1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月二十八日(木曜日)
午後一時開会
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委員の異動
四月二十一日
辞任 補欠選任
北村 経夫君 世耕 弘成君
山下 雄平君 水落 敏栄君
勝部 賢志君 水岡 俊一君
四月二十五日
辞任 補欠選任
竹内 功君 岡田 直樹君
四月二十六日
辞任 補欠選任
岡田 直樹君 竹内 功君
四月二十七日
辞任 補欠選任
竹内 功君 中川 雅治君
水落 敏栄君 舞立 昇治君
吉良よし子君 市田 忠義君
四月二十八日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 長峯 誠君
中川 雅治君 足立 敏之君
市田 忠義君 吉良よし子君
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出席者は左のとおり。
委員長 元榮太一郎君
理 事
今井絵理子君
上野 通子君
堂故 茂君
宮沢 由佳君
委 員
足立 敏之君
高橋はるみ君
長峯 誠君
舞立 昇治君
丸川 珠代君
水岡 俊一君
宮口 治子君
蓮 舫君
佐々木さやか君
横山 信一君
伊藤 孝恵君
片山 大介君
吉良よし子君
舩後 靖彦君
事務局側
常任委員会専門
員 武蔵 誠憲君
参考人
戸田市教育委員
会教育長 戸ヶ崎 勤君
教育研究家
合同会社ライフ
&ワーク代表 妹尾 昌俊君
中央大学文学部
教授 池田 賢市君
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本日の会議に付した案件
○教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/0
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001・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、勝部賢志君、山下雄平君、北村経夫君、吉良よし子君及び竹内功君が委員を辞任され、その補欠として水岡俊一君、世耕弘成君、市田忠義君、中川雅治君及び舞立昇治君が選任されました。
また、本日、中川雅治君、市田忠義君及び世耕弘成君が委員を辞任され、その補欠として足立敏之君、吉良よし子君及び長峯誠君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/1
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002・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、戸田市教育委員会教育長戸ヶ崎勤君、教育研究家・合同会社ライフ&ワーク代表妹尾昌俊君及び中央大学文学部教授池田賢市君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用なところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、戸ヶ崎参考人、妹尾参考人、池田参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず戸ヶ崎参考人からお願いいたします。戸ヶ崎参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/2
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003・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 埼玉県戸田市教育委員会教育長の戸ヶ崎と申します。
中央教育審議会において、教員養成部会及び「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会及び教員免許更新制の発展的解消についての審議を行う教育免許更新制小委員会などにおいて、これまで臨時委員を務めてまいりました。
私の方からは大きく三点、中央教育審議会における審議の経緯、二つ目、法案に対する意見、三つ目、研修の在り方についての意見、以上を申し上げさせていただきたいと思います。
まず、この法案の背景となりました中央教育審議会における審議のあらましについて説明をさせていただきたいと思います。
中央教育審議会においては、令和三年二月の文部科学大臣の諮問を受け、特別部会において審議を進めてまいりました。教員免許更新制の見直しについては、諮問の中で先行して結論を得ることを求められたところでございます。
教育公務員特例法の第二十一条に絶えず研究と修養に努めなければならないというようにありますように、昔から教育界では、学び続ける者のみ教える資格があるとか、また書経の教うるは学ぶの半ばなりといった言葉が引用され、学び続ける存在であることが強くこれまでも期待されてきました。
特に、ソサエティー五・〇が到来しつつあるなど大きな社会変化が生じている現在、教師が時代の変化に対応して求められる資質能力を身に付けるためには、過去に身に付けた知識技能だけで教職生涯を過ごすのではなく、常に最新の知識技能を学び続けていく必要性は現在高まっていると感じております。生涯にわたって学ぶいわゆるリカレント教育のキーワードは、最終学歴ではなく最新の学習歴、いわゆる学歴の更新、つまり学びのアップデートであります。
教師は、生涯学習分野においても学び続ける大人というロールモデルになることが期待されていると思います。また、主体的に学び続ける教師の姿というものは、児童生徒にとっても極めて重要なロールモデルであろうと思います。教師は子供たちにとって身近な存在の一人でありまして、その人格形成に与える影響というものは極めて大きいものがございます。私は機会あるごとに、子供たちの出ていく未来を積極的に理解してほしいというふうなことを申してきました。主体的に学び続ける教師の姿を目にすることで、自らも主体的に学び続ける意欲を子供たちが培うことができるのではないかと期待しているところであります。
特別部会及び小委員会では、大きな社会的変化を踏まえて、教師の学びについてどのような在り方が望ましいのかという基本的なところにまで遡って審議を行ってまいりました。審議の中では、教師として必要な資質能力が保持されるよう最新の知識技能をたゆみなく修得することが重要であるということを確認した上で、次の三点について一致を見たところであります。
一つ目、教師の主体的な姿勢を重視しながら、個別最適な学びと協働的な学びを教師の学びにおいても取り入れていくということ。二つ目、教師と管理職が積極的な対話を行い、具体的な目標などを共有した上で、体系的、計画的な学びを進めていくこと。三つ目、質の高い有意義な学習コンテンツを整備することなどを通じて、令和の日本型学校教育を担う教師にふさわしい新たな教師の学びの姿を確立していく重要性であります。
この新たな教師の学びの姿というものは、高度な専門職である教師にふさわしい主体的な姿勢の尊重、学びの内容や例えば現場の経験を重視した学びなど、スタイルの多様性の重視等を鍵としているところでございます。十一月に決定されました審議のまとめにおきましては、こうした姿を支える観点から、公立学校の教師について、研修受講履歴の記録や履歴を活用した受講の奨励などの制度改正を行うことや、また現職研修の更なる充実に向けた国による指針の改正を行うことを求めております。また、研修履歴の記録システムや優れたコンテンツなどを構築していくことも織り込まれております。
教員免許更新制につきましては、教師の学びの機会の拡大、教師の資質能力の向上に対する大学の関与の拡大、また良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果は上げてきました。しかしながら、十年に一度、特定の期間に免許状更新講習を受講することが、最新の知識技能の修得に向けて投下した時間や労力に対する効率や、またその成果が上がっているのか、常に学び続ける必要があることと教員免許更新制とが本来ひも付くものなのかどうか、教師の研修はアダプティブで個別最適な学びとすべきであるなどの声がありました。
これらのことから、教員免許更新制につきましては、教師が常に最新の知識技能を学び続けていくという必要性と整合性とは、整合的とは言えないなど、新たな姿の阻害要因となっていることを否定できないため、大学等のこれまでの成果を生かしながら発展的に解消することが適当とされたところでございます。
中央教育審議会における審議のあらましにつきましては、以上とさせていただきます。
続きまして、今回提出された法案について、私なりの意見を申し述べさせていただきます。
今回の法案の内容につきましては、全体として、中央教育審議会の審議まとめを的確に反映していただいているものと考えておるところであります。
まず、任命権者による教師ごとの研修等に関する記録の作成につきましては、一人一人の教師の学びの足跡であり、学びを振り返りつつ、また適切な目標の設定と現状の把握を行うため、また自律的、体系的、計画的な学びを実現するなど、個別最適な学びを実現する上でのベースとなるものであろうと思います。
記録の範囲につきましては、多様な内容、スタイルの学びが教師の資質能力の向上に不可欠なものであるということに鑑みることによって、任命権者だけではなく、市町村教育委員会の行う研修や学校における校内研修、授業研究なども含めて、多様な学びの履歴等も含むことができるような仕組みとされることが望ましいと考えております。
次に、教育委員会、具体的には、校長による教師に対する相談対応、情報提供、また指導助言、いわゆる対話と奨励の仕組みにつきましては、教師のキャリアアップの段階を適切に踏まえつつ、教師本人のモチベーションとなるような形で実施できるようにしてほしいと思っております。一人一人に最適な研修を奨励することが可能となり、教師の資質向上に関する中核的な仕組みとなることを強く望みたいと思っております。
一方で、こうした研修履歴等の記録や対話と奨励を実効的に機能させるためには、こうしたプロセスが関係者にとって過度な負担となることのないように留意をすることが重要であろうと思っております。つまり、教師の性悪説ではなくて性善説に基づいたプロセス、教師一人一人を信じて寄り添う姿勢、これを大切にしていく必要があると思っております。
なお、既に多くの都道府県教育委員会において、教職員の国や県の主な研修会の受講を記録した研修の履歴を蓄積していると思いますけれども、養成や研修を厳格化していくという意味ではなく、今後は教師一人一人が自らの成長の足跡を振り返られるような教師の学びのログの仕組みづくりなどができればよいのではないかとも思っております。
いずれにいたしましても、研修履歴を作成するという手段が目的化することなく、教師の豊かな学びをサポートするものであってほしいと思っております。教職員の育成には、学校組織の特色でありますフラット型でマトリックス構造の組織の長所を生かしつつ、個人としての能力開発だけではなく、意欲向上や教職員が育つような集団としての学び、学び合いの風土づくりも大切であります。
次に、研修の在り方についての意見を申し上げたいと思います。
校長が、教師が研修に参加しやすくなるような環境整備や学び合う風土づくりを積極的に行うことが必要であるとともに、教師の学びが画一的、規格的なものに陥らないように、奨励の候補となる研修自体の多様化、つまり地域や学校現場の課題の解決を通したプロジェクト型、PBLですね、の主体的な学びなども大切であると思っております。また、学校における教職員の育成機会のほとんどが管理職の采配の範囲にあり、校長や教頭のリーダーシップ次第で学校内の様々な機会や場面を教職員育成の教材として活用できるとも考えられます。このように、学校組織マネジメントは教職員の育成に大いなる可能性を秘めているとも考えております。
一方で、管理職の負担増大、特に規模の大きな学校などへの配慮も必要であろうと考えております。
現在、本市におきましても、お手元にお配りしました指導の重点、こちらです、また研究集録、これらにもありますように、先ほど申しましたプロジェクト型、いわゆるPBLの学びや教育データ利活用など、様々な授業改善や今日的な教育課題等の研究を独自に行ったり、学校の自走を支援したりしております。
とはいっても、自治体単位では限界がございます。今後は、文部科学省や独立行政法人教職員支援機構においても、できるだけ速やかに、研修履歴の記録システムの構築や、全国の教育委員会や大学等の優れたコンテンツの集約、また情報発信などに努めていただきたいと思っております。
教員免許更新制につきましては、今回制度としては廃止ということになりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、一定の成果は上げてきたと思っております。教員免許更新制の下で生み出されたこうした成果については、新たな教師の学びの姿を構築する上で発展的に継承していくためにも、先ほど申し上げましたが、システムやコンテンツの整備や構築が重要であろうと考えております。
その際、教師は、実際の授業などですぐに活用できる実践的なもの、つまりハウツー物の要望が強いのですけれども、即時に役立つ内容は本質が失われる可能性があるので、コンテンツベースからコンピテンシーベースでの見直しが必要との意見も多々ございます。大切なことは、教師のスキルアップには、理論と実践の往還や融合、それらを融合する経験が極めて大切であると私は思っております。
最後に、審議のまとめの重要なメッセージの一つは、学びに専念する時間を確保した一人一人の教師が、自らの専門職を高めていくその営みであると自覚しながら誇りを持って主体的に研修に打ち込むことができるという姿の実現、それを目指していくというものでございます。
教師は教える専門家でもありますけれども、学びの専門家でもなければなりません。大学や研究機関、また企業等との積極的な連携などにより、その道のプロの方々と教師の出会いの場や教師自身が本物に触れる場、そういった場も増やしていくべきであろうと思っております。その際、大学等での研修内容も今日的な教育課題に応じて転換していく必要もあると強く思っております。
また、学校における働き方改革、これを一層進めていくとともに、研修履歴の記録の煩雑さによって研修の意欲が衰退していくことのないような工夫もお願いを申し上げたいと思います。
教師が学ぶことで感じるわくわく感は、間違いなく子供たちに伝播するはずです。この度の法改正が今後の日本の成長の礎となる子供のわくわく感を育むことにつながることを期待申し上げまして、私からの意見表明を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/3
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004・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ありがとうございました。
次に、妹尾参考人からお願いいたします。妹尾参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/4
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005・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) ありがとうございます。妹尾と申します。
今日は、貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
ところで、先生方、今日、お昼はゆっくり召し上がりましたでしょうか、たくさん。いかがでしょうか。といいますのは、国会議員の先生方も本当にお忙しいと思うんですけれども、今現在も、約二万校ある全国の小学校の先生方、本当に給食も早食いでして、もう五分かそこらで食べていると。それで、子供たちのケアをしたり丸付けをしたりとか、いろんなことをされていると、そんな状況にあります。
後の資料にも載せましたけれども、国の教員勤務実態調査という二〇一六年の正式な調査におきましても、小学校の教員の平均の休憩時間は僅か六分、一日ですよ、ということです。もちろん国会議員の先生方もお忙しいと思いますけれども、多少は談笑したりコーヒーブレークだとかはあると思うんですけれども、日本の先生方は本当にノンストップ労働であるということが、特に小学校と特別支援学校では言えます。まあ中学校も結構似たようなものがありますけれども。
そういった過酷な状況の中で、そういった人たちにもっと研修せよとか研修の記録を書いてくれということを今しようとしているということについてどう考えるかということを今日は僕は申し上げたいということであります。ですから、そんなに難しい話ではありません。
今日は資料を用意しましたので、ちょっとたくさんありますけれども、かいつまんでこのパワーポイントの資料を御覧いただければと思います。学び続ける教師を増やすために、今、真に必要なことということでお話をさせていただきます。
めくっていただきまして、一ページ目は私の自己紹介になっていますので、また後でよかったら御覧いただければと思います。五人子供おりますので、本当に今真っただ中です、子育ての、いうところであります。
二ページ目ですね、今日お伝えしたいことは三点あります。
一点目は、教員免許更新制をやめることには賛成、歓迎いたしますということです。ただし、何が本当に反省点だったのかということをしっかり振り返らないと、また同じ過ちをすることになるだろうということをきつく申し上げたいと思います。
二点目、研修記録や校長等による指導助言を今回法で義務化するということなんですけれども、それは不要であろうと、不要であるということを申し上げたいと思います。是非、参議院では免許更新制に関する規定の削除のみ行っていただいて、教育公務員特例法関連は衆議院に突き返していただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
三番目、研修記録の義務化などよりも、国、国会議員の先生方と文部科学省あるいは、本当各省庁もそうですけれども、もっとやるべきことたくさんございます。この四月の当初でも担任が発表できない学校があるんですね。それだけ先生方が不足です。昨日も「クローズアップ現代」やっていましたね。そういった中で、まさに休憩も取れない、大変だと、教員不足もあるというところの中で、教師の資質能力もっと、これも、ICTも大事だ、あれも大事だと言うのはいいですけれども、全然リソースが付いていっていないという状況でございます。そこをまた強調したいと思います。
めくっていただきまして、次の三ページは目次ですので、一点目の免許更新制について簡潔に申し上げます。四ページ目です。何が反省点だったのかということで、二点整理をして申し上げます。
第一に、何のための、じゃ免許更新制だったのかがそもそも曖昧であったということです。あるいは、その目的ないし目的らしきものに対して本当に効果的だったのかどうかの検証も甘いままだったということだと思います。
戸ヶ崎さんがさっきおっしゃっていただいたことと重なります。最新の知識技能を身に付けて教師力をアップしてほしいということが一つの狙いだったわけなんですけれども、十年に一回だと付いていけないと、それだけでは駄目だということであります。ですから、目的あるいは、それに効果的だったのかという点でチェックをしないといけないということです。
二点目、たとえ効果があったとしても、マイナスの方が大きかったら意味がないわけですね。当たり前の話です。今回は、免許更新制、当然良さもありますよ、大学でいい授業が受けられる、それは良さもあります。それは僕も分かりますけれども、マイナスの影響の方がきっと大きかったんだろうなと思います、講師不足を助長しましたと。あるいは、十年の期限付ということになりましたので、教員免許ってそんな軽いものでしたっけというようなイメージを学生さんにも若い方にも広めているわけですね。あるいは、やらないと教壇に立てなくなるわけですから、免許更新受けないと、教員の主体性とか自発性、自学といったのはそっちのけの制度です。これをしっかり反省しないといけないということです。これと同じことが教育公務員特例法の改正でも言えるだろうということが僕のポイントです。
次のページです。五ページ目でその特例法について申し上げます。
六ページ目ですけれども、研修記録の義務化等が不要だと思う理由その一なんですけれども、先ほどの免許更新制のときの議論を思い出していただくと、じゃ今回も何のためにこれ改正しているんですかというところが甚だ分かりません。曖昧なままです。記録を付けていろんな振り返りにする、ポートフォリオにしていくって、これは僕も別に反対しているわけではありませんが、じゃ記録を付けたからといって先生方の学びが本当に豊かになるのかって、そんな簡単な世界ではないわけです。私、このために今回数人の校長とインタビューをして意見交換してまいりましたが、皆さん共通していたのはそういうことです。別に記録はあっていいけれども、あったところで何なのということであります。
二点目ですね。ここに書いてありますように、今回の、じゃ法改正の目的何だということで衆議院の議論を参考にしますと、免許更新制がなくなって先生方本当に大丈夫ですかと言われちゃうということで、発展的解消ってよく分からぬ用語使っているわけですけれども、なので、大丈夫ですよということが言いたいがために、じゃ研修記録ちゃんと付けて研修を受けさせていますから、だから免許更新制の廃止には賛成してくださいというふうに多分おっしゃったんでしょう。だけれども、じゃ、この記録があるからといって教員の資質保証になるのかというと、そんなことは論理的におかしい話です。加治佐先生のことは僕は大尊敬していますけれども、ここのロジックはおかしいということを申し上げたいと思います。
例えばで書いていますけれども、医師でも弁護士でも保育士でもいいですけれども、非常に問題がある方がいらっしゃったとしましょう。その方、研修履歴たくさん見せられてですよ、僕みたいな保護者がですね、このお医者さんなり保育士さんが研修をたくさん受けているから保護者のお父さん、お母さん、安心してくださいと言われたって、安心できるわけがない。当たり前ですよね。ですから、教員の質の保証とか問題のある先生に対する対処というのは別の手段でやらないといけないんであって、今回の法改正は無用です。
次のページです。そういったことを僕はヤフーとかにも書いていますのでまたよかったら御覧いただければと思いますが、今日のポイントは申し上げます。
八ページ目です。次に、不要だと思うその二なんですけれども、副作用なりマイナスの方が大き過ぎるだろうということを申し上げたいと思っております。
副作用、四つぐらい申し上げます。四つ、五つ、四つぐらい申し上げますが、一つ目は、一つは、地方自治、地方分権の理念をないがしろにする改悪であるということです。これは衆議院でも余り議論されておりませんので、是非参議院の皆さんには重視していただきたいです。
分権改革のときに何が重視されたかというと、国による過剰な義務付けとか枠付けはもう取っ払おうと、住民に近いところでしっかり責任を持った行政をしてもらおうということが理念だったはずなのに、今回またわざわざ法改正して、研修履歴付けろとか校長は指導助言しろということを義務付けるわけですね。これやってないと校長は法令違反ということになります。何でわざわざ法で、わざわざそんな細かいことまで書かないといけないんでしょうか。あるいは、文科省から言われないと動かないとか、教育委員会の自主性とか学校の自主性、自律性、こういうのをもっと大事にしないといけないのであって、コロナの休校中もそうですけれども、教育委員会のICTの話もそうですが、戸ヶ崎さんのように非常に熱心に、戸田市のように進んだ自治体もあります。それも確かなんですが、非常に受け身的で主体性が乏しかった教育委員会も一部にあります。
このように、法でいろいろ義務付けて、どんどん文科省の言うとおりに動いてくださいという方法は駄目です。これは令和どころか昭和のままです。令和の日本型学校教育という、名前だけ令和なんですけど、全然アップデートできていないということは申し上げたいと思います。
次のページ、九ページ目です。これも昭和的な発想なんですけれども、副作用のその二なんですけれども、いまだ文部科学省は個人頼みのアプローチをやっているということです。
この図に描きましたが、今般の法改正の前提といたしましては、教員一人一人の資質能力が高まったらそれで安心だというものなんですけれども、もう御案内のとおり、いろんな複雑化していますので、一人一人の個人力、もちろんこれも大事ですが、個人の力だけでは駄目です。限界があります。学校のチームとして、組織としての力を高めないといけない。あるいは、これソーシャルキャピタルとかプロフェッショナル・ラーニング・コミュニティーとか、そういういろんな専門用語で言われていますけれども、要するに、同僚性だとか教職員間の関係性が良くないといけないということを重視しないといけない、こういうアプローチに転換しないといけないのに、いまだ個人個人で頑張れと言っているというところは時代錯誤も甚だしいと思います。
マイケル・フランという著名な教育学者も、もう全部は読みませんけれども、こういうふうに書いてあって、校長の本当に時間が無制限にあるかのような教育改革が行われているということ、これは主にアメリカを指して言っていますけれども、日本もそういった同じ轍を踏もうとしているということを申し上げたいと思います。
十ページ目でございます。副作用のその三なんですけれども、残念ながら、適切な指導助言ができる校長ばかりではないという。私は、大多数の校長はいい方だと思っていますよ。よく知っています。知っていますが、一部に問題のある方もいらっしゃって、先ほど戸ヶ崎さんも、今回の改正が教師のモチベーションになるようなものにしないといけないというのはおっしゃるとおりなんですが、逆にモチベーションを下げてしまうという運用がされてしまう可能性がすごくあるわけです。
今回の前提は、指導力のある校長が教員を引き上げてくれるはずだという、非常にお花畑的な楽観論で動いているわけですね。こうではなくて、一部、本当に初任者や若手の教員をやっぱり潰してしまっているんですね。これ教員不足にも関係しているんですけれども、若手の方がんがん辞めています。こういうところを考えないといけないのであって、しかも特別支援学校等では、二百人、三百人、もっと教職員数いるんですよ。これ三百人、一々対話できりゃいいですけれども、それだけでもう二か月、三か月ですわ。全然こういうことも考えていないということで。
ですから、文科省がまだ、やったらどうですかと、こう提案するぐらいだったらいいですよ。法律で義務付けろって言っているから僕は怒っているんであって、しっかりこの辺りを参議院の皆さんには考えていただきたいということです。
次の十一ページ目は、諏訪先生の研究を引用しておりますけれども、これは小学校の教員から寄せられたアンケートの記述の一部です。全部は読みませんけれども、非常にこういうネガティブなサポートをしてしまっている校長もいますよということはもう古くから分かっていることなんですね。現在もそうです。そういうことも含めて考えないといけないということです。
十二ページ目です。副作用④ですけれども、今回の改正は、もうこういうふうに管理をしないと、あるいは校長等から指導をしないと教員は学ばないぞというような教師不信のメッセージを伝えてしまっている、これは免許更新制と同じ過ちを犯しているということを申し上げたいと思います。
⑤は、皆さんも御案内のとおり、書類仕事を増やしているということ、特に教育委員会職員も多忙なんですね、すごく。更に多忙にしてどうするんでしょうかということを申し上げたいと思います。
十三ページ目、結論といいますか、まとめですけれども、プラスの効果よりもマイナスの効果の方がきっと大きいだろうということで、さっさと、この改正は不要であろうということです。まさに、再考の府というふうに参議院は言われていますので、もう一回考えるということを是非していただきたいなというのが私の意見です。
十四ページ目、じゃ何を本当にするべきなのかということについて幾つかだけ、とても時間がありませんけれども、申し上げたいと思います。
十五ページ目、これは僕がアンケートをして、現場の先生方の生の声です、直近の、この三月、四月の声です。コロナ対応とかICT対応等で非常に大変だと、トイレに行く暇もない、授業で使う教具の準備もない、まともに人間らしい働き方ができるような職場にしてほしいと、悲痛な声がたくさん寄せられています。こんな中で、非常にぎりぎりの中、頑張っています。
十六ページ目ですけれども、こんな余裕のない職場でまた書類作業を増やしてどうすんねんという話でありまして、今学校に必要なのは、研修管理ではなく、労務管理と定数改善です。是非この辺りをよく考えていただければと思います。
十七ページですけれども、以前の調査でも、授業準備する時間が足りないとか生活にゆとりがないと多くの方がおっしゃっていました。
これと同じような調査、まねをしまして私はこの三月に同じように、十八ページ目に、やりましたけれども、やはり多くの先生が非常に余裕がない状況で、授業にも自信がないと言っていたり、あるいは職場の人間関係、上司等も含めて、悩んでいます。こんな状況ですので、ここをまずは改善しないといけないということです。
しかも、十九ページ目です、教員の精神疾患が多いというのはもう御案内のとおりですけれども、特に、実は二十代、三十代の方の長期療養、精神疾患が増えているんですね、すごく。
こういうのも含めて、もう書類作業を増やすよりは、この方々のケアを校長、教頭はしてもらわないといかぬ、いけないわけですよ。何により優先順位を置くのかということです。
二十ページ目ですけれども、この四月に、これも先生方から声を集めました。教員不足、このように、当面教務主任が担任を兼務しますというお便りを保護者に出した、そんな声もあります。あるいは、授業の見通しが立たない、こんな状況もあるんですね。まずこういう状況を改善しないといけないということを申し上げたいと思います。
あと、時間が余りありませんので少しだけ申し上げます。二十一ページから、じゃ何をするのかということで、私の私案で五つほど申し上げたいと思います。
一点目は、校長の本務というのは、研修履歴を見て指導助言するんじゃなくて、いろんな授業とか児童生徒のケアだとかを見ながら指導助言をしたらいいんですね。ですから、研修履歴よりも校長、教頭らが人材育成にもっと時間を掛けられるように、書類作業はむしろ減らさないといけないということを申し上げたいと思います。
二番目、これは働き方改革も関係しますけど、先生方のやっぱり、ゆとり、時間を取り戻す必要があります。
特に、小学校では持ち時間数が多過ぎます。これ、高校では十五こま、週平均十五こま平均なのに、小学校の先生は多くが、半分以上が、半分ぐらいが二十六こま以上持っているんですね。もう出ずっぱりです。だからトイレに行く暇もないんです。この中学校と高校の格差はおかし過ぎるというのが誰にとっても明らかで、こういうことを許しているのが義務教育標準法なので、義務教育標準法の改正こそ国会で議論するべきでありまして、この特例法の議論をしている暇じゃないということを申し上げたいと思います。
附帯決議で、じゃ書けばいいじゃないか、衆議院でも書いているよということですけれども、このぐらいの書きぶりでは全く、文科省、駄目だと思います、を動かすには。もっと具体的に、持ち時間の上限も含めて、抜本的に標準法の見直しを含めて、着手早期にせよと書いてください。是非お願いいたします。
次の図は僕の方の本にも書いていますが、いろんなこと、荷物負わせて、もう船が沈んでいるような状態だと。あるいは、二十三ページは、苅谷先生も似たようなことをおっしゃっています。
二十四ページ目、お開きいただければと思いますけれども、三つ目は、今本当に講師不足で、本当に講師の今度、質保証というのが全然できていないわけですよ。しかも、それを即戦力に使っているわけですから、まず、質の保証云々言うんだったら、ここを何とかしないといけないということです。
四番目ですね。自学や自発的な学びを歓迎するようなインセンティブづくりですね。GoToトラベルやっている暇があったら、GoToリードといって、読書したらちょっと補助してくれるみたいな、そんなことも含めて、もうちょっと柔軟な施策こそやっていただきたい。
二十六ページは、校内研修の活性化こそが肝であるということも申し添えたいと思います。
あとは質疑応答で応じます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/5
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006・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ありがとうございました。
次に、池田参考人からお願いいたします。池田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/6
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007・池田賢市
○参考人(池田賢市君) よろしくお願いいたします。中央大学の池田賢市といいます。よろしくお願いいたします。
今日はこのような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
今回の改正案につきまして、まず、これまでの免許更新制度がどうだったのかという点について述べたいと思います。
結論としては、ほとんどいいことはなかったという印象です。あと、制度設計そのものにも大分問題があったなということです。
今大学では教員養成課程など担当しておりますけれど、教員養成を主とした学部ではない限りは、学生たちは本当に卒業まで苦労して単位を取り、またそれにプラスアルファで教職の単位を取り、かなり苦労しています。で、教育実習に行くし介護等体験もするしということで、ようやく免許取得にたどり着いたんですけど、ところが、それ十年間しか有効じゃありませんとなると、しかも、仕事続けたければ十年に一度それなりの費用を払って講習を受けて合格しないと続けられないということになってしまいますので、まあ法的には正しい言い方ではないんですけど、任期付きの仕事というイメージを学生に与えたということは確かです。また、教員の多忙化がなかなか解消しないとなれば、やはり教員志望者は減っていくということになるかなと思います。
ただ、二〇〇六年の中教審答申でも、ではと言ったらいいのかな、免許の更新については、教員として日常の職務を支障なくこなし、自己研さんに努めている者であれば、通常は更新されることが期待されるものと述べられていたんですけれど、どういう状況なら支障なくこなしているのかということの基準は明確ではありませんし、また、実際に講習を担当している大学側の方に受講している先生方の勤務状況が知らされているわけではありません。この人が支障がない人なのかどうかと分からないわけで、そうなってくると、結局、免許更新できるかどうかと常に不安な状態に置かれているんではないかというふうに思います。
あと、制度運用上の問題で、細かい点はいろいろ指摘できるかと思うんですけれど、私が聞いたところ、私に直接相談を受けたんですけれど、その人は三十四歳、五歳で先生として正規採用されたんですね。ところが、初任者研修と免許更新講習を今同時に受けているんですけど、どうなんでしょうかということです。これ本当に不思議なんですという話をしてくれました。ちょうどその年齢になっちゃったわけですね。そんなおかしなことが当初は起こっていた。まあその後いろいろその辺は調整をしていったわけですけれど、結局、微修正、微修正を繰り返していかないと続かない制度だったということかなというふうに思っています。
あと、講習内容についても違和感がありました。最新の子供の変化を先生たちに話すみたいな、そういう講習内容が設定されているわけなんですけど、大学の特徴の大きな一つは、子供がいないということなんですよね。つまり、立場は逆じゃないかということです。子供の変化も含めて最近のいろんな教育の実情をよく知っているのは現場の先生たちなのであって、むしろ学ばなくてはいけないのは大学の方でしょうという、そういう違和感を持ちました。
また、更新講習は大学教員の働き方にも大きく影響しました。更新講習自体は夏休み期間中に設定されることが多いですし、また通常の土曜日とかですね。特に夏休み中は、大学の先生方、自分の研究時間に充てたりするんですけれど、更新講習担当となると、その時間のやりくりがすごく難しくなってくるということになります。その辺も大学へのインパクトがかなりあったということです。
しかも、その免許更新のための講習をやっているわけで、その先生をどう評価するのか、評価を付けて合格か不合格かということをやらされるわけでして、そうすると非常に精神的な負担も大きいということで、結局、講習の在り方もやや形式的なものにならざるを得なくて、全員合格にしていくという措置を、じゃ、どうやってとろうかという、そういう悩みになっていくということかなと思います。
そんなもろもろのことを考えますと、今回更新制度自体が廃止になるということは、まずは良い判断がなされたというふうに思っています。
その上で、少し求めたいことといたしまして、今所持しているいわゆる新免許状と、あと旧免許状で、それが失効している先生たちというか元先生たちがいらっしゃるんですけれど、再度免許状の授与を希望する場合の手続は、是非簡素化しておいてほしいというふうに思います。
授与審査に当たっては各教育委員会で求めることもいろいろ違ってくるんだろうと思いますけれど、今も参考人の方々で触れていただいていますけど、学校現場は本当に多忙で人が足りないんですよね。となってくると、免許をかつて所持していて教員として勤務し得る、希望しているという人がなるべく簡単な手続で学校で働けるようにしてほしいなというふうに思っております。
これが免許更新制についての、ごくごく簡単ですけど、私なりの評価です。
次に、研修の在り方についてお話をしたいと思います。
これも、改正案の第二十二条の五の第二項第四号のところです。つまり、任命権者に研修等の記録が義務付けられているわけですけど、何を記載していくかというときに、任命権者が必要と認めるものと規定されている点に関してです。
これに対しては迷うところもありますが、記録するのであれば、法定研修も含めて全ての研修等の取組にした方がよいんじゃないかなというふうに思っております。その理由は次のとおりです。
もし記載するものとしないものとを分けるとすると、その判断のための基準が必要になります。しかし、そういう基準を一律に決めて適用していくことが可能かどうかということ、あと、研修などの取組は今目の前にいる子供たちが抱える課題からスタートするものなので、どんな取組も学校現場にとっては必要に決まっているんですよね。必要だからいろんな形で行っているんです。それに対して、どのような基準で記載する必要があるかないかを判断するのはとても難しい。
その判断するためには、その記録をどう使うのかということが明確でないと、じゃ、これは書こう、書かないとなってくると思うんですけれど、記録を基にして対話に基づく指導助言ということになるんでしょうけれど、だとすれば、指導助言に不必要な研修等の取組があるということになってしまいます。そもそも、学校とか学級の課題から出発して、校内研修を始めとして各教員の様々な取組があるわけですから、どれも必要なことで、そこの線引きは難しいだろうというふうに思っています。
さらに、もし記載するものとそうでないものとを区別するとなっていくと、本来自主的あるいは主体的であるはずの研修の取組に対して、資質向上のために認められるものとそうじゃないものということをかなり明確化するというそういう作業が必要になってきて、それが任命権者にできるかどうかと、してよいかどうかという問題があるかなと思います。
いかに活用するかという点と関連するんですけれど、この記録を取った場合には注意しておくべきこととして、記録の閲覧者の範囲をどうするかということかなと思います。結論的に言うと、もちろん個人情報ですから、本人と、それから管理職と、そして任命権者という範囲に限っておくことが必要かなと思います。いずれにしても、個人情報ですので、漏えい防止とかそういう細心の注意を払う、そういう制度をしっかりつくっておかないとまずいだろうというふうに思っております。
研修は、法律にあるとおり、権利であり、また義務であるとも書いてありますけれど、そういう趣旨ですけれど、権利としてしっかりと保障していくこと、これ教員という仕事を続けていくためにはとても大切なことですけれど、その観点からいうと、臨時的任用の先生たちですね。今すごく学校現場はそういう先生たちで回っているんですけれど、臨時的任用の先生たちにも研修の機会は保障されなければいけないだろうと思っています。もちろん強制になってはいけませんけれど、その点も注意しておく必要があるのではないかなと思っております。
これまでの話にも出ておりましたけれど、今学校は研修する時間さえないほどの多忙の中にあります。これは国際比較調査などでも明らかにされていることです。研修の充実は専門職としての教員には不可欠でありますから、まずは教員が働く環境の整備が必要になるだろうと思います。その上で、様々な形での研修の保障が実現できるような、そういう制度設計を望みたいというふうに思います。それぞれの現場の必要に応じて、自由な学びの機会が、勤務として、あるいは勤務場所を離れる場合も含めて、かなり幅広く保障されていく必要があるのではないかなというふうに思っています。それが現実的に課題に応えるということですし、先生方のやる気にもつながってくるのではないかというふうに思っております。
最後に、やや一般的な言い方になるんですけれど、教育という行為における評価とか成果の在り方とか、あるいは教員として信頼されるってどういうことかということについて少し述べたいと思います。これは、ある学校の先生から聞いた一つのエピソードからお話をしたいと思います。
その先生は、四十年前、高校生でした。高校の古典とか漢文の授業で、これが一体何の役に立つんだろうか、どんな意味があるんだろうか、とても不思議というか、何でだという気持ちがあって、その担当の先生にそう聞いたそうです、どんな意味があるんだ。そうすると、担当の先生の答えは、今に分かるということだったそうですね。ええっと思いますね。今だったらこれちょっとあり得ない回答かもしれません。説明責任どうなっているんだとなるかもしれませんけど、でも、四十年後の今、本当に分かったと。ようやく分かった、あの先生いいこと言っていた、いい授業だった、あれはいい先生だったんだということですね。遅いと思うかもしれませんけど。
当時、もし数値化できて、すぐ分かるような成果によって教員評価がなされていたとしたら、もう取り返しが付かないですよね。もちろん逆のこともあります。ああ、いい先生だなと思っていたけど、しばらくたって、ううん、どうだったのかなということもそれは起こります。なので、まあそんなエピソードを聞いたんですね。
このことから、三つの事実が指摘できるかなと思います。
一つが、教育という行為の効果測定は非常に難しいということです。もちろん、だから何もしなくていいというわけではない、そう言いたいわけではないんですけど、非常に慎重に行う必要があるだろうということです。
二つ目が、この授業にどんな意味があるのかという疑問を持つ時間的、精神的ゆとりがあったということですね。教員の方にも、自分の授業を振り返って、今目の前にいる子供たちに何をどう伝えようかとか、今自分はどんな存在としてこの子たちの前にいるんだろうかとか考えていたと思うんですね。その究極の答えが多分今に分かるだったんだと思うんですけど、これは自主的、主体的な研修の前提ですよね、こういう余裕がないとですね。で、その反省的思考の中からいろんな課題が見えてくるということになるのではないかなと思います。
ただ、今こんなこと考えていたら教科書終わんないになるし、生徒の方も、何でこれやっているんですかって言っているうちに授業は進んじゃうので、置いていかれちゃうということになっています。いろんな意味で多忙化です。
あと三番目、授業に対する疑問を教員にぶつけることができるくらいに、教員と生徒との間に信頼関係があったということです。これも、じゃ、どうやって信頼が築かれていくんだろうかということですね。多少ノスタルジックに過ぎたかもしれないし性善説だと言われるかもしれないんですけど、ただ言えることとしては、信頼される教員であるということは、子供たちといかにたくさん関わっているかということ、たくさんの声を聞いているかということに懸かっているのだということです。もちろん、研修の大切さはもう大前提で、それを保障する制度の重要性も大前提なんですけれど、でも保護者として、うちの子のことをちゃんと見てくれていますかと、声聞いてくれているんですかという、そこが一番大事なことですよね。
これもある先生から聞きました。家庭訪問に行って、何か学校に要望することがあるのかと聞いたところ、そこのおばあちゃんから、ともかく、先生もいろいろ大変だろうけど、うちの孫を笑顔にしてくれと言われたということですよね。それに尽きるということです。
その先生がどんな研修を受けたのかということだけでは信頼は得られないということですし、研修研修で今度は逆に忙しくなって子供の話聞けないでは本末転倒になってしまうので、その点をしっかり見据えた制度設計をしていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
私の発言は以上です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/7
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008・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/8
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009・堂故茂
○堂故茂君 自由民主党の堂故茂です。
参考人のお三方には、貴重な御意見をいただき、誠にありがとうございました。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
中央教育審議会の教員養成部会や教員免許更新制小委員会の臨時委員を務められた戸ヶ崎参考人にまずお伺いしたいと思います。
今回の政府提出の法案には、研修記録の作成や資質の向上に関する指導助言等の義務付けなど、新たな教師の学びの姿に向けた方策を実施することにより教師の個別最適な学びを効果的に進められる条件が整うなど、教員免許更新制を発展的に解消することが盛り込まれています。
これまでの教員免許更新制については、ちょっと先ほどもお話がありましたが、大学が現職の教師の資質の向上に継続的に関わるという意味で大きな役割を果たしてきた面もあると考えますが、まず教員免許更新制について、戸ヶ崎参考人がその成果とこれまでの課題をどのように評価されているのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/9
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010・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) いわゆる教員の研修のその成果というものについては、なかなか短期間で測れるような、またそれが表現できるようなものではないというふうに思いますけれども。また、この研修制度そのものというものも、個人のスキルアップだけではなくて、やっぱりチームの力のアップというものについても様々つながっていく研修というものが多くあるんではないかなというふうに思っています。
学校現場で日常的に行われている復命というこういう制度があるわけですけれども、そういった行為で研修の成果といったものをお互いに教員同士で共有したりですとか、また校内研修の中に積極的に生かしたりするというようなことをもって様々な成果の、その運用というんですかね、そういったものについても可能になるんではないかなというふうに考えています。また、学びのその成果が確認、それぞれが確認をすることによって、教師の学ぶ意欲そのものも一層喚起できて、学校全体の教育力の向上にもつながる可能性があるのかなというふうにも思っております。
一方で、そういった研修の成果そのものを早めにどんどん生かしていこうということになると、先ほど申し上げましたけれども、どうもハウツーの方につながっていってしまう、そういうような懸念もありますので、できれば、子供観ですとか、また教師観に関わるような、いわゆる、何というんですかね、教育哲学的な、そういうような研修なんかも必要であるんではないかなというふうに思っています。
多様ないずれにしても研修を積み重ねて、自分自身の研修の履歴といったものを振り返って成長を自覚して新たな課題を生み出していくという学びの、学び続けるプロセスというのを確立していくことがいずれにしても重要ではないかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/10
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011・堂故茂
○堂故茂君 いいところもあったけれども改善していかなきゃいけない、そのために発展的に解消したというふうに理解いたしました。
それでは続いて、戸田市教育委員会の教育長として教員の資質向上のために尽力をされております戸ヶ崎参考人にはそうだと思いますが、この新たな制度においては校長がそれぞれの教師に対し個別最適な研修の受講を奨励することとされていますが、もちろんこの研修を受講すること自体が大事なのではなく、今ほどもちょっとお話触れられましたが、研修により得た知識技能を学校現場において発揮することが何よりも大事ということだと思うんです。
各教師が研修の受講により得た成果を学校現場でしっかりと確認できる運用が望ましいと考えますが、具体的にどのような方法が考えられるか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/11
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012・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 先ほども申し上げましたけれども、学校のその研修の成果というものについては、それぞれ個人で見られるものと、それから学校全体の組織のスキルアップということで見られる両面があるのかなというふうに思っております。
その面で考えていくと、やはり学校全体のチーム力を上げることによって個人のスキルアップにもつながっていくというようなものもありますので、これからの研修の成果の運用というものは、学校全体のその研修、まあ学校力というんですかね、学校力、チーム力のアップをもって成果の運用を見ていくということもありますし、もちろん個人のスキルアップを研修の奨励ですとか相談ということに、その学校長の指導等に、あとはお互いの同僚性の発揮というのもあるのかなというふうに思いますけれども、そういった総合的な取組によってそういう成果の運用というものが確認できていくのかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/12
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013・堂故茂
○堂故茂君 ありがとうございます。
ちょっと質問が重複するかもしれません。次に、校内研修について各参考人にお伺いしたいと思います。
教師の方々が日常的に活動をなさっている学校現場における研修をどのように活性化していくかということがとても大事だと思います。校内研修を充実させるためには、するためには、学校の管理職や教育委員会等の関係者はどのようなことに取り組んでいくことが必要なのか、また、その実現のためにどんなサポートが必要で考えられるのか、各参考人の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/13
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014・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 先ほども触れましたけれども、本市の学校の校内研修というものは、特色として、産官学、これと連携した研修というものがそれぞれの学校で自走を始めております。これまでは、とかく校内研修のテーマというと、一般的に各教科に関すること、これが中心になっていたわけですけれども、最近は、まさに産官学の指導者を積極的に奨励して、プロジェクト型の学び、そういったものとか、全教科に関わるカリキュラムマネジメントというもののテーマが多くなっているかなというふうに思っています。
当初は、教育委員会の方で産官学のレシピを作って学校の方にそれを提示して、ある意味、そのコンテンツとか人材といった材料、原材料というものは教育委員会で用意するから料理は学校でしてほしいというそういう仕組みを取っていたんですけれども、最近は、どっちかというと各学校が自走を始めていて、学校独自で産官学と連携しているというケースも大変多くなってきているところでおります。言うなれば教育委員会は、今までの指導と管理というそういった視点ではなくて、まさに学校の自走を支援していくファシリテーター役に最近は徹しているのかなというふうに思っているところであります。
校内研修における、私、これは個人的なキーワードとして思っているのは、もう全員で更に共有をして継続していくという、この三つの言葉が大事なキーワードというふうに思っておりますので、単なる研修によって知を共有するというだけではなくて、大切なことは、自分の目の前にいる子供たちがいかに伸びているか、変化しているかということをお互いに共有していくと、間違いなく子供たち伸びてきているねということを共有することも次への校内研修へのモチベーションにつながるので、非常に重要なことかなというふうに認識しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/14
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015・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 三点ほどポイントがあるかなと思っております。
一点目は、言うまでもないことですけれども、しっかり研修等を勤務時間の中で打ち込めるような時間と精神的なゆとりを確保するということだと思います。あしたの授業準備どうしようか、不安だといった中で研修を入れられても、やはりやらされ感が募ったり、さっさと授業準備したいんだけどということになりますので、その辺りは大きな問題であろうと思っております。
二点目といたしましては、やはり先生方が主体的にしっかりやりたいテーマで研究をするということだと思います。多くの学校はそうできていますけれども、授業研究とか教科指導に少し偏りがちなので、それをいろんなテーマでやっていく。これだけ若手の先生方が都市部では特に増えていますので、例えば若手の先生方の相談に乗っていこうみたいなことなんかも含めてやられるといいと思いますし、教科指導以外のいろんな事務作業の仕方とか行事の進め方とか、そんな校内研修もあってもいいのかなと思っております。私自身も、働き方改革だとか業務改善、たくさんの校内研修を御支援しております。
三つ目といたしましては、しっかり自分たちがアップデートしていくというか、自分たちの教育観とか指導観を批判的に振り返っていく、批判的リフレクションというんですけれども、そういった必要性をしっかり感じられる研修にする必要があって、単に知識を得てよかったねというんじゃなくて、自分たちの今までの前提だとか固定観念というのを疑っていく、更新していくということが大事だと思います。
私の資料で、もう細かくは申し上げませんが、二十六ページに少し関連データも載せておりますけれども、実は高校の先生は、小学校と比べて持ちこまも少ないし本当は時間のゆとりが部活動以外はあるはずなのに校内研修すごく少ないんですね。それは、もう自分は教科の専門性があるから、ほかの教科の先生からそんなに学ばなくていいだろうと思っている先生が多いんです。でもこれは大きな間違いで、本当に、教科横断的な学びも含めて、教職員同士でどんどん学んでいくという必要性をしっかり先生方に感じてもらう必要性があると思っていて、その辺りも含めてしっかり考えていく必要があると思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/15
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016・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 私の感じ方としては、まず学校の中が自由な議論の場になっていないと校内研修は活性化しないだろうということです。いろんなテーマをちゃんと自由に設定できて、それを校長なり教育委員会なりがサポートしてくれるということがないといけないかなと思っています。そのためには、子供についてじっくりと職員室の中で情報交換し合えるとか、あるいは家庭の様子などもしっかりと把握しているとか、その辺の連絡も密に取っているとか、いずれにしても、職員室の空間が、自由に物が言える、みんな対等な立場として物が言える、そういう雰囲気づくりをまずはしていくことが必要だろうと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/16
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017・堂故茂
○堂故茂君 最後に戸ヶ崎参考人に、私も何回かお邪魔しましたが、独立行政法人教職員支援機構、これは全国の先生方の、ある意味では大変、この発信、働き方、研修の中核的な役割担っていると思うんですが、この機構への期待、こういう研修が大事だということになる場合は、この果たす、国全体として果たす役割の大切さみたいなのを簡潔にお話しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/17
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018・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) もう一言で言うと、大変すばらしいというか、参考になるようなコンテンツが近年非常に充実してきているなというふうに思っております。
ちなみに本市においては、一定の期間、エデュケーションウイークというものを設定して、そこで、そのいわゆるNITSを、その動画を見るような期間をつくったりとか、また個人個人で、その研修のときに自己研修ということでそれを見るような機会を増やしているところです。
私自身、実はその動画にも出演させていただいたことはあるわけですけれども、その中で、ただ単に動画というのは一方通行になることが多いわけですけれども、そのときに、自分が出演したときには、何か意見や質問があった場合には是非寄せてくださいというような、可能な限り双方向になるような努力をしてみたわけですけれども、そうすると、やっぱりこの部分はどうなんでしょうかというような意見がたくさんいただいたということの経緯がありますので、これは今後に要望するものとしては、是非、少しでも双方向性のものができるといいなというようなこととか、あとは、自治体間一つずつ、それぞれ個人とか自治体だけで見ているんではなくて一緒になってそれを見て、お互いで研修し合うような教育委員会も超えた取組があってもいいのかなというふうにも思いますし、今後のそのコンテンツの活用だとかそういうものについては、大いに基礎的なものから高度なものまで様々期待ができるかなというふうに思っております。
あくまでも研修の中核として、是非ハブの機能も教職員支援機構には果たしていただければというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/18
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019・堂故茂
○堂故茂君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/19
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020・宮口治子
○宮口治子君 立憲民主党の宮口治子でございます。
お忙しい中、参考人の皆様には貴重なお話をいただきまして、本当にありがとうございました。
三名の皆様にお伺いさせていただきたいと思います。
私には重度の広汎性発達障害の子供がおります。その中で、保護者として、特別支援学校の先生方が常日頃どれほど大変かという、頭が下がる思いで十二年間先生方を見詰めてまいりました。そして、校長先生が替わるたびに教員の先生方の雰囲気が変わって、そして対応もがらりと変わってしまうようなさまも実際に感じてまいりました。
その中でですけれども、親ばかと言われるかもしれませんが、障害を持つ兄弟が私もほかにいたことで、ほかの子供たちが障害に対する理解のある優しい子に育ってくれているんではないかなというふうに感じておりました。障害を抱える子に対する理解を深めていくためには、障害を抱える子供と共に学ぶインクルーシブ教育を進めていく必要があるのではないかと強く思っています。
このインクルーシブ教育がなかなか進まないというのは、それに対応できる教員が少ないことにも一因があるのではないかと思います。全ての教員の先生がインクルーシブ教育への理解、そして進め方について研修を受けていく必要があると感じますが、私の母校でインクルーシブの話を教員の先生にした際に、講習とか研修ももちろん大事だけど、やはり知識のある専門の先生が常にいらっしゃって、そのときそのとき違うケースでいろんなことが起こってきますので、その対応を私たち教員も学びたいし、教えてほしいということを言われました。
この点について、お三方はどのようにお考えなのかをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/20
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021・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) お手元の資料に、「指導の重点・主な施策」の一番、これは十ページですか、そこに、本市においても、これは全ての教員に対しての指導の視点として、「インクルーシブ教育の充実に向けて」というこういうパンフレットも作ってはおるんですけれども、まさに私の思いとしてみると、特別支援教育というのは教育の原点であるという強い思いがございます。
それぞれ特別支援教育の中で培っていくもの、指導してきているものというのは、必ずや通常の中にも、教育の中にも生かされるものであるというような思いとか、また特別支援教育というのは、どうも一部の教員、先ほどお話ありましたように、一部の特定の先生だけのスキルアップで行われていくというような傾向というのが強いわけですけれども、そうではなくて、やっぱり様々な最新の科学的な知見だとかそういったものも取り入れながら、本当にそれが根拠があるものなのか、まあエビデンスとまでは言わないまでも、様々な最先端の知見を持ちながら取り組んでいくこととともに、大学なんかについても、私機会あるごとに申し上げているのは、もうこれからの教師になる教師というのは、ICTの利活用と特別支援教育は標準装備にしてほしいということは強く申しております。
そのぐらいにこの特別支援教育というのは全ての教師にとってまさに標準装備で、誰もがきちっとした指導ができるようなシステムというのをつくっていかなくてはいけないのではないかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/21
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022・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) ありがとうございます。
私も、是非、本当、全ての先生方にこのインクルーシブ教育なり特別支援教育の部分はしっかり学んでいただきたいとは思っております。
例えば、特別支援学校だけではなくて普通学級におきましても、例えば小学校では、掲示にすごくこだわって、たくさん貼られている先生いらっしゃいます。それ、ただ、ある障害のある方、児童にとっては非常に混乱して大変だったり、あるいは、せっかく一人一台端末があって、本当に障害だとか特性に応じて個別最適な学びができるにもかかわらず、その辺りの理解がないために非常につらい思いをしている子たちがいたり、あるいは不登校ぎみになったりしているケースなんかもありますので、多くの先生方に是非こういった研修等は大事だろうと思います。
ただし、今先生方に求められる資質能力というのはどんどん高度化していて、全ての人にスーパーマン的、スーパーウーマン的に求めるのはやはり無理があるだろうと思っております。おっしゃっていただきましたように、非常に専門性の高い方が近くにいてアドバイス、スーパーバイズをしてくださるという関係があるというのは非常に大事なことなので、それを同じように、例えばICTの物すごい得意な方がすぐ近くにいるとかそういうことも含めて、全ての教員に平均値を上げたり基礎的なところは大事なんですけれども、とがった部分は誰かがいればいい、あるいは近隣校でも構いませんけれども、そういった部門を整備する必要があるだろうと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/22
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023・池田賢市
○参考人(池田賢市君) インクルーシブ教育につきましては、まずはその定義といいましょうか、国連の障害者権利条約含めまして、一体何をインクルーシブ教育と世界は言っているのかというところは徹底的に、それこそ研修でもいいんですけど、理解をしていくべきだろうというふうに思っています。
場所を絶対に分けないということが大前提ですから、場所を分けてしまったら、どんないいことをやってもそれはインクルーシブではないということです。分けないで、じゃ、どうやってやるのかという問題、それが合理的配慮ということですよね。インクルーシブ教育はインクルーシブソサエティーを目指しているためにやっているわけですから、社会に出て個別個別で生きていますかということですね。みんなそれぞれ支え合いながら生きているわけで、学校にいるときから分けてしまって、大人になって果たして関係つくれますかということですね。
これも、エピソードばっかりだと言われるかもしれない、こんなエピソードがあって、ある勉強会のときに、いや、やはり障害について自分は知識がないからなかなか難しいんだと、だから、やっぱりそういう知識を学んでからじゃないと難しいですよという話をしたと。そうしたらその保護者が、そんなに難しいなら何で聞いてくれなかったんですかということですね、聞けばいいじゃないですかと。本当にこの子がこのクラスにいることが大事だと思っているんであれば、いるために何だって聞くでしょう、いろんなことをやるでしょう。やらないということは、受け入れないということですよねということですよ。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/23
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024・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
私も本当にそのようにまさに思っていて、やはり、世の中、今多様性の認める、いろんな人がいるんだというのを認めていく中でそういう人たちを排除して教育してきて、一体いつの時点で受け入れられるんだと思っていましたので、是非私もそこはしっかりとこれからも訴えていきたいと思います。
続いてなんですけれども、子供たちがその人格とか個性をどのように開花していくのか、させていくのか、教員は常に向き合っていかなければいけないんだと思います。まだ習ってない漢字を書いちゃいけないなど、学校の勉強を進めている子のやる気を邪魔してはいけないし、一方で、家庭環境とかその他の要因で勉強に気が向いていない子のやる気を引き上げてやるという必要もあります。画一的な教育ではなく、個々に応じた教育というのが必要であると思っていますが、まずこの点についてどう思われますでしょうか。
そして、そのような教育を進めていくためには、先ほどから出ています教員の技量も今以上に上げていかないと対応ができないのではないかと考えます。このような教員の技量向上について、先生方の負担にならないように実現させていくにはどうすればよいかを少しお聞かせいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/24
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025・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) どなたに答弁を求めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/25
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026・宮口治子
○宮口治子君 三名に、それぞれで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/26
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027・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) まさに、教室の中には様々な子供たちがいるということの認識というんですかね、そこをしっかりとまずは教師は理解をしなくてはいけないだろうと。これは単なる、たくさんのいろんな子供たちというのは、発達障害とか特異な才能とかそういうものだけではなくて、家庭の文化資本のものだとか多様な特性を持つ子供だとかって、いろいろな、もうまさに多様な子供たちがいるわけで、それぞれの子供たちが開花するように、従来でいうと、日本の教育というのは落ちこぼれ対策ということはよくやっていたんですけれども、いわゆる吹きこぼれ対策というんですかね、そういう子に足踏みをさせちゃっていたりだとか、そういうような反省等もあるのではないかなというふうに思っています。
ですから、もうまさに誰一人取り残されない、そういう教育というのは、本気になって、今もう待ったなしで進めていかなくちゃいけないだろうというふうに思っているわけですけれども、そこに教師がきちっと指導に追従できるのかということになってきたときに、先ほど妹尾さんがおっしゃっていたように、全てにスーパーマンというかマルチなものを教師に求めさせるというのはなかなかできませんので、簡単に一言で言えば、多様な教師集団というんですかね、そういったものをつくっていくということが大事で、やっぱり得意不得意、誰にでもあるわけですから、そういう専門性をお互いが高め合い、磨き合いながら多様な集団をつくっていくというのが非常に重要なことだろうというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/27
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028・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 二点ほど申し上げたいと思います。
おっしゃるところは私もすごく共感しております。その上で二点ですけれども、一点目といたしましては、もっと子供の意見表明といいますか、子供たちのしっかり意見、気持ちが聞ける学校になっていかないといけないと思っております。その辺り、非常に今までの学校弱かった部分がありますので、先生たちのことを一方的というわけではないですけれども、きちっと静かに聞くのがいい子ですみたいなことではなくて、しっかり子供たちの意見、声を表明できるような機会等をもっと保障していくというのが一点目です。
二点目は、やはり個々の子供たちのそのやる気とか個性を伸ばしていくためには、学校で一番やっている最大のものはやはり授業です。授業を見てどうなのかということであって、もちろん研修も大事ですけれども、研修以上に大事なのは、授業がいかに改善するか、授業の中で子供たちを引き上げていくかということだと思いますが、なかなか自分だけでは自分の課題だとかを気付かない部分が当然ありますよね。
そういった部分では、今、教頭職が、本来、教頭、教える頭ですから本当は先生方の頭といいますか先生方のコーチにならないといけないわけですけれども、御案内のとおり、副校長、教頭が本当に事務作業に追われていて、ほとんど先生方の人材育成だとか授業を見に行けてないんですね。この問題を何とかして、やはり教頭の負担軽減を進めつつ、あるいは教頭を二人体制にするとかいろんな施策を打ちつつ、教頭先生方がもっと授業をもう少し気楽に見て、こんなことをもうちょっとどうだとか、あるいは先生方にコーチングといいますか、一方的に押し付けるんじゃなくて先生方の課題だとかをヒアリングして聞いていくような、そういった人材育成ができるといいんじゃないかなと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/28
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029・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 今の問題については、子供観ですかね、子供をどういう存在として見ているのかということが大きく問われなければいけませんし、また学力観ですね。学力って何かということで、まず学力については、どうしても、今の日本の学校教育がずうっと培ってきたのは、個人所有できるという発想だと思うんですよね。関係性の中でこそその力みたいなものは発揮されるのであって、個人の中に蓄積している何か、この人は何かができるとかできないとかということではなくて、関係の中でどうやって生きていくかということですね。そこにこそ焦点が当てられるべきだと、そういう教育になっていくべきで、そのときに、個に応じた個別最適化ということが果たしてどこまでマッチングするかどうかというのはまた難しいところだと思っています。
あと、子供は教えないと学ばないと思っている可能性もあるんですけど、そんなことはないということですね。子供はそもそも主体的で、学びたいというか、いろんなものに関心があります。学校経験経れば経るほどどんどんその意欲が失われていくということになっていくので、そういう自由に物が言えるとか考えることができるということの方が先かなというように思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/29
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030・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございました。
今のお話を全部聞いておりますと、個々の先生の資質の向上というのも大事だと思いますけれども、やっぱりチーム、学校内のこと、教員の全体のチームワークでやっぱり上げていかなきゃいけない問題もあるんだなということに気付かされました。
本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/30
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031・横山信一
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。
本日は、戸ヶ崎参考人、妹尾参考人、そして池田参考人の皆様方から貴重な御意見を本当にありがとうございます。
まず戸ヶ崎参考人にお伺いをしたいと思いますが、今回のこの教育公務員特例法並び教員職員免許法の改正案ですけれども、そもそもその教員免許更新制度というのは、指導力不足の教員への、どうしたらいいかという対症療法的な、そういうところからスタートしたわけでありますが、これからの時代の教師に求められる資質能力とはどういうものなのか。
今回の法案では、昨今の社会の急速な変化あるいは教師の研修環境の変化などを踏まえて、研修記録の作成や資質の向上に関する指導助言等の義務付けなど、新たな教師の学びの姿に向けた方策を実施する、また教員免許更新制度を発展的に解消するということになっております。新たな研修制度においても、学校現場の教師が時代に対応した資質能力を修得していくということが重要であります。
今の教師に求められる資質能力とは何なのか、戸ヶ崎参考人御自身の、校長も教育委員会も経験されておりますので、御経験を踏まえて御意見を賜れればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/31
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032・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 教師に求められる資質能力というのは、もうまさにこれまで中教審の答申等で何度も繰り返し提言をされてきているわけですけれども、それの中でよく言われている部分については、使命感とか責任感とか、また教育的な、愛情もそうですし、また教科とか教職に関するその専門的な知識とか実践的な力とか、そういうようなものに加えて、それだけではなくて、総合的な人間力とかコミュニケーション力とか様々なものが提言されてきたわけですけど、最近は、ファシリテーション能力ですとか、さらにはメディア、様々なメディアに対してのリテラシーというんですかね、そういうリテラシーの能力だとか、もう幅広く求められてきているのかなというふうに思っています。
正直、そこまでいろんなものを求めるというのはなかなか現場を見ていると大変なことだなということを感じて、私はよく初任者なんかに言っている言葉があるんですけれども、それは何かというと、今言ったようなそういう力を付けた優秀な教師であるにこしたことはないと、しかし、やっぱりたくさんの子供が集まってくる先生には何かほかの先生とは違うものがあるんじゃないかと。それは何かというと、やっぱり人間的な魅力であって、少しぐらい粗削りであってもいいから、やっぱりそういった心の温かさとか、子供たちを引き付ける、そういうような人間的な魅力というものが何よりも大事なんじゃないかということで、是非、どうしても長く教員をやっているということになるとそういう謙虚さみたいなものというのもなくなってくるわけですけれども、そうではなくて、いつまでもそういう謙虚さを失うことなく、自分の子供は、一つの例としては、自分の子供は自分のような教師に是非教えてもらいたいと言えるような自信と誇りを持った教師になってほしいというようなことを申し上げております。
余り答えになっていませんけれども、以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/32
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033・横山信一
○横山信一君 大変に、御経験からおっしゃられるお言葉なので、とても重みのあるお話だというふうに受け止めさせていただきました。
今回の改正案で、私も度々党内の議論の中でも指摘をさせていただいているんですが、やはり校長の役割というのが重要だろうというふうに考えております。中教審の戸ヶ崎参考人の発言の中で、校長が替われば学校が変わると言われていますが、カワルという意味は二つあり、人事異動と意識改革だというふうにおっしゃられておられます。
今回の制度においては、現場で実際に指導助言を担う校長が個々の教師に対して、適切な相談対応、情報提供、指導助言を行うこととされています。教師の資質向上に関しては、これまで以上に校長の役割は重要になります。
新しい制度において校長に期待される役割、全国の校長による指導助言等の質を向上していくための方策、このことについて戸ヶ崎参考人の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/33
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034・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) この校長の指導力ということについては、教員の育成指標の一つには、その参酌方針であるところの文部科学省の大臣指針というんですかね、これを、この中に校長の固有ないわゆる資質能力としてどういうことが書かれているかというと、的確な判断力とか決断力、またその交渉力ですとか危機管理といったものを含むマネジメント力というんですかね、そういったものがそこの中には、指針の中には掲げられております。
また、今回の令和の答申の中にも文言としてあるのが何かというと、二つの能力なんですけれども、一つはアセスメント能力、これは学校の状況だとか課題といったものを的確に把握していく力としてのアセスメント能力と、それから、学校内外のいろんな方々と学校は関わっていかなくちゃいけませんので、そういったところのファシリテーション能力と、こういったものも大きく求められているというふうに認識しているところです。
ここからは私のエピソードの話になってしまうんですけれども、自分が初任の頃というと、校長といえばどういうイメージかというと、何かこう上がりのポジションで、毎日、新聞を読んで、時間に、定時になると帰るような、そういうイメージというのが非常に強くて、変な言葉ではやっていたのが、タコつぼ校長と言われて、もう校長室から一歩も出ないで、それで一日が過ぎていくみたいな、そういうイメージの方も少なからずあったとは思っています。
ただ、もう現在は全く違う状況があって、もうまさに管理、指導面のものはもちろんなんですけど、それだけではなくて、先ほど言ったようなアセスメント力とかマネジメント力、こういったものも当然必要不可欠なものになるわけですけれども、ここも、先ほどの教師の部分でも申し上げましたけれども、マルチな才能が校長の中に備わっていればいいんですけれども、みんながみんな、なかなかそういうような才能を蓄えるというのは非常に難しいことでありますので、やっぱりそこの部分というのは、得意なこととか不得意なことということがしっかりと校長自身が認識できて、やっぱり得意でない部分については様々いろんな外のリソースを借りるとか、そういうようなことをしながら自分自身を高めていくというような、これも大事な能力の一つではないかなと。全部を自分でこなすんではなくて、様々なところに力を借りることのできる能力というのもこれからの校長には大事になってくるんではないかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/34
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035・横山信一
○横山信一君 引き続き戸ヶ崎参考人にお聞きしたいんですが、今おっしゃられたその校長の持つ役割として、外のリソースを使いこなす、使っていく、そういうことが重要なんだというお話をいただきましたけれども、学校管理職の役割は今回の法改正では非常に重要だと思いますが、それだけではなく、やはり学校現場だけでこの研修制度の改革はそもそも難しいというふうに考えております。
ではということなんですが、学校を支える地域の行政であるとか、あるいは市区町村、教育委員会、こうしたところの支えも必要になってくるというふうに思います。新たな学びの姿の肝とも言える研修記録に基づく対話と奨励と、この体制づくりは学校現場に任せっきりにするものにしてはいけないというふうに思いますし、それぞれの教育委員会も積極的にここに関わってもらわなきゃいけないというふうに考えております。
この点について、教育委員会にもおられたその経験も踏まえて、戸ヶ崎参考人にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/35
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036・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) これまで教員の研修というと、どうしても主体になるのは任命権者であるところの都道府県の教育委員会、そこがクローズアップされてきたわけですけれども、当然その教員研修に関する一義的な主体であるということは間違いないわけですけれども、これまでの、市町村教育委員会がそれの補完的な役割を果たしていくというような、そういうようなことはこれからはもう変えていかなくちゃいけないだろうというふうに思っています。
それは、やっぱり学校現場に一番近いところの市町村の教育委員会こそマインドセットを変えながら様々教師に寄り添っていくというんでしょうかね、あくまでもただ指導、先ほども申し上げましたけれども、指導と管理という視点だけではなくて学校の自走をいかに支援していくかという視点、また教師のそれぞれのモチベーションなり関心、意欲、態度、そういったものをいかに一人一人に寄り添って伸ばしていくかというようなことも考えて積極的に支援を行う教育委員会でなければならないというふうに思っております。
お手元の研究集録、そういった一つの流れとして、本市においては、この研究集録の、この青いものですけれども、そこの九ページ以降にありますけれども、教科等の研究グループという、こういうようなものを本市では立ち上げております。それは何かというと、それぞれの教員が自分で伸ばしたい分野は何なのかということについて、これは強制でも何でもなくて、自分がやりたいと言った教員に対して教育委員会としてもサポートしたり、そういうシステムをつくっていくというような取組をやっておるわけですけれども、こういった取組がやっぱりどんどんどんどん横展開して、本市だけのものではなくて市町村ごとにつながっていくといいのかなと、そういう機能、機能というんですかね、教育委員会の機能も高まっていくといいなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/36
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037・横山信一
○横山信一君 三人の参考人の御意見を伺いたかったんですが、ちょっと時間がないので、最後に一つだけ、これも戸ヶ崎参考人に。
今、教師、校長、そしてまた教育委員会と聞いてきたんですが、民間企業、企業というか、ですかね、民間との協力の在り方についてはどのようなお考えがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/37
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038・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) これまで様々お答えしていますけれども、いわゆる公教育が民間と連携をしていく良さや価値というのはたくさんあるんですけれども、今まで連携しているところ、資料で、お手元の資料にありますけれども、本市においては、この別刷りのA3の中の資料にありますけれども、裏側にはいろんな連携している企業、表側にはこの研修の内容が書いてあるわけですけれども、こういったところと、実は必ず企業の側から言われることがあります。それは何かというと、もっともっと我々民間としてみても学校等に支援したいんだけれども、学校がなかなかその間口を開いてくれないと。その連携が広まらないということが聞かれることが結構多くあって、本市の場合には、クラスラボというそういう考え方で学校を実証の場としてどんどん提供していくというような試みやっているわけですけれども、これからはやっぱり、そういうお互いが開かれた関係で民間と公教育が積極的につながっていくというような取組もしていかなくてはいけないんじゃないかなというふうに思っているところであります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/38
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039・横山信一
○横山信一君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/39
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040・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
まず、戸ヶ崎参考人にお伺いしたいというふうに思います。
先ほど、大切なのは最終学歴ではなく最新の学習歴だとリカレントの本質を述べられる教育長がいる戸田市を羨ましく感じました。中教審の御発言やインタビュー記事を拝見していて、戸ヶ崎参考人は数字の裏付け等を大事にされている方なんだなというふうに感じました。経験と勘と気合では若手教員ももはや育ってくれないというふうにインタビューにも書いてありました。
私、親として学校に求めること、一つは、やっぱり生きて帰ってきてほしいということです。それからもう一つは、できれば楽しい時間を過ごしてほしいということです。それに尽きるんじゃないかというふうに思う中で、今コロナ禍で自ら命を絶つ小学生、中学生、高校生、一九七八年の統計開始以来、今最大になっています。
どうしたらその子たちが生きるにつながれたのかというのを思い悩む中で、ストップイットアプリという、匿名で、いじめ、自分が受けている若しくは友達がそういったものを受けているというのを報告、相談できるアプリを開発しているストップイットジャパンの谷山代表という方に会いに行きました。
私のたまたま前職の会社の後輩だったということもあって、彼にいろんな構想を聞いて、今開発中のシャボテン、健康観察アプリ、シャボテンログというもので、一人一台パソコンを立ち上げるとサボテンが出てきて、その日の気分を聞いてくれるんですよね、気分がいいとか悪いとか、いろいろ自分の気分をやった。それと、例えば宿題を忘れたとか遅刻をしたとか、いろいろそういったものとのデータを将来的には突合をして、スクリーニングというか、危ない、SOSを出している、若しくはSOSを出していないかもしれないけど、私たちが会いに行かなきゃいけない、手を伸ばさなきゃいけないという子をあぶり出すというような話を聞いて、この一人一台パソコンが子供たちの生きるにつながるんであれば、もう是非こういったものを開発してほしい、進めてほしいと思ったんです。
こういったビッグデータの解析によって、例えば不登校とか自死、そういう子供たちからのSOSの科学をできると思ったし、そういう子供たちを守るための政策の後ろ盾になると思います。何より、一人のその子の命につながるログになる。ただ一方で、やはり個人情報保護という壁があるのも事実で、この国にはまだデータ基本権という定義もありませんので、こういったものをどう整理していいのか、私の中でもまだもやもやしているところであります。
参考人の御意見伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/40
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041・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 私自身、今御案内ありましたように、教育長に就任した当初から3K、いわゆる経験と勘と気合から脱した教育を進めていきたいというような思いは強くありまして、まさにエピソードベースからエビデンスベースに努めていきたいというふうな思いでやってきたわけですけれども、かといって、数字で表されるものが尊くて、そうでないものは質が低いというものではないので、最近はエビデンスというよりも、エビデンスベースではなくてエビデンスインフォームドということで、あくまでもそれは参照をしていくということで、その考え方と、いわゆるEBPMというものを、実践に基づくということで、エビデンス、あっ、EIPPという言葉を使って、エビデンスインフォームドのプラクティス、実践を、ポリシーをプラクティスというような意味でEIPPというふうに呼んでいるんですけれども、そういう考え方でやっていこうということで、今現在、様々な取組を進めております。
このGIGAスクール構想で、今御案内のとおり、端末が入ってそれを使うということは、もうマストアイテムとして当たり前のところからのステージを上げていかなくちゃいけないと。それは何かというと、やっぱりデータの利活用ということについても真剣に考えていかなくちゃいけないだろうと。様々なスタディーログが集まってくるわけですけれども、それをどう活用するかというと、一つには授業改善、いかに授業、子供たちの授業に効率的にそのデータを使うかということと、あわせて、教師のたくみの技、優れた教師はどこのどの部分がやっぱりデータとして表れるんだろうかという、こういうたくみの技も可視化できたらいいなという思いで様々なトライアルをやっています。
それからもう一つの大事な柱は、今御案内があったように、生徒指導を科学していきたい。言うなれば、子供のSOS、こういったものがどうしても、従来であると教師の観察だとか、また保護者の観察というものに、そのSOSのサインを察知するものにどうしても頼りがちな部分というのがあったわけですけれども、やっぱりそれだけでは、症状が出てからではやっぱり遅くなる。不登校というようなものになってから支援するということは後手後手に回ってしまう部分があるので、そうなる前に少しでもそれを察知してプッシュ型の支援等もできないだろうかということを今盛んに考えて取り組んでいるところではあります。
なかなか、様々、先ほどのお話のあった個人情報保護に関するようなものというのはまだまだハードルが高い部分があるので、これはもう是が非でも私から逆にお願いしたいのは、国でのこの整備というものをもっともっと、自治体でそういうデータ利活用するときの個人情報がハードルになっているからそれができないという場面が非常に多いので、是非そういったところの整備というのは国の方にお願いしたいなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/41
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042・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 はい、賜りました。
子供たちのログを取ること、それを参考にすること、そこで施策を講じることに対しては様々な意見があるのを私も承知の上で、それでも生きることとは比べようもないと思いますので、それらの議論を進めてまいりたいと思います。
それでは、妹尾参考人に続きまして質問させていただきます。もう胸のすくような御発言でありました。全てに合点いたしました。ありがとうございました。
多様な教師集団というものを形成するには社会人教員を迎え入れる必要性というのは、これは異論はないものだと思えど、現状それらは五%というふうに言われておりますし、またその方々の離職というのも顕著だというふうに聞きます。
かく言う私も、教員になりたくて教員免許を取得して、ただ、二十倍の倍率だったのでまんまと落ちまして、そして一般企業に就職したんですが、どうしても諦められなくて社会人二年目に受けに行って、私学の学校の内定をもらったんです。四月にそこの学校に入るわけですけれども、それまでに何個か学校行事に参加してみないかと言われて参加をする中で、その職員室の雰囲気とか学校の雰囲気を見て、これは行ってはならぬと思って一般企業で働き続けたというものがあります。
こういう外から来た、転職をしてきた方々が根付かない理由、労務管理と定数改善だけではないんじゃないかなというものの中で、持続可能のヒントというのは、子供たちの愛とかやりがいとか、そういうような、やりがい搾取みたいな思考ではないと思うんですよね。
こういう外から来た人材が根付くために何が必要なのかというのが一点と、それからまた、教員の職務専念義務というのがありますね、地方公務員法三十五条により。ただ、様々、出前授業とか特別免許状とか、そういうものを活用してこの教員不足の有事に対応するようにというのは文科大臣も通知をしているところなんですが、性教育、高齢化リテラシー、メディアリテラシー、マネーリテラシー、そういう出前授業ではなくて、教員として働く方々が将来的に、今はこの職務専念義務の壁があったとしても、教科担任制が進む、一般企業の兼業の勧めもある、週休三日になる、こういう世界観になったときに、学校の先生たちの働き方というのはどんなものになるのか、どんなものが考え得るのか、以上二点、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/42
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043・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) ありがとうございます。
まず、一点目の社会人が根付かない理由につきましては、社会人に限った話ではありませんが、二点ほど申し上げたいと思います。
一点目は、やはり人間、孤立するとつらいですよね。社会人の方も非常に頑張っていただいている方、たくさん、多いんですけれども、やはり、通常の民間企業等のお仕事も大変ですが、子供を相手にしている仕事ですから、教師の仕事は、やはりいろいろ難しいことだとか思うようにいかないことというのがあるんですね。先生方のメンタルヘルスで教師の心が折れるときというのは、やっぱり子供との関係が悪くなるときというのが一番大きいんですね。もちろん、それに伴って保護者との関係も悪くなったりというのはありますけれども。
そんなときに、やはり支えてくれる同僚とか管理職がいるかどうかというところ非常に大きいんですけれども、まあこれは多忙だけのせいじゃないですけれども、やはり周りも忙しくてなかなか相談できないだとか校長等もなかなか支援してくれないとなるとつらい、で、思い悩んで、だったらもう民間企業等の方に戻った方がいいんじゃないかというふうになるというのがあるんじゃないかなというのが一点目です。
二点目は、成長できる仕事かどうかということです。本当にもう釈迦に説法なんですけれども、民間企業では本当どんどん環境が変化していって、どんどん成長していけないと当然企業としては倒産するわけで、一方で学校というのは、いつまでもローテクだったり、まだこんなことをICTでやっていないのみたいなことがあって、そういったところで幻滅するというところもやっぱりあると思うんですね。だから、しっかり先生方が成長し続ける、まさに学び続けられるというのが職務上もできるかどうかというところも問われているのかなということを申し上げたいと思います。
それから二点目の、将来像、週休三日等にもなって職務専念義務がどうなっていくかというお話なんですけれども、既に、例えば私がよく知っている、私立ですけれども、新渡戸文化学園さんなんかでは兼職、兼業の先生だとか本を書かれている先生だとかというのが結構多くて、それだけ、子供たちと向き合うことももちろん大事なんですが、児童生徒と向き合うことも大事ですが、それ以外の顔を持つとかいろんな経験が、結果的には授業だとか生徒理解だとか探求的な学びだとかいろんなところの引き出しを教師としては広げて、学校以外の経験が本職の授業等にも役に立つという部分はすごくもう分かっていることなんですね。
そういうことを公立学校でももっとやりやすく、一部職務専念義務を、もっと広くその職専免をしていくだとかそういうことも含めてやっていくというのは大事ですが、これ悪く取られると非正規雇用をどんどん増やすということにもつながりかねない部分もあって、しっかり、正規職で安定した雇用がありますと、で、今教員不足ですけれども、例えばいろいろ授業等を工夫して週休三日でいけますというふうになればもっと当然人気は上がるわけですし、保育園等でもシフトがありますけれども、もういつまでも、学校は朝から晩まで学級担任が一人で見ろというシフトのない前提でいます。これを大きく小学校、中学校等でも見直さないといけないということは申し添えたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/43
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044・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。そのとおりだというふうに思います。
最後に、池田参考人にお伺いしたいと思います。
二〇二一年度採用の公立小学校の教員試験倍率は過去最低の二・六倍となり、中学校、高校も大幅減。なり手はいないのに、二〇二五年度には三十五人学級、これに伴って学校現場には新たに一万三千人を超える教員を迎え入れる必要があるというふうに言われていますが、これよく言われることで、三倍を切ると教員の質の維持が難しくなると言われる、三倍というのは危険水域だというふうに言われるんですけど、私、その三倍というのが何のエビデンスを持って、先ほど質とは何たるやという話があって、人様に対して質とは何ぞというふうにいつも思うんですけれども、この三倍というものについての参考人のお考え、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/44
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045・池田賢市
○参考人(池田賢市君) それこそエビデンスはなかなか示すの難しいですけど、経験的にそうですね。大学受験もそうです。余り詳しいことはもちろん言えませんけれども、三倍を切ってくるとという話はよく聞きます。多分、経験値です。
もちろん、いろんな科学はあるのかもしれませんけれども、特に教職、教員採用試験の場合ですと、何というのかな、言い方は変だけど、取りあえず受けてみるという人たちもいるわけですよ。そんなにすごく一生懸命勉強しているわけじゃないけど、何かなりやすくなったみたいだし受けてみようかみたいなことですよね。そうなってくると、そういう人たちを除いていくと、二・六倍あるけど、実際にはそんなに倍率がないということがありますよね。そういう人たちを除いてくると、本当になりたい人たち、本気でなりたい人たちの倍率。
そのときに、単に倍率だけではなくて、どういう教員を、じゃ採用したいのかという、倍率よりもそっちの方がやっぱりすごく大事でして、そのときに、何というのかな、どういう子供との関わりとか、どういう授業観とか子供観、学力観持っているのかとか、その辺をしっかりと見極められるような仕組み、そういう面接とか何でも手段はいいんですけれども、そこをしっかりやってもらえれば倍率だけで何かを論じなくてもいいのかなとは思ってはいます。ただ、もちろん数が減っちゃうと、数は一定の質を保証するとは思いますけど。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/45
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046・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 池田参考人が三倍というのにはある一定度の知見を持った者からも正しいとおっしゃるのであれば、私も信じてみようというふうに思います。
最後に、インクルーシブ教育というのは、場所は絶対に分けないんだと、それで一緒に学び育つ、そのために足りないものを考えていくんだというお考えに思わず拍手しました。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/46
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047・片山大介
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
今日は、三人の先生、本当に貴重な御意見ありがとうございました。
三人の先生方、それぞれ少し考え方の違うところもあるのかなと思ったので、それぞれちょっと聞いていきたいと思うんですが。
まず、今回の法改正なんですけれども、新たな教員の学びの在り方を目指そうというもので、これまでの教員免許更新制の解消と、それから新たな研修記録の作成を義務付けるということになったんですが、これがその新たな教員の学びの在り方にそもそもつながるものなのかと、そして、その教員の学びの在り方って本来だったらどうあるべきなのかって、ここら辺どのようにお考えなのか、三人の先生方からまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/47
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048・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 先ほど来お話を申し上げていますけれども、教員の学びというのは、あくまでも個別最適な学びということを前提とするということになれば、自分自身がしっかりと目標を設定して、例えば極端なことを言うと、国が設定したものとかなんとかというよりも、やっぱり自らが設定をして、それに基づいて自分自身が様々なアプローチをして、いろいろな機会を捉えて学んでいくということが尊重されるべきであろうというふうには思っています。
ただ、様々、その教員のスキルというか、多様な学校の中には非常に、何か言われてもすぐに、まあ一を聞いて十を知るではないですけれども、そういったスキルを持った教師もいれば、やっぱりどうしても何とか言われてみないと分からないというような先生方もいないわけではなくて、そういったところでの研修の幅というか内容というものについても随分個人個人によって差があるんではないかと。そのときに、もうそれぞれ主体性を重んじるということで、まあ言い方は厳しい言い方をしますと、やりたいようにやってもいいんじゃないかというふうになっていくとやっぱりなかなか保護者だとかの信託に応えられないんではないかと。
そういった意味では、ある一定のそういう履歴を残しながら、管理職もそれに寄り添いながら様々助言をしていくというようなシステムはやっぱりないと、なかなか一定の質は担保できないのかなというような気がしています。
余りしゃべり過ぎるといけないので、以上で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/48
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049・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) ありがとうございます。
二点か三点ほど、短くなるべく申し上げたいと思います。
一点目は、新たな学び、中教審等でしっかり議論されていて、そこは共感する部分も私もたくさんございます。一方で、そこと現状との違い、ギャップがどこにあるのかということをもっともっとしっかり審議する必要がありまして、私も幾つかデータ示しましたけど、正直申し上げて、高校の先生は校内研修を含めてもっと研修を受けられた方がいいんじゃないか、された方がいいんじゃないかなと思っていますが、小学校の先生は、忙しい中でもやり過ぎているぐらい研修もたくさん受けていらっしゃる方も中にはいらっしゃいます。
そういった校種の違いだとかもある中で、本当にこの新たな学びという理想を掲げるのはいいんですけど、現状と何が違うのかというところはしっかり考える必要がありますので、間違っても、単にオンラインでいろいろ受けられるからよかったねというだけが新たな学びの話ではないはずなので、もちろんオンラインのコンテンツどんどん増やしていただくのは賛成なんですけれども、そういった現状との差分がどこにあるのかということをしっかり考えないといけないかなということは申し上げたいと思います。
それから、二点目といたしましては、文部科学省の、正直申し上げて、悪い癖だと思うんですけれども、理念とか理想は掲げるんだけれども、それに伴って必要な予算だとか人員体制だとか、いわゆる兵たん無視と、ロジスティクス無視とよく言われるんですけれども、それが今回も出ているなということは思います。
記録の義務化等は、指導助言の義務化等は予算が正直ほとんど掛かりません。教育委員会のシステム改修等は掛かるかもしれませんけれども、ほとんど文科省の予算等は多分掛からないんでしょう。だけれども、金の掛からない教育改革だけではもう限界が来ているというのは今日僕がプレゼンしたとおりですので、その辺りをしっかり踏まえる必要があるというのが二点目です。
三点目、御質問の、ストレートに申し上げますと、記録の義務化が新たな学びにつながるかと言われると、それはどんな学びをしていくかということになる、記録を義務化したところで、履歴があるからといって学びが促進されるわけでは当然ないので。あるいは、少なくとも法律で書く必要まではないですよね。必要であれば記録をどんどん取ってくださいというふうに呼びかければいいだけでありますので、法律でわざわざ書くということについて本当に必要なのかということはしっかりこの場でも審議していただきたいなというのが私の主張です。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/49
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050・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 新たな学びということですけれど、まず研修と絡めて言うと、用意される研修の選択肢が多いからといって、学びも、じゃ多様に確保できるかというと必ずしもそうではなくて、多様性は、自由な活動の保障が裏にないと、裏付けがないとやっぱり確保はできないと思います。
教員の研修というのは、一般の地方公務員法の三十九条でしたか、で言われている一般公務員の研修は職務能率の発揮とか向上とかと書かれていますけど、特例法の方の研修というのはそうではないですよね。やっぱり、目の前の子供から始まって、いつも研修をしていくんだというそういうことなんですけれど、その専門性の根拠はどこにあるのかといえば、それは、子供の人生とか生き方に強く関わっている、そういう仕事をしている物すごい影響力を持っている人だという、そういう仕事なんだというところが背景にありますので、いろんな子供と対応するためには本当に幅広い物の見方とか知識が要求されてくるということなので、研修の選択肢を増やすということとはまたちょっと違うこと、自主的、主体的な学びということを制度上保障することが必要で、そうすれば、そういう法案であれば新たな学びということにつながってくるかなと思ってはいます。やっぱり、もう少し教員を信用しておかないとまずいかな、でも、もちろんちょっとこれは怠けているという先生もいるんだということは分かりはするんですけれど。
研修については、与えられた研修というか、こういうコンテンツ用意してとても豊かですよと、で、それをいかに学ぶチャンスが保障されるかということで研修の権利みたいなものが確保されると考えるよりも、必要と思う研修を実施できて、その機会を保障できる権利というのかな、研修を要求できる権利という何かそういう観点を持たないと、新たな学びに結び付いていかないかなというふうに思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/50
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051・片山大介
○片山大介君 ありがとうございます。
それで、この教員免許更新制の発展的解消について言うと、これ政治主導で決められたものですよね、十三年前か。政治主導で決まったけど、後に、一旦決まったけどやっぱり現場の反発を受けて見直されるって、教育改革、結構多いですよね、大学入試改革もそうだったですけれども。
なぜこういうのが繰り返されるのかとか、ちょっとそこら辺は、その専門家の皆さんとして、今後その教育行政を行っていく、それ我々国会でも審議を経ていくんですけれども、その制度変えていくときにはやっぱりどうあるべきなのかというふうに思いますでしょうか。それぞれ、また三人からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/51
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052・池田賢市
○参考人(池田賢市君) じゃ、珍しく私から。
そうですね、どんな制度も、やっぱりつくるときには想定していなかったものって、それは出てきますよね、運用していくうちに。やっぱり、現場の話をきちっと聞くとか、審議していく中で、本当にその当事者になる人たちが一体何を困っているのかとか、そこをきちっと、その法案を作っていくとか政策をつくっていく初期の段階からしっかりと組み込んでいくということが必要なのではないかなと思っています。
特に、教育に関することで一番影響力受けるのは子供ですので、子供とか保護者ですので、子供の声を聞くということが多分一番で、その次は親とか学校の先生とかという直接的に関わる人たちが一体何に困っているのかというところ、そこをベースにしていく必要があるんだろうと思っています。
済みません、以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/52
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053・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 十分お答えできる自信はないですけれども、少しだけ申し上げますと、私、政治主導は非常にいい点も、御案内のとおり、たくさんあると思っていまして、文部科学省の省内ですら縦割りでいろいろタコつぼ化しているところがありますので、大きなビジョンの中で、非常に横断的なテーマでどんどん政治主導でリーダーシップを発揮していただくというのは非常に私はウエルカムなことです。
一方で、政治主導の行き過ぎといいますか副作用の一つとしては、現状確認なり現状分析が果たして丁寧に行われていたのかということはしっかり問われるべきだなと思っていまして、御案内のとおり、特に教育関係は誰もが一家言ありまして、しかも保護者だったりして当事者ですので、ついつい自分たちの思い込みだとか限られた事実で、まあこれは私自身の反省も含めてですけれども、主張しがちな部分があります。
例えば、大学入試改革でいうと、記述式の、センター試験で記述式がないからしっかり子供たちの、生徒たちの思考力が育たないんじゃないかというような前提で進められたわけですけれども、一方で、いろんな推薦等で約半分の子たちがもういろんなことを記述して自己PR等をしていっているだとか、あるいは難しい大学につきましては二次試験等でしっかり記述式はやっているということなので、必ずしもセンター試験だけの問題では本当はなかったわけですね。
この例のように、現状が本当にどうなのか、思い込みではないのかということをしっかり検証、確認した上での政治主導を求めたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/53
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054・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 私も、本当に政治主導の良い部分もあるし課題もあるんだろうというふうに思っていますけど、今、妹尾さんが言われたように、やっぱりこの現状の分析って非常に重要で、どうしてもボーカルマイノリティーの一部の声に左右されがちな部分というのがSNSなんかももう盛んで、そういうものというのがあるわけですけれども、サイレントマジョリティーがどのように考えているのかということなんかについても丁寧に分析していかないと、実際は実態は違っていたみたいなことがあるというのは往々にして起こり得ることなんだろうなというふうにも思いますし、また、発想を変えていくと、一つの善かれとして思っている施策、特に教育なんていうのは、変化が非常に激しい時代にあって一つのものが長く続くかというと、もうそれは昔のようにはやっぱり続かないんではないかなと私は思っているんですね。やっぱり、そのとき、時代時代でその変化に合わせながら変えていくというような形を取っていかないと、そのときにはよくても時間がたってみるといろいろな問題点が出てくるということは十分考えられるので、そういった分析をしながら是非政治主導も進めていっていただけるといいのかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/54
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055・片山大介
○片山大介君 あと、全ての課題の根底にあるのはというのかな、教員不足についてもちょっと聞きたいんですけれども、ちょうど私、前回のこの文教科学委員会でちょっとこれも質問したんですけど、文科省は特別免許状をもっと活用すべきだと緊急の通知出したとかという話していましたけど、なかなかそういうことで改善できることじゃないなというふうに思っているんですけど。
この教員不足の解消、これもある程度時間掛かる話になるとは思いますけど、これについては、三人の先生方、どのようにお考え、どうすべきだと思うか教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/55
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056・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) たくさんやっていかないといけないことはあるんですけれども、時間の都合もありますので、私は二点を強調したいと思います。
一点目は、私のパワーポイントの資料の二十五ページ目に少しデータもお示ししているんですけれども、実は、池田先生の方がお詳しいかもしれませんが、教員免許、教職課程、教育実習等も経て苦労して取ったんだけれども、教員採用試験のエントリーすらしないという子たちも結構いるんですね。単純な計算をすると、小学校でさえ約一万人程度、あるいはもう中学校、高校なんかではもっと、三万人から四万人の子たちが免許は持っているんだけれども採用試験は受けないという層がいるんです。
当然、社会人の方の教員を目指すという方も特別免許状を含めて歓迎はしたいと思っておりますけれども、はるかに大きなボリュームゾーンがこちらです。学生にもっと振り向いてもらう職場になるかどうかということですので、これ、給料の問題もあれば、働き方改革が進んでいないという問題もあれば、いろんな問題があると思いますけれども、ここをどうしていくかというのが一つ目のポイントです。
二つ目は、やはり、教員不足しているのに定数改善してどうするんだという意見もあるかもしれませんが、逆でして、定数改善が今まで進んでこなかったので、各自治体としては、将来、少子化の中で教員数がぐっと減る中で、もう自然減していますから、あぶれてしまうかもしれないのでということで非正規雇用で頼ってきた。これのツケが今、講師不足、教師不足の主たる原因になっているわけですから、しっかり文部科学省と、しっかり財務省を説得していただいて、教員定数の改善をしっかりやっていくぞと。あるいは、もう今以上に定数の算定式も変えていって、せっかく少子化するんですから、今よりも予算を、上乗せしなくていいですけれども、少子化するので、だけれども、浮いたお金をもっと教員増に使っていただくというような発想をして、そうすると正規職への採用をもっともっと各自治体が中長期的に計画的にできるようになります。そこを国の役割としては強調したいと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/56
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057・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) 私は、教育委員会の立場からいうと、加配と、それから代員というのがキーワードになっているんだろうというふうに思っています。
その加配というのは、年度当初に様々、都道府県の実態に応じて様々な少人数だとか教頭二人加配だとかといろんな加配を付けているんですけれども、この加配はどうやって付けるかというのがぎりぎりになって、早くても年明けぐらいにならないとそれが確定しないというようなシステムがあって、それは代員で付けなければ、代員というのは、臨時採用で付けなければならない。
それから、もう一つの大きな問題というのは、産休とか病休とか、突然そういうもので欠員が生じるそのときに、どうしても臨時採用でないとそれがあてがえないという、こういう問題が今どこの全ての自治体でも起こっているんではないかなというふうに思っています。
これが、義務教育標準法の定数のものが変えられればいいわけですけれども、これはもうなかなかハードルが高い問題というのがあるので、様々、一番その任命権者であるところの都道府県教育委員会が採用の仕方を工夫したりだとかいろんな、それぞれの自治体でいろんないい取組をやっているので、お互いそういうもののネットワークを広げて、ベストな、これがいいという簡単にできる問題とは思いませんけれども、少しでもそれが改善されるような方策を全国展開していくという、まあ文科省は文科省で特別免許のことだとか様々な通知出していただいてやっているんですけれども、なかなかそれが一歩一歩進んでいかないという問題点があるので、そこは是非、横展開、水平展開できるような形になっていくといいのかなというふうに思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/57
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058・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 恐縮ですが、時間の関係もございますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/58
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059・池田賢市
○参考人(池田賢市君) はい。もう一分以内で。
特別免許状ということよりも、やはり私も、学生が魅力のある、学生にとって魅力のある職場にするということがまず第一です。やりがいを感じている学生はたくさんいますので、その辺のことは言っておきたいと思います。たくさん実はいますよということです。ただし、なかなかためらうと。
受験、採用試験の日程の問題もあるかなと思っています。教育実習に行って初めて学校に行って、教員ってなるほどと思ってやってみたいと思うけど、実習終わってからだと採用試験もう間に合わなかったりするので、そんなところももしかすると考えていく一つになるかなと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/59
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060・片山大介
○片山大介君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/60
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061・吉良よし子
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
今日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見を本当にありがとうございます。
では早速ですが、最初のお話の中で、三人の皆さんそれぞれ、更新制の功罪、まあどちらかというと罪が多かったかと思うんですけれども、のお話がありました。この教員免許更新制、なくすわけですけれども、は、やっぱり教育職員の身分にひも付けて三十時間以上の講習を義務付けるというものであったわけで、中教審のまとめ読んでいても、やっぱりこの身分へのひも付け、つまり、教員の資質向上などの研修などを教員免許という教職の身分にひも付ける仕組みそのものが間違いだったということが明白になったんじゃないかと思うわけですが、その点について、三人の参考人の皆さん、それぞれ御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/61
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062・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 本当におっしゃったとおりだと、そのとおりだと思います。
今回、更新制がやめるということの発展的解消という中で研修が出てきていますけど、本来全く別のものだったはずなので、発展的解消のその筋立ての中で研修が出てくること自体が実はちょっと違和感はあるということだけちょっと申し上げておきます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/62
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063・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) おっしゃるとおり、身分へのひも付けということですので、つまり、これ受けなければ教壇に立てなくなるよという言わば脅し、強制による学びだったわけで、御案内のとおり、子供たちには主体的で対話的で深い学びをしましょうというのが新学習指導要領なのに、教師たちは全然主体的でも対話的でもなかったという問題が教員免許更新制にはあったということです。
付言をすると、今回の指導助言をわざわざ法律で義務化すると言っているんですから、まさにこれも主体的で対話的になるのかといったことはしっかりチェックしないといけないということを申し添えます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/63
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064・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) その身分ということについては、それを受けなければ失効してしまうということに対しての仕組みというのはやはり課題があったんだろうというふうに思いますし、様々な採用業務だとか臨採の採用だとか、そういうところにも少なからずの影響があったんだろうなというふうには思っています。
それ以外のことについての課題というのは、様々先ほども私の方からも申し上げましたけれども、やっぱりこれを見直していく一つの今はとってもいいきっかけにはなっているのかなというふうには思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/64
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065・吉良よし子
○吉良よし子君 やはり、そうやって教職の身分を人質に取って、失効という、するかもしれないということで研修、講習を強制するというやり方自体がやっぱり問われていたし、だからこそ今回なくすということになったんだと私自身も思う次第です。
最初に妹尾参考人は教特法改正案も不要だというお話ありまして、いや、私もそれは本当にそのとおりだなと思う次第ですが、今回の法改正では、この記録の義務化だけではなくて、指導助言の義務化というのもやっぱり問題だと思うわけです。
この記録を、研修の記録を義務化して、更にそれを活用して指導助言をすると、管理職により対話と奨励ということなんですが、その対話と奨励を行う場は人事評価の面談において行うことも想定されていると文科省の答弁があるわけです。
そこで、まず戸ヶ崎参考人に、現場の御経験もあるということで伺いたいんですが、人事評価制度とこの今回の研修の指導助言というのは別物だというふうに文科省は答弁しているわけですが、この人事評価の面談の場での指導助言というのは、本当に人事評価と明確に区別して行うことができるものなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/65
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066・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) なかなか難しいことだろうと思うんですけど、いわゆる研修した内容ですとか、またその研修した量的なものというんですかね、そういうものが人事評価に直接結び付くものではないというふうには、私はもうはっきりそれは言えるのかなというふうに思うんですけれども。
この人事評価というのはそもそもが何を目的にしているかというと、学校の教育力を高めるために校長が定める、年度当初に定めたミッション、学校の使命ですね、それに向かって教職員が様々な方策等を計画実行していくという、そういう取組を行っていくというこういう仕組みなわけで、その評価の対象というのはあくまでも限定的で、あくまでも勤務時間のみの活動になってくると。
それに対して様々な研修というのは、もうそれこそ幅広い研修というのがあるわけですから、なかなか、勤務時間外の研修だってあるわけだし、それを人事評価の中に入れるというのはやはりかなりな無理が当然のことながらあるわけですし、またあわせて、様々な研修を行ったその結果としてその教師がスキルアップしたということであれば、そういうことについては尊重してあげないと、全然その伸びた結果というのが何も認められていないというのは逆にまずいことにもなりかねないのかなと。結果として、研修が、それがどうのこうのというよりも、スキルアップしているというところはやっぱり見てあげるべきではないかなというふうには思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/66
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067・吉良よし子
○吉良よし子君 なかなか難しいと言いながらも、目的が違うから分けられるのではないかというようなお話だったかと思うんですが、やはり、もちろんそういった個々の教員の努力というのを管理職が評価するということは必要かと思いますが、ただ、こうやって指導助言を義務化という形でやっていくと、何かやり方が変わってしまう、なんじゃないかという懸念はやはり残るわけです。
さらには、中教審のまとめにおいては、管理職等の期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合には職務命令で受講させることが必要と明記されていますし、職務命令に万が一従わなかった場合には人事上又は指導上の措置として懲戒処分も行うということがあって、実際、先日の本会議質問でも文科大臣はこの懲戒処分というのを否定されなかったわけですけれども、この免許更新制をなくしても懲戒処分も最終的には含む、そういう脅し的な要素もあるような指導助言では、やはり教師の学び、主体的に行えなくなるんじゃないかと思いますが、その点、妹尾参考人、池田参考人、両参考人、それぞれ御意見をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/67
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068・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 今のところがまさに発展的解消という言葉の肝なのかなと思うんですね、何を発展させるのかということなんですけど。
免許更新制のやはりポイントは、その身分にひも付いているというところだったわけで、元々は不適格教員の対応ということもあったわけですから。となると、この両者は、もちろん記録の内容とか指導助言と人事評価は、確かに名目上というか形式上は違うことなんだけれど、発展的解消という流れの中でそれがくっついて出てくると、当然ここはリンクする可能性はあるなということは私も全くそのとおりで心配しております。研修の在り方によっては、教員としての職務遂行上の何らかの処遇の在り方と関連付けられてくるんじゃないかという懸念は常に私も持っております。
ですから、両者をしっかりと分けるという議論を、制度上もきちっと分けるということをしておかないといけないと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/68
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069・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 二、三点申し上げます。
一点目は、ちょっと繰り返しになりますけれども、今回のこの法改正がもし実現してしまうと、やはり教師不信といいますか、先生方脅さないと学ばないというようなことをメッセージを発信してしまいますので、何が学び続ける教師やねんというところですよね。ちょっときれい事ばっかり言いやがってというところに、ごめんなさい、ちょっと言葉遣いあれだったかもしれませんが。そういう部分も含めて、しっかりどんなメッセージを与えるのかといったことが大事で、しっかり、先生方応援していますよと、信じていますよということを言っていく必要があります。
ただし、非常にごくごく一部だとは思いますけれども、本当に学びが止まってしまっている先生だとか、学びに本当に意欲がない、先ほどのインクルーシブですとか特別支援に対して非常に学んでいない、昔ながらの押し付けるような指導をしてしまっている先生がいらっしゃるのも確かです。これにつきましては、じゃ今回法改正して、履歴があったらそれで解決するかって解決するわけがなくて、この先生にはしかるべき、まあ処分までは急にいくかどうかはあれですけれども、処分をしっかりしていくだとか、さっさと子供から離さないといけないので、そこは人事異動等でしっかり対応していくだとか、そういう別の施策が必要なことでありまして、今回の法改正は必要ありません。
しかもですね、しかも、御案内のとおり、今既に現行法の中でも校長には広範な権限があって、校務をつかさどるという権限がありますので、一番戸ヶ崎さんが詳しいですけれども、その中で指導助言なり教職員を引き上げるということは当然校長の役割としては期待されています。ですので、繰り返しますが、教育公務員特例法の改正は全く必要性を感じませんということです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/69
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070・吉良よし子
○吉良よし子君 ありがとうございます。やはり問題意識が共通しているなと思ってお伺いしておりました。
あわせて、記録については池田参考人から、何を記録するのか、その必要とは何なのかというところの指摘もあったことかと思うんですけれども、やっぱり任命権者がこの法改正を受けて必要だと、まずする研修って何かと思えば、二〇一六年のあの法改正で作ることとされた指標、教員育成指標というのが出てくると思うわけですね。
これについて妹尾参考人の書いた資料を見ましたけれども、やはり、目がちかちかするほどびっしり書き込まれていてというそういう御表現もあって、私自身も東京都の教員育成指標というのを見ましたけれども、一年目から三年目を基礎形成期として、四年目以降は伸長期、九年目以降が充実期とかってそういう名前を付けて、さらには指導教諭、主幹教諭、主任教諭、教育管理職候補者、副校長、校長って、それぞれの段階に分けて、更に必要な能力ということで、五指標四十一項目も詳細にびっちり書かれた指標を策定していたわけです。
こうした教育育成指標については様々指摘がされていて、例えばその段階というのも、出産、子育てとか介護とか、教員個人のライフステージ考慮していないような、熟達モデルの単線化だとかいう指摘もありましたし、複雑で流動的で多様な現場に対応できる考える教師の育成、養成ではなく、へこたれない従順な教師の養成であるみたいな指摘もあったかと思うわけですが、こうした教員育成指標のような画一的と言える教員像についてどう思うのか。また、そうした指標にある研修ばかりが優先されて、記録とか指導助言で優先されてしまっては問題じゃないかと思いますが、この点について、また妹尾参考人、池田参考人、お二人に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/70
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071・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) この教員育成指標なり校長育成指標につきましては、そもそもこれも検証が必要だと思っていまして、もちろんいい点もあるでしょう。教育委員会にとっては、いろんな研修が体系化できただとか、しっかり、いいこともあるでしょうけれども、非常に書類が増えた、事務作業が増えた、何のためにやっているのか分からないといったようなこともありますので、これも検証して、私はもう削除してもいいかなと思っているんですけれども、そこはちょっと今日の、今回とは別の議論ですが、しっかり議論する必要があると思います。
こういった指標は、どうしても具体的に書けば書くほどすぐ古くなります。一方で、じゃ抽象的に書けば書くほどよく分からないものになります。ということで、非常にジレンマを抱えているものなんですね。なので、非常に限界があるということです。
今回の研修履歴の義務化もそうなんですけれども、いいかげん文部科学省は、書類に書けば教員は良くなると、教員は育つというような甘っちょろい前提は捨てられた方がよろしいかと思います。先生方が育つのは、子供を通じて育つ、あるいは教職員同士で学び合うことで育つ、もちろん研修も含めてですね、ということであって、指標で立てただとか研修をたくさん受けたということで、それでよかったですねという世界では全くありませんので、教師の学びを甘く見てもらっては困るということは申し上げたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/71
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072・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 今、その指標の、様々な今御紹介いただきましたいろんな発達段階みたいなものがあってなんですけど、それを聞いていると、本当に、私もいろいろ目にしたりしましたけれど、子供がいることを忘れているんじゃないかという、そういう印象ですね。具体的な、生きた、日々変わる子供と教員は対応しているのであって、その現場の課題から研修が始まるのであって、外側から、このときはこういう時期で、こういう時期でと言えるはずがないということですね。教員の質を高めたいというのであれば、その質は日々の子供の関わりの中で証明されてくるので、こういう研修を受けたからすごくいい先生ですということはもうあり得ないというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/72
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073・吉良よし子
○吉良よし子君 もう子供との関わり、現場の課題から始まる、また子供を通じて教員同士で学ぶものが教師の学びであるというのは本当に参考になりました。
また、三人の参考人の皆様それぞれ、やっぱり教員の研修、資質向上というなら、その教員が学ぶゆとりと時間を保障することが必要というそういうお話もありましたが、それについても一言ずつ、ちょっと時間がないんですけれども、教員のゆとりと時間をやはり保障することがまず何よりも大事だと思うんですが、それについて三人の参考人の皆さん、一言ずつお願いいたします、最後に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/73
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074・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) この研修の推進というものとその時間ということを考えると、働き方改革の推進というのは今後やはりセットで考えていかないと、それを切り離してというわけにはなかなかいかないだろうなというふうに思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/74
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075・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 詳細は私のまた資料を御覧いただければと思いますけれども、やはり休憩すら取れないというのは労基法なり労安法違反でもありますので、まずは法令をしっかり遵守していただく。そうじゃないと学生からも見向きされないということになりますので、その上で、勤務時間の中でしっかり休憩も取り、授業準備もでき、ある程度の事務作業もできるというふうな環境をやっていくことが非常に大事だと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/75
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076・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 時間については全く私もそのとおりだと思っています。と同時に、精神的なゆとりでしょうか、そこがもっと大事かもと思っております。時間が精神的なゆとりをなくすことももちろんあるんですけど、抑圧的な環境、職場環境というのかな、そういうところを解消していくことも併せてやらないと、時間だけではないというふうに思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/76
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077・吉良よし子
○吉良よし子君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/77
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078・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
本日は、戸ヶ崎参考人、妹尾参考人、池田参考人のお三方に大変お忙しい中おいでいただき、それぞれのお立場から御意見を伺う機会を頂戴しまして、本当にありがとうございます。
早速質問に移らせていただきます。
二〇〇七年の教育職員免許法改正の際、教員免許に十年の期限を付け、研修をクリアしなければ免許失効という制度設計には大きな疑問が寄せられていました。また、法定研修やほかにも研修がある中、教員の負担増と更新研修の効果が釣り合うのかという現場の声もありました。
このように、元々問題の多い教員免許更新制が二〇〇九年から十三年間続いたわけですが、この間に教育現場あるいは教員養成の現場に与えた影響について、改めて三人の参考人からそれぞれ御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/78
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079・戸ヶ崎勤
○参考人(戸ヶ崎勤君) この免許更新制、繰り返しになりますけれども、メリットとしては、教師の学びの機会の拡大、さらには教師の資質能力の向上に対して大学の関与の拡大、さらには、様々良質な、そういうプロセスを通しながら学習コンテンツの形成など悪いものばかりではなくて、そういう成果ということを上げてきたんだろうなと私は思っております。
ただ一方で、これも繰り返しになりますけれども、特定のその十年という期間で受講すること自体が、本当に最新の知識技能を蓄えていくというような、学びをアップデートしていくということに対して本当に成果が上がっていたのかとか、それから金銭的なものですよね。何で研修受けるときに三万とか五万とかというお金を払わなくちゃならないのかとか、さらには、先ほど来出ている、その免許更新があるからということで臨時的な任用教員が確保できないだとかというそういうような課題も指摘されてきたわけですので、成果それから課題、両方ともあったわけですけれども、大事なことというのは、今後の社会変化といったものを踏まえながら、やっぱりその良かったこと、まあ課題は当然解決していかなくちゃいけませんし、良かったことはどんどんどんどん今後も生かしながら、新たな教師の学びの姿ということについてより深めていく、深化させていくということが重要なのかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/79
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080・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 戸ヶ崎さんもさっきおっしゃっていただいたように、非常に免許更新制には、もちろんプラス面もあったと思いますけれどもマイナス面もあって、御案内のとおりたくさんの問題があったと思っております。
やはり一番大きいのは、免許更新制が面倒でなかなか更新もしないということで、やはり講師の先生だとか、一回育休だとか介護を抱えられて教職を辞められた方が復帰するときに非常に阻害要因にもなってきたということで、そういった人材不足をもう助長してしまったということが、十三年前、十年前は今日ほどは深刻じゃなかった面もあるかもしれませんけれども、ここ数年で一層この問題が出てきたということは申し上げたいと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/80
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081・池田賢市
○参考人(池田賢市君) ありがとうございます。
十年のこの更新制ですけど、実は、〇七年のこの更新制が入るぞというときの水戸で行われた地方公聴会で、私、意見を述べさせていただきました。そのときにも本当に問題という話をしていて、実は中央大学は二〇〇八年の試行のときには参加したんですね。じゃ、〇九年の本格実施からどうするかというときに、やっぱりこの制度ちょっとおかしいし、もたないし、すぐなくなるんじゃないかと思ってやらなかったんですね。まあ、近くに東京学芸大学もあるということもありますけれど。ところが十三年間も続いて、廃止になるということであれば本当によかったんですけど。
どうしてこんなに続いちゃったのかということですね。大学に与えた影響などなどは先ほども少しお話を、最初に申し上げたとおりなんですけれど、制度として、一旦法律で制度になっちゃうことのある種の怖さなんだと思うんですけれど、いろんな意味をいろんな人がこの制度に付与していったんではないかと思っています。
大学から見ると、本当にこれ、こういう言い方になるんですけど、大学の経営上の問題として、多くの先生方に受講してもらうと、端的に言うと収入が増えるということ、商売の感覚ですよね、ということもたくさん聞いております。もうかるということですね。ただ、そのレベルに行くためには設備投資も結構しなきゃいけないので、毎年コンスタントに受講生を集めるためにどうしようかという、そういう議論になっていくとか。
あるいは、それと関連して、何せ学校の先生方に来ていただけるので、大学の宣伝になると思ったところもあると思います。特に、高校の先生が来てくれて、いい印象を持って帰ってくれれば、絶対受験指導のときにあそこの大学良かったみたいなことになる、まあなるかどうかは分かんないけど、そういう期待をついしてしまうということも、妄想かもしれませんけど、それはありますということですね。ちょっと露骨過ぎるんですね、それがね。
また、人によりますけれど、大学が関与するんであれば、大学によっては自分のところで教員養成した学生なら引き受けるよなんという話は初期の頃はありました。学生にとってみても、母校の大学で久々に講習を受けて、かつてお世話になった先生もいて、とても懐かしくてという感じで学生時代懐かしんで新たな気持ちで学ぶということはあったかもしれないんですけれど、いずれにしても、いろんな思惑が入り乱れた十三年間だったのではないかという感じもしております。
どれを取っても、子供の抱える課題とか学校、学級の課題とは大分離れているなという感じはしております。制度としてどう維持していくかだけがずうっと続いちゃったという感じですかね。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/81
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082・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
次の質問に移らせていただきます。
教員免許更新制はなくなりますが、教える立場である以上、教員の自己研さんとしての研修は必要と思います。しかし、研修の受講それ自体が目的なのではなく、研修で得た新しい知見をどう授業や学級・学校運営、子供たちとの関係をつくっていく上で役立てていくかということこそが重要なはずです。
そこで、妹尾参考人、池田参考人にお伺いいたします。
研修記録を作成し研修の履歴を残すことと教員としての資質の向上と、どのような関係があるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/82
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083・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) ありがとうございます。
一つは、おっしゃるとおり、研修を受けたかどうかということだけをもって、それが学びの成果ではないはずですよね。そこがかなり中教審等の検討では甘いなというふうに私は思っている次第です。
おっしゃるとおり、研修を受けたかどうかだけではなくて、受けたとしたら、それがどう子供たちとか学級運営だとか学校運営に生かされたのかということ自体をきちっと問われないといけないので、もちろん研修履歴はあってもいいんですけれども、研修履歴が大事なんじゃなくて、研修の結果、どんなことが、じゃ役に立ったのかとか、どんな学びがあったのかということをしっかり対話していくということが大事だと思います。なので、あくまでも教師の資質能力の向上につきましては、履歴があるからすごく向上するというものではなくて、もちろん履歴もあってもいいんですけれども、いろんな授業を見たり日頃の生徒指導を見たりする中でしっかり課題を振り返ることができる、リフレクションできるような機会をたくさん設けていくことが大事であろうというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/83
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084・池田賢市
○参考人(池田賢市君) 御質問ありがとうございます。
端的に言って、履修の記録を残すことと教員の資質能力の向上は関係はないというふうに思います。記録を残すこと自体がもちろん問題なのではなくて、資質向上のための研修などなど、いろんな取組がしっかりと本当に保障できるのかということですよね。そこに問題の焦点を絞った方がいいのだろうというふうに思っています。
これまでも繰り返し出てきましたけれど、多忙化の中にあって、例えば誰かが研修に出かけてしまうと、その間の、じゃ業務誰が代わるんだ、この子たち、このクラスどうするんだという話になっちゃって、もう研修どころではないという話になっちゃうので、資質向上のためとか、あるいは保護者等々からの信頼を得ようと思ってやっているはずの研修を受けることでかえって子供たちの関わりがなくなっちゃうとか、そうすると保護者からの信頼も得られなくなるしということになってくるので、履歴を残すこと自体が、そのことがという、何か資質向上にということはないと思います。要は、その記録をどう生かすかということにはなっていますけど、その記録がどのように作られるかということと関連はしてきますけれど、いかに学校の、現場の課題を反映できるかということかなと思います。
一旦ここまでに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/84
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085・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
引き続き、研修についてお伺いいたします。
教育職員特例法にあるとおり、本来教員の研修は、義務であると同時に権利であるはずです。今回の改正では研修記録の作成及び資質の向上に関する指導助言が盛り込まれていますが、研修記録の範囲、内容、方法が法案段階では不明確です。個人情報の取扱いの問題や人事評価と結び付けられるのではないかという不安、指導助言が管理職からの強制になるのではないかという懸念が教員から上がってきています。教員免許更新制のときも、現場や関係者の不安、懸念が現実のものになってしまったわけですが、現場の不安、懸念について、妹尾参考人、池田参考人はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/85
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086・池田賢市
○参考人(池田賢市君) その不安は本当に当たらなければいいなと思うんですけれども、何かかなり当たりそうな気がして嫌な感じです。
先ほども少しお話をしましたけれど、免許更新制度の発展的解消という流れの中での研修なので、当然身分にひも付けられたその制度を単純にすぱっとやめますね。で、改めて研修をではないので、その変える代わりにこれをというニュアンスになってしまうと、結局先ほども話に出ていたような懲戒も行く行くはあり得るみたいな形で研修履歴が使われてくるとなると、それは指導助言といっても強制的な部分とか抑圧的な部分になってしまうかもしれません。あと、人事評価というのは先ほども少しお話をしたとおりなんです。
私、その記録を取るということについて若干懸念事項があって、最初の十五分間のときにも少し問題もあってみたいな、注意しなければということを言ったんですけど、といいますのは、自由な自主的な主体的な研修をしていく中には、例えば人権教育を今度担当することになったと、それについては、自分の自己研さんと研修をやりたいというときに、当然、被差別当事者の聞き取りとか話を聞くとか、一体どういうことになっているのかということを現場に行って話を聞くということが出てきますよね。そのときに、それを、じゃ、どういうふうに記録に残すのかという、その残し方次第によってはそれ自体が人権問題になるということもあるので、しかもすごい個人情報ですので、記録については、研修等の内容にかなり踏み込んだ形で記載していくよりも、日時と場所と時間とか、あと大まかなテーマとか、どうしてそういう研修が必要なのか、というか関連性、というか自分の課題との関連性みたいなものをごくごく簡単に記載するというようにしておく必要もあるかなというふうに思っております。記録がもし人事評価とかに実質上結び付いていくんだとすると、何を記録してあるかということの今言ったような取扱いの注意も必要かなと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/86
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087・妹尾昌俊
○参考人(妹尾昌俊君) 私、今回のこの法改正について何人かの校長先生方あるいは教員の方とも意見交換しましたけれども、一つの不安なり懸念といたしましては、これ何の意味があるのということです。
恐らく、企業でさえ研修履歴で学びが活性化したという事例は聞いたことが私はないです。もちろん研修履歴等を通じて、もっとこんな研修を受けてみたらとか、あなた、たくさん忙しい中研修受けてすごいねといったような会話ぐらいはありますよ。これはどこの会社でも、恐らく学校でも今後起こるでしょう。でもその程度のものなんですね。その程度のものをなぜ法改正までしてわざわざ義務付けようとするのかというのが意味が分かりませんし、恐らく文部科学省の中ですら研修履歴で学びを活性化しているなんて事例はないと思いますよ。まず、御自身でやってみられた方がよろしいんじゃないかというふうに私は思っていますけれども、そこを何の意味があるのかといったことが一つの懸念だと思います。
二つ目は、特に校長というよりも一般の教員の方が懸念されているのは、やはり、私の資料の十ページにも書きましたけれども、いい校長たくさんいらっしゃいますけれども、残念ながらそういう校長ばかりではなくて、ハラスメントにつながりかねない、若手等を潰してしまう校長もいるというところを、繰り返しですけれども、非常に心配されている方も中にはいらっしゃって、恐らくこの懸念は当たるであろうというふうに思います。文科省や中教審が言うようにすばらしい校長ばかりならば、一々法律で義務化しなくても指導助言しっかりやれています、今でも。
ということを考えますと、副作用の方がやはり大きいのではないかというふうに思いますので、是非再考していただきたいなと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/87
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088・舩後靖彦
○舩後靖彦君 質問を終わります。参考人の皆様、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/88
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089・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X00720220428/89
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