1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月二十日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
宮口 治子君 宮沢 由佳君
吉田 忠智君 福島みずほ君
五月十九日
辞任 補欠選任
馬場 成志君 高橋 克法君
三原じゅん子君 清水 真人君
五月二十日
辞任 補欠選任
大野 泰正君 本田 顕子君
宮沢 由佳君 森屋 隆君
熊野 正士君 宮崎 勝君
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出席者は左のとおり。
委員長 舟山 康江君
理 事
阿達 雅志君
上野 通子君
川田 龍平君
安江 伸夫君
委 員
大野 泰正君
清水 真人君
高橋 克法君
高橋はるみ君
藤井 基之君
藤末 健三君
本田 顕子君
山田 太郎君
長浜 博行君
福島みずほ君
宮沢 由佳君
森屋 隆君
熊野 正士君
平木 大作君
宮崎 勝君
田村 まみ君
音喜多 駿君
大門実紀史君
国務大臣
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(消費者
及び食品安全)
) 若宮 健嗣君
副大臣
内閣府副大臣 赤池 誠章君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宮路 拓馬君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣府子ども・
子育て本部審議
官 相川 哲也君
警察庁長官官房
審議官 住友 一仁君
金融庁総合政策
局参事官 尾崎 有君
消費者庁次長 高田 潔君
消費者庁審議官 長谷川秀司君
消費者庁審議官 片桐 一幸君
消費者庁審議官 片岡 進君
法務省大臣官房
審議官 堂薗幹一郎君
国税庁長官官房
審議官 田村 公一君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 茂里 毅君
文化庁審議官 中原 裕彦君
経済産業省大臣
官房審議官 蓮井 智哉君
経済産業省大臣
官房審議官 門松 貴君
国土交通省大臣
官房審議官 大澤 一夫君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的
な回復のための民事の裁判手続の特例に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/0
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001・舟山康江
○委員長(舟山康江君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、宮口治子さん、吉田忠智さん、馬場成志さん及び三原じゅん子さんが委員を辞任され、その補欠として宮沢由佳さん、福島みずほさん、高橋克法さん及び清水真人さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/1
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002・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也さん外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/2
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003・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/3
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004・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/4
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005・藤末健三
○藤末健三君 自由民主党・国民の声の藤末健三でございます。
本日は、消費者契約法及び消費者裁判手続特例法の改正案につきまして御質問申し上げます。
私は、今日特に集中してお話しさせていただきたいのは、今大きくITの世界変わりつつございます。一つは、ウエブ三・〇と言われまして、今までの中央集権型の情報システムではなく、ブロックチェーンと言われている分散台帳技術を使い、もうグーグルや今あるGAFAMのように真ん中に全部情報を集め管理する世界ではなく、分散されて情報を管理し、そしてこの真ん中にある仲介者がなくとも個人と個人がこの分散台帳を利用して契約などができる世界が生まれています。恐らくこれから様々なビジネス慣行が変わる中で、このメタバース、そして特にウエブ三・〇という世界の中におけるこの消費者の保護についてお話をさせていただきたいと思います。
この消費者、このウエブ三・〇の世界におきましては恐らく様々な決済手段が考えられますけれど、大きく暗号資産、仮想通貨と言われるビットコインなどの暗号資産が取引に使われるのではないかと想定されております。
これもうあらゆる消費者被害に共通して言えることではございますが、暗号資産取引に係る被害への対応で大事なことは、消費者が払ったお金がきちっと戻ってくることだと考えております。この観点から、特に海外の悪質サイトにおける被害については特定適格消費者団体の役割は大きいと考えておりますが、消費者庁の概要資料には、そもそも過去五年間で訴訟件数は僅か四件に満たないとの記載がございます。
こうした状況に鑑み、現時点において特定適格消費者団体が海外の事業者による消費者被害に適切に対応できていると考えるか、もし対応できていないとすれば、今回の法改正でそうした被害にどのように対応していくかについてお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/5
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006・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
現行制度におきましても、民事訴訟法の規定に基づき、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められる場合には、特定適格団体が海外の事業者による消費者被害について共通義務確認の訴えを提起することが可能でございます。
一方、消費者裁判手続特例法の施行後、御指摘のとおり四件の訴えが提起されたほか、訴えに至る前に任意の返金により解決されるケースも複数見られるなど、一定の成果が上がっているものの、事案の数や救済の規模などについて、なお広がりを欠くとの御指摘もいただいております。
その原因として、海外の事業者が対象になるか否かではなく、現行法ではそもそも取組対象とし得る事案が限られていることなどの課題が指摘されております。
そこで、今回の改正法案では、被害を救済しやすい制度とするために、制度の対象に慰謝料を追加することや、一定の要件の下で被告になる者に個人を追加すること等の制度の対象の拡大などの措置を講じたところでございます。これにより海外の事業者との関係も含めて、消費者被害の救済がより一層図られることが期待されると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/6
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007・藤末健三
○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。
実際に消費者庁の皆様から具体的にこの暗号資産系のどういう被害届があったかということをお聞きしますと、やはり、海外への送金した後に口座が消える、そして連絡が付かないなどのいろいろなケースをお聞きしていますので、是非ともこの特定適格消費者団体をうまく使っていただきまして、今後恐らくこの暗号資産の問題、国際的にも、特徴は何かというと、国境を越えて取引が容易にできるというのが特徴でございますので、国際的な取引の問題が起きる中で、是非とも今回の法改正によるその特定適格消費者団体の活用を消費者庁におかれましては進めていただきたいと思います。
特にこの、次に、質問でございますが、このウエブ三・〇という中で、このブロックチェーンの応用、今特に注目を浴びていますのがNFTというノンファンジブルトークンというものでございます。これは何かと申しますと、様々なデジタルデータが持つ価値を、トークンといいますか、ちょっともうトークンはトークンでやりますと、ある台帳上の記録になり、その登録を、分散台帳に登録することによって様々な権利の移転ができるというものであります。
特に、何があるかと申しますと、このNFT、ノンファンジブルトークン上で流通していますのが、日本の場合、例えば日本の漫画のキャラクターとかアニメのキャラクター、ゲームのキャラクターとかいったもの、又はアイドルの映像などが今取引をされておりまして、例えば鉄腕アトムのこの映像、デジタル化された映像が、昨年のたしか末だと思いますけれど、三千五百万円の価格が付いております。
実際にこのNFTを使われていますサービス、マーケットを見てみますと、名前は分からないんですけれど、本当に、あっ、これは日本人が描いたなというようなキャラクター、絵がすごい高値で販売されているという状況です。実際に、こういう絵を描かれたり、デザインをされたり、キャラクターを作るクリエーターの方々と一回ネット上で打合せをさせていただきますと、様々な要望の中で一番大きいのがこのNFTの環境整備ということでございました。
私の御質問は、このようにブロックチェーン上で発行される代替性のないデジタルトークンであるNFTについて、主に先ほど申し上げましたように、デジタルアートなどの唯一無二のデジタルコンテンツの流通に利用されているところでございますが、このNFTに関わる消費者被害の実態については、政府としてどのように、どの程度把握されていますでしょうか。お教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/7
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008・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のNFTに関し、全国消費生活情報ネットワーク、PIO―NETでございますが、におけます相談件数について、件名、相談概要のいずれかにNFTというワードを含むものは、現時点では、二〇一七年度から二〇二〇年度までは〇件、二〇二一年度は四件、そして二〇二二年度は、一昨日、五月十八日まででございますが、三件程度と承知しております。
具体的な相談事例といたしましては、例えば、NFTの付いたデジタルアートを購入しようと暗号資産を送ったがそのサイトは偽サイトであった、また、ゲーム上のNFTのキャラクターのオーナーになると言われて金銭を支払ったが返金してほしいといった趣旨のものがあると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/8
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009・藤末健三
○藤末健三君 あれ、今のちょっと、昔、私質問したことあるんですけど、消費者庁と申しますか、国民生活センターに対するその登録なんですけど、ネット上ではどのくらいの、何というか、対応ができているんですか。
例えば、メールに、サイトで書き込んで、こういうことがありますよということをたしかネットで書き込むようにしてはどうかということをたしかこの消費者特別委員会で私提案したことあるんですけど、当時はもう電話とかでしか受け付けずに、たしかお昼休みを待って、一般の働いている人が仕事中に電話をしないと、そういう相談ができないような状況だったんですけれど、ネットにおける対応状況、もし分かったら教えていただけませんでしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/9
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010・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
一部の地方自治体においてメールでの相談を受け付けている事例もございますけれども、国民生活センターの相談は基本は御指摘のとおり電話でございます。ただ、デジタル改革、今後重要だと思いますので、そこはデジタル化を進めていこうと今検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/10
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011・藤末健三
○藤末健三君 先ほど三件とか四件という話をしていて、私が聞いているだけでも三件、四件いっているんで、何を申し上げたいかというと、恐らく、このネットでいろいろ活動している人がわざわざ昼間のビジネスタイムに電話を取って電話掛けることはないなと思ったんですよ、正直言って。
是非とも、先ほど申し上げましたように、このウエブ三・〇といいますか、もうネット上の取引が非常に大きいシェアを占める中、かつ働き方も相当変わっていると思うんですよ。もう本当に、九時から十二時、そして一時から多分五時ぐらいだと思うんですけれど、その時間に電話で掛けなさいと言ったら、アプローチできる人って限られていると思います、恐らく。極端な話言うと、今までのテレビショッピングとかで買物される方とか、そういうことをターゲットしているんじゃないかと思いますので、是非ともネットにおける消費者相談の窓口を整備していただくことは重要じゃないかなと今思った次第ですので、是非御検討いただけますでしょうか。
恐らく、これから様々な消費活動のウエートがどんどんネットに移ってくる。今あった分、先ほど申し上げましたように、あるもう固有名詞を言うと、大きなEコマースの中央のセンターがあり、そこが管理していますので、ある程度管理できると思うんですよ。先ほど申し上げましたブロックチェーン、分散台帳をつくったシステムになりますと、個人と個人が直接取引して、それがネット上に記録が残りますという仕組みになりますので、何か問題あったときの補償はほとんどできない。そういう中で海外の人たちと取引をして、お金が払われません、連絡が付きませんという状況を私が聞いている範囲でも相当聞いていますので、是非、そういう状況に対応できるべく今から変えていただきたいと思います。大臣、是非お願いします。
これだけ消費がネットにどんどんどんどんシフトしている中、特にコロナでシフトしていると思う中で、電話で昼間しか受け付けませんという状況ですと、恐らく消費者の本当の相談したいニーズ、把握できていないと私は思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、今後、このようなNFTに関する消費者被害、今は数件しか把握されていないということでございますが、政府等もしっかり対応していただかなきゃいけないと思っております。
ただ、そもそもそのノンファンジブルトークンを担当している省庁がはっきりしていないという大きな問題点がございまして、担当する省庁が明確でないと一番困りますのは、デジタルコンテンツを楽しむ消費者や、またそういうコンテンツを作るクリエーターでないかと思います。
この点につきましては、例えばデジタルコンテンツの普及促進、利用拡大を通じた経済の振興という観点からコンテンツ業界を所管する経済産業省がやられ、またデジタルアートを含む文化芸術の振興を所管するという意味では文化庁が中心となり、もう既に文化審議会でも議論を続けてしておりますし、また同時に、このNFT、また先ほど申し上げたウエブ三・〇の基盤となるものとして暗号資産を所管する金融庁がやられるわけでございますけど、このような関係する省庁、特にこの三省庁が連携して取り組んでいただく必要があると思うんですが、その点いかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/11
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012・門松貴
○政府参考人(門松貴君) 済みません。お答えいたします。
今先生御指摘ございましたNFTでございまして、先生がまさにおっしゃったとおり非常に多岐にわたる分野で使われるものですので、関係省庁の連携、特に重要だというふうに思っております。今並んでいるメンバー、しょっちゅう話をしているという状況に今ございます。
まず、NFTでございますが、御指摘のとおり、ブロックチェーンの特徴を生かして、極めてコピーが容易なデジタルコンテンツに代替不可能なトークンをひも付けるというものですから、これで唯一性を帯びさせる仕組みでございます。そのため、リアルにおける絵画のように、サイバー空間上のデジタルコンテンツを資産性を有する商品として取引することが可能になるという仕組みですので、その仕組みを利用する関係省庁、たくさんあるんだと思います。
そんな中、我々経産省でございますが、アニメやゲームなどの国際競争力を有する豊富なコンテンツを有する我が国ですから、NFTの活用を促進することでクリエーターの収益源多元化など新たな市場創出等が期待されるという効果がございますので、経産省においてNFTをコンテンツ分野に活用する際の課題と方策を整理すべく、調査事業等を通じて今検討を進めているということでございまして、引き続き、関係省庁と密接に連携しながら、コンテンツ産業の振興に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/12
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013・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) 近年、我が国のデジタルアートなどの領域におきましてNFTを活用した取組が増えていると承知しておりますが、ブロックチェーンを活用することによるデジタルコンテンツの取引機会の拡大など、文化芸術の振興の観点からも意義があるものというふうに考えております。
文化庁といたしましては、新たに着目されているその汎用技術である御指摘のNFTにつきまして、クリエーターへの収益還元に関する取組など、文化芸術の振興の観点から有効な活用策を促進すべく、経済産業省を始めとした関係省庁と緊密に連携しながら前向きに検討してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/13
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014・尾崎有
○政府参考人(尾崎有君) お答え申し上げます。
デジタルコンテンツやデジタルアーツあるいはNFTにつきましては金融庁が所管しているものではありませんけれども、NFTやその基盤となるブロックチェーン技術についてはデジタルコンテンツ分野を含めて様々な利活用の可能性があるというふうに認識しております。
金融庁としても、経済産業省や文化庁等の関係省庁と連携して、利用者保護等に十分に配意した責任あるイノベーションの実現へ向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/14
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015・藤末健三
○藤末健三君 是非、三省庁連携して進めていただきたいと思います。
例えば、文化庁におかれましては、昨年、失礼しました、三月末に文化審議会の文化経済部会の報告書を出していただき、その中にNFTを明記し、かつ参考という形ではございますが、税制の問題等も指摘していただいていると。また、ちょうど昨日ですか、経済産業省は産構審におきましてウエブ三・〇、NFTを含めこれからの展望を示していただき、そしてその中でやはり税制の問題点を指摘していただいていると。これは本文に載っていますので、相当踏み込んでいただいていると思います。
そういう中で、是非、金融庁におかれましては、この暗号資産という観点から、まさしくNFTの中に、NFT、またウエブ三・〇における恐らく資金決済の主力を成すのは仮想通貨、暗号資産となると思います。実際に、NFTのみならず、今ゲーム内においてもこの仮想通貨、暗号資産的なものが利用されているという状況でございまして、この暗号資産がメタバースやウエブ三・〇で使われるためには何が必要かという議論でいきますと、先ほど文化庁の文化経済部会の報告書、また産構審の議論の中においてもやっぱり税制という話が出ております。
一般の暗号資産ホルダー、保有者からも暗号資産のユーザーからも非常にこの税制に対する要望が出ておりまして、特に暗号資産の大型ホルダーについては、日本に最終的に戻りたいと思いながらも税制の部分が非常に大きなハードルとなりまして、やむを得ずシンガポールやドバイに移っている人がいるという状況でございます。
具体的に言いますと、日本の場合は、その暗号資産、利益が出た場合には雑所得の総合課税になってしまうと。ですから、最大五五%、地方税も入れて五五%になる一方で、例えばシンガポールにおいては税金掛からないという状況でございますので、本当に多額のその暗号資産による所得がある人たちが実際にシンガポールとかなどに移ってしまっているという事実、実際に私も目にしております。
そのようなお金の問題だけではなく、ビジネスも、行う人たちも例えばシンガポールでビジネスを行っている。実名を挙げると、渡辺創太さんという若い方は、海外で結局はこのブロックチェーンテクノロジーを使ったベンチャーをつくり、実はもう成功し始めているという。そのように、この有能な人材を取り戻して巨大な暗号資産の市場を我が国に呼び込むことは、国にとっては非常に大事なことだと考えております。
暗号資産は、FXや先物取引のように既に分離課税が実現しているボラティリティー、価格変動がある金融資産と比較しても遜色がないと私は考えておりまして、分離課税を進めていくべきではないかと思います。この点につきまして、経済産業省を基点とする調査チームをつくっていただき、各省とうまく連携して税制改正に向けて前向きに進めていくという取組を取り組んでいただきたいと思います。
分離課税を推進していただき、国内の暗号資産の流通量の増加及び暗号資産、デセントライズファイナンス、DeFiと申しますが、分散型の金融、関連サービス企業が国内で育つことによる方が税収も増えると考えますが、これ、財務省にお聞きしますが、現状の暗号資産分野における税収はどのくらいのものかということを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/15
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016・蓮井智哉
○政府参考人(蓮井智哉君) お答え申し上げます。
ブロックチェーン技術の進展により、暗号資産ですとかNFTなどを活用したトークンエコノミーと称される新たな経済活動や産業が生まれており、その結果、商取引や資金調達の在り方、企業の組織、ひいては産業構造自体が大きく変わり得るという見方もございます。こうした問題意識踏まえまして、御指摘いただきました昨日の産業構造審議会総会におきましても、こうした新たな経済活動や産業の可能性についても御議論をいただいたところでございます。
これらの領域では、世界的にも今まさに進化を続けているというところでございます。まさに動いているところでございますが、その中で、我が国におきましては、御指摘の点も含めた税制面などの制度上の課題があるというお声も伺っているところでございます。
こうした状況を踏まえながら、スタートアップを中心に、これらの領域における新たなビジネスが生まれる環境をどう醸成していくかと、そういったことが重要と考えてございまして、こうした新たな動きを経済成長のチャンスと捉えまして、民間による様々な創意工夫を促進していけるように、国内外のビジネスの潮流をよく把握しつつ、関係省庁としっかり連携をいたしまして必要な政策を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/16
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017・田村公一
○政府参考人(田村公一君) お答えいたします。
個人の方が行われる暗号資産取引により生じた所得につきましては、一般的に所得税法上雑所得に区分されることとなります。
国税庁が実施しております申告所得税標本調査におきましては、暗号資産取引により生じた所得を含むその他の雑所得につきましては把握をしておりまして、その所得金額は直近の令和二年分におきまして約四千五百七十八億円となっているところでございます。
ただし、この所得金額には、暗号資産取引により生じた所得のみならず、例えば個人年金保険や互助年金等が含まれております。それらの内訳の金額につきましては把握しておりませんので、委員御指摘の暗号資産分野につきまして、その雑所得に係る税収についても把握をしていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/17
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018・藤末健三
○藤末健三君 今の国税庁のお答えですと、最大で四千五百億円という形ということは分かるわけですよね、そういう意味ですと。是非、暗号資産、これから大きなウエート占めてくると思いますので、把握していただきたいと思います。
余り知られている話ではないですけれど、今暗号資産の総合的な価値の合計額は、変動はありますが、約三百兆円。日本のGDPの六割にも相当する額までになっていると。恐らくこれは日銀の持っているバランスシート上の金融資産と余り変わらないぐらいの規模になっていると思います。それだけの規模に育っていますので、是非とも、財務省におかれましては、仮想通貨と言われる暗号資産の一つの税収のカテゴリーとして分析いただきたいと。
そしてまた、私が提案したいのは、これは恐らく、分離課税にすることによって海外に流れている暗号資産が国内に流れ、そして巡回することによって税収私は増えると思います、間違いなく。そのデータを整備していただきたい。特に経済産業省におかれましては、これからいろいろ取り組んでいただくと思うんですけれど、今回、参考資料の中で税制の問題点を指摘いただきましたので、様々なデータを集めて取り組んでいただきたいと思います。
今、自民党におきましては、そのNFTのプロジェクトチームが三月末にホワイトペーパーを書かさせていただきました。恐らくこれから、これもう党に関係なく、党派を超えて、新しい日本の基盤であるこのウエブ三・〇、ある意味中央集権型のGAFAの世界を変えていくような世界が、ITの世界が生まれますので、そういうところを連携しながら是非活動させていただきたいと思います、国会と行政府が、立法府が。
その中でも特に大事なのはやっぱり税制でございまして、二〇一七年に資金決済法を改正し、我が国はほかの国に先んじて仮想通貨という定義を法的に作り、そして整理が進んできたものの、今やもうほかの国に抜かれてしまった。なぜかというと税制の問題ということでございまして、アメリカにおいてはもう分離課税になっています。あと、少額の取引については無課税。また、ドイツも、数か月前に、一年間以上保有した仮想通貨、暗号資産については課税をしない、六百ユーロ以下の取引については課税をしないというような動きで、他国はどんどん動いていますので、是非、経産省、金融庁、そして文化庁が連携して進めていただきたいと思います。
そういう中で、またNFTの話に戻させていただきますと、このNFT、先ほど申し上げましたように漫画のキャラクターとかゲームのキャラクター、アニメなどが今流通を始めているわけでございますが、このような漫画、アニメ、ゲームの創作文化分野において、昨年末、コミックマーケット99というものが開かれました。実は、私も同人誌作家側として参加しておりまして、これコロナ対策の実証実験が実施されまして、その実証実験の結果も踏まえまして今年三月のイベント制限が緩和されたと伺っています。
また、夏にはコミックマーケット100、百回目が開催される予定となっておりますけれど、同人誌即売会の取組について、今後どのような販路拡大等のための促進策、支援策を検討されているのか、経産省や文化庁のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/18
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019・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
まず、経産省としてですが、日本発のコンテンツの海外展開を支援すべく、コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業、いわゆるJ―LOD補助金を措置をしておりまして、海外展開への出展や作品の翻訳等の支援をしておるところでございまして、補助金の要件に合致すれば同人作品の海外市場の販路開拓に使う人に対しても支援ができるという形になっております。
このJ―LODをやるに当たって、常にこれ文化庁さんのアーツ・フォー・ザ・フューチャー事業等々と連携をしてやっていますので、両省協力しながらこれきちんとやっていきたいということでございます。
日本のコンテンツ産業が世界市場を獲得できるよう、引き続き海外展開を促進する施策を講じてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/19
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020・中原裕彦
○政府参考人(中原裕彦君) 文化庁におきましては、令和三年度補正予算のアーツ・フォー・ザ・フューチャー2事業におきまして、長期にわたるコロナ禍により甚大な影響を受けた文化芸術活動の再興を図るために、文化芸術関係団体が感染対策を実施した上で積極的に公演や展覧会等を開催し、その活動の充実発展を図る取組を支援することとしております。
同人誌即売会の開催も支援対象となり得るものでございまして、関係者の方に活用いただけるよう、分野別の相談会も実施しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/20
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021・藤末健三
○藤末健三君 本当に、経済産業省及び文化庁の皆様の取組、本当に感謝申し上げたいと思います。
実は、昨日でございますけれど、このような同人誌即売会の主催者側の方々と関係省庁の方々、そしてまた東京都庁の関係者、ビッグサイトという非常に大きな展示場ございますので、関係者に集まっていただきまして、今後、今まではどちらかというとキャンセルされたもの、中止されたものに対する補償が中心だったんですが、いよいよコロナが、アフターコロナに向けて動き出している中で、開催に向けて支援をどうしていくかという議論をさせていただきました。
その中で、その展示会の支援、ですから、例えば展示をするときには半分補助金とか、そういうものを展示者側に支援する制度というのは実は経済産業省は持っておられます。ただ、その制度は、同人誌即売会というともう個人のサークルの方々が展示、出版、出展者になりますので、なかなか利用しない、できないという話もございましたので、是非経済産業省におかれましては、その個人の出展者に対する支援制度みたいなものも是非、制度の、何というんですかね、利用しやすさを工夫していただきたいということをここでちょっとお願いさせていただきたいと思います。
話を暗号資産の方に戻させていただきますと、近年、暗号資産の取引は拡大しているということでございまして、代表的な暗号資産であるビットコイン、あとイーサリアムなどは、過去五年においては毎年二倍以上、もう本当に、半導体ではムーアの法則というのがございますが、年に二倍と。ですから、二年で四倍、三年で八倍、四年で十六倍というようなペースで増加しております。
しかしながら、これに伴いまして、消費者が悪質な業者の被害に遭う事例も増えていると懸念しています。特に、本年四月に民法上の成人年齢が引き下げられまして、十八歳、十九歳の被害事例が増加しているんではないかということを懸念しておりまして、政府が現時点で把握している暗号資産取引における消費者被害の実態について教えていただけますでしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/21
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022・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘の暗号資産に関し、全国消費生活情報ネットワーク、PIO―NETにおけます過去五年間の相談件数についてでございますが、現時点で、二〇一七年度が二千九百十件、二〇一八年度が三千四百五十四件、二〇一九年度が二千八百一件、二〇二〇年度が三千三百四十六件、そして二〇二一年度は六千七十六件程度と承知しております。
具体的な相談事例としては、例えば、絶対にもうかるなどと持ちかけられて投資をしたが返金されない、出金できない、また、無登録業者に勧誘されて投資をしたがその後当該業者と連絡が取れない、また、マッチングアプリで知り合った者に勧誘されて投資をしたがその後返金されない、連絡が取れないといった趣旨のものがあると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/22
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023・藤末健三
○藤末健三君 やはりこの被害、被害と申しますか、この被害若しくは相談の事例が、事案が増えているということはもう明確に理解できたと思います。
今御説明いただきました、金融庁、消費者庁、警察庁が連名で公表されています注意文書、あるいは国民生活センターがウエブ上で公開しています被害事例などを見ますと、大きく、一つは出金できない、あるいは出金に際して高額の費用を請求されるケースがあるということ、それで二つ目にサイト運営者と連絡取れなくなるケース、そして三つ目に海外の取引所が関連するケースがございます。
これらのケースについて、そもそもその現行法の下でどのような対応が取れるのか、そのことを教えていただけますでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/23
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024・片桐一幸
○政府参考人(片桐一幸君) お答えいたします。
暗号資産に係る取引でございますけれども、まず一義的には資金決済法の監督下に置かれているものと承知をしております。その上で、仮にその資金決済法に規定する暗号資産には該当しないものの、暗号資産をうたっている取引などであって、かつ特定商取引法の各種取引類型の規律に違反する行為があった場合には、特定商取引法に基づく行政処分の対象にもなるものでございます。
過去、実際に仮想通貨をうたう取引を行う連鎖販売業者について特定商取引法に基づく行政処分を行った例もございますところ、消費者庁としては、特定商取引法違反に該当する取引については引き続き厳正に対処してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/24
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025・藤末健三
○藤末健三君 恐らく、個人的な見解でいくと、まだまだ法整備の方が追い付いていないと思うんですよ。
一つありますのは、その暗号資産の取引というのは通常の物の取引とは違いまして、あくまでもデータがあって実体がない資産の取引、先ほど申し上げたようなNFTとかそういう取引になるわけでございますけれど、そういう特殊性があると思います。そのために、サイトの運営者が突然サイトを閉鎖したり、又は連絡が取れなくなった場合においても、実情、消費者に既に被害が生じているにもかかわらず、それをもって直ちに消費者契約法上の取消し事由が発生した、又は民法上の不法行為が生じたと言えない可能性がございます。
現行の消費者法は、主にその実体があるもの、また、その売買とかサービスの提供を念頭に置いていると思いますが、これがその暗号資産取引の実態に合っているかというと、合っていないんではないかという印象を私は持っています。
このような点を踏まえまして、暗号資産取引に関する消費者問題について何らかの法制上の対応をする必要がないかどうか、お聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/25
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026・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
消費者契約法における消費者契約の対象については特段の規定はないため、有体物ではない暗号資産のような新しいものも対象となります。例えば、今回の法律案について言えば、暗号資産についての取引において、免責の範囲を不明確にする条項が用いられていればそのような免責規定は効力が認められないことになります。
暗号資産を始めとして今後も新しいものが取引されるようになることが想定されますが、消費者庁としては、そういったものについての被害の状況を注視し、関係省庁と連携して必要に応じて対応を検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/26
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027・藤末健三
○藤末健三君 是非御検討いただきたいと思います。
先ほどウエブ三・〇という話を申し上げましたけれど、真ん中にこういうEコマースのセンターがあって、それから取引を行うという世界ではなく、本当に分散された中で、国境を越えてこの人とこの人が直接取引をする、そして決算を仮想通貨、暗号資産で行うということがもう始まっています。
特に、今始まっているのがNFTという、デジタルの絵とかキャラクターを販売する、画像を販売する、そういう取引がもう始まっていますので、まだ数件ということではございますが、恐らく暗号資産の事案が六千件を超えるというふうになっていると思いますけれど、恐らくこれもあっという間に六千件を超えると思いますし、もう一つ申し上げますと、ほとんどの方々がやっぱりネット上で活動していますので、是非ともそういういろんな苦情や相談をネットで受け付けるようにしていただいた方がベターじゃないかなと思います。そうしたらAIも使えますから、極端な話言いますと。それを是非御検討いただきたいと思います。
ですから、まさしく新しいこのウエブ三・〇というのはもう今起き始めていまして、その中における、今まではどちらかというとフィジカルな、物のサービスみたいな形で消費者活動を見ているものを、やはりネットで全部完結してしまう世界、それを想定したものをつくっていただきたいと願います。
続きまして、金融庁、消費者庁、そして警察庁、それぞれが消費者向けの相談窓口を設けています。設けているとともに、連名でトラブルに対する注意を喚起していると、そういうことをしていると認識しております。もしトラブルがあった場合、この相談窓口に電話すると具体的にどのような支援が受けられるか、その点につきまして簡潔に御説明いただきたいと思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/27
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028・尾崎有
○政府参考人(尾崎有君) お答えいたします。
金融庁の相談窓口に相談があった場合には、利用者からまず丁寧に御事情をお伺いし、関連するアドバイスを行っております。
また、登録された暗号資産交換業者に関する相談である場合には、事務ガイドラインに基づき、相談者の了解を得て事業者に伝達しているほか、必要に応じて行政上の対応を行っているところでございます。
無登録業者に関する相談である場合には、できる限りの実態把握を行った上で、必要に応じて照会書や警告書を発出し、さらに当庁ウエブサイトで警告した先の事業者名を公表するとともに、捜査当局等と連携するなど、厳正に対処しております。
また、詐欺等が疑われるような事案に関する相談である場合には、捜査当局へ情報提供を実施しているところでございます。
金融庁においては、今後も利用者からの相談に対し適切に対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/28
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029・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
消費者ホットライン一八八、いややでございますが、これにつきましては、消費生活センター等の消費生活相談窓口の存在や連絡先を御存じではない消費者に対しまして、最寄りの消費生活相談窓口を案内するものでございます。
消費生活相談におきましては、商品やサービスの契約等の消費生活におけるトラブルに消費者が直面した際に、トラブル解決のための助言やあっせんを行っているところでございます。
委員御指摘の暗号資産はもちろん、その他の相談に関しまして、消費生活相談において、個別の事案の内容を踏まえつつ、必要に応じ金融庁や警察庁が設けております相談窓口とも連携することで、消費生活相談の適切な解決を図ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/29
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030・住友一仁
○政府参考人(住友一仁君) 答弁申し上げます。
警察の相談窓口としては、専用電話シャープ九一一〇を全国統一番号として設置をしているところでございます。こちらに電話を掛けますと、発信地を管轄する警察本部の総合窓口に接続されることになります。この専用電話では、いただいた相談内容に応じて関係する部署が連携して対応し、捜査の端緒とするほか、指導、助言、他の専門機関の教示を行うなど、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じているところでございます。
警察庁としては、今委員から御指摘いただきましたこの暗号資産に係る相談はもとより、その他の事案につきましても、引き続き金融庁や消費者庁等関係機関と緊密に連携をし、この相談窓口が適切に対応できるように都道府県警察を指導してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/30
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031・藤末健三
○藤末健三君 本当に三つの役所の方々、金融庁、消費者庁、警察庁の取組を教えていただき、ありがとうございました。
是非とも、非常に良い取組でございますので、引き続き横の連携を密接にしていただき、三庁でタッグを組んできめ細かく対応していただきたいと思います。特に、今後は十八歳、十九歳の被害者例が増えてくるんではないかと予測しておりますので、その点にもきちんと対応していただきたいと思います。
ただ、これまで私自身が聞いていた消費者被害の実態を見ますと、先ほど金融庁の方からも無登録業者の話がございましたが、私は、やっぱり悪質な事例は主にこの無登録業者によるものではないかというふうに推察しています。無登録業者による暗号資産の売買などは罰則をもって禁止されているところでございますが、悪質な無登録業者に対しては、事務ガイドラインに基づき、情報収集、文書による照会、警告の後に公表と、あっ、告発と公表がなされるものと理解しております。
これらの対応により無登録業者による消費者被害は十分に防止できていると考えていいのか、また、事前と事後の取組の双方について、現状の対応状況について教えていただきたいと思います。もしこれが十分に対応できない、できていない面があるんだとすれば更に取締りを強化する必要があるんではないかと考えますが、金融庁のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/31
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032・尾崎有
○政府参考人(尾崎有君) お答えいたします。
ちょっと繰り返しになりますけれども、金融庁としては、無登録業者に対して、情報収集、警告等の発出、利用者への注意喚起、捜査機関との協力などの対応を適宜行っているところです。また、無登録業者による消費者被害防止に係る事前の取組といたしましては、消費者庁、警察庁と連携して、登録を受けていない事業者ではないか、無登録業者として警告された事業者でないか、必ず事前に確認することといった利用上の注意や暗号資産の被害事例などを取りまとめ、注意喚起を行っているほか、詐欺等が疑われる事案に関しましては、捜査当局へ情報提供を実施しているところでございます。
金融庁においては、これらの取組によって暗号資産に係る利用者保護に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/32
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033・藤末健三
○藤末健三君 是非進めていただきたいと思います。
今回の法改正は、消費者契約を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、消費者が安全、安心に取引できるセーフティーネットを整備するというのが目的でございます。是非、今日私が御提案申し上げましたように、新しいこのネットの取引の世界が今生まれつつある、そういう中で、是非このウエブ三・〇の中における消費者保護の在り方につきましても、今からでも僕はもう議論を是非やっていただきたいと思います。既に仮想通貨、暗号資産のそのクレームの案件は大分出てきているわけでございますので、新しく、この消費者庁、そして金融庁、経済産業省などが連携していただきまして、新しいウエブ三・〇における消費者保護を議論していただきたいとお願いしまして、私の質問を終わらさせていただきます。
本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/33
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034・宮沢由佳
○宮沢由佳君 立憲民主・社民の宮沢由佳です。質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
消費者契約法は、消費者政策の最も重要な柱です。消費者取引における悪質な商取引を抑止し、救済する手だてを持つ法律で、消費者が安心して消費生活を送っていくための基盤を支えます。
しかし、近年の法改正では、一部の悪質な商法について後追いで消費者に取消し権を与えるなど、イタチごっこになってしまっていると思います。今国会の衆議院での御議論や参考人からの御意見からも、一つ一つの商法に対応していくのではなくて抜本的な見直しが必要とされていることは明らかです。特に、成年年齢引下げによる消費者被害対策としての法整備は不十分だと思います。
先日、衆議院で、アダルトビデオ出演被害に関して、契約を取り消す内容の法案が与野党の実務者会議において合意されました。支援者の皆さん、超党派の議員の皆さんが努力したおかげで、これまでにない画期的な被害救済法案ができたと言っても過言ではありません。
一方で、これは、十分に対策を講じた、だから成年年齢引下げが実施できる環境となっているといったこれまでの政府答弁に反するものです。十分に対策が講じられていたのなら、このアダルトビデオ被害防止法のように、一部の課題を積み残しながらも法案提出を急ぐでしょうか。与党の皆さんも、四月一日からの成年年齢引下げによって明らかに生じる穴があり、塞ぐ必要があると判断された、そのように考えます。
こうした問題が、今回のアダルトビデオ出演被害以外にほかにはないと断言できるのでしょうか。成年年齢引下げによる消費者被害について、大臣に見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/34
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035・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員が御指摘になられましたこのアダルトビデオ出演被害問題、これ被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害だというふうに思っております。年齢や性別を問わず、この被害が増えるような事態は何としてでも回避しなければいけないと、こういった認識を持っているところでございます。
ただ、そのような認識の下、今お話しいただきましたように、与野党六党の実務者の大変な御努力によりまして、年齢、性別を問わないこのアダルトビデオ出演契約を無力化する特則等を設ける法案の素案、これ取りまとめられたものというふうに承知をいたしているところでもございます。
また、若年者に多いこの消費者被害につきましては、これまでの法改正に加えまして、今回の法案に盛り込んだ措置もこの被害の拡大の防止に資するものというふうに考えているところでもございます。
この法改正以外に、この成年年齢の引下げを見据えまして、高等学校等におけます消費者教育の推進、あるいはSNSや政府広報を活用した情報発信の強化、それからまた若年者に寄り添った相談体制の充実、詐欺的な定期購入商法への対策の強化、こういった施策を講じてきているところでもございまして、本年三月末には、四省庁の連携によります成年年齢引下げ後の若年者への消費者の教育推進方針、これも作成したところでもございます。
この消費者被害の問題につきましては、今後も、年齢、性別問わず、刻々と変化をする社会環境の変化、あるいは消費者の様々な脆弱性等により新たな類型の被害が発生し得るものというふうにも考えているところでもございますので、こうした被害の状況を適切に把握しながら必要な対応を随時取っていきたいな、検討してまいりたいな、こう思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/35
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036・宮沢由佳
○宮沢由佳君 しっかりと対応していただきたいと思います。
既に皆さんが御存じのとおり、十八歳、十九歳の若年者には今年三月三十一日まで未成年者取消し権がありました。これは、未成年者が法定代理人の同意を得ずに締結した契約について、未成年者であることだけを理由に取り消せる権利です。この未成年者取消し権の喪失に対し、二〇一八年改正では、デート商法などの取消しなど、若年者を意識して一部改正されました。しかし、このようなピンポイントな契約の取消しでは、未成年者取消し権を失う若年成人を社会として守る仕組みはできないと、できているとは言えません。
今回、二〇一八年改正時に付した附帯決議への対応も含めて改正案が提案されておりますが、本来、判断力等に欠ける若年成人や高齢者被害への対策も含めた包括的な取消し権が必要であることは間違いありません。抜本的見直しを行い、包括的な取消し権の創設に向けた検討を今すぐ開始すべきだと思います。大臣の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/36
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037・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費者契約法、これは、今委員もお話しになりましたけど、この平成三十年の改正で、主として若者に発生している被害の事例あるいは加齢や認知症等の心身の故障により合理的な判断ができない消費者の被害の事例を念頭に置きました取消し権を創設をしており、今回の法律案でも、威迫して相談を妨害した場合の取消し権など、若者や高齢者の消費者被害の防止にも資する規定を追加しているところでもございます。
また、今御指摘いただきましたように、判断力の低下に着目した制度につきましては、この認知症等により判断力が低下している等の消費者の属性に基づく類型的な脆弱性はもとより、消費者であれば誰もが陥ってしまうような一時的な脆弱性も含めました、消費者の様々な脆弱性を踏まえた検討の必要があるとも考えているところでもございます。
その検討に当たりましては、参考人の方々からも既存の取消し権にとらわれない損害賠償制度等の必要についても指摘があったところだというふうにも思っております。このような御示唆も踏まえまして、抜本的かつ骨太な議論、これを早期に開始する必要があるというふうに思っているところでもございます。
また、今、包括的な取消し権というようなお話向きもございましたが、恒常的、類型的な脆弱性を有します消費者につきましては、場面や要件の具体性が少ない、あらゆる場面に行使できるような取消し権、これを定めますと、事業者がそのような消費者との契約を回避するような傾向が出てくることの可能性もあり、かえって消費者に不利益をもたらすことということも考えられるのではないかというふうに思っております。
また、検討会の報告書におきましても、この消費者の判断力の低下という類型的な脆弱性に着目をした取消し権の方向性につきましては、対象となる契約、これは真に必要な範囲に限定すべきとの考え方が示されたところでもあろうかと思っております。
いずれにいたしましても、この消費者被害の救済に有益な仕組み、これしっかりと検討する必要があると思っておりますので、国会での御議論又は参考人の皆様方からの御意見等を踏まえまして、既存の取消し権の枠組みにとらわれないような抜本的な検討を早期に開始すべきというふうに考えているところでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/37
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038・宮沢由佳
○宮沢由佳君 後追いにならず、早急に検討していただきたいと思います。本来であれば、十分な法整備がなされている状態で今年の四月一日を迎えるべきでした。
被害の実績が積み上がるのを待つのではなく、予防的な対策を打つべきと考えます。同時に、若年成人を社会に送り出す主な場となる高等教育の現場での契約等に関する認知度を向上させることも重要です。今まで、保護者の下、社会経済的に自立していなかった大部分の高校生がいきなり、違法行為を行う、また脱法行為すれすれの行為を行う悪徳業者が虎視眈々と被害者を狙っている社会の中に放り出されるのですから、知識や知恵を授けるのは私たち大人の責任です。
令和三年度成年年齢引下げ浸透度フォローアップ調査では、十八歳成人になったら、後からやめておけばよかったと思ったり気が変わったりしても原則として取り消すことができないことを知っていると答えたのは約五〇%、たった半分の若年層でした。
この数年間は、感染症対策の対応もあり、教育現場では大変なしわ寄せが及んでいます。しかし、直接的に若年成人に接する場を持つのはやはり教育現場であることは間違いありません。若年成人の契約に関するリスクについて、この大変な教育現場で十分に伝えていく必要があります。
政府として、この浸透度を学校教育の場で引き上げるためにどういった対応をされるのか、文部科学省、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/38
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039・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) お答えいたします。
若年者の消費者被害を防止、救済するためにも、若者が責任ある消費行動を取ることができるよう、その発達段階に応じまして契約などの消費活動に関する教育を行うことは極めて重要だと考えてございます。
文科省といたしましては、学習指導要領におきまして、小学校段階から消費生活に関する内容を充実したところでございます。特に、高校教育におきましては、家庭科に新たに契約の重要性や消費者保護の仕組み、こういったものに関する内容を盛り込みました。また、公民科に新しい必修科目、公共を設けまして、消費者の権利と責任に関わる学習を行うこととしており、未成年者と成年者、成年の法律上の責任の違いや消費者被害の防止、救済についての指導が行われることとなってございます。
なお、これらにつきましては、高校生が十八歳の成人になる前に必ず学ぶこととなってございます。
また、各学校の学習を支援するためにも、先生方の精神的な、また肉体的な負担を軽減するためにも、文科省といたしましては、消費者教育の教材「社会への扉」とその教師用の解説書の活用、また消費生活相談員や弁護士等の外部講師の活用、こういったものを促しているところでございます。
さらには、教員の質を高めるために、独立行政法人教職員支援機構におきまして、研修動画をウエブサイトに公開しているところでございます。
引き続き、優れた事例、こういったものを横展開も始めまして、学校における消費生活に関する教育の充実、これに努めてまいりたいと、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/39
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040・宮沢由佳
○宮沢由佳君 学校現場では、コロナ対策とともに、さらに契約についての教育の時間もつくらなければいけない、教育現場の負担、本当に大変だと思います。この軽減をしっかりと支えていただきたいというふうに思います。
また、教育現場においても成年年齢引下げに関しての課題があります。
十八歳以上は成年、十八歳未満は未成年、そのため、親権者の同意の要否について差が生じます。その上で、十八歳以上が多く在籍し得る高等教育の現場では、退学届の取扱いが各都道府県教育委員会によって違っています。ある教育委員会では退学届に保護者の署名は必要としていません。また、ある教育委員会では保護者の届出が必要。
そこで、文科省にお伺いします。文部科学省では、退学などの際に学校、生徒、親の三者で話合いの場を設けるように各都道府県教育委員会に促したということですが、各県の対応方針については確認されているのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/40
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041・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) お答えいたします。
今般の成年年齢の引下げによりまして、父母等の同意なく退学が可能となるケースが生じることなどを踏まえまして、各学校等においてあらかじめ留意すべき事項を周知するために、文科省としては事務連絡やQAを作成し、発出したところでございます。
その中では、二つございまして、一つ目として、学則等において、退学等に関しては父母等の同意を得ることとし、生徒が単独で校長の許可を得ることができないと定めることもできるということであることや、二つ目といたしましては、教育指導上の観点から、事前に学校や生徒、そして父母等との間で話合い、こういった場を設けることなどが重要、こういった二つのパターンなどを記載し、周知しているところでございます。
退学手続における父母等の同意の在り方につきましては、各学校において一義的に判断されるものでございますが、文部科学省といたしましては、この発出している事務連絡やQAに即し、申し上げました二つのパターン、この二つのパターンのいずれかにより、各学校において適切に対応するということを各都道府県教育委員会から聞いているところでございます。
いずれにいたしましても、成年年齢に達しました生徒に係る在学中の手続等に関しまして、学校現場で混乱が生じることがないよう、引き続き、その趣旨の徹底に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/41
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042・宮沢由佳
○宮沢由佳君 今、私が聞いたのは、各県の対応方針について確認をしたかどうかを聞いたんですけれども、確認はしているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/42
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043・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) これ、電話による聞き取りでございますが、確認したところ、先ほど申し上げましたこの二つのパターンを、それぞれ判断に基づきまして都道府県において対応されているというふうに聞いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/43
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044・宮沢由佳
○宮沢由佳君 では、把握しているということでよろしいですか、各県の対応については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/44
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045・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) 現時点の状況については把握してございます。
また、実際はこれからどういう取組がなされているか、また、どういう困ったことがあるか、そういったことをしっかりと文科省としても把握してまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/45
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046・宮沢由佳
○宮沢由佳君 各現場で混乱が生じると思いますので、是非いろいろな細かな対応をお願いしたいと思います。
成年年齢引下げは、若年者の社会参画を早めることを期待し、検討が開始されました。しかし、社会が十分に準備できていないまま、成人となるスタートラインから消費者被害に遭ってしまうことがないよう、今からでもできることは十分に対応すべきと考えます。
最後に、今後の対応も含め、大臣の決意を伺って質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/46
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047・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/47
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048・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) はい。
若年者の間で健康、美容関係、いわゆる情報商材などもうけ話に関するトラブルが特に多いことを踏まえまして、成年年齢引下げ後の消費者教育に取り組んでいく必要があるというふうに認識をいたしているところでもございます。
本年三月末に、法務省、文部科学省、金融庁と成年年齢引下げ後の若年者への消費者教育推進方針、消費者教育実践・定着プランを決定したところでもございます。この同プランでは、高校から大学、社会人を含めた切れ目ない消費者教育の実践、あるいはこのSNS等を活用した情報発信や情報共有、若者たちに対する広報啓発の充実、あるいは、さらには親の世代まで含めました若年者への支える人々への啓発、情報発信の充実、こういったものに取り組むことといたしておりまして、消費者教育の実践、定着に向けまして、関係省庁とも引き続き連携して取組を進めてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/48
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049・宮沢由佳
○宮沢由佳君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/49
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050・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
本日は、前回に引き続き、また消費者契約法、消費者裁判手続特例法の改正案の内容について伺いたいと思います。
まず、前回の質疑の最後に、消費者裁判手続特例法の共通義務確認訴訟の対象として慰謝料が追加されたことについて、重過失を含めず故意に限定した理由を伺いました。消費者庁からは、検討会報告書で示された考え方のとおり法制化した旨の答弁がありましたが、報告書では、事業者は故意でない限り民事上の責任を問われることはないといった誤ったメッセージを与えることの懸念や故意の立証の困難の懸念から、少なくとも重大な過失による個人情報漏えい事案に係る慰謝料も対象とすべきであるとの意見もあったことも記載されていました。
近年、デジタル化の進展に伴って、事業者の過失により大量の個人情報が一斉に流出するといった個人情報漏えい事案が頻出していることから、故意に限定せず、少なくとも重過失の場合も含めるべきと考えます。この意見を採用しなかった理由を御説明ください。
また、消費者庁は、応訴負担への配慮の必要性を答弁されていましたが、なぜ故意と同視し得る重過失の場合まで応訴負担に配慮する必要があるのでしょうか。重過失の場合まで応訴負担に配慮して責任追及を免れさせることは、公平の観点からも妥当とは言えないと考えますが、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/50
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051・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今回の改正法案では、個人情報漏えい事案か否かではなく、被告の応訴負担の観点から適用対象を整理する考え方に沿って規定をすることといたしたものでございます。
この本制度は、相当多数の消費者の請求を一括して判断するものでございまして、被告となる者の応訴の負担が通常の訴訟よりも加重される側面があるために、制定時より被告の応訴負担に配慮して規定が設けられているところでもございます。
今回のこの慰謝料の追加に当たりましても、被告の応訴負担の観点から、事業者に追加的な応訴負担が必ずしも生じないものや、応訴負担に配慮する必要性が低いもの、例えば故意によるものでございますが、を対象とすることといたしております。
検討会の報告書におきまして、この応訴負担に配慮する必要性が低いことから対象にすべきものとされていたのは、事業者の故意により生じた慰謝料でございました。したがいまして、この検討会の報告書の考え方に沿いまして、事業者の故意により生じた慰謝料を定めたものでございます。
なお、この検討会の報告書におきましては、個人情報の漏えい事案を念頭に適用対象となるか否かを規定をする考え方の中で、委員御指摘のこの重過失による慰謝料も対象にすべきとの御意見も確かにございました。ただ、広範な合意が得られた考え方ではなかったことを付言させていただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/51
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052・川田龍平
○川田龍平君 是非しっかり検討を続けていただきたいと思っていますが、この重過失による個人情報漏えい事案に係る慰謝料以外にも、共通義務確認訴訟の対象として、検討会報告書で将来的な検討課題とされた拡大損害、過失利益及び人身損害や特別法上の不法行為に基づく損害賠償請求についても対象に含めるべく早急に検討を開始していただきたいと考えますが、若宮大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/52
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053・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 検討会の報告書では、慰謝料以外にこの制度の対象外とされております損害、これ、いわゆる今委員が御指摘になりました拡大損害あるいは逸失利益及び人身損害になろうかと思いますが、同じく制度の対象外とされている特別法上の規定によります不法行為に基づく損害賠償請求について、今後の消費者被害の発生、拡大の状況や制度の運用状況を踏まえまして、引き続き検討すべき課題とすることが考えられるとされているところでございます。
これらの点につきましては、本改正法案、この成立いただきました際に、その後の制度の運用の状況等を踏まえながらしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/53
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054・川田龍平
○川田龍平君 是非早急にお願いいたします。
次に、本法律案により、簡易確定手続の相手方事業者は、知れている対象消費者に対する通知義務が設けられました。これにより、特定適格消費者団体の通知負担が軽減される効果が期待できますが、一方で、事業者が本規則に違反して通知しなかった場合や、適正でないような通知をしたとしても、罰則は設けられていません。
罰則を設けなかった理由や、事業者の通知の適正性をどのように担保するのか、仮に適正でないような通知がなされた場合、どう対応するのかについて、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/54
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055・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 現行の制度では、この特定適格団体が個人の消費者への通知を行い、手続への加入を促す仕組みでございますけれども、この消費者といたしましては、従前から契約関係にあった事業者から個別に連絡を受けた方が手続に加入しやすくなる場合も多いというふうに考えられるかと思います。一方で、悪質な事業者など、消費者への通知を行わせるのに適さないと、こういった事業者も存在するのも事実かと思います。
これらを踏まえまして、今回の法律案では特定適格団体において事業者に通知を行わせることの適否を判断させることとし、特定適格団体の求めがある場合には事業者が通知義務を負うことといたしているところでございます。このような制度の下では、特定適格団体は、通知義務を怠ったりあるいは不正な通知をするような悪質の事業者に対しては、消費者への通知を求めずに、現行制度と同様で、自ら通知を行うものと考えられるかと思います。
また、この事業者が通知を行う場合でございますが、事業者は通知をした消費者の氏名や住所を特定適格団体に報告する義務を負ってございます。特定適格団体は、この通知を求めた事業者が通知義務を適正に果たしているか、漏れがないかなどをこれ確認することが可能となっているところでもございます。こういったことから、この事業者の通知義務の適正性は確保されていると、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/55
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056・川田龍平
○川田龍平君 次に、特定適格消費者団体の活動を支える環境整備として、新たに創設される消費者団体訴訟等支援法人制度が適切に機能していくためには、支援法人の人的、物的、財産的体制の確保が重要となると考えます。制度の施行までに、ガイドラインの作成など十分な環境整備を行うとともに、支援法人への認定を目指す団体を適切にサポートしていくべきと考えますが、対応方針を伺います。
また、特定適格消費者団体や適格消費者団体の運営は依然として財政的に厳しい状況が続いています。これまでの附帯決議、平成二十九年と平成三十年にも出ておりますが、この適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する財政面の支援も求めてきました。依然として十分な措置が講じられていません。若宮大臣の御決断で早急に実施していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/56
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057・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 適格団体、特定適格団体、これ、消費者被害の防止、救済のための重要な役割を担っていただいております。これらの団体がしっかりと活動するためには、行政によるサポート、今委員が御指摘になったように、大変重要だというふうに認識をいたしているところでもございます。
政府といたしましても、これまで、例えば国民生活センターによります仮差押えの担保立ての代行、あるいは適格団体の連絡協議会開催の費用に対する支援、こういったものに取り組んできたところでもございます。適格団体、特定適格団体に関しましては、引き続き様々な面で団体の活動をサポートしてまいりたいと、こう考えているところでもございます。
また、消費者団体訴訟等支援法人、これがしっかりと活動できるようにすることもこれまた重要なポイントだというふうにも考えてございまして、検討会報告書におきましても、和解の早期の柔軟化に伴い、公正性、透明性のある寄附の受皿となること、あるいは、周知広報により効果的、効率的に寄附を集めることによって、それを原資にこの同法人の活動につなげることが期待をされているところでもございます。
この改正法、成立した際には、消費者庁といたしましても、ガイドラインを作成させていただきまして、その周知を図り、この支援法人を目指す団体から御相談があれば丁寧に応じてまいりたいというふうにも思っております。
また、さらに、この支援法人としての認定後も、その認知度あるいは理解度、これ皆様方に知っていただかなければいけませんので、高める取組はもとより、密に連携をしまして、円滑な業務の実施に資するように最大限の努力を努めてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/57
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058・川田龍平
○川田龍平君 是非、大臣、よろしくお願いいたします。しっかりお願いいたします。
続いて、消費者契約法の改正について伺います。
前回の質疑で、新たに追加される取消し権の要件が過剰ではないかと伺いましたが、平成三十年改正の際にも同様の議論があり、附帯決議において、新たに追加する取消し権の実効性を検証し、必要な措置を講ずるよう政府に求めていました。
まず、この附帯決議を踏まえ、政府としてどのように実効性の検証を行ったのか、その結果について御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/58
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059・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
法改正をするかどうか、またどのような内容の法改正をするかの検討に際しましては、規定の、既存の規定や消費者被害の状況、そして国会の附帯決議等の様々な事情を踏まえることが必要であると認識しておりますし、平成三十年改正や今回の法律案もこれらの事情を踏まえまして国会に提出させていただいたところでございます。
今後も、必要に応じ、取消し権等の既存の法令の規定の内容や、新たに発生した消費者被害の状況等の様々な事情を適時適切に検証してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/59
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060・川田龍平
○川田龍平君 この先日の参考人質疑で増田参考人の説明からもあったように、この要件を満たすことができずに救済されなかった事例も多数生じています。
新たに追加される取消し権の要件について、改めて確認させていただきます。
まず、前回、この退去困難な場所へ同行し勧誘の取消し権における告げずにの要件は不要ではないかと、不要ではないかと質問したところ、消費者庁からは、例えば、山奥の別荘を紹介したいと告げ山奥の別荘に同行し購入を促した場合、不当な勧誘とは言えない旨の答弁がありました。
しかし、例えば、あらかじめある目的物のAの勧誘をすることを告げた上で任意に退去することが困難な場所に同行した後に当該目的物Aの購入を断られてから、あらかじめ勧誘することを告げていなかった別の目的物Bの勧誘をした場合に、本号の要件は満たされるんでしょうか、満たされないのでしょうか。本号の要件を満たすとすれば、必ずしも不当な勧誘とは言えないようなケースまで本号の適用対象となってしまいます。一方で、本号の要件を満たさないとすれば、悪質な事業者であれば、本当の目的物を隠しつつダミーの目的物の勧誘をすることを告げて退去困難な場所へ同行した後、本当の目的物の勧誘をすることで本号の適用逃れを図るのではないでしょうか。
このように、不当な勧誘行為のみに限定して規定することには限界があるように思います。そもそも本号の取消し権を行使するためには、当該勧誘行為と困惑したこととの因果関係が必要です。適切な勧誘行為であれば困惑するはずがないので、適切な勧誘行為が含まれ得るような規定でも、実際には悪質な勧誘行為のみが適用されることになるはずです。
消費者保護の観点を最優先に考えれば、悪質な事業者による適用逃れを防ぐために、やはりこの告げずにというこの要件を削除すべきじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/60
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061・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
勧誘をすることを告げずにの要件を満たすかどうかは実際に勧誘された目的物等の関係で判断されることになるため、お尋ねのようなケースでは本当の目的物について勧誘をすることを告げずに要件を満たすことになり、適用逃れが懸念されるとの御指摘は当たらないのではないかと考えられます。
また、勧誘することを告げずにの要件が不要ではないかとの御指摘についてでございますが、例えば、消費者に山奥の別荘地を紹介したいと告げて消費者をその別荘地に同行し別荘地の購入を促した場合等は、不当な勧誘とは言えないと考えられます。
そのため、取消しに値する事業者の行為の不当性を規定するために必要な要件であると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/61
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062・川田龍平
○川田龍平君 前回も質問したとおり、相談妨害の取消し権における威迫する言動を交えての要件は不要と考えますが、そもそも相談を妨げる手段として以前に、威迫する言動を用いた勧誘行為自体が不当な勧誘行為として取消しに値するのではないのでしょうか。
先日、鈴木参考人が説明されたように、訪問販売など特定商取引法の記述では、威迫して困惑させる行為は禁止され、罰則の対象にもなっています。特定取引法の、特定商取引法に規定できているのですから、明確性や予見可能性の観点も問題ないはずです。消費者契約法においても威迫する言動を用いた勧誘に対する取消し権を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/62
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063・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
繰り返し御答弁申し上げているところでございますが、契約法における取消し権の要件は、消費者にとっての使いやすさ、事業者の予見可能性、要件の明確性を確保する必要がございます。この観点から、契約法の取消し権については、具体の場面における事業者の勧誘行為を個別具体的に規定しているところでございます。
威迫する言動という要件だけで、従前の契約法の取消し権と同程度に、具体の場面における事業者の勧誘行為を個別具体的に規定できているとは考え難いものの、今後の骨太の議論においては、既存の取消し権の枠組みにとらわれない規定の可能性も追求すべきと考えております。そこでの既存の枠組みにとらわれない検討を行う中では、威迫する言動を用いた勧誘を民事ルールとして捉えていく可能性や行政規制等との役割分担の観点も含め、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/63
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064・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
困惑類型の取消し権については、そもそも検討会報告書では、受皿規定の整備を求めていました。
前回、検討会報告書が指摘した課題を増幅させていることの認識をただしたところ、若宮大臣からは、検討会報告書では、対象となる行為をある程度具体化して規定をしていくという方向性が示されたので、要件を明確にした取消し権を追加、拡充した、したがって、検討会報告書で示された課題に対応しているものと考える旨の答弁がありました。しかし、この答弁は、報告書の中から都合の良い部分をつまみ食いしたものではないでしょうか。
報告書が示した課題は、事業者の行為態様を個別具体的かつ詳細に定めていることで、文言の拡張解釈等の柔軟な解釈により救済を図ることに限界があることで、だからこそ受皿規定を設けることを求めていたはずです。
改めて、今回の改正案により検討会が示した課題を増幅させていることの認識を伺います。また、報告書が示したとおり、受皿となる脱法防止規定を設けることを早急に検討し直すべきではないでしょうか。大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/64
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065・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 検討会の報告書におきましては、受皿、すなわちこの脱法防止規定の必要性が指摘をされていたのはこの既存の困惑類型の脱法防止規定であり、この点につきましては、報告書では対象となる行為をある程度具体化して規定するという方向性が示されたところでございます。
このような方向性を踏まえまして、関係各方面からの御意見も参考にさせていただき、法制的な検討を行った結果、今回の法案には既存の退去妨害の取消し権の脱法的場面を捉えるための措置、あるいは契約締結前の義務実施と同等の不当性を有する場面を捉えるための措置を講じており、この報告書の示した課題を増幅させているとの御指摘には当たらないのではないかというふうに考えているところでもございます。
また、一方で、今後速やかにこの法体系全体の中での消費者法が果たすべき役割、あるいはこの消費者法全体の中での各法律の実効的な役割分担を考えるといった骨太な議論が必要であるというふうにも考えられるところでございます。こうした骨太の議論におきましては、既存の取消し権の枠組みにとらわれない規定の可能性も追求すべきというふうに考えています。
参考人の方からも、取消し権が認められるのは意思表示の瑕疵がある場合に限られるのかといったような問題提起や、あるいは契約の拘束力からの解放を認める取消しと異なる制度、それから損害賠償制度、あっ、損害賠償責任を認める制度など、貴重な御示唆もあったところでもございます。
委員御指摘の既存の取消し権の脱法的行為に対する救済手段につきましても、そのような御示唆や国会での議論を踏まえまして、既存の枠組みにとらわれない形での検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/65
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066・川田龍平
○川田龍平君 次に、消費者の判断力に着目した取消し権について伺います。
前回、従来の取消し権を超えると、これまでの答弁に対して、この明確な答弁がありませんでした。確かに、報告書では、判断力に関する認識を要件とすると救済の範囲が大幅に縮小されると考えることなどから、事業者の認識は要件としないことと考えられると示されていましたが、消費者保護の観点からすれば、やむを得ずこの救済可能な範囲が狭まってしまうとしても、取消し権として設けることを優先すべきだったと考えます。
また、もう一つ理由とされる、生活に著しい支障を及ぼす内容の契約となるかは一様ではないという点については、検討会報告書は、生活に著しい支障を及ぼすことを典型的場面に限定すること等により、事業者の予見可能性を確保するという方向性が示されました。典型的場面に限定した規定を設ければ、この問題も解消できたのではないでしょうか。
以上にすれば、消費者の判断力に着目した取消し権も法制化できたのではないでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/66
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067・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 申合せの時間となっておりますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/67
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068・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会報告書においては、判断力の著しく低下した消費者が、自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消し権を定めることが考えられるとの方向性が示されております。検討会報告書では、判断力の低下に関する事業者の認識については、むしろ消費者保護の観点から要件としない方向性が示されたところでございます。
また、生活に著しい支障を及ぼす内容の契約の典型的場面に限定するに当たっては、これを法制的に書き下ろす必要があると考えられますが、生活に著しい支障を及ぼすか、及ぼす内容かは、消費者の生活状況が一様ではないため、典型的場面を取消し権の要件として適切に規定することは困難と考えられます。したがって、お尋ねのようにすれば、判断力に着目した取消し権について法制化することは困難であると考えました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/68
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069・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/69
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070・川田龍平
○川田龍平君 ありがとうございました。
是非、大臣も言及されたその骨太の議論についても、そして議論と並行して各取消し権の要件の妥当性や実効性の検証を行いつつ、早急にこの付け込み型不当勧誘取消し権の創設に向けた検討も是非行っていただきたいということを申し上げて、終わります。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/70
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071・舟山康江
○委員長(舟山康江君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、宮沢由佳さんが委員を辞任され、その補欠として森屋隆さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/71
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072・熊野正士
○熊野正士君 公明党の熊野正士です。
国民生活センターの資料の事例五を御覧ください。
これは国民生活センターに寄せられた相談です。認知症と診断されていた方が自宅売却の契約をした。本人は契約したことを覚えていない。自宅を売却すると住むところがなくなるので、契約を解除したい。この場合、違約金を払わずに契約を解除できるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/72
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073・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
お尋ねの事案についての消費者契約法の適用についてお答えいたしますと、勧誘の際に消費者契約法が規定する不実告知等の不当勧誘を消費者が、あっ、事業者が行っているのであれば、消費者は消費者契約法上の取消し権によって契約を取り消すことができます。契約を取り消したときは、消費者は違約金を支払う必要がございません。
また、消費者庁が所管していないものの、民法によれば、消費者が契約時に意思能力を有していない場合には民法第三条の二によって契約が無効になり、この場合も消費者は違約金を支払う必要はないと承知しております。
消費者契約法、民法のいずれにおいても、それぞれの法律において定められている要件に該当する場合に契約の取消し、無効が認められることとなりますが、いずれの法律にも、消費者が認知症と診断されていることのみをもって直ちに契約の取消し、無効が認められるとの規定はないものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/73
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074・熊野正士
○熊野正士君 ありがとうございます。
令和二年四月一日施行の改正民法では、意思能力を有しない者がなした法律行為は無効であるというふうに明文化されています。
例えば、認知症の方が自宅売却の契約をした場合、先ほど次長の方からは、認知症というだけで意思能力がないというふうには考えられないんだというようなことを答弁されたと思いますけれども、意思能力がこれなければ契約は無効になるわけですけれども、この意思能力の有無の判断、これはどのようにされるのか。自宅を売却する動機もなくて売却契約をしてしまった結果、結局住むところがなくなって困っていると。これは、本人にとっては元々取引することに客観的な必要性とか合理性があったとは言えない、そういうケースだと思いますけれども、そういったケースの場合はこれ意思能力がないと判断されるのではないかなと思うんですけど、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/74
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075・堂薗幹一郎
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
御指摘のとおり、民法には、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」と定められているところでございます。この意思能力とは、一般に行為の結果を判断するに足るだけの精神能力をいうと言われているところでございます。
法律行為の当事者が意思表示をしたときに意思能力を有していたかどうかは、最終的には個別具体的な事情に基づき裁判所が判断することになりますけれども、下級審の裁判例におきましては、例えば多額の財産を合理的な理由なく贈与するなど、実際にされた法律行為の内容が当事者にとって合理性を欠くことを意思能力を有しなかったと認定するための一事情として摘示するものもございます。
このように、法律行為の内容が合理性を欠くという事情は、当事者が意思表示をしたときに意思能力を有しなかったことを認定するために考慮され得る一事情であると考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/75
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076・熊野正士
○熊野正士君 ありがとうございます。
合理性を欠いている場合に意思能力がなかったと判断する一要素というふうに理解をさせていただきました。
ただ、ずっと議論しているのは、こういったことであったとしても、なかなか救済されないという人がいっぱいいるということだと思います。
今回の検討会の報告では、判断力の著しく低下した消費者が自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消し権、これの創設が提案されましたけれども、実現をしませんでした。じゃ、この判断力が低下した消費者をどう救済していくのかと、その救済のためにどうするかということで、大臣からは、既存の消費者契約法の枠組みにとらわれないような抜本的な検討が必要というふうに言われて、そのために骨太の議論を行うというふうに答弁をされています。
先ほど、宮沢議員とか川田議員の方からの御質問、また答弁であったんですけど、ちょっと聞き方変えますけれども、この骨太の議論では、この判断力が低下、判断力の低下に着目をした、そういった規定を、その導入を目指すということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/76
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077・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) この消費者契約を取り巻きます環境、これは本当に刻々と変化をしているというふうに認識をいたしているところでもございます。この報告書におきましても、従来の消費者契約法の取消し権、あるいは契約締結過程の適正化のための対応を超える新たな方向性が提言をされていることなども踏まえますと、既存の消費者契約法の枠組みにとらわれないような抜本的な検討が必要だというふうに考えているところでもございます。
そのために、将来に向けて、この契約法自体が果たすべき役割は何か、あるいは法体系全体の中での消費者法が果たすべき役割や消費者法全体の中での各法律の実効的な役割分担を考えるといった議論が必要であるというふうにも思っております。
こうした骨太の議論の中では、今委員が御指摘になりましたように、認知症等により判断力が低下している方の消費者の属性に基づく類型的な脆弱性はもとより、消費者であれば誰もが陥るような一時的な脆弱性も含めました消費者の様々な脆弱性を踏まえた制度、あるいは損害賠償請求の導入ですとか契約締結時以外の適用場面の拡大など、今までのこの既存の枠組みにとらわれないルール設定の在り方についても検討を行ってまいりたいというふうに思ってございます。
特に消費者の救済につきましてですけれども、この今回の改正法案におけます判断力が低下した消費者への対応につきましては、勧誘の際における事業者の努力義務として、消費者の年齢及び心身の状態も考慮して情報提供をするというふうに規定をしたところでもございます。
いずれにいたしましても、更なる抜本的な対応についてしっかりと検討してまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/77
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078・熊野正士
○熊野正士君 ありがとうございます。
ちょっと時間の関係もあって、四番と五番、次とその次、ちょっと飛ばさせていただきます。ごめんなさい。
今大臣の方からもお話ございましたが、骨太の議論の中身について、消費者法全体の中での各法律の実効的な役割の分担についても考えるというふうな答弁もありました。先ほど、損害賠償請求権というふうな言葉もございましたが、具体的にこういったいわゆる取消し権に代わるものといいますか、そういったことも多分念頭にあるんだろうということをずっと答弁で、思うわけですけれども。
先日の参考人質疑でも、山本参考人から、この取消し権に代わるものとして損害賠償請求権というものについて言及があったところです。例えば、その取消し権に代わるものとしてのこの損害賠償請求権でありますとか、あるいはその代金を減額するとか、そういったことをこの骨太の議論の中でされるという理解でよろしいですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/78
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079・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
骨太の議論の検討に当たりましては、委員御指摘の損害賠償請求権や代金の減額といった過失相殺のほか、行政規制の必要性等についても幅広く議論し、様々な規制手段及び民事ルールの最適な組合せを検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/79
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080・熊野正士
○熊野正士君 結構、法制上の限界があるというふうに今回すごく感じましたので、取消し権に代わるようなところを柔軟に、何としてもその判断力が低下している人を救済できるということで、よろしくお願いしたいと思います。
それから、今回の検討会で大きなテーマだったのが判断力の低下した方、とりわけ認知症患者の皆さん方の消費者被害とその救済ということが大きなテーマだったわけです。しかし、この検討会の委員のメンバー見てみますと、この認知症の専門の、専門医であるとか、あるいは地域包括支援センターの関係者とか、そういう方が一人も入っていらっしゃいませんでした。で、聞いてみたら、いや、一回ヒアリングしているんですと、専門医の人を呼んでヒアリングしましたみたいな感じで消費者庁の方は言うんですけれども、確かに法律のあれですので、検討会なのであれですけれども、レギュラーメンバーとして、この今後の骨太の議論の際には是非、こういった認知症の専門医の方であるとか、あるいは地域包括支援センターの関係者であるとか、そういった方も検討会の委員に入れていただきたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/80
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081・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
骨太の議論においては幅広い分野の学識経験者に参画いただき、法体系全体の中で消費者法が果たす役割や、消費者法全体の中での各法律の実効的な役割分担について御議論いただくことが必要と考えております。
こうした消費者法が果たす役割などについての議論を踏まえた上で具体的な規定の在り方を進める必要があり、その際には、消費者被害の実情や事業者の取組の実態、紛争解決の現場を知る様々な実務家の御意見も踏まえる必要があると考えております。
したがって、その段階における検討においては、委員御指摘の認知症専門医や地域包括支援センターの関係者といった、類型的な消費者の脆弱性に起因する消費者被害に日々接しておられる関係者からも被害実態をよくお聞きし、その御知見をしっかり反映できるよう検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/81
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082・熊野正士
○熊野正士君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
第十七回検討会で、その認知症専門医の成本先生の発言に関しまして、消費者庁の新未来創造戦略本部の方からお声掛けをいただきまして、今は客員研究員として認知機能障害に応じた消費トラブルと対応策の検討に関する研究ということで取り組んでおりますと、また、今、私たちはPIO―NETのデータを解析等させていただいたり、各消費者センターの相談員の方にヒアリングさせていただいたり、これから民間企業の方々にもヒアリングをさせていただく予定にしておりますと、そういうふうに発言がありました。
この研究ですね、この研究に至る経緯と、それから研究内容、またこの研究の期待される効果について、御答弁よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/82
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083・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
委員御指摘の研究は、二〇二一年四月から、新未来創造戦略本部の客員主任研究官である京都府立医科大学大学院の成本教授を研究リーダーとして、医学、心理学、言語処理、消費生活相談等の専門家が中心となって研究を実施しているものでございます。
消費生活相談約三割を占める高齢者の相談の中には、認知症や認知機能障害のある方による相談もございますけれども、こうした方々の消費者被害の実態、それから対応方法の検討に必要な行動特性は必ずしも明らかにされていないということから、今回研究を実施するに至ったものでございます。
これらを正確に把握することは容易ではございませんけれども、認知症のタイプごとの消費生活相談や消費者トラブルの特徴を少しでも明らかにすることを目指して研究を実施してございます。具体的には、先ほど委員からも御指摘ございましたように、消費生活相談情報の分析、それから流通・サービス業など高齢者への商品、サービス提供などを行っている民間企業へのヒアリング調査を行っているところでございます。
難しい研究テーマであるというふうには認識しており、現時点でどこまで明らかにできるかは定かではありませんけれども、認知症等の症状が見られる高齢者の消費者トラブルの防止や解決の一助となるような成果が得られることを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/83
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084・熊野正士
○熊野正士君 同じ認知症でも、アルツハイマー型の認知症と脳血管型の、あとレビー小体とかいろんな種類があるけれども、ちょっと特性がいろいろあって消費者被害の現れ方も違うんだみたいなことを何か成本先生もおっしゃっていましたので、是非そういった研究成果を発表していただいて、被害防止に役立てていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それから、同じくこの成本先生の御発言で、資料の地域の高齢者の現状というのをお付けしておりますが、長谷川式の知能スケールで二十点以下の人というと、我々の感覚でいうとはっきりと認知症という診断が付くような方なのですけれども、地域全体でそういった調査をしてみると、二十点以下の人の七一%は認知症での受診歴がないというデータが出ていますと、ですので、地域で暮らしていらっしゃる認知症の方は必ずしも診断が付いている方ばかりではないという現状になっておりますというふうに発言があります。
認知症と診断されていれば、まだ御本人も、あるいは御家族も地域包括の方も消費者被害に気を配ると思うんですけれども、そうじゃなくて、診断されていないけれども実は認知症という方が七〇%もいると、そういった方々を消費者被害からどう守っていくのかと、ここが大事じゃないかなと思いますが、消費者庁の見解いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/84
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085・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、認知機能が低下傾向にある方は御自身が被害に遭っていることに気付かないことも多く、被害の防止、救済のためには周囲の方々による見守りが有効と考えられます。
このため、消費者庁では、福祉関係者や民間事業者、消費生活センター等の地域の関係者が一体となってこのような消費者を見守る活動を推進しているところであり、令和三年度には、消費生活に関心を持つ地域住民や地域に根差した活動を行う事業者に対し、見守りに当たっての要点や事例等を講演し、地域における見守り活動の担い手を確保する消費生活協力員・消費生活協力団体養成事業を全国で計八回実施したところでございます。
消費者庁としては、引き続き、こうした地域の見守りの担い手確保をしっかりと進めていくとともに、地方消費者行政強化交付金を通じた財政面での支援や見守りネットワーク設立のためのノウハウの提供など、様々な施策を通じて地域での取組が一層促進されるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/85
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086・熊野正士
○熊野正士君 見守りですよね、多分そうだろうなと思いますが、なかなか見守りの限界もあると思いますので、その辺も十分に考慮していただいた上で、さらに、やっぱりこれ地域確保協議会、消費者庁すごく頑張っていただいていますけれども、全国的にまだまだというところあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、またこれ同じ成本先生の資料なんですが、高齢者の人生経過図という資料をお付けしてございます。
これを見ていただくと、上の方から、健康、MCI、軽度、中等度と、ずっと左から並んでいるわけですけれども、このMCIですね、MCIのところ見ていただくと、MCIというのはいわゆる軽度認知障害と言われる方になります。まだ認知症には至っていないという、そういう方々ですけど、そこが実は一番経済活動トラブルが多いんだというふうに示していただいています。
こういったことは、弁護士の、衆議院の方の弁護士の先生の方からも御発言がありましたし、私もよく聞きます。だから、この軽度認知障害の方が実は消費者被害が多いんじゃないかということですけれども、この辺の実態を消費者庁の方としてどのように捉えているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/86
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087・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
消費生活相談センターでは、相談内容に応じて、御本人が認知症又は軽度認知障害に代表される判断不十分者であるかどうかの大まかな判断を行った上で、データベースに反映をさせてございます。そうした判断不十分者の方は、他の高齢者に比べても訪問販売や電話勧誘販売等の消費者トラブルに巻き込まれることが多くなってございます。
他方、先ほども委員から御指摘ありましたけれども、軽度認知障害の方の消費者トラブルを把握するには、御本人が認知症ではなく軽度認知障害であることを判断する必要がございますけれども、それには、医師が所定の方法にのっとって診断するものでありましたので、消費生活相談の中で軽度認知障害の方の消費者トラブルを特定して実態を把握するのは容易ではございません。先ほど御指摘いただいた成本先生の研究も、認知症の方の消費生活相談情報の実態把握に取り組んでいるというものでございます。
軽度認知障害に特化した消費者トラブルの実態の把握につきましては、この研究成果も参考にして、今後どういったことができるかを含めて検討していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/87
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088・熊野正士
○熊野正士君 判断力に着目した消費者被害ということが大きなテーマだと思いますので、いわゆる著しい判断力の低下もあれば、いわゆる軽度認知障害のようなものもあると思いますので、できれば是非この大臣おっしゃっているこの法体系の骨太の議論の中で是非この軽度認知障害というのを含めて検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/88
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089・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
骨太の議論においては、まずは法体系全体の中で消費者法が果たす役割や、消費者法全体の中での各法律の実効的な役割分担についての議論が必要と考えますが、それを踏まえて、具体的な規定の在り方を検討するに当たっては、委員御指摘の軽度認知障害を含め様々な脆弱性に起因する被害事例をよくお聞きした上でしっかりと検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/89
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090・熊野正士
○熊野正士君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
また、次、資料を御覧いただけたらと思いますが、これは国民生活センターの資料ですけれども、事例一を見ていただけたらと思いますが、この事例一には長時間の勧誘を受け、説明もなく書面も渡されないまま強引に売却契約をさせられたと、タイトルそういうふうに書いています。こういった相談を見ると、宅建業法で取締りできないのかなというふうに思うわけであります。
国交省に伺いたいんですけれども、この宅建業法上いわゆるこの業法違反になるというのは、一体どういった場合が業法違反になるのか、ちょっと教えていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/90
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091・大澤一夫
○政府参考人(大澤一夫君) お答えいたします。
宅建業法上、宅地建物取引業者が消費者から不動産を買い取る場合にも適用がございます。
例えば、宅建業者が相手方に対しまして長時間の勧誘など私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること、あるいは、契約を締結したにもかかわらず、当該宅地又は建物の所在、代金、引渡し時期、その他の契約内容を記載した書面を交付しないこと、また、契約締結をさせるために相手方を威迫すること、相手方が契約を締結しない旨の意思表示をしたにもかかわらず勧誘を継続することなど、このような行為に対しまして宅建業法違反となる可能性がございます。
また、宅建業者が取引の公正を害するような行為をしたと、あるいは業務に関して取引の関係者に損害を与えたときなどには、個別の事案の態様に応じまして監督処分の対象となることがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/91
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092・熊野正士
○熊野正士君 ありがとうございます。
それで、この事例一を見てみると、とにかく売れ売れと勧められて、朝十時から夜の九時半まで居座られた、翌日も二人で訪ねてきて朝十時から夜七時まで居座られたというふうにあります。それから、下から三行目のところを見ると、業者から書面等を一切受け取っておらずというふうにあって、まあちょっと個別なことは多分国交省答えられないんだと思いますけれども、これを読む限りにおいてはやっぱり宅建業法違反に相当するのではないかなと、ちょっと僕なんかは思うわけですけれども。
その上で、この宅建業法というのは、実は国交省だけの所管じゃなくて、消費者庁も共管というか所管をしていらっしゃいます。これだけ実際に、これ国民生活センターからこうやって注意喚起が出るぐらいですから、問題になっている、実際に消費者被害が頻発しているので、この消費者保護の観点から、もうちょっと消費者庁として、この宅建業法を念頭に置いて、宅建業法を念頭に置いて、もうちょっと国交省と連携を密にしていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/92
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093・片桐一幸
○政府参考人(片桐一幸君) お答えいたします。
消費者庁としては、これまでも自宅の売却に関する契約は慎重に行うよう消費者向けに注意喚起を行うなど、住宅分野における消費者被害防止に向けて取り組んできたところでございます。
今後とも、例えば住宅に関する消費者トラブルについて情報を得た場合には国土交通省に情報提供を行うなど、消費者被害の防止に向け、引き続き同省とも連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/93
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094・熊野正士
○熊野正士君 まあ何か頑張っているという答弁なんですけど。
ただ、いや、国交省に伺うと、現時点で分かる範囲でということで、何か宅建業の及ぶのが府県を乗り越えたら国交省なんだけど、各県ごとだとそれは知事の所管になるというふうに、許可になるということなので、全部が全部国交省で分かるというわけじゃないと思いますけれども、ただ、国交省で分かる範囲では、行政処分に至った不動産はないと、不動産業者はいないということなんですね。
だから、消費者庁がいろいろ何かこういうふうに注意喚起もしているし、情報提供もしているということですけど、でも、こんだけ被害があれば、一件や二件ぐらい行政処分とかあってもおかしくないんじゃないかなと思います。でも、現実にはなかなか、そういう別に行政処分になっているものもないということですから、もうちょっと、何というか、宅建業法のところを消費者庁の方としてもしっかりと国交省に働きかけていただきたいなというふうに思うのと、そして、その上で、国交省としても、まあ所管の及ぶところと及ばないところがもちろんあると思いますけれども、各都道府県であれば都道府県等の担当部局に発出するなどして、国交省として、行政処分や、まあ行政処分に至らないまでも勧告とか指導とか、もっと積極的に、こんだけ被害があるわけですから、やるべきじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/94
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095・大澤一夫
○政府参考人(大澤一夫君) お答えいたします。
高齢者の自宅の売却に関するトラブルにつきましては、昨年の六月、国民生活センターから、相談事例を基に、消費者トラブルの防止のために、関係機関への周知、共有の依頼を受けたところでございます。これを踏まえまして、昨年の六月、同じ月でございますけれども、国交省の方から、免許行政庁の都道府県に対して、あるいはその他地方整備局の関係機関に対し、その内容をしっかりと周知をいたしましたし、また宅建業者に対する指導を徹底するように通知もしたところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、消費者庁、国民生活センター、関係業界団体と密に連携をし、具体の事案や状況の把握に努めるとともに、事案の態様に応じまして監督処分又は行政指導、しっかりと行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/95
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096・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 消費者庁はいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/96
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097・熊野正士
○熊野正士君 はい、いいです。
ありがとうございます。よろしくお願いします。
次の質問です。
消費者法ニュース、ナンバー二百二十二、二〇二〇年一月に、いわゆる付け込み型勧誘について準詐欺罪が認められた事例ということで報告が載っていました。このケースでは、被害者が加害者と関わりを持つようになったのは、塗装工事などの工事請負契約を締結したことがきっかけでした。
刑法第二百四十八条、未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得さしめた者は十年以下の懲役に処するという厳しいあれが、処分ですけれども、この心神耗弱とは何かというと、心神耗弱とは、精神の健全を欠き、事物の判断に必要な通常の判断力を備えていない状態をいうということです。認知症の被害者、消費者被害でいうと、やっぱりある意味でいうと、この心神耗弱に乗じてというふうに捉えられるんじゃないかなと、で、準詐欺罪が適用されるものも一定数あるんじゃないかなと思いました。
消費者被害救済のため、この刑事罰の適用も念頭に議論していく必要もあるのかなというふうに思いますけれども、御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/97
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098・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
事業者が消費者から金銭を詐取して、準詐欺罪により有罪となった事例が存在していることは承知しております。こういった事例が実際にどの程度発生しているかを消費者庁が把握することは困難ではあるものの、消費者被害の予防、救済のために、今後、法体系全体の中で消費者法が果たすべき役割や、消費者法全体の中での民事ルールと行政規制や罰則との実効的な役割分担についても検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/98
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099・熊野正士
○熊野正士君 では、最後の質問になります。第三条の努力義務について伺います。
条文には、個々の消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮した上で、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容についての必要な情報を提供することというふうにあります。
ちょっと分かりにくいというか、あるので、国民生活センターのこの今日お示しをしている資料の一番最後のところ、国民生活センターのところで、高齢者に対する配慮ということで、関係機関への要望ということで、(2)のところに高齢者に対する配慮という項目があって、そこには、高齢者との契約に当たっては、単に書面を交付するにとどまらず、勧誘時から契約の締結に至るまで、契約内容等について随時丁寧に説明を行うよう、また、高齢者御本人のみならず、家族等の関係者にも契約について確認の上、十分な理解を得てから行われるよう、こういうふうに書いています。
これからその逐条解説ということになろうと思いますけれども、この努力義務のところですね、この国民生活センターのこういったことをベースに沿ったような内容になるのということでいいのかどうか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/99
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100・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
消費者契約法第三条における事業者の情報提供に関する努力義務について、今回の法律案では、個々の消費者の理解に応じた丁寧な情報提供が行えるようにするため、考慮要素として年齢及び心身の状態を追加することなどの改正を行うこととしております。
この努力義務の規定の実効性の向上に資するよう、今回の法律案の成立後は、周知に取り組むとともに逐条解説において解釈を明らかにすることを想定しており、逐条解説の作成に際しましては、御指摘の国民生活センターの注意喚起なども参考にしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/100
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101・熊野正士
○熊野正士君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/101
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102・田村まみ
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。今日もよろしくお願いいたします。
ここまでの委員会の議論や参考人の先生方から示された消費者問題の事例、そのほとんどは脆弱な消費者に関わるものというふうに受け止めています。消費者契約法は一般に全ての消費者と事業者との間の契約を規律するものではありますが、この脆弱な消費者という点に正面から向き合った規定を盛り込むことがこの消費者契約に関する問題の抑制や解決のためには必要になってきているのではないかということを前回の質疑のときにも意見表明させていただいております。
より多くの消費者被害に遭われた方々を救おうと思えば、この脆弱な消費者というところに絞ってしまうと範囲が狭くなるというようなデメリットもあるかもしれません。しかし、この消費者契約法に脆弱な消費者についての規定を盛り込むということ、このことの意見についての消費者庁の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/102
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103・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
委員御指摘の消費者の脆弱性に関する規定については、現行法においても若年者や高齢者の被害事例を念頭に置いた諸規定が設けられているほか、今回の法律案でも、勧誘の際における事業者の努力義務として、消費者の心身の状態も考慮して情報提供することを盛り込んでおります。
消費者契約法は、そもそも制定時に、一般的、平均的な消費者を基準とし、この一般的、平均的な消費者と事業者との間に情報、交渉力の格差があることを踏まえて取消し権を定め、契約条項を無効とすることを目的としておりました。
しかしながら、昨今では、消費者の中にも、類型的、恒常的に脆弱な消費者がいることや、消費者の合理性には限界があり、誰もが陥る一時的な脆弱性があることなど、消費者の様々な脆弱性を踏まえた対策が必要であることが指摘されており、それぞれに即した規定や制度が必要ではないかという観点で、将来に向けて消費者契約法が果たすべき役割を整理し、目的規定を含め、現行の枠組みにとらわれない抜本的な検討が必要であると考えております。
そのような検討に当たっては、認知症等により判断力が低下している等の消費者の属性に基づく類型的な脆弱性はもとより、消費者であれば誰もが陥り得る一時的な脆弱性も含めた消費者の様々な脆弱性を踏まえた検討の必要があると考えており、参考人から御指摘のあった割合的解決や損害賠償制度等の既存の枠組みにとらわれないルール設定の在り方についても検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/103
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104・田村まみ
○田村まみ君 前回の質疑のときもそうですが、今日の質疑でも、核心について、まだこの法案で、改正法案で不十分ではないかというところを様々な委員が指摘する際に、必ず、抜本的な議論、法体系から全体を見直す骨太の議論、これで大体全ての議論が終わるという形で、先ほど熊野委員はそこを、次にこういうことを盛り込めるんですかというような視点で御質問されておりました。
ただ、やっぱり今のその抜本的な見直しとか法体系全体からの見直しというふうになると、正直、半年以内に答えが出てくるとは私のこれまでの経験上受け止められないというふうに思いますので、じゃ、今々この改正法終わった後、もし成立した後ですね、そうはいっても防がなければいけないという視点で幾つか質問をさせていただきたいと思います。
一昨年、あっ、一昨日、訂正します、一昨日の参考人質疑に御出席いただいた増田参考人が理事長を務めておられます全国消費者生活相談員協会が昨年の十月に出した消費者契約に関する検討会報告書に対する意見、これには、消費者の判断力に着目した取消し権の規定について、次のように指摘されております。
判断能力の低下に関する基準は、消費生活センターにおける被害救済において、有効に活用できる方法であることを要望します。相談現場では、明らかに判断力がおぼつかない高齢者に対して、事業者からしっかりしていたと評価をされ、認知症の診断書がなければ判断力不十分と言えないと指摘されることが多くあります。このため、判断力に関する認識を要件とすると、ほとんど機能しないということになりますというふうに述べられておりました。
消費者庁として、この消費者生活相談員、相談の現場からこういう求めがあるわけなので、この法改正後、実際に実効性を伴うように、この判断力のところの判断基準、現場の相談員がどうやったらそれが担保されるか、その方法について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/104
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105・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会報告書では、取消し権について、判断力の低下に着目するという方向性が示されたところ、その中では、判断力の著しい低下について、内閣府令又は逐条解説等により基準の明確化を図ることも考えられるとされております。報告書のこの部分について、全国消費生活相談員協会から御指摘の要望があったと承知しております。
衆議院の附帯決議においては、判断力の低下等に関する制度の創設等、既存の枠組みにとらわれない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方について検討を開始することが指摘されており、消費生活相談における実効性等も考慮して検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/105
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106・田村まみ
○田村まみ君 またそれが、だから、実効性伴ってというところで、検討されると言ったんですけど、改正、せっかく法改正されたのに、あしたからの、じゃ、施行後のすぐの相談の現場で、相談員がこの判断力に基づくというところをどういうふうに判断したらいいか、その基準、その基準をどうやって、消費生活相談員の人たちが、ある程度近しい状態での基準を持って相談を受け付けられるか、そして、いわゆる被害に遭われた消費者の立場に立って事業者と交渉するときの、何でしょう、ガイドラインなのか、そういうものになるのかというところ、もうその辺の実効性をどう担保されるかということを私お伺いしたんですよね。
今後のではなくて法改正後に、じゃ何か手元にそういうものが、この法改正によって変わったことなのかということが分かるような形では特に考えていらっしゃらない、もうその後の大きな検討を重ねた後じゃないと出てこないというふうに私今受け止めたんですけど、そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/106
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107・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
相談員協会あるいは委員の御指摘に完全に応え得るものではないかもしれませんが、今回の法改正がなされた際には、その施行までにその内容を説明できるような資料、逐条解説、その他相談員向けの説明等々行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/107
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108・田村まみ
○田村まみ君 今、明文化されるもので具体的に示されたところは逐条解説だったと思うんですけれども、それを持って全国の相談員の人たちがきちっとその臨めるような形でのお示しも、是非現場の声を聞いて実行いただきたいというふうに思います。
次に、参考人質疑で山本参考人からは、過去の消費者契約法の改定に携わってきた中で、消費者側と事業者側との対立が生じるような議論が当初はあったと、過去来の議論の中ではあったんですが、しかし、近年、消費者の権利利益への考慮や信頼維持の重要性が広く事業者の共通認識となりましたと、その上で、対立から徐々に冷静な議論に変わってきているというような、これまでの過去来のいろんな検討会での、何でしょう、印象、それを述べられていました。
また、増田参考人からも、事業者とも意見交換する中で、非常に消費者志向が強まっているという事業者が多くなっているというお感じ、そして、そうした消費者の対応を費用を掛けてきちんとやっている事業者が報われる社会にならないといけないというような御指摘も受けており、その点については私も全く同感であります。
しかし、深刻な被害が起きているこの消費者契約上の問題の多くは脆弱な消費者に悪徳事業者が付け込む形で起こっている、これが被害の拡大しているというのが大きな理由だと考えております。
消費者契約法はあらゆる消費者と事業者との間の契約を対象とするため、事業者にとっては、制度を悪質クレーマー等に逆手に取られるということを警戒せざるを得ず、実際に被害を訴える消費者と事業者が一歩ずつ歩み寄ってきちっと改正に向けての議論は進んでいたんだけれども、最後、法文化していくときに障害になっているんではないかなというふうに私は今受け止めています。
この課題に対する処方箋として、私は、山本参考人が提出資料の中で提起されていた、脆弱性を考慮した救済規定の創出が一つの解決策になり得るというふうに考えております。
先ほどももう既に御回答あったかもしれませんが、今後の改正の課題として取り上げて検討すべきというふうに考えますが、消費者庁の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/108
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109・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
骨太の議論では、消費者の属性に基づく類型的な脆弱性はもとより、消費者であれば誰もが陥り得る一時的な脆弱性も含めた消費者の様々な脆弱性を踏まえ、既存の枠組みにとらわれないルール設定の在り方についても検討していくこととしております。
その検討に当たっては、委員御指摘の山本参考人からの問題提起や国会における御議論も参考にさせていただきながら、しっかりと検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/109
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110・田村まみ
○田村まみ君 本日、資料を二枚ほど付けさせていただいております。
この委員会でも何度も取り上げさせていただいている、悪質クレーマー対策についての本年二月に厚生労働省が発行したカスタマーハラスメント対策企業向けのマニュアル、これには、明確な定義は定まっていないと前置きしつつも、二ページ目にあります、実態調査を基にカスタマーハラスメントについて一定の定義付けをしております。
カスタマーハラスメント対策の関係省庁連携会議に出席した消費者庁としても、このマニュアルに記載されているカスタマーハラスメントの定義については同様の認識をされているのかをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/110
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111・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
委員から資料でお示しいただいた厚生労働省のマニュアルで書かれております取扱いにつきましては、関係省庁連絡会議に参加をしておりました消費者庁といたしましても、異論があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/111
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112・田村まみ
○田村まみ君 その間のところに、二枚目のところ、青背景で黒字で書かれていますが、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」というふうに一旦ここでは置かれております。ただ、その前提には、二行目から、「クレーム全てを指すものではありません。」ということで、きちっと顧客や取引先からの申出については受け止めるべきだということが前提とされて今回定義されたというふうに受け止めております。
是非、私は、やはり消費者教育の基本方針に入れ込むべきではないかというふうに考えて提案を差し上げたんですけれども、既に大臣の答弁からは、理念としては既に消費者市民社会形成の一つに含まれるというふうに答弁いただきました。
ただ、脆弱な消費者については消費者基本計画や消費者教育の基本方針で具体的に述べていらっしゃいますけれども、同じように悪質クレーマーやカスタマーハラスメントについても、法律まではいかなくても、基本計画や基本方針に明確に位置付けることが、消費者契約法の議論においても事業者の歩み寄りを促して、もう一歩踏み込んだ政策実現にも今後つながるというふうに意見表明をさせていただいておきます。
続いて、これも何度か質問されていますけれども、少し質問の仕方を変えます。困惑類型の脱法防止のための受皿規定について伺いたいと思います。
報告書の指摘にもかかわらず、困惑類型の脱法防止のためのいわゆる受皿規定は盛り込まれていないということは、何度も指摘がありました。今後の骨太の議論、抜本的な見直しというところには触れていただいているんですけれども、今後の消費者契約法の改正においても、同じように個別具体的な規定の追加でしか改正は繰り返されないというふうに想定されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/112
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113・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会報告書において、既存の困惑類型の脱法防止規定については対象となる行為をある程度具体化していくという方向性が示されたところでございます。
このような方向性を踏まえ、関係各方面からの御意見も参考にして法制的な検討を行った結果、今回の法案に、既存の退去妨害の取消し権の脱法的場面を捉えるため、勧誘することを告げずに退去困難な場所に同行した場合の取消し権を、契約締結前の義務実施と同等の不当性を有する場面を捉えるために、契約前に目的物の現状を変更し原状回復を著しく困難にした場合の取消し権を追加、拡充したところでございます。
一方、今後速やかに法体系全体の中で消費者法が果たすべき役割や消費者法全体の中での各法律の実効的な役割分担を考えるといった骨太な議論が必要であると考えられるところ、このような骨太な議論においては既存の取消し権の枠組みにとらわれない規定の可能性も追求すべきと考えております。
参考人からも、取消しが認められるのは意思表示の瑕疵がある場合に限られるのかといった問題提起や、契約の拘束力からの解放を認める取消しと異なる制度や損害賠償責任を認める制度等、貴重な御示唆があったところであり、そのような御示唆や国会での議論を踏まえ、既存の枠組みにとらわれない検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/113
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114・田村まみ
○田村まみ君 済みません、ちょっと私が一回聞いて理解ができなかったのでもう一回聞きますけれども、抜本的な見直しのところには、この消費者契約法の中での困惑類型、ここの個別具体的な規定というのの追加での改正、それがやっぱり繰り返されていくということで、消費者契約法自体でこの困惑類型の脱法防止に向けたような受皿規定というものは入りづらいというふうに今想定されているということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/114
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115・高田潔
○政府参考人(高田潔君) 現段階で抜本的な規定の結論をこうであると決め打ちで考えるのはよくないと考えておりますので、既存の取消し権の枠組みにとらわれない規定の可能性も含めまして、抜本的な幅広い検討をすべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/115
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116・田村まみ
○田村まみ君 重ねてお伺いしますが、十八日の参考人質疑で鈴木参考人が提出された資料の中には、受皿規定のもし導入をするのであればということで、事業者の予見可能性を確保するために、法律の中に書き込むというよりかは、ガイドラインの整備や事業者団体の自主ルールに法的根拠を持たせるような仕組みというようなことがもう既に具体的な方策として示されていますが、こうした方策を準備してもなお受皿規定の導入はできなかったのかということ、今回の改正においてはその検討はされたのかされていないのか、それだけお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/116
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117・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
委員御指摘の鈴木参考人の提出資料中の受皿規定の導入に関する記述は行政ルールの整備についての意見と承知しておりまして、消費者契約法は消費者契約に関する民事ルールを定めるものであり、今回の法案の検討に当たっては、行政ルールに関する検討は行っていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/117
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118・田村まみ
○田村まみ君 ありがとうございます。
様々な議論がありましたけれども、やはりその骨太の議論を待つということも、本当の意味で消費者を救うという意味でいけば重要かもしれませんが、せっかく法改正がされたという中で、結局、今起きている被害、分かっている被害が救済されないということであれば意味がないので、是非、この質疑の中で指摘したような点においては、現場で相談員の方たちがきちっと対応できるような形のガイドライン等、是非対応マニュアル等を作成していただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
次に、消費者の解除権について伺いたいと思います。
これも何度か指摘がありましたが、PIO―NETのデータによると、全国の消費生活センターに寄せられる相談の中で解約料に関する相談は、過去五年間、毎年三万件を超える水準で推移していますし、報道ベースでは、近年のサブスク型のサービス普及に伴い、解約手続が分かりづらいといった相談がたくさん寄せられているということも何度も指摘がありました。
現行法第三条の事業者の努力義務では勧誘時における情報提供が規定されていますが、むしろ解除時の、契約解除時こそ丁寧な情報提供が必要だと考えております。
その意味では、改正案第三条第一項に消費者の求めに応じて解除権行使に必要な情報を提供することが追加されたことは一歩前進には見えますけれども、正直当たり前のことが書かれたというふうにしか言えないのが皆さんの評価だというふうに考えております。
一方で、検討会の報告書では、単に消費者の解除権の行使のために必要な情報の提供にとどまらず、例えばサポート体制の構築に見られるような、消費者による解除権の行使が円滑に行われるための配慮も有用と考えられるところ、消費者が解除権の行使を円滑に行える様々な手法による配慮を含めて努力義務の内容とすることが考えられると結論をしていますが、改正案にこうした規定が盛り込まれていないです。
その盛り込まなかった理由を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/118
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119・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
解除権行使に関して事業者によるサポート体制の構築等の配慮も努力義務に含めることについて、検討会報告書に対する意見募集では、既に事業者は消費者の解除権の行使について一定の配慮をしており、具体的にどのような配慮が必要か明確にしてほしい、情報提供に加え配慮まで求められると過度の負担であるとの御意見がございました。
また、配慮義務の範囲は広範囲な、広範なものとなり得るため、規模の小さな事業者にとっては過度の負担となるおそれがあると考えられる一方で、規模の小さな事業者でも果たすことができる解除権の行使に関して必要な情報提供する努力義務が適切に尽くされれば、消費者の解除権の行使の制約が生じる事態はその多くが避けられると考えられる。
以上を踏まえまして、今回の法律案では配慮する義務までは努力義務の対象には盛り込まないことといたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/119
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120・田村まみ
○田村まみ君 事業者の大小とか負担というところが毎回説明されるんですけれども、正直契約をして事業をしているわけなので、そこに関して大きい小さいということが関係するということ自体は消費者にとっては余り関係のないことで、やはりそこは消費者庁の立場として消費者を守るという視点でいけば、事業者の大小での負担ということを勘案するというのは私は少し立場として違うんじゃないかなというふうに感じております。
やっぱり、何度か電話をしてもつながらないという話だったりとか、何回もクリックをして重層的にページにたどり着けないような事例はよく出ております。この解除権の行使を妨げるような運用がなされては同法の趣旨を損ねてしまいますし、努力義務を設けたといっても、やはりきちっとチェックをすべきだというふうに考えております。
検討会でも意図的な妨害に対しては罰則を講じるべきという意見も出ていますけれども、罰則を講じるかどうかは横に置いておいて、まず消費者庁として意図的な妨害があり得ると規定しているのか、で、意図的な妨害があるか否かをどのように判断するのか、また意図的な妨害に対して今回の改正案ではどのように対処できるのか、この三点、まとめて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/120
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121・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
各業分野における参入規制や行為規制、行政規制があるほか、取引類型に着目して業横断的に行政規制と民事ルールを定めた特定商取引法などが存在いたします。
昨年成立し、本年六月一日から施行される改正特定商取引法では、通信販売の申込段階において、契約の重要な事項についての表示を義務付けることとしております。その解釈として、解約については、例えば一切つながらない電話番号を表示している場合には不実のことを表示する行為として違反になるおそれがあることを示しております。
消費者契約に関する検討会報告書では、解除権の行使を意図的に妨げる場合に対して法的義務及び当該義務違反への制裁により対処することについては、制裁により対処することが適切であるという意見がある一方で、行為規制の規定を持たない消費者契約法で対処すべき問題であるか否かは慎重な検討を要する等の意見が出されております。
また、消費者契約法は民事ルールを定めるものであることから、行政処分や罰則などの規定を設けることは、既存の消費者契約法の枠組みを超えることとなるため、抜本的な検討が必要となると考えております。
参考人からは、個々の問題領域に即した紛争解決規範の形成は個別な特別法に委ねるべきであり、消費者契約法にその要請を全て取り込もうとすると、消費者契約に関し公正な解決をもたらす紛争解決規範を提示するという役割が十分に果たせないことになるとの指摘もあったところでございます、あっ、指摘があったところでございます。
六月から施行される改正特商法の運用状況も見極めつつ、必要に応じ、各法律の実効的な役割分担の在り方も含めた将来に向けた骨太の議論の中で、有識者の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/121
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122・田村まみ
○田村まみ君 大臣、最後に、骨太の議論を今後進めていくというような先ほど来の話ありましたけれども、先ほどのおうちが突然住めなくなるような状態になるような問題とか、もう既に消費生活センターに寄せられる相談で、個々の業法での対応が必要だというふうにもう分かってきているものもあります。この点については、早く具体的に大臣として改正等取り組むように各省庁に働きかけるべきだと考えますけれども、大臣、その取組されますでしょうか。御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/122
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123・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員がいろいろお話しいただきましたように、この骨太の議論を進めるに当たりましては、法体系全体の中でのこのやはり契約法が果たすべき役割、あるいはこの消費者法全体の中での民事ルールとそれから行政規制等の実効的な役割分担、こういったものを検討していかなければいけないなというふうに思っているところでもございます。
また、先ほど来、今の御質問の中でもお話出ましたけれども、この消費者の利益の擁護、これがやはり第一義的に考えていかなければいけないというふうに私自身も思っているところでございますので、必要に応じまして各業法等を所轄するほかの省庁ともこれ連携いたしまして、しっかりと取り組んでまいりたいと、こういう覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/123
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124・田村まみ
○田村まみ君 終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/124
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125・舟山康江
○委員長(舟山康江君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、熊野正士さん及び大野泰正さんが委員を辞任され、その補欠として宮崎勝さん及び本田顕子さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/125
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126・音喜多駿
○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。
私からも、議題にあります消費者裁判手続特例法の改正案について、幾つか確認をさせていただきます。
今回、この本委員会の議論において、高齢者被害の問題について多くの時間が割かれてきました。ただ、若者対策や新しいインターネット取引の問題についての議論も深める必要があるのではないかと改めて考えているところです。というのも、若年層は、消費者問題に接した際、そもそも声を上げていない。それがゆえに、若者が日常的に買物をしているインターネット取引においての被害について、全ての実態が把握できていないのではないかと推察がされるからです。
そこで、まず確認でありますが、インターネット取引による被害について、特定適格消費者団体が今般の改正案である裁判手続特例法に基づく被害回復訴訟に至ったケースの件数、割合をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/126
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127・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
特定適格団体による消費者裁判手続特例法に基づく共通義務確認訴訟は、これまでに全体で四件が提起されているところでございます。
委員お尋ねのインターネット取引による被害については、四件のうち、インターネット上における情報商材の販売事業者等に対する事案の一件が該当し、現在、裁判所において審理がされているところと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/127
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128・音喜多駿
○音喜多駿君 四件中の一件ということで、ここに二つの課題が内包されていると思います。すなわち、二〇一六年から始まった被害回復訴訟が現在まで四件にすぎないという問題、そして、インターネットの商取引全盛であって、インターネット上での消費者被害の方が多いことが容易に推定できるこの時代に一件しか被害回復訴訟には至っていないという課題であります。
まず、この前者の課題に対処するために、今回の法改正において、特定適格消費者団体を支援する法人を認定する制度が導入されることになったと理解をしておりますが、支援する法人の支援内容について、特定適格消費者団体のIT化、デジタル化の支援や、あるいはインターネット取引の専門的見地からのアドバイスなどは含まれているのでしょうか。こちらも消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/128
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129・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
社会や技術が急速に変化していく中で、特定適格団体にはインターネット取引など新しい消費者問題にも対応していくことが期待されます。
委員御指摘のような特定適格団体の業務のIT化という観点では、既に団体のウエブサイトにおいて情報提供を受け付ける等の取組もなされているところであり、今後もIT技術を活用していくことが重要と考えられます。
また、インターネット取引の専門的知見との関係では、元々、特定適格団体は、消費者被害に関する知識、経験を有する者として、消費生活相談員や弁護士等の専門家による検討体制があることなどを前提として認定されているところでありまして、実際の活動においても分野別に専門家を入れた検討チームを構成して対応されている例があり、そのような活動例等も踏まえながら、団体が役割を一層発揮できるようにすることが重要と考えられます。
その上で、消費者団体訴訟等支援法人が行う支援業務の詳細は内閣府令で定めることとなっているため、現時点で具体的な内容をお答えすることは難しいのですが、今回の法律案を成立いただいた暁には、委員御指摘のようなIT化への対応という観点も踏まえながら、消費者団体訴訟等支援法人が果たすべき役割を更に具体化し、施行準備や円滑に業務を実施できるようにするための取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/129
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130・音喜多駿
○音喜多駿君 消費者庁の皆さんはもちろんのことですが、この特定適格消費者団体にも、インターネット取引など新しい消費者問題に対応できるような仕組みづくり、そしてその支援をお願いしたいと思います。
そして、こうした特定適格消費者団体や適格消費者団体が参考にするデータについて、これ最も参考になるのは国民生活センターや地域の生活センターに寄せられた相談だと思います。適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対して国民生活センターへの相談ケース等のデータはどの程度共有され、どのような仕組みで運用されているのか、この点を消費者庁に確認をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/130
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131・長谷川秀司
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
現行の消費者契約法及び消費者裁判手続特例法においては、適格団体又は特定適格団体がその業務を適切に遂行するために必要な限度で国民生活センターから消費生活に関する消費者の相談に関する情報の提供を受けることができる制度を設けております。
この制度に基づき、国民生活センターから適格団体及び特定適格団体に対して個別の事業者に関する情報提供がなされた件数でございますが、令和元年度には八十五件、令和二年度には百二件、令和三年度には百十七件であったと承知しております。
また、国民生活センターは、申請のあった適格団体に対して、これ実は現在、全ての適格団体に当てはまりますが、毎月一回、相談件数が急増傾向にある事業者及び商品、役務に関する情報の提供も行っているものと承知しており、定期的な情報共有がなされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/131
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132・音喜多駿
○音喜多駿君 この情報共有の件数が多いか少ないかというのは判断が難しいところなんですが、適格消費者団体からの求めに応じての提供と、そして月一回のレポートあるということでありますが、この情報化社会においては、国民生活センターの方でまずその時点でデータベース化をしていただいて、必要であれば切れ目なく、シームレスに当該団体が必要な情報を取りに行けると、こうした体制にすることも今後は求められていくのではないでしょうか。
この点、国民生活センターや各自治体の生活センターの体制がなかなか現時点では時代に合わせてアップデートをされていないのではないかと思いますので、次にちょっと確認をさせていただきたいと思います。
消費者は、何かしらの被害を受けたのではないかと考えると、まず各自治体の生活センターに相談することが想定されます。しかしながら、この御時世においても、一部の自治体でメール相談が可能となっておりますが、大半の自治体は電話か来訪受付のみということであります。昨日も担当省庁の方に伺ったところ、日本全国千七百近くある自治体のうち、千五百余りの自治体が電話か来訪でしか相談を受けていないという体制ということでありました。
若い人はもう電話を使いません。二十代以下の方は、さらにメールも余りしなくなりました。SNSなどチャットアプリでの体制も構築をする必要があります。
そこで、まず事実関係の確認ですが、そもそもこれは生活センターに相談する人の高齢化が進んでいるのではないかと推察をいたしますが、消費者庁の現時点の現状把握をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/132
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133・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
PIO―NETに登録された相談情報を見ますと、多少変動はございますけれども、近年は二十歳代以下の方のトラブルがおおむね一割強、六十歳代以上の方がおおむね三分の一強の割合で推移をしてございます。
また、二十歳代以下の方のトラブルにつきましては、当事者以外の方が相談する割合が他の世代と比べて高くなっておりまして、例えば保護者の方が相談をするということも比較的あるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/133
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134・音喜多駿
○音喜多駿君 一昨日、増田参考人から御紹介ありましたが、若い人の相談が減っているというこういう側面、現場の方も感じているということは確かなんだろうと思います。
そこで、このオンラインの相談窓口、オンラインでの情報提供窓口を設けることを促進するべきというふうに考えます。特に、SNSを活用した消費者生活相談のこの実証実験、実証事業が行われておりましたけれども、その展開を早急に行うべきだと思いますが、消費者庁の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/134
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135・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答えいたします。
経済社会のデジタル化が進展をする中で、オンライン相談窓口、情報提供窓口も含めまして、消費者が相談しやすい環境の整備を行うことは大変重要な課題であるというふうに認識をしてございます。
消費者庁といたしましては、消費生活相談デジタル対応を行う地方公共団体の取組を地方消費者行政強化交付金により支援をしているところでございまして、オンライン相談窓口等の充実に向けてしっかりと取り組んでまいります。
また、委員御指摘のSNSを活用した消費生活相談につきましては、これまでの実証結果を基に、SNSを活用する場合の相談対応のノウハウをまとめたマニュアルを作成してございます。同マニュアルにつきまして、本年四月に全国の地方公共団体に提供するとともに、体制の整備に向けて地方消費者行政強化交付金の活用も御検討いただくように通知を出しているところでございます。
身近なサービスとして消費生活相談がより充実するよう、オンラインによる相談体制の充実に向けて今後ともしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/135
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136・音喜多駿
○音喜多駿君 SNSやチャットボットであるとか、こうした相談体制が既に完備されているというケースは本当に僅かということであって、非常に遅れていると感じています。
自治体のほかの政策、例えば子育て相談であるとかいじめの相談、虐待通報、こうしたものは各自治体でSNSの相談体制というのが徐々に整備をされてきています。ただ一方で、この消費者問題についてはまだ、LINE相談始めましたと、そういったところは非常に少ないということですから、これ早急にこの体制の整備ということも政府としても消費者庁としても支援して促進していただきたいなというふうに思います。
この消費者相談の分野でSNS相談体制といった新たな仕組みづくりがなかなか進まず旧態依然としている背景には、相談員の方々がやはりなかなか若い方が集まらないといった課題もあるのではないかと思います。この点、一昨日に参考人の方とも議論させていただきまして、相談員の方の確保とスキルアップが課題であるという御意見も伺ったところです。
生活センターの相談員についても、若年層の消費者問題やインターネットを介した新しい消費生活相談に対する知見についてスキルアップをする必要があると考えますが、この取組状況を消費者庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/136
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137・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答えいたします。
委員御指摘のように、経済社会のデジタル化の進展など消費者を取り巻く環境が大きく変化する中で、相談内容も複雑化、多様化してございます。相談員が若年層やインターネットに関するトラブルなどにしっかりと対応できるようレベルアップしていくことがまさに必要であるというふうに認識しております。
こうした課題に対しましては、国民生活センターにて実施しております相談員向けの研修におきまして、インターネット取引に関する消費者トラブル、また暗号資産を含む投資トラブルへ対応するための講座を強化するなど、相談員が新しい問題の知見を得られるように取り組んでいるところでございます。令和四年度の予算におきましても相談員のレベルアップに向けて必要な予算を計上しておりまして、これにつきましても引き続きしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/137
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138・音喜多駿
○音喜多駿君 研修等で補っているということでもありますが、今後はやはりメタバースなど仮想空間内でのトラブル、こうした新しいことも増加してくることが予想されますので、日進月歩のこの消費者取引の世界、最近ではBツーCだけでなくCツーCの取引も激増しておりますから、こうした動きをしっかりと能動的に追っていただきたいと思います。
本テーマの最後に、大臣にもお伺いいたします。
生活センターの相談員について、スキルアップや若い人材の確保を図るとともに、能動的に新しい消費者問題について把握していく必要が出てきていると考えますが、いかがでしょうか。また、各自治体の相談につきデータベース化を進めるなど、消費生活相談のデジタル化、DX化も急務と考えますが、御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/138
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139・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 消費生活相談員のスキルアップあるいはこの人材の確保、今委員が御指摘いただきましたように非常に重要な課題だというふうに私自身も認識をいたしているところでございます。
消費者庁といたしましては、この相談員を目指す方を、まず国が直接支援する相談員担い手確保事業、これを実施いたしまして、若い方にも受講いただくためにSNS等を活用して広報しておるほか、全国の相談員が研修を受講しやすいように国民生活センターのオンライン研修を充実させて、相談員のレベルアップを図っているところでもございます。また、インターネット取引あるいは暗号資産に関する問題、これ、相談員の方が新しい消費者問題の知見、こういったものを得られるように研修等の充実を図ると、これも重要なポイントでございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
それから、地域の消費生活センターに寄せられました相談の情報につきましては、現在、PIO―NETシステムによって集約し、政策に活用しているところではございますけれども、先ほど来委員からも御指摘いただいておりますが、今後はこのAIをも活用しながら、新しい事案、あるいはその今御指摘いただいたような新しいトレンドの早期発見につきましての研究、こういったものも取り組んでまいりたいと思っておりますし、また、最先端の技術も活用しながら消費生活と相談のデジタル化を進めて、消費者被害防止の強化にしっかりとつなげてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/139
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140・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。
課題意識は共有できていると思います。後者のデジタル化については私はやる気の問題だというふうに思うんですけれども、前段のやはり人材の確保というのはこれは一朝一夕には解決しない問題であると思いますので、是非政府としてもしっかりと取り組んで検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
では、残された時間僅かになりましたが、子供の事故予防について、幾つか具体例挙げながら質問をさせていただきたいと思います。
少し季節外れにはなりましたが、毎年、節分の豆の提供によって子供が窒息死をするというケースがございます。政府もこの間、この問題について放置をしているわけではなく、消費者庁において注意喚起資料を作成され、また、昨年一月には、内閣府は、節分の豆等の食品による子どもの窒息事故の予防に向けた注意喚起についてという事務連絡を発出されたということも承知をしております。一方で、乾いた豆の提供をいまだに続けている施設があること、特に幼稚園で多いということも伺っているところであります。
そこで、政府として、保育・教育施設等に対し、乾いた豆の提供などに関する節分行事の実施について実態調査を行っているのかどうか、まずこの点の事実確認をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/140
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141・相川哲也
○政府参考人(相川哲也君) お答え申し上げます。
内閣府では、教育・保育施設等における重大事故防止対策の実施状況等の実態を把握するため、令和三年度に節分の豆まき行事の実施状況を含む各施設へのアンケート調査等を調査研究事業として実施したところでございます。
本調査研究の報告書によりますと、認定こども園、幼稚園、認可保育所等の小学校就学前の子供が通う施設を対象にアンケート調査を行った結果、約一万六千の施設から回答がございまして、節分の豆まきにつきましては、豆まきを行い、かつ乾いた豆を園児が食べるという行事を行った施設の割合は五・一%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/141
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142・音喜多駿
○音喜多駿君 昨年度、調査事業を委託して行っているということで、こちらの報告書を私も一読をさせていただきました。
節分の豆まき行事の実施状態については、今御答弁があったように、豆まき、乾いた豆の提供、どちらも実施した施設が五・一%、定員数が増えるほどどちらも実施したという施設の割合が高くなっていること、乾いた豆の提供による死亡事故を知っている施設がまだ八八%となっていること、豆まき、乾いた豆の提供に関して自治体の監査時の指摘、助言を受けたことがある施設は一三・七%にとどまっていることなどが報告されています。
こうした結果は広く自治体や保育・教育施設に周知をする必要があると思いますが、これ私もホームページで全く探すことができず、最後は結局内閣府にメールでいただいたという次第であります。
こうした調査結果について、今後どのように発信、広報し、施設と共有していくか、これ工夫が必要かと思いますが、いかがでしょうか。また、この結果をどのように今後活用していくかについても併せて内閣府にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/142
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143・相川哲也
○政府参考人(相川哲也君) お答えいたします。
先ほど御答弁申し上げました調査研究では、節分の豆まきのほかに、給食、プール活動、午睡、遊具といった重大事故が発生しやすい五つの場面について、各施設の取組状況などを調査しておるところでございます。
また、アンケート調査のほか、保育士や幼稚園教諭など現場で子供の教育、保育に携わっておられる皆さんに、重大事故の防止のために具体的にどういった点に注意すべきかをしっかり御理解いただけますよう、五つの場面ごとに注意いただきたいことを簡潔に記載したポスターを作成しているところでございます。
今後、こうした調査研究の成果を現場で働く方々に向けてどのように発信することがより効果的か、周知方法などにつきましては内閣府の有識者会議で御議論いただく予定でございまして、効果的な周知について関係省庁とも連携してしっかり検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/143
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144・音喜多駿
○音喜多駿君 まず、ホームページの分かりやすいところに置いていただくということは内閣府が独自にできると思いますので、是非やっていただいて、あと、こうした調査はデータを経年で追うことも大事でありますので、継続して同じような調査を続けていただいて、それしっかり公表していくということも要望させていただきたいと思います。
そして、保育・教育施設に限っても節分の死亡事故について知らなかった割合が一〇%以上あるということですから、いまだにこれ知らないという国民も多くいらっしゃるんじゃないかと予想がされます。この点、例えば節分の豆のパッケージにその危険性を書いてもらうなど、事業者側に危険性の周知、これについて取り組んでもらうことも一つのアイデアかと思います。
節分行事に関する誤嚥事故の危険性について、より効力の強い発信を行うとともに、豆まきをする際の注意点など、製造販売事業者等に周知をするべきと考えますが、この点、消費者庁の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/144
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145・片岡進
○政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。
これまで消費者庁では消費者向けの注意喚起は累次行ってきておりますけれども、委員から御指摘がありましたように、痛ましい事故の発生を防ぐため、来年の節分行事に当たっては、製造販売事業者等への周知も含めまして、より効力の強い情報発信の方法を検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/145
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146・音喜多駿
○音喜多駿君 ありがとうございます。しっかりこの注意喚起、消費者側、施設側だけではなく、作る事業者側ということも視野に入れていただきたいというふうに思います。
お時間、最後なくなり、具体例もう二つぐらい出したかったんですが、このテーマの最後、大臣にもお伺いいたしたいと思います。
こうした子供の事故予防については、保護者や教育・保育施設のほか、事業者に対しても提供する事故予防に関連する情報というのが極めて重要です。この点、地方議員中心に結成されております子どもの事故予防地方議員連盟が提言しているように、この発出元の省庁によって内容や質、量、具体的な対策方法等の差が出ないように、記載の差が出ないように是非留意をしていただき、消費者庁にリーダーシップを取っていただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/146
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147・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員が御指摘いただきましたとおり、この子供の事故予防、これは保護者への啓発だけではなくて、教育や保育施設関係者の方々あるいは事業者へのこの情報提供、まさに総合的に取り組むことが非常に重要だというふうに思っております。
このために、この子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議、これを通じまして、関係省庁で緊密に連絡をしながら取組を進めているところでもございます。例えば、昨年の節分の行事につきましては、内閣府、それから文部科学省、厚生労働省、消費者庁の連名で、都道府県に対しまして食品の窒息あるいは誤嚥に関する注意喚起の周知を要請したところでもございます。
引き続き、関係省庁でしっかりと連携をしながら、まさに委員が御指摘のとおり、正確な情報が偏りなく十分に届けられるように取り組んでまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/147
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148・音喜多駿
○音喜多駿君 ちょうど時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/148
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149・大門実紀史
○大門実紀史君 大門でございます。
最後の質問でございますし、この後、全会一致で委員会は通過するということになると思いますので、今後の改正に生かしてほしいという立場で質問をしておきたいというふうに思います。
私の最大の問題意識は、ずっと申し上げているとおり、今高齢者の消費者被害が目の前で広がって深刻化しているという真っただ中で、なぜ今回、判断力の著しく低下した消費者を守る規定が盛り込まれなかったのかという点にあります。
ずっと答弁聞いていますと、既存の枠組みを超えて骨太の議論全体の中で考えていきたいと繰り返し答弁されておりますが、そんな悠長な話なのかと。既存の枠組みとおっしゃいますけど、それは勝手に消費者庁がつくっている枠組みではないのかと。勝手に頭でっかちに考え過ぎて、目の前でやれることを、何といいますか、先延ばしと言っちゃ申し訳ないけれども、やれることまで先送りしているんじゃないかとちょっと思うわけであります。なぜできないのかということなんですね。
検討会報告では具体的な方向性が出されておりまして、判断力の著しく低下した消費者が自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約をした場合は取消し権を認めると、そういう方向で考えたらどうかと。私は、このままですね、このまま法文化したっていいんではないかと、強いて言うなら、自らの生活に著しい支障を及ぼすというところをもう少し書き込むことあるかも分かりませんが、別にこのまま法文化したって何が悪いのかというふうに思います。誰が困るんだと、この法文化で、思うわけであります。
消費者庁がずっと、この最後の議論までそうですけど、できない理由として主に挙げてきたのは二つあります。一つは、意見の隔たりがあったからまとまらなかったと。要するに、事業者側の危惧、懸念、反対ということだと思うんですね、要するに。もう一つは、消費者庁が示してきた三つの要件を満たしていないと、三つの要件を満たしていないから今回盛り込まなかったと。三つの要件というのは、消費者救済に役立つこと、事業者の予見可能性、要件の明確性ですね。この三つの要件を満たしていないから盛り込めなかったということだというふうに繰り返しおっしゃっているわけですね。この二点について聞いていきたいと思いますけれども。
まず、意見の隔たりで、要するに、まあいろいろあると思うんですけど、事業者側の危惧、反対等ですが、これはひょっとしたら田村まみさんが言われたような悪質消費者、クレーマーを想定して、そういう人、そういう悪質クレーマーにこれが使われたら困るという心配をしているのかなというのありますが、でも、よくよく考えてみると、この判断力の著しく低下した場合の取消し権ですよ。判断力のほか、前提ないですよね。この場合の取消し権ですから、何というんですかね、そもそも判断力の著しく低下したクレーマーというのが存在するのかと、どんな人なのかと。私は判断力が低下しているのに契約してしまったので取消ししてくださいというふうな悪用する、これ十分判断力のある人だと思うんですよね。だから、ちょっと想定しづらいんですよね。
例えば、ある人が、生活に支障のあるような、これ一つの基準ですから、契約をしてしまったと、あっ、失敗したと、後悔して取消ししたいと。そのときに、判断力がなかったふりをして解約を申し出るというふうなケースですかね。そんな度胸あるんだったら、最初からクーリングオフ使えよと思いますけど。何か想定しづらいんですね、判断力の著しく低下した場合に、生活に支障がある契約の場合取消しができるということを悪用するようなクレーマー、ちょっと想定しづらいんですよね。
何か過度に恐れ過ぎているのではないかというふうに思うわけでありまして、商売やる上でクレーマーというのは、これリスクなんですよ。何だってあるんですよね。それはちゃんとその会社で対処すべきことで、政治家だってクレーマーに毎日会っているわけですね。だから、みんなそういうリスク対応しているわけですよね。商売やるなら、その利益ある分、その対応もすべきだということは基本にありますので、それがあるから、その高齢者で認知症とかで、あるいは進行中の人とかで被害遭っている人を救わないというのはちょっと話が違うというふうに私思うわけであります。
事業者の反対といっても、普通の企業は余りこういうことは、この部分について言えば反対は余りないと思うんですよね。新経済連盟ですか、もう大変なロビー活動されておりますけれども、楽天とかですね、三木谷さんとか代表のところですね。彼らはネット販売なので、何かネットの世界だと対応しづらいんでこういうことに非常に過敏になっているのか分かりませんけれど、それだってきちっと企業が一定のリスクとして対応すべきことで、そんなほとんどレアケースのクレーマーを想定してこれは反対だというふうなことはちょっと違うんじゃないかと思いますし、その新経済連盟の意見書が出ていますけど、非常に、何といいますか、もう物すごい極端な反対論を展開されております。
ちょっと高田さんの認識聞きたいんですけど、この判断力が著しく低下している場合の取消し権というのは、普通の企業は、そういうことにもし該当した場合は、分かりましたと、取り消しますというふうになるというふうな、そういう世界だと思うんですよね、これだけ高齢者の被害が広がっている中なので。余り、何といいますか、事業者側、事業者にこれ説得して説明すれば分かるような世界で、意見の隔たりというふうに放置することではないんじゃないかと、消費者庁が説明すれば分かるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/149
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150・高田潔
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
検討会報告書では、取消し権について一定の方向性が取りまとめられておりますが、方向性を取りまとめることに否定的な意見、取りまとめられた方向性に沿わない意見、具体的な要件について一致しない意見などもございました。
このため、検討会報告書においては、まず取りまとめられた方向性が提示され、その上で様々な意見について記載しているところでございます。例えば、判断力に着目した規定については、判断力が低下した消費者が生活に著しい支障を及ぼす内容の契約を締結した場合の取消し権という方向性が示されたものの、議論の状況に照らして一定の方向性を示すことが難しいとの意見もあったところでございます。こういったことをこれまでの国会審議において意見の隔たりと答弁させていただいているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/150
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151・大門実紀史
○大門実紀史君 高田さん、もう最後の質疑なんだけど、その同じ答弁書を読み続けます。だったら、もうやめて、政治家同士、大臣と議論したいというふうに思います。
この前、参考人も質疑あったんですけど、一番大事なのは高齢者を念頭にどう守れるかと。一番考えるべきことでありまして、具体的に言いますと、明確な定義、事業者の予見可能性とあるんで、明確な定義にしてくれと。何をやっちゃいけないのか示してくれというのは事業者側よく言うんですけれども、それをやり過ぎますと、かえって、普通の事業者じゃなくて悪質事業者はその隙間をつきます。そんなことは今までずっとあったことだし、具体的にすればするほど立証がしにくくなります、なります。ですから現場で使えない規定になると。そんな規定をどんどんどんどんこうやって作っていっているわけですね。そういうんじゃなくて、もっと汎用性のある規定、包括的な受皿規定にしてほしいというのがそもそもの現場の希望でございました。
相談センターの、この前ちょっと言ったんですけど、具体例でいきますと、相談がこう来るわけですね。この判断力が著しく低下している場合はほとんど家族からです。御本人は、いいと思って、分からないで、ずっと契約し続けると。家族が気付いて事業者に直接連絡する場合もあれば、消費生活相談に持ち込む場合もあるわけですね。その段階で相談員の方々は、ああそうですかって簡単に聞かないで、事実確認をいたします、ちゃんと。その方がどれだけ判断力が低下しているかとか、認知症なのか、あるいは進行中なのか、どれぐらいの契約をやったのか、これ全部事実確認をいたします。その上で相談センターの相談員の方がその事業者に連絡をすると。
そうすると、もう相談センターから電話掛かってきただけで普通の事業者は、あっ、済みませんでしたと、そこまで気が付きませんでしたということで解約に応じると。これはほとんどそういう場合ですよね、が多いんです。
ところが、応じないと、知らなかったんだといってやる、そういう連中がいるということなんですね。それが一番問題だということになるわけでありまして、そういうふうに考えますと、結局は、しかし、その相談件数が多いと、消費者相談センターも、あるいは弁護士さんが入ったりして、これやり合うと。もうその時点で悪質事業者は諦める場合もありますが、最後まで争うといった場合はもうやっぱり裁判やってやると。これが大体、今までそうなっていて、別にそれを、裁判やらない制度をつくろうなんてことを考える必要ないんですよね。消費者問題というのはみんなそうやってきたんですよ、何十年と、いうことなんですね。
したがって、余り明確に定義できないから駄目だと、そんなことやっているとかえって救えないというようなことになるわけでありまして、これ、一定の、一定の、ばくっとし過ぎじゃ駄目なんですけど、一定のところで汎用性を持つような規定にしなきゃいけないと。それがこの前の参考人質疑でも消費者生活相談員の代表、増田さんもおっしゃっていましたけどね、そのとおりだとおっしゃっていましたけど、それが現場の希望なんですよね。
大臣、その点、現場が何を求めているかという点では、汎用性のある、いろいろ使える、闘える、そういう規定だという認識をこの後持っていただきたい。その答弁書なんかいいですよ。大臣のお考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/151
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152・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今回のこの検討会におきましては、これ事業者側からの委員からの要件を明確性を求める意見が出されたほか、最高裁の方から、取消し権に限らず、この裁判規範については解釈がまちまちにならないように要件や効果を明確にしていただきたいと、こういった意見が述べられ、報告書におきましても、解釈がまちまちにならないような規定の明確性にも留意する必要があるというような取りまとめがなされたところというふうに聞いております。
今委員のお話を、ちょっと質問を伺っていまして、委員におかれては、本当にこの消費者問題、大変御造詣深く、本当にまさにライフワークとしてお取組をされていることに本当に敬意を表しているところでもございますし、また今、今日御指摘いただいた点につきましても、私自身もまだまだこれから詰めていかなければいけないポイントというのもあろうかと思っております。
そういった点で、今後、やはり今後の課題として様々な課題、これ骨太の議論という形で取りまとめた言い方の表現になってはございますけれども、足らざるところもあろうかと思いますが、なかなか現段階ではやはりその相応の時間も要してまいりますので、できるところから随時詰めていくということが必要なんではないかなというふうにも思っているところでもございます。
委員の御指摘も踏まえながら、しっかりと前向きに取り組んでまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/152
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153・大門実紀史
○大門実紀史君 今、その最高裁の話ですけど、最高裁が言っているのは、何の規定もないのは困りますよと。最高裁だって分かっているんですよ、そんな細かい、手取り足取り詳細にこのときこのときなんてね。それだったら最高裁要らないんですよ、逆に言うと。最高裁の判断まで要らないですよね。そういうことを言っているんじゃないんで、余計な答弁書を、つまらない話に戻さないでもらえますかね。
それで、そういう点でいきますと、消費者庁はですね、言ってきた、先ほど言った三つの要件ですよね、この三つの要件そのものが違うんではないかと私は思っているんですね。
実は、消費者契約法のこの歴史というのは、ちょっと時間がないんで全部しゃべりませんけれど、要するに、二〇〇〇年に制定されて、民法の特別ルールとして包括的な民事ルール、包括的な。一個一個、この場合あの場合を示せなんてことじゃないんですよ、最初からね。包括的な民事ルール、ルールだから一定のものは示さなきゃいけませんが、そういうことで作られてきたわけなんですけれど。
先ほどの消費者庁が繰り返し言っている三つの要件、消費者救済に役立つ、これは当たり前ですよね、事業者の予見可能性、要件の明確性。これを何かもう、どっかでもうオーソライズされたことのように言っていますけれど、これ一体どこで誰が決めた要件なんですか。これちょっと、高田さんでいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/153
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154・高田潔
○政府参考人(高田潔君) 予見可能性につきましては、平成二十八年改正及び平成三十年改正に先立つ消費者委員会の専門調査会報告書で事業者の予見可能性を担保する必要がある旨を指摘されております。
今回の検討会報告書においても、例えば事業者の判断力に着目した規定の方向性の中で事業者の予見可能性を確保することが必要である旨が説明、指摘されております。
要件の明確性につきましては、昨年の、先ほどの大臣の答弁にもございました最高裁の意見、それから報告書において、解釈がまちまちにならないよう規定の明確性にも留意する必要があるとの取りまとめといったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/154
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155・大門実紀史
○大門実紀史君 ですから、それは一般論なんですよ。当たり前でしょう。何もなきゃ事業者は予見できませんよね。それ、当たり前のことなんですよ。
それと、事業者が今、この間言っているように、一個一個、一々決めてもらわないと何がやっていいのか分からないみたいな議論とはまた別なんですよ、別なんですよ。ところが、消費者庁はそれ言われて、一個一個、何かやっちゃいけないことを一個一個示さなきゃいけないみたいに、その予見可能性を非常に、何といいますか、事業者側、事業者側の主張どおり応えようとしていると。しかし、本来の消費者契約法は包括的な民事ルールですから、そんなものをやろうという世界ではなかったのを、現場で消費者庁がそうしているということなんですね。
要件の明確性もどこまで明確かは問われてはおりますけれど、そんな細かい、個別具体的に、あれやっちゃいけない、この場合にこれやっちゃいけない。困惑だってそうですけど、連絡の取り方、外部と連絡取る、電話ならいいのか、LINEなら駄目なのか、そんな話を、そんなことを決めていくことを消費者契約法は求めていないんですよ。ところが、どんどんどんどんそういう方向に行っているということが今回、結局この判断力の著しく低下、低下した人まで、少ない、少ないところの、どつぼにはまり込んでいるような消費者庁にもうなり果てていると私は率直に言って思うんで、ちょっと頭切り替えなきゃいけないと思うんですね。
それなしに、ですから、さっき言ったように、消費者庁は自ら自分で枠組みをつくっちゃって、枠組みを超えなきゃ、骨太の議論って勝手にやっているんですよ。独り芝居ですよ。自分たちがつくっている枠組みをまず改めて、やれるんですから、今の、そんな長々、これから何にも議論しなくたってやれるんですから。そういうことをちゃんとやらないと、目の前で今もう大変な被害が広がっている人たちを救えないと思うんですよね。
そういう点で、一般的にいろんな議論をするということを否定しませんけれど、大臣、一言最後伺いたいのは、やっぱり、先ほどもありましたけど、全てその議論待ちじゃなくて、目の前で今被害を遭っている特に高齢者の方々救う手だては、それとは別にといいますか、すぐ何ができるかということは、それはそれでお考えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/155
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156・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) 今委員からもお話しいただきましたように、その高齢者の方々を中心とした、また、特に認知症等でお困りの方々もいらっしゃるかと思います。この判断力が低下した方々を含めて様々な課題があろうかと思います。
現状、例えば、恐らく、今日、今この瞬間にも何かしらお困りの悩み事で、抱えていらっしゃる方で相談ができていない方もいらっしゃるかもしれません。
基本的には、この消費者庁のあるべき姿というのは、消費者の皆様方がきちっと保護されて、悪徳業者のわなに掛かったり、あるいはだまされたりしないように、正規の形でいろんな取引や、やはり事業者も、あるいはその買物をする消費者の側も、きちっとした対等な立場での取引が成立するということが望ましい形だというふうに私も思っております。
様々なまだ乗り越えなきゃいけない壁はあろうかと思います。それからまた、いろんな立場の方々の立場で、そのやはり御自分の、先ほどある団体のお話もされておられましたけれども、御意見もあろうかと思いますが、多くの、できる限り多くの方々のお立場の御意見を集約をさせていただき、できるところから一歩ずつ前に進んでいきたい。
基本的にあるのは、消費者の皆様方が健全に、安全で安心な取引ができる状態をきちっとつくり上げていくことだと、これに私は尽きるというふうに思っております。全力を尽くして頑張りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/156
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157・大門実紀史
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/157
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158・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/158
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159・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、川田さんから発言を求められておりますので、これを許します。川田龍平さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/159
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160・川田龍平
○川田龍平君 私は、ただいま可決されました消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 法改正後直ちに、諸外国における法整備の動向を踏まえ、消費者契約法が消費者契約全般に適用される包括的な民事ルールであることの意義や同法の消費者法令における役割を多角的な見地から整理し直した上で、判断力の低下等の個々の消費者の多様な事情に応じて消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる制度の創設、損害賠償請求の導入、契約締結時以外への適用場面の拡大等既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方について検討を開始し、必要な措置を講ずること。
二 一の検討の際には、超高齢社会が進展し高齢者の消費者保護の重要性が高まっていることや、成年年齢の引下げ後における若年者の消費者被害の状況等を踏まえ、悪質商法による被害を実効的に予防・救済するとの観点を十分に踏まえること。
三 一の検討の際には、消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における消費者の取消権(いわゆるつけ込み型不当勧誘取消権)の創設について検討するとともに、「平均的な損害」の額に係る立証責任の転換を含め、消費者契約に関する検討会の報告書において将来の検討課題とされた事項等について引き続き検討すること。
四 消費者契約法第四条第三項第三号については、同項第一号及び第二号の従前の解釈を狭めるものではないことを周知すること。また、同項第四号に関し、内閣府令で相談を行う方法を定めるに当たっては、特定の相談方法が除外されることがないように網羅的に規定すること。
五 消費者契約法第九条第二項の算定根拠の概要の説明については、請求されている損害賠償又は違約金が平均的な損害の額を超えているか否かについて消費者が理解し得るような説明を事業者がすべきことを周知すること。
六 消費者契約法第十二条の三から第十二条の五までに関し、内閣府令で要請の方法を定めるに当たっては、適格消費者団体が過度の負担を負うことがないようにすること。
七 集団的消費者被害回復制度における共通義務確認訴訟の対象範囲の拡大及び和解の柔軟化並びに簡易確定手続の対象消費者への通知方法の見直し等について、十分な周知を行うとともに、政省令等を検討するに当たっては、改正の趣旨を踏まえたものとすること。
八 差止請求制度及び集団的消費者被害回復制度が実効的な制度として機能するよう、新たに創設される消費者団体訴訟等支援法人に対し、充実した業務を実施するための支援を行うとともに、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する財政面を含めた支援の充実及びPIO―NETに係る情報の開示の範囲の更なる拡大の検討を行うこと。
九 裁判手続のIT化及びオンラインでの紛争解決(ODR)推進の議論を踏まえて、簡易確定手続における特定適格消費者団体と対象消費者の間の手続のIT化に当たって、必要な支援について、検討を行い、必要な措置を講ずること。
十 消費者裁判手続特例法等に関する検討会の報告書において、提言がなされたが改正事項とはならなかった「公告に要する費用の一定額を事業者が負担すること」、同報告書で将来的な検討課題とされた「特定適格消費者団体が事業者以外の第三者から対象消費者に関する情報を取得すること」及び「財産に関する情報を含む事業者の情報の開示手続を新設し、同手続を含む事業者の情報について行政機関や事業者以外の第三者から取得すること」について、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこと。
十一 より効率的に集団的な被害回復を図る制度として、オプトアウト方式等の事業者に不当な収益を残さないための有効な手段の導入について、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこと。
十二 悪質商法による被害に遭った消費者の被害回復には、集団的消費者被害回復制度のみでは不十分であることから、特定適格消費者団体又は行政庁による破産申立て及び行政庁が加害者の財産を保全し違法収益をはく奪する制度などを含め、改正法の運用を踏まえ必要な検討を行うこと。
十三 具体的な消費者団体訴訟事案に関し、適格消費者団体等の活動状況や消費者団体訴訟の訴訟結果を一覧できる仕組みの構築等を通じて、消費者が安心して案件を確認し、訴訟に参加できる環境を整備すること。
十四 全国どこに住んでいても質の高い消費者行政サービスを受けることができる地域体制を整備することが重要であり、そのためには全国各地の消費生活センター及び消費生活相談員の活動支援に努めることが不可欠であることから、その実現に向けて地方公共団体に対する更なる支援に努めること。その他、地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、既存の財政支援の維持・拡充、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保、若年者が利用しやすくなるようSNSを活用した消費生活相談窓口の充実に向けた支援措置、地方公共団体の執行体制強化につながる支援措置、消費者安全確保地域協議会の設置の促進等の適切な施策を実施すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/160
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161・舟山康江
○委員長(舟山康江君) ただいま川田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/161
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162・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 全会一致と認めます。よって、川田さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、若宮内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。若宮内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/162
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163・若宮健嗣
○国務大臣(若宮健嗣君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/163
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164・舟山康江
○委員長(舟山康江君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/164
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165・舟山康江
○委員長(舟山康江君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814536X00820220520/165
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