1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月二十二日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十九号
令和四年四月二十二日
午前十時開議
第一 地方公務員の育児休業等に関する法律及
び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を
行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険
法の一部を改正する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 環境と調和のとれた食料システムの確立
のための環境負荷低減事業活動の促進等に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 植物防疫法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安
全性の確保等に関する法律等の一部を改正す
る法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/1
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002・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。後藤茂之厚生労働大臣。
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/2
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003・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) ただいま議題となりました医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
感染症に対する我が国の危機管理強化の観点から、緊急時において、治療薬やワクチンを始めとする医薬品等を速やかに国民に届けるとともに、非接触型の医療提供を行うに当たり必要となる処方箋の電子化を図ることにより、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止することが必要です。
こうした状況を踏まえ、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する仕組みを整備するとともに、処方情報及び調剤情報の即時的な一元管理を可能とする電子処方箋の仕組みを整備するため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、緊急時において、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等による健康被害の拡大を防止するため、緊急に使用されることが必要な医薬品等について、当該医薬品等の使用以外に適当な方法がない場合に、安全性の確認を前提に、有効性が推定されたとき、その適正な使用の確保のために必要な条件や期限を付した上で迅速に薬事承認を与える仕組みを創設することとしています。
第二に、薬局に対して迅速に処方箋を伝達するとともに、重複投薬や併用禁忌の回避等による質の高い医療サービスの提供、医療機関や薬局、患者といった関係者間でのコミュニケーションの促進等を実現するため、医師等が電子処方箋を提供できる仕組みの創設及び社会保険診療報酬支払基金等が行う電子処方箋関連業務に関する業務規定の整備等を行うこととしています。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日としています。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/3
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004・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小川克巳さん。
〔小川克巳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/4
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005・小川克巳
○小川克巳君 自由民主党の小川克巳です。
自民、公明を代表して、医薬品等品質確保法等改正案に対して質問いたします。
まず冒頭、ロシアによるウクライナ侵略に際して、子供や女性を含む一般市民に対する非人道的、恥ずべき行為が連日報道され、首都キーウ近郊のブチャでは多くの市民が殺害されたとの報道がありました。今の時代にそんなことが起こるなんてと、にわかには信じ難い思いとともに、激しい衝撃を受けました。
プーチン大統領は、ある会合で、ほかに選択の余地はなかったと述べたとのことですが、一方的な力によって奪われてよい命など、この世にはありません。不当に人の命を奪う権利など、地球上の誰にもないのです。人権と命の尊厳に対する謙虚さをみじんも持ち合わせていない、人としての在り方に大きな疑問を感じるとともに、激しい憤りを隠せません。
ウクライナの皆さんの平和な日常が速やかに取り戻せますことを心より祈念し、可能な限りのお手伝いをお約束して、以下、法案について質問いたします。
昨年、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックの開催前辺りから、世界的に新型コロナウイルスワクチンが不足していました。その中で、中国は自国開発のワクチンを途上国などに積極的に提供するいわゆるワクチン外交を展開しましたが、医療薬や医療関連品が重要な戦略物資の一つとして利用されているのが現実です。
我が国は、欧米が開発したワクチンを入手し、重症化リスクの高い高齢者のうち、二回目の接種完了者は九割を超え、三回目の接種完了者も八五%を超えています。ただ、若い方々へのブースター接種の加速化、さらには今後の感染状況次第では四回目接種も念頭に置かなければなりません。
世界的にワクチン需要が高まる中、その確保には並々ならぬ努力が必要です。昨年十二月には、岸田総理も海外の製薬会社大手のCEOと直接お話ししたと伺っております。ただ、新型コロナウイルス感染症の新たな波、あるいは未知の感染症の蔓延のおそれを考えれば、いつまでも供給を海外に依存してばかりというわけにはいきません。
そこで、総理は、新型コロナウイルスを始めとした感染症対策の一環として、日本によるワクチン開発力と供給力をどのように強化していくお考えでしょうか。また、今回見られたワクチンの囲い込みと戦略物資化による問題を解消するために、我が国は、ワクチンの公平な分配について、志を同じくする国々との国際的な協力、連携の強化に更に努めるべきと考えます。この点についてどのような所見をお持ちでしょうか。岸田総理に伺います。
最初のワクチン接種時、日本での使用が米国やEUより数か月遅れました。これは、海外での治験結果があるにもかかわらず、国内在住の日本人への有効性を確認するために追加的な臨床試験が行われたことにあると指摘されています。
今回、感染症流行時などにワクチンや治療薬などの医薬品を迅速に使えるようにするため、本改正案では緊急承認制度の創設を盛り込んでいます。そこで、この新たな制度は、昨年の新型コロナワクチンの承認プロセスとはどう異なっているのでしょうか。また、どのような医薬品を対象にし、どの程度、薬事承認の迅速化、早期化が期待できる仕組みになっているのでしょうか。厚生労働大臣にお尋ねします。
ワクチンや治療薬については安全性の高いものが供給されるべきです。しかし、医薬品はどうしても副作用が伴うおそれがあります。今回の緊急承認制度では、ワクチンや治療薬などの医薬品の実用化に当たり、最も大切な安全性の確認はどのようになされるのでしょうか。さらに、万が一、副作用による健康被害が発生した際にはどのような救済措置が講じられるのでしょうか。厚生労働大臣に伺います。
世界各国がこぞって安全、安心で利便性の高いデジタル社会の実現に向けて全力で走っています。しかし、コロナ禍の中で、日本のデジタル化、オンライン化の弱点が露呈したという議論があります。その一つに、デジタル化の基盤となるマイナンバーカードが十分に活用されているとは言えない状況があります。
感染症の蔓延が現実の危機として顕在化した今、非接触型の医療を進めることが求められています。マイナンバーカードの活用の一環として、健康保険証の一体化の取組を更に促進させていくことが不可欠です。そのために、健康保険利用者、そして医療機関等にどう働きかけていくつもりでしょうか。
また、一体化された保険証を使った場合、診療報酬が引き上げられたことで、窓口負担が上乗せされる形になっています。これでは普及促進に逆行しかねないという指摘がありますが、この点についてはどうお考えでしょうか。併せて厚生労働大臣にお伺いします。
オンライン資格確認等システムは、医療機関や薬局での過誤請求の防止や事務作業コストの削減に効果的な仕組みです。今回の法案では、このシステムを拡張して、電子処方箋を発行できるようになります。これにより、オンライン診療やオンライン服薬指導、薬剤配送等と組み合わせることで非接触型の診療が可能となります。また、医療機関や薬局において、患者のリアルタイムの処方、調剤情報を確認することにより、重複投薬や併用禁忌を防止できます。
しかし、電子処方箋への署名に使う資格証カードを持つ医師の数は少ないこと、医療機関ごとに電子処方箋か紙の処方箋かを選択できること、さらには慣れない電子処方箋より紙の処方箋を好む患者も一定数予想されることなどから、紙とデジタル双方が併存し、現場の混乱も続くのではないかとの懸念があります。
そこで、どのように電子処方箋への円滑な移行を実現していくおつもりでしょうか。厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
少し話題を変えますが、岸田総理は理学療法士という医療専門職を御存じでしょうか。作業療法士や言語聴覚士はいかがでしょう。リハビリ専門職と一くくりに言われます。が、それぞれの専門性の違いを御存じでしょうか。
現在、超少子、超長寿社会に向けて、地域包括ケアシステムなど地域をベースとした多くの施策が打ち出されていますが、そこでは保健、医療、介護、福祉の更に強力な連携が不可欠です。住民の多様なニーズとサービスとをつなぐ、つなぎ人となる人材の介入が欠かせません。障害の有無にかかわらず、また年齢にかかわらず、住み慣れたところで安心して、その人らしく暮らしていくため、また、その人の健康就労を支えるための基本的インフラとして、リハビリテーションサービスは不可欠です。コロナ禍において、高齢者は入院前から生活機能の一部が不安定であることも多く、呼吸や心循環機能の低下防止やサルコペニア、フレイル予防のための筋力トレーニング等の理学療法が重要な役割を果たしています。
岸田総理は、安心、安全な地域づくりの実現に向けて、理学療法士等のリハビリ専門職が果たしてきた役割をどのように認識しておられますでしょうか。
さらに、国を挙げて進めているデジタル化、オンライン化の流れを意識しながら、リハビリテーション、介護、医療が連携した包括的な取組を進めていくことが重要ですが、この点について、総理の考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/5
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006・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小川克巳議員の御質問にお答えいたします。
我が国のワクチンの開発供給力の強化と国際的な協力、連携の強化についてお尋ねがありました。
ワクチンを国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは極めて重要と考えており、医療に関わる経済安全保障にもつながるものです。このため、ワクチン開発・生産体制強化戦略に基づき、世界トップレベルの研究開発拠点の形成、デュアルユースのワクチン製造拠点の整備など、産学官のワクチン開発・生産体制の強化を進めることとしています。
また、あらゆる国、地域において、ワクチンへの公平なアクセスが確保されることは大変重要です。このため、我が国としては、これまでも、CEPIに対する拠出によるワクチン開発及び製造支援、COVAXへの拠出やワクチンの現物供与を通じたワクチンの供給に係る支援などを積極的に行ってきており、途上国を含む世界全体でのワクチンへの公平なアクセスの確保に向けて、引き続き努力を続けてまいります。
リハビリテーション専門職が果たしてきた役割などについてお尋ねがありました。
理学療法士などのリハビリテーション専門職の皆様には、疾病や障害を抱える方々の生活の質の向上を図る上で重要な役割を果たしていただいており、急速に高齢化が進行する中、国民の期待は更に高まりつつあるものと認識をしております。
こうしたリハビリテーションが医療と介護との間で切れ目なく提供されるためには、医療、介護の連携強化を進めることが重要であると考えており、医療・介護情報のデジタル化や標準化を通じて、関係者の間での情報共有を推進するなど、必要な取組を一層推進してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/6
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007・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 小川克巳議員の御質問にお答えいたします。
緊急承認制度についてお尋ねがありました。
新型コロナワクチンについては、特例承認制度によりできる限り早期の薬事承認に取り組んできましたが、安全性について確認するとともに、有効性についても確認することが承認の要件となっていました。
今般創設する緊急承認制度は、安全性の確認を前提に、有効性が推定された段階で迅速に薬事承認を与える仕組みとしています。
また、緊急承認制度は、国内外で開発された医薬品について、緊急に使用する必要があり、他の医薬品での代替が困難な医薬品を制度の適用対象とすることとしています。
薬事承認の迅速化、早期化につながるかについては、個々の医薬品の性質等に応じて異なりますが、例えば、海外で開発されたワクチンの場合は、日本国内での治験が実施されていない段階での承認が可能となる事例が想定されるところです。
緊急承認制度における安全性の確認と健康被害の救済についてお尋ねがありました。
医薬品の承認審査において、その安全性については、非臨床試験や臨床試験を通じて確認された毒性や副作用等が効能や効果に比して著しく有害なものでないかどうかを評価し、確認しています。緊急承認制度においても、そのようなベネフィットとリスクのバランスを考慮しつつ、許容可能な安全性を担保するという意味で、安全性確認要件としています。
具体的には、例えば、第三相試験が実施されない場合であっても、一定期間に高頻度で生じる副作用については、プラセボ群との間で発生頻度に明確な差が生じることが多いことから、後期第二相試験など比較的少数の症例に基づいて安全性を確認することは可能であると考えています。
その上で、緊急承認された医薬品により健康被害が仮に発生した場合、医薬品副作用被害救済制度等により、適切な救済措置を図ってまいります。
マイナンバーカードの保険証利用についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認は、医療機関等にとっては、導入することで事務コストが削減される、患者にとっては、自ら同意した上で過去の薬剤情報や特定健診結果を医療機関等に提供することにより、より良い医療が受けられるといったメリットがあります。
こうしたオンライン資格確認について、令和五年三月末までにおおむね全ての医療機関等で導入していただけることを目指し、導入加速化に向け、医療関係団体に推進協議会を新たに設置、令和四年度診療報酬改定において評価を新設、状況や特性等に応じた導入支援や働きかけ強化により、集中的に取り組んでおります。このうち、令和四年度診療報酬改定で導入した初診料等の新たな加算については、通常の診療報酬改定と同様、患者の方にも窓口で一定の御負担をいただくことになります。
国民の皆様には、より良い医療が受けられるメリットについて丁寧に周知、広報し、御理解を得られるよう努めてまいります。
電子処方箋の円滑な導入についてお尋ねがありました。
来年一月の運用開始を予定している電子処方箋の円滑な導入に向け、医療現場に配慮したシステム設計、運用や丁寧な周知、広報等に努めてまいります。
具体的には、当分の間、患者が電子処方箋を選択した場合であっても、処方情報を印字した紙を患者に渡すなど、現場に配慮した仕組みとするとともに、医師等の電子署名に必要なHPKIカードの更なる普及を促進し、さらに、本年秋頃から複数の地域でモデル事業を実施し、実装するシステムの検証に取り組むなど、混乱が生じないよう最大限の対応を行います。
医療現場や国民の皆様へ制度の周知を図り、来年一月の円滑な運用開始に向けて万全を期してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/7
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008・山東昭子
○議長(山東昭子君) 川田龍平さん。
〔川田龍平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/8
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009・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主・社民の川田龍平です。
ただいま議題となりました医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。
冒頭、岸田総理に一言申し上げます。
今回の前代未聞の予備費の積み増しという補正予算編成は、財政民主主義の否定、立憲主義の根幹を覆す暴挙であり、緊急に行うべきは今国会での議論です。今に始まったことではありませんが、国会軽視、国会無視の暴挙は、財政民主主義どころか議会制民主主義の破壊であり、断じて許されません。
それでは、法案質疑の前に、ウクライナへの支援と日本の食料安全保障について質問いたします。
防衛省は、化学兵器対応の防護マスク、防護衣、そしてドローンをウクライナに追加支援で送ると発表しました。
政府は今月五日、ウクライナ及び周辺国に対する追加的人道支援を決定していますが、防衛省の決定は、我が国の防衛の原則と矛盾し、政府決定だけで送れる防衛装備品ではなく、我が国の支援は非軍事人道支援に限るべきではないでしょうか。総理の見解を求めます。
ロシアのウクライナへの侵攻をきっかけに、小麦価格の高騰、原油価格の高騰、肥料や農薬が入らないなど、様々な分野でサプライチェーンに影響が出てきています。さらに、ここへ来て急激な円安にも突入してしまっています。
日本の食料自給率は三七%、燃料価格の高騰で、農産物の都市部への輸送も厳しくなっていくでしょう。我が国の食料安全保障は極めて逼迫した事態だと私は認識していますが、総理の現状認識をお聞かせください。
私は、日本の在来品種の種を守る法律、ローカルフード法案を今国会で提出するための準備を進めています。
今回、グローバル化された世界では、今後、どれだけお金を積んでも食料もエネルギーも手に入らない事態が現実リスクとして存在することが示されました。ロシアへの制裁を妨げている大きな理由の一つは食料とエネルギーの自給力であり、特に近年は、種を自国で自給する政策を強化していました。種がなければ食料は作れません。我が国の野菜の種は九割を海外産に頼っています。
種を守り、農業を守り、そして食料供給を守るローカルフード法のような法律が急務だと考えます。食料とエネルギーの供給が逼迫し、各国政府が食料安保の措置を最優先で進める今、我が国の食料安全保障における自国の種を守る重要性を総理はどのように考えていますでしょうか。
さて、政府が提出をした薬機法等改正案は、緊急時における医薬品、医療機器等の薬事承認を行う仕組みを創設するものです。本法案の緊急時とは、感染症のアウトブレークに加えて、原子力事故、放射能汚染、バイオテロなどのときが想定されるとのことですが、緊急承認制度の適用を正当化するパンデミックだという判断は、誰が、どのような手続でするのでしょうか。
米国EUAでは、保健福祉省長官がEUA発動の正当性を宣言します。厚労大臣が緊急承認制度が適用される緊急事態と判断したことを、国民に分かりやすく説明することは想定しているのでしょうか。また、パンデミックの終息については、いつ、どのように知らせることを想定しているのでしょうか。岸田総理の見解を伺います。
安全で有効な治療薬やワクチンが一刻も早く手元に届けられること、それによってコロナ禍が収束することは、国民の願い、希望です。しかし、安全性の確認がおろそかな薬までもが市中に流通することを望む国民はいません。
予防接種法に基づいて報告される新型コロナウイルスワクチンの副反応疑い報告事例の死亡症例は、九九%以上が情報不足等により評価不能となっています。我が国で死亡症例のほぼ全てが評価不能とされる理由は何でしょうか。
また、これらの評価不能事例は、その後、リアルワールドデータとしてどのように扱われるのでしょうか。緊急承認制度では、厚生労働大臣は、安全性が確認されなくなったときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴き、その承認を取り消さなければならないとなっています。しかし、九九%もの事例が情報不足等により評価不能であれば、安全性についての評価はどうやって図るのでしょうか。後藤厚生労働大臣に伺います。
また、昨年十二月に特例承認されたモルヌピラビルという新型コロナウイルス治療薬では、発売後八十五日間において、九名の死亡、二百八十二名の重篤者が報告されております。衆議院厚生労働委員会において、厚生労働省は、モルヌピラビルの投与と死亡との因果関係が明らかでないことから、現時点でモルヌピラビルの使用を一時停止する必要はないと答弁しています。
情報不足、因果関係が明らかでないという理由でリスクが懸念される薬の使用を続けるのではなく、因果関係がないと明確に言えない場合は使用を一時停止するといった予防原則の姿勢が重要と思いますが、後藤厚労大臣の見解を伺います。
緊急承認制度では、緊急承認制度に対する国民の信頼、そして安全を守るためにも、安全性確認については十分に行っていくことが必要と考えますが、岸田総理の見解を伺います。
一定期間に高頻度で生じる副作用について、プラセボ群との間で発生頻度の明確な差が生じることが多いことから、後期第二相試験など比較的少数の症例に基づいた安全性確認でよいと考えているとのことですが、第三相試験を行わずに、一体どうやって安全性を担保するのでしょうか。参加人数に限界のある二相試験だけでは、まれだが重篤な副反応を検出することはできません。緊急承認に当たり、どのようにして安全性を確認し、担保するのでしょうか。また、日本人における安全性についてはどう担保していくのでしょうか。後藤厚生大臣にお尋ねします。
アビガンは、新型インフルエンザ対策の備蓄用として承認がなされた抗インフルエンザ薬ですが、新型コロナウイルス治療薬としては未承認であるにもかかわらず、観察研究の仕組みの中で一万五千名以上の方に投与されました。しかしながら、国内外の三つの臨床試験において、新型コロナウイルス感染症に対する有効性の証明には失敗しており、アビガンを投与された方は、投与されていない方と比較して、軽症者の死亡率が九倍以上になると言われています。
アビガンの観察研究は安倍元総理の強い推奨の下で始められましたが、観察研究は終了しています。この間、ルールに反する形で自宅療養中の患者に処方されるといった不適切な投与を行った病院もありました。
私は、日本の臨床研究の発展と被験者の権利保護のために臨床研究法の制定に尽力しましたが、アビガンの観察研究は、本来、臨床研究法の適用の下で管理されて行われるべきだったと考えます。
アビガンについて、厚労省が通知をして観察研究への参加を条件に広く使用を認めるというあの対応は果たして適切だったのでしょうか。また、備蓄の在り方は今後見直されるのでしょうか。何よりも、臨床研究の発展のために、臨床研究法やその精神を尊重した対応がなされるべきと強く考えますが、岸田総理の考えを併せて伺わせてください。
本改正案により、国が緊急とはいえ医薬品に承認というお墨付きを与えれば、当然国民は安全で有効な医薬品であると認識してしまいます。難しい承認制度は分からなくても、たとえ医師がその有効性に疑問を持っていても、国が承認した薬なら多くの国民は信用して求めてしまうからです。そのリスクから、アメリカの緊急使用許可のように、承認ではなく許可制にすべきとの声もあります。
国民に対して、その医薬品の有効性についてはあくまでも推定であるという事実を理解させるのは国の責任です。どのように広報し、理解してもらう計画になっているのか、後藤厚生労働大臣にお伺いします。
緊急承認された医薬品は、期限内に改めて承認申請されなければなりません。この期限内に申請によって与えられるのは正式な承認ですから、この申請資料としては第三相試験の検証的試験の結果が必要だと考えますが、いかがでしょうか。後藤厚労大臣の見解を伺います。
また、リアルワールドデータについては、安全対策における利活用が進み、新型コロナワクチンの副反応である心筋炎のリスク評価に生かされていますが、有効性の確認では、検証的臨床試験の代わりとなるほどの信頼性が担保されているとは言えません。これについても、後藤大臣の御認識をお聞かせください。
緊急承認制度では二年内の有効性の検証に関する資料提出が求められていますが、この期間内に緊急承認要件が認められていない状態になった場合は、その時点で承認を取り消せるような仕組みにしておくことが国民の信頼と安全性を確保する上で不可欠と考えますが、いかがでしょうか。二年たつ前に取り消す場合、具体的にどのような場合が想定されるでしょうか。
これと関連して、米国EUAでは、一度許可された新型コロナウイルス治療薬がその後許可を取消し若しくは停止するケースが複数出ています。また、済みません、複数出ています。これまで日本政府が承認した新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の多くは、この米国EUAが許可したものを特例承認制度によって承認したものですが、この中で、日本が特例承認した後にEUAが取り消したワクチン又は薬はあるのでしょうか。その場合に、日本での扱いはどうなっていますでしょうか。
また、特例承認制度では二年以内の検証試験結果の提出が求められていませんが、EUAの下で検証的試験の結果を待たずに使用許可を与えられた医薬品を特例承認した場合は、緊急承認に準じた制度にすべきではないでしょうか。以上、厚労大臣のお考えを伺います。
マイナンバーカードに情報を一元化する電子処方箋についてお伺いします。
電子処方箋は、待ち時間を短縮したり、薬剤の不正取得を防ぐなど利便性があるものの、大きな懸念が複数あります。
一つは、電子化されたデータについて、個人情報の漏えいを患者本人が防ぐことができず、医療機関側のPCがウイルスに汚染されたり、無線LANを通してハッキングを受けるなど、セキュリティーの問題です。一度ネット上に拡散してしまった医療情報は取り返しが付きません。特に、マイナンバーとひも付けるとなれば、被害は甚大、膨大になります。
エストニアを参考にしているようですが、エストニアの成功は、医療情報と個人情報を切り離し、徹底したセキュリティー対策が基盤になっています。これは、現在、我が国のデジタル化全般が抱える最大の問題ですが、セキュリティーについてどのようにするのか、総理に伺います。
また、処方箋がデジタル化し、民間の配達業者が家に届けるシステムは、効率化される一方で、安全面とケアの部分に大きな懸念を感じます。その配達を地域で集約化して薬剤師の対面業務の負担を軽くするということですが、かかりつけ薬局の薬剤師が直接家に配達し、取り違えや飲み忘れ、飲み合わせの間違いなどを対面でチェックすることで高齢者や重篤な患者の事故を防ぐ、こうした重要なチェック機能が失われるリスクがあります。
対面調剤とは対人ケアにほかなりません。後藤厚労大臣はここをどう考えておられるのか、お答えください。
コロナ感染の第六波では、自宅療養者が急増し、必要とする人が医療にアクセスできない状態が続きました。そこで、立憲民主党は、オミクロン株に対応した医療提供体制をつくる通称オミクロン・感染症対策支援法案、コロナかかりつけ医がスピーディーに治療薬と医療を提供するためのコロナかかりつけ医法案、製薬企業の申請がなくても、国主導で有用な治療薬を迅速に確保するための仕組みをつくる特定医薬品特措法案の三法案を衆議院に提出しましたが、全て否決されました。我が国の医療制度の基本は、必要な人が必要なときに医療へのアクセスと治療を受けられる仕組みによって国民の命と健康を守るというものですが、この当たり前のことを提案した三法案をなぜ否決したのでしょうか。
また、過去、ハンセン病や薬害エイズなどの感染症対策では、感染者を社会にとって迷惑な存在として、隔離、差別、排除をしてきた歴史があります。今回、政府が実施しようとしているワクチン接種者又は検査陰性者を対象に割引が受けられるワクワク割は、ワクチン未接種者を差別する仕組みになっていますが、コロナ感染症で再び国民を分断する愚策をなぜ繰り返すのでしょうか。総理の見解をお聞かせください。
三回目のワクチン接種が進められる中、政府では四回目のワクチン接種の準備が進められております。一方で、これまでのワクチンの副反応や後遺症から、更に接種を重ねていくことに強い不安を感じている方々も大勢いらっしゃいます。また、五歳から十一歳までの子供への接種は、重症化リスクが極めて低い中、ワクチン接種はやめるべきではないかと私は考えています。
一昨日、政府は四回目の接種は重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方に限定する方針と報道もされております。改めて、今、ワクチン接種を積み重ねていくことのリスクとベネフィットを早期に示していくべきではないでしょうか。岸田総理の見解をお伺いします。
薬もワクチンもデジタル化も、医療に関わる安全性確保については、緊急時であるほどに国が丁寧に設計しないと、命に関わることは取り返しが付かないことになります。それはこの国の、我が国の歴史が十分証明をしています。
そしてまた、食料安全保障は待ったなしであり、何よりも、今、自国の種をしっかり守っておくことが我が国にとって急務です。そうした意味で、私は、日本の食料安全保障を守るローカルフード法案だけは何としても成立させなければならない、この国難への危機感を全党と皆様で共有し、一丸となって命を守り、国を守る必要性を重ねて申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/9
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010・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 川田龍平議員の御質問にお答えをいたします。
人道分野に限定したウクライナ支援の必要性についてお尋ねがありました。
議員御指摘の今回の防護マスク、防護衣及び小型ドローンの提供については、国際法違反の侵略を受けているウクライナに対し非殺傷の装備品等を支援するものであり、自衛隊法や防衛装備移転三原則の下で適切に提供されるものであります。これは、ウクライナからの要請に基づく支援です。欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為に対し、国際社会と結束して毅然と行動することは、我が国の安全保障の観点からも極めて重要であると考えます。
我が国は、ウクライナの国民と共にあり、引き続き、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施してまいります。
我が国の食料安全保障に関する現状認識と種苗の確保についてお尋ねがありました。
ロシアによるウクライナ侵略によって、原油や穀物等の国際価格が高騰し、輸送費の急騰を含め予断を許さない状況にある中、我が国の食料安全保障の確保はますます重要になっています。
こうした情勢を受けて、国民生活に不可欠な食料の安定供給等に支障が生じることがないよう、総合緊急対策の策定を指示したところであり、政府として、直面する危機に緊急かつ機動的に対応するべく、四月中に具体的な対策を取りまとめてまいります。
また、我が国の種苗は、穀物等はほぼ全てが国産である一方、野菜は輸入が九割ですが、日本企業が日本市場向けに開発した品種を海外で生産したものを輸入しているものであり、約一年分が国内備蓄されており、安定的に供給されていると承知をしております。
お尋ねのローカルフード法案の取扱いについては国会でお決めいただくことですが、食料を将来にわたって安定的に確保していくためには、今後とも種苗の安定供給は不可欠であり、官民の総力を挙げた種苗の開発、供給体制の構築を進めてまいります。
緊急承認制度の適用判断や安全性の確認等についてお尋ねがありました。
緊急承認制度の適用対象となる医薬品は政令で定めることとしており、医薬品を緊急に使用するか否かについては、パンデミック下での緊急事態宣言の発出や解除といった具体的な状況も含め、厚生労働大臣のみではなく、政府として総合的に判断していくこととしております。
医薬品を緊急に使用する必要性や、パンデミックの終息を含め、その必要性が消失した場合について、国民への分かりやすい情報提供が重要と認識しており、政府として適切に対応してまいります。
また、緊急時であっても医薬品の安全性を確保することは必要であることから、緊急承認制度においても、有効性については推定された段階で承認を可能とする一方、安全性については現行の承認制度と同水準の確認を行うこととしております。
アビガン等についてお尋ねがありました。
新型コロナの新たな治療薬の開発については、一日でも早く国民の皆様の不安を解消できるよう、国内外の企業、研究者の英知を結集して進めてきたところです。
アビガンについては、既に新型インフルエンザ用治療薬として薬事承認されており、観察研究、特定臨床研究、企業による治験という複数の研究がそれぞれの目的を踏まえて適切に進められてきたと承知をしております。
現時点では、薬事承認の可否を含め、本剤の有効性、安全性について何ら結論が得られているものではなく、企業のデータ解析の結果を待つ必要があることから、引き続き備蓄を継続することになると承知をしております。
臨床研究は、新たな医療技術の開発や適切な医療の提供に必要なエビデンスの形成に重要な役割を果たしており、引き続き、臨床研究法の目的に基づき、国民の信頼性確保を図りながら実施してまいります。
電子処方箋のセキュリティーについてお尋ねがありました。
電子処方箋システムは、ネットワーク回線をインターネットから遮断するとともに、システムの入口でウイルスが侵入しないようファイル選別を行うなど、総合的な対策により高いセキュリティーレベルを確保しています。
また、本年秋頃からシステムのセキュリティーに脆弱性がないかを確認する運用テストを行うこととしており、来年一月の運用開始に向けて万全を期してまいります。
立憲民主党提出法案が否決された理由についてお尋ねがありました。
御指摘の法案については国会において否決されたものと承知しており、行政府の長である私からその理由について答弁することは適切ではないと考えております。
いずれにせよ、新型コロナへの対応に当たっては、引き続き、全体像の医療体制を維持しつつ、オミクロン株の特性に合わせてこれを強化してまいります。
イベント需要喚起事業とワクチン接種についてお尋ねがありました。
お尋ねの事業は、ワクチン接種者だけではなく検査陰性者も対象として、イベントチケット価格の二割相当を割引支援することにより、消費者が安心してイベントに参加することができる環境を醸成することを目的とした事業であり、ワクチンを接種されていない方を差別するものという指摘は当たらないと考えています。
五歳から十一歳までの子供へのワクチン接種について、何よりも重要なことは、本人や保護者にワクチンの有効性、安全性を御理解いただいた上で、希望される方に安心して接種を受けていただくことであると考えております。このため、政府としては、引き続き、五歳から十一歳までの子供に対するワクチンの効果に関する知見の収集に努めつつ、必要な情報をしっかりと発信しながら、ワクチンの有効性、安全性を丁寧に分かりやすく説明してまいります。
また、ワクチンの四回目接種の在り方については、科学的知見や諸外国の状況を注視しつつ、専門家の知見も踏まえた上で、具体的な方針を決定してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/10
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011・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 川田龍平議員の御質問にお答えいたします。
ワクチンの安全性の評価についてお尋ねがありました。
副反応疑い事例の因果関係については、必要な情報を収集した上で、適切な手続にのっとって評価していますが、ワクチン接種後に起こり得る症状が様々であり、偶発的な発生かどうかの判断は極めて難しいことから、個別の死亡報告事例について評価不能が多くなるものと考えています。
死亡報告事例については、個別には評価不能であっても、そのデータを含んだリアルワールドデータを活用し、例えば、若年者について、ワクチン接種後の死亡報告頻度をワクチン接種開始前の死亡の頻度と比較するなど、ワクチンの安全性についての評価に活用しています。
このように、個別事例の因果関係評価には一定の限界があるものの、審議会においては、個別事例の評価に加え、評価不能となった事例も含めて、集団としてのデータを系統的に検討する方針の下、安全性の評価に取り組んでいるところです。
緊急承認された医薬品の安全対策についてお尋ねがありました。
御指摘のモルヌピラビル等の治療薬については、疾患に罹患した患者に投与することから、原患者が重症化した可能性や基礎疾患の増悪等についても考慮する必要があり、投与と死亡との因果関係については、慎重に検討し、対応を判断するものと考えています。
緊急承認制度で承認された医薬品については、リアルワールドの活用も含め、市販後の副作用に関する情報の収集、評価を迅速かつ十分に行って、安全の確保に努めてまいります。
緊急承認に当たっての安全性の確保、担保についてお尋ねがありました。
医薬品の承認審査において、その安全性については、非臨床試験や臨床試験を通じて確認された毒性や副作用等が、効能、効果に比して著しく有害なものでないかどうかを評価し、確認しています。緊急承認制度においても、そのようなベネフィットとリスクのバランスを考慮しつつ、許容可能な安全性を担保するという意味で、安全性の確認を要件としています。
第三相試験が実施されない場合であっても、一定期間に高頻度で生じる副作用については、プラセボ群との間で発生頻度に明確な差が生じることが多いことから、後期第二相試験など比較的少数の症例に基づいて、日本人を含め安全性を確認することは可能であると考えています。
他方、一定期間を超える長期的な副作用や極めてまれに発生する副作用については、通常の承認審査においても承認までの間に確認することは困難であり、日本人での安全性も含めて承認後も情報を収集することにより安全対策を行っており、この点については緊急承認制度においても同様と考えております。
国民の理解を得るための取組についてお尋ねがありました。
国民の皆様に広く安心して緊急承認制度の対象となる医薬品を使用していただくためには、制度についての理解が必要であることは議員御指摘のとおりでございます。このため、本制度に基づき医薬品等を承認する際には、緊急時に有効性については推定された段階で承認を可能とする一方で、安全性については通常の承認制度と同水準の確認を前提とした仕組みであることについて、リーフレット等の分かりやすい情報提供ツールを活用し周知徹底するなど、理解の醸成にしっかりと取り組んでまいります。
緊急承認された医薬品が改めて行う申請についてお尋ねがありました。
緊急承認された医薬品について、期限内に改めて行う承認申請にあっては、通常の承認申請と同様に、原則として第三相試験の成績の提出が必要と考えています。加えて、より充実した申請資料により医薬品の有効性や安全性を確認する観点から、市販後の使用成績等も評価する必要があると考えています。
感染者が急速に減少した場合など第三相試験の実施が困難な場合等には、市販後の使用成績等を含むリアルワールドデータにより有効性等の確認を行うことも考えられることから、エビデンス構築に必要な評価項目の妥当性等、有効性等を評価する手法を十分検討した上で活用することを考えています。
薬事承認後の承認取消しについてお尋ねがありました。
今般創設する緊急承認制度では、承認時に推定された有効性等が確認できない場合は、速やかに承認を取り消すことができる仕組みとしています。
具体的には、緊急承認後に提出される第三相試験の結果やリアルワールドデータ等、市販後に収集された情報により承認時に認められた有効性等が確認できない場合は、速やかに承認を取り消すこととしています。
これまで我が国で特例承認を受けた新型コロナワクチン、治療薬については、米国でEUAの取消しを受けたものはないと承知しています。また、特例承認制度では、承認の際に提出が猶予された臨床試験資料等については、個別の医薬品ごとに事後的に提出することを承認条件として付すこととしており、実質的に緊急承認制度に準じた形での運用といたしております。
対面調剤の重要性についてお尋ねがありました。
電子処方箋の導入に伴い、薬局に処方情報が速やかに共有されることで、患者を待たせることなく調剤やオンライン服薬指導が可能となるなど、非対面型の医療が促進されることにより、患者の利便性が高まるものと考えています。一方で、厚生労働省としては、かかりつけ薬局、薬剤師を推進しているところであり、今後、対人業務の重要性も高まっていくと考えられることから、対面による調剤の重要性は変わらないと考えています。
こうした観点から、オンライン服薬指導の運用においても、薬剤師が必要と判断した場合には対面による服薬指導を促すなど、患者の状態に応じたきめ細やかな対応を求めているところです。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/11
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012・山東昭子
○議長(山東昭子君) 足立信也さん。
〔足立信也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/12
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013・足立信也
○足立信也君 国民民主党・新緑風会の足立信也です。
会派を代表して、薬機法等の改正案に対して質問します。
二〇〇九年、政権交代のときにはドラッグラグ三年半、デバイスラグ三年、ワクチンギャップ二十年と言われていました。我々はラグとギャップの解消に努め、二〇一二年にはドラッグ、デバイスラグの両方とも〇・三年になりました。今、現場からはラグが元に戻りつつあると言われていますが、直近、令和二年度のドラッグ、デバイスラグはそれぞれ何年でしょうか。厚労大臣にお聞きします。
私は、日本のラグには承認申請前のいわゆる開発ラグと審査のラグがあると認識しており、それぞれ別の対策を講じました。近年再び増加したラグはどちらのラグが主因で、なぜラグが再び増えてきたのでしょうか。厚労大臣に伺います。
そして、総理には、この法改正によってどのラグを縮めようとしているのか、お聞きします。
私は、開発ラグが増加しているのは、我々が始めた新薬創出等加算を自公政権で縮小したからだと思っています。特に、二〇一八年以降、革新性、有用性に着目して対象品目を大幅に削減したことにあります。革新性は結果論であって、開発の段階から革新性の証明ができていたら研究者は苦労しません。開発後になって革新性がないと言われたら、取組も萎縮してしまいます。政府は、創薬を強力に支援する方針でしょうか。支援する方針であれば、その内容を総理にお聞きします。
緊急承認制度は、安全性の確認が前提で、有効性が推定されたときの承認制度と聞いています。総理、二〇〇二年、日本が世界で初めて承認した抗がん剤イレッサのことは覚えていると思います。イレッサは、承認から僅か三か月後に緊急安全性情報が出され、多くの患者さんが間質性肺炎で亡くなりました。一九七〇年代、悪性リンパ腫の治療法としてCHOP療法が開発されましたが、日本人には投与量が多過ぎて、多くの副作用が見られました。
安全性の確認は難しいものなのです。安全性の確認が前提とはどのような試験のことを言うのですか。そして、有効性を推定する試験は何でしょうか。また、第三相試験が不要な条件付承認制度との違いは何でしょうか。以上三点、総理に伺います。
米国のEUA、エマージェンシー・ユーズ・オーソライゼーションは使用許可、EUのCMA、コンディション・マーケティング・オーソライゼーションは条件付販売承認です。両者との違いは何でしょうか、あるいは同じでしょうか。厚労大臣にお聞きします。
二〇二一年四月から始まったアビガンの第三相試験が、この三月に目標被験者三百十六例に届かず、終了しました。緊急承認制度が存在していれば、安倍元総理が強く推奨したアビガンは使用できたのでしょうか。総理に伺います。
以下、厚労大臣に伺います。
緊急承認制度は二年以内ですが、スペイン風邪を考えると、COVID―19は三年で収束する可能性が高いと私は考えます。一年以内に行うべき臨床試験とは何でしょうか。一年で第三相試験が可能でしょうか。
特例承認と同様に、製造販売業許可や製造業許可は緊急承認制度の要件ではありません。GMP調査の実施も同様です。後発医薬品製造の問題が大変大きかったことは記憶に新しいわけですが、対象が国内生産品であれば、製造、販売の許可は必要ではないでしょうか。要件にしなくて大丈夫でしょうか。
この緊急承認制度が将来の承認につながるかは不明です。未承認のまま使用許可期限が終了する可能性が極めて高いと思われます。これはまさに、緊急承認制度というよりも緊急使用許可制度と言うべきではないでしょうか。総理の認識を伺います。
そして、ワクチンギャップ二十年。二〇一〇年に、WHOが推奨や勧告をしていて日本でまだ法定接種されていないもの八種に対してそれぞれ小委員会をつくり、費用対効果を検証しました。その結果、効果の高い三種類を一種法定接種に相当する予算措置をして実施いたしました。以降七種類の予防接種が法定化され、ワクチンギャップは少し縮まりました。
ちなみに、予防接種の接種率と政府への信頼度は比例するという研究結果がランセット、ネイチャーメディスンに記載されています。
厚労大臣に伺います。
現在、世界では十五人に一人、日本では十六人に一人が感染しています。令和二年九月の新型コロナウイルスワクチンの評価に関する考え方によると、流行するウイルス株や民族的要因の差などで国内臨床試験を実施する必要があるとなっています。民族的要因の差はあったのですか。
これまで確保したワクチンは八億八千二百万回分、金額は流通費用も含め二兆四千三十六億円です。アストラゼネカ製は大量廃棄が見込まれます。ノババックス製も承認されました。
今、COVID―19で問われているのは、三回目の費用対効果です。一、二回目の接種は対象年齢人口から見ると大多数の人が接種を受けていますが、三回目は、特に若い人の間でいまだ半分に達しておりません。ということは、一、二回目の接種と三回目の接種の費用対効果は比較できるはずです。オミクロン株に対する三回目の費用対効果はどうなのでしょうか。その上で、四回目の接種の予防効果をどのように科学的に予測しているんでしょうか。総理に伺います。
そもそも、COVID―19は一般的な感染症になってきています。国内産ワクチンが実用化できたとしても、恐らく年に一回の任意接種に使われると私は予想します。緊急承認制度が必要か、大変疑問です。
日本にはもう一つの大きなラグがあります。保険適用ラグです。国民の大半は、国民皆保険の中で保険適用されて初めて使用できると思っています。
厚労大臣に伺います。
薬価基準収載医薬品、保険適用医療機器及び再生医療等製品の適応外使用はどれくらいあるのでしょうか。保険診療との併用が認められている評価療養、さらに先進医療において認められている、医薬品医療機器法承認後で保険収載前の医薬品、医療機器はどれくらいあるのでしょうか。
真に有益なものは保険適用すべきです。そのことによって多くの国民がその有益性を享受できます。しかし、バイオ医薬品を保険適用することは保険財政上大きな負担となります。総理は、新規適用と適用除外のバランスをどう考えていますか。
医療財政上、バイオ後続品、バイオシミラーの開発、使用率向上は重要課題です。日本でバイオシミラーの製造は何か所で何種ほど行われていますか。なぜバイオシミラーの生産が進まないのでしょうか。課題は何でしょうか。総理の認識を伺います。
ラグをなくすために、我々はPMDAと協力して審査の人員を増やし、相談体制を充実させ、新薬創出加算を設けて開発を促進しました。ところが、自公政権では審査そのものを緩めようとしています。
エネルギー、原材料、食料をも海外に依存する日本。最悪の財政赤字を抱える日本。それでいて画期的な成長分野が見られない日本。総理、世界から注目されるのは、近い将来に訪れる食料危機に対する食文化、そして健康寿命世界一に関連する創薬分野だと私は思います。電子処方箋に関する質疑は委員会で行いますが、創薬は日本を牽引する分野だという認識を強く持ってください。そのことを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/13
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014・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 足立信也議員の御質問にお答えいたします。
ドラッグ、デバイスラグ等の短縮と創薬支援についてお尋ねがありました。
ドラッグ、デバイスラグについては、例えば開発ラグは年度ごとにばらつきがあり、近年必ずしも拡大しているとは言えないという認識を持っています。
今般創設する緊急承認制度により、有効性が推定された段階で承認が可能となるため、早期の承認申請に資するとともに、調査の免除などの特例措置に伴う審査の迅速化により、国民の皆様により早く必要な医薬品等をお届けできるようになると考えております。
また、新薬創出等加算については、令和四年度薬価改定において、イノベーション評価の観点から、革新的な効能追加があった新薬を対象に追加するとともに、新型コロナのワクチン、治療薬を開発した企業を評価するなどの見直しを行いました。
政府としては、創薬力強化に向けて、昨年九月に策定した医薬品産業ビジョン二〇二一を踏まえ、研究開発に向けたデータ基盤等の整備や国際基準の、国際水準の臨床研究を担う病院での治験環境の整備などを通じてしっかりと支援してまいります。
緊急承認制度についてお尋ねがありました。
安全性については、通常の薬事承認と同等の水準の試験の成績で確認することとしており、第三相試験の結果が出る前であっても確認できるものとされています。
有効性については、顕著な臨床成績に基づき有効性を確認する条件付承認制度に対し、本制度では、例えば、治療薬については、後期第二相試験の成績により、一定の有効性があると認められる場合に有効性を推定することを想定しています。
また、緊急承認制度では、承認後の一定の期間内に改めて承認申請を求めることとしています。この改めての承認審査において有効性等が確認されれば通常の薬事承認を与えることとしており、新たなこの緊急使用許可制度ではなく、現行の薬機法の枠組みを活用した承認制度とすることが適当であると考えております。
なお、お尋ねのアビガンは今承認審査中であり、その取扱いについてお答えすることは差し控えます。
新型コロナワクチンの費用対効果などについてお尋ねがありました。
新型コロナワクチンの確実な確保は、国民の生命や健康を守る観点から極めて重要であり、その確保は必要不可欠な取組だったと考えておりますが、御指摘の費用対効果についても一つの大事な視点であるとも考えています。
そして、直接、間接の効果を数値で算出することは極めて困難ですが、新型コロナの危機が続いている中で、一、二回目接種の効果に加えて、三回目接種の効果についても、ワクチン接種による感染、重症化予防効果とそれがもたらす経済社会効果、これは大きいと考えております。
四回目の予防効果については、現時点の海外の知見を踏まえると、特に重症化を防ぐことが期待されています。四回目の接種の在り方については、科学的知見や諸外国の状況を注視しつつ、専門家の知見も踏まえた上で具体的な方針を決定してまいります。
バイオ医薬品についてお尋ねがありました。
薬事承認された医薬品については、原則として保険適用するとともに、国民皆保険の持続性の観点から、薬価の適正化や真に必要な患者への使用対象の限定などの取組を行っています。
お尋ねのバイオシミラーの国内における生産状況については、国内メーカー二社により四品目が製造されていると聞いております。
バイオ医薬品については、高度な専門人材や高額な初期投資を要するといった課題があり、バイオシミラーについては、医療従事者や患者の不安など、認知度が低いという課題があると考えており、政府としては、昨年九月に策定した医薬品産業ビジョン二〇二一を踏まえ、こうした課題にしっかりと対処してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/14
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015・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 足立信也議員の御質問にお答えいたします。
ドラッグラグ及びデバイスラグについてお尋ねがありました。
PMDAの試算によれば、令和二年度のドラッグラグは〇・七年、デバイスラグは二・三年とされています。近年、これらのラグについては、例えば開発ラグに年度ごとのばらつき等があるため、必ずしも一概に拡大しているとは言えないと認識していますが、今後とも、我が国において様々な医薬品や医療機器が速やかに申請、承認、上市されるような環境を整備していくことは重要な視点であると考えております。
海外の承認制度及び第三相試験の実施期間についてお尋ねがありました。
緊急承認制度と比較して、アメリカのEUA、緊急使用許可では、裁量の幅が広く、期限が具体的に定められていない点等が異なっており、EUのCMA、条件付販売承認では、緊急時のみならず平時も適用される制度である点等が異なっています。
今般創設する緊急承認制度において、期限内に改めて行う有効性の確認に当たっては、原則として、通常の承認申請と同様に、第三相試験の成績の提出を求めることとしていますが、第三相試験の準備と実施に要する期間はおおむね一年程度であるというふうに考えています。
緊急承認制度における製造販売業許可等の必要性についてお尋ねがありました。
緊急承認制度においては、ベンチャー企業等からの申請にも迅速に対応できるようにする観点から、承認時点では製造販売業の許可等を求めないこととしています。他方で、製造する医薬品等の品質を確保するため、実際に製造するまでに製造販売業の許可等を求めることとしています。
新型コロナワクチンの有効性及び安全性に関する民族的要因の有無についてお尋ねがありました。
令和二年九月にPMDAが公表した新型コロナワクチンの評価に関する考え方によれば、日本人被験者において、ワクチンの有効性及び安全性を検討することは、必要性が高いとされています。しかしながら、これまで薬事承認した新型コロナワクチンにおける有効性及び安全性については、民族的要因の影響があったという結果は得られていないと承知しています。
適応外使用の件数や、薬事承認後の評価療養の件数についてお尋ねがありました。
御指摘の保険適用された医薬品、医療機器及び再生医療等製品のうち、適応外使用とされているものの件数については、承知をしておりません。
先進医療については、本年三月末時点で、先進医療Aとして告示されている医療技術が二十五件、先進医療Bとして告示されている医療技術が五十九件となっています。なお、先進医療Bのうち、未承認又は適応外の医薬品を用いる技術が三十五件、医療機器を用いる技術が二十五件、再生医療等製品を用いる技術が五件となっています。
また、先進医療分を除き、薬事承認後かつ保険適用前であって、評価療養となり得る医薬品及び医療機器については、本年三月末時点で、新医薬品として承認された医薬品が二十三成分三十一品目、新たに承認された医療機器が十四品目となっています。
いずれにしても、国民に必要な医療を届けられるよう、引き続き取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/15
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016・山東昭子
○議長(山東昭子君) 梅村聡さん。
〔梅村聡君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/16
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017・梅村聡
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました薬機法等改正案について質問を行います。
法律案への質問の前に、現在の新型コロナウイルス感染症への対応についてお伺いします。
日本維新の会は、今通常国会における審議の中で、この新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けを、新型インフルエンザ等感染症二類相当から五類感染症にするべきであると主張してまいりました。まず、我々の基本的な認識は、これは多くの臨床医の方も述べておられますが、現在の新型コロナウイルス感染症、特にオミクロン株は、早期診断、即治療が施されれば、多くの人にとってはそれ自体が死に至る病気ではほぼないということです。
新型インフルエンザ等感染症二類相当を続けることによって、いまだに保健所による感染者、濃厚接触者の管理が続き、そのことによって医療介入の遅れ、すなわち治療の遅れが生じ、その結果、特に高齢者においては基礎疾患が悪化し、死に至るというストーリーの方がはるかに深刻な問題だと考えております。
その上でお伺いしますが、岸田総理は、現在の新型コロナウイルス感染症をこれからも新型インフルエンザ等感染症二類相当で扱い続けることは妥当なことだとお考えでしょうか。専門家の方の意見も踏まえ、岸田総理御自身の基本的認識をお教えください。
これまでの政府答弁は、新型コロナを五類感染症にすると入院措置ができなくなるため、国民の命を守る観点から、五類感染症への位置付けは現実的ではないというものでした。しかし、感染症法第十九条、第二十条が規定している入院措置における入院の要件とは、一類感染症の蔓延を防止するため必要があると認めるときと定めており、二類感染症や新型インフルエンザ等感染症においてもこの規定が準用されています。
私は、現状では、新型コロナウイルス感染症の患者さんが病院に入院する理由が蔓延防止のためとは決して思わないのですが、政府は今も蔓延防止のための入院措置ができなくなるから五類感染症にできないと考えておられるのでしょうか。岸田総理の見解をお伺いします。
また、この感染症法第十九条及び第二十条の逐条解説には、一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症は、ほかの感染症と異なり、通院医療では対応できない感染症であるとはっきり書かれています。しかし、実際には、大部分の新型コロナ患者さんは通院医療と自宅療養でフォローされています。つまり、前提が現実とは異なっているため、幾ら政令や省令、事務連絡等で新型コロナを実質的に五類感染症っぽくしたとしても、通院医療と多職種連携で対応する地域包括ケアシステムで新型コロナ患者さんへの対応に当たることは非常に難しいのです。
新型コロナウイルス感染症は、今でも通院医療では対応できない感染症であるという前提は変わっていないのでしょうか。岸田総理の見解をお伺いします。
現在行われている濃厚接触者の追跡、把握、外出自粛要請等も、二類感染症である結核のように、潜伏期間が数か月にもわたり、年間発症者数が一万数千人程度の病気でしたら、濃厚接触者を特定してしっかり健康観察を続けることにも一定の意義があると思います。しかし、潜伏期間が数日間、感染者数が日本国内では一日数万人にも上る新型コロナウイルス感染症で、この濃厚接触者の特定にこだわることはやめるべきではないでしょうか。
既に若い世代の中には、陽性者や濃厚接触者になると一定期間隔離されるため、大事な行事の前には体調が悪くてもPCR検査を断る方が多いと医療現場からは聞きます。濃厚接触者を追いかけることが結果的には若い世代の間での感染拡大につながってしまっているという矛盾があるかと思うのですが、それでも濃厚接触者の追跡、把握は必要と考えておられますか。岸田総理のお考えをお聞かせください。
現在の新型コロナウイルス感染症の特性を考えれば、日本がこれまでに築き上げてきた地域包括ケアシステムの中で新型コロナ患者さんの管理、治療を行うためには、新型コロナウイルス感染症を五類感染症に位置付ける方が今よりもはるかに大きなメリットがあることを改めて申し上げまして、本法律案の質問に入ります。
本改正案では、速やかに医薬品等の薬事承認をする仕組みとして、緊急承認制度を創設することとしております。今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックのような緊急時に新薬を一刻も早く届ける仕組みを構築することは非常に重要なことです。
しかしながら、これまでの条件付早期承認制度や特例承認制度の対象を拡大するなどの改善ではなく、緊急承認制度という新しい制度をつくることが本当に必要なのでしょうか。承認制度の種類を多くすることで選択肢は広がるかもしれませんが、一方で、承認制度が複雑化して申請者や国民にとって分かりづらくなるのではないでしょうか。アメリカのEUAのように、緊急使用許可という形態を取り、その後、新薬の有効性の確認まで行った上で承認するということでもよかったのではないでしょうか。
緊急承認制度という形態を創設することにこだわった理由について、後藤厚生労働大臣の説明を求めます。
海外で流通している新型コロナワクチンや治療薬を日本国内で使えるようにするために、これまでは特例承認制度が活用されてきました。特例承認制度では、通常の承認や条件付早期承認制度と同様に、安全性、有効性それぞれについて確認ができなければ承認をされません。承認する上での条件、期限については、必要に応じて付されます。一方で、本法律案で創設される緊急承認制度と同様、特例承認制度ではGMP調査が免除されており、国家検定等の特例を設けることができます。
そこで、GMP調査の免除や国家検定等の特例を設けることにより、どの程度承認期間が短縮できるのか、また、特例承認制度の活用により、通常の承認と比較してどの程度承認期間が短縮できたのか、具体例を挙げて後藤厚生労働大臣からの答弁を求めます。
新型コロナワクチンについては、三回目の追加接種や五歳から十一歳までへの対象年齢の拡大等に伴って、そのたびに特例承認が行われてきました。特例承認はあくまで緊急時に行われるものです。いずれは新型コロナワクチンの承認も通常の承認を行っていくということでよろしいのでしょうか。また、その通常の承認のタイミングは厚生労働大臣がお決めになることなのでしょうか。後藤厚生労働大臣、お答えください。
本法律案は、新型コロナウイルス感染症を始めとする緊急時に一定の役割を果たすものと期待はされますが、まだまだ取り組むべき課題も山積をしております。日本維新の会は、一つ一つの課題に真摯に取り組み、国民生活を一刻も早く正常化させることに全力を挙げることをお誓い申し上げまして、私からの質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/17
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018・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 梅村聡議員の御質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け等についてお尋ねがありました。
五類感染症への変更には、感染力及び罹患した場合の重篤性に基づく総合的な観点から、危険性が高くない等の要件に該当する必要があります。新型コロナについては、オミクロン株であっても、致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、また、更なる変異の可能性もあります。
また、御指摘の通院医療では対応できない感染症との前提は、令和三年の法改正により見直され、新型コロナについても、入院と自宅療養や宿泊療養を組み合わせて対応してきましたが、五類にした場合、入院措置ができなくなるだけではなく、健康状態の報告、把握、自宅療養や外出自粛等の要請ができなくなります。このため、最大限の警戒局面にある現時点で五類に変更すること、これは現実的ではないと考えています。
濃厚接触者の特定については、潜伏期間が短いというオミクロン株の特性等を踏まえても、特に重症化リスクが高い方々については必要であると考えており、地域事情に応じ、こうした方々が入院、入所している施設等に重点化することが可能である旨お示しをしているところです。
いずれにせよ、感染症法上のこの位置付けについては、引き続き、最大限の警戒を保ちつつ、必要な科学的知見を収集し、今後の感染状況等も踏まえ、政府において専門家の意見を伺いながら議論を続けてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/18
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019・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 梅村聡議員の御質問にお答えいたします。
緊急承認制度の創設についてお尋ねがありました。
アメリカのEUAは、未承認の状況にある医薬品等について、通常よりも有効性及び安全性について裁量幅を広げた運用により使用を許可する仕組みであると承知しています。一方、我が国においては、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われることが重要と考えていることから、今般創設する緊急承認制度は、現行の薬機法の枠組みを活用し、安全性について確認を前提としつつ、有効性について推定ができる承認制度とすることが適当であると考えています。
特例承認制度による承認期間の短縮化についてお尋ねがありました。
一般的に、医薬品の承認審査に当たっては、承認審査と並行してGMP調査等を実施していますが、これらに要する時間は医薬品ごとに異なります。このため、特例承認制度におけるGMP調査の免除等によって具体的にどの程度の期間が短縮されたのかをお示しすることは困難ですが、これらの措置や優先的に審査したことによって迅速な承認を行うことができたものと考えています。
新型コロナワクチンの承認についてお尋ねがありました。
今後、新型コロナワクチンの特例承認を行うかどうかについては、その時点の感染状況や医薬品の確保状況等、緊急性と代替性の観点を踏まえ、個別具体的な状況に応じてその運用を適切に判断してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/19
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020・山東昭子
○議長(山東昭子君) 倉林明子さん。
〔倉林明子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/20
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021・倉林明子
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。
私は、日本共産党を代表して、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等改正案について、岸田総理及び後藤厚労大臣に質問いたします。
コロナ禍とウクライナ危機によって景気の低迷、生活の困難が長期に及んでいるところに、ガソリン、食料品、電気料金を始め物価の高騰が襲いかかり、暮らしと営業は深刻な打撃を受けています。総理、住民税非課税世帯に限定せず、生活困窮者に対する手厚い給付金を支給すべきではありませんか。
与党は予備費を積み増す方向で補正予算の今国会提出を求めていますが、財政民主主義に反するものです。消費税を直ちに五%に引き下げ、年金減額を中止するなど、野党の提案を取り入れ、暮らしを支援する補正予算を速やかに組むことです。いかがですか。
以上、二点の総理の答弁を求めます。
薬機法等の一部を改正する法律案について質問します。
日本では、一九八四年に発生した世界最大規模のワクチン禍であるジフテリア事件、薬害エイズ事件など、ワクチンや医薬品が引き起こしてきた健康被害が繰り返されてきました。これまでの薬害の教訓から、厚労省の正面玄関前には、サリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な薬害を再び発生させることのないよう、医薬品の安全性、有効性の確保に最善の努力を重ねていく決意が銘記された誓いの碑が建立されています。
我が国のワクチン、医薬品行政を進めるに当たって、悲惨な薬害の教訓を決して忘れてはなりません。繰り返されてきた薬害に対する総理の認識をお聞かせください。
本法案で新設される緊急承認についてお聞きします。
今回の法改定では、平時の薬事承認を規定している薬機法に、緊急時には有効性が推定された段階での承認を可能とするという例外規定が盛り込まれることになります。これまで、第三相の検証的臨床試験によって有効性、安全性を確認して、リスクとベネフィットを考慮した上で承認してきた薬事承認の大原則が崩れることはないのかが問われます。
二〇二〇年五月、安倍元総理が今月中の承認を目指したいと承認に前のめりの姿勢を示した治療薬アビガンは、約百三十億円を投じて二百万人分を備蓄しましたが、新型コロナ感染症に対する有効性を示すことはできておりません。
時の政権の判断で緊急承認が恣意的に運用されるようなことがあってはならないと考えますが、総理、いかがでしょうか。
以下、厚労大臣にお聞きします。
緊急承認は国内全ての医薬品や医療機器が対象となっており、適用となる医薬品等は政令で指定することになりますが、衆議院では、政府が政策的に総合的に勘案しながら政令で指定すると曖昧な答弁に終始しています。緊急事態であることを、誰が、どう判断するのか、明確にお答えください。
適用対象となる医薬品の条件は、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品等について、他に代替手段が存在しない場合としています。衆議院では、最も想定されるのは感染症の蔓延と考えているが、原子力事故やバイオテロ等による健康被害についても、個別具体的な状況に応じて、緊急に使用する必要性に該当し得ると答弁しています。
立法事実がパンデミック対応であるにもかかわらず、なぜ原子力事故やバイオテロも含まれているのでしょうか。また、ほかに代替手段がない場合といいながら、他の医薬品が承認されている状況でも、治療の選択肢の拡大、安定的な供給の拡大ということでも対象になり得るのであれば、無限定に適用が広がることになるのではありませんか。
そもそも、なぜ緊急事態に限定される承認の在り方を通常の薬機法に盛り込むのでしょうか。対象を国内全ての医薬品、医療機器まで広げたのはなぜですか。緊急事態を明確に規定する特措法での対応になぜしなかったのですか。お答えください。
緊急承認を受けた医薬品等は二年以内に改めて通常の薬事承認を申請する必要があり、必要と認められれば一年の延長ができることとなっています。その延長の回数について、実態上は一回になるのではないかとの答弁があるものの、期限延長が繰り返される歯止めとはなっておりません。期限の延長は一回に限る旨を法文上で明記すべきではありませんか。
承認申請の際に提出する資料について、衆議院の議論では、原則として通常の承認と同様に、第三相臨床試験の結果の提出を求めると答弁しています。そうであるならば、期限内の承認申請において、臨床試験の試験成績に関する資料を求めると法文上で明記すべきではありませんか。
また、厚労省は、例外としてリアルワールドデータの提出を求める場合もあるとしています。リアルワールドデータとは、日常の診療の中で行われる医療行為の記録とされていますが、日本で活用できるリアルワールドデータは具体的に何か、また、リアルワールドデータと臨床試験の試験成績のデータにはどのような違いがあるのか、お答えください。
次に、健康被害の救済制度についてお聞きします。
現行の副反応疑い報告制度では、新型コロナワクチン接種後の死亡例が千六百三十五件報告されていますが、そのほとんどが情報不足により評価不能とされてしまい、ワクチンとの因果関係があると認められていないのが現状です。健康被害救済制度での救済事例は一件もありません。情報不足であっても、因果関係が否定できないものは副反応疑いでも健康被害救済制度で救済していくべきではありませんか。
さらに、有効性の推定段階での承認が行われる緊急承認を導入するのであれば、そのリスクに見合うような支給要件の更なる緩和や手厚い救済を実施すべきではありませんか。
次に、電子処方箋についてお聞きします。
本法案では、マイナンバーカードの保険証利用によるオンライン資格確認システムを活用して電子処方箋の仕組みを創設します。しかし、そのオンライン資格確認システムは、昨年三月下旬より本格運用を開始するとしていたものが、システムトラブルが相次いだことにより十月に延期された経過があります。オンライン資格確認システムの本格運用が延期となった要因について御説明ください。
電子処方箋の仕組みは二〇二三年一月からの運用開始を予定していますが、残り一年もない中、医療機関には更なる業務負担や費用負担などが生じることになります。
政府はオンライン資格確認で使用する顔認証付きカードリーダーの導入に対してのみ財政支援を行っていますが、セキュリティー対策やシステムの維持管理は医療機関の自己責任となっています。
サイバー攻撃が頻発する中、医療機関の機能停止という事態まで起こっています。医療機関を守るためのサイバーセキュリティー対策に国が責任を持って取り組むべきではありませんか。
厚労大臣の答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/21
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022・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 倉林明子議員の御質問にお答えいたします。
生活困窮者への支援と補正予算についてお尋ねがありました。
昨日、与党から、ウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰等に緊急かつ機動的に対応するための総合緊急対策の策定と補正予算の編成について申入れをいただきました。この申入れを踏まえ、総合緊急対策については、四月中の取りまとめに向け、コロナ禍の中で物価高騰等に直面し生活に困窮する方々への支援を含め、具体的に、具体化を進めてまいります。
補正予算の編成についても、申入れを踏まえ対応を検討してまいりますが、御指摘の消費税率の引下げなどは行うことを考えてはおりません。
薬害への認識と緊急承認制度の運用についてお尋ねがありました。
薬害の発生を防止することは政府の重要な任務の一つであり、命の尊さを心に刻み、高い倫理観を持って医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に最大限の努力をしてまいります。
また、薬事承認に当たっては、申請者から提出されたデータに基づき、専門家の意見も踏まえつつ総合的に審査することとしており、緊急承認制度の場合においても、科学的なエビデンスに基づき公平かつ公正に手続を行ってまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/22
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023・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 倉林明子議員の御質問にお答えいたします。
緊急承認制度における緊急性についてお尋ねがありました。
緊急承認制度の適用対象となる医薬品を政令で定める際は、緊急事態宣言の発出といった具体的な状況も含め、政府全体として判断していくこととしています。
その際、医薬品を緊急に使用する必要性については、疾病の蔓延が最も想定されますが、国民の健康被害に対して必要な医薬品等を緊急的に使用する必要がある場合は、疾病の蔓延だけでなく、原子力事故やバイオテロ等による健康被害についても同様であることから、緊急に使用する必要性に該当するものと考えています。
緊急承認の適用の広がりへの懸念についてお尋ねがありました。
他の複数の医薬品が既に承認されている状況においても、治療の選択肢を拡大し、より安定的な供給に資するような場合には緊急承認制度の対象となると考えていますが、具体的な適用対象の考え方については、今後ガイドライン等でお示しさせていただき、運用の適正化に努めてまいります。
また、個別具体的な医薬品等の審査プロセスにおいて、審査報告書を当日ないし数日以内に公表し、新型コロナに関しては特設サイトで開発中の医薬品の情報を公開するなど、透明性、公平性の確保に努めることとしており、議員御懸念のような無限定に適用が広がることにはならないと考えています。
緊急承認制度を薬機法に盛り込んだ理由や制度の対象についてお尋ねがありました。
まず、今般の薬機法の改正は、オミクロン株の出現など引き続き予断を許さない新型コロナの状況を踏まえ、新たな治療の選択肢となり得る治療薬等について迅速に薬事承認を行うことを可能とするべく、法案を提出したものです。
その上で、今般の緊急承認制度は、現行の薬機法において既に緊急時に迅速な薬事承認を行う制度として特例承認制度が措置されていること、緊急時であっても国民から信頼される形での薬事承認が行われることが重要であることから、薬機法の承認制度の一類型として位置付けたところです。
また、制度の対象については、医薬品全般や医療機器等であっても、緊急に使用する必要性等が認められる場合には、同様に緊急承認制度の対象とすることが適当であると考えています。
緊急承認制度の期間延長についてお尋ねがありました。
承認の期限については、緊急承認した医薬品の承認の期限が際限なく延長される事態が生じないよう、改正法案においては、一年を超えない範囲内において延長することができることとしています。その上で、期限の延長は、原則として一年間の延長が一回限りとなるよう運用してまいります。
期限内に改めて行う承認申請の資料についてお尋ねがありました。
緊急承認後の一定の期限内に改めて行う承認申請については、原則として第三相試験の成績の提出を求めることを想定していますが、感染症が急速に収束した場合など試験の実施が困難な場合等には、市販後の使用成績等を含むリアルワールドデータにより、有効性、安全性の確認を行うことも考えられます。
このように、感染症が急速に減少した場合にリアルワールドデータのみにより有効性を確認する場合があることも考慮し、立法技術論として今般の改正法案の規定は適当であると考えております。
薬事申請において活用できるリアルワールドデータについてお尋ねがありました。
リアルワールドデータは、医療機関における電子カルテデータ、学会が収集する患者レジストリーデータなど、臨床試験ではなく実医療において得られたデータを意味するものであり、一部のデータは既に薬事申請に活用されています。
リアルワールドデータについては、適切に設計された臨床試験成績と比べ、例えば、医療機関や患者ごとに取得されているデータ項目が統一されていない場合や、医薬品を投与した患者と投与していない患者で年齢や基礎疾患が異なる場合など、データごとに様々な特徴があることから、こうした特徴を踏まえて医薬品の評価へ更なる活用に取り組んでまいります。
健康被害救済制度についてお尋ねがありました。
予防接種法に基づく健康被害救済制度は、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するものです。他方、副反応疑い報告制度は、予防接種後に生じる症状等の傾向を把握するためのものです。
健康被害救済制度における請求内容については疾病・障害認定審査会で審査されており、請求された死亡等と予防接種との因果関係については、厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとの考え方に基づいて審査が行われています。
それぞれの事例における因果関係の判断に当たっては、副反応疑い報告制度における評価は勘案していないため、仮に副反応疑い報告制度において因果関係が評価できないとされている事例であっても、健康被害救済の対象となる場合があります。引き続き、審査を進め、迅速な救済に努めてまいります。
緊急承認制度における健康被害救済制度の在り方についてお尋ねがありました。
緊急承認された医薬品については、通常承認と同水準で安全性の確認を行うことを前提としています。このため、その健康被害に対しても同様に、現行の医薬品副作用被害救済制度等に基づく救済の対象とすることが適切と考えています。
オンライン資格確認システムについてお尋ねがありました。
マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認については、昨年三月の運用開始を目指して準備を進めてきた中で、保険者の加入者データの確認作業の遅れや医療機関等における導入準備の遅れなどの課題が判明いたしました。このため、住基ネットの突合や保険者の誤入力をシステム的にチェックする機能の導入などを実施した上で、昨年十月から本格運用を開始しております。
デジタル化の基盤となるマイナンバーカードの保険証利用の促進に向けて、国民への普及啓発と医療機関等への導入支援の双方を車の両輪として進め、国として全力で取り組んでまいります。
医療機関のサイバーセキュリティー対策についてお尋ねがありました。
国民の生命、健康を守る医療機関がサイバー攻撃によりその機能を失うことがないよう、サイバーセキュリティー対策の強化が不可欠と考えています。このため、厚生労働省では、本年三月に、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを改定し、医療機関に対し、バックアップデータの保存やサイバー攻撃を想定した訓練の実施など、対策を強化するよう求めているところです。引き続き、医療機関の取組状況を把握しながら、必要な対策を講じてまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/23
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024・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/24
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025・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長平木大作さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔平木大作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/25
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026・平木大作
○平木大作君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、育児又は介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするため、地方公務員について、育児休業の取得回数の制限を緩和するとともに、非常勤職員に係る介護休業の取得要件を緩和しようとするものであります。
委員会におきましては、本改正による男性職員の育児休業取得率向上の効果、育児休業の取得回数の在り方、人員不足への対応など育児休業を取得しやすい環境整備の必要性等について質疑が行われました。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/27
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028・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第二 環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案
日程第三 植物防疫法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長長谷川岳さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔長谷川岳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/29
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030・長谷川岳
○長谷川岳君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案は、農林漁業の環境負荷の低減に関し支援措置等を講ずるものであります。
次に、植物防疫法の一部を改正する法律案は、病害虫リスクの増加に対応して植物防疫を強化するものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人を招致してその意見を聴取するとともに、有機農業を拡大する方策、植物防疫強化の効果等について質疑が行われましたが、その詳細については会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/30
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031・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/31
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032・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、両案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X01920220422/32
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