1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月十四日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月十日
辞任 補欠選任
熊谷 裕人君 杉尾 秀哉君
六月十三日
辞任 補欠選任
丸川 珠代君 山谷えり子君
杉尾 秀哉君 羽田 次郎君
高木かおり君 梅村 聡君
六月十四日
辞任 補欠選任
山谷えり子君 本田 顕子君
高瀬 弘美君 佐々木さやか君
市田 忠義君 倉林 明子君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳茂 雅之君
理 事
太田 房江君
上月 良祐君
江崎 孝君
浜田 昌良君
礒崎 哲史君
委 員
赤池 誠章君
有村 治子君
磯崎 仁彦君
古賀友一郎君
高野光二郎君
本田 顕子君
山田 太郎君
石川 大我君
塩村あやか君
羽田 次郎君
佐々木さやか君
高瀬 弘美君
梅村 聡君
柴田 巧君
市田 忠義君
倉林 明子君
田村 智子君
衆議院議員
内閣委員長代理 上川 陽子君
内閣委員長代理 宮崎 政久君
内閣委員長代理 山下 貴司君
内閣委員長代理 森山 浩行君
内閣委員長代理 山井 和則君
内閣委員長代理 足立 康史君
内閣委員長代理 國重 徹君
発議者 加藤 勝信君
発議者 鈴木 隼人君
発議者 塩崎 彰久君
発議者 鈴木 英敬君
発議者 勝目 康君
発議者 中野 洋昌君
発議者 國重 徹君
国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(男女共
同参画)) 野田 聖子君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宮路 拓馬君
事務局側
常任委員会専門
員 宮崎 一徳君
政府参考人
内閣官房内閣参
事官 廣瀬 健司君
内閣官房こども
家庭庁設置法案
等準備室長 谷内 繁君
内閣府子ども・
子育て本部統括
官 藤原 朋子君
警察庁生活安全
局長 緒方 禎己君
法務省大臣官房
審議官 堂薗幹一郎君
文部科学省大臣
官房審議官 出倉 功一君
文部科学省大臣
官房審議官 淵上 孝君
文部科学省大臣
官房審議官 里見 朋香君
厚生労働省大臣
官房高齢・障害
者雇用開発審議
官 奈尾 基弘君
厚生労働省大臣
官房審議官 堀内 斉君
厚生労働省雇用
環境・均等局雇
用環境総合整備
室長兼厚生労働
省子ども家庭局
児童虐待防止等
総合対策室長 岸本 武史君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○こども家庭庁設置法案(内閣提出、衆議院送付
)
○こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整
備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○こども基本法案(衆議院提出)
○性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形
成に資するために性行為映像制作物への出演に
係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資す
るための出演契約等に関する特則等に関する法
律案(衆議院提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/0
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001・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、熊谷裕人君、丸川珠代君及び高木かおり君が委員を辞任され、その補欠として山谷えり子君、梅村聡君及び羽田次郎君が選任されました。
また、本日、山谷えり子君が委員を辞任され、その補欠として本田顕子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/1
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002・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
こども家庭庁設置法案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣参事官廣瀬健司君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/2
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003・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/3
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004・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) こども家庭庁設置法案、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこども基本法案、以上三案を一括して議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/4
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005・古賀友一郎
○古賀友一郎君 おはようございます。自由民主党の古賀友一郎でございます。
今日は、今子供国会の締めくくりとして岸田総理に質問する貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
質問時間十分でございますので、早速、二点に絞ってお伺いをいたします。
まず、今回のこのこども家庭庁、私も大変期待をしている一人でありますけれども、しかし、実際問題として、役所の力だけで全国の子供たちの全ての被害、問題をですね、解決するのは難しいわけでありますから、やはり、そもそも子供たちが被害に遭わないように、また遭っても最小限になるように、その対処能力を子供たち自身に身に付けさせていく教育が重要であると、こういうふうに思っております。
そして、その教育も、いろんな害悪から身を守ることだけではなくて、先日の委員会でもありましたけれども、キャリア教育であったり、あるいは結婚、妊娠、出産から老後に至るまでのいわゆるライフプラン教育でありましたり、また、消費者教育にしても、だまされないためだけではなくて、いわゆるエシカル消費、賢い消費、こういった問題もありますし、また、情報が氾濫する中での情報リテラシーの向上等々、本当にいろんな学びが必要になってくると、こういうふうに思っております。
そうした学びはこれまで各人が家族、友人、マスコミ等を通じて自然に身に付けてきているわけでありますけれども、子供に関する社会的課題がここまで大きくなって、かつ誤った情報も氾濫している状況でありますので、私は、このこども家庭庁の創設を契機として、子供たちが社会に出ていくに当たって普遍的に身に付けておかなければならない知識については、各自が自然に習得するのを期待するだけではなくて、学校という初等中等教育において積極的に教えていく必要があるんだと、こう考えているわけでありますけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/5
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006・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 変化の激しい時代において豊かで幸せな人生を一人一人送ることができるように、これからの社会、これから社会に出ていく子供たちには、是非、主体的に課題を見付け自ら判断する、また多くの人々とともに課題を解決する、こうした様々な困難を乗り越えていくための知識や能力、これを是非身に付けてほしいと私も思います。
今後、こども家庭庁においてこのこどもまんなか社会を目指していく、その際に、子供の成長を学びの面から支える学校教育、とりわけ初等中等教育、役割は大変大きいと思います。
こうした観点から、こども家庭庁と文部科学省が連携して、子供たちが社会を生き抜く上で必要な知識や能力を身に付けられるように、外部人材を含めた指導体制の充実あるいはGIGAスクールなど様々な政策、これを総動員して、委員御指摘のこのキャリア教育、消費者教育、あるいは情報リテラシー、こうした習得を含めて実社会とつながりを意識した学校教育、こうしたものを充実させていかなければならないと考えます。
是非、こういった視点で実社会とのつながりをしっかりと子供に、子供たちに学んでもらう、こうした教育を進めていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/6
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007・古賀友一郎
○古賀友一郎君 力強い御答弁ありがとうございました。
まさに、申し上げたこと、総理のおっしゃったことは、生きる力を養う、そのための教育であると、私はキーワードはそこだと思っておりますし、総理からは、実社会とつながった教育とおっしゃっていただきました。私は、この実社会とのつながりを通じてまさに主権者教育に私、なると思っておりまして、そういった意味でも、是非お取組、よろしくお願いしたいと思います。
続きまして、少子化対策に関連いたしまして、高等教育費の問題について伺います。
少子化の主な原因の一つは、子育てや教育にお金が掛かるという経済的理由でありますけれども、中でも私が特に注目しているのが、大学など高等教育費の問題であります。大学、短大に高専、専門学校を加えていきますと、実に八割を超える子供たちが高等教育を受けていくというこの現状の中にあって、我が国は高等教育費の家計負担割合が五〇%を超えておりまして、OECD加盟国の中でも最もその負担が重い国の一つであります。先月の当委員会でも、大学までの教育費を考えて三人目を断念したというお話もございました。
さりとて、親に負担を掛けないようにと奨学金を借りますと、大学を卒業する頃には何百万円もの借金を背負って、マイナスの状態から新社会人としての生活がスタートしてしまうことになってしまいます。
そして、そのことは結婚にも影響します。結婚を阻む要因の一つは結婚資金がないということでありますけれども、資金がないどころか借金を抱えているわけでありますから、それが未婚化、晩婚化につながり、ますます少子化を進めていきます。令和二年度からは学費も生活費も支給をする手厚い修学支援新制度もスタートいたしましたけれども、対象が低所得世帯だけであって、基本的には少子化対策になっておりません。
そこで、我々自民党の教育・人材力強化調査会では、在学中、学費は徴収せず、卒業後の所得に応じて金銭負担をしてもらうオーストラリアの高等教育貢献制度、ハイヤー・エデュケーション・コントリビューション・スキームの頭文字、HECSを取ってヘックスと呼ばれておりますけれども、それを参考に日本版HECSの導入を検討いたしまして、先月、まず令和六年度に大学院修士課程に導入をして、学部生については修学支援新制度の見直しを経て令和八年度の導入を目指すべきと、このように提言をいたしました。
オーストラリアのHECSは授業料の後払いであって、実質的には所得連動型無利子学資ローンとも言われておりますけれども、我々が目指している日本版HECSは豪州HECSのまねではありませんで、意欲と能力のある学生には借金を背負わせないというHECSであります。そして、この借金の返済ではないと構成することによって、負担を要しない最低所得ラインを高く設定する一方で、卒業後に高額所得者になった人からは授業料を超える負担をしてもらうことも可能になるわけでありまして、より所得再配分機能の強い発展性のある柔軟な制度設計が可能になるわけであります。
現在、政府にも新たな出世払い制度を検討していただいておりますけれども、どうもまだ所得連動型奨学金の延長線上で、借金の発想にとらわれているように思えてなりません。先月の教育未来創造会議の提言では授業料の返還と書かれておりますし、先月閣議決定されました政府の骨太方針でも、我が党に示された原案の段階では返還という文言が使われておりました。幸い、骨太の文言は我々の意見を入れてもらって修正していただきましたけれども、いずれにしても我が国の課題解決に資する制度にしなければ意味はないわけであります。
そこで、岸田総理には、この借金から脱却する発想で、人への投資のシンボルたる施策として、我が国独自の日本版HECSをつくり上げていただきたい、こうお願いしたいわけでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/7
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008・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 高等教育の機会を家庭の経済状況によらず確保していくために、これまでも、授業料の免除ですとか給付型奨学金の実施、また貸与型奨学金も併せて活用し、真に必要な、真に支援が必要な学生に必要な支援を実施する、こうした取組を進め、返還金を次の世代の奨学金の原資としてきたなど、様々な取組を用意いたしました。
引き続き、支援、充実していかなければならないと考えていますが、その中で、教育未来創造会議において、学生に対する給付型奨学金、授業料減免を中間層へ拡大するということ、さらにはライフイベントに応じた柔軟な出世払いの仕組みの創設、こうした提言が行われた次第です。出世払いの仕組みについては、現行の減額返還制度の見直しとともに、在学中は授業料を徴取せず、卒業後の所得に連動して納付することを可能とする新たな制度を、まず大学院段階において導入する方針、これを示した次第です。
そして、委員の方から、この借金返済の発想から脱して、負担を要しない最低所得ラインの設定、また、高額所得者から授業料を超える負担を求めてはどうかなど、御提案いただきました。これも一つの考え方だと思います。
具体的な支援の方法、内容については、国民の理解あるいは安定財源の確保なども念頭に置きつつ、これからこの議論、検討を進める必要があると思います。一つの御提案として受け止めながら、是非、国民の理解を得られる制度をどう構築していくのか、政府としても検討をしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/8
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009・古賀友一郎
○古賀友一郎君 ありがとうございました。
時間が来たので終わりますけれども、是非、我が国の課題解決に資する喫緊の課題でございますので、よろしく御検討いただくようお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/9
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010・塩村あやか
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。総理、今日はよろしくお願いいたします。
この少子化の中、子供政策で圧倒的な存在感を放っているのが兵庫県の明石市だと思います。市長が思い切った政策転換を行って、子供政策にかじを切りました。
資料の一を御覧ください。長細いものなんですけれども、明石市は、人口増加率中核市第一位、全国戻りたい街ランキング第一位、九年連続人口増、人口過去最多更新中、税収アップという、非常に、大変に羨ましい実績をたたき出しています。資料の二には、出生数が一・五〇から一・七〇に市長の在任中に上がったというふうに報告もされています。
明石市は、所得制限をせずに、子供の医療費の無償化、第二子からは保育料の無償化、そしておむつの無償化、これは宅配もしますということです。そして、中学校の給食の無償化、遊び場の無償化、これらを行ったということなんですね。
まず端的に総理にお伺いをしたいんですが、総理は、この明石市の子供政策、御存じでしょうか。また、御存じの場合、それ評価をしているかどうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/10
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011・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の明石市の取組、私も報告を受け、承知をしております。
あの明石市においては、子供政策を市政の中心に据え、子供食堂を全小学校区で開設する、さらには五つの無償化等の政策を掲げておられる、こうした子供政策の充実に積極的にかつ大胆に取り組まれていると承知をしています。
そうした観点から、昨年開催したこども政策の推進に係る有識者会議においても、泉市長御本人からのヒアリング結果、これを参考にさせていただいたと承知をしております。そうしたことから、こういった取組、評価をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/11
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012・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。総理も評価をしているということでございました。
先週の火曜日には、参考人としてこちらの参議院に泉市長お越しになりました。
様々なお話をされて、私が印象に残っているのは、市長が子供政策に大きくかじを切ったときに、最初の五年間は町も議会も非常に反対が強かったということなんです。これは私も非常に驚きましたし、印象に残ったと思っております。
それでも、子供政策をリーダーシップを持って前に前に進めた結果、想定どおりの結果が数字で表れて、今は議会、自民党さんから共産党さんまでみんな賛成をしているということなんですね。当初、議会も難しかったということなんですが。
市長がおっしゃっていたお話の中に、子供を産もうかどうか金銭的な問題やサポート体制でちゅうちょをしている方に対して、その環境整備を政治がすることが大事だとおっしゃったんですね。私もそのとおりだというふうに思います。特に、氷河期ですから、私は、産めなかった友達がたくさん周りにいます。環境整備、社会が、国が子供を育ててくれるのであれば、思い切って一人産めたかなという友人もおりますし、本当に市長の言葉は胸に突き刺さりました。
日本は今深刻な少子化でありまして、これ一刻も早い改善が私は必要だと思っております。この明石市の子供政策は、子供も幸せ、家族も幸せ、町も好循環で潤ってきていると、そして出生数もアップという八方よしですよね。
日本の未来のために、総理、是非総理が泉市長と直接お会いをして意見交換をしたらどうかというふうな声も出ております。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/12
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013・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほども少し触れさせていただきましたが、泉市長御自身からのヒアリングの結果、政府としても参考にさせていただいております。
昨年末に閣議決定した基本方針では、こども家庭庁の基本姿勢として、地方自治体との連携強化、これを掲げているところであり、こども政策担当大臣あるいはこども家庭庁において、先駆的な子供政策に取り組んでいる自治体との情報共有あるいは対話、丁寧に行っていくことを通じて、国の子供政策、充実を図っていきたいと考えております。
そして、委員の御質問は、泉市長と直接対話をされないかということですが、明石市の取組については政府としてもいろいろ情報はいただいておりますが、一方で、先駆的な取組をしている市長さん、全国一千七百を超える市区町村の中で意欲的な取組をしている市長さん、首長さんは大勢おられます。そういった皆さんの意見、それぞれ大事にしなければならないと思いますので、まずは、これ、先ほど申し上げたこども政策担当大臣あるいはこども家庭庁においてこの情報収集、まずはさせていただく中で、政府としても、その意見、情報収集や意見を承る在り方を整理したいと思います。その中でチャンスがあればお話を聞かせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/13
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014・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
チャンスがあればお話を聞かせていただくということでしたが、市長は大胆に政策転換を行ったと、そのリーダーシップがあったからこそ明石市が変わったということなんですね。やっぱり日本もこれ大きく政策転換、まあ政策の転換だけはしていますが、こども家庭庁の審議を通じて、これ本当に今回、子供国会という盛り上がりがあったのか。そんなにマスコミも来ていないですよねとか。本当に何か明るい顔をしてこの議論ができているかというと、私、違うと思うんですよね。やっぱり明るい明石は町になったと。やっぱり明るい国にしていくためにも、やっぱりリーダー同士がしっかりとお話をしていくということが私は非常に重要だというふうに思っております。
総理、今年度に入って総理は何回子供政策についてツイッターでツイートをされたか、御自身、覚えていらっしゃいますか。分かんないですよね。私、今日数えてきました。二回でした。で、いいねが千七百十と、こども新聞記者会見では千七百六十五のいいねが付いていました。
一方で、泉市長です。数え切れないぐらい子供政策についてツイートをしていて、いいねの数もすごいんですね。それだけツイートをしていて、それでもいいねの数がばらけない、まあばらけているものもあるんですが。総理の子供政策、一番多いのは千七百六十五いいねです。しかし、泉市長なんですが、子育て政策、三十九・九万いいねが付いていて、それはこの国会で参考人質疑で、この動画に四十万近いいいねが付いているということなんですね。これ、どれだけ明石の政策が希望を与えているか、これが数字になって表れているというふうに思っているんです。
総理、今の答弁だと、検討しているというようなニュアンスに聞こえてしまうんですね。チャンスがあればお話を伺いますというのは、検討しますという言い換えじゃないかというふうに私聞こえました。
やっぱり、岸田ノートにしっかりと明石の市長から聞いたお話を書き込んで、日本の方向性変えていくというようなことが私は必要だというふうに思っております。もう是非市長と、やっぱり、ほかの市長さんとの兼ね合いもあるというふうにおっしゃいましたが、突出して期待を日本国民からされている市長さんです。
改めて総理にもう一度お伺いするんですが、積極的に泉市長と対話の機会を持っていただく、泉市長はこうおっしゃっていました、いつでもお話しします、いつでもお伺いしますということでしたが、改めて総理、お答えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/14
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015・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げたように、泉市長の取組、これはいろいろ情報をいただく中で評価をしています。
ただ、この全国で頑張っている市長さん、大勢おられます。泉市長も頑張っておられますが、子供政策等をしっかり掲げて努力をしている市長さんもたくさんおられます。それぞれ置かれている立場も様々であります。その中でいろいろな工夫をされている。
こうしたことは政府としてしっかり情報を収集していくことは大事だと思いますが、その中でどなたに会う会わない、それについては、先ほど申し上げましたように、こども担当大臣、こども家庭庁においてよく整理をさせていただいた上で、どのようにこのお話を伺うのが適切なのか、考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/15
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016・塩村あやか
○塩村あやか君 是非考えていただいて、会っていただきたいと思います。圧倒的に結果を出しているのが明石でございます。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/16
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017・高瀬弘美
○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美です。本日、最後の質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
こども家庭庁の議論を重ねる中で、子供の幸せを最優先とする社会へと大きく転換をしていくこと、そして、その子供を育む場である家庭を国としてしっかり支えていくことを確認をしてまいりました。
私自身も三人の子供を育てる当事者としまして、子供のいる家庭において、親が元気でなければ子供の幸せを最優先にしていくことが難しくなるということも実感をしてまいりました。
そうした中で、子供の発達の場として、また子供がいる家庭への支援として、保育園が大きな役割を果たしてまいりました。これまでも自公政権の下で、保育士、また人と接する大事なお仕事であります介護士の処遇改善に取組を進めてまいりましたけれども、全国的な保育士、介護士の人手不足はいまだに解消がされておりません。
その理由の一つは、ほかの産業よりも収入が低いこと、やはりここに原因あるのではないかと思います。引き続き、保育の現場を支えてくださる保育士さんたちへの処遇改善が必要であると考えます。
岸田政権では、新しい資本主義の下で、人への投資こそ最も大事であると明確にお示しをいただいております。その人をつくってくださっているのが保育士の方々であります。人生の基盤となります大事な幼少期に子供と日々接し、教育をしてくださる、そういうお仕事をしていただいている皆さんでありますので、この崇高なお仕事に見合ったお給料となるように一日も早くしていく必要があると思います。
また、岸田総理の下で男女格差の是正にも今取組を進めていただいております。男女賃金の格差の是正においては、女性の多い産業の賃金が上がっていかなければ格差の是正はできません。この保育の現場、介護の現場というのは女性が大変多い場所でございます。ここの賃金が上がっていけば、男女賃金格差の是正にも間違いなく大きな貢献をしていくと考えます。
岸田総理にお伺いいたします。
経済対策として、今、保育士、看護師さんに対しては月九千円の加算が行われておりまして、十月以降についても公定価格の上乗せが行われて、この加算が継続していくものと理解をしておりますけれども、それで終わりではなくて、保育に関わる方々の抜本的な賃上げをお願いしたいと思います。またあわせて、介護士の皆様の処遇改善、これも引き続き強力に進めていただきたいと思いますが、総理の力強い御決意をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/17
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018・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 介護や保育の現場で働く方々の給与については、本年二月から恒久的に三%程度引き上げるための措置、講じたところです。
さらに、処遇改善については、今月七日に閣議決定した骨太方針にあるとおり、公的価格の費用の見える化等をしっかり行った上で、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されること等を目指して取り組んでまいります。
経験年数や勤続年数に応じた処遇改善の取組がキャリアラダーの形成や職員を大切にすることへのインセンティブとなり、職場への定着あるいは経験、技能の高度化、こうしたことにもつながるんだということ、これを留意しながら取り組んでいきたいと思っております。
あわせて、この労働者の男女間賃金格差を解消していくため、女性活躍推進法に基づき、男女間賃金格差の開示を義務付けることで各企業の取組を加速させ、格差の更なる縮小、これを目指していくことも、こうした介護や保育、女性の方が大変多いわけでありますから、こうした方々に対する応援ということにもなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/18
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019・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
今経験や勤続年数に合わせてというお話ございましたけれども、最初の、始まったときのお給料が低くて数年で辞めてしまうという方もいらっしゃいます。やっぱり、そういう方々が出ないように、意欲を持って入ってくださった方々が働き続けることができるように、引き続きの取組をよろしくお願いを申し上げます。
子供を最優先にする社会とは、親との時間を必要とする子供がその時間を持つことができ、そして子供と一緒にいることを望む親がまたその時間を過ごすことができる、そうした働き方の選択肢のある社会でもあると思います。このいろんな選択肢があるということ、また、自分らしい生き方が選べるということ、これが女性活躍の観点からもとても重要であると思います。そうした意味で、総理のリーダーシップの下で男性の育休の拡大などをしていただいておりまして、もうこのことには本当に感謝を申し上げたいと思います。しかし一方で、制度の壁があることで自分が求める働き方ができないことによって、働きたいのに仕事を辞めないといけない方が残念ながらいらっしゃいます。その一つが時短勤務でございます。
時短勤務というのは子供が三歳未満の方に認められている一日六時間という働き方でありまして、子供の小さいうちはどうしても朝と夕方がとても大変ですので、この朝と夕方の時間を勤務時間短縮していただいて、大体十時から四時とかいう形で六時間働かれている方が多いんですけれども、これが三歳になった途端にできなくなりますので、やむなく離職をされている方々がいらっしゃいます。私たち公明党の元に、そういう方々の、お母さん方のダイレクトな声がたくさん届いております。このことは早急に何とかしていただきたいと思います。
本日、資料を配らせていただきました。育児・介護休業法の中身でいろんな制度をつくっていただいておりまして、育休については、御存じのとおり、子供さん一歳になるまで取ることができ、必要な場合には二歳まで取ることができます。また、子供の看護休暇ということで、小学校就学前の子供がいる場合には年間五日間休みを取ることができる、ここはお給料は発生しませんけれども、そういう休暇を取ることができるようになっています。ほかにも、長時間労働についてもいろんな制限が掛かっておりまして、例えば三歳未満の子供がいる方については所定外労働制限となっていて、基本的に超過勤務できないというふうになっております。小学校就学前までの子供さんがいる方については、超過勤務できるんだけれども、その時間の上限を設定しているというような状況にあります。
そういう中で短時間勤務については三歳までというふうになっておりまして、ほかの休暇が小学校就学前まで使えるのにもかかわらず、この部分が三歳までとなっていることによって、この三歳、四歳、五歳の子供がいる方々が、仕事続けたいのにできないという状況が起こっております。御存じのとおり、育休は雇用保険から出ておりますので、この女性の方あるいは男性の方に仕事に戻っていただくために、雇用保険をみんなで出して、この間のお給料をある意味補填して戻ってきていただくわけでありますが、この時短が三歳までしか取れないことによって、せっかく戻ってきていただいたのに、三歳になったらやっぱり辞めざるを得ないという方が実際に今発生をしております。
もうこれは、もう本当に制度をちょっと変えていただくだけで、選択肢が増えるだけで働き続ける方が増えることになりますので、是非とも前向きに御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/19
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020・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の短時間勤務制度については、政府でも議論が続いています。
短時間勤務制度の対象となる子供の年齢の引上げの議論、平成二十七年の労働政策審議会の建議においても取り上げられており、ただ、今現状を見ますと、この制度、利用者の多くが女性というのが現状です。結果として、この子育てにおいて、女性の方ばかりが時短勤務ということで負担を負われるということになる、こうした現状もあることを考えますと、まずは男性も少し変わらなければならないということで、長時間労働の是正、柔軟な働き方の促進により男性の育児への関わりを促進する、また、保育サービスの充実を図っていく、こうしたことが充実だという指摘もあり、その状況も踏まえて、この子供の年齢による、子供の年齢の引上げ、時短勤務制度における子供の年齢の引上げについて議論を続けていく、こうしたことになっています。
そして、男性への関わりということで、昨年度に改正された育児・介護休業法により創設された産後パパ育休等を通じて促進していく、こうした取組が進められています。こうした改正法の実施、施行状況も注視しつつ、短時間勤務制度に対するニーズも把握も行いながら、引き続きこれ丁寧に議論をしていかなければならないと思います。
もちろんこの短期、短時間勤務制度の意味、委員がおっしゃるように大変大きいこともありますが、この制度の利用が女性に偏っていると、現状の中で併せていろいろ考えなければならないこともある、こういった議論が政府で行われているということであります。引き続き議論を深めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/20
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021・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
今望んでいらっしゃる女性の方が多くいらっしゃいますので、是非とも、当事者の声も聞いていただいて議論を更に進めていただきたいと思います。
時間参りましたので質問終わりますが、引き続き総理におかれましては、女性を始めいろんな方が社会で活躍できるように、また、子供を中心に置く社会に総理の下で転換をしていただきましたので、どうかそれをより一層推進していただけますようお願い申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/21
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022・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。
総理、本日はどうぞよろしくお願いをいたします。
まず最初の質問は総理のお気持ちを確認する質問から始めさせていただきたいんですが、五月の三十一日の予算委員会のことになるんですけれども、我が会派の伊藤孝恵議員が乳児院と、あと児童養護施設のその関係性についての質疑を行いました。どちらも家庭の事情で、家庭で子育てをすることが難しかったり、なかなかそういう状況にない、その子供たちの家庭をしっかりと支援をしていくという、どちらもそういう趣旨でつくられている施設ですけれども、年齢によって、主には、児童養護施設は二歳から十八歳まで、乳児院の方は赤ちゃんですとか乳児、そうした子供たちを対象にということになります。
やはりこの年齢によって乳児院から児童養護施設に移っていく、そのときの子供の様子を見たときに、もういたたまれないんだと。またここからここに子供が移っていく、私たちは何度場所を変えて生活をしなければいけないのかという、そういう子供たちを見たとき、現場にいた方たちのその悲痛な叫び、これを基にして、この施設の統合ということもあってもいいのではないかと。こういう議論がそもそもこれまでされてきた形跡がないので、議論をやっぱりしてほしいというのが伊藤孝恵議員の趣旨の発言でありました。
こうした議論を厚労大臣としていた中で、最後に総理に発言を求めたときに、総理が、少なくとも議論を進めるということはあってもよいのではないかと御発言をいただきました。改めてその真意について御確認をさせていただきたいと思います。まさに議論はあってもよいという趣旨で総理は御発言をいただいたと、こういう認識で受け止めてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/22
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023・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 五月三十一日の予算委員会、参議院予算委員会においての私の発言でありますが、子供政策を社会の真ん中に据えて議論していく観点から、御指摘の乳児院と児童養護施設の関係も含め、あらゆる可能性を排除せず議論すべきであるというこの子供政策全般についての私の考え方を申し上げた次第であります。
是非、こども家庭庁、お認めいただいたならば、こども家庭庁において子供の視点に立ってしっかり議論をしてもらいたいと思っています。乳児院と児童養護施設については、医療と福祉の何か線引きというような考え方もあるようでありますが、子供の視点から考えたら、そうしたこの線引きというのはどれだけ意味があるのか。こういった観点から、こういった議論も含めて、必要な子供政策において、子供政策についてこども家庭庁においてしっかり議論していくことは大事である、こうした思いを申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/23
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024・礒崎哲史
○礒崎哲史君 総理、ありがとうございます。より明確にお気持ちの内面の部分も含めて確認をさせていただきました。是非、このこども家庭庁、できた暁には、今の総理の思いもしっかりと含んで議論をしっかりと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
続いて、ちょっと質問を三番目の質問から先に行わさせていただきたいと思います。
お手元にも資料の方を一部配付をさせていただきました。所得制限についての一覧表ということで、前回の委員会では野田大臣にもこの質問をさせていただいたところでもございます。
子供に対する支援策において、多岐にわたって親の所得制限が設けられているというのが今の実態になっております。その結果として、いわゆる中間所得層と呼ばれている方においては、例えば、逆に、子供の進学の選択肢、それこそ二人目、三人目、四人目と子供がいらっしゃる家庭においては、国からの支援がなくなって、先ほどの塩村委員のところでもありましたけれども、進学について考えなければいけなくなるような事態にもなっているということでもあります。大学の奨学金制度においても、世帯収入によって返済の負担には差が出るような制度に今なっています。やはり、子供の将来を制約するような、こどもまんなか社会とはおよそ真逆の状況だと私は捉えております。
この間、参考人質疑において、先ほどもお名前出ていましたが、明石市の泉市長、こんな御発言もされていました。頑張ったら所得制限超えちゃって、いきなり駄目になっちゃったんでは頑張る気もうせます、国民に頑張るなというようなことになるような制度はやめた方がいいと思います、どうしても所得制限掛けると、妬み、やっかみ、分断を生みますから、なかなか難しいんですと、こういう御発言もされました。まさに現場でこの指揮を陣頭執られている市長の実感のこもった御発言だったというふうに私は受け止めております。
一方で、その貧困世帯等、一人親家庭、そうした方たちへの給付ということでは限定される、あるいは所得制限という考え方が残るということは、これはある程度必要だというふうにも思います。ですが、基本的には子供への施策においては所得制限は撤廃すべきと考えますけれども、改めて総理のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/24
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025・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 所得制限につきましては、この国会においても衆参予算委員会で様々な議論が行われてきました。
各制度における所得制限の在り方については、個々の制度の目的あるいは支援方法に応じて、それぞれの制度において必要性が判断される、これが政府の基本的な考え方であります。
そして、委員の資料見ますと、児童手当について御指摘がありました。児童手当については、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次世代の社会を担う児童の健やかな成長に資すること、こうした目的を持って支給するものでありますが、この現在の所得制限九百六十万円となっており、結果として、中学校修了前までの児童おおむね九割が対象となるということになっています。御指摘の中間層も含めて、必要とされる方々の多くに支援は届いていると評価をしております。
これ、これ以外にも、御指摘がありますように、高等教育の無償化ですとか幼児教育、保育の無償化ですとか様々な制度がありますが、これ、それぞれの子育て世帯あるいはお子さんにおいても、置かれている立場は様々ですし、そしてそれぞれ人生設計を持っておられます。ですから、様々な制度、自分にとって必要な制度をこれをしっかり活用していただく、そのために様々な支援のメニューを用意しておくことが重要であると思っています。
ですから、こうした制度あるいはサービス、これを重層的に用意することによって、結果として支援策が全体の方々に必要な支援が届く、こうした結果につながるよう政府として政策のメニューを用意しておく、こういった姿勢が大事なのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/25
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026・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今総理言われた、置かれている立場も様々なので、その様々な方たちに重層的なメニューを用意する、様々なメニューを用意する、そのとおりだと思います。まさにそれはやっていただきたいと思います。
でも、この資料を見ていただきたいと思います。様々なメニューがありますが、ほとんどのメニューを使えない人たちがいるんです。これが果たしていいのかどうかという問いかけを私たちはさせてもらっています。先ほど、九割の方たちが使えると言いました。残りの一割の人たちは本当に使えなくていいんでしょうか。
それともう一つ、所得制限を、では、そもそも設けている理由は何なのかです。なぜ所得制限を設けているんでしょうか。どうしてもこの人たちには必要だ、どうしても困った事情がある、だからその人たちに対して支援をするんだ、これには立派な理由があると思います。
では、児童手当、あるいはほかの項目もそうです、何でここで所得制限を設ける必要性があるんでしょうか。私は、それは、所得制限を設けている理由は、それは予算の問題だと思います。財政上の問題で、制度の持続可能性を高めていくために所得制限を設けているにすぎないというふうに思います。所得制限を設けることが本当にこの国の将来を支える子供たちを支援する政策の哲学として正しいのかどうか、私たちはそれを問うています。
改めて、総理にお伺いをしたいと思います。
子供の、子供のためにこの制度の維持として所得制限を設ける。子供の将来のためが重要なのか、制度の持続可能性が重要なのか、私はそれが問われていると思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/26
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027・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) もちろん所得制限ということについて予算が関わっているということ、これは委員の御指摘のとおりかとは思いますが、やはり大事なのは、この制度が何のために用いられているのか。
先ほど申し上げましたように、児童手当につきましても、一つは家庭等の生活の安定に寄与する、こうした目的があります。あわせて、この児童の健やかな成長に資する、こういった目的を持っているわけですから、この資料にありますように、収入の多い家庭においてこの児童手当の意味、これをどう考えるのか。やはり制度ごとによって目的があります。
また、ほかの制度においてこの児童手当のシステムを使って支給するという形で支援を行う、こういった支援もあります。これ、その場合は、迅速に支援を行うためにこうした制度、児童手当の仕組みを使う、結果として所得制限が掛かることになる、こういったケースもあります。
いずれにせよ、制度において、制度ごとに目的あるいは支援、支払方法、こうした様々な事情に配慮しながら、その制度の目的に資するためにはどうあるべきなのか。結果としてその対象にならない方もおられる、これは現実そのとおりでありますが、だからこそ、様々なメニュー、重層的に用意することが大事だと政府としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/27
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028・礒崎哲史
○礒崎哲史君 欲しいと思った子供を産み育てられる安定した家庭の環境を整えていくことが政治の役割だと思います。そのことを改めてお伝えをさせていただいて、質疑を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/28
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029・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。よろしくお願いをいたします。
この法案が成立すれば来年の四月一日からこども家庭庁がスタートをするということになりますが、新たなこの組織の枠組みができたとしても、しっかりそこに予算が付かなければ、まあどんないい政策を提示しても絵に描いた餅になってしまうわけであります。組織ができれば問題が解決するわけでなくて、大事なのは具体的な政策、そして裏付けとなるその予算のことだと思っております。しかし、十分なこの予算の裏付けが、財源がはっきりしていないというのが今正直なところかと思っています。
思えば、総理が自民党の総裁選挙にお出になられたときは、いろんな討論会でもこの子供関連予算については思い切って倍増していかなければならないと大変威勢のいい、かったのをよく記憶をしておるのですが、それからやがてもうしばらくすると一年近くたつわけですけれども、かなりちょっとトーンダウンしてきているんではないかと心配をしています。
この法案の審議が衆参で行われてきましたが、本会議で、あるいはこの委員会、予算委員会でもあったかもしれませんが、総理にお尋ねをしても、この倍増はいつ実現するのか等々聞いてきてもなかなか、今後検討するというようなことで、はっきりしたところは聞こえてきませんでした。また、先般閣議決定されたこのいわゆる骨太の方針二〇二二においても、結局のところ、今後検討するというようなことしか記述されていません。これは、この法案を作る前に、昨年の年末に閣議決定された基本方針がありますが、そこに書かれていることとほとんど変わりがない。つまり、半年間何も前進をしてきていないのではないかというふうに感じざるを得ないわけであります。
しかし、改めて言うまでもありませんが、出生率は、昨年は一・三〇と過去最少になりました。最低になりました。そして、生まれた数の子供は八十一万人、前年より三万人減、過去最少を更新するのは六年連続という具合に大変深刻な状況になっています。
テスラのイーロン・マスク氏は、このままでは日本は消滅してしまうんじゃないかというツイッターを書いたことで大変今話題になっていますが、それに比べれば、政府の取組というか意欲というか本気度が大変薄いんではないかと、そう感じざるを得ません。
今回の骨太は岸田政権になって最初の骨太方針、大変国民も注目したと思っていますが、先ほど申し上げたように、何ら具体的なものがなかったというのは極めて残念なことであります。本当に予算の倍増を目指しているなら、子供に関する、内閣として骨太の方針にその旨をやっぱり明記すべきだったんではないかと思いますが、なぜそうしなかったのか、まず総理にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/29
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030・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今後の子供政策に関する予算については、これはこの国会においても再三申し上げておりますように、こども家庭庁発足をお許しいただいたならば、そこで改めて子供政策において何が必要なのか、必要な子供政策が何なのか、これをしっかりと体系的に取りまとめた上で、その負担については社会全体でどう負担するのか、政府ももちろんその負担について予算を考えていかなければいけないわけですが、子供を支えるために社会全体、企業を含めて社会全体でこの予算をどう支えていくのか、こうした議論を行い、そしてその積み上げによって予算倍増を目指していく、こうした考え方を示させていただいています。
そして、御質問は骨太の方針になぜ書かなかったかということでありますが、毎年六月頃に当面の経済財政運営と改革の方針を示す、これが骨太の方針ですが、今年の六月、六月ですから議論はもう五月から始まっているわけですが、この段階においては、子供政策については子供の視点に立って必要な政策を体系的に取りまとめた上でその充実を図り強力に進めていく、今申し上げた考え方を示させていただきました。そして、来年四月にこども家庭庁を発足させ、必要な子供政策を体系的に整理をし、来年の骨太の方針、やはり同じ時期になると思いますが、来年の骨太の方針にはこの当面の方針、すなわちこの倍増への道筋について明確に示していきたいと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/30
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031・柴田巧
○柴田巧君 しかし、もう総裁・総理になられて先ほど申し上げたように日もたってきていますし、いろんなこの法案の準備、法案が、来年、成立すればですね、発足するところが見えてきている中で、私はもっと具体的に踏み込まれてもよかったのではないかというふうに思っています。
心配をするのは、私たちはこの法案の対案として、御存じのとおり、文科省の教育部門も入れて一つにして、一体的にやっていくのが望ましいのではないかと考えていましたが、残念ながらそういうわけにはいきませんでした。しかも、今、予算の財源もなかなか見えてこないとなると、これまでこの国は、三十年前からエンゼルプランに始まっていろんな少子化対策はやってきました。しかし、結果として、しっかりと財源と向き合わずに来て、結局失敗を繰り返してきたと思っています。掛け声倒れの連続になってしまっているということで、このままだとまたそうなってしまうのではないかと大変懸念をするところです。
今日は、先ほどから明石の泉市長の参考人質疑の話が幾つもの皆さんから、何人の方からも出ていますが、国の行政のトップの総理と地方自治体のトップの方とまたいろいろ事情が違う、レベルが違うところもありますし、泉市長と総理も大分、全然キャラが違いますので比較するのもあれなんですが、しかし、私ども感銘を受けたのは、やっぱりリーダーシップと、それと強烈なやっぱりメッセージ力があって、明確なそして具体的なやはり政策と取組方針、予算をきちっと本当に倍増してやっていらっしゃる。これは国としても見習うべきところがあると思っています。
今申し上げたように、心配するのは、この掛け声倒れにまたなってしまうのではないか、これに終止符を打つことが大事だと思っていますが、これ、ちょっとこれは通告してありませんけれども、もう一回総理に申し上げますが、やはりこれまで予算を付けると言いながら、結局、財源問題もしっかり確保できない、財源も確保できずじまいに対策をやってきた、それがこういう結果になっていると思いますと、こういった掛け声倒れの対策に終止符をやっぱり打って、強いリーダーシップを発揮をして、明確なメッセージを持ってこの子供施策の充実、そして予算の倍増に取り組むべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/31
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032・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 子供政策、議論ばかりで進まなかったのではないか、これに終止符を打つべきではないか、こうしたことでありますが、しかし、少子化問題あるいは子供政策の重要性、これは歴代内閣もしっかり訴えてきた。だからこそ、日本においても幼児教育、保育の無償化、これを実現したわけでありますし、先ほど来から議論に出ております高等教育の無償化、これも進めていく、こうした取組が行われています。政権交代後だけ考えても、幼児教育、保育の無償化、あるいは保育の受皿整備、こういったことで一・四兆円以上の予算が投入されている、こういったことでありますので、今まで何もしていなかったということではないと思います。
ただ、今委員御指摘のように、今の日本の現状に対して強い危機感が示されている。この危機感は政府としてもしっかり受け止めなければならない。今のままで十分とは言えない。もっと深掘りをしなければいけない。そして、それを的確に予算を使っていかなければいけないということで、こども家庭庁を発足を機に、より子供政策について体系的に整理をした上で、必要なものを整理した上で、その裏付けとなる財源についても社会全体でどう負担していくのか、この議論を進めていこうと、こういう考え方を示させていただいています。
是非、こうした危機感を委員とも共有しながら、予算の充実、一層進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/32
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033・柴田巧
○柴田巧君 時間が少なくなったので、飛ばして五番目の質問で終わりたいと思います。
先般、この全世代型社会保障構築会議、議論の中間整理が示されましたが、その中で、男女が希望どおり働ける社会づくり・子育て支援として、男性の育児休業の取得の促進、保険適用された不妊治療の活用促進等が挙げられましたが、こうした政策は社会保障政策で、一義的にこども家庭庁が所管するということではないかもしれませんが、子供政策の司令塔としていくならば、こういった社会保障政策についても政策立案も含めて関与すべきものだと思いますが、総理の御見解をお聞きして終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/33
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034・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員会でももう再三御議論をいただいておりますように、こども家庭庁、政府部内の総合調整を行っていく、関係行政機関の長に対して、資料の提出、説明を求める権限、勧告を行う、こうした権限を持っています。
子供政策を推進するに当たって、福祉や医療など厚生労働省が所管する社会保障政策全般との連携、これも重要であり、こども家庭庁は総合調整の観点から必要に応じて社会保障政策にも関与していくというのが政府の考え方であります。是非、こういった考え方において、こども家庭庁、司令塔機能を果たしてもらいたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/34
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035・柴田巧
○柴田巧君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/35
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036・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
まず、こども家庭庁の設置で子供に関わる専門職の人が増えるのかと、こちらの方を先に質問します。
骨太の方針二〇二二、私も読みましたが、児童相談所の体制強化、スクールソーシャルワーカーの配置の促進ぐらいしか見付けることができませんでした。
そもそも国の制度では、このスクールソーシャルワーカーは非常勤で複数の学校を担当することを想定しています。専門性を必要としながら、典型的な不安定雇用です。学校では、深刻な教員不足の一方で、学級担任を臨時教員が務めているというのも当たり前のようになってきました。臨時教員というのは、もう一年で学校替わらなきゃいけないんですよね。保育士の方も、非常勤、非正規雇用、これ増え続けています。
子供との信頼関係を築く上でも、ケースワークを積んで専門性をより深める上でも、子供に関わる専門職の方が安定した雇用であるということはとても重要だと思います。子供に関わる専門職のそもそもの人数を抜本的に増やすこと、そしてその低処遇、不安定雇用を解消すること、これはすぐにでも必要と考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/36
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037・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、子供を取り巻く課題、深刻化する中にあって、御指摘のスクールソーシャルワーカー、さらには保育士、放課後児童支援員など、子供の支援に関わる方々の果たす役割、ますます重要になってきています。非常勤であるがために雇用が不安定であったり給与が低い、こうした声があること、承知をしております。
こうした声を受けて、まず、スクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究、これを政府として今進めています。そして、保育現場で働く方々に加えて、放課後児童支援員、さらには児童養護施設等の職員の給与、本年二月から三%程度、月額平均九千円相当引き上げるための措置を講じるなど、累次の処遇改善、これを実施しているところです。
子供の支援に関わる方が安心してキャリアパスを描けるような安定した雇用環境を整備することは重要であり、保育士や放課後児童支援員等について更なる処遇改善に取り組むとともに、スクールソーシャルワーカーなどの配置促進を通じて雇用の場の確保、これを図っていきたいと考えております。こうした取組、進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/37
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038・田村智子
○田村智子君 スクールソーシャルワーカーの配置って、私、二〇一三年ぐらいに文部科学委員会担当したんですけど、そのときからもう本当にこういう複数校担当でいいのかと言われていて、常勤化についてまだ調査研究必要ですか。調査研究やっているどころか、制度変えればいいじゃないですか。定数の中に入れればいいんですよ、学校に配置する定数の中に。なぜこども家庭庁をつくってもそこにすぐに踏み出さないのか、まだ調査研究なのかというのはちょっと厳しく指摘しなければならないと思います。
それから、子供施策については、今日繰り返し指摘があります、参考人質疑での明石の泉市長の、所得制限なし、明石市の施策ですね、十八歳までの子供の医療費、二人目以降の保育料、学校給食など、これ所得制限なしで無料化してきた。子供への支援、特に現物給付は全ての子供を対象とすることが重要だと強調されました。私も同じ立場です。子供を世帯所得で分断せず、保育、教育、医療など、全ての子供の権利として保障する、同時に子供の貧困対策を充実させる、そういう政治への転換が必要だと考えます。
これまでの子供の施策は、一人親家庭への児童扶養手当でさえも、離婚件数が増えたことを理由に所得制限強化などを行って、一人親家庭への支給を一方で抑えて支給対象を増やす、また、児童手当も所得制限で一部の子供に支給せず、その分を保育所待機児童対策に充てると、こういうことをやられ続けてきたんですよ。子供関係の支出を増やすときに、別の子供施策、子供施策のどこかを削らなければできないと。その上、子供の人口減少に伴う予算減はただただ予算減当たり前と。
総理、十八日の本会議で、将来的に予算の倍増を目指すと答弁されました。ならば、まず人口減少に伴う子供の予算の減額はしない、子供関係で新たな予算が必要になったからといって子供施策のどこかを削減するということはやらないと、この基本方針が必要だと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/38
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039・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の方から、今までの政府のありようとして、子供政策を進めるに当たって、この一方で子供政策の予算を削っている、こうしたことがあったのではないか、こういった指摘がありましたが、その際にもいろんな議論がありました。だからこそ、今回こども家庭庁をお認めいただいたならば、このこども家庭庁において、必要な子供政策は何なのか、この全体像を体系的に整理することをさせていただきたいということを申し上げています。この全体像をしっかりと示した上で、必要となる予算についても社会全体でどう負担するのか、これを考えていく、そしてその延長線上に予算倍増を目指していく、こうした考え方を示させていただいています。
今言ったような、今御指摘があったような子供政策同士の様々なやりくりをというような指摘を受けないためにも、改めて全体像を考えていくことが重要であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/39
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040・田村智子
○田村智子君 何度も指摘してきたんですけど、体系的に整備している間に少子化が進むので、子供の予算はどんどん減っていってしまうんですね。それを今止めなければ予算は倍増に向かわないわけですよ。整備する上での基本的な考え方として、予算を減らさないということが必要だと思うんですね。
実は先週、若者向けに参議院選挙に向けた各党の若者施策というのを話し合う討論会というのがあって、私、参加したんです。そこで、自民党からは厚労副大臣も務めた牧原衆議院議員が出席をされていて、私が言ったとおりのことを言ったんですよ。児童手当を引き合いに出して、少子化で必要額が減っている、これを減らさずに子供施策の充実に回すことが必要だということを若者向けに公約を語る場で自民党からも話されたわけですよ。
これ、選挙のときだけというわけにいかないわけですからね。総理、せめて検討ぐらい言いましょうよ。減らさない、少子化に伴う予算減やらない、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/40
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041・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 何か今までの政権が子供政策の予算を削り続けてきたかのような御指摘でありますが、そんなことはありません。先ほど申し上げたように、この幼児教育の無償化、保育の受皿確保、一・四兆円、さらには少子化対策関連予算、これ当初ベースでも六兆円、子供・若者育成支援施策関連予算、これも当初ベースで五兆円、こうした予算をしっかり用意をしています。そして、細部においては様々な御指摘があるのかもしれませんが、改めてこの全体像を整理して体系的に考えてみようということをこども家庭庁の発足を機にしっかりやっていこうということを申し上げさせていただいています。
是非、これを機に予算の在り方についてもしっかりと検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/41
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042・田村智子
○田村智子君 予算を増やすときに子供の別のところを削って付けるのは違うでしょうということを言っているだけであって、少子化で減っているのは事実ですから、児童手当だけだって三百億ぐらい人口減で減っていくわけですから、それを減らさないということを求めているんですから、それぐらいは一緒にできるところだと思いますよ。やっていただきたいと思うんです。
もう一点、実は本当にそれを増やすことができるのかということを私はとても危惧しています。
骨太の方針には、防衛力について五年以内に抜本的強化、これは年限を明記されていました。この中では、わざわざ、NATO諸国では国防予算を対GDP比二%以上とするということにも言及をしています。自民党も、五年以内に対GDP比二%以上の目標を念頭に防衛力の抜本的な強化ということを提言し、一部の党からは選挙の公約にもされていますね。
これは現状から五兆円以上の増額になるわけですね、防衛予算が。今年度の内閣府の子供関連予算、児童手当、保育所、幼稚園などに関する子ども・子育て支援給付、高等教育の修学支援は合わせて三・八兆円弱ですよ。これをはるかに上回る規模での防衛予算の増額、ここに踏み出したら、私は子供予算の倍増とはとても両立できないと思う。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/42
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043・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、防衛予算につきましては、政府の骨太の方針の中で御指摘のようにNATO諸国の状況について紹介はさせていただいておりますが、その目標とする数字、これはどこにも書いてありません。従来から政府が申し上げておりますように、年末の国家安全保障戦略の改定を始めとするこの議論の中で、国民の命、暮らしを守るために何が必要なのか、これをしっかりと整理をし、そしてそれを積み上げた上で予算、財源とセットにして議論を行う、こうしたことを申し上げています。こういった道筋を五年以内にやる、こうしたことを骨太の方針の中に書かせていただいております。
子供予算については、先ほど申し上げました、整理をした上で、全体の負担をどのように社会全体で担うのか、こうした議論を行った上でしっかり予算を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/43
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044・田村智子
○田村智子君 防衛予算については、財源なんか関係なく、五年以内と年限示して抜本的強化と言うと。子供については、いつになるかも分からない、財源確保してからだと。これは本当にこれからこの国どうなってしまうのかと大変危惧される状況だということを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/44
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045・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。
他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより三案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/45
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046・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
私は、会派を代表し、内閣提出のこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対、衆議院提出のこども基本法案に賛成の立場から討論を行います。
今回、政府から、子供の最善の利益の実現のためにこども家庭庁を創設する法案が提出されました。ようやく政府・与党も私たち立憲民主党が掲げてきたチルドレンファーストの政策の必要性を理解した上で法案を提出してきたのかと期待しましたが、その期待に沿うものではありませんでした。
その第一の理由は、子供の最善の利益の実現を主張しておきながら、実際には大人の都合に基づいた行政組織となってしまったことです。
私たち立憲民主党は、子供に関する施策を一元的につかさどる子ども省の創設を訴えてきました。しかし、こども家庭庁においては、文部科学省の所掌する初等中等教育等について、それぞれの施策の専門性の向上という理路整然としない理由に基づき移管されませんでした。省庁間の縄張争いの結果としか思えません。また、こども家庭庁という名称も、家庭という言葉に否定的な感情を持つ方々がいることを政府は承知しておきながら、与党の一部議員に配慮したのか、変更されることはありませんでした。子供の最善の利益を実現するための組織ではなく、実態は大人の都合、政府・与党の都合のための組織となっているのではないでしょうか。
第二の理由は、子供施策に関する予算について政府から具体的な説明がほとんど行われていないことです。
岸田総理は、将来的には倍増すると主張しておきながら、いつ倍増するのか、その財源はどうするのか、多くの議員から質問されたものの、総理は、今後検討するとの答弁を連発されました。国民が待っているのは検討ではなく決断であります。私たち立憲民主党は、子供施策関連予算を対GDP比三%にするという具体的な目標を掲げており、私たちと総理が向いている方向性は同じであるにもかかわらず、総理の決断はついに下されませんでした。
以上のとおり、真に子供の最善の利益の実現のためとなる組織が創設されるとは想定し難いことから、内閣提出の二法案については反対いたします。
衆議院提出のこども基本法案は、基本理念の一部に懸念する事項はあるものの、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則である差別の禁止、児童の最善の利益、生命、生存及び発達に対する権利及び児童の意見の尊重に相当する内容を規定しており、一歩前進です。子供に関する政策の基盤となる基本法を制定し、各府省庁にまたがった子供施策に横串を刺す必要があると考え、賛成いたします。
私たち立憲民主党は、これからもチルドレンファーストの政策を進めていくことを申し上げ、討論を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/46
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047・礒崎哲史
○礒崎哲史君 私は、会派を代表し、政府提出のこども家庭庁設置法案及び同整備法案並びに衆議院提出のこども基本法案について、賛成の立場から討論を行います。
国民民主党は、保護者への支援環境を整え、保育や教育の質に重点を置いた子育て政策を充実し実施することが人材を育て、結果として少子化対策につながるものと考えています。今回のこども家庭庁設置法案などの関連法案は、子供と子育て世代のための子供政策に向けた質の転換を図る重要な一歩であると受け止め、賛成をしたいと思います。しかし、これらの法案は質の転換を図っていく上で十分とは言い難い点もあることから、以下の指摘と政策提案をすることで討論に代えたいと思います。
まず、主な課題を三つ指摘をいたします。
一つ目は、教育の所管についてです。
こども家庭庁を司令塔とするとしながら、文部科学省所管の教育に関わる部分について多くの所掌事務が分かれたままとなっていることは問題です。一本化の実現に向けた検討を早急に始めることを求めます。
二つ目は、子供が意見を表明する機会の確保と意見反映の仕組みについてです。
子供の意見を広く聞くだけでなく、それらを子供施策に反映する仕組みが確立されなければなりません。加えて、社会全体に子供中心の意識を醸成するためにも、取りまとめ結果を公開していくことも必要です。また、意見表明権については、子供に間接的に影響を及ぼす事項についても意見表明の機会を失わないこと、失わないようにすることが大切だと考えています。
三つ目は、子供コミッショナーに象徴される第三者機関の必要性についてです。
こども家庭審議会に独立した立場から監視する第三者機関の役割を担わせることは難しく、政府から独立した機関が設置されるべきであると考えます。
次に、本法案が定める基本理念を具現化する上で実施すべき政策を二つ申し上げます。
一つ目は、所得制限の撤廃です。
児童手当、児童扶養手当など、多くの子供関連の給付には所得制限が掛けられています。こどもまんなか社会と銘打って政策転換を図るのであれば、これらの公的給付は親の収入に関係なく実施すべきです。
国民民主党は、所得制限撤廃法案を六月の十日、参議院に提出をいたしました。政府には、早期に所得制限撤廃の検討に着手することを求めます。
二つ目は、子供関連予算、教育予算の倍増です。
人への投資を少なくとも倍増させると表明された岸田総理の方針は、我々の予算倍増提案と合致をしています。今こそ思い切った人への投資を実行すべきです。
国民民主党は、人づくりこそ国づくりの理念を掲げ、国会で政策提案を続けていくことを申し上げ、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/47
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048・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案については反対、こども基本法案については賛成の立場から討論をいたします。
まず、政府提出二法案について、反対の理由を述べます。
第一に、子供関連予算が明確でないことであります。
岸田総理は、社会全体での費用負担の在り方をしっかり検討し、その上で子供政策の充実に取り組み、将来的に予算の倍増を目指していくと本会議やこの委員会で答弁をされました。しかしながら、一体、予算規模が幾らなのか、いつまでに実現するのか、明確に示されておりません。
第二に、縦割り行政が打破されずに幼保一元化が実現しなかったことです。
教育と福祉の一元化がされていない組織、すなわち今回のこども家庭庁の創設への不安は、残念ながらいまだに払拭されておりません。この法案のままで本当に子供政策の総合調整の司令的機能が果たせるのか、甚だ疑問であります。
第三に、政府が法案審議の答弁の中で何度も使用される連携の意味が曖昧であるからです。
教育と福祉がどのように連携するのか、具体的事例が結局明確に示されませんでした。教育と福祉を一元化するどころか、あえて二元化を残し、密接な連携という名前の下で質の向上を図ることが本当に可能なのか、危惧をしています。
第四は、子供の性被害を防止する施策が後回しにされた感が否めないからであります。
いわゆる日本版DBSについて政府は導入に向けた法的論点の整理や仕組みの検討等を行っていくとの答弁で終始しましたが、子供をめぐる性被害は後を絶ちません。検討ではなく導入に向けた施策を早急に講じるべきであることを強く申し上げておきます。
次に、こども基本法案に賛成する理由を述べます。
我が党は、衆議院で子ども成育基本法案を提出をいたしました。その基本理念は、子供への最善の利益が優先して考慮されること、不当な差別的取扱いを受けないこと、全ての子供について適切に養育されること、そして、子供の意見が尊重されることなどです。これらはこども基本法案の基本理念においても同様の規定があり、我が党と方向性はおおむね一致します。
ただ、施行後の、施行後五年をめどとした検討規定を待たずに不断に見直しを行うことが必要だということは指摘をしておきます。
最後に、日本維新の会は、少子化というこの国難を乗り越えるべく、積極果敢に子供政策について今後も取り組んでいきますことをお誓いを申し上げ、私の討論を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/48
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049・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、こども家庭庁設置法案及び同整備法案に対する反対討論を行います。
日本の子供の現状について、法案審議で繰り返し政府の認識をただしました。G7諸国の中で最悪の自殺率、いじめ、不登校の実態。学校が子供たちにとって楽しい場所になっているのか、全国学力テストに象徴される過度に競争的な環境によって子供たちがストレス状態にあるのではないか。しかし、政府からは子供の現状についての分析的な認識は何も示されませんでした。
国連子どもの権利委員会は、生命と生存の権利について、社会の競争的な性格により子供時代と発達が害されることなく、子供が子供時代を享受することができるようにすることを日本政府に求めていますが、この勧告に対する政府としての認識は、答弁できないというのが岸田総理の答弁でした。
子供に対する予算はどうか。予算増の目標も示されず、少子化による自然減に伴う予算減額せず子供施策の充実に充てることも約束しませんでした。
子どもの権利条約を不十分ながら条文に盛り込み、こどもまんなかと言いながら国連からの勧告にも向き合わず、これまでの教育、子供施策の検証、反省もないままにこども家庭庁を設置すると言わざるを得ません。
子どもの権利条約の批准から三十年以上が経過し、子供の意見表明権をめぐって本法案審議でやっと時間を取った議論がなされました。この大きな遅れの要因として、子供の権利を実質化させる仕組みが何もなかったことを指摘しなければなりません。政府から独立し、子供の権利擁護の立場で行政を監視、評価し、子供の意見を代弁し、個別事案の権利救済を行う子供コミッショナーは必要不可欠です。野党はもちろん与党の中でも強く求められていたにもかかわらず、自民党内の圧力に屈して制度化も検討も盛り込まれなかったことは重大です。
また、こども家庭庁の名前に家庭の文言が入ったことも問題です。
児童虐待当事者の子供個人の尊厳や権利に目を向けてほしい、家庭だけでなく社会全体で子供を守り育てる国になってほしいという願いに背くもので、子育ての自己責任、家庭責任を強調するメッセージになりかねません。
児童扶養手当の所得制限強化、厳しい条件が課された高等教育無償化などに見られるように、日本では子育てが余りにも自己責任にされています。全ての子供を社会で支えるという強いメッセージ、貧困対策さえ真に支援が必要な子供に限定してきた従来の政策の転換こそ求められます。
こども基本法案についても、理念に家庭を基本と盛り込まれたこと、また、子供のプライバシー権を脇に置き、情報通信技術を用いた子供の情報の利活用を掲げていることなどから賛成できません。
以上で反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/49
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050・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、こども家庭庁設置法案について採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/50
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051・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/51
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052・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、礒崎君から発言を求められておりますので、これを許します。礒崎哲史君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/52
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053・礒崎哲史
○礒崎哲史君 私は、ただいま可決されましたこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、関係府省庁、地方公共団体等の連携及び人材の育成確保に万全を期すこと。特にこどもの教育に関しては、こども施策に関する総合調整機能を担うこども家庭庁と教育行政をつかさどる文部科学省との緊密な連携の確保を図ること。
二 生活困窮家庭のこどもの学習・生活支援、いじめや不登校への対応、児童虐待防止対策等のこども施策はこども家庭庁設置後においても複数の府省庁が関わることから、こども家庭庁は、こども施策の司令塔として、企画立案、執行、評価及び改善の各段階を通じて積極的に関与し、こどもの最善の利益の実現を図ること。その際、必要に応じて関係府省庁との協働プロジェクトを展開するなど、組織の枠組みにとらわれない施策の実施に努めること。また、こども家庭庁がその「役割」を十分に果たせるよう、しっかりとした人員体制の構築を図ること。
三 こども家庭庁の所掌事務を掌理する内閣府特命担当大臣は、内閣府設置法第十二条の規定による関係行政機関の長に対する勧告等の権限を適切に行使すること。
四 こども家庭審議会は、メンバーの選定及び運営の公平性・透明性を確保するとともに、こどもを取り巻く諸課題に迅速に対処するために必要な課題の把握・検証を不断に行い、関係府省庁、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などに対する実効性のある施策の実現に取り組むこと。
五 こども施策の検討に当たっては、こどもや若者の意見を把握するために、特定の手段によることなく多様な手法を検討・活用するとともに、こどもや若者が意見を表明しやすい環境整備に向けて、地方公共団体、教育機関その他の関係機関などと緊密に連携すること。また、こどもの意見形成を促進するために、こどもの年齢及び発達の程度を考慮し、こどもが理解しやすく、かつ、アクセスしやすい多様な方法で十分な情報提供を行うこと。
六 こどもの年齢及び発達の程度に応じ、こどもの意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮するための方針を早期に具体化し、その実施に当たっては、関係府省庁に対しその趣旨を徹底するとともに、実効性の確保に向けて恒常的な連携を図ること。
七 政府は、こどもに関するデータや統計について、国際比較の観点も含め、更なる充実を図ること。
八 我が国の家族関係社会支出が諸外国と比べて低水準となっているとの指摘を踏まえ、こども政策については、こどもの視点に立って、必要な政策を取りまとめた上でその充実を図り、十分な予算確保のための方策及びそのための安定財源の確保の検討に早期に着手すること。
九 こども家庭庁設置法の施行後五年を目途として行われる検討に当たっては、文部科学省が所掌する事務のうち初等中等教育等に関する事務及び同法第四条第一項に規定する事務を含むこども施策の総合的な推進を図るための行政組織の連携などその在り方について、検討し、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十 九の検討を行うに当たっては、特に、こどもの権利の擁護に関する施策の実施の状況についても十分に勘案すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/53
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054・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいま礒崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/54
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055・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、礒崎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、野田国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/55
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056・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/56
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057・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 次に、こども基本法案について採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/57
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058・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、石川君から発言を求められておりますので、これを許します。石川大我君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/58
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059・石川大我
○石川大我君 私は、ただいま可決されましたこども基本法案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
こども基本法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 こども施策の実施に当たっては、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、こどもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を目指すこと。また、社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を担保するための方策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
二 こども施策の実施に当たっては、いじめ、不登校、自殺、虐待等、こどもを取り巻く状況が深刻化していることを踏まえ、関係機関・団体等と連携した包括的な支援等による全てのこどもの生存と安全、教育を受ける権利等の保障、オンライン教育やフリースクールにおける学習活動など多様な学びの在り方を含めた教育を受ける機会の確保に万全を期すこと。また、教育及びこどもの福祉に係る施策のより一層の連携確保を図ること。
三 こども施策を実施するための予算及び人員を十分に確保し、全てのこどもの成長の支援に万全を期すこと。また、教育を受ける機会が等しく与えられるよう、義務教育のほか、幼児教育、高等学校教育、大学教育など、教育の全過程について必要な負担軽減及び教育体制の充実に取り組むこと。
四 こども施策の実施を中心的に担うのは地方公共団体であることに鑑み、地方公共団体における更なるこども施策の拡充に向けて、財政上の措置を含めた支援について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるとともに、好事例の積極的な横展開に向けた情報共有、周知等に取り組むこと。
五 こども施策の推進は、全てのこどもについて、こどもの年齢及び発達の程度に応じて、こどもの意見を聴く機会及びこどもが自ら意見を述べることができる機会を確保し、その意見を十分に尊重することを旨として行うこと。
六 本法に定めるこども施策の基本理念にのっとり、施策を実施する者の視点のみならず、こどもが保護者や社会の支えを受けながら自立した個人として自己を確立していく「主体」であることを踏まえ、真にこどもの視点に立ったこども施策を実施すること。
七 こども施策の実施に当たっては、希望する者が安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現を図るため、結婚、妊娠・出産、育児及びこどもの成長に関する支援が切れ目なく行われるよう十分配慮すること。また、これまで支援が届きにくかった中学校卒業後又は高等学校中退後に修学も就業もしていないこどもや若者のほか、性的少数者の当事者であるこどもや若者、同性カップルに養育されるこどもや若者等についても、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援の実施に努めること。
八 長引くコロナ禍の影響等により、子育て世帯の生活が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯への支援の拡充策について検討した上で、必要な措置を講ずること。
九 児童手当制度については、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえ、少子化の進展への対処に寄与する観点から、児童の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方並びに児童手当の支給要件の在り方について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。
十 保護者の経済的な状況など生まれ育った環境によってこどもの成長が左右されることのないよう、子どもの貧困率の低減に取り組むこと。
十一 保育士や幼稚園教諭を始め、子育て支援の現場で働く職員の更なる処遇改善について検討を行うこと。また、子育て支援の現場で働く職員数の不足等により、必要な支援が停滞することがないよう新たな人材を確保するための方策を検討するとともに、職員の業務負担の軽減に努めること。
十二 こどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置について、個人情報の適正な取扱いを確保するに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の義務規定を遵守するだけでなく、その基本理念を踏まえ、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会勧告も参考としつつ、こども及び父母その他の保護者の私生活の自由等基本的人権に配慮するものとすること。
十三 こどもに関するデータや統計の活用に当たっては、国際比較の観点も含め、政府全体として収集すべきデータを精査し、各府省庁が連携してデータを収集・分析する環境を構築するとともに、収集したデータに基づいて各種施策の評価及び改善策の検討を行い、その内容を必要に応じ国会に報告すること。
十四 日本国内のこども並びにこどもに関わる大人及びこどもを養育中の保護者を含むあらゆる大人に対する、児童の権利に関する条約の趣旨や内容等についての普及啓発に、その認知度を把握しつつ取り組むこと。
十五 基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策については、必要に応じ、本法の施行後五年を待つことなく、速やかに検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/59
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060・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいま石川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/60
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061・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 全会一致と認めます。よって、石川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、野田国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/61
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062・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/62
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063・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/63
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064・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/64
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065・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、警察庁生活安全局長緒方禎己君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/65
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066・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/66
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067・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案を議題といたします。
提出者衆議院内閣委員長代理上川陽子君から趣旨説明を聴取いたします。上川衆議院内閣委員長代理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/67
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068・上川陽子
○衆議院議員(上川陽子君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。
まず、本法律案の趣旨について御説明申し上げます。
AV出演被害は、出演者の心身と私生活に将来にわたって取り返しの付かない重大な被害をもたらすことから、その被害の発生と拡大の防止を図り、被害を受けた出演者の救済のために徹底した対策を講ずることが、出演者の個人としての人格を尊重し、その心身の健康と私生活の平穏等を保護するために不可欠であります。
そこで、年齢、性別を問わず、こうしたAV出演被害の防止、救済を図るため、AV出演契約等に関する特則、プロバイダー責任制限法の特例、相談体制の整備、罰則等について定め、もって出演者の性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資することを目的とし、ここに本法律案を提案した次第であります。
次に、本法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、性行為映像制作物との定義を設けております。これは、性行為に係る人の姿態を撮影した映像並びにこれに関連する映像及び音声によって構成され、社会通念上一体の内容を有するものとして制作された電磁的記録又はこれに係る記録媒体であって、全体として専ら性欲を興奮させ又は刺激するものとしており、AVを対象としております。
第二に、性行為映像制作物の撮影に当たっては、性行為を強制してはならないこと、民法その他の法令の規定により無効とされる契約を有効とするものと解釈してはならないこと、刑法、売春防止法その他の法令において禁止又は制限されている性行為等ができるようになるものではないといった、解釈の基本原則を定めております。
第三に、契約締結時の説明義務等を定める契約締結に関する特則、一定期間が経過した後でなければ撮影を行うことができないといった契約履行等に関する特則、契約の無効、取消し、解除等に関する特則、公表の停止や予防を求める差止め請求権を設けるなど、出演契約等に関する特則を定めております。
第四に、プロバイダー等が、出演者からの削除申出に基づき映像を削除した場合に生じる情報発信者への損害に係る賠償免責の要件について、情報発信者に対する削除照会に係る申出期間を、七日から二日に短縮するプロバイダー責任制限法の特例を設けております。
第五に、国は、出演者その他の者からの相談に応じ、その心身の状態と生活の状況その他の事情を勘案して適切に対応するために必要な体制を整備することとし、都道府県は、地域の実情を踏まえつつ、これに準じた体制の整備をするよう努めることとしております。
第六に、出演契約の任意解除等を妨げるため、不実の告知を行い、また威迫して困惑させた場合や、契約時の説明義務や出演契約書等の交付等の義務に違反した場合の罰則を設けております。
第七に、この法律は、罰則に関する部分を除き、公布の日の翌日から施行することとしております。
また、この法律の施行後二年以内に、検討を行い、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられることとしております。
以上が本法律案の趣旨及び内容であります。
何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/68
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069・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/69
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070・塩村あやか
○塩村あやか君 まず、附則第四条についてお伺いいたします。
今回、立法趣旨とは異なる、本来別法となるべき反対意見が多かったことから、次回のこうした混乱を防ぐためにも、いわゆる守備範囲を確認しておきたいと思います。
附則第四条では二年以内の法の見直しが書かれているんですが、次回の改正時に本法案に性行為を伴うAVそのものを禁止することを規律するという議論をする場合、本法案の趣旨と整合するのか、まずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/70
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071・山下貴司
○衆議院議員(山下貴司君) 冒頭、本法案によってAV出演被害を防止し、被害者を救済することに御尽力された、超党派での合意に御尽力された塩村委員、佐々木委員始め超党派の先生方に心から敬意を表します。
その上で、本法案は、AV出演被害の防止、被害者の救済を目的とするものであって、現に存在する性行為に係る人の姿態を撮影したAVに関する契約を規律の対象といたしまして、その出演契約の効力を制限するための特則や差止め請求等を規定しているものであります。
一方で、他の法律で違法、無効なものについて、これをいささかも合法化の変更を加えるものではございません。
その上で申し上げれば、本法律の中で、例えば、一方で性行為に係る人の姿態を撮影したAVに関する契約の特則などの規定を定めながら、他方で先ほど御指摘の法改正によってそれ自体を禁止する規定を法律に盛り込むというのは、整合性を図るということがこれは困難ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/71
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072・塩村あやか
○塩村あやか君 続きまして、海外配信のプラットフォームについてお伺いいたします。
アダルトビデオのサイトには、カリビアンコムやFC2などの海外配信プラットフォームが海外のサーバーにアップロードしたAVについては対応は難しいのではないかという意見がありますが、いかがでしょうか。また、契約締結や撮影、撮影をしたアダルトビデオのアップロードを全て海外で行っている場合はどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/72
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073・森山浩行
○衆議院議員(森山浩行君) 御質問ありがとうございます。
まず、海外サーバーにアップロードされた場合の公表の差止めに本法が適用されるかという問題は、準拠法の選択の問題でもあります。
最終的に個別事情による御判断となり、一概にはお答えできませんが、海外サーバーにアップロードされても、そのことのみをもって直ちに本法の適用が排除されるものではなく、日本法が準拠法とされ本法が適用されれば、第十五条による差止め請求の対応が考えられます。
本法第十五条では、制作公表者から出演者に当該AVの公表を行っている者に関する情報提供をさせるなど、出演者の差止め請求に必要な協力をすることと定めており、差止め請求権を行使しやすくする工夫をしております。
さらに、海外サーバーから配信されているものである場合、出演者による契約解除の事実を了知したプロバイダー等が利用規約に基づき当該情報を削除する等の対応も考えられます。
次に、契約締結、撮影、アップロードなど全て海外で行っている場合についても、最終的には個別事情による判断となり、一概にはお答えできませんけれども、日本語で制作されるなど、主として日本向けに発信をされ、閲覧者の多くが日本人であるなどの場合には、その差止め請求の可否等について日本法が準拠法とされ、本法第十五条が適用されることもあり得ると考えられます。一般に、当該制作公表行為と日本との関係が密接であればあるほど日本法が準拠法とされる可能性は高くなると考えております。
また、現在、各国においても各プラットフォームが権利侵害情報であれば削除できるとする規定を置いている例があり、また、各プラットフォームの利用規約等において権利侵害情報の削除について定めていることが多いことから、日本国内での権利侵害になっていることが明確になったものについては、このような規約等に基づいて一定程度対応される可能性もございます。
なお、海外のウエブサイト等の場合には対応に一定の困難もあり得ることから、本法は、本法案成立後に定められる予定の内閣府令において、契約前に出演者に説明をする事項として、AVを配信するウエブサイト等を運営する者の所属地の国名等を明示して説明させることを規定することが想定をされております。これは、AVの公表方法について事前に出演者が知ることができるようにしておくことが望ましいとの考え方によるところのものであり、AVの公表方法が出演者の意に沿わない場合には、もとよりそういった契約を締結する必要はないというものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/73
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074・塩村あやか
○塩村あやか君 次です。
本法案は出演契約の解除等につき定めるものですが、出演者が契約を解除すると著作権がなくなり、その結果、海外も含めて著作権による侵害対応ができなくなるのではないかとの心配の声がありますが、著作権や著作隣接権がなくなるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/74
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075・森山浩行
○衆議院議員(森山浩行君) 著作権や著作隣接権については、著作物を創作する行為や演じる行為等があれば自動的に付与される権利であり、契約に基づいて発生するものではないことから、出演に関する契約を締結する行為自体は著作権や著作隣接権の発生とは関係がございません。
したがって、制作された性行為映像制作物が著作物に該当する場合や出演者の実演に著作隣接権が発生する場合は、出演契約の解除後も著作権や著作隣接権は消滅せず、侵害行為に対しては著作権に基づく法的措置をとることは可能と考えられます。
このように、本法案は、著作権や著作隣接権の発生や消滅について何ら影響を与えるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/75
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076・塩村あやか
○塩村あやか君 それでは、違法にアップロードされたいわゆる海賊版のアダルトビデオについてはどのような対応が考えられるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/76
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077・森山浩行
○衆議院議員(森山浩行君) 違法にアップロードされ、いわゆる海賊版のAVというものは、本法案第十五条の差止め請求権の対象となるため、出演者は同条に基づきその公表の停止を請求することができます。この際、制作公表者は必要な協力を行うこととなっており、海賊版に対しても対応できる範囲で協力をすることが期待をされます。
また、本法案とは別に、例えばAVメーカーなどの著作権者は、著作権法第百十二条に基づく差止め請求や、プロバイダー責任制限法に基づき発信者情報開示請求を行い、アップロードした者を特定した上で損害賠償請求を行うこともできます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/77
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078・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
それでは、第三者が、出演者が契約の解除後にアダルトビデオをアップロードした場合はどうなるのか、お伺いいたします。
契約解除や取消しはしたとして、作品を一旦アップしていれば流出してしまうんですね。出演者が契約解除、取消しを行使した場合に、その後、第三者が映像をアップロードしてしまった場合どのようになるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/78
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079・山井和則
○衆議院議員(山井和則君) お尋ねは、AVの購入者が無断でAVをインターネット上にアップロードするという著作権侵害の事案となるが、出演契約の解消を前提とした本法の適用関係について申し上げれば、出演者は第十五条に基づく差止め請求ができます。
また、当該AVは、第十六条の性行為映像制作物侵害情報に該当すると考えられるため、出演者はプロバイダー責任制限法の特例を定めた同条の規定により削除を申し出ることができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/79
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080・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
出演者が制作公表者や関係者の氏名、名前、住所などを知らない場合は、差止め請求権を行使することができず、アダルトビデオの公表、拡散を止められないのではないか、このような意見もされていますが、どのような対応が取れるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/80
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081・山井和則
○衆議院議員(山井和則君) 本法案は、制作公表者以外の者がAVの公表を行う場合には、その者を特定するために必要な事項を出演契約書等に記載する義務を規定しており、第四条第三項第六号、この義務に違反した場合には罰則も設けております。また、制作公表者は、差止め請求をしようとする出演者への情報提供などの協力を義務付けております、第十五条第三項。これらの規定を通じ、出演者がAVの公表を行っている者を特定し、その上に差止め請求することが容易になると考えられます。
また、AVがインターネットで公表されている場合、制作公表者の氏名、住所を知らなくとも、公表されているサイトの管理者や運営者に対し、本法案の差止め請求権を行使することが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/81
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082・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございます。
悪質メーカーと判明した場合の対応ですね、メーカーが、これお伺いしたいというふうに思っています。
例えば、契約を適切に締結、出演者としていない場合など、特定のメーカーの不適切な事案が複数顕在化した場合、差止め請求がなされていない作品はそのままサイトで販売が継続されるということになろうかと思います。分かりやすく言えば、手を挙げて差止め請求やってくれと言ったものは削除されるんですが、それ以外のものは残ってしまうということになってしまうと思います。
それを改善させる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/82
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083・山井和則
○衆議院議員(山井和則君) 自己の性行為に関わる姿態を撮影した性行為映像制作物が出演者の意思に反して公衆の目に触れることになる場合には、その者の性をめぐる個人としての尊厳が著しく侵害されることになります。
このような被害の拡大を防ぐため、本法案では、説明書面や出演契約書の不交付や必要事項の記載に対しては罰則を設けており、違反事案があれば摘発されることとなります。また、第十五条の差止め請求権や第十六条のプロバイダー責任制限法の特例も設けております。これらの仕組みが的確かつ円滑に活用されることによって、性行為映像制作物の制作公表を停止、予防することが大変重要だと考えております。
本法案の運用に当たり、政府においては、罰則違反の取締りや差止め請求などが的確かつ円滑に行われるよう支援を行うとともに、既存のインターネット上の違法・有害情報への対策も参考にしつつ、意思に反する性行為映像制作物の公表に対してしっかり対応していただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/83
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084・塩村あやか
○塩村あやか君 重要な御答弁、ありがとうございました。これ非常に重要だというふうに思っておりますので、是非お願いをしたいというふうに思っております。
次です。
闇に潜るんじゃないかとか、会員のみ入れるサイトは対象になるのかとか、様々なお問合せが私の元に届いているところです。何層にも出演者保護を現行法最大で図っているのが本法案だと私は理解をしております。厳格な規制を設けているため、かえって事業者が闇に潜る、アンダーグラウンド化するのではないかと、こうした意見が結構ネットにも流れておりますし、私のところにも来ているんですね。
本法案は、個人として制作発表をするアダルトビデオについてもこれは適用されるのか、また、会員のみが入れるウエブサイトのような限られた範囲でアダルトビデオを配信する場合も公表となって本法案の対象となるのかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/84
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085・山井和則
○衆議院議員(山井和則君) 本法案の対象となる制作公表者は、出演者との間で出演契約、すなわち性行為映像制作物において性行為に係る姿態の撮影の対象となり、その性行為映像制作物の制作公表を行うことを承諾することを内容とする契約を締結し、又は締結しようとする者であり、第二条第七項、事業者であるか個人であるかは問いません。このため、事業者に限らず、個人として性行為映像制作物を制作公表している場合にも本法案が適用されます。
なお、出演契約書等や説明書面等の不交付等があった場合には罰則の対象、第二十一条、となるなど、アンダーグラウンド化に対しては厳正に対処されると考えております。
本法案において公表とは、頒布、公衆送信又は上映のことをいい、ここでいう公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます。この公衆には、不特定又は多数の者のみならず、特定かつ多数の者も含むとしております、第二条第五項。したがって、御指摘の会員のみ入れるウエブサイトのような限られた範囲のAVを配信する行為についても、多数の者に対して行われたものであれば本法案の公表に当たります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/85
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086・塩村あやか
○塩村あやか君 ありがとうございました。
今、八問質問をさせていただきました。インターネットとか問合せの中でかなりの数の方がいろいろと心配をされている点を中心に取り上げさせていただきました。今の質疑、そしてこの後の委員の質疑で多くの方たちがほっとするというような法案だというふうに私は思っております。何よりも被害者救済、これが一番でございますので、心を一つにここまで来れたことに皆様に感謝を申し上げまして、質問を終わります。
本当にありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/86
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087・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、高瀬弘美君及び市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として佐々木さやか君及び倉林明子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/87
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088・佐々木さやか
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
まず、質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
AV出演被害は、出演者に将来にわたって取り返しの付かない重大な被害を生じさせるものであり、極めて深刻な問題でございます。被害者救済のためにと、今回の法案提出、法案審議に御尽力をいただきました提出者始め関係者の皆様に心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
私がこの問題に初めて向き合いましたのは今から六年前でございます。まさかAV出演をさせられるとは思わずに契約をしてしまって、出演しないなら高額な違約金を払えと、このように脅される、そして一度出演してしまえば半永久的にネットなどでその動画が流されるということでございます。こういった被害は言わば重大な人権侵害でありまして、絶対にあってはならないとの思いで党としてプロジェクトチームを立ち上げて、啓発や現行法での取締り強化、こういったことにも取り組んでまいりました。
しかしながら、現場で被害救済に携わる団体の皆さんからは、現行法上の詐欺ですとか刑法違反などを訴えても業者はなかなか応じない、立証も難しく、実際の被害回復や動画などの消去を行う方法というものは事実上なかなかない、被害者から相談を受けても何の手だてもないんだと、こういった切実なお声をいただいたわけでございます。現行法で限界があるのであれば、新法で被害者救済のための強力な解約、契約解消の手段、また被害回復のための権利を創設するしかないのではないかと、このように考えました。
そうした同じ思いの下で、上川陽子先生を座長とする与党プロジェクトチーム、そして超党派の先生方と真剣な議論をさせていただきまして、今回の法案が提出されるに至ったわけでございます。
今回の法案は、こうした被害救済の観点から、年齢、性別を問わず、AVの出演者について、被害者側に使いやすい、これまでにない強力な契約解消の方法を認め、被害回復のためにこれまでに比べて容易に動画の削除などを要求できるよう、差止めの権利を法律上明確に規定するなどするものであるというふうに考えております。また、相談体制についてもしっかりと充実をしていく。
このように、今回の法案は今現実に苦しんでいる被害者をどう救済するのかという思いから作られたものでありまして、現実に被害救済が進むことが期待されます。決して性交を合法化するとか、違法なものを合法化するような法案ではないということも強調をしておきたいと思います。
そこで、改めて立法趣旨につきまして、被害救済のために被害者に寄り添ったものであるという点、そして性交合法化との誤解に関連してお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/88
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089・上川陽子
○衆議院議員(上川陽子君) お答えをいたします。
本法案でございますが、AV出演被害が出演者の心身と私生活に将来にわたって取り返しの付かない重大な被害をもたらすことから、その被害の発生と拡大の防止を図り、被害を受けた出演者の救済のために徹底した対策を講ずることにより、出演者の個人としての人格を尊重し、その心身の健康と私生活の平穏等を保護しようとするものであります。今回、救済対象に対しましても、出演者の年齢、性別を問わないということにしたところでございます。
本法案に対しまして、性交を含む契約を合法化するものなのではないかとの声がございます。本法案におきましては、性交を含むものとして性行為を定義し、この概念を用いて性行為映像制作物や出演契約、これを定義をしているわけでありますが、これは性交を含む契約が現に存在をすること、そしてAV出演被害の背景となっていることから、このような契約の効力、これを制限するために本法案の対象として明示したものでございます。
そして、本法案の目的規定、第一条におきまして、他の法令による契約の無効及び性行為その他の行為の禁止又は制限をいささかも変更するものではないということをこの法律の実施及び解釈の基本原則と位置付けております。さらに、実施及び解釈の基本原則を具体的に述べた第三条三項におきまして、この法律のいかなる規定も、公序良俗違反の法律行為を無効と定めた民法第九十条その他の規定により無効とされる契約を有効とするものと解釈してはならないと規定をしております。
したがいまして、本法案は、契約が有効か無効かに関する現行法上の立場を何ら変更するものではなく、現在合法であると言えない契約を合法化するものではないということは明らかでございます。
本法案が真に被害の防止、被害者の救済に結び付くためには、相談体制の整備、そして充実が不可欠であるということでございます。
この点につきましては、先ほど先生からもこのPTの話を触れていただきました。その前からこの問題に向き合い続け、そして御党におきましても長らく寄り添いながら取り組んでこられました佐々木さやか先生からも強い御指摘がありまして、こうした相談体制の整備充実がインフラとして極めて重要であると、こうしたことについて、これ極めて重要なポイントであるというふうに認識をしております。
しっかりとした相談体制の下で出演契約に対する特則、プロバイダー責任制限法の特例、罰則等の措置、こうしたことがしっかりと活用されることによって、この法案の目的が達成されるものと確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/89
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090・佐々木さやか
○佐々木さやか君 AV業界というのは、スカウト、プロダクション、また著作権者でありますメーカー、メーカーからの下請の制作会社、プラットフォーム事業者など、多数の関係者が関与することが特徴の一つでございます。被害者を守る観点から、こうした関係者全体について今回の法案はきちんと網羅をし、規制を及ぼすことになっているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/90
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091・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 佐々木委員の御質問にお答えをいたします。
御指摘の関係者のうち、AVの制作公表を行う者として出演者との間で出演契約を締結する者につきましては、制作公表者として本法案で様々な規制が設けられております。さらに、この制作公表者だけではなく、その周辺の関係者からも不当な行為があれば、そこから出演者を守る必要があることは佐々木委員御指摘のとおりであります。
そこで、第二条第八項では制作公表従事者という定義を設け、出演者との契約関係がなくても、AVの制作公表の過程に従事する者につきましてはこの定義に該当することとし、一定の規制を設けております。具体的には、出演者の任意解除を妨げるために不実のことを告げたり、威迫して困惑させるような行為を行った場合には、この制作公表従事者についても罰則の対象としております。
さらに、第五条第三項では、制作公表従事者以外の者をも対象として、出演契約の内容や出演契約に係る説明義務の内容に関し、出演者を誤認させるような説明その他の行為はしてはならないとの禁止規定を設けております。もし制作公表従事者がこの禁止規定に違反した場合には、出演者は第十一条に基づき出演契約を取り消し、さらに、第十五条に基づく差止め請求を行うことも可能であります。
このように、直接契約関係のない周辺の関係者についても一定の規制を設け、被害者を守る仕組みを工夫しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/91
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092・佐々木さやか
○佐々木さやか君 続きまして、十五条の差止め請求権について伺いたいと思います。
これも被害救済のための非常に重要な権利でございますけれども、契約を解除、また取消しとした場合に、受け取った報酬があれば返還をすると、それとの解除の、解除等のですね、関係については衆議院の内閣委員会でも議論がありましたけれども、仮に報酬を返還することができなくても解除等を行使することは妨げないと。
では、この差止め請求権についてはどうなのか、確認をさせていただきたいと思います。受け取った報酬を返還するか否かにかかわらず、直ちに行使できるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/92
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093・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 御質問にお答えいたします。
出演契約を取消し又は解除した場合、各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負うことになりますが、取消し権や解除権を行使するために原状回復義務を履行しなければならないというものではありません。つまり、出演料を返還できない状況であったとしても、契約の取消し又は解除をすることはできます。そして、出演契約の取消し又は解除を行ったときには、第十五条に規定をする差止め請求権を行使することができることとしておりまして、出演料を返還することは差止め請求権行使の前提条件ではありません。
このように、受け取った報酬を返還するか否かにかかわらず、契約の取消し又は解除をすることにより、直ちに第十五条に規定する差止め請求権を行使することができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/93
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094・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ですので、被害者の方が契約を解消したいと思った場合に、してもいいけど報酬を返還しない限り駄目だよというようなことは言えませんし、また差止めについても同様であるということでございます。
この差止めの対象となる対象物について一つ確認したいと思いますけれども、一つの映像制作物として、一つの映像として配信されているものは当然だと思いますが、その全体のほか、その一部を切り取った宣伝用の画像ですとか、いわゆるサムネイル画像などもこの差止めの対象になるということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/94
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095・國重徹
○衆議院議員(國重徹君) 本法案第十五条は、出演契約に基づくことなく性行為映像制作物の制作公表が行われたときや、出演契約の取消し、解除があったときに、出演者がその性行為映像制作物の制作公表の停止、予防を請求することができる旨を定めております。このような差止め請求権を規定したのは、自己の性行為に係る姿態を撮影した性行為映像制作物が意思に反して公衆の目に触れることになる場合には、その者の性をめぐる個人としての尊厳が著しく害されることから、人格権に基づき差止めを求めることができることとしたものであります。
この点、一つの映像として配信されている性行為映像制作物の一部を切り取った宣伝用の画像や、いわゆるサムネイル画像などであっても、本法案第十五条の趣旨に鑑みまして、性行為映像制作物の全体と同様に、出演者は第十五条により差止めを請求することができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/95
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096・佐々木さやか
○佐々木さやか君 今日の質疑では被害救済という観点から幾つか確認をさせていただきましたけれども、指摘もさせていただいたとおり、今回の法案は、現実に被害者を救済するにはどうしたらいいかということを現場で被害救済に当たっていらっしゃる方々からも様々な御意見を伺って、真剣に議論をさせていただいて、この条文の構成等も作らせていただいたというふうに思っております。
この法案が成立することによって、今も、今このときも苦しんでいらっしゃる被害者の方々が、一人でも多く、この被害回復、救済につながることを強く願いまして、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/96
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097・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
今日はAV被害防止・救済法案ということで、ここまで私も超党派の実務者会議で様々な観点の議論をさせていただいたこと、これ本当に有意義なことだったと思いますし、また提出者の皆様もここまで提出にこぎ着けていただけたこと、改めて敬意を表したいと思っております。
その上で、今回の法案について確認を何点かさせていただきたいと思いますが、一つは、今回は、出演契約ですね、すなわち、メーカーと出演者の間が出演契約を結んで、それに対して様々な規制の適用がされていくと、こういう形になっておるんです。
分かりやすいパターンとしては、メーカーと出演者が出演契約を結ぶ、これは非常に分かりやすい形だと思いますが、場合によっては間にプロダクションが入る場合もございます。すなわち、プロダクションと出演者の間でマネジメント契約が結ばれて、そしてプロダクションとメーカーの間で請負契約、あっせん契約が行われると、こういう三角の形ができる場合もあるんですが、今、様々な御指摘をいただいておりまして、このあっせん契約、請負契約という形であれば、出演契約ではないのでこの法案の規制の対象外になるんじゃないかと、こういう指摘がされている場合もあるんですけれども、そうではなくて、あくまでも出演契約というものが優先されるんだと、このことを確認したいと思いますが、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/97
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098・足立康史
○衆議院議員(足立康史君) まず、梅村委員におかれましては、参議院議員として、に加えて、医師として、本法案の実務者の一人として御尽力いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
出演契約についての御質問ですが、御指摘のとおり、出演者と制作公表者との間で締結する出演契約については、性行為映像制作物ごとに締結しなければならないことと第四条第一項に規定しております。この点について本法案は、契約の相手方がメーカーであるかプロダクションであるか、その名称や民法等における類型等にかかわらず、性行為映像制作物への出演をして、その性行為映像制作物の制作公表を行うことを承諾することを内容とする契約を出演契約と定義し、それについて特別の規定を設けるものであり、御指摘いただいた性行為映像制作物ごとに締結しなければならない旨の規定もこの特別の規定の一つであります。
したがって、出演者とプロダクションがマネジメント契約という名称の契約に基づき性行為映像制作物への出演をあっせんする場合においても、当該マネジメント契約は出演契約に該当し、本法案の適用の対象となるため、性行為映像制作物を特定し、性行為映像制作物ごとに締結しなければならないこととなります。
また、プロダクションとメーカーのみの契約は出演契約には該当せず、出演者とプロダクションとの間の契約が出演契約に該当しない限り出演者を出演させることはできません。
なお、出演者とプロダクションとの間の出演契約が取り消されたり解除されたりした場合や、出演者とプロダクションとの契約が出演契約に該当しない場合には、出演者は本法案第十五条、十五条に基づき差止め請求権の行使が可能となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/98
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099・梅村聡
○梅村聡君 明確になったかと思います。
すなわち、プロダクションとメーカーの契約は、これが出演契約になるわけではなくて、マネジメント契約ですね、プロダクションと出演者の間の契約が出演契約に当たるかどうかと、ここが非常に大事なところで、そこが出演契約に該当するんだったらこの法案はしっかり適用されるし、それが出演契約に該当しなければそもそもこのAVには出演できないよということでありますから、ここは非常に明確になったかと思いますので、名前ではなくて、きちっと実質的に出演契約が結ばれたかどうか、ここが非常に大事なところじゃないかなというふうに思います。ありがとうございます。
それでは、もう一つ確認の話になりますけれども、今回、この本法案では、公表されるまでの各段階で契約の解除等がこれ可能になるんです。
衆議院の議論というのをちょっと拝見したら、撮影後の公表の段階についての議論というのはたくさんあったんですけれども、そもそもこの意に反した撮影が行われること自体が、これで苦しむ方がやはり多いかと思いますので、この撮影についてのルールというものをしっかり周知徹底をしていくことが必要だと思っております。
改めて、これも確認ですけれども、本法案が成立をすれば、書面による契約したその場で即座に撮影されることはないんだよと、それから、書面による契約がなされることなく撮影が行われること、これも絶対あり得ないんだよと、まずこの二点を改めて確認をしたいことと、これをどうやって周知徹底していくのか、これを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/99
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100・足立康史
○衆議院議員(足立康史君) 重要な御指摘をありがとうございます。
御指摘のように、契約したその場で即座に撮影が行われたり、あるいは契約書が交付されることなく撮影が行われることによる被害、こうした被害が報告されています。性行為に係る姿態の撮影は出演者の心身に重大な影響を与えるものであるため、出演者がどのような撮影がなされることになるかあらかじめ知ることができ、これを踏まえて出演者が性行為に係る姿態を撮影されることについて熟慮し、周囲に相談できる期間が設けられることが重要であります。
そこで、本法案は、出演契約を書面でしなければならないこと、第四条第二項や、出演契約書等には出演者が性行為映像制作物への出演をすることなどの出演契約事項を記載しなければならないこと、第四条第三項などを規定し、さらには、罰則を科しつつ、出演契約書等を出演者に交付、提供することを義務付けております。これは第六条、第二十一条第二号となります。これによって、書面による契約がなされることなく撮影が行われることがないようにしているところであります。
さらに、本法案は、出演者が出演契約書等の交付を受けてから撮影までの間に一か月を空けることを義務付け、これ第七条第一項となります、書面による、御指摘の、書面による契約をしたその場で即座に撮影が行われることがないようにしています。
これらの規定によって、梅村委員御指摘のケースはいずれも規制されることとなるため、御指摘の御認識、今御指摘いただいた内容に間違いはございません。
また、本法案は、国及び地方公共団体が被害の発生を未然に防止するための教育及び啓発の充実を図ることとしています。第十九条となります。
その上で、規制の内容をどのように周知するかについて、具体的には関係省庁のホームページや各種広報媒体での情報提供など様々なものが考えられますが、政府において、必要とする方に必要な情報が届くようしっかり周知行っていただきたいと考えていますし、私たちもしっかりフォローをしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/100
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101・梅村聡
○梅村聡君 このことは、是非関係省庁の皆さんにも努力をしていただきたいと思います。幾ら罰則があっても、やっぱりそういう被害が出てしまったら取り返しが付かないことだと思いますので、この点は非常に大事なことじゃないかなと思います。
それではもう一点、今回の本法案では、この出演契約に関しては書面で行うこと、契約は書面で行うことと、それから説明書類ですね、説明書面をきちっと交付すること、これも法律の中で書かれております。これは、具体的には第五条第一項の第四号なんですけれども、ここには相談窓口の名称それから連絡先を書いてくださいということが、これが定められているんですけれども、これ、そもそも公的な相談機関というのはこれまでなかなか利用されてこなかったという、こういう実態があります。
これは内閣府の調査、令和元年度若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査、ここを見ますと、なぜ利用しないかという理由については、相談するのが恥ずかしかったからと、それから、自分の責任なので自分で何とかしなくてはいけないと思ったからと、こういう回答が実はありまして、これ、相談窓口の名称と連絡先はこれ大事なことですけれども、もう一つ、相談できる事項も記載すると、こういう工夫もあった方がいいんじゃないかなと思いますが、御見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/101
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102・足立康史
○衆議院議員(足立康史君) これも本当に被害者に寄り添った大事な御指摘と存じます。
御指摘のように、第五条第一項第四号は、国が整備した相談に応じる機関等を説明書面に記載し、さらに、出演者に対して説明することで出演者の相談する機会を確保しようとしております。
この相談機関については、具体的には全都道府県に設置された性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを活用することを想定しています。そして、そのワンストップ支援センターについては、現在、内閣府男女共同参画局のホームページに、「性犯罪・性暴力に関する相談窓口です。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関とも連携しています。」と記載されており、相談者がインターネットでアクセスすれば、これらの専門家による相談が受けられる旨を容易に知っていただくことができるようになっております。
しかし、今御指摘いただいたように、出演者が恥ずかしいなどの思いから相談をためらってしまうおそれがあり、より支援につながりやすい形にしていくべきとの梅村委員の御指摘は本当に大事だと私も思います。
法の運用、まさにこの法律は、今日御審議をいただいているわけですが、成立を期し、成立いただいた暁には、まさにその法の運用、これが大変重要になってきます。出演について思い悩んでいる相談者の心情に配慮するよう工夫していただくとともに、被害者に寄り添って幅広い相談に対応できるよう相談体制を十分なものにしていただきたいと思いますし、私たちも国会からしっかりフォローしていきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/102
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103・梅村聡
○梅村聡君 相談できるんだというこの情報をまずきちっと周知することが私は非常に大事なことじゃないかなと思いますが。
もう一点、ちょっと警察庁にお聞きをしたいんですけれども、恐らく、この法律が通りましてこれが周知されていきますと、様々な相談が生まれてくると思います。例えば、契約を解除したいんだとか、取消しができるのかどうか、あるいはこういう説明を受けて契約したんだけどこれは本当に正当な契約なのかとか、様々な疑問が湧いてくるんだと思います。多くの、特に若い方は、そういった疑問が生じたとき、恐らく警察に行かれるという、そういう機会が私はたくさん出てくるんじゃないかなと思います。
もちろん、これ、脅迫を受けたとか暴力を受けたとか、そういうものであれば警察に相談をされたらすぐに対応が始まると思いますが、多くの場合は、契約の中身とかあるいはそういったものになってきた場合は、これやっぱり民事不介入だということで警察がなかなか動けないと。そういうときに、やはり先ほどから話が出ていますように、相談窓口に是非警察がきちっとつないでいただく、こういう体制をよりつくっていただきたいと思うんですが、この問題意識に対しまして、今後この法案が成立した後どういった取組をしていただけるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/103
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104・緒方禎己
○政府参考人(緒方禎己君) お尋ねの件に関し、警察では、まず、これまでも、アダルトビデオ出演被害に関する相談につきましては、相談者の立場や主張を十分に酌み取ることに努めるとともに、強要等の犯罪行為が認められる場合には、法と証拠に基づき厳正に取締りを行い、犯罪行為が認められない場合であっても、各種法制度等に関して教示を行うほか、法テラス等の専門機関の紹介を行うなどしてきたところであります。
今後とも、こうした相談に対しては、被害者相談のノウハウを有するワンストップ支援センター等の関係機関と連携しつつ、被害者の立場や心情に配意した適切な対応が徹底されるよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/104
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105・梅村聡
○梅村聡君 ありがとうございます。
是非現場にも、こういった法案が通って法案ができたら、やはり対応が非常に必要になってくると、またそのルールというものもこれしっかり周知をしていただいて、実効ある、被害者に寄り添える体制をつくっていただくこと、このことを私からお願いを申し上げまして、質問とさせていただきます。
どうも今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/105
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106・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
本法案に対して、救済できるように成立を早くと、こういう求める意見と同時に、この法律では救えない被害者も多いんじゃないかという声が上げられております。スカウトだと思って行ってみたらAVだったと、こういう話が違うという人たちにとって取消しや解除というのもしやすいということになりますけれども、AV出演だということを分かった上で契約した場合、虐待、貧困、性暴力から抜け出すためと、生きるためにお金が必要で契約せざるを得ないと、こういう実態もたくさんお聞きしているわけですね。
解除権があっても事実上行使できないのではないかという懸念の声が示されているわけで、この声に発議者はどう答えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/106
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107・山下貴司
○衆議院議員(山下貴司君) 倉林委員の御指摘、その懸念について我々もしっかりと対応していきたいと思います。
まず大前提として、出演料を返還しなければ契約を解除できないというふうに言われることがありますが、これは事実ではありません。事実と異なることでございます。確かに、出演契約が解除された後、各当事者はその相手方に対して原状に回復させる義務を負うことになりますけれども、原状回復義務は、まず解除があってその後に初めて生ずるものでございまして、解除権を行使する条件として原状回復義務を同時に履行しなければならないというものではないというのは、先ほど國重衆議院議員がおっしゃったとおりでございます。
ですから、出演者は出演料を直ちに返還できない状態であっても契約が解除できます。このことは強調しておきたいと思いますし、また、出演契約の任意解除を妨げるために事実でないことを告知したり、あるいは出演者を威迫して困惑をさせた場合においては、これは罰則の対象にもなる、犯罪にもなるということで、これは違うということは周知していきたいと思います。
また、委員御指摘のとおり、そもそもお金が必要で契約をせざるを得ないという事態を生じないようにすることはもう必要であると思っております。そのためには、本人が契約せざるを得ないと考えたとしても、例えば一度立ち止まってほかの方法がないか相談して考える機会を持てることが重要であると考えております。
そうしたことについて、熟慮期間など制度的に設けているんですが、そうした相談先を確保すべく、本法案十七条において相談体制の整備という規定を設けて、出演者等からの相談に応じる体制を整備することとしております。こうした相談機関も活用していただき、必要な情報提供や支援を受けることで、お金が必要で契約せざるを得ないというふうに思い込むということ自体を避けることがなるということを期待しております。
また、本法十八条において、委員御指摘のとおり、AV出演被害の背景に貧困問題が指摘されているということで、そのことを踏まえて、出演に係る被害の背景にある貧困、性犯罪及び性暴力の問題の根本的な解決に資するよう、社会福祉に関する施策、性犯罪及び性暴力の被害者への支援に関する施策その他の関連する施策との連携を図りつつ、出演者その他の者への支援その他必要な措置を講ずるということを規定しているところでございます。そうした、こういう条文も見て我々もしっかりフォローアップしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/107
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108・倉林明子
○倉林明子君 御紹介しましたようなケースの場合、契約を結んだのは自己責任と思い込むと、AVへの出演が被害だという認識するまでに何年も掛かると。誰にも相談できないで、迷った末にようやく相談と至ったときには、既にもう二次利用されている、海外サイトにまでアップされていると。拡散されているということも決して珍しくないということです。
本法案は、理由がなくても解除できる任意解除権と、一年間、まあ経過措置の間、二年間行使できるということなんだけれども、解除権が行使できると、これ知るまでに時間掛かったら救済できないわけですよね。
私、本法案が成立した場合、AV出演契約の規制がどのようなもので、どのような被害防止と救済の手段があるのか、これ広く周知啓発することは決定的に重要だと思います。端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/108
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109・宮崎政久
○衆議院議員(宮崎政久君) お答えいたします。
御指摘のとおり、被害の防止、救済、非常に重要であります。この法案のタイトルもそのような形にさせていただいているところでございます。
本法案成立をした後には、政府において、様々な広報ツールを駆使して本法案の内容については先生御指摘のように周知を図らないといけないというふうに考えております。
また、AV出演被害を未然に防止するためには、このAV出演被害についての必要な教育、啓発を行うこと、非常に重要だというふうに考えておりまして、この法案の十九条では、学校を始め、地域、家庭、職域その他様々な場を通じてとあえて明記をいたしまして、その上で、被害発生を未然に防止するための必要な教育活動、啓発の充実を図るということにしておりまして、この法案の内容、前提事実もしっかりと社会に伝わるようにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/109
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110・倉林明子
○倉林明子君 法案三条二項では、性行為を強制してはならないと、で、三条三項、公序良俗違反の契約は有効とならない、そして三条四項、刑法や売春防止法で禁止される性行為ができるようになるものではないと、などと注意的に示した条文が複数盛り込まれているわけです。
AVの中には、暴行を含むなどの刑事罰に当たる、あるいは明らかに公序良俗に反するものもあるわけです。こうした内容を含む契約の場合、出演者はどのような法的な対応を取ることが可能となるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/110
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111・山下貴司
○衆議院議員(山下貴司君) どのような行為が刑事罰の対象に当たる、あるいは公序良俗違反に、反するかについては個別具体的な判断によるものでありますが、一般に、刑罰の対象に当たるような強行法規違反の行為あるいは公序良俗に反する行為がある場合の出演契約は無効であると考えております。本法案は、そうした民法九十条その他の規定の解釈適用など、現行法の立場をいささかも変更するものではございません。
したがって、出演者は、契約後であっても無効を主張し出演や撮影を拒絶できますが、なお簡便には十三条の任意解除により契約を解除することができます。こうした出演契約が無効である場合や契約が解除された場合には、そもそも出演者は当該出演契約に基づいて出演する義務を負いません。
また、本法案で定めるように、性行為映像制作物の撮影に当たっては、出演者の安全及び衛生並びに債務の履行の任意性が確保されるよう必要な措置を講じなければならないということになっておりまして、出演者が拒絶したにもかかわらずそうした撮影が行われた場合には、当該義務違反があったとして出演者は出演契約の解除を行うことができますし、先ほど申し上げたような十三条に基づく任意解除も可能であります。
さらに、制作公表者が特定の行為を強要した、暴行、脅迫を用いて強要した場合には、場合によっては強要罪や強制性交罪などの犯罪や、あるいは、解除権について先ほど言った不実なことを言ったりした場合には、不実告知罪などの犯罪も成立し得ます。そうした犯罪が成立する場合には、出演者は、告訴や被害届を出すなどして処罰を求めることができる、また不法行為に基づいて民事上の損害賠償を請求することもできる場合があると考えられます。
そして、公表されてしまった場合には、先ほど来ありますように、この無効や解除を理由などとして十五条に基づく差止め請求や、十六条において特例が設けられているプロバイダー責任制限法による削除要請等を行うということが考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/111
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112・倉林明子
○倉林明子君 契約を解除すると、出演者も原状回復義務を負うと、そして報酬は返還ということになります。これが解除権行使のハードルとなって、解除権があっても実際には行使できないと、こういう懸念の声も上がっているわけです。
まず、契約内容と異なる撮影のために取り消したり解除したりする場合に、別途出演者が損害賠償請求をする余地もあるはずだと思うわけですけれども、いかがかと。
また、契約違反がなくて任意で解除する場合、これ返金が必要となる、これがハードルになり得るということも考えられるわけです。こうしたケースでの支援というのはやっぱり別途検討が必要だと、別途必要になると思うわけですね。
法案には相談支援体制を整えるということ含まれているわけですが、予算、人的体制の拡充、これどう進めるのかと、大きな課題だと思います。特に、出演者が解除権を行使できるようにするために、報酬の返金がハードルとなると、こんなことはないようにしないといけないと思うんだけれども、具体的にどんな手だてお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/112
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113・宮崎政久
○衆議院議員(宮崎政久君) お答えいたします。
まず、損害賠償を請求する余地があるかという点でございますけれども、契約内容と異なる撮影が行われ、契約が解除などをされる場合については、その撮影の態様次第では債務不履行になる場合もあります。また、不法行為になる場合もございます。こういったことに該当する場合には、先生御指摘のとおり、出演者が損害賠償請求をする余地は十分にあるというふうに考えております。
特に、本法案七条三項では、出演者の撮影において拒絶ができるようにするなど、履行の任意性が確保されるように配慮しなければいけないと書いておりますので、契約内容と違うものを強制するということであれば七条三項違反になりますし、十二条で解除をすることもできますし、さらには、別途損害を賠償する場合は十分あるというふうに考えているところでございます。
そして、出演料の返還が解除権行使の前提にはならない、今日再度答弁もさせていただいているところでございますし、また、出演者の解除権の行使を妨げるために不実の告知をするような場合には、十三条五項に違反して罰則の適用がある。これは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金、法人の場合は両罰規定もございます。こういったこともございます。
さらに、被害者が抱えている経済的な問題への支援はどうするんだという御指摘がございました。
このことは、ワンストップ支援センターが主として担っていくことになるわけでありますけれども、こういった背景事情についても、しっかりと気持ちに寄り添って相談体制をつくっていくべきであるということを相談体制の整備の中でうたわせていただいているところでございますので、こういった第十九条の規定、十七条、十八条、十九条の規定に従って、根本的な、背景にある根本的な問題の解決にも資するような体制の整備をつくってまいりたいというふうに考えております。
当然、これ政府の方でやっていくことでありますけれども、提出者としてもしっかりこれを見守っていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/113
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114・倉林明子
○倉林明子君 解除権、せっかく行使できると規定したんだけれども使えないと、一つのハードルとして提起しましたので、本当にハードルにならないようにということでの取組が求められると指摘しておきたいと思います。
AV撮影について、労働者派遣法、職業安定法の有害業務に当たって、刑事罰の対象となったという裁判事例があると。これらの法律は、労働者の安全、公衆衛生を守るためのもので、女性の尊厳を守るということを目的にしたものではありません。しかし、少なくとも、業者が対価を払って第三者と性交させることは、性道徳を著しく害し、性病の危険もあり、これ有害業務と言っていいものだと思うわけです。契約の形式が派遣であれ職業紹介であれ、第三者と性交させるという契約自体許されないと、こういう公序を示したものだと言えると思うんですね。
いわゆる本番行為を含むAV撮影のように、対価を払って第三者との性交を義務付けるような契約、これは刑事罰の対象となる、それ自体が公序良俗違反と、こういう可能性あると思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/114
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115・山下貴司
○衆議院議員(山下貴司君) 本法案においては、出演者は、出演契約において定められた性行為に係る姿態の撮影であっても、その全部又は一部を拒絶することができるということになっておりまして、本法律によれば、出演者に対して第三者との性交を義務付けることはできません。
これを前提として、公序良俗に反するか、あるいは刑事罰に値するかについては、最終的には裁判所によって判断されるものでございまして、一概にお答えすることは困難ですけれども、もとより、事案によって公序良俗違反を理由として無効となる場合や、あるいは罰則として対象となることは当然あるというふうに考えております。
そうした場合、例えば、性交を含む契約がいわゆるAV出演被害の背景となっているという認識の下に、こうした契約の効力を制限する一方で刑事罰等も設けておりまして、刑事罰の対象となる行為が行われればもとより取締りの対象であるということでございまして、本法案の三条三項あるいは四項はその趣旨を明確にしたというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/115
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116・倉林明子
○倉林明子君 対価を払って実際に性交させると、これ個人の尊厳を傷つけるものであって、こうしたAV撮影というのは、私は、禁止されるべきであって、実際の性交を伴うAVについて正面からやっぱり規制する新たな法整備、これ進めることが緊急に求められていると指摘したい。
その上で、衆議院で発議者は、附則で二年以内の検討事項に、AV出演において有償で性交を実際に行うといった行為の条項の有効性についても検討事項に含まれると、こういう答弁ありました。この点が正面から議論の対象となったと、極めて重要だと思います。
二年以内となる、時間的には限られているわけですけれども、どのように検討を進めていくお考えか、最後お聞かせいただいて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/116
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117・宮崎政久
○衆議院議員(宮崎政久君) 御指摘のとおり、衆議院内閣委員会の質疑におきまして、本法案の附則第四条第二項の二年以内の検討事項につきまして、AV出演において有償で性交を実際に行うといった行為の条項の有効性についても検討事項に含まれる旨の答弁をさせていただいているところでございます。
これは、党派を超えてこの本法案を検討する中で、対価を得て実際に性交を行うことが契約で合意された場合に、そのような契約条項を無効とすべきではないかと、こういう指摘があり、附則第四条第二項において無効とする出演契約等の条項の範囲が検討事項として明示することになったと、こういった経緯をたどっているところでございます。
この点も含めて、出演契約等に関する特則の在り方や本法案の規定全般につきましては、本法案の施行から二年以内に、今後のAV出演被害の状況、本法案第五章の罰則の適用状況を始めとした本法案の施行状況などを勘案しながら検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられることとされております。
その際には、出演者であったり、被害に遭われた方であったり、被害者支援を始めとして様々な活動に熱心に取り組んでいられる団体の皆様などの声を聞いて、実態に照らした検討が不可欠であって、その中で、先生が御指摘になっている様々御懸念の声についても改めてお聞きをしてしっかり検討するべきものだと、このように発議者としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/117
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118・倉林明子
○倉林明子君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/118
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119・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/119
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120・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、塩村君から発言を求められておりますので、これを許します。塩村あやか君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/120
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121・塩村あやか
○塩村あやか君 私は、ただいま可決されました性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 性行為映像制作物(以下「AV」という。)への出演により甚大な被害が発生していることを踏まえ、性暴力被害者、いわゆる虐待サバイバー・発達特性のある人も含め、全てのAV出演被害者の尊厳と人格を尊重し、被害の予防や救済の実現に万全を期すこと。また、本法が公序良俗に反する契約や違法な行為を容認又は合法化するものではないことを周知徹底すること。
二 本法の適切な運用を図るため、本法の趣旨及び内容について関係機関等に周知徹底するとともに、成立に至る経緯について周知すること。また、若年層に対するAV出演被害に関する啓発を行うなど、本法の被害防止・救済に関する広報・普及啓発をより具体的かつ積極的に行うこと。
三 AV出演被害者に対する適切な支援を行うため、被害の実態調査を実施すること。また、内閣府におけるAV出演被害対策のための体制を整えること。関係機関・団体と連携し、実効性のある相談体制を構築するとともに、被害者の支援に必要な財政上の措置を講ずること。また、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、法テラス、インターネットを通じた被害防止・救済に取り組む関係機関、地方公共団体の男女共同参画窓口等の関係構築を促進し、支援環境の整備に努めること。警察における相談支援体制を強化し、女性警察官の配置の強化など、AV出演被害者が相談しやすい環境の確保、傷ついた心理に寄り添う対応の強化を図ること。
四 AV出演被害に至る背景となる問題を把握・分析し、包括的な解決に向け必要な取組を推進すること。
五 被害者が制作公表者の氏名・住所を知らないまま海外のウェブサイトやサーバーを経由した被害が拡散していることに鑑み、被害者が本法の定める解除、取消、差止請求を実施できるよう必要な支援を行うこと。また、AV出演被害者が拡散防止措置を迅速に、困難なく申請できるよう、時機にかなった必要な支援を行うこと。AV出演被害者救済のためのサイト運営事業者の役割などを明らかにし、対策を強化すること。また、サイト運営事業者自身による契約約款や利用規約等に基づく主体的な削除等の取組を支援するとともに、迅速・的確な拡散防止の対応ができるよう環境整備を行うこと。加えて、拡散につながり得る違法なアップロードについて、より厳正に対応すること。
六 本法施行後において、差止請求、拡散防止及び被害の相談件数等について実態を把握するとともに、その結果に基づいて検討を行い必要な措置を講ずること。
七 AV出演被害については、本法の罰則規定とともに、刑法の強要罪、強制性交等罪等、職業安定法、労働者派遣法、売春防止法、著作権法、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ対策法)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法)による厳正な取締りを強化すること。また、本法の趣旨及び罰則規定の意義、本法制定の背景であるAV出演被害の特徴と重大性について、必要な研修を職員に行い、法曹関係者に周知すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/121
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122・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) ただいま塩村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/122
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123・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 全会一致と認めます。よって、塩村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、野田内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。野田内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/123
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124・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/124
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125・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/125
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126・徳茂雅之
○委員長(徳茂雅之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120814889X02220220614/126
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