1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年五月二十五日(水曜日)
午後三時四十一分開議
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○議事日程 第二十五号
令和四年五月二十五日
午後三時三十分開議
第一 国務大臣の演説に関する件
第二 構造改革特別区域法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 消費者契約法及び消費者の財産的被害の
集団的な回復のための民事の裁判手続の特例
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第四 地球温暖化対策の推進に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一より第四まで
一、国立国会図書館法等の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の演説に関する件
財務大臣から財政について発言を求められております。これより発言を許します。鈴木俊一財務大臣。
〔国務大臣鈴木俊一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/1
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002・鈴木俊一
○国務大臣(鈴木俊一君) さきに原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議において決定いたしましたコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を受けて、今般、令和四年度補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明申し上げます。
日本経済につきましては、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されつつありますが、国民生活や経済への感染症による影響は依然として続いております。こうした中、ロシアによるウクライナ侵略等を主な背景に、原油や穀物等の価格や供給の不安定化など、先行きの不確実性は高くなっており、今後、コロナ禍からの経済社会活動の回復の足取りが大きく阻害されかねません。
こうした認識に立ち、四月二十六日にコロナ禍における原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定いたしました。
総合緊急対策は、物価高騰による影響を緩和するための対応を緊急かつ機動的に実施するとともに、円滑な価格転嫁や賃上げを促し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするためのものです。
総合緊急対策に盛り込まれた措置について、まずは一般予備費及び新型コロナウイルス感染症対策予備費を使用するなど、迅速に対応した上で、令和四年度補正予算を編成いたしました。
次に、令和四年度補正予算の大要について申し述べます。
一般会計につきましては、歳出において、総額で約二兆七千億円を計上しております。
その内容としては、総合緊急対策に基づき、今後の災害、新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格、物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、六月以降の燃料油価格の激変緩和事業等の原油価格高騰対策に係る経費に約一兆一千七百億円、一般予備費に四千億円を計上するとともに、新型コロナウイルス感染症対策予備費を新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費として使途を拡大した上で、これに一兆一千二百億円を計上しております。
また、国債整理基金特別会計への繰入れとして約七十億円を計上しております。
歳入においては、公債を約二兆七千億円発行することとしております。
この結果、令和四年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対して歳入歳出共に約二兆七千億円増加し、約百十兆三千億円となります。
また、特別会計予算につきましても、所要の補正を行っております。
以上、令和四年度補正予算の大要について御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。白眞勲さん。
〔白眞勲君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/3
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004・白眞勲
○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲です。
私は、ただいま議題となりました財政演説、令和四年度補正予算に対し、会派を代表して、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
まず冒頭、知床半島沖の観光船沈没事故においてお亡くなりになられた方々に深い哀悼の誠をささげるとともに、いまだ冷たい海で行方不明になられている方々の一刻も早い救出を心より願うものです。
また、連休中にもかかわらず捜索活動に従事された海上保安庁を始め自衛隊、地元の漁民の皆様、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
この事故につきまして幾つか御質問させていただきたいと思います。
まず、知床遊覧船KAZUⅠについて、経営者にはあきれて物が言えません。こうした事業者による無駄な経営を防ぐため、国の監督体制が整備されてきたはずですが、そこで国土交通大臣にお聞きいたします。
今回沈没したKAZUⅠは、法定の救命設備として小型船救命浮器と救命胴衣を搭載していたとされています。ただ、事故当時の知床沿岸の海水温は二、三度だと聞いています。そのような海では、大人でも三十分で意識を失い、生命の危険にさらされますが、法律で定められた小型船救命浮器と救命胴衣では事故が起きても助かる見込みがないのが分かっていながら、なぜこのような救命設備を法律で定めていたのか、これから再発防止に努めていくという答弁ではなくて、今までの経緯をお聞きいたします。納得いく答弁をお願いいたします。
また、無線設備についてお聞きいたします。
去る五月十九日の国交委員会で、KAZUⅠの中間検査に関し、携帯電話を認めたことについて質問をしましたが、国土交通省は、JCI職員がこの地域の通信エリア図の内容をもちろん把握しと答弁しました。しかし、実際調べたところ、航路の大半が通信エリア外でした。検査事務規程細則を見ると、エリア外ならその時点で駄目でしょう。事業者の言葉をうのみにしたとか関係なく、JCIが規程を破ったことになりませんか。国交大臣、お答えください。
岸田総理、JCIが不適切手続をしたかどうかも含め、第三者委員会で徹底的に真相を究明すべきと考えますが、いかがでしょうか。総理の答弁を求めます。
ロシアによるウクライナ侵略は、多数の民間人が殺害される結果となっており、一刻も早く戦争状態を停止させなければなりません。我が国は、国際社会の平和と安全のために、積極的に貢献する必要があります。
岸田政権は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して経済制裁をしていく、G7を始めとする国際社会と連携しながらウクライナの人々に支援したいと繰り返し国会で答弁しております。G7がやるなら日本もやる。しかし、岸田総理の口から、日本が先頭に立って、この停戦、戦争を停止させるためにG7の各国よりも先に何かを進めると言ったことを聞いたことがありません。
プーチン大統領は、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ首相と電話会談を行っています。岸田総理は、この侵攻が始まってから、ウクライナのゼレンスキー大統領とは電話会談したのは承知しておりますが、プーチン大統領とはされたのでしょうか。しないなら、なぜしないのか、その理由をお示ししてください。今からでも、早速プーチン大統領に電話会談を申し込み、停戦するようにプーチン大統領にも直接働きかけるべきではありませんか。御答弁願います。
また、インドネシアのジョコ大統領は、今年十一月にバリ島で開催予定のG20サミットにロシアのプーチン大統領を招待し、電話会談で本人から参加するとの回答を得たと発表しました。
岸田総理にお伺いしますが、G20サミットにプーチン大統領が参加することに賛成でしょうか。そして、このような機会があれば、岸田総理もプーチン大統領と直接会談するお気持ちがあるのかどうか、さらには、ゼレンスキー大統領にも声を掛ける気持ちがあるのかどうか、御答弁願います。
米国のバイデン大統領が来日し、米国とアジアの経済連携強化を目指すインド太平洋経済枠組みであるIPEFの立ち上げに向けた協議を開始することが発表され、岸田政権はこのIPEFに参加することを表明しました。我々は参加を検討することは否定しません。ただ、この地域には多くの経済連携の枠組みが既に存在しています。トランプ大統領が参加しないと言い出したので自由貿易圏としては後退したCPTPP、それを受けて交渉する羽目になった日米貿易協定、日米デジタル貿易協定、RCEP、そして今回のIPEFと、覚え切れないほどです。しかも、日米貿易協定は二〇二〇年一月に協定が発効しており、自動車、自動車部品については関税の撤廃に関して更に交渉すると書いてありますが、交渉始まったんでしょうか、外務大臣、お答えください。
あわせて、発効して約二年半たちますが、WTOに協定の存在を通報すらしていない状況です。今後、通報するつもりがあるのか、外務大臣の答弁を求めます。
五月十二日、北朝鮮は新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを公表し、その後、累計の発熱者は二百万人を超えると報じられました。これまで、北朝鮮は新型コロナの感染者は存在しないとしてきました。それが今回、建国以来の大動乱であるとして、金正恩総書記が自ら指示し、感染拡大に対応しようとしております。
こうした北朝鮮のコロナ対応の変化について、日本政府はどのように分析しているのでしょうか、総理、お答えいただきたいと思います。
北朝鮮で新型コロナウイルスの拡大が報じられて、心配なのが拉致被害者の方々です。既に拉致被害者の多くは御高齢であり、新型コロナに感染すれば重症化するリスクがあります。こういう中、アメリカのバイデン大統領と韓国の尹大統領とが北朝鮮に対して支援をする方針を確認したとのことですが、岸田総理は拉致問題は最重要課題と言い、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組むというのであるならば、総理はこのタイミングで北朝鮮にPCR検査キットやワクチンなどを提供するお考えはあるのでしょうか。
岸田総理は、国会では拉致問題は最重要課題と発言しているものの、三月十三日の自民党大会で自民党総裁として演説した際には、拉致問題のことに触れませんでした。私が予算委員会で岸田総理に、拉致問題なぜ削除したのかと質問したところ、岸田総理は、今御指摘を受けて私自身驚いたところでございますと答弁されました。自分で演説しつつ今知って驚いたでは、開いた口が塞がりません。
岸田総理にとってみて、拉致問題は本当に最重要なのでしょうか。安倍総理、菅総理にはない、岸田総理御自身の拉致問題に懸ける意思をこの場で表明してください。
韓国で尹錫悦新大統領が五月十日、就任いたしました。私も、中曽根弘文議員、鶴保庸介議員、鈴木宗男議員とともに就任式出席のために訪韓し、尹錫悦大統領と直接会談いたしました。日韓関係は、これを機に両国が真摯に向き合い、歴史問題を解決しようとする両国の意思を明らかにすることから進める必要があります。そのためにも、首脳同士が何度も直接会談し、信頼を醸成していくべきです。
岸田総理は早いうちに尹錫悦大統領と直接会談したいという意思をお持ちでしょうか、お伺いいたします。
中国はゼロコロナ政策を続けていますが、これにより工場の稼働停止が生じ、世界的な部材供給不足が引き起こされており、我が国にもその影響が及んでいます。
九月二十九日は日中共同声明から五十年となり、また、秋には中国共産党大会があり、習総書記が続投するのではないかと言われています。我が国は、我が国と中国は切っても切れない経済関係となっておりますが、今後、この中国との関係をどうするべきか、習近平主席とお会いする可能性も含め、総理にお伺いいたします。
NATOが加盟国の国防費対GDP比二%を目標としていることを踏まえ、我が国でも防衛費を対GDP比二%へと倍増すべきとの主張が見られます。確かに、防衛費を倍増すれば、今までよりもたくさんの装備品を買うことができるでしょう。しかし、人口減少、少子高齢化が進む中で、隊員の採用は極めて難しい、厳しい状況にあります。装備品ばかり増やしたところで、それに伴う人員配置ができないのでは意味がありません。鉄砲の数を二倍にしたから西部劇の二丁拳銃だというわけにはいかないのです。
また、数字ありきで防衛力整備を進めると、調達改革への努力も余りなされないまま無駄遣いする可能性もあると思います。例えば、お小遣いを二倍にするけど無駄遣いするなよと言っても無理な話であります。
また、岸田総理は、日米首脳会談で、日本の防衛力の抜本的強化を行い、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意と述べたようですが、相当な増額ではどれだけ増やすのかさっぱり分かりません。総理は、防衛費について、対GDP比何%といった指標や数値目標を設定するおつもりなのでしょうか。どのぐらい防衛費を増やすおつもりなのか、明確にお答えください。
また、防衛力強化の財源について伺います。
防衛費を二倍にしようと主張される方は、そのための財源について考えておられるのでしょうか。二倍とまではいかなくとも、現下の国際情勢を踏まえ、大幅な防衛力強化を行うつもりであれば、そのための財源を明確に示した上で国民の判断を仰ぐべきなのが当たり前なんじゃないんでしょうか。
我が国の防衛費は、対GDP比については諸外国に比べて低いとされる一方、対税収比で比較するとNATO加盟の欧州諸国と決して遜色のない水準にあることも考えるべきです。自分のいい数字だけで国民に説明するのはやめませんか。ともかく、威勢のいい議論の中で財源について話さないのは無責任ではないですか。まさか、ほかの行政経費を減らして防衛費を増やすのではないでしょうね。
あるいは、戦前のように公債を増発して防衛費を増やすのでしょうか。自民党内では財政再建派と積極財政派の対立も厳しいようですけれども、激しいようですが、財政の裏付けのないままどんどん防衛費を増やしても、国民の生活を圧迫し、総合的な国力の低下を招きかねません。
防衛費増額のための国民の負担について、また、財政規律と防衛力整備の関係についてどう考えているのか、総理の明確な答弁を求めます。
NATOの比率並みの防衛費と言うのであれば、教育費だってNATO並みにすべきじゃないんですか。地下資源に乏しい我が国にとって、一人一人の特性に応じた能力、可能性を最大限引き出す教育、人材育成は、国の防衛と同じぐらい大切です。国の将来を考えれば、防衛費とほぼ同額の文教科学振興費こそ倍増すべきであるという主張もあってしかるべきであり、文科大臣、うちの予算も倍にしてくれと主張する気はありますか。お答えください。
最近は、防衛費二倍のみならず、敵基地攻撃能力とか核の共有とか、威勢のいい議論ばかりまかり通っています。そもそも、世界で唯一の被爆国であり、そして核の悲惨さを世界に訴えていくべき我々が核の共有なんて言い出したら、核廃絶どころか、我々の思いとは全く別の方向の核の拡散に向かってしまうのではないでしょうか。それに、九条を改正し、防衛費を二倍にすれば、日本の周りの国が参りましたとでも言うのでしょうか。逆に北東アジアの緊張関係がより高まっていくおそれはあるんじゃないんでしょうか。
私たちは、憲法九条を堅持しつつ、周辺国との友好関係を深め、外交力と情報収集力の強化こそが日本の安全保障につながるものと考えます。戦争するなら我々政治家は要りません。我々は、そういう国々といかに平和的に物事を解決するか、その知恵を絞るのが我々政治家の役割なんじゃないんでしょうか。
続きまして、政府のコロナ対策についてお聞きします。
政府は、新型コロナウイルス感染症が拡大して以降、累次にわたって大型の経済対策を策定し、大規模な財政支出、その裏付けとなる補正予算を編成してきました。令和二年度には三度にわたる七十三兆円の補正予算を、三年度には一度の補正予算としては過去最大の三十六兆円の補正予算を編成しました。また、コロナ予備費の計上には合計で約二十兆円に上っています。
しかし、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、コロナ対策であれば自治体が自由に使えますが、これまでに計上してきた十六兆円の中には、机や椅子などの備品や公用車の購入、さらには巨大なモニュメントの購入費用に充てられるなど、関連が不明確な支出もあります。
そして、今回、原油高、物価高対策の先行実施分として四月二十八日に使用決定されたコロナ予備費においては、新型コロナや原油価格の高騰等を踏まえた環境に配慮した持続可能な観光の推進など、コロナ予備費から捻出することが妥当か疑問が残るものが含まれています。
今、コロナの影響を受けていない国民がいますか。みんなマスクしていますよ。こうした政府の予算執行の在り方からは、コロナと枕言葉に使えば何にでも予算が付く免罪符になっているんじゃないんでしょうか。そういう印象を受けますが、総理の見解を求めます。
四月二十八日に使用決定された予備費には、燃料油価格激変緩和対策事業の拡充、延長、低所得の子育て世帯に対する物価高への対応が含まれております。ただ、その必要性は、我々が二月から三月にかけて審議した予算委員会から訴えてきていますよ。予備費とは、憲法第八十七条第一項で、予見し難い予算の不足に充てるためとなっているじゃないですか。でも、物価高は、私が二月に予算委員会で、いつも食べている肉だんごの直径が小さくなったと、いわゆるステルス値上げについて例を挙げて指摘しているじゃありませんか。予見し難くないですよ。予見していますよ。それとも、予算委員会の議論、ちゃんと聞いていなかったんでしょうか。それでいて、予算成立から一か月もたたないうちに、減った分の予備費を補填するという意味不明な補正予算を国会に提出しました。
こういう形を取ると、極端な話、今後、本予算も、丸ごと予備費にして、あとはよろしくなんてことになりかねません。このような政府の姿勢は、国会軽視にほかならない、極めて問題であると思います。そもそも、与党の皆さんがもっと怒らなきゃ駄目じゃないですか。
今回の補正予算は、主に燃料油価格激変緩和対策事業に係る経費と予備費の積み増しから成ります。しかし、これでは、今後のコロナ対策や物価高対策を政府の判断に白紙委任することになってしまいます。
我が党の生活安全保障のための緊急経済対策で示す消費税率の時限的な五%への減税やトリガー条項の発動、事業復活支援金の倍増、中小企業のコロナ債務負担の軽減などは、コロナ禍と物価高騰に見舞われる国民や事業者にとって早急に必要な対応であり、総理、補正予算への盛り込むことを早急に検討していただきたいと思います。
国会が開会中である以上、政府は、予備費の積み増しを主な内容とするさっぱり分からない補正予算ではなくて、具体的な施策を盛り込んだ補正予算を編成し、国会の場で目的や有効性について議論することが筋だと考えますが、総理の見解を求めます。
経済情勢についてお伺いします。
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しつつあるものの、令和四年一―三月期の実質GDPは前期比年率でマイナス一・〇%と、二四半期ぶりのマイナス成長となりました。日経平均株価もピークよりも大きく落ち込んでいます。また、ドルを買って円を売る動きが加速し、一ドル百三十円程度まで円安が急速に進行しています。
エネルギー価格や食料品価格が上昇している中、円安が進むことで、輸入コストは大幅に押し上げられています。四月の消費者物価指数は、前年同月比二・一%上昇と、消費税率引上げの影響を除けば十三年七か月ぶりの上昇幅を示すなど、既に家計に深刻な影響が出始めております。
こうした状況を踏まえ、岸田総理は、我が国経済の現状と先行きについてどのように認識しているのか、見解をお伺いいたします。
今、原油価格は高騰しています。今後もウクライナ情勢の先行きは見通せず、原油価格が早期に落ち着くことは見込めない状況にあります。このような状況下では、現在政府が実施している数か月単位の短期的な補助金の支給ではなくて、トリガー条項凍結解除のようにガソリン税を減税するといった抜本的な対策がはるかに有効であると考えます。
立憲民主党は、昨年十二月にトリガー条項凍結解除に関する法律案を提出いたしました。さらに、四月八日、生活安全保障のための緊急経済対策を発表し、改めてトリガー条項凍結解除とそれに伴う地方税の税収を補填する提案を行っています。
政府は、一時的な激変緩和対策を場当たり的に継続していますけれども、なぜトリガー条項凍結解除を実施しないのか、総理の説明を求めます。
酪農家は、国の方針に従って、畜産クラスター事業等で牛舎等の設備投資を行い、規模拡大を進めてきました。その結果、指定団体の生乳受託乳量は二〇二一年度に約七百二十三万トンになり、三年連続で増加となりましたが、現在、コロナ禍に伴う牛乳需要の低迷や輸入飼料、資材、燃油等の価格高騰によるコスト増などもあって、酪農経営を取り巻く環境は急速に悪化しています。その結果、高齢による離農にとどまらず、現役世代でも離農する動きが見え、大変深刻な状況です。
当面の対策として、Jミルクなどが基金を創設し、余剰生乳の仕向け先として、増大した脱脂粉乳在庫を餌用に回すなどの対策を実施していますが、このような短期的対策とともに、生乳の需給調整の在り方を抜本的に検討しつつ、過度の輸入飼料への依存から脱却し、飼料の国産化を推進していくべきと考えますが、総理の見解を伺います。
五月九日、安倍元総理は大分市で開催された講演で、日銀は政府の子会社だと発言しました。
日本銀行は、日本銀行法において金融政策の独立性が定められています。それにもかかわらず、安倍元総理がこのような発言をしたことは、日銀の独立性を全く理解せずに大規模な金融緩和を進めてきたことの証左にほかなりません。その結果、物価上昇率二%目標は二〇一三年に掲げて以来九年間も達成できなかったばかりか、日銀の国債保有残高は五百三十五兆円にまで積み上がっています。
岸田政権においても大規模な金融緩和は継続していますが、今回の安倍元総理の発言をどのように受け止めていらっしゃるのか、お伺いします。
最後に、岸田総理は被爆地である広島出身で、核兵器廃絶に理解のある政治家であると信じています。私がかねてから提案しています核兵器禁止条約批准が難しいのであれば、せめてオブザーバー参加くらいは表明されることを望むとともに、我が党が核廃絶に全力を傾けることをお約束して、私の質問を終わります。
白眞勲でございました。ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/4
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005・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 白眞勲議員の御質問にお答えいたします。
知床遊覧船事故における真相究明についてお尋ねがありました。
まず、今回の事故で亡くなられた方々に対し改めて心から哀悼の意を表するとともに、家族の方々にお悔やみを申し上げる次第です。
そして、御指摘の日本小型船舶検査機構による無線設備の検査については、同機構の検査事務規程細則に基づいて行われたものの、内規に定める検査方法が十分でなかったことから、国土交通省より改めさせたとの報告を受けております。
今回の事故を受け、私からは、法的規制の在り方も含め、安全対策の在り方について検証、検討を行う検討会を立ち上げ、徹底的な安全対策を講じていくことを指示しており、この指示を受け、現在、国土交通省において、有識者から成る検討委員会で検証、検討を進めていると承知をしております。検討委員会では、日本小型船舶検査機構による検査方法を含め、弁護士、消費者団体等の様々な分野の有識者の方々に第三者の立場から徹底的に議論をしていただくと報告を受けております。
政府としては、こうした痛ましい事故を二度と起こさないよう、検討委員会での検証、検討を進め、小型旅客船の総合的な安全対策に取り組んでまいります。
プーチン大統領に対する停戦の働きかけ、G20サミットへのプーチン大統領及びゼレンスキー大統領の出席等についてお尋ねがありました。
今までに幾つかの国が仲介努力を行ってきていますが、プーチン大統領からは歩み寄ろうとする兆しは見えません。このような状況において必要なことは、ロシアが侵略をやめるよう、ロシアに対して国際社会が一致して強い制裁措置を講じ、また、ウクライナを支援していくことであり、プーチン大統領との電話会談は行っておりません。
G20におけるロシアの扱いを含め、国際社会はロシアとの関係をこれまでどおりとすることはできません。G20でのロシアの扱いについては、先般、ジョコ大統領とも議論を行いました。インドネシアを始め各国とも議論しつつ、今後の状況をよく踏まえ、政府として適切に対応していく考えです。
また、インドネシアが議長国としてウクライナを招待したことは歓迎したいと思います。
北朝鮮における新型コロナウイルスの感染拡大と拉致問題についてお尋ねがありました。
北朝鮮において、新型コロナウイルスによると考えられるものを含め、連日多数の発熱者が発生し、死者も発生しているとされていることを強い関心を持って注視しているところです。その上で、我が国の対応については、予断を持ってお答えすることは控えます。
拉致問題は岸田内閣の最重要課題です。
日米首脳会談、日米豪印首脳会合では、私から拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を改めて求め、各国から強い支持を得ました。また、バイデン大統領には、拉致被害者御家族の皆様と面会をし、御家族の皆様を励まし、勇気付けていただきました。
拉致被害者御家族の高齢化が進む中、親世代の御家族が元気なうちに全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組みます。私自身も、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意であります。
日韓関係及び日中関係についてお尋ねがありました。
日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などにより非常に厳しい状況にありますが、東アジアの厳しい安全保障環境を考えると、日韓、日米韓の連携は重要であり、このまま放置することはできません。
尹大統領とは三月に電話会談を行い、その際、尹大統領からは、日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたいとの発言があり、できるだけ早く対面でお会いしたいとのやり取りを行いました。
国と国との約束を守ることは、国家間の関係の基本です。今後の首脳会談については何も決まっておりませんが、日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、尹大統領を始め新政権と緊密に意思疎通をしていく考えです。
習主席との会談について、現時点で決まっていることはありませんが、中国との間では、普遍的価値を共有する国々としっかり連携しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、共通の課題については協力するという建設的かつ安定的な関係を双方の努力で構築していくことが重要であると考えております。
防衛費の増額、その財源、そして財政規律との関係についてお尋ねがありました。
我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、まず行うべきことは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、具体的かつ現実的に議論をし、積み上げていくことです。その結果、防衛力の抜本的強化に当たって必要となるものの裏付けとなる予算をしっかり確保していく考えであり、こうした観点から、先般の日米首脳会談では防衛費の相当な増額を確保する決意を述べたところです。
こうした考えの下、防衛費の内容、また規模等について、新たな安全保障戦略等の策定、また今後の予算編成過程を通じて検討してまいります。その際、財政規律を守りつつ、防衛費を安定的に確保する観点から、財源の在り方についても併せて検討してまいります。
予備費の使用と補正予算の編成についてお尋ねがありました。
コロナ予備費については、新型コロナに係る感染拡大防止策に要する経費その他の同感染症に係る緊急に要する経費の不足について、臨機応変に、かつ時機を逸することなく対応するために計上されているものであり、個別具体の事業内容について、その趣旨に該当しているかを判断した上で、適切に使用決定をしております。
先般取りまとめた総合緊急対策においては、直面する危機に緊急かつ機動的に対応するため、新たな財源措置を伴うものについては予備費を活用して迅速に対応した上で、今後の災害、新型コロナの再拡大、原油価格、物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、予備費の計上及び六月以降の燃料油価格の激変緩和事業を内容とする補正予算を編成することといたしました。そうした補正予算の意義について、国会における説明責任を果たしてまいります。
我が国経済への認識とトリガー条項についてお尋ねがありました。
我が国経済については、持ち直しの動きが続いており、先行きについても、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、景気は持ち直していくことが期待されます。ただし、ウクライナ情勢等に伴う原油価格や物価の高騰がマインドの悪化や実質購買力の低下を通じて民間消費や企業活動を下押しするなど、実体経済への影響が顕在化する可能性や、供給制約等による景気の下振れリスクには十分注意する必要があります。
こうした影響に緊急かつ機動的に対応するため、総合緊急対策に盛り込まれた各施策を迅速に実行することで、コロナ禍からの回復を確かなものとしてまいります。
トリガー条項については、三党検討チームにおいて、現時点で発動に際しての課題を解決するための具体的な方策について結論を見出すに至っていないため、引き続き検討することとされたと承知をしております。
酪農経営対策についてお尋ねがありました。
新型コロナの影響による需給緩和や飼料価格の高騰などにより厳しい経営環境にある酪農経営に対しては、高い水準で推移する乳製品在庫の低減対策や消費拡大の取組を後押しするとともに、今般の総合緊急対策による配合飼料のセーフティーネット基金の積み増し等により、価格高騰の経営への影響を緩和してまいります。
その上で、加工原料乳生産者補給金制度を適切に運用し、生乳の需給及び酪農経営の安定を図りつつ、飼料生産組織の機能強化や草地の整備等を通じ、国産飼料の生産、利用拡大を推進してまいります。
日銀に関する安倍元総理の発言についてお尋ねがありました。
政府と日銀の関係については、一般論として、政府は日銀に対して出資をしているものの議決権はなく、日銀は日本銀行法において金融政策や業務運営の自主性が認められていることから、政府がその経営を支配している法人とは言えず、会社法で言うところの子会社には当たらないと考えております。
その上で、日銀の金融政策運営は平成二十五年の政府、日銀の共同声明の考え方に沿って進められてきており、日銀においては、引き続き物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて努力されることを期待しております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/5
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006・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 白眞勲議員から救命浮器等についてお尋ねがありました。
まず初めに、今回の知床遊覧船の事故で亡くなられた方々とその御家族の皆様方に対し心よりお悔やみ申し上げるとともに、今回の事故に遭遇された方々とその御家族の皆様方に心からお見舞い申し上げます。
船舶安全法は、陸地や他船からの救助、支援の可能性等も考慮し、航行区域を分類し、安全基準を定めております。
今般のKAZUⅠのように、港から最大速力で二時間以内に往復できる限定された水域のみを航行する小型船舶は、一つに、常に港などから一時間以内の位置にいること、二つ目に、基準に従って通常は転覆、浸水しづらい構造であり、一定時間は船内で救助を待つことが可能であること、三つ目に、陸地や他船からの迅速な救助や支援が期待できること等を踏まえ、救命胴衣に加え、救命浮器又は救命いかだの備付けが義務付けられています。
他方、救命浮器は低水温では短時間で体温が下がってしまう課題があるほか、救命いかだも、乗客が乗り移る際、荒れた海に落水する危険性が高いとの課題があります。
国土交通省としましては、二度とこのような悲惨な事故を起こさないよう、知床遊覧船事故対策検討委員会において、特に厳しい気象、海象下にある海域を航行する船舶に備えるべき救命設備の要件についてもしっかりと議論し、必要な措置を講じてまいります。
日本小型船舶検査機構の検査についてお尋ねがありました。
日本小型船舶検査機構は、無線設備を携帯電話に変更する際に、検査事務規程細則に基づいて検査を行うための方法を、内規として定めております。
機構は、本年四月二十日に船舶安全法に基づく中間検査を実施した際、事業者から無線設備を携帯電話に変更したい旨申出があり、事業者からの申告書で常時通信可能であることを確認するとの内規に従って検査を行ったと承知しています。
しかしながら、事故を起こしたKAZUⅠの携帯電話では実際には通信できなかったと推測されることから、機構の内規で定められた検査方法は十分ではなかったものと考えております。このため、五月九日に機構に対し、携帯電話に関する検査方法の改善を指導し、速やかに改善されたところでございます。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/6
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007・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 白眞勲議員からは、日米貿易協定についてお尋ねがありました。
日米貿易協定においては、自動車及び自動車部品について、関税の撤廃に関して更に交渉する旨明記されており、今後交渉を行うことが日米間で合意をされております。
また、協定合意の際の首脳間の共同声明において、今後の交渉についてはどの分野を交渉するのか、まずその対象を日米間で協議することとしております。
日米間では、引き続き、この日米共同声明に沿って、外交ルート等を通じて協議を行っていきます。また、日米貿易協定のWTOへの通報については、米国と調整の上でしかるべきタイミングに行う予定でございます。(拍手)
〔国務大臣末松信介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/7
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008・末松信介
○国務大臣(末松信介君) 白先生にお答え申し上げます。
文教及び科学振興費についてお尋ねがございました。
白先生から御指摘いただきました教育及び人材育成につきましては、大変重要であると認識をいたしております。成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けまして、文教及び科学振興費の更なる強化は不可欠でございます。
このため、小学校三十五人学級の計画的な整備や高学年の教科担任制、GIGAスクール構想、十兆円規模の大学ファンド等、しっかりと取り組んでいるところです。
文部科学省としては、これらの取組も含めまして、人への投資を通じて成長を生み、その果実を分配に充てることで更なる成長を生み出せるよう、引き続き、文教及び科学振興費を着実に確保してまいります。
よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/8
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009・山東昭子
○議長(山東昭子君) 藤末健三さん。
〔藤末健三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/9
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010・藤末健三
○藤末健三君 自由民主党・国民の声の藤末健三です。
会派を代表しまして、令和四年度補正予算案の財政演説に関する、岸田総理に質問をさせていただきます。
今般の暴力によって現状を変更しようとするロシア軍のウクライナ侵略に強く反対の意を表明します。尊い命を守るため、即時停戦と平和的解決の対話に臨むように訴えます。
日本国憲法前文において平和の理念を高く掲げている我が国は、これまでも、厳しさを増す安全保障環境に対し、自衛隊、そして日米安保条約による強固な抑止力の整備、そして平和の土台となる外交に注力してまいりました。武力行使ではなく、対話による平和的解決こそが世界の未来を照らす道であると信じています。そのためにも、国連機関などと連携し、避難者への人道支援が重要だと考えます。
ウクライナ侵略の平和的解決のために、我が国は、国際社会と連携しながら、どのような貢献を果たしていくべきか、お考えを是非お聞かせください。
今月二十二日から二十四日まで、バイデン大統領が就任後初来日され、岸田総理と日本での日米首脳会談を行いしました。この会談では、ウクライナ侵略、中国をめぐる諸課題、北朝鮮問題など、日本及び周辺国の平和と安定の実現にとって極めて重要な問題が議論されました。さらに、本来日に合わせて、クアッド首脳会議も開催されました。ロシアの即時停戦を強く訴えるとともに、粘り強く平和的解決の道を探ることが重要であると考えます。
今回の日米首脳会談やクアッド首脳会議の成果を踏まえ、我が国の安全保障環境の改善、平和な世界の実現に向けて政府はどのような努力を重ねていくのか、この点についてお伺いいたします。
コロナ禍からの経済回復やウクライナ侵略のために燃油価格は大きく上昇しました。価格高騰による燃油の需要低下は、経営難のガソリンスタンドに更なる大きなダメージを与え、政府として実用化に力を入れるべき次世代燃料となる合成燃料、Eフューエルの供給網の形成に大きな影響を与える可能性があります。
また、LPガスの高騰も、タクシー業界や日常生活に大きな影響を与えています。
そこで、現在、ガソリンを含む燃油やLPガス価格の激変緩和のために、総合緊急対策を踏まえ、臨機応変な対応策を講じるべきではないか、また、地域の生活と産業に欠かせないガソリンスタンドやLPガスの供給ネットワークの維持と活用を図るべきではないか、さらに、合成燃料、Eフューエルの早期実用化の推進など、エネルギー供給の多角化を図り、安定供給とCO2排出量の削減の両立を進めるべきではないかと考えますが、以上三点について総理の御所見をお聞きします。お聞かせください。
多くの事業者は、このコロナ禍により、傷が癒えないうちに、今回の物価高騰や資材、資源不足等に直面しています。特に外食産業は、コロナ禍に加え、食料原料やエネルギーの価格上昇でまた大きな打撃を受けています。この中で、GoToイートやGoToトラベル、事業再構築補助金などをより拡充し、利用者が使いやすくするとともに、フードテック、DXの推進、フードデリバリーの更なる普及の促進を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
世界では、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限や水際対策が緩和されています。ここまで耐えてきた中小企業・小規模事業者の皆様に対し、最大限の資金繰りの支援、原材料費や人件費上昇への支援、価格転嫁への対応、事業再構築補助金やものづくり補助金の改善、継続を図るなど、親身になった支援策と思い切った需要喚起策を講じていくべきだと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
また、我が国のクールジャパンの魅力の一つである漫画、アニメ、ゲームなどの創作文化、この分野は世界でも非常に競争力がある分野であります。そして、この稼ぐ力を強くしていくためには、クリエーター自らが自分の作品を使って直接収益を得ていくことが重要となります。その観点では、ウエブ三・〇の時代に中心的な役割を果たす暗号資産、特にNFT、ノンファンジブルトークンは極めて有効な手段となっています。税制面で取引の拡大のための環境整備が必要となります。この点も含め、クリエーターが直接稼ぐ力を強くして、クールジャパンの足腰が強くなるような後押しを強めてほしいと思います。
また、日本出入国時の水際対策が緩和され、インバウンドが回復し、日本への渡航がより一層容易になれば、クールジャパン分野への需要がますます高まることが予想されます。この夏にはコミックマーケット100も開催予定であります。
そこで、今回の総合緊急対策を踏まえながら、創作分野、創作文化分野に対してどのような支援措置を講じていくつもりでしょうか。お尋ねいたします。
建設資材の価格も上がっています。これは、建設業で働く人々の安全を守るための資材高騰につながり、早急な対応が必要であります。より安全で生産性向上に資する最先端の足場資材の開発や導入への支援が必要ではないでしょうか。
重層下請構造を有している建設産業では、発注者と受注者、その両者における公正な取引が担保されていないと、価格高騰のしわ寄せは弱い立場の一人親方に全て寄せられてしまいます。また、同様の悩みはフリーランスの方々からも聞こえています。
岸田内閣が掲げる新しい資本主義の実現のためには、資材の高騰や調達の困難さの影響が、弱い立場である一人親方やフリーランス、中小企業・小規模事業者にしわ寄せとならないよう守ることが極めて重要と考えますが、どのような対策をやっていかれるか、お聞かせください。
参議院自民党の、不安に寄り添う政治のあり方勉強会で、現場で活動している有識者やNPOの方々から、生活の基本である食と住の確保は、孤独、孤立に至らないためにも最もケアが必要な点であるということを教えてもらいました。
その中で、様々な事情で売り物とはならない食品や家庭の余剰食品、さらには政府備蓄米や防災備蓄品の活用と併せて、子供食堂へ食品を提供するフードバンクや支援が必要な方へ食品を提供するフードパントリーについて、食品を提供したい主体からそれを必要とする主体へ的確につないでいくコーディネートの支援が重要であると認識いたしました。この点について、総合緊急対策を踏まえ、どのように対応されていくのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症拡大は三年目を迎えましたが、その中で、感染状況は波を繰り返すということを経験的に学んでいます。物価高騰も世界情勢の変化などの要素が複雑に絡み合っており、先行きは不透明です。気候変動による自然災害が激甚化、頻繁化しており、万が一の事態にも備えなければなりません。
最悪に備えるという心構えは、自然災害だけではなく、財政運営にも当てはまる言葉です。今回の補正予算案において、一般予備費、そして新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費に対する予算を計上していますが、その趣旨について改めてお伺いし、私の質問を終わらさせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/10
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011・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 藤末健三議員の御質問にお答えいたします。
ロシアによるウクライナ侵略の平和的解決のための我が国の貢献、我が国の安全保障環境の改善及び平和な世界の実現に向けた取組についてお尋ねがありました。
ロシアが一刻も早く侵略をやめるよう、我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、強力な対ロ制裁措置を講じつつ、ウクライナ支援を行ってまいります。
日米首脳会談では、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米の抑止力、対処力を早急に強化していくことで一致をいたしました。また、新たな国家安全保障戦略等を策定し、我が国の防衛力を抜本的に強化してまいります。
平和な世界の実現のためには、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を断固として守り抜く必要があります。日米首脳会談、日米豪印首脳会合の成果も踏まえ、普遍的価値を共有する同盟国、同志国と緊密に連携し、国際社会の平和と繁栄のため取り組んでまいります。
燃料油価格高騰対策や合成燃料などについてお尋ねがありました。
燃料油価格の激変緩和措置について、基準価格を百六十八円に引き下げるとともに、補填の上限を引き上げるなど、制度を強化し、国内価格の上昇を抑制しています。LPガスを使用するタクシー事業者にも同様に支援を継続、拡充しています。また、ガソリンスタンドやLPガス事業者は、平時、災害時を問わず、燃料の安定供給という重要な役割を担っていることから、設備投資支援による燃料供給体制の強化に取り組みます。
合成燃料については、既存のインフラや設備を活用しながら、エネルギー供給の多角化やCO2排出量削減に寄与するものであり、技術開発を支援することなどにより、可能な限り早期の実用化を目指します。
外食産業や中小・小規模事業者に対する支援についてお尋ねがありました。
新型コロナの影響に加え、物価高騰の影響を受ける外食産業を始めとする事業者の支援をするため、総合緊急対策により資金繰り支援や原材料費、労務費等の上昇分の適切な価格転嫁のための取引の適正化を進めるとともに、事業再構築補助金によりフードテック、DXの推進やデリバリーサービスへの対応を含め、新規事業に挑戦する事業者を後押ししてまいります。
また、新たなGoToトラベル事業については、感染状況等を踏まえ、引き続き注意深く検討していくとともに、GoToイート事業の着実な実施による外食の消費喚起、原材料の切替え支援など、総合緊急対策における各種支援策を速やかに実施してまいります。
創作文化への支援についてお尋ねがありました。
漫画、アニメ等は世界に誇る創作文化であり、コンテンツ産業においても極めて重要な位置を占めています。成長の源泉が物から事にシフトする中、我が国のソフトパワーとしての創作文化の振興をしっかり図ってまいります。
このため、政府としては、今回の総合緊急対策において、資金繰り支援等を通じたコンテンツ産業を担う中小企業への支援、ガイドラインの作成、普及啓発などクリエーターの処遇改善、創作機会の提供などによるクリエーターの育成、ノンファンジブルトークンの活用などのコンテンツ市場の活性化、海外展示会への出展などによる創作文化の海外発信などに取り組んでまいります。
足場資材の開発、導入支援と資材高騰等による中小建設企業等へのしわ寄せ対策についてお尋ねがありました。
足場資材の開発、導入支援については、生産性向上に資する革新的な足場の開発に取り組む中小企業の支援や安全性の高い足場の普及などに取り組んでまいります。
資材高騰等による中小建設企業等へのしわ寄せ対策については、買いたたきに対する取締り強化など取引適正化の取組を進めるとともに、原材料費等の価格を反映した適正な請負代金等の設定について発注者や建設業団体に周知徹底を図るなど、適正な価格転嫁のための環境整備を進めてまいります。
フードバンク等への食品提供のコーディネートの支援についてお尋ねがありました。
食品事業者から余剰となっている食品を引き取り、子供食堂や生活困窮者等に無償提供するフードバンクやフードパントリーは、孤独・孤立対策の観点から重要な機能を有しており、昨年末に取りまとめた孤独・孤立対策の重点計画に居場所づくりとして位置付けられました。これを受け、食品の輸送、保管への支援、フードバンクの活動をサポートする地方自治体への交付金による支援や災害用備蓄食料の提供など、政府一体となって支援を行ってまいります。
さらに、今般の総合緊急対策において、フードバンクに対して、食品供給元となる食品事業者とのマッチング等を行う専門家の派遣によるサポートなどを行うこととしており、きめ細かく支援をしてまいります。
補正予算において予備費を計上する趣旨についてお尋ねがありました。
足下のウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰等については、総合緊急対策によって緊急かつ機動的に対応してまいりますが、今後の災害や新型コロナの再拡大、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格、物価の更なる高騰など、状況は予断を許しません。
こうした不透明な情勢に伴う予期せぬ財政需要にも迅速に対応し、国民の安心を確保するため、今般の補正予算において、一般予備費と新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費、合わせて五・五兆円の十分な水準を確保することといたしました。
政府としては、これら予備費を適切に活用することで、国民生活を守り抜くための万全の備えを固めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/11
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012・山東昭子
○議長(山東昭子君) 西田実仁さん。
〔西田実仁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/12
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013・西田実仁
○西田実仁君 公明党の西田実仁です。
私は、公明党を代表して、財政演説について総理に質問いたします。
初めに、ロシアによる理不尽なウクライナ侵略は明らかな国際法違反であり、非人道的行為を犯し、一般市民の命まで奪うという暴挙は断じて許されるものではありません。一日も早い停戦に向け、ロシアに対して毅然とした態度で制裁を強めていかねばなりません。
また、公明党としても、最大限の人道支援に全力を尽くしてまいります。
北朝鮮による相次ぐミサイル発射は断じて許されない挑発行為です。強く非難するとともに、いかなる状況にあっても警戒を怠らず、国民の命と暮らしを守らねばなりません。
日米首脳会談、クアッド首脳会合、そしてASEAN諸国との対話など、総理におかれては精力的な幅広い外交を展開いただいております。国際紛争が激化し、戦後の国際秩序が崩壊に瀕している今日、自由貿易、相互信頼、互恵、国際協調などの基本的価値観をアジアから発信し、新しい国際ルールの提案外交を推進する役割を日本が担っていくことが望まれます。
今回のインド太平洋経済枠組み、IPEF創設に当たっては、どうしたらASEANやインドがIPEFに積極的に参加してもらえるか、これらの国の声をよく聞いて構想に反映させることも必要でしょう。IPEFを軌道に乗せることで、日本のプレゼンスを最大限発揮してほしいと思います。
具体的には、世界の分断で世界貿易の縮小が懸念される中で、参加国域内の経済的不均衡が拡大しないように、様々に協議する常設機関を設置するなど、情報交換を密にすることが期待されます。
IPEFを軌道に乗せるために日本はどのように動くのか、具体的にどのような取組をするのかについて、総理のお考えをお聞きします。
ロシアによる侵略が原油、原材料価格の急騰を引き起こし、昨年から続く物価高騰に拍車を掛けています。特に、ガソリンや電気代、食料品など、生きていく上で欠かせない品目の値上げが顕著です。
今後も影響が長期化し、急速に進む円安の影響とも相まって、さらに幅広い商品やサービスの値上げが続くのではないか。また、依然として続く感染症や、激甚化、頻発化する自然災害への備えも緩めることは許されない。こうした強い危機感と使命感から、公明党は、今国会中の補正予算の編成、成立が絶対に必要であると強く訴え続けてまいりました。この度、補正予算案の提出に踏み切った政府の対応を高く評価します。
それでは、以下、原油価格・物価高騰等総合緊急対策について、具体的に質問いたします。
先日、私は地元埼玉県の園芸ハウスを訪問し、燃油価格の高騰で事業が続けられないなど、悲痛な声を伺いました。
公明党が対策を強く求めた結果、緊急対策には、園芸事業者を含め、事業者ごとに価格高騰の緩和策が盛り込まれました。原油高に苦しむ農林漁業者やタクシー事業者等が今後も安心して事業を継続できるよう、支援を切れ目なく実行すべきです。
一方で、原油のみならず、国際商品の高騰も続くことが見込まれることから、省資源、省エネルギー国民運動を強化し、需要を抑えていくことも必要です。
原油価格高騰対策について、総理の答弁を求めます。
続いて、観光振興について伺います。
今回の緊急対策では、原油価格高騰の影響を受ける観光事業者等に対し、感染、省エネ対策等の支援を行うこととしています。また、現在実施されている県民割について、来月末で期限が終わることから、観光需要喚起策の継続が求められます。
海外からの観光客受入れ、また、新たなGoToトラベル事業など、感染状況を踏まえた上でどのように実施していくのか、今後の観光需要喚起策について、総理の答弁を求めます。
今回の緊急対策では、公明党の強い主張により地方創生臨時交付金を拡充し、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分が創設されました。物価高騰で苦しむ方々に対する各自治体の取組に対して一兆円が確保をされました。
これにより、例えば、学校給食費の値上げ対策、水道料金等の負担軽減、公共交通の運賃対策など、我が党のヒアリング活動でも寄せられた多くの声を実現するための体制が整いました。私は、介護・福祉サービス事業者からも食材費や光熱水費の高騰で苦しんでいる話を伺いました。公明党は、全国各地の地方議員と連携し、こうした方々に対するきめ細やかな支援を一つずつ着実に実現してまいります。
〔議長退席、副議長着席〕
政府におかれては、円滑な交付に向けた準備を急ぐとともに、各自治体に対する具体的な活用事例の紹介や、国の交付決定前でも対象事業に着手できること等の情報提供に迅速に取り組んでいただきたい。どう取り組むのか、お聞かせください。
また、介護・障害福祉事業者のように、売上げが基本的に公定価格で定められ、価格転嫁ができない事業者について、今後、別途の支援策も検討すべきではないでしょうか。併せて総理にお聞きをいたします。
続いて、子育て世帯や生活困窮者への支援について伺います。
今般の総合緊急対策では、住居確保給付金の特例措置など、政府がこれまで行ってきた生活困窮者支援策の申請期限の延長や、運用改善、拡充等が盛り込まれています。
低所得の子育て世帯に対しては、児童一人当たり一律五万円の生活支援特別給付金が給付されます。児童扶養手当を受給している一人親、住民税非課税で中学生以下の子供がいる世帯にはプッシュ型で給付が行われますが、対象になる子供が高校生だけの世帯や、今年に入ってから所得が急激に減った世帯は申請が必要です。こうした方がしっかりと給付を受けることができるよう、丁寧に周知していくことが重要です。
子育て世帯や生活困窮者への支援策に関し、生活にお困りの方がしっかりと支援を受けることができるよう、特に申請が必要な施策は丁寧な周知を徹底すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
最後に、賃上げ支援について伺います。
物価上昇に伴い賃金も上がっていかなければ、コロナ禍からの日本経済の回復は大きく阻害されてしまいます。
しかしながら、中小企業を始めとする下請企業にとっては、原材料費の上昇分を適切に価格に転嫁できなければ、収益が圧迫され、賃上げどころではありません。我が党に寄せられた最も多かった声の一つが取引の適正化対策です。政府は、本年二月、価格交渉のより一層の促進など、いわゆる五つの取組を公表していますが、その実施状況のフォローアップを通じて、どう実効性を強化をするおつもりなのか、総理の答弁を求めます。
具体例として、これは地元埼玉で伺った話ですが、元々飲食店でパートとして働いていた女性が、コロナを機に物流会社に正社員として転職したそうです。会社が女性に対して中型トラックの運転免許の取得を支援してくれたことに加えて、女性でも配送しやすい専用車両の開発や台車の導入といった設備投資にも力を入れていました。結果、事業者側にとってはドライバーの人手不足の解消につながり、女性は年収が二倍に増えたそうであります。
こうした人や設備への投資により労働環境を改善する企業に対して、税制や予算で大胆な支援を行い、日本全体の生産性を向上させて、持続的な賃金上昇を果たしていくべきと考えますが、総理の御所見をお伺いをいたします。
以上、公明党は責任与党として、あらゆる脅威から国民の命と暮らしを守り抜くため、これからも現場第一主義に徹し、小さな声を聞き、真に必要な支援策を実現しゆくことに全力を挙げていくことをお誓いし、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/13
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014・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 西田実仁議員の御質問にお答えいたします。
インド太平洋経済枠組み、いわゆるIPEFについてお尋ねがありました。
今般、東京でバイデン大統領がIPEFの立ち上げを宣言されたことは、この地域への米国の強いコミットメントを明確に示すものであり、我が国として高く評価しています。
IPEFは、サプライチェーンの強靱化など四つの分野の今日的課題について協力をしていくものである、ここに特徴があります。IPEFが地域の経済秩序にとって有意義な枠組みとなるため、できるものから早期に具体的な成果を出していくことが重要だと考えます。
日本は、米国、インド、ASEANを始めとする地域のパートナーと手を携えて、共に具体的な成果を目指して努力をしていきたいと考えております。
原油価格高騰対策についてお尋ねがありました。
農林漁業者や自動車の燃料油価格の激変緩和事業について、基準価格を百六十八円に引き下げるとともに、補填の上限を引き上げるなど、制度を強化し、国内価格の急激な上昇を抑制しています。LPガスを使用するタクシー事業者にも同様に支援を継続、拡充しています。これに加え、漁業、農林業、運輸業などの業種別の対策などを重層的に講じており、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えていきます。
また、省エネルギーについては、例年、需要が高まる夏季と冬季に、国民の皆様に対する省エネの協力要請を実施しているところです。今後も足下のエネルギー需給状況を注視しながら、対策を強化してまいります。
今後の観光需要喚起策についてお尋ねがありました。
観光は、我が国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札として期待されている一方、新型コロナの感染拡大により甚大な影響を受けています。
海外からの観光客受入れについては、現在、訪日観光再開に向けて必要な材料を収集するため、観光庁において実証事業を行っており、感染状況を注視しつつ、こうした準備状況を踏まえて検討を進めてまいります。
国内の観光需要喚起策については、現在、県民割事業を支援していますが、新たなGoToトラベル事業については、今後の感染状況等を見極めつつ、引き続き注意深く検討をしてまいりたいと思います。
地方創生臨時交付金の物価高騰対応や介護・障害福祉事業者への支援についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、コロナの影響が続く中で、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担の軽減を、自治体が地域の事情に応じきめ細やかに実施することができるよう、地方創生臨時交付金に一兆円の原油価格、物価高騰に対応した枠を創設しました。
各自治体には、当該予算を活用可能な事業例やQアンドAをお示しするなど、制度の趣旨の周知に努めているところです。引き続き、自治体からの質問や相談に丁寧に対応することにより、地域の実情に応じたきめ細やかな支援をお届けしてまいります。
食材料費の高騰の影響を受けている介護サービス事業所等についても、各自治体の判断により地方創生臨時交付金を活用した支援が可能であり、事業者等の負担軽減に向けた取組を進めていただくよう、自治体に依頼するなどの対応をしているところです。
子育て世帯や生活にお困りの方への支援についてお尋ねがありました。
西田議員から御紹介いただいたとおり、総合緊急対策においては、コロナ禍の中で物価高騰等に直面する子育て世帯や生活困窮者の生活を守るため、緊急小口資金の特例貸付けの申請期限の延長等のほか、低所得の子育て世帯に対して子供一人当たり五万円の給付金をプッシュ型で支給するなど、支援策を盛り込んでいます。
こうした取組が支援を必要とする方々にしっかりと届くよう、申請不要なプッシュ型給付を行いつつ、申請が必要な方に対しては、政府広報やSNSの活用による情報発信、ハローワーク、社会福祉協議会などの関係機関や民間支援団体等を通じた周知、広報などに取り組みながら、自治体等とも連携しつつ、丁寧な周知に取り組んでまいります。
そして、中小企業の賃上げについてお尋ねがありました。
議員御指摘の取引適正化に向けた五つの取組のフォローアップとして、現在、中小企業へのアンケートや下請Gメンによるヒアリングを実施しており、今後、その結果を踏まえ、下請振興法に基づく指導、助言を実施するなど、その実効性の強化を図っていきます。
人への投資については、非正規雇用労働者のキャリアアップ、リカレント教育など、生涯にわたる能力発揮の促進、成長分野などへの労働移動の円滑化支援など、生産性向上に向けた賃金上昇に向けて、三年で四千億円のパッケージを活用し、民間ニーズを反映しながら、取組を強化してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/14
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015・小川敏夫
○副議長(小川敏夫君) 浜口誠君。
〔浜口誠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/15
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016・浜口誠
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
会派を代表して、財政演説に対して、以下、岸田総理に質問します。
五月二十三、二十四日に東京で、日米首脳会談、日米豪印四か国、いわゆるクアッド首脳会合が行われました。議論の内容と成果について説明を求めます。
今回の補正予算の追加歳出は二・七兆円、極めて小さいと言わざるを得ません。コロナ禍と消費税増税前の二〇一九年七月から九月期の実質GDPは約五百五十八兆円。一方、先週公表された二〇二二年一―三月期の実質GDPは約五百三十八兆円となっており、その差はマイナス二十兆円となっています。こうした実態を踏まえると、政府として、日本経済の復活に向けて、少なくとも今回の補正予算で二十兆円規模の経済対策を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
また、補正予算のうち一兆五千二百億円は使用した予備費を埋め戻すための予算となっています。予備費補填を主目的とした補正予算の編成は極めて異例と考えますが、その妥当性について説明を求めます。
四月の消費者物価は、前年同月比二・一%上昇し、消費税率引上げの影響を除くと、〇八年九月以来十三年半ぶりの上昇となりました。生鮮食品を除く調査対象の五百二十二品目のうち三百五十一品目が上昇し、三月の三百二十を上回り、値上げの裾野が広がっており、家計を大きく圧迫しています。
国民民主党は、こうした状況を打開するため、賃金上昇率が物価プラス二%に達するまでの間、消費税五%への引下げやガソリン減税など、家計減税で家計の消費力を高めるとともに、家計を守るため、インフレ手当を導入し、一律十万円の現金給付を行うことを提案しています。
政府として、物価高の長期化を見据え、どのような家計支援策を講じていくのか、また、物価が上がり景気が低迷するスタグフレーションを回避するためにどのように対応していくのか、伺います。
原油価格高騰対策について伺います。
国民民主党、自民党、公明党の三党によるトリガー条項の凍結解除などを検討する検討チームの成果として、四月二十八日から石油元売会社への補助金上限三十五円への引上げ、基準価格の引下げ、航空機燃料への補助追加、タクシーの燃料であるLPガスへの補助拡充が実施されたことは評価します。他方、今回の対策は九月末までとなっていますが、十月以降の対策はどのように考えているのか、お答えください。
国民民主党は、ウクライナ情勢などにより原油価格高騰の長期化が懸念される中で、これまで提案を続けてきたトリガー条項の凍結解除を今後も徹底して求めていく決意です。トリガー条項の凍結解除について見解を伺います。
円安への対応等について、以下、伺います。
円・ドルの為替レートは、今年の三月以降急速な円安となっており、今年の二月までの一ドル百十五円近辺から、足下では百三十円近辺になり、一ドル百三十五円まで円安が進むとの声もあります。円安は原油などの輸入価格を押し上げるため、あらゆる輸入製品の値段や事業のコストが上昇します。三月の輸入総額は、一年前から三割も増加しました。円安が進めば進むほど日本は貧しくなっていくとの指摘もあります。足下の急激な円安が日本経済に及ぼす影響について見解を伺います。
また、円安が進んでいる直接的な要因は、日本と米国の金融政策の違いによって日米の金利差が拡大しているからです。現在は為替の緊急事態です。円安の加速で輸入コストが一気に上がり、多くの企業が苦しい状況に直面をしています。自国通貨の価値を守ることは中央銀行の最大の責務です。日銀は早期にこれまでの金融緩和路線の政策を転換すべきです。見解を伺います。
また、安倍元総理から日銀は政府の子会社との発言もありましたが、日銀は政府の子会社なのか、総理の御所見を伺います。
コロナ対策に関して伺います。
先進国を中心に、水際対策の緩和、観光目的の入国者の受入れなど、経済と社会を動かす対応を強化しています。日本においても、六月から入国者の上限を一万人から二万人とする方針です。一方、外国人観光客の入国を認めていない国は、中国や日本など極めて少数派となっています。外国人観光客の本格的な受入れを早期に再開すべきと考えますが、見解を伺います。
また、今国会において薬機法が改正され、新型コロナ用の国産飲み薬の緊急承認に期待が高まっています。今後の承認見通しを伺います。
国民民主党は、感染症等の健康危機対応は国家安全保障であると考え、感染症対策の司令塔機能強化のため、米国のCDC、疾病予防管理センターを参考に、日本版CDCを創設すべきと提案をしています。日本版CDCに対する御所見を伺います。
また、新型コロナ感染症の感染症法上の位置付けを二類相当から五類に見直す議論も本格的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
カーボンニュートラルに関して伺います。
政府は、脱炭素社会の実現に向けて、クリーンエネルギーへの移行や蓄電池の生産、次世代の自動車の導入など後押しするため、二十兆円規模の財政支援を行い、財源は環境債を発行するとしています。カーボンニュートラルを実現するとともに、環境分野で世界と闘うためには必要な投資と考えますが、環境債の法的な位置付けや二兆円のグリーンイノベーション基金との違いについて説明を求めます。
愛知県の矢作川から農業用水や工業用水を取水する堰の施設である明治用水頭首工で大規模な漏水が生じ、先週末時点では、農業用水が止まり、工業用水も必要量の三割程度の供給となるなど、大きな影響が生じています。地元からは、少しでも漏水を防ぐため、国が現場で迅速に対応を判断していれば農業用水や工業用水への影響を減らすことができたのではないかとの声も上がっています。
国の初動の遅れに対してどのように考えているのか、見解を伺います。
日本は、一九九六年をピークに実質賃金が下がり続けています。世界一勤勉で懸命に働く日本人の給料がなぜ下がり続けているのか。最大の原因は国の経済政策の失敗であると考えます。見解を求めます。
国民民主党は、給料が上がる経済の実現に向け、日本の競争力や成長力の源である人への投資を徹底して増やすため、教育国債で教育、科学技術予算を年間十兆円規模に倍増することを提案しています。また、エネルギーや食料、半導体等の重要物資や基本的な生活物資の海外依存をできる限り低減し、自立したサプライチェーンによって日本の富が海外に流出しない経済システムに大転換すべきと考えますが、給料が上がる経済の実現に向け何をすべきか、御所見を伺います。
最後になりますが、国民民主党は、給料が上がる経済の実現、積極財政への転換、人づくりこそ国づくり、自分の国は自分で守る、正直な政治を貫く、この政策五本柱の実現に向け全力で取り組むことを宣言をして、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/16
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017・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浜口誠議員の御質問にお答えいたします。
日米首脳会談及び日米豪印首脳会合についてお尋ねがありました。
今回の日米首脳会談においては、国際秩序の根幹を揺るがす事態の中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守るために、日米の連携を再確認できました。また、インド太平洋地域の平和と繁栄の確保が国際社会の最重要の戦略課題であり、日米が主導的役割を果たしていくことを確認いたしました。
日米豪印首脳会合では、力による一方的な現状変更をいかなる地域においても許してはならないこと、そして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を一層推進していくことが重要であり、幅広い分野で実践的協力を進めることでも一致をいたしました。
ポスト冷戦時代の終えんとも言える現下の国際情勢において、日米及び日米豪印の首脳間で法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持発展を目指すとのメッセージを東京から世界に力強く発信することができたことは極めて大きな意義があると考えています。
経済対策の内容と補正予算の編成についてお尋ねがありました。
昨年十一月に策定した事業規模七十九兆円の経済対策に基づき、現在、令和三年度補正予算の繰越事業や過去最大の令和四年度当初予算の事業に迅速かつ着実に、予算の事業を迅速かつ着実に執行しているところです。
それに加えて、先般、ウクライナ情勢等に伴う原油価格や物価の高騰等による国民生活への影響に緊急かつ機動的に対応するため、事業規模十三兆円の総合緊急対策を取りまとめました。
本対策に盛り込まれた各施策を迅速に実行することで、昨年の対策と相まって、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとしてまいります。
今般編成した補正予算については、総合緊急対策で使用した金額相当の予備費を確保するとともに、六月以降の燃料油価格の激変緩和事業に必要な予算を盛り込んだものです。これらの措置は、今後の災害、新型コロナの再拡大、原油価格、物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、必要な補正予算であると考えております。
物価高を踏まえた家計支援策や原油価格高騰対策についてお尋ねがありました。
今般の総合緊急対策においては、家計にとって重大な問題であるガソリン価格や小麦価格等の国内価格の上昇抑制を行うとともに、低所得の子育て世帯への給付金の支給、給食費の負担軽減など、地域の事情に応じたきめ細かな対策を後押しするなど、コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者に対する重層的なセーフティーネットを用意しています。
まずは、これらを迅速に実行することで景気の下振れリスクにしっかりと対応するとともに、予期せぬ事態に対しては、今般の補正予算で五・五兆円の予備費を用意し、国民生活を守り抜くための万全の備え、固めてまいります。十月以降の原油価格高騰対策については、今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するかなどを見極めながら、対策を検討してまいります。
なお、トリガー条項については、三党検討チームにおいて、現時点で発動に際しての課題を解決するための具体的な方策について結論を見出すに至っていないため、引き続き検討するとされたと承知をしております。
円安と金融政策等についてお尋ねがありました。
為替の水準についてコメントすることは差し控えますが、為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくないと考えます。
その上で、一般論として、円安により、輸出や海外展開をしている企業の収益は改善する一方で、輸入価格の上昇を通じて企業や消費者に負担増となると承知をしており、円安は日本経済に対して様々な影響を与えることが考えられます。
足下の物価上昇は、為替の影響もあるものの、主に世界的な原材料価格の高騰等を背景としたものと認識をしており、総合緊急対策により、影響を受ける方々への必要な支援を迅速に届けてまいります。
金融政策については、日銀において、平成二十五年の政府、日銀の共同声明の考え方に沿って、引き続き、物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて努力されることを期待しております。
また、政府と日銀の関係については、一般論として、政府は日銀に対して出資をしているものの議決権はなく、日銀には日本銀行法において金融政策や業務運営の自主性が認められていることから、政府がその経営を支配している法人とは言えず、会社法で言うところの子会社には当たらないと考えております。
新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
新型コロナについては、平時への移行期間として最大限の警戒を保ちつつ、徐々に通常の社会経済活動を取り戻してまいります。
外国人観光客の受入れについては、現在、訪日観光再開に向けて必要な材料を収集するため、観光庁において実証事業を行っており、感染状況を注視しつつ、こうした準備の状況を踏まえて受入れに向けて検討を進めてまいります。
改正薬機法に基づく緊急承認制度については、個別の治療薬について、企業の申請があれば、有効性、安全性の観点から優先かつ迅速に審査を行い、認められれば速やかに承認の手続を行ってまいります。
司令塔機能の強化については、次の感染症危機に備えて、本年六月をめどに、危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化や感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめてまいります。
感染症法上の位置付けについては、新型コロナは、オミクロン株であっても致死率や重症化率がインフルエンザよりも高く、更なる変異の可能性もあります。このため、平時への移行期間として最大限の警戒局面にある現時点では、五類に変更することは現実的ではないと考えておりますが、引き続き議論は続けてまいりたいと思います。
環境債とグリーンイノベーション基金についてお尋ねがありました。
今後十年間に百五十兆円超の脱炭素投資を実現するため、成長志向型カーボンプライシング構想を具体化する中で、裏付けとなる将来の財源を確保しながら、二十兆円とも言われる必要な政府資金を、仮称ではありますが、GX経済移行債として先行して調達し、速やかに投資支援に回していくことを一体で検討いたします。その法的位置付けについては、現段階で具体的に決まっているものではありません。
グリーンイノベーション基金は、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現する革新的技術の開発などを目指すものです。今後検討するGX経済移行債については、支援資金を先行して調達し、今後十年間で必要となる民間の長期巨額投資の呼び水とすることを考えておりますが、その具体的な内容は本年夏に設置するGX実行会議において議論を深めてまいります。
明治用水頭首工の漏水への初期対応についてお尋ねがありました。
漏水の発生後直ちに応急措置を開始するとともに、漏水量の増大による工業用水や農業用水の供給停止以降は、関係機関での情報共有や利水者間の調整を行いつつ、応急取水ポンプの設置を進めるなど、現場の状況に応じ可能な限り迅速に対応しております。
この結果、工業用水の供給を再開済みであり、現在は農業用水の供給再開のための試験的通水を開始したところであり、五月中をめどに最低限必要な水量を供給できるよう、農林水産省が関係機関と連携してスピード感を持って対応してまいります。
我が国の賃金についてお尋ねがありました。
我が国は、バブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に他国と比べて低い経済成長が続き、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、デフレが継続する悪循環であったと承知をしており、この中で賃金が伸び悩んだと考えております。
このトレンドを一気に反転させ、賃上げを実現すべく、賃上げ税制の拡充に加え、公的価格の引上げや中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備など、あらゆる施策を総動員して、官民連携して賃上げの社会的雰囲気を醸成していきます。
あわせて、人への投資の強化や企業の生産性の向上を図り、企業収益の改善が次なる賃上げにつながる好循環を生み出すことで持続的に賃金が上がっていく経済構造をつくってまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/17
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018・小川敏夫
○副議長(小川敏夫君) 浅田均君。
〔浅田均君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/18
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019・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。
私は、会派を代表して、鈴木財務大臣の財政演説に関連して質問いたします。
去る四月二十三日に発生した知床沖での観光船海難事故で亡くなられた方の御冥福を心よりお祈りするとともに、いまだ発見されていない方々の一刻も早い発見を願うものです。
補正予算関連の質問に入る前に、今回の事故に関係する法律、国が実施している船舶検査、地方運輸局の監査体制について、斉藤国土交通大臣に以下八点質問いたします。
まず、個人所有の小型船舶に対し船舶検査や操縦免許取得を課している国は日本以外にほとんどありませんが、これはなぜですか。また、個人用の小型船舶でも、何十人も客を乗せる個人旅客船でも同じ操縦士免許で操縦できるのはなぜですか。
限定沿海区域を航行する小型旅客船に適用される救命設備は救命いかだ又は救命浮器と定められ、事故を起こした観光船はこのうち救命浮器を積んでいました。救命浮器とは、空気で膨らむ四畳半ぐらいのマットで、事故の際には乗客がロープにつかまって海面を漂うものですが、水温が一桁の海では、確実に一時間以内に低体温症で命を落とすと言われています。事故後、国交省は死亡が確認された方の死因を溺死と発表していますが、本当の死因は低体温症ではありませんか。
仮に観光船が救命いかだを積んでいたら、誰も死なずに済んだかもしれないと思わざるを得ません。船舶検査で合格するには、国交省が独自に策定した基準をクリアした桜マーク付きの救命いかだである必要があります。価格は六人乗りで五十万円前後であり、安価な外国製のいかだに比べ、桁が一つ違います。
認定品の救命いかだは非常に高く、認定品でない安いいかだを積んでいても法的に意味がないため、海水温が低い北の海で事業を行う観光船に人の命を救うのに絶対に必要な救命いかだが積まれていなかったのではありませんか。お答えください。
今回、事故直後の報道によると、海上保安庁は現場海域到着まで三時間も掛かっています。初期対応が遅れたということは、乗船者に死が迫っているという判断がなかったからではありませんか。
日本では、今回の事故のように、限定沿海区域を走る小型船舶には水密区画を設置する規定はなく、事故を起こした観光船にも水密規格は、区画は設けられていませんでした。したがって、一か所でも浸水すると、浸水を止めない限り沈没します。このことを全ての海上保安官は知っているのですか。
前年に発生した事故後に行われた北海道運輸局による特別監査では、船体を陸揚げせずに補修状況を確認していたり、ずさんな運航記録の内容を見逃したりしていました。また、運航管理者である事業者社長が、法定要件を満たしていないにもかかわらず、自己申告をチェックすることもなく許可を行っていたり、衛星電話から携帯電話への変更申告フォームには、通信可能であることの説明として、通信可能であったと自己申告する欄がわざわざ選択肢として記載されていたりと、何から何までむちゃくちゃで、この事故は起こるべくして起きたと考えざるを得ません。
もはや日本小型船舶検査機構、JCIの問題のみならず、毎年監査を実施している国交省の責任は極めて重大と考えますが、報告書フォームの件を含め、見解を求めます。
我が党の調査により、JCIは、監事を除く三人の常勤理事のうち、理事長と業務担当理事の二名が国交省OB及び現役出向者、社員総数百六十八名のうち、検査員百五十五名を除く十三名の社員のうち四名が国交省からの現役出向ということが判明しました。国交省と結び付きの強い機構に検査を委託することによるなれ合い体質があったのではないですか。
本補正予算案にあります原油価格高騰対策についてお尋ねいたします。
既に現時点で三十五円を超える補助金が投入されていますが、一方で、ガソリン税については、当分の間税率として二十五円が課せられています。二十五円の税金を掛けて三十五円以上の補助金を投入しているわけです。当分の間税率はいわゆる租税特別措置であり、今こそ税の簡素化の原則にのっとって廃止すべきではありませんか。
トリガー条項の発動と異なり、暫定税率そのものを廃止すれば、出口戦略における市場が混乱することもありません。そもそも、消費者に少しばかりの税を課すという方法でガソリン消費を抑えようという小手先の対応ではなく、カーボンプライシングを含めて石油製品に対する課税の在り方を抜本的に見直すべきです。なぜ租税特別措置である当分の間税率の廃止を行わないのか、岸田総理大臣にお尋ねします。
本激変緩和対策事業は九月までを対象期間とし、その後は状況を見て更なる判断を行うとのことですが、出口戦略について、市場価格にかかわらず、ウクライナの戦況が安定し、先が見通せるようになったら本事業をフェードアウトさせるとの説明が経産省からありました。つまり、仮に戦争の状況により原油価格がまだ高騰していたとしても、補助金投入を止めるということです。これでは、それこそ出口段階で市場が混乱するのではないでしょうか。そうであれば、当分の間税率を廃止して、混乱を少なくする方がよいのではないでしょうか。併せて総理の見解を求めます。
政府は、今月十七日、勤労者皆保険の導入を決定しました。被用者保険の適用対象を拡大することで、制度維持が困難になっている国民年金適用者を厚生年金に移行させていくという内容であり、フリーター、ギグワーカーの扱いは決まっておらず、いまだ宙に浮いたままです。当然、企業の保険料負担は増え、社員の給与を上げるインセンティブが減り、結果、標準報酬月額で保険料が決まる厚生年金の収支バランスに影響を与え、持続可能性に影響が出るという負のスパイラルへの懸念はないのでしょうか。総理の見解をお尋ねします。
二十三日の日米首脳会談において、核戦力を含めた拡大抑止についても議題となりました。
米ソ対立時における安保の最前線は西ドイツでした。大戦後、軍事力強化に控えめだった西ドイツは、NATOと比して強力な軍事力を有したワルシャワ条約機構、とりわけソ連の戦車に対抗するために、アメリカとの核共有の道を選択しました。
今後、米中が世界の安保の対立軸になっていけば、今度は我が国と韓国が世界の安保の最前線となります。米ソ核軍縮交渉によりアメリカが中距離ミサイルを全廃した中、中国は千二百五十から二千発の核弾頭搭載可能な中距離ミサイルを生産し、極東の軍事バランスにおいて中国が有利になってきているという現実があります。アメリカが今後、第一列島線である我が国に中距離ミサイルの配備を求めてくれば、そのときに、我が国はNPT加盟国であるという前提で核共有の議論を始めるべきではないでしょうか。これは威勢の良い話ではなく、極めて現実的な話です。
アメリカの大陸間弾道ミサイルは発射されてから三十分で北朝鮮、中国に到達することから、北朝鮮や中国が航空機に核爆弾を積んで我が国に飛来してくることは現実的ではなく、直接地上から核ミサイルを我が国に向けて発射することが想定されます。したがって、自国の戦闘機にアメリカの核弾頭を搭載するというドイツ型、NATO型の核共有は我が国には適しません。アメリカの核使用における軍事作戦計画を共有する、核使用に係る共同訓練を行うなど、日本型の核共有を検討していくことが現実的だと思われます。もちろん、いかなる形であれ、核共有の議論とNPT体制は同時に議論される必要があります。
この点に関し、岸田総理の御認識を伺い、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/19
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020・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浅田均議員の御質問にお答えいたします。
ガソリン税の当分の間税率の廃止についてお尋ねがありました。
揮発油税等については、昭和四十九年度以来、暫定措置として本則よりも高い税率が設定されていましたが、平成二十一年の道路特定財源の廃止を踏まえ、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情を踏まえて、それまでの税率が維持され、当分の間税率とされたものと承知をしています。こういった状況は現在も変わりはなく、特に気候変動が社会課題となっている中で、当分の間税率の廃止については慎重であるべきだと考えております。
激変緩和措置、激変緩和策については、原油価格の動向等を踏まえながら、事業終了時に大幅な価格変動が生じることがないよう、必要な対応を行ってまいります。
勤労者皆保険についてお尋ねがありました。
被用者保険の適用拡大の意義は、被用者にふさわしい厚生年金保険や健康保険による保障を確保するとともに、働き方により社会保険の適用が変わる問題を解消し、希望に応じた働き方を選択していただけるようにするということにあります。働き方に中立的な制度が実現すれば、働きたい人の能力発揮の機会や、企業経営に必要な労働力が確保されやすくなり、企業にもメリットがあります。
勤労者皆保険の実現に向けた取組により、社会保障の支え手を増やして持続可能な社会保障の構築につなげてまいりたいと考えております。
核共有についてお尋ねがありました。
核共有については、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係から認められず、政府として議論をすることは考えておりません。
その上で、今回の日米首脳会談において、バイデン大統領から、核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する米国のコミットメントが表明されました。また、今後も拡大抑止が揺るぎないものであり続けることを確保するため、閣僚レベルも含め、日米間で一層緊密な意思疎通を行っていくことでも一致をいたしました。
今後とも、米国の拡大抑止の信頼の維持強化に向けて、日米間で協議を行ってまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/20
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021・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 浅田均議員から御質問ございました。お答えさせていただきます。
まず、個人所有の小型船舶の操縦免許や船舶検査についてお尋ねがありました。
我が国においては、個人所有の小型船舶についても、友人等多数の第三者を乗船させたり、一たび海難を起こせばほかの船や遊泳者等に及ぼす危険性が大きいことから、船舶職員及び小型船舶操縦者法並びに船舶安全法に基づき、操縦免許の取得や船舶検査の受検を義務付けております。
操縦免許については昭和二十六年より、また、検査については、プレジャーボートや小型漁船の事故が増えていたことを背景に、昭和四十九年より義務付けを行っているところでございます。
小型船舶の操縦士免許についてお尋ねがありました。
個人用の小型船舶とは異なり、旅客を乗せる小型船舶の船長になるためには、小型船舶操縦士免許の取得に加え、船舶職員及び小型船舶操縦者法に基づく特定操縦免許を取得することが必要となります。
知床遊覧船事故で亡くなられた方の死因についてお尋ねがありました。
海上保安庁からは、医師が立ち会った検視の結果、十四名の方の死因について溺死であると聞いております。
救命いかだについてお尋ねがありました。
救命いかだについては、確実に動作することが確認された認定品でなければ緊急時に使用できないおそれがあることから、船舶安全法に基づき、国が型式を認定し、日本小型船舶検査機構が検定を行ったものを搭載することとしております。
今回のKAZUⅠのような小型船舶から救命いかだに乗り移る場合には、乗客が荒れた海に落水する危険性が高いなどの課題があることから、知床遊覧船事故対策検討委員会において、特に厳しい気象、海象下にある水域を航行する船舶に備えるべき救命設備の要件についてもしっかりと議論し、必要な措置を講じてまいります。
初動対応の遅れについてお尋ねがありました。
海上保安庁においては、遊覧船KAZUⅠの海難情報を受け、直ちに巡視船艇、航空機に発動を指示するとともに、つり上げ救助を行うため、まず、当時、他の業務に従事していたヘリコプターを釧路航空基地に一旦戻し、給油して潜水士を同乗させた上、現場海域に向かわせました。
小型船舶に関する海上保安官の知識についてお尋ねがありました。
海上保安庁の教育機関である広島県呉市の海上保安大学校及び京都府舞鶴市の海上保安学校において、学生は、小型船舶操縦士の資格を取得するため、小型船舶の構造や設備、事故対策などに関する基礎的な知識を習得しております。
日本小型船舶検査機構、JCIの監督や事業者に対する監査についてお尋ねがありました。
一九七四年に小型船舶が検査の対象にされて以降、同年に船舶安全法に基づき設立された機構が検査を実施しております。国土交通省では、これまで、定期的な監査や機構の予算及び検査方法の認可などにより機構の監督を行ってきたところです。
御指摘の変更申請フォームも含め、携帯電話の検査方法については、国土交通省として機構が内規で定める特例的な検査方法を把握できていなかったところ、本年五月九日に機構に対し是正を指導し、速やかに改善されました。
機構の検査方法が十分でなかったことに鑑み、機構の検査方法を国への届出制から認可制へ変更するとともに、機構の実際の検査の現場を国が点検するなど、国による監督強化を進めてまいります。
また、有限会社知床遊覧船に対しては、昨年二度の事故を受けて、北海道運輸局において昨年六月の特別監査を実施し、七月に安全管理規程の遵守等の指導を行うとともに、その後、十月に同局職員が同社の本船及び事務所を事前通告なしで抜き打ちに訪問し、改善内容について確認を行っております。
しかしながら、こうした監査等を行ってもなお今回の事故が発生したことについて真摯に受け止め、抜き打ち、リモートによる監視強化や運航管理者の資質、要件について裏取り調査による確認など、このような確認などにより監査の強化を進めてまいります。
国土交通省と日本小型船舶検査機構のなれ合い体質があるのではないかとのお尋ねがありました。
船舶検査につきましては、船舶安全法に基づき、総トン数二十トン以上の船舶については国土交通省が、二十トン未満の船舶については機構が、それぞれ分担して検査を行うことにより、我が国の数十万隻に及ぶ船舶の安全確保を図っています。
国土交通省では、機構においても適切な検査が実施されるよう、定期的な監査や予算及び検査方法の認可を行うなど、機構の管理監督を行っております。このため、なれ合いの体質があったとの御指摘は当たりません。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/21
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022・小川敏夫
○副議長(小川敏夫君) 田村智子君。
〔田村智子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/22
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023・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、二〇二二年度補正予算案について岸田総理に質問いたします。
ロシアによるウクライナ侵略戦争を一日も早く終わらせてほしい、日本と世界の人々の切実な願いとなっています。我が党は、国連憲章違反を糾弾するという一点で国際社会の一致結束を呼びかけてきました。
国連では、百四十を超える国と地域、国家体制も宗教や文化も異なる国々がロシア非難決議に賛成しました。この国連憲章守れの団結を更に広げる外交こそ最も求められているのではありませんか。それは東アジアの平和と安定にも大きく寄与すると考えますが、総理の認識をお示しください。
バイデン米大統領は民主主義対専制主義の闘いと表明し、岸田総理は価値観を共有するG7主導の秩序の回復と繰り返しています。
英国のミリバンド元外相は、米CNNの討論番組で、ウクライナ問題は欧州の安全という枠を超えて、世界の秩序をどうするかの問題だと指摘し、西側は民主対専制という構図を取るべきではないと警告しています。また、シンガポールの元外務次官キショール・マブバニ氏も、ロシアの侵略反対では非常に大きな国際的一致があるのに、西側の構図を押し付けてしまえば途上国は付いていけないと批判しています。
総理は、これらの指摘をどう考えますか。日本政府が行うべきは、あれこれの価値観で世界を分断することではなく、中国を含むアジアの国々にロシアは国連憲章を守れという共同を広げることではありませんか。
戦争の心配のない東アジアをどう実現するかが問われています。
二十三日に発表された日米首脳共同声明では、日米同盟の強化として、米国の拡大抑止が強靱なものであり続けることを確保するとしています。拡大抑止とは、日本の安全保障のためには米国の核使用を認めるということでしょうか。それは、広島、長崎の惨禍を再び引き起こすことではありませんか。また、拡大抑止は核軍拡を招くものであり、総理の言う核兵器のない世界を目指すことと矛盾するのではありませんか。
共同声明では、岸田総理が防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領はこれを強く支持したとあります。相当な増額とは幾らの増額ですか。五年以内にGDP比二%以上の防衛予算という自民党の提言を政府の方針とするのですか。その財源は消費税増税ですか、社会保障予算の抑制、削減ですか、それとも、国債発行で、安倍元首相が政府の子会社と称した日本銀行に引き受けさせるのですか。財源についてノーアイデアで米国と約束するなどあり得ません。明確な答弁を求めます。
核兵器には核兵器、軍事には軍事のエスカレーションでは、東アジアの平和を構築することはできません。ASEAN十か国と米国、中国、日本、韓国など八か国は、東アジア・サミットという平和の枠組みをつくっています。この活用、強化を我が党の志位和夫委員長がNHK「日曜討論」で提案し、総理は、平和の枠組みは重要と答えました。では、東アジアに分断、排除ではなく、包摂的な平和の枠組みを構築するため、どのような外交努力をするのでしょうか、お答えください。
物価高騰への対策として、補正予算案がようやく提出されましたが、具体の施策は、実質、ガソリン元売価格の抑制だけです。食用油三九%、生鮮食料品一二%、電気代二一%など、生活に不可欠な品目ほど値上げ幅が大きいのに、これで物価高への対策になるのでしょうか。
第一にやるべきは、消費税五%への減税とインボイス中止です。
消費税減税は、所得の少ない人ほど効果が大きく、中小企業・業者ほど税負担の軽減につながります。物価高騰への最も有効な政策ではありませんか。これを拒否するならば、生活必需品全般にわたる物価高騰にどのような対策を取るのでしょうか。
暮らしの危機の一方で、大企業は、円安の恩恵等により、軒並み史上最高益となっています。三月期決算では、連結純利益上位三十社のうち二十二社が史上最高益、株主配当も大きく増加しています。読売新聞の世論調査では、政府が優先的に取り組むべき対策として、大企業や富裕層への課税強化など税制の見直しと答えた人は五〇%に上ります。大企業、富裕層に応分の税負担、消費税は減税、これこそが国民が求める公正な税制の在り方ではありませんか。
第二に、本気の賃上げを政治の責任で行うことです。
〔副議長退席、議長着席〕
大企業の空前の利益によって、このままでは、また内部留保が大きく積み増すことになります。我が党が提案した内部留保課税は、アベノミクスで積み増した内部留保に年間二%で五年間課税し、中小企業の賃上げを直接支援するというものです。その際に、内部留保から人件費とグリーン投資に充てた分を控除することも提案しています。課税することで、内部留保積み増しではなく、利益を賃上げに回すというインセンティブにもなります。
総理は、四百六十六兆円にも達した大企業の内部留保について、どういう認識をお持ちですか。人件費やグリーン投資へと回す仕組みをつくることこそ経済の好循環に寄与すると考えますが、いかがですか。
米国では、政権与党である民主党が、最低賃金時給十五ドル、日本円で千九百五十円への引上げ法案を検討、ドイツでは、十月一日から一四・八%の引上げで十二ユーロ、千六百二十円、イギリスでは、四月から六・六%の引上げで九・五ポンド、千五百二十円の最賃を実施しています。物価高騰への対策として、日本でも最低賃金の大幅引上げを決断すべきではありませんか。
第三に、年金引下げの中止、教育費負担の軽減などにより、家計を直接応援することです。
年金引下げの根拠は、コロナ危機による現役世代の賃金の減少です。これが、物価高騰のさなかに来月から年金減額を行う理由になるのでしょうか。二〇一九年の世論調査で、既に公的年金制度が信頼できないが六五%に上っていることを総理はどう思われますか。
食材の高騰は、学校給食に影響を与えます。給食費無償の要求に、政府は地方創生臨時交付金を使えると言いますが、これは一年限りの交付金です。憲法制定後の一九五一年、我が党議員の質問に政府は、教科書、学校用品、学校給食などを無償とすることが理想と答弁しています。いまだ実現していないことが問題です。無償化に向けて、直ちに給食費負担軽減を全国どこでも実施すべきではありませんか。
第四に、気候危機打開を日本の産業と経済成長の大戦略にすることです。
原油高によってエネルギーの自給率が問われています。純国産エネルギーである再生可能エネルギーを二〇三〇年に五〇%、五〇年に一〇〇%の目標を持ち、実現への戦略を直ちに持つべきではありませんか。
一九八〇年頃まで、日本は、太陽光、風力発電とも世界のトップランナーでした。なぜその技術・製品開発が衰退したのか、政府はどのように分析していますか。石炭火力や原発にしがみつき、これ以上、再生可能エネルギーの普及で世界に後れを取ることは、日本の経済、産業の発展に大きなマイナスとなることは明らかですが、総理にその認識はありますか。
第五に、ジェンダー平等の視点を経済政策に貫くことです。
我が党は、男女賃金格差の公表を企業に義務付けることを国会質問で繰り返し要求し、政府は実施を表明しました。更に一歩進めるために、格差是正の目標を政府が持ち、企業に格差是正の計画策定とその実施を求めることが必要ではありませんか。
以上、総理の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/23
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024・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 田村智子議員の御質問にお答えいたします。
国連憲章を守ることを求める外交についてお尋ねがありました。
百四十一か国が賛成したウクライナに対する侵略決議は、国連憲章に違反するロシアのウクライナ侵略を最も強い言葉で遺憾とし、ロシア軍の即時完全無条件の撤退を求めています。一刻も早くロシアが侵略等をやめるよう、国際社会が結束して毅然と対応し、この決議の実施に至ることが重要であると考えます。
そのために、我が国として、G7を始めとする普遍的価値を共有するパートナーと連携しながら、力による一方的な現状変更の試みに対抗する国際社会の取組を主導してまいりたいと思います。
拡大抑止についてお尋ねがありました。
今回の日米首脳会談において、バイデン大統領から、核を含むあらゆる種類の能力によって裏付けられた、日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する米国のコミットメントが表明され、私とバイデン大統領との間で、今後も拡大抑止が揺るぎないものであり続けることを確保するため、閣僚レベルを含め、日米間で一層緊密な意思疎通を行っていくことで一致をいたしました。
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、米国の拡大抑止は、我が国の安全保障にとって極めて重要です。そして、我が国を取り巻く安全保障環境など、厳しい現実に対応し、そして、国の安全保障を確保しつつ、同時に、核兵器のない世界という理想に向けて努力をする、このことは決して矛盾するものではないと考えています。
この現実から理想に至るまでのロードマップを示しながら、唯一の同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、現実的な取組を進めていく考えであります。
防衛費の増額とその財源についてお尋ねがありました。
我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、まず行うべきことは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、具体的かつ現実的に議論をし、積み上げていくことです。その結果、防衛力の抜本的強化に当たって必要となるものの裏付けとなる予算をしっかり確保していく考えであり、こうした観点から、先般の日米首脳会談では、防衛費の相当な増額を確保する決意を述べたところであります。
こうした考えの下、防衛費の内容、規模等について、新たな安全保障戦略等の策定や、今後の予算編成過程を通じて検討をしてまいります。その際に、防衛費の安定的な確保をする観点から、この財源の在り方についても併せて検討をしてまいりたいと考えます。
東アジアでの平和外交についてお尋ねがありました。
自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、同盟国、同志国とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、戦略的に取り組み、地域の平和と繁栄に貢献をしてまいります。
御指摘の東アジア首脳会議については、首脳間で地域共通の課題について率直な対話を行う重要な機会、会議であると考えており、今後ともしっかりと活用をしてまいりたいと考えます。
物価高騰対策等についてお尋ねがありました。
物価高騰等への対策としては、事業規模十三兆円の総合緊急対策において、家計にとって重大な問題であるガソリン価格や小麦価格等の国内価格の上昇を抑制するとともに、低所得の子育て世帯への給付金の支給や、地方自治体による地域の事情に応じたきめ細かな生活困窮者支援を後押しすることとしており、これらを迅速に実行してまいります。
このように、コロナ禍において物価高騰に直面し、真に困窮する方々に支援を行うこととしており、御指摘の消費税減税を行うことは考えておりません。
また、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、十分な経過措置を設けるとともに、事業者への支援と周知、広報を行ってまいります。その上で、税制については、これまでも所得再分配機能強化を行ってきており、今後も、成長と分配の好循環の実現に向け、総合的に検討をしてまいります。
内部留保への認識等についてお尋ねがありました。
大企業を中心に、高水準の企業収益を背景として内部留保が増加してきましたが、こうした企業収益が賃金や設備投資に向けられることで、次の成長につなげ、持続可能な経済をつくり上げていくことが重要であると考えています。
このため、賃上げ税制の抜本強化に加え、公的価格の引上げ、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備などにより、企業の賃上げを促してまいります。あわせて、最低賃金について、できる限り早期に全国加重平均千円以上となるよう取り組んでいきます。
また、デジタル投資やカーボンニュートラルに向けた投資を促進するため、税制も活用し、企業の積極的な設備投資、促してまいります。
また、内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることなどから、慎重な検討が必要になると考えております。
公的年金制度と給食費負担軽減についてお尋ねがありました。
年金制度への信頼を確保することは重要です。公的年金制度については、将来世代の負担が過重にならないようにしつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保し、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みの下で年金を着実に支給してまいります。
学校給食費については、家庭の経済状況が厳しい児童生徒について就学援助等により支援を実施しており、更なる負担軽減については、各自治体において地域の実情に応じて検討いただくものですが、コロナ禍において物価高騰等に直面する子育て世帯を支援するため、地方創生臨時交付金により、各自治体による学校給食費の負担軽減に向けた取組を後押ししてまいりたいと考えます。
再生可能エネルギーの衰退要因の分析と普及拡大の戦略についてお尋ねがありました。
再生可能エネルギーについては、国民負担の抑制と地域の共生を図りながら最大限導入に取り組むというのが政府の方針です。
他方で、資源が乏しい我が国において、単一の完璧なエネルギー源がない現状では、原子力や火力を含む多様なエネルギー源をバランスよく活用することで、エネルギーの安価で安定的な供給を確保してまいります。
海外市場が急拡大していく中で投資競争に対応できなかったことが、太陽光や風力発電の競争力低下の要因の一つと考えています。
今後は、再生可能エネルギーを含め、政府が投資の呼び水となる予算や規制改革、ルール整備などの政策を総動員することによって、民間の投資を促すインセンティブを与えるといった工夫により、日本の経済、産業の発展につなげてまいります。
男女間賃金格差についてお尋ねがありました。
労働者の男女間賃金格差を解消していくため、早急に女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者三百人を超える事業主に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化し、この夏に施行できるよう準備を進めます。
同法では、企業が管理職割合や平均勤続年数など、男女間賃金格差の要因に関する状況把握を行い、企業としての目標を定め、行動計画を策定してPDCAを回す仕組みに既になっており、政府としては、男女間賃金格差の開示を義務付けることで、女性活躍推進法に基づき各企業の取組を加速させ、格差の更なる縮小を目指してまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/24
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025・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/25
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026・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第二 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員長古川俊治さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔古川俊治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/26
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027・古川俊治
○古川俊治君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方創生及びデジタル社会の形成等に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、職業能力開発短期大学校における高度職業訓練を修了した者の大学への編入学に係る学校教育法の特例措置及び国立大学法人の所有する土地等の貸付けに係る国立大学法人法の特例措置を規定するとともに、構造改革の推進等に関する提案の募集の期限及び構造改革特別区域計画の認定申請の期限の延長等を行おうとするものであります。
委員会におきましては、大学への編入学に係る特例措置に期待される効果、国立大学法人が所有する土地等の貸付手続の在り方、特区制度の実績に対する評価と今後の取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の伊藤委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/27
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028・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/29
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030・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第三 消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。消費者問題に関する特別委員長舟山康江さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔舟山康江君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/30
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031・舟山康江
○舟山康江君 ただいま議題となりました法律案につきまして、消費者問題に関する特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、消費者の利益の擁護を更に図るため、契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができる類型を追加するとともに、被害回復裁判手続の対象となる損害の範囲を拡大する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、消費者の脆弱性への対応を含めた包括的な取消し権を設ける必要性、成年年齢引下げ等を踏まえた消費者被害対策の在り方、デジタル社会の進展に対応した消費者保護に向けた取組、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復制度の活用促進策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/31
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032・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/32
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033・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/33
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034・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第四 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長徳永エリさん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔徳永エリ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/34
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035・徳永エリ
○徳永エリ君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、我が国における脱炭素社会の実現に向けた対策の強化を図るため、温室効果ガスの排出の量の削減等を行う事業活動に対し資金供給その他の支援を行うことを目的とする株式会社脱炭素化支援機構に関し、その設立、機関、業務の範囲等を定める等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、脱炭素化支援機構の組織及び業務運営の在り方、地域の脱炭素化に向けた人材の確保及び育成に係る支援策、脱炭素先行地域拡大に向けた取組等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/35
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036・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/36
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037・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/37
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038・山東昭子
○議長(山東昭子君) この際、日程に追加して、
国立国会図書館法等の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/38
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039・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長福岡資麿さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔福岡資麿君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/39
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040・福岡資麿
○福岡資麿君 ただいま議題となりました法律案につきまして、議院運営委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、地方公共団体情報システム機構及び地方税共同機構の設立に伴い、国立国会図書館への出版物の納入義務に関する規定を整備するとともに、私人がインターネット等を通じて発信する図書又は逐次刊行物に相当するオンライン資料のうち、有償で公衆に利用可能とされ、又は送信されるもの及び技術的制限手段が付されているものについても、国立国会図書館への提供義務を課そうとするものであります。
委員会におきましては、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/40
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041・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/41
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042・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後六時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02520220525/42
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