1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月十九日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十五日
辞任 補欠選任
佐々木さやか君 浜田 昌良君
大門実紀史君 市田 忠義君
四月十八日
辞任 補欠選任
有村 治子君 比嘉奈津美君
磯崎 仁彦君 青山 繁晴君
塩村あやか君 小沼 巧君
杉尾 秀哉君 福島みずほ君
四月十九日
辞任 補欠選任
青山 繁晴君 磯崎 仁彦君
比嘉奈津美君 宮島 喜文君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
青山 繁晴君
赤池 誠章君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
比嘉奈津美君
宮島 喜文君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
小沼 巧君
福島みずほ君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
市田 忠義君
田村 智子君
国務大臣
国務大臣 小林 鷹之君
内閣官房副長官
内閣官房副長官 磯崎 仁彦君
副大臣
内閣府副大臣 大野敬太郎君
文部科学副大臣 田中 英之君
経済産業副大臣 細田 健一君
防衛副大臣 鬼木 誠君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 高村 泰夫君
内閣官房内閣審
議官兼内閣官房
重要土地等調査
法施行準備室長 三貝 哲君
内閣官房内閣審
議官 木村 聡君
内閣官房内閣審
議官 泉 恒有君
内閣官房内閣情
報調査室次長 柳 淳君
内閣府大臣官房
総合政策推進室
室長 笹川 武君
内閣府知的財産
戦略推進事務局
長 田中 茂明君
内閣府科学技術
・イノベーショ
ン推進事務局統
括官 米田 健三君
内閣府日本学術
会議事務局長 三上 明輝君
警察庁警備局長 櫻澤 健一君
法務省大臣官房
審議官 保坂 和人君
公安調査庁調査
第二部長 竹田 公政君
文部科学省大臣
官房審議官 里見 朋香君
厚生労働省大臣
官房審議官 大坪 寛子君
経済産業省大臣
官房審議官 木原 晋一君
経済産業省大臣
官房審議官 門松 貴君
経済産業省大臣
官房調査統計グ
ループ長 苗村 公嗣君
経済産業省経済
産業政策局地域
経済産業政策統
括調整官 師田 晃彦君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
防衛装備庁装備
政策部長 萬浪 学君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済施策を一体的に講ずることによる安全保障
の確保の推進に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、佐々木さやか君、大門実紀史君、有村治子君、磯崎仁彦君、塩村あやか君及び杉尾秀哉君が委員を辞任され、その補欠として浜田昌良君、市田忠義君、比嘉奈津美君、青山繁晴君、小沼巧君及び福島みずほ君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/2
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003・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に浜田昌良君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案の審査のため、来る二十一日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/4
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005・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認めます。
なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/5
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006・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/6
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007・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外十九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/7
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008・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/8
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009・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/9
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010・山谷えり子
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。質問の機会をありがとうございます。
社会経済構造の変化、国際情勢厳しき中、経済と安全保障を一体のものとした対策が国益上必要です。コロナ禍、またロシアによるウクライナ侵略による平和が壊される中で、国民の命、生活を脅かすリスクを国民はまざまざと感じ直しました。
今回、法案では四つの柱が示されています。重要物資サプライチェーンの強靱化、サイバー攻撃に備えた電力、通信、金融、鉄道など基幹インフラの安全確保、官民連携し先端技術情報を共有、活用する枠組みの整備、安全保障の観点から特許の非公開のための制度を整える四本柱です。
これまでのように外国に頼る安易な市場原理は通用しない。重要な技術が盗まれぬよう、あるいは重要設備を守るため、経済に安全保障の視点を入れなければならない時代です。
さて、そこでですが、基幹インフラ事業者を含む企業へのサイバー攻撃事案が多く発生しています。これらの中には外国政府の関与の可能性も言われている。重要な設備とは、機器や装置、プログラムです。有識者会議の提言、経団連の意見、私読ませていただきました。
また、サイバー攻撃防止のため、政府の事前審査の基本的考え方として、事業者の国籍のみをもって差別的取扱いをすることは適切ではない、WTO抵触のおそれもある、国際ルールとの整合性を持ってということですけれども、もっともではありますが、しかしながら、例えば中国リスクはあります。米国は政策の中にしっかりと位置付けている。リスク対策は本当に難しいことであります。
経済同友会は、二か月前、基幹インフラの安全性、信頼性の確保についてどのような基準で分類するか明らかにしてほしいと意見書を出しました。対象となる事業者及び設備についてどのように明確化していくのか、考え方をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/10
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011・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) ありがとうございます。
この法案の基幹インフラに関する制度につきましては、経済同友会御指摘いただきましたけれども、この意見書で触れられておりますとおり、規制対象の明確化と、それから予見可能性に配慮した制度設計を行っていくということが非常に重要だと認識を我々もしてございます。
そのため、本制度では、法律上の規制対象となる事業の外縁を明確化するとともに、規制対象となる事業、事業者あるいは設備のそれぞれについて基本的な要件を示しておりまして、また、閣議決定をすることになると思いますが、基本指針におきましては、規制対象を真に必要なものに限定することといった基本的な考え方を示すことを想定してございます。
これらを踏まえて、御指摘いただいた件につきまして、まずはその対象事業についてはしっかりと政令で定めてまいりたいと。また、対象事業者についても、具体的な規模とか、そういったものも含めて事業ごとに指定基準を主務省令で定めた上で指定していくと。また、対象設備についても、事業実態を踏まえて主務省令で定めていくということでございまして、このように、規制対象を真に必要な範囲に絞って明確化して、事業者の予見可能性を確保してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/11
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012・山谷えり子
○山谷えり子君 政府方針で、重要インフラ事業者はサイバー防衛対策を自己責任で行い、政府は支援するという立場ですけれども、支援の在り方、きめ細かくしていただきたいと思いますし、また、外部からの妨害に利用されるおそれがある場合、政府は勧告できる、命令もできるとありますけれども、各役所に相談窓口等々を設けて、お考えだとは思いますけれども、どうぞきめ細かい支援をよろしくお願いいたします。
今回の審査対象に、ヤフーやLINEなど、いわゆるプラットフォーマーが入っておりません。金融や電気通信などの事業を行っている事業者、プラットフォーマーは最終的に対象となり得ると考えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/12
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013・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案の基幹インフラに関する制度におきまして規制対象となる事業なんですけれども、これは規制の対象をできるだけ限定していく必要があると考えております。したがって、既に業法などにおいて役務の安定的な提供が規律されている金融や電気通信といった十四の分野に事業を限定して、条文上それを明記させていただいております。
一方で、一般的に、今委員御指摘のプラットフォーマーと呼ばれる事業者につきましては、現時点でそもそも明確な定義がなされていないと、その外縁が必ずしも明らかでないという、そういう実態があります。もう一点は、プラットフォーマーとして、したがって、その業法などによって役務の安定的な提供が規律付けされていない、こうした現状を踏まえまして、プラットフォーマーといった業態に専ら着目した形での規制対象とはこの法案ではしていないところであります。
その上で申し上げますと、一般的にプラットフォーマーと呼ばれる事業者の中には金融業ですとか電気通信事業などを行っている者が含まれておりまして、そうした事業者が主務省令で定める指定基準に該当する場合には規制の対象となり得ると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/13
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014・山谷えり子
○山谷えり子君 ありがとうございます。業態着目してのプラットフォーマーというのは入っていないけれども、金融や電気通信などの事業を行っている事業者、プラットフォーマーは最終的に対象となり得るということでありますね。ありがとうございます。
様々な省庁に横串を刺していくということが大事でありまして、これも日々変化する課題でありますので、枠組みづくりが大事だというふうに思います。この法律によりまして、経済安全保障を強化する観点から、技術に明るい行政官の交流を増やして体制を強化していくべきと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/14
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015・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、AI、量子、あるいはバイオ、マテリアル、こうした革新的な技術が出現していて、また、社会のデジタル化、DXが進んで、急速に進んでいく中で、その行政機関が様々な施策を推進していく上で、行政機関、行政官には、政策立案ですとか予算編成に関するその専門的な知識ですとかマネジメント、調整能力、こうした力が必要であることは当然だと思いますけれども、それに加えまして、その技術革新をどうやって社会実装に結び付けていくのか、その観点からアイデアを実際に出してそれを実行していく必要が出てきますので、幅広い技術的な素養が求められている、そういう環境に今あるんだろうと思います。
特に経済安全保障に関しましては、例えば技術に関する他国に対する優位性をしっかりと確保をし、またそれを磨いて国際社会における不可欠性を確保していく、そこにつなげていくことを目指しておりますので、こうした観点からも、この審議いただいている法制におきましても、官民の技術協力を始めといたしまして、技術的な知見を要する様々な施策を講じることとしております。
ちなみに、この法案を共に作っている法制準備室ですけれども、技術系のバックグラウンドを持つ多くの行政官に活躍いただいておりまして、ざっくり申し上げますと部屋の大体三割のその職員が技術系の採用区分となっております。
いずれにしても、各省における人事の配置につきましては、採用時の試験区分のみによることなく適材適所で行うことが肝要であると考えますし、また技術的知見が求められる経済安全保障の分野におきましては、まさに山谷委員御指摘のとおり、技術系のバックグラウンドを有する方を含めて技術に明るい人材に活躍いただくことを期待しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/15
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016・山谷えり子
○山谷えり子君 よろしくお願いいたします。
アメリカは、機微技術管理への対応として、中国の千人計画、海外のハイレベル人材を中国に招いて技術を盗んでいると言われているこの千人計画等の取締り、研究機関の透明性、インテグリティー確保を推進しています。司法省、FBIなどの調べで、研究者が逮捕、起訴もされています。
中国は極超音速ミサイルなどを日本から持ち帰った技術で造ったのではないかという報道もございます。日本の科研費で研究し、中国に帰国後、中国軍事イノベーションに関わったという報道もある中で、技術を盗まれない体制強化がますます必要です。
また、今も日本の大学は、中国の国防七校という、これは中国軍と軍事産業へ人材供給をしている中国の国家国防科技工業局の監督下、中国人民解放軍と一体化した軍事機関、その国防七校と共同研究協定をしている大学がございます。国防七校というのは、北京航空航天大学、北京理工大学、ハルピン工業大学、ハルピン工程大学、南京航空航天大学、南京理工大学、西北工業大学。経産省では、外為法により、現在、中国国防七校のうち五校を外国ユーザーリストに掲載しています。
さて、そこでなんですけれども、直近、令和元年の調査では、日本の国公私立大のうち五十四校が中国の国防七校と大学間交流協定を結んでいる、うち四十一校が共同研究を含んだ協定を結んでいる、この現状を文科省どう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/16
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017・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、大学における教育内容、方法の改善等の実施状況について把握する目的で、大学における教育内容等の改革状況調査を実施しておりますが、その中で全ての大学を対象として海外大学との交流協定の締結状況等を調査しております。この調査の結果から抽出いたしましたところ、御指摘の中国の七つの大学と大学間交流協定を締結している我が国の大学は、令和元年度において五十四校、そのうち共同研究の実施が含まれる協定を締結している大学は四十一校でございました。
大学のグローバル化の進展、科学技術の高度化等の中においては、大学の教育研究力の進展のために国際的な連携や交流を進めることは非常に重要となっております。一方で、大学における機微技術が国外に流出することのないよう、外為法を遵守し、実効性のある安全保障貿易管理体制を整備、必要がございます。
そのため、文部科学省では、経済産業省と連携し、通知の発出や各種説明会等を通じて、大学及び研究機関等における外為法に基づく安全保障貿易管理体制の徹底を要請しているところでございます。
引き続き、教育研究の現場が萎縮することのないよう留意しつつ、関係府省とも連携し、科学技術イノベーションの発展と機微技術流出防止の両立を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/17
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018・山谷えり子
○山谷えり子君 アメリカは、中国国防七校全てがエンティティーリスト、取引制限リストの中に入っています。日本でも、研究インテグリティーを高めるためにガイドライン改定も行われました。技術流出防止には、しっかりと調査体制、また安全保障の強化策を取ってほしいと思います。
日本学術会議についてですけれども、中国科学技術協会と覚書を交わしています。中国科学技術協会常務委員会には軍兵器関連研究者がいます。
四月十四日のこの本委員会において、有村委員の質問に対し日本学術会議の政府参考人が、本年一月に日本学術会議科学者委員会の中に設けられた学術体制分科会が取りまとめた論点整理において、デュアルユース研究を否定していないという内容の答弁をしました。また、三月二十四日の日本学術会議幹事会の後の記者会見で、新聞記者が、デュアルユースについて学術会議はどう考えているのかという質問に対しまして、幹事会メンバーの方が、ほぼ全ての技術がデュアルユース的側面を持つのではないかということに関する認識は世界共通、学術会議としてもデュアルユース的な側面を全面否定して一切研究をやめろということは一回も言っていないと発言しています。であるなら、日本学術会議はデュアルユース技術研究について何かしら明確な発信をすべきではないかと考えます。
学術会議のメンバーがデュアルユース技術研究に圧力を掛け、研究にブレーキを掛けているという例も聞かれます。学術会議は学問、研究の自由を脅かしているのではという見方もあります。デュアルユース的側面をしっかり捉まえて研究を進めていくということを、研究界、社会に向けて発信すべきではないかと思います。
総合科学技術・イノベーション会議、科学技術基本計画を策定するところでありますが、日本学術会議は常任議席を持っています。デュアルユース的側面に対する新しい考え方の発出を日本学術会議に求めたいと思いますし、この法案の下、パワーアップのため、産官学の一層の協力を求めます。そうでないと、政府の科学技術予算四兆円あっても、血税が国益のために使われないという批判を受けるのではないでしょうか。ちなみに、防衛省に割り当てられている研究開発費はたったの千三百億円。デュアルユース技術の進化とボーダーレス化の世界において日本の国益が大きく損なわれている現状を重く受け止めるべきだと思います。
令和四年度、インテリジェンス機関定員も増えまして、経済安全保障関連予算が付けられています。しかし、もっと強化し、更に前を向くように望みます。
私は、内閣情報調査室、内調の権限の強化が必要ではないかと考えております。内閣情報官、大幅に権限の拡大があって、かなりの情報が集まるようになっています。しかし、法制的に情報にアクセスする権限が心もとない。内閣情報官、とても優秀な方でいらっしゃいます。内調の長ですけれども、法令上は官房長官や官房副長官などを支えるスタッフです。
内閣情報調査室を内閣情報局にすることを考えたらいいと思いますけれども、内調、何か考え方ありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/18
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019・柳淳
○政府参考人(柳淳君) ただいま山谷先生御指摘のとおり、現行の法令においては内閣情報調査室の情報提供を各省庁に義務付ける旨の規定はございませんが、内閣情報会議等の既存の枠組みを通じ、情報コミュニティー各省庁が緊密かつ機動的に連携を図りつつ情報の集約、共有を行っており、内閣情報調査室を中心に情報コミュニティーとして機能していると認識しております。
必要な法制度の在り方につきましては、様々な議論があると承知しております。いずれにいたしましても、政府としては、引き続き必要な情報機能の強化に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/19
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020・山谷えり子
○山谷えり子君 ありがとうございます。
内調としては、そのような答えが限界といえば限界、これは政治が決める世界のことでありますので、政府参考人が答えられることではないと思いますので、政治の世界のこととしてしっかりと考えていく課題、問題だというふうに思っております。
続いて、公安調査庁にお聞きします。
公安調査庁、昨年四月に経済安全保障特集ページを開設、民間企業や学者を守るために情報を発信しておられます。情報提供窓口も設けられました。官民の連携、より強化していくべきと考えますけれども、現状についてお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/20
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021・竹田公政
○政府参考人(竹田公政君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、公安調査庁では、令和三年四月、公安調査庁のホームページ内に経済安全保障の特集ページを開設し、技術、データの流出防止を目的とした情報発信を行っているほか、経済安全保障に係る官民連携に向けた窓口を設けております。
経済安全保障の確保に当たっては、官民一体となった取組が重要であると考えているところ、公安調査庁では、今後とも企業を対象とした意見交換や講演会を積極的に実施するなど、官民連携の強化に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/21
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022・山谷えり子
○山谷えり子君 もう少し、もしできれば具体的にどんな意見交換があるとかですね、この現場感覚を教えていただければと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/22
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023・竹田公政
○政府参考人(竹田公政君) 恐れ入ります。
窓口を設けまして、いろいろな御相談とか情報提供をいただいているところではございますけれども、こちらの中で詳細に申し上げることは差し支えたいと思っております。恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/23
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024・山谷えり子
○山谷えり子君 しっかりやってくださっていることは承知しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
厚生労働省にお伺いいたします。
コロナ禍の中、医療関連物資を輸入に頼っている現状、弱さを国民は実感をいたしました。厚生労働行政の場でも安全保障の視点が必要でありまして、現在行っていることを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/24
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025・大坪寛子
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
厚生労働省では、海外で生産された原薬等の医薬品、こういったものが国内で製造されますように様々取組を行っておるところでございまして、一例を申し上げますと、海外依存度の高い抗菌薬、こういったものにつきましては、原薬等を製造するため、国内で製造所を新設したり、設備の投資、こういったことを行うための支援を行っております。また、加えまして、製薬企業に対しましては、原薬の供給源を複数確保するような取組をお願いをしているところでございます。
また、医療関係者の御意見も伺いまして、医療上特に国内で安定確保が求められる医薬品、こういったものを五百六成分選定した上で、対象疾患の重篤性ですとか、あと代替品があるかどうか、こういったことの要素を勘案いたしまして、優先度の高い医薬品から順次製造拠点や原薬の供給源などのサプライチェーンに関するマッピング調査、こういったものも行っております。
今後、医薬品の安定供給の確保を図ってまいりますため、サプライチェーンに関する調査、これを踏まえて、製薬業界の御意見を伺いながら、特に必要な対応については検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/25
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026・山谷えり子
○山谷えり子君 ジェネリックの原薬の五割は輸入と言われております。
サプライチェーンマッピング作りをしてサプライチェーンの強靱化を図るということでございますけれども、供給途絶リスクが高い物質、取引リスクが高い国ということがやはり焦点になるので非常に難しいと思いますけれども、そのような困難の中でどういうふうにマッピング進めていらっしゃるのか、もし何か御説明あれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/26
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027・大坪寛子
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、医療関係者の意見を踏まえつつ、特に安定確保が必要な安定確保医薬品、これ五百六の有効成分を選定をしております。そのうち優先度を三つぐらいにカテゴライズしておりまして、特に優先度が高い医薬品と分類をした二十一の有効成分から順次調査を行っております。
引き続きこれどんどん進めてまいりまして、企業の皆様にもどういうところで作られているかという御認識をいただきつつ、安定供給の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/27
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028・山谷えり子
○山谷えり子君 ありがとうございます。
安倍政権時に、経産省のサプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金制度ができました。現在、経産省が実施しているサプライチェーン強靱化に関する予算措置、どういうことをやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/28
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029・師田晃彦
○政府参考人(師田晃彦君) お答え申し上げます。
経済産業省では、海外における生産拠点の集中度の高い製品の国内生産拠点等の整備を促し、サプライチェーンの強靱化を図るために、令和二年度補正予算及び令和三年度補正予算等におきまして、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金として五千百六十八億円、先端半導体の国内生産拠点の確保等の半導体関連予算として六千六百四十億円、蓄電池の国内生産基盤確保のための先端生産技術導入・開発促進事業として一千十五億円、ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業として二千二百七十三億八千万円といった予算措置を講じてきたところでございます。
これらの合計約一・五兆円の予算を着実に実施することによりまして、我が国のサプライチェーンの強靱化に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/29
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030・山谷えり子
○山谷えり子君 経済安全保障政策は、海外の国や企業の不正を是正し、国を守り、発展させることにつながります。自由な競争を促し、日本の国際的競争力を上げます。機微技術の流出により、覇権国家の大量破壊兵器開発に使わせてはなりません。
今回の法案で、情報漏えい対策に関し前進していく、前進したと考えます。しかし、まだ心もとないところも多くございます。スパイ防止法がない日本には、機密を盗んでも罰する法律がない。リスク管理の分野自体も複雑に変化してまいります。外為法だけでは不十分です。
研究者や留学生の報告書の真偽を例えば確かめていくことが大事なわけですけれども、アメリカでは、情報機関が留学生の情報を調べてビザ発給拒否事例が増えております。日本では本当にこれからどうしていくのか。また、業界、官民の情報共有、調査能力と目利き集団の育成も必要です。
岸田内閣は、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛整備計画の改定をする考えでありまして、その中に経済安全保障の視点をしっかりと盛り込んでいくということであります。自民党もしっかり支えるために今大議論をしているところであります。
こうして審議が進んできた中で、大臣と副大臣にお聞きしたいんですけれども、審議が進んでいく中で様々な質問があったと思いますけれども、今の思いをお聞かせください、法案に対する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/30
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031・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案自体は、経済安全保障を確保していく上で重要な一歩だと考えております。ただ、この委員会でも何度か申し上げましたが、これが全てではないと感じております。まだまだやるべきことはこれから出てくるんだろうと考えています。
やはり、今の国際社会のこの状況を見渡したときに、やはり国際情勢が非常に複雑化しています。パワーバランスも変わってきている。経済はグローバル化をし、そしてサプライチェーンの脆弱性も露呈されました。社会はDXが進んで、サイバー攻撃のリスクも増えている。先ほど申し上げたように、革新的な技術が出てきていて、この安全保障と経済の境目というのがかなり不明確になっている。こういう状況の中で、やはり、各国の動向に、他国の動向に右往左往することなく、我が国としての基軸というものをやはり打ち立てていく必要があると考えております。
そのキーワードとなるのが、その脆弱性を克服していく意味でのその自律性の向上と、また、他国に対する技術を含めた優位性を確保し、またそれを磨いて国際社会にとって不可欠な存在となっていく意味での不可欠性、これをしっかりと確保をすることによって国際社会の中での日本の立ち位置を強化をし、国益にかなう国際秩序やルールの形成により主体的に参画していく必要があると考えております。
今後の課題につきましては、もう既に総理の指示の下、私がヘッドとなっている、各省、関係省庁の局長クラスから成る、このリスク点検、基幹産業の脆弱性や強みを分析していく、そういう会も立ち上げておりますので、そうしたところでしっかりと課題を洗い出し、また状況も変わっていくと思いますので、不断にこの法案、見直しを考えていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/31
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032・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) ありがとうございます。私まで御指名いただきまして、大変恐縮でございます。
私自身は、大臣と意識は、もうほぼ一〇〇%に近いぐらい意識を共有してございまして、今大臣からお答えを申し上げたとおりの認識をしてございますが、あえてその上で申し上げれば、国際秩序というものが非常に揺らいでいるという現状にあって、以前の概念であれば、経済のその貿易の促進、自由貿易という体制がある種国際秩序を安定化してきたという側面もございました。一方で、経済の自由が進み過ぎると、少し前にありましたような、ある種国内の格差、各国の国内の格差というのが助長され、それがある種国内の政治の混乱につながって、それがある種国際的な関係を悪化させ、ブロック経済化が進みという、こういう現状が恐らく近年の歴史上あったのだと思います。
そういった意味では、経済の自由化ばかりを追い求めるというのも一つの方向ではありますけれども、それを前提としつつ、ある種管理されたその体制というのもあるというように認識をしておりまして、それは、一部ということでありますが、今回の法案で、自由な経済活動、あるいは国家国民の生活の安心、安全、それから安全保障、こういったもののバランスをしっかりと取っていかなければならないというコンセプトに成り立っているわけでありまして、まずはこの法案、先ほど大臣がお触れになられましたように、まずはこの一番重要なところをしっかりと整備させていただいた上で、必要な残る措置をこれから全力で実行してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/32
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033・山谷えり子
○山谷えり子君 大臣、副大臣、長くこの経済安全保障について考え方、議論をされ、また、いろいろな意見を聞いてこられた方でございます。関係省庁にまたがるリスク分析、そしてまた課題解決、大きな司令塔として頑張っていただきたいと思います。
アメリカは、エンティティーリスト、米国の安全保障、外交政策上の利益に反する顧客等のリストや、テロ支援国の政府関係機関、関連企業等のリストを定めています。日本ではこうしたリストに載った企業との取引を制限する法律もなく、対応が甘くて心配であります。
セキュリティークリアランス制度についても、随分衆議院、参議院のこの委員会で質問がございましたけれども、まず、いろいろな問題があるけれどもこの法案でということでありました。しかしながら、危機管理意識を持たないと、米国や自由主義経済圏から締め出される危険もございます。
そういう状況にあることを肝に銘じて、経済安全保障推進法をまずは成立をさせて、そしてさらに、日本経済のために守るべきステップを踏んでいくことに力を合わせていきたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/33
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034・青山繁晴
○青山繁晴君 改めまして、おはようございます。皆様、おはようございます。自由民主党の青山繁晴です。
今日も、傍聴者の方々、感染症対策でいまだ制限あるんですけれども、人生の時間費やしておいでいただき、ありがとうございます。
今日も、党利党略のためでなく、国益のためにこそ質問いたします。
まず、小林大臣から、山谷委員の質問にお答えになって、非常に率直に、この法案は第一歩であってこれが全てじゃないと、不断に法案の見直し考えていきたいというお話がありました。小林大臣らしい、僕はお世辞言いませんので、率直な御答弁であると思います。
この法案、私は強く支持するものです。同時に、最大の課題は、この法案を国民が読んでいただいたときに、じゃ、例えば感染症がまた広がったときに、中国製のマスクに依存していて私たち国民に行き渡らないとか、あるいは日本の中小企業が培ってきた重要な技術が独裁国家に渡っているんじゃないかということがなくなるというふうに、法案読んですぐに思えないというところが最大の課題であるというふうに考えております。
で、そのために、この法案自体の前進も必要ですが、同時に、大臣おっしゃったとおり、これが全てじゃないという御答弁の中に、一個の法案であるいは法律で全部カバーするのは元々民主主義国家で無理ですから、したがって、それを支える仕組みが必要だと思います。
その上で、まず最初に、実はこの間、参議院の本会議で、岸田総理におかれては、経済安全保障というのは明確な定義がまだないと御答弁なさいました。これも岸田総理らしい率直な御答弁だったと思います。ただ、定義付けというのは学者の専権事項ではなくて、経済安全保障というのは恐らく一般の国民にとってはそう耳に慣れた言葉でもないと思うんですね、概念自体は実は古くからあるんですけれども。
で、総理がおっしゃったとおり、経済安全保障と言われて、普通の国民がぱっと、ああ、こういうことだと、例えば防衛とか、そういうふうに思えるわけではないので、やはり学者の定義付け、学界の動きを待つ前に政府として定義付けを行うべきだと思います。
まず、そのお考えをいただいてから私なりの定義案をお示ししたいと思います。小林大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/34
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035・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 先ほど申し上げたとおり、今回の法案、経済安全保障、かなり幅広い概念というふうに私は捉えておりますけれども、この法案は重要な一歩ではあるけれども、これで全てをカバーするものではないと。
で、今回、じゃ、なぜ四項目選んだのかというのがこれまでの審議でも何度も問われたんですけれども、それは、実は私が大臣になる前から、かなり前から自民党の中で様々な、この我が国の基幹産業に関する脆弱性分析を含めて、リスク点検を政府の力も借りながらやってきて、非常にラフな作業ではありましたけれども、その中で浮かび上がってきた分野横断的で、かつ法整備が必要で、かつ喫緊の課題、これを、この四つ、項目としてピックアップして、今回やったということです。この四項目については、サプライチェーンの強靱化含めて、もう繰り返しませんけれども、したがって、この法律上、この法案において特段経済安全保障というものを定義付ける必要はないんだろうと考えます。
一方で、総理からもお答えしたとおり、この経済安保については我が国を含む主要国において何か確立した定義があるわけではないと考えます。ただ、国会審議の中でできる限り国民の皆様に分かりやすくお伝えすることは心掛けておりまして、またこの後委員の様々な見解が示されると思いますので、この場で一言だけ申し上げるとすると、経済安全保障というのは国益を経済面から確保すること、一言で言えばそういうことだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/35
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036・青山繁晴
○青山繁晴君 今大臣から非常に端的な定義付け、いただきました、実はね。経済面から国益を確保することであると。
見事な案が出たので、僕の案を出しにくくなったんですが、それでも私なりの案を、古くから考えてきたことですのでお示ししますと、大臣のおっしゃったことをもうちょっと敷衍している定義なんですが、経済においても国益を貫き、自国民を守り、世界の民主主義を支える、それが経済安全保障であると考えております。
ちょっとだけ解説というか補足しますと、国民を守りと言わずに自国民を守りというようにあえていたしたのは、経済安全保障というのは、やっぱりそれぞれの国の国益がぶつかる場面が現実どうしても避けられないです。そのときに、まず自国の国益、国家の利益と国民の安全、平和、それを守るということをまず優先させましょうと。しかしその上で、それが紛争の原因や、ましてや戦争の誘発事故になってはいけませんから、世界の平和と民主主義を支えるものでなければならないと。
そのように定義いたしましたけれども、大臣、改めて、できれば見解をお伺いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/36
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037・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 先ほどは、あえて一言で申し上げると、国益を経済面から確保することということを国民の皆様に私の考えとして国会審議の場で申し上げた。もう少し敷衍をさせていただきますと、じゃ、国益って一体何なのかということなんです。
それは、現行の国家安保戦略にも幾つか書かれ、明記されているんですけれども、中核的な国益というのは、国家の主権と独立、また、それを守り、そして領域を保全し、そして国民の生命、身体、財産、これを守り抜くこと、これが中核的な国益だと考えています。それに加えて、更なる経済的な繁栄を実現していくこと、これが二つ目の国益です。三つ目としては、今委員が民主主義というお言葉を出しました、出されましたけれども、やはり基本的価値やルールに基づく国際秩序を維持、擁護すること、こうした国益を経済面から確保していくこと、これが私が考えている経済安全保障の考え方でございまして、その意味では、その意味において、私は委員が今お示しになられた認識と非常にそこはもうオーバーラップしているというふうに感じておりまして、こうした考え方に基づいて経済安全保障の施策というものをしっかりと推進していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/37
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038・青山繁晴
○青山繁晴君 ありがとうございます。
その上で、この経済安全保障を推進するためには、これも山谷委員の御質問にもありましたけれども、情報インテリジェンス、それが大きな課題で、中でも我が国に不足しているものは統合能力です。
これ、山谷委員から国家安全保障局をつくってはどうかという御質問が先ほどありました。僕は、済みません、山谷委員の質問を事前には存じていなかったんですけれども、あえて不肖私の経験を申しますと、まだ民間の専門家時代ですが、ある内閣においてこの国家安全保障局設立法案の原型が検討されたと理解しています。どうしてかというと、第一次安倍政権のときに、国家安全保障会議、それをつくろうということが審議されまして、あっ、済みません、さっき国家安全保障局と言いましたが、国家情報局の間違いです。小林大臣の顔を見て間違いに気が付きましたが。
かつて国家安全保障会議をつくろうとして果たせず、第二次安倍政権になってこれが成立をしました。しかし、これだけでは車の本当は片輪であって、国家安全保障会議、その下に事務局も今ありますが、それをつくった以上は、こちら側に情報インテリジェンスの統合機関がないといけないという意味だと理解しております。
その経験も踏まえますと、今現在日本のインテリジェンスというのは幾つかにも分かれておりまして、国家安全保障局の、さっき言い間違えた国家安全保障局の経済班であったり、あるいは内閣情報調査室であったり、公安調査庁であったり、あるいは警察庁の外事情報部であったり、防衛省の情報本部であったり、幾つかに分かれているわけです。これを統合して三つの役割、一つはもちろん情報の収集と分析です。ただし、これは諸国の統合された情報機関にあるような不正な工作を行うということでは決してあってはいけないと思います。その上で、今までとは能力の在り方が違う情報の収集能力と分析能力を持つ。
それから二番目が情報の保全であります。これは今特定秘密などの法律があるわけですけど、やはり包括的に情報保全をする、すなわち不正なスパイ活動が日本において、G7の中の例外としてほとんど自由に行われているという状況を改善しなきゃいけない。
三つ目が情報戦略の立案です。これが、最後が一番重要かもしれないです。今ばらばらにやっていることを、この経済安全保障の観点からも一つにまとめた戦略が必要だと思います。
もう一度申しますが、国家情報局設置法案ないしは、あんまり国家国家と強調するよりも、僕個人は戦略情報局設置法案の方がいいんじゃないかと思いますけれども、そうした考え方について、磯崎官房副長官、御答弁お願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/38
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039・磯崎仁彦
○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) お答えをさせていただきたいと思います。
今、我が国の現在の情報コミュニティー、これはもう先生御存じのとおり、内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置をされ、また、情報コミュニティー各省庁が内閣の下に相互に緊密な連絡を保ちながら情報収集また分析活動に当たっているところでございます。
具体的には、内閣官房長官が議長であります内閣情報会議、あるいはその下に置かれております合同情報会議、これを通じるなどして、各省庁が収集、分析をしました情報が集約をされ、そして総合的な評価、分析を行う体制が整備をされております。これによりまして、情報コミュニティーとして機能しているという認識でございます。
その上で、情報コミュニティーから国家安全保障局の経済班等に提供されます情報は、経済安全保障に係る多岐にわたる政策課題の取組に生かされており、こうした観点から、経済インテリジェンスは経済安全保障の取組を支える重要な要素となっているというふうに考えております。
情報コミュニティーの在り方につきましては、委員からもいろいろ御提言をいただきましたけれども、様々な議論があるものというふうに認識をしておりますけれども、引き続き、政府におきまして、情報の収集、集約、分析体制の一層の充実強化を図ってまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/39
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040・青山繁晴
○青山繁晴君 磯崎副長官から丁寧な答弁をいただきました。
確かに、かつてに比べれば、統合機関はなくても、情報の統合ができるように集約する仕組みはある程度は整備されてきたと思います。ただ、私は、専門家の端くれとして申せば、不十分だと考えています。特にその不十分が現れるのがやっぱりサイバーであって、その新しい事態、もうウクライナの状況を見ても、言えるところまでしかもちろん申しませんけれども、ロシア側の具体的な戦争計画は漏れている状況ですよね。サイバーはそこまで進んでいますから、あちこちでサイバー取り組んでいますということでは難しいと私は思います。
現段階の答弁として今いただきました。
話を前に進めますと、経済安全保障に注目するんであれば、大臣おっしゃるとおりこの法案で第一歩が始まっているわけですけど、やっぱり具体的なことにもっと踏み込んでいかざるを得ません。私自身も、民間の時代に、海外から留学生をお招きしたり、あるいは研究者をお招きしたり大学に紹介したり、随分いたしました。そのときに、私自身としては、こういう方々、日本にいるときだけじゃなくて母国に戻ったときまでずっとフォローアップをして、日本の国益が損なわれないように個人的に努力は、個人的信頼関係も築いて、してまいりました。
しかし、さはさりながら、特に独裁主義の国家においては、母国にお戻りになったときに、個人の生き方を超えてたくさんの指示が下りてくるのも事実です。特に日本や米国のような先端技術があるところに来た留学生、研究生は、その意味でもなかなか苦しい目にも遭っておられるというのを直接感じています。
それを考えれば、このAIや量子コンピューター、さっきのサイバーもそうですけど、先端技術あるいは軍事や防衛に直結する機微技術を盗まれて外国に渡されてしまうというリスクを考えないわけにいかないので、そうすると、この経済安全保障の新法と並んで、かつて国会で審議されて廃案になった経験のあるスパイ防止法、スパイ防止法という名前でなくてもいいと思いますが、特定秘密保護法だけでカバーできているという意見が特に政府側から最近よく聞かれますが、とてもそうは言えないと思います。
いよいよ、いわゆるスパイ防止法ですね、もう一回言いますが、名前は誤解を避けるためにも新しい名前があってよいと思いますが、そのことについて、もう一度磯崎官房副長官にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/40
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041・磯崎仁彦
○内閣官房副長官(磯崎仁彦君) 政府といたしましては、我が国の国内におきまして外国情報機関による情報収集活動が行われている、こういう認識に立って必要な対策を講じているところでございます。その上で、これまでも機微の情報や技術の流出防止につきましては、例えば営業秘密については不正競争防止法、それから外為法にみなし輸出管理などの規定もございますので、こういった法律に基づいて対策を実施をしてきているところでございます。
いわゆるスパイ防止法の必要性につきましては、様々な議論があるというふうに承知をしておりますけれども、国の重要な情報等の保護を図ること、これは極めて重要なことでございますので、引き続き必要な取組の充実強化に努めてまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/41
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042・青山繁晴
○青山繁晴君 今副長官から、引き続き取り組むと、まあ引き続き取り組むというのは常套句ではありますけれども、今副長官の目の輝きで、前に進めたいという意欲を私は感じましたので、与野党を問わず様々な議論を深めていきたいと思います。
続きまして、やっぱりウクライナの問題に触れざるを得ませんが、この悲惨な事態を見れば、幾つかの大事な教訓が、犠牲になった赤ちゃんや高齢の方からも私たちは受け止めなければいけないと思います。
一つは、やっぱり独裁主義の怖さであると思います。それを踏まえて私たちの隣国を考えれば、ロシア、中国、北朝鮮といずれも独裁主義と言わざるを得なくて、しかも核保有国であって、しかも使える核を持っていると考えざるを得ません。
そうしますと、抑止力を確保するために、幾つかの方策の中で日本の防衛産業の技術基盤が維持できるようにしなければいけないと思います。これも具体的にあえてお話ししたいんですけれども、私、議員になりまして、やむを得ず六年前に議員になって、議連というもの、友好議連、幾つもありますよね。昔の東欧の国々、今、中央ヨーロッパと言うのが普通ですけど、国名は挙げませんけれども、例えば海のない国が中央ヨーロッパには結構ありますけれど、海がないからこそ、兵員をどうやって運ぶのか。船使えませんから、一挙に運ぶにはどうしたらいいか。
そして、そういう国から、日本の国産輸送機、C2ですね、この優秀なC2に関心が集まって、私は政治献金一円も受け取らないと同時に、諸外国とも一切そういう関係を結びませんので、むしろ向こうから話があったのが、中立的な立場からこのC2を買いたいという気持ちを防衛装備庁に伝えてくださいという依頼がありました。そして、いろいろ利害関係をつくらず動いた結果、買いたいというところまで行きまして、安倍内閣の一つの遺産として、防衛装備の移転について、考え方、日本は変えました。C2は特に戦闘機じゃありませんから戦闘能力はありません。
そういうことから、話がもうできようとした、相手国の首相や大統領とも話が成立した。ところが最後、価格で駄目だったんです。高くてとてもとてもそういう国々では手が出せない。それ考えますと、国民の合意は当然必要なんですけれども、初期の費用ですね、初期の価格、それについては、やっぱり官民連携で必要な援助を国がして、途中から、民間なら、民間は民間でちゃんとやるという動きが必要だと思うんですよね。
これ、今までにない考え方ですけれども、日本が敗戦で工廠、政府の工場というのを持っていない以上はこういうことを考えなきゃいけないと思います。この件について、鬼木防衛副大臣、御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/42
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043・鬼木誠
○副大臣(鬼木誠君) 防衛装備品の海外移転については、諸外国との安全保障協力を進めるとともに防衛産業基盤の強靱化を図るため、官民連携の下、様々な取組を進めているところであります。
具体的な事業としては、相手国の潜在的なニーズを把握して提案に向けた活動を行う事業実現可能性調査、フィージビリティースタディーの実施、官民が連携して情報共有を行うポータルサイトDETRAPの整備、また、国際装備展示会等の場において相手国のニーズを踏まえた効果的な情報発信などを推進してまいりました。
加えて、我が国の防衛関連企業がより魅力的な提案を行い、企業リスクを低減するための施策について、個別の案件に応じて今後検討してまいります。
防衛省としては、防衛装備移転の更なる促進のため、今後、新たな国家安全保障戦略等の策定のための検討の中においても、防衛装備品の海外移転の在り方等について検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/43
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044・青山繁晴
○青山繁晴君 今、鬼木副大臣から非常に慎重な御答弁いただきまして、その言葉の中に、個別の案件について検討していくと、検討も常套句ですけれども、個別の案件というのがあるので、私としてはそこに期待をして前進を図りたいと思うんですが、この件、もう一つやっぱりどうしても付け加えなきゃいけないことがあって。
防衛装備というふうに、侵略をしない日本でありますから誤解を招かないように柔らかい言葉を使っているんですけど、要は武器ですよね。広く、ざっくり言えば武器です。武器でないものもありますけれど、もちろん。
アジアにおいては中国製のまさしく安い武器がもう席巻していて、かつては抵抗していた国ももう中国製の武器を使っていますから、アジアでいうと、中国製の武器使っていないというかそれが主となっていない国は、端的に言うと我が日本とベトナムぐらいです。これどういうことかというと、アジア諸国の民主主義の国であっても武器体系の根っこを中国につかまれるということであって、これはアジアの平和と安定にとってはゆゆしき事態だと考えます。
それを考えれば、アメリカではなくて日本の武器、平和国家日本の防衛装備を移転していくというのはとても大事なことなので、鬼木副大臣、済みません、無理を言うようですが、もう一度その個別の案件について検討していくというところをもうちょっと因数分解して、意欲的にお話しいただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/44
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045・鬼木誠
○副大臣(鬼木誠君) 防衛装備移転というのはまさに、防衛装備というものはまさに日本にとっては防衛力そのものであります。そしてまた、その防衛産業の技術基盤の維持ということもまた重要なものであります。そこに対しての青山議員の前向きな御提案受け止めまして、ここはしっかりと、日本の技術基盤を支えるという意味でも、防衛装備移転についての今後の検討を進めていきたいと思います。
先ほども答弁の中で申し上げましたが、国家安全保障戦略等、防衛戦略文書の見直しも図る中で、やはりこうした装備の話、技術基盤の維持といったものも重要な論点となっておりますので、今の時点で個別の案件についてどうするということはお答えできませんが、しっかりと問題意識共有して取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/45
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046・青山繁晴
○青山繁晴君 ありがとうございました。
再び小林大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、この経済安全保障の法案ができると知った主権者国民の中から不肖私にどっとやってきた質問は、幾つもあるんですけど、そのうちの大きな一つが例のLINE問題に端を発することです。
LINEで、日本国民、僕自身はLINEを決して使いませんが、使っている人が多いだけじゃなくて、自治体などで公によく使われていますよね。そのLINEをめぐる情報が特に中国に漏れていたというのは、既に公然たる事実になりました。
で、そこで終わっているんですよね。その後も、いや、もう改善されたはずですということで、自治体も使っていると。それでいいのかということは、主権者国民にとって決して軽いことではないと思いますし、現実に、もう一度言いますが、僕のところにたくさんのお声が届いています。
具体的に申せば、要は、通信アプリや、さっきこれも山谷委員の質問にありましたけど、ITプラットフォーマー、あるいはその動作環境自体ですね、プラットフォーム自体、それが海外が中心であって、信頼できる国産のITインフラストラクチャー、片仮名あんまり使いたくないけど、要するにITの社会基盤、それが足りないと。だから、LINEじゃなくて国産の、最初から国産のものを使いたいという要望。ということは、官民連携によってこれを育成すべきだと思います。
さらに、LINEとかそういうことだけじゃなくて、SNSだけじゃなくて、今大きなテーマになっているメタバースですよね。これ、また例によってアメリカの企業が社名まで変えてメタバースに進出するところもあります。これ、幼い頃からメタバースの環境で育つと、今までの私たちの育ち方と全然変わってくる。これも、まあ国産で努力は続いていますけれども、やっぱり官民連携が必要だと思います。
小林大臣がおっしゃった経済安全保障推進法案、足らざるところを補わなきゃいけないという観点からすると、この育成はとても重要だと思うんですが、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/46
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047・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 既にインターネットやスマートフォンがかなり普及をしていますし、既に5G、で、その先のビヨンド5G、データ駆動型社会を迎えていくと。その中で大量なデータを蓄積して、それを解析掛けて処理していく、いわゆるそのデジタルプラットフォームの役割は重要性を増しているんだと思います。
一方で、このデジタルプラットフォームというのは正直海外事業者を中心とした状況にあって、特定の事業者に多くのデータが集中する。このデータというのは、個人データもあるし、産業データも含めてですけれども、それ集中することによって、消費者の利益、消費者を含めてその多くの方の利益が阻害されるおそれがあるとの指摘もあります。また、データというのは国境をまたいでこれは移動していきますから、一部の国では政府が民間のデータにアクセス可能とするような法令が存在する、そうしたリスクも存在しているんだと認識しています。
こうした点を踏まえると、消費者ですとか事業者が安心して活用できて、またデータの機密性に応じて適切なサービスの提供を受けられる環境の実現を、環境を実現していくことが重要だと考えております。
こうした問題意識は、私、かなり前、以前から、もう自民党の中の議論でも私自身申し上げてきたところでございますし、これは、そういう意味では、その国産クラウドを例えば含めてデジタル産業の事業基盤を国内に確保することは極めて重要であると考えておりまして、この例えば法案との関係で申し上げますと、サプライチェーンの強靱化のところで特定重要物資とあるんですけれども、この物資というのは、有体物だけではなくて無体物であるプログラムを含むというふうに規定させていただいております。
もっとも、まだ法案が成立する前ですし、その後様々な基本指針ですとか政省令定めていくので、現時点でどうするかということはちょっと申し上げることは今できませんけれども、ただ、そういう意識を強く持って、しっかりとこの国の経済安全保障を強化するために必要な政策というのを進めていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/47
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048・青山繁晴
○青山繁晴君 正直、僕の想像したよりも踏み込んで答弁をいただいたと思います。与党だからではなくて、まさしく共感します。だから、この法案がもしも成立すれば、大臣おっしゃったとおり、国民にとって活用できる、そして機密性が保たれる、民主主義国家らしく、その国産ITプラットフォーマーの誕生を見たいと思いますので、よろしくお願いします。
引き続き、小林大臣にお聞きします。
以下は、三つぐらいについて、やっぱりお隣の中国の問題について問わざるを得ません。別な言い方すると、やっぱり多面的な対策を取らざるを得ないと思います。
一つは、これ大阪、例えば、僕は実際に関係者からお話聞いているのは大阪が多いんですが、大阪を中心にした、まあ大阪に限らないですけど、日本の中小企業が中国資本に買収されましたと。それだけではなくて、実は、技術者がその後中国、日本人の技術者が中国に渡ったり、あるいは明らかにその中小企業の持っている技術が中国に渡り、そしてそれだけで終わらなくて、何とその後、全部抜き取られた後に企業が潰れていると。これ、中国が潰したと言うのは、それは公平を欠く言い方であって、それはしませんけれども、現実として倒産や破産に至っている例が一つや二つじゃないと。
そのことを考えると、やっぱりこれについては具体的な規制、いきなり大企業の物すごい株数や時価総額を買収するよりも、はるかにやりやすい中小企業、特に日本は会社の九九・七%が中小企業って誰でも知っていますけれども、本当はその八割七分ぐらいが小規模事業者ですよね。物づくりでいうと従業員二十人以下、商業、サービスだと五人以下という会社ですね。あっという間に中国に買収されるという例が起きていて、そんなちっちゃな会社でも世界に冠たる技術を持っている例があって、しかもそれが日本の安全保障に関係する技術というのも現実にあります。
この規制について、小林大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/48
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049・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、この法案につきましては特定の国を念頭に置いたものではないということは冒頭申し上げたいと思うんですけれども、今委員が御指摘されたように、外国投資家による例えば企業買収を通じた技術流出、これをどうやって経済安全保障上ある意味防止していくかというのは極めて重要な論点だと思っておりまして、既に、今のこの法案とは別に、二〇一九年に外為法を改正しまして、外国投資家が上場企業に投資をする際のこのスレッシュホールド、閾値を一〇%から一%へと引き下げる改正を行ったと。また、それに加えまして、この投資審査体制の強化という意味では、去年の七月に、あれは、アメリカのCFIUSは合議体でございますが、それまで我が国では、この外為法の投資審査というのは、どちらかというとその制度を所管する財務省とその各産業を所管している例えば経産省とか、それぞれやっていたところなんですけれども、しっかりとその合議体というものを形成をして知見の共有を図って、省庁の中でもその知見というのは、いろいろそこは差がありますので、そこの底上げを図るという努力をこれまでやってきているところでございます。
この外為法の対内投資審査制度というのは、武器、宇宙、原子力あるいはサイバーなど一定の事業を営む会社に対する外国投資家の投資につきまして、国の安全や公の秩序を損なうおそれがあるかないか、こうした審査をする仕組みで、その審査自体は、大企業であるか、あるいは中小企業であるか、それを問わず、その規模を問わずに、それはやっていくものでございます。
その上で、この審査の結果、必要な場合には、国はその取引の変更、中止の勧告、命令を行うことが可能となっていて、その適切な運用によって我が国中小企業の買収を通じた重要技術の流出防止に取り組んでいきたいと考えております。
また、その前提として、やはり体制の強化というのは必要だと思っております。この東京だけで見ていればいいというものではなくて、やはり地方の行政機関、例えば財務局を含めて既に令和四年度の予算でかなりの定員を、定員増を措置いただくことを許していただきましたけれども、そうした体制の強化ですとか、また、今申し上げた事前届出のこの運用、こうしたものをしっかりと関係行政機関の地方支分局を含めて周知徹底していくことも同時に必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/49
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050・青山繁晴
○青山繁晴君 大臣のおっしゃった外為法が強化されたというのは、おっしゃるとおりなんですよね。ただ、要するに、日本のやり方として、いや、そっちは外為法で強化しました、経済安全保障推進法案はこっちなんですというのは、国民にも分かりにくいし、例えば中小企業のおやっさんにとって、外為法で守られているからと言われても、よく分からないですよね。
したがって、大臣御自身がおっしゃったとおり、この法案で全てを解決するんじゃない、あるいは改正も重ねていく。でも同時に、法律を基にして具体的な政策やるのが政府ですから、中小企業、現実に物すごい金で来られたら売却せざるを得ないということが起きるわけですから、そのことに対しての具体的な取組を是非いただきたいと思います。
大臣、もう一言できればいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/50
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051・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これについては、先ほども申し上げたとおり、山谷委員のときに申し上げたんですけれども、既にこの経済安全保障上の、今委員が御指摘いただいた課題も含めて様々な課題があるし、またこれからも状況の変化に応じて出てくる、そういう中で、私が中心となって、関係省庁の局長クラスの経済安全保障の重点課題を検討する会議というものを既に立ち上げて動かしています。その中で様々な課題は上がってきますし、これからもいろいろ出てくると思います。
委員の御指摘も踏まえまして、政府として、その中小企業の技術流出防止対策、何が必要なのか、そこは真摯に向き合ってこれから政策を進めていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/51
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052・青山繁晴
○青山繁晴君 大臣、ありがとうございます。
先ほど、日本には日本のやり方があるということを、そういう趣旨を言いましたけど、それは、大臣のおっしゃった、この法案にしても特定の国を念頭に置いたわけではないと、それはアメリカのやり方と違う、そこは僕も支持します。
ただ、その上で、先ほど申したとおり中国についてはもう幾つか考えなきゃいけなくて、一つは孔子学院の問題ですよね。これは、アメリカだけじゃなくて世界中で、これが実は経済安全保障にとっても、大学の中につくられたものであっても、経済安全保障にとっても大事なポイントなんだというのは国際社会では既に共通認識になっています。大学の自治をあくまで確保しなきゃいけませんが、まず日本政府が僕は孔子学院の実態把握できているとはとても思えないんですよね。
このことについて、まず正確な実態把握を行って対応していくということについていかがお考えか、田中文科副大臣に御答弁お願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/52
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053・田中英之
○副大臣(田中英之君) 御指摘の孔子学院についてでございますけれども、同盟国である米国、また、自由や民主主義、法の支配といった共通の価値観を持ったヨーロッパの国々からも懸念がこれは高まっており、その運営の透明性が求められているものと承知をいたしております。
文部科学省としては、大学の主体的な教育研究活動が妨げられるようなことがないよう、孔子学院を設置をしている大学に対して、組織運営や、組織の運営や教育研究内容など、透明性を高めるべく情報公開を促すなど、個別にこれまでから働きかけてきたところであります。
引き続き、関係省庁と緊密に連携をして動向をしっかり注視するとともに、現在十三校がこの孔子学院を大学で設置していると聞いておりますけれども、必要な働きかけをこれからも続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/53
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054・青山繁晴
○青山繁晴君 副大臣、ありがとうございます。
十三校という把握もされていて、実態の把握に大学自治との兼ね合いを慎重に考えつつ進められていることを信頼したいと思いますので、よろしくお願いします。
中国について次の点なんですが、今、ウイグルで、ごめんなさい、ウイグルの前に、ウクライナで、バイデン大統領がおっしゃったジェノサイド、虐殺が行われているんじゃないかというのは深刻なことであります。
ただ同時に、国際社会は、これまで中国の、さっき言い間違えたウイグルでのジェノサイドの懸念についても非常に強い関心を持っています。特に、その虐殺が起きるだけではなくて、強制労働が日常的に行われているんじゃないか、ウイグル人に対してですね。
ちなみに、ウイグル族という言い方はやめたいと思うんです。私たち日本人が日本族と言われたらどうでしょうか。ウイグル人であり、チベット人であると私は考えております。
その上で、そのウイグル人を中心にした強制労働の懸念もあって、その強制労働の言わば結果を日本の企業あるいは日本が利用しない体制というのを整えて、それに付随して国内生産への切替えを進めることも一つの経済安全保障ではないでしょうか。
これは経産省、経産副大臣の細田副大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/54
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055・細田健一
○副大臣(細田健一君) ありがとうございます。先生、大変重要なポイントを御指摘いただいたと思っております。
一般論として、企業と人権という観点からお答えをさせていただきたいと思っておりますけれども、近年、国際社会において人権問題への関心が高まる中、企業、サプライチェーンも含めた人権尊重の取組をしっかりと行わない場合、不買運動、投資の引揚げ、既存顧客との取引停止など、多くのリスクに直面することがあると承知をしております。
このため、経済産業省といたしましては、従来からセミナーなどによる産業界への周知啓発活動などを通じて、企業に対してサプライチェーンにおける人権尊重の取組を促してきたところでございます。さらに、昨年十一月に公表した企業調査におきまして、日本企業のこの面での取組がいまだに不十分であることが明らかになるとともに、ガイドラインの整備を望む要望が多数寄せられました。
このため、当省といたしましては、本年三月九日に人権デューデリジェンスに関して検討会を立ち上げ、業種横断的なガイドライン作りを開始したところでございます。国際的なスタンダードにのっとったものを、かつ具体的な取組方法が分からないという企業の声に応えるものを今年の夏までに策定してまいりたいというふうに考えております。
私どもとしては、企業が公平な競争状況の下で積極的に人権尊重に取り組める環境を整備していくということが不可欠であると考えております。このため、国際協調により各国の措置の予見可能性を高めることが重要です。私どもが作成する予定のガイドラインの策定は、日本政府、日本企業が国際スタンダードにのっとった取組を行うことを内外に明確に示すものとなると考えております。
このようなガイドラインの策定などを通じて、日本企業の人権尊重に向けた取組を後押しし、日本企業の国際競争力の維持強化につなげていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/55
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056・青山繁晴
○青山繁晴君 今、細田副大臣から、まず、このウイグルにおける強制労働の結果を日本がそのまま使っているんじゃないかということについて、企業の取組が不十分であるというキーワードをいただきまして、その上で、企業側からは、副大臣も同じだと思いますけれども、じゃ、どうすればいいんだということを政府がちゃんと示していないという指摘いただいていて、そのとおりだと思いますので、この夏までにガイドラインを決められるということですから、そこに期待すると同時に、自由民主党の一員としても部会などで問題提起していきたいと思います。ありがとうございます。
次に、また小林大臣に、済みません、戻りまして、これも一つ、もう時間がちょっと厳しくなってきましたが、具体的な体験を申しますと、まだ大学の今の准教授が助教授と言っていた時代なのでちょっと古い話から始まるんですけど、東京大学の当時の助教授の方から戦略爆撃について臨時講義してくれと突然言われまして、僕の本をお読みになって、戦略爆撃って言い方変えると、かつて米軍が日本に対して行ったじゅうたん爆撃のようなものが発端だと言われていますが、臨時講義いたして、学生諸君は物すごく集まったんですが、その後、大学当局から、東京大学ではそういった種類の軍事に関する講義をしないことになっているという指摘があったそうです、僕にではなくてその当時の助教授にですけれども。
このことは、古い話と言いましたけど、つい最近も、有識者の方々に確認していくと、東大に限らず、特に国立大学だと思いますけれども、そこは根拠ないですが、主要な大学で、例えば誓約書を書かされる、軍事に関する講義はしないと。それは、そこが分からなくなってしまうと、むしろ抑止力の育成であったり日本の安全保障に大きな影響があると思います。
このことは、例えば日本学術会議におかれて、二〇一五年に中国科学技術協会と協力の覚書をなさっていて、学術会議の会長が、しかし、その覚書に基づいて活動した実績はないとおっしゃっていることもよく理解していますけれども、ただ、やっぱり敗戦後の日本のこういう学術研究の在り方を見直す必要があって、そのためには、学術会議の代わりに科学技術安全保障会議、まあこれは僕の勝手な仮称ですが、それを創設することを政府として検討されてはいかがかと思います。
最後に小林大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/56
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057・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 私は、その覚書の話が言及されましたけれども、この日本学術会議が個別の問題にどのように取り組んでいくかということについては、学術会議、日本学術会議自身が判断することなんだろうと思います。
この日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、私は、本来発揮すべき役割を適切に果たして、国民の皆様に理解され、信頼される存在であり続けることが重要だと考えています。また、私は、政府と日本学術会議とが歩調を合わせて社会の大きな問題に取り組んでいくことが、国際社会における、国民のためであることはもとより、国際社会における我が国のプレゼンスを高めるためには重要であると考えておりまして、こうした思いは梶田会長に何度もお伝えをし、共有をさせていただき、コミュニケーション取りながら学術会議の改革を進めているところです。
この日本学術会議の在り方につきましては、今年一月、CSTIの有識者議員懇談会で報告書をいただきましたので、そこでの論点を含めて、総合的な検討を行っているところです。
今委員から様々な提案も含めて御指摘をいただきました。そうしたこともしっかりと受け止めさせていただいた上で、学術会議の在り方については、その政府としての方針を今年の夏までには出していきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/57
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058・青山繁晴
○青山繁晴君 もう時間が来ましたのでこれで終わりますが、一言だけ。
さっき東京大学の名前あえて出しましたけど、その後、東大は僕を非常勤講師に任命したりしましたから、懐は深いので、学術会議も含めて、表に出たことだけじゃなくて、日本の懐の深さも活用していただいて、今の大臣の志が生かされるように願ってやみません。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/58
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059・小沼巧
○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。
久しぶりに内閣委員会戻ってきまして、この前列見ると公務員出身者がやたら多いなということに気付きまして、(発言する者あり)ええ、非常にいい親近感も覚えながらでございまして、はい、ということでやっていきたいと思っております。
小林大臣には、三月の九日、参の予算委員会で初めて質問をさせていただきました。そのときに初めて問うたのが、経済安保というのは一体何なんだろうかということで、経済を安全保障するのか、それとも安全保障という目的のために経済という手段を使っていくのか、一体どっちなんだろうということを聞いたら、両方だったという話だったんですが。
今まで来の答弁や定義に関する議論を聞いていくと、どちらかというと経済という手段で安全保障という目的を達成するという方向にどうやらこの法案の立て付け、なっているんじゃないのかなと考えているところなんですが、そういった理解でそろっているのかどうなのか。通告にない質問で恐縮でございますが、お答えいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/59
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060・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員から法案についてという最後御指摘ありましたので。
法案については、この目的、済みません、ちょっとこの第一条に書いてある、第一条かな、書いてあるんですけれども、安全保障の確保というふうに書かせていただいておりますので、そういう色彩が強いかと思っております。
ただ、その法案が全てではない、経済安全保障は広い概念であるということは、これまでも繰り返し答弁をさせていただいているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/60
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061・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。という意味で、定義について幾つか聞いてみたいと思うんですが。
何度も問題になっているというか、問われているところで、要は、技術以外の分野でどこまでがこの法案の将来的な検討の射程の範囲内に入ってくるのかと。まあ立憲民主党も最近、生活安全保障というようなキーワードを掲げながら、例えば、外交防衛のみならず食料安保とかエネルギー安保とか、あるいはコロナ禍やら物価の高騰から国民の事業を守り抜くことは重要だということを言ってみたりしているわけでありますけれども、とりわけこうやって食料安保とかエネルギーの安保、我が国のそれこそ安全や国民生活を守っていくという意味においては非常に重要な分野だと思っておりますが、衆の議論及び先日の参の議論を踏まえましても、それは今回の法案の射程の範囲外であると、今回の法案についてはですね、法改正の範囲外であるということでありました。
見直し規定がこの法案に置かれているということも承知しておりますので、今後、この法案の射程にそういった食料安保とかあるいはエネルギーとかそういったものについて包含され得るか否なのか、この点について、現時点での御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/61
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062・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 経済安保をどう考えるかということは、今、青山委員とのやり取りの中でも申し上げましたけれども、簡潔に分かりやすく申し上げれば、国益を経済面から確保すること。国益については先ほど申し上げたとおりです。
その中で、国益、幾つか申し上げましたけれども、中核となる国益というのは、物すごく短く言えば、国民の命や安全、これをいかなるとき、命や暮らしをいかなるときであっても守り抜くことだというふうに考えています。
そういう意味からすると、今、食料の話、委員御指摘されましたあるいは水とか医療とか、この審議でも様々、これは含まれるのかどうかということは質問を受けましたけれども、こうした今申し上げた食料や水とか医療というのは、従来からもこれ重要課題というふうに捉えられておりまして、それぞれその役所の中では、食料であれば農水省、水や医療であれば厚労省ということで、そうした役所を中心に具体的な取組が既に進められてきたというふうに認識しています。
私が今の委員の質問に二点答えるとすれば、まず一点目は、この法案に仮に含まれないことであったとしても、法制化が必要でなくてもやれることってありますし、また様々なリスクの洗い出しというものは既に進めているところです。これが一点です。
もう一点、この法案との絡みで申し上げますと、今、食料とか水とか医療って一切この法案で全く関係ないかというと、そんなことはなくて、特定重要物資のこのサプライチェーンの強靱化のところで、これ、まだ何が入るかというところは予断を持って申し上げられない、これからルールを詰めていくということですけれども、今申し上げたものを排除しているわけでもないですし、また、基幹インフラの信頼性や安全性の確保というところでも、実際に、例えば、既に法律を、水道事業などにつきましては明記をさせていただいているところですので、そういう点においてはこの法案も関与してくるというところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/62
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063・小沼巧
○小沼巧君 まあ長々ということなんですが、経済安保自体も、それこそココムの時代から言われていた機微技術の管理なんというものは当然のことでありまして、そういう意味でいうと、もう一回ちょっと私の理解及び今後にちゃんと残すため聞いていきますが、今回、水とか食料とかあるいは医療とかいろいろ入ると思うんですよ。つまり、概念があると思うんですね。ただ、この今回の法案の対象には今回含まれていないということは事実かなと思うんですね、経済安全保障として保護すべき又は拡充すべき対応として。
今後の法改正の見直しなんかに、水とか食料とかそういったことについても見直しの中で検討の射程に入るのか否なのか。ほかにあることは知っています。この法案の射程に入るのか、それとも入る余地がないのか。この点についてだけ、もう一回改めて答弁だけいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/63
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064・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません。ちょっと私、委員の御質問をどこまでちょっと正確に受け止められているか分からないんですけれども。
今回、この俎上に上げさせていただいた四項目というのは、これまで脆弱性の様々な点検をしてきた中で、その法整備が必要で、喫緊の課題であるもの、それ、分野横断的なものを四つ出させていただいたというところで、先ほどのちょっと繰り返しになるんですけれども、全く今おっしゃった食料とか水とか医療というものを排除しているものではなくて、そこに明示的に書いてあるのはもう、水道みたいな話はありますけれども、今申し上げたことを何か排除しているものでもないんです。
プラス、ちょっと一般論として申し上げますと、附則に見直し規定というものも置いていますので、この法案の改正によって仮に必要があるというふうに判断されたものについては、そこは不断の見直しを通じて法改正をしていくということだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/64
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065・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。排除しているわけではないということについてでありますので、要は含まれ得る概念なんだろうということなんだと思うんですね、見直しの附則のところの規定のときにですね。ということが分かったので、分かりました。
その上でなんですが、今までの話でこれ含まれるの含まれないのというようなことをやっていましたけど、やっぱり政省令などに委任することが物すごく多い。これは衆でも相当議論になったと思います。個別分野の基本方針でありますとか、あるいはサプライチェーン強靱化というときでも、特定の重要の物資何をするのか、基幹インフラということについての役務の対象の事業者なり重要設備って一体何なのかということについては、政省令ないし閣議決定が非常に多いわけであります。それらは国会審議にさらされないという意味において、何が合理的なのか合理的じゃないのかというのは結局は政府の裁量になってしまうということは事実としてあるのだと思います。
そういう意味で、民間企業にとっては、何がどの程度、それがよく分からないという意味で不安が残ってしまう、こういった声も寄せられるのもまた事実ではないかなと、このように思うわけでありますが、振興法ならまだしも、中心市街地の活性化とか、そういう振興法ならまだしも、こういった規定法、規制法でこのような規定をすること自体、相当予見可能性を低下させることになってしまうのではないだろうかというような解釈をされても仕方がないのかなと思うんですが、大臣の御見解はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/65
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066・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 本当に理想を申し上げれば、全て将来まで見通して、なかなか難しいと思いますけど、見通して法律の中に一つ一つ具体的な細かな規定を全て書くというのがそれは理想なんだと思います。でも、それは無理だと思います。これだけ世の中の技術の革新を含めて本当に情勢がどんどん変わっていく中で、やはりまず行政の複雑性と、行政の機動性の確保、これをしっかりと確保していかなきゃいけないと思っているんです。なので、一定のものについては政省令に、やっぱり下位法令に委任していかざるを得ないと。
ただし、今回私たちがこの法案を作成する上でかなり配意したのは、この下位法令に委任をするにしても、その委任する事項についてできる限り法律の中に書き込んでいこうということは努力をさせていただいたつもりです。
また、今委員の御指摘、ああ、そうだなというふうに共有しているのは、政府だけでやっていたら、それは本当に正しい、適切なものになるかどうか分からない。そこは、私どももそこは行政として謙虚にならなければいけないと思っていて、したがって、法律の中にも、法案の中にも、その外部有識者の意見を聞くとかそういう規定というものをかなり入れさせていただいています。
なので、これから基本方針、基本指針、また政省令を定めていくことになりますけれども、この有識者の方たちの意見あるいは事業者の方の意見、これは丁寧に聴取していきたいというふうに思いますし、また、その政省令を策定していく上ではパブリックコメントも活用して、本当の事業者以外のかなり幅広い国民の皆様に意見を伺って、この制度設計を丁寧に、委員が御指摘された予見可能性というのは極めて重要だというふうに私たちも思っておりますから、その点にしっかりと配慮をして進めていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/66
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067・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。ありがとうございます。
役所の後輩としてあえて物申せば、前段の答弁おっしゃるとおりだと思いますけれども、そんなもの、下位法令に規定する範囲なら法律で規制するって当たり前の当然の前提なので、ということは当然ですよねということの上で、ちゃんとその上で現場の意見を聞くとかいろんな意見を聞くということを言いながらやっていくということは大事だと思います。
そういう意味で、閣議決定とか政省令でありますけれども、パブコメの話ありました。パブコメは、そういった何でもかんでも、白書でさえパブコメ掛けたりするわけでありますから、いろんなことを決めていくという意味では結構当然だと、やることはもう行政手続法上当然だと思うんですね。であるからこそ、パブコメだけでなく、それよりも、国会を含めて、経営の現場とか、あるいは働く現場とか、そういうことでいろんな現場現場があるわけでありまして、そういう現場現場の意見を、ちゃんと意見を聞いて政省令の策定とかに反映させていくということが重要であろうと思うんですね。
まず、この認識について共有いただけるものなのかどうなのか、この点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/67
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068・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、法案を作る過程におきましても、これはもう本当に、委員の御期待に沿えるだけの広く意見を私たちが聴取できたかどうかは分かりません。ただ、経済界あるいは労働組合、様々な幅広いそのステークホルダー、分野の方から意見を聞いて法案を作ったことは事実です。
また、私自身も政治家でございますから、当然この法案が、例えば地元の、例えば私の地元には余り大きな企業というのがなくて中小企業が多いんですけれども、そうした方々にどう受け止められているかとか、伝わっているかとか、そうしたことも私なりに確認をさせていただきながらやっております。
今は閣僚ということで行政の立場ですけれども、また、職員を含めてその現場の声というのは非常に大切だと私は思いますので、そこはできる限り丁寧に酌み取って制度設計、また制度設計した後の運用ですね、これに生かしていきたいと申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/68
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069・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。認識は共有できるということですから、そのとおりだと思いますし、改めてその点については私も賛同するものであります。
ただ、悩ましいのは、いろんな経済界とか労働界とかといっても、どれだけの人が組織化されているのかというと、必ずしもそうではないというのもまた事実でありまして、商工会といったところ、商工会みたいなこともありますけど、加盟しているのって一〇〇%ではないですからね。どういうところまでちゃんと聞いていくのかということは今後考えなきゃいけないことだと思うわけであります。その意味で、ちゃんと現場の声、幅広く意見を聞いていくことは大事だという認識は共有したものと思っております。
問わなければならないのは、大臣から運用の話もありましたけど、それを届けていく、ちゃんと聞いていく仕組みですね、あるいはその運用、これを具体的にどうやっていくのか。パブコメとかもやろうと思いますし、ほかのこともいろいろあるんだろうと思います。
まあパブコメをやるというのは、それはもう周知の事実だし、やっていることだから、そのちゃんと声を、現場の声を聞いていくという上で、具体的な仕組みなり運用の在り方、これについて現時点での考え方、あるいはイメージで構いませんので、この点について確認をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/69
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070・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、先ほどの御質問と絡むんですけれども、現場に対してしっかりと、例えば法案のこの仕組みをお伝えする、あるいはそれに対して現場の方の意見を伺う。是非、委員も、委員にもそのお地元ございますでしょうから、その点のお力をお借りしたいと思います。
また、この法案上のその仕組みなんですけれども、やはり事前相談を例えば受け付ける、各省に窓口を例えばつくっていく、そうしたことは今も考えているところでございますので、できる限りこの事業者、中小事業者の方も含めてですね、例えばこの国会でも答弁させていただいたんですが、基幹インフラの信頼性、安全性の確保のところでは可能な限り対象を絞っていくということで、御党もそういうお立場だと思うんですけれども、基本的には規模のかなり大きなところに絞っていくと思うんですが、中小企業は基本的には御負担を掛けないということなんですけれども。
ただ、やはり外部からの攻撃、様々な妨害行為を懸念する中小企業の方って恐らくいらっしゃると思うんですよ。だから、そういう方たちが行政にしっかりと相談しやすいような環境、こうしたことも含めてつくっていこうというふうにしていますので、そういう意味では、いろいろ方策というのは考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、私たちなりにしっかり考えて対応していきたいと思いますので、また委員におかれましてもいいアイデアがございましたら共有させていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/70
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071・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございますと言いたいところなんですが、即興で今思い付いた話でありますが、そういうことはやることは大事だと思いますし、それこそ、いろんな地元地元での意見を反映させていくというのは重要だと思うんですね。
だからこそ、立憲民主党は、例えば、国会での関与、国会報告をすべきだがどうなんだというようなことを衆の方で言っていたわけでありますよ。でも、大臣は、そういった、例えば私も野党の立場でありますから、政府の政策決定に対して事前に何かしら審査の形で意見を反映させるということは正直できないわけです。政省令とかになっちゃうと、国会審議じゃないから。
大臣の思いも分かりましたからこそ、改めて国会で政省令の、まあ政省令などを閣議決定でやろうとしていることのイメージ、これを国会でちゃんと審議するということも仕組みとしてやることが今の話だと大臣と合意できるんじゃないだろうか、法の運用、解釈でもいいと思いますけど、できるんじゃないかと思いましたが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/71
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072・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 国会との関係につきましては、例えば、そのサプライチェーンのところにつきましては、その基金の国会への報告というものが手当てされていますし、また、これ経済安全保障のこの法案を実際運用していく上ではお金が必要になるわけですよね、予算。この予算審議で国会の審議というのは当然経ることになります。
また、私もこの法案審議におきまして、できる限り、やはり下位法令にかなり落としているのではないかという御指摘もいただきますので、できる限り国民の皆様に対して分かりやすく、できるだけ具体的に答弁を心掛けているつもりです。この国会の議事録というものも非常に重みがあるというふうに思っておりますので、こうした国会の審議、これは与野党の多くの委員の皆様から貴重なその御示唆をいただいておりますので、こうした国会の審議をしっかりと踏まえた上で丁寧に運用していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/72
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073・小沼巧
○小沼巧君 まあ、でも予算の話を見ても、なかなか本当にどうなのよというのは最近の議論を見ていて思うところは相当あるわけですよ。
というのも、ほら、あのコロナ禍とか物価高に対してなぜか今予備費でやるみたいな話になっているわけですよね。平成十九年四月三日だったと思うんですけど、十九だったか、ちょっと済みません。
平成十九年の閣議決定では、国会開会中は予備費の使用は行わないんだということなのにもかかわらず、要は補正予算を組めということですね、補正予算を組まずして予備費の対応をやっているということで、一回決めちゃったものの変更とかというのは有無を言わせない形でやっているということは、相当目に付いているということは、私、この国会における議論という中での、政府、聞く力とか大事だと言っていますけれども、聞いてそれをどう解釈するか、受け入れる、変化への対応能力というのは本当かなというのは正直不安なところでありまして、この点については引き続き議論をしていきたいと思っております。今日だけじゃありませんからね。
さて、その上で幾つか更に聞いていきたいなと思っておりますのが、経済安全保障、産業政策としてということの観点から聞いていきたいと思っておるわけですが、いわゆる優位性の確保とか不可欠性の確保ということが重要だということは私も同意です。
日本は、やはり四方を海に囲まれて、資源に乏しい海洋国家でありますから、やっぱり自由貿易を立国の基としなければならないと同時に、軍事力の行使に自ら制約を掛けているミニマリスト国家でありますから、他国との紛争を軍事力という手段でもって解決するということはできない。だからこそ、民生技術の科学技術活用、他国に対する優位性や不可欠性といったものを向上させていくということが極めて重要だというのが経済安全保障に係る私の国家観であります。
その上でということなんですが、そこまではいいんですけど、そこまでもいいんですけど、不可欠性の確保ということは、持続可能なのかということは、ちょっと一歩引いて考えなきゃいけないかなと思うわけでありますね。というのも、他国に対して不可欠だということになると、要は、物であれば輸出、技術とか役務であれば提供ということが前提になっておりまして、他国に対して。海外に流出すると、海外に取られちゃうんじゃないのか、キャッチアップされちゃうんじゃないのかということを考えると、静学的にはまあ優位性を確保したとしても、動学的、時間の概念で、時間の概念入れちゃうと、行く行くはすぐに不可欠性、優位性なんてなくなってしまうんじゃないだろうかという意味で、構造的な持続可能性というのはないのではないだろうかなということを思うわけであります。これをどう守っていくか。
更に言えば、国内の生産回帰とかブロック経済化といったことにも要は志向しているとも解釈できてしまうわけであります。自由貿易を立国の基とするところとの矛盾もここにも感じざるを得ない。この点についてどう整理をなさっているのか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/73
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074・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 国際社会にとって何が不可欠なものなのか、分野なのかというのは、当然不変のものではなくて、時代の状況によって変わり得るし、例えばこの先、日本がある時点においてその不可欠性を獲得しても、それが永続するかどうかというのは分かりません。それはなかなか難しいんだと思います。
重要なのは、持続可能かどうかということを問うよりも、それは重要だと思いますよ、できるだけ持続して不可欠性を持っているということは。ただ、その先も見据えて、できる限り日本が戦略的に不可欠、国際社会にとって不可欠となる分野を維持し、あるいは拡大していく、その営み、努力を続けていくことが私は重要なんだろうと、国家としての運営としてですね、重要なんだろうと思います。その努力をやめた、しない国家というのは、必然中長期的に国際社会の中でやはりプレゼンスが低下していくということだと思っています。
したがって、この特定重要技術というところでこの法案で申し上げているのは、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術と言い得るというふうに申し上げていて、これも、今申し上げたとおり、この時代の変遷に応じて変わり得るものだと思っています。
ただ、現時点において、じゃ、今何をすべきなのかというところは、少なくとも主要国が国家戦略として官民一体となって取り組んでいる例えば人工知能であり、量子であり、あるいはバイオ、まあほかにもあるでしょうけれども、そうしたところについては将来この社会を支える極めて重要な技術だというふうに誰もが思っておりますので、その全ての分野において日本が不可欠性を獲得できる、するというのは非常に難しいと思いますけれども、そこを見極めて育成をしていくということだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/74
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075・小沼巧
○小沼巧君 まあ、大臣が前段におっしゃったその今までの努力を維持拡大していくということは、私の話でいうと持続可能性でありまして、そこは別に考え違うことじゃなくて、一緒なんじゃないのかなと思うわけでありますね。
その上で、じゃ、ちょっと聞いてみますわ。
今、優位性とか不可欠性が大事だという文脈は分かりました。私もそれは同意するところであります。現時点におきまして我が国が保有する技術ないしはほかの、まあ物でも何でもいいですわ、まあ技術ですかね、の中で他国に対して優位性なり不可欠性を確保しているものって何があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/75
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076・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) これは、様々これは洗い出しが必要だと思いますので、その意味で、まず仕組みとしては、政府がやっぱりこうした、どこに我が国としての強みがあるのかという把握が必要だと思います。これ、脆弱性の把握と強みの把握、今、共にやろうとしているんですけれども、前者、脆弱性の把握というのは案外それほど難しくないんですけど、強みの把握というのは難しいです。
ただ、それをやっぱりやっていかなきゃいけないということで、その意味で、今後仕掛けとしてはシンクタンクをつくったりとかやっていこうとしていますが、じゃ、現時点において、例えばですけれども、私が今ぱっと思い付くのは、半導体においては、今重要だと言われていますよね、この先も重要だと思います、次世代の半導体も含めて。素材、製造装置は日本が強いと言われていて、例えばレジストですとかそういうところは今国際社会の中では日本が非常に重要なポジションにあるんだろうと思いますし、まあ今の現時点でというふうにおっしゃいました。
現時点に限らず、ちょっと将来についても申し上げれば、例えば量子というふうに私、何度も言っています。これも、量子の中でもいろんな分野があるので、例えば、今ちょっと強いからといって将来本当に強みを維持できるか分からないけれども、例えば量子の中ではセンシングとか時計とか、そうしたところについては日本が、現時点ではですよ、可能性が相対的にあるんじゃないかな、これは個人的な思いですけれども、感じているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/76
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077・小沼巧
○小沼巧君 まあ分かりました。
半導体だったり量子とかというのは一般論としては重要だというのは分かるし、強みというのは分かるんですけど、強みと不可欠性なり優位性というのはイコールでは決してないわけでありまして、それを、強みなるものを優位性、不可欠性ということまで押し上げていくにはどうするのかということは真面目に考えなきゃいけないことであると思います。だって、ほかの工場とか海外に対して抜かれちゃうことって容易に想像されますし、半導体ということにしても、臨時国会でしたっけ、法案成立させて工場誘致をするということでありましたけれども、あれも世界最先端かというナノの話、レベルでいくと、必ずしも世界最先端じゃないものを誘致したという意味で本当にどうなのかなということは問わなければいけない課題だなと思っているところでございます。
その上で、今回では産業政策、こういった強みなるものを優位性、不可欠性という文脈に押し上げるためにいろんな支援策を用意なさっていると思うんですね、金融的な支援策でありますが。
さて、そこで、産業政策として考えていくと、それこそ、これらの支援策、法律に基づく支援策で必要十分なのかということは正直考えなければいけない課題なのかなと思います。恐らく、この法律だけじゃということだと思うんですけれども、それでも、だとすれば、じゃ、この法律でもうちょっと必要十分になるような支援策って考えておいたらよかったんじゃないのかなとか思うわけですし、予算の在り方や様々な研究開発の在り方どうするのかということは考えなきゃいけないことだと思いますが、正直、まだこの法案の支援策だけだと強みを優位性、不可欠性にするということには至らないんじゃないのか、少なくとも私は確信が持てないわけであります。
その点について、現在の大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思いますし、この法律以外でどういったところをもって不可欠性というところまで日本の技術力を高めていくお考えがあるのか、この点について現在の見解をお伺いさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/77
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078・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、不可欠性というと、この法案の中でということなので、ちょっと思い付いた範囲で申し上げますけれども、まず、サプライチェーンの強靱化、あります。これは支援策です。
これは主に、どちらかというと今の脆弱性を、サプライチェーン上の脆弱性を解消していくということなんですけれども、例えばある重要な物資を特定国に過度に依存していると。で、そのための対応というのは、多分、民間企業としての取組というのはいろいろ考えられて、供給源を多様化したり国内に生産基盤を設けたりとかいろいろあるんですけど、その中の一つに、例えば選択肢として代替物資の開発というのもここに設けているんです。
例えば、代替物資を開発に成功した、そうすると、我が国の脆弱性を克服するだけではなくて、もしかするとその物資によっては国際社会にとっての不可欠性になるかもしれない、弱みを克服したことが一気に強みになる可能性もある、それは考えられるというふうに思います。それについては、これ財政当局との、が要る話ですので、勝手にじゃ何億とかと私がここで申し上げるわけにはいかないですけれども、財政的な支援、助成と、あと、ツーステップローンを含めた金融的な支援の措置というものを今回の法案で講じさせていただいています。
あとは、特定重要技術の官民の技術協力のこれ支援策です。今、不可欠性というふうに委員おっしゃっていただいて、不可欠性というのは別にこの技術の話だけ、ここの話だけじゃなくて、例えば先ほども、申し上げなかったですけれども、たくさんいろいろ技術、今、日本の強みってあって、例えば海底ケーブルとかも、すごい長い海底ケーブルというのは日本が今持っている強みなわけですよ。なので、この特定重要技術という、これから将来の日本を支えるという意味でここの対象になるかどうかというのは別として、いろいろあるということは御理解いただきたいと思います。
この法案の中では、その中でも、先ほど言った量子とかAIとか、これからの将来の社会を支えるところということで、この官民技術協力の立て付けを設けさせていただいているんですけれども、ここについては、今この法案と直接リンクするかどうかというのはこの法案が成立してからの話になりますが、経済安全保障重要技術育成プログラムというものを既に手当てをさせていただいておりまして、既に二千五百億円この基金に積んでおります。
財政当局との間では五千億までこれを増やしていくということは合意しておりまして、こういったものを戦略的に活用していきたいと思いますし、先ほど申し上げたように、この予算だけではなくて、法案以外でもこの日本の強みをしっかり磨いて獲得していくということは様々やっていかなきゃいけないし、この法案とは別の枠組みでその予算を措置するということは十分にあり得るし、やっていかなければいけないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/78
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079・小沼巧
○小沼巧君 それだけでは今のこの失われた二十年、三十年というのは変わっていかないと思いますし、それで今までの経済政策において培われた企業における、まあ私たちは消極的な経営と申し上げておりますけれども、これは変わらないんじゃないのかなということはあります。まあ次の機会に議論をしていきたいと思いますが。
あえて私、ここで、様々なものの自前の国産技術をつくるということが大事になってくるんじゃないだろうかということで、一つ事例を挙げながら言ってみたいと思うんですね。
第二期の政府共通のプラットフォームございます、あると思うんです、いろんな基盤情報、政府情報のプラットフォームですね。アマゾンのAWSが運用を開始したということが令和二年の十月八日付けのプレスリリースでございました。総務省からデジタル庁に所管されているというところでありましたけれども、政府の共通のプラットフォームであります。当然、人事情報や給与情報やいろんな個人情報を含む機微な情報が、日本企業ではなく海外企業のクラウドで扱われているということが紛れもない我が国の現状であると思います。
クラウドの国産化について、青山議員との話で様々ありましたけれども、あえてここで注意しなければならないのは、今アメリカは海外データ合法的使用明確化法というのを取っていて、合衆国政府はこういった個人情報の収集は可能になっています、域内か域外かにとらわれず。
という意味で、国民生活や個人の尊重に不可欠な技術分野でありまして、まさにデータセンターとかクラウドということに関してはですよ、これらについては、今まであるようないわゆる効率化論とかあるいは比較優位論とか、そういったものによらず、こういったものについては国産化を目指して、思い切った研究開発、まあ野心的って最近はやりですから、野心的な研究開発もやっていくことが必要なのではないかなと思いますが、大臣の御見解をお伺いさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/79
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080・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員から、米国が言及されました。この法案自体は特定国を念頭に置いたものではないということは繰り返し申し上げたいと思います。
委員と前回も議論をさせていただいたと思いますけど、その中で私が、経済安全保障、これ国益を経済面から確保していくこと、それを実現していくアプローチとして二つ重要な概念があるんだろうということで、そのうちの一つが自律性の確保、経済構造の自律性を向上させていくことということなんだろうと思います。
これは先ほど青山委員の質疑の中でもお答えさせていただきましたが、これからデータ駆動型社会を迎えていく中で、このデータの価値、またデータの、だからこそデータの管理の在り方というのは極めて重要だと思っております。
先ほど申し上げたとおり、例えばその膨大なデータをどう扱うかというところで重要なのは、例えばその機密度に応じて適切に管理され、しっかりとアクセスが認められるというところだと思っておりまして、国内にデジタルのその基盤があるということは、私はその自律性の確保というところという意味では重要なことだというふうに思っておりますので、この法案で具体的に何を支援するかということは固まったものではございませんが、例えばその国産クラウドの在り方というのは経済安全保障上も重要な論点の一つだと思いますし、また、このクラウドをこの法案で支援するかどうかというのは何も決まった話ではありませんが、今この法案の中にも、特定重要物資の安定供給確保のところで、有体物のみならず無体物であるプログラムということも記載をさせていただいておりますので、委員のその御指摘も受け止めさせていただきながら、政府として適切にこの法案、成立すれば適切に運用していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/80
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081・小沼巧
○小沼巧君 法案を適切に運用するというのはどの政府であっても当然のことでありますので。
でも、確かに基本方針決まっていないから分からないよという話ではあるんですが、法案審議だからこそ言えることは、入れる方向で検討するとかということ、方向性というぐらいは言えるんじゃないかなと思うんですね、そこまで白紙委任するつもりは我々もありませんので。方向性としてはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/81
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082・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) かなり委員からの御質問をいただいたので、私なりの見解も含めて明確に申し上げているつもりです。
この、じゃ、法案で対応するかどうかは別として、もう既にその各主要産業が抱えている脆弱性あるいは様々なリスクシナリオを考えて、何が、今は大丈夫だけれども何がリスクとしてあるのか、そういう洗い出しというものは始めております。
特に、今クラウドとの関係で言えば情報通信産業ということだと思いますけれども、これ、主要産業といったときに、ほかにもエネルギーとか金融とか交通、物流、あるいは医療、いろいろありますよね。そうした中でも、私は、例えばそのエネルギーとかこの情報通信というのは主要産業の中でも特にコアとなる産業だと考えておりまして、そういう観点に立って、日本が抱えている脆弱性というのは何なのか、委員の御指摘も踏まえてしっかりと政府の中で検討していく必要があろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/82
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083・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
その上で、もう時間も十五分ぐらいに限られますので、幾つか次の審議につながるようなちょっと細かい点も含めてお伺いしてまいりたいと思うんです。
一つは、官民の情報収集とか分析機能の体制整備についてお伺いしたいところであります。
要すれば、経営学とかでいうとPEST分析とかSTEP分析とかとよく言いますよね。ポリティクスとかエコノミーとかソサエティーとかテクノロジーとか。こういったことについて、とりわけそれこそ九七年度ぐらいの日米通商協議から始まりのということありますが、米中対立の状況もございます。海外諸国における技術や政治経済動向ということの情報収集って、民間企業だけではなかなか対処し難いということになってきている、しかも不確実性が相当高まっているということは共有する認識かなと思うわけでございます。企業に対してそれぞれ情報を提供しなさいよとか分析しなさいよというのであればこそ、政府もそれ相応の情報提供を努めていくということが真の意味での官民の連携にあると思います。
その意味で、政府として、例えばそういった海外のインテリジェンスというと言い過ぎかもしれませんが、政治経済に係る情報や機微技術の管理動向などなど、そういった情報収集や分析機能、これの体制を強化する、そしてそこで得られた知見を民間企業に対しても積極的に共有するということ、これも重要になってくるのではないかなと考えますが、この考えに対しての小林大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/83
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084・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、経済安全保障を確保するという観点からは、政府だけが頑張ってもなかなか十分な効果は得られないと思っていて、やっぱり主要プレーヤーは民間企業であり、あるいはアカデミアの方だと私は考えていますので、まずはそうした方々の例えば経済安全保障に関する意識を更に高めていただいて、実効性ある取組をしていただくことが重要だと思っています。
その観点からは、委員が御指摘されるように、政府ができる限りその民間企業の方に必要な情報、これを提供していくということは大変重要な御指摘だというふうに思っておりまして、この経済安保の法案の運営も含めて、この情報提供については適切に対応していきたい、特に丁寧なコミュニケーションは取っていきたいというふうに思っています。
具体的にどのような情報を提供するかというところは、これはもうケース・バイ・ケースですので、この場で、いや、こういうものですよというわけにはいかないんですけれども、そうした姿勢は御理解いただきたいのと、あと、私は、まあ若干三年ぐらいなんですけどワシントンで外交官をしていた経験もあって、そのときに感じたことは、政府がもちろん持っている情報というのもありますが、それに勝るとも劣らず、やっぱり民間企業のこの海外における情報というのは、非常にこれ、政府が政策決定をしていく上でも非常に有効なものがあるんだろうというのが私の体感なんです。
したがって、議員がおっしゃるように、その政府と民間との間でこの情報共有というものをより丁寧に行っていくということは問題意識として共有しながら経済安全保障の取組を進めていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/84
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085・小沼巧
○小沼巧君 それでは次に、衆の内閣委員会においても、同じ茨城、上月先生も茨城でございますけれども、茨城の浅野哲先生がこんなことを質問なさっていました。サプライチェーンの強靱化とか事業者の取組という枠の中で、輸送事業者、輸送事業者に対しての支援ということも考えたらよいのではないだろうかという質問を投げかけておられました。特定重要物資の確保のみならず、輸送手段の確保に対する例えば輸送事業者への支援も検討すべきではないかという質問に対しまして、小林大臣の令和四年四月六日付けの答弁は、要すれば、本法案の射程外であると、ただし、関係省庁が連携して検討措置しておく、よく連携を図りながら必要な取組を進めていきたいということでございました。
四月六日の答弁から十三日経過しておるところでございますけれども、この輸送事業者への支援、衆内閣委における議論を踏まえた現在の検討状況はどうなっているのか、これについて御教示いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/85
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086・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 結論から申し上げますと、まだその時点について、具体的な何か取組が、何かこの二週間ぐらいの間に進んだということではありません。
若干繰り返しになってしまうかもしれませんが、この法案というのは、国民の生存や国民生活、経済活動にとって重要な物資の安定供給の確保を図るための枠組みであって、やっぱり物資に焦点を当てたものになっているんです。そういう立て付けになっていて、したがって、例えば輸送事業者が重要物資の在庫の積み増しを図るための倉庫を整備するといった重要物資の安定供給確保のための取組を行う場合には、この法案の立て付けにおいても支援の対象となり得るんですけれども、今委員から私の答弁を引用していただいたとおり、輸送事業者自身の輸送網の構築などにつきましては法案の射程外となっております。
しかし、この輸送網確保は、物流の重要性ということで、当然その重要性認識しますので、この法案の枠外にはなってしまうんですけれども、既に立ち上げている関係省庁のこの経済安全保障上の重点課題の検討会議、こうした場においても、その物流の抱えている脆弱性を含めてしっかりと課題を洗い出し、政府として適切に対応していきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/86
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087・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。まあ届かなかったらなかなか意味がないということも、困っちゃいますものね、ということでございます。
さて、基幹インフラの規制とか届出のところについてお伺いしてみたいと思うんですが、よくあるのが電力とか様々な業界って既に業法があるわけでありますよ。業法において役務の安定的な提供義務があって、新しい規制が出されるということになると、これとの役割分担がよく分からないなというところでございます。
という意味で、業法などの既存規制との役割分担というものは一体どう考えればよいのか。その際、とりわけ現場にとって過度な不安、過度な負担とならないことを確認したいなと思っておるのでありますが、役割分担及び現場の負担についての現在の法案、現在の大臣のですね、御見解をお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/87
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088・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 昨今の厳しい安全保障環境を踏まえますと、国民生活や経済活動の基盤となる基幹インフラ役務の安定的な提供に対する外部からの妨害を未然に防止するということは各事業に共通の課題だと認識しているんです。
なので、各業法などに基づいて役務の安定的な提供の確保に向けた各種の取組を前提としつつ、それに、今回のこの法案では上乗せする形で、政府全体として整合性が取れた形で一体としてこの取組を推進していく必要があるということで、これ、アプローチの仕方としては一つ一つ個別の業法を改正するということも理論上はあり得ると思うんですけれども、ただ、そういうアプローチはなくて、今申し上げた理由で事業横断的な制度、今回創設いたしました。
事業者の負担のところについては、これ非常に重要なポイントだというふうに思っておりまして、有識者会議の提言におきましても、事業者の経済活動を過度に制約しないことが重要である、また、安全、国家国民の安全も重要だけども、経済活動の自由としっかりと両立させていく、バランスを取っていくということが指摘をされておりまして、その意味で、今回、この基幹インフラのパートでは、この事業者や設備を、対象となる設備をですね、真に本当に必要なものに限定するということですとか、事業実態を十分に踏まえた制度整備、運用とする、また、先ほどの政省令の策定に当たってはパブコメを実施する、相談窓口もしっかり実施してきめ細かい情報提供に努めるといった内容を基本指針に定めることと予定しておりますので、この規制の措置が事業の実態を踏まえて、事業者にとって過度な負担とならないように、政府として努めていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/88
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089・小沼巧
○小沼巧君 まあ最初の頃に現場の意見もちゃんと聞くという話はお互い確認したわけでありますが、答弁書に書いてあることのように、現場の意見もということもちゃんと踏まえておっしゃっていただきたかったなと思うところでありますが、まあ感想です。
その上で、要は計画書による届出対象の線引きについて聞いていきたいと思うわけであります。
本当に必要な範囲と言うけれども、その基準を決めるのは民間企業じゃないわけでありまして、政府が決めちゃうわけでありますよ。政府が決めちゃうことと、本当に必要なこととかというのは、本当、必要最小限なのかとかというのは、まあぶっちゃけ民間企業とずれがあるかもしれないなということは容易に論理的には想定されてしまうところであります。
例えば、それこそ経営戦略上に関わる機微情報として、取引相手のA社にはこの情報を出すけれどもB社には経営戦略上出さないとか、いろんな情報というのは経営判断として様々あると思うわけでありますね。基幹インフラ事業者がその取引の構造全体の全容を把握するというのは、正直なかなか難しいのではないだろうかなということは思うわけであります。
実際の審査においては、そういう意味で全て下さいと、全部あった方がいいには、政府的には情報をちゃんともらうためにはいいと思うんですけれども、現実的に現場として、事業者として対応可能な範囲にしていくということでないと、それこそ仏作って魂入れず、ざる法と言われても仕方がないような状況になってしまうのではないかなと、このように考えるわけであります。
そういう意味で、計画書による届出対象の線引きどうなっているのか、その際、対象の審査に当たっては、現実的に管理、現場が管理対応可能な範囲に限定していくということを、現場との意見、丁寧に積み重ねて作っていくということが大事ではないかと考えますが、大臣の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/89
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090・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、基幹インフラに関する制度の事前届出という立て付けになっているんですけれども、ここでは、導入しようとする設備の概要に加えまして、設備の供給者あるいは委託の相手先に関する事項を記載して主務大臣に届けていただくこととなっていますと。
じゃ、そこに、この具体的な届出事項なんですけれども、今後、各事業の実態に即してこの届出の中の盛り込む事項というのは主務省令で定めることになりますけれども、この設備の部品のサプライチェーンがあるわけですよね、それのどの範囲まで記載するかとか、その維持管理を委託して更に再委託するときにどの範囲まで記載を求めるかということ、これも事業ごとによって実態が異なります。
したがって、委員がおっしゃるように、現場を含めた関係者の皆様から意見をしっかりと伺った上で、この事業者の事業負担というもの、事業者の負担というものを考慮した上で聞いていかなければならないと考えています。
したがって、この主務省令を制定するに当たりましては、産業界とこれまでも様々意見交換させていただいていますけれども、更に丁寧に調整を行って、各事業の実態もよく踏まえて、対象を検討していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/90
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091・小沼巧
○小沼巧君 まだ、安全保障という政策や機微技術、それこそ汎用技術の本腰入れた技術開発というところについて論点、個人的に積み残しているところでございます。またの機会にその質問についてさせていただきたいということを事前に予告申し上げまして、時間が参りました、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/91
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092・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 午後一時十五分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時十四分休憩
─────・─────
午後一時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/92
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093・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、青山繁晴君が委員を辞任され、その補欠として磯崎仁彦君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/93
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094・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 休憩前に引き続き、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/94
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095・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。
官民協議会とそれからシンクタンクについて、まずお話をお聞きします。
お配りいたしました資料がありますが、朝日新聞デジタルの経済安保特集です。これに対して、法案推進の司令塔の兼原氏へのインタビューです。彼は、学術会議を、まあ潰しと言うとあれですが、その急先鋒だったとも言われておりますが、法案で最も重要なものは何かという質問に、官民技術協力だ、日本には世界最優先の科学技術を持ちながら安全保障と結び付けることが全くできていない、敗戦の影響で軍事研究が封じられ、学術界も安全保障に関する最先端の研究に拒否感を抱いてきた、大学には防衛省に関わることなど許されないという雰囲気がある、結果、米国の軍事技術に依存する構造になっている、この法案による官民協議会の立ち上げは一歩前進だと言っています。
もちろん、軍事研究だけをやるわけではありません。しかし、デュアルユースという形で軍事研究にもつながる。つまり、軍事研究が、戦後の出発点では学術会議や様々なところが私たちは軍事研究にくみしないと言ってきた日本の社会から、まさに軍事研究もやる、そういう研究体制を内閣総理大臣の下に内閣挙げてやる仕組みをつくるんではないかという、そういう危機感があります。
官民協議会についてお聞きをいたします。
その兼原さんは協議会をどのように運用するのかという質問に対して、重要技術の研究開発を官民一体で進める仕組みにすることだ、大学でも最優先の防衛技術研究に関わりたいと考える研究者はいるし、民間にも良い技術者がいる、協議会では必要な技術について官民の意思疎通を図り、国が調査研究を委託する仕組みだ、科学技術のレベルは安全保障に直結する、これが世界の常識だ、安全保障に関する最先端技術の研究拠点をつくりたい、第二の筑波学園都市のようなイメージだと言っています。
軍事研究の一大拠点がつくられるのではないかということなんですが、政府が先頭に立って軍事研究も可能な、も可能な先端技術の開発に予算を通し、開発を促進させるということではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/95
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096・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この法案の官民技術協力の枠組みは、先端的な重要技術の研究開発を民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して推進することによって、国民生活の向上にとどまらず、世界が直面する様々な課題への積極的な貢献につなげていくことで、我が国の技術の優位性、ひいては国際社会における不可欠性の確保に結び付けていくためのものです。したがいまして、この法案の枠組みによって、防衛分野のみの利活用を目的とする技術の開発を行うものではありません。
その上で申し上げますと、AI、量子といった技術や先端半導体は様々な分野で利用され得るものでございます。防衛分野での利用可能性があることをもってこうした技術の研究開発を単純に否定してしまうと、我が国の科学技術イノベーションが世界から立ち遅れ、国民生活や経済活動に甚大な影響を与えかねないと考えます。
政府としては、この法案の枠組みを含め、先端的な重要技術の研究開発の推進は不可欠であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/96
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097・福島みずほ
○福島みずほ君 軍事研究のみをするんですかという質問などしておりません。デュアルユースでやって、官民連携で民事利用もやっている中で、軍事研究に進むことも軍事転用することも念頭に置いているんですねという質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/97
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098・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この枠組みは、将来にわたって国としての優位性を維持確保する観点から、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を進めるためのものでありまして、具体的製品の開発を行うためのものではないということを御理解いただければと思います。
いずれにしても、付言をいたしますと、特定重要技術の研究開発において防衛装備品そのものの研究開発を実施するものではないということは御理解をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/98
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099・福島みずほ
○福島みずほ君 そんな質問していません。軍事研究のみを目的とするのか、軍事研究を始め掲げてやるのかという質問ではないんです。
軍事研究も否定をしないということでよろしいですね。軍事研究につながる技術に、デュアルユースですから、そうなり得るわけですよね。軍事研究につながることを否定はしないということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/99
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100・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
特定重要技術の研究開発の成果につきましては、官民の様々な社会実装の担い手が自らの判断で具体的製品の開発などに応用することが想定されるんです。したがって、こうした成果が防衛省の判断によって防衛装備品に活用されることはあり得ると、こう考えます。
他方、繰り返しになりますけれども、この法案の枠組みは、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発を直接支援するものではないということは申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/100
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101・福島みずほ
○福島みずほ君 そんなこと分かっています。しかし、軍事研究につながり得るということで、戦後の日本の在り方を百八十度変えるものではないか。つまり、政府が先頭に立って軍事研究も可能な先端技術の開発に予算を通し、開発を促進させるということの問題点を強く指摘したいというふうに思っています。
協議会はどのような構成で、どのような役割を果たすのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/101
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102・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
本法案におきます協議会は、研究開発プロジェクトごとに研究代表者の同意を得て設置されることとなります。そして、その構成員は、研究代表者とその研究メンバー、関係府省庁と資金配分機関の関係者のほか、シンクタンクなどの専門家、産業界等が加わることを想定しております。
また、協議会の役割としては、特定重要技術の研究開発等を推進するため、産学官による伴走支援を行うこととしておりまして、具体的には、関係府省庁側から研究開発の促進に資する情報の提供を行うこと、そして、研究成果の社会実装の在り方について、研究者や関係省庁、シンクタンク、産業界等を交えて検討することなどを想定してございます。
いずれにしましても、協議会で具体的にどのような支援が行われるかは、研究開発の内容や進捗、そして研究者の方の希望を踏まえまして、個々の協議会ごとに全ての構成員が納得する形で決めると、こういう形で運営を考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/102
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103・福島みずほ
○福島みずほ君 これ、今個々の協議会ということなんですが、協議会の下に分科会を置くとか、そういうことはあり得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/103
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104・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
それは、個々の研究開発プロジェクトごとに協議会が設置されるものですから、その研究開発の内容に応じまして個々の協議会ごとに構成員の方々で話し合っていただくということが基本だと、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/104
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105・福島みずほ
○福島みずほ君 六十一条、特定重要技術の研究開発のために、研究代表者の同意の下で、内閣総理大臣と協議して、関係大臣も加わる協議会を組織するとされています。これは、また新たに大臣、研究開発大臣まで置くんですね。
正直、プロジェクトごとにこれだけ大げさな組織がなぜ必要なのか。内閣総理大臣まで入れて、研究開発大臣まで入れて、大げさにこのプロジェクトをつくることの意味というのはどんなものがあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/105
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106・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
研究開発大臣の役割についてでございますけれども、本法案における研究開発大臣は、国の資金により行われる研究開発などに資金を交付する、例えばJSTを所管する文部科学省ですとか、例えばNEDOを所管する経済産業省、そしてAMEDを所管する一つである厚労省、こういった関係府省庁の大臣を想定しております。
こういった大臣が、研究開発大臣が、研究開発の内容や進捗、技術の特性を踏まえまして、官民の伴走支援を行うことが適当と認められる場合に、実際にこの研究開発を、全体を見渡しているのは内閣総理大臣でございますから、内閣総理大臣と協議した上で、研究代表者の方の同意を得て協議会を設けると、こういうことを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/106
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107・福島みずほ
○福島みずほ君 防衛省がこれに参画する、協議会に参画することは否定されていないということで、大臣、よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/107
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108・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案に基づく協議会は、科学技術・イノベーション活性化法や産業技術力強化法と同様に全ての府省庁に適用される枠組みでございまして、広く一般的に多義性を有する先端的な技術の研究開発につきまして、例えば防衛省が自らの研究開発事業においてこの法案の第六十二条に基づく協議会を設置することですとか、また関係省庁の一つとして防衛省が他省庁の設置する協議会に参画することを制度上否定しているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/108
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109・福島みずほ
○福島みずほ君 伴走支援と言いますが、防衛省が入るとすると、やはり防衛研究、軍事研究、これは推進でなくてもそちらのことも出てくるのではないかというふうに思っております。
現在進行中の安全保障技術研究開発制度は軍事研究ではないとされています。この軍事研究ではないとした理由は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/109
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110・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 防衛装備庁の研究開発制度でございますから私自身がその制度について説明する立場にはないんですけれども、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度というのは、防衛分野での将来における研究開発に資することを期待をして、先進的な民生技術についての基礎研究を公募するものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/110
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111・福島みずほ
○福島みずほ君 ですから、現在進行中の安全保障技術研究推進制度は軍事研究ではないというふうにされています。しかし、にもかかわらず、防衛省も入ってこの協議会をつくって、そして、それは軍事研究をすることを否定はしていないんですよね。デュアルユースですから、民間の研究がいずれ軍事研究に、まあ多くは、軍事研究になり得ることはたくさんありますけれども、ということを否定していないんです。そのことがやっぱり問題ではないかということを強く指摘をしたいというふうに思っております。
この防衛問題、次にシンクタンクのことをお聞きを、あっ、ごめんなさい。次に、済みません、この協議会での議論、それから議事録は情報公開されるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/111
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112・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
行政文書として保有している協議会の議論の内容の記録につきましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、情報公開法の対象となります。したがいまして、同法に基づきまして、協議会を設置する各行政機関において適切に対応されると、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/112
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113・福島みずほ
○福島みずほ君 将来軍事研究に転ずるかもしれない研究ですから、この協議会の議論が本当に情報公開、議事録が公開されるのか、極めて非常に疑義を持っております。しっかり公開されるならいいけれど、多額のお金を掛けて、しかもどんな研究やっているか細かいことが分からないというような事態が起きると、これは問題だと思います。
大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/113
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114・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今政府参考人からお答えしたとおりでございますけれども、行政文書として保有している協議会の議論の内容の記録につきましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、いわゆる情報公開法の対象となりますので、この法律に基づきまして、協議会を設置する各行政機関において適切に対応されることとなろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/114
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115・福島みずほ
○福島みずほ君 大臣、この協議会の議事録は原則として公開されるということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/115
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116・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) そのとおりでございます。
一つ申し上げますと、情報公開法に基づいて公開されますものですから、例えば研究者の氏名など特定の個人を識別することができるような情報、こういったものにつきましては、情報公開法の不開示情報に該当し得ることから、例えば本人の同意もなく一律につまびらかにするというのは適切でない場合がございます。したがいまして、情報公開法に基づきまして適切な公表の方策を検討していくと、こういうことになります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/116
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117・福島みずほ
○福島みずほ君 原則公開であると。研究者の個人の氏名が場合によってはされないこともあるかもしれないけれども、原則公開であるという答弁がありました。しっかりこれは公開されるべきだということを強く申し上げます。
指定基金の規模はどれぐらいになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/117
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118・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答えいたします。
指定基金として想定される経済安全保障重要技術育成プログラムにつきましては、昨年閣議決定されました経済対策におきまして、特に経済安全保障強化に向けた新たな枠組み、取組が進展していく中で五千億円規模とすることを目指すとされておりまして、令和三年度補正予算におきましては、そのスタートとして、基金を活用して先端的な重要技術の実用化に向けた強力な支援を行うために二千五百億円を措置したところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/118
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119・福島みずほ
○福島みずほ君 ですから、これからもこの金額が何兆円というふうに、まあ膨れ上がるというか、なるわけです。それだけのお金を内閣総理大臣の下に投入してやるプロジェクト、余りに中身が分かりませんし、将来、軍事研究、軍事転用されるかもしれないということで極めて問題だと思います。
特定重要技術調査研究機関、シンクタンクについてお聞きをいたします。調査研究の対象と方法について説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/119
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120・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答えいたします。
令和五年度に本格的に立ち上げるシンクタンクは、本法案に基づく委託調査を含め、国内外の技術動向、社会経済動向、安全保障など、多様な視点から科学技術イノベーションに関する調査研究を行うものでございます。
新たなシンクタンクにおきましては、政策当局や既存の研究機関等と連携し、ネットワークのハブとなりながら、多様な政策ニーズを踏まえた重要技術の検討を行うことが必要と考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/120
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121・福島みずほ
○福島みずほ君 今答弁で安全保障に関するイノベーションとおっしゃいましたが、どういう中身でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/121
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122・米田健三
○政府参考人(米田健三君) 安全保障、非常に多岐にわたると思いますけれども、先ほどから御答弁があったように、科学技術に関しては非常に多義性を持っておりますので、そういったもの、つながっていく中で、科学技術をどう位置付けるかということだと理解してございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/122
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123・福島みずほ
○福島みずほ君 このシンクタンクについても大変危惧を持っております。
先ほどの兼原さんですが、ラジオ番組でこう言っています。日本の科学界は平和主義なので防衛省には協力しないと言って頑張ってしまっているわけです、日本学術会議などがそうなのですが、これを何とかしなければならないというふうに言っています。ですから、学術会議に代わる、あるいは学術会議を変える、あるいはこれを下部に置くようなシンクタンク、軍事に関する研究も行うシンクタンクをつくるというのが目的ではないかというふうに思います。兼原さんはまさにそうおっしゃっているわけです。
このシンクタンク、学位授与機能まで持たせるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/123
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124・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
有識者会議提言では、例えば米国では学位授与等がシンクタンクに参加する研究者等のインセンティブになっているとの指摘を踏まえ、人材の育成強化の更なる取組も中長期的な課題として重要であるとの意見をいただいているところでございます。
令和五年度に立ち上げを目指している本格的なシンクタンクにおける将来の人材育成の方策として、学位授与等の仕組みについても、教育機関との連携を含め順次検討を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/124
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125・福島みずほ
○福島みずほ君 やめた方がいいですよ。政府がつくる、まさに内閣総理大臣の下に物すごいすさまじいお金を付けて、そしてシンクタンクをつくる。若者の研究者の囲い込みじゃないですか。ここで学位を授与することになれば、本当に政府の言いなりじゃないですか。学問の自由はどこに行くんですか。
少なくとも、大学や様々なシンクタンクはインディペンデントです。そこで学問の自由もインディペンデントです。学問の自由が憲法二十三条で書いてあるにもかかわらず、ここで、政府の機関で、政府のお金で、まさに直結してやるところで学位授与なんてやったら、政府による学問のというか、成果物の囲い込みじゃないんですか。
学位授与など認められないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/125
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126・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答えいたします。
ここで仮に将来的にこの学位授与機能を持ったとして、そこで学位を得るか否かというのは個々人の判断だと思いますので、それで直ちに学問の自由を侵すとは考えておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/126
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127・福島みずほ
○福島みずほ君 学問の自由を侵しますよ。どこに自由があるんですか。どこにインディペンデントがあるんですか。どこに独立性があるんですか。政府は学問の自由を侵してはならないって憲法に書いてあるじゃないですか。
学位授与までやったら、若者の研究者の囲い込みですよ。ここで純粋培養で育てて、軍事研究のみをさせることだって可能になるじゃないですか。冗談じゃないですよ。国民の税金使って、おかしいと思います。学位授与などさせてはならない、学問の自由を侵してはならないということを強く申し上げます。
ここで、百人規模ということなんでしょうか、職員の規模は。職員の身分は公務員となるんですか、大学の移籍になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/127
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128・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
職員の規模につきましては、あくまで組織に関する現時点のイメージでございますけれども、数十人規模の専門家による体制からスタートし、専門性、国際感覚、俯瞰力、目利き力を有する優秀な人材の確保に努めつつ、段階的にネットワークの規模や活動内容、体制を充実させ、将来的には百人を超える規模感で活動していくことが想定されてございます。
また、職員の身分につきましては、調査研究を委託した場合の職員については、本法案の第六十四条に法人に限るとしていることから、公務員は想定されてございません。
人材の確保に当たりましては、例えば所属する大学に籍を置いたままで、クロスアポイントメント制度を活用して調査分析に参加していただくなど、個々の事情に応じて柔軟な対応を行うことが期待されてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/128
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129・福島みずほ
○福島みずほ君 六十四条四項に、特定技術、ごめんなさい、特定重要技術調査研究機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由、事由がなく、当該委託に係る事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならないというふうに書いてあります。とすると、職を離脱しても、研究した中身について発表できないのであれば、研究者としてやっていけないということになるんじゃないんですか。退職した場合、研究について発表できるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/129
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130・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
調査研究委託の内容の公表等の取扱いにつきましては、法第六十条において定めることとなる基本方針を踏まえ、今後検討する予定でございます。一方で、委託事業の調査分析において取り扱う情報の中には、守秘義務の対象となり得る情報等の公表になじまないものも含まれ得ることから、それらを踏まえたシンクタンク退職後の情報の取扱いについては、研究者のインセンティブにも考慮しつつ、その方法も含めて今後検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/130
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131・福島みずほ
○福島みずほ君 研究者が若手でここに入る、そしてここでずっと研究する、そして、そのことを公表したら守秘義務に問われるんですよ。離脱をした後も研究論文を発表できない、その研究ができない。潰しが利かなくなりますよ。結局囲い込んで純粋培養する、あるいは秘密漏えい罪で処罰するぞと脅して、本当に中で何やっていたかも分からなくなるというおそれがあるというふうに思います。
ユネスコの科学及び科学研究者に関する勧告に、軍民両用に当たる場合には、科学研究者は、良心に従って当該事業から身を引く権利を有し、並びにこれらの懸念について自由に意見を表明し、及び報告する権利及び責任を有するとあります。この勧告との関係について、大臣の見解、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/131
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132・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
令和五年度に本格的に立ち上げるシンクタンクにおきましては、研究者が従事するに当たってはシンクタンクと参画する研究者の双方の合意の下で行われることを想定しておりまして、研究に強制的に従事させられることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/132
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133・福島みずほ
○福島みずほ君 そんなことを聞いていません。私の質問は、この職を辞した後も、自由に意見を表明し、及び報告する権利及び責任を有すると書いてあるにもかかわらず、秘密漏えい罪で、辞職した後も処罰の規定があるからです。だから、研究者の権利が侵害されるのではないかというふうにも思っています。これは極めて重要な問題です。
それで、このシンクタンクにおける、シンクタンクの中の議論や研究物に関して、研究に関して情報公開はされるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/133
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134・米田健三
○政府参考人(米田健三君) シンクタンクは、今のところ一般の法人を想定しておりますので、それぞれの組織ごとに判断されることだと思っております。例えば独立行政法人がシンクタンクになった場合には、それに関する情報公開の法律に服することになろうかと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/134
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135・福島みずほ
○福島みずほ君 ここで何を研究しているのか、きちっと情報公開されることは本当に必要だと思っています。
このシンクタンクに投入する財政規模について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/135
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136・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
シンクタンクについては、令和五年度に立ち上げることとしておりますことから、現在どのような形で予算要求して予算を付けるかについてはまだ検討中でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/136
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137・福島みずほ
○福島みずほ君 このシンクタンクが、各大学や学術会議やいろんなものを下部として、そして国の統制の下に国の税金使って守秘義務を課して、まさに何やっているか分からないようなシンクタンクにというか、軍事研究もあり得るようなシンクタンクになることを大変危惧を持っております。
これは、アメリカにはDARPAという組織があります。まさにアメリカ国防高等研究局です。軍隊目的のための新技術開発及び研究を行うアメリカ国防総省の機関。インターネットの前身を開発しました。ベトナム戦争時の枯れ葉剤作戦も開発しました。全地球測位システムGPSやドローン技術もやりました。革新的技術開発を主導してきた、軍事研究ではないわけですが、革新的技術開発を主導してきましたが、枯れ葉剤作戦など秘密研究による大規模な人権侵害も生み出しています。
このようなDARPAみたいなものになり得るんじゃないか、なってしまうんじゃないか、いかがでしょうか。協議会とシンクタンクについてです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/137
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138・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
これまでも繰り返し答弁させていただいていますけれども、この法案の枠組みは、殊更軍事技術の開発を目的とするものではありません。
今委員からDARPAの言及がございましたので、少しその点も触れさせていただきますと、例えば、インターネットやGPSだけではなくて、今回の新型コロナウイルス感染症で注目されたメッセンジャーRNA、このワクチン技術もバイオテロ対策の一環としてDARPAの資金援助を受けて研究が進められてきたものです。
主要国では、近年、こうしたDARPAの取組を踏まえて、気候変動ですとか公衆衛生分野など、軍事分野に限らず、市場経済のメカニズムのみに委ねていては投資が不十分となりがちな先端技術につきまして、そのハイリスクの研究開発を行う大型プロジェクトが順次立ち上げられておりまして、これはDARPA型と呼称されることがしばしばあるものと承知しています。したがって、ドイツやイギリスでも様々な機構がつくられているところです。
協議会とシンクタンクとの関係なんですけれども、まず、その協議会につきましては、官民パートナーシップのために協議を行う会議体を組織するものでございまして、そもそもこうした組織を設立しようとするものではございません。また、シンクタンクについてですけれども、殊更軍事研究、軍事技術の開発を目的とするものではないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/138
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139・福島みずほ
○福島みずほ君 大臣は繰り返し、軍事研究を目的とするものではない、軍事研究のみを目的とするものではないと言います、答弁されます。しかし、さっき言ったドローンだってGPSだって、あらゆるものが実は軍事研究目的というよりも、開発、インターネットもそうですよね。要するにデュアルユースなんですよ、今。だから、それが軍事研究に転用されたりしていくことをどうやって日本としては歯止めを掛けるかという議論を憲法九条を持っている日本は議論すべきなんですよ、軍事研究にはしないとかですね。
私は、このシンクタンクや協議会が軍事研究につながることには歯止めを掛けます、やりませんと言うんだったら理解できます。しかし、そんな歯止めがないじゃないですか。大臣からは繰り返し、軍事研究のみを目的としませんと言っているけれども、それだったら、軍事研究にいつかなったり軍事のために使われることあり得るわけですよ。そういう歯止めは一切ここの中にありません。大問題です。
その点について答弁求めてもちょっと答弁されないと思いますが、答弁されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/139
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140・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 量子ですとかAIとか、先ほど半導体という話もしましたけれども、こうした技術って、我が国だけではなくて国際社会の、今後の私たちの将来の社会を大きく変革していく技術です。
そうした技術につきまして、今その民生技術と軍事技術のこの境目というのは本当にもう分からなくなっていて、だから多義性という言葉を使わせていただいておりますけれども、いろんな目的にこの革新的な技術というのは使われ得るものです。なので、例えば最初の段階でこれは何に使われるかというのを特定するということは難しい、そういう状況の中で、非常に重要な位置付けにある技術ですから各国がしのぎを削って今挑戦をしているわけです。
先ほど少し申し上げましたけれども、こうした技術というのは様々な分野で利用され得るものですから、例えばその防衛分野での利用可能性があることをもってこうした技術の研究開発を単純に否定したとすると、我が国の科学技術イノベーションが世界から立ち遅れて、国民生活や経済活動に甚大な影響を与えかねないと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/140
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141・福島みずほ
○福島みずほ君 歯止めは必要だと思います。
何やってもいいわけじゃないし、デュアルユースと言いながら、結局、軍事研究につながるようなこと、国内の軍需産業を本当に大きくしたいというそういう考え方からそうなっていくことは十分あり得るというふうに思っています。もし民間でも可能だったら、こうじゃなくて、国家プロジェクトとしてこれをやっていくことに関して学術会議が問題だと考える兼原さんみたいな発言もありました。だからこそ問題だということを指摘しておきます。
次に、今回の法律が様々な点で日本の企業に対して与える影響が甚大ではないかと思っています。特定重要物資の安定的な供給の確保、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保ですが、企業に対しての様々な報告義務や、それから様々な罰則の規定もあります。
七条なんですが、外部に過度に依存しというのがあります。国民の生存に必要不可欠な若しくは広く国民生活若しくは経済活動が依拠している重要な物資(プログラムを含む。)又はその生産に必要な原材料、部品、設備、機器、装置若しくはプログラム、原材料等について外部に過度に依存しとあるんですね。
外部に過度に依存し、食料自給率など過度に、外部に過度に依存しと思いますけれども、この外部とは全ての国を指しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/141
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142・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この法案における外部から行われる行為の主体としては、我が国の国家及び国民の安全を害する行為を行っている又は行おうとする外国政府等を想定しておりまして、この法案は特定の国を念頭に置いているわけではございません。したがいまして、全ての国を指しているということにもなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/142
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143・福島みずほ
○福島みずほ君 じゃ、アメリカも外部なんですね。中国も外部ですね。アメリカも外部だったら、アメリカに過度に依存しているものってたくさんあると思います。
いや、私が思うには、これは、そういうふうにおっしゃるけれども、例えば企業の中で中国製品のITを使っているところはもうこれ変えてくださいというようなことが起き得るんではないか。いかがですか。アメリカも外部ですね、中国も外部ですね、それを改めて確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/143
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144・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 外部というのは先ほど申し上げたとおりで、いかなる国が対象となり得るかについて予断を持ってお答えすることは困難です。
いずれにしても、この法案は特定の国を念頭に置いたものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/144
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145・福島みずほ
○福島みずほ君 では、例えば中国製のITを使っている企業に対して、過度に依存していると、それやめなさいみたいなことはあり得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/145
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146・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 繰り返し申し上げますけれども、特定の国を念頭に置いているわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/146
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147・福島みずほ
○福島みずほ君 イメージが湧かないので聞いているんです。
外部に過度に依存しない。アメリカに随分依存していますね、日本は。中国に依存したら駄目で、アメリカに依存したらいいのか、どうなるのか。ITで中国仕様のものをやっていた企業はやめなさいと言われる、あるいは勧告されるようなことがあり得るのか。もう甚大な被害を企業は受けます。これが安全保障、ここの委員会でもありますけれども、結び付けて語られているので、どうなるのか。企業にとって甚大な被害が起きるんではないかと思い、質問しています。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/147
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148・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 繰り返しになりますけれども、特定の国を念頭に置いているわけではないということは御理解をいただいた上で、過度に依存しているというところで、例えば特定重要物資のサプライチェーンのところについて言うと、国民の生命がこの外部からの妨害行為によって供給が、外部からの安定供給が途絶することによって国民の生命に直接影響があるものですとか、あるいは国民生活、経済活動が広くその特定重要物資に依拠していて、供給が途絶するともう甚大な影響が起こり得る、そういう物資につきまして、この法案審議で何度かもうお答えしていますけれども、一定のルールにのっとって特定重要物資を指定し、民間企業の様々な取組を支援するということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/148
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149・福島みずほ
○福島みずほ君 これ、中小企業も除外しないということでよろしいですよね、条文上、企業の規模別になっておりませんから。よろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/149
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150・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません、中小企業といったときに、この法案に四項目ございまして、委員がどの部分についておっしゃっているのか、明確にしていただけると助かります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/150
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151・福島みずほ
○福島みずほ君 これに関して、例えば中小企業などでこれが除外をされる、あるいはこのいろんな報告義務などに関して除外されるということはあり得るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/151
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152・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員の御質問は、恐らく、基幹インフラの安全性、信頼性確保というパーツがありますけれども、これについて中小企業が含まれるのかということで受け止めさせていただきました。
これにつきましては、経済界とも様々な議論をしてきた中で、やはり民間企業の予見可能性をしっかり確保しなければいけないことですとか、やはり事業負担をできる限り軽減していかなければならない、そうした観点から、この対象となる事業者や設備を真に必要なものに限定していくということでやっています。
有識者会議におきましても、この中小企業に対してはかなり負担が掛かってくるので、そこの指定には慎重であるべきだという御提言もいただく中で、そうした声を踏まえた制度設計になっております。
したがって、そもそもこの基幹インフラの信頼性、安全性確保のこの対象事業者として中小企業を指定するということは、基本的には考えていないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/152
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153・福島みずほ
○福島みずほ君 私が質問したのは、確かに衆議院で対象とは考えていないという答弁をされています。しかし、問題なのは、条文で除外をされていないということです。条文で、つまり、対象とならないだろうという答弁は衆議院であります。しかし、例えばこの経済安保法において中小企業は除外されているというような、そういう包括的なものはありません。
ですから、今大臣は答弁で中小企業は除外されるだろうというふうにおっしゃいましたが、条文でその担保がされていないのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/153
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154・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません、今ちょっと私も手元にあるのをぱっと見させていただきました。例えば、今の基幹インフラのところですと、第四十九条第四項に、例えば、内閣総理大臣は、この基本指針というものを作成するときには、あらかじめ知見を有する者の意見を聞くとともに、この経済活動に与える影響に配慮しなければならない、こういうことを書いていまして、ほかにもいろいろ規定があるんですけれども。
したがって、この法案が仮に成立するとすれば、その後、基本指針を作って閣議決定をし、また政省令定めていくことになりますけれども、その中で、民間事業者の方、産業界の方も含めて、また先ほど小沼先生との会話の中でパブコメの話もさせていただきましたけれども、そういう現場の声も含めて丁寧に拾ってそこは定めていきたいと思いますし、この国会の答弁で、私自身がこの中小企業者の指定には慎重であるべきだということを申し上げています。
唯一、唯一でもないかもしれませんが、例えば例示として出させていただいているのが、中小企業、その事業規模が小さくても、例えば全銀ネットってあるじゃないですか。全銀ネットみたいな本当にこの基幹インフラの中で非常に重要なものにつきましては、全銀ネットについてはこれ中小企業に該当すると思うんですけれども、今回のこの対象にはなり得るということで国会で答弁させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/154
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155・福島みずほ
○福島みずほ君 ですから、その衆議院の答弁を聞いて、やはり考慮すると言いながら区々でやるということです。
ですから、幾ら基本方針やこれから作るところで考慮するといっても、条文上除外されていなければどうなるか分からないんですよ。もし中小企業を除外するんだったら、条文にはっきり書くべきですよ。これから考える基本方針で意見を聞きますだったら、国会納得できないですよ。ここまでいろんなことが分からない、何が当たり、何が当たらないのか分からない法案は、悪いけれどもざる法ですよ。政省令に多く委ねて、分からないじゃないですか。そんなに中小企業のことが心配だったら、ちゃんと条文に書くべきですよ。
しかし、しかしですよ、大川原化工機事件ですか、中小企業もやっぱり射程距離に置いて取り締まりたいから、やっぱりそれ置かないんじゃないですか。私は、もし中小企業に対する配慮やいろんな問題点があるというのであれば、法律にちゃんと書くべきだと思います。
つまり、これは、中小企業も含めた様々なところに大きく網を掛けて、やっぱり報告を課したりいろいろして取締りの対象にする。それは、企業にとっては不意打ちになる場合もあるし、甚大な被害を生むこともあるし、大変だと思います。
例えば、四十六条で報告徴収及び立入検査があります。所管大臣による調査等です。私は、やはり驚くのは、必要な限度において、指定金融機関、安定供給確保支援法人等に対し、これで、事務所、必要な場所に立ち入り、質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるとあります。
しかし、立入検査、立入調査と言います。労基法違反の立入調査、それは分かりますよ、労基法違反の疑いがあるから。児童虐待についての立入調査、それも理解できます。高齢者虐待における立入調査、理解ができます。しかし、これ、どうですか。企業にとって、この四十六条に基づいて立入調査、立入検査がされる。自分のところが立入検査なんてされたら、必要な限度においてですけれども、報告や資料が不十分とか、もっと何かやっているんじゃないかとか、いや、というような形で、もし企業に立入調査がされたら、その企業は被害甚大ですよ、本当に。日本の企業は本当に被害甚大ですよ。
私が指摘をしているのは、立入調査みたいなことをやるときにおける要件がはっきり書いてないということなんですよ。はっきり書くべきでしょう。はっきり書くべきですよ、立入調査をするんだったら。労働基準法違反で立入調査をされる、それなら理解ができます。労基法違反している可能性があるわけだから。だけど、この条文で何で立入検査できるというところまで書くのか。権限は強いけれども、要件が不明確ですよ。予見可能性がないですよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/155
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156・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
まず最初に、先ほどの基幹インフラのパートのところで、中小企業についてどういうふうに規定はされているのかということでございますけれども、法案の第五十条に、これ法制局とも整理した議論でございますけれども、何が書いてあるかと申し上げますと、特定の重要設備というものがあると。条文には、特定の重要設備の機能が停止し、又は低下した場合に、サービスの、役務の提供に支障が生ずると。で、条文に書いてございますのは、これによって国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいものとしてあると、こういうふうに書いてございます。すなわち、重要設備の機能が低下した場合、これによって国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい、そういうものとして主務省令で定める基準に該当する者を特定社会基盤事業者として指定するのであると、こう書いてございます。
したがいまして、機能が、機械が、重要設備がですね、機能が停止した際に、日本、国家国民の安全を損なう事態が生ずるような、そういう事業者であるということが五十条に書いてございます。これは、したがいまして、ここで主務省令で定める基準に該当する者というのは、その重要設備が機能が低下した際に、もう日本、言ってみれば日本全国に影響が生じるような、そういう事業者であるというのがここに示されているということでございます。
これ、それを大前提といたしまして、例えば先ほど大臣から答弁がございましたとおり、全銀ネットといったような、規模としては中小規模であったとしても、全銀ネットが一たび支障が生ずれば全国に影響が出ると、こういうものは規模が中小規模であったとしても対象になり得ると、こういう整理をしてございます。これが一つでございます。
そして、今御質問がございました指定金融機関に関する立入検査でございますけれども、これ、指定金融機関と申しますのは、これ、民間事業者の方が、サプライチェーンの部分でございますけれども、事業計画を作って認定を受けると、それで認定を受けた場合に、支援が出るというときに、金融支援というのが出ます。その際に、指定金融機関というのは金融支援を行うものでございます。
したがいまして、その指定金融機関というのは、ちゃんと金融支援を行っているかどうかということ、ちゃんと帳簿を保存しているか、そういったことについて報告徴求を求めて政府は立入検査を行うというものでございまして、民間事業者の方に対する立入検査云々ということではございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/156
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157・福島みずほ
○福島みずほ君 特許出願の非公開についてお聞きをいたします。
以前から非公開の議論がありましたけれども、今まで非公開の特許はやってきませんでした。これは懸念点があったからではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/157
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158・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 懸念というよりも、今回、特許非公開制度を設けようとしているその目的についてちょっとお話しさせていただきたいんですけれども、この特許法の目的というのは、第一条にあるように、特許法一条にあるように、発明の保護及び利用を図ることによって発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的としております。
今回、特許出願の非公開制度というのは、我が国の特許制度において、一たび特許出願がなされてしまう、なされれば、安全保障上極めて機微な発明であって公開すべきでないものについても、委員御案内のとおり、一年六か月経過をすると一律に公開されてしまうんです。そういう問題がございますので、公開すべきでない状況が解消されるまで特許法の手続を留保をして、非公開の解除後には通常の特許手続を再開するというものでございまして、これまでの特許法の枠組みと整合性を取りながら今回立て付けを行っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/158
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159・福島みずほ
○福島みずほ君 日本でも、二〇〇八年ですか、この制度が議論になったけれども、やはり発明の保護及び利用を促進することを通じて発明を奨励して、産業の発達に寄与するのが特許の趣旨であるという平成三十年の答弁もあります。ですから、そのこととやはり矛盾すると。国際競争力を付けると言いながら秘密特許を導入するのは、産業界には悪影響ではないかというふうに思っております。
つまり、自分の発明を世界で出願し研究成果を出したいというのは当然で、それが制限される。そして、外国出願、軍事転用可能な研究とされれば、外国出願の禁止にも当たるということで、非常に制限するんじゃないか。特許以外に、特許は、こういうことを例えば福島みずほが持っていますよ、だからあなたはもう研究したって駄目ですよみたいな、そういう告知をするために公開をするわけですが、それ以外の様々な方法でもノウハウが漏れるということもあるのに、この秘密特許ということだけ今回取り入れるというのもよく理解ができません。
それで、戦前の秘密特許とどこが違うのか。戦前は秘密特許の制度があり、戦後、日本国憲法の成立と同時に秘密特許制度が帝国議会で廃止をされます。どこが違うんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/159
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160・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
今委員から様々な論点出されましたけれども、一点だけちょっと申し上げたいのは、産業の発達ということで言及がございました。これは特許法の一条にも書いてある目的です。したがって、先ほど、私どもが今回用意している制度というのはこれまでの特許法と立て付けは整合的だというふうに申し上げましたが、この制度におきましても、非公開とする対象を産業の発達に及ぼす影響も考慮して絞り込むというふうに、そこはしっかりと配慮しているのは申し上げたいと思います。
戦前の秘密特許制度との兼ね合いですけれども、この戦前の秘密特許制度というのは、軍事上の必要性という観点から、最新技術を国が収用したり、あるいは国が発明を実施するという我が国の軍事上の要請を満たすことを念頭に置いた制度でございました。
これに対しまして、この法案における特許出願の非公開制度というのは、公になれば国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明について、発明が発明者のものであることを大前提としつつ、国のものではないんです、それを大前提としつつ、経済活動やイノベーションとの両立も踏まえながら、公開などの手続を留保することによってその拡散を防ごうとする制度でございまして、そもそもの目的が全く違います。
また、この法案の制度というのは、したがって、その帰結として、我が国の安全のみならず世界の安全にも資する制度です。実際にとられ得る措置を見ても、この法案には、国が収用したり国が実施したりするといった規定は一切置いておりません。逆に、保全の指定前に手続から離脱する機会を与えるなど、戦前の制度と性質が異なることは明らかだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/160
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161・福島みずほ
○福島みずほ君 離脱といっても実際は、一応申請していて、それで手続が進むんですから、離脱は私は非常に困難だと思います。実際は、軍事転用可能な技術に関して外国に出願できないよという形になりますし、極めて問題だと思います。
私は、今回の経済安保法は、実はこういうふうに経済界を囲い込み、非常に、国が囲い込んで、研究開発など、実は非常に足かせになるんじゃないかと思っておりまして、実は今回の経済安保法は日本経済の没落の引き金を引くんじゃないかという危惧すら持っております。
様々な論点があります。更に質問させていただきます。
今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/161
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162・浜田昌良
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
本日は、経済安全保障推進法の委員会二日目の審議でございますが、前回は私は、総論的な部分と、一本目の柱、サプライチェーンの関係、また二本目の基幹インフラの途中で質問が終わっておりますので、その続きから質問させていただきたいと思っています。
前回の最後の質問で、いわゆる基幹インフラの導入前の事前審査の命令、勧告と、この五十二条の六項にあるんですが、導入後の勧告、命令、これは五十五条にあるわけですが、その二つがどう違うんですかと質問させていただいて、後者については要件がかなり限定されていますよと、いわゆる国際情勢の変化、その他事情の変更のときだけですよと、かつ、勧告、命令の内容についても、検査、点検の実施等の相手先の変更などが例示されているという御答弁もございました。そういう意味では、いわゆる導入後の勧告、命令というのは限定されているんですが、導入前についてはやはり大幅な仕様変更もあるのかもしれないんですよね。
それで、大臣にお聞きしたいんですが、この事前審査で勧告、命令を受けた事業者の設備導入や維持管理に関しまして、大幅な仕様変更とかコストアップがあった場合の支援とか、そういうのは行う必要がないのかどうなのか、ないのであればそれを最小にする国の責務はどういうふうに担保するのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/162
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163・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案における特定社会基盤事業者は、そもそも各業法などで役務の安定的な提供を規律されているものでございます。その上乗せ規定ということになっていますので、本来、そうした事業者は、自ら特定妨害行為を防止をして役務の安定提供を行う責任を負っていると理解しています。
この制度に基づく勧告、命令は、役務の安定提供を確保するのに、担保するのに必要なものでございますので、その措置を講ずることによって生ずる損失を国が補償するための規定は設けておりません。そもそも本質的にそういうものだという理解です。
ただし、その上で、委員御指摘のとおり、この規制措置が事業者にとって過度な負担とならないように配慮する必要があるとも考えています。したがって、この規制対象は真に必要なものに絞る必要があると思いますし、事業実態を十分に踏まえた制度整備、また運用にしなければいけない。また、規制対象を定める政省令の策定に当たってはパブコメにしっかり掛ける。また、事業所管官庁に相談窓口を設置をしてきめ細かい情報提供に努める。こうした内容を閣議決定する予定の基本指針において定めることを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/163
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164・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣から、基本的には、基幹インフラに関しましては業法等で安定供給はそもそも責務としてあるんじゃないかと。その範囲の中でやってもらう。若干の上乗せがあるにしても、それについては、規制は最小限のものといいますか、いわゆる真に必要なものに限定すると。各、理解が得られるようにパブコメをしたり有識者の意見を聞いたりということで、しっかりと過度な負担とならないようにお願いしたいと思いますが。
そういう意味でも、この今回の基幹インフラのところはいろんな議論がありました。特に、先ほどもありましたが、特定国をこれは指定したものじゃありませんのでね。ただ、特定国が逆にあった方が分かりやすいという議論もあったわけですよ。産業界がいろいろとメンテナンスをしたりとか設備を導入するときに、どれがホワイトで、どれがブラックかというのはないんですよ、これ。ないんですけれども、そういう意味では、逆に言うと、この事前確認の際の基準についてはある程度やっぱりよく分かるように情報提供していくというのが、まあ出してみてなかなか審査が下りないと一番困るわけですから。
そういう意味では、この法案の五十七条の主務大臣の責務って規定があるんですね。私、これとっても重要と思っているんですよ。特定妨害行為の防止に関する情報提供が責務規定として設けられているんですね。これ、しっかり活用してほしいんですよ。それぞれ基幹インフラについて情報がありますから、主務大臣があるんですが、そのときにこういうものを、ちょっとここに注意してくださいねと。そうすると、届出するときに大体予見可能性が高まるわけですね。これをしっかりと活用するということをしていただきたいと思うんですが、これ、大臣にちょっと答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/164
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165・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案の基幹インフラに関する制度におきましては、我が国の安全保障と経済活動の自由、これを両立させる必要がございますので、今委員御指摘いただいたとおり、事業者の予見可能性を高めることが重要だと考えます。したがって、この先ほど申し上げた基本指針におきまして、勧告、命令の審査に当たっての考え方について、可能な限り明確に定めることとしています。
その上で、今言及いただきましたこの法案の第五十七条、この規定に基づきまして、事業所管省庁に相談窓口を設置する予定です。そこで、例えば具体的なリスク低減措置といったような妨害行為の防止に資する情報の提供に努めていきたいと考えておりまして、関係事業者と常日頃からコミュニケーションを取る中で連携を密に図っていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/165
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166・浜田昌良
○浜田昌良君 是非、この五十七条、積極的に活用していただきたい、それを是非大臣から各主務大臣に徹底していただきたいと思います。
続きまして、前回質問させていただいたのは、この法案の八十八条で行政手続法の適用除外になっている部分があるという話をさせていただきました。この基幹インフラに関して言いますと、五十二条の四項の勧告、命令発出の期限を三十日から四か月に延長できるとか、また、五十二条十項で設備導入、維持管理などの中止命令ができると。これに対しての行政手続法の適用除外という、なぜかという質問に対しまして、こういう答弁がございました。仮に具体的な処分基準を公表したりあるいは処分理由を示すということになりますれば、政府として特定妨害行為が行われる可能性の評価、この前提となります国際情勢の認識等を明らかにすることとなりますと。
確かに、こういう国際情勢の認識というのは友好国から非常に機微情報として得ている場合もあると思いますので、それは確かに公開できないという場合もあると思います。ただ、じゃ、こういう、このそれぞれの条項について不服申立てはどのようになるのか、これについてはちゃんと担保されているのか、政府参考人からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/166
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167・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
行政庁の処分に関する不服申立てにつきましては、他の法律に特別な定めがある場合を除くほか、行政不服審査法の定めるところによることとされているものと承知してございます。
御指摘ございました本法案の第五十二条第四項、そして第十項につきましては、行政不服審査法の適用除外規定は設けておりません。同法が適用されることによりまして審査請求の手続が担保されているものと考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/167
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168・浜田昌良
○浜田昌良君 そういうことで、処分基準の具体的な基準は公表されませんが、不服があればちゃんと不服審査法で手続ができるということが確認されました。
続きまして、この五十二条一項ただし書で、この基幹インフラの事前審査のための計画届出が不要となる場合があるんですね。緊急やむを得ない場合というのがあるんですが、どのような場合を想定しているのか。その場合は、この計画届出なしにこの基幹インフラの仕様、設備の変更等についてどのように把握することになっているのか、参考人にお答えしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/168
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169・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
御指摘いただきました緊急やむを得ない場合は、特定社会事業ごとの実態も踏まえまして主務省令で定めることとしておりますけれども、例えば、災害により特定重要設備が損壊した場合であって、直ちに特定重要設備の導入を行い、又は重要維持管理等を行わせなければ、特定社会基盤役務の安定的な提供が損なわれるときなどを想定しているところでございます。
また、そのような場合には、本法案の第五十二条第十一項の規定に基づきまして、事後的に緊急導入等届出書を届け出なければならないこととしてございまして、その届出によって情報を把握するということを考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/169
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170・浜田昌良
○浜田昌良君 確かに、災害等で早急にこの重要インフラを復旧しないといけないということについて、その届出して三十日待っていることできませんから、そういうときについては、これ弾力的にこの条項を使っていただきたいと思います。
続きまして、特定重要技術、三本目の柱について質問を移りたいと思いますが、この条項は、実は第六十条から六十四条の五条しかないんですね。この法案、大体百条ぐらいあるんですが、五条だけで、ちょっとどういう内容かというと、六十条で基本指針がありまして、六十一条で特定重要技術の定義がありまして、六十二条で協議会、六十三条で指定基金、そして六十四条でいわゆる調査研究、シンクタンクがあるんですが、この五つの関係がうまく整合的に使われるのかどうなのかというのがこの条文だけではよく分からないんですね。その辺について今日質疑をしたいと思います。
まずその前に、研究開発等の定義を、この法案は、科学技術・イノベーション創出活性化法の十二条から引用されています。小林大臣は、経済安保法の担当大臣でもありますけれども、科学技術の担当大臣でもあるんですが、その観点からちょっとお聞きしようと思うんですが、この科学技術・イノベーション創出活性化に関する法律では、十二条、こう書いてあるんですね。国は、研究開発等の推進における若年者、女性及び外国人、つまり日本の国籍を有しない者をいう、以下同じ、である研究者等、以下、若年研究者等という、の能力の活用が研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、国の資金(国から研究開発法人に提供された資金その他の国の資金に由来する資金を含む。以下同じ。)により行われる研究開発等の推進における若年研究者等の能力の活用を図るとともに、研究開発法人、大学等及び民間事業者による若年研究者等の能力の活用の促進に必要な施策を講ずるものとすると。十二条にこの若年研究者等というのが三回も出てくるんですよね。
そういう意味では、この元々の引用された科学技術・イノベーション創出活性化法については、これ、若年研究者等をうまく活用する、又はそれを、活用を図るといいますか、その精神が貫かれているんですが、是非、今回のこの重要技術開発、特定重要開発の研究開発促進に当たってもこの点については留意していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/170
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171・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、浜田委員御指摘の、いわゆる活性化法の第十二条に示されておりますとおり、広く一般に、研究開発の推進におきましては、若年者、女性、そして外国人の能力の活用が研究開発能力の強化に極めて重要だと考えます。
この法案における先端的な重要技術の研究開発の促進の枠組みにおきましても、私は、やはり次の、次世代の社会変革を導いていくのはやはり若い世代だというふうに考えておりますので、この若年者ですとか、また若年の研究者ですとか、またスタートアップ企業の参画、これも重要だと思っています。また、外国人という意味では、欧米を含めた海外の大学との国際共同研究というのが我が国の科学技術力の発展のためには重要だと考えております。
したがって、委員御指摘があった、若年者、女性、外国人にも産学官が連携するこの協議会に是非参画をしていただいてその期待される役割を果たしていただけるように、制度の具体的な設計や環境づくりに取り組んでいきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/171
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172・浜田昌良
○浜田昌良君 是非、若年者等の活用をしっかり図っていただきたいと思います。
次に、六十一条の定義の規定について質問を移りたいと思いますが、その前提として、まず、この国家及び国民の安全を損なう事態という言葉が出てくるんですが、実はこの言葉は四本柱全て通して出てくるんですね。よって、これはどの規定でも同じ内容を意味しているのか、あくまで我が国の国家及び国民の安全を損なう事態だと思いますけど、それ共通しているのかということについて、また、もし違うのであれば、その違っている詳細について政府参考人からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/172
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173・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
本法案における国家及び国民の安全とは、我が国の国家及び国民の安全を意味してございます。
また、国家及び国民の安全を損なう事態でございますが、こちらにつきましては、例えばでございますけれども、我が国の主権や独立、国民の生命や財産、経済社会秩序などを損なうような事態を意味してございまして、こうした概念につきましては御指摘ございました四分野に違いはございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/173
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174・浜田昌良
○浜田昌良君 ただいま御答弁ございましたように、四本柱で定義の違いはないと。あわせて、我が国の国家及び国民であって、それが損なわれる事態というのは今三つ例を挙げられました。我が国の主権や独立が損なわれるとか、国民の生命や財産が損なわれるとか、経済社会秩序などが損なわれる事態という、そういう意味ではある程度限定された事態というふうに解釈できるんじゃないかと思うんですが。
それで、次に、具体的な定義規定に入りたいんですが、この定義規定では先端技術のうちとあるんですけど、まず一番目に、当該技術若しくは情報が外部に不当利用された場合という一つの場合、又は、二つ目の場合として、当該技術を用いた物資、役務が外部から行われる行為によって安定的に利用できなくなる場合、こういう場合において、今先ほど質問しました国家及び国民の安全を損なう事態を生じるおそれがあるものという、限定的になっているんですね。
当該定義規定に沿いまして、特定重要技術の具体例を少し示していただきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/174
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175・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答えを申し上げます。
御指摘ございました本法案の第六十一条でございますけれども、こちらでは、将来の国民生活及び経済活動の維持にとって重要なものとなり得る先端的な技術のうち、当該技術若しくは当該技術の研究開発に用いられる情報が外部に不当に利用された場合又は当該技術を用いた物資若しくは役務を外部に依存することで外部から行われる行為によってこれらを安定的に利用できなくなった場合のいずれかにおきまして、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものが特定重要技術に該当するということにしてございます。
このうち、前者の外部に不当に利用される場合につきまして、有識者会議の議論で示されました海洋センシング技術というものを取り上げて御説明申し上げますと、本技術は不審船舶等の警戒や海底資源の探査等への応用が想定され、研究開発段階におきまして警戒対象となる不審船舶等の情報や海底資源の具体的な分布状況といった情報が政府から提供され得るものと考えてございます。仮にこうした情報が漏えいした場合には、我が国の情報収集能力や警戒対象が暴露される懸念のほか、海底資源の探査妨害などにつながり、国家及び国民の安全を損なうおそれが想定され得るものと考えているところでございます。
また、後者の場合についてでございますが、衛星コンステレーション技術の例で申し上げますと、この技術は地球規模での高速通信ネットワークへの展開が期待されているところでございますけれども、この技術開発を外部に依存した場合、当該衛星の運行に関する強制停止等の妨害や利用制限がなされますほか、通信傍受が行われるなどいたしまして国家及び国民の安全を損なうおそれが想定され得るものと考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/175
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176・浜田昌良
○浜田昌良君 今の関連で、先ほど福島委員の質問にもありましたが、再度確認のためにお聞きしますけれども、特定重要技術というのは武器の開発など軍事技術そのものは含まないということで改めて答弁お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/176
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177・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案における特定重要技術の研究開発というのは、将来にわたって国としての優位性を維持そして確保する観点から、民生利用や公的利用といった幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を推進するものでございまして、具体的な製品の開発を行うためのものではございません。したがいまして、特定重要技術の研究開発において、武器を始めとする防衛装備品そのものの研究開発を実施するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/177
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178・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣おっしゃいましたように、この特定重要技術というのは我が国の将来における優位性、不可欠性を確保するためのものだ。確かに、この有識者提言によりますと、あくまで先端的な重要技術について、我が国の優位性、ひいては不可欠性を確保する観点から支援対象の選定を進めるべきであるとありますし、また、政府の法案説明資料では、宇宙、海洋、量子、AI等の分野における先端的な重要技術を想定と、かなり広い分野を想定されているようなんですね。
ただ、先ほどちょっと六十一条で、条文に沿って確認してきた例で挙がってくるのが、海洋センシング技術、また衛星コンステレーション技術というかなり限定的なもので、ちょっとこの六十一条の定義と、今の大臣の答弁もありました幅広いエリアの例示に、ちょっと整合性がどうなっているのかなという、ちょっとそういう感じもするんですが、これについて参考人から整合的である旨の答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/178
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179・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
有識者会議の提言で示されました宇宙、海洋といった国家及び国民の安全に密接な関連のある分野やAI、量子といった要素技術に関わる分野を例示してございます。こうした分野における先端的な重要技術として、御指摘ございましたような海洋センシング技術あるいは衛星コンステレーション技術、触れさせていただきましたけれども、これにつきましては、第六十一条、法案の第六十一条に定める特定重要技術に該当する技術があるということをお示しさせていただいたものでございます。
また、このような他国に優位する技術を研究開発し、社会実装につなげていくということが国際社会において我が国が不可欠な存在となることに結び付いていきますことから、これを優位性、不可欠性として、有識者会議からは、こうした観点から支援対象の選定を進めるべきとの提言をいただいたものと認識しているところでございます。
すなわち、技術の選定における優位性、不可欠性の観点は、安全保障の確保に関する経済政策として特定重要技術の推進を図る上で必要な観点となりますことから、有識者会議の提言は第六十一条の規定と整合的なものであると、このように考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/179
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180・浜田昌良
○浜田昌良君 優位性、不可欠性というのは特定重要技術を選定していくための観点だという答弁がございました。
そうすると、それは、いわゆる、まず分野として、海洋だと海洋センシング技術とか、宇宙だと衛星コンステレーションという分野があって、その中からどういう技術を選ぶのかという、その次の段階でこの二つの優位性、不可欠性というのが出てくるのか、それとも、そもそも、もう衛星コンステレーションとかまた海洋センシング技術は別にしてですよ、そもそも先端的な技術という、こういう定義もあるんですね。その中から特定重要技術を選ぶときの観点は、もう即に、そのときにこの二つの優位性、不可欠性がすぐに出てくるのか、どっちなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/180
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181・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
私が答弁で申し上げました宇宙、海洋あるいはAI、量子といったものは、分野としての例示として答弁差し上げたものでございます。
具体的にどういう技術を特定するかということでございますけれども、そちらは法案の第六十一条に示してございますような要件に照らしまして適切に判断していくということでございますが、どういう粒度で指定するのかというお尋ねかと存じますけれども、これにつきましては、今後の公募の手続なども参考にしながら適切に判断をしていきたい、このように考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/181
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182・浜田昌良
○浜田昌良君 この特定重要技術というのは、まだ何となく人ごとにちょっとイメージが違うのかもしれないです。
よって、これについては、是非大臣にお願いしたいのは、この六十条で基本方針を策定しますよね。有識者も聞くと思います。ここでしっかり、この今言った六十一条の定義規定とも整合的であって、かつ今までの有識者会議の御意見だとか、また、そういうものともしっかり合ったもの。
でないと、ちょっと心配していますのは、これ手続的に言うと、まず基金ができちゃっているんですよ、二千五百億円の。そうすると、研究者の方は、やっぱり基金ができているというので、特定技術の定義を広げたいという思いも出てくるかもしれないですよね。ああ、自分のやっている研究が対象になるといいなと。
でも、それならやっぱり、これは経済安全保障推進法案ですから、最初に定義を言ってもらいましたように、我が国の、またその国家及び国民の安全を損なうおそれ、安全を損なう事態になるという、外部によってですね、外部の行為によってというものですから、そんなにだんだん広がっているわけでもないんだと思うんですよ。
そういう意味でそこは、とはいっても最終的には我が国の優位性や不可欠性を高めるものでないといけないという、ちょっとその辺が条文上ちょっと分かりにくくなっていますんで、特にこの基本方針についてはしっかりと議論をしていただいて皆さんが納得できるような形にしていただきたいと思いますけど、是非これについては大臣にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/182
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183・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 委員が今問題提起してくださった特定重要技術の内容についてですけれども、いわゆるその基本指針におきまして一定の具体化を図っていく考えです。協議会や指定基金を効果的に運用できるように、この基本方針の策定に当たっては法案や有識者提言の内容も踏まえまして関係者の間でしっかり議論を深めてまいりたいと考えます。
一方で、デジタル化などによって技術開発が加速しています。また、突如として新たな重要技術が誕生する、やはり不連続の技術革新の可能性というものも否定できないと。そういうことを踏まえますと、本来であれば、これも理想的にはあらかじめ網羅的にこういう技術が特定重要技術なんだということをお示しできればいいんですけれども、なかなかそれも難しいということで、今政府参考人からお答えさせていただきましたけれども、公募による競争も活用しながら、真に可能性のある技術を見定めていくとともに、この基本指針につきましては必要に応じて見直しについても検討していきたいと、一回作ってそれで終わりではなくて、しっかりと不断に見直していくということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/183
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184・浜田昌良
○浜田昌良君 是非、その見直しはとてもいいと思います。やっぱり、必要な部分からまず始めていく、また、国際情勢の変化もありますし、技術の進展もありますんで、それに応じて付加していくというのも、また一部削られるのもあるのかもしれませんし、是非そういう形で進めていただきたいと思います。
あわせて、この特定重要技術のところでよく議論になるのは、研究者の自由を害さないということですね、この確認をしたいと思います。
特に、公募型指定基金に自ら応募した場合については、ある程度いろんなこれは制約があるというのは納得されているかもしれませんが、既に既存のプロジェクトがある、例えばSIP、戦略的イノベーションプログラム等の既存プロジェクトが、特定重要技術がその全部、一部、なることもあるかもしれません。そのときには既に、ある研究者は、それに参加しているという人が急に特定重要技術になったことによって自由度が狭められてしまうということはなかなか納得できないと思いますので、その点については再度それを害することはないということについて、大臣から確認の答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/184
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185・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この官民技術協力の枠組みは、何ら研究者の自由を不当に侵害するものではございません。
委員御指摘の、例えばSIPなどの既存の枠組みで実施されている研究開発の全部、あるいは、又は一部につきましても、特定重要技術と位置付けられれば、協議会を設置をして、政府の機微な情報を提供できるようにすることで研究開発を更に深めて、また強力に推進することが可能となりますけれども、あくまでこの協議会というのは研究代表者の同意を得て設置されるものでございます。
また、協議会の設置に同意しない者、方がいるとして、その方を不利に扱うことというのはなくて、協議会が設置されない場合には既存のプロジェクトにおいて変更なく引き続き研究開発を推進していくこととなりますので、こうした旨は一応その閣議決定する予定の基本指針に明示していきたいと現時点で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/185
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186・浜田昌良
○浜田昌良君 是非、基本指針に明確に書いていただきたいと思います。
続きまして、六十二条の協議会について質問移りたいと思います。
協議会はどのような研究開発ごとに設置されていくのか、分野ごとなのかプロジェクトごとなのか、また具体的なイメージがあればちょっと教えてほしいなと。また、当然だと思いますが、国籍によって参加資格が限定されることはないと考えていますが、この点について参考人から答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/186
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187・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
御指摘いただきました法案第六十二条の協議会でございますが、この協議会は、研究開発に資金を交付する関係府省の大臣が、その研究開発の内容や進捗、技術の特性などを踏まえまして、特定重要技術として官民の伴走支援を行うことが適当と認める場合に、研究開発のプロジェクトごとに研究代表者の同意を得て設けることを考えているところでございます。
また、協議会への参画、参加資格についてでございますけれども、特定重要技術の研究開発を推進する際には国際共同研究が必要となる場合も多く、知見などを有する欧米の大学や研究機関との連携を図るためにも、外国籍であるということのみをもって協議会への参加を限定すべきとは考えておらないということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/187
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188・浜田昌良
○浜田昌良君 プロジェクトごとということの答弁もございました。国際共同研究の重要性から、そういう限定も考えていないということもありました。
それでは、この特定重要技術として位置付けられまして、官民伴走支援の協議会が設置されることで、何をどのように支援するのか。協議会での守秘義務が掛かった共有情報の内容や社会実装に向けた研究開発の促進効果の具体的イメージについて、小林大臣から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/188
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189・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この協議会を設けることによりまして、まず各省庁が保有している研究開発に有用な機微な情報の共有が可能となる、これは先ほど申し上げたとおりです。
また、先ほど、木村審議官の答弁と少し重なりますけれども、各省から提供される情報の具体的なイメージとしては、例えば海洋センシング技術では、警戒対象となる不審船舶などの情報や海底資源の具体的な分布状況といった情報、また、衛星コンステの技術では、我が国の衛星運用体制や外国政府との調整状況、必要とされるセキュリティー要件などが想定されています。
また、こうしたこの情報の、機微な情報の提供に加えまして、例えば協議会では、必要に応じて規制緩和の検討ですとかあるいは国際標準化の支援を行うなど、潜在的な社会実装の担い手として想定される関係省庁や民間企業による組織の枠を超えた伴走支援を行うことも想定しているところでございます。
こうした支援を通じて、技術の研究開発、社会実装を強力に後押ししていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/189
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190・浜田昌良
○浜田昌良君 海洋センシング技術などの機微な情報の提供によってスペックがはっきりしてきますんでね、技術、研究開発が進むという効果もあると思いますし、また、それによって、規制緩和が進むことによって新たなブレークスルーもできるかもしれませんし、こういう国際競争の中ではいかに国際標準を取っていくかと、とても重要でございますので、そういう形でこの協議会を活用していただきたいと思います。
続きまして、六十三条の指定基金について質問移りたいと思いますが、指定基金による研究開発に関しまして、有識者会議の提言では、産業競争力強化法の第十七条、いわゆる日本版のバイ・ドール制度の適用、これ何かというと、普通、委託研究の場合は成果は国が持つんですけれども、今、民間のインセンティブのために成果を委託先に帰属させるというものでありますけれども、これを基本とすべきとされています。
しかし、過去、戦略的イノベーションプログラム、SIPでもやってみたんですが、結構、要素技術をそれぞれ国が、違う企業が持ってしまうと、なかなかうまくこの社会実装が進まないこともあるんですね。
そういう意味では、パテントプールという、共同の研究組合とかそういうところが持つことによって一括で管理するという方法もありますし、国際標準を取ろうと思うところによると、むしろ特許を公開しちゃうと、そうすると諸外国もそれを、同じ技術を使うことによってデファクトを押さえられるということもあるんで、これについてはいろんな在り方について幅広く検討すべきと思いますが、大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/190
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191・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 現在、その指定基金として想定している経済安全保障重要技術育成プログラムの研究成果についてですけれども、特許権の帰属あるいは扱いにつきましては、委員御指摘のとおり、その研究参加、研究への参画のインセンティブですとかその後の社会実装の在り方に大きく影響するものだと考えています。
したがって、いわゆるその日本版バイ・ドール制度の適用をこれは基本としつつも、これを必ず一律に適用するということではなくて、例えば委員御指摘の点も踏まえつつ、個々の技術について協議会において全ての参加者が納得する形で決定していくことが必要だと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/191
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192・浜田昌良
○浜田昌良君 是非、その技術なり社会実装の置かれている状況によりまして最適なものを選ぶようにしていただきたいと思います。
続きまして、六十四条の調査研究、シンクタンクについて質問を移りたいと思いますが、六十四条二項によりまして、特定重要技術の研究開発の促進及び成果の適切な活用を図るために必要な調査及び研究の全部又は一部を特定重要技術調査研究機関に委託できると、こうなっているわけですね。
当該委託によってどのような成果を期待しているのか、具体的例示をちょっと示していただきたいと思います。あわせて、本法においてこの調査研究機関を規定する必要性について、再度大臣から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/192
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193・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) このシンクタンクなんですけれども、その技術動向が常に変化し続ける中で、長期的視点からの継続的な調査分析の実施を可能とするために、今回法的に位置付けたものでございます。
この関係行政機関との連携のため、法律上、それらの関係行政機関が特定重要技術調査研究機関、シンクタンクに対して必要な情報の提供を行うことができることとするとともに、国内外の連携先との機微な情報の円滑な共有に資するよう、この役職員に守秘義務を求めて、また、求められる基準の一つとして情報の安全管理措置を的確に実施する能力を求めております。
このシンクタンクへの委託としては、国内外の技術動向、また社会経済動向、安全保障など多様な視点から、特定重要技術の研究開発の促進に向けた調査研究を行うこととなります。具体的には、まずは、この経済安全保障重要技術育成プログラムの実施に資する調査分析を中心に実施していくことを想定しておりまして、その結果は、これから政府が公募対象となる技術などを資金配分機関に示すこのプログラムのビジョンというものがあるんですが、そのビジョンの検討や、協議会による伴走支援を通じた課題選定後の個別プロジェクトの運営にも活用することを検討しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/193
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194・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣から答弁がございましたこの協議会によりまして、公募対象となる技術のプログラムのビジョンの提供というのもありますし、また、協議会による伴走支援を通じた個別プロジェクトの運営にも活用していくということでございました。
よって、そうすると、この今言った協議会とか、いわゆる基金による支援だとか、またそういう調査機関とか、そういうものの関係について、参議院でも次回、参考人質疑やるんですが、衆議院の参考人質疑でこういう議論があったんですね。
東京大学の准教授の佐橋亮さんからは、技術開発のための技術開発をしてしまうことが問題なんだと、今までこれが多かったと。これをなくすためには、まずは社会実装の方から計画をして、どういう技術が必要なのかという研究開発をすることという指摘もありました。
また、同志社大学名誉教授の村山裕三さんからは、こういう指摘があったんですね。順番としては、まず、シンクタンクによる重要技術の特定が先なんだと。その次に、協議会における技術シーズとニーズのマッチング。三番目には経済安保重要技術育成プログラムによる予算措置、つまり指定基金による研究助成ですね。四番目には社会実装。これ、社会実装というのは、実は政府と民間の開発スパイラル、これスペックがまた上がっていきますから、この順番が重要なんだということを衆議院の参考人の質疑でありました。
このことから、実は、若干、政府の施策は指定基金が先にできちゃっているんですね。シンクタンクは令和五年度になっちゃっているんですよ。ちょっとこれは、順番がちょっと逆になっているんですが、一部指定基金を使い始めるにしましても、やはりこの指定基金の支援は特定重要技術調査研究機関及び協議会がある程度整備されてから本格的に行うということが重要と考えますが、大臣から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/194
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195・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、浜田委員御指摘のとおり、指定基金による研究開発の支援というのは、明確な目的意識の下で具体的な社会実装に向けて実施すべきものだと認識しています。したがって、公募テーマの選定ですとかあるいはプロジェクトの進捗管理におきましては、シンクタンクによる調査研究の成果を適宜活用することを基本的には想定しております。
また、公募によって研究代表者などを選定した後に、ニーズを有している関係行政機関の関係者を交えてしっかりと議論を行い、プロジェクトのつくり込みをしていくことを想定しております。
これは、委員の御指摘の点というのは私も共有している部分もございまして、一方でこれは、なかなか難しいと思うのは、この先端的な重要技術というものに対して、主要国が国家戦略と掲げて、官民共同となって、公的な資金もかなり入れて、これしのぎを削っている状況が既にもうスタートしているわけであります。そこで、勝負、日本としても勝負をしつつ、この法案を通して、審議して成立させていただいて、このシンクタンクをつくって、これを同時並行でやっぱりやっていかなきゃいけない、そういう現実があることも御理解をいただければと思います。
ただ、いずれにしても、浜田委員御指摘の問題意識、また参考人の方々の問題意識、これをしっかりと踏まえて制度設計というものを丁寧に進めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/195
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196・浜田昌良
○浜田昌良君 特定重要技術について第六十条から第六十四条まで五条、それ順番に議論させていただきました。その理由は何かというと、この五つの条文をうまく連携させて作っていくというのはとても重要と、まあちょっと条文の間が空いている感じがしたものですから。よって、今後その基本方針を策定する際には、今日の質疑の結果も踏まえてしっかり作っていただきたいと思います。
続きまして、特許出願の非公開制度について移りたいと思います。
この非公開制度につきましては、機微分野については、世界の例を見ると、審査凍結型というのと特許付与型と二つあるんですね。それぞれの制度の概要、メリット、デメリットについて参考人からまずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/196
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197・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
御指摘ございましたように、諸外国の特許非公開制度には、大別いたしますと審査凍結型ないし手続留保型と呼ばれる形、すなわち非公開の対象とする場合には、特許手続を中断し、出願公開だけでなく特許付与の手続も留保しておき、非公開の状態が解除されてから手続を再開するというタイプの制度と、もう一つは、特許付与型と呼ばれる形、すなわち特許を付与した形で非公開にしておくタイプの制度があると言われているところでございます。
もっとも、例えば特許付与型に属するドイツの制度でございますけれども、これにつきましても、特許公報に公告されて初めて特許権が法的効力を生ずるという、そういう制度になっているところでございます。秘密指定中は公告されないために、実質的に権利を行使することができない、また、秘密指定中は発明の実施や開示の制限を受けることとなりまして、権利の制約という点において審査凍結型ないし手続留保型と大差がないというふうにも考えられます。
次に、双方のメリットとデメリットについてお答え申し上げます。
審査凍結型ないし手続留保型は、公開するまで特許を付与しませんので、公開代償の原則と整合いたします上に、特許の範囲を早々に確定することなく、非公開の取扱いを解除された後に、そのときの技術の情勢を踏まえて特許出願人が権利化の範囲を選択可能であるということをメリットとして挙げることができるものと考えてございます。
他方、権利付与型は、たとえ権利行使ができなくとも、早期に特許権として権利が確定する点がそれを望む特許出願人にとってはメリットと言うことができるものと考えてございます。
こうしたそれぞれの特徴がメリットとなるのか、あるいはデメリットとなるのかということにつきましては、個々の特許出願人によってケース・バイ・ケースでございますので、一概に評価することは困難だろうと、このように考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/197
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198・浜田昌良
○浜田昌良君 今御答弁ございましたように、審査凍結型、手続留保型と言うらしいですけれども、これはアメリカ、イギリス、フランス等がこれを選んでいます。で、後段の特許付与型というのは、今例がありましたドイツ、ロシア、イタリア等が選んでいるわけですが、そこで大臣にお聞きしたいと思うんですが、この二つのタイプがある中で、我が国として前者を選んだ理由についてまずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/198
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199・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案の中で手当てしているこの非公開制度につきましては、審査凍結型ないし手続留保型のタイプに属するものと考えております。ここで、この制度は特許審査を完全に凍結するのではないんです。これ、特許査定や拒絶査定といった終局判断、最後のその判断は留保するんですけれども、審査手続を行うことは排除しておりません。したがって、この法案の中での立て付けは、出願人の方が求めれば査定の手前まで特許庁の実体審査を進めることが可能であると、そういうふうになっています。
その上で、こうした審査凍結型の制度を採用した理由は二つありまして、一つは今、木村審議官から答弁あったとおり、我が国の特許制度がいわゆる公開代償の考え方に基づくこととの整合性というのがありまして、もう一つの理由としては実務上の要請なんです。
例えば、有識者会議の議論でも、技術自体が刻々と変化していく中で特許請求の範囲をそのときの状況に合わせて補正したいというニーズ、こうしたニーズを踏まえますと、実務的には特許付与を留保する枠組みとした上で、保全の解除後、一定期間内に審査請求すれば審査してもらえるという制度の方が使いやすい、実務上使いやすいという、そういう意見が述べられております。
また、この有識者会議の提言でも、公開の代償として独占的な権利を付与するという我が国特許制度の本質に鑑みても、その実務的な使いやすさという観点からも手続を留保する制度を導入するべきであるというふうな提言をいただいたことを踏まえましてその審査凍結型を選んだということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/199
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200・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣から、我が国の元々、元来の特許制度が公開代償という精神に貫かれていると、これに合うのが前者の審査凍結型であるという点と、技術は進歩しますし、技術の補正がするということもしやすいという実務上の理由ということがございました。そういう意味では我が国に合ったものだと思っています。また、この分野にも合ったものだと思っています。
また、我が国のこの今回の特許出願非公開制度の特色として、諸外国と異なりまして、保全審査、第二次審査の保全決定前に出願人の意思確認を行いまして出願手続を離脱するという機会を設けたと、これ特色だと思います。なかなかほかの国では見当たらないと思うんですが、これを設けた理由についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/200
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201・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この非公開制度というのは、特許出願をすれば、一定期間経過後、一年半経過後には一律に出願内容が公開されるといったことを踏まえまして、特許出願があった場合に限って、特許出願を留保するとともに、実施の制限や開示の禁止といった制約を課すものです。
こうした制度であるにもかかわらず、本来、発明者にとって利用も開示も自由であった発明につきまして、特許出願をしたがゆえに一方的に国から保全指定されるかもしれない仕組みとするのは、特許手続に伴う規制として過度な面があるのではないかと判断しました。また、出願人にとっての予見性を欠くことにもなって、ひいては我が国の経済活動やイノベーションにネガティブな影響を及ぼしかねないとも考えました。
したがって、経済活動やイノベーションとの両立、この観点を重視いたしまして、意思確認の手続を設けることによって手続からの離脱機会を付与するものとしたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/201
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202・浜田昌良
○浜田昌良君 元々この法律では五条で、合理的な範囲ということで、経済の活動の自由、またイノベーションを進めていくというところとの両立がとても求められておりますので、その観点からこういう規定を設けられたんだと理解をいたしました。
これ最後の質問になるかもしれませんが、この六十六条の特定技術分野の定義、「公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明」と書かれているわけですが、一方、有識者会議では、安全保障上極めて機微な発明と、こういう表現を使われていることが多かったんですね。その関係はどうなっているんでしょうか。また、安全保障上極めて機微な発明とは何を基準に判断していくのか、小林大臣に最後にお聞きして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/202
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203・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この六十六条第一項の国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明という文言は、例えば我が国に対して用いられれば重大な被害をもたらすような技術を念頭に置いているものでございまして、今委員おっしゃった有識者会議の提言にある我が国の安全保障上極めて機微な発明と同義の概念として用いています。
また、判断基準についてでございますけれども、特許出願の非公開制度は、安全保障上機微な発明であっても特許出願されると一律に公開されるという問題に対処し、機微技術の拡散を防ぐことを目的とするものである一方で、民生分野で幅広く活用されて発展していくことが期待される技術を非公開の対象とすると、我が国の経済活動やイノベーションをかえって抑制して先端技術の誕生や発展を阻害することになりかねないと。したがって、この法案では、保全指定の対象となる発明を公にすることにより外部から行われる行為によって国家国民の安全を損なう事態を生ずるおそれの程度、そして発明を非公開とした場合に産業の発達に及ぼす影響などの事情の総合考慮によって判断するということを条文上明記しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/203
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204・浜田昌良
○浜田昌良君 是非、その定義をしっかりまた次回の委員会以降で追加質問させていただきたいと思います。
終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/204
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205・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、比嘉奈津美君が委員を辞任され、その補欠として宮島喜文君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/205
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206・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
前回、このやり取りの中で、主に重要物資の安定供給についてということでやり取りをさせていただきました。前回質問し切れなかった部分がありましたので、今日はその点について大臣と質疑、やり取りをさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
まず、前回、私の方から何点かこの点で御質問をさせていただいた際に、一つ確認としては、この認定を受けるのはあくまでも事業者側の判断でということについては、明確にその御答弁もいただきました。また、そのサプライチェーンの強靱化という観点においては、国内回帰なのか、それともブロック経済的なそうした仕組みを用いていくのかという点についても、それはそれぞれが一つ一つの考え方であって、ベストな、国内がベストだとすればその判断だし、違う形が、多様化するのがベストだとすればその判断だということで、一概に決めるものではないと、こういったお話も大臣からいただいたところであります。
そこで大臣にお伺いしたいのは、あくまでも事業者側の判断でこうした取組をしていくわけでありますけれども、やはりそこにはどうしても経済合理性とのバランスというのが必ず出てくるんだというふうに思います。
どうしても国内、やはりこの点については我が社としては国内に事業所を置いておくべきだというふうに判断をすれば、例えばその原材料の調達、輸送ルート含めて少し遠回りなものになってしまったり、あるいはコストが掛かってしまったりということもあり得るかというふうに思います。その意味では、必ずしも企業の合理的な、通常で行う合理的な判断とは違う判断を行うことも必要になってくるということからすると、結果として、こうした認定を受けて計画を立てた企業の競争力については不利な状況になってしまうということも予想がされます。
そうしますと、そのような状況の中でこの事業者が供給確保計画の認定を得ようという判断をしていくためには、やはりそれなりのインセンティブがそこにはなければいけないのではないかなというふうに思います。そうした相当の支援が必要と私は考えますけれども、大臣の御認識を確認したいのと、あわせまして、実際にそうした対応を行うことによって生じてしまう不利益に対してはどのような支援措置を考えられているのか、この二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/206
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207・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
委員の今の指摘された問題意識というのは、私、共有しておりまして、今二点というふうにおっしゃいました。まとめてお答えさせていただきたいんですけれども、当然、当然というか、場合によっては、そのサプライチェーンを強靱化していくに当たって、何もなければやはり新たにその国内生産基盤をつくったり、あるいは供給源を多角化していこうとするとコストが増えるというケースは往々にしてあるんだろうと思います。
ただ一方で、これはこの四本、法案の中での四項目の中でも支援措置でございます。企業に対して国が何か指示をして、この物資が重要だから、あなた作れるんだから作ってくださいというふうに何か無理やりお願いするものではなくて、あくまで、やっぱり企業の皆さんというのは経済合理性に従って動かれるということが基本だと思っておりますので、今、先ほど委員が御指摘されたインセンティブ、これが重要だと、自発的なその取組を促すインセンティブが重要だと思っていますので、そうした立て付けにしております。
ただ、相当の支援というふうに委員がおっしゃいましたけれども、この相当の支援というのがどれぐらいの支援か分かりませんが、これはやはり物資の特性ですとか事業者の取組の内容によって、これはなかなか一概に申し上げることは難しいです。
ただ、この主務大臣が特定重要物資ごとに作成する安定供給確保取組方針におきまして、取組を行うべき期間ですとか期限を定めます。また、その取組方針の作成に当たっては、あらかじめ財務大臣などと協議を行います。そして、事業者から供給確保計画が提出された際には、取組の実施体制、そして必要な資金の額、また資金の調達方法が適切なものかどうかというのを見定めるということとしておりまして、この特定重要物資の安定供給確保に向け、政府全体で適切に対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/207
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208・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今の大臣の御答弁の中で、その支援の中身についてしっかりと見定めるというようなお話もありました。そうしますと、事業者からのそうした計画が出てきた際には、政府としても、そこに書かれている計画とその支援をしてほしいんだという中身、そこについてはしっかりと精査をした上で、まさに事業者としっかりと話し合った上で最終的に決定をしていくという、こういうプロセスを取っていただけるという、そういう認識でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/208
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209・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) そこは、この法案全体に通じる概念として、考え方として、やはり民間事業者とのコミュニケーションを丁寧に取っていくということがございますので、この物資の所管大臣とその事業者との間でそこは丁寧にコミュニケーションを取って、その提出された計画の中の資金の額が適正なものかどうか、こういったものを対話の中で、対話を通じて見定めていくということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/209
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210・礒崎哲史
○礒崎哲史君 是非、事業者にとっても納得のいく、そうした形、プロセスをつくっていただきたいと思います。
続いての質問になりますが、若干細かい質問になりますけれども、このサプライチェーンの強靱化というものを考えていったときに、どこまでをリスク評価すればいいかという観点の質問になるんですが、例えば、すごくもう独自の技術を持っている企業があったとしたときに、結果としてその一つの企業に同業の多くの企業が注文をするということになったというふうにした場合に、その一企業に何か、何らかのトラブルが発生すると、同業の多くの企業が、結果的にはサプライチェーンに大きな穴が空くといいますか供給ができなくなる、ひいては商品、製品が世の中に供給できなくなるということで、経済的に大きな影響、産業界全体にも大きなダメージを生ずることになろうかというふうに思います。
こうした特定の企業に過度に依存しているようなサプライチェーンができ上がってしまっているというようなことがあった場合には、この点のリスクに関しては政府としてはどのように考えられるでしょうか。
ちょっと一例、私がなぜこの質問をしたかというと、東日本の大震災の際に、茨城にありますルネサスという、今大きくうなずかれていますけれども、ルネサスのその半導体の那珂工場が被災をし、結果としては、自動車メーカーの多くがルネサスのその那珂工場で作っている半導体を搭載していたということで、結果的には日本全国にある自動車メーカーの生産ラインが止まってしまったというようなことがありました。
結果としては、各自動車メーカーが多くの技術者をその工場の被災を復旧工事をするために、何百人、場合によっては、延べでいったら多分何千人も超えていたと思います。何万人かもしれません。それだけの規模で人を送り出すことによって、想定よりも、数か月は掛かりましたけれども、工場復旧を果たすことができて、最終的には自動車の生産ラインがまた数か月後には動かすことができたということにつながっていくわけですけれども、実際こういう実例がありましたので、まさかこの東日本の震災でうちの工場が全部止まるとはというのが多分自動車メーカーの考えだったと思うんですね。
ですから、まあこういったことも教訓の一つとして、今言ったような例を考えたときに、一つにサプライチェーンが実はつながっていたんだ、このリスクに関しての評価はどのように捉えられているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/210
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211・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、礒崎委員が冒頭、細かい話かもしれませんがとお断りされましたけれども、非常に重要な論点だと思っていまして、ルネサスだけではなくて、最近でも、その半導体関連の企業の工場が様々な理由で、火災とか様々な理由で停止してしまったときに、かなりその影響というものが拡大したり、そういう事案も含めると、その供給途絶リスクにつきましては、有識者会議におきまして、市場や技術の動向次第では将来的に他国に依存してしまって供給途絶リスクが生じる可能性も念頭に置くことが必要であると指摘をされていまして、それを踏まえて法案の中では将来他国に依存するおそれもリスク評価することとしています。
具体的には、各国が先端技術開発に重点的な支援を行っていますけれども、その中で、将来的に我が国の技術優位性を失ってしまうリスクですとか、技術的ブレークスルーがあって、そしてサプライチェーンの構造が根本的に変わってしまって、その部素材などを他国に依存せざるを得なくなってしまうリスク、こうしたことも想定されるので、他国企業との競合の状況ですとか他国政府の技術開発動向なども幅広く見て、踏まえて評価する必要があると考えているんです。
その中で、委員御指摘の、国内のその特定の企業に依存した場合に関しましても、その当該特定の、国内の特定の企業が有する優位性というものが各国との技術開発競争などの中で失われてしまうリスク、これも当然想定できますので、そういうリスクも含めて我が国のサプライチェーンの在り方について常にリスクを評価、点検しておくことが重要だと考えておりますので、委員の問題意識は共有させていただいていると捉えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/211
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212・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今日の質疑もそうですけれども、先ほど来、その日本の強みを生かしていくということで、優位性ですとか不可欠性ということの重要性がお話をされています。私も確かにその二点は大変重要だと思います。
日本が海外との様々な経済的なそういった競争をするという観点において、日本が不可欠性を持っているということは大変重要なんですけれども、事日本の中だけを見たときに、ある特定の企業の不可欠性が際立ってしまうと、それが実は優位性、強みではなくて、逆にそれがリスクになるということだというふうに思います。
これに関しては、今一例ということで挙げましたが、この例として先ほど挙げましたルネサスの場合は自然災害ということでありましたので今回の経済安全保障の考え方としては適用外という観点になるのかもしれませんけれども、様々な観点で、それこそ企業は今BCPを作って対応していく、いろいろな観点で対応していく、それこそサイバー攻撃への対応ということもいろいろ取っていくと思うんですが、その中で、うちの企業のその不可欠性を考えたときに、全体に対しての影響ということを踏まえたときに、どこまでをこの経済安全保障というくくりで考えていけばいいのか。
どこと取引しているという情報もある意味機微な情報、企業秘密にもつながりますので、簡単に公にして情報共有できる内容ではないとは思いますけれども、是非、こういった観点も、今後経済安全保障を考えていく上では一つ重要な観点になろうかというふうに思いますので、是非、大臣におかれては、今認識の共有ということではしていただいたと思いますので、こうした点でも検討も進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それから次に、前回、この重要物資の質問をしたときに、蓄電池について御質問をさせていただきました。その際には、この蓄電池に使用するコバルトがコンゴ民主共和国で取れていて、それの埋蔵量ですとか生産量が共に世界一。ただ、コンゴに関しては、児童労働等の話もあって、非常に人権デューデリジェンス上のリスクがあるという、こういったお話をさせていただいたんですが、もう一点、このコンゴ民主共和国のカントリーリスクという観点では、今申し上げましたとおり、埋蔵量とそれから生産量も世界一ということで、地域的に非常に限られているということ、これそのものがリスクになるというふうにも従来から言われています。
こうした限られた国からしか入手できないような物資については、安全保障上どのようにリスク評価を行っていくのか。また、できればそれの代替物資の開発、こうしたものも当然考えていかなければいけないと思うんですが、仮にそういった安全保障上、代替物資の開発をしていくといったことに対しての支援というものは想定されているのかどうか、この点について確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/212
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213・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員が御指摘されたような供給源が特定の少数国に偏っている物資につきましては、国民生活や経済活動にとって重要か否か、また他国からの代替供給確保が容易なのかどうか、また今、最後に御指摘いただいた代替物資が存在するのかどうか、こうした観点を踏まえまして、供給途絶時に国家国民の安全を損なう事態を生じさせ得るか否か、これを総合的に勘案しながらリスクを評価していくことになります。
また、特定重要物資に指定された場合には、物資の特性に応じまして、供給源の多様化、備蓄、また生産技術の開発、こうした多様な支援を行うことを考えておりますけれども、支援の選択肢の一つとして、今御指摘いただいた代替物資の開発支援、これを行うことは想定しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/213
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214・礒崎哲史
○礒崎哲史君 これから第四次産業革命という時代の変化の中において、新たなやっぱり科学技術開発していく、新たな商品を作っていく際には、こうしたレアアースと言われるこういった重要鉱物も引き続き使っていくことになろうかというふうに思います。是非、こういった支援にも政府としても力を入れていただきたいというふうに思います。
今、蓄電池ということで例でお話を申し上げたんですけれども、もう一つ、この観点でお話をさせていただくと、この蓄電池の市場というものが今後どうなっていくかと。これ、予想をいろいろなシンクタンクですとか研究機関出していただいているんですが、今後十数年間で何十倍という、そうした市場規模の拡大というものを予想しています。
そうしますと、先ほどのコバルトだけではなくて、ほかにもこの蓄電池で使っているレアアースの生産量がそもそも市場の成長スピードに追い付かないのではないか。さらに、その先も見ると、実は地球上で保有している埋蔵量そのものが市場規模と釣り合っていないのではないかと、こういう試算も出てきます。そうすると、これまでのように、重要物資、そのサプライチェーン等で安定的に供給、多元化、いろいろなところから入手をするという範囲ではもう追い付かなくて、そもそも地下資源の枯渇ということも含めてこれ考えていかないといけないかもしれない。
とすると、地下から掘り起こせないのであれば、今目の前にある既に使っている製品の中から再利用していくということで、リサイクル、こういった観点も非常に重要になってくるというふうに考えるんですけれども、今回のこの経済安全保障の観点の中、このサプライチェーンの強靱化の中で、こうした資源回収という観点についても検討がなされている、これの適用範囲に入っているのかどうか、その点について確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/214
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215・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この安定供給の確保という意味では、物資の特性に応じて様々な民間企業による取組を、多様な取組を支援していくということになっておりますが、例えば、今御指摘いただいたように、リサイクルを通じて資源回収を図ることが特定重要物資あるいはその原材料の安定供給確保を図るための取組として効果的であって、また事業者による取組が行われると見込まれる場合には、そうした取組を支援することを通じて安定供給確保を図っていくということは想定されるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/215
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216・礒崎哲史
○礒崎哲史君 なぜ今この質問をさせてもらったのかというと、もちろん今お話ししたような背景があるからではあるんですが、既に、ヨーロッパや各国の動きを見ていますと、特にヨーロッパが顕著ですけれども、欧州グリーンディールといったような全体的な方針、こうしたものが既に示されていて、その欧州グリーンディールの中にいろいろな具体的な施策があって、その中に循環型経済政策、サーキュラーエコノミーという言い方をしますけれども、こうした観点が入っています。
そのサーキュラーエコノミーの行動計画の中に更に蓄電池に関するという部分がありまして、その中に、まさに今私が申し上げたような、将来的なレアアース含めたものの枯渇に対してしっかりとヨーロッパ域内でその材料そのものが循環できるようにしていく、これはもうまさに経済の観点からそうしていくべきだという、こういう計画を既にヨーロッパなんかは作って取り組んでいるわけですね。
仕組みとしては、海外からEU域内に持ち込まれたものに関しても、既にコバルトについては何年の時点で何%回収をするんだ、さらに、その回収したものの中から何%を再利用して製品化していくんだという、何年に何%という具体的な目標値まで既に目標値として作っているというのが欧州の今のやり方です。つまり、自分たちの域内に入ってきたものは外には出しませんよというこういう仕組みですよね。こうしたものをサーキュラーエコノミーの行動計画ということで既に作られているということがあります。
で、日本でもやはりこういった観点で全体の計画というものを作っていく必要があるのではないかな。特にこの自動車の観点、さっきの蓄電池の話でいけば、今でも電気自動車、日本の中で走っている車は普通に輸出できるんですよね、中古車は。海外にどんどん今出せる状態になっています。で、実際に出ていっています。そうすると、各国は既に囲い込みの動きが始まっているのに、日本はいまだに普通に輸出ができる状態になっているというものは、既に動きとしては遅いのではないかな。
しかも、それを、じゃ、産業が自主回収するようなシステムを産業だけでつくれるかといえば、やはり無理だと思います。そこは、政府として、うまくリサイクルが進むような仕組みというものを政府として考えていく必要が私はあるというふうに思っているんですけれども、この点についてお考えあればお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/216
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217・木原晋一
○政府参考人(木原晋一君) お答えします。
委員御指摘のとおり、欧州では二〇二〇年三月に新循環経済アクションプランを発表しまして、蓄電池・自動車を始め、電気・電子製品、包装、プラスチック、繊維、建設・建物、食料・水という七つの主要製品を特定しております。このアクションプランでは、リサイクル性、耐久性、修理可能性等の製品の持続可能性要件や拡大生産者責任制度の導入など、欧州市場に排他性を持たせるとともに、資源の安定供給確保も視野に入れた経済安全保障に関わる措置を導入することとしています。
日本の循環経済政策としましては、経済産業省において二〇二〇年五月に循環経済ビジョン二〇二〇を策定しまして、一つには、廃棄を前提に製品を製造するのではなく、リユース、リサイクルに適した設計や、二つ目に、耐久性や修理可能性を確保する観点から長期使用可能な製品、サービスを設計すること、こういった循環性の高いビジネスモデルの例として示しまして、欧州のアクションプランを踏まえた対応を促しているところでございます。
経済産業省としては、こうした循環経済をめぐる国際的な状況や市場の変化に対応しまして、更なる成長の機会にできるように、引き続き循環性の高いビジネスモデルの構築を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/217
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218・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 循環経済を推進していくということは、限られた資源の安定供給を確保していくということにつながっていくことだと思っていまして、それはすなわち他国への依存の軽減に資することにもなりますので、経済安全保障上重要な取組だと認識しています。
こうした社会全体の取組というのは、個々の一企業の取組では実現が困難であって、やはりビジネスモデルの転換が必要になってきますので、やはり政府がビジョンを示して進めていくことが重要だと考えています。
今、経産省から二〇二〇循環経済ビジョンの御紹介ありましたけれども、経済安保の観点からも循環型経済政策を担当する省庁と必要な連携を図ってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/218
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219・礒崎哲史
○礒崎哲史君 経産省の方とは以前から実はこの点、私、話はしていて、取り組んでいただいていることは存じ上げてはいたんですけれども、やはりもっとスピード感を持って取り組んでいかないといけないのではないかなというのが私の危機感です。
今、大臣からもお話をいただきましたけれども、是非この点、一企業ではなくて、全体としてやはりシステムつくっていかないと追い付かないところがあろうかと思いますので、この辺は是非大臣の手腕を発揮をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
今、その観点でお話をさせていただきましたが、そうしますと、実は循環経済、サーキュラーエコノミーだけではなくて、今のこのカーボンニュートラルの取組そのものが、実は大きな観点でいくと、こうした経済安全保障の観点にも関わってくるのではないかなというふうに思っています。
先ほど欧州の事例ということでお話をしましたが、アメリカの方でも同じような動きはやっぱり取られていまして、バイデン大統領就任をして、その後すぐにサプライチェーンの大統領令、百日間レビューというのを行いまして、その中でも、特にバッテリー分野というところでもその百日間レビューというものを実際にやりまして、このままでは政府、政策の介入がないと米国は必要な生産能力が将来的には確保できなくなるということで、国家投資をしてサプライチェーン上の影響力を大きくしていく必要があるんだという、こういう結論もそのレビューの中で確認をし、結果として、その後、アメリカでいきますと、十七兆円の米国製EV大規模支援とかですね、あるいは、超党派のインフラ法案が出されて、六十億ドル、六千六百億円のそうしたリサイクルを含む方向性の法案も提出されると、こういったところにも至っております。
このサプライチェーンをつくっていくという意味では、今後、このカーボンニュートラルも実は、やはりCO2をいかに削減させていくのか、地球温暖化ガスを削減していくのか、こうした観点に取り組んでいないと、あなたのところとはもう商売しませんよというようなことも当然なっていきますし、既にそういうふうに明言をしている企業も出てきています。あのアップル社なんというのは確かにそういうことをもう明言していたというふうに思います。
つまり、このカーボンニュートラルは、地球温暖化を少しでもスピードを遅めていこうと、これを防いでいこうという環境面の動きであるとともに、新しい経済市場をつくっていく、あるいは、もっと違う言い方をすれば、新たなゲームルールをそこに持ち込むことによって経済的な優位な環境をつくっていくというような、ゲームチェンジという言葉もよく使いますけれども、そうしたことにも使われているのがこのカーボンニュートラルの要素だというふうに思います。
是非、このカーボンニュートラルという大きな取組の中でも、経済安全保障という観点も含めて取り組んでいただく必要があるのではないかなというふうに思いますが、この点についての大臣の御所見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/219
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220・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今、日本だけではなくて、世界各国がカーボンニュートラル社会を目指して進んでいます。足下で一部欧州がエネルギー源の位置付けをもう変えてみたりといろいろ動きはあるので、そうした様々な状況に目くばせしていく必要はあろうかと思いますが、そうした大きな流れの中で、産業、インフラ、運輸、家庭など多様な部門におきまして、非連続なイノベーションが起こって、新たな新しいシステムや素材が導入されていくことになりますから、広く国民生活、経済活動が依拠している重要な物資、またその原材料も含めて、サプライチェーンが大きく変化していくことも考えていかなければならないと思います。
したがって、その将来的に重要な物資やその原材料が他国に過度に依存することがないように、カーボンニュートラルのような、もうこれ社会経済システムの変化の大きなトレンドですから、こうしたトレンドをしっかりと捉えて特定重要物資の指定を行い、その原材料も含めて安定的な供給確保を図ってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/220
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221・礒崎哲史
○礒崎哲史君 カーボンニュートラルの計画そのものも、まだそれぞれの産業でもいろいろと今後計画を立てていく段階ではありますけれども、是非この観点、今言ったような経済安全保障の視点も含めて、大臣にもこの点についてはリーダーシップを発揮をいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。
時間的に多分これで最後の質問になると思いますが、先端的な重要技術の開発支援の観点で一問質問させていただきたいと思います。
この六十一条の文章の中で、この研究開発の促進及びその成果の適切な活用を図るために、その後わあっと行ったところで、人材の養成及び資質の向上その他の措置を講ずるよう努めるものとするとありますけれども、わざわざこの法律の六十一条のところで、この人材の育成面という観点、直接これ触れられています。なぜここで触れたのかというのがちょっと疑問にあったものですから、現状におけますこの人材面での課題認識が何なのか、では、その改善のために具体的にどのような方針を持って臨まれるおつもりなのか、この点についての確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/221
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222・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) やはり先端的な重要技術の研究開発、これは繰り返し申し上げますけれども、やはり各国がしのぎを削って今国家戦略として位置付けて勝負をしている、そういうものです。したがって、特に将来の社会を大きく変革し得る技術の開発につきましては、それを担う人材の確保と育成が重要であるというふうに考えていまして、その意味で、この技術、官民協力のパートに、第六十一条として、この今委員がおっしゃった人材の言葉を規定させていただきました。
この開発支援の対象としているAIや量子、まあそれだけではないですけれども、先端的な技術分野につきましては、また国際的な人材の獲得競争というのが非常に激しくなってきていますので、我が国としては、次世代の社会変革を導く、特に若手の研究者ですとかあるいはスタートアップ企業にとって魅力的な環境を整備することが急務だと考えます。
また、協議会、この法案の協議会においては、その若手の研究者やスタートアップの方が参画しやすいような、飛び込んできやすいような間口を備えた制度として、政府あるいはシンクタンクの支援を受けられるようにするとともに、この枠組みに参画することで、例えばそのキャリアパスの一環として学会で高い評価を得られるような環境づくり、これもすぐにできるわけではない、一朝一夕にできるわけではないと思いますけれども、しっかりとこれは着実に進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/222
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223・礒崎哲史
○礒崎哲史君 残りの質問については次回やらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/223
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224・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりでございます。
今日、この経済安全保障ということに対しての明確な定義がしっかりと定義されているのかいないのか、こういったような議論もあったかと思います。そういった中で、大臣の答弁お聞きしていて、やはり国益を経済面からしっかりとここは確保していくということであろうと、もちろんもっと広い範囲で言われるべきものであろうということでしたが、私の中では大臣が思っておられる定義というものが一定理解をできたかなというふうに思っております。
私自身も、この法案を読み進めていく中で、この経済安全保障というのは、やっぱり経済活動を通して、国家それから国民の安全を維持していく、確保していく、こういったことなんだろうということを念頭に置きながらこの法案を読み進めていたわけでございますけれども、やはり今最近思うところが、やはり世界が本当に激変をしているなと、いろいろな面から激変をしている、そういったものを肌で実感をしているということだと思います。
この新型コロナウイルスもそうです。これが蔓延して、世界中が感染対策を強いられている。しかも、この対策がいかに脆弱であるかということを私たちは突き付けられているということがずっと続いているわけです。
また、このロシアのウクライナへの侵攻、軍事侵攻ですね、こういった略奪や蛮行、本当にこれを報道等でも目の当たりにしているということで、今まで私たちはそういったことがなかなか想定できなかったといいますか、そういったことが実際に起きているということで、一体この現状を見ても、私たち、この国際ルールというのは一体何なのか、機能しているのかと、こういったことを今突き付けられているんだろうというふうに思っています。
グローバル化の速度というのは本当に国際環境を大きく変化させていますし、先端技術の開発によって人々の生活を豊かにする一方で、その技術を使ってテロですとか大量破壊兵器、こういった転用、また光と影を本当に投じる結果ということになってしまっているわけです。
ただ、これ私たち憂えてばかりいるわけにはいかないというふうに思います。我が国は、他国との協調を強めて、お互いに依存すべきところは融通し合いながら、社会経済や、そして科学技術についても研究はずっと重ねてきたというふうに認識をしています。と同時に、国際社会におけるこの安全保障についても、緊張感を持って一定対応してきているというふうに私は思っております。
この本法案を検討するに当たって、やっぱり重要なことというのが、何が脅威なのか、それからまた、その脅威を排除するために何をすべきかと、こういう視点を常に持って見ていくということなんだろうというふうに思っています。
やはり、この特定重要物資ですとか、またサプライチェーン強靱化、基幹インフラ、官民技術協力、こういった言葉、今日もたくさん出てきて、いろいろな議論がされておりましたけれども、一つ欠けてもやはりこれは強い経済を維持することはできないと思いますし、今こそこういったことを対策しっかりと次世代につなぐためにやっていかなければならない。大臣も一歩前進なんだと、これが全てではないというふうな答弁も今までもされてきていられるかと思います。そういった思いで是非この質問に対して御答弁をしていただきたいと思うわけですが。
二〇二一年、昨年の九月二十四日、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの四か国協力の枠組みのいわゆるクアッドで、ワクチン、気候変動、半導体の各分野で連携していくということがアメリカのホワイトハウスでの首脳会議でも確認されたと思います。
このクアッドは、先ほど申し上げた四か国の首脳などによって安全保障や経済を協議する枠組みであるということなんですけれども、その当時の、二〇〇六年、当時の安倍総理が提唱して、その後、菅総理、そして今年の三月三日には岸田総理がテレビ会談を行うということで、国家を挙げてこの国際協力の枠組みの構築を進めてきたという経緯がございます。小林大臣におかれましても、大臣になられる前から経済安全保障については取り組まれておられたと思います。
そこで、大臣に質問なんですけれども、特に今回の法案の中でもこの半導体ではサプライチェーンづくり進める方針も打ち出されてきましたけれども、この本法案が成立したとき、国際協力の中で日本が果たす役割について、本法案を所管する大臣として、経済安全保障の何を具体的にどう推進していきたいというふうにお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/224
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225・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員から触れていただきましたけれども、国益を経済面から確保する、その国益とは何ぞやということで幾つか申し上げているんですけれども、そのうちの一つが、基本的な価値やルールに基づく国際秩序を維持、擁護、強化することということを申し上げています。
したがって、経済安全保障を確保するためには、今申し上げた国益の実現に向けて取組を強化することが重要であって、我が国として、日米、また委員が御指摘のクアッド、あるいはG7、こうした様々な枠組みを活用して取組を行っていく必要があると考えます。
昨年九月のクアッドの首脳会談におきましては、いわゆるFOIP、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて様々な分野で協力を進めていくことで一致をしまして、その中で、半導体を含む重要技術、また物資、このサプライチェーンの強靱化に向けても連携していくことで一致したと認識しています。
経済はグローバル化をして、社会もDX化が、デジタル化が進んでいくと。そういう産業構造の変化を背景として、当然サプライチェーンの多様化も進むと。我が国のみで、もちろん我が国としてどう考えるかということが重要ではあるんですけれども、全て我が国だけで安定供給を図るということはなかなか難しい局面もあろうかと思っておりますので、国際連携を図っていくことが重要です。
したがって、この法案の実施を含めて、まだ、このサプライチェーン、法案が通っていない段階なので、何をこの特定重要物資として指定をするかということは予断を持って申し上げられませんけれども、今委員がおっしゃった同盟国や同志国との連携を強化していくことは極めて重要だと思いますし、こうした国との連携をより意義のあるものとしていくためにも、まず日本自身が自分、自らの経済安全保障の基軸というものをしっかりつくっていくことが必要だと。それがなければ、逆に言うと、連携と言いながらも結果として見ると追随となりかねない、そういう状況が生じかねないというふうにも思っておりますので、そこの他国との関係を大切にしながらも、まずは自分自身の考え方を固めていくと。総理が国家安全保障戦略、新たな戦略を作っていくと言っておりますので、その中で経済安全保障の視点をどう位置付けていくのか、極めて重要な課題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/225
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226・高木かおり
○高木かおり君 大臣、御答弁ありがとうございます。
おっしゃるとおり、やはり日本の経済安全保障の基軸というものをしっかりしないと、やはり対諸外国に対してもしっかりと自分たちの自国の状況、理解をしていただいて、国際連携がうまくいかないというようなことも想定されるわけですから、やはりこの国際協力の中で、もちろん日本が果たす役割というのはしっかり果たしながら、担いつつも、やっぱり自国の国益というものをしっかり経済面から確保をしていくと、これがこの経済安全保障推進法案の肝であるのかというふうに理解をしております。
それでは、次の質問に入らせていただきたいと思いますが、我が国の経済活動を貿易という視点でどのようになっているのか、こういったことをお聞きしていきたいと思います。
原材料の調達や企業活動から明らかにしていきたいと思いますけれども、まず、この重要物資について、この部分、ほかの委員からもこの重要物資についてはいろいろな指摘もされてきたわけですけれども、まず、この今の我が国の輸入依存度、それから輸出依存度、その一部を少し御紹介をしますと、財務省の貿易統計など、各統計いろいろと調べてみますと、我が国は生活で欠かせない多くの資源を輸入に依存しているということなんですね。これは皆さんも御存じかと思います。
例えばエネルギー資源なんかでは、原油は中東諸国から七割、それから石炭、オーストラリアからこれは六割、液化天然ガス、これに限っては九七・八%と、ほぼ一〇〇%に近いというようなことで、そのほかにもいろいろ鉄鉱石ですとかほかの資源もたくさんあるんですけど、多くのものが日本の国は輸入に頼っていると、この輸入依存度が大変高い国であるということをまず私たちは認識をしなければいけないというふうに思います。
内閣府の統計によりますと、資源を持たない我が国にとって、本当にこの必須輸入品である食料品、この食料安全保障という観点もありますけれども、食料品や原料品、先ほどから申し上げている鉱物ですとか、こういったことも輸入超過、そして機械類を中心とした製造業部門の輸出超過によって賄う構造というのが、これがもう日本の国で定着をしてしまっているというような状況であると認識しています。
そこで、質問を改めてしたいと思いますが、政府においてこの重要物資として想定している品目について、我が国の輸出依存度、輸入依存度、それから主要商品別輸出入額、これらについて御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/226
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227・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) ありがとうございます。
ただいま輸入依存度についての御質問を賜りました。
本法案において具体的にどのような物資を特定重要物資に指定するかにつきましては、先ほど大臣から答弁させていただいたとおり、予断を持って現時点でお答えすることはできませんが、その上で、現時点でイメージを持って御審議をいただくという観点から、そのサプライチェーン強靱化における先行的な重点項目として、昨年の骨太方針二〇二一、これにて示された項目、すなわち半導体、電池、重要鉱物、医薬品について、幾つか的を絞って状況を説明をしたいと思います。
まず、半導体につきましては、これは産業連関表のデータを用いて算出をしておりますけれども、国内総供給額に対する輸入額というところで輸入依存度というふうに定義を示した場合は輸入依存度は約八割、そして輸出額が三兆六千億円、輸入額が二兆八千億円、約でございますが、となってございます。
それから、電池につきましては、半導体同様に産業連関表のデータを用いたとして、先ほどと同様に算出をいたしますと、輸入依存度は約二・五割、そして輸出額が約五千二百億円、そして輸入額が約二千二百億円となっております。
また、重要鉱物のうちレアアースにつきましては、これは貿易統計等々からデータを出しておりますけれども、そのほぼ全量を、委員御想像のとおりでありますけれども、海外からの輸入に依存をしているということを踏まえますと、輸入依存度というのは約十割と、そして輸入額というのは四百五十億円でございます。
それから、医薬品につきましては、厚生労働省の統計データを用いたとしまして、国内で供給される医薬品のうち原薬を輸入しているものの割合を輸入依存度として算出をいたしますと、輸入依存度は約七割、そして医薬品の輸出額が約八千億円、輸入額は約三兆二千億円ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/227
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228・高木かおり
○高木かおり君 大変詳しく御答弁いただきまして、ありがとうございます。すごく丁寧に調べていただいたんだと思います。
やはり、半導体ですとか、またレアアース、そういったものも、先ほど、電池も医薬品もそうですけれども、多くのものが輸入に頼っているということがこれで明らかになったのかと思います。こういった状況ということを私たちはしっかりと認識をして、そしてやっていかなければならないんだろうというふうに思っております。
日本は資源を持たないということから、原材料、資源の多くを輸入に依存していることは先ほどのことで分かりましたけれども、主としてこの製造業部門については、輸出しているがその依存度は低いということが分かりました。
それでは、我が国の企業が一体海外でどれほど活動して、海外でどれくらいの売上げがあるのかということについて検討したいというふうに思います。
今日、一枚配付資料を付けさせていただきました。これは、海外事業活動基本調査ということなんですけれども、これは経済産業省が取られている統計で、日本企業の海外での活動を示す統計であるということで、今回は十年ごとの数値を経済産業省さんに作成していただきました。この一九九九年、それから二〇〇九年、二〇一九年ということで数字を出していただいております。
これ、左から見ていただきましたら分かるとおり、現地の法人数、これ年々、十年ごとですけれども、増えていっていると。現地の法人売上高も同じく増えていっているということが見て取れるわけです。
この一番右の現地法人仕入れ高というこの額ももちろん増加をしているわけなんですけれども、この現地法人仕入れ高、これどういった数字なのかということについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/228
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229・苗村公嗣
○政府参考人(苗村公嗣君) お答えいたします。
海外事業活動基本調査は、我が国企業の海外事業活動の現状と、その海外事業活動が現地及び日本に与える影響を把握すること等を目的としており、調査対象は、金融業、保険業及び不動産業を除く海外に現地法人を有する本社企業とその現地法人となっております。
海外事業活動基本調査における現地法人仕入れ高の定義につきましては、我が国企業の現地法人における原材料、部品、半製品などの仕入れ高及び他の企業からの商品仕入れ高の合計額となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/229
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230・高木かおり
○高木かおり君 御説明ありがとうございます。
そういったどの、当然なんですけれども、現地法人数が増えているわけですから、売上高も仕入れ高も増えていっているという現状であります。この海外で活動している企業が売上げを拡大しているということがこれによってよく分かったんですが、これからこの日本が国内生産を高めていく原動力、それは、AIや機械によって自動化されていくとしても、やはり人だと、人材が必要なんだというふうに私は思います。
そういった中で、海外依存が高い現状を見た場合、海外での事業展開している企業、これやはり日本に回帰させていくということが必要なんではないかというふうに思います。その場合、ただただ日本に帰ってきてくれと言っても、なかなかハードルも高いんだろうというふうに思いますけれども、そういった点についてはやっぱり国からの支援があってこそなんではないかというふうに考えるんですけれども、日本企業への日本回帰を促す支援策、こういったものはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/230
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231・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) ありがとうございます。
委員の先ほどの御指摘におきまして、海外に拠点を移している企業が多くなっている、それは確かにそうなんだと思いまして、また一方で、日本に回帰をするということもある種必要な部分もあるのだと認識をしております。
その上であえて申し上げれば、本法案との関係で申し上げれば、これは何度か大臣からも御答弁させていただいたとおり、このうちのサプライチェーン強靱化という項目で何らかしらの手当てを打つということはあり得るというふうに認識をしております。
ただ一方で、このサプライチェーンの強靱化、平時からちゃんと措置をしていかなければならないんだという認識に立っておりまして、その中で、民間事業者による創意工夫を生かした自由な事業活動をインセンティブ等で後押しする、そういうことで民間の活動を維持しつつ特定重要物資の安定供給確保を図ること、これを基本にしております。
その中で様々なツールを用意しておりまして、それは、一つは国内回帰ということに、具体的に言えば国内生産基盤の強化ということになろうかと思いますけれども、これだけに絞ってやるということではなくて、経済合理性や効率性も踏まえながら、物資の特性に応じて民間事業者が選択するということ、例えば生産基盤の整備というのは申し上げたとおりでありますけれども、供給源の多様化というのもオプションの一つとして考え得るということでありますし、また、備蓄、生産技術の開発、そして代替物資の開発といった多様な取組を支援することというふうにしてございます。
すなわち、この国内回帰がベストかというと、そうじゃない物資もあるわけでありまして、民間の活動がベストな選択というのであれば、それをしっかりと後押しするそのツールをしっかりと措置するというものでございまして、これらの取組を通じて特定重要物資の安定供給確保を図ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/231
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232・高木かおり
○高木かおり君 御丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
私は、やはり今回の法案の中で、このサプライチェーンの強靱化というところに関しましては、やはり全てにおいてこの日本の国に、日本回帰ということはなかなか難しい、ハードルは高いと、それは承知をしている中で、やはりできるだけこの日本に帰ってきていただく、また、例えば地方に工場が戻ってくるということになれば、地方創生ですとか、そういったところにも寄与するのかなというふうに考えたわけです。
先ほどおっしゃっていた、必ずしもこの日本回帰することがいいということではないものもあるというような御答弁があったと思うんですけれども、ちょっとこれは通告をしていないんですけれども、もし御答弁いただけるようでしたら、それが一体どういったものなのか教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/232
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233・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) 現時点で特定重要物資というのが指定しているわけではございませんし、まだその前の段階の法案というのを御審議いただいている最中でございますので、具体的なこの品目というのは答弁差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で申し上げれば、これは、例えば海外で生産してその国に依存しているということが仮にあったとして、それに、例えば非常に国民生活であれ、その経済活動に重要だと。そして、供給リスクがあって、そして国際関係、国際情勢に鑑みて外部から行われる行為の蓋然性が高いということになって、必要だと、あるいは効果が高いということになった場合、その効果というのがどこにあるのかというのは、その回帰させることがその事業者にとってベストな選択でない場合も当然あるわけでありまして、それは例えば、直ちに国内に生産基盤を移すと物すごくコストが掛かると。
むしろ多角的に供給源を確保する、例えば諸外国、ほかの外国で、同志国ですね、そういった国で実際に生産をされていて、多少コストは高くなるかもしれないですけれども、そちらの方に供給源を求めていく方が合理的だということになれば、企業はそういった形でそういう活動を開始するわけでありますが、そのコスト分はちょっと会社の中で、民間の中で担えないということになったときに政府がしっかりと支援をさせていただく、こういうイメージでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/233
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234・高木かおり
○高木かおり君 突然の質問でしたのに御答弁いただきまして、ありがとうございました。よく分かりました。
続きまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
先ほどからずっと、我が国の経済活動に必要な資源、これは海外に依存をしているんだというお話をさせていただいておりましたが、これ、日本国内の企業が海外で活動しているということは、これ人材も海外に出ていってしまっていると、こういった現状であろうと。先ほど大野副大臣からは、必ずしもいろいろな、多角的に見て、すぐに日本に国内回帰をするべきもの、そうでないもの、そういったことはしっかり検討するべきなんだというような御答弁があったかと思います。
その上で、少し視点を変えまして、資源は本当に我が国に存在しないのかという点に着目をしたいと思います。
我が国の近海には海洋鉱物資源があるというふうに以前から言われておりますけれども、こうした資源を活用することが今現在の時点でできないのか、我が国の近海における海洋鉱物の有効資源開発に向けた経済産業省の取組について、資源エネルギー庁に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/234
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235・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
鉱物資源のほぼ全量を海外に依存する我が国にとって、排他的経済水域内に存在する海洋鉱物資源の開発を進めていくことは経済安全保障の観点からもとても重要であると考えております。
我が国周辺の海域には、例えば銅、鉛、亜鉛といったベースメタルを含む海底熱水鉱床、あるいはコバルトやニッケルなどの、これはバッテリーにも使われる重要なレアメタルを含むコバルトリッチクラストや、あとは、泥状のレアアースです、レアアース泥などが存在することが確認されております。
これらはまだ世界的にも商業開発の事例がございませんで、時として海底五千メートルないし六千メートルにも及ぶ深海に存在するため、その開発には幾つか課題がありまして、例えば資源量をしっかり把握する、それから海底を掘削して安定的に取り出す技術の開発、それから全体としてのコストの低減などの様々な課題が存在しております。
よって、こうした課題を克服するために、経済産業省におきましては、まず資源量の調査でありますとか、掘削、生産などの技術開発を現在進めているところでございます。実用化まではもう少し、五年、十年スパンの時間が少なくとも掛かってくるというふうに考えておりますけれども、しっかり進めていきたいというふうに考えてございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/235
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236・高木かおり
○高木かおり君 詳しくありがとうございました。
レアメタルとかレアアース、よく聞きますけれども、やはり今の技術であるとまだまだ実用化は難しいということで、まあ五年から十年、もしかしたらもう少し掛かるのかもしれないということですけれども、そういった技術が追い付いてきて、こういった資源のない日本の国でありますけれども、やはりそういった日本の近海にあると言われているこういった資源についても引き続き着目をして、実用化ができる日を夢見てしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っています。
また、こういった情報等も、民間企業なんかが例えば参入をしてきて、一緒に取り組みやすい、参入して事業を取り組みやすいような、そういった推進等、こういったことも必要なんではないかというふうにも思うわけでありますので、是非ともこの点についてはしっかりと前に進めていっていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に入らせていただきます。
ずっとこの資源を、まあ使える資源があるんではないかという期待を持ちながら先ほどの質問をしたんですけれども、まだまだ少し掛かるというようなこともありまして、今現在は資源を持たない国日本ということで、この経済をいかに成長させていくかということの一つの鍵は、日本が国際規格、規格を開発して、そしてそれが世界でも国際標準化されるということなんではないかということも一つ指摘をさせていただきたいと思います。
標準化はまさに規格競争でありまして、この規格の技術を日本は今後戦略的に追求していく必要があるんではないかというふうに思っています。
本法案でも特定重要技術として、量子技術、それからAI技術、こういった先端技術が想定されていると思いますけれども、そこで政府に伺いたいと思いますが、経済安全保障上の主要課題の中の国際秩序の維持強化のルールメーキングの中で、通商、データ、技術標準等でルールの維持強化、構築とありますけれども、特に標準化について、我が国がこれまでに世界に対して主導してきた国際標準は存在するのか、また今後目指している標準化というのがあるのかについてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/236
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237・田中茂明
○政府参考人(田中茂明君) まず、標準化について、我が国が世界に対して主導してきた標準化というのはあるのかと、こういうお話がございました。
これまでも、例えば我が国の電機・電子産業は、家電、AV機器などの領域で競争力を有していた時代には、DVDなどの規格づくりにおいて主導的な役割を果たし、市場拡大に貢献したという経験を有してございます。しかしながら、電気・電子機器のモジュール化とか、あるいは複合システム化が進んで新興国企業が参入しやすくなって、またクロスライセンスが必要とされるとか等、こういった中で、特定の特許だけで競争優位をつくれない技術構造に変わって、従前の標準戦略と知財戦略では優位性を維持できなくなった、こんな経験もしているわけでございます。
近年の例でいきますと、エアコンの冷媒に関する温暖化対策の議論が進展する中で、我が国を代表するエアコンメーカーのダイキンが、自社が開発した温暖化係数が低い新冷媒の国際標準化を戦略的に仕掛けて、特許戦略におけるオープン・アンド・クローズ戦略を展開して市場拡大と自社の競争優位を同時に達成したと、こういう例もございます。自社の冷媒の採用に不利であったISOの冷媒選定基準の中の燃焼性安定分類に、不燃と可燃の間に微燃という分類を設けて、可燃に自社製品が分類されるのを回避することによって自社の新冷媒の国際標準化に成功したと、こういう例であります。この会社の場合は、基本特許を開放して国際標準採択における賛同国をまず増やして、さらには新興国の国内標準の制度化を支援して、同社の世界売上高、海外売上比率の大幅拡大につながった、こういう例もございます。
このような事例のように、企業や産業の発展を左右するものとして標準戦略は国際的にますます重視されておりまして、例えば現在の5Gに至る無線通信などの様々な分野で主導権をめぐってグローバル企業の活動や主要国の政策的な動きがますます活発化してきている、こういう状況にございます。
標準は、科学技術イノベーションが激化する国家間の覇権争いの中核ともなっておりまして、我が国産業の優位性、不可欠性を確保する上でも、先端的な重要技術に関して研究開発を促進するとともに国際標準化を強力に進めていくことが経済安全保障の観点からも重要と認識してございます。
このため、例えば次世代通信方式としてのビヨンド5G、量子技術を活用した量子暗号通信や、クリーンエネルギー分野では水素や燃料アンモニアなどの重要な分野で我が国として国際標準化を主導することを目指しまして、官民一体となって取組を進めているところでございます。
今後とも、経済安全保障の観点を含め、我が国に重要な分野での国際標準化について、科学技術イノベーション施策や経済安全保障関連施策との連携を更に深めるなど、政府全体で取組を強化し、官民挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/237
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238・高木かおり
○高木かおり君 本当にこの国際標準化というのがすごく重要なんだと思っています。日本からのこの標準化が創出される、それが世界標準となると、やっぱりこの日本経済を牽引していくということになるんだろうというふうに思っています。是非ともこの標準化に向けた取組やっていただきたいというふうに思っております。それがもう、おっしゃったとおり、その経済安全保障としての課題を突破できるということになるんだというふうに思っております。よろしくお願いをしたいと思います。
それでは、ここからは重要物資の安定供給について、特に半導体の供給体制について具体的に伺っていきたいというふうに思います。
本法案で言うと、第七条では、国民の生存に必要不可欠な若しくは広く国民生活若しくは経済活動が依拠している重要な物資や原材料については安定供給の確保を図ることを規定していると。これ、半導体については、コロナ禍で本当にこのデジタル化、デジタル機器の需要がたくさん急に伴ってこの半導体の需要が一気に拡大をしたという背景もありますし、この感染症拡大によって物流が停滞してしまった、こういったこともありますし、加えて、自然災害ですとか、国内の、今日もお話が出ていましたけれども、半導体製造工場の火災であるとか、もしかしたらこれがサイバー攻撃だったんじゃないかと、まあそういったことも言われている。こういったことが重なってといいますか、そういった中でこの半導体の大切さといいますか、こういったことが本当に浮き彫りになったんだろうというふうに思っています。
ちょうど昨年の冬頃は、本当にこの今申し上げたような状況が恐らく重なったんだろうと。海外に、半導体をやっぱり海外に依存しているというところもありまして、海外でのこの感染症が蔓延したということも特に大きかったというのもあるんではなかろうかというふうに思っているわけですが、私事で大変恐縮ですけれども、我が家も給湯器が昨年冬に壊れました。なかなか供給できないということで、本当に、こういう一家庭にも影響するこの半導体というのは本当に、非常に重要なといいますか、国民生活に本当に直結するというのを身をもって体験をしたわけです。
ですので、ちょっと今日は半導体を主にいろいろと御質問したいなというふうに思っているわけなんですが、この先端半導体の国内生産拠点、これを整備するとともに必要なこの資金の助成というのを行う根拠法としては、以前に5G促進法が経済安全保障推進法案に先立ってこれ成立をしておりまして、今回、国内での大規模な先端半導体の製造工場として、これ熊本に国からの補助金を受けて建設が計画されているかと思います。今回の工場建設の親会社はこれ台湾であることは承知をしておりまして、我が国は台湾とは友好国でありますから、今回のこの先端技術の半導体の国内生産に当たっては大きな意味があることは理解しております。本当に、国内にこの半導体の製造基盤ができるということは歓迎されるものだというふうに私も理解はしております。
その上でなんですけれども、いかにしてこの半導体を安定的かつ継続的に供給できるか、この点を踏まえて幾つか質問をしていきたいと思います。
まず、この台湾の大手半導体企業の工場が九州に建設されることになった。これ、いつ頃から熊本にTSMCを誘致する交渉を開始して、いつ決定に至ったのか、この件について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/238
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239・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
まず、経済産業省におきましては、熊本の工場建設の議論とは全く別に、従前から、ポスト5G基金による次世代半導体の研究開発事業、これを通じまして協力関係に長年ございます。
そんな中、例えば、昨年六月に梶山前大臣、また十一月には萩生田大臣が、それぞれウエブ会議でマーク・リュー会長らと会談を行うなど、閣僚レベルを含めて様々な形で意見交換を行ってきたことは事実でございます。
次に、ソニーとTSMCが熊本県に先端半導体の製造拠点を整備することを表明したのは昨年十一月でございます。経済産業省といたしましては、先端半導体の製造能力を獲得することの政策的意義、これを繰り返し表明しておりまして、こうした政府の積極的な姿勢が企業側の判断の材料の一つになったものだというふうに考えております。
なお、現時点では、TSMC、ソニー、デンソーの合併の日本法人に対して政府として支援を行うことが決定はしておりません。事業者から計画の認定申請があった場合に、5G促進法に基づいて、国内の安定供給体制の構築に資するか、また、継続生産などの要件等を精査していくということになりますので、計画が認定された場合には、計画に基づきまして必要な支援措置を講じるということになっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/239
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240・高木かおり
○高木かおり君 経緯は分かりました。
この本工場の設立に当たって何点か質問をしたいと思います。
先ほど、支援はまだ決定していないということでございました。その上で、出資総額、それから出資者の比率、それから本工場は外国会社となるのか、それから、もうまとめてお聞きしますけれども、本工場に対する国が、まあここもちょっと難しいのかもしれませんけれども、予定している補助金の額、こういったことも、この点について、お答えができるようであればお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/240
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241・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。半導体産業所管の観点で経産省からお答えをさせていただきます。
まず、出資総額と出資比率でございますが、TSMC、ソニー、デンソーのプレスリリースによりますと、設備投資の総額は約八十六億ドル。出資総額、これは対外未公表でございます。出資比率でございますが、昨年十一月にソニーセミコンダクタソリューションズが五百七十億円の出資額で、これ割合は二〇%未満になります。また、今年二月にデンソーが四百億円の出資額で一〇%超の出資というふうにプレスリリースされてございまして、TSMCが残り全てとされておるところでございます。
また、本工場は外国会社となるのかということでございますが、先ほど申しましたとおり、これ、国内法人が設立されて、その工場ということになります。
あと、最後に、済みません、本工場に対する国が予定している補助金額ということでございますが、現時点では合併日本法人が検討した上で計画の認定申請を行ってくるということでございますので、出てきた段階できちんと審査をした上で必要な支援をするということになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/241
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242・高木かおり
○高木かおり君 分かりました。
更に質問をしていきたいと思います。
この本工場の土地の所有権は、元々誰が所有していたのか。そして、この所有権を今回の設立に当たって新しい新会社が土地取得した、つまり譲渡を受けたと理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/242
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243・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
そのTSMC、ソニー、デンソーが合併で設立する日本法人、これJASMと言いますが、その製造拠点を設立する予定の土地ですが、元々これは菊陽町が所有していたものというふうに聞いております。
熊本県によりますと、現状、当該土地は菊陽町とJASMとの間で売買契約が交わされて、既に履行されているというふうに聞いておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/243
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244・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
これ、さらに、この土地を所有するということ、菊陽町からJASMに移行したということだと思いますが、国が経済安全保障上、台湾の子会社であることから、我が国においても、この台湾との供給関係というものをこれ維持しておくために何らかの対策を講じる必要があるのではないかというふうに思うんですけど、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/244
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245・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
一般論として、この状況の中で申しますと、外国会社の子会社であることだけをもって、その会社が土地を所有することに関して特段の制限措置を講じることは想定されていないというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/245
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246・高木かおり
○高木かおり君 それでは、少し視点を変えて、今回この本工場で製造されるのは、今まで国内で製造されてきた半導体と比べて高度な半導体なのか、また、どのぐらいの性能を有する半導体の製造を想定しているのか、この点についてちょっとお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/246
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247・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
現在、国内で製造されているロジック半導体のうち、最も微細なものというのは四十ナノメートル台でございます。
二月に公表されましたTSMC、ソニー、デンソーのプレスリリースによりますと、熊本に設立する半導体工場では、半導体の微細化のレベルを表す回路の線幅といたしまして、十から二十ナノメートル台のプロセスのロジック半導体を製造する予定というふうにされております。
したがって、当該半導体は、現状では我が国において製造することのできないレベルの先端半導体になるということでございまして、これらの半導体は、自動運転車の制御であったりとかリアルタイムでの画像処理など、高度な情報処理の活用が見込まれるものになると考えております。
なお、5G促進法における先端半導体の定義でございまして、これは二十八ナノメートル相当以下の構造を有するロジック半導体を製造する事業計画を認定の対象としているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/247
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248・高木かおり
○高木かおり君 今おっしゃっていただいたように、大変高度な半導体が製造されることになるであろうということだと思います。
そういった半導体がこの熊本工場で作られていくということになると、昨年成立した、私も審議をし、議論を重ねてきた重要土地等調査法というのがありました。この重要土地等調査法でいうところのこの重要施設に値しないんだろうかというふうに考えたわけなんですが、これ、この重要施設に指定するというようなお考えはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/248
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249・大野敬太郎
○副大臣(大野敬太郎君) ありがとうございます。重要土地等調査法に関する御質問を賜りました。
委員も審議に参加されたということでございますのでお詳しいとは思いますけれども、重要施設として、本法、この法律では三つの類型を提示しておりまして、一つが防衛関係の施設、もう一つが海上保安庁関係の施設、もう一つが生活関連施設、まあいわゆる重要インフラということになっておりますけれども、このうち最後の部分、生活関連施設につきましては、国民生活にとって重要な施設で、国民の生命、身体、財産を保護するためその機能を特に維持する必要があると認められるものの類型を政令で具体的に定めるものとしておりまして、その政令に基づいてその具体的な区域指定の対象となる施設というのは、現時点では原子力関係施設、それから自衛隊も使用する空港、共用空港でございますが、これを念頭に置いておりますが、今後設置されるその土地等利用状況審議会、これ六月辺りに恐らく開催されることになろうかとは思いますが、その中の、審議会で御意見を賜りつつ、その区域というのは設定してまいりたいと思っております。
なおもこれ、安全保障をめぐる内外情勢や技術の進歩に応じて継続的に検討する必要がございます。これは委員も御想像のとおりでありますので、その将来の情勢に応じて、委員御指摘の半導体工場というのも含めまして、しっかりと考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/249
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250・高木かおり
○高木かおり君 是非これ、審議会での意見を賜りながらというようなこともおっしゃっておられたと思いますが、この半導体、特にこの先端技術を扱うであろうと、熊本工場、十キロ圏内のところにあるということ、今いろいろなことを考えると、大変ここ重要なところなんではないかなというふうに思います。是非ともこの、先ほどおっしゃって、御答弁いただきましたように、この原子力発電所、それから自衛隊の方々が使われる空港などと同じように重要インフラ施設そのものだというふうに私は思いますので、是非、この視点も今後是非御検討をいただくということでお願いをしたいと思います。
続いて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
さきの質問で、何らかの対策を講じていく必要があるんではないかというようなことを先ほど九番目の質問でさせていただいたんですけれども、この台湾の子会社を日本国の中で守っていくため、先端技術である半導体を扱っているということですので、この日本国においても法的対応も含めて検討すべき事項であるというふうにこの点については私は認識をしております。
この点からいえば、例えば本工場は政府の監督下に置いたり、また日本郵政株式会社法のようにこの本工場も特殊会社として所管省庁が監督する、こういった方策、こういったことが必要なんではないかというふうに思うんですけど、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/250
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251・門松貴
○政府参考人(門松貴君) お答えいたします。
まず、先ほど申し上げましたとおり、TSMC、ソニー、デンソーの合併の日本法人に関して政府として支援を行うことを決定してはいないのですが、その上で、一般論として申し上げれば、先端半導体製造拠点の整備を通じた半導体の安定供給確保、これは幅広い産業に裨益する高い公益性が認められるものでございます。他方、既に民間の事業者がビジネスとして確立しているというのも、そういう分野であることも事実ですので、特殊会社による経営ではなく、あくまで民間主導の取組を政府が支援するという形で進めるべきものなんだろうというふうに考えております。
その上で、仮に事業者から改正5G促進法による支援に係る計画の認定申請があった場合に、例えば十年以上にわたる先端半導体の継続的な生産、需給逼迫時における増産、また生産能力強化のための投資や研究開発に関する取組が盛り込まれていることなどの要件を照らしまして、国内の安定供給体制の構築に資するか継続生産などの要件等を精査するということとしておりまして、さらに、認定後も計画に基づく事業運営がなされているか、経営状況をしっかり注視していくということでチェックをしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/251
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252・高木かおり
○高木かおり君 引き続き、また次の機会にこの質問の続きをさせていただきたいと思います。
時間が参りましたので、これで終了させていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/252
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253・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
国民の命、財産、国の主権を守るための政策というのは経済という分野においても必要だと私も思います。しかし、漠とした不安をあおって企業活動や学術研究への介入、管理、監視、これを強めるというものであってはならないということも思います。本会議で、経済安全保障とは何から何を守ることなのですかというふうに総理に質問いたしましたが、定義はないという答弁でした。委員会での小林大臣の答弁は大変丁寧です。しかし、日本が直面するリスクや危機についてはやはり漠然とした答弁だというふうに私は聞いていて思います。
先日の大門議員の質問に続いて私も現実に起きている問題に即して質問を以下してまいります。
まず、法案の位置付けについて再度確認いたします。
二〇二〇年、国家安全保障局に経済班が創設をされ、重要土地規制法など様々な取組を推進してきた、貿易管理、投資規制も強化され、二〇一六年には産業構造審議会の通商・貿易分科会に安全保障貿易管理小委員会が設置され、外為法が二度にわたって改正されるなどしてきました。本法案は、これら経済安全保障の考え方に基づく施策の一環として当面法改正を必要とするものを取りまとめたということでよろしいか、繰り返しの答弁なされていますけれども、確認いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/253
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254・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
経済安保の確保に向けましては、これまでも既存の法制度の中で、今委員御指摘の投資審査、管理含めて、多岐にわたる取組に着手してまいりましたし、それとともに、我が国の基幹産業が抱えている脆弱性やあるいは強みにつきまして今も点検、把握を行っているところでございます。
その中で、これまでの過程の中で、この法案におきましては、多岐にわたる新しい課題の中で分野横断的かつ法制上の手当てを喫緊に要するこの四つの項目の制度整備を行うものでございまして、この法案の提出、重要な一歩だというふうに認識はしておりますけれども、これが全てでは、経済安全保障、全てではないですし、この法案の附則にも書かせていただいて、規定させていただいておりますが、当然、これからも時代が変わっていく中で新たな課題というのは出てくると、それを想定した上で、今後も必要あればその法改正、適切にやっていきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/254
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255・田村智子
○田村智子君 今後というより、これまでやられてきたことに即して私は質問したいんですけれども。
二〇一七年の外為法改正では、機微技術が海外に流出することへの対策として無許可輸出への罰則強化が行われました。この法改正後に無許可輸出事案として、大川原化工機の役員三人が検挙、起訴をされました。この事件は、経済安全保障について論じる上で極めて重大な事件ですので、詳しく取り上げたいと思います。まず、事件の概要を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/255
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256・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
お尋ねの件については、経済産業大臣の許可を受けずに、外国為替及び外国貿易法で輸出が規制されている噴霧乾燥器を平成二十八年六月、横浜港から中国に、平成三十年、神戸港から韓国にそれぞれ輸出したとして、警視庁公安部が会社社長ら三名を令和二年三月と同年五月に逮捕し、事件を送致した不正輸出事件と承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/256
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257・田村智子
○田村智子君 月刊誌「世界」で青木理氏による詳細なルポルタージュが掲載をされています。大川原社長、海外営業担当の島田氏、技術者で会社顧問の相嶋氏の三名が二〇二〇年三月逮捕、五月に再逮捕、起訴に至るも、翌年七月三十日、初公判の四日前に突然公訴が取り消されて終了となった事件です。公訴取消しの理由はどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/257
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258・保坂和人
○政府参考人(保坂和人君) お尋ねの事案につきまして、東京地検におきましては、御質問のとおり、令和三年七月三十日に公訴を取り消しておりますが、その際に理由を公表しております。
すなわち、公訴事実記載の噴霧乾燥器が軍用の細菌製剤の開発、製造若しくは散布に用いられる装置又はその部分品であるもののうち省令で定める仕様の噴霧乾燥器に該当することについて、公訴提起後、弁護人の主張等を踏まえて再捜査を実施した結果、その該当性に疑義が生じたことなどの事情を考慮したということを公表しているものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/258
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259・田村智子
○田村智子君 これ、兵器転用可能な技術の疑義が生じていたんだけれども、しかし、その起訴が取り消されたということでよろしいですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/259
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260・保坂和人
○政府参考人(保坂和人君) あくまで条文の文言に即して言いますと、先ほど申し上げたとおり、省令で定めるもの、省令で定める要件への該当性に疑義が生じたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/260
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261・田村智子
○田村智子君 この逮捕の理由というのは、まさに兵器転用可能な技術だから規制が掛かっていると、それに対して、その要件満たしているという疑義が生じたから、兵器転用可能となるという要件が満たされたから不正輸出とされた案件ですよ。
大川原化工機は、スプレードライヤー装置で確かな技術を持つ、従業員九十人ほどの中小企業です。大量の捜査員によって突然の家宅捜査が行われたのは二〇一八年十月、パソコン、営業に必要な書類、個人の携帯電話まで押収をされました。乱暴極まる捜査にもかかわらず、会社は警察に全面的に協力し、資料も多数提出をしています。任意で取調べにも応じて、大川原社長だけでも四十回以上、会社全体では四十八人、計二百六十四回の聴取が行われています。
大川原社長は、きちんと調べてもらえれば起訴はされないだろうと思っていたと言います。ところが、起訴され、二〇二一年二月まで三百三十二日間勾留され、ひたすら自白を求められました。
技術者であった相嶋氏は、勾留中に貧血がひどくなり、輸血を受けるほど体調が悪化し、家族と弁護団は治療のための保釈を懸命に求めましたが、検察は証拠隠滅のおそれを主張し、地裁も保釈を認めませんでした。拘置所での内視鏡検査で胃の幽門部に悪性腫瘍、がんが確認されても保釈請求は退けられ、弁護団が十五日間の勾留執行停止を申し立て、やっと入院治療に至りました。しかし、既に体調悪化から一か月半が経過をしており、体重は十キロ以上も減少し、医師からはこれでは手術はできないと言われた。衰弱もひどく抗がん剤治療もできない、なぜこんな状態まで放っておいたのかと言われた家族はどんな思いだったかと思いますね。
相嶋氏は、入院から三か月後、勾留停止という扱いのまま亡くなられました。大川原社長と島田氏はその二日前に保釈となりましたが、証拠隠滅のおそれを理由に、お見舞いも通夜も葬儀にも行くことはできませんでした。
三名は、無罪などのときに行われる国による補償、刑事補償を受けています。その刑事補償の決定をした地裁の決定文書は大川原化工機のホームページに掲載されています。仮に公訴棄却の裁判がなく、そのまま本件各公訴事実について審理が続けられていれば、いずれも無罪の判決を受けるべきものと認められる十分な事由があると認められると。全くの誤認逮捕だったということですよ、全くの無罪だったと。
警察庁が警備情勢について毎年まとめている回顧と展望令和二年版、また警察白書令和三年版で、大量破壊兵器関連物資等の不正輸出対策の項目に紹介されている事案がありますが、これは大川原化工機事件のことではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/261
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262・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
御指摘の記載は、当該事件についての記載であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/262
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263・田村智子
○田村智子君 そう、今でも読めるんです。白書に書かれているんです。
回顧と展望では、令和二年三月には、警察庁が、経済産業大臣の許可を受けずに軍用の細菌製剤の開発に使用されるおそれのある噴霧乾燥器を中国に輸出したとして、会社役員らを外為法違反(無許可輸出)で検挙しましたと太字で強調して書かれています。経済安全保障分野で、警察による取締り強化の典型事例としてアピールをしているということです。そういう案件であれば、そこまで書いた案件であれば、何としても有罪にしたかったということではないのかと私には思えます。
大川原社長は、取調べの際に、有罪になっても罰金刑で執行猶予付きで終わるのだから認めろと直接的に言われたと取材に答えています。病状が深刻化する相嶋氏の家族は、命の方が大事、何でもいいから検察の言うとおりに認めてと弁護団に伝言したこともあったといいます。
三人は、会社の人はもちろん、家族との接見も禁じられて一年近く勾留されています。客観的証拠では有罪が立証できない、自白を取るしかない、そのための逮捕、長期勾留ではなかったのか。余りにもむごい人権侵害、長期にわたる企業活動への多大な悪影響を与えたことについて、警察庁はどのように総括、反省をしておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/263
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264・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
現在、国家賠償請求訴訟が係属中であることから、逮捕を始めとする強制捜査の適否等についてコメントすることは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/264
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265・田村智子
○田村智子君 警察白書にまで記載した事案が無罪なんですよ。公訴さえできなかったんですよ。それはね、国家賠償請求訴訟をやられているから何にも答えられません、それで経済安全保障についてこの委員会で審議できますか。私は前提欠いていると思いますよ。
三月八日、参議院経済産業委員会で森ゆうこ議員がこの事件を取り上げておられます。警察庁、答弁の中で、法令の所管省庁のほか、専門家の意見を聴取するなどして規制への該当性を捜査機関たる警察として判断するというふうに述べているんですよ。
この外為法というのは、所管は経産省です。だけど、違法かどうかの判断、逮捕するかどうかの判断は、その所管省庁ではなく警察として行うということですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/265
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266・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
御指摘の答弁は、一般論として、外国為替及び外国貿易法違反事件を始めとする不正輸出事件等について、警察が法令を独自に解釈し規制該当性を判断するのではなく、法令の所管省庁のほか、専門家の意見を聴取するなどして規制への該当性を捜査機関たる警察として判断することがある旨答弁したものでございます。
したがいまして、警察として違法行為を認知した場合には、一般論として申し上げれば、法と証拠に基づき適切に対処するということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/266
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267・田村智子
○田村智子君 これは言い方を変えているんですよ。判断するのは警察なんですよ。ただ、警察だけで判断はしないと、そういう意味ですよね。所管する省庁の意見を聞いて、だけど、判断するのは経産省ではなかったんでしょう、今回の大川原化工機事件も。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/267
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268・櫻澤健一
○政府参考人(櫻澤健一君) お答えいたします。
本件事案については、繰り返しになりますけれども、警察独自に解釈して独自に規制該当性等を判断するのではなく、法令の所管省庁のほか、専門家の意見を聴取するなどして規制への該当性を捜査機関たる警察として判断することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/268
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269・田村智子
○田村智子君 では、私が言ったとおりなんですよ。独自には判断しませんよと、関係省庁からの意見を踏まえて判断をしますよという意味ですよ。
大川原化工機は経産省の規制強化に積極的に協力してきた企業です。海外への輸出の際には、兵器への転用はしないという顧客からの誓約書も自主的に取っていたんですね。経産省はそういうことを知っていたと思いますよ。ところが、中国への輸出、続いて韓国への輸出で逮捕されると。実はほかの国にも輸出しているんだけど、それは不問に付されているんですよ。経済安全保障の名の下で規制強化策が取られ、警察庁や都道府県警の取締りも強化された中で起きた事件です。
大臣は、経済安全保障についても分野横断的にこれからも取り組んでいく、ですから、直接の担当ではないけれども、お聞きします。
今後もみなし輸出の規制強化など予定されています。違法性の判断、逮捕の判断、関係省庁からの意見は聞くけれども、それは判断するのは警察なんですよ。この大川原化工機事件を大臣はどう受け止められるか、そして、同じような問題が起きることは私は危惧されると思うけれども、このことについても見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/269
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270・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
公訴が取り消された特定事案と同様の事案が起こるのではないかという委員の御質問でございますけれども、この刑事事件の捜査につきましては、今、法務省、警察庁から答弁がありましたけれども、私の立場、まあ所管外でございますので、コメントは控えたいと思います。
その上で、私の立場で申し上げますと、経済安全保障の取組を進めるに当たりましては、企業の経済活動というのは原則自由である、これは大前提だというふうに考えております。これを大きく阻害することのないようにすることが重要であって、この法案でも、安全保障の確保と経済活動の自由、この両立を図ることの重要性を念頭に置いているところであります。
この経済安全保障の推進の名の下に不当に企業等の活動に対する規制あるいは監視を広げるようなことがあってはならないと考えておりまして、この法案による制度を含め、適切に運用してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/270
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271・田村智子
○田村智子君 大川原化工機事件は、装置を分解せずに内部の滅菌又は殺菌ができるという要件に当てはまると警察が見立てをして、七十二回も実験をしたけれど、結局証明できずに公訴を取り消して、裁判所からも無罪だというふうに指摘をされた。この要件の曖昧さということも問題視をされています。
規制を強化し、警察の取締り対象も広がる、しかし違反とされる要件が曖昧であると。大学では、研究機材などを海外に持ち出す場合も輸出とみなされます。みなし輸出ですね。海外の政府や企業が関係する共同研究、海外企業への技術指導、海外から研究員や留学生の受入れ、この受入れに伴う技術の提供、あるいは研究過程における海外研究者とのデータや資料の交換、これらも輸出とみなされる規制が強化をされているんですよ。
二〇一七年の外為法改正に当たって、このみなし輸出の規制強化ですね、日本私立大学連合会は、誰が誰にどこまでどうすればよいのか明確でないため、大学によってはリスクを避けるために過剰に安全サイドで運用する、場合によっては一部の海外国・地域、特定機関との交流に対して過度に萎縮してしまうということが既に現状でも見られており、更にその傾向が強まる懸念を強く抱きますなど、懸念を表明しているんですよ。国立大学からも同様の懸念の声は上がっていました。この懸念が現実に大川原化工機では事件にまでなったわけですよ。
大学などの研究現場にも経済安保の名の下に警察などが介入するおそれ、これまで以上に私は高くなると思います。それは、研究における自由な意思発表や交流を妨げてしまうし、現にこの私立大学連合会が言っているとおり、そういう萎縮が既に起きているという。大臣、このことについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/271
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272・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 先ほどの特定案件へのコメントは控えますけれども、いずれにしても、この経済安全保障、これは運用していく中でその規制の側面もございます。その中で企業やアカデミアの方が過度に萎縮するようなことがあってはならないというふうに考えておりますので、先ほど申し上げましたけど、この法案の、成立することを前提に、法案の運用を含めて、経済安全保障施策につきまして、できる限り予見可能性を担保しつつ、そうした制度の運用に心掛けてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/272
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273・田村智子
○田村智子君 輸出という極めてリアリズムな世界の中で起きていることでも、見込み捜査によって、曖昧な要件のまま、何が禁止されているかよく分からないまま突然の捜査が入ってしまったわけですよね。これ、研究という課題にまで広げていったらどういうことになるのかと。捜査が入るだけでも企業活動も研究も大変な打撃を受けます。社会的な信用の失墜も含め、その損失は致命的にもなりかねません。
大川原化工機事件がなぜ起きたのか、何が問題だったのか、再発させないためにどうするのか、これらが何も説明されないままに、国益のため、安全保障のため、企業活動や研究開発への規制と取締りを強化する、私はそれはあり得ないということを強調しておきたいと思います。
警察は経済安全保障等の取組でアウトリーチ活動を強化しているということが、十四日、維新の会の柴田議員の質問への答弁で示されました。情報収集やコンサルティング業務と言っていいと思いますが、これは公安調査庁も同じようにアウトリーチ活動を強化されていると思います。
民間企業や警察などとの交流が進むとどういうことが起こるのかですが、経済同友会が強靱な経済安全保障の確立に向けてという提言を出しています。この取りまとめに当たった同友会副代表の小柴満信JSR名誉会長は、「Voice」二〇二一年九月号のインタビューで、イギリスの技術系企業のスタートアップについて聞かれてこう答えているんですね。
投資先の一つなのですが、驚かされたのは、元イギリスの秘密情報部や元CIAの方がメンバーにいることです。センシティブな技術を扱っている企業は最初からそうした人物を招いているのが当たり前の世界なのです。ただ、日本でもそうした動きは見え始めていて、工夫している企業は存在します。インテリジェンス畑の人が民間企業に入ることはそのまま国を守ることへとつながりますというふうに述べておられるんです。小柴氏はこれを天下りと言うのは遺憾だというふうにも述べておられるんですが、警察や公安調査庁OBの活躍の場が増えると、まあ世間ではこれを天下りと言うんですけれども、こういうことだということですよね。
こういう警察などのインテリジェンス、情報機関関係者が、OBも含め、企業や大学の中に入っていくと、それは国家による監視あるいは捜査や調査などによる干渉ということにもつながると思うんですけど、こういうことが強まっていくということにもなっていくと思います。
このように、企業や研究機関の中に警察関係、情報機関関係者が入っているのが当たり前と、これが政府が求める社会の在り方なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/273
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274・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
今、田村委員御指摘の企業や大学の中に入りとの趣旨が、済みません、私自身ちょっと明確に捉えられておりませんけれども、いずれにしても、経済安全保障の強化というのは、例えば技術流出防止などの観点から法令に基づき適切に行われるものでございます。したがって、御指摘のように、今、国家による監視強化というような御趣旨のことをおっしゃいましたけれども、そういうものを目的として行うものではございません。
その上で、経済安保上の取組として、例えば機微技術情報の流出防止などにつきましては、各企業や大学、研究機関における情報管理体制の強化も重要な要素を占めると考えております。この関係省庁がこうした主体に対しまして啓発活動などを行っているところでございますけれども、こうした活動というのは、各企業や大学、各主体における自発的な取組を促すものであって、決して監視を行うものではないということは申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/274
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275・田村智子
○田村智子君 企業や大学がこのセキュリティーに関係してそういう専門の人を様々に機関の中に入れるという、これは私もあり得ると思いますよ。だけど、先ほどの大川原化工機事件を一つ見てみても、警察等々の関係者が何のためにそういうところに入っていくのか、アウトリーチ活動をするのか、ここについては、やっぱり大川原化工機事件がどのように総括されるのかということ抜きにして、そういう社会でいいですよなんてことは私は決して言えないというふうに言わざるを得ないですね。
何で大川原化工機事件のこれが不正輸出だというふうにそもそもみなしたのか等々の問題について、私は本来、こういう国会の場でも議論されるべき、ちゃんと答弁されるべきだということも述べておきたいと思います。そういうこと、是非やっぱり法案採決前にちゃんと議論しなくちゃいけないというふうに、徹底審議必要だということを改めて求めておきます。
法案の中身にも関わって少し質問を進めたいと思います。
特定重要技術の研究開発支援だとしてつくられる官民協議会についてお聞きします。
国の資金を受けた研究の中から、その資金を所管する省庁が特定重要技術の研究だと判断したものについて、研究代表者の同意によって協議会がつくられるんだというふうに私は条文を読んで理解をいたしました。で、プロジェクトマネジャーを含め、中核的な研究者一人一人の同意の上で研究者に協議会に参加をしてもらうということを想定しているという説明も受けました。
この協議会の組織に関する基本的な事項は特定重要技術研究開発基本指針に定めるとしていますが、守秘義務の範囲、決定のルールなど、これは基本指針とそれに基づく通達などで定めることになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/275
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276・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
この研究、このルールでございますけれども、守秘義務の具体的な対象範囲、そして運用方法に関する基本的な考え方につきましては、先ほどの委員御指摘のとおり、特定重要技術研究開発基本方針において示す考えでございます。
その具体的な運用方法等につきましては、個々の協議会ごとに、規約でございますとか協議会での協議などを通じまして、全ての協議会の構成員が納得する形で決めるというものでございまして、今委員が御指摘ありましたように、政府の方から通達などの形で一方的に定めると、こういうことではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/276
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277・田村智子
○田村智子君 基本指針に定めて、後は協議会ごとの規約などで定めるということなんですね。
それで、守秘義務の範囲は協議会メンバー全員の同意というふうな答弁も繰り返されているんですけれども、全員ということは、官側、政府側が同意しなければ成り立たないという意味でもありますよね。そうすると、研究予算を握っている側の意見が強いんじゃないのかと、そこに従わざるを得なくなっていくんじゃないのかと、そうならない保証はありますかというふうに本会議でただしたんですけれども、総理からの明確な答弁ありませんでした。
そこで、第六十三条、基金から資金を受ける研究、この場合は、協議会の設置は、できる規定ではなくて、設置するということで、これは義務なんですね、義務付けているんですね。そうすると、基金による研究は、政府側が機微情報を提供する場合に守秘義務を課しますよとか、機微情報を基にした研究成果についてはその取扱いが確定するまで守秘義務の対象としますよなど、この基金での研究参加を募る要件として協議会の基本事項あらかじめ示すということも可能ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/277
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278・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) まず、先ほど、先ほどですね、私は答弁申し上げましたが、基本方針と申し上げましたけれども、正しくは基本指針でございます。失礼いたしました。
その上で、今、御質問でございますけれども、どういうことかと申し上げますと、実際は、研究成果等々、協議会の運営についてでございますけれども、これまで本委員会でも御答弁申し上げておりますとおり、研究成果につきましては、制約的な要素は必要最小限度としつつ公開を基本とすべきであるというふうに考えてございまして、例えば論文などの成果発表につきましては、守秘義務の対象となる情報を除きまして、制約を課すことはせずに公開されるべきであるというふうに考えてございます。
それで、その守秘義務に関する取扱いにつきましてでございますけれども、この守秘義務に関する取扱いが不明確であると技術の育成や成果の活用に支障が生じかねないと、こういうふうに考えてございまして、したがいまして、有識者会議の提言にありますとおり、政府から機微な情報が提供されるような場合におきましては、事前に守秘義務の対象となる情報の範囲ですとか期間を明確にすることが不可欠であろうと、こういうふうに考えておりまして、そうした運用を行ってまいりたいと、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/278
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279・田村智子
○田村智子君 そうなんですよ。その機微な情報等々に関しては事前に守秘義務を付けるということはあり得るという今御答弁だったんですね。だから、協議会の中で初めて合意を形成していくんじゃないということになりますよね。
そもそもこの官民の協議会つくるのはなぜかといったら、官側がどういう研究を求めているのかというニーズですよね、これはやっぱり機微情報ですよね。それで情報インシデント、こういうのを民間と共有していく。守秘義務は必須条件になってこざるを得ないと思うんですよ。忌憚のない情報公開やろうと思えば、守秘義務がなかったら、官側からの情報提供って、機微な情報提供ってできなくなりますものね。だから、公開原則ですよという答弁幾らやられても、なかなか研究成果について、はい、そうですかというふうに受け入れ難いものがあります。
六十二条を含めて協議会を設置した場合、研究開発の内容及び成果の取扱いは協議を行う事項として条文に明記をされています。成果の取扱いについて、協議は義務となります。研究成果について協議が行われる前に研究に関する情報について発表自由ですよということになっちゃうと、これ何のために協議するんだということにもなります。意味分かりますよね。研究成果についての取扱いということが合意される前に、そこで公開はやめておきましょうというふうになるのか、公開というふうになるのか、そういうのがまだ決まる前にその研究過程での情報が出ていくということは、これ考えにくいんですよ。まして、六十三条の基金による研究、これ協議会設置義務です。研究成果については、取扱いが合意されるまで守秘義務の対象とならざるを得ないんじゃないかと。
こういうことがやっぱり基本指針の中に書き込まれなければ成り立たないんじゃないのかなというふうにも思われるんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/279
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280・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
委員お尋ねの守秘義務の対象について申し上げますと、守秘義務の対象となる情報の範囲というものにつきましては協議会を通じて提供された秘密に限定されております。したがいまして、こうした守秘義務の対象となる情報を除きまして、研究者が自ら生み出したような研究成果には適用されないと、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/280
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281・田村智子
○田村智子君 さっきの答弁とちょっと食い違ってくるんですよね。
やっぱり機微な情報を提供した場合に、やっぱり守秘義務掛かっていきますよと。そういう機微な情報が提供されて、その情報を基にして行われた研究は、その機微情報が推測されるということが往々にして考えられるんですよ。違いますか。機微情報の提供を受けて行われた研究というのは、その機微情報が推測されるような、研究成果において、ということはあり得ますよね。およそそれが公開ということは私は考えにくいというふうに思うんですけど、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/281
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282・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) それは、具体的にはケース・バイ・ケースだと思います。例えば、ケース・バイ・ケースと申し上げましたのは、具体的に、例えば具体的な数字ですとか、そういったものが機微な情報であるとしたら、で、それを提供された研究者の方がそれを基に様々な研究をされるとした場合に、その研究成果に具体的な数字というものが表れるのかというと、必ずしもそういうふうには限られないと思います。
したがいまして、政府側から提供される情報というものが例えば具体的な数字だったりそういったものであった場合に、それが成果に明確に表れるのかというのは、それは非常にケース・バイ・ケースだと、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/282
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283・田村智子
○田村智子君 ケース・バイ・ケースなんですよ。公開、公開、それが原則だというのはちょっと違うと思うんですよね。
研究成果が守秘義務の対象というふうに合意されたら、守秘義務を解除したいという状況になったときも協議会全員の合意が前提となります。協議が調うまで研究成果は秘密とするというふうに協議会で同意がされた場合、じゃ、その協議の場で研究者が、いや、公開が必要なんだと主張しても、官側が非公開の維持を主張すれば、研究成果の全部又は一部、これは守秘義務の対象となって公開できなくなるというふうに思うんですけど、大臣、その辺りどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/283
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284・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
今、泉審議官から説明させていただきましたとおり、この法案の協議会におきまして守秘義務の対象となる情報の範囲というのは、あくまでも協議会を通じて提供された秘密、これに限定されておりまして、このような守秘義務の対象となる情報を除いて、研究者が自ら生み出した研究成果には適用されません。
一方で、海外での懸念用途への転用があり得る場合などに、この詳細な技術情報を守秘義務の対象とすることとは別に、公開せずに内部管理するよう政府が求める場合も例外的に想定されますが、そうした場合におきましても、全ての参加者が納得する形で迅速に結論を出すことが必要だと考えております。
いずれにしても、この法制の有識者会議の提言にございますとおり、政府から機微な情報が提供される場合には、事前に守秘義務の対象となる情報の範囲や期間を明確にすることが不可欠だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/284
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285・田村智子
○田村智子君 これ結局、研究成果の取扱いは協議会の協議事項だとしても、私は、官側の意向が強く働いて、官側が守秘義務を求めれば秘密とされるという危惧、これはやっぱり払拭できないんですよ、協議会全員の合意だから。条文上も、研究者の意向の尊重という文言はどこにもこの法案の中には出てこないんですよね。
そもそも、官民協議会の守秘義務というのは、実は六十二条の第七項に定められているんですね。協議会の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由なく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならないと。この事務に関して知り得た秘密というのが何かが限定されていないんですよ。続く第八項の中で、協議会の組織、運営については協議会で定めるとしています。だけど、前各項、つまり八項より前、七項も含めてそれより前に定めるもののほか、協議会で定めると。で、協議会での協議事項というのは第四項に定めていて、そこにも秘密の範囲というのは入ってこないんですよ。
そうすると、この七項の秘密の範囲、これはどこでどういうふうに限定が掛かるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/285
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286・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
この法案の枠組みにおいて提供される機微な情報についてでございますけれども、これも有識者会議の提言を踏まえまして、守秘義務の対象範囲を明確化した上で協議会の全ての関係者が納得する形で情報が共有されるとともに、第六十二条第四項第四号に基づきまして、協議会の構成員は情報の適正な保全措置を講じることとされておりまして、それらのことによって適切に管理されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/286
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287・田村智子
○田村智子君 そうすると、守秘義務のその機微な情報の提供等々、その守秘義務の範囲をあらかじめ官側が決めて、その上で協議会のその事項に従ってですね、四項に従って研究の成果等々についてどうするかというのは決めますよと。
秘密の範囲、守秘義務の範囲、あらかじめ官側が決めてというふうに今答弁聞こえたんですけど、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/287
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288・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 官側がというふうには私は申し上げたつもりはなくて、協議会の全ての関係者が納得する形で決めるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/288
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289・田村智子
○田村智子君 後でちょっと議事録を精査したいと思います。
ちょっとこの、だから、守秘義務というのは本当、この第七項だけなんですよ、六十二条第七項だけなんですよ、秘密、秘密というふうに出てくるのは。そこについては何の限定もないんですよ、事務だから。事務というのが研究の成果に関わることも入ってくるのか、研究開発の内容についても入ってくるのか、何の規定もないんですもの。
そうすると、守秘義務が掛かる範囲って条文上の限定がない、協議会の協議事項としての定めが条文上ない。大川原化工機事件、先ほど言ったとおり、要件の曖昧さも要因となって警察の介入が行われて、大変重大な事態をもたらしたんですよ。この守秘義務は一年以下、五十万円以下のですけれども、でもね、罰則は掛かるわけですよ。この罰則が掛かる守秘義務について、秘密の範囲について、関係者の合意って要件ないですから、これ。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/289
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290・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
先ほど委員の方から御指摘あったとおり、第六十二条の第八項、七項に規定があり、そして第八項に、「協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。」と、こういう規定がございます。
その上で、第四項を御覧いただきますと、第四項について、「協議会は、」「次に掲げる事項について協議を行う」ということで、三号ですとか四号です、内容、成果の取扱い云々ということが書いてございます。四号は、情報を適切に管理する云々と書いてございます。そして五項に、「協議会の構成員は、前項の協議の結果に基づき、特定重要技術の研究開発に関する情報の適正な管理その他の必要な取組を行うものとする。」と、こういう規定がございます。
したがいまして、協議会の構成員は、この六十二条第四項第四号及び第五項に基づきまして、情報の適正な保全措置を、皆で協議をした上で保全措置を講じるんだということを合意すると、こういうことでございまして、これに基づいて適切に管理をすると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/290
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291・田村智子
○田村智子君 情報を適正に管理するというところに守秘義務を読むというふうに言いますけどね、その用語がないもの。そうなんですよ、七項に限定がないんですよ。守秘義務を規定した七項に限定がないんですもの。
私が何を危惧しているかというと、大川原化工機事件は、まさにその規制の曖昧さ、その条文上の限定、まあ要件ですね、この要件の曖昧さも一つの要因となって、警察が、法令を所管する省庁からの意見を聞いたとはいえ、警察の判断で捜査を行うわけですよ。守秘義務違反だというふうに警察が一方的に捜査を行うということを、そうさせないというものがどこで担保されるのかなんですよ。協議会事項の中で秘密事項の合意というのはないんだもの。
情報の適正管理というのがそうだという答弁ではあったので、そこはしっかりと定めてほしいとは思うんですけれども、条文上そういう縛りが余りに緩いというふうに思いますけど、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/291
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292・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 繰り返しになりますけれども、機微な情報につきましては、先ほど申し上げたとおり、協議会の全ての関係者が納得する形で情報が共有されるとともに、この六十二条四項四号に基づいて情報の適正な保全措置を講じることとされておりますので、そうした法の規定にのっとって適切に管理していくことが重要だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/292
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293・田村智子
○田村智子君 非常に、だから官側の意向が強く働くという懸念を私は払拭することができません。是非、この守秘義務のところは改めて次の機会に質問をしたいと思います。
ちょっと時間が大分押してしまいましたので、デュアルユースに関わる問題で、一つちょっと具体の事例で質問をしたいんです。
先週の本会議で、既存の施策で研究開発が進められているプロジェクトについても協議会の対象になり得るということで、その既存のプロジェクト研究というのは、AMED、医療研究開発機構が所管する科研費、公募研究なども含まれるというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/293
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294・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
本法案の第六十二条の規定により協議会を組織することができる研究開発大臣には、国の資金により行われる研究開発等に資金を交付する、例えばAMEDの所管府省の一つである厚生労働省、JSPSを所管する文科省といった関係府省の大臣が該当いたします。
したがいまして、このため、例えばAMEDが所管する公募型研究費、JSPSが所管する科学研究費助成事業についても対象となり、例えば、あえて申し上げますと、それぞれの事業の趣旨や目的などに鑑みまして、本法律案に定める要件にも該当し、そしてかつ研究代表者の同意が得られれば協議会を設置することは可能と、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/294
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295・田村智子
○田村智子君 非常に広く対象になり得るんですね。
それで、デュアルユースについてはもう大分議論がありました。やはりデュアルユース技術などが特定重要技術として協議会が組織されて、やはり非公開とするもの等々についてもいろいろ議論がされながら協議会で進んでいくんじゃないかというふうにも思われるわけです。
何でAMEDというふうに言ったかというと、医療研究開発機構の科研費の研究ではウイルスに関わるものがいろいろ研究されますよね。それで、具体の事例でいいますと、H5N1の高病原性鳥インフルエンザの遺伝子一万三千五百個のうち僅か四か所の変異によって哺乳類間で空気感染するということが東大医科研の河岡義裕氏らの研究で明らかになって、その論文が二〇一二年にネイチャーに発表されました。当該研究はバイオテロに悪用されかねないという理由で、アメリカ政府の委員会から遺伝子改変の手順と遺伝子変異の詳細については削除を論文からしてほしいというふうに求められて、発表が遅れたという経緯があります。
当時、WHOも対応に乗り出して、研究を公表する有益性はリスクを上回るかという議論が行われたわけですね。WHOは論文の公開を勧告し、結果としてアメリカのNIH諮問委員会は全面公開というふうに結論を変えたということなんです。
ここで重要なのは、アメリカ側からこういう削除要請があったということは社会的に明らかになり、削除要請の是非などが研究コミュニティー委員会だけでなくて広く議論されたと、これ非常に重要なことだと思うんです。
こういうデュアルユースに関わるようなこと、その研究の結果、その論文、政府は例外的に協議会内での削除要請など、これも協議会で相談してやるということがあり得るんだろうというふうに思うんですけれども、そういうことが行われた場合、削除要請など、当該事務に関して知り得た秘密について、削除要請、そういうことを削除要請したよということは秘密にされるんじゃないのかというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/295
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296・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
協議会で扱われる情報のうち、どのような情報が守秘義務や安全管理措置の対象となるかについて、これは非公開化の要請の事実関係も含めて、その具体的な運用方法は個々の協議会ごとに規約や協議会で協議を通じて全ての協議会構成員が納得する形で決めることとしておりまして、一概に申し上げることは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/296
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297・田村智子
○田村智子君 協議会の事項は原則その協議事項について公開するということだったんですけど、こういう機微情報のところというのは、公開、原則公開、これはもうケース・バイ・ケースってならざるを得ないでしょうね。
この事案について報道をした日経サイエンスは次のように論じているんですよ。人類は新たな感染症に直面するたびに科学の手法で対処法を見出してきた。それは、情報を共有し、批判と検証によって最適解、最適な解答ですね、を選び出すプロセスで、情報の秘匿や独占とは根本的に相入れないと。パンデミックに関わる研究は、数か月の遅れが何百万もの人命を左右する。情報が悪用されるリスクを抑え、科学の進展スピードを維持するにはどうするかと。
確かに、軍事と民間で非常にもう研究は接点があるというのはそのとおりですよ、デュアルユース研究は。だから民間にどう生かすかということが求められるわけで、そのときに、様々なことを秘匿する、秘匿する、秘密にしていくという方向に働き続けることは、私はこれは、逆に国益、国民の命、これを本当に守ることにつながるんだろうかと、とりわけ研究の分野について。この危惧を申し上げて、引き続き是非審議をしたいと思います。
以上で今日の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/297
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298・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01120220419/298
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