1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十三日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
五月十一日
辞任 補欠選任
高瀬 弘美君 熊野 正士君
五月十二日
辞任 補欠選任
藤末 健三君 宮崎 雅夫君
三原じゅん子君 舞立 昇治君
福島みずほ君 石川 大我君
宮沢 由佳君 岸 真紀子君
熊野 正士君 杉 久武君
五月十三日
辞任 補欠選任
宮崎 雅夫君 本田 顕子君
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出席者は左のとおり。
委員長 舟山 康江君
理 事
阿達 雅志君
上野 通子君
川田 龍平君
安江 伸夫君
委 員
大野 泰正君
高橋 克法君
高橋はるみ君
藤井 基之君
本田 顕子君
舞立 昇治君
宮崎 雅夫君
山田 太郎君
石川 大我君
岸 真紀子君
長浜 博行君
杉 久武君
平木 大作君
田村 まみ君
音喜多 駿君
大門実紀史君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(消費者
及び食品安全)
) 若宮 健嗣君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣府子ども・
子育て本部審議
官 相川 哲也君
消費者庁次長 高田 潔君
消費者庁審議官 長谷川秀司君
消費者庁審議官 片桐 一幸君
消費者庁審議官 片岡 進君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 茂里 毅君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的
な回復のための民事の裁判手続の特例に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/0
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001・舟山康江
○委員長(舟山康江君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、高瀬弘美さん、宮沢由佳さん、福島みずほさん、三原じゅん子さん及び藤末健三さんが委員を辞任され、その補欠として杉久武さん、岸真紀子さん、石川大我さん、舞立昇治さん及び宮崎雅夫さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/1
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002・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也さん外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/2
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003・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/3
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004・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/4
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005・高橋克法
○高橋克法君 自由民主党の高橋克法です。質問の機会を大変ありがとうございます。
消費者契約法は、平成十二年の制定以来、消費者と事業者との間の契約ルールを定める民法の特別法として、消費者トラブルへの対応などに幅広く活用されてきました。
今回の消費者契約法改正案の提出に至った経緯につきまして簡単に御説明いただくとともに、ここが一番大事ですが、昨今の消費者を取り巻く状況の変化に対する消費者庁御自身の認識、これをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/5
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006・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員からも御指摘がございました消費者契約を取り巻く環境の変化、これは非常に大きなものがあろうかと思っております。
また、平成三十年の改正におけます附帯決議等におきまして様々な御指摘をいただいたことを踏まえまして、消費者庁といたしまして、消費者契約に関する検討会等を開催をさせていただき、消費者契約法の在り方について検討を行い、昨年の九月に報告書が取りまとめられたところでもございます。
この検討会の報告書を基礎としつつ、報告書に寄せられた御意見も含めまして関係各方面からの御意見も伺いつつ、政府部内において必要な検討を重ねた結果、本法案を提出をさせていただいたところでございます。
超高齢社会の進展、また情報通信技術の進展、消費者を取り巻きます環境、非常に大きく変化をしているのが現状だというふうに認識をいたしているところでもございます。
この今回の改正法案は、こうした環境の変化に伴って発生してまいります消費者被害の状況及びその回復のための措置の運用状況等を踏まえ、消費者が事業者と安全で安心して取引を行うことができる環境を整備し、更なる消費者の利益の擁護を図るために提出をさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/6
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007・高橋克法
○高橋克法君 今回の改正案の提出に先立って、消費者庁の消費者契約に関する検討会が、今大臣からも御報告ありましたけれども、昨年の九月に報告書を公表されております。
この検討会では、主な検討事項として四つありました。いわゆる付け込み型勧誘に関する取消し権等の規律、平均的な損害の額に関する消費者の立証負担を軽減するための規律、契約条項の事前開示及び消費者に対する情報提供に関する規律、そしてオンライン取引における利用規約の透明性、公正性の確保その他の消費者保護に関する規律等が挙げられていましたが、それぞれどのような検討結果となったのでしょうか、説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/7
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008・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会では、委員御指摘のような当初の検討事項を踏まえつつ、さらに検討事項を整理、具体化しながら議論が深められ、報告書が取りまとめられました。
具体的には、消費者の取消し権について、困惑類型の脱法防止規定や、消費者の心理状態や判断力に着目した規定の方向性、平均的な損害について、解約時の説明に関する努力義務の導入等、不当条項について、事業者の損害賠償責任の免責の範囲が不明確な条項を無効とする規定の導入等、消費者契約の条項の開示について、適格消費者団体の契約条項の開示請求等、その他として、消費者の解除権に関する努力義務や、消費者契約の内容に係る情報提供の努力義務における考慮要素の追加等などの考え方が示されました。
消費者庁は、この報告書を基礎としつつ、報告書に寄せられた御意見を含め関係各方面からの御意見も伺いつつ、政府部内において必要な検討を重ねた結果、今回の法律案としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/8
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009・高橋克法
○高橋克法君 ただいまの答弁では、まさにこの消費者契約に関する検討会での議論、結論を受けて、そして今回の法改正という動きになったということで理解をしてよろしいんだと思うんですが、消費者契約に関する検討会の報告書などを踏まえて今回の改正案が提出されたわけですけれども、今回の法改正については、消費者団体などから、改正案には報告書に盛り込まれた考えられる対応の多くが反映されておらず、乖離があるのではないかという懸念が示されていることも事実だと思うんです。
消費者団体の感覚、その感覚から発する御意見というのは、これはこの前の一般質疑でも出たと思いますが、いわゆる消費者の中におけるクレーマー的な存在の意見ではなくて、純粋なそのままの真っ当な消費者、守られるべき消費者の方々の考え方というものだと私は理解をしておりますので、消費者団体からの意見というのは重いものだと思うんです。
その消費者団体が報告書と乖離があるんではないかという懸念を示されているのは重く受け止めなきゃならないと思っているんですが、その辺のところ、消費者庁はどんな見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/9
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010・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会では、従来の消費者契約法の考え方を拡充、発展させるものが含まれており、また、累次の改正が重ねられてきた中で理論的にも実務的にも難しい論点が多く取り上げられた結果、取消し権を始めとして意見の隔たりがある中で、規定案そのものではなく、考え方を、方向性を示すという形で報告書が取りまとめられました。
消費者庁は、検討会報告書を基礎としつつ、この報告書に寄せられた御意見を含め関係各方面からの御意見も伺いつつ、政府部内において必要な検討を重ねた結果、今回の法律案としたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/10
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011・高橋克法
○高橋克法君 消費者庁として、検討会を行って広くそれぞれのお立場の方々から御意見をいただき、法改正の前提としていったというその作業自体については大変私自身は敬意を表したいと思いますので、これからもその姿勢を崩さずに、刻々と変化する環境の変化に対応して、消費者庁としてもその職務に邁進してもらいたいというふうに思います。
それでは、改正案の具体的な内容について幾つか質問をさせてもらいます。
今回の改正案では、事業者の努力義務として、契約締結に向けた勧誘を行う際の消費者への必要な情報提供の考慮要素の中に、年齢及び消費者の心身の状態を新たに追加することとしています。これによってどのような効果が期待できるのか、具体的に説明をお願いします。
さらに、事業者が知ることができた消費者の事情を考慮する旨の文言も追加されておりますが、これによって、従来よりも事業者の努力義務の範囲が狭まってしまうというおそれはないのかどうか、その辺のところも併せてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/11
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012・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
現行の事業者の情報提供に関する努力義務においては消費者の知識及び経験を考慮することが求められておりますが、今回の法律案では年齢、心身の状態を考慮要素に追加することとしております。これによりまして、事業者は、高齢者や若年者、あるいは判断力が低下している等の心身の状態にある消費者に対しては契約内容を丁寧に説明するなどの対応をすることが求められ、消費者が不当な契約を締結させられる事態の防止に資することが期待されているところでございます。
また、現行法においても、情報提供の際に考慮することが求められている知識及び経験は、解釈上、事業者の知り得たものとされております。今回の法律案における「事業者が知ることができた」の文言の追加はこの解釈を明確化したものであるため、今回の法律案によって既存の努力義務の範囲が狭まるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/12
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013・高橋克法
○高橋克法君 今回、契約の取消しが可能となる契約類型に三つの行為を追加することとしています。そのうちの一つは消費者に勧誘目的を告げずに任意に退去することが困難な場所に連れていって勧誘する行為でありますが、この任意に退去することが困難な場所というのは具体的にどのような場所を想定しているのか、まずこれを御説明いただきたい。
さらに、消費者が契約を締結するか否かについて第三者に相談の連絡を行う意思表示を示したにもかかわらず、威迫する言動を交えて連絡を妨げる行為を追加することとしておりますけれども、この威迫する言動とはどのような言動が当てはまるとお考えでしょうか、具体例を挙げて説明していただきたいと思います。
なぜこれを聞くかというと、普通の業者の方はそういうことはないんですけれども、いわゆる消費者を食い物にするような悪徳な業者はこういった法律の隙間を狙ってやってまいりますから、この辺のところは厳格に示しておかないと、いざ摘発をされた後にその業者が罰せられないということにもなってしまうので、厳格にこれは適用していくべきだと思っているので、その辺のところの具体的な例を是非とも挙げていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/13
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014・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
改正法案の第四条第三項第三号の任意に退去することが困難な場所に該当するか否かは、消費者の事情を含む諸般の事情から客観的に判断されることになります。そのため、例えば消費者が車で人里離れたところに連れていかれ、帰宅する交通手段がないような場合や、階段の上り下りが困難といった身体的な障害がある消費者の方が階段しかない建物の二階に連れていかれた場合などにおいて、その場所が任意に退去することが困難な場所に該当すると考えられます。
次に、改正法案の第四条第三項第四号の威迫する言動とは、他人に対して言語、挙動をもって気勢を示し、不安の感を生ぜしめることをいいます。民法上の強迫とは、相手方の畏怖、まあ恐怖心でございますが、これを生じさせる行為でありますが、威迫する言動は、畏怖、恐怖心を生じさせない程度の行為も含まれます。そのため、例えば事業者が強い口調で言ったり机をたたいたりして、自分の意思で決めるようにといった場合などが該当いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/14
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015・高橋克法
○高橋克法君 今回、事業者に対して、適格消費者団体の要請に応じて消費者契約の条項を開示する努力義務というのを新たに課すことにしております。しかし、適格消費者団体が開示要請を行う際の要件としまして、不当条項を含む消費者契約を現に行い又は行うおそれがあると疑うに足る相当の理由があるときというふうに限定をされております。
適格消費者団体は、差止め請求権を行使するために必要な適格性を有する消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた団体であり、いたずらに開示要請を行って事業者に過度の負担を与えることは考えにくいと私は考えておりますが、なぜこのような要件を設けたのでありましょうか。その理由をお聞かせいただくとともに、疑うに足る相当の理由というのはどのようなことを指すのか、そのことについて説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/15
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016・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
適格団体は、差止め請求権を有する者として、事業者が不特定多数の消費者との間で不当条項を使用していると疑う事情があるなど、差止め請求をする必要性の有無を検証する等をするために事業者に対して契約条項の開示を求めるものであり、また、事業者に努力義務を負わせる以上、それに見合う状況にあることが必要と考えられるため、相当な理由がある場合と規定しております。
この相当の理由とは、差止めの対象となります不当な行為が行われる疑いがあると客観的な事情に照らして認められる場合を意味しております。具体的には、単なる臆測や伝聞等ではなく、適格団体において事業者が差止めの対象となる契約条項を使用している可能性があると考えるに至った場合に、同種の被害相談が多数発生しているなど、その判断を裏付ける合理的根拠や資料が存在している場合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/16
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017・高橋克法
○高橋克法君 適格消費者団体は、これまで毎事業年度に差止め請求関係業務などが適正に執行されているか否かについて学識経験者の調査を受けなければならないとされていましたが、今回の改正案では、この調査を受ける義務を廃止することとしております。
これは消費者契約に関する検討会の報告書では直接的には言及されていなかったと思いますが、どのような経緯、理由で廃止をすることとしたのかについて説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/17
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018・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
特例法の検討会報告書においては、適格団体の事務負担の軽減等に関して、団体の負担を踏まえ、必要かつ相当な範囲で認定、監督上の規律を見直すことが考えられるとの提言がなされていたものでございます。
委員御指摘の学識経験者の調査について、現行法では、適格団体は業務の適正な運営の確保のために毎事業年度それを受けなければならないとされております。他方で、平成十九年の制度運用開始以降、消費者庁において監督業務のノウハウが相当程度蓄積されており、学識経験者による調査に依拠するまでもなく適格団体を十分に監督でき、その業務の適正な運営の確保が可能になってきております。そのような状況を踏まえ、検討会における提言を具体的に検討した結果、今回、学識経験者の調査を廃止することとしたものでございます。
消費者庁といたしましては、今後もしっかりと適格団体を監督してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/18
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019・高橋克法
○高橋克法君 検討会の報告書では、一定の方向性を打ち出した事項のほかに、将来の検討課題として、平均的な損害の概念の見直し、第三者が消費者取引に介入する契約条項の不当性の検討などが挙げられています。
また、若宮大臣も衆議院における法案審議の際に、将来に向けて消費者契約法が果たすべき役割は何かといった観点から今後骨太の議論を行う必要性があるとおっしゃっておられます。
こうした課題に対する検討の場はいつどのような形で設けられる予定なのでしょうか。その見通しをお聞かせいただくことが第一なんですが、まあもうちょっと膨らませれば、これらの課題に対しての大臣の思いというものも聞かせていただければと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/19
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020・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者契約を取り巻きますこの環境、これ本当に刻々と変化をしているというふうに思っております。この検討会の報告書におきましても、委員御指摘のように、将来の検討課題に加えまして、従来の消費者契約法の取消し権や契約締結過程の適正化のための対応を超える新たな方向性が提言されていることなども踏まえますと、既存の消費者契約法の枠組みにとらわれないような抜本的な検討が必要ではないかというふうにも考えてございます。
そのためには、将来に向けましてこの消費者契約法が果たすべき役割は何かといった観点から、法体系全体の中でのこの消費者法が果たすべき役割、また、消費者法全体の中での各法律の実効的な役割の分担、こういったものを考えるといった骨太な議論が必要であろうというふうにも思っております。
このような骨太な議論の検討の場、また進め方については現在検討させていただいているところでもございますけれども、早期に開始する必要については十分認識をいたしているところでもございますので、可能な限り速やかに着手してまいりたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/20
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021・高橋克法
○高橋克法君 是非ともよろしくお願いをいたします。
次に、消費者裁判手続特例法についてお伺いをいたします。
消費者裁判手続特例法が平成二十八年十月に施行されてから五年が経過をいたしました。これまでに提起された共通義務確認訴訟は四件と伺っておりますが、この件数は当初想定したものよりも多かったのでしょうか、それとも少なかったのでしょうか。また、法施行後の運用状況に関する消費者庁の評価についてもお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/21
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022・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) この本制度、これは新しい訴訟制度でもあり、この制度創設時にはこの訴訟の件数を見積もること、これ困難であったというふうに思っております。当初の想定と実績を一義的に比較するということはなかなか難しいんではないかなというふうにも思っております。
ただ、この法の施行後の運用状況に関しては、今委員からもお話ございました四件の訴えが提起をされたほか、訴訟外での返金によって解決をされたという事案も複数見られているということもございますので、一定の成果が上がっているのではないかなという認識も持ってございます。ただ、事案の数あるいはこの救済の規模などにつきましては、やはりなお広がりを欠いているんではないかなと、こういった御指摘もいただいているところではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/22
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023・高橋克法
○高橋克法君 消費者裁判手続特例法につきましても、消費者契約法と同様に、改正案の提出に先立って検討会が設置されました。そして、昨年の十月に報告書が公表をされております。
検討会の主な検討事項としましては、一つ、特定適格消費者団体による被害回復関係業務の適正な遂行を確保するための方策、二つ目、共通義務確認の訴えを提起することができる金銭の支払義務に係る請求及び損害の範囲、三つ、消費者団体訴訟制度の効果、認知度の検証等が挙げられておりましたけれども、それぞれどのような検討結果を得られたのか、その概要を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/23
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024・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
検討会では、委員御指摘のような当初の検討事項を踏まえつつ、特定適格団体へのヒアリングや消費者へのアンケート調査結果の分析等を通じて本制度の効果、認知度の検証等がなされた上で、さらに検討事項を整理、具体化しながら議論が深められ、報告書が取りまとめられたところでございます。
検討会報告書では、消費者団体訴訟制度は、言わば社会的インフラの一つとも言えるとしつつ、現状は一定の機能を果たしているものの、事案の数や救済の規模などについてなお広がりを欠き、期待される役割が十分に発揮されるための強力なてこ入れが必要なスタートアップの段階であると評価した上で、制度的な対応と特定適格団体の活動を支える環境整備についての考え方が示されたところでございます。
具体的には、まず制度的な対応について、制度の対象に一定の慰謝料や悪質商法に関与する個人を追加すること、また共通義務確認訴訟における和解の柔軟化、また対象消費者への情報提供の実効性確保のための通知方法の見直しや役割分担等の見直し等が指摘されたところでございます。
そして、特定適格団体の活動を支える環境整備については、制度の実効的な運用を支える第三者的な主体としての指定法人制度の導入、また制度や団体に関する理解の促進、また団体の事務負担の軽減等が指摘されたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/24
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025・高橋克法
○高橋克法君 共通義務確認訴訟の対象となる請求の範囲につきまして、検討会の報告書では、画一的に算定される慰謝料、これは慰謝料として相当多数の消費者に同一額ないしは共通の算定基準により算定される額が認定される場合を追加することが考えられる旨指摘されておりました。
これを受けて、今回の改正案では、画一的に算定される慰謝料を請求の範囲に加えることとしておりますが、財産的請求と併せて請求される場合又は事業者が故意の場合という要件が追加されております。このような規定とした理由を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/25
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026・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
検討会の報告書では、画一的に算定される慰謝料を本制度の対象とするに当たり、その根拠は事業者に追加的な応訴負担が必ずしも生じないことや応訴負担に配慮する必要が低いことに求められるといたしまして、現行の特例法上対象となる財産的損害と併せて請求される場合と事業者の故意により生じた場合を対象とするという考え方が示されたところでございます。
今回の法律案は、これを踏まえまして、慰謝料が本制度の対象となる要件として、慰謝料の額の算定の基礎となる主要な事実関係が消費者に共通することに加えて、現行法上対象となる損害に係る請求、これは財産的請求でございますが、これと併せて請求されるものか事業者の故意によって生じるものであるかのいずれかに該当することを要することとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/26
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027・高橋克法
○高橋克法君 今回の改正案におきましては、共通義務確認訴訟の和解の内容を、共通義務の存否に限定していた第十条を削除しまして、柔軟な和解を可能とすることになっております。
和解可能な内容の範囲を拡大をすることは、和解により解決できる場面が増えることで紛争の長期化を避け、早期解決を図ることができ、消費者、特定適格消費者団体や事業者双方にとって意義があるものというふうに私は考えておりますが、一方で、適正な和解が促進されるように、想定される和解の類型又は留意点、これについて消費者庁がガイドライン等で定める必要もあるのではないかというふうに考えておりますけれども、消費者庁の見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/27
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028・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
共通義務確認訴訟における和解の適正化確保に関しては、現行法上も不当な和解が成立するのを他の特定適格団体が阻止できるような仕組みや行政による監督の仕組みがあるところでございます。
今回の法律案が成立した暁には、引き続き、既存の仕組みによって和解の適正性確保が図られるほか、必要に応じて、特定適格団体と事業者の間の自由な和解交渉の妨げにならないように配慮しつつ、既存のガイドラインを改定する等して、留意点や一般的に考え得る和解の例等を明らかにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/28
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029・高橋克法
○高橋克法君 今の答弁ではガイドラインや留意点等について取り組んでいくということなので、是非ともよろしくお願いをしたいと思いますし、ありがとうございます。
現行法上、対象となる消費者が簡易確定手続に参加することを促す通知につきましては特定適格消費者団体が行うこととされていますが、今回の改正案では、特定適格消費者団体の求めがある場合には、相手方事業者に対して、氏名や住所の連絡先を把握している対象消費者への通知義務を負わせることとなっております。
この場合に、通知に要する費用は事業者が負担するものと思われますけれども、何らかの理由により事業者が通知の役割を果たせない場合の費用負担はどのようにすべきであるとお考えでしょうか。この今回の改正案は、先ほど説明したとおりですけれども、費用負担の問題も含めてですけれども、そこを変えるわけですから、全般的に消費者庁の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/29
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030・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
検討会報告書では、一定の場合に事業者が消費者への通知を実施することとし、事業者が通知の役割を果たし得ない場合には特定適格団体の公告費用の一定額を当該事業者に負担させることが考えられるとの方向性が示されたものと承知しております。
今回の改正法案では、事業者に通知を義務付けることといたしましたが、公告費用の負担については、その法的性質をどのように捉えるかや事業者の負担額の決め方についてなお検討を要するものと考えられたことから、改正内容には盛り込まれなかったところでございます。
このように、費用負担に関しては、衆議院の消費者問題に関する特別委員会の附帯決議において、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこととされております。本改正法案を説明、成立いただいた暁には、事業者の通知の履行状況や和解におけます特定適格団体と事業者の協議の状況等を注視しながら、必要に応じて引き続き適切な費用負担の在り方について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/30
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031・高橋克法
○高橋克法君 ということは、今の御答弁ですと、この費用負担の問題というのは、懸念はあるけれども、課題としては認識をされているけれども、まだこれといった正しい解決策は見出せていないということでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/31
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032・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/32
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033・高橋克法
○高橋克法君 課題として明確になっているわけでありますので、できるだけ早期にこの課題を解決すべく力を尽くしていただきたいというふうに要望いたします。
今回、新たに、内閣総理大臣が認定する消費者団体訴訟等支援法人制度を創設することにしております。ボランティアに依存しつつ活動しなければならないのが現状である適格消費者団体にとりまして、その活動を支える法人制度が創設されることは大変意義があることだというふうに思います。
改正案では、その認定要件として、特定適格消費者団体等の活動を支援する活動を行うことを主たる目的とし、現にその活動を相当期間にわたり継続して適正に行っていると認められること等が規定されていますけれども、消費者団体訴訟の実効的な運用を支えるためには、一定の規模があり、安定的な運営ができる法人であるということが不可欠であると思われます。
非常にハードルは高いですけれども、現時点でそのような条件に適合する団体があるのかどうか、また、あるのであれば、国内には何団体程度あるのかについても、消費者庁の把握している範囲でお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/33
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034・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
支援法人の認定要件に関する詳細は、今回の法律案の成立後、認定法人の、あっ、支援法人の認定、監督等についてのガイドラインを策定して明らかにすることを考えているため、現時点では、認定要件を満たす団体がどの程度存在するのかお答えすることは困難でございます。
特定適格団体に対して安定的な支援活動を行うことができる法人を認定することができるよう、特定適格団体の支援を行う者や支援業務を行うことを目指す者の取組の実情とのバランスも取りながら、適切にガイドラインを策定してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/34
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035・高橋克法
○高橋克法君 今の答弁をいただきましたけれど、私の、自分の先ほどの質問の中でも、適格消費者団体にとって、その活動を支える法人制度が創設されることは大変意義あるものだと思っているんですが、実際として、現実として、実態として、それらの適格消費者団体を支える法人制度ができるんだけれども、具体的なその支える法人というのは、まだ、確かに、お答えすることは無理だというか、お答えは差し控えるじゃなかったですよね、さっきね。お答えすることができないというようなことだったと思うんだけど、ということは、この支援する法人制度をつくるんだけれども、これが実際に形になるのかどうか分からないという意味なんでしょうかね。その辺のところをちょっとお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/35
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036・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げました点でございますが、まずは、この支援法人の要件に関する認定、監督等についてのガイドラインを策定いたしまして、それを明らかにしたいというふうに考えております。
そして、現時点では、その認定要件を満たす団体がどの程度存在するのかお答えすることが困難ということを申し上げまして、まだ、何もないとかそういうことではございませんが、現状ではそのようなことで、どの程度存在するかというのは分からないということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/36
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037・高橋克法
○高橋克法君 済みません、私が答弁を少し正しく理解していなかったのかもしれませんが、世の中の仕組みとして、志ある方々、この社会を何とかいい方向に持っていこうという志ある方々、頑張っていらっしゃる、これはこの消費者団体等だけではなくて、いろんな団体がいます。そういう方々は、確かに、現実を見るとボランティアに依存しつつ活動しなければならないという、この善意だけで、志だけで活動している団体もたくさんあります。ですから、それらの志ある方を支援するためのもう一つの仕組みができたら、これはすばらしいことなんですよ。世の中良くなるんですよ。そのためにも、ちょっと答弁を誤解したかもしれませんが、あえてお聞きしたということです。よろしくお願いをしたいと思います。
今回の改正案で措置された事項のほかに、検討会報告書では、将来的な課題として、特定適格消費者団体が破産手続開始の申立ての主体となること、また、いわゆるオプトアウト方式の検討などが挙げられていたと思います。こうした、言葉は悪いですが、積み残しの課題に関する検討はこれからやっていかれるんだと思うんですけれども、いつどのような形でそれを、その積み残された課題をしっかりと検討して解決していくのか、消費者庁としての考え、見通しをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/37
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038・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
特定適格団体への破産手続開始の申立て権限の付与については、検討会報告書において、一定の場面で破綻、あっ、破産申立て権を認めることには一定の必要性、有効性が認められるとされる一方、実現のためには制度的、実務的な様々な検討課題が残っていることから、将来の検討課題とすることが考えられるとされております。破産手続でございます。
また、オプトアウト方式の導入についても、本制度の見直し及び運用の各状況等も踏まえながら、将来の検討課題とすることが考えられるとされております。
今回の法律案が成立した暁には、その後の制度の運用状況を踏まえながら必要な検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/38
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039・高橋克法
○高橋克法君 法改正後の推移をきちっと見ながら、把握しながらというようなお答えでしたけれども、ということは、例えば法改正後一年とか、そういう期限を切って検討に入るということではないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/39
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040・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
通常の破産申立て権ではなく、本制度における手続の二段階目から破産手続の移行を可能とするような破産申立て権を認めるといった内容も考えられますけれども、その場合には、その予納金ですとか、立証、報酬等々、いろんな論点がございます。
また、オプトアウト方式につきましても、現行はオプトインでございますけれども、その逆のものということになりますので、ちょっとかなりいろんな論点がございますので、なかなかすぐにというわけにはいかないとは思いますが、重要な課題とは認識しておりますので、しかるべき時期に制度の運用状況を踏まえながら必要な検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/40
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041・高橋克法
○高橋克法君 必要な検討を行うというのは今やってないよということと同じなので、それだけハードルが高い課題であるとするならば、これはもう手を着けなければいけないんだというふうに私自身は考えます。ハードル高いんですから時間掛かると思うんですよ。ですから、真に望まれる消費者行政というものをやっていくために、早急なその検討の着手というものもお願いをいたしたいと思います。
私は、今回、四十五分の質問時間いただきましたが、十五問やったんですが、的確な答弁のおかげで五分残して終わってしまいました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/41
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042・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。私からも質問させていただきます。
まず冒頭、今般の消費者庁から提出された法律案の形式面からのこの質問に入らせていただきます。
今般の法律案は、消費者契約法と消費者裁判手続特例法のそれぞれの改正案を一本に束ねたものです。消費者契約法の改正は平成三十年改正時の附帯決議等に対応するため、消費者裁判手続特例法の改正は、同法施行後の運用状況を踏まえ、明らかになった課題に対応するため、それぞれ検討が行われているものと承知しています。
なぜ、このような検討経緯や改正目的の異なる両法律の改正案をなぜ一本の法律案として提出したのでしょうか、その理由を若宮大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/42
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043・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) この消費者契約法と消費者裁判手続特例法、これ共に、消費者取引の安心、安全の確保、これが国民生活の安定向上等の前提条件であるという見地に立って制定をされました法律であり、まず、両法のこの趣旨、目的が同一であろうかというふうに考えているところでございます。また、それぞれの法律の改正内容を他方に反映する必要があるため、今回のこの改正内容は相互に関連しているものというふうにも思っております。
このように、この両法の趣旨、目的が同一であり、また改正内容が相互に関係しているということから、この消費者契約法と消費者裁判手続特例法を束ねて一つの法案として提出をさせていただいたと、こういったことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/43
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044・川田龍平
○川田龍平君 この消費者契約法と消費者裁判手続特例法は、確かに消費者の利益擁護を図るものという共通点こそありますが、改正案の提出に至る背景や改正目的は全く異なるもので、一本の法律案としたことに合理的な根拠は乏しいと考えます。提出のタイミングがちょうど同じ国会になったので、国会審議を効率的に進めるために一本の法律案にしたかのようにも思えてしまいます。それぞれの法律案をしっかり審議してもらいたいという思いがあれば、それぞれ別個の改正案として提出したのではないでしょうか。
このように束ね法案を提出したことからして、提出者である消費者庁の国会に対する姿勢が疑われます。今後は、今回の法律案を前例にせず、法案提出の在り方を再考していただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/44
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045・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) この消費者契約法と消費者裁判手続特例法、先ほども御答弁申し上げましたけれども、これ趣旨の、目的、これは同一でございます。改正内容がそしてまた相互に深く関連しているといった、こういった法制的な理由があるために、今回は両法をまとめて一つの法案とさせていただいているところでもございます。
現時点で、この今後の法案の在り方、これについて申し上げることは差し控えたいと思っておりますけれども、一般論といたしまして、法案の在り方につきましては、その都度、法制的な理由があるかなどにつきまして政府部内でしっかり検討しました上で決定されるものというふうに認識いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/45
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046・川田龍平
○川田龍平君 かつての国会であれば地方創生・消費者特別委員会と、合同の委員会になったことによって消費者問題についての議論が十分されなかったという中で、この短い会期の中で通さなきゃいけないということもあってこの合わせ技にしたのではないかと思っていますが、是非、本当にしっかり議論していくということであれば、束ねることなく、やっぱり一つ一つの法案、しっかり議論したいと思います。
次に、消費者庁の姿勢について続けて伺いますが、本法律案の内容面に関しても、今回の消費者契約法の改正案は、昨年九月に取りまとめられた消費者契約に関する検討会の報告書で提案された内容の多くが実現しないものとなっています。先ほど高橋委員からも御指摘ありました。
本当に、衆議院の特別委員会に参考人として出席された野々山弁護士からは、ここまで検討会報告書の内容が抜け落ちているということは経験がない、多くの有識者による多大な労力と時間が費やされている検討会報告書がないがしろにされることは検討会の存在意義が問われる、今後の法改正についても禍根を残すことになるといった厳しい意見がありました。消費者庁として、この報告書の内容が実現できなかった理由は繰り返し述べられておりますが、このように評価されるような法律案を提出したこと自体、消費者庁の姿勢が厳しく問われてしかるべきと考えます。
これは、昨年の通常国会で成立した特商法等改正案において、契約書面等の電子化の規定が突如盛り込まれたこととも重なる部分があります。そのときは、検討会で全く議論にもなっておらず、当然報告書でも触れられていなかった契約書面等の電子化の規定が突如盛り込まれました。今回とは言わば逆方向の動きでしたが、多くの消費者団体や弁護士会などから反対の声が上がったにもかかわらず強行するという、いずれも消費者視点に立って消費者保護を第一に優先すべき消費者庁の使命から外れた対応だと言わざるを得ません。
参考人からも厳しい意見を受けるような、先ほど高橋委員からもお話ありましたように、消費者団体からも、それから日本弁護士連合会からも意見書が出ていますけれども、こうした法律案を提出に至った消費者庁の姿勢について、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/46
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047・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員からもお話ございましたが、この検討会では、理論的にも、それからまた実務的にも難しい論点、これ非常に多く取り上げられたところでございます。取消し権等につきましてはかなりのこの意見の隔たりもございまして、規定案そのものではなく、やはり今回、この考え方、方向性を示すという形で検討会の報告書が取りまとめられているところでもございます。
消費者庁といたしましては、この検討会の報告書に寄せられました御意見を含めまして関係各方面からの様々な御意見も伺いながら、政府部内におきまして必要な検討を重ね、今回の法律案を提出をさせていただいたところでございます。
したがいまして、今回の法律案、この検討会報告書を踏まえて現時点で法制化できるものを盛り込んだと考えておりまして、この同報告書の内容を法制化しなかったという今の委員の御指摘というのは当たらないのではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/47
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048・川田龍平
○川田龍平君 その今の意見もちょっとおかしいと思っているんですが、これまで述べたほかにも、近年、消費者庁の姿勢が疑問視される事案が多数見受けられます。本年三月には食品添加物の不使用表示に関するガイドライン、これも委員会でも取り上げさせていただきましたが、消費者にとって不利益になりかねないにもかかわらず作成された例も同様です。
その背景にあるのではないかと気になっているのが、消費者庁への民間企業からの職員の受入れ数、これが設置当初から比べて大幅に増加している点です。具体的な数値を申し上げますと、平成二十一年の九月の発足から十一か月の平成二十二年八月時点では七名であったところが、令和三年十月時点まででは三十五名まで増えています。
まず、消費者庁が受け入れている民間企業からの職員の方々がどのように、具体的にどのような業務に従事されているのでしょうか。その中には、今般の消費者契約法の改正案や昨年の特商法等改正案の立案に関与された方もいるのでしょうか。また、民間企業からの職員受入れ数の増加により、消費者庁の姿勢に対してどのような影響を及ぼしていると考えておられるか、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/48
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049・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者庁が民間から受け入れております職員のうち民間企業等との雇用関係が現に生じていない弁護士等については、その専門的な知識、経験を生かしまして法改正等を担当している職員もおります。
一方、民間企業等々との雇用関係が継続をしている職員につきましては、消費者教育あるいは啓発事業、あるいはまた調査分析の業務に従事をしてございまして、法改正あるいはこういった企画立案に係る意思決定に参画をしている者はいない状況でございますので、今委員が御指摘になった御懸念というのは当たらないんではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/49
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050・川田龍平
○川田龍平君 デジタル庁など半分が、ほとんど民間からということ、半分じゃない、三分の一かな。ちょっと、デジタル庁もかなりの数が民間からで、その民間からの人のほとんどが非正規というか、ほとんど非正規で雇われていて、九八%がたしか非正規だったと思います。本当にそういった今役所の形が変わってきていることも、こういった今の消費者庁の本来の在り方からちょっと変わってきているんではないかというところを感じるところでもあります。
これまで消費者庁の姿勢について伺いましたが、消費者庁には消費者視点、消費者保護を第一に優先する原点に立ち返っていただければと思います。
ここからは改正案の内容面について伺います。
まず、消費者契約法の改正案については、平成二十八年、平成三十年の消費者契約法の改正を経ても、依然として深刻な高齢者の消費者被害の発生状況や、四月からの成年年齢引下げに伴う若年成人の消費者被害増加の懸念などに対処するため、抜本的な法整備を求められる中で提出をされました。本法律案はこうした課題に対し十分に応えられているものと言えるのでしょうか。
消費者庁は、今般の法案提出に当たり、消費者の被害の状況、消費者保護に係る諸施策の実施状況や平成二十八年改正、平成三十年改正の効果などをどのように評価し、その結果を本法律案に反映したのか、大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/50
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051・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 法改正をするかどうか、また、どのような内容の法改正をするのかという検討に際しましては、この直近の改正規定を含みますこの既存の規定、あるいはこの消費者被害の現実の状況、また、国会の附帯決議等の様々な事情を踏まえることが必要であろうというふうに思っております。
例えば、この取消し権につきましてですが、平成三十年の改正によりまして、契約締結前に債務の内容を実施した場合など、困惑類型型のこの取消し権が追加されたものの、やはり債務の内容の実施とは言えない形で、同程度の不当性を有する勧誘行為によって消費者が契約を取り消すことができない被害が発生をしている現状がございます。
こうした状況を踏まえまして、この検討会におきましても、この困惑類型の脱法防止規定を設けるといった方向性が示されました。今回の法律案におきましても、この契約締結前に目的物の現状を変更した場合等の取消し権も追加をしているところでもございます。
このように、今回の法律案につきましても、この既存の規定や、あるいはこの消費者被害の現状、実際の状況、これを踏まえたものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/51
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052・川田龍平
○川田龍平君 今答弁にありましたこの消費者契約法改正案における取消し権の追加について伺います。
消費者契約に関する検討会の報告書では、取消し権に関して、その一、困惑類型の脱法防止規定、二、消費者の心理状態に着目した規定、三、消費者の判断力に着目した規定について、それぞれ具体的な要件も含め、考えられる対応として示されましたが、本法律案には盛り込まれませんでした。その理由として、若宮大臣は、消費者にとっての使いやすさ、事業者の予見可能性、要件の明確性の三要素を満たす必要があること、また、検討会報告書がある程度幅がある形でまとめられたことを、先ほども言われていましたけれども、挙げられております。
しかし、この検討会報告書では、検討過程で意見の対立があった部分は将来課題とされたり、補足的に意見があったと記載されたりしていますが、意見がまとまった部分は考えられる対応の中ではっきりとこうすべきと考えられると示されているので、幅のある形でまとめられたという先ほどの答弁も、百歩譲って報告書全体の評価ということであれば妥当だとしても、個別の考えられると示された部分にまで当てはめることは、これはミスリードではないでしょうか。取消し権についても、考えられるとして示された内容については、三要素を満たした上で法制化することが消費者庁に求められた役割、責任ではないでしょうか。大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/52
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053・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 検討会では、理論的にもやはり実務的にも非常に難しい論点が多く取り上げられた、先ほども御答弁申し上げたところでもございますが、その結果、この取消し権につきましては、やはり今委員もお話しになりましたけれども、意見の隔たりもございました。そのため、ある程度幅のある形で、この規定案の方向性として取りまとめられたものというふうに認識をいたしているところでもございます。
消費者庁といたしましては、この規定案の方向性を踏まえまして、取消し権の三要素、今委員からもお話をいただきましたけれども、この三要素を勘案した上で、現時点で法制化できるものを今回の法律案に盛り込み、この政府の責任において法案を国会に提出をさせていただいたと、こういったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/53
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054・川田龍平
○川田龍平君 次に、この困惑類型の脱法防止規定について詳しく伺います。
若宮大臣は、困惑類型の脱法防止規定を盛り込まなかった理由を問われ、消費者にとっての使いやすさ、事業者の予見可能性、要件の明確性という要素が全て満たされることにより十全に機能することになることから、検討の結果、事業者の勧誘行為の要件を明確にした取消し権の規定を追加、拡大することとしたと答弁しています。
しかし、そもそもこの検討会報告書では、第四条第三項各号は事業者の行為態様を個別具体的かつ詳細に定めており、文言の拡張解釈等の柔軟な解釈により救済を図ることにも限界がある、その結果、実質的にはこの法第四条第三項各号と同程度の不当性を有する消費者を困惑させる行為であっても形式的には各号の要件に該当しないため、消費者は契約を取り消すことができないという事態が生じていると、個別具体的かつ詳細な要件を定める現行法の限界、課題を指摘し、だからこそ受皿となる規定整備を求めていました。それにもかかわらず、本改正案は、更に個別具体的な詳細要件を定める取消し権を追加しています。これでは、やっていることが検討会報告書の問題意識や要請と真逆ではありませんか。
衆議院の特別委員会でも、野々山参考人からは、個別の問題を限定したものを増やしていくことによって課題を増幅させる結果になっているとの指摘もありました。
消費者庁として、自ら提出した法律案により検討会報告書が指摘した課題を増幅させているという認識はあるのでしょうか。若宮大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/54
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055・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 検討会の報告書では、この困惑類型の脱法防止規定につきまして、この対象となる行為をある程度具体化して規定をしていくという方向性が示されたところでもございます。
これを踏まえまして、今回の法律案では、事業者の勧誘行為の要件を明確にした形で、勧誘をすることを告げずに退去困難な場所へ同行した場合及び契約の前に目的物の現状を変更してしまい、原状の回復を著しく困難にした場合の取消し権を追加、拡充をしたところでもございます。
したがいまして、今回の法律案、この検討会報告書で示された課題に対応しているものというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/55
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056・川田龍平
○川田龍平君 今答弁いただきましたこの本法律案に新たに追加するこの退去困難な場所へ同行し勧誘、このところ、それから威迫する言動を交え相談の連絡を妨害、そしてこの契約前に目的物の現状変更の三つの取消し権について、この本法律案で規定された要件に当てはまるような被害事例、相談、消費者相談が増加しているなど、具体的なこれ立法事実があるのでしょうか。被害実態があるからこそ、それに対処する必要があることからそれらの取消し権を設けたのか、それとも、被害実態はないものの、そういう被害も起こり得るから取消し権を設けたのか、いずれでしょうか。
消費者庁は衆議院の特別委員会で各取消し権に該当する相談実態について問われても、消費生活相談の相談事例も参考にしつつ規定した旨答弁されて、具体的な実態には触れられませんでした。改めて、想定されるケースではなく、各取消しの要件に当てはまる事例を紹介いただき、立法事実があることを説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/56
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057・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
まず、勧誘することを告げずに任意に退去することが困難な場所へ同行して勧誘した場合の取消し権についてでございますが、勧誘することを言わずに、帰宅するための交通手段がない人里離れた場所に消費者を同行して勧誘した事例が存在するところでございます。
次に、威迫する言動を交え相談の連絡を妨害した場合の取消し権についてでございますが、消費者が契約締結について相談するため母親に電話をしようとしたところ、事業者が当該消費者に対して、成人なんだから親に相談せずに自分で契約するかどうか決めなさいと強く申し向けて電話をさせなかった事例が存在するところでございます。
また、契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にした場合の取消し権についてでございますが、訪問購入において消費者から指輪やネックレスなどの貴金属を見せられた際に、事業者が切断しないと十分な査定ができないと言って全ての貴金属を切断した事例が存在するところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/57
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058・川田龍平
○川田龍平君 確かに、この本法律案で規定された要件を完全に満たすケースが実際に起きた場合には、本規定があることで救われることになりますので、ないよりはあった方がよいとも言えますが、要件を限定し過ぎた取消し権を設けても、使われることのない無用の規定になりかねません。特に、新たに追加するこの退去困難な場所へ同行し勧誘と、威迫する言動を交え相談の連絡を妨害については、そこまで要件を限定する必要があるのかと思う部分があります。
具体的には、この第三号の場合、消費者に当該消費者契約の締結について勧誘をすることを告げずにの要件があるため、事業者が勧誘することを仮に分かりにくい言い方であったとしても消費者に告げていた場合、要件を満たさないことになるのではないでしょうか。また、消費者をその場所に同行しの要件があるために、当該事業者が同行せずに例えばあらかじめ集合場所として指定されるなど、消費者が指示又は誘導される形で自らその場所に行ったような場合、要件を満たさないことになるのではないでしょうか。
このように、個別具体的過ぎる要件は事業者にわざわざ抜け道を用意しているようなものです。このいずれかの条件がなくても、任意に退去することが困難な場所で契約を勧誘されることだけで必要十分ではないでしょうか。
これら二つの要件が必要な理由、要件を外す必要性について見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/58
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059・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
第四条第三項第三号の要件の具体化についてのお尋ねでございますが、取消し権は、強い効果と事業者の行為規範としての機能を持つことから、消費者にとっての使いやすさ、事業者の予見可能性、要件の明確性という全ての要素を満たす必要がございます。そのため、ある程度具体的に要件を定めておりますが、過度な具体化はしていないと考えております。
また、退去困難な場所へ同行し勧誘しただけで取消し権の要件として十分ではないかとのお尋ねでございますが、例えば消費者に山奥の別荘地を紹介したいと告げて消費者をその別荘に同行し別荘地の購入を促した場合等は不当な勧誘とは言えないものと考えられます。したがいまして、当該消費者契約の締結について、勧誘をすることを告げずにという要件は必要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/59
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060・川田龍平
○川田龍平君 また、次に、この第四号の相談妨害の場合、威迫する言動を交えて連絡を妨げることが要件となっています。しかし、この威迫する言動まではなかったとしても、連絡したい意思を示したにもかかわらず連絡を妨げられるようなこと自体、勧誘の在り方として不適切と言えないでしょうか。
特に、若宮大臣は衆議院の特別委員会で、本規定については主として若者に適用されるケースも多いと考えている旨答弁されています。そうであれば、なおさら、まさに社会生活上の経験が乏しいことに付け込んで、威迫する言動を交えずとも、連絡したい意思を示したのに相談を妨害するような行為は許され難いものです。
この威迫する言動の要件が必要な理由、また要件を外す必要性について見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/60
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061・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
今回の法律案の第四条第三項第四号の連絡することを妨げることの要件には、連絡の支障となる行為が広く含まれると考えられます。そのため、例えば、事業者が消費者に対し、契約の目的物が残り僅かとなっているために相談に時間を掛けるより早く決めた方がよいのではないかというようなアドバイスをした場合も、連絡することを妨げることという要件を満たす可能性がございます。
しかし、このような行為が取消しの対象となるのは不合理と考えるところであり、取り消すことができる不当な勧誘行為を適切な範囲に限定するという観点から、威迫する言動を交えてという要件は必要であると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/61
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062・川田龍平
○川田龍平君 次に、消費者の判断力に着目した取消し権についても、検討会報告書で考えられる対応として示された内容は盛り込まれず、その代わりに、事業者の努力義務として、消費者を勧誘するに際して、消費者の心身の状態等を総合的に考慮して情報を提供する規定の追加にとどまりました。
消費者庁は衆議院の特別委員会においても、この努力義務規定の追加により、事業者が消費者の判断力の著しい低下を知ることができたのに十分な説明をしなかったため消費者が誤認して契約を締結した場合には、事業者の努力義務違反も考慮した上で契約の取消しや無効が認められることがあり得ると答弁しています。
しかし、この努力義務規定は、あくまでも知ることができたものを考慮するよう求めるのみですし、事業者は調査をする必要もないとされています。知ることができなかったと言われる落ちではないでしょうか。
この努力義務を追加したことで、判断力の低下に付け込む悪質な事業者から高齢者等を守ることができるとは到底思えないのですが、この努力義務規定を追加した意義、消費者被害防止の実効性について見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/62
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063・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者の判断力の低下に着目した規定につきましては、この事業者の行為によって消費者の判断力が低下しているわけではなくて、従来の取消し権を超える側面があること、また、意見募集などにおきまして慎重な検討を求める意見があったことなどから、取消し権としては規定をせずに、勧誘の際におけます事業者の努力義務として、消費者の年齢及び心身の状態をも考慮して情報提供することとしたところでございます。
この消費者契約法、これ、消費者と契約を締結する事業者に広く適用されるところでございます。このような努力義務を設けることで、多くの善良な事業者、まあこれは普通の事業者でございますけれども、判断力が低下している消費者等に対しまして契約内容を丁寧に説明するなどの対応を取ることが期待できるものというふうに考えてございます。
また、この努力義務の違反、これは直ちに損害賠償請求等の私法的な効力を生じさせるものではございませんが、事業者が消費者の判断力の著しい低下を知ることができたのに十分な説明をしないで消費者が誤認して契約を締結した場合、努力義務違反も考慮した上で契約の取消しあるいは無効が認められる場合もあるというふうにも考えているところでもございます。この努力義務の規定というのは消費者被害の防止に資するものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/63
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064・川田龍平
○川田龍平君 この消費者の判断力に着目した取消し権を本法律案に盛り込むことができなかった理由として、若宮大臣は、事業者の行為によって消費者の判断力が低下しているわけではなく、従来の取消し権を超える側面があること、意見募集などにおいて慎重な検討を求める意見があったことの二点を答弁されています。
このうち二点目は、消費者視点に立つべき消費者庁の姿勢としていかがかと思いますが、ここでは改めて問いません。
一点目の、従来の取消し権を超えるという点については、衆議院の特別委員会では、第四条第四項の過量契約取消し権として既に現行法にも規定されているのではないかとの指摘に対し、宮路内閣府大臣政務官から、過量契約取消し権については、事業者が過量であることを認識しながら勧誘したという事業者の行為要件がある旨答弁しています。
そうであれば、判断力に着目した取消し権の場合も、判断力が低下していることを認識していながら勧誘したという事業者の行為要件を設けさえすれば過量契約取消し権と変わらないことになり、従来の取消し権を超えるとは言えないのではないでしょうか。これ、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/64
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065・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者契約法の取消し権におきましては、この事業者の行為が主たる要件となってございます。委員御指摘の過量契約取消し権におきましても、事業者が過量であることを認識しながら勧誘をしたという、この事業者の行為が主たる要件というふうになっているんではないかというふうに思っております。
この今回の法案、これは、検討会報告書におけます判断力の著しく低下した消費者が自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合におけます取消し権を設けるという方向性を踏まえ検討したものでございます。
この検討の結果、判断力の低下は事業者の行為によるものではないことに加えまして、この生活に著しい支障を及ぼす内容の契約となるかというのは、消費者の生活状況、これが一様ではないという観点から、取消し権として規定することは難しいのではないかなと、こういった結論に至ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/65
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066・川田龍平
○川田龍平君 次に、契約の解除に伴う損害賠償又は違約金を定める条項、いわゆる違約金条項について伺います。
消費者契約法の平成三十年改正時の附帯決議では、平均的な損害の額を超える部分を無効とする第九条第一号について、消費者による平均的な損害の額の立証が困難となっているとされ、消費者の立証責任の負担軽減に向け早急に検討を行い、必要な措置を講じることを求めていました。これを受けて、本法律案では、消費者に対して解約料の算定根拠の概要を説明する努力義務、適格消費者団体に対して解約料の算定根拠を説明する努力義務が規定されましたが、これらはあくまでも努力義務にとどまります。
一方で、検討会報告書においては、いわゆる積極否認の特則の規定を設けることが考えられるとされていましたが、本法律案には盛り込まれませんでした。本法律案で、平均的な損害の額についての消費者の立証が困難となっている状況がこれ抜本的に改善されるんでしょうか、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/66
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067・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今回の改正法案では、消費者に対して解約料の算定根拠の概要を説明する努力義務を導入しております。解約料の算定根拠の概要とは、解約料に含まれます費用項目や算定式などを意味しております。解約料の算定根拠の概要が説明されれば、消費者は解約料が設定されている理由等を知ることができ、解約料の支払について納得できる事例が増えてトラブルに発展しにくくなる上、これを手掛かりにして解約料の無効主張を立証しやすくなるため、立証責任の負担も軽減されることとなると考えられます。
その上で、消費者に対する説明の努力義務や適格団体等に対する算定根拠の説明の努力義務を導入した後の運用実態を注視し、平均的な損害の規定の在り方や立証責任の負担について更なる課題が明らかになれば、将来改めて必要な対応を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/67
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068・川田龍平
○川田龍平君 次に、無効とする消費者契約の条項について伺います。
本法律案により、検討会報告書を踏まえ、賠償請求を困難にする不明確な一部免責条項を無効とする規定が追加されましたが、一方で、検討会報告書において考えられる対応として示された所有権等を放棄するものとみなす条項及び消費者の解除権の行使を制限する条項を消費者契約法第十条の第一要件に例示することについては盛り込まれていません。その理由について見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/68
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069・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会報告書では、消費者の利益を一方的に害する条項を無効と規定する第十条に既に例示されている条項のほか、委員御指摘の所有権を放棄するものとみなす条項や解除権の行使を制限する条項の例示を追加することが提言されております。
ある条項を第十条の例示として追加するためには、不当条項の例示である以上、一定の不当性が推認できる条項であることが法制的に求められます。しかし、コインロッカーの利用規約でも見られるように、利用期限後に所有権を放棄するものとみなすことに相応の合理性がある場合も考えられ、所有権を放棄させる条項に一律に一定の不当性が推認できるとは言い難いと考えております。
また、検討会報告書では、消費者が解除権を容易に行使できないのは事業者側の体制や運用の問題であって、契約条項の問題ではないとの指摘もされており、解除権の行使方法の制限が契約条項によりなされている例は少ないと考えられます。
以上を踏まえまして、今回の法律案では、御指摘の条項を第十条において例示しないことといたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/69
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070・川田龍平
○川田龍平君 今回の消費者契約法の改正案においては、事業者の努力義務規定が複数追加されています。こうした努力義務規定を実効性を高めるためには、広く消費者及び事業者に対して各規定の趣旨や内容の周知を徹底する必要があると考えますが、本法律案成立後、どのように周知していくのかについて、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/70
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071・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今回の法律案で設けますこの努力義務の規定、これ、いずれも消費者被害を防止する上で大変重要な改正事項だというふうに認識いたしております。事業者にはこれらの努力義務をしっかりと御理解をいただき、そして遵守していただく必要があるものというふうに認識しております。
したがいまして、この今回の法律案成立した際には、事業者の努力義務の規定につきまして、その他の改正事項と併せまして、事業者に対する周知徹底をしっかりと行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/71
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072・川田龍平
○川田龍平君 この新たに追加される事業者の努力義務のうち、解除権の行使に関して必要な情報を提供する努力義務は、あくまで消費者の求めに応じて情報提供を行うものとされています。
本法律案に関する報道の中に、本規定によりあらかじめ解除権の行使に関する情報を分かりやすく表示することなどが想定されると紹介されるものがありましたが、条文上、そこまで求める規定にはなっていないように思われます。
検討会報告書では、単に消費者の解除権の行使のために必要な情報の提供にとどまらず、解除権を円滑に行えるよう様々な手法による配慮を含めて努力義務の内容とすることが考えられると記載されていましたが、そのような規定にしなかった理由は何でしょうか。
また、優良な事業者であれば、本規定を踏まえ、自主的に解除権の行使の情報を分かりやすく表示するなどの対応がなされることが期待できますが、一方で、解除権の行使を意図的に妨げているような悪質な事業者の場合、本規定が設けられても努力義務の遵守は期待し難いのではないでしょうか。
今後も解除権の行使をめぐる状況が改善されない場合、法的義務や違反に対する制裁を設けるなど、より強力な措置を設けることも検討していくべきと考えますが、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/72
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073・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
解除権に行使に関して、委員御指摘の消費者による解除権の行使が円滑に行われるための配慮を努力義務に含めることについて、検討会報告書に対する意見募集では、既に事業者は消費者の解除権の行使について一定の配慮をしており、具体的にどのような配慮が必要か明確にしていただきたい、情報提供に加え配慮まで求められると過度の負担であるとの御意見がございました。
また、配慮義務の内容は広範なものとなり得るため、規模の小さな事業者にとっては過度の負担となるおそれがあると考えられる一方で、規模の小さな事業者でも果たすことができる解除権の行使に関して必要な情報提供をする努力義務が適切に尽くされれば、消費者の解除権の行使の制約が生じる事態はその多くが避けられると考えられます。
以上を踏まえ、今回の法律案では、配慮する義務までは努力義務の対象には盛り込まないことといたしました。改正法案を成立いただいた暁には、御指摘のような点も踏まえ、施行後の運用状況を注視してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/73
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074・川田龍平
○川田龍平君 次に、この消費者裁判手続特例法の改正案について伺います。
消費者団体訴訟制度については、平成二十八年十月の法施行後五年を経ても裁判に至ったのは四件のみで、裁判外で解決できた事例も一定数あると伺っていますが、やはり十分に活用されているとは言い難い状況と考えます。
法制定時の附則、検討規定では、施行後三年を経過した場合の検討を求めていましたが、消費者裁判手続特例法等に関する検討会が設置されたのは令和三年三月で、施行後四年を経過してから検討が始められました。三年が経過した時点では判決が確定しているものがないため見送られたとされていますが、消費者団体訴訟制度が十分に活用されているとは言い難い状況からすれば、消費者庁として速やかにその要因を検証し、対処すべきだったとも考えられます。
また、今回提出された法律案では、附則第六条において施行後五年を経過した場合における検討を求めていますが、報告書で提言されながら改正は見送られた公告に要する費用の一定額を事業者が負担することや将来的な検討課題とされた事項などについて、五年を待つことなく、速やかに検討を開始していただきたいと考えますが、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/74
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075・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) この検討会の報告書では、一定の場合に事業者が消費者への通知を実施することとし、そして、事業者が通知の役割を果たし得ない場合、こういった場合には、特定適格団体の公告費用の一定額を当該事業者に負担させることが考えられるとの方向性が示されたところでございます。
今回の法律案では、このうち事業者の通知義務を改正事項に盛り込んだところでございまして、公告費用の負担に関しましては、衆議院の消費者問題に関する特別委員会の附帯決議におきまして、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うべきとの御指摘をいただいているところでもございます。
この本改正法案、これ成立をさせていただいたときには、御指摘を踏まえまして、事業者の通知の履行状況、あるいは和解におけます特定適格団体と事業者の協議の状況等を注視しながら必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
また、検討会の報告書では、将来的な課題といたしまして、こうした将来的な課題とされた事項につきまして、今後の本制度の運用状況等を踏まえて、さらにはこの消費者被害の回復に係る諸制度との関係も含めまして更なる検討が進められることを期待するとされており、この衆議院の附帯決議におきましても、改正法の運用を踏まえた必要な検討を行うべきとの御指摘をいただいているところでもございます。
したがいまして、これらにつきましても、改正後の運用をしっかりと踏まえながら必要な検討を行ってまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/75
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076・川田龍平
○川田龍平君 次に、本法律案により、これまで共通義務確認訴訟の対象外とされていた慰謝料が対象に追加されたことは評価をできます。しかし、財産的請求と併せて請求されるものであって、財産的請求と共通する事実上の原因に基づくもの又は事業者の故意によって生じたもののいずれかの該当する場合のみが対象とされたので、個人情報漏えい事案については、故意にいわゆる名簿屋に個人情報を売却したような悪質なケースぐらいしか救済対象になりません。
この点、検討会報告書において、故意に限ることで、事業者は故意でない限り民事上の責任を問われることはないといった誤ったメッセージを与えることの懸念や故意の立証の困難の懸念から、少なくとも重大な過失による個人情報漏えい事案に係る慰謝料も対象とすべきであるとの意見もあったことが記載されていますが、重過失の場合を含めず、故意のみに限定した理由を伺います。
また、報告書では、今後の個人情報保護法制の動向や個人情報漏えい事案における事業者側の自主的な取組、対応の状況も踏まえて対象範囲を検討する必要があるとの意見もあったとされますが、対象範囲を拡大する必要性について見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/76
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077・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会の報告書では、慰謝料を本制度の対象とするに当たり、事業者に追加的な応訴負担が必ずしも生じないことや応訴負担に配慮する必要が低いことを根拠に、現行の特例法上対象となる財産的被害と併せて請求される場合と事業者の故意により生じた場合を対象とする考え方が示されております。
今回の法律案は、これを踏まえ、慰謝料が本制度の対象となる要件として、慰謝料の額の算定の基礎となる主要な事実関係が消費者に共通する場合であって、現行法上対象となる損害に係る請求、いわゆる財産的請求と併せて請求されるものか事業者の故意によって生じたものであるかのいずれかに該当することを要することとしております。
更なる制度の対象の拡大については、今回の法律案が成立した暁には、その後の制度の運用状況等も踏まえながら検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/77
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078・川田龍平
○川田龍平君 残余の質問はまた次回に行います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/78
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079・舟山康江
○委員長(舟山康江君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、宮崎雅夫さんが委員を辞任され、その補欠として本田顕子さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/79
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080・平木大作
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。当委員会では初めて質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。
早速質問に入りたいんですが、この本年四月は、百四十六年ぶりの成年の定義変更という歴史的な節目となったわけでございます。このことを決めた民法改正案の可決がされましたのは平成三十年、二〇一八年でありましたから、大体そこから今回の施行に至るまで四年ほどの間があって、この間に、関連する法律、少年法を始め様々な法律の改正も行われてまいりました。
改めて、消費者契約法という観点からこの成人年齢の引下げというところを見たときに、前回のこれ改正が二〇一八年、いわゆる民法改正と同じ年になりますので、ある意味、この二回の法改正の中で、当然この成人年齢の引下げを視野に入れながら消費者被害の低年齢化をいかに防ぐかというところに消費者庁としても取り組んでこられたんだろうというふうに理解をしております。
まず、ちょっと若宮大臣にお伺いしたいんですが、この二回の法改正、当然これが一つの柱になると思いますが、その他政府を挙げて今このまさに若い世代の皆さんを消費者被害からしっかりと守るという取組進められているというふうに思っております。この点についての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/80
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081・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者契約法におきましては、この成年年齢の引下げを見据えまして、今委員からもお話がございましたけれども、平成三十年の改正時に、主として若者に発生している就職セミナー商法あるいはデート商法の被害事例を念頭に置きました取消し権を創設する等の対応策を講じたところでございます。
これに加えまして、今回の法案では、これ非常に若者に適用されるケースが多いというふうに考えているところでございますけれども、威迫して相談を妨害した場合の取消し権の追加、あるいは事業者の情報提供に関する努力義務といたしまして、年齢を考慮要素に追加などの措置を盛り込んでいるところでございます。これ、まさにこういった形はこの成年年齢引下げに伴います消費者被害の拡大防止に資するというふうに考えているところでもございます。
また、法改正以外の部分でも、この成年年齢引下げを見据えました高等学校等におけます消費者教育の推進、またSNS、それからまた政府広報を活用いたしました情報発信の強化、さらには若年者に寄り添った相談体制、これも充実してまいっていこうと、それから詐欺的な定期購入商法への対策の強化、こういった施策を講じてきておりまして、本年の三月の末でございますが、四省庁の連携によります成年年齢引下げ後の若年者への消費者教育への推進方針というのも作成しているところでもございます。
法案が成立した際には、新たなこの改正内容につきましてもしっかりと周知をさせていただき、若い方々が消費者被害にならないように、防止策に向けて関係省庁とも連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/81
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082・平木大作
○平木大作君 悪質な事業者というのが、やはり社会経験ですとか様々なそういったところに乏しい若者を狙っていろいろ仕掛けをしてくるという中にあって、これまでも消費者被害というのは二十歳を境に急増するということがもうデータから分かっているわけですね。消費生活センターに寄せられる相談件数も、二十代前半になると途端に十八歳、十九歳の一・六倍に増えるということでありますから、ある意味、今回のこの成人年齢というものが変わったことで今度はその年齢の端境の部分が十八歳に引き下がりましたということでは、本当に何をやっているんだということになってしまいますので、是非とも、今大臣御答弁いただいたとおり、しっかりとお取組をいただきたいというふうに思っております。
そして、今御答弁の中でも様々御紹介をいただきましたが、消費者教育、四省庁も連携をしながら力を入れて取り組んでいくということで御紹介いただきました。
やはり消費者教育、中核を担うやはりこれ教育現場でしっかりやっていただくということかというふうにも思っております。この点については、本年一月七日に行われました成年年齢引下げに関する関係閣僚会合、この場でもこの取組の冒頭に挙げられているのがこの教育ということでありました。
今回この法改正に当たってやはり問題とされているのも、考えさせない、相談させない、あるいは逃げさせない、こういった契約の在り方に切り込むということでありますから、そういうことを考えたときに、単純にいわゆるマニュアルに基づいて座学で教えられていることというのが果たしてどれほど役に立つのかということも思ってしまうわけであります。
この消費者教育、具体的にどう取り組まれるのかについて、文部科学省からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/82
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083・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) お答えいたします。
子供たちが自立した消費者として適切な意思決定に基づき責任ある消費行動を取ることができるよう、その発達の段階に応じて消費者教育を行うこと、これはとても重要なことだと考えてございます。
文科省では、新学習指導要領におきまして、小学校段階から消費者教育に関する内容を充実しているところでございます。
特に高等学校におきましては、家庭科に新たに契約の重要性や消費者保護の仕組みに関する内容を盛り込むとともに、公民科に新しい必修科目、公共を設けまして、多様な契約や消費者の権利と責任に関する学習を行うこととしております。なお、これらの家庭科の内容や公共につきましては、高校生が十八歳の成人になる前までに必ず学ぶということになってございます。
具体的な学習の実例でございますが、今御指摘いただきました座学以外にどういったことをやっているかというのは非常に大事なことでございまして、例えば、中学校の技術・家庭の家庭の分野の授業で、インターネットにより自分の自転車を購入した事例を基にクーリングオフ制度の問題点についてグループで話し合った、そういった取組などが報告されております。また、高等学校の家庭科の授業で、実際に起きたマルチ商法の事件の事例を基にロールプレーイング行いまして、会社のその手口の巧妙さや消費者の被害がいつでも自分に降りかかってくるというようなことに気付いてもらう、で、実際に消費者センターの方に来てもらいまして模擬相談というものを実施しておりまして、そういった座学だけではなくて実際の体験型の授業も取り入れてございます。
文科省としては、引き続き消費者教育の充実に努めてまいりたいというふうに、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/83
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084・平木大作
○平木大作君 ありがとうございます。
この消費生活センターの方に来ていただいた模擬相談とか、私とてもいいと思うんですね。なかなか正常な、真っ当に、後から考えてみるとおかしかったなと振り返れば分かるかもしれませんけれども、やはりいろいろ、威迫だったり逃げられないようにしたり、様々な状況の中で判断が難しい。こういうときにまず相談する先として、例えばこういう消費生活センターに電話してみるとか、あるいはどういうふうに相談してみるとかということを一回でもやってみたことがあるかどうかというのは、とてもやはり大きいんだろうというふうに思っています。
実際に、今御紹介いただいたように窓口に電話してみるとか、そういったことも含めて取り組まれている学校もあるというふうに聞きました。これ、一斉にやってしまうと窓口がパンクしてしまうということもあるかと思いますから、これいろんな調整が必要なんだとは思うんですが、是非ともこういった実践的な教育、引き続きお取り組みいただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。
もう一つ大事な取組として、業界団体との連携というものもあるんだろうと思っております。
日本貸金業協会が、十八歳、十九歳に貸付けを行う際に収入の状況を示す書類の確認と、これは従来ほかの年齢層にはやっていないことなわけですけれども、こういったことを追加したと。業界団体によるいわゆる自主ガイドラインとして追加をして今取組をされているというふうにお伺いをしました。これ、他の業界にも是非ともこういったいわゆる自主的な取組広げていただきたいなと思いますし、政府からも働きかけをしていただきたいというふうに思っています。
先ほど少し言及させていただいた関係閣僚会合の中でも、全府省庁から各所管業界に対して、若年者への適切な配慮を要請し、若年者との契約に当たっての留意事項を通知したというふうにあるんですが、これちょっと具体的なものが見えないところもありまして、是非ともこれ今どう取り組んでいるのか確認をさせていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/84
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085・片桐一幸
○政府参考人(片桐一幸君) お答えいたします。
成年年齢の引下げに伴い、消費者被害の発生等を防止し、若者が安心して経済取引を行うことができる環境の整備に向けて関係府省庁が一丸となって取組を進めているところ、事業者側との連携も重要な施策と考えています。
消費者庁関連の事業者団体による自主規制の取組としては、例えば日本訪問販売協会、この日本訪問販売協会において自主行動基準の改定を行っており、まず、消費者の判断力不足を認識しながら、それに乗じて訪問販売の勧誘活動を行ってはならない場合の例として、成年に達したばかりの者で判断力が不足している場合を追加しています。また、連鎖販売取引の相手方として不適当と考えられる者への勧誘の例として、成年に達したばかりの者を追加してございます。
事業者団体による周知啓発の取組として、日本訪問販売協会において若者向けの啓発資料を作成し、消費者に無料で配布しています。また、日本通信販売協会、この日本通信販売協会におきまして、教職員及び消費生活相談員向けの通信販売について学ぶオンライン講座を開催するなどの取組を行っているところでございます。
消費者庁としては、引き続き、関係団体と連携しつつ、若者の消費者被害の発生防止に向けて取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/85
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086・平木大作
○平木大作君 今、教育、そして業界団体との連携という角度で質問させていただいたんですけれども、やはり何よりも、この今、世の中がデジタル化等によって、本当にこの社会、経済、様々動いている時期であるということもあって、契約自体が多様で複雑になってきている。また加えて、この契約がある意味手のひらの上に乗るスマホの中で全て完結できるような状況になっていますから、当然第三者から見えにくいというような特質があるんだろうと思っています。
ある意味、このスマホの中で完結してデジタルでいろいろできちゃうということは、一生懸命この若者のために消費者被害に遭わないようにと動いている上の世代よりも、よっぽどその当事者である若者の方が詳しかったりあるいは使い慣れていたりするというところもまた難しさの一つの原因なんだろうというふうに思っております。
こうした中で、やはり事前事後の消費者保護についてしっかりとこの状況に即応して対応できるような体制の充実というものがやはり求められているんだろうと思っております。法整備、それから省庁横断での様々な取組、業界団体との連携、こういったことと相まって、この消費者保護に取り組む例えばNPOなどの民間団体の果たす役割、これもやはり大きくなってくるんだろう、ますます大きくなってくるんだろうというふうに思っています。
改めて若宮大臣に、この適格消費者団体、そしてまた特定適格消費者団体ですね、こういったところに対する期待される役割ということと、今後こういった民間の団体の皆さんに、より力を発揮していただくために政府として一体どのようなお取組をされるのか、この件についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/86
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087・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員がお話しいただきましたとおり、民間団体のこの役割、これは非常に重要なものになってくるというふうに思っております。
検討会報告書におきましても、この適格団体等への役割への期待、これ指摘をされていたというふうに承知をいたしております。また、さらには、この消費者団体訴訟制度、これ言わば社会的なインフラの一つというふうにも考えられるかと思っておりまして、適格団体等にはその担い手としての活躍が大いに期待されているところでもあります。
政府といたしましては、これまで団体への支援策として、制度の周知広報、それからまた制度改正によります寄附の促進、また国民生活センターによります仮差押えの担保の立替えの代行、それからPIO―NET情報の提供などに取り組んできたところでもございます。
これに加えまして、今回の改正法案におきましては、被害を救済しやすく、そして消費者が利用しやすい、こういった制度に進化させるとともに、この制度を担う団体が活動しやすいこの環境の整備、これは行っていかなければいけないということで措置を盛り込んだところでもございます。
また、成立させていただきましたときには、この円滑な施行、更なるこの周知広報、しっかりと取り組んで万全を期してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/87
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088・平木大作
○平木大作君 今大臣から御答弁いただいたとおり、この消費者団体訴訟制度、要は認定を受けた消費者団体が消費者に代わって事業者に対して訴訟などをするということなわけでありますが、差止め請求と被害回復と、車の両輪として今取り組まれているというふうに思っております。
まず、ちょっとこの差止め請求の方から具体的にちょっと各論に入っていきたいんですが、消費者契約法の第三十九条は、適格消費者団体から報告を受けた差止め請求に係る判決について速やかに公表するということを定めております。
ただ、ちょっと最近気になる記事を見付けまして、これ昨年九月末に下された判決の公表なんですけれども、実際に行われたのが本年三月上旬ということで、半年ぐらいかかってしまっているということに対して批判の声が上がっておりました。まあ制度としては、これ報告を受けたときにはインターネットの利用などその他適切な方法により速やかに公表するとなっていますから、ネットの速度感からいうと、数週間とか空けずにすぐにそういったものを公表するということを想定しているんじゃないかと思うんですけど、実際にこの半年ぐらいかかってしまっている。
ここでまず確認をさせていただきたいんですが、公表の時間的な目安というのは具体的に消費者庁として持っているのかどうか。あわせて、これ消費者保護の観点からいえば、やはり公表までの期間の短縮にしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。この点について御答弁をいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/88
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089・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、消費者庁は適格団体から差止め請求訴訟の判決などについて報告を受けたときは速やかに公表しなければならないとされているところでございます。この公表について時間的な目安があるものではございませんが、公表によりまして差止め請求権の行使の結果を広く一般に還元するとともに、個別事案の解決促進にも資するという契約法第三十九条第一項の趣旨にのっとりまして、速やかな公表に向けてしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/89
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090・平木大作
○平木大作君 これはかなり改善の余地があるところかというふうにも思っておりますので、よろしくお願いいたします。
もう一方の被害回復の方にもちょっとお伺いしていきたいと思うんですが、これもう先ほど来同僚委員の方から繰り返し問われているところでありますが、消費者裁判手続特例法によって新設をされたこの被害回復の制度、二〇一六年の十月から導入されて、結局利用が五年間で四件にとどまってしまったということであります。
大臣からも先ほど御答弁いただいたとおり、この検討会においても、これ、この消費者団体訴訟制度というのは社会的なインフラの一つであって、かつ現状はこの期待される役割が十分に発揮されるための強力なてこ入れが必要な段階だ、こういう指摘も今されているところでありまして、このてこ入れにおいて、私、何よりもまずこの政府として、そもそもこういう制度がありますよということをしっかり認識をしていただく。
同時に、特定適格消費者団体というのも、基本的には具体的な団体名聞いてもやはりちょっとイメージ付かない方が多いんだろうというふうに思っています。団体からある日突然連絡を受けて、こういう者ですと、あなたの権利が侵害されていますという、被害が生じていますと言われても、詐欺なんじゃないかと思ってしまうような、そういった事例も実際にあるわけですね。
なので、この制度、そして団体の認知向上にしっかりまずは取り組んでいただきたいと思いますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/90
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091・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘の認知度の向上は大変重要な課題と認識しており、団体訴訟制度の認知度の向上のため、消費者庁ではパンフレットの作成、配布を行っているほか、コロナ禍以前には消費者団体訴訟制度シンポジウムの開催や東京メトロにおけます列車内ビジョンへのCM動画配信等も活用して一般消費者への広報を積極的に行ってきたところでございます。
消費者庁といたしましても、現在、各団体のウエブサイトにそれぞれ掲載されている特定適格団体やその取組に関する情報を一元的かつ容易に得られるポータルサイトの構築を検討しておりまして、改正法案の成立の暁には、改正法の内容も含めまして、一般消費者に分かりやすく制度の内容を周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/91
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092・平木大作
○平木大作君 この被害回復制度の活用をしっかり促していくためにももう一つ大事なポイントがあると思っていまして、被害の発生から迅速に対象消費者にやはり情報提供を行うということが重要だと思っております。
今回、この消費者裁判手続特例法の第二十八条で事業者に消費者への個別通知を義務付けているわけですが、例えば、これ共通義務確認訴訟の第一号事案、まあいわゆる医科大学において入試得点の調整が行われたという件、これ多分訴訟とは別にして、この得点調整の件は広くニュース等で世間に知られた話だったわけでありますが、このときにも対象消費者はおおよそ五千二百名いたと。ただし、この事業者が名簿の破棄などを行っていたということもあるようで、結局通知ができた方はごく一部、実際に債権届出が行われたのが五百六十三人にとどまってしまったということも分かっているわけであります。
改めて、今回この個別通知というものを義務付けることで実効性がどの程度見込まれるのか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/92
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093・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
本制度による被害回復を実現する上では、消費者の方に御自身が対象者であることを伝えて手続への加入を促すことが極めて重要でございます。
今回の法律案では、事業者に対し、対象となる消費者への通知を義務付けることとしております。これにより、消費者は従前から契約関係にあった事業者から個別通知を受けることができるようになるため、手続に加入しやすくなるものと考えられます。
また、今回の法律案では、一定の要件を満たす場合、一段階目の手続でも特定適格団体が事業者から消費者に関する情報を取得できることとしているため、現行法に規定されている特定適格団体から消費者への通知についても実効性が向上すると考えられます。
これらの改正により、消費者への情報提供の実効性が強化されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/93
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094・平木大作
○平木大作君 これ、事業者への義務付けといっても、事業者にもいわゆる過失の場合もあれば非常に悪質な場合もある、様々なケースが想定されるという中で、しっかりと、ある意味消費者団体の方から行く場合もあれば事業者から行く場合もあると、適時にこれは適切にやはり使い分けることが大事なんだろうというふうに思っております。
残りの時間を使いまして、少しちょっと各論なんですけれども、平均的な損害というところについて幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。
消費者契約法の第九条で、損害賠償の額又は違約金について、消費者契約の解除に伴って生ずる平均的な損害の額を超えるものについて無効と定めると、こういう規定があるわけです。
これは、消費者契約に関する検討会においても、他の主要な論点ですね、この消費者の取消し権ですとか不当条項と並んで検討の柱となったというふうに認識をしております。この報告書の中でも結構厳しい御指摘というのがあって、そもそも平均的な損害というものが不明確であり、消費者及び事業者の間で共通認識ができていないためトラブルが多発していることが考えられると、こんな御指摘もあるわけであります。
関連して、今回のこの改正案の中にも、第九条の二項で消費者に対して算定根拠の概要を説明する努力義務を課すということがあるわけでありますが、そもそもにちょっと立ち返って、この消費者にとって算定の難しいこの平均的な損害の額というものを基準としたことのそもそもの趣旨、そして、今回の法改正でも概念自体は維持をしているわけですけれども、このことの理由について御説明いただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/94
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095・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
消費者契約の解除に伴う損害賠償の予定又は違約金、いわゆる解約料につきましては、消費者契約法制定時に、事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効とする内容が第九条第一号において定められております。
この平均的な損害の額が、解除の事由、時期等により同一の区分に分類される複数の同種契約の解除に伴い事業者に生じる損害の額の平均値を意味するものでございますが、これを解約料に関しての基準とした趣旨は、事業者には多数の事案について実際に生じる平均的な損害の賠償を受けさせれば足り、それ以上の賠償請求を認める必要はないためでございます。
また、昨年九月に取りまとめられました検討会報告書では、この平均的な損害の額という基準を見直す必要性について意見がございましたが、今回の法改正において見直すことまで求めるものではなく、今回の改正後の実務の状況なども踏まえました将来の課題とされております。
そこで、今回は平均的な損害の概念自体は維持しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/95
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096・平木大作
○平木大作君 なかなか、今回は維持したことの説明が若干、理由としてですね、もっとしっかり検討してもよかったんじゃないかなということも今の答弁を聞いている限りだったらちょっと思ってしまうところがあるんですが。やはり、この同一の類型の複数のものを平均ということですから、これ、一件の契約と、不当な可能性のある契約と向き合っている消費者から見るとやっぱり見えにくい、基本的な情報が全部事業者の側にある話なわけですね。
今回、この九条二項の中で努力義務規定は設けたということで半歩前進なんだと思うんですが、やはりそもそもこれ具体的に幾らなんだということがちょっとつかみにくいということがあって、私もちょっとまだいまいちよく分からないところがあるので、具体的な事例で、例えばこういうときはどういうふうに算出を通常しているのかということを少しお伺いできればと思うんですが、一般論で結構ですので、御答弁いただけたらと思うんですが。
例えば、私のところに以前御相談をいただいた消費者被害の事例としてこんなものがあります。ブランド物のバッグですとかゲーム機、こういったものの、いわゆる中古品とか未使用品ですね、こういったものを消費者から買い取る契約があると。買い取ったときに、ある意味その売主に対して代金を早く支払ってくれると、先に支払ってくれたんだけれども、結果としてその消費者が商品の受渡しをすることができなかった、このことによって違約金なり解約金なりが発生するということが若い世代の皆さんの中でもこれ大分起きているというふうに聞いたことがあります。
こういう場合、ちょっと一般的な消費者契約のトラブルの中では決してメジャーなものではないのかもしれないんですけど、例えばこういう契約のときに平均的な損害額ってどう考えればいいのか、ちょっと御説明いただけたらと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/96
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097・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
平均的な損害の額は、同一事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される損害の平均値を意味するものでございます。
委員、今御指摘いただきましたが、の事例では、消費者が売主となり中古品等を売却するに際して、当該消費者が契約を解除した場合において、当該中古品の買主である事業者に生ずべき損害の平均値を超えないように違約金を定める必要がございます。
具体的には、買取りに際しての人件費や買取り代金の振り込み手数料などの費用項目を損害に含めまして平均的な損害を算定することが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/97
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098・平木大作
○平木大作君 分かりました。
ちょっとこれ、また別の機会にもうちょっと具体的に深掘りをしたいと思いますが、何かこういう場合は実際に具体的な物が動いていないということもあって、私、割と分かりやすい、考えやすいケースなのかなと思って今日お伺いしたんですけれども、実際に、その人件費とか振り込み手数料とか、何か急に、えっ、そんな金額というものには通常はならないと考えられるのかなというふうに今御説明をお伺いして認識をしたところであります。また、ちょっとこれ別の機会に是非議論させていただけたらと思います。
最後、平均的な損害についてもう一問ですね。
結局、この検討会の中で、平均的な損害の考え方について、今後、違約金条項に関する消費生活相談事例や差止め請求訴訟の実例も参考にしながら違約金条項の在り方に関する検討を行い、逐条解説等により随時示していくことを消費者庁としての考えられる対応ということで最後指摘をされております。先ほど来繰り返しているように、なかなか消費者、一人の消費者にとって分かりにくい概念でありますから、その具体的な事例とかいうものを通じてなるべくそのイメージを持っていただけるようにする取組というのは私とても大事だと思っております。
この検討会から指摘をされた考えられる対応、消費者庁としてどうお取り組みになるつもりなのか、最後に御確認をさせていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/98
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099・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、検討会報告書では、平均的な損害の考え方について、違約金条項に関する消費生活相談事例や差止め請求訴訟の実例も参考にし、関係する事業者、業界団体や適格消費者団体等の意見も踏まえつつ、法学、経済学等の観点から違約金条項に関する検討を行い、逐条解説等に随時示していくことが考えられるとされております。
消費者庁としては、今後、検討会報告書の提言に従って、複数の業界で使用されている違約金条項の実態を可能な限り調査し、有識者からの意見も伺いながら、検討した結果を逐条解説等において示すことを考えております。また、検討会報告書において、将来の検討課題として平均的な損害という概念自体から見直す必要性についても意見が出されていたことを踏まえ、今後実務の状況などをしっかりと注視してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/99
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100・平木大作
○平木大作君 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後に、今御答弁いただいたように、この報告書の中でも、長い目で見たときにやはりこの概念自体見直すことも検討課題ということで御指摘ありますので、しっかりと目の前の課題、そして中長期で見たときの見直しも含めてお取り組みいただきたい。このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/100
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101・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。今日はよろしくお願いいたします。
本日は、消費者契約法、消費者裁判手続特例法の改正案について審議となります。どうぞよろしくお願いいたします。
消費者契約法は消費者と事業者の間での契約ということでの取決めで、様々ここまでも議論があったんですけれども、この議論が進めば進むほど、消費者全般のことを当初は念頭に置いてこの消費者庁もでき、そしてこの消費者契約法も様々改正も作られ、改正も行われてきたんですけれども、特に今回においては、消費者全般というよりかは、どちらかというと、いわゆる脆弱な消費者というふうに呼ばれる人たちに対しての対応がどうなのかというようなところも論点として多くなってきたのかなというふうに感じておりまして、この法律の、この消費者契約法だけで、脆弱な消費者と呼ばれていて、この衆議院や参議院の中での議論にある、いわゆる高齢者の方だったりとか若年層の皆様を本当にこの消費者被害から守っていくというときに、この法律だけで守れるのかというところも疑問としてあるので、束ねるという意味でいけば、もう少し別の法律も含めてどのような被害を防止していくかということも考えなきゃいけなかったのかなというふうに今感じながら聞いておりましたし、この審議に向けて衆議院の議論見させていただく中で感じていたところでございます。まずは最初に私の感想を申し上げた上で質問に入っていきたいというふうに思います。
私も、何度も議題になっている取消し権について、この契約取消し権について伺いたいと思います。
第四条第三項に追加する条項の中で、「当該消費者が当該消費者契約を締結するか否かについて相談を行うために電話その他の内閣府令で定める方法によって当該事業者以外の者と連絡する旨の意思を示したにもかかわらず、威迫する言動を交えて、当該消費者が当該方法によって連絡することを妨げること。」、この項目が追加となっております。
先ほど来、威迫するというところの威迫についての議論はあったんですけれども、私がお伺いしたいのは、この相談を行うために電話その他の内閣府令で定める方法によってということで、その方法についてをわざわざ列挙しようという形で条文として書かれているというところについて着目しました。
この、その他内閣府令で定める方法というのはどのようなものを想定されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/101
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102・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
内閣府令を定めるに当たっては、消費者が通常使用する連絡手段を定めることを想定しております。法文におきましては電話を例示しておりますが、メールやSNSの方がなじみがあるようにも考えられることから、これらの方法も内閣府令で定めることを考えております。
改正法案が成立した暁には速やかに詳細を詰めてまいりますが、特定の相談方法が除外されることがないように網羅的に規定してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/102
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103・田村まみ
○田村まみ君 今の答弁についてちょっと質問をしたいので、具体的には通告はしていないんですけれども、今の特定な方法が除外されることのないように、でも定めるんですよね。定めなくていいんじゃないかというふうに思うんです。
連絡をしようとするという手段は何でもいいということなので、なぜそれをわざわざ電話以外にも内閣府令で定めるというふうに、ここを細かく入れていかなければいけないというふうに法文作っていくときにお考えになったのかがちょっと理解ができないんですけれども、そこの理由は今お答えいただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/103
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104・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
消費者契約法の取消し権は、消費者がこれを行使することにより契約全体の効力が規定されるという強い効果を持つものでございまして、予見可能性や明確性といった要素を全て満たす必要がございます。このため、消費者による相談の連絡が妨害された場合の取消し権におきましても、消費者による相談の方法を明確にする必要がございます。
同時に、通信技術の発展により今後新たな連絡手段が普及した場合に、法改正を待つことなく機動的に新たな連絡方法を認めて消費者を保護する必要があり、内閣府令で規定することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/104
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105・田村まみ
○田村まみ君 もし、じゃ、明示されていない手段での方法で連絡を取った場合は、それは連絡を取るということとして認められないということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/105
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106・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/106
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107・田村まみ
○田村まみ君 機動的に変えるというところの発言は、法改正を待つことなく機動的に変えるというような発言はいただきましたけれども、その想定外ということが、逆を言うと、その消費者に対しても、何でしょう、起きた中で想定外の方法で連絡をするということになると思うので、極論を言うと、今ちょっと急に思い付いたんですけれども、本当にメモ紙持ってて、ちっちゃいメモ紙に書いて窓から投げるというような、そういう手段なんかが私書かれるとは思えないんですけれども。
そんなことも含めて、書かれていなければそれが手段として認められないということに今受け止められたんですけれども、そこ制限する必要はないと思うんですが、もう一度、今いろいろと議論あったと思うんで、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/107
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108・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
改正法案が成立した暁には速やかに詳細を詰めてまいります。特定の、何と申しますか、相談方法が除外されることがないよう、これは網羅的にそこはもう規定していくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/108
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109・田村まみ
○田村まみ君 今ちょっと待つ前と変わらなかったような答弁に聞こえたんですけれども、その網羅的というところが想定外で漏れるということを今危惧して質問させていただいているんですけれども、逆に何か駄目な相談方法というのは、じゃ、何か想定としてあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/109
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110・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
現時点で具体的に想定しているものはございませんけれども、取消し権という大変強いものでございますので、法律で明確にしなければいけない。ただし、追加する、今後、将来いろんな技術進歩があったときに予想もしないようなものが出てきたことを考えまして、そのとき機動的に追加できるようにということで法律プラス府令という形にしております。
ただ、現段階で、御指摘のように、これはという、抜けるというのは現時点で想定しているものがあるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/110
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111・田村まみ
○田村まみ君 長谷川参考人、何かありますか。今アドバイスあったようですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/111
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112・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
今次長が申し上げましたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/112
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113・田村まみ
○田村まみ君 いや、久しぶりにこの議場が全員で何かはてなが飛んでいるというような空気感になったというふうに私は思います。
もちろんその取消しの、何ですかね、この細かく幾つか項目を書くということ自体に対しての疑問についてもいろんな委員から質問もありましたけれども、やはりこの想定される中で、しかもわざわざその連絡方法自体がここまで細かくということまでされると、やはり、何でしょうね、さっき議論になりました威迫というところがどういう状況なんだとかということで、一つ一つがこれはよくてこれは駄目なんじゃないかというような状況になっていって、どんどんどんどん狭まっているふうに見えるという多くの人たちが感想を持っているこの法律が、やっぱりそういうふうに捉えられてしまうというふうに思うんですね。
やっぱり、その消費者が訴えようとするときですよね、もう本当に外部と、どうしようって困惑したりしたときに、辛うじて相談をしようと思ったときの思い付いた手段、それが制限されるということに対してはやっぱり疑問しか残りません。できれば、内閣府令の中では全てのものについて認めるというふうに書くべきだというふうに考えますけれども、それでも何か列記をするというふうになるんでしょうか。もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/113
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114・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
全てという書き方は少し難しいかなと。法律プラス府令でございますけれども、委員の御指摘あるいはいろんな御懸念があるということはよく承知しておりますので、そういうことがないように、しっかりした書き方にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/114
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115・田村まみ
○田村まみ君 これ以上これに時間を掛けてもなんですが、少し私の中では想定外の御答弁だったので、何度か質問させていただきました。
次に、平成二十九年八月八日の消費者委員会の答申では、合理的な判断をすることのできない事由を理由として契約を締結させるいわゆる付け込み型勧誘の類型につき、特に、高齢者や若年成人、障害者等の知識、経験、判断力の不足を不当に利用し過大な不利益をもたらす契約の勧誘が行われた場合における消費者の取消し権について、早急に検討して明らかにすべき喫緊の課題として挙げられておりました。
また、令和三年の九月の消費者契約に関する検討会報告書でも、判断力の著しく低下した消費者が自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消し権を定めることは考えられると結論としています。
この結論が達した中で、今、いわゆる付け込み型の勧誘、特に判断力の低下に付け込むようなタイプの消費者契約トラブル、この近年の発生状況や実態について、数字、把握できている部分を教えていただきたいと思いますし、それをどのように評価されているのか、御答弁お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/115
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116・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
近年、認知症高齢者が自宅を売却した事例等について国民生活センターが注意喚起をしていることや、訴訟になった事例として、高齢で理解力が低下していた可能性がある消費者に対して不合理な内容の契約を締結させたという事例があることは承知しております。
一方、その件数でございますが、残念ながら件数については、現に発生した消費者契約関係のトラブルの件数は消費者庁としては把握していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/116
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117・田村まみ
○田村まみ君 済みません、評価というか、この実態、幾つか、件数は把握されていないことは承知しましたけれども、このトラブルの内容とかを見てどのように評価をされているかというところは何か答弁ございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/117
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118・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
どのようなものが判断力の低下による付け込みというもののなかなか評価が難しいので、その何件という形で件数をお答えすることが、表すのは困難というものでございます。ただ、そういう事例が近年見られるということは認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/118
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119・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
なぜこれを聞いたかというと、やっぱり出てきている事例ですよね、衆議院からの議論の中で出てきている事例が、やっぱり高齢の方だったり認知症の方、そして若年層というところで、最初に私がこの審議を見ている中での感想で申し上げたとおり、一般的に多くの消費者というよりかは、どちらかというと高齢だったりとか若年層という脆弱な消費者というふうに区別されがちな方たちに対しての被害だけが上がってきているという状況なので、本当にこの消費者契約法だけでやるというところに限界が来ているかどうかというような議論も必要なのかなというふうに思ってあえて聞かせていただきました。
そういう中で、私もあえて質問します。
消費者委員会の答申や検討会報告書の指摘にもかかわらず、改正案には判断力の低下に着目した取消し権の規定は盛り込まれませんでした。検討会の報告書では、平成三十年改正に際して衆参の附帯決議による要請を受けて、平成三十一年二月に設置された研究会から約二年半もの時間を掛けて有識者が議論を重ねてきたものですので、最大限に私も尊重されるべきだと思いますし、具体的な考え方として示されたものも幾つもあったというふうに考えております。
改正案に盛り込まれなかった理由をもう一度お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/119
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120・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会において方向性が示された判断力低下に着目した規定については、判断力の低下が消費者の脆弱性の典型的場面であるとの検討会報告書の指摘を踏まえて、消費者を勧誘するに際して必要な情報を提供する事業者の努力義務において、消費者の心身の状態も考慮して情報を提供することとしております。
一方、取消し権として規定することについては、事業者の行為によって消費者の判断力が低下しているわけではないため、従来の取消し権を超える側面があること、また、生活に著しい支障を及ぼす内容の契約となるかは、消費者の生活状況が一様ではないことから、取消し権として規定することは困難であること、検討会報告書やその後の意見募集においても慎重な検討を求める意見があることから、今回の法律案には盛り込まなかったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/120
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121・田村まみ
○田村まみ君 現時点で特に取消し権のところの部分での規定、これが困難だということであれば、先ほど幾つか答えていただいた、改正で盛り込まれなかった付け込み型の勧誘に対しての対策、これについてはほかにどのような手だてで対応していこうというふうに消費者庁考えていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/121
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122・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
判断力が不足している消費者を含め、様々な消費者が安全で、判断力が不足している消費者を含め、様々な消費者が安全で安心して取引を行える環境を整備することは重要でございます。
既に消費者契約法においては若年者や高齢者の被害事例を念頭に置いた規定が設けられているところであり、今回の法律案でも、先ほど述べたとおり、勧誘の際における事業者の努力義務として、消費者の心身の状態も考慮して情報を提供することを盛り込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/122
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123・田村まみ
○田村まみ君 今の努力義務に関してですが、第三条の第一項の事業者の努力義務に関する改正では、勧誘の際の情報提供において、事業者が知ることのできた個々の消費者の事情を総合的に考慮するものとし、個々の消費者の事情として年齢及び心身の状態を追加するとしています。
ここで伺いますけれども、この事業者が知ることができたというところの判断、これはどうやってされるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/123
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124・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
改正法案の第三条第一項第二号の事業者が知ることができたかについては、事業者が消費者を勧誘する際の状況など、諸般の事情を考慮して客観的に判断されることになると考えられます。例えば、対面取引のように事業者が消費者の外見等を直接確認できる状況においては、当該消費者の外見から、事業者はおおよその年齢を知ることができたことになると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/124
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125・田村まみ
○田村まみ君 対面のときはということで今、しかもおおよそのという返事ありましたけれども、例えば、酒、たばこの販売なんかは、事業者が大体二十歳超えているだろうといって売っても、二十歳超えていなかったら罰せられるんですよね。
普通、確認しなければいけないというふうに、酒、たばこの販売ですら決まっているのに、この規定だと、おおよそということと諸般の状況で判断ということで、相当、私曖昧だと思っていて、事業者が知ることができた以外の部分でいけば前進かもしれませんけど、この事業者が知ることができたというところのどういう状況かというところは、これこそ、私、内閣府令なりなんなりで決めるべきだと思いますし、これ法文に書いていないのであれば、是非ここを逐条解説なり、どういう状況なのかということを、私、今の答弁聞いたらもっと明確にすべきだというふうに聞こえたんですけれども、これ、改正もしされたらここをもう少し明確にするという意図、意思はございますでしょうか。これ、済みません、今の答弁聞いて思ったんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/125
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126・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
罰則のようなものと努力義務というもので、なかなか同じようなわけにはまいりませんけれども、委員の御指摘もよく分かりますので、逐条解説その他でどんなものが該当するかしないかというのは、それは、消費者にとってだけじゃなくて事業者にとってもそれは分かりやすい方がいいと思いますので、どのようなことができるかは工夫は検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/126
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127・田村まみ
○田村まみ君 若宮大臣、今答弁聞いてもらって、若干前向きには聞こえたんですけれども、書かれていないことなんですよね、内閣府令で決めるともガイドラインとか何かをするということも。
なので、改めて今の議論を聞いていただいて、ここの知ることのできた事情、事業者が知ることができたということに対して、この今回の対策で判断力の低下に付け込むような勧誘に対しての対策、現時点について不足も様々あるように見えているんですけれども、今後更に踏み込んだ対策の検討、これを進めるお考えがあるか、御見解伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/127
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128・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者契約法、これは消費者と契約を締結する事業者に広く適用されるところでございます。多くの善良な事業者につきましては、この判断力が低下している、先ほど来委員が御懸念を持たれておられますけれども、低下している消費者等に対しまして、まずは契約内容を丁寧に説明をするなどの対応を取るという、これは期待をできるところではないかなというふうに思っております。
また、この努力義務の違反、これにつきましては、もちろん直ちに損害賠償請求等の私法的効力を生じさせるものではございませんが、事業者が消費者の判断力の著しい低下を知ることができたのに、十分な説明をしないで消費者が誤認して契約を締結した場合は、この努力義務違反も考慮した上で契約の取消しあるいは無効が認められる場合もあると考えられておりまして、努力義務のこの規定、消費者被害の防止に資するというふうに考えているところでもございます。
もちろん、一方、検討会の方におきましては、従来の消費者契約法の取消し権や、あるいは契約締結過程の適正化のための対応、これを超える新たな方向性、これも提言をされているほか、衆議院の消費者問題に関する特別委員会の附帯決議におきましても、やはり既存の枠組みにとらわれない、とらわれることなく抜本的かつ網羅的なルールの設定の在り方も検討するように御指摘を受けているところでもございます。
今委員からもいろいろ御提言いただいた件も含めまして、骨太の議論の中でもしっかりと検討してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/128
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129・田村まみ
○田村まみ君 積み残し課題が多い骨太の議論をしなければいけないというのはもう共通認識だというふうに思いますので、是非もう一段の検討の方をお願いしたいと思います。
時間がなくなりましたので、最後、大きな四つ目の、共通義務の確認訴訟における和解についての質問だけして終わりたいというふうに思います。
最初に高橋委員も質問されていたんですけれども、この裁判の方の改正案の方ですね、現行の第十条を削除して、いわゆる一段階目の共通義務確認訴訟、これの柔軟な和解を可能にする改正が盛り込まれています。検討会報告書では、運用に資するように一般的に考え得る和解の例についてガイドラインで示していくことは有益とされていますとなっております。また、特定適格消費者団体からは、適正な和解が促進されるよう、想定される和解の類型及び当該類型における留意点についてガイドラインとして定めることを要請する声も上がっています。
消費者庁として、このガイドラインの作成について取り組むというところについて御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/129
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130・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
今回の法律案では、共通義務確認訴訟において柔軟な和解を可能とすることとしております。この点に関しまして、検討会報告書では、一般的に考え得る和解の例や留意事項等をガイドラインで示すことも有益であると考えられるとされておるところでございます。
今回の法律案が成立した暁には、必要に応じまして、特定適格団体と事業者の間の自由な和解交渉の妨げにならないように配慮しつつ、既存のガイドラインを改定する等して、一般に考え得る和解の例や留意事項等を明らかにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/130
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131・田村まみ
○田村まみ君 本当に善良な事業者と自立的な消費者がいればこういうことが起きないんですけれども、やはりその消費者の脆弱な部分にしっかりと目を向けて私たち消費者行政を担っていかなければいけないということを改めて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/131
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132・音喜多駿
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
初めに、議題にあります消費者契約法について、他の委員の問題意識と重複する部分もございますが、私からも幾つか確認の質問をさせていただきます。
とりわけ、オンラインでの契約において、解除の方法について、ホームページ上での表記が分かりにくい、解除をするためのリンクがあえて分かりにくく表示をされる、あるいは解除には電話が必要とされている、解除するには複数のウインドーでクリックを繰り返す必要がある、そして、サブスクリプションの契約においては解約手続が困難に設定されているといった多数の問題があり、消費者契約に関する検討会の報告書においてもこの対応が求められてまいりました。
今回、法改正によって、この問題について一定の対応がされたことについては評価をいたしますが、どこまでその実効性があるものかについては疑問が残ります。
そこでまず、今回の法改正により、オンラインで結ばれる契約やサブスクリプション契約において、解除権の行使に関して必要な情報を提供することが事業者の努力義務、努力義務となったところ、この事業者は具体的に何をすることが求められているのか、これを確認でまず消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/132
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133・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
今回の改正法案の第三条第一項第四号におきまして、例えば、消費者契約の締結後に事業者のウエブサイト上で解除手続をしようとしても、どの画面にアクセスすればよいのか分かりにくいといった事例では、解除権を行使するために必要とされる具体的な手順に関する情報を電話やメール等で説明することが事業者に求められます。
具体的には、消費者からメールで問合せがあった場合には、例えばそのメールに返信する形で、解約手続を行えるホームページ上の解約画面のURLを記載するとともに、解約に必要な手順や入力内容等について説明することが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/133
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134・音喜多駿
○音喜多駿君 消費者の求めに応じて情報提供を行うということで、ただ、これ、裏を返せば、消費者側がアクションを起こさない限り、これは義務が発生しないということでもあると思います。
オンライン契約やサブスクリプションの契約での解約の困難性、これは事業者の情報提供によって解決できる問題ばかりではなくて、オンラインのものはオンラインで分かりやすくできるようにすることを、これ解約手続容易にすること、こうしたものは事業者に事前に用意させることは、一定これ実効力を持って義務付けることが必要じゃないかと考えています。この点については以前にも御質問させていただいたんですが、後ほどまた改めて確認させていただきます。
一方で、この本改正案で求められている解除権の行使に関して必要な情報を提供するという点においても、これ努力義務となっており、実効力の確保の点では不十分ではないかと思われます。この点、法改正によって生じたこの努力義務、努力義務に従わない事業者にはどのような対策を考えているのか、消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/134
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135・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
消費者契約法の努力義務の規定を考慮して信義則上の説明義務を導き、その上で、説明義務違反についての損害賠償責任を認めた裁判例もあるところでございます。事業者が解除権の行使に関して必要な情報を提供しなかったときには、場合によってはこういった損害賠償責任が認められることもあり得ると考えられます。
また、消費者契約法のほかにも、消費者トラブルの多い取引分野に適用される個別法や各業種の実態や特性を反映した業法が存在しておりまして、これら個別法、業法によって、違反行為に対して行政処分が規定されているものも存在しております。
委員御指摘の努力義務に従わない悪質業者に対しては、そういったほかの法律の運用状況なども踏まえて必要な対応を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/135
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136・音喜多駿
○音喜多駿君 必要な対応を検討していくということなんですけれども、訴訟を起こすにしてもそれはその消費者側の負担になるわけでありますし、各個別法でどこまで対応できるのかということについては他の委員も恐らく同じ問題意識持っていると思いますけれども、相当程度これはいろんな問題が、課題が生じてくるものというふうに思います。
これまでの消費者の契約法で伝統的に考えられていた、店舗が実際にあったり対面販売が基本であって世間の評判が売上げに直結するような事業者とは異なって、このインターネット上での事業者というのは世間の評判を余り気にしないで事業活動を行う可能性というのも比較的高いと思われます。そのため、この努力義務を軽視する、要はなめてかかるような事業者もいわゆる伝統的な事業者よりも多く出る、この懸念というのを私は強く持っております。
場合によっては他の個別法で実効力を確保していくのかもしれませんが、これ、努力義務以上の法的義務や制裁による対処にはやっぱり消費者庁も慎重なのかなというふうに思うんですが、本改正、努力義務にとどまった理由について、改めてこれ消費者庁に確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/136
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137・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
検討会におきましては、解除権の行使を意図的に妨げている場合に対して、法的義務及び当該義務違反への制裁により対処するのが適切であるとの意見もありましたが、他方では、行為規制の規定を持たない消費者契約法で対処すべき問題であるか否かは慎重な検討を要するとの意見が出されたところでございます。
また、消費者契約法は民事ルールを定めるものであることから、努力義務ではなく法的義務とし、その違反に対して行政処分や罰則などの規定を設けることは既存の消費者契約法の枠組みを超えることとなります。
今回の法律案におきましては、現行法で努力義務を定めている契約締結時だけでなく、契約解除時を捉え、事業者の情報提供を努力義務として規定することといたしました。消費者契約法が消費者と契約を締結する事業者に広く適用される法律であり、適用対象にはおよそ全ての事業者が含まれることから、努力義務であっても事業者によって適切に遵守されることにより十分な効果があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/137
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138・音喜多駿
○音喜多駿君 今、努力義務以上の設定については、事業者、多く関与する事業者が萎縮をしないようにするためというのも、事前のレクチャー、意見交換の中では理由の一つとして挙げられたやに私は記憶しております。
しかしながら、やはりこの解約の手続について、消費者の求めにも応じず情報提供すらしない事業者については、やっぱり一定程度、厳しい程度、プラス実効力のある方策で臨んだとしてもこれは不都合はないのではないかと考えますし、この消費者を第一に守っていく法改正という目的がどこにあるのかといえば、やはりそこに一定程度、当然フォーカスをしていくべきだと思うんですよね。これは果たして誰に配慮したものなのか、事業者側から厳しい義務を課してほしくないというような具体的な理由や要望があったのか、これ資料読んでいるだけだと、いまいち私は伝わってくるものはございません。
そこで、解除権の行使に関する必要な情報の提供につき、事業者側に本改正以上の法的義務を設けることに対して、事業者側の問題意識としては具体的にどのようなものがあったのか、具体的にどういうことが挙げられてきたのか、これを消費者庁に確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/138
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139・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
法的義務を規定する場合には、違反した場合の法的効果としてどのようなものを規定することが望ましいかにつきましても検討する必要があり、これは事業者側に特化した問題意識に係る課題ではございません。そして、法的効果として義務違反に対する行政処分や罰則などの規定を設けることは、民事ルールである現行の消費者契約法の枠組みを超えることとなります。
また、検討会においても、事業者が説明をしないというだけでは消費者に損害は発生せず、損害賠償を制裁として科すという形にはしにくいこと、また、説明義務は、説明を求められたら誠実に対応する努力をするという努力義務の形で定めておくことで足りるのではないかということが指摘されたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/139
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140・音喜多駿
○音喜多駿君 この努力義務で足りるという根拠が、まあ多分皆さんそう思っていると思うんですけれども、どうもぴんとこないというか、本当に努力義務で足りるのかなというふうに思いますし、今回の法案、法改正の趣旨というのは、一つはこれ消費者の権利を守る、権利を拡大することですよね。これ、誰かの権利というのは、これは誰かの義務なわけであります。消費者側の権利を守る、これを拡大しようとすれば事業者側には相応の義務が課されるということは、これは法理からしてむしろ自然なはずであって、果たして、努力義務で果たして十分なのかということについてはより踏み込んだ検討が必要ではないかなというふうに思います。
つまり、適切な対応や責任を果たさない事業者に対しては、これは法的な義務及び当該義務違反へのある種の制裁によって対処するということはこれ十分考えられることであって、消費者契約に関する検討会報告書においてもこれは言及を度々されているところであります。
本テーマの最後になりますけど、大臣にも伺います。
確かに、これまで消費者契約法は罰則のような行為規制の規定は持たないとされてまいりましたが、インターネット取引の増加により、新しい悪質な商取引類型が増加するようになりました。悪質なインターネット事業者というのは、これまでの事業者と異なり、先ほども申し上げましたが、評判を余り気にせず、逃げ足も速くて、あるいは簡単に名前変えてまた事業を継続して再開すると、こういったことまで比較的容易になっております。それに対して、今回の改正というのは、やっぱり実効力の確保という点では、これは弱いのではないかというふうに考えます。
そこで、オンライン契約等における解除権の行使に関する情報提供については、これ実効力確保のために本改正案以上の法的義務を付することを今後検討していくべきと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/140
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141・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) この消費者契約法、これは消費者と契約を締結する事業者に広く適用されるところ、何度か御答弁申し上げているところでございますが、多くの事業者につきましては、この消費者の求めに応じて、解除権の行使に関する情報を提供する対応を取ることが期待できるものというふうに考えているところでございます。
また、この努力義務の違反、これはもちろん直ちに損害賠償請求等の私法的効力を生じさせるものではございませんが、努力義務違反がほかの規定の解釈や適用に影響を与える場合もあると考えられ、この努力義務の規定というのは消費者被害の防止に資するものというふうに考えているところでもございます。
他方で、今御指摘いただきましたように、この法的義務とするのであれば、これ義務に違反した場合の法的効果についても検討する必要というのがあろうかと思っております。例えば、契約を取り消すことまで可能とすることは、これは解除権の行使に必要な情報提供が不十分であった場合の法的効果としてはこれそぐわないと考えられると思っております。
また、消費者契約法のほかにも、消費者トラブルが多い取引分野に適用される個別法、あるいは各業種の特性を反映した業法というのも存在してございます。
こういった法律におきまして、この法的義務の違反に対しましては行政処分が規定をされている場合もございますので、そういった法律も踏まえまして、この必要な対応をしっかりと検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/141
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142・音喜多駿
○音喜多駿君 何度も似たような御質問で答弁いただいて恐縮なんですが、本当是非これは、検討ということはおっしゃっていただいておりますので、是非これは実態をしっかりと調査、把握をしていただいて、今後の検討事項にも入れていただきたいと思います。
これ、先ほど来申し上げておりますように、今回の改正は、言わば消費者側がアクションを起こさないとこれ解除の情報が適用されないという点を最初に指摘をさせていただきました。
しかしながら、今、いわゆるサブスクリプション、サブスク契約などで問題になっているのは、そもそものこの解約手続が契約の締結時に比べて非常に煩雑になっているという点であります。オンラインで契約したものは、これオンラインで解約できるようにすると。これはやはり義務化というのも一つの視野に入れて検討した方がよいのではないかというのが私の過去からの主張であって、先々月の委員会でもこの海外の事例を取り上げて提言をさせていただきました。
この点、この法案にも関わりますので改めて伺いますが、まず参考人に、このサブスクリプション、サブスク契約におけるこの解約の手続で、オンラインで解約ができないそういった件数、トラブルというのの実態を把握しているのか、件数とか。具体的に把握されているのかどうか、消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/142
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143・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のサブスクリプション契約をオンライン上で解約したいができないという消費生活相談の件数は把握していないところでございますが、サービスの提供を主としておりますいわゆるサブスクリプションについて、二〇二一年四月、これ検索のキーワードが設定された月でございますが、四月から十二月までの速報値で四千四百三件の消費生活相談が、また、商品の定期購入契約については、二〇二一年一月から十二月までの速報値で四万三千七百八十七件の消費生活相談が寄せられたと承知しております。
また、消費生活相談の中には、オンライン上で定期購入契約を締結したが、解約するためには電話によらなければならず、電話がつながらないとするものなど、消費者が契約を容易に解約できないものも見られます。
引き続き、サブスクリプション契約における解約の問題について、消費生活相談の動向等を注視し、消費者被害の防止に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/143
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144・音喜多駿
○音喜多駿君 今御答弁いただいたように、問題意識は持たれているんだと思うんですよね。ただ、それが定量的には、具体的に件数何件だとか、そういうことは把握されていないということであると思います。これについて定量的なちゃんと数値を取るような目的で調査をすれば、これはある種の立法事実というか検討の土台になると思いますので、是非これは、具体的な実態というのを数値として目に見える形で把握をしていただきたいというふうに思います。
そして、恐らく現状、契約締結はオンラインで、でも解約は電話あるいは窓口でといったサブスク契約の数が一定数、かなりの数あると思われます。そうした件数把握した上で、この点、また大臣にもお伺いしたいんですが、やっぱりこのオンラインで締結をされた契約については、これ契約の解除もオンラインでできるようにすると、こうした一定のルールというのはこれ再検討していくべきだと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/144
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145・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 昨今のこのデジタル化の流れ、この状況を踏まえますと、今委員が御指摘をいただきましたように、解約についてもこれオンラインで行える方が望ましい、こういった側面があるというふうに私自身も認識をいたしているところでもございます。
一方、対面や電話でこの解約を希望する消費者もいることもこれ考えられるところでもございますので、事業者が消費者から物を預かっているようなこの契約では、その物の返還を確実に履行するための対面の解約のニーズというのがある場合、これも考えられるかと思っております。
消費者契約におけますこの解約の在り方につきましては、どのような場合に、それからどのような解約の方法が望ましいのか、あるいは法律において規定すべきなのかという点を含めまして、この消費者契約に関する環境の変化、それから消費者トラブルの多いそのトラブルの分野に適用される個別法の運用状況、こういったものも踏まえまして必要な対応、しっかりと検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/145
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146・音喜多駿
○音喜多駿君 今大臣御答弁いただいたように、対面の方が解約のときも望ましい場合というのはあると思います。
ただ、その入口と出口が違う、入口はオンラインなのに出口は対面じゃなきゃいけないというケースって僕は余り思い付かないんですよね。恐らく、そういったのをしっかりやっていくと、あえてオンラインでやっぱり契約をして、そしてやっぱり出口はオンラインが駄目だというのは、いわゆる少しこれは悪質なケースで使われているものもやはり多いと思いますので、まず、先ほど申し上げたような実態把握というのをしっかりしていただいて、今後の御検討を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
時間もなくなってまいりましたが、ちょっと次のテーマ二問行けるかなと思うんですが、消費者契約法に関連して、詐欺やマルチ商法に付随した学生ローン契約の取消し有無について伺います。
学生を相手にした詐欺というのは後を絶たないところ、商品やサービスの契約の際に、学生がお金がないというのを背景に半ば強制的にサラ金、学生ローン等から借金の契約を別途させて、本契約、このサービスや物を、商品を契約させるという手法が以前から知られております。
商品、サービスの契約については、これ消費者契約法等で取消しを主張できますが、これに付随するローンやサラ金、この別途の契約についても取消しを主張することが可能なのかどうか、現行の運用を消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/146
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147・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
商品、サービスそれ自体の契約と、当該契約の購入等の資金を得るためのいわゆる学生ローンを含む貸金業者との間における金銭の貸付契約とは、契約としては別個の契約でございます。そのため、商品、サービスそれ自体の契約につき消費者契約法等に基づいて取消しを主張できるとしても、貸金業者との間の契約については直ちに取消しを主張できるものではないと考えられます。
もっとも、例えば、貸金業者による退去妨害によって貸付契約を締結させられたなど貸金業者との契約に不当な勧誘行為があった場合は、消費者契約法によって当該契約についても取消しを主張できるものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/147
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148・音喜多駿
○音喜多駿君 あくまで別個の契約なので、明らかな行為があったというようなケースであれば付随した取消しもできるかもしれないですけれども、基本的にはやっぱり別個の契約が存在しているということなんですよね。確かにそれは民法上の原則としてみればそうなんですが、各種奨学金等もある中で、学生さんがローンとかサラ金に手を出すというのはよっぽど特殊な事情が多いということも推察されますし、そういったことに関して、はい、もう時間がないと、政治の責任がしっかりと求められているところだというふうに思います。
ちょっと時間がないので、最後、大臣にお伺いしたいんですけれども、この学生の消費者金融の利用について、やっぱりこの借りる根拠となった商品、サービスの契約で詐欺に遭う等で取消しを行った場合には、金融契約も併せて取消しができるように配慮をするべきと考えます。とりわけ、この成人年齢引下げによって大学生向けの、一年生向けの詐欺というのは今後増えてくるということも予想されますし、学生の消費者金融利用について、これ実態調査を行ったり、取消し権の拡大について検討をする、あるいは金融業者との契約と詐欺やマルチ商法との契約、この一体性を柔軟に判断し基準を設けるなど、こうした対応を検討していただきたいと思いますが、大臣の所見を最後にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/148
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149・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員が御指摘いただきましたようなこの取消しについての規定を設けること、これ、あらゆる取引分野におけます消費者契約について幅広く適用されるというこの消費者契約法の法的な性質、又は貸金業者の帰責性を考慮する観点から慎重な検討が必要だというふうに考えているところでもございます。
また一方、消費者庁といたしましては、この若者の消費者被害の防止に向けた対策、これは重要な課題だというふうに認識をいたしているところでございまして、成年年齢の引下げを見据えまして、平成三十年からのこの消費者契約法の改正時に主として若者に発生している就職セミナー商法あるいはデート商法ですね、こういった被害事例を念頭に置いた取消し権を創設するなどの対応策を講じてきたところでございます。
また、この改正以外にも、成年年齢の引下げを見据えまして、高等学校におけます消費者教育の推進、それからあとSNSや政府広報を活用した情報発信強化、あるいは若年者に寄り添った相談体制の充実、あるいは詐欺的な定期購入商法への対策の強化、こういった施策を講じてきておりまして、先ほども御答弁申し上げましたが、本年三月末に四省庁連携による成年年齢引下げ後の若年者への消費者教育推進方針、こういうものを作成しているところでもございます。
委員、今日ずっといろいろ御指摘をくださったように、若年者の消費者被害、この状況をしっかり注視しながら、被害の防止に向けて関係省庁としっかりと連携してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/149
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150・音喜多駿
○音喜多駿君 時間ですので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/150
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151・大門実紀史
○大門実紀史君 大門です。
消費者契約法、これまでの議論聞いておりまして、まず大臣に、ちょっと大臣の御答弁に大変違和感を感じておりますので、若干苦言も含めて申し上げておきたいと思うんですけれども。
今回の改正について、特に取消し権についてですね、消費者団体、日弁連、あるいは衆議院の参考人質疑でもそうなんですが、現場で消費者保護を最前線で頑張っておられる方から、取消し権の部分ですけど、特にですね、かなり強い、強い批判が出されているわけです。衆議院の参考人の御覧になったか、あるいは議事録読まれたか分からないんですけど、読まれていなければ是非読んでほしいんですけど、そのことについて何かさらっと大臣が、批判には当たらないみたいな答弁を先ほどもされておりましたけれど、何か意に介さないようなですね、ちょっと違うんじゃないかなと私思います。
何といいますかね、非常にある意味ではこれ大変失礼じゃないかと思うんですよね。現場で一番頑張ってくれている人たちが、消費者保護を担っていただいている方々なんですね。その方々がかなり強い異論、批判を申されていることに対して、何か通り一遍の答弁を繰り返されて、何か、分からない方が悪いとまでおっしゃってないけど、ほとんどそういうような、捉えられるようなことを繰り返されているのはちょっと違うんじゃないかと。
ちょっと消費者関係長くやっているものですから、その現場の声というのはそんなに当たってないものじゃないんですよね。そういう点で、もっと謙虚に耳を傾けるべきではないかと。そういう意見、ここまで強い意見、私も初めて、参考人質疑であんな強い意見は初めて聞きました。
そういうことですので、せめて、みんなの意見を聞いて回るって大臣お忙しいから大変だけれども、せめて、全国消団連の代表ですからね、そういうところに、一体どういうことでしょうかぐらい聞いてあげるぐらいの、それぐらいの姿勢を持っていただきたいなと思うんです。それが非常に消費者の、一緒に頑張っていく上で大事なことだと思うんですけれど、まずその耳を傾けてほしいということと、よく聞いてあげてほしいんですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/151
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152・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員からの御指摘の点、本当におっしゃるとおりだと思っております。
様々な方々、あるいは様々な団体、あるいは様々な立場の方からの意見をしっかりと拝聴させていただきながら、現実の現場で本当に汗を流して御苦労されていらっしゃる方、あるいは当事者で実際トラブルに遭って困っておられる方、それを御相談として承られた方、様々な立場があろうかと思っておりますので、今後もしっかりと多方面、各方面にわたってバランスよく皆様方の御意見をしっかりと拝聴して、具体的な施策につなげてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/152
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153・大門実紀史
○大門実紀史君 その前提、なぜこういうことを申し上げるかというと、消費者担当大臣、私、この委員会始まったときからいるんですけど、もうころころころころ替わるんですよね。
もう、一回も質問しないまま消えていく大臣も、あるいは、何というんですかね、もう名前も覚えない、覚えられないうちに替わる方もいるぐらいの激しさなんですよ、半年とか一年とかで替わられて。だからこそ、それいろいろ事情があるんだと思いますけれど、半年でも一年でも、やっぱり短い間でもきちっと現場の話を聞いて、やれることはきちっとやっていただきたいなと思って。参議院の衛藤晟一大臣は、一年半か二年ぐらいだったと思いますけど、かなりいいことをやってくれたんですよ。だから、短くてもやろうと思えばできるんですよね。それはやっぱり現場の声をきちっと聞いていただくことだと思うんで、その点の御努力をまずお願いしておきたいというふうに思います。
この消費者契約法ですけど、二〇一六年、二〇一八年にも大議論がございまして、私は両方とも改正の議論に参加させていただいてきておりますけれども、要するに、一貫して求めていたのは何かと、現場がですね。これは、契約の取消しができる取消し要件なんですけど、それが、いろんな要件つくっても隙間からこぼれて救われない人がもうずっと絶えず出続けると、生まれると。それをどう防ぐかと、救済するかというのを一貫してみんなで議論されてきたんだと思うんですよね。
その一つの流れといいますかやり方として、取消しができる要件、今回三つ増えましたけど、その要件を増やしていく、類型を次々と現場に合わせて設定していくというのが一つ。これは、あることはあると思うんですけれど、それだと、悪徳業者というのは絶えずその裏をかいて、要件を擦り抜けてまた新しいやり方をということなんで、後手後手に回るわけですね。常に後手後手の、後手後手でもそれはやっぱり設定した方がいいと私は思うんですけれど、でも、後手後手になるということと、類型というのは立証がなかなか難しいと、具体的にはですね、ということがありまして、永遠のテーマのようにこの問題というのはずっと続いているわけなんですね。
今回の改正も、その要件、類型の追加、三つ追加したということなんですけれど、追加しないよりはいいかと思うんですけれど、私、結構現場の相談受けてきましたけど、これ本当に役に立つのかなと。ああいう業者はこういう方法で擦り抜けるだろうなということが容易にね、容易に想像できてしまうわけです。
例えば、一つの、勧誘することを告げないで退去困難な場所へ同行して勧誘する場合というのがありますけれど、これは、何か若い人をどこかに連れ込んで閉じ込めて契約させるということならばまあ何とかなるかも分かりませんが、例えば私がずっとやってきたジャパンライフとかマルチ商法だと、友人が旅行に行こうと誘う、で、ちょっと遠いところのホテルに泊まると。旅行かと思って、ですから、勧誘の、するということを告げないで、旅行に行こうよということ。そうしたら、そのホテルでマルチ商法の例のあのパーティーが開かれて、洗脳説明会が開かれると。
退去困難な場所へ同行したに当たるか、あるいはそこから逃げられないと、そんなの大人だったらホテル解約して帰ればいいじゃないかというふうなことになったりするわけで、そういう場合にこれが実効性発揮するかどうか私には疑問なんですけど。
ことごとく、要するに、そういうふうに三つせっかく設けてもらっても、いろいろ立証が難しかったり、どこまで実効性があるのかなということがあるので、二〇一八年の改正は特にそうでしたが、国会で議論をして附帯決議も付いて、研究会と検討会で、二年四か月ですかね、やられて、もう全体でも四年ぐらい掛かっているわけですが、そういう実効性あるものは何なのかという議論をしていただいたと思うんですけれども、結局また同じような類型の追加で終わってしまっているということなんですね。
ですから、この類型の追加は全面否定はしませんけれど、長い議論でずっと現場もあるいは消費者庁も一生懸命追求してもらったのは、もっと包括的な取消し権が何らかの形で設定できないものかということだったと思うんですよね。
高田さんにちょっとお聞きしたいんですけど、これだけの時間掛けてもまた類型の追加でしかできなかったというか、それで終わるということは、その包括的取消しの仕組みとか、まあいろんな言い方ありますが、受皿的な脱法防止規定ですか、そういうものは、これから先も検討会を幾ら開こうが、幾ら検討、何年掛けようが、もう難しいということですか。四年間掛けてもこの三つの類型ということは、取消し権ですよ、取消し権に関してですよ、そういうことになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/153
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154・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、類型の追加というのは立証の困難性の問題が残るのではないか、それはおっしゃるとおりでございます。今回の法律案における取消し権に限らない既存の取消し権においても同様の問題があると考えられます。この点について、要件の具体化、明確化において、消費者にとってより立証容易な使いやすい取消し権となるとも考えられますが、他方で、適用場面が限定されるというような側面もあるかと思います。
この取消し権につきまして、強い効果と事業者の行為規範としての機能を持つことから、要件性の、要件の明確性についても考えなければならないものでございますけれども、このような既存の取消し権の規定とは異なる新たな規定の在り方の検討も含めまして、今後も消費者が安心して安全に取引できるために役立つ民事ルールの在り方を検討することは必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/154
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155・大門実紀史
○大門実紀史君 その骨太の議論ですか、そういうのは後で時間があれば触れたいと思いますが、大事だと思うんですけど、消費者契約法の、だからもう消費者契約法ではここまでしかできないんだと、これから類型の追加をやっていくだけなんだで終わらないで、やっぱり消費者契約法の中でもやれることはまだあると思うんで、そこはちゃんと追求していただきたいんですけれども。
もう一つ、今日も議論ありましたが、検討委員会報告の意見がほとんど法案に反映されていないじゃないかと、乖離があるじゃないかと、これも現場からかなり強い意見が出ております。その答弁に対して、今日もありましたが、検討会報告では意見の隔たりがあって、意見の隔たりがあったんである程度幅のある形でまとめられたという答弁が衆議院でも繰り返されてきましたし、これから参議院で同じ質問があればこういう答弁を繰り返されるのかも分かりませんが、そうだろうかと、経過から振り返ってそうだろうかというのがございましてですね。
報告書の構成ですが、取消し権についての部分だけでも、大体共通していますけど、まず問題の所在というのを書かれているんですね、で、考えられる対応というのがあって、この二つが本体なんですね、本体なんですね。加えて、最後のところで、なおということで、いろんな意見がございましたと、これはほかの省庁のいろんな答申文書でもあることなんですけれども、本体は問題の所在と考え得る対応なんですね。
通常、私もほかの委員会、ほかの省庁と対応していますけれども、法案に向けた検討会、審議会、そういうものがあって、それについての答申をしてもらって、大抵はその方向で法案というのはまとめられるものなんですよね。ですから、私も、この検討会の報告書と法案の乖離は、現場の方だけじゃなくて私も感じるんです、私も感じるんですよね。ですから、その最後のなお書き、なおこういう意見がありましたというのを理由に意見の隔たりがあったから法案化できませんでしたという、何かちょっと答弁がおかしいなと、話がおかしいなというのは、これ誰でも感じる話じゃないかと思うんですよね。
もう一つは、委員の方にもお聞きしますと、検討会の合意事項として、検討会での合意事項として、意見の対立があった事項は別途将来の課題にすると、別途将来の課題にすると、今回の改正の項目には入れないと。したがって、考えられる対応、今回の出された方向性というのは、いろんな意見の隔たりが、隔たりというほどのものはなくって、いろんな意見はあったけど、みんながまとまったものと解釈するのが普通ではないかと。だから、そのまま法改正に進んでほしいのに、みんながそう思っていたのにそうならないから、現場から強い批判の意見が出ているんではないかというふうに思うわけですね。
このことは、今後、先ほども話した、今後、消費者庁の委員会って何だろうと。いろんな検討委員会、消費者委員会がこの前ひどい話ありましたけど、書面デジタルでね、先ほども川田さんが取り上げられましたのありましたが、消費者委員会はまだ独立したものというのはありますが、こういう消費者庁の中で法案を検討してもらう委員会というのは結局ただの公聴会かと、議論だけさせておいて法案は別に作りますよというようなものにもうなるんじゃないかと。
そういうことだったら、消費者団体も、長年掛けて何回も委員会に参加してですよ、意味がないと、こういうことならばと、こうなってくるんですね、なっているんですよね。そういう点で、消費者庁の中のその委員会の在り方、法案作成に向けた委員会の在り方の何か信頼性も今失いかけているというふうに思うんですよね。
だから、やっぱり委員会での答申というのは大事にしていかないと、急に答弁でいろんな意見がありましたからなんて言ったら、もう参加してくれなくなるんじゃないですかね、こんなこと続けていると。ちょっとそういう危惧を感じるんですけど、高田さん、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/155
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156・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
今回の検討会、従来の消費者契約法の考え方を拡充、発展させるものが含まれておりまして、理論的にも実務的にも難しい論点が多く取り上げられた結果、取消し権を始めとして意見の隔たりがある中で、規定案そのものではなく、考え方、方向性を示すという形で取りまとめられております。
もっとも、報告書では考え方の方向性という幅がある形で示されていたところ、そこから、御指摘のような消費者団体、弁護士会などから、期待したレベルから見て法案化が不十分であるとの御指摘があることはよく承知しております。
今回の経過も踏まえまして、今後、骨太の検討ですとか、あるいはいろいろなまた今後のほかの法案等の検討ございますので、今回の経験というのは今後生かしていきたいと思いますが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/156
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157・大門実紀史
○大門実紀史君 私、今回のこの方向性と法案との乖離ですよね、ちょっと善意に捉えますとね、消費者庁は、やっぱりこういう方向で改正図るべきだという、この考えられる対応というのは、誰もみんないい方向出してくれたと思っているわけですね、ですよね。ところが、実際に法案化していくときに、なかなかいろいろ難しい面があってたった三つのこれだけになったとか、もうちょっと何かやりたかったけど、よく分かりませんが、いろんな事情でこれだけになってしまったというふうに、むしろ、ちょっと消費者庁が最初から、さっき言ったように、委員の皆さんに議論だけさせておいて、で、法案はこんなもんだとやったというよりも、本当はこの考え得る対応の方向で法案化したかったんだけれども、なかなかいろんな事情で全部できなくて三つだけになったんではないかというふうに、ちょっと善意で解釈すると、現場の担当者の方頑張っていますからね、と思うんです。
そうすると、何が抵抗したのかと。誰がたった三つのこれしかのまなかったのかと。与党の審議の中なのかと。あるいは事業者が、委員会では言わなかったけど与党に、前、過去あったんですよね、委員会では何も言わないくせに与党にお願いに行ったというのがあったんですね。
何か分からないけど、そういうことでたった三つのこういう失望するような、現場が失望するような改正にしかならなかったとしたら、これはこれでちょっと本当に、大臣、衆議院で、もしそんなことがあったら私のイニシアチブで私が何とかするとおっしゃっていましたよね。そういう政治主導、非常に大事なんですね、この委員会、この消費者庁というのは。さっき言った衛藤晟一さんみたいな方がやればぐっと前に進むし、前回のあの、もう名前言いませんけど、あの大臣なんかはもうマイナスのことをやるわけですよね。やっぱり政治主導があるときは必要だと思うんですよね。
やっぱり現場の気持ちに応えて、やっぱり大臣がここで、今回はもうしようがないでしょうけど、踏み込んで、もっと現場、現場の人たちに応えるものにしろと、するということがあったら、もうちょっと違ったかなというふうに思います。これはまあ、ちょっと意見だけということにしますけれども。
もう一つ考えられるのは、これも答弁で繰り返しおっしゃっていますけれど、いろんな要件が必要だと、特にこういう取消し権の場合、要件が明確でなきゃ駄目だと。これ技術的な作業でありまして、法案にするときに、法制局がこれはちょっと法案にはできませんとかあるじゃないですか。私、確認したところによりますと、この三つ以外、私は今日本当は付け込み問題やりたかったんですけど、ずっとやってきましたので。法文化できる取消し規定はまだ可能だと思っております。それが三つになったというのは、私は法制局の責任じゃないと、法制局から言われてできなかったわけではないと思っております。ここはちょっと分かりませんが、消費者庁のもっと努力が必要かということもあって、ということでございます。
具体的に言えば、付け込み型は、判断力低下ですけれど、これは長いことやってきたので私思うんですけど、これ可能ですよ、幾つか設定することは。これ、骨太の議論とは関係なく、骨太の議論といいますか、いろんな幅広く議論するというのは私も大事だと思うんですけど、消費者契約法の中でまだやれます。その新たな類型設定でもまだやれることはあります。
そういう点で、今日はもう時間がありませんので次回にしますが、特に付け込み型、判断力低下への対応、知りながらですね、事業者が知りながらそれをやった場合はこれ事業者の行為にも関わりますので、事業者の行為以外のことだという答弁ありましたが、これは十分可能でございますので、そういう点も議論を次回していきたいと思いますので、ちょっと若干、その点は調べておいていただければというふうに思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/157
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158・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/158
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159・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/159
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160・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/160
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161・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00620220513/161
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