1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十七日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
太田 房江君 有村 治子君
五月十三日
辞任 補欠選任
有村 治子君 世耕 弘成君
五月十六日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 石井 浩郎君
五月十七日
辞任 補欠選任
石井 浩郎君 松川 るい君
金子原二郎君 森屋 宏君
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出席者は左のとおり。
委員長 元榮太一郎君
理 事
今井絵理子君
上野 通子君
堂故 茂君
宮沢 由佳君
委 員
石井 浩郎君
高橋はるみ君
竹内 功君
松川 るい君
丸川 珠代君
水落 敏栄君
森屋 宏君
水岡 俊一君
宮口 治子君
蓮 舫君
佐々木さやか君
横山 信一君
伊藤 孝恵君
片山 大介君
吉良よし子君
舩後 靖彦君
国務大臣
文部科学大臣 末松 信介君
副大臣
文部科学副大臣 田中 英之君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 高橋はるみ君
事務局側
常任委員会専門
員 武蔵 誠憲君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 難波 健太君
内閣府科学技術
・イノベーショ
ン推進事務局審
議官 合田 哲雄君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 茂里 毅君
文部科学省総合
教育政策局長 藤原 章夫君
文部科学省高等
教育局長 増子 宏君
文部科学省科学
技術・学術政策
局長 千原 由幸君
文部科学省研究
振興局長 池田 貴城君
文部科学省研究
開発局長 真先 正人君
厚生労働省大臣
官房審議官 堀内 斉君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用の
ための体制の強化に関する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/0
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001・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、太田房江君が委員を辞任され、その補欠として石井浩郎君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/1
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002・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府大臣官房審議官難波健太君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/2
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003・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/3
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004・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/4
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005・堂故茂
○堂故茂君 自民党の堂故茂です。
日本の大学の世界でのランキングの低下、研究力の低下が心配されてきました。昨年、JST法が改正され、科学技術振興機構、JSTに大学ファンドが設置されました。大学ファンドは、十兆円の国の資金を運用し、世界と伍する研究大学を実現するために長期的、安定的に支援を行うという前例のない政策ですが、このような新しい形で我が国の大学の研究力を強化することについては、与党としても、これまで科学技術・イノベーション戦略調査会や政務調査会において、世界に見劣りしない規模のファンドを創設すべきであるなど、様々な提言をしてまいりました。また、政府においても、海外の大学の状況などについて情報を収集し、その必要性や制度の内容について検討してきたと思います。
この度の大学を支援するためのファンドの創設や支援の枠組みを定める今回の法案の内容について、与党のこれまでの提案を踏まえながら政府はどのように検討して今日に至ったのか、経緯をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/5
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006・田中英之
○副大臣(田中英之君) 経緯についてお聞きいただいてありがとうございます。
今般の大学ファンドの創設は、政府内において、与党の議論も踏まえて検討し、制度設計を行ってきたものであります。政府内の、政府内における大学ファンドに関する本格的な検討は、令和元年八月に内閣府の総合科学技術・イノベーション会議に置かれた基本計画専門調査会において始まったものであります。調査会の委員から、十兆円規模の国家基金をつくって運用し、研究大学の安定的な財源とする旨の提案がございました。また、自民党の知的財産戦略調査会や科学技術・イノベーション戦略調査会など、与党においても大学ファンドに関する議論がなされており、世界に見劣りしない規模のファンドの創設に関する提言をいただいておりました。
こうした議論の経過を経て、令和二年七月の経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇において世界に伍する規模のファンドの創設が明記され、昨年、令和三年、通常国会において成立した国立研究開発法人科学技術振興機構法、いわゆるJST法の一部改正による法律等によって、科学技術振興機構、JSTに大学ファンドを設置することに至ったものであります。
また、その後も、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIや、文部科学省に設置した有識者会議等において世界と伍する研究大学の実現に向けた大学ファンドの運用益を活用した大学支援の枠組み等に関する制度設計の検討を重ね、今般の法案提出に至っております。
このように、大学ファンドの創設は、政府や与党における様々な検討の結果を踏まえて実現したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/6
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007・堂故茂
○堂故茂君 しっかりと与党の意見も踏まえて検討してきたということが理解できました。
この支援の対象となる限られた大学の選定が公平公正に行われることが極めて重要だと思います。本法案に基づき、大学ファンドからの支援対象大学をどのように客観性のある形で選定するのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/7
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008・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答えいたします。
本法案では、諸外国のトップレベルの大学との資金格差を解消するための大学ファンドからの支援等に当たり、その対象となる国際卓越研究大学の認定及び研究等体制強化計画の認可を行うこととしております。
この認定、認可に当たっては、世界と伍する研究大学となるポテンシャルについて、大学の学術研究の特性も踏まえながら、国内外の大学の動向やイノベーションの創出に関し高度な専門性を有する者に客観的に審査をいただく必要があるため、科学技術・学術審議会及び総合科学技術・イノベーション会議、CSTIへ意見を聴くこととしております。また、認定、認可の審査に関しては、本法案第二条の規定を踏まえ、研究者の自主性の尊重など大学における教育研究の特性に配慮するとともに、公的な記録を保存し、審査の透明性をしっかり確保してまいりたいと考えております。
このように、認定、認可につきましては、本法案により定める枠組みに従って適切に行うことで大学ファンドが国民の財産となるよう、しっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/8
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009・堂故茂
○堂故茂君 しっかりと透明性を確保して選定していただきたいと思います。
一方で、今回、国際卓越研究大学は、事業成長三%を目指すとしています。応用研究など、もうかる研究にばかりに投資をし、基礎研究や学術研究がないがしろにされるのではないかとの懸念の声も上がっています。すぐに役立つ研究はすぐに役立たなくなる研究とも言えると思います。大学には人類が共有する知を生み出すという重要な役割があり、研究力の強化はこの役割をしっかりと果たせるようになることを意味するものと考えます。
大臣に、国際卓越研究大学の研究力を強化するための長期的な視点での在り方について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/9
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010・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 堂故先生にお答え申し上げます。
大学が中長期的に成長を遂げていくためには、人材育成や多様な学術研究、基礎研究への投資、不可欠でございます。諸外国のトップレベルの研究大学では、数兆円規模のファンドの運用益を活用いたしまして、事業規模を広げる中で研究基盤や若手研究者への投資を充実をいたしております。事業規模を広げることで中長期的な視点での資源配分も可能となりまして、そうした大学では、新たな学問領域の創出も含めまして、多様な学術研究、基礎研究が展開されているものと承知をいたしております。
今般の大学ファンドは、そうした諸外国のトップレベルの研究大学の仕組みをモデルといたしまして、ファンドの運用益により大学の研究基盤や若手研究者への長期的、安定的な支援を行うことで、世界と伍する研究大学の実現を図るものでございます。ファンドからの支援で事業規模が拡大することによりまして、大学が持つ深く真理を探求して新たな知見を創造するという役割と研究成果を広く社会に提供するという役割の双方への投資を後押しすることが可能と考えております。
それと、今、先生、大事な御指摘いただきました。この基礎研究のことなんですけれども、私の知り合いが九州の方の工学部の教授をいたしておりまして、この基礎研究というのは、その方、卓球部におるんですけれども、顧問をしておるんですけど、基礎研究というのは卓球のボールを使わない筋トレのトレーニングみたいなものであると、応用研究はボールを使った練習であるといった感じであると。どちらか片方だけの練習では大成しないと、バランスが大事であると。応用研究をどんどん進めていくといろんな壁、技術的な問題点にぶち当たりますが、基礎研究のデータがあるとその困難を乗り切りやすい、すぐに問題点、解決策が見付かると思いますと、応用研究ばっかりやっているとなぜそうなるかというメカニズムを、メカニズムの解明がおろそかになるという感じでありますという言葉をいただいておりますので、しっかり基礎研究、この学術研究、比重を置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/10
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011・堂故茂
○堂故茂君 今大臣から研究成果の社会実装を目指すということと、基礎研究の奥深い話を聞かせていただきました。またいい答弁をいただいたと思います。よろしくお願いします。
一方、今回の法案による大学の研究力強化の成果を産業界を含めた我が国の発展につなげていくためには、社会人になっても随時学べるようにリカレント教育を充実することが不可欠だと思います。山で言えば裾野、裾野の広さが峰の高さを決定するとも言えます。
現在、岸田総理大臣を議長とする教育未来創造会議や、自民党の教育・人材強化調査会において上野先生を中心にリカレント教育推進のための環境整備について議論を進めさせていただいています。現在、十八歳人口が減少していることも踏まえれば、将来を見据えた社会人の受入れを強化している大学、学ぶ意欲がある個人、積極的な人材育成を行っている企業の取組を強力に後押しすることが大切と考えます。
そこで、デジタル等成長分野で求められる産学官連携したリカレント教育の充実に向けた方策や、社会人や企業のリカレント教育を強力に後押しするための方策について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/11
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012・藤原章夫
○政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。
人生百年時代やデジタル社会が進む中、社会人のスキルアップを図り、大学の研究力強化の成果を我が国の発展につなげていくためには、リカレント教育の推進が重要と考えております。
このため、文部科学省としては、デジタル、グリーン等成長分野を中心に、社会のニーズを踏まえた大学等におけるリカレント教育プログラムの開発、実施を推進しております。
令和三年度補正予算の事業におきましては、大学等がリカレント教育を行うに当たって、労働局や企業等の産業界と連携するとともに、厚生労働省の職業訓練受講給付金制度等の活用も図りつつ、円滑な就職、転職やスキルアップにつなげるための支援を行うこととしております。
また、令和四年度予算の事業では、デザイン思考なども含めた創造的な発想をビジネスにつなげ、新たな価値を創造できる人材を育成するプログラムの開発を行うとともに、産学官が連携し、地域が求める人材を養成するための教育プログラムの実施などを行うこととしておるところでございます。
また、リカレント教育を後押しするため、マナパスというポータルサイトを通じて、社会人向けプログラムの情報を集約して提供するとともに、マイページ機能も実装し、個人が自らの学びを記録することも可能としております。さらに、今年度は企業向けページを整備をいたしまして、企業がリスキリングを進める際に、連携して活用できるプログラムとのマッチングを容易に行えるような検索機能も実装することとしております。
文部科学省としては、教育未来創造会議等の議論も踏まえ、厚生労働省や経済産業省を始めとした関係省庁や産業界とも連携し、社会や地域のニーズに対応した産学官連携したプログラムの開発支援や、就職等に活用できるよう学んだ成果を可視化する等の環境整備、女性の学び直しの支援などをより一層加速させ、社会人や企業のリカレント教育を強力に後押ししてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/12
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013・堂故茂
○堂故茂君 ありがとうございました。
今議論しているトップレベルの研究大学や、日本には様々な教育に強み持つ大学などあります。また、大変この大学の皆さん、この時代の変革期に当たって強い覚悟で大学経営に当たっておられます。我が国の多様な大学が新しい時代の基盤をつくっていくことができるように、ここは本当にこの正念場ではないかなと思います。積極的に文科省も大学の在り方に、しっかりと前に進むように取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。上野先生に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/13
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014・上野通子
○上野通子君 自由民主党の上野通子です。堂故先生の後を受けて、しっかりと質問させていただきます。
まず、通告の順番を変えさせていただいて、最初に大臣にお伺いしたいと思います。
先日、教育未来創造会議におきましても、全ての大学院生を対象とした出世払い方式の奨学金制度の導入が明記されたところだと思います。そして、本法案に関連して、大学ファンドでは日本全体の博士課程の学生への経済的支援は行う予定であり、資料を見てください。この資料の右端の長い枠の中、これが今まさに開始されている個人に着目した優秀な博士課程の学生への支援のところなんですけれども、この日本全体の博士課程の学生への経済的支援は、先ほども言いました、行う予定、補正予算を基に令和三年度から先行して支援が開始されている。でも、人数でいうと、博士課程は約七・五万人、そして修士課程は十七・九万人。であれば、修士課程の学生への経済的支援も重要となると思います。
そこで、自民党の教育・人材力強化の調査会におきましては、この度、より具体的に、現在手薄となっている博士課程の学生を対象とした出世払い、いわゆるJ―HECS制度の先行導入を令和……(発言する者あり)あっ、修士、ごめんなさい、修士課程への先行導入を令和六年度目指して行うと提言を明記したところでございますが、そこで、日本版J―HECSの導入について大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/14
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015・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 上野先生がこの問題について随分研究されておられることをお伺いしました。敬意を表したいと存じます。
先生御指摘のとおり、オーストラリアのHECSを参考といたしました日本版HECSの導入につきましては、自民党内において従来より検討され、現在、先生、事務局長お務めでありますけれども、自民党のこの教育・人材力強化調査会において御議論されているということを承知をいたしております。オーストラリアの高等教育において、在学中は授業料を無料とし、卒業後に所得に応じた納付の貢献を求める制度を参考としたということであります。
本件に関しまして、政府としましては、先日、十日、教育未来創造会議におきまして提言を取りまとめまして、在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に連動して返還、納付する制度について、大学院段階で新たに導入する方針としているところでございます。同会議におきましては、総理から、今般の提言について、施策の工程表を夏までに作成するなど提言の着実な実行に向けて政策実施プロセスを明らかにするようという、そういう指示もございました。
今後、こうした新たな制度の実現に向けまして、自民党から、またいろんな方面からの御提言の内容も参考としつつ検討してまいりたいと、そのように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/15
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016・上野通子
○上野通子君 ありがとうございます。これから御検討していただくという力強い御答弁いただきました。
なお、調査会の提言におきましては、もちろん修士課程からJ―HECS、いわゆる出世払いを更に広げて学部生へも広げていくという、対象拡大については、学生本人の所得の捕捉と修士における広がりを検討しながら、現在の新制度ありますけど、その四年後の見直し規定を踏まえて、必要な財源を確保して、そして令和八年度の導入を目指すことまで、より具体的に明記させていただいておりますので、是非、工程表を夏までに決められるのであれば参考にしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、副大臣にお伺いします。
国際卓越研究大学では、先ほど堂故先生からも御質問ありましたが、数校に対して集中的な支援をして、より研究力を強化して、そして諸外国のトップレベルの大学と競い合える、そういう大学にしていくものと思われますが、トップレベルの大学だけでは研究力強化がされるわけではないと私は思っています。高い頂は広い裾野があって支えられるもの、堂故先生もおっしゃいました。特定分野に強みを持つ大学というのは日本の各地にたくさんあります。また、地域で中核となっている大学もございます。多数の大学の研究力を高めることも大切だと思います。
そこで、国際卓越研究以外の特定分野の研究に強みを持つ大学、さらには地域の特色ある大学に対しても強力な支援を推し進めることも必要だと思います。そこで、どうお考えか、田中副大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/16
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017・田中英之
○副大臣(田中英之君) 上野委員、ありがとうございます。
本当に、研究、裾野を広げることが大切でありますので、そういった特定分野の研究力に強みを持っているところでありましたり、また地域の特色ある大学を応援いただけるものというふうに受け止めさせていただきながら答弁したいと思います。
我が国全体の研究力を強化するためには、大学ファンドによるトップレベルの研究大学への支援のみならず、地域の中核大学や特定分野に強みを持つそうした大学を強化することが大変重要であるというふうに認識をいたしております。
このため、意欲のある多様な大学がそれぞれの強みや特色を十分に発揮し、地域の経済社会の発展や国内外における課題の解決、また特色ある研究の国際展開を図っていくことができるよう、本年二月、政府として、地域中核・特色ある研究大学、いわゆる総合振興パッケージを策定いたしたところであります。
今後は、各大学と対話をしながらきめ細やかな支援を行っていくとともに、これらの支援の取組状況や科学技術・学術審議会の下に新たに設置いたしました大学研究力強化委員会における議論をも踏まえながら、総合振興パッケージの改定と必要な支援等を順次進めてまいりたいと思っております。これによりまして、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とも互いに切磋琢磨できる関係をしっかりと構築してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/17
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018・上野通子
○上野通子君 副大臣、ありがとうございます。
資料を御覧ください。
この資料ですと、上の方に大学ファンドによる大学への支援の部分がありますが、その下に、今大臣が御答弁くださいました総合振興パッケージによる支援もするということ、これが二月から始まっているということでございますが、このように、やっぱり地方でもやる気にあふれた研究者がどんどん活躍してしっかりとこの日本を支えようとしている、そういう大学がたくさんございますので、この総合振興パッケージの抜本的な拡充、是非ともこれからも進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、我が国の大学政策において、平成十六年の国立大学の法人化は大きな変化でした。これにより、大学に裁量が与えられるとともに、その後も様々な改革が行われてきました。
政府は、これまでの大学改革の取組の成果と課題をどのように分析しているのか、また本法案により新たに目指そうとしていることは何なのか、御答弁いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/18
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019・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答えいたします。
文部科学省では、世界最高水準の卓越した教育研究活動の展開や我が国の大学の国際競争力の向上を図るため、これまで世界トップレベル研究拠点プログラム、WPIを始めとした様々な施策を通じて、教育研究の質の向上や国際化の推進等、大学改革を進めてきたところでございます。これらにより、世界最高水準の研究成果の創出や研究成果の社会への還元、大学の国際化といった成果が現れてきており、これまで進めてきた改革は大学の教育研究力の強化に一定の役割を果たしてきたと考えております。
一方で、研究者が研究に専念できる時間が少ないこと、博士課程に進学する者が減少していることなどの課題もございます。特に、我が国の大学の財政基盤は今なお脆弱であり、財源の一層の多様化、拡大が必要であること、学外を含めた経営を担う人材の確保や経営意識の更なる向上が求められること、若手研究者の安定的なポスト確保等の取組が十分ではないことといった課題がございまして、これらの課題に対応するため、更なる取組が必要であると考えております。
特に、財政基盤に関しては、欧米のトップレベルの大学では数兆円規模の独自基金の運用益を活用し、基礎、研究基盤や若手研究者への投資を充実しており、そうした資金力の差が我が国の大学の研究力が相対的に低下する一因となっております。
このため、今般創設された大学ファンドの運用益により大学の研究基盤への長期的、安定的な支援を行うこととし、この支援の枠組みを本法案において規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/19
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020・上野通子
○上野通子君 よく分かりました。ありがとうございます。
日本でも頑張って資金をどうやってつくろうかと。また、その間にも、外国でも、海外でも大学大きく変化を遂げ、日本を更に上回った資金集めもしているということでございますが、日本の大学の国際化、そして裁量の拡大といった改革、これをますます進めていただいて、世界の大学との大きな資金格差、これが生まれてしまっているところを、その厳しい現状をしっかりと、今回は大学ファンドという異次元の政策を必要としておりますので、これを前に進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
次に、我が国の研究者の声、現在聞きますと、近年、先ほど御答弁にもありましたが、書類仕事が増えて十分に研究に時間が割けない、また、もっと続けたくても、やはり自分の身分保障がないとなかなかその上に行けないというような様々な課題がありますが、特に研究時間、これが減ってしまうということは、まさしく研究力の低下につながっているのは当然だと思います。
そこで、大学ファンドからの支援によって大学の研究者の事務が増えることがないようにする、研究時間が増加するようにすることが重要であると考えます。政府の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/20
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021・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学ファンドの支援対象となる大学には、世界から優秀な研究者が集まり活躍する研究大学となることを目指していただきたいと思います。そのためには、御質問いただきましたように、研究者が十分な研究時間を確保した上で存分に研究できる環境を構築していただくことが必要と考えております。
国内外の優秀な研究者が集まる魅力的な研究環境の構築に向けて、例えば、研究計画をマネジメントいたしますユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーター、URAや、研究活動の支援を行う事務職員、技術専門職員などの積極的な確保といった取組を進め、研究者が研究活動に打ち込める環境の構築を推進していただきたいと考えております。
他方、大学からは認可計画の実施状況を定期的に報告することを義務付けておりますが、大学にとって過度な負担になることを避けるため、内容に応じて簡易的に報告をしてもらうことも現在検討しているところでございます。
大学ファンドによる支援等を通じて、研究者が研究に専念できる環境を整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/21
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022・上野通子
○上野通子君 ありがとうございます。
冒頭に、世界からもトップレベルの研究者が集まれるようにその整備もしていくという力強い御答弁いただきましたが、大学ファンドの支援は、大学が使いやすい裁量性のあるもので、しかも評価も煩雑な作業が必要としないように努めていただきたい。そしてまた、研究支援者の配置などにより研究者が研究に専念できる、海外からのトップレベルの研究者も含めてですね、その環境整備を進めるというお答えだったと思うんですが、これから私たちはかなり期待しておりますので、是非ともきちんとした形で進めていただき、さらには現場の実態をよく見ていただきたい。その間にその状況がどのようになっているか、そして制度の運営はきちんとなっているかですね、しっかりと見ていただきながら、これから私たちの期待に応えていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/22
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023・宮沢由佳
○宮沢由佳君 立憲民主・社民の宮沢由佳です。
法案の質問に入る前に、コロナ禍において子供たちのうつ、体調不良が大変な問題になっています。国立成育医療研究センターの調査では、小学校高学年から中学生の子供の一から二割にうつ症状が見られ、家庭内で抱え込む傾向があるとの報道がありました。大変な問題です。
そこで、大臣並びに関係省庁に伺います。子供たちのうつ、体調不良の現状把握、そして原因究明、対策についてそれぞれ伺います。大臣からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/23
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024・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 宮沢先生にお答え申し上げます。
現在、新型コロナの影響長期にわたる中、うつを含む子供たちの心身の現状につきまして、漠然とした不安、先の見えないことに対する不安を抱えている子供たちが増えました。新しい日常の学校生活に肉体的、精神的な疲れを感じている子供が多いということ、そして、保護者の新型コロナへの不安や、それに伴う仕事の影響等が保護者のストレスとなりまして子供に影響を及ぼしているというケースが見られ、いろいろな報告が教育委員会等からも受けているところでございます。先ほど先生お話ありましたように、昨年二月、国立成育医療センターのアンケート、小学校四年―六年生で一五%、そして中学生は二四%という懸念ある数字が出ております。
こういった心身の健康の課題の原因につきましては、病気、障害等の医学的要因、また友人関係や家族関係の心理社会的な要因、そして環境要因などがあると考えられておりますが、特に二年以上の長期にわたる新型コロナの影響の下、児童生徒は様々なストレスや課題を抱えているものと認識をいたしております。
このため、文部科学省といたしましては、養護教諭、そしてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等々による支援、また電話やSNSを活用した相談窓口の周知などを行うよう教育委員会に求めるとともに、令和四年度予算におきましても必要な予算を確保しているところでございます。
今後とも、いろいろと御指導いただきながら、これらの取組を進めてまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/24
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025・難波健太
○政府参考人(難波健太君) お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症が流行する中で、うつなどを含む子供たちの心身の不調といった状況は深刻なものだというふうに認識をしております。
昨年四月に決定した子供・若者育成支援推進大綱におきましては、全ての子供、若者の健やかな育成を基本方針の一つとしておりまして、関係省庁において、心身の健康を維持増進するための体系的な健康教育、相談体制の充実、SOSの出し方などの教育啓発といった施策を推進しているところでございます。
例えば、内閣府の施策でございますが、公的機関や民間団体などにおきまして、子供や若者が抱える様々な困難に対応するために、訪問支援や相談業務に携わっている方々を対象にして必要な知見あるいは技能の習得を目的とした研修などを実施をするなどしているところでございます。
今後とも、関係省庁とも連携し、これらの取組を通じまして子供の心身の健康の課題にしっかりと対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/25
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026・堀内斉
○政府参考人(堀内斉君) お答えいたします。
一般にストレスや様々な要因によりうつなどの精神的な症状や身体的な不調が出現いたしますが、子供においても同様というふうに承知しております。
厚生労働省では現状の把握に努めておりますが、例えば、令和二年度厚生労働省の調査研究における全国の乳幼児健診担当者へのアンケートでは、新型コロナウイルス感染症流行による親子の心身の健康への影響などが報告されております。具体的には、ストレスや育児負担だけならず、だけではなく、発達の遅れ、生活習慣の乱れ、不適切養育等の継続的な支援を要するケースも認められてございます。
うつ病のメンタルヘルス対策につきましては、都道府県や指定都市に設置されております精神保健福祉センター等におきまして子供も含めて相談対応を行っており、医療機関や児童相談所等につなぐなどの対応を行うとともに、うつ病の医療の充実に努めております。
また、関係機関の連携に関しましては、平成二十年度から開始いたしました子どもの心の診療ネットワーク事業におきまして、都道府県が指定する拠点病院を中核といたしまして、地域の医療機関に対する助言、専門の医師の派遣、保健所、児童相談所、学校等の子供と接する職員の研修等を通じて、地域における子供の心の問題等に対応する体制の整備を進めております。
厚生労働省といたしましても、引き続き、自治体や関係機関と連携しながら、子供も含めました国民の心のケアに適切に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/26
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027・宮沢由佳
○宮沢由佳君 分かりました。
また、教員自身、保護者自身もうつ病が増えているとの情報もございます。この対応についても伺います。大臣からお願いします。文科省でも大丈夫です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/27
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028・茂里毅
○政府参考人(茂里毅君) お答えいたします。
文部科学省で行った調査によりますと、精神疾患による病気休職者数は令和二年度におきまして五千百八十人であり、教職員のメンタルヘルス対策の充実が重要だと認識してございます。
教職員の精神疾患の背景といたしましては、業務量の増加、業務の質の困難化あるいは教諭間の業務、残業量ですね、残業量や内容のばらつき、さらには保護者等からの過度な要望、苦情などが挙げられてございます。
文科省としては、教師が心身の健康を損なうことがないよう、これまでも各教育委員会に対して、学校における働き方改革の一層の促進に併せまして、校長等のラインによるケア、ストレスチェックの実施、相談窓口の整備、医師等による健康管理の推進などメンタルヘルス対策を充実するとともに、過剰要求等に適切に対応するための弁護士等による法務相談体制の整備などを求め、そして支援を行ってきたところでございます。
今後とも、学校における働き方改革の推進やメンタルヘルス対策、こういったものにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/28
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029・堀内斉
○政府参考人(堀内斉君) お答え申し上げます。
うつ等のメンタルヘルスに関しましては、教員や保護者といった大人につきましても、先ほど申し上げましたように、子供と同様、都道府県や指定都市に設置されております精神保健福祉センター等におきまして相談対応を行い、適切な機関等につなぐなどの対応を行うとともに、うつ病の医療の充実に努めているところでございます。
また、精神科医療と一般医療が連携して対応するための研修を実施いたしまして、うつ病患者への対応力の向上を図っておりまして、引き続き、関係府省と連携しながら取組を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/29
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030・難波健太
○政府参考人(難波健太君) 失礼をいたしました。
私のところでは、子供、若者についての心身の健康の問題に取り組んでおります。若い保護者の方ということであれば若者ということもあろうかと思います。その位置付けにつきましては、先ほど申し上げましたような心身の健康の教育でありますとか、あるいはSOSの出し方、あるいはその支援につきましては我々の方でも支援に当たる方に対する研修等を実施をしているというところでございます。繰り返しになりますが、恐縮でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/30
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031・宮沢由佳
○宮沢由佳君 御答弁ありがとうございました。しっかりとした、そして早急な対策必要だと思います。
こういう状況の中において、政策の、対策の一つとして、私は子供の人権教育が必要だと感じています。
調査では、自分にうつ症状が出ても誰にも相談せず自分で様子を見ると答えた小学生五、六年生の子が二五%、中学生が三五%と、自分で抱え込む傾向があります。また、家庭の方々も抱え込んでいる。こういった中で、子供が自ら自分で声を上げる人権教育が必要だと思いますが、大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/31
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032・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 宮沢先生、お答え申し上げます。
今数字をお示しをいただきました。自分の価値とか、あるいは存在意義を認識したり自己肯定感を高めたりすることは人権教育の重要な側面の一つであると、先生御指摘のとおり、子供たちのうつや体調不良等の予防の一つとして重要と考えてございます。
このため、文部科学省としましては、人権教育・啓発推進法や同基本計画等に基づきまして、人権教育に関わる留意事項を都道府県教育委員会等に指導助言するとともに、学校現場におけるやはり好事例というものの創出に向けた支援など、従来からの取組を進めております。
具体的には、令和三年度人権教育研究推進事業では、指定を受けた学校現場におきまして、地域の方と協働で植栽活動を行うことを通して生命を大切にする態度や自己有用感を高める取組とか、近隣の医療機関に配布する医療用のガウンを製作することを通じて達成感や自己有用感を育む取組などが行われております。
昨日も省内でいろいろと話合いをしましたけれども、やはり自分も大切にする、そして他人も大切にするという心がやはり大事ではないかというような結論に至りました。
文科省といたしましては、子供たちが自分たちの価値に気付き、健やかに成長できるように、引き続き、先生の御指導をいただきながら、人権教育の推進に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/32
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033・宮沢由佳
○宮沢由佳君 我慢を強いられるのは本当につらいことです。自殺防止の観点からも、早急に対応をお願いいたします。
それでは、法案の質疑に入ります。
総論として、大臣、憲法二十三条の学問の自由とは何かについて、政府の見解の御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/33
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034・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 憲法二十三条に定められました学問の自由は広く全ての国民に保障されたものでありまして、特に大学における学問研究及びその成果の発表、教授が自由に行われることを保障したものでございます。三つの自由と言われていますけれども、このことであろうかと思ってございます。かつて明治時代に、明治憲法の折には弾圧をされたとかいろんな歴史がございますから。学問は自由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/34
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035・宮沢由佳
○宮沢由佳君 では、文科省にもう一度伺います。
憲法に明文で二十三条に規定したのはなぜか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/35
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036・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 先ほど大臣からお答え申し上げたように、学問の自由は広く全ての国民に保障されたものであり、特に大学における学問研究、その成果の発表、教授が自由に行われることを保障したものであるというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/36
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037・宮沢由佳
○宮沢由佳君 大日本帝国憲法の時代、研究等が国によって妨害された経験がございます。これを忘れてはいけないという意味で明文化されたと承知しております。
学問の自由には、研究を遂行する自由、研究結果を発表する自由、研究の結果を教授する自由があると言われています。その制度的保障として大学の自治があります。大学の自治には大きく三つあると憲法の教科書に書いてあります。すなわち、教員人事の自治、施設管理の自治、学生管理の自治です。
大臣、大学ファンドは憲法二十三条や制度的保障である大学の自治に照らしていかなる意義があるのでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/37
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038・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
今般の国際卓越研究大学制度に基づき、大学ファンドからの助成など大学が裁量の下で使える資金を増やすことで多様な学術研究や基礎研究を展開し、大学が持つ深く真理を探求して新たな知見を創造する役割と研究成果を広く社会に提供するという役割の双方への投資を後押ししていきたいと考えております。
先ほど来御指摘いただいております憲法二十三条の学問の自由、先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、今冒頭申し上げた大学ファンドの狙いは学問研究の自由も尊重したものであるというふうに考えております。
また、本法案第二条におきまして、大学の教育及び研究の特性への配慮について規定しており、本法案成立の暁には、その運用に当たり、研究者の自由な発想に基づく研究が妨げられることがないよう留意すること、長期性を有しているあるいは不確実性が特に高い研究活動の促進を妨げるような短期的な視点で制度を運用しないようにすること等にも配慮をしていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/38
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039・宮沢由佳
○宮沢由佳君 現行制度において、基礎的な研究や研究者個人、グループを対象とした予算措置、基金があるかどうか伺います。
一つずつ答弁していただきたいので、まず、理論研究など基礎的な研究についていかがでしょうか。もしあるのであれば、その概要について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/39
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040・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
理論研究を含む基礎研究は、新たな知的、文化的な価値を創造し、ひいてはイノベーションの源泉となる重要なものであると考えております。
文部科学省では、基礎研究を推進するため、科学研究費助成事業、いわゆる科研費により、人文学、社会科学から自然科学までの全ての分野にわたる独創的な研究に対する支援を行っております。また、創発的研究支援事業によりまして、若手研究者等が長期間腰を据えて挑戦的な研究に打ち込める環境の整備も図っております。加えて、戦略的創造研究推進事業におきまして、幅広い研究者の結集と融合により、新たな研究分野を開拓するための支援も行っておりまして、これらの施策を基金の造成も含め予算措置をしているところでございます。加えて、世界トップレベル研究拠点プログラム、先ほど申し上げましたWPIを通じて、基礎研究における国際頭脳循環のハブとなるような研究拠点の形成も支援しております。
こうした取組の充実を引き続き図ってまいりまして、我が国の基礎研究の一層の推進を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/40
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041・宮沢由佳
○宮沢由佳君 それでは、研究者個人やグループに対するものはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/41
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042・千原由幸
○政府参考人(千原由幸君) お答え申し上げます。
研究者個人やグループに対する予算措置につきまして、今、池田局長が御答弁されたことと重なるところございますけれども、文部科学省におきましては、主な事業として、いわゆる科研費、あるいは創発的研究支援事業、また戦略的創造研究推進事業を実施してございます。
科研費につきましては、大学等の研究者に対して広く公募の上、基礎から応用まであらゆる学術研究を格段に発展させることを目的として、豊かな社会発展の基盤となる独創的、先駆的な研究に対して研究費を助成しております。創発的研究支援事業につきましては、自由で挑戦的、融合的な研究構想を有する独立前後の多様な研究者に対しまして、最長十年間の安定した研究資金と研究に専念できる環境の確保を一体的に支援しております。また、戦略的創造研究推進事業につきましては、国が定めた戦略目標の下、組織、分野の枠を超えた研究体制を構築して、イノベーションの源泉となる基礎研究を戦略的に推進してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/42
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043・宮沢由佳
○宮沢由佳君 それでは、お聞きします。
今回の大学ファンドの対象について伺います。基礎的な研究や研究者個人、グループに対するものは対象になっているのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/43
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044・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学ファンドは、従来の支援策と全く目的が異なり、大学自身の明確なビジョンに基づき大学が行う研究基盤の抜本的強化を行う取組を支援することとしております。
大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学における研究とは、特定の研究分野を想定したものではなく、人文・社会科学や基礎研究から、AIやバイオテクノロジー、量子技術などの先端技術分野や新興・融合分野までを含めた幅広いものを想定しております。例えば、諸外国のトップレベルの研究大学におきましても、新たな学問領域の創出を含め、多様な学術研究、基礎研究が展開されており、そうした大学における研究の対象は当然広がりを持ったものであると考えています。その上で、個々の大学における大学ファンドを活用した取組につきましては、各大学が自らの強みを踏まえ、具体的な将来像を構想し、その実現のための戦略の中で示していただくものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/44
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045・宮沢由佳
○宮沢由佳君 私たち立憲民主党は、ファンドの運用益を大学への助成に使うことは賛同しています。これまでの御答弁と私たちの立場を前提に、これから各論に入ります。
衆議院の答弁で、国際卓越研究大学の認定等に当たって、科学技術・学術審議会に意見を聴く理由として、国内外動向について様々な知見を有する者に意見を聴く必要があるためとしています。
動向とは何を示しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/45
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046・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
衆議院文部科学委員会での答弁でも申し上げましたが、文部科学大臣が国際卓越研究大学の認定及び研究等体制強化計画の認可等を行うに当たりましては、大学の学術研究の特性や大学運営に関する状況等に関し、国内外、国内の動向のみならず国際的な動向について様々な知見を有するなど、科学技術、学術に関する高度な専門性を有する者に意見を聴く必要があると考えております。
具体的には、例えば国内外の大学における研究成果の創出や社会におけるニーズ等を踏まえた研究成果の活用の動向、また、これらを実現するための研究環境の整備や財務基盤の強化、ガバナンス体制の構築等に関する国内外の動向に関する知見を踏まえるという趣旨で申し上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/46
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047・宮沢由佳
○宮沢由佳君 分かりました。
では、動向を聞いてどうしますか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/47
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048・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
国際卓越研究大学の認定等に当たりましては、申請大学が国際的に卓越した研究活動や経済社会にインパクトを与える研究成果の活用に関し高いポテンシャルを有していること、研究力の抜本的強化に向けた強い意志に基づき明確なビジョンを持っていることを確認する必要があります。
この審査に当たりましては、大学の持つポテンシャルや戦略が先ほど申し上げた国内外の大学等の動向に照らして世界と伍する研究大学の実現につながるものであるかどうか確認するため、国内外の動向について様々な知見を有する者の意見を聴くこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/48
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049・宮沢由佳
○宮沢由佳君 分かりました。
では、今現在の動向には現れないけれども将来的に役に立つ研究分野をどう評価するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/49
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050・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学ファンドは、政府が特定の研究分野の振興を行うためのものではなく、その支援は、各大学が自らビジョンを示し、必要な研究基盤の強化を図るために活用するものでございます。
また、国際卓越研究大学には、諸外国のトップレベルの研究大学と同様に、大学ファンドからの支援を含め、公的な資金や産学連携収入、寄附金や大学独自基金の運用益など、大学全体として財源を多様化していただきたいと考えております。
その中で、例えば外部資金の獲得につながりやすい分野につきましてはそのための取組を強化し、先ほど御指摘いただいたような、現時点ではなかなか外部資金の獲得は難しいけれども世界に先駆けた研究等につながると、こういった研究に関しても大学ファンドからの支援を積極的に活用していただくなど、大学全体の財源構成を踏まえた適切な資源配分を大学自らが行っていただき、多様な学術研究、基礎研究を含めた総体としての知や価値の創造の機能を高めていくような戦略を立てていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/50
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051・宮沢由佳
○宮沢由佳君 それでは、そのような評価は誰が行うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/51
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052・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 先ほど申し上げたような観点からの評価でございますので、文部科学省において科学技術や学術の振興に関する調査審議を行う役割を担う科学技術・学術審議会と、内閣府において府省を横断してより幅広い視点から科学技術の総合的な振興及びイノベーションの創出の促進に関する調査審議を行う役割を担う総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの意見を聴いた上で文部科学大臣が決定することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/52
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053・宮沢由佳
○宮沢由佳君 国際卓越研究大学の認定等に当たって、今御説明がありました総合科学技術・イノベーション会議、CSTIに意見を聴く理由として、世界と伍する研究大学の実現は科学技術イノベーション政策における重要事項であるためとしています。
CSTIとは何か、役割も御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/53
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054・合田哲雄
○政府参考人(合田哲雄君) お答え申し上げます。
総合科学技術・イノベーション会議、CSTIは、内閣府設置法に基づき、内閣総理大臣を議長とし、関係大臣と有識者議員から成る重要政策に関する会議として設置されているものでございまして、科学技術イノベーションに関する優れた識見を有する有識者議員の参画も得て、政府全体の立場から我が国全体の科学技術を俯瞰し、総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行う機関でございます。
具体的には、CSTIは、内閣府設置法第二十六条によりまして、例えば、内閣総理大臣の諮問に応じた科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るための基本的な政策についての調査審議、あるいは、内閣総理大臣又は関係大臣の諮問に応じた科学技術の振興に関する重要事項についての調査審議等を行うとともに、これらについて内閣総理大臣や関係大臣に対して意見を述べるということがその所掌事務とされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/54
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055・宮沢由佳
○宮沢由佳君 CSTIには学者だけでなく、どのような立場の方がいらっしゃるでしょうか。政治家を含め、それぞれの人数と割合をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/55
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056・合田哲雄
○政府参考人(合田哲雄君) お答え申し上げます。
CSTIは、内閣府設置法におきまして、議長及び議員十四人以内をもって組織すると規定されており、議長は内閣総理大臣を充てることとされ、議員は内閣官房長官、科学技術政策担当大臣、各省大臣のうちから内閣総理大臣が指定する者、具体的には総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣、関係する国の行政機関の長のうちから内閣総理大臣が指定する者、具体的には日本学術会議会長、科学又は技術に関し優れた識見を有する者のうちから国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する者、いわゆる有識者議員で組織されてございます。この有識者議員の数は、議員の総数の十分の五未満であってはならないと規定されており、現在、七名の有識者議員が国会の同意を得て任命されてございます。
その結果といたしまして、現在、十四名の議員中、有識者議員と日本学術会議会長で八名、これで割合としては五七%でございます。うち、アカデミア出身者は五名、産業界出身者は三名、それから関連する国務大臣は六名、割合としては四三%ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/56
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057・宮沢由佳
○宮沢由佳君 CSTIの経済関連の有識者に、今現在の動向に現れないけれども将来的に役に立つ研究分野の判断、これはできるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/57
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058・末松信介
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
総合科学技術・イノベーション会議、CSTIの議員には、いわゆる有識者議員として科学又は技術に関して優れた識見を有する者のうちから国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する者を充てることとされておりまして、研究開発が産業界においても幅広く進められていること、イノベーション創出に産学連携強化等が重要であることを踏まえまして、産業界からも有識者議員連盟が任命されているものと理解をいたしてございます。
先ほど政府参考人からも答弁がありましたが、国際卓越研究大学の認定等の審査に当たりましては、特定の研究分野の動向のみを踏まえるのではなくて、研究環境の整備、財務基盤の強化、ガバナンス体制の構築のための取組など、大学全体として研究力の強化をするための戦略や、国内外の大学やあるいは社会における様々な取組の動向を踏まえまして、世界と伍する研究大学の実現につながるものであるかを確認することを予定をいたしてございます。
CSTIは、府省を横断しまして幅広い視点から科学技術の総合的な振興及びイノベーションの創出の促進に関する調査審議を行う役割担ってございます。例えば、研究成果の活用やイノベーションの創出、財務基盤の強化等の観点について審査するに際しまして、産業界から任命されました有識者の議員にはその経験を生かして意見交換を行っていただくなど、多様な知見を生かして国際卓越研究大学の認定等に当たっては御意見をいただくように想定をいたしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/58
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059・宮沢由佳
○宮沢由佳君 CSTIの議長は総理です。CSTIの意見を聴かなければ国際卓越研究大学として認定されません。認定を行うのは文部科学大臣であるといっても、総理が議長で、文部科学大臣自身も議員であるCSTIの意向に反することができるでしょうか。
認定をちらつかせて政治的に大学を従わせる、大学の今後のありようが政治によって決め付けられてしまうかもしれない懸念について、憲法と絡めてどのように説明しますか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/59
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060・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 憲法二十三条で定められました学問の自由、先ほど先生から御質問を受けてお話し申し上げましたが、広く全ての国民に保障されたものでありまして、特に大学における学問研究及びその成果の発表、教授が自由に行えることを保障したものであると認識をいたしております。
本法案第二条におきましても、大学の教育及び研究の特性への配慮についての規定をしておりまして、国際卓越研究大学の認定等の制度運用に当たりましては、研究者の自由な発想に基づく研究が妨げられないことがないように、妨げられることがないよう留意すること、長期性を有している又は不確実性が特に高い研究活動の促進を妨げるような短期的な視点で制度を運用しないようにすること等の配慮をしていくこととしてございます。第二条に明記をいたしたところでございます。
また、国会の同意を得て総理が任命するCSTIの構成員の半数以上は有識者議員とされているほか、議長である内閣総理大臣は、CSTIのこの議決に当たりまして、実は同会議の運営規則におきまして、全員の同意を得るように努めなければならないとされてございます。科学技術に関する優れた識見を有する者の意見を十分踏まえた議論がなされるものと私は認識をいたしてございます。
本法律、本法案の成立がしました後は、CSTIへの意見聴取も含めまして、日本憲法や本法案のその他の法令の規定に則して、誠実に制度の運用を行ってまいりたいと確信をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/60
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061・宮沢由佳
○宮沢由佳君 憲法に絡めての説明になってないと思います。
憲法で認められた学問の自由、これが守られるためにどのように客観的に担保を政府は考えているのでしょうか。どのように懸念を払拭するのでしょうか。もう一度お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/61
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062・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
先ほど来御答弁申し上げておりますように、憲法二十三条の趣旨を踏まえ、また、本法案の第二条の趣旨も踏まえた上で、適切に対応していきたいと思います。
また、CSTIのみならず、文部科学大臣の諮問機関である科学技術・学術審議会の意見、学術を担当、学術振興を担当しておりますが、この学術審議会の意見も聴きながら適切に運用をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/62
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063・宮沢由佳
○宮沢由佳君 それでは、別の聞き方をします。
誰がこのCSTIによる事実上の認定を検証するのでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/63
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064・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) CSTIの意見を聴きながら、最終的には文部科学大臣が様々な認可、認定等の決定をいたすことになりますので、文部科学省において文部科学大臣が適切に判断をするということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/64
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065・宮沢由佳
○宮沢由佳君 それでは検証にならないと思います。私はそれでは大丈夫じゃないと思います。
認定や予算については国会に必ず報告すべきだと考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/65
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066・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 認定につきましては、今回この大学を認定していることに、まさにこの法律を今日提案をしているわけなんですけれども、総理大臣、この認定に当たりまして、議決に当たりましても全員の同意を得るように努めなければならないとか、様々な運営規則を設けてございますので、総合的な監視、あるいは私は重層的な立場で認定に当たってまいりますので、その点については私はこれは有効なものであるというか、そのように私たち自身は考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/66
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067・宮沢由佳
○宮沢由佳君 全く答えになっていません。
次の質問に移ります。運用について質問いたします。
大学ファンドの運用益を三%プラス物価上昇率で計四%程度の目標を掲げていますが、今後の不透明な現状を考えると大変不安です。達成できるかもしれないし、できないかもしれない。できなかった場合、どのような対応を考えていますでしょうか。衆議院では、六千億円、六千億円の上限、バッファーがあるから大丈夫、立ち上げ期も状況を考えながら段階的支援をするという、こう答弁がありました。
将来、数年単位でマイナスになった場合はどうするのでしょうか。大学ファンド以外の公的ファンドとして年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFによるものがあります。GPIFは株式対債券五〇パー、五〇対五〇であるのに対して、大学ファンドは株式対債券六五対三五であり、株式の割合が高くなっています。そのため、大学ファンドは株価下落時に評価損が発生しやすくなります。相場が大きく下落して三千億円の運用益を達成できなかった年は、各校への配分額を減少させるのか、それとも大学ファンドの元本からの取崩しや国が予算措置を行うなどして予定どおり配分するのか、あらかじめ対応方針を示す必要があります。
あらゆる事態を想定してあらかじめ対応を明示しておかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/67
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068・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 宮沢先生、お答え申し上げます。
まず、運用目標が達成できなかった場合の対応に関することでありますが、大学ファンドは大学への支援の財源を運用益のみに限定していることから、結果的に積み立てられた運用益の範囲内で大学の支援をすることになってございます。
なお、他の国内運用機関と同等の四%程度という大学ファンドの運用目標は、CSTIの下で金融あるいは資産運用等の専門家による議論を行っていただいたところで達成可能との考えが示されたと承知をいたしております。
次に、今御指摘ありました数年単位で運用が、運用結果がマイナスになった場合の対応に関する質問でございますが、大学ファンドは、先ほど申し上げましたとおり、運用益のみの支援を財源としているため、運用益が積み上がっていない場合には大学への支援を行うことはできません。
文部科学省としては、運用益の確保の状況を見つつ、大学への適切な支援額を検討するとともに、大学ファンドの運用が適切に実施できるように取り組んでいきたいと思います。
最後の御指摘であったと思います、損失が発生のときに備えまして本年一月にJSTに通知をしましたが、助成資金運用の基本方針では、いや、済みません、基本指針ですね、基本指針では、今手元にあるんですけれども、基本指針では、文部科学大臣に報告を求めるケースとして、毎年度の決算時点で純損失が資本金を上回った場合など、あらかじめ具体的に定めております。これに該当した場合は、JSTは、金融あるいは資産運用等の専門家による運用・監視委員会の見解と対策を文部科学省に報告するという仕組みを取っております。その際、文科省としては、専門家の意見も踏まえまして、運用の見直し要求をするなど必要な措置を適切に講じるということにいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/68
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069・宮沢由佳
○宮沢由佳君 ますます不安になってまいりました。
四%の運用益を得るためにどのような方が運用するのでしょうか。GPIFは、市場運用を開始した平成十三年度以降の約二十年間で年率平均三・七九%の収益率です。しかし、GPIFが年金積立金を原資とするのに対し、大学ファンドは利子の掛かる財政投融資資金が大部分を占め、また、当面は資金支出の必要がないGPIFに対し、大学ファンドは毎年支援のために資金支出をする必要があり、高度な運用技術が必要になります。
どのような専門家を確保しているのでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/69
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070・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学ファンドの運用主体は、科学技術振興機構、JSTでございますが、運用の専門家として、昨年六月に、新たに運用業務担当理事として農林中央金庫で投資運用の御経験豊富な喜田理事が着任し、同理事の下、高度かつ多様な運用やリスク管理が行える専門人材の獲得に取り組み、今体制を充実しております。また、昨年十月には、資金運用業務の適正な運営を図るため、JSTに置かれた運用・監視委員会の委員に元日銀副総裁の中曽委員長を含む金融や資産運用等の専門家五名を文部科学大臣が任命しております。
さらに、JSTの運用体制につきましては、投資部門とリスク管理部門により業務運営上の牽制関係を確立し、加えて監査部門がこれを監査するという、いわゆる三線防衛を機能させるなどの体制整備を進めているところでございます。
文部科学省としても、JSTが引き続き体制整備を着実に進めた上で、大学ファンドの運用が適切に実施できるよう、しっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/70
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071・宮沢由佳
○宮沢由佳君 また不安になりました。
それでは、お聞きします。その運用益を活用できるのは何校でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/71
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072・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
世界における我が国の経済規模等を考えると、我が国において数校程度の大学が世界と伍する研究大学となることが期待されております。
また、大学ファンドの支援対象大学に対しては、諸外国のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるため、一校当たり年間数百億円規模の集中的な支援を行う必要があると考えており、大学ファンドの運用益による支援対象大学数は、この点からも数校程度になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/72
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073・宮沢由佳
○宮沢由佳君 大臣、大臣はこの一部の大学だけが運用益にあずかる制度をどのようにお考えでしょうか。政治的な介入の懸念については先ほど質問しましたので、一部の大学が恩恵を受けること、これが大学間の不公平感を生むのではないか、これについてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/73
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074・末松信介
○国務大臣(末松信介君) お答えを申し上げます。
いろいろな意見も私なりに聞いてまいりました。もちろん、先生の御意見もございます。大学ファンドからの支援は、諸外国のトップレベルの研究大学と資金格差を縮めるため、一校に対して数百億円の集中的な支援を行うことから、確かに数校程度に限られる必要があると考えております。
一方で、我が国全体の研究力の強化には、トップレベルの研究大学への支援のみならず、その基盤となります優秀な人材の育成や、地域の大学の強化が極めて重要でございます。このため、大学ファンドの運用益からは、全国の優秀な博士課程への支援も実施をいたしております。既に六百億円は博士課程の学生の方々に支援を行いました。毎年二百億です。
加えて、大学ファンドによる支援以外にも、世界トップレベルの研究拠点プログラム、七億円で十年間、これは若手研究者を育成するものです。また、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援策を総合振興パッケージとして同時に講じることといたしてございます。
意欲のある大学が地域の経済社会の発展や国内外における課題解決、また特色ある研究の国際展開を図っていくことができるように、大学と対話しながらきめ細かな支援を行う予定でございます。これらの支援を通じまして、今申し上げました地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とともに互いに切磋琢磨できる関係を構築したいと思ってございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/74
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075・宮沢由佳
○宮沢由佳君 これまで、運営費交付金や私学助成といった基盤的経費が減少し、競争的研究費の割合が高まる傾向にあったことで、特定の大学や研究分野に資金が集中し、大学全体の研究力が低下したとも言われています。
大学ファンドによる一部の大学への集中的な支援だけでなく、我が国全体の研究力向上のためには、全国の大学の底上げを同時に図っていく必要があると思いますが、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/75
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076・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 御指摘のとおり、我が国の全体の研究力強化には、トップレベルの研究大学への支援のみならず、その基盤となる優秀な人材育成や、全国の大学が個々の強みを伸ばして、各大学のミッションの下で多様な研究大学を形成することが大変大切だと考えております。
このため、先ほど申し上げましたように、大学ファンドからの運用益は全国の優秀な博士課程学生への支援も実施することとしておりまして、先ほど申し上げた世界トップレベルの研究拠点プログラムであるとか、これは官民で行います共創の場形成支援プログラムなど、百三十七億円ですが、今年、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援を総合パッケージとして同時に講じることとしてございます。運営費交付金の基盤的経費を含む従来の支援策も引き続き怠りなく、重要なことでございます。
今般、従来の施策に追加して大学ファンドや総合振興パッケージによる支援策を新たに講じることで世界と伍する研究大学を実現することで、地域の中核大学、特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とともに切磋琢磨できる関係を構築してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/76
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077・宮沢由佳
○宮沢由佳君 お尋ねします。
CSTIの最終まとめでは、大学ファンドの対象大学とそれ以外の大学との間の有機的な連携や効果的な資金配分の在り方については、パッケージの内容を更に進化させることを前提として、より具体的な内容とするべく、引き続き更なる検討が肝要であることを強く付言するとあります。
大学ファンドの運用益を世界と伍する研究大学以外の全国の大学にも配分する可能性について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/77
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078・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
先ほど来申し上げておりますように、大学ファンドによる支援は、海外のトップレベルの大学との資金力の格差の解消を図るために集中的に投資を行うものでございます。
今後、この法案を成立させていただきますれば、その後、各大学が、国公私を通じて各大学が申請してくるわけですけれども、その申請状況や、それからファンドの運用状況を見ながら検討していく必要があると思いますけれども、基本的にはまず、先ほど申し上げたように、数校程度を念頭に支援をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/78
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079・宮沢由佳
○宮沢由佳君 岸田総理は、成長戦略の第一の柱を科学技術立国の実現とし、大学ファンドを重視されています。しかし、大学ファンドによる世界と伍する研究大学を目指す大学への支援開始は令和六年度が予定されており、今から約二年後です。大学への支援により研究環境を改善し、研究成果を生み出し、その中からイノベーションに結び付くものが生まれ、経済成長を果たすまでには、更に中長期の時間が必要と考えられます。
成長戦略の一環として大学ファンドを考える場合には、経済成長につながるまでにどのくらいの、どの程度の年数を要すると想定しているのか明らかにする必要がありますが、その点にも触れられていません。大学には計画提出を要求しておいて、国は政策の工程も明らかにしていない、これでは大学に不安が生じるおそれがあります。
しかも、研究内容を評価して助成を決めるのは、学術の専門家だけではなく、政治家や財界人が入った機関が評価する。そのため、基礎的な研究には十分な助成が行われず、すぐに実用化できる研究に多くの助成を行う懸念がある。また、学問の自由に政治が関与する懸念も大きいのにもかかわらず、きちんとした説明がありません。これでは、大学や研究者の不安、不公平感をますます募らせることになりかねません。まず、きちんと公正性、そして透明性を説明すべきと考えます。
そこで提案ですけれども、大学ファンドで広く大学の、特に地方大学の底上げを図るべきだと考えます。地方活性化のためには地域の大学の役割は大変大きいと思います。
最後の質問になりますが、大臣、大臣は大学の、特に地方大学の底上げ、支援について今後どうすべきとお考えか、地方活性化の観点も踏まえて御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/79
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080・末松信介
○国務大臣(末松信介君) お考えのほど、宮沢先生と大変方向は同じところ向いてございますし、考え方、同じな部分が多うございます。
地方創生を担います人材育成や地域産業の活性化の観点から地方大学の振興を図ること、大変重要でありまして、各大学では強みや特色を生かした教育研究の充実や地域との連携を取り組むことが大変重要であります。
こうした観点で、文部科学省では、基盤的経費においては地域の発展に貢献する地方大学を支援するとともに、地域社会と大学の連携を通じた既存の教育プログラムを再構築して地域を牽引する人材育成を実施する地域活性化人材育成事業、SPARC、この事業。そしてまた二つ目に、地域の高等教育機関や地方公共団体、産業界が集い、地域の将来ビジョンや地域活性化方策について恒常的に議論をする地域連携プラットフォームの構築を促すためのガイドラインの策定。そして三つ目に、複数の大学間で人的、物的ソースを効果的に活用することで教育研究の充実を図るための仕組みとしての大学連携推進法人制度などに取り組んでございます。
引き続き、本年二月に内閣府において策定されました地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ等を踏まえまして、地方大学の振興は必ず進めていきたいというふうに考えてございます。予算も少し少ないようでありますから、頑張っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/80
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081・宮沢由佳
○宮沢由佳君 時間が参りましたので、若手研究者、そして地方大学への支援を求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/81
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082・横山信一
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。
まず最初の質問のCSTIが取りまとめた提言、世界に伍する研究大学の在り方についての最終まとめについての大臣の見解については、これまでの議論の中でも出ておりますので、ここは飛ばしまして、二番目についてから質問させていただきたいと思います。
国際卓越研究大学の認定及び計画の認可に当たっては、文科大臣は科学技術・学術審議会とCSTIの意見を聴かなければならないことになっております。両方並んで聴くというふうになっているんですけれども、この認定及び計画の認可におけるこれらの役割分担はどうなっているのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/82
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083・田中英之
○副大臣(田中英之君) お答えさせていただきます。
国際卓越研究大学の認定等の審査に当たっては、特定の研究分野の動向のみを踏まえるのではなく、研究環境の整備や財政基盤の特に強化、ガバナンス体制の構築のための取組など、大学全体としての研究力を強化するための戦略が、国内外の大学や社会における様々な取組の動向を踏まえ、世界と伍する研究大学の実現につながるものであるかを確認することと予定いたしております。
このため、科学技術・学術審議会には、大学の学術研究の特性をも踏まえた研究環境や大学の運営に関する状況等に関し、国内外の動向について様々な知見を有する観点から意見を聴くことといたしております。
また、本法案の目指す世界と伍する研究大学の実現は、科学技術イノベーション政策における重要事項でもあることに鑑み、府省を横断したより幅広い視点から、科学技術の総合的な振興及びイノベーションの創出の促進に関する調査審議を行う役割を担う総合科学技術・イノベーション会議、CSTIへの意見を聴くことといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/83
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084・横山信一
○横山信一君 役割分担というところでは、今後実際に進めながらそういう役割が明確になっていく部分もあろうかと思いますけれども、ここは選定の、認定のところでは大事な部分なので、しっかりとこれからも議論をちゃんとしていっていただきたいというふうに思います。
大学ファンドは、世界のトップレベルの大学との資金力の差を縮め、それによって研究基盤を強化しようとするものであります。これまで、内閣府や文科省は、大学の研究力の向上を目指して、基盤的経費でありますとか、あるいは科研費等の競争的資金でありますとか、あるいはSIPやPRISMといった科学技術関係予算の充実を図ってきました。
では、この度の大学ファンドの創設によってこれらの既存事業との関係はどうなっていくのか、資金力の付いた大学はこれらの既存事業を当てにしないでもいいのか、こういうこの既存事業との関係についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/84
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085・合田哲雄
○政府参考人(合田哲雄君) お答え申し上げます。
大学を支援する資金のうち、国立大学運営費交付金や私立大学等経常費補助金は、大学における基盤的な経費であり、教育研究環境の整備に必要不可欠なものであるとともに、研究者の自由な発想に基づく科研費等の競争的資金は、研究者の研究活動を幅広く支えるための資金でございます。それに対しまして、SIPやPRISMといった予算につきましては、政府全体の科学技術イノベーション政策についての牽引役である総合科学技術・イノベーション会議が主導的な役割を果たして、大学等での基礎研究の成果を産学官連携により社会実装につなげる事業でございます。
これらに対しまして、大学ファンドは、ただいま先生からも御指摘ございましたように、世界と伍する研究大学の実現に向け、諸外国のトップレベルの研究大学との資金力の差を縮めるため、ファンドの運営費、運用益により大学の研究基盤への長期的、安定的な支援を行うものでございまして、従来の支援策とは目的が異なる、大学自身の明確なビジョンに基づく前例のない改革を通じた研究基盤の抜本的強化を支援するものでございます。そのため、その使途については、可能な限り、各大学の裁量の下、柔軟かつ適切に活用されることが重要だと考えてございます。
このように、政策目的が異なることから、基盤的経費や科研費、SIPやPRISMといった既存の科学技術関係予算は引き続き充実していく必要があり、大学ファンドと既存施策を同時に推進することで我が国全体の研究力の底上げを図っていくことが重要だと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/85
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086・横山信一
○横山信一君 大学ファンドの創設に当たっての現状認識は、我が国の大学の資金力が乏しく、若手研究者に十分な給与やポストを提供できない、しかも独自基金の収集や運用のノウハウは乏しいというものでした。
こうした大学の経営力に課題があると分析をしたのであれば、大学経営を担う人材育成や経営意識の向上を図る方策を検討すればいいじゃないかというふうに単純に思うんでありますけれども、現状の大学の力量では資金力の差を解消できないというふうにしたのはどうしてなのか、まず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/86
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087・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 横山先生御指摘のとおり、大学の研究力の強化に向けまして、大学自らがビジョンを描いて、そのビジョンによって社会から支持や支援を得て、持続的な発展をしていけるような大学経営を担う人材の育成や経営意識の向上を図っていくことが大変重要であると思います。
これまでも、例えば国立大学におきましては、学外者を入れた経営協議会の委員として多様な経験を有する方々に御協力をいただいているほか、内閣府におきましても、大学改革支援フォーラム、これは、百八人の方々、大学の比較的若い運営責任者の方も入っておられますけれども、PEAKSを組織しまして、大学経営の人材を育成するための研修なども行われております。
国際卓越研究大学におきましては、経営方針の決定に関与する合議体の設置が求められているところです。この合議体の構成員には、世界と伍する研究大学のミッション実現に向けて強い使命感と責任感を有するとともに、大学経営に関する能力を有する方が参加して、参画していることが必要だと思います。
今後とも、大学等とも研修の充実などを図りながら、経営人材の育成と確保と経営意識の向上に取り組んでいきたいと思います。
過日、地元の大学の学長、藤澤さんが申しましたけれども、大学というのは、やっぱり人が集まり、人を魅了して、そして人を育成するというこの三つが一番大事であるというお話の講演がございました。心していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/87
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088・横山信一
○横山信一君 大臣、ありがとうございます。
制度改正に向けた論点整理では、国際卓越研究大学の長は、経営的資質を有し、教学担当役員や事業財務担当役員と緊密に連携しつつ、自律的な大学経営のための体制強化に向けた様々な取組を実行することになっております。ここで言う教学担当役員、プロボストとは、大学の教学面に専門性や責任を有し、優秀な研究者の獲得や研究環境の整備などを図る役割を持ちます。また、事業財務担当役員、CFOは、財務戦略の立案、実施に責任を有し、財源を確保して継続的な財政基盤の強化を図る役割を持ちます。
こうしたプロボストとCFOを担う人材を確保できるのであれば、そもそも大学独自基金の運用ができるような体制になっているのではないかというふうに考えるんですけれども、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/88
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089・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
御指摘いただきましたように、国際卓越研究大学においてCFOやプロボストの重要性って非常に重要であると考えております。
世界と伍する研究大学には、成長視点で事業戦略を策定するとともに、その着実な達成に向けて多様な財源を確保し、その財源を最大限生かすことが求められるため、こうした事業戦略、多様な財源を俯瞰した財務戦略を実現し、チームを動かして実行する事業財務担当役員、CFOの重要性があるわけでございます。
また、寄附金や産学連携収入等の自己資金により基金を造成し運用していくためには、金融市場の動向等を含めた財務、金融に関する専門性を持った職員をCFOが登用し、統括していくことも必要でございます。
大学ファンドの支援を受けるに当たっては、大学独自基金の造成も含め自律的な財務基盤の確立に向けた取組を計画の中に盛り込んでいただくことを予定しており、この中で、資金運用を含む事業・財務戦略の立案、実行のための体制の整備、必要な人材の育成、確保も位置付けていただくことを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/89
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090・横山信一
○横山信一君 今、大学独自基金の話も触れたんですけれども、この国際卓越研究大学に対しては、世界のトップレベルの大学のように、将来的には自らの資金で潤沢な大学独自基金を構築することが求められています。しかし、将来的とはいっても、大学ファンドからどのように大学独自基金に至るのか、その工程が見えておりません。この部分はどうなっているのか、お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/90
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091・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答えいたします。
国際卓越研究大学には、大学ファンドからの支援も活用しながら事業規模を拡大するとともに、独自基金を造成し、財源を多様化していくことが期待されることから、国際卓越研究大学が研究活動を支えるための持続的な財務基盤を構築できるような仕組みを設けることが必要であると考えております。
そのため、大学ファンドからの大学への支援に当たっては、実効性高く意欲的な事業・財務戦略の策定を求めるとともに、支援額は外部資金の獲得実績などに応じて決定することを予定しており、自己資金の充実も同時に進めていただくことを想定しております。
また、国際卓越研究大学には、財源の多様化に向けて、大学独自基金の充実のほか、産業界との組織的、組織対組織での連携拡大、研究成果を活用した大学発ベンチャーの創出、大学の機能拡張に伴う幅広い関係者からの寄附金獲得などを通じて強固な財務基盤の確立に向けて取り組んでいただき、将来的には大学ファンドから卒業していただくことも念頭に置いて支援をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/91
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092・横山信一
○横山信一君 将来的には卒業という話も出てきたんでありますけれども、既に東大のように大学独自基金に取り組んでいるところもあります。ファンド法では、この将来の独自基金を求めて、行く行くは卒業ということもあるんだと、こう言っているわけですけれども、欧米のトップレベルの大学のように基金を運用して研究基盤や若手研究者への投資を充実できるようにするにはどれぐらいの規模の独自基金を目指すのか。大学によってもそれぞれ目標とかはあるとは思うんですけれども、その卒業の目安みたいなところというのはどうなのか、お聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/92
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093・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
欧米の主要大学は、寄附金等を原資とした数兆円規模の独自基金を保有し、その運用益を人材育成や研究設備に投資することで充実した研究基盤を構築しております。例えば、米国におきましては、二〇一九年度時点であれば、ハーバード大学は四・五兆円、スタンフォード大学は約三・一兆円、英国におきましては、ケンブリッジ大学が約一兆円、オックスフォード大学は約八千二百億円の独自基金を有していると承知しております。
一方、我が国におきましては、同じく二〇一九年度時点であれば、多いところでも独自基金の規模は数百億円程度の規模にとどまっている状況であると承知しております。
このような資金力の差は、本来であれば各大学の力で解消していただきたいところでありますけれども、現状では各大学の力のみで直ちに解消することはなかなか困難でございますので、今回のファンドの構想に至ったわけでございます。
具体的に目指すべき独自基金の規模は現状の大学の規模やそれぞれの大学のビジョンなどにより異なりますので一概には申し上げられませんが、大学ファンドの支援を受けるに当たってはこのような将来的な先ほど申し上げたファンドからの卒業も見据えた計画を提出していただくことを予定しておりまして、その中で大学の戦略を具体的にお示しいただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/93
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094・横山信一
○横山信一君 自律と責任あるガバナンス体制を求められる国際卓越研究大学は、大学の長あるいは法人の長の役割が極めて重要というふうに考えております。しかも、大学の長には経営的資質を有することが求められております。これに応えられる人材が大学内にいればいいんですけれども、いるとは限らないと。そういう場合は外から来てもらうこと、あるいは外国人の採用ということも必要になるんじゃないかというふうに考えるんですが、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/94
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095・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
国際卓越研究大学における大学の長は、経営の執行責任を有する者として、先ほど御答弁申し上げた教学担当役員、プロボストや、事業財務担当役員、CFOと緊密に連携しつつ、自律的な大学経営のための体制強化に向けた様々な取組を実行することで大学のミッションの達成につなげていくことが期待されており、その役割は御指摘いただいたように大変重要でございます。その際、大学外の、学外の人材、例えば大学経営に関し世界的な経験豊富な外国人を大学の長とすることもあり得ると考えております。
なお、大学執行部の人選につきましては、各大学法人の設置根拠法令や基本文書などに基づき、あくまで各大学法人において御検討いただくものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/95
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096・横山信一
○横山信一君 この国際卓越研究大学になっていくには大学の長が非常に重要なんだと。そういう意味では、学内にとどまらず、いろんなところからの学長の選考もあり得るんだと。ただし、それはその大学法人が選ぶことですよということなんですが。
しかし、今回、こうしたその大学ファンドをつくるに当たって、このファンドには当然多額の公的資金が投入されるわけでありますし、また、その大学ファンドを利用する国際卓越大学というのは国民の目から見ればその期待に応えてもらわなきゃいけないと。でも、学長の役割は重要で、学長はでも大学の法人が選びますよということなんだけれども、正確には合議体が選考することになるんですが、政府としては、今言ったようなその国民の期待に応えてもらわなきゃいけない、そういう国際卓越大学の大学の長に対してどういうふうな人材の確保について考えているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/96
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097・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 今、池田局長もちょっと触れましたけれども、国際卓越研究大学における大学の長は、経営の執行責任を有する者として、今先生お話のあった教学担当役員、プロボスト、そして事業財務担当役員、CFOと緊密に連携しつつ、自律的な大学経営のための体制強化に向けました様々な取組を実行することで大学のミッション達成につなげていくことが期待をされているところです。
このために、学内外、また国内外の多様な関係者と対話しながら、世界と伍する研究大学を実現するための戦略実行を求めることから、合議体が学内外、国内外の幅広い候補の中から適任者を選考することが大変重要であるし、それが想定されております。
また、先生御指摘のとおり、このような人材の育成、確保も重要であると考えていますが、経営人材に関する研修の充実も図りながら、とにかく人材の育成、確保をまず進めてまいりたいと、そういうふうに考えてございます。これからが大きな勝負でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/97
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098・横山信一
○横山信一君 大学の自治というのがありますので、とはいえ、その大学ファンドを利用してもらうという大学については国民の期待もあるんだと、また責任も当然伴うわけでありますので、しっかりと政府としてもそこの関わりを、いろんな関わり方があろうかと思いますが、責任を果たせるようにしていただきたいというふうに思います。
実効性高く意欲的な事業・財務戦略として、三%成長を掲げられております。この三%成長ということもあるものですから、いわゆる稼げる研究者に注目が集まってしまって基礎研究の軽視につながるんじゃないかという指摘が先ほどの質問でもありましたけれども、こうした指摘が度々出ているわけであります。
他方、中長期的に成長を遂げるには、人材育成や多様な学術研究、基礎研究への投資というのはこれ当然不可欠なものであります。そういう意味では、海外のトップレベルの大学ではこうした基礎研究というのはどうなっているのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/98
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099・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学が中長期的に成長を遂げていくためには、人材育成や多様な学術研究、基礎研究への投資が不可欠だと考えております。
例えば、ハーバード大学におきましては、二〇二一年度は収入の約四割が大学基金の運用益からの配分となっており、その内訳は、自然科学のみならず、人文・社会科学も含めた多様な学内の教育研究活動を下支えしているというふうに承知しております。このように、世界トップレベルの研究大学では数兆円規模のファンドの運用益を活用して中長期的な視点での資源配分を可能にしておりまして、多様な学術研究、基礎研究が展開されているものと承知しております。
今般の大学ファンドもこうした仕組みを参考とし、ファンドの運用益により大学の研究基盤や若手研究者への長期的、安定的な支援を行うことで、世界と伍する研究大学の実現を図るものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/99
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100・横山信一
○横山信一君 もう私も、随分昔、議員になる前、研究職にいたことがあって、そのときアメリカに行ったときに、研究者にはテクニシャンが付いていて、その研究基盤の厚みというのは日本とは全然違うなというのにびっくりしてしまったことがありましたけれども、そういう意味では、今回このような形になって研究基盤が厚みを増せば、当然優秀な研究者も育ち、集めてくることができるというふうに思います。
その育成というところと研究成果を得るための環境整備ということに加えて、その国際的な卓越した能力を有する研究者の確保という部分についてはどう進めていくのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/100
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101・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
本法案では、国際卓越研究大学に対して、若手研究者の育成や研究等の環境整備に加えて、国際的に卓越した能力を有する研究者の確保などについて事業計画を策定することを求めることとしております。国際卓越研究大学には、大学ファンドからの支援も活用し、この計画に基づき世界トップクラスの研究者の確保を進めていただくことになります。
具体的には、例えば、高額給与の提示を可能とする人事給与制度を整えたり研究マネジメント人材の充実など、一流の研究者が研究に専念できる環境を整備したりすることが、国内外の研究機関と争いながら人材獲得をしていくには必要であると考えております。
教育研究機能の高度化を図るために置く責任者、先ほど来申し上げているプロボスト等の下で、こうした観点も踏まえ戦略的に取り組んでいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/101
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102・横山信一
○横山信一君 ファンド法についてはここまでにしておきます。
時間がまだありますので、原賠審のことについてお伺いいたします。
報道によれば、福島県の内堀知事を会長とする福島県原子力損害対策協議会の緊急要望に対して、原賠審の中間指針の見直しなどを含めた対応を原賠審で審査してもらうというふうに高橋政務官が応答されたというふうに報道されておりました。
これまでも、福島県原子力損害対策協議会、被災者の生活や事業の再建が確実に果たされるようにということで、この民事訴訟の判決内容をしっかり精査して適時適切な中間指針の見直しというのを求めてきました。
原子力災害による被災者が求めた損害賠償請求の最高裁判決、七件確定をしております。国の賠償基準を示したいずれも中間指針を上回る賠償が確定をいたしました。まさにその県協議会が求めてきた判決内容の精査による中間指針の見直しのときというふうに考えております。
そこで、原賠審における議論の論点、そしてまた今後のスケジュール、それがどうなっているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/102
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103・高橋はるみ
○大臣政務官(高橋はるみ君) お答えを申し上げます。
議員が今御質問で触れられましたとおり、四月十九日に福島県原子力損害対象協議会の皆様方が来られまして、緊急要望をお受けをしたところでございます。その際、私からは、中間指針の見直し等を含めた今回の判決確定を踏まえた対応の要否につきまして、四月二十七日に原子力損害賠償紛争審査会を開催をし、議論を開始する旨お話を申し上げたところでございます。
そうした流れの中で、実際、四月二十七日に開催されました当審議会におきましては、先ほどお触れになられました確定した判決は、それぞれ、賠償すべき損害の範囲、項目、又は金額等がそれぞれの考え方で異なっておりますことから、今後、専門委員を任命をし、一定程度の時間を掛けて、中間指針等には示されていない類型化が可能な損害項目や損害額の算定方法等の新しい考え方が示されているのかなどの観点から、各判決の詳細な調査、分析を行うこととされているところでございます。
中間指針の見直し等を含めた対応の要否につきましては、こうした専門委員による各判決等の詳細な調査、分析の結果を踏まえまして、引き続き当審査会において御議論をいただくと、このように考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/103
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104・横山信一
○横山信一君 答弁としてはそう言わざるを得ないと思うんですけれども、判決そのものが中間指針の範疇を超えていると、この辺は今度は専門家委員会の先生方の議論にもよりますけれども、そういう意味では中間指針の見直しのときというのを迎えているのではないかというふうに私は考えておりますので、是非しっかりと議論を深めて結論を出していただきたいというふうに思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/104
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105・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/105
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106・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、石井浩郎君が委員を辞任され、その補欠として松川るい君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/106
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107・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 休憩前に引き続き、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/107
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108・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
質疑に入るに際して、大臣の御所見、御見解、伺いたいと思います。
この大学ファンドの予算の一部、六千百十一億円は建設国債で賄われております。しかも、これ令和三年度補正です。当初予算ではないところに課題の本質があるし、建設国債は、言わずもがな、対象を道路や橋などのインフラ、物的資産を得るためのものです。戦後の経済復興を目的として、一九六六年から現在に至るまで発行をされております。
大学ファンドは道路でも橋でもありません。一体どういった整理をされているのか。また、そんなことするくらいなら財政法を改正して、使い道を堂々と教育や科学技術としたなどといった教育国債を新たに認めるなどした方が規律ある財政と言えるというふうに思います。
我々国民民主党、四月二十六日に、教育などへの投資を大幅に増やすため、財政法改正案を参議院に提出をいたしました。教育や科学技術というのは先々の我が国を支えるもので、その財源を国債で調達するのは正当性があるとともに合理的だという考え方であります。
大臣はこれらについていかがお考えか、御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/108
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109・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 伊藤先生にお答え申し上げます。
大学ファンドに対する令和三年度第三次補正予算におきまして、出資金であり、財政法第四条に基づきまして建設国債発行対象経費として、この建設国債を財源としていると承知をいたしてございます、ファンドにつきまして。
一方で、教育、そうですね。それで、第四条に書いてありますのは、ここですね、これですね、国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入をもってその財源としなければならない、ただし、公共事業費、出資金、ここに出資金入っているんですけれども、出資金及び貸付金の財源については国会の議決を経た金額の範囲内で公債発行し、また借入金をなすことができるということでありまして、玉木先生から一度御質問を受けました、衆議院の方でも。建設国債が財源であるということを申し上げたところでございます、六千百十一億円につきまして。建設国債です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/109
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110・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 ですから、その建設国債というのを使っているのも承知をしていますし、財投以外に建設国債だったり金を売ったりしてそういった資金をお集めになったということも承知をしている上で、こういった建設国債というのを使って、しかも補正でというのではなくて、ちゃんとこれ、必要なんですよね。我が国の競争力のために必要だとおっしゃるのであれば、本予算で組んだ方が、また、建設国債なんというところに逃げないで、しっかりと教育や科学技術投資をするんだと、そのために財政法も改正をして教育や科学技術に堂々と投資をするんだと、この国債発行するんだというふうに向かい合われた方がよろしいんじゃないですかというふうにお伺いをしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/110
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111・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 法的に認められたものでありまして、財政当局と話し合った結果でございます。今回の法案は、昨年のJST法に続きましての今回の法案の提出でございましたので、いささか連続性もございます。
それで、先生の今のお話なんですけれども、教育国債のことにつきましても以前衆議院の方で玉木先生からもお話をいただきましたんですけれども、御指摘の教育国債によることにつきまして、安定財源の確保とか財政の信認確保の観点からは確かに慎重に検討する必要がありますけれども、先頃与党の方からも教育国債という文言が含まれた文書が出てくるというような話もあるようでございまして、昨年の末にたしか予算委員会で玉木先生にもこういう答弁したんですけれども、この教育国債につきましては注視をしていきたいという、注目したいと、私はそのように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/111
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112・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 玉木の名を三度も出していただいて、ありがとうございます。
建設国債も、受益と負担で考えると、今の国民のみならず将来世代の国民も橋や道路は使うので、受益者と負担者というのがバランスしているというのが考え方だと思います。この教育もそうで、教育費を、教育を授けてもらって、その方々が学んで、そして働いて納得する納税者になるというところでは、受益者と負担者、バランスがされているんじゃないか、そういうことを言わせていただいたわけです。
この平成の三十年間、国家予算は一・七倍になりました。社会保障費は三・三倍になりました。ただ、この教育、科学技術への投資、ずうっと五兆円台。何度か六兆円台になりましたけども、さしてこの未来への投資というもの、子供たち、若者への投資というもの、そういったものを怠ってきたのが我が国でありまして、ずっと日本の政治家が社会保障費の増大を言い訳にこれらの投資を行ってきた結果、一九八九年から四年連続一位だった日本の国際競争力というのは、今は三十一位というところまで凋落をしております。
この現在の日本の凋落、国際的なポジションの低下について大臣はどのように分析した上での本法案なのか、御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/112
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113・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 凋落というお言葉を先生御使用になられまして、私もこの凋落という言葉をよく使っております。
我が国の研究力、例えば論文数の指標を見ますと、もう先生御承知だと思うんですけれども、近年、主要国と比べて相対的に低下している状況にありまして、この状況に歯止めを掛けて研究力を強化していくということが喫緊の課題であるという、そういう認識に立ちました。二〇〇七年から二〇〇九年の論文数も、第三位であったのが、日本が今四位になりました。トップ一〇%の補正論文数は、五位であったのが、二〇〇七年―二〇〇九年、五位であったのが、実に十位まで下がってしまったということであります。こうしたことは、ほかにも指標、比較する指標があるのかということを聞いた、文科省内でも話し合ったんですけど、やはりこの論文というのはなかなかの存在でございます。
我が国の研究力が相対的に低下している原因としましては、これはもう諸外国が研究開発投資を随分加速させておる、増加させております。我が国との大学と諸外国の大学との資金力の差が生まれているということに加えまして、経済的な不安やキャリアパスの不透明さによりまして、博士後期課程への進学者数とか進学率の減少、例えば百万人当たりでしたら、ドイツは三百二、三十人おられますけど、日本は百二十人というふうに記憶しております。こういったことであるとか、あるいは研究者の研究時間の減少が問題であるということ、若手研究者が腰を据えて研究できる環境が整っていないということ、新たな研究分野への挑戦の不足など、様々な理由があるように考えておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/113
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114・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 大臣がこの研究力の強化というのをおっしゃいました。じゃですね、じゃ、私たちは果たしてこの平成の三十年間で、いつ、何に投資をしてきたらよかったのかという、後悔の念でも後出しじゃんけんの振り返りでもいいんですけども、そういうところがちゃんと分析されているのかというところが非常に疑問に思うというところなんです。
この科学技術研究費という、言わずもがなですけども、これ未来への投資です。これを日本が出し惜しみしている間、大臣のおっしゃるように諸外国、特にアメリカや中国というのは何倍も何十倍もの予算を投じてきましたし、特に中国というのは、研究開発そのものを伸ばすだけではなくて、基礎研究の割合を例えば一五パー以上にすることなどのちゃんとした目標を持って、さらには、アメリカとかヨーロッパとかそういう一流大学に戦略的に自国の若者を送り込んで、その研究者たちが国内に戻ってきて拠点を構えて、その中長期的な産業力、産業競争力や安全保障をも左右すると言われている、これ今量子技術の発展期を迎え、爆発的な躍進につながっております。
なので、なので、我が国の政府はどのような課題に対してどのような研究投資が例えば必要と考えているのかが知りたいし、もっと言うと、政府に名指しが、バイネームができるのかというような疑問があります。失礼ながら、これまでの政治家とかCSTIにそれらができなかったからの凋落の今があるのであって、本施策における選考機関のメンバーは目利きができるのか否かというところが、この政治介入の余地の大きさも指摘されている中で、そういった疑問があるんです。
大臣に質問なんですけども、ゴールは日本の学術研究の国際競争力を高めることですよね。大臣も趣旨説明の中でおっしゃっていました。それいわく、イノベーションの創出や社会課題の解決だというふうにおっしゃっておりました。ならば、その選定側の方々は我が国の今何に課題感を持っていらっしゃって、ターゲットは、ゴールは分かりました、ターゲットは何なのか、そしてそれらをトレースするためのKPIは何なのか。これ、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/114
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115・末松信介
○国務大臣(末松信介君) お答えを申し上げます。
今、国際卓越研究大学制度、創設を目指しているわけなんですけれども、ここ三十年ぐらい日本は後退しておるということでございまして、特に、じゃ、何に遅れたかということになってきましたら、これはもう半導体だって本当に凋落で、他国へ移したばっかりに後悔の念あると。しかし、物は、こんな大きな弁当、飯ごうぐらいの大きさの携帯電話やったのが今スマホになったり、小さくなっていったいうところに大変な技術があるということは確かでございまして、それがなかなか部品調達、材料調達が難しくなってしまっておるという、こういうところにも大きな戦略のミスもあったと思うんですけれども。
これから、やはり当然、人文・社会科学、基礎研究から、AIとかバイオテクノロジー、量子技術などの先端技術分野とかあるいは新興・融合分野におけるまで、卓越大学だけ取り上げれば、これはやっぱり自分で計画を組んで、自分でこうするんだという御提案をしなきゃなりませんから、我々がこれ限定するわけではありませんけれども、先ほど申し上げたようなところの分野が中心ではないかなということ、そういうことを考えているところです。
昨日、昨年に文化功労者を取られました中村祐輔先生っておられるんですけれども、内閣府のSIPの責任者でしたけども、この方と電話でいろんな話をしたんですけれども、先生がおっしゃるとおり目利きが、まあ目利きがいないという、非常にそのことと、長期的ビジョンがなくてその場しのぎが多かったというお話もございました。せめて十年から二十年ぐらいをきちっと見るべきではなかったかなと。コロナのワクチン開発のことについても言及があったところであります。
そういう長期的なビジョンをやっぱり持つためにも、今回のこういった卓越大学につきましても長期的、安定的という、こういった表現が使われているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/115
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116・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 ターゲットはどこですかというふうにお伺いしたのは、またKPIは何ですかというふうにお聞きしたのは、そういったものがいつもぼんやりされているんですよね。例えば、KPI、分からないですけど、特許数なのか、論文数なのか、大学ランキングなのか、スタートアップ数なのか、知財収入なのか、産学連携実績件数なのか、ノーベル賞受賞実績なのか。何が、何のため、何をKPIとして、何を物差しとして測るのか。
目利きが大事というのはそれはそうなんですけども、私が知りたいのは、この大学ファンドで特定の大学に資金提供する方が運営費交付金等の額を増やすよりもいいんだというところを合点したいから聞いていて、まあ私はそうは思っていないからという課題意識ですけども、この手法で、この大学ファンドで政策目的を果たせるのかが知りたい、その大臣がおっしゃるゴールにたどり着けるか、そういった合意形成が可能かどうかをしたくてこの質疑をさせていただいています。
今何が足りないから何を頑張るのか、これ立法事実であるはずなんですけども、半導体とかAIとかバイオとかそういうものが、それらを長期的ビジョンで考えるというようなものをおっしゃっていました。それらを、稼げる大学というんですか、それらをつくろうとされているのも分かるんですけども、それも結構です、稼げる大学をつくるのも結構ですけど、稼ぐって、これ結局結果なんですよね、結果です。だから、ゴールもターゲットもKPIもトレースも改善もないスキームで稼げた企業を私はかつて知りませんので、しっかりとゴールが決まっているなら、ターゲットやKPIやトレースの仕方、それから、それをどのように改善していく仕組みか、それらがこの法案の中にビルトインされているかどうかが知りたい、そういうような趣旨で質問をさせていただいております。
再びそのターゲットについてもうちょっと深掘りさせていただきますけども、これ、ターゲットは、先ほどおっしゃったような個別のAIとかバイオとか半導体とかありますけども、それらって、まず日本国内なのか世界なのかという、その市場のイメージというのも非常に必要です。
例えば、大臣も今少し触れられましたけども、再びワクチン大国を目指すのか。例えばカーボンニュートラルという世界的課題に対してのイノベーションを生んでマネタイズしたいと思っているのか。例えば原子力発電の最終処分、これは誰も逃れられない社会課題です、この社会課題に対して挑むのか。そういうような、このイメージできる、そういったものがぼんやりしていては私たちそれらを納得することできませんので、それらをイメージしてこの法律というのの、この法律の立法事実というのを固めているのか、そういったところをお伺いしたいと思うんです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/116
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117・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 私からお答えさせていただきます。
先ほど大臣からも申し上げましたように、世界と伍する研究大学に目指していただきたいものは特定の分野の振興ということではございません。基本的には、世界最高水準の研究活動を通じて、国際的な頭脳循環のハブとなり、世界中から集まった優秀な人材が新たな学問分野を創出するなど、研究の成果を次々と生み出す。この研究成果につきましては、特定の部分を国が示すというよりも、各大学が強みを生かして研究を、計画を立てていただくということでございます。また、それらの人材、研究成果に基づき、地球規模の課題解決への貢献や、新たな産業及び社会的価値の創出など、社会変革の駆動力となる。この二点が期待されております。
一方で、先生が今触れられた、例えばワクチン拠点であれば、これ別途、令和三年度の三次補正で拠点、ワクチンの研究開発拠点を整備する予算を付けていただきまして、今これ別途公募をして、公募が締め切られて、夏に向けて今審査をしていくという、そういったその個々の分野のターゲットを持って研究振興を行っていく、これは別途やっておりますが、この国際卓越研究大学は、そういった特定の分野の振興というよりは、今申し上げたように各大学が、戦略やそれから指標となるようなものも各大学が自らの強みを踏まえて具体的な姿を計画として出していただいて、これを審査していくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/117
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118・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 やっぱり今の説明聞くと、なおさらその大学ファンドというのは特定のターゲットではなくて、各大学がイノベーションの種を持ち寄って、それらを自分たちがフォローアップすることによって日本の競争力を強くしていくんだという話ですよね。
であれば、物すごく限られた大学に物すごく限られた予算が流れるという仕組みって、やっぱり論理矛盾しているというふうに思いますし、それらが、最初の問いに戻りますけど、運営費交付金をもっと増やす、そういったものではなくこの大学ファンドだという出口にはどうしてつながるのか、もう一回教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/118
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119・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
運営費交付金などの私学助成などの基盤的経費、これは午前中の答弁でも申し上げたように、これはしっかりと措置をしていきたいと思っておりますし、これに加えて、科研費などの競争的な要素のある資金もこれもしっかりと措置をしていきたいと考えております。
今回の大学ファンドは、それに加えて新たな措置として追加的に行うものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/119
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120・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 時間ないんで。
今日の学術研究というのは、複数大学の研究者が連携して実施することが多いです。これ、当たり前です。イノベーションは同質性の高い場所からは生まれないからです。
今回の助成が研究者グループではなくて大学単位なのはなぜなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/120
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121・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
今回は、世界の、海外のトップレベルの研究大学でも数兆円規模の独自財源の基金を運用して、基礎研究や研究者育成など様々な分野で手厚く投資をしていくと、そういった大学では大学自ら裁量を持って機動的に活用して研究を展開しているということがございます。
今回の大学ファンドの支援も、こういったことをモデルにして、各大学が自ら戦略に基づき、裁量を持って機動的に研究環境の整備を進められるようにすることで、大学自体、自律的、持続的な大学運営を可能として、世界と伍する研究大学の実現を図ろうとするものでございますので、対象は大学単位としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/121
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122・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 誰も質問しなかったので、性別についての考え方もお伺いしておきたいと思うんです。
女性科学者の視点というのは欠かせないというふうに思うんですけども、アカデミックにおける女性比率の低さというのは政界同様というふうに言われています。この大学単位で絞ったときに、その人材というのは、そのバリエーションというのは確保できるのか、確保できるとお考えか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/122
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123・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 各大学の計画を見る必要はありますけれども、各大学は、今、文科省としても女性研究者の活躍支援を積極的に展開しておりますので、この卓越大学に申請してくる大学もその辺も踏まえて計画を考えていただけるものと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/123
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124・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 三%の事業成長、この要件は必要なのか、これは度々委員から質問が出ているところでありますけども、研究が稼げるか稼げないかで線引きされたとき、その研究の今はまみえていない可能性を認めることができない環境になったとき、本当にこの国の未来が死んでしまうんではないかと心底危惧をしております。
研究とは何たるかということで、私もごりごりの会社員、ビジネスマンでしたので、新規事業なのに初年度黒字を求められるような会社で働いておりましたので、この稼げるということについては私も腐心してきたものではあります。そんな私でも、研究というのはビジネスとは相入れない部分があるというのはこれ感覚として備えているところなんですよね。
この年三%の事業成長というものが、例えば学生の授業料が増えるとか教員の任期付きポストが拡大するなどの弊害が指摘されているところではありますけども、これは絶対にないんだというところは確認させてください。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/124
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125・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 先生から授業料が上がるんじゃないかというような御指摘もあったんですけれども、国際卓越大学、世界と伍する研究大学となることを目指しまして、確かに年三%以上の事業成長を求めることといたしてございます。事業規模を広げることで得られる資源を中長期的視点で人材育成とか研究基盤に再投資する好循環を構築することが重要でございまして、したがいまして、研究内容の充実と関係なく、単に事業規模を拡大させるからといって、授業料の値上げをするということ、経済的負担を増加させるということは全く想定しておりません。これはもう明確に先生にお話し申し上げたいというふうに思います。
それと、このまあ三%、事業を目指していくということについて、稼げるかどうかということについては、純利益が三%上がるというんじゃなくて、事業拡張を併せな、先生方を雇ったりとか施設を造ったりとか、まあ全くそういった意味での三%の拡大でありまして、そういう意味では、大学の権能の、機能の拡張に伴うということですから、教育、研究、社会貢献にわたる大学全体の質、規模が拡大していって、年間三%以上の事業成長実現を目指しているということであります。
教育も広がり、研究力も高まり、社会貢献も高まるという、そのことを、そして雇用も当然生み出されるという、こういったことを考えての三%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/125
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126・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 授業料が増えることはないし、教員の任期付きのポストが拡大することもないというふうに、(発言する者あり)まあとおっしゃいましたね、ということでよろしいんだと。(発言する者あり)はい、結構ですと言っていただきました。
では最後に、一番お伝えしたいのは、大臣に是非研究者を落胆させないでくれということをお伝えしたいというふうに思います。
この日本が凋落したのは、もちろん私たち怠けていたわけではありませんで、相対的に未来への投資を怠っていたからであります。この近視眼的な政策を実施してきた政治の責任はとても大きいというふうに思います。
こういった世界のゲームルールというのは時々刻々と変わりますし、こういった需要も変わります。デバイスも進化をします。それらが我々の生きている時間、二十四時間をどういうふうに変化させるのか。人間は元々怠惰な人間ですから、この怠惰をいかにもっと楽にさせてくれるのか、もっとこの欲望というのを満たしてくれるのか、それをマネタイズするというのがビジネスであるというふうに思います。
これ全て、技術やサービスというのは人しかつくれないです。AIにはつくれないです。そういう人にしかつくれない技術やサービス、これらが会社になって、産業になって、経済を成して、そこに雇用が生まれて、暮らしがある。なので、ちゃんと人という未来そのものに投資をしていかなければならなかったのに、それをしてこなかったので、この過小投資のツケを私たちは今から支払うことになります。
成立いたしましたが、政府の経済安全保障法案から人材の視点が抜けていることを大変危惧いたします。特許が流出するより怖いのは、人が流出することです。人の脳、日本で育ち、日本を愛し、それらを、その主体者である若者とか研究者が逃げてしまうのが、白けさせてしまう法律を作り続けて、そしてどこかに行ってしまうのが一番怖い。大臣にその危機感を強く持っていただくことを要望し、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/126
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127・片山大介
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。
じゃ、同じ質問がちょっと繰り返される可能性ありますけど、そこを御容赦いただければと思います。
この今回の大学ファンドについては、去年一月、JST法の改正が行われて十兆円の規模のファンドが置くことが決まったと。そして、この国会で、国際卓越研究大学を認定して大学ファンドによる助成を行う仕組みの法案が今こうやって議論されている。まあ、恐らく成立するんでしょうと。さらに、その現行制度では国立大学法人が国際卓越研究大学になる要件を満たせないので、次の国会以降で国立大学法人法の改正も予定されている、こういう流れなんだとは思うんですけれども。
まず聞きたいのが、去年、JST法が改正された後、その総理が議長を務めている、先ほどから話が出ているCSTI、総合科学技術・イノベーション会議が、世界と伍する研究大学の実現には長期的な視点から年間三千億円程度の支援額が必要であると、取りまとめを公表したんですけれども、まずこの年間三千億円が必要と算出したこの積算根拠、ここから教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/127
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128・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 法案の流れは先生の御指摘のとおりでございます。
世界における我が国のこの経済規模を踏まえますと、我が国において数校程度の大学が世界と伍する研究大学となることが期待されているところでございます。現在、諸外国のトップレベルの研究大学では、ウン兆円という単位でのファンドから年間数百億から大きいところでは一千億規模にも及ぶ運用益を得まして、若手研究者の支援や研究基盤の構築に活用しているのに対し、我が国のトップレベルの研究大学は財政基盤の面では大きく後れを取っております。先生お詳しいと思いますが、ハーバードでも二千億ぐらいございますし、オックスフォードで、ここは大分落ちて百四十億ですけど、イエール大学は千四百億ということになっております。
このような資金力の差が我が国の大学の研究力が相対的に低下する一因となっていることから、諸外国のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるには、一校当たり年間数百億円規模の集中的支援を行うことが必要であるという認識に立ちました。
このように、世界に伍する研究大学と、ポテンシャル大学数校程度にしまして、一校数百億円で総額三千億円程度の集中的支援を行いまして、世界の主要大学との財政面での格差を速やかに解消したいという思いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/128
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129・片山大介
○片山大介君 じゃ、その支援を受けれる大学、今のこの計画というか法案では、これ数校程度って、これさっきも質問あったけど、数校程度にされていますよね。この数校というのはもう少しちょっと明確にはできないのかどうかという。これ、数校というと、二、三校もあれば七、八校もありますけれども、その要件を満たしたら認定するというのであれば、全てそういう要件を満たしたものは認定するのか、それとも、ある程度数校に達した時点で後はもう募集打切りにするのか、それとも、あとほかにもいいのが出てきたらそれ入れ替えたりするのか、ちょっとそこの考え方、仕組みを教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/129
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130・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
本法案におきましては、申請大学が研究及び研究成果の活用の実績、体制などに関する一定の基準を満たしていることを確認し、国際卓越研究大学として認定するとともに、当該大学が作る研究等の体制強化のための計画について、その目標や取組等を踏まえ、世界と伍する研究大学の実現につながるものであるかを確認し、認可をすることとしております。
これらの認定、認可に当たりましては、研究力、事業・財務戦略、ガバナンス体制の観点から、諸外国のトップレベルの研究大学と競い合えるかどうかという高いハードルを越えられる大学のみを対象とすることを予定しております。このため、支援対象となる大学は、我が国の現状を踏まえれば数校程度となるものとしております。
一方、将来的には、自律的な財務基盤の構築が進み大学ファンドの支援対象から卒業する大学や、新たに国際卓越研究大学として認定される可能性のある大学が出てくることも想定されます。
詳細な認定、認可の要件や募集の頻度などにつきましては、こうした状況も踏まえ、基本方針等を策定する中で検討するとともに、その後、一校に対して数百億円規模の支援を行うという制度趣旨や、大学ファンドの運用状況、支援の効果なども踏まえつつ、必要な措置を講じていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/130
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131・片山大介
○片山大介君 そうすると、数ありきみたいな、数校内にとどめるという感じなのか、ある程度その要件を満たしている大学が多かったらこれをかなり広げることもあり得るという感じなんですかね。ちょっとそこのイメージ、教えてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/131
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132・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 法案に書かれているわけではありませんけれども、この制度を検討したCSTIの専門調査会の議論の中では、数校というのは、まあ五から七程度というような発言も出ております。
一方で、固定的に一つの大学がずっと支援を受けるということではなくて、先ほど申し上げたように卒業する大学や、あるいは計画を極端に割り込んで計画どおりにいかない大学などは認可を取り消すということもあり得ますので、そういった場合には入替えもあり得るものとして構想されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/132
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133・片山大介
○片山大介君 ほかの大学もある程度認定されるような、何か希望を持てるような、そういうふうな形で進めていってほしいなと思いますね。
それで、あと、この大学として認定されるには省令で定める基準に適合することが求められると。
CSTIは、その認定要件として、自律と責任あるガバナンスの体制、これが合議体の設置とかですね、それから国際的に卓越した研究成果の創出、実効性高く意欲的な業務、財政戦略の三つを挙げていると。
では、このうち、その合議体としての意思決定機関の持つことについて、それ現行制度だと、国立大学は大体学長が最終的な意思決定権を持っているので、その合議制の意思決定機関は今現在も同時にすることはできないと。
それで、政府はこれまで、国立大学についてはおおむね学長のリーダーシップ強化の方向でガバナンス改革って行ってきたんだけれども、今回のこの国際卓越研究大学では、その学長のリーダーシップの更なる強化というんじゃなくて、少しそのベクトルを変えた形でその合議体の設置を求める方向にしたというんですけれども、その世界と伍する研究大学になるためにはその合議体の設置が必要だというような理由をちょっと教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/133
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134・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 先生からは、その合議体の設置の有効性というんでしょうか、御指摘だと思うんですけれども、世界と伍するこの研究大学の位置付けに当たりまして、大学には、この学内外の英知を結集しましてビジョンを明確化するという、で、社会からの支持、支援を得まして、それによって自律的に成長していく一つの循環、好循環を形成することが求められているという考え方です。
このようなビジョンに基づきまして長期の成長戦略を実行していくためには、これ学長一人の指導力のみならず、経営とかあるいは教育研究とか国際展開などに関して専門性を有する方々を集まっていただいて経営方針を充実させるとともに、一つには、その中長期の成長戦略に資する安定的、継続的な経営方針としていくことが必要だと思うんです。というのは、なぜ中長期かといいましたら、話あったんですけれども、やはり学長が替わっても一定度のこの事業の方針は変わらないという、このために中長期の成長戦略に資するということを掲げてございます。
そういう考え方に立っての合議体の設置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/134
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135・片山大介
○片山大介君 そうすると、これはこの今回の国際卓越研究大学のみの話なのか、その今回認定されないほかの大学でも今後そういうような必要性を考えているのか、そこの考え方はどのようになっていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/135
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136・増子宏
○政府参考人(増子宏君) お答え申し上げます。
国際卓越研究大学におきましては、ビジョンに基づく中長期の戦略の実行や長期的視点に立った研究や人材育成、大学の自律性を重視したそういうような観点から、経営方針の決定などに関与する合議体の設置などにより、自律と責任あるガバナンス体制の構築を求めることとしているところでございます。
一方、国際卓越研究大学以外の大学につきましては、国際卓越研究大学と同様のガバナンスを求めるものではないんですが、これまでも国公私立の設置形態ごとに教育研究体制の整備とか自律的な発展を図ることを目的といたしまして、より良いガバナンスの実現を目指して必要な改正を行ってきているところでございます。
例えば、先生御指摘の国立大学法人については、昨年の通常国会における国立大学法人法の改正によりまして学長選考・監察会議の権限の強化、あるいは監事の体制強化などを行いまして、今年四月から新たなガバナンス体制が始まったところでございます。
また、私立大学を設置する学校法人につきましては、これまでも監事機能の強化や情報公開の充実など必要な制度改正を行うとともに、理事会、評議員会の各機関の権限を明確に整理し、建設的な協働と相互牽制の確立などを目指す制度改正の検討を今進めているところでございます。
文科省といたしましては、引き続き、大学法人のガバナンスの在り方について、社会からの要請を踏まえた検討を必要に応じてやっていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/136
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137・片山大介
○片山大介君 この研究大学の認定は、やっぱりほかの大学、いろいろ目指すべきなんだと思うんですけど、そうしたら、ある程度今言った感じだとダブルスタンダードみたいなイメージになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/137
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138・増子宏
○政府参考人(増子宏君) あくまでも、今回の国立研究大学法人につきましては、まさに多額の運用益が回ってくるということで、一人の学長だけではなかなかその辺の責任が果たせないだろうということで合議体を設けておりますので、その他の国立大学法人につきましては、通常どおり学長のリーダーシップで大学運営を図っていただくという従来どおりの形で当面はいきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/138
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139・片山大介
○片山大介君 分かりました。
それで、この合議体のその権限とか責任というのは、じゃ、そうするとかなり強いものになるのか。ちょっと、その権限と責任はどのようなイメージで考えているのか、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/139
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140・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 国際卓越研究大学に設けられる合議体につきましては、二月に出ましたCSTIの専門調査会などでも御議論をいただいておりますけれども、経営戦略の策定と先導など経営に関する重要事項の決定に関与するとともに、組織的なコンプライアンスの確保、強化など執行に関する監督を行うことを想定しております。また、経営戦略の執行を担う大学の長の選考についても合議体が関与することが必要だというふうに整理いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/140
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141・片山大介
○片山大介君 分かりました。
じゃ、ちょっと時間ないんで、次行きますけど、これもさっきから話出ているこの年三%の事業規模の成長の達成。私もこれちょっと聞きたいんですけど、それ、合議体が今言ったその三%成長の責任主体とされているんですが、その事業規模を成長させるにはその収入を増やすことが必要になってくるんですけど、大学だと、国立大学法人運営費交付金や私学助成、授業料、附属病院収入、受託研究費、寄附金、大学債、大学ファンドから、今回の大学ファンドからの配分など、いろいろあるんですけれども、三%成長というのは何を指すのかをちょっと聞きたいんですけど。例えば、大学ファンドからの配分による収入が例えば増えたとして、それも三%成長として認められるものなのか。そもそも三%成長として考えられる、考えている範囲というんですか、そこを教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/141
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142・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
CSTIのこれまでの議論、それから文部科学省の有識者会議の議論では附属病院収入を除くという案が有力でございますけれども、それ以外の大学全体の事業を、事業規模を念頭に議論が行われております。
具体的には、大学発ベンチャーの創出とか、卒業生を含む関係者からの寄附、大学独自基金の拡充などもそうですし、これらと大学ファンドからの支援も活用して事業規模の拡大を実現していただきたいというふうに考えております。具体的には、今後、基本方針や省令などで具体的な範囲は決めていくことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/142
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143・片山大介
○片山大介君 じゃ、この三%が達成できるかどうかというのをちょっと考えてみますと、国立大学法人など八十九の法人の令和二年の事業年度の経常収益見ると、三六%が附属病院収益、それから三二%が運営費交付金の収益、それから一七%が補助金、受託研究、寄附金などの外部資金、一〇%が授業料などの学生納付金収益、五%が自己収入などとなっていると、こういう何か数字らしいんですけど、このうち、運営費交付金については、日本の今の政府の財政状況で政府が毎年三%増額させられていくかというと、なかなか簡単じゃないような気もしますよね。授業料収入だって、先ほど大臣も言われたけど、ハーバードとかああいうオックスフォードみたいなところは、世界トップレベルの大学で世界中から集まるからそれもある程度入ってくるんだと思うんですけど、日本の大学はなかなかそういう状況じゃないですよね、現実の問題として。
だから、そうすると、じゃ、どのようにしてその三%成長させていくのか。企業との共同研究や寄附金などを増やす努力を行うといっても、全体の収入に占める割合がそもそも小さいから本当に三%成長ってできるのかどうか。それで、それ調べたら、このCSTIのまとめだと、政府に対して三%の事業成長の達成に向けて何か具体的な手法を提示するように求められているともいうんですけれども、現状で今どのように考えているのか、併せて教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/143
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144・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
事業規模の考え方については基本方針等で定める予定としておりますが、先ほど申し上げたように、病院収益を除いた経常収益に占める事業規模ということを前提に考えておるところでございます。
具体的には、外部資金の獲得の多様化に向けて、例えば、組織単位での大規模な組織的な産学連携の推進や大学発ベンチャーの創出促進、卒業生を含む関係者からの寄附、大学独自基金の拡充による運用益などの自己財源の獲得を進めていただくということを考えております。
また、大学からのいろいろ提案も含めて関係者からのヒアリング、意見交換も行いまして、現場の具体的なニーズも把握しながら、良い知恵がないかを探っていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/144
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145・片山大介
○片山大介君 もう一度聞きたいんですけど、じゃ、そうするとその三%成長ってやっぱり簡単じゃないようには思いますけど、大丈夫ですか。それできなかった場合どうなるのかを含めてどのように考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/145
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146・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) そういったことのために、大学、プロボストと並んでCFOなどの体制も強化もお願いをしたいと考えておりますし、また、短期で三%というのはおっしゃるとおり非常に難しゅうございますので、中長期的にきちんと将来に向けて研究基盤や人材育成などが行われているかどうか、短期的な視点ではなく、少し長い目でもきちんと評価をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/146
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147・片山大介
○片山大介君 それから、あとちょっと質問の順番を変えて、今回のその支援の原資が、これ大学ファンドの運用益ですよね。これについてちょっと話を聞きたいんですけど。
運用益でやっていくので、だから利益の出る年もあれば出ない年だってあるでしょうと。大学ファンドでは、これ長期支出目標が三%プラス長期物価上昇率一・三八%以上を運用目標としている。これ、ほかの例で出すと、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人の収益率は、およそ二十年間の平均で年率三・七九%、海外有名大学の基金の年金収益率も二十年間平均で八、九%ということなので、長期的なスパンでは想定の収益率を出せるかもしれないなというのが分かる。だけれども、短期的に、今年、来年かどうかはというのは分からないんじゃないかと。ちなみに、さっき言ったGPIFは、運用開始の初年度は赤字だった、だけれども、原資が年金積立金で当面は運用益をペイアウトする必要がなかったので、原資にも、あっ、利子も掛からなかったと。
だけど、一方、今回の大学ファンドは原資のおよそ九割を財政投融資資金が占めて、毎年三千億円をペイアウトする必要もある。ちょっと違うんですよね。そう考えると、この運用益の、計画どおりいくのかどうか、そこら辺どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/147
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148・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 大学ファンドのこの財政融資資金を確実に償還するため、大学への支援の財源は運用益のみに限定をいたします。大学への支援のためにこの財政融資資金を取り崩すことはできない仕組みとしているため、そもそも財源となる運用益が積み上がらない場合には、先生、それは支援開始時期が遅れるということになってしまいます。
取りあえず三千億を目指しております、単年度。景気の悪いときもあると思うんです。ですから、バッファーとしてもう三千億積んで、六千億というところで、次の年が、その年がなかなか積み上がらないときもバッファーの三千億で助成をしていくという考え方です。じゃないと、ある学校に百億行っていて、百億とあって、百億やって、そのときに、次に事業費が入ってこないとなったら大変な問題になりますから。そういうためのバッファーもありますけれども、おっしゃるとおり、運用状況については厳しい状況にありましたらすぐに報告を求めるように、JSTからも、なってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/148
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149・片山大介
○片山大介君 そうすると、今の予定だとあれですよね、各大学への運用益の配分って令和六年開始の予定ですよね、たしかね。すると、それ、例えば今年とか来年の運用がうまくいかなかった場合はその支援開始時期を遅らせることもあるという、スタートが遅れることもあり得る、そういうことでいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/149
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150・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 先生おっしゃるとおり、遅れることもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/150
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151・片山大介
○片山大介君 そうすると、だけど、あれですよね、できるだけ予定どおり始めた方がいいとは思いますけど、そこら辺はどのような兼ね合いで考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/151
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152・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
この検討に当たってのCSTIの専門家による議論でも、国内外の成長を取り込むことで四%程度の運用目標は十分達成可能という見解が示されておりますけれども、私どもも、JSTの専門家の充実などを通じて、長期安定的な投資運用を行えるよう、今全力を挙げているところでございます。
万が一、経済状況によってそこが厳しくなった場合は、大臣がお答え申し上げたとおり、運用の開始を若干ずらすということになりますけれども、そういうことがないよう、今体制整備と仕組みをきちんとつくって進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/152
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153・片山大介
○片山大介君 そうすると、それ更に大きな損失が発生した場合、そこまでいった場合はどのようにお考えなのか、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/153
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154・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 先ほど来申し上げていますように、そういうことがないよう万難を排して運用をしてまいりたいと思います。
大臣が御答弁申し上げたように、今年の一月に助成資金運用の基本指針におきまして、リスクが生じた場合にはすぐに文部科学大臣に報告を求めてもらう、求めるといったようなルールを決めておりますのと、JSTにおいても、運用担当理事を始め体制を強化するとともに、金融、資産運用の専門家を招いて運用・監視委員会を設けておりますので、ここの見解や対策を随時文科省に報告をしてもらうというようなことも含め取り組んでまいっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/154
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155・片山大介
○片山大介君 その場合によってはこのファンドの取組自体が中止に追い込まれるみたいなそういったこともあり得るのかどうか、そこら辺はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/155
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156・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 基本的に、単年度で見ると運用ができないということも可能性としてはあるかもしれませんけれども、基本的には、まずはそういうことがないようしっかりと運用をして安定的な運用をしていきたいと、長期的には安定的な運用ができるというふうに考えております。
それから、万が一、非常にリスクが高い状況であればJSTから報告が来るようになっておりますので、それも踏まえて文部科学省が専門家の御意見も踏まえて運用方法の見直しを行うなどの必要な措置がとれるような仕組みになっておりますので、適切に対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/156
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157・片山大介
○片山大介君 これで終わりますけど、是非慎重に、しかもしっかりと、これ期待している大学も多いと思いますから、やっていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/157
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158・吉良よし子
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
現在、研究力を測る主要な指標である論文数や注目度の高い論文数について、我が国の国際的な地位は低下が続いていて、その背景に、大学における若手研究者の任期付きポストの割合が増加し雇用が不安定化していること、大学等教員の研究時間が減少していること、長期にわたって安定的な研究資金が不十分であること等が指摘されていて、だから本法案で大学ファンドの運用益で支援をするというわけですが、この支援される国際卓越研究大学の数というのは、先ほど来指摘があるとおり、数校にとどまるわけです。
これで日本の研究力全体が本当に底上げされると考えているのでしょうか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/158
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159・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 今般の大学ファンドからの国際卓越研究大学への支援は、諸外国のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるため、一校に対しまして数百億円規模の集中的支援を行う必要があることから、対象を数校程度に限ることといたしました。
一方、我が国全体の研究力の強化には、トップレベルの研究大学の支援のみならず、その基盤となる優秀な人材育成とか、あるいは、全国の大学が個々の強みを伸ばしまして、各大学のミッションの下に多様な研究大学群を形成することが重要であると考えております。このため、大学のファンド運用益からは、先ほど申し上げました全国の優秀な博士課程学生の支援ももう既に実施をいたしておりまして、二百億、四百億と、全部で六百億の援助を行ってございます。これファンドからです。
また、ファンドによる支援以外にも、世界トップレベル研究拠点プログラムや共創の場形成支援プログラムなど、基になります地域の中核大学への特定分野に強みを持つ大学への支援策など、総合振興パッケージとして同時に講じることといたしているところでございます。
運営費の交付金の基盤的経費を含む従来への支援策も引き続き重要でございますので、しっかりとあらゆる施策を動員、総動員しながら対応いたしてまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/159
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160・吉良よし子
○吉良よし子君 ほかの施策もやるしと、若しくは若手研究者に対しては全部で六百億円支援もするしと、だからというお話、大丈夫だというお話だったかと思うんですけれども、そういう若手研究者、全部で六百億ですよ。一方で、大学ファンドは一校につき数百億ですよ。やっぱり予算規模見ると全然規模が違うわけですよね。ほかの施策パッケージ支援といっても、それだって予算規模小さいし、それすら受けられない大学だって出てくるわけで、これで私、全ての研究力、日本の研究力全体が底上げされるものとは到底思えないわけですが。
この国際卓越研究大学認定の仕組みについても伺っていきたいと思うんですが、これ認定する際には、具体的な目標と大学の成長戦略などを記載した計画を提出していただき、文科大臣が認可をする仕組みだという説明がこの間されているわけです。
要するに、この認定、認可のためには計画の提出が必要という立て付けなわけですが、じゃ、この計画というものの、ちょっと質問通告飛ばしますが、この計画というものの期間、この期間はどの程度の期間を想定されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/160
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161・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
世界と伍する研究大学を実現していくためには、支援対象大学の研究基盤の抜本的な強化や若手研究者への長期的、安定的支援を行っていくことが重要でございますので、短期的な成果主義に流されないよう、その活動を長期的に後押しすることが必要であり、また、財務基盤が十分に、各大学の財務基盤が十分に強化されるまでには時間が掛かることから、継続的、安定的に支援を行うことを考えております。
こうした趣旨や、それからこれまで行ってきた既存のプロジェクトなどの支援期間などを踏まえると、大学ファンドからの支援期間については一定程度の長期性を有する必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/161
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162・吉良よし子
○吉良よし子君 一定程度の長期的って、具体的に言うと何年ぐらいなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/162
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163・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 具体的に何年ということは、今後、これからルールの詳細については関係府省とも協議して決めてまいりますが、これまで、例えば長いものでWPIがございました。これは原則十年で、成果が上がっている場合は十五年、五年延長が可能でございますので、少なくともこういった既存の事業よりは長い期間が想定されるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/163
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164・吉良よし子
○吉良よし子君 要するに、長い支援が必要だし、計画自体も、十年で終わるというよりは、もう十五年、それ以上の期間の計画を立てて、それに基づいて支援をしていくという話になるわけですね。
だから、先ほど、将来的に卒業ということもあり得るし、若しくは認可の取消しもあり得るわけで、多少の入替えもあるよねみたいなお話ありましたけど、多少の入替えあったとしても、要するに、世界に伍する研究大学にならない限り支援は終わらないし、それはもう五年とか二、三年とかいう話ではなくて、十年以上、十五年とか二十年とかそういう長い、これまでにない異例の長い期間の支援に、しかも数校に限定した支援になるというわけで、これ、要するに、国際卓越研究大学という僅か数校の大学というのはかなり長期にわたって固定化するということになるんじゃないですか。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/164
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165・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 最初に、先ほど先生に答弁の中で、博士課程の支援ですけれども、基金でございます。大学ファンドじゃなくて、基金でございます、二百億と四百億、六百億は。訂正をいたします。申し訳ありません。
それで、お答えでありますけれども、世界と伍する研究大学を実現していくためには、支援対象大学の研究基盤の抜本的強化や、若手研究者への、今話ありましたように、長期的、安定的な支援を行っていくことが重要でございまして、大学ファンドからの支援期間は確かに一定度、一定程度長期を有する必要があると考えてございます。
そうした中で、我が国の全体の研究力強化のため、大学ファンドの運用益は、国際卓越研究大学への支援のみならず、今申し上げましたように、博士課程学生への支援も実施をいたします。加えて、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援策を総合振興パッケージとして同時に講じることといたしてございます。
いずれにしましても、将来的に、ファンドからの支援の対象大学におきましては自律的な財政基盤の構築が進んで支援から卒業するとともに、新たに国際卓越研究大学として認定される可能性のある大学が出てくるものと想定をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/165
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166・吉良よし子
○吉良よし子君 一定程度長期的な支援になるということを否定されていないわけで、要するにそれはやっぱり数校固定化したままの支援だということが前提だと思うわけですね。やっぱりそこに、じゃ、いきなり条件満たしたから十校増やしますとかそういう話には決してならない、もう数校が数十年、数百億円支援が続く、そういう数校だけに特化して半永久的に支援する、そういうやり方ではやっぱり日本の研究力全体の底上げという話ではないと思うんです。
昨日、この法案の廃案を求める大学横断ネットワークの皆さんによる集会がありまして、そこでもやっぱり、特定少数の国際卓越研究大学のみに資金を投入することによって研究力の指標とされる論文数が挽回できるとは考えられないと、そういう指摘もあったわけで、これでは話にならないと、研究力を底上げするという本来の目的とは全く懸け離れた事態になるよということを指摘したいと思います。
また、その計画についてもう一つ伺いたいんですが、衆議院などでは、文科大臣は、大学ファンドによる支援の前提として、大学のビジョンに基づき大学自ら作成した計画が、この基本方針、要するに、国の定めた基本方針に定める体制強化の目標や計画の認可に関する基本的な事項と適合していることを確認すると答弁があったわけです。
つまり、作成する計画というのは国の方針に沿う体制を強化しなきゃいけない、これまでの今までどおりの取組じゃ駄目で、国の方針に沿った新しい取組を、体制をつくらないと認められないと、そういうことでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/166
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167・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 私からお答えさせていただきます。
まず、国の方針と申し上げましたけれども、先ほど来答弁いたしているように、特定のこの分野の研究をやらなければ駄目ということを国が示すわけではございません。そういった分野を特定せず、研究の充実と、それから事業戦略をしっかり、事業戦略と財務基盤をしっかりしていただくということと、ガバナンス、その三点を中心に具体的にポテンシャルを見ていただくということになってございます。
もう一つは、これはこれまでの基盤的経費に加えてこのファンドの支援という、基盤的経費や競争的資金に加えて大学ファンドによる支援を追加的に行うものでございますので、そうしたことを踏まえて、各大学が明確なビジョンに基づく研究基盤の強化の計画を策定していただくということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/167
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168・吉良よし子
○吉良よし子君 要するに、これまでにない体制つくらなきゃいけないし、国の方針に従うといっても、研究内容にどうこうするわけじゃないとおっしゃいますけど、でも、その中に、先ほど来の議論の中にある三%の事業成長とか、そういうことが含まれるわけですよね。それがやはり政策誘導だと思うし、午前中の質疑等でも、CSTIという総合科学技術・イノベーション会議が結局その意見が反映されるということもしているとおり、やっぱり国の要望、関与というのが強くなると思うんです。研究者の皆さんからも、そういう、この仕組み自体が研究への政財界の関与が著しく進むと、利権の温床にもなるんじゃないかと、そういう指摘も出されているわけで、これも本当に問題だと思うんです。
そして、先ほど、事業成長だけじゃなくて、研究の充実と、そしてガバナンスが必要だって話もありました。このガバナンスについても伺いたいんですけれども、この国際卓越研究大学では新たに安定的、継続的な経営方針が可能な合議体、ガバニングボードとしての意思決定機関を持つことが適当とされているわけですけど、なぜこうした合議体設置しなければならないのか。また、この合議体というのは、国立大の場合は構成員の相当程度、半数以上が学外者とすることが適当となっていますが、なぜ学外者半数以上なのか。またあわせて、教学と経営の分離というのもどうしてそれ分ける必要があるのか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/168
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169・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
世界と伍する研究大学の実現に当たっては、大学には、学内外の英知を結集してビジョンを明確化し、社会からの支援や、支持や支援を得て、それによって自律的に成長していく好循環を形成することが求められます。
このようなビジョンに基づく長期の成長戦略を実行していくためには、合議により経営を行う体制を構築し、安定的、継続的な経営方針の下、長期的視点に立った研究や人材育成を行っていく必要があります。また、財源の多様化に対応した利益相反の管理など、組織的なコンプライアンスの確保、強化も重要と考えております。このため、国際卓越研究大学には、経営方針の決定などに関する合議体の設置を求めることとしております。
また、合議体の役割を踏まえれば、合議体の構成員としては、当該大学の教育研究に関する専門性を有する者に加え、例えば国内外の大学の経営や国際展開、研究成果の活用、財務戦略に関する専門家、また法律や会計に関する専門家などが入ることも想定されます。こうしたことから、国際卓越研究大学の制度設計を担った文部科学省の有識者会議の報告書においては、合議体の構成員のうち相当程度、例えば過半数、半数以上などは学外の人材となることが想定されるとされたところでございます。
また、国際卓越研究大学において、多様な財源の確保等による強固な財務基盤の確立や優秀な研究者の獲得、研究者が研究に専念できる研究環境の実現等のためには、経営の執行責任者を有する大学の長と、教学に責任を負う教学担当役員、プロボストの役割分担により、経営機能と教学機能のそれぞれ大幅に強化していくことも求められます。
このように、国際卓越研究大学には、合議体の多様で専門的な知見を有効に活用することや経営と教学の役割分担により、研究力の強化につなげていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/169
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170・吉良よし子
○吉良よし子君 要するに、成長戦略をつくるために合議体が必要で、その成長戦略にたけた外部の意見が必要だから外部の学外者が半数以上じゃなけりゃいけないと。教学と経営の分離と言うけれども、要するに経営の方にはできる限り教学には口出してほしくないということも表れているんじゃないかと私は思うんですけど、そうやって学内の意見を聞かないまま、学内の資源配分を含めたそうした中身、大学の再編を学外者が主体の経営が決めていく、そういうふうにしてこの学部、学科、研究領域の再編をとにかくやり抜く、それを求めるのがこの合議体の役割と、そういうことですか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/170
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171・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 国際卓越研究大学におけるこの合議体の設置につきましては、大学内外の英知を結集したビジョンの明確化とともに、社会からの支持、支援によります成長の実現、そして長期的視野に立った研究や人材の育成、財源の多様化に対応した利益相反の管理などの組織的なコンプライアンスの確保及び強化でございますので、そういう点では、先生が御指摘をされた部分とはここは一致するわけなんですね。
どのような分野の研究基盤をどのように強化をするかについては、これは自ら定めるビジョンに基づきまして、私は自主自律という言葉を、自主的、自律的という言葉を衆議院の答弁でもよく使いました。だから、このビジョンに基づきまして、大学の強みや国内外の研究動向も踏まえながら、各大学において検討されるべきものであります。
この検討の中で、必要に応じてその大学の学部、学科、研究領域の再編も含め具体策が講じられるものと思っておりますけれども、合議体そのものの存在が学科、学部の再編を促すものでも何でもございません。それだけは、先生、ここは御意見いろいろとあろうかと思いますけど、必要でございます。
諸外国のトップレベルの研究大学では、事業規模を広げて中長期的な視点で資源配分も可能となり、新たな学問領域の創出も含めて学術研究、基礎研究の展開をしていきたいと、そのように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/171
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172・吉良よし子
○吉良よし子君 合議体そのものが再編を促すものじゃないとかおっしゃいますけど、やっぱり合議体は今度学長より上に置くと、権限としては最高の意思決定機関にするという、そういう話になっているわけですから。そこで、自主自律なんて言いますけど、課されているのはやっぱり事業成長三%という目標なわけで、そこを目指すための会議、議論がされるというのがこの合議体で、その目標に沿っていけば、やはりもうからないような研究というのは淘汰の対象になっていく。しかも、そこの合議体のメンバーは半数以上が学外者というところでいえば、学内の意見というのが通りにくくなる、もう学内の声が本当にないがしろにされる、大学の自治が壊されるという事態になるんじゃないかということを指摘しているわけなんです。
本法案に反対する署名、昨日もその集会あったと言いましたが、それはこの一か月、約一か月の間に一万八千筆も集まっているわけです。その最大の主張は、こうしたガバナンスの問題であるとか、国の方針をどんどん押し付けることになるじゃないかとともに、本法案によって学ぶ場である大学を稼げる大学へ変質させるんじゃないかと、そういうものなんです。
その点に関しては、やっぱり規制緩和の問題があると思うんですが、この国際卓越研究大学、特に国立大学については基金の積立てを可能とする仕組みの創設、長期借入れや債券の発行要件の緩和といった事項のほか、国立大学法人が業務として子会社を設置し資産運用を可能とすること、さらには授業料まで規制緩和を行うということをしている、となっているわけですけれども、なぜこの規制緩和、行うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/172
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173・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
国際卓越研究大学には、大学独自基金を造成するなど自律的な財政基盤を確立し、将来的には大学ファンドの支援から言わば卒業していただくと、持続的に事業規模の拡大を図る大学へと成長していただくことが期待されております。このため、規制緩和は経営の自律性を高めていくためには不可欠なものであると考えております。
具体的に、先ほど申し上げた文科省の有識者会議においても、大学のニーズも念頭に置いて必要な措置を検討しておりまして、例えば、今御指摘をいただいた授業料設定の柔軟化、長期借入や債券の発行要件の緩和、大学所有資産の活用における認可の緩和といった事項が挙げられております。
文部科学省としては、引き続き関係者からのヒアリングや意見交換を通じ、また現場の具体的なニーズを把握しつつ必要な対応を検討するとともに、国際卓越研究大学から規制緩和を提案していただく機会も設けるなど、こうしたことを積極的に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/173
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174・吉良よし子
○吉良よし子君 要するに、この事業成長のための自律的な財政基盤を確立するための規制緩和だとおっしゃるんですけれども、財政基盤の確立というんだったら、この間ずっと運営費交付金を削減してきて財政基盤を壊してきたと、そのことをやっぱり文科省は反省すべきだと思うんですよ。そうやってお金ない状態にしておいて、あとはもう大学自ら稼いでくださいという。本来、大学は学ぶ場であって、そこに稼げるかどうかという視点を持ってくること自体、やっぱり大学の在り方大きくゆがめるんだということを私指摘したいと思うんです。
そして、この規制緩和、やっぱり見過ごせないのが授業料の部分なんです。先ほどの答弁なんかでも、単に事業規模を拡大するための授業料の値上げなどは想定していないという御答弁もあったわけですけど、一方で、教育研究内容の充実を目的として追加的な費用を要する高度な研究プログラム、教育研究プログラムを提供する場合など、合理的かつ対外的に理解を得ることができる特別な事情があった場合には、授業料の値上げを行うことは一義的に否定されるものではないという答弁もあるわけです。
つまり、世界と伍する大学を目指すために必要な特別な教育カリキュラムを設置しますからとか、海外から講師呼んできますからとか、そういう理由を説明する、しさえすれば、国立大学であっても、現状は標準額の一二〇%が上限とされている授業料設定、これを上回る設定も可能にしていくと、そういうことになるんじゃないですか。局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/174
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175・増子宏
○政府参考人(増子宏君) お答え申し上げます。
国立大学の授業料につきましては、国立大学法人の自主性、自律性を持たせながら、教育機会均等、計画的な人材養成を実現するとの観点から、適正な水準を確保するため、文科省令により標準額が定められておりまして、標準額の一二〇%までの範囲内で定めることができるとされております。
国立大学の授業料設定に関する規制緩和につきましては、今回の制度改正に当たって開催した有識者会議におきまして、追加的な費用を要する特に高度な教育研究プログラムを提供する場合など、その必要性について対外的に理解を得ることができる特別の事情がある場合に、授業料の設定の範囲をより柔軟にできるようにすることが考えられるとされております。
ただ、具体的にどのように、どのような場合に柔軟化を行うかに関しましては、今回の制度改正に当たって開催した有識者会議におきまして、授業料水準について国の一定の関与が必要とされる現行の制度趣旨を踏まえてなお、授業料の上限を弾力化する理由があるのか、経済条件により教育機会に制限が掛かる懸念があるかどうか、そういうことについて留意事項が指摘されているところでございます。こういう留意事項を踏まえながら検討するということが必要になると思います。
いずれにしましても、経済状況によって教育機会に制限が掛かることが望ましいことではないので、各大学においては、引き続き、経済的理由によって授業料の納付が困難な学生に対しまして経済的負担の軽減を図るための必要な措置が講じられるべきと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/175
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176・吉良よし子
○吉良よし子君 様々留意事項はあるものの、結局、そういう、現状は取りあえず一二〇%までは引き上げられるという、そういう枠もあるわけですが、ただ、やっぱりそれを上回るということも検討することはあり得ると、そういうお話だったと思うんですね。
要するに、少なくとも一二〇%以内の範囲であれば、もう規制緩和することもなく、国際卓越研究大学においてその納得、合理的な理由さえ説明すれば、学費値上げ行われることは否定されないってことなわけです。いや、国際卓越研究大学になれば、もうそこに通う学生は無償になりますよとか給付奨学金が出るよというならまだ分かるんですけれども、特別のプログラムつくるからもう授業料値上げ容認されるなんということになったら、もう本当、その学生、若手研究者への大きな負担になると私は思うわけです。若者の選択肢を狭める可能性があるんじゃないかって昨日も学生が言っていたわけなんですけれども、そうはいっても、国際人権規約で学費の漸進的無償の留保も撤回しているわけです、政府は。
そういう大学無償化というところとこの値上げを可能というこの本法案の立て付けというのは矛盾すると思いませんか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/176
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177・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 増子高等教育局長から答弁ありましたが、国際卓越研究大学となりますこの国立大学法人における授業料設定の柔軟化につきましては、今後慎重に検討を行ってまいります。
一方で、文部科学省では、真に支援が必要な低所得世帯の学生に対して、確実に授業料が減免されるような大学を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用に充てるため給付型奨学金を支給する高等教育の修学支援新制度は令和二年四月から開始をいたしました。この制度の導入によりまして、全体としては、学生に対する支援の規模、金額は大幅に拡大しておりまして、高等教育の漸進的無償化の趣旨にかなうものと認識をいたしてございます。
国際人権規約に定めます高等教育の漸進的無償化を踏まえまして、今後とも経済的理由により学生が修学を断念することがないように、教育費の負担の軽減に努めてまいりたいと思います。
衆議院でも宮本先生にいろいろと御指導をいただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/177
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178・吉良よし子
○吉良よし子君 かつては、若手研究者、研究の道に入って十五年たてば奨学金の返還免除できるという制度もあったわけです。現在は一部の成績優秀者に限られているわけですが、若手研究者支援というのであれば、まずそういう返還免除の復活とか、もう学費そのものも全体的に下げていくとか、入学金なくすとか、もう広くあまねく学生、院生の負担をなくす支援を広げることこそ必要であるということを申し上げ、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/178
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179・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、金子原二郎君が委員を辞任され、その補欠として森屋宏君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/179
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180・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案について質問いたします。
昨年成立したいわゆる大学ファンド法についても、私たちれいわ新選組は反対をいたしました。当時の審議で、私は、国の税金を使ってお金もうけをしたい人たちにとっての利益が優先されている、今力を持っている大学、国にとって都合の良い研究をする大学、すぐに結果が出やすい分野にお金が積み上がっていく、大学における研究開発のための責任は国が通貨発行権を行使して果たすべきなどと主張しました。
今回の国際卓越研究大学法案は同法と地続きのものです。大学ファンド法審議の際に指摘した内容は改善されていないどころか、今回の法案は更に懸念を強める内容になっております。すなわち、この法案は、大学間格差を温存して広げるだけである、それだけでなく、大学の自律的な運営を妨げるおそれもある、国内の大学の研究教育環境を更に悪くする可能性があると懸念を強めています。こうした観点から、反対の立場で質問をさせていただきます。
この法案に関連し、大学の現場の教職員の方から多数意見をいただきました。全国大学高専教職員組合の方々と懇談した際、最も強調されていたのは、大学の現場では基本的なお金が足りていないということです。
大学の基盤的経費は削減、横ばいの状態が続いております。良い研究を行うために、基礎体力と言える基盤的経費を増やすことがまず必要です。たとえ今回のような上位大学への集中投資をするとしても、まずは基礎体力を付けてからではないですか。国としては基盤的経費を増やすことが重要とは考えていないのでしょうか。大臣、この点について見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/180
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181・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 舩後先生にお答えを申し上げます。
国立大学法人の運営費交付金や私立大学等経常費補助金は、我が国の高等教育、学術研究の水準向上、均衡ある発展を担う国立大学や私立大学が人材の確保や教育研究環境の整備を行うために不可欠な、おっしゃるとおり基盤的経費でございます。
国立大学法人運営費交付金は、平成二十七年度以降は前年度同額程度を確保しているところです。令和四年度予算では一兆七百八十六億円を計上しておりまして、対前年度四億円の減となっているものの、これは特殊的な、特殊な要因経費が減ったものでございまして、各大学の基盤的教育研究活動に活用できる基幹運営費交付金は、対前年度比実質十四億円の増額を確保しております。また、私立大学経常費補助金についても前年同額を確保をしております。
文科省としては、各大学が継続的、安定的に教育研究活動が実施できるように、引き続きの必要な額の確保に努めてまいりたいと思いますが、十分なやっぱり充実をさせる上では運営費交付金というのは一番の力になりますので、更に充実を努めたいというのは思いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/181
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182・舩後靖彦
○舩後靖彦君 基盤的経費の拡充こそが必要です。是非確保、拡充に努めていただくよう改めて申し上げます。
質問を続けます。
次に、授業料についてお尋ねします。
総合科学技術・イノベーション会議が令和四年二月一日に出した最終まとめには、授業料設定の柔軟化が盛り込まれています。世界と伍する研究大学の実現に向けた制度改正等のための検討会議が令和三年十二月に出した論点整理でも、追加的な費用を要する特に高度な教育研究プログラムを提供する場合など、その必要性について対外的に理解を得ることができる特別の事情がある場合に、授業料の設定の範囲をより弾力化できるようにすることが考えられるとあります。
国立大学の授業料は高止まりが続いています。下げる方向に進めるならまだしも、上げる方向に弾力化させてしまったら、将来の研究を担う若者の機会を奪うことになりませんか。理念と逆行するのではないでしょうか。大臣は特別な事情があれば値上げもやむなしという考えをお持ちなのでしょうか。授業料を値上げする場合はどのような手続を検討されるのですか。高度な教育研究プログラムとは、対外的に理解を得ることができる特別の事情とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。この点について見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/182
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183・末松信介
○国務大臣(末松信介君) お答えを申し上げます。
国立大学の授業料につきましては、国立大学法人に自主性や自律性を持たせながら、教育の機会均等や計画的な人材養成を実現する観点から、適正な水準を確保する必要があるため、文部科学省令によりまして標準額を定めております。そのため、標準額を引き上げるためには省令を改正する必要がありますが、平成十八年度以降は引上げは行っておりません。
国際卓越研究大学には、世界と伍する研究大学となることを目指しまして、研究活動の発展を支える多様な財源によります強固な財務基盤を構築する観点から、年間三%以上の事業成長を求めることとしておりますが、単に事業規模を拡大させるための授業料等の値上げには、値上げによりまして学生の経済的負担を増加させることは全く想定いたしておりません。
国立大学の授業料につきましては、具体的にどのような場合に柔軟化を行うかに関しましては、今回の制度改正に当たって開催した有識者会議の提言を受けまして、授業料水準について国の一定の関与が必要とされる現行の制度趣旨を踏まえてなお、授業料の上限を弾力化する必要があるか、また経済条件によりまして教育機会に制限が掛かる懸念があることをどう考えるかという留意点を踏まえて、今後慎重に検討いたしてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/183
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184・舩後靖彦
○舩後靖彦君 これ以上授業料を値上げするのは反対いたします。
質問を続けます。
本法案に基づき、国際卓越研究大学への認定、助成対象となるのは数大学と想定されています。しかし、その数大学に集中投資をすると日本の研究力の国際競争力は上がるのでしょうか、大いに疑問があります。御存じのとおり、既に現時点でも東京大学を始め一部の大学が突出して運営費交付金などを受け取っています。現時点で集中投資されているのです。
読売新聞、二〇二一年十一月の記事で、政策研究大学院大学の永野博客員研究員は、その状態で世界と伍していない原因を分析せずに、ファンドで格差を広げてよいとは思えないと指摘しています。
同様の指摘は相次いでいます。同じく読売新聞、二〇二二年一月の記事によれば、日本は最上位層だけ論文が多く、中堅層が著しく弱いとの指摘もされています。背景には、やはり運営費交付金の削減と常勤職員の減少があるのです。選択と集中は教育機会の不平等にもつながります。
大臣、国内の大学に格差を付けて集中投資をすることで現状が改善されると本当にお考えでしょうか。私はむしろ悪化するとすら感じています。今の国内の研究環境で必要なのは、選択と集中でなく、裾野を広げ底上げすることではないですか。大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/184
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185・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 舩後先生にお答え申し上げます。
大学ファンドから国際卓越研究大学への支援は、兆単位のファンドから運用益を生み出す欧米のトップレベルの研究大学との資金格差を縮めるため、一校に対して数百億円規模の集中的支援を行うことから、数校程度に限る必要があると考えております。
この支援を受ける国際卓越研究大学は、我が国の研究活動の拠点として国際的な頭脳循環のハブとなりまして、全国の大学との連携を強化することにより人材の流動性の向上や共同研究の促進等を図りまして、我が国全体の学術研究のネットワークを牽引することが期待されております。
また、我が国の全体の研究力強化には、トップレベルの研究大学への支援のみならず、その基盤となる優秀な人材の育成や地域の大学の強化が極めて重要です。このため、大学ファンドの運用益からは、全国の優秀な博士課程学生への支援も実施することとしております。
加えて、大学ファンドによる支援以外にも、世界トップレベルの研究拠点プログラムや共創の場形成支援プログラムなど、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学への支援策を総合振興パッケージとして同時に講じることといたしてございます。
これらの支援を通じまして、地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学がトップレベルの研究大学とともに互いに切磋琢磨できる関係を構築することで多様な研究大学群を形成して、日本全体の研究力を向上させることを目指してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/185
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186・舩後靖彦
○舩後靖彦君 質問を続けます。
対象に選ばれた大学に設置される合議体は、過半数、半数以上を学外者で占めることが想定されています。この合議体は、経営に関する重要事項を決定するほか、執行に関する監督、大学の長の選考など、大学の在り方を大きく変える組織となっています。
しかし、なぜ学外の方で多数を占める必要があるのでしょうか。民間出身の方、行政出身の方など、学外者の意見を聞くこと自体は否定しません。しかしながら、大学の長を決める権限の大きい組織で学外者を多数派にする必要があるのでしょうか。大学の強みを最も知っているのは学内の研究者の方々です。学外者によって大学組織をコントロールすることがより良い研究につながるのか、疑問があります。この点について、大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/186
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187・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 私からお答えさせていただきます。
世界と伍する研究大学の実現に当たって、大学には学内外の英知を結集してビジョンを明確化し、社会からの支持や支援を得て、それによって自律的に成長していく好循環を形成することが求められます。
このようなビジョンに基づく長期の成長戦略を実行していくためには、合議により経営を行う体制を構築し、安定的、継続的な経営方針の下、長期的視点に立った研究や人材育成を行っていく必要があります。このため、国際卓越研究大学には、経営方針の決定などに関する合議体の設置を求めることとしております。
多様なステークホルダーとの対話、長期的な視点での経営戦略の策定と先導といった合議体の役割を踏まえれば、合議体の構成員としては、当該大学の教育研究に関する専門性を有する者に加え、例えば国内外の大学の経営や国際展開、研究成果の活用、財務戦略に関する専門家が入ることが想定されます。また、合議体には、財源の多様化に対応した利益相反の管理など、組織的なコンプライアンスの確保、強化といった執行に関する監督機能も期待されているところであり、例えば法律や会計に関する専門家などが入ることも想定されます。こうしたことから、国際卓越研究大学の制度設計を担った文部科学省の有識者会議の報告書においては、執行と監督の適切な緊張関係を確保する等の観点から、合議体の構成員のうち相当程度、例えば過半数、半数以上などは学外の人材となることが想定されるとされたところでございます。
このように、国際卓越研究大学には、合議体の多様な専門的な知見を有効に活用して、研究力の強化につなげていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/187
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188・舩後靖彦
○舩後靖彦君 今回の法案では、国際卓越研究大学に対して年三%程度の事業成長を求めています。この数字の根拠に関しては非常に分かりにくい部分があります。諸外国の研究大学の年間実質平均成長率が三%を超えているという理由からこの数字としているそうですが、日本全体のGDP成長率が三%を超えたのは二〇一〇年が最後ですし、非現実的な数字のように感じます。
さらに、根本的な問題として、この要件を定めることで、大学の研究には事業成長が必要、稼げない研究は価値がないといった誤ったメッセージを発信することにつながりかねません。大切なのは、研究者の方により良い研究環境を用意し、学生たちがそうした環境に身を置けることではないですか。大臣は稼げる大学、稼げる研究を国が後押ししていくことが今の日本の研究環境を改善するために必要であるとお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/188
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189・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 舩後先生、お答え申し上げます。
大学が中長期的に成長を遂げていくためには、人材の育成とか多様な学術研究、基礎研究への投資が不可欠でございます。諸外国のトップレベルの研究大学では、数兆円規模のファンドの運用益を活用しまして、事業規模を広げる中で研究基盤や若手研究者への投資を充実しまして、年間三%以上の事業成長を実現しております。事業規模を広げることで中長期的な視点での資源配分も可能となりまして、そうした大学では、新たな学問領域の創出も含めまして、多様な学術研究や基礎研究の展開されているものと、そのように承知をいたしております。
今般の大学ファンドは、そうした諸外国のトップレベルの研究大学の仕組みをモデルとしまして、ファンドの運用益により大学の研究基盤や若手研究者への長期的、安定的な支援を行うことで、世界と伍する研究大学の実現を図るものでございます。ファンドからの支援で事業規模を拡大することによりまして、国際的な卓越した研究環境を整備することはもちろん、大学が持つ深く真理を探求していく新たな知見を創造するという役割と研究成果を広く社会に提供するという役割の双方の投資を後押しするということは可能であると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/189
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190・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/190
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191・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/191
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192・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読いたします。
先ほど大臣もおっしゃっておられましたが、私も重要なことは学生が自由な思いで研究をすることと思います。しかしながら、当法案は学生らに重圧を掛けるものです。大臣、いかが思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/192
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193・末松信介
○国務大臣(末松信介君) お答え申し上げます。
重圧を掛けるというようなことは全く考えておりませんし、授業料も引き上げるということを想定しているものでもございません。このことは是非先生には御理解をいただきたいと思います。
今回、この大学ファンド法案のこの提案に上がりまして、いろいろな方からお手紙もいただきました。厳しい御意見もあれば、激励のはがきもあったんですけれども、こういうものがございます。これ、国立大学の大学院の教授です。工学系です。
大学、括弧、特に地方大学は、人材育成や地場産業の、地場企業の育成の役割があります。学生にはいろいろなスキルを学んで実社会に出ていって活躍してほしいと思います。大学の経営面ばかりがクローズアップされていくのが心配です。本来は人材育成がメーンのような気がします。一流の研究に触れることによって一流の大人に育っていくのが理想であると思っています。大学ファンドの件ですが、国際的な競争に勝たないといけないので、競争力のある数校に絞るのは当然かなと思います。それ以外の大学にも力のある先生はいるはずなので、そのような先生もサテライト的に参加できるようにすればいいのではないかと思いますというような手紙もいただいています。
この手紙を大事にしたいと思ってございます。御理解をいただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/193
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194・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/194
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195・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/195
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196・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読いたします。
利根川進博士は、学生は研究するなと言われました。私はこれを、圧力を気にするなと捉えています。大臣の思いをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/196
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197・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 確認をさせて、利根川先生は学生にどうおっしゃいましたか。(発言する者あり)舩後先生の質問の意味がよく分かりませんです。
学生は研究するものだと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/197
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198・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/198
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199・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/199
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200・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読いたします。
今の質問は別の機会に改めたいと思います。質問を続けます。
質問を続けます。
五月三日の日経新聞で、総合科学技術・イノベーション会議の上山隆大氏がこのような発言をしております。ファンドで選ばれる大学は学部の規模を小さくして大学院の活動に特化し、学部教育をトップ研究大学以外の大学に譲るべきだ。
文科省としても、認定された国際卓越研究大学に対してこのような構想をお持ちですか。御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/200
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201・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学ファンドの支援対象となる大学については、その研究力を強化するため、例えば、研究者の研究時間を十分に確保することや大学院教育の質を向上すること、国内外の大学との間で研究者が行き来することにより多様性、流動性を確保することが重要であると考えております。御指摘の記事を拝見する限り、上山議員の発言も、このような観点から、あくまで大学院の重要性を述べたものと理解しております。
文部科学省としては、大学が研究力を強化するために実際にどのような具体策を講じるかについては、今後、各大学においてビジョンや戦略に基づき検討いただくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/201
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202・舩後靖彦
○舩後靖彦君 今の日本の高等教育に必要なのは、人材を育て、安定的なポストを用意できるよう、基盤的経費を増やすことです。一部の大学に資金を集中させることでなく、幅広い大学の基盤的経費を底上げすることであると申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/202
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203・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/203
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204・宮口治子
○宮口治子君 立憲民主・社民の宮口治子です。
私は、会派を代表して、国際卓越研究大学法案に対し、反対の立場から討論を行います。
大学の研究力の向上は喫緊の課題であり、昨年、大学への助成のために大学ファンドを設置することには賛成いたしました。しかし、運用益の配分先となる国際卓越研究大学の仕組みを定める本法律案は懸念すべき点も多く、現時点で賛成することはできません。
まず、国際卓越研究大学の認定や体制強化計画の認可にはCSTIの意見を求めることになっています。このCSTIの議長は内閣総理大臣であり、現在は十四名の議員のうち六名が閣僚です。この状況下で、政治的介入、また政治に対するそんたくが働くことで、本質的に国益につながる学術研究活動にならないのではないか、本法案をきっかけに、波及効果として学問の自由や大学の自治が脅かされるのではないかと危惧しています。
菅前総理の時期に、日本学術会議の選任問題が起きました。時の政権にとって都合の悪い立場を取る研究者が、学術的な観点ではなく政治的意図によって密室で排除されたのではないかという疑惑はいまだ解消されていません。今回の卓越研究大学の選任、運営についても同様の問題が起こらないか、非常に心配です。
また、国際卓越研究大学に三%程度の事業規模成長を求めることも慎重な検討が必要です。
政府は、大規模な産学連携や大学発ベンチャー、寄附の拡充などの方策を示していますが、海外のように高額な学費設定は我が国においてそぐわない中で、日本の文化的に寄附の拡充は余り期待できません。結果、短期的には、資金獲得のため、実用化に近い技術など応用研究のみが重視され得る構造になってしまうと懸念します。
学術研究の、失礼いたしました、科学技術の水準向上、学術及び社会の発展を目指すには基礎研究への投資もおろそかにしてはならないと考えており、本案の構造はそれに応えられるものになっているとは言い難いと思います。我が国の研究投資の在り方と運用方法をセットで議論を深める必要があると考えます。
本法案のようにごく一部の国際卓越研究大学だけでなく、プロジェクト単位で各研究機関の先進的な研究を支援する枠組みも大胆に拡充していくべきではないでしょうか。科学技術の発展や社会基盤の姿を変えるイノベーションの創出は、バブル崩壊以降沈み続けている日本経済にとっての希望ですし、生活安全保障の鍵ともなります。表面的な議論だけではなく、本質に向き合った議論をすべきです。
以上を申し上げ、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/204
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205・吉良よし子
○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、国際的に卓越した研究の展開及び経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれる大学、僅か数校を国際卓越研究大学と認定し、大学ファンドによる運営費交付金に匹敵する巨額な助成と引換えに、認定大学に新たなイノベーション創出と三%以上の事業成長などを求め、稼げる大学への変質を強固に迫るものです。これは、選択と集中を未曽有の規模で一層強化し、認定された大学では研究分野の過剰偏重、イノベーション創出に直結しない教育研究分野の縮小や淘汰も起きかねず、自主性、自律性、多様性が尊重されるべき大学の在り方を大きく変える危険があります。
また、本法案の事業支援は十五年以上の長期支援が予定されており、僅か数校への支援が長期固定化される懸念があり、本法案の目的でもある日本の研究力全体の底上げにはつながりません。
さらに、本法案では、国際卓越研究大学となる大学には事業成長を達成するためのガバナンス改革が求められており、大半を学外者が占める合議体を最高意思決定機関として、大学運営の面からも稼ぐ大学へ変質させるものです。合議体の経営戦略に基づき学内の資源配分や学内再編を進めることは、教育及び研究の特性が尊重されるべき自主自律に基づく大学運営、大学自治を破壊するものであり、容認できません。
さらに、国際卓越研究大学には経営に関する規制緩和も認めており、稼げる経営体への転換を迫られる大学が学費の値上げに着手する可能性があることを文科省は否定しませんでした。漸進的な無償化に反する学費値上げを容認することは認められません。研究力の向上というなら、国立大学運営費交付金や私立大学経常費助成など、基盤的経費の増額による高等教育全体の公的支援を厚くし、学費の無償化に踏み出すべきです。
大学が個性豊かに多様性を持って自主的、創造的な営みができるよう、社会発展に寄与する学術研究の基盤をしっかり支える支援こそ必要だということを申し上げ、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/205
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206・舩後靖彦
○舩後靖彦君 私は、れいわ新選組を代表し、国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制強化に関する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
本法案は、日本の大学の国際競争力の強化及びイノベーション創出の促進を図るために国際卓越研究大学という制度を設け、国による認定、計画の認可や大学ファンドを利用した助成を行うことなどを定めたものです。
私たちは、昨年の通常国会で審議されたいわゆる大学ファンド法について反対いたしました。学生、研究者が安心して研究に取り組める環境整備に今すぐ取り組む必要があり、運用益を当てにした助成は適当でないと考えたからです。
また、法案審議の際の反対討論で、私は、今力を持っている大学、国にとって都合の良い研究をする大学、すぐに結果が出やすい分野にお金が積み上がっていくのではありませんかと指摘しました。今回の法案はこの懸念を更に強める内容となっています。
法案などによると、学外者が多数を占める合議体が必要になるほか、計画の認可などで政府の関与が強化されており、大学の自律的な運営を妨げるおそれがあります。行うべきは選択と集中の政策ではありません。人材を育て、安定的なポストを用意できるよう、基盤的経費を増やすことです。裾野を広げて底上げすることこそ、日本の研究環境に必要です。
以上の理由から本法案に断固として反対することを申し上げ、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/206
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207・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/207
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208・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、宮沢君から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢由佳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/208
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209・宮沢由佳
○宮沢由佳君 私は、ただいま可決されました国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
国際卓越研究大学の研究及び研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、基本方針の策定における総合科学技術・イノベーション会議等の意見聴取に当たっては、多様な分野の研究者からの意見を十分に反映するとともに議事の内容を公表するなど、透明性を確保すること。また、国際卓越研究大学の認定、計画の認可に当たっては、大学の自治を堅持するとともに、早期に研究成果の活用が見込まれやすい応用研究が優先されることがないよう、研究成果の活用までに時間のかかることが多いものの人類が新たな知識を得る観点からも大きな意義を持つ基礎研究等を含め、研究の多様性を確保すること。
二、国際卓越研究大学が欧米主要大学の運営方法をいたずらに模倣し、教育研究内容の充実に関係なく、単に大学の財政基盤の強化を目的とする授業料等の増額等を行うことで、学生の教育機会に経済的な制限がかかるような事態を招くことがないようにすること。
三、大学において任期を付さない、安定的な身分の研究者及び正規雇用職員を増やし、研究力の強化を図るため、大学ファンドによる支援に関わらず、人件費の基礎となる国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助金等の基盤的経費を確実に措置すること。
四、政府は、我が国の大学全体の研究力の底上げを図るため、個々の大学が、知的蓄積や地域の実情に応じた研究独自色を発揮し、研究大学として自らの強みや特色を効果的に伸ばせるよう、国際卓越研究大学以外、特に地方の大学への支援に十分配慮することとし、地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの大幅拡充等により、十分な予算を確保すること。
五、政府は、我が国の研究者全体の研究力の向上を図るため、個々の研究者がそれぞれの研究環境において多様かつ独創的な研究に継続的かつ発展的に取り組めるよう、科学研究費助成事業や特別研究員制度等の研究者に対する支援策を拡充すること。
六、我が国の科学技術の水準を長期的に向上させるには、将来を担う若手研究者の確保・育成が重要であることから、博士後期課程に在籍する学生のうち生活費相当額を受給する者の割合の更なる引上げを進めるとともに、修士課程に在籍する学生に対する経済的支援の在り方についても検討すること。
七、高等教育の果たす役割の重要性に鑑み、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金等の基盤的経費や競争的研究費などの大学への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。
八、第四条第三項第四号に規定する「民間事業者との連携協力のための体制」、同項第五号に規定する「知的財産権の取得及び活用を行う体制」について、文部科学大臣が認定を行う基準の策定及び当該体制の運営に当たっては、憲法で保障されている学問の自由に基づいて、研究成果の公開性と公共性という原理を最大限に尊重すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/209
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210・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ただいま宮沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/210
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211・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 多数と認めます。よって、宮沢君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、末松文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。末松文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/211
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212・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 失礼いたします。
ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処をしてまいりたいと存じます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/212
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213・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/213
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214・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01020220517/214
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