1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月十日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
今井絵理子君 山本 順三君
竹内 功君 進藤金日子君
松川 るい君 世耕 弘成君
森屋 宏君 金子原二郎君
水岡 俊一君 那谷屋正義君
佐々木さやか君 三浦 信祐君
五月十九日
辞任 補欠選任
進藤金日子君 竹内 功君
那谷屋正義君 水岡 俊一君
宮口 治子君 白 眞勲君
三浦 信祐君 佐々木さやか君
五月二十日
辞任 補欠選任
山本 順三君 今井絵理子君
白 眞勲君 宮口 治子君
五月二十三日
辞任 補欠選任
竹内 功君 自見はなこ君
宮口 治子君 杉尾 秀哉君
宮沢 由佳君 塩村あやか君
佐々木さやか君 秋野 公造君
五月二十四日
辞任 補欠選任
自見はなこ君 竹内 功君
塩村あやか君 宮沢 由佳君
杉尾 秀哉君 宮口 治子君
秋野 公造君 佐々木さやか君
六月一日
辞任 補欠選任
竹内 功君 山下 雄平君
水岡 俊一君 白 眞勲君
宮口 治子君 石川 大我君
佐々木さやか君 伊藤 孝江君
六月二日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 山崎 正昭君
山下 雄平君 竹内 功君
石川 大我君 宮口 治子君
白 眞勲君 水岡 俊一君
伊藤 孝江君 佐々木さやか君
六月三日
辞任 補欠選任
山崎 正昭君 高橋はるみ君
六月六日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 山崎 正昭君
竹内 功君 自見はなこ君
宮口 治子君 白 眞勲君
横山 信一君 伊藤 孝江君
六月七日
辞任 補欠選任
自見はなこ君 竹内 功君
白 眞勲君 宮口 治子君
伊藤 孝江君 横山 信一君
六月八日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 松川 るい君
水落 敏栄君 三宅 伸吾君
山崎 正昭君 高橋はるみ君
六月九日
辞任 補欠選任
三宅 伸吾君 水落 敏栄君
六月十日
辞任 補欠選任
金子原二郎君 本田 顕子君
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出席者は左のとおり。
委員長 元榮太一郎君
理 事
今井絵理子君
上野 通子君
堂故 茂君
宮沢 由佳君
委 員
高橋はるみ君
竹内 功君
本田 顕子君
松川 るい君
丸川 珠代君
水落 敏栄君
水岡 俊一君
宮口 治子君
蓮 舫君
佐々木さやか君
横山 信一君
伊藤 孝恵君
片山 大介君
吉良よし子君
舩後 靖彦君
衆議院議員
文部科学委員長 義家 弘介君
文部科学委員長
代理 田野瀬太道君
国務大臣
文部科学大臣 末松 信介君
大臣政務官
外務大臣政務官 上杉謙太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 武蔵 誠憲君
政府参考人
外務省大臣官房
審議官 安東 義雄君
文部科学省大臣
官房審議官 出倉 功一君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○在外教育施設における教育の振興に関する法律
案(衆議院提出)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/0
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001・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、森屋宏君が委員を辞任され、その補欠として金子原二郎君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/1
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002・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/2
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003・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に今井絵理子君及び宮沢由佳君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/3
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004・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
在外教育施設における教育の振興に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務省大臣官房審議官安東義雄君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/4
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005・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/5
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006・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 在外教育施設における教育の振興に関する法律案を議題といたします。
提出者衆議院文部科学委員長義家弘介君から趣旨説明を聴取いたします。義家衆議院文部科学委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/6
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007・義家弘介
○衆議院議員(義家弘介君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
日本人学校を始めとする在外教育施設は、現在約三百三十校設置されており、そこで学ぶ児童生徒の数は、三万四千人余りとなっております。このように、在外教育施設は、在留邦人の子の教育を受ける機会の確保を図る上で大変重要な役割を果たしていますが、その教育の振興について法的な位置付けはなく、在外教育施設に対する支援は、文部科学省及び外務省による予算措置で行われているのが現状です。
また、世界的なコロナ禍において在外教育施設で学ぶ児童生徒の数が急減するなど、在外教育施設における教育を取り巻く環境は大きく変化しております。
本案は、このような状況を踏まえ、在外教育施設における教育の振興に関する施策を総合的かつ効果的に推進することにより、グローバル人材の育成に資するとともに、国際相互理解の増進に寄与するものであり、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、基本理念として、在留邦人の子の教育を受ける機会の確保に万全を期することなど、三つの項目を規定しております。
第二に、国の責務等、基本方針の策定について規定しております。
第三に、基本的施策として、在外教育施設の教育職員の確保、教職員に対する研修の充実など、七つの項目を規定しております。
第四に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
なお、海外から帰国した児童及び生徒であって日本語に通じないものに対する支援の一層の充実等の検討条項を設けております。
以上が本案の趣旨及び内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/7
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008・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/8
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009・吉良よし子
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
初めに、法案提案者に伺いたいと思います。
本法案の基本理念には、在外教育施設における教育環境と国内の学校における教育環境が同等の水準となることとあります。この同等の水準というとき、それは学びの内容だけではなく、授業料などの教育費用の負担についても同じことなんでしょうか。つまり、在外教育施設に通う子たちが日本国内の公立学校に通う子たちと同水準の費用負担で学べる環境を目指すという趣旨でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/9
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010・田野瀬太道
○衆議院議員(田野瀬太道君) お答え申し上げます。
本法案第三条第二項には、在外教育施設における教育環境と学校における教育環境が同等の水準となることが確保されることを旨とすることとの基本理念を規定させていただいております。また、第三章に規定する在外教育施設の教職員の確保、在外教育施設における情報通信技術の活用の促進などの基本的施策が着実に実施されることによりまして、教育費用の負担は軽減されるものと強く期待をさせていただいておりますし、国内と海外のこのギャップ、教育の環境であったり費用の面での格差を埋めるための目的で今回の法案提出に至ったということでございます。
御質問ありがとうございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/10
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011・吉良よし子
○吉良よし子君 ありがとうございます。
つまり、国内と海外のギャップを埋めるというのがこの法案の目的でもあるという御答弁でありました。
日本国内の義務教育課程、公立学校に通う場合は、授業料は無償となっているわけです。ただ、教材費や学用品、制服代、通学費、給食費などは各家庭が負担をしており、その費用、文科省の調査によると、小学校で年間約十万六千八百三十円、中学校では年間約十八万一千九百六円となっているわけですが、一方で、在外教育施設の授業料というのはどの程度なのかと文科省に伺いましたら、平均値で、入学金が十万円前後で、授業料は年額六十万から七十万円程度掛かると伺いました。
さらに、資料を御覧ください。私、吉良事務所の方で調べた各地域の幾つか抽出した日本人学校の授業料ですけれども、高額なところだと授業料だけで円換算した場合に百八十七万円、これニューヨークですけれども、という学校もありました。さらに、ほとんどの学校で授業料以外に施設整備費用とかバス代など別途掛かって、それらを合計すると場合によっては二百五十万円以上の教育費用が掛かると。
さらに、教材費なども足せば更に高額となるのは間違いないわけで、これ日本国内の費用負担の十倍にもなる額だと思うわけですが、国内で学ぶか国外で学ぶかと、学ぶ場所によってこれだけの差があっていいのかという問題があると思うんです。
憲法二十六条では義務教育無償とされているわけですし、本法案での基本理念照らせば、やはりこの在外教育施設、特に公立学校の教師派遣している日本人学校の授業料については無償を目指して、せめて各家庭の負担が国内と同程度になるように支援強めるべきと思いますが、文科大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/11
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012・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 吉良先生にお答え申し上げます。
資料をいただきまして、ありがとうございます。
在外教育は、我が国の主権の及ばない外国におきまして、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って行われてはおります。
他方、その在外教育施設の授業料には様々な実態がございまして、こうした中、御指摘のその授業料の無償化はかなり困難な課題ですが、課題でございますが、文部科学省におきましては、在外教育施設への教師の派遣の費用を負担するなど、その教育環境の整備支援を通して一定の負担軽減に資するものと認識をいたしております。
文部科学省としましては、こうした環境整備を引き続き進めるとともに、在外教育の振興に向けて必要な実態把握や対応について検討を行い、法案の趣旨を踏まえ、国内と同等の教育環境の整備が図られるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。
余談になりますけれども、せんだってシンガポールの方でも、日本人学校の小学校、千五百名おられますけれども、特別支援の教育が施されていないことになりまして、調べましたら、中学校でも五百名のうち学級、通級もないということが分かって、出張に行かせます、文科省の職員を。実態把握をしたいと思います。
済みません、時間がないですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/12
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013・吉良よし子
○吉良よし子君 実態把握に努められるということでしたが、無償は難しいというお話でした。
ただ、在外教育施設であっても教科書は無償で提供していると聞くわけです。だから、教科書無償にできて授業料無償にできないというのはやはりどうなのかなという思いもありますし、昭和五十三年二月、衆議院の予算委員会で当時の内閣法制局長官はこの憲法二十六条の適用について、なるべく在外の子弟が教育を、少なくとも義務教育を安く受けることができるように手だてを取ることが憲法二十六条の精神に沿うことという答弁もあるわけで、是非無償を目指していただきたいということは強く申し上げたいと思うんです。
先ほど、教師派遣費用の負担を図っていくというお話もありました。
例えば企業の場合ですと、海外赴任されている御家庭の場合、その子女の授業料などの必要経費のほとんどは企業負担で、実質無償になっていると聞くわけです。
一方の文科省が日本人学校に派遣した教員の場合はどうかといえば、派遣教員に家族が帯同する場合の配偶者は国内の仕事を辞めて帯同するということになるわけで、派遣教員の給与のみが収入源という状態のままで、その給与で帯同した全ての子供も含めた生活費、教育費、負担しなくてはならないんです。で、その子たちが日本人学校に通う場合の授業料も負担しているというわけですけれども、これは大きな負担となると思うんです。
文科省が派遣した教員の帯同家族、子女の場合は、教育手当は出るということは聞いているわけです。ただ、伺ったところ、これ授業料の全額補助じゃないんだと、最高でも九割にとどまっていて、しかも、授業料以外の出費、交通費や施設使用料とか教科書以外の学用品、全て負担となると。その額も決して安くないというのは先ほども確認したとおりなわけで、先ほどの教師派遣費用の負担ということでいえば、やっぱり国の都合で派遣している教員の子の授業料はせめて全額補助するとか免除するとか、そういう手だても必要かと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/13
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014・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 御意見いただきまして、ありがとうございます。
在外教育施設は、一般に現地の日本人会等が設置主体となって設立されておりまして、その運営は、日本人会や進出企業の代表者、また在外公館の職員、日本人学校校長、保護者の代表等から成ります学校運営委員会によって担われておりまして、授業料につきましても学校運営委員会によって定められるものでございます。私の友人も勤めたことがありまして、話聞いております。そのため、御指摘の派遣教師の子女の授業料を免除するかどうかにつきましてもこの運営委員会によって定められるものでありまして、文科省として直接お答えすることがちょっと困難ではないかと思うんです。
文科省としましては、在外教育施設への教師派遣の費用を負担するなど、その教育環境の整備支援を通しまして、国内と同等の教育環境が整備されるように努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/14
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015・吉良よし子
○吉良よし子君 運営委員会によって決められているということですが、逆に、やろうと思えばできること、ところもあるということだと思いますので、是非、国の都合で派遣している教員の子の授業料ということでは免除すべきじゃないかということも国として進めていただきたいと。
先ほどの教育手当なんかも、出されているけれども、この間、今般の二十年ぶりとも言われる異常な円安によって、日本円で計算されていた手当というのが実際に現地通貨に換算して支払われるときに実質減額になってしまうという話も聞いているわけです。また、派遣直前に住居費などの前払というのが必要で、数百万の現金を先に工面しなけりゃならないと。そのためにローンを組んで出国するという事例もあって、そのローン返済しながら向こうの生活しなきゃいけない派遣教員の方もいて、もう家族帯同だと赤字になっちゃうよなんていう話も伺ったところです。
やる気を持って派遣教員として頑張っていらっしゃる教員の皆さんの生活をちゃんと支えるという意味でも、その手当が本当に足りているのかどうか、生活の実態、この間の円安の状況も含めて、是非ちゃんと実態を調査して、その実態に即した手当の見直しも検討すべきと思いますが、最後、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/15
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016・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 国内に比して教育条件が必ずしも十分でない在外の教育施設の教育におきましては派遣教師は極めて大きな役割を果たしておりまして、それに対する支援は本当に重要だという認識でございます。
このため、派遣教師に対しましてはこれまでも様々な手当を支給しておりまして、実態に合わせてその改善にも努めております。令和四年度でも、子女教育手当の支給対象年齢を四歳以上から三歳以上に引き下げたりとかの対応もしておりますが、今後とも、派遣教師が児童生徒の教育にしっかりと対応できるように、その実態も踏まえながら、先生の今のお話もございまして、必要に応じた見直しに努めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/16
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017・吉良よし子
○吉良よし子君 是非、この法案を機に、国内と海外の教育の格差の是正と派遣教員の待遇の是正、努めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/17
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018・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、金子原二郎君が委員を辞任され、その補欠として本田顕子君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/18
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019・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。
本日は、議員立法、在外教育施設における教育の振興に関する法律案についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
まず、海外で学ぶ日本人の子供たちの現状についてお伺いいたします。
海外で暮らす邦人には、在留期間の制限なくその国に生活基盤を置いて暮らす永住者と、企業の駐在員、外交官とその家族など、日本に帰国する前提の長期滞在者がいるかと存じます。それぞれの義務教育段階の子供たちで、日本人学校、補習授業校等の在外教育施設に通われている数字を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/19
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020・出倉功一
○政府参考人(出倉功一君) お答えいたします。
日本人学校に在籍する児童生徒につきましては、令和三年四月現在で、長期滞在者が一万四千七百五十一人、それから長期滞在者以外のうち永住者が二百一人でございます。
また、補習授業校に在籍する児童生徒については、長期滞在者は一万九千二百七十四人、それから長期滞在者以外のうち永住者は四千七百五十人になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/20
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021・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
そうしますと、在外教育施設のうち日本人学校は、主に日本に帰国する前提の子供たちが通っているところということになるかと存じます。
文部科学省のホームページを拝見しますと、我が国の主権の及ばない外国において、日本人の子供が日本国民にふさわしい教育を受けやすくするために、文部科学省と外務省では、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って、海外子女教育の振興のために様々な施策を講じていますとあります。
今回、議員立法により、ようやく、海外で暮らす日本人の子供たちが教育を受ける機会の確保と在外教育施設における教育振興のために国の責務を明らかにした根拠法が提出されました。
そこで、大臣にお尋ねします。
大臣は、在外教育施設の役割をどうお考えでしょうか。また、これまで在外教育施設に対する支援は予算事業としてされてきましたが、明確な根拠法がなく来てしまったのはどこに原因があるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/21
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022・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 舩後先生にお答え申し上げます。
在外教育施設は、在留邦人であります子供が国内の学校における教育に準じた教育を受ける機会を保障する重要な役割を果たすものと認識しておりまして、その支援につきましては、民間の熱意と努力を基礎としつつ、在留邦人の増加に伴って充実が図られてきたところでございます。
先生お尋ねのこの支援に係る根拠法の制定がこれまではなかった理由につきまして、いろいろと考えたり調べたりしましたけども、一概にお答えすることは困難ではございますが、内閣法制局長官の見解も踏まえつつ、憲法の定める教育の機会均等及び義務教育無償の精神に沿って、これまで様々な施策を講じてきてございます。先ほど吉良先生とも、お話ありましたけれども、昭和五十三年の、真田内閣法制局長官の答弁が昭和五十三年二月十四日にございます。これに沿うものでもございます。
私といたしましても、在外教育のこの振興を担う立場から、本法に係る様々な御議論を踏まえつつ、しっかりと施策の推進に努めるだけでございます。よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/22
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023・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
本法案が成立することで、海外で学ぶ日本人の子供たちが安心して学び、そして帰国後、日本語能力や教育水準に大きなギャップを感じることなく日本の学校に移行できるよう、在外教育施設の教育環境の一層の充実、振興を期待したいと思います。
次に、海外で学ぶ日本人の障害のある子供たちの教育についてお伺いいたします。
二〇一九年の海外子女教育振興財団によるアンケート調査結果、「日本人学校における特別支援教育の実態について」によりますと、資料一にありますように、発達障害、学習障害、知的障害を始め、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱、精神障害と、あらゆる障害種の子供が日本人学校に学んでいます。しかし、資料二にありますように、障害のある児童生徒の指導経験がある教員が一人もいない学校が三割です。そして、資料三にありますように、障害のある子を受け入れる際、最も課題となっているのが人員面、そしてそれに次ぐのが設備、専門機関との連携です。
こうした在外教育施設における障害のある子供たちの教育環境の改善については、障害のある児童生徒の指導経験がある教員の派遣、介助員や現地の専門機関との調整を担うコーディネーターなどの採用、校舎のバリアフリー化やリソースルームの設置など、建物、施設の環境整備などへの日本政府の支援が必須と存じます。
本法案が成立しましたら、これらの課題にどう対応されていくか、文部科学大臣、そして外務省から是非前向きな御回答をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/23
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024・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 舩後先生、お答え申し上げます。
海外におきまして障害のある児童生徒が必要な教育が受けられるようにすることは、極めて重要なことでございます。このため、文部科学省では、各日本人学校から特別支援教育の経験を有する教師の派遣要望があった場合は、それを踏まえた教師の派遣や各学校への助言等の支援を行っているところでございます。先ほど吉良先生からのお話があったときにちょっとシンガポールの話を申し上げましたけど、そのとおりでございます。出張に行かせます。
文部科学省といたしましては、各日本人学校の実情を踏まえた適切な教育環境の整備が図られるよう、本法案の趣旨を十分踏まえまして、総合的に施策の推進を図ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/24
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025・上杉謙太郎
○大臣政務官(上杉謙太郎君) 舩後先生にお答え申し上げます。
海外で生活する児童生徒への教育は在留邦人の最大関心事項の一つでありまして、外務省といたしましても、その充実及び強化は、海外に滞在する国民が活躍するための環境整備の一環として重要であると認識をしております。
これまでも安全対策を含めた支援を行ってきたところでありますが、先生が今御指摘された点も踏まえつつ、今後、それぞれの学校の要望等を踏まえまして、適切に対応していきたいと思います。
外務省といたしまして、引き続き、文部科学省と連携をしつつ、可能な限りの取組を行っていく考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/25
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026・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
障害者権利条約が発効し、批准している国であれば、世界中どの国にあってもインクルーシブ教育が要請されます。また、SDGs、持続可能な開発目標においては、全ての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進するとうたわれています。
海外で学ぶ全ての子供たちが日本にいるのと同等の教育を安心して受けることができるよう、本法案成立後の施策の充実を願って、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/26
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027・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
在外教育施設における教育の振興に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/27
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028・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、宮沢君から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢由佳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/28
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029・宮沢由佳
○宮沢由佳君 私は、ただいま可決されました在外教育施設における教育の振興に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会、日本共産党及びれいわ新選組の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
在外教育施設における教育の振興に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、在外教育施設が自主的な活動として日本語の普及を行うに当たっては、世界各地に日本にルーツを持つ子供たちが在住している現状を踏まえ、日本語指導体制の整備、敬語等を含めた日本語教育内容の充実が図られるよう十分な支援を行うこと。また、在留邦人の子以外の者であってその教育を受けることを希望するものの受入れを行うに当たっては、教育環境が各国で異なっている等の事情も勘案した上で、当該在外教育施設に適切な支援を行うこと。
二、在外教育施設は国際的な交流拠点や日本文化の紹介の拠点としての機能も有することが法律上明確化されたことを契機として、在外教育施設の自主性を尊重しつつ、その機能強化を図るための支援を充実するとともに、在外教育施設には、海外において日本文化への関心喚起にも資する可能性があることを広く周知すること。
三、在留邦人の子供たちの学ぶ権利を保障する観点から、在外教育施設における教育に関しては、教員の確保、現地採用の教員の待遇、特別な支援を必要とする子供たちへの対応等の課題があることに鑑み、在外教育施設の実態を踏まえ、必要な支援を行うこと。特に、教員の確保に関し、日本国内の学校現場で教員不足が生じている状況を踏まえ、教員不足の解消に向けた取組を推進するなど、都道府県教育委員会等が派遣教員を推薦しやすい環境の整備に努めること。
四、在外教育施設における教育環境が日本国内の学校と同等の水準となることが確保されることを旨とするとの本法の基本理念に基づき、在籍する在留邦人の子供たち及び教職員の安全確保や心身の健康の保持増進、ICTを活用した教育体制の構築等の観点から、施設の安全対策やICT環境の整備等に対する支援の充実を図るとともに、養護教諭、スクールカウンセラー、ICT支援員等の専門性の高い人材の活用を促進する方策について検討すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/29
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030・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) ただいま宮沢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/30
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031・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 全会一致と認めます。よって、宮沢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、末松文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。末松文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/31
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032・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 失礼いたします。
ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分、御趣旨に十分留意をいたしまして対処して、いたしてまいりますと存じます。済みません。対処してまいりたいと存じます。失礼しました。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/32
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033・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/33
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034・元榮太一郎
○委員長(元榮太一郎君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815104X01120220610/34
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