1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月一日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十七号
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令和四年六月一日
午前十時 本会議
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第一 電波法及び放送法の一部を改正する法律
案(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、参議院規則の一部を改正する規則案(江島
潔君外三名発議)(委員会審査省略要求)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
日程第一 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。金子恭之総務大臣。
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/1
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002・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 電波法及び放送法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
電波の公平かつ能率的な利用を促進するため、電波監理審議会の機能強化、携帯電話などの特定基地局の開設指針の制定に関する制度の整備、電波利用料制度の見直しなどを行うほか、近年の放送を取り巻く環境の変化などを踏まえ、基幹放送の業務に係る認定申請書などの記載事項に外国人などが占める議決権の割合などを追加をし、その変更を届出義務の対象に追加するなど、情報通信分野の外資規制の見直しを行うとともに、日本放送協会の受信料の適正かつ公平な負担を図るための還元目的積立金の制度を整備するなどの措置を講ずる必要があります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、電波監理審議会の機能強化として、電波の有効利用の評価は、これまで総務大臣が電波の利用状況調査の結果に基づき行ってきたところ、技術の進展などに対応したより適切な評価を行うため、広い経験と知識を有する委員から構成される電波監理審議会が行うこととしております。
第二に、携帯電話などの特定基地局の開設指針の制定に関する制度の整備として、既に開設されている電気通信業務用基地局が現に使用している周波数について、その周波数を使用する特定基地局の開設指針の制定をすべきことを希望する者は、その旨を総務大臣に申し出ることができる制度を創設するとともに、その開設指針は、総務大臣が、申出に係る開設指針の制定が必要である旨を決定したとき、電波の有効利用の評価の結果が一定の基準を満たしていないと認めるときなどに制定することとしております。また、携帯電話などの特定基地局の開設指針の記載事項として、電波の公平な利用の確保に関する事項を追加するとともに、当該特定基地局に係る認定開設者は、認定計画に記載した特定基地局の無線設備の設置場所以外の場所においても、当該特定基地局の開設に努めなければならないこととしております。
第三に、令和四年度から令和六年度までの電波利用共益費用などの見込みを勘案した電波利用料の料額の改定を行うとともに、電波利用料の使途として、研究開発のための補助金の交付を追加することとしております。
第四に、情報通信分野の外資規制を見直すこととし、基幹放送の業務に係る認定申請書、基幹放送局の免許申請書の添付書類などの記載事項として、外国人などが占める議決権の割合などを追加するとともに、当該事項の変更を届出義務の対象に追加するほか、外資規制に違反した場合にその事情を考慮して認定基幹放送事業者の認定などの取消しを一定期間猶予できる措置について、所要の制度の見直しを行うこととしております。
第五に、日本放送協会の受信料の適正かつ公平な負担を図るための制度の整備として、日本放送協会は、毎事業年度の損益計算において生じた収支差額が零を上回るときは、当該上回る額の一定額を還元目的積立金として積み立てるとともに、積み立てた額は、受信料の額の引下げの原資に充てなければならないこととするほか、専ら日本放送協会の業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者を子会社として保有することを目的とする関連事業持ち株会社への日本放送協会の出資に関する制度及び受信契約の締結義務の履行を遅滞した者から日本放送協会が徴収することができる割増金の額に関する制度を整備することとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、一部の規定を除き、情報通信分野の外資規制の見直しに関する規定、還元目的積立金に関する規定などは、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。岸真紀子さん。
〔岸真紀子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/3
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004・岸真紀子
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案について、本日、電波の日に、会派を代表して金子総務大臣に質問させていただきます。
政府が進める政策や制度は、人々の暮らしに大きく関わります。だからこそ、与党、野党を問わず、国会が政府をチェックすることは重要です。しかし、昨日成立した令和四年度補正予算は、国会会期中であるにもかかわらず予備費を積み増すという財政民主主義の原則に反するものであり、かつ、国会軽視の姿勢は、誠に残念でなりません。予備費で対応すればいいといった発想は捨てていただくことを政府・与党に要請し、質問に入ります。
本改正案では、技術の進展等に対応したより適切な電波の有効利用評価を行うため、これまで利用状況調査に基づき総務大臣が実施してきた電波の有効利用評価を、広い経験と知識を有する委員から構成された電波監理審議会に移管することとしています。しかし、現行では、電波監理審議会の委員五人のうち、電波に係る技術的知見を持った方は一人という実態です。現行の委員の選考において、なぜ審議会に求められている技術的知見を有する方が少ないのでしょうか。金子大臣に現行の人選基準と、少ない理由をお伺いします。
電波監理審議会の組織、委員、その他審議会に関し必要な事項は政令で定めることとし、電波監理審議会に新たな部会の設置や特別委員の追加を行って体制の強化を図る予定となっています。しかし、専門部会や特別委員をどのように人選されるのか、その具体は明らかとされていません。電波監理審議会の機能強化と本当になるのでしょうか。
四月七日、衆議院本会議において、立憲民主党の鈴木庸介議員の同趣旨の質問に対して、金子総務大臣は簡単な答弁しかされていませんので、改めて体制強化をどのように図るのか、具体的にお答え願います。
本改正案に至るまでの議論には、残念ながら本質的な電波の在り方は議論されませんでした。
日本は、電波と放送行政の権限を総務大臣が全て持っています。しかし、先進国では政府が一元的にその権限を持つことをしていません。日本以外のほとんどの先進国では、政府とは独立した機関が監督しています。昨年、法案が見送りとなった理由であった総務省の接待問題は、総務省が強い権限を持っていたからではないでしょうか。透明性を高めるためには、先進国ではスタンダードとなっている国から独立した機関とすべきであり、なぜ今回、この本質的な議論をしなかったのか、金子大臣の見解をお伺いします。
携帯電話等の周波数の再割当て制度の創設について伺います。
本改正案では、電波監理審議会における有効利用評価の結果が一定の基準を満たさないとき、競願の申出を踏まえ、総務大臣が開設指針の制定が必要と決定したとき、携帯電話等の周波数の再編を行うときのいずれかに該当する場合に、既存免許人に対する意見の聴取や電波監理審議会への諮問の手続を踏んだ上で、総務大臣は再割当て審査の必要性を決定することになります。これまでは認定を受けていた事業者が実質的な周波数の固定化となる実態がありましたが、これにより、既存免許人以外の新規参入希望者を含む事業者が割当て済みの周波数の再割当てを受ける機会となります。
一方で、これまで認定されていた事業者が周波数帯を返上することとなった場合、当該事業者が提供するサービスを受けていた加入者は、利用中の端末が使えなくなったり、サービスエリアが縮小してしまうといった不利益が生じてしまうおそれはないでしょうか。そういった影響を政府は想定しているのか、また対策はあるのか、金子大臣にお伺いします。
携帯電話は、現行制度ではユニバーサルサービスではありませんが、国民生活にとって必要不可欠な極めて重要なインフラです。しかし、この周波数の再割当てにより、過疎地や離島を始めとする条件不利地域などの不採算地域において、事業者によるサービス提供が後退することが懸念されます。
例えば、地方における交通部門で、黒字路線の利益で不採算路線を補填する内部補助で維持してきたバス会社が、黒字路線しか営業しない新規参入のバス会社と競合し、不採算路線を維持できなくなるといった事例が起きています。携帯電話において、これまで大手事業者が全国あまねく、不採算のサービスエリアも設備投資等を行いカバーしてきました。再割当てとなった場合、採算エリアしか事業展開しない、言わばクリームスキミングといういいとこ取りの事業者が認定された場合、地方との格差はますます広がるのではないでしょうか。
条件不利地域においても携帯電話サービスの確保が担保されるよう、再割当てされた事業者への責務や国としての対策をお伺いするとともに、携帯電話サービスや無線ブロードバンドサービスをユニバーサルサービス化することに関する大臣の見解をお伺いします。
電波利用料について伺います。
本改正案によって、ビヨンド5Gに向けた研究開発のための補助金として、総務大臣は特定財源である電波利用料を原資とすることが可能となり、総務省の一般財源とともに、二〇二二年度以降は電波利用料からも拠出することとしています。
一方、二〇二一年に国立研究開発法人情報通信研究機構法が改正され、機構はビヨンド5Gの基礎研究等に対する助成金を拠出できることになりました。これは重複しているように思えるのですが、総務大臣による電波利用料を原資とした補助金制度を創設する必要性、一般財源だけでなく電波利用料を原資とした理由、機構の助成金との違いは何か、大臣にお伺いします。
次に、外資規制について伺います。
この問題は、菅前総理の長男の総務官僚への違法接待に端を発し、我が会派の小西洋之議員が立証した東北新社の外資規制違反から法改正に至ったものです。
現行、基幹放送事業者に係る外資規制の根拠法は、自らが無線局の免許を持って電波を発信し放送する事業者が対象となるのが電波法となり、自らは無線局の免許を持たない放送事業者が対象となるのが放送法となっています。
二〇二一年三月、東北新社が、二〇一六年の申請時の外資比率が規制である二〇%を超え、そもそも認定できない欠格事由があったと判明しました。二〇一七年一月、総務省は、東北新社を外資規制違反の状態であることが分からずにBS放送事業者として認定、その後、東北新社は、申請時は気付かなかった違法性が一七年八月に分かり、一七年の十月、東北新社メディアサービスに事業を継承しています。
東北新社メディアサービスは外資規制違反ではありませんが、継承元であった東北新社が二〇一七年に認定を受けた時点で外資規制違反であったことを理由に総務省は職権により認定を取り消しました。この職権の取消しが理解できません。
放送法第九十三条第一項では、放送法第百三条第一項又は第百四条の規定により認定の取消しを受けた者は、その取消しの日から二年間は認定を受けることができないとされています。しかし、東北新社メディアサービスへの認定は、総務省が職権で取り消したことを理由に、放送法第九十三条の規定は適用されないとされました。本来は、認定が取り消された事業者は、言わばペナルティーとして二年間の認定資格がないところ、この事案はすぐにでも申請することができることになります。
そもそも、職権での取消しとは何に基づいたものなのでしょうか。決して正式な手続であるとは考えられないのですが、この処分の取扱いについて、大臣の明快な答弁をお願いします。
次に、フジ・メディア・ホールディングスの事案について伺います。
二〇一二年九月期から二〇一四年三月期まで、フジ・メディア・ホールディングスの外資比率は二〇%以上と、放送法の外資規制に抵触する状態であったことが、これも二〇二一年に発覚しました。この件について、二〇二一年四月九日、当時の武田総務大臣の記者会見によると、この外資規制違反事案は、違法の状態が解消された後の二〇一四年十二月上旬頃に総務省へ相談があったとされましたが、その詳細はこれまでの委員会質疑でやり取りしてきましたが、総務省答弁は曖昧で不透明なことが多いままとなっています。
外資規制違反の状態は報告を受けた当時において既に違反状態は解消されていること、今後このようなことを二度と起こさないよう厳重注意したことをもって、フジ・メディア・ホールディングスにおとがめはありませんでした。さらに、一九八一年の内閣法制局見解などにより、同社の認定放送持ち株会社としての認定は、外資規制違反の状態がその時点で存在しないのであれば、放送法上、認定の取消しを行うことができないと判断したとしています。この考え方は今も妥当と述べています。
一九八一年の内閣法制局見解とはどのようなものだったのでしょうか。また、二〇一四年当時に内閣法制局へ確認はしたのでしょうか。総務省が後付けにしたのではないですか。大臣、お答え願います。
フジ・メディア・ホールディングスの事案は、計算方法の誤りの善意の違反だったと捉えるとしても、処分が何らされなかったことから、今後こういったことを悪用されるのではないかという懸念があります。事業者が外資を大幅に一時的に受け入れても、戻せばいいといった悪意に使われる可能性はないのか、改めて、二〇二一年に総務省がフジ・メディア・ホールディングスの処分をしなかったことは正しいのかどうか、疑念が残ります。
本改正案では、外資規制違反時の是正措置の整備として、外資規制違反があった場合に、原則認定又は免許を取り消すが、違反の状況及び受信者の利益に及ぼす影響等を勘案し、必要があると認めるときは期間を定めて違反の是正を求める制度を整備することとしています。
確かに、受益者の利益に及ぼす影響は勘案しなければなりませんが、先ほど疑念を述べたとおり、悪用する事業者が出現しないかといった懸念があります。是正措置を悪用されないための対策を大臣にお聞きします。
外資規制に関し、本年四月から、総務省の審査体制強化に向け、新たに外資規制審査官を設置し、違反が起きないように複層的な体制を強化していますが、今後は外資規制を見逃すことがないようになるのか、事業者から提出される書類をどのような体制や手法で取り組んでいくのか、大臣にお伺いします。
本改正案では、NHKの受信料の適正かつ公平な負担を図るための制度として、受信契約の締結に応じない者を対象とする割増金制度が導入されることになります。現行も日本放送協会受信規約で割増金制度が定められていますが、適用された事例はありません。本改正案において法制化することで受信料の適正かつ公平な負担の実現という観点での実効性はあるのでしょうか。あえて法定化する理由は何か、大臣にお答え願います。
放送法改正案の第六十四条第三項第四号のイ、不正な手段により受信料の支払を免れた場合、ロ、正当な理由がなくて第二号に規定する期限までに受信契約の申込みをしなかった場合における不正な手段や正当な理由の定義が曖昧です。
割増金制度の詳細は総務省令で定めることとしていますが、不利益が伴うものであり、法文に明記すべきです。割増金が徴収される具体的要件はどのような場合なのか、大臣にお答え願います。
インターネットが主流となりつつある中、テレビを取り巻く環境は非常に厳しい状況にあります。特に、地方の民間放送局は広告収入等が減少するなど、経営にも影響が出ています。本改正案には、民放の責務遂行に対するNHKの協力が努力義務として課されることになりますが、NHKは受信料によって経営しており、その受信料は民間放送への協力を掲げているわけではありません。
地域に根差している地方の民間放送局を維持することは、放送の多様性の確保や地域社会、文化の活性化につながるものと考えている立場から、なぜNHKによる支援が必要なのかの理由、そして、国として地方の民放支援をどのようにお考えなのか、大臣にお伺いし、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/4
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005・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 岸議員からの御質問にお答えいたします。
まず、電波監理審議会委員の人選基準などについて御質問いただきました。
本審議会の委員については、周波数の割当てに関する調査審議を行うほか、行政処分の審査請求などに対応するため、学界、経済界、法曹界、消費者の各分野から、技術のみならず、法制度やビジネスなどに精通した専門家をバランスを考慮しながら電波法に基づき任命しているところでございます。
次に、電波監理審議会の体制強化の内容について御質問いただきました。
本法案では、電波の有効利用の程度の評価を新たに行うこととするため、本審議会の下に専門の部会や特別委員を置くことができるよう、体制の強化を図ることとしております。特別委員は、無線、ネットワークなどの技術や法律などに知見を有する学識経験者から五名程度を人選をし、多角的に審議いただくこととしております。
なお、具体的な人選については、本法案をお認めいただきました場合には、国会での御議論なども踏まえ、検討してまいります。
次に、独立機関による監督について御質問いただきました。
我が国は議院内閣制を採用しており、内閣の一員である各省大臣が責任を持って行政を執行することが原則と認識をしています。また、通信、放送を含む情報通信分野は技術革新や国際競争が激しく、国家戦略的対応が求められる分野です。
したがって、機動的、総合的な判断が可能となるよう、内閣の構成員である大臣の責任の下において、規制と振興の両輪で迅速に取り組んでいく体制が適当と考えております。
次に、周波数の再割当てに伴う利用者への影響とその対策について御質問いただきました。
本法案では、既存の免許人に対して事前に十分な意見聴取を行うとともに、周波数を移行する期間を適切に設定することとしており、利用者への影響ができる限り生じないよう努めてまいります。
なお、一般的に携帯電話事業者は複数の周波数帯を保有し、携帯電話の端末はそれらの周波数帯に対応しているため、一つの周波数帯を返上しても直ちに利用者に大きな影響が生じることはないと想定しています。
次に、条件不利地域における携帯電話サービスの確保について御質問いただきました。
本法案では、周波数の再割当てを受ける事業者に対しても、例えば条件不利地域など整備計画外の地域においても携帯電話基地局の整備の責務を課すこととしております。その上で、条件不利地域における基地局整備の補助金による支援策については、引き続き取り組んでまいります。
また、携帯電話サービスや無線ブロードバンドサービスについては、来年度末には全ての居住地域において4Gが利用可能になる見込みのほか、一般的にこれらのサービスの維持費用は大きな負担とならないことから、現段階においてユニバーサルサービス制度の対象とする予定はございません。
次に、電波利用料の使途について御質問いただきました。
ビヨンド5Gについては、二〇三〇年代の社会や産業の基盤となる次世代のインフラであるとの考えの下、NICTに設置した基金など所要の予算を計上し、研究開発に取り組んでおります。
本法案では、電波の有効利用の観点から、電波利用料をビヨンド5Gの研究開発に新たに充てることとしており、これにより、電波法に基づく、おおむね五年以内に開発すべきビヨンド5Gの関連技術の研究に集中的に投資することが可能となります。
本法案をお認めいただいた場合には、電波利用料と一般財源を適切に役割分担しながら、ビヨンド5Gの早期実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、東北新社メディアサービスの認定を取り消した根拠について御質問いただきました。
東北新社メディアサービスについては、承継元である東北新社が、二〇一七年一月の衛星基幹放送事業者としての認定時において外資規制に抵触しており、本来なら認定そのものも受けられなかったという重大な瑕疵がありました。このため、職権による取消しを行うことが適当と判断をし、行政手続法に基づく聴聞を経て、二〇二一年三月に、五月一日付けでザ・シネマ4Kについての認定を取り消す処分を行いました。
この取消処分は、当初の認定に重大な瑕疵があることを前提としたものであるため、法律の特別な根拠は必要なく、行政法の通説に基づき行ったものであります。
次に、外資規制違反に係る内閣法制局見解について御質問いただきました。
一九八一年に放送局の免許に係る外資規制に関し内閣法制局が整理した考え方は、電波法においては、免許の取消処分を行おうとする時点で取消し事由が必要であり、当該事由が存在しないのであれば取消処分を行うことができないというものであります。
二〇一四年当時、当時の担当者は内閣法制局へ相談しなかったと聞いていますが、この電波法の整理は放送法の認定放送持ち株会社についても同様に考えられるため、フジ・メディア・ホールディングスについて認定の取消処分を行うことができないと判断したものと聞いております。このような判断については、総務省としては今でも妥当であると考えております。
次に、外資規制違反があった場合の是正措置を悪用されないための対策について御質問いただきました。
まず、本法案により外資規制違反を未然に防ぐための仕組みを導入するほか、外資規制審査官を本年四月に新たに設置するなど、外資規制のチェック機能をしっかり強化してまいります。
その上で、是正措置の適用に当たっては、違反した状況を考慮することとしており、違反が生じた状況を詳細に把握し、故意がなかったかどうかを適切に判断することなどにより、本制度が悪用されることのないよう、しっかり運用してまいります。
次に、外資規制の審査の体制、手法について御質問いただきました。
まず、審査の体制については、本年四月に外資規制審査官を新たに設置したところであり、今後、審査の手法を整理したマニュアルを作成をし、複層的、統一的で漏れのない審査体制の整備を進めてまいります。
次に、審査の手法については、申請や届出の内容をチェックするため、株主名簿などの客観性を有する証拠書類により確認するなどの取組を進めてまいります。
こうした取組を通じて、外資規制がしっかりと遵守されるよう、努めてまいります。
次に、割増金制度を法定化する理由と、その実効性について御質問いただきました。
受信料は、公共放送を支えるため、広く国民・視聴者に公平に御負担いただくものでありますが、現状、受信設備を設置した方のうち約二割の方が受信料を支払っておらず、受信料を支払っている方との間で負担の不公平が生じております。このため、本法案では、他の立法例も参考にしながら、割増金の制度を設けることとしました。割増金を法律上の制度として設けた上で、NHKにおいて国民・視聴者の方に受信料制度について丁寧に説明していただくことで実効性が確保されていくものと考えております。
次に、割増金が徴収される具体的要件について御質問いただきました。
割増金が発生し得る具体的な場面として、例えば、受信料が免除される対象ではなくなったにもかかわらずその届出をしない場合や、受信設備を設置した者が事故又は病気などのやむを得ない事由がないにもかかわらず受信契約の申込みを期限までに行わなかった場合などを想定しております。
いずれにしても、本法案をお認めいただいた場合には、割増金制度も含め、受信料制度について、これまでと同様、NHKにおいて丁寧な説明に努めていただきたいと考えております。
最後に、民放に対する支援について御質問いただきました。
我が国の放送は、NHKと民放が切磋琢磨をし、それぞれの長所を発揮することで、その効用の最大化を図ってまいりました。近年、厳しい事業環境に直面している民放に対してNHKの技術やノウハウを提供することで、民放が難視聴の解消などの放送法上の責務を効率的に遂行できるようになり、放送の効用の最大化が期待できることから、本法案においてはNHKに対して民放への協力の努力義務を定めています。
また、ローカル局を含む民放については、その社会的役割を引き続き担っていただくことが重要であり、放送事業者のコスト負担を軽減するため、総務省の有識者検討会において放送設備の効率化に向けた様々な方策を議論しており、その結果を踏まえて必要な対応を行ってまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/5
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006・山東昭子
○議長(山東昭子君) 芳賀道也さん。
〔芳賀道也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/6
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007・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
会派を代表し、電波法、放送法改正案について質問いたします。
今の六十代から七十代以上は死ぬまでテレビを見続けるが、三十代から四十代はテレビを見ないし、持たない、彼らから現行的な意味でのNHK受信料を取ることはいずれ無理となる。昨年十二月、総務省のデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会で千葉大学の多賀谷一照名誉教授はこのように発言されています。
ネットなど通信と放送の垣根がなくなる中で、放送は消えてしまう。総務省として、地上波テレビ放送は生き残ることができるのか、放送、地上波放送の未来像をどう考えているのか、大臣に伺います。
これまで、郵政省、総務省は、各県に民間放送局の開設を進めてきました。しかし、今では若い世代を中心にテレビ離れが進み、特に地方放送局の存続をどう図るかが問題です。
国策であるデジタル化のために多額の設備投資を強いられた地方の民間放送局は、今、軒並み赤字経営に陥り、危機にあります。地方局だけではありません。一部のキー局も希望退職者を募るなど、冬の時代を迎えています。衛星放送なら全国をカバーするチャンネル一つが数千万円で始められる時代に、各県やエリアごとに数十億円以上の設備投資を必要とする地上波は、このままでは消えてしまいます。
総務省のデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会では、総務省から、共同利用型モデルとして、複数の放送局のネットワークインフラの維持管理などを特定の事業者に委託する提案がありました。また、既に各地の地方局では、キー局のネットワークの子会社になることで生き残りを図る例も多く見られます。いずれにしても、各地の地元資本が小さくなることで、中央資本による一極集中が強まることになります。このため、地域密着の取材による番組やニュースなど独自色を出した番組の放送がなくなるおそれがあります。
また、東日本大震災でも、各県ごとにNHKとは違った災害報道が威力を発揮しました。さらに、長時間の停電もあり、地域のラジオの必要性、重要性も見直されました。地方局が消え、小さくなっていく現状では、住民の命を守る災害報道が守られるのか、本当に心配です。
放送法改正案では、視聴困難地域などでNHKと民放でハードを共同利用するなど、NHKによるハード面の支援の義務化がありますが、それに加えて、地方局の設備への補助を拡大すること、特にマスター更新のための公的補助を進めるなど、まずは地方局にハードの支援を行うことが必要なのではないでしょうか。総務大臣の見解を求めます。
今日、六月一日は電波の日。一九五〇年、昭和二十五年六月一日に電波法、放送法が施行されたのを記念して制定されました。
その昭和二十五年四月八日の衆議院本会議にて、当時の電気通信委員会の自由党、辻寛一委員長は、放送法の採決に当たりこう発言しています。「放送は、それが強力な宣伝の具であるがゆえに、一層表現の自由を確保されなければなりません。かつてわが国において、軍閥、官僚が放送をその手中に握つて国民に対する虚妄なる宣伝の手段に使つたやり方は、将来断じてこれを再演せしむべきではありません。」、これは、当時の自由党に所属し、後に自由民主党に加わった辻寛一電気通信委員長の発言です。
総務大臣に伺います。
戦前の日本では、自由党の辻寛一委員長の言うように、軍閥や官僚が放送を手中に握っていたと考えますか。また、放送を通じて国民に対して虚妄なる宣伝が行われていたと考えていますでしょうか。辻寛一電気通信委員長の発言では、敗戦と内外の多くの方々が犠牲になったことの反省に立って、戦前のような思想統制を繰り返さないために放送法が制定されたことが分かりますが、金子総務大臣として、軍などの思想統制を繰り返さないために、電波、放送分野では何が必要だとお考えでしょうか。
一九五〇年、昭和二十五年一月の電気通信委員会にて、政府は放送法の説明として、第一条に、放送による表現の自由を根本原則として掲げまして、政府は放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないのでございますと提案理由を述べています。この提案のように、放送法第一条三項に、第一条第三号に、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保することと規定され、放送局の不偏不党、真実、自律を政府が保障するという趣旨になっています。
また、放送法第四条第一項には、一、公安及び善良な風俗を害さない、二、政治的な公平、三、報道は事実を曲げないでする、四、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、この四つの番組準則があります。制定時の説明でも、政府は放送番組の検閲、監督等を一切行わないのですから、この四項目は法的規制の根拠となる法規範ではなく、放送局が自主的に守る倫理規定としか考えられません。学界でも放送法第四条一項は倫理規定であるという説が多数説ですが、総務大臣の放送法第四条第一項の位置付けについて御認識を伺います。
放送法第四条第一項の番組準則に反した放送があった場合について、かつて安倍元総理は、担当の官庁としては法にのっとって対応するのは当然のことであろう、こう思うところでございますと、二〇一五年十一月の衆議院予算委員会で答弁。制定時に、政府は、放送番組の検閲、監督など一切行わず、政府が放送局の自律を保障するという説明をしたにもかかわらず、総務省が最近、放送法第四条違反を理由に放送番組の中身に介入するのは筋が通りません。
なぜ、政府、総務省は放送法の趣旨に反する立場を取るのか、大臣、国民に分かりやすく説明してください。
二〇一六年二月、当時の高市早苗総務大臣は、放送番組が政治的に公平ではないと認められた場合は電波法七十六条による停波処分があり得ることを国会で発言しました。番組内容を根拠に停波処分を行い得るという高市元大臣の発言は、放送法制定当初の政府発言とも、昭和時代の郵政大臣、郵政省の見解とも反し、まさに放送法が禁止する放送番組への政府介入なので、これを撤回すべきだと考えますが、金子大臣のお考えを伺います。
一人の大臣が放送法と電波法の両方を所管すること自体が停波問題の原因です。多くの先進国のように、放送行政を独立行政委員会が監理するよう改めるべきだと考えますが、金子大臣の御見解を伺います。
先ほど触れた辻寛一電気通信委員長の説明によれば、軍閥や官僚などから独立した放送の自由、自律を保障するため放送法が制定されました。この放送の自律のため、放送法第六条に基づき各放送局に番組審議機関が置かれ、また放送局が自らBPO、放送倫理・番組向上機構を設置して、問題があった番組などにつき原因究明や再発防止などを論議し、対策を発表しています。
しかし、報道によれば、今年三月九日に自民党の情報通信戦略調査会が開かれ、BPOや各局の番組審議機関が機能しているかNHKや民放から聞き取りがあり、会議終了後、この調査会のトップの佐藤勉調査会長が、BPOの人選に国会が関われないか提起したいと記者に発言しました。
BPOや番組審議機関は、放送の自由と自律、表現の自由を守るための重要な組織で、その人選に自民党一党優位が続く国会が影響力を加えれば、放送の自由と自律が損なわれる危険性があります。BPOの、放送の自由と自律、そして表現の自由を守る放送法の趣旨からすると、BPO委員の人選に、事実上、自民党一党優位が続く国会が関与するのは不適切だと考えますが、放送法を所管する金子大臣に御見解を伺います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/7
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008・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 芳賀議員からの御質問にお答えいたします。
まず、地上テレビ放送の未来像について御質問いただきました。
現在、インターネット動画の普及などによる若者のテレビ離れなど、放送事業者を取り巻く経営環境は厳しくなってきていると承知をしております。他方で、信頼性の高い情報源としての放送の社会的役割は引き続き重要と考えております。
こうした認識の下、総務省では、有識者検討会を開催し、放送の将来像と制度の在り方について検討しているところであり、その結果を踏まえて必要な対応を行ってまいります。
次に、地方局に対する支援について御質問いただきました。
ローカル局を含む放送事業者は、地域に密着した情報の発信に加え、特に災害時は重要な情報伝達手段となるなど、引き続きその社会的役割を堅持していくことが重要です。
放送を取り巻く環境が急速に変化する中、放送事業者のコスト負担を軽減するため、総務省の有識者検討会において、放送設備の効率化に向けた様々な方策を議論しております。放送設備は、放送事業者自らが整備することが基本ですが、本年夏に検討会の議論を取りまとめ、放送事業者による柔軟な対応が可能となるような環境の整備に努めてまいります。
次に、戦前の我が国の放送などについて御質問いただきました。
戦前は、無線電信法において、放送は政府の監督下に置かれていたと承知しております。放送が軍閥や官僚の手中に握られ、国民に対する宣伝の手段として利用されることは、当然あってはならないことだと思います。戦前のこうした経緯も踏まえて、戦後、表現の自由を保障する新憲法の下で放送法が制定されました。放送法は、放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保することなどの原則が定められ、その具体的な枠組みとして、放送番組編集の自由を保障しつつ、法に定める番組準則を踏まえ、放送事業者が自ら番組基準を定めることを求めるなど、放送事業者の自主自律を基本としています。
私としても、このような放送法の趣旨を十分踏まえ、電波、放送行政に取り組むことが最も重要であると考えております。
次に、放送法第四条第一項の位置付けについて御質問いただきました。
放送法第四条第一項に定められているいわゆる番組準則は、昭和二十五年の放送法の制定当初から、放送事業者が放送番組を編集するに当たり守るべき規律として規定されており、この番組準則については、総務省としては従来から、法規範性を有するものと考えております。
次に、放送法第四条第一項に反した放送があった場合の対応について御質問いただきました。
放送法は、放送事業者の自主自律を基本としております。したがって、放送事業者が放送番組を編集するに当たり、放送法第四条第一項に適合しているかどうかは、まずは放送事業者自らが判断すべきものであります。その上で、なお対応が必要な場合には、総務省として、放送法を所管する立場から、これまで極めて慎重に対応を行ってきたものであります。
次に、過去の総務大臣の答弁について御質問いただきました。
当時の総務大臣の答弁は法律の規定の位置付けに沿って答えたものと考えておりますが、放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものであり、放送法は、放送事業者が自主的、自律的に遵守するものであるという基本的な考え方については変わりはないと認識しております。
次に、放送行政を独立行政委員会が所管することについて御質問いただきました。
我が国は議院内閣制を採用しており、内閣の一員である各省大臣が責任を持って行政を執行することが原則であると認識しています。また、通信、放送を含む情報通信分野は、技術革新や国際競争が激しく、国家戦略的対応が求められる分野です。
したがって、電波行政、放送行政において機動的、総合的な判断が可能となるよう、内閣の構成員である大臣が、密接な関連性を有する両分野の法令に対して責任を持ち、迅速に取り組んでいく体制が適当だと考えています。
最後に、BPO委員の人選について御質問いただきました。
放送倫理・番組向上機構、BPOは、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的として、放送事業者によって自主的に設立された機関であると承知をしております。
御指摘の点については、自民党内における議論でありますので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/8
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009・山東昭子
○議長(山東昭子君) 柳ヶ瀬裕文さん。
〔柳ヶ瀬裕文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/9
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010・柳ヶ瀬裕文
○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案に関し、総務大臣に質問いたします。
文明の起こり以来、人類は様々な発明をしてまいりました。農業、車輪、金属精錬等の発明は、狩猟採集社会たるソサエティー一・〇から農耕牧畜社会たるソサエティー二・〇への大転換を牽引し、それらの発明や技術を擁する地域が世界の最先端となったことは世界史の示すところであります。工業社会たるソサエティー三・〇、情報社会たるソサエティー四・〇への転換においても同様でした。
新たな社会、ソサエティー五・〇においては、IoT、メタバース、量子、ビッグデータ、宇宙、あるいは未知の先端技術から成る社会が想定されています。歴史に鑑みれば、我が国を起点としてソサエティー五・〇を実現することは、失われた三十年からの脱却と更なる成長、繁栄を実現する最大の機会であると言えますが、ソサエティー五・〇早期実現を妨げているのが電波に関する硬直した制度の存在であります。
一つは、電波行政に係る規制と振興が一体となった総務省の構造です。
日本維新の会は、電波監理審議会という総務省の諮問機関が電波の規制に関する事務を所掌している体制こそ、電波行政と事業者との癒着を生み出す一因であると指摘してきました。日本維新の会が衆議院に提出した情報通信行政の改革の推進に関する法律案では、電波に関する規制の機能を国家行政組織法第三条に基づく独立した三条委員会に移管させることを内容としていましたが、維新以外の与野党によって否決されました。衆議院の議論では、機動的、総合的な対応のため、内閣の構成員である大臣の責任の下、規制と振興の両輪で取り組む体制が適当という趣旨の答弁がありましたが、三条委員会で機動的、総合的な対応ができないという根拠をお示しください。
また、電波行政に係る規制と振興を共存させつつ事業者との癒着を防ぐというのであれば、どのような実効的な方策を取るお考えか、お示しをいただきたいと思います。
硬直した制度としてもう一つ指摘しなければならないのが、総務省の裁量に基づく電波割当ての比較審査方式の存在です。
ソサエティー五・〇においては電波がますます貴重になりますが、既存事業者に対し安価に電波利用を行わせ続けることはあしき既得権であり、新規参入が阻害される原因となっています。より高い視点から見れば、電波を特定の者に占有させ続けることで、電波を利用した新しいテクノロジーの導入が遅れ、イノベーションが起きず、ソサエティー五・〇による繁栄をみすみす見逃し、ひいては我が国が先進国から転落し得る大失策となりかねません。今こそ、周波数の割当てに電波オークションを採用することで総務省の裁量の余地を減らさなければなりません。
OECD諸国は、電波オークションを導入することで事業者に適切に周波数を割り当てていますが、導入していないのはOECDの中では我が国だけとなりました。もはや一刻の猶予もありません。
今年の夏頃をめどに、総務省内に置かれた検討会が電波オークションの導入に関する取りまとめをすると承知していますが、二〇一八年八月に電波有効利用成長戦略懇談会の報告書が提出されてから丸四年近く経過したにもかかわらず、いまだ導入の是非についての検討をしている段階であります。本来であれば、電波オークションをいつ、どのような方式で実行するかという具体的な議論をすべき段階にあったはずと指摘せざるを得ません。
お伺いしますが、いつ頃までに、電波オークションを導入して、真に需要のあるサービスを提供する事業者が希望する電波を使用できる制度となる見込みか、お示しいただきたいと思います。
現在総務省で検討している電波オークションについては、携帯電話の割当て方式のみの検討であり、使い勝手の良いプラチナバンド帯の周辺帯域を使う放送事業者については検討の対象外となっています。放送業界の経営は厳しさを増しており、不動産収入等、本業以外の収益が業績に大きく貢献している社もあります。イノベーションの観点からは、電波をより有効利用できる成長企業に機動的に割当てした方がよいのは明らかであり、そのためには電波オークションによる割当てが必要です。携帯電話以外の周波数帯についても電波オークションの対象とすべきと考えますが、見解を伺います。
また、放送事業者が負担する電波利用料が安過ぎることも問題です。日本維新の会が考える電波オークションでは、落札額に現在の電波利用料相当額を含むものとしています。二〇二〇年度のテレビ放送の電波利用料は、NHKが約二十五億円、首都圏基幹民放局で一社当たり七億円にも満たない額となっています。電波という国民共有の財産を事業者に不当廉売している状態は速やかに是正する必要があります。事業者の支払う電波利用料の水準を適正化すべきと考えますが、見解をお示しください。また、適正化の手段としては電波オークション方式によるべきと考えますが、併せてお答えいただきたいと思います。
NHKの還元目的積立金について伺います。
今回の放送法の改正において、NHKは、毎事業年度の損益計算において生じた収支差額がプラスになったときは、その収支差額の一定額を還元目的積立金として積み立てることが規定されています。還元目的積立金制度の創設自体を否定するものではありませんが、今年度のNHK予算が収支均衡予算となっていることからすると、十分な積立てがされるかは不透明です。
次期中期経営計画の期間までにどれくらいの積立てが見込まれ、一契約当たり幾らの受信料負担の減少額が見込まれるのか、明確な推計根拠とともにお示しいただきたいと思います。
現在、NHKは、六千六百億円を超える債券を保有しており、毎年新たに五百億円を債券購入に振り向けるなど、もう既に潤沢な資産を有しています。しかし、今回設置しようとしている還元目的積立金には、NHKが既に保有している過剰な流動資産から積立てされることはありません。言うまでもなく、NHKが毎年買い付けている五百億円もの債券の原資は国民から集めた受信料です。今回の法改正による還元目的積立金の仕組みでは、収支差額がプラスとならないよう、あえて費用を掛けて経営することも可能であり、実効性が果たして伴うのか、甚だ疑問であります。
より積極的な国民への還元のために速やかな積立てが求められることを考えれば、当面の間、NHKの保有する流動資産から還元目的積立金に供出することも検討すべきと考えますが、見解を伺います。
既得権の保護は、保護される側の活力を奪うのみならず、保護を与える国自体の国力をも吸い取っていきます。今回政府から提出された電波法及び放送法の改正は、電波や放送という既得権にメスを入れるように見せながら、その実、ほとんど切り込むことができていません。
日本維新の会は、規制改革を政策の一丁目一番地に位置付け、具体的な改革メニューを盛り込んだ議員立法を提出してまいりました。政府提出の法案には、どこにどのような形で電波行政や放送通信行政を改革する意欲が反映されているのか、お示しいただきたいと思います。
電波は希少な資源であり、これを有効に活用できるかどうかは、ソサエティー五・〇への大転換期にあって、我が国の成長と繁栄に直結する極めて重要な課題であります。今こそ、電波行政の公正性、透明性を根本から見直し、電波オークションを始めとした抜本的な規制改革を行うことで、失われた三十年に終止符を打つときであります。
日本維新の会が主張し、提出してきた法案によってこそ改革を断行できるということを申し述べて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/10
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011・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 柳ヶ瀬議員からの御質問にお答えいたします。
まず、独立行政委員会では機動的、総合的な対応ができない根拠について御質問いただきました。
電波行政の分野は、技術革新や国際競争が激しく、国家戦略的対応が求められる分野です。一般論として、規制部門を独立行政委員会とし、振興部門が他の組織となりますと、情報が共有しにくくなることや意思決定に時間を要する可能性があるなど、課題が生じることが想定されます。このため、内閣の構成員である一人の大臣の責任の下において、規制と振興の両輪で、機動的、総合的な対応を行うことが適当と考えています。
次に、事業者との癒着を防止する方策について御質問いただきました。
組織の形態を問わず、癒着防止のためには、行政における透明性の一層の確保が重要と考えております。現在でも、電波行政は、携帯電話への周波数割当ての方針を始め重要な政策プロセスについてパブリックコメントの対象とするなど、オープンな手続により透明性を確保して実施しております。
その上で、本法案において、広い経験と知識を有する第三者機関である電波監理審議会の機能を強化し、主体的に電波の利用状況を評価、提言できる仕組みを導入することとしております。これにより、電波行政の透明性、客観性を高め、より一層電波の有効利用を推進してまいります。
次に、電波オークションの今後のスケジュールについて御質問いただきました。
携帯電話用周波数については、5Gの導入等によって利用ニーズが増大しており、更なる電波の有効利用が喫緊の課題となっています。このため、総務省の有識者会議において、オークション方式も含め、我が国に望ましい新たな割当て方式の在り方について検討を行っており、本年夏頃を目途に取りまとめる予定です。総務省としては、その結果を踏まえ、速やかに必要な対応を進めてまいります。
次に、携帯電話以外の電波オークションについて御質問いただきました。
携帯電話以外の周波数帯については、現時点では大きな利用ニーズが顕在化していないなどの状況にあり、まずはその動向を注視していく必要があると認識しております。
次に、電波利用料の水準の適正化やその手段について御質問いただきました。
電波利用料は、不法な電波の監視など、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の費用を無線局の数などに応じて公平に分担していただくものです。この考え方に基づいて算出された現行の電波利用料の水準は、適正であると考えております。
したがって、現在、総務省の有識者会議において、オークション方式も含めて我が国に望ましい新たな携帯電話用周波数の割当て方式の在り方を検討していますが、御指摘のような電波利用料の水準の適正化を目的としているものではございません。
次に、NHKの還元目的積立金制度による受信料負担の減少化の見込みなどについて御質問いただきました。
還元目的積立金の規模は、令和五年度決算見込みなどを踏まえ、令和六年度のNHKの収支予算から明らかになるものです。このため、現時点において、その積立額やそれに基づく受信料負担の減少額の見込みについてお示しすることは難しいと考えております。
次に、流動資産からの還元目的積立金への供出について御質問いただきました。
今般導入する還元目的積立金の制度は、NHKの事業収支が黒字となった結果、最終的に資本として計上される繰越剰余金に着目をし、その一部を受信料の値下げの原資として積み立てるものです。一方で、御指摘の債券は、翌年度以降の経費などを見込んで保有する資産であり、繰越剰余金とは基本的に性格が異なるものと承知をしております。
いずれにしても、今般の積立金制度により、適正水準を上回る剰余金の国民・視聴者への適切な還元を実現してまいります。
最後に、本法案による改革への意欲について御質問いただきました。
本法案により、まず、第三者機関である電波監理審議会が主体的に電波の利用状況を評価、提言できる仕組みを導入するとともに、携帯電話などが既に使用している周波数について、電波の有効利用が不十分な場合に、周波数の再割当てを可能とすることにより、有限希少な電波の一層の有効利用を促進してまいります。
また、外資規制違反を再び生じさせないため、外資規制のチェック機能を抜本的に強化するとともに、NHK受信料の適正かつ公平な負担の実現に向けた改革を更に進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/11
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012・山東昭子
○議長(山東昭子君) 伊藤岳さん。
〔伊藤岳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/12
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013・伊藤岳
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。
会派を代表し、電波法及び放送法改正案について総務大臣に質問いたします。
初めに、放送法の改正案についてです。
公共放送としてのNHKに求められていることは、放送の自主自律を遵守し、視聴者・国民からの理解と信頼を得られる質の高いコンテンツを提供する役割を果たしていくことです。
その点からも重大なことは、かんぽ不正販売疑惑を報じた「クローズアップ現代+」をめぐる問題です。
二〇一九年四月の「クローズアップ現代+」に対する日本郵政グループからの抗議に屈服し、NHK執行部は、予定していた第二弾の放送を取りやめました。また、経営委員会は、放送番組は何人からも干渉されないと定める放送法第三条及び第三十二条二項に違反して、ガバナンスを口実に、上田良一前会長を厳重注意とした上、この重大な決定を行った際の経営委員会の議事録を公開せず、今もなお事実を隠蔽し続けています。
第三者機関であるNHK情報公開・個人情報保護審議委員会の二度にわたる答申を経て、昨年七月、経営委員会はようやく議事の粗起こしを開示しました。その中でも、日本郵政からの圧力に迎合する経営委員会の対応が生々しく記されています。NHK経営委員会の議事録は、全面公開するのが当然ではありませんか。
介入を主導した当時の経営委員長代行が現経営委員長として居座っていることなど、異常な事態であると思いませんか。
さらに、今、番組制作局や報道局に所属するNHK内部の職員から、前田会長よ、NHKを壊すなとの告発が上がっていると報じられています。二〇二〇年一月の就任以来、スリムで強靱なNHKを掲げ、七百億円の経費削減を推し進める前田晃伸会長の人事育成システム、コストカット、リストラなどが、良い番組を作ろうという高い志を持つ職員の心を踏みにじり、番組の質を劣化させ、災害報道や選挙報道にもゆがみをもたらしているなどの告発内容は、痛切で深刻であります。
告発では、さらに、前田会長の下では、政権の圧力を許し、番組内容をゆがめることが平然と行われていると指摘をされています。事実であれば、NHKの在り方を根本から問う重大なものではありませんか。総務大臣の認識を伺います。
改正案の内容は、NHKの在り方に深く関わるものです。以下、質問します。
第一に、NHKの受信料値下げのために還元目的積立金制度を創設する問題です。
経営計画の期間で蓄積された繰越金のうち、総務省令で定める計算額を還元目的積立金として積み立て、次期経営計画の期間の中で受信料を引き下げる原資とします。
そもそも、NHKの収支予算は、言論報道機関としてのNHKの自立性を確保し、公共放送としての責務の履行を判断することなどの要請から、国会の承認議決を得るとされています。受信料は、国会の承認議決に基づいて定め、政府、大臣には調整権もありません。総務省令による計算に行政や政権の恣意的判断が入らないという具体的な根拠はあるのでしょうか。
改正案は、NHK収支予算の承認議決という国会の重要な役割を後退させ、NHKの自立性を脅かすものではありませんか。菅前政権は、所信表明で、NHK受信料の値下げを明言し、NHKに対する介入姿勢をあらわにしました。還元目的積立金制度を導入するならば、今後は、行政や政権からの介入を許す制度的な足掛かりとなるのではありませんか。
さらに、この制度は、NHKに業務の効率化、コストカットありきの予算策定を迫り、良質なコンテンツを提供するための予算の確保や人材の育成に深刻な影響を及ぼすことになるのではありませんか。
第二に、新たに中間持ち株会社を設立して、NHKの子会社、関連会社などの業務の効率化、コストカットを進めることです。
これまで、NHKの子会社、関連会社などの業務管理やガバナンスのチェックはそれぞれの会社ごとに行われてきました。なぜ、子会社、関連会社などの管理部門を集約し、役員、従業員数を合理化し、重複業務を排除することを専らに行う中間持ち株会社を設立する必要があるのですか。答弁を求めます。
第三に、正当の理由がなく、期限までにNHK受信契約を締結しない者に対して受信料の割増金を課す問題です。
公共放送の意義を丁寧に説明し、国民の理解と合意を得ることに背を向けて割増金に頼るならば、NHKに対する信頼は一層遠くなるのではありませんか。
二〇一七年十二月六日の最高裁判決は、受信料制度は合憲であり、受信契約の締結は法的義務であるとしました。しかし、NHKは、これをもって一方的な支払を迫ることはしないと国会で繰り返し答弁してきました。この対応方針は守られるのですか。
次に、電波法の改正案についてです。
電気通信技術の開発、発展は、国民生活の利便性向上の基盤となるものです。電波は国民の共有財産であり、かつ有限な資源です。その公共性にふさわしい電波利用の在り方が求められます。総務大臣の基本認識を伺います。
第一に、電波利用料の使途に研究開発のための補助金交付を追加する問題です。
改正案は、電波利用料をビヨンド5Gの実現などに向けた研究開発に使うとしていますが、日本の企業が国際市場での競争力を確保するための研究開発ではありませんか。
電波利用料は共益費としての性格を持ち、その使途は限られ、国民が広く電波を利用しやすくするために使われるものです。企業の国際競争力強化のための技術開発支援に使うことは、電波利用料の使途とは相入れないのではありませんか。
第二に、周波数の再割当てを促進する新たな仕組みについてです。
携帯電話通信網は、既に国民生活に欠かせないインフラです。新規事業者への再割当てありきで進めれば、電波がつながらないなど、既存の携帯電話回線の利用者に一時的にせよ不利益が及ぶことになります。その認識と対策はありますか。
電波の有効利用評価を総務大臣から電波監理審議会に移し、電波監理審議会は総務大臣に勧告を行うとされます。総務省は、進展が著しい技術開発の知見を有する委員で構成された新たな部会を設置するとしています。しかし、大学などの識者であっても産官学協同のコンソーシアムに加わっている場合がほとんどです。電波の再割当ては利害関係者の対立が大きく、企業とのつながりがあれば公平中立な判断に懸念が生じるのではありませんか。
電波監理審議会の権能を強化しますが、言論、表現の自由や国民の知る権利を保障し、電気通信事業におけるプライバシーの保護を始め国民、消費者が安心して電波を利用できるために、政治権力と事業者からの独立性が確保されることが重要です。電波監理審議会の在り方を根本から見直すべきではありませんか。
最後に、外資規制です。
外資規制の実効性を高めることは必要です。改正案は、違反があった場合、是正のための猶予期間を与えることができるとしています。猶予期間を与える基準について、その客観性と透明性はどう担保されるのですか。
以上述べて、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣金子恭之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/13
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014・金子恭之
○国務大臣(金子恭之君) 伊藤議員からの御質問にお答えいたします。
まず、NHK経営委員会の議事録について御質問いただきました。
NHK経営委員会の議事録については、放送法第四十一条に基づき、経営委員会の定めるところにより作成、公表を行うこととされているため、個別の議事録の取扱いについては、経営委員会において自律的に判断すべきものと考えております。
総務省としては、NHK予算に付した大臣意見において指摘したとおり、NHKにおいては、国民・視聴者の受信料で成り立つ公共放送として、放送法の趣旨を踏まえて、引き続き、経営の透明性の確保に努めていただきたいと考えております。
次に、NHK経営委員会の委員長の選任について御質問いただきました。
経営委員会の委員長の選任については、放送法第三十条第二項の規定に基づき、委員の互選によって行うものとされているため、総務省としてお答えすることは差し控えさせていただきます。
次に、NHK職員の告発に関する報道について御質問いただきました。
報道があったことは承知していますが、総務省として事実関係を把握しておりませんので、お答えは差し控えさせていただきます。
次に、還元目的積立金の算出方法について御質問いただきました。
本法案では、総務省令において、NHKが財政安定の観点から留保できる剰余金の具体的な基準を定めることとしておりますが、その基準を可能な限り客観的なものとしてまいりたいと考えております。この総務省令を定める際には、パブリックコメントを行うなど、国民の皆様の御意見も丁寧にお伺いしながら検討を進めてまいります。
次に、還元目的積立金と、NHKの自立性や予算策定などに与える影響や、行政などによる介入との関係について御質問いただきました。
還元目的積立金を導入した場合でも、受信料の額を含む毎年度のNHKの収支予算については、これまでどおり国会から御承認をいただく必要があり、その基本的な枠組みについて何ら変更はございません。他方で、合理的な理由がある場合、剰余金を必ずしも受信料の引下げに充てる必要はなく、NHKに一定の裁量の余地を認める柔軟な仕組みとしております。
したがいまして、今般の積立金制度がNHKの自立性や予算の策定などに影響を及ぼすという御指摘は当たらないと考えております。
次に、中間持ち株会社制度を整備する理由とその意義について御質問いただきました。
中間持ち株会社によるNHKグループの経営管理を認めることとしたのは、グループ内での重複業務の排除などにより、グループ全体の業務を合理化、効率化し、NHK本体の支出抑制につなげるためであります。NHKの業務の財源は、国民・視聴者の皆様から御負担いただく受信料で賄われていることから、NHKグループの業務の合理化、効率化を図ることは必要であると認識しております。
次に、公共放送の意義についての国民への丁寧な説明と、最高裁判決を踏まえたNHKの対応方針について御質問いただきました。
受信料制度は、公共放送に対する国民・視聴者の皆様の御理解の下に成り立っているものであり、本法案では割増金制度が整備されたとしても、NHKが国民・視聴者の皆様に丁寧な説明を行い、十分な理解をいただいた上で受信契約を結んでいただくことが重要と考えております。
NHKにおいては、割増金制度をもって一方的に支払を求めるのではなく、引き続き丁寧な説明に努めていただく必要があるという点について変わるものではございません。
次に、電波の公共性にふさわしい電波利用の在り方に対する基本認識について御質問いただきました。
電波は、今や国民の日常生活や社会経済活動において欠かせないものとなっており、デジタル田園都市国家構想を実現する上でも不可欠なインフラとなっております。総務省としては、電波が有限希少な国民共有の財産であることを十分に踏まえ、その一層の有効利用に取り組むとともに、その便益が広く国民や社会経済に及ぶようしっかり取り組んでまいります。
次に、電波利用料の使途の追加や、その位置付けについて御質問いただきました。
電波利用料の対象となる研究開発は、いずれも電波の能率的な利用を促進し、周波数全体の逼迫の緩和を図り、無線局の免許人等の全体の受益につながるものとしております。
ビヨンド5Gについては、二〇三〇年代の社会の基盤となることが期待されていることから、その早期実現のため、電波法の規定に基づき、おおむね五年以内に開発すべき電波の有効利用に資する技術として、電波利用料を充てて研究開発に取り組むものであります。
次に、周波数の再割当てに関して、利用者への影響とその対策について御質問いただきました。
本法案では、既存の免許人に対して、事前に十分な意見聴取を行うとともに、周波数を移行する期間を適切に設定することとしており、利用者への影響ができる限り生じないよう努めてまいります。
なお、一般的に、携帯電話事業者は複数の周波数帯を保有し、携帯電話の端末はそれらの周波数帯に対応しているため、一つの周波数帯を返上しても、直ちに利用者に大きな影響が生じることはないと想定しています。
次に、電波監理審議会委員と企業とのつながりについて御質問いただきました。
本審議会の委員は、電波法において、放送事業者、認定放送持ち株会社、電気通信事業者、無線設備の機器の製造業者、販売業者などや、その役員は、本審議会の委員となることができないこととされております。本審議会の下に設置する部会の特別委員の人選についても、こうした法の規定を踏まえて、公平、中立性がしっかりと確保できるよう検討してまいります。
次に、電波監理審議会の在り方について御質問いただきました。
電波行政の運営においては、その透明性、客観性の確保が重要と考えており、第三者機関である電波監理審議会がその役割を担ってまいりました。さらに、本法案においては、本審議会の機能を強化し、主体的に電波の利用状況を評価、提言できる仕組みを導入するなど、更なる透明性、客観性を確保することとしています。今後も、電波行政について不断の見直しを行ってまいります。
最後に、外資規制に違反した場合の猶予措置における基準の客観性と透明性について御質問いただきました。
本法案においては、外資規制に違反した場合に一定の猶予期間を定めて放送局の免許などを取り消さないことができるとしておりますが、その決定に当たっては、勘案すべき事項などについて法律で定めております。また、その決定を免許人などに対して通知する場合には、理由を付すこととしております。このような枠組みを通じて、猶予措置の客観性と透明性を確保してまいりたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/14
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015・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/15
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016・山東昭子
○議長(山東昭子君) この際、お諮りいたします。
江島潔君外三名発議に係る参議院規則の一部を改正する規則案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/16
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017・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
よって、本規則案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。江島潔さん。
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〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔江島潔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/17
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018・江島潔
○江島潔君 ただいま議題となりました参議院規則の一部を改正する規則案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
本規則案は、本院議員の定数の改正に伴い、常任委員会の委員の数を改めて、第一種委員会の委員総数が議員定数と同一となるよう所要の調整を行うものであり、令和四年に行われる通常選挙により選出される参議院議員の任期が始まる日以後最初に召集される国会の召集の日から、内閣委員会の委員の数を二十一人から二十二人に改め、文教科学委員会及び環境委員会の委員の数を二十人から二十一人に改めることといたしております。
以上が本規則案の提案の趣旨及び内容でございます。
何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/18
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019・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本規則案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/19
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020・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本規則案は可決されました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X02720220601/20
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