1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和四年四月十四日(木曜日)
午前十時四分開会
─────────────
委員の異動
四月十二日
辞任 補欠選任
森屋 隆君 杉尾 秀哉君
四月十三日
辞任 補欠選任
市田 忠義君 倉林 明子君
四月十四日
辞任 補欠選任
浜田 昌良君 佐々木さやか君
倉林 明子君 大門実紀史君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
佐々木さやか君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
倉林 明子君
田村 智子君
大門実紀史君
国務大臣
国務大臣 小林 鷹之君
内閣官房副長官
内閣官房副長官 磯崎 仁彦君
副大臣
内閣府副大臣 大野敬太郎君
政府特別補佐人
原子力規制委員
会委員長 更田 豊志君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 高村 泰夫君
内閣官房内閣審
議官 三貝 哲君
内閣官房内閣審
議官 木村 聡君
内閣官房内閣審
議官 泉 恒有君
内閣官房内閣審
議官 渡邉 清君
内閣府科学技術
・イノベーショ
ン推進事務局統
括官 米田 健三君
内閣府日本学術
会議事務局長 三上 明輝君
公正取引委員会
事務総局経済取
引局長 小林 渉君
公正取引委員会
事務総局審査局
長 藤本 哲也君
警察庁長官官房
審議官 森元 良幸君
警察庁警備局長 櫻澤 健一君
総務省大臣官房
総括審議官 山野 謙君
総務省総合通信
基盤局電気通信
事業部長 北林 大昌君
外務省大臣官房
審議官 渡邊 健君
外務省大臣官房
参事官 股野 元貞君
経済産業省大臣
官房経済安全保
障政策統括調整
官兼経済産業省
貿易経済協力局
貿易管理部長 風木 淳君
経済産業省通商
政策局通商機構
部長 黒田淳一郎君
防衛省整備計画
局長 土本 英樹君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済施策を一体的に講ずることによる安全保障
の確保の推進に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/0
-
001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、森屋隆君及び市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として杉尾秀哉君及び倉林明子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/1
-
002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/2
-
003・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/3
-
004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。小林国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/4
-
005・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) ただいま議題となりました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案につきまして、趣旨を御説明申し上げます。
国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するため、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本方針を策定するとともに、安全保障の確保に関する経済施策として、所要の制度を創設する必要があります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、特定重要物資の安定的な供給の確保に関する制度として、外部に過度に依存し、又は依存するおそれがある重要な物資の安定供給確保を図るため、特定重要物資を指定し、事業者の取組を支援するとともに、安定供給確保が困難と認めるときは政府が更なる対策を講ずる制度を創設することとしております。
第二に、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度として、国民生活及び経済活動の基盤となる特定の役務の安定的な提供を確保するため、妨害行為の手段として使用されるおそれがある重要な設備等を審査する制度を創設することとしております。
第三に、特定重要技術の開発支援に関する制度として、先端的技術のうち、当該技術が外部に不当に利用された場合等において、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがある技術の研究開発の促進と適切な活用のため、必要な情報の提供、資金の確保、調査研究等の措置を講ずる制度を創設することとしております。
第四に、特許出願の非公開に関する制度として、公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明の特許出願につき、出願公開等の手続を留保し、発明の開示や実施を制限することを可能にする制度を創設することとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/5
-
006・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/6
-
007・有村治子
○有村治子君 皆様、おはようございます。自由民主党の有村治子です。
質問の機会を賜りましたこと、また、答弁を御準備いただきました大臣始め、政府関係各位の皆様に御礼を申し上げます。四十分間という限られた時間でできるだけ多くの往来を続けたいというふうに存じますので、御答弁は本質をテンポよく賜りますれば大変幸いに存じます。御協力を仰ぎます。
コロナ感染症、ウクライナ危機、不確実性を増す世界情勢において、日本を取り巻く経済安全保障環境を直視し、その健全性を確保しようと努力をすることは、日本の安全、国民の健康、国民生活の安全や安定、経済的繁栄を維持する上で極めて今日的な課題だと認識をしております。
自由民主党では、経済安全保障につながる実質的な議論をおよそ二年前から始めており、当時、岸田文雄政調会長の下で自民党内の活発な議論をリードされていた小林先生、大野先生が、現在、大臣、副大臣となられて内閣の最前線で活躍されていらっしゃることは、もう率直にうれしいことだと思っています。
また、コロナ禍の環境激変の中で、日本の未来を守るために尽力をされている役所の皆様の御貢献、また、この法案を実効性あらしめるためにそれぞれに民間の立場でアドバイスをしてくださった、そういう丁寧な努力があることも心からの敬意を申し上げたいと存じます。
米国とロシア、中国などの緊張が、従来の伝統的な安全保障分野のみならず、科学技術力をめぐる熾烈な研究開発においても展開をされている現在、経済安全保障の主要論点の一つは、科学技術力において引き続き日本が世界的にも優位を保ち、我が国の安全と国民の安心、健康、日本の稼ぐ力、すなわち産業競争力を保てるかどうかに懸かっていると私は認識をしています。
そこで、先端科学技術の潮流や特性についてまずお伺いしたいと思います。
半導体は民生技術ですか、軍事技術ですか。半導体の世界的な潮流と日本の競争力について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/7
-
008・風木淳
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
半導体は、パソコン、自動車、医療機器等のあらゆる電子製品に搭載され、今や産業の脳と言われております。戦闘機の制御システムやミサイルの誘導装置などの軍事用途にも使われる場合があり、民生技術と軍事技術のいずれにも用いられ得るものと認識しております。
我が国の半導体産業ですが、一九八〇年代には世界一の売上高を誇っていたものの、その後、競争力を落としてきたところです。例えば、先端ロジック半導体については、国内に製造拠点がなく、現在は台湾や米国、韓国のみがこれらの技術を保有しております。
一昨年末から続く世界的な半導体不足により製造業の現場に影響が生じている現状を踏まえ、我が国としても半導体の安定供給体制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/8
-
009・有村治子
○有村治子君 お答えいただいたように、産業の脳とか産業の米ということで、日本の自動車メーカーも半導体が手に入らないからこそ製品が出せないということを、多くの自動車メーカーもそういうことが起こったということを私たちは記憶しております。
次に聞いていきます。
空飛ぶドローンは民生技術でしょうか、軍事技術でしょうか。ドローンの世界的潮流と日本の競争力について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/9
-
010・風木淳
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
ドローンは、半導体同様、民生、軍事用途のいずれにも用いられるものと承知しております。例えば、民生用途について言えば、災害時の迅速な状況把握、インフラの点検、物の輸送、農薬散布のほか、東京二〇二〇オリンピック競技大会開会式での演出など、幅広い分野で活用されているところです。こうした用途の幅広さから、軍事用途で活用されることもあり、例えば今般のロシア軍によるウクライナ侵攻の戦場においても用いられているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/10
-
011・有村治子
○有村治子君 今、いみじくもお答えいただきました。私も資料一に用意をしておりますけれども、ドローンが東京オリンピックの開会式では夜空に光り輝くエンブレムを出していただきましたけれども、数百、数千のドローンで、商用に使われる一方で、武装ドローンも実際に戦場で使われているという御報告をいただきました。
では、重ねて技術についてお伺いします。
バイオ、3Dプリンター、自動運転、人工知能、AI、バーチャルリアリティー、GPSなどの測位時間技術、人工衛星、量子コンピューター、炭素繊維などの技術や先端の素材の中で、軍事用途には一切使われず、民生用途だけに活用されている技術はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/11
-
012・風木淳
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
委員から御指摘があったような技術については、その活用用途は民生分野だけに限られないものと考えております。実際、そうした例示がありました技術、素材の多くは、米国が軍事も念頭に置いた輸出管理の対象技術の候補として検討している十四分野に含まれているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/12
-
013・有村治子
○有村治子君 米国が輸出管理をしているということは、我が方はその技術を持ちたいけれども、我が方と敵対する相手にはその技術を渡らせたくないというふうに認識をしている技術かというふうに理解をいたします。すなわち、著しい成長が見込まれて世界中で研究されている先端科学技術においては、こちらが民生技術です、そしてここからが軍事安全保障技術ですと明確な見境が付けられない技術の多様性があります。
資料二に、例えば炭素繊維に関しても、民間航空機あるいはゴルフなどに使われる素材のものもありますけれども、その一方で、ミサイルをいかに強靱化、軽量化するかというのも炭素繊維が使われていると理解をしております。
そこで、外務省に伺います。
現在、莫大な国家予算と政治的エネルギーを掛けて技術覇権を争う米国及び中国、そのほかの国々も先進国おありになると思いますが、民生用途と軍事安全保障用途、どちらにも活用し得る先端技術の特徴について、米国や中国はどのように向き合っておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/13
-
014・股野元貞
○政府参考人(股野元貞君) お答え申し上げます。
米国では、例えば国防高等研究計画局、DARPAと呼ばれる機関ですが、開発しました技術がインターネットやGPSに活用されていることはよく知られているところでございますが、そのほか、米軍への民用技術の導入を加速化し、国家安全保障に関するイノベーションの裾野を拡大するため、二〇一五年に、国防イノベーションユニット、DIUが立ち上げられたところと承知しております。また、二〇二〇年には重要・新興技術国家戦略が発表され、官民挙げてAIや量子科学等の重要・新興技術を育成していくとの方針を示したものと承知しております。
また、中国では、二〇一五年に軍民融合発展が国家戦略として位置付けられ、二〇一七年には習近平国家主席がトップを務めます軍民融合発展委員会が設置されたと承知しております。また、二〇二一年に発表された第十四次五か年計画には、国防的実力と経済的実力の同時向上の促進の一環として、軍民科学技術の共同イノベーションを進化させ、海洋、宇宙、サイバー空間、バイオ、新エネルギー、人工知能、量子科学技術等の分野を軍民統一発展を強化すると記載されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/14
-
015・有村治子
○有村治子君 今外務省さんが御答弁いただいたように、米国においても中国においても、民生の技術、それから軍事安全保障用の技術というのは両方あるということを当然視して、デュアルユース、すなわち、その用途が補完し合う形で産業競争力や軍事力の優位性を目指しておられます。
御言及がありましたDARPAは、国防省の科学技術イノベーションを誘発するためにリーダーを成していて、感染症に対するワクチン開発も国防総省が積極的に支援してきたというふうに記憶をしております。また、中国も軍民両用を奨励して、軍民融合ということで世界一の技術覇権を目指す意図すら隠さなくなってきています。民生の優れた技術から軍用に展開されるということを積極的に奨励する政策を取っているのも中国の特徴かと思います。
それでは、別の観点でお伺いしたいと思います。
顔認証技術というのは民生技術でしょうか、軍事技術でしょうか。顔認証技術の世界的潮流と日本の競争力について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/15
-
016・風木淳
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
顔認証技術についても、半導体やドローンと同様、民生用途のみならず軍事用途でも活用される可能性があるものと承知しております。
世界的には日本企業も高い技術力を有しており、米国国立標準技術研究所が実施するベンチマーク評価でも世界トップクラスの成績を出しております。他方、中国企業の技術力も高まっているのが実態であり、同様に高い成績を記録しております。
技術進化は識別の精度と速度の向上がトレンドでありまして、最近では、コロナ禍でも、マスク着用が進む中、マスク着用状態等の顔の一部が隠れた状態でも正確な識別をするための技術開発が行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/16
-
017・有村治子
○有村治子君 日本が高い技術力を持っている顔認証技術だという御答弁をいただきました。その技術レベルが高い監視カメラの顔認証技術は、例えば新疆ウイグル自治区に住む少数民族のウイグル族を認識することも技術的には可能だと理解をいたしております。
そこで、小林大臣に伺いします。
日本学術会議は、二〇一七年に軍事的安全保障研究に関する声明を出されています。そして、この動きに呼応して、日本の多くの大学では、例えば軍事研究などを目的とする研究は行わない、デュアルユース、民生と軍事の両用ですね、デュアルユースを目的とした研究は実施しないなどの規程を自発的に発表をされています。生命の尊厳を侵す教育研究は行わないという尊い理念をうたった大学規程もございます。
冒頭、経済産業省にお答えいただいたように、好むと好まざるとにかかわらず、例えば半導体や自動運転、GPS、ドローンなど私たちになじみのある技術も、民生と軍事安全保障、双方の用途を持っています。日本が強みを持つ顔認証技術でさえも、使われ方によっては、特定の人種を見分ける技術が強権的な統治の下で人権抑圧に利用されている懸念が現に欧米から指摘をされています。
であれば、このような民生、軍事安全保障の双方に使われる技術や人権侵害に利用されてしまうおそれもある顔認証等の先端技術研究は、例えば軍事研究などを目的とする研究は行いませんと宣言している日本の大学において一切研究をされない、手を着けないという論理になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/17
-
018・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これまで様々な事例につきまして政府参考人から答弁がありましたが、半導体あるいは自動運転、ドローン、こうした技術というのは民生にも軍事にも活用可能である場合が多いと認識しています。
現在、その先端技術につきましては、将来の経済社会に大きな影響を与える可能性がありますことから、先ほど来話にあるように、諸外国がまさにしのぎを削って研究開発をし、その技術の獲得に努力をしているところだと考えています。
私の立場で個別の大学におけるその研究開発の方針について申し上げる立場にはないと思っていますけれども、一般論として申し上げますと、先端技術は将来におきまして、私たちは多義性と申し上げていますが、より平たく言うと、様々な分野で利用され得るものでございますことから、その防衛、例えば防衛分野での利用可能性があることをもってその研究開発を単純に否定するとすれば、我が国の科学技術イノベーションが世界から立ち遅れていくおそれがあるんだろうと考えます。
こうした状況を踏まえますと、世界において我が国が、優位性、これを維持し、あるいは獲得しつつ、先端技術研究の存在感、プレゼンスを発揮していくためには、ほかの主要国と同様に、企業や国立研究開発法人だけではなくて、やはり知の源泉たる大学の力というものを結集して先端的な重要技術の研究開発を推進していくことは必要不可欠なんだろうと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/18
-
019・有村治子
○有村治子君 慎重に言葉を選んで、けれども、世界の潮流の中で日本だけが競争力を落として、稼ぐ力、科学技術力、防衛力、外交力を落とすわけにはいかないという危機感の下での御発言だったというふうに思います。
ワクチンを考えても、技術力、世界が欲しがる技術力をどこが持つかというのは、当然、その国のパワーバランスや外交力、また国際影響力にも持つような強大なパワーを持ってきているので、大臣と同じように、私も日本の大学、研究者の力を信じる、そして、それが適正に、まともな国としてそういう技術を持つことが極めて大事で、日本はその信頼に足る科学技術発出、産出国の一角を占めたいと私も思います。
そこで、日本学術会議事務局に伺います。
民生技術と軍事安全保障技術、どちらに発展するのか、誰がどのように進化をさせるのか、将来的な予見がかなわないという科学技術開発の特徴を実は最もよく理解されているのは、大学などに身を置かれる研究者御自身、またその総体としての学術会議でいらっしゃるということはないでしょうか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/19
-
020・三上明輝
○政府参考人(三上明輝君) お答え申し上げます。
科学技術、とりわけ先端技術や新興技術が民生、軍事の二面性を持つことについては、日本学術会議における議論においても十分に認識されているところでございます。
例えば、本年一月に科学者委員会の中に設けられました学術体制分科会が取りまとめました論点整理におきましては、そのような認識に立ちまして、先端技術、新興技術の分野においては、通常、基礎研究と応用研究を明確に分けることは困難であることなどを指摘いたしまして、科学技術そのものの潜在的な利用可能性に応じてあらかじめ評価することはもはや容易でなく、広範な観点から大学等研究機関等が適切にそのような研究活動を管理していくことが必要との認識を示しているところでございます。
学術体制分科会におきましては、研究活動のオープン化、国際化の進展等を踏まえまして、引き続きそのような認識に基づいて先端技術に関する諸問題に取り組んでいくこととしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/20
-
021・有村治子
○有村治子君 今おっしゃった見解というのは、日本学術会議の公的な見解というふうに思ってよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/21
-
022・三上明輝
○政府参考人(三上明輝君) お答え申し上げます。
ただいま申し上げました、御紹介したその論点整理でございますけれども、これは、今年の一月に、科学者委員会というところに設けられました学術体制分科会が議論の結果のまとめとして公表しているものでございます。(発言する者あり)公式な会議の取りまとめとしてホームページにも掲載してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/22
-
023・有村治子
○有村治子君 ありがとうございます。
この法案が成立すれば、国家国民の安全や産業競争力を確保するために、今後、経済安全保障重要技術育成プログラムという制度ができます。今後、先端重要技術を官民で開発すべく、政府が資金や機微情報をも民間と共有する技術開発の協力支援制度だと理解をしております。
二千五百億円もの公費が投じられる研究支援制度が成功するためには、制度の意義や理念、また公益性の本旨を高い能力と使命感を持った大学などの研究者、科学者の皆さん、民間の科学者も含めてしっかり共有することが重要であり、特に、研究者総体としてのアカデミアとも誠実に対話ができる関係性を築き、研究環境の充実を求められる研究者にとっても魅力度が高い、安心度が高い、また社会的貢献ができるということ、また、その情報管理等についても胸襟を開いて論じ合って丁寧に信頼関係を築くことが肝だというふうに私には思えますが、この辺についてはどのような御見解を政府はお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/23
-
024・三貝哲
○政府参考人(三貝哲君) お答え申し上げます。
先生おっしゃるとおりでございまして、我々としても、本法案の官民連携による先端的な技術の研究開発制度、こちらにつきましては、先端的な研究開発を担う大学当局、それから研究機関、スタートアップを含めた産業界等に対しまして、政府がその目的や意義を、意義等を説明し、その御理解を得て多くの研究者等に参画していただける環境づくりが重要であると認識しております。
ちょっと若干補足いたしますと、大学等への説明に際しましては、特に本制度のメリットといたしまして、政府が有用な情報の提供等を行うことにより研究者の効果的な研究開発が促進されること、それから、若手研究者を含む、また欧米等の研究者による新たな人的ネットワークの形成につながること、それから三つ目でございますけれども、規制緩和の検討や国際標準化の支援など、潜在的な社会実装の担い手として想定されるこれら関係省庁や民間企業による伴走支援を行っていくこと、これらを丁寧に説明してまいりたいと思っております。
また、御指摘のございました守秘義務でございますけれども、本制度における守秘義務につきましては、協議会において機微な情報を含む有用な情報の交換や協議がこれ安心して円滑に行われるためのものであることにつきまして御理解を得た上で、論文などの成果発表につきましては、守秘義務の対象になる情報を除き、制約を課すことをせず公開されることになるといった点も御理解を賜りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/24
-
025・有村治子
○有村治子君 研究者の皆さん、高い力を持っている研究者の皆さんにとってもメリットがあること、そういう意味では透明性とか公開性とかも非常に大事ですし、日本が強みがある基礎研究はいいけれども、社会実装が弱い、稼ぐ力に必ずしもつなげられていないという日本の今までの経過を含めると、経済安全保障の一環は、世界からやっぱり日本に一目置いてもらえるような技術をちゃんとつくっていく、そういう体制がつくられることを念じております。
国が発注者となって民間と共同で研究するための情報には、例えばですが、これは私が勝手に考えた例ですけれども、例えばテロから狙われやすい原子力発電所の脆弱性を克服するための情報、この克服するための技術ができたら世界の発電所が欲しがる技術になるかもしれません。例えば日本のサイバーセキュリティーが抱える盲点や弱点に関する情報、例えば外国政府やテロリストの手に渡ると大量破壊兵器の開発に転用されてしまうおそれがある新技術などが出てくるかもしれません。そういう情報が含まれるかもしれません。
そのような情報の提供を受ける民間人の条件に、現時点では、この法案では国籍条項が入っていません。もちろん日本国籍を持っていれば安全だという保証も一〇〇%の保証はないわけでございますが、少なくとも、日本の公共の安全が脅かされる、こういうところが実は政府として悩んでいるんですよというような情報も民間と共有されることになる、それを克服したいという社会ニーズもある。同時に、世界に誇る日本の先端機微技術の開発などについて情報提供を受ける民間技術者に対しては日本国籍を求めるべきだという議論は、法案の作成過程で考えられなかったんでしょうか。
別の言い方をしますが、例えば、外国政府と関係の深い産業スパイが民間研究者を装ってこの技術開発の担い手となりインナーとなり、そこで得た機微に触れる情報を本国に漏えいしても罰則は五十万円だとすれば、日本を狙う悪意ある情報窃取の抑止力としては五十万円では機能しないのではないか、外国政府やテロリストから確信犯的にスパイを潜入されるリスクというのがあるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/25
-
026・三貝哲
○政府参考人(三貝哲君) お答え申し上げます。
情報保全とそれから罰則について御質問をいただいたと考えておりますけれども、まず、先進的な技術研究開発を推進する上で、情報保全は非常に重要な課題と認識しております。
このため、本法案におきましては、六十二条でございますけれども、協議会の構成員に対しまして研究開発に関する情報管理等の措置を求めることとしております。これらの情報保全、情報管理の措置が十分に講じられない可能性が高い者、これらにつきましてはそもそも協議会の構成員に加えられないという形になっております。
その上で、本法案の協議会における研究開発では、欧米の大学や研究機関との共同研究も念頭に置いております。こういった関係で、外国人であることのみを理由として協議会への参加を拒否することは考えておりません。
また、御指摘いただきました守秘義務に違反した場合に科される罰則でございますけれども、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金ということでございますが、このようにさせていただきましたのは、機微情報の主な提供元となる政府機関、まあ政府職員ですね、これに科される罰則とのバランスを確保するとともに、企業や研究者が萎縮してこの枠組みへの参加をちゅうちょすることがないようにするために付させていただいたものでございます。
いずれにいたしましても、適正な情報管理、それから守秘義務を求めるなどにおきまして万全を期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/26
-
027・有村治子
○有村治子君 懲役一年、罰則五十万円というのはほかのものと並びだということで、萎縮させないという、もちろん萎縮させないというのは極めて大事ですけど、悪意ある外国政府と連動するような人が日本の脆弱性や世界に打って出るような日本の先進技術を取ろうとする、その抜け穴にならないかどうかというのは、ほかの法律と横並びかどうかということを聞いているわけではないので、この法律が成立して終わりというのではなくて、本当に情報セキュリティーの盤石な、確実な施行が与党からもやっぱり提言として出てきているということはノートしていただきたいというふうに思います。
機微情報の流出を防ぐための研究インテグリティーについてお伺いします。
令和二年六月に、私は参議院の財政金融委員会で千人計画について国会質問をさせていただきました。中国政府が例えば我が国や米国あるいはヨーロッパ、ドイツとかですね、あるいはオーストラリアなどが持つ先端科学技術を狙って、桁違いの報酬を条件に先進国の例えばノーベル賞級の科学者を中国に呼び寄せて、秘密の契約をして、それは口外するなという約束をさせて、その技術を中国に移転する、あるいは窃取するという方法が安全保障上の懸念になることを国会質問で明らかにさせていただきました。
日本からどのような分野のどのような学者がこの中国共産党直結の二〇〇八年からずっと行われてきた千人計画等に参加をして、寄附や特別便宜がなされているのか。当時、文部科学省を始め日本政府は、中国政府や人民解放軍と関係の深い企業や中国の大学から日本の研究者が一定金額以上の寄附や特別便宜、例えばファーウェイから研究資金ということを受けていたとしても、その動向を把握するすべがない状況でございました。これが、アカデミアによる機密情報の海外流出についてそこが抜け穴にならないようにという対応を促した質問でございました。
それからちょうど二年がたとうとしています。政府は、先端機微技術、特に日本の血税、日本の資源でつくられた技術でございます、また、その中でも軍事機微技術に転用可能な先端技術の移転や窃取を狙う外国勢力からの働きかけに対して、どのような対策をこの二年で講じられたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/27
-
028・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
アカデミアにおける機微技術の流出の可能性など、研究活動の国際化、オープン化に伴う新たなリスクへ適切に対応していく観点から、政府は昨年四月、統合イノベーション戦略推進会議におきまして、研究の健全性、公平性、いわゆる研究インテグリティーの確保に係る対応方針を決定いたしまして、研究者自身による適切な情報開示、大学や研究機関等のマネジメントの強化、研究資金配分機関による申請時の確認によりまして、研究者や研究機関における研究の健全性、公平性を確保していくこととしてございます。
これを踏まえまして、昨年十二月、政府は、国費による全ての競争的研究費の適正な執行に関する共通的なガイドラインの改定を行いまして、本年四月以降に実施される公募への申請時に研究者は研究資金配分機関に対しまして、国外も含む外部からの支援や兼業等の情報を提出すること、また、透明性確保のために必要な情報について所属機関に適切に報告している旨を誓約すること等を求める等の取組を実施しているところでございます。
内閣府といたしましては、文部科学省とも連携しながら、今年度中に大学や研究機関等における関係の規程や体制の整備状況等を把握するためのフォローアップを実施する等、引き続き研究の健全性、公平性の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/28
-
029・有村治子
○有村治子君 それでは確認ですが、例えばこれから千人計画などの海外の勢力、しかも、例えば中国の軍事費というのは公表されているだけで日本の四倍ぐらい、まあ大まかに言うと二十兆円ぐらいあるかと思うんですけれども、その技術力向上に日本の実は技術が相当使われているという疑義が幾つかございます。そういうことの動きの兆候を日本政府はちゃんと把握できるというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/29
-
030・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今の研究インテグリティーの関係で申し上げますと、今政府参考人から答弁したこの新たなガイドラインの改定というのは、あれですね、ガイドラインの改定というのは、ああ、済みません、研究者が、研究者が、外国、その公的研究費を申請する際に、例えば外国政府などから資金の提供などを受けている場合も含めて、それを所属機関にしっかりと報告をすると、そういうふうに義務付けを行いまして、それに対して虚偽の報告があった場合にはペナルティーを科していくというような改定を行いましたので、そういう意味で、その特定の国を念頭に置いているわけではございませんが、研究の公正性を担保していくという取組を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/30
-
031・有村治子
○有村治子君 特定の国を意識する、特段意識しているわけではないということでございますけれども、外国勢力に対してしっかりと警戒感を持つ、そしてそれが、よもや日本の大事な公金で培われた資源が日本の安全保障を脅かすような技術に使われないようにということは、引き続きその制度の実効性を保っていただきたいと改めて申し上げる次第でございます。
それでは、サイバー攻撃の実態についてお伺いしたいと思います。
人々の資産や財産、信用、社会秩序など、価値あるものを奪うサイバー攻撃に国家として自ら手を染めている国を挙げてください。また、その目的を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/31
-
032・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答えいたします。
サイバー攻撃でありますが、様々な目的のために行われているものと認識をしております。特に国家の関与が疑われますサイバー活動として、中国は軍事関連企業、先端技術保有企業等からの情報窃取のため、またロシアは軍事的及び政治的目的の達成に向けて影響力を行使するため、サイバー攻撃等を行っているものと見られます。また、北朝鮮におきましても、政治目的、政治目標の達成や外貨獲得のため、サイバー攻撃等を行っていると見られます。
警察といたしましては、引き続きサイバー攻撃の厳正な取締りを推進いたしますとともに、その実態解明を推し進め、被害の未然防止と拡大防止を図ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/32
-
033・有村治子
○有村治子君 ありがとうございます。
ロシア、北朝鮮、中国のサイバー攻撃という具体的な国名が出てきたわけです。いつもは慎重な言い回しに徹しておられる日本政府、中でも慎重な警察が、サイバー攻撃を仕掛ける国の可能性が高いとして具体的な国名を列挙されました。事実でなければ名誉毀損にもなりかねない答弁でございますが、論拠を、詳細は明らかにされないまでも、論拠が明確にあるという、そういう御答弁と理解してよろしいのでしょうか。
ロシア、中国、北朝鮮というのは日本を取り巻く近隣国でございます。強権的な統治、独裁国家であるという指摘もなされます。核、ミサイルを保持する国々でもあります。これを確認した上で、この法案についてまた質問させていただきます。
この法案が目指すとおり、業界の垣根や所管官庁、所管法律の縦割りを乗り越えて、電気やガス、石油、水道、金融、放送、鉄道、航空など、社会経済基盤の安全性やレジリエンス、強靱性を高めるための仕組みを構築することは国民生活の安定を堅持するためにも大事な取組だと、明確にこれを支持いたします。
その上で、大臣、最近痛感するんですが、日本の大事な公共財としての社会インフラは、実は今挙げたような目に見える建物や機能だけではないのではないかという思いを強めています。先端技術を使って外国勢力が主権者たる国民世論の操作、特に、民意を集めることになる国民投票や選挙などでの不当な介入、歪曲を図ることへの備えが必要なのではないかと強く思っております。
今日配付をさせていただいた資料三を御覧になってください。
これは、ちょうど一年ほど前に読売新聞が報道したものでございますが、震度六強の揺れがあった福島、宮城県の地震について、当時の官房長官であられた加藤官房長官がテレビ会見をされた、そのときの、この記事の中の左下、下の方が本物です。実際には、この地震のことを、近況を官房長官として放送されていらっしゃるわけですが、その後、誰かによってこのディープフェイクが作られて、上の写真、すなわち震度六の揺れということを緊急性を持って国民に知らさなきゃいけないときにあたかも笑顔で話しているような映像が第三者によって作られて流されまして、実際にこれが再配信を、リツイートをされていきました。
ということは、これは、熊本地震のときにはライオンがおりから出たぞというのが大変な数リツイートされてしまって、多くは善意で、警戒してくださいという善意でこれをリツイートして、それは大変な愉快犯であって、それは社会で忌むべきことですが、こういう状況になると、単なる愉快犯ではなくて、まさに政治家を狙って、あるいは民主主義をじゅうりんするような先端技術が他国から狙われるというのは、実は米国大統領だけの話ではなくなってきた。そして、現在のウクライナにおいても、ゼレンスキー大統領が国民に対して降伏を促すというような動画が作られた、全く本人とは関係ない。
ということであれば、例えば、先ほどサイバーで挙げられた国々に対して批判的な政治家、この人を政治的に殺そうと思った場合には、選挙の直前に本人とは全く関係のない、そんな映像が作られて、例えば、その人が人種差別的な発言をしたとか、あるいは汚職をしたというようなことを思わせるに足る映像が作られてしまったら、それは的確な民意の集積にはならないわけでございます。それが、一年前にはこのような、民主主義を脅かすというふうに書いてありますけれども、これは単に選挙の、選挙やあるいは通信を仕切る総務省だけの問題ではないはずでございます。
例えば、日銀の総裁が為替に対して、外貨準備高に対して発言をするという完全なフェイクが作られたときには大混乱に社会を陥れる、そういうリスクが日本でも起こり始めているということの予兆を報じた読売の記事だと思っています。
そこで、官房副長官にお伺いします。
外国からの介入により国民あるいは社会経済を深刻な動揺に陥れるフェイクが拡散されたとき、日本政府の威信を懸けて正確な情報をアナウンスし、ファクトチェックをし、国民の信頼や社会秩序を守るというのは、日本政府のどの部門、誰が担うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/33
-
034・磯崎仁彦
○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) お答えをいたします。
悪意のある偽情報、その拡散は、その性質によりましては政府に対する国民の信頼を失い、また社会秩序を乱し、先生言われるように、自由、民主主義といった普遍的価値に対する脅威となり得るものだというふうに考えております。
特に、近年は情報流通技術の急速な発展によりまして、先ほど例として御紹介されましたとおり、偽情報がますます巧妙かつ大規模に拡散されるリスクが高まっておりまして、サイバーセキュリティーの観点と併せてその対策が重要であるというふうに認識をしております。
やはり、まずはこの受け手の方にとってやはりインターネット上の情報をうのみにしない等の国民のリテラシーの向上が重要であり、また一般の利用者や小中学校の生徒に対してもこのリテラシーの向上に向けた啓発を推進をしております。
それとともに、実際の国民の皆様の混乱あるいは誤解を与えかねない政府の取組等に対する偽情報に対しましては、プラットフォーム事業者に削除要請を行うとともに、政府としても正しい情報の発信を行っているものと承知をしております。
政府としましては、この偽情報対策につきましては、各省庁が所管分野において適切に対応するとともに正確な情報発信を行うなど、政府一体となって万全を期してまいりたいと、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/34
-
035・有村治子
○有村治子君 最後の質問になります。
今大臣お聞きになっていただいて、このようなことこそ基幹インフラで、他国の先進国はここに手当てをする法律なりをもう用意し始めてきています。本来はこの法案に入れ込むべきではないかという真摯な質問に対して大臣はどうお答えになられるでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/35
-
036・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今回は経済安全保障が喫緊の課題ということで、これ政府、私が大臣になる前から自民党と政府においても様々な議論をさせていただく中で、脆弱性を洗い出し、その中において、一気に全てやり切れればいいんですけれども、特に法制上の手当てが必要な分野横断的な喫緊の課題ということで、今回、四つ項目を洗い出してやらせていただきました。
そういう位置付けではございますけれども、その上で申し上げますと、今、有村委員おっしゃったように、この今の選挙における影響工作を始めとして、他国などによる悪意のある偽情報の拡散、これは、自由や民主主義あるいは法の支配、これ基本的な価値に対する挑戦であり脅威だというふうに認識しています。
これ、経済安保の観点からも、例えば今回手当てしているサプライチェーンですとか委員御指摘の金融を含めた基幹インフラに対して偽情報が拡散すれば、国民生活や経済活動に対して物すごい甚大な影響、混乱が生ずることになることが懸念されます。したがって、これ経済安保にとどまる話だとは思っておりませんが、政府全体で今官房副長官おっしゃったように取り組む必要があると思います。
その取組の在り方についても、どんどん技術というものは進化していくでしょうから、政府内の在り方あるいは諸外国や民間との連携の在り方、これは不断に見直し、検討し、強化をしていく必要があるんだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/36
-
037・有村治子
○有村治子君 大臣、誠にありがとうございました。
民主主義を守る日本の繁栄と安全と世界への貢献を念じて、私、自由民主党、有村治子の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/37
-
038・太田房江
○太田房江君 自由民主党の太田房江でございます。今日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
コロナ禍が始まりましてもうすぐ二年半、大変な長い期間我々は苦しんでいるわけですけれども、この間に経済安全保障という言葉が浮上して、そして関心が高まって、最近ではロシアのウクライナ侵攻という事象も発生をしたわけであります。まさに、今回のこの法案、時宜を得たすばらしい法案であり、しかも、この一年という大変短期間にこの法案を取りまとめられました小林大臣を始め関係の方々に心より敬意を表したいと思います。
私は、この法案に対する認識、まず申し上げたいと思うんですけれども、この法案、四つのパーツの有機的な連携が図れるんではないかと、経済安全保障と同時に成長戦略も実現し得るんではないかと、こういう受け止めをしておりまして、そのための優れた枠組みを提供するもので、我が国の経済安全保障を構築していく上で大変重要な第一歩となると、こういうふうに考えております。
例えば、まあちょっとこれは推測ですけれども、法案の第四章の先端的重要技術のところで基金も使いながら技術開発をやる、そして、出てきた成果について、例えばその製品の原材料を第二章のサプライチェーンの強靱化に使うというようなことも可能となる。というようなことを考えますと、効果的に取り組むことによって、経済安全保障が成長につながり、そして経済安全保障も厚みを増す、そういった好循環も可能なのではないかなと、こんなふうに考えております。
そういう前提の下にお伺いをいたしたいと思いますけれども、まず、サプライチェーンの構築に関してであります。
政令で指定される重要物資、これはそのサプライチェーンの置かれた状況や解決すべき課題がそれぞれに異なって、物資の状況に応じた支援が必要になってくるわけでございますけれども、法案三十一条にあります安定供給確保支援法人、これが基金を造成して支援を行うことになっております。
このサプライチェーンの強靱化のためにいろんな方策があって、輸入先の多様化ですとか、それから最後は備蓄まで、いろんな方策があるわけですけれども、私は、調達先をA国からB、C国に丸ごと移して補填するというような発想ではなくて、民間のサプライチェーンの再構築を促す設備投資、民間の生産基盤整備の自助努力というものを促す発想、まあ国産化につながるということにもなってまいりますけれども、そういうことを重視していただきたいなと。そういう意味では、基金による支援はしっかりプライオリティーを付けた支援とすべきではないかと、このように考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/38
-
039・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
委員、冒頭、本当に大切なことをおっしゃっていただいたと思うんですけれども、各四項目全て一体的に講ずることによって安全保障を確保していくということで、まさに法案の正式名称に書かれているものでありますし、これは経済成長につながっていくものだと捉えております。
その上で、民間事業者の自発的な取組をあくまで支援していく枠組みとなっております。この民間の自発的な取組というのは多様な取組があって、これは物資の特性に応じて様々だと思っておりまして、国内生産基盤を強化することもあるだろうし、供給源の多様化あるいは備蓄、代替物資の開発、これは様々なメニューがあるというふうに想定しています。これについては、支援対象となる具体的な取組、これは、それぞれの取組の合理性ですとか、あるいは支援の政策効果なども勘案して決めていくことになります。
この物資ごとにそれぞれの効果的な取組というものは異なると認識しているんですけれども、委員今言及された話に照らして申し上げますと、例えば、特定重要物資の原材料メーカーですとかその生産設備のメーカーが国内に立地していて、その特定重要物資の生産基盤を国内で整備する計画があって、それが適切であると認められれば、この国内生産基盤を支援することで、結果として、国内の原材料メーカーまた生産設備メーカーを含めて、サプライチェーン全体の強靱化が図られることになるというふうに考えております。こうした場合には、委員御指摘のとおり、国内生産基盤の整備が優先され得るというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/39
-
040・太田房江
○太田房江君 ありがとうございます。
重要物資それぞれの対応ということだと思いますけれども、できるだけ、気が付いたら何にもなかったと、国内に、というようなことがないように対応をお願いしたいと思います。
次に、今回のウクライナに対する侵攻によりまして、国際的なサプライチェーンもパラジウムのように新たに留意しなくてはならない物資が出てまいりました。半導体生産に用いるネオンといった希ガス、あるいは自動車用の排ガス触媒に使われるパラジウム等の原材料の供給不足というものが心配されるに至っています。パラジウムに至ってはロシアのシェアが四四%ということでありますから、今回のこの新たな事象の発生によりまして、ウクライナへの侵攻という、発生によりまして、国際的なサプライチェーンの見直しというものをいま一度しなくてはならないのではないかと、こう考えますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/40
-
041・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) ありがとうございます。
ただいま委員、パラジウムあるいはネオン、キセノンという希ガスについてお尋ねをいただきましたけれども、例えばパラジウムにつきましては、日本では自動車産業あるいは歯科医療などで利用されておりまして、御指摘のとおり、輸入量、四割をロシアに依存しているということになっております。こうした背景があり、ウクライナの情勢を鑑みれば、特段何か策を講じていかなくちゃいけないという認識に立っておりますけれども。
現在、先般でありますけれども、経済産業省の戦略物資・エネルギーサプライチェーン対策本部にて、三月の三十一日でありましたけれども、ウクライナ情勢を踏まえた緊急対策というのが取りまとめられまして、その中で、早急に対策を講じる必要のある物資として、パラジウムのほか、委員御指摘のとおり、希ガスなども含めて七品目が特定されております。
したがって、その中で、これから経産省におきまして、製造事業者への働きかけ、あるいは省パラジウム技術の開発、あるいは海外上流開発等への支援というのを実施されるものと承知をしておりますけれども、本法律案の関係でいえば、特定重要物資としてパラジウムあるいはキセノン、ネオンといった希ガスというのが指定されるかどうかというものにつきましては現時点で予断を持って申し上げることは困難でございますが、これから法案が可決をいただきましたらば、その要件に従って何を重要物資として特定するのかというのを定めまして、もし定められましたらこのルールに従って適切に措置されるものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/41
-
042・太田房江
○太田房江君 世界情勢が激変をする中で、このサプライチェーン、寸断をされないようにしっかりと注視をしていただきたいと思います。
次に、今日は公取にも来ていただいておりますけれども、公正な競争環境の確保について伺います。
サプライチェーンの強靱化を図る上でも公正な競争環境の確保は重要でありまして、その意味で公取の果たすべき役割は重要だと思っております。一方で、経済原理をどんどん追求していきますと一〇〇%輸入というふうなところにも至るわけで、例えばコロナ禍でマスクや防護服が一個もなくなっちゃったという事態が一時期ございました。そういうような供給リスクの高まる結果につながったケースもあるわけです。
今回の安定供給確保、特定重要物資の安定供給確保に当たっては、企業間の生産協力や販売協力などが必要な場合には、公正取引委員会に御相談をした上で、意見を求めた上でこれを実施するという法二十九条の取決めがございます。
私は昔これと同じような仕事を経産省でしたことがあるんですけれども、やはり業界横断的な取組というものがこの重要物資の安定供給確保には必要になってくる場面も多くあると思われるところ、こうした業界横断的な積極的な取組に対しては国益の観点から前向きに公取さんには対応していただきたいと、このように思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/42
-
043・小林渉
○政府参考人(小林渉君) お答えいたします。
本法案におきましては、ただいま先生御指摘のとおり、同一の業種に属する二以上の者が共同して供給確保計画を作成し、特定重要物資の安定供給確保のための取組を行う際には、主務大臣が認定を行うに当たり必要と認める場合に公正取引委員会の意見を求めることができる規定が設けられております。
本規定は、主務大臣が公正取引委員会の意見を聞くことにより、共同生産等の安定供給確保のための取組に競争上の疑義がないことを確認し、事業者がちゅうちょせずに取組を推進できる環境を整備しようとするものであると承知をしております。
公正取引委員会といたしましては、特定重要物資の安定供給の確保という本法案の目的に鑑みまして、関係省庁とも連携しつつ、国民経済の健全な発達の促進といった国益も踏まえて適切に運用してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/43
-
044・太田房江
○太田房江君 公正な競争環境の確保ということに関連しまして、もう一点公取にお伺いをしたいことがございます。
エネルギーの安定供給確保は経済安全保障の基盤であるということは言うまでもないんですけれども、皆さん、最近ガソリンスタンドがどんどんなくなっているというのを御存じでしょうか。
ガソリンスタンドは、皆さん御承知かと思いますけれども、最後のとりでというふうに呼ばれておりまして、例えば、大雪で雪に閉じ込められました病院に重油を届けたり、あるいは高速道路上で動けなくなった車にガソリンを届けたり、これ全部地域のガソリンスタンドがやっているんですよ。
ところが、資料一を見ていただきまして分かりますように、ピーク時六万四百二十一か所あったガソリンスタンドが今や半減してしまっておりまして、多くのガソリンスタンドがいろいろな事情から撤退をしてしまっているわけです。
こうなりますと、いざというときに本当に近くにガソリンスタンドがなくて、サプライチェーン、エネルギーの供給という意味のサプライチェーンが途切れてしまうということもあるんですけれども、その原因いろいろございます。もちろん、人口が減っているとかいろんなことございますけれども、最近大変目立っているのは、巨大外資資本が運営するガソリンスタンドが周辺の中小零細事業者の仕入価格よりも安い小売価格で販売をして、その結果、地域の事業者が撤退に追い込まれてしまう、こういうケースも散見をされるわけです。百七十円のが百五十円で売られているというようなところを皆さん御存じだと思うんですね。
やっぱり安い方がいいには決まっているんですけれども、しかし、今申し上げたようなエネルギーの安定供給という観点からサプライチェーンが寸断されるというようなおそれに至りそうなときには、こうした巨大外資資本による廉売行為についても厳正に対処していただきたいと私はずっと考えてまいりました。お答えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/44
-
045・藤本哲也
○政府参考人(藤本哲也君) お答えいたします。
公正取引委員会といたしましては、小売業における大規模な事業者による不当廉売事案で周辺の販売業者に対する影響が大きいと考えられるものにつきまして、周辺の販売業者の事業活動への影響などにつきまして個別に調査を行いまして、問題の見られた事案については厳正に対処しているところでございます。
大規模な事業者による不当廉売事案で問題の見られる事案につきましては、引き続き厳正に対処してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/45
-
046・太田房江
○太田房江君 こういった状況はこの数年ずっと続いてきておりまして、ガソリンスタンドはどんどん減っております。
今、経済安全保障ということに大きな関心が集まっているこのときに、ガソリンが手に入らない、そんなことが起こらないように、厳正な対処、おっしゃいましたけれども、引き続きしっかりと対応していただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げておきます。
次に、官民技術協力についてお伺いをしたいと思います。
今回、革新的な技術の出現、これを、国家間の覇権争いという中で何とか我々がこの革新的な技術を手にしようということで、この官民技術協力のところで二千五百億円の基金も用意して、この重要な先端技術を開発し、そしてそれを活用できるような経済安全保障達成していこうと、こういうことになっているわけですけれども、いかんせん、この二千五百億円はやっぱり少ないと言わざるを得ません。
最終五千億円になるということもございますけれども、やはりイノベーション全体で、例えばアメリカでは、三十兆円から四十兆円を投入するようなイノベーション・競争法というようなものが可決をされております。こういったことを聞くにつけ、やっぱり私は、一つはワイズスペンディングをしっかりやる、そして、今回協議会ですとかシンクタンクが設けられておりますが、こうした知恵を活用して、官民が一丸となった研究開発推進のための仕組み、これを有効に使う、こういう二つが重要なんじゃないかというふうに思っておりますが、同時に、これら全体を仕切っていく司令塔機能、これが重要になってくると思うんです。
第六期科学技術・イノベーション基本計画では、政府の研究開発約三十兆円、そして官民の総額百二十兆円というこの大きな予算を経済安全保障等の大きな国是に配慮しながら全体として配分をしていくという事業、これを全体取り仕切っていただく司令塔機能として小林大臣に是非御活躍をいただきたい、そうすることによって、我が国のこの縦割りになったその予算を有効にワイズスペンディングすることによって、このイノベーション、もっと興さなきゃいけないときに加速をさせていただきたいと、このように念じるわけですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/46
-
047・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) もう委員御指摘のように、諸外国が科学技術イノベーションの投資、これに重きを置く中で、まさにこれが国家間の覇権争いの中核になっている、しのぎを削っている状況です。したがって、我が国としても、この科学技術イノベーションへの投資というものをしっかりと大胆にやっていかなければならないと考えます。
今委員が御紹介いただいたように、政府全体としては、第六期の科学技術・イノベーション基本計画で、この五年間で、政府だけで研究開発投資を約三十兆、官民合わせて約百二十兆円ということで、前回第五期の基本計画と比べても、かなり目標としては上積みするような形で設定しているところであります。その中で、今回二千五百億、これをどう評価するかというのはありますけれども、これを含めてこの予算というものはしっかりと確保していかなければならないと思っています。
その上で、司令塔機能については、内閣府としてここはしっかり頑張らなきゃいけないと思っていまして、いわゆるCSTIの下で科学技術イノベーション政策全体を俯瞰をし、その上で、今、政綱、量子、AI、こうした重要分野の戦略を取りまとめているところでございます。この全体を俯瞰した戦略に基づいて、経済安保の観点も当然踏まえつつ、今御紹介いただいたシンクタンク、この機能も一朝一夕にできるものではありませんが、こうしたものを着実に進化させていくことによって、我が国が育てるべき重要技術分野というものを明確化していく必要があると考えています。
それが、結果として委員御指摘のそのワイズスペンディングにつながっていくというふうに考えておりますので、重点的な資源配分、また、分野横断的にこの先端技術の研究開発が推進できるように、この担当大臣、科学技術担当大臣でもございますので、そこは横串を刺せるように尽力していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/47
-
048・太田房江
○太田房江君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、スタートアップ支援についても触れておきたいと思います。
先端的な重要技術の研究開発とその社会実装は、従来の大企業のみならず、アカデミアやスタートアップ企業を含めて多様な主体が関わってまいります。先端的な重要技術の支援を行う協議会におきましては、こうしたスタートアップ企業の取り込み、そして研究開発成果の社会実装に向けた伴走支援というものが重要になると考えますけれども、日本は、皆さん御承知のように、ベンチャーキャピタルの一件当たりの投資額が小さいとか、あるいは金融系が中心で保守的であるなど、スタートアップ支援が弱いと言われる。だからGAFAが育たないというようなこともおっしゃる方もいる。
そういう中で、これからこの経済安全保障を推し進めていって重要技術を開発していく上で、スタートアップにつなげていくというところ、これをしっかりやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/48
-
049・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
スタートアップはイノベーションの担い手として重要でございまして、本法案の協議会におきましても、機微な情報の取扱いについて全ての参加者が納得する形で取扱い方法を決めるなど、スタートアップが参加しやすい仕組みとなるよう配慮しているところでございます。また、参画した者に対しまして、協議会といたしましても、研究開発の推進に有用なニーズ情報の共有や社会実装に向けた協力など、今おっしゃっていただいたような積極的な伴走支援を行うこととしているところでございます。
このように、協議会に参加したスタートアップがその成果を社会実装につなげつつ成長していくためには、我が国においてもスタートアップエコシステムを確立していくことが重要と考えてございます。
一方、今し方委員御指摘のとおり、我が国のスタートアップにおける環境は、米国等と比べまして、ベンチャーキャピタル等からの投資が十分でないこと、特にレーターステージの成長資金が不足していること、海外とのつながりや投資を呼び込む力が低いこと、起業家人材支援プログラムの不足といった課題があるとされてございます。
このような課題を克服するために、本年二月、総合科学技術・イノベーション会議の下にイノベーション・エコシステム専門調査会を設置いたしまして、ベンチャーキャピタルからの投資の質と量の両面での向上、海外からの投資や人材の呼び込み強化など、スタートアップの抜本的な強化策の検討を進めているところでございます。
内閣府といたしましては、関係省庁や関係機関とよく連携しながら、我が国のスタートアップエコシステムを強化するための取組をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/49
-
050・太田房江
○太田房江君 ありがとうございました。
次に、外為法の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
先端的な重要技術の研究開発は、その支援と同時に、でき上がった成果の海外への技術流出の防止に十分留意する必要がございます。
これまでも、外為法については、周知徹底、取組強化、行われてきましたけれども、機微技術に関する輸出管理の徹底、これを今回のこの法案の提出と同時にする必要があると考えます。
それからもう一点、私は地元、大阪でございまして、優秀な中小企業がたくさん多いんですけれども、今円安傾向も進んでおります。こういう中で優秀な技術を持った中小企業が丸ごと買収されてしまうんじゃないかと、こういう懸念を持つことも多々ございます。
そういう意味で、輸出とそれから対内投資両面において、現行の外為法の体系、運用で十分なのか、見解を伺います。
外為法は改正を繰り返してきておりますけれども、私の聞き及んだところによれば、大変研究をされていると。大変研究をされている中で、本当に思いも付かないところの、何というんでしょうか、輸出や対内投資が起きているということも聞いておりますので、お答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/50
-
051・風木淳
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
先端重要技術については、研究開発支援のみならず、技術流出を防止することが極めて重要です。委員御指摘のとおりでございます。
このため、経済産業省として、関係省庁とも連携しつつ、外為法に基づく輸出管理、それから投資管理に係る関係法令の見直しを進めてきたところでございます。
まず、輸出管理については、国際輸出管理レジームの議論に基づいて対象品目を随時見直しております。それから、人材を介した技術流出に着目して、国内での居住者間の技術提供であっても、外国政府等から強い影響を受けている状態にあると考えられる場合はみなし輸出管理の対象とすることとしたところです。このほか、中小企業、大学等における輸出管理体制構築に向けて、継続的な普及啓発活動を行っているところです。
また、対内直接投資の管理につきましては、令和元年に、上場企業に係る株式取得に当たって事前届出を求める閾値を一〇%から一%に引き下げたことに加えて、随時、事前届出の対象業種について、例えばサイバーセキュリティー、それから重要鉱物資源関連を追加するなど、様々な措置を講じているところでございます。
引き続き、国際的な先端技術の動向等を踏まえながら、後手に回ることがないように、執行体制の整備を含めて必要に応じて不断に見直しをしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/51
-
052・太田房江
○太田房江君 本当に技術の覇権争いが大変激しくなっている中で、まさにおっしゃっていただいたように、もう後手後手にならないようによろしくお願いを申し上げます。
次に、特許出願の非公開制度についてお伺いをいたします。
今回、特許出願の非公開制度ということが、遅ればせながらと言ったらいいんでしょうか、日本でも設けられたということで、このことについては大いに歓迎をしたいと、こう思うわけですけれども、一方で、これイノベーションとの両立ということについてはどうなんだろうかという声も聞かれます。余り出願を非公開にし過ぎますと、それが公開されないのでイノベーションが進みにくいんじゃないかと、こういう議論もある中で、実はメリットもあるんじゃないかと私は考えます。
つまり、機微技術の拡散を防ぐという安全保障確保の観点から導入をされた今回の制度、実はもう一つの側面として、これまで特許出願ができてこなかった、これ出すともう国益に反してしまうので中に置いておこうというような、そういう特許技術ですね、特許機微技術、これが今回の非公開という制度が設けられることによって特許出願の戸を開くということになってきたんではないか、そういうメリットがあるんではないかと、こういうふうに考えますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/52
-
053・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 現行法の下では、安全保障上機微な発明であったとしても、特許を出願されてしまうと一律に公開されてしまう、そういう立て付けになっています。したがって、今回の特許出願の非公開制度というのは、こうした問題に対処をして機微技術の拡散を防ぐことに目的がございます。
一方で、今御指摘いただいたとおり、機微技術の発明者の中には、自らのその発明が出願の公開を通じて機微技術の拡散につながってしまうことを懸念をして、特許出願をあえて控えているという実態もございます。そういうことがあるということは承知しております。
したがって、この新しい制度は、その機微技術の発明の出願につきまして国が公開の是非を判断した上で、仮に安保上のリスクが認められる場合には非公開の措置がとられるという点で、今申し上げた懸念を解消する意義があると、そういう側面もあると考えています。つまり、この新しい制度は、これまで特許出願ができていなかった機微技術の発明者にも、特許出願の、特許出願をし、またその特許の取得の道を開くものであるとも考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/53
-
054・太田房江
○太田房江君 ありがとうございます。
ここで、ちょっと細かくなるんですけれども、保全審査の弁理士法との関係、私、確認をしておきたいと思います。
特許出願など特許庁に対する手続に関しては弁理士さんが代理手続を行うことになるわけですけれども、出願人の負担軽減に一定の役割を果たしてきたこの弁理士さんのお仕事、今回創設される特許出願の非公開制度における二次審査、すなわち保全審査においては、特許出願を代理した弁理士さん、その後の保全審査に引き続き関与することはできるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/54
-
055・三貝哲
○政府参考人(三貝哲君) お答え申し上げます。
本法案における保全審査、これは特許庁ではなく内閣総理大臣が主体となる手続となっております。したがいまして、弁理士でなければできない弁理士の専権業務には含まれないところでございます。
他方で、専権業務に含まれなくとも、弁護士の専権業務を規定する弁護士法や行政書士の専権業務を規定する行政書士法といったほかの法令に抵触しない限り、弁理士の関与が禁止されるものではございません。特許出願を代理した弁理士が引き続き相談に応じるなど、保全審査の手続に関与することは可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/55
-
056・太田房江
○太田房江君 ありがとうございます。確認はいたしました。
ただ、中小企業にとってはこの特許出願についての代理手続をしてくれる弁理士さんの存在というのは大変大きいわけでありまして、日本のイノベーションをどんどん進めていこうという観点から、中小企業を中心とした出願者の立場というものにも御配慮いただけるような、そういう運用もお願いをしておきたいと思います。
次に、経済安全保障マインドの醸成につきましてお伺いをいたします。
この間、トヨタの部品メーカーである小島プレスというところにハッカー攻撃があって、そしてトヨタ全体のラインが止まってしまいました。もちろん小島プレスは中小企業ではありません、大企業ですけれども、そのときに萩生田大臣が、大企業は要塞だけれども、中小企業の方は安全保障に対応するための体制整備をするのは大変なんですというような発言をしておられます。
今回のこの法案が提出をされて、大企業も中小企業も、経済界全体、大きく変化しつつあるとは思いますけれども、この法案の実効性を上げていくためには、経済界全体の安全保障マインドの醸成が不可欠だと思います。大企業の方は、担当部署を設けたり、あるいは経済安保担当の役員をつくったりということで、当然対応が進んでいるわけですけれども、中小企業の方はそれだけの体力がございません。
こういう中で、経済界全体の安全保障マインドを醸成するために、既に経済界との協議等々行っておられるんでしょうか。そしてまた、中小企業に対しては、啓発はもちろんのこと、支援も行ってあげていただきたいと、このように考えますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/56
-
057・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この点について、意識の醸成については有識者会議からも提言をいただいておりまして、そこでは、経済安全保障の推進は、政府がその役割を果たすことはもとより、経済界を含む国民全体の理解と協力が不可欠であると、そうされています。したがって、国民に対する丁寧な説明が重要であると考えておりまして、実は先ほど、有村委員、最後、私が国民に伝えたいことは何かという御質問をいただく予定だったんですけど、まさに、この中小企業を含めて、国民の皆様の経済安全保障に対する意識の醸成、これが本当に必要だと思っています。
こうしたことから、政府としては、中小企業を含む民間事業者に対する情報提供を通じまして、民間企業の現場でこの経済安保に対する意識の醸成が図られるように当然努めてまいります。
この法案の中の立て付けにおいては、例えばサプライチェーンの強靱化を図る枠組みの中では、ニッチな技術を有する中小企業や重要な部品あるいはその原材料を製造している中小企業が全国に多数存在していることも踏まえまして、要件を満たせば、中小企業信用保険制度の特例を始め、中小企業に対する支援施策を講じることを可能としております。
また、先ほど来話に出ている先端的な重要技術の研究開発、この推進のための協議会についても、先ほど政府参考人から答えがありましたが、スタートアップ企業も参画しやすい、そういう間口を備えた制度としていく考えです。
既に、これからも中小企業を含めた経済界、産業界とは密に意見交換していきたいと思いますし、これまでもそこは私どもなりにコミュニケーションを図ってこの制度設計やってきているところでございます。これから政省令や基本指針などを作っていく過程において、中小企業を含め、幅広いステークホルダー、プレーヤーの皆様とのこのコミュニケーションというのを大切にしていきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/57
-
058・太田房江
○太田房江君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
最後に、今日、原子力規制委員会の更田委員長にも来ていただきました。
電力安定供給のための原子力発電再稼働についてお伺いをいたします。
電力の安定供給は経済安全保障の礎であります。昨今の原油価格高騰に加えて、ロシアのウクライナ侵攻により世界的にエネルギーの供給不安が広がる中で、火力発電の依存度が高い我が国の電力安定供給が揺らいでおります。
東京電力は三月に、火力発電所が停止したことを受けて、地震のときにです、初の電力需給逼迫警報を出しました。我々も驚きました。今後、ウクライナ情勢等によってエネルギーの需給逼迫が続くことになれば、今度は電気料金がどんどん上がっていくんではないかと、こういうことが国民の皆さんの懸念であろうかと思うわけです。
現下のこのエネルギー需給を、エネルギーをめぐる危機的な状況を乗り越えるためには、私は、現在稼働中の原発に加えて、停止中の、安全確保を優先しつつ、速やかな原発の再稼働というところに踏み切るべきであると考えております。
昨日もエネ庁から電力需給逼迫の状況についての報告がありました。今年の冬は大変な状況になるということが報告されておりますし、これを受けてでしょうか、総理も、原子力を含むあらゆる電源の最大限の活用を進めていかなくてはならないということを明言されるに至っています。
そこで、更田委員長にお伺いをしたいと思うんですけれども、現在進められている再稼働への審査や検査、これを加速していただくことはもちろんですけれども、来年の冬に間に合わせるということからいいますと、特定重大事故、あっ、今年の冬に間に合わせるということからいいますと、特定重大事故対処施設、いわゆる特重の設置期限を除外して、安全の確保された原発の再稼働を実現することが私は有効であると考えます。
再稼働を認可された時点で、段階で、世界最高水準の安全性は確保されていると私は理解しておりまして、この特重を除外することに関しては再稼働に大きな問題生じないのではないかと思いますけれども、委員長、お答えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/58
-
059・更田豊志
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
基準に適合している原子力発電所にとって、特定重大事故等対処施設なしでの運転が直ちに危険に結び付くものであるというふうには考えておりません。一方で、特定重大事故等対処施設を整備することによって安全性やテロへの備えが強化されることも事実です。そういった意味で、この継続的な改善というのは常に原子力の利用にとって最も重要なことの一つですので、この継続的な改善がなされるという上で、特定重大事故等対処施設、期限までに整備されることが重要だと思っています。
それから、規制に関わることであれば、これ、今先生の御質問の中では需給に係る御指摘がありましたけれども、規制に関わることであれば、政府内であるとか事業者、電力事業者であるとかのまず議論が始まると思います。その議論は規制に関わるものである限り、規制委員会はいつでもその議論に応じる考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/59
-
060・太田房江
○太田房江君 時間が参りましたので、ただいまの御答弁を受けて、更に次の機会に御質問をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/60
-
061・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我でございます。
本日は、経済安全保障推進法案、関連法案に関して、ごめんなさい、経済安全保障推進法案に関しまして、大臣にもお伺いをしていきたいというふうに思っております。
この法案、とにかく分かりづらいということで、国民の皆さんからは、実際、我々の企業のこの物資が果たして本当にこれに当たるのだろうかとか、我々のやっている研究がこれに当たるんだろうかとか、そういったかなり分かりづらいということで、新聞報道などでも、後でこれ時間があれば触れますけれども、毎日新聞が「経済安保「対策」は天下り?」ということで、大手企業に経産省の幹部OBが続々と天下っているなんというような、そんな問題も出てくるようでございまして、とにかく分かりやすく、国民の皆さんが具体例をもってこれを理解できるように私も質問に努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思っております。
本法案は、重要物資の安定的な供給の確保、そして基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、そして先端的な重要技術の開発支援、そして特許出願の非公開ということを柱とするものと理解しております。
その中でも最初の部分、重要物資の安定的な供給の確保ですけれども、供給が滞れば我々の国民生活や産業維持に重大な影響を及ぼす物資を特定重要物資としまして、供給網の強化体制を確保するために事業者が作成した計画を国が認定し支援をするというような内容だというふうに認識をしております。
特定重要物資の指定に関してお伺いをしたいというふうに思います。
必ずしもその指定の基準が明確でない上、指定されれば国による金融の支援の対象となります。つまり、ある企業、ある特定の企業数社を指定して支援をする、それが数社ですので、まあ独占とまではいかないんですけれども、寡占状態になってしまいまして、そうすると、他の中小企業や資本力のある企業であっても、その業界、新規参入をすることが妨げられるのではないかというふうに思うんですが、その辺り、大臣の所見をまずお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/61
-
062・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
サプライチェーンの強靱化に関する制度は、あくまで民間事業者の自発的な取組を前提としたものです。委員から、分かりやすく国民に対して説明をということなので、私もちょっと心掛けていきたいと思うんですけれども、国としてこのサプライチェーン強靱化のために取るべき施策の周知というのは当然行っていきますけれども、これあくまで規制ではなくて支援ですので、この供給確保計画の提出などを何か無理に強いるといったようなものではないということは、まず、中小企業の方とか、企業の方含めて多くの国民の皆さんに御理解いただきたいと思います。
具体的に、じゃ、何を指定するのかというところにつきましては、これ現時点で予断を持って言及することはできませんが、今後、有識者の意見を聞いた上で指定の具体的な考え方を基本指針として示し、予見性の確保を可能な限り図ってまいりたいと考えています。これ、あとは物資の重要性、あとは外部への依存度、これ実際に法案の中に四つ要件を書き込んでいるんですけれども、この指定の対象は真に必要な物資に絞り込んでいきたいと思っています。
ここはこれまでも衆議院の方の審議でも申し上げたんですけれども、イメージを持って御審議いただくために申し上げているのは、骨太の方針、去年の二〇二一において幾つかの例示がなされておりまして、国民の生存に不可欠な物資としては医薬品というものが挙げられております。国民生活、経済活動が依拠している物資として半導体、電池、重要鉱物、こうしたものが挙げられているんですけれども、これらのうち、代替性が小さくて、また幅広い利用などが想定されているものが該当し得ると考えております。
具体的にどういった物資を指定するかは、物資それぞれの重要性、また海外の依存状況を考慮しながら戦略的に判断してまいりたいと思いますし、また、こうした物資の指定に当たって、委員から御指摘あった新規参入、こうしたものが当然阻害されないように、そうしたことも含めてしっかりと制度設計をしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/62
-
063・石川大我
○石川大我君 衆議院の方の議論を見ますと、今御答弁ありましたように、レアアースを含む鉱物ですとか電池とか医薬品など、半導体など、少しずつ内容は明らかになっているところなんですが、自由な経済活動という意味では、本来企業間の自由な競争がありまして、例えば新しい製品だったりとか、その新しい製品の進化したものができてきたりとか、より良いものが世に出てくるというようなイメージがあるかと思うんですが、この今、大臣の答弁ですと、企業間の競争力の低下ですとか、より良いものを生み出していこうという、そういったような企業の努力がそがれるということではないという、この理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/63
-
064・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) そこはそういう御理解をいただければと思います。
仮に、その特定重要物資に何を指定するかというのは、今申し上げたとおり、具体的に予断を持って申し上げられないんですけれども、何かその特定重要物資が指定され、それに対して、じゃ、それをやりたいと、安定供給を確保したいという事業者が現れて認定するときに、当然その同業他社の方たちがいらっしゃる場合も考えられると。そういう点については、しっかりとその公正な競争環境が確保できるように図っていくことは当然だと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/64
-
065・石川大我
○石川大我君 さらに、ほかの懸念点も幾つかお伺いをしたいと思います。
企業への金融支援、国が指定する企業ということですが、例えば、そのときの時の大臣や現場の担当者などが恣意的に特定の企業を指定したり支援をすることがテクニック的には可能なシステムになっているのかなとも思えてしまうわけですけれども、国が特定の企業を指定することが新たな利権を生み出してしまうことにつながるようなことは決してあってはならないというふうに思うわけですけれども。
例えば、残念ながら、所管官庁と企業の間で利害関係が一致した場合など、様々な利権、口利きや天下りといったものが今まであったわけですけれども、この情報の不適当な提供、共有などを起こらせないためにはどのような対策があるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/65
-
066・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これは、特定重要物資の指定も含めまして、今後、基本指針、また政省令定めていくこととなります。それを定めていく過程で有識者の方々の意見というのは当然拝聴いたしますし、また、その政省令定めていく際には、この法案全体に通じてそうなんですけれども、パブリックコメントなどによってできる限り幅広い方々の意見を聴取していくということを考えています。
また、このサプライチェーン強靱化の項目に当たっては、いろんなプレーヤーが出てくるんですけれども、その中で、例えば、国家公務員が例えば企業の秘密という、企業のその経営上の秘密というものをやっぱり触れることというのはあり得ると思うんです。そうしたときには、通常のその国家公務員法上の守秘義務の規定より、罰則より重いそういう罰則を科すなどして、できる限りその公正な運用というものが担保できるように工夫しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/66
-
067・石川大我
○石川大我君 関連いたしまして、立憲民主党はさきの衆議院選挙の公約において、経済安全保障の観点から、先端技術産業の強化や保護、まさにサプライチェーンの強靱化を進めることを掲げました。そういう観点からも、経済安全保障の強化、非常にこれは重要であるとは思っております。
それと同時に、自由で開かれた経済活動、民間活力と経済成長、経済安全保障の実効性といった観点から、自由と規制、経済と安全保障のバランスに留意をする、これも極めて重要なことだというふうに思っております。
国民の安全の確保と自由かつ公正な経済活動の促進と、この両立の観点から、開かれた経済活動、特定の企業に対する国による規制というのは最小限にこれはとどめなければならないというふうに考えますけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/67
-
068・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員御指摘の点は非常に重要な点だと考えておりまして、そこは本当に共有させていただいております。これはあくまでその安全保障の確保というものが重要であって、それを、経済面からしっかりそこを確保していくということに重きはあるんですけれども、やはりこの民間の経済活動の自由というものは極めて重要なものでございますので、そこの例えば規制を掛ける場合にそれが無制限であっていいというのは当然ないわけであって、可能な限りそこの民間企業に対する規制、また負担、あるいはその事業の予見可能性ですね、そういうところに配慮してこの制度を設計をし、運用していくということは当然だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/68
-
069・石川大我
○石川大我君 衆議院の内閣委員会における本法案の採決では、事業者の自主性を尊重する旨の附帯決議がこれ付けられています、事業者の自主性を尊重すると。
政府としては、具体的にどのような形でこの事業者の自主性を尊重するということをお考えになっているでしょうか。それを担保するその方法などについても、あればお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/69
-
070・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これについては、法案の第五条、合理的なという言葉を使っておりますけれども、その前の質問でも申し上げたとおり、国会答弁でも申し上げますけれども、民間の事業者の方への負担というものを結果として必要最小限になるように努めていくということは、法案上そういう形で記載をしていると認識をしております。
また、なので、その規制については可能な限り負担を掛けないようにということですし、また、この四項目は全て規制というわけではなくて、冒頭申し上げたとおり、例えばサプライチェーンの強靱化については、例えば特定重要物資を国が指定して、特定の企業に対して、じゃ、あなたがやりなさいとか、そういうふうに指示をするものではないです。これはあくまで民間の方々の自主性を尊重する形で、特定重要物資に指定した場合にはそれを安定供給確保したいと、そういうふうに手を挙げてくださった方を認定する仕組みにしておりますので、そういう意味では、その法案全体に今委員が御指摘なさったような問題意識というものは通底しているというふうに捉えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/70
-
071・石川大我
○石川大我君 次に、ちょっと確認という意味合いも込めて質問させていただきます。
本法案における安全保障という言葉の意味です。
昨日の参議院本会議において岸田首相は、経済安全保障は多岐にわたる新しい課題であり、明確な定義はないというふうに答弁をされました。本会議場は大きなちょっと驚きの声が上がったというふうに思っておるところなんですが、明確な定義はないけれどサプライチェーンの強靱化に力を入れる、ちょっとなかなか明確な定義というのはどういうことなんだろうというふうに思うわけですけれども、本法案の目的規定では、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止することを目的とすると規定しています。
言葉、用語として、本法案において用いられる安全保障の定義について改めてお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/71
-
072・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
昨日の参議院本会議で総理が答弁していたのは、経済安全保障の定義とは一体何ぞやと問われて、我が国を含めて、国際的にも確立した定義はないというお答え、答えだったと思います。
そもそも、じゃ、経済安全保障って一体何なのかというところでございますけれども、やはり委員冒頭おっしゃったように、国民の皆様に私は分かりやすく伝えたいんです。その意味で、経済安全保障、この基本的な理念というかビジョンについて私が申し上げているのは、この経済安全保障というのは国益を経済面から確保していくものだということを一言申し上げています。
じゃ、その国益って一体何なのかという点ですけれども、これは現行の国家安全保障戦略にも幾つか国益が明示されています。一つは、中核的な国益だと思っていて、それは、国家の主権と独立、また国民の生命、身体、財産、これを守り抜くこと、これが中核的な国益だと思っています。二つ目は、経済的な繁栄を実現していくこと、三つ目は、基本的な価値に基づく国際秩序あるいはルール、これを維持、擁護していくことだというふうに捉えておりまして、こうした国益を経済面から確保していくこと、特に冒頭申し上げた一つ目の中核となる国益を確保していくこと、これが経済安全保障だという私の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/72
-
073・石川大我
○石川大我君 所管大臣は、各物資の生産、輸入、販売の事業を行う者に対して、その状況において調査を実施をすることができるということに、実施可というふうに書いてあるわけですけれども、この調査が実施可能ということですが、この調査というのは具体的にこれ何を指すんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/73
-
074・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これ、サプライチェーン調査ということですけれども、これは供給途絶リスクの評価などをする観点から重要な物資のサプライチェーンを把握するために行うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/74
-
075・石川大我
○石川大我君 この経済安全保障推進法案ですけれども、調査がやっぱりできるということで、例えば、事業者の状況ですよね。分かりやすく言い換えると、これは例えば、いわゆる企業秘密のようなものも教えてほしいというようなことで確認したいというようなこともこれ含まれてくるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/75
-
076・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これ、そもそもそのサプライチェーン調査というものなんですけど、これ恐らく一般で思われているよりもかなり複雑だと考え、サプライチェーンそのものですね、複雑だと考えていまして、その中で重要な物資の脆弱性を適切に把握するために、複雑なサプライチェーンを遡って、各段階で、対象に調査する必要が生じる可能性があります。
だからといって、じゃ、悉皆的に、網羅的に何かを調査をするわけではなくて、例えば公的な統計調査ですとか業界団体が実施する調査統計、またヒアリング、こうしたものを通じて、調査すべき物資、調査内容、調査対象事業者について絞り込んだ上で、必要に応じて調査票への回答を依頼することが考えられます。
そういう過程の中におきまして、今委員が御指摘された、その、場合によってその企業の営業秘密に当たるようなものに触れる可能性があるのかという御質問に対しては、その可能性は排除できないというふうに捉えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/76
-
077・石川大我
○石川大我君 繰り返しになりますけれども、この法案が自由で開かれた経済活動への過度な規制、締め付け、国家の介入につながらないのかと、そうであってはならないというふうに思うということでまずあります。そして、衆議院の内閣委員会でも、多くの委員会から、そういった声が上がったというふうに思っております。
規制の対象について大臣は、真に必要なものに絞っていくというふうに御発言をされてきましたけれども、国家の介入が企業の活動を萎縮させかねないということは指摘をしたいというふうに思いますし、そこは十分注意をしていただきたいというふうに思っております。
次に、この十四分野の基幹インフラについてお伺いをしたいというふうに思っております。
まず、この十四分野の基幹インフラについて、どのような基幹インフラ事業者が規制の対象になるのかについては、衆議院の議論を見ますと、例えば貨物自動車運送分野では、実車キロ数ですとか輸送した貨物の重量の合計を表す輸送トンという概念があるそうなんですが、輸送トン、そして全国に営業所を設置しているなどで特定社会基盤事業者に指定されると。そして、この特定社会基盤事業者が有するインフラ設備のうち、規制の対象となる特定重要設備、こういうところも少しずつ、言葉が非常に難しいわけですけれども、特定重要設備について、議論を見てみますと、航空分野ですと例えば飛行計画作成システムがこの特定重要設備に当たるんだと、貨物自動車運送分野では集配管理システムがこれに当たるんだと。何となく、私たちがふだんお世話になっている集配会社さんで全国網羅している会社、幾つか頭に浮かぶわけですよね。
そういった企業の中で、この集配管理システムというところが攻撃をされたり、そこが使い物にならなくなってしまうと、我々の生活に甚大な影響が及ぼす、荷物も動かなくなってしまうというのは理解ができて、ただ、まあ、地元で小さくお商売されているような運送会社さんなんかはこれ当たらないんじゃないかなということが何となく見えてくるわけですけれども。
まず初めに、この本法案で規定されている政省令で定める事業者を指定するための基準というのはどうやってつくるのか、そこをまず最初に押さえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/77
-
078・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、この基幹インフラに関する制度につきましては、今委員から御指摘いただいたように、国家また国民の安全に与える影響に鑑みまして、規制対象を真に必要なものに限定することが重要だと考えています。
今、事業者の指定のその主務省令の前に、具体的には、まず閣議決定する基本指針というものがございますが、ここにおきまして、現時点では、例えば事業者の指定に関する基本的考え方として、事業規模やあるいはその代替可能性などを考慮要素とすること、また省令の制定に当たって事業者を含む関係者の意見を幅広く聴取することなどを定めることを想定しております。
その上で、今委員から御質問のございました、じゃ、どういう事業者を指定していくのかという点につきましては、この今申し上げた基本指針、閣議決定する基本指針の内容を踏まえまして、主務省令で個別事業分野の特性等に応じた具体的な基準を定めると、そういう段取りになっているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/78
-
079・石川大我
○石川大我君 法施行後に個別事業分野の特性に応じて具体的な指定基準を定めるということが想定されているということなんですけれども、やはり、ちょっとこれ、一般論じゃなくて、先ほどの航空事業や貨物自動車運送のように、事前にどのような基準を想定されているのかということが分からないと事業者の皆さんも困ってしまうんじゃないかなと思うんですけれども、確定的には言えないということだと思いますが、想定されるものを是非お示しをいただきたいというふうに思っています。
例えば、電気事業に関してはどのような事業者、設備が指定、規制をされる可能性があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/79
-
080・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
特定社会基盤事業者の指定基準、そして特定重要設備につきましては、委員御理解いただいているように、今後、基本指針や主務省令によって具体的な内容を定めることになりますので、現時点で確たるお答えすることは困難であることは冒頭申し上げさせていただきます。
その上で、じゃ、それだとイメージが湧かないじゃないかということだと思います。仮にその基本指針で事業規模や代替可能性などを指定の考え方として定めると仮定した場合に、今委員から例示としてございました電気事業における事業者の指定につきましては、例えば、全国に十社存在する一般送配電事業者は基本的に対象としつつ、発電事業者につきましてはその保有する発電設備の発電容量といった指標を定めることが考え得るところです。
また、電気事業の設備、設備ですね、今度は事業者ではなく設備につきましては、例えば一般送配電事業に用いられる需給制御システムですとかあるいは系統制御システム、こうしたものが一般的には役務を安定的に提供する上で重要であると承知をしておりまして、こうした重要な設備の中から主務省令でいわゆるその対象設備を定めることになろうかと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/80
-
081・石川大我
○石川大我君 発電事業者についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/81
-
082・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
今ちょっと繰り返しになってしまいますけれども、一般送配電事業者というのは、今申し上げたとおり、全国に十社存在するのを基本的に対象とし得るのではないかということを申し上げまして、発電事業者についてですけれども、その保有する発電設備の発電容量などの指標を定めることが考え得るのではないかと現時点で想定しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/82
-
083・石川大我
○石川大我君 発電事業者に関しましても、発電容量のキロワットを考慮してということなんだというふうに思っております。
鉄道事業者なんですけれども、報道によれば、JR各社は該当、報道によれば、JR各社は該当し、地方の私鉄は入らないだろうという報道もありました。実際にはどのような基準で判断されるのでしょうか。
また、空港事業ですね、どのような基準が用いられることが想定されていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/83
-
084・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
現時点で確たることを申し上げられないということは先ほど申し上げたとおりですけれども、その上で申し上げますと、まず、今委員からは事業者の指定のみについて御質問ありましたが、分かりやすく説明させていただきたいので、それに加えまして設備の話も併せてお答えさせていただきますが、例えば鉄道につきましては、この旅客の輸送量を表す輸送人キロや、他の事業者、交通手段による代替可能性といった観点から指標を定めることが考え得ると思います。
一方、その空港についてでございますけれども、これについては、利用する旅客数ですとか、あるいは空港間の代替可能性、こうした観点から指標を定めることが考え得るのではないかというふうに今考えております。
また、この事業者の指定の基準に加えまして、その事業者の設備についてですけれども、例えば鉄道分野につきましては列車運行管理システム、空港につきましては航空灯火システム、こうしたものがそれぞれの特定重要設備に該当し得るのではないかと想定しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/84
-
085・石川大我
○石川大我君 いろいろとお答えいただいておるので、次から次へと行きたいんですけれども、余り、時間の関係もありますし、全部というわけにはいきませんので。
最後に、金融事業に関しては、衆議院では、地方銀行、信用金庫、農業協同組合、漁業協同組合は事業主体は本法案に規定する事業に該当するんだと。その上で、具体的にどのような事業者が規定対象となるかというと、役務の安定的な提供に支障が生じて、それによって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいものに限定するための指定基準を重要分野ごとに主務省令で定め、基準に該当する者を指定するという答弁がありましたが、どのような業者が特定社会基盤事業者の指定をされるこれ可能性があるのかということも、そしてまたどの設備が規制の対象となるかも、これで最後にしますけれども、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/85
-
086・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
金融については、法案を見て、御覧いただければ分かるとおり、結構いろいろな事業が列挙されておりまして、例えば、分かりやすい例でちょっと申し上げますと、銀行業につきましては、その銀行の預金残高といった指標を定めることが考え得るところです。
また、じゃ、そういう銀行業の中でのその設備の話につきましても併せてお答え申し上げますと、例えば内国為替システム、この内国為替システムというのは他の金融機関への送金など、国内における為替取引を行うシステムなんですけれども、例えばその内国為替システムなどが一般的に役務を安定的に提供する上で重要であると承知をしておりまして、こうした重要な設備の中から主務省令で対象設備を定めることとなります。
ただ、繰り返しになるんですが、具体的に、じゃ、事業者どこなのかという点につきましては、大変恐縮ですけれども、今後、基本指針や主務省令によって具体的な内容を定めていくことになりますので、現時点において確たるお答えをすることは困難であることを御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/86
-
087・石川大我
○石川大我君 是非、ほかの分野に関しましても具体例を出すなど、できるだけ分かりやすい御説明をお願いをしたいというふうに思っております。
次ですけれども、特許の出願における非公開制度、弁理士さんが携われる範囲について、先ほども少しお話がありましたけれども、お聞かせいただければというふうに思っています。
特許出願の非公開に関する制度について特許の届出業務などを扱う弁理士さんたちのグループと少しお話をさせていただいたんですが、大変困惑をしていらっしゃいました。内容が不明確で、何が対象になるのか、どこまで自分たちの仕事の範囲になるのかとか、事前に予備的な審査をしてもらえるような相談窓口ができないのかなどなど、困惑の声が寄せられています。
まず、該当する特許の範囲が示されているわけですけれども、実際どのぐらい、種類とか数とか、そういったもの少し出ているわけですけれども、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/87
-
088・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、この保全審査の対象となる技術分野につきましては、政令において、これ六十六条一項に書いてあるんですが、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明が含まれ得る技術の分野を、これIPC分類といいまして、世界共通の分類である国際特許分類というのがあるんですけれども、この中から抽出する形で定めることとします。
この政令の具体的な内容については、この法案上、まず有識者の意見を聞いて定める基本指針においてその基本的な事項を定めるというプロセスを経た上で決めることとしておりますので、現時点で個別の技術分野を具体的にお示しするのは難しいんですけれども、有識者会議の提言では、公になれば我が国の安全保障が著しく損なわれるおそれがある発明、あるいは安全保障上の機微性が極めて高いものと述べられているところです。すなわち、例えば武器などに用いられる、用いられ得る技術をすべからく保全審査の対象に取り組んでいくということではなくて、今申し上げたその提言にあるように、公になれば我が国の安全保障が著しく損なわれるおそれがある発明が含まれ得る技術分野というのに限定していくことになろうかと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/88
-
089・石川大我
○石川大我君 今御説明がありましたけれども、公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいとか、発明が含まれ得る技術分野ということで、なかなか分かるような分からないようなという感じだと思いますけれども、例えば、具体例を挙げていまして、核技術、先進武器技術等の中からといったようなキーワードも出てきていますけれども、この等、などの範囲というのは、この辺りはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/89
-
090・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
等についての御質問かと存じますけれども、それは代表例としましてお示ししてございます核技術あるいは先進武器技術と同等程度の機微性を有するものということで、具体的には、先ほど来大臣御説明させていただきましたけれども、法定する手続に従いまして適切に判断をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/90
-
091・石川大我
○石川大我君 先ほど、今、国際特許分類、IPCに基づき行うというようなお話がありまして、これを政令で例示するんだというお話なんですが、私もこの国際特許分類というのが分からなかったものですから調べましたところ、とても細かいんですよね。AからHまでのセクションがありまして、生活必需品、化学、繊維、紙、武器というのもあったり、物理学とか、様々あるわけです。そのAからHのセクションの中でも、Aの01CとかAの45Bとかって分かれているわけです。
武器というのを見てみたんですが、なかなかよく分からないものですから、ちょっと分かりやすくすると、服に付いているこのボタンですね、このボタンを例に挙げますと、ただボタンというのがあるだけじゃなくて、このボタンでも、外から縫っている糸が見えるものと見えないものはまた別だったりとか、布でくるまっているボタンはまた別だったりとか、そのボタンにちょっと台座みたいなのが付いているものはまた別だったりとか、もうボタンだけでかなり細かく分かれているなというふうに思ったわけです。
そういった意味でこれどの辺りまで、例えばこれAからHの一番大きな枠組みの中だけで指定するのか、それとも比較的細かいところまで指定していくのかという辺りはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/91
-
092・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、先ほど申し上げたとおり、この特許の非公開制度の具体的な立て付けにつきましては、詳細の立て付けは、今後有識者の意見を聞いて定めることとなる基本指針の内容にも関わってくることですので、現時点で予断を持ってお示しすることは困難であることは御理解いただきたいと思います。
その上で、今委員から具体的なこの分類のAの幾つというようなお話が出ましたので、私からもあえて一例を申し上げたいと思いますけれども、その国際特許分類のうちF41というカテゴリーがあります。これが武器なんですよ。このF41という結構大きなカテゴリーなんですけど、これは武器ということになっておりまして、ただ、この最も、何ですかね、このカテゴリー、メーンクラスのカテゴリーですけれども、これは更に七つのサブカテゴリーに分かれているんです。さらに、それより下層でより細かく分類されているんです。
この場合、例えば今言ったそのメーンクラスのF41に該当する出願全てを例えば対象にしたとします。そうすると何が起こるかというと、吹き矢、吹き矢ですね、吹き矢とか防御のヘルメット、こうしたものも、こうした技術までその保全審査の対象に取り込まれてしまいますので、実際には、このF41という形だけでざっくりとやるのではなくて、その下層に当たる国際特許分類の中から安全保障上機微な技術が含まれ得るより詳細な分類を抽出して対象を絞り込んでいく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/92
-
093・石川大我
○石川大我君 少しずつ分かってきたところですけれども、その中で、①国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるような程度、②発明を非公開とした場合に産業の発達に及ぼす影響の観点を踏まえて絞り込み、保全審査ですね、第二次審査ですけれども、するかどうか、どのぐらいのということなんですけれども、これどのぐらいの特許が今までこれに当たるんだろうかと。
過去、出願された特許の中で、核技術、先端武器技術等に該当するであろう特許出願、これ今までどのぐらいあったかというのをこれ参考までに教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/93
-
094・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
少なくとも、過去、出願公開が安全保障の観点から公に問題視されたケースといたしましては、新聞報道でございますけれども、二〇〇四年にIAEAが他国の極秘ウラン濃縮実験施設を査察いたしました際に、日本で開発されたレーザーウラン濃縮技術の特許に関する資料が発見されたと報じられた件がございます。
もっとも、これ、当時この制度があればこの報道のような発明が保全指定の対象となったかという点を含めまして、過去の出願公開の中にこの発明でいうところの国家及び国民の安全を損なうおそれが大きい発明があったかどうかという点につきましては、その時々の内外の技術水準などにも関わることでございます。
加えまして、そのような我が国にとって極めて機微な発明の有無を明らかにすること自体が安全保障上の観点から必ずしも適切ではないと考えられるため、お答えは差し控えさせていただきたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/94
-
095・石川大我
○石川大我君 確かに、こういった発明がどのぐらいあるのかということでその国の、何というんでしょう、国力といいますか技術力といいますか、そういったものが分かってしまうというのは理解はできるところではあるんですけれども。
じゃ、それが、弁理士の皆さん、どのぐらいあるのか。それが、例えば一年間に数件とか数年に一件、二件の話なのか、それとも年五件、十件なのか、あるいは年間百件、二百件という形で頻発するものなのか、その辺りの感覚というのはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/95
-
096・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
保全指定の対象となる発明というのは、公になれば国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明、すなわち、有識者会議のその表現を使わせていただきますと、我が国の安全保障が著しく損なわれるおそれがある発明、これに限定することとなる上に、保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響を考慮して更に絞り込みを掛けていくということになります。
したがって、今、まだ法案が通っていない段階で、いや、何件になりますということは私の立場から申し上げることはちょっと難しいんですけれども、委員からの今の御質問で、分かりやすくという意味でお答えさせていただくと、あえて申し上げれば、今委員がおっしゃったような年間百件とかあるいは千件とか、そういったボリュームになることは想定し難いのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/96
-
097・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。
保全対象の発明に指定が行われますと、指定の効果として制限が加えられると。そうなるともう補償をするということになるわけですけれども、この補償の範囲、通常生ずべき損失というふうに言われていますが、あるいは相当因果関係というようなことも言われておりますが、この辺り少し詳しく教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/97
-
098・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
まず、概念としては、今委員おっしゃったとおりで、通常生ずべき損失を補償することとしています、相当因果関係ということで。
この補償金額につきましては当然ケース・バイ・ケースでございますので、この法律上、金額的な例えば上限みたいなものは定めておりませんが、特許出願人からの請求におきましてその主張する損失額の提示を受けた上で、この出願人とよくコミュニケーションを取って、また専門家の意見も聞いた上で、客観性を持って妥当な金額というものを認定していく、そういうプロセスになります。
この損失額というのは、どのような発明をそもそも非公開の対象とするのかという点などによって異なってまいりますが、そもそもその民生分野の産業や市場に広く、幅広く展開されて、そして発展していくような発明の実施などを制限した場合には、当然その額というものは大きくなっていくんだろうと考えます。
ただ、そうした発明の開示や利用というものを制限すること自体が、冒頭、委員からいろいろな意味で両立という言葉が出てきましたけれども、我が国の経済やイノベーションに大きな支障を及ぼしかねないと考えておりますので、そうした発明まで非公開の対象とすることにはそもそも慎重でなければならないと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/98
-
099・石川大我
○石川大我君 だんだん分かってきたわけですけれども。
つまり、まだ世に出ていない特許がどのような利益を生むかというのは、これちょっと未知数なんじゃないかなというふうに思うんですね。非常に分かりやすく言うと、例えば百坪の畑に大根を植えましたと、だけどその百坪の畑が使えなくなりましたということであれば、大体、過去の事例から、百坪の畑に大根が何本植わって、それが出荷されて幾らぐらいで売れてというのは大体分かると思うんですけれども、まだ世に出ていない特許というものがどのぐらいのお金に換算されるのかというのがいまいちよく分からないなと思うんですね。
それで、ちょっと極端な例かもしれないんですけれども、例えばUFOを考えたときに、ちょっと極端ですけれども、空中に静かに浮かんでいて、地上にいる人間に光が当たってすうっと吸い込まれていくような、UFO、いわゆる一般的なUFOのイメージありますよね、そのUFOが瞬時に遠くに移動すると。いわゆる私たちが知っているUFOのイメージなんですけれども、その中で、例えば、この瞬時に場所を移動できる技術が、まあ仮にです、我々の技術で発明をされたとして、これは使ったら物すごい効果があるわけです。今までの我々の生活が一変するぐらいな技術なわけですけれども、これはもう確実に秘密特許になると思うんですが、これを、じゃ、幾らなのかと算定すると、これ百億でも千億でも、下手したら一兆円でも安いんじゃないかというようなことになると、これ際限なくなってしまうんじゃないかなと思うんですが、その辺り、一瞬途方もない感じの議論かもしれませんが、そういう途方もない技術が発明された場合というのは、これどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/99
-
100・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 実はこの特許の非公開制度のところというのは、今委員が出されたUFOの話を含めて、いろんな話が結構できたりして、想像を結構かき立てるようなところもあるんですけれども、これ現実的な制度設計をしていくので、ちょっと、仮定の話に基づいてちょっとお答えすることは控えたいと思いますけれども、まず、その損失というのは、委員が御指摘いただいたとおり、一般に相当因果関係の範囲内にあるものなんです。その上で、そもそもそのUFOのその瞬間的にこういう技術が安全保障上は多分重要なんでしょう、分からないですけど、ちょっとあえてその土俵に乗るとですね。
ただ、それが本当に産業の発展とかの関係で実際どうなるのかというところはこれからちょっと決めていくことになるので、ちょっとその例については申し上げませんけれども、この特許の非公開制度を設けていく上で、最もその補償が生じるという立場に、観点に立って典型的なケースというのは、その発明の実施の許可を与えずに、製品の製造ですとかあるいは販売ができなくなるケースが想定されます。それは、結構ある程度客観的にその損失を把握できると思いますし、また、例えば、第三者が同じ発明をして実施したんだけれども、その特許権が留保されているので実施許諾料相当額を請求できないことによる、請求できない場合があると思います。こうした場合についても、そうした損失というのはある程度客観的に金額というのを算出できるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/100
-
101・石川大我
○石川大我君 省庁の皆さんと少しお話を実はさせていただいたんですが、そもそも、そういったUFOの技術みたいなものが開発された場合にはそもそも特許を取らないんじゃないかと、秘密にしておきたいからということでですね、そんなお話もありましたということはちょっと御紹介をさせていただいて。
上限ですけれども、先ほど上限は決めないということですけれども、それは相当因果関係ですとか、何でしたっけ、ごめんなさい、通常生ずべき損失ですね、そういったところで賄っていくということだと思います。
時間もちょっとなくなってきましたので少し進めさせていただきたいと思いますが、先ほどの弁理士さんの問題です。
弁理士さんの関与できる範囲について、先ほど太田委員とのお話の中でもあったかと思いますけれども、手続に関する書類作成業務は行えないが、相談業務に関与することは可能と考えるというような御答弁が衆議院でもあったところだと思います。
ただ、申請の相手先がこれ弁理士さんの場合ですと弁理士法で定めている範囲内ということで、残念ながら相手先が総理大臣になると弁理士さんの業務の範囲外ということになってしまって、弁護士さんを例えば呼んでくるとか行政書士さんを呼んできて、合同でチームをつくらなきゃならないんじゃないかというようなことが御懸念としてありました。
ただ、それは、やっぱり弁理士さんというのは、この発明、一から最後まで、十まで伴走してやっていくので、途中の段階で弁護士さんや行政書士さんなどほかの方が入ってくると、そこの部分だけやってもらうというのはなかなか難しくて、結局一から全部理解してもらわなきゃいけないということで手続的にも費用的にも大変だというようなお話があったわけですが、この辺りいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/101
-
102・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 総理が関わってくる、例えば保全審査において特許出願人が行う手続としましては、この法案上は発明に関する資料の提出、そして説明、また特許出願を維持する場合の書類の提出などが予定されているんですけれども、いずれも正直、複雑な書類の作成などを要するものではないんです。
なので、その発明の内容やその事業化の予定、また発明の管理状況などについて把握、そもそもそれを把握している特許出願人が代理人を立てずに自ら手続を行うことが可能であると考えられるんですけれども、委員御案内のとおり、弁理士は、弁護士の専権事項を規定する弁護士法ですとかあるいは行政書士法といった他法令に抵触しない限り、弁理士法に規定される業務以外であっても関与が禁止されるものではないと。特許出願人は、必要があれば特許出願を依頼した弁理士に引き続き助言などの関与を求め、弁理士はこれに応ずることが可能だと考えています。
また、当然、その保全審査中に特許出願を取り下げる場合ですけれども、この出願の取下げそのものは特許庁において行う手続でございますから、弁理士の方々の専権業務として弁理士に代理させることができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/102
-
103・石川大我
○石川大我君 確認ですけれども、今の大臣の御答弁ですと、つまり弁理士さんは通常弁理士さんの関われる業務の中で書類作成などをしていただくと。ただ、これが保全審査、保全指定のための保全審査の方に進んでいくと内閣総理大臣相手になるので弁理士さんが書類を作成することはできないんだけれども、でも書類を提出することができるのは何も弁理士さんだけではなくて出願者本人がこれできるわけですから、この出願者本人にしていただくと。だけど、それが難しいんじゃないかという御不安に関しては、発明者本人ですから、その本人の方がしっかり理解し、当然理解をしているわけですから、その理解に基づいて書類を書いていけば、弁理士さんに相談をしつつということで書いていけば、特に弁護士さんや行政書士さんなどの手を煩わせなくても、これは要するにこの両者が伴走して、つまり、出願人とあと弁理士さんが伴走して二者でやっていけばこれは最後まできちんとできるんだよという、そういった理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/103
-
104・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今申し上げたとおり、他法令に、ほかの法令に抵触しない限りにおいて、必要があれば特許出願人はこの特許出願を依頼した弁理士の方に引き続き助言などの関与を求め、弁理士の方はこれに応ずることが可能だと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/104
-
105・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。その確認ができたというふうに理解をさせていただきました。
時間が参りましたので、これで私の質疑は終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/105
-
106・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時十八分休憩
─────・─────
午後一時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/106
-
107・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、倉林明子君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/107
-
108・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 休憩前に引き続き、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/108
-
109・江崎孝
○江崎孝君 こんにちは。立憲民主党の江崎でございます。
初めて小林大臣に質問をさせていただきます。
まず、本法案は、午前中、大臣も経済安保推進法案と、正式な法案じゃなくてね、経済安保推進法案と呼ばれていましたけれども、なぜこの法案が一般的に、まあ大臣も使われていますけれども、経済安保推進法案というふうに呼ばれているとお考えになっていますでしょうか。まず、そこから話を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/109
-
110・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この法案の正式な名称は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案でございまして、その経済と安全保障と推進という言葉を、まあかなり法案の名前自体長いものですから、そこを取って経済安全保障推進法案というふうに略称として便宜上呼ばせていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/110
-
111・江崎孝
○江崎孝君 昨年十月四日に岸田総理が小林経済安全保障担当大臣を任命されたときの、されて、その後の国会で所信表明演説をされているんですけれども、そこでは、我が国の経済安全保障を推進するための法案策定を表明したと、こういうふうに言われていまして、今大臣は経済と安全保障と推進を略語でというふうに言われましたけど、略語の経済安全保障推進法案と、いわゆる一般的に我々が考えている、あるいは国民の皆さんが考えている経済安全保障推進法案というのが、ひょっとしたら、じゃ、今の考え方だったらギャップがあるかもしれないなと思って。ただの略語でいいんですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/111
-
112・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案の位置付けとも関わってくると思うんですけれども、私が、その経済安全保障、午前中もその考え方を問われた際に、一言で申し上げますと、国益を経済面から確保していくということで、国益幾つか挙げさせていただきましたけれども、そういうふうな、経済安全保障自体はかなり幅の広い概念だというふうに私は思っています。
したがって、今回のこの法案、これは取り急ぎ、これまでに洗い出してきた脆弱性のうち、法整備が必要な喫緊の課題のうち分野横断的なものということで四項目、まずは急がなきゃいけないということで今回手当てをさせていただきたいと思っています。この四つを少なくとも一体的に講ずるということでございまして、この法案自体は非常に重要な第一歩だと思っておりますけれども、先生の御質問にお答えするとすれば、経済安全保障自体はより広い概念だと思っておりますので、この法案がその経済安全保障の全てではないというふうに理解しているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/112
-
113・江崎孝
○江崎孝君 済みません、通告していないやり取りで。多分、この言葉の、何というか、やり取りだから、多分大臣答えていただけるものだろうと思って、ちょっと質問させてもらいますけどね。
取り急ぎという今表現もあった。そして、取り急ぎの四項目、そして経済安全保障というのはもっと大きなものだということをおっしゃったので、じゃ、そのもっと大きなものというのはどういうことなんでしょうか。ちょっとそれ説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/113
-
114・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) なので、午前中の答弁の若干繰り返しになるかもしれませんが、その国益を経済面から確保することということで国益三つ挙げさせていただきまして、一つが、本当に中核的な国益だと思いますが、国家の主権、独立、国民の生命、身体、財産を守り抜くこと、二つ目が、経済的な繁栄を実現していくこと、三つ目が、基本的な価値に基づく国際秩序を維持、擁護していくこと、こうしたものを、こうした国益を経済面から確保していくことというふうに捉えております。
それと、あと、その法案との関係で申し上げますと、経済安全保障というのは法整備を要するものだけではないと考えておりまして、例えばもう既に整備される外為法の中の運用などの改善によって、例えば技術流出の防止につきましては、私が大臣に就任した昨年の十月四日以降も、先ほど質疑に出てきた研究インテグリティーの強化ですとか外為法上のみなし輸出の管理強化、こうしたものをもう既に随時対応させていただいておりまして、そういう意味で、この法案すごい重要なんですけれども、経済安全保障、一般的な経済安全保障はより広く捉えるべきではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/114
-
115・江崎孝
○江崎孝君 大臣の思い、よく分かりました。
衆議院からの質疑も全部読ませていただいて、経済安全保障という概念が結構大きくて、まだ日本にもそういう概念で整理されたものは僕はないと思っていますけれども、それの中の一部分をある面では切り出してきているという、取り急ぎですね、なぜ取り急がれたというのは後で質問させてもらいますけれども。
そうなると、この法案は、やはり大臣が言われる経済安全保障推進法案であるけれども、じゃ、定義まで、あるいは今考えていらっしゃる、経済安全保障という大臣が考えていらっしゃるもっと大きな枠組みについては、取り急ぎ四項目を取り出しでやったものだからここには必要ない。あるいは、いわゆる経済安全推進法案というふうにみんなが思っていて、国民も思っているのだから、今回はその経済安全保障の中の四項目を取り急ぎ抜き出して決めたのだから、今、衆議院からずっと議論されている定義であったり、あるいはよく言われますね、セキュリティークリアランスだったりエコノミック・ステートはどうだというような、大学の先生たちがこの法案が明確になる前にやっぱりいろんな意味で議論されてきたというふうに思うんですね。
そういう意味で、学術的にも、事業者の皆さんもあるいは国民の皆さんもその経済安保、経済安保推進というのがどういうことかというのはやっぱりまだ分からないし、政府の立ち位置が。とすると、その意味で、経済安全保障、この法案に経済安保の定義等々を入れなかったとするならば、これからですよ、これからこの法案は除いたところで、経済安保推進に関する定義ですとか、あるいは今まで、さっき大臣が言われた外為法の問題も含めて、様々な問題の経済安保の大まかな図柄というのはどこかで明確にされるという考え方でよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/115
-
116・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この国会で定義について、特に衆議院の方で何度か論点になりましたけれども、この定義の話、別にその定義というものがそもそもどう定義されるかという話もあると思うんですけど、私自身は、国民の皆様にできる限り分かりやすくお伝えしたいと思って先ほど委員に申し上げたようなことをお伝えしたわけです。
まず、この法案との兼ね合いでいうと、先ほどこの法案の位置付け、経済安全保障、広い意味での概念の、おけるこの法案の位置付けというのは申し上げたとおりです。これ自体は、その四つの制度整備を今回行うということで、法律上、特段、経済安全保障の定義を要するものではないというふうに考えています。
ただ、じゃ、この四項目、これだけでいいかというと、先生も今お手元にこれ、読み込んでいただいていると思うんですけど、この百二十ページに附則の第四条ということがあって、施行後三年をめどとして、要すれば検討条項というものを入れさせていただいています。これ、御審議いただいて仮に成立することができれば、当然速やかに実効的な運用を開始していきたいと思っていて、その中で、やはりその改善の余地ですとか、あるいはさらに、今、別途各省の局長クラスの方たちに集まっていただいて、我が国の基幹産業、主要産業の脆弱性点検、強みの把握も含めて、もう既に開始をしています。そういう中で新たな課題が出てくれば、で、その中でやっぱり法的な整備が必要であれば、それはやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
また、この経済安全保障そのものの大きな考え方、この定義がどうか否かというのは別として、まさに私が重要だと考えておりますのは、岸田総理が既に発言されていますけれども、新しい国家安全保障戦略、ほかの防衛大綱と中期防も合わせて三文書ですけれども、これを新しく策定していくと言っています。この新たな国家安保戦略を策定していく過程において経済安全保障をどう位置付けていくのか、これは極めて重要な議論だと思っておりまして、私も経済安全保障を担当する大臣としてこの議論には積極的に参画していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/116
-
117・江崎孝
○江崎孝君 それはあくまでも政府内の議論だということだと思うんですね。だから、この経済安全保障あるいは国家安全保障戦略が広く、国会の中で議論をするということももちろんあり得るでしょうし、立法府の中で議論をする、各委員会で議論するというのは非常に重要なことだと私は思うんですけれども、それは一つの手段の問題なんだけれども。
今、大臣おっしゃって少し安心したんですけれども、つまり、今回の法案で書き込まれなかった、大臣がおっしゃっている経済安全保障に関するもっと大きなグローバルな話、様々な課題について、後でお話ししますけれども、それを国家安全保障戦略の中に書き込んでいきたいんだという思いをはっきりいただいたということで、そういう意味での国家安全保障戦略になっていくんだなという意味合いを私受け取ったので、ちょっと安心をしたんですけどね。
なぜこういうことか言うと、これ自民党の皆さん怒るかもしれませんが、我々は痛い経験がございまして、安倍政権のときに、実は集団的自衛権の行使を閣議決定でされたという苦い経験がございまして、これは、我々は、本来だったら集団的自衛権の行使については憲法議論も含めてちゃんとやって、国会内で議論しっかりしてやるべきじゃないかというふうに思っていたんですけれども、それが政府内でがっと数の力でやられてしまったので、まさかそういうことは、こういう非常に重要な安全保障、経済の安全保障という考え方をまさかそういうやり方ではやらないんだろうなと僕は思っていましたので、ちょっと安心をさせていただきました。
じゃ、質疑を進めます。
そういう意味で、定義も何もないというのはよく分かりました。ただ、残念ながらですね、残念ながら、何回も言われるとおり、この例えば特定重要物資ですけれども、これが政令や省令という下位法令に、百八か所ぐらい、いっぱいそっちの方に任せられているわけですね。これだと、その経済安全保障の大きな定義は別にしても、じゃ、その基本方針ですとか基本指針ですとか、そこに何を書き込んでいくかというのは法文上は全く分からない、ある程度のことしか。ただ、どういう書き方を考えているかというのは、大臣の回答の中で我々は類推をしていくということしかできないわけですね。我々が類推するということは、広く事業者の皆さんも、国民の皆さんも、質疑の中からそれをある程度こういうものだろうということを理解をしていくしかないわけですよね。
だから、それを裏を返せば、いや、これ恣意的にいろんな意味で拡大されていくんじゃないかと、だって権力側にいらっしゃるわけですから、大臣も含めて、それは。国家という意味合いで、いろんな意味で拡大解釈されて、国民、事業者の自由な経済活動を奪ったりしないだろうかという、そういう危機感があるので、やはり会議録にちゃんと残していくということ、この間ずっと我々の仲間も衆議院で議論してきましたけれども、非常に重要なことだと思いますので、そういう意味で質問を続けていきますが。
そこで、まず大臣の基本的な考え方なんですけれども、私は、この法案を政府の皆さんとヒアリングをしていくときに何を一番感じたかというと、法案を作っている若い官僚の皆さんたちが極めて抑制的に条文を書いていたんだなというのを実は感じたんですよ。それは正直言って、衝撃とは言いませんけれども、ちょっと期待をいい意味で裏切られた感覚がしたんですね。つまり、僕の言葉で言うと、安全保障と自由な経済活動という中で、その安全保障という眼鏡から、眼鏡というかな、レンズから経済活動を俯瞰して見て、なるべく経済活動の、自由な経済活動を抑制的に、あっ、定義が逆、抑制させないんですね、自由な経済活動を抑制することがないようにという思いで私は書かれているなというのをヒアリングを受ける中で思ったんですが、大臣もそんな思いでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/117
-
118・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) その思いは共有させていただいています。
先生お手元のこの法条文案を作るに至って、その若い官僚の皆さんも含めて、閣議決定が二月の下旬でしたが、そこに至るまで、毎日本当に条文が変わっていくような、私も含めてかんかんがくがく議論してきまして、その中で一つ重要なポイントが、まさに委員が今おっしゃった、抑制的というか、先ほど来議論に出ている安全保障の確保と経済活動の自由というものをどう両立させていくのかということだったんです。
これは、当然、国家の主権、独立、国民の生命、身体、財産を守ること、これは中核的な国益だと先ほど申し上げた、これは本当に重要だと思います。ただ、二つ目の国益として経済的な繁栄ということも、この経済力というのは国力の根幹の一つであって、やっぱりこれなくして日本の未来ないというふうに思っておりますから、そういう意味で、そこのバランスをどう取っていくのかというところで政府の中で様々な議論をさせていただいたというのは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/118
-
119・江崎孝
○江崎孝君 そこがやっぱり皆さんが安心するところだと思うんですね。今言っているように、政令、省令に落とし込まれている分、どういう立ち位置で、考え方でこれから法案を作って省政令に落とし込んでいくかというのが、今言った、あくまでも安全保障というレンズから見て自由な経済活動を抑制させないという意味ですよ。決して経済活動から見て安全保障を見るんじゃないわけですよね。これは大きく違うと思うんですよ。そこが、僕はこれがちょっと疑問なので議論させていただきますけれども、是非是非その思いを共有化させていただきたいと思います。
そこで、もう一つ、よく自律的と不可欠的、戦略性のもので言われます。これ、村山参考人が衆議院の中で、日本は、これ憲法がありますから軍事力を極めて制限しているんですよね、制限している国だから、そういう通商国家だと、軍事力を制限した通商国家であると、だから、他国が軍事力で考えることも経済力、技術力で何ができるかを考えていかなければならない、こういうふうに言われていて、私はそうだと思います。日本はやっぱり通商国家なんですよ。そうすると、同じように、村山参考人は、経済安保は戦略的自律性と戦略的不可欠性と二つあるんだけど、重要視するのはやっぱり不可欠性なんだと。つまり、日本という国は、様々な国の中で日本という不可欠性の国があるからこそ安全が成り立っている、経済が成り立っている、多分そういう意味だと僕は理解をしているんですね。
さっき言ったように、日本国憲法がある、極めて非軍事に力を入れた日本という通商国家が今までも生きてきた、で、頑張って経済大国になった。その理屈はやっぱり不可欠性だったはずなので、これ、大臣、そこ聞きたいんですけど、大臣は、この自律性と不可欠性と、僕が今説明した部分、大臣はどちらがより重要視すべきだとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/119
-
120・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 結論から申し上げますと、両方大切です。委員御指摘の今、不可欠性、これ私の中で簡単に言うと、強みの方の、日本の強みなんですけれども、この強みを把握して、あるいは獲得をして、それを戦略的、日本がいないと世界がなかなか成り立たないという必要とされる分野を戦略的に拡大していく。これは、優位性、不可欠性を獲得するということは非常に重要な話だと思っていますが、一方で、今回、例えばコロナ禍において何が生じたかというと、サプライチェーンの脆弱性が露呈をしたと。デジタル社会を追求していくのがもう世の中の流れですけれども、その中でサイバー攻撃みたいなものが激増していると。これ、どうやってこの国を守っていくかというと自律性の方だと思います。なので、自律性というのは端的に言うと、弱みを解消していく、脆弱性を解消していく、乗り越えていく。強みというのは先ほど申し上げたとおりと。
両方重要だというのは、その脆弱性を解消し、強みを獲得していくことによって他国の動向などに右往左往しない国をつくりたいと思っています。また、その脆弱性を解消して強みを獲得することによって、国際社会における我が国の立ち位置というのは当然強化をされて、国際秩序あるいは国際ルール、これを国益にかなうような形で主体的に、より主体的に参画していく、そういう国家になれるのではないか、そういう思いは私は持っておりますので、結論が冒頭申し上げたとおりということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/120
-
121・江崎孝
○江崎孝君 それはもうそう言うしかない、言うしかないという言葉は悪いですね、多分そういう答えが返ってくるだろうと思いますけれども。やはり、気持ちの中には、これは僕は邪推しちゃいけないんですけれども、やっぱり不可欠性重視しているんじゃないかなという思いがこう伝わってくるわけですけれども、まあそれはもう回答はよろしいです。そういう思いをある程度聞かせていただきました。
だから、やっぱりここは押さえておきたいんです。やっぱり村山先生が言う、日本は軍事を制限をしている国なんだと、だからこそその不可欠性というのを重要視していくのが、やはり我々が安全保障の側面で経済を論じるときの非常に重要なポイントではないのかなと。
そこで、更に進めたいんですけれども、そこで、いろいろ大臣の思いを聞きたいので、いろいろ用意してきたんですけれども、衆議院の議論で、第二条の二項一号なんですが、安全保障確保の推進に関する基本的事項、基本的事項の具体的内容ということで、政策の必要性と考え方、規制が経済活動の自由を不当に阻害することがないようにすること、国際法の遵守、企業の責任ある行動の促進というこの四つをこの基本的事項の具体的内容として挙げていらっしゃるんですよ。
具体的内容といってもまだ具体性がないから改めて質問させていただくと、その中で僕がちょっと気になるのが、規制が経済活動の自由を不当に阻害すること、それと、事業者の自主性の尊重あるいは企業の責任ある行動の促進、ここは具体的に、より具体的に言っていただくとどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/121
-
122・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この基本方針、基本指針あるいはその政省令、今後法案が成立したということを前提に、様々な有識者の方の意見を伺いながら作っていくものですので、この時点で、私の中でのこのイメージというのはできるだけお伝えしたいと思うんですけれども、ちょっとそれが最終的に確たるものとなることは、ちょっと冒頭申し上げたいと思います。
その意味で、ちょっとどこまで委員の思いにお応えできるか分かりませんが、衆議院内閣委員会、たしか本庄委員だったと思いますが、答えさせていただいて、更に具体的に言わせていただきますと、少し長くなるかもしれません。
基本方針の具体的な内容につきましては、国際情勢、社会環境、また関係行政機関との調整を踏まえて策定することになりますが、その上で申し上げますと、まず私が答弁した、まず一つ目の規制が経済活動の自由を不当に阻害することがないようにすることという点につきましては、企業の経済活動やアカデミアの方の研究活動は原則自由であることが大前提であって、この法案による規制措置というのは、第五条にあるように、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならないと、この規定を踏まえて制度の運用をするという趣旨でございます。
二点目の国際法の遵守というところにつきましては、自由、民主主義、人権、法の支配、こうした普遍的価値や原則を重視する我が国として、我が国自身が締結した条約、また、その他の国際約束を誠実に履行すべきことは当然であると考えておりまして、これ法の第九十条にも、その趣旨に従って九十条に明記したところでございますが、そうした国際約束と整合的な形で制度設計をするという趣旨です。
事業者の自主性尊重、企業の責任ある行動の促進というところは、今申し上げたとおり、企業の経済活動は原則自由と、企業が倫理観と責任感を持ちつつ、私的自治の原則の下、自らの経営判断において行われるものである点について、この法案に関する施策を推進するに当たり尊重すべきであるという、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/122
-
123・江崎孝
○江崎孝君 ありがとうございました。
多分、この回答で基本方針の一号の部分がより明確にイメージされた方がいらっしゃるのではないかなと思う。
同じく第三号なんですけれども、経済安全保障の確保に関して、総合的かつ効果的に推進すべき経済施策に関する基本的事項ですね。この中で、これ大臣、衆議院の中でも、この国民生活を支える重要産業が抱える脆弱性、強みの点検、見直しを進めるべきこと、そしてもう一つが、法案に基づく措置が効果的に施行されるよう他の施策も統一的に整合的に講じるべきこと、この二つ言われているんですね。
まず一つ目がちょっと引っかかったんですけれども、この国民生活を支える重要産業の云々というのは、読みようによっちゃですよ、読みようによっては、これ前の、前号の四本柱を除いたというところですからね、この三号は、ですね。ですから、ほかのやつということなんですね。
そうすると、そこで言う、その国民生活、脆弱性、弱みの、強みの点検、見直しを進めるべきことというのは、ある面ではちょっと規制を強化するっぽく私は感じたわけですね、内容に、その言葉の中身が。この脆弱性、強みの点検、見直しを進めることというのはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/123
-
124・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これは、別に必ずしも規制というわけではないんです。
既に、私自身大臣に就任してから、各省庁、所管産業があります、基幹、主要産業はいろいろありますけれども、その各省庁に対して様々なリスクシナリオを考えてほしいと。考えられないようなリスクシナリオまで考えて、何が対応できて何が対応できないのか、対応できないとすると、どういう施策が必要で、それを一気にやるわけには多分いかないでしょうから、どういう優先順位を付けるのか、そういうことを作業として始めました。正式には、先月の三月十一日ですかね、各省庁の局長クラスの方に一堂に会して、関係省庁の方に一堂に会していただいてキックオフしましたけど、そういう作業をずっと続けてきているんです。
そういう意味で、例えば今回ウクライナがこういう情勢になっていますけれども、今後何が起こるか分からないじゃないですか。そういうことを想定したって、平時からどこに本当に脆弱性、弱点があるのかというのを把握しなければいけないので、その点検をやろうと。それ、弱みだけではなくて、強みの把握というのは逆にもっと難しいんですけれども、各産業でどこに強みがあるのか、そういうことをふだんからやっておかないと、やはりなかなかその効率的な、効果的な政策運営は私はできないと思っているので、それをこう答弁で表したという意味であって、必ずしも何かその産業界に対して規制を掛けるとか、そういうことを目的として行っているわけではなく、いかなる状況になっても国民の、企業も含めてですね、国民の皆様の命と暮らしを守るために何が必要かという脆弱性、強みの洗い出しのためにそういうことを答弁したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/124
-
125・江崎孝
○江崎孝君 よく分かりました。
是非それはやっていただかないといけないし、その見直しなり、逆に言うと、僕からのお願いですけれども、そういう情報を提供するときにも、あくまでも、それはあくまでも情報の提供であって、我が方からというか、国の方からああせいこうせいという話にはならないように、そこは十分お考えになっていることだと思いますけれども、是非是非それは今後の議論に役立てていただきたいと思います。
そこで、もう一つの方なんですね。
これは先ほどもちょっとお答えをいただいてある、もうなるんだけれども、ここ何かなと思っていたんですよ。法案に基づく措置が効果的に施行されるよう、他の施策も統一的に整合的に講じるべきことと。つまり、前の、前号の、いわゆるこの法案の四本柱以外に、以外に施策も、他の施策も統一的に整合的に講じるべきことと。で、僕ちょっと深読みし過ぎたかもしれません。
つまり、ここで、先ほど来大臣と話をしていた、その経済安全保障というちょっと大きな概念の話出て、いろんなセキュリティークリアランスとか、人権デューデリとかという、ちょっとごめんなさい、議事録ちゃんと書いておいてくださいね、そういうやつとか様々なやつを、まあ頭出しでも何でもいいから、多分ここの中にそれなりに書き込まれるのかなというふうに私はちょっと類推を、想像していたんですけれども、そうではない。なかったらどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/125
-
126・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これは、これも有識者の方の意見も含めてこれから議論していく話ですので、今これを盛り込みますとか盛り込みませんという段階ではないんですけれども、この私が衆議院で答弁した中身というのは、他の、ここの法案の書かれている中身というのは、先生、委員御指摘のように四項目だけなんですね。
ただ、先ほど申し上げたとおり、既に、例えば法律になっていない、法整備は必要ない技術流出の防止対策というのもいろいろやってきているわけです。そうしたものと、当然その全てが一体的、整合的にならないと、それはやっぱり意味がないというふうに思っていますので、そういう趣旨のことを書き込むということを申し上げています。
なので、今、例えばそのセキュリティークリアランス、あるいはそのほかのいろいろあると思うんです、具体的なものを全部ここに何かメニューとして書き切るというイメージでは現時点ではありません。その一つ一つ、そこに、どれだけのものがそこにラインナップされるか分かりませんけれども、むしろ、様々な施策と経済安保上の施策というものを有機的にリンクさせ、連携させながらやっていくという趣旨のことをしっかりと書き込みたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/126
-
127・江崎孝
○江崎孝君 まだよく分からなかったんですけれども、それはちょっと、ここでの議論はちょっとここでおいておきたいんですけれども。
やはり、冒頭から話をしているとおり、やはり経済安全保障、さっき言った国家安全保障戦略の中に書き込んでいくというふうにおっしゃったのですから、そういう意味での経済安全保障というのの考え方というのは、やっぱりどっかの時点でやっぱり議論をさせていただきたいと思いますし、やっぱりそれが、まあ政府というか、そこの専権事項とかではなくて、やっぱり議論をした上で、国民の皆さんに、どういうものなんだと、どういう課題があるんだということをやはり立法府の議論の中で議論をすることによって、政府が考える経済安全保障の絵姿というか、そういうのを僕はやる必要が絶対あるなと思いますので、いきなり年内にまとめる戦略の中に書き込むということではなくて、是非是非議論をお願いをしたいということをまずお願いしたいと思うので、その辺を少し大臣の考え方をお聞きしたいなと思いますけれども。
どういうふうに今後議論されていくのか、あるいは、もういきなり国家戦略、さっき書かれるとおっしゃったから、その手前の議論というのは我々とやっていただけるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/127
-
128・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 国家安保戦略の議論をどうするかということは私の立場で答えるちょっと話でもないと思いますので、そこについては差し控えますけれども、先ほど例えば委員から御指摘があった、この基本方針の中のイメージとして、他の施策も統一的、整合的にというのは、もう少しちょっとそこも付言しますと、安全保障を確保するために、各省がばらばらにやっていたら意味がないので、政府横断的に取り組むべき、取り組む必要がある施策をやはり統一的、整合的に進めていくという趣旨のことを、ちょっと具体的にどう書き込むかというのはこれからの議論になりますけど、そうした趣旨のことを盛り込みたいというふうに思っておりますし、今後の、この法案が仮に成立するという前提の下に申し上げますと、もう衆議院でも附帯決議いただきましたし、衆参の、これから行われる参議院での国会の審議も踏まえて、そこはしっかりと制度設計、運用というものを心掛けていきたいというふうに考えておりますので、そういう意味で、先生方と有意義な議論をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/128
-
129・江崎孝
○江崎孝君 いや、是非、また何回か私も質問立つところあると思いますから、またその辺の議論させていただきたいと思いますけれども、是非立法府の、まあ言葉は悪いけど、立法府での議論の仕方、やっぱり立法府で議論することって国民がある程度の考え方というのを共有化できるというのは絶対ありますので、是非そこは大事にしていただきたいなと思います。
それで、時間が経過していますけれども、具体的な話を少し始めたいと思うんですけれども、第七条で指定する特定重要物資のことなんですが、これ、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活若しくは経済活動が依拠している重要な物資であって、外部に過度に依存し、又は依存するおそれがある場合において、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止するために安定供給確保を図ることが特に必要と認められるという、私的に言ったら、大体四つぐらい、まあ前置詞的な表現があるわけですね。
そこで、僕、私的には、さっき僕が言った三つ目なんです、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止するためにという、ここは非常に重要ですし、ここがいわゆる安全保障という部分に入ってくる、経済ではなくて安全保障的な意味合いではないのかなと私は考えているんですけれども、国家及び国民の安全を損なう事態といったらどういうことをお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/129
-
130・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
国家及び国民の安全を損なう事態とは、例えば、重要な物資が、重要な物資の我が国への供給が途絶又は不足することによって、国民の生存に直接的に支障が生じる状況ですとか、又は、国民生活若しくは経済活動、例えば幅広い産業のサプライチェーンに甚大な影響を及ぼす状況を指していると捉えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/130
-
131・江崎孝
○江崎孝君 全部の言葉が僕今書けなかった、生存に直接、まあ人の生き死にに関わるということも含めておっしゃったような気がしたんですけれども、あるいはその活動に、様々な活動に甚大な影響を与えるという。ここが一番僕大事なところで、この四つの、物資、基幹インフラ、あとの二つも、これ全部ここ関わっているんですね。外部からの行為によって国家国民の安全が損なわれる事態という、ここが私はこのいわゆる経済安全保障の法案の肝の部分だと思うんですね。ここが懸かっているから、そう簡単に特定重要物資は広げられませんよ、あるいは基幹インフラもそう簡単には広げられませんよみたいな、非常に大きな定義の部分だろうと思うんですけれども。
そこでですよ、衆議院の質疑において大臣は、パワー半導体、半導体の中のパワー半導体というのを例に出されて、パワー半導体は、じゃ、今の定義でどうだと。そうすると、広く経済活動に依拠している、これは丸ですねと。外部に過度に依存するおそれがある、これも丸ですよと。そして、最後の、他の法令や施策によって安全供給確保措置が講じられていない場合は特定重要物資と指定され得るが、ただし、三つ目、さっきは肝と言った安全を損なう事態については、そういう状況になれば判断されるとおっしゃっているんですね。
つまり、一点目の、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活若しくは経済活動云々、外部に過度に依存し、依存するおそれがある場合、これ結構広いんですよ、広い。そして、安定供給確保を図ることが特に必要と認められる、最後の四点目の、これも結構広く取れる。ただ、三つ目の、外部から行われる行為によって国家及び国民の安全が損なう事態というのは非常に限定的だというふうに考えてよろしいんですねということをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/131
-
132・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) そこが広い、委員のちょっと御質問の趣旨をちゃんと受け止めているかどうか分かりませんが、そこのそれぞれの要件について、その広い、狭い、ちょっと一概に申し上げれるものではないと考えておりまして、それぞれの物資の特性によってそのそれぞれの要件の当てはめというのは変わってくると考えておりますので、その委員御指摘の外部に依存又は依存するおそれがある、これについても物資ごとに適切に判断していくことになろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/132
-
133・江崎孝
○江崎孝君 じゃ、最後の、安全を損なう事態というのは極めて厳しい条件ですねというのは先ほどの、じゃ、答えでお答えになっていただいたということでよろしいですね、例えば生存に直接云々と先ほど答えていただいたので。分かりました。
それで、じゃ、ということなんですが、昨年、ソニーと台湾の半導体の製造大手のTSMCが熊本に製造工場を造りました。これ日本政府は四千億か五千億円出すという、これはこの法じゃありませんよ、ということなんですけれども、私は今の議論を政府の皆さんと議論をする中で、じゃ、この法案ができれば、ソニーと台湾のTSMCが熊本に造ったような半導体の工場ってできるのと言ったら、可能だと言われるわけですよ。僕もびっくりするわけですね。
なぜか。半導体というのは確かに骨太の方針の二〇二一で出ていますけれども、あれはたしか経済活動に関する考え方で、あのときの議論の中には、今言った国家国民の安全を損なう事態という考え方は入っていないはずですよ、きっと。今回の法案で明確になってきているわけですから。
とすれば、とすれば、この法案は、仮にああいうことは私はもうできなくなるんじゃないかなと思っていたんだけれども、いや、法案で造れますよ、半導体の工場がというふうにさっと言われたんで、えっと思ったんですが、大臣も同じ考え方でいいですか、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/133
-
134・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案では、助成金による支援、金融支援などを通じて、生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術開発、代替物資の開発など、物資の特性に応じた多様な取組を総合的に支援するための法的な枠組みを整備しておりまして、いわゆるその改正5G法で支援されている生産施設整備等と同様の取組を支援することは制度上可能だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/134
-
135・江崎孝
○江崎孝君 制度上可能だと思うんですけれども、可能だと思うというか、ちょっと言葉が悪いですね、やれないことはないのかもしれませんけど、先ほど言いましたとおり、じゃ、今の、今のこの現実で、半導体が外部の、外部からの行為によって国家国民の安全を損なう、もしそれが途絶えた、今の現在ですね、状況にありますか、例えば。
それは、あくまでも将来入ってこなかった場合、先の話を言っているのであって、あるいは、もっと言えば、半導体そのものがなくなったことによって、先ほど大臣が定義されたその国家国民の安全を損なう事態につながるのかどうか。僕は、骨太の方針と一番違うのは、何回も言うように、ここなんですよ。
この法律の一番の肝は、外部からの行為によって国家と国民の安全が損なう。国家と国民の安全が損なうというのは、先ほど大臣が言われたとおり極めて大きな状況、大変な状況なので、とすれば、とすれば、そういう安易な半導体の工場の設置、安易という言葉は悪いですね、今の状況だから、じゃ、この法律で半導体工場設置できますね、そうですよという話にはならないんじゃないかなと思うんですけれども、改めてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/135
-
136・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この今、具体的な半導体の当てはめについては、もう仮定の当てはめについてはちょっとコメントを控えますけれども、そもそもこの法案、特にこのサプライチェーンの強靱化のパートの位置付けというのはキャッチオール的な位置付けなんです。キャッチオールというのは、その法、かなりその最終的な、法案でもう既に四つの条件付けていますし、また今後、じゃ、どういう形でその特定重要物資を定めていくのか、これについては有識者の方たちの意見も聞いて、伺っていきますので、かなりもう本当に必要なものに絞られていくというイメージです。
そういう中においても、例えば何か、この法案がないと、例えば何かしようとしたときに一つ一つ例えば立法をしなければいけなくなる、それが、じゃ、本当に機動的に対応できるのかというような問題もありますので、今回、これは最終的に何が特定重要物資に指定されるかは今の時点で申し上げられませんが、半導体であれ何であれ、本当に我が国の国民の生活に、あるいはその生命に必要不可欠なものであれば、これでしっかりとその安定供給確保できるように読み込むという意味で、広い、広く取れるようにしておりますので、何かこれは駄目とかあれは駄目とか、そういう排除するような立て付けにはなっていないということは御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/136
-
137・江崎孝
○江崎孝君 僕はさっきからの議論の結論的な話を今やっているわけでして、その外部からの行為によって国家及び国民の安全が損なうという極めて異例な事態において、この法案は、法は発動するわけですよね、ある意味ではね。そう考えると、私は、安易に特定重要物資を広げる、あるいは、そういう状況でないのに、非常に重要な物資だから、これはこの法案の支援法人とか指定金融機関を使って何かをやろうと、つまり、経済という側面からこの法案を作っちゃいけない、使っちゃいけないんだと。経済という言葉は悪いですけれども、経済の産業の振興とか、僕はそこを、あくまで言ったとおり、安全保障というレンズから見た経済、自由な経済、経済活動というのをどうするかということで、決して経済活動から見た安全保障の在り方ではないわけで、そこを是非大臣しっかりと注視しながら今後も頑張っていただきたい、期待をしているんですが。
あと六分になったので、五分の辺りばあっと飛ばして、最後だけちょっと質問しますと、全然違うんで、私、自治体出身なんで、ここだけは聞いておきたいと思うんです。やっぱり、この前、昨日、維新の柴田先生が自治体との連携という話をされたと思うんですね、地方自治体との関係。
やっぱり地方自治体は、規模の大小にかかわらず、これだけ安全保障というのが議論されてくると、例えば企業誘致をやっているとか、あるいは自分の敷地内に大きな技術を持っている企業があるとか、あるいは大学があるとか留学生を呼んでいるとか、あるいは姉妹都市で技術的な連携とか提携とか様々なことをやっているという自治体いっぱいあるわけですから、今回これだけ経済安全保障というのが議論をされ出すと、じゃ、自治体はどうなんだというその不安感が当然、不安感というか、やっぱり何か考えておかなければならないのではないかという思いに駆られるのは、これは僕は当たり前だと思うんですね。
そこで、神奈川県の政令市が集まって経済安全保障に関する議論をされたというふうに聞いていまして、そこから少し考え方を実はお聞きをいたしました。国が経済安全保障を議論するに当たって、基幹インフラの指定、技術や研究成果の海外への流出等の課題が明らかになるにつれ、地方自治体、特に先端的技術を有する企業や大学等の研究機関を持つ自治体を中心に、自治体における経済安全保障を重要視されているわけですね。特に神奈川県が提言書をまとめられたんです。
そこで、海外企業の誘致を進めてきた又はこれから進めようとする自治体において経済安全保障との関係が憂慮されている、今言ったとおり、私が。政府が全国の自治体に対して何か統一的な対応を示す、例えば、言われているのが、海外企業誘致の基準みたいなガイドラインとか発出することができないのかというような思いが伝わってきているんですけれども、この辺の考え方って、大臣、ちょっとお考えをお聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/137
-
138・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 経済安全保障は多岐にわたる新しい課題でございますので、地方自治体が実施している海外企業を含めた企業誘致につきましても、例えばその技術流出の防止といった観点から、経済安保上の取組を進めるべき課題の一つであろうと認識しています。
その上で、今委員御指摘のその、ガイドラインの具体的な内容はちょっと必ずしも明らかでございませんが、今の神奈川県の方、地方議員の方が以前私のところにもいらしてくださって、その全て事細かにはないですけれども、こういう提言書を、いろいろ地方それぞれの自治体で、神奈川県の中でいろいろ議員が連携しながら作っているんですというようなお話を伺いまして、ああ、こういう問題意識が地方自治体においても高まってくれば、醸成されてくれればいいなと、率直にそう思ったのを記憶しています。
こうしたその神奈川の方だけではない、多分いろんなところで恐らくこれからそういう動きが広まっていけばいいと思いますが、そうした方々のその様々な御提言も含めて、そうした御意見を参考にさせていただきながら、地方自治体に期待される役割として何が考えられるのか、そうしたことを踏まえまして、経済安全保障の確保に向けた必要な取組を政府としても進めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/138
-
139・江崎孝
○江崎孝君 是非是非お願い申し上げます。
それで、国だけでもちろんできるわけではございませんし、全国の自治体の皆さんたちも協力をしながら経済安全保障というのをどういうふうに考えていくのか。これはもちろん通常の安全保障も含めて御議論いただかなければならないような立ち位置にいらっしゃると思いますから、そこは期待をしておりますので、是非、これ総務省との連携になるのかどうか分かりませんけれども、是非議論をしてください。
あと一つ、同じ今の質問の回答で私はいただいたと思いますけれども、安全保障に関して自治体との連携を深めるために何かシステムを、自治体との関係をつくっていただく。特に国と地方の協議の場というのもありますので、そういうところをやっぱりしっかりと利用しながら、この自治体の安全保障に関する、経済安全保障に関する考え方も含めて、是非大臣のときに深化させていただきたいというふうなことをお伝え申し上げまして、大分質問すっ飛ばしてしまいましたけれども、また次の機会必ず来ますので、また議論させていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/139
-
140・浜田昌良
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
本日は、参議院の委員会での経済安全保障推進法の審議の一回目でございます。よって、私からは、まず総論的な部分、質問させていただいた後、四本柱になっておりますので、各一本ずつ質問させていただきたいと思っています。
昨日、本会議の代表質問もございました。ここで、岸田総理はこうおっしゃいました。経済安全保障の取組を進める上では、事業者の経済活動は原則自由であるとの大前提に立った上で、これらを大きく阻害することがないようにすることが重要であり、本法案においても、規制の実効性確保の在り方を含めて、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図ることが重要と、こういうふうに発言されました。
そこで、最初に質問をさせていただきますが、この経済活動の自由と安全、経済安全保障上からの制約につきまして、どのように両立、またバランスしていくことが望ましいと大臣お考えでおられるのか、またそのことが条文上に具現されているところを挙げればどこなのか、このことについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/140
-
141・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今引用いただいた総理の発言というのが非常に重要だと思っています。この安全保障の確保を行っていく上で事業者の経済活動の自由をどうやって確保していくのか、これは本当に重要だと思っていて、この条文上は、第五条におきまして、この法案による規制措置について、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならないと、ここに明記をしているところでございます。
これ以外のところについても申し上げた方がよろしいでしょうか、この法案の中で。(発言する者あり)かしこまりました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/141
-
142・浜田昌良
○浜田昌良君 今、これ以外にもとございましたので、それでは、その五条が置かれて、そこの五条って苦労した産物なんですね。政府の最初の原案ではなかったんですよ。これを与党との折衝の中で置いていただいて各条項に展開をしていただいたわけですが、じゃ、この五条の趣旨が五条以外の条文上どのように反映されているかについて、次にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/142
-
143・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません、先ほどちょっと私、答弁漏れがあったかもしれません。
この第五条の趣旨については、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図ることであって、具体的には、事業者の負担、また民間主体の予見可能性の確保、そして国際ルールとの整合性などに配慮すること、これが五条の趣旨です。
この趣旨は、法文を見渡しますと、例えば、これは基幹インフラのところですけれども四十九条第四項、あるいは特許出願非公開の基本指針の策定での配慮事項として第六十五条の第四項、また、これも特許の保全審査での考慮事項として第六十七条第一項、また、この国際約束の誠実な履行という意味では第九十条、こうした条項などにおきまして、この五条の趣旨、明示的に規定をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/143
-
144・浜田昌良
○浜田昌良君 今、五条の条文上、まず趣旨につきましては、事業者の負担、民間の予見可能性、国際ルールの整合性というのを重んじることだという御説明があった後、他の条文への影響につきましては、反映につきましては、まず最初には、四十九条の第四項ですね、基盤インフラの基本指針策定の配慮事項のところで、特定社会基盤役務に関する経済活動に与える影響に配慮しなければならないという、こういう条項がございます。
また、挙げられたのが六十五条第四項で、特許出願非公開の基本指針策定の配慮事項として、産業活動に与える影響に配慮しなければならないということも規定されておりますし、またあわせて、六十七条一項も挙げられました。これは保全審査の考慮事項で、保全指定をした場合の産業の発達に及ぼす影響のその他の事情を考慮しという条文が入れることによりまして、この五条の趣旨が反映されていると理解をいたしました。
そこで、あわせて、今第九十条の話をされました。いわゆる国際ルールとの整合性もこの第五条からの要請として入れたものだということですよ。この第九十条の国際約束の誠実な履行を設けた趣旨はどういうことなんでしょうか。当該趣旨がその他の条文でどのように反映されているのか、また、内国民待遇というのは維持されているのか、このことにつきまして、大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/144
-
145・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
自由、民主主義、人権、法の支配、こうした普遍的価値や原則を重視する我が国といたしまして、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行すべきことは当然でございまして、委員言及いただいた第九十条にてその旨を規定しております。
その上で、この法案は、外国又は特定の外国の企業、産品、サービスであることを理由にそれらを差別的に扱うものではなくて、内国民待遇などの無差別の原則が法案全体に貫かれております。
また、この法案に基づく措置につきましても、内国民待遇などの無差別の原則を含めて、我が国が締結した国際約束と整合的な形で制度設計することになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/145
-
146・浜田昌良
○浜田昌良君 経済安全保障推進法というのが、何となく外国の企業であったり国籍によってそういうディスクリミネーションがあるんじゃないかという一般的なふわっとした懸念もありましたので、内国民待遇をしっかり維持しているということ、御説明がございました。
ただ、国際約束を履行していても、国際約束、例えば関税及び貿易に関する一般協定、ガットですけど、ガットについても一応原則がありますが、例外もあるんですね。
そこで、外務省の政府参考人にお聞きしたいと思いますが、ガット二十条の一般的例外、また、ガット二十一条の安全保障的例外についてまず説明していただいて、特に後者が、この安全保障的例外について我が国とか欧米主要国が活用した例はあるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/146
-
147・渡邊健
○政府参考人(渡邊健君) お答えいたします。
ガット第二十条の一般例外につきましては、公徳又は生命若しくは健康の保護のために必要な措置等を、ガット第二十一条の安全保障例外につきましては、自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要であると認める措置等を、特定の条件の下でそれぞれ締約国がとることを妨げられないとするものでございます。
我が国や欧米主要国による安全保障例外の援用につきましては、これまでWTO紛争解決手続において判断が示された例はございませんが、例えば、二〇一九年四月に公表されましたロシア・通過運送に関する措置のパネル報告書におきまして、ロシアがウクライナ産の貨物の自国領通過を制限した措置がガット第二十一条(b)(Ⅲ)に言う国際関係の緊急時にとられたものであるといたしまして、ガット第二十一条が定める要件を満たすと判断されたものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/147
-
148・浜田昌良
○浜田昌良君 この安全保障例外につきましては、我が国や欧米諸国は使っていませんが、ロシアが一度使った例があって、二〇一九年四月ですね、ロシアのウクライナ産の貨物についての適用した例があると。これがガット上は条約違反ではないと逆に位置付けられたわけなんですけれども、逆に言うと、この法律は国際約束を、誠実な履行を第九十条で言っていますが、あわせて、本法案ではWTOの例外規定は援用しないと、こういう考えでよろしいのか、大臣に確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/148
-
149・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案に基づく詳細な制度設計に当たりましては、例外規定の援用を前提とするのではなく、WTO協定などと整合的な形で行う考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/149
-
150・浜田昌良
○浜田昌良君 そういう意味では、この法案は戦時の法案より平時の法案で、平時で積み重ねていくという法案だと思っておりますので、そういう例外規定の援用はないということでございますが。
そうしますと、この本法案では、外部という言葉がそれぞれ四本柱ごとに出てくるんですね。例えば、一つ目の特定重要物資のサプライチェーンの関係だと、第六条、第七条に外部から行われる行為という言葉もありますし、二本目の基幹インフラの妨害防止であると、我が国外部から行われる妨害する行為という言葉がありますし、三番目の特定重要技術の開発支援だと、外部から行われる行為、また外部に不当に利用、外部に依存という言葉があります。四本柱の特許の非公開でも同じように、外部から行われる行為という言葉が出てくるわけですね。
そこでお聞きしますが、これらの外部という定義は同一なのか、またどういう定義なのか、参考人から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/150
-
151・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
本法案において、御指摘ございました外部について特段の定義は行っておらないところでございますけれども、外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為の主体としては外国政府等を想定しているところでございます。さらに、本法案におきます四つの分野の経済施策、これらにおきまして、今申し上げたような考え方には違いはないということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/151
-
152・浜田昌良
○浜田昌良君 四本柱ごとに定義の違いはないということは答弁ありましたが、前半の答弁で、外国政府等を想定していると。等とは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/152
-
153・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
外国政府等の等についてでございますけれども、例えばテロリストが含まれ得ると考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/153
-
154・浜田昌良
○浜田昌良君 つまり、この外部というのは外国政府やテロリストのことなんですね。いわゆる外国籍の企業とか国籍の違いではなくて、そういうものによって行われる行為によるその四本柱への妨害であったり、そういうものを防いでいくということであるということである。
ただし、これちょっと答弁はなかったですが、そういうところが使うことによる国内の法人であったり個人があるわけですよね。それは含まれるという理解でよろしいんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/154
-
155・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 答弁できますか。
ちょっと速記止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/155
-
156・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/156
-
157・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません。今委員の御質問につきましては、外国政府等が自ら行う行為のほか、我が国内外にある協力者などを通じて行う行為も該当し得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/157
-
158・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。大臣の答弁が一番すっきりしていました。
そういうことですから、逆に言うと、本法案で外国法人、また資本金の過半数を外国投資家が保有する日本法人を特別に扱う状況はないと理解しますが、またあわせて、資本関係の届出を求める、そういうこともあるんでしょうか。そのことについて参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/158
-
159・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
本法案におきまして、外国法人でありますとか、あるいは資本金の過半数を外国投資家が保有する日本法人を特別に扱う条項は設けていないところでございます。
本法案の対象となります事業者に対して求める報告、届出の手続の具体的な内容についてでございますが、こちらにつきましては、法律に規定する事項を除けば、法案成立後に下位法令で定めますことから、現時点において詳細について確たることは申し上げられないということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/159
-
160・浜田昌良
○浜田昌良君 確たることは、細かな届出については申し上げられないけれども、外国法人を特別に扱う条文はないということでございました。
これも当然でありますが、最後に確認だけしておきます。大臣に確認しますが、本法案で、国籍により特別な扱いを求めることはないという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/160
-
161・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
この法案では、国籍によって特別な扱いを求めることは想定しておりません。
我が国は、自由で開かれた経済を原則として、民間主体による経済活動を促進することで経済発展を続けてきていると、そういう認識でございますから、有識者会議からも、例えば、サプライチェーンの強靱化に関しては、政府の措置はWTO協定などの国際ルールとの整合性に十分に留意しながら実施すべきだ、また、基幹インフラに関しても、事業者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切ではない、そういった提言をいただいております。
こうした提言を踏まえまして、先ほど申し上げた九十条において、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならない、その旨の規定を設けているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/161
-
162・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。
それでは、総論的な質問の最後にはなりますが、この法律の八十八条で行政手続法の適用除外というのがあるんですね。大きく今回四本柱がありますが、特に二本柱の基幹インフラの関係、これは五十二条四項、五十二条十項の関係ですね。また、これ四本柱目の特許の非公開の関係だと、保全指定であったりとか、七十条三項、七十三条一項、七十六条一項と、それぞれいわゆる規制的措置のところについてはこの行政手続法の適用除外があるんですが、その二つの二本柱と四本柱について、それぞれその趣旨について説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/162
-
163・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
基幹インフラに関します第五十二条第四項の事前審査期間の延長、あるいは第五十二条第十項の導入等計画の変更又は中止の命令につきまして、仮に具体的な処分基準を公表したりあるいは処分理由を示すということになりますれば、政府としての特定妨害行為が行われる可能性の評価、これの前提となります国際情勢の認識等を明らかにすることとなります。
また、特許出願の非公開に関する保全指定、第七十条第三項の保全指定期間の延長、第七十三条第一項ただし書の実施の許可、第七十六条第一項の発明共有事業者の追加の承認につきまして、仮に具体的な処分基準や、あっ、失礼しました、仮に具体的な審査基準や処分基準を公表したり、あるいは処分理由を示すことになりますれば、政府としての機微性の評価や、その前提となります安全保障に関わる我が国の技術水準、国際情勢の認識等を明らかにすることとなると考えてございます。
これらの基幹インフラ又は特許出願の非公開に関する処分の基準の公表や処分理由の開示は、いずれも我が国の安全保障に多大な悪影響をもたらすと考えられますため、行政手続法の規定を適用しないということにさせていただいたところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/163
-
164・浜田昌良
○浜田昌良君 いずれも我が国安全保障上の影響を考えまして行政手続法上の例外としたということでございます。あくまでそれは二本柱、四本柱のそれぞれの規制のところでありまして、一本目、三本目ではないということでございました。
それでは、順番に一本目の柱、サプライチェーンの関係から質問に入りたいと思いますが、既に同僚議員からも幾つも質問もありました。特定重要物資としてはどのようなものを想定しているのかと。特に皆さんが心配しているその選定プロセスですね。その際、生産者とか使用者、最終消費者の意見を聞くプロセスはあるのか。このことにつきまして、まず小林大臣から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/164
-
165・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、特定重要物資の指定につきましては、これまで申し上げているとおり、いわゆる第七条に規定します四つの要件で絞り込んでいると。現時点で予断を持って申し上げることは困難ですが、イメージを持って御審議いただくために、いわゆる去年の骨太に半導体始め四つのものが該当し得る、そういう例示として掲げられているということをこれまで紹介させていただいたわけであります。
その上で、今、浜田委員が御指摘のプロセスについてですけれども、まず安定供給確保基本指針の作成に当たって有識者の意見を聞くこととしているほか、特定重要物資の政令の指定や省令の策定など、各段階でパブリックコメントを経ることになっているところでございますが、幅広い関係者の意見も考慮するように努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/165
-
166・浜田昌良
○浜田昌良君 プロセスに関しましては、有識者の意見を聞いていただく、また各段階でパブコメをしていただくということでございました。
また、特定重要物資の指定につきましては、第七条の四つの要件というのを今答弁をいただきました。これちょっと質問後ろの方にあったんですが、政府参考人にお聞きしたいと思うんですが、この第七条の特定重要物資の指定要件、一番目には重要性、二番目には外部依存性、三番目には安全保障上の総合判断、四番目には特に必要が認められる場合と言われているんですが、この七条の条文に沿ってまず説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/166
-
167・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
どのような物資を特定重要物資に指定するかにつきましては、第七条に記載しております四つの要件で絞り込むこととしてございます。
そのうち、過度に外部に依存し、又は依存するおそれがある場合、これの判断のメルクマールについて補足をさせていただきますと、外部に過度に依存している場合とは、供給が特定少数国に偏っておりまして、現状の依存状況では供給途絶発生時に支障を来す場合、これを想定しているところでございます。具体的には、特定国への依存度の大きさでありますとか、あるいは経済合理性を加味した特定国の供給が途絶したときの国内外からの代替確保の可能性、そして物資の代替可能性などを総合的に勘案し、判断することを考えているところでございます。
また、条文にございます外部に過度に依存するおそれがある場合と、この規定につきましては、現在は一定程度国内生産等で供給が確保できておりますが、将来的に各国の研究開発や積極的な投資によりまして当該物資の供給を他国に依存する可能性の程度でありますとか、あるいは中期的に国民生活、経済活動にとって重要な先端技術を我が国で保有できず他国に依存する可能性の程度、こういったことを総合的に勘案し、判断することを想定しているところでございます。
物資ごとに様々特性異なりますことから、基準、メルクマールを一律にあらかじめ定めるということは難しいと考えてございますけれども、いずれにいたしましても、今後更に具体的な要件を安定供給確保基本指針で定めることとしてございまして、そういった法律の規定の当てはめ、これにおきまして、恣意的であるということの懸念が持たれることのないよう、できるだけ明確に指定の考え方、基準をお示しできるように努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/167
-
168・浜田昌良
○浜田昌良君 今、御答弁は四つの要件の二番目の外部依存性について詳しく御答弁いただいたんですが、私の質問はそのもっと後ろの方の十一番目のところで、四要件をそれぞれ七条に沿って説明してくださいということだったんです。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/168
-
169・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
第七条において規定されて、指定要件が規定されておりまして、それぞれ申し上げますと、重要性につきましては、国民の生存に必要不可欠な若しくは広く国民生活若しくは経済活動が依拠しているか、また、外部依存性につきましては、外部に過度に依存し、又は依存するおそれがあるか、そして三点目として、安全保障上の総合判断につきましては、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止する必要があるか、四つ目として、特に必要と認められる場合については、当該物資等の安定供給確保を図ることが特に必要と認められるかをそれぞれ判断することとしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/169
-
170・浜田昌良
○浜田昌良君 済みません、ちょっと質問の順番がずれていまして申し訳ございません。
逆に、そういう要件に当たればこの特定重要物資に当たるわけですよね。
それで、幾つかこれ同僚議員からも質問が、これが当たりますか当たりませんかと。なかなか今法律が成立する前に答えにくい問題だと思うんですけれども、よくこの法案の説明資料では半導体であったり電池であったり医薬品であったりとかというのが例に挙がっているんですが、結構、今このロシアのウクライナ侵攻によって短期的にはいろいろな物資が足らなくなってきているわけですね。昨日の本会議の代表質問でも、パラジウムが対象になるんですかという質問も同僚議員がしまして、一応否定形ではなかったです。この四要件に沿って判断していきますということだったんですけれども。
そういう意味では、今まで各法案説明の資料では、割と半導体材料とか電池とか医薬品という大きなカテゴリーで、しかも長期的にこれは必要だなという物資を書いてあるんですけれども、割と短期的な動きによって急に相手国が輸出規制するかもしれませんよね。結構いろいろそんな問題があるわけです。
例えば、今、最近問題になっているものでは、そういうロシアの原料炭みたいな問題もありますし、パラジウムであったりとか、ちょっと前ですけれども、これはアドブルーといって、いわゆる、トラック業界がいわゆるそれがないとエンジンが掛からないという尿素水の問題であったりとかあるんですが、そういう割と短期的な供給ショックにも対応して特定物資を弾力的に指定するということは考えるのか考えないのか、これについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/170
-
171・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答えを申し上げます。
本法案は、我が国がその供給を外部に過度に依存等しており、安定供給確保が特に必要な物資につきまして、平時からそのサプライチェーン強靱化のための措置を講じるものでございます。
その上で、現時点では確たることを申し上げられませんけれども、短期的な供給ショックなどを要因といたしまして、仮に緊急に本法案の要件に合致し、指定の必要性を認める物資が出てきた場合には、御指摘ございました一部の物資も含めまして、最大限迅速に対応した上で特定重要物資に指定し、安定供給確保のための措置を図ることは制度上可能でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/171
-
172・浜田昌良
○浜田昌良君 一応、制度上可能という答弁がございましたので、そういう事態になれば、国家及び国民の安全を損なうおそれの事態として機動的に御検討いただきたいと思います。
それでは逆に、第七条は、はっきり御説明、大臣から御説明いただきましたように、外部から行われる行為によりと書いてありますので、それによって国家及び国民の安全を損なう事態ですから、そういう人為的な輸出禁止は、これは行為ですから当たると思うんですけれども、コロナ回復過程による超過需要により入手困難になったりとか自然災害による供給途絶と、そういうものは含まないという考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/172
-
173・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
特定重要物資の指定に当たりましては、法案第七条に規定されておりますとおり、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止する必要があることをその要件としているところでございます。その際、コロナ回復過程の超過需要や自然災害そのものについては、外部から行われる行為とは言えないものと考えてございます。
ただし、我が国がその供給を外部に依存している物資につきまして、大規模な自然災害等を契機といたしまして当該輸出国において輸出制限等の行為が行われる、あるいはパンデミックの発生等により超過需要が生じ輸出制限等の行為が行われるなどの事態につきましては、外部から行われる行為によりまして国家及び国民の安全を損なう事態に該当し得るものと考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/173
-
174・浜田昌良
○浜田昌良君 今ございましたように、自然災害そのものであったり超過需要そのものでは対象にならないけれども、その機運に乗じて輸出規制等が行われた場合には対象となり得るということでございますので、その点もしっかりと考慮して今後運用していただきたいと思っています。
対象物資の関係は以上にいたしまして、この物資を選定していくプロセスで各省庁はデータを集めなきゃいけないわけですね。どこがいわゆるチョークポイントなのかというので集めなきゃいけないと。
その関係の調査についてお聞きしたいと思いますが、第四十八条によりまして、必要な報告又は資料の提出が求められる事業者の規模が相当これ多くなるんじゃないかと思うんですが、また、その報告とか資料提出を求められる側の都合とすると、ある日突然、報告徴収とか提出が求められるのではなくて、予見可能性があってほしいと思うわけですが、その辺はどう担保するのか。先ほども質問がありましたように、企業秘密がある場合もあったりするんですね。その辺について、どういうふうに担保されているのかについて御説明いただきたいと思います。大臣からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/174
-
175・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
重要物資のサプライチェーンというのは、一般に思われているよりもかなり複雑でございます。物資ごとに事情が異なりますから、現時点でその調査の数を一概にお答えするということはちょっとなかなか難しい、困難であることは御理解いただければと思います。
調査を当然無制限に行うことは想定しておりません。事業者の過度な負担にならないように、公的な統計調査なども活用した上で、法律の施行に必要な限度で対象を適切に絞り込んで調査を実施することを想定しております。その際、この調査を実効的なものとするために、事業者や関係団体にこの調査の重要性や趣旨、目的を丁寧に説明して、できるだけ多くの事業者の方から御回答をいただくようお願いすることが大切だと思っていまして、調査対象の理解が得られるように努力してまいります。
また、この調査では、今委員御指摘のとおり、政府が企業機密を取得する、そこに触れる必要が生じる場合が、そこは排除されない、想定されます。このため、国家公務員がサプライチェーン調査を通じて知った民間事業者の機密情報を漏らした場合には、通常の秘密漏えいより重い罰則を設けておりまして、情報管理の徹底を図ることとしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/175
-
176・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございます。
その調査対象は過度に大きくならないようにという点と、企業、営業秘密を知り得た場合については、通常の守秘義務、国家公務員の守秘義務違反に比べて重いものという話がありましたが、個別論になりますけど、参考人の方から、一般の公務員の守秘義務違反に対しまして本法律ではどのように規定されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/176
-
177・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
国家公務員が職務上知り得た秘密を漏えいした場合には、国家公務員法によりまして一年以下の懲役又は五十万円以下の罰則を、罰金を科されるということとなってございます。
他方、本法案第九条における罰則は、国家公務員がサプライチェーン調査を通じて知った民間事業者の情報を漏えい又は盗用した場合に、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金といった罰則を科すことを規定しているところでございます。
本法案のサプライチェーン調査におきましては、企業にとって機微性が高い情報を取得し得ますことに鑑みまして、そういった情報が適切に管理されるよう、国家公務員法上の秘密保持義務より重い罰則を規定し、情報保全に万全を期すこととしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/177
-
178・浜田昌良
○浜田昌良君 一般の公務員の秘密保持違反に対しまして倍にしているということでございました。
あわせて、この四十八条によりまして、一項では物資又はその原材料等の生産などに関する報告、資料提出、二項では特定重要物資ですね、指定されたものの生産などに関する報告、資料提出に対しまして、第三項で事業者に努力義務が掛かっています。これについてはまあいろいろ議論があったんですが、罰則を求めないことにいたしました。そのことについての理由、特に有識者会議での意見はどうだったのか、国内外への法制の例を含めまして、大臣から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/178
-
179・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
サプライチェーン調査は、この法案の規制や支援の枠組みに入っていない事業者を含めて調査対象としております。そうした事業者に罰則付きの応答義務を課すことは、調査を受ける側からすれば、ともすると強権的であって、逆に自発的かつ率直な情報提供を妨げる懸念があると考えます。例えば、昨年アメリカにおきまして半導体不足に関するサプライチェーン調査を実施した際には、関係者からの自発的な協力を前提に任意の情報提供を求めていたものと承知しています。
こうしたことに加えまして、サプライチェーン調査の回答忌避に対して罰則を科すことにつきましては、この有識者会議の議論におきましても、いわゆる比例原則、これ規制対象の違反行為と罰則には均衡が保たれていなければならないという一般法理ですけれども、この比例原則の観点から、調査忌避に罰則を科すことは重過ぎるのではないか、そうした趣旨の御指摘もいただいたことや、例えば国内法との関係で申し上げますと、食品等流通法あるいは予防接種法、こうした国の規制や制度の枠組みに入っていないものを含めまして、広く調査できる旨を規定しているほかの法律におきましては罰則を措置しておりません。
こうしたことなどを総合的に勘案して、罰則の対象とすることはなく、努力義務規定を置くというふうに政府として判断をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/179
-
180・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣から御答弁ございましたように、事業者の自発的、率直な意見交換といいますか、報告がとても重要だと。あわせて、いわゆるアメリカのサプライチェーン調査においても、そういう例に沿っていると。有識者会議の方からも比例の原則という話もあったということから、今回こういう措置になったわけでございます。
次に、先ほど総論でも聞きましたが、国際ルールとの関係でこのサプライチェーンの関係聞きたいと思いますが、サプライチェーンについての支援がWTO補助金規定上のイエロー補助金と指摘されないための制度的担保はどのように確保されているのか、またサプライチェーン支援がWTO上問題となるローカルコンテント規制にみなされないかどうかについて、政府参考人からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/180
-
181・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を重視する我が国といたしましては、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行すべきことは当然でございまして、本法案におきましても、第九十条にてその旨を規定させていただいているところでございます。
その上で、御指摘ございましたサプライチェーンについての支援制度につきましても、WTO上問題となり得るいわゆるイエロー補助金と指摘されないように、補助金協定等と整合的な形で制度設計するということとさせていただいております。また、輸出補助、国内物産等の利用要求等とみなされる措置は行わないなどといった点にも十分に留意してまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/181
-
182・浜田昌良
○浜田昌良君 一方で、この特定重要物資について、九条の供給確保計画の認定を受けた事業者には支援法人による助成、ツーステップローンなどの措置があるわけですが、その内容について、また一方、そういうものを支援を受けた場合に供給責任などの義務は課されるのかどうかについて、参考人からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/182
-
183・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
本法案におきましては、主務大臣が認定した供給確保計画に沿って特定重要物資等の安定供給確保のための取組を実施する際に、必要な資金に充てるための助成金を交付することでありますとか、あるいは認定を受けた民間事業者に必要な資金を貸し付ける金融機関に対しまして日本政策金融公庫が貸付けに必要な資金を貸し付ける、いわゆるツーステップローンなどの支援措置を規定させていただいているところでございます。これらの支援措置を受けるためには、供給確保計画が特定重要物資等の安定供給確保に資するものであると認められることが必要でございます。
供給確保計画には、安定供給確保のための取組内容や実施体制のほかに、御指摘ございました需給逼迫時の対応についても記載していただくことにしてございます。仮に供給確保計画に沿った取組が行われていないと認められる場合には、認定を取り消すという措置も設けさせていただいているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/183
-
184・浜田昌良
○浜田昌良君 もう時間もなくなりましたので、最後に、大臣、確認だけさせていただきます。
今、支援策の説明がございました。こういう支援策については、海外法人又は海外法人の日本子会社、日本支店がこの認定を受ける可能性はあると考えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/184
-
185・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 特定重要物資の安定供給確保に取り組む事業者が作成する供給確保計画、この認定と支援というのは、我が国のサプライチェーンを強靱化をし、特定重要物資の安定供給確保に資するか否か、その点で判断をいたします。
したがって、外国企業やその子会社であったとしても、提出された計画が特定重要物資のサプライチェーン強靱化に資するものであれば計画を認定し、必要な支援を行うことはあり得ると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/185
-
186・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。
この経済安全保障推進法案というのが、それ、日本の安全保障、国民、国家の安全を損なう事態を防いでいくという、とても目的が重要でありますけど、手段については、やっぱり開かれた日本の在り方というのはしっかり維持しながら、国際取決めとの整合性を進めながら進めていただきたいことをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/186
-
187・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 浜田昌良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/187
-
188・浜田昌良
○浜田昌良君 ちょっと時間を間違えて、まだ十分あったようで。済みません、失礼、引き続き。済みません、申し訳ない、時間間違えて。
じゃ、引き続き質問させていただきます。申し訳ございません、大臣。質問はまだ残っていますから、大丈夫でございまして。
その一つ目の柱で、いわゆる相殺関税又は不当廉売、緊急関税を関税法の規定に加えまして本法律案に重畳的に規定した趣旨について説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/188
-
189・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 続けてお答えさせていただきます。
法案の第三十条に基づきまして、特定重要物資などの主務大臣は、財務大臣に対して、関税定率法に基づく相殺関税、不当廉売関税、また緊急関税を課すための調査の実施を求めることができます。
委員御指摘のとおり、現行の関税定率法でもこれ実は政府主導で調査を行うことは可能ですけれども、これまでは国内の生産者等が相殺関税等を課すために必要な証拠を提出し、調査を求めることが通例となっています。生産者等が求めることが通例となっているんですけれども、この法案によって、経済安保の観点から、主務大臣の発意により、自ら必要な証拠を収集した上で財務大臣に対し調査の実施を求める手続が定められておりまして、特定重要物資に関する我が国産業への実質的、重大な損害に政府が主体的に迅速に対処をし、特定重要物資の安定供給確保につなげることが可能になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/189
-
190・浜田昌良
○浜田昌良君 いわゆる職権発動でございますね、関税法上。本来、関税法上、相殺関税とかセーフガード等を適用しようと思うと、いわゆる事業者からの訴えがあるという前提でやるんですが、これはそうじゃなくて、主務大臣自身が財務大臣に対しまして求めるということを、明確に手続を変えた上でこれを発動しやすくするということで、明確な規定だと思っております。
続きまして、基盤インフラの話に移りたいと思います。
第五条の、先ほど質問しました、合理的に必要と認められた限度という条文が入りまして、よって、事業者の負担の軽減、民間主体の予見可能性の確保が重要となりますが、四十九条の社会基盤役務基本指針で定める事項のうち、第二項一号の基本的な方向、これは、また四号の特定重要設備や特定維持管理を定める主務省令の立案に当たっての配慮すべき事項、また第五号の特定社会基盤事業者その他の関係者との連携に関する事項、このことが、この第五条の精神を受けてどのようなものを考えておられるのか、大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/190
-
191・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
この法案第四十九号第二項第一号の基本的な方向に関する事項につきましては、例えば基幹インフラ事業が利用する設備を取り巻くリスクの増大といった制度の必要性、また国家国民の安全と事業者の経済活動の自由のバランスといった制度の基本理念、またあるいはその想定される特定妨害行為の具体的な内容など、この制度全体に関する基本的な方向性を示すことを想定しております。
次に、委員御指摘の第四号でございますが、これ特定重要設備、また重要維持管理等を定める主務省令の立案に当たって配慮すべき事項としましては、例えば規制対象となる設備や業務を真に必要なものに限定すること、また規制によって役務の安定的提供が損なわれたりしないよう事業実態を十分に踏まえること、また主務官庁は特定社会基盤事業者等の意見を十分に聴取することなどを想定しております。
最後に、委員御指摘の第五号の連携に関する事項でございますが、これは、例えば規制対象を定める政省令の策定に当たってはパブリックコメントを実施するなど広く意見を聞くこと、また事業所管省庁に相談窓口を設置をし、きめ細かい情報提供に努めること、こうした関係事業者との常日頃からの密接なコミュニケーションや連携を図ることを定めることを想定しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/191
-
192・浜田昌良
○浜田昌良君 この辺の条文の書き方につきましては、第五条の精神を受けて、いかに事業者の負担の軽減を図るのか、民間主体の予見の可能性を確保するのかというので苦労したところでございますので、そのことを配慮して今後も運用していただきたいと思います。
続きまして、第五十条一項の特定社会基盤事業者の指定ですね、今度は事業者としての指定。主務省令で定める基準というのはどのようなものになるんでしょうか、どのような考え、手続で定めることになるんでしょうか。中小規模の事業者を対象とすることにつきまして有識者会議で慎重に検討とされていますが、どのように検討するのか、大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/192
-
193・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この法案では、役務の安定的な提供に支障を生じ、これによって国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいものを対象事業者として指定するための基準を事業分野ごとに主務省令で定めることとしています。
この指定基準、いわゆる主務省令の制定に先立ちまして閣議決定する基本方針において、まず、その事業規模や代替可能性などを指定基準の考慮要素とすること、また、指定基準の策定に当たって、事業者を含む関係者の意見を幅広く聴取すること、これは説明会やパブコメです。また、実際の事業者の指定に当たっては、経済的、社会的観点から事業者の負担に配慮すること、こうした基本的な考え方や留意事項をこの基本指針において示すことを想定しています。その上で、主務官庁は、基本指針の内容を踏まえて広く意見募集を行った上で個別事業分野の特性に応じた具体的な指定基準を定め、実際に基準を満たす事業者を指定していくことになります。
この法案では、役務の安定的な提供に支障が生じることによって国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいものを対象事業者として指定することとしておりますので、先生御指摘の中小企業の事業者を対象とすることは基本的に想定してないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/193
-
194・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。中小事業者からそういう不安の声がありましたので聞かせていただきました。
これこそ最後に本当になるかもしれませんが、特定重要設備の導入前また導入後によって、それぞれ勧告、命令の規定があるんですが、更に措置を書き分けてもらったと思っています。それぞれの考え方の違いを、まず小林大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/194
-
195・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この法案におきましては、特定重要設備が特定妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいときに勧告、命令を行うこととしておりまして、導入前後でこの基本的な考え方に違いはありません。
一方で、導入後の勧告、命令についてでございますが、これは有識者会議の提言でも、読み上げさせていただきますが、事後的にも発動可能な仕組みとするべき、そして、事業者への影響が大きい事後的な措置の発動は極めて限定的な場面に限られるべきであり、また、勧告等を事後的に行う場合には事業者の負担に留意した内容とすべきとされています。
こうした意見も踏まえまして、既に導入等計画書についての事前審査を受けた場合の事後的な勧告につきましては、条文上、国際情勢の変化その他事情の変更によりと、限定的な場合に適用することを明記しております。また、勧告の内容につきましても、事業者の負担軽減や特定社会基盤事業の継続性確保の観点から、この特定重要設備の検査又は点検の実施ということで例示をさせていただいているところでございます。
この事後的な勧告の具体的な運用を含めました勧告、命令に関する基本的事項につきましては、閣議決定する基本指針において定める予定でございますが、その際には、これまでにいただいた有識者会議の提言、また経済団体などからの御意見も踏まえるとともに、幅広い関係者の意見をしっかりと聞いてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/195
-
196・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。
そのほかの質問につきましては、また次回に質問させていただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/196
-
197・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
この経済安全保障推進法案ということで、小林大臣には、大臣所信のタイミングになりました、もう一か月以上前のタイミングになりますけれども、そのときにも、私としてもこの経済に関する安全保障というものは大変重要だという思いがありまして、大臣には期待を抱きつつ、そのときに、大臣所信のときにも御質問をまずさせていただきましたので、ちょっとそのときの大臣所信の大臣の御答弁の中から少し確認をさせていただきたいポイントがありましたので、その点についてまずは御質問をさせていただきたいと思います。
まず、その三月八日になりますが、この内閣委員会の大臣所信に対する質疑の中で大臣からこんな御答弁がありまして、その経済安全保障として大切だと思う目標ということで何点かポイントのお話がありました。
その中で、経済構造の自律性をしっかりと向上させていくということ、これを大切だという目標の一つとしてお話をいただいたんですけれども、具体的にこの経済構造の自律の向上というのはどのようなことを状態として目標に置いているのか、この点、具体的にお話をいただいてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/197
-
198・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
我が国の経済構造の自律的な確保というのは、我が国の基幹産業、主要産業が抱えるリスク、この点検、見直しを行って、脆弱性を把握をし、克服していく、そのことによって、他国への過度な依存を脱していくとともに、国際情勢は複雑化しておりますけれども、そういう中においても、そうした他国の動向などに一々右往左往することなく我が国としての立ち位置を明確化すると。我が国自身の主体的な取組によって国民生活や社会経済活動を維持向上させていくことを意味しております。
こうした状態をしっかりと実現していけるように、政府として省庁横断で必要な取組を進めていきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/198
-
199・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今お話をいただいた中で、そのリスクの点検であったり、その脆弱性についてしっかり見直しを図っていく。まあ強みを伸ばしていくというようなこともあったかというふうには思いますけれども、ただ、ちょっと改めて考えてみますと、通常、企業が活動するときには、やっぱり自分たちの強みって何だろう、自分たちの企業にとって弱いところは何だろう、で、多分強みを伸ばそうと、弱みについては消し去っていこうということをこれまでもやってきたのではないかなと思うんですね。そうすると、今大臣お話しされたというのは、これまでも恐らく経済活動の中でそれぞれが取り組んできたことなのではないのかなと思います。
でも、やっぱりそれが今改めて必要だというのは、なぜそれが今改めて必要になっているのかということを、もう一回そこをきちんと考えておかないと、今回せっかくこの経済安全保障というものを進めていこうという中にあって、もしかすると、今までと同じような過ちあるいはわなのようなものがあったとしたら、それに気付かない可能性もあるのかなというふうに思ったものですから、そこをもう一段深掘りすると、今までもやっていたはずなのにできなかったその理由というのはどこにあるというふうに大臣お考えになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/199
-
200・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これは、一言で言えば想像力の欠如だと私は思っています。
これまでも、これ企業だけではなくて、国であれ自治体であれ、BCP含めてリスクシナリオというのをしっかりと本当はもう考えられるだけ考えて、それで、それでも対応できないところが出てくるかもしれませんが、そういう作業を日頃から行って、平時から行っていれば、今はウクライナ情勢が生じていますけれども、これに類似する、あるいは全く別の大きなインシデントがこれから起こるかもしれません。今の状況で、国であれ自治体であれ企業であれ、あるいはアカデミアであれ、これまでやってきてから大丈夫と言えるそのプレーヤーってなかなかいないんじゃないかなと思うんです。
これ、民間企業だけではなくて国に対しても言えることだと思っています。それ、これまでいろんな事態を想定しながらやってきたとは思いますけれども、実際に、じゃ、対応できたか、きちっと本当に対応できているかといえば、まだまだ改善する余地があると私は思っておりまして、そういう意味で、もちろん財政的な制約とか様々あるかもしれませんが、やはり各プレーヤーが今後その不確実性に富む世の中を迎えていく中で、何がどういう状況になっても、国としては国民の命や暮らしを守り抜く、企業としては自らのその企業の経営をしっかりと守っていく、そうした姿勢というものをしっかりと改めて持つ必要があるのではないかと、これは私見ですけれども、感じるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/200
-
201・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣、率直にお答えをいただいてありがとうございます。
今そうした大臣も思いの中でお話をいただきましたけれども、では、そんな思いで今回のこの法律、四本に絞り込んだような形の法律になりますけれども、作り込まれたわけですけれども、今回法律作られて、今お話をいただいたような、日本にとって弱い、まだまだ弱いところがあると、まあ率直にその想像力の欠如というお話もされましたけれども、それをきちっと補って、次に着実に一歩、二歩と前進が進める内容に今回の法案はしっかりと整ったものになったというふうにこれは捉えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/201
-
202・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 結論から申し上げますと、これは、これで全てだとは思いませんが、着実に、今委員が御指摘いただいた観点からは、成立すれば前に進む枠組みができると思っています。
具体的に申し上げますと、その自律性の強化、向上というところでは、サプライチェーンの強靱化を図る観点から、国民の生存、また国民生活、経済活動に甚大な影響のある物資の安定供給を図るための制度を設けるとともに、基幹インフラの安全性、信頼性の確保ですけれども、基幹インフラ事業者が設備の導入などを行う前に政府がリスクを審査する制度を設けることといたしました。
当然、今申し上げたとおり、この、じゃ、二つ、あるいはそのないし四つ、今回法案で盛り込まれた項目、これを、まずはしっかりと法案を御審議して成立させて、それを実効的に動かしていくことが重要だと思っていますけれども、それ以外にも様々課題はあろうかと思いますし、時代は様々変化して、情勢変化していきますので、新たな課題というのも当然出てくるんだろうと思います。
その意味で、三月の十一日に、関係省庁、かなり広い省庁にわたりますけれども、局長クラスの方々に集まっていただいて、経済安全保障に関する重点課題の検討会議というものを設置、キックオフしたわけであります。こうした枠組みをしっかりと活用することによって、新たな課題の洗い出しも含めてやって、その対策を打って更なる自律性の強化に努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/202
-
203・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今、局長会議を開いて重点課題についての議論をということで、恐らくこれは、今大臣言われた様々なものが変化していく中にあって、しっかりと想像力を働かせて、本当にこれで足りているのか、足りないところは何なのかというのをしっかり議論する場が設けられたんだというふうに私なりには今受け止めました。
それともう一つ、先ほどの一つ目の大臣答弁の中で他国の動きに余り右往左往せずにということがありました。まあそのとおりだと思います。でも、その一方で、やはり今グローバルでの様々な経済活動って従来とやっぱり違うと思うんですね。
従来は、まず自国の市場というものがあって、あるいは自国の圏内の、隣国含めた、そういう経済のまずベースがあって、そこをベースにしながらほかの国に対して輸出をしていくというような形だったと思いますけれども、恐らくもう今のグローバルに活動している企業体はそうではなくて、もう世界を一つの市場にしているというふうに思います。その中で、ここの地域にはこういうふうにやっていこう、この地域にはこうやっていく、要はそれぞれの特色に合わせて活動しているという感覚なのではないかなというふうに思います。
そうすると、他国の動きに対して、もちろん一つ一つに過敏に反応して右往左往するのは、これは私もよくないことだとは思いますけれども、他国は確実に世界を一つの市場と見て動いているとすれば、やはり他国の動きは結果的にはほかの市場にも全て影響するとなると、そこに対してはしっかりとアンテナは高く張っておかなければいけないことだと思いますし、私自身が数年前から積極的にテーマとして取り組んでいるものとして国際標準化戦略というものがあります。
これはもう、この国際標準化というのも、例えば一つの商品とか一つの市場に対して共通ルールを作っていこうというような観点でのルール作りでは既になくなっていて、いかに自分たちのそれこそ企業としての強み、国家としての強み、そういうものを生かせるルールを他国に先んじて、他の地域に先んじて作っていくかということに既にもう入り始めていますし、ちょっと前でいけば、アメリカは自分の市場が大きかったですから、まずは自分たちがしっかり固めると自動的にそれが世界標準になるんだというようなことがアメリカでは以前は取り組まれていて、それこそウィンドウズなんというのはそういう形で世界標準を取っていったわけですが、市場から開拓をしていったわけですが、そんなアメリカでも、今は市場開拓だけでは、世界を相手にしないといけないので、自国の域内だけではもう足りなくて、最初から世界のルール作りにあのアメリカですらも既に入り込んでいると、つまり戦術の見直しが既に始まっているというふうにも思います。
その意味では、先ほど大臣が言われていたことは側面の一つとしては大変重要ですけれども、それと同時に、他国の動きについて、特にこのルール作りという観点においてはしっかりと動きを見ながら、それこそ右往左往するどころか、他国に右往左往させるぐらいの観点を持って日本がリードをしていくということをしていかなければいけないのではないかなというふうに私自身は思っているんですけれども、ちょっとこれ、済みません、事前通告していない質問ですけれども、もしお答えをいただけるようであればお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/203
-
204・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 委員御指摘のこのグローバルに物事を捉える視点ですとか、あるいは他国との連携、あるいは国際標準化どうしていくかというのは極めて重要だと思っています。
私が今この経済安全保障の基本的な考え方としてこうした国会の場とかで申し上げているのは、先ほど委員紹介、言及いただいた自律性と優位性、不可欠性の強化、獲得、弱みを解消するというところと強みを磨いて獲得していくこと、これは何を意味しているかというと、当然、他国の動きに右往左往しないということが一つです。
もう一つは、自分の中にそういう基軸というものがないと、いや、他国と連携する、同志国と連携するというのは、言うのは簡単ですけれども、自分の中にそういう戦略的な軸がなかった場合、結果として、結果としてですね、場合によっては単なる追随と終わってしまう、終わってしまいかねない、そういう考え方があるものですから、国家安全保障戦略の策定の中で経済安全保障をどう位置付けるかという議論も今行われていますけれども、そうした中で日本なりの経済安保に関する基軸をつくる、そのことによって本当の意味で、本当の意味でというか、より深い形で、意味のある形での同盟国や同志国との連携というのも可能になってくるでしょうし、そうした意味で、今、リスクの点検を含めて、まずはそうした作業を急ぐ必要があると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/204
-
205・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
日本人というのは本当に器用で、合わせるのもうまいんですよね。だから、相手がルール変えても、そのルールにうまくまた合わせて自分たちの強みを生かしていくということができる、そんな国民性があるんだというふうにも思います。
ただ、今大臣言われたとおり、自分たちの軸をしっかり持つということ、これがやはり私も大変重要だというふうに思います。これからは、相手に合わせて、合わせながらうまくその中を勝っていくのではなくて、自分たちがしっかり軸を持って、その軸でしっかりと世界と闘っていく土壌をつくっていくということが大変なんだ、大変重要だというふうに、私なりにも今大臣のお話を聞いて改めて頭の中、整理をさせていただきました。ありがとうございます。
それでは、また通告しました内容に戻って質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、重要物資の安定的な供給の確保の観点でのお話をさせていただきたいと思います。
この経済のグローバル化、これがもうずうっと進んできた中にあっては、先ほどもいろいろと変わってきたという話はしましたけれども、このサプライチェーンそのものの複雑さというのも相当変わってきています。今回のこの重要物資の安定的な供給を実現しようとしたときに、そのサプライチェーン、いろんな複雑化はしているんだけれども、その取組の方向性としては、やっぱり国内回帰ということで国内の、サプライチェーンの中の国内という部分、ここをしっかりと強くしていくという方向性になっていくのか、それとも、国内だけではやっぱりなかなか難しいということで、まあ言ってみればブロック経済的なサプライチェーンですね、こうした考え方で更なるサプライチェーンの強化、中身の変更というものを図っていくのか。
このサプライチェーンの強靱化というその方向性について、政府としてのお考えはどのようなものがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/205
-
206・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、経済のグローバル化あるいは社会のDXが進む中で、サプライチェーンの複雑化、多様化というのも進んでいて、この供給リスクの高まりというものが顕在化しています。このサプライチェーンは、本来、民間事業者の自由な経済活動の、経済活動に基づいて構築されるのが原則だと思いますが、一部の重要な物資については、その供給を特定の国に依存をして、実際にその供給途絶や供給不足という現象が生じております。こうした中で、国民の生命や暮らしを脅かす事態を未然に防止するために政府が安定供給に向けた取組を特に重要な物資についてはやるということで、民間に押し付けるというよりも、民間の方々の主体性というものをしっかりとインセンティブで後押しするような形でやるというのが今回の枠組みです。
委員から、じゃ、国内回帰なのか、あるいはそうじゃないのかという御質問をいただきましたが、私は、サプライチェーンの強靱化に当たっては、国内回帰とか、あるいはブロック経済的なサプライチェーンとか、そういったフレームにとらわれる必要はないんじゃないかと思っていて、経済合理性、それはそれで一つの考え方だと思うんですけれども、経済合理性や効率性も当然踏まえながら、物資の特性に応じた生産基盤の、国内に生産基盤を整備するというのがベストであればそれをやればいいし、あるいは供給源を多様化するのがいいというのであればそれもありだし、備蓄もあるし、あるいはその代替物資の、あるいは生産技術の開発、こうした多様な取組というものがあろうかと思っていますので、これは重要物資のそれぞれの特性に応じて民間企業の発意に基づいてやっていただいて、それをしっかりと応援するというような形がベストだというふうに思っておりまして、必ずしもこういう形がいいというのではなく、重要なのは、いかなる状況にあっても国民の、日本の国民の命と暮らしを守り切れる体制をつくるか、そのためのアプローチというのは様々だというふうに捉えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/206
-
207・礒崎哲史
○礒崎哲史君 一貫してこの法案審議の中で大臣も、まあ総理もそうですけれども、民間企業のその事業そのものの自由度というものは、引き続きそれは守った状態でいくということを主張されてきていましたので、その延長線の中での御答弁をいただいたんだというふうに受け止めました。
ちょっと細かい話なんですけれども、ちょっとどころか相当細かい話なんですけれども、グローバル企業、本当にいろんなサプライチェーンを築きながら今グローバルで企業活動していますけれども、地産地消という言い方でいいと思います。現地でそれこそ素材等も買ってきて、現地の工場で組み立てて、そして現地で売るという、こういうことも企業のそのビジネスモデルの中ではもうしっかりと行われている活動になりますけれども、例えば、こうした地産地消なども行いながら企業活動している企業の中で、平時はそういうことになるんですけれども、例えば有事が何らかの形で発生をしたときに、日本国内のそれこそマーケットのために安定的な供給の確保、これをしなければいけないということで、これまで余り日本用のものではなかったその地産地消用の、地産地消のために設けていた海外のそういう事業所等、これも有事のためのサプライチェーンとしてその中に組み込んでいくんだというような、こういう考え方もすべきだというような評価は、政府としてはお考えはお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/207
-
208・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 細かいというか、重要な視点だと私は思います。
法案におきましては、物資の特性などに応じまして今申し上げた多様な取組を支援していくとしていますので、その物資の供給源を多様化する観点で、他国で物資を生産して日本に供給するケースも支援の対象となり得ると考えています。
ただし、今、礒崎委員が御指摘いただいたような、例えば平時においては日本に供給されず、日本における需給が逼迫した場合のみ供給されるようなケースにおきましては、まず、日本以外の平時の供給先がある中で日本への追加的な供給を行うことができるのかという供給者側の観点がまずあって、また、需給逼迫時のみに供給される物資が日本の需要者のニーズに合致しているのかという需要者側の観点、これも考えなきゃいけなくて、共に課題があると考えられますが、いずれにしても、何かこういう選択肢は最初からもう完全に排除するとかそういうものではなくて、物資ごとに他の選択肢と比較考量もした上でこの取組に対する支援の効果を見極めていく必要があると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/208
-
209・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ですので、これ何を、まあ平時は大丈夫なんですけれども、有事というものをどう捉えて、そのときのリスクをどのように評価すべきなのかという、多分そこの考え方をしっかりと持っておく必要があるのかなというふうに思います。それこそ抜け漏れがないのかどうかという、そういった確認を、先ほど会議の中で行い始めたところということもお話をされていましたので、是非いろいろな観点で、有事とは一体どういう状態を指すのかというのも是非また深掘り、御議論もいただけたら幸いかというふうに思います。
その観点で、これ条文の中の文言、これ先ほどの江崎委員また浜田委員の質問と繰り返しにはなってしまいますけれども、改めて確認ですが、第七条のところに言葉としてございます、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態を未然に防止するというふうにある、この国家及び国民の安全を損なうとはどのような状態を示しているのか。また、外部に過度に依存し、又は点々々とありますが、この外部というものが何を示しているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/209
-
210・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答えいたします。
まず、本法案七条において御指摘のあった外部に過度に依存しの外部でございますが、これは海外を意味しておるところでございます。
また、国家及び国民の安全を損なう事態ですが、これは、例えば重要な物資の我が国への供給が途絶又は不足することによって国民の生存に直接的に支障が生じる状況、又は国民生活若しくは経済活動に甚大な影響を及ぼす状況を指しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/210
-
211・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
さっき江崎委員の方からは、ここの範囲は実は物すごく幅広く取られているのかなというのがお話としてあって、でも大臣の答弁を聞くと結構そこ具体的になっているというお話を江崎委員はされていたんですが、私は逆でして、安全を損なうということなので、どれだけの安全を損なうということで、もしかするとかなり大ごとというふうに捉えていいのかなというふうに思っていましたけれども、逆に、経済活動として甚大な影響があるというところまで広げているということですので、ある意味、そこの部分については幅広く捉えられているのかなというふうにも私自身は受け止めています。
もう一つ、条文の中から確認をしたいことがあるんですけれども、これもあくまでも確認になりますが、第九条の中で、供給確保計画の認定、この点についてなんですけれども、条文の最後の言葉で、その認定を受けることができると、企業ですね、企業としてその認定を受けることができるというのが条文の最後、九条の一番最後のところになります。
計画の提出は、これは、そうすると、あくまでも事業者の判断という認識でいいのか、それとも、事と場合によっては政府から促されることもあるのかどうか、この点について確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/211
-
212・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この九条の供給確保計画については、もう委員御指摘のとおりでして、民間事業者の自発的な取組を前提としたものでございます。なので、政府としては、こうしたサプライチェーンの強靱化のために国として取る施策の周知などについては当然行っていきますけれども、事業者にその計画の提出を強いることはありません。
また、サプライチェーンは、この事業者の経済合理性を踏まえた自由な経済活動に基づき構築されることが基本、それはさっき、今申し上げたとおりですけれども、この法案によって安定供給確保を図る上で、民間事業者による取組を後押しすべく施行後の運用を丁寧に行っていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/212
-
213・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。改めての確認ということでさせていただきました。あくまでも事業者の判断ということであります。
ちょっと質問の順番を入れ変えまして、今日、経産省さんの方にも来ていただいていたものですから、その質問を先にさせていただきたいと思います。
この重要物資に関しては、衆議院の委員会の中では、具体的には半導体、電池、レアアース含む重要鉱物、それから医薬品という四つの項目についてはもう具体的にいろいろと言葉がもう飛び交っておりましたけれども、この重要物資の中で例として挙げられていた蓄電池に関してなんですけれども、蓄電池に使用していますコバルトに関しては、これ埋蔵量、生産量共に世界一位がコンゴ、コンゴ民主共和国になります。
ただ、この同国に関しましては様々なカントリーリスクがあるということ、これはもう日本の関係機関のところからも様々なレポートも来ているということもありまして、以前からも指摘がされています。また、児童労働の件もありまして、この人権の問題ということもリスクとして指摘をされておりました。
今回の法案には、その人権への対応ということの意味で人権デューデリジェンスへの対応が含まれていないということではありますけれども、今後の法制化に向けた検討状況について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/213
-
214・黒田淳一郎
○政府参考人(黒田淳一郎君) お答えを申し上げます。
近年、国際社会におきまして人権問題への関心が高まる中、企業がサプライチェーンも含めた人権尊重の取組をしっかりと行わない場合におきましては、不買運動、投資の引揚げ、さらに既存顧客との取引停止など多くのリスクに直面することがあるというふうに承知してございます。
このため、経済産業省としても、セミナーなどによる産業界への周知啓発活動などを通じまして、これまでも企業に対してサプライチェーンにおける人権尊重の取組を促してきたところでございます。一方で、昨年十一月に公表しました企業調査におきまして、日本企業の取組がまだ不十分であるというようなことも明らかになってくるとともに、ガイドライン整備を望む要望も多く寄せられたところでございます。
このため、経済産業省では三月九日に、企業のサプライチェーンにおける人権尊重、いわゆる人権デューデリジェンスに関して検討会を立ち上げまして、業種横断的なガイドライン作りを開始したところでございます。今年の夏までにガイドラインを策定したいと考えてございます。なお、ガイドラインが経済産業省所管分野のみならず全ての産業分野に適用されますよう、内閣官房に設置された関係府省庁会議とも連携していくこととしてございます。
こうしたガイドラインの策定などを通じまして、日本企業の人権尊重に向けた取組を後押しし、日本企業の国際競争力の維持、強化につなげてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/214
-
215・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ガイドラインが今検討がされていて夏までに作られるということでありました。是非これは、企業からも、どういうふうに、何をどうチェックしていいんだというのは具体的な声としては来ていましたので、是非この点のガイドラインは早急に作っていただきたいと思います。
それともう一つは、やはりガイドラインを作ってもらったとしても、じゃ、それ実際にどうやってチェックするのかというチェック体制が、じゃ、皆さん、それきちんと整えられるかというと、その点については、それこそ中小企業がそこまで見るというのは非常に大変だというふうに思いますけれども、そうした実際にそのガイドラインを作った後のフォロー体制、政府としてのフォロー体制について何か今検討されていることはありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/215
-
216・黒田淳一郎
○政府参考人(黒田淳一郎君) お答えを申し上げます。
今、ガイドラインの内容そのものにつきまして、現在、有識者から成る検討会で御議論いただいているところではございますけれども、御指摘のようなコメントを踏まえまして、今後検討を深めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/216
-
217・礒崎哲史
○礒崎哲史君 これ、ガイドライン作っただけでは企業、対応し切れないと思います。しっかりと政府として、その現地での情報取りですとか、現地で動けるようなフォロー含めてやっていただかないと、現実としてこれ解消していくのは難しいというふうに思います。
この点については、また引き続き議論をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/217
-
218・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
今日は本当に長い委員会になりまして、しかも三時半近くになっておりますので、一番お疲れが出る、感じる時間帯かもしれませんが、しばらくの間お付き合いをいただければと思います。
昨日は本会議で総理に基本的なこと一通りお聞きをしましたので、今日は、法案の具体的な中身でありますとか、解釈の仕方であったり、あるいは法案に関連した事柄も幾つかお聞きをしていきたいと思いますが、まず最初に、大臣の御認識、考え方、お尋ねをしておきたいと思います。
昨日も申し上げましたけれども、今回のこのロシアのウクライナに侵略するという蛮行によって、もございましたが、ありましたが、また、同じくこの中国の、覇権主義を妄信する中国は、軍事、経済両面で非常に存在感を近年拡大させております。これによって、米中によるこの覇権争いは激しさを増しておりますし、米中のこの覇権の争いというのはこれから非常に長期間にわたるだろうと言われているところでありますが、加えて、台湾有事は現実味を帯びつつありますし、北朝鮮からは、御存じのとおり、弾道ミサイルの発射が繰り返されております。
このようなこの日本を取り巻く国際環境の変化はますますこれから激しさを増していくものと予想しておりますが、したがって、今こそ、この従来の枠組みにとらわれない安全保障の抜本的な強化が必要不可欠だと。そういう意味でも、今国会においてこの経済安全保障法制への取組が始まっていく、本格化するというのはその重要な第一歩だと我々も評価をするところではありますが、他の国々ではもう既に、先ほど申し上げましたように、米中の覇権争いが長期化するだろうというようなこと、あるいは、この安全保障の裾野の拡大を受けて、経済安保、安全保障に関する法制度や体制の整備を急速に進めていました。また、各国においては、この漏えい対策であったり、情報の漏えい対策であったり、この輸出管理を厳しくするという措置をもう何年も前からとってきたというふうに承知をしておりますが。
そこで、お聞きをまずいたしますけれども、これまで、日本においては、我が国においては、この本法律案のような法制度が導入されなかったのはなぜか、また、より早期に提出すべきだという考えはなかったのか、併せて大臣にお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/218
-
219・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、国際情勢が複雑化していますし、また、革新的な技術が出てきておりますし、経済のグローバル化、私はいいことだと思いますけれども、そこに今副作用というかリスクみたいなものも高まってきているところです。
そうした中で、各国が、今委員御指摘のように、産業基盤を強化したり、あるいは機微技術の流出防止対策を強化していったり、あるいは経済安全保障に関連するこの施策というものを強化している状況だと認識しております。
なぜこれまでこの日本がやってこなかったのかということですけれども、私、別に日本が取組が特に遅れているとは思っていなくて、まだまだやるべきことはたくさんありますし、他国の例をしっかりと踏まえて追い付かなきゃいけない部分はあると思うんですけれども、ただ、これまで申し上げたとおり、今回の法案、これは経済安全保障推進法案ということで、その経済安保という名を、銘打ったものとしては今回初めてのものですけれども、先ほど来御紹介させていただいているとおり、私が就任して以来だけでも、例えばその法整備に限らない技術流出防止対策というのは打ってきておりますし、これまでも様々な蓄積というものはあります。
重要なのは、確かに遅かったのじゃないかというふうに指摘されると、いや、もっと早くそれはできていればよかったのかもしれません。ただ、私自身は、まあ遅かったかもしれませんが、今から五、六年前に、機微技術の、日本の先端技術の流出防止に対しては本当に強い危機感を抱いて、自民党の中で私は議論をしてきたんですけれども、同僚議員と議論をし、また政府とも様々な議論をする中で、様々なその脆弱性の点検とかというのを、非常にラフな形だったんですけど、やってきました。
その中で、どうしても法整備が必要で急がなければならない分野横断的な課題ということで今回四本御審議いただこうということになりましたので、確かにまだまだ足りない部分たくさんあると思いますから、そこはいかなる状況でも国民の命と暮らしを守り切れるようにこれからも精いっぱい施策を進めていきたいと思いますし、重要なことは、他国に言われてやるんじゃなくて、やはり自国民の安全というものは自らの意思と能力で主体的に守るということだと思っておりますので、そういう姿勢をしっかりと持ちながら尽力していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/219
-
220・柴田巧
○柴田巧君 とにもかくにも、他の先進諸国にこれ以上後れを取らないか、周回遅れにならないようにしっかり足並みがそろっていくようなものにしていく必要があると思いますが、いずれにしても、この経済安全保障は、日々、今も大臣もおっしゃいましたが、日々刻々と変化をしていきます。この国際情勢あるいは技術革新もどんどん進んでいくわけでありますから、そういったものに対応していかなければなりません。総理も昨日おっしゃいましたし、大臣も今日の委員会でも触れていらっしゃったと思いますが、これは、今回の法案はまさにそのファーストステップで、これからまたいろんな点検をしながら拡充や見直しも必要になってくると思われますけれども、思っていますが。
今大臣も、今の答弁もされて、ちょっと絡んではまいりますけど、この国民の生命、財産をやっぱり守ると、単にこの法案を通して終わりではなくて、やはりそこが一番のポイントになってくると思いますと。この国民の生命と財産を守っていくための安全保障の一環として我が国のこの経済安全保障はどうあるべきか、さっきのちょっと答弁と重なる部分はあるかもしれませんが、大臣にお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/220
-
221・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) できるだけ簡潔に申し上げますと、私は、その経済安全保障の基本的な理念というのは国益を経済面から確保することだと考えています。その国益というのは、最も重要な国益は、国家の主権と独立、国民の生命、身体、財産を守り抜くこと、二つ目としては、経済的な繁栄を実現していくこと、三つ目としては、基本的な価値に基づく国際秩序を維持、擁護、強化していくことだと思っています。その国益を実現していくに当たって、アプローチとして、自律性の向上と、他国に対する優位性やそれを磨いて国際社会にとっての不可欠性、これを獲得していくことというふうに申し上げています。
その二つのアプローチを講ずることによって、先ほど申し上げましたが、他国の、不確実性がこれからどんどん富む世の中になっていくと思いますが、そういう中においても、他国の動向に右往左往することなく、自らの意思と能力で国民の命と暮らしを守っていく国にまた近づいていくこと、それと同時に、そうした弱みを解消し強みを獲得することによって国際社会の中での日本の立ち位置というものを更に強化をし、発言力、プレゼンスを強化することになりますから、それによって少しでも国益にかなう国際秩序、ルールの形成に、より、これまでにも増してより主体的に参画していくこと、そうした国に少しでも近づいていけるように、この経済安全保障という分野で必要な施策というものを講じていきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/221
-
222・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございました。大臣、ありがとうございました。
その御認識の下、この後また幾つかいろいろとお聞きをしてまいりたいと思いますが、次に、今日は、昨日の本会議でも取り上げられましたが、今日の委員会でもしばしば各議員から取り上げられておりますが、特定重要物資の要件などについてお聞きをしたいと思いますが、重なる部分、多々あるとは思いますけれども、非常にこれ、どういう理解すればいいか、解釈すればいいか、国民の皆さんあるいはビジネスをしていらっしゃる方も大変関心が強い分野だろうと思いますので、あえてお聞きをしてまいりたいと思います。
今回のこのロシアによるウクライナの侵略に伴って、エネルギーの高騰、価格の高騰や鉱物資源の供給途絶のおそれという事態が生じております。先ほどからも出ていますが、この経済制裁に対するロシアの対抗措置として、パラジウムの供給を遮断されるのではないかという懸念が出ている、まあ実際にいろいろともう起きているわけですけれども。
先ほどから、第七条、大変今日は取り上げられておりますが、この第七条による特定重要物資の指定においては、例えばこのパラジウムが国民の生存に必要不可欠等の他の要件に仮に合致すると仮定した場合、仮にこの産出国によるパラジウムの意図的な供給遮断のような行為があった場合、この規定における外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態と該当するのかどうか。先ほどから答弁をお聞きしていると、具体的な指定の基準等は、有識者の意見も聞いてこの基本方針を今後定めていくということをおっしゃっているわけですが、改めてあえてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/222
-
223・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答えいたします。
外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態に該当するかどうかの判断に当たっては、物資によって異なる状況があることを踏まえ、供給途絶リスク等の外部からの影響等を総合的に勘案し、判断することを想定しております。
特定重要物資の指定の具体的な考え方やより詳細な要件などは、有識者の意見も聞いた上で安定供給確保基本指針において定めることとしておりますが、他国による意図的な供給遮断については、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態に当たり得るものと想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/223
-
224・柴田巧
○柴田巧君 分かりました。
それで次に、今回のこのウクライナの侵攻に伴って、エネルギー価格の高騰は、このロシアに対する国際社会による経済制裁によるところがあると思うんですね。また、半導体の製造に欠かせない、今日も出ていたと思いますが、ネオンなどの希ガスのウクライナからの供給の不安というのは、これはどう理解していいのか。ウクライナやロシアが意図的に生ぜさせたと見るのはちょっと難しい面もあるのかなと思います。
しかし、この第七条、本法律案には、外部から行われる行為と、こう記されているわけですが、普通はというか基本的には、そう書いてあると、意図的に行われる経済的な手段による影響力の行使、いわゆるエコノミック・ステートクラフトを想定しているのではないかというふうに考えたりするわけですが、だとすると、意図的に生じたものでない事態を外部から行われる行為により国家及び国民の安全を損なう事態とみなすことができるのかどうか、ここはちょっと私が判然としないところですが。
そこでお聞きをしたいと思いますけど、ある国からの物資の供給が他国による封鎖や破壊行動又は第三国による経済制裁によって阻害されることが想定される場合は、本法律案の特定重要物資の安定的な供給の確保に関する制度の対象となり得るのか、この点、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/224
-
225・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答えいたします。
特定重要物資を指定する際の基本的な考え方等については、先ほど申し上げたとおり、有識者の意見を聞いた上で基本方針を定めることとしております。
その上で申し上げれば、物資の供給を依存している国以外の第三国の行為により、それが我が国に対する妨害につながる場合も含めて多角的に検討を行い、所定の要件を満たせば当該物資を特定重要物資に指定し、安定供給確保に係る支援を行うことが可能な制度となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/225
-
226・柴田巧
○柴田巧君 済みません、もう一度ちょっと確認、一回確認させていただきたいと思いますが、意図的に生じたものではない、そういう経済制裁とかでそういう事態になった場合も外部からの行われる行為によるというふうに解釈できるということでよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/226
-
227・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答え申し上げます。
繰り返しですけど、詳細は今後基本方針で定めることとしておりますが、物資の供給を依存している国以外の第三国の行為によって、それが我が国に対する妨害につながる場合、こういう場合も含めて多角的に検討して、こういう、ここに規定する支援を行うことが可能な制度となっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/227
-
228・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございます。
次に、大臣にお尋ねをしたいと思いますけど、この本法律案によってサプライチェーンの強靱化の体制整備が進められれば、その副次的な効果として、いざというときに一定の物資の供給体制が整うなどにより、将来、今回のようなウクライナ危機のような事態が起こっても対処できるようになるのかもしれません。
しかし、外部から行われる行為を前提として物資の指定を行う場合、その対象は限定されるのではないかと考えるわけで、そこで、外部から行われる行為に限らず、国家及び国民の安全を損なう事態に発展するおそれがある物資の途絶等といった事態についても対応できるようにする必要性についてはこの法案を提出するに当たって検討されてきたのか、大臣にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/228
-
229・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案では、外部から行われる国家国民の安全を害する行為を未然に防止することを目的としております。また、サプライチェーンの強靱化については、供給途絶の事態が生じてから事後的に対応するのではなくて、平時から安定供給確保のための措置を講じる、そういう立て付けとなっています。
具体的には、この法案で、特定重要物資に関する国内生産基盤の整備ですとか備蓄、あるいは供給源の多様化、あるいは代替物資の開発などが行われることに、平時から行われることになるんですけれども、このことによって我が国のサプライチェーンそのものが強靱化されますから、結果的に、今、柴田委員御指摘のような、外部から行われる行為以外に起因する事態についても効果があるのだろうと考えています。
それに加えまして、先ほど来少しお話しさせていただいている、この法案だけではなくて、この法案ではしっかりカバーできるところはやっていきますけれども、国民生活や国民経済を支えていく重要な産業が抱えているリスクの点検、評価というものを既に始めております。これは定期的に実施していかなければ意味がないというふうに思っておりますので、そうした中で、こうした取組も併せて供給途絶の様々なリスクについては対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/229
-
230・柴田巧
○柴田巧君 よろしくお願いをしたいと思います。
次の質問に移ります。
警察の経済安全保障対策についてお聞きをしたいと思いますが、改めて言うまでもありませんが、先端技術が海外に流出すれば、日本の国際的な競争力が低下し、と同時に、多額の経済的な損失につながりかねないばかりか、流出した情報が大量破壊兵器の開発など軍事技術に転用される可能性も十二分にあるわけです。
これまで、したがって、警察においてはいろんな関連情報の収集であったり違法行為の取締りを行ってきたと承知をしていますが、昨今は、この先端技術の海外流出を防ぐために、警察庁と都道府県警ですかね、が民間の企業や大学向けの対策説明会や意見交換会を行ったりしています。経済安全保障コンサルティングと言っていいのかもしれませんが、いわゆるアウトリーチ活動をしてこられたということでありますが、その中で、これまでの捜査で蓄積した技術窃盗の手口など最新の技術を伝えたり、相談も受けたり、講演などを通じて企業や研究機関への働きかけを強めているということですが。
そういう中で、昨年の一月に、ちょっと、数字はちょっと間違っているかもしれませんが、警察庁では二十人ほどの専門班を立ち上げて経済団体などへの啓発を強めてきたと、始めてきたということですけど、この春にはそれを、この体制を更に強化して、経済安全保障室を新設をして業務を本格化させると、させたということでありますが、この経済安全保障室を新設して、特に今後どのような点に力を入れていこうとしているのか、警察庁にお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/230
-
231・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
経済安全保障の推進上、特に先端技術の流出防止対策は極めて重要であると認識しております。
警察では、技術流出防止対策として、従来から、産業スパイ事案や機微技術を使った製品の不正輸出事案、サイバー攻撃事案等の実態解明と取締りを推進しております。
また、昨年来、新たな取組として、警察から、先端技術についての情報を保有する企業や大学、研究機関等に対しまして技術流出の手口や有効な対策を提供し、これを抑止するため、いわゆるアウトリーチ活動を行っております。
我が国が誇る先端技術は全国各地の企業や大学において保有されているところ、各都道府県警察におけるこうした取組を強化するため、警察庁では、本年四月、経済安全保障室を新設しました。
経済安全保障に関する情報収集や分析、そして企業などへのアウトリーチ活動について、全国警察への指導を含め積極的に推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/231
-
232・柴田巧
○柴田巧君 こういう対策室ができて、これから本格化するということですが、対策を本格化していくには、部屋をつくっただけでは目的は達成できないわけで、やっぱり専門人材の育成というのは大事なことになると思いますし、この都道府県警察なども含めて、いわゆるオール警察としての取組の体制の構築が必要だと思いますが、どのようにやっていくのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/232
-
233・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
全国警察におきましても、経済安全保障を推進するため、情報収集、アウトリーチ活動を積極的に行っているところでございます。例えば、警視庁、大阪府警察等においては、令和三年中に専従のプロジェクトチームを設置し、企業との関係構築や情報提供などの活動を積極的に進めております。
また、御指摘のとおり、経済安全保障に係る活動を行う人材の育成、これは非常に重要なことでございまして、これを目的としました教育訓練の機会を格段に増やすなど、全国警察の体制を質、量共に充実させてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/233
-
234・柴田巧
○柴田巧君 先ほども地方自治体の経済安全保障の話がありましたが、地方には大企業を支えるすばらしい技術を持った企業などもありますし、外国企業の誘致の熱心なところもありますし、そういう意味では、警察庁だけではなくて、このオール警察でしっかりそういった取組をしていただきたいと思います。
この被害の未然防止を図るには、警察自体もいろいろ頑張ってもらわなきゃいけませんが、省庁間の連携というのも非常に重要ですし、あるいは、どうしても相手は民間企業の方、あるいは大学、研究機関ですから、そういった方々との情報共有も必要ですし、国際化の時代ですから、ボーダーレスな時代ですから、こういった案件も当然他国も絡むことが多いわけですから、そういう意味では国際的な取組も必要だと思いますが、どのようにやっていくか、併せてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/234
-
235・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
我が国が保有します様々な先端技術について実効性のある流出防止対策を講じるためには、警察だけでなく関係省庁との連携、あるいは官民連携が不可欠だと考えております。
そのため、警察においては、先ほど申し上げましたアウトリーチ活動のほか、内閣官房や経済産業省を始めとする政策官庁とも連携を進めています。例えば、経済産業省や各自治体、あるいは各事業者団体の協力を得て、官民フォーラム等で技術流出の手口や対策をお伝えしたり、あるいは企業等からの個別相談にも応じております。
また、国際連携という部分も非常に重要でございまして、警察庁は、外国の治安情報機関と協力した技術流出事案の実態解明、こうしたものにも従来から取り組んでおりまして、今後も引き続きこうした連携を強化していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/235
-
236・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございました。
警察庁によると、民間企業の情報漏えいを含むこの営業機密侵害事件というのは、平成二十六年には全国で十一件だったものが令和二年には二十二件まで倍増していると。しかし、これは氷山の一角だと言う、おっしゃる識者もあるわけで、こういう状況の中で、しっかりと警察がいろんなところと連携をしながら、また自分のところの体制も強化しながらしっかりと取り組んでいただいて、やっぱり企業の、あるいは民間、大学、研究機関の意識が高まるように、また何よりも被害が未然に防止されるように、警察としてまたしっかりやっていただきたいと思います。
次に、国際海底ケーブルのことについて幾つかお尋ねをします。
岸田総理は、昨年十月の所信表明演説において、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながるデジタル田園都市国家構想というものを提唱されました。
これを受け、総務省では、令和四年、今年の三月にデジタル田園都市国家インフラ整備計画を公表して、国内海底ケーブルについて、日本周回ケーブルを三年程度で完成させるとの方針を示しております。他方、この国際海底ケーブルについては、国際海底ケーブルの我が国への敷設を一層促進し、我が国がデータハブとなることを目指すことも重要であるとは記されてはいるのですが、整備方針や具体的な施策については具体的な記述がありません。今、この国際間のデータ通信の九九%は海底ケーブルによって実現されているという調査結果もありますが、そういう意味では、この国際海底ケーブルは非常に重要なインフラとなっています。
そこで、現在の国際海底ケーブルの我が国の引かれている状況、あるいは現状に対する認識を、あわせてまた、具体的にこれから国際海底ケーブルをどのように促進していくのか、総務省にこれはお聞きをしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/236
-
237・北林大昌
○政府参考人(北林大昌君) お答えをいたします。
現在、我が国には二十本強の国際海底ケーブルが敷設されており、インターネットの重要性が飛躍的に高まる中、海洋に四方を囲まれた我が国にとって、国際海底ケーブルは重要なインフラとなっております。
現状、その多くは太平洋側に敷設され、海底ケーブルを陸上に引き揚げる拠点である陸揚げ局の立地は房総半島に集中しているため、我が国の災害に対する通信ネットワークの強靱化等の観点から、陸揚げ局の地方分散が課題となっております。また、我が国の優位性、不可欠性確保の観点から、国際海底ケーブルの我が国への敷設を一層促進し、我が国がデータハブとなることを目指すことも重要と考えております。
このため、総務省では、令和三年度補正予算において、海底ケーブル陸揚げ局の地方分散を促進するため、民間事業者における陸揚げ局設置について初期投資の一部を補助する事業を行うこととし、新たな海底ケーブルの地方立地を推進することとしております。
引き続き、我が国が国際的なデータハブとなるため、データセンター、海底ケーブルなどのデジタルインフラの整備に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/237
-
238・柴田巧
○柴田巧君 しっかり進めていただきたいと思うのですけれども、日本の場合、クラウドサービスの多くの情報基盤をアメリカに集中をしていると言ってもいいかと思いますが、したがって、これ万が一この海底ケーブルが切断されるというようなことなどが起きれば、甚大な損害を我が国は被るということになります。しかも、このケーブルの修復には数週間から数か月掛かると見られますので、複数箇所切断された場合には半年以上にもこの復旧まで掛かるということが予想されるわけです。
この海底ケーブルは、御存じだと思いますが、沿岸部では海流の動きが激しいことや地引き網漁などもあって影響を受けないように海底に埋没をさせているのが大半だと思いますが、深海域では全くの無防備のままにあります。ところが、この海底ケーブルを守るすべがないのが実態でありまして、そういう意味では、この国際海底ケーブル網の経済安全保障上の懸念の発生を把握、共有する体制の構築というのは求められるのではないかと思います。
ところが、現時点では、我が国の海底ケーブルの防護というのは事実上民間の通信事業者に任せられていて、分かりやすく言うと、他国の軍事活動による脅威などは全く考慮されていないのが今のところかなと思います。
そこでお尋ねをしますが、この国際海底ケーブルが切断された場合の影響や損害額等についてのシミュレーション、やっぱり調査を行っておくべきではないかと考えますが、どうなっているでしょうか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/238
-
239・北林大昌
○政府参考人(北林大昌君) 我が国は海外との通信の大部分を国際海底ケーブルに依存しており、国際海底ケーブルが切断された場合、通信断絶や通信速度の低下を通じて国民生活や経済活動に大きな影響を与えるおそれがあると認識しております。
こうした国民生活や経済活動を支える産業が直面するリスクの総点検と評価、そして脆弱性を克服する対応を進めることについては、関係閣僚から成る経済安全保障推進会議において総理から御指示をいただいているところであります。
先月には、小林大臣の下で、総務省を含む関係省庁の局長級による経済安全保障重点課題検討会議が開催され、これを受けて総務省においてもリスク点検の作業を進めているところでございます。このリスク点検の作業の中で、国際海底ケーブルが切断された場合の影響等についても検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/239
-
240・柴田巧
○柴田巧君 やはり常日頃から、この海底ケーブルが切断された場合の影響や損害額などのシミュレーション、調査をしておくというのは非常に大事なことであろうかと思います。いざそういうことが起きれば、我が国の経済安全保障にとっても大変な影響を与えるわけですから、しっかりとした取組が必要だということを申し上げておきたいと思います。
先ほどもお触れになりましたが、このデジタル田園都市国家インフラ整備計画では、この海底ケーブルを陸地に引き揚げる陸揚げ局について、その立地は今までは房総半島に集中をしているということですが、これがもし大規模災害などがあった場合に、この通信ネットワーク強靱化等の観点からもやはりこの地方分散を促進をしていかなきゃならないということかと思いますが、一方で、このケーブルの物理的な切断など、そういった攻撃などが起きれば大変なことが起きるわけですが、今のところは、本当、先ほど申し上げたように、民間企業に任せっ放しになっているようなところで、防ぎようがないというのが正直なところだと思いますけれども、政府による支援が必要でないかと考えますが、この海底ケーブルの安全保障上の対策についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/240
-
241・北林大昌
○政府参考人(北林大昌君) お答えいたします。
陸揚げ局、海底ケーブルの安全確保につきましては、大変重要なことと考えております。
その対策につきましては、セキュリティーに関わることであるため具体的な内容を申し上げることは差し控えますが、陸揚げ局の警備に関する警察等との連携の強化、海底ケーブルの冗長性の確保、障害発生時の連絡体制や事業者間の連携体制の確立など、通信事業者と連携して取り組んでいるところでございます。
今後とも、引き続き海底ケーブルの安全の確保に向けて必要な対策に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/241
-
242・柴田巧
○柴田巧君 何度も指摘しますように、この分野においても民間任せになっているところが、なっておりますし、先ほど、今日は有村先生が偽情報の拡散のことも取り上げられましたが、私もディスインフォメーションのことについてこの委員会でお尋ねをしましたけれども、その面も民間任せになっているところが多々あって、非常にそういう意味では安全保障の意識が我が国は薄いと感じます。この法案が成立することをある意味契機として、そういった面もしっかり進んでいくようにお願いをしておきたいと思います。
この海底ケーブルの問題で、あと二つほどお聞きをしますが、記憶の新しいところですが、今年の一月にトンガの海底火山の噴火がありました。これによって、海底火山、ケーブルが切断をされ、被害の把握や海外との連絡に大きな支障が生じて、ケーブルの復旧には約一か月ほど掛かったと言われています。
我が国においても、平成二十三年には、東日本大震災のときですが、KDDIの国際海底ケーブルが損傷して、その修復作業が完了したのは同年の八月であったと。やっぱり半年ぐらい期間が掛かっているということですけれども。
このように、先ほども申し上げましたが、国際海底ケーブルが大規模災害等で損傷すれば、復旧作業に相当な時間が掛かります。したがって、こうした場合に備えてケーブルを複線化するということが重要と考えますが、どのように認識をしているのか、また現状の取組を併せてお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/242
-
243・北林大昌
○政府参考人(北林大昌君) お答えいたします。
二〇一一年に発生しました東日本大震災において、主要電気通信事業者が保有する太平洋側の五本の海底ケーブルのうち四本が切断されるなど、大規模災害等のリスクが存在することは委員の御指摘のとおりでございます。
こうした場合に備え、海底ケーブルについて、太平洋側のみならず、日本海側を含めて複数のルートを確保し、途切れない通信を実現することが我が国にとって非常に重要であると考えております。
このため、総務省では、通信ネットワークの分散化や複数ルート化に向けて、令和三年度補正予算を活用し、海底ケーブルの陸揚げ局の地方分散や日本海側の海底ケーブルの整備を支援することにより、強靱な通信ネットワークの構築に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/243
-
244・柴田巧
○柴田巧君 済みません、確認ですが、これ複線化を、それは複線化を進めるという意味と解釈してよろしいのでしょうか。もう一回お聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/244
-
245・北林大昌
○政府参考人(北林大昌君) 日本海側の海底ケーブルを整備することによって、結果としてその太平洋側の補完のルートになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/245
-
246・柴田巧
○柴田巧君 そうすると、厳密に言うと複線化ではないけれども、補完をすることになるという理解でいいんですね。もう一回重ねてお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/246
-
247・北林大昌
○政府参考人(北林大昌君) 補完ルートでございます。あっ、済みません、お答えいたします。
補完ルートということでございますので、結果として複線化にもなっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/247
-
248・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございました。
では、この問題の最後に、防衛省にお尋ねをします。
現代の戦争というものにおいては、今回のウクライナのケースもそうかもしれませんが、ハイブリッド戦ということにどうしてもなっていきます、ある意味。軍事力で外部との物理的な情報交換を遮断するということが、いわゆる情報封鎖、情報優勢を確保するということで、大変これ重要視される時代になってきたのかなと考えるわけですけれども、そうだとすると、基本、通常は恐らくはこのいわゆる戦略全域にわたる通信が確立をしているという前提で物事を考えるわけでしょうけれども、しかし、それがなくなるということも当然視野に入れなければなりません。
例えば、台湾有事などが起きた場合に予想されますのは、中国などがそういった国際海底ケーブルを切断をしていくということがあり得るのではないかと懸念をするわけです。そうすると、先ほど申し上げたように、クラウドサービスの多くの情報基盤をアメリカに集中している我が国にとっても、大変なこれいろんな影響を受けるわけですし、台湾有事は即日本有事にもなってくると考えると、そういった物理的な攻撃リスクについて、この海底ケーブルが切断された場合の日本国内の事態をしっかり想定しておかなきゃいけない。別の言葉で言うと、しっかり日本を守れるようなことを、すべを持っておかなければいけないということですが、どのように考えているのか、防衛省にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/248
-
249・土本英樹
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、通信ネットワークはまさに自衛隊の活動の基盤でございまして、利用可能な通信ネットワークをより安定して確保することは非常に重要だと考えているところでございます。
このため、防衛省・自衛隊におきましては、全国のまず各基地や駐屯地などを結ぶネットワークといたしまして、まず一つ目としましては衛星回線、二つ目といたしましては自営のマイクロ回線というものを有しております。三つ目といたしまして民間通信サービスを利用する有線の部外回線、この三つの通信回線で構成される防衛情報基盤、DIIと申しますが、これを整備しているところでございます。
このうち、委員御指摘の海底ケーブルというものにつきましては、例えば離島などにつながる部外回線、三つ目のところで申し上げた部外回線で利用しておりますが、海底ケーブルも含めまして、有線による回線が途絶えた場合にあっても基地間の通信が途絶えることがないように、先ほど申し上げましたマイクロ回線や衛星回線など、複数の通信回線を利用することで自衛隊の通信ネットワークをしっかり確保すると、抗堪性を確保しているところでございます。
また、例えば護衛艦とか航空機のような装備品の間の通信につきましては、見通し線外であれば衛星通信、見通し線内であれば無線通信を活用することで、ある意味海底ケーブルを含む有線通信網を利用しなくても通信可能という状態でございます。
いずれにしましても、委員御指摘のとおり、あらゆる事態を想定し、より抗堪性の高い通信ネットワークを整備するため、引き続き必要な検討は進めていきたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/249
-
250・柴田巧
○柴田巧君 あらゆる事態を想定して、今おっしゃったように、しっかりとした体制を今から準備をしておいていただきたいと思います。
では、残りの時間、法案に戻って、特にこの特定重要技術の開発支援について、残りの時間お尋ねをしていきたいと思います。
まず最初に、確認の意味を含めて、今申し上げたように、この本法律案においては開発支援を行おうとしている、においてこの開発支援を行おうとしている特定重要技術というのがあるわけですが、これは具体的に結局何を示すものか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/250
-
251・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答え申し上げます。
本法案の対象とする特定重要技術は、第六十一条に定義規定を置いておりますが、これはすなわち、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るものと考えております。
有識者会議の提言においては、宇宙、海洋、バイオといった領域の技術や、量子、AIといった要素技術が示されるとともに、議論の過程では、衛星コンステレーション技術や海洋分野におけるセンシング技術が例示されましたが、このほか、例えばサイバーセキュリティー上の脆弱性の検知技術やAI処理等が可能なコンピューティング技術なども含まれ得ると考えております。
今後、有識者の意見を聞いた上で閣議決定する特定重要技術研究開発基本指針において一定の具体化を図るとともに、公募による競争も活用しつつ、真に可能性のある技術を見定めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/251
-
252・柴田巧
○柴田巧君 特定重要技術の開発を支援をしていくというのは非常に重要なことだと認識をしますが、これまでもこの先端技術の研究開発を推進するための官民協力というのはあったわけですね。例えば、戦略的イノベーション創造プログラム、SIPと呼ばれたものや、あるいはムーンショット型研究開発制度によって行われてきたものがあるわけですが、そうすると、この本法律案によるこの官民の技術協力というのは、これ、今申し上げたものと具体的にどのように異なるものなのか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/252
-
253・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、SIPやムーンショット型研究開発制度においても関係者間の効果的な連携調整のための会議が開催されるなど、法的な規定によらない形での官民連携は一定程度なされてきたところでございます。
一方、本法案では、特定重要技術の研究開発に当たっては、各府省の保有するニーズ情報や情報セキュリティーのインシデントに係る情報など、研究開発に有用な機微な情報の共有を可能とすることで、より効果的に研究開発が行われるような仕組みとしております。
また、既存の施策で研究開発が進められているプロジェクトについても、協議会を組織し、政府の機微な情報を提供できるようにすることで研究開発を更に強力に推進することが可能となると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/253
-
254・柴田巧
○柴田巧君 次に、大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、この法案においては、先ほどから何回も出ていますが、四本柱ありますが、そのうちの重要物資の安定的な供給の確保、基幹インフラの安定的な提供の確保、特許出願の非公開、これはどちらかといえば守りの側面が強いのではないかというふうに受け止めていますが、今話をしている先端的なこの重要技術の開発支援というのは、我が国の強みとなる、そういう技術を育てる攻めにつながるものではないかというふうに認識をします。
この先端技術の開発をめぐっては、何回も言いますが、アメリカと中国の覇権争いが激化しているわけですけれども、我が国は、この同盟国であるアメリカや、あるいはそれに準ずるような有志国との間で、例えばAIであったりロボットであったり、そういった重要な先端技術の共同開発を進めることなどを通じてこれらの国との連携強化を図るということができるのではないかと。
そうした場合に、そうしたこの共同開発の場合には、もういわゆるこのセキュリティークリアランスの導入は不可欠ではあろうと思いますが、この本法律案の官民技術協力の枠組みをこの同盟国の連携に向けてどのように活用できるとお考えになっているか、大臣にこれはお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/254
-
255・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) いわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、各国との共同研究などを民間部門も含めて円滑に進めていく上で我が国でもクリアランスを取得できないかといった声があることは承知をしておりまして、この法案の衆議院の内閣委員会の附帯決議も踏まえまして、今後検討していくべき課題の一つだと認識はしてはいます。
一方で、この法案による先端性の高い技術の研究開発に関する官民技術協力の枠組みにおきましては、研究に際しての制約的要素は必要最小限にしていくと、その研究成果は公開を基本とすることとしておりまして、知見などを有する欧米の大学や研究機関との連携を図ることができるものと認識をしています。
いずれにしても、この法案の特定重要技術の研究開発を効果的に行うためには、自前主義に陥ることがないように、国際的かつ戦略的な技術協力を推進してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/255
-
256・柴田巧
○柴田巧君 大臣が今お答えになった戦略的、国際的な、そういった方向に是非つながるように期待をしたいと思いますが。
この開発、特定技術の開発支援においては、何回も出てきておりますが、官民協議会を設けるということでありますが、研究開発プロジェクトごとにこの官民協議会を設けようということでありますが、これは確認の意味も含めて、この意義は結局どういうところにあるのか、お聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/256
-
257・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答えいたします。
本法案の協議会は、研究開発に資金を交付する関係府省の大臣が、技術の特性、研究開発の内容や進捗等を踏まえ、官民の伴走支援を行うことが適当と認める場合に、研究開発プロジェクトごとに研究代表者の同意を得て設けるものでございます。
先ほど申し上げましたように、本法案に基づく協議会を設けることによって、各府省が保有するニーズ情報や情報セキュリティーのインシデントに関わる情報など、研究開発に有用な機微な情報の共有が可能となります。また、協議会では、そうした機微な情報の共有にとどまらず、必要に応じて、規制緩和の検討や国際標準化の支援など、潜在的な社会実装の担い手として想定される関係省庁や民間企業による組織の枠を超えた伴走支援を行うことも想定しております。
こうした協議会による支援を通じて、先端的な重要技術の社会実装を強力に後押ししてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/257
-
258・柴田巧
○柴田巧君 今の答弁にありましたように、この官民協議会が非常にこの核になるとか重要な役割を果たすことになるんだろうと思いますが、したがって、ちょっと詳しくお聞きをしますが、この本法律案を見ると、研究開発等に従事する者とこの研究開発大臣等により構成するという規定ぶりになっているわけですけれども、これはこの民間企業の研究開発部門を構成するメンバーが参加するという形になるのか、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/258
-
259・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答え申し上げます。
本法案の協議会ですけれども、これは、研究開発に資金を交付する関係府省の大臣が、研究開発プロジェクトごとに研究代表者の同意を得て設けるものでございます。大臣が必要と認める者を、その者の同意を得て構成員として加えることとしております。
一般的に、研究開発プロジェクトは、研究代表者だけではなく、研究チームのメンバーや連携相手となる研究機関など、様々なメンバーの協力によって推進されているものと承知しております。このため、協議会の構成員についても、御指摘の民間企業の研究開発部門の方に加えて、研究開発の状況を踏まえ、研究代表者と相談しつつ、機微な情報が共有される範囲内で必要と認められる方に参加していただくことになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/259
-
260・柴田巧
○柴田巧君 さあ、そこでこの官民協議会ですが、プロジェクトごとにつくるのでいろいろ違ってくるところがあるのかもしれませんが、どれぐらいの人員規模で発足することを考えているのか。また、今日もこの委員会でも取り上げられていましたけれども、いわゆる民間の人なども入っていくわけですから、この協議会における情報管理についてはやっぱり厳格な管理が当然求められると思っていますが、先ほども政府参考人の方から御答弁はあったところがありますが、どのような仕組みをそのために考えているのか。これは大臣にお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/260
-
261・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この協議会は、研究開発プロジェクトごとに研究代表者の同意を得て設置することとなって、その構成員は、研究代表者とその研究メンバー、また関係府省庁といわゆる資金配分機関の関係者、そしてシンクタンクなどの専門家、また産業界の方々などが加わることを想定します。
いずれの場合も、技術開発の進展度合いですとか、あるいはそのプロジェクトの内容、また研究者の意向などによって変わり得るものなんですね。なので、一概に人員の規模をお答えするということはなかなか難しいことは御理解いただければと思います。
二点目の、この協議会における安全管理措置の具体的内容なんですけれども、これ、情報の性質ですとか、また技術の進展状況などを踏まえまして、個々の協議会ごとに全ての協議会構成員が納得する形で決めていただくことになりますが、例えば、ICカードなどによる入退室管理を始めとした機微な情報を取り扱う区域の管理ですとか、電子媒体また資料などを持ち出す際の漏えい、盗難の防止、そしてデータなどへのアクセスログの記録化などが考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/261
-
262・柴田巧
○柴田巧君 この官民協議会が先ほど申し上げましたように大事な役割を果たすものだと思っていますので、しっかりとやっていただきたいと思いますが。
あと中小企業対策などお聞きしたいこと幾つかありましたが、時間が参りましたので次回に譲りたいと思います。
今日はどうもありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/262
-
263・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、浜田昌良君が委員を辞任され、その補欠として佐々木さやか君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/263
-
264・大門実紀史
○大門実紀史君 大門実紀史です。お疲れさまでございます。
最初でございますので、法案の中身は後日にして、そもそも論をお聞きしたいというふうに思います。
この法案が提出された背景に何があるかという点でありますけれど、私はいろいろ見てきて、やはり米中間の問題、いわゆる米中貿易戦争と言われてきましたし、アメリカの対中戦略の影響が少なからずあるんではないかと思っておりますが、まずこの点、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/264
-
265・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 我が国が進めている経済安全保障政策というのは特定国を念頭に置いたものではないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/265
-
266・大門実紀史
○大門実紀史君 大臣は、この法案の立ち位置ですけれども、自律性、優位性、不可欠性、この点もう全くそのとおりだと思いますし、日本はアメリカであれ中国であれ遠慮することなく堂々と、本当、ある意味では自主独立の立場で、立ち位置で貿易も考えるべきだと思っておりますので、仮にもほかの国の影響を受けたり、ほかの国に追随したり、あるいは圧力を受けるというようなことはあって政策を決めるべきではないというふうに思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/266
-
267・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、大門委員御指摘の問題意識というのは、私、共有させていただいております。
先ほども少し答弁させていただきましたが、米中に限らず、国際情勢というものが複雑化していっておりますし、パワーバランスも変化している。また、それだけではなくて、社会のDX化は進んでいる。また、経済がグローバル化が進んでくる中でサプライチェーンも複雑化して多様化していく。また、革新的な技術が出てくる。様々なその状況の変化の中で、不確実性がやはり富む時代に突入していくんだと思います。
その中で一番重要なのは、我が国自身が自ら主体的に政策決定できるような国家運営を実現していくということだと思っておりまして、それ、他国の動向というのは、変数としてはまあそれぞれ見てその時々注視していかなければいけないと思いますけれども、重要なのは、我が国自身の基軸となる考え方、我が国自身のしっかりとした方程式というものをきちっと持つことであるというふうに思っておりますので、そのアプローチの仕方として、今委員が言及していただきました自律性ですとか優位性、不可欠性、我が国自身の取組として、まずは自身の取組として経済安全保障を進めていくということが私は重要だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/267
-
268・大門実紀史
○大門実紀史君 原則的にはおっしゃるとおりですけれど、私は、この法案を議論していく上で、やはりリアリティーといいますか、具体的に起きたことを描きながらやらないと、何かこう、何といいますかね、外側ばっかりなでているような議論になりかねないし、非常に抽象的なことで終わりかねないし、やはりいろんなことが緊迫した状況ありますのでね。
それと、その自主独立といいますか自律性というのは大事なんですが、現実問題なかなかそうはなってこなかったというのがございまして、私でいいますと、小泉内閣のときに郵政民営化という大きな問題がありまして、まあいろいろありましたけど、やっぱりアメリカの要望もかなり強いものがありましたし、あのときにも、もっと日本は自律的に考えるべきだということ、この場でいろいろ議論をしたことがありますし、当時、アメリカでいえば年次改革要望書というのが、まあ大変今からいうとあからさまな対日要求が毎年出されて、これは二〇〇九年以降はやめたんですけれど、ただ、その後はTPP交渉になって、このTPP交渉の中でまたアメリカが大変いろんな要望を日本に突き付けてきたというのはもう明らかなことでありますし、トランプさんのときは対日貿易交渉目的というのが打ち出されて、それが日米貿易協定につながるわけであります。
今、アメリカの最大の課題は、中国に経済覇権、特にハイテクの覇権を握らせないということで、そのために躍起になっているわけでありまして、それが日本に影響しないわけがないと、私の経験からいってそう思うわけでありますので、まず、ちょっと法案はおいておいて、アメリカの対中戦略ですね、どうなっているかということを大臣との認識の交換しておきたいと思うんですけど。
アメリカの中国への警戒心というのはずっと前からございまして、トランプのときにちょっと露骨な、トランプ大統領のときに露骨な、米中貿易戦争と言われましたけれども、それも二〇二〇年一月頃にはちょっと落ち着きを取り戻して、第一段階の合意というんですかね、そういうことがあったわけでありますが、ただ、新型コロナウイルスが感染拡大して、アメリカがウイルスの発生源は中国だというようなことでまたいろいろ対立が激化したり、あるいはファーウェイですね、ファーウェイの封じ込みなどがあって再びまた険悪な状況になっておりますけれども。
二〇〇一年にバイデン政権が発足しましたが、トランプさんと基本的に変わりません。何が違うかというと、トランプさんと違うのかというと、バイデンさんの場合はほかの国と一緒に、バイデンさんはもうアメリカだけでやっちゃおうと、ごめんなさい、トランプはアメリカだけでやっちゃおうと、バイデンさんはほかの国と一緒に中国に対応しようというふうなことが、これは後で申し上げますが、もう明らかであります。一番考えているのは、中国のハイテク企業、ハイテク企業を封じ込めるということであります。
ただ、ブロック経済化を目指しているのかというと、そういうことでもないようでございまして、アメリカと、米中の貿易関係はむしろ全体として伸びているんですよね。米国、中国、輸出も輸入も二〇二〇年に比べて二〇二一年、伸びて増えております。中国からアメリカに対する輸出、輸入も増えております。ですから、一方でアメリカと中国は経済関係を膨らましておいて、対決するところは対決しているということで、いわゆるデカップリングというんですか、何か切り離していこうとか、ブロック化、それぞれ分かれていこうということではないんですよね。
むしろ、電気自動車などでは、米中合弁の自動車メーカー、上海GMと、五菱って書いてウーリンですかね、が電気自動車販売のもう一位、二位ということで、米中の合弁自動車会社が電気自動車で一番、二位と。やっぱり一緒にやるところは一緒にやっているわけですね。非常に米中関係といっても単純には見られないと、複雑なところはあるんですけれども。
小林大臣は、この米中関係、全体としてで結構なんですけど、どういう認識を持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/268
-
269・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
まず冒頭、私がその他国の意図ですとか第三国同士がどう見合っているかというところについてはコメントすることは控えますけれども、今委員から御質問いただいた米中間の、米中関係について申し上げられる範囲でお答えさせていただきますと、米中間は通商問題や先端技術をめぐる競争、また国際社会における様々な懸念事項における意見の対立が見られますけれども、これらは我が国を含めて国際社会全体に関わる問題でもございますので、引き続き関連の動向を注視していく必要があるとは考えています。
大門委員御指摘の米中貿易関係については御指摘いただいたとおりだと思っておりまして、二〇二一年の貿易額でいえば、中国にとってアメリカは第一の貿易相手国ですし、アメリカにとっても中国は主要な貿易相手国であって、中国のその対米輸出は前年比で約三割増えておりますし、また中国のその対米輸入、米から中の動きにつきましては前年比でこれも三割強増えているというふうに承知しています。
世界経済に大きな影響力を持つ両国でございますから、この米中関係が安定するということは国際社会にとって極めて重要だと考えます。また、我が国としては、同盟国である米国との強固な信頼関係の下で様々な協力を進めてきたし、これからも進めていくべきだと思います。また、中国に対しては、国際社会のルールにのっとって大国としての責任を果たしていく、果たしていただくように働きかけていく必要があろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/269
-
270・大門実紀史
○大門実紀史君 そういう、全面的に全て対決しているわけではなくて、一緒にやりながら、なぜバイデンさんとトランプさん、まあバイデンさんですね、中国をターゲットにいろいろやっているかということなんですが、結論からいいますと、やっぱり半導体、IC、ハイテク技術での覇権を中国に取らせないと。この半導体、IC、ICというのは集積回路ですよね。これは軍事技術にも産業技術にも基礎の基礎ですから、これがどちらが握るかということが一番で、米中戦略の肝は、核はそこに、核心はそこにあるんではないかと思っております。
そういうふうに見ますといろんなことが見えてくるわけなんですけど、中国政府は、私は、ちなみに申し上げておきますけど、中国の、まあアメリカのやり方もちょっと相当なものありますが、中国のやり方がいいと思っているわけでも何でもありません。日本共産党はもう中国にもはっきり物を言う政党でありますんで、どちらがということではなくて、日本がどこでどういう立ち位置でやるべきかという点で申し上げたいわけですが。
中国は、二〇一五年にハイテク産業全体の振興政策をまとめました。中国製造二〇二五ですよね。中国製造、製造業の製造ですね、二〇二五でございます。これがやっぱり火を付けたというふうに思いますが、これは国家戦略でありまして、中国の場合は国挙げてもう大企業を応援いたしますので国家戦略でありますが、重点領域技術ロードマップというのを作りまして、ICなど四十以上の品目について国産化すると、中国で作るという目標を示したわけであります。ICについて、集積回路でいえば、国産化率を二〇二〇年にもう五〇%、二〇三〇年に七五%に急速に上げるという国家目標を立てたわけでありますね。
これ、どういう意味を持つかといいますと、このICロボット、工作機械でこの中国製造二〇二五が国産化目指すということは、分かりやすく言うと、このハイテク、こういう部分のハイテク製品というのは、今、日本が中国に対して輸出しているものの中心のものばかりなんですよね。つまり、この中国製造二〇二五がどんどんどんどんこの目的どおり国産化をやると、日本から、日本から中国への輸出が減るということを意味します。
アメリカも、アメリカは、これ、二〇一七年にトランプ政権がこの中国製造二〇二五計画に激しく反発をして、これは中国が世界のハイテク産業九割を支配する野望だというふうにあのペンス副大統領が強く非難をしたものであります。この辺から、このアメリカの中国に対するハイテク覇権を絶対譲らないというか、潰そうというのが始まるわけだというふうに思います。
具体的に始めたのはファーウェイですね。ファーウェイを狙いを定めて、ファーウェイの通信機器は危ないと、情報が漏れるというふうな、何ですかね、バックドアが仕掛けてあるとか言ったんですね。まだ証明されておりませんが、証拠はありませんが、ファーウェイの、ファーウェイの技術使うと、製品を使うと危ないよということを振りまいて、ファーウェイを締め出すということをやりました。
これは日本にも影響いたしまして、二〇一八年十二月に日本政府も、さすがに中国とは名指しはしませんでしたけれど、政府や重要インフラにおいて情報漏えいの懸念がある機器は使わないようにという通達が出ました。名指しはしなかったですけど、これ、みんな民間の通信事業者はファーウェイのことだと分かって、ファーウェイのものをほかのものと入れ替えたと、国産のものと入れ替えたということがございます。
小林大臣は、この頃からずっといろいろやっていらっしゃると思うんですけど、この中国政府の中国製造二〇二五計画とアメリカとのこのあつれきの始まりといいますか、この辺は御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/270
-
271・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、米中関係についてですけれども、米中の間では、御指摘の半導体を含む先端技術、あるいは通商、こうした分野における競争というのがあって、また、国際社会の様々な懸念事項において米中両国の間に対立、意見の対立が見られているんだと考えます。
例えば、昨年の三月にアメリカは、バイデン政権になって、国家安保戦略、これはインテリムストラテジーということで暫定版なんですけれども、これを公表して、そこで中国を、安定的で開かれた国際システムに対して持続的に挑戦する唯一の競争相手というふうにアメリカは中国を位置付けていると。その一方で、中国側もアメリカに対して批判的な発言を続けていると。そうした中で、引き続き双方が厳しい立場を取っているというふうには承知しています。
また、今委員が二〇二五や国防授権法、FIRRMA、いろいろお話出されましたけれども、例えば、中国は双循環、二つのサイクルですね、それを言っていて、今国産化の話がありましたけれども、一つは国産化をやっていくという一つの循環と、もう一つは、中国の巨大なマーケットを含めて、その市場などに、中国の市場などに他国をある意味依存させるというような大きな考え方の中で戦略を立てているというふうに認識しています。
その中で、繰り返しになるんですけれども、日本として重要なことは、特定の国を念頭に置くのではなくて、先ほど委員は、自律性とか優位性、不可欠性という話だと何か言葉をなぞられたもので、ちょっと表層的で余りリアリティーとか具体性がないとおっしゃいましたけど、私そうではないと思っていて、やはりまずは、重要なのは、先ほど申し上げたとおり、自分をまず分析することが本当に今十分にこの国はできているのかということを私は謙虚に真摯にもう一回向き合うべきだと思っていて、その一つのツールとして経済安全保障があると思っています。我が国の、これから何が起こるか分からない中で、本当に何が起こっても国民の命や暮らしを自分の意思と、自国の意思と能力で本当に守り切れるのか、どこに弱点があってどこに強みがあって、そういう分析というものを本当にリアルに具体的にやっていくことで日本自身としての基軸というものができると。
国家安全保障戦略、岸田総理が改定していく、新たに策定していくという中で、じゃ、その中に経済安全保障を具体的にどう位置付けていくのか、これは極めて重要な話だと思っておりますけれども、そうした中で、米中、これは先ほど申し上げた方程式の中では変数としては大きな変数だと思いますけれども、自分なりの基軸というものを持つということが重要だということは繰り返し申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/271
-
272・大門実紀史
○大門実紀史君 優秀な方ですね、本当にね。議論していて気持ちがいいですね。
もう少し、そうはいっても、後で言いますけど、この法案出てくる経過でやっぱり米中のこの戦略が、米中関係がかなり色濃く出ていると思うんですけど。
ちなみに、アメリカは先ほど言ったようにファーウェイを封じ込めようと思ったけど、これ失敗したんですよね。ファーウェイは中国政府の全面支援を受けておりますので、基幹IC、自社で設計して、ソフトもアンドロイドを、アンドロイド関連ソフトを、その代わるものを開発してですね。すごいですよね、その点でいいますとね。だから、アメリカは、例えばファーウェイですからスマホのマーケットでシェア伸ばしていましたけど、落とそうと思ったけど落ちないと。更に伸ばしちゃったわけですね、ファーウェイはですね。
アメリカはもう更に焦って輸出管理法でもう物理的な規制までやって、それを、韓国や日本の企業であっても、これアメリカ企業の設備や自動設計ソフトを使っていたとしたら、ファーウェイの半導体製品を輸出する際には、アメリカ商務省ですかね、商務省の許可を願い出ろというようなことまでやったわけですね。それでもファーウェイのシェアは下がらなかったということで、いらいらしているわけですね、アメリカはですね。相当いら立ったと思います。
そこでバイデン政権は、そういう戦略にやっぱりほかの国も、多国的に中国を包囲していくということで、これは私が言っているんじゃなくて、みずほ総合研究所がその分析をしておりまして、バイデン政権の通商政策というのを出しておりますが、非常に端的に出ております。つまり、そういういろいろなことをやってきたけど、中国のやっぱりその技術が主戦場だと。日本を含む同盟国に対中政策での共同対処を求めていくというようなことがバイデン政権が打ち出してきて、それで先ほど大臣から御紹介ありました国家安全保障戦略ガイダンスで先ほど申し上げたようなことが書かれているということで、要するに、アメリカは、今その中国の封じ込めのために日本を始めとした同盟国の力を動員しようとしているというのがアメリカの戦略であります。これは事実としてそういうことだと思うんですけど。
大臣も現実的な答弁をされているなと思ったんですけれども、三月二十三日の衆議院の内閣委員会で、もちろん、先ほど言った自律性とか優位性とか不可欠性、これを一番にお話しされた後ですけれども、我が国自身の取組や、同志国という言葉を使っておられますが、同志国との連携云々ということで、国家及び国家の主権や利益を害する経済的な威圧などの課題に対処と、これはどこか、どこか分かりませんけどね。このときの同志国というのはどこの国のことを大臣は想定されたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/272
-
273・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 同志国というのも、余り言葉遊びをするつもりはないんですけれども、その時々の情勢によってそこは変わり得る概念だと思っています。ただ、今、同志国の中には同盟国は入るというふうに私は考えていて、同盟国というのは今アメリカですから、アメリカだけでは当然ないと考えていますけれども、その基本的な価値、自由であり、民主主義であり、人権であり、法の支配、こうした基本的な価値を共有できる国が同志国であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/273
-
274・大門実紀史
○大門実紀史君 日本にとって、この貿易、通商の分野って大変大事な分野で、技術立国との、まあ技術立国と今はもう言えるかどうかってあるんですが、それを再建していく上でも、やっぱり通商、自由貿易、技術というのは自由に交流した方が伸びますからね、そういう原則、非常に大事だと思うんですけど。
そういう中で、アメリカの中国戦略、半導体、IC、ハイテク覇権、これもう取らせないということですね。これはもうやっぱり軍事機密等いろいろ関わるんで、そりゃ必死なんでしょうけど、それに日本がどう対応すべきかというときに、余り同盟ばっかり重視し過ぎると、自由貿易を狭めて結局日本の技術力も低下していくということになりかねないという部分、そういうリスクがあります。ですから、余り、何といいますかね、敵味方の不毛な議論に余り巻き込まれないで、やっぱり自主独立で考えないと、ちょっと長い目で見た日本の発展はないのかなというふうに思っております。
それで、そういう背景の下に、日本としてどう対応してきたかというのが、資料をお配りいたしましたけれども、まず自民党の皆さんの議論をちょっと紹介させてもらって恐縮でありますけれど、やはり与党ですから、自民党の中でいろんな議論が始まったわけであります。二〇一七年四月に設立された、自民党の皆さんの、衆議院、参議院、両方の国会議員さんだと思うんですが、ルール形成戦略議員連盟というのがございました。
これは小林大臣も議論に参加されておられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/274
-
275・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
ルール形成戦略議員連盟には私、済みません、ちょっと私の記憶によるところですが、途中から入会しました。なので、設立目的とかそういう経緯についてはちょっと語る立場にはないんですけれども、あれ、今から二、三年前だったと思うんですけれども、私自身がその議員連盟との関わりで非常に強くちょっと関わりを持ったのは、いわゆる中央銀行デジタル通貨、CBDCについて私は経済安全保障上いろいろ思うところもありまして、それを問題提起したところ、今はちょっとどうなのか、そのとき、事務局次長というような肩書を拝命し、テーマに応じて参加をさせていただいたという経緯はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/275
-
276・大門実紀史
○大門実紀史君 この始まりは、このルール形成戦略議員連盟というか、甘利さんではないかと、こう思うわけでありますけど、もうはっきりといろいろ書いてございますけれど、上から九行目辺りで中国のファーウェイのことも出てまいります。あと、非常に警戒心を、警戒する相手だということですね。インテリジェンス能力を酷使した経済戦争から日本企業を保全することは急務であるということと、アメリカはそういうことも含めて国家経済会議を設立しているということで云々とあって、私がちょっと注目したのは、済みません、線も引かなくて申し訳ないんですけど、エコノミック・ステートクラフト、エコノミック・ステートクラフトという言葉が出てまいります。日本に対してもエコノミック・ステートクラフトに関するインテリジェンスを共有し、政策を包括的に構想して民間企業を巻き込んだ実行を狙う日本版NECの創設を求める声が上がり始めていると。
エコノミック・ステートクラフトというのは、大臣、もし解説できればお願いしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/276
-
277・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) このエコノミック・ステートクラフトに、これも私、確立した定義があるのかというのは存じ上げませんが、私のちょっと感覚的なところで申し上げますと、経済的な手段を用いて他国に自らの国益あるいは政治目的に沿うような形で行動変容を迫っていく、あるいは促していく、そういうものなのではないかというふうに捉えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/277
-
278・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。
基本的にそのとおりでございまして、ちょっと、何といいますかね、経済安全保障を少し、安全保障の概念もいろいろありますけれど、少し踏み込んだものかなと私は捉えておりまして、ES、ESという言い方でエコノミック・ステートクラフトですけれど、これは武器を使わない戦争という言い方もされたりします。そういう言い方をするエコノミストもいます。
つまり、経済的手段によってほかの国に強制的な措置をとるというちょっと強い意味があるんですね。特定の政策を実現させると、何らかの強い措置をとって、それによって何かやらせるというふうな、まあ言わば経済安全保障における先制攻撃みたいなちょっと強いものであります。
これは敵か味方を峻別するという概念もございまして、味方のことを有志国という言い方するそうですね、この概念では。有志、志がある有志国という概念が強調されております、このエコノミック・ステートクラフトの考え方の中にですね。敵と味方を峻別するときに、味方の方は有志国と。つまり、軍事同盟を結んでいる強い国だけではなくて、同じ志を有する国という、それで敵と味方を区別するわけなんですが、この有志国というのが一つのポイントですけれども、菅政権のときに閣議決定されました成長戦略実行計画というのがあるんですけれども、このときに初めて有志国という言い方が登場いたします、登場いたします。
こう書いていますね。成長戦略実行計画、菅さんのときですけど、有志国・パートナーと連携して法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を実現するため云々とか、我が国の経済成長と安全保障を支える戦略技術・物資を特定しとかですね、有志国とともに、こういろいろ書いてあります。
つまり、申し上げたいことは、エコノミック・ステートクラフトという概念があって、これは武器を使わない戦争という強い、強い意味がある概念で、その味方を有志国と呼ぶという、この世界があるんですが、それを初めて日本が菅政権のときに有志国という言葉を使ったんですけど、まあ岸田さんにお聞きするときがあれば聞こうかと思いますけど、岸田内閣でもこのエコノミック・ステートクラフトという概念は、有志国とかね、引き継がれているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/278
-
279・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 先ほど申し上げたとおり、我が国の経済安全保障に対するその基軸となる考え方というのは、先ほど委員との間で議論させていただいたとおりなんです。なので、先ほど私が申し上げたようなこのエコノミック・ステートクラフトの説明というものが正しいかどうかは別として、今委員との間で交わしているその定義というかその概念に基づくものとすると、まず他国の行動変容を迫るというものというよりも、むしろ自らのその考え方、基軸をしっかりと整理をするということに重点が置かれているものというふうに理解しています。
また、先ほど来、アメリカ、中国、有志国とか、そういうお話がなされる中で、私、重要だと思うのは、永遠の同盟も永遠の敵もいない、あるのは国益のみと。それはイギリスのパーマストンの言葉ですけれども、もちろん同盟国ですとか同志国というのはその時々において極めて重要だと思います。でも、一番重要なのは我が国の国益ですから、今、エコノミック・ステートクラフトという概念もこの国際社会の中ではいろいろと取り沙汰されることもありますが、我が国が今傾注すべきことは我が国自身の基軸をつくるということだと認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/279
-
280・大門実紀史
○大門実紀史君 それで、この甘利さん会長のこのルール議連が要するに何を求めたかということでいいますと、国家安全、日本のですね、国家安全保障局、これは国家安全保障会議の事務局ですね、の国家安全保障局に経済班を設けろというようなことが主張されて、この提言を受けて、このルール形成戦略議員連盟の提言を受けてできたのが国家安全保障局の中の経済班ということだと思います。
この経済班というのは何の仕事をしているんでしょうか。参考人で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/280
-
281・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答えいたします。
国家安全保障局においては、我が国の安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項に関しまして企画立案及び総合調整をつかさどることとしておりまして、令和二年四月に設置された経済班は、安全保障と経済を横断する領域で生ずる様々な課題に対しまして関係省庁と連携しながら関連施策の推進を行ってございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/281
-
282・大門実紀史
○大門実紀史君 具体的に言いますと、今回のこの経済安全、安保法案ですね、この法案を作る作業をやったのが国家安全保障局の経済班のメンバーで、各省庁から優秀なスタッフが集められて今回のこの法案を作ったということであります。
ですから、申し上げたいことは、このルール形成議連の提言があって、それによってつくられた経済班が今回の法案を策定する具体的な作業を入ったということでありますので、流れとしては、この提言ですね、甘利さんのこのときの提言の流れの中で今回の法案出てきたというふうに普通なら常識的に見られるわけであります。
もう一つは、次のページに、こちらは、その甘利さん、これも甘利さんか、さっきのルール議連ほどちょっと生臭くはないんですけれど、これ新国際秩序創造戦略本部が出された提言がございます。これはまさに今回の法案を出すべきというふうなことをまとめられた、これ自民党の政務調査会の中にあるあれですかね、戦略本部でございます。これは、岸田さんが当時政調会長だったんで、本部長だったんですかね。また、甘利さんが座長ということで、小林大臣が事務局長をやっていらしたんですかね、です。
この本部、戦略本部は何のためにつくられたんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/282
-
283・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 新国際秩序創造戦略本部、今委員から説明があったことは事実で、二〇二〇年の六月だったと思いますけど、当時、自民党岸田政調会長を本部長とし、甘利議員を座長とする会議体が立ち上がりました。私はそこで事務局長を拝命をして、まさに今日コピーいただいたこの、二回提言書いたんですけど、これ最初の一発目の、一回目の、おととしの十二月、これ私、たたき台書きましたんで、主体的に運営、まあ運営に、主体的に運営してきたという自負はございます。
私自身、五、六年前からこの日本の先端技術の流出には強い危機感を持っていて、当時、甘利議員が自民党で会長を務めていた知的財産戦略調査会というのがあって、そこでその技術流出の防止対策を議論する小委員会を立ち上げて、そこから議論してきたんです。
その議論をしていく過程の中で、今形になっているもの、まだなっていないものありますけれども、経済安全保障というのは、技術はすごい重要な切り口です。でも、それだけではなくて、サイバーセキュリティーがあり、サプライチェーンがあり、あるいはそのデジタル通貨の話があり、インフラ輸出があり、もっと広い間口で、切り口でこの経済安全保障を捉えていく必要があるというふうに考えまして、そういう思いを共有している岸田政調会長、甘利座長とともに自民党の中でこういう会議体が立ち上がったというふうに理解をしておりまして、その目的というのはまさにここに、提言に書かせていただいたとおりなんですけれども、先ほど来申し上げて、もう余り繰り返しませんが、自律性、優位性、不可欠性というものをしっかりと獲得することによって自らの基軸をつくる、他国の動向に右往左往しない国をつくっていく、そういう思いの中でこの新国際秩序創造戦略本部が生まれ、継続したと、キックオフしたということだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/283
-
284・大門実紀史
○大門実紀史君 ありがとうございます。
ただ、もう時間ないんで細かく触れませんが、先ほどのルール議連ほどではないんですけど、この中にも、やはりアメリカの対中戦略とか、日本は共同歩調をというようなニュアンス、そういう文言があるわけでありまして、私申し上げたいのは、アメリカのこういう問題の議論のときは、中国なら中国という名前をはっきり出して、どこの国というのをはっきり出して率直な議論をしているんですよね。
今回の議論は、いや、どこかは想定していませんという、こうなるんですけど、まあアメリカは議員立法が多いからそういう率直な議論になるのか分かりませんけれど、やはり何か外側だけなでていて、現場の人たちはもう中国だと思っていますから、企業の人たちはね、そうなったらどうなるんだろうとみんな思っているわけですね。
そういう点では、国会として、やっぱり法案のこのちょっと抽象的な議論ばっかりではなくって、やっぱり中国について駄目なものは駄目と、アメリカについても駄目なものは駄目というふうな、やっぱり国会でそういう率直な議論をやるべきじゃないかなと思って。これが全部そのアメリカに言われてやっているんだとか、そういう意味じゃないんですよ。いろんな背景があるんじゃないでしょうかと、それに具体的に日本はどう対応するんでしょうかというやっぱりリアルな具体的な議論を国会ならばやるべきではないかと思って、ちょっと先ほどから言っているんですけれども。
例えば、この戦略本部の提言についても、角南さんが、あの有識者会議のメンバー、角南さんがもうやっぱり述べておられて、中国の技術覇権との関係だと、それで今回の法案も出てきたというようなことを有識者会議のメンバーも話されております。
それで、参考までに、次ちょっと古い資料ですが、付けておきましたけど、そもそも経済安保って何なのと、どう考えるのということで、これは「経済安全保障の確立を目指して」という、当時の通商産業省ですね、通産省が産業構造審議会編で一つの本を出しております。
ちょっとコピーが、古い本なのでコピーが汚くて申し訳ないんですけれど、随分今と違うなと、経済安全保障の考え方がですね。やはりこのときは、経済安全保障というのはもう、大体、技術というのが人類共同の財産だと、技術開発の基本目的というのは人類共同の財産の構築なんだというふうな、だから自由に、余りそういう技術を戦いの材料にすべきじゃないというふうなことが書かれておりまして、私は本当このとおりだなと思うんですね、本来は。これ、時代がたって、今はそんな甘くないとかいろんな話される方いるかも分かりませんが、本来、本来、経済の安全保障とかいうものは、技術というものはこういうものではないのかと思いますので、参考までに付けておきました。
それで、私が心配するのは、日本企業が非常に大変、国会の議論聞いていて、どこの国の話か分からない、中国なら中国とはっきり言ってくれと、だったらこれ自分たちも対応できるんだと、そう言わないから何が何なんだと、いざとなったら中国と取引したら何かやられちゃうのかとかいうのがありますので、率直な議論をしたらどうかと思うのが一つであります。
もう一つは、今日の質問の最後に申し上げたいのは、アメリカにくっついていって今までどんなことがあったかの一つですが、半導体ですね。大臣はもう大変優秀な方だと思いますので、これ通告していないかも、あっ、通告したかな、していないか分かりませんが、半導体ですね、日本の半導体がなぜこんなに駄目になったのか、その原因を大臣はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/284
-
285・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、今いただいた一九八二年の話ですけれども、今からやはりもう四十年も前の話でございまして、その時代の状況を把握する上では有益なのかもしれませんが、やはりそこに書かれていること、そこの時代背景と今の時代背景というものがやはりそこは大きく変わっているところもあるということは認識した上で政策を現実的に打っていく必要があると思っています。
半導体の政策、これまで、で、今後、私自身いろいろ考えはありますけれども半導体政策自身は直接所管していない、経産省、今、萩生田大臣のリーダーシップの下で今やっておりますので、余り私が持論を申し上げることは控えたいと思いますけれども、一般に、その一九八〇年代は世界で売上げがトップだったわけですよね。それが、その競争力を落としてしまったと。今、売上げで見れば、足下では一割を切るような水準になっているという状況です。これは、一般に、一般論として言えば、理由の一つとしては、国際的な共同研究の枠組み、これを構築することができなかった。それで、イノベーション力の向上ですとか販路開拓の面で劣後した。また、これからの課題なのかも、これからも課題になるかもしれませんが、新たなこの市場、ユーザーサイドの目線に立ったその市場の開拓、そういうことも様々いろいろあったと思います。
そういう中で、過去の反省も踏まえて、今、経産省を中心に、これ、経済安全保障も重要な話ですけれども、そうした中で、政府が連携をしながら、足下ではミッシングピースであった先端ロジックの製造拠点、これをこれからつくっていくということですけれども、次世代半導体どうするのかとか、先を見ていかなければいけませんので、政府、連携して対応していければと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/285
-
286・大門実紀史
○大門実紀史君 これは私が勝手に言っているのではなくて、いろんな方が日本の半導体について分析をされておりますので、共通するところを申し上げますと、やはりアメリカが日本の半導体を潰したという言い方をする人までいるぐらいであります。なぜかというと、半導体というのはやっぱり軍事技術、産業技術の核、もう一番基礎的なものを成します。八〇年代に世界一だった日本の半導体は、アメリカが、やっぱりアメリカの安全保障を、日本のものを使っているということそのものが脅かすことになるんではないかということがあって、八六年に、一九八六年に、御存じだと思いますが、日米半導体協定が結ばれまして、海外半導体の市場がほかの国に売れというようなことが求められたり、八六年からのこの半導体協定の押し付けによって、日本市場で外国製半導体のシェアが、日本で二〇%に増やせとか、要するにアメリカに増やすなとか、そういうふうなことでかなりアメリカに、アメリカがずっと輸出を受けたんですけど、するなということがあったり、あとは韓国製半導体が日本に進出すると。DRAMですよね、DRAMのようなメモリー生産から日本が撤退すると。
要するに、始まりは、アメリカがやっぱり日本にそういう軍事、同盟国とはいっても、日本に軍事や産業の一番のこれからの核になる技術をトップにしたくないと、自分たちが覇権を握りたいということから始まって、日本の半導体はアメリカにたたかれてきたということですね。日本は日本で、その半導体に力を入れるんじゃなくて、もう海外、グローバル化だということで海外生産やると。ITバブルのときは、崩壊したときは、人材を海外に平気で流出させるということで中国が伸びる、台湾が伸びる、韓国が伸びるというような事態を招いたということで、始まりはアメリカが主導権を握らせないということにあったわけであります。
申し上げたいのは、アメリカというのは、まず半導体でいうと、日本をたたいて、今は、今度は中国が出てきたら中国をたたこうとしているという構図にあると。それが今の一番リアルなこの経済安保、安全保障の世界的な状況だということを踏まえてこの法案審議をやはり議論していくということと、やっぱりもう少しリアリティーのある議論をしていくべきではないかと、それが日本の国益につながっていくのではないかということを思います。
また議論できれば議論したいと思います。今日は時間で、これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/286
-
287・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01020220414/287
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。