1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月九日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第七号
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令和四年三月九日
午前十時 本会議
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第一 国務大臣の報告に関する件(令和四年度
地方財政計画について)
第二 地方税法等の一部を改正する法律案及び
地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣
旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(令和四年度地方財政計画について)
日程第二 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
以上両件を一括して議題といたします。
まず、総務大臣の報告及び趣旨説明を求めます。金子恭之総務大臣。
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/1
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002・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 令和四年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、令和四年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
本計画の策定に際しては、通常収支分については、地域社会のデジタル化や公共施設の脱炭素化の取組等の推進、消防防災力の一層の強化等に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。
あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで令和三年度の地方財政計画を上回る額を確保するとともに、地方交付税総額を増額して確保しつつ、臨時財政対策債を大幅に抑制することとしております。
また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。
以上の方針の下に、令和四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、令和三年度に比べ七千八百五十八億円増の九十兆五千九百十八億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が二千九百八十七億円などとなっております。
次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
現下の経済情勢等を踏まえ、土地に係る固定資産税等の負担調整措置について、令和四年度に限り、商業地等の課税標準額の上昇幅を評価額の二・五%とする措置を講ずることとしております。
また、法人事業税の付加価値割における給与等の支給額が増加した場合の特例措置の拡充、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の延長等を行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
令和四年度分の通常収支に係る地方交付税の総額について、十八兆五百三十八億円を確保するとともに、交付税特別会計借入金について、令和四年度及び令和五年度の償還額を増額し、令和三十六年度までに償還することとするほか、普通交付税の算定に用いる単位費用等の改正を行うこととしております。また、令和四年度分の震災復興特別交付税について、新たに九百二十九億円を確保し、総額一千六十九億円とすることとしております。
以上が、令和四年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。柘植芳文さん。
〔柘植芳文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/3
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004・柘植芳文
○柘植芳文君 自由民主党の柘植芳文です。
自民、公明を代表し、ただいま議題となりました令和四年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について金子総務大臣に質問をします。
冒頭、ロシアによるウクライナへの侵略という力による一方的な現状変更の試みに強く抗議をいたします。全く許すことのできない暴挙です。政府におかれても、国際社会と連携協力し、世界の安全保障への脅威に対処することを強く求めます。
コロナ、感染力は強いが重症化率が低いという特性を持つオミクロン株の感染拡大により、新型コロナウイルス感染症との闘いはこれまでとは違った局面を迎えております。新規感染者数はピークアウト傾向にあるものの、急速に低下する状況にはなく、そのため、重症者数自体は過去最高水準にあり、感染症対策等に引き続き緊張感が求められる状況には変わりはありません。
二年を超える新型コロナウイルスとの闘いは、保健行政等で住民と直接対応する地方自治体が最前線となり、地域地域の状況に応じた対応に奔走し、それを国が全力で支えるという形で進んできました。今も、病床の確保や重症者への対応のみならず、ワクチンの三回目接種や、第五波の数倍とされる新規感染者の中での自宅療養者や宿泊療養者への対応、重症化が懸念される感染者への中和抗体薬の投与など、地方自治体が担う役割はますます大きく、かつ重要となっています。都道府県や市区町村としては、コロナ禍を乗り切ったとしても、これまで蓄積してきた財源等は使い切ってしまうのではないかなど、コロナ後の自治体運営に不安を抱えているところが大半であります。
そこで、令和四年度の地方税及び地方交付税等から見て、地方自治体が新型コロナウイルス感染症に対処していくための財源的措置、ポストコロナを見据えた地方財政の展望をしっかりと確保されているでしょうか。地方公共団体が安心感を持ってコロナ対応等に邁進できる説明をいただきたいと存じます。
成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現する要となるのが分配戦略であり、その一丁目一番地として、岸田内閣は、所得の向上につながる賃上げを掲げています。
そこで、企業の賃上げ意欲を高めるために、法人税では、大企業の場合、継続雇用者全体の給与等支給額の増加額の最大三〇%、中小企業の場合は雇用者全体の給与等支給額の増加額の最大四〇%を税額控除する大胆な支援策を打ち出しましたが、地方税でも継続雇用者給与等支給額を三%以上増加させる法人を対象として、雇用者給与等支給額の対前年増加額を付加価値額から控除する二年間の時限措置を講ずることとしています。
今、経済団体も、これまでの株式配当や内部留保重視から、従業員を含むマルチステークホルダーに配慮した経営戦略の重視を訴える声が強くなっており、岸田内閣の掲げた賃上げに向けた環境は整いつつあります。
そこで、地方税を預かる総務大臣としても、今回の時限措置が十分な効果を生むよう、どのように事業者に働きかけていくつもりでしょうか。
世界を襲う新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本経済も厳しい状況に直面し続けています。しかも、業種によっては状況が大きく変わるという特色を持っております。
固定資産税は三年に一度、評価替えをして土地などの評価額を決めることとなっていますが、昨年の地方税法改正では、地価が上昇した土地の課税標準額を据え置き、コロナ前の地価上昇分の影響がコロナ禍で厳しい状況に置かれている方々にも及ばないよう配慮されてきました。
一方、今回の改正案では、住宅用地や農地等については現行どおりとなっていますが、商業地等については、地価上昇により税額が増加する場合、前年度税額に評価額の二・五%分の税額を加算することとし、原則である五%の半分となっております。
確かに、コロナ禍における経営等への影響が業種によって異なるため、ほぼ影響を受けていない業種もありますが、大きな影響を受けている業種には、原則の半分とはいえ、重い負担となる心配があります。ただ、固定資産税は市町村の基幹税でもあり、今回の措置により想定した税収が減ることとなります。
そこで、今回の土地に係る課税標準の見直しを行うに当たって、住宅用地の扱いを含め、市町村財政への影響を踏まえてどのような措置を講ずることとしたのか、御説明ください。
新型コロナウイルスによる経営の、経済の影響を最小限にとどめるためには、飲食業、観光業、輸送業など厳しい状況にある業種等の雇用等を守り抜くことが大切ですが、同時に、リモート勤務の増加などを受けて業績を上方修正した業種に経済を前に進めていただかなければなりません。事実、首都圏等でマンション価格が上昇し、バブル期以来の不動産価格になっています。経済の実態と乖離した不動産市場になることは避けなければなりませんが、リモート勤務等で発生した新たな買換え需要を後押しすることは、現下の経済活性化からも、より生活にマッチした居住空間の確保という視点からも、極めて有意義と考えます。
また、海外の経済状況や国際コンテナ等の物流の目詰まり、さらにはウクライナ状況による世界的な経済の混乱等を受けた資材等の価格上昇により、住宅需要が冷や水を浴びせられるようなことも避けなければなりません。
このような状況の下、今回の住宅ローン控除の改正は、控除率を〇・七%に引き下げる一方、控除期間を十三年間とすることにより、これまで控除額を引くことができなかった中低所得者にも配慮したものとなっております。また、住民税の控除上限額についても、課税総所得金額等を七%から五%へと改正することが提案されていますが、これらの改正の効果について伺います。
新型コロナウイルス感染症による最初の緊急事態宣言が発出されたとき、リモート勤務であるにもかかわらず、役所への提出書類に印鑑を押すために出勤しなければならなくなったという話もありました。今ではリモート勤務も定着し、このような状況は改善されたと思います。
現在、確定申告の時期を迎えていますが、e―Taxを活用して、税務署ではなく、デジタルでの提出がお願いされているところです。新型コロナウイルス感染症の拡大により、求められている新しい生活様式の実現のために、国税のみならず地方税においても、わざわざ出向かなくても納税できる環境は毎年整備が進んでいると伺っております。
地方税において納税環境のデジタル化を進めていくことは重要でありますが、デジタルに不慣れな高齢者の方や障害をお持ちの方、離島等で通信インフラが十分に整備されていない地域にお住まいの方もいらっしゃいます。昨年九月には菅前総理肝煎りのデジタル庁が発足しましたが、デジタル庁も誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指しています。
デジタル納税の環境整備と併せて、デジタルに不慣れな方への支援を図るためには、地域に根差し、全国津々浦々に配置されている郵便局等の活用も不可欠と考えますが、この点をお伺いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/4
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005・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 柘植議員からの御質問にお答えいたします。
まず、新型コロナへの対応に取り組む自治体の財政について御質問いただきました。
自治体が財政面の心配なく積極的に新型コロナ対応に取り組めるよう、ほとんどの事業を全額国費により措置してきています。
また、令和四年度の地方財政計画においては、自治体が重要課題に取り組みつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な一般財源総額を確保しております。自治体の安定的な財政運営の観点から最大限の対応ができたと考えており、地方六団体からも評価をいただいているところでございます。
次に、賃上げ税制について御質問いただきました。
賃上げに向けては、政府全体としてあらゆる施策を総動員して取り組むことが重要と考えております。今般、国税と同様、法人事業税においても、一定の賃上げを行った外形標準課税の対象法人に対して税負担を軽減することとしております。
総務省としては、地方団体を通じ、この税制改正の趣旨について広く周知を図ってまいります。
次に、固定資産税について御質問いただきました。
令和四年度の土地に係る固定資産税の負担調整措置については、足下の経済状況を踏まえ、負担の軽減を求める要望があった中で、市町村財政に配慮する観点から、据置措置は令和三年度限りとするとともに、住宅用地については既定の措置を適用することとしております。固定資産税は市町村の財政を支える基幹税であり、今後ともその安定的確保を図ってまいります。
次に、住宅ローン減税について、あっ、住宅ローン控除について御質問いただきました。
今回の税制改正においては、控除率や個人住民税の控除限度額の見直しを行う一方で、新築住宅などについて控除期間を十年から十三年に延長する措置を講じることとしております。
この結果、将来の、従来の制度では満額控除できていなかった中所得者層以下の納税者にとっては、控除期間が延長されることにより総控除額が増えるといった支援の拡充につながると考えております。
最後に、デジタルに不慣れな方への支援のための郵便局の活用について御質問をいただきました。
郵便局においては、デジタルに不慣れな高齢者などに向けて、例えば、使いやすい端末を活用した見守りサービスの提供などの取組を開始されております。このように、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向けて、地域の重要な生活インフラである郵便局に積極的な役割を果たしていただくことは大変有意義であると認識しております。
総務省としても、実証事業などを通じ、こうした郵便局の取組をしっかり支援してまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/5
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006・山東昭子
○議長(山東昭子君) 木戸口英司さん。
〔木戸口英司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/6
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007・木戸口英司
○木戸口英司君 立憲民主党の木戸口英司です。
私は、立憲民主・社民を代表して、ただいま議題となりました令和四年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず冒頭、ウクライナへの侵略を進めるロシア軍の攻撃は一層激化し、市街地やインフラが破壊され、多くの民間人に犠牲が発生しています。国外逃避が二百万人に達しています。原子力発電所への攻撃、占拠、これら暴挙を厳しく非難し、国連で採択された非難決議にあるように、ロシアには即時完全無条件撤退を要求します。
それでは、質問に入ります。
地方税財政に係る政策立案はもとより、地方交付税の算定などにも用いられ、合理的な意思決定を行うための基盤として国の根幹を支えている公的統計について伺います。
デジタル庁、こども家庭庁のように、総理肝煎りの施策については急ピッチで体制整備が進められています。しかしながら、公的統計については、三年前に発覚した厚生労働省の不正以降も、再発防止策の浸透、定着が遅々として進まず、予算と人員が一向に増えていません。今般の国土交通省による統計不正は、政府内で統計が軽視され続けてきた証左ではないでしょうか。
今般の不正において、業務過多により疲弊した職員が、前例踏襲、事なかれ主義で不正を続けてしまったことは、当該職員、当該部局の責任というより、統計を軽視し、統計担当部局に十分な人員と予算を確保してこなかった政府の責任であると考えますが、統計制度を所管する金子総務大臣の見解を求めます。
また、山際国務大臣は、今般の統計不正によるGDPへの影響について、現時点においては軽微と繰り返し答弁していますが、無視できないような影響がGDPに及んでいるのではないかと指摘する専門家もいます。
現在、国土交通省において統計の復元が行われていますが、復元を待つことなく軽微と言い切ってしまうことは、統計の軽視にほかなりません。改めて、統計の重要性への認識とGDPへの影響について、山際経済財政政策担当大臣の見解を伺います。
次に、地方税法案のうち、まずは固定資産税について伺います。
景気回復に万全を期すという名目の下、土地に係る固定資産税の負担調整措置について、令和四年度に限り、商業地等に係る課税標準額の上昇額を、本来評価額の五%のところ二・五%にとどめる特別な措置が講じられました。
今回の措置に対して地方側は極めて遺憾とし、令和五年度は既定の負担調整措置を確実に実施し、制度の根幹を揺るがす見直しは断じて行うことのないよう強く求めています。
感染症により厳しい経営環境にある事業者等への支援については、予算措置等によるきめ細かな対応を行うべきものであって、地方税、とりわけ市町村の基幹税である固定資産税を用いるべきではありません。
今回の地方税法改正案に地方の意見はどのように反映させたのでしょうか。地方の意見を反映させた改正項目があれば示してください。また、地方からの厳しい指摘をどのように受け止めているのか、総務大臣の見解を伺います。
景気回復に万全を期すことに異論はありません。しかし、利益を上げている事業者の固定資産税負担を軽減するような税制改正は地方税にふさわしくありません。なぜ予算措置等による個別の対応ではなく、商業地等を対象に税負担を軽減するという対応となったのか、その合理的な理由について総務大臣に明確な答弁を求めます。
百歩譲って、国策として固定資産税の減税を行うのであれば、市町村の財政運営に支障が生じないよう、全額国費による補填を行うべきです。なぜ国費による補填を行わないのか、長期化するコロナ対策に苦慮している市町村の財政運営に支障は生じないか、地方団体が納得できるだけの根拠を、総務大臣、明らかにしてください。
次に、住宅ローン控除について伺います。
住宅ローン控除については、家を買うことのできる中高所得者層の税負担を低所得者も含めたそれ以外の者が納めた税金で賄う仕組みであることから、政策効果や公平性をめぐって疑問視する声があります。
その上で、住宅手当や住宅確保の支援、空き家の有効活用など、本当に困っている人への支援を進めていく方向で住宅政策の転換が求められています。
持家、借家を問わず、多くの国民に恩恵が及ぶ制度を導入すべきと考えますが、住宅ローン控除の今後の在り方と併せ、斉藤国土交通大臣の所見を伺います。
立憲民主党は、トリガー条項の凍結の解除を求め、そのための法案を提出しております。現在の原油価格の著しい高騰を踏まえれば、速やかな解除が求められています。
一方、仮に一年間発動が続いた場合、地方への影響として、軽油引取税と地方揮発油譲与税を合わせて年間で約五千億円以上の減収が見込まれております。我々の法案では、トリガーの発動による地方公共団体の減収を補填するために必要な措置を講ずるものとしております。この点に関し、総務大臣の所見を伺います。
次に、交付税法案について、地方交付税法案について伺います。
これまで長きにわたって、我が国においては、国と地方の歳出比率がおおむね四対六であるのに対し、税源割合はおおむね六対四と不均衡な状況が続いています。税源配分の見直しについて、地方分権改革推進委員会第四次勧告では、五対五を今後の改革の当初目標とすることが適当とされたところです。
しかし、この不均衡は長きにわたって改善されることがないまま今に至っています。五対五という目標は現在も堅持されているのか、また、今後の具体的な改革の方向性について、鈴木財務大臣と総務大臣に伺います。
しかし、令和四年度地方財政計画では、地方税収は過去最高水準となるなど、高い税収見積りとされています。それでも地方に約二・六兆円という巨額の財源不足が生じていることは、構造的な問題と言えます。
地方交付税の法定率の引上げについては、昭和四十一年度以降は、幾つかの年度を除き、行われていません。加えて、平成十三年度以降は、地方に臨時財政対策債を起債させた上で、国が後からその償還財源を交付税措置するという極めていびつな制度が、当初は三年間の時限措置とされていたにもかかわらず、二十年以上経過した今なお継続しています。
この臨時財政対策債の廃止と法定率引上げに本気で向かう覚悟はあるのか、総務大臣に伺います。
令和四年度地方財政計画においては、当初ベースで二年ぶりに折半対象財源不足が解消したほか、臨時財政対策債の発行も縮減されました。また、交付税特別会計借入金も五千億円の償還を行うこととなり、地方の債務が縮小する方向となっている点については一定の評価をします。
しかし、これまで地方の債務の縮減は余裕があるときに行うというだけの場当たり的な対応が続き、これらの債務縮減に向けた方針は見えてきません。
臨時財政対策債と交付税特別会計借入金、これら巨額の債務を中長期的にどのように縮減していくのか、具体的な方針を総務大臣に伺います。
明後日は三月十一日、東日本大震災から十一年目を迎えます。令和四年度地方財政計画では、昨年度からの繰越分も含め、震災復興特別交付税が約千六十九億円計上されています。年々縮小する現状にあります。この震災復興特別交付税については、復興は道半ばで現場でのニーズも更に多様化していることから、引き続き万全の財源措置が必要です。
今後も、震災復興特別交付税制度を堅持し、地方公共団体において必要な復興経費の確実な確保とともに、今後の復興に係る多様な財政需要に対応した柔軟な制度が求められますが、総務大臣の見解を伺います。
森林環境譲与税の譲与の基準について、総額の十分の五を私有林人工林面積、十分の二を林業就業者数、十分の三を人口で案分することとしています。人口の割合が大きく、大都市と地方の間で配分額に著しく差が生じる結果となっている点について、多くの地方議会から意見書が提出され、問題点が指摘されてきました。さらに、実際に森林環境譲与税の譲与が始まった令和元年度及び令和二年度の市町村への譲与額のおよそ半分が使われず、基金に積み立てられていたことも明らかになりました。
金子総務大臣は、森林環境譲与税について、地域の実情に応じた様々な取組の実施状況を見極める必要があると答弁していますが、令和四年度にも譲与額が前年度から百億円増額される見込みです。
今の森林環境譲与税の譲与基準の在り方を検証し、見直しを図るべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
地域デジタル社会推進費は、地域社会のデジタル化を推進するためとして、令和三年度と令和四年度の二か年度において、各年度二千億円が計上されています。当初は集中的な措置としてこの二か年度限りとしていましたが、特に高齢者の多い地方においては、デジタル技術が生活に根付くまで、より息の長い取組が必要ではないでしょうか。
地域社会にデジタル技術が根付き、誰もが真に便利な生活を送ることができるよう、令和五年度以降も地域デジタル社会推進費やそれに類する費目を継続して計上し、地域のデジタル化を継続的に支援すべきと考えますが、総務大臣の見解を求めます。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止などに充てられる新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、累計で十五・二兆円が措置されてきました。各地域の実情に応じて、感染症対策や地域経済の下支えのため、地方創生臨時交付金は財源面で重要な役割を果たしてきたと考えますが、まずは、その認識を改めて野田地方創生担当大臣に伺います。
また、全国知事会は、オミクロン株による感染急拡大に対応できるよう、令和三年度補正予算で措置された地方単独事業分の配分残額について早期に配分するとともに、新たな変異株による感染急拡大なども見据え、更なる財源措置などを求めています。地方の声を真摯に受け止め、今後も一層の対応が必要と考えますが、所見を野田地方創生担当大臣に伺います。
令和三年の人口移動について、住民基本台帳人口移動報告によれば、比較可能な平成二十六年以降で初めて東京二十三区で転出超過となりました。しかし、人口の動きを見ると、東京二十三区から周辺三県への人口移動が多く、それ以外の地域の大半は転出超過のままで、根本的な構造は変わっていません。地方からの人口流出が進むとともに、地方財政は一層厳しさを増し、地域の過疎化に拍車を掛けています。総務省は地域おこし協力隊など様々な取組を続けており、一部の地方移住を希望する人の後押しにはなっていますが、全体のトレンドを変えるには至っていません。
東京一極集中是正のため、更なる思い切った取組が必要と考えますが、今後の取組の方向性について総務大臣に伺います。
新型コロナウイルス感染症の蔓延で、新型コロナ患者の受入先として公立病院が重要な役割を果たすなど、公立病院の存在は地域医療において欠かせないものであると広く再認識されたところです。一方で、公立病院の厳しい経営が続いてきた中、医師不足と偏在が進み、新型コロナの影響が一層状況を深刻化させ、地域医療の現場から地域医療崩壊の危機が叫ばれています。この間、地域医療構想の下で必要病床数を設定し、病床削減が迫られていることに地方から不安の声が強まっています。
総務省においては、各地方公共団体が策定する公立病院経営強化プランに基づき、機能分化、連携強化の推進に係る病院事業債特別分の拡充、延長等の地方財政措置を講じることとしておりますが、この対応は公立病院を中心とした地域の医療を守ることに真に資するものと言えるのでしょうか。総務大臣の見解を伺います。
医師不足地域では、医師の養成確保の取組に多額の財源が投入されている現実があり、更なる財政支援が必要と考えますが、所見を総務大臣に伺います。
地方公共団体が人口減少の下で疲弊する地域経済の現状を克服し、個性豊かで活力に満ちた地域社会を創造するために、自立した安定的な財政運営が可能となる地方税財政システムを確立することが必要不可欠です。
地方税の充実確保を基本としつつ、地方の固有財源である地方交付税等必要な地方財源を確保するため全力を尽くすことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/7
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008・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 木戸口議員からの御質問にお答えいたします。
まず、政府の統計担当部局の予算、人員について御質問いただきました。
統計の品質の確保、向上には、予算、人員を確保するとともに、職員が誇りと使命感を持って働けるようにする必要があります。
現在、統計委員会では、予算、人員といった統計リソースや、職場環境、組織風土の在り方を含め、公的統計の改善に向けた幅広い議論が行われております。
総務省としては、統計委員会の検討結果を真摯に受け止め、公的統計の信頼確保のために全力で取り組んでまいります。
次に、固定資産税について御質問いただきました。
令和四年度の土地に係る固定資産税の負担調整措置については、足下の経済状況を踏まえ、負担の軽減を求める要望があった中で、市町村財政に配慮する観点から、据置措置は令和三年度限りとするとともに、住宅用地については既定の措置を適用することとしており、市町村の意見も一定程度踏まえた内容になっていると考えております。
また、今回の商業地等に係る特別な措置は、景気回復に万全を期すために激変緩和措置として講ずるものです。厳しい環境にある事業者に対しては、事業復活支援金などの予算上の措置が適切に講じられているものと承知をしております。
なお、この特別な措置による減収については、地価が上昇した土地ではこの措置を講じても一定の増収が見込まれることを踏まえ、国費補填の対象とはしておりません。その上で地方の一般財源総額を確保したところであり、市町村の財政運営に支障は生じないものと考えております。
次に、トリガー条項を発動した場合の減収補填について御質問いただきました。
エネルギー価格の上昇に対しては、三月四日に取りまとめられた原油価格高騰に対する緊急対策に基づき、原油価格の激変緩和事業の大幅拡充や業種別対策などを行うこととされています。まずは、この緊急対策をしっかりと実行し、その効果を見極めることが重要であると考えております。
次に、国と地方の税源配分について御質問いただきました。
地方分権改革推進委員会の第四次勧告において、国と地方の税源配分を五対五とする目標が示されたことは承知をしております。
今後の具体的な改革案について現時点でお示しできるものはありませんが、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、地方団体間の財政力格差などへの配慮も必要であることも踏まえつつ、今後とも、地方の行政サービスをできる限り地方税で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めてまいります。
次に、臨時財政対策債の廃止と交付税率の引上げについて御質問いただきました。
地方財政の健全化のため、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要です。
地方財政は、令和四年度においても巨額の財源不足が生じており、本来的には、交付税率の引上げなどにより地方交付税総額を安定的に確保することが望ましいと考えています。交付税率の引上げについては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため、容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。
次に、臨時財政対策債などの債務の縮減について御質問いただきました。
令和四年度においては、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制をし、残高を二・一兆円縮減することとしています。今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革により、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。
また、交付税特別会計借入金については、令和四年度において〇・五兆円の償還を行うとともに、償還計画の見直しを行ったところであり、今後とも着実な償還に努めてまいります。
次に、震災復興特別交付税について御質問いただきました。
第二期復興・創生期間においても震災復興特別交付税による支援を継続することとし、令和四年度においては所要の一千六十九億円を確保しております。
今後とも、被災自治体が地方単独事業も含め必要な復旧復興事業を確実に実施できるよう、万全を期してまいります。
次に、森林環境譲与税の譲与基準の見直しについて御質問いただきました。
譲与基準の見直しについては、これまでの衆参両院の総務委員会の附帯決議を踏まえ、各自治体の森林整備の取組や施策の効果を検証しつつ、引き続き検討してまいります。
次に、地域社会のデジタル化の推進について御質問いただきました。
地域社会のデジタル化を一層推進するため、令和四年度の地方財政計画において地域デジタル社会推進費を引き続き二千億円計上しています。令和五年度以降の取扱いについては、今春取りまとめられる実行すべき具体的なデジタル田園都市国家構想等を踏まえ、今後検討してまいります。
次に、東京一極集中の是正に向けた取組について御質問いただきました。
過度な東京一極集中の是正という観点からも、現在、岸田内閣においては、地方からいち早くデジタルの実装を進め、様々な課題を解決すべく、デジタル田園都市国家構想を最重要施策の一つとして推進しています。この構想の実現、ひいては活力ある地域づくりの実現に向け、関係省庁とも連携しながら、総務省一丸となって各種の施策に全力で取り組んでまいります。
次に、公立病院を中心とした地域医療について御質問いただきました。
医師不足などの厳しい環境にある公立病院では、担うべき役割や機能を明確化、最適化し、連携を強化する取組が重要であります。そのため、各公立病院が今回拡充する財政措置を活用して、機能分化、連携強化などに取り組んでいただくことで、持続可能な地域医療提供体制の確保に資するものと考えております。
なお、今年度末までに公立病院経営強化ガイドラインを策定する予定としておりますが、公立病院の病床削減、統廃合を前提とすることは考えておりません。
最後に、医師の養成確保に係る財政支援について御質問いただきました。
医師の養成確保に資するよう、地域医療介護総合確保基金の地方負担分、奨学金に要する経費、公立病院の医師派遣に要する経費などについて、交付税措置を講じてきているところです。
今後とも、医師確保等に向けては、関係省庁と連携しながら必要な地方財政措置を講じてまいります。(拍手)
〔国務大臣山際大志郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/8
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009・山際大志郎
○国務大臣(山際大志郎君) 統計の重要性と今般の不適切処理によるGDPへの影響についてお尋ねがありました。
まず、公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であると認識しております。
次に、GDPの推計には、今回不適切な処理が行われていた建設工事受注動態統計を基に作成される建設総合統計の工事出来高を用いているため、今回の事案が建設総合統計に影響する場合には、間接的にGDPにも影響が及ぶ可能性があります。
その上で、GDPの推計には多くの基礎統計を利用しており、その中の一つとして建設総合統計が用いられていること、国土交通省によれば、建設総合統計の工事出来高は、受注動態統計をそのまま用いるのではなく、決算ベースの建設投資額の水準に基づき推計されるものであり、今般の受注動態統計の問題による影響は軽微であるとされていること等を踏まえ、現時点では、定性的な意味で、GDPへの影響が仮にあった場合でも軽微と考えております。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/9
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010・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 木戸口議員から、住宅ローン控除を含め、住宅政策についてお尋ねがありました。
住まいは生活の基盤であることから、持家、借家双方の居住ニーズに応じた住まいの確保を支援していく必要があると考えております。
まず、持家の取得を支援する住宅ローン控除制度については、令和四年度の見直しにおいて、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、省エネ性能等が高くなるほど控除限度額が大きくなる仕組みにするとともに、控除率及び控除期間の見直しにより、従来の制度では満額控除できていなかった中所得者層以下の方への支援の充実を図ることとしております。
次に、借家世帯については、公営住宅等の供給に加え、民間賃貸住宅の空き家等を活用した取組として、生活困窮者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援を推進しているところでございます。
引き続き、関係省庁や地方公共団体等と連携して、持家世帯及び借家世帯双方が安心して暮らせる居住環境の整備に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/10
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011・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 木戸口英司議員の御質問にお答えいたします。
国と地方の税源配分についてお尋ねがありました。
地方公共団体が地域の実情に応じた重要な課題をしっかりと取り組みつつ、安定的な財政運営を行うことができるよう、必要な財源を確保することは重要であると考えております。
他方、国から地方への税源移譲につきましては、国及び地方の財政健全化や、地方団体間の財政格差等にも配慮することが必要であり、地方に比べて厳しい国の財政状況等を踏まえますと、極めて慎重な検討が必要であると考えております。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/11
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012・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 地方創生臨時交付金が果たしてきた役割についてお尋ねがありました。
地方創生臨時交付金は、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう自由度の高い財源として措置されており、これまで、令和二年度から令和三年度にかけて計約十五・二兆円の予算を措置し、各地方自治体を財政支援してきたところです。
このうち、地方単独事業分については、これまで、マスク、消毒液の確保など地域の事情に応じた感染拡大防止策を行うとともに、事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援や飲食、観光、交通事業者等への支援を行うなど、地域経済やそれを支える事業者を財政面から下支えしてきたと考えております。
このように、各自治体がコロナ対策を行う上で地方創生臨時交付金は重要な役割を果たしてきたと認識しております。
地方創生臨時交付金の今後の対応についてお尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、令和三年度補正予算において地方単独事業分として一・二兆円を確保し、このうち一兆円分について自治体に交付限度額を通知しました。現在、各自治体から実施計画の提出を受け付け、交付に向けた手続を行っているところです。残りの二千億円は、今後の感染状況等に応じて追加的に対応するための予算として留保しており、今後も感染状況や各自治体の執行状況などを注視してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/12
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013・山東昭子
○議長(山東昭子君) 芳賀道也さん。
〔芳賀道也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/13
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014・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。会派を代表して質問いたします。
冒頭、ロシアによるウクライナへの侵略で、子供たちや市民への無差別攻撃などの惨状は目を覆うばかりです。直ちに殺りくをやめ、無条件の停戦、ロシア軍の全面撤退を求めて、質問に入ります。
ガソリン、軽油の価格高騰が国民生活に大きなダメージをもたらしています。ロシア軍のウクライナ侵攻による更なる原油価格の高騰も本当に心配です。岸田総理も、トリガー条項も含めてあらゆる選択肢を排除せず、更なる対策を早急に検討したいと約束しているのですから、揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税のトリガー条項の発動で消費者段階のガソリン、軽油価格を確実に下げられるよう、法改正を政府に求めますが、鈴木財務大臣及び金子総務大臣の御見解を伺います。
トリガー条項を定める租税特別措置法八十九条の第四項に、特例税率の適用停止に伴う手持品控除の規定があります。財務大臣に、この項の御説明をお願いいたします。
揮発油税、地方揮発油税では、特例税率の適用停止に伴う手持品控除を通じて、スタンドなど小売業者がトリガー条項発動の初日から安い税率で販売できるようにしております。一方、軽油引取税にはこの制度はありませんが、課税のタイミングを、特約業者、元売業者から小売業者などへの軽油の引取りの時点から、消費者がスタンドで軽油を給油した時点へと変えられる委託契約の制度があります。委託契約の制度に触れている平成二十二年四月一日付け総務省都道府県税課長通知について、総務大臣に御説明をお願いいたします。
この委託契約を結んでいれば、トリガー条項の発動で軽油引取税の税率が急に変わっても、スタンドは、在庫納入の時期に関係がなく、トリガー発動の初日から確実に税率の安い軽油を販売できます。
ただ、全国石油商業組合連合会によりますと、現状では委託契約は全体の半分強のスタンドにとどまるということです。これではトリガー条項発動の際に委託契約を結ぶスタンドとそうでないスタンドの間で税率の差が生じ、軽油販売の現場に混乱が生じます。
そこで、憲法に定める租税法律主義を貫くためにも、総務省都道府県税課長通知ではなく、地方税法に明文化する必要があると考えます。特約業者と小売業者の間で委託契約を結べば課税のタイミングを特約業者、元売業者からの軽油の引取りから消費者がスタンドで給油するタイミングへと移せること、トリガー条項発動となれば全ての軽油の小売業者と関連する特約業者との間で委託契約が結ばれているものとみなし、発動初日から全てのスタンドで軽油を本則税率で安く販売できるようにすることの二点を地方税法附則第十二条の二の九に是非追加をいただきたい。総務大臣の見解をいただきます。
さらに、トリガー条項を発動した際には地方交付税で自治体の歳入不足を補うよう要望します。特に特別交付税はこのような予期せぬ減収に対応する制度ですし、年間約一兆円ありますから、トリガー条項発動の場合に年間五千億円と推計される地方税収減にも十分対応できます。トリガー条項適用による地方税収の減収対策として地方交付税、特に特別交付税を活用すべきと考えますが、総務大臣の御見解を伺います。
さらに、この法案でコロナ対策は極めて不十分です。例えば、昨年度と今年度で、政府は、新型コロナ対策も含んだ感染症対策のため、保健所に勤める保健師の人件費の交付税算定を千八百人分から二千七百人分へと一・五倍にしました。しかし、直近でも第六波の急激な感染拡大に対応できない自治体が複数ありました。保健所に勤める保健師の人件費についての地方交付税は、令和二年度当時千八百人の一・五倍では足りません。今年度の交付税算定では二倍以上へと更に引き上げる必要があるのではないでしょうか。総務大臣の御見解を伺います。
新年度の地方財政計画の中で臨時財政対策債を大きく減らしたことは評価すべきですが、本来国が手当てすべき財源を地方自治体の借金にしてしまう臨時財政対策債という制度自体がおかしい。この臨財債の制度をなくし、地方交付税法に定めるように、総務大臣と財務大臣が協議して国税から地方交付税に充てる割合を変更することで必要な財源を確保すべきではないでしょうか。総務大臣及び財務大臣の見解を伺います。
昨年一月の山形の県知事選挙では、自民党の関係者から、知事が野党だから隣の県より地方交付税が少ないという事実と異なる非常に残念な主張がありました。確かに、東北地方日本海側のお隣の県と比べて、山形県の地方交付税も県内市町村の地方交付税総額も少ない。しかし、その県の財政力が山形よりやや低く、定められたルールにより、より多くの交付税が必要と算定されたものです。知事や首長が与党系かそうでないかということで都道府県や市町村の普通交付税は変わらないという認識でよいのでしょうか。総務大臣の見解を伺います。
自治体の災害対策などに充てる特別交付税という制度があり、地方交付税全体の六%、約一兆円を占めます。山形県の市町村など多くの自治体でもこの冬の大雪で除排雪費用がかさんだことを考慮して、金子総務大臣には二月二十五日に特別交付税三月分交付分の一部繰上げを決定していただき、三月一日に交付いただいたことに心から感謝いたします。
この特別交付税は、総務省出身でない学者から決定過程が不透明だとの指摘があります。昨年三月二十三日の参議院総務委員会で、当時の武田良太総務大臣が私への答弁の中で、特別交付税の客観化と明確化を約束しました。昨年三月から今日まで特別交付税についてどのような客観化と明確化が進んだのか、総務大臣に説明をお願いいたします。
不動産には、国税、地方税、各種税金が掛かります。不動産を取得した人に一回だけ都道府県が課税する税金が不動産取得税です。
さて、取り壊すことを前提にした家屋を取得した際に不動産取得税を免除する実務上の取扱いがされています。新しく建物を新築することを条件に土地とそこに建つ家を購入した場合などで、取り壊す予定の家に掛かる不動産取得税は免除しようというものです。この取扱いに関する平成二十二年四月一日付け各都道府県宛て総務大臣通知、地方税法の施行に関する取扱いについてを総務大臣から御説明をお願いします。
取壊しを前提とした家屋を取得したときに不動産取得税を課税しない扱いについては賛成です。ただ、不動産取得税に限らず、憲法で規定している租税法律主義からすれば、課税も減免も全て地方税法や条例に明文で規定しなければなりません。取壊しを前提とした家屋の取得には不動産取得税を課税しないと明確に地方税法の条文上に書くべきではないでしょうか。総務大臣の見解を伺います。
二十年連れ添った配偶者に居住用財産を贈与すると、贈与税は二千万円まで非課税です。しかし、例えば二千万円分の居住用財産を配偶者に贈与すると、中古住宅の特例が全く利かない場合には、不動産取得税が六十万円掛かり、登記の際に登録免許税が四十万円掛かり、最大で合計百万円も配偶者に税負担が掛かります。これでは贈与税の趣旨に反しています。
相続と同様に、二十年連れ添った配偶者への二千万円未満の居住用財産の贈与の際は、不動産取得税も非課税、登録免許税は〇・四%とすべきではないでしょうか。総務大臣及び財務大臣の御見解を伺います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/14
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015・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 芳賀議員からの御質問にお答え申し上げます。
まず、トリガー条項の発動について御質問いただきました。
エネルギー価格の上昇に対しては、総務省として、自治体が行う地域の実情に応じた対策に対し、特別交付税措置を講じることとしています。また、三月四日に取りまとめられた原油価格高騰に対する緊急対策に基づき、原油価格の激変緩和事業の大幅拡充や業種別対策などを行うこととされています。まずは、これらの対策の円滑な実施に向け、関係大臣と連携し、対応してまいります。
次に、軽油の委託販売の課税の取扱いについて御質問いただきました。
議員御指摘の通知は、委託販売契約が締結されている軽油に適用される税率など課税関係の取扱いについて、都道府県に対し技術的助言を行ったものであります。
次に、トリガー条項を発動した際の対応について御質問いただきました。
議員から、地方税法への規定の追加や地方税の減収対策について御提案をいただいたところですが、まずは、先ほど申し上げた緊急対策をしっかりと実行し、その効果を見極めることが重要と考えております。
その上で、更に原油価格が上昇し続けた場合の対応については、何が実効的で有効な措置かという観点から、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかりと検討、対応してまいります。
次に、保健所の体制強化について御質問いただきました。
今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、各自治体における保健所の体制強化のため、感染症対応業務に従事する保健師を令和三年、四年度の二年間でコロナ禍前より九百名増員するために必要な地方財政措置を講じることとしております。
今後の保健所の体制の在り方については、まずは厚生労働省において自治体の意見を踏まえて検討されるべきものですが、総務省としても、厚生労働省と連携しながら、必要な支援に努めてまいります。
次に、臨時財政対策債の廃止と交付税率の引上げについて御質問いただきました。
地方財政の健全化のため、本来的には臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要です。経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革により、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。
また、交付税率の引上げについては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため、容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。
次に、交付税の算定について御質問いただきました。
普通交付税は、地方交付税法に基づき、個別の自治体ごとに客観的かつ合理的に算定しています。知事や市町村長がどなたであるかによって交付額が変わることはありません。
次に、特別交付税は、災害対策に要する経費など、画一的な算定方法では捕捉できない特別の財政需要を対象としており、算定全ての単純な算式化などは困難で、適当でないと考えております。その上で、十二月算定で四項目を新設するなど、算定方法をできる限り省令へ明記するよう努めております。
引き続き、自治体の特別な財政需要に適切に対応することを基本としつつ、その中で算定方法の客観化や明確化を進めてまいります。
次に、不動産取得税に係る総務大臣通知について御質問いただきました。
この通知は、取り壊すことを条件に家屋を取得し、取得後使用せず直ちに取り壊した場合には、不動産取得税の課税対象とはならない旨を通知しているものです。これは、地方税法に規定する不動産の取得の解釈を示したものであり、租税法律主義には反せず、必ずしも法律に規定する必要はないと考えております。
最後に、居住用財産の贈与について御質問いただきました。
不動産取得税は、不動産の取得の背後にある担税力に着目して課される税であり、贈与についても課税対象となります。
なお、住宅及び住宅用地については、床面積や用地の面積が非常に大きい場合などを除き、特例措置の適用により、多くの方が実質的に非課税となっております。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/15
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016・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 芳賀議員の御質問にお答えいたします。
まず、トリガー条項の凍結解除についてお尋ねがありました。
今般、原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめ、その中で、激変緩和措置についても大幅に拡充強化を行いました。国民生活や企業活動への悪影響を最小限に抑えることができるよう、この緊急対策をしっかりと実施してまいりたいと考えております。
今後、更に原油価格が上昇し続けた場合の対応につきましては、何が実効的で有効な措置かという観点から、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかりと検討し、対応してまいります。
次に、特例税率の適用停止に伴う手持品控除の規定についてお尋ねがありました。
ガソリンは、製造場から移出される段階で課税されますが、トリガー条項が発動された場合には、当該規定により、既に製造場から移出され、ガソリンスタンド等の手持ち在庫となっているガソリンについても、税負担が本則税率と同じ水準まで軽減されます。手持ち在庫に課せられた特例税率と本則税率との差額につきましては、揮発油の製造者が申告することで控除等を受けることができます。
次に、臨時財政対策債の在り方についてお尋ねがありました。
地方の財源不足について、仮に国が赤字国債を追加発行して地方交付税の法定率を引き上げ、その全額を賄うこととすれば、歳出拡大や歳入減少による地方財政の悪化について地方は責任を負わず、国が全て負うこととなり、地方に比べ著しく悪化している国の財政を更に悪化させるおそれがあることなどから、適当でないと考えております。その上で、現行制度の下でも、令和四年度は、国税及び地方税の増収等を反映し、臨時財政対策債の発行を大幅に縮減したところであります。
引き続き、国と地方が責任を分かち合い、協力して経済再生と財政健全化を進めることにより、赤字国債や臨時財政対策債に依存することなく、必要な財源を確保していくことが重要と考えております。
最後に、配偶者に居住用財産を贈与した場合の税負担についてお尋ねがありました。
配偶者に居住用財産等を贈与した場合の贈与税の配偶者控除は、残された配偶者の生活の場を確保するための贈与を税制上優遇する趣旨で設けられたものであります。一方、登録免許税は、登記などによって生じる利益に着目し、比較的低い税率で負担を求める税であります。そのため、登録免許税について一定の税負担が生じても、必ずしも贈与税の特例の趣旨に反するものではないと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/16
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017・山東昭子
○議長(山東昭子君) 柳ヶ瀬裕文さん。
〔柳ヶ瀬裕文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/17
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018・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました令和四年度地方財政計画並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に関し質問いたします。
冒頭、ロシアによるウクライナ侵略は重大な主権侵害であり、許されざる蛮行であると断ぜざるを得ません。我が国は、国際社会と一致結束し、一刻も早くウクライナに平和が取り戻されるよう尽力することを申し述べ、質問に移ります。
日本維新の会は、地方分権改革、地方への税源移譲を政策の骨格に位置付け、地方が主役となる政治、社会の実現を目指しています。
その観点から令和四年度地方財政計画を見ると、臨時財政対策債発行額を昨年度に比較して約三兆七千億円圧縮し、年度末残高見込みが約二兆一千億円の減となること、令和三年度当初対策では行われなかった交付税特別会計借入金の償還を五千億円行うことなど、重要な点で地方の負担を減少させる内容を含むことから、評価できる内容となっております。
新型コロナウイルス感染症への対応のため、臨時財政対策債の発行が急増した令和三年度と異なり、ウイズコロナ、ポストコロナに移行する中で、平常時に近い地方財政計画を志向したと考えますが、今後の新型コロナウイルス対応による地方財政への影響をどのように想定しているのか、総務大臣に伺います。
他方で、令和四年度末の臨時財政対策債残高と交付税特別会計借入金の残高が減少に転じるとはいえ、その残高は、臨時財政対策債五十三兆二千億円、交付税特別会計借入金二十九兆六千億円に上っています。
日本維新の会は、設立当初から、臨時財政対策債が地方財政の自由度を失わせ、地方分権や税源の移譲の考え方に反する制度であるとして、その問題点を指摘してまいりました。
そもそも、臨時財政対策債は、本来、地方交付税として財源確保されるべき分を地方が一時的に肩代わりし、その返済分を後年国が措置する仕組みになっていますが、地方公共団体の裁量でその負担額を調整できる余地がありません。地方公共団体の責任によらず返済負担が生じるのは信義に反するのではないかと考えます。
本来、臨時財政対策債とその前身の交付税特別会計借入金は、通貨発行権及び国債発行権を有する国が全額賄うべきものだと考えますが、総務大臣及び財務大臣の見解を求めます。
地域社会のデジタル化の推進について伺います。
日本維新の会は、道州制導入による多極分散型国家の実現を目指しています。デジタル化の急速な進展に伴い、地方に暮らしながら都市部の企業に勤めるケースが増え、多極分散型社会の実現が具体性を持って近づいていると感じています。
しかし、今はまだ一部の企業や個人に受け入れられた段階にとどまっていると認識をしています。このようなライフスタイルが広く普及するためには、地方においてデジタル実装を進めることが必要ですが、地方財政措置として確保された地域デジタル社会推進費は令和三年度と同じ二千億円にとどまります。
政府がアピールするマイナンバーカードの活用方法の一つに、コンビニの複合機における住民票の写し等の取得がありますが、コンビニ取得に対応している発行元自治体数は、本年三月三日時点で九百二十七市区町村にとどまっています。有体物であるマイナンバーカードを持ち歩くことや、住民票の写しを紙で取得、提出すること自体、早晩時代遅れになるとは思いますが、既に自治体間でデジタル化に差が生じていることは確かであります。
総務省に設置された総務省デジタル田園都市国家構想推進本部の本部長でもある総務大臣に伺います。
集中的に予算を投入しなければ、地方におけるデジタル化が不十分なものとなり、不便と非効率が残り続けます。地域のデジタル実装のため、総務省の枠組みにこだわらず、まち・ひと・しごと創生事業費一兆円、地域社会再生事業費四千二百億円と併せて枠組みを再編すべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
住宅ローン控除の控除率、控除期間等の見直しについて伺います。
地方の自立に向けては、目下のところ、大都市圏から地方に更に多くの人口が分散することが必要になると考えています。そのような中で、地方においては比較的安価で宅地建物を取得することができること、世帯総数を超える量の既存の住宅ストックが既に多く存在していることなどもあり、地方への移住に当たっては既存住宅の果たす役割は今後更に大きくなると考えられます。
今回の住宅ローン控除の改正は、住民税からの控除限度額を所得税の課税総所得金額等の五%に引き下げる一方で、控除期間を十三年に延長することがその趣旨ですが、控除期間が十三年に延長されるのは新築住宅、買取り再販に限られ、既存住宅については十年のままとなっています。
今回の住宅ローン控除制度の見直しにおいて、環境性能等の高い認定住宅の拡大の趣旨が反映されていることは評価できますが、既存住宅であってもリノベーションをすることで新築住宅に比肩する環境性能を付与することが可能です。新築、買取り再販、既存住宅で控除期間を同じとすべきと考えますが、国土交通大臣の答弁を求めたいと思います。
付加価値額における賃上げへの対応、いわゆる賃上げ税制について伺います。
今回の賃上げ税制の効果は、全くないとまでは言いませんけれども、税制改正によるのではなく、労働需給が引き締まることによって給料が上がる方がより好ましく、より実効性があることは明らかです。問題なのは、現状の雇用制度では、衰退産業から成長産業への人材移動が効率的でなく、衰退産業にとどまる従業員が従業員全体で見たときに賃上げのおもしとなっていることであります。
日本維新の会は、税制改革、手厚いセーフティーネットの整備を前提に、雇用制度の改革が必要だと考えています。すなわち、企業側からの申出により十分な金銭給付とともに雇用契約を解除し、元従業員は手厚い失業給付を受けながら職業訓練等で再就職を目指す制度を整備することで、転職しやすい労働市場をつくり出すことが必要です。
労働力を多く抱えた業界から労働力の供給が少ない業界に働き手が移行することで、転職後比較的早くから活躍できる機会がありますし、手厚いセーフティーネットがあるので、給与水準に納得しなければ、労働需給が逼迫し、給料に上昇圧力が掛かります。セーフティーネットの整備と雇用の流動性確保が賃上げ達成の最短経路だと考えますが、総務大臣及び厚生労働大臣の見解を伺います。
日本維新の会は、低成長や社会保障制度に対する不安に覆われた三十年の延長ではない日本をつくり出すため、社会保障制度改革、税制改革、成長戦略に一体的に取り組む日本大改革プランの下、地方からデジタルと改革によって新しい時代を創造する、このことをお約束し、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/18
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019・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 柳ヶ瀬議員からの御質問にお答え申し上げます。
まず、新型コロナ対応による地方財政への影響について御質問いただきました。
自治体が財政面の心配なく積極的に新型コロナ対応に取り組めるよう、ほとんどの事業を全額国費により措置してきています。また、令和四年度の地方財政計画においては、自治体が重要課題に取り組みつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な一般財源総額を確保しております。
今後も、各自治体が積極的に取り組めるよう、引き続き、関係省庁としっかりと連携して適切に対応してまいります。
次に、臨時財政対策債などについて御質問いただきました。
地方の財源不足については、国、地方共に厳しい財政状況にある中、地方税を徴収し、地方財政を運営する主体である地方と、法令等により地方に支出を義務付けている国が、それぞれ責任を持ち、国と地方が折半して補填することを基本としております。このため、地方負担分の財源不足を補填するための臨時財政対策債や交付税特別会計借入金は地方の負担で償還する必要があります。
このような整理に基づいて、今後とも、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計借入金の計画的な償還に努めてまいります。
次に、地域社会のデジタル化の推進について御質問いただきました。
地域社会のデジタル化を一層推進するため、令和四年度の地方財政計画において、地域デジタル社会推進費を引き続き二千億円計上しています。
令和五年度以降の取扱いについては、今春取りまとめられる実行すべき具体的なデジタル田園都市国家構想等を踏まえ、まち・ひと・しごと創生事業費等との関係も含め、今後検討してまいります。
最後に、賃上げ税制について御質問いただきました。
今般、国税と同様、法人事業税においても、一定の賃上げを行った外形標準課税の対象法人に対して税負担を軽減することとしており、企業の賃上げの実現につながることを期待しております。賃上げに向けては、税制のみならず、政府全体として様々な施策に取り組むこととしており、これらを総動員し、持続的な賃上げを促すことが重要と考えております。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/19
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020・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 柳ヶ瀬裕文議員の御質問にお答え申し上げます。
臨時財政対策債の在り方等についてお尋ねがございました。
地方財源不足について、仮に国が赤字国債の発行によりその全額を賄うこととすれば、歳出拡大や歳入減少による地方財政の悪化について、地方は責任を負わず、国が全て負うこととなり、地方に比べ著しく悪化している国の財政を更に悪化させるおそれがあることなどから、適当でないと考えております。
その上で、現行制度の下でも、令和四年度は、国税及び地方税の増収等を反映し、臨時財政対策債の発行や交付税特別会計の借入金を大幅に縮減したところであります。
引き続き、国と地方が責任を分かち合い、協力して経済再生と財政健全化を進めることにより、赤字国債や臨時財政対策債に依存しない財政を目指すことが重要であると考えております。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/20
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021・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 柳ヶ瀬議員から、住宅ローン控除の控除期間等の見直しについてお尋ねがありました。
住宅ローン控除の控除期間については、我が国の経済状況が依然として厳しい状況にあることを踏まえ、新築工事による経済波及効果が高い新築住宅と一定の建築行為を伴う買取り再販については十三年としております。
一方、買取り再販以外の既存住宅については、控除期間を十年としつつ、住宅ストックの有効活用及び優良化を図る観点も踏まえ、環境性能等の優れた住宅については借入限度額を従来の二千万円から三千万円に引き上げる措置を新たに講じております。
国土交通省としては、これらの措置を通じ、環境性能等に優れた良質な住宅ストックの形成及びその有効活用を促進してまいります。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/21
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022・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 柳ヶ瀬裕文議員の御質問にお答えいたします。
賃上げ達成のためのセーフティーネットの整備と雇用の流動性の確保についてお尋ねがありました。
賃上げの達成のためには、安心して就職活動を行うことができる環境整備を重要と考えています。
このため、雇用のセーフティーネットとして、労働者が失業した場合には、雇用保険の基本手当の支給、雇用保険の給付を受けられない方に無料の職業訓練と月十万円を支給する求職者支援制度や、ハローワークによるきめ細かな就職支援などにより、再職支援に努めています。
なお、解雇無効時の金銭救済制度については、金銭を支払えば自由に解雇できるといった制度を導入しないことを前提に、労働者保護等の観点から検討を進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/22
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023・山東昭子
○議長(山東昭子君) 伊藤岳さん。
〔伊藤岳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/23
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024・伊藤岳
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
私は、日本共産党を代表して、二〇二二年度地方財政計画外二法案について質問します。
初めに、ロシアの無法なウクライナ侵略に断固抗議をします。
ロシアの軍事行動は、一般市民や原発施設をも標的とするなど、無差別となっています。国連総会緊急特別会合は、ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反であると断定をし、武力行使の停止、軍の即時完全無条件撤退をロシアに求める緊急決議を圧倒的多数で採択をしました。国際的な抗議と世論が急速に広がり、日本国内でも全国の地方議会で決議が次々と上がっています。
外務大臣、ロシアの侵略をやめさせるために、あらゆる外交努力を尽くすべきです。答弁を求めます。
さらに、プーチン大統領が繰り返す核兵器の先制使用による威嚇は重大です。日本被団協、日本原水協や多くの団体が抗議の声を上げています。広島市議会は、全会一致の決議で、ヒロシマの心を踏みにじるもので、強い憤りを覚えるとし、長崎市議会は、同じく全会一致で、決してウクライナに長崎、広島と同じ悲劇を起こしてはならないと訴えています。
岸田総理は、唯一の戦争被爆国であり、また、被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器による威嚇も、ましてや、使用も、万が一にも許されるものではないと表明しました。
破滅をもたらす核使用の威嚇を許さずに、核兵器廃絶への道を開くために、政府はどのような行動を取るのですか。外務大臣、お答えください。
次に、コロナ感染拡大と病床確保です。
感染拡大は収束に向かうどころか、まん延防止等重点措置を十八都道府県で延長する事態です。新規感染者は日々数万を数え、死亡者は第五波を超えています。
深刻なのは病床の逼迫です。埼玉県では、陽性が確認された自宅療養中の十代後半の若者の容体が急変し、受入先の医療機関が見付からずに亡くなる事態が生まれています。
新型コロナ感染対策の基幹病院として、第五波でも大きな役割を果たしてきた埼玉県立循環器・呼吸器病センターの事務局長は、感染者数の爆発的増加に比例して重症患者数が増えている、重症患者は高齢者が多い、介助が必要だし、認知症の方には更にケアが必要となる、看護師等は院内からやりくりする自転車操業で、更に重症患者が増えたら回せないと訴えています。
岸田総理は、第五波のときを上回る新規感染者数にも対応する病床を増やす計画を整備したと言います。しかし、肝腎の医療スタッフの増員はされてこなかったのではありませんか。厚労大臣の答弁を求めます。
二〇〇七年からの公立病院改革ガイドライン、二〇一五年からの新公立病院改革ガイドラインを通じて、全国の公立病院は再編統合などの圧力にさらされ、全国の公立病院数は二〇〇八年から二〇二〇年の間に九百四十三から八百五十三に、病床数は二十二・八万床から二十・三万床に減少しています。この流れを転換することが必要です。
総務大臣、新たな公立病院ガイドライン策定はやめるべきです。厚労大臣、再編統合を前提にした地域医療構想は白紙に戻すべきではありませんか。答弁を求めます。
地域のケア労働を確立し、しっかりと育てていくことは避けて通れない課題です。
岸田総理は、介護、保育、幼稚園、学童保育等の職員の収入を三%程度、また一定の医療機関の看護職員の収入を一%程度引き上げる処遇改善を補正予算に盛り込みました。しかし、そもそも九千円や四千円程度の増額では、余りにも少な過ぎます。制度は他の職員の処遇改善にも柔軟に活用できるとされ、対象を広げれば一人当たりの改善額は減ります。到底十分な額とは言えません。
ケア労働者の賃上げ、処遇改善は、民間、公務を含む全ての対象者の三%収入増につながるのですか。厚労大臣、少子化対策担当大臣の答弁を求めます。
二月までに、保育、幼稚園では九百九十自治体、学童保育では七百七十八自治体が申請をしています。自治体の申請について、更なる柔軟な対応が必要です。少子化対策担当大臣の見解を伺います。
ケア労働者の賃上げ、処遇改善は今回の補正予算の一回限りで終わりですか。厚労大臣、少子化対策担当大臣、お答えください。
十月以降の地方負担に対しては地方交付税が措置されますが、少なくない不交付団体も処遇改善を進めています。不交付団体への財政支援を検討すべきではありませんか。来年度以降も地方の賃上げが継続する取組を支える財政支援をどのように行うのですか。総務大臣の答弁を求めます。
二年を超えるコロナ禍の中、住民全体の奉仕者として奮闘する地方公務員の長時間労働が深刻です。
日本自治体労働組合総連合は、第五波における過労死ラインを超える地方公務員の働き方の実態調査結果を公表しました。保健所やワクチン担当部署では、所属する職員の一か月の平均時間外労働が何と百二十八時間に達している職場や、昨年七月から九月の三か月の平均値で一人当たりの平均時間外労働が百時間に達していた職場さえある。いつ、どこで、誰に過労死が発生してもおかしくないと告発をしています。
さらに、保健所等に応援を送り出している自治体の職場、現場でも長時間勤務が常態となっています。ある県のアンケートには、本務の業務も逼迫しているので、保健所応援が終わった後、二十時を回って県庁に戻ってきて本務の業務をしている、応援に人が取られ本務の人数が不足し、課内全員が毎日残業などの声が寄せられています。
非現業の地方公務員については、労働基準法第三十三条第三項により、公務のために臨時の必要がある場合は、災害その他避けることのできない場合に超過勤務が命令可能とされています。ところが、この臨時の超過勤務は、この二年間、無制限、青天井となっています。
厚労大臣、労働基準法第三十三条第三項による場合でも、過労死ラインを超えるような長時間労働は規制をされるべきではありませんか。答弁を求めます。
上限時間を超えるような時間外勤務を必要最小限にとどめるために何より必要なのは、人員の増員と適正な配置ではありませんか。総務大臣の答弁を求めます。
自治体現場に人手不足をもたらしている原因は、国が自治体職員定数の純減を押し付けてきた集中改革プランです。プラン以降も職員定数の抑制基調がもたらされたのです。総務大臣、自公政権が推し進めた集中改革プランへの反省はありますか。
地方自治体の職員増員は待ったなしです。地方の歳出を抑制する路線を転換して、必要な財政需要を積み上げて、人件費を始めとする一般財源総額の増額確保を行うべきです。そのためにも、地方交付税法定率の大幅な引上げを行うべきです。総務大臣の答弁を求めます。
最後に、建設工事受注動態統計調査の不正問題です。
国交省から検証委員会報告書、総務省からタスクフォース精査結果報告書が出されましたが、真相究明には至っていません。受注額が書き換えられ合算されてカウントされている上に、毎月の推計値を加えれば二重計上になることは誰でも分かることです。国交省の不正隠しの姿勢は深刻です。
統計の中立性、信頼性を回復するためにも、国会での真相究明が求められることを述べ、質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/24
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025・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 伊藤議員からの御質問にお答え申し上げます。
まず、新たな公立病院ガイドラインの策定について御質問いただきました。
公立病院の経営を強化し、地域に必要な医療提供体制を確保するため、有識者検討会で御議論いただきながら、今年度末までに新たなガイドラインを策定する予定ですが、公立病院の病床削減、統廃合を前提とすることは考えておりません。このことについて、地方三団体には、昨年十二月に、地域医療確保に関する国と地方の協議の場において説明をし、御理解を得たところです。
次に、処遇改善に係る財政支援について御質問いただきました。
令和四年十月から令和五年三月までの処遇改善に係る地方負担については、不交付団体を含め、普通交付税の算定において処遇改善分を反映することとしております。
令和五年度以降については、公的価格評価検討委員会の中間整理に基づく検討を踏まえ、総務省としても適切に対応してまいります。
次に、時間外勤務と人員について御質問いただきました。
時間外勤務については、必要最小限にとどめるとともに、上限規制を適切に運用する必要があります。上限を超える場合には、業務量の削減や業務の効率化、人員の適切、適正な配置等に取り組むことが必要と考えます。
定員管理に関しましては、行政の合理化、能率化や、将来にわたる安定的な行政サービスの提供体制確保という考え方に立ち、各自治体において取り組むことが重要と考えております。
次に、集中改革プランへの認識について御質問いただきました。
平成十七年からの五年間、自治体に対し集中改革プランによる取組を要請し、その後もしばらくは職員数が減少していましたが、平成二十八年以降は横ばいから微増傾向となっております。
各自治体においては、行政の合理化、能率化を図りつつ、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理の推進に取り組んでいただいているものと認識をしております。
最後に、一般財源総額の確保と交付税率の引上げについて御質問いただきました。
令和四年度の地方財政計画においては、保健師の増員など、職員数を約五千人の増とした上で、一般財源総額について令和三年度を上回る額を確保いたしました。
今後とも、基本方針二〇二一に沿って、地方財政計画の歳出に必要な経費を計上した上で、一般財源総額をしっかりと確保してまいります。
なお、交付税率の引上げについては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため、容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/25
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026・林芳正
○国務大臣(林芳正君) ロシアによる侵略や核兵器による威嚇を止めさせる行動についてお尋ねがございました。
今回のロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす行為です。明白な国際法違反であり、厳しく非難をします。
ロシアが核抑止力部隊の態勢を引き上げたことについては、情勢の更なる不安定化につながりかねない危険な行動であると認識しています。
我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならないということを様々な国際場裏において強く訴えてまいります。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/26
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027・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 伊藤岳議員の御質問にお答えいたします。
新型コロナウイルスに係る医療人材の確保についてお尋ねがありました。
厚生労働省として、昨年夏の感染状況を踏まえ、全国で前回のピーク時の一・三倍の受入れ病床を確保するとともに、医療人材についても、全国で約二千の医療機関から医師約三千人、看護師約三千人の派遣体制を整えていただいています。
また、重症化率は低いものの、感染力や拡大速度が顕著であるオミクロン株への対応として、国が必要な医療人材を支援し、東京と大阪に追加で約一千床の臨時の医療施設を確保するとともに、感染者が継続して療養を行う高齢者施設の医療体制を強化するため医療人材の派遣を支援するなどの取組を行っており、今後とも必要な医療人材の確保に努めてまいります。
地域医療構想についてお尋ねがありました。
地域医療構想については、人口構造の変化を踏まえつつ、地域の医療ニーズに応じた医療体制を確保するために取り組むものであります。病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえ、地方自治体等としっかり意思疎通を図りながら、引き続き取組を進めてまいります。
ケア労働者の賃上げの内容についてお尋ねがありました。
今般、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、介護などの現場で働く方々について、公営施設で働く施設職員も含め、給与の引上げのための措置を講じます。今回の措置は、各事業所等において、他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるよう柔軟な運用を認めることとしています。こうしたことから各職員の処遇改善にはばらつきが生じますが、こうした点を含め、混乱なく実施できるよう丁寧に説明をしてまいります。
ケア労働者の今後の賃上げについてお尋ねがありました。
介護等に従事する方々の勤務環境や処遇の改善は大変重要な課題であると認識しており、これまでの取組に加え、先ほど申し上げたとおり、今般、介護などの現場で働く方々の給与の引上げを行います。引上げに当たっては、それが継続的なものとなるよう、補正予算により二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降については報酬改定等により措置することとしています。
今後の具体的な処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から検討をしてまいります。
地方公務員の長時間労働についてお尋ねがありました。
労働基準法第三十三条第三項において、公務のための臨時の必要がある場合には、非現業の官公署に勤務する職員については、三六協定を締結することなく時間外・休日労働を行わせることができることとされています。一方で、コロナ禍が長引く中で、過労死等を防止し、職員の健康を確保していくことが地方公務員においても極めて重要になっています。
このため、総務省において、条例等により上限規制を設けるよう自治体に対し通知による助言を行っているほか、勤務時間の適切な把握や時間外勤務の要因分析などを踏まえた時間外勤務縮減対策の実施、医師による面接指導の効果的な実施といった制度を実効的に運用するための留意点について自治体に通知しているものと承知しています。
労働政策を所管する厚生労働省としても、コロナ禍においても働く皆様の健康確保が重要であるとの観点から、各自治体においてこうした取組が着実に実施されることが重要であると考えています。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/27
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028・野田聖子
○国務大臣(野田聖子君) 今回の処遇改善における対象者の収入増についてお尋ねがありました。
今回の令和三年度補正予算による処遇改善は、昨年十一月の経済対策において、民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、保育士等、幼稚園教諭を対象に、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を実施するとされたことを踏まえ、私立、公立を問わず措置したものです。
処遇改善の補助額の算定に当たっては、保育所等では公定価格上の配置基準に基づいて、放課後児童クラブでは放課後児童支援員等の職員数に基づいて、それぞれ常勤換算の職員数により算定する一方で、補助金の算定対象でない職員についても、柔軟な配分により一定の処遇改善を行うことを可能としています。
このため、各職員個人の改善額にはばらつきが生じ得るところであり、引き続き、事業者や地方自治体に対して丁寧に説明してまいります。
次に、自治体から国への申請受付についてお尋ねがありました。
今般の保育士、幼稚園教諭等の処遇改善に関する補助金の市町村から国への交付申請に当たっては、管内の施設における処遇改善の実施見込みを基に概算による申請を行うことも可能としていることや、また、令和四年度に令和三年度分も含めて交付申請を行うことも可能であることなどについて、地方自治体に重ねて周知を行っているところです。引き続き、市町村による交付申請を促してまいります。
次に、今後の処遇改善についてお尋ねがありました。
今回の保育士等の処遇改善については、本年二月から九月までの間は令和三年度補正予算で対応することとしています。
また、本年十月以降については、賃上げ効果が継続的、継続されるよう、令和四年度当初予算案において、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を、公定価格の見直し等により講じることとしています。
その後の具体的な処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで賃金が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から、関係大臣と連携し、検討してまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X00720220309/29
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