1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十七日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
山下 雄平君 小野田紀美君
五月十三日
辞任 補欠選任
小野田紀美君 山下 雄平君
五月十六日
辞任 補欠選任
山崎 正昭君 堀井 巌君
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出席者は左のとおり。
委員長 矢倉 克夫君
理 事
清水 真人君
高橋 克法君
有田 芳生君
安江 伸夫君
川合 孝典君
委 員
岡田 広君
加田 裕之君
中川 雅治君
福岡 資麿君
堀井 巌君
森 まさこ君
山下 雄平君
真山 勇一君
石川 博崇君
東 徹君
山添 拓君
高良 鉄美君
嘉田由紀子君
国務大臣
法務大臣 古川 禎久君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局民事局長 門田 友昌君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
法務省大臣官房
司法法制部長 竹内 努君
法務省民事局長 金子 修君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/0
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001・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として堀井巌君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/1
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002・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/2
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003・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/3
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004・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/4
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005・清水真人
○清水真人君 自由民主党の清水真人です。通告に基づきまして、順次質疑をさせていただきます。
実は、私は参議院になる前は県議会議員をやっておりましたが、県議会は、本会議での一般質問というのは年に一回でありました。八年やったんですが、そのうちのほとんどの回で障害者に対する質問をしてまいりました。それは、障害を持つ方であってもない方であっても、同じように生活していける環境をつくっていかなければいけないという思いからで、特にスポーツの分野についてやってきたんですが、今回はまず障害者に関する点から質疑をさせていただきたいと思います。
民事訴訟のIT化を推進する上で重要なことの一つは、裁判を行う権利を損なうものを出さないことであろうというふうに思っております。その一つが障害者に対する合理的配慮であり、これは障害者基本法や国際人権規約、また障害者の権利に関する条約の規定からも明らかであります。
そこでまず、障害を持つ方、障害のある弁護士等代理人がウエブによる申立てやウエブ会議等様々な裁判上必要な手続や行為を行うときなどに関して、それぞれ障害の状態に適切に対応することのできる電子情報処理組織や設備が必要になると考えております。また、視覚障害者については、送達時における電磁的記録の認識ができない等、裁判を行う上で様々な課題が考えられるところであります。
このほかにも、IT化を進める上で障害を持つ者にとって不利益となる事項が想定をされるところでありますが、これらに対する対応策についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/5
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006・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 障害をお持ちの方に対する訴訟手続上の配慮の在り方については、法制審議会の民事訴訟法(IT化関係)部会の審議において論点となり、衆議院における本法案の審議においても検討の必要性が指摘されておりまして、重要な課題であると認識をいたしております。
こうした議論等を踏まえまして、現在、最高裁判所においては、障害をお持ちの当事者が訴訟データを活用しやすくするため、裁判所から相手方当事者に対し、訴訟データを音声情報に変換可能なファイル形式でも提供するよう求めることができる旨の規律を最高裁判所規則に設けることを検討しているものと承知をいたしております。
また、今般、法務省、最高裁判所及び日本弁護士連合会を構成員とします民事司法の在り方に関する法曹三者連絡協議会の分科会として、障害者の民事司法へのアクセス拡充に関するワーキンググループを設置し、協議を開始したところでございます。このワーキンググループは、民事司法のIT化等の動向も踏まえつつ、障害者の民事司法へのアクセスについてその属性に応じ一層の拡充を図るため、法曹三者で幅広く意見交換をし、必要な検討を行っていくものでございます。
法務省としては、民事訴訟法のIT化によって障害をお持ちの方が不利益に取り扱われることのないよう、最高裁判所及び日本弁護士連合会等と連携をし、ワーキンググループにおいてその対応策をしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/6
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007・清水真人
○清水真人君 ワーキンググループを立ち上げて、しっかりと関係の方々からも御意見を聞いて進めていくということでございます。しっかりとした合理的配慮がなされるように、今後も検討、会議を進めていっていただければと思います。
続いて、裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他責めに帰することのできない事由についてお伺いをいたします。
今回の改正では、当事者がインターネットを利用して裁判所に訴えの提起や攻撃防御方法の提出をすることができるようになることから、忙しい弁護士や事務所の職員の負担軽減につながり、弁護士が今まで以上に依頼者のため、あるいは相談者のための時間を得ることにつながればというふうに思っております。
しかしながら、懸念をされるのが、例えば弁護士が自分ではきちんと送ったつもりでも、実際にはうまく送れていなかったという場合にどうなるのかということであります。特に、上訴期間のように一定の期限の制限がある場合、期限に間に合わなければこれは大変なことになるのは言うまでもありません。
この点について、民事訴訟法第九十七条の訴訟行為の追完で対応されるということであると思いますが、これができるのは裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他責めに帰することのできない事由とされております。
そこで、責めに帰することのできない事由の意味内容について、例示しますので、追完できるか否か、可能な範囲で御回答いただければと思います。
一つとして、書面は期限までに作成をしてあり、持参すれば十分に間に合ったが、期限間際までに送信をしようとしたところ、急な災害や停電等で送信できなかった場合、どのようになるんでしょうか。また、代理人が準備等々してあったんですが、ウイルス感染等をしているということで必要な行為を行うことができなかった、このようなケース等々、いろんなことが想定されるというふうに思っております。
例えば、明らかに送信側に問題があるケースでは仕方がないと思いますが、そうでない場合、特に裁判所が判断に迷うようなケースでは緩やかな解釈、適用をお願いしたいと思いますが、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/7
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008・金子修
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
改正法案では、当事者が裁判所の使用に係る電子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由により不変期間を遵守することができなかった場合には、その事由が消滅した後、一週間以内に限り、不変期間内にすべき訴訟行為の追完をすることができることとされております。この規定は、訴訟行為をしようとする者が不変期間を遵守することができないことについて、帰責性がないときにまで期間経過の不利益を負わせることが相当でないことから、その期間経過後の追完を認めることとしたものでございます。
改正法案におきましては、弁護士等についてはインターネットを用いた申立て等をすることが義務となることを踏まえ、帰責性がないことの典型的な事由として裁判所の使用に係る電子計算機の故障を例示しておりますが、これはあくまで例示であり、それ以外の事由であっても当事者に帰責性がないと認められるものであればこの規定が適用されることになります。
その上で、委員が今挙げられた例も含め、その責めに帰することができない事由に該当するか否かは、裁判所が個別具体的な事案に応じ、そのような法の趣旨に照らして判断されることとなると思います。
法務省としても、適切な運用がされるよう、その趣旨も含めて適切な周知を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/8
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009・清水真人
○清水真人君 いかようにもならない場合というのもあり得るのかというふうに思いますので、先ほど答弁のあったとおり、それぞれの具体的な個別の案件についてしっかりと対応をしていただければというふうに思います。
続いて、秘匿制度について伺います。
今回の改正では、訴訟記録の電子化と、住所、氏名等の秘匿制度創設が行われることとなっております。
訴訟記録を電子化することで、紙媒体の記録を裁判所で閲覧することに比べまして、より容易に閲覧等をすることができるようになるということでありますので、裁判の公開の趣旨をより徹底できるのではないかというふうにも思っております。また、インターネット上で訴訟記録が公開されることになりますと、今まで以上に閲覧等の請求が増加する可能性もあり、訴訟記録の記載との関係でプライバシーや企業秘密保護が問題となるケースも増加すると思われます。したがいまして、秘匿制度の創設も適切な対処であるというふうに思っております。
質問をしていきたいと思っておりますのは、閲覧制限の申立てでありますが、これに関する現行の民事訴訟法九十二条の一項では、閲覧制限の申立てをすることができる者として当事者というふうに定めております。この当事者とは、当該訴訟記録の作成された訴訟事件の当事者でしょうか。それとも、閲覧制限を求めて手続を行う者であれば誰でもいいということでありましょうか。
というのは、前者の場合、例えば本来は訴訟記録の当事者となるべき者であるにもかかわらず、民事訴訟法三十条に従いまして選定を行って当事者とならなかった、あるいは訴訟を脱退した者が含まれなくなるおそれがありますけれども、それが果たしてよいのだろうかという疑念があるからであります。
そうしたことからも、閲覧の機会が増大するのであれば、それに合わせて住所、氏名等の秘匿や閲覧制限の機会も拡大するということを考慮してもいいのではないかというのが質問の趣旨でありますが、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/9
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010・金子修
○政府参考人(金子修君) 今委員が例として挙げられた選定当事者の制度を中心にお答えいたします。
選定当事者の制度は、共同訴訟の弊害を避け、訴訟手続を簡便なものにする趣旨で設けられているものでありまして、選定をされた選定当事者に訴訟追行権を委ねることを内容とするものであるため、選定をした者は当事者とはならず、その訴訟追行権を有しないこととなるというのが一般的な理解だと思います。
そのため、選定をした者は、民事訴訟法第九十二条第一項に規定する閲覧制限の申立てもすることはできないと考えられます。これは、この制度が訴訟追行権を選定当事者に委ねるものであることによるものであり、選定当事者が閲覧制限等の申立てなど必要な訴訟行為をすることになると考えられます。
民事訴訟法第九十二条第一項に規定する閲覧制限の申立てをすることができる者や閲覧制限の対象事項を拡大することについては、記録の閲覧等の機会の保障が重要であることを踏まえ、慎重に検討する必要があると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/10
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011・清水真人
○清水真人君 慎重に今後も検討を重ねていただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
続いて、離婚訴訟、離婚事件でのウエブ会議について伺います。
離婚訴訟、離婚事件でのウエブ会議の利用でありますが、離婚の手続に際して同じ部屋で対面しなくてもいいということからは、DVの関係する離婚事件のことが頭に浮かぶわけであります。
相手方配偶者のDVを理由として離婚を望んでいるものの、会うのが怖い、居場所を知られたくないといったために裁判所に行くこともできず、結果として離婚ができずに苦しんでいるような方にとっては裁判所がより利用しやすくなる可能性もあるというふうに思っておりますが、改めてその趣旨についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/11
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012・金子修
○政府参考人(金子修君) 離婚等の人事訴訟では、一般的な民事訴訟と異なり家庭裁判所で審理されるものでございますが、現行法では、一般的な民事訴訟と同様に、その口頭弁論期日にウエブ会議を利用して出席することはできません。
この改正法案では、当事者の利便性向上の観点から、一般的な民事訴訟手続の見直しと併せて、人事訴訟においてもウエブ会議を利用して口頭弁論の期日に出席することを認めることとしております。
また、現行法の下では、離婚等の人事訴訟において和解をする場合や家事調停の手続において離婚調停を成立させる場合には、当事者がその期日に現実に出頭する必要があり、ウエブ会議で和解や調停を成立させることはできないこととされております。
もっとも、ウエブ会議においても当事者の意思確認等を適切に行うことは可能であると考えられますので、改正法案では、離婚訴訟や離婚調停において、ウエブ会議を利用して和解や調停を成立させることも可能としております。
この改正によりまして、当事者が裁判所に現実に出頭することなく、離婚等の人事訴訟の手続に関与することや離婚等について和解や調停を成立させることができるようになり、当事者の利便性が大きく向上するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/12
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013・清水真人
○清水真人君 やはり相手の顔を見ると、それだけで心身の平穏を失ってしまうような場合もあろうかというふうに思います。例えば、技術的には、裁判所の方が両方の顔を見られる、ただ両方の方々同士は顔が見られない、ただ本人確認はしっかりできる、そういったシステムというのも技術的には可能なのかなというふうに思いますし、長い目で見れば、この電話会議でありますよね、こうしたものも、やるやらないの議論というのはしっかり今後もしていかなければいけないのかなというふうに思いますので、検討を、運用しながら進めていっていただければと思います。
続いて、言渡しについてお伺いをいたします。
判決書きについても電子化をされるようでありますが、それにもかかわらず、言渡しが行われるものとされております。これはもちろん、憲法八十二条一項で裁判の対審と判決は公開しなければならないとされている以上、判決の言渡しを省略できないためであることは承知をしておりますが、電子判決書を使用する場合においては、当事者双方の事前の合意があれば判決の言渡しを省略しても構わないなどとすることはやはりできないのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/13
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014・金子修
○政府参考人(金子修君) 委員から御紹介があったとおり、憲法上、裁判の対審及び判決は公開法廷でこれを行うものとされております。その趣旨は、判決の言渡しを含め、訴訟手続を傍聴人の観察の下で行うことを通じて裁判の公正等を担保する点にあると考えられます。
当事者双方が事前の合意をしていることをもってこの要請を後退させ、公開の法廷での判決の言渡しを省略することができるものとすることにつきましては、裁判の公開の要請が当事者の利益というよりも裁判の公正という公的な利益に関わるものであることを考えますと、慎重に検討する必要があると考えられ、改正法案の下においても判決の言渡しは公開された法廷においてすることとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/14
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015・清水真人
○清水真人君 分かりました。
最後に、時間も少なくなりましたので、一点、四月からの民法改正についてお伺いをいたします。
いわゆる十八歳成人がスタートをしております。十八歳になると契約の有効性が法的に認められることになり、例えばクレジットカードや消費者金融などもこれに含まれることになります。この十八歳以上ということに障害の有無は関係ないわけであります。このような状況において、この方たちへの十分な消費者教育、その周知徹底が必要と考えますが、見解を伺います。
また、事後的な救済策も重要であり、その一つとして成年後見制度の利用が考えられますが、この利用率は知的障害者の五%未満とされております。ただ一方で、認知度は八〇%となっておりますが、大きな乖離がありますが、制度の不備が指摘もされているところですが、見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/15
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016・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/16
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017・金子修
○政府参考人(金子修君) 成年年齢引下げにつきましては、消費者被害の拡大の懸念も指摘されていることを踏まえまして、政府としては、法務省や消費者庁等の関係府省庁の連絡会議を通じて政府横断的な環境整備の施策の推進に取り組んできたところです。
消費者庁や文部科学省が中心となって進めてきた高校における消費者教育の拡充の施策の中に、特別支援学校の知的障害のある生徒を主な対象とする消費者教育用教材の作成、公表、活用を促す周知が含まれているものと承知しております。
また、成年後見制度の利用促進に関しましては、本年三月に第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。この計画の策定に向けた専門家会議における検討におきましては、本人にとって適切な時機に必要な範囲、期間で制度を利用できるようにすべき、本人の状況の変化に応じて後見人等を円滑に交代できるようにすべきといった制度の不都合性に関する指摘がされ、本計画では、このような指摘も踏まえ、成年後見制度の見直しに向けた検討を行うこととされたところでございます。
法務省としましては、このような指摘を十分に踏まえつつ、成年後見制度の見直しについて着実に検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/17
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018・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/18
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019・清水真人
○清水真人君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/19
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020・真山勇一
○真山勇一君 立憲民主・社民会派の真山勇一です。
今回のこの民事訴訟法の改正案、前回、私質問させていただいたのは、やっぱり立法事実がどうも曖昧だなという点で、その辺納得できる御説明がいただけるかと思って質問させていただいたんですが、なかなかそこまで行っていないという私印象を持っております。何でその六か月という期間限定裁判、正確に言いますと法定審理期間訴訟手続ということですけれども、何で六か月ということなのかと聞いたら、大体そのぐらいの長さがいいんじゃないかというような答えをいただいたような記憶があります。
そういうことで、やはり私は、やっぱり法務省ですから、法律作るんだったらば立法事実というのをやっぱりもっと大事にしていただきたいなという、そういう思いがありまして、今回、その立法事実に関してどうしても納得できない、気になる点というのを少し何点か今日は質問させていただきたいというふうに思っています。
その中で、期間限定裁判というのは、原告と被告の両方が合意すればその六か月という、通常の訴訟でなくて短縮することができるよということなんですが、これ決める、どういうふうに決めるかをもう一回簡単に確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/20
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021・金子修
○政府参考人(金子修君) 両当事者がこの手続を利用することを希望しているということが確認できた場合に、この後、想定される手続としましては、両当事者と裁判所の方が打合せをします。いついつまでに主張を、あるいは書証等を、攻撃防御ですね、それを出し切っていただきますという決定を、という期日の設定をします。これが五か月以内というふうにされています。それから、次の一か月を使って集中的な証拠調べをします。そこから、それで審理を終えて、次の一か月の間に判決をすると、こういうことが想定されている、こういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/21
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022・真山勇一
○真山勇一君 両方が希望した場合、裁判所がつまりいわゆる仲介をするというか、両方の意見でよろしいですねということを裁判所のどなたがやるんですか。裁判官ではないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/22
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023・金子修
○政府参考人(金子修君) これは、訴えが提起されますと、担当する裁判体、一人の場合もございますけれども、その裁判官が定まります。その当該裁判官とその事件の当事者、代理人が話し合って、今のような手続をして期日の設定に至ると、期間ですね、の設定に至るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/23
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024・真山勇一
○真山勇一君 普通の手続ならば通常訴訟をやるけれども、両方からそういう希望があって合意ができれば、裁判官が仲立ちをして、じゃ六か月でやりますね、よろしいですねということで始めるというふうに理解していますけれども、そういうことでよろしいですね。
それで、始まります。で、これはいいと思うんですよね。両方で多分、めどが付かない裁判はとっても心配だという、過半数、大分、ちょっと数字うろ覚えなんですけど、五六・四%でしたっけ、やっぱりめどが付かないのはとても困るということをおっしゃっていた、そのデータいただきました。だから、これは私はいいと思います。両方が、六か月でやろうよ、合意してくれたんだから、それでいいと思いますね。裁判官も、じゃ始めますよということで始めた。
ところが、途中で一方の意思で停止することができるとなっているんですね。一方の意思で停止できるということも、これは一方の意思ですかと。これ、もう一回確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/24
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025・金子修
○政府参考人(金子修君) 今停止とおっしゃったのは、恐らく、この新たな導入される手続をやめて通常の手続の方でやってくださいという申入れのことをおっしゃっているんだと思いますが、これは一方だけの意思で構わないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/25
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026・真山勇一
○真山勇一君 なぜ一方だけの意思で構わないんでしょうか。その理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/26
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027・金子修
○政府参考人(金子修君) これは、当初はこの期間内に主張、立証を尽くせると、証拠調べも終えることができると想定していた、双方が想定していたのでこの手続を始めることを希望していたんですけれども、審理を進めてみましたら、その当初の想定と異なって、もうちょっとこういう主張もする必要が出てきた、あるいはこういう証拠調べをしてもらう必要が出てきたということも想定されるので、そういう場合に、あえてこの設定された期間内に審理を終え、判決をしなければいけないというところまでは求めない、一回想定しても、一回希望しても、当初の想定と違ってきたら、それは通常の訴訟でやる余地を残しましょうと。それは、一方当事者がそういうように考えた場合もそのようにしましょうというふうにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/27
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028・真山勇一
○真山勇一君 そういう状況が出ることは当然予想されると思います。そうしたら、やっぱり最初、どうしてもう一方のことは全く関係なしにそういうことが決まっていくんですか。その辺、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/28
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029・金子修
○政府参考人(金子修君) その相手方の同意がなくても、一方の意向で通常の審理を求められる理由という御質問かと思いますけれども、それは、裁判の中には当初の予定どおり進まないということもあるのではないかと。通常は、事前に準備が進んでいるようなケースでは、裁判を起こす前からある程度の準備が進んでいるようなケースでは見通しが立つんだと思いますが、途中の過程で想定と違っていたようなことが起こるということもあるのではないかということも想定されるわけで、それが双方にとっての想定外ということのほかに、一方にとっての想定外ということも十分考えられるわけでございます。
それから、これは鶏、卵の問題になりますが、そういうことも前提に先々において通常の手続に移行するということが起こるかもしれないという、それでも、その可能性も踏まえてこの手続を利用するかどうかというのをお考えいただくということになるんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/29
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030・真山勇一
○真山勇一君 お考えいただくんじゃなくて、裁判官が、じゃ、その話をまとめるときに、こういうままやりますね、よろしいですかと両方に話をして了解は取るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/30
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031・金子修
○政府参考人(金子修君) 今後の運用の問題になりますが、法律上、一方当事者が通常訴訟でという、やりたいということを途中で意向を示せば、それは裁判所は駄目ですと言うことはできないことになっていますので、制度としてそうなっている、それを前提にこの法定審理期間の手続を使うかどうかを判断していただくということになると思います。
最初の話合いのところで、いや、将来、途中で通常の手続に移行するかもしれませんがいいですかというところまで聞くかどうかというのは裁判所の運用になりますが、当然、代理人であれば、この制度を利用する以上、この制度が途中で通常の手続に移行するという余地があるということを前提にこの手続を使われるかどうかは、そういうことの理解を前提にして意思を表明されるものだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/31
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032・真山勇一
○真山勇一君 じゃ、途中で一方がやっぱりやめたといったときに、片方はどうしてもそれは駄目だと、もう六か月でやると約束してスタートしているじゃないか、だから私は絶対譲れないといった場合は、この裁判というのはどうなるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/32
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033・金子修
○政府参考人(金子修君) それでも通常の手続に移行します。
ただ、申し上げたいのは、それまでやってきた集中的な主張、立証、これは通常訴訟に行ってもそのまま裁判の資料となります。つまり、途中までかなり集中して期日を入れてやってきた争点整理とか、あるいは場合によっては証拠調べまでやっていることもあると思いますけど、それは無駄にならないので、それに、通常訴訟に移行した場合でも、そこから先、加えてどういう主張、立証をするかということが問題になっていきますので、この間、例えばスピーディーに相当集中してやった期日というのは無駄になるようなものではないので、何というか、相手方が当初の想定とは、決まった時期には終わらなかったということはあるかもしれませんが、しかし、それまでの手続は無駄になるわけではないということで御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/33
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034・真山勇一
○真山勇一君 今の金子局長の説明というのは、僕は逆だと思いますよ。
例えば、長く掛かって一生懸命調べたけれども、短くやりたいといったときに無駄にしない、今までやってきたことを無駄にしないで短くやれますよというのなら説得力あるけど、期限限られたものを長くしたら今までのことを無駄にしない、当たり前じゃないですか、それは。無駄にしたら困りますよ。だって、なるべく集中的にやりましょうといっていたものが、その期限が外れちゃうわけですから、もうそれこそ十分に審理できるわけですよ。無駄にはならないと思います。だから、その説明はちょっと私は納得できないし、やっぱりどうして一方のその主張を聞かないのかというのが分からないですよね。
例えば、競技会、競技を考えてください。千メートル競技やりましょうという裁判、千メートル競技のつもりで裁判やったけれども、いや、この裁判、この競技は百メートルでやれるので百メートルでやりましょうといって両方が合意したと。で、走り始めた。だって、二人とも百メートル走るつもりで走るのに、一方が途中でもう百メートル走るのやめましたと、ゴールは百メートル先じゃなくて千メートル向こうですと突然言ったら、一緒に走っている人ってどうなりますか。
まあ例え話としてということで言っているんですけれども、やっぱりこれで裁判の公正さ、これが本当に公正かつ適正で充実した裁判というのを、裁判、保障されているわけですね。それが本当にいいのか。
つまり、やっぱり一方の言い分というのも聞くべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/34
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035・金子修
○政府参考人(金子修君) この法定審理期間訴訟手続でする手続というのが、通常訴訟手続ではやれるけれどもこの手続ではやれない、例えば証拠に制限があるとか、そういうものではなくて、単に両当事者の合意の下で、例えばその期間内に、定められた期間内に行うためには、主張の機会として三回要りますねと、証人尋問として何人要りますねというような話がめどが付いたら、それはその範囲内で制限なくやる。そのためには、例えば通常訴訟であれば今一か月以上の期日が掛かるところを何とか三週間ごとに入れていきましょうとか、そういうことをやるのであって、やっている内容は通常訴訟であってもこの新しい審理であっても何か変わるわけでもなく、新しい審理手続を使った場合には何かそこに制限が生まれるというようなものではございませんので、そういう意味で、何か途中やったことが無駄になるとかというようなものではないということです。
それから、ゴールが先になったからといって、やるべきことは同じなんですから、その期間が、その期間が、そのこと、そこまでやってきたことの上に更に追加する必要があるかどうかということになってきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/35
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036・真山勇一
○真山勇一君 私が言いたいことはそうじゃなくて、裁判というのは基本的に、理念として公正かつ適正で充実した裁判というものが求められている、これちゃんと書いてありますよね。だけれども、途中でそれは基本的なところを変えちゃうのを一方的にやって、片っ方の意思が全く無視されるというのはフェアじゃないと思うんですよ、これは裁判として。
裁判として、形としてフェアじゃないと思うんですけど、これ大臣どう思いますか。見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/36
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037・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 委員御指摘のとおり、訴訟手続が公正かつ適正に行われるということは、これは司法権に対する信頼を確保するという意味からも極めて重要なことであります。この裁判、訴訟におけるこの効率性とか迅速化、こういうものを期待するということはそれはそれで大事なことなんですけれども、しかし、それに優先して、この訴訟手続の公正、適正というものは確保されるべきであります。
そこで、今回の制度について、両当事者が、その迅速化、効率化を期待して当事者が双方が合意した場合にこの制度が利用できるわけですね。しかし、実際、いろんなこの裁判の中で、実際始めてみたら十分な立証や主張というものがやっぱりこれはちょっとできないなということが明らかになることもそれはあるでしょう。そういう場合に、いや、これはやっぱり本来の公正で適正な訴訟手続という、大原則だと思いますが、そこに立ち返ろうということで当事者一方が降りると言った場合にこの利用は止まるわけですね。
しかし、これは、そもそもこの法定期間審理手続制度というものが、あくまでもその当事者の公正かつ適正な裁判を受ける権利があるということを前提として、お互いがそのためには、それを確保するためには、途中で通常の手続に戻るということもあり得るということを前提にこの当事者が合意をするわけですので、事情によって片方当事者が降りるということを表明された場合でも、相手の側としてはそれをあらかじめ、やはり制度の趣旨として、あらかじめそれは前提として理解していたというふうに考えることができますので、これは、例えば不意打ちだとか信義則に違反するとか、そういうことには当たらないのだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/37
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038・真山勇一
○真山勇一君 そういうことだと、やっぱり裁判に対する信頼なくなって、きっとこの制度できても、いや、途中で突然やめたと言われちゃうと困るからなということが、空気ができれば、制度はあっても、いや、やっぱりできないよということがこれは多くなると思いますよ。やっぱり裁判、時間短縮してやろうということなんだから、やっぱりそれは、裁判官がやっぱりその両者を説得するなり説明をしっかりやるなりしてやる制度にしていかないと、どこかで破綻するんじゃないかなという気が私はしています。やっぱり、こういう途中でやめるケースが頻繁に起きたら、この制度自体が破綻しますよ。そんな感じがしてしようがないんです。
時間がなくなっちゃったので、もっと本当はお聞きしたいことがあるんですが、あと、やっぱり訴訟代理人、つまり弁護士の選任が必要とされていないというのも、これもそういうことと引っかかると思うんですよ。
つまり、いろんなことを、この裁判が、いや、予想外のことになっちゃったのでというのを、弁護人がいれば弁護士がちゃんとそういうことも踏まえながらやれるでしょうけど、もし、少し法律の知識かじった、例えば私がこれやったとしたら、突然こんなこと起きたら、えっ、いや、私は、やっぱり六十日で終わりたいと思っているのにそうじゃなくなったといったときに、やっぱり何でそうなったのかというのは、やっぱりそういう、例えば裁判官だけじゃなくて弁護士も付いていなければ分からないこともつまり出てくるんじゃないか、やはりプロに頼らなくちゃいけないときも出てくるんじゃないかというのはあるんですが、この裁判、代理人が必要とされないというのもこの制度のやっぱりちょっと難しい何か不安なところじゃないかというふうに思います。これはちょっと指摘だけにしておきます。
時間がなくなりましたので、それと同時に、今回の裁判、この改正は、一つは、裁判に時間が掛かるということでこの期間限定裁判を導入したのはありますけれども、もう一つ、裁判はやっぱりお金掛かるからできないなということもあるわけですね。この訴訟費用の、特に費用の、訴訟手続ですね、手数料、ごめんなさい、訴訟手数料ですけれども、これもやはり今まで高いというようなことも言われているわけです。例えば、一億円の損害賠償を請求した場合には三十二万円もお金が掛かるということがありますけど、この辺りも二つの裁判を避ける理由の、お金が掛かるという意味でいえば、これもやらなければいけないことだと思うんですが、これ、大臣、一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/38
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039・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 国民が適正な費用で良質の法的サービスを受けられるようにすることは、これは裁判手続を国民により利用しやすくする観点からも大変重要な意義があるというふうに考えております。
現時点で、今の時点で確定的な見通しを申し上げることは困難ですけれども、仮にこの法改正が実現した場合には、今般の裁判手続のIT化によりまして事務の合理化が図られます。裁判制度の運営コストが全体として低減されることも期待されるところであります。したがいまして、今後の訴え提起の手数料の在り方につきましては、施行後における裁判手続の事務処理の実態等を踏まえつつ、関係団体の意見聴取にも努めるなどしながら、負担の公平の見地から必要な検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/39
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040・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/40
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041・真山勇一
○真山勇一君 やっぱりこれまでの質疑でも感じるし、それから参考人の方のどなたかもおっしゃっていましたけど、やっぱり今回、少しこの改正はラフ過ぎるんじゃないかと、ラフだということを指摘されていることもあるんです。そういう批判もあります。
やはり私は、法務省、もう特に古川大臣に申し上げたいんですが、やはり法務省というのは法の番人、法の支配を掲げる法務省が作る法律は、やっぱり立法事実というのを大事にして、説明したら納得をできるような、そういうデータとか調査とか、そういうものに裏付けて法律を、是非、これからも改正するならば、そういう姿勢で臨んでいただきたいということを強く申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/41
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042・安江伸夫
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。
まずは、前回積み残しをいたしましたオンラインによる証人尋問の課題についてお伺いをしておきたいというふうに思います。
従来から、証人等が書類に基づいて陳述することが禁止されております。今回の改正によりまして、その他、例えばスマホとかタブレットなどを見ながら陳述することも改めて禁止されることが明記されます。その趣旨は、証言を記憶に基づくものに徹底することでその真実性を担保するためにあるものと承知をしております。
もっとも、証人尋問等をウエブ会議で行うことが可能となれば、ウエブカメラの死角を利用して、見えないところを利用して当該規定が骨抜きになることが懸念されております。画面越しにカンペとかメモを表示するといったようなことも物理的にはやりやすくなるということであります。
こうしたような懸念を払拭するためには、証人等が所在する場所の環境、周囲の状況についての一定の条件が不可欠かと存じます。例えば、事前にカメラを三百六十度回して確認するとか、定期的にカメラの周囲の状況を確認するとかいった工夫も求められるのではないかと考えております。
こうした観点につきましての最高裁の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/42
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043・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
改正法案では、一定の要件に加えて、裁判所が相当と認めるときに限り、ウエブ会議を利用した証人尋問を実施することになっているものと承知しております。
委員御指摘のような懸念が相当程度存在する場合には、そもそもウエブ会議で行うことが相当とは認められないとして、証人に現実の出廷を求めて尋問を行うことになるのではないかと考えられます。
また、そのような懸念が低く、ウエブ会議による証人尋問を実施する場合であっても、裁判官としては、証人の所在する尋問場所の状況の聴取、確認を行ったり、必要に応じて、委員御指摘のように、ウエブ会議用のカメラを回して周囲の状況を映し出すよう指示するなど、適切な訴訟指揮を行うことにより、証人が不正な方法で証言をすることの防止に努めることになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/43
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044・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
続きまして、記録の閲覧等についても私からもお伺いをさせていただきます。
これまでは、訴訟記録の閲覧等をしようと思ったときに、原則として裁判所に赴く、紙媒体で拝見をする必要性がございましたが、今般の改正法が成立をすれば、電子化された訴訟記録の閲覧等が可能となります。インターネットを通じて自宅あるいは事務所にいながらも閲覧をすることができるようになるということは、本当に利便性が高まり、画期的なことだというふうに認識をしております。
そこで、お伺いいたしますが、この電子的な訴訟記録の閲覧等が具体的にどのような方法により可能となる予定なのか、法務省にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/44
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045・金子修
○政府参考人(金子修君) 改正法案におきましては、何人も、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的訴訟記録に備えられたファイルに記録された事項の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができるとしております。このように、閲覧の請求や表示の具体的方法については最高裁判所規則で定めることとされております。
もっとも、法制審議会では、電子化された訴訟記録について、その閲覧の主体に応じた閲覧の具体的方法についても議論がされており、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する要綱では、の部会における、ああ、いいんですね、ごめんなさい、もう一回言います、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)の改正に関する要綱では、当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所に設置された端末を用いた閲覧のほか、裁判所外端末を用いた閲覧を請求することができるものとすること、それから、当事者が事件の係属中に裁判所外端末を用いた閲覧を請求する場合にはいつでも閲覧をすることができるものとすること、利害関係のない第三者については裁判所に設置された端末を用いた閲覧のみを認めることとすることが提案されております。
具体的な最高裁規則の内容につきましては、このような法制審議会における検討を踏まえつつ、今後、最高裁判所において検討がされるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/45
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046・安江伸夫
○安江伸夫君 この記録の閲覧、謄写というところで、謄写した場合には、本当に大部にわたる資料を保管しなきゃいけないという手間も私も実務上経験したことがございます。こうした観点からも、この記録の閲覧、謄写、電子化を進めることはもとより、利害関係人等の配慮も含めて適切に進めていただきたい、このようにお願いをしたいというふうに思います。
また、記録に関連してもう一点お伺いをいたします。記録の保存についてでございます。
訴訟記録の電子化が進めば、記録を管理するためのコストも低減され、これまでは一定期間を経過した後に廃棄をしなければならなかった裁判記録につきましても、理論上、半永久的に保存することが可能となるというふうに考えております。
最高裁はこれまで、民事裁判の確定又は終了後、記録を原則五年保存してから廃棄し、重要な記録は特別保存として事実上永久保存するよう義務付けていたものと承知をしておりますし、この特別保存が適切に行われていなかったということが問題となったことが記憶にも新しいところでございます。
今回の電子化によりまして、その保存も容易になるという側面も踏まえまして、この訴訟記録の電子化、記録の保存期間についてどのようにお考えになっているのか、最高裁にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/46
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047・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
今委員の方から御指摘をいただきましたとおり、訴訟記録が電子化されますと、記録を物理的に管理するコストというものは低減することになります。一方で、永久にあるいは相当長期間にわたって保存するということになりますと、システムにおける保存容量が累積的に増加し続けることになりますので、やはりそれに伴うシステムの維持管理に関するコストが増加するということになります。
また、訴訟記録中に表れる高度な個人情報を保有し続けることに関する問題等も考慮する必要があるものと考えております。
裁判所といたしましては、訴訟記録の電子化に伴う記録の保存期間について、今後、これらの問題等のほか改正法案の内容等を踏まえまして、その在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/47
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048・安江伸夫
○安江伸夫君 お願いをいたします。
続きまして、少し話題が変わりますが、改めて、誰にでも使いやすいこの民事訴訟のIT化、その基盤となるシステムの構築をお願いしたいというふうに思います。
前回も、私自身、例えば本人訴訟を念頭に置いて、利用しやすいサポート体制、システムの構築の必要性をお訴えをさせていただいたところでございますが、改めて、このユーザー目線という観点を徹底していただきたい、このように考えております。
急速に発展をするIT技術の将来的進展に対応できる柔軟性そして拡張性を確保するとともに、民間のサービス、技術との連携も視野に入れておく必要性があるというふうに思っております。必要な情報セキュリティーの確保を前提といたしながら、API連携、すなわち複数システム間の連携や外部サービスの機能活用、共有など、様々な可能性が検討されるべきものと考えております。
この点につきまして、最高裁のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/48
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049・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
今後開発を予定しているシステムに関して、現時点では確たる方針を申し上げることは難しいところではございますが、裁判所としましては、委員御指摘のユーザー目線を十分に意識して、一般の方々にも利用しやすい、簡易かつ分かりやすいシステムの構築に努めたいと考えておるところでございます。
その上で、システムを構築するに当たりましては、IT技術の将来の進展に柔軟に対応することができ、かつ拡張性もあるものとする必要があることは御指摘のとおりでございますので、委員御指摘のAPI連携も含めて、今後検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/49
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050・安江伸夫
○安江伸夫君 前向きな御答弁を頂戴することができました。是非積極的に推し進めていただきたいというふうにお願いをいたします。
また、もう一点、誰にでも使いやすいシステムという観点で、先ほど清水委員も御指摘されていた障害者の方に対する手続的配慮を私からもお願いしたいと思います。
先ほど清水委員からも御紹介ありましたけれども、例えば視覚障害者の方が訴状等を作成するなどに際しては、音声読み上げシステムに十分対応できない、例えばPDFファイルでは不安だといったような声も多数寄せられているものと承知をしておりますし、このほか、障害の特性によっては、IT機器へのアクセスに困難を抱える方々の裁判を受ける権利がかえって後退させられるのではないかといったおそれも指摘されているところでございます。
あらゆる人々にとって裁判を受ける権利が充足されるIT化でなければなりません。この際、障害者の方々が裁判に対するアクセシビリティー、これがしっかりと確保されるIT化を行っていただくことを強く求めたいと思います。
最高裁の御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/50
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051・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
繰り返しになりまして恐縮ですけれども、今後開発を予定しているシステムに関しまして、現時点では確たる方針を申し上げることは難しいところでございますが、例えば、今般の民事訴訟法改正に先行しまして、裁判書類の電子提出を一部実現するために開発した民事裁判書類電子提出システムでは、電子データのアップロード等の操作を直感的に行うことができるよう画面や操作方法が非常にシンプルなものになるよう設計しましたほか、同システムにアップロードされたファイルの内容は、ダウンロード後に音声読み上げ機能を用いることで視覚障害のある方に認識していただくことも可能となっております。
今後のシステムの構築に当たりましては、こうした現在までの実績や、あるいは委員からの御指摘も踏まえまして、より良いシステムの構築に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/51
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052・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
以上、民事訴訟のIT化について様々な観点から御質問させていただきました。
続いて、他の改正事項でもございます、私からも期間が法定された審理手続について質問をしていきたいというふうに思います。
当該新制度創設するに当たりましては、裁判を受ける権利の保障の観点から、この委員会におきましてもこれまで様々な御意見があったというふうに認識をしております。参考人の御意見についても、この制度に対して厳しい御指摘があったことは周知のとおりでございます。
私からまずお伺いをしたいのは、消費者契約に関する訴え、個別労働関係紛争に関する訴えについては当該新制度の対象外になっているというふうに承知をしておりますが、まずその趣旨について改めて法務省からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/52
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053・金子修
○政府参考人(金子修君) この手続では、当事者において訴訟活動を集中的かつ迅速にする必要が生じますので、証拠の偏在や経済力に格差がある事件類型はこの手続を利用する前提を欠くと考えられます。
そのため、このような事件類型に該当すると考えられる消費者契約に関する訴えや個別労働関係民事紛争に関する訴えにつきましては、この手続を利用することができないこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/53
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054・安江伸夫
○安江伸夫君 重要なことは、この新しい新制度、この利用に際して、当事者がそのリスクをよく理解をし、また真意に基づくということであるかというふうに考えております。そのためにも、当該新制度の利用に際しては、形式的な申出又は同意があるということのみならず、裁判所の公権的な見地からの配慮がまた重要であると考えております。
そこで、消費者契約や個別労働関係の紛争でない訴訟類型であったとしても、それが今御説明いただいたような除外された趣旨に鑑みて、他の訴訟類型でも、当事者間の公平を害し、又は適正な審理の実現、これを妨げるような場合にあっては、裁判所は当該制度の利用について慎重に臨まなければならないというふうに考えております。とりわけ、弁護士等の専門家が付いていないような本人訴訟の場合におきましては、原則当該新制度の利用は積極的には勧めないという運用を確立することが重要かと考えております。
こうした観点につきまして、古川法務大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/54
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055・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 法定審理期間訴訟手続は、事案の性質、訴訟追行による当事者の負担の程度、その他の事情に鑑みまして、この手続により審理及び裁判をすることが当事者間の公平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認めるときは開始しないこととしております。そして、一般に、この手続を利用するか否かについて適切に判断し、また法定された審理期間内に必要な主張や立証を行うためには、訴訟代理人の関与が必要であると考えられます。
したがいまして、訴訟代理人が選任されていない場合につきましては、原則として適正な審理の実現を妨げると認めるときに該当するものとしてこの手続を利用することはできないものと考えられます。そして、当事者本人は、法定審理期間訴訟手続を利用するかどうかを検討するに際し、訴訟代理人から、この手続を利用することによるメリットやデメリットの説明など、法的なアドバイスを十分に受けることになるものと考えられます。
また、弁護士等が訴訟代理人に就いていない場合にこの手続の利用が問題となった場合には、このような法の趣旨を踏まえ、裁判官においてこの要件に該当するか否かの判断を慎重に行うことになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/55
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056・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
私から、続いて、氏名、住所の秘匿制度の創設に関連しても確認をさせていただきます。
この制度は、犯罪被害者等を保護する観点から盛り込まれたものと承知をしております。先ほど清水委員からも御指摘があった点でございます。
この制度が適用される事案として具体的にどのような事案を想定されているのかを法務省に確認させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/56
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057・金子修
○政府参考人(金子修君) 御指摘の改正法案の秘匿制度では、申立て等をする者がその住所や氏名等を相手方当事者に知られると社会生活を営むのに著しい支障が生ずるおそれがある場合には、訴訟記録中の記載のこれらの部分を秘匿することができることとしております。
これに当てはまり得る典型的な事案としましては、性犯罪、配偶者暴力、児童虐待、ストーカー行為等の被害者と加害者との間の訴訟があるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/57
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058・安江伸夫
○安江伸夫君 関連して、被害者の方々が二次被害等を恐れて加害者に対する訴えの提起等を断念することはあってはなりません。そのためにも、今回の制度の必要性については当然理解をするところです。
他方で、公正な裁判の実現という観点も忘れてはいけないと思います。すなわち、住所、氏名等が秘匿されることによって、加害者とされた側が十分に反論を尽くすことができなくなるような事態も避けなければならないと考えます。
被害者の住所、氏名等の秘匿制度の導入に当たりまして、加害者とされた側の攻撃防御の機会を保障することにつき、どのような配慮が今回の改正案ではなされているのか、法務省に確認をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/58
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059・金子修
○政府参考人(金子修君) 改正法案では、犯罪被害者等を保護する観点から、民事訴訟等の手続において被害者の住所、氏名等を秘匿する制度を導入することとしております。他方で、相手側の攻撃防御の機会を保障することも重要であるため、その点に配慮した規定も設けております。
まず、改正法案では、被害者とされる者の保護に必要な場合に限り、住所、氏名等の全部又は一部を秘匿することができることとしております。したがって、例えば住所のみを秘匿すれば足りると認められるケースにつきましては、氏名の秘匿までは認められないことになります。また、相手方は、秘匿の要件を満たさなくなったこと等を理由として秘匿決定の取消しの申立てをすることができるほか、自己の攻撃又は防御に実質的な不利益が生ずるおそれがあるときは、裁判所の許可を得て、秘匿部分の一部又は全部について訴訟記録の閲覧等をすることができることとしております。
このような規律によりまして、相手方の攻撃又は防御の機会は適切に保障されているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/59
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060・安江伸夫
○安江伸夫君 ありがとうございました。
今回の民事訴訟法の改正を機に、より裁判の受ける権利が充足をされ、国民、市民の皆様の権利の確保に資する、そうした民事司法制度の基盤が強固になることを最後に御祈念申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/60
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061・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
前回の質疑で積み残した質問について、本日、大臣に質問をさせていただきたいと思います。
私も、いわゆる法定審理期間を限定する制度の導入について質問したいと思いますが、大臣にそもそもの話でお伺いしたいと思いますが、民事裁判が長期化しているそもそもの理由は何だと捉えていらっしゃるかをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/61
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062・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 民事第一審訴訟事件の平均審理期間が近年、長期化傾向にあることは承知をしております。
最高裁判所事務総局が作成をしました令和三年の裁判の迅速化に係る検証に関する報告書では、民事第一審訴訟事件のうち、争点整理手続が長期化し、それに伴って全体の審理期間が長期化する傾向にあるとの指摘がされておりますが、その原因としては、例えば、争点整理のために必要となる裁判所と当事者との間の主要な争点に関する認識共有が必ずしも十分に行われていないといった指摘があるものと承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/62
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063・川合孝典
○川合孝典君 いわゆる士業職の方々、弁護士の皆さん等からの御指摘では、いわゆる判事が不足しているということで、なかなか裁判の日程が取りにくいといったようなことも指摘がされているわけでありますけど、今の大臣の御説明だと、いわゆるその双方当事者の調整の方に時間が掛かっているという、こういう理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/63
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064・金子修
○政府参考人(金子修君) 今大臣から御答弁があったとおり、最高裁判所の方で迅速化の検証をしておりまして、それに関する報告の内容は十分信用できると思っておりますけれども、当然、裁判をする上で何が争点かというのをきちんと把握する必要があるので、それについての認識共有が十分に行われないと、その後集中した証拠調べにつながっていかないと、あるいは証拠調べをしても、それが最終的な判断に直接つながっていかないような証拠調べになるということもあり得ますので、今のような大臣からの説明は十分理解できるところです。
それ以外にほかの御指摘があることは承知して、原因として、長期化の原因としてほかの御指摘があるということも承知しておりますが、法務省にいながらちょっとその点について、そういう御指摘があることは認識しつつも、それがどの程度のものなのかということについては、ちょっとなかなか把握できないところということは御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/64
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065・川合孝典
○川合孝典君 法務省の立場でそれ以上踏み込んだ発言ができないことは理解ができます。
その上で、更に確認をさせていただきたいんですけど、この法定審理期間を短縮化するためには、当然、訴訟当事者の皆さん、それから士業職の皆さんの御協力も仰ぐということが当然不可欠になってくると思うんですが、そうした皆さんに協力を仰いでいく上でのいわゆるその当事者へのインセンティブですね、特に士業者の方々に対するインセンティブを働かせることで、要は裁判の迅速化に協力をいただくといったようなことについての必要性についての御認識というのは何かありますでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/65
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066・金子修
○政府参考人(金子修君) これも参考人のどなたかもおっしゃっていたと思いますけれども、現在の民事訴訟法が平成十年に施行される前に比べると争点整理の重要性というのがかなり認識され、これは当事者、それから専門士業者の方々含めて、まず主張を出し尽くし、それから書面化されたような証拠は出し尽くして争点整理を行い、その後、集中して証人とかあるいは本人から事情を聞く証拠調べの手続を行おうということで、そういう精神の下に今の現行法もできているというふうに理解しております。
ただ、それが時間の経過とともに当初の趣旨が必ずしも徹底しなくなっているのかもしれませんけれども、その重要性ということには変わりがないと思っていますので、そこは、制度としては、その辺の重要性にのっとって、今回、法定審理期間訴訟手続もそういう認識の下でつくられているわけですけれども、それを利用しない場合であっても、ここはなかなか法務省として、制度を所管する法務省としてやれることは限りがありますけれども、例えばこの法定審理期間訴訟手続というのが、そういう争点整理あるいは証拠調べの集中的な実施という趣旨に改めて立ち返って実施とか導入ということが考えられているんだということも今後徹底していく必要があるんだなというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/66
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067・川合孝典
○川合孝典君 時間の関係がありますので、大臣に次の質問をさせていただきたいと思います。
今回の法改正は、何度ももう既に指摘されておりますが、一方の訴訟当事者の申立てで通常手続に移行できるということが何度も議論になっておりますが、この異議申立てを行うに当たっての制約、これは一切ないという理解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/67
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068・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 法定審理期間訴訟手続が開始された場合であっても、当事者の一方は、相手方の同意がなくとも通常の手続に移行させる旨の申出をすることができることとしております。また、法定審理期間訴訟手続の終局判決がされた場合であっても、判決に不服がある場合は、判決の送達を受けた日から二週間以内に当事者は異議を申し立てることができます。
これらは、この手続では審理期間が六か月と法定されていることから、当初の予定と異なり、この期間内に十分な主張や立証をすることができない事態が生ずることもあり得ることに配慮して、更に主張、立証する機会を保障する趣旨の規定であります。
このように、判決前に通常手続への移行の申出をする場合には法律上特段の制約はなく、判決後に異議の申立てをする場合にも、期間制限等の要件があるほかは法律上特段の制約は課されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/68
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069・川合孝典
○川合孝典君 もう一度確認ですが、特段のということは、何もないということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/69
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070・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 法律上、制度上そうなっております。実際の運用は裁判所においてということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/70
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071・川合孝典
○川合孝典君 そこで、大臣に改めて確認をさせていただきますが、そもそもこの制度を導入することの目的は、裁判の期間の予測可能性を高めるということで、当事者の利便性を高めるということになっているんですけど、何の制約もなくこの通常手続に移行できるということになった場合には、そもそもの制度の目的が失われる、いわゆる二律背反の枠組みになっているわけなんですけど、この点について大臣はどのように御認識されますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/71
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072・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 先ほども真山先生とのやり取りの中でも申し上げましたけれども、この裁判の迅速化、効率化という要請というのは確かにございます。しかし、訴訟手続において公正かつ適正な裁判を受ける権利というものは、何にも増してこれは優先されるべきものであります。
そして、この制度は、当事者が合意をした場合に利用することができるのでありますけれども、しかし、実際この制度を利用してみたところ、いや、これはやっぱり十分な主張や立証ができないなということが後になって判明することもあり得るわけですね。その場合は、やはり原理原則に立ち返って通常の手続に復帰すると、原則に戻ると、こういう考え方でございまして、両当事者は、その合意をする段階において、そういう場合もあり得るということをある意味制度として織り込んだ上でのこの利用開始でございますから、そこは、何といいますか、それによる例えば信義則違反というような類いの、何かそういう、当事者にとっても不都合のあるものではないというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/72
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073・川合孝典
○川合孝典君 つまりは、この期間限定裁判という表現でこれまで議論されてきておりますけど、一方当事者の異議申立てで通常手続に戻せるということであれば、これ何ら実は限定されていないわけですよね。だから、この表現、そもそものこの言葉の表現自体が全体の議論をミスリードしてしまっていると私は正直感じております。そのことも含めて、これからきちんと法務省と最高裁の方で整理をしていただきたいと思います。
その上で、時間の関係がありますので次の質問に入りたいと思いますが、もう一つ私自身が懸念しておりますのは、今回、六か月の期間を区切るということで、裁判官は当然、その六か月以内に審理を終局させるということの義務を負うということになるわけですよね。当然進めていかなければいけないわけですから。その上でなんですが、裁判官はそもそも判断権者であり、訴訟の指揮権者でもあるということでありますから、そもそもやっぱり士業職の方々や訴訟当事者の方々は、裁判所の意向、判断には従わざるを得ない状況に置かれていらっしゃるというふうに私は理解しております。
そうした状況の中で、裁判官が六か月以内に再審理を終わらせるということについて、異議申立てをした方々に対して説得をするといったようなことはないという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/73
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074・金子修
○政府参考人(金子修君) この新しい手続は、おっしゃるとおり、本来、裁判所が訴訟の進行について主体的に進めていくという立場にあるわけですけれども、そこに、言わばその当事者の意向によって枠をはめられるというような、こういう制度をつくるという意味もあるわけです。ここで重要なのは、当事者の意向の尊重ということです。それはなぜかというと、当事者は必要な主張、立証を尽くすという権利を持っていますので、そことのバランス上、そのような意向を尊重するということになったんです。
当事者が異議を申し立てて通常の手続に戻したいというときに、いや、それは、それをしない方向へ説得するというのは、制度趣旨からすると反している運用になるんだと思います。大臣から御答弁申し上げたとおり、通常手続に戻すのに何ら制約がないという仕組みとしてつくっているのに、事実上そこを制約させるような運用になってはこれはいけない、制度趣旨に反するものというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/74
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075・川合孝典
○川合孝典君 そうですね、話聞いていて、制度のそもそもの、この法改正の趣旨に矛盾する話になってきているんですけれども、大臣に確認をさせていただきたいと思います。
訴訟を行うに当たって、裁判官、司法の独立ということもありますが、裁判官の権限は絶対であります。したがって、実際、裁判手続を行っていく上で、裁判官の発言は大きくいろんなことに左右するということでありますので、本来の、これまでの大臣、それから法務省の説明に基づいて、いわゆる申立人、異議申立てを行う人、訴訟当事者の方の権利が要はこの六か月限定という名の下に一切制限されないように、そのことについてはきちんとチェックを継続して行っていくことの必要性があると思っております。
この点について、責任を持って法務大臣としてこの問題に対応、対処していただけるかどうかということについて御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/75
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076・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) この制度の立て付けについては、るる御説明申し上げたとおりです。当事者の合意に基づいて利用ができますし、当事者の一方が言わばこの利用から降りたいということになれば、いつでも通常の、本来の通常の手続に戻ることができるということでありますが、さらに、裁判官において、十分な主張や立証の下にこの裁判が熟していないと認められる場合には、裁判官の判断でこの本来の、ごめんなさい、本来じゃなくて、通常の手続のところに戻すと、つまりこの利用はできないというような判断をすることが制度上これ期待をされているわけです。
申し上げておりますとおり、この制度は、あくまでもこの裁判を受ける権利、公正で適正な訴訟手続というものが最優先であります。しかし、そこと効率化、迅速化というものとの要請を両立させる、二つの要請を両立させる中でこれがぶつかるときには、あくまでも裁判を受ける権利、公正な、かつ適正な裁判を受ける権利というものを優先させると、こういう精神の下にこの制度を組み立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/76
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077・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/77
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078・川合孝典
○川合孝典君 これで終わりますが、そもそもの立法の目的というものが損なわれないように、今後きちっとチェックをしていただきたいということを御指摘させていただきまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/78
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079・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
前回ちょっと続きになりました公示送達のことからお伺いをさせていただきます。
訴訟の相手方が所在不明などの場合、相手が逃げてしまった、行方不明になって分からなくなったときは、こういった公示送達を使います。よくあるのは、家賃を滞納してどこかへ行ってしまって所在不明になったといったときに裁判所に公示送達をするわけでありますが、裁判所の掲示板に掲示する形で公示送達が行われるわけです。
今回の法案では、公示送達の方法を変える内容がこれは含まれておって、裁判所のウエブサイトに掲載するということに加えて、またさらに、これまでと同じように裁判所の掲示板に掲示するということです。なぜ、この裁判所の掲示板へこれ続けるんですかとお聞きすると、送達を受けるべき者がIT機器の利用に習熟していないために、インターネット上で公示されるものの内容を確認することができないということもあるのではないかということでありました。
では、お聞きしたいと思いますが、公示送達の件数、これは年間何件ぐらいあるのか、まずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/79
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080・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
民事訴訟における公示送達の件数については司法統計がございませんで、件数は承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/80
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081・東徹
○東徹君 いや、司法統計がないということは、数えていないということですよね。
これ、公示送達のことも今回改正になっているわけですから、本来、これ公示送達がどうなっている状況なのかというのも確認する必要があるのではないかと思いますが、なぜこれは把握しないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/81
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082・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
民事訴訟事件の統計に関しましては、新受事件、既済事件、未済事件の事件数ですとか、あるいはその審理期間、終局区分等の項目については取得しておりますけれども、個別の事件処理の過程でどのような送達方法が取られたかについては、その必要性に鑑みて統計を取得しておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/82
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083・東徹
○東徹君 必要性がないというお考えなのかなというふうに思うわけでありますが、じゃ、今回、現行の掲示板への掲示も併せて行うということでありますが、公示送達の対象になった人が実際に送達に応じてきたケース、このような事例というのは件数どれぐらいあるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/83
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084・金子修
○政府参考人(金子修君) 裁判所の掲示場に掲示を行ったことにより送達を受けるべき者が裁判所に出頭して書類を受領した件数やその事例の内容等につきましては、裁判所における統計がないということもあり、法務省としては承知していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/84
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085・東徹
○東徹君 全体的な公示送達の件数も把握していないし、そしてまた、裁判所に掲示している公示送達によって、それに気が付いて実際に応じてきた件数も、これも把握しないというんだけれども、今回、公示送達のことについてはウエブも入れて制度変更する。これ、やはり公示送達の実態、これを私把握すべきだというふうに思います。
実態を把握しないと、これ検証することもできないわけでありますから、是非これ法務省として実態を把握すべきと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/85
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086・金子修
○政府参考人(金子修君) 御趣旨はよく理解できますが、今回の考え方ですけれども、委員も前提とされているとおり、公示送達であっても、その送達を受けるということは裁判を受ける権利との関係でも非常に重要です。手続保障がそこから始まるということになると思います。
今回の改正は、そういうこともあって、こういうかなりの人がIT化に通じている時代にあっては、裁判所の掲示板を見るというよりは、裁判所のしかるべきところに、サイトにアクセスすることによって公示送達がされているかどうかが、つまり自分が訴えられているかどうかというふうなことを見る機会をつくった方がいいのではないかという考え方なのですけれども、それによって逆に制約される人が出てはいけないという考え方の下に、言わば従前の公示送達の手続よりも、更にそういう公示送達されているということを知る機会を増やす方向で手続保障を図るという方向の改正ですので、何か制約するというのであれば、制約して大丈夫なのかということをきちんと検証しないといけないということなんですけれども、今、今回行おうとすることは、今の掲示場による掲示に加えて新たな公示送達の方法をプラスするということの改正ですので、そこまで実態を把握しないといけないんではないかというのは、将来に向けては分かりますけれども、今回把握しないままこのようなことに踏み切ったのはそのような御趣旨だと御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/86
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087・東徹
○東徹君 大変苦しい説明かなというふうに思いました。
今回の法案が成立した後も、公示送達はオンラインのほかに裁判所の掲示板への掲示を続けていくということなんですね。
公示送達の件数は年間どれぐらいあるものかというのを聞くと、それは分かりませんと。実際にそれに応じてきた人がどれぐらいいるんですかといっても分からないということで、これ検証のしようがないことなわけですけれども、これ公示送達の相手方がインターネットを利用できない場合まで想定して掲示板への掲示を残す必要がどれくらいあるのか、これも法務省が示していないわけであります。
私は、これもう要らないんじゃないのかと、逆にインターネットの方がいいんじゃないかというふうに思うわけですね。というのは、大阪地裁に訴訟を起こした場合に、大阪地裁の掲示板にこれ掲示されるんですけれども、例えばその人が逃げて東京へ来たといったときに、じゃ東京地裁の掲示板にはこれ当然掲示されないわけです。逃げるということは、やっぱりその地域からどこかへ行くわけですから、必ずしもそこの都道府県にとどまっているということはないわけですよね。
それであるならば、やっぱりウエブサイトで確認できるということの方が本来もっと知る機会がやっぱり増えてくるというふうに思います。ウエブサイトで全国どこでも確認することができれば、今よりも相手方が認識できる可能性が高まってくるわけでありますから、手続の保障としてはそっちの方が十分ではないのかなというふうに思うわけです。
掲示板への掲示などというやり方を残す必要はないというふうに思いますが、これについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/87
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088・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 改正法案では、公示送達の方法につき、インターネットを利用した公示に加えて、裁判所の掲示場に公示の内容が記載された書面を掲示し、又は裁判所に設置された端末で公示の内容を確認することができる状態に置く措置をとるものとしております。これは、IT機器の利用に習熟しておらず、インターネット上での公示の内容を確認することができない者においても公示の内容を確認し、訴訟活動を行う機会を確保するためであります。
委員御指摘の掲示場での掲示等の方法の見直しについては、改正法の下でのインターネットを利用した公示の在り方や、今後の国民のインターネットの利用状況等を踏まえて慎重に検討されるべきものであるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/88
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089・東徹
○東徹君 大臣、ありがとうございます。
是非、インターネットで公示送達どれぐらい件数になっているのかというのを把握していただきたいと思いますし、もちろん掲示板に掲示されるわけですから、その掲示を見て応じてきた人が何件あるのか、そういったことをきちっと数字として把握をして検証していただきたいというふうに思いますので、是非お願いします。これについていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/89
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090・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) これは、その裁判、その公示通達を、その公示の内容を確認し、訴訟活動を行う機会を確保する、そのための機会をきちっと制度として保障するという意味合いがございます。ですから、何件あるかとかというような、この利用状況というものは確かに現実としてあるのでしょうけれども、しかし、制度としてこのように掲示場への掲示ということを存置することの趣旨は、あくまでも裁判を要するに受ける権利という趣旨に照らして、やはり制度的にここは慎重に守っていかなきゃいけない部分だというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/90
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091・東徹
○東徹君 だから、検証はするために、公示送達で、何件公示送達があって、公示送達に応じてきた人が何件あるのかというのはこれからも把握はいたしませんという今の御答弁なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/91
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092・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) そこまでは申しません、そこまでは申しませんが、やはり掲示場にきちっとそういうものを掲示する、あるいは端末で確認するようにできるという体制を整えておく、そういう制度を維持しておくということは意味があるというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/92
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093・東徹
○東徹君 これまでのやり方はそうやってきたんですし、今回はそこまでの改正はしなかったということで一応は理解をしておりますが、やはり今後は、こうやってインターネットでどんどんと普及していく時代になっていくわけですから、やっぱりこれからは公示送達の件数とか、それに応じてきた件数とか、是非検証していくためにも把握をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、もう時間がないので、もう一点質問させていただきます。
この委員会の方でも碧水の嘉田委員の方が質疑されておられましたけれども、離婚やDVなど家族の問題を解決する上で早く結論を出すことが子供の利益にもつながるのではないかと言われております。私もそういうふうに思うわけでありますが、この点について法務省はどのように考えているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/93
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094・金子修
○政府参考人(金子修君) お子さんがいる家庭において離婚やDVなどの問題が生じた場合に、これらの問題の解決が遅れることは子供の利益を損なうものでありまして、看過できない問題であるというふうに考えております。
一般的に申し上げて、このような家族間の法的紛争について適正かつ迅速に司法上の解決が図られることは、子供の利益を確保するという観点から大変重要なものであると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/94
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095・東徹
○東徹君 今回の期間限定裁判についてお伺いいたしますが、今回の期間限定裁判では家事事件や人事訴訟はこれ対象になっていないわけですね。法務省として、将来、これらを期間限定裁判のやっぱり対象に私はすべきじゃないのかというふうに思うんですけれども、対象とすることを考えているのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/95
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096・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 今委員お触れになりましたとおり、この改正法案では、家庭の問題を扱う人事訴訟や家事事件手続といった家庭裁判所の事件について、法定審理期間訴訟手続の適用対象とはしておりません。
家庭裁判所の手続は、人事訴訟法や家事事件手続法などが適用され、例えばその専門家である家庭裁判所調査官による調査が行われるといった手続があるなど、一般的な民事訴訟手続とは異なる特色を有しております。そのため、法定審理期間訴訟手続の対象事件を拡大し、家庭裁判所の事件をこれに含めることとすることについては、その特殊性を踏まえつつ、別段の考慮が必要であろうと。その点を含めて、今後の課題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/96
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097・東徹
○東徹君 時間もありませんので、今後の課題ということでありますが、是非その件については前向きに今後御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/97
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098・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
裁判のIT化、特に口頭弁論期日をウエブ会議の方法で行う規定について伺います。
私は、弁護士として、福島原発事故の被害賠償事件のような集団訴訟、あるいは国や企業を相手とする労働組合の事件などに取り組んでおりました。その経験に照らせば、口頭弁論が果たす役割というのは極めて重要だと認識しています。
代理人の弁護士がその訴訟の意義や主張の要点について弁論を行う、相手方の姿勢をただし、裁判官の訴訟指揮に対して意見をする、あるいは当事者自身が被害の実態や訴訟に臨む思いを述べるなど、様々な活動が行われています。裁判の基本原則である直接主義、口頭主義にのっとり、裁判官の心証形成や審理の充実にも寄与するものであろうと思います。
法廷でこうした関係者が一堂に会して、また傍聴人が見守る中で口頭弁論期日が行われるということの意義について、法務省はどのような認識をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/98
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099・金子修
○政府参考人(金子修君) 基本的には、山添委員御指摘のとおり、当事者が実際に裁判所に参集してお互いの意見を闘わす、そのような状況について裁判所が直接見聞きする、その重要性は十分理解しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/99
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100・山添拓
○山添拓君 法案の八十七条の二は、その口頭弁論期日について、相当と認めるときは当事者の意見を聞いてウエブ会議にすることができるとしています。当事者の一方又は双方が反対した場合も、裁判所が相当と判断すればウエブ会議とするのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/100
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101・金子修
○政府参考人(金子修君) 八十七条の二の条文は、今委員の御指摘のとおりです。
その当事者の意見を聞いてとなっていますので、当事者の了解がある場合に限って行うことができるというふうにはしていませんので、可能性としては否定されないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/101
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102・山添拓
○山添拓君 証人尋問については、当事者に異議がない場合という規定になっています。口頭弁論期日については、当事者に異議があってもウエブ会議等によることを認めるということになるのでしょうか。公害事件や労働事件やあるいは国家賠償請求の事件などで、被害者など原告側はリアルの法廷で弁論や意見陳述を希望し、被告側はオンラインで結構と、こういう場合、裁判所は認めるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/102
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103・金子修
○政府参考人(金子修君) 具体的にどのような場合にウエブ会議による口頭弁論の期日における手続を行うことが相当と言えるかどうかという点についてはお答えすることが困難ですし、また、裁判所がその点の判断をする場合に当事者の意向をどの程度重視するかという点も事案によって異なり得るものと考えられます。最終的には、裁判所において、事案の性質や内容、その期日で行うことが予定されている手続の内容、それから手続に関与する当事者の意向等を考慮して適切に判断されることになるものと考えます。
したがいまして、今委員が御指摘の、最後に御指摘になったような、一方の当事者において他方当事者がウエブ会議の方法により参加するということに反対する旨の意見を述べた場合について、そのような場合でも裁判所においてウエブ会議による口頭弁論の期日における手続を行うことが相当であると判断することがおよそないとは言い切れないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/103
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104・山添拓
○山添拓君 何か回りくどい言い方なんですけど、要するに、片方が実際の法廷にしてくれと言っても、相手はオンラインでやりたいと言ったら、それを認めるケースがあり得るという答弁なんですね。これは重大だと思うんですよ。弁論や意見陳述を、片方だけが在廷し、もう片方はモニター越しというのは、いびつな法廷です。緊張感も臨場感もありません。双方の同意が必要とすべきだと思います。
最高裁に伺いますが、最高裁規則でそのようにするべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/104
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105・門田友昌
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。
法律の方で枠組みがこのように定められている以上は、規則の方で今委員御指摘のような、言わば上乗せのような要件を定めるということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/105
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106・山添拓
○山添拓君 大臣、それでよいのですか。法廷に臨んで、真実を明らかにし、自らの被害の実態を訴える。相手がいないところで、そういう裁判に変えてしまっていいんでしょうか。口頭弁論期日というのはそういうものなんですよね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/106
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107・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 今回のこの改正案は、民事訴訟手続等の一層の迅速化及び効率化等を図り、民事裁判を国民がより利用しやすくするものにする、そのためにこの手続の総合的な見直しなどを行うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/107
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108・山添拓
○山添拓君 全然お答えになっていない。裁判の実態についても全然承知されない下にこの法案出されているんじゃないかと疑わざるを得ない御答弁だったと思います。
申立てのIT化についても伺います。既に懸念される事態が生じています。
この間、裁判所の事件処理システム、NAVIUSの大規模なシステム障害がありました。これは、二〇一九年から少年事件や簡易裁判所の事件に順次拡大されてきましたが、昨年九月に使用不能に陥りました。
最高裁に伺います。このシステム障害でどのような影響が生じて、どう対応されたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/108
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109・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
裁判事務支援システム、私ども通称NAVIUSというふうに申し上げておりますが、このシステムは、高等裁判所の刑事事件、簡易裁判所の民事事件及び刑事事件並びに家庭裁判所の少年事件等を対象として事件の進行管理等を行うシステムであり、全国の裁判所で使用されているものでございます。
昨年の九月二十七日、サーバーの通信機器の挙動不良によりまして本システムの処理速度が極端に遅くなり、職員端末からの通信量が一定量に達すると処理が滞留するという不具合が発生いたしました。その後、段階的に本システムの利用を再開いたしまして、本年一月四日に本格復旧をしております。
このように、本格復旧までに相当な期間を要したことになりますが、その間の対応といたしましては、旧システムの暫定利用でありますとか、記録を直接参照するなどの代替策を講じまして、裁判所職員において裁判所利用者からの問合せ対応等を行いました。
その間、裁判所職員の対応によりまして事件処理に直接的な影響はなかったと考えておりますが、裁判所利用者の皆様には問合せに一定の時間を要するなど、御迷惑をお掛けしたところもあったかと思われます。深くおわびを申し上げたいと思います。
また、今回の件では、裁判所職員に多くの労力を掛けたことについても重く受け止めており、このような経験を踏まえて今後のシステム運用等に生かしてまいりたいと考えております。
現在、本システムは安定的に稼働しております。引き続き、安定稼働に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/109
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110・山添拓
○山添拓君 現場の皆さんは本当に大変だったと伺います。
NAVIUSには地裁の民事事件も統合することが想定されていたそうですが、取りやめとなって新たなシステムをつくることになったということも伺っております。
元々このシステムというのは使い勝手が悪くて、レスポンスの問題もあって多くの不満が出されていたと言います。システム障害を受けて、東京などではその対応に応援体制を構築せざるを得ない、そういう状況もあったと伺いました。
この現場の皆さんに伺いますと、システム障害による負担増はもちろんですけれども、そもそもIT化自体に不安や懸念も広がっています。システムが導入されたからといって直ちに人的体制を弱めてよいわけではないということも現場において認識されるに至ったと伺います。
IT化の進展をイコール定員削減と結び付けてはならないと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/110
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111・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
裁判手続のデジタル化に向けまして、民事訴訟手続の分野におきましては引き続き着実に推進していく必要がございますほか、民事訴訟手続以外の刑事、家事、非訟分野についても今後ますます本格的に取り組んでいく必要があるものというふうに考えております。また、デジタル化に伴う各種法制の検討にも関与していく必要があるものと考えております。
裁判手続のデジタル化の検討、準備を進める過程で生じる様々な問題や業務への対応のためには、この検討の中心的役割を担っている最高裁事務総局において体制を強化することが必要というふうに考えており、今国会におきまして、裁判所職員定員法の改正により、事件処理の支援のための体制強化等を理由として裁判所事務官の増員をお認めいただいたところでもございます。
裁判所といたしましては、引き続き、裁判手続のデジタル化の状況等を踏まえつつ、必要な体制整備に努めてまいりたいと考えております。
〔委員長退席、理事高橋克法君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/111
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112・山添拓
○山添拓君 最高裁の事務総局だけではありませんから、現場の皆さんがいて回っている運用だと思います。
このNAVIUSは裁判所内のシステムで、事件の進行や裁判記録の提出状況などは紙ベースでも確認できたわけです。ですから、システム障害があっても裁判所の業務そのものは止まりませんでした。一方で、本法案で予定している裁判のIT化は、当事者が提出する事件関係の書面を全て電子化するものです。ですから、システム障害が起きると裁判が止まってしまうことになります。
〔理事高橋克法君退席、委員長着席〕
NAVIUSで現にシステム障害が生じている以上、インターネットによる申立てなどは慎重であるべきだと考えます。どんなシステムになるかも今不明な段階です。その下で、弁護士や司法書士に限るとはいえ、義務化するというのは時期尚早ではないのかと。システムを構築して運用を開始し、信頼性や安全性、利便性が実感できるなら、利用は当然広がっていくだろうと思います。
法務省に伺います。弁護士などが付く事件で今どうしても義務化しなければならないと、そういう理由はあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/112
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113・金子修
○政府参考人(金子修君) インターネットを用いた方法により訴えの提起等をすることができるようになった場合には訴訟手続の迅速化、効率化が図られることになり、民事訴訟に関する社会全体のコストが削減されることとなります。このような観点からすると、訴えの提起等は可能な限りインターネットを用いた方法によるのが望ましいと考えられます。
弁護士等の法律専門職にある者は、職務として民事訴訟手続に関与する者でございますので、訴訟手続の迅速化、効率化に率先して取り組むことを期待することができ、また、一般に、依頼者のためにセキュリティー対策も取り組んだ上で、インターネット等を用いた申立て等に対応する能力を十分に有しているものと考えられます。
また、インターネットを用いた申立て等をする際に情報がインターネットを経由することに関しては、裁判所において改正法案を踏まえたシステムを構築する際に十分な措置が講じられるものと認識しております。
このようなことを踏まえて、弁護士等の訴えの提起等につきましては、インターネットを用いた申立て等を義務付けることに問題がないものと認識して、今回の立案に至ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/113
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114・山添拓
○山添拓君 今、リスクがあるということを具体的にお示ししたんですよね。そして、弁護士などに依頼する当事者にとっては、業としてやっているわけではありません。当事者に対して自らの裁判記録をオンライン上に置くことを事実上義務付けることになるわけです、弁護士に依頼した場合には。信頼性や安全性が担保されないままでの義務化は、これはするべきではないと私は指摘したいと思います。
法定審理期間訴訟手続、いわゆる期間限定裁判、今日も議論がされておりますが、私からも伺います。
前回の質疑で民事局長は、勝って得られる利益より莫大な時間と費用が掛かるようでは企業としては裁判の利用をちゅうちょする場面があるという声をいただいている、だからそういう場合に今回の手続が選択肢となると答弁されました。
勝敗よりも時間と費用、コストを優先する、企業法務でそういうニーズがあるかもしれません。しかし、それはもはや訴訟というよりも非訟事件、ADRなどの紛争解決によるべきであって、法と事実に基づいて権利関係を確定させるという訴訟の本質とは相入れないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/114
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115・金子修
○政府参考人(金子修君) 最終的に、公権力によるその判断ですね、裁判所の司法による判断、これが結局認められてこそ最終的には強制執行等の手続につなげていくということができる仕組みになっておりますので、ADR等による解決というのも一つの解決方法ではございますが、最終的な手段としては、やはり裁判所にきちんと判断してもらう仕組みをつくっていかなきゃいけないということでございまして、その裁判所の利用をやはりいろんな事情からためらうようなことがあっては、特に、いつその判断がもらえるか分からないということでためらうようなことがあってはやはりならないものというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/115
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116・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/116
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117・山添拓
○山添拓君 公権力による執行力を伴う判決を下す手続だからこそ、期間優先ではなく、公正に充実した審理の上に判決を下すべきだと思うんです。迅速に紛争解決できれば勝敗はどちらでもよいと、そういうことであれば、訴訟ではなく別の手続を検討するべきだと思います。
訴訟の性質を変えるべきではないということを指摘して、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/117
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118・高良鉄美
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
質問に入る前に、二点申し上げたいと思います。
まず、立法における適正手続は、形式的な法定手続を踏んで多数決で決めていくというこの過程のみを指しているわけでないことはもちろんです。むしろ、力点があるのは、立法の全ての過程で適正手続を重要要素の一つとした法の支配が貫徹された上で成立していなければならないということです。
沖縄は、一昨日、復帰五十年を迎えました。復帰をめぐって、立法行為が適正手続を踏んで行われたのか、疑問符の付く歴史の事実があったことを指摘しておきたいと思います。
復帰を控え、広大な米軍基地を五年間のみの時限立法によって無条件で継続使用することができるとする沖縄における公用地の暫定使用法、いわゆる公用地法が制定されました。沖縄県ではなく沖縄にした理由は、憲法九十五条の地方自治特別法に対する住民投票を回避するためだとされます。当時から、あと五か月足らずで復帰して県になる沖縄に対して、まだ憲法上の地方公共団体ではないから憲法は適用されないということですが、これが適正な手続と言えるのかと、むしろ法の支配を外れた人の支配ではなかったのかと思われます。
つまり、この法律は復帰の前に制定されましたが、施行されるのは五月十五日、復帰当日からスタートするわけです。もうそのスタートの時点では憲法上の地方公共団体になっている、そういう場合に、このような立法手続が法の支配の下でなされているかというのはやはり疑問符があろうと思います。
それから五年たちました。五年の時限立法ですから、五年が過ぎるともう憲法上の地方公共団体になっているわけです。県となった沖縄に対しては、当然に住民投票を実施可能にしなければならなかったわけです。ところが、政府は、住民投票の要らない地籍明確化法案を提出し、その附則に公用地法を更に五年延長する規定を盛り込みました。住民投票が必要な公用地法を改正すべきところ、新たに別の立法を行うという手法は、法の支配ではなく、沖縄県民を軽視する人の支配であったと言わざるを得ません。
性質の異なる二つの内容を一つの法案として審議することの問題は、今回の民訴法改正でも言えると思います。迅速かつ効率的な裁判の実現を図るために推進するIT化と期間限定裁判では、技術的要素が主である前者と裁判を受ける権利に深く関わっている後者とで、内容も質も異なる問題であるということを指摘しておきたいと思います。
もう一点は、前回時間が足りずにはしょった内容を改めて申し上げます。
裁判を受ける権利は、公正で実効性のある権利保護を求める権利として、法の支配の一内容である適正手続だけでなく、権利保障の適正を内容とする実体的デュープロセスであるという考え方が有力となっています。そして、裁判を受ける権利を実効化するためには司法権の充実は不可欠です。私が裁判所の人的、物的充実を繰り返し求めてきたのは、まさにこのためです。これについては、前回、最高裁から、裁判を受ける権利は憲法上保障されている重要な権利だと認識している、また、適正迅速な裁判の実現のためには裁判所における人的、物的体制を確保していくことも重要であると、大変重要な御答弁をいただきました。
今回、裁判は、先ほどもありましたけれども、勝敗だけではなく、当事者にとって判決が納得できることが重要である、他の委員からも指摘がありました。敗訴したとしても、判決が納得できるためには、裁判官がじっくりと真剣に事件及び当事者と向き合うことが重要であり、そのためにも裁判所の充実した人的体制は必要不可欠であると再度申し上げ、質問に入ります。
期間限定裁判について法務省に伺います。
十日の本委員会で、古川大臣に、立法事実として挙げられたアンケート結果について、裁判を断念した人にその理由を問う質問だったのかという私の質問に、古川大臣は、断念した人にではなく、民事訴訟利用者に聞いた調査だったと答弁されました。さらに、裁判をちゅうちょした気持ちがあったかとの質問に対して、はいの回答が四九・四%であり、その理由として、裁判は時間が掛かると思ったからに当てはまるとの回答が七八・四%だったと答弁されました。
これは、時間が掛かるから裁判をちゅうちょしたが七八・四%もあったけれども、この方々は民事訴訟を行ったのですから、時間が掛かったとしても訴訟に踏み切った、つまり時間の問題ではなかったと見るのが相当であり、これを立法事実として挙げるということには無理があります。法改正する上で最も重要なのが立法事実であるのに、立法事実としてアンケート結果を都合よく切り取ったと言わざるを得ません。これについて法務省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/118
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119・金子修
○政府参考人(金子修君) 御指摘の民事訴訟利用者調査の結果は、委員御指摘のような裁判を利用しなかった方へのアンケートではないわけですが、民事訴訟の利用者にとって審理期間の予測が困難であるとの声が相当割合あるということのほか、民事訴訟を利用することとした方であっても裁判をちゅうちょした気持ちがあったという方が一定の割合いたということ、その理由としては、裁判は時間が掛かると思っていたということを挙げた方が相当割合いたということを示すものではあるというふうに認識しています。
このように、この調査の結果は、民事訴訟の利用を検討する際に紛争解決に要する期間の予測が困難であることがその利用をちゅうちょさせる要因となっていることを裏付けるものと言えるのであり、その意味では立法の必要性を裏付ける一つの事実であるというふうに認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/119
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120・高良鉄美
○高良鉄美君 今の形ですと、裁判をちゅうちょした気持ちがあったのかの質問に対して、はいと、ちゅうちょしたという方は四九・四%、つまり半分以下です。その中の七八・四%が裁判は時間が掛かると思ったということですので、七八・四の半分ということは、まあ四割弱と、全体的にですね。これが立法事実になるのかというのは、やっぱりちょっと気になります。
やはりアンケートの分析とか援用というのは、客観的、公正に分析をするというんですかね、見るということがとても重要じゃないかと私は思います。そういう指摘だけで終わっておきたいと思います。
次に移ります。
金子民事局長は、制度導入について、弁護士や裁判官といった法律実務家や手続法の研究者、あるいは経済団体、労働団体などが参加する法制審議会において議論を尽くした上で示された答申に基づき創設しようとするものと答弁され、法制審で議論が尽くされたことを理由に挙げられました。
しかし、日弁連は最終的には棄権をしており、衆参の参考人の弁護士からも、近代裁判の原則に反する、諸外国にない制度で裁判の本質を根底から変えてしまうおそれがある、不十分で粗雑な審理になる危険性がある、立法事実の検討ができていないなどと指摘されました。
迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、裁判における手続保障等、総合的な観点から利用者目線で裁判に係る手続等のIT化を推進する方策を検討するというのが今回の法改正の出発点であったはずですが、期間限定裁判という立法事実の検討も不十分で、諸外国にはないという状況も踏まえず新たな制度を設けることになるわけです。
法務省は実務家からの指摘を謙虚に受け止めるべきだと思いますが、指摘されているような状況にならないよう今後どのような取組をされるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/120
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121・金子修
○政府参考人(金子修君) まず、立法事実についての御指摘がございますけれども、利用を望まない方に強制する手続ではございませんので、利用を望む方がいるということが立法事実たり得るというふうに思っています。それは委員と私どもと少し見方が違うのかもしれませんけれども、それなりの数がいらっしゃるということは言えるのではないかというふうに思っています。
それから、いろんな御懸念についてはいろんな法制審議会での議論の過程の中でも示され、これについては私どもとしては十分に配慮していると思っています。
まず、法定審理期間訴訟手続では、審理期間が法定されることにより訴訟の当事者に不当な弊害が生じないようにするため、類型的にこの手続になじまないと考えられる特定の事件を明示的にその対象から除外するのみならず、適正な審理の実現が妨げられると考えられる一定の事情が認められるケースではこの手続を開始しないこととし、また、当事者双方がその利用を希望している場合に限りこの手続を開始することとしているほか、手続の途中だけでなく判決後であっても、当事者の一方相手方の同意なく通常の手続での審理を求めることができることとしており、さらに、攻撃防御の提出期間内に裁判をするのに熟すると言えるまでの主張、立証を尽くされることが難しいと判断される場合には、裁判所は、この手続による判決をするのではなく通常の手続による審理及び裁判をする旨の決定をするということとしております。
このように、改正法案では、この手続の利用により当事者の裁判を受ける権利が実質的にも損なわれることがないよう様々な配慮をしているところであり、当事者の裁判を受ける権利を侵害するおそれがあるとの指摘は当たらないものと考えております。
法務省としましては、改正法案の成立後は、この制度が当事者の希望を前提とし、かつ定められた期間内に判決を熟するに足りる十分な主張整理と証拠調べがされることを想定した手続であることなど、その制度の趣旨及び内容を適切に周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/121
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122・高良鉄美
○高良鉄美君 諸外国の話をしましたけれども、IT化の方は諸外国の状況も踏まえと言っているわけです。もう一つの期間限定裁判については、諸外国の状況を踏まえるというのは入っていないですね。これは対照的な姿勢じゃないかと。要するに、一方は諸外国の事情を踏まえて、もう一方はそうじゃなくて新たな制度としてつくるということで、非常に対照的じゃないかと、この向き合い方がですね。そういうふうに感じました。
これは質問通告していませんけれども、まあ感想めいたことになるかもしれませんが、要するに、今の現行のこの法制度下で期間を短めるということは、両方の合意があればできるわけですよね。それと通常訴訟というものとの関係が実際どうなるのかということですね。
要するに、この制度がないと訴訟は迅速にならないということになるのかというのが私は疑問として持っていることということで、是非ともこの辺も含めて、五年の見直しということがあるわけですけれども、五年後に今言ったような裁判を受ける権利の侵害がないようにするわけでしょうけれども、その辺りもこの運用の中でどうなっていくのかというのは私は未知数じゃないかなと思っていますので、そこを是非とも配慮しながら運用等々は問われるものだと思っております。
もう時間来ましたので、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/122
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123・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。碧水会の嘉田由紀子でございます。
今回提出されております民事訴訟法の一部を改正する法律案につきましては、過去二回ほど、私自身は、家族の問題、特に離婚訴訟とか、あるいはそこで声を上げられない子供さんたちの立場から、裁判の選択肢が増えることはいいことだろうということを申し上げました。今回も、清水議員、そして東議員が御指摘のとおりでございます。
ただ一方で、法務大臣が言われるように、家事裁判というのは今回の直接対象にはなっていないということですけれども、やはり声を上げられない子供のためにこの辺の方向を持っていただくことには私は賛成をしております。
と申しますのは、毎回申し上げますが、日本は毎年二十万人もの子供が父母の離婚に直面をしております。今回も、国民の裁判を受ける権利、法律的に守られる権利というのはありますが、本当にこの子供たちは、自分たちが権利を持っていることも自覚されませんし、それから声を上げる場所もない。親の都合だけで経済的、精神的、社会的に大変困難な状況に追い込まれております。
そういうことで、今回、実は、少し異例かもしれませんが、私の方で、今進んでおります法制審議会で、離婚後の子供の養育の在り方という審議会を進めております。昨年の二月に上川法務大臣が諮問をしたものです。
その諮問については、もちろん法制審議会の独立性というところがあるんでしょうが、私どもは立法府として、あるいは私自身は、本当にこの離婚に直面して苦しむ父母、子供さんから随分直接、駆け込み寺のように声が届いておりますので、その声を踏まえながら、まず最初に資料一として出させていただきました。
法制審、この夏に示す予定の中間報告のための部会資料が三月二十九日の資料十二、十三として出されております。これを読み込みまして、私自身、大変驚きました。日本の家族制度と親子関係を根底から破壊するおそれがあるのではないのかということで、ちょっと十項目、ポイントだけを指摘させていただきます。全体としては、この資料十二、十三は百ページ近くあるんですけれども。
まず、離婚後共同親権を導入といいながら、見せかけの共同親権。父母の合意を前提とする選択的共同親権。
二点目は、親権の中から日常的な監護権を分離をし、婚姻中も片親状態を強化する。監護権の付与は、出生から現在までの生活等、産む性としての女性を優先する。
三点目は、離婚後共同監護の禁止。ということは、親権要素から監護権を除外して離婚後単独親権制に代わる離婚後単独監護制を創設する。となると、今子供の片親ロスが問題なんですが、余計にこの片親ロスの状態を固定化するのではないか。
監護権を剥奪した親、別居親から親権を剥奪する現行の裁判運用の制度化。継続性の原則を制度化する。
五点目です。婚姻中の実子誘拐を合法化。ここは、親権要素から居所指定権、つまり子供の暮らす場所の指定権を除外をしますので、表向き共同親権といっても、言わば実子を移動させるのは自由になる。
第三者による親子関係制限、親子断絶を合法化する。子の代理人制度創設。現在の単独親権制度の夫婦分離影響をより強化するのではないか。
七点目ですけど、親権、監護権を剥奪された親から養育費を強制徴収するための未成年子扶養請求権を創設、その代理者を監護者に付与し、細部までの執行手続を明文化。つまり、監護者を排除しながら扶養義務だけは強化する。
八点目です。婚姻中の単独親権制。明治民法は父だけが親権だったわけですけど、それを復活をして、親権の最重要要素である監護権を婚姻中から単独で父母の一方が排他的に獲得できることを制度化。
九点目。現に関係が断絶、分離されている親子の救済措置が欠如。本当に、子供を連れ去られて自殺をしてしまったお父さんとかその寸前の方たちの声も、私、大変、直接伺っております。そういう方たちの救済措置がない。
全体として、真に子供の利益になる制度かどうか大変疑わしい。離婚後の子供の福祉の維持向上などの記述は養育費以外ほとんどありません。
となると、もちろん今審議中です。審議中のものに対して、また、本当に持って回った表現なので、私がここで十項目挙げたことが不適切なところもあるかもしれませんが、こういう資料が出され、そして提案されているということは、私たち、大変この分野に関心を持つ者としては学ばせていただく必要があるだろうと。
この原案を法制度化した場合、四つの社会的影響が懸念されます。
一つは、性別による役割分業制を固定化する。女性は子育て、男性は言わば経済、政治。男女共同参画という時代のニーズに逆行するのではないか。
二点目は、別居、離婚後の夫婦間の対立をむしろ激しくさせる制度設計で、EU議会始め、海外からの非難決議がございます。国際的潮流にも逆行し、海外の調査、二十四か国調査による結果の反映もされていない。
三点目は、日本も一九九四年に批准しました子どもの権利条約違反。この九条には、親が別居したり離婚しても、子供は父と母両方の愛情を受けて育つべきであるという原則的な理念がございますが、それに反しているのではないか。
そして、四点目ですが、日本国憲法二十四条に規定された、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚するという規定に違反するおそれがあるのではないかと思います。
このようなことで、法務大臣としては、もちろん立場上、また今の段階で意見は言いにくいと思いますが、御感想をお願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/123
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124・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 父母の離婚後の子の養育の在り方は、子供の生活の安定や心身の成長に直結する問題であり、子供の利益の観点から重要な課題だと認識しております。
今御指摘のような父母の離婚後の親権制度につきましては、離婚後も父母の双方が子供の養育の責任を負うべきであるとして、いわゆる共同親権制度を導入すべきであるとの意見がある一方で、共同親権制度を導入することに対しては、父母の離婚後に子供の養育に関する様々な事項の決定を適時に行うことが困難となるといった慎重な意見もあるなど、様々な意見があるものと承知をいたしております。
こういった様々な意見を含め、父母の離婚後の子の養育の在り方やそれに関連する諸課題については、法制審議会において様々な角度から幅広く調査審議中であります。
委員の御指摘されますこの多数の論点項目につきましては、現在、法制審議会におきまして調査審議が行われているところであります。法制審に諮問をした法務大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、引き続き、子の最善の利益の確保等の観点から、充実した調査審議が行われることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/124
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125・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
当然の御回答だと思います。夏以降示される中間試案を待たせていただくことになると思いますが、今審議途中のことも、私ども、この問題に深く関わる立法府の議員としては勉強させていただいているということでございます。
今日、実は資料二として、かなり長いんですが、一般国民の方が書かれた論文を出させていただきました。実は、婚姻中共同親権と民法八百十八条に規定されているんですが、この婚姻中の共同親権は形式にすぎず幻だったのではないかということを、専門家ではない方が、戦後の、特に昭和二十二年、憲法改正され民法改正された当時の奥野、当時の司法庁のお役人さんです、それから我妻さんたちの議論を発掘しながら、元々、父母の婚姻中、父母が共同して親権を行使することとなっているけどそれができていなかった、そのことを日本では全く規定をしてこなかった、ですから放置状態になっているということを調べております。
この問題については、どちらかというと明治以降、親権は男性一人だった、それが共同親権になるといろいろ不都合がある。特に、先ほど大臣も言っていましたけど、共同親権になると適時適切に子供の利益に即した判断ができない、判断が遅れてしまうということを当時、大変力があった我妻先生が何度も何度も繰り返しておられます。それがいまだにそう思われているということなんですけれども、いろいろな現場を見せていただきますと、そもそもが父母分断をして、そして男女対立的な構造を埋め込んでいる日本社会においてここをどう乗り越えたらいいかというのが私は本来の男女共同参画のあるべき方向だろうと思います。
ということで、今、この資料二、もしお読みいただいておりましたら法務大臣に、子供の養育に関して婚姻中の父母の意見が対立して合意形成が得られない場合、民法上の調整規定設ける必要性あるでしょうか。法務大臣の御意見をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/125
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126・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) 先ほども申し上げましたとおり、この法制審議会におきましては、今現在、様々な角度から幅広く議論がなされている最中でございます。そして、その中で、婚姻中の父母の意見が対立した場合における親権行為の在り方についても議論がなされているものと承知をいたしております。
法務大臣としては、引き続き、子の最善の利益を確保する観点から、充実した調査審議が行われることを期待しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/126
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127・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 次の質問も少し言葉を換えているだけなんですけれども、子供の養育に関する家庭内における父母間の意見の対立について、どの程度まで父母の自律的な選択を尊重し、どの程度から当事者の自律救済を禁止して父母の意見調整を国が支援をすること、特に家庭という私的領域に国家が介入することが子供の最善の利益を確保するために妥当だと思われるでしょうか。法務大臣に、繰り返しで申し訳ないですが、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/127
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128・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) お答え申し上げます。
繰り返し申し上げておりますとおり、法制審議会におきましては、様々な角度から今幅広く議論がなされているところでございます。
婚姻中も含め、父母間の意見の対立が生じた際の対応策につきましては、どのような場合に父母間の協議による解決を期待し、どのような場合に家庭裁判所の関与が求められるのかなど非常に難しい問題を含んでおりまして、様々な意見があり得ると考えられますが、いずれにしましても、子の最善の利益を確保する観点から議論されることが重要であるというふうに認識をいたしております。
現在、繰り返しになりますけれども、現在行われております、法制審において行われておりますこの調査審議に、引き続きこれが充実したものになるよう期待をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/128
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129・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 時間になりましたので、質疑をまとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/129
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130・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 はい。
ありがとうございます。
来週は子供の声というのを取り上げさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/130
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131・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/131
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132・真山勇一
○真山勇一君 私は、立憲民主・社民会派を代表し、民事訴訟法等改正案に反対の立場から討論をいたします。
私たちの社会の変化とスピード化で、今や裁判の在り方も大きく影響を受けています。審理の迅速化、スピード化や、合理的、効率的な審理が求められるようになっています。こうしたことを受けて、今回の改正案は、審理手続等のIT化を始め、審理を六か月で終わらせる法定審理期間訴訟手続、いわゆる期間限定裁判の導入などが主な内容となっています。
しかし、委員会での質疑、そして参考人の意見聴取等を振り返るにつけ、改正するには論議が十分になされたとは言えません。また、ウエブによる裁判の仕組み等も未確定のままで走り出そうとしています。
特に、期間限定裁判という新しい制度は疑問だらけです。外国にはないということですが、なぜないのか調査すらしていないという答弁でした。裁判は時間が掛かる、だから早く済ませたい、こう考えるのはどこの国の場合でも同じではないでしょうか。しかし、期間限定の裁判などは世界中どこにもないと言います。それはなぜか、納得できる説明はついにありませんでした。
期間限定裁判では六か月で判決が出されます。いつ終わるか分からない裁判の悩みがなくなるのはいいかもしれません。しかし、裁判の当事者双方が合意をして始めたのにもかかわらず、途中で一方が期限付はやめたと言えば通常の裁判になってしまうのです。突然やめられた方は、一体どうなっているんだろうかと戸惑うばかりではないでしょうか。これで、公正公平で充実した裁判ができるのでしょうか。
また、裁判手続のIT化自体は今の時代の求めるものであり、積極的に進める、待ったなしだと思います。しかしながら、インターネットの環境整備が十分とは言えず、また、重要なセキュリティーについても不安がそのまま残されています。ウエブ裁判のもう少し具体的な在り方、仕組みを明確にして進めるべきであると強く申し上げたいと思います。
改革というのは、時代の変化、社会の変化に合わせて進めていくのは当然です。しかし、司法に関しては、とりわけ公正公平、そして審理を尽くすことが最優先されるべきです。法改正に当たっては誰もが納得する立法事実が必要ですが、それは見当たらず、改正に当たっての論議は余りにも足りません。
今回の審議の結果、十二項目の附帯決議が付けられる予定です。しかし、これらの項目は、附帯決議ではなくて、本来、どれもあらかじめ改正案に盛り込まれて提出されるべき内容ではないでしょうか。
法務省に対し、今後の法改正に当たっては必ず十分な事実、資料、データに基づいた論議を積み重ねていただきたいとの要求を申し上げて、本法案の反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/132
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133・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、民事訴訟法等改正案に反対の討論を行います。
第一に、法定審理期間訴訟手続、期間限定裁判は、裁判を受ける権利を侵害し得るものです。裁判官が判決を下すことができるのは、当事者が主張と立証を尽くし、審理が尽くされ、訴訟が裁判をするのに熟したときです。期間限定裁判は、この大原則に反し、期間を優先して、当事者の主張、立証の機会を制限しようとするものです。
法務省は、裁判の勝敗より時間と費用を優先したいという企業法務のニーズがあると言います。しかし、それは、裁判を権利と正義の実現から経済合理性優先にゆがめるものと言わなければなりません。しかも、法案は企業法務に限定しているわけでもありません。当事者双方の主張や証拠が明らかで争点が少ない事案なら、あらかじめ期間を定めなくとも迅速に審理を行うことは可能です。審理計画の仕組みを活用することもできます。
また、期間限定裁判による判決は、判決において判断すべき事項を当事者双方と確認し、その事項のみを記載すれば足りるとされ、部分的で簡略な判決となります。粗雑な審理で出された簡易な判決が蓄積されることは、これを先例とする将来の国民の自由と権利を後退させるおそれがあります。消費者事件、個別労働事件は対象外とされていますが、当事者間に証拠の偏在や資力の差があるケースは多々あり、懸念は払拭されません。
第二に、当事者の意思に反してオンラインによる口頭弁論が強制されるおそれがあります。直接主義、口頭主義、公開主義の原則に照らして、裁判関係者が一堂に会する場面は重要な意味を持ちます。法案は、裁判所が相当と認めるときは当事者が異議を述べてもウエブ会議等で可能だとしており、裁判を受ける権利を後退させます。
第三に、オンライン申立て等の一部義務化は拙速です。法案は、義務化の対象を弁護士等が代理人となる場合に限定していますが、自らの訴訟記録をオンライン上に置くことを当事者に事実上強制することとなり、妥当ではありません。セキュリティーを含めた信頼性、安定性、利便性の確保されたシステムづくりから開始すべきであり、義務化の先行は拙速です。
裁判所の人的、物的体制の拡充、訴訟費用の低廉化など、司法アクセスを改善して裁判を受ける権利を実質的に保障することこそ求められていると指摘し、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/133
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134・高良鉄美
○高良鉄美君 私は、沖縄の風を代表して、民事訴訟法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論いたします。
民事訴訟手続のIT化については、質疑を通して課題もありましたが、IT化の必要性については一定の理解をしています。しかし、IT化を推進する法律案に法定審理期間訴訟手続、いわゆる期間限定裁判が盛り込まれたことには反対であるため、以下、反対理由を申し述べます。
第一に、立法事実が明確に示されなかったということです。期間限定裁判は裁判の迅速化と期間の予見可能性を高めるとして盛り込まれましたが、質疑を通して、迅速化にも予測可能性を高めることにもつながる根拠は示されませんでした。
法改正をする上で最も重要なのが立法事実であるのに、古川大臣や政府参考人が立法事実として挙げたアンケートは都合よく切り取ったもので、立法事実を基礎付けるものとは認められないということです。むしろ、期間限定裁判が近代裁判の原則に反する諸外国にない制度で、裁判の本質を根底から変えてしまうおそれがある、不十分で粗雑な審理になる危険性があるなど、この制度を導入することへの懸念が示されたことを重く受け止め、本法案から除外すべきでした。
第二に、期間限定裁判は、裁判を受ける権利を侵害するおそれがあるということです。主張、立証が尽くされたときに判決をするというのが近代訴訟の原則でもあります。だからこそ、期間が来たら判決をするという制度は諸外国にはないのです。裁判の本質を根底から変えてしまうおそれがあることが参考人からも衆参の委員からも指摘されましたが、法務省からは明確な答弁はありませんでした。
裁判を受ける権利は憲法に定められている国民の権利であるにもかかわらず、憲法で保障された権利を擁護する立場にある最高裁がこれを脅かすおそれのある期間限定裁判を出してきた経緯を見ても、適正手続の観点からも疑問、問題があるのではないかと言わざるを得ません。
訴訟が長期化する要因は、裁判所の物的、人的な基盤整備が不十分であることだと指摘してきました。最高裁も、裁判を受ける権利は憲法上保障されている重要な権利だと認識している、また、適正迅速な裁判の実現のためには裁判所における人的、物的体制を確保していくことも重要であると答弁されました。訴訟の長期化を解消するために、裁判所の人的、物的体制を確保することが最優先に行われるべきです。
以上の理由から、民事訴訟法の一部を改正する法律案に反対であるということを申し上げ、私の反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/134
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135・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
民事訴訟法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/135
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136・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、有田君から発言を求められておりますので、これを許します。有田芳生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/136
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137・有田芳生
○有田芳生君 私は、ただいま可決されました民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び碧水会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 本法施行後において、訴訟手続の電子化が速やかに行われ、適切な裁判が実施されるよう環境整備及び事務負担の軽減に努めること。
二 訴訟手続の電子化を円滑に進めることが利用者の利益になるという観点から、施行後五年を経過した場合における検討に当たっては、改正法の施行状況や施行後の情報通信技術の進展等の社会経済情勢を踏まえつつ、電子情報処理組織による申立て等の利用を拡大・促進するための方策について検討すること。
三 訴訟代理人に委任しない者が電子情報処理組織による申立て等を容易に利用できるよう、関係機関及び日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会等と連携し、必要に応じて弁護士・司法書士等による支援を受けられる環境整備に努めること。
四 訴訟手続は国民の権利関係の得喪に深くかかわり、その電子化は重大な事柄であるから、制度の円滑な施行を実現し、その利用を促進するため、関係機関及び日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会等と連携して、制度の周知を十分に図ること。
五 裁判所の電子情報処理組織を構築するに当たっては、サイバー攻撃などで訴訟記録が流出して訴訟関係者のプライバシー侵害が起こらないよう、適切なセキュリティ水準を確保するとともに、訴訟代理人に委任しない者が電子情報処理組織による申立てを容易に利用できるよう、日本弁護士連合会・日本司法書士会連合会等の意見を聞き、利便性を高めるよう努めること。
六 訴訟記録を電子化するに当たり、事件記録の保存期間を広げるとともに、判決書については、国民が調査や分析しやすいものとなるよう努めること。
七 ウェブ会議の方法による証人尋問等については、心証形成が法廷で対面して行われるものとは異なる場合もあることを踏まえ、裁判所における相当性の判断が適切に行われるよう法制度の趣旨について周知すること。
八 口頭弁論等における当事者等のウェブ会議による参加については、当事者や証人へのなりすましを防止すること及び第三者からの不当な影響を排除すること並びにウェブ会議の録音・録画を防止することを確保できるよう努めること。
九 訴えの提起の手数料の在り方について、本法施行後における裁判手続の事務処理の実態等のほか、訴える側の資力により適正な訴額の請求を断念せざるを得ない状況があるとの指摘や、手数料の低額化及びその算出を簡明なものとする定額化を検討すべきとの指摘も踏まえつつ、関係団体の意見聴取にも努めるなどしながら、負担の公平の見地から、必要な検討を行うこと。
十 訴訟手続の電子化を速やかに実現させるため、裁判所の必要な人的態勢の整備及び予算の確保に努めること。
十一 民事訴訟手続を利用する障害者に対する手続上の配慮の在り方について、本法施行後の制度の運用状況及び障害者の意見も踏まえて、障害者のアクセスの向上に資する法整備の要否も含めて検討し、必要な措置を講じること。
十二 附則第百二十六条の規定による検討については、改正法の施行状況や施行後の情報通信技術の進展等を踏まえて、適時に行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/137
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138・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) ただいま有田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/138
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139・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 多数と認めます。よって、有田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
ただいまの決議に対し、古川法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。古川法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/139
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140・古川禎久
○国務大臣(古川禎久君) ただいま可決されました民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/140
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141・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/141
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142・矢倉克夫
○委員長(矢倉克夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815206X01220220517/142
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