1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月十九日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十四日
辞任 補欠選任
竹内 功君 宮島 喜文君
大門実紀史君 市田 忠義君
山下 芳生君 小池 晃君
四月十五日
辞任 補欠選任
市田 忠義君 大門実紀史君
四月十八日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 進藤金日子君
宮沢 洋一君 中西 哲君
四月十九日
辞任 補欠選任
櫻井 充君 松下 新平君
進藤金日子君 羽生田 俊君
末松 信介君 小川 克巳君
中西 哲君 本田 顕子君
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出席者は左のとおり。
理 事
西田 昌司君
藤末 健三君
森屋 宏君
牧山ひろえ君
山本 博司君
委 員
小川 克巳君
大家 敏志君
櫻井 充君
自見はなこ君
進藤金日子君
中西 哲君
羽生田 俊君
藤川 政人君
本田 顕子君
松下 新平君
宮島 喜文君
勝部 賢志君
熊谷 裕人君
古賀 之士君
難波 奨二君
杉 久武君
大塚 耕平君
浅田 均君
小池 晃君
大門実紀史君
浜田 聡君
渡辺 喜美君
国務大臣
財務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 鈴木 俊一君
副大臣
財務副大臣 大家 敏志君
事務局側
常任委員会専門
員 小松 康志君
政府参考人
金融庁総合政策
局長 松尾 元信君
金融庁企画市場
局長 古澤 知之君
外務省大臣官房
審議官 渡邊 健君
外務省大臣官房
参事官 股野 元貞君
外務省大臣官房
参事官 北川 克郎君
財務省関税局長 阪田 渉君
財務省国際局長 三村 淳君
国税庁次長 重藤 哲郎君
農林水産省大臣
官房参事官 坂 勝浩君
林野庁林政部長 森 重樹君
水産庁漁政部長 渡邊 毅君
水産庁資源管理
部審議官 高瀬美和子君
経済産業省大臣
官房審議官 矢作 友良君
経済産業省大臣
官房審議官 新川 達也君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
海上保安庁警備
救難部長 白石 昌己君
防衛省防衛政策
局次長 大和 太郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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〔理事森屋宏君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/0
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001・森屋宏
○理事(森屋宏君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。
豊田委員長が都合により出席できませんので、委員長の委託を受けました私が委員長の職務を行います。(発言する者あり)ありがとうございます。
委員の異動につきまして御報告いたします。
昨日までに、山下芳生君、竹内功君、岡田直樹君及び宮沢洋一君が委員を辞任をされ、その補欠として小池晃君、宮島喜文君、進藤金日子君及び中西哲君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/1
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002・森屋宏
○理事(森屋宏君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、財務省関税局長阪田渉君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/2
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003・森屋宏
○理事(森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/3
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004・森屋宏
○理事(森屋宏君) 関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取をいたします。鈴木財務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/4
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005・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) おはようございます。
ただいま議題となりました関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
まず、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、G7と連携し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を一層強める等の観点から、貿易優遇措置である最恵国待遇を撤回するため、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
国際関係の緊急時において、WTO協定による関税についての便益を与えることが適当でないときは、特定の国から輸入される物品に課する関税の率を基本税率等とすることとしております。
次に、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、G7と連携し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を一層強める等の観点から、暗号資産が制裁の抜け穴として悪用されないよう、制裁の実効性を更に強化するため、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、暗号資産に関する取引を資本取引とみなす取引として新たに定義することにより、資本取引規制の対象とすることとしております。
第二に、暗号資産交換業者に資産凍結措置に係る確認義務等を課すこととしております。
以上が、関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/5
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006・森屋宏
○理事(森屋宏君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/6
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007・藤末健三
○藤末健三君 おはようございます。自民党・国民の声の藤末健三でございます。
本日は、ロシア経済制裁のための関税暫定法の一部を改正する法律案、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について御質問申し上げます。
まず初めに、改正外為法の立法事実について御質問申し上げます。
今般の法改正により、現行法の下で規制対象となっていない制裁対象から第三者への暗号資産を移転する取引についても新たな資本取引とみなし、規制を掛けると理解しております。
これにより、具体的にどのような事例を新たに捉えると考えておられるか、お教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/7
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008・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
今先生から御指摘をいただきましたように、今回の法改正によりまして、制裁対象者から第三者に暗号資産を移転する場合、これ現行の外為法で捕捉できてございませんけれども、これが規制対象になるということでございます。
具体的に申し上げますと、制裁対象者の口座を国内の暗号資産交換業者の方が管理していると、こういう場合でこの口座から第三者に暗号資産を移転する、これが現行外為法では十分捕捉できていないわけでございますが、これを今回の法改正によりまして外為法上の資本取引規制の対象とすると。これによりまして、今般いろいろロシアにも資産凍結の措置講じてございますが、今申し上げたような国内の業者が管理されております制裁対象者の口座から第三者が暗号資産を移転する、こういったものも資産凍結の対象にできるようになると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/8
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009・藤末健三
○藤末健三君 是非、後で御質問申し上げますけれど、この暗号資産の交換事業者の方々、今三十社ぐらいございますけれど、是非うまく連携していただきたいと思います。
次に、暗号資産交換事業者の事前確認義務について質問を申し上げます。
今般の法改正は、ロシアによるウクライナ侵略を受け、暗号資産が国際的な制裁措置の抜け穴として悪用されることを防ぐべく、G7を始めとする国際社会と協調して実施されるものと理解しておりますが、暗号資産交換事業者等に対する義務を各国同様なものになっているかどうかをお伺いいたします。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/9
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010・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) お答えいたします。
暗号資産の取引に当たりましては、暗号資産交換業者に対して、銀行等と同様に、顧客の本人確認や取引が制裁対象者に係るものでないことの確認を行う義務が、マネロン、テロ資金供与等対策のための国際基準の策定、履行を担う多国間の枠組みでありますFATFの勧告によりまして国際基準として求められています。
今般の法改正は、こうしたFATF勧告を踏まえつつ、三月十一日のG7首脳声明を受けて、金融制裁の実効性の更なる強化を図る観点から、速やかに講じるべき措置について対応するものであります。我が国だけの対応ということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/10
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011・藤末健三
○藤末健三君 是非、今聞いていますと、ロシアの資金が、仮想通貨も含めてなんですが、ドバイに住んでいる友人が言っているのは、ロシアの資金がどんどん流入しているという話をしていました、実際に。かつ、今シンガポールに仮想通貨の資金が集まりつつある。香港というか、香港もまだ規制しておりませんので、是非とも各国との連携を進めていただきたいと思います。
また、今このような状況の中で、日本の仮想通貨、このいろいろな制限ができてくる、新たな制限ができるわけでございますけれど、国内の問題に対しまして、課税に関しましては、現状日本では累進課税のままになっている。雑所得で所得として課税され、そして累進課税が課される。かつ、仮想通貨、この暗号資産のこの収入は非常に大きな額になりますので、大きな負担となっております。
居住者の国内における暗号資産利用促進を促し、海外よりも国内における取引を増加させることでこの健全な暗号資産の管理を実現するために、分離課税への移行が検討必要ではないかと思いますが、是非、鈴木財務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/11
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012・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 藤末先生の御指摘のとおり、暗号資産の取引に係る所得につきましては、外国通貨の為替差益と同様に原則として雑所得に区分されまして、総合課税の対象となっております。
一方、上場株式等の譲渡益等につきましては、税制の中立性、簡素性、適正執行の確保などの観点から、また、そのほか、貯蓄から投資へという政策的要請を受けまして、一般投資家が投資しやすい簡素で中立的な税制を構築するという観点から、二〇%の分離課税が採用されているところでございます。
暗号資産の取引による所得に二〇%の分離課税を採用すべきだという、そういう御意見があること、これは承知をいたしておりますが、給与や事業で稼いだ方は最大五五%の税率が適用される一方で、暗号資産で稼いだ方は二〇%の税率でよいとすることについて国民の理解を得られるかどうか、株式のように家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当なのかどうかなど、数々の、様々な課題があると考えております。
こうした課題を踏まえつつ、今後丁寧に検討をしなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/12
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013・藤末健三
○藤末健三君 是非、鈴木大臣におかれましては、検討を進めていただきたいとお願いしたいと思います。
幾つか理由はございますけれど、まず一つに、この暗号資産、国内でも五百万人の方々が保有しているという状況にあります。そして同時に、海外においては、もう既にアメリカにおいても金融商品の中にこの暗号資産を組み込んだもう商品ができて、それはもう分離課税的な扱いを受けているという状況でありますし、また同時に、これ、一番大きい理由としては、例えばシンガポールとか香港においては税的な優遇措置さえも行われているという状況の下、例えば、今、日本の暗号資産を保有した方々がシンガポール、そしてドバイとかにこれ移住しているという、実際、私、います、知り合いに。そういう状況が起きておりまして、我が国は本当に、外務省、そして金融庁の皆様が先行して暗号資産の法制度を進めたものの、ほかの国よりも二年、三年前は進んでいました。しかしながら、税制でずっと止まっているという状況にございます。この新しい暗号資産の、恐らく世界を変える力を持つと私は思っています。
国が発行する、国という信用によってつくられた今までの通貨と違う、これは暗号技術、技術がその資産の価値を担保するという新しい世界に入っておりまして、是非とも、一般的に国の中央銀行が発行するその貨幣と、この暗号技術による、技術による信用をつくられたこの暗号資産、是非区分けしていただきたいと思いますし、また同時に、今、このブロックチェーンという新しい技術に基づくようなこの金融、暗号資産が生まれてきているわけでございますけれど、我が国の未来のイノベーションを引っ張るためにも、是非ともこの暗号資産を始めとするこのブロックチェーン技術、あと、ウエブ三・〇といって、今、GAFA、グーグルやアマゾンとか、中央集権型に情報を集め管理しているものから分散型の管理に移っていくという中で、恐らく新しいイノベーションを日本から生み出す大きなチャンスが到来していると思います。
ですから、是非ともその暗号資産を一般的な外貨と同じ扱いというものではなく、今後の将来的なそのポテンシャルや、あと、我が国の経済的な、金融的な競争力の観点から、是非、財務省、金融庁、またほかの役所も併せて議論を進めたいということをこの場でお願いさせていただきます。税制を変えることは非常に重要なテーマだと私は思っております。
続きまして、三番目の問いとしまして、本年四月時点で金融庁に暗号資産交換事業者が三十社登録されています。これ、いずれも設立数年以内の比較的小規模な事業者が多いのが実情でございます。そうした事業者に対して公布から僅か二十日で銀行などと同様の確認義務が課されることを懸念しております。そうした事業者に対し、政府として、これから事業者の事業規模や経営基盤等も考慮しつつ、事務オペレーション上現実的に何が可能かという点を見ていくべきだと考えます。
暗号資産交換事業者にとって、改正法によって新たに課せられる確認義務への最も現実的な対応としては、ブロックチェーン解析社の提供する解析ツールの利用による送付先アドレスの事前スクリーニングがあると考えています。こうした解析ツールの適用は改正法の趣旨に沿った対応であると考えております。
こうした点を踏まえ、政府として暗号資産交換事業者の負担を軽減するために具体的にどのような方策を考えているのか、お教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/13
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014・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
今般の法改正によりまして、事前確認義務、それから資本取引規制、こういったものが課されるわけでございますが、この履行のために、暗号資産交換業者の皆様方には大きく三点お願いしたいと考えてございます。
一点目は、自身の、業者自身の顧客の方に制裁対象者がいないかを確認していただくこと、二点目は、制裁対象者からのこの暗号資産の移転の依頼、これを取り次がないこと、そして三点目は、暗号資産の移転先が制裁対象者でありますとき、あるいはその疑いがありますときにその移転を行わないこと、この大きく三点やっていただくということかと思ってございます。
今申し上げました三点のうち、まずその顧客に制裁対象者がいないかどうかの確認でございますが、これは既に犯罪収益移転防止法、いわゆる犯収法によりまして、顧客の本人確認義務、これは既に法律上の義務として業者の皆様方に既に義務付けられてございます。
そして、この確認をその犯収法上の本人確認としてやっていただいておれば、制裁対象者からの暗号資産の移転の依頼を取り次がないこと、これも実態上やっていただけるのではないかというふうに認識をしているところでございます。
それから、三つ目の暗号資産の移転先が制裁対象者である場合にその移転を行わないというところでございますが、これ、現実問題として既に、例えば米国当局などは、先生も御承知のとおり、制裁対象者のアドレスなどを把握した場合にはこれを公表してございまして、こういったものをリスト化しましたブラックリストアドレスというようなものが世の中に既に存在してございます。これに照らし合わせて、これを活用してスクリーニングをやっていただくということが現実的かつ有効な手法と思ってございまして、その際に、先生先ほど御言及いただきましたブロックチェーンの解析ツール、こういったものも有効な手法であろうというふうに私どもとしては思っているところでございます。
さらに加えまして、今、足下、国際的には、暗号資産の移転を行うこの依頼側、つまり送金側と受取側、この双方の情報を両サイドの業者の方、暗号資産交換業者の方に互いに通知をし、また共有をしていただく、こういった業者間の取組、ソリューション、こういったものも普及しつつございます。
こういった最新の実務を踏まえまして、踏まえながら、今後とも、私どもとしまして、法改正の内容、しっかりと業者の皆様方にも周知徹底したいと考えてございますし、それを受けた実務の在り方につきまして、諸外国の状況などを見ながら、どういった形で更なる有効な対応があるか、これ業者の皆様方もよく意見交換もさせていただきながら、しっかりと対応してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/14
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015・藤末健三
○藤末健三君 是非、過度な負担を掛けないようにお願いしたいと思います。実際に、暗号資産交換事業者の方々、本当にできたばっかりの会社が多く、かつ、やっぱりこれから育てていく形になると思います。その中で話を聞かせていただくと、銀行におけるそのマネロン等の審査のオペレーションがどれだけ負荷が掛かっているかということを余り知られていないんですよ。割とそのリストで機械的に処理できるというふうに思われている方もおられましたので、是非、うまく現場の方々と、オペレーション部隊の方々と連携して、過負荷にならないようにお願いしたいと思います。
続きまして、改正外為法におきまして制裁対象に対する暗号資産の取引規制を強化するというこの法改正でございますけれど、海外、投資詐欺等に遭遇した場合、通貨交換タイミングにおいて課税が発生します。その後、投資敷金の回収が不能になった場合でも、税金が非免税債権のため、詐欺被害に遭遇した方が破産することもできずに窮地に追い込まれているという現状を聞いております。
所得法第七十二条において、雑損控除は、損害又は盗難若しくは横領により生じた損失を対象としますが、詐欺による損失は対象となっておりません。実際に私が聞いた話でいきますと、海外のICO、イニシャル・コイン・オファリングによって詐欺があり、それで課税が発生する。一方、詐欺に遭ってお金は入っていないのに税金を払えと言ってくるというような状況が生じて、自己破産もできないという話を聞いております。
この点において、現在救済措置があるかどうかをお教えいただきたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/15
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016・重藤哲郎
○政府参考人(重藤哲郎君) お答え申し上げます。
まず、委員御指摘のとおり、雑損控除につきましては、災害又は盗難若しくは横領により生じた損失を対象としておりますので、この詐欺というのはそこには入っていないというところでございます。
一方で、暗号資産、これは雑所得の基因となる資産でございますが、雑所得の基因となる資産の損失につきましては、所得税法第五十一条第四項におきまして、その損失の生じた年分の雑所得の金額を限度として必要経費に算入することができ、その損失には詐欺による損失というのも含まれるということでございます。
したがいまして、今委員から御指摘がございましたICO投資詐欺に遭遇された方につきましては、これ個々の事実関係にもよりますので一概には申し上げられませんが、例えば裁判などによって詐欺によって暗号資産がだまし取られたといった事実が明らかとなって、契約が取り消されたといった場合であれば、例えば税務上も、まず暗号資産の交換によって売買益が発生したという取扱いはしないということ、あるいは当該暗号資産の損失を雑所得の金額の範囲内で必要経費に算入するといったこともできるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/16
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017・藤末健三
○藤末健三君 是非被害に遭われた方々の声を聞いていただきたいと思います。実際に裁判の認定が、詐欺の認定は裁判の認定が必要であるということでございますけれど、その裁判の認定というのは非常にハードルが高いということを聞いておりますので、是非様々な制度的な工夫をしていただくことをお願いさせていただきます。
これで質問を終わらさせていただきますが、本当に委員の皆様にも申し上げたいのは、今回このように暗号資産についてG7で規制をしようということになったということはどういうことかと申しますと、これだけ暗号資産が世界的に流通しているということの証左だと私は思っております。そういう中で、我が国がこの国際的な経済、金融の中において暗号資産を育てていくという観点を是非持つべきであることを主張させていただきまして、私の質問を終わらさせていただきます。
貴重な時間をどうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/17
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018・古賀之士
○古賀之士君 おはようございます。立憲民主・社民の古賀之士でございます。
冒頭、お見舞いから申し上げます。
私の地元、福岡県、その北九州市、北九州市民の台所と言われております旦過市場で未明に大火災が発生しております。この財政金融委員会の委員の先生方も、大家先生や、それから自見はなこ先生、御縁、ゆかりのある方もいらっしゃるかと思います。謹んでお見舞いを申し上げます。
また、個人的には、FBS福岡放送時代に北九州の台所、旦過市場で数多くの取材やロケ、そして中継を行ってまいりました。実は昨日の夕方もその旦過市場の近くで活動をしておりまして、小倉駅を利用して上京してまいりました。大変なショックを受けております。
どうか一日も早い復旧復興、そしてお悲しみから乗り越えられることをお祈り申し上げまして、質問に入らせていただきます。
ではまず、先ほどからもお話出ておりますが、為替の問題から鈴木財務大臣にお話を伺います。
過日、鈴木財務大臣は、この昨今の円安について、悪い円安だと言及、コメントをされていらっしゃいました。通告はしておりませんけれども、実は今日の未明からまた円安ドル高が止まっておりません。朝の八時の段階で百二十七円十五銭、そして今直近では百二十七円三十七銭付近まで円安が一気に進んでおります。
財務大臣にお尋ねいたします。悪い円安というそのコメント、今も現状お変わりがございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/18
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019・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 円安が進んでいる、急速に進んでいるという状況にございます。
円安にはプラスの面もありますし、マイナスの面もございますが、やはりその時々の経済の置かれた状況の中で考えるということになるんだと思います。特に、現在のように原油などの原材料価格が世界的に高騰している中におきまして、円安の進展、これは輸入物価の一段の上昇につながりますので、消費者や価格転嫁が十分にできない企業にとってデメリットをもたらす面があると、このように考えて発言をしたところでございます。
いずれにいたしましても、為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくありません。引き続き、しっかりと緊張感を持って市場の動向を注視してまいりたいと、そういうふうに思っております。
もちろん、先ほど申し上げましたとおり、プラスの面もあることはあるわけでございますが、現状の経済状況を考えますとデメリットをもたらす面があると、強いと、そういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/19
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020・古賀之士
○古賀之士君 鈴木財務大臣、明日はG20でございます。その中でこの一方的な円安に関して何か言及するおつもりはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/20
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021・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今朝の閣議で出張が認められまして、午後にワシントンに行ってまいりまして、今、これからどういう方々とバイの会談をするかということで、今調整中でございます。
為替の政策については、これまでのG7等での合意を維持することや、米国等の通貨当局と緊密な意思疎通を図ることが重要であると考えておりますので、こうした考えに基づいてしっかり対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/21
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022・古賀之士
○古賀之士君 このタイミングでちょうどG20が行われるということですので、フェース・ツー・フェースで行われるこの貴重なタイミングでございますので、もう一度その強い決意を、この為替の安定化に向けてのコメントをいただきたいんですが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/22
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023・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 為替の安定、これは重要でありますし、急速な変動というものはこれは好ましくないという強い思いを持っておりまして、そういう意味で大変な緊張感を持って今の動向を注視しているところでございます。
G20にも参りますけれども、これからの基本的な考え方といたしましては、これまでG7等で合意されました考え方、すなわち、為替レートは市場において決定される、為替市場における行動に関して緊密に協議する、過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与え得るといった考え方、これに基づきまして、米国等の通貨当局と緊密に意思疎通を図ってまいりたいと、そういう態度で、バイ会談等が今調整中でございますが、行われればその会談に臨んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/23
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024・古賀之士
○古賀之士君 このエネルギーの高騰、そして食料によって日本は今物価高にあえいでおります。この為替の安定というのはもう喫緊の大重大課題だと思いますので、是非このG20のチャンスを逃さないように、是非財務大臣にはこの為替の安定化に目指して強い意思を、日本の政府の意思を発揮していただきますよう強く要望いたします。よろしくお願いいたします。
それでは、その明日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議がございますので、これに関しましてお話を伺います。
ロシアも実はこれオンラインで参加を、見通しあると伺っております。ロシアがウクライナに侵略をして、国際会議として大きな注目を集めると予想されております。
日本政府の代表としてロシアに対してどのような行動を求めるか。また、ウクライナのシュミハリ首相も参加と報じられておりますが、日本の財務大臣として会談を行う予定はございますでしょうか。お答えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/24
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025・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回のロシアによりますウクライナ侵略でございますが、これは、領土と主権の一体性を損なう、力によって現状を変更しようとする、そしてこの過程におきまして女性や子供を含む無辜の市民の方々が虐殺されるという戦争犯罪とも言えるべきことが行われているということで、これはもう断じて容認をすることができないことでございまして、厳しく非難をする考えであります。
その上で、一刻も早く平和を取り戻すことが世界経済にとっても最も重要であると考えます。そのために、G7を始めとする国際社会と協調しながら制裁措置を行い、一致団結してロシアに圧力を掛けるように呼びかけてまいりたいと、そのように思っております。
殊にも、先生も御承知のとおり、G20の中には、国連のこの議決をする際にも棄権をしたり反対をしたりという国々も実際含まれておりますので、こうした日本の考え方、G7と協調した考え方、しっかりと主張をしてまいりたいと思っております。
それから、ウクライナの財務大臣がこの出席を希望しているということでありますが、まだ、バイ会談につきましては、現時点では調整をしているということで、明確なことは今お答えできる状況ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/25
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026・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
少なくとも財務大臣は、ウクライナの参加がもしかなった場合は個別の会談をしたいと思っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/26
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027・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先方もいろいろ会談をしたいという御希望もあると思いますけれども、調整が付けば是非お会いしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/27
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028・古賀之士
○古賀之士君 その会談がもし調整が付けば、どのようなことを重点的にお話合いをするおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/28
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029・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) まずは相手側の、ウクライナの今の状況、またいろいろな国際支援、他国からの支援ということを求めての参加だと、こういうふうに思いますので、よくそのお話を伺いたいと、こういうふうに思っておりますし、それから、日本のこれまでの支援の取組ということ、それはもう先方も御存じのことと思いますが、改めてしっかりと説明をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/29
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030・古賀之士
○古賀之士君 所轄ではない部分もおありになるかと思いますけれども、直接またお会いできる機会もめったにないと思いますので、もし会談がかなった場合は、是非、日本の総括的なウクライナに対する支援をしっかりと御説明いただけるようお願い申し上げたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/30
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031・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 財政的な支援だけではなくて、避難民の方の受入れとかですね、財務省の所管ではありませんけれども、幅広く取組をしているわけでございますので、そういうことを御説明しながら、またその中で新たな御要請があったり、日本としてもこういうことが加えてできるのではないかというようなことのヒントも出てくるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/31
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032・古賀之士
○古賀之士君 お忙しい中、スケジュール調整大変かと思いますが、是非、会談が実現いたしまして、日本政府の意思が、為替についても、そしてウクライナの平和についても、実のある会談になることを祈っております、願っております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、次の質問へと移らせていただきます。
来年のG7の開催地、日本でございます。この開催地の検討について、現状、外務省の参考人に伺います、どのようになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/32
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033・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
二〇二三年G7サミットの開催には、福岡県福岡市、名古屋市、広島県広島市が対外的に誘致を表明されており、現在、全ての候補地について、宿泊施設、会議場、交通アクセス、警備など、あらゆる観点から総合的に検討を行っているところでございます。
サミット開催地の決定につきましては、本年六月末にドイツのエルマウで開催されるG7サミットまでには政府として判断したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/33
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034・古賀之士
○古賀之士君 せっかくですから、大家副大臣、今の現状、来年のG7、例えば福岡市、これは有力な候補地と言えるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/34
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035・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) 私の立場からどこまで申し上げていいかというのは非常に難しいところでありますけれども、先生御承知のとおり、福岡も有力な候補地の一つであるということで自治体として表明もしているところでありますから、しっかりとした検討がなされた上で政府として決定されるものと認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/35
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036・古賀之士
○古賀之士君 遠慮されないでいいと思うんですけれど、よろしいですか。はい、分かりました。
御存じのように、福岡市の場合も、かつてG7で福岡市博物館を会場にしてコストを非常に考えた上で行われた経緯もございますので、そういったその利便性も含めて、今三つの都市が名のりを上げているということでございますが、是非また公正かつきちっとした検討を行っていただいて、その準備のために力を尽くしていただきますようお願いを申し上げます。
それでは、資料の一、御覧いただきながら続きの質問に移らせていただきます。
G7の首脳声明では、ヨーロッパにおいて戦争を仕掛けるというプーチン大統領の一方的な選択という言葉がございます。なぜこれヨーロッパにおいてという地理的な限定が入ったんでしょうか。資料の二見ていただきますと、マスコミ報道においても、比較的文明化された、比較的ヨーロッパ的なところが戦場だですとか、シリアの話ではない、我々と似たヨーロッパ人の問題ですとか、人種的観点から見逃せない表現とも思えるような部分が多数ありました。ヨーロッパにおいてという言葉、無意識のうちに、もしかすると差別的な観点があるのではないでしょうか。
アジア唯一のG7国としてどのような検討を行ってきたのか、外務省の参考人に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/36
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037・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
我が国としては、今回のロシアによるウクライナの侵略は、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であると考えております。この点につきましてはG7諸国との間でも認識を共有しており、二月二十四日のG7首脳声明においても、その影響は欧州にとどまるものではないとの記述が盛り込まれております。
御指摘の三月二十四日のG7首脳声明の記述につきましては、ウクライナがヨーロッパに位置するという事実関係を踏まえたものと考えておりますが、今回の侵略の影響が欧州にとどまるものではないとのG7の認識に何ら変わりはなく、議論の結果、世界中の同盟国やパートナーとともに取り組むことを確認しております。
このような認識を踏まえ、我が国としては、引き続きG7を始めとする国際社会と連携して適切に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/37
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038・古賀之士
○古賀之士君 御説明ありがとうございます。
後段のマスコミの報道においてのシリアの話ではないとか、いわゆるその地理的な部分もやはり言及されている報道も見受けられますので、是非こういった、なぜヨーロッパにおいてという部分なのか、地理的な限定なのか、確認をしていただくなり疑問を呈していくなり、是非誤解のないように精査いただきますようお願いいたします。
このG7の首脳声明では、国際機関や多国間フォーラムは、もはやこれまでどおりロシアとの間で活動を行うべきではない、我々は、共通の利益や各機関の規則に基づいて、パートナーと緊密に協力して適切な形で行動するとあります。
国際機関、多国籍フォーラムでロシアの除名や資格停止など日本として求める考えはあるのか、財務省の、失礼、外務省の参考人にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/38
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039・股野元貞
○政府参考人(股野元貞君) お答え申し上げます。
ロシアによるウクライナへの侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為でありまして、明白な国際違反として厳しく非難されるべきものであると考えております。委員御指摘のG7首脳声明でも確認されましたとおり、我が国としても、ロシアとの関係をこれまでと同様にしていくことはもはやできないと考えております。
こうした考えに基づきまして、我が国も共同提案国の一員となりましたロシアの国連人権理事会における理事国資格停止決議案が国連総会に提出され、日本時間四月八日、国連総会の緊急特別会合におきまして採択されました。無辜の民間人の殺害など、重大な国際人道法違反である行為を行っているロシアのこのような、ロシアのような国が人権理事会に理事国としてとどまるのは不適切であるとの幅広い国連加盟国の強い意思を示すものでございまして、大きな意義があったと考えております。
全ての国際機関は国際社会の平和や繁栄といった加盟国共通の利益を実現することを目的として創設されておりますが、今般のロシアの行動はそうした精神と相入れるものではございません。
政府といたしましては、こうした認識に立った上で、個別の事案における具体的な対応につきましては、G7を始めとする国際社会との連携、各機関、枠組みの目的や仕組み等、種々の要素を総合的に勘案して個別に判断していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/39
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040・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
では、制裁、いわゆる制裁二法について、再び外務省の参考人にお尋ねをいたします。
最恵国待遇の撤回について、関税法、いわゆるこの二法によらずとも、そもそもWTOでロシアの除名や資格停止などをすればいいんじゃないかなとも思ったりするわけなんですが、そうすればG7の共同声明の趣旨にも合いますし、関税も実は上がることもないんですね。ロシアの除名や資格停止などにはどのような方策が考えられるんでしょうか。また、日本としても除名や資格停止などを求める考えがおありになるのか、外務省参考人にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/40
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041・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
WTO協定上、WTOから加盟国を除名や資格停止するための手続規定は定められておりません。
ロシアによるウクライナの侵略は、武力の行使を禁ずる国連憲章の深刻な違反でございます。
日本として、ロシアへの外交的、経済的圧力を一層強める観点から、三月十一日のG7首脳声明を踏まえまして、WTOにおいてロシアに対する関税についての最恵国待遇を撤回するべく、今回の法改正につき御審議をいただいているところでございます。
関税についてのWTO協定上の最恵国待遇を迅速に撤回するという今回の措置は、G7を始めとする国際社会と一致団結をしてロシアに対して厳しい措置をとるという我が国の意思を強く示すものと考えているところでございます。
更なる追加の制裁措置等につきましては現時点で予断することは差し控えたいと存じますが、いずれにいたしましても、我が国としては、引き続きG7を始めとする国際社会と連携して適切に対応していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/41
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042・古賀之士
○古賀之士君 もう少しかみ砕いて言っていただけると有り難い。つまり、今回の制裁二法はWTOのとはまた別枠でメリットがあるということと理解してよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/42
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043・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) WTO協定上、WTOから加盟国を除名や資格停止するための手続規定はないということでございます。
そうした中で、今回の法改正については、先ほど申し上げたとおり、三月十一日のG7の首脳声明も踏まえまして、WTOにおいてロシアに対する関税についての最恵国待遇を撤回すべく、法改正について御審議をいただいているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/43
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044・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございました。親切御丁寧に御答弁いただきました。
最恵国待遇の撤回について、政府はG7首脳声明を理由にしていると理解しております。これは、決していけないわけではもちろんないんですけれども、WTO協定等の国際法において根拠をこれ持つんでしょうか。撤回が必要なことは、もちろん必要だとは考えておりますけれども、法的根拠に基づくものなのか、これ確認を一応させていただきたいんですが、いかがでしょうか。外務省の参考人に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/44
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045・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
我が国は、ロシアを含むWTO加盟国に対しまして、WTO協定税率を適用する義務を負っております。しかし、この義務は例外が全く認められないものではございませんで、WTO協定の規定上、さらには国際法全体に照らしましても、例外的な場合には、特定の国に対して、WTO協定税率に代わり、より高い税率を適用することが許容されることがあると考えております。
今般のロシアによるウクライナへの軍事行動は、三月二日の国連総会決議にも示されておりますとおり、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反でございまして、国連憲章の重大な違反である侵略行為に、侵略に当たると考えております。
また、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすこのような行為に対し、G7を始めとする国際社会と結束して毅然と行動することは、我が国の安全保障の観点からも重要と考えております。
加えまして、三月十一日のG7首脳声明におきましても、ロシアの最恵国待遇の地位を否定する行動、否定するよう行動するよう努めるとされているところでございます。
今回の法改正は、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、これを一日も早くやめさせるための取組の一環であり、国際法上許容されると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/45
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046・古賀之士
○古賀之士君 ここすごく大事なところだと思っています。つまり、今までは、政府はG7の首脳声明をこれ理由として、ただ、今御答弁いただいた話になると、国際法上、つまり国連の、重大な国際法上違反であるというような部分も含まれて今の御答弁されました。ということは、今までお話しなさっていたG7の首脳声明の理由と、プラスアルファ、国連のそういった決議あるいは国際法を違反しているという前提がないとこういうことはできないという理解でよろしいんでしょうか。そこが物すごく大事なところなんですよ。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/46
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047・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、今般のロシアによるウクライナへの軍事行動は、三月二日の国連総会決議にも示されているとおり、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反である侵略に当たると考えております。
また、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすこのような行為に対し、G7を始めとする国際社会と結束して毅然と行動することは、我が国の安全保障の観点からも重要と考えております。
加えまして、三月十一日のG7首脳声明においても、ロシアの最恵国待遇の地位を否定する行動、否定するよう行動を取るよう努めるとされているところでございまして、今回の法改正は、ロシアのウクライナ侵略が継続する中、これを一日も早くやめさせるための取組の一環であり、国際法上許容する、されるものと考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/47
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048・古賀之士
○古賀之士君 お立場もあるので、なかなか私も突っ込みにくいんですけれども、ただ、これ、ということは、政府の考え方を修正する必要があると思うんですね。
つまり、G7の首脳声明のみで今回行ってきたという考え方ではなくて、あくまでも国連の国際法を違反をしているということの決議に基づいて、重大な違反をロシアが犯しているからという大前提があって、そしてさらにG7の首脳声明でというような言い方になるかと思いますが、その辺は確認を取りたいと思います。いかがでしょうか、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/48
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049・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
G7の首脳声明につきましても、先ほど申し上げたような国際法上に照らした観点からの声明と承知しておりまして、これまでの説明ですとかが変更になっているということではないと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/49
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050・古賀之士
○古賀之士君 ちょっとごめんなさい、あのですね、結局、G7の首脳声明は国際法ではないということですよね、逆に言うと。したがって、G7の、国際、その首脳声明を、だけではそういうことはできないということを言っていただけると有り難いんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/50
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051・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答え申し上げます。
今般の法改正につきましては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないように留意するとともに、確立された国際法規を遵守することは当然であります。
その上で申し上げれば、かかる措置は、ロシアによるウクライナ侵略が我が国を含む国際社会全体の安全保障に関わることを踏まえれば、WTO協定の安全保障例外に関する規定も含めまして、国際法上許容されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/51
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052・古賀之士
○古賀之士君 ちょっと済みません、余り時間がないのであれなんですけど。
いわゆるG7の首脳声明で、重要な案件をそれのみで進めていくことはないという理解でよろしいんですね。イエスかノーでもいいです。お答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/52
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053・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) G7の首脳声明について、それに基づいて進めるかどうかについて、案件にもよりますので一概にはお答えしにくい部分もございますけれども、御指摘の事項については、G7首脳声明がまとめられる段階におきましても、同様の認識の下に声明がまとめられているというふうに理解をしておりますし、累次御答弁させていただいているとおりでございまして、G7首脳声明並びにロシアによるウクライナ侵略が我が国を含む国際社会全体の安全保障に関わることを踏まえますと、国際法上許容されるものであると我が国としても考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/53
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054・古賀之士
○古賀之士君 これ、お互いの幸せのためにも確認しておきたいんですね。つまり、G7で決定されたことで万が一暴走したり突っ込んでしまってしまうような話になってしまうと将来大ごとになりますので、一旦ここはくさびを打たせていただきたいという思いから質問させていただいているんです。
したがって、G7の首脳声明を政府は理由に挙げていますが、このG7の首脳声明の土台にあるものは、法的根拠というのは国連の議決であり、ロシアの国際法の重大な違反であるという認識があったからこそG7の声明が行われて、それを我々も認めたということでよろしいんですか。そうすると、つまり法的根拠なしに進んでしまう場合はあり得ないと、必ずそこに法的根拠を申し添えるということを確約いただきたいんですが、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/54
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055・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
我が国として、G7首脳声明を踏まえてとっている措置ではございますけれども、我が国といたしましても、かかる措置は、ロシアによるウクライナ侵略が我が国全体を含む国際社会全体の安全保障に関わること、ものであるという判断の下に、この措置については国際法上許容されるというふうに考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/55
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056・古賀之士
○古賀之士君 ちょっと明確な御答弁とは理解をし難い部分なんですけれども、是非ここは、G7の首脳声明という定義、それから、それに対する根底を成すものの中に法的根拠があるのかないのかというのは、これは重大な視点だと思います。
これは、どなたがなっても大事なポイントだと思いますので、引き続きこの辺をしっかりやっていかないと、今度行われるG20で決めちゃったから、はいやりますよという話ではなく、これから出していただくコメントも、重大な国際法の違反による、それによってG20がこういう形で声明を出しというような文言を付けておかないと、どんどんどんどん法的根拠がないままに何でもかんでも進んでしまう、そういう懸念を是非、お互いが一つ保険を掛けておくというのはとても大事な視点だと思っておりますので、御留意いただきますよう、そして、G20の声明も是非その辺を勘案していただいてコメントを出していただきますよう強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
それでは次は、資料の一の下段でございます。ロシア事業の停止、撤回について、時間いっぱいまでお話を、質問をさせていただきます。
上場企業の企業活動を定めるものとしてコーポレートガバナンス・コードがございますが、昨年これ改訂されたばかりでございます。その際に、新型コロナウイルスやデジタルトランスフォーメーション、環境をめぐる問題は議論されたものの、戦争など大きな国際紛争時にどのような対応をすべきかが抜けているようにも思えます。
大変これ難しくて、なかなかお答えしづらい部分もあるかと思うんですが、でも、コーポレートガバナンス・コードの原則二の三、上場会社は社会・環境問題を始めとするサステナビリティーをめぐる課題について適切な対応を行うべきである、及び補充原則二の三、一の人権の尊重、自然災害等の危機管理に鑑みて、ロシア事業をどのように考えればよいか。
侵略国における事業にサステナビリティー、これ継続性という意味だそうですが、継続性があるとは思えず、人権の尊重の観点からも問題があります。また、危機管理上も重大な課題があるはずですが、政府はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/56
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057・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
御指摘のコーポレートガバナンスという点から今般の情勢について見るということかと思いますけれども、一般論として申し上げますと、企業は中長期的な企業価値の向上、確保といった観点から、社会・環境問題を始めとするサステナビリティー課題を、サステナビリティーをめぐる課題について適切な対応を行うことと。それから、サステナビリティーとはまた別の観点になりますけれども、時々の会社の財政状態、経営リスクを十分に把握し、適切に開示することといったことが求められると考えてございます。
前者の中長期的な企業価値の向上、確保といった観点からは、先生の資料の中でも御指摘いただいてございますコードの原則二の三、それから補充原則二の三の①というところで上場会社がサステナビリティー課題を適切に対応することを求めており、その点、人権の尊重を含めてその要素を例示しているところでございます。また、ガバナンスという観点では、取締役会がそのようなサステナビリティー課題に積極的、能動的に取り組むよう検討を深めるということを求めるところでございます。
この点、ロシア情勢に即した具体的な対応については各企業が置かれた状況に応じて様々というふうに考えてございますけれども、まずは取締役会が主体的に自社の置かれた状況を的確に把握すること、それから、御指摘の人権の尊重、自然災害などの危機管理といった視点も含めて、取り組むべきサステナビリティー要素の特定とそれから対応ということを行っていただき、そうした対応について、ステークホルダー、これは会社の取引先、顧客、幅広いステークホルダーがいるというふうに考えられますが、そういった方々と認識を共有し、その理解を得ることということが期待されるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/57
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058・古賀之士
○古賀之士君 つまり、人権の尊重や自然災害等の危機管理に鑑みてというところで考えると、じゃ、今起こっていることがその自然災害等の等という部分の中に含まれるということを広く、広義で理解もできるわけですけれども、じゃ、具体的に戦争、紛争、こういった文言は、次回改訂するときでも、あるいは、もう今切迫しているこういう状況ですから、更に緊急に改訂をしていくという、そういうお考えというのはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/58
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059・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
まさに今御指摘いただいた点、例示でございますので、それぞれの要素として、それぞれのその会社の置かれた状況に応じて考えていくということかと思います。その点、参考になるとも考えられますけれども、コードにつきましては、対話のガイドラインというものが附属文書として付けられてございます。そういった中では、例えばその安全保障といった点についての例示もなされているところでございます。
今後につきましては、まさにそういった点を踏まえて考えてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/59
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060・古賀之士
○古賀之士君 命に関わる、あるいは生命、財産に関わる問題でございますので、是非具体的な文言を加えていただくよう要望いたします。
では、そのロシア事業の停止、撤退について会計上どのような処理が求められるのか、決算発表も行われるところもございますので、留意すべき点は何か、金融庁の参考人にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/60
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061・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
一般にこういった状況、例えば事業の停止、撤退といったことも考えられるわけですけれども、そういった場合における会計といたしましては、会計基準に従いまして、固定資産の減損、棚卸資産の評価などによる資産の減額、それから、事業の撤退が行われる場合にはそれに関連する費用の計上といったものが必要になると考えられます。また、この減損処理に当たりましては会計上の見積りを行う必要がございまして、その算出方法について開示する必要があるというふうに承知してございます。
先生御指摘のまさに決算発表ということになるわけですけれども、こういった場合におきましては、事業活動や経営成績に関連する影響について具体的かつ充実した開示を行っていただくと。それから、今申し上げました会計上の見積りについて、一定の仮定が置かれているわけですけれども、それについて具体的に開示をするといった点に留意しつつ、投資家に充実した情報提供を行っていただくということが重要だと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/61
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062・古賀之士
○古賀之士君 時間の関係で、これを最後、結びの質問にさせていただきますが、となると、十分な開示をしたくとも、例えば四大会計事務所がもうロシアからの撤退も表明しております。ロシアの事業について継続、停止、撤退、これ監査は十分に行われるというやっぱり懸念が当然あるわけですし、企業からしても、もしかすると、この辺ちょっと待ってもらいたいと、猶予してもらいたいという思いが、特にきちんと開示したければしたいほどそういう問題が出てくるかと思いますが、もう既に対策を講じられていらっしゃるかもしれませんけれども、今の金融庁の現状のお考えを教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/62
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063・古澤知之
○政府参考人(古澤知之君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、ビッグフォーと言われる四大会計事務所のネットワークが、ロシアにおいて提携している会計事務所との提携を打ち切るということを表明しているというふうに承知してございます。
他方、日本公認会計士協会が、四月の七日でございますけれども、ウクライナをめぐる現下の国際情勢を踏まえた監査上の対応についてという文書を公表してございます。
こういった中で、金融庁といたしましては、四大会計事務所を含む大手監査法人に対するヒアリング、アンケート調査を行っておりまして、適切な監査の実施に支障が生じていないか確認を進めるとともに、必要な対応について意見交換を行っているところでございます。
これまでのところ、各監査法人においては被監査会社の事業に与える影響を考慮した監査が進められており、監査手続にも遅延は生じていないというふうに承知してございますが、引き続き国際情勢、それに対する国際的な対応状況などを踏まえながら、日本企業に対する適切な監査が実施されるよう、日本公認会計士協会とも連携して対応してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/63
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064・古賀之士
○古賀之士君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/64
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065・山本博司
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、ロシア制裁関係の法案に関してお聞きを申し上げたいと思います。
ロシアによるウクライナ侵略は国際社会の平和と秩序を乱す暴挙でございまして、強く非難しなければなりません。ロシアの蛮行によりましてお亡くなりになられた全ての方々に哀悼の意をささげるとともに、一日も早くウクライナに平和が戻るように願っておる次第でございます。
このロシアによる非道な行為は、断じて許すことはできません。我が国は、G7を始めとする国際社会と連携をして、ロシアに対しまして厳しい姿勢で臨む必要がございます。今回の法改正は、G7諸国と一致団結をしてロシアへの制裁を強化するものでございますので、大変意義のあることでございます。法案を速やかに成立させ、実行に移すべきものと考えます。
まず、関税暫定措置法の改正案についてお尋ねをしたいと思います。
ロシアに対するこの最恵国待遇の撤回に関しましては、先般のG7首脳声明でも合意されたものであり、我が国におきましても、国際社会と連携してロシアの最恵国の地位を否定するため、一刻も早く対応する必要があると考えます。
そこでまず、このG7首脳声明で合意された最恵国待遇の撤回につきまして、米国やEU等のG7各国における対応がどのようになっているのか、各国で一致団結した対応になっているのか、対応状況について確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/65
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066・阪田渉
○政府参考人(阪田渉君) お答え申し上げます。
WTO協定上、最恵国待遇は、関税、輸出入規則、手続など様々なものが対象となっておりまして、その撤回について、G7首脳声明においては、各国の手続と整合的な形でこれに努めることとされております。
関税率の引上げという観点に関して申し上げますと、まずカナダでございますが、これは既存の法律に基づいて三月二日から引上げを行っております。それから、英国及び米国でございますが、この二つの国は立法措置等を行いまして、それぞれ、三月二十五日、アメリカは四月九日から、ロシアに対するWTO協定税率の適用を停止した上で高い関税を課しているものと承知しております。一方、EUでございますが、関税率の引上げではなく輸出入禁止措置で対応する方針を表明し、三月中旬以降、様々な措置を講じていると承知しております。
このように、最恵国待遇の撤回についての対応方法は各国によって様々でございますが、いずれにしましても、ロシアの最恵国の地位を否定する行動を取るようG7が一致団結して取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/66
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067・山本博司
○山本博司君 我が国としても、こうしたG7諸国を始めとして、この国際社会と一致団結をしてロシアに対して厳しい措置をとる必要があると思います。
そこで、ロシアに対する関税上の最恵国待遇を撤回するという今回の関税暫定措置法の改正につきまして、改めてその意義を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/67
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068・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) お答えいたします。
意義についてのお尋ねがございました。
今回のロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナの主権や領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、厳しく非難されるべきものであります。
政府としては、先般、三月十一日のG7首脳声明を踏まえ、ロシアへの外交的、経済的圧力を一層強める観点から、ロシアに対する関税についてのWTO協定上の最恵国待遇を迅速に撤回することといたしております。
本法案は、関税について、ロシアからの輸入品に対してWTO協定税率を適用しないこととするものであり、今回の措置を通じて、国際社会と一致団結してロシアに対して厳しい措置をとるという我が国の意思を強く示すことに大きな意義があり、象徴的な政策であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/68
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069・山本博司
○山本博司君 G7各国が連帯をしてロシアと対峙するという姿勢、とても意義のあることでございます。こうした考えをG7諸国以外の国々にも理解していただくことが重要であると考える次第でございます。
我が国は、アジアから唯一G7に参加している国でございます。G7以外の諸国との連携につきましては、岸田総理自身が先頭に立ってアジアなどの各国に対する働きかけを行っている旨を述べられていることも承知している次第でございます。
今後も、WTO加盟国を始め、特にアジア諸国に対しまして、ロシアの非道な行為を許さないという意思を広く伝える役割、これが我が国日本にあると思う次第でございます。G7諸国以外の国々にどのように働きかけていくつもりなのか、外務省の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/69
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070・北川克郎
○政府参考人(北川克郎君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国は、一刻も早くロシアが国際社会の声に耳を傾け侵略をやめるよう、G7各国や国際社会とともにロシアに対して強力な制裁措置をとっていくことが必要と考え、迅速に厳しい措置を打ち出しているところでございます。
まず、アジア諸国への働きかけについてでございますが、ロシアによる侵略後の二月二十八日に林外務大臣が東南アジア諸国の駐日大使等と本件について意見交換をし、緊密に連携していくことで一致しております。これを皮切りに、様々なレベルでの東南アジア各国への働きかけを経て、現地時間三月二日に東南アジア各国からの賛成や共同提案国入りを得たウクライナに対する侵略に関する国連の決議が採択されたところでございます。
また、四月九日に日本とフィリピンの間で初めて開催されました2プラス2閣僚会合では、武力行使の即時停止及び部隊のウクライナ領域からの撤退を求める強いメッセージを含む共同声明を発出したところでございます。
さらに、先月、岸田総理自身が、インド、カンボジア訪問の際に、力による一方的な現状変更はいかなる地域においても許してはならないということを確認しております。
G7首脳会合におきましては、制裁の回避や迂回、バックフィルを行わないということについて、G7で連携し、各国に働きかけていくことで一致しております。
アジアの唯一のG7メンバーである我が国としては、制裁の抜け道が生じないよう、アジアを含む他国に結束を呼びかけ、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、ロシアへの外交的、経済的圧力を一層強めるべく適切に対応してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/70
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071・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
今回の改正案の新三条におきまして、WTO協定税率、これを基本税率とする規定が設けられている次第でございます。これにより税率が引き上げられる品目もございますけれども、一部の品目では基本税率が零%だったものもございまして、その影響といいますのは実質的に軽微であるとも言われている次第でございます。
この税率に関しまして、基本税率に戻すのではなく、制裁的にもっと高く引き上げるべきとの意見もあったようでございますけれども、こうした考えは検討されなかったのか、認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/71
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072・阪田渉
○政府参考人(阪田渉君) 今回、最恵国待遇の撤回、どのように行うかは、先ほど申し上げましたように各国により対応は様々となっております。例えば、アメリカ、イギリス、カナダのように高い関税率を掛ける国もある一方、EUは関税率の引上げではなく輸出、輸入禁止措置の組合せで行っているものというところでございます。
我が国でございますが、G7首脳声明を受けまして、国際社会と一致団結して、まず迅速に対応する必要があるという観点、その中で、国民生活への影響なども踏まえる必要があると、こうした観点から、ロシアへの最恵国待遇撤回に当たりましては、WTO協定税率に代わり国内法に基づく関税率を適用することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/72
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073・山本博司
○山本博司君 今回の措置によりまして、関税率が引き上がるのは主に漁獲類や一部の木材であると承知をしている次第でございます。
例えば、サケであれば三・五%から五%、一部の木材では四・八%から八%に関税率が上がることになるわけでございますけれども、このように漁獲類や木材の関税率、これは一部の影響があるようでございますけれども、今回の関税率引上げにつきまして、こうした国内の産業への影響、これをどのように見ているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/73
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074・渡邊毅
○政府参考人(渡邊毅君) お答えをいたしたいと思います。
今回の法律改正に伴いまして、関税率、一部、先生御指摘のとおり、引き上げることになります。
水産物貿易について申し上げますと、最近の国際的な需要拡大ですとか、新型コロナウイルス感染拡大によります物流の問題などによりまして、一般的に価格の上昇傾向にあるところでございまして、そこに更にウクライナ情勢の影響などにより今後の影響を確実に見通すことは困難だと考えておりますが、今回の法改正によりまして、水産物の一部の品目について、WTO協定税率に代わりまして国内法に基づく関税率が適用されるということで関税率が数%程度引き上がることになりますけれども、この措置自体による国民生活への影響は限定的というふうに考えているところでございます。
この影響も含めまして、ロシアによるウクライナ侵略をめぐる影響全般について、今後とも注視をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/74
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075・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。
今回の措置によりまして、漁獲類、また木材に与える影響というのは限定的のようでございますけれども、この漁獲類、また木材に限らず、コロナ禍におきまして世界的な需給バランスの悪化、さらには物流コストの増大等を背景にしまして、原油を始めとする資源、原材料、また食料価格につきましては、趨勢的に物価高、これが続いている状況でございます。
こうした資源、また原材料、食料品価格の高騰というのが私たち国民生活に重大な影響を及ぼしておりまして、コロナ禍からの経済社会活動の順調な回復を妨げることは避けなければならない次第でございます。
この物価高騰の影響を受ける方々に必要な支援が行き届くように政府としても対策に取り組むべきと考えますけれども、鈴木財務大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/75
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076・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 関税の措置自体による影響、これは先ほど来御議論いただいておりますとおり限定的であると考えておりますが、この影響を含め、ロシアによるウクライナ侵略をめぐる物価等への影響全般については、今後とも注視をしていかなければならないと思っております。
政府としては、こうしたウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰等による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応するための総合緊急対策を四月中に取りまとめることといたしております。現在、具体的な施策等を鋭意検討しているところですが、引き続きまして、関係省庁と連携しながら取りまとめに向けて対応をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/76
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077・山本博司
○山本博司君 この物価の、物価高騰の影響といいますのは、家計や企業経営にも大きく影響する可能性があるわけでございます。
今大臣が、お話あったとおり、政府は、今月末に総合緊急対策、これを決めることになっている次第でございますけれども、このウクライナ危機の影響を鑑みて、対策への費用といたしまして、今年度の予備費の活用だけでなくて今国会中に補正予算を成立させるべきと我が党は主張しているわけでございますけれども、この補正予算の必要性について、現時点での財務大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/77
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078・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほども申し上げましたけれども、原油価格、物価高騰等への対策につきましては、総理指示を受けまして、現在、関係省庁において盛り込む施策等を鋭意検討しているところでございます。
直面する危機に緊急かつ機動的に対応するため、総理指示にもありますように、これまでに成立いたしました令和三年度補正予算や令和四年度予算、これを迅速かつ着実に執行するとともに、新たな財源措置を伴うものにつきましては、まずは予備費を活用した迅速な対応を優先していくことといたしております。
財務省として、四月末を目途とする取りまとめに向けまして、関係省庁、与党と十分連携しながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/78
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079・山本博司
○山本博司君 次に、外為法の改正案に関しましてお尋ねをしたいと思います。
G7首脳声明におきまして、国際的な制裁の影響を回避あるいは相殺するための手段としてデジタル資産を活用することができないことを確保する、そうすることとされたわけでございます。これを受けて、ロシアがビットコインなどの暗号資産を使って経済制裁を回避するのを防ぐために、金融庁と財務省は、暗号資産の交換業者に対しまして、対策を徹底するよう要請している次第でございます。
この要請によってどのような効果があるのか、まず、今般の外為法改正によります意義と改正案の内容について確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/79
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080・大家敏志
○副大臣(大家敏志君) お答えいたします。
これまでも累次の制裁を実施しておりますが、何といいましても、暗号資産が制裁の抜け穴として悪用されないように法的な手当てを講じ、その上で制裁の実効性を更に強化を図るというものであります。
具体的には、現行法で既に規制対象となっている制裁対象者への暗号資産の移転に加え、制裁対象者から第三者に暗号資産を移転する取引等も規制対象として捕捉することとともに、暗号資産交換業者に対し、銀行等と同様に制裁対象者に係る暗号資産の移転でないこと等を事前に確認する義務を付加することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/80
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081・山本博司
○山本博司君 この法改正で銀行などと同様に暗号資産交換業者にも確認業務を課されることになるわけでございますけれども、この暗号資産交換業者が確認業務をしっかりと履行することによって、暗号資産が制裁の抜け穴として悪用されないように法改正による規制の実効性、高めるべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/81
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082・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
まさに御指摘のとおりでございまして、いかにこの事前確認義務、実効性を確保していただくか、重要でございます。
私どもといたしまして、まずは、この今回の法改正の内容、事前確認義務に伴いどういうことをやっていただくか、暗号資産交換業者の皆様方にしっかりと周知徹底を図ってまいりたいと考えてございますし、また、政府として把握いたします様々な、これは外交当局が把握、公表するような情報も含めましてしっかりと把握の上、業者の皆様方にも提示をし、共有をする。
それから、今般の法改正を受けまして、業者の皆様方に対しましては必要に応じました立入検査ですとか報告徴求といったこともできるようになりますので、そういったことの中でいわゆるベストプラクティスの周知徹底を図る、こういった様々な形で業者の皆様方ともよく意思疎通を図りながら実効的なこの確認義務の確保に努めていただくように、引き続きよく業界と連携してまいりたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/82
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083・山本博司
○山本博司君 最後に、財務大臣に伺います。
今回の法改正だけでなく、今後の状況次第では制裁措置も含めてロシアに対する更なる経済的圧力について検討すべきと考えます。
大臣はいよいよこの後、アメリカ・ワシントンに向かって財務相・中央銀行総裁会議に出席をされますけれども、このG7各国を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、ロシアがこれ以上の暴挙を重ねないような効果のある成果を上げていただきたいと思いますけれども、最後に大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/83
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084・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 政府といたしましては、これまで、先ほど来お話ししていますように様々な制裁措置をしてきたところでございますが、追加の制裁につきましては、これは、今後の状況の推移や制裁の効果、こういうものを勘案しつつ、先生御指摘のように、G7各国との協調も含めまして、引き続き国際社会そして関係省庁と緊密な連携の下に適切に取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/84
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085・山本博司
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/85
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086・大塚耕平
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。
時間も限られておりますので、参考人の御答弁者には手短に御答弁いただけるように御協力をお願いします。
まず最初に、二つお伺いします。
最恵国待遇の撤回に伴ってやはり影響が出るのは、今、山本さんも言っておられましたように、これはもう水産物と、あるいは今日質問に入れています木材、こういうところだと思うんですが、ロシアからの水産物、木材の輸入品目の概要と、最恵国待遇撤回に伴ってこれらにどのような影響が出ると想定しているのか、手短にポイントだけ御答弁いただけると助かります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/86
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087・坂勝浩
○政府参考人(坂勝浩君) お答え申し上げます。
ロシアからの主な水産物の輸入品目につきましては、昨年の実績でカニ、イクラ、サケ、マスが主要な品目でございます。また、昨年におきますロシアからの主な木材の輸入品目については、製材、単板、構造用集成材となっております。
ロシアへの最恵国待遇を撤回することによりましてWTO協定税率の適用を停止することで、ロシア産の水産物、林産物等の一部の品目につきまして数%程度関税が引き上がることになります。この措置自体の国内への影響は限定的であると考えておりますけれども、今般のロシア関連の動向が全体として農林水産物の需給にどのような影響を与えるかについては今後とも注視してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/87
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088・大塚耕平
○大塚耕平君 木材については、関税率とその影響について、これも簡単に御答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/88
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089・森重樹
○政府参考人(森重樹君) お答え申し上げます。
今般の最恵国待遇の撤回によりまして、木材の関税率は、製材の一部で四・八%から八%に上がるものがある一方で、構造用集成材などの関税率は変わりません。一定の品目で関税率が数%上がることになりまして、そういったことで影響が想定されるわけですけれども、昨年来のいわゆるウッドショックという状況の中で既に国際的な木材価格の高騰が見られてございます。関税率の水準だけでなく、商品の価格や為替レート、フレートの変動など、様々な要素によって影響が決まってまいりますので、一概に関税引上げによる影響を申し上げることは難しいと考えてございます。
いずれにいたしましても、今般のロシア関連の動きが全体として木材にどのような影響を与えるかについて今後とも注視していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/89
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090・大塚耕平
○大塚耕平君 それから、今日、海上保安庁も来ていただいていますけども、昨年中及び今年に入ってからの北方領土海域における日本漁船の拿捕等の事案が何件ぐらい起きているのか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/90
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091・白石昌己
○政府参考人(白石昌己君) お答えいたします。
北海道周辺海域におきましては、昨年五月二十八日に宗谷岬東方海域におきまして操業中の漁船がロシア国境警備局に拿捕される事案が一件発生しております。本年につきましては、これまで日本漁船の拿捕は確認されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/91
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092・大塚耕平
○大塚耕平君 今るる御答弁いただきましたけども、水産物や木材に対する影響がどういうふうになるのか、これは確かにこの先見てみないと分からないということだと思います。
一方、個人的には、大変心配しているのは漁船の拿捕なんですね。これは、私も前、ビザなし渡航で国後、択捉に鈴木宗男議員と御一緒に行ったことがあるんですが、その行っている最中に拿捕事件が起きまして、いろいろ思い出します。
この度はロシアと今こういう状態になっている中で、どういう理由で、また本当にその拿捕する正当性があるのかどうか全く分からない中で実際に拿捕事件が起きてしまうと、これはいろんな問題に発展していく可能性がありますので、海上保安庁においては従来以上にこの海域に対する活動を適切にやっていただきたいと思うんですが、何かそういう文脈で今海保内で検討していただいているようなことはありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/92
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093・白石昌己
○政府参考人(白石昌己君) 海上保安庁におきましては、日頃から我が国北方海域におきまして航空機による監視警戒を実施するとともに、巡視船艇を配備し、被拿捕防止を含め、日本漁船の安全確保に万全を期しているところであります。
ロシアによるウクライナ侵攻など、現下の厳しい国際情勢を踏まえまして、引き続き関係省庁と緊密に連携の上、我が国北方海域における各種対応に万全を期してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/93
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094・大塚耕平
○大塚耕平君 是非よろしくお願いします。
財務大臣には、今もろもろ参考人の御答弁を聞いていただいた上で、今回、最恵国待遇撤回に伴ってどのような影響が出るというふうに御認識しておられるのか、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/94
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095・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) ロシアとの貿易に関わっている企業の業況につきましては、業種や取り扱っている物資等により異なり、一概に申し上げることは困難であると思いますが、所管省庁におきまして、ジェトロや日本貿易保険、政府系金融機関などに相談窓口を設け、影響を受ける事業者の実態把握等に努めていると承知をしているところでございます。
その上で、最恵国待遇の撤回によりましては魚介類や木材の一部品目について関税率が数%程度引き上がることになりますが、この措置自体による影響は基本的には限定的であると考えております。
この措置を含めまして、ロシアによるウクライナ侵略をめぐる影響全般について、物資所管省庁とともに今後ともしっかりと注視をしていく必要があると、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/95
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096・大塚耕平
○大塚耕平君 ありがとうございました。
残された時間は、G20に出発されるということなので、それに関連した少し意見などを申し述べさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
前回の委員会で、この今の為替のマーケットの状況に対して日銀総裁の発言が余り適切ではないんじゃないかということを申し上げたところ、日銀からもいろいろ説明があって、昨日説明があったんですが、昨日の国会での答弁から発言のトーンを変えますと、まさしくその時間帯に説明があってですね、あっ、なるほどと思ってニュースなど拝見しておりました。日銀総裁は、なかなかまた難しい表現しておられるんですが、大きな円安、急速な円安はよくないと。大きな円安というのは初めての表現だなと思って聞いていたんですけれども、それをどのぐらいというふうに想定しているかは、それは分かりませんし、聞いても多分御答弁はないのでそれはいいんですけれども。
私も若干マーケットに関わる仕事を日銀時代にしていた経験上、少し感想を申し述べさせていただくと、結局、百二十円台に入って、そこそこの段階で日銀総裁が適切な発言をしていると、あるいは財務大臣が適切な発言をしていると、マーケットのプレーヤーというのは、自分が最初に突っ込んだ相場水準で当局からのリアクションを受けたり、そのリアクションによって相場が自分がトレーディングした方向と逆方向に動くと損するわけですから、やっぱり最初に自分がそういう役回りをするのはやめようと思って慎重になるわけですね。経験上そんな感じです。そうすると、百二十円台そこそこのところで、きっと何かアクション起こされるんだろうなと思っていたところそうでもなかったので、ほかの要因も含めてずるずるっと今百二十円台後半まで来ているわけです。
そこで、大きな円安、急速な円安というふうに総裁は昨日から発言したわけですが、こうなると、マーケットのプレーヤーの心理としては、一体それってどのぐらいの水準、どのぐらいのスピードのことを言っていて、本当にどのぐらいの覚悟があるんだろうなということを今度はまた試しにきます。その真っただ中で、今回G20に行かれるわけです。報道ではイエレン財務長官とも会談するというふうになっておりますが、大体アメリカ側は介入を大変嫌がりますので、相場は市場が決めるというトーンで調整をするということに、一般的に考えるとなると思います。
ところが、結局、私なりに知っている限りにおいては、大体、金融政策が方向としては同じ方向に日米とも向かっているときには、為替相場については市場が決める、それをベースラインとしていろんなやり取りがされると思うんですが、この度はアメリカの金融政策あるいはヨーロッパの金融政策と日本の金融政策が逆を向いていますので、マーケットはそこを試しにきますから、財務省のリエゾンの皆さんが、今、会談の内容等、その後のコメントの調整は一生懸命やっておられると思いますけれども、金融政策が逆向きになっているときに、為替相場については市場が決めるもので市場に委ねますという従来どおりのコメントにとどまると、恐らく、じゃ、その大きな円安、急速な円安というのはどのぐらいのことを言っていて、そしてどのぐらいの覚悟があるのかということを従来以上に試しにくる展開になるような気がします。これはもう個人的な感想です。
したがって、この度のG20でどういうコメントをその後出されるかというのはかなりインパクトが大きいだろうなと、私もそう予想していますし、こういう人間がいるということは、マーケット関係者の中でそういうふうに思って、ある意味虎視眈々としている人たちが結構いると思いますので、以上、個人的意見を申し述べさせていただいた上で、財務大臣としてG20でイエレン財務長官と会談に臨む基本的認識について、何がしか御答弁をいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/96
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097・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、会談については調整中でございまして、実現する方向で調整をしていると、こういうふうに思いますが、今、大塚先生から貴重なアドバイスをいただきまして、そうしたこともしっかりと参考にしながら話をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
特にも、会談終了後の外向けの発言が重要だというような御指摘もございました。十分その点も心に置きながら、我々と一緒に行く財務省の国際局を中心とした皆さんともしっかりと相談しながら、万全の対応をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/97
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098・大塚耕平
○大塚耕平君 この発言で終わりますが、私なりに、マーケットの関係者の皆さんの雰囲気を個人的にそしゃくすると、百二十、その直後のコメント等も受けて百二十八円台半ばぐらいに入ってくると、マーケットはやっぱり百三十円を見たいという動きになると思いますので、決していいことではないと思いますので、適切に御対応いただくことをお願いして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/98
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099・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。
私は、今の大塚委員のお話とも関連するんですが、財務大臣がG20に御出席ということですので、この際、国際社会におけるロシアの位置付けということで質問したいと思います。
〔理事森屋宏君退席、理事藤末健三君着席〕
通告どおり質問させていただきますと、もう先ほど質問に対して答弁の中であったんですけれども、国連の人権委員会の会合で、ロシアが理事国資格を停止されているという答弁がございました。それでお伺いしたいんですが、このG20でロシアの参加は認められるのかということに関しては、これオンライン参加ということが御答弁があったんですけれども、その参加資格ということに関して、ロシアの、今回のG20に参加するロシアの位置付けというのは、何か変化、変わりはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/99
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100・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
まず、今委員から言及いただきました人権理事会でございますけれども、御指摘のとおりでございまして、現地時間の四月の七日に国連総会で決議が採択されておりまして、ロシアの人権理事会における理事国資格の停止という決議が採択されたというところでございます。
これ、そもそもこの人権理事会でございますけれども、二〇〇六年に設立をされましたときの国連総会決議の中で、この言わばメンバーシップの決まりのようなものがございまして、重大かつ組織的な人権侵害を行う理事国については、国連総会に出席し、かつ投票する構成国の三分の二の賛成、これによって資格の停止が可能だと、これが人権理事会の設立に関する総会決議の中で規定されてございまして、先般の四月七日、現地時間の国連総会の決議は、この二〇〇六年の人権理事会設立の際の決議に基づきましてロシアの資格の停止が議決されたものと、このように承知をしてございます。
〔理事藤末健三君退席、理事森屋宏君着席〕
翻って、G20の方でございますけれども、こちらは、今申し上げましたようなそのメンバーシップ、あるいはその停止について何か明確なルールというのはございません。かてて加えまして、何かその三分の二とか過半数とか、そういった形で何か表決を採るというようなことではございませんで、通常、G20の意思決定、これは参加国のコンセンサスによる決定というものが慣例になってございますので、必ずしもこの国連の人権理事会における対応がそのままG20に適用できるというものでは残念ながらないという状況でございます。
その上で、今回でございますけれども、まさにロシア、G20にバーチャル参加といったような報道もございますけれども、いずれにしても、各国の参加につきましては、これは、今年議長国インドネシアでございますので、インドネシアに対しまして各国政府から、どのような形で参加するのかしないのか、ここは登録をされるということだと思ってございますけれども、我が国としましては、いずれにしましても、G7各国始め関係国と連携をしながら、国際社会全体としてできるだけロシアに更なる圧力を掛けていくということで、G20の場はもとよりでございますし、その他様々な関連の会合も含めまして、引き続きしっかりと対応していきたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/100
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101・浅田均
○浅田均君 ありがとうございます。
それで、今までの質問等で、G7としてロシアに対して一致して経済制裁を行う等、行動は決めてきたわけでありますけれども、今回のこのG20ということになりますと全然これ一枚岩ではないと。G7の経済制裁に同調したこのG20参加国、G7以外ではオーストラリアと韓国だけだったと思っております。インドも中国も反対か棄権かに回っていると。まあインドが一番、面白いと言えば失礼ですけど、そういうポジションにあって、対中国政策上ロシアの支援が必要であると、だからロシアには余り強く出ることができないと。だから、中国が一番そのキーを握って、鍵を握っているというふうに私は思っているんです。
それで、このG7の一員としての日本が、鈴木大臣、いろいろバイの会合を予定されているという、交渉されているということなんですけれども、そのバイの会談で、G7、日本がそこに含まれているG7はこういう経済制裁を行っていると、そこに同調している、あるいは棄権している、反対しているそれぞれの国があって、全然一枚岩ではないそのG20の中で、このG20というのは本来、何ですか、国際経済協力の第一の協議体というような位置付けもされているわけですよね。だから、国際経済協力の第一の協議体という位置付けが、もう何というか、崩壊するかもしれないと、そういう非常に重要なシチュエーションでG20に参加されるということで、G7あるいは日本として、その他の国々に対してどういう働きかけをされるのか非常に関心があるんですけれども、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/101
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102・三村淳
○政府参考人(三村淳君) まさに委員御指摘のとおりでございまして、先ほど、別途この一連の審議の中でも大臣からも、このG20に参加した暁にロシアに対してどういうメッセージを発していくか、力強いお言葉で御答弁も申し上げさせていただいたところでございますけれども。
まさしくこの制裁、あるいは、現在このロシアによる戦争で、このエネルギー価格、あるいは食物価格も含めまして、様々この国際経済にマイナスの影響も与えている。これは我が国もそうでございますし、最貧国も含めて広範な影響を経済的にも与えている、こういったことに対しまして、まさにこのロシアの行動がそういった問題を引き起こしているということにつきまして、G7で一致して、これはこのG20で、先生御指摘のとおり、なかなか全てが日本と同じ立場ではございませんけれども、そういった国の前で、これはある意味では、この大臣レベルの会合におきましてもしっかりとG7で団結をして一致したメッセージを発していく、このことが極めて重要だというふうに考えてございまして、まさにそういった考え方で今、大臣以下、臨みたいということで、私ども準備をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/102
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103・浅田均
○浅田均君 ありがとうございます。
我が方のポジションとしてはそういうことだと思うんですけれども、余り強烈にやってしまうとG20のある意味分断を促進させてしまうということになりますので、非常にそのポジションの取り方として難しい面があるというのは私どもも重々承知しております。そういう前提に立って、鈴木大臣、どういうふうに活動あるいは交渉、話合いをされたのか、非常に関心を持っておりますので、またお帰りになりましてからいろんなことを聞かせていただきたいと思っております。
それで、次の質問ですね。ずっと通告していて、していなかったやつ、棚卸しをしておく必要がありますので。
ロシア、ウクライナに進出している日本企業は三百七十社を超えると言われておりますけれども、ウクライナからはほとんど撤退されていると思うんですけれども、ロシアですね、これ撤退、残留等、現状はどうなっているのか、ちょっと教えていただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/103
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104・矢作友良
○政府参考人(矢作友良君) お答えいたします。
ロシアに進出している企業ですけれども、今拠点ベースでは約四百ぐらいあるというふうに承知しておりまして、これは業種も製造業あるいは商社等、様々でございます。そういった中で、ロシアに対する経済制裁、それからロシア国内でのビジネス環境の悪化、さらにはロシア政府による対抗措置の動き等々によりまして、これ多大な影響が生じているという状況でございます。
例えば、多くの日本企業、これがロシアからの邦人の駐在員、この退避を既に行っておりますし、また、例えば製造業におきましては、物流の混乱等によりまして部品の供給が滞って現地の工場での生産停止、こういったその影響が出ているところでございます。また、金融あるいはその決済面、こういった面でも事業停止あるいはその風評リスクを考慮した事業停止、こういった様々な影響下にあるという状況でございます。
また、ウクライナの話、御指摘ございましたけれども、これにつきましては、既にこのロシアによる侵略を受けまして邦人の駐在員の退避、あるいはその操業停止、休業、こういった状況にございます。
今後、御指摘のございました撤退等も含めまして、更なるその影響が生じるということも想定されますので、引き続き高い警戒感を持って様々な情報を収集しまして、各社がその置かれた状況、ニーズに応じて適切な判断を下せるよう、しっかり各企業に寄り添って全力でサポートしていきたいと、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/104
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105・浅田均
○浅田均君 ありがとうございます。
それで、SWIFTですね、国際送金決済システムから大手七行を排除したということで、ロシアに進出している日本企業も影響を受けているということで御質問をしようと思ったんですけど、邦人の駐在員がかなりのところ退避ということになっているという御答弁だったんですが、幾らかは残っておるだろうと思うんですけれども、このSWIFTから排除したことによって、逆に日本の企業で影響を受けているというところもあると思うんですけれども、この点いかがでしょうか。ごく簡単に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/105
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106・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) SWIFTからロシアの特定銀行の排除を含めまして、ロシアへの経済制裁により、現地に進出している日本企業に影響が及ぶ懸念があるという御指摘はそのとおりであると思います。
例えば、ジェトロがロシアに進出した日本企業に対して三月二十四日から二十八日に行ったアンケート調査によりますと、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けた対ロ制裁及びロシア政府の対抗措置の影響という質問項目につきまして、対しまして、回答企業の九十七社のうち九九%が既に悪影響がある、悪影響が予想されると回答しており、その具体的な影響として七三%がルーブル為替レートの下落、五四%が金融決済の困難を挙げている状況にあると承知をいたしております。
引き続き、ロシアに進出している日本企業を含めまして、経済制裁による企業への影響、これをしっかりと注視していかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/106
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107・浅田均
○浅田均君 ありがとうございます。
それで、最後の質問です。
今の送金に関わっての話なんですけど、日ロ漁業交渉でサケ・マスの漁獲枠、操業期間について協議が始まったと伝えられております。日本の漁業者はロシアに漁業協力金を支払うことになると思うんですが、これ送金ルートを排除しているということで、これ、どういうルートで誰が誰に支払うのか、お尋ねしたいと思いますし、日本の漁業者にこれ不利益になることはないのか心配しているんですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/107
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108・高瀬美和子
○政府参考人(高瀬美和子君) 日ロサケ・マス漁業交渉につきましては、今月十一日から日ロ漁業合同委員会を開催しまして、日本漁船による日本水域でのロシア系サケ・マスの操業条件等につきまして協議を行っているところです。
御質問の内容につきましては、現在交渉中であるためお答えすることは差し控えますが、日本の漁業者が受入れ可能な操業条件等が確保されるよう、しっかりと交渉に当たっているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/108
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109・浅田均
○浅田均君 しっかりやっていただきたいと思います。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/109
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110・大門実紀史
○大門実紀史君 大門です。
経済制裁については、先日の十五日の本会議でロシアの超富裕層ですね、オリガルヒの問題を取り上げました。
欧米、日本も含めてですけど、欧米諸国、日本を含めてロシアへの経済制裁というのは三つの柱があると言われておりまして、一つはロシアの銀行の金融機関の国際決済ネットワーク、SWIFTからの除外という金融制裁、二つ目はロシアとの輸出入規制など通商制裁、そして三つ目がプーチン政権を支えるオリガルヒ、あるいはプーチン自身、あるいはその親族の資産凍結という三本立てで進められているところであります。
経済制裁は効果が出るまで時間が掛かると言われておりますし、特に二つ目に申し上げた通商の制裁というのは時間が少し掛かると、ロシアも輸出入先を変えたりいろいろ対応しますので時間が掛かります。また、市民の暮らしが困っても、ああいうプーチンのような独裁政権というのは余り意に介さない点もありますので、そういう点も含めてどこまで有効かという議論もありますけれども、その点、政権中枢への金融制裁、急所を押さえればプーチン政権に直接かなり打撃を与えることもできるという議論がございます。
元々、ソ連が崩壊して国際金融、国際、国有企業を民営化するときに安くそれを手に入れて巨万の富を築いたのがオリガルヒでありますし、私腹を肥やしてきた人たちでありますので、自分の財産が凍結されるあるいは没収されるというようなことは一番やめてほしいという点でいきますと、プーチン自身、プーチンの親戚、親類も含めて、一番圧力としては、プレッシャーとしては効果があるということが言われております。
いずれにせよ、経済制裁は、やるならば可能な限り実効性のあることが必要があるというふうに思いますので、タックスヘイブンの問題も取り上げたんですが、九日のウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、こういうオリガルヒへの制裁が一定効果を上げてきていると、オリガルヒが資金繰りに困っているということが報道されております。
最後のやっぱり詰めは、タックスヘイブン問題ではないかと思っております。というのも、アメリカの司法省がオリガルヒ資産調査専門チームというのをつくっておりまして、そのリーダーが連邦検察官のアンドリュー・アダムスさんという方なんですが、四月の一日にロイターのインタビューでこうおっしゃっていますね、オリガルヒの資産が世界中に散らばったペーパーカンパニーを何層も重ねた背後に隠されている、つまりタックスヘイブンですね。
そういう指摘もあるわけで、タックスヘイブン問題は対策が非常に重要ではないかということで、この前本会議でも質問させていただきました。鈴木大臣がそのときに御答弁いただきまして、それもそうなんだけど、まず制裁回避やマネーロンダリングといった不正な資金移動を防止すると、これが重要だということで、法人に関する情報の透明性を向上させることが重要だという御答弁をいただきまして、これもおっしゃるとおりだというふうに思います。タックスヘイブン対策の、共にといいますか、その核心がこのやっぱりマネロン対策でありますんで、今日はちょっとタックスヘイブンからこのマネロン対策中心に質問させていただきたいと思います。
イギリスの議会は、先月十五日に経済犯罪法という法律を成立させました。これは、海外のペーパーカンパニーを隠れみのにしたマネロンを防ぐといいますか、経済制裁逃れをあぶり出すためにということで、特に不動産の実質所有者が分かる登記制度を設けると。で、虚偽申告が見付かれば刑事罰の対象にするという強い法案でございます。これは、実はこの経済犯罪法は、二〇一八年にイギリスで法案が用意されたんですけれども、しばらく棚上げ状態だったと、それがこのロシアの侵攻を受けて緊急立法になったということが、これは日経のニュースで、四月十三日のニュースに出ております。標的はプーチン大統領に近い新興財閥オリガルヒだということもこのニュースで言われております。
また、大臣は、本会議のときに、こうした観点から、本年三月にFATF、FATFの国際基準が強化されて、法人の実質的支配者の透明性向上のために法人自身にその情報を取得させ、公的機関に登録させることなどが各国に求められることになったと、このFATFの国際基準は、G20はもとより世界の多くの国に適用されるものであり、日本としても、各国と連携し、この実質的支配者の透明性向上のために国際基準の実施、推進を呼びかけていきたいというふうに答弁をされました。
このFATFというのが一つの大きな役割を果たすわけですけど、まず、済みません、財務省、FATFとは何なのか、ちょっと簡潔に説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/110
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111・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
FATF、今先生からもおっしゃっていただきましたように、FATFでございまして、日本語では金融活動作業部会と申してございますが、マネーロンダリング、テロ資金供与対策等につきまして国際基準を策定しております多国間の枠組みでございます。一九八九年につくられた枠組みでございます。
現在、我が国を始め、G7を含めまして三十七か国・地域と、それから二つの地域、機関、欧州委員会等でございますけれども、二つの地域、機関がこのFATFに加盟をしているということでございますが、このFATFが定めておりますこのマネロン、テロ資金供与対策等の国際基準をFATF勧告というふうに言われてございますが、これは今申し上げましたFATFの加盟国はもとよりでございますが、それと同時に、世界二百以上の国・地域がこのFATF勧告、国際基準の遵守については約束をしてございます。
そして、このFATFの大きな特徴、この国際基準を策定するだけではございませんで、このFATF勧告の実行状況、履行状況、遵守状況につきまして相互にメンバー国同士が互いに審査をし合う、こういう相互審査の枠組みを持っているのが大きな特徴でございまして、まさにこのFATFあるいはFATF型の地域体というものが世界にございますが、この枠組みを通じまして、それぞれの加盟国が互いに審査員を出し合いながら相互審査をすると、こういった活動をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/111
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112・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。
配付資料の一枚目に関連記事がございます。FATFというのは、フィナンシャル・アクション・タスクフォースですかね、の略で、金融活動作業部会ということで、今局長から御説明あったとおり、全体で三十九の国と地域が参加しているということですかね。
今お話あった審査が相互審査という形でありまして、これは法令整備状況審査と有効性審査の二つがあるんですかね。その評価によって国の評価分けが行われます。通常フォローアップ国というのはまあまあよくやっているという国だと思いますけど、重点フォローアップ国というのは、まだまだ不十分ですよと、やってもらうことがありますよということと、あとは監視対象国ですかね、これはもう、ちょっと要注意の国だというふうに思いますが、そういうふうに評価分けされます。
日本はマネーロンダリング対策が不備だということで、二〇〇八年からいろいろ指摘をされてきたんだと思いますけれども、二〇二一年、去年の八月三十日に第四次対日相互審査報告書が出されて、重点フォローアップ国に指定されました。つまり、さっき申し上げた、まだまだ不十分ですよという指摘をされたわけで、特にペーパーカンパニー、信託といった仕組みを利用したマネロン対策が不十分だということで、記事にも幾つかそういうことが書かれているというふうに思います。
これはちょっと財務大臣と、大きな話なんで財務大臣に伺いたいんですけれど、日本がこの重点フォローアップ国に指定されたということをどのように受け止めておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/112
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113・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 大門先生御指摘のとおりに、FATFの対日審査では、日本のマネーロンダリング、テロ資金供与対策の効果が上がっているという、この評価もあったわけでありますけれども、その一方におきまして、金融機関等に対する監督や、マネロン、テロ資金供与に係る捜査、訴追など、一層の強化に向けて取り組むべき複数の事項が指摘をされたところでございます。日本は重点フォローアップ国になっております。
この対日審査報告書の公表を契機といたしまして、政府一体となってマネロン対策等を強化するため、関係省庁で構成する政策会議を設置するとともに、行動計画を策定をして、必要な法整備の検討を含め、取組を現在進めているところでございます。
マネロン等の犯罪は、近年複雑化、グローバル化しており、日本の対策も国内外の動向を踏まえながら不断の見直しを行っていくことが必要と考えます。引き続き、FATFの指摘も踏まえまして、国民の理解と協力を得ながら、マネロン対策等の一層の向上に取り組んでいきたいと、そのように思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/113
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114・大門実紀史
○大門実紀史君 失礼しました。そうですね、若干、若干というか、評価をしてもらっているところもあるわけですね。国際協力等の分野でいい結果を示しているというような、日本を評価している、してもらっている部分もあるわけですが、全体としてもっと頑張ってもらいたいということだと思うんですよね。
このFATFの指摘を受けて、現在、各関係省庁が連携して対応を進めておられるんだというふうに思います。去年の八月にマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画と、これは資料の二枚目以降に付けておりますけれども、が策定されたわけです。多岐にわたっておりますけれど、この重要なポイントといいますか、その点含めて簡潔に説明をしてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/114
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115・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
今御指摘をいただきました行動計画、まさしくこのFATFの対日審査報告書の公表も契機としまして、大臣からも御答弁申し上げましたが、政府一体としてこのマネロン、テロ資金供与対策を進めるためにということで、昨年八月に関係省庁の政策会議におきまして取りまとめさせていただいたものでございます。
行動計画は、内容多岐にわたりますけれども、対日審査で指摘された事項を中心に幾つか重立った点申し上げますと、例えば、マネロン、テロ資金供与対策に関します監督当局間の連携の強化、あるいは適切な監督態勢の整備、それから監督ガイドラインの更新ですとか策定、こういった形で監督をしっかりまず強化していくということ。それから、法人や信託の実質的な支配者の透明性の向上、このために、実質的支配者情報を一元的に管理する、こういう仕組みの構築等を進めていくんだということ。それから、マネロン罪についての法定刑の引上げですとか、あるいはこういったマネロン事案、特に重大、複雑な事案も含めまして、捜査、訴追をしっかり強化していくという司法面での取組。さらには、制裁対象者との取引の防止など、今回の法案にも関わるところでございますが、資産凍結の措置、これの執行を強化する。こういった様々な取組を実施期限とともに掲げているというところでございまして、現在、この行動計画に沿いまして、関係省庁でこの主要な法整備に向けた検討も含めまして現在取組を進めていると、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/115
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116・大門実紀史
○大門実紀史君 今若干ちょっとお答えいただいたんですが、私、次にお聞きしようと思ったのが、今回のこの法案にこの行動計画がどういうふうに生かされているかといいますか、関連でいえばどこかということで、今資産凍結のお話しされましたが、ほかにこの今回のロシア・プーチン政権に対する制裁との関係でこの行動計画を生かされているところというのは資産凍結以外にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/116
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117・三村淳
○政府参考人(三村淳君) お答え申し上げます。
今回について申し上げますと、まさに今回の法案は、暗号資産がロシアに対する制裁措置の抜け穴とならないように、そこの実効性を強化するということでございますので、そういう意味では、今回の法案がこの行動計画で関わりますところは、今もお答え申し上げましたが、お配りいただいた行動計画の中では6の(3)というところがございますけれども、この資産凍結措置の執行の強化、ここの部分を受けてということでございます。
ただ、もちろん、行動計画を見ますと、それだけが求められているわけではございません。ほかにもやるべき取組はまだあろうかということは認識をしてございますので、ここは引き続き行動計画に沿いまして、関係省庁とともに今も検討をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/117
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118・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。
あと、鈴木大臣が本会議のときに、さっきちょっと述べましたが、今年の三月にFATFの国際基準が強化されて法人の実質的支配者の透明性向上を云々という御答弁がございました。
この三月の国際基準の強化の背景とその内容について、これも簡潔に説明お願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/118
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119・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 経緯を含めて申し上げますと、二〇一四年より順次開始されましたFATFの第四次相互審査において、各国のマネロン、テロ資金供与対策の状況について審査が行われる中で、多くの国々で法人がマネロン等に悪用されていることや法人の悪用を防ぐ対策が十分に有効でないことが明らかとされたところでございます。
これを踏まえまして法人の実質的支配者情報の透明性向上の必要性が認識をされ、FATFにおいて議論が行われた結果、本年三月に法人の実質的支配者に係る国際基準が強化されました。強化された国際基準では、法人自身に実質的支配者情報を取得させること、その情報を公的機関に登録させることなどが各国に求められ、第五次相互審査から適用されることとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/119
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120・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。
詳しい資料がなかなか入手しづらいんですけれど、三月の四日にFATFがパブリックステートメントを出しておりまして、それがこの改定について言及している部分がありまして、こういう翻訳でいいのかってありますが、こういうことを言っているんじゃないかと思うんですけど、国は企業に対して自らの実質的支配者に関する情報を十分に正確にアップデートで把握した上で担当する官庁がタイムリーに利用できるようにさせるべきだというふうなことをFATFの声明では言っております。
つまり、この官庁との連携まできちっと踏み込むようにということだと思うんですけど、そういうことだと思うんですが、これを受けて日本としてはどのような対応を進めていかれるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/120
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121・三村淳
○政府参考人(三村淳君) まず、先生御指摘のとおりでございまして、FATFにおきましては、本年の三月四日でございますけれども、この実質的支配者情報に係ります改定に伴いましてステートメントを出してございまして、御指摘のように、まず、各国は企業に対し、十分で正確かつ最新の実質的支配者情報を取得、保持するように求めるべきであると、そして、そのような情報を当局がタイムリーに入手できるようにするべきであると、このようなことをステートメントとして発信をしているということでございます。
これを受けた私どもが何をしていくかというところでございますけれども、まさしくこの昨年八月に取りまとめました行動計画の中でも、この法人の実質的支配者情報の透明性向上のために、まず一つ、株式会社の申出によりまして商業登記所が実質的支配者情報を保管をしまして、これを必要に応じて必要とされる方に証明書という形で証明をすると、こういう制度を三年度中に開始をする、令和三年度中に開始をするという行動計画でございましたが、これは既に本年の一月末から開始をしているところでございます。
さらに、行動計画では、法人の実質的支配者情報を一元的に管理する、こういう仕組みの構築等も進めていくということを盛り込ませていただいておりますが、この行動計画、昨年八月に出しました後に、今御紹介もいただきました、また私も申し上げました今年三月のFATFの国際基準の改定というのも行われたところでございますので、今、まさしくこのFATFでの新たな国際基準も見ながら、私どもとしてこの実質的支配者情報の透明性の向上のために何をしていくべきか、先ほど申し上げました政策会議の中でも関係省庁とともにこれは様々なレベルで今協議をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/121
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122・大門実紀史
○大門実紀史君 日本は本当にその点で頑張っていかなきゃと思うんですけど。
これちょっと海外の話なんですけど、報道によりますと、このFATFが資金洗浄の監視を強化している対象、まあグレーリストと呼ぶらしいんですけど、に指定した国がありまして、アラブ首長国連邦、UAEですね。私も三年前に参議院の訪問団で訪れたことがありますけれど、石油で、産油国で豊かな国なんですが、世界中から投資を集めている国でもあります。
これも海外の新聞でないとなかなか報道していないんですけれど、ロイターなんかを見ますと、このUAEのドバイでロシアのオリガルヒが不動産を買いあさっているという報道があります。これもロイターですけれど、UAEというのは不動産購入者に対していろんな優遇措置を講じて、元々講じておりまして、ドバイで、二十万ちょっとだと思うんですけど、二十万ドルちょっと超えるぐらい以上の不動産を購入いたしますと、三年間の居住ビザが取得させてあげるとかですね。不動産業界、これロイターの話ですが、不動産業界の関係者によりますと、マンションとかいろんな集合住宅の大半を、このビザ取得基準以上の二十万五千ドルですかね、二十万五千ドル以上の物件が占めると説明しておりまして、要するに、そういう海外勢がこのドバイで不動産を買い占めていて、その中心にオリガルヒがいるということと、モスクワとベルリンを拠点とする不動産会社で一手にオリガルヒのこの不動産購入を仲介している人の証言もロイターで報道されていたりいたします。
このFATFとの関係で、やっぱりこのことはよく見ておく必要があるなというふうに思うんですね。つまり、FATFが今マネロン対策を強化しているのは、このロシアのプーチン政権のウクライナ侵略以降、特にこのドバイの問題、UAEの問題も背景にはあって、いろいろこう考えているんではないかと思うわけでございます。
UAEの当局もじっとしているわけではありませんで、不正な資金の流れを阻止するためにいろんな、UAEの銀行としていろいろ手は打っているんですけれども、しかし、それでもこうやってグレーリストに載せられるということは、やっぱりまだまだここが緩く、このUAEが緩いんで、FATFからマネロンをちゃんと手を打てという指摘をされているんだというふうに思うわけであります。
フィナンシャル・タイムズを読みますと、このUAEの中にも資金、マネロン対策の事務局があるらしいんですけれども、やっぱりこのオリガルヒのロシアの富裕層が要するに資産をそちらに移行しようとしてきているわけね。それはやっぱり真摯に受け止めなきゃいけないということで、UAE当局も何もしていないわけではないんですけれども、申し上げたいことは、このタックスヘイブン、そしてマネロン対策、まあ日本はもうちょっと頑張ってくれとマネロンで言われていますけど、評価してもらっているのは、やっぱり国際協調でいろいろやってきたという点があるわけですね。
これは、浅川さんがね、財務官やっていらっしゃるときから頑張ってもらったのよく分かって、私も評価しながら、激励しながらやってきたことなんですけど、今、この時点で、ロシアのプーチン政権に対する制裁で一番彼らが嫌がる、打撃になることがこれだとすると、引き続き、日本としてタックスヘイブン対策として、マネロン対策で国際協調、国際連携を強めていきましょうという呼びかけと、今までもリードしてきた面あるわけですから、その点で頑張ってもらいたいというふうに思います。
大臣に最後に一言いただければ結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/122
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123・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) FATFの勧告等も踏まえまして、今政府でも鋭意この充実に向けて取組を進めていることでございますが、ところでありますが、そういうこともしっかりと計画どおり、計画に沿って進めながら、マネロン対策、これからも充実に向けてしっかりとやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/123
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124・大門実紀史
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/124
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125・森屋宏
○理事(森屋宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、進藤金日子君及び中西哲君が委員を辞任され、その補欠として羽生田俊君及び本田顕子さんが選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/125
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126・渡辺喜美
○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美でございます。
世の中にハードパワーとソフトパワーというのがあるのは分かっていたんですが、最近、ダークパワーというのもかなりこれは強いパワーとして認識をしなきゃいけないなとつくづく思わされましたね。ロシアが毒殺を常套手段とするとか、あるいはオリンピックでもドーピング、相変わらず疑惑が多いとか、まあダークパワーの世界というのは日本人にはほとんどなじみのない世界でありますから、そのダークパワーを駆使してくる人たちとどうやって対峙するんだと、新たな問題提起を受けたような気がいたします。
この間、元陸将補の、渡部悦和さんと書くんですが、何とお読みするんでしょうか、大変面白い講演でした。今回、ウクライナがNATOの支援を仰ぎながら、直接的な支援は受けられていない、まあ第三次世界大戦になるからという理由でありますが。それでも、例えばイーロン・マスクに衛星の携帯使えるようにしてもらうとか、あるいは民間のホワイトハッカー集めてロシアにサイバー攻撃仕掛けるとか、あるいはいろんなところからドローン集めて、それを情報収集あるいは武器化するとか、いろんな分野にわたって情報戦、サイバー戦、ドローン戦、通常のメディアに対するアピールも抜群だし、またSNSでは明らかにウクライナの方が勝っているような感じを我々は受けますね。
そういった全領域戦、オール・ドメイン・ウオーフェアというんだそうですが、渡部元陸将は指摘しておられましたが、防衛省は今回のウクライナ戦争についてどのような分析をしておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/126
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127・大和太郎
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
二〇一四年のいわゆるクリミア併合に際して、ロシアは秘密裏の作戦や偽情報、プロパガンダの流布、サイバー、電子戦といった軍事手段と非軍事的手段を組み合わせたいわゆるハイブリッド戦の手法を展開したと指摘されています。一方、今回のウクライナ侵略においては、ロシアは通常戦力を主体とした大規模な侵攻作戦を実施しております。同時に、ロシアは、いわゆる偽旗作戦と呼ばれるような行為やウクライナ政府機関へのサイバー攻撃を行っているとされ、再びハイブリッド戦の手法も取っていると見られるところであります。しかしながら、ロシアによるサイバー戦、電子戦等といった手法が必ずしも効果を発揮していないとの指摘があります。逆に、ウクライナ政府による積極的な情報発信が、国際社会がウクライナ支援のため結束する上での大きな効果を発揮したとの指摘もあるところです。
ウクライナ侵略をめぐっては、陸、海、空といった従来の領域におけるロシア軍の作戦の問題点が数多く指摘されるとともに、委員御指摘のように、新たな領域を通じたロシア、ウクライナ双方の動きも見られるところであります。こうした動向も含め、引き続き情報収集、分析に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/127
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128・渡辺喜美
○渡辺喜美君 とにかく、ウクライナが、もうあっという間に制圧されると思いきや、結構頑張っているわけですよ。ホワイトハウスの記者会見、サキ報道官によると、アメリカの軍事情報をリアルタイムで、まあ三十分ぐらい差はあるようですが、そういったものもウクライナには提供していると。
私は、えっ、こんなことがあるのかと思った報道は、ロシアの将軍が五人やられているわけですね。それ何で居場所が分かったかというと、スマホで指示出していたというわけですよ。それ全部ウクライナの方が盗聴して、スナイパーで殺害したというわけであります。
とにかく、ドローンの使い方見ていても、日本の自衛隊でドローンこれだけ使う準備しているのかなと思うぐらいすごいものがありますね。でも、ロシアは軍事国家であることは間違いなくて、先月ですけれども、北方領土でも演習やっていますね。日本海でも演習やっていますよ。
自衛隊は通常演習というのはやっているんでしょうけれども、こうした新たな事態に備えての演習というのは、あるいはロシアに対抗する演習というのは考えておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/128
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129・大和太郎
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
自衛隊は、戦術技量の維持向上のために様々な訓練を行っておりますが、これらの訓練は特定の国や地域を想定したものではありません。その上で申し上げますが、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中にあって自衛隊がその能力を高め、また、それを最大限発揮できるようにするため、訓練の質の向上を図っていくことが重要です。
かかる観点から、自衛隊は、例えば北海道の良好な訓練環境を積極的に活用して、より実践的な訓練、演習の実施に努めてきております。例えば、陸上自衛隊は令和二年度より北海道訓練センターという事業を行っています。これは、北海道以外に所在する東北方面隊などの陸上自衛隊の部隊が北海道に機動展開し、北部方面隊の部隊などと北海道の演習場で実動対抗演習などを実施するものでありまして、これまでに計五回実施しております。また、令和三年から、あっ、失礼しました、令和三年六月から七月にかけて陸上自衛隊と米陸軍との間で実施したオリエント・シールド21においては、陸自の多連装ロケットシステムと米陸軍の高機動ロケット砲システムが矢臼別演習場において初の実弾共同火力戦闘訓練を実施するなど、良好な訓練環境を活用した新たな取組を実施しております。
ロシアがウクライナを侵略するなど一層厳しさを増す安全保障環境にあって、自衛隊が持つ能力を最大限発揮できるよう、引き続き北海道の良好な訓練環境を積極的に活用して訓練を実施していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/129
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130・渡辺喜美
○渡辺喜美君 とにかく、恐らく後世の歴史家が見て明らかに今歴史の転換点にあるというわけでありますから、今までの延長線だけで考えない方がいいかもしれませんね。また、現に停戦交渉が頓挫し、まあ今日辺りの報道を見ていますと相当戦闘が長期化しそうだと。ゼレンスキー大統領は、ロシアの東部侵略が本格的に今戦闘を開始されているというわけでありますから、ロシアの部隊がどんどんウクライナに投入されていくわけですね。北方領土からも若い兵隊が行っているなんていう話もありました。シベリア辺りから相当ウクライナに移動しているわけでして、まあ自衛隊が演習やったからそういう兵力をこっちに引き付けておくというのはなかなか考えにくいかもしれませんけど、日本が直接ウクライナに軍事支援やることはできないわけですね。でも、そういう演習という形でロシアの兵力を少しでもこっちに引き付けておくことは可能じゃないかと思うんですね。
防衛省の立場でそんなこと言える、答えられる話でもなかろうと思いますので、私の方から一方的に話だけしておきます。
委員長、もう退席していただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/130
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131・森屋宏
○理事(森屋宏君) 防衛省防衛政策局大和次長、御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/131
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132・渡辺喜美
○渡辺喜美君 我々から見ると、もう世界中ウクライナの味方ばっかりだって思いがちなんですが、前にも申し上げたように、ロシアの非難決議、国連の非難決議、賛成した国、七十数か国で人口三十九億人。反対、棄権した国、数は、あっ、賛成した国は百二十何か国だったですかね。反対、棄権した国はもっと少ない。けれども、人口にすると三十九億人。三十九対三十九ですよ。で、先ほど来議論のあります国連の人権理事会のロシアの資格停止決議というのがこの間行われました。賛成九十三か国で十八億人、減っていますね。棄権五十八か国、それから無投票十八か国、これ合わせて三十二億人。それから反対二十四か国、この中には中国だけじゃなくてベトナムも入っていますね。まあ腐れ縁ということなんでしょうね。そうすると、十八億人対五十三億人、こっちの方が少ないのが世界の偽らざる現実ですよ。
まあロシアが結構しぶとく、制裁にもかかわらず国債のデフォルトにも、完全デフォルトにはまだ至っていない。その背景にはやはり、お手元の横長のグラフのように、この原油価格、まあ天然ガスは御案内のように原油連動します。ロシアは、原油、天然ガス、鉱物資源、これで財政収入の半分を得ているという国でありますから、当然のことながらこういうところに制裁を掛ければ別でありますけれども、制裁は抜いてあるわけですよね。
例えば、天然ガス持ってきている。ノルドストリーム2は完成したけれども許可を出していない、けれども、ノルドストリーム1からは以前と同じように入ってきていると。ガスプロムバンクという、ガスプロムの関連銀行でしょうけれども、ここにはSWIFT排除の制裁すら掛かっていないという状況であります。
そういう中で、例えばサハリン1、2というのは日本の国策として始めた。サハリン1の方は、石油公団が出資して、今、経産大臣が五〇%の出資比率を持っているところですね。サハリン2の方は、ガスプロムが五〇%超、シェルは二七・五%で、シェルは撤退を表明していますけど、いつとは言っていないですね。タイムスケジュールはない。三井物産一二・五、三菱商事一〇%というわけでありますが、こうした原油、天然ガスの代金はどこに払っているんでしょうかね。受け取るのはどちら様になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/132
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133・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
まず、サハリン1、2のプロジェクトは、日本企業が上流の権益を保有しているプロジェクトでございまして、エネルギーの安定供給、中長期的に安定的に日本として原油ないしはLNGを引き取る権利が確保されているという事業でありますので、エネルギー安全保障の観点から極めて重要性が高いと。他方で、G7各国と制裁措置、足並み合わせながらしっかり連携して対応していくと。この両者をしっかりバランスしながら対応していくということだと認識しております。
お尋ねのサハリン1、2の原油の購入代金を支払っております金融機関でございますけれども、これは、いずれも取引先銀行は、コマーシャルな営業上の秘密に該当しますので、この場でお答えをさせていただくのは控えさせていただきます。
他方で、具体的な送金のルートは申し上げられませんけれども、両プロジェクトに関しては、原油及び天然ガスの購入代金は日本企業は何ら金融制裁に抵触することなく法令に合致した形で支払を継続できているというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/133
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134・渡辺喜美
○渡辺喜美君 ですから、制裁対象外なんですよ。なので、別に払ったからどうこうという話ではないんですね。
じゃ、知っているけど秘匿する、何で秘匿する理由があるんですか。実質的な理由、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/134
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135・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) これ、企業側からその情報については営業上の秘密なので開披しないでほしいという依頼があるので、我々としては差し控えているということでありますけれども、想像するとすれば、どういうルートで送金をしているかということが明るみに出ますと、これはいろんな形で、内外からの圧力であるとか妨害であるとか、ないしはそういう金融機関に支払をしたい人が殺到するとかですね、何らかの業務への支障が出るということを恐れてのことではないかというふうに推察いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/135
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136・渡辺喜美
○渡辺喜美君 私の質問は、日本側の金融機関を開示しろと言っているんじゃないんですよ。ロシア側の受け取っているのは誰なんですかということを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/136
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137・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 済みません。ちょっとその点につきましては、繰り返しになりますけれども、具体的な送金のルートについては民間企業の営業上の話でございますので、この場では差し控えさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/137
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138・渡辺喜美
○渡辺喜美君 結局、何を秘匿してどの権益、誰の権益を守ろうとしているのかですよね、問われるのはね。こんなもの制裁対象になっていないわけですから、しかも国策としてやっているプロジェクトでしょう。民間企業の企業秘密だから言えない、これ理屈になりませんよ、はっきり言って。
制裁対象になっていなくとも、いいですか、日本はもう既にロシアにとっては非友好国だという話になっておるわけですよ。で、ルーブルで支払えなんて言ってきているわけじゃないですか。ルーブルなんか持っていませんよ。だから、実際はドルで払って、どこかロシアの方の金融機関でそれをルーブルに替えて、まあ事実上のルーブル買い介入みたいなことをやってルーブルの価値が下がるのを食い止めているというだけの話じゃありませんか。
秘匿することによって誰の利益を守ろうとしているんですか。もうちょっと考えた方がいいですよ。もう帰って結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/138
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139・森屋宏
○理事(森屋宏君) 定光資源・燃料部長、御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/139
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140・渡辺喜美
○渡辺喜美君 もうとにかく、日本としてできることは限られているんだが、少しでもできることがあったらやった方がいいですよ。だから、原油価格に日本が影響を与えるって、まあ微々たるもんですよ、はっきり言って。節約するとか備蓄放出するとか再エネもっと普及するとか原発再稼働するとか、とにかく原油、天然ガスの消費量をできるだけ少なくするという程度の貢献しかできないんですよ。日本は増産しますといったって無理ですからね。
もう大体答え分かっているのでちょっと質問カットしますけど、例えば、これももう本当小さなミクロの話なんだが、例えば私の地元に揚水発電所というのは二つあるんですよ。二つあって、最大出力が百五十万キロワットなんですね。どでかい原発一基分ぐらいの電気をため、発電することができる。大体、うちの方の、栃木県の北の方で、判こついてある太陽光の認可の最大出力が大体百五十万キロワットぐらいなんですね。そうすると、ここ、昼間は太陽光で発電して、余剰が出ますから、それを揚水発電所のポンプアップに使うわけですね、上ダムにね、上に揚げて。まあ夕方が大体ピークですから、今ね、工場も開いている、家庭も電気使い始めるというんで、夕方のピークにどんと落とすなんていうことは、これは石油、天然ガス消費量をできるだけ少なくする、まあ微々たるもんではありますけれども、役立つんですが、どうですか、そんな調査検討はしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/140
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141・松山泰浩
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今後、日本の安定供給を考えていく上では、太陽光を始めとした再エネというのは大変重要だと考えてございます。一方で、今御指摘いただきましたように、例えば太陽光でいうと、日が出るか出ないかで大きく差が出てまいります。ですので、この余剰がたくさん出た場合に、需給のバランスを取る観点から、この余剰分で電力をポンプアップをして必要なときに落とすという揚水発電というのは大変重要なものだと考えてございます。
例えで申し上げてまいりますと、九州エリアというのは太陽光が大変たくさん入ってございます。直近の四月十七日で申し上げますと、最大の、これ、多過ぎてしまうので抑えなきゃいけないときに出力制御というのを行うわけでございますが、これが発生しました十二時からの三十分の時間帯で、電力需要が全エリアで七百五十七万キロワットでございました。一方で、再エネの発電が全部で九百十三万キロワットと需要を上回ったものですから、その分で利用できる限りの百九十二万キロワットの揚水のくみ上げを行い、後に使うという形で対応してございます。
また、逆に、先日、東京電力管区で需給の逼迫が生じました。このときは逆の状況になっておりまして、すなわち天候が悪く供給力が出ない。ですので、その前に揚水発電でためておいた電力を必要な需要のときに出すということで、まさに委員御指摘のように、需給の安定に使うために揚水発電というのを活用していきたいと考えてございます。
他方で、委員から数字ございましたけれども、栃木県内でいいますと、大体百五十八万キロワットで、太陽光の量と揚水の量というのは大体釣り合った形になってございますが、東京電力のエリア全体で考えますと、大体半分ぐらいしか揚水がございません。ですので、揚水だけでは十分ではないですが、こういった調整機能の強化という観点から揚水発電の充実、整備、そしてその維持拡大、さらには蓄電池というものの活用、こういったものをしっかりと進めていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/141
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142・渡辺喜美
○渡辺喜美君 この際、できることは何でもやった方がいいですよ。政策目的変えなくとも、明らかにウクライナ戦争というのは歴史のゲームチェンジャーになっていますからね。是非検討していただきたいと思います。
G7に出発される前に、鈴木大臣にこういう話を御紹介しておきたいと思うんですね。
ブレトンウッズ・ツーというのはニクソン・ショックですね、金・ドル交換停止、変動相場制、自由な資本移動、自由な金融政策、こういうことを可能にして、今、どうもブレトンウッズ・スリーではないかと、あるマーケットの予言者が言っているんですけどね。つまり、ドル体制がそう簡単に崩れるわけではないにしても、少しずつ侵食されているのは事実ですよ。バリー・アイケングリーンなんていう有名な学者もそういう論文書いていますしね。
ブレトンウッズ・スリーと言われる世界は、商品というのが代替資産として非常に大きくなる世界なんですね。そうすると、資源国、食料生産国、例えばロシアですよ。こういうところはしっかり生き残っちゃう可能性があるんですね、このブレトンウッズ・スリーの世界体制の中ではね。
したがって、どうやってこれを阻止して制裁を強化をするかと。制裁というのは、御案内のように、相手が困らないと制裁にならないわけですよ。相手は困らないで制裁掛けましたというのは真空切りと言われるやつでね。ロシアが困るような制裁を掛けていく。
まあこの先ほど申し上げたマーケットの予言者と言われる方、ちょっと名前忘れましたけれども、この方は、もうやはりロシアの資源の全面禁輸やるしかないだろうということを言っておられますが、大臣のお考えが何かありましたら、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/142
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143・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 渡辺先生の御指摘は、資源輸出国がより重要となり、ドルの基軸体制にも影響をいずれ与えるような変化が起きつつあるのではないかという御指摘であったと思います。
特定の通貨が広く利用されるには、流動性、安全性の観点から通貨としての高い利便性を有する必要があること、理解しております。この点、米ドルは、こうした通貨としての高い利便性を有することから国際的に広く利用され、いわゆる基軸通貨とされていると認識をしております。
先生からドル決済の侵食といった御発言、御意見があったところでありますが、仮に米ドルに代わる基軸通貨や代替資産が出現するとすれば、こうした流動性、安全性の観点から米ドルと同様の利便性を有するかという点を踏まえて見ていく必要があると思います。
いずれにいたしましても、日本としては、国際経済、金融システムの安定等が重要であると考えておりまして、ロシアに対する一連の制裁措置、これが国際的な資金や物の流れに及ぼす影響等につきましても引き続き注視をしなくてはならない、そしてG7や国際機関と連携してしっかりと対応しなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/143
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144・渡辺喜美
○渡辺喜美君 終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/144
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145・森屋宏
○理事(森屋宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、末松信介君及び櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として小川克巳君及び松下新平君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/145
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146・森屋宏
○理事(森屋宏君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
まず、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/146
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147・森屋宏
○理事(森屋宏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/147
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148・森屋宏
○理事(森屋宏君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/148
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149・森屋宏
○理事(森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814370X01120220419/149
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