1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十二日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
高橋 光男君 石川 博崇君
安江 伸夫君 三浦 信祐君
五月十一日
辞任 補欠選任
三浦 信祐君 安江 伸夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 矢倉 克夫君
理 事
清水 真人君
高橋 克法君
有田 芳生君
安江 伸夫君
川合 孝典君
委 員
岡田 広君
加田 裕之君
中川 雅治君
福岡 資麿君
森 まさこ君
山崎 正昭君
山下 雄平君
真山 勇一君
石川 博崇君
東 徹君
山添 拓君
高良 鉄美君
嘉田由紀子君
国務大臣
法務大臣 古川 禎久君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局民事局長 門田 友昌君
最高裁判所事務
総局刑事局長 吉崎 佳弥君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
法務省大臣官房
司法法制部長 竹内 努君
法務省民事局長 金子 修君
出入国在留管理
庁次長 西山 卓爾君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/0
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001・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、高橋光男君が委員を辞任され、その補欠として石川博崇君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/1
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002・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/2
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003・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に安江伸夫君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/3
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004・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/4
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005・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/5
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006・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/6
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007・清水真人
○清水真人君 自由民主党の清水真人です。
通告に基づきまして、民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、順次質疑をいたします。
まず、民事訴訟手続のIT化についてでありますけれども、ITの分野に関して頭に浮かぶのは、やはりデジタルディバイドの問題であります。ITの技術に詳しい方であれば今回の法改正というのは大歓迎なんだろうというふうに思っておりますが、そうでない方にとっては裁判を受ける権利を行使しづらくなる可能性がないとも言えないわけであります。
この点、今回の法改正では、弁護士に限ってオンラインの申立てを義務化すると、弁護士等に限ってですね、するということであります。ただ、我が国では、弁護士代理を利用せず本人だけで訴訟をするいわゆる本人訴訟についても、先日の日本司法書士会連合会の会長、小澤参考人から話があったとおり、少なくないわけであります。
今後更にIT化を進めていくためには、現在は書面で申立て等をされる当事者の訴訟記録については裁判所の労力で電子化をしているということでありますが、義務化の対象でない方たちにもインターネットを用いた申立てを増やしていく必要性がある、常態化をしていく必要性があると考えております。
そのためには、先般も質疑があったところではありますが、相談体制の強化やアクセスしやすいツールを作る、義務化対象外の方々にインターネットを用いた申立て等をしていただく環境を整備することが必要であります。また、日弁連や司法書士連合会より現場の声を意見聴取、意見交換等をしていただいて、訴訟代理人に委任をしない者が電子情報処理組織による申立てを容易に利用できる利便性の高いシステムを構築していくことが重要でありますし、また、あるいは学校教育等の現場におきまして学習の機会を設けることも有意義であると考えているところであります。
特に、法教育で裁判員裁判の例えば勉強もあるわけでありますが、インターネット等を使う場面でこうしたものの利用を子供たちがしてみるということも私は非常に重要なのかなというふうにも考えておりますが、改めて、今後どういうふうにお取組をしていくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/7
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008・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
IT化された民事訴訟手続の内容やシステムの利用方法等については、若年層を含め、訴訟手続を利用することとなる幅広い国民の皆様に理解していただくため、必要な周知、広報の取組を進めていくことが必要と認識しております。
また、御指摘のとおり、民事訴訟手続のIT化を推進するためには、本人訴訟においてIT機器の操作に不慣れな当事者本人に対する総合的なサポート体制を構築することも大事なものであると認識しておるところでございます。この点につきましては、当事者本人が弁護士や司法書士を通じてIT支援と法的助言とを組み合わせた総合的なサポートを受けることができる機会を確保することが重要と考えているところ、現在、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会においてこのようなサポート体制の整備に向けた検討を進めているものと承知しております。
法務省としましては、このような関係団体等と連携しつつ、本法律案の改正内容やこれらの取組の周知を図るなど、必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/8
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009・清水真人
○清水真人君 やはり、日弁連また司法書士会連合会等々と協力することも大切なんですが、やはりその使う方が一度そういったものを経験をする、模擬的に経験することが私は非常に重要だというふうに思っています。
例えば、私も所属をしていますが、ライオンズクラブだとかロータリーだとかJCなんというのがありますけれども、こうしたところの構成員には結構司法書士さんだったり弁護士さんがいるわけでありますから、そうしたところでそういった勉強会を開いていただくような、そういう促しというのをしていただけるとかなりそういったものが広がっていくのではないのかというふうに思いますので、そういった点も是非頭に入れて今後対応をしていっていただければ有り難いと思います。
次に、民事訴訟費用法の一部改正について伺います。
今回の改正では、訴訟費用のうち、現行の印紙代のスライド制度については変更をせず、郵券代について、書面による場合は二千五百円、オンライン申立ての場合は千四百円とすることとしております。いわゆるこの千百円の差というものがオンライン申立て利用促進のインセンティブということであろうかと思いますが、まずこの千百円という額がインセンティブになり得るのか、またこの千百円の根拠についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/9
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010・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
今般の改正法案におきましては、裁判所が当事者等に対して訴状等を郵送する場合の郵便費用につきまして、現行の実費精算の制度を改め、郵便費用に相当する額を定額の手数料として納付する制度を導入することとしております。
そして、被告一名を相手方として訴えを提起する場合、郵便費用に相当する額として新たに手数料の一部とする額は、書面による訴えの提起の場合は二千五百円、オンラインによる訴えの提起の場合は千四百円でありまして、書面による場合よりもオンラインによる場合の方が手数料を一千百円低額としております。そのため、訴えを提起する当事者からすれば、より経済的負担の低いオンラインによる方法を選択したいと考えるであろうと思われまして、その意味におきまして、オンラインによる訴えを選択することにインセンティブが生じることになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/10
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011・清水真人
○清水真人君 今までもどのようなインセンティブをつくるのかということは議論してきたんだろうというふうに思います。今回、費用の差引き分ですね、この郵券代が安くなったということで、これがインセンティブに当たるということでありますが、オンラインへの誘導という点で考えると、まだこのインセンティブについては議論の余地があるのかなというふうにも思いますし、そうした点もしっかりと今後も検討をしていっていただければというふうに思っております。
また、今回、印紙代のスライド制については変更ということがなかったわけでありますが、変更に関しての議論等というのはこれまでしてきたのか、また、見直しというものが法施行後五年経過後に予定されているというふうに認識をしているところでありますが、今後の法務省の考え方の方向性についてお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/11
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012・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
まず議論の状況でございますが、法制審議会におきまして、スライド制の見直しそのものについては議論はされておりませんでした。他方で、法制審議会部会で取りまとめられました民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案についてのパブリックコメントの手続におきまして、例えば申立ての手数料に上限を設けるプライスキャップ制を導入して、手数料の低額化を図るべきとの意見も寄せられていたところではございます。
そこで、今後の方向性でございますが、現時点で確定的な見通しを申し上げることはなかなか困難ではございますけれども、仮にこの法改正が実現した場合には、今般の裁判手続のIT化により事務の合理化が図られ、裁判制度の運営コストが全体として低減されることも期待されるところでございます。したがいまして、今後の訴えの提起の手数料の在り方につきましては、施行後における裁判手続の事務処理の実態等を踏まえつつ、負担の公平の見地から必要な検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/12
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013・清水真人
○清水真人君 今後、法施行後に検討をまたしていきたいということでありますが、通告はしていなかったんですが、大臣、この点についてもし何かあればと思うんですが、何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/13
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014・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) その手数料については、スライド制についてですね、スライドキャップ制というものであるとか、あるいは国によっては一律の手数料、定額にしているものもあります。
将来、この民訴法が改正されまして、IT化が本格的に導入されていきましたときに、その推移を見守った上で、やはり国民の皆さんの利便性に資するためには、様々な形でそのコストを下げていくということは大事な視点ですけれども、その際に、様々な制度については柔軟に、そのいいところ悪いところを見ながら、それを取り入れて見直していくと、そういう姿勢を持っておりますけれども、委員もその趣旨で今御指摘いただいたと思いますので、そういう御意見、委員の御指摘も踏まえながらこの問題と向き合っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/14
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015・清水真人
○清水真人君 ありがとうございました。
ある意味では、この手数料の在り方というのは日本の訴訟の在り方にも関わる部分もあるのかなというふうに思いますので、しっかりと十分な議論をしていただければというふうに思っております。
次に、セキュリティーについてお伺いをいたします。
様々な分野でもそうでありますが、IT化をしていく上で課題となることの一つというのがセキュリティーであります。特に、裁判におきましてはプライバシーや企業秘密に関する情報も取り扱われますので、当たり前ではありますが、確固たるセキュリティー対策というのは今回の法改正を支える上で必要不可欠なものであると言えます。
具体的には、最高裁、クラウドサービスを利用するということになろうかと思いますが、どのようにセキュリティー対策を取っていくのか、お答えができる範囲でお答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/15
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016・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
改正法の下で裁判所において構築するシステムでは、委員御指摘のとおり、プライバシーや企業秘密を含む機微な情報を取り扱うこととなりますので十分なセキュリティー対策を講ずる必要があると認識しておるところでございます。
システムは本法案が成立した後に要件定義を確定して開発に入るというものでございますし、セキュリティー対策という性質からしましても具体的な内容についてお答えするというのは難しいところがございますけれども、政府においては政府機関の遵守すべきセキュリティーに関する各基準ですとかが定められておりまして、その中にはクラウドサービス利用に関する標準ガイドラインなどクラウドサービスに関する基準もあると承知しているところでございます。
裁判所としましても、そうした各基準の内容を踏まえまして、十分なセキュリティー対策を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/16
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017・清水真人
○清水真人君 この点については肝になる部分だと思いますので、しっかりとした対応をしていただければと思います。
また、国内外におきまして、最近コンピューターウイルスによる被害というのが多発しているというのが現状であります。例えば、日系の企業等でも、サイバー攻撃なんていうのもありますが、そのほかにも、USBを介して、スパイ用のウイルスというんですかね、こうしたものにコンピューターが感染するなんていう事例もあって、海外の裁判所でも、こうしたウイルスにUSBを介してコンピューターが感染し、裁判所の運営に支障が生じたこともあったというふうに先般話を伺ったところであります。
今回の改正で記録媒体の提出による方法もあるということでありまして、つまりアップロード方式でいろいろやり取りをするということもあろうかと思いますが、USBの利用というのも可能ではあるということなんだろうというふうに思っております。
この点について、USB関連のこうしたセキュリティー強化の必要というのもあるのかなというふうに思っておりますが、どのように対応していくのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/17
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018・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
まさに委員御指摘のとおり、USBメモリーを用いて電磁的記録を提出することにつきましては、一般的にセキュリティーリスクが大きいという指摘があるところと承知しております。
今後開発を予定しているシステムに関して、現時点では確たる方針を申し上げることは難しいところではございますけれども、裁判所としては、USBメモリー等の電磁的記録媒体そのものを提出するよりも、御指摘のとおり、そのシステムへのアップロードの方法が広く用いられることとなるよう、データを提出しやすいシステムの開発に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/18
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019・清水真人
○清水真人君 そうなってきますと、それを利用していただくように促していくということが非常に重要になってくるのかなというふうに思っております。こうした点も幅広く、使う方にも理解をしていただくことも重要であると思いますので、そういった点、今後十分に注意して対応を進めていっていただければ有り難いと思います。
そして、しっかりとしたセキュリティー対策には、いざというときに迅速的かつ的確に対処することのできるIT分野に関して専門的に通ずる職員の雇用、そして配置が必要となるわけでありますが、この点につきましてどのような体制で対応していくのか、お伺いをいたします。
また、情報漏えいという点に関しては、実際の社会や企業では、まず外部によるサイバー攻撃というのもありますし、内部関係者による不正行為というのもあります。また、一番多いのが、情報の紛失やずさんな管理、間違った操作というものであるということであります。
こうしたことから、今後更に職員教育というものに対してもしっかりと取り組んでいく必要性があると思いますが、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/19
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020・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、簡潔におまとめをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/20
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021・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
最高裁判所におきましては、令和三年度に三名、令和四年度にも三名のIT人材を採用しているところでございますが、そのうち一名につきましては、情報セキュリティーアドバイザーとしてインシデント対応を含めた情報セキュリティーの検討などに携わっているところであります。
また、セキュリティーに関する職員教育につきましては、全職員に行き渡りますよう、裁判所内部の研修等を実施しているほか、政府において実施されている各種の研修を受講している職員もおります。
今後も、先ほど御紹介いたしました情報セキュリティーアドバイザーを始めとしたIT人材の知見を生かした職員教育の在り方を検討するとともに、システムの特性等や技術水準、技術動向なども踏まえつつ、IT人材の採用や研修の充実といった必要な対応を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/21
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022・清水真人
○清水真人君 新しいものを始めるときに何かが起きるということがあり得るわけでありますので、しっかりと対応していただければと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/22
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023・有田芳生
○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。
本論に入る前に、まずロシアによるウクライナ侵略に関わって確認しておきたいことがあります。
前回の委員会でも東委員の方から、ウクライナ人が日本にどのぐらい今いらしているんだろうかという質問がありまして、五月八日段階で八百七十八人という数字を入管、答弁されました。
それ以降、変化あったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/23
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024・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 避難を目的として、ウクライナ避難民ということで本邦に入国された方ですが、五月十日までの速報値で合計八百八十六人となってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/24
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025・有田芳生
○有田芳生君 ということは、前回、東委員が質問されて、二日の間に八人増えているということなんですけれども、基本的に、ウクライナで侵略戦争があって、ウクライナから特にポーランドに多くの方々が避難されている。
日本に行きたいという要求を出される方々は、誰に日本に行きたいというのを申し込むんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/25
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026・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) ポーランドの現地に支援チームを置きまして、大使館に支援チームのスタッフは置いてございますので、そちらに御相談いただければ対応しているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/26
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027・有田芳生
○有田芳生君 避難された方がポーランドの日本大使館関連のところに申入れをして、日本に家族あるいは知人がいるから行きたいんだと、そういう流れでよろしいわけですよね。そういうことですよね。
そうすると、来るときの、例えば昨日の新聞見ていると、ポーランドからの日本への直行便で来られた方がいらっしゃるという報道があったんですけれども、飛行機代というのはどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/27
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028・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) まず、日本に身寄りのある方は基本的に自費で来ていただいているというふうに承知をしております。
一方で、日本に避難をしたいと切に希望されていながら、自費ではなかなか寄港が困難だという場合に、先ほど申し上げた現地の大使館のスタッフと御相談いただいて、調整の上、週に一回のポーランド便で日本に来ていただくという形も取ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/28
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029・有田芳生
○有田芳生君 私、沖縄立憲民主党の仕事もやっているので、デニー知事なんかのお話も聞いていると、沖縄県でもどんどんウクライナの方々来てくださいということで、住むところとかいろんな準備をしている。それは沖縄だけじゃなくて、全国の自治体あるいは企業がそういう努力をしてくださっていると思うんですよね。
入管当局に伺いたいのは、今八百八十六人の方が日本に来ているんだけれども、だけど家族や知人のいない方、端的に言って、日本には来たんだけれどもホテル住まいされている方が何人もいらっしゃいますよね。どのぐらいいらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/29
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030・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 本邦に身寄りがないなどの理由で一時滞在施設、当方で借り上げております一時滞在施設に滞在しているウクライナ避難民の方々は、五月十日現在で五十六人おられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/30
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031・有田芳生
○有田芳生君 その五十六人の方というのは、一時滞在施設という表現取られましたけれども、ホテルですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/31
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032・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 一時滞在施設の詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/32
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033・有田芳生
○有田芳生君 控えるのはいいんですけど、もう報道されていることで、まあホテルにいらっしゃる。
その一時滞在施設にどのぐらいの期間いることができるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/33
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034・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 特段上限、期限を設けているものではございませんが、私どもとしては六か月程度滞在されることも想定して対応をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/34
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035・有田芳生
○有田芳生君 そうすると、家族もいらっしゃらない、知人もいない、だけど日本に行きたいという方が今五十六人いらっしゃって、一時滞在施設、まあホテルなどとしておきますけれども、そこにいらっしゃるんだけれども、どうして、各都道府県、沖縄も含めてですけれども、いっぱい受け入れますよということをもう既に何度も表明しているにもかかわらず、どうしてそういうところに行けないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/35
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036・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 自治体や企業その他の団体からの御支援の申出につきましては、私ども入管庁の方で一元的に受付をいたしております。
他方、一時滞在施設に滞在している方々のうち退所後の受入先が決まっていない方につきましては、当庁におきまして受入先の自治体、企業などとのマッチングを行うことといたしておりまして、現在希望する支援内容、居住環境などの詳細について順次聞き取りをしている一方、寄せられている自治体等からの支援の申出につきましても、受入れ可能時期、あるいは就学支援体制がどうか、あるいは日本語教育体制の整備の有無、それから生活圏内での医療の提供など、自治体が独自に対応可能な支援項目の詳細等につき聞き取りを進めておりまして、それでマッチングの作業を今しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/36
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037・有田芳生
○有田芳生君 マッチングという表現なんですけれども、半年はホテル住まいをすることができるわけですよね。もう既に日本に来られて、家族もいらっしゃらない、知り合いもいない方々の中で一か月以上ホテル住まいされている方がいるんですが、どうしてそんなに、あっちこっち、沖縄だけじゃなく全国各地で受け入れますよといって言ってくれているのに、何でそんなにマッチングに時間掛かるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/37
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038・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 詳細につきましては、個人の方々それぞれの御事情ございますのでお答えを差し控えますけれども、ただ、やはり避難民の方、どこでもいいというわけでもございませんし、いろんな御希望の支援があります。そことうまく対応できるところを今作業を鋭意進めているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/38
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039・有田芳生
○有田芳生君 じゃ、一時滞在施設にいらっしゃる方々のホテルの代金、食費というのは誰が出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/39
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040・西山卓爾
○政府参考人(西山卓爾君) 国費で賄っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/40
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041・有田芳生
○有田芳生君 だから、避難民は受け入れなきゃいけないという前提なんだけれども、余りにも対応が遅いと思うんですよ。もう、侵略戦争が起きてから、私が知る限り沖縄県なんというのはもう迅速に動いて、企業も含めて、どうぞいらしてくださいと言っているんだけれども、一か月たってもマッチングもできないというのはやはり大きな問題があると思うんです。
今日、本論と違うんでもうこのぐらいでやめておきますけれども、やはりもっと迅速な対応を取るべきだと思うということをお伝えをして、本論に入りたいというふうに思います。
民訴法の改正案については、日弁連の方から何度も要望をいただいて、今朝もメールが来ていて、今日の委員会で質問できないかと言われたんだけど、昨日もう質問通告出しておりますので。さっき清水委員も質問されました、あるいは私たち野党が与党とこれから交渉するんですけれども、附帯決議の中でも、訴えの提起の手数料については、手数料の低額化とか、あるいはその算出を簡明なものとする定額化を検討する会議体を設置するなど、負担の公平の見地から必要な検討を行うことなど、先ほどの清水委員の質問聞いておりましたら、やはり与野党で合意できる方向があるなと、大臣の御答弁もありましたけれども、やはりそういう問題もあるということを、今日質問できないんで、指摘をした上で、まず、いわゆる期間限定裁判についてまずお聞きをしたいというふうに思います。
前回の委員会でお話伺っていて、いわゆる期間限定裁判については、裁判を利用しやすい仕組みになるんだという表現が何度も行われました。
もう一度お聞きしますけれども、どうして期間を限定すると裁判を利用しやすいということになるんでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/41
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042・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
現行法には、民事訴訟手続の審理期間や判決までの期間に一定の期限を設ける規定はございません。現行法の下でも早期に審理を終えている事件も存在すると思われますけれども、結果的に早期に審理を終えたのはあくまで個別事件の運用によるものであり、制度上、一定の期間に審理を終えるべきことが明確にされているわけではございません。そして、現行の民事訴訟において紛争解決までに要する期間の予測可能性が低いことが訴訟の利用をちゅうちょさせる要因になっているとの指摘がございます。
法定審理期間訴訟手続は、当事者双方の意向が合致した場合に行われる手続として、審理期間や判決までに要する期間が法定されることにより、訴訟の早い段階で紛争解決までに要する期間の予測可能性が高まるという点に大きな意義があるものと考えております。
したがいまして、この手続を設けるニーズがあると考えておりまして、そのニーズに応える方法としては意義がある、その意味において民事訴訟の利用しやすさを向上させる一助になると、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/42
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043・有田芳生
○有田芳生君 被告と原告が、じゃ、期間限定裁判やりましょうとなればそのシステムが動いていくんだけれども、これまで平均は九・九か月ですよね。それが六か月になることによってなぜ裁判を利用しやすいということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/43
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044・金子修
○政府参考人(金子修君) 一応六か月という数字を出していますが、それより短い期間を合意してもよろしいわけなんですけれども、結局、ここで主たる場合として想定しているのは、訴訟の早い段階で紛争解決までの期間がめどが立ちます。そうすることによって、言わば経済合理性の中で行動しているような企業同士の争いのような場合には、その間に振り向ける時間や費用のめどが立ちます。そうすることによって、この裁判を、その事案の解決を裁判の手続を利用するかどうかという判断のメルクマールになっていくということがございますので、そういう意味で利用しやすさにつながっていくと、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/44
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045・有田芳生
○有田芳生君 私の感覚では、余りにも机の上の議論に聞こえてしまうんです。
昨日、質問通告を担当者の方とお話をしているときに雑談的に、大臣やあるいは局長は裁判なさったことあるんだろうかという、これ正式な質問通告はしていないんですけれども、単純な話なので、大臣、局長、被告になったことありますか、原告になったことありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/45
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046・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 私自身は経験ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/46
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047・金子修
○政府参考人(金子修君) 訴訟の当事者になったという意味では、ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/47
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048・有田芳生
○有田芳生君 残念ながら私は何度も何度もありまして、統一教会の信者であるとかオウム真理教の信者であるとか、何度も法廷に立ったことがある。
その立場からすると、なぜ机の上の議論に聞こえるかというと、私が訴えたとしても訴えられたとしても、それ、どのぐらいの裁判の期間になるかは分からないけども、核心部分は裁判に勝つことなんですよ。徹底して裁判に勝つ準備をすることなんです。だから、そういう意味で、短くすることではなくて、やっぱり原告にしても被告にしても、裁判に関わる人間の精神的核心部分というのは負けないこと、勝つことなんですよ。だから、しかも、このいわゆる期間限定裁判というのが始まったら、途中で一方がやめたと言えば元に戻っちゃうわけでしょう、通常のシステムになるわけでしょう。
だったら、初めから、短くする努力はするにしても、やはりこれまでどおりの裁判をすべきだと思うんですが、そういう原告あるいは被告の立場、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/48
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049・金子修
○政府参考人(金子修君) 委員が御経験されたような裁判には、恐らくそもそもこの新しい手続は不向きなんだろうというふうに思います。
で、例えば、経済合理性が求められるビジネスの世界にあっては、裁判に掛かる時間、費用と、勝訴の可能性、それからその時間、費用を他に振り向けた場合に得られる利益等を総合的に勘案して、裁判をするかどうか、あるいは裁判を受けるかどうかということを判断するということも十分考えられるわけでございます。このことは、私独自の意見ではなくて、法制審議会の民事訴訟法IT化部会におきましても企業法務の立場からそのような御意見を伺っているところでございます。
そのような世界におきましては、裁判に掛かる期間についての予測可能性がある、確保されるということは、民事訴訟を利用するかどうかの考慮事情として重要であると考えられることから、その意味で民事訴訟を利用する一定の方にとって有効な手段であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/49
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050・有田芳生
○有田芳生君 いろんな説明なさりますけれども、企業にとってもいろんな考え方があるから、早く終わりたいという人もいるだろうけども、基本的には勝つか負けるかなんですよ。負けるものかという、それが企業だって当たり前だと思いますよ、個人だけではなくて。
それで、前回お話を伺った、アンケートをやったら、どのぐらい裁判の時間が掛かるか予想が付かなかったって五六・四%。当たり前ですよ、裁判なんだから。その分からない審理期間の中で、原告にしても被告にしても勝つために徹底して努力するんです。だから、そういう意味で、この期間限定裁判というのは諸外国にもそういう例がないというんだけれども、やはり大きな欠陥があると言わざるを得ないというふうに思います。
次に行きます。
オンライン証人尋問の条件ですけれども、どういう条件でこれは実行するんでしょうか、誰が決めるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/50
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051・金子修
○政府参考人(金子修君) オンラインでの証人尋問についてのお尋ねかと思います。
証人尋問を行う場合には、通常は証人の証言内容のみでなく、その表情や声、動作や態度等も証言の真実性を判断するに当たり重要な要素となります。このため、今回の法案では、証人が受訴裁判所に出頭することが困難である場合や、その証人がウエブ会議を利用して尋問することについて当事者に異議がない場合などであって、かつ裁判所が相当と認めるときに限り、ウエブ会議を利用した証人尋問を実施することができるということにしております。
したがいまして、裁判所が証人の様子を直接面前で確認しながら証人の信用性を判断する必要があると考える場合には、現在と同様に証人が法廷に出頭しての尋問が行われることになるというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/51
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052・有田芳生
○有田芳生君 これ、私たちの部会に局長来ていただきまして、じゃ、どういう人だったらオンライン証人尋問の対象になるんだろうかと質問が出たときに、局長、お医者さんだったらというような表現されて、あれ説明が恐らく不十分だったと思うんです。
お医者さんだったら信用できるけど、ほかの人だったら信用できないのかというふうに、あのとき多くの議員たちが捉えたんですけれども、じゃ、何であのときお医者さんならばオンライン証人尋問の対象になると語られたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/52
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053・金子修
○政府参考人(金子修君) 私が申し上げたのはまあ例示ですが、しかも、医師であれば当然信用できるという趣旨で申し上げたつもりはございません。
当事者との間で利害関係がなく、中立的な立場で当事者双方が信頼する専門家に対する証人尋問が行われるということがございますが、そういう場合のように、証人の信用性をその表情、態度等から吟味する必要性が低いと考えられる場合には、迅速な審理を実現するためにウエブ会議を利用して証人尋問を行うことが相当と認められることがあり得るものと考えられております。
そのような場合として、例えば当該事案とは直接の関係がない、直接利害関係のない医師に対して、中立的な専門家としての立場から一般的な医学的な知見について尋問する場合が考えられますので、その趣旨で医師という例示を挙げさせていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/53
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054・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/54
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055・有田芳生
○有田芳生君 時間ですので、成り済まし問題などなど、まだまだ質問したいことがあったんですけれども、また次回、真山委員にお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/55
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056・安江伸夫
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
今日は、私からも、まずは訴訟手数料の関連からお伺いをさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、前提から確認をしてまいりたいというふうに思います。
訴状等のオンライン提出は、弁護士等の専門職については義務化される一方で、本人訴訟の場合には紙とオンラインが選択的となっております。こうしたハイブリッドの形態となっている趣旨について確認をさせていただきます。
将来的にはオンラインを全面的に原則とするということを視野に入れているという理解でよろしいか、改めてで恐縮ですが、古川大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/56
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057・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 弁護士等の訴訟代理人については、訴訟代理の迅速化、効率化に率先して取り組むことを期待することができ、また、一般にインターネットを用いた申立て等に対応する能力を十分に有しているものと考えられます。加えて、主要国においては、近年、弁護士については電子的な方法による申立てが義務化される傾向にございます。
一方で、現状では、インターネットを用いた申立て等に十分に対応することができない者が一定数存在すると考えられることからすると、弁護士等以外の者にインターネットを用いた申立て等を義務付けることとした場合には、実質的にこれらの方々の裁判を受ける権利に影響を与えかねないことが危惧されます。
そこで、改正案では、弁護士等の訴訟代理人については、インターネットを用いた申立て等を行うことを義務付ける一方で、法律専門職以外の者についてはこれを義務付けないこととしております。もっとも、インターネットを用いた申立て等は、訴訟記録の電子化と相まって書面管理等のコストの削減につながるものであり、さらには、訴訟手続の迅速化、効率化が図られることとなって、民事訴訟に関する社会全体のコストが削減されることが期待されます。
このような観点からすれば、弁護士等以外の者においても広くインターネットを用いた申立て等が行われるようになることが望ましいと考えられます。そのため、法務省としても、まずは手続利用者が自ら進んでインターネットによる申立てが広く行われるように、関係機関等と連携をして必要な環境整備に努めてまいりたいと考えております。
そして、将来的にインターネットを用いた申立て等を義務付けられる者の範囲を拡大していくことについては、ただいま申し上げたような方策の下で、弁護士等の専門職が付いていない本人からのインターネットを用いた申立て等がどの程度用いられるか、サポート体制がどの程度充実しているか、IT技術の進展と利用状況など、改正法案の施行後の運用状況等を注視しつつ検討をすべき事柄であると認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/57
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058・安江伸夫
○安江伸夫君 御丁寧な御答弁いただきまして、ありがとうございます。様々な現下の課題をクリアしながらも、しっかりこのオンラインの全面化に向けて進めていくという趣旨だというふうに理解をさせていただきました。
その上で、訴訟手数料について伺ってまいりたいと思いますが、先ほども清水委員が御質問されていたとおり、今回の改正によりまして、印紙と郵券が一本化されて現金納付となり、実際にはペイジーによる振り込みを原則とするということでありますが、紙の場合は二千五百円、オンラインの場合は千四百円を支払うと。ここに差額一千百円のインセンティブが設けられているということでございました。
ちょっと質問の趣旨、重複して恐縮ですが、この差額一千百円は、オンラインに誘導していく、このインセンティブという位置付けも含むということでよいか、確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/58
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059・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今般の改正法案につきましては、裁判所が当事者等に対して訴状等を郵送する場合の郵便費用につきまして、これを定額の手数料として納付する制度を導入することとしております。
額ですが、書面による訴えの提起の場合は二千五百円、オンラインによる訴えの提起の場合は千四百円でありまして、書面による場合よりもオンラインによる場合の方が手数料を一千百円低額としているところでございます。この額、金額でございますが、最高裁判所において実施しました全国の裁判所における郵便費用の使用状況の調査結果を踏まえて定めたものでございます。
そして、書面による訴えの提起の場合、典型的な訴訟では原告に対する判決書きの送達のための郵便費用に相当する一千百円が必要となりますが、これがオンラインによる訴えの提起ですと不要になりますので、一千百円の差額を設けることとしたものでございます。
このように、書面による場合よりもオンラインによる場合の手数料を低額とすることによりまして、オンラインによる訴えを選択することにインセンティブが生じることとなるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/59
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060・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
一千百円というふうに、これ価値判断ですから、その程度ではという御意見、もしかしたらあるかもしれませんが、まずこれ第一歩を進めていただいたということは評価したいかなというふうに思うんですが、やはり本丸はやはり印紙相当分の訴額に応じたこのスライド制の手数料、まだまだここには正直課題があるのかなというふうに認識をさせていただいております。
先ほども清水委員の質問にもありましたけれども、訴訟の目的物の価額に応じた手数料相当部分については、従前のスライド制が今回の改正によっても維持されているところであります。もっとも、このスライド制の手数料につきましては、かねてから日本弁護士連合会等を中心に、訴訟を利用するに当たってのハードルとなっている旨の指摘がなされているところでございます。
本日はお手元に資料を配付させていただいております。東京弁護士会が平成二十六年、若干古い数字でございますけれども、この訴訟手数料が訴え提起の障害となっているかについて弁護士にアンケートを取った内容となっております。
資料一を御覧いただければというふうに思いますが、訴訟手数料が訴えの提起の障害となった経験について、よくある、たまにあるが合計で三六・三%という数字になっております。裏面を見ていただいて、資料二というところでございますが、障害となった結果、それが訴えの断念の経験があるか、それが訴えの断念の経験につながったかという質問につきましては、よくある、たまにあるが合計で四八・九%、そして、訴訟物を一部にして一部請求したとした経験がよくある、たまにあるが合計でこれは七二・四%ということでございまして、こうした数字からも、訴訟の手数料が裁判を利用する障壁となっているということがうかがわれるというふうに思います。
実際、私自身も弁護士として、この訴訟手数料の問題が壁となって訴えを断念したというクライアントの方に接したこともございますし、控訴を断念するとか、実際これが、手数料が障壁となっていることは本当に私自身も実感を持って体験をしているところでございます。
そこで、日弁連からも、この訴訟費用の低定額化、すなわち安くする、また定まった価格とするということ、あるいはプライスキャップ制度、こうした価格の上限規制の導入なども提唱されていると承知をしております。かかる主張は国民が裁判を受ける権利を充足させるために重要なもの、また検討すべきものというふうに考えております。
今回の法改正によって、民事訴訟をオンライン化する趣旨が、民事訴訟の一層の迅速化と効率化を図り、民事裁判が国民により利用しやすいものとなるということにあるとするのであれば、これを契機に手数料の低定額化が更に検討されるべきものと考えております。
前回の当委員会におきまして、私も大臣に対して質問をさせていただきました。訴訟のコストの低減を図ることには重要な意義がありますかという質問に対して、それは重要な意義があるというふうにお答えいただきましたし、先ほどの冒頭の質問に対しても同趣旨の御答弁をいただいたところであります。であるならば、このコスト削減による利益、これをまさに訴訟を利用する市民、国民にやはり還元されるべきだというふうに思っておりますし、それがひいては訴訟手数料の低減化に趣旨としてつながっていくものだというふうに理解をしております。
一方、当然、本格的なIT化はこれから実現されるわけですから、具体的にどれぐらいのコストが低減されるかは図りかねるというのが実情だというふうに思いますが、少なくとも、今後、民事訴訟のIT化が定着していく中で、具体的にどのくらいの削減が可能なのか、これが検討されるべきものと考えます。
そこで、質問でございますけれども、例えばでありますけれども、この法務大臣の下に訴訟手数料に関する検討会を設置するなど、少なくとも関係当事者の声を丁寧に聞いていただく場を設けていただくなど、その低定額化が検討されるべきものと考えております。古川法務大臣の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/60
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061・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 国民が適正な費用で良質の法的サービスを受けられるようにすることは、裁判手続を国民により利用しやすくする観点から重要な意義があるというふうに認識をいたしております。
現時点で確定的な見通しを申し上げることは困難ではございますけれども、仮にこの法改正が実現した場合には、今般の裁判手続のIT化によって事務の合理化が図られ、裁判制度の運営コストが全体として低減されるだろうということも期待されるところであります。
したがいまして、今後の訴えの提起の手数料の在り方につきましては、施行後における裁判手続の事務処理の実態などを踏まえるほか、関係団体の意見聴取、御意見にも、御意見をお聞きすることにも努めるなどしながら、関係団体の意見聴取にも努めるなどしながら、負担の公平の見地から必要な検討を行ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/61
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062・安江伸夫
○安江伸夫君 大臣、ありがとうございます。
でき得れませばそうした場を設けていただければというふうにも思うところでありますが、今日の時点では少なくとも関係当事者の皆様の声を聞いていくことに努めていただけるということで、言質を頂戴することができました。是非しっかり、弁護士会等、また訴訟利用の当事者等の声を丁寧に吸い上げて、この訴訟手数料の在り方を検討していただきたいということを重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
さて、ちょっとテーマを変えまして、続きまして、私からも裁判へのウエブ参加等に関連してお伺いをしたいというふうに思います。
今回の改正によりまして、当事者の一方又は双方がウエブ会議を利用して口頭弁論期日に参加することができるようになります。この点につきましては、憲法上の要請でもあります裁判の公開の原則との関係性が重要というふうに考えます。これが今回の改正によってもどのように担保されているのでしょうか。また、ウエブ会議を用いることにつきましては、双方審尋主義、口頭主義、直接主義といったその他の民事訴訟の諸原則との関係性も重要と考えます。こうした諸原則との関係がこの改正によってどのように整理されているのか、以上、併せて法務省にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/62
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063・金子修
○政府参考人(金子修君) 裁判の公開の要請との関係ですが、改正法案におきましては、ウエブ会議により口頭弁論が行われる場合には、裁判官が所在する法廷を公開して行われることを想定しております。具体的には、傍聴人は、法廷の傍聴席において裁判官が行う手続を観察することができ、また法廷に設置されたモニターを用いるなどしてウエブ会議の方法で参加する当事者とのやり取りを傍聴することができるようにすることを想定しております。このように、ウエブ会議による口頭弁論の手続は国民に公開されており、裁判の公開の要請を満たしているものと考えております。
次に、口頭主義の関係ですが、民事訴訟における口頭主義とは、訴訟行為を口頭によって行わせる原則でございますが、ウエブ会議による口頭弁論においても、裁判官と当事者とがウエブ会議を通じて口頭により訴訟行為を行い、これに基づいて判決がされることを想定されており、口頭主義の要請も満たしているものと考えております。
次に、直接主義との関係ですが、民事訴訟における直接主義とは、その事件について判決をする裁判官が自ら弁論を聴取し、証拠調べを行う原則であります。ウエブ会議による口頭弁論においても、その事件を判決する裁判官がウエブ会議を通じて自ら弁論等を聴取することが想定されており、直接主義の要請も満たしているものと考えております。
最後に、双方審尋主義との関係ですが、民事訴訟における双方審尋主義とは、相対立する当事者双方を平等に取り扱い、各当事者が攻撃防御方法の提出についても対等の機会を与える原則でございます。ウエブ会議による口頭弁論においても、当事者双方を平等に取り扱い、攻撃防御方法の提出について対等の機会が与えられることが前提とされており、ウエブ会議によって口頭弁論を行うことは双方審尋主義の要請にも合致するものと考えております。
このように、改正法案におけるウエブ会議における口頭弁論の手続は、公開主義、口頭主義、直接主義及び双方審尋主義のいずれの要請も満たしているものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/63
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064・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。確認させていただきました。
その中でも、やはり、とりわけ公開原則との関係では、法廷における傍聴を可とする従来の取扱いを重視して、オンラインでの公開に関する規定は置かれておりません、今の御答弁のあったとおりでありますが。
訴訟手続がオンライン化されるに伴いまして、裁判の傍聴についてもオンラインによることも考えられたかと思いますが、今回の改正ではその点が盛り込まれなかった。どのような理由によるのかを確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/64
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065・金子修
○政府参考人(金子修君) 口頭弁論が行われる裁判所の法廷の様子を例えばインターネット中継等をしてインターネット越しに傍聴するというようなことも、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会においても議論がございました。インターネット中継等を実施する場合には、当事者等のプライバシー等が不特定多数の者に広く知れ渡ることへの懸念等を指摘する意見がある一方で、明示的に禁止するということについても慎重な意見がございました。このような議論状況があったことを踏まえ、改正法案におきましては、インターネット中継等を許容することや、逆にこれを禁止することに関し何らかの規定を設けるということはしなかったものでございます。
なお、実際にインターネット中継等を実施するかどうかの運用については、その議論状況をも踏まえ、裁判所において検討されていくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/65
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066・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
ここは様々意見が分かれるところかなというふうにも思いますが、いずれにしましても、これは憲法上の要請であるという位置付けを踏まえて、引き続きの在り方の検討ということをこの際お願いをしておきたいというふうに思います。
続きまして、本人確認について伺います。
ウエブ会議等を利用する方法による参加を認めるに際しまして、画面に映っている人が果たして本人なのかどうかが問題になります。もちろん対面でも同じようなことが懸念される局面もございますけれども、やはり画面越しの場合の方が成り済ましのリスクが高いというふうに抽象的にも言えるかと思います。周りに誰かいるかも定かではありません。特に、法廷に所在しない場所からのアクセスする際の出頭者の本人確認、あるいは所在すべき場所の確認、その者に対する不当な影響が適切に排除されるべきと考えます。
とりわけ本人訴訟の場合の本人当事者や証人の確認につきましては、成り済ましを防ぐため、原則として顔写真付きの身分証明書の提示等により、本人確認を一定程度厳格化をすべきと考えますが、最高裁の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/66
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067・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
ウエブ参加に参加している当事者や証人が本人であることの確認の重要性につきましては、委員御指摘のとおりと存じます。
具体的な方法につきましては、各裁判官がそれぞれの事件に応じた適切な方法で行うことになりますので一概には申し上げにくいところですが、本人訴訟の当事者がウエブ会議で手続に参加するような状況におきましては、一般に、委員御指摘のように、顔写真付きの身分証明書の提示を求めて本人確認を行うことが相当な場合が多いだろうと考えられるところでございます。
いずれにせよ、ウエブ会議を利用するに際しましては、成り済ましが生ずることのないよう個々の事案に応じて適切な本人確認に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/67
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068・安江伸夫
○安江伸夫君 また、オンラインによる証人尋問の課題についても確認をさせていただきます。
証人尋問、これをウエブ会議を通じて行う場合、その証言の信用性を十分に判断できるのかという問題があります。ウエブ会議はあくまでも利便性を高めるための手段であり、真実発見という司法の本来の役割を忘れてはなりません。その意味で、証人尋問につきましては口頭弁論と異なる考慮が必要であるというふうに考えます。
ウエブ会議による証人尋問について、こうした異なる考慮、どのように今回の改正法案では考えられているか、法務省にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/68
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069・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
改正法案では、ウエブ会議による口頭弁論の期日を行うための要件は、裁判所が相当と認めることと当事者の意見を聞くことでございます。これに対し、御指摘のウエブ会議による証人尋問を行うための要件としては、裁判所が相当と認めるということに加えまして、証人が裁判所に出頭することが困難であることや当事者双方に異議がないことを定めており、ウエブ会議による口頭弁論と比べて厳格なものとなっております。
これは、証人尋問を行う場合には、証人の証言内容のみではなく、その表情や声、動作や態度等も証言の真実性を判断するに当たり重要な要素となり得ることから、相手方当事者の反対尋問を行う権利にも配慮し、ウエブ会議を利用することができる場面を限定したものでございます。
このように、改正法案では、ウエブ会議による証人尋問については、ウエブ会議による口頭弁論と異なる考慮をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/69
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070・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
ちょっとまだ残余の質問も残っておりますが、時間が参りましたので、これで終わりといたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/70
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071・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合でございます。
通告した質問に入ります前に金子民事局長にちょっと確認したいことがあるんですが、先ほどの有田委員の質疑の折に、いわゆるその審理期間を限定することについて御自身の経験を踏まえて質問なさいましたところ、有田先生の裁判の場合は不向きだという、こういう表現がございました。
その向き不向きということについて、このことを誰がどう判断するのかということに不安があるからこういう議論が生じているということなんですけど、この民事局長の不向き発言について改めて説明をし直していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/71
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072・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
有田委員がおっしゃった事例というのは、私、直接には承知していないので、ある意味で不適切だったかもしれませんが、その勝ち負けが非常に重要だという御発言があったのは委員の御経験に基づくものというふうに思いましたので、しかし、勝ち負け、いや、勝っても、それが勝って得られる利益よりも莫大な時間と費用が掛かるようでは、まあこれは裁判手続の方の問題もありますが、企業としてはそういうような場合には裁判を利用することについてちゅうちょするという場面があるというような声はいただいておりますので、要は、その経済合理性に乗るような事件について、今回の手続が一つの選択肢を与えるものになる。今まで、時間が掛かる、どれくらい掛かるか分からなかった、あるいは非常に時間が掛かりそうだということで裁判を起こすことについてちゅうちょされるような事態は一定程度解決される場合があるんではないかと。
先生がおっしゃった勝ち負けが重要だということ以外にもそういう考慮があるという世界があるんだというお話は聞いておりますので、それで、そちらの、言わば裁判に掛かる費用と得られる利益を考慮するというような世界があるんだ、むしろそういう場合には、この手続が導入されることによって、今まではちゅうちょされていたものが利用されることが起きてくるんじゃないかと、そういうニーズがあるんじゃないかと、そのニーズに応える一手段になっているんじゃないかという趣旨で申し上げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/72
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073・川合孝典
○川合孝典君 いずれにいたしましても、疑念を抱かせるような発言は決して適切ではないということを指摘をさせていただきたいと思います。
それでは、通告に基づいて質問させていただきますが、まず、ITの活用推進に当たってのこれまで幾つも出てきている懸念事項、今、安江委員からも御質問がありましたが、私からも、いわゆる成り済ましやデジタル証拠の改ざんといったことに対するこれまで様々指摘されてきている懸念事項についてお伺いしたいと思います。
私も、安江委員の御指摘と同様に、証人尋問時の証人が置かれたシチュエーションによって、環境によって証言内容に影響を与える懸念があるということについて、この可能性については否定できないと思っております。また、そのいわゆるデジタル証拠の改ざんを防ぐためにどういったサイバーセキュリティーを講じるのかということ、こういったことについてもこれまでも指摘されているわけでありますが、成り済まし対策も含めて、現時点までの間でどのような検討がなされているのかということの中身の説明がないんですよね。
法律改正されたらこれから検討しますという話にしかなっておらぬわけでありまして、いろいろな指摘をいただいてから現在までの間の法務省さんとしてのいわゆる対応の検討状況、懸念事項への検討状況について、現時点での検討内容を確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/73
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074・金子修
○政府参考人(金子修君) ウエブ会議の活用による成り済ましの問題と、それからデジタル証拠の改ざんの防止の問題についてお答えいたします。
まず、現行法の下でも、当事者等が裁判所以外の場所に赴いた上でウエブ会議によって手続に参加することができる場合はございまして、このような場合に、ウエブ会議で参加する者については、個別の裁判体において事案に応じ適宜の方法で本人確認を実施し、必要に応じて第三者による不当な介入がないかを確認しているものというように承知しております。そういう意味で、裁判所において全く経験がないというわけではないということです。
このようなこれまでの実務を踏まえると、改正法案に基づくウエブ会議による証人尋問等の実施につきましても、これまで裁判所でされていたようなことと同様の措置がとられることになるものというふうに考えております。
具体的には、本人確認については、ウエブ会議の画面を通じて写真付きの身分証を提示してもらい、写真の顔と証人の顔とを照合するといったことが考えられます。また、第三者による介入が疑われる場合には、証人に対し、その周囲をウエブ会議のカメラに映してもらい周囲の様子を確認するといったことも考えられるところと思います。
それから、デジタル証拠の改ざんについてですが、電磁的記録の成立の真正について改ざんが行われているといった主張がされた場合には、裁判所は必要な証拠調べを実施した上で改ざんの有無等について判断をすることになります。どのような証拠調べをするかにつきましては当該事案や証拠の性質等に応じて裁判所が判断することになりますが、方法としましては、電磁的記録についてその真正が争われた場合は、検証、それから専門家による鑑定を実施したり、証人等の尋問をするといったことが考えられるところでございます。
このデジタル証拠の改ざんの問題については、今後の技術の発展等を踏まえつつ、証拠調べの在り方等が検討されていくことになるものと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/74
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075・川合孝典
○川合孝典君 先ほどの質疑の中で、いわゆる各裁判官がそうしたことについて御判断をされるということと併せて、顔で、顔写真を使って認証するということについての御答弁もありましたが、今の技術でいけば、AI使えば幾らでも画像を加工できますので、そういう意味では、顔写真で確認が確実にできるかといったら、そういうことでは私はないと思っております。虹彩認証でもしない限りは、顔認証ではごまかしようは幾らでもあるということを考えたときに、そういったことまで含めて考える必要性があると私は思っているんですが、いま一つ、局長の御答弁聞いておりますとそこまでの危機感を感じられないことに対して、私は懸念を持っているということを指摘させていただきたいと思います。
その上で、先ほどの答弁の中でも、政府の基準に基づいてサイバーセキュリティーの対策を取るということを局長おっしゃいましたけれど、この政府の基準は、裁判にいわゆるITを活用するということを前提とした基準になっているのかどうかだけ確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/75
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076・金子修
○政府参考人(金子修君) ちょっとその政府の基準を作ったときの議論状況を今把握できておりませんが、今後それが裁判に使われていくだろうということを明示的に考慮した上で決めたものかどうかというのはちょっと明らかでないところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/76
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077・川合孝典
○川合孝典君 大臣、つまりそういうことなんです。政府基準に基づいていわゆるサイバーセキュリティー対策を講じるということが、そもそも今回のように司法の場にいわゆるITを導入するということが前提とされているかどうかが分からない状況、そういう基準での政府基準である可能性もあるんです。
同時に、今局長おっしゃったとおり、その状況については現時点で把握できていないということも明確におっしゃっているわけでありますので、この点については精査をする必要があるということを指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、次の質問に入りたいと思います。
既に、コロナ禍に対応するため、これは最高裁の方に確認させていただきたいと思いますが、コロナ禍に対応するということで、一昨年から地裁と弁護士事務所をインターネットでつないで民事訴訟手続を進めるウエブ会議の運用が始まっていると、既に全ての全五十地裁でウエブ会議が行われているということについても情報をいただきました。
こうした経験を踏まえて、これまでの間、ウエブ会議システムを使うことで裁判所として新たに何らかの知見が得られたのかどうなのかということについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/77
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078・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
御指摘のとおり、現在は全地方裁判所の本庁におきまして、基本的には弁護士が訴訟代理人に就いている場合にウエブ会議を用いた争点整理手続が行われているところでございます。
この手続におきましては、電話会議による場合と比較してお互いの表情等が見えることによりコミュニケーションが取りやすいといった指摘があるほか、審理の工夫として、ファイル共有機能ですとかあるいはチャットの機能等のITツールの機能を用いることによりまして、裁判官と双方代理人との認識の共有がより効率的、効果的に図られ、充実した審理につながっているといった声が聞かれておるところでございます。
今後の課題といたしましては、本法案が成立して施行されますと、ウエブ会議を用いて実施可能な手続が拡大することとなりまして、弁護士以外の一般の方がウエブ会議を利用する局面も増えることになると考えられるかと存じます。
先ほど来委員から御指摘がございました、その成り済ましを防止するためにウエブ会議で手続に参加する方の本人確認をどのように行うか、あるいはその同席が許されない第三者がいないことをどうやって確認するのかといった点などが課題になり得るところですけれども、現行法下における運用の中で得られた知見等もございますので、これも踏まえて、引き続き適切な審理が行われるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/78
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079・川合孝典
○川合孝典君 訴訟を準備する時点での様々な事務的な手続をウエブ会議でやるということについては、これは非常に有効なツールだと思いますので積極的に御活用いただければいいんだろうと思うんですが、他方、実際の審理に活用するということになった場合には、先ほど御説明ございましたとおり、新たな知見も含めて検討しなければいけない、また精査しなければいけない課題もほかにもたくさんあろうかと思いますので、不断の検証を是非していただきたいと思います。
時間の関係がありますので、最後、もう一点質問させていただきます。
大臣に最後御質問させていただきたいんですが、先日の質疑の中で、いわゆる法定審理期間を設定する目的について御答弁をされる中で、この法定審理期間を設定したのは、あくまでも予見可能性を高めるのが目的であるという御答弁をいただいております。
法定審理期間を設定する目的が、この予見可能性を高める、訴訟当事者の利便性を高めるということが目的なのだとすれば、今回のこの期間を限定するという法律改正によって、今後、民事訴訟の件数はどうなると大臣としてはお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/79
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080・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
法定審理期間訴訟手続は、審理期間や判決までの期間を法定することによりまして、当事者の予測可能性を高め、民事訴訟の手続をより利用しやすくすることを目的とするものでございます。
民事訴訟利用者調査の結果によりますと、裁判が始まった時点で裁判が終わるまでにどのくらいの時間が掛かるか事前に予想が付きましたかという質問に対して、全く予想が付かなかったとの回答が五六・四%ございました。また、法制審議会の部会におきましても、紛争解決までに要する期間の予測可能性が低いことが訴訟による紛争の解決をちゅうちょさせる要因になっているとの意見が出されたところでございます。
これらのことからしますと、この手続を導入するニーズはあるものと考えられまして、現時点で具体的な数値をお示しすることは困難ではあるものの、一定の利用は見込まれるだろうというふうに考えているところであります。
繰り返しになりますが、具体的な見込みを具体的に申し上げるのはなかなか難しゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/80
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081・川合孝典
○川合孝典君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、利便性を高めることで件数、いわゆる訴訟件数が増えると考えるのが普通ですよね。そのことを含めて、そうしたことを前提として、今後どういった、いわゆる判事の人数をどうするのかということも含めた議論をしなければいけないということ、そのことの問題指摘を次回させていただきたいと思います。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/81
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082・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
今日も、民事訴訟法のIT化のことについてまず質問をさせていただきたいと思います。
民事訴訟の手続の全面的なIT化を目指していくということで、ようやく日本も目指すことになったのかと評価をさせていただいております。もちろん、メリットもあればデメリット、課題もあるというのも当然のことという中でやっぱり進めていくべきだというふうに考えておりますが、海外との比較についてお伺いをしたいというふうに思います。
民事訴訟のIT化については、これはもういろんな方から意見もありました。私も、日本よりも、やっぱりアメリカとか、そしてまたアジアであればシンガポールであったりとか、そしてまたイギリスであったりとか、そういったヨーロッパの国々と比較しても、この領域ではやっぱり日本は大きく後れを取ってきたというふうに考えております。
先日の四月二十八日に、この法務委員会で参考人質疑がありました。そのときに、杉山参考人にも私ちょっとお聞きしました。杉山参考人になぜ日本は遅れたんですかというふうなことをお聞きすると、日本もIT化に対応する規定がないわけではなかったが、技術の変化に実務上対応し切れなかったというふうなことの御指摘もありました。その理由として、予算の問題とか、ウエブ会議については設備を整えることができていなかったとか、そういった指摘もございました。また、オンラインの申立てについては、技術の変化に法律が追い付いてこなかったということも伺っていましたが、政府として、なぜこの民事訴訟のIT化、これはもう海外と比較してなかなか日本ではこれが進まなかったのかということについて、大臣から是非この点について聞かせていただきたいなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/82
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083・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
我が国における民事裁判手続のIT化につきましては、平成八年に成立しました現行民事訴訟法によりまして、民事訴訟手続における電話会議システムやテレビ会議システムの利用が始まり、特に電話会議システムの利用は実務上も広く普及をしているところです。
また、平成十六年の民事訴訟法改正によりまして、インターネットを用いた申立て等を可能とする規定が設けられたところでございます。これを受けまして、平成十八年には、支払督促手続についてインターネットを用いて申立て等を可能とする督促手続オンラインシステムが導入されるなど、利用者の利便性を向上させるためにITの活用が図られてきたところでございます。
もっとも、民事訴訟一般に関しましては、平成十六年以降、インターネットを用いた申立て等を可能とする試験的な運用が一部の裁判所の一部の手続で実施されましたものの、訴訟記録が紙媒体によるものとされたままであったことなどからその利用が進まなかったこともありまして、民事訴訟手続のIT化を促進する法改正などはされてこなかったところでございます。
改正法案は、訴状等のオンライン提出や訴訟記録の電子化など、民事訴訟手続の全面的なIT化を図ったものでありまして、当事者の利便性が大きく向上することが見込まれるところであります。改正法案により創設された制度を適切に実施、運用することで、民事訴訟手続等が一層迅速化、効率化されるものと認識しておりますし、そのように期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/83
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084・東徹
○東徹君 もう少し端的に、なぜ日本は遅れたのかということについて端的にちょっとお答えいただけませんでしょうか、大臣として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/84
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085・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 端的に申し上げます。正確性についてはちょっと自信がありませんけれども、あえて東委員の御質問に端的にお答えしたいと思いますが、やはり日本社会のこの紙媒体というものをやっぱり前提とした制度の仕組み、やっぱりこれ根強いものがあるのではないかなというようなふうに印象を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/85
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086・東徹
○東徹君 何とか、何となく私も同意するなというふうに思うところであります。
現在の民事訴訟手続は、基本的にこれ書面を用いて申立てなどを行って、そして訴訟記録は紙媒体で保管し、また、当事者らは裁判所に現実に出頭して対面で審議をするというものであります。オンライン申立てを認める規定はあるけれども、訴訟記録は紙媒体として保管するものであって、実際にはほとんど用いられていません。また、裁判所に出頭せずに手続に遠隔参加することも可能ではありましたけれども、利用できる場面とか方法も限られておって、インターネットが普及した社会に必ずしも対応しているものではなかったということだというふうに、現状はそういうことだというふうに認識をいたしております。
ただ、これから進んでいく中で、非常に時間がこれ掛かるということは、一点、やっぱり迅速なこの施行をしていかなきゃならないというふうに思います。公布の日から四年を超えないということでありますが、四年後というと非常にこれ先長いなというふうにも感じますので、是非一年でも早く前倒しでできるようにしていただきたいと思います。
オンラインの証人尋問について伺いたいと思いますけれども、オンラインの証人尋問、これ行う場合には、例えば、これメリットもあると思いますよね、遠方からわざわざ行かなくて済むというようなメリットも多いと思いますけれども、ただ、その画面側から見えないというところで証人が例えば人から脅されていることによって真実の証言が得られないということもこれ想定されるわけでありまして、ただ、実際に法廷で証言する場合でも事前に証人が真実を述べないよう脅迫されることもあるわけでありますが、法廷で証言する際には脅迫を行った者が目の前にいることは防ぐことができるため、オンラインの方が真実の証言を得づらいのではないかというような懸念があります。
オンラインの証人尋問で、証人が真実を述べてもらえるよう、どのような対処をしていこうというふうに考えているのか、この点についてちょっと具体的にお考えをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/86
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087・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
委員御指摘の御懸念というのは非常にもっともなことでありまして、この御懸念は、いろんな意思決定を行うような会議体をウエブの形で実現することという場面では常に伴う問題なので、その辺のいろんな諸工夫も取り入れながら今後検討していかなきゃいけないというふうに思います。
証人尋問の場面においては、まず、ウエブでやるということを原則にしているわけではございませんで、証人が出頭、裁判所に出頭することが困難であるとか、それから、当事者に異議がない場合等に利用するということになります。つまり、当事者の意見というのを一応裁判所がお聞きするということになっています。当事者が、当事者の意見というのは、その事案における証人の重要性とか、あるいは、何といいますかね、そのような第三者の働きかけを受ける可能性があるものかどうかというのは、情報を持っていることもありますので、そういうようなことで当事者の意見も聞くというふうなことになると思います。証人の様子を直接やっぱり面前で確認しないと信用性を判断することは難しいなというようなことを裁判所がいろんな情報を総合して考えた場合は、現在と同様に証人が法廷に出頭しての尋問が行われるということになるというふうに思います。
ただ、証人を尋問、証人尋問をウエブ会議を利用して行う場合でも、先ほどのような懸念があってはいけませんので、この点については、第三者による証人への不当な働きかけがないような措置を今後裁判所の方も具体的に検討、ごめんなさい、個別の裁判所、裁判体の方の判断で検討されていくというふうになると思います。
例えば、どこでもいい、証人を受訴裁判所ではない別の裁判所にせめて出頭していただくとか、あるいは証人の出頭場所に双方の代理人、訴訟代理人が立ち会ってもらうとか、そのような工夫も考えられるのではないかと考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/87
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088・東徹
○東徹君 なるほどというふうな御回答かなと思います。
一つは、その別の裁判所へ行ってもらうと、それは確かにそういう方法はあるなというふうに思いました。
参考人の方から、尋問前にカメラをぐるっと回して誰もいないことを確認するというようなお話も出ておりましたけれども、そういった対策、対応というのはしっかりと検討して、しかるべきときにはやっぱりそういったことを使うということが大事だというふうに思います。
今回、国会の方でも新型コロナの影響を受けて、各国でオンライン国会が実現されておりました。イギリスでもオンライン国会があったんですけれども、ちょっと話が変わりますが、参議院でも参議院改革協議会で、オンライン国会を、これ議論ありました。どういった場合にオンラインで出席を認めるのかというときに、先ほどのような採決を行うときにとか質問のときとか、いや、ほかから脅されたらどうするんだというふうな、何かそんなこともあったので、そういうのもちょっと参考になるなと今思ったわけでありますが、委員会だけでなく本会議でもオンライン認めるのかどうかというふうな論点様々ありますけれども、古川法務大臣、今回の民事訴訟の全面的IT化を目指すこの中で、オンライン国会についてどのようにお考えなのか、一度お伺いしたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/88
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089・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) オンライン国会、国会の在り方、運営等に関しまして、法務大臣としてコメントすることは控えたいと存じます。ただ、一政治家として申し上げさせていただくならば、やはりこれだけ情報通信技術が発展、発達しておる時代でありますので、その利点は活用する余地というものはあらゆる分野にあるのではないかというふうに思うところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/89
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090・東徹
○東徹君 どうもありがとうございます。
本当、オンライン国会もやっぱり是非検討していくべきだと思いますし、先ほど書面というものが、文書ですね、あれが重視されてきたというふうなところで、私は、まだ官報とか、各議員の会館には官報、現物でもらっているところもたくさんあると思いますし、見ているのかなと、必要なのかなと。もう、ちょっとこういうの、ネットでいいんじゃないのかとか、また公報ですね、公報だけはこれ全く進んでおりませんでして、こういったものも、我々国会議員も今回のこの民事訴訟法のIT化の手続のこの審議の中で是非やっぱり検討していくべきだというふうに思います。
続きまして、公示送達のことについてお伺いをさせていただきます。
訴訟の相手方が所在不明などの場合、これ、よく、相手が逃げてしまって行方不明、分からない、例えば家賃を滞納してどこかへ行ってしまったと、そういったときが結構あるというふうにお聞きしますが、裁判所の掲示板に掲示する形で公示送達が行われることがあります。
今回の法案では、公示送達の方法を変える内容がこれ含まれておるわけであります。具体的には、裁判所のウエブサイトに掲載するということに加えて、またさらに、これまでと同じように裁判所の掲示板に掲示するか、そしてまた、裁判所のパソコンを置いて、そのパソコンからウエブサイトを確認できるようにするという方法を取るそうですが、なぜこれ裁判所の掲示板へ掲示を続けるのか、これは要らないんじゃないかというふうに思うんですが、この辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/90
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091・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/91
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092・金子修
○政府参考人(金子修君) 送達を受けるべき者がIT機器の利用に習熟していないために、インターネット上で公示されてもその内容を確認することができないということもあるのではないかということを想定しまして、それで、現行の掲示板への掲示も併せて行うということにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/92
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093・東徹
○東徹君 もう時間ですので、これ、続きは次回に回させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/93
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094・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
前回に続いて、法定審理期間訴訟手続、いわゆる期間限定裁判について伺います。
今日の民事局長の答弁を伺っていますと、この手続は、企業同士の争い、あるいはビジネスの世界、企業法務の立場から、勝敗よりコストを優先する、まあ時間や費用のめどが立つことが必要だという場面があるのだと、そういう答弁が繰り返されておりました。
専ら企業法務で使われることを想定しているのでしょうか。法案はそうはなっていないんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/94
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095・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
法文上は、その企業同士の紛争、民事上の紛争に限定してはおりません。私が申し上げたのは、典型的にそういう例で活用することが見込まれるのではないかということを申し上げたにとどまるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/95
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096・山添拓
○山添拓君 典型的に使われることが見込まれるというだけではなく、不向きな事件もあるのだと、そういう類型もあるのだという前提でのお話だったと思うんです。
ところが、そういう不向きなケースを明確に全て除外するものにはなっていないです。本人訴訟も除外されません。本人訴訟の多い簡易裁判所の事件も除外されておりません。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/96
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097・金子修
○政府参考人(金子修君) 委員御承知のとおりですが、一定の事件を、当初から類型的に不向きと思われる事件は除外しております。あとは要件を、一定の要件を掛けているというものでありまして、全面的に本人訴訟を、代理人が付いていない、訴訟代理人が付いていない訴訟を除外しているという規定にはなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/97
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098・山添拓
○山添拓君 ですから、法律である以上は、提出者が幾ら想定をしていたとしてもあらゆる場面で使われる可能性があると、そういう前提で、その際に懸念される点があるのかどうか、本当にこのような主張や立証の機会を限定するような仕組みでよいのかどうかという批判や懸念の声が上げられているわけです。それをあたかも限られた場合にしか使われないのだろうと、そういう前提で答弁されるのは、私は疑問に思います。そして、この仕組みはやはり期間を優先するものだと思うんですね。
二〇〇六年の民事訴訟を利用した調査を分析した早稲田大学の菅原郁夫氏によれば、利用者が評価で重視しているのは、時間というよりも審理過程の評価あるいは裁判官の評価が大きかったとされています。これは二〇〇〇年や二〇一一年の調査でも同様の傾向だとされています。それは必ずしも勝訴か敗訴かではなく、もちろん勝訴、敗訴というのは大事ですけれども、それだけではなく、その理由付けに納得できるかどうか、公正な裁判がされたかどうか、言い分を聞いてくれる裁判官だったかどうか、そういう点が大事だったということであります。
法務省に伺います。こうした調査がされてきたことは御承知かと思いますが、実際に裁判を利用した人の評価において、こういった点が重視されていることについてどのような認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/98
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099・金子修
○政府参考人(金子修君) そのような調査があったということは認識しております。実際に利用された方の満足度の調査なんだろうと思いますけれども、それは、その内容は、その結果というのは尊重すべきものだというふうに思っていますし、実際に利用された方がどういう点に裁判所に対し、あるいは裁判に対して期待をしているかということを示すものだという認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/99
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100・山添拓
○山添拓君 ですから、その中では、私が今お伝えしたように、裁判は納得感が大事だと、その際には時間を要することもあるかもしれないと。時間を最優先することはこの納得感に影響しかねないと私は思います。
資料の二ページを御覧ください。二〇一七年の第七回裁判の迅速化に係る検証に関する報告書です。
近年、単純平易な事件の大幅な減少及び相当程度複雑困難な事件の大幅な増加により、事件全体としては複雑困難化が進んでおり、特に、争点等についての認識共有が困難となる非典型的な損害賠償請求事件が増加しているとあります。その傾向を示すグラフも同じ資料に載っております。
法務省に伺います。期間限定裁判を導入することによって、ここにあるうちのどのような類型の事件で期間の予測が可能になるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/100
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101・金子修
○政府参考人(金子修君) その同じ類型の中でも事案によって困難度等あるいは判断するに必要な証拠等も違いますので、一概に申し上げることは難しいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/101
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102・山添拓
○山添拓君 少なくとも、ここで、平均審理期間が比較的長い事件類型、損害賠償事件、この報告書では非典型的な損害賠償請求事件が増加していると記していますが、こういう事件について期間の予測が可能になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/102
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103・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
それも事案によると思いますね。損害賠償事件等でも、事前の交渉が先行していて、あとこの点についてだけ裁判所に判断を求めたいというようなこともあろうかと思いますので、そういう場合にはこの法定審理期間訴訟手続を活用の前提となる期間の予測というものも立つということもあるのではないかと思います。
一般的に、損害賠償事件だから、あるいは、例えば建築紛争等の難しい損害賠償事件にはおよそ使えないというような考え方はしていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/103
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104・山添拓
○山添拓君 それは裁判の実態とは異なる認識ではないかと思います。
衆議院で、山本和彦参考人は、裁判が長期化する要因の一つは事件の困難化にあると答えています。それは、法曹人口が増えて、簡単な事件は裁判に至らずに解決をする、今おっしゃった事前の交渉の中で解決をしている、難しい事件が裁判所に来る傾向があるのではないかと述べています。こうした複雑困難で、原告、被告間の対立が激しい事件については、期間限定裁判によっても予測可能性が立つようになるわけではありません。
その上で、仕組みそのものについて伺います。
いずれかの当事者が申し立てれば、裁判所は期間限定裁判をやめて通常訴訟に移行します。当事者としては、このままでは負けそうだと思ったときに移行を希望するだろうと思うんですね。例えば、結審してあと一か月で判決と、しかし、その間に和解期日が入って裁判官から心証を開示されると、あなたは負けそうだから少し譲歩しなさいと、こう言われると。ならば、もう少し主張、立証を補強しようと通常訴訟への移行を希望することは十分あり得ると思います。
こうしたタイミングでの移行の申立ては、法律上は制限されていません。可能だということになっています。期間限定裁判の合意をした者が判決間近になって理由を問わずにそれを翻すと。それでも訴訟上の信義則に反しないということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/104
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105・金子修
○政府参考人(金子修君) 今御提示いただいたような場合であっても、通常手続への移行について、何か理由を述べて、それが正当でなければ認められないという仕組みは取っておりませんので、今御指摘のような場合であっても、それは移行は認められるというふうに一般的には考えることになるんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/105
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106・山添拓
○山添拓君 大臣も訴訟上の信義則に反しないと衆議院で述べているんですが、期間限定裁判では主張や証拠の提出は五か月以内と決定をされます。五か月あれば十分だと裁判所が判断した事件であるはずです。ところが、衆議院では、この通常訴訟に移行した後に新たな証拠や主張を追加的に提出することは、時機に後れた攻撃防御方法の提出として却下されることはないという答弁がありました。
相手方もいますから、相手方にとっても五か月で大体終わりだろうと、もう後出しされることはないだろうと、そういう状況をつくってきているはずなんですね。ところが、それでも、この手続においては通常訴訟に移行した後は幾らでも後出しができると。なぜなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/106
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107・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
これは、言わば手続の最初から最後まで当事者がこの手続を利用することを了としているという状態が継続していることが前提につくっている仕組みです。ですので、途中で一方当事者が考えが変わって、これは通常の手続でやりたいといった場合には、その手続を、その意向を尊重するというものとしてつくっているということになります。
ですから、時機に後れた攻撃防御による却下という発想にはなかなか親しみづらいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/107
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108・山添拓
○山添拓君 ですから、訴訟の進行上の様々な民事訴訟法の原則も崩してしまう、矛盾だらけの制度になってしまうと思います。
判決に対して異議申立てをすると、口頭弁論終結前の状態に戻り、同じ裁判官がもう一度判決を行います。しかし、この裁判官は既に事件について心証を形成して、一度は判決まで下しています。敗訴した当事者にとって、敗訴判決を書いた裁判官に逆転判決を期待するのはなかなか難しいと思います。
この点について杉山参考人は、異議申立てがされるのは新しい証拠や重要な証拠が実はあったケースではないかとお話しでした。こういう場合でなければ、裁判官は異議申立てをしても直ちに弁論を終結して判決してしまうんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/108
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109・金子修
○政府参考人(金子修君) これも事案によりますけれども、異議申立てをして通常の手続に移行した後におよそ何も訴訟行為をすることがないということは普通は想定されないので、あと、こういうことを、通常手続に移行した後で、こういう証拠の申請をしたいというようなことがあろうかと思います。ただ、その事案によって、あるいはそれまでの証拠調べをされた証拠調べの状況によっては、申請された証拠が採用されないということは一般的にはあります。これは通常訴訟の中でも常に起こることですけれども、そういうことはありますけれども、一般的には、何か申立てがあれば、新たな証拠申請なりの申立てがあれば、それについて裁判所はそのときの審理状況も踏まえて判断していくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/109
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110・山添拓
○山添拓君 何か煮え切らない答弁なんですけれども、終結してしまうこともあり得るという、否定はされていないと思うんですね。これは短い期間で焦って行った不十分な主張、立証を挽回できないということになりかねません。これは裁判を受ける権利に関わると思います。
最後に、ちょっと別の点で伺いたいのですが、この訴訟をちゅうちょする要因となっているのが期間だということで今回出されているわけですが、これは時間だけではなく費用面も大きいと、今日、与野党を問わず指摘がありました。
最後、大臣に伺いたいんですが、民事訴訟費用に関する法律が一部改正をされますが、オンライン申立てによる割引は予定されるものの、裁判で請求する金額、訴額に応じて決まる手数料は改定されないというお話もありました。既に答弁もありましたので、ちょっと大臣、率直に伺いたいんですけれども、一千万円を求める裁判なら五万円の手数料なんですね。一億求める場合は三十二万円掛かるんです。請求額が大きいか小さいかによって裁判官の力の入れようというのは、これは変わるものなんでしょうかね、変わってよいものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/110
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111・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) いやいや、その委員の御質問の趣旨がよく理解できないんですけれども、もう一度具体的に御質問いただけませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/111
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112・山添拓
○山添拓君 請求額に応じて裁判の手数料の納付額というのは異なる設定になっていますね、さっきスライド制っておっしゃいました。一千万円を請求する裁判の場合は五万円という金額が設定されています。一億なら三十二万円という設定になっています。高くなればなるほど高い額を納付しなければなりません。ですから、公害事件ですとか過労死事件ですとか、請求額が大きくなる事件は大変大きくなるんですけれども、事件の請求額が大きいか小さいかによって裁判官のその手間というのは、掛けるべき力の入れようというのは変わらないべきではないのかと、どんな事件であっても丁寧に主張、立証を吟味し判決をするということは、これ当然ではないかと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/112
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113・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 端的にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/113
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114・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) いかなる事案であっても裁判官は全力で審理に向かわれることだと思いますけれども、お尋ねは、その費用のことについてのお尋ねをなさりたいということだと受け止めましたので、その趣旨でお答えを申し上げます。
現行制度の下におきましては、スライド方式は、取得可能な利益の多寡に応じて手数料の額に差を設け、負担の公平を図るとの観点などからなお合理性があるものと我々は認識をいたしております。
もっとも、現時点で確定的な見通しを申し上げることは困難ですけれども、今般の裁判手続のIT化により事務の合理化が図られ、裁判手続の運営コストが全体として低減されることも期待されるところでございます。したがいまして、今後の訴え提起の手数料の在り方については、施行後における裁判手続の事務処理の実態等を踏まえつつ、関係団体の意見聴取にも努めるなどしながら、負担の公平の見地から必要な検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/114
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115・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/115
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116・山添拓
○山添拓君 司法アクセスを容易にするために、手数料の軽減、是非検討いただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/116
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117・高良鉄美
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
裁判の迅速化と期間の予測可能性を高めるためとして導入する法定審理期間訴訟手続、いわゆる期間限定裁判については、質問と答弁が必ずしもかみ合っていないため、再度確認させていただきます。
まず、一昨日の委員会で通告して質問できなかった本人訴訟の割合についてお伺いします。
本人訴訟の割合が、地裁約五割強、簡裁の方は約九割強ということでしたが、実際に裁判を担当している弁護士に伺いますと、地裁では本人訴訟の割合がそんなに高いという印象は受けていないということです。恐らく、欠席判決であったり、貸金請求や家賃滞納で争いようがない場合に、和解を求めるなど、弁護士に費用を掛けてまで依頼する必要のない案件がかなりの部分を占めているのではないかと指摘されています。
実質的に争われている事件で本人訴訟率を示すようなデータ分析はされているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/117
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118・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
委員御指摘の実質的に争われている事件における本人訴訟率という司法統計はございませんで、確たるお答えをすることは難しいところでございます。
なお、参考までにということで申し上げますと、令和二年に既済となりました事件のうち、いわゆる欠席判決で終了した民事通常訴訟事件の割合は、地裁でおよそ二割、簡裁でおよそ三割となっておりまして、これらの事件の多くは被告に訴訟代理人が選任されていないのが通常と思われますので、実質的に争われている事件に限れば、本人訴訟の割合はより低いものになるということは御指摘のとおりかなと思われるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/118
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119・高良鉄美
○高良鉄美君 データの分析ですね、やはりこれきちんとやっていただきたいなと思います。
次に、期間限定裁判を導入している国は承知していないと先日ありました。その理由について政府参考人は、各国の民事訴訟制度は一様ではなく、それぞれの国の事情に応じてふさわしい制度が採用されているものと考えられますと、諸外国に法定審理期間訴訟手続と同様の制度がないという理由を問われてもお答えすることは困難と答弁されました。
これはちょっと開き直りとも取れる発言です。なぜなら、新しい制度をつくる際には、少なくとも日本と同様の先進諸国の法制度を調べるとか、導入していない場合はその理由を調べるべきだと思いますが、法務省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/119
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120・金子修
○政府参考人(金子修君) 導入されている制度につきまして、どういう、海外で導入されている制度を参考に我が国でも導入しようとする場合には、その制度の導入の理由とかあるいはその運用の状況とかを調べるというのは有効かと思いますけれども、少なくとも法務省が把握している限り、諸外国にあるという情報は得ていないということです。ですので、何でないのですかということを聞くとしましても、そういう制度がないのでそこを調査するというのが難しいという趣旨で申し上げたところです。
今回、我が国に導入するに当たっては、民事訴訟制度研究会が実施していた民事訴訟利用者制度や司法統計などの統計を参考にしつつ、弁護士や裁判官といった法律実務家や手続法の研究者、あるいは経済団体、労働団体などが参加する法制審議会において議論を尽くした上で示された答申に基づき創設しようとするものでございまして、審理期間等の予測可能性を高める手段を講ずる必要性の指摘もございましたので、それにも応えるものであるというように認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/120
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121・高良鉄美
○高良鉄美君 諸外国にはないということまでは調べたということでしょうけれども、やはりこの制度は、全く新しい制度と、要するに諸外国ではない制度をこれからつくるんだということなんですよね、基本的に。そうすると、やっぱりそういう場合には、きちんとなぜなのかという理由を入れなかったというのは、当然、新しい制度ですから、そこは普通の場合、新しい制度をつくるという場合には、なぜないということは当然疑問になると思うんですね。そこはもうやっていただきたいなと思いました。
古川大臣にお伺いします。
古川大臣は、アンケート結果として、裁判の期間の予想が困難であるために裁判制度の利用をちゅうちょしてしまうことが一つの要因で、要因と考えられるため、予見可能性を高めるべく制度の創設を考えたと答弁されています。
仮にこれが立法事実の重要な要素であるとするなら、アンケートが明確に裁判をちゅうちょする理由でなければ説得力はありません。例えば、裁判を断念した人にその理由は何かという問いに、裁判が長期化するかもしれないからと、そういったような回答があれば立法事実になり得ると思います。このアンケートというのは、裁判を断念した人にその理由を問うものだったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/121
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122・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) この調査結果、アンケート結果は、委員が御指摘に今なられたような裁判を利用しなかった方へのアンケートではございません。しかしながら、審理期間等の予見可能性を高める手段を講ずるこの必要性を裏付ける、つまり立法事実を基礎付ける一つの事情として認められるというふうに私どもは判断をいたしております。
その内容をちょっと御紹介をさせていただきますと、この平成二十八年に実施されました民事訴訟利用者調査におきましては、裁判が始まった時点で裁判が終わるまでにどのくらいの時間が掛かるか事前に予想が付いていたかとの質問に対して、全く予想が付かなかったとの回答が五六・四%でありました。また、この調査におきまして、裁判をちゅうちょした気持ちがあったかとの質問に対して、はいとの回答が四九・四%であり、その理由として、裁判は時間が掛かると思ったからが当てはまるとの回答が七八・四%でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/122
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123・高良鉄美
○高良鉄美君 立法事実ということで考えますと、その部分の方々に聞いたということになると思いますので、一番やっぱり断念した方を、当然、断念したというところまでは、申立て、いろんなものがあるでしょうから、そこは調べるべきじゃなかったかなというのが私の感想です。
次に、古川大臣はなぜ期間限定裁判と言わないのかを問われて、期間だけの問題と思われないよう、期間限定裁判ではなく、法定審理期間訴訟手続と言っているという趣旨の答弁をされました。ちゅうちょしている人に対してなら、むしろ期間限定裁判と言う方が前向きに捉えやすいんじゃないかと思いますが、なぜそうしないのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/123
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124・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 改正法案におきましては、民事訴訟法の第七編に法定審理期間訴訟手続に関する特則という編を設けまして、民事訴訟法第三百八十一条の二から第三百八十一条の八までの規定を設けておりますが、これらの規定の中でも法定審理期間訴訟手続という名称を用いているところでございます。
そして、法案提出者の立場にある法務大臣としましては、誤解を避けるためにも法案中の用語を使って説明すべきであると考えております。
さらに、この実質においても、この手続は当事者のイニシアチブにより、すなわち両当事者が希望する場合に限り利用されるものでありまして、また、当事者の一方の意向によって通常の手続での審理を求めることができるのでありまして、期間の限定ありきの制度ではありません。そのため、期間限定という名称は、何かこの期間が限定され、強制的に限定されてしまうというような印象につながるのではないかという、そのような私としては印象も持っているところでございまして、したがいまして、その期間限定という言葉は使わないというふうに申し上げました。
以上の理由から、私は法案審議の答弁におきましても一貫して法定審理期間訴訟手続という名称を使わせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/124
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125・高良鉄美
○高良鉄美君 ちなみに、これは法定審理期間というものの訴訟手続ということで、まあ名称的にはですね、あるわけですけれども、普通、訴訟手続といいますと、職務執行命令訴訟手続というのがかつて機関委任事務にありましたけれども、これは明らかに対象に対して訴訟手続というんじゃないかということなので、これは法定審理期間に関する訴訟手続のように聞こえますが、そこら辺、ちょっとやっぱり分かりにくいかなという印象を逆に持ちました。
十日の、次ですね、十日の委員会で、裁判所の人的、物的充実を図ることが長期化を解消することになるのではないかという私の質問に、最高裁長官代理者は、事件処理に影響を与えるものではないと答弁されました。しかし、実務を担っている弁護士からは、訴訟を長期化している要因として、裁判所の法廷が空いていないために期日が入りにくいとか弁論準備室が空いていないなど、裁判所の物的、人的な基盤整備が必要と指摘されています。これは事実ではないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/125
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126・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
この委員会の参考人質疑におきましてそのような御指摘があったということを承知しておるところでございますが、この前も申し上げましたとおり、近年、相当数の判事などを増員いたしまして着実に体制の整備を図ってきたところでございまして、引き続き、事件動向、事件処理状況等も踏まえつつ、裁判所の人的、物的体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
また、裁判所といたしましては、今般の改正法の趣旨も踏まえまして、引き続き、ウエブ会議等を活用して期日を柔軟に入れるなど、この審理運営の改善等も行うことで適正かつ迅速な事件処理に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/126
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127・高良鉄美
○高良鉄美君 人的、物的設備等々、基盤整備が必要ということで、今ちょっとそういう触れ方をしましたけれども、裁判所の認識とやっぱり実務を担う弁護士とかあるいは現場の職員の認識との間には差があるように思います。しかし、この現場の声をもう少し重く受け止めて充実の方を図っていただけたらと思います。
最後に、最高裁判所に伺います。
裁判当事者の代理人である弁護士は、憲法七十七条に明記されています。これは、訴訟の重要なアクターであります。その現場で活躍する弁護士から疑義を呈されている制度改正には、裁判を受ける権利の実体的意義という面から慎重さが強く求められます。
憲法三十二条の裁判を受ける権利は、刑事事件を想定して、裁判によることなしに刑罰を科されないことを消極的には意味していました。しかし、積極的内容としては、民事事件において、訴訟を提起し、裁判を求めることができること、そこまで意味しています。裁判を受ける権利は、独立して公正な、公平な裁判所において、平等に自由、権利を救済することを求めることができるとされています。このことから、基本権を確保するための基本権と言われ、世界人権宣言やヨーロッパ人権条約あるいは人権規約に見られるように、国際的承認と保障を得ています。
近代司法制度の下では権利実現のための自力救済は禁じられており、だからこそ、何人も自己の権利利益が侵されたときには裁判所に救済を求めることができ、裁判を受ける権利が保障されているということです。現在では、司法権は、民事、刑事だけでなく、立憲主義の目的である国家権力統制機能を持つ行政事件をも対象に含むもので、更に裁判を受ける権利の重要性は増しています。
今少し述べましたけれども、日本は余りにも小さな司法の国家ではないかと。要するに、司法権の充実が足りないんじゃないかということで、国際的比較を見ても、法曹人口はもちろん、法曹人口、国民一人当たりの法曹人口の少なさはそれを示しています。また、裁判所予算も国家予算の〇・四%、あるいは現在は〇・三%台で推移をしており、貧弱な三権分立と言わざるを得ません。裁判を受ける権利、裁判費用の補助……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/127
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128・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 高良君、時間が過ぎておりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/128
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129・高良鉄美
○高良鉄美君 法律扶助を含めた司法の財政基盤の拡充が求められています。
最後に見解をお伺いしたいと思います。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/129
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130・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) では、端的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/130
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131・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
裁判を受ける権利は憲法上保障されている重要な権利だというふうに裁判所としても認識しておるところでございます。また、適正迅速な裁判の実現のためには、裁判所における人的、物的体制を確保していくことも重要であるというふうに考えております。
裁判所といたしましては、引き続き、事件動向や事件処理状況を踏まえつつ、裁判所の人的、物的体制の充実を図りながら、国民の期待に応えられるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/131
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132・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が過ぎております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/132
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133・高良鉄美
○高良鉄美君 ありがとうございました。是非、充実を図っていただきたいと思います。
これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/133
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134・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。
今回の民事訴訟法の一部改正案では、第百五十四条が新設されまして、通訳人の立会い等に関する規定が置かれております。国際化が進み、そして外国語を話す方が裁判に関わるこの時代、大変時宜を得た追加だと思っております。
ただ、いろんな問題がありますので、今日はその点について集中して質問をさせていただきます。この裁判所における法廷通訳は、民事事件だけではなく刑事事件も視野に入れているということで、質問させていただきます。
まず初めに、法務大臣に確認をさせていただきます。
法廷通訳人に期待される役割には、民事、家事、刑事、質的な違いがあると考えます。つまり、日本語を十分に理解できない外国人であっても日本語で公正な裁判を受ける権利が保障される環境を整えること、例えば裁判所あるいは当事者が適正な資質、能力を有する法廷通訳人を依頼できる環境を整えることは全ての事件に共通して期待されている役割だと考えられますが、刑事事件においては、さらに、外国人である被告人の権利保障という観点から、より慎重な配慮が必要だと考えられます。政府の政策判断に基づく裁量的な施策の一つとして、ゆっくりと対応するだけでは足りないのではないでしょうか。
確かに、刑事訴訟法百七十五条は「国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。」と規定しておりますが、証拠資料の確保という観点からの通訳だけではなく、適正な資質、能力を有する法廷通訳人によって被告人の権利を実質的に保護し得るだけの通訳が行われることまで保障することが求められていると考えております。
法務大臣の御見解、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/134
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135・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答えいたします。
日本語を十分に理解することができない外国人が民事事件、家事事件、刑事事件に関与する場合に関して、民事訴訟法、家事事件手続法及び刑事訴訟法はそれぞれ通訳に関する規定を設けております。これらの規定に基づきまして資質、能力を有する通訳人が選任され、当該通訳人によって正確、公正な通訳が行われることは、外国人の権利保護の観点からも重要であるというふうに考えております。
これらの規定に基づく実際の通訳人の選任につきましては、裁判所が個別具体的な事案に応じて適切に行っているものと承知しておりますが、法務省としては、引き続きその運用を注視してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/135
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136・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。方向として示していただきました。
ただ、実際の現場を見てみますと、今日、資料を出させていただいておりますけれども、刑事事件における外国人事件の終局人員と通訳人登録者名簿登録人数の関係というところで、より通訳者が確保しやすい言語と確保しにくい言語、ここに明らかに差があります。
資料一を出させていただいておりますけれども、例えばベトナム語ですと、裁判の事例は多いのに通訳者は供給が足らない。逆に、中国語や英語、韓国語では比較的通訳者の数が多いと。
それから、この具体的な現場での問題、資料二として静岡県立大学の法廷通訳研究会が出された大変丁寧な資料がございます。法廷通訳の仕事に関する調査報告書ですが、分かりやすい話し方のためにとか、日本語の運用、労働環境、報酬、それから様々な事前資料、接見、その他、大変緻密なアンケート結果がありますが、特に通訳人の養成や認定制度などが今ないというところで、現場では随分御苦労いただいていると思います。
そういう中で、今回、二点目ですけれども、民事訴訟法の改正百五十四条では、裁判所が相当と認めるときは、最高裁判所規則に従って、裁判所及び当事者双方とも映像と音声の送受信により通訳人に通訳させることができると規定されております。しかし、裁判所、当事者が通訳人等を必要とした際に、法廷通訳を行える資質、経験を持った方が見付からなければ本条は空文化し、当事者はその主張を十分に裁判に訴えることができず、裁判の迅速化を妨げる結果ともなってしまうことが懸念されます。
それで、この本改正案第百五十四条の立法趣旨を御説明いただけますでしょうか。法務省さん、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/136
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137・金子修
○政府参考人(金子修君) 現行法におきましては、映像と音声の送受信を利用したウエブ会議の方法による通訳は認められて現行でもおるんですけれども、音声のみを利用した電話会議による通訳は認められておりません。
しかし、例えば当事者の話す言語が少数言語であった場合には、通訳人の候補者が限られることが予想されるところ、その候補者がウエブ会議に対応することができない場合もあり得ること等を考慮すれば、適切な通訳人を確保し手続を円滑に進行させるためには、通訳人が関与する方法はできる限り広く認める必要があると認識しているところでございます。
他方で、現在は民間のサービス等でも電話による通訳も広く行われているものと承知しており、電話会議による通訳を認めても通訳の正確性等の観点から特段の問題はないものと考えられます。もっとも、可能であれば映像と音声の送受信を利用した方法が望ましいとは考えられます。
そこで、改正法案では、通訳人の確保をよりしやすく観点から、ウエブ会議によることに困難な事情がある場合には電話会議による通訳をさせることができるというような規定にしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/137
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138・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
それでは、具体的に今後、最高裁判所さんにお聞きしますけれども、法廷通訳人が求められる事件数、民事、刑事、家事、今後の動向をどのように予測されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/138
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139・吉崎佳弥
○最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君) お答え申し上げます。
法廷通訳を要する事件数につきましては、増加、減少のいずれの要因につきましても、例えば外国人に関する政府の施策や、刑事事件について言えば犯罪抑止対策、その他様々な社会情勢の変化の影響を受けるものであるため、御指摘のそれぞれの事件類型を問わず、裁判所の立場から法廷通訳を要する事件数の今後の予測を申し上げることは困難と考えております。
もとより、裁判所としましては、法廷通訳に対する社会の関心の高さも踏まえまして、今後も、事件数の動向を注視しながら、適正な通訳を確保するための取組の継続に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/139
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140・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
予測がなかなか付きにくいということでございますけれども、それでは法務省さんにお伺いしますが、民事事件において法廷通訳人の確保が困難になるような事態、避けられるでしょうか。御認識いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/140
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141・金子修
○政府参考人(金子修君) 現行法ではできなかった電話会議による通訳を認めるという改正になっておりますので、今まで認められていたウエブ会議では対応することができない通訳人について、電話会議による通訳を可能とすることによってより柔軟な方法で通訳を認めるということになりますので、通訳人の確保がよりしやすくなるということは言えるものと考えております。もちろん、これが万能薬になるというものでもないということは、そのとおりだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/141
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142・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 オンライン会議、また様々な機器を使いながら、より実効性のある通訳の機能が発揮できたら有り難いと思います。
では、具体的に、先ほども資料をお示ししましたけれども、ベトナム語やタイ語など、日本の学校教育では学習する機会の少ない言語を始めとして通訳が必要となる言語が多様化する一方、法廷通訳人の登録言語は中国語、英語、韓国語など日本人が従来学習してきた言語に集中し、刑事事件では通訳が必要となる言語との間で偏りが見られます。
このようなミスマッチが生じていることについてどのように御認識なさっておられるでしょうか。また、その解消に向けた取組、最高裁判所さんにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/142
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143・吉崎佳弥
○最高裁判所長官代理者(吉崎佳弥君) 委員御指摘のとおり、例えばベトナム語について申し上げれば、令和三年における被告人にベトナム語の法廷通訳が付いた地裁、簡裁の刑事事件の終局人員は一千六百二十七人でございまして、裁判所の通訳人候補者名簿に登録されたベトナム語の通訳人候補者の数を大きく上回っているということはそのとおりでございます。
裁判所としましても、このベトナム語あるいはタイ語の通訳需要が高まっていることは認識してございまして、このような通訳需要の高い言語に焦点を当てた積極的な働きかけを行うことにより、通訳人候補者の数の確保に努めております。取組の結果、平成二十九年四月一日時点で六十人であったベトナム語の通訳人候補者は、本年四月一日時点で百三十三人となり、この五年間で七十三人の増加を見てございます。
いずれにしましても、これまで個別の事件において通訳人の選任ができずに支障が生じた例には接しておりませんで、各地の裁判所では、通訳人候補者名簿を利用するなどして通訳人を適切に確保できるものと承知しておりますが、今後も事件動向を注意してまいりたいと考えております。
また、ミスマッチの解消に向けた取組を説明するということでございますが、先ほど申し上げました通訳需要の高い言語に焦点を当てた積極的な働きを行うことのほか、裁判官が通訳人候補者の供給源となることが期待される大学に出張をして法廷通訳に関する説明会を実施するなどの取組によりまして、通訳人候補者の確保に努めてございます。
さらに、先ほど来話題に上っておりますけれども、近隣の通訳人が確保できない場合等にも円滑に適切な通訳人を確保することを可能とするため、手続を行う裁判所とは異なる裁判所に出頭した通訳人による遠隔通訳を可能とするための機器を整備したり、既存の設備を用いた運用を工夫するなどの取組も行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/143
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144・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 様々な機器の活用などで、また、ミスマッチの起きないような対応を取っていただいていること、期待をしております。
では、法務省さんに、この法廷通訳人が不足しているときに、国外に住んでいたり滞在している方を法廷通訳人として選任することは可能でしょうか。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/144
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145・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
現行法令上、通訳人がウエブ会議を利用して通訳をする場合には、通訳人は、必要な装置の設置された場所であって、裁判所が相当と認める場所に出頭することとされていますが、通訳人の所在場所が日本国内か否かについての規定はございません。
もっとも、通訳人であっても、外国に所在する者との間でウエブ会議を利用して手続を行うことにつきましては、外国の領域に我が国の裁判権を及ぼすこととなり、外国の主権との関係で、相手方、相手国との合意なく実施することは問題であるとの考え方もあることから、外国に所在する者との間でウエブ会議を利用して手続を行うということは想定しておらず、外国に所在する者がその外国に所在したままで通訳人として通訳を行うということは想定していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/145
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146・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) お時間になりましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/146
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147・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 はい。
では最後に、法務大臣に国際人権規約についてのコメントいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/147
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148・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 端的に御意見のみでお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/148
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149・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 じゃ、もう私の方から。
国際人権規約でも、やはり外国人の裁判を受ける権利というのは大変重要です。今後、資格制度をつくるとかいうところでこの人材供給について確保していただけたらと要望だけさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/149
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150・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01120220512/150
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