1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十八日
辞任 補欠選任
中西 哲君 山崎 正昭君
安江 伸夫君 秋野 公造君
五月二日
辞任 補欠選任
進藤金日子君 中川 雅治君
秋野 公造君 安江 伸夫君
五月九日
辞任 補欠選任
石川 博崇君 高橋 光男君
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出席者は左のとおり。
委員長 矢倉 克夫君
理 事
清水 真人君
高橋 克法君
有田 芳生君
安江 伸夫君
川合 孝典君
委 員
岡田 広君
加田 裕之君
中川 雅治君
福岡 資麿君
森 まさこ君
山下 雄平君
真山 勇一君
高橋 光男君
東 徹君
山添 拓君
高良 鉄美君
嘉田由紀子君
国務大臣
法務大臣 古川 禎久君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局人事局長 徳岡 治君
最高裁判所事務
総局民事局長 門田 友昌君
最高裁判所事務
総局家庭局長 手嶋あさみ君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
法務省大臣官房
司法法制部長 竹内 努君
法務省民事局長 金子 修君
出入国在留管理
庁次長 西山 卓爾君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/0
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001・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、中西哲君、進藤金日子君及び石川博崇君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君、中川雅治君及び高橋光男君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/1
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002・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/2
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003・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に安江伸夫君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/3
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004・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/4
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005・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/5
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006・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/6
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007・山下雄平
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
今回の民事訴訟法改正案が提出される以前より、裁判のIT化というものは進められております。二〇二〇年から公判前整理手続にウエブ会議の導入が始まっていると思いますけれども、各裁判所での対応状況、また今後の見通しについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/7
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008・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
争点整理手続におけるウエブ会議の運用につきましては、令和二年二月に知的財産高等裁判所と高等裁判所所在地の地方裁判所八庁で開始した後、同年五月には五つの地方裁判所本庁で、同年十二月にはその他の全ての地方裁判所の本庁で運用が開始されました。いずれの庁におきましても、ウエブ会議の実施に支障がないよう必要な機器の整備等がされているところでございまして、ウエブ会議の実施件数は、月ごとの増減はありますが、着実に増加しているところでございます。
現在は地方裁判所の支部へ展開中でございまして、本年二月に島嶼部にある八か所の地方裁判所支部で運用を開始したのを皮切りに、本年七月までに二百三か所ある地方裁判所支部の全てに運用を拡大する予定でございます。さらに、本年十一月には高等裁判所の本庁、支部でも運用を開始する予定ですので、これをもって全国の高等裁判所及び地方裁判所でウエブ会議による争点整理手続の運用が開始することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/8
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009・山下雄平
○山下雄平君 地裁の本庁は対応済みで、支部はこれからということだと思いますけれども、これは、ありていに言えば、本庁のある県庁所在地など比較的人口の多いところが先で、人口の少ない支部はもう少し待ってくださいということが実態であろうかというふうに思います。対応を開始したスタートから全ての裁判所で整備を終えるまでの間におよそ二年半のラグがあります。
裁判のIT化というのは、都会における効率化や生産性の向上に大きな寄与をすると思いますけれども、あわせて、公共の交通機関が少なく、移動に時間とお金が掛かる地方においても非常に私は有用ではないかと思います。しかし、現状では、地方は待たされているという実態にあります。
今回の法改正により、口頭弁論、法廷でのウエブ会議方式、こうしたものを利用できるようになった場合、各裁判所で導入する時期に差が生まれてくるのでしょうか。公判前整理手続のように本庁が先で支部は後といったような形になるんでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/9
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010・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
ウエブ会議を用いた口頭弁論についての改正法の施行日は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日とされておりまして、令和三年の十二月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画等によりますと、早ければ令和五年度中の施行が目指されているところと承知しております。
争点整理手続におけるウエブ会議の活用は、初めての取組であったこともございまして順次拡大というやり方でやってまいりましたが、相当の実績も積めたことから、ウエブ会議の方法による口頭弁論につきましては、施行日に全国の裁判所において一斉に実施することができるように、必要な機器の整備等も含めて着実に準備を進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/10
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011・山下雄平
○山下雄平君 是非とも、地方部、都会、一緒にスタートできるような対応、準備をよろしくお願いしたいと思います。
国民の皆さんが民事裁判、司法サービスをより利用しやすくするためには、予見可能性を高めることだというふうに思います。そのためには、過去の判例が有用だと考えます。
ただ、私は、判決文を公開をただ進めるだけでは不十分だというふうに考えます。膨大な判決文を場合分け、事例分けして、こういう事象の場合にはどういう判決が出る可能性が高いとか、幾らくらいの金額になることが多いとかいったことを整理して情報公開することが国民にとって必要ではないかというふうに考えます。しかも、そういった作業を民間の企業や民間団体がビジネスとしてやるのではなくて、公の組織が公共のインフラとして情報整理、提供していくべきではないかと考えます。
最高裁として、判例を国民に分かりやすい形で情報整理、提供し、民事裁判の予見可能性を高めていく考えはありませんでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/11
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012・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
裁判所としましては、これまでも例えば医事関係訴訟といった特定の事件類型に関して統計的に分析して公表するなどの情報提供は行うなどしてきておりますが、委員御指摘のように、最高裁において事例の内容に立ち入って類型分けを行ったり、あるいは認容額の多寡などに着目した分析を行ったりすることにつきましては、これを利用する方々のニーズを的確に捉え切れるかという問題もございますし、最高裁が一定の方向性を指し示しているとの印象を与えかねず、相当ではないのではないかというふうに考えております。
この点に関しましては、委員御指摘のように、民事判決情報を集約してデータベース化する要望が高まっていること等を踏まえまして、現在、公益財団法人日弁連法務研究財団主催のプロジェクトチームにおきまして、民事判決情報の利活用等に当たり検討すべき課題や対応策について実務的協議が行われておりまして、法務省及び最高裁判所もオブザーバーとして参加しておるところでございます。
裁判所といたしましては、こうした取組に必要な協力を行うといった形で御指摘のような情報提供の実現につなげていくのが相当ではないかと考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/12
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013・山下雄平
○山下雄平君 公平中立な司法が一定の方向性を指し示すようなと取られることはできないという話でしたけれども、価値判断を伴わない形で、例えば前提や条件を置いた場合で、紛争の多い問題、事例について判決を統計的に分析、整理して、例えばグラフにして、幾らというところにどのぐらいの山があるとかというのを客観的に示して、それで受け取った側が、ああ、このぐらいの判決が出ることが多いんだなということを見えるような形、分かりやすい形で情報を提供する、客観的に公表するというのは公平中立な司法でもできるんだと私は思いますけれども、検討する余地というのはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/13
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014・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
具体的なアイデアが思い浮かばず大変恐縮でございますが、価値判断を伴わない形で判決の事例を分析するための前提や条件を設定するということは必ずしも容易でないように思われるところでございます。
先ほど御紹介したような取組が進められている状況でもありまして、最高裁が判決の内容に着目した分析、整理を行うことには先ほど申し上げたような懸念があることも踏まえますと、大変恐縮でありますが、難しいと言わざるを得ないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/14
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015・山下雄平
○山下雄平君 最高裁としては価値判断を伴わない形でやることは必ずしも容易ではないと、できないということなのかもしれませんが、それは政策判断として私はできないというふうに最高裁が判断されているんだというふうに受け取ります。
この最高裁の政策判断と国民の意識の間にずれが生じている場合、その乖離を埋めていく手段というのは、こうした国会の場で最高裁に我々が質問をして、そして答弁していただくというこの手段を除くと、最高裁判所の裁判官の国民審査しかないというような認識でいいんでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/15
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016・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
委員から御指摘をいただきました最高裁判所の裁判官の国民審査に関しましては、憲法及び最高裁判所裁判官国民審査法で定められました法制度に関するものでありますので、最高裁判所としてこれにお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
他方で、裁判所といたしましては、裁判の利用者など広く国民の意見や要望等を把握するために、例えば、各地方裁判所、家庭裁判所の運営に広く国民の意見を反映させるために設置されました地方裁判所委員会あるいは家庭裁判所委員会を通じまして意見を伺うということをしております。また、弁護士会など関係する諸団体との協議を行うなどもしているところでございます。
これらを通じまして、今後とも国民の信頼に応えることができるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/16
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017・山下雄平
○山下雄平君 私自身、この問題に限らず、やはり最高裁、司法というのは、非常に国民からなかなか民主主義の過程で意見を反映しづらい構造的な仕組みがあるというふうに思っていて、ともすれば独善的になっていたり、また国民の意識とは違う方向に、かたくなに動かないようなことも多々あると私は思っているので、是非とも自戒をしながら、これからも司法として在り方を考えていただければというふうに思っております。
裁判の今回の法律で、効率化、能率を高めるという観点でお伺いします。
民事第一審の合議制、難しい事件を扱う裁判体は主任が左陪席を務めることが通例ですけれども、この左陪席が若手、新人の方が担っているために知識が不足していて、裁判の長期化を引き起こしている原因になっているというような指摘もあります。
基本的な素養に欠ける若手の裁判官が弁護士に助けてもらっている、教えてもらっているというような指摘もありますけれども、そういった認識はありますでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/17
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018・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
最高裁は、判事補に採用されることを希望する者につきまして、判事補に任命されるべき者として指名することの適否を学識経験者等により構成される下級裁判所裁判官指名諮問委員会に諮問しており、同委員会は、裁判官にふさわしい資質、能力を有する者か否かという観点から審議、答申をしているものと承知をしております。最高裁は、同委員会の答申を踏まえて判事補として任命されるべき者を指名してきており、また判事補として任命された後も必要な研修を実施してきております。
御指摘のような状況は承知しておりませんけれども、今後とも裁判官がその職責にふさわしい資質、能力を備えることができるよう取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/18
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019・山下雄平
○山下雄平君 ちゃんと任命しているし、研修もしているから大丈夫だと言うかもしれませんけれども、これは法曹界に限らず、若い人の人口が減っていって、どの業界も若い世代の質を保っていくということが非常に大きな課題になっています。特に法曹界は、外国の方に担っていくというわけにもいただかないので、なおさらだというふうに思っています。
若手裁判官の教育、研修について、これまでにどう改善、見直してこられたのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/19
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020・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
裁判官の資質、能力を向上させていくためには、具体的な事件処理を通じて行う自己研さんが中心になりますけれども、自己研さんを支援するために様々な研修プログラムを用意しております。
司法研修所では、若手裁判官に対し、判事補任官や判事任官等の節目のときに同期一律での研修を実施しているほか、民事、刑事、家事、少年等の分野ごとの研修も継続的に実施しており、令和四年度は、家事調停、建築、民事単独事件等を初めて担当する裁判官を対象とする研修も新たに実施する予定でございます。また、行政、知財、医療、IT等の専門的分野での研修や、周辺諸科学に関する研修も充実させてきております。
今後とも、若手裁判官の資質、能力の向上に向けて、研修内容の見直し、改善に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/20
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021・山下雄平
○山下雄平君 多分それだけでは不十分なので、そういった指摘が上がっているんだと思います。知識、経験を持った裁判官を増やすために、弁護士から裁判官への登用を更に増やすべきではないでしょうか。
最後に、そのことについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/21
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022・徳岡治
○最高裁判所長官代理者(徳岡治君) お答え申し上げます。
現在の複雑で多様な事件に裁判所が適切に対応するためには多様な給源から裁判官の人材を得ることが重要であり、弁護士として豊富な実務経験を有する優れた法律家が裁判官として活躍することは有意義なことと考えており、最高裁としても、日弁連と協議しつつ、弁護士任官の推進を図ってきたところでございます。
今後とも、優れた弁護士が多数任官するよう、弁護士任官の推進に向けた検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/22
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023・山下雄平
○山下雄平君 以上、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/23
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024・真山勇一
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。よろしくお願いします。
今日は民事訴訟法の改正案についてということなんですが、私たち一般国民が、裁判、いわゆる民事、私たち同士での裁判ということ、この手続を決めた法律の改正ということなんですね。やはり誰でもが裁判をする権利、裁判を受ける権利ということを容易にできるような、そういう形での法案作りをしていかなければいけない。
今回の改正もそういうことを目指しての改正というふうに理解をしておりますけれども、特に大きな柱としてはインターネットを利用した裁判というのがありますけれども、これは大きな時代の流れの中でやはりこれは進めていかなくちゃいけないことだというふうに思います。このウエブ化によって、裁判をする、不利な立場に置かれている人たちが少しでも裁判に組み込んでこられるということは大事なことだというふうに思っています。
ただ、その一方で、今指摘もありましたけれども、IT化していく上で、やはりIT格差というのが今言われていますね。場所によってかなりそうしたことがあります。やはりこれを一刻も早く解消して、公平な形で裁判ができるという体制を是非つくっていただきたいと思います。
私も、このインターネット裁判を進めていくことについては、これはもういいことだというふうに思っているんですけれども、幾つかの今回の改正の中で、やはりこれはどうしたものかというふうに思うことがあります。それがいわゆる期間限定裁判の問題です。もうこれは衆議院でもいろいろと議論されてきたんじゃないかと思います。古川大臣は、これについては法定審理期間訴訟手続という、これ正式な名前で呼んでおられますけれども、いわゆる期間限定裁判について少しお伺いをしたいと思います。
大臣、これは何を目的としたもので今回の改正に入れられたのか、まずそのことを、改めてですが、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/24
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025・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答え申し上げます。
現行法におきましては、民事訴訟手続の審理期間や判決までの期間に一定の期限を設ける規定はございません。また、当事者が互いに主張や証拠を提出する時期について合意をしたとしても、裁判所はその合意に拘束されないこととされておりまして、また、判決言渡し時期についても当事者の希望が取り入れられるとは限りません。このため、裁判所の判決がされるまでの期間を予測することが困難であるという指摘がありまして、民事訴訟の利用者を対象とした調査におきましてもそういった結果が出ているところでございます。
このように、現行制度につきましては、審理期間や判決の時期に関する予測可能性が低いことなどがそのデメリットとして指摘されておりまして、これらの予測可能性を高める手段を講ずる必要性が指摘されております。
法定審理期間訴訟手続は、これらの指摘等を踏まえまして、訴訟の審理期間に対する当事者の予測可能性を高めることを目的として導入しようとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/25
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026・真山勇一
○真山勇一君 大臣、そうしますと、今回のこの期間限定裁判、私は、済みません、期間限定裁判という言葉を使わせていただきますけれども、これに対するいわゆる立法事実というのはあるというふうに考えますけれども、それでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/26
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027・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) はい、そのように考えております。
この改正法案につきましては、法制審議会におきまして、弁護士や裁判官といった法律実務家や手続法の研究者、経済団体、労働団体などが参加をし、議論を尽くした上で示された答申に基づきまして法定審理期間訴訟手続を創設しようとしているものでありまして、審理期間等の予見可能性を高める手段を講ずる必要性を指摘する声にも応えるものであります。
したがいまして、その根拠となる立法事実があるものというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/27
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028・真山勇一
○真山勇一君 当然、法制審議会でもう本当に十分に検討、議論してきたというふうに思いますけれども、今の大臣の御説明だと、やっぱり立法事実って一体どういうものがあったのかというのは、具体的にどうもまだ私は把握ができないんですよね。
例えば、規定がないということ、規定がないというので作るということですけれども、一番何といってもその期間が予測が付かないということで、そのためにこうした期間限定の裁判をつくるということで、調査をしたらそうした声が大きかったということですけれども、これ具体的に、裁判が期間を限定しないと不便だという声というのは、具体的にどんなことを調査でしたのかどうか、それから、その調査自体はどのようなことを調査したのか、具体的に分かりやすく説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/28
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029・金子修
○政府参考人(金子修君) これ、法制審議会にも供された調査結果ですけれども、民事訴訟利用者調査の結果によれば、裁判が始まった時点で裁判が終わるまでにどれくらいの時間が掛かるか事前に予想が付いたかという質問に対して、全く予想が付かなかったとの回答が五六・四%でございました。また、法制審議会の部会におきましても、紛争解決までに要する期間の予測可能性が低いことが訴訟による紛争の解決をちゅうちょさせる要因になっているとの意見がございました。
このようなことから、このような新たな制度を設けるニーズがあり、また立法事実があるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/29
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030・真山勇一
○真山勇一君 予想が付かないという、調査の結果では五六・四%、まあ過半数ということですけれども、でも、そんなに私は大きい数字ではないんじゃないかなというふうにこれは感じるんですね。
確かに、裁判というのはいつ終わるか分からないというふうに思うかもしれませんけれども、裁判の内容によって、とても複雑で困難な判決が予想される場合にはそれはやはり期間長く掛かるでしょうけれども、扱う問題によっては、まあこのぐらいで終わるんじゃないかという予想というのは、やる当事者にも、予測は、いつに終わるということは、その期限は分からないけれども、どのぐらい掛かりそうだということは普通予測できるものではないんですか。その辺は、裁判、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/30
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031・金子修
○政府参考人(金子修君) 手続を利用されようとする当事者がどのように感じるかということにつきましては事案の性質によって様々だと思いますが、少なくとも、一定の期間内に終わるのであれば裁判を是非利用したいという人たちが、予測が付かないためにちゅうちょするという意見があったということにはやはり耳を傾けるべきだというふうに思っています。
その数字がどの程度あれば大きいと言えるかというのは難しい問題で、評価にわたるのでお答えできないんですけれども、そのような一定のニーズがあるところに応える、しかし、それは強制するものでは全くありませんので、しかも、一方当事者が希望すればいいというのではなく、両当事者が希望した場合に初めて利用する制度というものはあってもいいのではないか。少なくとも、そのようなニーズがある以上はそこに応えるという制度をつくる意味はあるというふうに理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/31
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032・真山勇一
○真山勇一君 今回のこの改正で、これ本当に新しい制度になるわけですが、これで対象になる民事裁判、民事裁判、当然、どういうものが対象になるかというのは、今までのこういうものが対象になるというのは分かると思うんですが、今度新しくこの対象になるものについて、これまでの裁判でどのぐらいの期間が必要だったかということは調査して数字出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/32
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033・金子修
○政府参考人(金子修君) 今回、この法定審理期間訴訟手続を利用できる事件、事案について一定の類型による除外をしているほか、あるいは当事者の公平を害し、適正な審理を妨げると認められる場合、これについてはこの手続を始められないという限定が掛かっていますので、この新しい手続が導入された場合の対象事件についてこれまでどれだけ掛かっていたかということをお示しするデータはございませんが、一般的な民事通常訴訟の全体の平均審理期間につきましてはデータがございまして、欠席判決も含めた形では令和二年で九・九か月、それから対席の判決については十三・九か月掛かっているというデータがございます。
ただ、これと今回法定審理期間訴訟手続が導入された場合の対象事件というのは一致しないということは御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/33
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034・真山勇一
○真山勇一君 いや、やっぱり大臣も立法事実がございますというふうにおっしゃいました。やっぱりこの対象になる裁判というのは分かるわけですから、やはりこれを、期間が分からないから限定しましょうということが今回の法改正の趣旨だとしたら、やっぱり今回対象になる裁判が、民事の裁判が、そんなに複雑で期間が長く掛かる裁判じゃないものが多分類型として入っているんじゃないかと思うんですが、そうしたら、その裁判が一体どのぐらいで終わっているのかということはこれはデータで示していただかないと、それは、だから法改正するんだという根拠がないと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/34
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035・金子修
○政府参考人(金子修君) 今回のこの法定審理期間訴訟手続を導入する意義ですけれども、単に審理期間を短縮するということではなく、審理を終える期間についての予見可能性を高めるというところに意義がありますので、今までだったら長く掛かっていたのがこれを使うことによって短縮すればいいというようなものとは理解していません。
そういうこともあって、審理期間についてのデータは、今回導入された場合の対象事件について現行ではどうなっているかということのデータは特段取っていないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/35
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036・真山勇一
○真山勇一君 いやいや、大臣、だって、そのめどが付いていないから、短縮、どれぐらいになるかということを、その一つ目安をつくるためにこれ、この新しい制度をつくるんじゃないかと思うんですが、そうしたら、その対象になる裁判がどのぐらいになっているのかというのが分からなければ、じゃ、この言われている六か月というのが適正なのかどうかって判断、どうやって判断するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/36
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037・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 先ほども御答弁申し上げましたように、やはりこの裁判を利用した方々に対するアンケート調査をしたところ、やはりこの裁判がどれぐらい続くのか予測できなかったというようなお声が多数、過半数ありました。つまり、その予見可能性が低いということが裁判制度を利用するということについてちゅうちょさせる要因の一つになっているのではないかという問題意識がございます。
そのために、この裁判制度をより国民に身近なものとするためには、やはりこの予測可能性を高めるという何らかの手だてを講ずる必要があるのだろうという、そういう趣旨でこの法制審議会においてもその是非あるいは具体的な内容についても議論がなされ、その結果、頂戴したこの答申ですね、答申に基づいて今回の法改正を目指しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/37
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038・真山勇一
○真山勇一君 裁判をやっている人、受けている人がどのぐらい続くのか予見ができないからというふうにおっしゃっていますけれども、普通、大体、裁判始めたら、この裁判どのぐらい掛かるかねって例えば世話になっている弁護士さんに聞いたり関係者に聞くと、ううん、大体こういう事件はこのぐらい掛かると思いますよということぐらいは、皆さんやっぱりそれはある程度、ある程度は理解できるんじゃないかというふうに思うんですね。
だから、やっぱり今回、その期間を限定して裁判の期間を明快にするということであれば、やはり実際このぐらい掛かっているからこういう目安を出しましたということを出すのが、それが立法事実というもののつくり方じゃないかと思うんですけれども、どうもその辺つくらないでおいて、ただ期間の明示ができないから、じゃ六か月に決めようみたいな感じがするんですけれども、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/38
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039・金子修
○政府参考人(金子修君) 六か月としたのは、もちろん予測可能性を高めるという意味では例えば一年とか二年とかという設定の仕方もあるかもしれませんけれども、終結までの期間余り長期であると結局訴訟活動等を予測することが難しくなるので、これまでの平均審理期間も見つつ、争点あるいは証拠の整理するための期間を五か月とすると、証拠調べの期間を一か月とすると、審理の終結までを六か月というふうにしたものでございますので、今までの平均審理期間を参考にしたことは間違いありませんが、これも余り無限定にしてしまうと結局予測可能性といっても幅が非常に大きくなってしまうので、メルクマールとして役立たないということで六か月というふうにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/39
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040・真山勇一
○真山勇一君 いや、何回聞いても、その何で六か月にしたのかという根拠が全然分からないんです。何で期間が六か月ということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/40
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041・金子修
○政府参考人(金子修君) それは、今平均、民事通常訴訟の平均審理期間が九・九か月となっているということを踏まえて判断したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/41
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042・真山勇一
○真山勇一君 だから、民事訴訟全般の裁判に掛かる期間が平均九・九か月だから、六か月ならそれより早いし、ある程度裁判が終わる時期も明示できるから六か月に決めたという解釈になると思うんですが。
じゃ、こういう説明を法制審議会に、こういう説明を法制審議会の委員の方に説明して、ああ、そうですかと納得できたんですか。私はちょっと、学者先生とか、学者とか弁護士さんがそういう説明で納得できるのかな、やっぱり実際どのぐらい掛かっているのかというデータがあるからこうしようという、やはりその一つの説得力がないと納得できない先生方じゃないと思うんですが、それはどういうふうに、問題はなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/42
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043・金子修
○政府参考人(金子修君) 法制審議会においてこの法定審理期間訴訟手続をめぐってはいろんな意見が出ましたが、この六か月というのを目安とするという考え方は法制審議会の部会の始まった段階から示されていたものと理解しておりまして、そういう、何というんですかね、一定の基準がないと審議、調査をする上でのよすががないということもあったのかもしれませんが、この部分については特段、もっと短い期間とか長い期間とかいうような御意見はなかったものと承知しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/43
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044・真山勇一
○真山勇一君 今、六か月というのが最初から示されていたということなんですが、これは確認なんですが、法務省の方から六か月ということを提案したんですか。それとも、法制審の中で話をしているうちに六か月だよねという意見、あるいはどなたかが六か月ということを出したんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/44
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045・金子修
○政府参考人(金子修君) これは、いろんな各分野からの有識者の方が参加する法制審議会の性格にも関わりますが、当然、会議である以上、そのたたき台を示すという必要は、何らかの案を示して、それに基づいて御議論いただくという進め方をしておりますので、そのたたき台自体は法務省の方の事務当局が作成しているということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/45
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046・真山勇一
○真山勇一君 今、有識者という言葉が出ましたけれども、そうなんですよ。私は、法制審はやっぱり有識者の方が集まっているんですから、やっぱりそれなりに論理的に説明をしないと納得しない方が多いんじゃないかと思うんですが。
法制審の、じゃ、この件について、賛否、これはどうだったんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/46
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047・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/47
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048・金子修
○政府参考人(金子修君) ちょっと途中いろいろあったんですけれども、最終的な案につきましては、部会においては主婦連の代表の方が反対でした。それを総会にかけたんですけれども、総会では弁護士会が棄権、失礼、弁護士会の代表の方が、弁護士である委員の方が棄権で、その他の方は賛成という意見の分布状況でした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/48
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049・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/49
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050・真山勇一
○真山勇一君 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、何か説明、中途半端でよく分からない。また機会があれば、是非この辺確認したいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/50
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051・安江伸夫
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。質問の機会をいただき、ありがとうございます。
それでは、今回の民訴法の改正案について、通告に従って順次伺ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今回の改正の内容は多岐にわたるわけでありますが、大きな柱は何といっても民事訴訟のIT化でございます。このIT化、我が国の司法制度の歴史に残る大改革であるというふうに認識をしております。
私も弁護士の一人として訴訟実務、裁判実務に携わってまいりました。弁護士になりたての頃、まさに紙中心の裁判手続、文字どおり紙の洪水と言えるような状況に触れて、何てアナログな世界なんだというふうに感じたことを思い起こしております。
訴状、証拠説明書、書証の写し、これを裁判所用と相手方用の正本、副本を作って、印紙を貼って、郵便切手を付けて、これだけでも大変な労作業、事務作業でありまして、これが一挙にオンラインで解決できるということは本当にエポックであるというふうに感じておりますし、また、オンラインの提出、実はこの訴状等の書類を裁判所に持っていくということも大変な事務作業となっております。事務員さんたちが大変な量の書類を抱えて裁判所に置く手間もこれで一気に解消される、本当にすばらしいことだというふうに思っております。
また、訴訟を利用する当事者も、費用の削減、交通費も大変な削減になる、いろんなメリットが享受できるのが今回の民事訴訟のIT化だというふうに実感をしているところでございます。
裁判が国民、市民にとってより使いやすく、また権利の実現が迅速に、また充実したことになることを期して今回の法改正を進めていただきたいと思っております。
第一にお伺いをいたしますのは、今回の民事訴訟手続のIT化につきまして、改めてその意義、重要性をどのように考えていらっしゃるのか。また、今回のIT化の趣旨には、利用者の利便性を高めると同時に、訴訟に要するコストを削減するということも重要な意義であるというふうに理解しておりますが、このような理解でよろしいか、古川法務大臣の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/51
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052・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答え申し上げます。
今般の改正法案に盛り込まれておりますこの民事訴訟手続のIT化の具体的な内容といたしましては、訴状等をインターネットで提出することができ、相手方も裁判所のサーバーにアクセスして送達を受けることができるようにすること、ウエブ会議により口頭弁論を行うことができることとするなどウエブ会議や電話会議を利用することができる場面を拡大すること、訴状や判決書などの事件の記録を電子化し、当事者は自分の端末から裁判所のサーバーにアクセスして、記録の閲覧、ダウンロードをすることができるようにすることなどがございます。
これらの改正によりまして、自宅や事務所からも訴えの提起等が可能となるなど、民事訴訟を利用する国民の利便性が向上するとともに、訴訟手続の迅速化、効率化が図られ、訴訟に掛かるコストが低減するメリットがあるものと考えられます。
国民の司法アクセスを向上させる観点からは、民事訴訟に掛かるコストの低減を図ることは重要であるというふうに考えておりまして、今般の改正法案は重要な意義を有するものだというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/52
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053・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございます。
また、今回は民事訴訟の手続を中心としたIT化を内容としておりますが、裁判手続には、このほかにも、執行、保全、倒産、あるいは家事手続など、各種手続が存在をいたします。今回の民事訴訟のIT化を契機といたしまして、今申し上げたようなその他の民事あるいは家事手続のIT化も併せ推進を加速させていくべきものと考えております。
この民事訴訟以外の民事、家事の裁判手続のIT化の必要性についてどのように御認識をされているか、また今後どのように取り組んでいく予定なのか、そのスケジュールも併せてお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/53
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054・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
近年における情報通信技術の飛躍的な進展等の社会経済情勢の変化に照らしますと、民事訴訟手続以外の民事、家事裁判手続のIT化は喫緊の課題であると認識しております。そのため、令和四年二月、法務大臣から法制審議会に対し、家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等の見直しに関する諮問がされたところでございまして、現在、専門部会が設置されて調査審議が行われています。
スケジュールにつきましては、令和三年十二月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、家事事件及び民事保全、執行、倒産手続等のデジタル化に向け、令和五年の通常国会に必要な法案を提出することとされております。
法務省としては、このような政府方針をも踏まえ、法制審において充実した調査審議が行われるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/54
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055・安江伸夫
○安江伸夫君 司法制度をトータルでIT化を推進していただきたく思いますし、また、刑事手続の裁判のIT化も今政府の方で検討を進めていただいておりますので、総合的な司法のIT化、引き続き全力でお願いしたいと思います。
続きまして、訴状のオンライン提出に関連してお伺いしたいと思います。
今回の改正を機に、本気になって民事訴訟のIT化を推進するというのであれば、やはり訴訟の入口の段階、すなわち訴えの提起の段階からオンラインの利活用を強力に推進していくことが重要であると考えます。とりわけ、今回の改正によっては、本人訴訟の場合にはオンラインの利用が義務化されておりません。IT機器に不慣れな方や通信環境が不十分な方がオンラインでの申立て、これを忌避することも予測されます。
そこで、IT化を推進する上では、こうしたITに不慣れな方々に対する総合的なサポート体制の構築が不可欠であるというふうに考えております。先般の参考人質疑におきましても、三人の参考人の先生方から同様な観点での御指摘があったところであります。また、司法書士会の皆様におかれても、独自の取組を推進をしていただいていることもお伺いをしたところであります。
そこで、例えば裁判所、弁護士会、司法書士会とも連携をした本人訴訟の支援体制の構築が重要と考えますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/55
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056・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 御指摘のとおり、民事訴訟のIT化を推進するためには、IT機器の操作に不慣れな当事者本人の方々に対する総合的なサポートの体制を構築することが重要だというふうに考えております。
具体的には、まず裁判所において、当事者本人にとっても簡易かつ分かりやすいシステムの構築等に向けた検討を行っているものと承知をいたしております。
また、当事者本人が弁護士や司法書士を通じてIT支援と法的助言とを組み合わせた総合的なサポートを受けることができる機会を確保することが重要と考えているところですが、現在、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会におきまして、総合的なサポート体制の整備に向けた検討を進めておられるものと承知をいたしております。
さらに、法テラスにおきましても、こうしたサポート体制や支援窓口等に関する情報を提供することや、法律相談の際に、法的助言に加え、必要に応じ書面の電子化等に関する助言も行うことなどを検討しているものと承知をいたしております。
法務省としては、このような関係機関や関係団体と連携しつつ、本法律案の改正内容やこれらの取組の周知を図るなど、必要な環境整備に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/56
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057・安江伸夫
○安江伸夫君 力強い御答弁いただきました。ありがとうございます。
これに関連して、もう一問お伺いいたします。
本人訴訟でオンラインでの訴訟提起を促すに際しましては、やはり訴状等の作成に当たりまして、ウエブ上のサポート体制を強化することが重要であると考えております。例えば、ネット上に要件事実ごとに整理をされた訴状フォームを設け、そのフォームに当事者としての主張する事実を入力をしていただければ自動的に訴状が完成するといったシステムを設けるとか、さらにはAI機能を使って訴状の形式的事項のチェック等を行うことができれば、裁判所の側においても事務負担を大幅に軽減をすることも考えられます。
このように、訴状等のオンライン提出の特性を生かして、弁護士会や司法書士会といった関係者の声もしっかりとお伺いをしながら、利用者目線に立ったインターネット上のサポート体制の構築を推進すべきものと考えます。最高裁のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/57
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058・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
今後開発するシステムに関する御質問ですので、現時点で確定的なお答えが難しいところはございますけれども、裁判所としましても、委員御指摘のとおり、入力フォーム方式を採用することや、あるいは形式的事項の記入漏れがあるような場合にエラー表示をしてその記入を促すというようなシステムとすることなど、利用者にとって利用しやすいシステムの在り方について検討しているところでございます。
システムの構築に当たりましては、利用者、裁判所双方にとって可能な限り使いやすいシステムとなるよう、今後、利用者の皆様の意見等も踏まえながら更に検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/58
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059・安江伸夫
○安江伸夫君 今の点は、例えば海外の事例なども多数あるというふうに承知をしております。また、予算も掛かることで大変なことだというふうには重々承知しておりますが、どうか利用者目線に立ったシステムの構築を重ねてお願いをしたいというふうに思います。
続きまして、被告側をオンライン手続に誘引していく工夫についてお伺いをします。
訴訟当事者の一方だけがオンライン手続であっても、他方が紙による手続ではかえって事務処理の負担が増加するという非効率が生じ得ます。つまり、わざわざプリントアウトをして郵送しなければいけない、あるいはPDFに読み込んでアップロードしなければいけないといった手間でございます。そこで、訴えを受ける被告側におきましてもオンラインの利活用を促していくこと、これが重要と考えます。
例えば、訴状等の送達を受けた際にオンラインの手続の利用を積極的に促すとともに、また、中立公平な見地から裁判所、弁護士会、司法書士会などの相談窓口を紹介するなどプッシュ型の案内を同封する、こういった情報提供の強化を行うことが重要と考えます。最高裁判所のお考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/59
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060・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
法制審の部会においても、当事者も含めた社会全体の利便性向上を図ることができることから、書面での申立て等が可能とされている方であっても可能な限りオンライン申立てを行っていただくことが望ましいとの指摘があったところと承知しております。また、日本弁護士連合会や日本司法書士連合会といった関係団体におきましても、本人へのサポート体制の整備などを検討されているものと承知しております。
改正法案が成立した暁には、これらの関係団体と協議するなどしながら、裁判所としても、被告側も含めオンライン申立てを促すための適切な方策について、委員御指摘のような方法も含めて検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/60
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061・安江伸夫
○安江伸夫君 続いて、IT環境の整備等に関連してもお伺いしておきます。
今、IT機器に不慣れな、いわゆるIT弱者と呼ばれるような方々への支援や、デジタルデバイドの解消といった観点でのサポートの体制を構築していくということの重要性を踏まえて御指摘をさせていただきましたが、そもそも論として、そうしたIT弱者を生まない、あるいは格差そのものを生じさせないという観点での支援も重要であるというふうに考えております。
そこで、今回の民事訴訟のIT化を契機といたしまして、誰もがオンライン訴訟を利用できることを念頭に置いたIT教育の推進であったり、あるいは裁判の権利を充足させるという観点での通信環境の整備の支援を関係省庁とも一体となって推進をしていくべきものと考えます。法務省の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/61
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062・金子修
○政府参考人(金子修君) 今般の改正法案では、インターネットを用いた訴えの提起や訴訟記録の電子化、ウエブ会議を活用した口頭弁論期日等を実現するための所要の規定の整備をしており、これらの改正により書面管理等のコストを削減することができ、さらには訴訟手続の迅速化、効率化が図られることが見込まれます。
このように、民事訴訟手続のIT化は利用者にとってメリットが大きいものであり、可能な限り多くの当事者がインターネットを用いた訴訟手続を利用し、このようなメリットを享受することができることが望ましいと考えられます。
その前提として、委員御指摘のとおり、ITリテラシーの向上そのものが大きな問題、課題となってくるわけでございますけれども、インターネットを用いた訴訟手続が広く利用されるよう、必要に応じて関係省庁とも連携協力して、このような必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/62
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063・安江伸夫
○安江伸夫君 送達のオンライン化についても伺っておきたいと思います。
今回の改正によりまして、インターネットを利用した送達が可能となります。具体的には、送達対象のデータを裁判所のサーバーに記録し、送達を受ける者が閲覧、ダウンロードできる状態にした上で、メールを通知する方法で送達を可能とするという内容になっております。
もっとも、閲覧もダウンロードもされていない場合であって送信から一週間経過した場合では送達したものとみなすという規定も設けられており、いつまでも送達が完了しない状態を避ける手当てがなされていると承知をしております。かかる規定につきましては、送達時期の明確化を図るために必要な規定と理解をしています。
他方で、何らかの理由で閲覧やダウンロードができないことも考えられます。当事者等に帰責性がない場合は法的な救済手当てがなされております。しかし、帰責性がないとは言えないまでも、何らかの理由でこれらを閲覧等できない場合は一定数生じ得るのではないかというふうに考えられます。
そこで、例えば裁判所が閲覧、ダウンロードの事実を把握するといったことは可能でありましょうか。一週間経過した後もいずれの対応もなされていない場合には、当事者等に対して事実上の確認を取るなどの手当てをする必要性はないでしょうか。この指摘につきましては当事者を甘やかし過ぎと言われるかもしれませんが、制度の過渡期的な対応として必要ではないか、特に本人訴訟においては丁寧な対応が重要かと考えます。
今申し上げたような提案につきまして、法務省のお考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/63
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064・金子修
○政府参考人(金子修君) 改正法案は、インターネットによる送達の効力発生時期について、送達を受けるべき者が裁判所のサーバーにアクセスし、送達の対象となった電子データを閲覧し、又はダウンロードした時点、送達を受けるべき者に対し通知を出されてから一週間を経過した時点のいずれか早いときに送達の効力が発生することとしております。
このように、送達を受けるべき者が送達の対象となった電子データを閲覧し、又はダウンロードした事実は送達の効力発生時期に関わるものであり、改正法案は裁判所においてその事実を確認することができるということを前提としております。
また、改正法案では、送達を受けるべき者が送達の対象となった電子データを閲覧又はダウンロードしない場合であっても、通知が出されてから一週間を経過した時点で送達の効力を生ずるものとしております。これは、インターネットによる送達は、原則として送達を受けるべき者が自らインターネットによる送達を受ける旨の届出をしている場合に限って行うことができるものとしており、自ら届出をした者に対し、その者が閲覧又はダウンロードすることができる状態に置かれ、通知がされてから一週間が経過した場合には、その者に対して送達を受領する機会が十分に与えられたものと評価することができると考えられたためでございます。
そのため、制度としましては、裁判所において通知から一週間を経過した後に送達について連絡等をすべきものとはしておりませんが、委員御指摘のような事実上の確認を実施するか否かにつきましては、最終的には裁判所において個別具体的な事案を踏まえて判断されるべきものであると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/64
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065・安江伸夫
○安江伸夫君 是非丁寧な対応ということを検討していただきたいというふうに思います。
時間の都合で最後の質問とさせていただきます。
送達を受けるべき者がその責めに帰することができない事由によって閲覧又は記録することができない期間につきましては、通知が発せられてから一週間の期間には算入しないという規定が盛り込まれております。この責めに帰することができない事由の解釈につきましては、できる限り明確かつ多様な事由を例示的に示すことが予見可能性を担保し、かつ法的な安定性を図る上でも重要であると考えます。
この点についての法務省の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/65
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066・金子修
○政府参考人(金子修君) 改正法案では、送達を受けるべき者の責めに帰することができない事由によって閲覧又はダウンロードすることができなかった場合には、その期間は送達の効力発生期間には算入しないこととしております。これ委員御指摘のとおりです。それは、そのような場合には、送達を受けるべき者に対して送達を受領する機会が十分に与えられたとは言えないことから、送達の効力の発生を認める前提を欠くと考えられるためでございます。
一方で、具体的にどのような場合が責めに帰することができない事由に当たるかは、個別具体的な事案によって様々なケースが考えられ、最終的には、先ほど申し上げたような制度の趣旨を踏まえつつ、個々の裁判体によって判断されるべきものと考えられます。
もっとも、一般論として想定される例を挙げるとすれば、例えば、システムやメールサーバーの不具合等によって送達を受けるべき者に対して通知が届かなかった場合や、裁判所のサーバーにアクセスすることができなかった場合などが考えられます。
改正法案ではこの点について法文上例示を設けていませんが、法務省としては、改正法案が成立した場合には、十分な制度趣旨の周知を行い、訴訟利用者の予測可能性を害することのないよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/66
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067・安江伸夫
○安江伸夫君 残りの質問は次回に譲りまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/67
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068・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
私も、ITの利活用のことからまず御質問させていただきたいと思います。
ゴールデンウイーク前の参考人質疑において、いわゆる士業者の方のITリテラシーの差の、格差の問題について幾つかの御指摘がございました。その中で、参考人の方から、必ずしもいわゆる全ての士業者の方のITリテラシーが高くない状況の中では、一気にこの義務化、いわゆるオンライン申請の義務化を行うのではなく、オンライン申請の申立てを進めつつ、ITの利活用の定着を図った上で義務化すべきではないのかといった御指摘がされております。
この指摘に対して、私聞いておりまして一定の合理性を感じたわけでありますが、そこで法務大臣にお伺いしますが、このITリテラシーの問題が指摘されている状況下で、民事訴訟手続のオンライン申請を義務化することとしたそもそもの理由について改めてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/68
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069・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) インターネットを用いた方法により訴えの提起等をすることができるようになった場合には、訴訟記録が電子化されることと相まって書面管理などのコストを削減することができ、さらには訴訟手続の迅速化、効率化が図られることとなって、民事訴訟に関する社会全体のコストが削減されることとなると思われます。このような観点からすれば、訴えの提起等は可能な限りインターネットを用いた方法により行われるのが望ましいと考えられます。
弁護士等の法律専門職にある者は、職務として民事訴訟手続に関与する者でありますから、訴訟手続の迅速化、効率化に率先して取り組むことを期待することができ、また、一般にインターネットを用いた申立て等に対応する能力を十分に有しているものと考えられます。
加えて、主要国におきましては、近年、弁護士については電子的な方法による申立てが義務化される傾向にございます。
これに対して、弁護士等以外の者にインターネットを用いた申立て等を義務付けることとした場合には、御指摘のとおり、ITリテラシーが高くなく、これに十分に対応することができない者が一定数存在するものと考えられるこの現状におきまして、これらの者の裁判を受ける権利にも影響を与えかねないことが危惧をされます。
そこで、改正法案におきましては、弁護士等の法律専門職が訴えの提起等をする際にはインターネットを用いた方法により行うことを義務付ける一方で、法律専門職以外の者についてはこれを義務付けないこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/69
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070・川合孝典
○川合孝典君 併せて確認させていただきたいんですが、参考人質疑の折に、参考人の方から、既にオンライン申請が導入されているいわゆる登記、不動産登記の申請手続について、利活用が必ずしも進んでいない趣旨の御発言がございました。現時点でいわゆる登記申請のオンライン申請の手続の状況というのはどのようになっているのか、このことを確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/70
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071・金子修
○政府参考人(金子修君) 登記申請によるオンラインの利用についてお尋ねですので、その点についてお答えいたします。
法務省におきましてはこれまでオンライン利用率の向上に努めてきたところであり、令和三年度の登記申請におけるオンライン利用率は、不動産登記については約七二%、商業・法人登記につきましては約六三%となっております。
もっとも、そのほとんどは登記申請の専門家である司法書士や土地家屋調査士が本人を代理して申請するものでございまして、いわゆる本人申請についてはオンラインの利用は普及していないという状況にあるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/71
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072・川合孝典
○川合孝典君 そういたしましたら、今局長の御答弁にありました七二%は不動産登記の場合には既にオンライン申請がなされているということでありますが、残りの二八%については本人申請だからオンラインを使っていないという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/72
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073・金子修
○政府参考人(金子修君) オンライン申請が利用されていない場合のほとんどは本人申請によるものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/73
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074・川合孝典
○川合孝典君 私が懸念いたしましたのは、いわゆるオンライン申請がなかなか普及しない、進まないから義務化をするということ、仮にそういうことなのであるとすれば、利用者の利便性ではなくて、いわゆる司法の効率化という司法側サイドの都合で義務化が導入されたのではないのかということをちょっと感じたものですから、その点について確認をさせていただきました。
では、次の質問に入らせていただきます。法務大臣にお伺いしたいと思います。
先ほど安江委員の御質問ともかぶるところでありますが、ITリテラシーが必ずしも高くない士業者がいらっしゃる、少なからずいらっしゃる中で、今回のいわゆる制度導入によって、現場に少なからず義務化によって混乱が生じることが想定をされます。
円滑なこの義務化の制度導入に向けた具体的な対応策についてどういった御検討をされているのかということについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/74
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075・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答え申し上げます。
法制審議会から答申された要綱におきましても、最高裁判所規則において、申立てをインターネットを用いた方法によりすることができる者は、申立てをインターネットを用いた方法によりするものとする旨の訓示規定が設けられることが提案されております。
そのため、法務省として、まずはこの手続利用者が自ら進んでインターネットによる申立てが広く行われるように関係機関等と連携して必要な環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/75
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076・川合孝典
○川合孝典君 法務省の方から補足がもしあればお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/76
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077・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 法務省、ただいまの点についての。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/77
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078・金子修
○政府参考人(金子修君) インターネットを用いた申立て等に関する改正法の施行は、公布後四年以内で政令で定める日とされております。その期間を利用しまして必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/78
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079・川合孝典
○川合孝典君 話が若干それますが、私、実は厚生労働委員会で長く仕事をさせていただいておりまして、その中で、医師のいわゆる医療情報の電子カルテ化の議論をしたことがあるんですが、そのときにやはりITリテラシーの問題が議論になりまして、いわゆる電子カルテを導入するということに当たって、やはり現場でそれに対応し切れない方が少なからず出られたということで、結構何年かにわたって混乱したんですよね。そうした状況が、今回このITの導入義務、オンライン申請の義務化によって、実務をされる、携わられる方々の間でそういう問題が生じるのではないのかということがちょっと私自身気になったものですから、したがって、そういう問題意識にも基づいて、その士業者の方々、オンライン申請をせねばならなくなっている方々に対する支援というものをきちっとやっていかないと、地域やその士業者の方の年齢、世代等によっても当然対応のスピードが全然変わると思うんです。そういうことについて問題意識をお持ちなのかどうなのかということで法務大臣に御質問させていただきました。
この点についてどうお感じになられるか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/79
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080・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
やはりその点は、御指摘の点は非常に大切な点だと思います。やはりこのITリテラシー、それは人まちまちでありまして、一律にこの制度改正に当たって、制度を変えたから世の中がそれに対応できるかというと、そういうものではないと考えております。したがいまして、やはりこの総合的なサポートの体制を構築するということ、これが非常に大事だなというふうに考えております。
具体的には、まず裁判所において、当事者本人にとっても簡易かつ分かりやすいシステムの構築等に向けた検討を行っているものと承知しております、裁判所においてですね。
また、当事者本人が弁護士や司法書士を通じてIT支援と法的助言とを組み合わせた総合的なサポートを受けることができる機会を確保することが重要と考えておりますから、現在、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会におきまして、総合的なサポート体制の整備に向けた検討を進めておられるものと承知をいたしております。
さらに、法テラスにおきましても、こうしたサポート体制や支援窓口等に関する情報提供や、法律相談の際に、法的助言に加えて、必要に応じ書面の電子化等に関する助言も行うことなどを検討していると承知をいたしております。
このように、関係機関、関係団体と連携をすることがこれは非常に大事だというふうに思います。このようなことを通じて、このサポート体制をしっかり構築すること、そして取組の周知を図っていくこと、これが大事なポイントだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/80
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081・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
関連して法務省に御質問したいと思いますが、今後このIT化を進展させていく上では、いわゆる士業者の方々だけではなく裁判全体をどうIT化を導入していくのかということも含めて議論していかなければいけないと思いますが、参考人質疑の折にいわゆる簡易裁判所における訴訟の実態について少し言及がありましたが、いわゆる本人訴訟が、簡易裁判所では九割以上が本人訴訟であるというところの御指摘がありました。
したがって、簡易裁判所における民事裁判の実態を踏まえると、今後、簡易裁判所におけるオンライン申立てに対する具体的な利用促進策というものについても検討を始めなければいけないのではないのかという問題意識を持っておりますが、この点について法務省の御認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/81
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082・金子修
○政府参考人(金子修君) 御指摘のとおり、簡易裁判所による本人訴訟率は非常に高いものがございます。
改正法案では、地方裁判所に限らず、簡易裁判所における民事訴訟手続についても全面的にIT化することとしており、そのIT化によるメリットを実現することとしております。
もっとも、御指摘のとおり、簡易裁判所では、地方裁判所と比較しても相当数の事件が双方又は一方に弁護士等が訴訟代理人に選任されていないいわゆる本人訴訟となっており、当事者本人によるインターネットを用いた申立て等がどの程度されるのかが課題になるものと考えております。
この点につきましても、インターネットを利用するメリット等を踏まえますと、地方裁判所に限らず簡易裁判所においても、弁護士等に限らず広くインターネットを用いて裁判所に対する申立てが行われるようになることが望ましいと考えておりまして、現在、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会におきまして、いわゆる本人訴訟において書面の電子化等のIT支援を含めたサポート体制の整備などの取組を検討しているものと承知しております。
また、法テラスにおきましても、こうしたサポート体制や支援窓口等に関する情報を提供することや、法律相談の際に、法的助言に加え、必要に応じ書面の電子化等に関する助言も行うことなどを検討しているものと承知しております。
法務省としましても、簡易裁判所においてもインターネットによる申立てが広く行われるよう、関係機関等と必要な連携をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/82
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083・川合孝典
○川合孝典君 時間の関係がありますのでこれで最後にしたいと思いますが、今局長から御答弁がございましたとおり、今回のこの法律改正によって、恐らくその本人訴訟の部分というのはまだ具体的な対応というものが明確には方針が示されていない状況でありますので、本人訴訟のいわゆるオンライン申請というものは具体的に目に見えた形で進展するのかというところに疑問が正直残っていると思っております。
そうした状況の中、訴訟代理人に委任をせずに本人訴訟を行う方が申立て、いわゆる電子情報処理組織による申立てを容易に利用できるようなシステムというものを関係団体が検討していらっしゃるということではありますけれど、今後、日弁連や司法書士連合会さんなどの意見を聞きながら、具体的に利便性の高いシステムを構築することについても同時に検討を始めないと、本人訴訟の部分についてが後ろにどんどんずれ込むことになるのではないのかというふうに私、問題意識を持っておるんですけれど、そうした取組を行うことの必要性についての御認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/83
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084・金子修
○政府参考人(金子修君) そのようなシステムの構築の必要性については委員御指摘のとおりというふうに理解しております。
具体的なシステムの構築につきましては、ここでの御議論も踏まえて最高裁判所の方で検討されていくことになりますけれども、できるだけ使い勝手のいいようなシステムにつくっていくというようなことが肝要かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/84
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085・川合孝典
○川合孝典君 時間が参りましたので、残余の質問は後日に回したいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/85
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086・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
今日の法案質疑の前に、先にちょっとウクライナのことについても状況をお聞きしたいというふうに思います。
まず、ウクライナの避難民についてでありますが、三月二日の受入れ以来、今現在、日本にどれぐらいの方を避難民として受け入れているのか、その数についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/86
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087・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 避難を目的として本邦に入国された方ですけれども、三月二日以降五月八日までの速報値で合計八百七十八人となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/87
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088・東徹
○東徹君 八百七十八人ということで、じわりじわりと増えてきているというふうに思うんですが、そのうち、当初は一旦九十日間の短期滞在ということで在留資格であったわけだと思いますけれども、そこから、希望された方というのは、一年間の特定活動での在留資格ということに今変更をされている方もおられるんだろうというふうに思いますが、この数についてはどのような状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/88
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089・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) お尋ねの変更許可数でございますが、これも五月八日時点の速報値で合計四百四十五人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/89
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090・東徹
○東徹君 四百四十五人ということで、この数もやっぱり増えてきているというふうに思います。
私は、やっぱり心配しているのは、今、日本で滞在している方々がきちんと不安なく生活されているのかどうかというところが、大変そこを危惧しておるわけでありまして、地方自治体からは国ももうちょっと協力してほしいというふうなお声も聞いたりすることもあります。ですから、是非ともそこは地方自治体ともしっかりと協力体制を構築していっていただきたいというふうに思いますので、これはお願いとして要望させていただきます。
それでは、今回の民事訴訟法の改正法案について質疑をさせていただきます。
今回、民事訴訟手続の全面的なIT化をこれは目指していくものだというふうに思っておりまして、これはもう世界の諸国を見ても、当然、アメリカとかヨーロッパ、それからまた近隣アジアの諸国においても、これ、オンラインの申立てを含めた民事裁判のIT化というのはもうこれ早くから着手しておるわけでありますから、当然、こういったことを行っていくというのも当たり前のことだというふうに思いますし、また、今回、コロナで非常に裁判期日が入らずに手続が遅延するといったようなことも報道でもありました。ですから、こういったことに対してもこのIT化というのは評価できますし、当然進めていくべきものだというふうに考えております。
ただ、いろいろとIT化していくに当たっての問題点、こういったものが生じてくるんだろうというふうに思いますが、まず一点、システムの開発のことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
今回の法案では、民事訴訟のIT化で訴状等のオンライン提出が可能になってくるわけでありますけれども、訴訟記録が原則電子化されることになっていくわけでありますが、このシステムですけれども、裁判所はこの専用のシステムをこれつくっていくことになるわけでありますけれども、これに掛かる時間とか費用、こういったものについてどの程度掛かるのか、見込んでいるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/90
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091・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
民事訴訟手続のIT化に本格的に対応するためのシステムは改正法成立後に開発が本格化することになりますので、現時点でその具体的な開発期間や費用等について確たるお答えは難しいところがございます。ただ、今国会で法案が成立した暁には、本年度中にシステム開発の要件定義を実施したいと考えております。要件定義の確定後、システムの開発、構築作業に進むことになりますが、これには更に相当期間を要することになると見込まれまして、その後の試行、導入の期間も必要と思われます。
いずれにしましても、改正法案のうちシステムに関係する部分の施行日は公布の日から四年を超えない日とされておりますので、それを目指してシステムの開発と導入を着実に進めてまいりたいと考えております。また、システムの開発に当たりましては、デジタル庁とも意見交換を行いながら、費用対効果を十分に意識して開発を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/91
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092・東徹
○東徹君 成立後というわけですから、そろそろ成立した後のことも考えて、時間とか費用とかそういったことのやっぱり検討に入っていくべきだというふうに思いますし、そして、四年を超えない中でというふうにありますが、当然、世界から考えても日本というのは遅れておるわけでありますから、やっぱりそれを上回っていく、いかないといけないわけでありますので、是非ともこれ、デジタル庁とも協力してというふうな話でありますから、意見交換してという話でありますから、早く、早急に進めていっていただきたいというふうに思います。
ただ、国のつくるいろんなシステムありますけれども、これまでも、厚生労働省でやったCOCOAというのが、これも本当、不具合、不具合、不具合でどうにもならなかったものがありました。ですから、これは法務省においても、登記とか供託オンラインの申請システムなんかもこれ稼働時間が平日の八時半から二十一時までというふうなことで土日は使えないとか、使いづらいものもあります。国民の利便性向上のためにこういったことがないようにしていくべきでありますが、裁判所はどのようなシステムをつくっていくことを考えているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/92
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093・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
システムが安定的に稼働することは、IT化後の民事訴訟手続の実施に当たって極めて重要であると認識しております。
裁判所としましては、このようなシステムの重要性を十分に踏まえまして、バグ等の不具合が極力生ずることのないようなシステムの構築に全力を尽くすとともに、検証のための試行期間も設けるなどして安定的な運用開始に備えたいというふうに考えております。また、システムの開発に当たっては、多くの方に積極的に利用していただけるよう、一般の方々にも利用しやすい簡易かつ分かりやすいシステムの構築に努めてまいりたいと考えております。
次に、システムの稼働時間につきましてですけれども、裁判所では、今般の民事訴訟法改正に先行しまして、裁判書類の電子提出を一部実現するため、民事裁判書類電子提出システムというシステムを開発しまして、本年の四月から一部の庁で運用を開始したところでございます。このシステムでは、利用者の利便性の観点から、メンテナンス時間を除きまして、休日等も含めて二十四時間三百六十五日稼働することとしております。今般の改正法案を踏まえまして、新たに開発する本格的なシステムにおきましては、こうした先行運用の成果等も踏まえた上で、適切な稼働時間を確保することができるよう検討を進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/93
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094・東徹
○東徹君 適切な稼働時間というところがちょっと気になるところでありますが、ということは、二十四時間稼働、申請できるということではないということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/94
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095・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 今ほど申しましたように、ある意味先行的なシステムになります民事裁判書類電子提出システムは二十四時間三百六十五日稼働しております。この稼働状況も踏まえまして、どういう稼働時間にしていったらいいのかという辺りも検討していく必要があるかなと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/95
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096・東徹
○東徹君 続きまして、訴状の提出についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今回の法案では、訴状をオンラインで裁判所に提出可能とする内容になっておるわけでありますが、しかし、訴訟の相手方へはインターネットを利用した送達を受ける旨の届出があった場合に限りオンラインで送達を受けられるようになると、これ先ほどの答弁の中でもありました。
実際には、これ相手方が事前に自分が訴えられるかどうかと、これ知ることというのは、これはなかなか難しいというか、だというふうに思います。知っていたとしても、これ裁判所に事前にオンライン送達を届けるということは、これ現実的に難しいというふうに思います。そうすると、結局相手方には紙で訴状をこれ送ることがほとんどになるんだというふうに思いますけれども、裁判所の方でデジタル化された訴状を印刷して送るのか、それともまた、いや、どうするのか、この点についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/96
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097・金子修
○政府参考人(金子修君) 現行法におきましては、訴状の送達に関する細目的な事項については最高裁判所規則に委任されておりまして、現行の最高裁判所規則におきましては、被告に送達する訴状の副本は原告が提出すべきものとされております。
民事訴訟手続のIT化に伴い、このような取扱いを見直し、オンラインで提出された訴状を書面で送達する場合に、その書面を裁判所が用意することとすべきかどうかにつきましては、法制審においても議論がされたところでございます。法制審議会では、現行の取扱いを改め、裁判所が書面を用意することとすべきであるとの指摘もございましたが、裁判所の事務負担に配慮するなどの観点から現行の取扱いを維持すべきであるとの意見も出され、現行の取扱いを改めるべきであるとの意見が大勢を占めることはなかったものと承知しております。
いずれにしましても、改正法案においてもこの点については引き続き最高裁判所規則に委任することとしておりまして、法制審議会における議論も踏まえつつ、今後、最高裁判所において検討がされるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/97
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098・東徹
○東徹君 ということは、もう一度確認させていただきますけれども、オンラインで訴状を提出することになるんですけれども、裁判所の方へですね、ただ、本人、相手側の方ですね、相手側の方には、相手側の方には、じゃ、それがなかなか届かないと。じゃ、それをどうするのかというと、結局、オンラインで裁判所の方にやって、またもう一つ、一方で、書面で、郵便で、郵便でこれ裁判所の方へ送ると。これ二度手間になるとは思うんですけれども、これはこういう形にするということで、私の解釈で間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/98
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099・金子修
○政府参考人(金子修君) 先ほど御答弁申し上げたとおり、この部分については最終的には最高裁規則の方で定められることになると思いますけれども、委員御指摘のような、オンラインで訴状を提出しつつ、被告に送達する分の副本をどのように用意するかということにつきましては、原告が用意すべきだという議論も法制審ではございましたために、その可能性もあるというふうに法務省としては理解しております。
確かに、その場合には二度手間になるという御指摘はごもっともかと思いますけれども、仮に原告が被告に送達するための訴状の副本を用意しなければならないとしましても、基本的には現在の取扱いを変更するものではございませんし、現在でも紙媒体を作成する前提としてパソコン等を用いて電子的なデータを作成している場合が大半であると理解しております。そのため、オンラインで訴状を提出するとともに被告に送達するための訴状の副本を用意するとしても、その負担が現在と比較して過度なものとなるものではないというように解されるところでございます。
いずれにしましても、この点については今後、最高裁判所において検討がされるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/99
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100・東徹
○東徹君 そこは非常に、この制度のやっぱり最終的に一番課題となるところなのかなというふうに思いますが、確かに、これ原告の方で用意というふうな話があったというふうなことで、かといって、じゃ裁判所の方でやるのかとなると、またそれは事務負担がやっぱりかなり増えていくというふうに思いますので、私もこれ原告でやるしかないのかなというふうには思ったりもしますけれども、この点についてはまたこれからの中で議論をさせていただきたいというふうに思います。
一応時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/100
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101・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
法定審理期間訴訟手続、いわゆる期間限定裁判について伺います。
民事訴訟の審理期間、主張、立証の期間を六か月に限定しようというものであります。民事訴訟法は、裁判所は訴訟が裁判をするのに熟したときに判決をすると規定しています。当事者が主張と立証を尽くして判決に至るのは近代訴訟の原則だからです。期間ありきで判決する本法案は、裁判の本質を変えてしまうのではないかと批判もされています。
この発端は、二〇一九年四月、民事訴訟のIT化について検討していた商事法務研究会に最高裁が提案したものであります。当時の提案としては、例えば、期日は原則として三回に限ると、あるいは、書面を提出しますが、その書面については文字数や行数や枚数についても限定する必要があるんじゃないかと、証人尋問は一人以下とすると、こういう提案もされていました。
資料もお配りしておりますが、報告書の段階では、期間は六か月、主張書面は原則三通、証拠は即時に取調べできるもの、書面ですね、に限ると、そういう提案になっており、これは期日の回数、主張や証拠の制限まで盛り込むものでありました。
最高裁に伺います。
最高裁としては、裁判にどのぐらいの期間を要するか予測ができるようにするためには、本当はこういう制度をつくりたいということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/101
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102・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 公益社団法人商事法務研究会が設置した民事裁判等IT化研究会におきまして、最初に、最高裁の出席者から検討のたたき台として、当時、電子手続に特化した訴訟手続の特則という形で提案をさせていただいたというところがございます。
この内容につきましては、当事者が同意して、裁判所が相当と認める場合を要件として、主張、証拠関係等について一定の限定を付し、一定の期日回数又は期間の中で争点中心の集中かつ充実した審理を実現することによって、紛争解決の実効性を担保しつつ紛争を迅速に解決する手続を設けることについてどのように考えるかという提案をしたものでございます。
あくまでもたたき台ということで提案をしたということでございまして、このような提案がされましたのは、電子化される手続の下で、ウエブ会議等のITツールの特性を生かすことによって争点中心の集中かつ充実した審理を実現して、もって紛争解決の実効性を担保しつつ紛争を迅速に解決するとともに、解決に要する期間について当事者の予測可能性を高める特別な手続を創設することが考えられるのではないかといった問題意識から提案したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/102
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103・山添拓
○山添拓君 私は、期間を優先する余り、主張や立証を制限するような提案を最高裁が行うということ自体、司法としての姿勢が問われると思うんです。
それで、今、電子手続に特化した訴訟手続の特則という提案だったと説明がありました。当時既に、一体何をもって電子手続に特化したというのか分からないと、電子的なものを前提とすることで今回の研究会に持ち出すために関連付けようとして出したのではないかと委員から批判もされていました。IT化とは直接関係のない提案をこのとき最高裁は行ったわけです。最高裁自身も、そういうふうに委員から批判を受けて、いや、便宜上、電子手続に特化した特則という名前にしただけだというふうに説明もされているんですね。
IT化に便乗した提案ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/103
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104・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
そのような御意見もあったように記憶しております。今、済みません、手元に資料がございませんので、記憶はしておるところですけれども、最高裁としては、何というか、IT化に便乗してこのような制度を提案したということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/104
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105・山添拓
○山添拓君 法制審の座長でもある山本和彦氏は、民事訴訟の在り方を改める必要性として、裁判所の負担軽減について著書の中で繰り返し述べておられます。
最高裁も、裁判所の負担軽減を念頭に置いてこういう提案をされていたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/105
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106・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
裁判所としましては、審理期間に関する利用者のニーズですとか期待に応えるという観点から、一つのたたき台として提案をしたところでございまして、委員御指摘のような目的で提案をしたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/106
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107・山添拓
○山添拓君 期日の回数を制限したり、主張書面や証拠の数あるいは内容を制限することは、事実としては、結果的には裁判所の負担軽減にもなると思うんです。しかし、本来それは裁判所の人的、物的体制の拡充によって解消するべき問題です。
そもそも、裁判に時間を要することについて最高裁はどう考えているのかと。司法制度改革審議会の当時、最高裁は、「二十一世紀の司法制度を考える」という見解を公表しています。今も最高裁のホームページにあります。少し長いですが紹介いたします。
裁判が遅いということは、いつの時代にも、あらゆる国の司法制度について言われ続けてきた課題であり、今日でもほとんど全ての国がこの問題を抱えている、裁判は双方の言い分を聞くことが本質であり、また、法的紛争を最終的に解決する場として、証拠に基づいて事実を認定し、法的に判断するという正確性、厳密性に重点が置かれた手続が定められている、その意味で、裁判による問題の解決にはその性質上一定の時間を要するものであり、行政や経済活動における解決よりも時間が掛かることはある程度やむを得ない面があると記しています。
最高裁、この考え方は今も変わりはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/107
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108・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
今委員の方から御指摘をいただきましたのは、まさに御指摘のとおり、「二十一世紀の司法制度を考える」という最高裁判所が当時御説明をした内容でございまして、基本的には裁判所として同じように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/108
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109・山添拓
○山添拓君 予測が付かないからといって期間を最優先にすることは裁判の本質に反することになると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/109
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110・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 期間を制限することが先にありきということでございますと、いかがなものかというところはあるかと思いますけれども、最終的に今回法律案として提案されているものを拝見しますと、あくまでもこれは当事者双方が合意をしてこの手続でということを言われているものでありますので、そういう場合であれば、裁判所としてはきちんとそれに応えていく必要があるかなというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/110
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111・山添拓
○山添拓君 これは大臣にも伺います。
裁判は双方の言い分を聞くことが本質、正確性、厳密性に重点が置かれた手続、ですから時間が掛かることはある程度やむを得ないと、最高裁、今もその認識変わらないと答弁がありました。私もそれはそのとおりだと思うんです。
しかし、期間限定裁判の制度は、主張、立証あるいは判決までの期間を法定するものです。当事者が主張、立証を尽くすことより、期間を法律で定めて優先する制度と言えると思うんです。期間ありき、これは裁判の本質に反すると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/111
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112・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 法定審理期間訴訟手続におきましては、主として、専門家である訴訟代理人が法定された審理期間内に必要な主張及び立証することができると適切に判断した事件について利用されることが予定されております。
また、一旦この手続が開始された後も、当事者の一方は相手方の同意を要することなく通常の手続での審理を求めることができ、この手続の中で主張、立証を尽くすことができない場合には、訴訟代理人において通常の手続での審理を求める旨の判断が適切にされるものと考えられます。
さらに、裁判所におきましても、攻撃防御の提出期間内に主張、立証が尽くされることは難しいと判断した場合には、この手続による判決をするのではなく、通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定がされ、その中で追加的な主張、立証がされることが想定されております。
したがいまして、法定審理期間訴訟手続の創設によっても、当事者が主張、立証を尽くすことが大前提であることに変わりはありませんで、主張、立証よりも期間を優先することになるのではとの御懸念には及ばないというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/112
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113・山添拓
○山添拓君 何か通常手続に移行できる手続になっているので余り懸念はないとおっしゃるんですけれども、そんなにそこを強調されるなら、そもそも期間限定するような制度にしなければいいと思うんですね。早く終わるものは今でも早く終わっています。時間が掛かるものはやっぱり時間は掛かるんですよね。
法案について伺いますけれども、これは今答弁ありましたとおり、当事者双方が同意した上で期間限定裁判を申し出た場合に、裁判所は原則としてその決定をするものとしています。この申出はいつでもできることとされていますので、第一回期日の前でも、極端に言えば訴状提出と同時でもできることになります。
しかし、そういう段階、民事裁判では、被告が答弁書を出した時点では必ずしも争点がはっきりしているとは限りません。答弁書には請求の棄却を求めると書かれているだけで、争いのない事実と争いのある事実、被告がどういう主張をするのか、証拠はどのようにあるのか、その後に分かってくることも珍しくありません。
争点が分かっていない段階でも裁判所は期間限定裁判の決定をすることがあり得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/113
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114・金子修
○政府参考人(金子修君) 訴状提出の段階で申出がある、申出をするということは特段禁じられませんが、その段階では争点が分からないというような事案においてはなかなか利用するのは難しいのではないかというふうに思っています。
ただ、訴状、裁判に至る前にかなり当事者間でやり取りがされるケースというものも世の中にはあるわけで、そのような場合について、例えばこの手続を利用したいというときに相手方が応じるということであれば、そういう場合に御利用いただくということになるんだろうと思います。争点がはっきりしないケースにまでこの手続を利用するというようなことを最初から想定しているものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/114
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115・山添拓
○山添拓君 やり取りされるケースが、事前のやり取りがあるケースを想定しているということでありました。
その上で、攻撃防御方法、判決の基礎となる訴訟資料である主張や証拠の提出は、決定から五か月以内に出すべきだとされています。六か月以内に結審、その後一か月で判決です。裁判所にとっても一か月ぐらいで判決が書ける事件だということを見極めなければならないと思うんですね。
事前にどのようなやり取りがあったとしても、そこまで裁判所が見極められるのかと。やっぱりそれ見極めるためには当事者双方の主張や立証、その方針がある程度出そろうまで決定はできない、争点がある程度裁判所として整理付くまでこういう決定できないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/115
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116・金子修
○政府参考人(金子修君) そういうなかなか見極めが難しいケースというのはあろうかと思います。
ある程度争点整理というか、双方の主張が出た段階で、じゃ、この後五か月で主張を出し尽くしましょうというような利用の仕方もあろうかと思いまして、ここは途中の段階ではいろいろ議論があったんですけれども、申立ての時期につきましては制限をしていないというのも、そういう場合があるんではないかということを踏まえたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/116
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117・山添拓
○山添拓君 普通はそうだと思うんですよ。争点整理がいつまでにできるかというのは、提訴して被告の対応を見てみなければ分かりません。幾ら事前の交渉があったとしても、裁判所が直ちに争点の全てを把握できるとは限らないと思います。ですから、期間限定裁判の決定に至るまでにどのぐらいの期日と期間を重ねるかは分からないということです。
そうなりますと、これ大臣に最後伺いたいんですが、提訴の段階で期間の予測というのはやっぱりできないんじゃないでしょうか。期間限定裁判に入るタイミングを予測することができない以上は、提訴の段階で判決までの期間を予測することはできないのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/117
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118・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/118
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119・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) この法案は、先ほど来質疑の中でも御答弁申し上げてまいりましたが、やはりこの裁判をより国民に利用しやすいものにしたいという考えの下にアンケートを取りますと、裁判のこの期間の予想が困難であるという。したがって、この裁判制度の利用にちゅうちょしてしまうということ、これが一つの要因と考えられましたことから、その予見可能性を高めるべく、このような制度の創設を考えたということでございます。
そのときに、申しましたように、基本、当事者同士がこの制度を利用してこの法定の期間内で終わらせようということをまず双方が、当事者双方が合意をした場合に基本的にこの制度の利用というものが始まるわけでございまして、その意味では、あくまでも当事者の考えを優先して組み立てられた制度でありますので、御懸念には及ばないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/119
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120・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/120
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121・山添拓
○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、相手が応じるかどうかも分からない、いつから六か月が開始するかも分からない、これでは予測は立たないと。これは裁判の本質に照らして予測などできないということにほかならないと思います。
続きの質問は次回に譲りたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/121
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122・高良鉄美
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
私も、引き続きと言ったらいいんでしょうか、この法定審理期間訴訟手続、まず、先ほど来ずっと期間限定裁判と言っていますけれども、この問題について伺いたいと思います。
裁判の迅速化と期間の予測可能性を高めるためとして今回盛り込まれた期間限定裁判については、衆参の参考人質疑で実務を担っている弁護士から、近代裁判の原則に反する、あるいは諸外国にない制度で裁判の本質を根底から変えてしまうおそれがある、さらに不十分で粗雑な審理になる危険性がある、そして立法事実の検討ができていないと、多くの問題点が指摘されました。しかし、対政府質疑でも、これらの疑問に明確に答弁が行われていません。
そこで、今日は特に期間限定裁判について質問したいと思います。
まず、参考人質疑で国府参考人から、IT化研究会の第二読会に出てきたときに、その年の一月の最高裁長官の年頭の御挨拶の中で、IT化だけではなくて、この機会に訴訟手続のいろんな見直しをしてはどうかというお話がありました、だから、そういうお話を受けて、最高裁の事務局が何かないかなということで言われたのかもしれませんと答弁されていますが、大谷長官がそのような発言をされたのでしょうか。また、この発言が制度導入に影響しているのか、最高裁に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/122
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123・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
国府参考人が言及されました大谷最高裁長官の御挨拶といいますのは、平成三十一年の一月一日付けの「裁判所時報」に掲載されました大谷最高裁判所長官の新年の言葉のことであろうかと存じます。この挨拶は、民事訴訟手続のIT化を契機として、民事訴訟の審理運営、プラクティスを改善し、裁判の質の更なる向上を図るべきであるとの趣旨を述べたものであると認識しております。
他方で、お尋ねのありましたIT化研究会の第二読会での提案と申しますのは、公益社団法人商事法務研究会が設置した民事裁判等IT化研究会において、検討のたたき台として裁判所の出席者からされました提案、具体的には、当事者が同意し、裁判所が相当と認める場合を要件として、主張、証拠関係等について一定の限定を付し、一定の期日回数又は期間の中で争点中心の集中かつ充実した審理を実現することによって、紛争解決の実効性を担保しつつ紛争を迅速に解決する手続を設けることについてどのように考えるかといった内容の提案を指すものと理解しておりますけれども、そのような提案がされましたのは、電子化される手続の下で、ウエブ会議等のITツールの特性を生かすことによって争点中心の集中かつ充実した審理を実現し、もって紛争解決の実効性を担保しつつ紛争を迅速に解決するとともに、解決に要する期間について当事者の予測可能性を高める特別な手続を創設することが考えられるのではないかといった問題意識に基づくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/123
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124・高良鉄美
○高良鉄美君 年頭の挨拶が文書で残っているということでございますけれども、この問題は、今この長官の発言が影響しているかというものをちょっと伺ったわけですけれども、制度として、今これまで質問した中では、ITの問題についてはいろいろ御質問もありましたけれども、それはもう流れだろうと、時代のですね。IT化を充実させていくということは裁判の迅速化にも役立つだろうということは、もうほとんどそこには、あとは細かい点だけだと思うんですね。
ところが、この途中で、これ、やっぱりどう見ても何で途中で入ったような感覚を受けるんですね。それ、別の話じゃないかと。迅速化は、ITはもうこれ当然でしょうと、やらない方がおかしいと。逆に、この期間限定というのはどういうことなのかと。期間限定すれば早くなるということで、先ほどの山添議員のお話もそうでしたけれども、そうではないんじゃないかと。だからこそ、いろんな、裁判を受ける権利の問題というのも指摘されているんじゃないかというふうに私は思うわけです。
時間もどんどん進んでいきますので、衆議院の質疑で、期間限定裁判を導入している国があるのかと、また、ない場合はその理由は何かを聞かれました。これについて、参考人や政府参考人から導入している国はないとの答弁が行われましたが、その理由は示されませんでした。
改めて伺いますが、諸外国が期間限定裁判を導入していない理由は何か、明確にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/124
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125・金子修
○政府参考人(金子修君) 法務省が把握している限りでは、今回創設しようとしている制度と同様の制度が諸外国にあるものとは承知しておりません。
その理由ですが、もとより各国の民事訴訟制度は一様ではなく、それぞれの国の事情に応じてふさわしい制度が採用されているものと考えられます。諸外国に法定審理期間訴訟手続と同様の制度がないという理由を、その理由を問われても、お答えすることは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/125
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126・高良鉄美
○高良鉄美君 理由を直接は調べていないということで受け取りましたけれども、普通、こういう期間限定裁判、初めて導入するのかもしれないですけれども、日本の中で、あるいは世界でもそうかもしれませんけれども、これは、じゃ何でだろうとか、何でそういうのを導入しなかったんだと、ほかの国がですね。
〔委員長退席、理事高橋克法君着席〕
特に今、いわゆる法の支配と言っている欧米諸国、そこが入っていないということは、やはり適正な手続の問題として、あるいは裁判を受ける権利の問題として、そういった法原理上、期間を限定するというのを法律の中に突っ込むというのは問題があるんじゃないかということが予想されるんですよね。その点は、やはり私は、これから裁判を受ける権利の問題というのを展開していきたいと思いますので、次の質問に移ります。
杉山参考人ですね、先日の。この法定期間制度に関しまして、確かに裁判を受ける権利を侵害するのではないかという批判があることは承知しているのですがということは、それだけあるだろうということですよね、他方で、終わりが見えない、いつ裁判が終わるか分からない、どれぐらい時間が掛かるか分からないために訴えを提起することができない人たちがいるとすれば、それこそ裁判を受ける権利の侵害になるのではなかろうかと思っていますと述べられました。
法務省の見解も同じでしょうか、あるいは認識も同じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/126
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127・金子修
○政府参考人(金子修君) 杉山参考人が参考人質疑において御指摘の御発言をされたということは承知しておりますが、杉山参考人がどのような御認識か、御指摘の御発言をされたのかにつきまして知る立場にないため、杉山参考人の発言と法務省の認識が同じであるか否かをお答えすることはそもそも困難でございます。
その上で申し上げれば、法定審理期間訴訟制度の創設は、民事訴訟において紛争解決までに要する期間の予測可能性が低いことが訴訟の利用をちゅうちょさせる要因となっているとの指摘があることを踏まえたものでございまして、この制度の創設には、審理期間や判決までの期間についての当事者の予測可能性を高めて民事訴訟を利用する、しやすくするという意義があるものというふうに認識しております。
〔理事高橋克法君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/127
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128・高良鉄美
○高良鉄美君 今日聞いた私は答えがあったんですけれども、アンケート、利用者、裁判所のですね、利用者のアンケートということがあって、この中で、終わりがいつあるのか、いつ終わるか分からないということが五六・四%でしたでしょうか、それがありました。それと、そういうのがあるのでちゅうちょしましたという比率は違うんじゃないかと。
要するに、どのようなアンケートを取ったのかなと。これ、通告していませんけれども、アンケートを取っているわけですから、要するに、複数回答があったのか、それとも全体のどれぐらいの五六・四なのか、それともその五六・四というのが、終わりが見えないからちゅうちょした人が五六・四%なのか、それちょっと分かればお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/128
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129・金子修
○政府参考人(金子修君) この民事訴訟利用者調査の結果を御紹介しますが、裁判が始まった時点で裁判が終わるまでにどれくらいの時間が掛かるか事前に予測が付いたかという質問に対して、全く予測が、予想が付かなかったとの回答が五六・四%でございました。
このような利用者調査の結果が法制審議会の部会において紹介され、その法制審議会の部会において、紛争解決までに要する期間の予測可能性が低いことが訴訟による紛争の解決をちゅうちょさせる要因になっているという意見が委員から出されたと、こういうことでございまして、このような事実関係を受けて、裁判が終わるまでに時間が掛かるということが裁判の利用をちゅうちょさせる要因になっているのではないかという理解の下に調査審議が進められたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/129
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130・高良鉄美
○高良鉄美君 そうではない……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/130
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131・金子修
○政府参考人(金子修君) 同じ調査の中で、裁判をちゅうちょした気持ちがあったかとの質問に対して、はいとの回答が四九・四%という結果がございました。その理由として、裁判は時間が掛かると思ったからが当てはまるとの回答が七八・四%であったと、こういう調査結果もございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/131
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132・高良鉄美
○高良鉄美君 それでは、これやっぱり違うわけですね。同じ質問で五六というわけでもないし、やはり終わる期間のめど、めどというんですかね、いつ終わるか分かりましたかといえば、いや、分からなかったというのが結構あるというのはもう想像できることですね、質問においてもですね。それを分かる人が、裁判官でも分からないかもしれないということですからね。
そういったことでいうと、今お話しされたことによると、先ほどの杉山参考人の裁判を受ける権利を侵害するのではないかという批判があるということはもう承知しているということですから、ここ問題なんですよ。これだけの批判があると、あるいはもう批判というよりも侵害があるんではないかというそういうものと、アンケートを取った、だけど、ちゅうちょする方がいらっしゃるかもしれない、まあ結構いらっしゃる、全体の半分以下ではあるかもしれませんけれども、そういうようなのがあると、アンケートの中で、考えたわけでしょうけれども、そういうものになったときの裁判を受ける権利の重さとやっぱり期間を限定していくということの問題点というのは随分差があると思うんですね。差があるというか、一方はまさに権利の実体の問題ですね、もう一つは期間というものなんですよ、迅速性というね。
行政の場合には効率が求められています、明らかに。これは国家行政組織法でもそうでしょうし、その目的として効率というのがありますね。ところが、裁判というのは、効率の問題ではなくて、やはりそこできちんと主張、立証ができるか、この問題の方が裁判を受ける権利にとってはとても重要なんですね、受ける権利にとっては。その部分でいうと、一方でというふうに比較をするレベルが違うんじゃないかと私は思うんです。まあ意見ということでお聞きいただけたらと思います。
ちょっともう時間がなくなってまいりましたので、一つの、その本人訴訟は飛ばしますけれども、参考人から、訴訟を長期化している要因として、裁判所の法廷が空いていないために期日が入りにくいとか、弁論事務室が空いていない、準備室が空いていないなど、裁判所の物的、人的な基盤整備が必要だと指摘されました。
私は、毎年、裁判所職員定員法の審議では、特に家事事件の複雑困難化等で、家裁の充実を始め裁判所の充実を訴えてきました。行政機関ではない裁判所は、政府の定員合理化計画に拘束されるものではないとしつつ、政府からの協力依頼を受け、定員を削減しています。このことに問題はないという旨の答弁も繰り返されています。
裁判所の充実を図ることが、まさに本質である訴訟の長期化を解消すると言えるんではないでしょうか。最高裁の御意見、御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/132
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133・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/133
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134・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答え申し上げます。
裁判所の充実という点につきましては、近年、民事訴訟事件の複雑困難化への対応として合議制による審理を進めること、成年後見関係事件の増加への対応や後見監督体制の強化を行うことなどを目的に、相当数の判事や裁判所書記官などを増員して着実に人的体制の整備を図ってきたところでございます。
他方で、定員削減につきましては、庁舎の清掃等を担当する者など外注化等で対応可能な分野を中心に行っているものでございまして、事件処理に影響を与えるものではないというふうに考えております。
裁判所といたしましては、引き続き、事件動向、事件処理状況等を踏まえつつ、裁判所の体制の充実に努めてまいりたいと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、これまでの増員分も活用しつつ、今般の改正法の趣旨も踏まえながら、審理運営の改善、工夫等を引き続き行うことで適正迅速な事件処理に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/134
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135・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/135
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136・高良鉄美
○高良鉄美君 はい。もう時間になっておりますので、質問はこれで終わりたいと思います。また引き続き行いたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/136
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137・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。
まず最初に、質問というよりは意見を述べさせていただきますが、先日の参考人質疑でも、この期間限定裁判、今までずっと議論になってきましたけれども、私は、その裁判を受ける国民の側からして選択肢が増えることはポジティブに評価してもいいのではないかということで参考人にお伺いしました。
特に当事者双方が合意した場合、私はずっと家族問題を扱っておりますので、夫と妻が高葛藤で、そして単独親権の場合に子供を奪い合う、こういうときに、子供の最善の利益を考えると長引かない方がいいんですね。でも、子供は声を上げられないということで、父母が合意をした高葛藤の離婚あるいはDV問題などは、早く結論出してあげることが子供の最善の利益につながるのではないのかと。
これについて参考人の国府弁護士さんは、そういうのはそれで選択肢としてはよろしいでしょうと。あわせて、例えば労働問題ですけれども、いつまでも賃金払われないとかいうことだと生活が成り立たない、それもある程度期間限定というのは意味があるだろうということで、子供あるいは労働者、国民の側の選択肢が増えることが、例えば先ほど来、高良議員が、どうしても裁判というのは長く掛かってしまうからちゅうちょするという、いろいろ考えると三分の一ぐらいはその辺あるかもしれませんので、そういうところで、これは意見として申し上げます。
今日御質問させていただきたいのは、ウエブの家事調停の問題でございます。
最高裁判所、昨年、東京、大阪、名古屋、福岡でウエブ家事調停、試行されておられます。最高裁判所にお聞きしたいんですが、現時点までの実施状況と、当事者、裁判官、調停委員などの利用者からの反応はどのようなものでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/137
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138・手嶋あさみ
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、令和三年十二月から、東京、大阪、名古屋、福岡の四つの家庭裁判所で順次家事調停手続のウエブ会議の試行を開始しております。
令和四年三月末までのウエブ会議の実施件数は、四つの家庭裁判所を合わせまして合計三百二十四件となってございます。
ウエブ会議を利用されました当事者の方、裁判官、調停委員などの反応としましては、例えば、いずれの立場からも、お互いの表情やうなずいている様子が見えることでコミュニケーションが取りやすいといった感想があるほか、当事者の方からの声としまして、実際の調停室で調停をしているような気持ちになったといった感想や、相手方当事者と同じ建物に行かなくてよいことで安心して調停の話合いに臨むことができたといった感想があったと聞いているところでございます。
おおむね好意的な反応をいただいているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/138
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139・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
特にDVなどでもう近くにいることが怖いというようなケースも伺っておりますので、そういう安心感というのはあるだろうと今理解させていただきました。
今後、民事訴訟、人事訴訟、家事事件の手続の中で、ウエブ会議を活用することについてどのような課題が生じると想定なさっているでしょうか。また、その課題解決するためにどのような方向を考えておられるか、御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/139
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140・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
現在も地方裁判所の争点整理手続ではウエブ会議を用いた手続が行われておりますけれども、これは基本的には弁護士が訴訟代理人に就いている場合に利用されているものでございます。
これに対し、本法案が成立しまして施行されますと、ウエブ会議を用いて実施可能な手続が拡大することとなりまして、弁護士以外の一般の方々がウエブ会議を利用する局面も増えることになると考えられますので、そのような局面で、ウエブ会議で手続に参加する方の本人確認をどのように行うのか、同席が許されない第三者がいないことをどうやって確認するのかといった点などが課題になり得るところかと存じます。
ウエブ会議に参加している当事者等が本人であることを確認する方法につきましては、各裁判官がそれぞれの事件に応じた適切な方法で行うことになると考えられますので一概には申し上げにくいところですけれども、例えばウエブ会議の画面上で写真付身分証明書と顔を照合するなどの方法で本人確認を行うといったことが考えられるところでございます。
また、周りに第三者が所在しないことの確認につきましては、現在の運用におきましても、ウエブ会議の冒頭で同席者の有無について確認をしまして、場合によってはカメラを動かして室内を撮影するよう指示するなどして、裁判所が傍聴を許可していない第三者が存在しないことを確認するといった対応をしているところでございまして、改正法の下でも同様の対応が考えられるところでございます。
このような形で、改正法の下でウエブ会議の利用局面が広がることとなった後も、引き続き適切な運用に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/140
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141・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
本人確認やあるいは第三者の存在、実はこれ、国会の方で委員会や本会議をウエブでというときにも出されているテーマだと思います。今御指摘いただきました課題については、法務省では更にどのような施策が必要だと御認識なさっておられるでしょうか。法務大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/141
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142・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 今後、ウエブ会議の活用例というものが増えていくものと考えられますが、その運用の積み重ねの中でウエブ会議が有効な事案や場面などのノウハウを蓄積をしていって、また、今御指摘もありました本人確認などのそういう工夫についても、この情報を共有するなどの取組が有益であるというふうに考えております。
そのような観点から、この改正法が成立をしてウエブ会議が更に広がることになった場合においても、この活用の状況等を注視をしながら見ていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/142
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143・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 済みません、ちょっと技術的なことを大臣に伺ってしまいまして、失礼いたしました。
今回の民事訴訟法の改正によるIT化に関連しまして、実際の裁判手続の中でウエブ会議を行う際に、機器の整備状況、あるいはITスキルの向上などについて技術的な支援はあるでしょうか。最高裁判所さんにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/143
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144・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
現在も全国の地方裁判所において、必要な関連機器等を整備した上でウエブ会議を用いた手続が行われておりますが、これはマイクロソフト社のチームズという一般的なソフトを利用しているものでございまして、利用するのに高度な専門的なITスキルを要するといった複雑なものではございませんで、裁判所の職員においてもそれほどの困難もなくこれを利用することができておるという状況でございます。そのことは当事者の側においても同様と思われるところでございまして、実際、ウエブ会議の実施件数は、月ごとの増減はありますけれども、全体としては着実に増加しているところでございます。
いずれにしましても、改正法下においても手続が円滑に実施されるよう適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/144
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145・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
先ほども山下委員から、どうしても支部とか遠隔地が遅くなるということを御指摘くださいましたけれども、逆に遠隔地こそ先にやってほしいということですよね。そういう要望も出させていただきます。
それから、次ですが、家事事件の手続のウエブ会議のメリット、先ほど来もありましたけれども、期日の設定が容易となる。実は、本当に今、コロナの問題もあり、家族で問題抱えながら、期日が入らないんだと、その間にどんどん子供さんは成長する、あるいはお互いの不信感が高まるというようなことも、悪影響が出ておりますので、一刻も早く紛争を解決したいと考えている当事者の利益になると思いますので、ここはできるだけ遠隔地も優先的にしながら、スキルとそれから技術の方を進めていただけたらと思います。
その一方で、特に子供の監護権、親権に関わる紛争が含まれる場合には、調停委員や裁判官が当事者と実際に対面することによって子供の養育に向けた当事者間の関係をどう構築したら子供の最善の利益につながるのかと、より丁寧に評価する機会が失われてしまうということもあるのではないのかと懸念もされます。
そこで、最高裁判所さんにお聞きしますけれども、裁判の迅速化と、例えば共同養育計画策定などに向けた当事者の合意形成に向けた丁寧なプロセスとの両立、どのように図るべきだとお考えでしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/145
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146・手嶋あさみ
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。
家事調停手続におけるウエブ会議の導入のメリットの一つとして、当事者の期日への出頭負担の軽減が図られるという点がございまして、その結果として、期日調整も容易となり、期日間隔が短縮するなど、迅速な解決という当事者のニーズにもかなうものと考えているところでございます。
同時に、委員御指摘のとおり、特に子供の監護権や親権に関わる紛争などでは、子の利益に十分に配慮した当事者間の合意形成に向けて丁寧なプロセスが求められるものと考えられますところ、調停手続においてウエブ会議を利用する場合でありましても、当事者間の合意形成に向け丁寧な調停運営を行うべきことに変わりはないものと承知しております。
個々の事件におきまして、ウエブ会議を利用するか否かを含め、具体的な手続選択につきましては各調停委員会が判断するところでございますが、子供の監護権や親権が争いとなっているかなど、事案の内容や協議の進捗状況、ウエブ会議の利用に関する当事者の御意向、出頭が困難な事情など、様々な事情を考慮いたしましてウエブ会議を利用するか否かを判断することになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/146
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147・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
いつも申し上げることでございますけれども、本当に子供は日々成長していきます。そういう中で、家族の問題は長引けば長引くほどお互いの不信、そして反発も高まってくるというようなことがたくさん私も現場で出会っております。どうかこの辺り、子供の最善の利益が実現できますように、今のIT化を活用しながら、また裁判の期間限定というような新しい選択肢も活用しながら進めていただけたらと思います。
ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/147
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148・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01020220510/148
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