1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月二十六日(火曜日)
午後一時三十分開会
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
熊谷 裕人君 塩村あやか君
四月二十六日
辞任 補欠選任
塩村あやか君 吉田 忠智君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
吉田 忠智君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
市田 忠義君
田村 智子君
国務大臣
国務大臣 小林 鷹之君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 高村 泰夫君
内閣官房内閣審
議官 三貝 哲君
内閣官房内閣審
議官 木村 聡君
内閣官房内閣審
議官 泉 恒有君
内閣府科学技術
・イノベーショ
ン推進事務局統
括官 米田 健三君
内閣府総合海洋
政策推進事務局
長 平岡 成哲君
内閣府日本学術
会議事務局長 三上 明輝君
警察庁長官官房
審議官 森元 良幸君
総務省大臣官房
審議官 藤野 克君
法務省大臣官房
審議官 保坂 和人君
外務省大臣官房
参事官 中村 和彦君
経済産業省大臣
官房サイバーセ
キュリティ・情
報化審議官 江口 純一君
経済産業省貿易
経済協力局貿易
管理部長 風木 淳君
国土交通省大臣
官房技術審議官 河野 順君
海上保安庁装備
技術部長 矢頭 康彦君
防衛省防衛政策
局次長 大和 太郎君
防衛装備庁プロ
ジェクト管理部
長 坂本 大祐君
防衛装備庁技術
戦略部長 堀江 和宏君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済施策を一体的に講ずることによる安全保障
の確保の推進に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、熊谷裕人君が委員を辞任され、その補欠として塩村あやか君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外十七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/2
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003・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/4
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005・有村治子
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
二十分という限られた時間でございますが、今日は前半、海のことを論じます。
冒頭、北海道知床での海難事故に当たり、お亡くなりになった方々の霊を悼み、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。同時に、この瞬間も危険と隣り合わせになりながら捜索、救助に当たっていただいている海上保安庁、警察始め関係皆様の献身的な働きに思いをいたし、皆様とともにその安全を念じたいと思います。
それでは、本題に入らせていただきたいと思います。
経済安全保障の中核の一つは、国民生活の基盤となるサプライチェーンの脆弱性を乗り越えていくことになります。この視点に立てば、現下のウクライナ危機から我が国が学ぶべき教訓とはどのようなものになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/5
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006・中村和彦
○政府参考人(中村和彦君) お答えいたします。
今回のロシアによるウクライナ侵略、御指摘ございましたが、エネルギー、食料あるいは防衛力といいました国家安全保障の基盤について、これを自ら十分に構築しておく、このことの重要性を明らかにする事象であると認識をしております。自律性を向上することは、政府が推進しております経済安全保障の取組の主要な柱の一つでございまして、非常に重要であると認識しております。
我が国、資源乏しゅうございますので、食料、エネルギーに関しましては、供給源の多角化、あるいは同盟国、同志国や国際機関との連携等を通じましたサプライチェーンの強靱化、こういうことに従来より努めてきておるところでございます。
また、防衛力に関しましては、政府として、厳しさを増す安全保障環境の中で、我が国自身の防衛力の強化、これとともに日米同盟の抑止力、対処力を強化させていく、このことにより防衛するというのが現実的かつ適切な考え方であると認識しております。
いずれにいたしましても、こうした平時における備えに加えまして、今回ウクライナで起こったような有事における対応、これについても、唯一の同盟国である米国あるいはG7、こうした国際社会と連携しつつ緊密に取り組んでまいりたいと、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/6
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007・有村治子
○有村治子君 ウクライナを侵略したロシアに対する国連非難決議に対し、実に百四十一か国もの国々が非難決議に賛同をいたしましたが、インドはその一方で棄権に回りました。日米豪印、クアッドの一角を成すインドが、実は自国を守る防衛装備の多くをロシアの武器に依存しています。
国民が生きる上で根幹的に重要なことは、今御答弁をいただいたように、食料でありエネルギーであり国民を外敵から守る防衛力です。また、それを支える科学技術力です。これら、食料、エネルギー、防衛力を他国に過度に依存すると、独立主権国家といえども、理念に基づく自律的な意思決定が困難になることをまざまざと思い知らされます。
日本の場合、この食料、エネルギー、防衛力、またそれらを支える科学技術という国民の生存基盤に直接関わってくるのが実は海だと私は確信をしております。四方を海に囲まれ、六千八百五十二の島々から成る海洋国家日本としての特徴を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/7
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008・平岡成哲
○政府参考人(平岡成哲君) お答えいたします。
我が国は、四方を海に囲まれ、国土面積では世界第六十一位ですが、領海、排他的経済水域の面積を加えると世界第六位となり、世界有数の海洋国家です。我が国は、原油や鉄鉱石などの主要資源、衣食住を含む国民生活の根幹を成す原材料のほとんどを海外から輸入しているほか、日本の貿易量の九九・六%を海上輸送が占めているところが特徴の一つと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/8
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009・有村治子
○有村治子君 ありがとうございます。
海運業界では、世界が一つのマーケットとして動いています。この世界単一市場において、造船分野では現在どこの国が国際的な競争力を持っているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/9
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010・河野順
○政府参考人(河野順君) お答えいたします。
我が国造船業は、かつて建造量世界一位であった英国を抜き、一九六〇年代前半には世界シェアの約五割を占めていました。その後、一九九〇年代に韓国が、二〇〇〇年代に中国が台頭し、近年は日本と中国と韓国の三か国で世界の九割を占めております。その中で日本の世界シェアは二割程度となっております。しかしながら、例えば環境性能においては、中国、韓国と比べて我が国建造船が優れていることが確認されているなど、依然として我が国造船業は高い技術力を有しております。
ただし、中国では、中国製造二〇二五の重点十分野に海洋や船舶を位置付けており、また韓国では、経営難に陥った大手造船会社に対して政府系金融機関から巨額の融資支援を行うなど、中韓は国家戦略として造船業の強化を図っており、我が国造船業は厳しい国際競争にさらされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/10
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011・有村治子
○有村治子君 ありがとうございます。
終戦後、焼け野原から再出発した日本経済を牽引したのは鉄の塊と向き合う造船業であり、約三十年前までは日本が世界第一のシェアを誇っていました。世界中の船の半分がメード・イン・ジャパンという輝かしい時代でありました。しかし、現在では、今御指摘のとおり、資料一を御覧ください、中国が世界市場の約四割、韓国が三割、その後塵を拝す三番手に日本がおり、直近では日本のシェアは一八%にまで下がってきています。
そこで、防衛省にお伺いします。
中国、韓国がじりじりと造船市場における日本の地位を脅かし、リードしている中で、今後、仮に万が一、日本の造船業が衰退し、日本が自国で船を造る能力をなくしてしまったとしたら、我が国はどのような状況に陥るのでしょうか。教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/11
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012・坂本大祐
○政府参考人(坂本大祐君) お答えを申し上げます。
周辺各国が軍事力を強化をし、我が国周辺で軍事活動を急速に活発化させるなど、我が国を取り巻く安全保障環境はこれまでにない速度で厳しさを増しております。
こうした中で、自衛隊の艦艇は我が国周辺海域における警戒監視等を担う重要な装備品でございまして、潜水艦や護衛艦、掃海艦等の建造、修理のためには、自衛隊の艦艇に特有の技術、これが必要となっております。我が国の造船業は、自衛隊の要求性能を満たす艦艇の建造、修理を担っておりまして、我が国の防衛力を支える要素であるにとどまらず我が国の防衛力の一部となっており、艦艇の生産技術基盤の維持向上、これが今後とも不可欠であると、このように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/12
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013・有村治子
○有村治子君 同じ質問を海上保安庁、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/13
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014・矢頭康彦
○政府参考人(矢頭康彦君) お答えいたします。
海上保安庁では、高性能な巡視船艇を調達するため、全て国内の造船会社と建造契約を結び、建造しているところでございます。
仮に自国で船を建造する能力がなくなりますと、我が国周辺海域をめぐる厳しい情勢等への対応、これに支障が生じることが想定されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/14
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015・有村治子
○有村治子君 端的にありがとうございます。
周辺海域とおっしゃいましたけれども、尖閣諸島を巡視する海上保安庁の巡視船を中国や韓国に造ってもらうわけにはいかないということだと認識をしています。防衛省さんがお答えになったように、造船業の衰退、技術力の低下は、即海上防衛の弱体化に直結して、国家の生存や繁栄を危うくします。ロシアと中国の軍艦十隻が太平洋側を巡航するという初めての示威行為、それに対する自衛艦、艦船を中国か韓国に造ってもらうわけにはいかないというのも自明の理であろうかと思います。
近年、急激に海軍力を伸ばし、資源探索力、測定技術の探究を抜かりなく進めているのがお隣の中国であることに留意が必要だと私は考えています。
午前中の審議においても半導体の議論が続いておりましたけれども、世界トップの半導体の能力、生産基盤を失ってしまった日本の手痛い教訓、一度失った技術力やあるいは競争力、生産基盤を復活させることの難しさを身にしみて痛感をしている日本としては、海のポジションまで失う余裕はないはずであります。食料自給率が低い、また天然資源にも乏しい我が国は、世界中の国々と安全な航路、シーレーンで安定的につながっている時代のみ、日本の平和と繁栄があります。
造船市場の四割以上を席巻し、五割をもうかがう中国が、国策として、先ほど国交省がお答えになったように、先端技術開発を進める重点領域として海洋を明示し、南シナ海、東シナ海で領土拡張主義的な動きを加速させている現在こそ、自由で開かれたインド太平洋の中核を成す日本が、健全で強靱な造船、海運の基盤を持ち続け、自由、民主主義、法の支配、人権の尊重という普遍的な価値を先端技術を守りながら守り抜いていくことが日本の国益であり、かつ世界への貢献だと私は確信をしております。
そこで、小林大臣、経済安全保障行政を進めるトップとして、大臣は日本にとっての海洋をどのように認識をされるか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/15
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016・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 我が国は、四方を海に囲まれております。今お話あった食料、エネルギーを含めて重要な物資の輸入をしております。貿易量のもう九九・六%、これを海上輸送が占めておりまして、まさに世界有数の海洋国家であると認識しています。今や、海は国と国を分かつものではなくて、むしろつなげるものでございますし、これ宇宙と同様にまだ海洋には未知なる部分がたくさんある、そういう意味ではフロンティアだと思っています。
こうした中で、その造船業は、海上の輸送、海洋の開発、また海上の警備、こうした観点から非常に必要で大切だというふうに思っておりますし、国民生活と経済活動を支えていく重要な基盤産業だと考えております。中国、韓国との厳しい競争の中でも、先ほど環境性能が優れているという話ありましたが、世界に貢献できる分野も、部分を持っています。
そうした中で、国交省を中心に産業基盤強化の必要な取組を進めてきておりますが、経済安保の観点からも、今この造船あるいは海運業につきまして既にリスク点検というものを行っておりまして、引き続き、そうした点検を行う中で経済安全保障上講ずべき措置が明らかになれば、この法案に基づく支援を含めまして必要な取組を進めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/16
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017・有村治子
○有村治子君 ありがとうございます。
後半、学術会議と軍民両用技術、デュアルユースとなる先端技術研究について伺います。
七年前の二〇一五年、防衛装備庁が安全保障技術研究推進制度という研究助成制度の公募をスタートさせました。これを受けて日本学術会議は、二〇一七年に軍事安全保障研究に関する声明、これですね、を発表し、この声明に呼応する形で日本の多くの大学ではそれぞれガイドラインを定めています。日本の大学において、自然科学系の研究者の多くがこの学術会議が出した声明によって、事実上、防衛装備庁による研究助成に申請、応募する道を断たれています。
日本学術会議は年間約十億円の国費が毎年投入をされていて、約五十人の国家公務員が事務局として勤務しているにもかかわらず、今回判明したことですが、この声明が出て五年間たった現在でも、大学ごとにどういう方針を出しているのか、その現状把握もしていないということが判明をしました。これでは事務局が怠慢だと言われても致し方ありません。猛省と誠実さを求めます。
日本の科学技術力の進展に極めて重要な役割を持つ各大学が、日本学術会議が発出した声明をどのように受け止め、動いたのか、その方針一覧を学術会議事務局の責任において正確に把握し、一覧にしてホームページなどで公表するという国民への説明責任を果たすべきだと考えます。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/17
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018・三上明輝
○政府参考人(三上明輝君) お答えいたします。
御指摘の声明は、大学等の各研究機関に軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から、技術的、倫理的に審査する制度を設けるべきことを求めるものでありまして、デュアルユースに係る研究のような安全保障に資する研究を一律に禁止するという趣旨のものではございません。
この声明が発出された後、日本学術会議では、科学者委員会が主体となりまして、平成三十年に大学等研究機関を対象に審査制度等の整備状況についてアンケート調査を実施いたしました。その結果は、この声明に関するフォローアップの分科会が令和二年の八月に報告書を取りまとめ、公表したところでございます。
ただし、この調査は、その審査制度等の整備状況に係る全体的な傾向を把握することを目的としておりまして、個別の大学が具体的にどのような対応を取ったかというところまでは把握できておりません。
また、この調査から四年以上経過しております。状況が変化してきているということも考えられますので、委員の御指摘も踏まえまして、事務局においてまずは公開情報を手始めに大学の対応状況等について現状の把握を行い、一覧表など分かりやすい形で取りまとめて公表できるように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/18
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019・有村治子
○有村治子君 資料二を御覧ください。
これは、月刊「正論」二〇二一年四月号でございます。そこから引用しておりますけれども、この資料二の事例が多く掲載されているように、事実上、防衛装備庁の研究制度への応募を禁じている大学が多々あります。その公表をしていただきたいわけですが、実は産経「正論」がもう既にかなりのところを調べておられます。昨日、私が調べただけでも少なくとも十五大学確認することができました。
そこで、防衛装備庁に伺います。多くの大学が、この資料が示すように防衛装備庁の研究助成制度への応募を禁じ、敬遠している実態があるわけですが、防衛装備庁や研究助成制度というのは、日本の大学からそこまで忌み避けられ、警戒されるほど信用されていない危険な組織なのでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/19
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020・堀江和宏
○政府参考人(堀江和宏君) お答え申し上げます。
防衛省が所管する安全保障技術研究推進制度、いわゆるファンディング制度と呼ばせていただいておりますが、これは、将来の防衛分野での活用を期待しつつ、民生分野での活用も期待される先進的な技術について基礎研究を公募、委託するものでございます。
この制度においては、他の競争的研究費制度と同様に、防衛省が研究に介入することはなく、また、研究成果の公表を制限することもございません。また、防衛省がこれまでに採択した研究課題の中に大量破壊兵器や国際人道法に違反する武器の開発につながるものはなく、これからも防衛省が採択することはございません。
防衛省においては、こうしたファンディング制度内容について、これまでも累次にわたって発信、説明を重ねてまいりましたが、委員御指摘いただきましたように、この制度をアカデミアの方々に正確に御理解いただけるよう、しっかりと取り組んでいかなければならないと改めて認識しております。
また、委員御指摘のとおり、防衛装備庁は防衛省設置法で設置された防衛省の外局でございまして、我が国防衛に必要不可欠な装備品等の研究開発などを任務とする組織でございます。実際に研究開発を行うに当たっては、ファンディング制度を含め、必要な予算を要求の上、国会において御審議いただいているところでございます。
防衛省といたしましては、ファンディング制度について、防衛省の研究開発への参加は全く強制されないという点も含め、大学当局を始めとする国内の研究機関の皆様の理解が得られるよう、また、より多くの方々にファンディング制度に応募していただけるよう、今後一層の努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/20
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021・有村治子
○有村治子君 学術会議が出した五年前の声明の解釈をめぐって、最近改めて混乱が生じています。防衛装備庁が募集する研究助成だというだけでその応募を禁じるのが意図なのか、そうでないのか。日本の防衛力向上に資する基礎研究でさえ軍事研究だ、デュアルユースだと頭ごなしに決め付けて忌避するのかしないのか。一体どちらが学術会議の真の意図なのか。日本学術会議は、誤解を生まないよう見解を整理されて、公式な見解や声明として私たち国民に対する説明責任を果たされるべきだと考えます。最後に御質問させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/21
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022・三上明輝
○政府参考人(三上明輝君) お答え申し上げます。
御指摘の声明でございますけれども、この取りまとめの議論を行った会合、平成二十九年三月の第十一回の会合でございますが、ここの議事録にも、当時の委員長が、防衛装備庁だから一切受けるなというふうにここは言っておりませんと述べたことなどが記録されているところでございます。この声明、先ほど申し上げたとおり、何かを禁止するというものではございません。
日本学術会議として国民に正確な情報を発信するということが求められていると認識しておりまして、学術会議としての考え方を国民にきちんと伝えて、混乱を来すことのないように努力を重ねてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/22
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023・有村治子
○有村治子君 私は、日本学術会議が主権者たる国民から共感や敬意を持たれる知的リーダーであってほしいと思います。しかし、国民的な理解や共感を得るための説明責任、努力がなされないのであれば、井上前大臣が勧められたように、日本学術会議が国の関与から外れ、純粋な民間団体として再出発されるのも一案かと思います。
以上で、自由民主党、私、有村治子の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/23
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024・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉でございます。
本日は経済安保推進法案の審議ということなんですが、その前に、目下の経済情勢について小林大臣に短く伺います。
足下で急速な円安が進んでいる今日、一ドル百二十八円台で推移しておりますけれども、先週二十日、二十年ぶりの百二十九円台半ばまで円安ドル高が進みました。年初来で二四%、ここ一か月で一二%の異常な円安の進行ということなんですが、こうした中で、消費者物価の上昇が止まらない。三月の物価上昇率が〇・八%、恐らくこの四月以降は二%台に乗って、その後も更なる物価上昇が予想されております。
そこで、大臣に伺いますけれども、こうした目下の円安というのはいわゆるいい円安か悪い円安か、それとも、今後の物価上昇の懸念と併せて短く答弁願えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/24
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025・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 為替政策というのは、委員御案内のとおり、財務大臣の専権事項でございますので、この為替水準の高い低いを含めまして、この動向について私からはコメントを控えさせていただきます。
その上で、足下のこの物価上昇の動きですけれども、円安の影響も委員御指摘のとおり見られます。それに加えまして、原油を始めとする世界的な原材料価格の上昇、これも大きな要因だと承知しております。こうした状況を踏まえまして、ウクライナ情勢に伴う原油価格・物価高騰による国民生活、経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応するための総合緊急対策、四月中に取りまとめられるものと承知をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/25
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026・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 今、財務当局の専権事項ということを答弁されましたけれども、鈴木財務大臣は悪い円安だというふうに断言されています。そして、黒田総裁も、日銀、日本経済にマイナスだと、こういうふうにおっしゃっているわけですが。
この円安の進行というのは、もうもちろん皆さんも御存じのとおり、日本と欧米の金利差、これが大きいわけですけれども、この背景に日本経済の凋落があるというふうに指摘する識者は少なくありません。実効レートでいいますと、五十年前の水準にもうなっちゃっているということなんですけど、この点についての大臣の認識、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/26
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027・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 繰り返しになりますけれども、その財務大臣のコメントは私も承知をしておりますが、私自身からこの為替水準そのものについてはコメントを控えたいと思います。
その上で、一般論として申し上げますと、円安によって輸出や海外展開をしている企業の収益は改善しますが、一方で、当然、輸入価格の上昇を通じて企業や消費者に負担増となる、なり得るものと承知します。それが経済に対して当然影響を与えてくるということです。
円安は経済に対してプラスマイナス両面で様々な影響を与えますから、この両面の影響を総合的に注視していく必要があると考えますし、また、我が国の経済との関係というのも当然注視していく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/27
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028・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 いや、私は経済の影響を聞いているんじゃなくて、背景に日本経済の凋落があるんじゃないかと、こういう指摘についてどう思いますかと、こういう質問だったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/28
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029・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) その点につきましても、為替の水準のこの動向に関わってまいりますので、私の方からコメントは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/29
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030・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 いや、そういうことじゃないんですけど。
今日も午前中も質疑ありましたけれども、産業が後退している、例えば半導体分野というのが午前中から何度も何度も上がっておりました。こうしたことも含めて、今造船の話もありましたけれども、私の父親も造船会社に勤務しておりましたので、父親からずっとその話は聞いておりました。
そうしたことも含めてなんですが、一九九〇年代以降のいわゆるバブルの崩壊以降、日本の経済社会全体で過度にリスクを恐れる、こういう心理が高まったことが影響しているんじゃないかと、こういう指摘があります。こういう状況の中で今回経済安保法制が進められようとしている。政府による新たな規制の導入、あるいは規制強化、企業活動に必要以上の萎縮効果を与えるのではないか、こういう懸念の声があるのは大臣もよく御存じだというふうに思います。
こういう懸念というのは単なる杞憂なんでしょうか、それとも、我が国経済の実力を更に低下させるおそれは本当にないのか、明快に答弁願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/30
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031・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この点につきましては、委員からも本会議で御指摘があったと記憶していますけれども、当然、安全保障の確保と経済活動の自由、これは私からこの委員会を通じて、両立をするということで答弁申し上げているとおりです。企業活動に対してしっかりと配意をしながら、この制度設計、運用をしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/31
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032・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 そういう趣旨の答弁、繰り返しておられます。衆参長く審議は続けられてきたんですけれども、幾ら審議を重ねても具体的な運用の形が見えてこない。その最大の理由は、再三言われているように、政省令に委ねられる部分が余りにも多い、そして一連の答弁で政府側が必ずしも詳細を明かしているとはやっぱり到底思えない、こういう状況があると思います。
対象の事業者や研究者の皆さんは、これ衆参の議論の行方を注視しているわけですけれども、この議論を聞いていても、何をしたらいいのか、何をすればいいのか、逆にまた何をしてはいけないのか、やっぱり明確なメッセージって伝わっていないんじゃないかと私は思うんですね。そうした点をできる限り明らかにしたいという観点から、法案の四本柱の一つの基幹インフラを中心に質問をしたいんですが、その前に全体的に幾つか押さえておきたいポイントがあります。
まず、この経済安保法制推進のための体制についてなんですけれども、本法の施行を行う組織として、今般新たに内閣府に、これは新聞報道なんですが、経済安全保障担当室、こういう新しい組織を設ける、これは衆議院の質疑の中でも出ておりました。この新しい組織と、それから、これまでありますNSS経済班、これを含めた全体の法執行体系と具体的な人数、これを教えてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/32
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033・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、経済安全保障全般につきましては、これ多岐にわたる課題でございますので、例えば政府全体で経済安全保障に関わる人間が何人って、これちょっと切り出してお答えするのは難しいんですけれども、まず現時点の状況を申し上げますと、国家安全保障局におきましては、その経済班に所属する職員を含め、今約五十人が、去年十一月に立ち上げた経済安全保障法制準備室、これ兼務する形でやっております。この法案に関する事務に従事をしているところでございまして、また政府全体としては、この令和四年度予算におきまして、投資審査、あるいはサプライチェーン強靱化を含めて、政策部門に関する人員として約二百五十名、そして経済インテリジェンスに関する人員として約百三十名、百三十名の定員増を計上させていただきました。
新しいこの法案が仮に成立すれば、内閣府に経済安全保障のこの法案を執行するためのその部局というのをつくっていかなければいけないと思っています。その部局そのものにつきましては、まだ今審議をいただいている状況でございますので、しっかりとそこはこの法案を適切に執行できるように検討していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/33
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034・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 その新しい組織なんですけど、報道ベースなんですけれど、数十人という、こういうふうな報道ありますけど、これは本当ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/34
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035・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今お答え申し上げましたとおり、まだこの今法案をまず成立させることに全力を尽くしている状況でございまして、その具体的に数十名、それ報道は一々、その一つ一つにちょっとコメントは控えますけれども、まだその人数が固まっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/35
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036・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 まだその新組織の人数固まっていないということなんですが、今答弁いただいただけでも大体五百人弱と、こんな感じ、五百人ぐらいと、こういう感じなんですね。
これだけの人員で何をやるのかということなんですが、もう一つ、今回はその四本柱から法案全体構成されておりますけれども、これだけでは不完全だということを大臣自身がこれまでの答弁で認めていらっしゃる。例えば、三月二十五日の内閣委員会ですね。四項目だけが全てと思っていないが、一気にやることができないので、そこでは喫緊の課題であるところを今回四つの項目として入れたと、こういうふうな答弁がございます。
四つに絞った理由、それから、分野横断的な課題で喫緊に法的措置を講ずべきものに今回絞ったと、こういう理解でいいかどうか、まずお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/36
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037・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません、お答えさせていただく前に、先ほどの人数の話があって、今、杉尾委員の方から大体五百名ということ、新しい部屋ということだったんですけど、そういうわけでもなくて、先ほど二百三十、百三十と申し上げましたが、例えば二百三十の中には地方の財務局ですとか経済産業局のような、そこの地方で投資審査をしっかりやっていく方も含まれていますので、そういう点を御理解いただければと思います。
四つに絞った理由というのは、私がもう大臣になる前から、この主要な各産業につきまして、その脆弱性の点検というのを私は自民党の方でやってまいりまして、政府の方も御協力いただきながら、いろいろ脆弱性の分析とかそういうことを、ラフな形ですけれどもやってきまして、その中で幾つか洗い出した分野横断的かつ法整備が喫緊に必要なものにつきまして、去年の骨太の方針にも幾つか出ていると思うんですけれども、そういうのをピックアップさせていただいて、今回四項目ということです。なので、今委員から御紹介いただいたとおり、これが全てだとは、いうふうには思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/37
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038・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 全てだとは思っていないと、こういう答弁でしたので、では、今後、完全なものを目指して、四分野以外に現在射程に入れていること、そして、これからの展開、具体的に何からどういうふうに着手して、最終的にどういう形を目指すか、お考えがあればお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/38
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039・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
今私が置かれている立場というのは、この最初の第一歩かもしれませんが、非常に重要な一歩だと思っています。この法案をとにかく成立していただけるように全力を尽くすことでございまして、今既に何か課題があるのであればもう一緒にやればいいんですけれども、まさにこの四項目ということです。
別途、法整備が必要なもの、必要じゃないもの、これから出てくると思います。既に、各省横断的な局長の方々で構成するこのリスク点検の重点課題検討会議というものを既に立ち上げて、今のところ二回やったんですけれども、こうしたところでその課題を洗い出して、特に分野横断的で更に法整備が必要なものがあれば、それはすぐに取りかかっていかなければいけないと思っています。
最終的な形としては、これまでも自律性とか優位性、不可欠性という言葉を使って申し上げていますけれども、私がこうなってこうしなきゃいけないと思うのは、やはりどういう状況であっても、また他国のその動向に右往左往することなく経済面からしっかりと政策を打って国民の皆様の命と暮らしを守り抜く、そういう国家をつくるということが目指すべき形だと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/39
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040・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 まずは目下のその法案成立に全力を挙げると、これからの検討課題については考えていくと、こういうふうな答弁ですけれども。
もう一つなんですが、今日も幾つか質問がございましたいわゆる頭脳、技術の流出への対処なんですけれども、確かに、電機産業もそうです、造船業もそうだったと思いますし、自動車産業もそうですけれども、日本からのいわゆる技術者の流出が、まあこれが結果的にアジア諸国の技術力を高めた、そしてその技術格差が縮まっていった、これ大きな原因だというふうに思います。
そこで、今回の法案はこうした問題をどこまで射程に入れて作ったのか、明示的に法的措置が行われているのは特許だけなんですけれども、なぜこうした分野がこの中に盛り込まれていないのか、これについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/40
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041・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員が御指摘されたこの頭脳とか人材とか技術の流出というのは、これ経済安全保障上本当に重要な課題だと思っておりまして、これはまず、その技術を守るというところから、流出を防止するというところで申し上げれば、この法案では、今委員から言及いただいた特許の非公開制度がまず一つございます。もう一つは、官民の技術協力のところで、この情報保全の措置をしっかり講じていくというところで、これも一つ技術流出防止対策として申し上げられるかと思います。
これは法整備だけではなくて、既に私が大臣になって以降でも、以降だけで見ても、例えば外為法の対内直投の審査、直接投資の審査においても指定業種を付け加えていくとか、いわゆるみなし輸出という制度がありますが、これの強化を行った。また、研究インテグリティー、例えば研究者の方がその研究費、公的資金を申請するときには、じゃ、どこから、外国の政府を含めてどこからお金をもらっていますかということをしっかり報告してください、そういうことをもう既に始めています。また、主要なプレーヤーである企業や研究機関などにおきましても、情報管理体制の強化のための普及啓発に取り組んできたところでございます。
こうした技術流出の防止の取組というのを引き続きしっかりやっていかなきゃいけないと同時に、その流出するのを防止するだけだったら恐らくこの国というのは守るものがなくなってしまうと考えますので、その意味で、今回、四本柱のうちの三つ目、官民の技術協力、こうした世界各国がしのぎを削っている先端重要技術で日本も勝負していくことによって、本気で意欲のある優秀な方を国内外からこの日本でそういう研究に携わっていただく、そういう仕掛けというものも重要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/41
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042・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 私も岸田総理に代表質問でこの点について問うたんですけれども、各企業の情報管理体制の強化、それから研究者の待遇改善、研究環境の整備等を挙げておられました。今大臣の答弁ございましたけれども、単なる口先の支援でなくて、これ具体策が求められているというふうに思いますので。もうこれ以上質問しませんけれども。
もう一つ、この中小企業に関してなんですが、日本のやっぱり強みというのは、やっぱり中小企業がそれぞれきらりと光るいわゆる技術を持っていて、それが日本の産業の強み、優位性だというふうに言われておりました。
こうした中小企業の技術流出対策についてなんですけれども、中小企業庁と警察庁に伺いますが、どのような取組を行っているか、それぞれ簡潔に御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/42
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043・風木淳
○政府参考人(風木淳君) 委員から御質問ありました中小企業における技術流出の問題についての対応です。
国際的な技術流出問題が顕在化する中、サプライチェーン上の中小企業を含めた企業が機微な技術を守るための適切な対応を取ることが極めて重要となっております。
経済産業省では、これまで、商工会議所やジェトロ等と協力しまして、日本各地で安全保障貿易関連に関する説明会を実施するなど、中小企業向けの普及啓発活動を行ってきたところです。
これまでも、中小企業における管理体制の強化を一層進める観点から、東京、大阪、名古屋の商工会議所に専門の相談窓口を設置し、中小企業が相談しやすい体制を整備しております。また、中小企業の要望や事業内容等に応じた体制構築支援を行うため、安全保障貿易管理の専門家の派遣も行っております。
さらに、優れた技術を持つ中小企業に対するプッシュ型の普及啓発を進めるため、業界団体等と連携した説明会の開催も行っているところでございます。
引き続き、こうした活動を通じて、中小企業の安全保障貿易管理体制の構築、強化に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/43
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044・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答えします。
世界各国が重要技術の獲得にしのぎを削る中、経済安全保障の推進上、先端技術の流出防止対策が極めて重要であると認識しております。
警察におきましては、技術流出防止対策として、産業スパイ事案や機微技術を使った製品の不正輸出事案、サイバー攻撃事案などの実態解明と取締りを推進しております。
あわせまして、解明した技術流出の手口やそれに対する有効な対策のノウハウを企業や大学、研究機関に情報提供するといういわゆるアウトリーチ活動を実施しておりまして、企業や大学、研究機関における技術流出防止対策を支援しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/44
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045・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 こうした答弁をいただいたんですけれども、こうした中で、午前中にも質問がありました、あえて社名も申し上げますが、大川原化工機の事件が起きた。問題となった噴霧乾燥器、雑誌「世界」の先月号に掲載されました青木理さんのリポート、町工場VS公安警察によると、大川原化工機は、二〇一三年の規制強化以来、経産省のヒアリングに応じるなど全面的に協力してきたんだと、こういうふうに書かれております。
経産省に伺いますけど、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/45
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046・風木淳
○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。
委員御指摘の個別の事案に関しては、現在、捜査に関わる事項であると、それから、本件については国家賠償請求に関して係争中であるので、当省の対応について詳細なコメントは差し控えたいというふうに考えております。
他方、一般的な外為法違反事案については、我々として、安全保障貿易管理の範囲内でしかるべく対応しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/46
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047・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 ちょっと、しかるべく対応というんじゃ分からないんですけれども、個別の事案については答えられないということなんですが、午前中の質疑の中では、これ警察とのやり取りなんですが、警察当局から照会があれば、見解を含めて対応すると、こういう答弁でした。規制当局として綿密にコミュニケーションを取ると、こういうふうに言っておりました。
警察と密接にコミュニケーションを取ってきたということは間違いないですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/47
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048・風木淳
○政府参考人(風木淳君) 委員御指摘の点でございます。
我々としては、まず一般的に、外為法違反に関する事案につきましては、捜査当局からの照会等に対して、外為法の運用、それから個別の規定の解釈、それから規制該当性に係る見解を示すなど、常に対応を行ってきているところでございます。それから、本事案についても、委員から御質問ありましたけれども、具体的な詳細は申し上げられませんが、同様の対応を当然行ってきていると認識しております。
その上で、経済産業省としては、この安全保障貿易管理の分野、非常に重要だというふうに考えておりまして、とりわけ大量破壊兵器等の開発や製造につながる貨物や技術の輸出を防ぐために、国際的な平和と安全を確保する上で重要な制度であります。この制度を実効性のあるものにするために、引き続き、法執行当局との連携によって不正輸出に対して厳正に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/48
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049・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 先ほども申し上げましたけれども、当該会社は、規制強化以来、全面的に経産省と協力をしてきた、そして、今も答弁ありましたけれども、経産省も警察庁に対して常にやり取りをしてきた、必要なことはやってきたと、こういうふうな趣旨です。まあ一般論という断りはありましたけれども。
この青木理さんのリポートによりますと、捜査段階で経産省は不正輸出に当たらないという見解を示していた。ところが、強引に捜査が進められた。で、警視庁公安部に経産省側とのやり取りのメモが残されていて、被告弁護士からの要請でこのメモが開示されるはずだった。まさにその期限のその日、開示する期限のその日に突然起訴取消しの通知が来た。初公判の四日前。私も長く事件取材しておりましたけれども、特にこういう事件で初公判の直前に起訴取消しというのはあり得ない、あり得ないと思います。
メモを開示するはずだった。これ、警察庁、本当ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/49
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050・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) 警察は、刑事訴訟法その他の法令に基づきまして作成した捜査報告書等の訴追に関しまして必要な資料は検察官に送致しているところでございまして、その後の取扱いにつきましてはこちらの方から申し上げることはございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/50
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051・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 これは被告の弁護士が言っているので間違ってはいないと思います。メモを開示するはずだった、そのメモの中に開示してまずい内容があった、こういうふうにしか思えないですね、この一連の経過を見ると。
どうしてこんな事件が起きてしまったのか。これは、完全に功を焦った見込み捜査、誤りの捜査だったと思います。もしこれについてコメントあったら、言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/51
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052・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) 本件事件捜査の過程やその評価につきましては、現在、まさに国家賠償請求訴訟という裁判の場におきまして、当事者それぞれが主張、立証を行っているところであると承知しておりますので、この場では警察庁としての評価を申し上げることは差し控えさせていただきたく存じます。
その上で、警察といたしましては、この種事件の取締りに際しまして、法と証拠に基づいて適正な捜査が行われるように努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/52
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053・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 適正な捜査が行われなかったからこんなことになったんでしょう。これで本当におとがめなかったんですか。今回のこれだけの冤罪事件を生んでおいて、一年近くも勾留してですよ。
これ、先日の質疑の中でもありましたけれども、人一人、がんの患者さんだった方が亡くなられているわけですよ。しかも、刑事被告人という汚名を着せられたまま亡くなられたんですよ。こういう事件の重みからいって、誰も処分されていないんですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/53
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054・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) 本件事件捜査に関しまして、処分等の事実があったということは承知してございません。結果として、本件事件捜査が公訴取消しという結果になったことにつきましては真摯に受け止めておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/54
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055・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 何を承知していないとおっしゃいました、今。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/55
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056・森元良幸
○政府参考人(森元良幸君) お答えします。
処分等の事実については把握をしておらぬということでございます。(発言する者あり)ええ、処分という事実につきましては……(発言する者あり)ええ、把握をしておらぬということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/56
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057・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 そうなんですよ。まだ刑事裁判中とはいえ、誰も責任取らされていないんですよ。これ、おかしいと思いますよ。こういうことをやっているから、本当に経済安保取り締まるんでしょう、これから、大丈夫なのかと言われるわけですよ。特に懸念を持っている皆さんからそう言われているわけ。しかも、警察関係の皆さんが重要なプレーヤーじゃないですか、今回の、実際の法の執行に当たって。
この朝日新聞のインタビューに対して大川原社長がこういうふうに答えておられます。経済安保も、目的はいいが、政省令をきっちりしないと対象は必ず膨らんでいく、経済安保推進法で規制を増やすだけなら同じことが必ず起きる、警察や検察の仕事を増やしても安全保障を担保する競争力は付かないと、こういうふうに発言されておられるんですね。本当に私もそうだと思います。
そこで、小林大臣に伺いますけれども、本件では警察の暴走に歯止めが掛けられませんでした。司令塔機能も含めてなんですけど、今回の事件の教訓、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/57
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058・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 御指摘の事案につきましては、会社側と国等が現在係争中であると承知しています。この刑事事件の捜査、また公判の在り方については所管外でございますので、私からこの事件に関するお答えは控えたいと思いますが、その上で、この経済安全保障の取組を進めるに当たりましては、先ほど委員にお答えさせていただいたとおり、その企業の経済活動の自由と、企業の経済活動が原則自由であるとの大前提に立った上でこれを大きく阻害することのないようにすることが重要であると考えていますので、この法案でも、安全保障の確保、そして自由な経済活動との両立、これを図っていくことの重要性を当然念頭に置いています。
いずれにしても、経済安全保障の推進の名の下に不当に企業などの活動に対する規制や監視を広げるようなことはあってはならないと考えております。この法案による制度を含めまして、適切に運用してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/58
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059・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 今の答弁をこれ実際に励行していただきたいというふうに思います。
質問項目を幾つかちょっと飛ばさせていただいて、時間がないので、例えば官僚の天下りのことであるとか、藤井前室長のことであるとか、いっぱい聞きたい話があるんですけど、もう一問、基幹インフラの前に一問だけ聞かせてください。
これ、附帯決議の中に入っているんですけど、本法の施行状況については遅滞なく国会を含めて国民に公表すると、こういうふうな項目がございます。小林大臣も衆議院の段階で、まあいつもの答弁ではありますけど、決議の趣旨を十分に尊重すると、こういうふうに答弁されています。国会報告について岸田総理も、絶えず国会の審議に耐えていかなければならないのはこの法律の運命だと、こういうふうにまでおっしゃっているんですね。
国会の関与に関して、我々は定期的な報告を行うように求めております。具体的には、法律の施行状況についての報告を受けて議論する場を確保してもらいたいと、こういうふうに言っております。
問題はこの報告の内容が何なのかということなんですけど、まさか基金の部分だけとかそんなことはないでしょうね。これ、我々が求めている定期的な報告、そして執行状況についての報告、これちゃんとできますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/59
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060・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 衆議院での附帯決議において留意すべきこととされている事項はもう多岐にわたっています。具体的な取組内容につきましては、今後、政府として精査、検討していくこととなりますが、この法案の施行に当たりましては、例えば附帯決議の内容にも配慮をして基本方針を定めていきたいと考えています。
今委員から御指摘あった附帯決議において、これ引用させていただきますと、「本法の施行状況については、遅滞なく国会を含め、国民に公表すること。」とされていることの御趣旨を十分に尊重して、安全保障上の要請に留意しつつ、タイムリーに施行状況を公表するなど、必要な説明を尽くしてまいりたいと思います。また、必要な予算案、当然国会で御審議いただくこととなります。
今回、この施行に当たりましては、国会を含めて、国民、事業者の皆様に必要な説明を尽くしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/60
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061・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 どうか基金の報告だけなんということにならないようにお願いします。基金は予算に関わることですから当然だと思うんですけれども、それ以外もちゃんとしっかりとお願いしたいと思います。
それでは、ちょっと基幹インフラについて伺いたいんですけれども、いわゆる十四事業なんですが、まず大前提として、なぜこの十四分野なのか、将来対象が広がる可能性はないのか、これいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/61
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062・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
これは先ほど申し上げたとおり、今回、安全保障と経済活動の自由、これを両立する形で予見可能性に配慮した制度設計を行っていくことが重要だと考えています。これ、有識者会議からも、事業者の経済活動が過度に制限されることがないように、規制対象となる事業等について、国家国民の安全に与える影響に鑑み真に必要なものに限定すべきという提言をいただいたところです。
したがって、この規制対象となる事業、絞っております。具体的に申し上げると、国民の生存に必要不可欠で代替困難なものか、又は国民生活、経済活動が依存する役務でその利用を欠けば広範囲あるいは大規模な混乱が生じ得るもの、こうしたもののうち、更に規制対象とすべき事業者や設備が具体的に想定されるものということで限定をし、その外縁としてこの法律に規定した十四分野、記載したところでございます。
この委員から御指摘の将来的な対象分野の拡大の可能性につきましては、現時点で予断を持ってお答えすることは困難でございますが、今後の情勢の変化を見据えて必要な取組について不断に検討を進めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/62
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063・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 先ほど質問がありましたけれども、空港が対象になっているのになぜ港湾が対象ではないのか。午前中の質疑の中で、ちょっと先ほどの答弁は私も全部メモし切れなかったんですが、三月二十三日の政府参考人の答弁では、港湾の使用許可システムは紙ベースで処理されていることを理由に挙げています。紙ベースで処理されているから対象に挙げないんですか。これ、重要性で、今言った、項目おっしゃいましたけど、条件おっしゃいましたけど、それで絞ったんじゃないんですか。どういうことですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/63
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064・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
本法案の対象事業としては、国民生活及び経済活動の基盤となる役務の中で、まず国民の生存に必要不可欠で代替困難なもの、(発言する者あり)はい、それで、役務の、役務、(発言する者あり)はい、役務の利用を欠くことにより広範囲又は、若しくは大規模な混乱が生じ得るものを提供する事業の中で、規制対象とすべき事業者や規制対象とすべき設備が具体的に想定されるものを規制対象となり得る事業と考えました。
したがいまして、委員から御指摘のございました港湾施設使用の許可のシステムについてでございますけれども、これは国土交通省とも随分議論をさせていただきまして、現状では書面の申請によって約六〇%が処理をされているということでございまして、何を申し上げたいかといいますと、結局、仮にその機能が停止した場合であったとしても書面で代替が可能だということでございますので、必ずしも港湾の役務の安定的な提供に大きな影響を及ぼすことが現時点では必ずしも想定はされないということでございますので、今回の基幹インフラの対象事業には含めていないと、こういう整理でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/64
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065・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 おかしいでしょう、六〇%が紙ベースだからって。大きな障害が起きないからって。DX進めているんでしょう、政府として。全く反していますよ。おかしいですよ。
ちょっと私がいた放送事業者について更に突っ込んで聞いてみたいんですけど、対象となる、免許対象のいわゆる基幹放送局なんですけど、テレビには、局ですね、キー局、準キー局、ローカル局、BS放送もあればラジオ放送もあります。そして、放送関係の設備には、いわゆる番組の送出全体を扱っているマスターというのがあります。そして、それぞれに、またスタジオごとに副調整室のサブというのがあって、さらにCM送出システムとかいろんなシステムがある。一体どこまでが対象になる設備なんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/65
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066・藤野克
○政府参考人(藤野克君) お答えさせていただきたいと思っております。
お尋ねの対象設備、いわゆる特定重要設備でございますけれども、この法案の五十条にある趣旨ですね、役務を安定的に提供するのに重要、あるいは我が国の外部から行われる役務の安定的提供を妨害する行為の手段として使用されるおそれがある、そういったところを念頭に、法案成立後に閣議決定する基本指針あるいは主務省令によって定めることになりますので、現時点で確たるお答えをすることは困難ですけれども、例えば先ほど先生おっしゃいましたような番組を送出するマスター設備、これは放送の役務を提供する上での中核となるものでございますので、こういった重要な設備の中から主務省令で定めることになると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/66
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067・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 今のところマスターだということなんですが、放送内容にまさか立ち入るような規制にはならないでしょうね、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/67
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068・藤野克
○政府参考人(藤野克君) お答えさせていただきます。
この本法案で規律するものは特定重要設備の導入あるいは委託に関するものでございますので、番組、放送番組の内容に関わるようなものがこれで規律されるということは考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/68
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069・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 あくまでもハード、しかも基幹の設備だけということなんですけれども、これもある新聞に出ていたんですが、これ民放関係者の声として伝えられているんですけど、確かにそうなんですが、これ膨大な施設で、これ全体が、例えば、ちょっと企業名出しちゃいますけど、NECとか東芝とか、そういうメーカーがあるんですけど、実際にその中に使われている部品まではどこのものだか分かんないんですよね。それも含めて事業者の責任にされちゃ困るということを言っているんですが、これは実は放送事業者だけに限らない問題だというふうに思っております。
特に、審査対象外のシステムを通してサイバー攻撃を受ける可能性があるわけですよね。例えば、直接マスター攻撃されなくても、マスターにつながっている要するにオンラインは幾らでもありますから、そういう可能性もあるじゃないですか。
これ、本当に防ぎ切れるんですか、この法律で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/69
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070・藤野克
○政府参考人(藤野克君) お答えさせていただきます。
先生御指摘のような事業者の懸念の声があるというふうには思ってございます。ですので、この対象設備となるような部品の範囲を含めて、これは事業者にとって過度な負担にならないよう、真に必要なものに限定するという趣旨によって、事業者を始めとする幅広い関係者の御意見を丁寧に聴取しながらこれは進めてまいりたいと考えてございます。
サイバーセキュリティーについてのお尋ねがございました。
これにつきましては、この本法案は、事業別の法律に基づくいろんな取組、これを前提としつつ、我が国からの、失礼、我が国の外部から行われる妨害行為を防止する観点から、対象事業者による対象設備の導入や維持管理等の委託について事前に審査を行う、そういった制度を整備することを考えてございます。
これと、我々の所管する放送法がございます。放送法では、その第百十一条の規定等におきまして、技術基準の適合というのを放送事業者に対して求めてございます。これを受けまして、放送設備のこのサイバーセキュリティーの確保につきましては、放送法の施行規則第百十五条の二というこの規定ございます。そこで技術基準というのを整備してございまして、例えばですけれども、番組の送出の起点となるような設備を外部のネットワークから隔離するための措置ですね、こういうことを求めるとか、あるいは監視や制御や保守等を行う、これをまた、やはり外部ネットワークからの不正な接続の対策を取っていただくとか、そういったことを決めてございます。
こういった放送法の規定あるいは今回の、今般の法案ですね、こういったものの取組を通じて、関係省庁と連携しながら、この放送事業におけるサイバーセキュリティー対策の万全を期すためにこれ推進してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/70
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071・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 今の答弁ですと、放送法、業法と併せての対策ということでできるんじゃないかという答弁だったんですけれども。
そして、事前審査の基準と対象についてなんですが、これは基本指針でどういうふうな内容を書くことが想定されているのか、また、企業の予見性を高めるためにどういうふうな取組を行っていくのか。とりわけ、その予見性を高めるために特定重要設備と特定妨害行為についてでき得る限りの具体化が求められているというふうに思いますけれども、これらの指摘についての明快な答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/71
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072・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
今回の基幹インフラに関する制度につきましては、我が国の安全保障と経済活動の自由を両立する形で事業者の負担と予見可能性に配慮した制度設計を行っていくことが重要でございます。
したがいまして、本制度では、閣議決定する基本指針におきまして、まず規制対象となる事業者、設備等を真に必要なものに限定する、そして次に、事業実態等につきまして十分踏まえた制度整備、運用とする、さらに、規制対象として定める政省令の策定に当たりましてはパブリックコメントを実施するなど広く意見を聞く、さらに、事業所管官庁に相談窓口を設置し、きめ細かい情報提供に努めるといった内容を基本指針に定める予定でございます。
また、この基本指針では、勧告及び命令の審査に当たっての考え方、そして、特定妨害行為の内容等についても可能な限り明快に定めたいというふうに考えてございます。
このように、規制の対象の検討でございますとか制度の適用などの各場面において、事業の実態、そして事業者の負担に配慮することで事業者の予見可能性を確保するとともに、規制措置が事業者にとって過度な負担とならないようにしてまいりたいと、こう考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/72
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073・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 これ、ある財界関係者なんですけれども、いっそのこと、この企業からは買うなというふうに端的に書いてもらった方が企業にとっては一番楽なんだと。確かにそれはそうだと思います。法律にその企業名をもちろん書くことはできないでしょうけれども、できる限りの、今のような説明ではやっぱり漠然としているので、審査基準を明確にしてほしいということと、もう一つ、先ほどの放送事業者の例も同じなんですけど、かなりやっぱり審査が複雑なケースが多いと思うんですね。原則三十日ということになっています。最長は四か月ということなんですが、これで本当に審査ができるのか。審査体制を充実させるというふうに、岸田総理、本会議の質問に対して答弁されておられましたけれども、具体的にどうするのか。審査期間の短縮、本当にこの期間の中でできるのか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/73
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074・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) 委員御指摘のとおり、法律におきまして、審査期間は原則三十日、そして延長も可能としておりますが、それにしても最大四か月という形にしてございます。
逆に申し上げますと、今後、我々が基本指針を作り、そして政省令を作るに当たって、今後そこで書きますことは、事業者の方とよく話合いをして、つまり実効性、政府の側にしても実効性が立つような仕組みにしていくと、そういうことでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/74
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075・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 余り明快な答弁ではなかったんですけれども、実効性があるものにしていくということだったんですが、これ本当に短くしないと、これ企業の設備投資の計画に物すごく大きな影響があると思うんですね。
もう一つ、中小企業、これ基本的に対象外であることを強調されておられますけれども、これまでの答弁では、唯一、全銀ネットですか、全国銀行資金決済ネットワーク、これが例として挙げられているだけで、本当に中小企業は対象外なのかということについても大いなる疑問があります。特に、設備の再委託先なども考えますと、実際には中小規模の事業者もかなり対象に現実問題として入ってくるんじゃないかと思いますけれども、これについて小林大臣の見解伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/75
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076・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げる前に、今のその前の質問の、この期間をできるだけ短縮するというのは、本当に委員の御指摘のとおり非常に重要な話でございまして、今政府参考人から申し上げたことに加えまして、各事業の所管官庁においてしっかりと窓口を設けまして、事前にしっかりと、これ大企業だけではなくて、そういうことが気になる中小企業の方も含めて相談をするような窓口をつくっていきたいと思いますので、できる限り努力してまいります。
中小企業の点につきましては、規制対象を真に必要なものに限定する必要があると、この対象事業者として指定するための基準を事業分野ごとに主務省令で定めますと。この指定基準の制定に先立ちまして、まず、閣議決定する基本指針におきまして、事業規模や代替可能性などを指定基準の考慮要素とすること、また指定基準の策定に当たって事業者を含む関係者の意見を幅広く聴取する、また指定に当たっては経済的、社会的観点から事業者の負担に配慮すること、こうした基本的な考え方を、留意事項をしっかりとこの基本指針において明記することを想定しています。
中小企業の方については、これ有識者会議でも、この中小企業に対してはかなり負担が出てくると思うので、そこの指定は慎重にという提言をいただいています。そうしたことを踏まえて、基本的には想定しておりません。ただし、委員言及いただきました全銀ネットのような特殊性があるものについては例外的にそれを指定することになると、なろうかと思いますけれども、基本的にはもう想定しないということで御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/76
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077・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 特殊性のあるものに限りと、こういうことだったので、これもしっかりと基本指針等々を作るに当たってははっきりと明記してほしいということと、先ほど例に挙げました大川原化工機のインタビューを聞いておりましたら、これ本当に、中小企業が一つの商品だけでやられちゃったら、それだけでもう企業が潰れちゃうという、これ設備投資も同じだと思うんですけれども、大企業で、いろんなことをやっているところで一つだけ遅れても、これはそこまで影響ないかもしれませんけれども、これは企業の死活に関わる問題なので、そこのところはくれぐれも慎重にしていただきたい。
それともう一つ、先ほど放送事業のマスター設備の話がありましたけど、例えば、その審査を受けて、これは駄目だからこちらの方に変えなさい、こういうふうな話になったときに、随分当初予定していたものよりも設備にお金が掛かってしまったと、この場合ですよね、これ費用の補填はこれまで全くしないということになっているんですけど、これはそうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/77
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078・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
本法律案におきます特定社会基盤事業者は、各業法などで役務の安定的な提供の確保について規律を受けております。すなわち、本来、自ら特定妨害行為を防止し、役務の安定的な提供を行う責任を負っていると、こういう立場でございます。
したがいまして、本制度に基づく勧告、命令と申しますのは、役務の安定的な提供を確保するために必要なものということでございますので、その措置を講ずることによる損失を国が補償するというための規定は設けていないと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/78
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079・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 あくまで企業の責任でやれと、こういうことですよね。そういう企業には責任があるんだからと、こういう答弁なんですが、やっぱりこれが分かりにくい。
まあいっぱいあるんですけど、これもやっぱり分かりにくい点で、放送、通信の関係で、アメリカで、去年の十月に、FCCが通信機器やサービスに対して、国家安全保障を脅かすと指定したものについては米国での販売に必要な認証を付与することを禁止する法律、いわゆるファーウェイ排除法案というんですか、これが成立しております。これ、対象に中国の企業五社が入っておりまして、禁止の対象とか禁止の内容が明確になっております。
一方、この法案においては、これまでの質疑の中でも、例えば外部の定義について、特定国を念頭に置いたものでないというふうに繰り返し繰り返し答弁されている。しかし、念頭に中国製があることは間違いないというのはもう誰もが考えるところだというふうに思うんです。
先ほど申し上げましたように、この企業から買うなというふうに言われた方がまだ分かりやすいというのが企業側の本音であるというふうに思うんですけれども、大臣はこの点について、今回の法律の曖昧さ、アメリカとはもちろん背景も違いますし、これはいきなり出た話じゃなくて、権限法とかもうずっと流れがあるわけなんで、ただ、このアメリカのやり方と比べて日本は余りにも分かりにくいと思うんですけど、いかがでしょう、大臣の見解。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/79
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080・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 今委員が御指摘いただいたように、アメリカと日本は違いますから、法体系も違い、一緒ではないので、日本は日本なりの仕組みをつくっていけばいいと思っています。で、アメリカの制度については今委員から御指摘いただいたとおりです。
また繰り返しになりますけれども、この法案は、特定の国を念頭に、企業、特定の国や企業を念頭に置いたものではございませんが、基幹インフラ役務の安定的な提供を確保するために、このインフラ事業者による重要設備の導入などについて事前に審査をし、その設備が外部からの妨害行為の手段として使用されるおそれが大きい場合に、この妨害行為を防止するために必要な措置を講ずることを勧告するものでございます。
この勧告、命令の審査に当たっての考え方につきましては、事業者の予見可能性を高めるために、閣議決定する基幹インフラに関する基本指針において可能な限り明確に定めていきたいというふうに考えております。
その上で、先ほど来、杉尾委員の方から、逆に何かこう、まあだからブラックリスト的なものだと思いますけれども、そういう明示的に指定した方がいいのではないかという……(発言する者あり)あっ、意見が、ああ、分かりました、意見があるということなんですけれども、ええ、その点についてせっかく言及いただいたので申し上げますと、例えばその重要設備を供給し得るベンダーの数がもう膨大に上る中で、リスクのあるベンダーなどをあらかじめ網羅的かつ詳細に明らかにするのは間々困難であるということ、また、仮にリスクのあるベンダーをあらかじめ示すことができるとしても、このリストを対外的に示すことでかえって抜け穴として利用されるおそれがある、そうした様々な点を考慮いたしまして、いわゆるブラックリスト制度というのは我が国においては設けないこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/80
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081・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 寺島実郎さんがこの法案全体を見て、中国封じ込めで、アメリカとだけ歩調を合わせているようなことに終始している印象があると、こういうふうなことをどこかに書かれておられました。
やっぱり、今日の答弁を見てもやっぱり分からない、分かりにくい、奥歯に物が挟まったような。これ、もう時間がないんですけれども、これからどの指針等を作成するに当たってもこれまでの答弁を十分に反映していただきますようにお願いしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/81
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082・浜田昌良
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。本日は、委員会でこの経済安全保障推進法、三回目の質疑でございます。
この法律は、既にもう議論されていますように四本柱から成っていまして、いわゆる特定重要物資のサプライチェーンの確保、二番目には特定社会基盤、いわゆる基幹インフラですね、役務の安定的提供確保、で、三番目には特定重要技術の開発支援、そして四番目の特許出願の非公開となって、順番に質問させていただきまして、前回の委員会の最後の方では特許出願の非公開のところまで来ていたわけでございますが、その続きをする前に少し総論的な質問をさせていただきたいと思います。
ロシアのウクライナ侵略によりまして、連日悲惨な状況がテレビでも報道されております。一刻も早い停戦の実現、ロシア軍の即時撤退を願うばかりでございますが、たとえそれがすぐに実現したとしても復興に十年掛かるのではないかという、そういう御意見もありました。
まさに戦争は引き起こしてはならないという、何としても抑止されなければならないということで、この抑止について少し議論をさせていただきたいと思っています。
その抑止の前提についてなんですが、最近、戦争の様相が変わってきているという話もあります。いわゆるハイブリッド戦争という言葉ですね。その定義はどういう定義になっているんでしょうか。近年、その様相を顕著に呈した紛争の例につきまして、防衛省の政府参考人から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/82
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083・大和太郎
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
いわゆるハイブリッド戦は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした手法であり、こうした手法は相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強いることになります。
例えば、国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信、重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などによる影響工作を複合的に用いた手法がハイブリッド戦に該当すると考えております。
その上で、ハイブリッド戦に関する例を申し上げれば、例えば中国軍人が執筆した書籍においては超限戦といった概念が指摘されており、二十一世紀の新しい戦争は全ての境界と限度を超えたものとなり、軍事、非軍事を問わずあらゆる領域が戦場となる旨述べられていると承知しております。
また、ロシアについては、二〇一四年のいわゆるクリミア併合に際していわゆるハイブリッド戦を展開し、親ロシア派の勢力や所属不明の部隊による地方政府庁舎等の占拠といった秘密裏の作戦や、偽情報、プロパガンダの流布、サイバー、電子戦といった手法を用いて領土の占拠などを遂行したとの指摘がなされています。
今般のウクライナ侵略においては、ロシアは通常戦力を主体とした大規模な侵攻作戦を実施しております。同時に、いわゆる偽旗作戦と呼ばれるような行為やウクライナ政府機関等へのサイバー攻撃を行っているとの指摘があり、再びハイブリッド戦の手法も取っていると見られます。こうした手法により、ロシアはウクライナへの軍事行動を正当化するための口実を作為するとともに、相手方の混乱を企図していると考えられるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/83
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084・浜田昌良
○浜田昌良君 今答弁ございましたハイブリッド戦争というのは、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした手法だということですね。超限戦という中国人民解放軍の軍人が使った言葉、限定したものを超えてしまうという概念、これは一九九九年に出されたそうでございますが、その後、いろんな文献では、ロシアの参謀総長のゲラシモフ氏が二〇一三年に行った講演録、ゲラシモフ・ドクトリンとも言われていますけれども、こういうものでいろいろ展開はされていまして、先ほどの二〇一四年のクリミア併合だけじゃなくて、二〇〇七年のエストニアに対する大規模なサイバーテロ、また、二〇〇八年のジョージアのいわゆる侵略、紛争、これ五日間で目的達成したと逆に言われていますけれども、それはこういう戦略を取られた例だと言われています。
これをいかに抑止していくかということで、抑止力なんですが、抑止力には懲罰的抑止というものと拒否的抑止と、そういうものがあると言われていますが、それぞれどのようなものか、防衛省政府参考人から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/84
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085・大和太郎
○政府参考人(大和太郎君) お答え申し上げます。
抑止とは、一般的に、相手が攻撃してきた場合、軍事的な対応を行って損害を与える姿勢を示すことで相手による攻撃そのものを思いとどまらせる軍事力の役割とされています。
その上で申しますが、一般的に、懲罰的抑止とは、耐え難い攻撃を加える威嚇に基づき敵のコスト計算に働きかけて攻撃を断念させるものとされており、拒否的抑止とは、特定の攻撃的行動を物理的に阻止する能力に基づき、敵の目標達成可能性に関する計算に働きかけて攻撃を断念させるものとされているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/85
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086・浜田昌良
○浜田昌良君 多分、防衛白書の引用だったと思うんで分かりにくかったと思いますが、抑止とは攻撃そのものを思いとどまらせるものであると、言わば懲罰的抑止というのは、攻撃したらそれに対して仕返しをする、言わば倍返しをすると、拒否的抑止は、攻撃してもその目標達成ができないよということを相手に分からせてそれを止めると、簡単に言えばそういうことでよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/86
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087・大和太郎
○政府参考人(大和太郎君) 今おっしゃった御理解でよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/87
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088・浜田昌良
○浜田昌良君 そういう意味で、小林大臣にお聞きしたいと思うんですが、先ほども、このハイブリッド戦争というのはサイバー攻撃や重要インフラ妨害などが主要手法として使われると。この経済安全保障推進法によって、特定重要物資のサプライチェーンの強靱化が行われると、また基幹インフラの役務の安定的な提供確保などが行われると、こういうことが規定されているわけですが、こういうこと、これらの我が国がハイブリッド攻撃を受けた場合の拒否的抑止の向上効果をどのように評価されるか、大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/88
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089・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) いわゆるハイブリッド戦は、軍事、非軍事の境界を意図的に曖昧にした手法でございまして、例えば、今委員から御指摘いただいたサイバー攻撃などによる基幹インフラの妨害やサプライチェーンの途絶もその手法の一つとなり得ると理解しています。
この法案は、安全保障に関する経済施策として、供給途絶などの事態が生じてから事後的に対応するのではなくて、まさにその平時から基幹インフラの役務の安定的な提供やサプライチェーンの強靱化に関する措置を講じていくものでございます。
したがって、この法案に基づいて講ずる措置というのは、サイバーセキュリティー対策の強化などの他の取組と相まって、ハイブリッド戦の手法となり得る基幹インフラの妨害ですとか、あるいはサプライチェーンの途絶に対する抑止力の向上に一定の効果を有するものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/89
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090・浜田昌良
○浜田昌良君 今大臣が答弁いただきましたように、我が国のこのハイブリッド戦争に対する抑止力の向上に資すると、まさにそうだと思っています。
先ほどのゲラシモフ・ドクトリンによりますと、軍事と非軍事の比率は一対四で非軍事の方が圧倒的に大きいということを考えておるようでございますので、しっかり平時からこの分野の強靱性向上に、この法律によって進めていただきたいと思います。
続きまして、本日夕方、経済対策が発表になると聞いております。今回の対策は、コロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策というもので、それに限定したものでございますけれども、本年秋には本格的な経済対策第二弾が望まれているという声もあります。
その関係で、是非大臣にお聞きしたいと思いますが、この経済安全保障推進法の四本柱のうちの一本目、つまり特定重要物資のサプライチェーン強靱化と、三本目、特定重要技術の官民技術協力については、法施行が公布後九か月以内となっているんですね。これは審議中ですが、いつ法案成立するか分かりませんが、仮に例えば五月と仮定すれば、九か月ということは二月ですよね。年度がまだ終わっていないタイミングでもありますので、そうすると、特にサプライチェーン強靱化に関しては、ウクライナ情勢によっては特定の物資の不足が懸念されているというのは、何回もこの委員会でも議論されていました。パラジウムが足りない、歯医者さんが大変だとか、触媒が作れないという議論もありますし、ネオンが不足していて半導体の微細加工ができないという、こういう声も出ておりますので、この関係でいうと、この法律の三十四条に安定供給確保法人基金というのがあるんですね。そういう社団、財団がこういう提供できる基金、助成できるという範囲とか、四十三条には安定供給確保支援独立法人基金というのがあって、これはいわゆるJOGMECみたいなところが希金属とかエネルギーだとか、そういうものを支援したりとか、またNEDOみたいなところが半導体材料であったりとか、また厚労省の基盤基金が医薬品だとかそういう医療用具ですね、こういうものの支援のための基金というのをこれは早めに造成した方がいいと思うんですよね。
また一方で、三本目の柱の方では、前回この委員会でも議論をさせていただきましたが、やはりシンクタンクがあって、協議会があって、指定基金があって、社会実装と、この順番がいいんじゃないですかということに対して、大臣も問題意識は共有しますと言っていただいたんですが、ただ、このシンクタンク自身が令和五年度になっているんですが、こういうものも前倒しをして、早く、大臣からもこれはしのぎを削っているんで急がにゃいけないんですという話もあったんで、是非この二つの点については今年秋の補正予算でしっかり対応していただきたいと思いますが、大臣の決意をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/90
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091・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 特定重要物資のサプライチェーンの強靱化につきましては、法案成立後、また施行後に、安定供給確保の基本指針、これを始めとする様々な考え方の指定要件決めていかなければなりません。したがって、基本指針を策定してこの特定重要物資の指定を行う前にこの支援の規模ですとか基金の必要性を具体的に見定めることは困難ではございますけれども、仮にこの法案を成立させていただけるとすれば、その成立後可能な限り早急に特定重要物資を指定をして、支援に必要な財源の確保、これを図れるように関係省庁とも連携してこれは検討を進めてまいりたいと考えています。これ、大臣としての決意でございます。
また、シンクタンクにつきましては、科学技術・イノベーション基本計画に基づいて令和五年度に本格的なシンクタンクを立ち上げることを目指して、令和五年度予算の概算要求において所要の経費を計上することが基本と認識をしています。
今委員から、今年の秋の補正予算というお話出ました。まだ政府として編成が決まっておりませんので、補正予算における対応についてちょっと現時点で私の口からお答えするのは難しいですけれども、ただ、早期の対応が必要との議員の問題意識はしっかりと共有をさせていただいて、それを踏まえてあらゆる可能性を検討していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/91
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092・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございます。
ウクライナ情勢でも早期の対応が必要でございますし、この重要技術の研究開発支援についても、本当にしのぎを削っているという大臣の答弁もありましたように、早急の対応が必要でございますので、是非問題意識を共有していただきたいと思います。
続きまして、この四本柱の特許の非公開の問題についての議論をしたいと思っていますが。
今回の法案、百条ぐらいの条文があって、原案を見せていただいて、割と幅広い罰則が二つあったんですね。一つが、いわゆる四十八条にあった、いわゆる特定重要物資サプライチェーンの、これを指定するための報告、資料提出のところがあって、これについては既に議論させていただきました。当初は罰則があったんですが、やっぱり比例の原則であったり内外の法律の関係からこれについては罰則を削っていただいたと。
もう一か所これあるのが、第七十八条の外国出願の禁止なんですね。これが、直罰と言いまして、勧告とか公表とかなくてすぐに罰則が掛かっちゃうんですね、一年以下、五十万円以下の罰則が掛かるんですが、これが、そういう意味では対象がはっきりしていないと、直接罰ですから曖昧な運用はできないと思うんですが、この直接罰の範囲はどういう範囲の発明か、六十六条の条文に沿って政府参考人から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/92
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093・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答えさせていただきます。
御指摘ございました第七十八条第一項にございます「第六十六条第一項本文に規定する発明」とは、第六十六条第一項本文に規定してございます。条文に沿ってということですので、そのような形でお答えもさせていただきます。
六十六条の本文でございますが、公にすることにより外部から行われる行為によって国家及び国民の安全を損なう事態が生ずるおそれが大きい発明が含まれ得る技術の分野として国際特許分類又はこれに準じて細分化したものに従い政令で定めるものに属する発明、このうち、その発明が特定技術分野のうち保全指定をした場合に産業の発達に及ぼす影響が大きいと認められる技術の分野として政令で定めるものに属する場合にあっては、政令で定める要件に該当するものに限るというふうに規定をさせていただいているところでございます。
すなわち、保全審査の対象となります発明につきましては、原則としてまず我が国で出願をしてもらいまして、保全審査により保全指定の要否を判断すべきでありますことから、第一国出願義務の対象範囲は保全審査の対象範囲と同じという形にさせていただいているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/93
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094・浜田昌良
○浜田昌良君 保全審査の対象と同じというのはいいと思うんですけど、これ、条文に政令が三回出てくるんですよね。その辺の規定ぶりがどうなるんだろうかと。それによってその罰則が、直罰に係る関係なんで、前回の委員会で最後に大臣にお聞きしまして、この国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明というのは安全保障上極めて機微な発明と同義ですよという御答弁をいただきました。
これについて、具体的発明事例に基づいて分かりやすく政府参考人に説明していただきたいと思います。また、その発明分野、今ございましたように、ストラスブール議定書の国際特許分類、いわゆるIPC分類ではどのようなレベル、細分類で表現されるのかも併せて答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/94
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095・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
政令で定めます技術分野の具体的な内容につきましては、法案上、まずは有識者の意見を聞いて定める基本方針におきまして、その基本的な事項を定めるというプロセスを経た上で決めることとさせていただいております。
したがいまして、現時点で個別の技術分野をお示しすることは難しいところでございますけれども、例えば、我が国に対して用いられれば深刻な被害が避けられない核技術や先進武器技術などの中から、それらに該当する国際特許分類、IPC分類を限定列挙することとなります。
どの程度の粒度で定めるかにつきましても、同様に、現時点で具体的にお示しすることは困難でございますけれども、例えば、国際特許分類のうち、F41という分類は武器を、F42という分類は弾薬、爆破を表す大きなカテゴリーでありますところ、こうした上位の階層だけで定めますと、対象範囲が広くなり過ぎ、およそ国家及び国民の安全に影響しないような技術分野が多数保全審査や第一国出願義務の対象に取り込まれてしまうということが懸念されます。
このため、実際にはF41やF42の下層に当たる国際特許分類の中から、安全保障上機微な技術が含まれ得るより詳細な分類を抽出し、対象を絞り込んでいく必要があると考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/95
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096・浜田昌良
○浜田昌良君 IPCの特許分類のより詳細なところで限定列挙していただくという答弁がございましたので、それでしっかりと罰則の範囲が分かることを期待しているんですが、ちょっと例を挙げたいと思います。
二〇〇四年夏に、我が国の電力会社が中心となった研究組合がレーザーウラン濃縮技術について特許庁に特許申請をしていましたが、その技術が、韓国の原子力研究所が極秘にそれを使ったウラン濃縮をやっていたということが発覚をして、その日本の特許の文献であったり、それに基づいた機器が見付かったということが一部報道がありました。この事案についての概要をまず報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/96
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097・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
報道ベースの情報ではございますけれども、IAEAの元事務次長が取材に対して明らかにしたことといたしまして、二〇〇四年にIAEAが他国の極秘ウラン濃縮実験施設を査察した際、日本で開発されたレーザー濃縮技術の特許に関する資料が発見されたということが二〇一五年に新聞で報じられているものと承知しているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/97
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098・浜田昌良
○浜田昌良君 報道ベースによりますと、この研究組合は百八十七件の特許を出願していたそうでございます。
それでは、このレーザーウラン濃縮技術に関する発明は、先ほどのIPC分類又はこれに準ずる細分化したものに従えばどのように表現されるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/98
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099・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
レーザーウラン濃縮技術が特許出願された場合の対応でございますけれども、Bの処理装置及び運輸、そしてその下層のB01の物理的又は化学的方法又は装置一般、そして更に下層のB01Dの分離、更に下層のB01D59の同一化学元素の異なる同位体の分離に順次該当いたしまして、まとめて申し上げますと、B01D59/00と、こういう国際特許分類が付与されるものと考えられます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/99
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100・浜田昌良
○浜田昌良君 順次、Bの処理というものから、一番細かいBの01Dの59の/00というもので特定されそうですが、これは、こういうことを政令で書けば、各発明者にとってこの技術はどれだということで、一目瞭然分かるもんなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/100
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101・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
特許出願人の方に明確に御理解していただけるように、私ども、国際特許分類に従った形で明確に政令で規定させていただきたい、このように考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/101
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102・浜田昌良
○浜田昌良君 一応、弁理士の方、また特許庁の審査官に聞くと、これが正確に分からないと特許のいわゆる押さえ方なり事前調査の関係が幅広くなってしまうので、普通は分かるらしいんですね、私は全然分かりませんけれども。それを逆に認識しているということで、罰則の範囲が明確になるとおっしゃっていました。
ただ、この法律上は、とはいっても疑義が生じる場合があるので、七十九条で事前確認という制度を設けています。つまり、自分の発明がこの罰則の対象なのか、つまり保全対象なのかそうでないのかを確認できるという制度があるんですね。逆に言うと、この事前確認を行わなかったことによる第一国出願義務違反は過失責任を負うことがあるのかどうなのか、これについても答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/102
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103・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
事実確認を行わなかった、あっ、事前確認を行わなかったことによる過失責任を負わないのかという御趣旨の御質問だと存じます。
七十九条の事前確認制度は、外国出願をしようとする者は確認を求めることができるというふうに規定しておりますとおり、利用することを義務とはしていないところでございます。したがいまして、これを用いなかったことにより過失責任を問われるものではございませんし、外国出願禁止について過失犯処罰の規定もないところでございます。
ただし、特定技術分野に掲げられている国際特許分類に該当する可能性を認識しながら、確認することもなく禁止に抵触する外国出願をいたしますれば、一般原則といたしまして行為責任を問われる場合があり得るものと考えられます。
いずれにいたしましても、特定技術分野を政令で明確に規定し、特許出願人の方にとって予見可能なものにする必要があることは十分認識した上で対応していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/103
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104・浜田昌良
○浜田昌良君 過失責任は問われないという答弁でございました。
そういう意味でも、この外国出願の禁止の範囲の明確な規定が必要なわけですが、こういうものを事前確認をしようとすると、一応手数料が書いてあるんですね。一件当たり二万五千円以下と書いていますが、お金が掛かる制度なんですね。
逆に言うと、こういうものが規制対象かどうかというのを確認する制度は従来からありまして、産業競争力強化法の第七条の規定、つまりグレーゾーン解消制度ってあったわけですよ。これを今回は適用せずに、わざわざこの事前確認制度を設けたんですが、その趣旨は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/104
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105・木村聡
○政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。
本法案第七十九条の第七項で適用を除外しております産業競争力強化法第七条、いわゆるグレーゾーン解消制度は、実施しようとする個別の事業活動について法律上の規制の適用の有無の確認を国に求めることができるものとする制度であると、このように承知しているところでございます。
これに対しまして、本法案第七十九条は、外国出願をしようとする者が、当該外国出願が第七十八条第一項の禁止の対象となるか否かについて確認できることを定めているところでございます。
すなわち、この規定によりまして、産業競争力強化法第七条の権利はカバーされている上に、本制度の場合、外国出願禁止の対象となる発明に該当する場合であっても、内閣総理大臣が国家及び国民の安全に影響を及ぼすものでないことが明らかと認めた場合には禁止を解除するという、より相談者の保護に厚い制度となっているところでございます。
したがいまして、本制度によって十分カバーされる産業競争力強化法第七条をここで重ねて適用する必要はないものと考えたところでございます。
また、産業競争力強化法第七条を適用した場合には回答の内容を公表しなければならないということになっているわけでございますが、これは、本法案第七十八条第一項の外国出願禁止に係る確認にあっては、発明の内容をさらすことになりかねず、適切ではないと考えているところでございます。このために、本法案第七十九条第七項で産業競争力強化法第七条の適用を除外することとしたところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/105
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106・浜田昌良
○浜田昌良君 結論を言いますと、この産業競争力強化法の第七条の規定を使うと、回答そのものを公表しちゃうことになっちゃうんですね。そうすると、せっかくこの保全、特許の秘密、この特許の保全といいますか、出願の非公開をしようとしているのにそのことが無になってしまうということから、この制度に代えて今回の制度が設けられたと理解をいたしました。
いずれにしましても、とはいっても、この産業競争力強化法第七条のグレーゾーン解消制度は無料なんですが、今回は一件当たり二万五千円掛かるというので、やはり余り幅広くこの規制の対象を規定していくことは適当ではないと思うんですね、負担が掛かりますし。
とはいっても、やっぱり明確に書かないと、規制ですから、罰則は掛かるわけですから、そういう意味では、この直罰、一年以下、五十万円以下の対象となる国際出願の禁止の、外国出願の禁止の対象となる第六条の特定技術を定める政令の規定ぶりにつきましては、一つ目としては、発明者に疑義が生じない明確性、先ほど限定列挙とありましたIPC分類の、それが求められるとともに、第七十九条の事前確認は有料となることから、真に規制するべきものに限定して、発明者に事前確認の多大な負担を強いないものとすべきと考えますが、大臣の見解を聞いて、私の質問は終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/106
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107・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 特定技術分野につきましては、保全審査、そして第一国出願義務の対象となる発明の範囲を画するものでございます。この第一国出願義務との関係では、罰則が掛かる範囲を画するものでございますので、その政令を明確に定める必要があるのは当然だと考えています。
保全指定の対象は、最終的には産業の発達への影響も考慮して第二次審査において絞り込まれますけれども、その前段階にある第一次審査の対象となる特定技術分野を定めるに当たりましても、これが第一国出願義務の範囲を画するものになることを踏まえ、できる限り限定すべきであると考えています。
今委員から言及いただきました限定、IPC分類を限定列挙することも含めまして、可能な限り、この出願者、発明者の方に多大な負担を強いないような形で運用をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/107
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108・浜田昌良
○浜田昌良君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/108
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109・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
私の方からは、質問通告しておりましたけれども、ちょっと順番を入れ替えて、後半の特許の非公開の方から先に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
まず、これまでも、今も浜田委員の方から特許出願についての質疑がありました。これまでも幾つもこの件重ねられてきているんですけれども、ちょっとこれまで過去にあったやり取りの中で気になった点で、素朴な疑問が浮かんでいたものがありましたので、その点についてまず質問をさせていただきたいんですが。
この保全指定を受ける際の申請の手続ということで、四月の十四日の質疑なんですけれども、立憲民主党の石川委員とのやり取りの中の大臣の答弁になるんですが、弁理士さんがこの申請手続の中に対していろいろと作業ができるのかどうかと、こういうやり取りがあった中で、大臣、こういう答弁をされていました。ほかの法令に抵触しない限りにおいて、必要があれば特許出願人はこの特許出願を依頼した弁理士の方に引き続き助言などの関与を求め、弁理士の方はこれに応ずることが可能だと理解をしておりますと、こういった大臣答弁があったんですが。
これで素朴に疑問に思ったのが、そうしますと、こういった依頼を受けた場合、弁理士さんはこの依頼に対してその対価を求めることができるのかどうか。いや、これちょっと素朴に疑問を持ったものですから、ちょっとこの点についてまず御確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/109
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110・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 結論を申し上げますと、受け取ることは可能です。これ、弁護士法などの他の法令に抵触しない範囲であればということですけれども、可能です。
実は、この参議院の審議に入ってからこの弁理士の関与に関する質疑がかなり多かったので、もしよろしければかみ砕いて説明をさせていただきますと、この弁理士法が弁理士の専権業務として定めているのは、産業財産権に関する特許庁における手続とその異議申立てに関する経済産業大臣に対する手続、これについての代理等の業務でございます。
また、弁理士法は、この専権業務以外に、他の法律に抵触しない範囲で行うことができる弁理士法上の業務といたしまして、産業財産権に関する契約締結の代理などを規定しているところでございます。
これに対しまして、この法案の特許出願の非公開制度における内閣総理大臣に対して行う手続に関与することは、弁理士法で規定される業務の範囲外ということになるんです。もっとも、その弁理士というのは、弁理士法に掲げられている業務以外の業務を扱うことが禁じられているものではございません。弁護士法など他の法令に抵触しない限り、本来の業務の周辺業務ですとか、あるいは副業的な業務を行うことも可能でございまして、例えばコンサルタントなどの相談業務も同様でございます。もちろん、その対価を受け取ることも法的に禁じられているわけではありません。
そうしたことから、冒頭申し上げたとおり、弁理士の方が有償で保全審査に関する相談に乗るということは他の法令に抵触しない範囲で可能という結論になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/110
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111・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣、詳しい御説明も含めていただいて、ありがとうございます。
今大臣から詳しく説明をいただいたんですが、クリアに実はなったような、まだなっていないような、実はまだもやっとした感覚がありまして、というのが、やはり先ほどの大臣答弁、私紹介をさせていただいた大臣答弁、かなり明確にお話はいただいたんですけれども、やっぱり弁理士さんから見ますと、結局私たちは一体何ができるんだろうという結論の部分が非常にもやもやした状態でして、結構、今不安を抱くのと同時に、ちょっと混乱を、現場の方では少しその理解を、どう理解していいか分からないということで何か混乱をしているような状態もあります。
それで、もう一つこれに関連して質問なんですけれども、今回のこの保全審査、この保全を受けるということについては、通常の特許出願を申請した中で、これやっぱり保全審査が必要ですよねという判断をされて保全審査に入っていくパターンと、あともう一つは、最初の段階からこれもう非常に機微な技術であるというふうに御自身が判断をされて、出願人自身がもう当初の段階からこれはもう保全対象になるんだ、なると思いますということで申請をされる場合というパターンと、こうした二通りのパターンが法律上も規定をされているんですけれども、この手続のプロセスにおいて、特に通常の特許出願という形で申請をされて後から保全審査の必要性が分かったという場合においては、やはり、私はやっぱり思うのは、やはり国益に資するような開発を行った出願人の方が後で非常に複雑な手続が必要になったですとか、そういう大きな負担が発生するようになった、結果としては、それに対応するために御自身の研究に何か時間的な制約ができてしまうというのは、これは逆に私はプロセスとしてはよろしくないのではないかなというふうにも思いました。
ですので、やはり今回のこの法律の中で初めて出てきますこの保全審査というプロセス、これ、やはり特許出願をした人にとって負担感がないような形で進めていくのがあるべき姿だというふうに思うんですけれども、大臣、この点について御所見いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/111
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112・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 保全審査のプロセスにおいて特許出願人の方が行うことが予定されているこの法案上の手続といたしましては、発明に関する資料の提出、またその説明、そして特許出願を維持する場合の書類の提出、こうしたことが予定されているんですけれども、いずれもそれこそ複雑な書類の作成を要するものではないと考えておりまして、むしろ、その発明の詳細な内容ですとかその管理の状況、また今後の事業化の予定などについては、出願人の方が把握している事項の確認が主であるというふうに考えています。
ただ、今委員が御指摘いただいた点ももちろん考えなければいけないというふうに思っておりまして、その産業の発達に及ぼす影響も十分考慮して的確な判断を下すという観点からも、誰よりもその発明のことをよく知る出願人からの情報収集は極めて重要だと考えております。
保全審査の手続に当たりましては、特許出願人の方にとって過度な負担とならないよう配慮しつつ、適切な運用に努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/112
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113・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣、ありがとうございます。
質問取り等やり取りの中で役所の方とお話をして、今大臣からはできるだけ複雑な手続にならないようにというお話で、今実際に提出をする書類もこういったものをということでお話しいただいたんですけれども、ただ、聞いてみたら、具体的に、じゃ、これを提出するというところの詰めはまだこれからの段階というふうにもお伺いをしました。
ですので、これよくあることなんですけれども、この特許だけではなくて、私もちょっと特許って自分でやったことあるんで、物すごく手続大変で、とても自分で作れるような代物じゃないんですね、普通の人が。ですので、皆さんにとっては簡単な手続ですよというものであっても、出願人の人からすると実は実は非常に手の掛かるものかもしれません。
ということも十分に御理解をいただいた上で、是非、それこそ弁理士さん等ですね、これから意見を取りまとめていく、省令、政令といったものを作っていく段階でいろんな方の御意見を今回の法案については聞いていくということを前から大臣お話をされていましたので、是非この一連のプロセス、手続の詳細を最後詰めていく段階で、関係者の方、弁理士さんを含めた関係者の方の御意見を是非聞いていただきたいと、そのように思います。
あわせて、やはり先ほど、今質問したとおり、出願人の方にとって最も円滑に手続が進められるような、そうした代理人の選定についても配慮いただきたいということで、これは要望ということでお伝えをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、次の質問に行きますけれども、では、今その保全審査のプロセスが終了して、実際に保全審査を受けた場合ですね、この七十三条に基づいた保全指定を受けた場合になるんですが、その後の発明というのは基本的には原則禁止になるということ、これが法律の中でも明記をされています。その発明を実際にやろうとした場合には総理大臣の許可が必要ということが明記をされています。そうしますと、これ、相当機微な技術であって、本当にこれ許可が下りることというのはあり得るのかなというふうにも思いました。下りるとすれば、その際にはどのような条件を満たす必要があるのか。
特に私、気にしているのが、一社で全て完結しているのであればいいんですけれども、やはり企業、いろんなところと関係したりすると思います。そうすると、関係企業とその秘匿契約など新たな特別な契約を結ぶ必要があるのか。その開発体制だとか、あとは生産体制だとか、場合によっては仕様書ですとか図面というやり取りが発生すると思います。この中身というのは本当に重要な中身が記載をされておりますので、万が一これが流出するというのは大変大きな問題になると思います。
こうした情報のやり取りも含めて、何か特別な契約、こうしたものを結ぶこともこうした許可を行っていく上での条件になるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/113
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114・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 保全指定されている発明の実施につきましては、総理大臣の許可を要することとしているものの、第三者が保全対象発明の内容を知るおそれがないと認めるときなどについては、この保全対象発明に関する情報の漏えい防止の観点から、内閣総理大臣が適当と認めるときに実施の許可をすることを規定しています。
じゃ、具体的にどういう場合なのかということなんですけれども、まず、例えばそのリバースエンジニアリングによって技術解析が困難である場合ですとか、あるいは、その製品の提供先というのがもう限定されていて、そこから情報拡散のおそれがないと考えられる場合、こうした場合などにつきましては、発明の実施をした場合に情報流出を生じることがないと判断されて実施の許可をすることになろうかと考えます。
総理がこの情報の漏えい防止の観点から適当か否かというのを判断するに当たりましては、製品の提供先との間で秘匿、今委員がおっしゃったような秘匿契約のような特別な契約まで求めるわけではございません。ただ、そのような契約の存在が製品の提供先からの情報流出のおそれがないことを判断する一つのファクター、事情として判断されるということはあり得ると考えます。
それと、実施の許可をするに当たりましては、総理大臣は、保全対象発明に関する情報漏えい防止のために必要な条件を付することができるというふうに法案に規定しておりまして、この規定に基づきまして、例えばこの製品の譲渡先を限定することなども考えられるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/114
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115・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
この点も今後更に詰めていくということがあろうかというふうに思いますけれども、今申し上げたような、やはりこの技術に、開発したものの、いろいろな情報がやはりこの仕様書、図面、さらにはその生産するための技術、こういうところにやはり詰まっていますので、この辺の情報についての管理、これは是非徹底できるような形でお進めをいただきたいと、そのように思います。
ただ、それをやっていく上で、これも裏返しの関係にはなりますけれども、企業負担についてどれぐらい見るかということ、これも同時に見ていかなければいけないことだと思いますので、なかなか難しい点ではあろうかと思いますけれども、是非内容についてしっかりと吟味をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それでは、続いて、今その製品の開発云々というところのお話をさせていただいたんですが、そうしますと、やはり実際に発明ができなかったときの補償ということで、この八十条に書かれております損失に対する補償についての確認です。もう率直に言いまして、この補償額の計算というのは誰が行うことになるのかなということです。
その計算の考え方はどういうふうになるのかということが非常に気になっています。やはり、この損失の補償として適切な金額が、額が支払われないと、研究者そのものがやはり不満を抱いてしまえば、日本だと研究ができないというふうにもし思われてしまえば、先ほども人材の海外流出というお話がありましたけれども、海外に御自身の研究拠点、つまり自分の研究が適正に評価をされていないということ、これはやはり研究者にとっては耐え難いですから、海外に自分の研究拠点を移すということも考えられると思います。
これまでも、自分の特許がきちんと企業に認めてもらえなくて、きちんとした対価が払ってもらえなくて、会社辞めて御自身がもう海外に行ってしまうという例は幾つもあったというふうに思います。
ですので、その点を非常に気にしておりますので、この日本の優秀な人材、やはり海外に移すというようなことがないように、しっかりとこの損失の補償というものは適正に評価をし、支払われるべきと考えるんですが、このちょっとプロセスについても教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/115
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116・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、結論を申し上げますと、補償額の計算というのは内閣総理大臣が行います。実務的には、先ほど杉尾委員のとき、御質問に答えさせていただいたときには、内閣府に新しい部局を設置する予定なんですけれども、そこの担当部門が特許出願人の話を聞いて、関係省庁や専門家の意見も聞きながら行うこととなります。
この算定方法、損失の算定方法なんですけれども、発明の内容や不許可とされた発明実施の態様によって全く異なってきますのでケース・バイ・ケースです。この計算の考え方を一律に示すことは難しいんですけれども、ただ、補償が生じる典型的なケースとしましては、発明のその実施許可を与えずに製品の製造、販売などができなくなるケースが想定されます。
この例に沿って具体的なプロセスをちょっと紹介させていただきたいと思います。
特許出願人は、まず、保全対象発明の実施を行うためにこの事業計画を提示をして、保全対象発明の実施の許可申請をします。申請をした次に、それを受けた総理大臣は特許出願人から計画の詳細を聞いて、実施によって保全対象発明の漏えいリスクが高まる場合には不許可とします。ここでこの保全対象発明の実施が不許可とされれば、その後に特許出願人は、許可申請時の計画を基に補償金額をこの出願人が算出すると、自己の受けた損失の補償を請求することが想定されますと。このとき、その請求を受けた総理大臣というのは、出願人から説明を聞くほかにも、専門家などの意見も聞きながら、客観性を持って妥当な補償金額を決定することになります。そして、仮にこの補償金額に不服がある場合には、この第八十条に規定しておりますけれども、訴えをもって補償すべき金額の増額を請求することができると、そういう立て付けになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/116
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117・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣、ちょっと確認なんですが、今のプロセス、御丁寧に説明いただいた中では、出願人がその補償額について請求をすると、算出して請求するというお話でした。その前段のところでお話をいただいたときには、政府において算出をするというお話、内閣府の中でその計算して算出するということで御説明をいただいたかと思うんですけれども、やはり最初の段階で金額を算出をして請求するのはあくまでも出願人ということでよろしいんですよね。それとも、その審査過程の中で、この内容であればということで政府側が算出をし、それを提示をして出願人と話し合っていくというプロセスになるのか、ちょっとその点整理をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/117
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118・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 済みません、ちょっとそこは分かりづらくて申し訳ありません。
結論から申し上げますと、まず、算出をするのは特許出願人です。それを、提出を内閣総理大臣が受けるということになっていますが、実務的にそこでコミュニケーションを丁寧に取らせていただきながら最終的に決めるというのが内閣府のその担当部局ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/118
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119・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
やはり、そうしますと、出願人、政府側で試算するのもそうですし、出願人の方が試算するというのも、そこもきちんと考え方持って行っていかないといけないんですが。
ちょっとさっきの部分と一番最初の素朴な質問の部分と絡むんですが、この請求額を計算をする、それを申請をする、そうした手続の中というのは、これやはり弁理士さんですとか、関係者というのはどういった方に依頼をすることになっていくのか、何かそこは決められたものはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/119
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120・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) 損失補償の請求をする際に弁理士さんの関与ができるかということだと思いますが、まず、行政書士法との関係では、提出書類の作成について相談に乗る程度であれば可能でありますが、それを越えて書類の作成自体をすることは、行政書士の専権業務にある官公署に提出する書類の作成業務に当たることから、業として行うことはできないということです。ですので、結論から申し上げれば、その提出に際して弁理士さんが相談を受けることは可能でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/120
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121・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ですから、この点も、こうした事態になったときに、先ほどと一緒になってしまうんですけど、やはり出願人の方の負担感と、あとはそのプロセスの分かりやすさ、透明性、これを是非気にしてこの後様々な取扱いを決めていただきたいんです。ですので、これも先ほどと一緒に関係者の方にいろいろと意見も伺っていただいて、最終的にどういうふうにプロセスを固めていくのがベストなのか是非御検討をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/121
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122・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
一週間前の四月十九日の内閣委員会で取り上げました、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの四か国によるクアッド首脳会議が開催されて、半導体サプライチェーン強化、5G設置支援に向けた取組について、またインド太平洋地域での質の高いインフラ構築協力やサイバーセキュリティーについても話合いが行われたということで、小林大臣からも御答弁をいただきました。
この本法案で政府は、特定重要物資については政令で指定されるもので、現時点では予断を持って答えられないということでおっしゃっておられると思いますが、台湾の半導体技術によって日本国内の半導体製造工場の建設が予定され、期待が大変高まっているわけですが、半導体という最先端技術を扱うことから、一般論として考えた場合、やはり半導体は特定重要物資に指定されること、指定されることは、今までのほかの委員からの議論の中でもやはりこれはもう明らかなんではないかなというふうに私自身は思っているところであります。その上で、サプライチェーンの強靱化に当たっては、資源を持たない日本では一国でこれ解決できる問題ではないというふうに思っています。
特に、半導体におきましては、この台湾との連携協力なくして推し進めることはできないだろうと。そう考えたとき、仮に、今世界情勢が本当に先が読めない不安定な状況であります。台湾有事が発生した場合には、日本にとっても大きな影響が及ぶことは間違いないと思います。法案担当大臣としてどのような対応を考えているんでしょうか、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/122
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123・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 半導体につきましては、昨年の例えば骨太二〇二一におきましても、サプライチェーン強靱化に関する先行的な重点項目として四つ挙げられていて、そのうちの一つとして位置付けられておりまして、その旨申し上げてきているんですが、この法案の立て付け上、現時点でこの法案の対象になるかどうかということはちょっと予断を持ってということです。
また、台湾有事、委員お尋ねの件ですけれども、この仮定に基づく質問についてこの場で私から個別具体にお答えすることは控えたいと思います。
その上で、この法案は特定の国を念頭に置いたものではございませんが、一般論として申し上げますと、様々なリスクシナリオというのは多分考えられるんだろうと思います。有事といっても様々なものが考えられますが、その重要な物資の安定供給が損なわれる事態を未然に防止するために、いろんなその状況を想定して、平時から我が国にとって重要な物資の安定供給のための枠組みを整備する、それがこの法案の趣旨でございまして、生産基盤の整備に限らず供給源の多様化も含めて、物資の特性に応じて、あくまで民間企業、事業者の方のこの取組を支援していくということでサプライチェーンの強靱化というものを図ってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/123
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124・高木かおり
○高木かおり君 やはりあらゆる面からしっかりと対応していただくということなんだと思います。
ただ、やはりこの台湾有事というのは、やっぱりいろいろなメディアであったり、そういうネット上なんかでも、そういうこの台湾有事という言葉がいろんなところで見受けられる中で、国民の皆さんの中でもやっぱりそれに対して不安をお持ちの方もいらっしゃるわけでありまして、この台湾有事については、三月十八日の参議院本会議での岸防衛大臣は、一般論として申し上げれば、日米安保条約に基づいて我が国に駐留する米軍のプレゼンスは極東における国際の平和及び安全の維持に寄与してきており、地域における不測の事態に対する抑止力として機能してきていると考えていますと答弁をされました。我が国の領土であるこの尖閣諸島も台湾と近くて、台湾有事は尖閣諸島の有事でもあるというふうに私は思っております。我が国のこの経済安全保障にも大変関わることであると考えています。
本年の一月の日米首脳テレビ会談や日米2プラス2において、台湾海峡の平和と安定の重要性について政府は強調をされているわけです。引き続き、この日米同盟の抑止力、対処力を強化して、やはりこの我が国の領土、領海、領空、そして日本国民の生命と財産を守り抜いていくというスタンスを貫いていただきたいというふうに改めて申し上げたいというふうに思います。
続きまして、科学技術イノベーション政策と本法案との関係についてお尋ねをしたいと思います。
ソサエティー五・〇は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって持続可能性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人一人の多様な幸せを実現できる社会を実現すると。そのために、平成二十八年一月に閣議決定されたと。そして、この第五期科学技術基本計画において提唱をされているわけです。確認のために申し上げました。
そして、令和三年三月に閣議決定されましたこの第六期科学技術・イノベーション基本計画で、第五期科学技術基本計画で掲げたこのソサエティー五・〇、これを実現するために、持続可能で強靱な社会への変革、そして価値創造の源泉となる知の創造、最後に新たな社会を支える人材の育成、これが重点項目というわけです。このように、重要技術の卓越性を確保するためにこうした技術の平和利用の理念は重要と考えています。
本法案にはこれを踏まえた民生のための技術の利用という思想が盛り込まれているのか、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/124
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125・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) この法案で今設けさせていただいております官民技術協力の枠組みについてなんですけれども、これは、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保していく観点から、民生利用そして公的利用、この幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を進めるためのものであるんです。なので、こうした先端技術の研究開発を推進していくということは、我が国の将来的な国民生活の向上につながるだけではなくて、世界全体が直面している様々な課題に対する積極的な貢献につながり得るものと捉えています。
したがって、今委員から言及いただきました第六期の科学技術・イノベーション基本計画、ここに、この基本計画が目指しているところの持続性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人一人が多様な幸せ、いわゆるウエルビーイングですね、を実現できる社会を実現する観点もこれは十分に踏まえたものであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/125
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126・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
やはりこの科学技術は毒にも薬にもなるといいますか、科学技術の開発というのはやはりこれ各国で開発競争となっていて、ドローンの技術をAIと連動させて、上空から送られてくる情報を画像処理技術などに組み合わせて、先端技術もこういったことでどんどん日々進んでいるわけです。
しかし一方で、このような技術が軍事転用されてしまうと高性能な新たな兵器として機能してしまうということにもなりかねないと。また、この最先端技術、単に例えば大企業から生み出されるだけではなくて、中小企業やITベンチャー企業なども含まれているわけでして、これ国内に限らず、外へ流出、いわゆる悪意ある大企業が中小企業と連携をして、そして最先端技術が売買又はこの技術が流出してしまう、こういう動きをどこまで調査することができるのか。仮にこの日本の最先端技術がこれらの悪意あるそういった企業に流出した場合は、その国で例えば兵器となって使用されてしまうという事態に陥った場合、やはりこの日本の安全保障が揺らぎかねないと、このような懸念もされるわけであります。
この技術の民生利用、どのようにチェックをして、我が国の技術流出を守るために何が必要なのかという視点でこの質問させていただきました。
次に、少し細かい点を聞いていきたいと思います。
本法案にある安定的という意味合いについて聞いていきたいと思います。
この本法案の目的の第一条で、特定重要物資の安定的な供給の確保と明記されています。他方で、本法案よりも先に成立した5G促進法、これでは、目的の第一条で、特定半導体が我が国の技術の向上により国内で安定的に生産されることが我が国における産業基盤を整備する上で重要であると規定して、第三条第二項においても、国際的に特定半導体の生産能力が限られている状況においても、その需給の変動に対応できるよう、我が国の技術の向上により特定半導体の国内における安定的な生産を確保することと規定されています。
そこで、この本法案の重要物資の安定的な供給の安定的と5G促進法の安定的との表現、どのような違いがあるのか。そして、重ねてですけれども、特定重要物資の国内への安定的供給を最優先すると、こういったことを考えるわけですが、経産省と小林大臣に見解を伺っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/126
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127・江口純一
○政府参考人(江口純一君) お答え申し上げます。
委員からただいま御紹介をいただきましたが、5G促進法第三条第二項における特定半導体の国内における安定的な生産を確保することとは、世界的に需給が逼迫し、あるいはサプライチェーンの寸断リスクが高まっている状況などにおきましても、需給変動に対応できるよう、国内における生産を適切に確保することを意味するものでございます。
これを実現するべく、計画の認定に当たりましては、十年以上にわたる先端半導体の継続的な生産、需給逼迫時における増産、また生産能力強化のための投資や研究開発に関する取組が盛り込まれていることなどを認定要件とし、認定後も計画に基づく事業運営が行われているかを状況を注視をしていくこととしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/127
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128・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 経済安全保障の推進法案の六条の安定的な供給の確保というところは、国民の生存や国民生活、経済活動にとって重要な物資につきまして我が国で必要量が供給されている状況を想定しています。5G促進法につきましてこの安定的な生産を目的としていて、こちらの法案では安定的な供給の確保を目的としていて、つまり、生産設備の、こちらのその経済安保の推進法案では、生産設備の整備支援だけではなくて、供給源の多様化を含めた多様な取組の支援というものを想定しています。
委員から、支援によって製造されたものについては輸出ではなく国内供給に向けられるべきとの点につきましては、この法案では、その事業者の取組に対する支援を通じてこの特定重要物資の安定供給確保を図ることを基本としておりますが、この事業者を支援するに当たっては、主務大臣による供給確保計画の認定を要件とした上で、この事業者の計画作成に当たっては、需給逼迫が発生した際の対応を記載いただくことになっているんです。したがって、それが意味するところは、需給逼迫時に国内における安定供給が図られるよう措置しているところでございまして、この法案の的確な執行によって重要物資の安定供給の確保に努めてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/128
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129・高木かおり
○高木かおり君 やはりこれ、しっかりと国内で、このサプライチェーンの強靱化という中で、国内で安定的にもちろん生産して供給されるというところまでしっかりと担保できるということが必要なんだと思います。
特にこの半導体というのは、前回の質問のときも申し上げましたが、本当に、国民の皆さんの生活に本当に直結するものでありますので、そういった意味で、供給がしっかりとできるようにしなければいけないというふうに思うところでこの質問をさせていただいています。
この経済安全保障というのは、今法案と5G推進法案、この二つの法体系が相対的に連動して我が国の経済安全保障が守られていると私は理解をしております。やはりこれ問題は、先ほども申し上げましたけれども、国内でのこの半導体をやはり優先的に担保する根拠となる条文はないのかと、そういったところを、ちょっと気になりまして、いろいろと調べさせていただきました。
考えられる優先的根拠というのがやっぱりこの5G推進法の中にあるのではないかと思っておりまして、この5G推進法の特定半導体生産施設整備等計画の認定の第十一条第三項で、「主務大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る特定半導体生産施設整備等計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その旨の認定をするもの」としているわけです。その二号には、「当該特定半導体生産施設整備等計画に基づく特定半導体又は特定半導体材料等の生産が主務省令で定める期間以上継続的に行われると見込まれるものであること。」と規定しておりまして、これは継続性が担保されているかを重視していると。また、四号では、「特定半導体等の需給がひっ迫した場合における増産、特定半導体等の生産能力を強化するための投資及び研究開発その他特定半導体の国内における安定的な生産に資するものとして主務省令で定める取組が行われると見込まれるものであること。」というふうに規定されていて、これ需要の逼迫での増産を重視しているというわけです。
これらをもって優先的に供給してもよい、これ、優先的にと、国内で優先的に供給してもよい根拠になり得るんではないかというふうに思うんですけれども、これちょっと通告はしていないんですが、大臣、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/129
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130・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 5G促進法につきましては経産省に詳細な解釈聞いていただければと思いますけれども、例えば私たちのこの法案の運用につきましてもしっかり考えなければいけないことは、この法案に、その詳細な制度設計に当たりましては、WTO協定などと整合的な形で行うということも重要、ことが重要でございまして、たしか第九十条だったと思いますけれども、我が国が締結した条約や国際約束をしっかりと履行するということが原則でございます。
したがって、具体的には緊急時等の生産、供給は求めても、例えばその輸出を禁止することは求めない、そうした点に留意することを想定しているところでございまして、そうしたこの法案の立て付けに沿って適切に運用していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/130
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131・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
そうですね、そのWTOの独占に該当してしまうという、この優先的というところが該当してしまう危険性があるという、そういった指摘もあるんであろうというふうに思います。
ただ、先ほど申し上げたこの優先的の根拠となる部分で、先ほど、繰り返しになりますけれども、5G法の先ほど申し上げた点、それから、大臣今おっしゃっていただいたWTOの独占に該当してしまうというこの危険性の部分、ここの部分が優先的に供給してもよい根拠として、いわゆるガットの安全保障例外で優先的を担保することがそれではできないんだろうかというふうにも思うわけでして、これすなわち国内への優先供給が本当に担保されているのか、半導体不足が世界で逼迫した場合、例外規定としてこのガットの第二十一条の安全保障例外として、自国の安全保障上の重大な利益の有無の判断というのを、これ加盟国自身が判断できるとされているかと思うんですね。で、その広範な裁量が与えられていることからすれば、一時的ではなく、この優先的、最優先で安定供給を図ることということを、図ることは協定違反ではないんではないかというふうにも思うんですけれど、この点は大臣はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/131
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132・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 端的にこの法案の立て付けで申し上げますと、需給逼迫時におきましては増産を求めることも当然あり得るということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/132
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133・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
こういった、ちょっと踏み込んで、ちょっと通告のない質問だったので大変申し訳ありませんでしたが、しっかりと、やはり国内で生産と供給が担保できる、こういったことを推し進めていっていただいて、我が国としてこのサプライチェーンの強靱化をしっかり進めていっていただきたいと思います。
それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。備蓄についてです。
重要物資には、マスクやワクチンに限らず、本法案で言う備蓄について、まだ法の施行を待たなければ分からないわけですけれども、このワクチンを始めとする医薬品も備蓄を恐らく政府は想定しているのではないかという、この想定でもう大変申し訳ありませんが、この備蓄はこういった医薬品そのほかにも様々可能と考えております。
そこで、例えば半導体の備蓄、これについてはどのように考えておられますでしょうか。政府の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/133
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134・江口純一
○政府参考人(江口純一君) お答え申し上げます。
現時点におきましては、特定重要物資として何が指定をされるかということにつきましては予断を持って申し上げることはできないというふうに認識をしているところでございますが、物資の特性を踏まえた上で、備蓄が当該物資の安定供給を確保する上で効率的な方策であると判断された場合には備蓄が行われるということになるというふうに承知をしているところでございます。
その上で、委員御指摘の半導体につきましては、半導体が用いられる最終製品に応じてその設計がなされ、非常に多様な種類が存在をしているということ、さらに、最終製品の進化に伴いまして、必要な半導体も適時変わり得るといった性質を有していることから、特定の種類の半導体について国が一括して備蓄をするということには必ずしも適するものではないというふうに考えておるというところでございます。なお、民間企業におきましては、独自に必要な分につきまして、在庫という形で保有をしているものと承知をしているところでございます。
こうした半導体の性質も踏まえ、国といたしましては、先端半導体の製造拠点を確保すべく、令和三年度補正予算で複数の製造拠点を整備できるよう、必要な金額を計上したところでございます。
引き続き、官民連携をいたしまして、半導体サプライチェーンの強靱化に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/134
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135・高木かおり
○高木かおり君 備蓄に関してもまだこれから決めていくということなので、なかなかそういったお答えになるというふうに思いますが、やはり国は、どの程度の半導体が全国にあって、各企業からの申告である程度の量というものをやっぱり知っておく立場にあるのではないかというふうに思いますので、幾ら民間だからということではなく、その部分は連携して、経済安全保障に備える意味で、やはり政府が関わることは可能であるというふうに私は思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので少し飛ばさせていただきまして、セキュリティークリアランスについて伺いたいと思います。
これは、以前、予算委員会のときにも、私、大臣に、セキュリティークリアランス、これ必要ではないかということで御質問をさせていただいたかと思います。
通告では六番と七番、セキュリティークリアランスの件を通告させていただいていますけれども、七問目に行かせていただきたいと思います。このセキュリティークリアランス制度と国際共同研究について、大臣に質問したいと思います。
このセキュリティークリアランス制度は、機密情報を共有するフレームワークであるファイブアイズ、これでも導入されているわけです。ほかの委員の方々からも、このセキュリティークリアランスについて今日の連合審査の中でも要望等もありました。この制度が国内で整備されていないと、諸外国との経済取引や国際的な共同研究について今現在支障が生じていないのかどうかということを大変懸念をしております。
この国際共同研究のパートナーから排除されないためには、やはりこのセキュリティークリアランス制度の導入というのは必要なんではないかと。機微技術を取り扱う研究開発ではセキュリティークリアランス制度設けること、これ国の責務と私は考えるんですけれども、大臣の見解を改めて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/135
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136・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) まず、この法案の中で措置する協議会におきましては、機微な情報を含む有用な情報の共有や協議が安心して円滑に行われるように、構成員の方に罰則付きの守秘義務を新たに課すことといたしました。それに加えまして、構成員に必要な保全措置を講じることを法律上求めることとしておりまして、まずはこの法案の下で必要な技術流出対策を講じつつ、官民技術協力というものを推進してまいります。
その上で、今委員御指摘されたように、諸外国との共同研究などを民間部門において円滑に進めるためにクリアランスを取得できないかといった声があるということは承知をしておりまして、衆議院の内閣委員会でこの法案につきまして附帯決議が付されましたけれども、これを踏まえて今後検討していくべき課題の一つだと、それは認識をしています。
まず、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的な事例の検証を進めるべきと考えておりますが、一般にセキュリティークリアランス制度というのは個人のプライバシーに関する詳細な調査を含むものでございますので、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合い、また、それに加えまして、この制度を設けることに伴って枠組みへの参画をちゅうちょすることのないようにしていくことにも配意する必要があると認識しています。
いずれにしても、特定重要技術の研究開発を効果的に行うためには自前主義に陥ってはならないということは理解しておりますので、戦略的な技術協力の在り方というものを模索していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/136
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137・高木かおり
○高木かおり君 大臣のおっしゃるその国民の理解の醸成の度合いということですとか、そういった取得を要請される具体的事例の検証、こういったことを踏まえて御検討はしていただくということでそのときも答弁されているというふうに私も認識はしております。ただ、やっぱり、どこまで行くとこの国民の理解の醸成の、醸成されているのかですとか、そういったところもやっぱり検討はしていただけるということですので、スピード感を持って是非この検討を進めていっていただきたいというふうに要望をしておきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
中小企業へのサイバー攻撃に対する支援についてお聞きをしていきたいと思います。
特定重要物資の生産を担うであろう大企業が生産ラインをストップさせるに至るサイバー攻撃を受けるケースが国内でも増えてきているわけですが、これらの大企業を支える部品製造工場や通信基盤を支える中小企業に対してもサイバー攻撃に対する対応が迫られていると考えます。
IPA、独立行政法人情報処理推進機構では、サイバー攻撃に遭った際の事後対応策支援を中心とした中小企業向けサイバーセキュリティー対策支援の仕組みの構築を目的とした実証事業、サイバーセキュリティお助け隊事業を実施して、実証事業で得られた知見及び中小企業向けのセキュリティーサービスを満たすべき基準を定めておられます。大阪でも、大阪商工会議所によるサイバーセキュリティお助け隊が令和三年三月に登録されているところでございます。
そういった中で、私も、二〇二〇年十一月十七日の内閣委員会で、中小企業に対するこのサイバー攻撃、その当時も既に問題になっておりまして、報道なんかでも取り上げられていたかと思います。このサイバー攻撃への対策を質疑でお聞きしましたが、それから二年がたとうとしております。
中小企業に対するこのサイバー攻撃に備えた支援、これ、その当時よりも拡充をしているのかどうか、この点について経産省の方に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/137
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138・江口純一
○政府参考人(江口純一君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、大企業のみならず、中小企業含め、サプライチェーン全体でサイバーセキュリティーのレベルを上げることが必要となってまいっております。特に大企業と同じような対策を講じることが難しい中小企業に対しましては、きめ細やかな支援が不可欠であるというふうに考えております。
このため、経済産業省におきましては、これまでも、業種別や中小企業向けのガイドラインの策定、公表や、関係機関などと連携をいたしました意識啓発に努めてきたところでございます。特に中小企業におけるセキュリティー対策を直接的に支援する観点から、今委員の方から御紹介をいただきましたが、二〇二一年四月には、自社サーバーの異常監視やサイバー攻撃を受けた際の初動対応支援、復旧に要する費用の簡易保険など、中小企業に必要な対策をワンパッケージにまとめ安価に提供するサイバーセキュリティお助け隊サービスを立ち上げたところでございます。さらに、二〇二二年、今年三月からは、このお助け隊サービスを導入する企業につきましてはIT導入補助金の優先採択の対象とするなど、対策の普及に向けた取組を拡充をしてきておるところでございます。
経済産業省といたしましては、NISCを始めとした関係省庁や産業界と連携をしながら、引き続き中小企業を含めた我が国産業のサイバーセキュリティーの確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/138
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139・高木かおり
○高木かおり君 こういったサイバー攻撃というのは、大企業はやはり資金的にも余裕があるのでそういったセキュリティー対策をやっているところが多いけれども、やはりこの中小企業、零細企業、そういったところから、取引先のそういったところからサイバー攻撃を受けてしまって、それに対しての、例えば中小企業が大企業から損害賠償を請求されて取引を、取引先を失ってしまう、こういったこともあるわけですね。
なので、しっかりと、その中小企業に対するもちろん意識啓発、それから直接のセキュリティー対策の支援というのをこれからもしっかり拡充していっていただきたいというふうに思いまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/139
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140・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、塩村あやか君が委員を辞任され、その補欠として吉田忠智君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/140
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141・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
十九日に続いて、官民協議会を設置して行われる特定重要技術の研究開発について質問いたします。
協議会メンバーに課される守秘義務は六十二条七項に定めていますけれども、秘密の範囲が限定されていないということを前回指摘いたしました。答弁は、速記録確認しました。政府から機微な情報が提供される場合には、事前に守秘義務の対象となる情報の範囲や期間を明確化するということでした。
大切な点ですので、二点確認をいたします。
一つ目、協議会における守秘義務は、政府が守秘義務を解除して提供する情報、これに限定されるのか。そして二つ目、漏示、情報が漏れたということが捜査対象となったとき、協議会において秘密とするという合意がなかった情報について政府側が秘密だというふうに主張することはないのか。二点、確認いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/141
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142・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
第六十二条第七項に基づく秘密、条文上規定にある秘密でございますけれども、こちらにつきましては、政府が研究者の皆様に提供する情報に限定されるものではございません。研究者のほか、政府に限らず、ほかの研究者の方ですとか、協議会に参加されているほかの研究者の方ですとかシンクタンク等の協議会の構成員の方から協議会に提供されるそういう情報も該当し得ます。しかしながら、あくまでも協議会の枠組みを通じて提供された、知り得た秘密に限定されているということでございます。
その上で、協議会におきまして秘密が提供される場合には、予見可能性の担保に加えまして、技術の育成、成果の活用に支障が生じないように、提供する前に秘密の対象ですとか期間などを明確にしておく必要があると考えてございます。
したがいまして、秘密とされずに提供された情報が後から秘密であったと政府が判断するようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/142
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143・田村智子
○田村智子君 政府からの情報だけじゃなくて、そこに参加する研究者から提示された情報もあり得るというふうになると、どうやって事前に守秘義務の対象というのを決めることになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/143
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144・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) 協議会では様々な研究がなされます。その場合に、非常に機微な情報というものが、もちろん政府から提供される場合もございますけれども、協議会に参加されるほかの研究者の方から提供される、ほかの企業の方から提供される場合もあると思います。
したがいまして、これは機微なものであるということだとすると、あらかじめ協議会を設置される際に、こういう形でその情報、機微な情報を提供するのであると、そういった場合にはこういう取扱いをしましょうというような取扱いを、運用を定めておくと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/144
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145・田村智子
○田村智子君 協議会の中の協議によってこういうものは機微な情報だからという確認をしていくという答弁だと、これも後で速記録確認しますけどね。
ただ、いずれにしましても、大臣、今のような答弁が、一連の答弁が条文上何ら担保されていないんですよ。何も担保がないんです。そうすると、これは基本指針であるとかあるいは施行令、こういうところに明記をされなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/145
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146・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
今、政府参考人から答弁したように、第六十二条第七項に基づきまして、守秘義務の対象となる情報の範囲は、あくまでも協議会を通じて提供された、知り得た秘密に限定されています。
その上で、守秘義務の対象となる情報に関する具体的な運用方法につきましては、安全管理措置の運用方法と併せまして、協議会において第六十二条第四項第四号に基づき協議が行われ、その協議結果に基づいて第五項によって情報の適正な管理等の取組を行うことになります。
その際に、秘密の範囲、また期間につきましては、構成員の間で理解のそごが生じないように、秘密を提供する場合はそれが秘密である旨とその期間が形式的に明確にされることが必要であって、そのような運用方法を取るべき旨は、今先生御指摘いただいたとおり、基本指針に示す方針でございます。
このように、守秘義務に関しましては、対象となる情報の範囲、そして期間を明確にし、予見可能性の担保を図るとともに、技術の育成や成果の活用に支障が生じないよう取り組んでいきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/146
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147・田村智子
○田村智子君 最低限の確認を今したということになるんですけれども、議会の協議は公開が原則という答弁がありました。また、研究成果も公開を基本とするという答弁がありました。例外的に官側が非公開を要請する場合があるんだと、非公開というのは例外的なんだと、こういう答弁繰り返されてきたんです。
それでは、またここも大切な点ですので、四点確認をしたいんです。
一つ目、機微情報を基にした研究であっても研究成果は協議会における守秘義務の対象ではない、これが前提か。研究成果は機微情報を基にした研究であっても守秘義務の対象ではないということが前提か、一点目。文書で通告しているので分かっていると思うんですけど、これ細かく文書通告していますんでね。二つ目、官側の非公開要請を受け入れるかどうかは研究者の任意であるかどうか。三点目、非公開という合意がなければ原則公開とするのか。四点目、非公開にという要請が官側から行われた場合、その要請そのものは守秘義務の対象となるのかどうか。以上、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/147
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148・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
第六十二条第七項に基づきまして、守秘義務の対象となる情報の範囲は、あくまでも協議会を通じて提供された、知り得た秘密に限定されてございます。したがいまして、こうした守秘義務の対象となる情報を除きまして、研究者の方が自ら生み出した研究成果はそもそも守秘義務の対象外でございます。これがまず一点目でございます。
その上で、仮に政府から、例えば海外での懸念の用途への転用があり得るといった場合に、例外的に非公開として扱うべきという要請を行った場合には、協議会において全ての参加者の方が納得する形で速やかに結論を出すということが期待されるということでございます。ただし、この場合において、仮に協議会で結論を出すことができなければ、本法案の枠組みではそれ以上の制約は課されることはないということでございます。これが第二点目。
あっ、ただし、その場合において、仮に協議会において結論を出すことができなければ、本法案の枠組みではそれ以上の制約が課されることはないと、これが第二点目、そして第三点目についてでございます。
その最後に先生がおっしゃった、例外的に非公開として扱ってはどうかという要請を行った場合ということでございますけれども、その要請の事実自体は秘密に当たらず守秘義務の対象とはならないと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/148
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149・田村智子
○田村智子君 政府側が守秘義務を課さないと提供できない機微情報や、政府側のニーズや秘匿されたデータ、これらの提供を受けて行われる研究とはそもそもどういうものなのかということがやっぱり具体に全然明らかになっていかないんですね。これはやっぱり、具体の目的を持った軍事研究や警察関係の研究ということがやはりすぐに思い当たるわけです。
六十三条の基金を使った研究あるいは協議会設置の対象とする研究というのは、今私が言った具体の目的を持った軍事研究あるいは警察関係の研究、こういうものなのではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/149
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150・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
例えば、有識者会議の議論の過程で示された海洋センシング技術に沿って先生に具体例で御説明申し上げたいと思います。
例えば、この海洋センシング技術というのは、海底資源の探査などへの応用が想定されますが、研究開発段階におきまして、ある地域におけるレアアースなどの海底資源の具体的な分布状況といった情報が提供され得ると考えておりまして、例えばその具体的な数量などは守秘義務の対象となり得ると考えております。
また、サイバーセキュリティー上の脆弱性の検知技術を具体例として例えば提示をさせていただきますと、政府のシステムが抱える具体的な脆弱性情報が、この場合、守秘義務の対象となり得ると考えられます。
こうした技術の例というのは、いずれも御指摘のこの第六十三条の指定基金による研究を含めまして、民生利用や公的利用の幅広い目的に活用され得るものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/150
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151・田村智子
○田村智子君 国防に関することという、広い意味での国防に関することというようにも私には受け取れたんですけれどもね。
本会議で総理は、研究開発の成果について、論文等の成果発表については、守秘義務の対象となる情報を除き、制約は課さず、公開されることとなりますという答弁をされました。先ほどの答弁もそうなんですね。公開されるときも、守秘義務の対象となる情報を除き、制約は課さずと。その上で、海外での懸念用途への転用があり得る場合などに、詳細な技術情報を公開せず内部管理するよう政府が求める場合も例外的に想定されますという答弁でした。
ここで言う海外での懸念用途というのがどういうものなのか、これもすぐに思い付くし、また、自民党さんの質問の中にも、それはもう中国などの兵器開発とか大量破壊兵器の開発、暗号技術、こういう軍事用途というのはもう当然これに当たるというふうに思うんですね。
それが、そうなのか、また、それ以外にどのような用途が海外での懸念用途ということになるのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/151
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152・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
海外、今先生がおっしゃいましたその海外での懸念用途でございますけれども、これ非常に限定的な状況ではあると思いますが、例えば研究開発された技術が流出しまして、国際法上も禁止されている生物兵器などの大量破壊兵器の開発などに転用されると、こういった事態が想定されます。
このような海外での懸念用途につきましては、例えば外国による軍事用途のみならず、例えばテロリストによる悪用、こういったことも想定されると、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/152
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153・田村智子
○田村智子君 まあ軍事的な要素ということですよね。やはり軍事的な要素、テロを含む軍事的要素と。
もう一点確認したいんです。政府側が非公開を要請する研究成果、技術というのは、本法案での守秘義務の対象とならないとしても、機微技術として外為法上の輸出規制、あるいはみなし輸出規制の対象となり得るのではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/153
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154・泉恒有
○政府参考人(泉恒有君) お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、研究開発の成果について、今委員がおっしゃった政府が非公開の要請をするというものは、これは極めて非常に限定的な状況に限られると考えております。
その上で、本法案の枠組みによる研究開発の成果でございますが、これが外為法第二十五条などの規制対象となり得るということについては否定はいたしませんが、具体的にどのような技術が規制対象となるかについては、それは個々の研究等々成果によりますので、予断してお答えすることは困難ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/154
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155・田村智子
○田村智子君 具体にはよく分からないと。なり得ると私は思えるんですけどね。
それで、特定重要技術として政府が指定した研究の促進を図るために協議会は組織されます。それは安全保障のためだということは、もうこの法律の目的ですよね。日本の技術が不可欠性を持つためでもあると。最先端の技術開発を官民共同、国の関与、国の管理の下で行うということがもうこの法律の目的になるわけですね。
先日の参考人質疑では、あらゆる最先端技術はデュアルユースであり、新たな軍事技術開発につながるということが参考人の皆さんから強調されました。最先端の技術のエンドユーザーは不明であるということも参考人は強調されました。現実に、機微技術として輸出規制の対象にもなり得ると、これはもう経産省の動きを見れば、これは明らかだと思うんです。
これらのことを総合的に見てみますと、研究成果の非公開という要請が果たして本当に例外的と言えるのか。あらゆる技術はデュアルユースだと、とりわけ最も兵器開発にとって求められているのが次の最先端の技術だと、これも研究者の中では当たり前のこととして語られているわけです。それでも、研究成果の非公開、これは例外的になるんでしょうか。私には非現実的に逆に聞こえますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/155
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156・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答え申し上げます。
技術の育成や成果の活用を促す観点からは、これまでも累次答弁申し上げているとおり、研究成果につきましては、制約的要素は必要最小限としつつ、公開を基本とすべきだと考えています。特に、論文などの成果発表につきましては、守秘義務の対象となる情報を除きまして、制約を課すことはせずに公開されることが原則と考えております。
仮に、委員御指摘のように、頻繁に研究成果を非公開としてしまうと、技術の育成や成果の活用に支障が生じてしまうことが懸念されますことから、これまでも答弁申し上げているとおり、非公開の要請というのはあくまでも例外的に運用すべきものと考えております。
また、この研究開発の成果につきましては、単に安全保障、防衛用途につながる可能性があることのみをもって非公開の要請をすることは想定し難いと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/156
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157・田村智子
○田村智子君 今の答弁にもあったんですけど、守秘義務の対象となる情報を除き公開されるべきだという答弁なんですね、ずっと。政府があらかじめ守秘義務の範囲としたデータ、情報、これは非開示となって、論文が公開されるという意味です。
研究開発の発展というのは、私は、検証ということが行われて、研究者相互の批判、これが原動力となって発展していくものだというふうに捉えます。データの検証、外部からの検証、批判、これも自由に行われることによるものだと。研究の成果というのは常に発展途上のものであって、検証によって誤りや疑問が見出されることもあるでしょう。失敗から革新的な発展が生まれるということもあるでしょう。
そうすると、政府の管理の下に置かれて、政府がコントロールをして、情報もコントロールをして、そして非公開ということもあり得ると。これはやはりアカデミアを軍事研究に関与させていくために日本の研究開発の自由な発展をむしろ阻害されてしまうんじゃないかということをやはり強く懸念せざるを得ません。
次の質問に進みます。
参考人質疑では、法案への評価が異なっても、アメリカの経済安全保障戦略と軌を一にしているということが明確に指摘をされました。政府だけが明確に答弁しないんですよね。
それで、六十二条の三項、研究開発大臣が特に必要と認める者を官民協議会に加えることができるとしています。アメリカの政府関係機関研究者、共同研究に資金を出しているアメリカの機関の当局者なども排除されないというふうに考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/157
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158・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) ちょっと答弁の前に、今委員からアメリカと、米国の政策と軌を一にしているということを政府が言わないという御指摘あったんですけれども、そもそも事実がそうじゃないから申し上げていないんです。米国に合わせているわけでも追随しているわけでもなくて、我が国として必要なことを今やっているだけですので、その点は御理解いただきたいと思います。
また、今、御質問にお答えしますと、この法案の協議会の構成員につきましては、外国人であることのみをもって参画を拒否することはございません。協議会を組織する研究開発大臣が、また指定基金におきましては指定基金所管大臣、そして内閣総理大臣が研究代表者と相談の上、必要と認める場合にその同意を得て構成員として加えることとなります。これが立て付けです。
このため、今委員が言及された、例えばアメリカの政府機関の関係者などの方々に限らず、一律に外国人の協議会への参画が排除されるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/158
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159・田村智子
○田村智子君 今追随しているわけではないと言われたんですけれども、二〇一九年に在日米大使館と内閣府との間で量子協力に関する東京声明が取り交わされています。これは、在日米国大使館のホームページで大きく、日米が画期的な国際量子声明に署名というふうにタイトルを付けて、ホワイトハウスの科学技術政策局長のコメントとともに発表されています。
そのコメントの一部を紹介しますと、量子協力に関する東京声明は、米国と日本の強固な科学及び技術提携を重視している、重要なのは安全で生産的な研究環境の重要性、研究における品位と厳格性の促進、開放性と安全保障のバランスなど、研究環境に関する合同委員会の中核的な柱を反映する初の国際声明であると。
機密情報を守る切り札と言われるのが量子暗号、代表的な量子である光子、光の粒を利用して鍵を作ると、第三者が盗み見しようとすると必ず痕跡が残るという技術ですよね、大臣の方が詳しいと思います。この日本の技術力は大変高く、東芝が世界首位、NECは三位とも言われているわけですね。
資料で、その今紹介した東京声明、全文お配りをしています。その中に、知的財産の保護、安全かつ包括的な研究環境、研究における厳密さや規範、研究セキュリティー及び管理負担の軽減を推進する誠実な協力に着手すること、あるいは、適切な場合には研究方法やインフラ及びデータを共有する手段を推進することなどが取り決められたんですね。これ、量子技術にとどまらない、科学技術研究全般に関わる声明でもあります。
で、ちょっと詳しく見たいんです。知的財産の保護、これは当然、今回の法案で盛り込まれた秘密特許が含まれるでしょう。それから、研究における厳密さや規範、これ規範というふうに訳されて、仮訳が付いているんですけれども、正文である英語はインテグリティーなんですよ、誠実さですね。これ、研究インテグリティーというのは既に文科省が推進をしていて、国の競争的資金による研究について、どこからほかに研究費が出ていて、どういう研究者が参加しているのかの透明性の確保、これを今文科省進めているんですね、経済安保の政策として進めている。
では、研究セキュリティー、英文の正文で言うとリサーチセキュリティーとなっているんですけれども、これは何を指すのか。セキュリティークリアランス、研究者の身上調査ということは含まれるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/159
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160・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答えいたします。
今委員に挙げていただきました量子協力に関する東京声明は、内閣府政策統括官、私の前々任者でございますが、と在日米国大使館首席公使代理との間で事務レベルで結ばれたものでございます。
本声明における研究セキュリティーにつきましては、まさに今委員が御指摘いただいたとおり、知的財産の保護や研究における厳格さ、規範などと並びまして、研究開発等に係る一般的な事項の一つとして示されているものと理解してございます。本声明の下で委員御指摘のセキュリティークリアランスの実施を想定していたという事実はございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/160
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161・田村智子
○田村智子君 いや、知的財産の保護というのは別の文脈にあるんですもの。この研究セキュリティーって何なのかということはこれ問われなければならないんですよ、声明として結ばれているんですからね。大体、東京声明にはインフラ及びデータを共有する手段の推進というふうにあるんですから、アメリカがアメリカ並みのセキュリティークリアランスを要求するのは私は当然のことだと思いますね。
昨年四月、日米首脳会談では、共同声明の別添文書として、日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップが合意をされています。その中で、共同研究及び研究者の交流を通じた量子科学技術分野における研究機関間の連携及びパートナーシップを強化することということも盛り込まれています。
同じ年の六月、第十六回日米科学技術協力合同実務級委員会において、文部科学省とアメリカのエネルギー省、DOEの間で量子情報科学に関わるプロジェクトアレンジメント、これも締結をされています。このDOEは、量子技術における米国最大規模の研究資金の出し手であって、所管する国立研究機関で機密指定の量子技術研究を現に行っています。
法案審議の中では、現にアメリカとの機微技術や軍事研究に関わる研究連携で日本に法整備上の課題があるということは政府も指摘をしてきたと、答弁の中で、というふうに私受け止めています。
東京声明に即した研究連携、DOEなどアメリカの研究機関との連携、それらを進めていく上でやはり法整備がどうしても必要だと、そういう一環としてこの法律出てきているんじゃないのかと、法案が出されているんじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/161
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162・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) お答えいたします。
委員御指摘の量子協力に関する東京声明につきましては、二〇一九年に日米の政府間で量子科学技術分野の協力を推進するために宣言されたものです。我が国の研究機関と米国の研究機関との間において共同研究を推進することが確かに盛り込まれてはおります。
その上で申し上げますと、この法案は、有識者会議の提言にもございますとおり、先端的な重要技術の推進に当たっては、欧米の大学や研究機関などの有志国との連携が十分に可能となるよう配慮しておりますが、殊更、米国あるいはそのエネルギー省との協力、この当該東京声明の実現を目的とするものではございません。
いずれにしても、その量子分野というのは、ここで、この法案でも、審議でも申し上げているとおり、極めて将来の社会に影響を与え得る重要な先端技術でございますので、自前主義に陥ることがないように国際的かつ戦略的な技術協力というものも推進してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/162
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163・田村智子
○田村智子君 これ、量子研究というのはアメリカの中で極めて重要な戦略として位置付けられていて、法律も作られて、もう国の研究機関だけではなくて、国防総省とか国のその警察に関わるような情報機関とか、そういうところも一体的な組織を持ってこの量子研究を、アメリカがつまりリーダーシップを維持するためにどうするかという大戦略として位置付けられているんですよね。その量子技術や科学技術で日本と連携をした研究を進めていくんだと。だって、日本は量子研究でトップクラスの研究技術を持っている。一方で、中国の方は、技術だけでなくて、その技術を実装する開発の点ではそれを上回っている。こういう大戦略の中で、言わばこの法案が作られる前から、こうした連携協定、声明が結ばれて、進められているんですよ。
アメリカは、二〇二一年会計年度国防授権法、国防授権法、いや、ごめんなさい、いいですね、授権法において、基礎及び応用量子科学並びに情報の分野における知的財産が失われる影響を最小限にしながら、国防関係の量子情報科学技術活動の管理及び当該活動に参画する個人の管理等に関する指針を定めるよう、米国政府に義務付けをしています。国防関係の研究活動に参加する個人の管理ということまで言われているわけですね。
東京声明の相互協力の枠組みの下で、アメリカの指針が日本とも共有されていくのではないのかと。そうすると、研究セキュリティーというのが一体何を指すのか。セキュリティークリアランスの導入の前段階とも言える状態に今なっているんじゃないのかというふうにも受け止めますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/163
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164・米田健三
○政府参考人(米田健三君) お答え申し上げます。
先ほど、知的財産と重複しているんじゃないかということで、意味が違うんじゃないかというふうにおっしゃられたと思いますけれども、研究の秘密というのはいろいろございまして、権利化される前のもの、出願前の研究情報などもリサーチセキュリティーといったものに該当すると思っておりますので、当時としてはそのような解釈でこのような声明を作っていたものと理解してございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/164
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165・田村智子
○田村智子君 ちょっともう時間が来てしまって、実はシンクタンクのこととか、何ゆえ日本から研究者が中国や海外に行ってしまうのかという問題も質問の準備をしていたんですけれど、これやはり十分な質疑時間が更に必要だというふうに考えます。
それから、政府は否定されるんだけれども、私は、自律性といったときに、日本はやはりアメリカからの自律性がどうだったのかということは真剣に議論しなければならないと思いますよ。半導体がなぜ衰退したのかって午前中も議論ありましたけれども、これ、アメリカとの関係なくして日本の半導体の衰退というのは語れないわけですよ。この量子技術ということも、今、日本がトップ技術持っている、しかしアメリカが戦略的に非常に位置付けている、じゃ、今後どうなっていくのか、是非そのことも次の委員会のときには質疑をしたいというふうに思います。
以上で今日は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/165
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166・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01320220426/166
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