対面募集の取扱件数が多い拠点を優先して監査するといった取組事例もあるというふうに承知をしております。
金融庁におきましては、毎年保険会社各社と内部監査等の高度化に向けて対話を行っておりますが、その中で、このような新しいリスクに対する内部監査の実施状況などもモニタリングしていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/18
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019・古賀之士
○古賀之士君 是非、不十分な点、それからモニタリングを更にしっかりとやっていただきたく思います。
では、次は、水災リスクに応じた保険料率の検討ということについて、どこまで進んでいるかお尋ねします。
私の地元福岡県の久留米では、筑後川流域、四年連続で浸水の被害に遭いました。こうした地域では、保険料率が急激に上がることはないかという懸念もあります。
そうなるとすれば、もしそうやって上がるとすれば、住民はそれを受け入れるしかないのでしょうか。金融庁の参考人にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/19
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020・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) 個人向けの火災保険には、火災等による建物の損害に対する補償に加えまして、水災による損害に対する補償を附帯することは可能となっております。
この水災補償に関する保険料率につきましては、現在お客様が居住されております地域のリスクの高低にかかわらず全国一律となっておりますけれども、昨今の自然災害の多発等によりまして保険料率の上昇が続く中で、水災リスクの低い地域のお客様の納得感が得られにくいという状況が生じております。
このため、損害保険会社各社におきましては、この水災リスクに応じた保険料率の細分化について検討を進めております。この細分化によりまして、水災リスクの高い地域のお客様の保険料率が更に高くなり、水災補償に加入しにくくなることも逆に懸念をされております。
この保険料負担の公平性と保険の加入可能性のバランスについて社会的影響、消費者目線等を踏まえた幅広い観点から検討を行うことが重要であるというふうに考えておりまして、金融庁では昨年六月に、学識経験者、消費者問題専門家、弁護士によります有識者懇談会を立ち上げて、五回にわたって議論をしていただきました。
この懇談会の意見につきましては本日にも報告書として公表をさせていただきたいと考えておりますけれども、今後、損害保険会社におきましては、この報告書で指摘された事項も踏まえまして料率細分化の検討を進めていただくということになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/20
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021・古賀之士
○古賀之士君 今日の午後ですかね、夕方ですかね、発表されるということでございます。
まさに今、参考人の方からお話がありましたように、この保険というのは任意でございますので、保険料率が余りに高過ぎるとなかなか入り手がいなくなるということになります。入らなかったがために、実際に被害に見舞われたときに保険料は出ない、ますますつらいという負のスパイラルに陥ってしまうおそれもあるわけでございますので、この辺の線引きは非常に難しいというのは私も重々理解できておりますので、今日の午後の発表を待って、またお互いの意見交換をしっかりと、ただ、水害の時期がもうすぐやってまいりますので、それも含めて、少し時間を掛けてもいいお話なのかなという気もしております。まずはリスクのある方には備えていただくということも大事なことだと思っております。
それでは次は、資料の二、続いては外貨建ての保険のタイムラグマージン問題について。
これは、今日が三月三十一日、年度末でございます。明日からどのようになるんでしょうか。金融庁の参考人にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/21
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022・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
外貨建て保険におきましては、保険会社は外債等によって運用を行っておりますけれども、市場金利に応じた運用資産の価格変動を解約返戻金額に反映する商品が多く存在しております。
このような商品では、解約返戻金額の計算基礎となります金利を設定する時期と実際の解約時期の間でいろんな手続等のために最大限二週間程度間が空くということでございまして、この間に生じる金利変動による運用資産の価値の変動に備えるための手数料としてこのタイムラグマージンというものを解約者から徴求しているということが多いというふうに承知しております。
このタイムラグマージンにつきましては、保険会社のリスク管理が全体として高度化する中で、解約に伴って見込まれる取引費用等の整合性に照らして合理的かつ妥当な水準とすることが必要であると考えておりまして、金融庁では、顧客本位の業務運営の観点から昨年八月に監督指針を改正しております。
保険会社、生命保険会社各社は、この監督指針の改正を踏まえまして、四月からこのタイムラグマージンの水準を現行の〇・三%程度から〇・〇から〇・一%ぐらいに引き下げるというふうに承知をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/22
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023・古賀之士
○古賀之士君 続いて資料の三を御覧いただきたいんですが、外貨建て保険の共通KPIにおける基準日、これが毎年三月末とされています。つまり、今日でございます。
この現下の急激な円安傾向を踏まえた場合、この今日の基準日というのが果たして適切なんでしょうか。リターンにおける円換算金額が高く出過ぎるのではないでしょうか。期間平均などの値を採用すべきではなかったのかとも考えますが、金融庁の参考人はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/23
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024・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
金融庁では、本年一月に、外貨建て保険を販売する会社の運用実績の状況などを比較できる共通KPIの定義を公表いたしまして、金融事業者に対して、その指標を自主的に公表することで顧客本位の取組の見える化を行うよう促しております。お客様にとっては為替の影響も重要でございまして、これらも含めて運用評価を顧客に示すことが重要であるという考えに基づきまして、このKPIについては基準日時点の円貨に換算して評価することといたしました。
御指摘のように、足下、円安傾向を踏まえますと、このリターンにおけます円貨換算額が高く出やすいというふうには考えられますけれども、こうした為替の変動がもたらす影響について、保険募集人がお客様に適切に説明してお客様が十分理解した上で契約が締結されるということが重要であると考えておりまして、我々といたしましても、この外貨建て保険を販売する会社におきましてそうした適切な募集体制が構築されるようにモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/24
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025・古賀之士
○古賀之士君 是非お願いします。
ただ、その一方で、今御指摘、御説明いただいた中でも、やはりタイムラグ問題というのは、例えば決算するとき、つまり解約をするときに出てくる手数料で取られるということで、契約者からすると、えっ、お金、満額じゃなくて、そこにまた手数料が最後の最後にまた発生するのねというような状況がございますし、今御説明いただいたように、為替の中での、急激なこの為替の変動の時期にたまたまこれぶち当たってしまいますと、この基準日が、年に一回の、今日しか基準日が、発表されませんので、よりきめ細やかな説明か、あるいはこの基準日に関しての注釈というものが、きちんと説明として、責任があるのではないかということを申し添えておきます。
時間がありませんので、最後に、契約照会制度についてお尋ねをいたします。
銀行やそれから証券等ほかの金融業界で、同様の照会制度はあるんでしょうか。ないとすれば、検討していらっしゃるでしょうか。銀行も含めて業界横断的な照会システムをつくることができないのでしょうか。また、つくるべきではないかとも思いますが、金融庁の参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/25
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026・井藤英樹
○政府参考人(井藤英樹君) お答え申し上げます。
生命保険分野以外における取組といたしましては、例えば証券分野におきましては、証券保管振替機構が、投資家御本人やその代理人、相続人などの請求に応じまして、御本人がどの証券会社等に口座をお持ちであるのか情報提供するサービスを提供しております。また、銀行分野におきましても、昨年五月、デジタル改革関連法の一環といたしまして、預貯金口座へのマイナンバー付番により、相続人による預貯金口座の所在確認などが可能な枠組みが整備されたところでございます。
金融庁といたしましては、高齢社会の進展等も踏まえれば、こうした利用者の利便の向上に資する取組は極めて重要だというふうに考えてございます。今後、制度も、銀行分野の制度も施行されていくところでありますが、今後、こうした事柄につきまして更にどのような改善を行う余地があるのか等につきましては、引き続き検討していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/26
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027・古賀之士
○古賀之士君 時間が来ましたので終わりますが、是非、マイナンバーを使った数少ないこれメリットの一つになると思うんですね、きちんと整備できればですね。ですので、例えば急に亡くなられた方の銀行が、預金が、資産がどこにあるのかというのをマイナンバーを使えば一発で分かるというのは、これは残された皆さんたちにとっては非常に重要な問題だと思いますので、引き続きこれについても意見を交換していきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/27
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028・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
今日は、お手元に生命保険会社の決算概要を配らせていただきました。
最近、生保はそれほど経営に大きな心配もないので余り財務諸表を見ることもなかったんですが、令和三年三月期の数字を拝見して、一つ二つお伺いをしたいと思います。
これを見ますと、三年三月期の臨時損益が、それまでのトレンドと比べると結構大きな金額になっておりますが、まず、前年度に比べてかなり悪化している理由についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/28
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029・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
御指摘のように、令和三年三月期の臨時損益は、生保会社全体では前年度に比べまして五千二十六億円悪化をしております。この臨時損益には、危険準備金の繰入れ、繰戻しですとか、追加責任準備金の繰入れなどが計上されるわけでございますけれども、この令和三年三月期の臨時損益の悪化につきましては、主に一部の生命保険会社におきまして、この低金利環境が継続する中で、財務基盤強化を図るために追加責任準備金を繰り入れたという影響が大きかったというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/29
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030・大塚耕平
○大塚耕平君 一部のというお話でしたが、大手はみんなそういう同じような対応をしたのか、特定の数社がそういう対応をしたのか、それはどちらでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/30
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031・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
その点で申し上げますと、特定の数社が対応したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/31
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032・大塚耕平
○大塚耕平君 それは、社名までは聞きませんけど、何社のことであって、それは有価証券とかで何か損失を被ったからという理解、あるいは被りそうだからという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/32
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033・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
実は、一番大きく繰り入れたところで六千億円弱を入れておりますので、ほぼこの一社かと思います。
あと、若干繰り入れているところもありますし、逆にそうでないところもあるということでございますけれども、この大手の一社につきましては、特に大きな理由があるというよりは、全体として低金利環境が継続する中で、将来を見据えて財務基盤を強化しておくという趣旨だというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/33
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034・大塚耕平
○大塚耕平君 一社ということであればディスクロージャー資料を見ればどこかは多分分かるので、差し障りがなければ社名も後で言っていただければと思うのですが。
そうは言っても、大体どこでも同じような経営判断をする傾向の強い金融界においてこの一社だけが六千億も先々に備えるというのは、まあもちろん個々の経営判断でそれは許される話ですが、監督官庁の金融庁としてはどういうふうにこの決算のその対応を理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/34
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035・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
まさに御指摘のとおりで、この臨時損益といいますか、追加責任準備金の繰入額につきましては経営判断によるところが大きいというふうに考えておりますけれども、ちなみに申し上げますと、今回たくさん積んだ会社につきましては、その前の年は額が非常に小さかったということでございまして、それぞれの経営判断、経営状況を踏まえてこういう追加責任準備金の繰入れを決められておると思っておりますけれども、総体として何かおかしなことが生じているというふうには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/35
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036・大塚耕平
○大塚耕平君 その積み増した責任準備金は、例えば有価証券なんかで損失が出たときにも使えるものですか、そうではなくて本業の責任準備金という理解でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/36
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037・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) 例えば、有価証券のロスが出たような場合は、キャピタル損益ですとか特別損益の方に入ってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/37
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038・大塚耕平
○大塚耕平君 分かりました。
ということは、その六千億はそういう運用に絡む何か備えということではないというふうに今は取りあえず理解しました。
ちなみに、そのキャピタル損益が、その上の行を見ると、例年、このところずっと業界全体では損失が出ていたのが、三月期は、去年の三月期は四千九百四十八億のプラスになっているのは、これは、前年ないしはそれまでの傾向と比べるとどういう理由からでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/38
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039・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
このキャピタル損益につきましては有価証券の売買損益などが入ってくるわけでございますけれども、ここにありますように、二年三月期の数字が非常に悪くなっております。これは、二年三月にかなり債券相場、株式相場が乱調でございまして、その影響が出てかなりキャピタル損益がマイナスになっておると。逆に、三年三月期につきましては、そのときに簿価が下がった有価証券を売却したことなどがありまして、その分の有価証券の売却益がかなり出たということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/39
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040・大塚耕平
○大塚耕平君 それでは、その有価証券に関連してなんですが、その表の下の方に、見ると総資産があって、生保全体で四百十二兆円ということになっていますが、この四百十二兆円の内訳ですね、このうち外国有価証券がどのくらいあって、その外国有価証券のうち発行体がロシアの関係であるものがどのくらいあって、ロシア・ルーブル建てというものがどのぐらいあるか、捕捉できている範囲でお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/40
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041・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) 令和三年三月期におきます生保会社の総資産四百十二兆円でございますけれども、そのうち有価証券は三百四十三兆円でございまして、その三百三十四兆円の、あっ、三百四十三兆円、失礼いたしました、三百四十三兆円のうち外国有価証券は百六兆円となってございます。
そのうち、発行体がロシア関係のものあるいはルーブル建てのものについては、これは各社が公表しておりませんので詳細に申し上げることは控えさせていただきますけれども、我々が承知している範囲では、最も多く保有している保険会社でもこのロシア関係の有価証券というのは有価証券全体の〇・一%未満であるということで、極めて少ない額であるというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/41
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042・大塚耕平
○大塚耕平君 ロシア関係が少ないであろうということは、それは懸念が一つ減って良かったと思いますが。
久しぶりにこの財務諸表を拝見して何点かお伺いしているのは、その背景には、我が国の金融政策の運営の結果として、今、水面下では相当のバブルも発生しているし、この低金利、低利ざやの中で、通常の銀行、金融機関のみならず、生保もいろいろ経営に無理をしてきている面もあろうかと思います。
だんだん過去の景気の変動を何回も経験させていただいた年齢になってきていますので、今の金融緩和の状況と、何となくべたなぎのように見える金融機関や生保会社の経営、しかし世界はこれだけ激変しているというと、往々にして過去を振り返ると、リーマン・ショックのときのCDSもそうですけども、えっ、こんなことが起きていたのかという金融事象が急に明らかになるということが往々にしてありましたので、是非金融庁においては、相当、アブノーマルと言っていいかどうか分かりませんけれども、過去の何回かの場面と比較して同じようなこと、あるいはそれに類する新たな何かの現象が起きていても不思議ではない環境がもう整っていますので、数字の動きやその中身に関してはしっかりフォローアップをして、今回の法案のこの生保のセーフティーネットなどを発動しなくてもいいような状況を維持していっていただきたいと思います。
ちなみに、日本の生保業界においては、外国生保は日本法人としてはたしかゼロになってしまったというふうに理解しておりますけれども、外国法人が日本法人化してゼロになったのか、それとも外国保険会社にとって日本の市場は全く魅力がないのか、その辺は金融庁はどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/42
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043・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
最近五年間の動きを例えば見てみますと、この二〇一七年以降、新規に我が国に進出した外国生命保険会社というのはございませんが、支店形態から現地法人形態に移行した社が三社ございます。これによって、支店形態の外国生命保険会社というのはゼロになったということでございます。
他方、日本の生命保険会社に対して株式を売却して撤退した先が二社ありまして、さらに、株式を一部譲渡して日本企業の子会社となった先も一社ございまして、全体として見ると、それぞれの経営判断によって動きがありますけれども、全体的には余り大きな動きになっていないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/43
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044・大塚耕平
○大塚耕平君 今日はもう大臣には質問する機会がなくなりましたので申し訳ありませんが、最後にもう一点だけ、その日本法人化している外国資本の保険会社の中に中国系のものはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/44
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045・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/45
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046・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
最近五年間ではそのようなものはないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/46
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047・大塚耕平
○大塚耕平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/47
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048・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
また、今、大塚委員とのやり取りを聞かせていただきまして、いつも何か流れがいいあんばいに流れているんですけど、今日、流れを逆戻すような質問をさせていただきます。だから、インターネット中継なんかを見ておられる方は、私の質問の後に大塚委員の質疑を聞いていただくと非常によく分かると思います。
保険業法に関して何点か質問させていただきたいと思います。
私ども保険に関する素人の理解では、保険というのは保険原理に従って運営されていると。保険原理というのは、大数の法則というのと、給付、反対給付が同額になるという二つの原則であります。皆さん海外旅行なんか行かれるときに海外旅行保険とかに入られます。そのとき二万円とか三万円とか保険料をお支払いになって、飛行機が落ちたときにはこれだけの保険金が出ると、海外で事故に遭われたときにはこれだけの保険金が出ると、まあその他もろもろですね。その保険金と統計的な確率を掛けた期待値の和がそのお支払いいただく保険料になっているというのが原則だと思っております。
だから、そういう保険原理に従って保険業を営まれているならば破綻なんというのは当然考えられないはずなんですが、このいただいた資料の中にも生保、損保破綻の例とかいうのが出てきますので、そもそもこういう保険会社がどうして破綻するのかということを簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/48
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049・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 生命保険会社におきましては、先生が今御指摘になられました大数の法則や給付・反対給付均等の原則といった保険原理に従いまして、将来の保険金支払原資が不足しないよう、適切に保険料を設定しているものと承知をいたしております。
しかしながら、超長期の生命保険契約では、契約時の保険料計算の前提が期間の経過とともに現実と大きく乖離する可能性があるほか、市場の動向によりまして生命保険会社が保有する資産の価値が下落すること、これもあり得ることであります。
実際に、平成十年前後には、大幅な金利低下等による逆ざやのほかに株価の下落等により生命保険会社は厳しい経営環境にあり、一部の中小生命保険会社においては、財務基盤の強化が進まない中で、解約の増加等をきっかけとして破綻に至ったと承知をしているところでございます。
金融庁としては、こうした過去の教訓も踏まえまして、様々な環境の変化が生じる中にあっても生命保険会社の健全性が確保されるよう、引き続き、将来を見据えた分析を行い、ビジネスモデルの持続可能性の検証に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/49
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050・浅田均
○浅田均君 今健全性という御発言があって、後でまた、ソルベンシーマージン比率二〇〇%というのをまた質問させていただこうと思っております。
それに先立って、年金にせよ医療にせよ、公的な保険がかなり我が国はしっかりした制度があるわけですよね。ただ、私ども、年金保険とか、保険であるにもかかわらず税金があれだけ投入されているということ、そういう事実をもって、国民の皆さん方には保険原理というのを忘れてしまっている方が結構いらっしゃるように思います。
そういう問題点を指摘しつつ、公的保険、国民年金保険とか国民健康保険とか公的な保険がある中で私的な保険が必要であると考えておられる理由は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/50
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051・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 浅田先生が今御指摘になられましたように、日本におきましては、国民生活の安定、保障に必要な基本的な部分の給付は公的保険により賄われる仕組み、これが構築をされているところでありますけれども、例えば医療費の自己負担分を補償する民間医療保険など、私的保険は利用者のニーズに応じて公的保険を補完する役割を担っているものと、そのように考えております。とりわけ近年、少子高齢化の急速な進展でありますとか、働き方、ライフスタイルの多様化など、社会環境が変化をいたしまして、顧客の生活保障ニーズも多種多様なものとなってきている中におきまして、私的保険の意義はますます重要なものとなっていると考えているところでございます。
金融庁といたしましては、公的保険と私的保険がそれぞれの役割を果たしつつ、相互に補完し合って国民生活をしっかりと支えていくことが重要と考えております。今後とも、民間保険会社が顧客のライフプランや顧客が抱えるリスクを十分に踏まえて最適な保険商品を提案、販売していくことができるよう、モニタリングに努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/51
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052・浅田均
○浅田均君 それで、次の質問ですが、生命保険会社は、いただいた資料ですね、これ、金融委員会調査室の方からいただいた資料によりますと、令和二年度末で三百三十五兆五千七百十二億円の責任準備金を保有しております。先ほど大塚委員の方から、臨時損益が何でこれだけ増えているのかという質問の中で、準備金の中に繰り入れた会社があったからというやり取りがありました。
これだけ多額の三百三十五兆を上回る責任準備金を保有しているということでありますので、これは債権の場合も同様だと思うんですけれども、インフレになると非常に弱いということだと思うんですが、インフレ対策を講じておく必要があると思うんですけれども、金融庁はこの点に関して何らかの指導とかはされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/52
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053・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 生命保険会社は、契約者等に対しまして保険契約で定められた金額等の保険金を支払うものであり、インフレ自体が将来における保険金の支払に影響を及ぼすことはないと、このように考えております。
ただし、急激なインフレが、例えば物件費など保険金の支払以外の面で保険、生命保険会社の事業コストの増大をもたらす可能性もあると思います。
金融庁といたしましては、財務情報の分析等を通じまして、インフレが保険会社の健全性に与える影響を適切に把握をいたしまして、保険会社の経営に安定性が保たれるようにしっかりとモニタリングをしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/53
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054・浅田均
○浅田均君 それでは、今の大臣の御答弁とも関わりがあるんですけれども、保険会社の健全性指標ですね、これ、ソルベンシーマージン比率二〇〇%以上と書かれてあります。これ、いただいております資料のこの数式から分母を取っ払うと、すなわち、通常の予測を超えるリスクに対応する額よりも支払余力、資本金とか基金とか準備金で構成される支払余力、マージンの方が大きければいいということになります。
これね、これもいただいた資料にあるんですけれども、低いところで五四四%で、高いところではこれ一七三四〇%というか、二〇〇%をはるかに超える指標を確保をしている会社があります。
それならば、二〇〇%というのをもっと上げるべきではないのかなと思うんですけれども、そもそもソルベンシーマージン比率を健全性指標とされている理由と、それから、これを将来的に上げていくことに関してどういうふうに考えておられるのか、御見解を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/54
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055・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 私の方からまずこのソルベンシーマージンのこの指標、指標としている理由につきましてお話しさせていただきますが、保険契約者等の保護、それから保険業に対する信頼を維持していくため、保険会社がいかなる場合であっても堅実に約束した保険金を支払う余力を保持していること、これが重要だと考えます。
このため、保険会社が、大規模災害等による保険金支払の急激な増加や運用環境の悪化など、通常の予測を超えるリスクにも対応できる十分な財務基盤を有しているかを把握するための指標として、国際的にもソルベンシーマージン比率が用いられているものと承知をいたしております。
金融庁として、このソルベンシーマージン比率を必要な行政対応を判断する指標として用いることによりまして、保険会社の経営破綻を未然に防ぐとともに、万が一破綻した場合でも、生命保険契約者の、あっ、失礼しました、生命保険契約者保護機構を通じた資金援助額を最小限のものとできるよう適切に監督してまいりたいと思います。
先生が御指摘のとおり、このソルベンシーマージン比率が二〇〇%を下回ると、金融庁は早期是正措置命令を発動することになっているわけでございまして、このパーセンテージを実態に合わせてもっと上げたらいいんじゃないかということでありますが、その検討につきましては、状況等につきましては事務方からお答えさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/55
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056・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間が参っておりますので、答弁の方は簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/56
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057・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
現時点におきましては、この二〇〇%を引き上げるという必要はないのかなというふうには考えておりますけれども、いずれにしても、国際的な議論なども踏まえて、将来的には必要に応じて検討をしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/57
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058・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/58
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059・浅田均
○浅田均君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/59
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060・大門実紀史
○大門実紀史君 大門です。
今回は、また政府補助を延長しようという法案ですけれども、今ですね、保険会社や保険業界が求められているのは、こういうものを延長するとか政府補助云々の前に、保険会社、業界自身が破綻しないようにもっとちゃんとリスク管理をきちんとすることが先ではないかと、話はそれからだというふうに思いますが、その点で、まず資料の、お配りいたしました一枚目ですけれど、これ三月十五日の日経新聞ですが、まあいろいろ背景はあるんですけれども、保険会社がかなりリスクの高い資産の保有を増やしているということをFRBが指摘しているということを報じた記事であります。格付の低い社債なども買っておりますんで、今後、金利上昇による価格下落とか大きな損失が出る可能性があるわけなんですけれども、そういうリスク資産に投資を増やしているということであります。
背景には、この記事にもありますけれど、国債だけでは運用利回りが高まらないと、だからリスク投資せざるを得ないというようなことがあったのかも分かりませんが、ただ、この資料、記事の中にあるとおり、そうはいってもですね、政府資産の規模の、資本の十一倍台、生保の資本の十一倍台にまでレバレッジで膨らましていると。このレバレッジはリーマン・ショック以降最高に膨らんでいるということで、国債だけでは運用利回りが高まらないという理由を超えて、かなりもうリスク投資にのめり込んでいるんではないかというふうに思います。
そういう中で、またこの今回の改正で政府補助を延長するというようなことは本当に、この法案は、最初から私たちは業界のモラルハザード、自己的な規律を失わせてモラルハザードを生むんではないかと言ってまいりましたけど、今ここまで危ないところに自らのめり込んでいると思うと、こういうやっぱり政府補助が良くない役割を果たしているんじゃないかと思いますが、まず、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/60
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061・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
御指摘の記事につきましては、昨年十一月に米国のFRBが公表いたしました金融安定報告におきまして、米国の生命保険会社がCLO等のリスクが高い資産への投資の割合を増加させているという内容のものであると承知をしております。一方で、日本の生命保険会社は、この超長期の保険負債に対応するために日本国債を中心とした運用を行っておりまして、CLOといったようなリスクの非常に高い資産での運用は限定的であるというふうに承知をしております。
いずれにいたしましても、この生保会社におきましてはリスクに応じた運用体制の整備が重要であるということでございまして、我々といたしましては、生命保険会社に対してリスク管理と一体となった資産運用の高度化に取り組むなど、モニタリングをしっかりしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/61
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062・大門実紀史
○大門実紀史君 資料にもありますとおり、日本もですね、日本もそのリスクの高いところを増やしているというのはもう事実でありますので、その点を申し上げているわけでございます。
リーマン・ショックの後、やっぱりリスク投資への厳しい監視、規制の流れが強まったんですけれど、この間、次第にちょっと緊張感が薄れていっているんではないかというのが資料の二枚目にございます。
前金融庁長官の氷見野さんが「金融財政事情」にコラムを書かれておりまして、大変参考になるコラムだと思って読みました。「「三月事件」の後始末」と書かれておりますが、タイトルですが、三月事件というのは氷見野さんが命名されたんだと思いますけれど、要するに、二〇二〇年三月ですね、コロナの感染拡大で市場参加者がパニックに陥って、三月の中旬以降ですかね、安全資産のはずの米国債とか金とか円とか、円を売ってアメリカのドルの現金に、現金に換金しようとしたという現象ですね。いわゆる市場型の取付け、ダッシュ・フォー・キャッシュということですね。そういうちょっと事件と呼ぶようなことが起きたと。その二〇二〇年三月のときには、社債の発行が止まって、ファンドの償還資金も底をつきかけるというようなことまで行って、これに対してFRBは機敏に対応して、二か月で三百兆円ですかね、のマネーを市場にぶち込んだということで混乱を収めたということが書かれております。
問題は、氷見野さんが紹介されているのは、このことを通じて世界の金融当局の間で論争が起きていることを紹介されております。
記事をちょっと読みますと、この二〇二〇年三月の市場型の取付け騒ぎですね、ダッシュ・フォー・キャッシュが起きた後、世界の金融当局ではずっと論争が続いていると。多くの中央銀行は、この三月事件と呼ばれるようなことで、例外的な対応が今後も繰り返されるようなことがあってはならないと。しかも、今は金融資産の半分は銀行じゃなくてファンドなどのノンバンクセンターにあるんだから、二度とこういう資金繰りで問題起こさないように、世界共通の規制を導入すべきだという中央銀行の意見があると、主張があると。一方、多くの資本市場当局は、そうじゃなくって、そんなことはもう中央銀行で対応しろと、そんなことがあったらですね、市場を規制するなというような一方の論があるということがこの三月事件以降、世界の中央銀行と資本市場当局との間の論争があるということが書かれておりまして、これ、やっぱりリーマン・ショックの後いろんなことありましたけれど、このコロナの通じてのパニックとか、通じた新たな段階での規制が必要、あるいは必要じゃないという議論が起きていると思うんですけれど、こういう議論があることそのものを日本の金融庁はどのように捉えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/62
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063・有泉秀
○政府参考人(有泉秀君) お答え申し上げます。
ただいま委員御指摘のとおり、二〇二〇年三月の市場の混乱を受けまして、金融システムの安定、それから金融市場機能の発揮との関係をどのように考えるかと、この件について国際的な金融規制の課題として議論されているものと認識しております。
この点、金融庁といたしましては、金融システムの安定を維持しつつ、ノンバンクセクターがその役割を適切に発揮するようにするためには、国際的に共有された一定の目線に沿って、他方で、各国の市場の特性あるいはノンバンクセクターの役割の違いなどを踏まえた規制、監督を行うことが重要だと考えております。
このような考え方に沿いまして、私どもとしましては、FSB、金融安定理事会あるいはIOSCO、証券監督者国際機構、こちらにおいてノンバンクセクターの構造的な脆弱性への対応などの作業に参画してきたところでございます。
金融庁といたしましては、引き続きこうした国際的な議論や分析の作業に貢献しつつ、この問題にどのように対応していくか検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/63
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064・大門実紀史
○大門実紀史君 そういう認識を深めていただきたいと思うんですけれども。
とにかく、氷見野さんが、前金融庁長官が指摘されているように、今やファンド、ノンバンクセクターですかね、が金融資産の半分を持っているという状況ですので、この状況に対応した中央銀行や金融当局の政策が求められますし、やっぱり二〇二〇年のこのときは、三月のときは国債市場も不安定化、株が暴落しただけじゃなくて国債市場も不安定化して、そこにノンバンクセクター、シャドーバンクとも言いますけれど、非常にいろんな動きをしたというのがあるわけですね。
日本でも同様の問題が起きたということは、この短期筋による国債の急速な売却、金利の高騰が起きたということは、日銀のスタッフも一昨年八月に発表した論文で指摘をされているところでございます。
私も四年前にこの委員会で、日本国債をめぐる、これは海外ですけど、のヘッジファンドが投機的な空売りも含めていろんな仕掛けをして、悪さをしたといいますか、ということを指摘いたしましたけれど、そういうことがどんどんどんどん起きる可能性が強まっているわけですね。
日本銀行がこの前、指し値オペ開始して金利の上昇を抑えようということなんでしょうけども、なかなか世界の流れがありますんでそう簡単にいかないと思いますが、この金利の上昇とか、国債価格が下落するというか、そういう瞬間とかそういう隙間を狙って仕掛けてくるのがヘッジファンドというのはもう世界の常識でありますので、やはりきちっと警戒も監視もしておく必要があると思うんですよね。
その点で、国債、特に国債市場がどうなるかというのは国民生活に大きく影響しますんで、国債市場におけるヘッジファンドの動きを金融当局としてどのように把握してモニタリングされているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/64
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065・栗田照久
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
金融庁では、国内のヘッジファンド等の資産運用業者につきましては事業報告書の提出を求めておりまして、必要に応じて事業者にヒアリングを行うなどによりまして実態把握に努めているところでございます。
海外のヘッジファンドにつきましては、我々、直接的な権限があるわけではございませんけれども、国債発行当局であります財務省あるいは日本銀行とも密接に連携しまして、市場動向ですとか金融システムの影響についてできるだけよくモニタリングするようにとやっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/65
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066・大門実紀史
○大門実紀史君 資料の三枚目なんですけど、これは、二〇一七年まで金融庁としてヘッジファンドのいろんなデータを示しておられましたけど、これはもうやめてしまわれたんですよね。ただ、まあ別の活動報告書とかありますんで、「金融庁の一年」とかいろんなもので、こういうものを見られなくなったというわけではないんですけれど、こういうまとまった形での情報提供ですね、これはやめてしまわれたわけですけど、こういうものも含めて、やっぱりもっとみんなが分かるようなまとまった資料で示していかれるべきではないかと思います。
その参考までに、資料の四でありますけれど、これはアメリカですけど、資産五億ドル以上の米国債の取引をやっているヘッジファンドの取引の推移であります。右側がヘッジファンドのレポ取引ですね。レポ取引というのは、ヘッジファンドが国債を担保に資金を調達したり、逆に国債を担保に資金を貸し付けたりするのがレポ取引ですけども、その推移ですけど、これずっと増えております。左のグラフは、国債市場におけるヘッジファンドの売りの持ち高と買いの持ち高、ポジションですね、その推移であります。
ついでに、資料の五番目ですけど、これはまさにSECの、アメリカ証券取引委員会、SECの資料で、ファンドの資料でありまして、様々な金融商品の取引の状況が、推移が載っております。上から、これだと五番目ですかね、五番目に米国債の取引、ファンドが米国債を取引している状況も記載されております。
アメリカのファンドと日本のファンドはちょっと違うというのは分かっておりまして、規模も違えばパフォーマンスも違えば、いろいろ危ないことをやるのもアメリカがすごいというのは分かっておりますけど、ただ、日本も、ここまで、いきなりとは言いませんが、やはりファンドの状況について把握をきちっとしておく必要があると思いますが、まあアメリカのSECのやり方も含めて参考にしながら状況把握に努めていくべきだというふうに思いますが、これはもう最後の質問にしますので、鈴木金融担当大臣からその方向だけ伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/66
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067・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ファンドのモニタリング調査に関しましては、ファンドに関する販売、運用の実態を把握するため、対象業者より毎期報告を求める形で二〇一〇年より始めたものでございます。その後、各金融機関により金融庁に提出される事業報告書の内容を拡充したことや、事業報告書に加えまして、ファンドモニタリング調査を行うことによる各金融機関の負担等も考慮して二〇一八年に廃止をしたところでございます。
また、金融庁では、「金融庁の一年」において、ファンドの運用、販売状況について一定の公表をしておりまして、日本証券業協会を含む各協会においても各種の統計情報が公表されているところでございます。
ファンドに関する更なる調査や公表の在り方につきましては、金融機関の負担やコスト等も考慮しつつ、国際的なファンド規制に関する議論等も踏まえて引き続き検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/67
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068・大門実紀史
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/68
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069・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、末松信介君が委員を辞任され、その補欠として足立敏之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/69
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070・浜田聡
○浜田聡君 NHK党、参議院会派みんなの党、浜田聡でございます。
今回は、保険業法の一部を改正する法律案の審議ということで、前半の方、法案に関する質問をさせていただきます。
冒頭、簡単に関連事項を紹介させていただきます。
まず、生命保険契約者保護機構というものがあります。これは、生命保険会社の保険契約者のための相互援助制度として、万一生命保険会社が破綻した場合には、破綻保険会社の保険契約の移転等における資金援助、補償対象保険金の支払に係る資金援助等を行う機関です。生命保険会社の各社が既に販売してきた保険商品の支払負担のリスクを考えると、巨額の補償財源が必要となります。そこで、先ほどの生命保険契約者保護機構のような生命保険会社の互助会のような機関がつくられました。
ただし、その財源を各生命保険会社だけで負担すると、生命保険会社の財務状況が著しく悪化することが予想されます。そこで、政府が応分の借入保証と生命保険契約者保護機構の補償財源を超える場合の負担を行うという時限措置を保険業法に規定し、必要に応じて延長してきました。
今回の法改正は、生命保険契約者を保護するための補償財源として政府補助を約定する規定を五年間延長する案であり、これまでも繰り返し延長されてきた事案です。
今回の改正案である五年間の政府補助を約す規定の延長は差し当たり必要な措置だと考えます。もし、保険会社が経営破綻した場合でも、その保険会社の責任準備金の九〇%までは生命保険契約者保護機構と政府が保護、補償してくれるということで、国民の保険業に対する信頼につながっていると考えられるからです。国民生活と金融市場の安定と信用の維持のためにも政府の補償と補助は継続するべきだと考えております。
ここで、相互援助制度を維持するための各保険、生命保険会社の立場となってその負担を考えてみます。各保険会社は、保険業法の規定で定められた責任準備金を毎年計上しています。それに加えて、生命保険契約者保護機構の積立金を捻出する必要があります。保険会社にとって、こういった積立金を捻出することが過度な負担になっている可能性があるのではないかと想像するわけですが、そこで各保険会社の積立金に関する意見というものは尊重すべきと考えます。
そこで、金融庁の参考人の方にお聞きします。
各保険会社から生命保険契約者保護機構の積立金捻出への意見をもし聴取していれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/70
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071・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
御指摘の生命保険契約者保護機構の業界負担による事前積立てにつきましては、保険業法におきまして、機構の資金援助等業務に要する費用の予想額に照らし十分な額として定款で定めるところにより算定した額を積み立てるとされているところでございます。
この規定に基づきまして、機構の定款におきまして、積立限度額は現在四千億とされているわけでございますけれども、これは全ての生命保険会社を会員といたしますこの機構において定められたものでございます。また、この事前積立ては、今年度その四千億にちょうど達したところでございまして、現段階でこの限度額を上回る積立てを行うということは予定していないというふうに承知してございます。
こういった中で、金融庁では、本改正案の検討に当たりまして、生命保険会社を含む関係者と協議を実施いたしました。この中で、この積立額四千億に関し、特段の意見は聞かれなかったところでございます。
こうした中で、金融庁といたしましては、生命保険契約者保護機構による資金援助は、業界負担を原則とするということ、それから、過去の資金援助の実績に鑑みまして、業界による負担金額が事前積立ての必要な水準に照らして過大なものになっているというものではないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/71
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072・浜田聡
○浜田聡君 まあ特段の意見はなかったということで、業界の方もある程度納得されているんじゃないかなと承知しました。ただ、各生命保険会社とすれば、自由に使える資金が多いほど事業はやりやすくなるものと想像しています。
そこで、金融庁の参考人の方に提案させていただいて、その提案に関する御意見を伺いたいと思います。
提案としては、金融庁の各生命保険会社への監督が機能していて、保険金の支払能力、支払余力が十分に担保された状況を金融庁の方で確認できれば、事前積立ての負担を必要としないように事後拠出を中心とする制度に変更することでございます。この案への御意見を金融庁として伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/72
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073・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
先生の御指摘のとおり、まず、生命保険各社がそれぞれのその健全性維持向上に努めるということで破綻を未然に防ぐということが保険契約者の保護の観点から何より肝要というふうに認識しているところでございます。
ただ、その上ででございますけれども、万一破綻が起こった場合であっても保険契約者の保護を的確に行うということが不可欠というふうに考えてございまして、その観点から、機構におきまして事前の積立てを行うことによって備えを十分に確保しておくということが重要と考えてございます。
先生の御指摘の中で、事前ではなくて事後に拠出するという御指摘があったかと存じます。平常時におきまして生命保険会社の積立負担がなくて、そして各社において効率的な資金活用に資するという意味で、先生の御指摘の事後拠出のメリットというものがあろうかと思いますけれども、もう一方で、破綻生命保険会社に関して拠出を求められない、つまり、破綻拠出会社も、破綻する前の段階で、事前であればそれに対する応分の負担があったということがあるわけですが、事後だとそれがなくなりますので、保険会社間の負担の公平が図られないのではないかということがございます。
また、保険会社の破綻が生じるような場合というのは通常厳しい市場環境ということでございますので、そういった中で他の生命保険会社に相当規模の拠出を求めるということになるおそれもあろうかというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、業界の負担の在り方につきましては、それぞれの仕組みのメリット、デメリットに留意しながら、事前の拠出と事後の拠出というものを適切に組み合わせることということが重要であると考えてございまして、現行制度もそういったことを踏まえた仕組みになっているものと認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/73
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074・浜田聡
○浜田聡君 丁寧な御答弁ありがとうございます。適宜、各保険会社の意向に応じて制度を柔軟に組み立て直していくのも一案であると思います。
次に、日本国内で経営破綻した生命保険会社のほとんどが外資系企業に買われていることについて、金融担当大臣の御意見を伺いたいと思います。
破綻した生命保険会社のうち、保険業法による手続で処理したのが日産生命、東邦生命、第百生命、大正生命の四社あります。生命保険契約者保護機構などから四社に対する資金援助額が計七千五百三十億円ありまして、そのうち千三百六十億円が政府保証付借入れによって賄われているとのことでございます。
そして、四社とも外資系保険会社が受皿会社となっております。結果として、外資系保険会社のための生命保険契約者保護機構になってしまっているのではないかということです。これが一概に悪いとは言いませんし、何か明確な答えがあるかはちょっと分からないんですが、ただ、このことに関する大臣の御意見は伺っておきたいと思います。
ということで、日本の生命保険会社の破綻が外資系保険会社の日本進出の足掛かりとなっていることについて、大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/74
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075・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 生命保険契約者保護機構の制度でありますが、これは我が国の保険契約者等の保護や保険業に対する信頼性の確保などを目的としているものであります。過去の破綻処理におきましては、それにより、我が国の保険契約者等の的確な保護はもとより、日本の金融システムの安定等にも貢献してきたものと考えております。
破綻した保険会社の保険契約については、外資系保険会社を中心に引受けが行われたことは御指摘のとおりでございますが、これは保険業法の要件に照らして適格性が認定された結果としてそうなったものでありまして、外資系保険会社であったことが問題とは考えておりません。
日本の保険会社であるか外資系であるかにかかわらず、様々な保険会社が日本の市場に参入して競争することは、顧客ニーズに応じた質の高い多様な保険サービスの提供につながるものと考えておりまして、日本の保険契約者にとって望ましいことでもあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/75
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076・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
私も大臣の意見と同様で、日本企業も外資系企業と適切な競争でいいサービスが提供できればいい、望ましいと思っております。
ということを申し上げて、次の質問に移ります。
次に、ロシアとJT、日本たばこ産業株式会社についてお聞きしたいと思います。
JTの持ち株比率を見てみますと、財務大臣が三三・三五%の株式を保有しております。つまり、三分の一を辛うじて超える持ち株比率でありまして、特別決議を否決することができるぐらいには財務大臣がJTをコントロールできるのではないかということです。
そして、JTは、子会社である日本たばこインターナショナル、JTIを通じてロシア国内に四つの工場を持っていると承知をしております。また、ロシアでは成人の三人に一人が喫煙者とされ、たばこ産業にとっては有望な市場であると承知をしております。
ただ、皆様御承知のとおり、ロシアに対しては、我が国含め世界各国が経済制裁を行っているところでございます。そういった状況の下で、先日の報道によると、JTは、ロシアでの新規投資、マーケティング活動を一時停止するとのことでした。まあ状況を考えると致し方ないのかなと思います。
そこで、財務省参考人の方にお聞きします。
JTはロシアでの新規投資はしないとのことですが、既存の投資はそのままにするのでしょうかということです。例えば、既存の製造業の事業などは続けるのでしょうかということでございます。
また、恐縮ですが、もう一つまとめてお聞きしたいのですが、既存の投資をする場合、今後の回収の見込みはいかがでしょうか。ロシアは、非友好国に対する天然ガス供給をめぐって、支払を自国通貨ルーブルのみにすると述べているわけなのですが、この場合の日本、非友好国であるがゆえに、最終利益から生じる配当などはルーブル払いになるのか、それとも凍結されるのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/76
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077・角田隆
○政府参考人(角田隆君) お答え申し上げます。
JTグループは、現時点では、既存の事業、つまりロシア国内でのたばこの製造販売を行っておりますが、既存の事業そのものは継続をしておるところでございます。
ただし、今般の情勢に鑑みまして、三月十日にプレスリリースしておりますけれども、ロシア国内の事業環境が大幅に改善しない場合、同国内市場におけるたばこ製造を一時的に停止する可能性についても言及しておるところでございます。
また、将来のことはともかく、資金決済の関係ですけれども、将来のことはともかくとして、少なくとも現時点におきましては、JTグループのロシア現地法人における海外資金決済は実施できているというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/77
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078・浜田聡
○浜田聡君 ありがとうございます。
繰り返しになりますが、現在、ロシアに対しては、我が国を含め世界各国が経済制裁を行っているところでございます。
また、前回、当委員会において、私が今後の日本の方針を脱ロシアということで提案して、それについて大臣の見解をお聞きしたところ、前向きなニュアンスで御答弁をいただき、私は好感を持っております。
そこで、このJTも仮に脱ロシアの方針を取るとした場合に、参考人の方にお聞きします。
JTが仮にロシアから撤退する場合、JTがロシアに持っている工場などの財産というのはロシアに国営化されて没収されるのでしょうか。ちょっと答えにくければ、JTに限らない一般的な話でも結構でございます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/78
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079・角田隆
○政府参考人(角田隆君) お答えを申し上げます。
まさにその点に関しますロシアの政府の動向につきまして様々な報道、臆測もあるところでございますけれども、現時点で確たる情報があるわけでもございませんので、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/79
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080・浜田聡
○浜田聡君 予断を持った答弁できないことは理解いたしました。
脱ロシアに方針転換する場合は、ある程度損切りせざるを得ないというのは致し方ないとは思います。ロシアを始めとして、信用できない国への投資はリスクが大きいことを考慮した上で、今後の投資の判断をしていくことの重要性が広がることを願いまして、次の質問に移っていきます。
次は、前回の委員会に引き続いて恐縮ですが、日本のエネルギー政策、特に原子力発電所に関する政策について伺っていきたいと思います。
先日、電力需給が逼迫して多くの国民が節電を余儀なくされました。その数日前の東北地方の地震で火力発電所が稼働を停止した上に、急に気温が低くなって多くの電力が必要となる事態と重なりました。国民が停電を恐れて節電をする必要があるという状況を遷延させてはいけないと思います。
そういった電力不足の問題を解決する方法の一つとして、安全性の確認された原子力発電所の再稼働が重要でありまして、既に国会においては、国政政党の幾つかが積極的に再稼働を推進していると承知をしております。
まず、火力発電所の現状について確認をしていきたいと思います。
先般の電力需給が逼迫した原因として、三月十六日に福島県沖で起きた最大震度六強、マグニチュード七・四の地震で、福島県浜通り地方に立地する火力発電所などが相次いで被災して稼働を停止したことが挙げられると思います。
その後の報道によりますと、復旧に時間が掛かりそうという情報、あるいは思ったより早く復旧するとの情報が混ざっているところだと思います。
そこで、政府参考人の方にお聞きします。
現状、これら福島浜通り地方の火力発電所、あと、それ以外の東北地方の火力発電所も可能な範囲で結構ですので、復旧状況どうなっているのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/80
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081・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
三月十六日の福島県沖の地震の影響によりまして、東京・東北エリアで計十四基の火力発電所が停止いたしました。その後、東京・東北エリアでの電力需給逼迫警報を発令したわけでございますが、この二十二日の時点ではそのうち六基が継続して停止していたところでございます。
また、この地震直後に十四基が停止したわけでございますけれども、この地震の後、二十二日までの間に東京エリアにて追加で故障等のため三基が停止になっております。
この全体についての復旧状況及び見通しについての御質問でございますが、この停止しておりました合計九基のうち四基が復旧済みでございます。三基、この三基が委員御質問の浜通りに立地しております原町、広野、相馬の各火力発電所でございますが、こちらの方は四月上旬から五月半ばに復旧予定と承知しております。
残りが二基ございまして、二基のうち一つが新地の発電所、もう一基が磯子の方の発電所でございますが、こちらの方は設備の損傷が厳しくございまして、現時点では復旧のめどが、見込み、時期がまだ未定の状況というふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/81
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082・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 質疑時間が参りましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/82
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083・浜田聡
○浜田聡君 時間が来たので終わりますが、日本のエネルギー事情、非常に重要だと思いますので、今後も注視していきたいと思います。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/83
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084・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/84
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085・大門実紀史
○大門実紀史君 本法案に反対の討論を行います。
破綻に伴うコストは、国民負担ではなく、最終的には保険業界の責任負担で行うべきであり、業界にはその体力も十分にあります。したがって、政府補助の仕組みは必要ありません。にもかかわらず、政府の補助制度を用意し、延長することは、業界の自己規律の確立を阻害し、モラルハザードを助長するだけです。
今求められていることは、まず保険会社、業界自身にリスク管理をきちんとさせることです。そんなときに政府補助制度を延長することは、業界のリスク管理意識を弱めるだけで、必要はありません。
以上のことから、本法案に反対をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/85
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086・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
保険業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/86
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087・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/87
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088・豊田俊郎
○委員長(豊田俊郎君) 御異議がないと認め、さよう決定をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X00920220331/88
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