1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月十三日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十六号
令和四年四月十三日
午前十時開議
第一 困難な問題を抱える女性への支援に関す
る法律案(厚生労働委員長提出)
第二 障害者による情報の取得及び利用並びに
意思疎通に係る施策の推進に関する法律案(
厚生労働委員長提出)
第三 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第四 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関
する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
)
第五 道路交通法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、経済施策を一体的に講ずることによる安全
保障の確保の推進に関する法律案(趣旨説明
)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/1
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002・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。小林鷹之国務大臣。
〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/2
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003・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) ただいま議題となりました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。
国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するため、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本方針を策定するとともに、安全保障の確保に関する経済施策として、所要の制度を創設する必要があります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、特定重要物資の安定的な供給の確保に関する制度として、外部に過度に依存し、又は依存するおそれがある重要な物資の安定供給確保を図るため、特定重要物資を指定し、事業者の取組を支援するとともに、安定供給確保が困難と認めるときは政府が更なる対策を講ずる制度を創設することとしております。
第二に、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度として、国民生活及び経済活動の基盤となる特定の役務の安定的な提供を確保するため、妨害行為の手段として使用されるおそれがある重要な設備等を審査する制度を創設することとしております。
第三に、特定重要技術の開発支援に関する制度として、先端的技術のうち、当該技術が外部に不当に利用された場合等において、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがある技術の研究開発の促進と適切な活用のため、必要な情報の提供、資金の確保、調査研究等の措置を講ずる制度を創設することとしております。
第四に、特許出願の非公開に関する制度として、公にすることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明の特許出願につき、出願公開等の手続を留保し、発明の開示や実施を制限することを可能にする制度を創設することとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/3
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004・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。宇都隆史さん。
〔宇都隆史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/4
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005・宇都隆史
○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。
自由民主党・国民の声を代表して、経済安全保障推進法案に対して質問いたします。
ロシアによるウクライナ侵略では、ブチャなどでのジェノサイドのほか、民間人に危害を加える攻撃など、多くのウクライナ人が犠牲となっています。戦没者に、多くのウクライナ人が犠牲となっているこの戦没者に心から哀悼の誠をささげるとともに、祖国の存亡を懸けて命懸けで戦うウクライナ政府とウクライナ国民に対し、最大の敬意と連帯を表します。
政府に対し、引き続き国際社会と連携し、ロシアへの厳しい経済制裁の継続と、ウクライナへの可能な限りの支援に向けて、更なる対応を強く求めてまいります。
安倍政権は、二〇二〇年四月、国家安全保障上の課題について、経済的側面からも俯瞰的、戦略的な政策の企画立案、総合調整を行うことができるよう、国家安全保障局内に経済班を設置しました。さらに、岸田政権では、二〇二一年十一月、内閣官房に経済安全保障法制準備室を新設し、重要物資や原材料のサプライチェーンの強靱化、基幹インフラ機能の安全性、信頼性の確保、官民で重要技術を育成、支援する枠組み、特許非公開化による機微な発明の流出防止という早急に取り組むべき四つの分野に法的手当てを講じるため、本法案を今国会に提出いたしました。このことは、日本の経済安全保障を強化していく上で大きな意義のある一歩だと評価いたします。
一方、この法案はあくまで第一歩であり、ほかにも充実すべき経済安全保障分野はまだまだあります。政府を挙げて、本法案成立をステップに、更なる経済安全保障の強化に邁進していただくことをお願い申し上げます。
その上で、まずは経済安全保障を統括し、運用する組織体制の整理が必要だと考えます。
そこで質問です。NSS経済班、内閣官房経済安全保障法制準備室、経済産業省の一体どこが経済安全保障の司令塔となるのでしょうか。三者のそれぞれの位置付け、役割分担、求める機能について、政府としてどのように整理していくお考えなのか、小林担当大臣に伺います。
また、経済安全保障の重要性が増していることに鑑みれば、国家安全保障会議の四大臣会合には経済安全保障担当大臣が常時参加すべきであり、国家安全保障会議設置法の改正により五大臣会合とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。併せて岸田総理に伺います。
ロシアによるウクライナ侵略により、エネルギーや鉱物資源、食料や木材等、国民生活及び経済産業活動に直結する重要物資の輸入ルートが大国のエゴの下にいとも簡単に覆されることにより、欧米諸国の求めた地球規模でのグローバリズムは終えんを迎えました。我が国の強みでもある半導体関連産業や蓄電池技術も海外からのレアアースやレアメタルに依存しており、それらの供給は世界的にも逼迫をしています。我が国事業者による生産基盤の整備や供給源の多様化、備蓄や生産技術開発、代替物資開発への支援はもちろんですが、民間の努力任せで対応し切れる時代ではありません。
そこで、政府において、国際的なマクロ経済の動向や他国の産業技術戦略等の情報収集を積極的に行い、エネルギーや希少資源、鉱物資源等の輸入経路の分散化や国際社会におけるルール形成の主導など、経済安全保障に係る我が国の戦略、指針を示すことが必要だと考えますが、今後の在り方について小林大臣に伺います。
経済安全保障に係る産業の最たるものの一つとして防衛産業が挙げられますが、近年、国内企業の防衛産業分野からの撤退が相次いでいます。国内の防衛産業が衰退してしまうと、自衛隊が使用する装備の機動的な導入や補修、整備に深刻な影響を与えます。防衛装備品を受注している民間企業には、他の産業より高いレベルでのサプライチェーン確保や機密漏えい防止の取組が求められることから、容易に他国に依存できるものでもありません。
一方で、本法案には国内防衛産業の保護強化という着眼点は含まれておらず、それについては防衛省が別途法案を提出すべく検討を重ねているという説明がございました。
現在、自民党においては、いわゆる防衛戦略三文書の改訂作業のため連日深い議論を重ねられておりますが、これらの改定を踏まえた上で、可及的速やかに国内防衛産業の保護強化のための法案を提出すべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
産業競争力の向上や経済安全保障の強化の観点から、欧米諸国ではセキュリティークリアランスと呼ばれる情報を取り扱う者の適性評価の認証制度が整備をされています。これら諸外国との間にて機微な情報の共有が必要とされる国際共同研究や公的事業の受注などに当たっては、セキュリティークリアランスは必要不可欠な認証制度となっており、衆議院における審議においても議論が行われ、一部野党も賛成した形で附帯決議が盛り込まれたと承知しています。
我が国の情報保全のレベルがこれらの同盟諸国から見て信頼に足る実効性あるものと評価されるよう、セキュリティークリアランス制度の早期構築に着手すべきと考えますが、小林大臣に政府の見解を伺います。
過去、大学の技術系学部に所属する中国人留学生が航空機搭載用の赤外線カメラなどを輸出し、外為法違反で有罪となる事件がありました。我が国の理工系学部には多くの留学生が学び、研究しており、軍事利用が可能な人工知能、AIや量子コンピューターといった最先端技術は、安全保障上他国への流出を防止するための措置が必要です。
このような状況を踏まえ、研究、技術情報の管理や留学生、研究者などの受入れ前の審査強化など、人による安全保障上の技術流出についてはどのように対処すべきか、これまでの政府の取組と今後の課題について、小林大臣に伺います。
今般のウクライナ戦争でもそうですが、地上波やSNSにおいて臆測を基にした誤情報やプロパガンダを含むフェイクニュースが飛び交い、それらが対立や争いをより一層複雑にしています。悪意を持った外からの情報活動に対し、それらの情報をいかにして精査し国民生活の安全を守っていくかは、我が国としても喫緊の課題です。
また、令和二年に国内で摘発された企業機密の侵害事件は過去最多の二十二件に上っており、警察庁も通信など重要インフラや半導体製造などの国内関連企業に対しては注意喚起を行っています。
しかしながら、我が国のインテリジェンス体制は諸外国と比較して非常に脆弱であり、体制強化や法改正については長年の課題となっています。
総理は、新時代リアリズム外交を実行するに当たり、我が国のインテリジェンス体制について今後どのように改善すべきとお考えでしょうか。見解を伺います。
最後に、混迷を深める国際社会において、今こそ十分な備えをしなければ、私たちの子や孫の生存や繁栄を守り抜くことはできません。政府におかれては、国家百年の計を打ち立てる気概と覚悟を持って、戦略三文書の改訂含め政権の運営に当たっていただけるよう衷心よりお願いを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/5
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006・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 宇都隆史議員からの御質問にお答えいたします。
四大臣会合の構成についてお尋ねがありました。
国家安全保障会議の四大臣会合の構成員については、機動的な審議を確保するため、外交・安全保障政策に特に関連の深い少数の大臣に限定する観点から、総理のほか、外務大臣、防衛大臣及び官房長官としております。他方で、必要がある場合はその他の大臣を出席させることが可能であり、私の政権においては、四大臣会合で経済安全保障に関係する議題が取り上げられる際には小林経済安全保障担当大臣が必ず出席をしております。
防衛産業の保護強化についてお尋ねがありました。
防衛産業は、我が国の防衛力の一部であり、基盤強化が急務です。新たな国家安全保障戦略等の策定に際しては、防衛産業の厳しい現状を踏まえ、防衛生産・技術基盤の在り方についても焦点を当てて議論しており、防衛産業活性化のための抜本的な対策を、法制面も含め、必要に応じ検討してまいりたいと考えます。
そして、我が国のインテリジェンス体制についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く国際情勢が不確実性を増す中、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、情報の収集、集約、分析が極めて重要であると認識をしております。
このような認識の下、これまでも、各種情報の収集、集約、そして分析体制の強化に取り組んできたところですが、令和四年度予算においては、経済インテリジェンスに係る人員約百三十人の定員増を計上し、経済安全保障に係る情報の収集、集約、分析体制を確保するなど、体制や能力の一層の強化に努めています。
引き続き、関係省庁が連携して、我が国の情報収集、集約、分析機能の一層の充実強化に取り組んでまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/6
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007・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 宇都議員からの御質問にお答えいたします。
まず、経済安全保障の司令塔についてお尋ねがありました。
国家安全保障局経済班は、経済安全保障の確保が我が国の外交・安全保障上の喫緊の課題となっている中、経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、令和二年四月に設置され、安全保障と経済を横断する領域で生じる様々な課題に対し、経済産業省を含む関係省庁と連携しながら、政府内の認識の共有を図りつつ、政府横断的な取組を推進しています。
また、第一回経済安全保障推進会議における総理からの指示を踏まえ、経済安全保障推進法案の作成等の事務を行うために、令和三年十一月に経済安全保障法制準備室を設置し、国家安全保障局と密接に協力しながら事務に当たっているところです。
様々な省庁にまたがる困難な課題であっても、経済安全保障という観点からは、国家安全保障局経済班が中心的な役割を担いつつ、私が司令塔となって、これまでの取組との整合性を図りつつ、必要な取組を進めてまいります。
次に、経済安全保障の今後の在り方についてお尋ねがございました。
世界のパワーバランスが変化するなど、我が国をめぐる安全保障環境はこれまで以上に急速に厳しさを増している中、何よりも大事なことは、国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのか、こうした現実的な議論をしっかりと突き詰めていくことです。
近年、AI、量子など革新的技術が出現する中、安全保障と経済を横断する新しい課題が国家安全保障上の重要課題である経済安全保障の問題として広く認識されるようになってきた状況も踏まえ、新たな国家安全保障戦略等の策定に当たり、この新たな戦略に経済安全保障を位置付けるべく、担当大臣として積極的に議論に参画していく考えです。
次に、いわゆるセキュリティークリアランスについてお尋ねがありました。
セキュリティークリアランスについては、諸外国との共同研究等を円滑に進めていく上で、我が国でも取得できないかといった声があることは承知をしており、また、本法案の衆議院内閣委員会における附帯決議も踏まえ、今後検討を行っていくべき課題の一つであると認識しています。
他方、セキュリティークリアランス制度は個人の情報に対する調査を含むものであり、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合い、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証等をまずは踏まえる必要があると認識しています。
いずれにせよ、情報流出対策を更に進めることは重要であり、政府としても、必要な取組の強化に引き続き努めてまいります。
次に、技術情報の流出対策についてお尋ねがありました。
先端技術をめぐり熾烈な国際競争が展開されている中、また、我が国の技術などの他国に対する優位性、ひいては国際社会にとっての不可欠性を確保する観点から、御指摘の技術情報の流出防止は喫緊の課題の一つと認識しています。
このため、これまでも多様な技術流出の実態に応じて種々の施策を講じており、留学生、研究者等の受入れの審査強化や、外為法に基づくみなし輸出管理の明確化による技術情報管理、研究インテグリティーの確保などの取組を進めているところです。
引き続き、関係省庁と緊密に連携し、機微技術情報の流出防止に資する取組を推進してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/7
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008・山東昭子
○議長(山東昭子君) 杉尾秀哉さん。
〔杉尾秀哉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/8
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009・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
ただいま議題となりました経済安保推進法案について、会派を代表して質問いたします。
まず、岸田政権が発足して半年となりました。新型コロナにウクライナ危機、まさに内憂外患の中で、緊張感を持って政権運営を続けておられることに敬意を表します。
ただ、残念ながら、岸田政権の業績はと聞かれて即答できる人は少ないでしょう。なぜなら、岸田総理は、社会的に重要な課題について聞かれても、緊張感を持って注視すると答えるだけで、実は何もしないからだと、ある文筆家は喝破しています。何もしないことをバリエーション豊かに表現するおじさんというネットでの評価もあるようです。つまり、やってるふり内閣と表現すればいいんでしょうか。そうでないと言うのなら、まず、目玉の政治スローガンである新しい資本主義の全体像を早く示すべきではないですか。
ロシア軍によるウクライナ市民への虐殺の惨状が連日メディアで伝えられています。ロシアのプーチン大統領に対する国際社会の怒りと抗議の声は強まるばかりです。
かかる蛮行に対して代償を支払わせ、一刻も早く侵略行為をやめさせ、ウクライナに平和を回復させるために日本ができることはまだまだあります。その象徴として、原油と天然ガス開発のサハリン1、サハリン2からのエネルギーの輸入を停止する考えはありますか。
私が予算委員会で総理に要請したとおり、日本もウクライナの避難民保護にかじを切りました。しかし、まだまだ中途半端で、しかも、政府が避難民という言葉に固執し、難民と峻別することには違和感があります。元々、日本が国際社会から難民鎖国と批判され、世界の難民に固く門戸を閉ざしてきたのは恥ずかしい限りです。
そこで、一過性の政治的パフォーマンスと言われないためにも、これを機に難民認定の拡大に大きくかじを切るべきではないでしょうか。
新型コロナについても伺います。
先月、まん延防止等重点措置を解除する際、岸田総理は、第六波の出口ははっきり見えてきたと豪語されました。しかし、これは完全なミスリードで、全国的な再拡大傾向が明らかです。
そこで、総理に伺いますが、既に第七波に突入したという認識か、また、その場合、まん延防止等重点措置を再発出するつもりはあるのか、明快な答弁を求めます。
政府は、ワクチン三回接種済みの人を対象に、イベントワクワク割を来月から始めると伝えられています。何とすばらしいネーミングと思いきや、ワクワクのワクはワクチンのワクでもあるらしい、そう考えると、ばかにされているような気がしてきました。感染が再拡大しているのに、本当に来月から始めるんでしょうか。そもそも、行政サービスをワクチン接種の有無で差別するのはおかしくないですか。総理、お答えください。
本日の議題であります経済安保推進法案は、仮に成立すれば、岸田政権にとって、発足以来唯一と言ってもいい具体的業績となり得るものです。目下のウクライナ危機やコロナ禍による物流問題、米中間の対立や厳しくなる安保環境等に鑑みれば、経済安全保障を確立し、国民の安全、安心を守る必要性を私たちも否定するつもりはありません。
しかし、この法案は、企業活動や国民の暮らしに影響を及ぼし、萎縮効果をもたらすおそれがある上、具体的な運用や規制対象などに関して政省令で決める項目が百三十八か所もあり、政府の裁量が広過ぎるなど、数々の問題点が指摘されてきました。ところが、衆議院での質疑の中でも、例えば総理自身の、慎重に検討、丁寧に説明、真に必要なものに絞り込むなどという答弁に象徴されるように、政府側は終始一貫して曖昧な説明を繰り返しています。
そこで、岸田総理に伺います。
こうした懸念について、衆議院段階でどれだけ払拭できたとお考えでしょうか。なお、本院の質疑では、慎重に、丁寧になど、曖昧な答弁のオンパレードは厳に慎んでいただきたいと思います。
私たち立憲民主党は、本法案の審議に臨むに当たり、一、自由で開かれた経済活動、二、民間活力と経済の成長、三、経済安全保障の実効性確保の観点から、自由と規制、経済と安全保障のバランスを最重要視し、経済安全保障の基本理念を新たに条文として盛り込んだ修正案をまとめ、衆議院に提出をいたしました。残念ながら、我々の修正案は否決されましたが、外部有識者からは高く評価されております。
そこで、まず、この法案の第五条に、法律の規制措置は、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確立するため合理的に必要と認められる限度において行われなければならないと、こう定められていることについて伺います。
これは、あくまで安全保障を経済に優先するという、こういう趣旨なんでしょうか。一方、私たち立憲民主党は、経済活動に対する規制は必要最低限としなければならないと考えておりますが、これについての見解、並びに、政府提出法案に経済安保の定義がない欠陥を補うために我々が修正案で示した基本理念についての総理の評価と併せて御答弁願います。
特定重要物資は、国民の生存に必要不可欠で、広く国民生活若しくは経済活動が依拠しているなどの要件に合致するものを政令で指定すると、こういう規定になっております。この物資の指定は、財政・金融支援スキームの出発点となるもので、政府の一存で決めることは望ましくありません。
そこで、特定物資の指定に係る政令を定めるに当たっては、外部有識者の意見を聞くこととすべきと考えますが、担当大臣の見解を伺います。
また、この法案の目的は、産業基盤の強靱化を通してサプライチェーンのリスクを低減することにあると、こういうふうに理解しますけれども、問題は、どこまでコストを掛けて強靱化を実施するべきか、目安が全く示されていないことです。
これについて衆議院での質疑では、特定重要物資の対象として、半導体と電池、レアアースを含む重要鉱物、医薬品などが挙げられていますが、これ以外に対象が広がる可能性はないのでしょうか。
また、国内生産拠点の強化等のために、どこまで国が支援を続けるのか。恣意的な運用に歯止めを掛けるためにも、支援の条件や規模などを示す必要があるのではないかと考えますが、リスク・コスト・ベネフィットという観点からの担当大臣の見解を求めます。
経済団体は、本法案の基本的な方向性については支持しつつも、特に規制が強化される部分に警戒感を持っていることは間違いありません。その一つが特定社会基盤事業、いわゆる基幹インフラです。
本法案では、対象分野として、電気、鉄道、金融など十四の事業が示されていますが、規制の対象が必要最低限のものとなるかどうか、明確になっていません。これらが曖昧なままでは、関係企業の設備投資計画にも重大な影響が出ることが予想されます。
そこでまず、ほかの法案の条文が対象を曖昧にしているのに、なぜこの基幹インフラのみ十四業種に絞ったのか、ほかの業種が対象となることはないのか。また、審査の対象となる重要システムが明確でなく、政府がこうした専門的な設備やシステムを広範に適正評価できるのか甚だ疑問であることを踏まえ、これらの懸念に応えるためにも、対象事業者の基準を主務省令で定めるに当たっては、事業者や外部有識者の意見を十分に聞くべきと考えますが、担当大臣、御答弁ください。
本法案の官民技術協力の対象となる技術分野については、民生用に限らず、軍事利用可能な先端技術開発に財政支援を行うことも可能なスキームになっていると指摘されています。
現に、有識者会議の議事録要旨を見ても、防衛など政府部門の具体的ニーズを研究者と結び付けていくことが非常に重要だという指摘がありました。また、この会議のメンバーの兼原元内閣官房副長官補は、本法案で最も重要なのは官民技術協力だと繰り返し発言し、軍事利用につながる技術開発を重要な目的としていることを隠そうとしておりません。
そこで、岸田総理に伺います。
本法案の言う先端的な重要技術の開発支援制度の目的の一つは、学術界や民間企業と軍事研究を結び付けること、つまり軍産複合体をつくることにあるんでしょうか。もしそうなら、経済安保の経済という名前を冠することによって研究内容を曖昧にしようとしていると指摘されても仕方ありませんが、なぜ正々堂々議論しようとしないのか。さらに、官民パートナーシップの具体的役割や機微情報の共有を含めた情報管理の基準についても併せてお答えください。
我が国の現行の特許制度では、出願された発明は一年六か月後に一律に公開されることになっています。それを本法案では、安全保障の観点から非公開化しようとしています。非公開とすべきかどうかを判断する保全審査の対象となる発明について、有識者会議の提言では、核兵器の開発につながる技術及び武器のみに用いられるシングルユース技術が挙げられており、政府が作成した法案説明資料においても、核技術、先進武器技術等の中から絞り込んだものと、こういう説明がされています。しかし、本法案の六十六条を見ても、この点について明確に書かれておりません。
そこで、技術分野の絞り込みに国際特許分類を用いるのなら、核関連技術など非公開化の対象となる重要分野だけでも法律に明記することはできなかったのか。有識者会議でも、経済活動等に及ぼす影響を十分考慮し、安全保障上極めて機微な発明を対象にすべきとの提言をしておりますけれども、本法案はこれに逸脱してはいないでしょうか。また、現在は様々な民生技術が軍事目的に利用されていることから、こうした軍民利用技術が非公開化の対象になれば、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与するという特許制度の本旨に反するのではないでしょうか。担当大臣の答弁を求めます。
ここまで述べてきました物資の調達を始めとした本法案による様々な規制には、取引先など重要な企業秘密に触れる部分があり、情報の漏えいは企業の存続そのものに深く関わります。これが本法案に対する経済界の懸念点の一つでもあります。
その意味でも、内閣官房で法案取りまとめの実務を仕切ってきた経済安保法制準備室の藤井敏彦前室長の更迭と、明らかになった数々の非違行為は極めて深刻です。
そこで、岸田総理に伺います。
総理は、経済安保法制に係る情報保護の重要性をどこまで認識しているんでしょうか。また、藤井前室長による重要情報流出の可能性についてどこまで厳しく調査をしたのか。さらには、経済安保と関わりのある企業やメディア関係者と不適切とも言える行為を続けてきた人物を、あろうことか経済安保法制の事務方トップに据えた総理自身の任命責任をどう考えるのか、総理、明確にお答えください。
岸田総理が情報保護の重要性を認識されておられるのなら、機密情報の取扱資格制度、いわゆるセキュリティークリアランスの導入をなぜ見送ったのか、この見送りの理由について、また、今後の導入に向けた検討状況を御答弁ください。
一方で、日本企業の退職者が外国企業に再就職したり機微な情報を持つ研究者のヘッドハンティングが、人の移動に伴う情報や技術の流出として大きな問題となってきました。本法案ではこうした問題がカバーできておりませんけれども、政府としてどう対処するつもりでしょうか。
問題は、頭脳や技術の流出もそうですが、日本の産業競争力そのものが低下をしているという厳然たる事実です。経済安保の言う戦略的不可欠性とは、日本が他国が持たない技術や製品を持ち、その流出を食い止め、他国が日本を不可欠な存在と認めてくれること、これが何より重要です。日本の産業競争力の低下を含め、こうした思想が本法案には見えません。総理の問題意識をお答えください。
大川原化工機という横浜の会社で起きた冤罪事件を皆さんは御存じでしょうか。
この事件は、食品製造に欠かせない噴霧乾燥装置で知られる町工場が中国に輸出した装置が武器転用可能だとして、二年前に社長ら三人が逮捕されたというものです。ところが、なぜか初公判直前になって突然起訴が取り消される事態となり、逮捕された元専務はこの間にがんが悪化して、刑事被告人のまま無念の死を遂げてしまいました。功を焦った公安警察の勇み足とも言えるこの事件は、反中ムードに乗じた経済安保の危うさを象徴しているとも言えます。
事ほどさように、経済安保は、企業活動や市民生活にも重大なマイナスの影響を与えかねません。だからこそ、この法案審議に当たって、本院では良識の府として将来に禍根を残すことがないよう慎重審議に徹するよう求めまして、私の代表質問といたします。
御清聴大変ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/9
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010・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 杉尾秀哉議員の御質問にお答えをいたします。
まず、新しい資本主義についてお尋ねがありました。
新しい資本主義は、市場競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、市場の失敗、外部不経済を是正する観点から、デジタルや気候変動等の社会課題を解決することを成長のエンジンとすることで成長を実現するとともに、持続可能な経済社会を目指すというものであります。
こうした新しい資本主義の実現に向けて、昨年度補正予算や今年度予算に必要な措置を盛り込むとともに、例えば、人への投資という課題については人への投資の抜本強化に向けた三年間で四千億円の施策パッケージの創設、賃上げという課題については賃上げ税制の拡充などの環境整備、デジタル化という課題については5Gや光ファイバーといったデジタルインフラの整備計画の策定、気候変動という課題についてはクリーンエネルギー戦略の策定といった施策の具体化を進めているところです。
新しい資本主義の実現に向けた課題を含めた全体像をお示しすべく、六月までに新しい資本主義の基本的な考え方をまとめたビジョンとその具体策と工程表を含む実行計画、取りまとめてまいります。
サハリン1、2からの資源の輸入停止や、難民認定の拡大についてお尋ねがありました。
サハリン1、2は、単なる資源の売買を通じたビジネスとしてではなく、自国で権益を有し、原油やLNGの長期かつ安価な安定供給に貢献しており、国民生活や事業活動にとって重要であります。今後も権益を保有するという考えに変更はありません。
今後、我が国として、エネルギー安定供給を確保しつつ、G7首脳声明に従い、ロシアへのエネルギー依存の低減に取り組んでまいります。
難民認定については、難民条約の定義に従い、難民と認定すべき者を適切に認定しているところです。また、難民と認められない方であっても、今回のウクライナ避難民のように、本国情勢等を踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる方については我が国への在留を認めるなど、適切に対応してまいります。
なお、例えば内戦や戦争に巻き込まれて命を落とすおそれがある方など、難民条約上の五つの理由以外の理由により迫害を受けるおそれのある方を適切に保護するため、法務省において、難民に準じて保護する仕組みの検討を進めております。
新型コロナの感染状況やまん延防止等重点措置、そしてイベント需要の喚起策についてお尋ねがありました。
私は、まん延防止等重点措置解除の際、今後しばらくは平時への移行期間であり、最大限の警戒をしつつ、安全、安心を確保しながら、可能な限り日常生活を取り戻す期間としていくと申し上げました。こうした方針の下、引き続き、全体像で用意した医療体制や予防、検査、早期治療の流れを維持し、オミクロン株の特徴に合わせて更に強化しながら、社会経済活動を回復させていきます。
足下で、新規感染者数は、地域による違いがあるものの、全体としては増加傾向にあります。他方で、病床使用率、重症病床使用率は低い水準にあります。また、既に重症化リスクの高い高齢者の八五%のワクチンの三回目接種を完了しております。こうしたことから、現時点で都道府県からまん延防止等重点措置の要請はなく、直ちに重点措置が必要な状況とは考えておりません。
お尋ねのイベント需要喚起に関する事業の開始については、感染状況等を踏まえて慎重に検討していくこととしており、現時点で直ちに始めることは考えてはおりません。
なお、旅行、大人数の会合などの場面における安全、安心を高める取組として、都道府県の判断でワクチン接種歴又は抗原検査キットを活用することを推奨しているところであります。
また、衆議院の審議における答弁、そして規制の限度及び立憲民主党修正案についてお尋ねがありました。
政府としては、衆議院の審議において、例えば、本法案の施行に当たって、基本方針及び基本指針において考え方を明らかにしつつ、具体的な政省令の制定に際しても幅広く関係者の意見を聞くことや、それを通じて恣意性を排除していくことなどを具体的に答弁しております。参議院の審議においても、しっかりと御説明を尽くしてまいります。
お尋ねの本法案の第五条の趣旨は、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図るということです。規制を必要最小限のものとするよう努めることは当然であり、それが合理的に必要と認められる限度ということであると考えております。
御党の修正案については、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図るということを旨とするとの意味において、本法案と大きな違いはないと考えております。こうした基本的な考え方を具体的に分かりやすく示すことは重要であると考えており、基本方針を策定するに当たって配慮してまいります。
また、官民技術協力についてお尋ねがありました。
本法案の枠組みは、中長期的に我が国が国際社会において確固たる地位を確保していく観点から、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して先端的な重要技術の研究開発を進めるためのものです。このため、防衛分野だけを殊更に取り上げることは適切ではありません。
官民パートナーシップの具体的役割については、本法案の協議会では、例えば、政府側の参加者から、研究者からの要望を踏まえ、研究開発の促進に資する情報提供等を行うことが想定されます。このほか、情報管理の基準を含めた協議会の具体的な運営方法は、研究開発の内容や進捗、研究者の希望を踏まえ、個々の協議会ごとに、全ての協議会構成員が納得する形で決めることとなります。
経済安全保障、経済安全保障法制に係る情報保護の重要性等についてお尋ねがありました。
企業が保有する情報の流出防止は、我が国企業の競争力の維持強化とともに、経済安全保障の観点から極めて重要であると認識をしています。本法案においても、特に秘匿の必要性が高い情報を取り扱う手続に従事する者は通常よりも重い罰則を科すこととするなど、情報保護の徹底を図ることとしております。
政府としては、藤井氏の非違行為に関する徹底した調査を行い、結果、法案に関する情報の流出は確認はされませんでしたが、対外不公表文書の外部流出事案を二件確認し、これを信用失墜行為と認定し、他の非違行為と合わせて停職十二か月という極めて厳しい処分を行いました。私から監督責任者であった国家安全保障局長に対して、また、派遣元であった経済産業省においては経済産業大臣から事務次官に対して、それぞれ職務上の厳重注意を行ったところです。
経済安全保障政策に関わる政府の高官がこのような情報の流出に関与したことは誠に遺憾であり、二度とあってはならないことです。私としても、情報保全について更に徹底するよう指導してまいります。
情報保護の重要性等についてお尋ねがありました。
いわゆるセキュリティークリアランスについては、本法案に関する有識者会議の議論や提言を踏まえ、本法案に盛り込んではいません。その上で、本法案の衆議院内閣委員会における附帯決議で示されたとおり、今後検討していくべき課題の一つであると認識をしており、実際にクリアランスが求められる具体的事例の検証などをまずは行ってまいります。
退職者やヘッドハンティングを通じた情報や技術の流出については、これまでも不正競争防止法や外為法などに基づき対策を実施してきたところですが、各企業や研究機関等において情報管理体制を一層強化していただいた上で、研究者の待遇改善や研究環境の整備などに取り組んでいただくことが人材流出防止に資すると理解しており、政府としてもこうした取組を支援してまいります。
また、戦略的不可欠性や産業競争力の獲得に関しては、近年重要性が増している宇宙、海洋、量子、AIなどの研究開発等について、本法案の官民技術協力の枠組みを通じて推進し、民間投資を呼び込んでまいります。これにより、国民生活の向上や経済成長にとどまらず、世界が直面する様々な課題への積極的な貢献につなげてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/10
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011・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 杉尾議員からの御質問にお答えいたします。
まず、サプライチェーンの強靱化における特定重要物資についてお尋ねがありました。
特定重要物資の指定については、物資を政令で指定する際の基本的な考え方を定める安定供給確保基本指針の作成に当たり、経済施策や産業構造などに関する有識者の意見を聞くとともに、パブリックコメントを実施するなどして広く意見を聞いた上で指定します。
具体的な特定重要物資については、現時点で予断を持って言及することはできませんが、国会での御議論も踏まえつつ、法案や基本指針で示された考え方に基づき、個別物資の特性等に応じて、各々の指定の必要性を判断した上で指定します。
その上で、支援の内容や支援対象となる計画の認定要件については、物資ごとに作成する安定供給確保取組方針において定めて公表することで恣意性を排除しています。また、支援対象となる具体的な取組や支援の規模については、物資の特性等に応じて、リスクや費用対効果の観点も含め、財政当局等と協議してまいります。
次に、基幹インフラに関する制度の対象事業と、対象となる事業者の指定基準等を主務省令で定める際の手続についてお尋ねがありました。
本法案の基幹インフラに関する制度については、我が国の安全保障と経済活動の自由を両立する形で、予見可能性に配慮した制度設計を行っていくことが重要と考えています。また、有識者会議からは、規制対象となる事業等について、国家及び国民の安全に与える影響に鑑み真に必要なものに限定すべきといった提言をいただいております。
このため、規制対象となる事業については、国民の生存に必要不可欠で代替困難なもの、又は国民生活若しくは経済活動が依拠する役務で、その利用を欠くことにより広範囲若しくは大規模な混乱等が生じ得るもののうち規制対象とすべき事業者や設備が具体的に想定されるものに限定することとし、その外縁として十四の事業分野を法条文上示しております。
将来的な対象事業の拡大の可能性については、予断を持ってお答えすることは困難であり、今後の情勢の変化を見据え、必要な取組について不断に検討を進めてまいります。
事業者の指定基準等を定める省令の制定、その前提となる考え方を示す基本指針の策定につきましては、事業者や有識者など関係者の意見を幅広く聞くことにより、事業の実態を踏まえたものとしてまいります。
次に、特許出願の非公開制度についてお尋ねがありました。
対象技術分野を法律に明記できないかという点でございますが、核技術や武器技術の全てが一概に国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいわけではないと考えられるほか、先端技術が日進月歩で変わるものであることも踏まえ、対象技術分野を政令で定めることとしています。
この法案が有識者会議の提言を逸脱していないかとの点でございますが、政府としては、有識者会議の提言を踏まえつつ、法技術的な観点も考慮して条文化を行ったものであり、提言を逸脱しているとの御指摘は当たりません。対象技術分野は、政令により、予見可能な形で具体的に定めてまいります。
産業の発達に寄与するという特許制度の本旨に反するのではないかとの点ですが、この法案では、技術の機微性のみならず、産業の発達に及ぼす影響も考慮して対象となる発明を絞り込むことを条文上も明記するなど、産業の発達との両立には特に配慮した制度としております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/11
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012・山東昭子
○議長(山東昭子君) 塩田博昭さん。
〔塩田博昭君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/12
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013・塩田博昭
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭です。
ただいま議題となりました経済安全保障推進法案について、公明党を代表し、質問いたします。
米中覇権競争の激化やロシアによるウクライナ侵攻などが起きる中で、経済政策を安全保障の観点から捉え直す必要性が高まっており、経済安全保障法制の重要性はますます大きくなっています。具体的には、技術流出の防止が一層重要な課題となっているほか、国民の安全、安心に対する新たなリスクであるサイバー攻撃の影響や、重要物資の国際的な供給途絶に対する脆弱性について、国を挙げて、官民が協力して対処していくことが肝要であると考えます。
経済安全保障政策を考える場合に最も大切なことは、事業者の経済活動への過度な介入を回避することと規制の実効性を確保することをいかに両立するか、どこでその両者のバランスを取るのかが肝になるのではないかと考えます。規制の実効性という点だけを考えれば、罰則を強化すればよいということになるかと思いますが、それでは事業者の経済活動が萎縮してしまうのではないかと思われます。
本法律案の第五条では、この法律の規定による規制措置は、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならないと規定されており、前述の考えを具現化した規定であると認識しております。
まず、経済安全保障政策を実施する上で、第五条に規定されている、事業者の経済活動への過度な介入を回避することと規制の実効性を確保することをいかに両立させるかについて、岸田総理に伺います。
次に、本法律案の四つの柱、まずは重要物資のサプライチェーンの強靱化について伺います。
本法案では、国民の生存に必要不可欠又は広く国民生活若しくは経済活動が依存している物資の重要性や、海外への依存度などを踏まえて、政令で特定重要物資が指定されるとされております。具体的な物資について、小林経済安全保障担当大臣は、骨太方針二〇二一で挙げられた半導体、電池、レアアースを含む重要鉱物、医薬品といった物資は該当し得ると衆議院内閣委員会で答弁しています。
ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアからの輸入に大きく依存していたパラジウムが我が国で入手困難となりました。パラジウムは、自動車などの排ガス浄化触媒のほか、歯科用合金や半導体用メッキにも使われており、関係する業界からは苦境を訴える声が上がっています。
一つの具体的な事例として、パラジウムを特定重要物資として指定するかどうかの検討を行う際にはどのような点を見るのでしょうか。例えば、何か客観的な数値基準を用いて判断することになるのでしょうか。小林担当大臣に伺います。
また、民間事業者による供給確保計画の策定と支援措置について伺います。
本法案では、認定供給確保事業者の取組への助成や利子補給のほか、金融支援が措置されておりますが、あわせて、税制での後押しを検討する必要はないでしょうか。岸田総理に伺います。
次に、重要物資の供給網に関する調査報告について、努力義務として罰則を設けていないことの妥当性についても伺います。
この点について、衆議院内閣委員会に参考人として出席した東京大学東洋文化研究所の佐橋亮准教授は、罰則をもって営業秘密を含む可能性があるような情報を企業に要求するということは好ましくないと考えています、そういった非常に機微なもの、これはやはり強制的に出させることに意味があるとは思えませんといった旨を明確に述べられております。
つまり、佐橋准教授の御意見も、安易に罰則に頼るのではなく、政府と事業者が密にコミュニケーションを取って、事業者が協力してくれるような体制をつくることが重要であるということだと思います。加えて言えば、政府自身が、貿易統計の細分化や充実を図るといった、政府自ら努力を行うことも必要ではないかと考えます。
重要物資の供給網に関する調査報告について、努力義務として罰則を設けていないことの妥当性、また、業者が協力してくれる体制づくり、さらには貿易統計の細分化による政府自身の取組の必要性について、岸田総理に伺います。
次に、基幹インフラの安全性、信頼性の確保について伺います。
特定社会基盤事業者に指定されるのは、基本的には東京電力や関西電力等の大企業であって、中小企業や小規模事業者が指定されることはないのでしょうか。例外的に中小企業や小規模事業者が指定され得るとすれば、どういうケースなのでしょうか。中小企業や小規模事業者の懸念を払拭する意味でも、小林担当大臣の明快な御説明をお願いします。
さらに、特定重要設備の審査期間について伺います。
審査期間は、届出受理から原則三十日、審査や勧告、命令に必要な期間は最長四か月まで延長できることになっていますが、事業者にとって、設備導入まで足踏みさせられる期間は機会損失となり、短ければ短いほどよいと思います。この期間をなるべく短くするためには、審査体制を充実させるとともに、高効率の審査が実施されることが必要だと思いますが、この点に対する考えについて、岸田総理に伺います。
次に、官民技術協力の推進について伺います。
本法案では、シンクタンクへの委託や官民協議会による伴走支援などが盛り込まれていますが、これらが中途半端なものになってしまうと、基金も無駄金となり、本法案で考えていることは絵に描いた餅になるリスクも高いと思われます。
そうしたリスクを回避するための最大の課題は、人材の確保、育成であると考えます。先端技術だけではなく、安全保障や社会実装に軸足を置いた優秀な研究者やプロジェクトマネジャーをいかに確保し、育てていけるのかが鍵を握ると思われますが、この点についてどのような方策を考えているのでしょうか。
また、一部の研究者などから、特定重要技術に指定されるとその分野の研究開発や論文の発表などがやりにくくなるのではないかという懸念の声も聞かれますが、そうしたことがないのかについても、岸田総理に伺います。
最後に、特許出願の非公開化について伺います。
特許出願の非公開化の制度を構築することによって特許の内容が公開されないと、他国にとっては当該特許に係る発明は発明されていない状況になることから、他国で同一内容の特許が成立してしまう可能性も出てくると思います。
そのため、安全保障上の観点だけではなく、経済活動やイノベーションにどのような影響を及ぼすかも考慮して、非公開とする対象を十分に絞り込む必要があると考えますが、具体的にどのような絞り込みを行うのか、また、二次審査を行うのは特許庁ではなく内閣府だと承知しておりますが、どのような体制でスタートするのでしょうか。防衛省や外部の専門家の協力も得ながらということになるかと思いますが、その人員規模や構成について、小林担当大臣に伺います。
政府は、産業界と十分に対話を重ねるとともに、経済安全保障の意義について丁寧に説明することに努めることで、国民の理解を醸成しつつ、経済安全保障の確保と産業競争力の向上を両立させることが重要であると考えます。本法律案がその重要な第一歩となることを期待し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/13
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014・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 塩田博昭議員の御質問にお答えいたします。
事業者の経済活動に対する過度な介入の回避と規制の実効性の確保の両立についてお尋ねがありました。
経済安全保障の取組を進める上では、事業者の経済活動は原則自由であるとの大前提に立った上で、これらを大きく阻害することがないようにすることが重要であり、本法案においても、規制の実効性確保の在り方を含めて、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図ることが重要であると考えています。
このため、本法案の施行に当たっては、基本方針及び基本指針において考え方を明らかにしつつ、具体的な政省令の制定に際しても幅広く関係者の意見を聞くなどを通じ、過度な規制措置によって事業者の経済活動が萎縮することがないよう十分配慮してまいります。
重要物質のサプライチェーンの強靱化に関してお尋ねがありました。
特定重要物資の安定供給を確保するため、本法案では、民間事業者の取組に対し助成金の交付、金融支援などの支援策を規定しています。政府としては、本法案の成立に全力を挙げるとともに、情勢の変化を的確に捉えて、今後不断に施策の検討と見直しを進めてまいります。
また、産業サプライチェーンは複雑であることを踏まえ、より多くの事業者の理解を得て協力をいただくことが重要です。そのため、事業者からの自発的な協力を得ていく上で、罰則付きの調査権限は本調査になじまず、むしろ事業者の理解を得る努力を行うことが調査の実効性確保にもつながると考えております。
政府として、調査対象の理解、協力が得られるよう努めるとともに、調査に当たっては公的統計などの効果的な活用に努めてまいりたいと考えます。
基幹インフラの審査期間についてお尋ねがありました。
有識者会議からは、事業者の負担に鑑み、審査期間を長期のものとすることは避けることが望ましいといった提言をいただいており、国家及び国民の安全を確保する上で必要な審査を効率的に行うことができるよう、関係省庁の連携を含め、審査体制の充実に取り組んでまいります。
官民技術協力における優秀な人材の確保等に関してお尋ねがありました。
優秀な人材の確保や育成は官民技術協力を進める上で重要であり、政府やシンクタンクによる支援など、これまでにない魅力的な研究環境を準備するとともに、公募による競争等を通じて、可能性のある様々な技術や知見を有する研究者を確保し、育成していく考えです。
本法案に基づく研究開発の成果について、論文等の成果発表については、守秘義務の対象となる情報を除き、制約は課さず、公開されることとなり、論文発表や研究開発がやりにくくなるということはありません。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/14
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015・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 塩田議員からの御質問にお答えいたします。
まず、パラジウムの特定重要物資への指定についてお尋ねがありました。
特定重要物資の具体的な指定の基準等は、有識者の意見も踏まえ、安定供給確保基本指針において今後定めることとしております。
その上で、例えばパラジウムのように特定少数国に依存している物資を指定するかどうかの検討に際しましては、特定国からの供給が途絶した際に、経済活動に甚大な影響があるかといった点や、他国からの代替供給や他の物資による代替が可能かといった点等を総合的に勘案し、判断することを想定しております。
次に、基幹インフラに関する制度の特定社会基盤事業者の指定の考え方についてお尋ねがありました。
本法案では、役務の安定的な提供に支障が生じることによって国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きいものを対象事業者として指定することとしていることから、中小規模の事業者を対象とすることは基本的に想定しておりません。
ただし、例えば、銀行間の決済ネットワークの中心を担う全国銀行資金決済ネットワーク、いわゆる全銀ネットのように、事業者の職員数は中小規模であるものの、提供する役務に特殊性があり、それに支障が生じることにより国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい場合は、例外的に対象となることがあり得ると考えております。
次に、特許出願の非公開制度についてお尋ねがありました。
非公開の対象となる発明について、経済活動やイノベーションに及ぼす影響も考慮して十分絞り込むべきであるという点は御指摘のとおりです。
そこで、この法案では、まず、技術分野等により定型的に保全審査の対象を大きく絞り込んだ上、内閣府が審査の対象となり、防衛省や特許庁を始めとする国の機関や外部の専門家から、その発明の安全保障上の位置付けや技術の先進性、産業上の価値などに関する多角的な情報を得ながら、総合考慮によって保全指定の要否を判断し、対象を一層絞り込む仕組みとしております。
内閣府の担当部門の体制につきましては、保全審査の件数等によっても変わり得ることから、有識者の意見も聞きながら保全審査の対象となる技術分野等を検討するとともに、財政当局や関係省庁とも相談しながら適切な審査体制を整えてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/15
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016・山東昭子
○議長(山東昭子君) 礒崎哲史さん。
〔礒崎哲史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/16
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017・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
初めに、ロシアの軍事侵攻にさらされ続けているウクライナ国民に連帯の意を表します。子供たちや市民を標的にしたロシア軍による戦争犯罪が日々明らかになっています。蛮行を繰り返すロシアに断固として抗議します。日本政府として、各国との連携を図りながら、人道支援を含めた我が国独自の対応も進め、毅然とした対応を貫くことを強く求めます。
それでは、会派を代表し、質問いたします。
四月八日の総理の記者会見において、石炭の段階的な輸入禁止を始めとしたロシアに対する追加制裁の発表がありました。
総理にお伺いします。
石炭の輸入禁止により電力供給への影響が懸念されます。三月二十二日に東北電力、東京電力管内において電力需給逼迫警報が出されましたが、今後の電力供給確保に向けてどのようにお考えでしょうか。
エネルギー価格の高騰も懸念されます。例えば、ガソリン価格は高水準のままです。トリガー条項の凍結解除を始めとした燃料価格高騰対策について、いつ結論を出すのか、岸田総理に伺います。
それでは、政府提出の経済安全保障推進法案について伺います。
米国の、あっ、失礼しました、米中の覇権競争の激化等を契機として、ブロック経済化が進むとともに、保護主義的政策が取られつつあると思います。ロシアによるウクライナ侵攻はそうした動きに拍車を掛けるものであり、経済安全保障政策の重要性はますます大きくなってきていると認識しております。
まずは、政府案の内容をサプライチェーンの強靱化等の四つの柱に絞った理由、そしてエネルギーや食料の安全保障は政府案の守備範囲外とした考え方について、岸田総理に伺います。
次に、今回の法案では導入が見送られたセキュリティークリアランスについて伺います。
セキュリティークリアランスについては、経済同友会から、同盟国、同志国との国際共同研究を実施する際、民間事業者も参加して先端技術共同開発を推進、強化する必要があり、政府は早急に検討を始め、速やかに導入すべきであるとの意見が表明されております。また、衆議院内閣委員会に参考人として出席された同志社大学の村山裕三名誉教授からは、国際会議に行ったときに、セキュリティークリアランスがないため、会議で出てくる資料について見せてもらえないことがあり、研究にも支障を来すといった発言がございました。
セキュリティークリアランスが我が国でいまだに措置されていないことのデメリットや導入に向けた課題、また、一部報道では、政府がセキュリティークリアランスの導入について、調整を急ぎ、秋に予想される臨時国会への関連法案提出を目指すとされていますが、今後の検討スケジュールについても岸田総理に伺います。
さらに、人権デューデリジェンスの法制化について伺います。
令和三年五月、産業競争力強化法が議題となった参議院本会議で、私は、人権デューデリジェンスは国の産業競争力にも大きな影響を及ぼすのではないかと質問いたしました。それに対し、当時の梶山経済産業大臣からは、今後の我が国企業の取組いかんによっては我が国の産業競争力にも影響を及ぼすことが想定をされるため、ビジネスと人権に関する行動計画の周知啓発をしっかりと行い、産業界の意識向上、取組促進に努めてまいりますとの答弁をいただきました。
その後、同年九月から十月に経済産業省が外務省と連名で実施した調査によると、我が国上場企業における人権デューデリジェンスの実施企業は五割程度にとどまっており、いまだ不十分であると考えますが、単に政府が企業に対して人権デューデリジェンスを推奨するだけではもはや済まないと考えます。
実際に、人権侵害を助長している懸念のある企業がサプライチェーンに含まれていないことを証明できなかったことを理由に輸入制限の対象となるという事態が生じており、経団連からは、こうした現状に一企業で対応することは困難であるため、政府としてどのように対処するか、早急に検討する必要があるとの意見が表明されております。
人権デューデリジェンスは国の産業競争力にも大きな影響を及ぼし得るものであることから、そうした意味でも国が責任を持つべきであり、一つの方策としてそれを法制化する必要があると考えますが、これらの点に関する岸田総理の見解と今後の政策の方向性を伺います。
国民民主党は、このような喫緊の課題であると考えられるセキュリティークリアランスや人権デューデリジェンスを始め経済安全保障の守備範囲を政府案よりも幅広く捉えた総合的経済安全保障施策推進法案を三月十一日に参議院に提出をいたしました。
岸田総理に伺います。
経済安全保障を確固たるものにしていくためには、今回の政府案の中身だけでよしとすることなく、今後、より総合的なものにしていく必要があると認識しておりますが、お考えをお聞かせください。
次に、政府案について、重要物資のサプライチェーンの強靱化、官民技術協力の推進及び特許出願の非公開化の三点に絞り、伺います。
重要物資のサプライチェーンの強靱化について、本法律案では、所管大臣が各物資の生産、輸入、販売の事業を行う民間事業者に対し、その状況について調査を実施できるとしております。政府においては、一企業の責任で提出できる情報には限界があることを踏まえ、調査の内容や求める水準を決定すべきと考えますが、小林経済安全保障担当大臣の見解を伺います。
加えて、サプライチェーン強靱化に向けては、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金を活用して、国内生産回帰を図ることで、特定国への依存を減らしていくような取組も不可欠であると考えます。同補助金がこれまで果たしてきた役割や成果、今後、同補助金を積み増して切れ目なく継続的に活用していく可能性について、萩生田経済産業大臣に伺います。
次に、先端的な重要技術に関する官民技術協力の推進について伺います。
官民協議会やシンクタンクへの委託といった本法律で考えられている仕組みがうまくいくかどうかの鍵を握るのは、イノベーションを生み出すことのできる人材の育成とビジネス環境を整備することや、新たな発想を持つスタートアップの参画と、こうしたスタートアップへの投資の活性化が必要と考えますが、小林経済安全保障担当大臣の見解を伺います。
そして、特許出願の非公開について伺います。
特許出願の非公開制度における損失補償は、指定された特定の特許出願人の受けた損失を国が補償する制度であると理解しております。その損失補償の財源について、小林経済安全保障担当大臣は、衆議院内閣委員会で、特許特別会計から支出を検討する旨の答弁をしています。仮に特許特別会計から支出するとすれば、同会計の収支悪化にもつながりかねず、結果として特許料の引上げなどといった事態も想定され得ると思います。一般会計から支出すべきだと主張する考えはないか、萩生田経済産業大臣に伺います。
このほかにもお伺いしたいことがたくさんありますが、時間の関係もあり、それは委員会の質疑に回したいと思います。
最後になりますが、政府は、産業界や労働界と、労働界とも十分に対話を重ねることで、経済安全保障対策の歩みを着実に進めるとともに、人材育成やビジネス環境の改善に向けて実効性ある政策を講じ、真に国際競争力を向上させ、我が国の産業がかつての輝きと強さを再び取り戻すことを心から祈念し、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/17
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018・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 礒崎哲史議員の御質問にお答えいたします。
石炭の輸入禁止に伴う電力供給確保策と燃料価格高騰対策についてお尋ねがありました。
電力供給に関しては、今年の夏や冬の電力供給は厳しい見通しですが、ロシア以外の生産国やスポット市場からの燃料の代替調達、再エネ、原子力など脱炭素の効果の高い電源の活用、そして事業者間の広域的な融通、公募による供給力の追加的な確保などにより、電力の安定供給を確保してまいります。
また、燃料価格高騰対策については、先般、総合緊急対策の策定を指示したところです。三党における協議の状況も注視しながら、何が実効的で、効果的な対策なのかという観点から、四月中には具体的な対策を取りまとめてまいります。
そして、本法案に盛り込まれた施策と盛り込まれなかった施策についてお尋ねがありました。
経済安全保障は多岐にわたる新しい課題であり、本法案は、そのうち法制上の手当てが必要な喫緊の課題に対応するため、四つの経済施策の制度整備を行うものです。
御指摘のエネルギーや食料も含め、我が国の基幹産業が抱える脆弱性や強みについて、不断に点検、見直しを検討することが重要であり、本法案に基づく取組も、エネルギー安全保障等の取組と整合性を図りつつ進めてまいります。
いわゆるセキュリティークリアランスについては、本法案の衆院内閣委員会における附帯決議で示されたとおり、今後検討していくべき課題の一つであると認識をしており、実際にクリアランスが求められる具体的な事例の検証などをまずは行ってまいります。
なお、御指摘の報道に関しては、現時点で政府として法案提出を見据えた検討を開始したという事実はありません。
人権デューデリジェンスの法制化についてお尋ねがありました。
企業がサプライチェーンも含めた人権尊重の取組をしっかりと行わない場合、多くのリスクに直面するおそれがあります。企業からも政府にガイドラインを整備してほしいとの要望が寄せられています。
このような状況を踏まえ、現在、中谷総理補佐官をヘッドとした関係府省庁会議と連携しながら、経済産業省において、サプライチェーンにおける人権尊重のための業種横断的なガイドライン作りに取り組んでいます。
今後、企業の予見可能性向上のための国際協調に関する議論など、国内外の動向を踏まえながら、人権デューデリジェンスに関する将来的な法律の策定可能性も含めて、更なる政策対応について検討してまいります。
経済安全保障推進法案をより総合的なものにしていく必要性についてお尋ねがありました。
御党提出の法案は拝見しており、安全保障に関する経済施策を総合的に推進するという大きな意味では、政府提出法案と同様の趣旨、目的を持った法案であると認識をしております。
政府としては、まずは本法案の成立に全力を尽くしてまいりますが、幅広い観点から安全保障政策を進めていくことが重要であると考えており、今後の情勢の変化を見据えた更なる課題についても不断に検討を進め、必要な取組、更に進めてまいりたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣小林鷹之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/18
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019・小林鷹之
○国務大臣(小林鷹之君) 礒崎議員からの御質問にお答えいたします。
まず、サプライチェーンの調査についてお尋ねがありました。
サプライチェーン調査の実施に当たっては、その趣旨も踏まえ、合理的な調査内容、水準とする必要があると考えています。その上で、御指摘のとおり、産業サプライチェーンは複雑であって、一事業者が自社製品の原材料のサプライチェーンを遡って整理、提供する情報には限界があります。そのため、政府がより多くの事業者の理解を得る努力をし、調査に協力いただくことが重要と考えています。
次に、官民技術協力における人材育成と、スタートアップの参画等についてお尋ねがありました。
先端的な重要技術の研究開発を促進するためには、この法案に基づく協議会について、我が国の社会変革を導く若手の研究者や技術者、スタートアップ企業が参画しやすい仕組みとすることが重要であると考えます。
このため、協議会の組織や運営については全ての参加者が納得する形で決定していくこととしており、若手の研究者が協議会に参画し、研さんを積めるよう十分に配意して情報の取扱方法等を決めるなど、研究者やスタートアップの方々が参画しやすい間口を備えた制度としてまいります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/19
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020・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 礒崎議員からの質問にお答えします。
サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金の役割や成果、持続的な、継続的な活用の可能性についてお尋ねがございました。
御指摘の補助金は、これまでに二回の公募を実施し、三百五十四件、五千百四十七億円を採択しました。具体的には、半導体関連物資やマスクなどを製造する事業者からの申請を採択しており、これにより、海外生産の依存度の高い製品や国民が健康な生活を営む上で重要な物資について、国内製造拠点の整備が着実に進んでいくと考えています。
さらに、現在は三回目の公募を実施していることに加え、昨年度の補正予算においては半導体や蓄電池の国内製造拠点の整備を支援するための予算措置なども講じたところであり、引き続き、これらの措置により、我が国のサプライチェーンの強靱化に取り組んでまいります。
特許出願の非公開制度における損失補償制度の財源についてお尋ねがございました。
特許特別会計は、産業財産権制度の全ての利用者に資するように、歳入と歳出が均衡して運営されることを確保するために創設された特別会計です。他方で、近年はその財政状況が悪化していたため、今年度からは特許関係料金の引上げを行い、収支均衡を図ることとしました。
これに対して、御指摘の損失補償制度は、安全保障の観点から保全指定を受けた特定の特許出願人に損失を補償するものです。この損失補償費が産業財産権制度の利用者一般に転嫁すべき性質のものか否かはよく検討する必要があると考えており、引き続き、小林大臣の答弁のとおり、財政当局や国家安全保障局等と検討してまいりたいと思います。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/20
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021・山東昭子
○議長(山東昭子君) 柴田巧さん。
〔柴田巧君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/21
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022・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案について、岸田総理にお尋ねをいたします。
まず、冒頭に申し上げます。
ロシアのウクライナへの侵攻が始まって、一か月半余りがたちました。この間、全く罪のない子供たちを始め多くの尊い命が犠牲になりました。改めて、ロシアによる侵略と無差別殺人を非難するとともに、亡くなられたウクライナの方々に心より哀悼の意を表します。
ロシア政府に対しては、即刻武器を置き、完全撤退するよう強く求めると同時に、日本と世界の平和を断固守り抜く我が党の決意を表明し、質問に入ります。
ロシアの蛮行によって、冷戦後均衡を保ってきた国際秩序が大きく揺るがされ、日本を取り巻く安全保障環境も劇的に変わりました。
ロシアと同じく覇権主義を妄信する中国は、軍事、経済両面で存在感を拡大させ、米中による覇権争いが激しさを増しています。加えて、台湾有事は現実味を帯び、北朝鮮からは弾道ミサイルの発射が繰り返されています。
今後、この変化のテンポは更に加速するものと予想されます。ゆえに、今こそ、従来の枠組みにとらわれない安全保障の抜本的な強化が必要不可欠です。そういう意味でも、我が党は、今国会での経済安全保障法制への取組はその重要な第一歩になると確信をしています。
経済安全保障について国民がより理解を深めるためにも、その範囲や対象、方向性を明確にするとともに、実効性が担保されることが肝要です。
衆議院での審議において、我が党は、現実に即した、客観的に合理性の高い修正案を提示しましたが、政府側が説得力のある反論ができないまま無視を決め込んだことは甚だ遺憾です。実効性を脇に置いたままの欠陥法案だと言われても仕方ありません。
その上でお尋ねをします。
第一条などに、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為の規定がありますが、具体的には何を指すのですか。範囲を曖昧にしたり、経済界へのそんたくで狭めたりすれば実効性が著しく低下しかねないと考えます。法案成立後に定める基本方針にしっかり明記すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
政府は経済安全保障の定義を明確にしていませんが、中国の新疆ウイグル自治区等での人権弾圧問題や気候変動問題を含めて経済安全保障の対象と見る向きもあります。エネルギー安全保障や食料安全保障との政策の関係性を含めて、経済安全保障の対象や方向性をもっと明確にすべきではありませんか。総理の御認識をお伺いをします。
総理は、今国会の施政方針演説で、おおむね一年を掛けて、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を策定することを表明をしました。これを受け、政府では、国家安全保障戦略の改定に向けて、本年一月から有識者との意見交換会が始まりました。
国家安全保障戦略が平成二十五年に初めて策定されてからこの八年間で、さきに述べたように、情勢は様変わりしました。それを背景として、経済安全保障を戦略の中に位置付けることは当然の流れです。そこで、年末までに改定される国家安全保障戦略においては、経済安全保障の重要性をどのように明記すべきと考えますか。総理の御認識をお伺いをします。
次に、経済安全保障推進の体制などについてお尋ねをします。
本法律案は、まず法制上の措置をとるべきものとして四本柱から構成されますが、セキュリティークリアランスなど早急に整備すべき制度が残っています。
また、既存の制度についても、外為法による対内直接投資審査制度、安全保障貿易管理、重要土地等調査法の施行など、一体的な経済安全保障政策を推進する上で整理すべき課題は無数にあります。
現在、政府において、経済安全保障に関する施策は、経済安全保障担当大臣の統括の下、国家安全保障局経済班による各府省の政策の総合調整を通じて行われていると考えていますが、本法律案の成立後は、内閣府に新設されるという新組織と併せ、どのような体制、役割分担で経済安全保障政策を推進をしていくのか、総理にお伺いをいたします。
地方公共団体における経済安全保障についてお尋ねをします。
地方自治体においては、安全保障の担い手であるという意識が弱いところがあることは否定できません。しかし、基幹インフラである上下水道や港湾、医療、鉄道などを多く保有しています。また、地方には、大企業の研究所や、重要な先端技術を有し、大企業を下支えしている中小企業も多数あります。
このように、地方自治体は安全保障上、経済安全保障上極めて重要です。そこで、これまで余り日が当たらなかった地方自治体における経済安全保障上の対策について、国においても必要な支援と調整を行っていくべきと考えますが、総理の御所見をお伺いをいたします。
さて、今回の法案は、経済安全保障を推進するためのまさにファーストステップにすぎません。
衆議院本会議で総理は、我が党の青柳仁士議員の質問に対し、変化のスピードが速い国内外の情勢によって、講じるべき経済安全保障上の措置も変わり得ることから、今後も、幅広く、不断に点検、見直しを検討し、必要な取組を進めてまいりますと答弁しました。情勢変化に的確に対応していくのは当然のことです。
そこで、法案成立後、経済安全保障施策を具体的にどのように点検、見直し、拡充を図っていくのか総理にお伺いをいたします。
罰則に関して、我が党は再三にわたりその必要性を訴えてきました。政府案への対案として衆議院に提出した法案では、半導体や医薬品といった重要物資の安定供給に向けて国が企業の調達先などを調査する権限を強化するため、協力しなかった企業に対する罰則を規定することとしていました。
我が党の提出法案は残念ながら否決をされましたが、与党の事前審査の段階で削除されたサプライチェーン調査に係る罰則をめぐる衆議院内閣委員会での議論を踏まえ、附帯決議十六において、同調査の実効性を確保するための方策について、本法の施行後適当な時期において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることという項目が入りました。
本来、この附帯決議の内容については、このように執行を猶予すべき性格のものではありません。日本の法制が整わない間に悪意の事業者が暗躍する事態は十分想定されますが、総理はどのように受け止めていますか。少なくとも、課題が現実に露呈すれば、実効性を担保するための措置を速やかに講じると約束していただけませんか。併せて総理にお伺いをいたします。
続いて、インテリジェンス機能の強化についてお聞きをします。
経済安全保障上の脅威を見極めるためには、インテリジェンス機能が重要です。情報を活用し、我が国に迫る現在の脅威や未来予測などを分析する能力を備えた人材育成を行っていく必要があります。また、各省庁において短期間でポストを異動させるのではなく、長期にわたって一つのテーマに専従できる情報分析の専門官を多く育成することも重要です。
経済インテリジェンスに係る人員について約百三十人の定員を増やすとのことですが、どのような業務に従事させるのか、また、インテリジェンスに係る人員の育成、専門性の向上にどのように取り組むのか、併せて総理にお伺いをいたします。
最後に、原子力発電所の警護についてお尋ねをします。
全国知事会が先月三十日、原発に対する武力攻撃に備えるよう政府に求めました。ロシアがウクライナで原発を砲撃したことを受けての緊急要請であり、脅威が現実になったことを考えると当然の要望です。
国内の原発は、災害による重大事故やテロに対策する備えは求められていますが、軍事攻撃を想定した施設にはなっていません。このため、全国知事会は、原発に向けてミサイルなどによる攻撃が行われる事態を想定し、自衛隊による迎撃体制の整備と部隊の配置に万全を期すよう政府に求めました。
日本は専制主義国家に海を隔てて接しているからといって、原発に対する武力攻撃を想定外として放置しておくわけにはいきません。ましてや、北朝鮮がミサイル発射を繰り返している現状を考えても、自衛隊による警護が必要な段階に来ています。政府においては、その体制や法整備の検討を進めるべきです。
そこで、平時からの自衛隊による原発警護に道を開く自衛隊法改正について総理の御見解をお伺いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/22
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023・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 柴田巧議員の御質問にお答えをいたします。
経済安全保障の対象や方向性についてお尋ねがありました。
お尋ねの経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為とは、例えば、大規模かつ長期にわたる停電をもたらすサイバー攻撃など、外国政府等の主体により行われる、我が国の国家及び国民の安全を害する行為をいいます。
こうした行為を未然に防止するために本法案において講ずる措置の対象については、基本方針に基づき、制度ごとに策定する基本指針において、考え方を明らかにした上で定めることとしております。
その上で、経済安全保障は多岐にわたる新しい課題であり、確立した定義があるわけではありませんが、政府として新しい課題に向き合う中で、エネルギーや食料といった従来から行われてきた取組との整合性、役割分担にも留意しつつ、必要な連携を進めてまいります。
新たな国家安全保障戦略についてお尋ねがありました。
平成二十五年に我が国初の国家安全保障戦略が策定されてから約八年が経過をいたしました。その間、AI、量子など革新的技術が出現する中、安全保障と経済を横断する新しい課題が国家安全保障上の重要課題である経済安全保障の問題として広く認識されるようになってきたところです。
このような状況も踏まえ、新たな国家安全保障戦略の策定に当たっては、経済安全保障も重要な課題として位置付け、政府としてしっかりと議論をしてまいります。
本法案成立後の体制、地方自治体との関係及び施策の点検、見直し等についてお尋ねがありました。
本法案成立後も、引き続き、国家安全保障局が中心的な役割を担いつつ、法施行を担うために内閣府に新たに設置する組織や関係省庁と緊密に連携することで、政府一体となって経済安全保障を強化するための取組を進めていきます。
また、経済安全保障上の課題は多岐にわたることから、地方自治体が地域におけるインフラ整備や産業育成に役割を担っていることなどを踏まえ、政府としては、地方自治体、地方公共団体ともしっかりと連携しながら、経済安全保障の取組を推進していく考えです。
さらに、変化のスピードが速い国内外の情勢によって講じるべき安全保障上の措置も変わり得ることから、先ほど申し上げた体制の下、法案、本法案成立後も幅広く、不断に点検、見直しを検討し、必要な取組を進めてまいります。
サプライチェーン調査に係る罰則についてお尋ねがありました。
産業サプライチェーンは複雑であることを踏まえ、より多くの事業者の理解を得て、協力をいただくことが重要です。そのため、事業者からの自発的な協力を得ていく上で、罰則付きの調査権限は本調査になじまず、むしろ事業者の理解を得る努力を行うことが調査の実効性確保につながると考えております。そして、附帯決議の趣旨を踏まえ、まずは本制度を実施し、サプライチェーンの把握に向けた運用を積み重ねてまいりたいと考えます。
そして、経済インテリジェンスに係る人材の育成についてお尋ねがありました。
令和四年度予算において経済インテリジェンスに係る人員約百三十人の定員増を計上したところ、経済安全保障の取組の実効性を担保するため、経済安全保障に係る情報の収集、集約、分析の業務に従事させてまいります。
我が国を取り巻く国際環境が一層厳しさを増す中で、インテリジェンスに係る人材の確保、育成や専門性の向上は極めて重要であると認識をしており、こうした認識に基づく情報分析や情報保全に関する各種研修、人事交流等を通じて、高い専門性を有する人材を確保、育成すること等により、情報機能の更なる強化を図ってまいります。
自衛隊による原発の警護に関するお尋ねがありました。
原子力発電所の警備については、第一義的には公共の安全と秩序の維持を責務とする警察機関において実施していますが、状況によっては自衛隊が治安出動等により対処することも可能です。
また、こうした事態に備え、平素から防衛省・自衛隊と警察、海上保安庁は、共同訓練を行うなどして、連携の強化を図っております。
いずれにせよ、いかなる事態にも対応できるよう、必要に応じた検討を不断に行ってまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/23
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024・山東昭子
○議長(山東昭子君) 田村智子さん。
〔田村智子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/24
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025・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案について、岸田総理大臣に質問いたします。
この法案は、通称、経済安全保障推進法案と呼ばれていますが、経済安全保障とは何か、なぜこの法案が必要なのかが、提案理由説明を聞いても、法案の条文を読んでも判然としません。衆議院の審議でも、法案に経済安全保障についての定義がないことが問題とされました。
経済安全保障という言葉から、新型コロナ感染症を要因とした、マスク不足、建築資材や半導体の不足など、生活必需品や原材料を海外生産に頼り過ぎたことへの対策にも聞こえます。異常気象、ロシアによるウクライナ侵略戦争によって、穀物等食料危機への不安も高まっており、経済安全保障というのなら、なぜ食料自給率への言及がないのかという指摘もあります。
そこで、法案審議の前提として、経済安全保障とは何かを確認いたします。新興感染症や異常気象、他国での紛争など、非常事態の際に日本の経済が停滞、混乱しないように、国内生産体制の強化を進め、海外での生産拠点を多層的に構築するということなのでしょうか。安全保障の確保とは何から何を守るのか、国民に分かりやすく説明いただきたい。総理の答弁を求めます。
二〇一九年九月から二〇二一年七月まで国家安全保障局長を務め、退職後も内閣府の有識者会議のメンバーとして経済安全保障の政策協議に関わっている北村滋氏は、今年二月、経済安全保障とは何かと題する大企業向けのセミナーで講師を務めています。その中で、経済安全保障という言葉を定義するに当たっては、どのような観点から政策が展開されるのかを理解することが重要ですと述べ、次の三点を挙げています。
一つに、経済を安全保障政策の力の資源として利用する、言わば経済的措置を武器代わりに使うこと、二つに、我が国や企業が保有する機微な情報、先端技術をいかに守るのか、そして三つ目に、自由で開かれた国際経済システムの維持、特に同志国との連携が重要。
これらは、政府の経済安全保障の考え方と同じでしょうか。違う部分があるならば、それはどこでしょうか。総理の答弁を求めます。
経済安全保障とは、経済を守ることではなく、日本防衛の手段として、あるいは国家間の争いに対する力、圧力として経済的措置をとるということにほかなりません。
北村氏は、今回の法律ができると用意ドンで初めて経済安全保障の政策が始まるという論調が多いんだけど、違う、もう始まっているんだ、例えば、土地利用を規制する法律の改正など、経済安全保障関係の政策は打ってきている、今回の法律は、経済安全保障大系というものがあったとすると、その一部と考えてもらった方がいいとNHKの取材に答えています。
事実、二〇二〇年四月、国家安全保障局には経済班が設置され、既に取組を推進と政府資料に記載されています。重要土地規制法によって、米軍基地、防衛省施設等の周辺で土地取引を監視できる仕組みがつくられました。外国からの研究資金、研究に参加する外国人留学生についても規制措置がとられ、外為法で輸出に対する新たな規制措置もとられています。
重要土地規制法の制定を含め、これら一連の措置が経済安全保障であり、本法案は、当面、新たな法整備が必要な措置に限ったものであって、経済安全保障のスタートでもゴールでもないと考えますが、総理、いかがですか。
国連憲章と国際人道法をじゅうりんするロシアに国際社会が経済制裁を行うことは当然です。しかし、北村氏が経済的措置を武器代わりとして使うとする経済安全保障における経済的措置とは、国連の枠組みとは別に、日本独自で、あるいは同志国とともに行うものではありませんか。お答えください。
二〇一八年、韓国大法院が元徴用工への賠償を日本企業に命じる判決を出し、政府は、二〇一九年七月、半導体素材などの輸出規制の措置を韓国に対してとりました。経済産業省は、徴用工問題との関係を否定する説明をしていますが、措置がとられた直後のプレスリリースでは、日韓間の信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況、大韓民国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したとしており、この判決が関係していることは明らかです。いまだ日韓での協議は続いていますが、輸出管理をめぐる不適切な事案とは何かの説明も、安全保障に関わる取引情報だとして明らかにされていません。
経済安全保障でとられる措置については経済界と協議するとの説明がなされていますが、過去の事例に照らせば、時の政権の外交上の理由でいきなり経済安全保障の措置がとられ、安全保障を理由に関係企業に何の説明もないということが起きるのではありませんか。答弁を求めます。
国家の安全保障を理由としたとき、違反行為とされた事案が不当な捜査や逮捕につながることも危惧されます。
二〇一八年、大川原化工機株式会社に対して突然強制捜査が行われ、生物兵器の製造に転用できる噴霧乾燥機をドイツ企業傘下の中国の子会社に無許可で輸出したとの外為法違反容疑で、二〇二〇年三月、社長以下三人を逮捕、自白を強要しての起訴、ところが初公判直前に起訴が取り消されるという事件が起きました。
問題となった装置は輸出届出規制の対象外であったのに、一年近くも勾留し、体調悪化しても勾留を解こうとせず、がんの治療が遅れるという事態まで起きました。大川原社長は何の嫌疑を掛けられているかも分からなかったと述べており、経済安全保障によって、根拠も不明確なまま身柄を長期拘束し、ひたすら自白を強要する、人権じゅうりんの違法捜査が行われ得ることを示した事件と言えます。
政府は、大川原化工機事件をどのように総括していますか。本法案でも、安全保障のために様々な規制を事業者や国民に課すことになりますが、その内容は政省令に白紙委任されています。規制の内容が曖昧であり、誤認捜査、長期勾留による自白強要などの人権侵害や経済活動への混乱が起き得るのではありませんか。答弁を求めます。
先端技術、革新的技術研究は防衛装備開発にもつながり、経済安全保障の重要な柱となっています。法案では、特定重要技術開発基本指針を総理大臣が作成し、閣議決定すること、この基本指針に基づき、各大臣が官民共同の協議会を組織できるとしています。
プロジェクトマネジャーなど研究者が各省庁に置かれる協議会に加わり、研究に関わる情報、方針を政府と共有し、研究成果の取扱いも政府と協議することになります。当然、研究成果をどこまで公開にするかについて政府の意向を反映させることができると考えますが、いかがでしょうか。また、協議では、資金の出し手である政府側の意向を受け入れざるを得なくなるのではありませんか。それを防ぐ仕組みはありますか。
以上、総理の答弁を求めます。
経済活動や研究を国家安全保障の手段とすることには多くの危惧があります。本法案を熟慮の府である参議院において徹底審議することを求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/25
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026・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 田村智子議員の御質問にお答えをいたします。
経済安全保障の基本的な考え方についてお尋ねがありました。
経済安全保障は多岐にわたる新しい課題であり、明確な定義があるわけではありませんが、御指摘も含め、様々な考え方があるところですが、政府としては、国家及び国民の安全を経済面から確保する観点から、サプライチェーンの強靱化などを通じて、我が国の経済構造の自律性を向上させること、我が国の技術などの優位性、ひいては不可欠性を確保すること、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化を目指すこと、この三つの目標を我が国が目指す安全保障の大きな方向性として共有しており、省庁横断で必要な施策を進めてまいります。
経済安全保障推進法案は新たな法整備が必要な措置に限ったものではないかとのお尋ねがありました。
今回の経済安全保障推進法案は、経済安全保障という多岐にわたる新しい課題への取組のうち、法制上の手当てが必要な喫緊の課題に対応しようとするものであり、政府としては法案の成立に全力を挙げてまいります。
また、変化のスピードが速い国内外の情勢によって講ずるべき経済安全保障上の措置も変わり得ることから、今後も幅広く、不断に検討、見直しを行い、必要な取組を進めてまいります。
経済安全保障に関する措置の実施の仕方についてお尋ねがありました。
経済安全保障に明確な定義があるわけではありませんが、政府としては、国家及び国民の安全な、安全を経済面から確保する観点から、我が国の経済構造の自律性を向上させること、我が国の技術などの優位性、ひいては不可欠性を確保すること、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化を目指すこと、この三つの目標を我が国が目指す経済安全保障上の大きな方向性として共有しており、省庁横断で必要な施策を進めてまいります。
経済安全保障の取組を進めるに当たり、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化に向けて、同盟国、同志国との連携強化は重要であると考えております。
本法案における規制措置を含め、経済安全保障の取組を進める上では、関係事業者等とできる限りのコミュニケーションを取り、適切に連携を図ってまいります。
外国為替及び外国貿易法違反につき捜査された事案についてお尋ねがありました。
お尋ねの事案では、警察当局が外為法違反に当たるとして捜査を行い、検察当局が起訴をしましたが、昨年七月に検察当局が公訴の取消しをしたと承知をしております。
個別事件における検察当局の判断等に関わる事柄であり、かつ国家賠償請求に関して係争中であることから、一連の経過について見解を述べることは差し控えさせていただきます。
経済安全保障推進法案の規制については、物資、事業、技術分野など、政省令で定めることとしている部分もありますが、法律上その要件を可能な限り明確化しており、白紙委任、規制の内容が曖昧との指摘は当たりません。
また、犯罪の捜査は、御指摘のような問題が生じることがないよう、刑事訴訟法に定める適切な、適正な手続に従って行われるものであると承知をしております。
官民技術協力についてお尋ねがありました。
本法案に基づく研究開発の成果について、論文等の成果発表については、守秘義務の対象となる情報を除き、制約は課さず、公開されることとなります。
その上で、海外での懸念用途への転用があり得る場合などに、詳細な技術情報を公開せず内部管理するよう政府が求める場合も例外的に想定されますが、いずれにせよ、最終的な研究成果の取扱いは、研究者を含む全ての協議会参加者の合意を踏まえることとしており、研究者の意向を無視して、政府など特定の者の意向が反映されることはありません。
また、協議会に参加した者が自らの意向によって協議会から離脱することも可能であり、その際には、協議会で共有される情報にアクセスできないことなどを除き、協議会の枠外で不利益な扱いを受けることはありません。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/27
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028・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案
日程第二 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案
(いずれも厚生労働委員長提出)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、提出者の趣旨説明を求めます。厚生労働委員長山田宏さん。
─────────────
〔議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔山田宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/28
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029・山田宏
○山田宏君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会を代表して、その提案の趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案について申し上げます。
近年、女性が抱える問題が多様化、複合化、複雑化していることから、婦人保護事業の根拠である売春防止法から脱却し、ニーズに応じた新たな女性支援の枠組みを構築することが強く求められています。
こうした状況の下、本法律案は、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めることにより、支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与しようとするものであります。
以下、本法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本理念を定めております。
第二に、国等の責務を定めるとともに、必要な施策を講ずるに当たっては、関係地方公共団体相互間等の緊密な連携が図られるよう配慮しなければならないこと、厚生労働大臣は基本方針を定め、都道府県は基本計画を定めなければならないこと等を定めております。
第三に、女性相談支援センターの設置、女性相談支援員の配置、女性自立支援施設の設置等について定めております。
第四に、都道府県は、民間の団体と協働して、支援に関する業務を行うものとするとともに、地方公共団体は、支援調整会議を組織するよう努めるものとしております。
なお、この法律は、一部を除き、令和六年四月一日から施行することとしております。また、この法律の施行に伴い、売春防止法のうち、補導処分について定める第三章及び保護更生について定める第四章を削ることとしております。
以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
なお、本法律案は、厚生労働委員会において内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。
次に、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案について申し上げます。
全ての障害者が、社会を構成する一員として、社会、経済、文化等のあらゆる分野の活動に参加するためには、障害者が必要とする情報へのアクセシビリティーの向上やコミュニケーションの手段の充実が極めて重要であり、これらに焦点を当てた新たな法律の制定が必要とされております。
こうした状況を踏まえ、本法律案は、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進しようとするものであります。
以下、本法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、障害者による情報の取得等に係る施策の推進に当たっての基本理念を定めております。
第二に、国等は、この基本理念にのっとり、障害者による情報の取得等に係る施策を策定し、及び実施する責務を有することとしております。
第三に、国等は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発及び普及の促進を図るため、必要な施策を講ずるものとしております。
第四に、国等は、障害の種類及び程度に応じて障害者が防災及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、必要な施策を講ずるものとしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容の概要であります。
なお、本法律案は厚生労働委員会において全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決定したものであります。
何とぞ速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/29
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030・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
まず、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/30
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031・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
次に、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/31
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032・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/32
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033・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第三 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長馬場成志さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔馬場成志君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/33
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034・馬場成志
○馬場成志君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更、外国における緊急事態に際して防衛大臣が行う在外邦人等の輸送の要件等の見直し、麻薬等の譲渡に係る特例規定の整備及び保険医療機関等から診療を受けようとする自衛官等に係る電子資格確認の導入等の措置を講ずるものであります。
委員会におきましては、自衛官の定数を法律で規定する理由、在外邦人等の輸送の主たる対象者に追加される外国人の範囲とその選定基準、輸送の安全確保の判断材料、在外邦人等の輸送と保護措置を選択する基準、昨年八月のアフガニスタンからの邦人等の退避に関する政府の対応と検証の必要性、ウクライナ避難民の渡航支援の在り方等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の井上理事より反対、沖縄の風の伊波委員より反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/34
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035・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/35
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036・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/36
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037・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第四 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長斎藤嘉隆さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔斎藤嘉隆君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/37
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038・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、自動車事故による被害者の保護の増進及び自動車事故の発生の防止を一層図るため、当分の間の措置として実施している被害者の保護の増進又は自動車事故の発生の防止の対策に関する事業を恒久的かつ安定的に実施する措置を講ずるとともに、指定紛争処理機関による紛争処理の手続の利用を促進するため、調停による時効の完成猶予及び訴訟手続の中止の特例を新設する措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、一般会計から自動車安全特別会計への繰戻しの経過及び見通し、持続可能な被害者支援、事故防止対策のための賦課金制度の在り方、自動車による事故の発生防止対策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して武田良介委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/38
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039・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/39
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040・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/40
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041・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第五 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長徳茂雅之さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔徳茂雅之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/41
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042・徳茂雅之
○徳茂雅之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢等に鑑み、特定自動運行に係る許可制度を創設するとともに、特定小型原動機付自転車及び遠隔操作型小型車の交通方法等に関する規定並びに特定免許情報の個人番号カードへの記録に関する規定の整備等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、電動キックボード等の試乗、展示を視察したほか、特定小型原動機付自転車に係る安全性の確保、特定自動運行中の事故における責任の在り方、運転免許証と個人番号カードの一体化の推進及びその妥当性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の田村委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/42
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043・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/43
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044・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01620220413/44
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