1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十八日
辞任 補欠選任
有村 治子君 三原じゅん子君
五月二日
辞任 補欠選任
三原じゅん子君 有村 治子君
小沼 巧君 塩村あやか君
武田 良介君 市田 忠義君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
市田 忠義君
田村 智子君
国務大臣
国務大臣 小林 鷹之君
副大臣
内閣府副大臣 大野敬太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
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本日の会議に付した案件
○経済施策を一体的に講ずることによる安全保障
の確保の推進に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、小沼巧君及び武田良介君が委員を辞任され、その補欠として塩村あやか君及び市田忠義君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/2
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003・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
本法案が、中国に対抗する米国の経済、軍事両面の安全保障戦略と軌を一にして日本の経済安保施策を促進するものであることは、自民党の政策や質疑、参考人質疑などからも明らかです。
中国による軍事的威嚇や覇権主義、また人権抑圧などは厳しく批判されるべきであり、外交的に解決が求められます。しかし、脅威と不安をあおり、仮想敵を前提とした軍事的対立や安全保障政策に企業活動や研究、技術開発を組み込むことは、民間企業や大学等への国家権力による監視や介入につながります。しかも、政府は、経済安全保障について定義はないと開き直り、具体の目的、政策を明らかにしていません。安全保障を理由とする規制が誰に対してどのように行われるのか、政省令に白紙委任するなど、断じて認めることはできません。
以下、法案の内容に即して反対の理由を述べます。
第一は、官民協議会の設置によって、軍事転用可能な最先端技術の研究開発に国が直接関与し、研究開発成果の非公表を可能とする仕組みをつくることです。
防衛装備を始め、官側のニーズや機微情報の提供によって研究が促進され、研究者には罰則付きの守秘義務が課せられます。研究成果は公表が基本と言いますが、法律上の守秘義務の対象にならなかったものについても研究成果の非公開を要請することがあり得ると政府は認めました。成果の公開と相互批判は研究開発を発展させる原動力です。本法案は、学問の自由を侵害し、研究の発展を阻害すると言わざるを得ません。
特定重要技術のシンクタンクは、外部機関への委託が予定されています。自衛隊や米軍などとの人事交流も排除されず、大学などに対する状況調査や軍事研究への参加促進を図るものと言わざるを得ません。
特許の非公開制度は、戦前の秘密特許制度の復活にほかなりません。産業発展のため新技術の公開を原則とする我が国特許制度の唯一の例外が日米防衛特許協定ですが、対象のほとんどが武器技術ではなくデュアルユース技術であることが明らかとなりました。デュアルユース技術が非公開とされ、海外出願禁止となれば、産業発展を阻害することになります。また、学会などでの意見交換までもが処罰の対象となるとの答弁は重大です。
第二は、企業活動への政府の監視、介入が強化されることです。
基幹インフラの事業者には罰則も付して、設備導入や更新の際の納品業者、委託業者等の事前届出を課し、政府による審査、勧告、命令まで行うとしています。特定重要物資の供給事業者に対しても、取引先などを記載した安定供給のための計画提出が課されます。こうした規制強化には経済界からも懸念が表明され、参考人質疑では、経団連の参考人から、レッドラインを明確にしてほしいという発言までありました。中国への対抗措置であることは明らかですが、政府は特定の国を対象にしたものではないとしており、何が規制されるのか不明確です。
生物兵器製造に転用可能な機械を中国に無届けで輸出したとして大川原化工機の社長など三人を逮捕、一年近くも勾留して自白を強要した冤罪事件は、経済安保の取組事例として今も警察白書に掲載されています。警察庁からは何の反省の弁もなく、同様の事件が生じかねません。警察によるいきなりの捜査を避けるため、企業は政府との情報交換を求めることになり、また、特定重要物資の安定供給確保支援法人基金による支援を受けるためなど、民間企業と政府の癒着も強く危惧されます。
本法案は経済安保政策の一端にすぎず、米国の政策を見れば、今後、セキュリティークリアランスなど国民への更なる人権制約の措置は不可避となることも指摘し、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/4
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005・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、江崎君から発言を求められておりますので、これを許します。江崎孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/5
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006・江崎孝
○江崎孝君 私は、ただいま可決されました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
少々多い附帯決議案になっておりますけれども、御了承ください。
案文を朗読いたします。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 本法施行に当たっては、安全保障の確保に関する経済施策と自由かつ公正な経済活動の促進の両立が重要であることに十分留意すること。
二 基本方針は、本法による施策が我が国の産業競争力に与える影響に留意し、安全保障の確保のためになされる規制等が経済活動の自由を不当に阻害することがないよう、また、事業者等の自主性が十分尊重され、かつ、事業者間の適正な競争関係を不当に阻害することのないよう策定すること。
三 四分野におけるそれぞれの基本指針の策定に当たっては、経済活動の自由を不当に阻害することのないよう、かつ、事業者等に過度な負担を強いることのないよう十分に留意すること。また、特定妨害行為の防止による特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関し必要な特定社会基盤事業者その他の関係者(本法第四十九条第二項第五号)に代表される事業者等関係者との連携については、相談、助言その他の援助を行うほか、恒常的に十分意思疎通を図り信頼関係を醸成するよう努めること。
四 特定重要物資を指定する政令及び安定供給確保支援法人の指定に関する主務省令並びに特定社会基盤事業者の指定基準を定める主務省令は、関係事業者、関係事業者の団体その他の関係者の意見に十分配慮し制定すること。また、特定重要物資を指定する政令の制定に際しては、必要な知見を有する者の意見も参照すること。
五 物資の生産、輸入又は販売の事業を行う個人又は法人その他の団体に対する報告徴収(本法第四十八条第一項)及び特定重要設備の導入等後の勧告(本法第五十五条第一項)は、自由かつ公正な経済活動に与える影響を十分考慮し、事業者等の過度な負担にならないよう、必要最小限度にとどめるべきという国会での議論があったことを踏まえ、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度について一層配慮した報告徴収、勧告とすること。
六 特定重要物資又はその生産に必要な原材料等について、備蓄その他の安定供給確保のためには、重要物資の輸送手段も重要となることから、輸送手段の確保等の必要な措置について十分配慮すること。
七 特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度において、中小規模の事業者については、役務の安定的な提供に支障が生じた場合に与える国民生活又は経済活動への影響が限定的であるほか、規制への対応が相対的に大きな負担となると考えられることから、規制の対象とするべきかどうかの検討は慎重に行うこと。
八 特定重要設備の導入等に係る審査については、事業活動に与える影響を踏まえ、可能な限り短期間で実施すること。そのため、必要な審査を効率的に行うことができるよう、関係省庁の連携も含め、審査体制の充実に取り組むこと。
九 特定重要技術の開発支援については、我が国の技術的優位性ひいては不可欠性を確保することにつながるか否かを十分に検証した上で、対象となる技術をしっかりと見定めていくとともに、真に必要なものに対し集中的に行うこと。
十 特定重要技術の開発支援に当たっては、宇宙科学技術、海洋科学技術、量子科学技術、人工知能関連技術及びバイオ技術の重要性に留意し、研究開発の促進及びその成果の適切な活用が図られるよう検討すること。
十一 特定重要技術の開発を支援するため、十分な財政措置を講ずること。
十二 保全対象発明の選定に当たっては、産業への影響を考慮して対象をできる限り限定的なものとすること。その際、デュアルユース技術については、国費による委託事業の成果である技術や、防衛等の用途で開発された技術、あるいは出願人自身が了解している場合などを念頭に、支障がないケースに限定すること。
十三 特許出願の非公開に関する制度の運用は、イノベーションの意欲を削ぐことのないよう関係者の意見を聴いて、慎重に行うこと。
十四 特許出願の非公開に関する制度の運用に当たっては、特許出願人が手続を円滑に行うことができるよう配慮すること。
十五 保全審査を行う機関について、関係省庁及び外部の専門家の知見が十分に活用できるような仕組みを構築するとともに、保全審査に携わる職員の専門性の向上に配意すること。
十六 本法第八十条の規定に基づく損失の補償に当たっては、特許出願人が過度な不利益を被ることのないよう十分配慮すること。
十七 本法全体及び個別具体の施策の施行状況について、国会、国民に公表し、十分な説明を行うとともに、事業者、研究者等を含め、その理解を得るよう努めること。
十八 安全保障の確保に関する経済施策に関する情報の収集、整理及び分析を推進する観点から必要があると認めるときには、その体制の整備について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
十九 本法第四十八条第一項の規定による報告徴収の状況を勘案し、必要があると認めるときは、同項の規定による報告徴収の実効性を確保するための方策について、本法の施行後適当な時期において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
二十 地方公共団体が地域において住民の生活及び経済活動の基盤である水道、鉄道等を保有しているほか、地域において先端技術を有する中小企業が存在することに鑑み、地方公共団体に対し、経済安全保障の観点から必要な助言その他の援助を行うこと。
二十一 国際共同研究の円滑な推進も念頭に、我が国の技術的優位性を確保、維持するため、情報を取り扱う者の適性について、民間人も含め認証を行う制度の構築を検討した上で、法制上の措置を含めて必要な措置を講ずること。
二十二 経済活動における人権の尊重が国際的にも重要な課題となっていることに鑑み、人権に配慮した経済活動が行われるよう必要な検討を行うこと。
二十三 四分野に限らない経済安全保障に関する諸施策の実効性を伴う総合的な推進を図るための方策について、本法の施行後適当な時期において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/6
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007・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいま江崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/7
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008・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、江崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、小林国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小林国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/8
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009・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) ただいま御決議のありました事項につきましては、御趣旨を十分に尊重してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/9
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010・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/10
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011・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01520220510/11
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