1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月十日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
長峯 誠君 山本 順三君
梅村みずほ君 片山虎之助君
六月八日
辞任 補欠選任
西田 実仁君 高橋 光男君
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出席者は左のとおり。
委員長 平木 大作君
理 事
滝波 宏文君
柘植 芳文君
木戸口英司君
若松 謙維君
柳ヶ瀬裕文君
委 員
石井 浩郎君
江島 潔君
片山さつき君
中西 祐介君
堀井 巌君
舞立 昇治君
松下 新平君
三浦 靖君
山本 順三君
小沢 雅仁君
岸 真紀子君
吉川 沙織君
吉田 忠智君
高橋 光男君
小林 正夫君
芳賀 道也君
伊藤 岳君
国務大臣
総務大臣 金子 恭之君
副大臣
総務副大臣 中西 祐介君
経済産業副大臣 細田 健一君
事務局側
事務総長 岡村 隆司君
常任委員会専門
員 佐藤 研資君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 吉川 徹志君
デジタル庁審議
官 山本 和徳君
総務省自治行政
局選挙部長 森 源二君
総務省国際戦略
局長 田原 康生君
総務省情報流通
行政局長 吉田 博史君
総務省総合通信
基盤局長 二宮 清治君
国税庁課税部長 星屋 和彦君
経済産業省電力
・ガス取引監視
等委員会事務局
長 佐藤 悦緒君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 南 亮君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 松山 泰浩君
国土交通省大臣
官房技術審議官 河野 順君
海上保安庁警備
救難部長 白石 昌己君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/0
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001・平木大作
○委員長(平木大作君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、梅村みずほさん、長峯誠君及び西田実仁君が委員を辞任され、その補欠として片山虎之助君、山本順三君及び高橋光男君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/1
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002・平木大作
○委員長(平木大作君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
電気通信事業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官吉川徹志君外十一名を政府参考人として出席を認め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/2
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003・平木大作
○委員長(平木大作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/3
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004・平木大作
○委員長(平木大作君) 電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/4
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005・吉川沙織
○吉川沙織君 立憲民主党の吉川沙織です。どうぞよろしくお願いいたします。
電気通信事業法の改正案に関しましては、私、平成十九年の初当選でございますが、それから十一年間はあえてその質疑に立つことはなかったんですけれども、平成三十年以降は質疑に立たせていただいております。
電気通信事業法はその四条において通信の秘密を定めており、これは憲法第二十一条二項後段の規定とも大きく関係をします。
その憲法に関しまして、五月二十五日、在外国民審査権に関する違憲判決が確定しました。選挙については、当委員会の所管事項であり、民主主義の根幹にも関わる重大な課題であることから、冒頭に事実確認だけさせていただきたく存じます。
在外国民審査制度については、平成二十九年十二月五日に衆議院法務委員会で質疑が行われています。総務省の答弁は、投票用紙の印刷は衆議院解散の日から始めざるを得ず、投票用紙の送付等に要する期間を考えると投票期間がほとんど確保できない場合があるなど、技術的に困難な課題があるというものでした。また、在外邦人が国民審査に参加するための制度を検討されたいとの指摘に対して、当時の総務副大臣は、投票しにくい状況下にある有権者の投票環境の向上方策として、ICTの活用を始めとしてどのような対応が可能であるか省内の研究会で検討している旨、答弁しています。
この答弁で示された省内の研究会の名称と、その研究会で在外邦人が国民審査に参加するための制度に関しどのような結論を得たのか、総務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/5
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006・森源二
○政府参考人(森源二君) お尋ねの研究会の名称は、投票環境の向上方策等に関する研究会でございます。
この投票環境の向上方策等に関する研究会は、選挙の公正を確保しつつ、有権者が投票しやすい環境を整備するためのICTの活用などによる方策等について研究し、検討を行うことを目的として開催されたものでございまして、この際に、その在外選挙インターネット投票につきまして、その実現に向けた技術、運用面の大きなハードルはクリアできることなどの提言をいただいているところでございます。
この提言、その在外選挙を念頭にまとめられたものでございまして、在外国民審査について明示的には御提言いただいたものではございませんが、ただ、在外選挙におけるインターネット投票の検討が在外国民審査についても生かされるものとは考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/6
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007・吉川沙織
○吉川沙織君 今、省内の研究会名は、投票環境の向上方策等に関する研究会、これ数回報告を行っています。この質疑が行われた時期からすると、平成三十年八月十日公表の報告、今おっしゃっていただいたものだと思います。
今いろいろ答弁なさいましたけれども、この報告では、国民審査、質疑が国会であって、当時の総務副大臣は、そういったことも含めてお待ちいただきたいな、これ何に係っているかって、在外の審査です。ですから、この報告書の中に、実は国民審査のことは国会で答弁しておいて、全く触れられていないので、これはどういうことか私にとっては理解し難いです。
研究会報告で触れなかった理由はなぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/7
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008・森源二
○政府参考人(森源二君) 再度のお答え申し上げます。
在外選挙のインターネット投票につきまして、有権者が投票しやすい環境を整備するためのICTの活用などによる方策等についての検討が行われたところでございまして、そちらの方を、そして御議論をいただいたところでございまして、そういったことで、国民審査について明示的に議論をしたものではございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/8
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009・吉川沙織
○吉川沙織君 国会の質疑の中で、在外邦人が国民審査に参加するための制度を検討していただきたいという問いに関して、総務副大臣は、もちろんICTは在外投票全部に係る答弁でもありますが、ただ、それも含めて検討をしていきたいのでお待ちいただきたいと答弁されて、でも、その後出た報告書には一切それが触れられていないというのは、私はいかがなものかと思います。
その後、国民審査について総務省で検討してきましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/9
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010・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 吉川委員にお答え申し上げます。
今部長からいろいろ御答弁申し上げましたが、この研究会は、投票しにくい状況下にある障害のある方や海外居住者などについて、ICTの活用などによる投票環境の向上方策について検討を行ったものでございます。
総務省では、この報告を踏まえ、主に在外選挙のインターネット投票について更に検討を進めてまいりました。その検討の中で、在外国民審査のインターネット投票についても、仮に導入することとした場合において投票画面をどのようにするかについての検討を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/10
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011・吉川沙織
○吉川沙織君 何か、もう在外投票一般の答弁に何か置き換えられている気がしますが、では、ここで、国民審査制度、民主主義にとって大事なものだということは今までも繰り返し答弁されていますけれども、国民審査制度の現状に係る政府の認識についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/11
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012・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 五月二十五日の最高裁大法廷判決において、在外国民の国民審査権の行使を認めない現行制度は違憲であると判断されたところであり、厳粛に受け止めております。
総務省としては、判決内容を踏まえまして、国民審査の在外投票を可能とするための方策につきまして、関係各方面とも協議しつつ、早急に検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/12
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013・吉川沙織
○吉川沙織君 判決後の大臣の会見とかそういったところでも今のような御発言なされていましたけれども、裁判の中で政府は、国民審査は議会制民主主義の下で不可欠な制度とまでは言えないとか、民主的統制の方法としては例外的、補完的との主張をされていましたが、どういう趣旨でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/13
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014・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お尋ねの訴訟におきましては、国として、まず、国民審査は、最高裁判所裁判官の任命に民主的コントロールを及ぼすことを目的とするものであって、国民主権の観点からも意義を有するものであると主張しておりまして、不要という認識はありませんし、軽んじているものでもありません。
その上で、憲法上、最高裁判所裁判官の任命等に対する民主的コントロールは、国会の信任を受けた内閣が任命等を行うという仕組みによって本来的に担保されております。これを、国民審査、すなわち最高裁判所裁判官の解職制度で補う関係にあると考えました。そのために、国民が代表者を直接選定する選挙権とは憲法上の位置付けが異なっております。
よって、国民審査制度の仕組みの決定には国会に広い裁量が認められるべきであると主張してきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/14
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015・吉川沙織
○吉川沙織君 本来、原則としてどのようにあるべきかというところもまた議論したいところではありますが、今日は事実関係のみ確認したいと思いますので、補足意見について少し触れたいと思います。
最高裁判決における宇賀裁判官の補足意見では、「理論的に考えれば、国民審査の投票やその結果の確定が衆議院議員総選挙の投票やその結果の確定と同時となることは不可欠の要請とまではいえない。したがって、在外国民について、仮に技術的理由から、衆議院議員総選挙と国民審査との間に投票日やその結果の確定日について若干の差異が生じたとしても、憲法七十九条二項に違反するとはいえないのではないかと思われる。」としており、先般、先ほど紹介した総務省の答弁を意識した意見かと推測できます。
この補足意見に基づけば、技術的課題を理由にして在外国民審査制度の創設ができないとは言えないのではないかと考えますが、総務省の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/15
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016・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 委員御指摘の宇賀裁判官の補足意見につきましては承知をしております。
一方、衆議院議員総選挙と同時に国民審査の投開票を行うことについては、宇賀裁判官補足意見でも指摘されているとおり、投票所に赴く国民の負担を軽減するとともに、投開票事務に係るコストを削減する点においても合理的な方法と言えるものと考えております。
こうしたことから、国民審査の在外投票を可能とするための方策については、総選挙と同時に投開票を行えるよう、現行の取扱いに代わる投票用紙や投票の方式の在り方等を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/16
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017・吉川沙織
○吉川沙織君 今までの総務省の答弁とか見解からすればそれが難しいということだったのが、それができるようにしていくということかと思います。
ただ、これ、在外にとどまらず、国民審査の在り方全体が今形骸化しているとも言われています。この際、在外のみならず、国民審査の制度、在り方そのものを見直すことが必要となるのではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/17
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018・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 委員から御指摘いただきました国内の投票方式については、審査に付される裁判官の氏名を投票用紙に印刷した上で、罷免を可とする裁判官にバツを記載することとなっております。この現行の仕組みについては、昭和二十四年の第一回国民審査以来、国民の間にも定着しておりまして、最高裁判決においても支持されていますので、国内の投票方式について見直しすることは考えておりません。
なお、制度が今御指摘ございました形骸化しているとの御指摘については、国民審査に当たり、裁判官の情報などもしっかり得られるよう、審査公報や最高裁判所のホームページにおいて、審査に付される裁判官の経歴あるいは最高裁において関与した主要な裁判等、裁判官としての心構えなどの情報が掲載されていると承知をしております。
今後とも、国民審査の意義、目的等の周知徹底に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/18
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019・吉川沙織
○吉川沙織君 国内の投票様式は変えないという御答弁だったと思いますが、例えば在外は、その様式だから対応しにくいということであれば、方式を見直すということも射程に入れて検討せざるを得ないのではないかと思いますが、いずれにしても、先ほど御答弁ありましたとおり、早急に対応していくということでした。
今後、検討をどのように進め、いつ頃までに結論を出される予定か、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/19
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020・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答えいたします。
今般の最高裁判決におきましては、次回の国民審査において審査権を行使させないことは違法であると判示されておりまして、総務省としては早急に検討を進める必要があるものと考えております。
今般の訴訟に係るこれまでの判決においては、自書式あるいは分離記号式による投票についても言及されていることから、特段研究会等を設置することは予定しておらず、総務省において、こうした判決の言及を踏まえ、今後、関係各方面とも協議しつつ、国民審査の在外投票を可能とするための方策を早急に検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/20
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021・吉川沙織
○吉川沙織君 早急にということでしたので、早急にお願いいたします。
国会の立法不作為による損害賠償が認容されたのは、平成十七年の在外投票制限に係る訴訟以来で、二例目でございます。前回はどの機関が賠償金を支出し、また負担したのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/21
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022・森源二
○政府参考人(森源二君) お答えいたします。
平成十七年九月十四日の最高裁大法廷判決におきまして、平成八年の衆議院議員総選挙までに在外選挙制度を創設する立法措置をとらなかったことは違法であるとされ、国家賠償請求が認められたところです。
この賠償金については、衆議院、参議院を含む関係機関との協議を行った結果、総務省において支払を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/22
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023・吉川沙織
○吉川沙織君 今回はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/23
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024・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 今回の最高裁大法廷判決においては、在外審査制度を創設する立法措置をとらなかったことを違法であるとされ、国家賠償請求が認められたところでございます。
平成十七年の在外選挙制度に関する最高裁大法廷判決におきまして国家賠償請求が認められ、総務省において賠償金を支払っておりますので、今回の在外審査制度に関する判決につきましても、総務省において賠償金の支払を行う方向で準備を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/24
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025・吉川沙織
○吉川沙織君 国会の立法不作為とかそういうところで、私たち国会議員もいろいろ考えなければならないことは多い事案だと思います。
そこで、参議院の事務総長に幾つかお伺いをいたします。
立法不作為に係る訴訟が受理されてから、上訴、違憲判決が出されるまで、法務省から連絡が来ると承知をしておりますが、どのように連絡が来ますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/25
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026・岡村隆司
○事務総長(岡村隆司君) まず、国会の立法不作為等に係る訴訟が提起された場合、本院事務総長宛てに法務省から事件を受理した旨の通報がございます。通報の際は、訴状等の写しや関係資料が添付されます。また、通報後も、関係資料の送付や問合せなどがあります。
国会の立法不作為等に係る訴訟の判決が言い渡されました際には、訴訟のうち法務省において必要があると判断したものについて、本院事務総長宛てに通報がございます。通報の際は、判決書の正本等の写しが添付されます。また、国会の立法不作為等に係る訴訟が本院に不利益な裁判によって終了した場合は、本院事務総長宛て、上訴の提起に関する照会がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/26
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027・吉川沙織
○吉川沙織君 法務省が判断する、どの基準かというのは私も質問主意書で出したことがありますが、いずれにしても、連絡は来る。その連絡を受けて、議院運営委員会や関係部課室にはどう報告、周知されているのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/27
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028・岡村隆司
○事務総長(岡村隆司君) 国会の立法不作為等に係る訴訟で、本院に不利益な裁判によって終了し、法務省から本院事務総長宛てに上訴の提起に関する照会がございました際には、判決書の写し等を議院運営委員会の委員長及び各理事にお届けし、訴訟の結果に関する報告を行っております。
また、法務省から本院事務局に対し、訴訟に係る通報等がございました際は、事務局内の関係部署間で訴状の写しや判決書の写しなどを速やかに共有し、訴訟の内容等についての議員からのお問合せに的確に対応できるよう取り扱っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/28
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029・吉川沙織
○吉川沙織君 受けるところが議院運営委員会しかないというところでございますが、その議院運営委員会では違憲判決を受けてどのように対応をしているのか、また説明聴取や質疑が行われたことがあるのかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/29
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030・岡村隆司
○事務総長(岡村隆司君) 最高裁判所において法律が憲法に適合しないと判断したとき、最高裁判所長官から議長宛てに当該事件の裁判書正本が送付されてまいります。これを受けて、議院運営委員会におきまして、直近の理事会で当該正本の写し等を配付するとともに、事務局から報告する例となっております。
また、各議員への周知も行っておりまして、直近の在外国民の国民審査に係る違憲判決につきましては、イントラネット、参議院情報ネットワークシステムに判決文を掲載いたしました。
法律違憲の判断に際して、議院運営委員会でその説明聴取や質疑が行われた事例につきましては、お調べした限り、ございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/30
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031・吉川沙織
○吉川沙織君 今回の五月二十五日の判決を受けて、直近の衆議院の議運理事会、参議院の議運理事会で、今答弁があったとおりに報告は受けました。
先ほど総務大臣から答弁いただきまして、この国家賠償請求に関してどこが負担するかということで、答弁が、総務省が受ける方向だということではございましたが、私、この立法不作為に係る訴訟における賠償金の支出の在り方について質問主意書で問うたことがあります。政府からは、第一義的には衆議院及び参議院において議論いただくことと理解している旨、答弁があったところです。
ですので、これに関して一応議論はされている途中だと思いますので、総務省や衆議院と対応を協議しているのかどうか、参議院に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/31
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032・岡村隆司
○事務総長(岡村隆司君) 御指摘の訴訟に係る最高裁判決では、国会の立法不作為について、国家賠償法上違法と評価し、国に対し損害賠償を命じております。
裁判の結果として国が損害賠償金を支払うこととなる場合、どの機関がその支払を行うかにつきましては、判決内容を踏まえつつ、関係する機関が協議して決定するものと理解しております。
御指摘の訴訟において確定いたしました国による損害賠償金の支払につきましても、参議院事務局といたしましては、現在、衆議院事務局及び関係行政機関の方針を確認するなどの対応を行っているところであります。
事務局といたしましては、損害賠償金の支払の方針につきまして、衆議院事務局及び関係行政機関との協議を継続し、また議院運営委員会の委員長及び各理事に御相談するなど、適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/32
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033・吉川沙織
○吉川沙織君 立法不作為は個々の国会議員の責めを問うものではありません。ただ、国民の負託に対して十分に応えた立法活動を行うことができなかった点について、個々の議員においてもその責任を深く痛感すべきことであると私は思います。とりわけ、本院においては解散がなく、六年という長い任期の特性を生かした立法活動が期待されていることからすると、立法事実の変遷についてより鋭敏に意識した立法活動に取り組むべきであると考えます。
政府におかれましても、現行の諸制度が社会経済環境や国民意識の変化に対応したものとなっているか不断の見直しが求められていること、また、立法不作為に係る訴訟が提起された場合における政府からの情報提供をより充実したものとするとともに、国会においてもより一層調査研究に努めるようにするべきであることを申し上げて、憲法の話をしました。
電気通信事業法は憲法とも通信の秘密で関係しますので、法案の質疑に入りたいと思いますが、参議院事務総長と総務省選挙部長の質問はここまででございますので、委員長、お取り計らいよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/33
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034・平木大作
○委員長(平木大作君) それでは、岡村事務総長、森選挙部長は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/34
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035・吉川沙織
○吉川沙織君 通信の秘密については、憲法第二十一条二項後段に定めがあります。電気通信事業法についても通信の秘密について規定があります。
憲法が定める通信の秘密と電気通信事業法四条の関係、相違点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/35
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036・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
通信の秘密は、個人の私生活の自由やプライバシーを保護するとともに、通信が人間の社会生活にとって必要不可欠なコミュニケーションの手段であることから、憲法上の基本的人権の一つとして憲法二十一条第二項において保護されております。
憲法における通信の秘密は、手紙、はがき、電報、電話など全てのコミュニケーションの手段を対象としておりますが、電気通信事業法における通信の秘密は、電気通信事業者の取扱中に係るものを対象としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/36
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037・吉川沙織
○吉川沙織君 平成三十年八月十日に総務省が出している電気通信事業法及び通信の秘密のところでも、憲法上の要請である表現の自由や知る権利を実効的に保障するものであるとか、電気通信の健全な発達、国民の利便の確保といったことが書かれています。
今の電気通信事業法における通信の秘密の規定の数、それから今回改正をしようとしている、新設しようとする通信の秘密について言及した規定の数についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/37
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038・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
電気通信事業法では五つの条で通信の秘密という文言を用いております。また、本法案において通信の秘密を新たに規定する条文は、第二十七条の五第一号の一条のみでございます。同条においては、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者が適正に取り扱うべき特定利用者情報の定義の一部として、通信の秘密に該当する情報を規定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/38
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039・吉川沙織
○吉川沙織君 今回の改正で新設をしようとするのは、特定利用者情報を適正に取り扱うべき電気通信事業者が新たに指定されて、そこに通信の秘密が掛かるということでございました。
じゃ、先ほど大臣の答弁でも少しありましたけれども、保護されるべき通信の秘密の範囲、それぞれの、まあ五つ今あるということでしたけれども、それぞれの条文において異なるのか、それとも同じ意味合いなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/39
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040・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 吉川委員御指摘の電気通信事業法によって保護される通信の秘密の範囲には、個別の通信に関する内容のほか、通信の日時、場所、通信当事者の氏名など、これらの事項を知られることによって通信の内容を推測されるような事項全てが含まれます。このような通信の秘密の保護の範囲は今回の法案によっても変わるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/40
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041・吉川沙織
○吉川沙織君 全く変わらない、それぞれ意味合い一緒だということでしたけれども、電気通信事業法の第三条、第四条、それから、今日はその法案じゃないですけれども、郵便法の第七条、第八条にやはり同じような、憲法の定めをより具体化した条文がそれに該当するのではないかと思います。公権力による積極的知得行為の禁止、通信業務従事者による漏えい行為の禁止。私自身も、この特に四条に関しては自覚をしながら、会社員時代、仕事をしていましたので、通信の秘密はとても大事だと思います。
通信の秘密に関しては、先ほどから憲法の話していますけれども、電気通信事業法や郵便法においても制定時から保護は規定されています。電気通信サービスにおいて通信の秘密が侵される場合、利用者が安心して当該電気通信サービスを利用することができないこととなってしまいます。
そこで、電気通信事業法の目的規定についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/41
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042・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
電気通信事業法は、第一条において、電気通信事業の公共性に鑑み、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/42
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043・吉川沙織
○吉川沙織君 今、電気通信事業法の目的規定である第一条について触れていただきました。
この中に利用者の利益の保護という文言がありますが、今回の改正案では、その利用者の定義が変えられることになります。第一条に規定のある利用者が利用者等に、また、二条に、十二条から移してくると思いますが、二条に利用者の定義が新設されることになりますが、この普通に一般的に使う利用者に等が付くのと違って、条文に利用者と書いてあって、それに等が入るという定義の変更は重いことだと思いますが、その理由についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/43
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044・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
現行の電気通信事業法における利用者の定義は、第十二条の二第四項第二号ロにおきまして、「電気通信事業者との間に電気通信役務の提供を受ける契約を締結する者をいう。」としております。同条以降の利用者にはこの定義が適用されております。
他方、現行の第一条における利用者は、今申し上げました利用者以外の者も含む広義の利用者でございます。改正後における電気通信事業法では、利用者に関する情報の適正な取扱いに関する規律の保護の対象を明確化する観点から、利用者の定義を新たに規定をしております。
このため、改正後の電気通信事業法第一条における利用者と現行の第一条における広義の利用者との範囲の整合性を図るため、利用者等に改正することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/44
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045・吉川沙織
○吉川沙織君 実際にサービスを受けている人、電気通信役務のサービス受けている人と受けようとする人、今回の法改正、改正をしようとする内容によってその範囲が広がるので、定義を変えるということかと思いますが、それでは、改めて、この電気通信事業法は何年制定法か教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/45
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046・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
電気通信事業法は、昭和五十九年法律第八十六号として制定をされてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/46
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047・吉川沙織
○吉川沙織君 制定当時において対象とされていた電気通信事業、サービスについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/47
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048・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) 電気通信事業法は、それまで日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社により一元的に運用されていた電気通信事業の独占を廃止をし、競争原理を導入するとともに、電気通信分野の活性化等を実現するため制定されましたが、制定当時における電気通信事業は電話が中心でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/48
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049・吉川沙織
○吉川沙織君 昭和五十九年制定法で、私自身もまだ当時は八歳ぐらいでしたから、電話中心、しかもその固定電話中心の規律を定める。しかも、電信電話公社から株式会社になるときに新規参入を促していくために制定されたため、対象とされた電気通信事業、サービスというのは電話中心ということは、そのとおりだと思います。
では、今回の改正において対象とされている電気通信事業、サービスについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/49
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050・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
現在では、世界最高レベルの情報通信インフラの整備、通信事業者間による競争の激化、情報通信技術の革新などに伴い、通信市場において、通信ネットワークにおける仮想化の進展、事業者によるレイヤーを超えたサービス提供などの市場の融合、海外事業者の影響力増大などのグローバル化の進展などの変化が見られておりまして、電気通信事業においては、電話、ブロードバンドサービス、メール、検索サービス、SNSなどに加えまして、ライブ配信プラットフォーム、ウェビナー、メタバースなど、多種多様な電気通信事業が出現していると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/50
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051・吉川沙織
○吉川沙織君 昭和五十九年に制定をされた当時は固定電話がその中心だったけれども、今回改正に至った理由でもありますけれども、それがレイヤーを超えて多様化しているということ、また、この法律制定当時はなかった海外事業者が物すごく成長をして、私たちの生活や事業に結構影響を与えているということがあるかと思います。
この電気通信事業法は、最近結構改正されております。前回改正は二年前でしたが、今回の改正において検証できる部分は振り返った方がよろしいのではないかと思います。私は、二年前の五月十四日のこの委員会での質疑行いましたので、そのときの質疑を一部引用しながら確認をさせていただきたいと思います。
前回の改正の柱は二つありました。その一つが外国法人等に対する法執行の実効性の強化でした。改正のポイントとして、今もその今回の改正の理由というか、その今の電気通信事業のサービスにおいて海外事業者の話ありましたけれども、海外事業者については、国内にサーバー等の電気通信設備を支配し管理する拠点がない場合に、国内向け事業を行っていたとしても電気通信事業法の規律は及ばないとされてきましたが、二年前の法改正でこれを変更し、外国法人等にあって、国内における代表者等を登録させるというものでした。
政府は、グーグルやメタ、ツイッターなど複数の外国事業者に対して会社法に基づく登記遵守を要請した旨、今年四月の報道でありましたが、総務省として、このような事実、把握されておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/51
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052・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、会社法を所管する法務省において、電気通信事業者である外国法人のうち、外国会社の登記がされていないものに対して外国会社の登記を促す文書を二回発出しておりますが、これに当たりましては電気通信事業法を所管する総務省も協力をしており、要請文書は連名により発出をしております。
この要請文書により、複数の外国法人が会社法人の登記を完了し又は準備中であると承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/52
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053・吉川沙織
○吉川沙織君 連名で要請されて、それに基づいて登録が進んだということは今初めて分かりましたが、では、二年前にこの電気通信事業法は外国法人等に対する実効性の強化ということで改正をしていますが、実際にその法改正に基づいて登録が進んだのかどうか、登録又は届出を適切に行っていない外国事業者もあるのではないかと思いますが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/53
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054・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
外国法人に対する電気通信事業法の執行につきましては、その強化を図るため、御指摘の令和二年に電気通信事業法改正をしておりまして、本年三月末現在で百三十四の外国法人が日本における代表者などを指定した上で電気通信事業の届出を行っております。
電気通信サービスは、技術革新などにより次々に新しいサービスが出現をしております。そのため、総務省では、登録や届出対象となり得るサービスを確認した場合には、その都度サービスの詳細を聴取した上で必要な届出等を求めているところでございます。
したがいまして、全ての事業者が登録や届出を行っていると現時点で断じることは難しいところではございますけれども、総務省としては、今後とも、外国法人等に対する周知、広報に努めるとともに、法執行を担う地方総合通信局等とも連携し、執行面の強化に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/54
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055・吉川沙織
○吉川沙織君 登録又は届出を適切に行っていない外国の事業者がかなりいるのではないかというお伺いだったんですが、それは、把握は全部もちろんできないけれども、結構進んでいるという認識でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/55
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056・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げましたとおり、総務省では、登録や届出対象となり得るサービスを確認した場合には、その都度サービスの詳細を聴取をした上で必要な届出等を求めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/56
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057・吉川沙織
○吉川沙織君 さっきの答弁と一緒です。
ちゃんと多く届出をしていない事業者がいるんじゃないでしょうかと申し上げているので、そういう事実はないということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/57
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058・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
電気通信事業法の執行に当たりましては、対象となります届出事業者、登録事業者に対しましては、その規定に基づいて登録、届出を行っていただくということを求めているところでございます。
他方、先ほども申し上げましたとおり、電気通信サービス、技術革新大変速うございます。次々に新しいサービスが出現をしていると、こういった状況でございますので、そういった可能性があるもの、サービスにつきましては、私どもの方でしっかりとそのサービス内容を聴取した上で届出をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/58
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059・吉川沙織
○吉川沙織君 同じ答弁を繰り返していただいても、こちらも質問時間限られておりますので、是非、問いに対してお答えいただきたく存じます。
もう一回、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/59
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060・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
米国や中国等の大手のプラットフォーマー等は届出をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/60
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061・吉川沙織
○吉川沙織君 じゃ、把握できているということで大丈夫でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/61
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062・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) 把握をしっかりしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/62
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063・吉川沙織
○吉川沙織君 総務省が二年前の改正、これ、二年前の改正に基づいて登録を促して、でもそれが進まないから会社法に基づいて登記の要請をしたとも読めなくはない最近の報道でしたので、せっかく法改正をしたのであれば、その実効が上がっているのかどうかはとても私大事なことだと思っています。
国会で審議をして、その後本当に実効が上がっているのか、上がっていない側面があるからこそ、法務省と総務省連名で会社法に基づいて登記を要請したのではないかとも推測をされますので、そこはしっかり把握をしていただきたいと思います。
二年前の改正で、これまで電気通信事業法の規律が及ばない外国事業者に対して及ぶように変更した理由は、外国事業者の提供するサービスが我が国利用者に与える影響はこの近年において急激に増大したことがあることに鑑みて行われたものと承知しています。
二年前の改正のときも、法施行後三年の見直しを待たずに規制の在り方を検討する必要があるのではないかと、二年前の五月十四日、この委員会でお伺いいたしましたところ、当時の局長からこう答弁がありました。「外国事業者に対する規律の在り方につきまして迅速に対応すべき課題が確認された場合には、法施行後三年という見直しを待つことなく検討を迅速に行うなど、適時適切に検討してまいりたいと考えております。」とありました。
今回も外国事業者に関連する規律等が新設される事態になったことから、法施行後三年を待たず、適時適切な見直し、検討が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/63
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064・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 吉川委員、本当にこれまでの経緯をよく御存じでございます。
海外に設備を設置をし、日本向けに通信サービスを提供している外国法人に対する電気通信事業法の適用については、昨年四月に施行された改正電気通信事業法において、新たに日本における代表者などを指定した上で届出を義務付けるなど、規制の強化が図られたところでございます。
本法に基づきまして、本年三月末現在で米国や中国の大手プラットフォーマーなど百三十四の外国法人が届出などを行っております。また、届出が必要と思われるサービスを把握した場合には、その都度、担当から個別に連絡を取り、届出の要請を行っております。
本法を施行して一年余りが経過した現時点においては、周知、広報などの執行面の強化に努めている段階であり、今回御審議いただいている法案では、御指摘のような外国法人への適用についての見直しは含まれておりませんが、今後とも、執行状況や通信サービスの動向などを十分踏まえつつ、不断の検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/64
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065・吉川沙織
○吉川沙織君 今大臣から御答弁いただきました。
衆議院総務委員会の五月十日の大臣の答弁の中で、「本法案の附則においても、施行後三年を経過した場合に、」とありますが、今後も適時適切に対応してまいりたいという、こういう御答弁ありましたし、今も不断に見直しをというお話ありましたので、今本当に外国事業者、急激に、私たちの生活に関わる、利用者の皆さんに関わる、こういう状態になっていますので、不断の見直しをお願いしたいと思います。
ここから、今回の改正案、今までは全体像でしたけれども、この改正案、本当に分量が多いです。三つぐらい柱があって、一つ一つが一本の改正案であってもおかしくないぐらいの内容かと思いますが、今回新たに盛り込まれた内容について、端的にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/65
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066・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
今回の法案におきまして、ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度、また、利用者に関する情報の適正な取扱いに関する制度、また、卸協議の適正性の確保に係る制度について改正を求めたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/66
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067・吉川沙織
○吉川沙織君 今局長から答弁あったのは主に三つです。
今回の改正内容は、三点に大別できると思います。ブロードバンドサービスにユニバーサルサービスを適用して、そこに交付金制度を創設すること、通信サービスへ利用者のために一部規律を導入するということ、公正競争環境確保の改正をするということ、これらが柱になっていますが、それぞれに検討会や会議体を置いて議論をして今回の改正案の国会提出に至ったものと承知しておりますが、これらの改正の基となる検討会議は幾つありましたでしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/67
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068・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
本法案は、総務省が開催する四つの有識者会議の提言等を踏まえたものでございます。
具体的には、令和二年四月からブロードバンド基盤の在り方に関する研究会においてブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度について、また、令和三年五月から開催しております電気通信事業ガバナンス検討会及び従前より開催をしておりますプラットフォームサービスに関する研究会において利用者に関する情報の適正な取扱いに係る制度について、さらに、従前より開催をしております接続料の算定等に関する研究会において卸協議の適正性の確保に係る制度について検討がなされました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/68
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069・吉川沙織
○吉川沙織君 まあいろいろ研究会があって、ブロードバンド、それからガバナンス、プラットフォーム、接続料、それぞれが別のことを、それぞれ大事なんですけれども、別のことを議論しています。
では、この会議体だけでも複数あって、改正内容もポイントとして三点あります。この三点それぞれの対象者若しくは対象事業者について確認したいと思います。
まず一点目の、ブロードバンドへのユニバーサルサービス適用と交付金制度に関する対象若しくは対象事業者は何になりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/69
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070・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
御指摘のブロードバンドサービスの交付金制度につきましては、規制の対象となり得る事業者はブロードバンドサービスを提供する事業者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/70
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071・吉川沙織
○吉川沙織君 不採算地域でブロードバンドを提供している事業者がまず一点目に関係する対象者になります。
じゃ、次、利用者が安心して利用できる通信サービス、ネットワークに一部規律を入れる、この対象者若しくは対象事業者は何になりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/71
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072・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
特定利用者情報の適正な取扱いについて申し上げますと、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者でございます。
また、利用者の情報の外部送信につきましては、電気通信事業者及び第三号事業を営む者のうち利用者の利益に及ぼす影響が少なくない者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/72
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073・吉川沙織
○吉川沙織君 じゃ、三点目、卸に関する公正競争環境確保の対象事業者はどこになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/73
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074・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備を設置する事業者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/74
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075・吉川沙織
○吉川沙織君 改正内容、三点ありましたが、それぞれに対象事業者が異なるのが今回の改正のある意味分かりづらさを表しているのではないかと思います。改正内容の対象者が異なる内容であるにもかかわらず、目的は一緒ですから、一つの改正案として提出されておるんでしょうけれども、非常に理解を妨げてしまっているような側面があるのではないかと思います。
近年、先ほどから申し上げておりますとおり、外国事業者の提供するサービスの影響は急激に増大し、国内利用者の利益を保護することが急務となっていることから、現存する電気通信事業法で対応するというのはもちろん理解できますが、ただ、いずれ分かりやすくするとか、そういった考え方の見直しも含めて検討もあってはよろしいのではないかと思いますが、御見解があればお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/75
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076・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
電気通信事業法につきましては、利用者の利益や通信ビジネス全体に与える影響力の大きさなどを十分踏まえつつ、必要な見直しが行われてきましたが、変化の激しい情報通信分野に対応してきた結果、法の内容が複雑になってきているとの御指摘があることについては真摯に受け止めております。
総務省としましては、これまでも電気通信事業法について様々なマニュアルを作成するなど分かりやすい情報発信に努めてきたところでございますが、吉川委員の御指摘を踏まえ、マニュアルを改めて見直すなど、引き続き更に工夫を重ねてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/76
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077・吉川沙織
○吉川沙織君 時代の変化で、固定電話だけだったものがそれ以外にたくさん増えて、確かに複雑だと思います。
今大臣から答弁いただきましたマニュアル、これ私、この四月十四日版の電気通信事業の参入マニュアル追補版というのをダウンロードして拝見したんですけど、なかなかこれもよく分からないので難しいなというところはございます。
今回の法案、これがまた難しいなと思うのが、技術的に致し方ない側面は多くあるんですが、今回の改正案における政省令委任事項の数について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/77
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078・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の改正案における政省令への委任事項は、政令が三件、省令が五十三件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/78
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079・吉川沙織
○吉川沙織君 政省令委任事項の数については、三年前の事業法改正時も実は私、当時の局長に伺っていて、十か所でした。で、二年前の電気通信事業法及びNTT法改正時は、二本合わせても六か所でした。
であることを考えれば、今回、確かに法案のボリュームは多いです。ただ、やっぱり多いと思います。技術的にどうしても必要な総務省令なのか、それとも念のためにまあ置いておこうかみたいな総務省令なのか、立法府の審議の場である程度明らかにするのが筋ではないかという私はずっと立場に立っています。
幾つかちょっと教えてください。
例えば、その改正内容、ポイントの一点目であるブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度についての総務省令の数、何個あって、これらはどこで検討し、スケジュールはどのようなものになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/79
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080・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の改正案におけるブロードバンドサービスのユニバーサルサービス化に関する政省令への委任事項の件数は、政令二件、省令二十六件、トータルで二十八件でございます。
仮に本法案をお認めいただいた場合には、公布日から一年以内の法律の施行に向けて、これらの政省令の内容を情報通信審議会において検討していくことを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/80
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081・吉川沙織
○吉川沙織君 政令、省令合わせて二十八ということで、情報通信審議会と場所を明らかにしていただきました。
では次に、改正のポイントの二つ目の柱である特定利用者情報の適正な取扱いと利用者に関する情報の外部送信で、政省令何か所あって、その検討体制とスケジュール感について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/81
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082・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の改正案における特定利用者情報の適正な取扱いに関する省令への委任事項の件数は十六件でございます。これらの省令の内容につきましては、電気通信事業ガバナンス検討会において、本法案をお認めいただいた後、公布から一年以内の法律の施行に向けて検討を行うことと予定をしております。
それから、利用者に関する情報の外部送信に関する省令への委任事項でございますが、件数は五件でございます。こちらも、仮に本法案をお認めいただいた場合には、公布日から一年以内の法律の施行に向けて、これらの省令の内容をプラットフォームサービスに関する研究会において検討していくことを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/82
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083・吉川沙織
○吉川沙織君 まだ、これから設置をされるワーキンググループやプラットフォームの研究会でなされるということでしたが、この電気通信事業ガバナンス検討会は、報告書の取りまとめ直前に国内外の経済団体の意見を聞き、二月十八日の最終的な報告書は昨年十一月に示された案と大きく変更、後退されたと報道されています。
今回の改正案は、詳細な規制対象を総務省令に委ねているものも含まれています。この総務省令の規定ぶりについて、報告書をまとめるに至っても様々あった。でも、これから総務省令定めていくに当たって、利害関係者の合意形成とともに、目的規定である利用者の利益の保護をどのように図っていこうとされるのか、総務省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/83
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084・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
デジタル社会が進展し、通信サービスの重要性が高まる中、情報漏えいなどの様々なリスクに対して実効性のある規制とするためには、ビジネスの実態などを考慮しつつ、利用者保護を図っていくことが必要であると考えております。
これを踏まえ、総務省としては、本法案をお認めいただいた場合には、電気通信事業ガバナンス検討会の下にワーキンググループを立ち上げまして、学識経験者、消費者団体、経済団体、事業者団体など幅広い関係者に参画をいただきながら、制度の詳細について検討を進めていくこととしております。
いずれにしましても、様々な関係者の皆様の御意見を丁寧に伺い、共通認識を醸成しながら、利用者の皆様が安全、安心に通信サービスを利用できるよう、実効性のある制度をしっかり検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/84
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085・吉川沙織
○吉川沙織君 幅広く関係者に話を聞いて共通認識を得るということでございましたが、なぜこの問いを立てたかといいますと、衆議院総務委員会での議論を拝見いたしますと、これら省令を検討する場について、まあある意味余り誠実にはお答えになっていないように思われたからです。
例えば、新たな規律の対象となる事業者について利用者数一千万人以上を念頭にということに対する問いには、全て関係者と議論を行いつつ具体化するとしかお答えになっておられませんし、外部送信に関する通知、公表の仕組みについては、どの答弁においても、今後しっかりと適切に検討してまいりたいとしかお答えになっていなかったからです。
他方、検討の場を明らかにされているものとしては、新たなユニバーサルサービスに係る交付金制度について、その答弁ぶりは、法案成立後、審議会等のオープンな場で検討するというものでございました。
先ほど政省令委任事項を問うた際、検討体制は情報通信審議会や新たに設置するワーキンググループと答弁があったものの、衆議院段階においては、少なくともこれらについて触れられることなく、ある意味行政裁量であとはお任せくださいみたいなことでしたので、少し確認をさせていただきました。
そこで、もう一つ関連して伺いたいと思います。
改正しようとする法第七十三条の二第五項において、前各号に掲げるもののほか総務省令で定める事項を、改正案においてはその他総務省令で定める事項とされていますが、その他には何が含まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/85
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086・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
電気通信事業法第七十三の二第一項では、届出媒介等業務受託者、いわゆる販売代理店でございます、が総務大臣に対して媒介等の業務の届出等を行う際に必要な事項を規定しております。
御質問のその他総務省令で定める事項といたしましては、施行規則三十九条三項におきまして、法人番号、電話番号及び電子メールアドレス、対象契約の締結の媒介等の業務に係る再委託の有無及び販売方法の別といった制度の実施のために必要な手続的事項が規定をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/86
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087・吉川沙織
○吉川沙織君 今回、その他総務省令で定める事項は、私拝見した限り、第二十七条の六第五項、第二十七条の八第五項、第二十八条の二、ハで新設をされるようでございます。
その他総務省令で定める事項という条項を設けるのは、要は余りに細かいことまでは書き切れないし、情勢によって変わり得るということでしょうが、これが余りに多過ぎると、法律の規律密度がどんどん低くなってしまいます。その他総務省令で定める事項とせざるを得ない側面はあると思いますが、運用を続けていく中で、定着しているものについては法律事項に格上げすることを検討するなど、適切な見直しを不断に行うことは重要ではないかと考えますが、認識は合いますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/87
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088・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
今回の法案では、制度の基本的な枠組みは法律で明確に規定しつつ、あくまでその枠組みの中で環境変化に応じて柔軟な見直しが必要と考える事項などを政省令で規定することとしているものでございます。このため、今回の法案において政省令に委任している事項については、将来においても政省令において規定することが適当と考えております。
その上で、今後、本法案をめぐる環境が大きく変化をし、制度の枠組み自体を見直す必要が生じた場合には、必要な法改正の検討を行い、改めて国会の場で御審議いただくことになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/88
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089・吉川沙織
○吉川沙織君 政省令に委任するということは、技術的なこと、情勢の変化等を踏まえ必要なことは理解をいたします。ですから、国会でこうやって法律の審議をして、成立をして、施行された後、じゃ何が定められましたかというのは、私たち立法府にいる者の側の責任として確認をしていくことが大事なことかと思いますし、だからこそ、先ほど二年前の改正の施行状況どうですかということをお伺いしたわけです。
ここからは、三つの改正の柱の個別論点を一つずつお伺いしていきたいと思います。
最初に、ブロードバンドサービスにおける交付金制度の創設についてですが、ブロードバンドサービスのうち光ファイバーなどの有線ブロードバンドについては、人口減少等を背景に、特に地方部の不採算地域においては整備後の維持費用がネックとなり、新規整備が進展していないケースもございます。よって、不採算地域におけるブロードバンドサービスの安定した提供を確保するため、交付金制度の導入を始めとした今般の改正案が提出されたものと承知しています。
では、ブロードバンドにおけるユニバーサルサービスとは何であって、電気通信事業法上の基礎的電気通信役務はどのような関係にあるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/89
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090・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
電気通信事業法では、固定電話のように不採算地域におけるサービスの維持を図るための交付金制度の対象となるサービスをユニバーサルサービス、いわゆる基礎的電気通信役務として位置付けております。したがって、有線ブロードバンドサービスについても、本法案において同様の交付金制度の対象となるため、基礎的電気通信役務に位置付けようとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/90
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091・吉川沙織
○吉川沙織君 今回の改正で新たに有線ブロードバンドサービスに交付金制度を創設するということですが、交付金の支援対象として想定されている地域はどのような地域になりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/91
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092・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の交付金制度では、交付金による支援を真に必要な地域に集中する観点から、サービス提供のためのコストが相対的に高く、市場原理に委ねたのではサービスが維持されない可能性が高い地域に限って支援対象とすることとしております。
また、現に複数の事業者が競合的にサービスを提供している地域において特定の事業者のみを支援対象とすることは競争中立性を害することとなるため、有線ブロードバンドサービスを提供している事業者が一社以下である地域に限って支援対象とすることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/92
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093・吉川沙織
○吉川沙織君 これら対象と、中で、新たな交付金制度では、原則として区域を分けるとされています。一般支援対象区域と特別支援区域に分けるとされていますが、その後者の方、特別支援区域とはどのような区域でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/93
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094・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
特別支援区域とは、市場に委ねたのではサービスが維持されない可能性が極めて高い地域でございまして、具体的に申し上げますと、現時点で有線ブロードバンドが未整備の地域で、新たに民間事業者が有線ブロードバンドサービスの提供を開始した場合や、現時点で自治体の公設設備による有線ブロードバンドサービスの提供が行われている地域で、民間事業者が自治体から設備の譲渡を受けた場合に当該地域を特別支援区域として指定することを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/94
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095・吉川沙織
○吉川沙織君 先ほどの問いで、交付金の支援対象として想定される地域はどのような地域かとお伺いした際に、市場原理に委ねたのではサービスが維持されない可能性が高い地域と答弁があって、今、その中でも特別支援区域はいかなる区域でしょうかとお伺いしたら、市場に委ねたのではサービスが維持されない可能性が極めて高い地域と答弁なさいました。
では、今度は両方含んでになりますが、交付金の支援対象区域として想定される町字数ですね、現在、全国で約何万町字あって、うちどれくらいが支援対象区域となるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/95
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096・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
現時点での想定では、全国の町字数は約十九万町字と想定をしておりまして、そのうち支援対象区域となる町字は約一万三千町字と想定をしております。
なお、以上申し上げました数字はあくまで現時点での想定であり、実際の支援対象区域については、法案をお認めいただいた後、改めて精査をしていくこととなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/96
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097・吉川沙織
○吉川沙織君 現時点での試算ということでしたが、かなりの町字が残っているということになります。
一方で、今年度末のブロードバンドの整備率は約九九・七%になるとの見込みのことですが、じゃ具体的にどのような地域が残されているのか。例えば離島なんかはその象徴的な場所かと思いますが、これらについて把握されているようだったら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/97
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098・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
居住世帯向けサービスのための光ファイバーにつきましては、御指摘のとおり、二〇二一年度末の整備率九九・七%に達する見込みであります。残る未整備世帯の大半は、離島や山間部に点在する集落に所在をしております。
お尋ねの離島につきましては、離島振興法などに指定をされております離島のうち、約九十の島に光ファイバー未整備世帯が残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/98
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099・吉川沙織
○吉川沙織君 約九十の島に未整備世帯が残っている離島があるということでしたが、集中しているそういうエリアとか、もし分かるようでしたら教えてください。分からないようでしたら結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/99
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100・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
主に西日本のエリアに集中しているものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/100
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101・吉川沙織
○吉川沙織君 私、西日本の出身でございますのでよく分かります。
では、交付金、今回の交付金による支援の対象者の範囲、数、これも把握しておくことが大事かと思いますが、これについて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/101
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102・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
まず、一般支援区域についてでございますが、交付金の支援対象となる事業者としては、地域におけるCATV事業者など数十社を想定をしております。
また、特別支援区域において交付金の支援対象となる事業者としては、全国で有線ブロードバンドサービスを提供する大手の通信事業者など数社を想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/102
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103・吉川沙織
○吉川沙織君 一般支援対象区域はCATV始め数十社で、特別支援区域は大手プラスアルファということでしたが、じゃ、ここで、現行では基礎的電気通信役務として加入電話、公衆電話及び緊急通報が定められているところでございますが、現状について確認させていただきたいと思います。
現在の電話のユニバーサルサービス制度については加入電話がその対象ですが、その交付金の状況についてお伺いします。令和三年度の交付金の額についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/103
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104・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
電話のユニバーサルサービスについては加入電話及び公衆電話を対象としておりますが、令和三年度認可に係る交付金額は、NTT東日本が四十・一億円、NTT西日本が二十七・七億円で、合計六十七・八億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/104
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105・吉川沙織
○吉川沙織君 では、NTT東西における加入電話の令和三年度の赤字の額についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/105
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106・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
NTT東西から報告を受けた電話のユニバーサルサービスの収支については、令和二年度決算値で、NTT東日本が二百三十億円、NTT西日本が三百十七億円の赤字で、合計五百四十六億円の赤字額となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/106
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107・吉川沙織
○吉川沙織君 加入電話のNTT東西の赤字額が五百四十六億円で、いただいているユニバーサルサービス制度の交付金が六十七・八億円ということで、それはかなりの差があるということになります。
今度設けられる、ブロードバンドにおける、有線ブロードバンドにおけるユニバーサルサービスの交付金の特別支援区域は、市場原理に委ねていては極めてその整備が難しいということですが、特別支援区域が市場に委ねたのではサービスが維持されない可能性が極めて高い地域である以上、大きな赤字額が出るような支援ではないことが必要ではないかと思いますが、御見解、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/107
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108・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 委員御指摘のとおり、特別支援区域については、市場に委ねたのではサービスが維持されない可能性が極めて高い地域であることを踏まえ、支援額の算定に当たっては一定の配慮が必要であると考えております。
詳細については政府参考人から答弁させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/108
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109・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の交付金制度では、事業者固有の非効率性を排除する観点から、支援額を算定する際は原則として一定の標準的なモデルにより費用を算出することを想定しておりますが、その内容は、事業者固有の非効率性を排除するという目的が達成される限度で各事業者の実際の費用に近いものであることが望ましいと考えております。
具体的な算定方法については、本法案をお認めいただいた後、交付金制度の運用開始までの間に情報通信審議会において検討する予定ですけれども、現時点の想定としては、委員御指摘の特別支援区域については、不採算性が極めて高い地域であることを踏まえ、加入電話の交付金制度とは異なり、収入と費用を相殺し、赤字部分を支援対象とする考え方を採用することを想定をしております。その結果、特別支援区域における支援の在り方は、加入電話における交付金制度のものとは相当程度異なったものとなると想定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/109
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110・吉川沙織
○吉川沙織君 今、大臣と局長、それぞれから御答弁いただきました。現行の基礎的電気通信役務では大きな赤字が発生していることを踏まえて、今御答弁いただきました。ただ一方で、利用者の皆様に対しても周知や御理解いただくことも大事かと思いますので、併せてお願いしておきたいと思います。
ここまでが改正内容の一点目の大きな柱です。次からは、新たな規律の導入について、これまた分かりづらいんですけれども、お伺いしたいと思います。
最初に、電気通信事業者とは何で、登録や届出を要さない電気通信事業を営む者であるいわゆる第三号事業者にはどういう者が含まれるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/110
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111・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
電気通信事業者とは、電気通信事業を営むことについて登録を受けた者及び届出をした者のことをいいます。他方、第三号事業を営む者につきましては、検索サービス、SNS、オンラインショッピングモール、掲示板、オンラインオークションなど、他人の通信を媒介しないサービスを電気通信回線設備を設置せずに提供する事業者が該当いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/111
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112・吉川沙織
○吉川沙織君 今、電気通信事業者と電気通信事業を営む者について教えていただきましたが、今回の規律、新しい規律について、同じ電気通信事業を営む者において規律の内容が異なっています。
今、第三号、いわゆる第三号事業者について、局長の答弁では、検索サイト、SNS、オンラインショッピングモール、掲示板等ありましたが、今回、検索サービスは新たな規律の対象で、オンラインショッピングモールは対象外ですが、これ何で違うんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/112
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113・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) これまで、原則として電気通信事業法の規制の対象外であった通信サービスのうち、SNSや検索サービスについては、本法の規制の対象としてきた通信サービスと性質が似ていることに加え、社会的、経済的影響力が大きくなっており、利用者保護を確保する必要性が高まっているため、本法案において新たに規制を課すことといたしました。
具体的には、SNSについては、電話やメールのように他人間の通信、特に会話、コミュニケーションを実質的に媒介するサービスであるため、規制の対象とするものでございます。また、検索サービスについては、電気通信事業法が様々な通信サービスを利用するための基盤的な役割を担うサービスを規制の対象としてきたことを踏まえ、インターネットにおいて多くの利用者が様々な通信サービスにアクセスするための基盤的な役割を担うサービスとして規制の対象とするものでございます。
一方、オンラインショッピングモールについては、取り扱う情報が出品物の特徴や価格に関する商取引情報であり、会話、コミュニケーションに関する情報ではないため、有識者で構成される電気通信事業ガバナンス検討会の報告書においても規制の対象外とすることが適当とされたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/113
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114・吉川沙織
○吉川沙織君 今、様々SNSと検索サービスとオンラインショッピングモールの特徴を答弁いただきましたけれども、第三号事業には同じようなくくりの中で全部入っています。
本来、利用者の利益の保護の法目的を達成しようとするならば、やっぱりこの規制は利用者の利益の保護のためには広くあるべきだと思うんですけど、今後、それをオンラインショッピングモールに広げていくとか、そういう可能性はありますでしょうか。あるかないかでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/114
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115・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 今後も適時適切に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/115
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116・吉川沙織
○吉川沙織君 適時適切にお願いいたします。
本来、まあこの議論いろいろあったようでございますが、新たな規律は、事業者の大小関係なく、利用者等が安心してサービスを受けられる環境が求められると考えます。当該規律は幅広く適用されることが本来望ましいと思いますが、見解は合いますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/116
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117・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
通信サービスの契約者などに関する情報、すなわち特定利用者情報の適正な取扱いについては、利用者保護の観点からはより多くの電気通信事業者を規制の対象とすることが望ましいと認識しております。
他方、規制が及ぼす負担の増加についても考慮する必要があり、今回の法案では、利用者の利益に及ぼす影響の大きい電気通信事業者に限定をして規制の対象としたものでございます。
その上で、今回の規制の対象から外れる電気通信事業者に対しては、様々な関係者と議論を重ねながら、特定利用者情報の適正な取扱いに関するガイドラインを策定することについても今後検討してまいる予定でございます。
本法案やそれに関連する様々な取組を総合的に進めることにより、利用者の皆様が安全、安心に通信サービスを利用できる環境が確保されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/117
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118・吉川沙織
○吉川沙織君 一たび利用者の利益の保護が損なわれることがあれば、それは事業の規模の大小とか内容にかかわらず関係なく影響を受けるものですので、そこは衆議院段階でもより多くの電気通信事業者を規制の対象とすることが望ましいという答弁もなされていますので、今後、もう一回頑張って検討していただきたいと思います。
この新たな情報規律を新設しようとするこの改正案の提出に至ったのは、LINEにおける事故、つまり海外のサーバーに我が国利用者の情報が勝手に送信されていたことに端を発したものです。電気通信事業ガバナンス検討会がこれにより設置され、議論が行われました。
今回、情報を保存するサーバー設置国の公表を義務付けるのかどうか、条文からは明確に読み取れませんが、これはどうなりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/118
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119・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
本法案では、特定利用者情報の取扱いの透明性を確保するため、電気通信事業者に対して情報の取扱いに関する方針を自ら定め公表する義務を課すこととし、その具体的な内容は省令で定めることとしております。
本法案をお認めいただいた場合、電気通信事業ガバナンス検討会の下にワーキンググループを立ち上げ、学識経験者、消費者団体、経済団体、事業者団体など幅広い関係者に参画をいただき、衆議院総務委員会の附帯決議など今国会での御議論も十分踏まえながら、利用者情報を保管するサーバーの所在国など電気通信事業者が公表すべき事項について具体的に検討を進めてまいる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/119
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120・吉川沙織
○吉川沙織君 電気通信事業ガバナンス検討会の報告書にもその旨読み取れるところありますし、条文上は恐らく第二十七条の八の三に規定される特定利用者情報の安全管理の方法のところで詳細定めていかれるのだと思います。やはりサーバー設置国の公表というのは大事なことだと思いますので、是非検討を進めていただきたいと思います。
ここから三点目。
その三点目の公正な競争環境の整備は、これはもう事業者間同士の話になりますので、今まで申し上げたユニバーサルサービス制度と利用者情報の適正な取扱いの論点とは異なります。この卸の関係に関しては、優越的地位の濫用があってはならないことは大前提ですが、今回の改正では相対契約が法定化されています。
相対契約を法定事項にしたほかの法律はありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/120
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121・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
お尋ねは、相対契約について役務提供義務を課す制度を設けているものはないかというお尋ねだと思っております。
ほかの法律におきましては、今回の改正案と同じ内容の制度は調べた限り確認はできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/121
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122・吉川沙織
○吉川沙織君 接続制度は法定化されても、卸に関しては民民でやる相対ですので、それをそもそも条文、法定をするというのはなかなか、ほかないのは当然のことかと思います。
今回の改正で新設しようとする相対契約の条文、第三十八条の二第二項には、正当な理由がない限りとありますが、この正当な理由について何か、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/122
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123・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
正当な理由として認められる場合につきましては、事業者間の競争関係に与える影響を踏まえ客観的に検討する必要があると考えておりまして、有識者会合である接続料の算定等に関する研究会において関係事業者の意見も聞きながら、今後、公開のプロセスの中で検討していく考えでございますが、その際には、現行の接続制度のいわゆる拒否事由に当たります電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるとき、接続を提供する事業者の利益を不当に害するおそれがあるときなどの事項についても参考としつつ、検討していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/123
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124・吉川沙織
○吉川沙織君 今答弁ありましたのは、恐らく、第三十二条の接続のルールを今回こちらの方でも当てはめてやっていこうということでしたが、これも推移を見守っていきたいと思います。
私、この電気通信事業法でもそれ以外でもそうですが、規制が課される場合には、総務省の別の政策評価のところで規制の事前評価書というのを、これは各省庁が全部書いているものですが、この規制の事前評価書について、今回新たな規制を課するものが多いものですから幾つか伺いたいと思います。
本改正案に関する規制の事前評価書では、評価の活用という項目がございます。この評価の活用についてどのような内容を記載していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/124
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125・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 今回の法案につきましては、その方向性を議論した検討会の場において、新たな規制によって発生し得る効果や負担を含め、有識者から多くの様々な御意見をいただきました。
この法案における規制の内容を決定するに当たっては、検討会で御議論いただいた事項が規制の内容の参考、土台となっていることから、担当部局においてそうした事項をベースにした御指摘の規制の事前評価書を作成したものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/125
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126・吉川沙織
○吉川沙織君 規制の事前評価書、この規制の政策評価とか、規制に係る政策評価の事務参考マニュアルによれば、当該規制の検討段階やコンサルテーション段階で事前評価を実施することが好ましいということになっています。
ですから、この規制の事前評価の義務付けの趣旨からすれば、今大臣から御答弁あった、今回、様々、四つほどこの法案に係る規制の事前評価書を提出されておりますが、全て、○○研究会、○○審議会でこのような内容が出た、答申が出たからこうなりますと書いてありますが、この義務付けの趣旨からすれば、検討会の結果内容を踏まえた内容を評価書にまとめるのではなく、規制案の検討段階から作成し、検討会の議論の場で活用すべきだったのではないかと思います。
その事前評価について仮に望ましい活用がなされていれば、検討会の場で結論を得る前に、直前に取りまとめ内容が大幅に変更されるような事態も防げたかもしれないのではないかと思っています。
また、この新しい改正案については、第二十七条の九で、特定利用者情報の取扱状況の評価等として新たに評価の規定も新設しようとされていますが、これら評価するに当たっては統計等データが非常に大事になります。でも、その統計の信頼性は揺らいでいます。
この国会において、私自身、三月八日、三月十六日、五月十九日と、この当委員会で統計行政を取り上げました。三月八日の当委員会において、国交省の統計不適切事案について、大臣からは統計法の理念に反する事案であったという答弁をいただきました。しかしながら、統計法第六十条第二号の基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者について、統計法違反の該当性の基準について示すべきではないかと申し上げましたところ、統計は多様だとか、プロセスが多岐にわたるとか、個別具体的な判断ということで、答弁が明確にはありませんでした。
この統計法、まあ今日も、国交省の事案で、電子媒体においても不正な取扱いがなされていたと報道がありました。最初は過失であったかもしれません。でも、途中から明らかな故意での事案でした。せめて、基準がなければ判断のしようもありませんし、もし省内で何か行われていたときに基準が示されてさえいれば、あっ、これは告発した方がいいんじゃないかとか、そういった動機付けにもなります。
基準ぐらい検討してはいかがと思いますが、是非大臣御自身の言葉で、答弁書を御覧にならずに、大臣御自身の言葉で答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/126
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127・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 私の言葉ということでございますが、非常にこれは、統計問題というのは非常に大きな問題でございますし、私一人でできることでもございませんので、現在の総務省としての答弁をさせていただきたいと思います。
今回の不適切な処理については大変遺憾なことと考えております。統計法第六十条第二号は、基幹統計の作成に従事する者が基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした場合に罰せられる規定でございます。
この行為については、基幹統計の作成過程において、通常の方法によって作成されるはずの結果と異なる結果を意図的に生ぜしめる不正な行為であるとの解釈を既にお示ししてきておりますが、個々の行為がこのような行為に当たり、刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知をしております。
もっとも、刑事罰の対象となるかどうかにかかわらず、国民の信頼を失うような不適切な行為は行ってはならないものであり、今般の事案においても、不適切な行為を行った職員に対して広くかつ厳しい処分等が行われているところでございます。
現在、統計委員会の特別検討チームで進められている検討結果も踏まえ、誤り発見時の対応ルールを充実、徹底することなどにより、不適切な行為の再発防止を図ってまいりたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/127
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128・吉川沙織
○吉川沙織君 今日報じられた、「統計不正 電子データも 国交省 十七年間 件数不明」と出ました。最初は過失だったと思います。でも、途中から明らかに故意でこの行為が行われてきて、統計法の目的、理念、そして、今回の事案がそれに当たるかどうかは別としても、今回の事案を二度と繰り返さないためにも、基準を示せと申し上げているわけではありません、基準を検討することぐらいされてはいかがかと申し上げているんです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/128
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129・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 繰り返しになりますが、現在、統計委員会の特別検討チームで進められている検討結果も踏まえて、誤り発見時の対応ルールを充実、徹底することなどにより、不適切な行為の再発防止を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/129
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130・吉川沙織
○吉川沙織君 統計法違反の基準設定について、各省自らの見直しを促し、自浄作用を促すことにもつながるからこそ、その特別検討チームの結果を待たず、基準を策定することを検討してはいかがかと申し上げているんですが、いかがでしょうか。大臣の言葉でお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/130
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131・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 委員のお気持ちはしっかり受け止めながら、今後、省内においてもいろんなことを検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/131
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132・吉川沙織
○吉川沙織君 今まで統計法違反に問われた事案というのは本当の本当の本当の不正しかなくて、だからその判断が難しいという側面があるのは理解をいたします。ただ、今回のような事案がそのまま見過ごされるということは、我が国の統計等データの信頼を失墜させることにもつながりかねません。また、今特別検討チームのお話ございましたが、事案が起こるたびに、人は増えないのに業務量は増え続けています。それこそ特別検討チームで何らかの結果が出れば、また業務負担が限られた人員に過重に掛かることになりますが、これら人員の強化、体制について抜本的に見直す必要あると思いますが、一言御見解をいただければうれしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/132
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133・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) もうこれまでも、統計問題については、これまで議論してこられた、見守ってこられた吉川委員の御意見でございますので、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/133
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134・吉川沙織
○吉川沙織君 本当に事案が起こるたびにやることは増えて、ただ、人は増えない。今回の国交省の報告書等の中でも、やはり限られた人にその業務が掛かっていて、それが余計に不正、不適切な取扱いを増やしてしまったということもあります。
私たち立法府側から行政の取組について、これからも法案の審査、それから行政監視機能の発揮、していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/134
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135・小林正夫
○小林正夫君 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。
今日は、知床半島付近の通信関係と、二つ目には今回の法案について、三つ目に電力の安定供給について質問をいたします。
まず、知床半島での観光船事故に係る通信関係について質問をいたします。
去る四月二十三日、北海道の知床半島の沖合で乗客乗員二十六名が乗った観光船が沈没する事故がありました。亡くなられた方の御冥福をお祈りいたします。
この事故で、国土交通省では、知床遊覧船事故対策検討委員会が開催をされております。その中の検討事項の一つに設備要件の強化として無線が挙げられており、今後の事故原因等の究明は別途詳細にされると思いますけども、無線設備の不備があったことは既に確認をされております。
報道によると、無線に関係することを抽出いたしますと、一つとしては、十三時十三分、観光船KAZUⅠから無線で連絡を受けた別の運航会社が海上保安庁に救助を要請をした。二つ目、十四時五十五分頃、観光船KAZUⅠから知床遊覧船の事務所に連絡がされる。三番目として、また一部の報道では、十三時十八分、この船から直接救助を頼むと海上保安庁に、一一八番に通報があったとされています。
それぞれの連絡は、誰がどの通信設備を用いて連絡したんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/135
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136・白石昌己
○政府参考人(白石昌己君) お答えいたします。
海上保安庁におきましては、四月二十三日午後一時十三分頃、遊覧船KAZUⅠからのアマチュア無線を聞いた同業他社から、携帯電話の一一八番通報によりまして遊覧船KAZUⅠの海難情報を受けました。
次にお尋ねの、午後二時頃に遊覧船KAZUⅠから有限会社知床遊覧船の事務所へ連絡があったことにつきましては、午後二時五十五分頃、有限会社知床遊覧船事務所と第一管区海上保安本部の網走海上保安署の間におきます一般電話による連絡により、午後二時頃に遊覧船KAZUⅠから連絡があったという内容を確認しております。
また、午後一時十八分頃、遊覧船KAZUⅠから携帯電話で救助要請の一一八番通報を受けております。
なお、遊覧船KAZUⅠからの一一八番通報などの連絡に関しまして、通報者や通信設備の詳細につきましては、捜査に関わる内容がありますので、お答えを差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/136
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137・小林正夫
○小林正夫君 知床遊覧船が、二〇二二年四月二十日、通信手段を携帯電話へ変更を申請して、日本小型船舶検査機構は、その内規に従って通信設備を船舶衛星から携帯電話への変更を許可したと承知をしております。そして、船長が所有の携帯電話への変更を申請したとも聞いております。しかし、船長が申請した携帯電話会社のホームページを見ますと、知床遊覧船が今回運航するルート上では、海上においてその携帯電話の電波が通じないエリアがあることが分かりました。
五月の二十五日の参議院本会議で斉藤国土交通大臣は、日本小型船舶検査機構は、無線設備を携帯電話に変更する際に、検査事務規程細則に基づいて検査を行うための方法を内規として定めている、KAZUⅠの携帯電話では実際には通信できなかったと推測されることから、機構の内規で定められた検査方法は十分でなかったものと考えている、この旨の発言がありました。
そこで、お聞きをいたします。
通信設備を携帯電話に変更する際の内規はどのような内容だったのか。また、今回、その内規のどこをどのように見直しをしたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/137
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138・河野順
○政府参考人(河野順君) お答えします。
KAZUⅠの検査を実施した日本小型船舶検査機構では、小型旅客船が船舶安全法に基づく無線設備として携帯電話を備える場合には、常時通信可能であることを事業者が実際に確認したことを事業者からの申告書で確認することを原則としつつ、携帯電話会社の通信エリア図から明らかな場合は、通信エリア図によって常時通信可能であることを確認して認めてもよいという内規を定めていたところ、四月二十日の中間検査に際して、この内規に従い、事業者から常時通信可能との申告を受け、無線設備を船舶衛星電話から携帯電話に変更することを認めたと承知しております。
しかしながら、KAZUⅠの携帯電話では実際には通信できなかったと推測されることから、機構の内規で定められていた検査方法は十分ではなかったものと考えております。このため、五月九日に国土交通省から機構に対し、携帯電話に関する検査方法の改善を指導し、航路の一部でも携帯電話会社の通信エリア図から外れる場合には携帯電話を認めないこととするように改善されたところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/138
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139・小林正夫
○小林正夫君 今日は、資料一を用意をいたしました。これは総務省の資料で、携帯電話等エリアの整備事業という資料でございます。
このように、総務省では携帯電話等エリア事業を実施をしております。この事業概要もここに書いてありますけれども、地理的に条件不利な地域において、地方公共団体や無線通信事業者等が設備や設置、整備をする場合に、費用を国が一部負担する、一部補助すると、こういう内容でございます。
そこで、質問ですけれども、この事業の実施状況について確認したい。あわせて、現在この事業の計画をしている地域はあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/139
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140・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
直近の二年間における事業の実施状況について御紹介をさせていただきますと、令和二年度は二十道府県の六十四か所、令和三年度は十四道府県の三十六か所において事業を完了し、新たに携帯電話を利用できる環境などを整備いたしました。
また、現在九つの県の十五か所で事業を実施しているほか、今後申請を予定している地域も複数箇所ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/140
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141・小林正夫
○小林正夫君 総務大臣にお聞きをいたします。
国民生活に欠かせないこの携帯電話の利用範囲を広げていくことは大変重要だと私も思います。そして、携帯電話等のエリア事業は、地方公共団体や無線通信事業者から電波状況改善事業の申請によって費用を国が一部補助するという事業であります。申請がある地域の整備はこの補助事業でエリアの拡大が進んでいくと思いますけども、これ以外の地域についても総務省は自ら通信可能エリアを広げる施策を展開する必要があるんじゃないか、このように思いますけども、大臣の所見と、エリア拡大への決意をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/141
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142・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 小林委員にお答え申し上げます。
総務省では、本年三月末にデジタル田園都市国家インフラ整備計画を策定をいたしまして、岸田内閣の最重要課題でございますデジタル田園都市国家構想の実現に向けまして、デジタル基盤の整備の加速化に全力で取り組むこととしております。
本計画では、例えば携帯電話については、二〇二三年度末までに全ての居住地域で4Gを利用可能とするほか、5Gの全国での人口カバー率を二〇二五年度末までに九七%とすることなどの新たな整備目標を掲げております。
この目標達成に向けて、小林委員御指摘の条件不利地域での基地局整備を支援する補助金のみならず、事業者が自ら計画をした整備計画外の地域における基地局開設の責務の創設、複数の事業者が基地局などを共同で利用するインフラシェアリングの推進、総務省が各地で開催する地域協議会による個々の地域のニーズに対応したインフラ整備の促進など、規制と振興の両面からあらゆる政策を講じてまいる予定でございます。
引き続き、国民の生命、財産を守るための情報伝達手段として必要不可欠な携帯電話などのデジタル基盤の整備に向けて、総務省も先頭に立って取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/142
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143・小林正夫
○小林正夫君 期待をしたいと思います。
委員長、知床に関する通信の質問は終了いたしましたので、答弁者の退席について御判断ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/143
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144・平木大作
○委員長(平木大作君) それでは、河野技術審議官、白石警備救難部長については御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/144
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145・小林正夫
○小林正夫君 それでは、本法案について質問をいたします。
今回の法案では、電気通信サービス利用者の利益の保護を図るための措置を講じると、このようにありますけども、その中の安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保において、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者に対する義務が整備されると私は受け止めております。
私は、昨年の四月の二十七日のデジタル五法案の内閣及び総務委員会の合同審査の質問で、LINEが十分な説明がないまま利用者の個人情報などが中国からアクセスできる状態になっていた問題についてただして、当時の武田総務大臣は、しっかりと、指導事項というものを我々は発したわけでありますから、それを見守って、注視してまいりますと、こういう答弁がありました。
それから一年が経過をいたしますけども、現段階において総務省の行政指導により安心してLINEが使える状況になっているのか、質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/145
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146・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 小林委員御指摘のLINE社の事案を受けまして、総務省としては、昨年四月二十六日に同社に対して行政指導を行った上で、五月の三十一日に再発防止策の提出を受けました。再発防止策として、社内システム全般へのアクセス権限の点検、リスク管理部門による開発プロセスの点検、監督、委託先を含むリスク評価の実施、利用者への適切な説明などが挙げられており、同社でこれらを適切に対応することにより、利用者が安心してサービスを使える環境が実現するものと考えております。
総務省としては、引き続きLINE社の取組状況を注視するとともに、今回の法案により国民の皆様が安全、安心にLINEを含む通信サービスを利用できる環境をしっかり確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/146
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147・小林正夫
○小林正夫君 状況は分かりました。
このLINEの件では、中国技術者にアクセス権が付与されていたことだとか、データサーバーが海外にあったことなどが解消されたとの認識を私持ちましたけれども、今回の法改正において電気通信事業者が海外にデータサーバーを設置する規制の検討はあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/147
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148・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
本法案は電気通信事業ガバナンス検討会の報告書を踏まえたものですが、同報告書においては、情報取扱方針に規定する安全管理の方法として、利用者情報を保管するサーバーの所在国や利用者情報を取り扱う業務を委託した第三者の所在国を公表いただくことが考えられるとされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/148
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149・小林正夫
○小林正夫君 これ、規制を掛ける場合の課題は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/149
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150・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
まず、関係の事業者の実態、これをしっかりと把握をするということが大切かと考えております。その上で、必要な規制を検討していくということだと考えております。
電気通信役務のグローバル化の進展等、諸外国の法的環境の変化などを背景として、本法案では、電気通信事業者における特定利用者情報の取扱いの透明性を確保する観点から、情報取扱方針を定めて公表することとしております。
その具体的な記載事項といたしまして省令で定めることとしておりますが、この情報取扱方針に関する省令を定めるに当たって、本法案を御審議いただきました衆議院総務委員会の附帯決議におきまして、特定利用者情報を保管するサーバーの所在国や特定利用者情報を取り扱う業務を委託した第三者の所在国を公表することを定めることとされております。
総務省としては、本法案をお認めいただきましたら、当該附帯決議も踏まえ、情報取扱方針の具体的な記載事項について、事業者団体、経済団体、消費者団体の御意見も伺いながら検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/150
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151・小林正夫
○小林正夫君 事前通告した質問、一問飛ばしまして、三番目の質問をいたします。
電気通信事業者がウエブサイトだとかアプリの閲覧履歴などの利用者に関する情報を広告会社などの第三者に外部送信する場合に、利用者に確認の機会を付与するとありますけれども、具体的にどのような方法で利用者に確認をしてもらうんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/151
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152・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
利用者に関する情報の外部送信に関する規律では、利用者の端末に記録された情報を外部送信させる指令となるプログラムなどの送信を行う際に、当該利用者に確認の機会を付与することを求めることとしております。
ここでの確認の機会の具体的な方法としては、関係業界における取組、事業者、利用者への負担や諸外国における規制動向などを考慮し、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれかとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/152
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153・小林正夫
○小林正夫君 私は、利用者保護の観点から考えてみれば、利用者に確認してもらうのではなくて、利用者の同意を得たもののみ第三者に送信することを可能として、利用者が拒否することも可能とする制度にすべきじゃないかと、このように思いますけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/153
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154・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
同意の取得を求めることは、利用者の同意疲れを引き起こすなどといった懸念もございます。利用者保護の観点からも、同意の取得に限定することなく、状況に応じた柔軟な対応を可能とすることが重要であると考えております。
また、諸外国における規制動向を見ると、アメリカではカリフォルニア州などにおいてジャスト・イン・タイム通知により利用者に確認の機会を付与している例があるなど、必ずしも同意の取得が世界標準となっているわけではございません。
こうした観点などを踏まえ、利用者に関する情報の外部送信に関する規律では、委員御指摘の同意の取得、通知又は公表、そしてオプトアウトのいずれかの方法により利用者に確認の機会を付与する制度としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/154
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155・小林正夫
○小林正夫君 インターネットで検索をするとそれに関わる広告が次々と出てくると、こういうことが非常に煩わしい、このように感じる方も私は多いんじゃないかというふうに思います。
今回の制度で、閲覧履歴を外部の例えば広告会社に提供する場合に、私はこのようなターゲティング広告を望まないという利用者に対して、通知や公表ではなく、第三者へのデータ送信を拒否する選択も、総務省の言う利用者保護の観点からやはり必要と私は考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/155
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156・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、確認の機会につきましては、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれかとしてございまして、御指摘の同意の取得につきましても手段の一つに含まれております。
また、オプトアウトにつきましては、利用者が当該措置を適用することにより、情報の送信や送信された情報の利用を停止することができるようになるものでございます。
同意の取得については、利用者の同意疲れを引き起こすなどといった懸念もあるため義務付けはしておりませんけれども、利用者保護の観点からも、同意の取得に限定することなく、状況に応じた柔軟な対応を可能とすることが重要であると考えております。
詳細につきましては総務省令で定めることとしており、本法案をお認めいただきましたら、これらの方法が利用者保護の観点から十分なものとなるよう、関係業界における実態やベストプラクティスなどを踏まえつつ、適切に検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/156
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157・小林正夫
○小林正夫君 通信技術が発展、発達をして、利用者は大変便利になったんですが、今言ったような煩わしさも生じていることも正直なところあると思います。
大臣、これは今後の課題として総務省として検討していく必要があるんじゃないかと思いますけど、大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/157
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158・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) これから、この法案を通していただいた後は、総務省、あるいは有識者会議、ガバナンス会議等も含めて、これから検討は進めていくものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/158
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159・小林正夫
○小林正夫君 それでは、三つ目の質問に移ります。
電力の安定供給確保を中心に質問をいたします。
デジタル社会や高速通信時代に入って、質の高い電力の安定供給が不可欠である、このような状況です。需給逼迫対策や電源の確保、電力自由化の課題、原子力政策について質問をいたします。
細田経済産業副大臣にも今日は御出席いただき、感謝を申し上げます。ありがとうございます。
そして、デジタルの技術は言うまでもなくて、安定した電力の安定供給がなければ成り立たないと思います。今年の三月二十一日には、翌日の東電管内の電力需給見通しが厳しいことを受け止めて、需給逼迫警報が発出をされました。電力需給逼迫があると、各需要家において可能な限り自家発電機を稼働してもらう、そして国民に対して節電を要請する、このようなことが度々起こるようでは、デジタル庁が目指す日本のデジタル社会の姿は遠のいてしまうんではないかと心配をしております。
そこで大臣にお聞きいたしますけれども、デジタル社会や高速通信時代に入って更なる電力の安定供給が大事でありますけれども、電気通信事業を所管する大臣として、電力の安定供給の大事さということは共有できますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/159
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160・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 小林委員のおっしゃるとおりであります。
社会全体のデジタル化が進む中、通信サービスは今や国民の日常生活や社会経済活動にとって必要不可欠なインフラであります。災害時における国民の生命、財産を守るための情報伝達手段としても、その安定的な確保は必要不可欠であります。
デジタル化の進展に伴う通信量の増加に応じて通信インフラの消費電力も増加している中で、総務省としても省電力化に向けた研究開発などに取り組んでいるところでございますが、いずれにいたしましても、その前提として、小林委員御認識のとおり、電力の安定的な供給が極めて重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/160
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161・小林正夫
○小林正夫君 デジタル庁にお聞きをいたします。
デジタル庁で所管している三十のシステムネットワークあるいはデジタル化推進を担うシステムなどは、仮に停電が発生した場合のときも問題なくシステム稼働を維持できるように整備はされているんでしょうか。蓄電池や非常用電源設置などの電源のバックアップシステムの構築はされているのか、確認をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/161
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162・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
御指摘のとおり、停電等の非常時においてもシステムやその運営に支障が生じないような取組を推進することは重要なことであると認識をしております。
デジタル庁の業務継続計画におきましても、停電が発生したときにも、庁舎内においては、商用電源の供給が再開されるまでの間、非常用発電設備を使用することで七十二時間の供給を確保することを定めておるところであります。
また、デジタル庁の非常時優先業務等を遂行する上で必要な情報システムであります庁内のLANシステム、これにつきましてはクラウドサービスで提供されております。このため、商用電源及び商用電話回線が復旧されるまでの一週間程度の間においても、バックアップ回線のモバイル化によりましてクラウドサービスへの接続は可能となります。また、クラウドサービスにより保存されるデータは同時被災しない関係を持つ異なるリージョンの間で二重化し、可用性を確保することとしております。
このような取組を通じまして、停電等の非常時における情報システムの運用の継続性の確保をしっかり図ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/162
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163・小林正夫
○小林正夫君 経産副大臣にお尋ねいたします。
資源エネルギー庁では、今後も電力需給の厳しい状況は数年続く、こういう発言もあります。政府は、電力供給の余裕を示す予備率が三%を下回ると見込まれる場合には電力供給逼迫警報、五%を下回ると予想される場合は新たに注意報を出して早めに節電を呼びかけると、このようにしております。
松野官房長官は六月六日の記者会見で、二〇二二年度の夏季と冬季の電力需給が逼迫する見通しとなっていることに関して、関係閣僚が対策を議論する電力供給に関する検討会合を近く開催する考えを明らかにしました。そして、その翌日の七日に開かれた検討会合では、電力確保に向けた総合対策を決定をして、その中で電力会社に休止中の火力発電所の稼働を求める、そして最終手段として電力使用制限令の発動も検討する方針がマスコミでも伝えられております。
そこで、副大臣に質問ですけれども、電力の需給の厳しい状況がこれからも続くと見込まれる要因は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/163
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164・細田健一
○副大臣(細田健一君) ありがとうございます。
まず、改めまして、小林先生の長年にわたるエネルギー政策に対する御尽力に心から敬意を表したいと考えております。
その上で、御指摘の点についてでございますけれども、近年、脱炭素化の流れを背景に、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って火力発電所の稼働率が低下し、休廃止が増加しております。また、原子力発電所の再稼働も順調に進んでおりません。今後とも火力電源の廃止は進む一方、新設は限られることから、供給力の減少幅は拡大傾向にございます。また、近年コロナ禍によるテレワークなどにより電力需要が急拡大していることなどの影響もあり、電力需給は大変厳しい状況となっております。
電力の安定供給は、国民生活及び経済活動の基盤でございます。足下の厳しい電力状況の需給を踏まえ、短期的には休止火力の再稼働や非化石電源の最大限の活用など、供給面であらゆる対策を講じていく所存でございます。
他方、短期的な供給力には限りがございますので、短期的には拡大は困難であるため、需要面での対策も重要となります。大変恐縮でございますけれども、国民の皆様には現状と対策及び今後の見通しを丁寧に説明しつつ、御理解を求めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/164
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165・小林正夫
○小林正夫君 私は、原子力の再稼働が政府が考えていたよりか遅れていると、これも要因の一つだと私は思っておりますけれども、副大臣はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/165
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166・細田健一
○副大臣(細田健一君) 今答弁で申し上げたとおり、それも一つの要因であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/166
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167・小林正夫
○小林正夫君 次に、第六次エネルギー基本計画に関連して何点か質問をいたします。
第六次エネルギー基本計画は二〇二一年十月二十二日に閣議決定をされました。これは再生可能エネルギーを主力電源化としておりますけれども、太陽光や風力発電は太陽や風任せで安定したベース電源ではない。安定した電源化にどう取り組んでいくのか、経済産業省にお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/167
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168・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台でありまして、そのため、Sプラス3Eのバランスを取りながらエネルギーの安定供給を確保することは、いつの時代、いかなる状況下においても最重要課題であると認識しております。
御指摘の再生可能エネルギーですが、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な脱炭素の国産エネルギー源でありまして、最大限の導入を進め、主力電源化をしていくことが基本方針でございます。一方で、先生御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入拡大に当たりましては、太陽光や風力の出力変動への対応などの安定供給上の課題があることも、これもまた事実でございます。
こうした課題を克服するために、蓄電池の導入拡大や水素の活用等を通じた新たな調整力の確保、電力需給に応じた売電を促すFIP制度の導入を通じた再エネ自体の電力市場への統合、将来確実に稼働できる発電所の確保に必要な費用を安定的に確保するための容量市場を通じた供給力、調整力の確保、こういったことに総合的に取り組みまして、再生可能エネルギーの主力電源化と電力の安定供給の両立を図ってまいりたいと思います。
また、Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギーが存在せず、今後の技術革新などの不確実性を踏まえれば、再生可能エネルギーだけで全てのエネルギーを賄うことはまた難しいと思っておりまして、そのためには、再生可能エネルギーのみならず、原子力、火力、水素、CCUSなどあらゆる選択肢を追求し、カーボンニュートラルを目指すということが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/168
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169・小林正夫
○小林正夫君 再生可能エネルギーは必要だと私も思っておりますので、これは大いに進めていくべきだというのは私の基本的な認識です。
ただ、固定価格買取り制度で再エネが増えていくと賦課金が上がるという構図がありますので、再エネを推進するということは賦課金の上昇につながると、私はこのように考えております。そこで、私は、この補助制度から、要は賦課金という補助制度から早期自立をした制度が必要じゃないか、このように思っておりまして、過去の決算委員会で当時の梶山大臣ともこの論議をいたしました。
副大臣にお聞きしますけれども、補助制度からの早期自立が必要だと、このように私考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/169
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170・細田健一
○副大臣(細田健一君) まさに今先生から御指摘ありましたとおり、国民負担を抑制しつつ再エネの最大限の導入を進めていくため、再エネの早期の自立化を促していくことが大変重要であると考えております。
このため、中長期の価格目標の設定や入札制の採用、低コスト化に向けた研究開発などを通じて、引き続き再エネのコスト低減を着実に進めていくことが必要であると考えております。
これに加えて、先生御指摘の再エネの自立化に向けては、火力などの他の電源と同様に、電力市場への統合を図り、電力システム全体の調整コストの低減を図ることも重要であると考えております。この四月から先ほど政府委員からお話ありました電力需給に応じた売電を促す市場連動型のフィードインプレミアム制度を導入しており、この制度を通じて再エネの電力市場への統合を進めてまいりたいと考えております。
このようなコスト低減と市場統合の双方に取り組んでいくことで再エネの早期の自立化を進めていくというのが政府の基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/170
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171・小林正夫
○小林正夫君 太陽光、風力、これからも建設がされていくと思いますけれども、この賦課金が上がってしまうという、私は、構図になっていますので、やはりこの賦課金に頼ることなくというか、そういうものが軽減されるような、そういうような制度をもって再生可能エネルギーを進めていく必要があるんじゃないかと思いますので、是非検討いただきたいと思います。
そして、エネルギーの自給率についてお伺いいたします。
二〇一九年で一二・一%というのが我が国のエネルギー自給率で、非常に乏しいものになっています。これを、先ほど言った第六次エネルギー基本計画では三〇%程度に自給率を上げていくと、このようなことが明記をされたわけですが、どうやって三〇%に上げていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/171
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172・南亮
○政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。
エネルギーの安定供給を確保するため、すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国におきましては、エネルギー自給率の向上は極めて重要、そのように認識しているところでございます。
こうした観点から、徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限導入、安全最優先の原発再稼働、こうしたことに取り組んできたところでございまして、今後も着実に取り組んでまいりたいと思っております。
省エネルギーにつきましては、エアコン等の製造事業者等に対して、製品別の省エネ目標達成を求めるトップランナー制度の基準引上げなど省エネ法に基づく規制措置の強化や、省エネ設備の導入補助など、規制と支援策を車の両輪としまして、徹底的に取り組んでまいりたいと考えております。
また、再生可能エネルギーにつきましては、国民負担を抑制し、地域との共生を図りながら最大限の導入を進め、二〇三〇年度の電源構成に占める再エネ比率を三六%から三八%の実現を目指すということでございます。そのためには、系統の利用ルールの見直しや、北海道と本州との海底直流送電線を含む系統整備などを促進してまいりたいと考えております。
また、原子力につきましては、実用段階にある脱炭素のベースロード電源であります。二〇三〇年度の電源構成に占める原子力比率二〇から二二%の実現に向けまして、安全性の確保を大前提に、地元の御理解を得ながら再稼働を進めてまいりたいと思っております。
こうした取組を通じまして、エネルギー基本計画でお示しした二〇三〇年度のエネルギー自給率の目標である三〇%程度、こうしたことの実現を目指してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/172
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173・小林正夫
○小林正夫君 コロナの感染が世界的に拡大をして、マスクも海外で作られているのか、私たちはこの二年間でいろんなことを経験いたしました。その中で、政府の認識も、全てのことが日本の国内でつくれるようにしていくことがやはり一つの目標になっていろんな施策が展開されていると、このように私受け止めております。
そこで、エネルギーの自給率を上げていくためには、私は、水力発電は国産エネルギーですから、ただこれは建設に大変時間も掛かるし、環境的な御理解いただくのも大変難しいものもあるかもしれません。私は、原子力は準国産エネルギーと位置付けられていますから、原子力を稼働することで自給率を上げられると、このように私思っております。
そして、先月二十七日の衆議院の予算委員会で、国民民主党の玉木雄一郎代表が岸田総理に問いましたけども、私は次のように考えております、安全が確認された原子力発電は再稼働を進める、二つ目、そしてリプレース、建て替えも進める、さらには、SMR、次世代小型モジュール炉の推進や将来に向けた技術力、人材の確保の取組が重要であると私は考えますけども、副大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/173
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174・細田健一
○副大臣(細田健一君) 原子力発電について前向きな見解をお示しいただき、本当にありがとうございました。
現在の状況を踏まえますと、原子力発電のようなエネルギーの安全保障に貢献し、脱炭素効果の高い電源の最大限の活用など、エネルギー安定供給確保に万全を期していくことが重要であると、こういうふうに考えております。
そのため、原子力発電所については、安全性の確保を大前提に、独立した規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合には、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくというのが変わらぬ政府の方針でございます。
他方で、新増設、リプレースについては、現時点では想定していないというのが政府の現在の方針でございます。
他方で、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて、原子力含めたあらゆる選択肢を追求することといたしております。
このような方針の下、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかりと進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/174
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175・小林正夫
○小林正夫君 あらゆる施策を展開をしていく、そして現段階ではリプレースについては政府は考えていないと、こういう答弁で、第六次エネルギー基本計画の中にもリプレースという言葉は出てきておりません。
是非、現段階でというお話でしたので、これからカーボンニュートラルを進めてCO2を削減しなきゃいけない、こういう課題もこれはありますので、私は、先ほど言ったように、準国産エネルギーである原子力発電を有効に活用していくことがいろんな意味で我が国にとって必要じゃないか、このように思いますので、是非リプレースについても政府の判断が早く出るように期待をしておきたいと思います。
そして次に、電力システム改革について質問をいたします。
この電力システム改革は、二〇一三年から二〇一五年にかけて三段階に分けて審議をされました。私も全ての審議に加わりまして、質疑をさせていただきました。
第一弾は、広域的系統運用機関の設立ということ。それが二〇一五年四月に施行されてから既に七年が経過をした。第二弾は、電力小売全面自由化で、二〇一六年四月に施行され、六年が経過をしております。第三弾は、送配電部門の法的分離で、二〇二〇年四月に施行されて二年が経過となっております。最近では、電気料金の上昇だとか、先ほど言った需給逼迫、そして新電力の撤退ということも生じております。
そこで、経産副大臣にお聞きをいたしますけれども、電力の小売全面自由化において、電気料金の上昇だとか新電力の撤退という状況が生じており、資源エネルギー庁の新電力の一覧を見ると、五月二十日時点で登録は七百四十社となっております。電力という公共性を考えたときに、新電力の政策について再検討する必要があるのではないか、このように思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか、あっ、副大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/175
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176・細田健一
○副大臣(細田健一君) ありがとうございます。
足下では御指摘のように燃料価格や卸電力市場価格が高騰している状況にあり、一部の新電力においては休廃止などに至る事業者も出現しております。これは御指摘のとおりでございます。
事業者の撤退などに備え、新電力と契約できない場合にも一般送配電事業者に供給義務を課す最終保障供給の仕組みをあらかじめ措置し、需要家に対して電力の安定供給に万全を期しているところでございます。
他方で、このような状況下において、新電力の倒産などに伴い託送料金やインバランス料金の未払が発生し、社会的コストが増大してしまう懸念があるなど、新たな課題も生じていると認識をしております。電気事業に新規参入する事業者においては、常に市場で安価な電力を確保できるわけではなく、長期的にも安定供給を担う覚悟を持って参入していただくということが必要だと考えております。
その上で、こうした課題への対応については、需要家の保護や国民負担の観点から、私どもの審議会で有識者により議論をしているところでございます。
先生の御指摘を踏まえて、燃料価格の高騰などにより小売電気事業のリスクが大きくなるなど、小売電気事業者を取り巻く経営環境は変化しており、こうした変化に対応した小売政策の在り方をしっかりと検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/176
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177・小林正夫
○小林正夫君 今副大臣おっしゃったとおり、私もこの三回にわたる審議について参加をしてきました。そのときの社会状況だとか私たちの電力供給に関わる環境がえらく変わってきたと、私このように思います。この間、世界中で環境問題に対する関心が集まり、石炭火力に対する投資であるとか、再生可能エネルギーの更なる促進で賦課金の先ほど言った上昇などある。さらに、今般のロシアのウクライナの侵攻による化石エネルギー供給の問題などが国民生活に大きな影響を与えています。
副大臣、是非今言った電力のシステム改革、これの検証ですね、あの三年間、三回やった審議の環境とは全く私変わってきたと思います。電力の安定供給は総務大臣も必要だという認識をもちろんお持ちです。したがって、それらをきちんとやっていくためにこの検証をしていく必要があると思いますけど、もう是非やっていただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/177
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178・細田健一
○副大臣(細田健一君) ありがとうございます。
改めまして、冒頭申し上げたとおり、小林先生のこの問題に対する長年の御尽力に対しまして心から敬意を表したいと考えております。
その上で、これまでの電力システム改革の取組によりまして、事業者にとって新たにビジネスチャンスが生まれたことに伴い再エネに特化したサービスメニューなどが出現し、需要家の選択肢が拡大されたなど、一定の成果が現れてきていると私どもは認識しております。
他方で、先ほど御指摘ございました電力需給の逼迫でありますとか世界的な脱炭素化の潮流、燃料価格の高騰、燃料調達リスクの高まりなど、我が国の電力供給を取り巻く情勢は大きく変化をしております。低廉かつ安定的な電力供給の、失礼しました、低廉かつ安定的な電力供給の両立を実現するためのシステム改革は今後とも不断に継続していくことが必要であると考えており、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現など社会の大きな変化に伴い生じる新たな課題に対しても、電力システムを不断に見直すことにより、安定的かつ持続的な電力供給を実現してまいりたいというふうに考えております。
小林先生から御指摘のあった問題意識については、私どもも共有するところがございます。また、先生の問題意識も踏まえながら、不断の見直しに取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/178
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179・小林正夫
○小林正夫君 私は、今日のこの委員会の質疑が十八年間の議員活動の中で最後の質問となりました。一期目は主に厚生労働委員会で、労働問題あるいは労働災害防止について取組をさせていただきました。二期目は経済産業委員会で、電力の安定供給を中心とするエネルギー政策について質疑を交わさせていただきました。そして、三期目はこの総務委員会に所属をさせていただきまして、また非常に勉強になりました。地方自治だとか地方での生活の状況、それと少子高齢化の課題などについても知ることができまして、本当に政治が生活と直結していると、このようなことを感じたわけでございます。
私は既に後期高齢者になっておりますけれども、この十八年間を振り返ると第二の青春だったと、私はこのように意識しております。それは、日々新しく発生する課題についてエネルギーを持って対応できたんじゃないかなと自分自身で思っていまして、そういう意味で、皆さんに御指導いただきながら、この総務委員会でも私の発言を聞いていただいたこと、また勉強させていただいたことを改めて感謝を皆さんに申し上げまして、私の発言を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/179
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180・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。
今日は、電気通信事業法の改正案ということで、この法案の審議をしっかりとやってまいりたいと思っています。
まず最初に、楽天モバイルが五月十三日に新料金プランを発表しました。これ、かなり話題になりまして、これまで、一ギガバイト未満の利用であれば月額料金ゼロ円だったプランがあったんですけれども、それが新料金プランではデータ利用がなくても最低月千七十八円となること、また、これまでの既存の契約者も自動的に新プランに移行するというのが主な内容でありました。
もちろん、これ、料金プランの改定は各事業者の経営戦略上の判断ということですので、内容自体について良しあしを言う立場にもないですし、そのつもりもないわけですけれども、一方で、旧プランの契約者が自動的に新プランに移行することについては事実上の値上げになるということと、その理由がかなり特異であったということからもこれ議論を呼んでいるということです。
この新料金プランへの自動移行をしなければならない理由について楽天モバイルは言っているのは、当初は既存の契約者は当面このまま使っていただこうというふうに考えていたんだけれども、新プランの提供開始以降に旧プランの新規申込みを停止した上で並行提供することがこの電気通信事業法二十七条の三第二項第二号及び同法施行規則二十二条の二の十七第六号に抵触するおそれがあるとして、既存の契約者も新料金プランに移行しなければならなかったというふうにしているわけでございます。これ、法律の条文を引用した新料金プランの説明は相当インパクトがあるものだったというふうに思います。
楽天モバイルは複数のプランの並立を選ばずにワンプランを維持するという経営判断をしたわけですけれども、これがある意味でこの電気通信事業法がこれ足を引っ張ったというような見方もできるのかもしれません。
そこで、お伺いをしたいんですけれども、これ、電気通信事業法と施行規則の解釈について伺いますが、これ、いかなる方法でも新プランの提供開始以降に旧プランを並行提供するということはできないものなのかどうか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/180
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181・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
携帯料金につきましては、携帯事業者各社が市場競争の中でそれぞれの事業戦略、経営判断に基づき決めているものであり、政府として個社の個別の料金プランについてコメントすることは差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げれば、御指摘のように、新プランの提供開始以降に旧プランの新規申込みを停止した上で並行提供することについては、既存契約者を自社に囲い込む効果を生じさせるような提供条件である場合には、電気通信事業法や関係規定の趣旨に照らし問題となる場合があります。
他方、これはいかなる提供条件でも問題となるということではございませんで、個別具体の料金プランの提供条件によっては問題とならない場合もあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/181
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182・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 答えられるのかどうか分からないんですけれども、楽天はこれ抵触する可能性があるということを言っているわけですけれども、これについての何らかの見解はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/182
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183・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
先ほども申し上げましたとおり、個々の事業者の個別の料金プランについてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/183
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184・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 これ、問題は、直接的にせよ間接的にせよ、電気通信事業法と施行規則によってキャリアが取り得る料金プランの選択肢を狭めたということ、結果としてユーザーに負担が及ぶ可能性があるということであります。
当該条文は二〇一九年の通常国会における電気通信事業法の改正で加わった内容でありますけれども、この規定は期間拘束にひも付いた割引等の行き過ぎた囲い込みの是正と、それからユーザーの流動性を高めるということで、料金の値下げにつながることを目的として導入されたものでありました。いわゆる二年縛りなどの囲い込みをさせないという当時の改正内容の趣旨自体は今考えても私は問題ないというふうに思っているわけですし、これ賛成したわけですけれども、結果として料金プランを法令、特に施行規則がゆがめて逆の効果をもたらしたと見ることもできるのではないかというふうに思います。
当時の法改正時や施行規則改正時には想定されていなかった事象が今回生じたというふうに思われますので、これ、過剰な規制となっていないか、そもそも当時の改正の狙いが果たされているのか、経過的な観察が必要だというふうに考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/184
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185・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 柳ヶ瀬委員御指摘の規定は、当時問題となっていた携帯電話利用者の行き過ぎた囲い込みの禁止などを目的として、二〇一九年の電気通信事業法の改正により新たに導入されたものでございます。
他方で、携帯電話をめぐる市場環境は常に変化しており、政策や制度について不断にその効果などについて検証していくことが重要であるという点は委員御指摘のとおりと考えております。
総務省では、毎年、有識者会合において、モバイル市場における競争状況などについて評価、検証いただいており、本年も夏頃までの報告書案の取りまとめに向けて精力的に御議論をいただいているところでございます。本会合での議論も踏まえ、公正な競争環境を確保するための政策や制度の在り方について不断に検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/185
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186・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 これ、楽天モバイルのユーザーの皆さんにとってもかなり衝撃的だったということで、ゼロ円で使えていたものが強制的に次のプランに移行せざるを得なかったということもあるというふうに思います。
是非こういった綻びというか、これ施行規則に問題があるんではないかなというふうに思っておりますけれども、これは是非経過的な観察をしていただいて、不断に見直しをしていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思います。
次に、ブロードバンドサービスに関するユニバーサルサービス制度の整備について伺ってまいりたいと思います。
現在、ユニバーサルサービス料、月額二円から三円、電話リレーサービス料、年間五円程度が徴収されています。ほとんどの事業者、契約では利用者にこれ転嫁をしているという現状がございます。
今回、不採算地域で有線ブロードバンドサービスを提供する赤字事業者に対する必要な費用の支援と、新たな有線ブロードバンドの整備をした場合に必要な費用の支援のため、現時点での試算で一契約当たり月額八円程度の料金を課すこととされており、交付金の規模は約二百三十億円の想定となっております。
伺いたいんですけれども、この一契約当たり月額八円というのは、これ全体の金額から見れば許容できる範囲と言えなくもないと思うんですけれども、これ現在のユニバーサルサービス料や電話リレーサービス料からすると数倍のコストとなります。この月額八円という数字ですけれども、これは今想定として最小値ということなのか、それとも最大八円ぐらいになるということなのか、どの辺りの位置付けなのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/186
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187・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の交付金制度は、第一に、不採算地域で有線ブロードバンドサービスを提供する赤字事業者に対しサービスの維持に必要な費用を支援すること、また第二に、現段階で有線ブロードバンドが未整備の地域で今後新たに有線ブロードバンドの整備が行われた場合などにサービスの維持に必要な費用を支援することの二点を内容とするものでございます。
委員御指摘の月額八円という試算は、一点目につきましては、赤字事業者の数が今後増加し、大手の通信事業者以外のローカル事業者は基本的に赤字をすること、また二点目については、未整備地域の新規整備が今後順調に進み、政府の目標とする世帯カバー率九九・九%に到達することを想定し、そのような状況での負担金額を試算したものでございます。交付金制度の始動当初から月額八円の負担が発生することを見込んだものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/187
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188・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
ですから、もうこれ最大値ということだというふうに思いますので、今の延長線では、特に地方における人口減少にあらがうのはなかなか困難だろうというふうに思うわけですけれども、そうすると、不採算地域は今後ますます増加するというふうに思われますので、料金は月額八円に近づいていくのだろうというふうに考えます。
一方で、ソサエティー五・〇の時代が近づくにつれて、またインターネットネーティブの世代が増加するにつれて、インターネットの利用者は限りなく一〇〇%に近づいていく社会が想定されます。この交付金の上限は法定されておらず、毎年審議会への諮問とパブコメを得て総務大臣が認可をするということですけれども、現状、国民負担率が五〇%をうかがうという時代に、もうこれ以上ユーザーの負担を増加させないという観点が大事だというふうに考えます。
これ、国民のほぼ全員が恩恵を被り、負担を負うものということになっていくのであれば、不採算地域も含めた地方のインフラ維持という観点から、これ利用者負担と、こういうことではなくて、もう予算を見直して今の歳入の範囲で対応するのが分かりやすいのではないかというふうに考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/188
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189・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
テレワークなど、ブロードバンドを通じて提供されるサービスの多くは双方向のサービスであり、不採算地域においてこれらのサービスの提供が確保され、その利用者数が増加すれば、都市部を含めた全ての地域のブロードバンドサービスを提供する事業者がメリットを享受することになります。
このため、不採算地域における有線ブロードバンドの維持に必要な費用については、国費によって恒久的に補填するよりも、現行の固定電話を対象とした交付金制度と同様に、受益者であるブロードバンドサービスを提供する事業者全体で広く負担する仕組みとすることが適当であると考えております。
一方で、実際には通信料金に転嫁する形で利用者の皆様に少しずつ御負担いただくことが想定されるため、関係者とも協力をしながらしっかりと周知、広報を行い、十分な御理解を得てまいる予定でございます。
また、交付金の額についても総務大臣の認可事項となっておりますので、利用者の皆様への影響も十分考慮した上で適切な金額となるよう、しっかりチェックしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/189
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190・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
しっかりとこれチェックをしていただきたいと思います。
次の話題に移りたいと思いますけれども、卸協議の適正化について伺ってまいりたいと思います。
これ、一般の商取引において、卸価格には原価、調達コスト、調達価格ですね、それからコスト、さらに利益が上乗せされているものであって、契約の相手方でも契約価格が適正かどうかを判断するのは原理的には難しいというのが基本だというふうに思います。
一方で、総務省は、MNOの卸売価格が長い間高止まりしてきたと認識しているということが書いてありましたけれども、この理由をお示しいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/190
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191・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
委員御指摘のMNOの卸売価格につきましては、例えばNTTドコモのMVNO向けに提供する音声サービス、いわゆるモバイル音声卸の従量制料金は十年以上にわたりまして三十秒当たり十四円を維持し、引下げが行われてきませんでした。また、KDDIやソフトバンクの具体的な水準につきましては経営上の秘密に当たりますのでここでは言及できませんが、総務省の有識者会議におきまして構成員限りで確認したところ、卸料金は長年引下げが行われてこなかったことが明らかになりました。
その背景として、有識者会議においてMNOとMVNOの協議状況について確認いたしましたところ、要望、提案の受領連絡のみで終わるケースがあるでありますとか、卸先事業者の提案が具体性を欠くため協議が不成立となるなどの問題の指摘がなされたところでございます。
これにより、設備を有するMNOに交渉上の高い優位性や、MNOとMVNOの間の情報の非対称性を認めざるを得ない状況であることが明らかになり、卸協議においてMNOの意向が強く反映される状況がその理由と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/191
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192・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
同じ認識を持っているわけですけれども、これ、そうは問屋が卸さないという言葉がありますけれども、これ小売よりもやっぱり卸の方が力が強い場面を言ったものであります。
仮にMNOがMVNOに回線を卸すだけの純粋な卸売業であれば、もうこの卸協議を有利に運ぶことも経営戦略や手法の一つになり得るわけですけれども、MNOはMVNOと同じ市場で競争する競合相手という立場でもあります。これまで卸価格が高止まりしていたということは、MNOとMVNOとの競争環境がまだまだ公正になっていないことの表れだというふうに考えます。利用者が適切な料金を支払う環境の整備にはMNOとMVNOとの公正な競争環境の実現が必要ですから、MNOがいまだ有利になる非対称的な構造がある以上、今回の法改正における卸協議の適正化は必要なことであるというふうに考えます。
一方で、菅前総理がトップダウンで進めた携帯電話料金引下げ政策によって携帯電話料金は確かに下がりましたけれども、これは評価できることだというふうに思っておりますが、公正な競争環境の実現という面ではより複雑化したのではないかというふうに考えています。
キャリアに対する値下げの要求の結果、当時の現行の料金プランをそのまま下げるのではなくて、キャリアではあるけれどもオンライン専用の廉価プラン、例えばドコモだとahamo、KDDIだとpovo、ソフトバンクのLINEMOという位置付けのものが出現して、ユーザーは、キャリアのプラン、キャリアのオンライン専用プラン、キャリアのサブブランド、そしてMVNOと選択肢が広がったということになったと思います。他方で、特にキャリアのオンライン専用プランやサブブランドについて公正な競争環境を考えたときに、MNOと見るべきなのかMVNOと見るべきなのかということが改めて問題となってきたんだろうというふうに考えます。
この卸協議に当たっては、MNOとMVNOの間だけではなくてMVNO間も対等であるべきと考えますが、MNOが自社の廉価プランや格安ブランドを仕様面等で優遇していると以前からこれは指摘されているものであります。このような優遇がなされないようにとMVNOの業界団体であるMVNO委員会の政策提言でも言及されていますが、公正な競争環境の確保に当たり、ある種インサイダーに当たるMNOの格安ブランドに対してこれから何か、何らかの取組を行うという考えがおありなのかどうか、この点について確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/192
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193・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、近年、MNOの中には、自社内で複数のブランドを展開し、比較的高額な料金プランを提供する従来のブランドとは別に、従来よりも低廉な料金プランを提供するブランドによりサービスを提供する事業者がございます。その結果、MNOとMVNOの料金水準が近接をしており、MVNOにとっては従来の強みであった料金の価格優位性が低下をしていると認識をしております。
こうした状況を踏まえ、MNOとMVNOの間の公正な競争環境を整備するため、MVNOがMNOに支払う接続料などの水準がMNOが提供する低廉な小売料金と比較して十分に下回っているか、妥当なものかを検証するいわゆるスタックテストについて、有識者会議においてその導入について検討を進めており、この夏までに一定の結論を得たいと考えております。
また、MNOにおけるグループ内の取引に関しましては、令和三年度より有識者会議における検証を強化し、グループ内事業者への優先的な取扱いの実態の把握も実施をしております。
今後も継続的にグループ内取引の実態把握、検証を行うことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/193
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194・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
これ、競争環境も変動していくので、未来永劫MVNOに厳しい状況が確定しているということはないと思いますけれども、MNOの料金引下げは、菅総理の、菅前総理のですね、政治的圧力というものが非常に大きかったのかなというふうに思っております。ですので、これ時間の経過とともにまた元のように高くなってくるというふうに考えるのがもうこれ自然なのかなと。
逆説的ですけれども、割とすぐにこれMNOが料金を高くすれば、逆にこれMVNOに移行する人も増えると思うのでまだいいというふうには思うんですけど、一方で、これ経営の体力はMNOの方が圧倒的にあるということですから、持久力勝負になれば長期的にはMNOに有利に働くと。MNOが格安ブランドを使ってMVNOを撤退させ、その後、本来の利益を取ろうとすれば、対抗するMVNOは残されていないという環境になって、MNOは以前より高くサービスを提供することも可能になります。何よりユーザー側に選択肢がなくなるということになるんではないか。そうなると、公正な環境というのはもう望むべくもないということになります。
ですので、卸協議の透明性と実効性がしっかりとこれ担保されるように、協議不調の場合の協議再開の条件の見直しや自社内の優遇が生じないようにすることなど、目下のところ残されている課題に直ちに取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、副大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/194
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195・中西祐介
○副大臣(中西祐介君) 柳ヶ瀬裕文先生にお答えを申し上げます。
先生の御指摘につきましては、この卸協議を含めて、MNOとMVNOとの間の公正な競争環境、競争条件ということをこれしっかり整備をしていくべきだというふうな御趣旨だと受け止めさせていただいておりまして、その点につきましては我々総務省としても共有をするところがございます。
今回の卸制度の改正につきましては、まさにこうした観点からお願いをしているものだというふうに捉えていただいて結構でありまして、委員御質問の協議不調の場合の協議再開の条件の見直しにつきましても、これ総務大臣による協議再開命令の発動要件を緩和する内容を盛り込んでおるところでございます。
また、MNOが自社で提供している格安ブランドに関しましては、今ほど局長からお答えをさせていただいたとおりでありますけれども、いわゆるスタックテストの導入に向けた検討を進めまして、この接続料等と小売料金との関係につきましてしっかりと検証を行ってまいりたいというふうに考えております。
さらに、これまで、通話と通信だけではなくて、これからまさに5Gの本格導入を進める中で、MVNOもMNOも、ネットワークの力を借りまして、例えばその工場の稼働であるとかいろんなものの通信の力というものが生かされる時代になってまいりますが、このようなことが、多様なサービスというものを提供できるように、両者の間の適切な事業者間協議というものをより促進をしてまいりたいというふうに考えております。
こうした取組を通じまして、先生御指摘のMNOとMVNOとの間の公正な競争環境を引き続きしっかり整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/195
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196・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 中西副大臣から丁寧な御答弁いただきました。ありがとうございました。
これですね、という質問をさせていただきながらも、実際かなり難しいなというふうに思うんですね。これで、役所の方でもいいんですけど、実際どれくらい下がるというふうに何か検討があるのか、何かございますか、それは。本当にこれで下がるんですかね。卸協議、これで本当にうまくいくのかということなんですけれども、何か肌感覚でここくらいまで下げようという目標があったりとか、どうでしょうか。その点はございますか。
〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/196
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197・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
今回の措置につきましては、公正競争環境をしっかりと確保していくということでございまして、その結果、具体の料金がどれぐらいになるかという点につきましては、私どもとしては数字を持っているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/197
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198・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 そうしたら、もう一点だけ。
これ、高止まりしているということで、さっき様々な数値を出していただいたわけですけれども、どれくらいだったら適正だというふうに逆に思っていらっしゃるのか、何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/198
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199・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
料金そのものについての適正性でございますけれども、先ほど委員の方からも御指摘ありましたとおり、料金の基本的要素、原価、営業費、利潤といったことに対しまして、それぞれ適正な水準がどれぐらいかということを個別の事案に基づきましてしっかりと検証していくということが大事だろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/199
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200・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 これ、本気でこの卸協議の適正化をやろうとしているのかどうかということをしっかりと見ていきたいというふうに思います。
私は、この携帯料金の値下げに対して、いろんな御意見があることはよく分かっていますけれども、私は本当、菅総理の、前総理のですね、非常に大きな功績の一つだなというふうには思っておりまして、大きな仕事をされたなというふうに思っているところであります。
ただ、まだまだ私は値下げの余地もあるというふうに考えていますので、是非この卸協議の適正化をしっかりとやっていただいて、結果を出していただきたいなというふうに思いますので、是非お願い申し上げたいというふうに思います。
続いて、情報の外部通信、外部送信についてお伺いしてまいりたいと思います。
先ほど小林先生の方からも多々お話がございましたけれども、ちょっと似たような質問にはなりますけれども、重要な点ですので繰り返させていただきたいというふうに思います。
大臣にまずお伺いしたいんですけれども、ダックダックゴーという検索エンジンがあるんですけれども、これ御存じなのか。また、シグナルというメッセージアプリがあるんですけれども、これ御存じでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/200
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201・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) ダックダックゴーについては承知しておりませんでしたが、シグナルについては、LINEと同等のメッセージアプリであり、非常にセキュリティーレベルが高いのが特徴であるということで、存じ上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/201
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202・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
これ、ダックダックゴーもなかなか日本では認知されていないわけですけれども、ほとんど日本では検索といえばもうグーグルかヤフーとかを使っているということだと思いますけれども、あと、メッセージのやり取りはLINE、ツイッター、ディスコード、インスタ等ですかね、使っていらっしゃると思うので、このダックダックゴーとかシグナルとか、なかなか日本ではメジャーになっていないんですけれども、一部ではもう非常に評価の高いものになっていて、今利用する人がもう爆増中ということであります。
このダックダックゴーは、プライバシー保護等、ユーザー情報を収集しないということを掲げている検索エンジンでありまして、先ほど小林先生がおっしゃったように、グーグルの場合は自分が検索した履歴が全部残って、そこでカスタマイズされて、より自分が知りたい情報にも近づけるということになるのかもしれません。ただ、このダックダックゴーは逆で、そういったものを一切取らない、情報を残さないというものであります。情報を残したくない人がたくさんいるので、だから、そういう人はダックダックゴーを使うということであります。
これ、ビバルディという有力なブラウザの標準の検索エンジンにも採用されていて、四年前の二〇一八年には約二千五百万トラフィックであったところ、二〇一九年には三千八百万、二〇二〇年には約六千万、二〇二一年には九千五百万、二〇二二年には約一億トラフィックということで、グーグル一強に見える中で非常に力強い成長を遂げている検索エンジンであるということであります。
シグナルは、利用者のプライバシー保護とセキュリティーを重視したメッセージアプリでありまして、これエンド・ツー・エンドの暗号化によって、データの傍受や盗難に遭っても復号が事実上不可能な仕組みを採用しています。ですから、これ、プロバイダーもアプリの開発者も第三者もこれ内容を見ることは不可能ということになっていますし、また、そもそもサーバーに情報が残らないということですので情報の収集のしようがないということで、現在までに世界で一億回を超えるダウンロードがされており、根強い需要を有しているということであります。
どのような形であれ、情報を収集されることがもう気持ち悪いと感じることは自然なことでありまして、いずれもユーザーのニーズを酌み取ったサービスであると言えると思います。残念ながら、これ我が国発のサービスではないということではありますけれども。
大臣に伺いたいんですけれども、こういったプライバシーやセキュリティーに特化したサービスがシェアを拡大しているという現状がありますけれども、この理由をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/202
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203・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 柳ヶ瀬委員にはいつも貴重な情報を教えていただきまして、ありがとうございます。
総務省が実施した令和三年通信利用動向調査によれば、七割以上の方がインターネットの利用に不安を感じており、このうち九割以上の方が個人情報やインターネット利用履歴の漏えいを不安の内容として挙げているということでございます。
このため、委員御指摘のことについては、利用者のプライバシーの保護を重視したサービスに対するニーズが高まっていることが背景になっているのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/203
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204・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。もうそのとおりだというふうに思います。
ですので、そうですね、検索エンジンを利用される際には、やっぱり自分が何を検索したのかというのを見られたくないですよね。それ、全部サーバーには残っているわけですよ。それはかなり恥ずかしいですよね。まあそんな恥ずかしいことを検索しているつもりはないですけど。
でも、だからそういう、このダックダックゴーとかは本当にすばらしいサービスだなというふうに私自身は思っていまして、あと、LINEの中国の、あっ、韓国か、のサーバーの問題もありましたけれども、やっぱりそういったものに対しての忌避感情というか、それは非常に大きいのかなというふうに考えています。
今回の改正案では、情報の外部送信について利用者に確認の機会、具体的には通知又は公表、同意の取得、オプトアウト措置のいずれかを求めているわけですけれども、こういったソフトの根強い人気から見ると、外部送信されずにサービスを利用したいという潜在的なニーズがもう相当数存在することに留意する必要があるのかなと考えます。
衆議院の参考人質疑では、原英史参考人が、この種の通知や同意が実質的に形骸化していると、肝腎の消費者保護が置き去りにされていること、より実効性を高める方策を検討すべきということを指摘されていまして、もうそのとおりだなというふうに思いました。通知や公表でユーザーの適切な保護になっているのかということですね。これを考えなければいけないというふうに思います。
そこで、事実関係を確認したいと思いますが、事業者の判断で情報の外部送信に同意した場合のみサービスを利用できるようにするということも可能なのかどうなのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/204
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205・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
情報の外部送信に関する規律は、利用者の端末に記録された情報を外部送信させる指令となるプログラムなどの送信を行う際に、当該利用者に通知又は公表、同意の取得、オプトアウト措置のいずれかの方法により確認の機会の付与を求めるものでございます。
今回の改正案は、情報の外部送信に関して利用者に確認の機会を付与するものでございますので、利用者が同意を行わなかった際に電気通信事業者などが電気通信サービスを利用できないようにすることに対して規制を課すものではございません。
したがいまして、今回の改正案は、委員御指摘の、利用者が同意しない場合における電気通信サービスの提供義務までを課すものではありませんが、安心、安全にインターネットを利用できる環境の確保の観点から、利用者が同意しない場合においても電気通信サービスが適切に提供されることが期待されるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/205
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206・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 そうですよね。だから、そうなると、結局、自分の情報と交換という条件をのまないとサービスを利用できないということになると思います。
寡占状況にあるアプリとか、そういったものは常にちょっと優位な立場に立っているので、その情報との交換をのまないわけにいかないと、実質的にはこれ、強制されてしまうということになるのかなというふうに思います。
そうなると、やっぱりプライバシーやセキュリティーを重視するユーザーの保護や利便性がないがしろにされることになるのかなと思うわけですが、今後更なる検討をする場合には、情報の外部送信に同意しなくても同等のサービスを利用できるようにすべきというふうに考えますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/206
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207・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 同意の取得に関するルールの詳細につきましては、本法案をお認めいただいた場合には官民合同の公開の場で議論を行うこととしております。
安全、安心にインターネットを利用できる環境の確保に向けて、利用者の同意がない場合においても適切に通信サービスが提供されるよう、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
また、本法案では、利用者が確認する方法として、通知又は公表、同意の取得のほか、情報の第三者への提供を利用者の求めに応じて停止できる、いわゆるオプトアウトのいずれも可能としております。これらの方法のいずれにおいても、利用者による実質的な確認の機会を確保し、利用者保護の観点から実効性のあるものとなるよう、本法案をお認めいただいた場合には、関係業界における取組なども踏まえ、しっかり検討を行ってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/207
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208・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 なかなか一足飛びには行かないということだというふうに思いますけれども、是非、そうですね、そういうニーズが非常に多いということだと思いますので、是非検討をしていただきたいとお願い申し上げたいと思います。
また、今回の改正は外部送信について規制を課すものでありますけれども、この外部送信の結果であるサーバーへの記録については何らかの義務が課されるのか、事実関係を教えていただきたいと思います。
〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/208
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209・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
情報の外部送信に関する規律は、利用者の端末に記録された情報を外部送信させる指令となるプログラムなどの送信を行う際に、当該利用者に確認の機会を付与することを求めるものでございます。
本規律は、情報の外部送信に関して利用者に確認の機会を付与するものでございまして、外部送信の後段階において行われる情報の記録に対して義務を課すものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/209
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210・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 先ほど述べたシグナルは、通信内容がサーバーに記録されないという特徴があります。そういったことを踏まえると、外部送信とサーバーへの記録はこれ分けて考えるべきではないかというふうに思います。
記録についても、少なくとも同様の通知又は公表、同意の取得、それから先ほどのオプトアウトの措置ですね、をとるものとするという検討が必要になってくるのではないかと思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/210
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211・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答えいたします。
本法案では、利用者情報が第三者に送信される場合、それを利用者の皆様に確認いただく機会をしっかり確保するよう、事業者に対して必要な措置を義務付けることとしております。
委員より御指摘をいただきました利用者情報の記録については、一般的には情報の送信と併せて行われるため、利用者情報の送信についての確認の際に、記録についても実質的に利用者に確認いただく機会が確保されるものと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/211
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212・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 こちらの方も是非検討いただきたいというふうに思います。
この不適切な情報の外部送信や保存については、これ事業者の責任というのもあるんですけれども、政府の責任もあるんではないかというふうに考えています。
これ問題になったのがLINEの件で、サーバーが韓国に置かれていたということですよね。あと、だから、中国の問題ですけれども、国家情報法が成立して、中国政府の求めにより事業者に情報提供の義務が課されることになったということ、これが今回の立法事実としてあったわけですよね。これに対応するということになったわけですけれども、何というんですかね、この各国のこういった動きに関して、それ全部事業者が確認してチェックしてそれに対応しろよというのはなかなか限界があるんじゃないかというふうに思います。
ですから、これは、政府が、例えばこの国家情報法が成立してこういったリスクがあるんだということを知っていたならば、それを事業者に対してしっかりと注意喚起するといったことが必要だったのではないかというふうに思います。ですから、もうこれは、総務省がこういった各国のこの情報通信に関する法改正等々に関してはしっかりと把握をして事業者に通達をするといった責任を負うべきだというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/212
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213・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
電気通信事業法においては、サーバーを含む電気通信設備の設置国について特段の定めはないところでございます。
一方で、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインにおきまして、従来より、個人データや通信の秘密に関する個人情報について安全管理措置を講ずること、また、委託先においても安全管理が図られるよう監督を行うことを電気通信事業者に対して求めているところでございます。
また、令和二年、個人情報保護法改正に伴い、本年四月よりこのガイドラインにおいて、電気通信事業者が外国において個人データを取り扱う場合又は外国にある第三者に個人データの取扱いを委託する場合、当該外国の個人情報の保護に関する制度などを把握した上で、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることについても求めているところでございます。
したがって、まずは事業者がこのガイドラインに基づいて適切に対応することが求められていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/213
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214・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 まず事業者がというのはよく分かるんですけど、政府も各国の動きを注視してこういった注意喚起をしていただきたいという要望をしておきたいというふうに思います。
ちょっと時間がありませんので、ビヨンド5Gについてお伺いをしたいと思います。
今後活用が期待されるビヨンド5G、いわゆる6Gや7Gにおいては、5Gよりも更に周波数の高い電波を用いるので、今でさえ基地局設置に難航している5Gよりも更に電波が到達しにくいことは、これは明らかであります。
電波の最終フロンティアと言われているテラヘルツ領域を活用するため、成層圏ないし宇宙空間からの電波照射や、建造物や道路等の建築土木インフラからの電波照射など、新たなインフラ整備の手法や法整備を求められるというふうに考えますけれども、三月二十九日に総務省が示したデジタル田園都市国家インフラ整備計画において、このインフラ整備のイノベーションですね、これをどこまで視野に入れているのかということについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/214
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215・田原康生
○政府参考人(田原康生君) お答え申し上げます。
委員御指摘のデジタル田園都市国家インフラ整備計画におきましては、ビヨンド5Gが二〇三〇年代のあらゆる産業や社会の基盤として地方の課題解決などにも資するデジタルインフラであるとの考え方の下、新しい技術を活用したインフラ整備も視野に入れております。具体的には、衛星通信や空を飛ぶ通信基地局であるHAPSなどの非地上系ネットワークも活用して陸海空の統合的なネットワークを構築することで通信カバレッジの拡張を図るとともに、光技術をフルに活用することで環境にも優しいネットワークを目指すこととしております。
その実現に向けまして、総務省では、非地上系ネットワーク技術や光電融合技術といった、日本に強みがあり、特に研究開発に集中投資すべき分野を特定し、研究開発や社会実装の加速化などを盛り込んだ技術戦略を今月末に情報通信審議会で取りまとめる予定としております。
総務省といたしましては、この技術戦略を強力に実行し、ビヨンド5Gの先端技術開発の成果を二〇二五年以降順次社会実装していくことで、インフラ整備へのイノベーションの活用にもつなげていき、デジタル田園都市国家構想の実現に貢献してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/215
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216・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 是非期待したいというふうに思います。そうですね、様々なインフラ、新しいテクノロジーを活用したインフラの整備ということで、日本の強みを生かしてそれをやっていくんだということだと思います。是非しっかりと前に進めていただきたいというふうに思います。
それと同時に、これ、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を策定した現段階において新たな技術やその利活用の場面が固まっていないということで、これから新しいテクノロジーがまた様々出てくるというふうに思うんですよね。そうすると、この在り方というのは全く変わったものになっていくというふうに思います。
ですので、この整備計画については適宜しっかりこの見直しを行って、新たなテクノロジーをいち早く取り入れていくという形で行っていただきたいというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/216
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217・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 総務省では、岸田内閣の最重要政策でありますデジタル田園都市国家構想の実現に向けて、光ファイバーや5G、ビヨンド5G等のデジタル基盤の整備を一層加速するため、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を三月末に策定いたしました。
本計画は世界最先端のデジタル基盤を目指すものでありますが、そのためには、柳ヶ瀬委員御指摘のように、デジタル技術の進展は日進月歩であることを踏まえ、必要に応じて適宜見直しを行っていくことが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/217
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218・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 是非お願い申し上げたいと思います。
最後に、外資規制についてお伺いしたいと思います。
これ前回積み残した分で、もうこれで今国会は終わりだということで聞いておきたいんですけれども、ちょっと時間がないので、そうですね、これ、昨年発覚した東北新社及びフジ・メディア・ホールディングスにおける外資規制抵触問題を受けて、先日成立した改正放送法においては、放送事業者の外資規制違反に対し是正を求める制度を整備する等の措置が盛り込まれました。そのこと自体は否定しませんけれども、外資規制の基準は議決権割合の二〇%で、これは変更されませんでした。
議決権割合の二〇%というのは会社法に規定のない基準であります。例えば、会社法第三百九条第四項に規定する株主総会の特別特殊決議は、総株主の半数以上かつ総株主の議決権の四分の三以上で決するため、否決するにはこれ二〇%では足りません。
他方で、会社法第七百九十六条第三項及び会社法施行規則百九十七条に規定する簡易合併に反対できる最低の議決権割合は六分の一超であり、二〇%もこれは必要ないんですね。会社法には議決権割合として二〇%を要求する手続がないにもかかわらず、これ二〇%という基準を採用している外資規制自体の趣旨及び改正放送法で二〇%という議決権割合を維持した理由についてお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/218
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219・吉田博史
○政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。
電波法では、電波の有限希少性を理由とする自国民優先利用の考え方から、一部の無線局について外資比率を三分の一未満に制限するなどの外資規制が適用されています。
そして、基幹放送事業者などにつきましては、これに加え、言論報道機関として世論形成や我が国の固有文化の創造に大きな社会的影響力を有するため、外資比率を五分の一未満に制限するなど、一般の無線局に比べ、より厳格な外資規制を適用しているという考え方でございます。
昨年六月から、情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会というものを開催いたしまして、外資規制の在り方について御議論いただきました。その中で、この五分の一未満とする基準についても議論が行われましたが、その結果、外国人等の意思決定の影響を排除する上で意義を有していること、あるいは、現行の規制枠組みを見直すほどの変化は生じていないことなどの観点から、本年一月に取りまとめが行われたところでございます。
総務省としては、これらの経緯を踏まえ、現在の五分の一未満とする基準を維持することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/219
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220・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ですから、この二〇%というのは意味のない数字だということなんですよね。
ですから、これがなぜその二〇%にしなければいけないのかということで、これはちょっと不断の見直しを是非していただきたいということを申し上げておきたいと思いますけれども。
これ、議決権割合だけがずっと話題になってきたわけですけれども、これ放送事業者に対して影響力を行使しようとしたならば、やっぱりこれ広告枠をもう買い占める等のことによってこの放送内容に大きな影響を与えると、表面上はそうは言わないかもしれませんけれども、これは大きな影響を与えることになると思うんですね。
ですから、そういった広告枠の規制等々について検討をすること、そのことに関してどのように御認識なのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/220
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221・吉田博史
○政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。
先ほどの現行の外資規制というのは、議決権、外国人などが保有する議決権の割合が一定以上にならないように規律しておりますけれども、これは放送事業者などの経営における意思決定において外国人等からの影響を排除する観点から設けられているものでございます。
一方、委員御指摘の広告というのは、放送番組に該当するものでございます。広告を含む放送番組については、放送事業者において自ら定める放送番組の基準に従い編集し、まずは自主自律により放送番組の適正を図っていただく仕組みとしております。
したがいまして、外資規制による経営における意思決定において、外国人等からの影響を排除された事業者の自主自律において、広告を含めた放送番組について編集をしていただくということかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/221
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222・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございました。実効性のある外資規制を望みたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/222
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223・伊藤岳
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
電気通信事業者の情報漏えいなどが国民に不安をもたらしており、インターネット上の利用者情報保護は法改正の焦点だと思います。
LINEで使用するスタンプや絵文字を作成をしてLINEクリエーターズマーケットで販売している方から私の事務所に相談がありました。スタンプや絵文字の年間売上額が五万円を超えると、LINE社にマイナンバーを提出しない限り売上金を受け取ることができないという相談でした。
国税庁にお聞きします。LINEなど報酬を支払う者は、税務署への個人情報、マイナンバー提出義務があるのは承知はしています。では、報酬を支払う者は、報酬などの支払に当たって、報酬を受け取る対象者の個人情報、マイナンバーの提出を求める義務があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/223
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224・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
一般論として申し上げますと、所得税法上、企業が一定の報酬を支払った場合につきましては、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書に支払を受ける者のマイナンバーを含め必要な事項を記載して税務署長に提出しなければならないこととされてございます。
また、支払調書を提出する企業は、報酬の支払を受ける者からマイナンバーの提供を受ける必要があるため、番号法によりまして、報酬の支払を受ける者に対してマイナンバーの提供を求めることができることとされてございます。
このように、支払調書へのマイナンバーの記載は税法上定められた義務でございますので、支払調書を提出する企業に対して支払を受ける方がマイナンバーを提供することについて御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/224
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225・伊藤岳
○伊藤岳君 番号法上はマイナンバーの提出を求めることができる、つまりマイナンバーの提出を法律上強制することはできないということだと思います。確認をしたいと思います。
マイナンバーの提出は、国民に求めることはできますが、国民に提出を強制することはできませんよね。確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/225
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226・星屋和彦
○政府参考人(星屋和彦君) 法令上、義務が規定されておりますのは支払を受ける企業でございますので、企業の方で支払先からマイナンバーを確認をして調書に記載をして提出をするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/226
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227・伊藤岳
○伊藤岳君 国民に提出を強制することはできないということです。確認をいたします。
マイナンバーの提出義務があるのは契約者なのか契約先なのか、個人データを取り扱っている電気通信事業者であるLINE社が理解をしていないという状況に私大変な危機感を覚えます。
そもそも、相談者の方がマイナンバーという極めて機微なプライバシー、個人情報を提出したくなかったのはなぜか。LINE社が個人情報の漏えいの問題、LINE社におきまして個人情報の漏えいの問題があったからです。冒頭紹介したように、個人情報漏えいの不安が現にあるからであります。法制度の検討を行った電気通信事業ガバナンス検討会などの議論の出発点の一つもLINE社の不適切な利用者情報の取扱いだったと思います。
そこで、法案についてお聞きをしていきます。
まず、安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保についてです。
個人のプライバシー権の保護を前提に個人情報の取扱いについて規制が進んでいるEUにおいては、個人データの定義が識別された又は識別され得る自然人に関する全ての情報として規制をされていますが、日本ではインターネット上の危険性の認識と利用者情報保護は遅れていると思います。
総務省は、利用者の個人情報が中国の委託企業で閲覧可能となっていたLINE社の案件に関わって、諸外国の法的環境の変化などにより、利用者が安心して利用できる電気通信サービスの提供の確保が急務との課題を挙げられました。この諸外国の法的環境の変化とはどのようなことを指していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/227
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228・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
近年、諸外国において政府機関などの公的機関による民間部門が保有する情報への強制力を持ったアクセス、いわゆるガバメントアクセスなどを可能とする法制度が整備されてきておりまして、利用者に関する情報の漏えい、不適正な取扱いのリスクが高まりつつございます。
諸外国の法的環境の変化に関しては、そうした諸外国における法制度の環境変化について言及したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/228
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229・伊藤岳
○伊藤岳君 委員長、言い忘れましたが、国税庁に関する質問は以上ですので、国税庁の方は御退席をいただいて結構かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/229
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230・平木大作
○委員長(平木大作君) それでは、星屋課税部長は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/230
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231・伊藤岳
○伊藤岳君 だから、つまり、国から求められれば個人情報が情報提供されてしまう可能性のある国が現に存在し始めているということですね。
利用者が安心して利用できるように、利用者情報の情報保管先、サーバーの設置国名の公表について、これ義務付けられるのでしょうか。どのように定められるのでしょうか。ほかの方の質問にもありましたけど、改めて、義務付けられるのか、どのように定められるのか、整理してお話しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/231
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232・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
本法案においては、基本的な枠組みは法律上明確に規定をし、その枠組みの中で、制度の趣旨に沿って、電気通信分野の環境変化に柔軟に対応し、適時適切に見直し、弾力的に運用することが必要な事項や細目的事項については下位法令で規定することとしております。
このため、本法案においては、利用者に与える影響が大きい電気通信事業者に対し、情報取扱方針を自ら定め公表する義務を規定するとともに、その記載事項として、取得する情報の内容、利用の目的及び方法、安全管理の方法、相談窓口を規定しておりますが、それ以上の具体的な内容は省令で定めることとしております。
委員御指摘のサーバーの設置国名につきましては、基本的な枠組みというよりも安全管理の方法の細目であることに鑑みまして、省令事項とすることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/232
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233・伊藤岳
○伊藤岳君 サーバーの設置国名の公表は今後省令で定める、つまり法律事項とはされなかったということだと思います。
では、なぜ法律事項として定めなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/233
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234・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
先ほども御答弁申し上げましたけれども、細目的事項については下位法令で規定するということで、基本的な枠組みを法律上明確に規定をした上で規定をしていくということでございますので、サーバーの設置国名につきましては安全管理の方法の細目ということでございますので、省令事項とさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/234
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235・伊藤岳
○伊藤岳君 では、お聞きします。
本法案成立後、省令はどのような過程を経て定められるのか、示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/235
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236・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
本法案をお認めいただきました後に、有識者会合、ガバナンス検討会の下にワーキンググループを設けまして、そちらにおいて、産業界の方々も入っていただき、消費者団体の方々の御意見も聞きながらルールを定めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/236
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237・伊藤岳
○伊藤岳君 ワーキンググループを立ち上げて検討される。
今局長のお話の中にもありましたけれども、このワーキンググループには、どのような団体、どのようなメンバーで構成されることになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/237
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238・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えします。
消費者団体、経済団体、学識者、学識経験者の方々と総務省において有識者会合を設けて検討を進めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/238
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239・伊藤岳
○伊藤岳君 構成メンバーの中に事業者団体や経済団体も入ってくるということだと思います。恐らく、その事業者側からは強い要求が出されることは予想されます。ですから、本法案成立後、省令で定めると言われますが、その省令を定めるのはワーキンググループで検討していくわけですから、事業者側の強い要求が出される。ですから、どういう省令になるのかと、これ全く見通せないというのが今の時点だと思います。
ですから、本当にこの安心、安全が確保されるのかというのは見通せない状況だと、法案成立時点では。利用者の情報保護に対する国民の不安に応えるものとはなっていないのではないかと危惧をいたします。
利用者情報の情報保管先、サーバーの設置国名の公表について、国際的な事例はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/239
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240・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
情報を保管する国につきましては、国際標準であるISOにおいて、サービス提供者が利用者に対してデータを保存する可能性のある国を通知することが望ましいとされている事例があると承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/240
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241・伊藤岳
○伊藤岳君 この通知することが望ましいという国際的な水準に照らしても、本法案はまだまだ不十分さが残されていると思います。
法案では、通信サービス、ネットワーク利用者の利益に与える影響が大きい電気通信事業者が取得する電気通信役務情報について、あっ、ごめんなさい、特定利用者、特定利用者情報について適正な取扱いを義務付けるとしています。
総務省にお聞きします。特定利用者情報の適正な取扱いについて、利用者の利益に与える影響が大きい電気通信事業者と限定をして、全ての電気通信事業者を対象としなかった、これはなぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/241
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242・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
特定利用者情報の適正な取扱いにつきましては、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者が規律の対象となっております。これは、電気通信事業ガバナンス検討会の報告書におきまして、情報漏えい時に与える影響に鑑み、特に利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者を規律の対象とすることが適切であり、利用者の利益に及ぼす影響が一定程度以下と推察される電気通信事業者は自由なビジネスを阻害しないための配慮も必要であることから、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者に限定して規律の対象者にすることが適切であるとされていることを踏まえたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/242
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243・伊藤岳
○伊藤岳君 金子大臣にお聞きしたい。
利用者の利益に与える影響の大小で判断されたという今局長の答弁でしたけれども、しかし、電気事業者が取得する特定利用者情報の適正な取扱いというのは、もうこれ事業規模の大小にかかわらず電気通信事業者に当然課せられるべきだと思うんですが、大臣の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/243
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244・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 伊藤委員にお答え申し上げます。
今局長からもるるお話を申し上げましたが、通信サービスの契約者などに関する情報、すなわち特定利用者情報の適正な取扱いについては、利用者保護の観点からはより多くの電気通信事業者を規制の対象とすることが望ましいと認識をしております。他方、規制が及ぼす負担の増加についても考慮する必要があり、今回の法案では、利用者の利益に及ぼす影響の大きい電気通信事業者に限定をして規制の対象としたものでございます。
その上で、今回の規制の対象から外れる電気通信事業者に対しては、様々な関係者と議論を重ねながら、特定利用者情報の適正な取扱いに関するガイドラインを策定することについても今後検討してまいる予定であります。
本法案や、それに関連する様々な取組を総合的に進めることにより、利用者の皆様が安全、安心に通信サービスを利用できる環境が確保されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/244
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245・伊藤岳
○伊藤岳君 利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者の対象とされたのは、利用者一千万人以上の電気通信事業者、そしてフェイスブックやLINEなど大手のSNS事業者、グーグルなど検索大手などで、二十社から三十社が想定されると聞きました。
総務省、巨大インターネットショッピングモール、例えばアマゾン、楽天市場、アプリ利用者が五千万人以上いるユニクロなども対象事業者からは外れるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/245
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246・平木大作
○委員長(平木大作君) 答弁はどなたがされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/246
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247・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
現状におきまして、先ほど委員御指摘の、規模につきましては利用者一千万人ということで御指摘ありましたが、その点につきましてはあくまで例示でございまして、今後、検討会の検討も踏まえながら、その水準並びにその適用のルールを決めていきたいというふうに考えております。
したがいまして、今お尋ねの個別の事業者につきましては、この段階では明確に申し上げることは困難かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/247
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248・伊藤岳
○伊藤岳君 いや、個別の事業者の名前挙げましたけれども、この利用者が一千万人以上の規模ってさっき言われたけれども、例えばユニクロなどは五千万人以上の利用者いるわけでしょう。こういう巨大ショッピングモールというのは対象から外れているんですかと聞いているんです。個別の事業者のことというよりも、巨大ショッピングモール。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/248
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249・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
オンラインショッピングモール自体に関しましては、電話やメールなど、従来の通信サービスと性質が似ていないサービスでありますので、ガバナンス検討会の報告書におきまして、引き続き規制の対象外とすることが適当とされたものでございます。
なお、利用者と出店者間でやり取りを行うオンラインショッピングモールの中のメッセージサービスにつきましては、既に届出を要する通信サービスとして規制の対象となっており、実際、多くのオンラインショッピングモール事業者からも電気通信事業法に基づく届出をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/249
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250・伊藤岳
○伊藤岳君 だから、何か分かりづらいんですよ。
明確にその対象事業者だとなぜ指定しないんですか。今局長が言われたとおりだと思うんだけれども、何で巨大ショッピングモールも、だから対象になりますよって明確に例示しないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/250
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251・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) 繰り返しになりますけれども、その個別の適用につきましては、今後、ルールをしっかりと定めさせていただいた上で判断をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/251
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252・伊藤岳
○伊藤岳君 法案の成立時点でこういうのがすっきりしないというのは、本当、危惧の念を抱きます。
先ほどの局長の答弁だと、巨大ショッピングモールであっても電気通信事業者として届出をしているんだから規制の対象になるというふうに言われたと思ったら、いや、これから検討ですって言うんで、何かどっちがどっちか分からないんですよ。
もう一度言いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/252
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253・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
先ほど申し上げたオンラインショッピングモール、現行法において届出になっているという点につきましては、メッセージングサービス、いわゆる通信の媒介のサービスを行っておりますので、その部分について届出をいただいているというものでございます。
他方、今回のその規制、規律、追加的な規律につきましては、その具体的な適用については、先ほど申し上げた検討会を踏まえながら、しっかりと検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/253
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254・伊藤岳
○伊藤岳君 電気通信事業者としても届け出ている巨大ショッピングモールは規制の対象となるということだと私は理解いたしました。
電気通信事業ガバナンス検討会、これ第十六回の検討会ですが、その検討会において中央大学の石井教授の意見が紹介されています。その意見の概要、紹介していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/254
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255・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
本検討会の第十六回会合における石井夏生利構成員からの発言は、次のとおりでございます。
また、電気通信役務の利用者情報に係る第三号事業者の新たな規律については、一定程度の人数、一千万人というくくりで整理されるということですが、小規模事業者でも、安全管理措置や業務規程を設けることや取扱方針を策定して公表するという規定は当然守ってしかるべき規律とも言えますので、小規模であることを理由に適用対象外にする根拠も必ずしも説得的なものではないと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/255
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256・伊藤岳
○伊藤岳君 小規模事業者でも公表は当然守ってしかるべき規律だという意見が表明されていた。
また、消費者団体からも、日本消費者生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の古谷さんが、利用者の安全の確保であるとか信頼の確保であるとかというところにつながるといったところが大事、事業者の強い反対といった声を結構反映している法案だ、消費者団体の声が余り反映できていないと意見表明されています。
一方、この検討会において経済団体からは、国内IT企業でつくる新経済連盟からはこんな意見出ています。国際的に異例なガラパゴス規制だ、過剰規制による産業発展阻害の重大な懸念という意見などが表明されています。
総務省、この異例なガラパゴス規制とか過剰規制による産業発展阻害とは、これはどういうことを言っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/256
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257・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
委員御指摘の御意見は、電気通信事業ガバナンス検討会において新経済連盟からいただいております。
一点目の異例なガラパゴス規制につきましては、SNSや検索サービスを法の対象とすることなどが国際的に例がないとの御意見だったと認識をしております。しかしながら、例えばドイツの電気通信及びテレメディアにおけるデータ保護及びプライバシーに関する法律がございますが、こちらでは、検索サービス、SNS等の事業者を幅広く対象として通信の秘密及び個人情報などの取扱いを規律しているなど、検索サービスやSNSを規律対象としている国も少なくないと承知をしており、一部誤解があったものと考えております。
二点目の過剰規制による産業発展阻害につきましては、個人を識別できない情報の取扱いを規制することなどが産業の発展を阻害するとの御意見だったと認識をしております。この点については、産業界の御意見も踏まえ、電気通信事業ガバナンス検討会において、規律の対象となる情報の一部見直しが行われたと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/257
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258・伊藤岳
○伊藤岳君 大臣にお聞きします。
大臣、今お聞きのとおり、電気通信事業ガバナンス検討会、識者の方の、小規模事業者でも当然規制すべきだという意見があった。消費者団体からも事業者の強い声を反映しているという声があった。一方、経済団体から今紹介のあったような声があった。結局、省令も、先ほど法成立後の検討会で決めていくと言ったけど、結局こういう経済団体からの強い意見に流されていっているという状況が私あると思うんです。
大臣は、この電気通信事業ガバナンス検討会で出された経済団体、民間事業者の意見は、これ私、利用者情報保護とは反する意見だと思いますが、大臣はどういう見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/258
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259・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 伊藤委員御指摘の御意見に対する見解は、先ほど局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、検討の過程で出された様々な御意見の一つであると受け止めております。
本法案は、本年二月の電気通信事業ガバナンス検討会の報告書等を踏まえたものでありますが、本報告書が取りまとめられる過程においては、御指摘の新経済連盟のような経済団体のみならず、事業者団体、消費者団体など様々な関係者の御意見を丁寧にお伺いしながら検討が進められたものと承知をしております。その結果、検討の過程で様々な御意見はいただいたものの、電気通信事業ガバナンス検討会や先日の衆議院総務委員会の参考人質疑において、有識者の皆様から、新たなルール形成に向けた第一歩を踏み出していただいた、利用者保護に向けた一歩前進であるなど、本法案を評価する旨の御意見を多くいただいたと認識をしております。
総務省といたしましては、いただいた御意見を十分踏まえつつ、利用者が安心して利用できる通信サービスの確保に向けて、本法案を実効性のある制度としていくため、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/259
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260・伊藤岳
○伊藤岳君 大臣、いろいろ見解述べていただいたけど、結局消費者団体等の意見は反映されずに、大手IT企業や経済団体の意見が優先されるということになっていると思います。企業の思惑だけでなく、利用者の利益こそが守られるべきだと私、強く指摘したいと思います。
利用者の端末の位置情報や閲覧履歴、アプリケーションの利用履歴、端末識別情報などの利用情報など、いわゆるクッキーや広告IDなどにひも付く情報は、自動的に外部への通信が行われ、広告提示に利用されています。
総務省に聞きます。
電気通信事業ガバナンス検討会では、利用者情報の外部企業への提供に、事前同意取得措置の義務付けか事後的な拒否、つまりオプトアウトの措置の義務付けかの二択の検討を行っていました。しかし、それに外部提供の事実の利用者への通知、公表を加えた三択という結論になりました。この三択目は誰の意見で入ったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/260
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261・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
情報の外部送信に関する規律につきましては、委員御指摘のとおり、利用者に確認の機会を付与する方法として、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれの方法でもよいこととしております。
本規律は、電気通信事業ガバナンス検討会において関係者の御意見を丁寧に伺った上で取りまとめられた報告書を踏まえたものとなりますが、同検討会における議論において、構成員から同意疲れに関する御指摘や、経済団体から同意の形骸化に関する御意見がございました。こうした経緯もあり、実態に即した適切な方法で利用者に確認の機会を付与することを可能とすることが規律の実効性を確保する上で重要であるとの考えの下、通知又は公表を含める形で規律をしたものとなってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/261
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262・伊藤岳
○伊藤岳君 ちょっと聞いていることに答えてくれていないんですが、三択目は誰の意見で入ることになったんですかと。どの団体のとか、どういう方の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/262
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263・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、検討会の中で、構成員から同意疲れに関する御指摘、経済団体から同意の形骸化に関する御意見がございました。これらを踏まえて検討会の中で御議論をいただき、通知又は公表も含めた選択肢を、通知、公表も含めていずれの方法でもよいこととしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/263
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264・伊藤岳
○伊藤岳君 明確に答えていただけないんですけれども、これもつまりIT大手企業だとか経済団体の意見によって三択目が加えられていったということだと、私は局長の話を聞いてそう想像します。
大臣に聞きます。
結局、三択になってしまったら、この今多くの事業者が既に行っている対応でもいいということになっちゃうんですね。三択目、つまり外部提供の事実の利用者への通知、公表というのはもう既に多くの事業者やっていますから。この三択という結論で利用者情報保護が前進すると、大臣、思っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/264
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265・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
本法案では、利用者情報が第三者に送信される場合、それを利用者の皆様に確認いただく機会をしっかり確保するよう、事業者に対して必要な措置を新たに義務付けることとしております。この措置については、特定の方法に限定することなく、状況に応じた柔軟な対応を可能とすることが重要と考えているほか、米国のように通知により利用者保護を図る例もございます。
こうした観点も踏まえ、本法案では、利用者が確認する方法として、通知又は公表、同意の取得、情報の第三者への提供を利用者の求めに応じて停止できる、いわゆるオプトアウトのいずれも可能としております。これらの方法のいずれにおいても利用者による実質的な確認の機会を確保し、利用者保護の観点から実効性のあるものとなるよう、本法案をお認めいただいた場合には、関係業界における取組などを踏まえ、しっかり検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/265
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266・伊藤岳
○伊藤岳君 柔軟に選択できると言うけど、結局、企業は安易な選択するんじゃないですかね。結局、この法案は、インターネット閲覧履歴などに関連した利用者情報保護をうたいながらも、経済界や大手事業者の要望ばかりが優先されて、結局、肝腎の利用者情報保護が骨抜きにされたものと私は言わざるを得ないと思います。
次に、情報通信インフラの提供の確保についてお聞きします。
法案は、有線ブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務、いわゆるユニバーサルサービスの新たな類型に追加をします。
総務省にお聞きします。
有線ブロードバンドサービスの基礎的電気通信役務、ユニバーサルサービスには、全国あまねく適切、公正かつ安定的なサービスの確保が義務付けられるんですか。先ほど、ほかの委員の質問では義務付けられないということですか、ということでいいんですか。また、もう一つは、じゃ、義務付けないんだとすれば、なぜ義務付けないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/266
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267・二宮清治
○政府参考人(二宮清治君) お答えいたします。
現在、固定電話についてNTT東西が全国あまねくサービスを提供する義務を負っておりますのは、固定電話が電気通信事業法上の基礎的電気通信役務に指定されていることによるものではなく、NTT法第三条の責務規定に基づくものでございます。
固定電話と異なり、有線ブロードバンドのインフラは、地域に応じて、NTT東西のほか電力系事業者や地場のCATV事業者などの様々な事業者によって保有されているため、有線ブロードバンドサービスについてNTT東西に全国あまねくサービスを提供する義務を課すことは、現実的な政策の選択肢ではないと考えております。また、NTT東西以外の事業者も含め様々な事業者に対し一律に不採算地域を含めたサービス提供を義務付けることは、憲法が保障する営業の自由との関係で困難であると考えております。
このため、今回の改正案では、いずれの事業者に対しても全国あまねく有線ブロードバンドサービスを提供する義務を課すことは行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/267
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268・伊藤岳
○伊藤岳君 そうすると、約五万世帯の方々がサービスを享受できないということになります。
総務省が主管するブロードバンド基盤の在り方に関する研究会において、日本電信電話株式会社はこう意見を言っています。NTT東西は、政府のデジタル田園都市国家構想に貢献すべく、他の事業者も含め、サービスを提供していないエリアでは、新たな交付金等による必要十分で過大でない支援を受け、活用することで、自治体と連携したブロードバンド基盤の整備、維持の担い手として積極的に取り組んでいくと述べています。
大臣、有線ブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務、ユニバーサルサービスに追加して交付金の対象とするのは、結局、政府の方針であるデジタル田園都市国家構想の実現のためということですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/268
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269・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 今回の法案は、社会全体のデジタル化が進む中、光ファイバーなどのブロードバンドサービスが国民の日常生活や社会経済活動に必要不可欠なものとなっていることを踏まえ、人口減少などの課題を抱える条件不利地域などの不採算地域においてもサービスの安定的、継続的な提供を確保するために交付金制度を導入するものでございます。
なお、この交付金制度の導入については、総務省が約一年十か月にわたって開催したブロードバンド基盤の在り方に関する研究会における継続的な検討の結果を踏まえたものでございます。
本法案によって、岸田内閣の最重要課題であるデジタル田園都市国家構想の実現に向けて必要不可欠な光ファイバーなどのデジタル基盤の整備が一層加速することを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/269
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270・伊藤岳
○伊藤岳君 ですから、ユニバーサルサービスとは言うけれども、政府の戦略、デジタル田園都市国家構想を実現するために電気通信事業者の要望に応えたという法案になっていると私は思います。
交付金制度についてお聞きします。
先ほど来いろんな委員の方が質問されましたのでダブるところは外しますが、結局、この事業者に負担させるといっても、事業者が価格転嫁することを想定しているということだったと思います。月八円という話も出ました。先ほど紹介したように、ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会では、NTTは交付金等の支援を要望していましたね。
で、大臣に最後聞きます。
交付金制度の負担金は利用者、国民の負担で賄って、民間事業者には交付金で支援する、これ民間事業者の要望を受けた制度設計に結局はなっているんじゃないですか、どうですか。民間事業者の要望を受けた制度設計になっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/270
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271・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 今後、法案が成立させていただいた中で、関係の皆さん方の意見を丁寧に聞きながら対応していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/271
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272・伊藤岳
○伊藤岳君 時間ですので、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/272
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273・平木大作
○委員長(平木大作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/273
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274・伊藤岳
○伊藤岳君 私は、日本共産党を代表して、電気通信事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、有線ブロードバンドを基礎的電気通信役務、いわゆるユニバーサルサービスに位置付けますが、加入電話等で位置付けられている、あまねく日本全国における提供が確保されるべき役務としての義務付け、保障がないことです。
事業者の経営判断では撤退もあり得ます。にもかかわらず、国民負担を前提とする交付金としていることは、有線ブロードバンドを維持発展していく制度としては欠陥と言わなければなりません。また、国が進めてきた競争政策では離島や山間部など条件不利地域には整備を行き届かせることができず、自治体には負担を強いるものであったことへの総括もありません。
岸田政権の目玉政策であるデジタル田園都市国家構想の実現のために有線ブロードバンドの整備、維持の提供を担う民間事業者にその費用補填を行うものであり、これをユニバーサルサービスと呼ぶことはできません。
第二の理由は、利用者情報の取扱いの制度整備では、事業者の都合が優先され、安心、安全な利用環境の確保をないがしろにしたことです。
利用者情報の取扱いの規制は、利用者が直接サービス提供のための契約若しくは登録を行った、利用者の利益に及ぼす影響が大きい事業者に限定されて、範囲は狭められました。利用者一千万人以上の電気通信事業者を想定しており、メタやLINEといったSNS大手、グーグルなど検索大手の二十から三十社に限定されることになり、問題です。
また、クッキーや広告IDなどにひも付く利用者に関する情報の外部送信は、当初、事前同意又は事後的拒否の仕組み、いわゆるオプトアウトの二択が検討されていました。しかし、経済団体、事業者の反発を受け、三択目に外部提供の事実の利用者への通知、公表の義務付けが加えられ、後退したものとなっています。
さらに、LINEの個人情報の漏えいで問題となった利用者情報の情報保管先の設置国名公表の義務付けが総務省令に委ねられていることも重大です。
以上を述べて、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/274
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275・平木大作
○委員長(平木大作君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
電気通信事業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/275
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276・平木大作
○委員長(平木大作君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、木戸口君から発言を求められておりますので、これを許します。木戸口英司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/276
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277・木戸口英司
○木戸口英司君 私は、ただいま可決されました電気通信事業法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の事項についてその実現に努めるべきである。
一、誰一人取り残されないデジタル社会の実現のため、本法による措置を含め、全国でのブロードバンドの整備に万全を尽くすとともに、デジタル活用を促すための支援を行い、デジタル・ディバイドの解消に努めること。また、ユニバーサルサービス制度について、社会構造の変化や情報通信技術の進展に適切に対応できるよう不断の検証・見直しを行うこと。
二、第二種適格電気通信事業者への交付金の算定に当たっては、支援区域ごとの事情等を考慮し、ブロードバンド事業の継続に支障のないよう配慮すること。また、交付金の意義及び算定の根拠について国民の理解を得られるよう努めること。
三、特定利用者情報となる情報の範囲及び特定利用者情報の適正な取扱いを義務付けられる事業者の基準について総務省令で定めるに当たっては、利用者保護及び電気通信事業の健全な発展の双方の重要性を十分に踏まえ、適正に定めること。また、本法の趣旨を踏まえ、義務付けの対象外となる事業者においても特定利用者情報の適正な取扱いが行われるよう検討すること。
四、特定利用者情報の取扱方針に係る総務省令を定めるに当たっては、利用者保護の重要性を十分に踏まえ、特定利用者情報を保管するサーバーの所在国や特定利用者情報を取り扱う業務を委託した第三者の所在国を公表することを定めること。
五、利用者に関する情報の外部送信に係る総務省令を定めるに当たっては、利用者の立場に立った適切かつ分かりやすい形で確認の機会が付与され、安全・安心にインターネットを利用できる環境が整備されるよう努めること。
六、第二号基礎的電気通信役務や特定利用者情報など本法に基づき新たに導入される制度について、総務省令の制定を始めとする制度の詳細の整備に当たっては、高い透明性を確保した場で、事業者、消費者団体等の多様な関係者と連携・協力して検討を行うとともに、その内容を広く国民に周知すること。
七、本法附則第六条による法施行後三年経過後の検討に当たっては、保護の対象となる利用者に関する情報の範囲、情報の外部送信に係る利用者に対する確認の機会の付与の在り方、本法による規律の対象となる事業者の範囲などについて、個人情報保護法等の関連法令の施行状況及び諸外国における個人情報の保護等に関する状況も考慮して行うこと。また、法施行後三年経過以前であっても、本法の施行状況を踏まえて必要があると認める場合には、適時適切に所要の措置を講ずること。
八、卸電気通信役務に関しては、卸元事業者と卸先事業者との間で適正かつ実質的な協議が行われるよう、その動向を注視すること。
九、非常時における情報通信インフラの重要性を踏まえ、本法による措置を含め、平時から、強靱な情報通信インフラの整備・維持及び情報通信インフラの安全性・信頼性の向上に取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/277
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278・平木大作
○委員長(平木大作君) ただいま木戸口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/278
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279・平木大作
○委員長(平木大作君) 全会一致と認めます。よって、木戸口君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、金子総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。金子総務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/279
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280・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/280
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281・平木大作
○委員長(平木大作君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/281
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282・平木大作
○委員長(平木大作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814601X01220220610/282
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