1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十九日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
進藤金日子君 衛藤 晟一君
五月十八日
辞任 補欠選任
衛藤 晟一君 竹内 功君
五月十九日
辞任 補欠選任
竹内 功君 山下 雄平君
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出席者は左のとおり。
委員長 長谷川 岳君
理 事
酒井 庸行君
藤木 眞也君
山田 俊男君
田名部匡代君
紙 智子君
委 員
小野田紀美君
佐藤 啓君
竹内 功君
野上浩太郎君
野村 哲郎君
宮崎 雅夫君
山下 雄平君
小沼 巧君
郡司 彰君
横沢 高徳君
熊野 正士君
下野 六太君
谷合 正明君
舟山 康江君
梅村みずほ君
須藤 元気君
国務大臣
農林水産大臣 金子原二郎君
副大臣
農林水産副大臣 中村 裕之君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 宮路 拓馬君
農林水産大臣政
務官 下野 六太君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
政府参考人
内閣府地方創生
推進事務局審議
官 三浦 聡君
農林水産省大臣
官房総括審議官 安東 隆君
農林水産省大臣
官房危機管理・
政策立案総括審
議官 前島 明成君
農林水産省大臣
官房サイバーセ
キュリティ・情
報化審議官 信夫 隆生君
農林水産省農産
局長 平形 雄策君
農林水産省畜産
局長 森 健君
農林水産省経営
局長 光吉 一君
農林水産省農村
振興局長 牧元 幸司君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交
流の促進に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/0
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001・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、進藤金日子君が委員を辞任され、その補欠として竹内功君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/1
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002・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/2
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003・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/3
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004・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/4
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005・横沢高徳
○横沢高徳君 皆様、おはようございます。
何と本日、質問の原稿を事務所に忘れてきてしまいまして、皆さんの温かい励ましに今心が温まっているところでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず冒頭、補正予算案についてお伺いをしたいと思います。
先日発表になりました補正予算の中で、農林水産分野に係る項目の内容を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/5
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006・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 原油価格・物価高騰総合緊急対策につきましては、四月の二十八日の閣議において予備費の使用が決定されたところであります。
農林水産関係といたしましては、化学肥料原料の調達の支援に百億円、それから配合飼料の価格高騰対策に四百三十五億円を措置したほか、小麦などの食品原材料の価格高騰対策や国産材への転換の支援、水産加工業の原材料の調達の支援など、合わせまして総額七百五十一億円を措置しております。
今後は、事業者による生産資材の安定的な調達や、食品原材料等の価格高騰による国民生活への影響の緩和などの効果が速やかに発揮されるよう、事業の着実な実施に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/6
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007・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それで、先日、我が党の田名部委員からもありました小麦価格についてちょっとお伺いしたいんですが、その補正予算案にも輸入小麦等食品原材料価格高騰緊急対策事業、百億円ありますが、先日、やはり、岸田総理、四月二十六日に緊急経済対策の会見をして、やはり九月までは今の価格を据え置くということなんですが、これは四月に発表された一七・三%の上がった値段が九月まで行くという認識でいいのか、ちょっとそこをもう一度確認したいんですが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/7
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008・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
横沢委員おっしゃるとおり、政府売渡価格につきましては、年二回、四月、十月に改定しておりまして、今回改定している部分は、昨年までの半年間で購入した価格を平均にして売渡価格を決めているものでございますので、今年半年間に関しては同じ価格で売り渡すという、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/8
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009・横沢高徳
○横沢高徳君 それでは、今回の補正予算案でもその価格は九月まではもう変わらないという認識でいいということで、何かこれ、我が党でも四月八日に緊急経済対策を発表して、小麦の価格高騰等の政策を出しております。
やはり、これまでの報道を見ても、三月にやはりこれから小麦の値段が一七・三%上がりますという報道が各社でも流れて、その後、やはり総理が原油価格・物価高騰等緊急経済対策を決定しましたというところで、九月までの、急騰前の水準に据え置きますということで、やはりみんなは高くなるこの小麦の値段が少し政府が対策してくれるんではないかという認識だと思うんですが、一応、農水省としては一七・三%上昇した分は急騰と認識されているんですかね。それはされていない、今回の値上がり分は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/9
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010・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) 一七・三%というのは、前期が一九%ほど上がりまして、それよりは低いと言いながらもやはり相当上がっているというふうに考えております。
ただ、原油もそうなんですけれど、国際相場が上がるとそのまんまその政府売渡価格が随時改定されるというふうに思われている方も多いと思いますので、先週の田名部先生のお話もそうなんですけれども、半年間、今まで買ってきたもので今後半年間売りますというのは政府の制度としてはあるんですけれども、国民の方が広くそこは理解、周知されているわけではないので、そういったことを総理も御発言されたというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/10
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011・横沢高徳
○横沢高徳君 やはり、今、何ですか、このような発表をされると、これどうしようかな、中村副大臣に聞こうと思います。
これ、やはり皆さん、今回の経済対策で小麦の、入っていて、やはり値段が今いろんな現場で高くなっていると。じゃ、これ何とか手を打ってくれるんじゃないかという期待があるんですけど、これ、ちょっと中村大臣、どうお感じになりますか、この総理の発言に対しては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/11
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012・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 一七・三%値上がりをして、その後、国民の皆様は次々に短期間で値上がりをしていくんではないかという不安があったと思います。そういったところを岸田総理が御説明をされたものと私は理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/12
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013・横沢高徳
○横沢高徳君 やはり、私もこの件に関して地元に行って、やはり岩手も麺文化が多いものですから、冷麺、盛岡冷麺だったりうどん、そば。で、ラーメン屋さん行ったらやはり非常に厳しいと。中小の製粉会社もあるんですね。製粉会社もやはり今回の値上がり、コロナ禍で大変だったところ、ちょうど上向きになったところで値上がりしてきて非常に厳しい、そしてエネルギー価格の高騰でやはり電気代も高騰する、やはりこれは何とかしてくれないと非常に厳しい状況だということなんです。
大臣、学校給食も、やはり給食の量が、子供たちの食べる量が制限されたり、やはりおなかいっぱい食べさせてあげたいじゃないですか、やはり私たちとしては。やはりこの食料、特に小麦の高騰に対しては今後やはり何かしら政府として手を打っていくべきだと考えますが、大臣、もしお答えあったらよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/13
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014・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 恐らく、ずっと、小麦の値上がり盛んにマスコミで報道されていますんで、随時これからずっと上がっていくというふうに捉えているんじゃないかと思うんですよね。
先般決めた金額は半年前の買った金額を平均して決めたわけですから、それが半年間変わらないんですよ、正直言って。次に幾らになるかが問題なんですよ。だから、今のところは前決めた、七万三千円だったですか、あれは。七万三千円の金額がずっと変わらないんだけど、テレビを見ている人は、これがまた来月上がるんじゃない、再来月上がるんじゃないと思っていらっしゃるようですが、正直言ってそれは半年間変わりません。ただ、小麦だけというわけにはいかないんですよ、正直言って。ほかの大豆も上がっているし、みんな対応していかなきゃならない。
それから、こういうシステムが半年に一回ってできていますから、製粉業界と十分な話合いをして、前もって、これは上がりますよということは、それぞれ、製粉、小麦粉を使っている方々たちにはお話が行っているわけなんですから、大体皆さん方、そういった中の了解の上で先般の金額を決めております。ただ、そこが結果的には十分に理解されていないので、総理はそういう意味で、まあ半年間はこのままですよという意味でお話ししたと思いますので、そこは御理解いただきたい。
これから、じゃ、次はどうなるかということについては、また今後の対策で考えざるを得ないということになるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/14
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015・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
そうですね、やはり半年間はこのままなんですが、この世界情勢の中、下がる方向性ではないようなやはり世界情勢、小麦も始めて、食料なので、是非そこは皆さんの生活の実態を踏まえてこれから価格の安定に努めていただきたいというふうに御要望を申し上げて、法案の質疑に入りたいと思います。
それでは、まず今後の確保すべき、育成すべき農業者像についてお伺いをいたします。
本法律案において、効率的かつ安定的な農業経営とは別に、確保、育成する対象として農業を担う者が位置付けられていることとなっていますが、農業を担う者とは多様な経営体全般を指すのか、あるいは、農地を将来的にわたって持続的に利用すると見込まれる場合として一定のこの要件を課していく方向なのか、どのようなイメージなのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/15
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016・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今後、高齢化、人口減少が本格化して、地域の農地が適切に使われなくなることが懸念されております。このため、農地が利用されるよう、地域の農業を担う人材を幅広く確保、育成することが重要と考えております。
このため、今回の改正法案におきましては、都道府県の基本方針あるいは市町村の基本構想におきまして、農業を担う者の確保、育成に関する事項を定めることなどとしております。
この中には、担い手と、いわゆる担い手と、その他の多様な経営体を含む農業経営を営む者、そして雇用されて農業に従事する者、新たに農業を始めようとする者、農作業の受託サービスを提供する者など、特に要件を設けることなく、農産物の生産活動等に直接関わっている者が幅広く該当するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/16
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017・横沢高徳
○横沢高徳君 特に要件を設けないということ、幅広くということですね。理解しました。ありがとうございます。
続いて、集約化の現状の把握や効果の分析についてお伺いをいたします。
令和元年、機構法五年後見直し法案に対し、衆参の農林水産委員会は附帯決議で、施行直後より、農地及び農業経営をめぐる多様な状況、農地の集積、集約化によるコストの低減効果等について、常時、きめ細かく把握し、分析することを政府に要請しております。これに対して、政府は、至急研究しなければいけないというふうに答弁を行っております。
農地の集積、集約化によるコスト低減の効果の把握状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/17
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018・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
農地の集積、集約化につきましては、地域によって地形や水利などの自然条件が異なり、営農類型や圃場整備の状況などの経済条件も異なるため、最適な農地の集積、集約化の在り方ですが、それだけではなくて、その効果も様々であると考えます。
一般的に見ますと、令和二年度に行った調査によれば、米の作付け規模別に生産コストを見ますと、〇・五ヘクタール未満の層に比べて三ヘクタールから五ヘクタールの層では半減しており、農地の集積についても生産コストの削減に寄与しているものと考えております。
また、集約化についてでございますけれども、これにつきましても、地域における状況は異なるので一律にお示しすることは困難でございますけれども、令和二年度に行いました調査において、秋田県の北秋田市では地区の平均団地面積が五倍となって、一部の担い手の農地につきまして分散した百ヘクタールの水田を二団地に集約化したことによりまして、担い手の生産コストが二四%削減をされた事例がございます。また、滋賀県の彦根市におきましては、地区の平均団地面積が五倍となりまして、一部の担い手の農地につきまして、分散した二十五ヘクタールの水田を一団地に集約化したことによりまして、担い手の生産コストが一一%削減された事例などを把握をしたところでございます。
今回の基盤法等の改正法案におきましては、地域の話合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を目標地図として明確化をいたしまして、それを実現すべく、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくという新しい仕組みを設けることとしております。このため、今後、地域計画の策定を基礎とした農地の集約化等の取組状況とその効果を評価、検証してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/18
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019・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは次に、目標地図の在り方及び定期的な見直しについてお伺いをいたします。
本法律案においては、目標地図に農業を担う者ごとに利用する農業用地を定めることとしています。農業者の減少、高齢化が進展している地域や担い手が十分でない地域においては、一定の農地については十年後に農地を利用する具体的農業者を特定できない、結構こういう場所は多いと思うんですけれども、このような場合、目標地図をどのように定めることを今のところ想定しているのか、イメージしているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/19
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020・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今後、高齢化、人口減少が本格化していく中で、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念される、そういった状況に対して、地域の内外から受け手候補を広く探すことが重要と考えています。
このため、農業委員会等がタブレットなどで収集した農地の出し手、受け手情報などを全国で共有するためのデータベースを整備すること、農地バンクについて、現地コーディネーターを増員いたしまして、地域外の受け手候補の情報などを農業委員会に提供することなどによりまして、農地の受け手を見付けやすくして、目標地図の作成が進みやすくなるようにしたいと考えております。
その上で、農地の受け手が見付からない場合もございます。当面、例えば多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金の活動組織ですとか、JAなどのサービス事業体、こういったところによります農作業受託を活用するといった取組も推進してまいりたいと考えています。
また、目標地図の作成時におきまして受け手が直ちに見付からないなど最終的な合意が得られなかった農地につきましては、地図の作成後も随時調整しながら、その調整結果を目標地図に反映できることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/20
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021・横沢高徳
○横沢高徳君 じゃ、受け手が見付からない場合は必ずしもその目標地図に載せなくてもいいという判断、認識でよろしいんでしょうか。そこら辺、ちょっと答弁求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/21
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022・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 答弁求めますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/22
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023・横沢高徳
○横沢高徳君 はい、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/23
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024・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えをいたします。
直ちに見付からないケースというのがございます。それにつきましては、引き続き調整をしていかないといけない状況でございますので、直ちに、地図を作ったときに全てのピースにつきまして受け手が書かれていないといけないということではなくて、調整が付かなかったところにつきましては、引き続き調整を行いながら、随時それを反映していくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/24
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025・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
そして、関連して、地域計画については、情勢の推移により必要が生じたときは地域計画を変更するものとするとされています。地域計画の前提となる農業者等による協議の場についても、定期的に、又は時宜に応じて設置されることとしています。先日の本委員会でも、おおむね五年ごと、十年後見越してどうするか見直しの検討という答弁もございました。
地域計画策定後、情勢の推移により必要が生じたときとは具体的な例としてどのような場合を考えているのか、また、あと、それはどこが判断するのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/25
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026・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
改正後の農業経営基盤強化促進法第十九条の第五項におきまして、同意市町村は、情勢の推移により必要が生じたときは地域計画を変更するものとすると規定をしております。このように規定をしておりまして、情勢の推移により変更が必要かどうかというのは市町村によって判断されることとなります。
具体的な話といたしましては、例えば、地図の作成後に受け手が見付からなかった農地で例えば新規就農者が新たに農業を行うケースですとか、あるいは新たに有機農業や輸出など産地づくりに取り組もうとして新たな利用調整を行いたいといったようなケースもございまして、市町村はこのような情勢の推移に応じて随時地域計画を変更できることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/26
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027・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは、次に下限面積撤廃についてお伺いをいたしたいと思います。
農地法三条の下限面積の撤廃について、農地法三条、他の要件、地域計画の運用に当たって、農地取得、利用のルールを示す準備はあるのでしょうか。あるとすれば、どのようなことを検討しているのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/27
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028・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
現行の農地法では、農地取得のための下限面積につきまして、都府県で五十アール、北海道で二ヘクタールと定められています。基盤法等の今回の改正法案におきましては、高齢化などが進展していく中で、農業への新規参入者の増加などによって農地が適切に利用されるよう、今回、下限面積要件を廃止することとしております。
一方、下限面積要件以外の、農地の全てを効率的に利用して耕作を行うこと、必要な農作業に常時従事すること、周辺の農地利用に支障がないことといった要件は引き続き満たす必要があり、これにより適切な営農の確保を図ることとしております。農業委員会によりますこれらの要件の審査は、農林水産省が作成しております農地法関係事務に係る処理基準に基づきまして、具体的な内容などもお示しをしているところでございます。
今回の下限面積要件の廃止に伴い新たなルールを国として示すことは考えておりませんが、今後とも許可事務が適切に行われるよう、本制度の趣旨、あるいは先ほど申し上げた通知などの周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/28
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029・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
続いては、政府の支援について伺います。
実効性のある地域計画を策定するためには、市町村、農業委員会の体制強化が早急に求められると考えます。先日の参考人のお三方も、口をそろえて、やはり人的、予算的支援が必要だとお話をされておりました。
人員拡充を含め、政府はどのような支援策を講じるつもりなのか、具体的に検討されているのであればお答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/29
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030・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 答弁者、どなたでしょうか。
金子農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/30
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031・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 基盤法等の改正案におきまして、市町村が地域の話合いに基づき目標地図を含めた地域計画を作成することとしていますが、目標地図の素案につきましては農業委員会が作成することといたしております。
このため、地域の話合いや地域計画の策定が円滑に進められるよう、市町村や農業委員会の事務負担の軽減を図ることが必要と考えており、国としても強力に後押ししていく考えです。
具体的には、令和四年度予算におきまして、市町村につきましては、地域での話合いを円滑に進めるための専門人材によるサポートや農政に精通した意欲のある市町村や農協などのOBを活用するための支援を行い、農業委員会につきましては、農業委員会交付金で基礎的経費への支援を行うとともに、農地利用最適交付金によりまして農業委員会の農地集積等の最適活動を支援していくこととしております。この農地利用最適化交付金につきましては、現場で使い勝手が良くなるよう、令和四年度予算において、委員報酬に加えて、新たに事務費にも活用できるよう見直しを行い、この中で臨時職員の配置等を支援することといたしております。
また、協議の進め方や地域計画の策定方法をマニュアルにしてお示しするとともに、各地地方農政局、各地農政局におけるサポートの窓口設置や優良事例の紹介を行うなど、市町村や農業委員会の事務負担の軽減に取り組む考えであります。
農業委員会というのは、御承知のとおり、メンバーというのは大体お年を召した方が非常に多いし、事務的というとなかなか難しいところもあると思うんですよ。したがって、市町村とか県の事務局が今までは強力にお手伝いをしてきている。だから、そこの中身をやっぱり拡充していかないと、なかなか、素案地図を作るとしても、したがって、農業委員会の事務局のメンバーの充実をやっていかないとなかなか難しいと思っております。
また、計画ができた後に、今後はどういったものをつくっていくかというと、相当なコーディネーターが、やっぱり全体的な物づくりを分かっている人じゃないと難しいと思いますので、そういったメンバーをどのようにして補充していくかということについて我々がどういうお手伝いをするかということが一つのこれからの大きな課題かというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/31
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032・横沢高徳
○横沢高徳君 大臣、ありがとうございます。
私の先輩も地元で市町村職員で農業委員会担当なんですが、これは大変だと言っていましたので、是非、国の、政府の強力な後押しをよろしくお願いいたします。
それでは、基盤法、最後の質問ですけど、市町村による勧告の判断基準についてちょっと御確認したいんですが、本法律案において、市町村は、地域計画区域内の農用地の効率的かつ総合的な利用を図るため、必要があると認めるときは、所有者等に対し、機構への利用権の設定等に関し機構と協議すべきことを勧告するものとしています。
機構への利用権の設定等について必要があると認めるときの判断基準はどのようなものを想定されているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/32
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033・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の基盤法等の改正法案におきましては、地域の話合いによりまして目指すべき将来の農地利用の姿を明確化し、それを実現すべく、農地バンクを活用した農地の集約化等を進めていくこととしています。このため、農業委員会は地域計画の達成に向けて農地バンクへの貸付け等を積極的に促進し、農地バンクは所有者等に対して農地中間管理権の取得などに関する協議を積極的に申し入れるということで、農業委員会と農地バンクが働きかけを行うというふうにしているところでございます。
このような働きかけを通じて地域で話合いが行われました結果、一定の範囲の農用地について、例えば、まとまって有機農業に取り組みたい、まとまって農家負担がない基盤整備に取り組みたいなどとしているケースにおきまして、農地バンクへの利用権の設定等に御賛同がいただけないような場合があるときに、全体の取組に支障が生じかねないということであれば、所有者等に対して市町村が農地バンクと話をすべきということを勧告するというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/33
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034・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
続いて、活性化法についてお伺いします。
まず、農地の保全等に関する事業の具体例として、放牧、鳥獣緩衝帯、林地化を挙げています。具体的に、放牧以外にどのような事業が追加されるのか、ここをちょっと確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/34
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035・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この今回の農山漁村活性化法の改正によりまして新たに位置付けます農用地保全事業でございますけれども、これにつきましては、人口減少、高齢化、また農業従事者の減少といったような状況に鑑みまして、粗放的な農地利用、あるいはより省力的で簡易な方法によります保全の取組ということを想定をしているところでございまして、具体的には、放牧のほかには、景観作物の植付けでございますとか、あるいは緑肥作物の植付け、ビオトープの設置、こういったものを想定をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/35
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036・横沢高徳
○横沢高徳君 例えば、前、新聞、報道で見たんですが、この鳥獣緩衝帯、例えばグリーンツーリズムで林道を整備して、マウンテンバイク、観光と一緒にマウンテンバイクを走らせる、そうすると鳥獣被害もかなり減って良くなったという例もあるんですが、一例として、そのような緩衝帯としてのグリーンツーリズムの利用というのは可能になるんですかね、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/36
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037・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
今委員から御指摘いただきましたように、やはり、特に中山間地域におきましては鳥獣害の被害というのはこれ大変大きな問題になっておりますので、それを防止するためにこの鳥獣の緩衝帯みたいなものをつくる、具体的には、草を刈ってやると、鹿やイノシシは見通しがいいところにはなかなか出てこないということもございますので、そういう緩衝帯をつくるということも今回のこの保全事業の中で想定をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/37
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038・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは、その農地利用が難しい土地に対する基本方針、基本的な考え方についてちょっとお伺いをしていきたいと思います。
検討会の取りまとめでは、土地利用について、農地として利用することを基本としつつ、農地として利用することが難しい場合は、一番、放牧等ということですね、二番が鳥獣緩衝帯等、そして三番は計画的な林地化という方向性が示されております。
農用地の保全等に関する事業に関しても、政策的な努力を払うことなく林地化することがないよう、一から三への段階的な土地利用の方向性を基本的方針で示す必要があると考えますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/38
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039・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この今般の農山漁村活性化法の改正では、農業上の利用が難しく、また荒廃化のおそれのある農地につきまして、御指摘いただきましたように、放牧など極力農地として保全する取組を推進をいたしまして荒廃化による農地の減少を食い止めますというのが基本でございますけれども、一方、この林地化につきましては、山際など条件の悪い農地について、農地として維持することが極めて困難である場合などに限りまして計画的に行うこととしているところでございます。
優良農地を守りということがまず基本でございますので、むやみに林地化が行われることがないよう、こういった考え方につきましては今後策定をされます基本方針等において明記をいたしまして、地域においてその適切な運用が図られるよう周知徹底を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/39
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040・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは、活性化計画の把握、国の把握について伺います。
現行法は、活性化計画の公表について定めているものの、国に対して報告する規定は設けられておりません。活性化計画による事例を横展開していくためにも、農林漁業団体等による提案制度を活用した活性化計画が、国が把握する必要があると考えますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/40
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041・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) 御指摘いただきましたように、そういったことを国としてしっかり把握をするということが大変重要かというふうに考えているところでございます。したがいまして、今般のこの改正に伴います農山漁村活性化法の改正につきまして地方自治体に説明をするのと併せまして、しっかりそういった状況を調査をして把握をしていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/41
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042・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
続いて、林地化する区域の取扱いについて伺います。
林地化する区域が所有権移転等促進計画の対象となることが想定されますが、その場合、活性化事業の全体像はどのようなケースが想定されるのでしょうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/42
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043・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この活性化計画の全体像ということでございますけれども、この活性化事業を行う場合には、まず、この地域の話合いに基づきまして、農地の集約化等を定めるエリア、進めるエリアと、この農用地保全事業によりまして保全を進めるエリア、これを明確にいたしまして、この保全を進めるエリアのうち、農地として維持することが困難な山際などの条件の悪い農地等を林地化するということも考えられるところでございます。
そして、林地化をする場合にはやはりかなりの面積でその植林とかをする必要があるわけでございますので、そのために、この所有権移転等促進計画を活用いたしまして、こういったその個別の契約による権利の移転設定に代えて、土地の所有者等の同意を得た上で、計画の公告により、もう一括して権利関係が整理をされるということも活用されるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/43
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044・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは、最後の質問になりますが、市民農園法特例措置の把握についてお伺いいたします。
活性化計画の作成市町村が市民農園法の特例を講じたかについて、国に対して報告義務がありません。このため、農林水産省は、市民農園法の特例が講じられた事例を網羅的に把握することが難しいとしております。同特例による効果を検証するためにも、農林水産省が特例措置を講じた市町村を把握する必要性があると考えますが、この点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/44
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045・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この市民農園法の特例につきましては、この活性化計画に農林漁業団体等が実施する市民農園の整備事業を記載した場合におきまして、当該農林漁業団体等が行う市民農園整備促進法に基づく手続の簡略化を図ると、これによりましてこの事務負担の軽減を図っているというものでございます。
今般、この農山漁村活性化法の改正につきまして、もしこれがお認めいただければ地方自治体等に説明することになりますけれども、その際に、あわせまして、この市民農園整備促進法の特例につきましても周知を図りますとともに、毎年、実はこの市民農園の開設状況調査というものをやっているわけでございますけれども、その調査の中で本特例措置の活用実績についてもしっかり調査をしていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/45
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046・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/46
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047・横沢高徳
○横沢高徳君 はい。
原稿が無事届きました。御協力ありがとうございました。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/47
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048・小沼巧
○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。よろしくお願いいたします。
法案の前に、ちょっと昨日今日のことでございまして恐縮でございますが、気になることがありますので一つお伺いさせていただければと思います。
酒井先生の前で愛知の話をすることも大変恐縮なんでございますけれども、愛知県の中で明治用水の漏水の事件が昨日今日というところでなっておりまして、工業のみならず農林水産業にも影響が多々及んでいるということが報道でなされてございました。この原因と現状について、昨日今日の話でございますので今分かっている範囲で構いませんから、御説明、御解説をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/48
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049・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
御指摘いただきましたように、現在、この愛知県矢作川の明治用水頭首工におきまして漏水が発生をいたしまして、農業用水、工業用水の取水が困難となっているというような状況でございます。原因につきましては、現在調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/49
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050・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
原因について調査中でということであるんですが、もう一つ、報道の中で一つあるのが、工業用のものについても工場の稼働停止ということになっているわけでありますけれども、田んぼに向けて水の利用というのもできなくなっていてということでございました。報道によると、どうやら、この用水施設ですけれども、工業関係に優先して水を配分しておいて、農林水産関係には優先順位を下げている、工業の方を優先しているというような運営になっていたから、農業についてはもう全然、田んぼ、水が張れない、工業については何とか一部稼働にすることにとどまっているというふうになっていますけれども、こういうことの現状は事実確認として一体どうなっているのか、優先順位について、農業が正直ないがしろにされているのではないかと見られてもしようがないと思うのがあるんですが、この事実関係についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/50
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051・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答え申し上げます。
現在供給が停止をしております農業用水及び工業用水につきましては、現場に応急ポンプを設置する作業を進めておりまして、順次通水再開ができるように対応しているところでございます。現時点では、工業用水の通水再開が農業用水よりも早くなる見込みというふうに承知をしているところでございます。
なお、この頭首工からは工業用水、農業用水、それぞれ取水をされているわけでございますけれども、工業用水の方の利水事業者につきましては愛知県企業庁でございます。また、農業用水につきましては明治用水土地改良区が利水事業者になっているところでございまして、いずれにしろ、利水事業者間で的確な調整が図られるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/51
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052・小沼巧
○小沼巧君 国と企業局と東海農政局と土地改良区という中で様々なアクターがあるわけですけれども、この一件を踏まえてですよ、工業の方を優先して農業の方を優先しないというような判断を下した者、主語というのは一体誰なんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/52
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053・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
今、現場で応急ポンプの設置等の作業を行っているところでございます。その中で、どちらの用水を、用水の通水を早くするかということは、まさにこれは現場の判断だというふうに思っておりまして、そちらについて、どちらを優先して再開するかということにつきましては、利水事業者間で調整をされた結果というふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/53
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054・小沼巧
○小沼巧君 現状、農業用水止めて工業の方に回しているというような現状があるわけですね。
じゃ、聞き方をもう一回変えましょうか。
制度として、この農業用水止めて工業の方を優先するということを判断、決定できる制度上の責任者というのは一体誰になるんでしょう。これは、いろいろ事業者があると思うんですが、この主体ということなのか、それともみんな平等で多数決というような仕組みになっているのか。この制度についてはどうなっているのかということについて御解説をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/54
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055・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この明治用水頭首工でございますけれども、これは、まず農林水産省と愛知県企業庁による共同事業によって設置をされた堰ということでございます。そして、この運営につきましては、明治用水土地改良区にそれぞれから委託を受けているというような権利関係になっているものでございます。そして、利水事業者につきましては、先ほど御説明をいたしましたように、工業用水、そして水道用水につきましては愛知県の企業庁でございまして、農業用水につきましては明治用水土地改良区ということになっているところでございます。
したがいまして、そのどちらを優先するかということを決めることにつきましては、利水事業者間で調整がなされるというふうにお答えをしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/55
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056・小沼巧
○小沼巧君 じゃ、土地改良区と企業局の意思決定に関する比重、重み付けというのは同一であって、その二者関係で結局、土地改良区が主導して、主導という言い方はあれですけれども、土地改良区の方が優先すべきであろうというのが、考えるのが妥当であろう農業用水を止めるという判断に至ったということと理解していいのか。もし、事実関係として間違っていたら御指摘いただきたいんですけれども、そのような理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/56
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057・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
そのどちらを優先するということについて、何か規定があるというものではないところでございます。したがいまして、現場におきまして、どちらの用水の通水を優先するかということがより緊急性が高いかということを基に利水事業者間で調整がされたというふうに承知をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/57
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058・小沼巧
○小沼巧君 現場において、ああ、じゃ、なるほど、ルールがなかったんですね。
ルールがなくて、ルールがない状況で現場で判断だという話なんですけど、じゃ、土地改良区って、この委員会でも議論がなされましたけど、基本的には農地を持っている人たち、地権者の全員同意という合意が前提としてありましたけど、まあ原則変わっているというのはいろいろありますわ。それはさておき、そういった農業地、農業地の保全とか維持を、管理をするということよりも、現場の土地改良事業者たちと企業局の間では工業用水の方を優先しなければならないという調整が現場で行われたのであって、制度上、どっちを優先する、しないかということの判断は農水省なり農政局もタッチできないということになっているという理解をせざるを得ないんですけれども、その理解で合っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/58
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059・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
どの用水を優先するかということにつきまして何か制度上は規定があるわけではないということは、お答え申し上げたとおりでございます。
その上で、これは今、現場の状況で何を優先するかということで、これは当然、まずは生活用水たる上水というか、生活用水をまず供給すべきであろうということはまず言えるかと思います。そこにつきましては、愛知県企業庁が中心になって調整をされて、他の水源からの水の確保等によって現在、水道用水については供給されているというふうに承知をしているところでございます。
そして、工業用水と農業用水が現在止まっているというような状況でございますけれども、これをどのような形で再開するのかということにつきましては、それぞれの用水につきまして、当然利水者がいるわけでございます。その利水者の緊急の度合い、例えば一部報道では、工業用水につきましては、一部の工場が既に操業ができないような状況になっているというような報道もあるところでございますし、また農業につきましては、確かに今、田植の時期ということでございますのでもちろん必要性はいろいろと高いかと思いますけれども、そういった現場の必要性なりをそれぞれの土地改良区と愛知県企業庁において協議をされて、どちらを通水を再開するのを優先するかということを判断された結果というふうに承知をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/59
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060・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
なかなか、時間も含めてらちが明かないんで、ちょっと所管について聞いてみたいと思うんですが、制度上、口を農水省として出せないということは分かりました。それはそれで問題だと思うんですけれども、農業用水を完全に止めて工業用水の方を優先しているという判断が現場においてなされているということなんですけれども、これは農水省としてどのように受け止めるかということを聞きたいんですね。土地改良法の話もありましたし、担い手の話とか話合いをやるとかということもどんどんやっているんですけれども、農水省としてはこの状況について、要は農業よりも工業が優先されちゃっているわけですよ。農水省としての受け止めというのは一体どういうことになっているのか。
急な質問で、しまって恐縮なんですけれども、現時点で考えていることについての受け止めを、御答弁、どなたからでも構いませんので、いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/60
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061・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 答弁、どなた。
牧元農村振興局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/61
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062・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
受け止めということでございますけれども、私ども農林水産省としては、もちろんこの農業用水の一日も早い再開というものを強く求めているところでございますけれども、しかしながら、この頭首工からは、先ほど申し上げましたように、水道用水、工業用水、農業用水、それぞれが取水をされているというような状況でございます。そのような中でどれを優先して再開をするのかということにつきましては、現場現場の御事情があろうかというふうに思いますので、そこはそれを尊重したいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/62
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063・小沼巧
○小沼巧君 ちょっと大臣にも答弁を求めてみたいと思うんですが、そういう考え方で農水省としてよいのかということはよくよく考えなきゃいかぬと思うんですよ。初めから法律とかで、現場の話合いとかと言いますけれども、今の話、局長からの答弁だけだと、別に、農業の関係とかよりも別のことの方が大事なんだよねと、現場で合意された、それはもうそれが許されるということになっちゃうわけじゃないですか。それは農水省として、態度としていいのかということは本当に考えなきゃいけない問題だと思いますし、ただ、一部分かるのは、やっぱり役所として答えるということもいろんな所管とか役割分担とかありますのでなかなか難しいところだと思うんですよね。だからこそ、大臣始めとした政治家のリーダーシップというのは本当に必要なんじゃないかと思うわけであります。
改めて、今の局長の答弁だけでは、農水省の態度としては、政治の態度としては不十分だと思うんですけれども、大臣から改めて御認識、受け止めをお願いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/63
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064・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 今局長から御答弁がありましたように、お互い、水道、それから工業用、農水でずっと長年やってきているわけなんですよね。そういった中で突然こういった事態が起こってしまったというんで、まずは、やっぱりそれは現場で緊急的にどこをどう対応するかということを決めざるを得ないと思うんですよ。
それを、農業、うちが優先して、うちをやりなさいということを本省から言ったりすると、現場が混乱するということになると思いますよ。だから、我々は我々の農業者を守る立場からの主張をしていかなきゃいけないけども、まず第一に考えることは、現場でどう判断するかということは大変大事なことです。
私も今日ちょっと朝報告を聞きましたので、私ども、誰か行く必要があるかな、現在の状況の中でどう判断するかなというお話合いしまして、まず現場に任せて、現場の中で準備をして、農業用水についても速やかに対応できるように手配はして、ポンプの手配もしておりますということでございますので、余りどこだどこだということを言うよりも、一緒になって、何十年と一緒にやってきたわけですから、やっぱり現場の判断に任せながら我々もどう農業用水を守っていくかということを考えざるを得ないというふうに私は思いますけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/64
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065・小沼巧
○小沼巧君 現状は分かりました。現場の判断が大事だということは当然のことながら思うところで、私も共感ですよ、現場の判断が大事だというのは。
ただ、それで、最初に農業用水を止めてしまったということが現場で行われたということは、その判断の裏にある、どっちを優先するのか、現場で、工業なのか農業なのかということだと思うので、それでいいのかというのは、真面目な、本当に考えなけりゃ、変えていかなきゃならぬことだと思いますが、ちょっと時間も、済みません、もう十分ぐらい過ぎちゃったところでございますので、法案の審議に入ってまいりたいと思いますが、その点については引き続き指摘させていただきたいと思います。
法案についてでありますけれども、具体の条文入る前に、ちょっと閣内のところでどうなっているのかなというところで気になるところがあるんでお伺いなんですが、今回の法律案、どちらも計画を自治体とかに作らせるという話になっているわけであります。他方で、内閣府が、地方分権との関係で、行政計画というのを基本的に削減していきましょうということの発表を行って、どうやら骨太の方針にも掲載されるというところになっているということでございます。
法律では新しい計画を作れと言っておきながら、内閣府においては行政計画少なくしろと言っている。矛盾に感じるわけでありますけれども、この辺の整合性というのは今政府の中でどうなっているのか、この点について考え方をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/65
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066・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) お答え申し上げます。
昨年十二月に閣議決定をされました令和三年の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、政策上実質的な役割を認められない等の観点から見直すべき計画策定について地方からの提案を重点的に募集するとともに、農林水産省においても、地方の自主性及び自立性を高める観点からの見直しを検討するよう内閣府から依頼を受けているところであります。
一方、今後、高齢化、人口減少が本格化し、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念される中、農地が利用されやすくなるよう農地の集約化等に向けた取組を加速化することは待ったなしの課題であります。
その上で、農業経営基盤強化促進法等の改正法案では、市町村が農業者等により話合い、農業者等による話合いを踏まえて、将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を策定することとしており、農山漁村活性化法の改正法案では、粗放的な利用等を行う農地について、放牧や鳥獣緩衝帯など計画的な土地利用を推進する場合には、農地の保全等に関する事業を位置付けた活性化計画を策定することとしているところであります。
このように、両法案共にこの先送りできない課題に対応するものでありまして、内閣府からの要請にかかわらず、地方の自主性及び自立性に配慮しながら取り組んでいただく内容となっているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/66
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067・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。これについては本当に待ったなしという課題なので、内閣府が幾ら何か言ってこようともやるべきことはやるということは農水省の立場だと思いますから、それについては理解をするところでございます。
その上でなんですけど、これは結局、先ほど来の質疑でもありますが、市町村が物すごく、計画作るなりなんなりということで大変になっちゃうということであります。二つ計画を作らなきゃいけないという話ですし、地域計画においては専ら義務でありますから、必ず作り直さなきゃいけないということになっているわけでありますが、やっぱりやるに当たっても、市町村、まあさっきの話で、流れでいうと、現場にお任せということになり過ぎるのもいかがなものかなと考えますからこそ、何らか、この地域計画と活性化計画、それぞれのデマケであるとか、考える、協議をしていくに当たっての視点なり判断基準などのガイドラインになるようなものを示していく。なければ、笛吹けど踊らずになると思うんです。
この点の必要性についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/67
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068・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 改正法案の基盤法に基づく協議の場と活性化法に基づく協議会は、いずれも地域の計画的な土地利用の在り方について関係者が協議を行うために設けられるものであります。
このため、将来の農業の在り方について話し合っていただく協議の場については、活性化法に基づく協議会を兼ねるものとして一体的に開催をしていただくことで地域の農地の活用方法についての合意形成がより円滑に図られるものと考えています。
国といたしましては、小沼先生御指摘のとおり、協議の進め方や地域計画の策定方法をガイドラインにしてお示しをしていこうと思います。両法案に基づく関係者の協議やその後の取組について現場で一体的に推進していただけるように、農林水産省として強力に後押しをしてまいる所存です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/68
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069・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
これは、先日のところで、酒井先生からの質問あったところでありますが、全国市長会が相当な懸念を出したということでございまして、二月の、令和四年の二月の九日に緊急声明が出されて、三月の八日に大臣は記者会見でこうおっしゃっていました。当省の考え方等を理解して、説明して理解を得たところであり、引き続き現場に丁寧に説明を行ってまいりたいということでございました。
三月の二十二日になると、全国市長会は、地域の実情に応じた対応を要望するとかということに経緯としていろいろ変わっておりますけれども、農水省として、この全国市長会の懸念に対していかなる説明をし、理解を得たと考えておられるのか、この点についての御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/69
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070・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 先生のお話にありましたとおり、今回の人と農地の関連施策の見直しについて法案の検討を行っている段階で、二月九日に全国市長会から地域計画の策定等について御意見をいただいたところでありました。その後、農林水産省において法案の具体化を進め、全国市長会に実際の具体的な法案の内容や考え方等について情報提供を行ったところであります。その上で、三月二十二日に新たに出された御意見では、今回の基盤法等の改正法案について、地域計画の策定を始め新たな事務の義務付けがなされることなどから、その具体化に当たって、地域の実情に応じた対応等、運用上の御要望をいただいたものというふうに理解をしています。
本法案につきましては、地域の話合いにより目指すべき将来の農地利用の姿を明確化していただくこととしていること、そして、地域計画の策定についても、周知期間と合わせて三年程度の作成期間を設定していること、地域計画について、市町村が策定後においても必要に応じて変更できることとしていることなど、地域の実情にも配慮しながら農地の集約化等を進めていくことを説明をしているところであります。
また、支援措置につきましても、農地バンクと連携した農家負担ゼロの基盤整備事業ですとか、地域でまとまった農地を農地バンクに貸し付けた際の地域集積協力金の交付ですとか、既存の農業関係の協議会等を活用した話合いによる現場の負担の軽減など、こういったことを通じて、国としても地方の取組をしっかり後押ししていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/70
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071・小沼巧
○小沼巧君 地方の取組をしっかり、現場の負担を軽減ということなんですが、最初に内閣府との関係で申し上げたところもあるんですけれども、いわゆる行革の流れの中で、市町村の農林水産業を頑張る人たちの現場というのは相当痛め付けられてきてしまっているのではないだろうかということは問題意識としてあります。
政府参考人に、事実確認なんで聞きたいんですが、自治体の農林関係職員の数、これの推移及び農業委員会の事務局の推移、十年とか何年とか切りのいいところで構いませんので、この数字についてお答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/71
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072・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
平成十八年、十五年前でございますけれども、それと令和三年度を比較、十五年間で比較いたしますと、市町村の農林水産分野に関わる職員数につきましては三万七千三百七十九人から三万五人に、そして農業委員会の事務局職員数につきましては八千百二十四人から八千五十七人になっていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/72
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073・小沼巧
○小沼巧君 市町村でいうと七千人も減っちゃったと。なるほど、なかなかな減り具合でありますね、市町村の数は減っていないのに七千人減っちゃうというのは。それだけ、農業が幾ら大事だといろんな人が幾ら言おうとも、現実問題として携われる担い手がいなければ、市町村とかに、まさに口だけになってしまうということでございますので、この点、本当に現場が大事だ、支援大事だということを言うんであればこそ、ちゃんとやっていかなければいけないところだと思います。
先日の参考人質疑なんかでも、この協議の場とか話合いについて、相当辛辣な意見も出されたところでございました。また、いろんな報道なんかも見ましても、やっぱり高齢化、人口減少って何十年も前から言われていますけれども、集落が機能不全に陥って話合いの足場自体がなくなっているんだであるとか、多くの地域で担い手がいない、不足しているという実態もある中で、いや、そもそも話合いなんて必要なの、何で集まるのというような疑問の声も聞かれるでありますとか、あとは直近の二年間はコロナ禍でありましたから、やっぱり何かしら座談会とか説明会を開くこと自体も難しくなっているというのが日本全国の農林水産漁村の現状であるということは共通認識かと思うんですね。その上で、こんな協議の場を設けることすらも難しい自治体がやっぱりあるというところ、この現状認識として、現状認識はどういったものになっているのか。
あとは、様々な、OBとかの支援策とかもろもろ言いましたけど、それで本当に十分、必要十分と言えるのかというところ。特に、必要十分と言えるのかということは正直私まだ疑いを持っておりますから、そこの点についての御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/73
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074・光吉一
○政府参考人(光吉一君) 今回、市町村に地域計画を策定していただいて、それで、そのうちの目標地図につきましては農業委員会が素案を作成するというふうにしております。それに対して、先ほど申し上げたように、現場での市町村の農林水産部門の職員の方、あるいは農業委員会の事務局の体制、こういったものについてしっかり対応できるようにしていかなきゃいけないところですが、先ほどのような数字というのがあるのは事実でございます。
このため、今回地域の話合いや地域計画の策定が円滑に進められるよう、市町村や農業委員会のこの事務負担を軽減を図ることが必要というふうに考えております。この上では、先ほど委員から御指摘があったようなガイドライン、マニュアルを作って現場で取り組んでいただきやすくするということがまず前提としてあると思います。
その上で、例えば農業委員会が目標地図の素案を作成するに当たりまして、聞き取りなどで把握をした農地の出し手、受け手の意向などの情報をタブレットに入力をして、それをインターネット上の農地地図情報に反映させることで省力化を図るということですとか、また、予算面では、市町村に対して、地域での話合いを円滑に進めるための専門人材によるサポート、あるいは農政に精通した意欲ある市町村や農協などのOBを活用するための支援を行ったり、農業委員会については、農業委員会交付金で基礎的経費への支援を行うとともに、農地利用最適化交付金により農地集積などの最適化活動を支援することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/74
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075・小沼巧
○小沼巧君 小手先の支援に終わっちゃいかぬと思うんですね。予算を出すということは分かるんですけれども、その予算を受け取ってどう使うか、どういうことをやるかというところまで思い至らなかったら、まさにコロナの予備費とかでも何でもそうでしたけれども、金だけ積んでおいて必要なところに行かなくて無駄金になっちゃうということになっちゃうわけでありました。
予算は国から出されるんですけれども、じゃ専門人材って言いますけれども、現場では、じゃ誰に来てもらうのと、人物選定とか、何をどうやって話し合ってもらうのという具体の中身であるとかということも含めて、予算があっても追加の業務というのも発生することは容易に想定されますし、それもやれる人間、マンパワーもないから、結局はどこかのコンサルに丸投げしちゃってみたいなところはどんどんどんどん広がってしまうということも容易に想像されてしまうということもまた事実かなと思うわけでありますよ。
だから、その点について、やっぱり予算をやる、マッチングをやるというだけでは正直駄目で、ちゃんと人も増やすなり、現場に対してもうちょっときめ細かく、手取り足取りとは言い過ぎかもしれませんけど、支援をやるというところまで踏み込んだ法律の運用になっていかないとまさに意味がないのではないかなと思いますけれども、いかがでしょう。大臣、何か大きくうなずいていらっしゃるような感じがしますけれども、御答弁あれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/75
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076・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 私も全く同意見でございまして、これは本当にやるにはなかなか難しい問題で、全体で、庁で計画を立てる、どこに何をつくるか、どういうふうにするかというのは、将来ここにものをつくることによって、本当にその作物がいいかどうかというのはなかなか分かるものじゃないと思うんですよ。だから、相当な、農業経営にある程度、販売も含めて、そういったことの自信を持った人じゃないと非常に難しいなという感じはいたしております。これは庁内でも大分私も議論しました。
したがいまして、やっぱりこれは、市町村も自分たちの地域をどうしていくかということは真剣に考えていただかなきゃいけない。特に農村地域の皆さん方で農村のウエートが高いところは、やっぱり農業あっての地域なんですから、それを自分たちでどう守っていくかということを考える場合は、そういったコーディネーター的なものをやっぱり考えながらそういった方を探していく、そこにまた我々はお手伝いをすると。
よく私も、昔からいろいろなものを、市町村とか県にものが来ますと、結局コンサルにお願いするんですよね。できたものはほとんどみんな同じようなものが多くて、そして、正直言って、どこも、地域の個性が出ているのかと分からないものが多い。
ただ、最近、少しずつだんだんそれが変わってきました。やっぱり、自主的に自分たちで考えて地域に合ったものを出そうという意欲は、市町村も、地方分権が進んできたので、やっぱり大分変わってきたという感じはいたしておりますので、やっぱりこれは、行政の長がどういうふうに今回のこれを受け止めて、どういうふうにこれを活用して、国をうまく利用して地域の農業をどのように育てていくかというふうに意識を持っていただかないとなかなか難しい問題かと思っています。
そういったことを含めて、これから市町村とよく議論をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/76
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077・小沼巧
○小沼巧君 ありがとうございました。
政治家として本当にすばらしい答弁だと思いますので、触発されたので更問いしちゃいますけれども、何で変わったんだと思います。最近変わってきたと大臣おっしゃいましたけれども、何がきっかけで変わったんだと思いますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/77
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078・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) それは、やっぱり地域の有権者の意識というのも随分変わってきたと思うんですよ。意外と地域の皆さん方の意識というのは、地元に長年住んでいる人の意識というのは弱いんですよ。外から入ってきた人間というのは、結構地域を見て新しい発想をどんどん出してきます。大分、最近は地方、中央とかいろいろな地域から地域にいろいろな人が入ってきて、そして、そういったものにはある程度の活力とか活性を与えて、意見がだんだん変わってきたのかなという感じもして、それと、やらざるを得ない。もう一つは、コンサルに頼む金がなくなったと、正直言って。前はある程度余裕があったと。ところが、正直言って、自分たちで考えないとやっていけないような財政状況にもなってきたと。
そういったもろもろのことを考える中で、この地方分権で十年、随分変わってきたなという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/78
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079・小沼巧
○小沼巧君 私も元コンサルなものですから、戦略系でありましたけど、実際そういったところもあると思いますが、結局、おっしゃるとおりのところもあるし、ちょっと違うなというところもいろいろあると思うんですが、時間も相当、もうあと三分ぐらいしかないので、どうしようかな、すごい迷っちゃいますけれども。
やっぱり、じゃ、話合いにしろ何にしろということだと思いますけど、ほら、最初の大臣の所信の演説に対して、過去十年分の討論やりましたけど、話合いって単語が出てきたのって八年ぶり、九年ぶりぐらいだったんですよ。八年ぶり、九年ぶりぐらいに、大臣のこの法律改正をきっかけに話合いという単語が出てきて、その間ずっと何もやっていなかったんですね。やれ集積だだの何だのということは、効率化だと言いますけれども、どう合意形成をするかということが大事ですし、やっぱりその地域の中で何を考える、真剣に考えるということ、これを本気でいま一度考え直さないと意味がないことだというのは今の話合いで分かったところでありました。
そういう意味で、やっぱり量と質どっちも大事かなと思っています。質、量というのは、実際にそれを横展開するなり実装していくなりという人間の数と時間を掛ける、労力ですね。質自体というのも、やっぱり合意形成というのをどう進めていくのか。正直、二日前の参考人との議論では、話合いやるよという機会を設けたところで、そんなん行きたくねえよ、何の意味があるんだよというところになってきてしまっている集落、自治体があるというのも紛れもない事実だと思うんです。そこをどう方向転換していくかということの意味で、協議の場持つ、それをどう進めていくかということのノウハウ、これも、質という意味では自治体に対してちゃんと支援を行かないと、こっちは計画作って、はい、おしまいでいいかもしれないけど、現場の人たちはそうなっていない。農業、農村の所得の倍増というのにつながっていかないことになるだろうと思うわけであります。
その量と質、特に質の部分について今後どのようにしていくことが大事だと考えているのか、そろそろ時間もないと思いますので、この点について最後に大臣から御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/79
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080・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) なかなか難しい問題ですね。
質を高めるということは、それだけのやっぱり経験といろいろな実績を考えながらやっていかなきゃいけないので、これは、農林水産省の中にもいろいろなそういった長年の経験を、特に私も、地方自治やっている中でやっぱり職員の中にも非常にたけた質のいい人がいらっしゃるので、そういった方々をこれから探し求めながらやっていかないと。
質というものは、やっぱり経験を積んでいって、そして情報を収集してやっていくわけですから、それはもう一夜にしてできるということは難しいと思いますので、御意見をよく承って、我々もできるだけの範囲の中で努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/80
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081・小沼巧
○小沼巧君 分かりました。
まさに、本当に何が正解なのかよく分からないからこそ、いろんな意見を持ち寄って議論をして切磋琢磨していくということが本当に重要だと思いますし、こういうことについてはやっぱり引き続き物申してまいりたいと思います。
うちの鉾田市は、農業の、野菜とかメロンの生産量日本一なんですけれども、月曜日、決算委員会で質問やっているときに、うちの岸田市長が岸田首相に官邸にメロンを持っていったそうでありますので、もし会ったら、ジューシーだという御答弁もいただいたところでありますので、是非メロンなんかも召し上がっていただいて、感想をいただければと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/81
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082・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
前回の質疑の関連、続きから行きたいと思います。
〔委員長退席、理事藤木眞也君着席〕
まず、地域の農地の在り方について、前回の質疑におきまして、国として確保すべき農地面積、二〇三〇年で四百十四万ヘクタール、ここには、地域計画に位置付けられて集約化を図る農地と、活性化法の活性化計画に基づいて保全を図る農地と、いずれも含むとの答弁がありました。
そこで、お手元資料の一枚目、概念図を作ってみました。農水省にも確認して、間違いがないということだったので示させていただきます。
左側、集積・集約等というところは、いわゆる基盤強化法に基づく農業上の利用を行うべき農地と、活性化法に位置付けられているその他の利用、保全も含む、ですけれども、こんなような形で、でも、自給率目標を達成するために必要な四百十四万ヘクタール、令和十二年度目標ですけれども、ここには基本的に全て入ると。ただ、再生困難、林地化というのは若干抜けていくのかな、それをどうやって戻していくのかということだと思いますけれども、このような形になっていると思います。
一方で、二枚目を御覧いただきたいと思いますけれども、今の基本計画に基づくその四百十四万ヘクタール、これ向かって左側ですけれども、農地の見通しの確保ということで面積が示されております。そしてもう一つ、農振法に基づく農用地等の確保等に関する基本指針というものがありまして、ここは、地方とも協議の上で、地方の声も聞きながら面積を積み上げて出しております。
毎年、都道府県からの実績を、これ二枚目、あっ、三枚目にございますけれども、かなり細かく都道府県ごとにこの実績面積も出しておりまして、これ、ここには令和二年十二月三十一日現在の都道府県別の数字を出しましたけれども、令和元年十二月三十一日現在の合計数字は、まさにこの二枚目の右側、令和元年現在の農用地区域内農地面積四百・二万ヘクタールと整合しておりますので、積み上げの結果、この数字が出ているということなのかなと思っております。
このなぜ数字が違うかというと、つまり、この右側、農振法に関しては、農振農用地区域内の農地面積であるということだからこのずれがあるということなんですけれども、一応、念のため確認ですけれども、この四百十四万ヘクタール、これは、農振農用地区域内農地面積の三百九十七万ヘクタールに加えて、例えば農振の白地とか市街化区域内農地を含めてのものであるという、そんな理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/82
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083・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この現行の食料・農業・農村基本計画における令和十二年農地面積見通し四百十四万ヘクタールにつきましては、これは農地全体でございますので、委員今御指摘いただきましたようないわゆる農振白地地域あるいは市街化区域内の農地等も含めた面積となっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/83
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084・舟山康江
○舟山康江君 今後、各地域において地域計画を作っていくということですけれども、地域において地域計画作っていく、そうすると、これがいわゆる農業上の利用が行われる農地と思われますけれども、それを積み上げたときに、やはり余りこの国が示す目標、どちらの数値かはともかく、四百万ヘクタール前後とやっぱり乖離があっては困っちゃうと思うんですよね。
そんな中で、一応この施行時三年後、三年を目途にこれを作っていくということですけれども、この時点で大体その地域からの積み上げというのはどのぐらいになると想定しておられるんでしょうか。
一方で、先ほどちょっと示しましたけれども、農振法に基づく、これは農振農用地区域内の農地に限られていますけれども、これに関しては地域ごとにかなり細かく数値が出ているということですので、こことの乖離が余りあるということも想定できないのかなと思いますけれども、その辺りの想定と、もう一つ、今申し上げましたとおり、余り乖離がないようにするためには、まさに地域ごとの目安とか国としての考え方、例えばこういった都道府県ごとの農地面積を参考にしながらですね、ということのような具体的なガイドラインというか指標というか、そういったものを示す必要があるんではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
〔理事藤木眞也君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/84
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085・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 地域計画を策定するに当たりましては、まずは区域内の全ての農地について農業上の利用を行うことを基本として、地域でしっかりと話し合っていただくことが重要であります。その上で、様々な政策努力を払ってもなお農業上の利用が困難な農地について、荒廃化を防止するため、農地の保全等の取組も必要と考えています。
地域計画については、今後、各市町村において地域の話合いに基づき作成されていくものであるため、農業上の利用が行われる農地の合計面積を現段階で具体的に見通すことは困難ですが、先ほど述べた考え方に従って地域計画をしっかりと定めていただく考えです。
なお、国が定める農用地等の確保等に関する基本指針におきましては令和十二年に三百九十七万ヘクタールを面積目標として策定し、これに基づき各都道府県においてもそれぞれ面積目標を設定しているところであり、農地バンクによる集約化と基盤整備事業、多面的機能支払制度及び中山間地域直接支払制度などを通じまして、農地の確保を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/85
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086・舟山康江
○舟山康江君 地域計画、まあ活性化計画も含めてですけれども、地域が主体にきちっと考えていただくと、これが非常に大事だと思いますので、それに対してこんだけ確保しろって頭から言うのは、やっぱりこれ違うと思うんですよ。ただ、やはり国としては、先ほど来示しているとおり、やはり一定の今後の食料自給率、まさにいろんな食料安保の問題もかなり認識が高まる中でしっかり作っていただくと。そのためには当然、生産性向上ももちろんですけど、やっぱり基盤の農地がやはりこれ以上減らないようにしなきゃいけない、やっぱりある程度きちっと確保していかなきゃ、していただかなければいけないというふうに思うんです。
そんな中で、幸いというか何というか、きちっと毎年のように地域の農地の現状を確認しているということですから、この農地が有効に使われるように、私が先ほど申しましたのは、やっぱり国としてのその基本的な考え方ですね、そういったものを地域の話合いの場に伝えていく必要があるんじゃないかと。積み上げの結果、どうしても、もう、とにかくもう無理だからどんどんその他の利用にしちゃえ、ビオトープにしちゃえと、まあ林地化までは極端にしても、そういったビオトープのようなものにしてしまうよりも、できるだけ農業上の利用、この一枚目の表に、その他の利用、保全、これは農水省からいただいた資料にそのように書いてあったので私はあえてその文字使いましたけれども、でも、できるだけ農業上の利用の方を考えてもらいたいという意味だったと私は思うんですね。
そういったことを含めると、やはり国としての考え方、しっかり協議の場で示していただくべきだと思いますし、先ほど小沼委員とのやり取りの中で私もすごく気になるのが、地域計画と活性化計画、ある意味、農地という観点でいえば同じようなものを二つも作るのかということになりますので、協議を一体的に行ってもらうこともいいということも言っておられました。
そういったところも含めて、こういった考え方をしっかり示していただかないと、何か国の思い描く姿と実際の積み上げとが大きくずれてしまう可能性も出てきますので、そこすごい大事だと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/86
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087・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
大変重要な点、御指摘いただいたと思っています。
今後、この制度、両制度について、現場に対してどういうふうな考え方で臨んでいただくのかというのは周知をして、お示しをしていかないといけないと思っています。
その際には、一点、まず、両法案は別の法案で、計画も別ですけれども、一体的に考えていこうということを御説明何回も申し上げております。この協議の場などを連携して同じ場として議論するんだ、それが望ましいんだということもお示しをしていきたいと思います。
それと、地域計画の農地について、農地は基本的に農業上使うということで存在するものでございまして、先ほど大臣からの御答弁にございましたけれども、地域計画を策定するに当たっては、まずは、区域内の全ての農地について農業上の利用を行うということが基本なんだと。その上で、様々ないろんな努力を図っても農業上の利用が困難な農地について、荒廃化を防止するためにこの保全の話があるんだというような考え方も含めて現場に対してきちっとお示しをしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/87
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088・舟山康江
○舟山康江君 前回も少し指摘をさせていただきましたけれども、活性化法の方は、ある意味、今回の改正で趣旨、理念が結構大きく変わったんではないかと思っています。どちらかというと、転用して施設を造る、あとは、基盤整備をするといったハード整備的なものから、農地をどう守っていくのかというところに視点が変わったわけですから、ある意味、現場の市町村は今までの流れの中で活性化計画を捉えている部分もあるんじゃないかと思います。
そんな中で、今、経営局長から御答弁いただきましたけれども、まさに農地をどうするかという視点がこちらの活性化計画にもきちんと入っているという趣旨を踏まえて、この部分に関しては是非一体的にということで、何かあっちもこっちも計画を作れではなくて、私も今回いろいろ調べてみて改めて、こういった農振法上のいろんな報告義務もあったりとか、結構、またあれもこれもやらされるとなると本当に現場大変だと思いますので、できるだけシンプルに簡素化してそういったことのやっぱり方針を示していただくということが大事ではないのかなというふうに思いますけれども、振興局長、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/88
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089・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) 先ほど来経営局長からも御答弁あったところでございますけれども、まさにこの基盤法の地域計画とこの活性化法の活性化計画につきましては、まさにこれは一体的にこの地域の皆様方としっかり協議をしていただくということが大変重要かというふうに思います。
したがいまして、この活性化法を所管する立場からも、この活性化法の改正をお認めいただいていろいろと地方に説明する際には、そういう趣旨をしっかりお伝えしていきたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/89
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090・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございます。
活性化法の説明の中で、恐らくこの粗放的利用というところ、ここ非常に微妙で、ある意味これも農業上の利用に極めて近いというか、農業上の利用ではないかと思うんですね。特に、放牧とか有機、こういったものは実際、やはりこういった農業の在り方、今まで以上に重要になってくるということを考えると農業上の利用ではないのかと思うんですけれども、こういったところの分類は今後どうしていくんでしょう。ある意味、その地域計画の中にも位置付けていくべきものではないかと思うんですけれども、この辺の、垣根というんでしょうか、その辺の分類を柔軟に考えていく必要があると思いますけれども、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/90
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091・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答え申し上げます。
この農用地保全事業につきましては、放牧等、こういう粗放的な農業利用等を想定をしているところでございますけれども、委員御指摘のように、これらの取組につきましても、その内容によってはこの改正基盤法の地域計画の対象となる農業上の利用に当たるケースも想定をされるのではないかと考えているところでございます。
例えば、この御指摘いただきました放牧についてでございますけれども、これは、この畜産農家が経営発展等のために農地の集約化等を推進して飼料作物を積極的に栽培して取り組むと、こういったような場合には地域計画の対象となる農業上の利用に位置付けられると思いますし、一方、この受け手のいない農地につきまして粗放的管理の一環として取り組むような場合につきましては、活性化計画のこの粗放的な利用に位置付けられるということかと思います。
このように、この取組の内容によりまして、地域計画の対象となる農業上の利用と判断されるもの、またこの活性化計画の対象となる粗放的な利用と判断されるものがあるわけでございますので、今委員から御指摘いただきましたように、その辺りのところは柔軟に考えていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/91
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092・舟山康江
○舟山康江君 二分するんではなくて、本当にまさに一体的に、しっかり柔軟に、ある意味、粗放的利用というのもある面では、この間、みどり戦略の議論もありましたけれども、まさにこの持続可能な農業の在り方、農地利用の在り方という意味では非常に有効ではないかと思いますので、しっかり柔軟に、とにかく利用を応援していく、そして何よりも必要なのは、その利用を担っていただく人だと思うんですね。
で、この人の問題でありますけれども、これも前回問題提起をさせていただきました。農業を担っていただく、いろんな形でこの農地、農業に携わっていただく方、私、広く育成していかなければいけないと思いますけれども、その際にまず出てくるのが担い手、その他の多様な経営体、これは基本計画に出てきます。中心経営体、多様な経営体等、人・農地プランの辺りに出てきます。
で、いろんな呼び方がありますけれども、まず確認なんですけれども、担い手、これは認定農業者を中心とするものですけれども、担い手と中心経営体は同一なんでしょうか、農業を担う者は全てを含むんでしょうか、まず整理すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/92
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093・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
担い手とは、現在の食料・農業・農村基本計画の第三の二において規定をしておりますけれども、効率的かつ安定的な農業経営及びこれを目指して経営改善に取り組みます認定農業者、認定新規就農者、将来法人化して認定農業者になることが見込まれる集落営農と規定されております。また、その他の多様な経営体につきましては、担い手以外の経営体を示させております。
今回の基盤法におきまして農業を担う者というのを規定しておりますけれども、これは、担い手と今申し上げたその他の多様な経営体を含みます農業経営を営む者全体でございます。それと、雇用されて農業に従事する者、新たに農業を始めようとする者、農作業の受託サービスを提供する者など、農産物の生産活動等に直接関わっている者を幅広く含むものです。
なお、人・農地プランにございます中心経営体につきましては、認定農業者、認定新規就農者、集落営農組織、市町村の基本構想に目標所得水準を達成している農業者などが位置付けられるとしており、基本的に担い手と同様の概念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/93
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094・舟山康江
○舟山康江君 だとすれば、いろんな言葉使わない方がいいと思いますよ。まず、言葉の整理をお願いいたします。これ、是非、大臣中心として、こういった概念、本当、言っている方はいろいろ言いますけれども、受ける市町村は、さっきもありましたけど、本当少ない人数でいろんなことやるわけで、非常に混乱していると思いますので、まず整理していただきたい。ちょうど副大臣うなずいておられますので、ちょっとその辺、私がしっかりやりますということでお願いしますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/94
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095・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 答弁求めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/95
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096・舟山康江
○舟山康江君 求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/96
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097・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 舟山先生の御指摘は、市町村などの担当者にとってはやっぱり非常に分かりづらい面があるという点では、おっしゃることは、御指摘は当たっているというふうに思いますし、担い手という言葉を使いながら、さらに農業を担う者というこの新しい呼び方を出したことも、やはり少し混乱を招くおそれがあるなという、私もそういう感じを受けております。
いずれにしても、中心経営体と担い手であるとか、同意義のものについて整理をすることができるかどうか、また、できるんであればそういう対応をしていきたいというふうに、これから検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/97
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098・舟山康江
○舟山康江君 まずは、是非整理をしていただきたいと思います。
その上で、いわゆる基本計画における担い手だけではもはや農業を支えられないと、その他の人たちもいろんな役割果たしているんだということを認めた上で位置付けたわけですよね。にもかかわらず、農地の八割集積目標の受け手たる対象者は、あくまで政府のいうところの狭義の担い手のみという方向性に、やはり私は非常に違和感があります。
資料四枚目を御覧ください。これは、前回の参考人質疑の中で、笠原参考人から出された資料の一部であります。
まさにここには、本当に一生懸命農地の権利移動についての取組をされていますけれども、ここでもやっぱり担い手に対して非常に疑問を持たれながら活動しています。ここで出ているのは、例えば若い兼業農家、今、一町歩しかない、多分これでは担い手ではないという位置付けですけれども、こういう方が、もうちょっと受けられるからやるよといったときに、これ担い手への集積には多分ならないんですよね。
でも、本来としては、非常に地域としては有り難い存在ですし、こういった方々をもっと伸ばしていくべきだと思いますので、改めて、やっぱり担い手の定義、ある意味農業を担う方というのはもう担い手なんですと、こういった方にきちんと農業してもらえばいいんだという方向に、私、ある意味変えていくべきじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/98
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099・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の地域計画における目標地図におきましては、将来の農地利用の姿として、農業を担う者ごとに利用する農用地等を明らかにすることとしています。このため、目標地図の中では、経営規模の大小にかかわらず、また家族か法人かの別を問わず、将来にわたり地域の農地を適切に維持、活用していただく経営体等を位置付けることとなります。
一方、現行の食料・農業・農村基本法にもございますが、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するということも重要でございまして、これらの経営を目指す認定農業者などのいわゆる担い手への農地集積、農地の利用集積を進めていくことは重要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/99
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100・舟山康江
○舟山康江君 ですから、私、認定農業者を否定しているわけでもなく、そういった方々の規模拡大を阻害するつもりもありませんけれども、それだけでは地域の農業を担えないということで、いろんな人たちを位置付けて、今まさに、この分かりやすい漫画で描いてありますけれども、こういった兼業農家も含めてきちっと受けることによって地域の農業を担っていくと。こういった方々もある意味集積対象で、もう立派な集積対象者ですよ。
でも、何度やり取りをしても、いやいや、この食料・農業・農村基本法で、とか基本計画の中で八割が、ということからもう脱却できずに、だって、来年ですよ、二〇二三年までに全農地の八割をいわゆる担い手に集積するって、どうなんですか、これ。なかなか難しいですよね。しかも、それができない地域は駄目なのかというと、そんなことないわけですよ。
だったら、もしネックが食料・農業・農村基本法であるんだったら、そこを見直すとか、基盤法の中、基盤法を少し見直すとか、そういった形にしていかないと、何か現行の法律に縛られて、そこ、今、もう局長の答弁のようなことが繰り返されるんであれば、全く現状と今やろうとしていること、ずれていると思います。
そんな中で、何か今、農林水産省内に、食料安保をめぐる、基本法見直しの検討チームですか、こういったものの包括的な検証を行っているということですけれども、まさに、この担い手政策についても検証の対象になっているのかどうなのか、教えてください。するべきです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/100
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101・安東隆
○政府参考人(安東隆君) お答え申し上げます。
現在、食料安全保障施策の検討チームを省内に設けておりますけれども、ここにおきまして、食料の安定供給へのリスクに対する検証を進めております。具体的には、今御指摘のお話との絡みで申し上げれば、例えば、従事者不足といった食料の安定供給に影響を与える可能性のあるリスク項目を洗い出した上で、個別品目ごとに検証と課題抽出を行っているところです。
先生御指摘の担い手施策などの個々の政策の在り方については、このリスク検証の結果を踏まえ、食料安全保障施策全般の検討を進めていく中での課題と認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/101
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102・舟山康江
○舟山康江君 やはりここを見直していかないと、いまだに担い手だけしか受けられない補助とかもありますよね。要は畑作のゲタとかナラシとか、こういった土地利用型農業を営むに当たって非常に大事な制度が、いわゆる担い手以外の多様な経営体には政策対象外だとなっていますし、こういったところも見直していかないと、何か、実際に、多様な経営体も大事と言いながらそこを施策の対象から外していると。随分入れているものもありますけれども、でも、これ中心だと思うんですよね、ゲタ、ナラシというのは。こういったものから外れているというところも見直すべきと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/102
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103・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 将来にわたって持続可能な力強い農業を実現するためには、効率的かつ安定的な農業経営であるいわゆる担い手を育成しまして、これらの農業経営が農業生産の担当部門を担う農業経済を確立する必要があります。
このため、経営規模や家族、法人などの経営形態の別にかかわらず、担い手に対しまして、経営所得安定対策やスーパーL資金等の施策により、効率的かつ安定的な農業経営となることを後押ししているところであります。他方、従来から中小・家族経営など多様な農業経営体についても、地域社会の維持に重要な役割を果たしていることを鑑みた支援に行っているところであります。
令和四年度予算では、機械等の導入支援を行う農地利用効率化等支援交付金について、認定農業者等に加え、このような地域における継続的な農地利用を図る者として市町村が認める者も支援対象としております。また、こうした者については、資金面でも、令和四年度より、民間金融機関が融資する農業近代化資金や公庫資金の利用を可能としているところであります。
引き続き、品目別対策や多面的機能支払、中山間地域等直接支払等の支援策を通じて、地域の農業を担う方を支援してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/103
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104・舟山康江
○舟山康江君 新たな、今年度からの新しい交付金事業、農地利用効率化等支援交付金について対象を広げたというのはそれは一歩前進かと思いますけど、でも、これも私非常に不思議なんですけど、事業目標は相変わらず担い手が利用する農地の面積の割合を八割にすると。何か本当、ちょっと矛盾していますよね、受けられる対象の農業者は広いのに目的は担い手八割って。ちょっとこれ矛盾していると思うので、そこをもう一回整理する必要があると思いますし、もう一つ。先ほど申しましたとおり、ある意味、土地利用型農業で一番のコアな政策は、やっぱりいわゆるゲタ、ナラシ、こういったものもきちっと何らかの形で恩恵を受けられるようにしていかないと、幾ら多様な農業経営重要だと言いながら、やる人がやっぱり二の足踏むと思うんですよ、特に土地利用型。こういったところはもう少し考えていくべきだということを改めて提案を申し上げたいと思います。
我々、現地視察も理事会メンバーで行かせていただきましたし、先日、参考人質疑も聞かせていただく中で、改めて農業委員会の重要性、再認識したところでありました。農業委員会、これまでの業務に加えまして、目標地図の素案の作成とかで非常に役割が大きい。そんな中で、やはり事務局体制をしっかり充実させるということで予算の手当てとこの支援も必要だと思いますけれども、何よりもやはりその農業委員、農業委員の皆さんがしっかり働ける環境をつくっていくということだと思っています。
今、委員任命に当たって、認定農業者が過半数という要件が付けられています。確かに地域によっては例外措置もありますけれども、それ以上に、やはり認定農業者で自らの経営も忙しい中で、あれだけきめ細かく地域を回れるのか。もちろん、認定農業者が必要なところもありますけれども、まさに、東松山市農業委員の久保田節子さん、非常に精力的に地域を回っておられました。参考人の笠原尚美さんも同じです。お二人とも認定農業者ではありません。そんな中で、ある程度時間を掛けて、手間を掛けてできる、そういった部分があるのではないのかなと思っております。
これからますます業務が増える中で、私、あえて認定農業者にこだわる必要があるのか、そこの要件も見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/104
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105・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 農業委員会の委員の任命に当たっては、担い手として農業経営の改善に取り組んでいる者の意見が運営に反映されるようにするため、原則として委員の過半を認定農業者等が占めることとしておりまして、認定農業者の意見を反映していくことが重要であるというふうに考えておりますので、これを基本として、まあ一部例外もですね、例えば認定の……(発言する者あり)ええ、例外もありますけれども、その過半を認定農業者が占めるということを基本として進めていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/105
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106・舟山康江
○舟山康江君 いや、今私が申し上げましたように、実際に農業委員の皆さんが現地に入って、本当にすごい、もう朝晩なく、いろんな意見を聞いたり調整したり現地に行ったり、これだけのことを認定農業者が果たしてできるのか。これ、東松山市に行ったときに伺ったのは、やっぱり認定農業者か否かではなくて、地域の例えば非常に信頼の厚い方とか、それからそういう取りまとめができる方とか、そうでないとなかなか務まらない、こんなお話もありました。
例えば、確かに自分の経営は物すごく立派ですし、その方の人格も立派だとしても、それと調整ができるか否かはまた別問題ですし、とりわけ若い新規就農者、そういった方の経営と、やっぱりそういった地域に入っていろんな事情も分かった上で調整するという能力とはまた別なのかなと思うんですね。
そういった意味で、やはりこの、ある意味、本当、手足となって必死に汗かいて動ける方、これは認定農業者に限らないんじゃないか、むしろそうでない方の方が適切な場合があるということを考えると、認定農業者否定しませんけれども、過半数という要件、これは課す必要がないんじゃないかという声は幾つも聞いていますので、そこ、再検討する私余地があるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/106
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107・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 御意見として承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/107
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108・舟山康江
○舟山康江君 御意見として承る中で、少し検討していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/108
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109・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 確かに、委員言っていることが、過半数のということですから、例えば、五十人おって二十五人は今委員が言っているようなことに専念できるような人でも選ばれるわけなんですよね。だから、余り過半数にこだわらなくてもいいような感じも、過半数にこだわる必要はないかもしれませんが、これは結局、まあこれは余り答えにならぬな。
農業委員会のメンバーというのはいろいろな意見を持った上でそれ決めていくので、やっぱり認定農業者、特に農業を重点的にやっていく方々の意見を重点的に捉えなきゃいかぬということで、いろいろそういった方を重点的に捉えていくためにはやっぱり過半数を持たせて安心感を与えなきゃいけないという意味からこの過半数という数字が出てきたと思うんです。
ただし、今回こういった法案改正の中で今委員から言ったようないろいろなまた面も出てまいりましたので、今後、いろいろな面、そういったものをお聞きしながら、内部でよく検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/109
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110・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
認定農業者が農業委員本人である場合に、いわゆる農地の権利移動のときにも、まさに自分のために動くみたいな、そういった誤解もあったりすると逆にやりにくいと、こんな声も併せて聞いておりますので、改めて、今大臣からお話しいただきましたとおり、そういったところも含めて、その在り方、再検討いただきたいなと思っております。
最後に、基盤法十九条四項で、省令で定める基準に適合するものであるとか、政令、省令に委ねるものが幾つかあると思っております。この具体化、ちょっと時間がありませんので、是非私お願いしたいんですけれども、こういった基盤法、この政令、省令の内容というのは、非常にこれからの方針決めるに当たって大事だと思うんですね。これは、でも、法律は委員会審議に付されますけれども、政令、省令というのは多分、我々知らないところでというか、決まっていく中で、是非、政令、省令の内容について、できる範囲で委員会にしっかり御報告いただきたいなと思うんですけれども、是非委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/110
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111・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/111
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112・舟山康江
○舟山康江君 もう時間ですのでこの辺にとどめておきますけれども、まさに農地、人、そして、本当にこの農地を守るためにどうやって人を確保していくのか、いろんな多様な方々がどうやったら継続できるのか、それは、参考人質疑でもありましたとおり、農地制度の在り方のみならず、やはり、どうやって再生産可能な所得を確保していくのか、こういった面も非常に大事ではないかと思っています。是非総合的に、今後の食料安全保障の確保のためにも、我々のこの貴重な資源を守るというためにも、その辺の総合的な議論をお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/112
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113・梅村みずほ
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほでございます。本日もよろしくお願いいたします。
農業者の減少、耕作放棄地の拡大、食料安全保障、農業の生産性の向上、担い手の確保、農山漁村の活性化と大変関わりがありますので、本日も法人の農地取得についてお伺いしたいと思っております。先日、法案に関係ないとか言われたりするんですけれども、法案に関係大ありだと私は思っておりまして、今日は集中して聞いてまいりたいと思うのですね。
大臣がいらっしゃらないということもありまして、ちょっとお話をしたいと思うのが、参考人質疑が先日ございました。三名の方に来ていただいて、様々な御知見を賜ったわけなんですけれども、中でも、浜松で養豚業を長く営んでいらっしゃった森島倫生さんが法案を一喝して、必要ないとおっしゃったんですね。びっくりしましたね。これは根本的な解決策になっていないというような御主張でございました、農山漁村の方は賛成だというふうにおっしゃっていたんですけれどもね。で、目標地図という言葉が法案の中には出てきます。けれども、国はグランドデザインを出しているのかというふうに思いのたけをぶつけていらっしゃいました。
そして、その森島さんが、情熱を込めて、人生を懸けて養豚やっていらした、農業新聞なんかも日頃からよくお読みで、何と私の名前を知ってくださっていたと。で、森島さんは法人の農地取得に対してはいろいろとお考えが当然おありで、私ども日本維新の会といたしましては、今の日本の現状、食料安全保障等を考えますと、この法人の農地取得というものは避けて通れない改革ではないかと思っておりますので、意見が完全に一致するということはないのだろうと思います。けれども、森島さんは、是非とも梅村さんとは話をしてみたいとおっしゃってくださったので、早速私は森島さんの携帯番号をゲットいたしまして、六月上旬をめどに浜松を訪れさせていただいて、意見交換をさせていただくということになっております。フットワークが軽いことだけには自信がございます。
そこで、大臣にお伺いしたいと思っております。
私は、かねてよりこの法人の農地取得について大臣にいろいろと質問させていただいているんですけれども、いま一度この言葉をお伝えしたいと思っております。私が農林水産委員会にやってきて初めての一般質問で申し上げたこのフレーズです。「民間でやれるものは民間で、公でやるべきものは公でという基本理念を掲げ、様々な改革を推し進めてまいりました。」、これは、日本維新の会、我が党の党是というわけではなく、金子農林水産大臣が昨年の三月、永年在職表彰のときにおっしゃっていた言葉でございます。御家族を前に、大切な節目に口にされた言葉です。その言葉に恐らく二言はないと思うんですね。そして、私は、その改革というものが今こそこの農政に必要ではないかと思っているんです。そして、大臣は、私の最初のこの一般質問のときにも、必要じゃないですか、法人の農地取得どうですかというふうにお伺いしたところ、こうおっしゃいました。
農林水産分野における規制改革を進めるに当たっては、現場の声をしっかりと耳を傾けながら施策を講じる必要があると考えております、様々な方々から寄せられる規制改革の提案、提言についてはしっかりと検討していく考えですが、その上で、実際に規制を見直すかどうかについては、現場の実情から見てどういうふうにメリットがあるのか、またデメリットはどうなのかといった点をきっちりと見極めた上で判断していく必要があると考えておりますと言ってくださいました。
そして、先日の私のこの委員会質問、法案質問で農水省さんにお伺いしました。内閣府が進めている国家特別、農業特区ですね、養父市の取組に関して、養父市の実際に参入した企業さんや養父市長のお話、お聞きになったんですかと問いましたところ、内閣府は、聞いていると思いますと、担当者は。農水省は、まあ聞かなくてはいけないということではないんだということで、私は現場にお話を聞いていらっしゃらないと思って理解をしております。
そこで、農水省さんにお伺いします。実際に参入した企業や養父市へのヒアリングを行っていないのはなぜでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/113
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114・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
農水省に、先般の御質問でも申し上げましたが、国家戦略特区、特別区域法に基づく枠組み、スキームの中で、基本的には国家戦略特区区域会議におきまして報告を受けて、評価をして、内閣総理大臣に報告するという仕組みになっております。
この法律におきましては、農水省が法人農地取得事業を活用している養父市や法人を対象にヒアリングを行う仕組みにはなっていないところでございます。このため、農水省において養父市ですとか法人を対象にしたヒアリングを行っておりません。
それで、農水省では、これまでも国家戦略特区ワーキンググループなどにおきまして、養父市長から、養父市における法人農地取得事業に関し、お話を伺っております。そしてまた、法人農地取得事業を活用されている六社に関しましては、経営面積、所有面積の推移、農地の利用状況について承知をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/114
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115・梅村みずほ
○梅村みずほ君 済みません、ちょっと一部聞き取りにくかったんですけど、ヒアリングしていないのはしていないんですよね。一応その内容は理解していますというような理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/115
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116・光吉一
○政府参考人(光吉一君) 農水省において、養父市やその法人農地取得事業を活用している法人を対象にしたヒアリングは行っておりません。
ただ、先ほど申し上げましたように、養父市長のお話というのは国家戦略特区ワーキンググループ等においてお話は伺っておりますし、また、活用、事業を活用されている六社の状況については承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/116
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117・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
縦割り行政のかがみのような御答弁ではないでしょうかというふうに私は思うんですね。(発言する者あり)だって、そりゃ、内閣府の、ここで、ここで会話が始まってしまった。
だってですね、まあ確かに内閣府がやったんですよ。でも、その決定において、じゃ、内閣府さんは農水省さんの声を全く反映していないのかということなんですよね。この戦略特区での取組というのは農業の未来を占うことでもあるのに、農林水産省の方が現場の声を拾っていないって、民間ではおよそ考えられないことだなというふうに思うんです。
質問の通告順番とは異なりますけれども、せっかく宮路政務官が内閣府からお越しいただきました。ありがとうございます。
この国家戦略特区の取組、全国展開を見送られたわけなんですけれども、どのようにこれから進めていくか、あるいはストップするのかということは、農水省さんのお声というのは参考にされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/117
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118・宮路拓馬
○大臣政務官(宮路拓馬君) 御質問の法人農地取得特例につきましては、国家戦略特区ワーキンググループで令和二年に六回にわたりヒアリングを行うなど、農林水産省との重点的な議論、検討を経て、令和三年一月、昨年一月にその取扱いについて国家戦略特区諮問会議で決定されました。
その内容については、そもそも本特例が通常の特例と異なり、例外的に対象区域が政令で養父市一か所に限定されるとともに、その期限が付されていたということもありまして、昨年の通常国会でその期限を二年間延長する法改正を行うとともに、その間、政府として、ニーズと問題点の調査を特区区域以外においても実施して、その結果に基づき、全国への適用拡大について調整し、早期に必要な法案の提出を行うということになったものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/118
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119・梅村みずほ
○梅村みずほ君 所管の事業ということで、現場へのヒアリング、そして府内での議論というのは活発になされたものだとは思うんですけれども、もう一度ちょっと分かりやすく教えていただきたいんですけれども、農水省さんのお声というのは反映されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/119
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120・宮路拓馬
○大臣政務官(宮路拓馬君) 先ほど申し上げましたとおり、この特例については令和二年に六回にわたりヒアリングを行い、そして農水省との重点的な議論、検討を経ておりますので、そういう意味ではしっかりコミュニケーション取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/120
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121・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。政務官が大変流暢で、私聞き漏らしてしまいまして、申し訳ございません。
ということで、農水省の意見もしっかりと酌み取っているというふうに私は受け止めました。ですので、農水省の意見も反映して全国展開見送りになっているというふうにも取ることができます。あるいは、今後の選択肢として、じゃ、もう養父市だけだったので、ほかのところに広げるかどうかというのを検討されていると思っているんですけれども、この日本の食料安全保障を考えたときに、農政早く変えていかなきゃいけないんじゃないか。この委員会にいましても、委員各位から様々な焦りであるとか懸念であるとか、農業への思い、農政への、そうですね、何でしょう、様々な思いを受け取りながら、私も委員として活動させていただいております。
ちょっと質問を戻したいんですけれども、この改革するかどうかということに農水省の意見を反映させている、そして、大臣は現場の意見大事だと言っているけど、現場の意見、農水省は聞いていない。これでいいのかなと思うんです。
なので、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、養父市長と参入企業、その他の周辺の農業者さんであるとか農業委員の方々、たくさんのステークホルダーの方々に御意見、現場の声、聞く必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/121
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122・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 養父市における法人農地取得事業の状況を把握することは重要と考えています。
農林水産省では、これまでも国家戦略特区ワーキンググループ等において、養父市長から養父市における法人農地取得事業に関しお話を伺っております。法人農地取得事業を活用している六社に対して、経営面積や所有面積の推移、農地の利用状況について承知しております。
話を聞くだけだったら別に聞いてもいいですよ、私も。それは、お話をしたいということであれば、それはお話をお聞きして、そしてまた、いろいろな御意見もあるところでしょうから、それを受け止めながら、また私は考えを述べさせていただきますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/122
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123・梅村みずほ
○梅村みずほ君 大臣、ありがとうございます。
聞くだけだったら聞いてもいいですよって、この一言だけでも大きな一歩だと思います。そして、岸田内閣の聞く力を内閣全員で共有されているんだとも思いますけれども、私は聞くだけじゃあかんと思っています。数字だけ見て何が変わるんですか、数字だけ見て何が分かるんですかって思うんですよ。
先日の決算委員会、省庁別審査、大臣にお越しいただきました。文科大臣と農水大臣とお越しいただいて、そのときは有機を活用した給食についてお伺いしました。そして、大臣聞いていらっしゃったかもしれないんですけれども、私は、文科大臣にいじめに対する質問を行っていたんですね。
昨日もお昼に、お嬢さんを亡くされた御遺族から電話掛かってきました。電話掛かってくる前に、つらいです、苦しいですってメッセージ入ってきたからです。次の委員会まで十五分ありますから電話しましょうと、先生に迷惑掛けられませんと、何言っているんですか、あなたの国の国会議員だから使ってくださいと言って十分お話ししました、男泣きされながら。苦しいんですよ。そんなものは数字では表れないんです。いじめもそうなんです、現場に聞いて何ぼ。去年話題になりました大変ひどいいじめ事件の御遺族とも、夜中に三時間、四時間お話ししています。数字になって分かることってどれぐらいあるんでしょう。やっぱり当事者の話聞いて何ぼだと思います。それを、農水省が当事者の話聞かないってあり得ますか。
私は、大臣のあの永年在職表彰のときに、すてきな方だと思ったんですよ、ちんまりとあの議場で聞きながら。改革ってやっぱり大事だよなと思う。教育委員会が問題だ、聞きますよ。で、こっちはどうですか、農協ですか、農業委員会ですか。それぞれ、やっぱり権力は腐敗するし、制度は疲労すると私は思っていますので、適宜何かしらのてこ入れが必要だと思います。
私は、この委員会に来てたった二か月で、パラレルキャリアのこととかもお話ししたと思います。いろんなキャリアのステップがあって、民間の人間というのは仕事変えたりするんです。私も次の臨時国会にはこの委員会いない可能性高いです、我が党の中でも農林水産に関心のある議員たくさんおりますので。もとより、私は、農林水産のプロフェッショナルではありません。そして、大臣先ほどおっしゃった、外から新しい人が来るということはいいことあるんですよって。アイデアが合わさっていろいろと変革を起こしていくんですよ。私はこの委員会にとってそんな存在であったらいいなって今思っています。
大臣の長い政治家人生の中で最後の法案質疑です。一般やってくださいって先ほど理事会の中でも各会派から声が出ていましたので、もうワンチャンスあるいはツーチャンス、大臣にお伺いする機会があるかなとは思っているんですけれども、もう勘弁してくれというあの大臣の決めぜりふがもう一回聞こえてきそうなところなんですけれども。やっぱり、聞くだけではなくて、その先に進んでいただきたいと思っています。
では……(発言する者あり)是非、大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/123
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124・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 現場で聞くという話は、現場で聞いて、それはいろいろな意見があるんですよ。梅村先生は、委員は委員のお考えがあるし、私たちは私の考え方、また、ほかにはほかの委員のいろんな意見があるわけですから。そういったいろいろな意見を聞いた上でどう判断するかでありますから、一方的に、聞かなかったからどうこうということではないと思うんです。
だから、もう全てが、委員が言っていることが正しいかどうかも分からないです、考え方によっていろいろ違うわけですから。だから、そこをどう判断するかの問題ですから。あくまでも、それは現場の養父市の皆さん方のお話を聞いてみて、また私は私なりの考え方を、いろいろとありますから、その中でいろいろ判断していくということなんですから。
そういうことで御理解いただきたいと思いますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/124
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125・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
私は大臣と全くの同意見でございます。政治家ですので、我こそ正義、我こそ正論というふうに訴えたくなるところもあるんですけれども、私も一般のワーママから国会に飛び込んで、一月一日には普通のワーママだったところが半年後にはみこしに乗って、その数か月後に総理に質問しているという激動の二〇一九年から三年目を迎えようとしております。
そんな中で知ったのは、正義ってみんな正義なんだなと思ったんです。自分から見たらとんでも理論をぶっ放している人も、その人にとっての正義だと。みんながみんな正義で、誰一人間違っていないんだろうと。ただ、そのときの国民がどの正義を選ぶのかということなんだろうと思っていますから、ぶつかり合ったらいいと思っているんですね。我が党は党内でもぶつかり合いでちょっと大変なことになることもあるんですけれども、それぐらいぶつけ合うということ大事だと思っているんです。
そこで、次の質問です。
意見の違う者同士が考えをぶつけ、けんかをしながら総合農政を検討すべきであり、目標地図がぼやけてしまっているのはまさに国ではないかと考えるがいかがかとありますけれども、ごめんなさい、この質問の前にこれ聞きたいですね。
ごめんなさい、内閣府さんにも、双方に、農水省、内閣府共に大臣と政務官からお伺いしたいんですけれども、農水省と内閣府が互いを尊重しながら意見をぶつけ合い、解を導いていく良いけんかをしてほしいのだがいかがかということで、政務官、大臣の順にお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/125
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126・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 済みません、委員、質問の趣旨、もう一度。済みません。ちゃんと答弁できないので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/126
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127・梅村みずほ
○梅村みずほ君 はい、済みません。
一ポツの、下から、質問通告しておりますが、内閣府、農林水産大臣を指定しております質問の、農林水産省と内閣府が互いを尊重しながら意見をぶつけ合い、解を導いていく良いけんかをしてほしいというところです。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/127
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128・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 委員、何の件でというところ、そこを具体的に言っていただいた方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/128
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129・梅村みずほ
○梅村みずほ君 もちろん、それぞれの主張が内閣府と農林水産省で、法人の農地取得、この特区を進めていくのか進めていかないのかということで意見の食い違いがあると私は想定しておりますので、当然、省庁違いますので、それぞれ、やっぱり気遣っていらっしゃるなっていつも思うんです、この答弁席に違う省庁の方並んでいただくと。あっ、ここは触っちゃ駄目というセーフティーな距離感を保って答弁されているなというのが歯がゆい思いで、これは農水と内閣府だけではなく、あらゆる省庁と一緒に答弁をいただくときもそうです。
なので、良いけんかをしながら、日本のために政策を考えていくというのが大事だと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/129
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130・宮路拓馬
○大臣政務官(宮路拓馬君) けんかというか、しっかり、各省庁所管、責任を持って議論していくことは重要だと思っておりますが。
先ほども申し上げたとおり、今回の質問の趣旨である農地、法人農地取得特例についてですが、先ほど申し上げたとおり、全国展開を含めた本特例の今後の取扱いについては、現在まさに実施しております調査の結果であるとか、あるいは養父市における取組状況等をしっかり総合的に勘案しながら、農水省とここは連携し、まあけんかというか連携というか、コミュニケーションしっかり取って、二年以内という期限を設けておりますので、その中でしっかりと結論導き出したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/130
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131・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 農林水産大臣にも答弁求めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/131
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132・梅村みずほ
○梅村みずほ君 求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/132
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133・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 法人農地取得事業につきましては、昨年六月に閣議決定された成長戦略フォローアップにおいて、政府として、当該事業に関する特例制度のニーズと問題点の調査を実施することとされたところであります。
これを踏まえまして、現在、農林水産省と内閣府が連名で本調査を実施しておりまして、本特例の取扱いについても、この調査の結果に基づき、内閣府と連携をしつつ、政府として検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/133
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134・梅村みずほ
○梅村みずほ君 検討、是非してください。あっという間に時間は過ぎていきます。昨日、鏡を見てて、私も白髪増えたなと思って見ていたんですよ。もうあっという間に、半年たったら白髪めっちゃ増えるんですよ。農林水産も、半年置いたら半年どうなるのかということを考えていただきたいと思うんですね。
ここで、今日は政務官にお越しいただいておりますので、もう一問させていただこうと思うんですけれども。
先日、赤池副大臣にお越しいただいたときに、法人の農地取得に関して、メリットってどういうふうに想定していますかとお伺いしたところ、地域コミュニティーの一員としての農業、農村の活性化に大きく寄与し、限界集落が蘇生するという大きな効果も生み出していますといった発言を養父市の市長さんからも聞いているというふうに伺いまして、もっとたくさん私はメリットあるんじゃないかなと思っております。
それ以外に想定し得るメリットについて、政務官にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/134
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135・宮路拓馬
○大臣政務官(宮路拓馬君) 本特例が行われている養父市におきましては、農地の耕作放棄や担い手不足が深刻でしたが、この法人農地取得特例を活用し、そして農地を取得した法人の取組により、まず、そうした耕作放棄地や休耕田であった農地の再生が進んだということが言えると思います。そして、さらに、農業への従事を希望する若手人材を含めた雇用の拡大、あるいは、農業の六次産業化による地域経済の活性化、そしてまた、新しいプレーヤーが入ってくるということで、スマート農業実証事業による新たな中山間地域における農業モデルの構築などの成果が期待できるというふうに考えております。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/135
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136・梅村みずほ
○梅村みずほ君 これはリースでもできるのではないかというような場内のお声かと受け止めましたけれども。
では、それではどうでしょうか。政務官がおっしゃったメリット、私も激しくうなずきながら聞かせていただきました。ほかにもメリットあるんじゃないかなと思っております。様々なジャンルのサービスや、商品、製品と農業を掛け合わせることで生まれるイノベーション、これリースでもできますね。農業を社内に包含することで、社員のヘルスケアとしての健康意識の向上が図れます、メンタルヘルスも企業の課題の一つですしね。土と触れ合い、自然に癒やされる農業というのは、農福連携と言いますから、福祉とはベストマッチです。そして、社員の家族を招いて援農ボランティアをすればお子さんも楽しいでしょうね。そして、パラレルワークや転職など、次のキャリアを考えたときに、ああ、農業という選択肢があるのかもしれないと会社が農業やっていると思いますよね。食との距離が接近することで、サステナブルフードであったりとか持続可能な食料システムへの理解や責任感も生じてくると思います。
障害者雇用に苦慮している企業もありますので、先ほど農福連携とありましたけれども、そういった対応、対策にもなるかと思います。何も障害者の方に農業だけをというんではなくて……(発言する者あり)そうですね、すごい重要なことをおっしゃいました。今回の法案に関係ないじゃん。関係ないじゃんというのは本当にお役所的。農業のことだけを考えていればいい。でも、国政って全部見なきゃいけなくないですか。一部だけじゃないでしょうということで、総合的に見る、それがグランドデザイン、国のグランドデザインというものではないかと。それを一個一個、個別に個別の委員会でやっているからいろんなところで停滞が生まれているのではないですかというふうに思うんですけれども。
そういったいろいろなメリットが企業側にあるんだなと思っていただくと、それが長期的にできないと企業は参入できないんだということに気付いていただかなくてはいけません。しかるに、リースだけでは限界がある。リースは返さなきゃいけない可能性があるんです。
例えば、大臣はお分かりいただけると思いますけれども、手塩に掛けた娘を嫁にやるときの寂しさよ。私は父親になったことありませんけれども、二人の子供の母親でもあります。手塩に掛けて育てる、農業者にとっては土ってそうじゃないですか。ずっと面倒見るんだと思っているからあんなこともこんなことも、可能性を考えて、リスクも考えてやっていくんじゃないですか。それをいずれ返さなきゃいけないというのは、企業にとってはリスクです。逆に、先日の参考人は、貸した農地がちゃんと戻ってきて安心したという声がありましたというふうに御紹介いただきました。
貸し手からすると安心感、でも借りる側からするとリスクということもありますので、多角的に問題を見るというのはどういうことかと考えれば、リースだけではなく、取得という可能性も是非とも考えていただきたい。
そして、よく養父市のことで言われるのが、大半がリースで、農地持っているのちょこっとじゃないかということなんですけれども、一昨日、実は須藤委員のお声掛けで、有機酒類勉強会というものが開催されました。日本の酒蔵、三千あったものが、今、千です。そんな中で、日本酒界のスティーブ・ジョブズと呼ばれるような若き担い手の方にお話を聞きました。彼の秋田でやっていらっしゃる酒造りですけれども、農地を持っています。無農薬でお米を育てています、秋田県産米。七・五町、七・五町の自社田を持っているということで、自社田持っていらっしゃるんですねって。企業の農地取得、最初からできたらやっていましたかって言ったら、やっていましたっておっしゃっています。
そして、その目の前に座っていらっしゃった蔵元さんも、やってくださいとおっしゃった。それは何でか。私たちに情緒的価値を創造させてくださいとおっしゃいました。日本の棚田、風光明媚な日本の原風景の中に田んぼがある。それ、自分たちの田んぼを持ちたいんだって。ロマネコンティの話されました。私、ワイン全然分からないんですけど、モノポールっていうんですか、単独所有の畑、そこにすごく価値があると。だから、大きくなくていいから、自分のところの田んぼを持つってすごい価値だとおっしゃっていました。
そういった日本の文化を生かして世界に戦いに打って出ようとする若い担い手たち、酒造りの担い手たちがやってくれと言う。そういった声も聞いてほしいんです。現場の声、たくさん聞いてほしい。
ですから……(発言する者あり)何ですか。何ですか。こう会話しながら、議会だってそうです。いつまでこのスタイルやっているんですか、もう想定された問答を繰り返す。今大臣がぱって手挙げてくださったじゃないですか、ちょっといいですかって。それ理想です。しゃべっていることに触発されて、じゃ私もいいですかって。この議会スタイルさえ変えていきたい。
何でこんなに古いこといまだにやっているんだって毎日毎日思いますけれども、同時に、ファクスが有り難くなっていく自分に怖いです。ファクスなんて使ったことなかったのに、古いところに行ったら古い習慣が楽になってしまう。だから、改革って思いっ切りやる気満々じゃないとできないなってほとほと思います。
もう大演説会になってしまって、本当にどう収拾を付けていこうと思っているんですけれども、これ、すごく重要なことなので聞きたいと思います。
担い手が大事、担い手が大事と言います。それは介護、医療の現場でもそうだし、教育現場でもそうです。
そこで、農業においても同じことが起こっています。一人に負担が掛かり過ぎて潰れていく現象です。有能な人に、私メンタル病んじゃったから仕事辞めるね、後お願いねと、一人に負荷が掛かる。そうすると、その人の負荷がなければちゃんとやっていけたはずの人も潰れていく。これは農業だけじゃないんです。どこの業界でもあることなんです。労働人口が減っていって、メンタルヘルスも今危うくて、じゃ、何でかといったら、お金がなくてと。
政策というものは、農業は農業、厚生労働は厚生労働って切り分けられるものではなく、皮一枚でつながっていると思っているんです。だから、一人に重くのしかかる農業の現状をどう思っているのか。新規参入者がいる、最初はみんないぶかしんでいる、この若者ちゃんとやってくれるのかのうと思っている。やってくれるとなったら、うちもやって、うちの農地もお願いと、どんどんどんどん任される、これいろんなところで聞いてきました。この問題、大臣、どうやって解決していきましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/136
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137・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 質問通告されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/137
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138・梅村みずほ
○梅村みずほ君 しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/138
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139・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
委員御指摘のように、農村現場、農業現場で人が減っている中で、今後の農地を引き受けていく人の負担というのが重くなってくるという実態もあると思います。だからこそ今回法案を提出しているところでございます。
高齢化、人口減少が本格化している中で将来の農地利用の姿というのを描いて、内外、地域の内外から人をできるだけ確保する、そして新規就農も促進をしていく、こういった流れの中で、将来の農地利用に、きちっと適切に利用していく人を確保していく、こういうことが重要と考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/139
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140・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
だからこそこの法案出しているんだっておっしゃいました。そうですよね。理解するから反対するつもりないんです。
でも、前回の委員会で、じゃ、マーケティングしていますかって、二十代、三十代、四十代、男女別に、どういったアプローチをすれば農業に入ってきてくれるか、そういったマーケティングしていますかって言ったら、されていないんですね、そこまで細分化は。そういったところのアイデアを入れるのが、違う文化とのコラボレーションだと私は思っています。私は民間しか知りませんので、お客様増やそうとか商品買ってもらおうとか、自分の希望をかなえたかったら、どういうふうに打ち出したら買っていただけるのかということを必死に考えます、そうじゃないと生き残れませんから。でも、そこまでやっていらっしゃらないんだなと思うから質問に前回入れさせていただきました。
ですので、イノベーションを生むには違う価値観と融合させる必要があります。農林水産業の若い人たちにいっぱい話聞いてきました。地元大阪も大阪外でも聞いてきたときに、若い、農業をまさにやっている担い手の皆さんは、企業の、法人の農地取得どう思いますかと言ったら、ううんと考えて、怖いとおっしゃいます。
じゃ、どうしたら怖くないかなと考えていたら、五年ぐらいまともに農業やってくれたらすごい信用できると、買ってもらっていいと。じゃ、それ打開策になるかもしれないねと。例えば、大きい面積は取得できないように最初しておいて、小さいところから始めてもらう、そうやって面積を絞って。それも安心だと。変な建物建てないでほしいと、農業できないって撤退されたときに困るから。ああ、それも大切ですねと。そういうふうにちゃんと対話をしていく、話を聞かないのではなく、話を聞いて妥協点を探っていくというのが非常に重要だと思っております。
時間がないので、最後、これは本当に法案に関係ないことを聞かせていただきたいと思うんですけど、森島参考人の言葉、忘れられません。国の方向にのっとって大規模化、合理化していったところほど苦しい思いしている、誰が責任取ってくれるんだ。
私は、そのときに、一年置きに大臣が替わるシステムにも問題があるのではないかと思ってきました。二〇〇一年の省庁再編から二十年以上経過しています。二十何人の大臣が大臣のポストに、その席に座ってこられたでしょう。一年未満でポストを去ってしまう大臣がたくさんいらっしゃったわけです。大臣って三年ぐらいしっかり腰据えてやってほしいなと思っているんです。一年足らずの任期で大臣が替わることで責任者不在の農政となっているのではないか。
所管大臣の在り方は適正か、大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/140
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141・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 国務大臣の任命は内閣総理大臣によって行われるものであるため、私がその在り方についてコメントすることは差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/141
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142・梅村みずほ
○梅村みずほ君 そうですね、そうお答えになると思っていたので。
あと一分あります。もう一問聞きます。
二十三世紀を見据えた、二十二世紀ではないです、二十三世紀を見据えた農政のグランドデザインを考えたときに大切にするべきこととは何か。大臣のこれまでの政治家人生通して見えてきた視点でお答えいただきたいと思います。二十三世紀の農政まで考えて、何が大事でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/142
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143・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) やっぱり、私たち農林水産業の使命というのは、やっぱり国民に安定した食料を安定的に供給を与えるということでございますし、大変大事な役目でございますから、これからも変わらないと思うんですよ、それを基本にして考えることは。それを前提として、最近は食料安全保障の問題も出てまいりましたから、総合的に考えながら、日本の農政をどうあるべきかというのは、これからもずっと私たちの考え方は、基本方針は変わらないと思いますんで、それを基本にしてこれからもやっていくということになるんだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/143
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144・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/144
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145・梅村みずほ
○梅村みずほ君 大臣にたくさんのことをこの委員会で教えていただいております。今日も御答弁ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/145
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146・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
─────・─────
午後一時二十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/146
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147・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/147
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148・山田俊男
○山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。こうした機会をいただきまして、皆さんに感謝申し上げる次第であります。
まず冒頭、明治用水が取水できなくなったということで、今ここに、ふるさとの酒井先生、まさに地元中の地元の明治用水であるわけでありまして、大変御心配されておられるだろう、こんなふうに思います。
冒頭、明治用水が取水できなくなった件について発言させていただきます。
当委員会理事である酒井先生、今申し上げたとおりであります。大変心配されているということもありますし、酒井先生、自分で質問すればいいんですが、御遠慮されまして、私が代わりにちょっと申し上げているところであります。どうぞ、大変な御心配あって、私の方にも電話が掛かってきたり、何とかしっかり復旧に向けて全力を挙げてくれよという声が掛かってきているところであります。災害が最近本当に目立っておりまして、心配なところでありますけれども、どうぞ農水省はしっかり対応をしてもらいたいと、このことを申し上げたいというふうに思います。
どうですか、農水省、この点について話ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/148
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149・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 答弁求めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/149
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150・山田俊男
○山田俊男君 求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/150
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151・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) まずもって、酒井先生の御地元の農家の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
現在、愛知県矢作川の明治用水頭首工において大規模な漏水が発生しまして、農業用水の取水が困難となっておりますけれども、農水省としては、できるだけ早期に通水を再開することが重要と考えているところであります。
このため、現場に応急ポンプを設置する作業を進めており、順次用水供給を再開するとともに、地元土地改良区の皆様に節水の御協力もいただきつつ、五月中を目途に最低限必要な水量を確保できる、供給できるように、国土交通省や愛知県等の関係機関と連携して対応してまいる所存であります。
なお、工業用水につきましても、いまだ需要先までの供給ができていないという状況でありまして、これについても連携して応急的なポンプ設置台数を増やすなどの対策を進めておりまして、これもできる限り早期の通水を再開できるように努めてまいりたいというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/151
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152・山田俊男
○山田俊男君 ありがとうございました。
いずれにしても、まだ、今おっしゃっていただいたように、これから全力を挙げて復旧対策を行うぞということでありますので、しっかりやっていただきたいと、こんなふうに思います。酒井先生、気を落とさずに、しっかり頑張りましょう。
さて、本日は、農林水産委員会の所管事項として多くの課題がありますが、私は、全国の生産者はもちろん、関係者が不安を持っている米政策について議論したいと、こんなふうに思います。
ややもすると、今日のそれぞれの皆さんの課題の設定ですね、それから、さらにまた御質問の中身からしましても、まさに大きい多様な課題がいっぱいあるわけでありますけど、私はともかく米農家に生まれまして、その後、農協へ勤めまして、それで選挙に出て、今あるわけですからね。
もう自分は何をやってきたんだと思ったら、全部生産調整のことばっかりやってきたような感じがしているところでありまして、しかし、こうした中でも、生産調整問題は相変わらず解決付かないわけです。むしろ生産調整廃止しようじゃないかと、もうやめちゃおうと、もう今起こっていることはそのことですからね。今、大変な波がばんと来る可能性がある。そのことによって、さらにまた稲作農家も、それから、零細な稲作農家は多いわけでありますから、それから山間地の農地や、それから規模拡大を何としてでも実現したいと思っているような政策も、それから農業者も、大変今心配なんです。
皆さんのところ、どうですかね。私は、何と深夜十一時過ぎに、これ日を置いてですよ、一週間に一回ぐらいずつだったですかね、三人の若い農業青年からがあんと電話掛かってきて、JAの青年部の取組なんかを一緒にやってきて、当時は生産調整をどんなふうにちゃんとやるかみたいなことが焦点だったですから、一生懸命やりました。それから、米価を、ちゃんとやっぱりコストを償う米価を実現するためにどんな努力するんだみたいなことがいっぱいあって、そういうことを非常に前向きに、どうしようといって話していたんですよ、その間。
しかし、こうして農協を辞めて、そして議員になって、今、私にとって生じていることは何だ、農協青年部の彼らは何と言うかと。経営は百ヘクタールから百二十ヘクタールやっているんですよ。そして、しかし今、この現況の中で、とてもじゃないが機械代を払えないとか、それから、もう本当に苦労を彼らはやっているわけでありまして、そして、これは皆さんの前で言うのはこの私にとりましても悔しい限りのことでありますが、山田さん、農協利用を一切やめましたと言うんだよ。おい、どうするんだということを、そして、どこへどうするんだということです。もういろんな働きかけもありますし、それから、そういう業者の方へやってもらおうみたいなこともあるんだと思うんです。同時に、彼らは、いや、生産資材買い換えたいと、もっと機械をね、思っているけれども、なかなかそれも今の状況の中じゃできないんだと言うんだよ。向こうはそれを一時間も電話で話しているんですから、もう涙流していたんじゃないかというふうに思いますね。
それほど今、厳しい状況来ていますよ。本来であれば、私も、その辺の、価格がこんなふうに落ちているという表をがあんと持ってきて、それをお見せできれば一番よかったというふうに思いますが。
お手元に資料行っていますよね。ともかく、もうよく皆さん御存じのとおりだというふうに思いますけど、六月末の民間在庫と年平均価格の状況を見てください。今、この上の表、米価はこんな状況にあるんです、こんな状況にある。この棒線は米価の上がり下がりです。こんなふうになっているんです。そして、縦線は在庫です。こんな在庫の中でかくのごとく下がっているんです。
主食用米の相対取引価格の推移も下に出しています。三年産価格は、ここの下から二番目ですが、ここへ張り付いているわけでありまして、これは泣いて電話掛けてくるわけですよ。そして、この六月の三年産の動向は、これからです。これからどんな形で価格形成がなされてくるか考えてみると、もう本当に恐ろしい気が私はしているところであります。
こういう状況の中で、是非是非、大変な危機感を持った上で、そして取っときの生産力を誇って、大事な景観も維持しながら、多くのやはり日本人の主食を、減ってはおりますけれど、ちゃんと支えてくれている米の政策を是非、今日はこの表だけでもいいですから頭に入れておいてもらうと有り難いかなと、こんなふうに思う次第であります。
さて、まず質問申し上げます。
まず最初に、今年の米の作付けと生産について、生産調整の取組を具体化するとともに、ちゃんと需要に見合う供給をするための取組が求められているわけだけれども、大幅な米の作付けの増加があるのではないかということを私心配しているんです。やっぱり米は作りやすいですから、どうしても米作っちゃうんですね。作った後、今言った、この表を見てもらったように、米価はもう底張り付く形で推移しかねないという心配をしているわけであります。とすると、一体どんなことが、どんな対策が講じられるかということになるわけです。
今年産について各農業者ごとに状況を聞いてみますと、ともかく、需要に見合った、ないしは、ちゃんと売り先があり見通しのある生産に向けての体制ができているのかというと、いやあ、困難ですね。
私、農協に勤めておりましたから、米の卸業者さんね、自主的な取引されている業者さんに、つい一か月前、初めて訪ねました。私は富山県ですからね、富山の平野の中で物すごい大きい取引をされている業者さんのところへ初めて顔を出した。評判のいい業者さんなんですよ。だけど、いやあ、彼らも苦しんでいる。一体、主食たる我が国の米の世界はどこへ向かうんだろうかということを本当に本当に心配しているところであります。
それで、以下の質問を幾つかやりますが、もう十分しかないですからね、あと。ひっくるめて言いますから、それで、どうぞ、できる限りの回答をいただきたい。この状況を知ってもらって決意をおっしゃってもらえれば有り難いと、こんなふうに思うんです。
目標配分、今までは農業者にとっても一番厄介で、私が勤めていた農協なんかでも、生産調整の目標数量の配分は一体どういうことになるんだろうかと、いや、政治家も、皆さん、米どころの政治家も、みんなそのことを一番心配されていたかもしらぬ。今、目標配分のことを誰か議論しています。誰も議論していないよね。誰も心配していないね。
一体、目標配分、どこへ行くんですかね。やるんですかね、やらないんですかね。やらないかもしれないですね、このままだと。だって、国が責任を持って米の生産数量目標の管理をやるわけじゃないんだから。そうでしょう。とすると、目標配分やらない、目標配分やらなくなって、それでどうします、各生産者や各JAや各県は。これ、どうぞ自分で考えてくださいというふうに言うわけでしょう。これは、ちゃんと需要に見合う生産が達成できるのか、それともどうなるのかという、本当に苦しい瀬戸際がもう来ていますよね、田植していますからね。そういうことを本当にどうするかを考えなきゃいかぬのですよ。
さらに、政府としては、じゃ一体どんな形でこの問題を手を打っていくかということが、当然のこと、なるんでしょう。ところが、先ほども言いましたように、在庫を絶対これ以上積み上げないぞという決意だけは役所は腹固めているわけですよ。だから、一体、在庫で政府が買い入れなかったら米はどんなふうに流れていくんですか、どうしていくんですか。そういうですね、大混乱とは言わないけど、混迷ね、そして各地で米価がわあっと下がっていくというね。だって、実例、この表を見てもらえば分かると、こんなふうに下がっていくんだから、手の打ちようがないんだからね。
それは、生産者やJAが自主的にこれは抑えるとか、これは繰り越すとか、在庫にしてやるとか、それか、政府が、よっしゃ、圧倒的な輸出対策をやろうじゃないかと言うとかですね、倉庫に、手いっぱい倉庫ありますから、倉庫にいっぱいになって身動きできないということはないと思いますが、おい、買い入れるものはちゃんと買い入れるぞというふうに言うんならまた別。だけどですね、そんな時代、状況じゃありませんので。これ、政権、あっ、あんまり軽々なこと言わないでいいですね。政権なんて言っちゃいましたから、ぴっと感じられる人もいるかもしらぬけど、余り早めに選挙やらぬ方がいいですね。ともかくですね、大変な環境が来るんじゃないかという心配もしています。
だから、今後この米政策に本当に確信ある政策を、政策をつくり上げていかなきゃいかぬわけ。どんな形のつくり上げ方にするかということを考えなきゃいかぬということであります。
心配なのは、個別の生産者ごとに生産調整の実施目標の配分を行っていないんですよ、今、配分やっていないんですよ。だから、今や未達成者もペナルティーはないんです。それから、自由な生産、流通の世界に入ってしまっているんです。これでは、農水省としてもJAとしても、この対処のしようがないというのも実際なんですよ。こうなると、出来秋になって、豊凶の結果、今年はどうですかね、豊凶の結果として、価格については本当に誰か責任持てるのかということです。誰か責任持てるかといって、政府責任持てませんよね、買手もいないし、自分の所有物でもない。そうすると、あとは、倉庫いっぱいに抱えたJAなのか、卸売の業者さんなのか、その皆さん、それから個別の農家が目いっぱい抱えた米をどう扱うかということになるんじゃないかというふうに思います。
そうすると、圧倒的な安売り競争になりかねませんね。ちょっと極端に、山田、おまえ言っているんじゃないかと言うかもしらぬけど、作柄いかんによって何が生ずるか分からないという事態が今あるというふうに思います。そうすると、一番の心配は、結果として米価の大暴落、大幅低落が生じて、それこそ大混乱が生ずるんではないかと。米の早場米か中堅どころの米が出てくるのは、皆さん、七月ですよ。七月がどういう月か分かりますよね。この七月に、そういう形になって米価の低落が続くみたいなことになったときに、一体、手だてを考えているんですか、政府は。誰かがどこかで議論していますか。それをちゃんと……(発言する者あり)こっちの方やね、ああ、しています、向こうの方やね、皆さんに言ったらかわいそうだもんね。彼らだってもう本当に苦労しているんですよ、あそこに座っておられる皆さんも。本当に苦労されているというふうに思います。
どうぞ、どんな形でこれを乗り越えるかということについて、どうぞ、徹底して話をしていこうじゃないですか、詰めてみようじゃないですか。必ずそんな中でこんな手だてを考えてみようと、それから、こういう形でも価格形成を考えてみよう。輸出はどうなんだということを、改めて輸出対策を考えてみるという手だてはないか、加工用仕向けに思い切って向けていくということを大々的にやるということもあり得るかもしらぬ。場合によったら、政府は今まで在庫いっぱい持っていて苦労したわけですが、その分だけ政府倉庫いっぱいありますから、おい、何年かは持つぞみたいなようなことも含めて、在庫対策を、ちゃんと打っていくということも私は求められるんではないかというふうに思います。
要は、それこそ、生産者とそれから自治体、それからもちろんJAです、それから国、みんな一緒になって、そして一体感を持ってこの米を、米の扱いをどうするかということをやっていかなきゃならぬです。
もう終わりますが、何せ、うわあっと、あれだから、(発言する者あり)はい。うわあっと米があふれてくるという状況があるわけです。役所が、聞きます、三分ほどありますから。どうぞ、どういう手だてを考え、考えるまでは言えないにしても、決意のほどをちょっと示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/152
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153・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) お答えいたします。
需要を満たすように、農地をうまく使って、それで国民に求められる最大限の農作物を作るというのが基本だと思っております。米政策につきましては、長らく行政による一律の配分というのを行ってきましたけれども、需要に見合った生産ということで、平成三十年産より生産数量目標の配分を行わない政策に移行しております。
現在、主食用米の需要につきましては毎年十万トンずつ減少する中で、山田先生おっしゃるとおり、国内の消費の拡大ですとか、新規の需要の開拓、それから輸出の拡大というものは、取組は進めながらも、農業者ですとか産地の方が、主食用米について需給動向を踏まえて、自らの経営判断として、主食用米を作るのがいいのか、どのぐらいの価格帯にするのがいいのか、あるいは、主食用米以外であればどういうものを作るのがいいのかということを、需要に応じた生産、販売を着実に実施できるようなことを進めていくというのが基本だと考えております。
このため、農林水産省といたしましては、自ら販路を開拓するような農業者ですとか産地の判断に資するように、全体的な米の需給の見通しだけではなく、産地ごとの在庫の状況ですとか銘柄ごとの価格の動向、これは米だけに限らず、大豆ですとかいろんなものが求められていますということを、各地の生産者の方、JAの方々とも意見交換をしながら、需要動向に関するきめ細やかな情報の提供、やり取りを進めていきます。
また、主食用米から需要のあります麦ですとか大豆、野菜、新市場開拓米等に対して、転換するための支援を続けていこうというふうに考えております。さらに、山田先生からもお話ございました、米価変動等による農業経営の影響を緩和するためにナラシ対策ですとか収入保険を行っておるんですが、もう少し産地単位で見て、作柄ですとか、需要のコロナによる急減等ございました。そういったことによりまして生ずる在庫につきましては、計画的に保管、販売するための米穀周年供給・需要拡大支援事業等の拡充、これを進めてきたところでございます。
現在……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/153
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154・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 時間過ぎておりますので、答弁まとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/154
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155・平形雄策
○政府参考人(平形雄策君) はい、分かりました。
まとめて申しますと、国ももちろんそうなんですけれども、販売する方々、生産者の方々、自治体の方々も含めて、一体感を持って需要に応じた生産、これを進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/155
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156・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) もう終わっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/156
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157・山田俊男
○山田俊男君 はい、もう終わりでございまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/157
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158・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/158
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159・山田俊男
○山田俊男君 ええ。
ちょっと長く、長広舌やりましたが、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/159
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160・谷合正明
○谷合正明君 公明党の谷合です。
大臣が来られるまで、ちょっと質問の順番を変えてお尋ねしたいと思います。
最初に、農業委員会についてお尋ねします。
この経営基盤強化法の改正案におきまして、目標地図の素案を農業委員会が作成することになっています。従来の業務に加えまして、農業委員会の役割がますます大きくなるため、その事務負担の軽減を図る必要があります。先般の我々の参考人質疑の中でも、農業委員会、全国農業会議所の方が、目標地図の素案を作ることとされているけれども、現場では令和七年までに農業委員会だけで作り上げられるか不安であると。また、市町村の農政部局などと一体となった体制を築けるかということも問題意識を言われておりました。
目標地図の作成に当たりまして、農業委員会の負担軽減にどのように取り組むのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/160
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161・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
基盤法の改正法案におきまして、目標地図は市町村が作成しますが、素案につきまして農業委員会が作成することとしており、委員御指摘のとおり、農業委員会の事務負担の軽減、これを図ることが必要と考えています。
この場合、農業委員会が素案を作成するに当たっては、聞き取り等によりまして把握をした農地の出し手、受け手の意向などの情報をタブレットに入力をし、これらの情報をインターネットで公表しています農地地図情報に反映させることで省力化を図ってまいります。
農林水産省においては、農業委員会に対しまして、農業委員会交付金で基礎的経費への支援を行うとともに、農地利用最適化交付金によりまして農業委員会の農地集積などの最適化活動を支援してまいりたいと考えています。この最適化交付金につきましては、現場で使い勝手が良くなるよう、令和四年度予算におきまして、委員報酬に加えて、新たに事務費にも活用できるよう見直しを行い、この中で臨時職員の配置なども支援することとしております。
さらに、都道府県の農業会議に対して、農業委員会の業務を巡回サポートするための経費を支援しており、農業委員会の業務の円滑化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/161
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162・谷合正明
○谷合正明君 御答弁の中に農地ナビの話も出てまいりましたけれども、デジタル化に向けた支援について併せてお伺いしたいと思います。
デジタル化の有用性については、参考人の方も言われておりました。一方で、農業委員には高齢の方も多く、その導入をしっかりサポートしていく必要がございます。参考人の方も、全ての農業委員会において農地ナビ、台帳情報を地図にして示す、こうしたことを一〇〇%やっていきたいんだというお話がありましたけれども、人的、経済的支援の継続をしていただきたいという話もございました。
また、農業委員の方も、実際、そのデジタル化については農家の方から教わることから始まったというお話もございまして、しっかり、この農業委員会のタブレット導入及び現場での支援、これをしっかりきめ細やかにやっていく必要がありますが、この点についての答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/162
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163・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
目標地図の作成につきましては、先ほども御質問いただいたとおり、農業委員会の事務負担の軽減が必要であり、デジタル化を進めることが重要と考えています。
その際には、現場の農業委員、推進委員の方が使いやすいシステムとするとともに、きめ細やかなサポートが重要と考えています。具体的には、現場でタブレットを円滑に活用していただきやすいように、収集すべき情報の項目を分かりやすい形で国において統一的に定めて、容易に入力ができるようにタブレットの入力画面を可能な限り簡素化をし、都道府県の農業会議がタブレットの使用方法などについて農業委員会に対する研修を行ったり巡回による操作指導を行うこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/163
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164・谷合正明
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
続きまして、バンク計画への一本化についてお尋ねします。
この経営基盤強化法改正案におきましては、農地の権利移動の手法につきまして、市町村が作成する農用地利用集積計画を機構が作成する農用地利用集積等促進計画へ統合することになります。この点につきましては様々な懸念の声が出ておりまして、機構の事務負担の増加に伴って手続に時間が掛かるようになるのではないかといった声が寄せられております。先般の参考人質疑の中でも、時間と手間の発生、小作料などの受取の問題等々、これらに対して農水省は事務の抜本的な簡素化をうたっているけれども、一刻も早くその姿をつまびらかにしてほしいというお話でございました。
これを受けまして、促進計画の作成についてどのように機構の事務簡素化を図っていくのか、答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/164
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165・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
農地の権利移動の手法につきましては、市町村が作成する農用地利用集積計画、農地バンクが作成いたします農用地利用配分計画という公的主体による計画が全体の約八割を占めており、今回の改正法案により、これらの計画を農用地利用集積等促進計画に統合するに当たっては農地バンクの事務負担の軽減を図ることが重要と考えております。
この農用地利用集積等促進計画の作成に当たっては、従来、権利移転に絡みまして求めておりました添付書類を大幅に簡素化をするとともに、都道府県知事の許可権限、これにつきまして都道府県条例の改正によりまして市町村長に移譲することが可能となっておりますので、これを周知徹底していくなどによりまして手続の迅速化を図っていきたいと考えており、手間や時間が増大することにならないように対応していきたいと考えております。
また、現在、農用地利用配分計画案の作成について、市町村やJAなどの協力を得て農地バンクが行っているというケースもございます。このような関係機関の連携協力を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/165
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166・谷合正明
○谷合正明君 今後、やはり現場にですね、この具体的な運用をするに当たりまして十分なコミュニケーションを取っていただきたいというふうに思います。
それでは、次に用意した地域計画の策定につきましては今日午前中の質疑でも出ておりますので答弁を求めませんが、やはり、今年の二月に全国市長会から、一律に義務付ける場合、現場に大きな混乱をもたらすとの懸念が表明されたということでありまして、その後、全国市長会に対してしっかり説明し、納得を得たという話でございます。ただ一方で、三月にまたこの全国市長会から、地域の実情に応じた対応、要望が出されまして、またそれに対しての対応ということをなされたというふうには認識をしております。
今回、二月に全国市長会からの意見表明が出されたということで、やはり農水省と市町村、ここ、よく連携を従前から図っていく必要があるんだと思います。本法案だけじゃなくて、いろいろな政策でも言えているんだと思いますが、今後、その市町村とのコミュニケーションでありますけれども、この法律案に関して言いますと、この具体的な運用に当たっての今後の市町村との連携強化についての具体的な取組について方針を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/166
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167・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 谷合先生御指摘のとおり、二月に市長会から御意見をいただいて具体的な法案の内容等について情報提供してきたところであり、その後に、新たな義務付けについて地域の実情に応じた対応等、運用上の御要望をいただいたところであります。
本法案については、地域の話合いによる目指すべき将来の農地利用の姿を明確化していただくこととしていること、また地域計画の策定についても周知期間と合わせて三年程度の作成期間を設定していること、また地域計画については市町村が策定後においても必要に応じて変更できることなど、地域の実情にも配慮しながら農地の集約化等を進めていくこととしておりまして、支援策も、農家負担ゼロの基盤整備事業や地域集積協力金の交付ですとか、既存の農業関係の協議会等を活用した話合いによる現場の負担の軽減なども支援策として用意しておりますので、こうしたものをしっかり周知をして、国としてもしっかり後押しをしてまいりたいというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/167
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168・谷合正明
○谷合正明君 よろしくお願いいたします。
続きまして、活性化法に関連しての質問です。
農村RMOという言葉がこの数年ぐらい前から出てくるようになりました。私、正直、RMOという、よく分からなかったんですけれども、大事な役割を担っているんだろうということは認識はしています。やはり中山間地域、この高齢化、人口減少が本格化する中で、農業者の減少、耕作放棄地の拡大、これらが更に拡大していくという危機感の中でこうした取組を進めていかなければならないということなんだと思います。
中山間地域、また、山がなくても、例えば離島だとかそういったところの、今後の地域、あとは農地の適切な管理というのが大事ですけれども、まず、この中山間地域等に対する現状認識、それから今後の農村RMOの取組課題、これらについての農水省の見解を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/168
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169・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この中山間地域、離島などのいわゆる条件不利地域でございますけれども、今委員から御指摘いただきましたように、少子高齢化、人口減少、こういったものが都市部に先駆けて進行しているところでございます。そのような中で、集落単体ではなかなかこの農地等の維持保全活動の継続が困難になってくると、あるいは、その地域コミュニティーの維持にも支障が生じつつある、そのような現状ではないかと認識をしております。
このため、この複数の集落の機能を補完をいたしまして、農用地保全活動、あるいは農業を核とした経済活動と併せまして、生活支援等地域コミュニティーの維持に資するような取組を行う組織を農村型地域運営組織、農村RMOと位置付けまして、その形成を支援していくこととしているところでございます。
具体的には、令和四年度予算の中では、農村RMO形成推進事業というものを創設をいたしまして、農村RMOの形成に必要な調査、計画作成、実証事業、また農村RMO等が実施をいたします多様な地域資源を新分野で活用いたしまして農山漁村発イノベーションを推進すること、こういったことを支援することとしております。さらに、今御審議をいただいております農山漁村活性法の改正の中で、この農村RMOが実施をいたします農用地保全等が円滑に行われますように、多面法の申請手続簡略化の特例、また農地転用許可手続等の迅速化といったような措置も盛り込んでいるところでございます。
今後とも、地域の課題に寄り添いながら、中山間地域あるいは離島などの条件不利地域の振興というものを進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/169
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170・谷合正明
○谷合正明君 実行が大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、大臣に御質問をしたいと思います。
G7の農相会合が五月十三から十四にかけて行われたところでございまして、今般はウクライナ危機を踏まえた食料安全保障、また持続可能な食料のシステムということが重要なテーマであったというふうに認識をしております。
我が国にとりましては、国際協調の枠組みとしてのG7、この役割というのは極めて今急速に高まっています。G7の農相会合、G7にも閣僚会合たくさんありますけれども、その中でもこの農相会合でのこの農業分野、食料安全保障というテーマ、大変この関心が世界的に高まっております。来年は我が国がG7の開催国でございまして、農業大臣会合もどこかで行われるんだと思いますが、これ決してイベント的にしてはいけないというふうに思っております。
G7の中では、G7のカロリーベースの食料自給率、二〇一八年のデータですけれども、カナダは二六六%、アメリカは一三二、フランスは一二五、ドイツ八六、イギリス六五、イタリア六〇、日本三七という状況です。それぞれ国によってその農業の形態とかありようとか様々だと思います。その中で、G7で日本というのは唯一アジアから入っている国であります。また、食料輸入国としての日本、もちろん食料自給率高めていく必要があるんですけれども、食料輸入国です。そういう輸入国から見えてくるものがあるんだと思います。その意味では、農業分野において、我が国のその特質を生かした役割をこの分野で、国際会合で果たしていく、また発信していくチャンスだと思っています。
今般のG7の農相会合における我が国として何を主張したのか、そして何を勝ち取ったのか、そして今後、世界の食料安全保障の強化に向けてG7の中で我が国が果たす役割とは何なのかということについて、最後、大臣の答弁をいただきたいと思っておりますが、私自身は、例えば地域だとか多様性というのは一つの、二つですけれども、そういうキーワードになってくるんだと思っています。産業政策、地域政策と地域というのも側面が大変重要だなと、農業については。また、多様性という意味においては、農地の多様性もあるし、それから品目の多様性というのもあるし、また、何といっても担い手の多様性というのもあると。こうしたことをG7の中で日本がしっかり堂々発信していくということが極めて大事じゃないかなと。
今般は経営基盤強化法あるいは農村漁村活性化法の改正の審議ですけれども、こういったところにも実はつながっていく話にもなってくるのかなというふうに思っています。ですから、我が国として何を発信していくのかということを問いたいと思います。
改めて、まず、G7の農相会合において我が国として勝ち取ったことは何なのかということと、今後何を発信していくべきなのか、その点について大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/170
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171・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) お答えいたします。
農産物や肥料等の価格高騰が続く中で、G7各国が一堂に会しまして連帯して対応していくとの強い意思を示すことができ、大変有意義な会合であったと考えております。
我が国からは、世界の食料等の貿易を混乱させ、食料安全保障に悪影響を及ぼすような輸出規制等の措置がとられないこと、持続可能な食料システムの推進には万能の解決策はなく、各国・地域の農業形態や気候条件を考慮することなどを主張しまして、G7としての取組をまとめた農業大臣コミュニケに反映されたことは我が国としての大きな成果と考えております。
世界の食料安全保障の強化のためには、生産力の向上と環境負荷の軽減を両立させる持続可能で強靱な食料システムの構築が喫緊の課題でありまして、G7が世界をリードしていく必要があります。我が国はアジアで唯一のG7のメンバーでありますし、欧米に偏った画一的な基準によるものではなく、各国・地域の多様性を踏まえた最適な食料システムの実現が促進されるよう貢献していく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/171
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172・谷合正明
○谷合正明君 そうした大臣の今述べていただいたことを説得性を持って各国に共有していただくためにも、我が国の取組、これが非常に、国内での取組というのが大事なんだと思います。食料自給率の向上であるとか、また今般言われた農地の集積や集約化だとか、多様な担い手をしっかり確保していくことだとかいうことが大事だと思っております。
午前中の質疑だったかな、食料安全保障に関する農水省のチームをつくったということでありますけれども、まさにこのチーム、別にこのチームに限らないですけれども、農水省の中にしっかり、この来年の、G7なのかな、そういう大きな国際会合に向けて何を発信していくかという一応検討するチームを省内につくっていただければなというふうに思った次第でございます。
もちろん、G7の農相会合が、それがすぐにグローバルなスタンダードになるというわけじゃないとは思いますけれども、今、これほどG7の役割が高まっていて、また食料安全保障の切迫感というのがこれほどまで高まった時代はないと思っておりますので、是非そうした取組を強化していただきたいと思います。そのことを申し上げまして、質問とさせていただきます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/172
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173・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
前回の質問で、二〇一三年の五月二十八日の国家戦略ワーキンググループに提出された安倍総理のプレゼン資料を紹介しました。で、今日お配りをして今いるところであります。その一枚目の配付資料を見てください。当時の奥原経営局長が説明した資料です。それから、二枚目は農林水産省が提出した農業基盤強化法改正案の資料です。総理提出の資料では、今後十年間で担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造を実現するためのスキームが農地集積バンクということです。
農地集約がどのように進むのかということで、青色で囲ったところ、農地の集約、イメージのところを見てください。一枚の圃場三十アール区画には、A、農業法人、B、大規模家族経営、C、企業、D、その他の小規模家族経営が描かれているんですが、矢印で見て、じゃ一枚の圃場を一ヘクタール区画にするとどうなるか。これで見ると、農業法人、大規模家族経営、企業の農地が増えて、小規模家族経営がいなくなっています。この結果、赤字であるように、農地の集積・集約化でコストが削減するとあります。
この資料を説明しているのは当時の奥原経営局長なんですよね。農林水産省も、これ同じ考え方だったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/173
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174・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
当時の担当局長から御説明したものだと思いますので、当時の農林水産省の資料として説明しているんだと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/174
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175・紙智子
○紙智子君 そうですよね。私、やっぱり小規模農家が離農する資料を農林水産省が説明したこと自体が本当驚きでした。
二枚目のこの農林水産省の今回の資料を見てください。赤字で囲んでいるところ、目標地図のイメージというところを見てください。現状と目標地図が描かれていますが、経営体のイメージというのは書かれていないんですよね。それで、安倍総理のプレゼン資料のように、小規模家族経営がいなくなるということもあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/175
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176・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の法案の中で、地域計画を市町村が作って、その中で目標地図を定めることとしています。その中では、農業を担う者ごとに、将来、十年後をイメージしておりますけれども、農地利用をきちんとやっていくという姿を描いていくことにしています。そのためには、分散錯圃している状況などを解消して集約化などを行って、効率的、総合的に使われるようにしていこうという内容でございます。
したがいまして、何か、この場合、農業を担う者につきましては、経営体として、いわゆる担い手はもちろんございます、それ以外の多様な経営体ももちろん入る、全体の経営体を指し示すものというふうに担う者ということを御説明申し上げているとおり、経営規模の大小ですとか、家族か法人かの別を問わず位置付けられるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/176
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177・紙智子
○紙智子君 ちょっと確認したいんですけど、小規模家族経営がいなくなる地域計画だってあり得るんじゃないのかと聞いたんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/177
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178・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答え申し上げます。
それぞれの地域でどのような姿になるかというのは地域の状況によって違うでしょうし、さらに、今回、協議の場を踏まえて地域計画を話し合う中で、それぞれの農地の出し手、受け手の情報を農業委員会が把握した上で目標地図を作成する過程の中で決まってくると思いますので、特定のケースを想定しているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/178
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179・紙智子
○紙智子君 余りはっきり答えていないんですよね。あり得るんじゃないか、全くないというふうに言えるのかというところなんですけれども。
安倍総理のプレゼン資料に戻りますけれども、その資料の真ん中辺りに書いてあるんですが、農地バンクが地域内農地の相当部分の利用権を持つと。準公有状態と書いています。利用権が設定された農地は準公有地ということなんですけれども、これ考えてみると、個人の財産を準公有地にするというのは、何かよく分からないなというか、おかしくないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/179
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180・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
この総理プレゼン資料として今回お配りしていただいた資料の中心に農地中間管理機構(仮称)と書いて、言わば農地集積バンクと。農地集積バンクという言い方は今しておりません。農地バンクと俗称でも言っておるところでございます。このように、このプレゼンとか御説明は農地バンク法ができる前の話だと思います。
したがいまして、あの当時の御説明としては、当時、農地バンクの仕組みを検討している状況でございまして、その中でいわゆるこの準公有状態をつくり出すという発言をしたものと思います。これ、農地バンク法ができる前でございますので、公的な性格を持つ農地バンクが広く地域の農地を借り受けることを分かりやすい形で表現しようとしてこの表現を使ったものと考えています。
本件は、今申し上げましたように、バンク法ができる前の検討段階の御説明でございまして、バンク法ができた後は制度に即した説明を行っており、準公有状態という表現を使って説明するよりは、農地バンクはというふうに通常の説明しているのが基本だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/180
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181・紙智子
○紙智子君 今はそういう言い方していないと言うんだけれども、今はそういう言い方していないということは、やっぱり間違っていたというか、そういうことではなかったということだというふうに理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/181
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182・光吉一
○政府参考人(光吉一君) ただいま申し上げましたように、農地バンクというのは公的な色彩を持っている組織でございますので、その意味で、準公有状態として分かりやすく説明しようとして使ったということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/182
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183・紙智子
○紙智子君 ちょっといま一つ理解できないというか、大体、相対でやっていたときは個人の財産というか持ち物なわけだけど、これをそのバンクが入ってやったときに、この利用権が公有、公有状態だと。だから、公的に有するものになるんだということ自体が、それって何か変だなというふうに思うんですけど、それ自体は変じゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/183
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184・光吉一
○政府参考人(光吉一君) 何回も繰り返して恐縮ですけど、準公有状態というのは、バンク法ができる前の制度が知られていない状況の中で、その農地バンクというのが公的な色彩、一旦借りて、それを受け手の農業者の方にお貸しすると、あるいは県公社がそれになったりするというような性格、公的な性格を持っているという意味でこのような表現を使ったものと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/184
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185・紙智子
○紙智子君 やっぱり、ちょっとその辺が、何というか、はっきりしないまんま。
それで、昔はそう言ったかもしれないけど今は違うということなんでしょうけど、バンク創設の当時、農業委員会排除する話もあったんですよね。利用権が設定されたら準公有地なんだというふうに言って、小規模家族経営の農地を農業法人と大規模家族経営、企業に農地を差し出す仕組みがバンクだったのかなというふうにも思うわけですよ。
それで、担い手に農地の八割を集積する、この路線というのは実は今も変わっていないわけですよね。今回の基盤法の改正案もこの路線を推進するものになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/185
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186・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の法案につきましては、今後、高齢化、人口減少が本格化して、地域の農地が使われなくなるおそれがあることから、利用されやすくなるよう集約化等を加速化していこうと、この課題は待ったなしという認識で法案を提出させていただいています。この中で人・農地プランを法定化して、将来の目標となる農地利用の姿を明確化して、集約化等を進めていくこととしています。
今回のこの全体のスキーム、改正内容自身は、集約化目標を更に進めるということだけにターゲットをもちろん置いているわけではございません。集約化、例えば集約化などを進めることによって作業がしやすくなって生産コストや手間を減らすことができるようになる、その結果としてより農地を受けてもらいやすくなる、それで遊休農地の発生防止につながりやすくなる、それでスマート農業などに今後取り組んでいきたいという現場に対して取り組みやすくする効果もある、あるいは新規就農者や他地域の農家による利用にもつながりやすくなる、こういった効果を期待するものであり、そのうちの一つとして農地の集積にも、の向上にも寄与するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/186
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187・紙智子
○紙智子君 農林水産省は、四月五日に、規制改革推進会議地域産業活性化ワーキング・グループに農業委員会の最適化活動についてという資料を出して、説明をしています。
これ、二〇二一年の六月十八日に閣議決定した規制改革実施計画、ここには、農林水産省は、令和五年に全農地面積の八割を担い手へ集約するという目標と現状の乖離が著しいことから、農地の集約化に重点を置いて、地域が目指す将来の具体的な農地利用の姿を目標地図として明確化する、目標地図の実現に向けた農地中間管理機構を軸に強力に推進すること等を検討し、結論を得るというふうにあるわけですよね。
この規制改革実施計画に応えて、今回、農林水産省は農業経営基盤強化促進法の改正案を閣議決定したというふうに答えているわけですよ。担い手に八割集積を進めるという改正案なんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/187
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188・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答え申し上げます。
担い手への集積、今回法案を提出させていただいて、そして国会でも御審議をお願いしている中で、担い手への集積が非常に重要であるということはこれまでも申し上げてきていると思います。これを横に置いて何か別のことをやるということではございません。
ただ、担い手に集積していくということが重要であると同時に、今回、人口減少があったり高齢化が進んでいる中で農地が使われなくなるおそれがあると、それで分散錯圃の状況を集約化等をして地域において効率的、総合的にきちんと使われるようにしていく、そういう状況の中で集約化をすると効果の一つとして集積にもつながると、そういう御説明をしてきていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/188
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189・紙智子
○紙智子君 農地を使われなくなったら困るから使えるようにしようと、それはよく分かるんですよ。
農水省は、今回の改正に当たって、経営規模の大小を問わず、家族か法人かの別を問わず、将来にわたり地域の農地を適切に維持、活用するというように言っているわけです。農地の適切な維持という言い方をしているんですけれども、基盤法においても中間バンク法においても、この農地の維持という規定はないんですよね。これ、なぜ規定していないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/189
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190・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の法案につきましては、農地がきちんと使われるように農地の集約化等に向けた取組を加速化するというものでございます。
このため、今回の改正法案におきましては、例えば基盤法の第五条第二項第五号の基本方針の記載事項などにおきまして、農地が使われなくなることがないように、法令用語といたしましては、農用地の効率的かつ総合的な利用というのを明確に規定しております。これによりまして、個々の農地だけではなくて、地域全体で農地が適切に使われるようにしていくことを定めております。
また、今回の改正により、農地バンク法のいわゆる農地中間管理事業につきましては地域計画の達成に資するよう実施するということを何か所かで規定しておりますが、この地域計画自身は、先ほど申し上げた基盤法の中でも、農用地の効率的かつ総合的な利用を図るためのものということを明らかにしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/190
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191・紙智子
○紙智子君 私は、やっぱり農地の維持ということ自体が本当に大変な中で、きちんと農地の維持ということを入れる必要があるんじゃないかというふうに思うんです。
農業を、基盤法にもバンク法でも、すっきりとやっぱり農地の維持というものを規定して位置付けるとより分かりやすくなると思うんですよね。これ、規定すべきじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/191
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192・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
法令用語の話になるかと思うんですけれども、法令用語としては、農地が、先生の御指摘ですと維持ということですけれども、法令用語としては、基盤法の中で、効率的そして総合的にちゃんと使われるんだという意味でその用語を利用ということで書いているという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/192
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193・紙智子
○紙智子君 農地バンクの目的というのは、農業経営の規模拡大、農用地の集団化なんですよね。規模拡大がもちろん悪いと言うつもりは全然ありませんけれども、農地の維持ということが位置付かなかったら、幾ら農地の適切な維持というふうに言っても、これ実効性はないんじゃないかというふうに思うんです。
それから次に、担い手についてお聞きします。
これ午前中もちょっと議論になっていましたけれども、農業を担う者というのは、農水省の説明によりますと、認定農業者も入るし、それ以外の多様な農業経営者、それから農業に従事する雇用労働者、農作業の受託経営者、企業も入ります。半農半Xが脚光を今浴びていますから、イメージだけで先行している部分はあると思うんですけれども、余りにも範囲が広過ぎると思うんですよね。
この農業を担う者の定義とか要件というのは必要じゃないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/193
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194・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
農業を担う者ということを今回の法案の何か所で規定をしており、それの概要については先生お話をいただいたとおりでございます。
経営体としては、担い手、そしてその他の多様な経営体、これも含まれるところでございます。そのほか、雇用されて農業に従事する者始め、農作業の受託サービスなどを行う人、農産物の生産活動などに直接関わっている人材、これを幅広く該当するという概念でございます。それで、家族か法人かにかかわらず、幅広く地域農業を支える方、人材を育成、確保していく観点から位置付けているものでございます。
このため、今申し上げたように、また先生も御指摘いただいたように、農業を担う者というのは幅広い範囲の者が該当しているものであって、狭くこれを定義したり要件を何らか設けるということではなく、ものではございませんけれども、幅広く対象にしてそれぞれの現場現場で必要な人材が確保されるように各地域で取り組んでいただきたいと考えておりまして、幅広く対象になり得ることをしっかりと周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/194
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195・紙智子
○紙智子君 だから、ちゃんと定義したらいいんじゃないですかということを繰り返し言いたいわけですよね。そうやっていろいろ、解説的にいろいろ言うけれども、ちゃんと規定したらいいじゃないですか。
やっぱり、認定農業者が今高齢化していると、農地の継承が問題になっているということがあるわけです。企業が担う者として参入をして、認定農業者の農地を引き継いで経営を拡大するということも可能になるということだと思うんです。参考人質疑の中で、この企業の力を借りたいという農家もいると。しかし、コミュニティーにあつれきが生まれても困るという話も出されたわけであります。農業を担う者というふうに曖昧な言い方ではなくて、言うんだったらはっきり中小家族農業というふうに位置付けて書いたらいいんじゃないのかと思うんです。
食料・農業・農村基本計画の中では、中小・家族経営など多様な経営体ということで表現しているわけですよね。ただ、位置付けは、担い手と違って、地域農業を支えるという役割なわけですよ。支援策も、担い手には、強い農業・担い手づくり総合交付金とかスーパーL資金とか手厚いものになっている。補助金で言えば規模拡大要件なんかもあるわけですよ。
効率的かつ安定的な経営体とか認定農業者を優先するんじゃなくて、やっぱり中小・家族経営の支援も強化する仕組み、ここにしっかり位置付けて変えるべきじゃないかと思うんですけれども、これちょっと大臣にもお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/195
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196・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 地域計画における目標地図においては、目指すべき将来の農地利用の姿として、農業を担う人ごとに利用する農用地等を明らかにすることとしています。このため、目標地図には、経営規模の大小にかかわらず、また家族か法人かの別を問わず、将来にわたり地域の農地を適切に維持、活用する方々が位置付けられ、それらの方々による農地の効率的、総合的な利用を図ることといたしています。
令和四年度予算では、機械等の導入支援を行う農地利用効率化等の支援交付金について、認定農業者等に加えまして、このような地域における継続的な農地利用を図る者として市町村が認める者も支援対象といたしております。
このように、中小・家族経営体も含め、地域の農業を担う者に対して、品目別対策や多面的機能支払、中山間地域等の直接支払等も含めまして支援策を実施するとともに、各地域で作成された地域計画の達成が図られるように必要な後押しを行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/196
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197・紙智子
○紙智子君 結局、いろいろなことを議論するんだけれども、やっぱりどこに集中していくかといったら担い手のところに行くんですよね。だから、やっぱり私は、農地の維持の支援という問題と、それから中小家族農業、このことはきちっと位置付けて支援するということをきちっと書き込むということが必要だというふうに思います。
それから、人・農地プランの法定化についてお聞きします。
参考人質疑で、人・農地プランを作成しようと思っても、地域の合意形成に苦労しているという話が出ました。担い手になる人がいないとか、世代交代で相続された方が農地を手放したくないと、資産として持ちたいという人がいるのでプランをまとめるのは簡単じゃないという話も出たんですけれども、この地域計画、いわゆる人・農地プランの作成は法施行後二年以内ですけれども、十分な話合い、合意形成ができなければ、これ見切り発車することになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/197
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198・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今後、高齢化、人口減少が本格化していく中で、農地が使いやすくなるように集約化等に向けた取組を加速化することは、どの地域にとっても待ったなしの課題だと認識しています。
このため、今回の改正法案におきましては、基盤法に基づく基本構想を定めた市町村につきまして、農業者などの話合いを踏まえて農業の将来の在り方や農地利用の姿を明確化した地域計画をしっかりと定めていただくことが必要であり、周知期間と合わせて三年程度の策定期間を設けているところでございます。
目標地図の作成時に受け手が直ちに見付からないなど最終的な合意が得られなかった農地につきましては、地図の作成後も随時調整しながら、その調整結果を目標地図に反映するため計画を変更できることとしており、地域の実情にも十分配慮した仕組みとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/198
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199・紙智子
○紙智子君 計画は変更することもできるという話があるんですけれども、やっぱりこの協議が調わないで先に行かれてしまうと、これはもう禍根を残すことになりかねないなというふうに思います。
それから、農山漁村活性化法案についてもお聞きします。
農用地の保全に関する事業が追加されるわけです。で、事例として放牧や鳥獣緩衝帯や林地化ということで掲げられていますけれども、この中山間地域で生産者は荒廃農地を出さないように懸命に生産活動をしているわけですけれども、農用地の保全事業ができたということで、これ耕作している農地を安易に保全地域に入れることにはならないかどうか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/199
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200・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答え申し上げます。
農地につきましては、まず地域でしっかり話合いを行っていただいた上で、農地が利用されやすくなるように集約化などを進めて農業上の利用を行うということが基本でございます。
一方、御指摘いただきました農用地保全事業でございますけれども、これは様々な努力を払ってもなお農業上の利用が困難であると判断される農地を対象とすることを考えておりまして、例えば、この遊休化が進み、農業生産を再開するよりも鳥獣緩衝帯として活用することが合理的な農地、あるいは、その周囲を森林に囲まれるなど、ほかの農地から地理的に切り離されておりまして集約化を図ることが困難な山際の農地、こういったものが対象として考えられるところでございます。
しかしながら、この優良農地を守るということがまずもって基本でございますので、むやみにこういう林地化が行われることがないように、農用地保全事業の考え方につきましては、今後策定をされます基本方針等におきまして明記をいたしまして、地域においてその適切な運用が図られるよう周知徹底を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/200
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201・紙智子
○紙智子君 参考人からも義理人情も大切だと言われて、発言出ていましたけれども、今まで頑張ってきた生産者が意欲をそぐことがないような十分な話合いと合意形成が必要だと思います。
それから、続けて、人・農地プランについてお聞きします。
地域計画の達成に向けて、地域が連携して機構、農地バンクに働きかけをすることになっています。基盤法の二十一条では、農業委員会は地域計画の区域内の農用地等の所有者に機構への利用権の設定等を積極的に促す、所有者は機構に対する利用権の設定などを行うように努めるとあります。その上で、第二十二条の二で、市町村は、地域計画の区域内の農用地等について、機構への利用権の設置等が必要なときは所有者に機構と協議するように勧告するとあるんですね。
この農地の所有者に促して、努力義務を課して、さらに勧告までするって、これ、なぜこんな行政指導が必要なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/201
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202・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の法律案の背景については、これまでも御説明申し上げましたけれども、今後、高齢化、人口減少が本格化していく中で、地域の農地がきちんと使われなくなるおそれがございます。このためには、農地が利用されやすくなりますように集約化等に向けた取組を加速化すること、これはどの地域においてももう待ったなしの状況だというふうに認識しております。このため、今回、農地の所有者等につきましても、農地バンクに対する利用権の設定等を行うよう努めるという規定を設けているところでございます。
また、今回の措置については、最終的に利用権を強制的に設定するというような仕組みではなくて、基本的には働きかけ、こういったことを中心にして取組が地域計画の実現に向けて促進されるようにしていくということでございますので、農業委員会が農地バンクへの貸付け等を積極的に促進をしたり、あっ、失礼しました、農業委員会が積極的に促進をしたり、農地バンクが所有者等に対して取得に、中間管理権の取得等に関する協議を積極的に申し入れることとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/202
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203・紙智子
○紙智子君 強行的にすることではないんだと言うんですけど、やっぱり話合いとか協議とかいっても、決まってしまったらやっぱりそれを進めることになるんだと思うんです。
提案に基づく地域計画の特例についても聞きます。
第二十二条の三、農業委員会又は農地等の所有者が農地を貸し付けるときは、機構と提案をするときは農地所有者の三分の二以上の同意を得ること、二十二条の四は、提案を受けた市町村が特例の地域計画として策定する場合、対象区内の農用地等の所有者は機構以外の者に利用権の設定等を行ってはならない、そして三十五条で、機構以外の者に利用権の設定を行った者は五十万円以下の過料に処すと。
なぜこんな圧力ともいうようなことをやる必要があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/203
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204・光吉一
○政府参考人(光吉一君) お答えいたします。
今回の改正法案におきまして、市町村が地域計画を策定することとしておりますけれども、その特例として、委員御指摘のとおり、地域の農地所有者等が三分の二以上の同意を得て市町村に提案して地域の農地について貸付け等を行う際には、相手方を農地バンクに限定する旨を地域計画に盛り込むことができる規定を措置しております。
この仕組みは、先ほども申し上げましたけれども、強制的に利用権を設定するというものではなくて、農業者等による協議を円満に継続できるように措置するものでございます。現行の基盤法におきましても、地域の農地所有者等が組織する団体が区域内の農地を担い手に集積するため、農用地区域の農用地の所有者の三分の二の同意などを得て、農地の貸付け等の相手を農地バンクなどに限定をし、これに違反した場合、五十万円以下の過料に処する仕組みがございます。今回はその仕組みを地域計画と関連させて同じ基盤法の中で移し替えたものでございます。
農地の集約化等を円滑に進めていくことが重要であり、できるだけ丁寧に話合いを行って合意形成に努めていただけるようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/204
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205・紙智子
○紙智子君 三分の二っていうんだけど、三分の一の人っていうと結構多いですよね。百人いたら三十人はいろいろ異論だということなんで、三分の一の同意がなくても集約化すると、これやっぱり少数を切り捨てることになるんじゃないかという思いがします。
基盤法の利用集積計画がバンク法の利用配分計画に統合されて農地利用集積促進計画になります。今回の改正案が、全農地面積の八割を担い手に集約することを求めている規制改革実施計画の対応策ですから、やっぱり上からの押し付けになりやしないかなというふうにも思います。
私は、人・農地プランが悪いと言っているわけではなくて、プランを作るにしても、勧告とか過料とか市町村の農地集積計画をこれ都道府県の農地利用計画に統合すると、これ農地所有者に協力を強いて、市町村の自主性じゃなくて上からの計画になりはしないかというふうに心配するわけです。
そこで、農地バンクにも課題もあるんですけれども、農地を流動化する仕組みそのものは必要なんだけど、農地バンクはなぜ県に一つなんでしょうかね。これ、一つではなくて、市町村や農業委員会や現場に近いエリアもバンクが設定されれば現場目線に合った集約化になるんじゃないんだろうかと。規模拡大を求める目的も変えて、これ変える必要があるというふうに思うんですけれども。やっぱり生産者が今減っている中で、どこも足りないと言っている中で、農地の集積、集約というのは望まれてはいると思います。これは農地や地域農業を維持するために必要なんだと思うんですよ。
現場に近くて、現場に足を運ぶバンクがあった方がいいんじゃないかというふうに思うんですけど、これ大臣にお聞きします。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/205
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206・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 農地バンク事業は、農地バンクが農地の所有者から自ら農地を一旦借り入れまして、その上で受け手に一団の農地で転貸するものであります。
この場合、同一都道府県内で複数の農地バンクが活動しますと、各農地バンクがそれぞれに農地を借り入れることとなり、まとまった形で転貸することが困難になると考えられることから、その数を都道府県に一つと限っています。
また、農業者の高齢化、人口減少が本格化する一方で、受け手の営農区域は広域化していることから、市町村の区域を越えた広範囲で幅広く受け手を確保する必要があるため、都道府県段階の組織としているところであります。
農地バンクについては現地コーディネーターを増員することとしており、現場での具体的な協議等の場において農地バンクが自らが農地バンクの役割、メリット等を地域の農業者に対して丁寧に説明するとともに、農業者からの相談を受けることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/206
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207・紙智子
○紙智子君 ちょっと時間がなくなってきたので、あと二点、併せて聞きます。
待ったなしの課題として参考人の皆さんが言われていたんですけど、農業委員会の事務局体制の強化ということです。人・農地プラン地域計画が軌道に乗るかどうかというのは、農業委員会の力量や懐の深さや広さに懸かっていると言っても過言ではないと思うんですね。そうなると、やっぱりマンパワーと財政的な裏付けが必要じゃないかということが一点。
もう一つ、改正案は人・農地プランを法定化するものなんですけれども、担い手に農地を集める、集積するということですから、農地政策だと思うんです。しかし、輸入自由化が進んで、今の日本農業が抱えている課題というのは、農地政策だけ変えても解決しない問題もあるわけです。参考人質疑では、農地だけではなく国のグランドデザインを示して農業で飯が食えれば担い手は生まれるんだという話もありました。こうした意見に大臣どうお答えになるのかという、二点、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/207
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208・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 農業委員会が作成、目標地図の素案については農業委員会が作成することとしてはおりまして、農業委員会の事務局体制の強化を図ることは重要と考えています。
農林水産省におきましては、農業委員会に対して、農業委員会交付金で基礎的経費への支援を行うとともに、農地利用最適交付金によりまして農業委員会の農地集積等の最適化活動を支援していくことといたしております。この農地利用最適交付金につきましては、現場で使い勝手が良くなるよう、令和四年度予算におきまして、委員報酬に加えて、新たに事務費も活用できるように見直しを行いまして、この中で臨時職員の配置等も支援しております。
さらに、都道府県農業会議に対しましては、農業委員会の業務を巡回サポートするための経費を支援しており、農業委員会の業務の円滑化を図ってまいりたいと考えております。
なお、平成二十七年の農業委員会改正法において、農業委員会の事務局職員の確保及び資質の向上を図るよう努めている旨の努力規定を設けたところであり、農業委員会の事務局員数は、平成二十九年の七千七百人から令和三年には八千五十七人まで増加をいたしております。
グランドデザインについてのお尋ねでございますが、食料、農業及び農村に関する国の総合的な指針につきましては、五年ごとに食料・農業・農村基本計画を定めまして、施策の基本的な方針、食料自給率の目標、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を示しているところであります。
また、本計画と併せて、農業経営の展望を作成し、家族経営を含む多様な担い手が地域の農業を維持発展する参考となるよう、営農類型、地域別に経営規模、農業所得などを試算した農業経営モデルを示しているところであります。
今後とも、国の総合的な指針といたしまして食料・農業・農村基本計画を適切に策定していくことで、農政全体像を示してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/208
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209・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ていますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/209
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210・紙智子
○紙智子君 はい。
時間になってしまいましたけど、やっぱり、私、人と環境に優しい農政をということをずっと言い続けていまして、中身はまた次回にしたいと思いますが、引き続き議論していきたいと思います。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/210
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211・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、竹内功君が委員を辞任され、その補欠として山下雄平君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/211
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212・須藤元気
○須藤元気君 こんにちは。無所属の須藤元気です。
まずは、活性化計画の周知の必要性についてお伺いします。
農山漁村活性化法は、農地法や基盤強化法に比べ認知度が低く、そのPRや周知が課題であるとも言われています。活性化計画の作成件数が近年低調であるのは、制度の認知度が不足しているためではないでしょうか。
認知度といえば、私、格闘技を引退した後、拓殖大学のレスリング部の監督をしているときに、学生たちと東京マラソンを走ったことがあります。東京マラソンって東京のど真ん中で走るんで、観客がとても多いんですよね。たくさん何かコスプレするランナーとかいろいろいて、こういったときは目立って何ぼだと思い、学生たちをレスリングのあのつりパンという、あのユニホームを着させて七人ぐらいで一緒に走ったんですが、私も人気商売をやっていたものですから、走っているときに元気頑張れとか声を掛けてくれたんですが、五回に一回ぐらい魔裟斗頑張れと言われまして、格闘家に魔裟斗さんているんですが、勘違いされまして、走っている最中なんで訂正しに行くのもなんで、大きな声で魔裟斗じゃなく須藤元気ですと走りながら言いました。
この認知度、知名度というものは大切だということなんですが、この施行直後は計画が多く作成されていたことから、地方公共団体に一定程度浸透していたと考えられますが、どのようにうまく回していたんでしょうか。また、活性化計画を作成した地方公共団体が得られた具体的な効果についても教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/212
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213・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この農山漁村活性法は平成十九年五月に成立をしたわけでございますけれども、その後、農林水産省本省の担当者が都道府県に赴きまして、市町村、関係団体を含めた説明会の開催、また地方農政局担当者が管内市町村に対する説明会、こういったことによりまして制度の周知を図ってきたところでございます。加えまして、この交付金の活用から全体像までをまとめましたガイドブックでありますとか、あるいは地区事例集なども作成をいたしまして、ホームページでも公表いたしまして周知を図ってきたところでございます。
この結果、本法を活用しまして、これまでに約千九百の計画が作成をされております。交付金を活用した優良事例、いろいろございますけれども、例えば和歌山県の事例でございますけれども、廃校、廃屋を活用した体験交流施設とか農家レストラン、そういうものを整備をいたしまして、五年間で来訪者が六万人増加したとか、結果として農家の収入増、雇用増加にもつながったとか、あるいは、長崎県の事例でございますけれども、古民家を再生して農家レストランや宿泊施設を整備ということで、四年間で宿泊者数が約五千人増加をして雇用も生まれたと。
こういったような事例も見られるところでございまして、本法は、農山漁村における定住及び地域間交流を促進することで農山漁村の活性化に一定の役割を果たしてきたというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/213
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214・須藤元気
○須藤元気君 なるほど。最初はうまくキックオフできていたということですね。
そこでお聞きしますが、近年低調である本制度が積極的に用いられるよう、地方公共団体や関係者に対して改めて効果的な周知を行う必要性について、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/214
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215・中村裕之
○副大臣(中村裕之君) 効果的な周知についての質問でございますが、本法案が可決された場合には、改正の内容について、地方公共団体や関係者、関係団体等に丁寧に説明を行ってまいります。その際、改正の内容だけではなくて、現行の農山漁村活性化法の仕組みについてもしっかり現場に周知してまいります。
具体的には、地方公共団体や関係者、関係団体等に対して、ウエブ等を活用し、幅広く説明会を実施するほか、分かりやすいリーフレット等の作成、ホームページ等を通じた制度内容、そして先ほど局長から御説明がありました優良事例の発信等を行うこととし、農山漁村地域における活性化の取組が積極的に図られるように取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/215
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216・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
どんなに良い制度、仕組みでも、知られていないと効果はないので、是非この知らせる、普及させるアイデアも絞っていただければと思います。先ほど優良事例も御紹介していただきましたが、そちらの方も展開していけばいいのかなと考えております。
さて、農村の活性化のためには、一般の市民、都市部に住む市民がもっと農業や農作業に親しむ機会を増やすことが大切だと思っております。
市民農園の設置状況を見ると、平成四年に農園数六百九十一、面積二百二ヘクタールだったところ、平成二十六年には農園数四千百七十八、面積は千四百二ヘクタールまで増加しています。しかし、その後のこの推移を見ると、農園数は四千二百前後で横ばいとなっており、面積については令和二年度には千二百九十四ヘクタールとむしろ減っております。
平成三十年には都市部で市民農園を開設しやすくするための都市農地貸借法が制定されていますが、市民農園の開設について、現在の取組はどのような状況でしょうか。また、今後の目標数値などあるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/216
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217・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この都市農地貸借法でございますけれども、これは都市農地の有効活用を図るために、借りた農地で自ら耕作を行う場合、また借りた農地で企業、NPO等が市民農園を開設する場合におきます手続の簡素化及び貸借の円滑化について定めた法律となっております。
令和三年三月末時点におきます市民農園の開設数でございますけれども、今委員から御指摘いただきましたように、全国で四千二百十一件となっているところでございますが、このうち、この都市農地貸借法に基づきまして企業、NPO等が市民農園を開設した実績は、九都府県で七十一件、十一ヘクタールとなっているところでございます。
なお、この都市農地貸借法を活用してこの市民農園を開設した場合の数値目標というものは定めていないところでございますが、この都市農業者が自ら借りた農地で耕作を行う場合の貸借を含めた目標といたしましては、令和六年度までに二百五十五ヘクタールという目標を掲げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/217
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218・須藤元気
○須藤元気君 なるほど。どの法律を使って決めるかはまた検討すればいいと思うんですが、今後は、この市民農園についてもより細やかな目標数値を作っていただければと思います。
さて、現行のこの農村漁村活性化法では、市民農園を開設しようとする場合における認定手続の簡略化の特例措置が設けられていますが、この特例措置による市民農園開設の促進効果がどれぐらい現れているのか、その成果について具体的に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/218
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219・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この農山漁村活性化法の特例といたしまして、この活性化計画に農林漁業団体等が実施をするこの市民農園の整備事業を記載した場合におきまして、当該農林漁業団体等が行います市民農園整備促進法に基づく手続の簡素化を図るということになっておりまして、開設者の事務負担の軽減につながるものと考えているところでございます。
なお、本特例につきましては、法施行後これまで活用されたことがないわけでございますけれども、その理由といたしましては、平成二十五年に行ったアンケート調査におきましては、特定農地貸付けに関する農地法等の特例に関する法律というのが別途ございまして、こちらの方によりまして市民農園を整備したということ、また、本法のこの特例についての理解が残念ながら不十分でございまして、記載事項を省略しないで申請手続を行ったというような回答もあったところでございます。
今般、改正内容をお認めいただきまして、地方公共団体等に周知をすることになった場合には、本特例につきましても併せて周知をいたしまして、市民農園の整備による農山漁村の活性化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/219
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220・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
今後のこの認定手続や、その他実際に一般の人が市民農園をやりたいと思ったときから実際にできるように、いろいろな手続が簡略化され一般の人が利用しやすいような仕組みをつくっていただければと思います。
さて、続きましては滞在型の市民農園の取組についてお聞きします。
従来はリタイア層が中心であった滞在型市民農園の利用者ですが、このコロナ禍によるリモートワークの普及により、現役世代にも浸透しているようです。市民農園の中でも農園に滞在するという要件が加わっているため、一般の市民農園の普及よりも難しい、いろいろ課題があるかと理解しております。この滞在型は、ふだん住む場所と農園のある場所という離れた二か所に居住するものです。交通費や生活費が掛かることもあって、生活のゆとりがある高所得者層はいいですけれども、裾野を広げるためには、低価格で中間層にも手が届くサービスが求められます。
私も昔、農業に憧れて東京と北海道に二つ住居を持っていましたが、結局、交通費とかもろもろお金が掛かり、最終的に売却してしまいました。住んでいたのは北海道の網走なんですけれども、女満別空港から車で町までは二十分ぐらいで行けたんですけれども、やはり何だかんだいってちょっと遠かったんですかね。遠距離恋愛と同じで、近い方のがいいのかなと感じております。
さて、ロシアでは旧ソ連時代からダーチャと呼ばれる市民農園が広く普及しており、一説にはモスクワ市民一千万人のうち七五%がダーチャを持っているとも言われております。ヨーロッパのドイツもクラインガルデン、イギリスのアロットメントガーデン、スウェーデンはコロニーガーデンだと、そういうちょっと格好いい名前の市民農園がたくさんあります。そこで、日本でもこうした滞在型の市民農園の普及にもっと積極的な支援があってもいいのではないかと思います。
そこでお尋ねしますが、現在、政府は滞在型市民農園の普及に向けてどのような取組をされてきたか、またそれがどのような効果を出しているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/220
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221・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この滞在型市民農園、これにつきましては、御指摘いただきましたようにヨーロッパなどでいろいろな事例が見られるところでございますけれども、こういったものの普及に関しましては、平成二年に、先ほども御指摘いただきました市民農園整備促進法を制定をいたしまして、滞在型市民農園を整備しやすくなるなどの法整備を行っているところでございます。また、この農山漁村活性化法が制定をされました平成十九年以降でございますが、農山漁村振興交付金を活用いたしまして、令和三年度末までに十七か所で市民農園の開設の支援を行っているところでございます。
これらの取組を通じまして、全国七十一の滞在型市民農園で、直近、これは令和二年度のデータでございますが、合計一千七百三十九組の方に御利用いただくなど、農村におきます関係人口の増加、また都市と農村の交流に一定の成果があったというふうに考えているところでございます。
引き続きまして、これらの支援制度につきまして、各地域にしっかり周知をして進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/221
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222・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
やはりこの滞在型、やっぱり増やしていくことが何かいいのかなというふうに感じるので、是非進めていただければと思います。
昨今、キャンプブームとなっております。アウトドアブームは周期的に起きておりますが、今回のブームは、コロナ禍の中、他人との接触を避けられる場所、濃密とならない場所を求め、それがキャンプだと思います。
私もキャンプがとても好きなんですが、何が楽しいかといいますと、たき火の火を見ながらちょっとウイスキーをちびちびやりながら、あとは何といってもやっぱりキャンプ飯でしょうか。やはり外で食べる、まあバーベキューを始めやっぱりキャンプで食べる御飯って本当においしいんですよね。
僕が作った中で一番記憶にあるのが、沖縄でイラブーって、あのウミヘビ、乾燥したウミヘビを買ってきて、あれってすごく乾燥して硬いので作るのに時間が掛かるんです。ガスだとちょっとなかなか作れなく、炭でことことと六時間ぐらい煮ましたかね、そのウミヘビスープを作ったのがとてもおいしかったなと思っております。
ちなみに、得意技はトマトの無水カレーなんですけれども、トマトは水分が多いので、その水分で煮込んでカレーを作るんですが、トマトのうまみと酸味とビールがまたこれ最高なんですね。済みません、ちょっと話がそれましたが。でも、これからちょっと食欲が下がってくる時期なので、この季節にぴったりだと思います。
さて、そこで、都市から二時間以内で行けるぐらいなところにキャンプもできたりと、もっと身近に農作業ができる場所づくりを後押ししてはいかがと思います。私が知る限りにおいて、こういった滞在型農園というものですが、全国各地に約七十か所の滞在型市民農園が開設しています。その多くが公設民営によるものが多く、近年では民設民営による滞在型市民農園の開設例も見られますが、ここ数年は開設件数が非常に少なくなっています。
そこでお尋ねしますが、どうして開設件数が少なくなってきているのか、そして今後件数を増やしていくために国としての支援策はあるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/222
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223・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答え申し上げます。
この滞在型市民農園につきましては、今御指摘いただきましたように、令和三年三月末時点で全国に七十一開設をされているところでございまして、このうち公設によるものが六十二農園、民設によるものが九農園と承知をしているところでございます。
これらの開設時期でございますけれども、平成二十四年度までのものが九割以上を占めているということで、御指摘いただきましたように、近年ではこの開設数が減少いたしまして、平成三十年度以降、新たな開設がないところでございます。
この要因でございますけれども、まずは、ヨーロッパのように長期休暇が普及していないということで、ニーズが必ずしも十分なかったのかなということ、また、公設が多いということもございまして、地方公共団体による施設整備費用が掛かるといったようなことが要因として考えられるところでございます。
一方、このコロナ禍の中でテレワークとかワーケーションが普及される中で、民間事業者の皆様方がこの都市近郊に滞在型市民農園を開設するといったような新しい動きも出てきているところでございます。
農林水産省におきましては、農山漁村振興交付金によりまして、地域資源を活用した体験メニューの開発、あるいは農作業の体験施設の整備に関する支援策というものを措置をしているところでございます。今後とも、引き続きこの滞在型市民農園の普及に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/223
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224・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
財政的にもいろいろと大変だと思いますけれども、是非、そう言ったら何も始まらないんで、是非積極財政で、ばんばんとちょっと民間にもお金を回していただきたいなと思っております。
さて、次に、この公営施設の利用条件についてお尋ねします。
公営の滞在型市民農園の施設面での平均値は、農園三十坪、小屋十二坪で、年間利用料金四十万円となっております。紹介写真を見ると、小屋はキャンプのバンガロー、別荘のようないい雰囲気ですが、もっといろいろなプランがあってもいいのではないかなと思いました。値段が高くてももっと快適なもっと大きな小屋に滞在したい人もいれば、自分たちで、さっきのキャンプではないですけれども、テントを張るから小屋はなくてもいいとか、そういった様々なニーズに合うようないろいろなバージョンがあるべきと思います。
現在展開されている公営施設はどれも似たようなもので、利用者のニーズにマッチしていないのではないでしょうか。そして、利用料金は平均で年間四十万円ですが、農地との往復に要する高速料金、ガソリン代、そういったことを鑑みると、コストはもっと掛かります。もし一年間やるとしたら、何やかんやでトータル七十万円ぐらいは掛かるんじゃないでしょうか。
幾ら自然と親しみたいと思っても、それは趣味なわけですから、趣味に掛けるコストを考えるわけです。中間層は若い世代、子育て世代です。子供の学費であったりお稽古代、家のローンと家計のやりくりが大変な世代が、野菜作り、米作りの趣味のために年間四十万円もの利用料金を払えるとはなかなかちょっと思えません。
実際、私も友達に飲みに行こうと誘っても、来るのが九五%、実家住まいの独身貴族ですね。結婚している友達は実際に使えるお金が限られているので、飲みに行くお金はないんでしょうかね、嫁さんが怖いというのもあると思うんですが。ちなみに、僕の秘書が、中学校の同級生で御子貝君と言うんですけれども、大抵飲みに行こうと言うと、本当に実家住まいの独身の友達でそろってしまうという、本当に、我々のこの世代、ロストジェネレーションと言いますけれども、このロスジェネ世代が収入的に結構厳しいという現実があります。
そこでお尋ねしますが、この公営の施設において、現在のやや画一的なものだけではなく、もっと様々な料金プラン、あとは利用プランを作り、利用しやすくする、利用者を増やしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。農水省の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/224
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225・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この公営の滞在型市民農園の利用条件につきましては、一義的には、当該施設の開設者でございます地方公共団体等において御検討いただくものかというふうに承知をしているところでございますが、ただ、施設の中にはいろいろな工夫、お取組をされていらっしゃる事例も出てきておりまして、例えば、農産物直売所の併設とか体験プログラムの充実といったことによって施設の魅力を高めるとか、あるいは、地域の農業者による栽培指導をやったりとか、地域のイベントとかお祭りなどへの参加、こういったものを通じて交流活動を活発に行うとか、こういうようなお取組によりまして、利用者の増加あるいは利用者の満足度を向上させているという、こういうような事例もあるというふうに承知をしているところでございます。
〔委員長退席、理事藤木眞也君着席〕
農林水産省といたしましては、この農山漁村の活性化に向けて、この滞在型市民農園の活用、大変重要と認識をしているところでございますので、現在のコロナ禍の下で都市住民の皆様の間で関心が高まっているというような事情もございます。この市民農園の利用等を推進するために、優良事例の横展開でございますとか、あるいは地方公共団体等関係機関と連携した対応というものに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/225
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226・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
そういったいろいろなことをやられているのは分かるんですが、実際施設を見ると、全国的にどれも似たようなもので、施設も、この箱物もすごい、すごい立派です。結構開設にも金掛かるんだなというのも分かりますし、もうちょっと何かライトな感じでやっていった方がフットワークの軽い世代はぱっと行けるのかなと思うので、是非そちらの方も考えていただければと思います。
さて、続きまして、農泊の在り方についてお伺いします。
アンケート調査によれば、特に二十代、三十代の若者世代が農泊に高い関心を寄せていると聞きます。帰省する田舎がないというような都会育ちの人にとっては、農泊は魅力的なはずです。私も、帝釈天で産湯は使っておりませんが、生まれも育ちも東京の江東区、下町であります。ということもあり、何かこの東京を離れた郊外というものに憧れがあります。
〔理事藤木眞也君退席、委員長着席〕
昔、テレビ東京の「田舎に泊まろう!」という番組って御存じですかね、覚えていますかね。タレントさんが、芸能人が地方に行って、何か地元の人に声を掛けて泊めてもらうというやつなんですが、あれ僕一回出たことがあるんですが、あれ、やらせじゃないんですよね。本当にカメラマンさんと音声さんだけ連れて、本当に、タレントさんによっちゃもう全然泊めてくれないというか、全部断られるタレントさんもいたりとかするらしく、僕は運よく、それ広島県がロケだったんですが、ちょうどカキ養殖をやられている、僕カキ大好きなので本当にうれしかったんですが、そのカキ養殖の方の家に泊めてもらい、もう本当、カキ食い放題ですし、実際にその作業とかも手伝ったんですが、ある意味、農泊を体験させてもらいました。本当にこの農泊ってすごく楽しいなという、こういう経験をすると、本当に農泊を何か推していきたいなって気持ちになりました。
そんな中、本年二年には、農林水産省に設けられた研究会が農泊の今後の方向性を示しました。農泊に関して、観光立国推進基本計画や農林水産業・地域の活力創造プランでは、ビジネスとして実施できる体制を持った地域を創設するとしており、創出ですね、するとしており、今後の方向性でも、農泊推進体制の強化に関し、経営などに精通した人材育成や専門人材の派遣が検討されているということです。
その一方で、これら農泊推進政策はビジネスとしての収益性を高めることを重視しており、これは、農村振興策というよりかは観光振興策の性質が強いとの指摘もされております。農泊を受け入れる側としては、ビジネス面でというよりかは、まず農村振興になるかどうか、地域振興に役立つかどうかといったもっと大きな視点で捉えているようなものに対し、収益性を前面に出していくのは多少のずれがあるかにも思います。
もちろんこのビジネス的観点というのも大切ですが、受入れ側や地域の本当のニーズを生かした体制の整備がより必要だと思いますが、その辺りの農泊の在り方について、農水省のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/226
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227・下野六太
○大臣政務官(下野六太君) お答えいたします。
農泊は、食料・農業・農村基本計画等の政府の重要施策におきまして、農村地域の所得向上、農村の活性化に資する取組として位置付けられております。農泊の推進に当たりましては、ビジネスとして持続可能な形で実施するとともに、地域振興の観点から、農林漁業者や飲食業者など多様な地域の関係者が地域協議会として一丸で取り組んでいただくことが重要だというふうに考えております。
農林水産省では、このように関係者一丸で取り組む地域を対象に、地域のニーズに応じまして、体験プログラムや食事メニュー開発、古民家等の改修、農泊実施体制の強化、人材育成のための専門家の活用、利便性の向上、魅力的な情報発信の実施などに対する支援を行っているところであります。
農林水産省としましては、今後とも、こうした農泊の取組を通じて、地域の所得の向上やコミュニティーの活性化など、農山漁村地域の振興をしっかりと図ってまいる考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/227
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228・須藤元気
○須藤元気君 ありがとうございます。
是非、民泊を進めるというものでもないので、是非、地域全体が農泊を通じて、利用者も、みんながウイン・ウインの関係になるような形を忘れずに進めていただければと思っております。
コロナ禍になる前は、日本にやってきた外国人観光客を田舎にまで足を運んでもらい、農業を体験しながら宿泊することで観光立国としてのコンテンツを多くし、田舎の経済を活性化させるというもくろみであったと思います。しかし、コロナにより現状ではストップしています。ですが、この農泊を日本人利用者の点から分析してみると、教育体験、教育旅行として位置付けられ、学校の子供たちが数日間体験学習を受けるという昔の林間学校のような感じで、山里に来て学びの機会を得ているようです。
この学校教育の一環としての農泊をもっともっと充実させ、例えば小学校四年生のときに二泊三日の農泊体験学習をするみたいな形をつくるといいのかなと思います、いわゆる修学旅行とは別にですね。もちろん、受入れ施設の拡充整備など必要ですが、日本の子供たちが、子供のときに、若いときにもっともっと、農業や漁業もですが、いろいろ体験、この体験学習というんですかね、した方がいいと思います。
実は、私の父親の口癖が、もう何でも経験だ、何でもやれと小さい頃から僕に言って、本当に何でもやらせてくれました。何かをやりたいと言ったときに、おい、それ駄目だって実は言われたことないですね。そういったこともあり、何かを挑戦しようと思うと、僕は何かちゅうちょせずできます。それによって痛い目も結構見てきたんですが、若いうちは何か死なない程度に痛い目見た方がより、何というんですかね、大人になってから大けがしないというか、ある程度、何というんですか、人生に厚みが出るというか、大臣もいろいろと経験をされてきて、やっぱり、それなりに大変だったときとかもあってやっぱり大臣になられていると思うんですが。
本当にそういった経験を、何か、いや、いろいろやっぱりありますよね。私もやっぱりお酒や女性で結構痛い目も見てきましたけれども、でも、格闘技でいうところの間合いでしょうか、そういったものを、何か分かってきたと思います。やはり何事も間合いが大事だなと思っております。
話は戻りますが、教育型農泊をやっている自治体もあるようですが、この農泊を観光型というよりはより教育型という形で、学生や、あるいは社員研修でもいいですが、教育施設の、教育のためのコンテンツとして農泊を利用することをもっと促進してはいかがかと思います。
農水省のプラン見ていると、外国人に、東京や京都以外、じゃなく、田舎にもおいでよという、農泊を外国人向けの観光として捉えているようなイメージが強いんですが、これをもっと日本人のための教育施設として捉えてはどうかと思います。
そこでお伺いしますが、この農泊を教育型滞在としてもっと取り組んでいく計画はあるか、農水省のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/228
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229・牧元幸司
○政府参考人(牧元幸司君) お答えを申し上げます。
この教育旅行での農泊体験でございますが、農山漁村における農林漁業宿泊体験を通じまして、子供の学ぶ意欲、自立心、思いやりの心、規範意識、こういったものを育みまして健全な成長を後押しするというような観点で大変重要と考えているところでございます。あわせまして、農山漁村、農林漁業への関心を高めまして、将来的な地域の担い手となり得る関係人口の創出にも資するような、これは非常に重要な取組であるというふうに考えているところでございます。
こうしたことから、この子供の農山漁村における農林漁業宿泊体験を推進するために、内閣官房、内閣府、総務省、文部科学省、環境省、こういった関係府省等が連携いたしまして、子ども農山漁村交流プロジェクトというものを推進をしているところでございます。その中で、農林水産省としては、古民家等の改修、体験プログラムの開発といったような受入れ側の支援を行っているところでございます。このような取組の結果といたしまして、農泊地域等におきます小中高生の受入れにつきましては、平成二十九年度十四万二千人であったものが、令和元年度には十九万六千人まで増加をしたということでございます。
今後とも、関係府省とよく連携をしながら、農山漁村地域におきますこの教育旅行の受入れというものを後押ししていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/229
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230・須藤元気
○須藤元気君 この農業と教育というのはすごく大切なことだと思うので、是非文科省と共同してでも進めてほしいです。この田舎に行く、農業に接する、本当に大切だと思います。
さて、そろそろ国会も終盤に入ってまいりました。今日の質疑が終わり、今後一般質疑が入るかもしれませんが、もし入らないとすれば、私が金子大臣に質問できるのが最後になります。今期限りで政界を引退なされるということですが、国会議員、そして長崎県知事として、国のため県民のため、長年活動なさってこられました。とりわけ県知事時代においては、諫早湾開拓事業という、今やっている行政法の判例にも出てくる問題と真っ向から取り組み、人知れない御苦労もあったかと思います。
そこで、ちょっと金子大臣に最後お聞きしたいんですが、これまで取り組んできたことで思い出深いことであったり、政治家としてこれだけは大切にした方がいいと、何でも結構です、私を始め国会議員に、ちょっと我々にメッセージをいただけますでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/230
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231・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) 私は、国会議員時代というのを振り返ってみますと、特に私の地域は非常に、長崎県というのは離島が多くて山間地域も多いものですから、所得水準も低いし、まずやっぱり地域がどう発展するかと、地元第一、優先で考えてまいりました。したがって、いろいろと国での活動も、地域にどういうふうにつながっているかということを第一に考えながらそういった問題に取り組んでまいりました。
やっぱり政治家ですから、国家のことを、又は世界のことを論じることも大事だと思いますが、やっぱり地域あっての私は日本の国というふうに思っていますので、やっぱり地域の存在がなくして、また地域の活性化がなくしては国の繁栄はないという前提に立って、それをやっぱり自分の政治信条として考えてやってまいりました。
それから、絶えずやっぱり皆さん方の意見を十分に聞いて、できるだけそれを反映させるような努力をしてまいりました。私も知事時代に町村合併というのを積極的にやりまして、行政の効率化はやっぱりなくちゃならぬということで、長崎県は当時七十六あったのを二十一にいたしまして、大変な抵抗はありましたけれども、議会を始め皆さん方の御協力があってそういった形をつくり上げてまいりましたけれども、今になってみるとそれが良かったかどうかは分かりませんが、しかし、行政の効率化というのは絶えず考えて、しかし、効率化はしても、やっぱり行政の手が必要な人に重点的に配分をする、行政の手が必要ないところまでやる必要はなくて、どこにやっぱり行政の手が差し伸べられなきゃいけないかということを絶えず考えながら、やっぱりそういった方々たちをどういった立場で我々がバックアップしていくかということを絶えず考えながらやってまいりました。
最後に須藤元気さんからこういったお話をさせていただきまして、本当に感謝に堪えない次第です。これが最後の話かと思いますので、大変皆さん方にはお世話になりまして、ありがとうございました。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/231
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232・須藤元気
○須藤元気君 大臣、どうもありがとうございます。是非、政界を引退されても、日本のために是非御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いします。
私の質問は以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/232
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233・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/233
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234・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子です。
私は、日本共産党を代表して、農業経営基盤強化促進法一部改正案に反対、農山漁村活性化等一部改正案に賛成の討論を行います。
農業経営基盤強化促進法一部改正案に反対する第一の理由は、農業の規模拡大路線を変えるものではないからです。
基盤法は、農地の集積を、所有権ではなく利用権を移転し、農業の担い手に農地を集めるとともに、担い手には経営規模拡大、合理化を求めています。農地バンク法は、農地の流動化を加速させ、経営規模の拡大、農用地の集団化、高度化を進めるものです。
安倍政権は、農産物の自由化を進め、攻めの農政、農業の成長産業化を掲げ、生産コストを削減するために規模拡大を加速させましたが、二〇二〇年の農林業センサスでは、経営耕地面積も農業経営体も基幹的農業従事者もこれまで以上に悪化し、地域コミュニティーの崩壊も進んでいます。規模拡大、効率化だけを求める政策は破綻しているんじゃないでしょうか。
参考人からは、地域の担い手は大規模だけではないと言われましたが、規模拡大を優遇する担い手政策だけでなく、農地を維持し、持続的な生産を続ける中小・家族経営も担い手に位置付けるよう求めるものです。
第二の理由は、農地の所有者に農地バンクに協力して農地の差し出しを強いる仕組みがあるからです。
人・農地プランは、規模拡大を目指す地域の中心的な経営体に農地の集約化を進め、農地利用の将来像を示す計画です。改正案は、農地の所有者に農地バンクに利用権を移すように義務付け、そのために市町村に勧告まで求めています。
また、農地所有者の三分の二の同意があれば、農地の利用権を農地バンクに差し出し、農地バンク以外に利用権を設定した者には五十万円の過料を科しています。人・農地プランは、地域で徹底的に話合いを進め作成すると言いながら、農地所有者に圧力が掛かるのは明らかです。しかも、これまで市町村で決めていた農地集積計画が農地バンクの農地利用計画に統合されれば、全農地の八割を担い手に集積する政府の方針がある以上、上からの計画化になる危険性があります。
今の農業、日本の農業が抱えている生産基盤の弱体化は、農地政策を変えただけでは解決しません。農産物価格が低下する中で、農家の生活を支え、食料自給率を向上させる農政こそが求められています。
なお、農山漁村活性化等一部改正案は、活性化計画に農用地の保全事業を追加することで荒廃農地の発生を抑制することにつながるため、賛成します。
以上述べて、討論とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/234
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235・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/235
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236・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/236
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237・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、田名部君から発言を求められておりますので、これを許します。田名部匡代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/237
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238・田名部匡代
○田名部匡代君 私は、ただいま可決されました農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派並びに各派に属しない議員須藤元気さんの共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
農業経営基盤強化促進法等の一部を改正する法律案及び農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
農業者の減少や耕作放棄地の拡大が一層進み、食料安全保障上重要かつ地域の貴重な資源である農地が適切に利用されなくなる懸念がある中、農業の生産性を高め、将来にわたって安定的な農業生産を確保していくため、地域において目指すべき将来の具体的な農地利用の姿を描くことで、農業を担う者の確保・育成、農地集約化等の加速化とともに、農山漁村の活性化を図ることが重要である。
よって政府は、両法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 地域計画は、地域の話合いにより、農業の将来の在り方を考え、実現していくために不可欠なものであることから、それぞれの地域において円滑かつ着実に策定されるよう、法改正の内容を丁寧に周知するとともに、地域での取組に対して十分な支援を行うこと。その際、地域計画策定の前提となる協議の場については、既存の協議会を活用するなど関係者の負担軽減に努めるとともに、地域を取り巻く環境が多種多様であることに鑑み、地域計画が地域の実情を反映したものとして策定され、状況の変化に応じて柔軟に変更がなされるよう配慮すること。
二 農地の集約化等農業上の利用を進める地域計画及び農地の保全等を進める活性化計画の策定をはじめとする両法に基づく措置については、地域における農地の利用・保全の計画的推進はもとより、食料・農業・農村基本計画及び国が定める農用地等の確保に関する基本指針に基づき、国内の農業生産に必要となる農地の確保とその有効利用が確実に担保されることを旨として、その重要性について地方自治体とともに関係機関が協議の場で周知・共有し、地域計画における農地の確保等が図られるよう、総合的に推進すること。その際、地方自治体等の事務負担にも配慮しつつ、農業・農村の将来像を念頭に地域の土地利用に関する話合いが一体的に行われるよう、必要な措置を講ずること。
三 農業委員会による目標地図の素案については、地域における農地の現状を把握し、農地の出し手及び受け手の意向等を踏まえ、作成することとし、目標地図を含む地域計画が適合すべき基準については、地域における意欲的な取組が促されることを旨として定めること。
四 地域計画の策定及び達成に向けた取組に当たっては、市町村のみならず、農業委員会、農地中間管理機構、農業協同組合、土地改良区等の関係機関が一丸となって進める体制を構築するとともに、地方自治体等における農業関係部局の実情を踏まえ、体制整備のために必要な支援措置を十分に講ずること。
五 農用地等の所有者等が、利用権の設定等を受ける者を農地中間管理機構に限定する旨を地域計画に定めることを提案しようとするため、その三分の二以上の同意を得るに当たっては、極力、全ての所有者等の同意が得られるよう努めること。
六 農地中間管理機構を通じた転貸等を強力に促進するため、農家負担のない農地中間管理機構関連事業や、地域でまとまった農地を農地中間管理機構に貸し付けた際に交付される地域集積協力金等について十分な予算を確保するとともに、継続的かつ効果的な支援を行うこと。
七 農地中間管理機構による農用地利用集積等促進計画の策定に当たっては、農地の権利移動は促進計画に統合される市町村の農用地利用集積計画に基づくものが過半を占めるという現状に十分留意し、地域における農地集積の取組に混乱を来すことのないよう、適切な指導・助言を行うこと。また、現場における事務負担の軽減に資するよう、農地の権利移動に係る手続の迅速化や書類の簡素化など必要な措置を講ずること。
八 都道府県が農業経営・就農支援センターとしての機能を担う体制を整備するに当たっては、中小・家族経営、兼業農家等の多様な経営体も含め、地域の将来の農業を担う者を幅広く確保・育成するため、就農から経営発展まで一貫したきめ細かなサポートが行われるよう、国、地方公共団体、関係団体の協力・連携体制を整備するとともに、積極的な支援措置を講ずること。
九 農地等の権利取得に係る下限面積要件を廃止するに当たっては、現行制度の下で約七割の市町村において別段の面積が設定されているという実情及び農業を担う者の確保・育成を図るという法改正の趣旨を周知するとともに、改正後の農地等の権利移動許可制度の運用実態を注視・検証しつつ、適正な運用が確保されるよう指導すること。
十 都道府県又は市町村が作成する活性化計画に記載できる事項として、農用地の保全等に関する事業を新たに位置付けるに当たっては、優良農地の確保及び農山漁村の活性化に資するよう、その周知徹底及び適切な運用を図ること。
十一 農地でなくなった土地を農地に復旧することは極めて困難であることに鑑み、農用地の保全等のための林地化については、当該土地及び周辺の土地の状況等を考慮し、様々な政策努力を払い、その必要性を十分に検討した上で進めること。また、林地化した場合には、森林法の地域森林計画対象民有林として適切な施業が実施されるよう支援すること。
十二 食料安全保障の強化を図る上で農地・農業者の確保等が極めて重要であることに鑑み、担い手やその他の多様な経営体について、地域計画に位置付けた上で、地域計画の策定を基礎とした農地の集約化等、農業を担う者の確保・育成、農用地の保全等による農山漁村の活性化の取組状況とその効果を評価・検証し、その結果に基づき実効ある施策を構築すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/238
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239・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) ただいま田名部君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/239
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240・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 多数と認めます。よって、田名部君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。金子農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/240
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241・金子原二郎
○国務大臣(金子原二郎君) ただいま法案を可決いただき、ありがとうございました。
附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/241
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242・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/242
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243・長谷川岳
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815007X01520220519/243
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