1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月十三日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十二号
令和四年五月十三日
午前十時開議
第一 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係
る地震防災対策の推進に関する特別措置法の
一部を改正する法律案(衆議院提出)
第二 安定的なエネルギー需給構造の確立を図
るためのエネルギーの使用の合理化等に関す
る法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
第三 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び
安全性の確保等に関する法律等の一部を改正
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部
を改正する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/1
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002・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。山口壯環境大臣。
〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/2
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003・山口壯
○国務大臣(山口壯君) ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国は、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現を昨年の法改正で法律上明記するとともに、昨年四月には、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減の実現を目指し、五〇%の高みに向けた挑戦を続けることを表明しました。
これらの目標を達成し、炭素中立社会へと移行するためには、三千八百兆円とも言われる世界のESG資金を呼び込み、経済社会を抜本的に変革することが求められています。
この変革に向けて、脱炭素技術の更なるイノベーションを推進するとともに、再生可能エネルギーなどの地域資源を地域と共生しながら徹底活用するグリーン社会を実現すべく、二〇五〇年カーボンニュートラルを前倒しで達成する脱炭素先行地域を、二〇三〇年までに全国で百か所以上創出することを目指しています。地方公共団体や事業者を国が強力に支援することによって地域の脱炭素化による町おこしを促し、これが新しい時代の成長を生み出すエンジンとなります。その実現に向け、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意の下、大臣、副大臣、大臣政務官の全員で、率先して各地域との対話を重ねています。
本法律案は、このような背景を踏まえ、脱炭素市場に民間資金を大胆に呼び込むための出資制度を創設するとともに、地方公共団体に対する財政上の措置を充実強化するため、これらの資金支援の法的基盤を整備し、炭素中立社会への本格的な移行を促進するものです。
次に、本法律案の内容の概要を二点御説明申し上げます。
第一に、民間資金を呼び込む出資制度を創設します。現在、世界の脱炭素市場はまさに拡大しているところですが、例えば、前例に乏しく投融資の判断が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい等の理由から資金調達が難しい脱炭素化に資する事業への民間資金の呼び込みが必要となっています。そこで、株式会社脱炭素化支援機構を設立し、脱炭素化に資する事業に対する資金供給その他の支援を強化することにより、民間投資の一層の誘発を図ります。
第二に、地域の脱炭素化に取り組む地方公共団体に、国が財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める旨を規定し、国の支援姿勢を明らかにします。具体的には、脱炭素先行地域づくり等に取り組む地方公共団体に対して包括的かつ継続的な支援を行う地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の創設など、脱炭素型の地域づくりに予算を重点配分したいと考えています。
以上が、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/3
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004・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。青木愛さん。
〔青木愛君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/4
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005・青木愛
○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。
立憲民主・社民の会派を代表して、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
地球温暖化問題は、一九八〇年代から科学者の間で認識が強まり、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが一九九〇年に公表した第一次評価報告書を受けて国連で議論が始まりました。
一九九七年に京都で開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議、COP3において京都議定書が採択され、先進国に対し法的拘束力のある温室効果ガス排出削減の数値目標が設定されました。
議定書の採択を受け、我が国では、翌一九九八年に国内における地球温暖化対策の枠組みとなる地球温暖化対策の推進に関する法律、略称温対法が制定され、国、地方公共団体、事業者、国民のそれぞれが行う責務等が定められました。
直近の二〇二一年の改正では、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を受け、二〇五〇年カーボンニュートラルが法律に明記されるとともに、地域脱炭素化促進事業などが盛り込まれました。
二〇一九年秋以降、ゼロカーボンシティが急増していますが、具体的なアクションへと結び付く例はまだ少なく、モデルとなる事業の創出が必要となっています。また、国と地方の協働、共創による取組が不可欠です。
二〇一三年から環境省が所管する地域脱炭素投資促進ファンド事業により基金が創設され、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構が基金設置法人として事業を運営しています。地域の脱炭素化プロジェクトに対して出資を行い、民間資金を呼び込むことで地域の資金循環を拡大し、脱炭素社会の実現と地域活性化の両立を目指しています。
今回の改正は、このような状況を踏まえ、二つの柱から成る施策を定めることにより、我が国の脱炭素社会実現に向けた対策の強化を図ることとしています。
一つは、脱炭素事業を支援する株式会社脱炭素化支援機構という新たな官民ファンドを創設することです。もう一つは、脱炭素に取り組む自治体を国が財政支援する努力義務の規定です。
以下、山口環境大臣に質問いたします。
まず、一本目の柱、新たな官民ファンドの設立についてお伺いをいたします。
現在、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は地域脱炭素投資促進ファンド事業を実施しており、同事業では、一定の採算性、収益性が見込まれる地域の脱炭素化プロジェクトに対する出資が行われています。
今回、法律を改正して、財政投融資を活用した新たな官民ファンドを設立することになります。なぜグリーンファイナンス推進機構の拡充ではなく、新たな官民ファンド、株式会社脱炭素化支援機構を創設するのか、その意義と必要性についてお伺いします。また、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構はこれまでどのような実績を上げてきたのか、順調に運営されてきたのか、それとも問題があったのか、これまでグリーンファイナンス推進機構が出資してきた事業は今後どうするのかについてお伺いします。
環境省は、我が国の脱炭素化に必要な投資額を、二〇三〇年に向けた、二〇二六年から二〇三〇年の五年間の年平均の投資額を約十三兆円程度と試算していますが、二〇二〇年時点での脱炭素分野への投資額は約五兆円にとどまっています。
こうした状況の中で、環境省は、新たな官民ファンド設立に当たり、新たな出資制度として、令和四年度財政投融資計画に二百億円を計上しました。それを呼び水として、八百億円の民間資金を喚起させ、約一千億円の脱炭素事業の実現を見込んでいます。想定どおりの呼び水効果が得られるのか、その根拠をお伺いします。
新制度は財政投融資を活用した制度であることから、政策性とともに収益性の確保が求められます。新機構は株式会社の形態を取っているのですから、なおさらです。
一般的に、ファンド投資では、設立当初は収益よりも費用が先行するため累積損失が計上され、投資期間の後期になって累積損失を解消して収益を上げるという収益構造が想定されています。
しかし、これまでに設置された一部の官民ファンドでは、投資資金の回収に関する見通しが甘いことなどにより、収支状況が悪化し、多額の累積損失を発生させていることが大きな問題となっています。グリーンファイナンス推進機構においても、プロジェクト投資ベースでは黒字を確保しているとのことですが、機構全体の収支で累積損失が発生しています。
新機構が収益性を確保するため、どのような長期的な見通しを想定しているのか、また、既存事業から強化した点についてお伺いします。加えて、収益性の確保の観点からは、各支援事業への投資後においても、対象事業者の財務情報や経営方針等の企業情報を引き続き継続的かつ適切に把握する必要がありますが、投資後のモニタリングに係る方針をお伺いします。
本法律案では、取締役である委員の三名から七名で構成される脱炭素化委員会が、あらかじめ環境大臣が設定する支援基準に基づき、対象事業者やその内容を決定することとしています。これらの意思決定を取締役会ではなく同委員会が行うことにした理由、及び取締役、同委員会の人選に係る方針についてお伺いします。
また、機構は、公的な支援を受けて業務を行う組織であることから、同委員会での意思決定には公平性、中立性、透明性が求められますが、その確保に向けた運営方針及び同委員会に対するガバナンスの在り方についてお伺いいたします。
今回の新たな出資制度の政策的意義には、脱炭素を契機とした地方創生の実現も含まれることから、地域へ貢献する事業に対して必要十分な資金供給が行われるよう適切に、適正に支援基準を策定することが必要だと考えますが、見解をお伺いします。
また、一部の地域では、再生可能エネルギーに関する施設等の開発により、生活環境への影響に対する住民の不安が高まっています。資金供給に加えて、地域の合意形成に対する機構の取組が重要と考えますが、見解をお伺いします。
機構が個別支援事業を決定する際には環境大臣等が意見を述べる機会について規定されています。どのような方針の下に意見を述べられるのでしょうか。また、事業開始後、支援事業が環境へ悪影響を及ぼすなど不適切な行為により地域でトラブルが生じた場合、環境大臣はどのように対処されるのか、お伺いをいたします。
次に、二本目の柱、地方公共団体に対する財政措置等についてお伺いをいたします。
環境省は、令和二年十月の二〇五〇年カーボンニュートラル宣言以降、地域の脱炭素化に向けた取組に対し、補助金等による支援を強化してきました。こうした状況の中、本法律案では、地域の脱炭素化に取り組む地方公共団体に、国が財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める旨を規定しました。
今回、法律を改正して、国の地方公共団体への財政支援等の努力義務を法律上明記したことの意義及びその効果についてお伺いします。
現在、地域の脱炭素化に向けた取組においては、専門的知見を有する人材や取組の中核となる人材が不足しています。特に、小規模の自治体は適切な人材の確保が困難な状況です。地域の脱炭素化の実現には、このような地域人材の育成、確保に係る支援措置の強化が欠かせないと考えますが、見解をお伺いします。
地域における脱炭素を実現するための地域脱炭素ロードマップにおいて、脱炭素先行地域が位置付けられています。二〇三〇年度までに地域内の民生部門の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロの実現など、脱炭素ドミノを起こすためのモデル地域として位置付けられています。
その選定に当たっては、事業規模のみならず、地域の特性を生かし、地域への貢献度の高い案件が積極的に選定されることが重要だと考えます。環境省は、今回実施した第一回目の公募では、七十九件の応募に対し二十六件を選定しました。脱炭素先行地域の選定方針及び、二〇二五年までに少なくとも百か所を選定するということですが、その見通しについてお聞きいたします。
脱炭素先行地域の公募では、複数の自治体による共同提案も可能とされています。他方、再エネ導入ポテンシャルが高いものの財源や人材が限られているため脱炭素化への取組を進めるのが難しいとされる小規模な地方自治体と、エネルギー需要は大きいものの再エネ導入ポテンシャルが限られている都市部の地方公共団体との間において、電力融通などによる連携を行うことは地方経済の発展に寄与するものと考えます。
このような真に双方にメリットとなる連携を含め、地域間連携で期待される効果と推進方策、現在の検討状況についてお伺いをいたします。
脱炭素に向けては、CO2を排出させないこととともに、CO2の吸収の視点も必要です。
CO2の吸収に関して、地球規模で考えますと、陸域での森林などの植物による炭素吸収は年間十九億トンですが、海域からはそれを上回る二十五億トンもの脱炭素、吸収をしております。その中でも、日光が届く比較的浅い海域では、海藻や藻類が光合成によって十・七億トンもの炭素を吸収しています。森林が吸収するグリーンカーボンに対して、海の植物による吸収はブルーカーボンと呼ばれています。ブルーカーボンに関しても、脱炭素先行地域として選定し、地方公共団体の取組を支援するとともに、前段の脱炭素化支援機構の支援対象とすべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。
最後に、再生可能エネルギーの需給調整について、萩生田経済産業大臣と山口環境大臣にお伺いをいたします。
再生可能エネルギーは、発電時にCO2を発生しない特徴がありますが、発電量が気象状況などに左右されることが課題となっています。太陽光発電は、夜間は発電せず、曇りや雨天では発電量が落ちます。風力発電は、昼夜にわたり発電しますが、風がやんだときや限度を超えた強風時には発電ができません。一方、好天時には太陽光の発電量が大幅に増え、供給が需要を上回る事態も発生しています。これまでの九州電力の管内に加え、今年に入り、四国、東北、中国、北海道の各電力会社の管内でも、発電事業者に対する出力制御が行われました。これでは再生可能エネルギーが無駄に捨てられることになり、再生可能エネルギーの普及とも矛盾してしまいます。
今後、脱炭素に資する再生可能エネルギーの拡大と並行して、需給バランスを調整するための電力の貯蔵、送電における再生可能エネルギーの優先及び日本全域での電力調整などを進めることが極めて重要ですが、具体的にどのような対策を検討しているのか、お聞きいたします。
結びに、現在、世界が直面する気候変動問題は待ったなしの深刻な課題です。これまでの経済活動や生活様式の根本的な変革が迫られています。我が国においても、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためには、国、地方公共団体、事業者、国民が、それぞれに課せられた責務を自覚し、行動することが求められます。特に、経済を所管する経済産業大臣と環境に責任を持つ環境大臣には、両輪となって社会全体を牽引する強いリーダーシップを発揮していただかなければなりません。
この艱難を越えた後には世界が共生する明るい未来が待っていることを確信して、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/5
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006・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 青木愛議員から、法改正の意義についてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の達成に向け、巨額の脱炭素投資が必要です。脱炭素事業の中には、前例に乏しく投融資の判断が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい等の理由から資金調達が難しいものも多いと認識しています。本法案により設立される脱炭素化支援機構は、脱炭素化に資する民間の意欲的な事業に対して、率先して資金を供給し、民間投資の一層の誘発を図るものです。
現行のグリーンファイナンス推進機構によるエネルギー対策特別会計を財源とした出資制度は、対象がエネルギー起源のCO2の削減に関する事業に限られるのに対し、今般の脱炭素化支援機構による資金供給は、財政投融資を活用することにより、森林吸収源対策など、エネルギー起源のCO2の削減以外の取組も含めて、より幅広く資金供給することが可能になります。
グリーンファイナンス推進機構が実施している地域脱炭素投資促進ファンド事業の実績については、これまで、三十七件、百八十四億円の出資決定を行い、民間からの投融資千八百七十六億円を誘発し、計約七十五万トンの温室効果ガス排出削減に貢献するなど、一定の成果を挙げているところです。他方で、カーボンニュートラルの実現に向けては、更なる民間投資の促進が必要になっていると認識しています。
脱炭素化支援機構の設立により、グリーンファイナンス推進機構による投資活動は終了しますが、これまで出資した案件については、投資回収まで管理することになります。
次に、脱炭素化支援機構の民間資金の呼び水効果についてお尋ねがありました。
脱炭素化支援機構による民間資金の呼び水効果の見込みは、環境省において、事業会社等から幅広く聞き取りを行うことで把握した資金支援のニーズや、他の官民ファンド等の呼び水効果の実績も参考にしたものです。
次に、脱炭素化支援機構の収益性の確保についてお尋ねがありました。
グリーンファイナンス推進機構の収益状況については、現在は累積損失が発生している状況ですが、出資案件のいずれでも毀損は生じておらず、また、今後、設備が稼働することで収益を回収する段階に入っていき、黒字化すると見込んでいます。
この度の脱炭素化支援機構については、幅広い事業を対象とすることと併せて、投資実務等に専門的知見を有する者で構成される脱炭素化委員会が、事業の収益性を十分に精査して最終決定することにより、収益性を確保してまいります。
投資後のモニタリングについても、脱炭素化支援機構において、対象事業の状況を適時に確認し、必要に応じて事業の企画、実行についての助言や情報提供等の支援を行うとともに、環境省としても適切な対応を促してまいります。
次に、脱炭素化委員会についてお尋ねがありました。
脱炭素化支援機構においては、支援決定の判断に当たっては、専門的見地から中立的に判断を行うため、脱炭素事業や金融等の専門的知見を有する者から成る脱炭素化委員会において行うこととしています。
脱炭素化委員会の運営の在り方について、本法案では、特別の利害関係を有する委員は議決に加わることができない旨、及び委員会の議事録を作成、保存し、株主に開示する旨などの規定により、公正性、中立性、透明性を確保いたします。また、環境省としても、脱炭素化委員会の運営が適切になされるよう、脱炭素化支援機構を適切に監督してまいります。
次に、地域との共生に係る支援の在り方についてお尋ねがありました。
環境大臣が策定する支援基準については今後検討していくこととなりますが、脱炭素化への貢献、収益性の確保、我が国の経済社会の発展の推進への寄与などに加えて、事業者の環境配慮や地域との共生の確認などについても盛り込むことを想定しています。
次に、個別事業への環境大臣の関与についてお尋ねがありました。
脱炭素化支援機構による個別事業への支援決定に際しては、環境大臣が策定する支援基準に照らして、環境配慮や地域共生の点も含む国の政策との整合性などの観点から必要な意見を述べることを想定しています。さらに、対象事業が開始した後も、機構は、対象事業者からの実施報告等を通じて、環境配慮や地域共生の点も含めて事業が問題なく実施されているかどうかを確認し、必要に応じて助言等を行うこととしています。
環境省としても、随時、脱炭素化支援機構に適切な対応を促してまいります。
次に、国の努力義務として地方公共団体への財政支援等を法律上明記したことについてお尋ねがありました。
地域の脱炭素化に当たっては、地方公共団体の役割が重要であり、今回の改正法案では、地方公共団体の総合的かつ計画的な施策に対する財政上の措置等を講ずる努力義務を規定し、国の支援姿勢を明らかにしたものです。
環境省として、必要となる所要額の確保に全力で取り組み、脱炭素先行地域を始めとする地方公共団体の脱炭素の取組をしっかりと支援してまいります。
次に、地域の脱炭素化に取り組む自治体における人材の育成や確保についてお尋ねがありました。
これまで環境省では、実践的なセミナーを通じて、地域で脱炭素事業の中核を担う人材を育成してきました。加えて、本年四月から地方環境事務所に地域脱炭素創生室も新設し、自治体職員からの相談体制の強化を図ったところです。
今後とも、地域における脱炭素分野の人材の能力向上や専門的人材派遣等の支援措置を一層強化してまいります。
次に、脱炭素先行地域の選定についてお尋ねがありました。
脱炭素先行地域は、公表している選定要件に基づき、脱炭素先行地域にふさわしい再エネ導入量などのほか、地域の課題解決への貢献可能性等の観点から、学識経験者で構成する評価委員会において評価を行い、選定することとしています。
第一回の脱炭素先行地域の募集では、準備期間が短いにもかかわらず、多くの地方自治体から七十九件の意欲的な提案をいただき、全国で地域脱炭素の機運の高まりを肌で感じているところです。現在、第二回以降の募集に向けても、多くの地方自治体からの高い関心を得ており、環境省としては、これらの地方自治体に対して丁寧な伴走支援を行うことにより、百地域にとどまることなく、できるだけ多くの地域を選定したいと考えております。
次に、地域脱炭素における地域間連携についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、地域脱炭素における地域間連携は、安定的な再エネ電力供給や地域経済活性化の観点から有効と考えます。今回選定した脱炭素先行地域においても、全国のモデルとして広域連携した取組が含まれております。
引き続き、広域連携を含め、地域特性を踏まえた地域脱炭素の取組について支援してまいります。
次に、ブルーカーボンについてお尋ねがありました。
海草などの海洋生態系による二酸化炭素の吸収、固定のことを指すブルーカーボンは、温室効果ガスの吸収源としての役割に加えて、水質改善、生態系保全等の相乗効果も期待できるため、重要な気候変動対策の一つです。
環境省としては、温室効果ガスの排出・吸収量目録、いわゆるインベントリーを所管する立場として、ブルーカーボンによる吸収量を我が国のインベントリーに計上が可能であるか検討を進めているところです。
引き続き、関係省庁と連携しながら、ブルーカーボンの活用の在り方について検討してまいります。
また、脱炭素化支援機構の支援対象となるかどうかについては、脱炭素化への寄与の程度や事業の収益性等を十分に精査して判断していくことになります。
最後に、再生可能エネルギーの需給調整についてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーの大量導入を進めるためには、太陽光や風力の出力変動をうまく調整することが必要であり、余った再エネをためる蓄電池や水素の活用が重要であると認識しております。
このため、環境省では、太陽光発電と併せて蓄電池を導入する取組や、動く蓄電池である電気自動車等の導入を支援しております。また、地域の再エネ由来の電力を水素として利用する取組への支援も行っております。
引き続き、再生可能エネルギーの最大限の導入を図るべく、関係省庁と連携して、調整力の確保も進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/6
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007・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 青木議員からの質問にお答えします。
再生可能エネルギーの出力抑制を低減するための措置についてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーの出力抑制は、電力の供給量が需要量を上回ると見込まれる場合において、電力システム全体の需給バランスを保つために必要な措置ですが、再生可能エネルギーの最大限の導入に向けては、これを可能な限り低減することも重要です。
このため、引き続き、補助金により、電力系統に直接接続する大規模蓄電池の導入を支援するほか、石炭火力などよりも再エネが優先的に電力系統を利用することができるようなルールの見直し、地域間連系線の増強に向けたマスタープランの策定などに取り組んでまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/7
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008・山東昭子
○議長(山東昭子君) 芳賀道也さん。
〔芳賀道也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/8
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009・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
初めに、ロシアの軍事侵攻にさらされ続けているウクライナ国民に連帯の意を表します。子供たちや市民を標的にしたロシア軍による深刻な戦争犯罪が日々明らかになっています。到底認められない蛮行を繰り返すロシアを非難するとともに、断固として抗議します。日本政府として、各国との連携を図りながら、人道支援も含めた我が国独自の対応も進め、毅然とした対応を貫くことを強く求めます。
それでは、ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、国民民主党・新緑風会を代表し、質問いたします。
パリ協定の採択以降、脱炭素に向かう国際的潮流は高まり、我が国においても、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度温室効果ガス二〇一三年度比四六%削減を国際社会に約束しています。昨年十月には、これらの目標を踏まえ、エネルギー基本計画及び地球温暖化対策計画を改定しました。
しかし、本年二月以降のロシアによるウクライナ侵攻により、世界のエネルギー事情は一変しました。エネルギーの安全保障の確保は各国の最重要課題となり、エネルギーの確保や価格高騰の鎮静化への対応を迫られています。我が国においても、原油価格の高騰や、それを背景とした電気料金やガス料金等の値上がりが続いています。六月分の大手電力会社十社の電気料金は比較できる過去五年間で最も高い水準となり、ガス料金も大手四社全てが値上がりをします。こうしたエネルギー価格の高騰は、国民生活や企業経営に大きな負担となっています。
天然資源の少ない我が国にとって、エネルギーを安全、安定、安価に確保することは国民生活を守るために極めて重要であり、先ほど申し上げましたウクライナ危機により、改めてエネルギーの安定供給の重要さを強く認識しました。さらに、我々は、エネルギーの安定供給を大前提に、将来世代へより良い地球環境を残すため、カーボンニュートラルの実現に取り組んでいかなければなりません。
エネルギーの低廉かつ安定的確保とカーボンニュートラル実現の両立に関し、ウクライナ情勢を踏まえた政府の方針について、環境大臣及び経済産業大臣に伺います。
また、ウクライナ情勢がエネルギー基本計画及び地球温暖化対策計画に及ぼす影響、見直しの必要性について、環境大臣及び経済産業大臣の御認識を伺います。
先ほども申し上げましたとおり、我が国は天然資源が少ない島国のため、資源大国のアメリカや各国が電力網で連結されているヨーロッパに比べて、エネルギー安全保障面で課題があると思います。こうした中、原子力発電については、代わりとなるエネルギー源が確立されるまでは、電力供給基盤における重要な選択肢と認識しています。特に、有事においては、国民の生活や経済活動を守るためにはあらゆる選択肢を持つことが必要と考えます。
現下の情勢を鑑みれば、一刻も早く安定的な電力供給の下、カーボンニュートラルと電気料金の低減を両立させることが急務と考えますが、ウクライナ情勢を踏まえた今後の原子力政策について、経済産業大臣に伺います。
また、再稼働を進めるとなれば、立地地域を始めとした国民理解が欠かせません。どのように理解を得ていくかについて、併せて経済産業大臣に伺います。
カーボンニュートラル実現には、徹底した省エネルギーと、電源の低・脱炭素化や電化の推進、運輸部門における電動車の普及促進、蓄電池やCO2フリーの水素・アンモニア合成燃料の開発、生産支援を行うなど、革新的なイノベーションとその社会実装を通じた大幅なCO2削減が必要となります。そのためには、研究開発や設備投資に対し継続的な巨額の投資が必要であり、産業界の努力だけではなく、政府の強力な後押しが必要です。
政府は、グリーンイノベーション基金として、NEDOに二兆円の基金を造成し、グリーン成長戦略の十四の重点分野について、十年間、研究開発、実証から社会実装まで継続して支援するとしています。また、本法律案では、新たな官民ファンドを設立し、財政投融資から二百億円を出資し、技術的には実用化し、収益性があるものの民間のみでは資金調達が困難な脱炭素事業の事業化や規模拡大に対する資金供給等を行い、民間投資の一層の誘発を図るとしています。
しかし、衆議院環境委員会での本法律案に関する論議では、出席した参考人から、本法律案による新たな出資制度に期待するものの、二百億円のてこ入れは効果的には非常に限定的で、出資を一桁上げる必要があるのではないかという指摘もありました。
現在の政府の脱炭素の投資への支援は、脱炭素への取組を通じて我が国の経済競争力を強化するにふさわしい、競合国に見劣りしない十分なものと言えるでしょうか。
我が会派では、成長とカーボンニュートラルの両立には、小規模、短期、場当たり的な財政支出を転換し、大規模、長期、計画的な産業支援措置を講ずることによる生産性の向上が必要であると考えます。また、カーボンニュートラルと密接に関わるデジタル化も含め、より長期的、計画的に推進するための基金の創設も有効であると考えます。
岸田総理は、今月、ロンドンでの基調講演において、二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度削減目標実現に向けて、二〇三〇年に十七兆円、今後十年間で官民協調による百五十兆円の新たな関連投資の実現などを表明されたところであります。しかし、グリーンイノベーション基金の増額及び新たな官民ファンドへの政府出資の増額も含め、脱炭素投資への政府支援について、環境大臣及び経済産業大臣の御見解を伺います。
経済社会全体の変革が求められるカーボンニュートラルを実現する過程においては、誰一人、どの地域も取り残すことのない公正な移行に向けて、雇用対策も進めていかなくてはなりません。
脱炭素化社会への移行において、相対的に大きな負担を受ける産業分野と、これに従事する労働者及びこれらの産業が立地する地域を支援することが必須であります。その認識は、パリ協定はもとより、昨年開催されたG7、COP26においても共有されているところであります。
EUは、公正な移行基金を創設し、気候中立経済等への移行に伴い深刻な社会経済的課題に直面する地域において人や経済、環境に対する支援を提供するため、七年間のEU予算及び復興基金で約百七十五億ユーロ、二兆四千億円を拠出するとしています。また、アメリカのバイデン政権も、雇用政策と気候変動化対策を一体として進めています。
また、地域の脱炭素化に向けて、本法律案では、国の地方公共団体に対する財政支援の努力義務を規定しています。地域によっては、エネルギー施設や大規模な工場が地域雇用の受皿となり、地域経済を支えているという状況もある中で、カーボンニュートラルにより、雇用の喪失や、工場、発電所等が撤退せざるを得ない地域に対して、脱炭素やカーボンニュートラルの効果に応じたインセンティブ的な財政支援を創設すべきではありませんか。国は地方公共団体に対しどのような支援を実施していくのか、環境大臣及び厚生労働大臣に伺います。
カーボンニュートラルの実現においては、我が国の基幹的な産業である自動車産業の脱炭素化を、ほかの主要国の対応に後れを取らないよう推進することが重要です。国民民主党・新緑風会は、自動車産業の脱炭素化の推進に関し、基本理念、国の責務、施策の基本事項を定めることにより自動車産業における脱炭素化を総合的かつ一体的に推進する自動車産業脱炭素化推進法を超党派で提出しております。本法案の速やかな成立が必要と考えますが、環境大臣及び経済産業大臣の御見解を伺います。
国民民主党・新緑風会は、気候変動による自然災害や食料危機、厳しさを増す国際環境など、様々な危機を想定外とすることなく、経済、エネルギー等の広義の安全保障政策に万全を期し、国民と国土を守り抜くことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/9
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010・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 芳賀道也議員から、ウクライナ情勢を踏まえた低廉かつ安定的なエネルギーの確保とカーボンニュートラル実現の両立についてお尋ねがありました。
現下のウクライナ情勢、気候変動対策の緊急性を踏まえれば、自前の国産エネルギーである再生可能エネルギーを始めとする脱炭素電源の重要性は以前にも増して高まっています。その際、あらゆる選択肢を追求しながら、エネルギーの低廉かつ安定的確保に努めることにより、カーボンニュートラルとの両立を実現していきます。
次に、ウクライナ情勢が地球温暖化対策計画へ及ぼす影響と見直しの必要性についてお尋ねがありました。
ウクライナ情勢の中においても気候変動対策の緊急性は不変であり、昨年閣議決定した地球温暖化対策計画等を踏まえて、二〇三〇年、そして二〇五〇年に向けて取組を加速することに変わりはありません。
次に、脱炭素化支援機構への政府出資の増額等、脱炭素投資への政府支援についてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度目標達成のためには、あらゆる分野で施策を総動員、連携させることが必要です。今回の法改正による資金供給の強化は、その一環であります。
脱炭素化支援機構に対する国からの出資額は、令和四年度は最大二百億円であると同時に、新たな機構は二〇五〇年度のカーボンニュートラルの実現まで切れ目なく脱炭素投資を支援していくこととなっています。今年度、脱炭素化支援機構が良いスタートを切り、良いプロジェクトを発掘し、次年度以降につなげていきたいと思います。次年度以降の具体的な出資額については、御指摘の点も踏まえ、更なる資金ニーズに対応できるよう検討していく所存です。
なお、脱炭素化支援機構による資金供給を着実に進めることも含め、脱炭素ドミノを起こすことによって、世界のESGマネーを呼び込んでくるとの意気込みで取り組んでまいります。
次に、地域の脱炭素化の過程における公正な労働力の移行の観点からの国の地方公共団体に対する支援についてお尋ねがありました。
地域の脱炭素化は、経済活性化や生活の質の向上を実現する地方の成長戦略ツールになり得るものです。このため、地方公共団体を複数年度にわたって支援する総合的な交付金制度として地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を創設し、令和四年度予算に二百億円を盛り込んだところです。その中で、労働力の公正な移行を円滑に進めていくことが重要であると認識しております。
地域の脱炭素化の推進に当たっては、脱炭素を前提とした施策を総動員しながら、新しい資本主義の中で、誰一人取り残さない炭素中立型の経済社会変革に向けて、関係府省と連携して引き続き取り組んでまいります。
最後に、自動車産業における脱炭素化の推進に関する法律案についてお尋ねがありました。
お尋ねの法律案の国会における取扱いについては、国会でお決めいただくことであるため、今見解を述べることは差し控えたいと思いますが、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、自動車分野の脱炭素化は不可欠であり、多様な脱炭素技術の選択肢を追求することも重要と認識しています。
このため、環境省では、再生可能エネルギーとセットでの電気自動車等の利用促進、燃料電池バスの導入支援、水素内燃機関トラックの技術実証事業等の様々な施策を進めており、引き続き、関係省庁等と連携して自動車分野の脱炭素化を推進してまいります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/10
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011・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 芳賀議員からの質問にお答えします。
ロシアによるウクライナ侵略を踏まえた我が国のエネルギー政策の方針についてお尋ねがありました。
今回の事案を受けて、すぐに使える資源が乏しく、自然エネルギーを活用する条件が諸外国と異なる我が国において、エネルギーの安定供給を確保することの重要性を改めて認識しました。
我が国の国際競争力の維持強化と国民生活の向上の観点から、エネルギー政策においてはSプラス3E、すなわち安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のバランスを取ることが最重要課題です。引き続き、この基本方針の下、Sプラス3Eの全てを満たす完璧なエネルギー源が存在しないことや今後の技術革新などの不確実性を踏まえ、再エネ、原子力、火力、水素、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求しながら、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に取り組んでまいります。
ロシアによるウクライナ侵略を踏まえたエネルギー基本計画の見直しの必要性についてお尋ねがありました。
昨年十月にエネルギー基本計画を策定した時点では、今回のウクライナ侵略は想定していなかったものの、その策定に当たっては、ロシアの軍事的プレゼンスの高まりなど、エネルギーに関係する情勢変化も十分に踏まえており、同計画の中には、安定的で安価なエネルギー供給を確保する重要性を盛り込んでいます。具体的には、Sプラス3Eの実現に向けて再エネ、原子力、水素、CCUSなどあらゆる選択肢を追求することに加えて、エネルギー自給率の向上や資源の調達先の多角化などを進めていくことを基本方針として示しているところです。
引き続き、こうした方針の下でロシアへのエネルギー依存度の低減に向けた取組を進めていく予定であり、今回の事態を受けて直ちにエネルギー基本計画を見直すことは考えておりません。
ウクライナ情勢を踏まえた今後の原子力政策についてお尋ねがありました。
現下の情勢を踏まえ、四方を海で囲まれ、すぐに使える資源の乏しい我が国においては、エネルギーの安定供給の確保に向けてあらゆる選択肢を追求していくことの重要性を改めて認識しました。その上で、原子力は、実用段階にある脱炭素のベースロード電源であり、安定供給を確保する観点からも、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に必要な規模を持続的に活用していくこととしています。
こうした方針の下、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながるような原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかり進めてまいります。
原子力発電所の再稼働に向けた立地地域を始めとする国民理解についてお尋ねがありました。
原子力発電所については、安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合には、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の方針です。
その際、国も前面に立ち、原子力の意義や必要性などについて丁寧な説明を尽くし、立地自治体を始めとする関係者の御理解と御協力が得られるよう粘り強く取り組んでまいります。
グリーンイノベーション基金の拡充を含めた脱炭素投資への政府支援についてお尋ねがありました。
二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けては、水素やアンモニアなどのエネルギー分野、製造業を始めとする産業分野、運輸分野など様々な分野において脱炭素化に向けた投資を加速させることが重要です。
一定の仮定の下での脱炭素化に向けた投資額については、二〇三〇年では約十七兆円、今後十年間では約百五十兆円の投資が必要になると考えており、今後は、官民を挙げてクリーンエネルギー分野における投資を加速するため、必要な対策を具体化してまいります。
特に、御指摘のグリーンイノベーション基金の拡充については、産業界からも様々な御意見をいただいており、更なる支援ニーズがあると認識しております。最新の技術動向や国際環境の変化なども踏まえつつ、今後の対応をしっかり検討してまいります。
自動車産業脱炭素化推進法案についてお尋ねがありました。
議員提出法案について政府としてコメントすることは差し控えます。
その上で、政府としては、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%を実現するとともに、二〇五〇年に自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2ゼロを目指すこととしています。
これに向けては、これまでに培った我が国の強みを生かす形で多様な技術の選択肢を追求することが重要であると考えており、引き続き、再生可能エネルギーの最大限の導入のほか、購入支援や充電、充填インフラの整備を通じた電動車の普及促進、蓄電池の大規模製造拠点の立地支援、合成燃料の技術開発支援、中小サプライヤーの業態転換支援など、包括的な措置を講じてまいります。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/11
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012・後藤茂之
○国務大臣(後藤茂之君) 芳賀道也議員の御質問にお答えいたします。
地域の脱炭素化に向けた公正な労働力の移行の支援についてお尋ねがありました。
脱炭素化により産業構造が変化していく中、円滑な労働移動の実現を図るためには、地域の労働者に対して適切な再就職支援や学び直しの機会の提供を行っていくことが必要です。このため、今後成長が見込まれるデジタルやグリーンなどの分野における産業界のニーズを把握しながら、それに対応した職業訓練等の機会の提供に努めていきたいと考えています。
また、産業構造の変化に伴い、地域の雇用に影響を与える事態が生じる場合には、地方公共団体と連携しながら効果的に再就職支援を行うなど、雇用と暮らしを守るための取組を進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/12
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013・山東昭子
○議長(山東昭子君) 清水貴之さん。
〔清水貴之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/13
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014・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。
会派を代表して、ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
初めに、気候変動が一因となっていると考えられる気象災害は、近年、世界各地でより一層深刻な被害を及ぼしています。国内においても、猛暑や豪雨などの極端な気象現象が増加しており、人々の生命や暮らしなどに深刻な被害をもたらしています。また、気候変動に関する政府間パネルが昨年八月に公表した第六次評価報告書第一作業部会報告書では、人間の活動が地球温暖化の原因であることが初めて断定され、さらに、向こう十数年の間に二酸化炭素及びその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、二十一世紀中に地球温暖化は一・五度から二度進むことが示されました。
加えて、先般公表された気候変動に関する政府間パネルの第六次評価報告書第三作業部会報告書では、遅くとも二〇二五年までに世界の温室効果ガス排出量を減少させる必要性が指摘され、気候変動対策は待ったなしの状況にあります。
そこで、山口環境大臣に伺います。
同日出された環境大臣談話では、経済社会全体の大変革のためのグランドデザインが必要であるとしていますが、大変革とは何を示すのでしょうか。
一方で、ロシアによるウクライナ侵攻は、欧州を中心に各国のエネルギー政策に大きな打撃を及ぼしており、化石燃料への揺り戻しや国際協調の乱れなど、気候変動対策の後退が懸念されているところです。国内においても、エネルギー政策の修正を求める声も上がっています。先日、政府がロシア産の原油禁止の方針を打ち出しました。このことは、調達不安につながるという心配がありつつも、日本が目指す脱炭素社会への契機ともなり得るのではないでしょうか。環境大臣の考えをお聞かせください。
続いて、経済産業大臣に伺います。
三月には東京電力と東北電力の管内で初の電力需給逼迫警報が出されましたが、今後の対策の一つとして、地域間での送電線の充実を通して、蓄電の能力を高める総合的な電力システムの構築が欠かせないと考えられています。また、風力発電の国別導入量は中国がトップであり、各国導入を加速する中、日本は大幅な後れを取っています。こういったエネルギーの多様化に順応し、エネルギーの安定調達に向け、将来像を早急に見直す必要性があるのではないでしょうか。お答えください。
ロシアのウクライナ侵攻を機に、各国はエネルギー安全保障の見直しを進めています。日本は、運輸分野では石油、電力では天然ガスに依存をしているため、海外依存度は依然高い状況にあります。国内でつくり出すエネルギーを増やすことをエネルギー安全保障上重要な視点と捉え、安定した電力源である原子力の位置付けをこれまで以上に重視する考えはありますでしょうか。
昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、二〇三〇年の電源構成における原子力の比率を二〇から二二%にする計画ですが、電力調査統計においては二〇二〇年度の電力供給における原子力発電の割合は四・四%でした。エネルギー基本計画の原子力発電比率の目標を達成するためには、原発は何基必要であると考えますか。また、二〇三〇年目標の実現には、EU同様、原子力発電を気候変動の重要手段であると位置付け、再稼働を進めなければ実現できないと考えますが、経済産業大臣の見解をお聞かせください。
今回の法律案の柱の一つは、二〇五〇年カーボンニュートラル及び二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の実現に向けて、世界のESG資金を呼び込むため、新たな官民ファンドとして株式会社脱炭素化支援機構を設立することです。しかし、既に、環境省の補助金事業である地域脱炭素投資促進ファンド事業において、一定の採算性、収益性が見込まれる地域の脱炭素化プロジェクトに対する出資が行われています。
現在運営中の十三の官民ファンドは、二〇二一年三月時点で財政投融資などにより政府から計一兆五千九百五十六億円、民間からの出資など計七千七百九十一億円を受け入れていますが、その中の六つのファンドが累積損失を抱えています。
その中で、経済産業省所管の官民ファンド、クールジャパン機構は、投資案件の失敗が相次ぎ、経営陣の刷新も行われましたが、二〇二〇年度末の累積損失は二百三十一億円に拡大しました。例えば、機構がおよそ十億円投資したマレーシアにある伊勢丹ジャパンに関しては、開業から僅か一年半で株式を売却するという結果となりました。ブドウ一箱二万円など、値付けが非常に高い商品や、日本文化を海外に発信させるとは到底思えない商品が並び、客足が伸びませんでした。
さらに、日本の漫画や邦画のハリウッド映画化を目的とした映画会社のANEWには、産業革新機構から二十二億円の投資がされたにもかかわらず、五年間で映画の一本も作れなかったというさんざんな結果となっています。当時の経済産業省の評価では順調な経営とされ、二〇一四年に十一億円の追加投資を行いましたが、結局、二〇一七年には投資額の僅か一・五%の三千四百万円で売却されています。委員会でその件を経済産業省にただしたところ、投資の成果として権利関係の整理やノウハウが蓄積されたとの返答でしたが、数十億円にも及ぶ投資の成果として果たして十分なものだったと言えるのでしょうか。改めて、経済産業大臣の見解をお聞きしたいと思います。
そもそも、官民ファンドの役割は、民間では集まりにくい投資を行い、日本の潜在成長率を高めるといったことが基になっています。しかしながら、例に挙げた伊勢丹ジャパンやANEWへの投資を官民ファンドで行う必要が本当にあったのでしょうか。民業を補完するのではなく、民間が手を出さないような内容の良くない投資を行った結果、累積損失を増やしたのではありませんか。投資ですから、成功もあれば失敗もあることは理解をしますが、このような事例に関して、経済産業省としてどのように総括をしているのか、お聞かせください。
加えて、官民ファンドは、他の公的機関とのバランスから、民間ファンドならば得られるような高い報酬はかなわず、優秀な人材が不足しがちだと聞きます。人材不足は収益確保が困難となる原因にもなりかねないと考えますが、日本の経済成長に役立つ投資案件を発掘する体制づくりを急ぐべきではありませんか。
時間の関係で詳細は差し控えますが、農林水産省の農林漁業成長産業化支援機構、A―FIVEも百十五億円の損失を抱え、官民ファンドでは初めて業務を停止されました。
こういった課題が解消されていない中で、なぜ既存事業の活用ではなく、新たな官民ファンドを立ち上げる必要があるのでしょうか。お答えください。
また、環境省は、新たなファンドの民間資金の呼び水効果をどの程度になると想定しているのでしょうか。その想定及び具体的根拠についての見解をお願いいたします。
新たな出資制度は、財政投融資を活用した制度であることから、収益性の確保が求められます。しかし、既存の地域脱炭素投資促進ファンド事業の実施主体である一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は、プロジェクト投資ベースでは黒字を確保しているものの、事業経費等も含めた機構全体の収支では、令和二年度末の時点でおよそ十四億円の累積損失を計上しています。新たに設立される株式会社脱炭素化支援機構は他の官民ファンドに比べ設置期限が長いですが、機構の長期の収益性確保の見通し、また、収益性確保に向けた具体的方策について、環境大臣に伺います。
さらに、機構の設置期限が二〇五〇年度末までと想定されていることを見据えた場合、機構自身が日本のESG投資の促進に資する投資人材を育成していくことも必要と考えますが、投資人材の育成において機構の果たすべき役割をお聞かせください。
加えて、機構の役員の選任に当たっては、公務員の新たな天下りのあっせんとの疑いの目を掛けられないような運用を行うことが必要であると考えますが、環境大臣、いかがでしょうか。
脱炭素先行地域についてもお伺いします。
政府は、二〇二五年度までに脱炭素先行地域を少なくとも百か所選定する方針だとのことです。先日、十九道府県の二十六か所が選定されましたが、いち早く脱炭素ドミノを実現するためには、選定のスピードアップと、先行地域での取組が他の地域に面で広がっていくことが重要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
地球温暖化対策は、政府が号令を掛ければ進むものではありません。国民、自治体、民間、特に日本企業の九割を占める中小企業の理解と協力なくして実現しません。施策の実施に当たっては、より積極的な広報や簡易な手続が求められると考えられますが、環境大臣の考えをお聞かせください。
日本維新の会は、次世代により良い地球と地域を残していくため、脱炭素化の実現に共に全力で取り組んでいくことをお約束し、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/14
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015・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 清水貴之議員から、経済社会全体の大変革のためのグランドデザインについてお尋ねがありました。
気候変動問題に取り組み、カーボンニュートラルを実現するためには、エネルギー供給構造の変革、産業構造の変革、地域脱炭素の後押しや、国民一人一人のライフスタイルの変革など、経済社会全体の大変革が必要です。この大変革の実現に向けて、イノベーションをどう推進するか、あるいは成長に資するカーボンプライシングをどのように位置付けるか等を含むグランドデザインづくりが不可欠であり、政府を挙げて早急に進めてまいります。
次に、ウクライナ情勢を踏まえ、日本が目指す脱炭素社会についてお尋ねがありました。
確かにウクライナ情勢は乱気流ではありますが、それゆえにこそ、自前の国産エネルギーである再生可能エネルギーを始めとする脱炭素電源の重要性は以前にも増して高まっており、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度目標に向けて取組を加速していくという方針に変更はございません。その際、あらゆる選択肢を追求しながら、エネルギーの低廉かつ安定的確保に努め、カーボンニュートラルとの両立を実現する中で、経済社会全体の大変革を目指してまいります。
次に、新たに脱炭素化支援機構を設立する必要性についてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現や、二〇三〇年度目標の達成に向けては、巨額な脱炭素投資が必要となります。脱炭素事業の中には、前例に乏しく投融資の判断が難しい、認知度が低く関係者の理解が得られにくい等の理由から資金調達が難しいものも多いと認識しております。本法案により設立される脱炭素化支援機構は、脱炭素化に資する民間の意欲的な事業に対して、率先して資金を供給し、民間投資の一層の誘発を図るものです。
現行のグリーンファイナンス推進機構によるエネルギー対策特別会計を財源とした出資制度は、対象がエネルギー起源のCO2の削減に関する事業に限られるのに対し、今般の脱炭素化支援機構による資金供給は、財政投融資を活用することにより、森林吸収源対策など、エネルギー起源のCO2の削減以外の取組も含めて、より幅広く資金供給することが可能になります。
次に、民間資金の呼び水効果についてお尋ねがありました。
脱炭素化支援機構の呼び水効果については、環境省において、事業会社等から幅広く聞き取りを行うことで把握した資金支援のニーズや、他の官民ファンド等の呼び水効果の実績も参考にしつつ、二〇二二年度は二百億円の資金供給に対し、その四倍の八百億円の民間投資を呼び込み、事業規模一千億円程度の脱炭素投資の実現に貢献することを想定しています。
次に、脱炭素化支援機構の収益性の確保についてお尋ねがありました。
グリーンファイナンス推進機構の収益状況については、現在は累積損失が発生している状況ですが、出資案件のいずれでも毀損は生じておらず、また、今後、設備が稼働することで収益を回収する段階に入っていき、黒字化すると見込んでいます。
この度の脱炭素化支援機構については、幅広い事業を対象とすることと併せて、投資実務等に専門的知見を有する者で構成される脱炭素化委員会が事業の収益性を十分に精査して決定することにより、収益性を確保してまいります。
次に、脱炭素化支援機構による投資人材の育成についてお尋ねがありました。
官民ファンドの目的の一つとして、将来、民間で活躍できる事業創造の核となる人材を育成することが挙げられます。脱炭素化支援機構においても、政府と連携してスケールの大きな仕事ができるという機構の強みを生かした案件組成や、民間事業者との協調出資の経験等を通じて、民間で活躍できる投資人材を育成できるものと期待しています。
次に、脱炭素化支援機構の役員の選任についてお尋ねがありました。
脱炭素化支援機構の設立に当たっては、適材適所の人事配置を行ってまいります。退職公務員を脱炭素化支援機構の役員に就任させることは想定しておりません。
いずれにせよ、公務員の新たな天下りの手段との疑念を持たれないよう、脱炭素化支援機構の運営を適切に監督してまいります。
次に、脱炭素ドミノ実現についてお尋ねがありました。
まず、先般、脱炭素先行地域として二十六件の提案を選定しました。今後、年二回程度募集し、評価委員会の評価を経て、百地域にとどまることなく、できるだけ多くの地域を選定したいと考えており、応募を検討している地方自治体に対しては、環境省として丁寧な伴走支援を行っていきます。
脱炭素先行地域は、二〇五〇年を待つことなく前倒しでカーボンニュートラルを目指す全国のモデルとなる地域です。それぞれの先行地域が起点となって、全国津々浦々に脱炭素ドミノが広がっていくことを期待するものです。
最後に、あらゆる主体の理解と協力を得るための積極的な広報や簡易な手続についてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現のためには、国民、自治体、企業、特に中小企業など、全てのステークホルダーの理解と協力も不可欠と認識しております。
このため、あらゆる機会を捉えた情報発信を行うことと併せて、私や副大臣、政務官が自治体首長や地域の商工会議所を始め様々な関係者の方々と意見交換を行う全国行脚や、経済団体等との意見交換を実施しております。また、中小企業に対して、温室効果ガス排出量の算定支援など、事務負担の軽減にも取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/15
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016・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 清水議員からの質問にお答えします。
エネルギーの安定調達に向けた将来像についてお尋ねがありました。
今般の電力需給逼迫やロシアによるウクライナ侵略も踏まえて、改めて安定的な電力供給の確保や、資源の調達先の多角化の重要性を認識しました。すぐに使える資源が乏しく、周囲を海で囲まれた日本においては、多様なエネルギー源をバランスよく活用することで、将来にわたってエネルギーの安定供給を確保してまいります。
そのため、脱炭素電源である再エネの最大限導入や、安全最優先の原発再稼働を進めるとともに、火力についても脱炭素化に向けて水素、アンモニアなどの活用を進めるなど、現実的でバランスの取れたエネルギー供給体制の構築を目指します。
こうした考え方は昨年十月に閣議決定されたエネルギー基本計画にも明記されており、直ちに見直すことは考えておりません。
エネルギー安全保障上の原子力の位置付けについてお尋ねがありました。
すぐに使える資源の乏しい我が国にとって、実用段階にある脱炭素のベースロード電源である原子力は、安定供給の観点からも重要な電源であると考えており、この位置付けに変更はありません。
こうした観点も踏まえ、原子力発電所については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合にその判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくことが政府の方針です。
また、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求する方針の下、革新炉の研究開発や人材の育成、さらには将来につながる原子力サプライチェーンの維持強化といった取組も足下からしっかり進めてまいります。
二〇三〇年度の原子力発電比率の目標達成についてお尋ねがありました。
気候変動対策を進める中にあっても、安定的で安価なエネルギー供給の確保は最重要課題であり、安全確保を大前提とした上で原子力を利用していくことは欠かすことができません。二〇三〇年度の原子力比率については、実際の設備利用率などは発電所ごとに異なるため確定的にお示しすることはできませんが、機械的に計算しますと、二十五基から二十八基程度で達成できる計算となります。
今後とも、安全性の確保を大前提に、地元の御理解を得ながら原子力発電所の再稼働を着実に進めてまいります。
官民ファンドによる投資案件の成果についてお尋ねがありました。
産業革新機構による株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスへの投資案件については、本案件への投資を通じて、著作権等の権利関係の整理に関する経験、ノウハウが蓄積され、政策的な意義があったものと認識しておりますが、結果的に投資の成果については損失を計上していると認識しています。
一方で、一般論として、産業革新機構やクールジャパン機構を含め、官民ファンドは、政策的意義はあるものの、民間だけでは十分に資金が供給されない分野に対してリスクマネーを供給する役割を担っており、個別の投資案件の赤字のみをもってファンド全体の投資が直ちに政策的に失敗であったとは考えておりません。
官民ファンドの投資失敗案件の総括についてお尋ねがありました。
官民ファンドの投資は、民間投資の集まりにくいリスクの高い分野への投資が含まれることから、法人全体としてのプラスの収益の確保を目指すものの、個別では損失となり得る案件もあります。
国の役割は、個別の投資案件を通じて得られた知見を今後の投資活動に生かす環境整備をすることです。このため、産業革新機構の後継である産業革新投資機構では、投資判断を行う社内の委員会について、その過半数を様々な知見のある社外取締役とするとともに、新たに投資業務の事後的な評価機能を持たせる法改正を行っています。
また、クールジャパン機構は、設立初期は、過度に政策的意義を重視し、収益性に課題があったため、現在は、現地企業との連携による適切なニーズ把握や既に事業基盤がある事業への投資を中心とするなど、政策性と収益性のバランスを追求する組織運営の見直しに取り組んでおります。
今後とも、官民ファンドが適切に運営されるよう取り組んでまいりたいと思います。
官民ファンドの報酬水準と人材獲得についてお尋ねがありました。
官民ファンドは、民間だけでは不十分な政策的意義の高いリスクマネー投資を行っており、その成果を達成するためには優れた人材の確保が重要です。このため、役職員に適切な動機付けがなされるように報酬制度を設計する必要があります。
御指摘のとおり、官民ファンドは公的な組織であることから、他の公的機関の報酬制度を参照する必要があり、金銭面での水準には一定の限界があります。他方、金銭的な報酬のみならず、国の政策や社会への貢献、ネットワークの獲得など報酬以外の魅力もあることから、これらの魅力もアピールすることで、適切な人材を確保していきたいと考えております。
引き続き、政策目標を達成するために、優れた人材の獲得に向けて努力してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/16
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017・山東昭子
○議長(山東昭子君) 山下芳生さん。
〔山下芳生君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/17
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018・山下芳生
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
会派を代表して、温暖化対策推進法改正案について関係大臣に質問します。
南太平洋に浮かぶソロモン諸島では、既に五つの島が海に沈みました。インド洋で水没の危機にあるモルディブの元大統領は、一・五度に抑える目標を放棄することは我々への死刑宣告だと昨年のCOP26で訴えました。南極では、氷河の先端が海にせり出した棚氷の崩壊が急速に進んでいます。最新の研究ではこれを引き金とする大規模な氷床の崩壊が危惧されており、そうなれば大規模な海面上昇となります。
温暖化による海面上昇は百年、二百年と長く続きます。将来世代の被害を少しでも和らげるためにCO2の排出削減は急務です。
山口環境大臣、こうした温暖化の深刻さを政府と国民がリアルに認識することが温暖化対策の土台になると考えますが、その認識はありますか。
COP26では、平均気温の上昇を一・五度に抑える努力を追求することで合意しました。そのために残された炭素排出量、カーボンバジェットは、今のペースだと十年ほどで使い切ってしまいます。最新のIPCCの報告書では、今世紀末に一・五度に抑えるためには、温室効果ガスの排出量が遅くとも二〇二五年までにピークに達し、減少に転じる必要があると指摘しました。
人類に残された時間は僅かしかありません。松野官房長官、日本の二〇三〇年四六%削減の目標では一・五度と整合しないのではありませんか。直ちに削減目標を引き上げ、先進国としての責任を果たすべきではありませんか。
昨年、G7共同声明は石炭火力発電が世界の気温上昇の最大の原因であると指摘し、COP26は石炭火力を削減していくことに初めて合意、IEA、国際エネルギー機関のロードマップは二〇三〇年までに先進国における石炭火力の全廃を求めました。
グテーレス国連事務総長は、大量排出を続ける政府と企業に対し、彼らは、より安価で再生可能な解決策が雇用やエネルギー安全保障、価格の安定性を提供しているときに、化石燃料への既得権益と歴史的投資に基づいて地球を窒息させていると厳しく指摘し、再生可能エネルギーの迅速で大規模な導入、石炭火力の全面停止、化石燃料への補助金の廃止を要求しています。
しかし、日本は、昨年に続いて今年もG7の共同声明に石炭火力の二〇三〇年までの廃止を盛り込むことに反対し、大型石炭火力の新規建設を依然として続けています。
官房長官、いつまで世界の流れに背を向け続けるつもりですか。G7の中で唯一石炭火力を廃止する期限を示していないという恥ずべき地位から即刻抜け出すべきではありませんか。お答えください。
岸田政権は、石炭火力の維持策として、アンモニアや水素などの混焼によるゼロエミッション火力の推進を掲げています。しかし、この方式は、国際的には排出削減対策とは認められていません。
株主や政策決定者向けの提言を行っている英国のシンクタンク、トランジション・ゼロは、今年二月、アンモニア混焼に関するレポートを発表しました。レポートは、日本政府が二〇三〇年の実用化を目指す二〇%の混焼率でもCO2の排出量は最新の石炭火力並み、五〇%の混焼率に引き上げたとしてもLNG火力より排出量は多いと指摘しています。コストの面では最も安いダークアンモニアでも石炭の二倍となり、NOxやPM二・五が発生するリスクもあるとされています。さらに、アンモニアの生産は海外に依存せざるを得ず、エネルギー安全保障上の疑問も呈されています。
その上で、同レポートはアンモニア混焼について次のように結論付けています。
アンモニアが法外な高コストの発電技術であり続けることが見込まれ、カーボンニュートラルという日本の目標達成に対してはほとんど効果がない、経済と環境に対する説得力のある論拠が存在しない状況から考えると、根底にある動機は石炭火力発電所の存続と受け取れる、日本企業が発電においてアンモニアを追求し続けることは不必要な株主価値下落につながることになる。
萩生田経産大臣、アンモニア混焼に対するこうした問題点の具体的な指摘にどう答えますか。
環境大臣、本法案で設立される官民ファンドの支援対象は、効果も見通しもない事業ではなく、国際的基準に合致した排出削減対策に限るべきではありませんか。
欧米では、化石燃料産業から再生可能エネルギー産業への公正な移行が図られています。しかし、日本では、こうした方針が明確に示されない中、老朽石炭火力の延命が行われています。長崎県の松島石炭火力は、老朽化による廃止が予定されていましたが、ガス化設備を追加し延命させる計画が進んでいます。この計画の環境アセスに対する環境大臣意見では、可能な限り早期にバイオマスやアンモニアの導入を進めることなどとして、アンモニア混焼を前提に計画を容認しています。
環境大臣、このように不確かな対策で石炭火力を延命することになれば、日本各地で逆脱炭素ドミノを引き起こすことになるのではありませんか。政府として、再生可能エネルギー産業への公正な移行について明確な方針を示すべきではありませんか。
岸田首相は、脱炭素を名目に、原子力を最大限活用するとしています。しかし、深刻な原発事故を起こした日本で原発の再稼働、新増設はやれないし、やるべきではありません。
再生可能エネルギーこそ未来への道です。
環境省の試算では、再生可能エネルギーの潜在量は電力需要の五倍もあります。研究者は、自然エネルギーの設備に必要な面積は国土のおよそ一ないし二%で、既にある省エネ・再エネ技術だけで、二〇三〇年にCO2排出を五五%減らし、二〇五〇年に九三%減らすことが可能だと指摘しています。しかし、こうしたポテンシャルや技術が生かされていません。
典型は、電力不足と騒ぎながら、他方で実施している再エネの出力抑制です。出力抑制は、九州電力だけでなく、四国、東北、中国、北海道の五電力にまで広がっています。その根本には、再エネよりも原発が優先して動かされていること、電力会社間で電力を融通する連系線の整備が遅れていることがあります。
経産大臣、これらの問題にメスを入れ、再エネ電力の抜本的な拡大を図るべきではありませんか。また、小規模な再エネ発電事業者の負担になっている発電所から送電網への接続は、大手送電事業者の責任で行うべきではありませんか。
再エネ導入で電力が不安定になるとの主張があります。しかし、送電網による電力融通や揚水ダムなどの調整システムを整備すれば、安定供給は可能です。電力の安定供給というなら、原発や巨大石炭火力のような一極集中の方がむしろリスクが大きいことが北海道電力のブラックアウトで明らかとなりました。
地域分散、地産地消となる再エネの大規模な普及によって安定した電力を確保する。化石燃料頼みから再エネの大量導入へと転換し、僅か一〇%程度しかない日本のエネルギー自給率を引き上げる。これこそ真の安全保障ではありませんか。環境大臣の見解を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣山口壯君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/18
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019・山口壯
○国務大臣(山口壯君) 山下芳生議員から、温暖化の深刻さに関する政府と国民の認識についてお尋ねがありました。
我が国においては、既に記録的な猛暑や度重なる豪雨や台風などが多くの犠牲者をもたらし、国民の生活、社会、経済に多大な被害を与えています。
先日公表された気候変動に関する政府間パネルの報告書においては、人間活動が原因となり引き起こされた気候変動が、幅広い分野で悪影響を及ぼし、それに関連した損害を引き起こしていることが示されました。地球温暖化の進行に伴い、このような猛暑や豪雨等のリスクは更に高まると予測されています。
世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面しており、こうした危機感を国民一人一人と共有し、気候変動問題に取り組んでまいります。
次に、脱炭素化支援機構の支援対象についてお尋ねがありました。
脱炭素化支援機構の支援対象としては、排出削減等に資する事業であることを支援基準に定めることとしております。支援対象事業の決定は、投資実務等に専門的知見を有する者で構成される脱炭素化委員会が事業の収益性を十分に精査して決定することとしています。その際には、当然のことながら、事業による排出削減等の効果も適切に確認します。
次に、石炭火力のアンモニア混焼についてお尋ねがありました。
石炭火力については、電力の安定供給が大前提との観点を踏まえ、二〇三〇年までに非効率石炭火力のフェードアウトやアンモニア二〇%混焼の導入等を進め、二〇五〇年に向けては、アンモニアやCCUS等を活用することで脱炭素型の火力発電に置き換えていくよう取組を促進してまいります。実際に、株式会社JERAが、二〇二四年度までの予定で、実機を活用したアンモニア二〇%混焼の実証を着実に進めているところです。
環境省としては、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底する中で、石炭火力の比率を引き下げるとともに、早期に脱炭素化することが重要と認識しております。
次に、再生可能エネルギー産業への公正な移行についてお尋ねがありました。
パリ協定においては、労働力の公正な移行が必要不可欠と規定されており、脱炭素社会へ向かう際の労働移行を進めるため、国、地方公共団体及び企業や金融機関が一体となって、労働者の職業訓練、企業の業態転換や多角化の支援、新規企業の誘致、労働者の再就職支援等を推進していくこととしています。
環境省としては、関係省庁と連携し、公正な移行に全力を尽くしてまいります。
最後に、再生可能エネルギーの大量導入によるエネルギー自給率の引上げについてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーは、国内で生産可能なエネルギーであることから、気候変動対策だけでなく、エネルギー安全保障にも寄与する重要な国産エネルギー源であります。他方、エネルギーの安定供給のためには、再生可能エネルギーを含めたあらゆる選択肢が必要であると認識しております。(拍手)
〔国務大臣松野博一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/19
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020・松野博一
○国務大臣(松野博一君) 温室効果ガスの削減目標についてお尋ねがありました。
これまで公表されたIPCCの報告書では、一・五度の気温上昇抑制に向けては二〇五〇年カーボンニュートラルを実現することが重要であることが示されており、こうした点も踏まえ、我が国としても二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言しております。そして、これと整合的な形で、二〇三〇年度までに温室効果ガスを二〇一三年度比で四六%削減することを目指し、更に五〇%の高みに向け挑戦を続けることとしております。
昨年十月に閣議決定した地球温暖化対策計画は、これらの目標実現に向けて必要な対策や施策を取りまとめ、改定したものであります。本計画に基づき、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入、地域の脱炭素化や国民のライフスタイル変革など、政府一丸となって取組を進めてまいります。
石炭火力の廃止期限についてお尋ねがありました。
エネルギーをめぐる状況は各国千差万別です。資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国では、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要です。従来より電力需給は厳しい見通しでしたが、ウクライナ情勢により、燃料確保など一層予断を許さない状況です。こうした中で、廃止期限を区切って直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じることになれば、電力の安定供給に支障を及ぼしかねません。
しかしながら、石炭火力は二酸化炭素の排出量が多いため、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、安定供給を大前提に、できる限り発電比率を引き下げてまいります。(拍手)
〔国務大臣萩生田光一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/20
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021・萩生田光一
○国務大臣(萩生田光一君) 山下議員から御質問をいただきました。
アンモニア混焼についてお尋ねがありました。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて脱炭素型の火力への転換が重要ですが、その鍵となるのがアンモニアの活用です。
価格については、現時点でアンモニアは既存の化石燃料に比べ割高ですが、より高効率な製造方法の開発に加え、既存燃料とのコスト差やインフラ整備の在り方などに着目した支援スキームの検討を進め、その低減を目指します。
また、利用面では、二〇%混焼の導入にとどまらず、二〇三〇年までにより高い混焼率や専焼化を可能とするための技術開発を進めるとともに、できるだけ早期にアンモニア製造方法のクリーン化を進めることでCO2排出を更に抑制してまいります。
再生可能エネルギー電力の拡大方策と送電網への接続についてお尋ねがありました。
出力抑制の順番につきましては、我が国では、Sプラス3Eの観点から、コストのみならず、各電源の特性を踏まえて決定しています。
連系線の整備については、全国大の送電ネットワークの将来的な絵姿を示すマスタープランを二〇二二年度中に策定し、計画的に送電網の整備を進めていくこととしています。また、発電所から送電網への接続は、受益と負担の関係や国民負担を抑制する観点からも発電事業者による負担が原則ですが、既存の送電網を有効活用する仕組みであるいわゆるノンファーム型接続を基幹送電網へ全国展開するなど、接続の負担を減らすための環境整備を進めています。
引き続き、これらの取組を通じて、再生可能エネルギーの導入拡大を進めてまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/21
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022・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/22
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023・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長佐々木さやかさん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔佐々木さやか君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/23
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024・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ただいま議題となりました法律案につきまして、災害対策特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震による災害が甚大で、かつ、その被災地域が広範にわたるおそれがあることに鑑み、同地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護し、同地震に係る地震防災対策の推進を図るため、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進地域の指定、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画等の作成、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震津波避難対策特別強化地域の指定、津波避難対策緊急事業計画の作成及びこれに基づく事業に係る財政上の特別の措置等について定めようとするものであります。
委員会におきましては、提出者衆議院災害対策特別委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/24
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025・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/25
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026・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第二 安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長石橋通宏さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔石橋通宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/27
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028・石橋通宏
○石橋通宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、脱炭素社会の実現に向けて、非化石エネルギーの利用の拡大が求められる中で、安定的なエネルギー需給構造の確立を図るため、エネルギーの使用の合理化の対象に非化石エネルギーを追加するとともに、一定規模以上の事業者に対し、非化石エネルギーへの転換に関する計画の作成を義務化するほか、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMECの業務への水素の製造等に対する出資・債務保証業務の追加、発電事業者による発電設備の出力等の変更についての事前届出制への変更等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、国際情勢の変化等を踏まえたエネルギー安定供給確保の方策、中小企業を含め事業者における省エネの更なる推進策、水素、アンモニアを非化石エネルギーと位置付けることの意義、電力需給逼迫の発生に対応した電力システムの見直しの必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩渕理事より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して八項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/29
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030・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/30
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031・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第三 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山田宏さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔山田宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/31
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032・山田宏
○山田宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等の事態における健康被害の拡大を防止するため、緊急時に新たな医療品等を速やかに薬事承認する仕組みを整備するとともに、電子処方箋の仕組みを整備しようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、緊急承認制度創設の意義と効果、緊急承認制度における有効性及び安全性の審査の在り方、医薬品等による健康被害に対する救済の在り方、電子処方箋の普及に向けた方策等について、岸田内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局いたしましたところ、立憲民主・社民を代表して川田龍平理事より、附則第三条の検討規定に緊急承認に係る制度の在り方について検討を加えることを明記する修正案が提出されました。
順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/32
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033・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/33
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034・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02220220513/34
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