1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月二十九日(火曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
三月二十四日
辞任 補欠選任
北村 経夫君 磯崎 仁彦君
宮口 治子君 杉尾 秀哉君
伊藤 岳君 市田 忠義君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
市田 忠義君
田村 智子君
国務大臣
国務大臣
(国家公安委員
会委員長) 二之湯 智君
内閣官房副長官
内閣官房副長官 磯崎 仁彦君
副大臣
外務副大臣 小田原 潔君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 加野 幸司君
警察庁長官官房
長 小島 裕史君
警察庁長官官房
審議官 森元 良幸君
警察庁生活安全
局長 緒方 禎己君
警察庁刑事局組
織犯罪対策部長 渡邊 国佳君
警察庁情報通信
局長 河原 淳平君
外務省大臣官房
審議官 御巫 智洋君
外務省大臣官房
参事官 股野 元貞君
経済産業省大臣
官房サイバーセ
キュリティ・情
報化審議官 江口 純一君
国土交通省大臣
官房審議官 石原 大君
国土交通省大臣
官房技術審議官 奥田 薫君
防衛省防衛政策
局次長 大和 太郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○警察法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、宮口治子君、伊藤岳君及び北村経夫君が委員を辞任され、その補欠として杉尾秀哉君、市田忠義君及び磯崎仁彦君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
警察法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官加野幸司君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/2
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003・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/4
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005・古賀友一郎
○古賀友一郎君 おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。
今回の法案は、警察庁本庁にサイバー警察局を設ける、関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を集約配置することなどによってサイバー犯罪の捜査体制を強化しようとするものであって、私も大変期待を申し上げておりますけれども、このサイバー犯罪は非常に厄介な犯罪でもございまして、匿名性が高い、物的痕跡を捉えにくい、市販のパソコンでも実行できてしまうなどの特徴があって、中でも特に厄介なのが瞬時に国境を越えるという点であろうと思います。
そこで、今日は、外国からのサイバー犯罪、サイバー攻撃にどう対処するかという点に焦点を当てて伺いたいと思います。
まず、今回の法案に関してでありますけれども、この警察の組織体制を整備することによって外国からサイバー犯罪を行っている容疑者の捜査、検挙にどのような効果を上げると考えておられるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/5
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006・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
ランサムウエアを用いた事案を始めとする重大サイバー犯罪に、重大サイバー事案につきましては、昨年九月に決定された政府のサイバーセキュリティ戦略にも掲げられたとおり、捜査等を通じて攻撃者を特定し責任を負わせることによりまして、犯罪者らに警告を与え抑止を進めることが重要であります。
他方、この種の事案は、攻撃者が海外にいるなどの理由から一つの国単独で捜査することは困難であるため、各国との国際連携を進め、この種の事案を共同で捜査し、その抑止に取り組むことが不可欠であります。
しかしながら、これまでの外国捜査機関との連携におきましては、捜査機関を持たない警察庁は都道府県警察との言わば窓口にすぎず、案件ごとに捜査を担当する都道府県警察が入れ替わっていくために、国際連携の前提となる外国捜査機関との継続的な信頼関係の構築を進めることが困難な状況であります。
そこで、国の捜査機関として直接に捜査を行う関東管区警察局サイバー特別捜査隊を設置し、日本警察として外国捜査機関との円滑な国際連携を進め、重大サイバー事案の捜査を通じた抑止に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/6
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007・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
この継続的な信頼関係ですね、外国当局との、是非これを構築して、捜査能力を上げていっていただきたいと御期待申し上げたいと思います。
ただ、この警察で対応できるのはあくまでもこの平時の犯罪捜査の範囲でございまして、有事のレベルになりますと、今度は防衛の問題となるわけであります。
まず、そもそもサイバー攻撃自体が武力攻撃と言えるのかどうかということは問題になりますけれども、その点に関しては、令和二年四月七日、衆議院安全保障委員会で河野防衛大臣の答弁によりますと、サイバー攻撃が、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方によって組織的、計画的に行われている場合には武力攻撃に当たり得るとした上で、その具体例としては、原発のメルトダウン、ダムの開放、決壊、航空管制を通じた航空機墜落など、米国の考え方が参考になるということでございます。
この答弁からいたしますと、甚大な被害を生じさせる一定のサイバー攻撃に対しては我が国は自衛権を行使し得ることになるわけでありますけれども、その点に関しまして、現行の中期防衛力整備計画によりますと、相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力を保持し得るよう、所要の態勢整備を行うこととされているわけであります。
そこでお伺いをいたしますけれども、この相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力とは一体どのような能力なのかということ、そしてまた、この中期防策定からもう既に三年以上たっておりますけれども、その能力を保持し得るに至っているのか、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/7
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008・大和太郎
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力は、有事に際して、相手方の武力攻撃に用いられるシステムなどに対してネットワークを通じて電子情報を送信することにより当該システムなどの機能発揮に支障を生じさせることで、相手方がサイバー攻撃を行うこと自体を阻止する又は相手方の戦力の円滑な機能発揮を妨害する、こういった能力であります。
防衛省として、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に従ってこの能力の構築を行ってきているところでありますが、現時点でどの程度の能力を有しているかについては、我が方の手のうちであることから、恐れ入りますが、お答えを差し控えたいと存じます。
いずれにせよ、この妨げる能力を含めたサイバー防衛能力の抜本的強化を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/8
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009・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
ある程度のイメージはできたと思うんですけれども、その程度については作戦上やっぱり控えると、私はそれでいいと思います。ただ、我が国がそういう能力を持とうとしているし、持っているということは大変重要な事実だろうと思いますから、是非、日進月歩の技術でありますので、その能力を磨いていっていただきたいと、こういうふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
しかし、今答弁にもありましたように、これはあくまでも有事の場合の話でございまして、実際には、リアルの世界でもそうでありますけれども、有事と平時の間のグレーゾーンが存在するわけであります。武力攻撃未満ではあるけれども、例えば暗号資産や先端技術を盗むといったようなものも含めて我が国の安全保障を脅かすようなサイバー攻撃に対しては、自衛権は行使できませんし、外国当局自身がその攻撃に関係していれば警察の捜査も期待はできません。まあ、せいぜい外交的に抗議、非難する程度の対応しかできないというのが現状であります。
そこで、このグレーゾーンのサイバー攻撃に対しまして、我が国が、先ほどの答弁にあったように、相手方のサイバー攻撃自体を阻止する能力を持つのであれば、自衛権のように言わば自力救済的な反撃、対抗措置をとれないのか、そうした問題意識から、国際法ではどうなっているかを伺いたいと思うわけでございますが、この点、外務省が昨年五月、国連用にまとめましたサイバー行動に適用される国際法に関する日本政府の基本的な立場という文書によりますと、外国による国際違法行為により被害を受けた国は、その相手国に対して、行為の中止と、被害回復のため、その被った被害と均衡する程度の対抗措置をとることができるということであります。
他方で、その外国政府の当局と意思を通じていない言わば純粋な民間人からの攻撃であっても、当該外国は自国の領域内にいる者にサイバー攻撃をさせないようにする相当の注意義務を負っているとどうやら解釈されているようでありますから、当該外国がその注意義務を怠っている場合には、今度はその注意義務違反が国際違法行為となって、それに対する対抗措置を取り得るのではないかと私は思うわけであります。
そのように考えていきますと、外国からのグレーゾーンのサイバー攻撃に対してもこの自力救済的な対抗措置は国際法上許容されていると思えるのでありますけれども、外務省の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/9
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010・股野元貞
○政府参考人(股野元貞君) お答え申し上げます。
サイバー攻撃に対応する措置としていかなる措置が国際法上とり得るかにつきましては、個別具体的な状況に応じて判断する必要があると考えております。
その上で申し上げれば、御指摘の対抗措置について、国際法上認められる要件について様々な議論がございますが、国際司法裁判所は以下の要件に言及しております。
第一に、対抗措置は、他国の国際違法行為に対してとられるものであり、その国に対してとられなければならない。第二に、被害を受けた国は、違法行為を行っている国に対して当該違法行為の中止を求めるか原状の回復を求めなければならない。第三に、対抗措置の効果は、問題となる権利を考慮して、受けた被害と均衡したものでなければならないというものでございます。
こうした要件は、サイバー空間における国際違法行為に対する対抗措置についても同様と考えられます。相手方のサイバー行動による国際違法行為に対して対抗措置を実施できるか否かについては、こうした要件を踏まえながら個別具体的な状況に応じて判断されることとなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/10
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011・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
やはり個別具体の事案に即してということであろうと思います。
ポイントは、一定のその対抗措置はとり得る、許容されているというところが大変重要なポイントだろうと思います。もちろん何でもかんでもできるわけじゃないということはそのとおりでありますけれども。
そこで、国際法の状況を確認した上で、この問題、このグレーゾーンの問題、実は、昨年、サイバーセキュリティ戦略改定されたんですけれども、この点については実は明確にはもう記述されていないんであります。しかし、今年はちょうど国家安全保障戦略の改定の年に当たっているということでございまして、是非、このグレーゾーンのサイバー攻撃の問題について、この国家安全保障戦略改定の中で私は検討すべきじゃないかと、正面向いて検討すべきじゃないかと、こう思うわけでございますけれども、今日は内閣委員でもいらっしゃる磯崎官房副長官にお越しいただいておりますので、是非御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/11
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012・磯崎仁彦
○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) お答えを申し上げます。
我が国で初めて国家安全保障戦略が策定をされましたのが平成二十五年でございますので、それから八年が経過をしているということでございます。その間、世界のパワーバランス変化するなど、我が国をめぐる安全保障環境、急速に激しさを増しているということでございます。
こうした中で何よりも大切なことは、国民の皆様の命、暮らしを守るために重要なものは何なのか、必要なものは何なのか、こうした現実的な議論、これをしっかりと突き詰めていくことであるというふうに考えております。この観点からも、サイバー攻撃への対応等の重要性につきましては委員御指摘のとおりということでございます。
現行の国家安全保障戦略におきましては、サイバーセキュリティーの強化について、我が国の重要な社会システムの防護、サイバー攻撃への対応能力の強化等にも言及をされているわけでございますけれども、新たに国家安全保障戦略の改定に当たりましても、委員御指摘されましたいわゆるグレーゾーンのサイバー攻撃への対応等の扱いにつきましても政府としてしっかりと議論してまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/12
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013・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。しっかりと俎上にのせていただくという御答弁でありました。
切れ目のない、シームレスな対応が必要なのはリアルの世界でもサイバーの世界でも私は全く同じだと、このように思っております。そして、私は、この問題を強調いたしますのは、何も反撃することばかりが目的ではないわけでありまして、このサイバー攻撃というのは攻撃する側にとって大変効率の良い攻撃になってしまっているわけでありますから、その攻撃を防止、抑止していくには、やはりこの攻撃側のリスクを大きくしていくということが重要ではないかと、こういった問題意識に立っております。
この問題は、法的な問題だけではなくて、当然、その技術的な問題であったり、あるいは政治的な問題であったり、そういった多角的な観点からの検討が必要でありましょうけれども、事は、今副長官おっしゃったように、我が国の安全保障、国民の生活に非常に重要な問題でございますので、我が国の憲法、それから国際法、この範囲の中で取り得る対策というのはしっかりとやっぱり取っていくべきだと、このように考えておりますので、しっかりと御検討をいただきますようにお願いを申し上げまして、少し早うございますけれども、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/13
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014・石川大我
○石川大我君 おはようございます。立憲民主・社民の石川大我でございます。
警察法改正についてですけれども、今私の事務所には、この件に関して国民の皆さんからたくさんファクスですとかメールなどが届いております。多く、これ読みますと、心配の声が寄せられているところです。国民の皆さんは、警察行政が個人の自由や権利、こういったものを侵害するのではないかと、そういったような疑念を持っているのではないかというふうにこのメールやファクス見ていると思うわけであります。
まず初めに、今現在、警察行政が個人の自由や権利を侵害していないのか、そして質問していきたいというふうに思います。
今日は職務質問について質問していきたいというふうに思います。警察官職務執行法第二条ですけれども、この職務質問について質問したいと思います。
まず最初に、職務質問と人権につきまして、二之湯国家公安委員長の見解をまず初めにお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/14
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015・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 警察官による職務質問は、今おっしゃいましたように、警察官職務執行法第二条に基づきまして、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、また犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者に対して行うものでありまして、人種や国籍等の別を理由とした判断によって行うことは許されないということでございます。
警察は、犯罪捜査と人権に関わりの深い職務を行っていることから、人権教育を実施しております。例えば、新たに採用された警察職員や昇任をする警察職員に対して、警察学校における憲法等の法学や職務倫理の授業等において人権尊重に関する教育を実施しているほか、警察署等の職場においても研修等を行っていると承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/15
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016・石川大我
○石川大我君 この職務質問が、例えば外国籍の方ですとか、人種、そして肌の色、あるいは民族、宗教の違い、あるいは見た目によってですね、見た目によって不当に行われてはならないということはもう大原則だというふうに思います。
まず、警察庁として、レーシャルプロファイリングというふうに認識をされている事案は認知をしているのでしょうか。レーシャルプロファイリングというのは、警察などの法執行機関が人種や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に個人を捜査対象にしたり、犯罪に関わったかどうかを判断を、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることをいうということですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/16
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017・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 委員お尋ねのレーシャルプロファイリングの事案、件数については、現在把握がないという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/17
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018・石川大我
○石川大我君 アメリカでは、これ有名であります、二〇二〇年五月、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえ付けられた後に死亡するという事件は本当にショッキングな事件でした。レーシャルプロファイリングは海外でも非常に問題になっています。ブラック・ライブズ・マターとして大きなうねりともなりました。
警察行政が差別や偏見に基づき職務質問や捜査を行っているとすれば、市民からの信用を失い、ひいては協力が得られなくなってしまうということで、私たちの安全、安心というものが大きく脅かされてしまうということになりますが、海外でのこうした事例について警察庁として調査研究はされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/18
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019・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) お尋ねの件につきましては、警察庁といたしましては調査研究を行っていないと、こういう報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/19
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020・石川大我
○石川大我君 先ほどから、件数は把握をしていないと、そしてこういった大きな世界的なうねりがあるにもかかわらず調査研究もしていないということで、私、事前に調べていただいたんですが、過去三年間調べたけれどもこの件に関しては調査していないということで、これはやっぱり是非調査をしていただきたいんです。国連人種差別撤廃委員会もレーシャルプロファイリングへの懸念を表明しています。二〇二〇年度の、二〇二〇年の勧告では、禁止する法律や政策の実施を各国にも呼びかけております。
まず、日本政府の対応についてお伺いしたいと思います。今日は小田原外務副大臣にもいらしていただいております。ありがとうございます。外務副大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/20
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021・小田原潔
○副大臣(小田原潔君) 石川委員にお答えを申し上げます。
我が国は、人種差別の撤廃に向け、人種差別撤廃条約の締約国として同条約を誠実に履行いたしまして、人種の保護、促進に取り組んでいるほか、ジュネーブの人権理事会やニューヨークの国連総会など、国際社会の議論や取組に積極的に参画しております。
御指摘の、これは恐らく国連人種差別撤廃委員会における法執行官によるレーシャルプロファイリングの防止及び、それとこれの闘いに関する一般勧告三十六号というのを受けているものと御推察をいたしますけれども、これにつきましては、我が国に対して法的拘束力を有するものではありませんけれども、一般勧告をどのように踏まえて人種差別撤廃条約を実施するかについて、各締約国において個別に判断されるものと理解をしています。
我が国としては、今後も、いかなる差別もなく、一人一人が個人として尊重され、全ての人権を享受し、その人格を発展させることのできる社会を目指し、国連を始めとする国際社会や市民社会と引き続き協力の上、たゆまぬ努力を行っていく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/21
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022・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) お尋ねの件につきましては、国連人種差別撤廃委員会による一般勧告については承知いたしております。
先ほども私がお答えしたとおり、警察官による職務質問は、人種はですね、人種や国籍等の別を理由とした判断によって行うことは許されない、こう思うわけでございます。職務質問の適正な実施については、この一般的勧告の発出以前から各都道府県においてもう既に必要な指導及び人権教育が行われているものと承知しておりますし、また、警察庁においても、都道府県警察に対し、人種、国籍等に基づく差別的取扱いを行わないよう、職務質問の際における留意点を指導していると報告を受けております。
今後とも、職務質問の在り方に関し適切に指導及び教育が行われるよう、警察を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/22
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023・石川大我
○石川大我君 是非この件に関しては調査研究をしっかりしていただきたいというふうに思います。
ここから具体例をお示しをしたいというふうに思っています。昨年十二月、アメリカ大使館のツイッターです。皆様にはお手元に資料をお配りをいたしております。英語でして、機械ですけれども、日本語の訳も付けさせていただいております。
昨年の十二月の六日です。アメリカ大使館のアメリカ市民サービス課はこういうふうにツイートをいたしております。レーシャルプロファイリングが疑われる事案で、外国人が日本の警察から職務質問を受けたという報告がありましたと。数名が拘束され、職務質問や所持品検査、こういったものまでされているんだということを、こういった趣旨のことを投稿しております。そしてまた、拘束されたら連絡をしてくださいということで、警告ということで、皆さんのお手元にもこのアラートということで赤い表示もあるところです。
この件については承知をいたしていますでしょうか。また、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/23
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024・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) お尋ねの米国大使館のツイートについては承知をいたしておりますけども、同ツイートに関して、ツイート上からはその背景等も明らかでないことから、警察庁から同大使館に対して特段の対応は行っていないと承知をいたしております。
なお、警察官による職務質問は、警察官職務執行法第二条に基づき、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、又は犯そうとしていると疑うに足りる理由のある者に対して行われるものでありまして、委員御指摘の人種や国籍等の別を理由とした判断によって行うことは許されないと、このように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/24
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025・石川大我
○石川大我君 先ほどから許されないというお言葉をいただいているわけですけれども、残念ながら調査もしていないということですし、こうやってアメリカ大使館も実際に、実際事例があったということでツイートもしているということで、やっぱり事例がこれあるんじゃないかなというふうに思うのが自然なんじゃないかなというふうに思います。
さらに、ちょっと具体例を挙げたいと思います。東京都小金井市に住む方から御報告をいただきました。日本人女性のAさん、五十代の女性なんですけれども、その方のお話です。この方、お連れ合いがインド系のフィジーの方ということで、昨年十月、この彼が運転する車に乗りまして、お二人で彼の職場に向かっていましたと。反対車線を通行中のパトカーが車と擦れ違った直後にサイレンを鳴らしながらUターンをしてきて、車を止めろということで止めさせられたと。警察官がパトカーから降りてきて、運転していたこのフィジーの男性に対して横に立ったということで、このAさん、日本人女性のAさんが、私たちは何か交通違反をしましたかというふうに聞いたそうです。警察官の方は、いいえ、交通違反をしたわけではないのですが、外国人が車を運転することは珍しいので免許証を見せてもらえますかというふうに言ったそうなんです。そこで、Aさんは、どうして見せなくてはならないのですかと、私たちは不審者ですかというふうに聞いたところ、いいえ、不審者でもありませんし、違反もしていませんが、外国人の方が運転しているのは珍しいので免許証を見せてもらえますかと、まずは車から降りてくださいというふうにフィジーの男性に言って、車から降りるように促しましたと。
これはちょっと適法な行為ではないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/25
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026・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) お尋ねの件につきましては、令和三年十一月二十五日に外務省から情報提供を受けております。
警察庁から警視庁に対しまして本件の取扱いについて状況を確認したところ、警視庁からは当事者との間で適切に対応した旨の報告があったと報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/26
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027・石川大我
○石川大我君 今、適切に対応したというお話なんですが、Aさんとのやり取りの続きです。
Aさんは、この付近にはアメリカンスクールもあって、外国人で運転している方はたくさんいますと、彼ら、つまりアメリカンスクールの関係者が止められている、車を止められているのは見たことがありませんと、なぜ白人の彼らを止めずに私たちだけ止めるのですかと聞きましたが、納得いく答えを得ることができませんでしたと。
インド系フィジーの方、白人の方、見た目で職務質問をするかしないかを決める、それこそまさにレーシャルプロファイリングではないかというふうに思っています。
Aさん、この女性は、一般的な日本人女性で、二人で歩いているときには職務質問されないと。結婚して二十年になるが、彼が一人で歩いていると職務質問を受け、かばんの中を見られることが多いんだと。周囲には近所の人もいたりして、好奇の目にさらされて、大変恥ずかしい思いをしていると、屈辱的な思いもしていると。やっぱり差別的な扱いを受けて心が折れてしまって、非常にダメージを受けているということでした。
こうしたことはあってはならないというふうに考えます。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/27
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028・緒方禎己
○政府参考人(緒方禎己君) お尋ねの件につきましては、先ほど大臣からも御答弁いただきましたが、令和三年十一月二十五日に外務省から情報提供を受け、同日、警察庁から警視庁に対して本件の取扱いについて状況を確認したところ、既に警視庁において当事者に対して事情を説明するなどの対応を行った旨、翌二十六日に警視庁から警察庁に報告があったところであります。
本件につきましては、警視庁において、事案を取り扱った警察官から事情を聴取した上司が当事者に対して当日の取扱いの経緯等について説明を行い、その際、お尋ねの事案において相手の方の心情に配慮していないと受け取られかねない言動があったことを認めた上で、当日の協力に謝意を伝えるとともに、職務質問の適正な実施に努めていく旨を述べたもので、警視庁から当事者との間で適切に対応した旨の報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/28
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029・石川大我
○石川大我君 彼女たちのお話によりますと、確かにおっしゃるように、三鷹警察署に翌日苦情を申し立てて、謝罪も受けたというふうにお話をいただいております。
今御説明がありました、心情に配慮していないというようなお話もありましたけれども、これは謝罪をしたということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/29
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030・緒方禎己
○政府参考人(緒方禎己君) お尋ねの件につきましては、謝罪の有無も含めて、個別の事案における警察官の個々具体的な発言の内容についてのお答えは差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、相手の方の心情に配慮していないと受け取られかねない言動があったことを認めた上で、職務質問の適正な実施に努めていく旨を申し述べたというふうに報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/30
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031・石川大我
○石川大我君 昨日の打合せの中ではここまでお話は実はいただけませんでして、職務質問に御協力いただいたことに対して謝意を申し上げると、ありがとうと言ったと、そして、適正な、警察官職務執行法第二条に基づく適正な運用をしているんだということを言ったんだというところまでで、かなり前からこの件についてはお尋ねをしていたんですが、昨日の段階ではこの二点しかお聞かせいただけませんでした。
このお二人は動画も撮っておりまして、具体的に、警務課の警察官、三鷹警察署の、深く謝罪をされ、車を止めた二人の警察官の上司から謝罪の電話をさせるか、三鷹署として謝罪の手紙を出してほしいのかというふうに聞かれたんだけれども、少し考えますということで御自宅に帰られたということで、今お話の中で、答弁の中で、心情に配慮していないと受け取られかねないと認めたということで、これは、こうしたレーシャルプロファイリングに当たるものがあったということをお認めになるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/31
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032・緒方禎己
○政府参考人(緒方禎己君) お尋ねの件につきましては、実際にどのようなやり取りの中で、またどのような文脈においてなされた発言であるかを警察庁としては承知しておりませんので、発言の具体的な内容とその意味合いについてお答えを差し控えることが適当と考えております。
ただ、いずれにしましても、警視庁としては、当日の取扱いにおいて相手の方の心情に配慮していないと受け取られかねない言動があったことを認めたというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/32
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033・石川大我
○石川大我君 これ以上話しても無駄だと思いますので、これは是非、委員長の方で、これ引き続きお取り計らいをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/33
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034・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) では、ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/34
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035・石川大我
○石川大我君 こうしたことがありますと、本当に我々国民としては不安にやっぱりなるわけであります。警察官の皆さん、たくさんいらっしゃいます。もちろん、大多数の皆さんが一生懸命、我々の安心、安全、こういったものを守るために活動していただけている、活躍をしていただける、それは私も承知をしています。ただ、こういったことがやっぱり万が一起こったときには、しっかりそれを認めて謝罪をする、それによって我々も信頼を得られるんじゃないかと思うんです。
二之湯大臣、この辺り、やっぱりしっかりと謝罪すべきところは謝罪すると。公務員に対しては無謬主義というのがあって、そういった無謬主義に陥って、我々は間違っていないんだと、そういうことじゃなくて、しっかり謝るべきところは謝ると、それがまさに国民の信頼につながるというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/35
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036・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 委員御指摘のとおり、改めるべきところは率直に改めると、そういうことが警察の信頼につながると、このように思いますので、またいろいろと警察を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/36
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037・石川大我
○石川大我君 是非よろしくお願いいたしたいと思います。国家公安委員会というのは私たち国民の立場で警察庁をしっかりと管理をするということですので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
国家公安委員会の苦情の状況について、そして、警視庁管内の年間苦情処理件数、東京都公安委員会の苦情処理件数、そのうち職務質問に関するものをまず教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/37
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038・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 令和三年中に警察法の規定により東京都公安委員会において受理した苦情の件数は百九十七件であり、うち職務質問に関するものは十六件であったと聞いております。また、同年中に警察、警視庁において受理した件数は五百七十三件であり、うち職務質問に関するものは八十七件であります。
警察法の規定に基づき東京都公安委員会に対して苦情の申出があった場合、東京都公安委員会は、その全てについて警視庁に事実関係の調査をさせ、当該調査の結果及び警視庁が講じた措置の内容について報告を受けているものと承知いたしております。また、警視庁に対して苦情の申出があった場合も、当該苦情についての事実関係の調査及びその結果を踏まえた措置を東京都公安委員会に報告し、誠実に処理しているものと承知をいたしております。
措置の件数について確認したところ、東京都公安委員会において受理した苦情百九十七件のうち措置を講じたものは二十三件、警視庁において受理した苦情五百七十三件のうち措置を講じたものは六十二件であったとの報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/38
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039・石川大我
○石川大我君 これも、昨日までのいろいろお互いのやり取りの中で、これ数字の受理件数しか出てこなくて、これ、措置、いわゆる対応した件数というものがなかなか出てこないということで、こういうものはやっぱり速やかに出していただきたいというふうに思っています。
そしてまた、この是正措置ということですけれども、先ほど、今お話しいただきました百九十七件のうち二十三件、五百七十三件のうち六十二件、警視庁のですね、これに関してはある程度非を認めて、これは我々がちょっと行き過ぎだったというような形で対応したということで理解してよろしいですか。そしてまた、内容をしっかりとやっぱりホームページに載せるとか警察白書に載せるとか、そういったことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/39
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040・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 委員御指摘のとおり、警察もそういう職務質問のことに関しまして改善すべきところは率直に改善したと、このような報告もしておるわけでございますから、日本の警察の信頼性を高めるためには、そういう、何というんですか、措置を講じたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/40
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041・石川大我
○石川大我君 そしてまた、恐らく一般の日本人の方よりも外国の方、警察の不当な扱いに対して苦情の申立てができるということを知らないと思うんですね。
少し調べてみると、東京都公安委員会は外国語に対応、ホームページ、していません。二之湯大臣の地元の京都府も調べたんですけれども、日本語のみということです。神奈川県は英語があります。静岡県は英語とポルトガル語、大阪は英語、中国語、韓国語、兵庫は英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語と。
こういった多言語対応をすべきだと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/41
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042・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 日本にも世界各国から多くの方がお越しになってお住みになっているわけでございますから、日本国民と同様な対応ができるように、多言語化というのは避けて通れない問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/42
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043・石川大我
○石川大我君 先ほど事例に挙げましたこのお二人は、これは私たちだけの問題ではないと、白人以外の外国人が日本で日常的に味わう差別の現実だと、日本人の配偶者がいない外国人の方々はどれほど差別されても泣き寝入りするしかないのでしょうと訴えております。これ非常に日本人として恥ずかしいというふうにも思いますし、またこれ国際問題になるんじゃないかなというふうに思います。
この方たち、たまたまフィジーの大使にも相談をされておりまして、大使館経由で外務省の方にもお伝えをしたと。フィジー大使、こんなことを言っております。
今回の、メールですけれども、今回の事件には失望しましたが驚きはしませんと、私はあなたの町の警察の地区本部に苦情を申し立てるべきだと思います、手紙は大使館と地元の国会議員にもコピーしてください、手紙には役員の名前を明記してください、この苦情は外務省本部にも提出し注意を促しますということで、外務省の方は適切に対応していただいたかと思いますが、最後に小田原外務副大臣、これ外交問題だということで、しっかり日本が人権を守る国なんだということを是非やっぱり先頭に立っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/43
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044・小田原潔
○副大臣(小田原潔君) 石川委員にお答えを申し上げます。
我が国は、人種差別の撤廃に向け、人種差別撤廃条約の締結国として同条約を誠実に履行し、人権の保護、推進に取り組んでいるほか、ジュネーブの人権理事会やニューヨーク国連総会など国際社会の議論や取組に積極的に参画をしております。
言及のありましたフィジーの方のお話でありますが、駐日フィジー大使館から関係当局への伝達を依頼された内容を速やかに警察庁に伝達をいたしました。その後、駐日フィジー大使館に対しては、警察庁に伝達したことを連絡をいたしまして、先方から了解した旨回答を受領しているところであります。
重ねて、我が国としては、今後もいかなる差別もなく、一人一人が個人として尊重され、全ての人権を享受し、その人格を発展させることのできる社会を目指し、国連を始めとする国際社会や市民社会と引き続き協力の上、たゆまぬ努力を行っていく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/44
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045・石川大我
○石川大我君 この件、日弁連が最近アンケート調査をしておりまして、海外にルーツのある二千九十四人から回答を集めまして、七割を超える方たちが不審事由がないということで職務質問を受けたというふうに認識をしているということで、これ速報値が出ていまして、また今後、夏には詳細が、二〇二二年夏頃をめどに調査結果をまとめて警察庁にも申入れを予定しているということですので、是非これは誠実に対応していただきたいということと、あとやはり、二之湯大臣、これ全国的な調査、把握というものも必要だと思いますし、人種や国籍への偏見に基づく職務質問、そういった形で行わないように、人権研修、そういったことも非常に大切だというふうに思っておりますけれども、やっぱり実態把握、これ大切だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/45
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046・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 冒頭、私申しましたように、警察においても、警察官に対しまして、人権の大切さ、あるいは肌色だとか顔によって差別はしていけないという、人種による差別はいけないということも常日頃から研修に努めているわけでございます。
しかし、今委員が御指摘になりましたように、警視庁の管内だけではなくて、全国的にどういうことなのかということもこれから調査をしていかなければならないと。全国各地に多くの外国人が住む現実でございますから、委員のおっしゃっていることも当然なことだと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/46
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047・石川大我
○石川大我君 今、調査をしていかなければならないというようなお話もしていただきました。ありがとうございます。
それで、時間もないんですが、一つ。
警視庁は、皆さんにも資料をお配りしましたけれども、職質指導班だよりというものを配付しています、二枚目です。これ、安易に外見のみで職務質問を実施した場合、差別を受けたなどの抗議を受ける場合があり、大きな社会問題に発展する可能性がありますというふうに記載をされています。
これ一瞬、僕も見ましたら、私、LGBTの人権問題をもう二十年以上やっておりますけれども、人種、宗教、障害、国籍、LGBT、容姿、服装ということで、これ見た目だけで判断しちゃいけませんよというような、これはそういうことをしないでくださいというふうに書いてあるのかなというふうに思いまして、一瞬こう、まあ喜んだといいますか、なかなかいいことをしているのかなというふうに思ったんですが、よくよくこれ読み進めてみますと、こういった、近年、人種や国籍、LGBTなどに対する偏見や差別が世界的に問題になっていますと。安易に外見のみで職務質問を実施した場合、差別を受けたなどの抗議を受ける場合があるから、やめなさいと書いていないんですね。不審点は何ですかというオレンジ色の囲みで書いてあるんです。合理的な理由はありますかと書いてあるんですよ。
これ、不審点は何ですかと書いてあって、その下の不審点の例を挙げているわけですよ。つまり、人種、宗教、障害者、国籍、LGBT、容姿、服装、こういったもので、これに当てはまるような不審例を御丁寧にこれ挙げていて、しっかりと不審例を挙げてから職務質問しなさいと。
何かこれを見ていると、こういった外見などで声を掛けてもいいけれども、しっかりと不審点を言いなさいと。不審点の例として、これ、ここ、なぜかこう黒塗りなんですけれども、これ、なぜ黒塗りなんでしょうか。これ、ここに当てはまるような不審例をここに、こういうのを言えばいいよということを、なぜあらかじめ事前にこれ言うのか、目の前にその人がいないにもかかわらずですね。
こういったマイノリティーに当てはまるような不審点の列挙がここにあるんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。なぜこれ黒塗りなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/47
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048・緒方禎己
○政府参考人(緒方禎己君) お尋ねの資料の御指摘の箇所には、職務質問の具体的な着眼点等が記載されておりますが、その内容につきましては、今御指摘のありました人種や国籍等に係る事項は含まれておりません。あくまで対象の不審な挙動に関する具体的な着眼点が記載をされているものであります。
なお、警視庁では、その内容を公にすることにより犯罪の予防その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれが認められるとして、東京都情報公開条例に定める非開示情報に該当すると考えている旨、報告を受けております。
したがって、警視庁において東京都の条例に基づき公にすることができないとしている範囲については、警察庁としてもお答えを差し控えることが適当であると考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/48
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049・石川大我
○石川大我君 これ、時間がないのでこれ以上やりませんけれども、是非この黒塗りの部分、しっかりと委員会の方で、委員会の方に報告をいただけるように理事会で協議をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/49
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050・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/50
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051・石川大我
○石川大我君 ほかにも、ハフィントンポストの報道によれば、東京駅で警察官から職務質問を受ける動画が上がっていまして、ドレッドヘアのバハマ人と日本人のミックスの男性に警察官がこう言っているんですね。ドレッドヘア、おしゃれな方で結構薬物を持っている方が私の経験上、今まで多かったというふうに述べていたりしています。
ほかにも私の事務所には、新宿の二丁目、これはLGBTの町でありますけれども、男同士で手をつないでいたら職務質問をされ、免許証の内容を書き写されたといったような、まあ苦情とも取れる報告も受け取られて、受けています。
例えば、あとは、これもLGBTの当事者ですけれども、窃盗の被害を訴えたにもかかわらず、当事者同士がゲイである、ゲイの男性であるというだけで、警察官から、犯人のことを好きになって被害届を取り下げられたら困るというふうに言って被害届を受理しなかったという信じられない事案、これ葛西署だというふうに、江戸川区ですけれども、聞いておりますけれども、よく分からないですよね。被害者と加害者ですよ。被害者と加害者がゲイだから、犯人のことを好きになって被害届を取り下げたら困るというふうに言われたと。これ、男性と女性が被害者と加害者だったら、これ、犯人のことを好きになって被害届を取り下げたら困ると言うでしょうかというと、これは言わないわけですね。
そしてまた、里親を外国人の夫とされているという方が、預かっているお子さんと夫の髪の色や目の色が違うということで警察官から誘拐犯扱いされたというような事例もあります。
これは引き続き取り組んでいきたいというふうに思います。
小田原外務大臣、ありがとうございました。ここで結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/51
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052・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 小田原副大臣、御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/52
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053・石川大我
○石川大我君 警察法改正ですけれども、サイバー局の設置の検討経緯についてお伺いします。
サイバー局の設置については、いつ頃から話題に上り、どこで何が検討されたかというのが衆議院の審議を通じてもクリアになっていないというふうに思います。
令和三年三月に公表されている令和二年度サイバーセキュリティ政策会議の報告書では、警察の公的機関としての関与、支援の在り方に関しての意見として、ランサムウエアについて、ガイドラインを警察において取りまとめ、被害企業の窓口での相談の整備を進め、啓発していくことが大切だといったり、捜査その他警察活動に支障のない形で時宜を得た情報発信を行っていくべきだと、そういったことがいろいろ述べられておりまして、この中でサイバー局の設置については議論されておりません。
令和三年三月八日の会議後、報告書の公表がありまして、小此木国家公安委員長、当時ですけれども、その会見が令和三年の六月二十四日、までにどのような会議があり、どのように議論されたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/53
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054・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今回の組織改正に当たりましては、国の省庁における通常のプロセスどおり、令和三年八月に四年度の予算概算要求を行ったところでございます。その後、サイバーセキュリティ政策会議における議論や関係省庁との調整等を経て、本年一月に政府案として閣議決定された後、国会で今御審議をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/54
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055・石川大我
○石川大我君 今御説明いただいたこと、事前のレクでもいただいているんですけれども、これ答弁が違いまして、令和三年三月八日までの会議がこれあるんですね、サイバーセキュリティ政策会議、ここでは議論していないんですよ。
つまり、三月の八日の会議までは議論していなくて、三月の八日から、四月、五月、六月に会見しているんですね。六月に会見をしていて、ここで初めて公表されるんですが、この三月八日から六月二十四日までの間、ここで何が行われたかということをお伺いしているんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/55
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056・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
まず、委員が御指摘くださいました令和二年度のサイバーセキュリティ政策会議でございます。これは、令和二年の十月から令和三年の三月にかけまして開催され、生活様式の変化等に伴うサイバー空間の新たな脅威に対処するための官民連携の更なる推進をテーマに御議論をいただいたところでございます。
この会議における議論の結果、サイバー空間の脅威は極めて深刻な情勢にあることや包括的なサイバーセキュリティー対策の必要性等について御提言を受けたところでございます。その後、令和三年六月に、当時の小此木国家公安委員会委員長が令和四年度における警察庁組織改正構想について公表したと、こういう経緯になっております。
この公表につきましては、令和四年度の予算の概算要求を行うよりも前の段階において検討の方向性を明らかにしたものであるという性格を持っておりますが、この間に、この令和三年の三月から令和三年の六月の間にかけても警察庁の庁内において様々な検討を重ねて、その結果、予算の、令和四年度の予算の概算要求につなげたという経緯になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/56
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057・石川大我
○石川大我君 今、最後のところが大事でして、警察庁において様々な検討を行ったというふうにおっしゃっています。
本来でしたら、この会議体の中で何か話が出て、みんなで話し合って、それが必要だということで、それが政府の方に答申をされるということなら分かるんですが、三月八日までは全く議論していなくて、六月二十四日、これ、三、四、五、六ですよね、その間に庁内において様々な検討を行って、そこで小此木さんが発言をして、それは検討の方向性を明らかにしたものだということでおっしゃっているわけです。その後に、令和三年八月の概算要求があって、九月のサイバーセキュリティ政策会議で、ここではちゃんと議論になっているわけですよね。
ですから、まさにこの庁内において様々な検討とおっしゃいましたけれども、そこでどんな検討があったかというところがやっぱり国民の関心事だと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/57
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058・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
庁内の関係者で行われた議論の結果、これは令和三年初旬から六月までのことでございますけれども、組織改正、予算、組織・定員要求を含むものでございますけれども、に向けた検討のためのたたき台が六月に取りまとまっておりまして、国家公安委員会に報告の上、公表を行ったというものでございます。
また、その後でございますけれども、八月までの間でございますが、このたたき台をベースに具体的な要求内容につきまして庁内で必要な予算、組織、定員等について検討を行い、八月の下旬に予算概算要求と、これには組織・定員要求を含むものでございますけれども、につきまして、国家公安委員会の決裁を受け、要求官庁として意思決定を行ったものということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/58
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059・石川大我
○石川大我君 是非そのプロセスについても議事録など明らかにしていただきたいと思います。
次に行きます。立法事実についてです。
今回の法改正について、外国捜査機関との連携及び継続的な信頼関係が困難という衆議院での答弁があります。果たして、しかし、そうだろうかということです。外国捜査機関との信頼関係が構築できていないという問題と警察庁が捜査権限を有していないということの因果関係については、具体的な事実を含めた説明が今までありません。
それよりも、これ端的に言えば、まず、一、個人通報制度がないということじゃないかと。選択議定書で個人通報制度を定めている条約としては、自由権規約、社会権規約、女性差別撤廃条約、障害者権利条約などありますけれども、日本政府は既に、全てにこれ批准をしておりません。つまり、被疑者の人権が守られていないということなんじゃないかということなんですね。また、人種差別撤廃条約や拷問禁止条約、拷問等禁止条約には、条約条文に当たる規定の受諾宣言というのを行っていない。
そして二つ目、先進国ではとっくに廃止されている代用監獄、これいまだに続けている。人質司法としても批判を浴びています。三つ目としては、また、人種的、民族的又は宗教的差別、あるいは性的指向や性自認に基づく差別を禁止する法律がない。四つ目としては、入管施設における深刻な人権侵害や虐待が後を絶たない。五、死刑制度の存続ですね。
こうした、被疑者の人権が守られていないということでこうした問題を発生させているんじゃなかろうかと。犯人引渡条約を結んでいる国というのはアメリカと韓国のみというような現実もあると。
こうした案件について是非しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、二之湯大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/59
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060・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今回の改正によりまして、警察庁の関東管区警察局に新設されるサイバー特別捜査隊が自ら重大サイバー事案の捜査を行うことになりますが、捜査として行うことのできる措置は、現在、都道府県警察が刑事訴訟法等の法令に基づき行っているものと全く同じであります。したがって、まずはこれらの法令に定められた手続に従い適正に捜査を行うことに留意する必要があると思います。
現在、都道府県警察では、都道府県公安委員会の管理の下で適正な捜査の確保が図られています。これと同様に、サイバー特別捜査隊についても、国家公安委員会の管理の下で適正な捜査の確保が図られることとなっております。また、サイバー特別捜査隊の捜査活動に関する苦情の申出があった場合には、事実関係を国家公安委員会に報告し、その指導を受け、是正を図ることといたしております。
このように、国家公安委員会の管理の下でサイバー特別捜査隊による適正な捜査が確保されるよう、警察庁を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/60
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061・石川大我
○石川大我君 ちょっと話題を変えまして、重大サイバー事案とは何ぞやというお話をしたいと思います。
昨今のサイバー空間を使用した犯罪が多く発生しているということですけれども、近年五年間のサイバー犯罪の件数というのをお聞きしました。二〇一七年から二〇二一年まで、九千十四件、九千四十件、九千五百十九件、九千八百七十五件、一万二百七十五件ということで、この中で、こういったサイバー空間を使用した犯罪というものが報告されているわけですが、この中で、法改正で予定しているこのサイバー事案とか重大サイバー事案、これに当たるものは何件ぐらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/61
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062・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) サイバー事案及び重大サイバー事案については、今回の改正により新たに定義が定められたものでございまして、過去の事案につきましては、これに該当する件数などをお示しすることは少し困難であると思います。
なお、重大サイバー事案としては、重要インフラ事業者がサイバー攻撃を受けてライフラインの供給が停止する事案、ランサムウエアによるサイバー事案、海外のサイバー攻撃集団によるサイバー事案などを想定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/62
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063・石川大我
○石川大我君 ちょっとこれ驚きなんじゃないでしょうか。つまり、現在持ち合わせている統計の中からどれぐらいサイバー事案あるいは重大サイバー事案に該当するのかというのを試算して、その解決のためにはサイバー局の設置が必要だとか、人数はこのぐらい必要なんじゃないかとか、そうしたことが必要だと思いますけれども、そうした議論は全くなかったんでしょうか。
つまり、重大サイバー事案というのは、ゼロ件かもしれないし、この検挙件数の、二〇二一年ですると一万二百七十五件かもしれないし、その間の中だということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/63
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064・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今申しましたように、過去の事案について、このうちどれが重大サイバー事案に当たるものかということを網羅的にお答えすることは困難であると思いますけれども、最も重大サイバー事案として想定される事案の一つであるランサムウエアによるサイバー事案について申し上げますと、令和三年中に全国で百四十六件の被害の報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/64
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065・石川大我
○石川大我君 この重大サイバー事案に今後該当するものに関しては、これ公表されるんでしょうか。我々として知ることができるのかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/65
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066・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) 警察庁におきまして重大サイバー事案に当たると判断した事案につきましては、これを公表するか否かは捜査等への影響を踏まえて個別に判断することとなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/66
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067・石川大我
○石川大我君 確かに、今、個別に判断ということです。確かに、例えば重要インフラが攻撃をされて停電が大規模に起こるというようなことが起これば、もうこれは誰が見ても重大サイバー事案だというふうに分かると。しかし、個別の企業が実は攻撃されている、脅迫をされているという中で、それをいたずらに公表してしまっては、これはどういうことが起こっているのかということが相手側、犯人側にも分かってしまうということで、公表を控えた方がいいだろうという、それは理解できるんですけれども、ある程度、一定の時期に来たら、これ、例えば警察白書ですとか国家公安委員会の報告とか、そういった形でしっかりと全部公表していくと。どういったことに対応したのかということがしっかり分かるようにやっぱりしていくべきだと、それが民主的な統制だというふうに思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/67
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068・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) その年にどれだけの重大サイバー事案があったのかということを、件数としては恐らく発表できるも、個々の、これが重大サイバー事案でございました、この企業が攻撃を受けましたということは、先ほど警察が申しましたように、個別の事案に関することでございますし、また捜査の影響にも与えることございますから、慎重に判断をしていかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/68
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069・石川大我
○石川大我君 もちろん、企業名ですとか細かな手のうちみたいなものを明かしてしまうと、それを逆に模倣した犯罪などが増えるということももちろん理解はしておりますが、そのバランスをしっかり保っていただいて、我々として、国民として何が起こっているのかということがしっかり理解できるように、警察白書ですとかそういったところにも載せていただくということを是非御検討いただきたいというふうに思っていますが、重ねてですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/69
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070・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今委員がおっしゃったことをよく検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/70
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071・石川大我
○石川大我君 もう一つ、二つ質問があるんですが、ちょっと時間があと一分ということで、まとめさせていただきたいと思います。
今回の法改正によって、都道府県警察が捜査権を持つという従来の警察行政から、警察庁が直接捜査、逮捕などの権限を持つという、大きな警察行政の転換だというふうに思います。サイバー事案ということで目に見えない部分がとても多いわけです。何をやっているのか分からない。プライバシー、通信の秘密の保護など、国民の権利、自由を不当に制限しないよう、国家公安委員会、是非しっかりと、通報制度もできるということで、苦情の制度もできるということで、果たしていただきたいと、役割を果たしていただきたいというふうに思います。
また、警察行政についても、調査権限があり、しっかりと物を申せる第三者委員会のような制度というものをしっかりつくっていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
また、国家公安委員会、先ほどもお話ししましたが、新設される苦情処理の制度が形だけでなくしっかり機能しているのか、これは注視をしていきたいと思います。
また、重大サイバー事案が何なのかということも必ずしも明確になっていないというふうに思います。今後、どういう事案が重大サイバー事案に当たり、どう事案にサイバー警察局やサイバー特別捜査隊が関わったのか、しっかり情報公開をして、民主的統制が利くように注視していかなければならないというふうに申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/71
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072・浜田昌良
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
本日は、重大サイバー事案への警察の対処能力を向上させるための警察法の改正についての質疑でございます。
我が国の戦後の警察態勢は、一九五四年の警察法制定以来、国家的、全国的な性格を有する特定の事務については警察庁に指揮監督権が与えられつつも、警察捜査という執行事務は各都道府県警察に一元化するという、分権的かつ都道府県公安委員会の管轄の下という民主的統制の下で行う、この特色、このことを特色として実施されてまいりました。
今回の改正は、警察庁自体がその関東管区警察局に全国管轄のサイバー特別捜査隊を組織して、従来の捜査の指揮監督を越えて捜査自体を行うこととするものでございます。その必要性が妥当なのか、また新たな体制が調査権の濫用や国民の基本的人権を脅かすものとならないのか、こういうことについて質問させていただきたいと思います。
まず、サイバー犯罪につきましては、国際的な協力が不可欠というのは今までの質疑者の質問でもありました。一方、アメリカやEUだけでなく、我が国は、ロシア、中国とも捜査共助条約、いわゆる刑事共助条約が結ばれていると思いますが、この捜査共助等を通じた国際照会の回答に長時間要することによりまして国際捜査が十分に進展しないケースも多いと聞いております。
そこで、国家公安委員長に質問させていただきたいと思います。
国際共同捜査への我が国の参画率は欧米と比べてどうなっているんでしょうか。今後、参画率を高めるための改善の在り方、また、その他海外との連携の在り方についてどう考えておられるのか、大臣の答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/72
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073・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) サイバー空間には国境がないことから、諸外国では各国が共同してサイバー事案の捜査に取り組んでおりますが、こうした共同捜査について日本警察が十分に参画できていないということは事実であります。
現在、外国捜査機関との連携においては、捜査機関を持たない警察庁が都道府県警察との窓口を務めているにすぎないわけでございまして、案件ごとに捜査を担当する都道府県警察が交代するわけですね。日本警察として、国際的な共同捜査の前提となる外国捜査機関との継続的な信頼関係の構築を進めることが非常に困難な状況であるわけでございます。
そこで、今回の改正により、関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を新設いたしまして、国の組織が直接に捜査を行い、外国の捜査機関との連携を強化することにしたわけでございます。
今後は、日本警察として、外国捜査機関との強固な信頼関係を構築して、国際的な共同捜査に積極的に参加することにより重大サイバー事案に対処するよう警察庁を指導していきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/73
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074・浜田昌良
○浜田昌良君 次に、国内関係省庁との連携の必要性について質問したいと思います。それは、海外のサイバー事案のうち一定のものは外国政府自体が関わっているということが指摘されておりまして、我が国においても政府一体で対応することが求められているからでございます。
まず、警察庁に質問いたします。
サイバー攻撃は、先端技術情報や外貨の獲得、軍事的、政治的目的の達成に向けての影響力の行使など、様々な目的で実行されているところでございますが、この攻撃を実行する国家によってその目的の違いはどのようになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/74
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075・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答え申し上げます。
サイバー攻撃は様々な目的のために行われているものと認識しております。特に国家の関与が疑われるサイバー活動として、例えば、中国は軍事関連企業、先端技術保有企業等の情報窃取のため、また、ロシアは軍事的及び政治的目的の達成に向けて影響力を行使するため、そして、北朝鮮においては政治目標の達成や外貨獲得のため、それぞれサイバー攻撃等を行っていると見られます。
警察といたしましては、引き続き、サイバー攻撃の厳正な取締りを推進するとともに、その実態解明を推し進め、被害の未然防止と拡大防止を図ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/75
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076・浜田昌良
○浜田昌良君 今挙げられたような国々では国家自身がそういうサイバー攻撃に関わっているということも報告されているわけでございますが、そこで国家公安委員長にお聞きしたいと思いますが、外国政府の関与がある場合の外務省、防衛省との連携の現状、今般の改正によって、改善の在り方についてどう考えておられるか、答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/76
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077・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 警察では、サイバー事案を把握した場合には、法理や、法令に基づきまして厳正な取締りを行い、情報収集や実態解明に当たるとともに、サイバーセキュリティー対策に資する情報の共有を進めるなど、関係省庁と連携して被害の未然防止や拡大防止のための取組を推進しております。
例えば、警察庁では、防衛省とともに、NISCを中心とする政府横断的な取組として、サイバー攻撃に関する情報共有やサイバー攻撃対処訓練への参加を積極的に行うなど、平素から緊密に連携をいたしております。
また、関係省庁と連携した取組を進める中で、令和三年七月、外務省において、中国人民解放軍を背景に持つグループが関与した可能性が高いサイバー攻撃などについて断固非難する旨の談話が出されたものと聞いておるわけでございます。
現在、警察庁では、サイバー事案への対応について、生活安全局や警備局といった部門ごとに都道府県警察に対する指導、調整を行っており、現場で把握された情報の集約や関係省庁との連携に課題を有しているところでございます。
今回の改正によりまして警察庁にサイバー警察局が新設された後は、サイバー事案について、関係省庁との連携を含め、サイバー警察局を中心に一元的に対応することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/77
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078・浜田昌良
○浜田昌良君 今までの大臣、また警察庁の答弁から、まず、国際協力という面では、警察庁自身が捜査実務を担当することによりまして、窓口だけの業務ではなくて、いわゆる継続的な信頼関係が海外と築けることによって国際共同捜査が行いやすくなるんではないかという点が御答弁ございました。
かつ、この重大サイバー事案につきましては、今大臣からも例示がありましたように、一部の国では国家自体が関わっているということであれば、外務省、防衛省との連携も不可欠でございまして、そういうことから、やはり警察庁という国の組織が捜査権の指揮だけじゃなくて実務を担っていくと、一定の必要性はあるのかなという気がするわけでございますが。
そこで、再度、国家公安委員長にお聞きしたいと思いますけれども、都道府県公安委員会の下での都道府県警察という分権的な捜査態勢ではなくて、警察庁自体、関東管区警察局がサイバー特別捜査隊を組織して従来の捜査の指揮権を越えて捜査を行うことについての必要性について答弁を再度いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/78
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079・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) ランサムウエアなどを用いた事案を始めとして、重大サイバー事案については、昨年九月に決定された政府のサイバーセキュリティ戦略にも掲げられたとおり、捜査などを通じて攻撃者を特定し、責任を負わせることによって犯罪者らに警告を与え、抑止を進めることが非常に大事なことであるわけでございます。
他方、この種の事案を一つの国単独で捜査することは困難であることから、各国との国際連携を進め、この種の事案を共同で捜査し、その抑止に取り組むことが不可欠であるわけでございます。
しかしながら、外国の捜査機関との連携においては、捜査機関を持たない警察庁は都道府県警察の言わば窓口にすぎないわけでございます。案件ごとに捜査を担当する都道府県が入れ替わっていくということ、先ほど申しましたように、国際連携の前提となる外国捜査機関との継続的な信頼関係の構築を進めることが非常に困難な状況であるわけでございます。
そこで、日本警察として、外国捜査機関との強固な信頼関係を構築し、円滑な国際連携を進めることにより重大サイバー事案の抑止に取り組んでいくため、国の捜査機関として関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を設置し、国の組織が直接に捜査を行うようにしたことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/79
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080・浜田昌良
○浜田昌良君 一方、今回の警察庁自体が重大サイバー事案に係る犯罪の捜査その他の重大サイバー事案に対処するための活動を行うに当たりまして、国家公安委員会への苦情の申出制度が第七十九条第二項で新設されました。
そもそも、この苦情の申出制度は都道府県警察の職員に関して既に存在しておりましたが、その効果がどのようなものか、まず質問したいと思います。
警察庁にお聞きしたいと思います。
近年増加している苦情の申出で、都道府県公安委員会は実質的にどのように関与しているのか、苦情の申出によりまして改善に対処、対応した比率はどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/80
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081・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
警察法の規定に基づき都道府県公安委員会に対して苦情の申出があった場合、都道府県公安委員会は、その全てにつきましてそれぞれの都道府県警察に事実関係を調査させ、当該調査の結果及び当該都道府県警察が講じた措置の内容につきまして報告を受けているところであります。
委員御指摘の改善の比率に関しましては、全ての都道府県について網羅的に把握をしているわけではございませんけれども、例えば東京都公安委員会におきましては、令和三年中に文書により受理をした百九十七件の苦情のうち、調査の結果、適切な職務執行であることが判明したものは百六十九件、措置を講じたものは二十三件、現在も継続して調査中であるものは五件であったものと承知をしております。
今後とも、警察におきましては、警察法に定められた苦情申出制度の適切な運用を徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/81
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082・浜田昌良
○浜田昌良君 今、東京都公安委員会の例が答弁ございました。苦情の申出百九十七件中、適切な職務執行、まあこれは苦情にはそういうものもあるんでしょう、百六十九件。ただ、二十三件は対応したということで、その件全て国家公安委員会の方に報告がされているということであります。そのほか、件数が多かった兵庫県公安委員会の例でも対応は聞いておりますが、同様であったと聞いております。一定の抑止効果はあるんだと思っております。
そこで、もう一度確認をしたいんですが、この都道府県公安委員会で扱う場合には、必ず一件一件全てのものについて国家公安委員会にかかっているということでよろしいんでしょうか。再度警察庁に答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/82
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083・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
警察法の規定に基づきまして、都道府県公安委員会に対して苦情の申出があった場合、都道府県公安委員会は、その全てについてそれぞれの都道府県警察に事実関係を調査させ、当該調査の結果及び当該都道府県警察が講じた措置の内容について報告を受けておりまして、全ての案件について、国家公安委員会に件数につきましては報告がなされているものということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/83
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084・浜田昌良
○浜田昌良君 全ての案件について各都道府県公安委員会で審議されているということの確認でよろしいんですね。
であれば、最後に、今回、この警察法第七十九条第二項で、今度は国自身が捜査を行うわけですから、国家公安委員会が、この苦情の申出制度、新たにできるわけでございますね。いわゆる捜査の行き過ぎの抑制、通信の秘密やプライバシーへの配慮など、国の警察自体が捜査を行うことにおいて留意すべき点について、どのようにまず国家公安委員長として考えておられるのか。
また、この新たに設けられました苦情の申出制度を始め、それを制度的にどのようにこういう留意すべき点を担保していくのか、このことについて大臣から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/84
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085・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今回の改正によりまして、警視庁の、いや、警察庁の関東管区警察局にサイバー特別捜査隊が新設されまして、そして重大サイバー事案の捜査を行うことになるわけでございますけれども、捜査として行うことができる措置は、現在、都道府県警察が刑事訴訟法等に基づいて行っているのと全く同じであります。したがって、まずは、これらの法令に定めた手続に従い適正に捜査を行うことに留意する必要がございます。
現在、都道府県警察では、都道府県公安委員会の管理の下で適正な捜査の確保が図られています。これと同様に、サイバー特別捜査隊についても、国家公安委員会の管理の下で適正な捜査の確保が図られることになるわけでございます。
具体的には、サイバー攻撃によりライフラインの機能を停止させる事案のように社会的反響が大きな事案や、国民生活に多大な影響を及ぼす事案について、サイバー特別捜査隊の捜査活動に関し国家公安委員会への報告を行うとともに、国家公安委員会が定める大綱方針に即して捜査活動が行われるよう、事前事後の監督を受けることとしております。
また、今回の改正により新設される苦情申出制度に基づきサイバー特別捜査隊の捜査活動に関する苦情の申出があった場合、警察庁では事実関係を国家公安委員会に報告し、その指導を受け、是正を図ることといたしております。
このように、国家公安委員会の管理の下でサイバー特別捜査隊による適正な捜査が確保されるように警察庁を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/85
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086・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣から、今回、警察庁自身が重大サイバー事案の捜査を行うようになりまして、事前事後にしっかり監督をするということを答弁がございました。
そして、新たに設けられました国家公安委員会の申出制度についてもしっかり対応をしていくということでございますので、これについても、形式的なものにするのではなくて、しっかりと一件一件真摯に耳を傾けると、このことはとても重要と思います。その姿勢があればこそ、日本の警察行政が信頼されますので、その決意を最後に大臣に聞いて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/86
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087・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 初めて警察が、国家警察が、国の警察の組織が直接捜査をするということでございまして、国民の懸念は先生と同様にあるかと思います。
しかし、私は、申しましたように、適正な法に基づいて適正な捜査をする、そして国民に疑いを持たれないような、そういう捜査をすると。日本の警察は、非常に公平中立で、国民のために頑張っておる警察であるという評価を受けているわけでございますから、その評価が崩れないように警察を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/87
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088・浜田昌良
○浜田昌良君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/88
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089・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
このサイバー攻撃に関しては、やはり事案が発生したときにいかにそれに対して迅速に対応していくかという部分、それから、そこで得た様々な知見であったり、そうしたものをいかに予防につなげていくか、こういった観点が大変重要だというふうに思いますので、今日はその二つの観点で質問をさせていただきたいと思います。
まず、予防の観点ということで質問したいんですけれども、帝国データバンクの調査、ニュースで御覧になった方もいらっしゃると思いますが、直近の一か月でサイバー攻撃を受けた企業に関しては、約三割が攻撃を受けたということで、このサイバー攻撃に関しては明らかに今増加の傾向にあるというのがこうした調査からも見えると思います。
また、その攻撃の仕方に関しましても、例えば、これもニュースで御案内のとおりですが、トヨタ系列のサプライヤーへサイバー攻撃があって、結果的には自動車の生産ラインが稼働停止に追い込まれると、こういった影響も出ておりますし、かつ、その企業へのサプライチェーンの中の様々な関連企業にも引き続きこうした攻撃が継続しているという状況にあります。
最近のサイバー攻撃に対する警察庁の認識、国家公安委員長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/89
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090・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) サイバー空間には子供から大人まで幅広い世代が参画できるようになっているわけでございまして、サイバー空間における安全、安心を確保することは極めて重要なことであると思っております。
しかしながら、我が国では、サイバー攻撃により自動車産業のサプライチェーンを構成する企業の被害が確認するなど、サイバー空間の脅威は極めて深刻なものになっていることと認識をいたしておるわけでございます。
警察では、警察活動を通じて判明した攻撃手法などに関する情報を活用し、関係省庁などと連携しながら、被害の未然防止や拡大防止に向けた取組を現在進めているところでございます。
また、今月一日と二十四日には、我が国の企業等に対して、NISC、内閣サイバーセキュリティセンターや経済産業省を始めとする関係省庁と連名で、サイバーセキュリティー対策の強化に関する注意喚起を行っております。
サイバー攻撃による被害から我が国の企業を守るために、引き続き、関係省庁などと連携した取組を進めるよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/90
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091・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今お話ございましたNISCも含めて注意喚起を行っていると、その予防に向けての取組進めておられるということですけれども、この企業に対するサイバー攻撃に関しましては、やはり大手のメーカーなどに関しては予防措置は進んでいる、かなり進んできているというふうには認識をしておりますが、先ほど事例として挙げましたサプライヤーであったり、あるいはそのサプライヤーの関連の海外拠点に対しての取組状況がこれどうなっているのかというのが心配です。
また、サプライチェーンの複雑化というものを考えれば、喫緊の課題としてこれ取り組まなければいけないというふうに思います。そうすると、こうしたかなり複雑になったサプライチェーンの中で、やはり中小企業、中小企業がこのサイバー攻撃に対応していくということは、これは人員という側面でも、あるいはコストという側面でも正直簡単ではないというふうに考えますけれども、この中小企業へのフォロー体制について、警察庁、経産省、それぞれから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/91
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092・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、サイバー事案の手口が悪質、巧妙化する中、民間事業者等と連携した被害防止対策は大変重要な課題であると認識しております。
警察におきましては、被害の未然防止や拡大防止の観点から、犯罪捜査を含む活動の中で明らかになりましたサイバー事案の脅威や手口に関する情報等を民間事業者等との間で共有しているところでございます。
具体的には、各都道府県警察におきまして、中小企業を含む管内の民間事業者等との情報共有や意見交換を推進する態勢を整備しております。各民間事業者等のサイバーセキュリティー対策に資するよう、サイバー空間の脅威に関し、時勢を捉えた情報を共有するなどしているところでございます。
警察といたしましては、引き続き関係機関と連携しつつ、安全、安心なサイバー空間の実現に向けて、民間事業者等における効果的な被害防止対策を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/92
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093・江口純一
○政府参考人(江口純一君) お答えいたします。
サイバー攻撃の手法は年々高度化をしておりまして、昨今はサプライチェーンの中でセキュリティーが脆弱な部分を狙ってくるというような形になってきておるというところでございます。
こうしたサイバー攻撃は、攻撃を直接受ける企業への影響にとどまらず、サプライチェーンを通じて広く影響を及ぼす可能性があることから、海外拠点や中小企業を含めサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティーのレベルを上げていくということが必要であるというふうに考えております。特に中小企業に対しましては、きめ細やかな支援が不可欠であると考えておるところでございます。
このため、経済産業省におきましては、業種別や中小企業向けのガイドラインを策定し意識啓発に努めているほか、自社サーバーの異常監視やサイバー攻撃を受けた際の初動対応支援、簡易保険など、中小企業に必要な対策を安価かつワンパッケージにまとめましたサイバーセキュリティお助け隊サービスの普及、セキュリティー対策に取り組むことをものづくり補助金におけるデジタル枠の申請要件とすることなどによるサイバーセキュリティー対策に取り組むインセンティブの付与などの取組を進めておるというところでございます。
経済産業省といたしましては、NISCや警察庁を始めとした関係省庁や産業界と連携をしながら、引き続き、中小企業も含めた我が国全体の産業のサイバーセキュリティー確保に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/93
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094・礒崎哲史
○礒崎哲史君 様々なこのデジタル化ですとかシステム化を進めていきますと、効率化はどんどん進むんですけれども、その分いわゆる遊びという部分がなくなってきますので、こうしたサイバー攻撃によって一気に被害が拡大するということは当然考え得ると思いますので、今お話をいただいたそうした様々な中小企業への支援策もしっかりと取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
続いて、重大サイバー事案への対応についてということでお話を伺ってまいりたいと思いますが、まずは、今回組織変更ということで、サイバー警察局、それからサイバー特別捜査隊が新設をされることになりましたが、通常のサイバー事案も含めて、このサイバー事案が発生した際に、実際に捜査に取りかかるときの都道府県警との関係性についてまずはお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/94
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095・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
重大サイバー事案以外のサイバー事案についての捜査につきましては、これまでと同様に都道府県警察において実施をすることとなりますが、都道府県警察が行うサイバー事案の捜査についての調整につきましては、警察庁に新設されるサイバー警察局が一元的に行うこととなるものであります。
重大サイバー事案に該当する事案への対応につきましては、個別具体の事案ごとに様々であり一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、都道府県警察からの報告により、ある事案が重大サイバー事案に該当し、サイバー特別捜査隊による捜査が必要であるとサイバー警察局において判断する場合にはサイバー特別捜査隊が捜査を行うこととなります。
他方、重大サイバー事案を含め都道府県警察がそれぞれの管轄区域について治安責任を負うという自治体警察の原則に変更はなく、サイバー特別捜査隊は、関係する都道府県警察と連携を図りつつ、重大サイバー事案の捜査を行うこととなります。
このため、今回の改正におきましては、サイバー特別捜査隊が捜査を行う場合におきまして、個別具体の事案に応じて都道府県警察と共同して事案に対処するための規定を整備することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/95
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096・礒崎哲史
○礒崎哲史君 としますと、まずは、最初はこれまでと同様に都道府県警の方で被害届なり通報を受けて、その後、個別事情によってサイバー警察局とも連携を図っていくということだと思うんですが、特に重大サイバー事案が発生した際は、その被害の拡大をとにかく最小限にとどめるということも大変重要だと思います。その意味では、初期対応、これをとにかく迅速に行うということが大変重要だというふうに思うんですけれども、今のお話でいきますと、事案が発生したときにはまずはやはり都道府県警だということですので、その流れとしては本当にちょっと大丈夫なのかなというのがちょっと一瞬心配になります。
特に、先ほどこれ、石川大我委員の質問の中で、これまでの起きた事案の中で重大サイバー事案って何件ですかということにはなかなか一概にお答えすることが難しいというふうに言われてしまいますと、一概にお答えすることが警察庁としても難しいものをどうやって重大事案として取り扱っていくのかなというのがちょっと実は正直不安になりました。
この点についてちょっと、更に確認の意味合いになりますけれども、警察としてどのような手順でこれが重大サイバー事案なんだということで認定して捜査に取り組むということになるのか、ちょっともう一回、そこの部分確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/96
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097・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
先ほども御答弁差し上げたとおり、都道府県警察がそれぞれの管轄区域について治安責任を負うという自治体警察の原則に変更はございません。都道府県警察は、サイバー事案について初動捜査を含めた捜査を行うこととなります。
その上で、個別具体の事案にもよりますが、基本的には、都道府県警察から報告を受けたサイバー事案について、警察庁サイバー警察局において重大サイバー事案に当たるか否かを判断することとなります。具体的には、犯行の態様等を勘案しまして、個別の事案ごとに重大サイバー事案への該当性を判断していくこととなる、こういう流れになるかと、なると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/97
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098・礒崎哲史
○礒崎哲史君 犯行の中身含めてが判断基準になっていくということでありますが、ちょっと具体的に、こういった事案のときはどうなる、どういう連携を図っていくのかという観点で、ちょっと具体的な事案で質問をしたいんですけれども、例えば新幹線のコントロールシステムにサイバー攻撃があった、とすると、もしかすると重大事故につながるかもしれない、こういった状況の場合です。こうしたときには、言ってみれば、これ、新幹線であればJRが運行管理者になりますので、JRとしては、まず、県警にこれ連絡をするのか、それとも所管であります国土交通省に連絡をすることになるのか、それとも、もう明らかにこれはもう重大だというふうな認識をして直接警察庁のサイバー警察局に連絡をすることになるのか。こういった事案の場合はどういった対応になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/98
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099・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
重要インフラに対するサイバー事案が発生した場合には、被害を受けた事業者とともに、警察と所管省庁とが連携し、的確に対応する必要がございます。このため、重要インフラ事業者がサイバー事案を把握した場合には所管省庁に報告をされるものと承知しておりますが、併せて警察にも迅速に連絡や通報等をしていただくことが望ましいと考えております。
また、重要インフラに対するサイバー事案が発生した場合には、被害を受けたシステムの確認や担当者からの状況の聴取など現場での対応が必要となりますことから、警察への通報や相談につきましては、警察庁サイバー警察局ではなく都道府県警察に対して連絡していただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/99
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100・石原大
○政府参考人(石原大君) お答え申し上げます。
鉄道事業者を含む重要インフラ事業者におきましては、国民生活や重要インフラサービスに深刻な影響等のあるシステムの不具合について、重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画によりまして、重要インフラ所管省庁への報告が求められているところでございます。
今御指摘ございました新幹線のコントロールシステムにサイバー攻撃があった場合ですけれども、鉄道事業者であるJRは重要インフラ所管省庁である国土交通省へ報告を行うこととなります。国土交通省としましては、JRからの報告を受けた後、内閣サイバーセキュリティセンターを始めとしました関係省庁への連絡など、事案に応じて適切な対処を行うこととなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/100
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101・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。まずは所管省庁への連絡、それと都道府県警の方への連絡、今警察庁さん、そうしていただくことが望ましいという言い方をされていました。実際にちょっとルールまで確認できていませんけれども、これは望ましいというよりも、サイバー警察局ともしっかり連携図るという意味では、どうするべきかをルール化しておくということが大変重要なのかなというふうに思います。
それと、もう一つ事案として、これも確認を改めてしたいんですけれども、例えば空港で、特に自衛隊と共用している空港がございます。そうした空港の管理システムにサイバー攻撃があったというときには、空港管理者は、これは県警に連絡をするのか、国交省に連絡するのか、防衛省に連絡するのか、あるいは警察庁に連絡するのか。この観点ではいかがになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/101
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102・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
先ほどお答えした鉄道の場合と同様に、空港につきましても、重要インフラ事業者がサイバー事案を把握した場合には、所管省庁と併せて警察にも連絡や通報等をしていただくことが望ましいと考えております。また、警察への連絡や相談につきましては、警察庁サイバー警察局ではなく都道府県警察に対して連絡していただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/102
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103・奥田薫
○政府参考人(奥田薫君) 国土交通省の動きについてお答えいたします。
防衛省との共用飛行場でございますが、システムそのものは民航機の部分だけ閉じたシステムになってございますので、その意味で、対応という意味ではほかの空港と一緒でございます。先ほどの鉄道と同様でございまして、情報セキュリティ対策の第四次行動計画に沿った動きということになりまして、例えば民間事業者が運営するターミナルビル、こういったところでシステム障害が発生した場合は事業者から国土交通省へ報告を行っていただくということになってございまして、その報告を受けて国土交通省は内閣サイバーセキュリティセンターを始めとした関係省庁への連絡を行うなど、事案に応じて適切に対処することになってございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/103
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104・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。事前に個別に防衛省さんにも確認をしたところ、今の国交省さんと同じ見解ということですので、流れとしてはしっかりとルール化をされているということだと思いますので、その点については大丈夫かなというふうには思っています。
ただ、今二つの事例ということでお話をさせていただきましたが、冒頭も申し上げました、デジタル化ですとかシステムを様々構築をしていくことが今後様々な場面で増えていくと思います。行政システムだけではなくて、民間のそれぞれの取組においても増えていくというふうに思いますと、こうした重要インフラと言われている分野、今回十四分野が特定をされていますけれども、こうした分野の中身も更に複雑化したり広がっていく、裾野が広がっていくという可能性があるというふうに思います。
そうした場合に、この特定されている十四分野、こうした分野にサイバー攻撃があった場合に関連企業からどうやって連絡をするのか。警察なのか、都道府県警察なのか、それとも省庁なのか、どういう判断をすればいいかということをそれぞれの事業者がきちんと理解ができるような、あるいはその行動計画が作れるような、そういったガイドラインをあらかじめ作成しておく必要があるのではないかなというふうに思いますけれども、こうしたガイドライン、現状あるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/104
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105・河原淳平
○政府参考人(河原淳平君) お答えいたします。
政府のサイバーセキュリティ戦略本部が策定しました重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画におきましては、重要インフラ事業者等のサービス障害等に関する情報共有体制が定められておりまして、関係省庁及び重要インフラ事業者等ではこれに基づく対応を行っているところでございます。
委員御指摘のとおり、重要インフラが関係する事案につきまして、まずは被害を潜在化させずに事案に応じた対策を講じていくことが重要であります。このため、警察では、相談や通報を促進するための広報啓発に取り組むとともに、被害を受けた企業等における業務の早期復旧等に配慮した初動捜査を進めることとしております。
また、こうした警察への相談や通報を促進するため、警察による広報に加えまして、事業所管省庁などから重要インフラ事業者等に働きかけることも重要と考えておりまして、NISCを始めとする関係省庁と連携することとしております。
委員からガイドライン等の御発言ございましたが、警察といたしましては、そのようなものも含めて効果的な取組について関係省庁と連携しつつ進めてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/105
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106・礒崎哲史
○礒崎哲史君 事が起きてからでは遅いですので、しっかりとそうしたガイドラインも含めて予防的な措置も力を入れていただけますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/106
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107・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
まず冒頭、三月二十七日の防衛大学校の卒業式において岸田首相は、ロシアによるウクライナ軍事侵略について、展開次第で世界と日本が戦後最大の危機を迎えると訓示を述べられました。現実的な危機感として受け止めるとともに、憲法改正や国連の在り方について積極的に議論を進め、後退させてはならないと一言申し上げて、質問に入りたいと思います。
今回の警察法改正の中で、警察庁の組織の改正におきまして、警察庁の内部組織として、法案が通れば、まずこのサイバー警察局を新たに設置することになるわけです。現在は、長官官房と警察、あっ、失礼しました、生活安全局、刑事局、交通局、警備局、情報通信局がございますけれども、現行のサイバー事案に係る警察庁の体制というのは、生活安全局、警備局、情報通信局、この三つにまたがっているわけです。
今回、このサイバー警察局は、サイバー事案に係る捜査指揮や解析、情報収集・分析、対策、こういったことの事務がサイバー警察局に一元化されるというものでありまして、近年の社会経済情勢鑑みますと、サイバー事案に対する対処能力をいかに上げていくかということは喫緊の課題であるということは言うまでもありません。そういった意味で大変重要な改正だというふうに認識をしております。
そしてまた、もう一つの大きな改正点といたしまして、情報通信局の所掌事務を長官官房に移管をして、そしてこの警察業務のデジタル化、これと科学技術の活用等を推進することも盛り込まれているわけです。
ここで、この警察業務のデジタル化、これを推進するまず背景について、二之湯国家公安委員長に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/107
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108・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 昨年にデジタル社会形成基本法が制定されまして、政府を挙げて社会のデジタル化を進める中で、警察においても、情報通信技術を活用してデジタル化を進めることによって国民の利便性の向上と業務の効率化を図る必要があると認識をしたところでございます。
こうしたデジタル化が真に効果を発揮するためには、情報システムの整備と業務の見直しを一体的に行う必要ありますが、現在警察庁では、情報システムの整備及び管理を行う情報通信局と、そして警察業務全般の総合調整を行う長官官房に担当部門が分かれておるわけでございます。
そこで、今回の組織改正によりまして、情報システムの整備及び管理に関する事務について情報通信局から長官官房に移し、総合調整に関する事務と併せて所掌することになりました。警察業務のデジタル化について一元的に推進するということにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/108
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109・高木かおり
○高木かおり君 この一元化は是非進めていっていただきたいというふうに思うわけなんですが、この警察庁における、先ほどおっしゃっておられたそのデジタル化施策では、これ今後具体的にどのような取組をしていこうとお考えなんでしょうか。
もう一度、二之湯国家公安委員長、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/109
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110・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 警察では、現場の警察活動を支えるために様々な情報システムを利用しておりますが、従来は警察庁と各都道府県警察がそれぞれ整備した情報システムを接続したものでございまして、業務や制度の変化に応じて柔軟に改修することが困難であることなどの課題がございました。
このため、警察庁では、従来の情報システムを集約するための共通基盤を整備して、情報システム全体の合理化、高度化に向け、取組を進めているところでございます。また、こうした共通基盤を利用することにより、運転免許証の更新時講習の受講や遺失届の提出のように国民生活に密接に関係する行政手続について、インターネットを利用して行うことができるように取組を今進めているところでございます。
今回の組織改正では、警察庁長官官房に技術政策を統括する組織を新設することにしておりますが、この組織を中心として、警察業務のデジタル化を一元的に推進して国民の利便性の向上と内部の業務の効率化が図られるよう、警察庁を指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/110
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111・高木かおり
○高木かおり君 余りこのデジタル化についての御質問というのは出てこなかったんですけれども、これ本当に国民目線で見ても重要なところだと私は思っています。今までこの都道府県警察が独立してこういったデジタル関連については運用をされていたということで、やはり四十七都道府県警察、同じようなシステムなんですけれども、独自でやっておられるということでコストも掛かっていたということなんですけれども、今回この共通基盤を国主導でつくって、このデータ連携を進めていこうということかと認識をしております。
先ほど大臣も、国家公安委員長もおっしゃっていただいたように、やはり、例えば遺失物、これも各都道府県で問合せをしても、ほかとつながっていないので、そこでのことしか分からない。それが、連携をすることによって、そういった細かいところも国民向けにも利便性が向上されるということ、プラス内部での行政の効率化ということで、これもう是非しっかり進めていっていただきたいというふうに思います。
ところで、この国の組織である警察庁は直接捜査を行うことはないと理解をしていますが、このサイバー特別捜査隊には例外的に捜査権を認めているということでございます。これ、隊員に任命される方々がどういった方々になるのか、捜査権を認めているということは、一般の警察官の方々と同じように、例えば拳銃ですとか手錠、こういったことも交付されることが予定されているのか、また、ほかの都道府県警察と同じように令状に基づく捜査が行われるのか、これらの点について政府の説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/111
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112・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
今回の改正によりまして、警察庁関東管区警察局に新設されるサイバー特別捜査隊が自ら重大サイバー事案の捜査を行うこととなります。サイバー特別捜査隊が捜査として行うことができる措置は、現在、都道府県警察が刑事訴訟法等の法令に基づき行っているものと全く同じであり、これらの法令に定められた手続に従い適正に捜査を進めることとなります。
また、サイバー特別捜査隊の警察官に貸与する装備品につきましては、その対象、能力等が明らかになることから具体的にお答えすることは困難でございますが、職務遂行上、必要な装備品を貸与することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/112
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113・高木かおり
○高木かおり君 具体的にどういったものを貸与するのかということはお答えできないということで、それもいろいろな安全面ですとかそういったことを考えれば、それをあえて追求することはいたしませんけれども、その必要に応じて、いろいろ様々ほかの警察官の方々に対しても支給はされるというふうに認識をしております。
この質問をさせていただきましたのは、そこをお聞きしたいというよりも、やはり捜査隊である以上、通常の警察官の方々と同じ条件で捜査が行われるかについてということの視点でお聞きをしたかったということでございます。サイバー特別捜査隊という言葉だけを聞きますと、そのサイバーの専門家という方もいらっしゃるのかなと。そういうことではなくて、もちろんサイバーセキュリティーですとかそこの部分にたけている方々ではありますけれども、あくまで警察官の方々であるということで確認をさせていただきました。
続きまして、先ほども御質問があったと思います、重なる部分あるかもしれませんが、今回の改正第三十条の二の部分に、管区警察局の所管事務の特例として、重大サイバー事案に係る犯罪の捜査の事務を分掌することとしていますけれども、なぜこの管区警察局に当該事務を分掌するのか、改めてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/113
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114・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
サイバー特別捜査隊は、重大サイバー事案につきまして、現在都道府県警察が行っているような、いわゆる現場における事務を行うこととなります。管区警察局は、警察庁の地方機関としてふだんから府県警察の捜査への指導や調整等の事務を行っておりまして、警察庁の機関の中で最も現場に近い立場にあるわけであります。また、管区警察局は、現在もサイバー事案への対処に不可欠な解析業務を担っております。
以上のことから、サイバー特別捜査隊を管区警察局に置くこととしたものであります。
その上で、サイバー特別捜査隊が捜査対象とする重大サイバー事案につきましては、被害企業の本社が関東圏に多く存在することなどから、サイバー特別捜査隊を関東管区警察局に設置をすることとしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/114
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115・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
なぜ管区警察局の中でも関東管区警察局に分掌させたのかと、そこについてもお答えをいただきまして、ありがとうございます。
やはりこれ、管区警察局、広域の警察の出先機関であるということで、サイバー事案を取り扱うに当たっては広域捜査がしやすいということかということで、そういったメリットがあるということだと思います。
この関東管区警察局、ここはやはりデータセンターも多く集中している地域でもあるということで、やはり地理的にも関東管区警察局、ここも地理的な部分もあるんではないかというふうに考えています。
でも、ただ、このデータセンター集積する地域、埼玉になりますけれども、まさに逆に考えればこのサイバー攻撃を受けやすい、標的になりやすいところでもあるのではないかと考えますと、このサイバー警察局のセキュリティー対策も万全に臨んでいただきたいというふうに申し添えておきたいと思います。
ところで、このサイバー特別捜査隊、先ほどから出ておりますが、この方々の身分、特に隊長の階級レベルというのはどの程度なのか、政府の御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/115
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116・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
サイバー特別捜査隊につきましては、主として警察官を配置することを想定しておりまして、刑事訴訟法に規定する司法警察職員として捜査を行わせることとなります。
また、サイバー特別捜査隊の隊長につきましては、警視正の階級にある警察官を配置することを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/116
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117・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
これは責任ある隊長の下での組織ということが必要なんだろうということで、その確認をさせていただきました。
警視正は警察官の階級でもトップレベルであると。サイバー特別捜査隊の組織全体の指揮命令には、やはりこういったトップレベルの方々がしっかりとそこに座っていただいて、組織を指導、統括していっていただきたいというふうに思います。
このサイバー特別捜査隊の捜査対象とするこの重大サイバー事案というのは、今日も質問の中でも出てきておりましたが、やはり国や地方公共団体の機関それから重要インフラに重大な支障が生じた場合、それから対処に高度な技術が必要、それから海外のサイバー攻撃グループが関わる、そういったことが想定される場合になると思います。
今までは都道府県警察が捜査をしていましたけれども、やはり今本当に海外からのそういったサイバー攻撃が本当に増えてきている、そういった中で、日本も国が主体となって対応していかなくてはこの対応がもう困難になってきているというのはもう明白であると思います。サイバー攻撃は国境を越えて世界で起きているわけですから、国際的な共同オペレーションに今参加していくということも必須であるというふうに思っております。
そういった中で、ちょっとこの重要インフラについて次は質問をしたいと思います。
サイバー特別捜査隊が捜査対象と考えているものに重要インフラが挙げられているということ申しておりますが、我が国において、半導体の製造工場、これ先端技術を扱う重要拠点と考えております。この本法案においても、重要インフラとして十四分野挙げております。
今日、資料を一枚付けさせていただいておりますけれども、対象となる重要インフラ事業者等と重要システムの例ということで、重要インフラ分野、左側に、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油というふうに、本当に私たちの生活に大変密着した大変重要な分野が書かれているわけなんですけれども、今回この法案におきましても、この重要インフラとして十四分野の中に半導体製造工場は含まれていないということは分かっているわけなんですけれども、ただ、重要インフラの対象でなくても、この半導体製造工場、仮に標的とされた場合、サイバー攻撃をされた場合、しっかりと対応すべきだというふうに考えるんですけれども、国家公安委員長の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/117
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118・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 半導体製造工場のように先端技術を取り扱う事業者をサイバー事案による被害から守ることは、我が国にとって非常に重要なことであると認識をいたしております。このため、各都道府県警察では、半導体製造工場を含む管内の事業者において日頃からサイバーセキュリティー対策の強化が図られるよう、取組を進めているところでございます。
その上で、半導体製造工場などに対しランサムウエアが用いられる事案や国外からのサイバー攻撃集団が関与する事案が生じた場合には、重大サイバー事案として対サイバー特別捜査隊が対処できることになっているわけでございます。
半導体製造工場などの事業者と緊密に連携した取組を推進することで、サイバー空間における安全、安心の確保が図られるよう、警察庁を指導してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/118
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119・高木かおり
○高木かおり君 この重要インフラの中には入ってはいないけれども、やはりこの半導体製造工場、これ本当に大きな国民生活に影響が、もしサイバー攻撃等で製造等が止まってしまえば大変大きな影響があるというのはもう明白であるというふうに思います。そういった中で、そこもしっかり対応をしていただけるというふうに今理解をさせていただきました。
やはりこれ、半導体、これから始まっていく経済安保の審議の中でも、この重要インフラについてまた半導体については出てくることかと思いますけれども、やはりこの半導体は、やっぱり産業の米と言われているほど、米中が覇権を争う経済安保の分野で最重要のこの戦略物資ということに位置付けられているわけですね。
そういったことで、昨年から5G法で半導体の供給を定めていたり、先ほどから繰り返しになりますけれども、経済安全保障推進法案、これでは半導体のサプライチェーンも国策として半導体製造工場を推進しているということで、本来であればこの重要インフラの中に入っていても私はおかしくないというふうに思っております。
そういった中で、今後、是非この重要インフラの中にこの半導体製造工場を追加をしていくと、こういった検討もしていくべきだということを強く要望をさせていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきます。
ここで確認をさせていただきたいんですけれども、改正第五条のサイバーセキュリティーが害されるというところがありますけれど、これ、物理的な損壊も含まれるんでしょうか。その場合には、今国が主導して、民間の力も活用しながら進められているデジタル田園都市国家構想において、最先端のデジタルインフラを全国に整備しようと目指している中でのデジタル基盤の構築に欠かせないデータセンターや海底ケーブルへの物理的な損壊も含まれるんでしょうか。政府に見解を問いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/119
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120・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
サイバーセキュリティーとは、情報システム及び情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保等のために必要な措置が講じられ、その状態が適切に維持管理されていることをいうものであります。
これによりまして、データセンターや海底ケーブルの物理的な損壊によりこうした安全性や信頼性に影響が生じる場合には、サイバーセキュリティーが害されることに該当する可能性があるものと考えております。
こうした事案が発生した場合、まずは管轄の都道府県警察が捜査を行うこととなりますが、例えば、国の重要な情報システムの運用に影響が生じ、個人の生命、身体及び財産を害する場合は重大サイバー事案に該当する可能性があり、サイバー特別捜査隊が捜査を行うことがあり得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/120
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121・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
確認なんですけど、この該当する可能性があるというのは、該当しない場合というのは、もしお答えできるようであれば具体的に教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/121
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122・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) 該当する可能性があるということについての御質問でございますけれども、個別具体的な事案によるものでございますから、ここでは該当する可能性があるというふうに申し上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/122
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123・高木かおり
○高木かおり君 該当しない場合というのをちょっとお聞きしたんですけれども、これ、もちろんデータセンターであったり、例えば海底ケーブルが切られていたりとか、その切れるパターンというのは、もちろんサイバー攻撃だけではなくて自然災害で切れてしまうという場合もあるかと思いますので、全てにおいて重大サイバー事案ということにはならないのかもしれませんけれども、やはりこのデータセンターなどがサイバー攻撃に遭うというのはかなりこの可能性的には高いというふうに考えられます。
この点は大変重要だと私思っておりまして、特にこの海底ケーブルなんかは日本海側に、今まさにそのデジタル田園都市国家構想の中でこの海底ケーブルを日本海側に敷設する計画を立てているわけですけれども、この日本海側は、ある意味、北朝鮮であったり韓国、ロシア、中国、現在日本と緊張関係にある国と向き合っているわけですね。そういった中で、重大サイバー事案を想定しておくべき地域であるというふうに指摘をしておきたいと思います。
今サイバーの話をずっとしているわけですけれども、例えば、この有事のときを想定して、昨日なんかは、陸上自衛隊は新たな電子作戦隊の発足行事を開いたという報道を見ました。宇宙やサイバーと並ぶ新領域での対応能力を強化するためだというふうに聞いています。新たな防衛力の概念として期待をしております。
そういった意味で、いろいろな角度からこの国家を守るための対応はしていっていただきたいと思いますし、先ほど申し上げたデータセンターや、特にこの海底ケーブル、ここは本当に、これから日本海側で敷設をしていくというときに本当に注視をしていっていただきたいというふうに申し上げて、次の質問に移りたいというふうに思います。
ロシアのウクライナへの軍事侵略においてサイバー攻撃が急増しているというのはもう今日ずっと話に出てまいりました。サイバー技術、能力が高いけれども、違法手段、いわゆる不正アクセスなどを用いてサイバー攻撃を仕掛ける者、いわゆるホワイトハッカーとかエシカルハッカーというような、ハッカーというような言い方をしますけれども、そういった者について、警察庁がサイバー事案の捜査でこれらの者に連携を求めるというようなことは考えられるんでしょうか。政府にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/123
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124・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
違法な行為を行うハッカーとの連携というふうなお尋ねというふうに承知しておりますが、まず、警察の捜査につきましては、刑事訴訟法等の法令に基づき適正に行うことが大前提であります。
その上で、サイバー事案への対処におきましては、高度な技術を有する人材の確保や育成が非常に重要であると認識をしておりまして、様々な取組を進めているところであります。
具体的には、都道府県警察におきましては、IT企業経験者のようにサイバー分野に高度な知見を有する者を中途採用等により登用しております。また、中長期的な観点から、警察学校や民間企業での研修等によりましてサイバー事案への対処能力を有する人材の育成を進めているほか、実践的な捜査演習環境の整備、ITベンダーや通信事業者との人事交流といった施策も推進しているところであります。
警察といたしましては、今後とも、サイバー事案の高度化に対応できるように、サイバー事案への対処能力の向上に必要な人材の確保や育成の取組を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/124
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125・高木かおり
○高木かおり君 当然、不正アクセスをするというところと警察が連携を持つということはなかなか考えにくいと思いますが、ただ、この諸外国、またそういった国際的なハッカー集団、こういったところにも対応、対抗していかなければいけないという中での、先ほど答弁でおっしゃっていただきました人材の育成ですとか、またそういった民間の方々との交流、ただ、ここも秘匿な部分もあるのでなかなか難しいところあるかもしれませんけれども、その点もしっかりと行っていただきながら、この諸外国に対抗できる、そういった国独自の人材を育成していくということにも取り組んで、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
それでは、最後の質問になりますけれども、今日も、改正第七十九条の警察庁に対する苦情の申立て制度、これについて御質問がありました。少し視点を変えまして、この苦情の申立て制度を新設されるわけですけれども、これ、苦情だけではなくて、例えば有益な情報、有益な事件情報ですね、こういったものも提供していただくという、受け入れるという仕組み、こういったものはお考えでしょうか。政府にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/125
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126・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
今回の改正は、都道府県警察がそれぞれの管轄区域について治安責任を負うという考え方に変更を及ぼすものではなく、引き続き、都道府県警察が重大サイバー事案を含めサイバー事案の捜査を行うことができることとなってございます。
サイバー事案につきましては、捜査の初期の段階で重大サイバー事案に当たるか否かが判明するとは限らないことから、有益な情報がある場合には都道府県警察に提供していただきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/126
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127・高木かおり
○高木かおり君 苦情もそうですし、またその関わった方々が、同じ方が苦情も有益情報も持っているということではないかもしれませんけれども、このサイバー攻撃、これに関わる情報というのをそれこそ一元化をするということも有益なんではないかというふうに私は考えたわけなんですが、ただ、この苦情も大変件数がどんどん増えているということで、逆に今の体制で対応ができるのかというような視点も、指摘もございました。
そういう中で、このサイバー事案に対する苦情に関して、それからまた有益な情報というのは、まあ先ほど御答弁いただくと、今までどおり都道府県警察でもしっかりと苦情を受けていただく、そしてまた、そこから重大サイバー事案ということになればサイバー捜査隊が動いていくというような形になっていくという。ただ、これが、国民の皆さんが、今回の法改正によって、どちら、どれが重要なもので、どこに相談を掛けていいのかというようなことで少し迷われる方もいらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、その辺りの点について、最後、どのように国民の皆様に御判断いただくかについてお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/127
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128・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
有益な情報につきましては、大変、私ども捜査を行う立場から大変有益な情報を得ることは重要なことであるというふうに考えておりまして、先ほど申し上げましたように、都道府県警察においても引き続き重大サイバー事案を含めたサイバー事案の捜査を行うことができるということになってございますので、サイバー特別捜査隊はもちろんでございますけれども、都道府県警察含めて、いずれでも情報提供をしていただけるように周知をまた図ってまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/128
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129・高木かおり
○高木かおり君 時間が参りましたので、終了したいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/129
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130・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
法案審議の前に、二之湯国家公安委員長に自民党京都府連への献金についてお聞きせざるを得ません。
京都の自民党では、国政選挙の年に候補者が京都府連に寄附を行い、その寄附額と全く同額が選挙のときに地方議員に資金提供をされてきた。議員一人当たり五十万円だと。二〇一四年当時の京都府連事務局長が作成した後任者への引継ぎ文書には、この世界、どうしてお金お金なのか分かりませんが、選挙の都度、応援、支援してくれる府議会議員、京都市会議員には活動費として交付するシステムとなっている。活動費は議員一人につき五十万円です。候補者が京都府連に寄附し、それを原資として府連が各議員に交付するものです。候補者がダイレクトに議員に交付すれば公職選挙法上は買収ということになりますので、京都府連から交付することとし、言わばマネーロンダリングするのですと記されていたと。これは週刊誌報道だけではなく、独自に文書を入手したとして、三月二日、MBSニュースも詳しく報道をしています。私もインターネットでこれ全部見ました。
二之湯大臣は、二月二十八日の予算委員会で我が党井上議員の質問に、メモ的に申したものだと答弁をし、何らかの文書があることをお認めになりました。では、報道されているこの引継ぎ文書、確認をされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/130
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131・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 文芸春秋に載ったような文書とか、その後のことも、私は全くその存在は知りません。ただし、そのマネーロンダリングと言った人は知っておりますけれども、その文書全体は、その存在は全く知りません。私は知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/131
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132・田村智子
○田村智子君 知らないという答弁は分かっているんですよ。ただ、それも、京都府連を大臣自身が会長を務めておられたとき、二〇一七年、平成でいうと二十九年、この引継ぎ文書を作成した元事務局長は京都府連に対して解雇の無効という訴訟を起こしていて、この公判の中で引継ぎ文書の存在を被告、原告共に認めるという証言がなされているので、その当時、まさに裁判のさなかに京都府連の会長を務めていた二之湯大臣がお知りになっていないということ自体がにわかには信じ難いんです。
ただ、ここでは水掛け論になるので、これはおいておきます。知らなかったで済まされるのかということなんですよ。調べて説明を尽くすことが必要ではないですかとお聞きしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/132
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133・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 私、何遍も言っているんですけれども、確かに私、その当時、京都府連会長でございました。しかし、その一連の問題、職員の解雇の問題、その後の、その後の裁判の問題は、別の人がこれは自分がやるということで、会長である私は一切この裁判の問題については関係をしておりません。したがって、双方のやり取りは全く知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/133
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134・田村智子
○田村智子君 だから、知らなかったというのは、じゃ、おいておきましょうと。これだけ問題になって、今もいろんな報道がされているんですよ。お調べになって、ちゃんと説明する必要があるんじゃないですかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/134
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135・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 京都府連への寄附の問題については、私は、合法であると、それは全く政治資金規正法、そして公職選挙法上問題ないという立場でございますから、これ以上、私自身がその問題についてああだこうだと調べる必要はないと、このように確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/135
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136・田村智子
○田村智子君 参議院広島選挙区の河井事件では、候補者から直接地方議員にお金が渡されて、公職選挙法違反、買収と断じられています。二之湯大臣自身も、二〇一六年、自分の選挙の前に二回に分けて地方議員一人五十万円分の寄附をしていて、実際に地方議員に五十万円ずつ渡されたんです。これは、一般的な政治活動ではなくて、選挙のため、自身の当選のための資金提供だというふうに言われても仕方がないと思うんですよ。しかも、京都府連の事務局長が、マネーロンダリングだという認識を持って、そういうシステムがあると認める文書を残しているわけですよ。これを問題ないと国家公安委員長が言い続けてしまったら、候補者がトンネル団体を使えば幾らでも選挙のときにお金ばらまけるということになっちゃうんですよ。
だから、この文書を御自身も確認をされる、少なくとも、私、それ必要だと思いますよ。どういう認識で五十万円ずつが配られるシステムになっていたのか、改めて確認することは必要だと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/136
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137・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 度々私は委員会で申し上げていますけど、そういう、政党に寄附をし、そして政党から京都府会議員、京都市会議員に政治資金を交付した、活動費を交付した、それは政治活動に使ってください、その間、何も政治活動できないのかと、こうなりますと、その直前まで政治活動は許されているわけでございます。
委員もせんだって恐らく京都にお入りになったと。京都市内はもうポスターだらけなんですね。何の選挙があるのかなと。知事選挙、参議院選挙、また、府会議員、市会議員は日常的にポスター貼っているし、全国区の人がポスター貼っている。こういうポスターを貼るというようなこととか、あるいは政策の政党のチラシを配るとか、あるいは党員を獲得するとか、それぞれ皆さん方、府、市、地方議員は政党活動、党勢活動をしているわけでございます。そういう趣旨で府連から交付しているわけでございまして、個々の議員に票をまとめる、取りまとめるためにお金を渡しているのと、広島とは全くその趣旨が違うなり目的が違うと、私はそのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/137
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138・田村智子
○田村智子君 問題は問題として認めるべきだと思いますよ、私は。何の問題もないなんて開き直りをしてしまったら、今言ったみたいに、どっかの団体使えば幾らでも、選挙直前にも選挙中にも、これは単に政治活動だといって候補者がお金配れるというシステムをつくっちゃうことにもなりかねないんですから。
ちょっと私も法案の審議をしたいので、今日はここまでにしますけれどもね。本当に、国家公安委員長ですから、日本の警察の行政に関わる責任者ですから、そういう認識でいいのかということは強くちょっと指摘をしておきたいと思います。
では、警察法についてお聞きします。
サイバー犯罪への対策が必要だということに異論は全くありません。同時に、デジタルネットワークでの犯罪捜査が必要だといって個人の情報が広く監視、収集され、データ蓄積されるようなことはあってはならないと思います。デジタル社会における個人情報保護、個人情報の自己コントロール権、昨年この委員会でも大変時間を取って質問してきましたけれども、日本の実態も政府の認識も、EUなどからはもう周回遅れ、二周、三周遅れだというふうに言わざるを得ないと思うんです。
そういう中で、今回の法案では、重大サイバー犯罪への対策だとして国家機関である警察庁に直接の捜査権を付与するということで、これは戦後の警察制度の骨格を大きく変更することになります。
警察庁に捜査権がないのはなぜか。これは日本の民主主義の根幹に関わる問題ですので、歴史的経緯をよく見る必要があります。
一九四七年十一月、参議院治安及び地方制度・司法連合委員会で当時の片山総理大臣は、余りに国家政治というものと警察機構というものとが一緒になりまして、それが官僚的政治となり、それが独裁政治の傾きに堕した、こういう弊害が日本を誤つに至ったという認識を示して、まず、国家警察だけでなく自治警察という二本立ての制度をつくりました。
さらに、一九五四年、五年間の検証の上に、二本立ての弊害をなくすためとして、個々の犯罪捜査の指揮のごときは、中央の警察庁はこれを都道府県警察の職務に一切を委ねるべきと当時の犬養法務大臣が答弁をして、今日の警察の制度が確立をしたわけです。
一九九六年にオウム真理教の事件を契機として広域組織犯罪等への対処を警察法に加えたときも、警察庁に新たに付与された権限は、都道府県警警察官の権限の調整など捜査態勢の指示にとどまりました。
戦前の国家警察は、政治警察そのものとなって、時の権力者への批判とみなされた言論を徹底的に弾圧し、思想信条の自由を奪い、市民を監視し、沈黙させた、これを痛苦の教訓として警察制度が抜本的に改変をされたということです。
それではお聞きします。
国家機関である警察庁に捜査権を持たせるに当たり、この誤りを繰り返さないための制度的保障、それは新たにどのように講じられているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/138
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139・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 現在の警察法では、個人の自由と権利を保護して、そして公共の安全と秩序を維持するために、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障しておるわけでございます。かつ、能率的にその任務を遂行するに足りる警察の組織を定めることを目的といたしております。その上で、警察行政の運営の独善化を防ぎ、その政治的中立性を確保することを目的として、国民の良識を代表する者が警察の管理を行うため、国家公安委員制度が設けられておるわけでございます。
今回の改正によりまして、重大サイバー事案に限りサイバー特別捜査隊が直接に捜査を行うことになります。このことに関しまして国家警察の復活だという心配をされている向きもございますけれども、その捜査活動については、国家公安委員会の管理を受けることにより民主的な管理と運営が私は確保されるものと考えております。
その上で、今回新設される苦情申出制度に基づき、サイバー特別捜査隊の捜査活動に関する苦情の申出があった場合、警察庁では、事実関係を国家公安委員会に報告し、その指導を受け、是正を図ることといたしております。
このように、国家公安委員会の管理の下でサイバー特別捜査隊による適正な捜査が確保されるよう、警察庁を指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/139
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140・田村智子
○田村智子君 新たに講じられたのは苦情の申出という程度だということなんですよね。あとは信じてくれと。
今の御答弁でも、重大サイバー事案に限定しているというふうにおっしゃるんですけれども、じゃ、重大サイバー事案とは何なのかと、これ、法案、非常に分かりにくいんですよ。まず、三つのカテゴリーのいずれかに該当するものだということで、お持ちの方は見ていただきたいんですけど、新旧対照表の二ページ目の辺りですよね、第五条四項六号にハというのを新たに規定していくんですけれども。
この三つのカテゴリー、一つは、次に掲げる事務又は事業の実施に重大な支障が生じ、又は生じるおそれのある事案。じゃ、その次に掲げる事案とは何かというのがその下に規定されます。①、国又は地方公共団体の重要な情報の管理又は重要な情報システムの運用に関する事務。そして二つ目、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生じるものに関する事業。三つのカテゴリーの二つ目、高度な技術的手法が用いられる事案その他のその対処に高度な技術を要する事案。三つのカテゴリーの三つ目、国外に所在する者であってサイバー事案を生じさせる不正な活動を行うものが関与する事案。
これ読んで限定されているなと思う方がどこまでおられるでしょうか。おそれも含めて対象であると、高度な技術が必要ならば対象である、国外での不正な活動が関与していれば対象である。本当でしたら、法案審議なんで、その一つ一つがどういうことなのかってやってもいいぐらいなんですよ、高度な技術って何ですかって。その時間ちょっとないのでね。
これは相当広範囲な事案が警察庁に置かれるサイバー特別捜査隊の捜査対象になるということになるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/140
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141・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
重大サイバー事案の類型のうち、国又は地方公共団体の重要な情報の管理又は重要な情報システムの運用に関する事務、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に支障が生ずるものに関する事業につきましては、事務又は事業の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれのある事案を重大サイバー事案としております。
これらの事務又は事業が停止するなどした場合には、その被害が重大なものになり得ることから、こうした被害の防止を図るため、事務又は事業の実施に重大な支障が生ずるおそれがある場合についても重大サイバー事案とすることとしたものであります。
どの程度のおそれがあれば重大事案に該当するかにつきましては、事案により様々であり、網羅的に示すのは困難でありますが、客観的な事情に照らして判断することとなるために、サイバー特別捜査隊が捜査を行う重大サイバー事案の範囲が無制限に拡大することはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/141
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142・田村智子
○田村智子君 だから、今の答弁を聞いても、かなり広いぞということしか分からないわけですよ。何がおそれかは起きてみなければ分からないということになっていきますのでね。
それで、その重大サイバー事案に関わるその捜査というのは、これ第五条四項に十六号を新設をしているんですね。たった一言なんですよ、捜査をやりますよって、ここ一か所だけ捜査という言葉が出てくるだけなんですね。サイバー特別捜査隊についての規定とかというのは法案上何もないんです。いろいろ報道されていたり説明聞いていますと、その捜査隊というのは二百人程度で発足だという報道があります。
では、来年度、国家公安委員会に新たに設置された定員百七十一人、その内訳でサイバー空間の脅威への対処能力の強化としては七十九人なんですけれども、このうちサイバー特別捜査隊の定員としては何人が充てられることになるんでしょうか。また、これとは別に技官というのも人員を置くことになるのかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/142
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143・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
サイバー特別捜査隊の隊員につきましては、警察庁の職員でサイバー分野の知識や経験にたけた者のほか、サイバー事案の捜査に関する豊富な経験を有する都道府県警察の警察官からの登用を予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/143
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144・田村智子
○田村智子君 今、人数を答えましたっけ、ごめんなさい。
私聞いているのは、七十二人がサイバー特別捜査隊に置かれる予定で、そのほかに一名隊長が置かれて、技官は百人程度ですね、かき集めてくるというふうに聞いているんですけど、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/144
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145・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
サイバー特別捜査隊につきましては、隊長のほか、定員では七十二人の増員を要求したものというものでございます。また、このほか、全国の管区警察局等で勤務する解析担当職員が遠隔操作により業務を行うことができるよう、技術的な基盤の整備について措置をしているというものでございます。
サイバー特別捜査隊におきましては、こうした解析担当職員を含めて、総勢約二百名程度で重大サイバー事案等への対処に当たることを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/145
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146・田村智子
○田村智子君 かなりの人数ですよね。二百人ぐらいの捜査メンバーを持つ、常に持つということになりますね。これ、どこから持ってくるのかなというふうに考えると、サイバー特別捜査隊は捜査権を有して強制処分も可能としている。担う任務の性格上、経験のある捜査官を充てる必要がありますよね。そうすると、警察庁の人員だけで担うことは難しいので、これは都道府県警のこれサイバー捜査の経験者から連れてくるということになるしかないと思うんですけど、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/146
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147・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
サイバー特別捜査隊の隊員につきましては、サイバー分野の知識や経験にたけているということが必要でございますので、そのサイバー事案の捜査に関する豊富な経験を有する都道府県警察の警察官からの登用を予定しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/147
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148・田村智子
○田村智子君 現在、全国十四の都道府県に二百八十人、サイバー攻撃特別捜査隊、こういうのを置かれていて、そこの隊長というのは警部又は警視を充てることになっているという説明を受けています。一方、サイバー特別捜査隊の隊長というのは警視正を充てる予定だと。そうすると、これ当然のことなんですけれども、これ、その都道府県で実際に当たってきた方よりもこの隊長の方が格上というようなシステムがつくられる、こういうことになるというふうに認識しますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/148
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149・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
警察庁と都道府県警察が重大サイバー事案の合同捜査を行う場合がございます。この場合には、警察庁又は関係する都道府県警察の警察官の中から、その指揮を行う警察官について警察庁長官が定めることとされております。
こうした合同捜査の指揮を行う警察官につきましては、個別具体的な事案に応じて判断されるものであり、一概にお答えすることは困難でありますが、事案の性質等を踏まえ、適切に指揮官を定めることとしておりまして、サイバー特別捜査隊の警察官が捜査の指揮を行うとは限らないということでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/149
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150・田村智子
○田村智子君 今、ちょっと質問の足りないところを補ってもらって、済みません。
そうなんです。六十一条の三の三項で、共同で捜査を行うと、そのときにどっちが指揮を執るかということは法案上はないんですよね。法案上はないんですよ、共同でやるときに都道府県なのか、それとも警察庁なのかと。だけど、今言ったみたいに、隊長は警視正なんですよ。これ、警察のシステム考えたときに、その国に置かれたサイバー捜査隊の隊長の指揮権になるでしょうって、それは誰もが思いますよね、警察のこの階級システムから考えれば。
もう一つお聞きしたいのは、この重大サイバー事案というのを、じゃ、誰が判断をして捜査が開始されていくのかということなんです。サイバー特別捜査隊が、この自分たちが扱っているような事案の中から新たにこれは重大なサイバー事案になるようなものが見付かったぞといって独自の判断で捜査を進めることができるのか。あるいは、都道府県が抱えているサイバー犯罪の問題で、これはどっちなんだろうかと、重大なんだろうか、それともうちが持っていていいんだろうかというようなときに、一体どういうシステムでこれは重大サイバー事案だよという判断がなされるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/150
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151・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
重大サイバー事案の該当性に関しまして、基本的には、サイバー特別捜査隊や都道府県警察から報告を受けた事案につきましてサイバー警察局において検討した上で判断をすることとなります。
重大サイバー事案に該当いたしますとサイバー警察局が判断をしたものにつきまして、サイバー特別捜査隊において捜査を行うか又は都道府県警察が捜査を行うかといった捜査態勢につきましてもサイバー警察局において判断をすることとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/151
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152・田村智子
○田村智子君 そう、この法案では、新たにサイバー局というのを警察庁に置くことになるんですね、第二十五条。これ、元々にある情報通信局と全くその所掌事務の中身が変わるんですよね。サイバー事案に関する警察に関することというふうになるので、非常に広いんですよ。
つまり、何が重大事案になるかについては、あらかじめたくさんのサイバー事案、重大サイバー事案じゃないです、サイバー事案、これもまたおそれも含めてあります。犯罪そのものだけではありません。サイバー事案について、サイバー事案とは何かというのも第五条に規定があるんですけど、おそれも含まれているんですよ。
そうすると、非常に広い情報が常に都道府県から警察庁のこのサイバー局にずうっと集約され続けていく。そうでなければ、どれが重大サイバー事案であるのかという判断は付かなくなると思いますけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/152
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153・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
重大サイバー事案の該当性に関しまして、基本的には、サイバー特別捜査隊や都道府県警察から報告を受けた事案についてサイバー警察局において検討した上で判断をすることとなります。
先ほど申し上げたように、重大サイバー事案に該当するとサイバー警察局が判断したものにつきまして、サイバー特別捜査隊において捜査を行うか都道府県警察が捜査を行うかといった捜査態勢についてもサイバー警察局において判断することとなるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/153
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154・田村智子
○田村智子君 ちょっとかみ合っていないんですけど。
だから、判断するに当たっては、たくさんのサイバー事案がちゃんと報告をされていなければ判断が付きませんよねと聞いているんですよね。それを、それが各地で起きている犯罪だけではないんですよ、おそれも含めているんです、もうサイバー事案というのは。
そうすると、その犯罪になりそうなこと、いろんなネット上の様々なこと、これらが常に常に警察局の、警察庁のサイバー局に情報収集されていなければ、重大サイバー事案だという判断付きませんよねと聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/154
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155・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
重大サイバー事案につきまして、これらの重大サイバー事案に関する事務又は事業が停止するなどした場合には、その被害が重大なものになり得ることから、こうした被害の防止を図るため、事案又は事業の実施に重大な支障が生ずるおそれがある場合につきましても重大サイバー事案とすることとしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/155
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156・田村智子
○田村智子君 ちょっとね、大臣、今分かりましたでしょう、私が聞いたこと。サイバー事案というのは非常に広いんですよ、この法律では。おそれを含んでいるんですよ。この中から重大サイバー事案を取り出してくるんですよ、どれが捜査に当たるのかと。そうしたら情報収集常に常にやるということで、そういうことですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/156
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157・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) 今委員が、多くのそのサイバー事案の中からどれを重大サイバー事案として認定するのかと、そのいろいろな情報が各都道府県上がっていないと分からないじゃないかと、こういうことであります。
ただ、公安委員長といたしましては、そういう、まあ私は事案についてああだこうだと言う権限はありませんし、警察の中立性、公正性を図るため、もう警察庁、これは、にお任せするということでございますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/157
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158・田村智子
○田村智子君 そうですね、これ、やっぱり極めて限定的なものではなくなってきますよね。警察庁自体が捜査で動くというためには、大量の情報を警察庁自身が、集中し、掌握し、そしてそれを検討し、判断して、これを重大サイバー事案と定めて捜査を行っていく。そして、今やり取りしたとおり、その捜査というのは都道府県との合同捜査もあると。それはそうなるでしょう、各地で起きている犯罪だとすると。だけど、その指揮権もかなり警察庁が握ると、まさに国家が主導権を握った捜査を行うことになるということが見えてこざるを得ないわけですよ。本当に警察組織の抜本的な在り方変えるような改変を今やろうとされているということになります。
その必要性について、各国との共同捜査ということが強調されているのでちょっとお聞きをしておきたいんですけれども、これ、サイバー攻撃に対する国際的な共同作戦としては、昨年公表されたのがマルウエア、エモテットに対するユーロポールを中心とする各国の法執行機関の共同作戦、これ日本名に訳すとテントウムシ作戦というんですね。他人のコンピューターのそのメール、誰かに成り済まして、そのメール使って送り付けるというやつですね。今大問題になっているエモテットですよね。オランダの当局がこのエモテットインフラに対してハッキングで侵入して調査を行って、インフラの全体像を把握した。その上で、各国共同でエモテットボット、これは秘密裏にマルウエアを感染させたコンピューター群、このコントロールを行っていたサーバーを差し押さえてエモネットのボットネットを無効化させたと。ウクライナ警察はこの強制捜査の映像も公開をしています。
日本では、ハッキングして得た情報による捜査というのは違法とされて、これ裁判とかでやったら違法で、無罪になったりしているわけですよ、違法捜査というのは。共同作戦を進めるのであれば、こうやって各国では既に行われているハッキングで得た情報を基にする捜査、ここに日本が加わっていくのかどうか、この整理が必要になってくると思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/158
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159・小島裕史
○政府参考人(小島裕史君) お答えいたします。
国境を越えて敢行される重大サイバー事案につきましては、一つの国単独で捜査を行っていくことは困難であり、外国捜査機関の協力を得ることは不可欠であります。こうした国際的な連携におけるサイバー特別捜査隊の捜査につきましても、現在の都道府県警察による捜査と同様に、刑事訴訟法を始めとする関係法令に基づき適正に行われる必要がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/159
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160・田村智子
○田村智子君 問題点がたくさんあるということが分かった質疑だったと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/160
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161・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/161
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162・田村智子
○田村智子君 日本共産党を代表して、警察法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本案は、戦後初めて国の機関である警察庁に捜査権限を付与し、警察庁直轄のサイバー特別捜査隊を設置するものです。サイバー特別捜査隊が対象とする重大サイバー事案の定義には具体的な線引きがなく、恣意的に警察庁が権限行使する可能性があります。衆議院でも質疑があったように、サイバー特別捜査隊が経済安全保障の分野に関わるようになることは明白です。
経済安全保障の名の下で不正輸出を捏造し、三人を逮捕した大川原化工機事件のように、警察による人権侵害が現に起きています。その原因として、大量兵器不拡散のためとして国際輸出管理レジームを国内法制化した外為法が規制対象の定義を曖昧にしていたことが指摘されています。捜査権の適用範囲が曖昧なままで、国民への監視、プライバシー、思想信条の自由の侵害への懸念が本法案についても拭えません。
警察庁に捜査権を付与する理由として、国際的なサイバー犯罪の共同作戦に対応する対応も理由の一つとして挙げられていますが、海外ではハッキングなど国内法で許されない捜査手法による情報収集が行われ、それを基に捜査が行われています。警察庁は中長期的な検討と逃げていますが、現にハッキングによる捜査が国際的に進行している下で、これを曖昧にして進むことは許されません。
日本の警察は、都道府県警警察が捜査を行い、警察庁は指導監督のみとしています。これは、戦前の警察が政府の意向により国民の人権や自由を侵害してきた歴史を踏まえたものです。警察力が国家の政治問題と絡んで一部のために利用せられるという弊害を根本的に除去することが戦後の警察改革の出発点でした。
本改正は、この歴史の教訓を踏まえることなく警察庁の組織原則を変えることであり、認めることはできません。
以上、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/162
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163・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
警察法の一部を改正する法律案に賛成の方の起立をお願いします。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/163
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164・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、江崎君から発言を求められておりますので、これを許します。江崎孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/164
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165・江崎孝
○江崎孝君 私は、ただいま可決されました警察法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
警察法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 重大サイバー事案に対処し、国民の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を守るため、万全の対策を講ずるとともに国民への適切な情報提供に取り組むこと。
二 重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等を行うに当たっては、プライバシーの権利、通信の秘密の保護を始めとした国民の権利と自由を不当に侵害しないよう徹底すること。特に、警察庁による重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等が新たに行われることに鑑み、警察に対する国民の信頼を十分に確保し、警察行政の民主的管理と運営を徹底するため、国家公安委員会は、法令に基づく適切な捜査等の実施及び警察官の適正な教育が実現されるよう、警察庁を厳正に管理監督すること。
三 重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等に関する国民からの苦情申出に対しては真摯に対応すること。また、国家公安委員会に対する苦情申出制度については、国民に十分周知するとともに、苦情申出に適切・迅速に対応できる体制を整備すること。さらに、電子メール等の活用を含め、苦情申出を行いやすくするため、制度の内容や運用の見直しについても積極的に検討し、必要な措置を講ずること。
四 重大サイバー事案の対象となる重要インフラ等については、具体的かつ明確に示すとともに、今後の社会経済情勢の変化等を踏まえ、不断に見直すこと。
五 国境を越えた重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等を効果的に行うため、諸外国及び国際機関との緊密な協力関係を構築するとともに、国際共同捜査に積極的に参画すること。
六 サイバー事案に適確に対処するため、警察庁及び都道府県警察において、高度専門人材を十分に育成・確保するとともに、民間の技術や知見も活用すること。なお、民間の技術や知見の活用に当たっては、捜査情報等が漏えいすることのないよう情報管理を徹底すること。
七 サイバー警察局及びサイバー特別捜査隊の創設に当たっては、サイバー事案に係る犯罪に関する都道府県警察の捜査能力が低下することのないよう配慮するとともに、都道府県警察の捜査能力を更に向上させるため、必要な措置を講ずること。
八 サイバー事案に係る犯罪を未然に防止するとともに被害を最小化するため、犯罪の手口及び対処技術について関係省庁、都道府県警察、事業者等との情報共有を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/165
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166・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいま江崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/166
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167・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、江崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、二之湯国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。二之湯国家公安委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/167
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168・二之湯智
○国務大臣(二之湯智君) ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/168
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169・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/169
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170・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X00520220329/170
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