1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月七日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月二日
辞任 補欠選任
横沢 高徳君 杉尾 秀哉君
六月三日
辞任 補欠選任
三木 亨君 山谷えり子君
六月六日
辞任 補欠選任
杉尾 秀哉君 那谷屋正義君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
山田 太郎君
山谷えり子君
石川 大我君
塩村あやか君
那谷屋正義君
高瀬 弘美君
柴田 巧君
高木かおり君
市田 忠義君
田村 智子君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
参考人
杏林大学客員教
授
ルーテル学院大
学客員教授
前三鷹市長 清原 慶子君
明石市長 泉 房穂君
名古屋大学名誉
教授
愛知工業大学教
授 中嶋 哲彦君
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本日の会議に付した案件
○こども家庭庁設置法案(内閣提出、衆議院送付
)
○こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整
備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○こども基本法案(衆議院提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、横沢高徳君及び三木亨君が委員を辞任され、その補欠として山谷えり子君及び那谷屋正義君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) こども家庭庁設置法案、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこども基本法案、以上三案を一括して議題といたします。
本日は、三案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、杏林大学客員教授・ルーテル学院大学客員教授・前三鷹市長清原慶子君、明石市長泉房穂君及び名古屋大学名誉教授・愛知工業大学教授中嶋哲彦君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、清原参考人、泉参考人、中嶋参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず清原参考人からお願いいたします。清原参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/2
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003・清原慶子
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授、前三鷹市長の清原慶子でございます。
徳茂委員長を始め内閣委員会の皆様、参考人として意見陳述の機会をいただきましたことに深く感謝いたします。
私は、子供、若者のメディア教育等の研究者であり、四期十六年の市長経験、国の子ども・子育て施策検討の場に参画した経験、全国市長会子ども・子育て施策担当副会長として幼児教育、保育の無償化等に関する国との対話に参画した経験を踏まえて発言をいたします。
また、昨年十一月十日、内閣官房こども政策の推進に係る有識者会議において、子供政策に係る国と自治体の連携の必要性と在り方についてヒアリングを受け、十二月閣議決定のこども政策の新たな推進体制に関する基本方針にその意見を反映していただいたことを光栄に思います。本日は、基本方針に基づく重要法案に係る御審議に当たり、誰一人取り残さない、こどもまんなかの理念の具体化に向けて発言させていただきます。
二ページの一つ目の項目、こども基本法の制定とともにこども家庭庁が設置されることの意義について申し上げます。
こども基本法案第一総則の目的、定義に続いて、基本理念の一、全ての子供の基本的人権が保障され、差別的取扱いを受けることがないようにすることを始めとする六点の重要不可欠な理念に対応しているこども家庭庁設置法案第三条任務規定に私は注目します。
そこで、第一に、児童の権利条約の四原則を反映した子供施策に係る包括的な基本法の制定は大変に有意義と考えます。従来、子供に関する施策や取組の共通の基盤となる包括的な基本法はなかったところ、こども基本法案とこども家庭庁設置法案等が同時に提案され審議されていることは誠に有意義です。
第二に、こども基本法が議員立法で提案されていることは有意義です。全ての子供の基本的人権の保障などの理念が明記されているこども基本法が国権の最高機関である国会の議員立法によって提案されていること、政府から子供の人権の保障を任務の中核として位置付けるこども家庭庁の設置が提案されていることは、まさに日本が国家として子供の最善の利益を追求するという意味のこどもまんなかと、国の政策の真ん中に子供を置くという二つの意味でのこどもまんなかを国内外に表明していると受け止めます。
四ページの二つ目の項目、基本方針に示されているこどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の基本姿勢の三つの項目について考察し、今後の方向性を提案いたします。
一、子供の視点、子育て当事者の視点について、三鷹市長として子供の声、若者の声を聞き反映するために取り組んだ事例には、一、こどもサミットの開催、二、校舎、体育館等の建て替え時、公園の整備時の際の意見聴取、三、最年少五歳児を含む、市長と語り合う会の実施、四、十八歳以上の市民を無作為抽出で選出し、テーマを設定した討議会への参加や、審議会委員を依頼し、十八歳、十九歳の市政への参加があった事例などがあります。
また、日本精神保健福祉士協会によるメール相談の事例は、リアルな窓口では相談できない子供、若者、保護者の姿が見えます。
考察と提案として、一点目に、子供たちや父母、保護者、子育ての当事者は声を上げられる人ばかりではない、本当に苦しいときには声を上げられないかもしれない、安心して語ることができる場づくりが必要、言葉や文字にできない本音の声を傾聴し、言葉や文字に正確に変えていくことが必要であることを指摘します。
そこで、二点目に、意見聴取の手法の多様化が必要です。
三点目に、声なき声を把握するためには、無作為抽出で選定した子供、若者、子育て当事者の意見を聞く機会をつくることは有効です。
四点目に、意見を引き出すコーディネーターが必要です。
五点目に、SNSやメール、オンライン会議等による意見表明、意見交換の場づくりが必要です。
六点目、個人情報保護やセキュリティーへの共通認識の醸成を図りつつ、SNSやメール等による相談事業の分析と反映は有意義です。
七点目に、子供、若者が自ら運営する意見交換機会も大切です。
八点目に、学校教育におけるアクティブラーニング、探求型学習、こども熟議、大人と子供の熟議における子供、若者の意見の把握が有用です。
九点目、学校以外の社会教育や生涯学習における多世代交流の学習機会の整備も有用です。
七ページに入ります。
こども家庭庁の基本姿勢の二点目、地方自治体との連携強化について申し上げます。
こども家庭庁設置法案第四条所掌事務二十七項目の多くの現場は、基礎自治体である市区町村であり、広域的な調整は広域自治体である都道府県です。子供政策の推進には、国と自治体の連携は必須です。
また、三鷹市で平成二十二年、二〇一〇年に子ども政策部を創設したように、子供政策を担当する部署を新設する自治体が増えており、さらに東京都では、今年度から、子供政策についての全庁の横連携を推進するための局級の組織として子供政策連携室を発足し、庁内連携を促進しています。
ここで提案します。
一点目、国と地方の協議の場の実効性ある設置が必要です。
私は、幼児教育、保育の無償化に係る国と地方の協議の場の事例から、国が自治体の現状及び課題認識を共有し、改善のための協議を行い、相互に率直な意見交換ができる組織体制の必要性を痛感してきました。今後も、オンライン会議の活用を含め、国、都道府県、市区町村による実務的な協議の場が効果的です。
二点目、自治体間格差の防止、解消の必要性を提起します。
三点目、地域の実情に応じて、自治体の境界を越えた広域連携、自治体間連携への国の支援策も必要です。
四点目、新しい政策については、特に子供や子育て当事者の効果を検証し、横展開を図る試行と検証の仕組みが必要です。
五点目、子供政策については、当事者の視点からの各政策の品質向上に向けて、国と自治体との対話の深化が必要です。
六点目、子供施策をデジタルガバメント、電子政府の取組の主要な分野に位置付け、自治体と連携しつつ、子供の意見を聞く仕組み、情報提供、各種手当や施設利用申込み等の手続のオンライン化等の拡充が有用です。
七点目、国と自治体の職員交流も有意義です。
続いて、基本姿勢の三点目のNPOを始めとする市民社会との積極的な対話、連携、協働について申し上げます。
特に子供の命に関わる虐待やいじめの防止等に関する相談体制などの活動は、地域活動団体等との連携、協働が不可欠です。
一点目に、幼稚園にも保育園にも通っていない乳幼児、引きこもり、虐待対応、いじめ、不登校等支援を必要とする子供や家族、家庭の中で十分な育ちが保障されないまま社会に出ることになっている子供、若者、ギフテッド、すなわち同世代の子供と比較して突出した知性と精神性を兼ね備えた子供など、民間や関係機関との連携の強化による今まで支援が十分に届いていない子供に届く施策の発見と適切な対応が必要です。
五月開催のにっぽん子ども・子育て応援団結成十三周年記念フォーラム第一部パネリストからは、今後充実すべき取組として、若年妊婦を支援する体制、子供の生育環境の格差への適切な対応、不登校やいじめ等の状況にある子供に寄り添う取組、社会的養護施設退所以降の適切な伴走などが提起されています。
また、図一を御覧ください。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査によれば、子供食堂は急速に増加しています。三鷹市内の子供食堂、NPO法人居場所づくりプロジェクトだんだん・ばぁの事例などからは、家庭、そして保育園、幼稚園、こども園、学校以外の第三の居場所として注目される子供食堂の実践を通して、子供食堂は全ての子供を中心にした地域における多世代交流の居場所の機能を果たしていることが分かります。
二点目に、こども家庭庁で障害児を所管することの意義について申し上げます。障害児の状況については保護者からの報告が一般的ですが、こども家庭庁においては、こどもまんなかの視点から、障害児当事者、障害者支援を行っている民間団体の実情や生の声を聞き、子供たちの多様性と個性を把握し、しっかりと反映する政策が期待されます。
三点目に、こども家庭庁は、自治体や民間活動団体と協働して、こどもまんなかの切れ目のない包括的な施策や活動のプラットフォームを形成し、好事例の横展開とリアルな対話、オフライン及びオンラインでの活動ネットワークの在り方の検討と実現が期待されます。
最後に、十一ページの大きな三点目、こども家庭庁の司令塔機能の発揮と独自の適切な財源と人財の確保の必要性について申し上げます。
一点目、まさに提示されている司令塔機能の発揮に大いに期待します。
二点目は、子供政策についての各府省庁間の連携の従来以上の推進が求められます。
例えば、幼稚園、保育園、こども園の教育と保育内容の基準の整合性の制度的な担保、また、どこにも通園していない未就園児の実態把握と適切な支援については、こども家庭庁設置法案の規定とともに、関係法の整備法案の着実な進捗を期待します。
また、市長としての教育委員会と市長部局の連携支援の経験から、児童生徒のいじめ、虐待対応、そして不登校等の支援については、家庭、学校、地域の適切な取組が必要です。
子供、父母や子育て当事者に必要な施策が届くアウトリーチあるいはプッシュ型のサービスの推進のためにも、個人情報保護、セキュリティーが確保された上での適切なデジタル化が必要です。
三点目は、勧告機能を持っていることの重要性です。
各省大臣に対して必要な資料提出や説明を求め、必要なときには勧告する権限の適切な運用、そして、設置される予定のこども家庭審議会による定量的のみならず定性的な調査に基づく的確な提言に期待しています。
四点目、こども家庭庁の政策の実現を担保する十分な独自財源の確保を求めます。
こども家庭庁独自の政策については、従来子供に関係する事業を行ってきた府省の予算枠から移す対応のみでなく、独自予算確保を期待します。
基本方針には、次のように明示されています。政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていくという検討の加速化を期待します。
このほか、議員立法による休眠預金等活用法に基づく休眠預金等の活用の場合には、表一に示されていますように、優先的に解決すべき社会課題の最初に子供及び若者の支援に係る活動を置き、経済的困難など、家庭内に課題を抱える子供の支援、日常生活や成長に困難を抱える子供と若者の育成支援、社会的課題の解決を担う若者の能力開発支援に取り組む民間公益活動に対して助成を行っています。この制度がコロナ禍や原油高、物価高の中での子供、若者支援を含む民間公益活動の持続可能性への支援は有益であり、この制度の継続、発展を期待します。
五点目に、こどもまんなかの理念の国民全体の共有とその実現を目指すために、行政、関係団体のみならず、幅広い地域人財の確保が必要です。
こどもまんなかの理念を国民全体が共有し具体化していくためには、まずは国及び自治体職員の確保と育成が必要です。市民や市民活動団体との協働の経験からも、子供、子育てに係る専門職の拡充が求められるとともに、地域において子供、若者支援や子育て支援の活動を行う地域活動団体の活動が広がり、円滑に行われるためには、多様で適切な人財育成と確保に努める必要があります。
最後に申し上げます六点目は、附則の検討規定の意義です。
こども家庭庁設置法案の附則では「政府は」を主語とし、こども基本法案附則では「国は」を主語として、法律施行後五年を目途として検討することについての規定があります。これは、法律の施行状況の評価、検証を前提として必要な措置を講ずるというPDCAサイクルとEBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングを担保する規定として極めて重要です。
以上、子供を産みたい人々が安心して子供を産み育てることができる、誰一人取り残さない、こどもまんなかを実現するこども家庭庁の取組となりますことを心から期待して発表といたします。
どうもありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ありがとうございました。
次に、泉参考人にお願いいたします。泉参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/4
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005・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 泉です。
まずは、このような機会をいただき、本当にうれしく思います。ありがとうございます。加えて、委員長から忌憚のない御意見をと言っていただきましたので、忌憚なく意見を言わせていただきますので、皆さん御理解よろしくお願い申し上げます。
お手元の資料に沿ってお話しさせていただきます。
長らく日本は少子化の加速や経済の停滞と言われておりますが、その原因の一つは、やはり私たちの社会が子供に冷た過ぎるのではないかと思えてなりません。子供を本気で応援すれば、人口減少の問題に歯止めも掛けられますし、経済も良くなっていくと、私はそのように考えております。実際に、明石市では、決断をして実行したので、良くなってきています。
実際の明石市がどのような取組をして今どんな状況にあるのか、そして、今後どうしていくのか辺りをお伝え申し上げ、是非議論の参考にしていただければうれしく思っております。よろしくお願い申し上げます。
三ページ御覧いただくと有り難いんですが、明石市は、子供についてあれもこれも施策展開をし、人口増、そして地域経済は活性化しております。本当にうれしい限りであります。
では、どんな施策をしているのか。六ページであります。
明石市としては、いわゆる経済的な施策としての負担軽減のための無料化もしておりますが、それだけではありません。必要なのは、お金だけではなく、寄り添う、そういった施策も必要であり、この両方をしているのが明石市の特徴の認識です。
まずは、無料化の方からです。
明石市独自の五つの無料化と銘打っておりますが、全て所得制限はありません。全ての子供ひとしく対応するのが特徴で、例えば、医療費については、十八歳まで完全無料です。市外の病院も無料、薬代も無料です。お金は要りません。なぜなら、先に税金や保険料で国民の皆さんから預かっているという認識でありますので、明石市はお金を取りません。
保育料は、二人目以降完全無料です。三人目も四人目も、子供の年齢も関係ありません。そんなせこい要件は課しません。おむつについては一歳まで無料で、家にもお届けします。給食費は中学校まで無料。遊び場も、親子ともみんな無料にしていっております。
加えて、次のページであります。
加えて、寄り添う施策。明石市では養育費を立て替えて払っています。親子の面会交流で、別居している親子のまさに時間をつくっています。戸籍のない子供について支援もしております。児童扶養手当は毎月支給しています。そして、子供食堂は全ての小学校区にあります。児童相談所の改革で、第三者の審査も国に先立って実施しております。これら全部、全国初です。自慢できることではありません。世界でのグローバルスタンダードが、日本だけやっていない政策ばっかりなんです。日本がしないからやむなく明石市がグローバルスタンダードの施策をしているだけでありまして、私としては、子供に対して申し訳ない気持ちで、遅まきながらやっているという認識であります。これらの施策、是非国でもやっていただきたいと思います。
加えて、コロナ禍においてでありますが、ページ数十五ページ以下になりますが、明石では、コロナの状況の中で大学を辞めかねない学生に代わって、百万円上限で、本人と親に代わって大学にお金を振り込みました。親は金がありません。子供もない。だったら行政が百万円までは持つと。そして、就職した後ぼちぼち返してもらうということもやりました。高校の進学も大変なので給付型の奨学金もつくり、一億円以上の予算を計上しております。一人親家庭には国に先立ち五万円の上乗せもしましたし、十万円支給につきましても所得制限は当然撤廃しております。生理用品につきましては、本年度からは全ての市立の小中高校、養護学校のトイレに生理用品を常備しております。こんなことはほかの国ではやっていることなんです。これぐらいのことは、こども家庭庁とおっしゃるんだったら、是非次年度以降に具体化していただきたいと切に願う立場であります。
加えて、二十一ページ。
明石市では少人数学級化も先立ってやっております。小中一貫校では全学年三十人学級を実現しております。金は掛かりますけど、子供には金を掛けるべきなんです。学童保育につきましても、教員免許のある者が半分以上おりますし、研修についても全国の中核市で初めて自ら研修を実施しております。人がいなければ育てるということだと思っております。
こういったことをいっぱいした結果どうなったかが二十三ページになります。
こういった子供に優しい施策をすることによって何が生まれたか、安心です。
二十四ページ、御覧ください。
明石市民で住みやすいという方が九割を超え、九一・二%が住みやすいとお答えいただいております。生活満足度の民間調査だと関西一位、全国戻りたい街ランキングはついに全国トップに躍り出ております。つまり、こういった町こそが住みたい町なんです。
実際どうなるか。次のページです。
人口です。明石市も、私が市長に就任した十一年前は既に人口減少始まっていました。それが下げ止まって、今、九年連続人口増、過去最高人口を更新し続けており、ついに中核市、六十を超える中核市の中で全国一位の人口増加率になっております。出生率も上がり、二〇一八年度は一・七〇まで上がってきております。しっかり子供に力を入れたら出生率は上がるのは明らかであります。そのように思えてなりません。
そして、次のページ、二十七ページに入ります。
こういって人口が増えると、人気の高まる町になるとどうなるか、人がやってきます。住む人も増えるのみならず、来る人も明石は七割も増えております。その結果、今、新店ラッシュで、明石周辺はどんどん飲食店が増えてきております。地域経済は活性化し、コロナ禍なのに昨年度は過去最高利益をたたき出しております。地価も上がり、例えば明石駅前のマンションは、五年前の新築マンションが今中古で二倍の価格で売買されております。こういった状況に明石は入りました。
そして、そうやってお金が動き始めますと何が起こるか、税収が増えます。次のページであります。
明石は、税収が八年前に比べ三十二億円増えております。貯金につきましても、私が市長に就任したとき、どんどん減って七十億円でしたが、今、百二十一億円。明石はあらゆることにお金を使っておりますが、それでも五十億円積み足しているんです。そして、財政は健全化し、兵庫県下で最も実質公債費比率がいい市になり、今もトップレベルです。
繰り返しお伝えしますが、お金がないからせこいことするんじゃなくて、お金がないときこそ子供に金を使うんです。そうすると、地域経済が回り始めて、お金が回り始めることを是非お伝え申し上げたいと思います。
こういった税収が確保できましたので、次のページです。
明石では、子供のみならず、高齢者、障害者、犯罪被害者やLGBTQ+のテーマについても全国初の施策が展開できております。つまり、お金ができてきたので、子供だけじゃなくてみんなに優しい町がつくり出せたということだと理解をしております。
では、こういったことをするにはどういったことが必要だったかを次からお伝え申し上げます。
三十一ページです。
五つのポイントにまとめております。まずは発想の転換です。子供を応援するのは子供のためだけではありません。私も含めたみんなのための施策と、この発想の転換が一番大事だと思えてなりません。そして、組織の連携、予算の倍増、人の育成、地域の協力、この五点をお伝え申し上げたいと思います。
改めて発想の転換です。三十三ページに記載しております。全ての子供たちを町のみんなで本気で応援すれば、町のみんなが幸せになる。ポイントは特に大きく二つです。本気です。ふりではないんです。もうふりをやっていられる時代ではありません。本気で子供の応援をするんです。そして、そのことは、まさに国民みんなのためだということを語るということが私は大変重要だと思っている立場であります。
次のページに行きます。三十五ページです。
組織の問題に入ります。
これは、まさにこども家庭庁の問題でもありますが、明石市でも同様に最初に組織から実は入りました。私が市長に就任したのは十一年前の二〇一一年、その翌年の二〇一二年に、明石市でも、こども未来部という組織再編をしております。ただ、ポイントは、組織再編に加えて条例を改正し、幼稚園の権限や図書館の権限を教育委員会から市長の方に移しました。これがポイントなんです。そうすることによってより連携が強化できたわけであります。
その結果、次のページになりますが、例えば明石市では、公立の幼稚園の中に民間保育所を余裕教室の中に入れました。ドッキングしたんです。そして、公立幼稚園は全てこども園化に向かっている状況になりました。まさに連携強化ができたことです。そして、小学校につきましても、明石の小学校の中で地域のボランティアの子供食堂が実施できています。
また、もう一つ、児童相談所の一時保護所から、明石では元いた小学校、中学校に当たり前に通えているんです。日本で明石だけです。でも、世界では当たり前です。なぜできたのか、学校と連携しているからなんです。加えて、警察も連携するから、リスクの回避、軽減を図っているからなんです。みんなで力を合わせたら、それぐらいのことはできるわけであります。是非これも国の方で制度設計をお願いしたいと考えておるところであります。
少し飛びます。三十九ページに入ります。
是非、国の方には連携をお願いしたい。こども家庭庁は、私は基本的にはいいことだとは思います。もっとも、厚労省と内閣府のドッキングだけで済むわけがありません。大きく三つ。当然、文科省との連携強化必要ですが、更に加えて、関係省庁、法務省、警察庁、総務省、財務省などなど、あらゆる省庁との連携強化が必要であり、加えて、行政のみならず司法や立法とのより連携を強化していく、特に裁判所のテーマにつきましても、是非連携強化をお願いしたいと考えておる立場であります。
そして、もう一点、今の話はいわゆる横の連携の問題です。次に縦の問題に入ります。国、都道府県、市町村、このテーマであります。
是非国にお願い申し上げたいと思いますが、残念ながら、法律上は国と地方は対等というふうに言われておりますが、実際そうはなっておりません。本当に私自身も、本当に悔しい思いをしてまいりました。
例えば、明石市では、子供の医療費の無料化をどんどん拡充図って、十八歳まで無料化しました。何が行われたか、国による嫌がらせです。千八百万円も国のお金を減らされています。どういうことですか。国は地方を応援しているんじゃないんですか。子育てに頑張る地方に対して仕打ちするようなことやめていただきたい。本当にそれは切にお願いしたいと思います。
加えて、地方財源については、地方の特性に応じて自由にお金を使わせていただきたい。幼保の無償化はもちろん賛成ではありますが、その財源は国の責任でやるべきであって、地方消費税の増税分を、勝手に子供の貯金箱から金を持っていくようなことをやめていただきたい。お年玉の使い道は、子供のためだからといって親が決めるものではありません。子供の使いたいように使えるようにする、地方の判断に任せる、このことは是非お願いしたいと思います。
何がポイントか。子供がど真ん中ということは、誰が一番近いんですかというテーマです。子供に近いのは市町村です。一人一人の子供の顔に向き合えるのは地域であり、市町村なんです。子供を大切にするのであれば、是非地域や地方を大事にしていただきたい。国が上ではありません。国が上でその下に都道府県、そのまた下に市町村、だったらその下に子供ですか、違うと思うんです。ど真ん中に子供、そのすぐそばに市町村、地域、そして都道府県が応援し、国がある意味財源の責任を持つということを是非お願いしたいと考えております。
続きまして、四十三ページです。
お金の問題です。
明石市では、私が市長に就任する前に比べて子供の予算を倍増しました。言葉どおり倍増です。百二十六億円だった予算を今は二百五十八億円、まさに倍増したんです。だから明石は子育て支援ができるんです。気持ちだけでできません。金は要るんです。どうしてつくったか。うちは貨幣は発行できません、国債も発行できないし、保険制度もつくれません。やりくりでやったんです。
このことは明石だけではありません。次のページ、明石周辺も続々と明石同様の施策に今転換していっているんです。地方だって金に余裕があるわけではない。それでも歯食いしばってやっているんです。是非、国の方になお一層の子育て支援をお願いしたいと切に願う立場であります。
次のページ、人の問題です。お金も要るし、人も要ります。明石では人の育成に力を入れておりますが、実際、子供を担当する職員数、三十九人から百三十五人、今三倍以上に増やしています。ちゃんと子供に寄り添える人がいなかったら、ものはできません。でも、数だけではありません。大事なのは質です。人については、数ではなく、より重要なのは質。そのために明石市では、専門性のある職員、例えば弁護士も十人以上常勤で配置しているところであります。
児童相談所も、国の基準を上回る二倍以上の職員配置で明石市は児相をスタートしました。なぜか。国のルール守っていたら子供が死ぬからです。どうしてこんなに子供が死に続けるのか。国のルールが間違っているからです。国の基準どおりの人数でできるわけないんですよ、今の状況。そもそもの基準がおかしいんです。なので、明石市では、国の基準を守らずにというか、二倍以上の職員配置で児相頑張っているんです。それでも大変なんです。本当にここは抜本的な児童相談所の充実化をお願いしたい。
そして、人については、いなければ育てるしかないんです。明石では全国二か所目の研修センターを自らつくって、今、全国にオンライン配信で研修をしております。こういったこと、本当に人を育てることを早く始めてほしいと願う立場であります。
次に、地域の協力です。物事をするには地域の協力が要ります。明石では町じゅうで取り組んでおります。その結果、全ての地域で子供食堂が立ち上がり、里親についても、五年前に比べてもう二倍以上に里親の数は増えています。やればできるというのを実感している立場であります。
最後に提案であります。五十四ページ。まずは発想の転換。そして、こども家庭庁こそ連携が必要。予算は次年度から倍増、そして速やかに三倍増。将来っていつでしょうか。来年から倍増、是非お願いしたいと思います。もう待ったなしの状況です。そして、人の問題については、いろいろ議論はありますが、私としては、やっぱり国家資格も含めた更なる検討をお願いしたいと思っております。
そして、子供食堂を含めてでありますが、地域に任せないでください。任せられたって、非常に悪く言って続きません。ちゃんとそういったボランティア活動にも公的な助成、しっかりそれは必要だと私の方からお願い申し上げたいと思います。
最後の最後となってまいりました。五十五ページ以下でありますが、改めてお伝え申し上げたいこと、全ての子供たちへの支援をお願いしたい。特に所得制限の問題です。所得制限をしたら予算は減ります。少ないお金でできます。でも、効果は薄いです。そうではなくて、所得制限を掛けない方がむしろ出生率も上がり、経済も良くなるんです。お金は掛かりますけど、より効果は大きいんです。今の判断大事なのは、せこいお金でなくて、思い切ったお金で本気の子育て支援策やと思えてなりません。
加えて、子供は子供であって、親の持ち物ではありません。親によって、親の荷物ではないんです。もし所得制限掛け続けるんだったら、これからは親ではなく子供を基準にしていただきたい。有名な子役以外はみんな所得制限以下ですから、子供は稼げないんですから、もう是非その点はお願いしたいと思います。そして、子供の意見を聞くことについても改めてお願い申し上げたい。
最後のページになります、五十九ページ。今日お伝えしたいこと、改めてお伝え申し上げます。子供を応援すればみんな幸せなんです。子供や子供の親だけじゃないんです。お年を召した方や幅広いみんなにとって、そして私たちの社会にとっていいことなんだという発想の転換を是非お願いしたい。
そして、五つのポイントで特に重要なのは、こども家庭庁というのは二の組織の問題です。それに先立つ発想の転換、そして加えて、何度も言いますけど、金も要ります、人も要るんです。気持ちだけでものは動きません。お金は付けてください、人は育ててください、そして地方や地域を大切にしていただきたい、そのことをお願い申し上げ、私の陳述といたします。
子供の未来は私たち自身の未来であり、子供の未来は日本社会の未来だと本気で考えております。
よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/5
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006・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ありがとうございました。
次に、中嶋参考人にお願いいたします。中嶋参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/6
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007・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) こんにちは。今日は貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げます。
私は、大学で法学部を出まして、その後、教育学を学びました。今、両方に足を掛かるような形の仕事をしてきています。
今日は、泉参考人それから清原参考人、お二人からはまさにこういう迫力のある話があるだろうなと思いまして、地方の実態や施策、必要な施策については、何というか、具体的で詳細なお話があるというふうに思いましたので、私はそれとは違った観点から発言をしたいというふうに思っています。
皆さんにはレジュメもお配りしてありますけれども、ところどころ順番が変わったりするかなと思います。
まず、私が考えるところ、まず子供のために今何が必要なのかということから出発して考えなければならないだろうなというふうに思っています。
一つは、子供の生命、人格の尊厳、それから成長発達の保障、これが必要だろうなと、改めて、まあこれは当たり前だと言うかもしれないけれども、やっぱり大事だと思います。
ユニセフのイノチェンティ・レポートカード16によれば、身体的幸福度は一位です。それに対して、精神的幸福度、三十七位です。これ、三十八位が最下位ですから、ほぼ最下位ですね。自殺率が、十五歳から十九歳の自殺率が極めて高い。それから、生活満足度、これが極めて低い。その結果がこの精神的幸福度の低さとして表れています。このアンバランスは一体何だということをユニセフは指摘しています。
それから、スキル。これは、その下へ書いておきました。数学や読解力で基礎的習熟に達している割合、これは世界五位です。まあトップグループということですね。その一方で、社会的スキルを身に付けている割合は三十七位。このアンバランスは何だということも指摘しています。
ここに向き合う必要があるなというふうに思います。委員の先生方にも、このアンバランスは一体何を意味するのか、この事実にどう向き合うのかということを是非考えていただきたいというふうに思います。
もう一つ、次の論点ですが、親が子供を安心して産み育てられる社会環境を確保していただきたいということです。
今回の立法はそれに向けて行われるというふうに説明されていると思います。政府は、ごめんなさい、親はですね、子供の養育について主体的な責任遂行、この責任はあると思います。これは、子どもの権利条約十八条でも親の第一義的責任ということを言っておりますし、民法八百二十条で監護、教育権を定めています。これは、親にとって責任であると同時に権利でもあるということを言ったものであるというふうに思います。
親はやっぱり子供をしっかり育てたいと思っているわけですね。あるいは、親は子育てを通じて親になっていくというものだと思います。それが困難に今直面している。その困難をやっぱり社会的に支えていかないと、親は親になっていかれないということだと思います。子供を育てる親や家庭に対する公的支援が必要です。
その一方で、虐待がある場合には介入が必要になる場合もあると思います。ただ、それを、一律に道徳や規範を押し付けるというようなことになってはいけない。やはり多様性をしっかりと保障するということが必要ではないかと思います。
三番目に、これが私が今日言いたい中心の話になるんですが、子供の人格と権利主体性を認める、あるいは育てるということが必要であろうと思います。
今議論しているのは、子供のためにどういった社会をつくるのか、あるいはどういった法制度をつくるのか、それを議論していらっしゃると思うんですね。
今、手元に岩波文庫のイェーリングの「権利のための闘争」という本があります。これは、法学部の学生、入学したらすぐ読めと言われるような本です。この中でこんなふうに言っています。
世界中の全ての権利イコール法は闘い取られたものである。重要な法命題は全て、まずこれに逆らう者から闘い取られなければならなかった。要するに、権利、法というものは闘い取るものなんだと。あらゆる権利、法は、一国民のそれも個人のそれも、いつでもそれを貫く用意があるということを前提としている。権利、法は、単なる思想ではなく、生き生きした力なのであるというふうに言っています。
つまり、ここで言っているのは、権利や法というのは、国会で定めていただいて、あるいは地方公共団体で制度をつくっていただいて、その中で生きていくということが権利ということではないということを言っているんですね。自らの権利は自ら認識し闘い取るものなんだ、これが近代的な法意識の基本になっているんだろうと思います。このことは、子供のことを考えるときにも重視しなければならないことだと思います。
先生方のお手元には、二ページ、資料の二ページに字で書いた、手書きのものがありますね。これは、私が中学校一年生のとき、中学校一年のときに書いたものです。いまだに残しています。これ、一ノ二の憲法といいます。一年二組で作った憲法です。
この中で、御覧いただきたいのは第六条です。自分の損になることは黙っていないという条文です。これ実は、私たち、私、この憲法の起草委員長だったんですね。で、べからず集作っちゃっていたんです。これこれしてはいけないとか、そういうものを作っていた。そこへ先生がやってきて、いや、君たちは何かそんなこと、やっちゃいけないということばっかり考えているんだね、いや、憲法ってそういうことじゃないよという一言を言ってくださったんですね。それで、ああ、そうかと考えていくと、あっ、こういうことかなということで書いたのが、自分の損になることは黙っていないというものでした。これは、その権利利益、あるいはその侵害について認識し、自分自身が権利というものの主体となって動くと、自分自身で行動するということをこの教師、教えてくれたんだと思っています。
もう時間がないですから今日は省きますけれども、この二ページの一番下のところにあるように、子供たち、この子供たち、私たち自身ですが、二年後に学校が競争心向上のために定期試験ごとに実名と点数と順位を貼り出そうとしたんです。それに対して反対運動を起こして、連休明けまでほとんど授業させませんでした。やってくる教師たちに対して、いや、おかしいだろうと。それで、撤回させました。これがこの教師がまいてくれた種だなと思っています。
自分の損になることは黙っていない、こういう子供たちを育てたいというふうに思います。それは様々な子供施策、どういった子供施策を展開するのかというときに、子供自身がやっぱり声を上げると、これは私にとって幸福です、これは幸福ではありませんということを子供自身が言えるということが大事なことじゃないでしょうか。それは将来の主権者を育てていくということでもあるし、それから法というものは、やっぱり権利を認識することによって法が形成されるし、法を遵守する国民が生まれてくると思います。その意味では、やはり権利意識をしっかり育てることが大事であろうというふうに思います。
次のところへ行きたいと思います。資料では三ページのところです。
私が期待しているのは、今回の立法によって子供施策を充実させるということだけではありません。今お二人の参考人がおっしゃったように、子供施策を抜本的に充実させていくことは必要なことであると思います。大賛成です。でも、それだけにとどまってはいけないというふうに思います。
一つは、じゃ、何が足らないのか。それは、子供と親の権利行使を促進すること。これ、今申し上げたところです。それからもう一つは、子供の権利を、行使を支えていく仕組み、これをつくるということ。この二つは、残念ながら今の参議院で御議論なさっている法案の中には見られないように思います。
こども家庭庁設置法の第三条には、子供の意見を尊重しという文言が書かれています。これについて、衆議院の参考人の御発言を聞いていると、ここを大変高く評価されている方もいらっしゃったと思います。でも、私はそういう気持ちにはなれません。なぜならば、これはこども家庭庁の所掌事務の管理執行に当たって子供の意見を尊重すると言っているにすぎないからです。限定しています。その場面だけに限定してはならないはずです。
こども基本法案、これも第三条に、子供の意見を表明する機会であるとか多様な社会の活動に参画する機会が確保されることと書かれています。これも高く評価される意見があります。しかし、これを子供施策の中に閉じ込めてはいけないと思います。要するに、政府が行うあるいは地方自治体が行う子供施策の中に、その立案とか実施とか評価の場面でだけ意見を聞きますというような意味にこれを解釈してはならない。子どもの権利条約はもっと広い範囲で、子供に関する全ての事柄について子供は意見を言う権利があるということを子どもの権利条約定めていますので、是非そういう趣旨に生かしていっていただきたい。
ですから、この設置法とかこども基本法にこのことが書いてあるからといって、子どもの権利条約の定めが無効になるわけではありませんので、そこはしっかりと今後も生かしていく必要があるかなと思います。
ただ、衆議院の議論の中で、政府参考人の御発言で、学校教育に関してこんな発言があったようですね。児童個人に関する事項については子供は発言することができるけれども、校則やカリキュラムの編成などについては、これは子どもの権利条約第十二条一項の対象にはならないという発言をなさっています。
これは、どうしてそんなことが言えるのかというのは非常に疑問でありまして、国連における審議やその後の子供の意見表明権についての展開というのは全然そんなものではない。子供が社会に参加していく、これを促進しよう、その中で子供の意見を述べる権利を保障していこうと言っているわけで、自分のことについてだけ言っているわけではありません。もちろん、自分のことについて発言できるというのは十二条第二項に定めがありますので、そちらの話に限定してしまっては、これは権利条約の趣旨に逸脱することになるのではないかなというふうに思います。
最後に、私は、これができたらいいなというふうに期待していたのですけれども、政府から独立した人権擁護機関、これがやっぱりつくられていくべきではないかと思います。IHRICというふうに表現されて、私は勝手にイーリックって読んでいるんですけれども、その読み方でいいかどうか分かりませんが、政府には子供の権利を擁護し保障する責任があります。これは、この今回の立法があろうとなかろうとその責任があるわけですよね。これは、もちろんこども庁だけではなくて、他の省庁もそれぞれの所掌事務の管理執行を通じて子供の権利保障に意を用いていただかなければならないと思います。
そのことは確認した上で、しかしながら、では、行政機関が行う行政が全て正解なのかというと、そうじゃないだろうと思います。
子供の権利利益に対する無理解であるとか、誤認あるいは誤解に基づいて権利や利益を侵害してしまうということはあり得ることです。それから、施策や制度の不備に起因して権利が侵害される、不利益を受けるということもあり得ることです。それから、執行機関の過誤や不正によって不利益を受けることもあります。そういった場面で、私は、子供自身が声を上げるべきだということを先ほど言いましたが、しかしながら、発達途上にある子供についてその権利行使をサポートする仕組み、これは必要だと思います。
先ほど、清原参考人が声を上げられる人だけではないというふうなことをおっしゃいました。私もそう思います。声を上げる権利と意思を形成していくこと、これが必要です。その上で、声を上げようとする人をサポートする人、こと、それから声を上げられない人をサポートすること、それから自分自身の権利や利益が侵害されているということに気付かない人、これをサポートすること、これが必要なことなんですよね。そういう役割を果たす政府から独立した機関、これを是非必要としているのではないかと思います。
これは、別に政府と闘おうという話をしているわけではなくて、政府の仕事を政府のパートナーとして支えていく一つの仕組みとして必要なんだということであります。
じゃ、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/7
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008・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/8
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009・有村治子
○有村治子君 自由民主党の有村治子でございます。
今日は、清原先生、泉市長、中嶋先生、大変洞察力のある、また熱量のあるお話をありがとうございます。敬意を持って拝聴いたしました。
その上で、限られた十五分という質問時間でございますから、行政経験が豊かな清原先生と泉先生御両方に、できれば質問を二問させていただきたいと思います。時間の進行を見ます。
泉市長が対談をされていた先月の事前の資料を、東洋経済でしたか、拝見をさせていただきました。その中で、市長や知事の権限の最たるものは予算編成権と人事権だと、首長の権限として。首長と議会の二元代表制というのはよく指摘されることで、それがあったからこその明石のすばらしいミラクルを積んでいかれたんだと敬意を持つわけですが。
その一方で、市長に与えられていない権限に三つの分野があると、警察と医療と教育だというふうに挙げられています。警察と連携ができていないので児童虐待や消費者被害の救済は臨機応変にできないと。医療についてもコロナ禍でもどかしい思いをしたと。そして、過去に教員の不祥事が発覚したときも、教育というのがなかなか権限が与えられていないので、もしその県の教育委員会あるいは県の権限から移譲してもらえば、いじめや不登校を減らせると思うというふうに御発言をされていらっしゃるんですが、この辺について、例えば両市長のようなすばらしい方に恵まれれば非常にいい結果が出るかもしれませんが、必ずしも子供あるいは教育ということに得意じゃない市長だって出てくることもあり得るので、そういう意味では県で一定のクオリティーを保ちたいということに一定の合理性はあるということも私も思うのですが、どういうときに権限を、市という基礎自治体に任せてもらえるといいのか、逆にどういうところにつまずいたのかということを具体的にもう少し教えていただけると有り難いなというふうに思います。
まずは、じゃ、泉市長から、そして、清原先生に次に伺いたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/9
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010・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 挙手の上、発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/10
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011・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。
御質問ありがとうございます。
もう端的に言います。私が市長になった翌年に不祥事がありました。教師による女子生徒へのわいせつ行為です。私は申し訳なくて、本人と親御さんに謝りました。こう言われました。再発を防止してください。できません。調査する権限ないんです。学校の小学校、中学校は市立でも、働いている先生は県の職員です。調査もできません、処分もできません、人事異動もできないんです。何の権限もほとんどない状況で、市長としては本当にもどかしい思いをしました。本当に申し訳なかった思いです。
ポイントは二つあります。一つは、基本的に教育権限は都道府県と政令市で、中核市から以下の、以下というか、はないんですね、人事権が。加えて、かつ人事権は、いわゆる知事部局や市長部局じゃなくて教育委員会なんです。もちろん、中立性の観点からの必要性は分かりますけれども、二重に縦と横がずれています。その結果、端的に無責任体制、スピード感のない対応、ある意味、被害者に寄り添わないような心ない対応、こういったことの中で様々報道のあるような、どうしてそうなんだと思うような教育現場における状況があると思いますので、この辺り、是非、両方の整理ですね。
私としては、希望としては、中核市辺りには政令市同様の教員人事権の移譲をお願い申し上げたいですし、加えて、教育委員会部局といわゆる首長部局の連携がいまだ中途半端です。総合教育会議ぐらいでは余り意味がありません。この辺り、是非お願いしたいと思っております。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/11
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012・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 挙手をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/12
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013・有村治子
○有村治子君 はい。済みません。
済みません。警察について一言ありますか。今教育のことをおっしゃっていただきましたが。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/13
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014・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 挙手してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/14
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015・泉房穂
○参考人(泉房穂君) はい。ありがとうございます。
教育と医療は都道府県と政令市にはあります。警察は都道府県だけです。アメリカなんか市の権限ですけど、警察は。国で違います。
でも、明石市としては、警察とはうまくいっています。理由がありまして、明石は一市管轄する明石警察署があるんですよ。そこの署長さんと相当密に話をしまして、児童虐待の対応とか、大変柔軟かつ迅速にやっていただいていますので、ある意味権限がなくても連携を強化すればできることはあるとは実感しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/15
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016・清原慶子
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
自治体において、特に基礎自治体、市区町村において、警察、そして医療、教育というのは、まさに子供たちの命を守り、そして安全で安心な暮らしをしていくために重要な行政のパートナーと言えます。
私の経験では、警察と三鷹市においては、子供たちの安全確保のためには適切な情報を共有するという協定を交わして臨んでまいりました。それは、警察、教育委員会、三鷹市が対等に、子供を中心に置いて必要な情報は共有する、ただし、個人情報であるとか、それがその子供の命に関わるようなことについては、もちろん守秘義務を持った関係の中でしていくということです。
また、医療については、医師会の皆様との連携というのは、もちろん災害時の応援協定もありますが、子供たちの健康診断であるとか、保育園、幼稚園の健康診断であるとか、そうした取組を通して、かかりつけ医だけでなく、常日頃、校医や園医として子供たちの健康を保ち、さらには、いざというときの虐待の発見とかいじめの発見とか、そういうことにも御協力をいただく要保護児童対策協議会のメンバーにも医師会の方には入っていただいてきました。予防接種ももちろんですが、そうした中での具体的な日常的な連携ということが子供中心になされる、それが基礎自治体だと思います。
さて、教育でございます。私たちにとって、やはり子供がいじめとか虐待とかそうしたことで人権を損なわれるというのは重大案件でございます。したがって、教育委員会と市長部局は、このいじめのことを基に、法律改正もあり、一定の強力な連携体制というのを従来以上より強めております。ただ、もちろん教育の政治的中立ということがございますので、現時点、教育委員会と市長部局の連携の中で、明石市さんのように、まさに教育においても市長部局がしっかりと責任を持つという取組方もありますし、子供施策を教育委員会に集中して統合して行っている市もあると承知しています。
ただ、教育そのものが義務教育、公教育として公正になされるということと、それに付随するいじめや虐待やそうしたものへの対応ということについては、何というんでしょうか、連携すると言っても一定の境界はあるというふうに思います。特段、命に関わるいじめや虐待については、三鷹市においては私の市長時代から急速に連携をしておりますが、ほとんどの自治体での連携の取組が進んでいるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/16
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017・有村治子
○有村治子君 誠に説得力のある御発言に感謝します。
その上でなんですが、感染症の世界的流行、コロナ禍も足掛け残念ながら三年目になりました。その間には、里帰り出産ができないとか、あるいは立会い出産ができないとか、出産そのものに関しても相当なハードルが、残念ながら余儀なくされてしまっている中で、このつい最近出された去年の出生数というのが予定されていたよりもかなり厳しい状況で、実数で八十一万一千六百六名と。これ、推計を出していたときには八十八万ぐらい、あるいは厳しくても速報で八十四万と言われていたのが八十一万になって、恐らく八十万を切るのも時間の問題ということになっています。
昭和四十一年、一九六六年にひのえうまということで一・五八ショックがあったわけですけれども、このようにその人為的なものが、社会的なものが一年で終わらないというふうに考えると、これは、これからゼロ歳児保育にしても、時間差はあるけれども、必ずその町づくりにも、そのお子たち、家族にも、その地域にも、当然日本全体にも相当な影響力の出てくる社会的、政治的な変化だというふうに思います。
だからこそ、この時代に生をうける、あるいはうけようとする、あるいは、結婚そのものも十万人減ってしまっていると、六十万人が五十万になってしまっているので、そこにはもう期間限定でもいいからあえてその政治的な光を当てて、結婚しようとする、子供を授かろうとする、そしてやっと授かった命にもう期間限定で家族的に支援をするという、そういう社会あるいは政策ということについては、それ賛否両論もあると思いますけれども、これをやらずして社会をどうやって守っていくんだという視点もあるとすれば、それに対しての賛否はどのようなお考えになられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/17
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018・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) どなたに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/18
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019・有村治子
○有村治子君 両先生に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/19
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020・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) じゃ、清原参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/20
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021・清原慶子
○参考人(清原慶子君) 重要な御質問だと思います。
すなわち、この度報告されました出生数が八十一万人であって、本当に長引くコロナ禍の中で、結婚を控える人、出産を控える人増えているということは大変重要な課題だと思います。
内閣府において、自治体で、婚姻をしたい人が婚姻をできるような条件整備をしている町に対して一定の支援をしているという取組があるということも承知しております。なかなか、何というんでしょうか、人の出会いだとかあるいは結婚だとかに行政が関わることについては長らく一定の抑制があったというふうに承知をしております。しかし、一定のアンケート調査などを見ますと、出会いをしたいのに出会えないとか、なかなか本当に深く知り合うことができないとか、同じ趣味の人と出会うこともなかなかコロナ禍でできなくなっているとか、いろいろそのネガティブな状況ばかりがあります。
もちろん、何というんでしょうか、SNSなどで、意識がオープンな方は、まあこの場で言う言葉でふさわしいかどうか分かりませんが、マッチングアプリなどを利用して出会っている方もいらっしゃるやに承知しておりますけれども、そういう出会いも含めて、求めている人にどのような条件整備をしていくのかということについては、既存の政策の中でも、出会いたい人が出会えるような事業や取組に対して国が一定の支援をしているということも承知しておりますので、そうしたものを、今議員さんがおっしゃいましたように、集中的にしてみるということもあり得るかもしれません。
ただ、行政がお膳立てをするというのは、それが望ましいかどうかもよく分かりませんで、私は、民間の方がきちんとした基準の中で公明正大に取り組んでいらっしゃるものの形を支援するということもあり、基礎自治体の市区町村が頑張るところを応援するのもあり、民間の御努力を応援するのもあり、本当に結婚することの幸せ、喜びを感じ取り、そして産む幸せを感じ取れるような社会の雰囲気づくりというのは大きな意義があると考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/21
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022・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 泉参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/22
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023・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません、泉です。
私の方からは、リアリティーを持つ話としては、よく言われるのは、明石だから二人目産みましたとかよう言われます。ポイントは、やっぱり不安を大丈夫に変えることだと思うんです。二つの不安があって、一つはお金の不安。で、もう一つ大事なのは、ある意味、何かあっても大丈夫。例えば、自分が病気になっても、子供が病気になっても大丈夫という安心感をいかに提供するかだと思います。
かつて日本では、大家族で、村社会でみんなで支え合っていましたが、今は必ずしもそうではありませんから、私のイメージは、明石市の町があなたの大家族というイメージで、おじさん、おばさん代わりで、あなたが病気だったら明石市が預かりますと。具体的には、明石では駅前でいつでも預かる形で、お子さんをお連れいただいたら預かる施設もつくっております。まさに、大家族代わりを町がするという観点が重要だと思っております。
特に、明石市で評価いただいているのはおむつの宅配で、無料も評価いただいていますが、それ以上に孤立防止です。やっぱり相談相手がいなくて大変な状況の中で本当に寄り添って相談できるような体制を本当に喫緊にやらないと、やっぱり不安なままでは皆さん子供を産みたくてもちゅうちょしますので、私としては、子供を産みたくない方に産むという発想ではなくて、産もうかどうか迷っている方々にそのちゅうちょしなくていいような環境整備、これが一番効果が高いと思いますし、そこの辺りに集中的な予算投下をお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/23
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024・有村治子
○有村治子君 大変貴重なお話をありがとうございました。必ずこのコロナ禍での結婚、妊娠、出産、またその豊かな育みということを応援していくという社会ニーズは絶対出てくると思いますので、また今日のお話を参考にして生かしていきたいと思います。誠にありがとうございます。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/24
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025・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
本日は貴重なお話をいただきましてありがとうございます。御礼を申し上げます。
本日は、こども家庭庁設置法案ほか関連法案ということで、まずはお三方に御質問をさせていただきたいというふうに思います。
先日、五月二十四日の内閣委員会におきまして、本法案の言う平仮名の「こども」ですね、この「こども」に、私、LGBTの問題にずっと取り組んでまいりましたので、このLGBTの当事者の子供が入るんでしょうかということと、この「家庭」という、この漢字二文字の「家庭」という部分にLGBTの当事者を含んだ家庭が含まれるのかと、現に同性パートナーお二人で婚姻関係を結ばないまま子育てをしている同性パートナーもこの家庭というところに含むのかというようなお話をしましたところ、野田大臣からは、LGBT当事者の子供について、当然、本設置法案の「こども」に含まれると考えます、また「家庭」に関しましては、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援、この下、こども家庭庁ではこうした家庭、つまり同性カップルの家庭ですけれども、支援を行っていくと、血縁関係の有無にかかわらずしっかり支援をしてまいりたいというふうに大臣の答弁もいただいたところです。
本法案によりますと、こども家庭庁設置の目的の中に子供ど真ん中社会というのがありますが、今回、文科省と厚労省が所掌する子供関連事業や施策の一元化というのも見送られてしまいました。互いに連携を取り合い、子供への支援を拡充していくということだというふうに認識をしておりますが、多様な環境で成長する子供たちの中には、様々な理由により、小学校や幼稚園、保育園、中学校、高校というところに通いたくても通えない、あるいは通わないという選択をする子供たちもいるというふうに思っております。
そういった中で、こども家庭庁や文科省、厚労省、そして自治体、NPOとの連携というのも大切だというふうに思ってはいるんですが、こうした学校現場や保育園などに通わない、あるいは通えない子供たちに対しての支援、アプローチについて、お三方はどのようにお考えになっているのかということをお三方にお伺いしたいと思います。
清原委員からは、先ほど、今まで支援が十分に届いていない子供に届く施策の発見と適切な対応が必要というようなことで、NPOとの連携のお話なんかもいただきましたし、泉委員からは、泉参考人からは、子供へのきめ細かいサポートのお話、LGBTの話も出てきましたし、資料の中にも入っておりました無戸籍の子供たちの支援ですとか五つの無料化、職員の三倍増などのお話もありました。そしてまた中嶋委員、中嶋参考人からは、「権利のための闘争」、僕も読みましたけれども、イェーリングの話もありました。子供自身が声を上げる、言えることが大切というようなお話もありましたけれども、その辺りも含めながらお三方にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/25
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026・清原慶子
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
私は、家庭というのは、血縁関係があるなしにかかわらず、人間にとって第一次集団として大変大切なものだと思っています。そもそも、いとこ同士の結婚はありますが、夫婦そのものが血縁関係がない、その中から子供たちは生まれてくるわけです。したがって、LGBTの御夫婦とも出会い、お話をしたことも私自身ございますけれども、まさに、どんな家庭であれ、そこに子供が安心して暮らせる社会を保障していくということがこども家庭庁の本旨だと思っています。
そこで、なかなか目が行き届かない、すなわち、学校に通っていないので児童生徒として把握されていない子供もいます。また、幼稚園や保育園、こども園に通園していないので見えない子供がいるかもしれません。でも私、三鷹市長のときに、明石市でもやっていらっしゃいますが、妊婦全員面接というのをさせていただいて、ほぼ一〇〇%の妊婦さんに直接、市の保育士、ごめんなさい、保健師や看護師が面談をする、そういう仕組みを始めました。
また、その中で分かってきたことは、いわゆる特定妊婦と言われる支援が必要なお母さんというのは必ずしも少なくない。そして、妊娠したときから寄り添うことによって安心して産んでいただけることと、その後、子供たちが課題を持ったときに隠れないで、そして学校に通っていようといまいと、きちんとその行政の支援の対象として見えてくる、そういう相談できるネットワークなども民間で御協力いただいてつくってまいりました。
セーフティーネットを多元的につくっていくことで、子供のことが見えないなんていう、そんなことがないように取り組むことが求められていると考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/26
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027・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 端的に三点ばかり、ちょっと取組を御紹介申し上げます。
まず一点目、LGBTQ+のテーマありましたので、明石市では、いわゆる俗に言うパートナーシップに加えて、子供も含めて明石市が応援するファミリーシップ制度を全国初導入しました。どんどん広がって、今三十を超える自治体に広がっております。
具体的には、いわゆる男女で結婚していた後に、離婚されて同性の方と暮らしておられて、お子さんいるケースで、保育所に迎えに行ったのに、一緒に暮らしている方が迎えに行っても保育所が返してくれないというトラブルとか、病状説明をしてくれないとかいう問題もありましたので、明石市ではファミリーシップ制度という形を導入して、全ての子供たちをとやっております。
二点目ですが、一時保護したときに、日本は残念ながら親と離れ離れになった上にクラスメートにも会えないんですね。こんなんだと逆に親は怒りますし、親がしんどくなって、精神しんどいときに、大丈夫、代わりに役所の方が子供さんを学校に送り迎えしているんです、うちは。そうすると、親御さんもありがとうと言ってくれるんですよ。だから、一時保護で子供を取られたじゃなくて、子供を預からせていただいている状況なんです。こういう環境整備をすると、子供も引き続き学校に通い続けられるし、親は少しゆっくりして、一月ぐらいゆっくりして、頑張ってもう一回子供とということもできますので、やっぱり環境整備、是非お願いしたいと思います。
三点目については、そうはいっても学校に行きづらい子もいます。そんな子に無理して学校行かせてもいいこと起こりませんので、明石市では、公設民営のフリースクールをつくりまして、民間に委託をしてお金出して、そこに通えば学校に行ったとみなすという形をしておりまして、学校に行きにくい子は行きにくいなりに対応していくと。
ポイントは、子供一人一人のニーズに沿ったような行政運営をしていくことだと思いますので、この辺りも国からお金出ませんので、是非御検討お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/27
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028・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) ありがとうございます。
私は、今の御質問に対しては、近代的な家族制度といいますか、近代的な家族制度をどう今後見ていくのかということかなと思っています。血縁家族であって、それから核家族を中心とし、をモデルとして、モデルとしたその近代的な家族制度というものがつくられてきたと思っています。
その中で、その家族の、先ほど泉市長から、市長さんですかね、参考人から、世帯所得あるいは親の所得の所得制限があるという話です。つまり、これは各世帯が親の所得あるいは世帯所得によって自分たちの生活を維持していくということを前提とした社会であろうと思います。つまり、自己責任の社会ですよね。これには元々無理があるんですよね。所得にはやっぱり格差がありますので元々無理があった。そういう中で、有利な人とそうじゃない人がやっぱり存在していたと思います。
それが、やっぱりここ二十年ぐらいでしょうかね、格差と貧困が拡大していく中で、この近代的な家族の在り方、自己責任家族の在り方というのがもう問われているんだろうと思います。それが、今回、子供施策とか若者施策、支援ということを国としても積極的にこの間行わなければならなかった背景には、もうもたない状況があるんだと思います。
そういう意味では、やっぱり家族の在り方ということについて一度ゼロベースでしっかり考えた方が、ゼロベースと言っちゃうとね、何もなくすという話じゃないんですけれども、近代的な家族観というのをもう一度捉え直すということをしていただく必要があるんじゃないかなと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/28
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029・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。まさに、多様な家族を様々な多元的なネットワーク、セーフティーネットで支えていくということで、むしろ人口も増えていくんじゃないかなと、そういうふうに思っている次第です。
次に、泉参考人にお伺いをしたいと思います。
冒頭申し上げましたけれども、同性同士のパートナーが子育てをする、また里親制度を利用してLGBT当事者が養育をしているなど、多様な家族、家庭が現に存在をしているわけですけれども、明石市さん、非常に取組をLGBTに関しては熱心にしていただいておりまして、ジェンダー平等推進室を設置をするとか、LGBT当事者も暮らしやすい町であるということで、先ほど何があっても大丈夫というお話もありましたけれども、子育てをしていく中で、子供を産み育てる中で、LGBTの当事者は八%いるというふうに言われておりますので、そういった意味では、子供がLGBTであったときでも明石市であればきちっとサポートがあるというのは、非常に安心して子供を産み育てる環境なのかなということも思いながらお話を聞いていた次第です。
明石こどもにじいろ相談というのもあったり、LGBT当事者への子供の支援の担当セクションがあることですとか、ウエブサイトも分かりやすく運営をしておりますし、当事者支援に取り組む方々を専門職としてお二人採用しているということも、非常に他の自治体と比較しても子供たちが、当事者の子供が安心して暮らせるんだろうなというふうに思っております。
LGBT施策のみならず、子供を核とした町づくりとして、子供の、先ほどありましたが、医療費の無料化、給食の無料化、おむつのお話もありましたし、子供、子育てを家庭任せにすることなく率先して明石市が様々な支援環境の整備を行っているというふうに伺っております。現在の里親委託率も非常に低いんですけれども、明石市は委託率一〇〇%を目標で掲げるなど、こども家庭庁、つまり国が率先して行うべき事業のモデルケース、先進事例であるというふうに非常に思っている次第です。
ここで、まず最初、LGBT施策についてお伺いしたいんですが、今後、明石市としてLGBTの子供に対する支援、これ、やってきた感想も含めて、より充実したものとなるような具体的な施策、今後の展望などあれば教えていただきたいのと、先ほどお話ありましたけれども、日本で一番ということで、明石市パートナーシップ・ファミリーシップの制度の導入やジェンダー推進施策の拡充に対して、ちょっと苦労話とか、導入するに当たってどう大変だったかとか、これを横展開する上で、意外とやってみたらこれはそんなに抵抗なく簡単にできたんだとか、そういうお話を聞かせていただければとまず思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/29
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030・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません、御質問ありがとうございます。
LGBTQ+施策について率直に市長の印象を言いますと、学校現場が本当に直面していて、学校の先生方が大変熱心だというのが正直な印象です。
具体的には、例えば制服の問題なども、やはりスカートは嫌だという生徒、お子さんたくさんおられます。でも、実際上は、セーラー服の学校だとなかなか、セーラー服の上で下ズボンというわけになかなかいきませんので、明石市では柔軟に、そういう子供についてはもう別でいいということをしていますし、ただ、そうするとかえって目立ちますので、今、明石市では、次年度に別の制服を作って、ブレザー型を、それも誰でも選べると。LGBTQ+だから選ぶとすると逆にカミングアウトを強いることになりかねませんので、誰でもいいですよという形で今施策展開をしている途中であります。
このテーマは、繰り返し言いますが、本当に時代の変わり目で、もう一気に今動いていることは実感していて、ある意味、更にやっていきたいと思っている立場です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/30
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031・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。
まだ少し時間が、あと三分ほど残っているようですので、LGBTのことをお話ししましたけれども、特にLGBT当事者だけでなく、全ての人が安心して生活を送り、子育てや教育、子供を中心とした持続可能な行政運営の在り方、また、泉参考人のこども家庭庁への期待と不安があるかと思うんですが、その辺りも、最後あと三分ほどありますので、思いのたけをお話しいただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/31
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032・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。まず二点ばかり。
一点は、まずやっぱり明石市の町づくりの特徴は、どうでなきゃいけないではなくて、どうであっても構わないし、違ってもいいという、まさに一人一人が違っても構わないことを前提に、もちろんLGBTQ+もそうですし、学校に行く行かないもそうですけど、それを徹底している町づくりをしています。
難しいようでいて、意外とそうでもありません。一人一人違っても構わないと思えば、逆にかえって気も楽になりますので、どうしても行政というのは一律にやらなきゃいけないと思い込みなんですけど、必ずしもそうではないかなということは実感しているところです。
もう一点は、こども家庭庁への期待ですが、大変期待しております。
私も若干辛口トークな面はありますけど、こんな場で子供についての議論が真剣になされ続けている時代という部分については、私もかつて国会議員をした時期もありましたけど、当時から比べれば隔世の感があります。そういう意味において、私の感覚からいえば、遠い昔は、子供が泣いているのに、泣いているのに気付かなかった時代があり、やっと子供に、泣いているのに気付き出したけど気付かないふりをした時代を経過して、今、やっと泣いている子供を何とかしようとする時代だと思います。
でも、残念ながら子供が泣かなくてもいいような制度はまだこれからでありますから、私としては、こども家庭庁の発足を機に、子供が泣かなくてもいいような日本社会を是非つくっていただきたい。
そのためには、もうしつこいですけど、気合は要りますけど気合だけでは無理ですから、お金は要ります、人も要ります。特に人材はすぐに見付かりませんから、やはりそこは人材の育成をしていかないと人は育ちませんので、そういう意味においてはやっぱり人材育成の重要性、国家資格の議論はいろいろ悩ましい点はありますけど、引き続きしっかり子供に寄り添える人材の育成については是非お願いしたいなと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/32
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033・石川大我
○石川大我君 貴重な御意見ありがとうございました。
これをしっかり胸に、これから私も活動してまいりたいというふうに思っております。お三方の参考人の皆様、ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/33
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034・浜田昌良
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
本日は、清原参考人、泉参考人、中嶋参考人、貴重な御意見ありがとうございました。
今ほど泉参考人からの、やる気だけじゃできないと、お金がなきゃできないという話もございましたが、最初に、お三人にお聞きしたいと思う共通の質問なんですが、まず、子供施策の実施主体は基礎自治体、これは当然だと思っています。その上で、その基礎自治体を支える県とか国、この三つの連携の在り方ですよね。特に、今日御説明ありましたいわゆる三鷹市であったり明石市というのは、子供施策のこれ先進市だと思うんですよ。だから、そういう意味で、そういう市が全部になっていれば一番いいんだと思うんですが、そうでないところもあるかもしれないと。そういう意味では、ある程度のナショナルミニマムといいますか、ある程度の、どこに住んでいても最低限こういう支援を受けられるという、また施策メニューがあるということはしていかなきゃいけないという役割も国にはあるんだと思います。その上で、いわゆる市町村、県、国の役割はどうあるべきか、独自性も必要だと思いますのでね。
その上で、次、財源なんですよね。これからこの法律通りますと、概算要求がありますし、また年末には税制改正もありますという中において、これ予算はやっぱり増やしていかなきゃいけないと。特に、泉さん、今日のお話だと、この十一年間で予算も二倍にされて、とはいっても次年度にはもう二倍に国の予算をしてほしいと御要望いただきましたし、三鷹市でも苦労されているというお話も聞きました。
これをどういう形の、国の補助金とか交付金というようなもののちょっと使い勝手が悪いようなものがいいのか、それとも多分市町村であればもう少し自由度が高い交付税であったり独自財源、しかも結構各市町村でそれなりに税収を上げておられるという、インセンティブが立つ、働く形の方がいいのかもしれませんし、その財源論としてどういう形を望まれるのかということ。この国、県、市との役割と財源の在り方について、それぞれ清原参考人、泉参考人、中嶋参考人から最初にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/34
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035・清原慶子
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
国、そして都道府県、基礎自治体の円滑な情報共有と具体的な政策における連携体制というのは、まさに子供政策のみならず全ての政策に必要ですが、とりわけ子供政策については必要だと感じています。
特に、三鷹市のような基礎自治体の場合には、国の政策を受けて、例えば東京都が一定の枠組みで支援してくれる、その国と東京都の補助金などを三鷹市の真水の財源と一緒になって、保育園の拡充であるとか、あるいは子供の医療体制の充実であるとか、さらには保護者の支援であるとかをしてきたということがございます。
したがいまして、広域自治体、都道府県が、その地域に格差なく一定の標準で子供政策のみならず教育政策やいろいろなことが円滑に行くようにしていく役割というのは大きいですし、例えば東京都の場合は、この度、今年度から子供政策連携室という局級の組織をつくり、もちろん各局が子供に関わる仕事をしていたとしてもそれに横串を刺すというのを国に一年先駆けて取り組んでくださっています。
そうした中で、基礎自治体というのは、実は、何というんでしょうかね、領域が、これは福祉予算だとかこれが公園予算だとかって分けないで、組み合わせて総合的に考える総合行政が子供にとっては特に重要なんですね、子供に使いやすい公園をつくるとか。
そんなことについても、ようやく東京都においても横串を刺して、子供を中心にした公園づくりであるとか、子供を中心にした道づくりであるとか、そういうようなことに取り組んでくださっていますので、そうであるならば、こども家庭庁におかれては、各自治体がそれぞれ苦労しながら進めている子供に関わる情報については一元的に集めていただいて、そういう場合には都道府県を経由しなくても、もう何かあれば基礎自治体とこども家庭庁が結ばれる、都道府県と結ばれる、そして、何か都道府県が何事にもワンクッション置く組織ではないという一体感が進むことを願っております。
財源について、これはなかなかつらいです。三鷹市は、正直申し上げて、地方交付税不交付団体でございますので、交付税措置がされません。例えば、国から三分の一補助があるものでも七分の二の補助というようなことですし、全く交付されないものもあります。したがって、交付税は頼めませんので、自前でいかに住民の皆様に税金を納めていただく、その気持ちになっていただく、納税率を高めていただく、そして納税をしていただく市民の方に住んでいただく総合的な町づくりを進めるということだと思います。
明石市さんにおかれては、子供政策に特化されて、ほかの部門でも市の発展が見られるという例でございますが、三鷹市の場合には、子供についてだけではなくて、やはりほかの、高齢者施策の充実ですとか、そういうことにも力を入れなければなりませんので、自治体経営力ということと、もう一つ提案がありますのは、都道府県でも国でも、今、包括的な補助ということで、余り目的を明確にしないというか、あるいは条件を細分化しないで、なるべく自治体が柔軟に使えるような予算の枠組みを増やすように心掛けていただいております。それが大事です。地域の実情に応じて、小さな町なら町だけに、村なら村だけに、努力ができる、それが実る、使える補助金、包括的な柔軟な補助金が子供政策においては特に重要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/35
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036・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。ありがとうございます。
是非お伝えしたいんですけど、国と市町村の役割分担なんですけど、あえて分かりやすくというか、あえて、私、自分でよく言うんですけど、未来施策と救貧施策という言い方するんですけど、何かといいますと、子供施策も二種類あると思っています。両方大事です。
いわゆる救貧施策、目の前を助ける施策も大事です。これは所得制限を掛けてもいいですし、ピンポイントで急いで現金給付、これ大変重要だと思っています。一人親家庭への支援などであります。これは大変重要なんです。
もうそれだけでは足りません。未来施策、つまり所得制限掛けず全ての子供たちを応援する施策を、サービスの負担軽減、まあ医療費の無料化などですね、こういったことを一回だけでなくてずうっとやっていくと、こういったベーシックサービスのやっぱり制度化が必要なんです。
これが今逆転現象で、私からすると、本来、未来をつくる施策は国がしっかり責任持っていただいて、子供たちや市民に近い市町村は臨機応変に迅速に現金給付やっていく方が望ましいわけですけど、今逆でありまして、国は所得制限を掛けて現金を一回給付の施策が大変多くて、逆に地方の方が、子供医療費の無料化を始めとするいわゆる未来施策的なことをしているんです。本当は地方の方が金ないんですよ。
そういう意味においては、お金のない地方が歯食いしばって未来施策をしていて、国の方がお金がないことを理由に一回こっきりの現金給付だけしていることは、私は逆転していると思いますので、少なくとも両方とも国の方ではお願いしたいと、そのように思っております。
そのためには、繰り返し言いますけど、お金はもうつくるものですし、政治家というものは、できるできないを議論する仕事じゃなくて、もうやると決めたらやるのが私は政治家だと思いますので、是非期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/36
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037・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) ありがとうございます。
必要なことは、権限と自由度の高い補助金を地方自治体に渡すということだと思っています。まずこれが大事だと思います。
ただ、その際に必要なことが幾つかあるだろうと思っています。それは一つは、地方自治体の行政能力をやっぱり格段に上げていく必要があるんだろうなと思います。これは市長さんたちの御努力だけではなくて、自治体職員の研修であるとか、それから自治体同士の横のつながり、これやっぱり大事なことだと思います。
私、子供の貧困の市民団体の、何というか、世話人をしているんですけれども、それで、そこが子供の貧困対策についての自治体交流会というのをつくって、自治体の方に呼びかけて集まっていただくことをやっているんですね。もう何年も続いているんですが、たくさんの方が集まってこられて、その中でお互いの経験を交流し合っているという、そういうことは非常に大事なことだと思いますので、自治体間の協働的な関係ですね、これを促進していくことが必要だろうと思います。
で、もう一つ必要なのは、自治体の住民参加をしっかりと保障するということだと思います。私の住んでいる町、ううん、住民参加が保障されていると思えないなというようなことがいっぱいあるんですね。これ、任せておいたらいいんだろうか、こんなこと任せておいて大丈夫だろうかと思ってもなかなか、発言してもなかなか声が通らないんです。
権限と財源は地方自治体に渡す、これは大事なことです。でも、それをどう使うのかというところに住民の意思がしっかりと届かなければ、多分無駄なお金になってしまいます。そこのところを併せて考えていただく必要があるんじゃないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/37
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038・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。
今ほど中嶋参考人から住民参加という御意見もいただきましたが、特に今回のこども家庭庁においては、子供を権利主体と捉えて、その意見といいますか、どう政策決定に盛り込んでいくかと、とても重要視しているわけですが、その中で、三鷹市さんにおかれましては、五歳児までヒアリングをされたり、また無作為で抽出をして声なき声、また声が上げられない人をどう入れるか。また、泉参考人の明石市では、弁護士も数多く雇われたり、いろいろなサポートをされていると。また、中嶋参考人からは、先ほど、法律上、それで三条、また十二条で意見表明する機会が書かれているが不十分だというコメントもございましたが、今後、IHRICですか、独立人権擁護機関という形でのスクールロイヤーの役割にも期待されておりますが。
こういう権利主体として子供を捉えて意見表明をしていただくということが、今後、法律ができてからするわけですけど、三人のお方に簡単にお聞きしたいと思いますけれども、そういう役割を各基礎自治体がしていただく上で、国が最低限こういうことはしてほしいと、ありましたら、一言ずつでもお話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/38
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039・清原慶子
○参考人(清原慶子君) 私たちは、まさに国民、市民に最も近い基礎自治体の活動をしてきた経験から、子供はきちんと自分のことを話せます、機会があれば、児童生徒もです。で、それが地域のきめ細かい中で保障されるということは当然のことです、家庭においても、学校においても、幼稚園、保育園においても。その声がきちんと国政にあるいは都道府県政に、もちろん地元の市区町村政に反映されているというフィードバックがやはり大事だと思います。一方通行ではなくて、コミュニケーションは双方向ですから、意見表明しました、聞きました、でも、何もやりませんでは、何のために意見を表明していただいたか分かりません。そして、声なき声を酌み取るということも大事な姿勢で、それを国が示していただいていくということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/39
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040・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。
明石市でも、今年の三月に子供の意見表明権を明石の条例、こども総合支援条例ってあるんですけど、改正して明記いたしました。
で、二点ばかりお願いが。
一点は、やはり学校現場においてのスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、さらにはスクールロイヤーですね、しっかりとした専門性の高い方の配置。つまり、学校の先生との緊張関係の子供は学校の先生に悩み打ち明けられませんから、少しずらしたような形の仕組みが大変重要だと思います。
もう一点、明石市児童相談所でも、児童相談所の職員以外の者がちゃんと次の日、その日か次の日には子供の意見聞くんですけど、そうはいっても、子供からしたら明石市の味方みたいな面がありますから、明石市では逆に外部委託して、兵庫県弁護士会の弁護士にも来てもらっているんです。
こういった制度化していかないと、善かれと思って私はあなたのためですよと思っても、子供からするとそうは思えないと本音言えませんから、やはり子供が本音を言える環境整備を是非国において制度化をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/40
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041・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) ありがとうございます。
子供の意見表明権を権利として認めるということであれば、何というか、自治体側でつくった場面、あるいは学校がつくった場面で発言する、意見を言うと、そういうことでは済まないはずです。意見を表明するというのは、実は、期待されていない場所で歓迎されない意見を言う権利だと思います。それが意見表明権です。つまり、そんなこと言ってほしくないということを、大人がですね、大人が子供からそんなこと言われたくないということを子供が言えるようにしなければ、子供の本当の幸福は出てこないと思います。
だから、そういう意味では、子供に自由に意見が言えるように、だから、何というか、子供議会とかですね、何とか、そんなような場をつくって、そこで意見を言ってくださいなんということで終わらせてはいけない。そういうものにならないように国からは地方公共団体に対してアドバイスをしていただきたいなというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/41
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042・浜田昌良
○浜田昌良君 ありがとうございました。
今日いただいた御意見、しっかりこれを踏まえまして、今後進めさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/42
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043・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史と申します。今日は参考人の皆様、本当にありがとうございました。貴重な意見をいただきました。ありがとうございます。
それで、私の方から、まず清原参考人と泉参考人のお二人にお伺いをしたいと思うんですが、所得制限についてです。
国民民主党としては、所得制限はやっぱり良くないと、撤廃していくべきという、こういうスタンスでこれまで様々なところで問題提起もさせていただいてきております。
やはり子供からしても、自分のところがその所得制限というところに引っかかって、あるサービスがうちの親は受けられて、あるところは受けられないということが目に見える形になってしまっていたり、あるいは親からしても、ある程度所得が行くと国からの支援が何ももらえなくなってしまって、結果的に、じゃ、子供二人目、三人目、四人目つくろうと思ったときには逆に生活が苦しくなって、収入があるのに逆に生活が苦しくなって、何の支援ももらえなくて、子供をつくるのを諦めざるを得ないという変な逆転現象も起こりかねないということですから、やはりこれは、所得制限というのは撤廃していくべき、様々な問題があるんだろうという、こういう認識に立っています。
そこで、それぞれお伺いしたいんですけれども、清原参考人にはまず、やはりこの所得制限に対する、所得制限を設けているということに対して何か問題意識、そうした点についての御見解をいただきたいということ。
それから、泉参考人におかれましては、もう所得制限はなくすべきだということで明確にお話を先ほどいただきましたけれども、やはりこれを行うことによってどういう問題があるのか、一番こういう大きい問題があるんだという、その大きな問題意識についての御意見をまずは頂戴をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/43
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044・清原慶子
○参考人(清原慶子君) 御質問ありがとうございます。
所得制限については、もちろん財源にゆとりがあればもう全ていろいろな手当に関する所得制限がないにこしたことはないと、そのように認識しています。
ただ、これまでの制度の経過から申し上げまして、一定の制限を持つことでこの制度そのものの持続可能性を担保してきたという経過があるということも認識しています。基礎自治体においては本当に、所得制限があることによって、何でしょうかね、今議員さんがおっしゃったような二人目、三人目になるとつらいんだというお声もあることから、二人目、三人目については制度的にいろいろ緩和をして拡充してきたというような経過もあります。
したがって、各世帯というよりも、これからは子供を中心に制度についてもちろん検討していく必要はあるのかなと思っています。特に、本当に困っている方、例えば障害のある方とか、あるいは、例えば両親が離婚をしてなかなか家庭的な養育を受けづらくなっている子供であるとか、そういう方々にとっては優先的に例えば所得制限を撤廃するとか、財源をしっかりと確保しながら、段階的な解決というのは極めて重要な課題だというふうに思っています。
ただ、ここで私たちが配慮しなければいけないのは、現金給付だけを重視するのではなくて、現物給付というか、本当に必要なサービスを拡充するというところにも予算は必要なわけですから、子供を中心にした総合的なことによって、ひょっとしたら手当がなくてもいろいろなことが無料で現物給付されるならば、今の所得制限の問題についての相対的な、何というんでしょうか、思いというのは解消されていくのかなとも感じておりますので、まずは子供中心のニーズありき、そして効果を検証していくと、そういうことが求められていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/44
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045・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 泉です。ありがとうございます。
大変重要なテーマで、もう一回繰り返しお伝えするんですけど、私は所得制限のないのとあるの両方あっていいと思うんです。明石は両方やっています。ただ、明らかにクリアに意識してやっています。
例えば、今日の資料の六ページにあるような明石市独自の五つの無料化は全部サービスの無料化です。医療費を払わなくていいですよ、保育料要りませんよ、おむつ大丈夫です、給食費払わなくていいですよ、遊んでもただですよと。つまり、現金行ってないんですよ。明石市の基本的な考え方は、現金を渡すんじゃなくて、掛かるであろう費用を軽減、無料化するという方法です。この方が妬み、やっかみ生みませんし、ある意味フェアな制度だと私は思っています。ただ、お金は要ります。
他方、明石市は一人親家庭への五万の上乗せ支給など現金給付もやっているんです。それは所得制限も当然あるわけですから、所得制限がある施策は現金をスピード感を持ってすぐにやるというのがやっぱりそれは大事なことであって、両方施策として重要だと思っていますので、全てに所得制限を撤廃しろとまでは思っていません。
ただ、多くの子育て層が要るであろう費用というものを軽減していかないと、頑張ったら所得制限超えちゃって、いきなり駄目になっちゃったんでは頑張る気もうせますので、国民に頑張るなというようなことになるような制度はやめた方がいいと思いますし、あとは、どうしても所得制限掛けると、妬み、やっかみ、分断を生みますから、なかなか難しいです。
私も、市長となってこういった所得制限のない施策をやったときに、当初は大分批判されましたけど、途中からは本当に町じゅうがありがとうに変わりまして、うちの娘が喜んでいる、うちの孫が感謝しているみたいな話がどんどん広がってきて、所得制限掛けないとみんなに効果が行きますから、町じゅうみんなでその施策を維持しよう、頑張ろうになるので、町じゅうの応援が得られてきたのはすごく感じていますので、そこはちゃんと切り分けて、所得制限を掛けない施策は何なのか、所得制限を掛けて現金給付するのは何なのかと、この整理を是非お願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/45
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046・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
ニーズをしっかりと把握する、効果は何が効果が出ている、そこに対してめり張りを持ってしっかりと行政として対応していく、大変貴重な御意見いただきました。ありがとうございます。
続いて、中嶋参考人にもお伺いをしたいと思うんですが、先ほどの質問の中で、子供の意見表明の件で少し御意見ありました。今日の冒頭の御説明の中でもお話がございました。いただいた資料の三ページの中で、こども基本法の第三条の三項について触れておられました。ここの表現について、子どもの権利条約の十二項と照らし合わせたときに、まあちょっと、少し心配されるところがあるというお話でした。
実は、二週間前の質疑で私まさにこの点について法を提出された皆さんと実はやり取りを直接させていただきまして、まさに中嶋参考人言われた点についての確認をさせていただいています。
その中で、子どもの権利条約の十二項が決まったいきさつにおいて、その児童に影響を及ぼすということについては、実はこの条約を決める段階でも具体的に記載をすべきではないかという議論が実際に国際条約の議論の中であったと。ただ、それはということで書かれなかったということから、ある程度ここの文章の中には具体的なものというものがここにはある程度含まれているんだという、こういう見解が実は示されました。
ということで、このこども基本法の第三条の三項についてはある程度の限定性があるんだと。ただ一方で、この第三条の第四項ですとか、あとはそれ以降の条文の中ではしっかりと子供の意見を聞くこととその意見を尊重をして政策に反映をしていくことということが明記をされているので、それをもって子供の意見をしっかりと聞くことが体制として整えられているので、子供の意見表明権は担保されていると、こういうことを御説明でいただいたんですけれども。
今のそうした説明について、まあある程度納得できるところはあるんですが、そうはいっても、先ほど参考人言われました、大人が言ってほしくないことも言える場が必要だということから踏まえると、そうしたものをしっかりと含めたやはり体制を組んでいくということが大変重要かなというふうに受け止めたんですが、今ちょっと私が説明をしました国会の中での審議のやり取り含めて、改めて、この子供がしっかりと意見を表明するということが、意見を聞いて尊重するということで含めて捉えて大丈夫なのかどうか、その点についての参考人の御意見いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/46
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047・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) ありがとうございます。
子どもの権利条約の立法化、立法というか条例の制定過程ですね、それについては、いや、こういう御質問があると分かっていれば資料を用意したんですけれども、こういう議論がありました。
自分に関する、初めの条文の中で、場面を設定して、例えば学校でとか福祉でとか場面を設定して、そういう場面場面で意見を言うことができるという条文を作ろうとしていたんです、元々は。それに対して、いや、そんなことをすると、そこに挙がっていない事柄では意見が言えなくなってしまう可能性があるので入れるべきではないということで削除されているんです。ですから、それは広げているんです。だから、自分に関することに限定したんじゃなくて、ごめんなさい、自分に関する私的な事柄だけではなくて、どんな場面でも言えるようにするために、条文を簡素にして適用範囲を広げたというのが立法過程の、条約の立法過程における議論です。
さらに、それは、インプリメンテーションハンドブックというのがあるんですね、要するに条約の運用に関してハンドブックが作られている。これは国連の機関が作っているんですが、二〇〇六年か七年ぐらいにできているんです、これサードバージョンですね。その中でもこのことはやっぱり詳しく書いています。自分の個人的なことだけに限定するのではなくて、あらゆる場面で発言することができるんだというふうに書いて、今度は、事例ですから、学校の場面とかいろんな場面を想定して、こういうところではこんなふうに保障していくべきなんだということを解説をしています。
これ、かなりボリュームを使って解説していますので、やはりいろんな国でやっぱり子供の発言を制限してしまおうという考えというのはあるのかもしれません、ほかの国でも。それに対して、いや、そうじゃないんだということをその先ほどのハンドブックで述べているというところはとても大事なところだと思います。その意味では、先ほどの立法過程の議論の認識というのはちょっと違うのではないかなというふうに思いました。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/47
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048・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。
今いただいた意見、私もまた調査はしたいと、調べていきたいというふうに思いますけれども、やはりどういう場面であっても子供がしっかりと意見が言える環境を整えていく、すごく難しいことだとは思いますけれども、何とか我々もそうした知恵を出していきたいと、そのように思います。
それと、まだお時間ありますので、泉参考人にもう一問お伺いをしたいんですけれども、先ほど、様々実際に子供を中心にした政策を行うことによって経済もいろいろと回り始めたというお話をされていました。覚悟を持って取り組んで、周りを説得してということですので、ある程度はこういうサイクルが回るであろうということは想定をされていたのではないかとは思うんですけれども、どういうところまでを泉参考人としては想定をされていて、でも、想定外にこういうことも実は起きたんだという、想定外の部分、そうしたところも是非経験談としてお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/48
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049・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません、ありがとうございます。
もう端的に言いますと、当初本当に理解得られなくて、この人何考えているんだから始まったんですけど、五年ぐらいたって、もう町が元気になって地域経済が回り始めましたので、大変皆さんに応援いただけるようになりました。
もう昨年、本年度は全会一致、市議会も全員賛成で予算も可決いただいていて、それこそ明石は所得制限のない形でやっております。給付型奨学金に新たに一億円も計上しておりますし、養育費の立替えの三か月もやっているんです。これも全会一致で応援いただけるので、本当に町じゅうが今の明石市の取組に対して本当に御理解いただけるようになったことは感謝しております。
状況としては、一定程度はこうなればいいとはもちろん市長として思っていましたけど、予想以上になっているのは正直です。なぜかというと、予想以上に、私が市長になってから十年ちょっと、ますます国民がしんどくなっている、つまり子育て層が本当にしんどくなり続けているのかなと。やはり、引っ越ししてでもやっぱり何とかという気持ちの中で、やっぱり明石市にどんどん子育てを考える方が引っ越してきているのは、ここまで来るとは正直思っていませんでした。
もう一つは、もっと周辺が早く明石市のまねをすると思ったのが意外とまだでして、でも、去年、おととしぐらいからばたばたと明石の周り全部明石のまね始まったので、そういう意味で私はそれはいいことだと思っていて、明石の独り勝ちがしたいわけじゃないので、やっぱりニーズに沿った施策をやっていったらと思っていますので、本来は国においてやっていただければ有り難いと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/49
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050・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。
最後、ちょっとお時間ないんですが、清原参考人に一つだけお伺いしたいと思います。
人材育成ということで、NPO法人を含めたこうした連携が重要ということですけれども、やはり、どこもやっぱり人材育成ということが言われています。この人材育成に対してやはりこういう部分もっとしっかりやるべきだというポイント、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/50
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051・清原慶子
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
人材育成というときに、もちろん高等教育において、心理士であるとか児童福祉司であるとか社会福祉士であるとか、そういった子供のことをよく理解する専門職の育成も重要ですが、地域においては、まさに寄り添う、本当に隣のおばさん、おじさん、お兄さん、お姉さんのような人も必要で、例えば一つの例ですが、三鷹市で地域の放課後の子供たちの世話をしてくださっている女性が、清原さん、私は保育士の資格を通信で取ったのよと、やはりきちんとした子供支援をするときには一定の専門性を培うことも必要だと。ああ、もう申し訳なかったなと。そういうことに補助金を出すとか、あるいは研修の機会を保障していくとか、生涯学習の機会でつくっていくことも重要だと思います。
最後に、一点の事例です。
発達障害の当事者の子供を育てている保護者の皆様の悩みに寄り添っていただいているのが、三鷹市で発達障害のお子さんを育てた保護者の皆様のネットワークです。こうした皆さんが保護者の皆さんを集めて研修をして、新たにピアサポートをする人材を増やし続けてくださっています。すなわち、当事者だから分かる支援について、当事者が学び合いながら支援をしていくというような取組もありますので、多種多様な取組に対するきめの細かい人材育成支援を期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/51
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052・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/52
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053・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
今日は、三人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中ありがとうございました。また、それぞれに示唆に富むお話をお聞かせいただいて、私からも感謝を申し上げたいと存じます。
最初に、お三方にまずお聞きをしたいと思いますが、私どももいわゆるこのこどもまんなか社会をつくっていくということには賛同するものです。しかし、この法案の一つの大きな問題点というか欠陥は、御存じのとおり、文科省の組織や権限には手を付けていないわけですね。内閣府の子供関連部局であるとか厚労省の子ども家庭局などを移管させてこども家庭庁をつくろうということで、これまでこのいわゆる縦割り行政の弊害がずっと指摘をされてきて、それを解消しようということから始まったものと。それがあって、そういう縦割り行政の弊害をなくしていくことがこどもまんなか社会をつくれるものだと私たちも考えるわけですが、このままだと、この子供関連部局の、内閣府、厚労省の、それの単なる引っ越し法案になってしまうんではないかと大変懸念をするものです。
そこで、お聞きをしたいのは、文科省を入れずに、その権限、組織などを入れずにこのこども家庭庁ができることで本当にこどもまんなか社会をつくっていけるのか、大変、我々先ほど申し上げましたように心配をしておりますが、お三方の率直な評価というか御意見を承れればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/53
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054・清原慶子
○参考人(清原慶子君) ありがとうございます。
確かに、子供にとって教育は大変に重要な社会の働きです。実は、私は文部科学省中央教育審議会の委員を務めておりまして、具体的には、初等中等教育分科会、生涯学習分科会、大学分科会の法科大学院等特別委員会の委員も務めております。その経験から、現在は、未来に向けた教育政策を考える中で、教育分野の専門性というのは確かに高度化し、進化していると思います。
そして、中でも、文部科学省の中でも、いじめの問題、虐待の問題あるいはヤングケアラーの問題、そうした問題については、教育委員会、学校教育の中ではとても解決できる課題ではないと、むしろ市長部局、とりわけ福祉の部門との連携あるいは保健医療の部門との連携が不可欠であるということで検討が進められています。
私が座長を務めさせていただいております「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議でも、その市長部局と教育委員会がいかに連携していくことが必要であり、それをどのように具体化できるかということがメーンのテーマの一つにもなっております。
したがって、まずはこども家庭庁というこどもまんなかの新しい庁ができて、そして、全て子供に関わるほかの、例えば法務省とか警察庁とか総務省とか経済産業省とか、もちろん環境教育でいえば環境省も入ってくる、いろいろなところと、まさにしっかりとした横串を刺していただいて、そしてこどもまんなかの在り方というのを司令塔として示していただくことが重要だと思っています。
そして、もう一つ、教育はもちろん重要なんですが、例えばイギリスなんかでは教育省の中に子供の問題を全部移しているというところもありまして、やはり国の成り立ちというようなところにも個性というか、そういうものもあるかなと思っています。
まず日本に必要なのは、こどもまんなかのこども家庭庁ができることであり、そして今まで以上に連携をと思っています。実際に、内閣府、そして厚生労働省、文部科学省が一体となって子ども・子育て支援新制度もつくり上げてきたという、今までも連携が強かったところでございますから、一層の連携の第一歩を踏み出していただければと期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/54
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055・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。
まず、文科省入らなかったのは率直に残念です。しかし、残念で済む話じゃありませんので、ある意味、こども家庭庁として更に文科省などとの連携を強くお願いしたい。
現場からいいますと、何が問題かというと、縦割り。例えば、二例ぐらい挙げますけど、一つは、例えばもうお近くの市でしたけど、こども園つくろうと思ったら、予算、内閣府の予算なんですよ。片方、内閣府の予算は尽きてしまって、文科省の幼稚園の予算余っているんですよ。これ、使えないんですよ。で、一年延びているんですね。いや、意味分からないわけでして。
結局、こども園内閣府、保育所厚労省、幼稚園文科省の予算が別々で、そこ柔軟運用できていないんですよ。だから、せめて予算のその辺りの柔軟運用ぐらいは是非お願いしたいですし、学童保育もそうなんですけど、学童保育って小学校の子供が、終わったら校舎閉められて、隣のプレハブの学童保育やっているのにトイレ使えないんですよ。何ですかと思って。まあ明石はちゃんと使えるようになりましたけど。
やっぱり文科省と厚労省が所管が違うので、ちゃんとその辺りのテーマごとにしっかり整理が要ると思います。なので、私としては、個別テーマごとにしっかりと関係省庁集まった協議をして方向性を見出していくことが重要だと思います。
ほかにも、法務省だと養育費のテーマとか、一人親家庭の貧困、子供の貧困、大変重要ですし、例えば児童虐待、これは警察とか、また学校現場と連携しないとできませんので、こういったテーマについてしっかりと関係省庁連絡会議のようなものをそれぞれごとにつくっていって、組織としては統合しなくても、テーマごとの連携強化を是非お願いしたいと強く願う立場です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/55
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056・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) 御質問ありがとうございます。
文部科学省の権限を考えないといけないと思っています。
例えばアメリカが、一九六〇年代のアメリカは福祉と労働と教育が一つの省なんですよね。そういう体制を持っていたんです、今は分かれましたけど。ですから、いろんな組合せはあり得ることだと思っています。今日、教育と福祉の連携というのが大事だというのは、私、事前にお配りいただいた資料の中にもそのことを書いたものがございます。ですから、教育と福祉を連携させていくという課題意識は強く持っています。
ただ、一つ問題なのは、文部科学省って一体どういう役所なのかという問題ですね。私は、教育行政学というか教育政策学が主な仕事なんですけれども、その点で見ていると、やはりここ二十年から三十年ぐらいかなと思うんですけど、どんどん統制色が強まっている、しかも道徳教育を始めることでイデオロギー官庁になっちゃっているんじゃないかと。これは、戦前的な、戦前の文部省が持っていた問題を何かまた今の文部省って持ち始めてしまっているんじゃないかというふうに思います。それがこども家庭庁に統合されても何の意味もないですよね。ですから、要するに国の教育行政機関、中央教育行政機関として何をすべきかというところの整理がやっぱり必要なんだろうと思います。
要するに、文部省は戦後の出発、戦後、あの改革の中で、文部省はサービス官庁として戦後生き延びた。戦前はイデオロギー官庁でしたから、それを改革の中でなくすという議論があったんですけれども、いや、そうじゃなくて、地方公共団体による教育をサポートするサービス機関として残すというところが戦後の出発点だったんですよね。それがどんどん変質してきていますので、国の中央教育行政機関というのは一体どういう役割を果たすべきかという議論も併せてしていただく必要があるかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/56
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057・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございました。
続いて、またお三方にお聞きをしたいと思いますが、これまでの審議の中でも、このこども家庭庁できれば、民間の皆さん、あるいは地方自治体の職員の人とのいろんな交流や、あるいはそういったところから採用をしていく、あるいは逆にこども家庭庁から地方自治体の現場に派遣をするといったことなどを想定をしているということでありましたが、もしそうだとすると、特にこういうふうにした方がいいというものがあれば教えていただきたいのと、どういう方が初代のトップに、長官になられるのか、何とも分かりませんが、一説には民間人云々という説も、お話も聞こえないわけではありませんが、デジタル庁も民間人の方がなってちょっと大変なことになってしまいましたが、どういう資質を持った人がこの新たなトップになるにふさわしいという、もし何かお考えが、アイデアがあれば、併せてお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/57
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058・清原慶子
○参考人(清原慶子君) 人材というのは大変重要で、国家公務員も地方公務員も行政の専門職としてもちろん努力するわけですが、国、都道府県、基礎自治体の連携と言葉で言うことはやすいのですが、やはり国家公務員の方が基礎自治体に来ていただく、基礎自治体の職員が都道府県に行く、あるいは国に行くという交流を、私自身も自ら市長時代、職員に経験してもらいましたが、ほとんど無駄なことはありませんでした。
なぜなら、やはり体験の中からその仕組みを分かり、何よりも国の方が三鷹市の職員として働いてくださっている中で、明らかに自分自身の生活感覚というか、市民感覚の中で仕事ができたと。それを持ち帰って、国でしっかりと政策形成に反映したいと言ってくださいますし、三鷹市の職員は職員で、自分たちがしっかりともう少し発信をしていかないと、国の枠組みの中で届いていないものもあるので、国がきめ細かい政策を作るには自分たちとの連携が不可欠だということを体感して戻ってきて、交流が今でも続いています。
したがいまして、私は、こどもまんなかの政策、そして、その実現をするための少なくとも公務員は、もうどのレベルであっても、やはり心を一つにするような交流機会というのは、オフラインでもオンラインでも必要だと思っています。
さて、組織のトップという大変難しい質問をいただきまして、私は、何というんでしょうか、各省の、総理大臣始め大臣は、まさに国会議員の中から選ばれている、議院内閣制の中で選ばれています。それが一般的なんですけれども、庁の長官には民間の方がなられることも大変多く、国民として、こども家庭庁という新しい庁のトップとして、国民感覚、市民感覚を持ち、それをしっかりと全府省を横串刺して、司令塔としての機能を大臣とともに果たしていただけるような、そういうオープンマインドで、そして、何か求心力もあり、何よりも各府省をこどもまんなかでまとめていただけるようなパーソナリティーの方になっていただければ有り難いなと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/58
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059・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。
二点ありました。
まず一点目は、人事交流のテーマです。
明石市も、私が市長になるまではゼロでしたけど、私が市長になってから続々と中央省庁から来てもらっています。文科省、厚労省、法務省、国土交通省、自衛隊OBもお越しいただいて、連携しながら明石市の町づくりしています。
おかげさまで、そういった形の連携ができたから、児童相談所と学校現場の連携、里親の倍増が可能になっていますので、そういう意味では、国と連携するという意味においての地方と国との交流は、私はイエス、大事だと思っています。
もう一点のトップ人事です。
私は、当然、総理大臣が兼任がいいと思います。
やはり、市長をやっていますと、人事権と予算権なんですよ。お金を倍増して人をしっかりと一緒にやっていくということができるのは、最大は総理大臣ですから、私は、総理大臣がこども家庭庁の長官を兼務して、責任持って次年度から予算倍増いただくことを強く期待する立場です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/59
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060・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) ありがとうございます。
トップは誰がいいかというのはよく分からないですね、正直言って。ただ、言うとすれば、先ほど意見表明権のところで言いましたが、期待されていないことを言える人ですよ。そういう人になっていただきたい。総理から期待されていない発言ができる人を委員にしていただきたいなと思います。委員じゃない、長官ですね、していただきたいと思います。
そのことと、もう一つ、これは絶対やってはいけないと思っていることが一つありまして、これ、民間との交流を進めていくというのは、それはそれでいいと思います。重要なことだとは思うんですけども、子供施策が一つの政策領域として確立され、そこに予算が付くということになると、そこから私的利益を得ようとする人たちが必ず出てくるんですよね。もちろん、仕事をしていただいたらそこで正当な報酬を受けるということまで否定するわけではありませんけれども、不当な利得を得たいがために動き始める人たちというのは残念ながら私たちの社会にはいます。そことはしっかりと、何といいますか、見極めを付けるということが必要で、そこだけは是非お願いしたいと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/60
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061・柴田巧
○柴田巧君 時間が来ましたので、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/61
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062・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
大変勉強になりました。お三方の参考人の皆さんにまず感謝申し上げたいと思います。
それで、これまで皆さん述べられたとおり、本当に単なる省庁再編的なことで終わっては駄目で、何のために子どもの権利条約の四原則を書き込む法律が二つできるのかということだと思います。それで、やっぱり政策、行政のスタンスを変えなきゃいけない。その上で、その点で、この間ずっと質問してきているんですけど、やはり余りにこれまで子供に対する責任を家庭に対して求め過ぎたのではないのかと。
所得制限の話は大変、泉参考人の話、刺激的でした。だけど、この国は、就学援助や高等教育に対する支援は、やはり真に必要なというふうに区切るわけです。それから、その真に必要なところである児童扶養手当については、やはり自立を促すということとセットで手当の支給が行われているということで、ここにはやはり家庭にとても重い責任を負わせてきた行政の姿がある。それは、子育てをする側にとってはとても重い負担で、追い詰められる状況があるし、子供にとっては、その家庭が幸せな居場所ではなくても逃れられなくなるという問題にもなってくると思います。
そうすると、やはり、いろんな危惧の声があったんですけれども、こども家庭庁と家庭が入ったこと、それから、こども基本法のところにも理念のところに家庭を基本としという文言が入ったこと、私、ここに果たして本当に変わるんだろうかということを危惧せざるを得ないところがあるんですけれども、まずこの点について、中嶋参考人にまず御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/62
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063・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) ありがとうございます。
私は、家庭が基本であるという文言、これ、どういう解釈されていくのかなということを懸念しつつも、家庭が基本であるということは、それとして重要なことではないかなと思っています。それは、例えば、日本がスパルタ、かつてのギリシャ時代のスパルタみたいな国になっちゃいけないわけで、個人個人あるいはそれぞれの家庭の自由と自治が保障される社会でなくてはいけないと思います。その意味では、家庭が基本であるということ、これは大事だと思います。
ただ、その場合、家庭が基本というのは、それぞれの家庭にはいろんな価値観があり、その中で家庭を営んでいるわけですよね。だから、そのことを尊重するという意味で家庭は基本であるべきだと思います。
ただ、現実にはそれぞれ社会的な地位が違います。所得も違います。ですから、同じようにはできないんですよね。同じようにしろと言ってもできないです。そういう中で家庭を支えていく、そういった家庭を支える、これは公的な役割として必要だと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/63
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064・田村智子
○田村智子君 同じ質問で、その所得制限をなくされた明石市の場合、この子育てがどうあるべきかということの議論は所得制限なくすに当たって行われたのでしょうか。どのように行われたのか、お聞きできればと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/64
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065・泉房穂
○参考人(泉房穂君) 済みません。
明石市というか、私が市長になったときからの公約は変わっていなくて、全ての子供たちを町のみんなで本気で応援する、これを言い続けています。そのことが明石の町にプラスなんだということが理念、哲学です。ポイント、二つ。全ての子供です、子供を分断しない。そして、応援するのは、家族のみならず町のみんなで子供を応援する。町のみんなで応援するということは、みんなからお預かりしている税金をしっかりと活用して子供に予算を付けるという意味になります。
そういった町づくりを徹底してやってきましたので、先ほどもお伝えしましたが、当初五年間ぐらいは大変反対が強かったですけど、もう昨年ぐらいからはもう全会一致で、その方針で市議会も応援いただいている状況に変わったと理解をしているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/65
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066・田村智子
○田村智子君 次に、子供の権利擁護機関についてお聞きをしたいと思います。
中嶋参考人の後ろの方で、恐らく時間の中で話し切れなかった分の資料もあろうかと思います。これ、この部分が国連の日本政府に対する最終所見や勧告の中でも、オンブズパーソンが自治体に置かれていることは踏まえた上で、なお子供の権利擁護機関が独立した機関として必要であるという勧告が繰り返されているというふうに思います。
どのような機関がなぜ必要なのか、少しお話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/66
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067・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) これ、国連は、子供に限らず、大人も含めて人権擁護機関が必要で、それが独立性を持つべきだということを言っているんですね。子どもの権利委員会は、特に子供に関してIHRICが必要なんだということを言っています。
それが必要なのは、やはり子供の権利を擁護していくためには、子供はまだ、何というか、成長途上にあるんですよね。だから、成長途上にある子供に、自分の権利を自分で行使しなさい、さっきの権利のための闘争を自分でしろというのは無理なんですよ。だから、そこでサポートが必要です。その役割を果たすべきだということ。
それから、もう一つは、子供だけじゃなくて、大人も学ばなければいけないんだと思います。私たちの社会は子供の権利をしっかりと、大人も含めて認識できているんだろうかということです。それは、大人もひょっとしたら子供の権利についての認識が誤っている、あるいは子供の利益の所在を間違って捉えているということがあり得る。それに対して第三者的な立場からアドバイスをするということがIHRICに求められていると思います。それが必要なんだろうと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/67
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068・田村智子
○田村智子君 もう一点、今のに加えてなんですけど、例えば海外の事例ですね、どのように機能させているのか、少し御紹介いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/68
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069・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) 例えば、イギリスとかニュージーランドでは子供コミッショナーという名称で設置しています。それから、北欧ではオンブズマンとかオンブズパーソンという言い方をしているんですね。これ、非常に多様なんです。それぞれの国が多様なやり方をしています。やはり、オンブズマン、オンブズパーソンとかコミッショナーという、行政機関から独立したものをつくるとなると、やっぱりそれぞれの国のそれまでのいろんな経緯があって、なかなか合意も難しいところがあるんですよね。日本だけではありません。その意味で、いろんな工夫をしながらされているということです。ですから、一つの形があるというふうには考えない方がいいかもしれません。日本流にやっていくということですね。
もう一つ申し上げたいんですが、事前にお配りいただいた中で、私も執筆している「子どもの権利をまもるスクールロイヤー」という書物の私の執筆部分を紹介していただきました。
これは、スクールロイヤーという言い方しているんですが、ここで私たちが期待しているのは、スクールロイヤーには、子供の権利を擁護するために学校に対して、あるいは校長、教育委員会に対してアドバイスできるそういう弁護士、これを置くべきなんだということを強調しています。
今、文科省の政策の中では、逆に学校側の顧問弁護士として機能してしまうような、つまり権利を抑える側で動いてしまうようなスクールロイヤーをつくっている自治体もあるんですよね。それ、非常に問題だと思いますので今後問題にしていただきたいなと思いますし、これも、このスクールロイヤーという一つのオンブズパーソンの、あるいはコミッショナーの一つの形として、これ学校に限定されるものではあるんですけど、考えていく、こういう試みを積み上げていくということも今後必要かもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/69
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070・田村智子
○田村智子君 清原参考人、こども基本法を作ってほしいということで様々なロビー活動もされてこられて、その中でもやはり子供コミッショナー必要だということで、いろいろお話も伺ったという記憶がございます。
三鷹でオンブズマンの制度があるということも踏まえて、やはり子供コミッショナーということが必要だとお考えになるその部分、少しお話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/70
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071・清原慶子
○参考人(清原慶子君) 子供の権利の擁護を図る公正で適切な仕組みというのは大変必要だというふうに認識しております。
三鷹市では、御指摘のように、私の前の市長から、福祉オンブズマンを総合オンブズマンに変えて、弁護士を含む複数のオンブズマンに活躍をしていただいてきました。しかしながら、直接的に人権に関わることというのは、オンブズマンに相談されることはそんなに多くはなく、むしろ人権擁護委員さんに活躍をしていただいているというような経験がございます。
そこで、私自身、こども家庭庁設置法案を見させていただいて、こども家庭庁そのものが司令塔機能を果たし、その責務として第一義的に子供の権利利益の擁護、任務として掲げているということに注目しました。したがって、こども家庭庁というのはどういう機能を持つのかといいましたら、先ほども発表の際申し上げましたように、勧告機能も持っているということですし、各府省庁から資料提供も求めるということでございます。
したがって、まずはこども家庭庁のその司令塔機能と、その任務である子供の権利利益の擁護について徹底的に検討していただきたいし、とりわけ、こども家庭審議会が設置されるということでございますので、そこがどのような仕組みをつくることがまさに子供の権利利益の擁護に有効に働くのかということを検討していただけるのではないかなと思っています。
他方で、先ほども発言しました附則の検討規定というところなんですが、「施行後五年を目途として、」というところで、こども基本法については「国は」というのが主語になっています。こども家庭庁設置法案は「政府は」となっておりまして、私はこの「国は」という言葉に注目いたしました。すなわち、政府だけではなくて国会が入っているんだなという意味だと受け止めました。
したがって、このいわゆる子供コミッショナー、子供だけではなくて国民の人権を守る仕組みというのは引き続き国会でも検討していただけるのではないかなと、そんなふうに現時点では受け止めて、期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/71
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072・田村智子
○田村智子君 あと、時間の関係で済みません、中嶋参考人にもう一問なんですけれども、私、大変お話聞いていてちょっと自分も衝撃的に感じたのは、大人の側が子供を権利主体としてみなしていこうよというだけでは足りなくて、子供自身が権利を自覚し、その認識を深めていくことがなければ、本当のその権利の行使にはならないということだということを改めてお話伺って問題意識を深めたところなんですけど、これが決定的に、日本の中でそういう場はどこにあるんだろうかということも含めて、とても大きな課題になってくると思うんです。
先ほど文部科学省の在り方ということも提起がありましたけれども、どうしていけばいいのか、少しお話しいただければなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/72
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073・中嶋哲彦
○参考人(中嶋哲彦君) 長くなってしまいそうな質問なんですけど、手短にお答えしますけれども。
先ほど、一ノ二憲法というのは、日本の学校でやっていた実践なんですよね。だから、日本の学校には、かつてこういう実践があったということなんですよ。だから、教師たちは、子供の中に、要するに権利意識を育てたいとか、権利意識を基本とした、柱とした社会をつくっていきたい、社会の制度ですね。自分たちでつくったものは自分たちで守っていきたいという、そういう、これ、さっきのイェーリングもそういうことを言っているんですよ。まさにそれを言っているんです。
そういう実践が普通の教師によってなされていたということです。それを取り戻さなきゃいけないんじゃないでしょうか。今、そういう実践が、残念ながら日本の学校では行いにくくなっています。いろんな制限が掛かっている中でできていないです。それが一点です。
もう一つは、子供に自信を持たせていないと思います。
子供は、自分が自信が持てなければ発言できないです。自分に自信があって、これは変えていくんだとか、そういうチャンスを与えてあげないと、子供はいつまでたっても自信が持てない、大人に頼っていく人間でしかないです。
何で今の学校はそれができないのか。抑え付けちゃっているんです。抑え付けて、自信を持たせなければ、やはり自分の意見は出てこないです。そういう社会、私たちは望まないはずですよね。
だから、そういう社会にするために、やっぱり子供に自信が持てるようにしていくという、そのことを、簡単なことではありませんけれども、教師たちの実践が自由にできるようにしていくことが必要じゃないかなと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/73
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074・田村智子
○田村智子君 恐らくもう時間かと思いますので、ここで終わりたいと思います。ありがとうございました。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/74
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075・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02020220607/75
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