1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月十四日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十二日
辞任 補欠選任
竹内 功君 進藤金日子君
四月十三日
辞任 補欠選任
進藤金日子君 本田 顕子君
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出席者は左のとおり。
委員長 長谷川 岳君
理 事
酒井 庸行君
藤木 眞也君
山田 俊男君
田名部匡代君
紙 智子君
委 員
小野田紀美君
佐藤 啓君
野上浩太郎君
野村 哲郎君
本田 顕子君
宮崎 雅夫君
小沼 巧君
郡司 彰君
横沢 高徳君
熊野 正士君
下野 六太君
谷合 正明君
舟山 康江君
梅村みずほ君
須藤 元気君
国務大臣
農林水産大臣 金子原二郎君
副大臣
農林水産副大臣 中村 裕之君
大臣政務官
農林水産大臣政
務官 下野 六太君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
政府参考人
農林水産省大臣
官房技術総括審
議官 青山 豊久君
農林水産省消費
・安全局長 小川 良介君
農林水産省輸出
・国際局長 渡邉 洋一君
農林水産省農産
局長 平形 雄策君
農林水産省畜産
局長 森 健君
農林水産省経営
局長 光吉 一君
林野庁長官 天羽 隆君
水産庁長官 神谷 崇君
環境省大臣官房
審議官 松本 啓朗君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○環境と調和のとれた食料システムの確立のため
の環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○植物防疫法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/0
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001・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告をいたします。
昨日までに、竹内功君が委員を辞任され、その補欠として本田顕子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/1
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002・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案及び植物防疫法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、農林水産省大臣官房技術総括審議官青山豊久君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/2
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003・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/3
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004・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案及び植物防疫法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/4
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005・小沼巧
○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。
今日は二法の法案審議なんですけれども、ちょっと昨日のことであって大変恐縮なんですが、法案の審議に入る前に一個だけ質問と確認をさせてください。
茨城県の石岡市で、昨日、豚熱が発生したところでございます。県も豚熱の防疫対策本部を設置いたしまして、患畜に関する議論をさせていただいたところでありましたが、改善は間に合わず、今回は殺処分と埋却作業が開始されたということが昨日の報道発表でございました。
急遽のことでございますので、まずは丁寧な現場対応、これを切に農水省にお願いしたいと思います。農水省が把握しております現状の認識についてお聞かせいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/5
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006・小川良介
○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。
昨日、十三日でございますが、茨城県石岡市の養豚農場におきまして、国内七十八例目、茨城県一例目となる豚熱の発生が確認されました。農林水産省としては、昨日十三日九時半に防疫対策本部を開催いたしまして、豚熱の蔓延防止の観点から、防疫措置を迅速かつ適切に完了するよう、茨城県と緊密に連携を取っているところでございます。
殺処分の対象につきましては、今回の事例では、農場の豚全てが家畜伝染病予防法上の患畜又は疑似患畜となるため、全てを殺処分の対象としております。防疫措置の状況でございますが、茨城県において、昨日の発生確認後速やかに防疫措置が開始されまして、本日七時、殺処分終了と報告を受けております。また、今回の事例では、養豚農家自らが埋却地を確保しておりますので、患畜等の死体は埋却することとなっております。
埋却や農場の消毒といった防疫措置は二、三日中には完了する見込みであると茨城県から聞いており、豚熱の蔓延防止に全力で取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/6
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007・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございます。
早期の営業再開に向けて様々なことをやっていかなければなりませんし、いわゆる支援金、これの手続についても、下手したら一年以上掛かってしまうのではないかということも指摘したところでございます。
農水省からも丁寧な対応をいただきまして、様々なことを現場には伝えているところでございますが、やはり早期の営業再開、そして支援金の早期支給の手続に向けた努力を改めて切にお願い申し上げまして、次は早速法案の審議に入ってまいりたいと思います。どうぞ、その件についてはよろしくお願いいたします。
まずは、みどり法案もあるところでありますが、植物防疫法の改正案について伺ってまいりたいと思います。
今回、白表紙、何か緑じゃないんですねということはちょっと気になったところではあるんで、白表紙のこのページの分けの部分、土地改良法は緑だったんで、みどりに合わせてきたのかなと思ったら、何か肝腎のみどりがちょっと緑じゃないなというところは、まあ雑談でございますが、それはさておき、(発言する者あり)意思的、そうなんですよね、ええ、そうなんですよ。あしたからみどりの月間が始まるというところでありますけれども、まあまあまあまあいいやと、法案の条文ではないので、入ってまいりたいと思います。
まず一つ、ちょっと簡単な事実確認、定義の確認からしたいと思いますが、改正法の四条及び八条第八項ぐらいで、植物防疫官の検査権限の強化ということが改正案の内容に含まれていると理解をいたします。
この検査権限の強化ということに関しまして、いかなる問題があって、それがどの程度改善されるということになっているのか。対象の追加とか、あとは、そうですね、立入検査場所の追加とかいろいろあると思うんですけれども、これの改正することによる問題解決の効果について教えていただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/7
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008・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) お答え申し上げます。
コロナ前の状況になりますけれども、近年の訪日客の増加によりまして、入国旅客等の携帯品として持ち込まれる輸入禁止品等が増加をしてきておりまして、輸入検査において携帯品から有害動植物が発見される事例も多く報告をされています。
こうした中、現行の入国旅客等の携帯品検査は入国旅客等の方々からの申出を前提としているために、これまで、植物防疫官による声掛け等は行ってきたものの、入国旅客等からの協力が得られない場合には、携帯品に輸入禁止品等が含まれている疑いが強い場合であっても、質問や携帯品の検査を行うことができませんでした。また、入国旅客等の協力を得るのに多大な時間と労力を要するケースもあったところであります。
このため、今般の改正において植物防疫官の検査権限を強化し、入国旅客等からの申出がない場合であっても、必要に応じて質問や携帯品の検査を行うことができるようにすることとしたところであります。
今般の改正により、携帯品に輸入禁止品等が含まれている疑いが強い場合には必要に応じて質問や携帯品の検査を行うことができるようになるために、検査の効率化が図られるとともに有害動植物の侵入防止の強化を図ることができると考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/8
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009・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
抜け漏れの防止ということは、この手の話はやっぱり予防が大事でありますので、抜け漏れの防止の観点の実効性を強化するということは非常に大事なことだと思いますので、引き続き御対応をお願いしたいと思います。
改正法案では、これに絡めて、植物検疫官と、この規定についてあるんですが、条文を読みますと、これは何だ、改正法案の十条の五項の、十条の五項ですね、うんたらかんたらってあるんですが、要すれば、述語の部分を見ると、植物検疫官は検査の一部を行わないことができるというような規定のされ方になっておりまして、これは、行わないことができるというのは、何で行わないことができるようになるのかなと。防疫、予防の観点からということで、ちょっと疑問があるので教えていただきたいところでございまして、登録検査機関による検査について、輸出検疫の一部についてできるというようになっていた規定の趣旨について御答弁をお願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/9
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010・小川良介
○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。
登録検査機関が行うことが可能となる輸出検査の一部ということで規定させていただいております。これは、国際植物防疫条約及びこの条約に基づく国際基準におきまして、植物検疫証明書の発行は、技術上の資格を有し、かつ、公的植物防疫機関によって正当に委任された官憲、我が国で申し上げますところの植物防疫官がその機関を代表して行うこととされております。しかしながら、その発給のための検査は、公的植物防疫機関の権限の下、政府職員以外の者が行うことが許容されているといった形になっております。
このため、今般の植物防疫法改正案におきまして、農林水産大臣の登録を受けた登録検査機関が輸出検査の一部を行うことができる仕組みを設けさせていただいておりますが、登録検査機関が輸出検査を行う場合におきましても、最終的な検査の合格又は不合格の判断は引き続き植物防疫官の責任において行い、植物防疫官が合格の場合には植物検疫証明書を発給する必要がございます。このことから、登録検査機関が行う機関については検査の一部と規定しているところでございます。
なお、この登録検査機関が登録を受ける検査の区分といたしましては、第十条の二におきまして、植物の栽培地における検査、あるいは消毒における検査、さらには遺伝子の検査その他高度の技術を要する検査、また、植物又は物品及びこれらの容器包装の目視による検査、それから最後に、その他省令で定める検査を例示してございまして、登録検査機関はこのうち一つ以上の区分の検査を実施することができるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/10
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011・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
今参考人から、まさに法案の改め文というような、サダめるじゃなくてテイめるというような発言があったところで、それはまさに法令審査だなというところありながら、ちょっとこれ白表紙の中には書かれていないことについて一つ気付いたことがございますので、済みません、またこれ気付いたシリーズですね、ありますので、伺ってまいりたいと思うんですが。
現行法、現行法の第十五条第一項、要すれば、農水大臣は検査を受ける者から実費を受けない範囲で省令で定める額の手数料を徴収できるという規定がなっています。これは現行法です。だけど、この省令で定める額のというところに対応する省令が実は現在存在していないということだと思っております。
これは、存在していないことというのはどういった理屈なのか、これについて御答弁をお願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/11
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012・小川良介
○政府参考人(小川良介君) お答えします。
今委員御指摘のとおり、農林水産省令で定める額の手数料を徴収することができるというできる規定がございます。これは指定種苗の検査の手数料でございますけれども、この検査でございますが、ウイルス等に侵されていない健全な種バレイショを生産、流通させると、こういった目的のため、植物防疫法の制定当初の昭和二十五年から法定化されている制度でございます。現在も、この検査を受ける指定種苗にはバレイショのみが指定されているところでございます。
指定種苗の検査でございますが、目的は、農業生産の安全を図り、優良な種苗を保全するという公共の目的のために行われるものですが、その反面、検査を受けた者も利益を受けるものであるため、昭和二十五年の植物防疫法制定当初から、検査を受ける者から検査の実費を超えない範囲内において手数料を徴収することができるという規定を設けております。
しかしながら、この手数料の徴収につきましては、植物防疫法制定時の国会での御議論におきまして、農業者から費用を徴収することについて強い懸念が多く示されたことから、その趣旨を尊重し、制度の創設当初から徴収していない現状にございます。したがって、現在、手数料に関する省令は定めておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/12
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013・小沼巧
○小沼巧君 ということで、これは極めて合理的な理由だなと思っておるところなんですけど、あえてちょっと今後のために、済みません、更問いという形でお伺いさせていただければ幸いなんですが。
そういった法目的、農業者に対しての利益をちゃんと守るんだという観点から、あえて省令を定めずにこの条文のは結局発令されないという状況をつくっているという政策判断、これは大いに理解をします。他方で、法令審査という観点から考えると、そもそも効力を発生させるがないという政策判断がある条文自体を存置させるということも理由としてどうなんだろうか、削除するという考えもなかったんだろうかというような疑問を思わざるを得ないわけでありますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/13
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014・小川良介
○政府参考人(小川良介君) 当時の問題意識としては、この指定する予定のある作物が種バレイショということでございまして、それにつきましての手数料ということで立て付けが、法律上の前提事実がございました。しかしながら、どういったものが指定種苗に指定されるかというものについては、やはり私たちが守らなければいけない、病害虫によって今後の追加あるいは削除というものも想定されてまいりますので、制度としては指定種苗制度、あるいはその検査の中身によっては手数料の徴収といったものも必要となることが想定されると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/14
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015・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。極めて合理的な理由ですね。それは理解しました。ありがとうございます。
これの問題の、本件の問題の最後に、またちょっと茨城県ネタということでお許しいただきまして。
改正法案の中では、いわゆる総合防除という考え方に基づいて様々な対策、抜け漏れを防ぐということをやっているということを理解をしています。その趣旨には賛同するものであります。豚熱の話申し上げましたけれども、今、茨城県の中でも芋の基腐れ病ということがなかなか心配されておりまして、人間にとってはコロナが大事だけど、芋にとっては基腐れ病、それぞれの蔓延防止をやっていかなきゃならぬということで、私の出身地においても確認がされて、蔓延防止対策をやっていかなきゃならないなという危機感が強まっているところでございます。
基腐れ病ってカビなんですね。カビなので、病害虫ということのメーンになっているこの植物防疫法だと思いますけれども、今回の法改正によりまして、そういった基腐れ病みたいなものに対する、これに対して取り組む国内の総合防除をいかに回転されるなり、ないしはサポートされることになっていくのか、この点について御教示をいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/15
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016・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたします。
サツマイモの基腐れ病は、サツマイモのつるが腐れまして芋が腐る、あっ、つるが枯れて芋が腐る症状を引き起こす病害であります。
これまで農林水産省におきましては、本病の蔓延防止のため、都道府県や種苗販売の関係団体に対する健全な種苗の生産、流通、使用の徹底を指導しまして、また、農研機構への委託研究による防除技術の開発と防除対策マニュアルを作ることとともに、産地からの要望を踏まえまして、優先審査制度を活用いたしまして新規農薬の登録に取り組んできたところであります。このような取組によりまして、茨城県など多くの都道府県においては発生が広がっているという状況はありません。
さらに、今回の法改正におきまして、国が総合防除を推進するための指針を定めるとともに、これに基づき都道府県が総合防除の実施に関する計画を定めるなど、総合防除を推進する仕組みを創設することといたしております。
サツマイモの基腐れ病につきましては、農薬だけでは防除が困難でありまして、総合防除が不可欠であります。このため、こうした新たな仕組みを活用しながら、都道府県と連携を取りまして、本病の蔓延防止に万全を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/16
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017・小沼巧
○小沼巧君 その面の執行については、是非とも引き続きお願いいたします。
この件については、農水省が至っていない点がたくさんあるということを言うつもりは毛頭ありませんで、実際、発生してから、昨年、令和三年の六月十八日ぐらいだったと思うんですが、それから、県しかり、あるいは農水省の対応しかり、これはしっかりやってくれているんだということの声を実際に種苗店訪問して伺ってきたところでございます。引き続き、法改正がされるのであれば、それに対して万全を期していただきたいと思います。
それでは、早速、今、環境とか農薬とかの話も出てまいりましたので、次に、もう一つのいわゆるみどり法案について伺ってまいりたいと思います。
まずは、定義の確認だけをさせてください。
法案の第二条の第四項、定義規定の環境負荷低減事業活動についての解釈でございます。これらについて、一号、二号、三号とそれぞれ書かれておりますけれども、この中に、いわゆる生物多様性、このような概念ということが含まれているものなのかどうなのか、仮に含まれているんだとすれば、同条同項第三号で省令定めていくと思うんですけれども、その省令というのはどういうイメージになっていくのか、この点について現時点でのお考えをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/17
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018・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
本法律案では、化学農薬の使用等、農林漁業への生産活動に伴って生じる環境への負荷に着目しまして、その低減を図る取組を環境負荷低減事業活動としているところでございます。このような取組を行うことは、田畑でありますとか、そういった周辺の生き物の生息環境の保全につながり、生物多様性の保全に寄与するものと考えております。
御指摘の三号についてのその省令の具体的な内容でございますけれども、野生生物の生息環境の保全を図る取組等につきましては、農林漁業の生産活動そのものではないため、この法律案の計画認定制度の対象としては現在想定しておりません。こうした取組につきましては、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律に基づく交付金等、日本型直接支払制度等の支援措置が講じられておりますので、本法律案による支援措置と併せてこうした取組も一体的に促進していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/18
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019・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
生物多様性という概念自体はこの法律の中には仕組まれるんだけれども、イメージについては今後検討していくということであると受け止めました。
私の生まれの鉾田も涸沼というところがありまして、平成二十七年の五月の二十八だったんですがラムサール条約に指定されまして、ヤマトシジミやスズガモと、絶滅のおそれがあるオオワシだったり、あるいはヒヌマイトトンボというようなこともありまして、豊かな生態系、経済的にも心情的にもそれこそ保守すべき概念じゃないかなと思うわけでございまして、そういったことに寄与するような取組というものも、今後、この法律、そして別の多面的機能の維持というような観点の中で是非とも維持していただくということが大事になるのではないかなということで、一つ御意見として申し上げておきたいと思います。
さて、その上で、この委員会でも有機農業について様々議論が行われてきたところでありますので、生物多様性も含めてちょっと聞いてまいりたいと思うんですが。
この有機農業の促進ということに当たりましては、環境保全型農業直接支払交付金という制度があるようでございまして、この交付金の源流は平成二十三年度ぐらいまで遡ることができると考えております。十年ぐらい経過している一方で、面積割合では各種資料によると〇・一%程度の増加にとどまっているということでございます。
その食の安心、安全でありますとか、地域の豊かさであるとか、生物多様性であるとかという観点から、もう思い切ってこれ増額するということも一つ有機農業の取組拡大に資するのではないかと、このように考えるところでございますが、見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/19
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020・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
環境保全型農業直接支払交付金ですが、有機農業を始めとする地球温暖化防止や生物多様性保全等の効果の高い農業生産活動に対して、その掛かり増し経費を支援するものでございます。
これに加えまして、令和四年度予算におきましては、新たに有機農業に取り組む農業者の技術指導を行う際の加算措置を新設いたしまして、前年度から二億円増となる二十七億円を確保しているところでございます。
さらに、有機農業の拡大に当たっては、この交付金のほかにも、地域ぐるみの取組拡大に必要な環境整備ですとか、技術開発、普及といった様々な取組の支援を行うみどりの食料システム戦略推進総合対策を措置しておりまして、令和三年度補正予算と令和四年度当初予算を合わせて三十四億円を確保したところでございます。
これらの対策を併せて、有機農業の拡大始め、環境保全型農業の拡大に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/20
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021・小沼巧
○小沼巧君 なるほど。
じゃ、ここからは議論をしていきたいと思っているんですが。有機農業を拡大させようじゃないかという方針については、余り反論というのはないのではないかなと思います。他方で、それが本当に大丈夫なのかということは、生産者の現場としても、あるいは消費者の現場としても完全に利害が対立している現状がありますので、要は、生産者としては手間が掛かっているんだから正直高く売りたい、で、それって、消費者にとってみれば高く買わされるということになっちゃうので、正直、利益が相反してしまうということが大きな構造的な問題だと思っています。
その上で、というような考えを基にしたときに、生産者の現場に立ったとき、立場に立ってみると、例えば、前の委員会でもございましたEUの共通農業政策、CAPと言われる制度でありますが、これはEU全体の総予算の約三割、日本円に換算すると大体五十兆円規模でございますが、主として農家への直接支払でありまして、手厚い農業保護、これは安定した食料生産に貢献すると、社会保障制度の一部になっているという観点から、潤沢な生産現場への直接支払をやっているということでございます。
このように、EUの事例等補助スキームを考えますと、生産現場へのインセンティブを確保、これくらい本気でやらなければ、生産者の立場としても有機農業の方に切り替えようということには向かっていかないのではないだろうか、このように考えますが、この視点に対しての農水省の現在の見解、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/21
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022・下野六太
○大臣政務官(下野六太君) お答えいたします。
EUの共通農業政策では、有機農業支払として一ヘクタール当たり年間最大九百ユーロ、約十二万円の単価で直接支払が行われていると承知しております。
我が国におきましては、環境保全型農業直接支払交付金によりまして、慣行栽培と比べた掛かり増し経費をEUと同水準の一ヘクタール当たり年間十二万円の単価で支援をするほか、令和三年度補正予算から、新たに地域ぐるみで生産から消費まで一貫した有機農業拡大に向けた取組を行う市町村を支援するなど、生産現場のインセンティブ確保に向けた支援を実施しているところであります。
引き続き、有機農業の拡大に向けて、EUを含め海外の施策も参考としながら、我が国の現場実態に即した必要な対策を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/22
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023・小沼巧
○小沼巧君 検討というのじゃなくて、もうやっちゃったらという時期だと思うんですよ。もう検討、検討というのも、皆さん相当聞き飽きていますよね、予算委員会とか、新しい資本主義とか何でも。検討する春じゃなくて、まさに実行する春にしていかなきゃいかぬのではないかなと思いますし、せっかく有機二五%とか、百万ヘクタールでしたっけ、目標を掲げているんですから、それこそ学校とか病院とかの公的需要をつくるということも大事ですし、それ以外、のみならず、生産現場へのものというのも相当本気でやらなかったらいかぬのじゃないかなということは思います。
それと、今消費者ということについても申し上げましたが、これ、流通段階、流通過程への目くばせというのも考えなきゃいけない問題なのかなと思っているところであります。仮に、有機農業が相当拡大してということになると、今はそれぞれ、経済学というか、ビジネスの世界でいうと、ニッチと言っていいかどうかは議論があるところでありますが、要はそういったメーンのところとは必ずしもちょっと違うところ、高くても、価値を見出しているから高くても買いますよという需要者と、それに取り組む生産者がうまく結び付けられていて、そこで成り立っているというのが有機農業の現状だと思います。それを拡大していこうということになると、ニッチのところからマス、メーンのところに行くわけでありますが、そうなったときに、流通系の話というのは一体このままでいいんだろうかということは一つ考えなきゃいけない論点だと思っておるところであります。
マス市場のところだと、やっぱり、要は規格外になってしまう農産品であるとか、流通とかの観点でいうと、製造業でいうとジャスト・イン・タイムとかですよね、収穫時期と量を決められたところにちゃんと届けてもらわないと流通自体が成り立ちませんし、契約違反とかになっちゃうんで、そういう流通で取り合ってくれるチャネルであるとか、あるいは、そもそもニッチのところでやっていたんだけれども、メーンのところでやろうとなると、どう価格付け設定をするのかということなんかも流通過程においては考えていかなきゃならない課題だと思います。
今はニッチだから大丈夫かもしれない、しかし、それをマスにって移行していこうとなったときに、この流通経済のところについて改革ないしは政策対応が必要になってくるんではないだろうかと、こう先の論点でありますが考えるところでありますが、この点についての農水省としての現在の見解、そして政策の対応をするのであればその考え方について、今の時点での考え、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/23
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024・下野六太
○大臣政務官(下野六太君) お答えいたします。
有機農業に限らず、農産物の生産におきましては一定程度規格外品が発生しますが、特に有機農業においては、委員御指摘のとおり、外観が悪いものが慣行栽培よりも発生しやすく、このようなふぞろい品もきちんと規格がそろった品と同様に流通し買ってもらえるよう、流通販売事業者や消費者の理解を深めていくことが重要と考えております。
このため、消費者と生産者の距離を縮めるための国民運動、ニッポンフードシフトのほか、外見重視から持続性を重視した消費の転換に向けた関係者の意識醸成を図るための勉強会や交流会の開催、表彰等を行うあふの環プロジェクト、流通事業者や小売等の企業と連携した官民円卓会議においても、有機農産物、有機食品について、ふぞろい品も含めた流通、販売の在り方の検討や消費者へ有機農業の意義を知っていただく取組などにしっかりと取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/24
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025・小沼巧
○小沼巧君 これはちょっと今の段階ではしようがないかもしれないんですけど、国民運動をやるとか意見交換会をやるとかというのはいいかもしれないんですが、それじゃマスには成長できない問題だと思うんですよ。今の状況も、それにたまたま、じゃ、高い金払ってでも安心、安全だとか買ってもいいよという人たちを見付けているからそこのマッチングはうまくいっているけど、大多数は必ずしもそうじゃないわけでありますね。だとすれば、意識の啓発とかということは、やるのは無駄とは言いませんが、本質じゃないんじゃないだろうかということを思うわけですね。
具体で、もうちょっとこういうことを考えなければいけないという考えは、もうそれ、今の段階ではそれだけしかないものなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/25
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026・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 委員が御指摘のマスを進めるというのは非常に大きな課題だと思っておりまして、一つは、有機農業に関しては顔が見える関係というのがありまして、この議論の中でもありますけれど、やはり産地の中で生産からやっぱり消費まで一貫して、そういう意味でオーガニックビレッジというか、学校給食なんかに使うという一つのリージョナルな関係をまずつくろうというのがありまして、もう一つは、やはり大量にというのでマスということになります。
今、先ほど政務官の方から答えさせていただきましたけれども、官民円卓会議というのがございまして、この中に有機のワーキングを特別につくっております。この中で、やっぱり流通関係者ですとか消費者の方ですとか、そういった方々に入れていただいて、実際にじゃ商品を入れるときにどういうことが課題なのかどうかということも、実際の流通に携わっている方々とも意見交換をしながら進めていきたいと思っております。
ただ、全体的には、やはり意識の醸成、それとやっぱり流通の関係者の取組、もう一個一個これ進めていくしかないと思っておりますので、地道にながらやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/26
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027・小沼巧
○小沼巧君 いや、まあ平時だったらいいかもしれないんですけど、今それこそコロナ禍で、明日の暮らしも正直ままならないとか、経済的に非常に困窮してしまっているというのが相当程度社会問題になっているということも今日の事実だと思うわけであります。意識の醸成をしたところで、じゃ消費者は高い金出してでも買うのかということについては考えなきゃいけない問題だし、今の話は、どちらかというと生産者の側に立って、高い金で売って、それで高い金で消費者に買ってもらおうというような構造になっていると、生産者の立場を優遇して、消費者に言ってしまえば泣いてもらうぐらいのゼロサムになっちゃっているんじゃないかなと思うんですよ。
今の円卓会議とかやるとか、意見交換するのはそれは大事ですよ、やったらいい。やったらいいけど、具体の解決策に結び付いていかないのではないかということに思います。今は、生産者と消費者、そして流通の構造も正直ゼロサムになっちゃっています。このゼロサムの状況をどう解決するのか、それに対して対応策を打っていくのかということを考えるのが、まさにこの法案を通してやるべき課題、農水省が考える本質なんじゃないかなと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/27
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028・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 有機農をいかに消費者に買ってもらうかということが一番大事なんですね。
今、結構、有機農をおやりになっている方々ともいろいろ意見交換いたしました。大体、買ってくれる人が決まっているんですね。ほとんど買手が決まった中で計画的に生産をしておる。それは、有機農のやっぱり農産物を使うことが消費者にとっていかにプラスであるかということを理解した上でそういったお互いの商売が成り立っているわけですから、私は、やっぱりこれを全国的に政策的に広めていくためには、相当な努力をしないと非常に難しいと思っております。
やっぱり、いろいろと御意見が出ております学校給食とか、それからそういった皆さん方の理解を得なきゃいけないんですが、ただ、有機農を本当に買う人というのは、自分の健康のことを考えながら買う人が現時点では多いのかなという感じがしています。しかし、この有機農の農業というのを、これから環境問題を考えると、避けて通ることができないと思うんですね。だから、やっぱりこれをやらないと、農林水産業というのは先行きが非常に不安感がある。
世界の流れの中で日本だけがそれに取り残されてしまうということについては、やっぱり日本の農業にとっては大きな問題であると。現在、やっぱりヨーロッパとかアメリカの有機農の消費、金額を見てみるとすごいんですよね、五兆円とか四兆円とか。だから、やっぱりそれが一つの流れの中で、やっぱりそういった有機農をやっていくことがこれからの我々の農業がやっぱり生産性を持続していくための必要だということを、やっぱり生産者の方にも理解していただくし、そしてまた、それをできるだけ買ってくれるような、そういう意識の醸成をどうやっていくかということが大きな課題だと思っていますんで、いろいろな御意見を伺いながら、これから少しずつ、一歩ずつ進めていきたいというふうに私たちも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/28
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029・小沼巧
○小沼巧君 その方向性は私も分かるんですよ。だからこそ、ニッチの状況のまんまで最適解、部分最適しているまんまじゃ駄目だということを申し上げているわけでありまして、例えば、EUに倣ってもう所得補償を生産者側にするであるとか、あるいは、消費者が困窮している状況でありますので、高いものを買わなきゃいけない、でも大事だといったそこの差額を何らかの形で補助する、補填するであるとか、そういう思い切ったことをやらないと、ニッチのままでとどまっているし、本格的な稼働には行かないんじゃないかなと思いますので、まだ法案審議も続きますでしょうから、それは次回の審議に譲っていきたいと思います。
もう一個、次回の審議に行く前に、二点だけ確認してみたいと思うんですが、これはいわゆる農業の基盤確立事業という中で、最近はやりの、それこそ消費者にとってみれば安心、安全にとって不安となるいわゆるゲノム編集技術、これが現在、法令上、この基盤確立技術の中では排除されていないと理解をいたします。この新品種の開発とかに当たっては、開発のリードタイムがすげえ短くなるとか、いろんな生産性の向上という意味では可能性がある一方で、やっぱりまだまだ不安や懸念もこのゲノム編集技術というものにあるんだろうというのは紛れもない消費者としての真実だと思いますし、私自身も正直そうですわ、ちょっと嫌だな、不安だなと思わざるを得ない、感覚的にはね、あるところであります。
こういったゲノム編集技術の使用につきまして現在の農水省の考え方や今後の方針があれば、この際ですから伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/29
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030・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 本法律案に基づく基盤確立事業では、病害虫抵抗性を有する品種の、新品種の育成等を促進することとしておりますけれども、その育成技術の在り方まで定めているわけではなくて、委員御指摘のとおり、ゲノム編集技術による品種開発も認定の対象となります。
ゲノム編集技術については、品種改良のスピードを速められるなど、画期的な技術であります。また、ゲノム編集技術で得られた農林水産物については、その流通に先立ち、関係省庁との役割分担の下、厚生労働省は食品安全の観点から、農林水産省は環境省と定めたルールの下で生物多様性の確保の観点から、科学的知見に基づき問題がないことを確認をしております。
その一方で、国民の間では御指摘のような不安に感じる方がおられることも承知をしているところであります。環境と調和の取れた食料システムは、消費者を始めとする関係者の理解と連携の下に確立されるものであり、革新的な技術の開発や実用化についても多くの国民の理解を得て進められるようにしていく必要があります。
本法律案にかかわらず、農林水産省としては、研究者等の専門家とも連携し、研究内容等を分かりやすい言葉で伝えるなど、出前授業等のアウトリーチ活動に努めてまいる所存です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/30
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031・小沼巧
○小沼巧君 悩ましいのは、そういった科学的にというところではなかなか納得し切れないということですわね。機能として、機能面でやると分かるけれども、どうしても人間ですから、合理的経済人じゃないもんですから、感情論としての話というのもあるしということもあるので、認定の対象としては排除されていないが、するかしないかということは、今後、考え方を問いただしていきたいと思います。
時間もほとんどありませんので、次の法案審議に生かすために、全体像についてちょっと聞いてみたいと思うわけでございます。
附則の第二条で、既存のいわゆる持続農業法というものの法律を廃止して、新しい支援の枠組みになるというような法律案になっていると理解しています。二つちょっとまとめて、ごめんなさい、時間の関係でお伝え、お伺いしたいんですが、手続の簡素化とかというのがあるのは分かりましたが、金銭的な意味、すなわち予算とか税制とか出資、融資とか、その観点から、既存の持続農業法との比較で、範囲あるいは程度、どのような差分になっているのかということを、まず事実関係として教えていただきたい。その上で、みどりの戦略の目標達成に向けて必要十分となっているのか、これについての現時点での見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/31
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032・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
持続農業法については、本制度と同様、都道府県の認定の仕組みを設けまして、農業改良資金の特例措置を講じることによりまして環境保全型農業の取組を促進してきたところでございます。
今回の法律案は、みどりの食料システム戦略の実現を図るため、持続農業法を発展させまして、環境保全型農業、脱炭素等の環境への取組をより後押しする仕組みとしております。
具体的な支援措置としましては、除草機等の設備投資の負担を軽減する観点から、持続農業法で唯一の特例でございました農業改良資金の償還期間の延長に加えまして、設備投資の初年度の税負担を軽減する所得税、法人税の特別償却制度を措置しております。また、地域ぐるみの特色ある取組を支援するため、モデル地域の認定を行うとともに、みどりの食料システム戦略推進交付金等の予算措置も活用してこうした地域を支援することにしております。
これらの措置を講ずることで、より多くの方に環境保全、環境負荷低減に取り組んでいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/32
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033・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ているので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/33
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034・小沼巧
○小沼巧君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/34
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035・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
今回二つの法案が審議されておりますけれども、これは、みどりの食料システム戦略、昨年五月に策定された、この実現のために様々な法的な整備をするということだと認識しております。
そういう中で、みどりの食料システム戦略の中では、アジア・モンスーン地域の新しい持続的な食料システムの取組モデルをつくっていくと、こんな表現があります。アジア・モンスーン地域ということで、昨年七月、国連食料システムプレサミットにおきましてアジア各国と共同文書を発出しておりまして、その中でも、アジア・モンスーン地域に属する国々として様々な問題意識を共有しながら一緒に取り組んでいこうと、こんな確認がされております。
このアジア・モンスーン地域の新しい持続的な食料システムというのは何なのか、この昨年七月の共同文書の中身、そして実現、具体的な取組について併せてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/35
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036・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 近年、気候の変動、生物多様性の低下等を背景に、国際的には農林水産物・食品の生産から消費に至る食料システム全体を捉えてその環境負荷の低減に取り組むことが共通の認識となっておりまして、欧米を中心にこれに向けた各国の動きが出てきています。
こうした中で、アジア・モンスーン地域においては、欧米とは異なり水田農業の割合も高いといった特徴もあります。また、課題としては、温暖湿潤な気候の下、雑草や病害虫の発生が多いことから、化学農薬の使用削減や温室効果ガスの排出削減などに取り組みながら生産を維持できるシステムを構築していく必要があります。
我が国といたしましては、環境負荷の低減と生産性の向上とを両立するモデルの確立を率先して取り組み、今後の国際環境交渉における基準作りの場でアジア・モンスーン地域の農業も念頭に置いて貢献してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/36
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037・舟山康江
○舟山康江君 今大臣から御答弁ありましたとおり、やはりアジア・モンスーンの共通的な課題というのは、水田主体の農業であるということ、それから高温多湿の気候状況であるということ、そういった意味では病害虫も多い、また、中小規模農家の割合が高いと、こういったことも特徴ではないかということで共同文書にも入っております。
やはり、こういう特徴を踏まえて、いかに環境負荷の低減に資する農業に変えていくのか、これがやっぱり日本の大きな課題なのかなと思います。
環境負荷の低減という意味では、EUでもファーム・ツー・フォーク戦略の中で様々な取組をしておりますし、似たような方向性を打ち出しているもの、また政策実現の手段としてまだまだ少し違うものと、いろいろあると思いますけれども、そういう中で、やっぱり今、日本が取り組むべきことは、この水田主体の農業をいかに持続可能なものにしていくのか、水田主体の中でいかにこの環境負荷を低減していくのか、これやっぱり日本固有の大きな課題ではないのかなと思います。
そういう中で、水田における環境負荷低減の方策、やはりここを抜きにしては、今様々な目標を掲げておりますけれども、農薬の使用量とか有機農業の拡大とか、これは達成できないと思いますが、やっぱりこの水田農業をいかに守っていくのか、そして負荷を低減していくのかと、ここの課題意識についてどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/37
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038・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
水田で、水稲ですとか、水稲、麦、大豆等のブロックローテーションの作付けを行う体系は、連作障害が起きにくく安定的な生産が可能な作付け体系であります。一方、湛水することでメタンガスの発生源となったり、化学肥料や化学農薬の利用状況によっては水系や生態系への影響も懸念されるため、更なる環境負荷低減を図っていく必要があるというふうに考えております。
このため、農林水産省といたしましては、各地域で活用されている水稲等の栽培暦について、今年度中に、環境負荷低減の観点から総点検を今促しているところでございます。また、栽培暦の見直しに向けて、令和三年度補正事業から、新たに各地域に適した環境負荷低減に資する技術の検証、普及を支援しているところでございます。この中で、中干し期間の延長によるメタンガスの発生抑制ですとか、田畑輪換による化学農薬の節減、除草ロボットの導入検証など、水田における環境負荷の低減に、この取組も進めているところでございます。
加えて、本法律案の成立後は、各都道府県の基本計画においても水田における環境負荷低減の取組を位置付けていただき、組織的な取組も推進し、水田を有効に活用した農業、これを展開していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/38
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039・舟山康江
○舟山康江君 やはりその大前提として、水田農業が持続可能な、いわゆる農家にとってしっかりと持続可能なものでなければいけないと思います。
その大前提として、先ほど小沼委員からもありましたけれども、やっぱりその所得をどう確保できるような対策を取っていくのか。前回の委員会でも指摘をさせていただきましたけれども、今、水田農業、米作りは恒常的な、平均すると赤字状態で作っていると。やはり、ここを何とか変えていかなければ水田の担い手がいなくなる。更に言えば、その環境負荷の低減といった要請にも応えていかなければいけないというところで、まずその環境貢献に対する支援、あわせて、元々の水田農業、こういった農業に対して持続可能な支援の在り方というのは、検討するという言葉が先ほどもありましたけれども、しっかり再構築していかなければいけないと思っています。
また次回の委員会でもファーム・ツー・フォークとの比較の中で様々ちょっと質問させていただきたいと思いますけれども、EUでは、やはりこの政策実現の手段として各種直接支払を組み合わせながらやっていると。しかも、二〇二三年、来年度からの新しい次期CAPの中では、あえて所得支持という言葉を使いながら、所得をしっかり確保しながら再生産を通じて環境への貢献をすると、こういった方向にかじを切っているわけですから、やはりこの水田主体の農業を持続可能にすると、更に環境負荷を低減という意味で、やっぱりそこを改めて考えていただきたいなと思います。また詳細は次回に譲りたいと思います。
それで、やはり水田農業のもう一つの役割として、これも小沼議員から言及ありましたけれども、生物多様性、生物多様性保全というのは、ある意味では、温暖化対策とか気候変動対策と並んで、今世界では非常に大きく注目されております。
配付資料を御覧いただきたいと思います。これ、昨年十月の第五回新農林水産省生物多様性戦略検討会に提出された資料でありますけれども、ここに書いてあるとおり、まさに、温暖化、気候変動、生物多様性、これ並んで非常に重要であって、これをしっかりとみどりの食料システム戦略の中にも盛り込んでいくと、多分そういったお考えなのかなと思いますけれども、一方で、この温暖化、気候変動については閣議決定もされて一定の方向性が示されておりますけれども、生物多様性についてはまだ戦略が決まっていないと、こんな状況であります。
私も、先ほど、この法案の二条ですね、二条四項の中で、ここに生物多様性の保全というものもやはり組み込むべきではないかと思っておりますけれども、この生物多様性を本法においてどのように位置付けているのか、まずここについてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/39
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040・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 生物多様性についての質問ですけれども、本法律案では、化学農薬の使用等、農林漁業の生産活動に伴って生じる環境への負荷に着目をして、その低減を図る取組を環境負荷低減事業活動としているところです。このような取組を行うことは田畑の生き物の生息環境の保全につながり、生物多様性の保全に寄与するものと考えているところです。
あくまでも本法律案では生産活動に伴って生じる環境負荷ということでありますので、生物多様性全体の中で生産活動と直接関わらない活動もたくさんあると思いますので、今そういった形で位置付けているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/40
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041・舟山康江
○舟山康江君 そうでしょうか。生産活動に伴ってやっぱり温室効果ガスの排出をいかに削減するかということと併せて、やはりその生物に対する負の影響を軽減すると、これは大変大事ではないかと思っています。
例えば農薬過多ですとか、そういったことによって生物多様性の喪失につながってしまうということを考えると、改めて、さっきの表にもあるとおり、これ同じような位置付けなわけですよ。これ、世界的にも、何か日本においては生物多様性って温暖化とか気候変動に比べれば下のように思われていますけれども、実はこれ並列しているんですよね。
同じぐらい大事だという中においては、やはりこの法律の中で明確に生物多様性の保全というものも位置付けるべきであって、先ほど御指摘ありましたけれども、この省令の中で生物多様性の保全というのはやはりしっかり位置付けるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/41
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042・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 本法律案では、より優先的に対応すべき環境負荷低減活動に着目して措置を講ずることとしております。
そういう意味で、御指摘のありました農薬過多の問題等につきましては、第二条のその一号の方の化学農薬を減少させるという取組で位置付けられておりますし、御指摘のございましたことについては、そういうことをこの法律の対象にすることによって生物多様性の保全に寄与するということになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/42
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043・舟山康江
○舟山康江君 このみどりの食料システム戦略の中には生物多様性という言葉がある一方で、今回の法律の中にはないですよね。しっかりここも明示的に文言として私は入れるべきだと思っています。せめて省令の中で入れ込むべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/43
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044・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 本法律案の基本理念を定めております第三条には、気候変動の後に、生物多様性の低下等、食料システムを取り巻く環境が変化する中で、将来にわたって農林漁業、食品産業の持続的な発展並びに国民に対する食料の安定供給の確保を図るために今回いろいろの措置を講ずるということで書かせていただいておりますので、生物多様性の低下ということに対してこの法律が目的としているということは明らかだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/44
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045・舟山康江
○舟山康江君 そうしますと、これから生物多様性戦略を策定していくと、近々策定すると聞いておりますけれども、この策定後、この法案の中で、この戦略の中身次第では、この法案の使用される例えば政令、省令でもしっかり対応するという理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/45
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046・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えします。
この法律案をしっかりと成立させていただいてこの手続、各種の取組を進めていくことは、生物多様性にも資していくものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/46
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047・舟山康江
○舟山康江君 いや、それを言ったら、温室効果ガスの排出だって取組によってやっぱり排出削減になっていくわけなんだから、何で生物多様性はここに入っていかないのか、そこにこだわる理由が全く分からないんですよね。その法案を今、まあ法案に入れていただきたいという思いもありますけれども、せめてこの省令で定める事業活動の中に入れることが何でできないのか、私、本当に分からないんですけど、何でそんなにこだわるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/47
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048・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) ここの二条四項の定義につきましては、これ支援措置とパラレルなものになっておりまして、この法律、この二条四項の環境負荷低減事業活動というのに対するその支援としまして、農業改良資金の償還期間の特例が講じられているわけであります。これ、農業の活動に対する資金でございますので、そういう意味では、この法律の支援措置というのは農業活動に対して、付随するものに対して支援をするという枠組みでつくっておりますので、その化学農薬の減少させるという取組が生物多様性に寄与するという意味で生物多様性にも応えていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/48
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049・舟山康江
○舟山康江君 先ほどのEUでは、エコスキームとしてやはり明示的にこの生物多様性の保全ということも入ってきているわけですから、もう少し前向きに捉えていただきたいなと思いますので、再検討よろしくお願いいたします。
そして、大きな方向として環境負荷低減農業というのは本当に大事だと思っていますけれども、一方で、国内においても非常にお金が掛かるとか手間が掛かるというような声、また、EU農業委員会の計量経済モデル分析調査、これ昨年の七月に行われていますけれども、この中でも様々、この農薬使用量の半減とか肥料の二割減、有機面積の拡大ということに伴って、気候環境上の便益は顕著な一方、農業生産は一割縮小して輸入が拡大する、農産物価格は上昇、農業収入は減少すると、こんなモデル分析調査結果が出ております。
そういう中で、EUではやっぱりそれを埋めるために様々な所得補償の支援を行うということを組み合わせていると思いますけれども、我が国においても多分直面する課題というのは似たようなところがあるんじゃないのかなと思っています。手間が掛かったりお金が掛かったり、更に言えば手取りが減ると、こういったことに対して、やはり何らかの支援の在り方を創設する、見直していくということがセットでないと、理想はすばらしいかもしれませんけれども現実進まないということにもつながりかねないと思いますので、その辺り、どのようにお考えなのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/49
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050・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 委員御指摘のとおり、温暖湿潤な我が国では、有機農業に取り組む場合は除草等の労力が掛かることが課題になります。
そのため、農林水産省では、従来より、環境保全型農業直接支払交付金によりまして、有機農業に取り組む際の労力やコストの掛かり増し経費分につきまして、一ヘクタール当たり年間十二万円の単価で支援を行ってきており、この支援単価はEUと同じ水準であります。
加えて、労力軽減を可能にする除草機等の開発、導入や、安定生産や生産コストの低減を図るための栽培技術の実証やマニュアル作成、有機農業指導員による技術指導などを行い、労力やコストの低減にも取り組んでおりまして、今後も、環境保全型農業直接支払交付金を始め、これらの取組の推進に必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/50
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051・舟山康江
○舟山康江君 今ある補助金では進んでいない、だから新たな仕組みをつくっていくということで今回この戦略が打ち出され、法案が作られたんじゃないのかなと思っております。
この戦略の中にも、補助金の拡充、環境負荷軽減メニューの拡充、これらとセットでのクロスコンプライアンス要件の拡充を図るとありますけれども、具体的に、政策手法のグリーン化、このクロスコンプライアンス要件はどのように掛けるのか、その辺りの今お考えがあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/51
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052・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 政策手法のグリーン化につきましては、補助、投融資、税、制度等の政策誘導の手法に環境の観点を盛り込むことで環境配慮の取組を促すものとして、みどりの戦略の中で位置付けております。
今後のクロスコンプライアンス等につきましては、まだこれから検討するものとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/52
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053・舟山康江
○舟山康江君 もう時間が参りましたので、このEUのグリーンディール、ファーム・ツー・フォークとの比較でまた次回質問させていただきたいと思いますけれども、食料システムがもたらす気候変動、環境劣化をどう抑制していくのか、それを政策的にどう支援していくのか。我が国においては、例えば意識変容とかイノベーションとか、それから融資ということになっていますけれども、やっぱりEUなんかは、もう少し政策的にCAPと組み合わせて、そのさっき言った所得補償とかいろんな直接支払を組み合わせながら前に進めているというふうに思います。
そう考えると、まだまだその政策手段の在り方というのはもっと検討の余地があると思いますので、改めてこの辺りの議論をまた次回に譲りまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/53
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054・梅村みずほ
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほでございます。本日もよろしくお願いいたします。
今日は欲張ってたくさんの質問通告をしてしまいましたので、早速質問に参りたいと思います。
〔委員長退席、理事藤木眞也君着席〕
環境譲与税、森林環境譲与税についてお伺いしたいと思います。
こちらは森林整備及びその促進に関する費用に充てることができるということで、間伐や人材育成、担い手の確保、あと木材利用の促進、普及啓発に使えますよというものなんですけれども、この森林環境譲与税というものは一回国庫に入って市町村に行くわけですね。そのお金というのは、森林の面積掛ける就労者掛ける人口で積算しているというふうに把握をしております。都会に多く振り分けられるんだろうなということで、我が地元の大阪にもこの税は入ってくるわけなんですけれども、この環境譲与税、森林環境譲与税の使途というのをしっかり国は把握していらっしゃるのかな、各都道府県、市町村でどういうふうに回されているのかなというのを把握していらっしゃるかどうか、最初にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/54
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055・天羽隆
○政府参考人(天羽隆君) 森林環境譲与税について御質問をいただきました。
森林環境譲与税は、森林の公益的機能の重要性に鑑みまして、市町村が実施する森林整備等に関する施策に充てるため、令和元年度から譲与が開始され、この四月から四年度目に入ったところでございます。
その使途につきましては、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の第三十四条におきまして、森林の整備に関する施策、さらには、森林の整備を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公益的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進その他の森林の整備の促進に関する施策と規定をされておりまして、地域の実情を踏まえて活用が行われてきていると考えております。
その具体的な使途でございます。市町村の決算ベースでございますが、令和二年度におきましては、使途として、森林整備関係の取組を実施した市町村は約七割、木材利用関係の取組を実施した市町村は約三割、具体的には、令和二年度までの二年間で、森林整備関係では約二万四千ヘクタールで間伐等の森林整備が行われており、木材利用の関係では公共建築物等の木造化、木質化として約一万九千立方メートルの木材の利用に取り組まれているということでございます。
〔理事藤木眞也君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/55
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056・梅村みずほ
○梅村みずほ君 長官、御答弁ありがとうございました。
今お伺いすると、森林の整備に七割、木材利用に三割というところをお聞きしたんですね。これ、もうちょっと子供たちの教育であるとか一般の方々の理解醸成に使ってほしいなと思っているんです。というのも、私、地元で、やはり地元の声を聞いてみようというふうに聞いてみたわけなんです。農業もそうなんですが、農業女子プロジェクトというのを農林水産省さんでありますし、林業女子会というのも林野庁さんでプッシュしていらっしゃって、女性という立場で見た農林水産業はどうなのかなということで、いろんな女性の集まりに顔を出して意見を聞いていると、やっぱり女性でそういう教育とかに関心ある方多いので、子供たちの教育に使ってほしいという声が出てきました。
私がお話を聞いたのは、今、大阪府の森林組合で働いていらっしゃる子育て世代の女性なんです。元々民間でプロモーターされていました。いろんな事業のプロモーションをされていたんですね、売り込みが大変お上手ということで。で、ある時期から林業に身をささげようと転職をされたんですね。何でですかと聞いたら、この林業が見ている時間の長さ、そこにロマンを感じるとおっしゃっていたんですね。一本の木が植えられて伐採されるまで五十年ほど。この五十年、一本の木を長い期間掛けて育てていく。そして、山というものというのは命の源泉でもあります。雨を吸収して水を生み出して全ての生きとし生けるものを育んでいくというところでもありますので、とても魅力を感じたということなんですね。
林業女子会の女性たちに話を聞いていると、そういった森や木のロマンに引かれてお仕事を始められる方、関わっていらっしゃる方、大変多くいらっしゃるんですね。潜在的に林業に携わりたいという女性も多いと思いますよというふうに彼女たちはおっしゃっていました。その方がおっしゃるには、今、森林の保全に森林環境譲与税というのは大部分使われているんだけれども、もっと子供たちの教育をしていかないと、農業以上に林業は担い手がやばいと思いますというふうにおっしゃっていたんですね。
そこで、彼女は、南河内のエリアで森林ESDというものを始められました。林野庁さんはもう御存じかもしれないんですけれども、これ何かというと、大阪の河内長野というのは、車で都市部から三十分ぐらいで行けるところなんですけれども、森林が七〇%を占めるというエリアなんですね。小中学校に実際に森林に入ってもらって、森の名人から話を聞いたり間伐体験をしたりということで、子供たちに余り知られていない森林と木の真実を知ってもらって身近に感じてもらっていると。これはこの森林環境譲与税を使って行われているもので、未来の種まきというのは本当に大事だと。
今、大人の皆さんで森林のこと、木のこと、森のことどれだけ知っていますかというと、やっぱり、私、個人的にも、周りのママ友に聞いても、主人の周りに聞いても、余り知らない方が多いわけなんです。子供たちに小さいときに体験と同時に身をもって知っていただく、これは本当に大切なことですし、将来いろんな働き方をするだろうと思うんですね、転職も経験するだろうけれども、あっ、ちょっと林業やってもらおうかなという最初の種まきをしておくというのは大変重要だというふうに思っています。
そこでお伺いしたいんですけれども、この森林環境譲与税、森林の保全、木材の利用も大切なんですけれども、一般の方々への理解醸成、そして教育の方に使途をもっと広げていただくという考えについて政府の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/56
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057・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) お答え申し上げます。
全国の市町村では、森林環境譲与税につきまして、森林整備のほかに木材利用や普及啓発など、地域の実情に応じて活用が行われています。その中には、委員からも御紹介ありましたが、大阪府河内長野市が市内の小学生を対象に森林に関する体験授業等を実施する取組ですとか、神奈川県川崎市が木材産地の自治体と連携しながら建築物への木材利用や普及イベントを実施する取組など、学校教育などを通じた普及啓発や、都市部と山間部の自治体との連携により木材利用や普及啓発を進める事例も出てきているところであります。
農林水産省としては、このような取組事例の横展開を図るべく、全国の事例について取りまとめ、自治体への共有や助言等を行っており、更に効果的な取組が進むようにしっかりと支援をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/57
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058・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
私の子供も、小学五年生と二年生がいるんですけれども、SDGsに関する興味、関心というのは大変高いんですね。こういった体験と一緒にお勉強、学校の教室の中でのお勉強というのもやっぱり吸収力が良くなるんではないかというふうに思っています。
それこそ今は二〇三〇年に向けて、CO2の排出量マイナス四六%という大きな目標に向かって国を挙げて頑張っているわけなんですけれども、年平均でいうと四十五万ヘクタールの間伐、木材利用その他によって、森林吸収源対策で三千八百万トン確保するというような目標が立てられているわけですよね。
ここで一度、目標達成に向けた取組の方針というのを、農水省の御見解として農林水産大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/58
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059・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 二〇三〇年度の森林吸収量の目標、約三千八百万二酸化炭素トン、三千八百万二酸化炭素トンの達成に向けては、利用期を迎えた人工林につきまして、切って使って植える循環利用を確立し、炭素を貯蔵する木材の利用拡大を図りつつ、成長の旺盛な若い森林を造成することが重要であります。
具体的には、間伐材の適切な実施や、エリートツリー等の成長に優れた苗木を活用した再造林等を推進するとともに、CLTや木質耐火部材等の開発、普及などによりまして、建築物等への木材利用の一層の促進を図ることといたしております。
加えて、これらの取組が着実に推進されるよう、林業イノベーションや、森林づくり、木材利用の推進に向けた国民運動等にも取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/59
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060・梅村みずほ
○梅村みずほ君 大臣、ありがとうございます。
大臣の御答弁の中でも、切って使って植えるという、この分かりやすいメッセージというのをもっと一般の国民の皆さんに伝える必要があるんではないかなと思っております。
そこで、先ほどの大阪府の森林組合がやっている取組、もう一つだけ御紹介したいんですけれども、皆さんもよく知っていらっしゃる緑のエンブレムのコーヒーチェーンとタッグを組んで、大阪のおおさか河内材という木材を知ってもらおう、それをきっかけに森林に、木に興味を持ってもらおうということで、もうふんだんにこの大阪南部の木を使ったそのコーヒーショップができたわけなんですね。
そこで何やっているかというと、この豆かすと木材を合わせて堆肥を作っているんです。コーヒーチェーンの従業員さんでありながら、うちのスタッフはみんな土いじりしていますよと。言ってみたら、もう半林半Xみたいなものですよね。で、コーヒーチェーンの方が、へえ、堆肥ってこういうふうに作れるんだというふうに知ってもらって、その堆肥を使って苗木を作って、その苗木をまたこの河内の山に返していこうという取組をされているんです。
一般の企業も、社会貢献をしたいという企業、大変多くあるわけで、そして、土いじってみたら、あっ、楽しいって、あっ、これがこんなことにつながるのって、やはりその企業で働く人たちにもこの理解というものは欠かせないわけで、そうして、官、民、そして企業と様々なところが連携して、こういった環境と調和の取れた食料システムというのを構築していく必要があるというふうに思っております。
そこで、今日もやじを飛ばしていただけるかどうか分からないですけれども、また法人による農地取得ということで、御懸念もいろいろあるんだというふうに思います。でも、先ほどの、その今、前述の、お話を聞きました林業の女性とお話をしていても、農地ではねという話をしていたら、企業の農地取得もいいじゃないですか、何で駄目なんですかと言うので、例えば外国資本に農地を取られたりしたら大変でね、ああ、分かりますと、森も、やはり水源を買われてしまったりというような問題が起こっているので、その問題は共通するところありますねって、そこはしっかりと防御策というのは講じなくてはいけないけれども、やっぱり企業が参入することで進むことあるよねというふうに盛り上がっていったわけなんです。
国家戦略特区でこの法人の農地取得というのを試験的にやってみようと政府が踏み切られたのは、メリットもあるだろうと思われてのことだと思うんですね。
質問要旨、ちょっと飛びますけれども、二ポツの括弧二に、括弧三になりますけれども、企業が農地をリースではなく取得するメリットってあるとお考えだから、その国家戦略特区ってやられたわけですよね。農林水産省が考える企業の農地取得のメリットについてお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/60
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061・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 企業の農業参入につきましては、平成二十一年の農地法改正によりまして、農地リース方式での参入を完全に自由化したところであります。現に法改正前の約五倍のペースで参入が進んでおり、これを更に推進してまいりたいと思います。
企業の農地取得につきましては、農業からの撤退、農地の転売等に対する生産現場の懸念が存在することも事実であり、慎重に検討していく必要があると考えております。
農地の利用については取得とリースの方法があるところですが、農地を買った場合、リース料に比べて著しく高くなること、リースにつきましては、五十年間という超長期間の借入れが可能でありまして、土地改良事業や施設整備を行って安心して農業経営を行えること、この場合、農地法によりまして、農地を適正に利用していれば貸し剥がしができないなど、耕作する権利が保護されること等から、農地の取得について、リースに比べてメリットは想定し難いものと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/61
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062・梅村みずほ
○梅村みずほ君 済みません、大臣にはリースのメリットをとくとくとお伝えいただいたわけなんですけれども、私の質問は、法人の農地取得するメリットはないのかあるのかというところなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/62
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063・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) だから、先ほどの説明からいったらメリットないんじゃないですか。想定が、農地の取得については、リースに比べてメリットは想定し難いものと考えていますと、こうなってる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/63
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064・梅村みずほ
○梅村みずほ君 じゃ、ちょっと、もう一度明確に御答弁お願いしたいんですけど、では、大臣、法人が農地取得をするメリットはないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/64
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065・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 私は、その逆に、リースがこれだけ、五十年間、しかも取得してその後も完全に保証されているわけなんですよ。だから、あえてそれを買ってまでやるという、その企業側の立場というのが、私の方から質問するのは大変これはいけないこと、これは質問できないことなんでこれはしませんが、その辺の企業の考え方というのが私にはよく理解できない。
したがって、そこにこだわることが、どうしてこだわるのかと。実際、この六年間を考えてもそれほど増えていないわけなんですよね。そしたら、周りの皆さん方と安心して一緒に農業に取り組んだ方が企業としてのメリットは逆にあるんじゃないかと。地域の皆さん方と摩擦を起こしてまで農業よりも、地域の皆さん方、お互いに理解し合って、一緒に協力し合ってやっていこう、そういうためにリースというのを五十年間、しかも安い金額ということでやったわけですから、逆に私は企業の方に理解していただきたいと思っていますけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/65
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066・梅村みずほ
○梅村みずほ君 じゃ、大臣、マイホームは人々何で持つんですか、マイカーは何で持つんですか。リースでいいじゃないですか、カーシェアでいいじゃないですか。やっぱり自分好みにカスタマイズしたいからじゃないですか。
私好み、私事で申し訳ないんですけど、私の三十五年間ローンを払っているマイホームは、お手洗いにミラーボールが付いているんです。それ何でかといったら、自分のものだから自由にできる、アレンジできる。子供に引き継ごうって思うから御近所付き合いも頑張るんです。自分のものにするから責任を持つんです。チャレンジができるんです。だって、企業だって、いつか返さなきゃいけないと思ったら、土づくりどんだけ頑張れます。
この企業は五十年で潰そうと思っているわけじゃないです。百年で潰れることを企業は想定していません。ずっと地域の皆様に貢献して日本を支えていくんだという思いがあるから、自分で農地を取得するっていうことはその覚悟の表れです。(発言する者あり)でも買わないだろうって言うけど、じゃ、山形の企業さんは買いたいって言っていました。でも、養父市では買えないって、遠いです。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/66
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067・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 静粛にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/67
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068・梅村みずほ
○梅村みずほ君 はるかかなたですよ。だから、自分の山形で法人の農地取得認めてもらったらやりたいというところあるんです。なので、これ通告していないですし、もうどんどん時間がなくなるんですけれども、リースじゃなくて、全国展開すぐじゃなくてもいいです、もうちょっと取得できるところ増やしてみませんか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/68
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069・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 答弁求めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/69
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070・梅村みずほ
○梅村みずほ君 はい、お願いします。答弁求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/70
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071・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 今調査をしていますから、内閣府で調査をして、そしてその後、また農林水産省で調査をして、どういうニーズがあるかということをよく考えてみましょう。
それから、個人の自宅と、自分の家と企業は違うと思うんですよ。やっぱり個人のものは自分で自由にできます。企業は、会社ですから、株式会社ですから、社長が替わったりまた株主が変わったら考え方が違ってきますから、その辺は、個人の持ち物とまた株式会社との違いというのはあるんじゃないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/71
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072・梅村みずほ
○梅村みずほ君 家も、子供に渡り、孫に渡りするわけです。そうしたら、確かに売るということもありますけれども、私は共通するところあると思いますので、引き続き御検討をお願いします。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/72
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073・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
環境と調和のとれた食料システム法案についてお聞きします。みどり法案がどういう社会像を目指すのかというところを聞きたいと思うんですね。
まず、目的のところに、環境と調和の取れた食料システムの確立に関する基本理念等を定めるとあります。ということは、現在の食料システムは環境と調和していないということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/73
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074・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
これまで、食料システムを構成しております農林漁業、食品産業は、環境と密接に関わる産業として成り立ってきたところであると認識をしております。
一方で、近年、気候変動を始めとし、食料システムを取り巻く環境が刻々と変化し、その変化に対応していくことが必要となったところでございます。特に、国際的には食料システム全体を捉えてその環境負荷の低減に取り組むことが共通の認識となっており、欧米を中心にこれに向けた各国の動きが出ているほか、我が国においても、SDGs等の環境への意識が高まる中、消費者の理解と支持の下、農林漁業、食品産業を将来にわたり持続可能なものとしていく必要が生じております。
こうしたことを受けて、本法律案では、環境と調和の取れた食料システムの確立を図るということにしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/74
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075・紙智子
○紙智子君 同じく目標のところに、環境と調和の取れた食料システムの確立を図り、もって農林漁業及び食品産業の持続的な発展に資するとあるんですけど、この農林漁業を持続的に発展させるというのはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/75
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076・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
本法律案に定めております農林漁業及び食品産業の持続的な発展とは、環境への負荷の低減を通じまして自然循環機能を維持増進するとともに、農地等の生産資源や担い手が確保されることによりまして、農林漁業、食品産業が将来にわたり持続し、経済的、社会的にも発展していくことを意味しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/76
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077・紙智子
○紙智子君 さらに、目的のところに、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会の構築に寄与すると書いてありますね。この社会の構築という言葉を使っているんですけれども、じゃ、どういう社会を目指しているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/77
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078・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
お尋ねの、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会につきましては、環境基本法第四条を踏まえまして、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会の在り方を見直し、環境と関わり合いを有する活動の総体として社会全体がより良い方向に向かうことを指すことを意味しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/78
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079・紙智子
○紙智子君 私はこの間、農業や酪農なんか、現地を歩いてきて、生産性を追求してこの規模拡大を進めてふん尿処理が限界に達する状況を見てきたり、あるいは、生産規模は拡大は進んだんだけれども、ずっと周りが離農が進んでしまって、集落の人がいなくなってきて、コミュニティーが維持できなくなったという地域の苦悩を見てきたんですね。そういう意味では、持続的に発展する社会の構築に寄与するというふうにありますから、そういうことからいえば、効率ばかりを求めてきた農政の在り方をこれ問い直すことになるということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/79
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080・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
これまでも、食料自給率の向上等を旨として、足腰の強い農林漁業を実現するために生産基盤の強化に取り組んできたところでございます。
近年の気候変動による農林漁業への影響が拡大する中で、農林漁業においても今から環境負荷の低減に取り組むことが必要となっているところでございます。こうした観点から、本法律案に基づいて行ってまいります健全な作物を育てる土づくりや省エネ対策等の取組は、これまでの農政が目指してきた農業の生産基盤の強化、ひいては食料の安定供給の確保にも資するものと考えております。
今後も引き続き、担い手の育成確保ですとか農地の集積、集約化ですとか輸出の強化等は必要と考えておりますし、これらの従来の施策に併せて環境の取組も推進していきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/80
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081・紙智子
○紙智子君 これまでの農業の中で生み出している今紹介したようなマイナス面というのは見直さないんですか。そのこともちゃんと見直すということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/81
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082・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 環境に配慮した取組を始めていくということでございますので、ある意味見直す部分があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/82
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083・紙智子
○紙智子君 新自由主義的な政治が進んできた中で、格差と貧困、あるいは分断と対立が課題になっています。経済効率を優先する余り、環境や生態系のリスクが高まって、世界的に飢餓問題であったり食料問題が緊急の課題になっていると思うんですね。
この法案はそういう課題に応える法案に、法律になっているのかということについて、これ大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/83
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084・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 本法律案は、環境と調和の取れた食料システムの確立を図るため、生産者、食品事業者、消費者等の取り組むべき視点を基本理念の形で共有するとともに、各種の支援措置を法的に位置付けることで環境負荷低減のための行動変容を促すこととしています。
また、本法律案に基づく環境負荷低減の取組は、健全な作物を育てる土づくり、化学肥料や燃油等の輸入依存からの脱却など、持続的な農業の発展、さらには国民に対する食料の安定供給の確保を資することとなると考えております。我が国がこうした取組を先駆けて行うことで、世界のより良い食料システムの構築に向けて積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
こうした取組を地道に続けていく中、続けていくその先には、世界の食料不足や飢餓の問題の解決の糸口につながるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/84
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085・紙智子
○紙智子君 解決の糸口につながるんだというお話だったと思うんですね。
私は、本会議の質問のときに、国連の家族農業十年の取組を具体化しないんですかというふうに聞きました。大臣の答弁は、家族経営は重要な役割を担っており、国際社会の認識と共有するんだというふうに言われました。
国連は、やっぱりリーマン・ショックのときの食料危機を経験をして、家族農業年ですとか、あるいは国際土壌年とか、それから国際協同組合年とか取り組んで、アグロエコロジーといって、生態系の機能を重視した取組をやってきているわけですよね。
さらに、国連人権理事会は、二〇一八年に農民と農村で働く人々の権利宣言を採択をしています。この決議には、国は、適切な食料への権利、食料保障、それから食料主権、持続可能かつ公平な食料制度への権利を促進する政策を策定しなければならないというふうに書かれています。こうした国際社会の取組の到達を踏まえながら新しい社会を構築するように求めておきたいというふうに思います。
さて、テーマは幾つかあるんですけれども、ここでは基盤確立事業についてお聞きをします。
それで、新技術、先端技術の開発など基盤確立事業を行う者は、基盤確立事業計画を作成して大臣に申請し、認定されれば支援を受けることができるというふうになっているわけです。第二条の五のところで、基盤確立事業とは、環境負荷の低減を図るために行う取組の基盤を確立する事業であって、その一つに新品種の育成に関する事業というふうに書かれています。
第四十二条のところで種苗法の特例というのを規定していて、規定の中で、新品種の出願料や登録料を軽減し、又は免除するというふうにあるんですけれども、現在の出願料と登録料は幾らなのか。そして、特例でどの程度これ軽減、免除されるんでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/85
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086・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 本法律案に基づく認定事業者が病害虫抵抗性を有する等の新品種を育成しまして種苗法に基づく品種登録を行う場合、国への納付費用を軽減又は免除することとしております。現在の出願料については一万四千円、登録料については、一年から六年目でございますけれども、毎年四千五百円でございます。今回の法律案に基づく政令では四分の一に減免することを予定しておりまして、一万四千円の出願料が三千五百円、四千五百円の毎年の登録料が千百二十五円となることを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/86
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087・紙智子
○紙智子君 十年以降で三万円でしたっけね。ですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/87
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088・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 質問ですね。
答弁求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/88
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089・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 済みません、ちょっと今手元に正確な数字がございませんけれども、四分の一になる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/89
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090・紙智子
○紙智子君 つまり、四分の一程度軽減されるということだと思うんです。
さて、米などの新品種の開発は、これ、試験場なんか回ったときに、十年以上今まで掛かるというふうに言われました。それで、みどり戦略には新品種の工程表というのが、この緑の冊子の五十ページから五十一ページに書かれています。例えば、その中で、水田からメタン排出を抑制する低メタン稲品種、これも、耐暑性、暑いのに耐えるですね、耐暑性、それから耐湿性、湿度に耐えると、それから耐倒伏ですね、こういう性格、それから病虫害性及び収量性を向上させた高機能な品種改良も五年程度で研究開発を行い、二〇三〇年頃には社会実装するとあります。まあ応用できるようになるということだと思うんですけど。
で、いや、そんなに早く新品種が開発できるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/90
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091・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
現在、様々な機能を併せ持つ品種の育成を進めておりまして、例えば稲におきましては、令和七年度、二〇二五年までの計画としまして、ひとめぼれを基に耐暑性、耐倒伏性、耐病性、収量性を向上させた品種の開発を実施しているところでございます。
あわせまして、画像解析やAI等を活用して品種開発の効率化を進める等の育種基盤技術の開発を行うことで品種開発の加速化を図りまして、みどり戦略の実現に取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/91
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092・紙智子
○紙智子君 ゲノムの編集技術なんかも活用すれば短縮できるというのはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/92
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093・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) ゲノム編集技術も一つでございますけれども、ゲノム編集を使わなくても、画像解析やAI等を使うことによりましてかなりのスピードアップを図っていけるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/93
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094・紙智子
○紙智子君 新品種の社会実装は二〇三〇年頃だとすると、ゲノム技術は使わなくてもという話もあったんですけど、それを使った新品種が開発されるんじゃないかということも想定してしまうんですけど、基盤確立事業というのはこのゲノムの品種の開発も含まれるんでしょうか、含まれないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/94
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095・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
本法律案に基づく基盤確立事業では病害虫抵抗性を有する新品種の育成等を促進しておりますけれども、その育種技術の在り方までを定めているわけではございませんので、ゲノム編集技術による品種開発も認定の対象となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/95
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096・紙智子
○紙智子君 つまり、排除していないということだと思うんですね。
それで、種苗会社と研究機関がゲノム技術で新品種を開発すると、これ出願料、登録料が軽減、免除されることにもなるんだと、排除していないからね。さらに、食品流通改善資金の特例規定がありますから、設備投資の資金の八〇%を借りることができることになるんですね。だから、一千万掛かる設備投資だったら八百万まではこの投資が受けられるということだと思うんです。
それから、第十五条なんですけれども、国は基本方針を定めることになっています。この基本方針というのは、生物の多様性の保全を図るための施策に関する国の計画と調和が保たれたものでなければならないとなっています。
そこで、今日、環境省来ていただいているんですけど、環境省にお聞きしますが、ゲノム技術で開発した植物などが生物の多様性に影響を与えるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/96
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097・松本啓朗
○政府参考人(松本啓朗君) お答えいたします。
ゲノム編集技術で得られた生物につきましては、生物の多様性を守るために遺伝子組換え生物の使用等を規制するいわゆるカルタヘナ法がございまして、同法に定める遺伝子組換え生物として規制の対象になるものとそうでないものがございます。
まず、同法の対象となる遺伝子組換え生物につきましては、環境省及び農林水産省等の関係省庁におきまして、生物多様性への影響について専門家の意見をお伺いし、生物多様性への影響のおそれがないことを確認した上で承認を行ってございます。
また、他方、同法の規制対象とならないゲノム編集技術で得られた生物に関しましても、予防的アプローチの観点に立ちまして、環境省及び関係省庁におきましては、生物多様性への影響に係る知見の蓄積と状況の把握を図ることとしております。
具体的には、そうしたゲノム編集技術で得られた生物を作製する方等に対しまして、当該生物の使用に伴い生物多様性に影響が生ずる可能性に関する考察などにつきまして関係省庁に情報提供するよう依頼してございます。そして、もし提供いただいた情報に疑義がある場合には必要な追加情報を求めるということにしてございます。
このように、カルタヘナ法の規制対象となる遺伝子組換え生物に該当するか否かにかかわらず、こうした対応を行うことで、ゲノム編集技術で得られた生物が生物多様性に影響を与えることのないよう、関係省庁と連携しつつしっかり対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/97
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098・紙智子
○紙智子君 カルタヘナ法との関係でいうと、そこの対象になるかならないかという話が今されていて、どちらにしても情報提供はしてもらわなきゃいけないという話なんだけど、いや、情報提供だけでいいのかなというふうに思ったりもして、ちょっと農水省にも聞きたいんですけど、ゲノム作物が生物の多様性に影響を与えるということになったら、これ有機農家というのは困るんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/98
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099・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) お答えいたします。
ゲノムのその作物については、環境省が定めたルールの下で、生物多様性の確保の観点から、科学的な知見に基づいて問題がないことを確認した上で行うということになりますので、そういった視点についても考慮されていくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/99
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100・紙智子
○紙智子君 環境省の判断ということを受けてということになるんでしょうかね。もしそういうところがはっきりしないままということになると、これ有機農家の人たちはとても不安だと思うんです。
既にゲノムトマトなんかも開発されていますよね。それで、ゲノム動植物でいうと表示の義務がないわけですよ。で、不安の声が広がっていて、みどり戦略のパブリックコメントに一万七千件の意見が出されたんですけれども、そのうちの九割、一万六千件がゲノム編集への懸念や反対意見だったわけです。
ゲノム技術を活用した事業を支援するとなると、これ国民的な議論や合意がない下で進めることになってしまって、それはちょっとそうすべきではないんじゃないかというふうに思うんですけど、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/100
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101・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) ゲノム編集技術については、品種改良のスピードを速めるなど、画期的な技術であります。また、ゲノム編集技術で得られた農林水産物につきましては、その流通に先立ち、関係省庁との役割分担の下、厚生労働省は食品安全の観点から、農林水産省は環境省が定めたルールの下で生物多様性の確保の観点から、科学的知見に基づき問題がないことを確認しております。
その一方で、国民の間では不安に感じる方がおられることも承知しております。環境と調和の取れた食料システムは、消費者を始めとする関係者の理解と連携の下に確立されるものでありまして、革新的な技術の開発や実用化についても多くの国民の理解を得て進められるようにしていく必要があります。
本法律案にかかわらず、農林水産省といたしましては、研究者等の専門家とも連携を取りまして、研究内容等を分かりやすい言葉で伝えるなど、アウトリーチの活動に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/101
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102・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/102
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103・紙智子
○紙智子君 国民の理解を得ないで進めることはできないということだと思うんです。農業、食料の持続性や環境負荷の低減を図るためにも、化学農薬や化学肥料に依存した現在の農法や慣行農法を見直したことは重要だと。しかし、ゲノム作物が新たな不安を広げていることになれば、生物多様性とか生態系から見ても環境と調和の取れたシステムにならないと思いますので、拙速な支援はしないようにということを求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/103
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104・須藤元気
○須藤元気君 こんにちは。無所属の須藤元気です。
先日、有機酒類について質問をさせていただきましたが、あの後、私の友人が千葉県船橋市で矢島酒店という酒屋をやっているので行ってきました。御存じかもしれませんが、ワインに付いているラベルのことをエチケットっていうんですが、最近そのエチケットがおしゃれで個性的なものがとても多くて、棚を眺めているだけで本当に楽しめました。そんなところで、オーガニックのお酒どれだけあるか探してみたんですが、ワインは結構あるんですけれども、日本酒、焼酎に有機と表記されているものはほとんどありませんでした。全体の〇・〇三%しかないというこの有機酒類を是非増やしていきたいなと思っております。
さて、本題に入りますが、まずは有機農業のこれまでの進捗具合についてお聞きします。
二〇〇六年に有機農業の推進に関する法律が制定され、そして基本的な方針が二〇〇七年に初めて制定されました。この基本方針は二〇二〇年に改定されましたが、有機食品の需要見通し及び食品に係る目標を達成するため、この需要に対応して国内における有機農業の取組面積を拡大する目標を設定しております。
改定された基本方針では、国内における有機農業の取組面積は、二〇一七年には約二万三千五百ヘクタールとなっており、二〇三〇年には六万三千ヘクタールとすることを施策目標としております。このような施策目標を立てましたが、そもそも二〇〇六年に法律が施行されてから既に十五年余りが経過していますが、この間何をやってきたのかがちょっとよく見えてきません。まずは、これまでの総括というものをやっているのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/104
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105・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
有機農業の推進に関する法律、これに基づきまして、農林水産大臣は有機農業の推進に関する基本的な方針を定めることとされています。この基本方針は、委員御紹介ございましたが、平成十九年に策定いたしまして、平成二十六年及び令和二年に改定をしております。その際、食料・農業・農村政策審議会の部会において、それまでの取組について総括を行っております。
一例を申し上げますと、直近の令和二年の改定におきましては、それまで有機農業の推進状況につきまして、一つは、おおむね平成三十年度までに耕地面積に占める有機農業の取組割合を一%とする、こういう目標を持っていたんですけれども、平成二十九年度時点の進捗が〇・五%にとどまっていたと。その理由として、都道府県に比べて市町村における取組が進んでいないこと、また消費者における有機農業の理解が進んでいないこと等の課題が分かりました。
これを踏まえまして、令和二年に改定した新たな基本方針では、市町村段階での取組の強化、それから小売事業者等と連携した国産需要喚起、あるいは指導員の育成ですとか物流の合理化といった新たな政策を盛り込み、これを踏まえた支援の充実、これを図ることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/105
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106・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
データによれば、二〇〇九年から二〇一八年までの九年間で有機農業の取組面積は七千四百ヘクタール、割合は〇・一%しか増えておりません。これを二〇三〇年には六万三千ヘクタールにすると言っていますが、あと八年で今の三倍弱にすることは可能なのでしょうか。また、みどり戦略では、二〇五〇年までに有機農業の取組面積の割合を二五%、百万ヘクタールに拡大することを目指しています。これまでの伸び率との関係でいけば、超低空飛行しているブルーインパルスがいきなり数千メートル垂直上昇するようなもので、物理的に可能なのか分かりません。しかし、目標を掲げたらやはり達成しなければいけません。
そこで、この野心的な目標を実現するために、既に千葉県のいすみ市や木更津市などで実施されている栽培技術を使い、有機稲作の拡大をてこにしたらいかがでしょうか。そのことをなしには、この野心的、相当に野心的な目標の実現は難しいかと思います。金子大臣の考えを是非聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/106
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107・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) みどりの食料システム戦略では、二〇五〇年までに有機農業の取組面積を百万ヘクタールに拡大する意欲的な目標を掲げているところであります。この目標達成に向けましては、当面、二〇三〇年までに有機農業の取組面積を六・三万ヘクタールとすることとしておりまして、目標の達成に向けまして、市場の拡大を図りつつ、米など安定的に生産できる技術が確立されつつある品目を中心に先進的な農業者の取組を横展開するとともに、いすみ市や木更津市のような有機農業の拡大に取り組む市町村を増やしていくことといたしております。
また、二〇四〇年までに、有機に適した品種開発、除草ロボット、スマート施肥のシステム等の技術開発を進めまして、農業者の多くが有機農業に取り組むことができる栽培体系を確立することで飛躍的な取組面積の拡大を図り、目標を達成することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/107
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108・須藤元気
○須藤元気君 大臣、ありがとうございます。
これまで、国は、おおむね五年間を対象として基本計画を定めてきました。毎年きちんと定例報告のように形にしていくべきではないかと思います。五年はざっくりし過ぎな感じがしまして、正直言いまして、みどり戦略の目標期限である二〇五〇年には、今ここで働いている多くの方はもう農水省にいないと思います。意地悪を言うつもりはないんですが、達成できなくても誰も責任取らなくていいわけです。何を言いたいかといいますと、個人的な私のこの肌感覚的なものなんですけれども、何としてでも達成するというちょっと気合が余り感じられないというところがちょっと正直なところです。
手前みそですが、私のレスリング部の教え子で、ロンドン・オリンピックで金メダル取った米満達弘選手がいます。彼は口癖のように、監督、時間がないんです、オリンピックまで時間がないんですと言っておりました。金メダルを取ることだけに集中して、そして最大限に行動していました。私も多くの教え子いますけれども、勝つ選手というのは、米満選手のように、ゴールを明確にして、そして最短のプロセスを歩んでいます。逆に、結果を出せない人というのは、本当にガラケーの写真のように解像度がすごく粗いんですよね。
ですから、このみどり戦略も、この二〇五〇までに時間がないというこの危機感、意思、意識を持って、定例報告、検証、対策を細かくチェックして毎年国民に知らせていくべきだと考えますが、農水省の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/108
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109・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 先ほど答弁いたしましたけれども、有機農業の推進に関する法律に基づく有機農業の推進に関する基本的な方針、これは、一定期間ごとに食料・農業・農村政策審議会の部会においてそれまでの総括を行い、必要な見直しを行ってきたところです。
今後は、これに加えまして、今般、農林水産大臣を本部長に、省内に設けられたみどりの食料システム戦略本部において、有機農業を含むみどり戦略に基づく政策について毎年その進捗をフォローアップすることとしております。
今後、こうした枠組みの下、現場の課題をしっかりと把握、検証、公表し、既存の政策の改善、新たな政策の検討を行うなど、有機農業が推進していけるように取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/109
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110・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。毎年チェックしていただけるということで、しっかりと取り組んでいただければと思います。
今、EU、アメリカ、そして世界中で有機農業が広がっていますが、日本は後れを取っていると言わざるを得ません。我々と同じアジアのモンスーン気候帯である韓国では、有機農業が日本の二倍近くまで広がっています。日本国内でも、前述の千葉県の有機稲作の事例のように、有機農業の技術が開発され、確立しているものもあります。ですから、その普及の力強い後押しを農水省が各自治体を通じてやっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/110
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111・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
みどりの食料システム戦略に基づきまして、化学農薬の使用量低減のためにも有機農業の取組拡大は重要な取組だと考えております。
委員御指摘のとおり、韓国、千葉県いすみ市、木更津市におきましては、有機農産物の学校給食での活用など、地方自治体による地域ぐるみの取組を契機として有機農業が拡大しております。今後、更なる取組拡大に向けて、こうした取組を意欲ある自治体に横展開していくこと、これが重要だと考えております。
農林水産省では、このような事例も参考として、令和三年度補正予算から、新たに地域ぐるみで有機農業の生産から学校給食での活用等の消費まで一貫した取組を行う市町村の支援を開始したところでございます。有機農業の更なる取組拡大に向け、意欲ある市町村をしっかり後押ししていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/111
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112・須藤元気
○須藤元気君 学校給食をやはり有機にしたいなと僕も思っております。
次に、ネオニコチノイド系農薬の危険性についてお聞きします。
みどりの食料システム戦略では、二〇五〇年までに化学農薬使用量の五〇%低減を目指していますが、EUにおいては、これを二〇三〇年までに達成することを目標としています。有機農地を増やすのは時間掛かりますけれども、この化学農薬の低減は決意すればすぐできるはずなので、我が国も二〇三〇年までに五〇%低減目標にするべきだと私は考えています。
そこで質問ですが、二〇四〇年までにネオニコチノイド系農薬を含む従来の殺虫剤を使用しなくても済むような新規農薬等の開発をするという目標を立てています。これは、そもそも論として、ネオニコ系の農薬について危険性があるという認識を国が持っているからでしょうか。危険性があるならば、二〇四〇年と言わず、もっと早く使用をやめるべきだと思いますが、農水省の御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/112
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113・小川良介
○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。
農薬は、安全が確保されていることが最も重要と考えております。この基本的な考え方の下、食品安全基本法、農薬取締法及び食品衛生法に基づきまして、関係府省と連携してその安全性を確認した上で、製造や定められた方法での使用を認めているところでございます。したがいまして、これらを守って使用する限り、登録された農薬については安全性に問題が生じることはないと考えております。
その上で、御指摘のネオニコチノイド系農薬につきましては、危険性ではなくて、みどりの食料システム戦略に書かれておりますとおり、我が国で使用されている殺虫剤の中で多く使われていることから、化学農薬に関するKPIを設定するに当たり農薬の代表例として例示したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/113
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114・須藤元気
○須藤元気君 そうですね、戦いの基本ですけれども、自分が危険なポジションとか不利なポジションで動きを止めないという戦い方があります。これは何かというと、相手にマウントポジション取られたときに動き止めてしまうと、上から殴られてしまいますし、関節技を決められてしまいます。まあ例えばそれをしのいだとしても、判定になると大体負けてしまうんですよね。ですから、勝つことを目的とすると、必ず不利な立場では動き続けなきゃいけないんです、止まっちゃいけないんです。ですから、このネオニコチノイド系、危険性があると言われたりとかしている中で、僕はいち早く対処するべきだと考えます。
なぜなら、EUは二〇一三年頃からネオニコチノイド系農薬の規制を強化しております。二〇一八年には三種類について屋外での使用を禁止。フランスでは二〇一八年にネオニコチノイド系農薬の使用を全面禁止しました。隣の国韓国は、EUが三種類の屋外での使用禁止を決めた直後に同様の措置をとりましたが、同じアジアの日本でも禁止するべきだと思います。
さて、日本では、二〇一八年に改定された農薬取締法に基づいて、昨年度から農薬の再評価を行っています。昨年十月から十二月でネオニコチノイド系農薬を含む六剤の評価が行われたと聞いておりますが、どのような評価になったのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/114
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115・小川良介
○政府参考人(小川良介君) お答え申し上げます。
御指摘のEU等におけるネオニコチノイド系農薬の規制につきましては、まずEUでございますが、二〇一八年に三種類のネオニコチノイド系農薬につきまして、蜜蜂など蜂へのリスクを理由に温室以外での使用を禁止しました。フランスでは、二〇二〇年に、蜜蜂など花粉媒介者の保護の観点から、全てのネオニコチノイド系農薬の農業使用を禁止しております。また、御指摘のありました韓国では、蜜蜂へのリスク評価に基づき、一部のネオニコチノイド系農薬に、開花期に使用しないなどの注意事項を表示するという取扱いがされていると承知しております。
なお、EUの加盟国単位で見てみますと、ネオニコチノイド系農薬の緊急的な使用が認められておりまして、昨年はフランスを含む十九か国において緊急使用が可能であったと承知しております。
御指摘のございました農薬の再評価でございます。これは、農薬の更なる安全を確保する観点から、最新の科学的知見に基づき安全性を評価する制度でございます。御指摘のネオニコチノイド系農薬のうち、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムにつきましては、昨年十二月までに農薬メーカーから必要な資料の提供を受けてございまして、順次手続を進めているところでございます。
この再評価の結果に基づき、必要に応じ登録内容の変更を行うなど、引き続き農薬の安全性の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/115
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116・須藤元気
○須藤元気君 まだ評価は出ていないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/116
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117・小川良介
○政府参考人(小川良介君) この農薬の再評価制度でございますが、我が国が新しく導入した制度であるということ、それから、再評価に当たりましては農薬使用者への影響評価の充実を図り、また、少なくとも十五年分の公表文献の提出を要求するなど従来の農薬登録よりも多くのデータや文献に基づき、さらに専門家の意見を丁寧に聞きながら安全性を評価することが重要と考えられていることから、現時点ではいつ終了するかを見越すことは困難でございます。
なお、先行的に再評価を実施しているEUにおきましては、再評価に要する期間は標準で三年となっておりますが、例えばネオニコチノイド系農薬の一つでございますアセタミプリドにつきましては、再評価に着手してから登録が更新されるまでにはおよそ四年を要したと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/117
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118・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
危険性があるから多くの国で規制していると思うので、是非その評価が出ましたらしっかりと対応していただきたいと思います。
さて、令和四年二月二十五日の閣議で環境省のグリーン購入法に基づく環境物品等の調達推進に関する基本方針の改正が閣議決定され、初めて省庁内の食堂における有機農産物の使用が配慮事項として追加されました。
これを受けて金子大臣が、農林水産省の食堂においても率先して有機農産物等の使用を進めるとともに、こうした取組を通じまして、有機農産物等の需要の拡大、持続的な農林漁業、食品産業の発展につなげてまいりたいと明言されていますが、その後、明言どおり進んでいる状況でしょうか。また、学校給食に有機農産物をできるだけ取り入れてほしいというお母さん方の運動が全国各地で活発に行われています。今回、グリーン購入法で、配慮事項とはいえ国が有機農産物を指定したことは画期的なことだと考えます。公立の小中高、大学などを含む全国千六百以上の公的機関において有機農産物の導入が進めば、有機農業の拡大へと大きな弾みにつながると思います。
金子大臣の御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/118
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119・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 環境省所管のグリーン購入法に基づきまして、農林水産省といたしましても、調達方針を作成、公表して、その中で、有機農産物等を積極的に使用する食堂を率先して調達するところとしたところであります。
また、食堂ですね、省内の食堂の運営事業者に対しまして協力をお願いして、一部の食堂では有機農産物を使用したメニューを現在提供しているところもあります。
今後、実は地下の大食堂を今やり替えておりますので、この公募要綱に有機農産物の使用について記載して、できるだけそういった有機農物に積極的に利用する業者を一応基準に決めていきたいというふうに考えております。
それから、学校給食につきましては令和三年度の補正予算で対応いたしておるところでございまして、引き続きこれからも、公共部門で、関係省庁とも連携を取りながら、できるだけ有機農産物の利用を進めてまいるように努力していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/119
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120・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございました。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/120
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121・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) まだ指名しておりません。
青山技術総括審議官、もう時間を超過しておりますから、簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/121
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122・青山豊久
○政府参考人(青山豊久君) 先ほど紙委員の質疑の際に、私、種苗法の特例について明確にお答えできず間違ったところがございましたので、訂正させていただきます。
登録料の特例は、六年目まで四分の一に軽減いたしますけれども、七年目以降は軽減いたしません。そういう予定でございます。
失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/122
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123・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後零時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X00920220414/123
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