1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年四月二十七日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十号
令和四年四月二十七日
午前十時開議
第一 情報通信技術を利用する方法による国の
歳入等の納付に関する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
第二 所有者不明土地の利用の円滑化等に関す
る特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、安定的なエネルギー需給構造の確立を図る
ためのエネルギーの使用の合理化等に関する
法律等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/1
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002・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。萩生田光一経済産業大臣。
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/2
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003・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減目標の実現のためには、我が国のエネルギー構造を需給両面から転換していかなければなりません。まず、需要側においては徹底した省エネを進めるとともに、非化石エネルギーへの転換や電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図る必要があります。次に、供給側においては再エネの更なる導入拡大を進めるとともに、水素等の脱炭素燃料の利用促進や二酸化炭素の回収、貯蔵等の脱炭素技術の社会実装、太陽光や風力発電設備等に不可欠なレアメタル等の権益確保を図る必要があります。加えて、こうしたエネルギー需給構造の転換を進める中でも、安定的なエネルギー供給の確保は大前提であり、十分な供給力、調整力の確保や電力システムの柔軟性向上のための制度整備も必要です。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部改正です。
第一に、エネルギーの使用の合理化の対象に非化石エネルギーを追加し、エネルギー全体の使用の合理化を求める措置を講じます。
第二に、非化石エネルギーへの転換を促進するため、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対し、非化石エネルギーへの転換の目標に関する中長期的な計画の作成等を求めます。
第三に、電気の需給状況の変動に応じた電気の需要のシフトを図るため、現行の電気の需要の平準化を電気の需要の最適化に見直し、事業者の取組に関する指針を整備する等の措置を講じます。
次に、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法及び鉱業法の一部改正です。
第一に、再生可能エネルギーの導入促進のため、機構の業務に、海外の大規模地熱発電等の探査事業に対する出資業務と洋上風力発電のための調査業務を追加します。
第二に、水素等の脱炭素燃料の利用促進のため、水素等を非化石エネルギー源として位置付け、一定規模以上のエネルギーを供給する事業者に対して水素等を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の作成等を求めるとともに、機構の業務に、水素等の製造や貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。
第三に、二酸化炭素を回収、貯蔵する技術の利用促進のため、一定規模以上の電気を供給する事業者に対して当該技術を用いた火力発電の利用を含むエネルギー源の環境適合的な利用の目標に関する計画の作成等を求めるとともに、機構の業務に、二酸化炭素の貯蔵等を行う事業に対する出資業務等を追加します。
第四に、レアメタル等を安定的に供給するため、機構の業務に、国内におけるレアメタル等の選鉱、製錬事業に対する出資業務等を追加するとともに、レアアースを鉱業権の設定対象に追加します。
また、これら機構の業務追加を踏まえ、機構の名称を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に改めます。
次に、電気事業法の一部改正です。
第一に、発電所の休廃止が増加する中、電気の安定供給に必要な供給力を確保するため、発電所の休廃止について事後届出制から事前届出制に改めるとともに、経済産業大臣と広域的運営推進機関が連携し、国全体の供給力を管理する体制を強化します。
第二に、電力システムの柔軟性向上のため、脱炭素化された供給力、調整力として導入が期待される大型蓄電池を発電事業に位置付けるとともに、蓄電池の系統への接続環境を整備します。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/3
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004・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。青山繁晴さん。
〔青山繁晴君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/4
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005・青山繁晴
○青山繁晴君 自由民主党の青山繁晴です。
安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について、自由民主党・国民の声を代表して、萩生田経済産業大臣に質問いたします。
最初に、原稿にはありませんが、知床の凍えた海に犠牲になられた方々に魂からお悔やみを申し上げます。
ロシアによるウクライナ侵略という惨劇は、赤ちゃんや妊婦の方、戦うことがあり得ない庶民の健康や幸福、命までも奪い続けています。プーチン大統領に対し、満腔の憤怒と悲痛の思いを持って抗議します。
そのウクライナ侵略が白日の下にさらしたものの一つが、エネルギー危機の重さです。
資源を自前で持たず、他国に依存するままにしておけば、国と国民をどれほどのリスクにさらすか、それが明らかになりました。自前資源を含めたエネルギーのベストミックスをつくっていかねばなりません。それが激しい気候変動を抑えることも直結していきます。これは後でお話しします。
現在、日本のエネルギー自給率は一一%にすぎません。化石燃料を海外からの輸入に深く依存しているからです。これを見て、日本は資源のない国だと子供の頃から思い込まされてきた方が多いのが日本社会です。
しかし、それは地上産出の資源の話です。資源には地上産出と海洋産出があり、地上産出の時代は終わりに向かっていて、世界の趨勢は海洋資源の実用化です。日本の海の広さは、国連加盟国百九十三か国の中で第六位という高い次元にあります。人類は、水圧がのしかかり、呼吸もできない海中の資源には手を出せず、取り出しやすい陸上の資源から実用化してきました。しかし、海底や海中の資源を海中ロボットによって取り出せる時代が既に始まっています。広大な日本の海には、燃える氷と呼ばれるメタンハイドレートやマンガン団塊、コバルトリッチクラスト、金、銀、銅を含む熱水鉱床、レアアース泥といった自前資源が多様かつ豊富に存在しています。例えば、日本の海洋進出の、海洋産出のレアアース泥でいえば、陸上で取る中国産の実に二十倍の純度があることが確認されています。
そこで、我が国は実は隠れた資源大国であるということを具体的に認識し、日本の海が抱擁する豊かな自前資源の実用化に取り組むべきです。大臣の御見解をお伺いします。
温室効果ガスの排出を抑えるための鍵の一つは、水素とアンモニアにあります。水素、アンモニアは、温室効果ガスを排出しない火力発電への転換や幅広い産業分野の脱炭素化の実現を可能にします。特に水素については、世界的に国家戦略に基づいた取組が本格化しています。
本法案により、水素、アンモニアといったエネルギーとして使うときにCO2を出さない燃料の利用促進が進められます。では、具体的にどのように水素やアンモニアの利用促進を進めていくお考えでしょうか。お伺いします。
現在、政府には、水素基本戦略、そして水素・燃料電池戦略ロードマップ、さらに水素・燃料電池技術開発戦略という三戦略があります。しかし、相も変わらず輸入頼みの発想です。オーストラリア産出の石炭の中でも質の低い安価な褐炭をガス化して水素を取り出し、液化して日本へ運ぶことに国が取り組んでいます。しかし、輸入のための輸送エネルギーの消費やコストの問題があります。そもそも、エネルギー自給率の向上には全くつながりません。
我が国の海に眠るメタンハイドレートは、分かりやすく言えば、天然ガスの主成分のメタンが海底で高圧と低温によって凍っているものです。この自前資源から水素を取り出すことは技術的に複雑ではありません。製造コストも褐炭からのものと比較して圧倒的に優位です。メタンハイドレートは、新潟県の佐渡島の北ではなく南から、すなわち日本の領海で採取できるので、他国との摩擦も生じません。しかも、新潟県の上越沖のメタンハイドレートから得られるメタンは、私自身も民間の専門家時代に加わった研究航海によれば、純度が九〇・八%に達します。天然ガスのメタンが八八・二%のブルネイ産から六五・八%のアメリカ産まで、各国産の全てを上回る高純度です。
萩生田大臣は、三月の予算委員会での私の質問に、メタンハイドレートは、我が国へのエネルギー安定供給の観点、また将来的な水素の原料として極めて重要な国産資源と捉えているとの答弁をいただきました。では、本法案を進めるに当たって、メタンハイドレートをどのように戦略的に位置付けて水素の自前資源化を進めていくお考えでしょうか。
メタンハイドレートから製造した水素の商用化について伺います。
メタンハイドレートには二種類あり、太平洋側に多い砂層型、すなわち海底の更に下の地層で砂と混じり合っているタイプと、日本海側に多い表層型があります。表層型の中には、海底から比重の軽いメタンハイドレートの粒が大量に海中へ浮上してきてスカイツリーのように柱状になって立ち上がっているメタンプルームと呼ばれるものがあります。高さも、大まかな平均では、ちょうどスカイツリーくらいの六百五十メートルあります。このメタンプルームは、砂などと混じり合っていないために、前述のとおりに純度が極めて高いことも特徴ですし、そのメタンは、メタンプルームが立ち上がってくるのを人工膜でつかまえて回収できます。すなわち、海底を掘削する必要がないので、漁業や環境に悪影響を与える心配が少なくなります。
そもそも、メタンプルームの周辺は微生物が多いため、それを餌にするカニなどが集まって、良い漁場ともなっています。私自身、カニ籠漁の漁家を訪ね、また研究者がその漁船にも乗り、連携が始まっています。そして、上越沖でメタンプルームの研究調査船に乗ってみると、新潟の街の明かりや佐渡の明かりが海域によっては見えるほど近い環境にあります。八千数百キロかなたのカタールから天然ガスを液化して輸入している現状と比べると、コストは桁違いに有利です。
更に重大な点は、メタンプルームを活用していない現在では、そのメタンが海面からやがて蒸発して温暖化につながっている懸念のあることです。メタンの温暖化効果は、CO2のおよそ二十五倍です。これを海中に設置した人工膜でつかまえて火力発電で活用すると、むしろ温暖化効果を下げることが期待できます。使った方が環境を改善する化石燃料があるというのは、私が国際学会で関連の口頭発表を行ったときも、世界から集まった学者の中からどよめきが起きました。
自前の良質なエネルギー源を入手でき、環境を改善し、漁業とも調和し、しかも、実用化できれば、人口減に苦しむ日本海側に資源産業という日本にはできないはずの新たな産業群をつくり出すこともできます。
メタンプルームから水素を作るには、水蒸気改質法、直接分解法、光触媒法があります。このうち水蒸気改質法は既に工業的に確立されており、商用化への技術的課題は少ないのです。データの積み重ねなどの課題が残るのみです。
そこで、メタンハイドレートからの水素製造や、その商用化に向けて、関連する大学や研究機関、民間企業を政府の支援で束ねていく官民連携を実現すべきですが、お考えをお聞かせください。
メタンから水素を製造する際には、CO2が発生しない方法もありますが、方法によっては発生します。このCO2については、本法案に事業支援スキームが盛り込まれているCCS、カーボン・キャプチャー・アンド・ストレージという二酸化炭素を地下に閉じ込めてためる技術があります。このCCSについて、CO2回収方策としての実現可能性はどれくらい優位とお考えか、お聞かせください。
レアアース、レアメタルは、先端産業に欠かせない資源ですが、現状では、供給国が限定されています。本法案では、レアアース、レアメタルの権益確保の諸策が盛り込まれていますが、海洋に存在するレアアース、レアメタルの実用化のためには、深海部でも活躍できる自律型海中ロボット、AUVといった最新技術を国産技術として開発することが重要です。見解をお聞かせください。
最後に、日本の海を守り、活用することは、自前資源の確保に加えて技術開発、そして過疎に苦しむ日本海側の産業勃興という真の国益を生み出すことを強く訴えまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/5
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006・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 青山議員の質問にお答えいたします。
我が国の海洋資源の実用化についてお尋ねがありました。
我が国の周辺海域には、メタンハイドレートやレアメタルなどの資源が存在しており、例えば、静岡県沖から和歌山県沖に広がる東部南海トラフ海域においては、我が国の天然ガス消費量の約十年分に相当するメタンハイドレートが存在が推定されています。また、伊豆・小笠原海域や沖縄海域では海底熱水鉱床、南鳥島周辺海域ではコバルトリッチクラストやレアアース泥の賦存が期待されています。このため、現在、こうした海洋資源の生産技術の開発や、より正確な資源量の評価に取り組んでいるところです。
引き続き、官民での連携を深め、国産海洋資源の開発と利用の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
水素、アンモニアの利用の促進についてお尋ねがありました。
水素、アンモニアは、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために不可欠なエネルギーであり、第六次エネルギー基本計画においては、水素を新たな資源と位置付けた上で、二〇三〇年度の電源構成においても、水素、アンモニアの導入目標を新たに一%と設定したところです。
導入拡大に向けての最大の課題がコストです。このため、現在、グリーンイノベーション基金も活用しながら、製造、輸送設備の大型化等の技術開発を通じて、需要の創出と供給コストの低減に一体的に取り組んでいるほか、既存燃料とのコスト差やインフラ整備の在り方等にも着目しながら、商用化に向けた大胆な支援措置を検討しているところです。
今後、水素、アンモニアをクリーンエネルギー戦略の重要な柱とし、社会実装を加速してまいります。
メタンハイドレートからの水素の自前資源化についてお尋ねがありました。
水素は、発電、産業、運輸など幅広い分野の脱炭素化に資するため、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するためには水素の利活用が不可欠です。
議員御指摘のメタンハイドレートは、国際情勢に左右されない安定した国産エネルギー源として、二〇二七年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されていることを目指し、可能な限り早期に成果が得られるよう、現在、技術開発を推進しているところです。
生産コストが十分に低減し、商業化が実現すれば、我が国で調達することができる水素の原料の選択肢の一つになり得ると認識しており、引き続き、メタンハイドレート等の国内資源の開発を含め、水素の利活用に向けて政策を総動員してまいります。
メタンハイドレートからの水素製造やその商用化に向けた官民連携についてお尋ねがありました。
重要な国産資源であるメタンハイドレートからの水素製造に向けては、メタンハイドレートの生産に向けた技術開発や実証に加えて、メタンハイドレートを原料とする水素製造を始め水素の様々な製造手段の技術開発を進める必要があります。
このため、例えば、化石燃料を水素と炭素に分解するいわゆるターコイズ水素については、現在、大学、研究機関、民間企業が連携したプロジェクト等を通じてコストダウン等に向けた研究開発を進めているところであり、水素製造やその商用化に向けて、引き続き、こうした官民連携を推進してまいります。
CCSの実現可能性についてお尋ねがありました。
CCSは、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた鍵となる脱炭素技術です。これまで、北海道苫小牧市で日本初の大規模CCS実証を行い、目標としていた三十万トンの圧入を達成しました。その一方で、二〇三〇年の事業化に向け、コスト低減、適地開発、事業環境整備といった課題が引き続き存在します。こうした課題解決に向け、本年一月から有識者による検討会を開催し、CCS事業の国内法整備や政府支援の在り方などを含む中間とりまとめ骨子案をお示ししました。
今後、集中的に議論を行い、年内にはCCS事業の実現に向けた長期ロードマップをまとめてまいります。
国産のAUVの開発の重要性についてお尋ねがありました。
深海における資源の有無や広がりを効率的に調べる上で、音波等で精密地形調査を行うAUVを用いることは非常に有効であり、現在、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムが、複数のAUVを同時に運用することで、より効率的な調査を行うことができるシステムの開発が行われているものと承知しています。
AUVの開発において鍵となるロボット技術は我が国が世界に誇る技術であり、引き続き、関係省庁とも連携しながら、この国産技術の開発に取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/6
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007・山東昭子
○議長(山東昭子君) 宮口治子さん。
〔宮口治子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/7
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008・宮口治子
○宮口治子君 立憲民主・社民の宮口治子でございます。
まず、北海道知床半島沖で観光船が遭難した事故でお亡くなりになられた方々、そして御遺族の方々に心からの哀悼の誠をささげます。いまだ発見されていない十五名の方々の捜索救助活動に全力を尽くしていただきたい、そして二度と同じような事故が起きないようにしっかり真相究明していただきたいと切に望みます。
それでは、議題に入る前に、岸田政権に一言申し上げます。
一年前のちょうどこの日に私は当選証書を受け取り、本日、初登壇となりました。私が国会議員としてここにいる直接の理由は、皆様もよく御存じのとおり、広島県で大規模買収事件があり、補欠選挙ではなく、異例の再選挙が行われたからであります。あの選挙の中で、総理は、自民党広島県連会長のお立場で、自民党の中から真実を明らかにする、自民党を変えていくと広島の皆様の前でおっしゃっておりました。
しかし、議員を辞職し、有罪判決が下った方に全ての原因を背負わせる形で、まるで何事もなかったかのように時がたち、国民が自然と忘れてくれるのを待っているかのように動きが何もありません。あの買収事件の火はいまだくすぶり続けており、広島では地方議員の辞職ドミノでいまだ混乱は続いています。
広島だけの問題ではありません。表になっていないだけで全国に同じような問題が潜んでいると思います。誰が、何のために、どのような判断であの事件が起きたのか、トカゲの尻尾切りではなく、真実を明らかにしてください。あの選挙で広島県民の皆様の前でした約束を、選挙のためのパフォーマンスではなく、是非果たしていただきたいと思います。
それでは、本題に入ります。
ただいま議題となりました省エネ法等改正案につきまして、会派を代表して経済産業大臣に質問いたします。
気候変動は人類共通の脅威です。将来世代への責任として、多方面から施策を動員し、気候危機からの脱却を実現しなければなりません。同時に、気候変動に向き合う流れを経済成長や地域活性化につなげるチャンスとしていくことも重要です。立憲民主党は、生活安全保障を掲げ、自然エネルギー立国で日本を元気にすることを政策としています。原子力に依存しないカーボンニュートラルの実現を目指すこと、自然エネルギー電力を二〇五〇年に一〇〇%にすることなどがその柱になっています。
本法律案は、二〇五〇年カーボンニュートラルの目標の実現に向けて、エネルギー消費量の節約と、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換を同時に進めようとするものと承知しています。その方向には異存はありません。しかしながら、この法律案で非化石エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギー、また、水素、アンモニアだけでなく、原子力も含むものとなっています。原子力を含む非化石エネルギーへの転換ではなく、再生エネルギーへの転換に強くかじを切るべきではないでしょうか。
東京電力福島第一原子力発電所の事故から我々が学んだように、原子力発電は、一度事故が起きれば、地域やそこに暮らす人々への被害はもちろんのこと、廃炉、除染費用も含めた経済損失は極めて大きく、また現時点で使用済核燃料の処分方法も定まっていないなど、原子力発電の負の側面を克服できるほどの技術や地理的側面も含めた環境が整っているとは思えません。加えて、ロシアのウクライナ侵略によって、原子力発電所が安全保障上の重大なリスクになり得ることを改めて認識させられました。
一方、再生可能エネルギーは、二酸化炭素を排出しないだけでなく、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できるものです。今すぐは難しくても、原子力発電への依存を減らしていき、二〇五〇年には再生可能エネルギーからの供給量が需要量の一〇〇%を超えることを目標として掲げ、その目標に一丸となって取り組むべきではありませんか。政府の見解を求めます。
本法律案のうち、省エネ法改正案では、非化石エネルギーへの転換を促進するため、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者に対し、非化石エネルギーへの転換に関する計画の作成を新たに義務付けることとしています。
改正案において新たに規定された非化石エネルギーへの転換については、具体的にはどのような取組を事業者に求めることになるのでしょうか。また、さきに述べたように、非化石エネルギーの中でも、再生エネルギー、自然エネルギーを中心に転換していくことを明確にしていくべきではないでしょうか。御説明、御見解を伺えればと思います。
近年、再生可能エネルギーの導入が進み、再エネ電気の余剰が発生し、出力制御が実施される事態が発生しています。改正案では、再エネ電気の余剰が発生しているタイミングに電気需要をシフトすることを促すため、需給状況の変動に応じて需要量を増減させる電気の需要の最適化を求めることとしています。改正案において新たに規定された電気の需要の最適化について、具体的にはどのような取組を事業者に求めることとなるのでしょうか。電気需給の状況に応じて事業者側の電力需要を調整することは、事業者側の生産量や生産スピードが電力需給に左右されることを一義的には意味しますが、特に製造業においては稼働効率の最適化が限界まで進んでいる業種も多く、現実的に対応ができるのでしょうか。どのように実現をしていくかも併せてお考えを伺います。
今回の改正案では、近年、着目されている水素、アンモニアをエネルギー供給構造高度化法の非化石エネルギー源として位置付け、促進を図っています。水素、アンモニアは、使用時点ではCO2を発生することはなく、クリーンな脱炭素燃料と言え、原則的には水素、アンモニアの使用促進はしていくべきと考えます。しかし、水素、アンモニアを製造する段階ではエネルギーを必要としており、日本、生産国での電源構成に応じてCO2が発生すると理解しています。また、アンモニアが燃焼すると環境に負荷を与える窒素酸化物も発生します。
このように考えると、水素、アンモニアの燃料使用について、その始めから終わりまでのライフサイクル全体を評価することが必要と考えます。全体を見た場合のCO2削減の試算、環境への負荷の減少に対する見込みなどがあれば、お示しいただけないでしょうか。政府の認識、見解をお伺いします。
国際情勢が不安定化する中、貴重な鉱物資源を有効に活用していくことの重要性は高まるばかりです。今回、JOGMECに対して、国内における選鉱、製錬事業への出資等業務を追加することとしていますが、これはJOGMECが国内のレアメタルリサイクルの支援を行えるようにすることと理解しています。現在議論されている経済安全保障の観点からも、レアアース、レアメタルをできるだけ国内で確保する仕組みをつくることは喫緊の課題であると考えます。非常に重要な問題ですので、積極的に推進していただきたいと思います。
一方、これまでレアメタルについては、幾つかの理由からリサイクルが進みにくいとされてきました。例えば、レアメタルを含む使用済製品が適切に回収されないこと、経済効率性の高いリサイクル技術が開発途上であること、製品におけるレアメタルの含有量、使用法等は企業秘密でもあり情報が公開されにくいことなどが言われています。JOGMECに新たな業務を追加したとしても、こうした課題が未解決のままではレアメタルのリサイクルの進展は見通せません。
レアメタルのリサイクルを進めるための課題の認識と、政府はどのように取り組んでいくかについてお伺いします。
電気事業法関連に関して、電力の安定供給確保のための電力広域運営推進機関との連携強化について伺います。
改正案では、日本の電気事業の広域的運営を推進する電力広域運営機関の目的に、電気の安定供給のために必要な供給能力の確保の推進を追加することとしています。その上で、経済産業大臣と推進機関との連携により国全体の供給力を管理する体制を強化することとされています。
今年の三月二十一日には、史上初となる電力需給逼迫警報が発令される事態になりました。また、次の夏と冬においても、電力供給の予備率が必要最低限の三%に迫る見通しとなる地域が出ると予測されているなど、直近の電力供給は極めて厳しい状況となっています。
改正案を踏まえ、電力の需給逼迫という非常事態を回避するため、推進機関と経済産業省は具体的にどのように連携し、電力の安定供給確保に取り組まれるのでしょうか。御見解を伺います。
送電網の整備は、電力の安定供給、災害時のレジリエンスの強化、そして再エネの大量導入にとって非常に重要です。推進機関においては、中期的なエネルギー政策との整合性を確保した系統整備の長期方針、いわゆるマスタープラン策定に向けた議論が進められております。また、送電網の整備は、現在政府において検討が進められているクリーンエネルギー戦略においても検討項目の一つとして挙げられていると承知しています。
送電網の整備については、日本全体での最適を考える必要があるため、事業者任せにすることなく、国が主体となって取り組む必要があるのではないでしょうか。電力の安定供給確保、再エネの大量導入のために不可欠な送電網の整備について、政府としてどのように取り組む方針なのか、御答弁願います。
電気事業法の改正案では、大型蓄電池を電気事業法上の発電事業に位置付け、系統への接続を促進することとしています。電力システムの柔軟性向上のために必要な措置だと考えますので、是非推進していただければと思います。
なお、蓄電池については、まだ技術開発の余地が残されており、日本企業が開発をリードできる分野であると考えています。更に大容量で、相対的に安価な蓄電池の技術開発については、各企業の努力だけでなく、政府としても技術開発を積極的に支援していくことが必要ではないでしょうか。政府の見解を伺います。
本法案の通称にもなっているように、国内におけるエネルギー使用量の節約、省エネも引き続き推し進めていかなければなりません。本改正案で省エネに関する記述が少ないことが気に掛かります。
エネルギーの供給側の変化はもちろん、経済活動を維持拡大しながらエネルギー需要を抑えることができれば、今後目指す再生エネルギーで生み出すべき電力総量も、現状海外からの輸入に依存しているエネルギー総量も減らすことができます。気候変動対策はもちろん、経済や安全保障上の観点からも省エネは重要なテーマです。政府としてこのテーマも忘れず重要視していただきたいと思います。
これで質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/8
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009・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 宮口議員からの質問にお答えいたします。
原子力への依存度低減と再生可能エネルギーへの転換についてお尋ねがありました。
エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台であり、Sプラス3E、すなわち安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取り続けることが最重要課題です。Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギー源は存在せず、再エネだけで全てのエネルギーを賄うことも難しいと考えています。このため、再エネに加えて、原子力、水素、アンモニア、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求し、カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
非化石エネルギーへの転換に関する措置の具体的な内容についてお尋ねがありました。
改正法案では、再生エネルギーに限らない非化石エネルギーへの転換を促すこととしています。
具体的には、事業者に対して、国が示す判断基準に沿って、自ら非化石エネルギーの使用割合を向上させる定量的な目標を設定し、その達成を求めることとします。また、事業者の取組としては、太陽光発電等の再エネの導入や電気事業者からの非化石エネルギー由来の電気の調達など、様々な手段による対応を可能とする予定です。
電気の需要の最適化に関する措置の具体的な内容や製造業における対応についてお尋ねがありました。
今回の法案では、再エネの出力が抑制される時間帯に需要をシフトした場合、省エネを行ったものとして評価する仕組みを導入することで、需要家に対して技術的かつ経済的に可能な範囲内で需要のシフトを促すものです。
この際、製造業を始め生産プロセス等の都合で需要を大幅にシフトすることが難しい事業者が存在することも踏まえ、需要のシフトを時間単位ではなく月単位で評価するといった柔軟な制度設計を行うことで、より多くの需要家による対応を促していく予定です。
水素、アンモニアの利用によるCO2削減、環境への負荷の減少についてお尋ねがありました。
水素、アンモニアは、化石燃料を使用しないゼロエミッション火力への転換の鍵です。また、幅広い分野の脱炭素化が可能であり、カーボンニュートラルに不可欠なエネルギーです。
CO2の削減の試算を特段行っているものではありませんが、我が国として、永続的にCO2を処理していない水素、アンモニアを使い続ける考えはありません。クリーンな水素、アンモニアを製造するため、技術開発など積極的に支援するとともに、コスト低減などの進捗状況を見つつ、速やかに水素、アンモニア全体のクリーン化を進めていきます。
レアメタルのリサイクルについてお尋ねがありました。
鉱物資源のほぼ全量を海外に依存する我が国にとって、レアメタルなど安定供給を確保するためには、リサイクルを進めることが重要です。
その上で、最大の課題は、リサイクルコストの低減です。このため、政府としては、これまでも画像認証技術を活用した廃小型家電等を製品レベル、部品レベルで自動選別するプロセスの開発や高効率な製錬システムの開発など、コスト低減に資するリサイクル技術の開発等に官民一体で取り組んできたところです。
引き続き、こうした技術開発を積極的に後押しすることで、レアメタルのリサイクル等に取り組んでまいります。
電力の安定供給確保への取組についてお尋ねがありました。
国は、電力の安定供給の確保に向けて、毎年度、全電気事業者が作成し、電力広域機関を通じて提出される供給計画の内容を踏まえ、電力需給見通しと、それに足りる供給力が確保されているかを確認しております。電力広域機関は、中期的な供給力の確保に向けて容量市場の運営に取り組んでいるほか、長期的な需給見通しに関する意見の提言等も行っております。
経済産業大臣と電力広域機関の連携を強化し、広域機関からの提言等も踏まえ、今般の改正案の電源の事前届出制も活用しつつ、国全体として必要となる供給力の確実な管理を実現してまいります。
送電網の整備に関する政府の取組についてお尋ねがありました。
再エネの大量導入とレジリエンス強化に向けて、送電網の抜本的な強化が必要と認識しております。
送電網の整備については、全国大の送電ネットワークの将来的な絵姿を示すマスタープランを二〇二二年度中に策定し、計画的に送電網の整備を進めてまいります。
また、北海道―本州間や東北―東京間の地域間連系線、東京―中部間の周波数変換設備など、既に具体的に増強を進めており、二〇二七年度中に完工予定です。
引き続き、これらの取組などを通じて、電力の安定供給確保と再エネ大量導入に向けた送電網の整備にしっかり取り組んでまいります。
蓄電池の技術開発に係る支援についてお尋ねがありました。
政府としては、全固体電池などの次世代電池を世界に先駆けて実用化し、市場を獲得していくべく、現在、グリーンイノベーション基金等による研究開発プロジェクトに取り組んでいるところです。
また、リチウムイオン電池については、規模の経済が競争力の源泉となる中、世界的な投資競争の激化を踏まえ、国内製造基盤の確立と戦略的な海外展開を両輪で進めてまいります。
日本には、ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生の研究を始め依然として世界が認める技術があります。国家戦略として、国も一歩を踏み出す覚悟を持って、我が国蓄電池産業の競争力強化に向けた取組を進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/9
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010・山東昭子
○議長(山東昭子君) 山崎真之輔さん。
〔山崎真之輔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/10
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011・山崎真之輔
○山崎真之輔君 国民民主党・新緑風会の山崎真之輔です。
ただいま議題となりました安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
冒頭、ロシアによるウクライナ侵略、残虐行為を強く非難します。我が国として、心寄り添った人道支援と平和を取り戻す行動、そして最大限の経済制裁を毅然とした姿勢で実行することを望みます。
ただ、それはイコール我が国としても相当な負の影響を覚悟しなければなりません。実際に、今ウクライナ危機によって世界各国のエネルギー戦略が問われています。本法案は、第六次エネルギー基本計画を下地に、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の野心的な目標実現に向けたものと承知していますが、まずは大前提として、これらの目標は堅持していくのか、修正する考えはないのか、経済産業大臣に伺います。
欧州はしたたかでスピード感もあります。イギリス、フランス、ベルギーなどは、原子力発電所の新設や閉鎖延長を早々と打ち出しました。一方で、我が国の原発政策はどうでしょうか。二〇三〇年度の電源構成比率として二〇から二二%という目標を必達するというのなら、たった四%という現状からどのような策を講じてその値に近づけていくのか、国民に分かりやすく具体的なメッセージを発するべきと考えますが、大臣の見解をお答えください。
エネルギー自給率についても多くの国民が憂慮しています。二〇一九年度時点で僅か一二%しかありません。あってはならないことですが、万が一我が国が戦争に巻き込まれた場合、これで果たして国民生活は何日もつのでしょうか。主戦論が飛び交う昨今ですが、冷静な議論と対策が急務です。エネルギー自給率を向上させるための具体策を数値目標とともにお示しください。
あわせて、エネルギー自給が十分でなくても、世界的視野でエネルギーの安定供給を図っていかなければなりません。この度のウクライナ危機の教訓を踏まえ、我が国として今後どのような国々と協力、連携し、有事の際にも揺るがないエネルギー安定供給体制を構築していくのか伺います。
一般に、エネルギー政策と聞くと大きな話に思えますが、全国民がコミットしなければ効果は発揮されません。本法案では、需要構造の転換、供給構造の転換、安定的なエネルギー供給の確保を同時に進めるとされていますが、特に省エネなど、需要側面での国民、事業者の協力は欠かせない要素です。
しかし、大企業ならともかく、中小企業や町工場などの現場では炭素の測定すらままならないケースも多く、現場が混乱に陥らず、また産業競争力を維持していくためにも、きめ細かな説明と支援が必要とされます。そこで、需要構造の転換を進めていく際、中小企業等へのアプローチをどのように考えていくのかお答えください。
地方自治体の果たす役割も小さくありません。現在、二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロを表明している自治体は六百七十九にも上り、表明自治体総人口は約一億一千七百八万人と聞きます。これだけの組織と人が動けば環境は変わります。環境省は、二〇二五年までの五年間に集中して政策を総動員するとしていますが、本法案が地方自治体の施策をどう後押しするのか、何を期待するのか、環境大臣の見解を伺います。
ガソリン車から電気自動車、EVへの移行は脱炭素化の重要な手段であると同時に、産業競争力にも関わる問題です。我が国でも主要メーカーがEV開発や電池の量産に向けて加速化していることは好材料ですが、着実にEVを普及させるには、メーカーの開発努力だけではなく、充電インフラの整備が欠かせません。
ところが、二〇一二年度から始まった我が国の充電器設置事業は二〇二〇年度に初の減少に転じました。EVの普及が思ったほど進まない、また維持管理経費や固定資産税が経営を圧迫していることがその要因だと考えられます。まずは、EVと充電インフラの普及目標と、それに対する現在地を経済産業大臣よりお示しください。その上で、表裏一体であるEVと充電インフラを普及させるための今後の方策についてお答えください。
自動車税の在り方も注目されています。カーボンニュートラルを実現するために自動車税はどうあるべきか。来年度の税制改正議論の重要テーマになるかと存じますが、これを機に、自動車ユーザーにとって複雑で重い税負担から解放する必要があります。EV時代にふさわしい自動車税制の在り方について、財務大臣の見解をお尋ねします。
また、軽自動車ユーザーへの配慮も忘れてはなりません。軽自動車は、経済的で環境にも優しく、女性と高齢者にも人気で、今や地方の移動手段としてなくてはならない存在となっており、実に国内で保有されている車の約四割を占めています。
ただEVでないという理由だけで税負担が重くなってしまうとしたら、それらの良さが失われ、大きな問題に発展しかねません。軽自動車税の重税化はしないとお約束いただきたく存じますが、総務大臣の決意をお伺いします。
次に、再生可能エネルギー関連について質問します。
固定価格買取り制度、FITが始まって十年が経過しようとしています。この間、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの量的拡大には一定の役割を果たしたと思いますが、まずは、この十年を振り返り、成果と課題をどのように評価しているのか、お答えください。
肝腎なのは次の十年です。直近のエネルギーミックス改定では、二〇二〇年度に六十一・六ギガワットであった太陽光発電の設備容量を二〇三〇年度には百四から百十八ギガワット、つまり倍近くにしていく目標が示されています。
しかし、日本の国土面積当たりの太陽光導入容量は既に世界最大であり、伸び代はどこまであるのでしょうか。また、メガソーラー建設をめぐっての地元合意の難しさや、今後顕在化する劣化した太陽光パネルの処分など、見通しは決して明るいとは言えません。太陽光発電の目標達成に向けた取組について、説得力ある回答を求めます。
近年、送配電会社が再生可能エネルギーの受入れを一時停止する出力制限等を行う動きが増えています。日照条件に恵まれている九州電力管内では、二〇一八年十月に初めて出力制限を行って以降、実施回数は二百五十回を超えるとのことですが、実にもったいないことです。
需給バランスの調整力を高めることが急務ですが、その方法の一つに大型蓄電池の導入が挙げられます。国内における大型蓄電池の整備状況と今後の目標、さらには取組方針について伺います。
余った電気で水を分解して水素を製造し、貯蔵、活用していくという世界もそう遠くはなさそうです。二〇二一年六月に策定されたグリーン成長戦略では、水素について、その導入量を二〇三〇年に最大三百万トン、二〇五〇年には二千万トン程度を目指すとの数値目標が示されています。また、本法案では水素、アンモニア等の脱炭素燃料の利用促進がうたわれていますが、どのような戦略でこの目標を達成しようと考えているのか、大臣の見解をお示しください。
最後に、バイオエタノール燃料について質問します。
四月十二日、アメリカ・バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻によるガソリン価格高騰に対処する措置の一環で、E15、エタノールを一五%混合した燃料の夏季における販売を許可すると発表されました。フランスやイギリスでもバイオエタノール燃料の活用が急拡大しています。その理由は、二酸化炭素排出量を抑えられるので環境に優しいこと、ガソリンよりも安く購入できるので家計に優しいこと、そしてEVに移行する間でも内燃機関を維持できるので産業に優しいことなどが挙げられます。
現在、我が国ではエネルギー供給構造高度化法の告示において、石油精製事業者に対し、毎年五十万キロリットルのバイオエタノールの使用を求めていますが、少な過ぎると思います。激変緩和事業、トリガー条項に次ぐ第三の矢としてこのバイオエタノール燃料を積極的に導入すべきと考えますが、経済産業大臣の見解をお伺いし、以上、私の質問といたします。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/11
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012・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 山崎議員の御質問にお答えいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の削減目標についてお尋ねがありました。
気候変動問題は世界の喫緊の課題です。日本は国際約束として二〇三〇年度四六%削減や二〇五〇年カーボンニュートラルという目標を掲げており、引き続き、これらの目標の実現に向けて取り組むことに変わりはありません。
同時に、今般のウクライナ侵略を受けて重要性を再認識したエネルギーの安定供給確保の取組を進めることも必要です。本法案では、省エネの更なる徹底や非化石エネルギーの拡大、供給力の確保等を図ることとしており、我が国のエネルギー需給構造の転換を後押しし、野心的な削減目標の実現とエネルギー安定供給確保の両立を目指してまいります。
二〇三〇年度の原子力比率の達成と、それに向けた国民へのメッセージの発信についてお尋ねがありました。
二〇三〇年度のエネルギーミックスにおける原子力比率の実現に向けては、安全性確保を大前提に、地元の御理解を得ながら原子力発電所の再稼働を着実に進めていくことが政府の方針です。
経済産業省としては、再稼働が円滑に進むよう、産業界に対して事業者間連携による安全審査への的確な対応を働きかけるとともに、国も前面に立ち、原子力の意義や必要性等について丁寧な説明を尽くし、立地自治体など関係者の御理解と御協力が得られるよう取り組んでまいります。
こうした再稼働に向けた取組やエネルギー政策における原子力の位置付け等について、国民の皆様の幅広い御理解が得られるよう、丁寧な情報発信に粘り強く取り組んでまいります。
エネルギー自給率についてお尋ねがありました。
すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国においては、エネルギーの安定供給を確保するため、エネルギー自給率の向上は極めて重要です。
このため、エネルギー基本計画においては、徹底した省エネ、再エネの最大限の導入、安全最優先の原発再稼働に取り組むことで、二〇三〇年のエネルギー自給率を現在の約三倍に相当する三〇%程度に高めることを目標としています。
今回のロシアによるウクライナ侵略によってエネルギー自給率を向上させることの重要性を改めて認識したところであり、引き続き、エネルギー基本計画に基づき、エネルギー自給率向上に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
エネルギー安定供給体制の構築についてお尋ねがありました。
ロシアによるウクライナ侵略を受けて、我が国として、G7首脳声明に沿って、再エネや原子力も含めたエネルギー源の多様化、米国やカナダ、豪州、東南アジア諸国等へのLNG投資等によるロシア以外の供給源の多角化、主要消費国との連携による生産国に対する継続的な増産の働きかけなどを通じて、安定供給を確保しつつ、ロシアへのエネルギー依存低減に向けた取組を進めていきます。
加えて、新たなエネルギー源として期待される水素やアンモニア、CCSといった脱炭素燃料技術の将来的な導入拡大も進め、従来の資源エネルギーの安定供給確保と一体的な包括的資源外交を展開してまいります。
中小企業等における需要構造の転換についてお尋ねがありました。
中小企業を含めた全ての事業者における非化石エネルギーへの転換等に向けて、改正法案では、国が、中小企業を含むエネルギーを使用する全ての事業者が取り組むべき具体的な事項を規定した判断基準や指針を示し、必要な場合には指導及び助言を行うこととしています。
今後、改正法案に基づく制度の周知徹底に加え、設備投資に対する補助や専門家によるエネルギー診断などの支援策を通じたエネルギー使用状況の把握、改善提案などによって中小企業を含めた全ての事業者の取組を後押ししてまいります。
電気自動車と充電インフラの普及についてお尋ねがありました。
電気自動車の新車販売台数は、二〇二一年では約二・二万台、全体に占める割合は約一%となっており、二〇三〇年には、電気自動車とプラグインハイブリッド車を合わせて二〇から三〇%とする目標を掲げています。充電インフラは、民間調査会社の調べによると、二〇二一年度末時点で全国に、急速充電器が約八千基、普通充電器が約二万一千基の計約三万基が整備されていますが、二〇三〇年までには、それぞれ三万基、十二万基の計十五万基とすることを目標としています。
これらの目標を実現するため、今般の補正予算及び当初予算において、電気自動車等の購入支援と充電インフラ整備の関連予算事業として総額四百五十五億円を盛り込んだところであり、こうした支援策を通じて、しっかりと普及、後押しをしてまいります。
固定価格買取り制度の成果と課題についてお尋ねがありました。
日本では、固定価格買取り制度を二〇一二年に導入し、その結果、二〇一一年度に約一〇%であった再エネ比率は二〇二〇年度には約二〇%にまで拡大し、この十年間で太陽光は中国、米国に次ぐ水準にまで導入量が拡大するなど、再エネの導入は着実に進展しています。一方で、国民負担の増大や、災害や環境に関する地域における懸念等の声もいただいています。
今後、エネルギー基本計画で掲げた野心的な目標の実現に向けて、入札等を通じたコスト低減や、地域の理解を得られる公共施設、住宅への太陽光設置、洋上風力の案件形成に加え、再エネの適正な導入や管理に係る関係省庁と連携した施策の強化などを通じて強力に推進してまいります。
太陽光発電の目標達成に向けた取組についてお尋ねがありました。
エネルギー基本計画で掲げた二〇三〇年度における野心的な再エネ導入目標の実現に向けて、太陽光発電の更なる導入拡大は重要ですが、そのためには、地域と共生する太陽光発電の設置に適した場所の確保や国民負担を抑制するためのコスト低減など、様々な課題を乗り越える必要があります。このため、関係省庁とも連携し、地域で理解を得やすい空港、鉄道などを含め、公共施設や住宅などの屋根の太陽光導入の促進に取り組んでいます。
また、立地制約の克服に向けて、耐久力の低い屋根やビルの壁面など、これまで設置が困難であった場所に太陽光発電の設置を可能とする次世代型太陽電池の開発を進めるなど、目標の実現に全力で取り組んでいます。
国内における大型蓄電設備の整備状況と今後の目標、取組方針についてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーの普及拡大を進めながら電力の安定供給を確保するためには、電力の需給を一致させるための調整力として様々な蓄電池を活用することが重要です。そのうち、系統に直接接続する大型蓄電設備の整備状況については、実証用も含め、現在、十四・二万キロワットが稼働しております。
今後、遅くとも二〇三〇年までに、車載用蓄電池も含む蓄電池材料の国内製造基盤として、百五十ギガワットアワーの製造能力確立を目指します。
また、多様な活用に向けた環境整備の一環として、本法案において、大型蓄電設備を電気事業法上の発電事業に位置付けるとともに、導入費用に対する支援などにより、再生可能エネルギーの普及拡大や電力の安定供給に資する大型蓄電設備の導入を進めてまいります。
水素導入量の目標達成に向けた戦略についてお尋ねがありました。
水素、アンモニアは、化石燃料を使用しないゼロエミッション火力への転換の鍵です。加えて、産業や運輸など幅広い分野の脱炭素化が可能であり、カーボンニュートラルに不可欠なエネルギーです。
政府としては、エネルギー基本計画で掲げた目標を達成するため、まずは最大の課題であるコスト低減に向けて、グリーンイノベーション基金を活用しながら、製造、輸送設備の大型化等、技術開発を進めており、需要の創出と一体的にコスト低減を図っていきます。
一方で、当面は既存の化石燃料に比べて割高な燃料であることも踏まえ、既存燃料とのコスト差やインフラ整備の在り方等にも着目しながら、商用化に向けた大胆な支援措置を検討していきます。今後、水素、アンモニア、クリーンエネルギー戦略の重要な柱として、社会実装を加速してまいります。
バイオエタノールの導入拡大についてお尋ねがございました。
バイオエタノールの利用は、運輸部門の脱炭素化に向けた取組を推進するための有効な手段の一つです。このため、我が国では、エネルギー供給構造高度化法に基づき、国内の石油精製事業者に対して、毎年原油換算で五十万キロリットルのバイオエタノールの利用を求めています。今後のバイオエタノールの利用については、ほぼ全量を海外から輸入していることに伴う経済性等も踏まえ、関係する様々な分野の専門家とも議論し、引き続き検討してまいります。(拍手)
〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/12
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013・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 山崎真之輔議員から、地方自治体の施策の後押しについてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の達成のためには、国、地方自治体、企業、国民が一体となって需給両面から総力を挙げて取り組むことが不可欠です。
本法案により、企業による再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーへの転換や省エネの取組が進むことで、法案の目的である日本のエネルギー需給構造の転換の後押しに加え、地域の脱炭素化にも資するものと考えています。
環境省としても、脱炭素先行地域の創出などを支援する地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を令和四年度予算に盛り込んだほか、民間企業等による意欲的な脱炭素事業への新たな出資制度の創設等を内容とする地球温暖化対策推進法の改正案を今国会に提出させていただいているところです。
これらの取組を通じて、脱炭素ドミノを起こしていきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/13
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014・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) 山崎真之輔議員の御質問にお答え申し上げます。
自動車税制の在り方についてお尋ねがありました。
自動車税制の在り方については、与党税制改正大綱において、カーボンニュートラル目標の実現への貢献、自動車を取り巻く環境変化の動向、インフラの維持管理の必要性等を踏まえつつ、国、地方を通じた財源の安定的な確保を前提に、受益と負担の関係も含め、中長期的な視点に立って検討を行うこととされているところです。
政府といたしましても、これら検討を受け対応していくべき課題であると考えております。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/14
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015・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 山崎議員からの御質問にお答えいたします。
軽自動車税について御質問いただきました。
議員御指摘のとおり、軽自動車については、公共交通機関が不十分な地域において生活の足として使われている実情があることは十分に理解しております。
その上で、今後の自動車関係諸税の在り方については、住民に身近な行政サービスを提供している自治体の貴重な財源となっていること、与党税制改正大綱において、カーボンニュートラル目標の実現への貢献を始め中長期的な視点に立って検討を行うこととされていることなどを踏まえ検討する必要があると考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/15
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016・山東昭子
○議長(山東昭子君) 石井章さん。
〔石井章君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/16
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017・石井章
○石井章君 日本維新の会、石井章です。
私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました省エネ法等改正案に対し、経済産業大臣に質問いたします。
ロシアのウクライナ侵攻から二か月が経過いたしました。しかし、ロシアはまだ軍事侵攻をやめる兆しも見せておらず、罪のないウクライナ市民の犠牲が増え続けていることを強く非難するとともに、犠牲となられた全ての方々に心より哀悼の意を表します。
ウクライナ危機やコロナ禍からの世界経済の活動再開を背景に、資源エネルギー価格が高騰し、国際経済や市場の安定に影響を及ぼしております。これは、電気や穀物などの生活必需品に及び、国民生活や経済に暗い影を落としつつあります。
こうした国民生活の危機への対処は、まさに政治の使命ではないでしょうか。日本維新の会は、先月、ウクライナ危機等から国民の生活を守るための緊急経済対策提言を取りまとめ、関係大臣に提出いたしました。また、提言の内容を法案に取りまとめ、四月二十一日に衆議院で発議いたしました。その内容は、揮発油税の税率の特例の廃止、食料品などを対象に消費税の軽減税率を八%から段階的に三%まで引き下げるといったものです。ここに集う多くの同僚議員の皆様が我々の法律案に賛同してくださることを切に願っております。
さて、省エネ法等改正案は、我が国における脱炭素社会の実現に向けて、需要と供給の両面で構造転換を図ることとともに、エネルギー需要構造の安定を図るものとされております。脱炭素化の実現とエネルギーの安定供給という困難な課題に同時に取り組むことの重要性は論をまちません。しかしながら、危惧するのは、国のエネルギー政策により国民や事業者に生じる負担への配慮がないがしろにされていることではないでしょうか。
例えば、再エネ導入拡大のために措置されました固定価格買取り制度は一定の成果を上げてきましたが、国民の負担が増大の一途をたどっていることは看過できません。また、省エネ法がオイルショック後の一九七九年に制定されてから、多くの企業が省エネの取組を推進してきましたが、乾いた雑巾を絞るようなと例が挙げられるほど過酷だと言われております。
省エネ法は、一定規模以上の事業者に対し、省エネ促進への義務を課しています。今回の改正では、新たに非化石化エネルギーへの転換に関しましても義務を課すものでありますが、その難易度は業種により大きく異なります。義務を課すのであれば、過重な負担とならないよう配慮すべきと考えますが、経済産業大臣の答弁を求めます。また、規制の強化よりも、優良な取組が評価されることや経済的に報われることが重要ではないでしょうか。併せてお伺いいたします。
エネルギーの高騰により、多くの国民や事業者が窮状にあえいでおります。その中で、新たなエネルギー政策の展開は、国民の生活と経済を守るための措置と同時に進めるべきではないでしょうか。私どもの提言、法律案をどのように受け止めておられるのかを含め、経済産業大臣の見解を求めます。
ウクライナ危機を受けて、欧州では、エネルギー供給の脱ロシア依存が課題となっております。英国では、エネルギー大手がロシアでのガスや石油事業からの撤退を決める一方で、二〇三〇年までに原子炉を最大八基建設する計画を公表いたしました。また、二〇二五年まで脱原発を決めていたベルギーでは、一部の原発の二〇三五年までの運転延長を決めました。他方、化石燃料のロシア依存度の高いドイツは、二〇二二年末までに脱原発の見直しをする動きもありましたが、原発の稼働延長案は棄却されております。
我が国も、エネルギーの安定供給の確保、とりわけ海外における資源権益の確保や原子力の問題に真剣に向き合う必要がありますが、その際に重要なのは、諸外国の動きに安易に同調するのではなく、我が国独自のエネルギー政策を確立することと思います。
特に、原発について、我が国は東京電力福島第一原子力発電所の事故を経験しております。原発再稼働は、新規制基準適合性審査を適切に進め、引き続き、安全性の確保を最優先に、立地自治体や住民の合意を得る努力も続けていくことが肝要ではないでしょうか。経済産業大臣の答弁を求めます。
また、法律案では、非化石化エネルギーへの転換が柱の一つとなっております。非化石化エネルギーには原子力発電による電気も含まれておりますが、本改正は我が国の原子力政策の方針に影響を与えるものではないでしょうか。また、エネルギーのロシアの依存、海外依存の低減にはどのように取り組んでいくのか、併せて御答弁を願います。
エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化を打ち出しており、二〇三〇年度の電源構成の三六から三八%を再エネとするとしております。本法律案の非化石化エネルギーへの転換、そのためにも再生可能エネルギーの導入拡大が急がれますが、一方で、再エネ導入には、国民の負担の増大や用地の確保、地域との共生などの課題も存在しております。
そこで、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と政府の今後の取組方針について御説明をお願いいたします。
我が国の再生可能エネルギー政策は太陽光や風力を中心に進められてきましたが、その対象を増やすことは電力の安定供給に寄与するものと思います。例えば、我が国の地熱は世界第三位のポテンシャルを有しております。昼夜を問わず安定的に供給できるという利点もあります。さらに、米国やニュージーランド等では、地熱かん水と呼ばれる高温の塩水からリチウムを取り出す取組も進められております。しかし、その利用には、地元や自然保護への配慮、開発コストの低減など、課題も山積しております。
本案では、JOGMECの業務に海外での地熱探査に関するものを追加するとされておりますけれども、国内の地熱開発にも役立つものとなるのでしょうか。改正の狙いについてお伺いいたします。また、地熱発電の今後の導入方針や課題を併せてお伺いいたします。
次世代の有力なエネルギーと言われている水素について、太陽光発電や風力発電を用いて作られた水素はグリーンエネルギーと呼ばれておりますが、残念ながら、現在、水素はほとんどが化石燃料から作られ、CO2の排出を伴います。そこで、我が国のエネルギーセキュリティー上も、化石燃料によらない水素製造技術の発展、普及は重要な課題だと考えております。
また、廃棄物についても、脱炭素化の観点からは重要であります。我が国の廃棄物処理施設は、ほとんどが化石燃料で焼却処理を行い、大量のCO2を排出しております。本法案により需要側と供給側の双方の転換を進めるとしても、産業活動の最後でCO2を排出してしまえば元のもくあみでございます。
そこで、政府は、このような課題を解決する技術、すなわち、脱炭素型廃棄物処理技術や廃棄物処理の過程からクリーン水素を製造する技術等を有する日本の中小やベンチャー企業にもっと目を向けるべきではないでしょうか。そのような企業を積極的に支援し、その技術の確立と実用化を促進して、国内外の普及をさせていくべきだと考えておりますが、経済産業大臣の答弁を求めます。
日本維新の会は、国民の生活と経済の安定に資するエネルギー供給の安定化に深く関心を持っております。国民の暮らしと経済をより良くしていくために、今後も最大限の努力を続けてまいりますことをお約束して、私の質問を終わらさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/17
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018・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 石井議員の質問にお答えいたします。
今回の省エネ法の改正による非化石エネルギーへの転換に関する事業者の負担軽減や優良な取組の評価などについてお尋ねがありました。
事業者に対して非化石エネルギーの転換を求めるに当たっては、今後、業種ごとのエネルギーの使用実態の違いなどを踏まえて国が判断基準を策定し、この中で事業者が自ら非化石エネルギーの使用割合を向上させる定量的な目標を設定し、その達成を求めることを規定するなど、事業者の過度な負担とならない制度とする予定です。
また、取組が進んでいる事業者を優良事業者として公表することや、予算措置による支援も併せて講ずることにより、事業者の非化石エネルギーへの転換を促してまいります。
エネルギー価格の高騰から国民の生活と経済を守るための措置と、日本維新の会の提言や法律案に対する受け止めについてお尋ねがありました。
政府として日本維新の会の法律案に対してコメントすることは差し控えますが、現下のエネルギー価格の高騰を踏まえ、日本経済と国民生活を守るための対策が必要だという提言にもある問題意識は共有しています。
このため、昨日取りまとめた原油価格・物価高騰等総合緊急対策に基づき、原油価格高騰対策として燃料油に対する激変緩和事業を延長、拡充するとともに、セーフティーネット貸付けの更なる金利引下げを通じた中小企業に対する資金繰り支援などにしっかりと取り組んでまいります。
原子力発電所の再稼働についてお尋ねがありました。
原子力発電所については、安全性確保を大前提に、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合には、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の方針です。
経済産業省としては、再稼働が円滑に進むよう、産業界に対して事業者間連携による安全審査への的確な対応を働きかけるとともに、国も前面に立ち、原子力の意義や必要性等について丁寧な説明を尽くし、立地自治体など関係者の御理解と御協力が得られるよう、粘り強く取り組んでまいります。
今回の省エネ法の改正における非化石エネルギーへの転換に関する措置による我が国の原子力政策への影響についてお尋ねがありました。
今回の省エネ法改正により、原子力発電由来の電気は、太陽光発電由来の電気などと同様、非化石電気となり、その使用割合の向上は、特定の電源ではなく、非化石エネルギー全体への転換の取組として評価されることになります。また、非化石電気の由来となる電源構成の在り方などに影響を与えるものではなく、原子力政策の方針は変わりません。
エネルギーのロシア依存、海外依存の低減についてお尋ねがありました。
我が国としては、再エネや原子力も含めたエネルギー源の多様化、LNG投資等によるロシア以外の供給源の多角化、産油国等に対する継続的な増産の働きかけなどを通じてロシアへのエネルギー依存を低減させるとともに、国内資源開発などをしっかりと推進することにより、エネルギーの海外依存を低減させてまいります。
再生エネルギーの主力電源化とその課題についてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーについては、エネルギー基本計画で掲げた二〇三〇年度三六から三八%という野心的な目標の実現に向けて、最大限導入していくのが政府の基本方針です。他方、これに向けては、議員御指摘のとおり、国民負担の増大や地域との共生を前提とした適地の確保、事業規律の強化などの課題を乗り越える必要があります。
このため、今後は、入札などを通じたコスト低減や、地域の理解を得られる公共施設や住宅への太陽光発電設備の設置を進めるほか、関係省庁とも連携して、再生可能エネルギーの適正な導入や管理に向けた取組を強化することなどを通じて、その最大限の導入を実現してまいります。
今回のJOGMEC法の改正による国内の地熱開発への効果と地熱発電の今後の導入方針や課題についてお尋ねがありました。
国内の地熱発電の導入目標は、二〇三〇年度のエネルギーミックスで百四十八万キロワットであり、現時点では約六十万キロワットにとどまっています。地熱の開発には、温泉事業者などの地元の御理解が重要であるほか、地下資源であるため、開発リスクやコストが高い、大半が国立公園等にあるため、許認可の取得が容易でないなどの課題があります。
今回の法改正により、JOGMECは海外の地熱探査事業に参画する事業者に対してリスクマネーを供給することが可能となりますが、これにより、国内の事業者が地熱開発に係る最先端の技術や大規模開発等のノウハウを獲得することを通じ、国内の地熱発電の導入を加速してまいります。
脱炭素型の廃棄物処理技術や廃棄物処理の過程からクリーン水素を製造する技術などを有する中小企業やベンチャー企業に対する支援についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、脱炭素型の廃棄物処理技術や化石燃料によらない水素製造技術は、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現する上で重要です。このため、政府としては、廃棄物をメタン化してエネルギーとして利用する技術や、廃棄物処理に伴い発生する熱を有効活用する技術など、先導的な廃棄物処理システムの実証を行う企業などに対して支援を行っています。
また、二兆円のグリーンイノベーション基金を活用して、再生可能エネルギー由来の電力を活用した水素製造技術の開発を行っているほか、現在、廃棄物を処理する際のCO2排出削減技術に関するプロジェクトも検討しているところであり、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、引き続き、これらの取組をしっかり進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/18
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019・山東昭子
○議長(山東昭子君) 岩渕友さん。
〔岩渕友君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/19
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020・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、エネルギー使用合理化法等改正案について、萩生田経産大臣に質問します。
冒頭、知床半島沖で観光船が消息を絶った事故でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、行方不明の方々の一刻も早い捜索と救助を願います。その上で、事故の原因究明と再発防止を求めるものです。
法案の質疑に先立って、物価高騰問題について伺います。
コロナ禍とロシアによるウクライナ侵略、さらに急激な円安によって、ガソリンや食料品、電気料金など、物価高騰が暮らしと営業を直撃しています。政府が発表した緊急経済対策は、規模も内容も国民の苦境に応えるものになっていません。深刻な状況にある中小事業者に対し給付金を含めた直接支援を行うとともに、消費税の五%への減税を政府として決断するべきではありませんか。
法案に関わって質問します。
四月五日、IPCC、国連気候変動に関する政府間パネルは、産業革命前からの気温上昇を一・五度に抑えるためには、遅くとも二〇二五年までに各国の温室効果ガスの総排出量をピークにして、そこから減少に転じさせ、大幅に削減する必要があるとする報告書を公表しました。削減対策なしで石炭火力発電を使い続ければ、一・五度目標は達成できないとしています。
第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成に占める石炭火力発電の割合を一九%としています。G7加盟国の中で石炭火力発電の廃止期限を示していないのは日本だけです。事態が切迫する下で、石炭火力発電の廃止期限を決め、すぐにでも取り組まなければ、国際的な責任を果たせないのは明らかではありませんか。
本法案では、二〇三〇年度の野心的な温室効果ガス削減、石炭火力の脱炭素化を図るとし、水素、アンモニアを非化石エネルギーと位置付け、導入、活用を推進するとしています。しかし、COP26、グラスゴー気候合意では、水素、アンモニアは排出削減措置に当たるとしていません。しかも、化石燃料を使用し、製造過程で大量に二酸化炭素を大気中に放出するグレーアンモニアも非化石と位置付けていますが、大臣自らが、化石由来のものを非化石と呼んでいいのかと言われると違和感があると衆議院の議論で認めています。これはまさに、石炭火力を使い続ける新たな仕組みづくりではありませんか。
グレーアンモニアは、経産省自らが、一トン製造するのに一・六トンの二酸化炭素を排出するとしています。石炭火力に二〇%混ぜて発電する場合でも、製造過程を含めると二酸化炭素の削減効果は僅か四%にしかなりません。しかも、現在は実証の段階で、アンモニア二〇%混焼の開始が予定されているのは二〇二五年以降であり、国際的に求められている排出削減の目標と整合性がありません。政府の見通しでも、グレーアンモニアへの依存が続くことは明らかであり、日本の排出削減目標はもちろん、国際的な排出削減の取組に逆行するものではありませんか。
ロシアによるウクライナへの侵略を受けて世界的に生じているエネルギー危機は、化石燃料依存の脆弱性が表れたものです。化石燃料は偏在しており、それに依存している限り、エネルギーの安全保障上の危機が発生することを避けることができません。
政府は、当面、化石燃料由来の輸入アンモニアに頼らざるを得ないとしています。化石燃料からの脱却が不可欠であることが改めて明らかになっているにもかかわらず、これでは将来にわたってエネルギーの海外依存を強めることになるのではありませんか。
本法案は、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMECの業務に水素、アンモニア製造、二酸化炭素を回収し地層などに貯留するCCS地層探査等に関する出資、債務保証を追加するとしています。
水素、アンモニアはコストが高く、開発にリスクを伴うことは政府も認めています。現在の実証事業でも、商用化した場合、初期投資が水素関係で約九千億円、アンモニアでは約六千四百億円、CCSは数千億円規模のコストが発生するとしています。
衆議院の審議で我が党の笠井亮議員が、JOGMECは二〇〇四年の設立以来、出資した案件のうち六割が生産に至らず事業を終結し、二〇一一年度に初めて繰越欠損金を出して以降、その額は、この十年で二十倍以上に当たる二千八百億円にも増大していることを明らかにしました。本法案で新たな業務が追加されることで、更なる繰越欠損金を出すことになるのではありませんか。
世界が石炭火力発電廃止の方向に向かい、再生可能エネルギーのコストが下がる下で、水素、アンモニアが座礁資産となるリスクが高まっています。CCSも、技術的困難さや、コストが高く効率面、環境面での問題も指摘されています。こうした状況の下でJOGMECがリスクを引き受け、失敗すればそれが国民負担になるなど認められません。大臣の認識を伺います。
水素・アンモニア混焼、CCSは、CO2排出削減の二〇三〇年目標との整合性はなく、巨額な予算を投入するなど経済合理性も欠いています。実用化のめどが立っていない技術を前提にすることは、必要な対策の先送りであり、既存の技術の活用を阻むことになります。
太陽光・熱、小水力、風力、地熱、畜産や林業など地域の産業と結んだバイオマスなどは、純国産、地域に固有のエネルギー源です。日本は世界有数の資源大国であり、大きな再生可能エネルギーの潜在能力があります。
住宅や公共施設、小規模な工場への屋根置き太陽光、農業と両立可能なソーラーシェアリング、省エネ・断熱住宅など、いずれも地元の中小企業や工務店の仕事と雇用に結び付き、地域経済の活性化につながります。今ある省エネ技術、純国産の再生可能エネルギーにこそ予算、施策を集中し、公共と民間の投資の流れを転換するべきではありませんか。
三月十六日の福島県沖地震を受けて、電力需給逼迫警報が初めて発動されましたが、主な要因は石炭火力発電所の停止でした。
二〇一一年の東京電力福島第一原発事故で、原子力や火力の大規模集中電源は災害などによる運転停止の影響が大きいことが明らかになりました。二〇一八年の北海道胆振東部地震でのブラックアウトでも同様の問題が明らかになったにもかかわらず、大規模集中型から小規模分散型への転換を進めてこなかった政府の責任は重大です。地域分散、地産地消の再生可能エネルギーの導入によって安定した電力確保を急いで進めるべきではありませんか。
電力の需給逼迫やエネルギー危機を受けて、原発再稼働、火力発電への投資を求める声が出ていますが、どちらも的外れな主張です。
日本共産党は、原発ゼロの決断と石炭火力に固執するエネルギー政策を転換し、省エネと再生可能エネルギーを組み合わせて、二〇三〇年度までにCO2を最大六割削減することを提案しています。地球環境と未来への希望が持てる政治の実現が必要だということを述べて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/20
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021・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 岩渕議員の質問にお答えいたします。
中小事業者支援と消費税減税についてお尋ねがございました。
厳しい状況に直面する中小企業を、実質無利子無担保融資などによる資金繰り支援や、価格転嫁対策、事業再構築補助金などの施策により、しっかり支えてまいります。なお、事業者向けの給付金は、使途に制限のない現金を給付するという臨時異例の支援策であり、今後の取扱いについては、感染状況や政府による措置内容のほか、他の支援策の動向も注視しながら、給付金制度の趣旨を踏まえて判断してまいります。
また、消費税については、総理は、社会保障の財源として位置付けられており、当面、消費税について触れることは考えておりませんと述べられていると承知しております。
石炭火力の廃止期限についてお尋ねがありました。
エネルギーをめぐる状況は各国千差万別です。資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国では、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要です。従来より我が国の電力需給は厳しい見通しでしたが、ウクライナ情勢により、燃料確保など一層予断を許さない状況です。こうした中で、直ちに急激な石炭火力の抑制策を講ずることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねません。
このため、石炭火力の廃止期限を区切ることは考えていませんが、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、安定供給を大前提に、できる限り発電比率を引き下げてまいります。
アンモニアの位置付けについてお尋ねがありました。
電力の安定供給の確保を大前提に、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するため、アンモニアやCCUS等を活用することで脱炭素型の石炭火力への置き換えを推進します。
アンモニアの社会実装に向けて、供給量拡大、価格低下などにつながる需要創出が必要であるため、まずは由来を問わずに非化石エネルギー源に位置付け、活用を進めます。他方、永続的にCO2を処理していないアンモニアを使い続ける考えはなく、インフラ整備や技術開発、コスト低減などの状況を見つつ、速やかにアンモニア製造方法のクリーン化を進めます。
アンモニアのCO2削減効果についてお尋ねがありました。
我が国では、パリ協定の一・五度努力目標とも整合的な形で、二〇三〇年度四六%削減という野心的な目標を掲げており、その目標と整合的な形で、二〇三〇年度の電源構成において水素、アンモニアの導入目標を一%と設定しています。
他方で、できるだけ速やかにアンモニア製造方法のクリーン化を進めるとともに、利用面では二〇%混焼の導入にとどまらず、グリーンイノベーション基金を通じて、二〇三〇年までにより高い混焼率や専焼化を可能とするための技術開発を進めます。
アンモニアと海外依存についてお尋ねがありました。
エネルギーの安定供給の確保には、エネルギー源の多様化が重要です。アンモニアは、脱炭素型火力への転換の鍵であり、安価かつ安定的な確保が必要です。一方で、すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国において、現時点では国産アンモニアだけで需要を満たすことは困難です。したがって、当面は化石燃料由来の輸入アンモニアに頼らざるを得ませんが、既に国内でも再生可能エネルギーからアンモニアを製造する実証も行うこととしており、将来的には国産アンモニアの確保にも取り組みます。
JOGMECの繰越欠損金についてお尋ねがありました。
資源開発は、一般に投資回収期間が数十年に及び、不確実性が高い事業です。JOGMECの前身の石油公団は、約四十年間の活動で、最終年度の平成十六年度に約五千二百四十三億円の欠損金を計上しましたが、国が承継した資産は、令和二年度末の時価評価でこの欠損金を回復し、約四千百十四億円の含み益があるものと考えられます。
資源に乏しい我が国が必要な資源エネルギーを確保するためには、JOGMECの積極的かつ追加的な支援は不可欠であり、当面、繰越欠損金の増加は避けられません。他方、生産段階に移行する案件が増えていくことで、繰越欠損金は次第に減少すると見込んでいます。
JOGMECの支援と国民負担についてお尋ねがございました。
まず、JOGMECによる支援は、民間事業者がリスク分析等を十分に行い、採算性があると判断していることが大前提です。その上で、JOGMECが案件を採択する際には、事業部門と独立した審査部門による厳正な審査を徹底するとともに、採択後も全案件の進捗やリスク要因について厳格な管理を行っています。今回追加する水素、CCS等の業務においてもこの方針に変更はありません。
省エネ、再エネへの予算、施策の集中についてお尋ねがありました。
今ある省エネ・再エネ技術を普及させていくことは、新たな雇用や地域経済の活性化という観点からも重要であり、しっかりと取り組んでまいります。例えば、省エネについては、設備導入補助や省エネ法による規制に取り組むとともに、再エネについては、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、住宅、建築物への太陽光の導入などに取り組みます。
他方、二〇三〇年度の削減目標の実現を目指す中でも、エネルギー源の多様化を進めることは重要です。そのため、徹底した省エネや再エネに加え、原子力、火力、水素、アンモニアなど、あらゆる選択肢を追求してまいります。
分散型電源の導入による電力確保についてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーや蓄電池等の分散型電源は、災害時の対応力の強化に加え、供給力、調整力としての活用も期待されています。そのため、分散型電源を束ねるアグリゲーターや災害時に主要系統から切り離して独立運用する配電事業者の信頼性を高めるため、ライセンス制を今月より導入しました。
本法案においては、大型の蓄電池を電気事業法上の発電事業に位置付けることとしており、分散型電源も活用した電力システムの構築を促進してまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/21
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022・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/22
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023・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一 情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員長古川俊治さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔古川俊治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/23
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024・古川俊治
○古川俊治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、国の歳入等の納付に係る関係者の利便性の向上を図るため、他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による国の歳入等の納付を可能とするために必要な事項を定めるものであります。
委員会におきましては、キャッシュレス納付推進におけるデジタル庁の役割と行政機関の業務効率化、指定納付受託者の情報セキュリティー確保、キャッシュレス納付に係る手数料の負担の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/24
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025・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/25
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026・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第二 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長斎藤嘉隆さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔斎藤嘉隆君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/27
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028・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、特定所有者不明土地の対象範囲の拡大並びに地域福利増進事業における対象事業の拡充、裁定申請書等の縦覧期間の短縮及び土地等使用権の存続期間の上限の延長等の措置を講ずるとともに、引き続き管理が実施されない所有者不明土地に対する災害等の発生防止のための市町村長による代執行制度等の創設、所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための計画の作成、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、地域福利増進事業の活用策、所有者不明土地等の管理の適正化の推進、所有者不明土地対策の推進に向けた体制の強化等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/29
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030・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02020220427/30
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