1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十九日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
小沢 雅仁君 杉尾 秀哉君
高瀬 弘美君 杉 久武君
五月十八日
辞任 補欠選任
杉尾 秀哉君 打越さく良君
杉 久武君 高瀬 弘美君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
打越さく良君
塩村あやか君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
市田 忠義君
田村 智子君
衆議院議員
発議者 加藤 勝信君
発議者 木原 稔君
発議者 鈴木 隼人君
発議者 塩崎 彰久君
発議者 勝目 康君
発議者 中野 洋昌君
国務大臣
国務大臣 野田 聖子君
副大臣
内閣府副大臣 赤池 誠章君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宮路 拓馬君
文部科学大臣政
務官 鰐淵 洋子君
厚生労働大臣政
務官 深澤 陽一君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房孤独・
孤立対策担当室
長 大村 慎一君
内閣官房令和3
年経済対策世帯
給付金等事業企
画室審議官 黒田 岳士君
内閣官房こども
家庭庁設置法案
等準備室長 谷内 繁君
内閣官房こども
家庭庁設置法案
等準備室審議官 相川 哲也君
内閣官房こども
家庭庁設置法案
等準備室審議官 蝦名 喜之君
内閣官房こども
家庭庁設置法案
等準備室審議官 長田 浩志君
内閣府政策統括
官 笹川 武君
内閣府地方創生
推進室次長 黒田 昌義君
内閣府男女共同
参画局長 林 伴子君
内閣府子ども・
子育て本部統括
官 藤原 朋子君
総務省大臣官房
審議官 阿部 知明君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 茂里 毅君
文部科学省大臣
官房審議官 出倉 功一君
文部科学省大臣
官房審議官 淵上 孝君
文部科学省大臣
官房審議官 森田 正信君
文部科学省総合
教育政策局社会
教育振興総括官 安彦 広斉君
厚生労働省大臣
官房審議官 川又 竹男君
厚生労働省大臣
官房審議官 本多 則惠君
厚生労働省子ど
も家庭局児童虐
待防止等総合対
策室長 岸本 武史君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○こども家庭庁設置法案(内閣提出、衆議院送付
)
○こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整
備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○こども基本法案(衆議院提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、小沢雅仁君が委員を辞任され、その補欠として打越さく良君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
こども家庭庁設置法案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房孤独・孤立対策担当室長大村慎一君外十八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/2
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003・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) こども家庭庁設置法案、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこども基本法案、以上三案を一括して議題といたします。
まず、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。野田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/4
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005・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) このたび政府から提出をしたこども家庭庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、こども政策を我が国社会のまんなかに据え、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていくため、強い司令塔機能を有し、こどもの最善の利益を第一に考え、常にこどもの視点に立った政策を推進するこども家庭庁を設置しようとするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、こども家庭庁の設置、任務、所掌事務について定めるものであります。
こども家庭庁は、こども家庭庁長官を長として、内閣府の外局として設置され、こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、こども及びこどものある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援並びにこどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務としております。
その任務を達成するため、内閣府や厚生労働省で所管している子ども・子育て支援給付に関することやこどもの保育、虐待の防止に関することなど、こどもの福祉や保健、子育て支援等に関する事務を移管するとともに、小学校就学前のこどもの健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前のこどものある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、地域におけるこどもの適切な遊び及び生活の場の確保、こどもの安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、いじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備、こどもの権利利益の擁護等をつかさどるほか、こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する事項や結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項等の企画及び立案並びに総合調整をつかさどることとしております。
また、こども家庭庁長官は、所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができるとしております。
第二に、こども家庭庁に置かれる機関について定めるものであります。
こども家庭庁に、こども家庭審議会等を置くほか、特別の機関として、少子化社会対策会議、子ども・若者育成支援推進本部及び子どもの貧困対策会議を置くこととしております。
この法律は、令和五年四月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
次に、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、こども政策について、こども家庭庁の下で一元的に推進し、こども及びこどものある家庭に対する支援を効果的に図ることができるようにするため、こどもの福祉の増進や保健の向上、子育てに対する支援等を行う法律を移管する等関係法律について所要の整備を行うものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、児童福祉法その他の関係法律について、内閣総理大臣及びこども家庭庁長官の権限を定める等関係規定の整備を行うものであります。
第二に、内閣府設置法その他の行政組織に関する法律について、任務、所掌事務の変更等関係規定の整備を行うものであります。
第三に、所要の経過措置等を定めようとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/5
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006・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 次に、こども基本法案について、発議者衆議院議員加藤勝信君から趣旨説明を聴取いたします。加藤勝信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/6
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007・加藤勝信
○衆議院議員(加藤勝信君) ただいま議題となりましたこども基本法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
子供に関する施策については、これまでも待機児童対策や幼児教育・保育の無償化、児童虐待防止対策の強化など各般の施策の充実に取り組んできましたが、残念ながら、少子化の進行、人口減少に歯止めがかかっていません。また、児童虐待相談や不登校の件数が過去最多になるなど子供を取り巻く状況は深刻で、コロナ禍がそうした状況に拍車をかけています。このような危機的な状況を踏まえると、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組や政策を我が国社会の真ん中に据えて、強力に進めていくことが急務です。
このため、政府においては、こども政策の司令塔としてこども家庭庁を設置する法案を提出されていますが、このような組織法と相まって、従来、諸法律に基づいて、国の関係省庁、地方自治体において進められてきたこどもに関する様々な取組を講ずるに当たっての共通の基盤となるものとして、こども施策の基本理念や基本となる事項を明らかにすることにより、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に実施していくための包括的な基本法が必要であると考え、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を目指すことを明示し、それに向けてこども施策を総合的に推進することを目的としております。
第二に、こども家庭庁設置法案と同様に、心身の発達の過程にある者をこどもと定義しております。また、こども施策をこどもに関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策と定義しております。
第三に、こども施策の基本理念として、一号から四号においては、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則、差別の禁止、生命、生存及び発達に対する権利、児童の意見の尊重及び児童の最善の利益に相当する内容を規定しております。五号ではこどもの養育について、六号では子育てについての基本理念をそれぞれ定めております。
第四に、年次報告及びこども大綱の規定を設けております。なお、この法律により、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律における国会報告や大綱等を束ねることにより、関係する施策に横串を通すとともに、行政の事務負担の軽減を図ることとしております。
第五に、閣僚会議として、こども政策推進会議を設けることとしております。この会議につきましても、先ほど申し上げました、三つの法律における会議等を統合することとしております。
第六に、国の責務等を規定し、また、基本的施策として、こども施策に対するこども等の意見の反映、支援の総合的かつ一体的な提供のための体制の整備、関係者相互の有機的な連携の確保、こども施策の充実及び財政上の措置等を規定しております。
最後に、この法律は、こども家庭庁設置法案の施行に合わせ、令和五年四月一日から施行することとしております。また、検討条項として、こども施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備を含め、基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策について検討する旨を定めております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/7
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008・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/8
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009・上月良祐
○上月良祐君 いよいよ今国会でも大変重要な法案の審議に入ることになりました。野田大臣には先ほど提案理由説明いただきましたけれども、大変思いのこもった、また、整備法の方は大変力の要る仕事でございます。大臣始め役所の皆様にも、本当ここまでしっかり仕事をしてきてくださったことに感謝を申し上げ、そして、これからの質疑、審議が大変重要でございますので、是非大臣の声でしっかりやり取りをさせていただいてということをお願いをいたしたいと思います。
私からは、まず、昨日の本会議でも出ておりましたけれども、やっぱり困窮されている方も多いということで、それから、何としても貧困の連鎖は絶たなきゃいけないというふうに私も思っております。貧困の連鎖というのは、何というんでしょうか、ただ連鎖するのではなくて、現場でお話をいろいろ聞いておりますと、深まっていくんですね、連鎖が。ただ横につながっていくんじゃなくて、だんだん世代を追うにつれ深まっていくと私は感じております。
なので、とにかく一刻も早くそれは絶たなきゃいけないと、そのために何が必要なんだろうかという観点も置いて、そして一番最後には、今後明るい未来をつくっていくためには、子供たち、若者の個性とかが大変重要だと思っておりまして、最初と最後に大臣には是非、最後の質問まで時間が何とか間に合うことを祈念して、祈りながら質問してまいりたいと思います。
それでは、まず最初の質問です。
私は、昨日大臣にもお時間をいただいて、たまたまちょうどそういうふうな日取りになったんですが、孤独・孤立対策に事務局長としてずっと取り組んできております。
今回大変重要なことは、孤独・孤立対策、初めて実態調査がされたんですね。何というか、手探りで仕事をしていたのが、一応ベースになるデータが手に入ったということで、とてもエポックメーキングなことだというふうに思っております。このデータをしっかり生かして仕事をしていくということが重要だと思っておりまして、次の予算であるとか施策つくるときにこういったものをしっかり生かしていただきたいと思います。
私は、改めて見させていただいて、何となく傾向としては、一つは、先行していたけれども、大臣がなくなりましたが、イギリスにおけるデータと何かやっぱり傾向は似ているなということを感じました。大変、しばしば孤独感を感じている方の率、時々ある、たまにある、そういった傾向も非常に似ているなという感じがいたしました。
それから、孤独感が最も強いというのが三十代、二十代、若い方々だということで、そういう意味でも、その十代、まあ十代の前ももちろんでありますけれども、孤独、孤立の問題というのはもう全世代起こり得ることなので、その孤独、孤立に今一番悩んでいる二十代、三十代の前のところからしっかりアプローチしていくということが大変重要だと思っております。
また、ちょっとショッキングだったのは、孤立率が一一・二%もあるということで、まあ一五%ぐらいじゃないかと言われていたので、それよりは少なかったんですけれども、家族以外とも、同居していない家族や友人たちと直接会って話すことが全くないという人が一一%もいたと。勘定すると一千万人以上もいるのかというと、ちょっと恐ろしくなる感じがします。
そういったこともありますが、今回はこども家庭庁の法案ということになりますので、若者世代について是非お聞きしたいという、お願いしたいことがあります。
若者の世代は、お話を直接我々聞かせてもらいますと、面談が苦手だというか、あんまりちょっと、何というんでしょうか、何か相談があったら来なさいと言ってもなかなかいきなり面談というのが難しいとか、電話よりもやっぱりSNSを使うと、二十四時間使うということで、そういった若者たちにとって悩みを相談しやすい体制づくりというのが必要であると。女性の相談はやっぱり女性に受けてほしいという声もありました。若者はやっぱり若者同士の方が、それはそうですよね、やっぱり同世代の方がまあざっくばらんに相談しやすいと、そこからまた先につないでもらいやすいと。いきなり何か年を取った、何というか、僕らも、今の僕みたいにネクタイしているところの人にぱっとこう行って、ざっくばらんに相談しなさいと言われても、確かに若いときの自分だって難しかっただろうというふうに思います。
そういう中で、我々のヒアリングの中で、大空幸星さんが提案してくれたこども・若者サポーターという概念というか機能というか、そういうものがありまして、民生委員さんとか社協の相談窓口のネットワークにつながっていくためにも、まずは身近に相談を受けてもらえるような、相談しやすいような、ピアで相談しやすいような、あるいはもう気軽にいつも会っている人たちが何か相談して、それで、相談にも答えは出ないかもしれないけれども相談をする。寄り添って相談を聞いてくれるだけで半分ぐらいは肩の荷が下りるところもありますし、何でもかんでも解決しようと思わずに、同じ方向を向いて手つないで歩くという伴走型の支援自体も大切な支援であると。抱樸の奥田さん辺りも、もう何度も私らも聞かせてもらいましたけれども、言っておられます。
なので、相談に行くように勧めてもらう、聞いてもらう、こういった人材とか制度とか機能とかをつくっていくべきだと思うんですが、ここについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/9
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010・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
まさに上月委員御指摘のとおりで、今回、日本初ですね、孤独、孤立の実態調査、ここでは三十代、次いで二十代の孤独感が高いということが明らかになったところです。
また、調査結果を更に詳しく見たところ、今お話がございましたように、若い世代においては不安や悩みの相談相手として知人、友人を挙げる割合が高く、また相談相手の有無が孤独感に与える影響が大きいということも分かりました。こうしたことから、特に若い世代については、身近に気軽に相談できる同世代の相手がいることが孤独、孤立に至ることを防ぐ上で重要になるものと考えています。
先ほどもお話ししていただいたとおり、昨日、上月委員自ら自民党の孤独・孤立対策特命委員会の御提言をお届けいただきました。その中で、若者世代自身が同世代の悩みに寄り添うこども・若者サポーター、これはまだ仮称ということですが、の創設検討についてお話をいただきまして、大変重要な御指摘と受け止めております。ありがとうございました。
現在、法案を審議いただいているこども家庭庁については、必要な情報や支援が届くよう、子供や若者の視点に立った情報発信、今おっしゃったSNSのような、やプッシュ型の情報提供に取り組むとともに、子供や若者、保護者などの相談に応じて関係機関の紹介など、情報提供、助言を行う拠点である子ども・若者総合相談センターの設置促進と機能を抜本的に強化してまいりたいと思います。
御提案いただいた若い世代が身近に相談できるような仕組みの在り方については、こうした施策との関連や地域で活動する人材との連携、協働の観点も踏まえながら、今後、関係府省とともに検討してまいります。
大変有り難いことに、今まさに取り組んでいるNPOのリーダーたちはとても若く、今お話しした大空さんとか今井さんと、本当に兄貴のような感じで、子供たちの答えを出すのではなくて受け止めるという、そういう姿勢を車座等々で話を聞かせていただいて、これをしっかり支えていかなければならないと感じました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/10
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011・上月良祐
○上月良祐君 ありがとうございます。
厚労省も関係すると思いますし、文科省も関係するんだと思います。とても大事な指摘だと思いまして、我々もそれを受け止めて、それまでのヒアリングの積み重ねの上でそのことを提案させていただいておりまして、何といっても予防だと思うんですね。病気も一緒かもしれません。なっちゃったら治さないといけないというのがあると思うんですが、何といったって、ならないようにするのが一番なわけでありまして、それは結局つながりだろうというふうに思います。
ふだんから、これ施策として考えると分かりにくいのかもしれないけど、自分たちそれぞれ、人生で一番困ったことって、まああると思うんですね。そのときに何が助けになったのかといえば、やっぱりその時々によって違いますけど、僕もまあ自分なりに何か拙い経験でいうと、やっぱり一番の親友の人が助けてくれた、クラブの後輩、先輩が助けてくれた、あるいは嫁さんが悩みを聞いて、ただもう愚痴を聞いてくれた。やっぱり身近な人のつながりだと思うんです。それが意外なところにある、例えば地域にあったりするというふうな地域のつながりみたいなものは、もう本当の身近なつながりの外側で大変重要な社会インフラなんじゃないでしょうか、こういった問題に対する。
貧困の連鎖を断っていく、そこに陥る前に、至る前にそれをとどめる、そういう意味では、地域のつながりを、またそれを行政がつくるというのも、ちょっと施策なのか、そんなものがあるのかと思うかもしれませんけど、やっぱり今の時代は少しそういうことも意識しないといけない時代なのかなと。
僕らが意見交換していて、ううん、ちょっと目からうろこだなと思ったのは、例えば運動会とかお祭りとか、何でしょう、文化的な何かをやるワークショップとか、いろんなものが、例えば市町村であれ県であれ、食のイベントでもいいです、何か屋台が出るような、そういったものをやって、そのときにいろんな人が集まって、一緒になって共に共働してやったり、あるいは来たときに声を掛けたりみたいな自然なつながりというのが、それがベースにないと駄目なんだみたいなことをですね。だから、予算がなくなると、財政が左前になるとそういうものってともすれば切られがちなんですが、文化であるとかスポーツであるとか、僕は違う意味から必要だと思っていましたけど、こういう観点からもとても重要なんだと、当たり前にふだんやっていることがこういうふうな効果もあるんだということを言われて、ううん、これは目からうろこだなというふうに思いました。
だから、そういうふうに当たり前にバランスの取れた行政をやっていくということが一つベースにないといけないということは提言の中でも指摘はさせていただいたんですが、こういった若者、子供の対策の中でも、そういった場所でお母さん同士が知り合って、何か悩みというか、雑談ができる、愚痴が聞いてもらえるというだけでも大変重要な場になっていくんだということを、是非一つ、改めて指摘といいますか、しておきたいと思います。
それから、我々大変重要だと思っておりますのは、先ほど申し上げた予防なんですけど、それと併せて、実際の支援として、食と住、住む場所はこれは究極に重要だろうと。食べれなくなっちゃったらやっぱり本当に困っちゃうし、住む場所がなくなるというのもこれは結構大変なことでして、およそあらゆる行政の施策は住所を書かなきゃいけないということがまずあるということで、住む場所を失っちゃったらそういったことにもアプライしにくくなっちゃうというようなこともあるわけです。なので、食と住というのは根幹として支えないといけないところだと思っておりますが、今日はちょっと時間がないので、住の方はちょっと聞けなくて、食の方についてお聞きしたいと思います。
子供食堂は、私も現場をたくさん回らせていただいているんですけれども、全国で六千か所ぐらいあるというふうに聞いております。それで、その中に色づけとして大別すると、居場所型みたいな、誰でも来れますよと、子供食堂といいながらお年寄りも来ているみたいな、それはそれで非常にすばらしい取組があって、それともう一つは、本当に困っている子供たちを助けるような支援型みたいなものがあると。大別すると二種類あると。一階が居場所型で、二階がその支援型なのかなと、あのむすびえの湯浅さんがおっしゃっておられましたけれども。
そんな感じがある中で、どうしても何か支援型の方に頭だけが行っちゃうというのはもったいなくて、それはそれで大変大切なんですけど、その前提として、先ほど言ったようなつながりをつくる場、居場所型、子供から大人まで、お年寄りまで誰でも、条件がないのも、八割ぐらいは条件を付けていない子供食堂だとも聞いておりますので、もちろん程度の差はあるんでしょうけど、いろんな方々が来ているというのが多いという意味では、今回のこども庁の資料を見させていただきますと、育成部門と支援部門と両方にそういったことが書いてあるので、とても重要なことだと思っております。
そういう意味で、その位置付けとか取組の方向について、ちょっと考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/11
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012・谷内繁
○政府参考人(谷内繁君) 子供食堂についてのお尋ねでございますけれども、まず、子供食堂でございますけれども、子供にとりまして、食事の提供はもとより、様々な世代の方々と交流ができ、そうした中でいろいろな学びや体験ができるといった大切な居場所であるというふうに認識しております。また、そうした中で、虐待や貧困など困難な状況にある子供に気付いた場合には声掛けを行って、必要に応じて支援につないでいる子供食堂もあるというふうに承知しております。
子供食堂に対する取組でございますけれども、国としても、後押ししていくことは子供の健やかな成長にとりまして大変重要であると考えておりまして、これまでも子供食堂等の居場所づくりを行う自治体に対する交付金などを実施、拡充しているところでございます。
こども家庭庁が創設した暁でございますけれども、子供食堂を始めといたします子供の居場所づくりに関する指針を策定し、政府全体の取組を強力に推進していきたいというふうに思っております。また、こども家庭庁自らも子供食堂など様々な居場所づくりを進めていくことにしております。議員御指摘になりましたように、居場所づくり全般を担当するこども家庭庁の中の成育部門と困難を抱える子供の支援や子供の貧困対策を担当する支援部門とが密接に連携して対応していく考えでございます。
そして、こども家庭庁の創設を待たずに、この令和四年度におきまして、指針の策定に資するように、子供の居場所についての実態把握や論点の整理に関する調査研究を行うこととしております。この調査研究の結果を踏まえまして、子供食堂を含めて具体的な居場所づくりの支援の在り方につきまして検討を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/12
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013・上月良祐
○上月良祐君 ありがとうございます。
居場所づくり、とても大切なつながりをつくる場所だと思いますので、そのことと併せて、困窮しているときの支援にもうまく、部門が分かれたとしても連携を取りながら、一階と二階みたいな関係なのでしっかりやっていただきたいと思います。
その上で、結構現状はばらばらな感じがございまして、このむすびえさん、子供食堂の支援センターのむすびえさんの調査なので、政府の調査じゃないから一定の、何というの、留保は付けなきゃいけないのかもしれませんけど、小学校区で見たら、結構トップの、あえて県名は言いませんが、五二%ぐらい設置している県から一〇%弱ぐらいの県までかなりばらつきがありまして、見てみたら茨城はちょうど真ん中ぐらい、二四%ぐらいだったんですが、真ん中ぐらいだったんですけど、全国平均が二二%ぐらいと。
知事さんが全小学校区で開設するぞというふうに宣言しているところも複数あったり、いろいろ居場所について取組はそれぞれ様々なようです。コーディネート役の人とか団体を置いていることでうまくいっている山口県とか滋賀県なんですけれども、結局それは突き詰めていくとマッチングを誰がやるかということみたいです。子供食堂に物を提供したいとかやりたいかなと思っている人をどう実際にそれに、設置に結び付けていくのかという、結局マッチングなんですね。
そうすると、役所の人、一、二年で替わっちゃいますから、これなかなかうまくいかないんです。ようやくつながったかなと思ったらまた人が替わってみたいな、これ決定的な、致命的な欠点でありまして、そういうふうなことを間に挟むということも大切なのかなと思いますが、そういった好事例の展開も重要なんですけど、課題もあるので、そこを踏まえてどういうふうに展開していかれるかという、そこについてお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/13
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014・笹川武
○政府参考人(笹川武君) お答え申し上げます。
子供食堂の全国展開ということかと思います。
子供食堂は、地域の方々の基本的には自発性によって支えられている取組ということですが、一方で、御指摘ございましたとおり、草の根の取組であるがゆえに、運営基盤が脆弱であるとか、あるいは自治体との連携に課題があるといった団体も多いのではないかというふうに思っているところでございます。
内閣府といたしましては、何というんでしょう、先生の今の御指摘、したがって、自治体任せにしないでちゃんと国でもということかなと思います。我々といたしましても、自治体のそういった事業を支援する地域子供の未来交付金の拡充、そしてそれによって支援団体と関係行政機関などの地域ネットワークを支援していく、それからいろいろなところからいただいています寄附金を原資とした子供の未来応援基金といったもので支援団体を直接支援するといったようなこともしております。そのことも通じて子供食堂などの子供の居場所づくりを後押ししているところでございます。
今後については、先ほどの答弁とかぶりますので余り長く申し上げませんけれども、昨年決定した基本方針の中で全ての子供の居場所づくりを強力に推進するということになっておりますので、こども家庭庁の設置に先駆けて、準備室とも連携しながら実態把握調査などを進めていきたいと思っております。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/14
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015・上月良祐
○上月良祐君 大丈夫だと思うんですけど、笹川さん立派な方なので、しっかりやっていただきたいと思います。谷内室長さんも、私、大学時代一緒のクラスでいた仲間ですから、よく分かっています、ぴったりな人材だと思います、こういう仕事をするのは。本当にすばらしいマインドをお持ちの方なので、是非ハートを込めてやっていただきたいと思っております。
それから次に、宮路政務官においでいただいていますが、お聞きしたいと思います。
今回、切り分けの問題がいろいろ出ています。昨日の本会議でも、文科省との関係が指摘されていました。
学習支援についてお聞きしたいんですけど、今回我々視察させていただいたキッズドア、渡辺理事長、僕も何度もこれまでもお目にかかってはいましたが、貧困の連鎖を断ち切らないといけないと、学校の学習支援重要だということを力説されておられました。今日、後の先生の質問でも多分出てくるんじゃないかなと、資料に、先ほど理事会でありましたので、とても重要なことだというふうに思っております。
役所の切り分けの問題は、これ縦に切っても横に切っても結局同じ問題でして、連携しなきゃいけないんです。文科省から何か取ったら、今度は教育の中の縦の連携が必要になるということになって、どっちにしても連携しなきゃいけないんだというふうに思っています。やっていただいて、それでうまくいかないんだったらちゃんと直してもらわなきゃいけないけど、今回の切り分けで連携をちゃんと図っていただけるんだったら、まずは連携をしっかり図っていただいてやっていただきたいと思うんですけど。
一つ、生活困窮者自立支援制度があるんですけど、生活保護にならないようにということで一段階前で何とか助けようというような、という制度の中で子どもの学習支援事業があるんですけど、これ、生活困窮者自立支援事業の中の一部だから確かにそこだけ切るのは難しいんだと思うんだけれども、そこをどういうふうに連携してやっていけるのかというのは非常に問われているところの一つだというふうに思います。
そのときに一つ頭に置いていただきたいのは、現場、本当、最前線の市町村ですね、そこでの運用の在り方なんですよ。県なり市町村なりでどう連携が取られるかと。子供のそのヘッドクオーターと、それから学習支援で教育サイドになるのか分かりませんが、そこが連携していただかないといけない。そのために上はよく、上と言うといけないけど、役所はしっかり、そこの連携すら取れていないようじゃもう無理なので、そういったことを含めて、宮路政務官に、どんなふうに連携を図っていかれるのか、しっかりやっていただきたいと思うんですが、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/15
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016・宮路拓馬
○大臣政務官(宮路拓馬君) 上月委員におかれては、霞が関の経験、そして地方自治体勤務も重ねられて、大変行政に精通されているからこその御指摘だろうと思います。
私も、恥ずかしながら、上月委員の後輩として、霞が関での勤務、そして県庁、市役所での勤務もしてきております。
そうした中で、行政の縦割り、そして横割りの問題もこれはあるなと思っておりまして、御指摘の生活困窮者自立支援制度の中の子どもの学習・生活支援事業、これ、六割以上の団体が取り組んでいるということで、非常に有意義な事業なんだと思います。
ただ、これは、生活困窮者自立支援法自体が他の生活保護法等と相まって世帯全体への支援を実施するということで、引き続き厚労省が所管するということになっているわけでありますが、そこをどう乗り越えていくかという話です。まあ、よく言うところの総合調整、こども家庭庁は子供政策の司令塔として総合調整を図るということになっておりますが、その中でしっかり連携するということですが、じゃ、連携というのは何なのか。予算の要求だとか執行状況をただ知らされて、いわゆるホチキスというようなことに、あってはならないというふうに思っております。
やはりこの学習・生活支援事業はそれだけ有意義な事業ということですから、子供の観点からしっかりこども家庭庁がイニシアチブを発揮すべきだというふうに思っておりますので、今後、こども家庭庁が創設された上での話ということになりますが、しっかり厚労省にコミットするような形で、子供の視点からその事業の在り方、特にこども家庭庁は、居場所の話も先ほど御質疑いただきましたが、そういった様々な施策を総合的にやっていくわけですので、その中でのこの子どもの学習・生活支援事業の在り方、責任を持ってやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/16
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017・上月良祐
○上月良祐君 ありがとうございます。厚労省の役所の方にもと思いましたが、今の答弁でよく分かりました。
厚労省の方にもこれは要望しておきたいと思いますが、是非しっかり連携を取りながらやっていただきたいと。その連携の実とは何かというと、総合調整という権限じゃないと思います。私、省庁再編もしたので、総合調整という機能をつくるときもまさにコミットしてやったわけですけど、僕はもう権限とか組織とか余り、何というんでしょう、信じていないんですよ。その実はやっぱり個人なんですよ。働く人がいかに、今、宮路政務官おっしゃったように、コミットして丁寧に綿密に、ふだんからできるだけ顔も合わせて、書類のやり取りだけじゃなくてやれるかどうかが、内閣府は一格高い立場になっています、官房ももちろんですけれども。内閣府、官房だから調整できるわけじゃなくて、そこにいる人はより重たい責任を持っているということなんだと思います。
だから、その省庁の、分担省庁の方々に加えて、更にその総合調整の働きをしなきゃいけないんだと、それこそが総合調整の実態だと思っていますので、答弁が悪かったら問い詰めちゃおうと思ったんですけど、今の答弁、すばらしい答弁だったので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
それから次に、大村室長にお聞きしたいと思います。
大村さんは、また何か御縁のある方ばかりが出てくるんですけど、私の役所の同期の入省のエースの方でありまして、私なんぞは出来が悪かったんですけど、大村さんは本当に頑張っていらっしゃる方であります。
支援者支援ほど重要なものはないと思っています。すなわちそれはNPO支援だと思います。役所の人たちでできることは限られていまして、NPOの皆さんのお力を借りなきゃ無理なんですね。というときに、僕らヒアリングを重ねてきて、ちょっと時間がなくなってきちゃったので、済みません、二つまとめて聞きます。質問で分けていましたけれども。
単年度委託は、これ我々ヒアリング行ったときも渡辺理事長がおっしゃっていたんですけど、単年度委託って最悪なんですよ、これは。まあ分かると思いますけど。お金いただいて始まって、春過ぎから始まって、秋になったらもう翌年のプレゼンみたいな話になっちゃって、それで、落ち着いて仕事できないし、大体、来年続くかどうか分かりませんという前提でいい人は雇いにくいですよね、なかなかそんな人来てくれないということで。なので、複数年契約をやっぱりやらなきゃいけないと。
これはやっている例もあるんですね、市場化テストみたいな。この前うちは、うちはというか、僕関わっているので、何か大変、どうなんだという例もあったんですけど、あれなんかは国庫債務負担行為取って国でもやっているわけですよ。市町村で、現場でまずはということだと思うんですが、複数年、単年度委託じゃなくて複数年委託を原則化する、原則と例外ひっくり返すようなことがこれはもうマストだと思います。
それからもう一つは、人件費なんです。NPOの方々、ボランティアじゃないですからね。ボランティア精神は持っていてくれるのは有り難いんですけれども、それを、仕事をしていただいているので、あの人たちみんな、じゃ、俺らやめたといったら、全部公務員がやらなきゃいけないわけですよ、仕事としてあるんだから。それを助けてくださっているので、そういった方々の人件費が、例えば同じ一生懸命やる団体が十年連続で取りましたと、結果として。十年たったら大変習熟しているわけですね。ところが、給料の委託費は、まあ物価スライドもあるかもしれないけど、変わらないわけですよ。ということでいいんでしょうかということなんです。
これはなかなか難しい問題ではあるんですけれども、ちょっとこれは工夫していかないといけない。これは新しい分野というか、今まで以上に必要な分野なのでと思っておりまして、そこについて、二つまとめて御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/17
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018・大村慎一
○政府参考人(大村慎一君) お答えをいたします。
大変愛情ある質問をいただき、ありがとうございます。
孤独・孤立対策にとりまして大変に不可欠な存在でございますNPO等に対する安定的かつ継続的な支援、これは大変重要でございます。そうした中、NPO等が長期的な視点を持って孤独・孤立対策に取り組めるように、委託事業での複数年契約のニーズが高まっていることは認識をいたしております。
この複数年度委託について、原則化するということについてはなかなか難しい面がございますが、一部の地方自治体において債務負担行為による複数年契約を導入している事例がございます、御指摘のように。このため、地域の実情に応じて地方自治体の判断で複数年契約の導入が進むように、それらの先行事例を周知する準備を現在進めているところでございます。具体的には、まずは地方自治体に対する周知、助言の通知を発出いたしますとともに、リーフレット等で現場の関係者にしっかりと周知してまいりたいと考えております。
今般、私ども創設をいたしましたNPO、自治体等との孤独・孤立対策のプラットフォーム、こういったものを活用してまいると思います。さらに、新たな事例の蓄積が進んだ段階で事例集を作成し横展開を図るなど、新たな複数年契約の取組が広がるように積極的に対応してまいりたいと思います。
また、人件費の委託上の算定の工夫のことでございますが、この国や地方自治体からNPO等への委託業務経費につきましては、基本的に、受託者が人件費や旅費、管理費など各項目ごとに算出した経費を積み上げた金額について委託者が精査をして決定をしているというふうに承知をしております。ちょっと細かいその算定の手法ですが、人件費における日額単価については、受託者が受託単価規程を定めている場合にはその単価を使用する、また、定めていない場合には従事者の年間給与等を勤務日数で除した算出単価を使用することが一般的であると承知をいたしております。
このように、委託業務の人件費単価については、現状は受託者であるNPO等の現行の給与水準等が反映されているのが実情と考えられます。しかしながら、御指摘のとおり、NPO等の存在、この孤独・孤立対策において大変に重要でございますので、その点を踏まえて、処遇改善につながるように、まずは私ども、実態を十分把握した上で、どのような対応が可能なのか、関係府省とも連携して検討してまいりたいと考えております。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/18
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019・上月良祐
○上月良祐君 ありがとうございます。問題を認識していただいているので、取りあえず第一歩だと思っております。
これ本当に重要なことでして、それで、NPO等の位置付けについて総務省にお聞きしたいと思います。大臣所信のときには御要望ということで申し上げて質問にはしなかったんですが、ここで聞こうと思っていました。
今みたいな答弁になるのは、NPO等の位置付けがやっぱりベースに問題だと私は思います。これはボランティアでやってくれている方々だと思っているんじゃないかと。違いますから。行政の仕事の一部を担っていただいている重要なプレーヤーなんですよ。
なので、そういった方々の特に給料というのはもう本当に新しい資本主義の中核的な内容でして、そういったところをきちっと意識した制度にしなきゃいけないんだけれども、その前提として、こういった仕事をするときは、自治体、それから社協まではみんな視野に入っているんですね。そこまでは視野に入っているんだけど、その外側で働いていただいているNPO等というのは、あくまで助けてもらっているぐらいの位置付けなんだというふうに思うんです。そうじゃないですから。この人たちがいなくなったら、社協の人か自治体の職員がやらなきゃいけない仕事なんですよ。でも、さっき申し上げたみたいに、致命的な欠陥がありましたよね。困っている方とつながるというのは一年、二年でできないんですよ。
だって、抱樸の奥田さん、ホームレスの方、家へ入ってもらうのに七年通ったとか、あるいは一週間泊まり込みで、佐賀の谷口さんなんかも一週間泊まり込みで、自傷他害のことを起こさないかとかということで自宅の前の車に泊まり込んだとか、こんなこと自治体の職員ができますか。絶対できないんですよ。だから、NPOの人たちは理論的にもちゃんとそこに入ってもらわなきゃいけない、困っている方々と、それと自治体と社協とのこの間に。そこの位置付けをしっかりしないといけないと思うんです。
新しい資本主義じゃないけど、新しい自治体像として、そこまで、グラデーションはありますよ、もちろん色合いはだんだん薄くなっていく。それと、NPOの皆さんもいろんな方々、分野があり、そして、発展段階というのか、成熟段階というのか、活動実績というのか、いろいろだと思いますが、あるので、全部一律にはいかないかもしれないけれども、位置付けとして、こういった仕事をするときにはそういう皆さんが必須なんだと、そこまで公共の一部なんだという位置付けが必要だと思うんです。
そこについてどんなふうにお考えか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/19
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020・阿部知明
○政府参考人(阿部知明君) お答えいたします。
住民に最も身近な市町村は、人口減少、少子高齢化が進む中におきましても持続可能な形で行政サービスを提供していく必要がございます。
第三十二次地方制度調査会答申では、行政サービスを提供していく上でも、市町村がコミュニティー組織やNPO、企業等との連携に取り組むことが重要であり、様々な主体の連携のためのプラットフォームの構築やコミュニティー組織等が人材、資金、ノウハウ等を確保するための支援を行うことが重要だと提言をされてございます。
総務省におきましても、地域コミュニティに関する研究会を開催しまして、本年四月に報告書を公表いたしました。その中では、NPOなど地域コミュニティーの様々な主体が地域福祉や防災等の具体的な分野におきまして力を発揮していただけるよう、市町村が人材や財政面で連携のサポートをすることが重要と指摘してございます。
また、地域住民が中心となって課題解決を行います地域運営組織に対しまして市町村が支援できますよう、これまでの高齢者等の暮らしを守る経費に加えまして、孤独・孤立対策として子供食堂等の居場所づくりや交流の場の確保等に要する経費につきまして今年度から新たに地方財政措置を講じてございます。
今後とも、市町村がNPOなどの様々な主体と連携し、多様な住民ニーズに応じた行政サービスを提供できるよう、積極的に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/20
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021・上月良祐
○上月良祐君 ありがとうございます。
意識はしていただいているんだというふうに思いますが、今の御答弁を聞くと、まだ、半歩踏み込んでくださっていると思いますけど、やっぱり半歩踏み込みが足りないというふうに私は感じます。
自治体もまだこの分野の仕事は余り十分できていないんです。これは、私も自分の反省を込めて今一生懸命やっておりまして、こういったことがしっかり仕事だということをきちっとど真ん中に、まさに子供ど真ん中なので、そういった、何というんですか、困窮問題もしっかりやってもらって、将来の発展の基礎ですから、人が、日本にとっては人材ほど重要な資源はないので、そこをしっかり支えていくという位置付けをしっかりやっていただきたいというふうに思います。
私、大臣にその個性の話をお聞きしたかったんですが、この後また重要な質問がありますので、ここは御要望だけにさせていただきたいと思います。
何かお答えしたいですかね。それはすごい重要なので、是非よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/21
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022・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) ちょっと通告ないので、私の意見という形になってしまいますけれども、まさにおっしゃるとおりで、これまで、やはり様々な行政サービス、私たちが受けるサービスは官か民かという二分割されていたけれど、やっぱりNというのが非常に大きな役割をもう実際担っている。
私は、この大臣になって半年たちますけど、女性政策も子供政策も、そして孤独、孤立も、地方創生もそうですね、うまくいっているところはそのNPOの存在が大変大きかったです。
この人たちが不安定であるということが結果として若い人たちの先々を不安定にさせている。とりわけNPOは女性のトップが多いんですね。そういう人たちは、やっぱり若い女性だと結婚、妊娠、出産となるんですけれども、全然その支えがないとか、そういうことで、新しい資本主義、人への投資というのは官か民かではなくて、やはりそういう実際にもう担ってくれている、子供たちが育っていくのにたくさんの大人が構っていかなきゃいけないんですね。その大人たちが、官と民じゃなくて、そういう専門性を有して、そしてより多くの愛情、より多くの理解を持っているNPOの人たちがしっかりと各地域で根差してくれることが子供にとっても幸せなことだと感じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/22
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023・上月良祐
○上月良祐君 済みません。その部分は確かに、済みません、大臣には通告はしていませんでした。
個性を育てるというところは本当はちょっとお話ししたかったんですが、古賀先生の大切な時間なので、ここで譲りたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/23
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024・古賀友一郎
○古賀友一郎君 おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。
いよいよ参議院でもこのこども家庭庁の審議ということで、元々このこども家庭庁の構想ですけれども、昨日の本会議、自見はなこ議員からもありましたとおり、当委員会の山田太郎議員が自見はなこ議員とともに立ち上げた若手の勉強会、これから始まったというわけであります。私もお声掛けいただきまして、その発起人の中に加えていただいたわけでありますけれども。
昨年の二月二日、第一回目の勉強会でした。そこから一年三か月でここまで来たということは、これ大変喜ばしいことだとは思っておりますけれども、ただ、裏を返せば、それだけこの子供を取り巻く環境というものが大変厳しいということで、喫緊の課題だということが広く共有されているからだと、こう思うわけであります。
子供にまつわる課題、大変多岐にわたるんですけれども、とにかくまずはその命を守らねばならないという観点から、最初に児童虐待の問題から入っていきたいと思います。
去る三月、警察庁が令和三年の児童虐待事件の件数と被害に遭った子供の数を公表いたしました。二千百七十四件で二千二百十九人と、いずれも過去最多を更新、死亡した子供は前年より七人少ないとはいえ五十四人に上ったということでした。児童虐待の通報件数も年々増え続けております。このことは児童虐待に対する社会的関心の高まりによって顕在化したという受け止めもあるかも分かりませんけれども、いずれにしても、せっかくの通報もこの命を守ることに生かされなければ意味はないと、こういうことであります。
船戸結愛ちゃんのあの痛ましい事件を受けて、政府は児童相談所の体制を強化すべく、ここ四年間で児童福祉司を三千人から五千人へと大幅に増員するとともに、法律を改正して、令和二年度からは、一時保護を担当する職員と子供を保護者に返す、再統合ですね、この担当職員を分けるということで、ちゅうちょなく一時保護できるような体制を整備しているというところでありますけれども、令和三年四月の時点では、全国二百二十五の児相のうち部署で分けているのは四分の一程度、同じ部署内で担当を分けているというもののうち恒常的に分けているのは四割弱、事例によって分けているのが二割弱、特に対応していないところも一五パーぐらいあるようであります。
法施行から一年後の調査という点を割り引いても、法律で義務付けている割にはちょっと進んでいないのかなと、こういうふうに思えるわけですが、政府はその原因をどう分析して、どう取り組もうとしているのかを、まず厚労省にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/24
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025・岸本武史
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
児童相談所の体制につきましては、御指摘の令和元年の児童虐待防止法改正によりまして、令和二年四月から、一時保護等の介入的対応を行う職員と親子の再統合等の保護者支援を行う職員を分けて対応するなどの必要な措置を講じなければならないというふうにされているところでございます。
一方で、御指摘のとおり、介入機能と支援機能が分離をされておらず、同一の担当が介入からその後の支援まで継続して対応している児童相談所は令和三年四月一日時点で一五%となってございます。この介入機能と支援機能が分離されていない児童相談所に関しまして、その理由をヒアリングいたしましたところ、職員数が少なく分離させることが困難であるとか、介入から支援に引き継ぐタイミングの設定が困難であるなどの理由が挙げられたところでございます。
厚生労働省といたしましては、各自治体に対しまして、改めて児童虐待防止法改正の趣旨を御理解いただき、児童相談所における介入機能と支援機能の分離が定着するよう、今後、好事例を収集し、周知を図るなどの対応を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/25
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026・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
児相というのは、都道府県あるいは政令市、中核市ということですから、大きな自治体なんですね。その大きな自治体、しかも児相の人員を大変強化している、拡充している、増やしているのにこういうことは、恐らくいろんな考えがあると思うんですよ、その自治体の方にですね。だから、そこはちゃんとその意思疎通を図って、何でそういうふうにしているのかをしっかりやっぱりコミュニケーションを図らないといけないと思うんです。だから、そこはしっかりやっていただきたいと思う。要はその機能を確保することが重要ですからね、形をつくるよりも。
ただ、この一時保護というのはあくまでもこれは緊急避難措置でありますから、児童虐待の発生リスクを小さくする予防の取組の方がむしろ本来の取組だろうと、私もそう思います。
そこで、政府も、この結愛ちゃん事件後に全ての市町村に子育て家庭を支援するための子ども家庭総合支援拠点を整備するということになっていますけれども、これも令和三年四月時点で見ますと全体の三六%、六百三十五の自治体にとどまっているわけでありますが、これも決して順調とは言えないとは思うんですけれども、この進捗状況について、政府はどのように原因分析して、どうしようとしているのか、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/26
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027・岸本武史
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
子ども家庭総合支援拠点の設置状況でございますが、令和三年四月時点で設置している自治体は六百三十五自治体、設置率は三六・五%でございます。また、児童人口がおおむね〇・九万人未満である自治体では設置率が二六・四%であるなど、特に小規模な自治体で設置が、整備が進んでいないものと認識をしております。
子ども家庭総合支援拠点を設置しないことについて、自治体ごとに異なる事情もあると考えておりますが、整備の必要性を国が指針などにより自治体に対して周知徹底する中で、十分にその意図が伝わっていないことでありますとか、特に小規模な自治体においては、設置の必要性等を理解しつつも支援員の確保などの体制構築に課題があることが主な原因であるというふうに考えているところでございます。
厚生労働省といたしましては、これまでも子ども家庭総合支援拠点の運営に係る経費の支援を行ってきておりまして、引き続き、こうした取組を通じて設置を促していきたいと考えております。
また、今般、児童福祉法改正案、御審議いただいておりますが、この中で子ども家庭総合支援拠点、言わば児童福祉のワンストップ拠点と、それから子育て世代包括支援センター、母子保健のワンストップ拠点、この機能を維持しました上で組織を見直し、一体的に相談支援を行うこども家庭センターというものを創設することとしておりますが、小規模自治体がこども家庭センターを円滑に設置できますよう、人材確保のための財政支援を行うこと、複数の自治体が共同で設置することを可能とすることや柔軟な人員配置を認めることなどを検討いたしまして、自治体の御意見も伺いながらその設置をしっかりと支援してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/27
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028・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
やっぱり、意見を伺いながら、趣旨がやっぱり徹底していないんじゃないかとか、やっぱりその現場としっかりその意思疎通を図って、何を求めているのか、何が問題になっているのか、どうしたいのかというのをやっぱり突き詰めていく中で制度というのはつくっていかなきゃいけないと思うんですね。
先ほど、上月先生の質問、大変説得力ありましたけど、やっぱりその現場というものを重視しておられる、そういったことだろうと思うわけです。
今答弁の中にありましたように、今国会で法律改正案出ておりまして、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センター、これ統合して家庭支援センターとして機能集約ということでありますけれども、まあそれはそれで私もいいと思うんです。いいと思うんだけれども、単にその全市町村に設置をしましたという形ではなくて、問題はこの機能がちゃんと確保されているかということでありますから、そこをしっかり見ながらやっていただきたいと思うんですね。
この機能確保の点については、平成十六年のこの法律改正で、身近な子育て相談業務は市町村に委ねる一方で、児相は専門的な知識、技術を必要とする事例への対応、あるいは市町村の後方支援、これに重点化して役割分担をして今日に至っております。
しかし、先ほど来言っているように、この人員を拡充しながらやっている中でもその機能分化がどうやら余りうまくいっていないとか、そういった問題を考えると、この限られた人的資源の中で、どういう機能、体制をつくれば機能が確保できるかということは、もう一回やっぱりこども家庭庁設置を契機として考えていった方が私はいいと思うんですね。だから、これでよしじゃなくて、しっかりとそういった視点で今後ともやっぱりその見直し、検討を進めていっていただきたいと。これは要望しておきますので、その上で次の質問に移りたいと思います。
次は、いじめの問題であります。
これも子供の命に関わる極めて重要な問題で、しかも普遍性が高いという話であります。このいじめ防止対策については、大津市でのいじめ事件、いじめ自殺事件をきっかけにして平成二十五年に議員立法で制定されたいじめ防止対策推進法に基づいて文科省を中心に取り組まれているわけでありますけれども、このほとんどのいじめ事案は学校、教育委員会といった教育現場の努力によって対処、解決されていると、私はそう伺っておりますけれども、それでもなおその自殺が後を絶たないと、ここが問題だと、こういうふうに思います。
最近では、旭川の事件、まさにこれは悲痛としか言いようがない。もうどんなに無念だったか、心中察するに私も余りあります。本当に防がなきゃいけないのはこういう事件だということと思います。この旭川の事件は、先月の中間報告でようやく市もいじめがあったことを認めて、更なる原因分析に入っているようでありますけれども、この事件が教えるところは、教訓は、結局、このいじめに向き合おうとしない教育現場があるということです。たとえ一部でもそういう現場があれば、こういう事件は、悲惨な事件はなくならないと、このことであります。
そうした中で、新たな取組を行っているのが大阪府の寝屋川市ということでありまして、寝屋川市は市長部局に監察課を設けまして、いじめの初期段階から学校に積極的に関与して、調査、要請、勧告まで行うという取組を始めているわけですが、その基本的な考え方は、いじめる側もいじめられる側も、双方、教育指導の対象とする教育的アプローチでは限界があるという認識に基づいて、あくまでもいじめられている子は被害者として救済されなければならないと、こういう考えです。
確かに、この教育的アプローチの限界というのは、いじめている児童生徒を出席停止にできない現場の実態からも私は読み取れると思うんです。この重大事案だけでも年間五百件ほど発生しています。しかも、いじめ防止対策法では市町村教育委員会に出席停止始め必要な措置を講じることが義務付けられているにもかかわらず、いじめを理由とした出席停止の件数は多い年でも年間数件、近年は一件あるかどうか、これが実態です。ですから、このデータからすると、深刻な事案ほど教育的アプローチでは限界があるということをうかがわせるわけであります。
この寝屋川市の取組は、いじめ防止対策推進法が想定している取組ではないと思います。思いますけれども、私は、この教育現場がいじめに向き合わない場合を補完する必要がある、それとともに、そういう現場にそもそもならないように緊張感を持ってもらうという予防的な意味合いとしても大変有意義な取組だと、このように思っておりまして、これ、衆議院の質疑の中でも宮路大臣政務官が、好事例の一つと、こう答弁されています。
そうであればなおのことなんですけれども、このこども家庭庁設置と併せて、政府としてもこういった自治体の取組を積極的に促進して全国展開していくべきではないかと、こう思うわけですが、これは野田大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/28
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029・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
こども家庭庁においては、子供の権利利益の擁護を担う観点から、いじめの防止を担い、地方自治体における相談の体制などの体制整備を推進することとしております。自治体の窓口等が相談を受けた後の対応策については、既に各自治体において様々な取組が行われているものと承知しています。先ほどの古賀委員から御紹介がありました寝屋川市の取組は、首長部局が教育委員会と連携しつつ、主体的にいじめの通報を受け、速やかに対応をつなげることによっていじめの深刻化を防止している好事例の一つであると考えています。
現在、内閣官房の方で各地の自治体に対して子供政策の実施体制に関する調査、これを行っていて、いじめの問題に関する取組についても今広く情報を収集しているところです。
こども家庭庁が設置された後は、各自治体におけるグッドプラクティスを把握、普及することを含めて、自治体における具体的な取組や体制づくりをしっかり推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/29
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030・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
好事例というお言葉を大臣からも頂戴いたしました。そのとおりだと思います。
ただ、二点申し上げておきたいと思います。
一つは、一昨年、岐阜市では、この寝屋川のような加害生徒の出席停止を市長が教育委員会に勧告できる権限を盛り込んだ条例改正を進めていたんですけれども、市長の権限が大きくなり過ぎるというような意見が出てきて、パブコメ等を踏まえて権限を削除してしまったと、こういった事例があります。教育の中立性とか教育委員会の中立性とか、いろいろ問題はあるかも分かりません。しかし、これは教育内容に公権力が介入する話じゃありませんから、子供の命を救うということですから、それとは別だと思うんですね。
そういった問題もありますし、ですから、今好事例とおっしゃっていただいた、これはいい取組なんだということをやっぱり広げていくことが必要だと思うんです、アナウンスしていくと。こういったことを推奨するという取組をお願いしたいと思います。
もう一点は、今、各事例を収集しておられるという話がありまして、いろいろその地域の実情に応じた取組あろうと思います。それは私はいいと思います。確かに、その話を聞いてあげるだけで気持ちが軽くなっていい方向に向かうということも、それはあるだろうとは思います。
ただ、この寝屋川の取組の本質というのは、やっぱり教育現場への適切な介入なんですね。いじめられている、そういった客観的な状況をどう変えるかと、主観的な話だけじゃなくて、そこがポイントですから、そういった体制をやっぱりそういった視点でやっていく必要があるんじゃないかと、こういうふうに思います。
そのためには、こういった全国展開も必要なんですけれども、これは私は当然市町村だけの問題じゃないと思っておりまして、学校には私立もあれば県立も国立もあるわけでありますし、学校の外にもいじめがあるわけであります。そうした中で、このいじめられている子供の訴えを受け止めて救うというのは、まさに私、こども家庭庁の使命、一丁目一番地だと、こう思います。
確かに、全国のいじめ件数は年間五十万件、そのほとんどが教育現場の努力によって解決されているとしても、重大事案だけでも年間五百件、命に直接関わる一号事案もその半分があるとすれば、全てこども家庭庁で受け止めるのは物理的にいろいろ難しい面もあるかも分かりません。ただ、だからといって、その使命から逃れようとするのは私はこども家庭庁としての自殺行為だと、こういうふうに思います。数が多いというのであれば、こども家庭庁が旗を振って、市町村も都道府県もそれから民間団体も含めて、まさに国全体で受け止めるという、こういう体制をつくっていくことが非常に重要ではないかと、こう思います。
野田大臣、衆議院の質疑の中でも数々すばらしい答弁をなさっておられますけれども、こういう答弁がありました。児童虐待、いじめ、これによって子供が亡くなる、未来が奪われるということは、そういう事態は絶対にあってはならない、起こしてはならない、そういう思いでしっかりと誰一人見落とすことなく国全体で取り組もうというのがこども家庭庁の魂だと思いますと、こうおっしゃったわけで、私、もう全くそのとおりだと、全くそのとおり。
そこで、国全体でこのいじめられている子供の訴えを受け止めて、教育現場に適宜適切に介入してこの状況を改善してあげられる、こういう体制構築、これを進めていただきたいと思いますけれども、野田大臣の御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/30
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031・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) まさに委員御指摘のとおりです。いじめによって子供の命、人生、夢が奪われては決してならない、そういう思いで取り組んでまいりました。
私は幸せな母親だと思っています。というのは、ある日、息子が帰宅してきて、ママ、俺、ばかって言われたと話をしてくれるんですよ。そうやって言ってくれることで、あっ、何かが起きているのかもしれないという私は思いに至るわけですね。ただ、多くの子供たちが、なかなか親には最初にいじめられているとか言いづらいんだと思うんですね。そこは、私たち全ての大人がみんなで支えていくような仕掛けをつくっていかなければならないなということを私は思っています。
こども家庭庁においては、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、いじめの防止を担い、地方自治体における相談体制などの体制整備を推進することとしています。こうした取組を進める際、委員御指摘のとおり、いじめの問題に関わる関係者がいじめ被害者である子供の訴えにしっかりと耳を傾けることが不可欠、また子供の訴えを引き出せる仕組みを工夫することも必要です。
いじめが発生している現場においてその解消が図られるよう、おっしゃったとおり、学校や教育委員会に任せっきりにするのではなく、首長部局、警察、法務局、児童相談所といった関係機関や、そして上月委員からの御指摘あったNPO、こういう皆さん、団体の強みを生かした関与が行われることが重要であります。地域におけるネットワークを強化していきたいと考えています。
いじめ被害に遭っている子供や保護者の悩みを受け止め、重層的な支援が行われる体制を充実すること、これでいじめの問題に対して社会総掛かりで対応できるよう、しっかりとこども家庭庁として取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/31
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032・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。野田大臣の親子関係、非常にいい関係をつくっておられるということも伺いました。
まさに、社会全体が今おっしゃったようないい親になるということが私は重要ではないかなと、こう思います。悩みを引き出して、ちゃんとそれに応えてあげられる、これを国全体でやるということだろうと、こういうふうに思います。
そして、その中でこのこども家庭庁の使命というのは、私は、最後のよすがといいますか、いじめられている子供にとっての最後のよすが、最後はこども家庭庁に訴えれば何とかしてくれると、ここだと思うんです。だから、こども家庭庁としては、そういうメッセージを、最後はこども家庭庁が受け止めるから、話を聞くから希望を捨てるなと、こういうメッセージ、姿勢をやっぱり発し続けるということがまさに使命ではないかなと、こう思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
そして、いじめられている子供の訴えを聞くというのは、もはやこれは政府の法的な責務ではないかなと、法的なですね、私はそう認識をしております。といいますのも、今回議員提案されているこのこども基本法案でありますけれども、三条の第三号で、子供が自己に直接する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されることが施策の基本理念として規定されていて、第四条で、国は、その基本理念にのっとり、子供施策を実施する責務を負っていると、こういうふうな案文になっているわけです。
いじめられている子供にとって訴えることは権利だと、で、国はそれを保障するということでありますから、これは裁量的な話じゃなくて、やっぱりそういうふうにしていかなきゃいけないということだろうと、こういうふうに思うわけです。
今回、このこども家庭庁には、文科省を始め各省庁に勧告できるというこの強い権限が与えられることになるわけですが、今申し上げたような国全体の体制をつくっていく、こういったときにこそ、この強い権限を使ってこういう仕組みをつくるんだと、そういったことで権限行使やっていただきたい。まあ行使するまでもなくやっていただければ一番いいんですけれども。
衆議院の質疑の中では、その内閣府特命担当大臣の勧告権は過去に発動した例はないということがあったんですけれども、やっぱり抜かずの宝刀ではいけませんので、しっかりと適切に使っていただきたいと、是非よろしくお願いしたいと思います。
この子供の訴えを聞くという点に関連して、次に、学校教員による子供への性暴力の問題についてもお伺いしたいと思います。
わいせつ行為等による懲戒処分等を受けた教員の数は長期的増加傾向にありまして、令和元年度は二百七十三人、このうち児童生徒に対するわいせつ行為で処分された教員は百二十六人に上っておりまして、社会問題化しております。
この状況を受けて、昨年、教員による児童生徒性暴力防止法が成立いたしました。この法律は、教員による児童生徒への性暴力を同意の有無にかかわらず禁止するとともに、教員免許再取得の取扱いの特例等を定めた法律でありまして、今年度から施行されております。
教員という優越的な立場を利用して児童生徒に性暴力を働くというのは、誠にもって卑劣な行為であるとともに、当該児童生徒に対して生涯にわたり深い心の傷を負わせるものであって許し難いということで、政府はこの法律をしっかり運用してほしいと思うわけですが、重要なポイントは、この加害の事実を早期に発見、認定することだと、こう思います。
この法律では、早期発見のための措置として、教員や児童生徒を対象にしたアンケートの実施、それから通報相談体制の整備、これが規定されているわけですが、この点について、現下の状況を今後の取組と併せて文科省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/32
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033・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) お答えいたします。
御指摘ありましたとおり、子供を守り育てる立場にある教員が子供に性暴力等を行うことは断じてあってはならない、かように考えております。教育職員等による児童生徒への性暴力等を根絶するため、あらゆる角度から、また実効的な対策を講じていく、こういったことが必要だと考えてございます。
児童生徒性暴力等の防止等に関する法律におきましては、児童生徒、教育職員等に対する定期的な調査、また通報相談体制の整備、こういったものが求められているところでございます。
文部科学省といたしましては、法律に基づく基本指針の中で、学校の設置者や学校において定期的なアンケート調査や教育相談を実施すること、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置や、電話、SNS等による通報相談を受ける体制整備、こういったことにより複数の相談窓口を確保すること、児童生徒や保護者等から活用されるよう積極的に周知を行うこと、こういったことを明記し、取組を進めているところでございます。
法律の施行前から定期的なアンケートや通報相談体制の整備、こういったものを実施している教育委員会もあることは承知しておりますが、全国的にはまだまだ不十分な状況だと認識してございます。
文部科学省といたしましては、各教育委員会に対し、法律施行後の取組状況のフォローアップ調査を行うとともに、引き続き、法律や基本方針等の周知、あるいは好事例の提供等をしっかりと行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/33
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034・古賀友一郎
○古賀友一郎君 全国的にはまだ不十分という話でありました。しっかり促進してほしいと思います。
子供に対する性暴力の防止等に関する事務、これは衆議院でも御答弁あったんですけれども、これは子供の権利利益の擁護に関することでありますから、これは文科省今やっておりますけれども、こども家庭庁もこの所掌が発生すると、こういうふうに思うんですね。ですから、これから、まだ不十分なので、これ相談窓口つくっていくという段階であろうと思いますから、是非、こども家庭庁もこの文科省と連携をして、一枚かんで体制整備を進めていただきたいと、こういうふうに思います。
といいますのも、やっぱり、なかったことにされてしまうということもあり得るということを考えれば、この教育現場の外にこういった通報相談窓口をつくっていくというのは、私はそれがよいと思っておりますし、それ以外にも、こども家庭庁は別途いじめの、地域のいじめの相談体制もつくっていかなきゃいけないわけでありますけれども、実はこれ自治体に整備をさせる法的根拠はないわけでありますから、どうやってこの体制をつくっていくかというのは実は大きな課題だと私は思っております。
他方で、この性暴力被害の通報相談体制の整備は、これ法律で自治体の義務になっておりますから、だから、これは併せてやっていくことによって、私はそっちの方が進めやすいと思うんですね、進めやすい。そしてまた、同じ自治体にこのいじめと性暴力と別々の窓口ができるよりも、それは一体としてつくった方が、自治体の側にとっても、特に小規模な自治体ですね、別々につくるよりも、それは大変ですから、負担になりますから、それで、利用する側も一つの窓口の方がそれはいいはずなんです。
だから、そういったことも含めて、こども家庭庁と文科省、しっかり連携してやっていただきたいと、こういうふうに思います。
それから次に、このいじめ対策にしても性暴力にしても、その人材確保が重要だということで、この点についてもお伺いしておきたいと思います。
この児童生徒の命に関わるような重大ないじめ事案の場合に設置される第三者委員会では、文字どおり、第三者の視点からその機能を発揮するために、その地域の教育界あるいは地域社会としがらみのない人材を確保していくということは、これ大変重要な課題になっていると、このように思っておりますし、この性暴力被害に関しましても、調査を協力してもらう医療、心理、福祉、法律、そういった専門知識、ノウハウを持つ有識者を確保していく必要があるわけであります。
特にこのいじめの場合ですね、いじめの場合は、このしがらみがない人材を確保するというのは、市町村はもちろんのこと、都道府県でもかなり苦労しておられるというふうな話を伺いますので、そうした人材確保を支援するのはやっぱりこれは政府の重要な役割だと、こう思うわけでありまして、そこで、こういう重大ないじめ事案に関するしがらみのない公正中立な人材確保について、政府はどう取り組もうとしているかをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/34
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035・蝦名喜之
○政府参考人(蝦名喜之君) お答え申し上げます。
いじめ防止対策推進法におきましては、重大事態が発生した場合、委員御指摘のように、学校又は学校の設置者は第三者を交えた組織による調査を実施をするということとなっております。いじめ事案の解決に向けては、この調査が真に公平性が保たれ、中立性が確保されているということが大事な要素なんだろうというふうに考えてございます。
このことも踏まえまして、昨年十二月に閣議決定をされました基本方針におきましては、こども家庭庁は、調査における第三者性の確保や運用等についての改善などの必要な対策を文部科学省とともに講ずるということとされてございます。
これまで内閣官房におきましては、関係省庁でありますとか自治体、あるいは弁護士や臨床心理士などの職能団体、あるいはこうした課題に対応しているNPOなどから今後のいじめ防止対策についてヒアリングを行ってきております。
そうしたところ、この重大事態の調査に関しましても様々御意見をいただいておりますが、例えば令和二年度におきまして全国レベルでは五百十四件発生しているけれども、各学校、各設置者にとっては、前例がなくて実は初めてこういう対応をしなきゃいけないというケースがあり、非常に戸惑いがあるケースもあるということ。あるいは、第三者として加わることが期待されます弁護士、あるいは精神科医、学識経験者、あるいは心理や福祉の専門家等の人選によっては、被害児童生徒やその保護者の理解を得にくくなるようなケースもあるようだということ。
また、一歩進んだ取組として、自治体が第三者となる人材をあらかじめ確保しておいて、公的な人材プールのようなものを設けて、適宜そうしたプールを活用しようというような取組もございますけれども、例えば被害児童生徒側からそうしたケースにおいても第三者性をなかなか認めていただけないようなケースもあるように伺っておりまして、様々こうした公正中立な人材確保ということについても課題があるとの御指摘がございました。
重大ないじめ事案への対応を今後具体化をしていきたいと考えてございますが、こうした様々な課題についても丁寧にこれは対応していく必要があると思っております。今後、いじめ被害者からの声もしっかりと聞きながら、こうした仕組みづくりをどのようにしていくか、引き続きしっかりと検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/35
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036・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
しっかり検討してほしいと思いますけれども、やっぱり、先ほど来ずっと申し上げておりますけど、コミュニケーションを図っていくと、意外なところに盲点があったり、意外なところにヒントがあったり、ニーズが何かというのが出てきたりやっぱりすると思いますから、やっぱり過去にこういうことで困ったという事例をしっかり分析をして、ニーズに合った人材を確保するにはどうしたらいいか、単によそからおいでいただければいいというんじゃなくて、そういった視点でしっかりと検討を進めていただきたいと、こういうふうに思います。
次に、子供の自殺についてもお伺いしたいと思います。
我が国の自殺者数は、平成十年から二十年頃にかけまして年間三万人を超える時期が続きましたけれども、平成十八年に自殺対策基本法を制定して国を挙げて対策に取り組んだ結果、その後十年、減少傾向が続いております。令和二年は、新型コロナの影響でしょう、十年ぶりに増えましたけれども、もう少しで二万人を切りそうなところまで減ってきております。
それに対して、この子供の自殺者数は、全体の傾向に反して、逆に増えている傾向にあります。全体の数がピークだった平成十五年、児童生徒の自殺者数は三百十八人でありましたけれども、令和二年は四百九十九人に増えております。これはコロナ禍の影響も入っておりましょうけれども、しかし、コロナ禍以前の平成三十一年、令和元年でも三百九十九人、増えているんですね。子供の自殺者数、あっ、子供の数自体はここ二十年間で大きく減っているんです。大体二割ぐらい減っちゃっている。その中でのこの数字ですから、見た目以上に私は増えていると、こう思います。
そこで、政府として、この原因をどう見ておられるのか、そしてどう取り組んでいこうとしておられるのか。今日は政務官にお越しいただいて、ありがとうございます。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/36
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037・深澤陽一
○大臣政務官(深澤陽一君) お答えいたします。
自殺者の総数の動向につきましては、ただいま議員が御丁寧に御説明を既にいただきましたが、最多となった平成十五年以降減少傾向でありましたが、令和二年は増加に転じ、令和三年は再び減少して約二万一千人となっております。そのような中、御指摘のとおり、小中高生の自殺者数は近年増加傾向が続き、コロナ禍において令和二年に過去最多となり、令和三年は過去二番目に多い状況となっております。
自殺は様々な要因が複合的に関わっていると考えますが、警察庁の自殺統計によりますと、子供の自殺の原因、動機といたしましては、進路に関する悩みや学業不振等の学校問題が最も多く、その他、健康問題や家庭問題が多くなっております。このため、文部科学省など関係省庁と連携し、政府全体として取り組んでいくことが重要であると考えております。
これまで、文部科学省では、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議におきまして児童生徒の自殺の背景や対策について議論し、その結果などを踏まえ、自殺予防に関する教育や教育相談体制の拡充等を努めてきた、進めてきたと承知をしております。また、厚生労働省では、自殺を考えている方に対する電話相談に加え、若者の利用が多いツールであるSNS相談等の相談体制の拡充に努めてきております。
議員御指摘のとおり、効果的な対策を講じていくためにはその要因の分析が重要であり、いのち支える自殺対策推進センターや文部科学省、そして子供に関する取組、政策の司令塔として新たに設置される予定のこども家庭庁と連携しながら、子供の自殺の原因、動機についての分析を深め、取り組んでまいりたいというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/37
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038・古賀友一郎
○古賀友一郎君 深澤政務官、ありがとうございました。
何分にも、原因をやっぱり突き詰めていかないと対策も取りにくいというわけであります。一番多いのは、たしか原因不明が多いんですね。なかなか難しいとは思います。でも、やっぱりそういった視点で、今回こども家庭庁ができますから、子供の自殺というテーマでやっぱりこういった突き詰めていくというのは私は大変重要なことだと思います。
そろそろもう時間が切れてまいりました。もう一問あったんですが、これは要望に代えさせていただきたいと思います。とにかく、少子化対策をやるにはエビデンスが必要ということで、ちゃんと家計負担や子育て経費の負担の調査、しっかりとやっていただきたいということもお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/38
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039・打越さく良
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
野田大臣は、国家行政組織法に基づき設置される省は、法令上の固有の権限としては、自ら所管する事務を行うことができるにすぎない、政府部内の総合調整を、自ら実施する事務と併せて恒常的な事務として実施することができるのは内閣総理大臣の直属の機関だけであるため、こども家庭庁は内閣府の外局として置くこととしていると答弁なさっています。
ですが、最強の官庁は、我ら富士山、ほかは並びの山と豪語する財務省と言われています。我が国の国家行政組織は、制度官庁が上であるという風潮が根強く、調整官庁は軽んじられてきた歴史があるのではないでしょうか。野田大臣は、自ら少子化、男女共同参画や子ども・子育て本部を担当されてきて、これまでもどかしい思いをなさってきたのではないでしょうか。
男女共同参画局、子ども・子育て本部などとこども家庭庁がどのように違うか、根拠規定を教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/39
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040・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
これまで、子供施策に関する総合調整権限、これは、青少年の健全な育成や子供の貧困対策については内閣府政策統括官において、子ども・子育て支援や少子化対策については内閣府子ども・子育て本部において、犯罪から子供を守るための対策については内閣官房において、児童の性的搾取については国家公安委員会及び警察庁において、児童虐待については厚生労働省において、それぞれ別々に担われてきておりました。これまでも、内閣府、内閣官房、国家公安委員会及び警察庁、厚生労働省がそれぞれの観点から取り組んできたものと承知しています。
今般、この政府提出法案においては、これまでの少子化の対処や子ども・若者育成支援、これに加えて、子供のひとしく健やかな成長の実現に向けた基本的な政策について規定を新たに設けます。これによって、これまで分散していた総合調整権限をこども家庭庁の下にまとめるとともに、広く子供の成長に係る基本的な政策全般について一元的に担うことにいたします。
また、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行うことで、子供や若者の意見を踏まえて、行政各部の統一を図るための企画立案、総合調整を行うことになります。こういうことによって、こども家庭庁が、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて強い司令塔機能を発揮することができると考えています。
なお、従前は関係府省に分散していた権限を集約して内閣府の外局として庁を設置された例としては、例えば消費者庁という役所が挙げられると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/40
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041・打越さく良
○打越さく良君 つまり、その分散していたものを一元化したということですけれども、でも、それがなかなか、先ほど申し上げたとおり調整官庁は軽んじられてきて、なかなか制度官庁が上であるということは転換できなかったと思うんですけれども、その転換するような根拠規定というのが今回あるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/41
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042・相川哲也
○政府参考人(相川哲也君) お答え申し上げます。
今大臣から御説明いたしましたとおり、これまでは、内閣府、内閣官房、国家公安委員会、警察庁、厚生省がそれぞれその任務に関連する観点から取り組んできたということでございますが、今回、その子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考える観点から一元的に取り組む体制という、こういったものとしてこども家庭庁を設置するものでございます。
また、これまでは、子供や若者から直接意見を聞き政策に反映する取組が必ずしも十分ではなかったと認識しておりますが、今般、こども家庭庁の下でこの分散しておりました総合調整権限を一元化をするということ、それから、これによって子供に関する基本的な政策全般について担うことが明確になるということ、そして子供や若者から直接意見を聞く様々な取組を進めて、子供や若者の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組んでいくこと、こういったことでこどもまんなか社会の実現に向けて強い司令塔機能を発揮することができるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/42
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043・打越さく良
○打越さく良君 なかなか、司令塔ということなんですけれども、いまだにちょっとその辺りが曖昧であるかなと思われます。
今までの御答弁にもあったんですけれども、省庁間で勧告が発動されて改善された事例というのは承知していないということでよろしかったですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/43
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044・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/44
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045・打越さく良
○打越さく良君 だから、そうすると、本当、私もこの子供の政策をしっかりとやっていただきたいという思いはあるんですけれども、なかなかその体制になっているのかという観点でまだ質問を続けさせていただきたいと思います。
今までもお話あったように、もう子供たちの自死が増えていることとか、あるいはユニセフの発表では、子供の精神的健康度が日本は四十一か国中三十七位と、いじめの認知件数も高いままであるし、子供の虐待も右肩上がりでずっといっていると、一人親の世帯の貧困率はOECD諸国でワースト三位と、そういう様々なことから出生数が六年連続で過去最少を更新しているという状況なのではないかと思われます。
ですから、やはり子供を真ん中ということであれば、こうした貧困や格差の現状を直視して、子供を尊重する政治に是非転換していかなければならないと私も考えております。
それなのに、何というんですか、子育てを家庭の事情、自己責任ということにとどめてしまったら、格差をそのままにしてしまうんじゃないでしょうか。やはり様々そういう観点から、連合や日弁連、あるいは支援者の方々から、こども家庭庁と家庭と追加されたことについては非常に懸念が表明されております。
ですから、今からでも、やはり子供を尊重する政治へということであれば、家庭を除いていただきたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/45
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046・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 新たな行政組織の名称については、昨年の十二月に閣議決定をした基本方針、ここにおいてこども家庭庁といたしました。児童の権利に関する条約の前文の考え方においても、子供は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところであります。
こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体で支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であり、新しい名称としては適切であると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/46
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047・打越さく良
○打越さく良君 野田大臣がそう考えてくださっていることは私も信頼しているんですけれども、ただ、なかなかこの名称というのは本当に大切なことで、大臣が替わられてもどうなるかということが心配にならないようにしていただきたいんですね。
このさっきおっしゃった閣議決定ですけれども、そこで、子供政策の基本理念ということで、家庭が基盤、親の成長を支援することが子供のより良い成長につながるというところに私どうしても引っかかるんですよ。ここが、親を支援することがということであればまだしも、親の成長というふうにあることで、ここのこの様々な家庭や子供が直面している困難というものが、親が未熟だから、成長していないから成長させてあげなきゃいけないという国の上から目線をどうしても感じてしまうんですね。
だから、親の成長というところから、成長というものをうっかり入っちゃったけれども、外しますということにできないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/47
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048・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 昨年末の基本方針、ここにおいて、子育てに対する負担や不安、孤立感を和らげることを通じて、保護者が自己肯定感を持ちながら子供と向き合える環境を整え、親としての成長を支援し、保護者が子育ての第一義的責任を果たせるようにすることが、子供のより良い成長の実現につながるというふうにしてあります。
その趣旨は、核家族とか地域の関わりの希薄化など、そういうことによって子育てを困難に感じる保護者が増えている状況にあることを踏まえて、子育てに対する負担、不安、孤立感を和らげるよう、子育てを社会全体でしっかり支えることが重要であるということであり、子育ての責任を家庭に押し付ける姿勢の表れとか、そういうことでは決してないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/48
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049・打越さく良
○打越さく良君 大臣、野田大臣がそう考えていらっしゃることは信頼しているんですけれども、そう考えない方たちに利用されないようにという観点から考えています。
それで、子どもの権利条約には親の成長に言及するところがあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/49
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050・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 児童の権利に関する条約におきまして、前文においては、先ほど申し上げましたが、児童は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされ、また、この条約の第十八条第一項、ここで、父母等は児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有することを規定するとともに、第二項において、父母等が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとすると規定しています。したがって、基本方針の保護者が子育ての第一義的責任を果たせるよう親としての成長を支援することは、児童の権利に関する条約の趣旨にも合致するものと考えます。
こども家庭庁設置法案第三条に規定する任務規定、ここにおいて、子供の最善の利益を優先して考慮することを基本とすることなど、児童の権利に関する条約の趣旨を踏まえたものにしているとともに、子供のある家庭における子育てに対する支援に関する事務を行うことを明記しており、子育てを孤立させることなく社会全体でしっかり支えてまいります。これは、私の意見ではなくて、しっかり規定されているということで御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/50
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051・打越さく良
○打越さく良君 確かに、おっしゃったように、条約の十八条ではそうした規定があるんですけれども、その親の第一義的責任というのは、その責任、親が果たせるように、子供が、あっ、子供じゃなくて、済みません、国が手助けすると、国が手助けする責務を導くためにまず親に第一義的責任があるとしているわけで、やっぱり親の成長という言及はないわけですよね、この条約には。
ですから、私としては、この親の成長という言葉は不用意ではないかということで、やはり、親こそ心構えとか変わったら子供をしっかり養育できるんだみたいなことを、やはり誤解を導くような言葉ではないかと私は考えざるを得ないと思っています。
それで、ちょっと十二時までにこども基本法案の発議者の皆さんに質問を、今日はどうもありがとうございます、させていただく関係もあって、ちょっと順番を入れ替えさせていただいて、こども基本法案について伺います。
こども家庭庁とこども基本法は、共に成立した場合にこの一体的な運用が図られるものと考えております。ところが、片やこども家庭庁、片やこども基本法ということで、こども基本法には家庭を付けなかった理由というのは教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/51
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052・加藤勝信
○衆議院議員(加藤勝信君) 済みません、いろいろ御配慮いただきましてありがとうございます。
先ほど、こども家庭庁の方については野田大臣から御説明をしたところであります。
他方、こども基本法案、これは法文にもありますが、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとっているわけでありますが、この法案の射程というのは必ずしもこども家庭庁設置法の範囲にとどまるものではありません。子供施策全般に関する基本理念あるいは基本事項、こういったものを定めておりますし、具体的に法案における子供施策の定義は第二条第二項に書かれておりますが、かみ砕きますと、子供に対する施策、子供を養育する者に対する施策、その他の子供に関する幅広い施策を対象としているわけでありますので、名称としてもこども基本法とすることがふさわしいということで、こうさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/52
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053・打越さく良
○打越さく良君 こども基本法案発議者である加藤先生におかれては、報道によりますと、昨年十二月、自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部などの合同会議で座長をお務めになって、子供は家庭を基盤に成長する、こどもまんなか政策を表現しつつ、こども家庭庁とさせてほしいとおっしゃったとされています。その経緯について御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/53
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054・加藤勝信
○衆議院議員(加藤勝信君) これはまさに閣法の議論を党内でさせていただいた中での、党としての多数の意見がそういうことであったということを私が総括して申し上げたという経緯でありまして、最終的にはそれらも踏まえて政府において御決定されたものと承知しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/54
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055・打越さく良
○打越さく良君 こども家庭庁についても、当初、こども庁として検討されていたはずですが、加藤座長が名称をお決めになった会議の一週間前にあった自民党青少年健全育成推進調査会の会合で親学推進協会の会長が講演なさって、こども家庭庁に改めるべきだと主張なさったことが決定打になったと報じられております。
やはり、こうしたことからすると、こども家庭庁も同じく家庭を付けない、その方がよろしいんじゃないでしょうか。野田大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/55
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056・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 与党提案のこども基本法案は、今、加藤議員がいますが、児童の権利条約に対応した国内法として、社会全体として子供施策に取り組むことができるよう、子供施策に関し基本理念を定めること等を目的とした基本法案であると承知しています。こども家庭庁のみならず、政府のあらゆる子供施策の在り方について定められたものであることから、名称がこども基本法案とされたものと認識しました。
こども家庭庁という名称については、こども家庭庁設置法案はいわゆる組織法であり、こども家庭庁が子供の健やかな成長に対する支援や子供のある家庭における子育てに対する支援等を任務としていることに照らし、そして、子供の健やかな成長にとって家庭における子育てを社会全体でしっかりと支えることが子供の幸せにつながるという趣旨によるものです。
児童の権利に関する条約の前文の考え方においても、何度も繰り返しになりますけれども、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされているところです。こども家庭庁は、子供を真ん中に据えて、子供の視点に立って、子供の権利を保障し、子供の健やかな成長を社会全体で後押しする、そのための組織であるという点でこども基本法の基本理念とは同じものだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/56
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057・打越さく良
○打越さく良君 ただいま御答弁でもございましたけれども、野田大臣はこども家庭庁という名称について、子育ての責任を家庭のみに負わせるという趣旨でもなければ、血のつながった親と住むことが家庭でもないと、大事なことは、家庭という定義は非常に広くて、その子にとって居心地がよくて健やかに生きていける場所全てを家庭というふうに位置付けたいとおっしゃっています。
これは、こども基本法の発議者である加藤発議者、木原発議者も同じ認識ということでよろしいのでしょうか。あるいは、子供は母親が家庭で育てるものであるなどの認識がおありならば、率直におっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/57
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058・加藤勝信
○衆議院議員(加藤勝信君) まず、こども基本法については三条五号で今の話が書かれているところであります。ここで、家庭という言葉のほかに、家庭と同様の養育環境ということも含めて書かせていただいて、この家庭と同様の養育環境とは、血縁関係や法律上の親子関係がなくても、まさに保護者ではなくともですね、子供の健やかな成長を確保するためにできる限り望ましい養育環境ということで用いていると、こういう趣旨であります。
これは児童福祉法の概念でも同じように整理をされているところでありまして、こども基本法全体に通じる考え方として、血縁関係、法律上の親子関係のみにとらわれずに、子供中心に子供の成長を支える子供にとっての居場所が重要である、その子供にとってそうした環境となるよう社会全体として支援をしていくと、こういうことでございますので、そういった意味で、野田大臣がこれまでお話しされている部分と一致しているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/58
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059・木原稔
○衆議院議員(木原稔君) 私にもということでございますので、御指摘のあったように、これまで野田大臣が示された認識、あるいは国会でのこの答弁を聞く限り、私も法案提出者の一人として、その考え方に違和感はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/59
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060・打越さく良
○打越さく良君 こども基本法案要綱の基本理念における、子供の養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対して子供の養育に関し十分な支援を行うとともに、家庭の養育が困難な子供にはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、子供が心身共に健やかに育成されるようにすることとされていることは、もうおっしゃっていただいていると思うんですけれども、念のため、改めて野田大臣の答弁趣旨と同様ということでよろしいか、発議者にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/60
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061・加藤勝信
○衆議院議員(加藤勝信君) 繰り返しになってしまうんですけれども、子供を中心に子供の成長を支える子供にとっての居場所が必要であると、この考え方、これに私どもも立脚しながら法案を作らせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/61
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062・打越さく良
○打越さく良君 同じことを繰り返しということかもしれませんけれども、やはり疑義や、なかなか懸念もありますので、念のためということで、申し訳ございませんが、改めて、このこども基本法案の基本理念ですけれども、「家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。」ということですが、これも、野田大臣がおっしゃっているような、あえて家庭を付けることで、今までは閉じ込められていて、個人の責任ということから解き放たれて、これだけみんなが苦労、子供たちが大変な思いをするのだから、もうとにかく社会全体で支えていこうという意思表示、この答弁に対応したものであると認識してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/62
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063・木原稔
○衆議院議員(木原稔君) お答えいたします。
本法案、こども基本法案は、社会全体としてその家庭における子育てを支えていくとの考え方に立脚しているという、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/63
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064・打越さく良
○打越さく良君 このような質問を繰り返しさせていただいたのは、自民党における議論で、最近は学校に行かない権利を唱える子供もいるようだが、権利ばかり唱えてもよくない、青少年が健全に育つには家庭がしっかりしている必要がある、子供は家庭でお母さんが育てるもの、家庭の文字が入るのは当然だなどという議論があったのが報道されているんですね。
そうした党内の議論がこのこども基本法案に反映されている部分があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/64
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065・加藤勝信
○衆議院議員(加藤勝信君) 御党でもそうだと思いますが、党内では様々な立場で様々な議論がなされてきて、その集約がこの法案でありますから、この法案の中にある文章、これが全てということになるわけでありますが、子供の権利を保障し、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しをするという、先ほど申し上げましたけど、この共通認識の下、全ての子供について、個人として尊重され、その基本的人権が保障されること、これは明確に基本理念として掲げさせていただいているところでございます。
また、家庭との関係についても、先ほども申し上げましたが、三条五号は、父母その他の保護者に対し子供の養育に関し十分な支援をというふうに書かれているわけでありまして、その背景においては、子供の養育については家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有する、こうした認識を示したものでありますが、大事なことは、まさに、そうした父母その他の保護者に対し子供の養育に関して十分な支援を行う、またそうした環境が整わない者に対してもできる限り同様の養育環境を確保すると、ここにこの考え方が明確に表させていただいているのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/65
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066・打越さく良
○打越さく良君 もし、そうした自民党内における議論を入れ込んであるとしたら、やはり今大変な、こどもまんなかとは言えないような状況を反転させるという、そして子供たちをしっかり支えるという政治になっていかないのではないかという懸念からですので、子供をしっかりと個々として尊重していくということで、この法律はそういうものなんだということを改めて確認させていただきたいというふうに思います。
では、委員長、発議者のお二人はもうこれで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/66
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067・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 発議者は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/67
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068・打越さく良
○打越さく良君 やはり、子供の育ち、学びを家庭の責任だとするのではなくて、しっかりこれを機に公的に支えていくという観点が必要ではないかと思われます。
それで気になるのは、ちょっと質問戻させていただいて、子供たちに掛ける予算がやはり、予算ですね、予算、これ、GDP比で少ないということが指摘されています。
やはり、確かに、児童福祉法などいろいろと改正が相次いで、そして子供の権利保障というものも平成の終わりにはしっかりと規定されました。ですけれども、子供の権利保障というものをしっかりと法の中でうたっても、それを裏打ちする十分な財政的な基盤がなければ保障は難しいのではないかと考えます。
そして、日本では子供の予算が大変少ないということで、子育て世帯は稼働することが唯一の生活手段になっているということで、ブラック企業でも辞めるわけにはいかない、そうすると長時間労働で養育環境は本当に悪化してしまうということで、子供の貧困だけが単独であるということはほとんどなくて、多くの場合は大人の貧困もあるということですから、まず家庭に責任というものがあるということを強調するのではなくて、予算を拡充していただきたいと思っています。
自民党内の勉強会の第二次提言でも、子供関連支出の対GDP比三%台まで引き上げるというふうにしていらしたと思います。ところが今や数値目標の明記がないということで、我が党も法案の中で対GDP比三%以上という目標値を打ち出したわけですけれども、改めてですけれども、こうした数値目標明記ということをお考えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/68
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069・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
これまでも、子供予算については、政権交代以降、新子育て安心プラン等に基づいて約一・四兆円程度を確保しました。幼児教育、保育の無償化や保育の受皿確保などを進めてきました。足下でも、不妊治療の保険適用などを進めるほか、全世代型社会保障会議や教育未来創造会議において子育て支援策の検討を進めています。
その上で、今後の子供政策に関する予算については、期限とか規模ありきではなくて、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策は何かをしっかりと議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実にしっかり取り組むことが重要だと思っています。
いずれにしても、こども家庭庁を創設して、そしてその下でこどもまんなか社会を実現し、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
これまでも累次の取組があったけれどもまだまだ十分ではないというやっぱり背景には、子供という言葉が政治の中でしっかり語られていなかった。これからは、皆様方の御理解の下で、こどもまんなか社会というものがしっかりと法案等々を通じて、成立すれば、やっぱりそこは当然重ねていかなければならないということが明らかになってくると信じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/69
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070・打越さく良
○打越さく良君 やはり家庭に支援をすると、子供が育つ場である家庭に支援するということを強化していただきたいんですね。
ところが、今まで国は、家庭への支援というよりも、家庭の責任を強調するようなことがあったのではないかと思います。その一つが私としては「早寝早起き朝ごはん」運動だったのではないかと。朝食欠食にはもう様々な理由があって、例えばお母さんが非正規で、もうトリプルワークなどして、ダブルワーク、トリプルワークなどして、夜間も仕事をしなきゃいけないと、あるいは保護者の方がメンタルヘルス上問題があるかもしれないとかですね。そういうことってむしろサポートしなければいけないサインかもしれないんだけれども、今まで臨時教育審議会答申とか中央教育審議会答申などを皮切りに家庭教育をというような声が大きくなって、この「早寝早起き朝ごはん」運動では生きる力を育む場として家庭が規律の対象になってきたんじゃないかと考えています。
「早寝早起き朝ごはん」運動とは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/70
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071・安彦広斉
○政府参考人(安彦広斉君) お答え申し上げます。
「早寝早起き朝ごはん」国民運動につきましては、この運動を始めました平成十八年当時、子供の学習意欲と体力の低下、これと家庭における食事や睡眠などの基本的な生活習慣の乱れとの相関関係が指摘されたところでございます。
これを受けまして、文部科学省では、「早寝早起き朝ごはん」運動の励行など、幼児期からの基本的生活習慣の確立を目指して、子どもの生活リズム向上プロジェクトの事業をスタートさせました。同時に、これを実際に国民運動として推進する母体としまして、民間主導の「早寝早起き朝ごはん」全国協議会というものを設立されたところでございます。この協議会では、子供たちの基本的な生活習慣を確立させ、生活リズムの向上を図るための取組を推進しておりまして、具体的には、全国でのフォーラムの開催、また啓発資料の作成、中学校を対象とした推進校での実践など、そういった取組をしております。また、文部科学省としましては、そういった取組と連携しまして、優れた活動に対しまして大臣表彰を行っているところでございます。
こちらにつきましては、個々の家庭に一律取組を強いるというようなものではございませんで、このような取組を通じまして、子供たちが自分の生活を振り返りながら基本的生活習慣が定着するような、そんな望ましい生活についての改善点を子供たちが学び、理解できるようになっていく、そういったものを目指しているものでございます。
また、朝食を摂取する子供ほど、全国学力・学習状況調査の正答率でしたり、また全国体力・運動能力、運動習慣等調査の得点等が高いと、そういった傾向が見られますので、今後とも、子供の健やかな成長を支えるということの取組について関係団体とも連携しながら取組を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/71
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072・打越さく良
○打越さく良君 ですから、今お話にあったとおり、この子供たちあるいは家庭が朝食を取れないという背景に何があるのかというような、雇用構造とか、そうしたことは全く不問にして意識啓発の問題にしているということは全く問題ではないかと考えております。
この社会構造こそ問うべきであって、そうしたこと、困難のある家庭をサポートすると、そういうことではなくて、意識が足りないということで啓発の対象にするということは問題があると考えているんですけれども、例えば、こども家庭庁ができた場合に、そういう文科省に対して、そうした貧困とか格差とか様々な困難がある家庭について何も顧みずこうした運動を続けるのはどうかといった勧告をしていただけるということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/72
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073・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
まず、「早寝早起き朝ごはん」、これは今文科省の参考人からも話ありましたけど、様々、小児科学会とかそういう子供の健康に取り組んでいる人たちから、そういう早寝をすること、早起きをすること、朝御飯を食べることは子供の健やかな成長に望ましいというやっぱりエビデンスというか、その調査をされているわけですね。ですから、これをやめるということは子供の将来のポテンシャルを潰すことにもなりかねないという危惧があります。
ですから、この国民運動は子供を健やかに育てていくために取るべき栄養であったり睡眠の質であったりということで、それはそれでやっぱりしっかりとそれを進めていけるようなことを考えるのが子供の権利擁護のためには大切ではないかと私は思っています。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、基本的な生活習慣というのは極めて重要であることは委員も否定されることではないと思っています。
この運動は、そういうことを踏まえて、子供にはそういう、大人と違って自己決定権が余りなくてやっぱり分からないことも多いんで、周りの大人の指導の下、自分の心身を健やかに育てていくアドバイスを受けるわけですね。そういうことを提供していくもので、個々の家庭にそれを強制しているものではないというふうに私は考えています。
むしろ、今の委員の御指摘のとおり、それができない家庭に対してどう私たちが支えていくかという施策を導き出していくのがこども家庭庁の仕事であって、この国民運動を文科省にやるべきではないという勧告をすることではなくて、それが、そういうワンオペであったり仕事が大変過酷である親であっても、どの子供も朝御飯を食べれるような環境整備をするというのがこども家庭庁の任務であると考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/73
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074・打越さく良
○打越さく良君 済みません、私の受け止め方が間違っているのかもしれませんが、今の話だと、そうした困難にある子供、家庭を支えることは任務だけれども、文科省が「早寝早起き朝ごはん」をするのはそのままということで、なかなか子供を真ん中にして、子供から見たらどうなのかと。やっぱりうちの親って駄目だなと、朝御飯も用意してくれない、朝寝たままで用意してくれない親は駄目だなというような感じで劣等感を受け取るような運動ってどうなんだろうと私は思うんですよね。
だから、やっぱりあくまでも子供の視点に立ったら、支えられるような家庭になっていないのはどうかと、その家庭を、保護者を責めるというよりは、良くないと責めるよりは支えるような、そういう転換を文科省にすべきじゃないかということを勧告するような、そういう機関になっていただきたいんですね。
もう一度、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/74
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075・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 私も大変忙しいので、なかなか子育てを一〇〇%実現することはできないんですけれども、そこに様々な担い手があって、大切なことはやはり子供を健やかに育てていくことで、それは、親ができなければ誰かがやはり支えていくということが当たり前になってくるようにするためには、子供を真ん中に置かなきゃいけない。だから、そのためにこども家庭庁というのはその任務を持つわけですから。
これまでそういうことがあったかもしれません。でも、それをなくしていくのが私たちの、こども家庭庁をつくる、こどもまんなかの、どんな子供であっても尊重されるという社会をつくるために、背景がどうであれ、朝御飯を取ることがその子供たちの健やかな育ちに大変いいということであれば、今子供食堂が多くの皆さんに運営されているわけですけど、食事がままならないという子供、同じような考え方で、やはりそういうものを当たり前に浸透させていくことが大事であって、その「早寝早起き朝ごはん」を否定するというより、むしろそれができるように、みんなができるようにすることでどう知恵を出していくかというのが、私たち、子供を真ん中とした社会をつくるこども家庭庁の任務と心得ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/75
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076・打越さく良
○打越さく良君 できるようにというだけではなくて、私からの希望としては、できない方たちがどんな困難にあるのかということで、そういうことを考えながら文科省も取り組むべきじゃないかということを勧告していただきたいと、これは、重ねてになりますが、要望させていただきます。
そして、いろいろ質問残しているんですが、次に、こども家庭庁法案についての質問は次にさせていただいて、子供の貧困に関わることで生活保護に関係するところについて質問をさせていただきます。
生活保護ですけれども、今何とかいろいろと制度を改善していただいて、大学にもある種行けるようにはなっていると。どのような状況になっているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/76
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077・本多則惠
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
生活保護制度における大学に進学するための支援内容についてのお尋ねかと思います。
生活保護世帯の子供につきましては、前向きに伸びようとする意欲を尊重して、その自立を助長するため、大学等への進学を支援していくことが重要でございます。このため、大学等への進学に向けて幾つか施策を講じております。
まず、大学進学等を検討している高校生等のいる世帯等に対して、進学などに向けた各種費用に関する相談や助言を行う被保護者家計改善支援事業、これを平成三十年度から実施しております。また、高校生のアルバイト収入などを学習塾の費用や大学の入学料などに充てる場合には収入認定しない措置を平成二十六年度から講じております。また、大学などに進学した際の新生活の立ち上げ費用に係る一時金として進学準備給付金の支給を行っております。加えまして、世帯分離をして大学等に通う場合に住宅扶助を減額しない措置、こういった施策を講じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/77
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078・打越さく良
○打越さく良君 今おっしゃっていただいた進学準備給付金の創設など、本当に画期的な前進は幾つかあったと思います。ただし、やはり授業料を保障するものではないとか、修学費用は引き続き奨学金とか貸付金、アルバイトなどで賄うことが前提になっているということで、やっぱりこの大学に修学していけるという世帯内修学を認めていただけないものかと思っています。そこがやっぱり根本的な問題ではないかということで、やはりここが、前提が、学び、育ちを保障するということよりも、自立を促すというような建前に縛られているんじゃないかと、それから、家族の中で更に苦労を重ねる、家庭の責任を補強するようなことになっているのではないかと思います。
世帯分離して大学進学した後の生活の実態調査はしているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/78
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079・本多則惠
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
世帯分離をした後の実態の調査でございますけれども、平成二十九年度に、生活保護世帯出身の大学生等の生活実態の調査研究を実施しております。それによりますと、経済的な状況については、奨学金等を利用している方が約八七%、アルバイトをしている方が約八三%でございます。また、学生生活に関する悩みのうち、経済的に勉強を続けることが難しいという悩みについては、全くないが二二・四%、余りないが三四・七%、少しあるが二八・六%、大いにあるが一二・二%となっております。
この調査が実施されたのが平成二十九年度でございますので、その後、令和二年度から、文部科学省における修学支援新制度によって給付型奨学金による生活費の支給も行われているところでございますので、厚生労働省としては、引き続きこうした支援策が活用されるよう周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/79
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080・打越さく良
○打越さく良君 この二〇一七年のおっしゃっていただいた調査など、本当に切実な生活状況というのが浮かび上がるような調査、していただいたと思います。これを受けて政治はどうするのかということが問われていると思うんですが。
先日、昨年の十一月二十五日に、野田大臣は、虐待から逃げた十八歳、頼みの綱は生活保護ですと、四万五千三百三十三人の賛同を受けた署名の申入れをお受け取りになったと思うんですが、それを受けてどのように今後取組を考えておられるのか、御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/80
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081・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えいたします。
貧困状態にある子供や虐待を受けた子供を含め、全ての子供たちが夢や希望を持ち、そして様々なことが可能にできる社会を構築することが重要であります。
生活保護を受給しながら大学等に進学することについて、厚生労働省からは一般世帯とのバランスなどを考慮するため慎重な検討を要するものと聞いておりますが、厚生労働省の進学準備給付金や文部科学省の授業料減免や給付型奨学金などを通じて、進学のために必要な支援が抜け落ちてしまうことがないよう、関係省庁と連携して多面的な取組を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/81
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082・打越さく良
○打越さく良君 多面的な取組、是非期待したいんですけれども、今までのこの厚生労働省というものは、生活保護世帯の進学問題という理解をしていたのではないかと。生活保護世帯の子供は大学に行けないということではなくて、大学生は生活保護を利用できるのかできないのかということで発想を転換してもらえないか。やはり子供を、子供を中心に、世帯がどうかということではなくて子供を中心に考えていただければいいんじゃないかということを、支援する、いろいろな課題を、悩みを聞いている弁護士の方から先日も伺っています。本当にそのとおり、学生個人を視野に入れなければいけないんではないかと思っています。
生活保護世帯の学生は、本当に経済的な制約のある中で学生生活を送って、本当に余裕がない状態で授業にも身が入らない。さらには、様々なアンケートでは、体調が悪い親も抱えていると、ヤングケアラーの状態でもあったりするわけですね。そうしたことで、そのケアとか家事とか学校の課題、アルバイトの両立が困難で退学を考えてしまう、そういう割合が高いのではないかと思うんですけれども、そうした調査はしているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/82
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083・本多則惠
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
お尋ねの生活保護世帯出身の大学生の退学率、中退率かと思いますけれども、こちらについては把握をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/83
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084・打越さく良
○打越さく良君 やっぱりその制度が問題があるんじゃないかと。その大学生が生活保護を利用できないということのままにしておくのはどうなのか。仕事をしながら生活保護を利用できる、もうそれはできるわけですよね。でも、学業を続けながら生活保護は利用できない。どうしてそういうことがあるのかなということを私はちょっと理解できないんですけれども、そういう問題を把握する上でも、せっかくこの前、二〇一七年にアンケート、委託調査もしたわけですし、是非ともその後どうなっているのかということを調べるべきではないかというふうに考えております。
大学卒業となったら正規の仕事に就けたかもしれないけれども、短期間で非正規を転々とする。大学退学をして、あるいは大学を諦めて非正規雇用で転々としている。そうすると、もう将来の希望も持てないと、経済的困難からなかなか人間関係も築けないと、そういう状態になっている。それが、到底これ自己責任とは言えないと思うんです。やっぱり大学生あるいは、大学生、専門学校生、そうした方たちが生活保護を利用できないと、制度改善はあっても利用はできないというふうにしているのに、それでそのまま調査もしていないというのはいかがなものかなというふうに思っています。
ですから、短期的に仕事を辞めたり、あるいは大学をやめたりするのは、本人が決めたのかもしれないけれども、それは到底自己責任ではないんじゃないかということで、これは結局は生涯年収もはっきりと違うわけですよね、学歴によって、大学卒業の方と高校卒業の方は。別にそれは自分たちの選択でいいわけですけれども、そういう選択を余儀なくされていて、それで生涯年収も違うということになるのはいかがなものかということで、こういったつかえはもう、ちょっと繰り返しになるんですけれども、やはり個人の生き方を子供たちが諦めないように、個人の生き方の幅を広げるということにこの生活保護、今生活保護で大学に進めない、進めないというか、認められないというのはいかがなものかということを、こども家庭庁としては厚生労働省に勧告をしていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/84
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085・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 重要なことは、家庭の状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供が質の高い教育を受けて、そして能力や可能性を最大限伸ばせるようにすることであります。
厚生労働省からは、生活保護を受給しながら大学等に進学することについて、一般世帯とのバランスなどを考慮するため、慎重な検討を要するものと聞いています。
私も、この一般世帯とのバランスというのはちょっと分かりづらかったので、後藤大臣の答弁を見返したんですけれども、一般世帯で、委員もおっしゃったけれども、高校卒業後に大学等に進学せず、これは意思なのか意思ではないのかは別として、進学せずに就職する方がいて、又は奨学金やアルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方たちもいて、これが一般世帯のバランス、いろんな様々な、大学生でも大学に行かなくて諦めて働くとか、まあいろいろあるのでということなんだと思っています。
いずれにしても、厚生労働省、文部科学省などの関係省庁と連携して、支援が必要だとされている子供は誰一人取り残すことなく支援につなげられるよう、繰り返しになりますけれども、これまでこういう取組をしてきたけれども、さらに多面的な取組を行ってまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/85
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086・打越さく良
○打越さく良君 支援が必要ということは明らかと思いますので、お願いしたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/86
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087・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時二十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/87
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088・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、こども家庭庁設置法案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/88
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089・塩村あやか
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。今日はよろしくお願いいたします。
まず、共通認識の確認をさせてください。
平仮名のこども、漢字の子供、頭が漢字の子ども、この違いを端的に教えていただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/89
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090・谷内繁
○政府参考人(谷内繁君) 法律におけます子供の定義についてのお尋ねについてお答えいたします。
法令上の定義や対象年齢は各法令によって様々でございまして、例えば漢字仮名交じりの子どもでございますと、子ども・子育て支援法では、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある者と定義されている一方で、子どもの貧困対策の推進に関する法律では、漢字仮名交じりの子どもについて特段の定義がされていないというものでございます。
また、両方とも漢字の子供でございますと、公職選挙法に例がございまして、幼児、児童、生徒その他の年齢満十八年未満の者というふうに定義されているところでございます。
こども家庭庁設置法案では、第三条第一項におきまして、両方とも平仮名のこどもを心身の発達の過程にある者と定義しております。ここでいう平仮名のこどもでございますけれども、基本的に十八歳までの者を念頭に置いておりますけれども、それぞれのこどもの状況に応じて必要な支援が十八歳や二十歳といった特定の年齢で途切れることなく行われるよう定義を置いているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/90
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091・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。非常に分かりやすかったなというふうに思っております。
ということで、平仮名のこどもの定義というのは、一応十八歳ぐらいで区切るものではあるんだけれども、そこに限らず広く、心身の発達の過程にある者と、者と書いてシャなんですが、ということで、そういう認識で今回質疑を進めていきたいというふうに思っております。
四月の成人年齢の引下げによりまして成人となりました十八歳、十九歳も平仮名のこどもに当たると、平仮名こどもだというふうに私は思っております。こども家庭庁法案が提出される今国会中に、この十八歳や十九歳に未成年者取消し権がなくなった影響で現役高校生のアダルトビデオの被害が増える可能性が危惧されておりまして、今年の二月に質問主意書で提出しまして、その後、三月八日に、こども家庭庁の審議に向けての布石としましてこの内閣委員会で質疑をさせていただきました。そして、皆さんと問題の共有をさせていただきました。
その後、江崎議員よりこの内閣委員会で、AVの被害はやっぱり深刻であるから、超党派の議員立法で被害者の救済しなくてはいけないのではないかというふうに皆様に呼びかけがありまして、その後、支持の輪が超党派でじわじわと広がってきたというふうに私は感じています。
そして、決算委員会で、私の質疑で、総理に若年層のアダルトビデオの問題について、これ、被害増えていいと思っていないですよねと私が聞かせていただいたところ、総理から力強く、当然でありますと御答弁をいただきました。私と問題意識を共有しているというふうにもおっしゃっていただきました。
その後、超党派での議員立法の議論が始まりまして、先週、六会派の実務者たちですね、これ本当にいろいろな意見をぶつけ合って、声をちょっと強くしてしまうことがあったりとか、私も先輩議員に対して大変失礼な物言いをしたこともあったんですが、取りまとめが何とか終わったというところでございます。
簡単にここまでの話を報告をすると、私は当初、その実務者で示された骨子案、批判していたんですが、その後、実務者会議でアダルトビデオの業界の方とか被害者の支援団体などから意見聴取をした後の条文案では、ここまで要望を入れてくれるのかという形で、もう私もびっくりするほど被害者の救済と保護に資する条文案になっておりまして、ああ、これは、単純に未成年者取消し権の復活よりもはるかに効果の高いこれは法案になると、法律になるというふうに思いました。
ですので、批判できなくなったどころか、私たちが要求していた事項は現行法上不可能なもの以外は入ってきましたし、他党の要望も入っておりますので、もうかなり盛り込まれましたので、想定外に、失礼かもしれませんが、想定外にすばらしい条文案となりました。これは本当に画期的の一言だというふうに私も思っております。議員立法の底力を見たというふうに私は感じております。ここまで来たのも、この内閣委員会にいらっしゃる各党各会派の皆様の理解のおかげだというふうに思っております。ありがとうございます。
一方なんですが、現実としては、四月から未成年者の取消し権が現実問題としてもうなくなっちゃっているんですね。平仮名こどもである十八歳とか現役高校生、三年生ですよね、これを売りにしたアダルトビデオとかもう既に増えているという状況で、これを放置するのであれば、こども家庭庁の存在意義は私はないというふうに考えています。
ついては、コロナ禍でアルバイトも減り、高収入アルバイトをきっかけに増えるAV被害の中で子供や若年層を守るということはこども家庭庁の私は重要な責務であるというふうに今日は考えておりますので質問をさせていただきたいと思っております。
まず、アダルトビデオの被害における現状の認識と把握をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/91
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092・林伴子
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
AVの被害につきまして、私ども内閣府男女共同参画局で令和二年三月に実施をいたしました若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査では、二四%の若い女性がモデル、アイドル等の勧誘を受けた経験があり、また、モデル、アイドル等の勧誘を受けたり応募した経験のある女性のうち一三%、約七人に一人が聞いていない、同意していない性的な行為等の撮影要求を受けたことがあるという結果になっておりまして、若い世代の方々には大変このAV出演被害の問題は身近な問題であると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/92
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093・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
やっぱりこれまでも、それだけの被害といいますか、被害に至るまでのゲートウエーですよね、そこが開かれていて、アダルトビデオだと思わずにその若年層が被害に遭うというところに踏み込んでいくと、そして引き込まれていくんだということが今のお話でよく分かったというふうに思っています。
今後、アダルトビデオの被害ですね、まだ法案は出ておりませんが大分まとまってきておりますので、今後、より被害を把握していくために実態の調査が必要であるというふうに考えております。特に、平仮名こどもの視点から、十八歳、十九歳ですね、この被害や相談の推移の調査、インターネットでの被害も多いのでインターネットパトロールというようなことも必要だというふうに考えております。
これ、法案がうまくいきまして施行されれば、二年以内に検討事項の見直しがされるというふうになっているのですね。ですので、そこで調査をしていなかったので検討するベースがありませんということは私は許されないというふうに思っております。
この先、必要なデータがないということが起こらないように、内閣府は被害の実態調査、この先も行っていただかなくてはいけないんですが、内閣府、この指摘しっかりと受け止めていただくことできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/93
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094・林伴子
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
今回の議員立法の御議論の状況も踏まえ、被害の実態把握など必要なデータの取得、収集等、必要な対応をしっかり検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/94
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095・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。しっかりとお願いを申し上げます。
資料の一と二を御覧ください。
アダルトビデオの出演被害の防止・救済法案の中身なんですが、アダルトビデオの出演の契約をしても、契約の締結過程に瑕疵があったり、そして制作公表者、これはメーカーだと思うんですが、ここに債務不履行や法定義務違反があった場合は、原状回復義務の生じる取消しや契約解除はこれ期間がないんですね、いつでも解除できるというようなものになっております。そして、契約締結過程に瑕疵がなかったとしても公表までは無条件に契約は解除が可能ということで、そして公表後であったとしても無条件に一年は解除が可能、経過措置として二年間は二年となっています。この部分が未成年者取消し権の代替に当たる部分だというふうになっておりまして、しっかりと入っているなというふうに思っていますし、十の部分ですね、これ罰則も非常に強いものになっておりまして、ここに書いていないものですと両罰になっているので一億円までというような罰則が科されるということで、非常に強いものになっているというふうに思っております。
現在の内閣府は性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター事業を行っていますが、これ、法が施行されれば、AV出演契約、これ契約書の中にこのワンストップ支援センターが相談先として記載されることになっています。契約書の中に書かなくてはいけないということになっているんですね。これも私すごいなというふうに思いますし、提案したときにこれしっかり入ったということは、本当にみんなこの被害を食い止めなきゃいけないんだというような思いがこもっているんだなというふうに考えています。
そこでお伺いするんですが、現在、ワンストップ支援センターにアダルトビデオの出演被害の相談に乗れる人材はいるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/95
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096・林伴子
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、現在、全都道府県五十二か所に設置されておりまして、緊急避妊薬の処方や証拠の採取などの医療的な支援、そして弁護士相談や弁護士を紹介するなどの法的な支援、そして相談、カウンセリングなどの心理的支援など、地域における被害者支援の中核的な役割を担っております。
議員御指摘のとおり、アダルトビデオ出演の被害に遭われた方がワンストップ支援センターにおいて適切な支援を受けられるようにすることが大変重要なことだと認識しております。このため、現在検討をされているAV出演被害防止・救済法案の議論の状況等も踏まえ、ワンストップ支援センターの相談体制の強化についても必要な対応をしっかり検討してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/96
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097・塩村あやか
○塩村あやか君 良かったです。ありがとうございます。しっかりしていただきたいというふうに思います。
あと、やっぱり相談をしたときに、やっぱり寄り添うということが必要ですし、そしてそのときにやっぱりアダルトビデオの特性を知っていないと寄り添うことが非常に難しいというふうにも聞いておりますので、是非その辺りもやっていただきたいというふうに思っておりますし、やっぱり理由があると思うんですね、アダルトビデオに出演するというときに。もしかしたら非行かもしれないし経済的な問題かもしれないし、どうして、その被害に遭ってしまって、やっぱり契約したけれども出演したくないとか、出演してしまった後に、これを、契約を解除したいというふうに思うのであれば、結構な割合で、やはりタレントとかに憧れてとかいうものもあるかもしれませんが、それもありつつ、ほかの理由もやっぱりあると思いますので、どういう理由で電話を掛けてくることに至ったのかというのを心を寄り添わせながら探っていただきまして、その後の必要な支援につなげていただきたいというふうに思っておりますので、その辺りもしっかり検証していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。
今回の法案、私、本当に画期的だというふうに先ほど伝えたんですけれども、その分、結構まだ皆さん分からないことも多いというふうに思っておりますし、そもそも論として、法律というのは普通の方にとって非常に分かりにくいものだというふうに思っております。だから、条文ややっぱり概要とかを読んだだけでは分からない人が多いですし、特に若年層の皆様、特に平仮名こどもと言われるような若年層の皆様には、救済の内容、この法律でできる救済の内容が伝わらないことも多いのではないかなというふうに思われます。
こうしたことがもう既に予想されているわけなんですが、そうした場合には、やっぱり施行と一緒に、QアンドAを一緒に発表するということが私は一般的だというふうに思っているんですが、こうした準備、例えばその被害者向けだけではなくて、事業者の方にも分かりやすいように、こうしたQアンドA、手厚い内容でやっていく必要があると思っているんですが、準備しっかりできているのかお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/97
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098・林伴子
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
一般論として、新しい法律が施行される際には、御質問いただいたようなQアンドAなど、法律の内容について多くの方々に御理解いただけるよう分かりやすい必要な資料を取りまとめて周知を行うことが大変重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/98
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099・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
この内容も、特に充実させることがやっぱり一番重要でございますので、施行までにどういったことが予想されるのかというところを支援団体さんからもお話を聞きながら充実させていただきたいというふうに思いますし、その後、追加してくるところもやっぱりあると思うんですね。最初から入っていないじゃないかなんて言いませんので、必要だと思われるときには早めに追加をしていただいて、被害を防ぐということを重ねていただきたいというふうに思っておりますので、これも重ねてお願いを申し上げます。よろしくお願いをいたします。
同時に、大事だと思われるのが、高校とか大学とか、例えば繁華街もそうなのかもしれませんが、被害に遭う可能性が高い年齢層のところに確実に届くやっぱり広報だというふうに私は思います。
費用を掛けて、よくやっていますというふうに言われるんですけれども、どんなことを聞いてもですね。全然効果が見られないような謎のイベントもやっぱり、私はやっぱりあると思うんですね。そうしたものに費用を掛けるのではなくて、やるのであれば、例えばネットメディアとか新聞、例えばワイドショーとかですよね、この辺りがこぞって取り上げられるような、そうしたイベントをやっていただきたいなというふうにも思いますし、野田大臣の発信力をこれは最大限に活用して広報を打つべきだというふうに私は思っています。ツイッターもそうかもしれませんし、インスタとかLINEとか活用して、できることは全てやっていただきたいというふうに思っています。
これ是非やっていただきたいということをまず要望させていただきたいというふうに思っていますし、その準備がきちんとできているのか、考えているのかというところも、できる範囲で教えていただけたらというふうに思っております。
また、もう一点。これ、資料の三を御覧いただきたいんですが、これは全国で展開がされているDV相談カードです。これ、女性の皆さん、見たことあるかもしれませんね、形とかデザインは違ったとしても。ステッカーだったり、ポケットにすぐ取って入れられるステッカーだったり、ごめんなさい、カードだったり、トイレの目の前に貼ってあるというようなステッカーだったりするんですが、公共施設のトイレとかデパートとか、そういったところに置いたり、そして貼ったりされているものなんですね。
これ、今DV被害だけなんですが、AVの被害も一緒に入れて作っていくと非常に効果があるのではないかなというふうに思っています。やはり、お手洗いとかに行ったときに、例えばDVとか受けている女性は、お手洗いに行くときには、公共施設とか、やっぱり相手は付いてこれませんよね、一緒にお手洗いに入れないですから。そうしたときにすっと取ってポケットに入れて、時間を見付けてワンストップに連絡をするというような状況になっておりまして、これは結構女性の方であればどこかで見たことがあるというようなものになっていると思うんです。
ですので、DV相談カードに今なっていますが、DV、AV被害の相談カードにすれば、既に多くの施設で普及をしているものですから効果も高いというふうに思っています。一人でも多くの若年層や女性を支援につなげて救済をするために提案をしたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/99
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100・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 答弁の前に、塩村委員におかれては、このAV出演被害の問題について意欲的に問題提起をされました。AV出演被害防止に関する各党実務者会合にも主として参加されていると承知しています。その成果として、先週、各党において協議する素案としてAV出演被害防止・救済法案が取りまとめられたと私は認識しています。まずもって、AV出演被害の防止と被害者の救済に向けた御尽力に感謝を申し上げます。
いただいた御提案についてもしっかり参考にして、どのようにすれば相談を必要とする方が必要な相談へと確実にたどり着けるような効果的な周知、広報についてはしっかり検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/100
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101・林伴子
○政府参考人(林伴子君) 広報についてのお尋ねでございます。
このAV出演被害の件もそうでございますし、また御指摘いただいたDVのステッカー、そしてカード、これ私どもの方で、シャープ八〇〇八、はれればということで、DVに悩んでいらっしゃる方がいち早く相談、支援につながるよう取り組んでいるものでございます。
こうしたまさに困っていらっしゃる方、悩みに直面されている方々に届きやすい形で私ども広報をすることが非常に重要だと考えておりまして、性暴力被害、またAV出演被害、こうしたものについてもしっかり、今まさに直面されている方々に寄り添った支援、相談支援ができるように、そこにつながるように広報を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/101
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102・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
先ほどちょっとここでも聞かせていただいているんですが、大臣の発信力をやっぱり最大限に活用をしていただきたいなというふうに思っておりまして、女性、男性というと余りよくないかもしれないんですが、女性の担当大臣でもありますよね、違う方でも担当大臣でもやっぱりありますし、平仮名こどもの件もしっかりとやっぱり大臣、併せて取り組んでいただきたいというふうに思っておりますので、効果は二倍、三倍だというふうに思っておりますし、女性大臣ということもありまして、被害を受けている方に届きやすいんじゃないかというふうにも思っておりますし、周りで支援する方とか、例えばその気配を感じるようなときにこういうのあるよとか、どんどんどんどんと輪を広げていくことがやっぱり必要だと思っておりますので、是非大臣の発信力もお借りしたいというふうに思っているんですが、御答弁いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/102
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103・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) さほど発信力があるとは自分で分かっていないんですけれども、せっかく皆様方が御尽力いただきましたので、しっかり努めてまいります。何でもおっしゃっていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/103
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104・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
もう、じゃ、是非SNSも、そしていろいろなことも、もう考えられることを全て内閣府の皆さんと御相談して、大臣、取り組んでいただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
それで、次はちょっと悲しいお話なんですが、既に四月に平仮名こどもである十八歳がアダルトビデオの被害に遭ったとのことなんです。つまり、未成年者取消し権が今もう使えないため、これ非常に心が痛む状況になっています。十八歳、平仮名こどもなんですが、アダルトビデオの被害があるという知識がないままに急に十八歳から成人になってしまったわけで、契約をするという現実が今あるんです。
若年層、子供を守るために、是非この法案のすごいところを知ってほしいというふうに思っています。契約は、法施行前ですので残念ながら有効なものとなっています。しかし、施行後はですね、施行後は規律の対象になるので、契約は有効なんですが、三条二項というのに、アダルトビデオの出演を強要してはならないというのがありまして、六条二項に、契約に定められていてもその全部又は一部を拒絶することができるという条項がありますので、これ、契約してしまったとしても、今、断ることができるんです。施行してしまえば、一か月ぐらい置かなきゃいけないんですよね、撮影までに。そう、一か月です、一か月。なので、使えるんですよ、実は。
こうしたことをしっかりと強力に広報して、四月一日から空いている穴に落ちてしまった方に、サインをしたとか撮影が終わっていたとしても、撮影の後四か月は公表しちゃいけないことにもなっておりますし、その後、今は二年間は無条件で契約が解除できるということにもなっておりますので、様々な救済策があるという、これ実は強力な法案になっています。
これ、法案が成立したらすぐにこうした強力な広報して、今穴に落ちている方に届けていただきたいというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/104
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105・林伴子
○政府参考人(林伴子君) 私ども内閣府男女共同参画局では、様々な広報ツールを持っております。例えば、ポスター、リーフレットなどを作成して大学などに配布するですとか、啓発動画を作成をいたしまして、ツイッター、インスタグラム、フェイスブック、ユーチューブなどのSNSに掲載したり、あるいは首都圏の主要な路線のトレインチャンネルで周知をしたりといったことをやっております。
また、こうした被害に遭われた方が早くワンストップ支援センターにつながることが大事だと思いますので、私ども、シャープ八八九一という短縮番号を作りまして、全国どこからでもワンストップ支援センター、一番近いところにつながる短縮番号持っております。シャープ八八九一、はやくワンストップと覚えていただくものでございます。
こうしたものなども広報しておりますので、一般論になりますが、法律が施行された場合には、まさに必要とする方に必要な情報がきちんと届くようにということでしっかり広報を、今申したようなツールを最大限活用して進めていきたいというふうに考えております。そういったことが大変重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/105
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106・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
もうこれも是非お願いをしたいというふうに思っております。契約をしても、そして撮影をしたとしても助かる場合があるということが、ここが伝わることが重要ですので、是非お願いを申し上げたいというふうに思っております。
次なんですが、その多くの被害者の救済にやっぱりつながるという上に、この法案なんですが、業界側に抑止が効くので業界側も丁寧な話合いの上に契約を結ぶことになりまして、業界全体の私は健全化につながるというふうに思っています。
そして、契約をして出演をする人を守ることにも当然つながるというふうに思っておりますので、やっぱりこれ広く広報していく必要があるというふうに思っているんですが、残念ながら、ちょっと、一部の方のちょっと運動がありまして、誤った情報が拡散されてしまっておりまして、結局国は助けてくれない法律を作ったというような言葉も聞いて、私は非常にがっかりしているというか、逆につらいなというふうに思っている状況なんです。こう思われてしまっては、被害に遭ったときに相談をしようと思わなくなってしまうと思うんですよ。ですので、やっぱり誤解を解く必要があるというふうに思っています。
まずなんですが、このAV出演の被害の防止とか救済法なんですが、いわゆるですよ、いわゆる本番行為やその売春行為を認めることになるという意見が出まして、一部そういう意見が出ているんですね。
ちょっとそこでお伺いしたいんですが、一般論としてでいいんですが、三条三項にこういうのがあるんですね。いかなる法律も、公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為を無効とする民法第九十条の規定そのほかの法令の規定により無効とする契約を有効とするものと解釈してはならないと、これ資料の四、御覧いただきたいんですが、条文載っけておきました。
そして、四項なんですが、制作公表者及び制作公表従事者は、性行為映像制作物の制作公表に当たっては、この法律により刑法、売春禁止法、そのほかの法令において禁止され又は制限されている性行為そのほかの行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、出演者の権利及び自由を侵害することがないようにしなくてはならないとあるんですね。
一般論としていいので、教えてください。これ、純粋な法解釈をした場合、これはいわゆるグレーの部分を白にするものとなるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/106
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107・林伴子
○政府参考人(林伴子君) 一般論としてお答えいたしますと、法律上の明文でほかの法令の規定により無効とされる契約を有効とするものと解釈してはならない、法令において禁止され又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないと規定されている場合には、その字句どおり、無効の契約を有効とするものでも、法令において禁止などがされている行為を行うことができることとなるものではないと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/107
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108・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
私もやっぱりそうだと思うし、その方向で私たち作ってきたのですね。なので、やっぱりならないんだということは確認していきたいというふうに思っておりますし、この三条なんですが、解釈の基本原則なんですね。ですので、解釈のやっぱり基本となるものですし、第一条の目的にはやっぱり書いてあるとおりだと思うので、そういったものを合法にするような法案を今作っているわけでは絶対にないということは強調しておきたいというふうに思っています。
もう一点なんですが、いや、まだある、まだあるんですが、定義に性行為という言葉があるので、現状グレーである、いわゆる本番AV解禁法案だ、その言葉を抜けという声も、何か性行為という言葉を法文上から抜けという声もネットで広まってしまいました。
これ性行為の定義の重要性なんですが、その定義から性交を削除すると法はどう解釈されてしまうのかというと、罰則規定がありますから、定義をはっきりさせておかねば、性行為のあるアダルトビデオの契約が、それ自体が規律の対象にならなくなるということになるんだというふうに思います。
つまり、被害に遭ったときに、この法律で助けてくれといったときに、性行為という言葉が定義から抜けていると、性行為をしているアダルトビデオが処罰とかこの契約解除の対象にならなくなるという認識だというふうに私は思っているんですが、これちょっと間違っていたら間違っていたというふうに教えていただきたいというふうに思っています。
また、今回の救済法の中に性交を禁止規定として入れろという声もネットを中心にありました。いわゆるその本番をやめろというような話なんですが、本番禁止条項を入れろということなんですが、一般論として契約を規律する法律と契約の対象となる行為自体を禁止するという法律はこれ両立するのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/108
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109・林伴子
○政府参考人(林伴子君) 一般論としてお答え申し上げますと、一つの法律の中で、ある行為に関する契約を規律する一方で、その行為自体を禁止した場合、論理的な整合性を図ることは困難ではないかと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/109
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110・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
つまり、せっかくこの法律作っても今ある被害が全く救えなくなってしまうということになりますので、定義の中から例えばその性交とか性行為という言葉を抜くということはできないし、やってしまったら私たち何のために頑張ってきたのだということにやっぱりなり得るというふうに思っているので、ここもやっぱり皆さんに理解をしておいていただく必要があるかなというふうに思っています。
今ちょっとお伺いしたところに少し答弁が足りていないところがあったな、あっ、大丈夫です。済みません。
そのほか、AV禁止法を作るべきとの声もあったんですが、判例とか審議会の状況はどうなのかということをお伺いしたいというふうに思っています。
今回のこの救済法というのは、長年の議論が、未成年者取消し権がなくなると言ったときからアダルトビデオの話題はずっと始まっておりまして、様々な会議重ねてきたというところも承知をしているので、これだけのスピードでできたというふうに私は理解をしているところなんですが、いわゆる本番禁止、これは法律として作るとか今回の法律の中に入れ込むということをやろうと思ったときに、やっぱり判例とか審議会の状況見ていかなきゃいけないというのは当然のことだと思うんですが、これ現在制定することができるのかなと思うんですが、ちょっとこれ、国会の議論としてちょっとお伺いしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/110
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111・林伴子
○政府参考人(林伴子君) お尋ねの件ですが、まず判例の状況について申し上げたいと思います。
AVの出演契約については、例えばアダルトビデオへの出演行為は公衆道徳上有害な業務に該当するとした裁判例がございますが、一方で、アダルトビデオ出演の専属契約を有効とした上で、女優が損害賠償義務を負うとした裁判例もあるということで、いろいろな判例があるという状況でございます。
また、政府における審議会の状況でございますが、現在政府内でAVを禁止する法律を検討している審議会はございません。
こうした状況を踏まえますと、御質問のようなAV禁止法あるいは本番AV禁止法を現時点で直ちに制定するのは困難であると言わざるを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/111
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112・塩村あやか
○塩村あやか君 御答弁ありがとうございます。やっぱりこれ重要な答弁だったというふうに思います。
今回入っていないから業者に有利なものになっているというような意見もネットに出回っていたりもするんですけれども、決してそうではないということで、私たちは速やかに被害救済のために頑張っていかなきゃいけないというふうに思っておりますし、ただ一方で、そうした意見があるということも今回分かりましたので、それは今後、国会で議論をしていくとか、いろんな方法を考えていかなくてはいけないんだろうなというふうに考えているところです。ありがとうございます。
そして、今回の成年年齢の引下げにおいて一番の議論だったというのは、未成年者取消し権を含めたやっぱり契約の在り方だったというふうに思います。
これ一般論としてお聞きをまたしなきゃいけないんですが、法案が出てきているわけではないので。契約における義務を加重する条項におきまして、契約期間や公開、公表期間を無期限と契約書に書かれていて、それにサインしてしまった場合、これは私は出演者の利益を一方的に害するものというふうに思われるんですが、これどのように考えることができるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/112
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113・林伴子
○政府参考人(林伴子君) お答え申し上げます。
一般論ではございますが、AV出演者の方が様々な社会生活を営んでいるということを考えますと、AV出演者の状況を全く考慮せずにAV出演の契約期間や公開期間を無期限とすることは、出演者に対して大変厳しいものというふうに言わざるを得ないと思います。大変厳しいと感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/113
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114・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
これ、救済法の十条四項に係る部分、大事な部分なので聞かせていただきました。出演者の権利を制限して、その義務を加重する条項であって、民法第一条二項に規定する基本原則に反して出演者の利益を一方的に害するものと認められるものという条文で、これに該当すれば契約を無効にすることがやっぱりできるんですね。今回、契約を、すごく厳しいものをたくさん作っておりますので、その中に公開を無期限とされてしまってはやっぱり意味がないものになってしまいますので、この確認は非常に重要だったというふうに思いますので、この辺りも周知とかできるのであれば是非行っていただきたいなというふうに思っております。
今までいろいろとこれから出てくる法案の細かい内容を一般論として聞かせていただきました。出てきていれば、もっとダイレクトに、ストレートに聞いて、いろんな疑念とかを払っていけるものだと思うんですが、今日はこれはぎりぎりなんだなというふうに思っています。ただ、聞いていただいた方は分かると思うんですが、出ている疑念は全てきちんと条文の中で解消できているというのがこの法案で、先ほど私は結構画期的だというふうに言ったんですが、こういう法案であるということは是非共有をしていただきたいというふうに思っています。
AVの出演の一因に貧困との関連性が指摘されているんですが、これどのように分析をしているのか、お伺いをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/114
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115・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
内閣府が令和元年度に実施したインターネット調査によると、モデル、アイドル等の勧誘された者のうち、聞いていない、同意していない性的な行為等の写真や動画の撮影に応じた経験のある人に、契約することを断らなかった、断れなかった理由を聞いたところ、お金が欲しかったからと回答した者が二三・七%という結果が出ております。
経済的困窮などによって望まない行為を余儀なくされることが残念ながら実態としてあるのだと考えています。そのようなことがないよう、困難を抱える方について必要な支援へとしっかりつなげることが大変重要だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/115
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116・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。本当にその部分って重要だというふうに思うんですよね。
新型コロナの拡大が始まった当初から、大学生、これ女性だったんですが、大学生より、コンビニとか居酒屋でのアルバイトがなくなって、アダルトの仕事を余儀なくされてしまったという相談を受けまして、当初より、私、この内閣委員会でこうした窮地に陥った女性の声を伝え続けてきました。十八歳、十九歳、二十歳だってそうかもしれないんですが、奨学金を借りて、アルバイトをして、そして大学で勉強をすると。成人をしているかもしれませんが、まだまだ保護されるべき部分が非常に大きいというふうに思っております。こここそまさに平仮名こどもで解釈をして、こども家庭庁の出番だというふうに思っております。
コロナ支援のときに感じたことは、厚労省とか文科省とか、結構縦割りに違和感がやっぱりあったんです。今後、一段上で調整ができるということですので、是非、相互調整、期待をしておりますので、よろしくお願いをいたします。
縦割りつながりでちょっとお伺いするんですが、アダルトビデオに出演に悩んだ人からワンストップ支援センターに御相談があったとき、その方々、必要な福祉とか奨学金とか、確実につなげられるような工夫が必要だと考えるんですが、これ文科省としっかり、例えば厚労省もそうかもしれませんが、連携することが今後これまで以上にできるのか、お伺いをしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/116
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117・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、現在、御承知のとおり、全都道府県五十二か所に設置されています。緊急避妊薬の処方や証拠採取などの医療的支援、そして法律相談などの法的支援、カウンセリングなどの心理的支援など、地域における被害者支援の中核的な役割を今担っています。また、相談者の必要に応じて、学校、児童相談所、婦人相談所、福祉事務所等と連携して支援を実際に行っているところです。
引き続き、被害者の速やかな回復を目指し、関係機関としっかり連携して支援を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/117
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118・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
ちょっとこれまでのこども家庭庁以前の答弁と同じ答弁じゃないかなみたいな感じがするんですが、こども家庭庁ができたらそこは改善されるのかという意味合いでもう一度聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/118
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119・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) まさにそれが大きな仕事の一つで、しっかりと、まあばらばらではないんですけど、今も連携して取り組んでいるけれども、更に連携を深めていけるような取組をしていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/119
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120・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
更にという言葉がありましたので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思っております。
次なんですが、今回のアダルトビデオの出演の被害防止・救済法案について大臣の評価をお聞きしたいというふうに思っております。
過程を含めいろいろと見てきていただいたというふうに思いますし、いろんな議員からの質問を受けて大変な思いをされたこともあるんじゃないかなというふうにも思っているところなんですが、私もそう思っているんですが、与党の実務者の方は、これ画期的な議員立法だとマスコミに対してコメントしておりました。私もそういうふうに思っています。
野田大臣にお伺いをいたします。
経過もいろいろと見守っていただいておりまして、御存じだというふうに思うんですね、この今回の過程を含めて。大臣、このコメント、どのように受け取っていますでしょうか。そして、この法案の過程とか、いろいろ思うこととか感想があればお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/120
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121・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) アダルトビデオへの出演に関する被害の問題は、私は、申し上げるまでもなく、被害者の心身や私生活に長期間にわたって悪影響を与える重大な人権侵害であり、深く憂慮すべき問題だということは皆さんの共通の認識だと思います。
AV出演被害防止に関する各党実務者会合においては、AV出演被害の防止と被害者の救済を必ず実現するという思いの下で、各党の皆さんの間で大変熱心な議論が重ねていただいたと情報をいただいてきたところです、党を問わずですね。この実務者会合で取りまとめられたAV出演被害防止・救済法案は、性別、年齢を問わずAV出演契約を無力化するために、これまでにない画期的な案になったと受け止めています。
改めて、委員を始め各党実務者の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げたいと思いますし、私としても、この法案が実現し、一刻も早く被害の防止、被害者の救済へとつながることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/121
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122・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
本当に全員で画期的な法律であるということを広報していくことが一番被害者の方につながっていくというふうに思いますので、引き続き皆さんの力を合わせて、被害者を生まないんだということを頑張って広報、啓発していきたいというふうに、私たちももちろん協力しますので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次のテーマに移らせていただきます。
ちょっと質問二つほど飛ばさせていただきまして、子育て支援なんですが、内閣委員会の視察で都立公園にある認定こども園を視察させていただきました。
この先なんですが、子供の減少も報じられている中、保育はもう、もはやもう全然、数を確保するのではなくて質が非常に重要だというふうに考えております。当該こども園なんですが、質の高い保育士の確保が可能となっているのは自治体からの補助であり、特に借り上げ住宅に手厚い補助があるからだと、これが一番大きいというふうにおっしゃっていました。
しかし、こうした補助金なんですが、やっぱり期限があったりとか単年度であったりとか、それが何年も続いているというような状況で非常に不安定だということなんですね。これがなくなってしまうと今の質を維持できなくなるのではないかということだったんです。子供の質のいい保育環境を保つためにも、やっぱり短期的に不安定な形で保育をお願いするのではないと、これってあんまりやっぱりよろしくないんだというふうに思っているんです。長期的にやっぱり支援していくという姿勢が必要ではないかというふうに思っているんですが、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/122
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123・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 全ての子供の健やかな成長を保障する、その上で保育の質の確保を図ることは大変重要であります。
現在、厚生労働省において、修学資金の貸付けや保育士の宿舎の借り上げ、今お話ありましたが、借り上げ支援など、保育士の確保策に取り組むとともに、保育所の所長や主任など現場の各階層別の専門性に応じた各種研修の実施や、各保育所が行う保育内容を自己評価するためのガイドラインの策定等、保育の質の確保のために様々な取組を進めているところです。
こども家庭庁において、厚生労働省や内閣府で行っている様々な保育の質の向上のための様々な取組をしっかりと引き継ぎます。で、一元的に実施していく、そういうことで、保育の質の向上に向けた取組を更に強力に推進して、子供の健やかな成長を保障してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/123
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124・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
今、しっかりと引き継ぐということでした。現状やっぱり足りていないのは、先ほどのNPOの話とも通じる部分だと思うんですが、単年度単年度でやられてしまうとやっぱりきつい部分があるというふうなことがあろうかと思いますので、ちょっとそういった部分も含めて議論をしていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
次です。資料の五を御覧ください。NPO法人のキッズドアさん、視察をさせていただきました。
塾に通えない子供への学習支援をしておりまして、困窮家庭の子供が医学部とか国公立にも合格するなど、これ結構すごいですよね、本当に、医学部六名合格とか、支援があれば子供が望む未来を後押しができるんだというふうに再確認ができたというふうに思っています。
キッズドアには基金がありまして、受験費用など五万円とか、こうした奨学金がなければ大学進学を諦めたというような子供が多いというお話だったんです。
資料の六を御覧ください。これ、キッズドアからの緊急提言なんです。
東京都には受験生チャレンジ支援貸付があり、受験料を八万円貸し付け、大学に入学すれば返済の免除、こうした制度があると。このような公的制度を全国に拡大してほしいなどと様々な要望がそこに載っております、資料七なんですが。そしてまた、高校生奨学給付金の対象拡大も必要であるということなんですね。
先ほどの資料の五ですよね、大学合格速報、医学部六名合格という、この資料でも分かるように、偏差値とか学歴は最近親の年収に比例しているというふうにも言われているんですが、学習機会とか支援があれば困窮家庭の子供も医学部を始めとした大学に十分進学することが可能となってくるというふうに思います。
大学進学機会の公正性の確保はこども家庭庁の喫緊の課題ではないでしょうか。早速取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/124
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125・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 子供が希望する大学進学等について経済的な理由で断念することがないようにすることはもちろん重要です。
大学進学機会の確保等に寄与する経済的負担の軽減策としては、まず平成二十二年度に開始された高等学校授業料の無償化のための高等学校等就学支援金による支援、そして平成二十六年度に開始された非課税世帯の高校生に対する授業料以外の費用に係る負担軽減のための高校生等奨学給付金による支援、そして令和二年度に開始された真に支援が必要な低所得世帯に対する高等教育の修学支援新制度による支援などがあります。このうち、高校生等奨学給付金については毎年度給付額の拡充を図ってきました。
さらに、五月十日に取りまとめられた教育未来創造会議の第一次提言、ここでは、給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大についても記載されており、恒久的な財源の観点も踏まえつつ、同提言を踏まえた検討が今後行われる予定であるということを承知しています。
これらの国による措置のほか、今委員御指摘がありましたが、自治体の独自の判断により様々な工夫を行い、子供の大学進学の希望をかなえるための取組が進められているところです。
国における取組と自治体の独自の取組とが相まって、困難を抱える子供の進学の希望がかなうような支援を届けるべく、文部科学省と連携した取組を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/125
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126・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
もうまさにこども庁ができたということで、これ喫緊の課題ですので、手厚く重点的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
最後に一点、資料八、御覧ください。これ無痛分娩です、取り上げ続けている。
多くの女性が希望しているんですが、対応病院がなくて、日本はたった六%ということになっております。この数字上げていくことがとても重要だというふうに思っております。選択をしたくても、対応病院が日本少な過ぎるんですね。これ、少子化対策としても有効であると、このような御答弁もいただいております。
これまでの御答弁を踏まえまして、こども家庭庁、周産期からスタートするということでございますので、前進させる決意を是非大臣に聞かせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/126
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127・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 様々、私も個人的に妊娠、出産には苦労してきた一人なんですが、御意見は共有いたします。
妊娠、出産に関する希望がかない、誰もが安心して妊娠期間を過ごし出産することができる環境を整備するということが重要。少子化社会対策大綱においても、政府全体で妊娠、出産に関する経済的負担の軽減、周産期医療の確保、充実などに取り組むこととしておりまして、厚生労働省においては、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会と連携し、無痛分娩に関わる医師等の医療スタッフに対する産科麻酔等に関する研修の実施、そして無痛分娩を取り扱う施設における診療体制に関する情報公開を行う等、無痛分娩の安全な提供体制の整備に関する取組を進めているものと承知しています。
こども家庭庁においても、もちろん厚生労働省と緊密に連携して、安全かつ安心して妊娠と出産ができる環境整備、これに取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/127
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128・塩村あやか
○塩村あやか君 是非前に進めていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
本当に皆様ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/128
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129・高瀬弘美
○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
子供の幸せを最優先とする社会をつくっていく、そのための大きな一歩でありますこのこども家庭庁であります。未来の子供たちのために、法案の中身で明確にしておきたいところを確認させていただきながら、現場でいただいてきたお声を基に政府にお願いしたいこともたくさんございます。是非、建設的な議論をさせていただきたいと思いますので、野田大臣、そして関係役所の皆様、どうぞよろしくお願いをいたします。
衆議院の内閣委員会での議論、そして昨日の本会議での議論の中で明確になってきたことたくさんありますけれども、幾つか確認をさせていただきたい点がありますので、まずその点をお伺いしたいと思います。
今回のこども家庭庁設置法及び公明党、自民党で提出させていただいているこども基本法において、子供の権利というものが明確化をされています。この子どもの権利条約の一般原則とされている四つの権利、一、生命、生存、発達の権利、二、差別の禁止、三、子供の意見の尊重、四、最善の利益、これがこども家庭庁法案の第三条に含まれていると私は認識をしておりますが、このことを確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/129
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130・長田浩志
○政府参考人(長田浩志君) お答えいたします。
議員御指摘の児童の権利に関する条約のいわゆる四原則でございますが、児童の権利委員会が同条約の一般原則を示すものとして、条約の第二条、第三条一、第六条及び第十二条を位置付けたものと理解をしております。
こども家庭庁設置法案第三条におきましては、こども家庭庁の任務といたしまして、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重すること、また、子供の最善の利益を優先して考慮することを基本として明記をし、また、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを規定をし、議員御指摘のいわゆる四原則も考慮し、条約の関連規定の趣旨を踏まえた内容としているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/130
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131・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
衆議院での議論でも、当事者である子供たちの声をこども家庭庁においてどのように常に聞いていくのかという議論がございました。大臣も御答弁の中で、例えばオンラインでも子供たちの声を聞くことはできるし、また、こども家庭庁ができた暁には、常に子供が出入りするような、そういうところを目指していくというようなお話もございました。
野田大臣がいらっしゃる間はしっかりとやっていただけると確信をしているんですけれども、この子供の声をこども家庭庁において常に聞いていくというのは、この法案の中の条文のどこで担保されているのか、このことも確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/131
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132・長田浩志
○政府参考人(長田浩志君) お答えいたします。
こども家庭庁設置法案第三条におきまして、先ほど申し上げましたが、こども家庭庁の任務といたしまして、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とするということを規定しているところでございます。
また、昨年末に閣議決定をいたしました基本方針におきまして、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるよう取り組むことを掲げており、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/132
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133・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
この大臣もおっしゃっていただいております子供の声を常に聞く、このためには、これからこども庁が十年、二十年たってもこの設立時の私たちの思いがしっかりと受け継がれていくためには、自治体も含めて継続的に子供の声を聞いていただくための予算の確保とその仕組みづくりをしっかりつくっておくということが必要となると考えます。
今、この仕組みづくりについて、今後どのように進めていただく御予定かについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/133
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134・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩ですし、とてもこのこども家庭庁の柱だと私は信じています。
委員御指摘のとおり、子供の意見が年齢や発達の程度に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるよう、予算の確保を含めた仕組みづくり、これが大変重要であると、それを、柱をしっかり守るためにということで認識しています。
こども家庭庁においては、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについて検討をしていくこととしており、こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、子供の意見の政策への反映に関する調査研究、これを行うことにしています。
この調査研究を踏まえて、子供や若者から意見を聞く様々な手法を組み合わせ、多様な声を聞くように努めながら、子供政策に反映させるための継続的な仕組みづくりを行い、必要な予算の確保を図ってまいります。
また、地方自治体においても、子供の意見の政策への反映が行われることが望ましいと考えています。先進的な取組を行っている地方自治体もあると承知しています。調査研究を通じて収集した好事例を横展開するなど、地方自治体の取組も促進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/134
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135・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
公明党の思いとしまして、今回、こども家庭庁の議論の中に入れていただきましたのが子供ホスピスのことでございます。
日本においては、公的な子供ホスピスというのが今ございません。いわゆるマクドナルド・ハウスですとか、民間がやっていたりNPOさんがやっている子供ホスピスというのはあるんですけれども、この公的な行政がやっている子供ホスピスというのがございませんでして、それを求める声というのは私の地元福岡でも大きくございますし、また、今、日本中から、いろんなところからこの声が上がっております。もう限りある命と今まさに向き合っている当事者の子供さんたちからもその声を受けてまいりました。
そうした中で、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針、これ昨年十二月、閣議決定していただいたものでございますが、この中に、我が党の主張を踏まえまして、子供ホスピスの検討を進めることが記載をされました。ただ、子供ホスピスという定義が今の日本にはございませんので、子供ホスピスという言葉にはなっておりませんけれども、子供ホスピスの検討についてはこども家庭庁でやっていくのだということをこの基本方針のどこにあるのか、また条文のどこでそれが担保されているかについて確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/135
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136・長田浩志
○政府参考人(長田浩志君) お答えいたします。
いわゆる子供ホスピスにつきましては、御指摘のとおり、公明党での御議論も踏まえまして、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針におきまして、こども家庭庁の成育部門が担う事務といたしまして、関係省庁と連携しながら、小児がん患者などが家族や友人などと安心して過ごすことができる環境の整備について検討を進めるというふうに記載をしているところでございます。
また、法律との関係でございますが、こども家庭庁は、設置法の第四条第一項八号及び第十二号におきまして、子供の福祉の増進や保健の向上に関する事務を所掌することとしていますとともに、加えまして、こども家庭庁設置法第四条第二項第一号に基づきまして、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する事項についての総合調整権限を有するということにしてございまして、これらの規定に基づきまして、小児がん患者などが家族や友人などと安心して過ごすことができる環境の整備についての検討にも取り組んでいくこととなりますが、こうした環境整備は、福祉や保健のほか、医療、教育など様々な分野にまたがる検討が必要であることから、厚生労働省、文部科学省など関係省庁とも緊密に連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/136
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137・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
今、方針にしっかり入っていること、また法文の中でもそれが読み取れることを確認をさせていただきました。
この子供ホスピスにつきましては、もう私、議員になってからずっと当事者の皆様と実現に向けていろんな活動をしてきておりまして、もう大変思い入れがあります。大臣とは是非次回以降の委員会でもう少し深く議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、昨年十一月に閣議決定をされましたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策の中にございました子育て世帯への臨時特別給付金についてお伺いをしたいと思います。
今日、お手元に配付資料としてその臨時特別給付金についての紙を配らせていただきましたけれども、ここにありますとおり、新型コロナウイルス感染症が長期化をし、その影響が様々に及ぶ中で、子育て世帯については、子供たちを支援し、未来を開く観点から、年収が九百六十万以上の世帯を除き、高校三年生までの子供たち一人につき十万円相当の給付を行うというものでございました。
この給付方法をめぐっては、この配付資料の真ん中の方にもございますけれども、自治体が選択できる三つの給付方法がありましたけれども、それぞれの給付方法及びその実施割合についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/137
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138・黒田岳士
○政府参考人(黒田岳士君) お答え申し上げます。
子育て世帯への臨時特別給付の執行状況を調査いたしましたところ、地方公共団体の三つの支給方法の内訳、実施割合は、今御指摘のあった配付資料の記載順で申しますと、①の五万円の先行給付金と五万円の追加給付金の組合せが一七・三%、②の五万円の先行給付金と五万円相当のクーポンの給付の組合せが〇・三%、③の十万円の一括給付金が八二・四%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/138
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139・高瀬弘美
○高瀬弘美君 今、数字の方をお示しいただきましたけれども、一番と三番、つまり現金での給付が九九%と、そして現金五万円とクーポン五万円を選んだ自治体が〇・三%。逆に〇・三%もよく頑張ったなと思いますけれども、クーポン給付をしていただいたということでございます。
この給付金につきましては、これ公明党が提案をさせていただいたものでございますが、当初、私ども提案させていただきましたとき、現金で、所得制限なしで、かつ子供一人につき十万円という分かりやすいもの、こういう形で主張させていただいたものでありますけれども、その後、政府との様々な議論の中で、また所得制限を設けることと、また現金とクーポンの組合せで、それが選択肢となるようにというふうになっていった経緯がございます。
結果的に年収が九百六十万以上の世帯が対象外となったわけでございますが、これに対しては子育て世帯から大変強い反発がございまして、その結果、自治体が独自に地方創生臨時交付金等を活用して対象外の世帯にも給付するという例が各地で見られました。私が個人的に知っている限りでも、結構な数の自治体が九百六十万以上の子育て世帯に対してもこの給付を行ったと承知をしております。
内閣府にお伺いをいたします。
こうした対象外となった方々に対し、独自に給付金を実施、給付を実施した自治体の数、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/139
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140・黒田昌義
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
子育て世帯への臨時特別給付への上乗せ、横出しに対しまして、各自治体の判断によりまして新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用することが可能となっております。
先生今おっしゃられました自治体の数、臨時交付金を活用した給付の状況につきまして、完全に網羅的に数を把握しておりませんけれども、内閣府に提出されました実施計画ベースで調べましたところ、様々な自治体におきまして、例えば所得制限において対象外となった世帯に対しまして一律十万円を給付するとか、当該世帯のうち多子世帯等を対象として給付するであるとか、一律五万円を給付するなど、地域の実情に応じまして子育て世帯への臨時特別給付への上乗せ、横出しに臨時交付金を活用いただいているというふうに承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/140
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141・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
今、正確な数は網羅的には把握していないというお話があり、また、自治体によって、この対象外となったいわゆる高所得の世帯に一律十万円のところもあれば、多子世帯だけに限っているところや、様々な形があったというお話がございました。
このいろんな意味での上乗せ、横出し、この数を今後把握する御予定というのはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/141
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142・黒田昌義
○政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。
令和三年度の効果検証というようなことをこれからやっていくことが予定されておりますので、そうした中で、この子育て制度の対象も含めまして、各自治体の実態についてはちゃんと把握していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/142
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143・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
大臣、私、この数ですね、横出しあるいは上乗せをしていた自治体の数を把握すべきではないかと思っております。
なぜかといいますと、これを行った自治体が多いということは、やっぱり地元からそういう声が多かった、対象外になった子育て世帯の中でどうして私たちはもらえないのかという声が多かったからこそ、各自治体は自分たちの判断としてこの地方創生臨時交付金を使ってこういうことを行ったのではないかと私は思っております。
子育て世帯のあらゆる支援は、その対象は子供であります。親の年収で子供を線引きをするということは子供の間に分断を生むことになりますし、今回の給付金の例を取りましても、例えば、世帯年収が五百万円で今回の十万円の給付対象になった御家庭で子供が一人の御家庭と、年収が一千万の御家庭で子供さんが三人いる御家庭とではどちらが教育費の負担が大きいかを考えると、これはもう一目瞭然でございます。
そういうところがなかなかこの年収の線引きをされてしまうと考慮をされない、このことは現実的ではないというふうに思いますが、大臣はこの子育て支援における所得制限、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/143
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144・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) これまでも、保育の受皿整備をしました。幼児教育、保育の無償化などもしてまいりました。ニーズを踏まえ、優先順位を付けながら、安定財源をしっかり確保して、様々な子ども・子育て支援というのを充実させてきたところです。
今御指摘もございましたが、各制度において所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的とか支援方法などに応じてそれぞれが判断されるものと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/144
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145・高瀬弘美
○高瀬弘美君 というお答えなんだろうなと思っておりましたけれども、とはいえ、やっぱり今この子育てに係る予算を大きく増やそうという中で予算がしっかりと取れた暁には、やっぱりこの所得制限というのは撤廃をしていただきたいなと思いますし、先ほど多子世帯について少し触れさせていただきましたけれども、こども家庭庁におかれましては、是非、それぞれの子供さんが小学校、中学校、高校、大学とステージが変わっていくにつれて親御さんの負担がどう変わっていくのか、またどのステージが負担が一番大きいのかというようなことを当事者の親御さんの声をしっかりと聞きながら考えていただきたいと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/145
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146・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 私は個人的に幸いだと思っているのは、この国会においてやはり子供政策にすごくフォーカスを置いていただき、様々な御意見や御注意もありましたし、御指摘もありました。そういうのが余りなかったんですね、これまで、この日本の国会の中で。ですから、もう問題山積も明らかですし、やっぱり現場に即したという、本当に子供と暮らしている、子供と生きているその現場の声というのもなかなか届いていなかったなというのを、それぞれの党の皆さんの御意見を聞いていて、みんなで、ああ、いろいろ現実が近づいてきたという、それに対して、やはりこども家庭庁やこども基本法やこういう子供政策、こどもまんなかの政策で転換していくという、そういうときなんだと思っています。
ですから、当然のごとく今おっしゃったことは含まれて、いろいろな声を聞いて、聞いていなかったわけではないけど、やっぱり小さい声だったのかなと。今、やっぱりこどもまんなかということは、全てそこはまずセンター、政治のセンターに置くんだということで、大きく様々な声を聞けることになるという政策を進めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/146
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147・高瀬弘美
○高瀬弘美君 大臣、大変力強い御答弁、ありがとうございます。
昨日も本会議の中で、児童手当の所得制限撤廃の話、他党の議員の方からございましたけれども、その際、総理答弁の中で、児童手当は昭和四十七年の制度発足時から所得制限があってというお話ございましたけれども、今、少子化が危機的な状況で、子育ての環境が大きく変わり、子供が大変な状況にあるからこそこのこども家庭庁をという議論でございますので、それに合わせて制度の方もやっぱり変えるべきところは変えていくべきだと思います。
私自身も子育て世帯の方から声いただくこと多いんですけれども、やっぱりこの所得制限という部分が非常に皆様いろんな思いを抱えていらっしゃいますので、是非その声を大臣にしっかりと聞いていただきたいと思います。
次の話題に移らせていただきます。
昨日の本会議におきまして、ゼロから二歳の子供への支援を早急に充実させるべきだという趣旨で総理に質問をさせていただきました。三、四、五歳につきましては幼児教育の無償化もありますけれども、これがゼロ、一、二歳になりますと、親が働いていて共働きの家庭であれば保育園には行けるんですけれども、その場合でも、無償化ではございませんので、保育料というのを払わなければなりません。これが毎月結構な金額になります。
また、昨日の本会議の中でも指摘させていただきましたとおり、専業主婦の家庭はそもそも保育園には通えませんし、地域の子育て支援施設とか、そういうものは利用はできるんですけれども、極端に利用できる子育て支援が少ないのがゼロ、一、二歳の特に専業主婦の家庭ではないかなと思います。
私が、また私ども公明党がなぜこのゼロ、一、二歳の子供への子育て支援がこれほど大事と考えるかというところなんですけれども、ちょっと幾つか数字を確認させていただきたいと思います。
まず、子供がどの年齢のときに離婚は一番多く発生をするのでしょうか、そして児童虐待死における死亡時の子供の年齢で一番多いものは幾つなのか、改めて確認させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/147
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148・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) お答えします。
平成二十八年度の全国ひとり親世帯等調査におきまして、一人親世帯になったときの末子の年齢は、離婚、未婚の母、遺棄、行方不明等を含めた数字となりますが、母子世帯では平均年齢が四・三歳となっております。年齢階級別に見ますと、ゼロ歳から二歳の割合が三九・六%となっております。
また、虐待の方ですが、厚労省では、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会におきまして、死亡事例等の重大事例の背景、要因等を分析、検証しております。平成三十一年四月から令和二年三月までを調査対象期間とする第十七次の報告によりますと、子供虐待死亡例のうち、心中以外の事例における死亡時点の子供の年齢がゼロ歳から三歳未満であった者が四十九人中三十四人で六九・四%と多くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/148
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149・高瀬弘美
○高瀬弘美君 もう一度確認させていただきたいんですが、子供が、離婚したときの子供さんの年齢、末子の子供さんの年齢はゼロから二歳が三九・六%と一番多いと。その次に多いのは何歳になりますか、割合も含めてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/149
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150・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) お答えします。
母子世帯、母子家庭でございますけれども、その次に多くなっていますのが三歳から五歳で一九・七%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/150
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151・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
つまり、ゼロから二歳のときに、子供さんがゼロから二歳のときに離婚した母子世帯が四割、三から五歳のときに離婚した母子世帯が二割と、やっぱり圧倒的にこのゼロから二歳のときの離婚が多いわけでございます。
なぜこの年代のときに離婚が多いか。私が考えますに、育児によって最も大変な時期なのではないかと。また、産後うつですとか様々なストレスにさらされることが起こりやすいのがこの年齢の子供のいる御家庭ではないかなと思います。
死亡時の年齢につきましても、一番多いのは生まれたその日に殺害をされるという、いわゆる産み落とし等で亡くなるという事例でございますけれども、それ以外を考えましても、やっぱりこのゼロから三歳、大変子供さんが小さいときに虐待によって死亡するということが多いわけでございます。
この数字が物語っておりますのは、一つは、やっぱりこの年代の子供さんたちがいる御家庭、ここへの支援をしっかりとやらなきゃいけない。また、今日の数字でははっきりは出ておりませんけれども、生まれたその日に亡くなる虐待死が一番多いわけでございますから、とすれば、やっぱり生まれる前からの支援が大事になってくると。この妊娠中の支援についてはまた次回以降の委員会の中で質問させていただきたいと思います。
こういういろんな数字を見たときに、やっぱりゼロから二歳の子供さんがいる家庭をしっかり支援しなきゃいけない。実は、この問題意識は厚労省にも共有いただいておりまして、保育園の利用を拡大することを検討いただいております。その中身を御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/151
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152・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) お答えします。
厚労省におきましては、検討会などにおきまして、例えば自治体が実施しておりますマイ保育園といったような取組、その地域の保育所が地域の子育て支援を支えると、相談支援に応ずるというような取組がございます。こうした自治体の取組も参考にした上で、今国会に提出しております児童福祉法の改正法案では、市区町村は、保育所を含む地域の子育て支援機関などにおきまして、住民からの子育てに関する相談に応じ、必要な助言を行うことができる身近な相談機関を整備するよう努めることとするという内容を盛り込んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/152
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153・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
いい傾向だとは思うんですけれども、相談とかそういうのも大事ではあるんですが、私が求めているのは、ゼロから二歳の子供さんが、必要なときに保育園で預かっていただける、保育園に通うことができる、ここを求めているわけでございます。
今でも一時預かりという制度がございます。専業主婦の御家庭であってもこの一時預かりは使えるんですけれども、この制度がなかなかニーズにマッチしたものとなっておりません。
まず、一時預かりの平均年間利用日数及び厚労省が把握をしている一時預かりの問題点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/153
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154・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) 令和元年度の実績ですが、全国の一時預かり事業の総供給量を単純に未就園児の数で除して算出した平均年間利用日数でございますが、児童一人当たり年三日となっております。
一時預かり事業の課題といたしましては、保護者が利用したいときに利用できないという状況が生じる場合があること、ふだん保育所を利用していない子供を預かるため保育士の側の負担も大きくなることなどがあるものと承知をしております。
昨年開催いたしました厚労省の有識者会議の提言等も踏まえまして、利用前の施設見学や慣らし預かりの促進など、運用改善を検討するとともに、今国会に提出しております児童福祉法の改正法案によりまして一時預かり事業の定義を見直し、育児の負担軽減のための利用が可能であることを明確化するなど、一時預かり事業を充実させ、多くの方に気兼ねなく利用していただけるよう支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/154
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155・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
今、法改正をして育児の負担軽減というのを明確にしていただけるということで、保育所の役割が一つ大きく変わっていくわけでございます。今御答弁にありましたけれども、一時預かりについては年間たった三日しか今利用できていない状況であります。
一例として新宿区の例を挙げさせていただきたいと思うんですけれども、この一時預かりについては、二週間、預けたい日の二週間前が受付日になっております。この日、何が起こっているかというと、朝から一斉に預けたい親御さんたちが電話をしておりまして、まず電話がつながらない、やっと電話がつながると、もう定員いっぱいですということで、預けたい日に預けることができないんですね。なので、例えばその日に子供を預けて髪の毛を切りに行こうと思っていたような方が、預けることできないのでそれを延ばさないといけなかったり、あるいは病院に行くこともできなかったり、それくらい、そのニーズはすごくあるんですけれども、なかなか見合っていないという状況がございます。
今、保育士の側の負担も大きいというお話、厚労省からありましたけれども、じゃ、保育園の側が定員としていっぱいで子供を預かることができないのかというと、そんなこともないわけであります。このことについて、保育園の定員充足率、確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/155
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156・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) 令和三年四月一日時点の保育所等の定員充足率は九〇・九%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/156
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157・高瀬弘美
○高瀬弘美君 一割の保育園が空いているんです。今ちょっと例として挙げさせていただきました新宿区を見ましても、今認可の保育園どこが空いているのかというのを常にアップデートされていて見れるんですけれども、かなり空きはあるんですね。
御存じのとおり、毎年毎年生まれてくる子供の数が減っておりまして、二〇一八年九十一万人だったのが二〇一九年には八十六万人、そして今八十四万人ですので、生まれてくる赤ちゃんの数はどんどん減っている。その一方で、国を挙げて保育の受皿を増やしてきましたので、受け入れる側はかなり整っているんですね。なので、空きがたくさんある。保育園の側も、せっかくつくった枠でありますのでそれを埋めたいという思いがあるけれども、認可ですので両親共に就労している家庭の子供じゃないと預かれないという問題がある。今非常に誰もハッピーではない状態になっているのではないかなと思います。
厚生労働省の方でも様々御検討をいただいていること承知をしておりますし、ただ一方で、やっぱり自治体が、自治体ももちろんそういう認識をしていて、この空いている枠を何とかしなきゃというのは思っているんですけれども、それを使いたいと思っても、やっぱり国から方針がないとなかなかそういうことできない。結局は一時預かりの延長しかできないということになっております。
やっぱり、このゼロから二歳の子供を抱える家庭が、特にワンオペで大変な思いをしている専業主婦の方々が、空いている保育園に預かりではなくて定期的にちゃんと通わせることができる、こういう制度を、いろんな検討とか審議会も大事なの分かるんですけれども、もう比較的速やかに制度を拡充していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/157
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158・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 御指摘のとおりだと思います。
乳幼児期の教育及び保育は、子供の健全な心身の発達を図りつつ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものだと理解しています。このため、幼稚園、保育所、認定こども園に通う子供たちはもとより、いずれの施設にも通っていない未就園児も含めと書いてあるんですけど、こそ、やはりこども家庭庁はしっかりとつながっていかなきゃいけないなというふうに私は思います。小学校就学前の全ての子供の成長を支えることが必要になっております。
こうした中、児童数の減少などにより地域によっては定員に空きが出ている保育所等もあり、今お話がございました、保育所の知識や経験をしっかり生かして、未就園児を含め、地域の子育て家庭に対する支援の担い手となることが求められています。
現在審議中の児童福祉法改正案では、市町村は、保育所を含め、身近な子育て相談機関を整備するよう努めることとする内容が盛り込まれております。また、厚生労働省においては、人口減少地域などで定員に余裕のある保育所が未就園の子供を週一、二回程度預かるモデル事業の実施について検討を進めているものとも承知しています。
こども家庭庁においては、こうした取組を引き継ぐとともに、未就園児の実態把握をしっかり進め、市町村等々と連携して子育て支援のサービスや幼稚園、保育所などの就園につながるプッシュ型の支援などを進めていくこととしており、これらを通じて小学校就学前の全ての子供の健やかな成長が保障されるよう取り組んでまいります。
こども家庭庁が非常に焦点を置いているのは、今委員御指摘の未就園児なんですね。専業主婦といっても、望む望まない、様々あります。だけど、それによって子供のその幼児教育に格差が出ることは、子供政策、こどもまんなか社会に望まれていることではありませんので、しっかりと取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/158
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159・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、保育の現場の処遇改善についてお伺いいたします。
岸田政権として、新しい資本主義の下、公定価格の見直しによる介護、看護、保育士の処遇改善が進んでおります。この対象ともなっております保育士、この処遇改善についての大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/159
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160・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 取組についてお話ししたいと思いますが、保育士等の給与が他の職種に比べて低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があることから、これまで、平成二十五年度以降の累次の改善による月額四万四千円に加えて、平成二十九年度からは技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してまいりました。
これらに加えて、昨年の経済対策に基づき、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、保育などの現場で働く方々の収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を行っています。引上げに当たっては、それが継続的なものとなるように、補正予算によって本年二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降は公定価格の見直し等により措置することとしています。
今後は、今後の具体的な処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえて、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から、関係大臣と連携して検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/160
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161・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
国はいろんな形で処遇改善に取り組んできていただいたわけでございますが、同じ保育士さんでも、認可外の保育施設、ここの保育士さんは国の処遇改善の対象にはなっておりません。
認可外の保育施設の保育士さんの処遇改善についての大臣の御所見、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/161
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162・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 高瀬委員御指摘のとおり、地域において重要な役割を果たしている認可外保育施設があることは認識しておりますが、施設や人員配置などの最低基準を満たす保育所における保育が基本であると考えているところです。
そのため、今般の保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業においては、これまでの処遇改善と同様に、保育所等の公定価格の対象となっている施設の職員についての処遇改善を図ることとしています。
認可外保育施設については、認可施設への移行支援、その支援するために施設の改修費や運営費などの補助を実施していると承知しており、引き続きこれも関係省庁と連携して移行を促進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/162
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163・高瀬弘美
○高瀬弘美君 大臣、ありがとうございます。
今、移行支援のお話ございました。この認可外の保育施設については、もう何年も前から、この移行という形で認可の保育園になってください、そこの部分を国が支援しますという形でやってきているわけでございますけれども、私の地元なんかでも、もう市町村の方がこれ以上認可の保育園増やしたくないと。つまり、一度認可をつくってしまうともうずうっとその認可の保育園を抱えないといけなくなりますので、今後、待機児童対策、どうなるか分かんない、少子化も進んでいる、そういう中でこれ以上保育園を増やすのはちょっと待ちたいという自治体、かなり数が増えております。
ただ一方で、今現在、待機児童問題ありますので、その受皿を何とかしなければいけないということでこの認可外の保育施設の皆さんが頑張ってくださっている、そういう状況にあります。
認可外の保育施設、御存じのとおり、一口に言ってもいろんな施設がありまして、例えばインターナショナルスクールのようないわゆる高所得の方が行かれるすごいハイスペックの認可外の保育園もあるんですけれども、私の地元で見ている認可外の保育園というのは、今申し上げたような認可に入れない子供たちの受皿として、もうほぼ認可と同じような基準でちゃんとやっていただいている、そういう保育園も多いわけでございます。この認可外の保育園の保育士さんたちは一生懸命やっていて、しかも認可の保育士さんと同じ国家資格を持っているにもかかわらず、片や認可の保育園で働いている方はきちっと処遇改善がされていく、自分たちはどんなに一生懸命働いても処遇はなかなか上がっていかないという中で、非常に不平等感が生まれております。
今はなかなか保育士という職業に注目をしてやっていくというのが制度上難しくて、公定価格という形で処遇改善しかできないのかもしれませんが、今後、例えばマイナンバーカードというものがしっかり機能していったときに、それぞれの個人の状況が見えていったときに、その個人を的として、例えば保育士という仕事をやっている方に対して月額のお金を上乗せするとかいうことも可能になってくるかもしれませんし、是非とも将来の検討課題としてこの認可外の保育士さんたちが今取り残されているというこの状況、これについては大臣に是非とも御検討いただきたいなというふうに思います。
昨日の本会議におきまして、これまでは待機児童対策が中心で量を増やすことに重きが置かれたけれども、これからは質が大事だという指摘を私の方からさせていただきました。日本には配置基準ですとか面積基準ございますけれども、昨日の本会議でもお話しさせていただきましたとおり、何が子供にとっていい保育なのかという、その中身の部分、これがはっきりとした基準とか指標がないわけでございます。ですので、残念ながら、認可の保育園で、人員基準も面積基準もちゃんとクリアしているけれども、中を見てみると子供の自尊心を傷つけるような暴言が行われていたり、あるいは給食もちょっと信じられないような質の給食が提供されていたりと、そういうことも起こってしまうわけであります。
まず、厚労省にお伺いしたいと思いますが、保育の質の指標については検討状況どのようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/163
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164・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) 厚労省におきましては、保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会におきまして二〇二〇年六月に議論の取りまとめが行われております。その取りまとめによりますと、保育所等における保育の質は、子供が得られる経験の豊かさとそれを支える保育の実践や人的、物的環境など、多層的で多様な要素によって成り立つものであり、そうした点を考慮して保育の質の確保、向上を図ることが必要とされております。
こうした保育の質の確保、向上に向けて、主体的、継続的、協同的に改善、充実を図っていくことが重要とされており、このため、保育に関する理解の促進のための周知啓発、各保育所等が行う保育内容を自己評価するためのガイドラインに基づく保育内容等の評価の充実、現場の各階層別の専門性に応じた研修などによる保育士の資質、専門性の向上の機会の確保、充実などの取組を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/164
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165・高瀬弘美
○高瀬弘美君 この保育の質については、今るるお話ございましたとおり、いろんな側面があるんですけれども、確立した、何といいますか、スケールとしては日本は今まだないわけでございます。
この保育の質に関してはいろんな研究が進んでおりまして、例えば、予算の公聴会に参考人でお越しいただいております慶応大学の中室牧子先生は、諸外国で採用されております国際的な評価項目というのがございまして、これを基に日本の保育を計測した結果、子供の発育の状態とこの検査項目での数字、これが強く相関をしていると、関係があるということも指摘をされております。
例えばですけど、ニュージーランドでは、当局が保育施設の質を定期的に評価をしておりまして、きちっと数字で、今厚労省から答弁がありましたような経験の豊かさであったり、どんな保育の内容をやっているかとかいうのを、そういうのを数値化して、結果を全部ウエブ上で公開をしているんですね。
ところが、日本にはそういうものがありませんので、認可の保育園という大きな枠はあっても、その中での質というのが分かりませんので、結果的に、親は自分で一個一個見学に行って、雰囲気とか見ながら決めていくしかないというわけでございます。
ほかにも中室先生の御指摘いろいろあるんですけれども、厚労省にこの保育士さんの質の話をしますと、必ず各種研修の実施という言葉が出てまいります。私も研修は大事だと思います。だけれども、研修をやればイコール質が向上するかというと、そこはやっぱりよく考える必要があるのかなと思います。
中室先生の御主張の中にも、教員研修が教員の質に与える因果効果のエビデンスは多くないというふうにはっきりとおっしゃっているところもございます。
これを、保育士ですとか小学校教員の研修という意味においてはどのように受け止めているのか。つまり、教員研修が必ずしも教員の質に直結するものではない、そういうエビデンスは多くないということ、これをどういうふうに受け止めているかについて、厚労省、文科省にそれぞれお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/165
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166・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) お答えします。
先ほど申し上げましたとおり、保育の質は、子供が得られる経験の豊かさ、それを支える保育の実践や人的、物的環境など、多層的で多様な要素によって成り立っているということでございます。
この人的環境、研修ということはこの人的環境につながるものでございますけれども、人的環境を確保するため、それぞれの保育士がその職務の内容に応じた専門性を向上させられるよう、一律ということではなくて、それぞれの職務内容に応じた研修の機会を確保するということは重要ではないかと考えております。
このため、保育所等におけるリーダー的職員のそれぞれの職務内容に応じた専門性の向上を図るための保育士等キャリアアップ研修、あるいは保育所の所長や職員を対象としたマネジメントでありますとか保育の専門性の向上を図るための研修といった形で、一律ということではなくて、それぞれの職務をしっかりと遂行できるような研修の充実というのは必要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/166
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167・出倉功一
○政府参考人(出倉功一君) お答えいたします。
様々な研究の一つとして、先生御指摘のような研究もあることは承知をしてございますが、他方で、教師は職務の遂行のために絶えず研究と修養に努めることとされており、変化の激しい予測困難な時代の中で、この最新の知識、技能の習得に加え、学校の教育課題に対応した必要な学び、これを行い、成長していくために不断の研修が重要だと、こんなふうに考えてございます。
このため、独立行政法人の教職員支援機構や各教育委員会におきましては、例えば、ICT活用指導力や特別な配慮、支援を必要とする子供への対応など、教育課題に対応した様々な研修が体系的に行われておりまして、これらの研修の成果につきましても、例えば、教職員支援機構の実施した中央研修では、学んだ内容を校内の研修や教育実践の改善等で活用した割合がおおむね九割となるなど、教育の質の向上にはつながっているものというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、教員研修に限らず、エビデンスベースによる政策推進、これは重要であると考えておりまして、文部科学省といたしましては、より効果的、効率的な教育政策の企画立案等を行う観点や、国民への説明責任を果たす観点からも、今後とも客観的な根拠を重視した教育政策の推進に取り組んでまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/167
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168・高瀬弘美
○高瀬弘美君 いずれにしましても、この教員の研修ということ、また保育の質ということ、これからの引き続きの課題であると思います。エビデンスの蓄積が必要と考えます。
こども家庭庁においては、以前、内閣委員会の一般質問で私の方からも質問させていただきましたが、今回、データに基づく政策立案、EBPMを掲げているわけでございますから、是非、この保育の質、教員の質、まあ教員の質は文科省がやるのかもしれませんけれども、ここについては研究をデータを基に大臣の下でしっかり進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/168
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169・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) おっしゃるとおりで、恐らく今国会で、こども家庭庁設置法案、こども基本法、さらにはこどもまんなか社会ということで、皆さんの御議論いただいているのは、EBPMに基づいて、急激な人口減少で、そのやっぱり根本は少子化であるということとか、また、このコロナ禍で、平時のときにはなかなかそのデータがなかったけれども、コロナ禍でデータを取ってみると、子供の自殺、不登校、引きこもりが急激に増えていると。これはやっぱり平時のその備えが足りていなかったんじゃないかというような、そういう統計に基づいて、各党皆様方がしっかりとこの数字に基づいて、統計に基づいて、データに基づいてきちっと再構成していかなきゃいけないということであろうかと思っています。
ですから、子供政策は、私たちもこども家庭庁やその様々な取組をする中でこのEBPMを非常に大切に思っていますし、今後も更に重要だと考えています。
それで、昨年十二月に閣議決定した基本方針において、子供の置かれている状況や課題を的確に分析して、現状把握にとどまらず、政策効果を明らかにした上で、エビデンスに基づく政策立案、実践を行うなどしています。
委員御指摘の就学前教育の質に関して、こども家庭庁では、就学前の全ての子供の育ちの保障に係る事務を担うこととしております。幼稚園、保育所、認定こども園の教育、保育内容の基準の整合性を制度的に担保して、教育、保育の質の一元化を図ることとしています。この際、委員御指摘のエビデンスに基づく政策立案、実践という観点では、この分野においても重要と考えております。
どのような方策が考えられるかについては、今後関係省庁としっかり連携して検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/169
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170・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
教員の質という話をさせていただきましたが、少し違う観点から、教員による性暴力を防ぐという観点から最後お話しさせていただきたいと思います。
大臣におかれましては、児童ポルノの法案を始め、子供たちを性暴力から守るために長年御尽力をいただいております。ありがとうございます。
昨年、先ほど古賀委員からも言及がございましたけれども、教職員による児童生徒性暴力防止法が議員立法で成立をいたしました。私も与党PTの一員として議論の最初から参加をさせていただいたわけでありますが、実はその前からも、政府に行かれる前の野田大臣と少人数の勉強会もさせていただき、この問題ずっと様々勉強してまいりました。
その与党PTでの議論の際に有識者の方から様々お話伺ったんですけれども、その一つとして、諸外国で採用されている小児性愛に気付くための心理テストというものについての言及が精神科医の先生からございました。この小児性愛というのは、最初から自分が自覚をしているわけではなくて、当初は子供が好きという感覚、この認識で保育や教育の現場に入りたい、子供と接する仕事に行きたいというふうに感じられるというお話でございました。それが、日々子供と接する中でその元々持っていた小児性愛が強く出てき、最終的には犯罪に至ってしまう、そのような事例も多いというお話がございました。
そういう自分では気付かない傾向に気付いていただくために、諸外国においては教員採用時にスクリーニングとしての心理テストを行っているという話がございました。日本においては類似の取組の検討、文科省、どのような状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/170
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171・出倉功一
○政府参考人(出倉功一君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、この教員や教員を目指す方が御指摘のような性的指向について認識をしておくこと、これは意味があると考えており、一部の自治体におきましては、自らの気付きにより相談機関への相談を促すための、専門家の協力の下で、自己分析支援チェックシート、これを作成し、教職員に配付をしていると、こういう例もあるものと承知をしておりますが、心理テスト等の結果を採用の判断材料とすることについては検討すべき課題があるものと考えてございます。
また、文部科学省におきましては、今後、この現職教員や大学で教員養成課程を履修する学生に対する啓発や研修のための児童生徒性暴力等の防止等に関する理解を深めるための啓発動画、これを作成し周知を図る予定でございますが、この啓発動画におきましては、例えば、加害者が性暴力等に至る思考の特徴、これを紹介するなど、教員自身が加害者にならないために必要な気付きを与えることにも資するものであると考えてございます。
いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、引き続き性暴力等を行う教員の根絶に向けた取組の実施に尽くしてまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/171
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172・高瀬弘美
○高瀬弘美君 今回、日本版DBSをこれから御検討いただくということで、犯罪を犯した人を子供たちがいる現場に戻さないということ、これはもう絶対重要でありますけれども、その前段階として、入口の部分で入れないということも大事ではないかと思います。今文科省からお話ありましたとおり、まだまだ検討すべき側面いっぱいありますけれども、こういうものも諸外国であるんだということも含めて検討を進めていただきたいと思います。
質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/172
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173・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。大臣、今日はどうぞよろしくお願いいたします。
ちょっといきなり余談、冒頭余談で入って恐縮ですけれども、今日朝、理事会に入る前にちょっと空いた時間の中で、昨日の本会議のやり取りの中で、質問された方全員女性で、答弁者も大臣も女性で、全部が女性だったということが話に出まして、ああ、そういえばそうだったねって、多分これ初めてのことだったのかもしれないんですけれども。
で、ふと思ったのは、前だったら、今日は全員女性ですとかというのが多分その前の議員総会とかでも話題になったかもしれないなと。話題にすら多分ならなくて、言われてみて初めて気付いたなって、時代がちょっとずつ変わってきて、女性が活躍することが、国会で活躍することが普通になってきたのかなというのが、ちょっと朝、実は理事会でそんな余談がありまして、引き続き男女共同参画という立場でも大臣にも是非頑張っていただいて、ますますそうした社会、推進していくことを心から願ってやまないところでございます。
では、本題の方に入ってまいりたいと思います。
このこども家庭庁設置法ということで、私も一児の父で、まだ子育て中です。子供ができるまでにもいろいろ苦労がやっぱりありまして、私自身も不妊治療やりましたし、奥さんと一緒に病院にも行きました。先生にも相談しました。残念でしたけれども、早期でしたけれども流産も経験して大変落ち込みましたけれども、一緒にお医者さん行って話聞いたら、先生が、三割ぐらいの人が実は同じような経験されているんだよというふうに先生に言ってもらって、あっ、そうなんですかということで励まされたと同時に、えっ、そんなに多い人たちが経験しているんだなというので驚きでもありました。でも、そういうのって全然知らなくて、で、知らないのはやっぱり人に相談できないんですよね、こういうのというのは。
ですから、いろんな経験をしながら、子供が欲しいということでやっと授かって、恐らく、大臣もそうですけれども、いろいろ経験をされて今皆さん子育てもされていると思いますし、経験をされたと思いますし、お子さんもいろいろな環境の中で今育ってきているということだと思います。
そんな経験もしながらやっと子供を授かることができて、今普通に父親として子育て私もしていますけれども、普通に、こいつというふうに思うときもありますし、でもその一方で、やっぱり今目の前にいる自分の子供、この子供をしっかりと育てなきゃいけないなという責任もやっぱり感じていますし、それは自分の子供だけではなくて、やはりほかの御家庭のお子さんだって、あそこの子供は別に他人だからいいんだということではなくて、そこは一人の人間としてやっぱりそれはしっかりと社会として育てていくということを意識していかなければいけないのかなと。それは、自分が子育てをしながら改めて自分も感じたことでもありました。
今回、このこどもまんなか社会という言葉が出てきて、私もこの言葉は、ああ、いい言葉だよなというふうにも思いましたし、先日、この当委員会の理事会のメンバーで視察に行った際に伺った、認定こども園のところでお話をお伺いした園長さんが、園長先生が、このこどもまんなか社会という言葉、大変共感をしていると。当園でもお話をする、先生方でお話をするときに、それ、その意見というのは子供を真ん中に考えている意見なのというのを私たち自身も意識してそういう話をしているんだということで、その園長先生自身もその言葉には大変共感を抱いておられました。
私も、今回のこのこども家庭庁ができて、しっかりと社会全体が子供に対して、またそのまなざし、温かいまなざしであったり、しっかりと責任を持ったまなざしというもの、それを育んでいけるような形にしていかなければいけないんだろうなというふうに思いますので、そうした思いも含めて様々質問を今日はさせていただきたいと思っております。
最初の質問は、今回閣法として出てきましたこの法案は、こども家庭庁の設立をするということですので箱物を造っていくということです。そうすると、箱物を造って、じゃ、造った暁にはどういう社会を目指しているんだろうか、どういう理念を持って、どういうビジョンを持って、何をやろうとしているのかというのをやはり明確にしておく必要があると思うんですね。それについては、衆法で出ておりますこども基本法というものがありますので、多分そちらと合わせることで成立していくことになるんだろうなというふうに思うんですけれども。
まずは、今回、やはり閣法ということでは、大臣、担当として、閣法として、この箱物をまず造るということではありましたので、まず大臣のそのビジョンとして、このこども家庭庁を設立された後、どんな社会ができ上がっていくのか、どんな社会をつくっていくお考えなのか。また、今回、先ほどもお話ししましたこどもまんなか社会という言葉、これどんな社会になっていくと、このこどもまんなか社会って私も使いましたけど、そういう社会になったらいいな、いや、これどんな社会なんですか、それぞれがやはり考えているビジョン、それを是非今日は共有化をさせていただきたいと思いますので、まずその点、質問させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/173
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174・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 様々な御指摘ありがとうございます。
まず、委員からお話がございましたように、確かに、私も今大臣のお仕事いただいたんですけれども、誰も女性大臣とおっしゃる方はいなくなってしまって、大分その意識が変わってきたなというのは私自身も感じていますし、不妊治療についても、やっぱりこれは何かプライベートなことで、外で公に話すことではないというような治療であったように私自身も感じています。そんな中、超党派の方たちでやっぱり不妊治療で心身苦しめ、若い人たちを苦しめてはならないということで法律も作られましたし、また、今般、不妊治療の保険適用ということで、公にその不妊治療が、何というんですかね、治療として堂々と皆さんに受けていただけるような環境整備ができたということは本当に大きな前進があったかと思います。
その中にあって、こども家庭庁をつくること、まあ箱物であることは確かなんですけれども、そこには人がいて、そして様々分散したり、整合性は取れて、また連携されていないような様々な子供、またその子供に関する保護者、とりわけ母親の政策というのが集約されていなかったり統一されていなかったり一元化されていなかったりすることで、実は残念ながらこの国会でも大きな政策として子供政策が取り上げられたことはかつてなかったと思います。
ただ、やはり、今、日本の国難は何だ、有事は何だと問われたとき、多くの方たちがやはり人口減少だと。子供たち、一律に高齢者から若者まで減るんではなくて、次を担っていく、私たちの次代、次の時代を担う若い人たちが生まれてきていないということは、やはりこの国にとって、国を守る国会議員としては国民を守れていないんじゃないかというところに今皆さんの御意見が集まってきているわけですね。
ただ、これまでもそういう議論あったけど、それの受皿になるカウンターパートとしての行政組織あったかというと、分散化されてしまう。それをやはり一元的に取りまとめて、窓口となって、そして総合調整をしながら、各それぞれの役所が担っている子供に対する政策をしっかり連携させていく、そういう必要性がもう、ちょっと遅いかもしれませんが、事ここに及んで必要であるということで、受皿をしっかりつくる。そして、こういう国会で皆さんからいただいた仕事を任務として、そして、まだまだたくさん残っているであろう子供が持っているポテンシャルを引き出すことで子供たちを幸せにすることが、イコール私たち、その周辺にいる大人が幸せになることであり、さらにはその国が安全、安心な場所として生きていけると。
要は、今まで大人がすることで、よって子供が幸せになるという構図だったんですけれども、そうでなく、子供をセンターに置いたところで、子供を通じて様々なコミュニティーができていったり、そして子供を支えることで、大人に比べて弱い、心身共に弱いところをしっかりと支えることは、結果として成熟している人に対してもいい効果が生まれてくるであろうという、そういうことで、今まで大人がちゃんとやれば子供も幸せだったけど、子供自身が幸せと感ずることを大人と共有することが新たなその政策、この国の安全、安心につながっていくだろうということで取り組んでいるところであります。
実は私、男女共同参画の担当大臣もしているんですけれども、男女共同参画の会議の中でも幾つかのアジェンダがあって、男性の活躍というのを入れているんですね。それはまさに、今委員がおっしゃったように、父親として果たして十分活躍できているだろうか、夫として十分活躍できているだろうかというところも、やはり子供から見ると、統計的にはいささか他国に比べて夫が、父が活躍できていないというところは子供にとってもよろしくないんではないか、そんなようなことを考えながら、子供を中心に置いて、今まで発想がなかったようなことをしっかりと政策として紡いでいくという、そんなことで、それの任務を担当して、そういうミッションが来たら必ず連携していく、誰か、責任者として連携していくことがこども家庭庁の大きな役割だと信じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/174
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175・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。子供をやっぱり育てる立場としてすごくなるほどと思える、今、大臣のお話でした。
ちょっと前に、今こどもまんなか社会ということでお話をまた改めていただきましたけれども、少し前に、幼稚園とか保育園をつくるときに、子供の声がうるさいから反対だというような声が一時期よくニュースになったりしていました。最近は余りニュースにはなっていないですけれども、やはりああいうのがなくなっていく。要は、私は一児の父ということですけれども、そうではなくて、子供を持っている人も子供を持っていない人も、いろんな人たちの、いろんな立場の人たちが、そうはいったって、やっぱり子供、大臣がまさに今言われた将来を担ってくれる、そういう大切な日本の宝としてしっかりと育んでいこうよというふうになっていけば、今申し上げたような、保育園、幼稚園、声がうるさいから駄目だというような話じゃなくなっていく。まさにそういう声が、違う理解を皆さんがしてくれるのが一番理想的なこどもまんなか社会なのかなというふうにも思うんですが。
そうすると、これちょっと通告はしていないんですけれども、子供を持っていようが持っていないが、持っていない人に対してもこどもまんなか社会、これをやっぱり理解していってもらうということでよろしいのかどうか、また、そこを理解をしていってもらうためにはどんなことをしていけばいいか、その点について、大臣、もしお話しいただければ有り難く思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/175
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176・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) ちょっと通告を受けていないので、大臣としてのコメントということにはならないと思いますけれども、やはり過去、子供のいる方といない方の分断というのがつくられてきたと思うんですね。そこでなかなかこの子供政策が進まなかったということも事実だと思います。
ただ、やはり今そういう壁を超越して考えなきゃいけないのは、やっぱり自分の幸せは誰かの子供が担ってくれる。例えば、介護一つにしても、自分が不自由になったときの担い手というのは誰かの子供なんですね。又は、例えば、歩いていて何か大変な目に遭ったときに駆け込む先の、例えば警察だったりすると、その警察官は誰かの息子か娘というふうに、そういうやっぱりそれぞれが子供ということをワードにして連なっている。
誰一人、一人っきりで生きていけないわけですよね、現実。誰か手を伸ばせばたくさんの手があった方がいいというのはずっと先ほどから子供政策で申し上げている。やっぱりその手は誰かの子供の手なわけですよ。そういうやっぱり考え方を、こどもまんなかということで、大人としての私たちではなくて、子供、かつて子供であった私たち、そして、ここに、隣にいる人は誰かの子供というような意識を持つことで、その分断を乗り越えて、やはり多くの子供たちが育まれることが結果として私たちの幸せや安全や安心につながるんだなというようなことを是非こどもまんなか政策で理解を深めていきたいなというふうに願っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/176
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177・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣の発言じゃなくてと言いましたけど、是非、大臣のお考えとしてこれ浸透させていっていただきたいなというふうに思います。
次の質問に行きたいと思います。
ちょっと法律の条文のところから引用して少しその課題についての確認をしたいんですが、第三条の文章の中でこうした表現がありました。心身の発達の過程にある者、「こども」ですね、「こども」が自立した個人としてひとしく健やかに成長することができる社会の実現ということで表記がございます。この考え方を、最終的にこの条文を決めていくに当たって、ということは、こういう社会が今はまだ実現できていないということなんだと、裏返しという意味ではそういうことなんだと思います。
そうすると、現状、どういった課題認識に立っているのか、この点について改めて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/177
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178・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 子供を取り巻く状況については、新型コロナの中で、児童虐待、いじめなど、一段と複雑化していると認識しています。
例えば、児童相談所での児童虐待相談対応件数は過去最多の約二十万件であります。学校におけるいじめの重大事態件数は五百十四件、小中学校の不登校者数は過去最多の約二十万人、二十歳未満の自殺者数は平成以降で最多の七百七十七人など、深刻な状況にあると認識しています。
こうした子供たちをめぐる様々な課題に適切に対応するためにも、常に子供の視点に立ち、その最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策を我が国社会の真ん中に据えたこどもまんなか社会を実現するための新たな司令塔としてこども家庭庁を創設する、そして、子供を誰一人取り残すことなくその健やかな成長を支援すべく、子供政策を強力に推進してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/178
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179・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今大臣にも数字を使って御説明をいただきました。まさに、この中でいけば、健やかという、そこの言葉ですね、やはり自分が望まない状況に置かれている子供たち、それを表現ができなかったり伝えることができなかったり、それで苦しんでいる子供たち、そうした子供たちにもひとしく、それこそ健やかに成長していく機会が与えられるようにという、そういうことで理解をいたしましたけれども。
この表現の中でもう一つ、この自立した個人としてひとしく健やかにというような言葉も実はあります。この自立した個人というのは、多分国連の子供憲章ですとかああいったものとも関連してくる考え方なのかもしれませんが、子供を生まれながらにして自立した個人として見ていくということになっていくのか、それとも大人の認識として、ちゃんと自立した個人として子供をやっぱり見ていかないと駄目なんだよという大人に向けたメッセージになっていくのか、子供にやっぱりそれぞれちゃんと自立して自覚してということを促していくのか、この言葉ってどっちに受け止めればいいのかなと思ったんですけれども、どういう理解をするのが一番いいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/179
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180・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) そういうどちらかというよりは、これからの子供の政策の推進、これに当たっては、子供の視点に立って、社会が保護すべきところは保護しつつ、子供の意見表明と自己決定を年齢や発達段階に応じて尊重して、子供の最善の利益を考慮して自立を支援するとともに、家庭における子育てニーズに応じて柔軟に支えていく、これが重要だと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/180
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181・礒崎哲史
○礒崎哲史君 子供の自立できる環境をしっかりと整えていくと。そのためには大人もしっかりと意識を変えていくということにつながっていくんだというふうに思います。ありがとうございます。
もう一つ、これ条文ではないんですが、提案理由の中の言葉からお伺いしたいんですけれども、常に子供の視点に立った政策を推進するという、こういった表現もございました。この常に子供の視点に立った政策を推進していくために、どんな工夫をされていくことにするのかなと。
これまでも子供向けの施策というのはもうたっぷり、たくさんあったと思うんです。でも、そうではなくて、改めてこういう表現をされたということは、これまでにやはり課題があったということを認識されてだと思いますので、これまでの取組に対する反省点と、あと、今後の取組とこれまでの取組の違い、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/181
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182・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 提案理由で申し上げたとおり、政府提出法案は、子供政策を我が国社会の真ん中に据え、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていくため、強い司令塔機能を有し、子供の最善の利益を第一に考え、常に子供の視点に立った政策を推進するこども家庭庁を設置しようとするものであります。
これまで子供に関する取組は、子供の最善の利益等を考慮しつつも、ややもすると大人の視点、制度や事業を運営する者の視点中心に行われてきた面は否めないように思います。
私も長いこと国会議員をやらせていただいているんですけれども、やはり直接子供の方からの陳情とか要請とか、この場での意見を申す、そういう機会はほとんどないわけでございますから、そうであろうという、私たち国会議員がそれぞれ立場を代弁して語ることはあっても、直接、やっぱり私たちが、子供と言われる人たちがここで何か参考人としてお話をされるということはなかったと、少なくとも私は思います。これについて、今回、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策へとしっかり転換していくわけです。
今後、こども家庭庁の下、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策は、我が国社会の真ん中に据えられるこどもまんなか社会を実現していく、そのためには子供の声にしっかりと耳を傾けることが重要。
そこで、こども家庭庁の発足を待つことなく、令和四年度において、子供の意見を聞くための手法などに関して調査研究を行うなど、子供や若者からの意見を聞く様々な取組を行い、子供の視点に立って子供の政策をしっかり前に進めていきます。
こども家庭庁においては、今年度に行うこととしている調査研究の結果を踏まえて、子供、若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについても取り組んでいきます。
私も自らの日程調整の中で、子供、若者の方からのリクエストは、オンラインであれ、対面であれ、手紙であれ、メールであれ、最優先でその日程の中に入れていくと。そういうことをやっぱりきちっと固定化させていくことが子供の声を聞くということにつながっていくと信じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/182
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183・礒崎哲史
○礒崎哲史君 やはりメーンは、子供の声をしっかりと聞いていくと。聞いたつもりになって、こうだろうという、そういう立案ではなくて、しっかりと、いや、子供の意見はこうだよね、現場の意見こうだよね、それを踏まえた進め方ということで理解をいたしました。
それともう一つ、次の質問になりますが、今回、このこども家庭庁の所掌事務含めてやっていくことという観点で、子供が関係する政策は全て、これはもう直接的にやるものも間接的にやるものも含めて、とにかく日本政府として子供が関わるような政策は全部こども家庭庁がもう関与していくという理解でいいのかどうか、この点、確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/183
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184・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 今、子供が関係する政策というのは、厚生労働省、文部科学省、警察庁、総務省、法務省など様々な省庁が関わっています。
このため、政府を挙げて政策を強力に推進する観点から、関係省庁が所管する子供政策については、こども家庭庁が、子供の視点に立ち、各省庁より一段高い立場から、総理のイチシアチブの下、政府部内の総合調整として関与することになります。
また、未就園児も含む就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策などについても、直接自ら事務を実施して、関係省庁と連携しながら政府全体における取組を主導することとしており、これまで省庁間や制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題も含めて、子供、子育て当事者に対する支援を一元的に担ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/184
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185・礒崎哲史
○礒崎哲史君 そうすると全て、間接的なものも含めてですね、そうすると全て関与していくということになるわけですけれども、そうすると、これまでずっと大臣に確認をしてきた中で、やはり子供の最善の利益を考えて、こどもまんなか社会、これを実現していくためにということで取り組んでいくんだ、進めていくんだ、で、全部に関与するんだということは、この子供の視点に立って政策を立案していくというこの考え方、取組は、こども家庭庁だけがそういう考え方になるのか、それとも、子供に関係する政策を立案するときには、文部科学省であっても厚労省であってもそれ以外の省庁であっても同じ考え方、これは子供が関係するんだからやっぱり子供中心に考えていかなきゃいけないよねという形で立案をしてもらえるのかどうか、この点はどういう考え方になっていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/185
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186・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えしたいと思います。
政府は、昨年十二月に閣議決定した基本方針、ここで、今後の子供政策の基本理念として、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策立案を掲げております。この基本理念というのは、こども家庭庁のみならず、政府全体の子供政策の基本理念を示したものであります。
文部科学省、厚生労働省も含む関係省庁は、この基本方針に基づき、子供の視点に立ち、子供の政策を進めていくことになります。ですから、イエスということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/186
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187・礒崎哲史
○礒崎哲史君 安心しました。
ということは、じゃ、ほかの委員会でも、子供に関係する法案の審議等が出てきたときには、これは子供を中心に考えた政策なんですかということのやり取りはあって当然ということだと思います。ありがとうございます。確認ができました。
続いて、こども家庭庁の名前について私も質問したいんですけれども。
このこども家庭庁という名前を決定していくに当たって、先ほど来出てきていますが、子供から意見は聞いたのかなと。若しくは、最先端で子供と接しておられるお仕事に従事されている方、こういう方たちの意見を聞いたのかどうかですね。それから、あと、今後も聞いていく予定があるのかどうか。子供の声をしっかりと聞くということを理念と、もう本当にそのこどもまんなか社会の一番中心の、政策立案の中の真ん中に置くということでしたので、今後聞いていく予定があるのかどうか。更に踏み込んで言うと、子供の意見を尊重して、お子さんの意見を聞いていただいて、将来的には、じゃ、子供にとって一番いい名前はこれだね、すてきな名前はこれだねということで、こども家庭庁という名前を変更していく可能性はあるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/187
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188・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 決めるに当たって、子供とずっと、子供、若者とずっと様々なセッションとかバイで、一対一で話をすることもありましたけど、あえてそのこども家庭庁という名前はどうという議題で話をしたわけじゃなくて、全般的な、子供がどうあるべきか、子供はどう生きたいかみたいな意見を聞く場で様々な意見をいただいたんですけど、そのときに、特段出席者から、こども家庭庁について嫌だなとか、そういう意見というのは実は承っておりませんでした。こちらもあえてこれについてどう思うというふうに聞いていないので、そこら辺はそういう事実です。
ただ、この名称変更、名称変更というか仮置きだったんですけど、こども家庭庁の家庭という名前に対して、虐待を子供の頃受けてサバイバーとして活動されている女性とは一時間近く、たしか山田議員の紹介だったと思いますが、お目にかかってお話をじっくり承りました。
今後は、今回お決めいただきますので、余りその都度役所の名前がころころ変わるというのは逆に国民に不安を与えたり不安定なイメージを与えてしまうので、組織の名称に絞って意見を聞くことというのは考えておりません。
ただ、その組織の名称の考え方についてはしっかりと説明責任は果たしていきたい。こども家庭庁において、政策立案を進めるに当たってしっかりと子供、子育て当事者の意見を聞く取組を進めて、家庭における養育が困難又は不適当な、その家庭において子供たちが取り残されることなく全ての子供に対して健やかな成長を応援していく、支援していく、そういうことをしっかりと説明してまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/188
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189・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今お考えはお示しいただきましたけれども、子供がやっぱり聞いたときに、こういう名前がすてきだよね、僕たちのことをしっかりと考えてくれているよねという、そういう省庁に育っていっていただく上でも、子供からも引き続きやっぱり意見は聞いていただきたいなというふうに思います。実際に変更するかどうかは、確かにころころ変えたらそれは一貫性がなくなりますので、信用を失うというのはそのとおりだと思いますけれども、是非そういった点も前向きに御意見は聞いていただきたいなというふうに思います。
ちょっともう残り時間が少なくなってしまいましたので残りの質問は次回にというふうには思っていますけれども、やはりこのこども家庭庁という名前もしかりなんですけれども、その点でやはり少し前向きに受け止めていないというような御意見もまだまだ来ております。この点については一つ一つやはり大臣の方からしっかりと御答弁をいただくことが必要だというふうに思っていますので、ここの中での答弁もそうですけれども、先ほどお話をいただいたように、しっかりと意見を聞くという、そういうスタンスで引き続き臨んでいただきたいと思います。
結構準備していただいて、済みません、省庁の方にも準備いただいたんですが、たくさん残してしまいました。次回、必ず質問させていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/189
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190・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。今日は質問の機会をいただき、ありがとうございました。
いよいよこのこども家庭庁に関する審議が昨日、本会議から始まりました。本当に、昨日から質問の中で出ているように、また今日、今朝からたくさんの課題というか、いろいろな視点が出てきたと思っております。やはり少子化、そして人口減少、先ほど大臣からもいかにこの人口減少が我が国にとって有事なのかというような、国難なのかというお話も言及していただきました。おっしゃるとおりだというふうに私も思っております。出生率も本当に下がってしまう、そして子供をめぐる虐待などの痛ましい事件ですとか、そういったことを目にするたびに、何かできなかったんだろうかという本当に苦しい思いを恐らくここにいる皆さん一致で思っているんだろうなというふうに私も思っております。
今日も、自殺の話、不登校の話、いじめの話、たくさんございました。そういう中で、この施策を進めていく中で、やはり少しこの総論から入らせていただきたいんですが、昨日も総理に私お伺いしました教育予算についてです。
やっぱりこれ、子供に関する予算というのをやはりこれ増やしていく、教育の予算を増やしていく、これがやっぱり大切なんじゃないかなというふうに思っています。実は私自身も、やはりこの、我が党としても、教育の無償化というのをずっと訴えておりますけれども、これは、各党恐らく少しこの定義等も幅広くあるんだろうというふうに思っておりますが、やはりこの教育に対して、言ってみれば経済格差が教育格差にならないようにこの教育の無償化をしていくということ、これは本当に重要な点だというふうに思っている中で、やはりこの教育に対する予算、子供関連予算、これなかなか、このOECD諸国の中でも低いというのはもうずっと言われている中でもなかなかこれが増えていかないという、大幅に増えてはいかないと。
そういう中で、大臣に是非お伺いをしてみたいというふうに思うんですけれども、今までどうしてこの子供関連予算というものがなかなか増えてこなかったのか、この今の現状というのを大臣としてはどういうふうにお考えでいらっしゃるのか、この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/190
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191・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 大変重要なことを御指摘いただいていると思います。
我が国のまず公財政教育の支出が三・一%と、OECDの平均が四・四%ですから、と比べて低い水準にあること。又は、家族関係支出が一・七%と、これもOECDの平均の二・一%と比べて低い水準であるとの指摘がずっとあることは承知しています。
国民負担率などが異なることもあり、それぞれの国の大きさやいろんな背景が違うこともあるので、単純に比較することは適当ではないと考えていますけれども、今後はやはり、子供の視点に立って内容をしっかり充実させていくことで、結果としてこれらが上昇していくものと考えています。今おっしゃったように、親がこうだからこうじゃなくて、子供一人一人にどうかということですよね。
子供予算については、政権交代以降は新子育て安心プランとか等に基づいて約一・四兆円程度確保をして、幼児教育、そして保育の無償化や保育の受皿確保など進めてきたところです。足下でも不妊治療の保険適用など進めるほか、全世代型社会保障会議や教育未来創造会議においては子育て支援策の検討をしっかり進めております。
財源の確保について、昨年閣議決定した基本方針でも、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めて、確保に努めていくということとしており、期限、規模ではなく、こども家庭庁の下で子供の視点に立って、もう必要なことだらけだと思いますけれども、必要な子供政策は何かをしっかり議論していただいて、この国会の場でもまさに様々な提案をいただいていますけれども、体系的に取りまとめて、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて、子供政策の充実にしっかり取り組むということが重要だと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/191
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192・高木かおり
○高木かおり君 大臣、ありがとうございました。
いろいろとやっていただいているということはもう十分理解をしております。徐々に徐々に施策に反映をしていっていただいている、声も取り上げていっていただいているということは理解しつつもなんですけれども、やはり、先ほど教育の無償化ですとか子供たちに対する予算、こういったことも、国民の理解を得ながら、言ったらどういうふうに費用負担をしていくのか、こういったことをやはり検討しながら、そして理解を得ながら反映をしていくということが大変重要なんだというふうにそこは思っております。
ただ、この国民の理解を得ながらというところが、これから、次の質問にも移るんですけれども、どんどん人口が減っていって、子供たちが、要は少子化になっていく、高齢者の方々が増えていく、どうしても介護とか医療とか、そういう高齢者の方々に対する、施策に対する財源が付いていく。そして、言ってしまえば元も子もないかもしれませんけれども、どうしても、例えば選挙に行く方が高齢者が多いというような話があったり、どうしても偏りが出てくるというようなことが言われていたりします。そういう中で、子供たちに対する予算を付けていく、これなかなかハードルも高いということも理解をしています。そういう中で、今回このこども家庭庁が設置されて、そしてこどもまんなか社会がつくられていく、ここは大きなチャンスだというふうに私は捉えております。
そういう意味で、この国民の理解を得ながら費用負担をしていく、ここ、大臣、この国民の理解を得ながらと、これどういうふうに理解を得ていったらいいというふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/192
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193・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 昨年十二月に閣議決定した基本方針では、子供政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保について、政府を挙げて、国民の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていく、こういうふうにしています。
今後は、国、自治体、あるいは企業、そして家庭と、社会全体でどうやってその財源を賄っていくのか、しっかりと議論していく必要があります、あると思います。
いずれにしても、こども家庭庁の下、必要な政策をまずしっかり整理をして取りまとめていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/193
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194・高木かおり
○高木かおり君 是非、そのこども家庭庁で議論を深めて、そして、どういったところからしっかりと付けていくのかというのは是非御検討いただきたいというふうに思います。
私がこの教育の無償化についてずっと訴えているというのは、やっぱり私自身もですね、私は二人子供がおりますけれども、やっぱりもう一人欲しいなって思ったときに、やっぱりちゅうちょしてしまったんですよね。それは、大学まで行かせたいなとか、でも教育費には何千万というお金が掛かる、トータルでは掛かるんだと、そういう情報は世の中にあふれていて、しっかりと子供を支えていけるのかなという不安がやっぱりありました。恐らく、多くの国民の皆さんの中で、この少子化に対して施策を打っていくという中で、その点は大変大きな視点なんじゃないかなというふうに思います。
引き続きこの少子化について伺っていくわけなんですが、この少子化対策というのは、今言った教育の無償化以外にも様々な、もちろん生まれる前から、そして子育てをしていく上で、もうトータルでいろいろな施策が必要だと思いますし、絡み合っているんだと思います。
保育の受皿もそうですし、繰り返しですけど、無償化、教育の無償化もそうですし、もっと言えば、今の例えば正規、非正規雇用の賃金格差であったり、なかなか上がらない賃金であったり、いろいろな施策を打っていかないとなかなかこの抜本的な少子化対策というのは難しいのかなというふうには思うんですが、そういった中で、大臣が改めてこの少子化対策にどのような対策を推進していくのか、ちょっとこれは通告していないんですけど、もし大臣が特に力を入れたいというふうに思っている対策等があれば、併せてお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/194
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195・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) もうこれ皆さん御承知ですけど、二〇二〇年の出生数は八十四万八百三十五人と過去最少となっています。少子化の進行、人口減少は我が国の有事ともいうべき大きな問題で、これは様々な委員会でも、男性議員、女性議員問わず、やはり、これまでややもすると母子福祉的な少子化対策というようなイメージがあったんですけれども、やはり安全保障なんだと、やっぱり国を守る人たち、そういうその人材がいなくなっていくことなんだということで、性別を超えて、この国を守る、様々外交とかそういうことはあるけど、一番土台の部分なんだというような共通認識があることを非常に喜ばしく思っていて。
ただ、じゃ、特にというのが問題で、全部なんですね。今まで、例えば少子化、子供が出現しない理由というのは、まず一つは、目に見えないものであるから関心が向かなかったと、国民の。高齢化というのは、やっぱりどんどん知り合いが年老いていって、手が使いづらくなるとか、そういうのを間近に、やっぱりリアルに私たちは親であれ祖父母であれ知るので、高齢者の問題というのはすごく、自分が若くあっても分かるんですね。でも、少子化というのは、生まれる予定にしてあった子供たちが何らかの社会的な事情で生まれてこない、見えないものですから、なかなかその問題意識を持つことが難しかったのかなと思います。
この数をしっかりと受け止めていただいて、終戦後、第二次世界大戦の終戦後ですら二百七十万人の子供をしっかりその当時の先達たちはあんな状況であっても産み、その結果、今私たちに連なっていると思えば、私たちも何かやっぱりこの社会的にうまく整合されていないところがあるんだということを見付け出すことが大事なんで、特にというよりも、全て総ざらいで検証し直す必要があると思います。
それは私の思い込みだけではなくて、データなんかで取ると、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む要因というのが様々な調査で、アンケートとか様々な結果で出てきています。
たくさんあるんですけれども、例えば若者の経済的な不安定さや長時間労働、これは、今までの子供政策というのは、待機児童対策のように、いる子、そこにいる子に対して政策をすれば少子化対策ということだったんですけど、若者、まだ結婚もしていない若者というのも実は少子化対策の中に入ってくるわけですね。そうやって、まあ出会いの機会がないとか、これまでの少子化対策には全く入っていない問題というのが実は少子化対策なんだということで幅広に取り組まなきゃいけないと。
政府としては、少子化社会対策大綱、これがありますので、基づいて、まずは安定的な財源を確保して、結婚支援、妊娠、出産の支援、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、地域社会における子育ての支援、多子世帯への支援を含む経済的な支援なども、本当に一番最初から、子供がいない段階の結婚からやっぱりしっかりと支えていくことが少子化対策であるということで、教育ももちろんそうですけど、その前段のところからしっかり取り組まなきゃいけないということで御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/195
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196・高木かおり
○高木かおり君 大臣、ありがとうございました。もう全部大切って、もうおっしゃるとおりなんだろうというふうに思います。
今答弁をお聞きしていて、本当にそうだなと思うところがありまして、やっぱりこの少子化対策というのは、妊娠期から出産、子育て、もう成人になるまで、トータルで切れ目のない子育て支援というのはもちろん必要なんですが、やっぱりここで大事なのは、大臣がおっしゃったように、まだ子供を持っていない若い世代に対して、私自身もすごく思うんですけれども、やっぱりある程度、いつ頃子供を持とうとか、いつ頃どういうふうに仕事をして、ここにブランクを置いて、どうしてもやっぱり子供を持とうと思っている女性はどこかで、どこかのタイミングでやっぱり妊娠、出産を経て、またもちろん再就職であるとか社会に復帰すると、こういうライフプランというのがやっぱり男性と比べると、男性ももちろんいろいろライフイベントはあると思うんですが、に比べると、やっぱり妊娠、出産というのは命懸けのことですから、やっぱりこれ大変女性の人生の中で大きなことだと思うんですね。それをやはりどこのタイミングで、これはどこがいいとかというよりも、やっぱり個人個人で違うと思いますので、そこを、自分としてはどこのタイミングで妊娠、出産をしようとか、そういったことをやはり考えられる機会をつくっていくということが私はすごく大切なんじゃないかなと。
それは、もう子供を持ってしまってからでも、もちろんその後の人生もありますからいいんですが、やはりもう少し若い世代の方々、まだ妊娠、出産経験していない、例えば、一回目は例えば高校生ぐらいとか、今キャリア教育というのもありますけれども、そういった延長線上の中でそういう、親になるとはどういうことなのかとか、妊娠、出産したらどういうことが起こるのか、例えばお金の面は大丈夫なのかとか、子供にとっての環境はきちんと整備されているのかとか、そういったことを考えられる機会というのを、是非そういったところも、そういった視点も入れてこの少子化対策というのに反映をしていただければ有り難いなと。もちろん、今全くやっていないということではないと思います。そういうふうに、そういう認識はしておりませんけれども、こういった点が大変重要だというふうに自分の経験をもって思っております。
それから、もう一つだけ是非聞いていただきたいというのは、もう前から私、女性のリカレント教育というのは申し上げておりますけど、今の話に関連するんですが、やはり大分このM字カーブが緩やかにはなってきましたけれども、やはり一回、妊娠、出産で家庭に入ってしまってもう一回社会に復帰をしようとするときに、なかなか、私も経験をしておりますけれども、やっぱり社会に出るということがすごく勇気が要ったりですか、まあ個人差はありますが。そこのリカレント教育という部分を充実させていくということが、またその女性のライフイベント、どこでキャリアを積んでいくか、どこで妊娠、出産をするのかということを、ある意味ちゅうちょなくといいますか、ハードル低く社会に出たり、また戻って子供を産んだりって、そういうキャリアプランを作っていけるんではないかなという意味で、この女性のリカレント教育というものにも是非大臣にも推進をしていただければなというふうに思います。
この少子化対策についてはこれで終わらせていただいて、こどもまんなか社会について、今日もたくさんこのこどもまんなか社会についての議論がありました。
重なるかもしれませんけれども、やはり今回のこども家庭庁の中で一番このこどもまんなか社会をつくっていくというのが大きな意味があるというふうに思っています。そういった意味で、これ実際にどのように実現を目指していくのか、改めてお聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/196
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197・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) こどもまんなか社会、まだまだ耳に慣れていない言葉だと思いますが、それがもう違和感がないようにしていくことがこれからのやっぱり日本の、私たちの仕事かなと、そういうふうに思います。
御認識のとおりで、常に子供の最善の利益を第一に考えること、子供に関する取組、政策を我が国の社会の真ん中に据えられる社会のことであります。これまで、ややもすると、大人の視点、制度や事業を運営する者の視点中心で行われてきた子供政策を、子供の視点、子育て当事者の視点に立った政策へ転換するものであります。このこどもまんなか社会を目指すための司令塔としてこども家庭庁を行政組織として創設し、その実現にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
具体的には、こども家庭庁は、これまで各府省で別々に担われていました子ども・子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などの子供政策に関する総合調整権限を一元化します。子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしています。また、未就園児も含む就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくりに関する施策などについても、自らが事務を実施、そして関係省庁と連携しながら政府全体における取組を主導することとしています。これまで省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題を含めて、子供や子育て当事者に対する支援を一元的に担っていきます。
これらの施策を一元的に実施することで、組織や制度の縦割りの弊害をまず排し、政府全体として子供の政策を更に強力に推進することが可能になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/197
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198・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
やはり、そのこどもまんなか社会をつくっていくという中で、今日も御質問等が出ていましたけれども、子供たちの声を聞くということがまずは重要なんだろうと。そして、実態をきちんと把握するということが必要で、もちろん今もやっていただいているというお話は先ほどもありました。車座を開いて、そこでいろいろな方の膝を突き合わせて話を聞いている、そういった話もあったかと思います。やはり、このこどもまんなか社会をつくっていくという中で、子供たちの声を聞いたり、もちろん現場は地方自治体であるので、現場の地方自治体とのしっかりした連携を取っていくですとか、また、声を聞くに当たっていろいろな方法があるんだというふうに思っています。
ちょっと次からは、この子供の声を聞くというところに視点を置いて御質問をさせていただきたいんですけれども、少し、済みません、一問飛ばさせていただいて、順番を変えさせていただいて、問い五の子供の悩みを聞くというところに行かせていただきたいと思うんですが。
これ、やはり、子供たちのいろいろな悩みであったり相談、こういったことは、実際に具体的に学校の関連の現場であったりとかというと、スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカーとかこういった方々、文科省所管になるかと思いますけれども、そういった方々がいらっしゃるわけなんですが、専門職の方がいらっしゃるんですが、ここは今申し上げたように文科省の所管、そして今回はこども家庭庁ということで、昨日の、私、登壇の質疑のときにも縦割りということを御指摘させていただいたんですけれども、このこども家庭庁でどういうふうにこの点を対応していくのか、そして、どのように子供の悩みや相談を聞いて支援につなげていくのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/198
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199・蝦名喜之
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
支援が必要な子供を発見する場として、学校というのは非常に大事な場と考えてございます。
学校現場には、委員御指摘のように、教職員のほか、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが関係機関等による支援へと現状でもつなげているところというように承知をしてございますけれども、今般、こども家庭庁が創設されるということになりますれば、この辺りのてこ入れをしっかりしていきたいと考えております。この対応を学校に任せっきりにはせずに、関係機関、団体が連携をして、子供や家庭に支援を届けることをしっかりと仕組みとしてつくっていきたいと考えてございます。
こども家庭庁といたしましては、学校における様々な支援の取組と連携をした地域の体制づくりを通じて支援が必要な子供を発見をし、支援につなげてまいりたいと考えておりまして、具体的には、学校や教育委員会を含めた地域の関係機関や団体から成る支援のネットワークづくりを行うこと、また今国会で御審議をいただいております児童福祉法改正によるこども家庭センターの全国展開を図ること、また支援が必要な子供や家庭に対するSNSを活用したプッシュ型の情報発信でありますとか分かりやすい広報の充実強化を図っていくこと、さらには、地方自治体における子供や家庭に関するデータの連携を進めまして、支援が必要な子供を発見をし、プッシュ型の支援を行っていく取組の推進、こうしたことに取り組んでまいりたいと考えてございます。
こうした取組を通じまして、支援が必要な子供を誰一人取り残すことなくしっかりと支援につなげていけるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/199
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200・高木かおり
○高木かおり君 具体的に御説明をいただきまして、ありがとうございました。この子供の声をしっかり聞いていくといったときの、要は支援を必要とする声を聞いていくというところになると思います。
続いて、子供の声を聞くのは聞くんですけれども、子供たちの意見をどういうふうに政策に反映していくかということについてなんですが、こども家庭庁設置法案第三条の意見の尊重という点なんですが、この政府提出法案の第三条のこども家庭庁の任務を規定しておられると思いますが、そこには、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、」と規定しています。
具体的な仕組みとして、意見を聞く対象となる子供の範囲をどこまで想定しているのか、そして、子供の声をどのように聞いて、それを子供政策にどのように反映をしていこうというふうに考えているのか、政府にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/200
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201・長田浩志
○政府参考人(長田浩志君) お答えいたします。
議員御指摘のとおり、政府提出法案におきましては、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とするということを規定してございます。また、昨年末に閣議決定をいたしました基本方針におきましても、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるよう取り組むことを掲げているところでございます。
その具体的な手法については今後の検討とはなりますけれども、例えば、これまで既に内閣府で行ってきました、十代から二十代の子供や若者からウエブによるアンケートでございますとか対面等での意見交換を通じて政策についての意見を聞く事業というのがございまして、こういったものを一層充実をさせていくということでございますとか、法律に規定をしておりますこども家庭審議会などの委員などに子供や若者の参画を促進したりとか、あるいはそういったところでヒアリングを行っていくといったようなこと、さらに、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、様々な機会づくり、仕組みづくりについて検討していきたいというふうに思っております。
先生お尋ねの意見を聞く子供の具体的な範囲についてでございますが、どの政策、取組について意見聴取かということによるとは思いますけれども、全体として見れば、年齢、発達に応じてということでございますので、低年齢の子供も含めまして、幅広く子供から若者まで、その発達段階なども踏まえながら、様々な手法を組み合わせて、例えば大人のサポートの下に幼児さんなんかであれば話を聞くといったことも含めて、丁寧な対応を考えてまいりたいというふうに考えてございます。
いずれにしましても、これまでも何度か繰り返し御答弁申し上げていますが、今後の具体的な取組につきましては、こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うこととしているところでございますので、その調査研究の中で、そういった発達段階においてどういったような形で意見を聞いていくかといったようなことも含めまして、かつ様々な手法を組み合わせて、多様な声を聞けるような仕組みについてしっかり考えていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/201
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202・高木かおり
○高木かおり君 いろいろと多種多様な方法で聞いていただけるというふうに御説明をいただきました。
今は、言ってみれば、スクールソーシャルワーカーですとかスクールカウンセラー、そういった専門家の方に会える子供たちはまだいいと思うんですね、学校にまだ行けているですとか。何かしらのその福祉的な専門家につながれる子供たちはいいんですけれども、先ほど、SNSやホームページなんかからこの子供たちを聞く仕組みということをもう既に御説明をいただきましたけれども、やはり、今日も、上月先生だったかもしれませんが、やはりなかなか、若い世代、子供たちに年齢の違う方がいろいろ相談しろと言ってもなかなか相談しづらいというような、ハードルが高いんじゃないかとか、そういうお話もあったと思います。そのとおりだと思っていまして、やっぱりそういったところから、やっぱり子供の視点に立ってというか、同じ目線に立ってそういったことも考えていかないといけないということなんだと思うんですが。
例えば、なかなか外に出ていけない、でもSNSとはつながれる、こういう子たちもまだ何とかSNSを通してつながれるわけですね。ただ、言ってみれば、相談するにしても、家庭での虐待であったり学校でのいじめであったり、なかなかそういった子たちが地域に出ていくというのは考えづらい。家の中に引きこもってしまっている、不登校になってしまっている、そういう子たちがSNSで大人に対して相談をしようという気力もなくなっていたり、大人が信じられなくなっていたり、そういった子供たちもいるというふうに聞いています。要するに、子供たちが大人に相談する、まあ相談をするということを諦めてしまっているというような状態、こういったこともあると思います。
やはり、全ての子供たちを支えていくという観点からいえば、こういった子供たちに対してどういった手法で、なかなか難しいんだとは思いますが、どういった手法でこの子供たちの声を聞いていくのか、受け止めていくのか、この点について御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/202
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203・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 昨年末に閣議決定した基本方針においては、今後の子供政策の基本理念の一つとして、誰一人取り残さないことを掲げています。弱い立場に置かれた子供ほど声を上げづらい状況にあると考えられます。
この弱い立場というのは、例えば一人の子供でもいろいろ変わります。元気なときはいろいろしゃべれるけど、何かいじめられたときは声が上げられなくなったり、親には言えないけれども隣の家のおばさんにはしゃべれるとか、本当に一人の子供でも声の上げづらさというのは様々であります。そこを、しっかりと子供の立場に立って、こうだから一般的にみんな受け止められるじゃなくて、もうそのシチュエーションごとで全部違っているということも踏まえた上で手段を講じていかなきゃならない。
委員御指摘のSNSやホームページでは届かない子供の声、様々な困難の中には、子供の意見を聞くための手法を確保することは本当に重要だと考えます。具体的な意見聴取方法については、このこども家庭庁ができてからではなく、もう既に今年度の調査研究の中で様々調査をいたしまして、モデル事業を通じて検討をしていくことにしています。その結果を踏まえて、様々な手法を組み合わせ、多様な声を聞くよう努めながら、子供政策に反映させる仕組みをしっかり検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/203
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204・高木かおり
○高木かおり君 是非お願いをしておきたいと思います。
やっぱり、繰り返しで大変申し訳ないですが、やはりこういった実態をきちんと把握すること、子供たちの声をきちんと丁寧に拾っていくということがこのこども家庭庁の意義であると、使命であるというふうに思っております。
続きまして、済みません、時間が思った以上に早く進んでしまいまして、済みません、問い十に移らせていただきたいと思います。いじめ防止について伺っていきたいと思います。
今日も、いじめに関して御質問もありました。本当になかなか、約十年ほど前、大津のいじめ事件というのは皆さんの心にやっぱり刻み込まれているほど衝撃だったんではないかと思います。それから、何とかしなければと言いながら、いじめ防止対策推進法ですとか、いろいろないじめに対して、マスコミも取り上げましたし、国会や様々な地方議会でも、このいじめに関しても議論、どうしていけばいいのかということが話し合われてきました。私も、国政に来るまでは市議会議員をさせていただいていましたが、そこでもいじめに関していろいろと取り組んでまいりましたけれども、なかなかこのいじめがなくならないというのが今の現実であります。
そういった中で、このいじめについて、こども家庭庁の所管事務を定める本法案第四条第一項十七号において、いじめの防止に関する規定というのがありますけれども、いじめは、まずは防止が一番、いじめがないことが一番いいわけで、防止なんですけれども、残念ながら発生してしまった、そして事後対応というふうに流れていくわけなんですけれども、このこども家庭庁では、この防止やいじめの発生、事後対応、どのようにこども家庭庁の中で関わっていくのか、そしてまた、こども家庭庁となって、いじめ対策として新たに取り組む予定があるものがあればお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/204
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205・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) いじめ防止等の対策については、いじめ防止対策推進法等に基づき、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組が進められている一方、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、こども家庭庁においてもいじめ防止等の対策を新たに担うこととしています。
具体的には、こども家庭庁では、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針を文部科学省が策定、変更時に協議を受けるほか、いじめ事案の把握、地方自治体における相談体制の体制づくりの推進などを行っていくこととしています。
いじめには、学校内だけでは解決が困難で、警察、児童相談所、法務局等の関係機関との連携が必要なケースがございます。委員御指摘のいじめの発生や事後対応等についても、自治体における相談体制などの体制づくりの推進に取り組む中、被害児童への支援や再発防止に係る関係機関の連携体制の強化などに取り組んでまいりたいと考えています。
加えて、重大ないじめ事案については、文部科学省から必要な情報の提供を受けるとともに、地方自治体内での情報共有を促し、学校の設置者等が行う調査に当たっての第三者性の確保や運用改善を文部科学省と連携して図ることとしています。具体的な事務の実施方法については、今後、こども家庭庁が設置されるまでに、文部科学省とともに連携しつつ検討を進めるところです。
こうした取組によって、いじめ問題への対応について、文部科学省や地方自治体と連携を図りながらしっかり取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/205
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206・高木かおり
○高木かおり君 ありがとうございます。
このいじめを発見する方法として、よく市町村なんかではいじめに対するアンケートというのを各学校が取っていたり、でもこういう基本的なこととかもなかなか実はできていないという場合も実は結構あったり、そういうまず防止を図るということが、そういった点をもう徹底的にまずやるという、できることはもう全部やっていくということがまず基本中の基本なんだろうというふうには思うんですが。
そういった中で、それを踏まえた上で、先ほども少し言及しましたスクールカウンセラーだったりスクールソーシャルワーカーという、こういった文科省所管の専門職の方々、この数が足りないという議論はもういつも出てくると思うんですね。
やはりこのスクールカウンセラーさんの方は、悩みを聞いたり、これは子供だけではなくて、学校の先生や保護者も悩みを相談できる、ただ、限られた日数だったり時間だったりすると。これ、公立では、やはり本当に週に一回とか、二回あるところがあるのか、そういうような状況で、でも、私立の学校、まあ全部ではないかもしれないんですけれども、毎日常勤でいるというところもあるというふうに聞いています。そういった意味でもやはり格差があるんだなというふうに思いながら、このスクールソーシャルワーカーはまたこれ福祉的な意味合いも強くて、パイプ役になってくれるというような存在だと思うんですね、学校と福祉的な部分と。
大変どちらも重要な方々なんですが、圧倒的に数が足りない。本当だったら、こういった方々が、学校現場とは少し距離近いんですけれども、学校の先生ではない方に相談ができる体制、こういったことも、声をここでも拾える、そしてこのいじめ防止につながっていく、だけど数が足りない。専門職の方々の人材育成の問題もあるというのが今の現実だと思うんですね。
よく言われるのが、やはりこれ財源が要るんですと言われてしまうんですね。これが結局、教育予算の拡充というところに、最初に戻ってしまうんですけれども、こういったところを、もちろん財源の問題というのはあるのは重々承知しているんですが、やっぱりこういったところから予算を付けて、スクールソーシャルワーカーの方々、財源と人材育成ということをやっぱりしっかりとやっていくということが防止につながっていくんだろうというふうに思います。
できれば、防止をしていじめがなくなっていくことを願っていますが、やはりこれどうしてもまだまだ今すぐにというわけにはいかず、今も苦しんでいる子供たちがいると思います。そういう中で、この第三者委員会、第三者機関の話が今日も出ていたと思います。
これは質問というか通告はしていないので、是非御認識をいただけたら有り難いなという思いでお話をさせていただくんですが、これ重大事案となったときに、いじめの重大事案というふうになって、例えば自殺をしてしまったとかそういった、そこまでいかなくてもかなり大変な状況になっているいじめの事案、これは市町村がこの第三者機関を設置しようということになって進んでいくわけなんですが、これはやはり、例えば遺族であったりその御家族であったりが要望をして立ち上がっていくんですが、これ物すごく、この第三者委員会、御存じだと思いますが、期間も掛かるし、お金もすごく掛かるんですね。
この前、私がちょっと関わらせていただいた件なんかは、そのいじめの調査をする、提言をする、この第三者機関で、約一千万近く一件掛かるというようなこともお聞きしています。だから、この設置をするのに市町村はちゅうちょするんじゃないかなというふうに思います。
やみくもにこの第三者委員会を設置すればいいと言っているわけではないんですが、やはり重大な、これは子供たちの命を守るためにもきちんと調査をして、そしてきちんと次に反映するために必要なものだとは思うんですけれども、なかなかやはり専門家の方々とか、今日もお話が出ていたと思うんですが、そういう人材を探してきたり、専門職の方々、こういう圧倒的にやはり人材が不足していたり、その学校に関わっている方では、お近くの方というよりも、どちらかというと外のちょっと遠いところから来るというパターンがあるというふうにもお聞きしました。そういったもろもろの諸経費で、そして期間も長く掛かる、そういったのが現状だということです。
この第三者委員会あって、遺族の方々からすれば心の支えにもなってくるものですので、ただ、どういうふうにここをやっていくのか、私自身もどういうふうにこれを解決していったらいいのかというところまではなかなか持ち合わせてはおりませんけれども、こういったところも含めて是非議論を進めていっていただきたいというふうに思います。
そして、恐らく最後の質問になってしまうかも、あっ、まだ幾つかできますね。今日も出ていました日本版DBSのお話をさせていただきたいと思います。今日、高瀬委員からもこの日本版DBSの質問等は出ておりましたが、私からもお話をお聞かせいただきたいというふうに思います。
やはりこれ、わいせつ教員の話もありましたけれども、子供へのこの性犯罪被害というのがやっぱり後を絶たない。そして、この子供たちへの性犯罪があるかもしれないという不安を持ちながら、やはり子供を安心して学校であったり子供が関わる保育施設等、塾も含めて、スポーツ施設も含めてですけど、そういったところになかなか子供を安心して送り出せないと、こういった現状があるんだと思います。やはりこれは、被害を受けたお子さんたちというのは本当に一生トラウマを抱えてしまうという可能性もあるわけです。なので、これ本当に早急に対応が必要な課題だというふうに私は思っています。
本法案の第四条第一項第十八号では子供の権利利益の擁護に関することが規定されていまして、この規定に基づいて日本版DBSの検討が行われるというふうになっているかと思います。本会議の質疑でもこの点は言わせていただきました。今検討をしていくということになっていると思うんですが、やはり諸外国等では既に導入しているところもたくさんあります。恐らく政府内でも全く検討していなかったんではないんじゃないかというふうに私は推測をしているんですが、まあこれはちょっと分かりませんが、やはりこの検討、早急にしていただいて、やはりこれを導入していく、これがやっぱり今必要なんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/206
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207・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 政府内でどうだったかというのはちょっと定かでありませんけれども、少なくとも、議連があって、さっきちょっと御紹介いただいた児童買春、児童ポルノ、これを支えていく議員連盟が、まあ高瀬委員なんかもお力いただいているんですけど、そこでDBSを大分前に取り組んだんですけど、そのときはやはり行政の方で結構無理ですみたいな話で苦労しましたが、昨年十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針においては、教育・保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み、日本版DBSの導入に向けた検討を進めることとしています。
日本版DBSについては、子供の安全、安心の確保のための重要な施策と考えており、こども家庭庁の発足を待つことなく、その導入に向けた法的論点の整理や仕組みの検討等を行っていくこととしています。
犯罪から子供を守る取組への対応は待ったなしの課題であります。できるだけ速やかに導入できるよう、必要な検討をしっかり進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/207
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208・高木かおり
○高木かおり君 力強い御答弁だったと思います。是非この点は導入に向けて、検討で終わるのではなく導入に向けて進めていっていただきたいというふうに思います。ハードルが高いというのもいろいろと仄聞もしておりますが、やはり加害者の今後というよりも、やっぱり被害を受けた子供をどうするのかと、これがまさにこどもまんなか社会の考え方なんだというふうに思っていますので、是非お願いをしたいと思います。
続いて、実はもっとハードルが高いと言われそうな質問なんですけれども、この日本版DBS導入するに当たって、なかなか導入に向けていろいろと難しかったんだというお話も今大臣からありましたが、その導入するに当たってのマイナンバーの利用についてなんですね。
この日本版DBSについて、これまでどのような課題があるために導入が困難と考えていたのかというこの点を政府にまず伺いたいとともに、このこども家庭庁においてはどのようにその原因を排除して日本版DBSを進めようと、進める方向でいっていただきたいという思いで御質問しますけれども、進めようとしているのか、さらに、この日本版DBSに関して、デジタル庁と連携してマイナンバーを利用すると、こういったことは考えておられないのか、政府に見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/208
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209・蝦名喜之
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
日本版DBSにつきましては、今ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、これまで縦割り行政の中でなかなか検討が思うに任せなかった課題であったというように認識をしてございますけれども、今般、こども家庭庁が子供の権利利益の擁護というものをしっかりと業務として位置付ける中で、これを主導し、取組を政府として進めてまいりたいというように考えているところでございます。
その際、マイナンバーの活用についての御質問でございます。
いずれにしても、証明を行う際の本人確認のようなことは必要になってくるだろうと思いますし、その際の照合の具体的な方法もこれ課題となってまいります。
いずれにしても、まずはこの制度をつくる際のどういう仕組みにそもそもするのかということや、それにまつわる法的な論点にどういうものがあるか、こういったことをしっかりと整理をする必要があると、その上でしっかりと全体について検討を進めていく必要があると思っておりまして、今後、先ほどの照合の方法も含めて、全体としての検討を順次行ってまいりたいというように考えているところでございます。
いずれにしましても、日本版DBSにつきましては、子供の安全、安心の確保のための重要な施策と考えてございますので、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/209
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210・高木かおり
○高木かおり君 導入に向けて、是非日本版DBS、きちんとやっていっていただきたいというふうにお願いをしまして、この質問を終わらせていただきます。
最後の質問になります。先ほど飛ばさせていただいた問い四の幼保一元化について最後伺いたいと思います。
昨日の質疑でも申し上げました幼保の一元化、これ、我々日本維新の会は、子供の育成に関する施策に関しては、基本理念とともに、文部科学省なども統合させる形で教育子ども福祉省を設置して、教育と福祉が連携した組織が子供政策を一元的に担うということが必要なんではないかと提案させていただいております。
そういった中で、就学前の子供が通う幼稚園、保育園、認定こども園が今まで別々の省庁でばらばらで所管されている、こういったことはまず早急に解決すべき問題でありますけれども、今回、やはりこの幼保一元化は実現されずに、幼稚園が文科省、保育園、認定こども園がこども家庭庁と、この二元化となったということなんですね。やはりこれ、取組としては不十分ではないかというふうに指摘をさせていただいております。
そして、政府は、ここの点に関してはしっかりと連携すると、連携という言葉をたくさん使っておられるかと思いますけれども、我が党でも衆議院で指摘もしておりますように、どのようにこの文部科学省とこども家庭庁がしっかり連携をしていくのか、この連携について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/210
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211・蝦名喜之
○政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。
今般、こども家庭庁につきましては、子供政策の司令塔機能を一本化し、各省庁より一段高い立場から子供政策について一元的に総合調整を行いますとともに、子供の権利利益の擁護や児童福祉等に関する事務を自らの事務として実施をするということとしてございます。
また、教育など文部科学省が担う学びに係る行政と児童福祉など育ちに係る行政は相互に近接する側面もありますけれども、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めながら相互にしっかりと調整をし、密接に連携をすることによりまして、政府全体としての施策の充実や質の向上を図ってまいりたいと、こういった基本姿勢でございます。
その上で、幼保、幼児教育期の様々な施設がある問題については、就学前の子供にとって一番大切なことというのは、施設類型を問わず、しっかりとした保育や教育がどこの施設に行っても受けられることであろうというように考えまして、今般、幼稚園につきましては引き続き文部科学省の所管となりますけれども、政府案におきましては、学校教育法及び児童福祉法に、両省庁が相互に協議を行って幼稚園における教育内容とそれから保育所における保育内容を定めるとする規定を新たに設けることとしてございます。
これによって、施設類型を問わず、共通の教育、保育を両省が協力をする、連携をし協力するということを前提として制度上担保し、両省庁が密接に連携をして、さらに現場での定着、周知や定着なども行っていくということで質の向上を図ってまいりたいと考えてございます。
また、こども家庭庁におきましては、子供の育ちを支える際に留意すべき事項等について指針の形で閣議決定を行いたいというように考えてございます。こうしたことで政府内の取組を主導することとしたいと考えておりまして、その実施に当たりましても、幼稚園という現場を持つ文部科学省とも連携をしながら、全ての施設のみならず保護者に対してもその内容を周知、普及を図ってまいることによって、幼児期の教育、保育、それから家庭での教育も含めてですけれども、質の向上を図ってまいりたい、こうしたことによりまして就学前の全ての子供の健やかな成長が保障されるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/211
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212・高木かおり
○高木かおり君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/212
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213・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
岸田政権がこども家庭庁など子供関連法案を今国会の重要法案というふうに位置付けていますので、本会議では大きな筋で岸田総理に質問をしたんですけれども、はぐらかすような答弁がほとんどだったので、改めて同じことをお聞きしなければならないんですね。
まず、日本の子供の現状について政府がどういう認識なのかということです。これは、こども家庭庁を設置して、あるいはこども基本法が施行されて、一体何をどのように変えていくのかという根本に関わる問題なので、是非しっかりと答弁をいただきたいと思うんです。
まず、文科省に確認いたします。
文科省が毎年行っている問題行動調査では、小学校におけるいじめ、校内暴力、不登校の児童数当たりの認知件数、これ、どのように推移しているのか、直近の二〇二〇年調査と十年前の二〇一〇年との比較で示してほしいのですが、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/213
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214・淵上孝
○政府参考人(淵上孝君) お答え申し上げます。
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査におきまして、小学生千人当たりのいじめ、暴力行為、不登校の児童生徒数につきまして二〇二〇年調査と二〇一〇年調査を比較をしました場合には、いじめにつきましては、二〇一〇年が千人当たり五・三件に対しまして六十六・五件でございますので約十二・五倍、暴力行為につきましては、同じく二〇一〇年約一・〇件から六・五件ということで約六・五倍、不登校につきましては、同じく三・二件から十件ということで約三・一倍となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/214
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215・田村智子
○田村智子君 小学校の数字に注目をしたのは、中学校と比べても数字が悪化をしているからなんですね。
では、自殺の件数どうなっているか。十歳から十四歳と十五歳から十九歳までの自殺による死亡率、直近二〇一九年とその十年前二〇〇九年の数字で比較で何倍になっているか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/215
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216・川又竹男
○政府参考人(川又竹男君) 厚生労働省の人口動態統計調査におきます人口十万人に対する自殺死亡率について二〇一九年と二〇〇九年を比較をいたしますと、十歳から十四歳については、二〇〇九年〇・九であったものが二〇一九年は一・七と約一・九倍、十五歳から十九歳につきましては、二〇〇九年は七・六でありましたが、二〇一九年九・九と約一・三倍になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/216
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217・田村智子
○田村智子君 この十九歳以下の自殺の件数そのものは、この十年間、ジグザグはあるんですけれども、明らかに上昇傾向です。しかも、高校以上が含まれる年代、これ、件数でいうとそこが多いんだけれども、だけど、その年代よりも中学校以下の年代の方の増加率が高いわけですよね。十代の死因のトップが自殺で、こんな国はG7諸国にはない。自殺率で見てもG7の中で最悪。特に、十代前半での自殺の増加というのは、言わば低年齢の子供を取り巻く状況の悪化、これを考えないわけにはいかないのです。
本会議で、文科省国立教育政策研究所のいじめ追跡調査も示しました。これは三年間、定点調査を行っているんです。仲間外れや無視などをしたことがあるかなど、いじめの加害と被害と両方のことを聞くんですけれども、こういう設問の中で、いじめの加害を経験していないという子供はどの年の調査を見ても二〇%程度なんですね。ということは、被害者だったり加害者だったりという関係を入れ替えながら、八割以上の子供がいじめの加害経験を有しているということも明らかになってくるわけです。
そして、いじめの厳罰化、いじめの加害者に対する厳罰化という議論が午前中ありましたけれども、何か特定の子供に対する対処という問題ではないと思うんですよ。ほとんどの子供が、やってはいけないと分かっているんだけれど、もちろん程度の差はありますよ、いじめはやっちゃいけないなんてことは何度も教育されているから分かっている。分かっているけれども、八割の子供たちが何らかのいじめを経験しているんですよ、自分がやっているんですよ。
そうすると、いじめ、校内暴力、不登校、自殺など、こういう子供たちの深刻な状況は子供を取り巻く社会環境にこそ原因があって、その状況は悪化傾向にあると、こういう認識を大臣が持っておられるのかどうか、確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/217
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218・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) お答えします。
子供を取り巻く状況については、原因は様々であるものの、例えば御指摘の数字もありますし、児童相談所での児童虐待相談対応件数は過去最多の約二十万件、学校におけるいじめの重大事案件数は五百十四件、小中学校の不登校者数は過去最多の約二十万人、二十歳未満の自殺者数は平成以降で最多の七百七十七人など、状況は深刻になっていると認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/218
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219・田村智子
○田村智子君 数値で見てもそうなんですけどね。これが、だから社会全体、子供全体を取り巻く社会の状況悪化というふうに見るかどうかなんですよね。
子供の幸福度とか自己肯定感などが、海外比較で日本の子供の数値がとても低いということはもう周知の事実です。自殺率も含めて考えれば、日本では子供がストレス状態にある、そのストレスの強度が高まっていると、そういうふうに私は見るべきじゃないかというふうに思いますが、これもちょっと大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/219
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220・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) いずれにしましても、数字が悪化していて状況は深刻だということで、私がこのこども家庭庁の創設に向かって取り組んでいることは、それをどうやはり好転させていくか、良くしていくかということに、やっぱりこれからは行政組織の子供政策を一元化させて、集中、解決に当たらなきゃならないという認識をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/220
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221・田村智子
○田村智子君 もう少し示したいと思います。
本会議でも、日本財団の調査、示しました。中学校で七人に一人が不登校、不登校傾向、小学校時代に不登校や不登校傾向であったという中学生も七人に一人の割合で、学校に行きたくない理由として、授業がよく分からない、付いていけない、テストを受けたくないなど、まさに学業に関わる理由を挙げる中学生が多いと。
北欧やヨーロッパの学校教育との比較というのは、もう幾つもの論文や経験談がありますよね。私もフィンランドからの留学生とお話をする機会があったんですけれども、暗記テストというのは全く経験がないと、フィンランドで受けた学校教育の中でね。そうやっておっしゃっていましたよ。
日本ではどうかと。例えば、今一人一人の到達に応じた授業だといって、小学生でも算数などで到達度別のクラス編制やっている学校少なくないです。そういう少人数教育をやると教員の加配というのもあるのでこういうのが積極的に取られているんですけれども、これどうやってクラス編制するのか。
例えば、こういう学校がありました。一つの単元が終わるたびにテストをやってクラスの編制変えるわけですよ、固定化しないため。到達度といったときに固定化されると、これいろいろな問題が起きるから。だから、単元が終わるたびにテストやるんですよ。そうすると、いわゆるできるクラスから別のクラスになると、親から、次は頑張れと、何であっちのクラスに行かれなかったんだとプレッシャー掛けられる子供も現にいました。あるいは、どうせ自分は勉強できないからと、もう小学生の中学年ぐらいから学ぶことに意欲が持てなくなるという子供もいます。自己肯定感が持てなくさせられているというふうにしか言いようがないと思うんですね。これが個性に応じた教育なんでしょうか。
小学生のときから学業や点数で日常的に評価をされる、この日本の教育の特異な在り方が、子供たちがストレスを抱いている、こういう状況に置かれている、こう考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/221
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222・鰐淵洋子
○大臣政務官(鰐淵洋子君) お答えいたします。
学習の評価につきましては三つの柱で整理をされておりまして、まず一点目、知識、技能、二点目、思考力、表現力、判断力等、そして三点目、学びに向かう力、人間性等、この三つの柱で整理をされた資質、能力をバランスよく身に付けているかどうかという観点から、一人一人の成長を多面的に捉えて行われるべきものであると思っております。
各学校におきましても、こうした観点から学習評価が行われていると承知をしております。その際、子供たちが一つの尺度で過度に悩み過ぎることがないよう、各学校におきまして、子供たちに寄り添いながら良い面を見付けて伸ばしていくということが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/222
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223・田村智子
○田村智子君 そうなっているかというので、とりわけやっぱり問題指摘したいのは、やっぱり悉皆方式の全国学力テストなんですよ。これ、学校教育一変させたんですよ。都道府県は平均点で順位が付く。少なくない道府県の教育振興基本計画で全国と比較した数値目標が現に掲げられている。市町村ごとの平均点は公表が当然です。まさに一つの指標でやられているんですよ。学校の平均点というのは公表はされなくとも学校や教員には知らせられますから、子供たちへの言葉の端々にそれは表れるんですよ。それが子供にどういう影響を与えているかですね。
大阪府は、全国学力テストの学校の平均点を偏差値化して、中学三年生の内申点の標準化に使ったんですよ。文科省は、それは趣旨が違うと言って翌年から使えないようにしたんだけれど、そうしたら、大阪府は、独自の試験でやっぱりその学校の平均点の偏差値化をやって、それを内申点で読み込むようにしているんですよ。
文科省は、点数主義をあおるなとか、学校ごとの公表は認められないとか、全国学力テストを入試に使うのは趣旨と違うとか、こういう点数競争につながるような事態が発生するたびに火消しを図ってきたんじゃないでしょうか。これはつまり、裏返せば、点数主義、競争主義が現に起きているということなんじゃないのかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/223
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224・出倉功一
○政府参考人(出倉功一君) お答えいたします。
全国学力・学習状況調査でございますけれども、全国的な児童生徒の学力・学習状況を把握、分析をいたしまして、各教育委員会や学校等において教育施策や教育指導の改善充実、学習状況の改善等に役立てる、これを目的として実施しているものでございます。
この調査結果の取扱いにつきましても、実施要領におきまして公表に当たっての配慮事項といたしまして、単に平均正答率等の数値のみの公表は行わず、分析結果や改善方策を公表することを定め、序列化や過度な競争を招くことがないよう配慮をしているところでございまして、委員がお話になりましたような点数のみによる過度な競争を助長するものではないというふうに考えてございます。
私たち文部科学省といたしましては、本調査の目的を踏まえまして、引き続き適切にこの調査を実施していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/224
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225・田村智子
○田村智子君 いつも目的の説明はあるけれど、子供に何がもたらされているのかって何回聞いたって答弁出てこないんですよね。
二〇〇七年に今に続く悉皆調査始まりました。実は、私の子供はその対象学年の六年生でした。東京都はその前年に全都一斉学力テストも実施をして、居住自治体の平均点が低いということはすぐに子供たちの中に広まって、僕らはばかだからと、自己肯定感どころではない事態が子供たちの中に広がりました。
テスト直前には、四十ページにもなる模擬テストプリントの束を持ち帰って、全部やらなくてもいいけれど、学力テストがあるからできるだけ頑張れと、こういう指示も受けました。保護者の一人としては、こんなことやったら学ぶことが嫌いになると思いましたよ、叫びたいくらいでしたよ。算数の授業時間使って算数の全国テストやるくらいなら、その時間使って、好奇心刺激するような、みんなで考えて何か発見するような、学ぶことが楽しいと実感できるような、そういう授業をしてほしいと今も私は切実に願っています。
国連子どもの権利委員会は、最初の日本への勧告で、過度に競争的な教育システムが子供の身体的及び精神的健康に悪影響を与えていると厳しく指摘をしました。これは一九九八年のことです。ところが、改善どころか全国学力テストまで行って、点数主義は現場であおられているんです。それが現実です。
政府の教育政策が子供たちにストレスをもたらし、子供たちにとって学校を息苦しくしている、そう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/225
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226・鰐淵洋子
○大臣政務官(鰐淵洋子君) お答えいたします。
文部科学省では、教育基本法における、個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うなどの目標を踏まえまして、各教育政策に取り組んでまいりました。
御指摘の全国学力・学習状況調査は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し、その結果を教育施策や学校における個々の児童生徒への教育指導の改善に生かすことを目的としておりまして、序列化や過度な競争を招くことのないよう配慮して実施をしてきているものでございます。
また、学校教育においては、知識、技能、思考力、判断力、表現力や、学びに向かう力、人間性等、子供たちが未来社会を切り開くための資質、能力を確実に育成できるよう取り組んでいるところでございまして、点数至上主義といった御指摘は当たらないものと考えております。
文部科学省としては、引き続き、子供の最善の利益を第一として各教育施策の充実に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/226
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227・田村智子
○田村智子君 相も変わらず子供の姿は全く答弁の中に見えてこないんですよね。
さっき不登校の理由の中で、授業が分からない、付いていけない、これはテストやればやるほどそうなっちゃうと思うんですよ。テストで悪い点取って、分からなかったら分からない、学校嫌になるって。だけど、分からないって、本当に学びの絶好のチャンスですよね。
これも個人的経験で申し訳ないんですけど、例えば、面積というのに四角形だったら縦掛ける横と、これが分からないとつまずいた子供がいたんですね。何でそれが分からないのかということがなかなか表現ができないんですよ。いろいろいろいろ聞いていったら、面積という概念が分からなかったんですよ。何でこうやって縦掛ける横という計算をさせられているのかが分からなかったんですよ。これ、私たちだったら概念という言葉で表現できるけど、子供はそれは持っていないですよね。だから、その分からないということをつかむのも体験ですよ、何が分かっていないのか。
これね、もし教えようと思ったら皆さんどう説明します。面積とは何か、何で縦掛ける横なのか。だってこれが分からないんだもの。これってすごい学びのチャンスですよね。分かっている子供は、じゃ、どうやって教えるんだろう、どうやって説明するんだろう。これ、一時間、二時間と授業できるんじゃないでしょうか。
あるいは、地図を見て経度、緯度習ったときに、この線が何で引かれているのかが分からないと、ここでつまずいて先に進めなくなるんですよ。これだって皆さん説明できますか。私もこれ頭抱えましたよ、こうやって言われたときに。だけど、物すごいこれって、何というんですか、学びのチャンスですよね。すごく発展的に学べるんですよ。
だから、そういう授業ができていますかなんですよね。私は本当に、総理は全国学力テストについての昨日の私の質問に、こうした国の施策はあくまで子供の最善の利益を第一として行っているものであり、過度な競争を助長するものではありませんという答弁だったんですけど、私は、学校が楽しい、学ぶことが楽しい、今言ったみたいな、私の出したような事例が分かったときって、子供は物すごい発見だと思いますよ、ああ、そうだったのかって。そうなることが子供の最善の利益だと思います。
じゃ、全国学力テストで子供は学校が楽しくなっていますか。そして、現状が競争の助長になっているのかどうかということは総理は答弁もされなかった。これ以上やっても、ちょっともう水掛け論というか先に進まないので。
こども家庭庁は、子供の人権擁護のために事務を行う、各府省への資料の提出権なども持っている。子供の成長、発達の場が学校であって、家庭と並んで長い時間過ごすのも学校です。こども家庭庁は教育課程には関われない。だけど、学校に関わる政策や人権問題で子どもの権利条約の立場で司令塔機能を果たせるかどうか、これが問われてくると思います。
総理は本会議で、教育に関することについて調査や勧告は可能だと答弁をしました。ならば、全国学力調査への子供のありのままの意見、これを子供はどう受け止めているか、そして子供にどのような影響を与えているか、これは私、直ちに調査も必要だと思います。
また、いじめ、自殺、不登校、校内暴力の拡大等、政府の進める政策の影響など構造的な背景にメスを入れるために権限行使することが必要ですし、それはもうこども家庭庁設置待たずに直ちにもう取り組んでほしいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/227
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228・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) まず、全国学力調査のことは、先ほど文科省の政務官からの答弁があったとおりであります。
昨日、総理から答弁があったように、政府においては、これも御答弁ありましたけど、教育基本法における個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うなどの目標を踏まえて、子供たちが未来社会を切り開くための資質、能力を確実に育成するため、各教育政策に取り組んできたものと承知をしているところです。
こうした教育政策については、あくまでも子供の最善の利益を第一として行っているものと承知していますけれども、所管する文部科学省においては、引き続き現状や課題を分析しながら適切に取り組まれるものと考えています。
こども家庭庁が設置された際には、文部科学省等の関係省庁とともに連携して、子供の視点、委員先ほど子供の意見がこの全国調査でも聞かれていないという話もございましたが、あくまでも私たちは子供の視点に立って子供政策を強力に推進してまいります。
子供の置かれている状況というのは多様であります。困難を抱える課題はもう複雑化しているし、重層化しています。ですから、このため、子供や家庭を取り巻く状況等に関するデータや統計など様々なエビデンスに基づいて、多面的に政策立案、評価を改善してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/228
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229・田村智子
○田村智子君 子供の最善の利益というのは、文科省はそうだといって全国学力テストやっているんですけど、先々教育を改善してとかなんとかってね。じゃ、今このときその子供たちは幸せですかが最善の利益なので、そういう視点で是非抜本的に教育行政の在り方についても私は見直してほしい。こども家庭庁がその役割を果たさなければ、何のためにつくるのかということが問われるというふうに指摘をしておきます。
子供の指標悪化の背景には家庭の養育環境の問題も大きいと思います。子育て世代の、世帯の格差の拡大や貧困化は、虐待も含め子供の状況悪化に大きな影響を与えていると考えます。
大臣の見解を伺いたいんですが、この格差の拡大、貧困化の原因について、私はやっぱり最大のものは非正規雇用の拡大ではないかというふうに考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/229
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230・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 低所得世帯では、子供の学習や生活、心理面など様々な面で相対的に多くの困難に直面しているものと承知しています。
また、例えば国民生活基礎調査では、平成三十年時点で一人親世帯の約半分が相対的貧困状態であったり、令和三年子供の生活状況調査では、保護者が働いていない場合、その理由を自分の病気や障害、家族の介護とした割合が低所得世帯では三割以上を占めるなど、低所得世帯の状況は様々であり一概には言えませんが、正規職員の割合が少ないというデータもあり、保護者の雇用形態も世帯の貧困に関係しているものと認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/230
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231・田村智子
○田村智子君 それも要因だと。
こども家庭庁の事務には労働行政も含まれていません。しかし、子供の貧困対策は所管することになります。
超党派議連では、親の貧困解決なくして子供の貧困は解決できないという議論もして、子どもの貧困対策基本法の改正も行ってきたんですね。
子育て世帯、子育て世帯になり得る世代の若者たち、この雇用環境の改善というのは急務だと思います。これらの世代の雇用環境の悪化につながった政策、労働者派遣法の自由化の見直し、あるいは家計を圧迫する学費や教育負担そのものの引下げ、こういう格差の是正、若い世代の貧困の解消、これも子供の人権を守るために司令塔の機能を果たすということが大切だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/231
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232・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 労働規制の在り方を含む労働政策や教育に係る家庭負担の在り方を含む教育政策などの各政策については、厚生労働省、文部科学省など各所管省庁がそれぞれの政策目的を実施しているところですが、これまでも少子化社会対策大綱や子供の貧困対策に関する大綱等に基づいて、若い世代が将来展望を持てる雇用環境等の整備や、子育てに関する経済的支援、教育費負担の軽減、生活困窮世帯への支援等について政府を挙げて推進してまいりました。
常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考えるこども家庭庁の下、これらの取組を一層強力に推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/232
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233・田村智子
○田村智子君 だから、貧困対策も、特定の子供への対策ではなく、その背景にある全ての子供を取り巻く環境をどうするかと、ここを問うていかなければならないと。
次になんですけど、野田大臣、五月八日のNHKの「日曜討論」で、子供の政策について、親を支えることが重要だというふうに強調されました。発言を若干紹介したいんですけど、家庭というのは別に親だけのものじゃなくて子供の居心地のいい場所にしなきゃいけない、親が苦しいときにちゃんとその親が真っすぐ歩けるような支えを今まで社会や国、政治レベルでは基本的にしていなかったと。全く同感なんです。とても大切な指摘をされたと思います。
しかし、自民・公明政権の下で、支えるどころか苦しい状況にある親への支えを外すようなやっぱり冷酷な制度改革が幾つも行われてきたと。ここは見なきゃいけないと思うんですよ。一人親の子供への支援である児童扶養手当制度、これ後で詳しく取り上げたいんですけど、所得制限によって支給対象を狭めるということをやられてきました。二〇〇二年の制度改定では、働いて収入を得るほど十円刻みで手当額が減額されるという改定がシングルマザーの皆さんの強い批判の下で強行されました。生活保護制度では、第一次安倍政権による母子加算の廃止もありました。これ、民主党政権で復活されましたけどね。第二次安倍政権では、二〇一七年、生活保護基準の引下げをやって、これは多子世帯ほど引下げ幅が大きかったという改定だったんです。
これら経済的に苦しい家庭への支援を減らす方向での制度改悪が行われた、こういう政策がまずかったという反省の弁なのかなと「日曜討論」の発言を聞いたんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/233
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234・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) これ自体、その具体的な政策のジャッジということではなくて、やはり自らも母親となったときに、障害を持っても、さっとこう手を差し伸べてくれるところが見付からなかったとか様々経験をした上で、親が苦しいときというのは、必ずしも経済的な理由ではなくて、精神的だったり知識がないがゆえにどうしていいか分からないとか、様々踏まえて、やはり子供を支えていく一番身近な人にリーチできていたかなというと心もとなかったなということを申し上げて、さらに、やはり子供をしっかり支えていくためには一人親家庭を始めとする家庭への支援が重要だという趣旨を述べた次第です。
これまでも、子育てに希望を持ち、子供が安心して生まれ育つことのできる社会、これを実現していくために、幼児教育、保育の無償化、そして新子育て安心プランの着実な実施、高等教育の修学支援等、政府一丸になって様々な子育て支援には取り組んできてまいりました。また、一人親家庭への支援についても、児童扶養手当等による経済的支援のほか、それぞれの家庭の状況に応じて生活支援、子育て支援、就労支援と適切な支援を実施してきたところであります。
こども家庭庁においては、こうした取組を引き続きしっかりと行う、子育てを社会全体でしっかりと支える、個々人が子育てに希望を持ち、子供が誰一人取り残されることなく健やかに成長することのできるこどもまんなか社会、これを実現してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/234
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235・田村智子
○田村智子君 こどもまんなかの政治にというときには、じゃ、今まではどうだったのかということはやっぱりちゃんと見るべきだと思うんですね。
さっき言った児童扶養手当なんですけど、一九九八年に一部支給の所得基準が四百七万八千円から三百万円に一気に百万円以上引き下げられたんですよ。これで六万四千人の支給が打ち切られた。さらに、二〇〇二年、制度の抜本改正だとして自立に向けた努力義務を課したんです。そして、シングルマザーへの支援は就労支援が基本とされて、受給五年後には支給を最大半減できるという制度も盛り込まれたんですよ。養育費の八割を所得算入するという制度も導入をされました。さらに、全額支給の所得制限は二百四万八千円から百三十万円にこれまた大幅引下げと。就労所得が増えると小刻みに支給額の減額を行っていくという制度になって、これは厚労省の試算でも、受給者の約半数が減額になったんですね。これで増額になる人もいるって厚労省言ったんだけど、増額となったのは三%だということも示されたんですよ。
その後、子供の貧困が問題となる中で、父子世帯への拡大とか所得制限の引上げは行われました。だけど、一九九八年の水準にまだ戻っていないです。受給後五年後の一部支給停止という制度も法律上残されたままになっています。
厚労省に確認したいんですけれども、この法改正の基になった二〇〇二年の母子家庭等自立支援対策大綱、ここではどういうふうに説明をしていましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/235
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236・岸本武史
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
児童扶養手当の一部停止制度の導入に当たりまして、母子家庭等自立支援対策大綱におきまして、離婚の増大に伴い受給者が増大する中、合理化、効率化を行い、自立を促進する制度とし、将来にわたり機能できるよう、離婚後などの生活の激変を一定期間内で緩和し、自立を促進するという趣旨で施策を組み直すという観点から、きめ細かい配慮を行いつつ、支給期間と手当の額の関係を見直すというものでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/236
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237・田村智子
○田村智子君 離婚が急増して国の財政負担が大変だから支給対象を絞ったということなんですね。
この制度改正について、自民党厚労部会母子寡婦問題等小委員会報告の文書、ここには、親の子に対する養育の責務を厳しく問いかけながら実施することが重要と、一方で子供は歴史の希望であり、社会全体で支えていく観点も重要と。これを基本的な考え方として記して、やっぱり受給者が増大していると、だから合理化、効率化、自立支援をする制度として将来にわたり機能できるよう整備というふうにまとめているんです。
公明党厚労部会単親家庭(母子家庭)等対策小委員会の文書、ここでもやっぱり、自立を支援する経済支援制度として、児童扶養手当制度について、増大する受給者などに対応し将来にわたって維持できる制度となるようというふうになっているんですよ。
元々、夫と死別したら支援は当然だけど、離婚は自己責任という考え方が根強くあったところに、離婚が増えている、それで受給対象が増えた。そうすると、必要な児童扶養手当の予算の増額をしないで、制度の抜本改正だといって自立だというふうにやっちゃったわけですよ。で、五年後、手当額の減額という政策、これも持ち込んだんですよ、まさに自立しろと。
親が苦しいときにちゃんとその親が真っすぐ歩けるような支えを今まで社会や国、政治レベルでは基本的にしていなかった、大臣が言われたようなことはまさにこういうことじゃないかと、典型例じゃないかというふうに思うんですけど、大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/237
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238・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 平成十四年、二〇〇二年の母子家庭等自立支援対策大綱決定以降、厚生労働省においては、累次、一人親の実情に寄り添った児童扶養手当の見直しを行ってきたものと承知しています。
具体的には、一定の事由に該当する場合の児童扶養手当の一部支給停止の適用を除外、多子加算額の倍増、全部支給の所得制限限度額の引上げ、一人親の障害年金受給者についての併給調整の方法の見直し等の改善等を実施してまいりました。また、児童扶養手当受給者を含めた一人親の自立を促進するため、厚生労働省において、教育訓練給付の経費の一部を補助する自立支援教育訓練給付金の支給、看護師、保育士やIT関係の資格などを取得するために養成機関在学中の生活費の負担を軽減する高等職業訓練促進給付金の支給などによる支援を行っております。
一人親家庭への支援について、こども家庭庁においては、こうした取組を引き続きしっかり行っていくことにより、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を行っていきます。
児童扶養手当の更なる拡充については、現行制度の趣旨、目的を十分に踏まえる必要があるとともに、安定財源の確保と併せて、その必要性を含め、慎重な検討が必要と考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/238
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239・田村智子
○田村智子君 これ、二〇〇二年のことをなぜ今問題にしているかというと、やっぱりこの自立をキーワードにされたんですよ。制度の維持のためには、だから、その受給者が困っても、その受給の縮小とか、額の縮小とか、こういうことがあっても、制度の維持、これもう社会保障改革のときの常套句ですもの。二〇一三年の社会保障制度改革推進法も、自助、自立のための環境整備を進めることを目的として少子化対策を進めることなどというふうにされているんですよね。
ずっとこの自立、自助、この言葉で自己責任、家庭責任、これを求める政治の流れが続いていると。で、公的な支援というのは、真に必要な者という言葉で対象が絞られると。給付金も、高等教育の無償化、これも、真に必要な、こういう言葉が繰り返されてきたわけですよね。困難を抱える大人に対する支援も、自立や自己責任の強調、これがやられると孤立や分断を生んでしまいます。子育て家庭であれば、子供も含めて孤立をしてしまう。
私はやっぱり、この自立、自助ということを強調する政策の在り方、これは見直しが必要だと思いますが、この大きな考え方ですよ、ここはいかがですか、大臣。自立、自助、この見直し。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/239
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240・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 一人親であっても自立をしたいという、そのためにスキルを身に付けたいということで、今般も、男女局の方になりますけど、デジタル女性人材の育成ということで御議論をいただいて、その方向に進んでいるところです。
ですから、二〇〇二年にあってもITという話が出ているということは、やはり一定数、ITという中で確実に安定した収入を得ることで、一人親であろうと子供をしっかり育んで、育てていきたいという希望は自立としてありではないかと、それを応援していくことは当然政府としてもやるべきことだと思っています。
ただ、それ以外でなかなかそこまで到達できない事情がある方に対しては、十分に子供を支えるという観点から、今後は、これまでもやってきているはずですね、子育て支援の相談支援、あっ、子育て家庭の相談支援、また一人親家庭等の支援。子育て家庭の支援として必要な取組はしてきているわけで、自立、自助と対立させることではないと思うんですね。一人親であっても様々な生き方を模索しているわけですから、そういう多くの声に、様々な選択肢とか取組に手を差し伸べることがやはり政治の必要性だと思っています。
昨年十二月に閣議決定している基本方針、ここにおいても、今後の子供政策の基本理念の一つが、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を掲げているところであります。困難を抱える子供や若者、家庭が困難な状態から脱する、あるいは軽減することができ、生育環境にかかわらず子供が健やかに成長できるよう、子供と家庭に対するアウトリーチ型、伴走型の支援などに取り組む、そういうこととしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/240
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241・田村智子
○田村智子君 これね、大切なところなのでね。子供に関する施策の在り方として、私は、支援は子供の最善の利益ということを目的とすべきだと思います。自立を目的にしちゃいけないと思う。自立は結果だと思う。
この自立、自助というのは自己責任ということになるわけですけど、子供の場合は家庭責任の強化と表裏一体なんですね。
こども基本法案の提案者にお聞きします。
基本法案第三条、この基本理念で、一号から四号は子どもの権利条約の四原則に基づいています。ところが、五号で、「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有する」、「家庭を基本」という文言が入ったんですね。
子どもの権利条約第十八条は、政府訳で、父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有するとしています。英語の正文ではプライマリーリスポンシビリティーと、第一の責任、最初の責任という意味ですね。責任を負っているのは保護者だけではないし、子どもの権利条約には家庭を基本とするということはないんですよ。子どもの権利条約では、締約国に保護者が責任を果たせるように支援することを求めて、適切な養育ができない場合は国家の介入やその第一の責任を果たすための支援を締約国に義務付けているわけです。
なぜ保護者の第一義的ということだけでなく、責任ということだけでなくて、あえて「家庭を基本として行われ、」という文言が追加されたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/241
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242・木原稔
○衆議院議員(木原稔君) お答えいたします。
三条の話でございましたけれども、五号について、まず子供の養育の主体として、主体とその支援について定めておりまして、「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行う」としているところであります。
この点、家庭での養育については、児童の権利に関する条約の是非前文を見ていただきたいのですが、そこには、児童が家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認めとしているところであります。また、児童の権利に関する条約は、先ほど委員おっしゃっていただいたように、十八条その一項において、父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有すると定め、二項において、これらの者に対して適当な援助を与えるものとしているところであります。
このように、三条の五号は子供の養育に関し十分な支援を行うことを基本理念として定めたものであり、このような支援が行われる背景として、子供の養育については家庭を基本として行われるという認識を述べたものでありまして、あくまでも子どもの権利に関する条約の考え方を反映したものであるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/242
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243・田村智子
○田村智子君 その権利条約の言う家庭の環境、それは、子供の最善の利益を保障するために、やはりそういう家庭環境の下で育つというのは子供の権利の上で大切ということの意味だというふうに思うんですよね。
この十八条は二項で、締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保するというふうにしているんですよ。この保護者が責任を果たせるように支援するということは書いているんだけど、家庭が基本だから家庭でやってねというスタンスはないと思うんですよ。
私は、これは条約と大事なところでずれがあるように受け止めています。保護者が子供に対する責任を果たすことができるように援助する、そこに国の責務があるんですよと。まして、今、自立、自助を強調する政府の政策によって、実際に家庭が孤立をしたり、子育て家庭が孤立をしたり、分断もされている。子育てに家庭責任の強調のようなことではなくて、その責任を緩和して、重荷を下ろして、国が支援をしますよということを強調することが必要ではないのかというふうに考えますが、そういう議論ではなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/243
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244・木原稔
○衆議院議員(木原稔君) お答えいたします。
先ほど三条五号についてはもうその条文を申し上げましたけれども、その三条の五号とその児童権利条約の考え方というのは軌を一にするものでありまして、この条項は家庭にのみ子育ての責任を全て押し付けるものではないということをまずは申し上げておきたいと思います。
また、本法案の立案から提出に当たっては、この提案者の元、私どものところに多くの子育て世代の方々から、子育ての現実として、子育てには喜びを感じる場面もある一方で負担を感じる場面も多いという、そういった様々な御意見をいただいたところであります。こうした御意見を踏まえまして、その三条の六号では、子育てに関する基本理念として、子育てをする者、しようとする者が家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できるよう、家庭における子育てをしっかりと支えるための社会環境の整備について定めているというところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/244
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245・田村智子
○田村智子君 これが子育て支援の法案なのか、それとも子供の最善の利益の法案なのか、これは密接不可分だけれども、私は違いがあると思うんですよ、そこは。「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、」ということが、じゃ、子供にとってどういう意味になるのかということを考えなければいけないと思うんです。子供にとってどういうことになるのか。
実際に、家庭で養育をされていて虐待を受けている子供が残念ながら少なくありません。家庭にいることが苦痛という子供もいます。家庭で養育を受けていない子供もいます。それらは、子供の責任ではないし、何というんでしょう、それは普通の在り方の家庭じゃないよというふうにしちゃいけないんですよ。現実としてそういう全ての家庭があることを前提にして子供の権利をどう守るかと。そのときに、親に対して、あなた、責任果たしていないよねと、責任果たせるようにと、これ叱咤激励とか罰則とかじゃないですよ。支援するというのは、それは子供に対する責任なんですよ。だけど、子供、家庭が基本ですよというふうにしてしまうと、その家庭にいること自体が苦痛という例えば子供、それはどう受け止めるかと。私は、それは子供を傷つける考え方でもあると思うんですよ。こういう議論が必要だと思うんですよ。
これは、子育て支援と密接不可分だけど、子育て支援の法案とは私は違うと思うんです。違うと思うんです、そこは。親の立場は大切だけれども、だけど、よって立つのは子供なんですよ、子供の視点。そう考えたときに、今私が提起した問題、これ大切な議論だと思うんですけど、もう一度、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/245
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246・木原稔
○衆議院議員(木原稔君) 本法案の三条五号について、先ほどから申し上げておりますが、子供の養育は家庭を基本として行われるとの認識との部分については、児童の権利に関する条約の前文に同様の趣旨の記述があるということを先ほど申し上げました。
すなわち、家族が児童の成長及び福祉のための自然な環境であるとされて、また、児童は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであるとされているところを改めて確認いたします。
その上で、この条文では、家庭での養育を受けることが困難な子供、先ほど委員御指摘の、そういった子供に対してもその健やかな成長のためにできる限り家庭と同様の養育環境を確保することを子供施策の基本理念として定めさせていただきました。
そして、御指摘の子供の最善の利益の考慮とは、その子供の利益が保護者その他の者の利益よりも先に考慮される要素であるという、そういう意味であります。申し上げるまでもないことでありますけれども、先ほど虐待の話がありましたが、保護者による虐待などの事情を有する、そういった子供たちまでもが保護者とともに家庭にいることが基本であるという、そういった規範を示すものではございません。
すなわち、「家庭を基本」という文言から導かれているものは、家庭を基本にできない事情のある子供たちにもその健やかな成長のために望ましい養育環境が確保されるようにするというのがこの基本法案の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/246
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247・田村智子
○田村智子君 家庭は基本ということと家庭環境を保障するというのは意味違いますよ、これ。家庭環境と家庭はイコールじゃないですよ。こういう辺りの議論も、私とても大切だと思うんですよ。家庭というと個別具体的なんですよ。自分の家庭になるわけですよ。そのことが息苦しいという子供は現にいる。それから、そのことが強調されて、家庭が基本だよというのは、親の立場から見てもそれが子育てを重苦しくしているという現状があるんですよ。
ちょっと大臣にもお聞きしたいんですけれども、総理が、私の本会議の質問の中で、いろんな方からお話聞いて、子育て家庭が今孤立をしているというふうに答弁をされたわけですよ、まず最初に。そうすると、子育て家庭は孤立している、自立、自助を強調する政府の政策によって特定の、本当に、真に困っているところは支援するけれども、そうじゃないところは頑張れと言われちゃって、コロナをめぐる給付金なんかでもいろんなことが起きるわけですよ。お互い苦しくても、給付金が行くところと行かないところ、そこでまたいろんな分断が起きると。非課税世帯には支援があるけれど、そこをちょっと超えると大学等々の教育費や奨学金等々も、そのちょっと超えたところが一番苦しいんですよ、支援なくなっちゃうと。あるいは、この委員会で度々議論になっている中間所得層はどうなんだという議論とかがあるんですけれども。
こういう自立、自助を強調するようなやっぱり政策によって、子育ての責任というのが家庭に本当に強調されてきたと思うんです。それが子供も追い詰めているし、大人も追い詰めている。やっぱりそこを緩和する支援策ということがこういうことを議論するならば進められるべきだというふうに考えますが、子育ての自己責任、家庭責任、そこを緩和するという方向が、支援が必要だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/247
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248・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 家庭が何であるかということで、これは大人の視点でなく子供の視点で申し上げるとするならば、子供の権利だと思います。家庭に、という居場所に子供が常にいれる権利だと思います。子供の権利です。
家庭がいい悪いじゃなくて、家庭を担っている人、それが一番近い保護者になるんですね。大人の保護者、これが大体は親なんですね、生物学的に親だったり。そこが、先ほど申し上げたように苦しんでいたり、何か立ち止まってしまうと子供に負荷が掛かるという考え方を持つべきではないかと思います。
常に、子どもの権利条約の中にある家庭養護の下というのは子供の権利なんです。だから、家庭というのは、子供がいつも居心地いい場所として得なければならない権利のところであって、それの阻害要因は、そこにいる一番身近な保護者たる、まあ大体は父母に何か問題があったとき、それが例えば貧困であったり、例えばメンタルなものであったり、例えば障害であったり、様々それはあります。そこをしっかりサポートすることで子供にとってのその居場所をちゃんと確保するという意味で、こども家庭庁というのはその両方が相まって子供の権利をしっかりと支えていける、そういう私は位置付けとしてこども家庭庁の家庭というのはあるのであって、大人がどうのという話ではなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/248
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249・田村智子
○田村智子君 通告したのを大分積み残したので次回に回していきたいと思いますけれども、一つだけ。問題があったときに支援するんじゃないんだと思うんですよ。全ての家庭で子供たちが居心地がいいようにできるように支援をするのが国の責務なんですよ。それは、全ての保護者に対して第一義的な責任が果たせるようにと。これは、この辺とても大事な議論なので、また続けていきたいと思います。
今日はこれで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/249
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250・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X01720220519/250
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