1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年六月十五日(水曜日)
午前十一時三十一分開議
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○議事日程 第三十二号
令和四年六月十五日
午前十一時三十分開議
第一 令和二年度一般会計歳入歳出決算、令和
二年度特別会計歳入歳出決算、令和二年度国
税収納金整理資金受払計算書、令和二年度政
府関係機関決算書
第二 令和二年度国有財産増減及び現在額総計
算書
第三 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算
書
第四 こども家庭庁設置法案(内閣提出、衆議
院送付)
第五 こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法
律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
第六 こども基本法案(衆議院提出)
第七 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社
会の形成に資するために性行為映像制作物へ
の出演に係る被害の防止を図り及び出演者の
救済に資するための出演契約等に関する特則
等に関する法律案(衆議院提出)
第八 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、議員辞職の件
一、日程第一より第八まで
一、裁判所の人的・物的充実に関する請願外三
百三件の請願
一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
の件
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/0
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001・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。
この際、議員の辞職についてお諮りいたします。
昨十四日、藤末健三さんから議員辞職願が提出されました。
辞表を参事に朗読させます。
〔参事朗読〕
辞 職 願
この度一身上の都合により議員を辞職いたし
たいのでご許可くださるようお願い申し上げま
す
令和四年六月十四日
参議院議員 藤末 健三
参議院議長 山東 昭子殿発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/1
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002・山東昭子
○議長(山東昭子君) 藤末健三さんの議員辞職を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/2
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003・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/3
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004・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一 令和二年度一般会計歳入歳出決算、令和二年度特別会計歳入歳出決算、令和二年度国税収納金整理資金受払計算書、令和二年度政府関係機関決算書
日程第二 令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書
日程第三 令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。決算委員長松村祥史さん。
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〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
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〔松村祥史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/4
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005・松村祥史
○松村祥史君 ただいま議題となりました令和二年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
令和二年度決算外二件は、昨年十二月二十一日の本会議において、財務大臣から概要の報告を聴取いたしておりますので、その内容につきましては、これを省略させていただきます。
委員会におきましては、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかどうかを精査するとともに、政府施策の全般について国民的視野から実績評価を行い、その結果を将来の予算編成及びその執行に反映させるとの観点に立って審査を行ってまいりました。
まず、内閣総理大臣を始め全閣僚出席の下での全般質疑を行った後、全六回に及ぶ省庁別の審査など、合計九回の審査を行い、物価の高騰を踏まえた財政政策等の在り方、新型コロナウイルス感染症対策の執行状況に係る検証の必要性、個人番号カードの普及等における取組の在り方、独立行政法人国際協力機構が管理する無償資金協力支払前資金の滞留を改善する必要性など、行財政全般について熱心な論議が交わされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
六月十三日、質疑を終局し、委員長より、令和二年度決算について本会議で議決すべき議決案を提出いたしました。
以下、その内容を申し上げます。
一、本件決算は、これを是認する。
二、内閣に対し、次のとおり警告する。
内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。
1 国土交通省の建設工事受注動態統計調査において、所定の期限後に提出された過去分の調査票が同省の指示により書き換えられたことなどにより、平成二十五年四月以降の一部の受注高が二重に計上されていた事態が明らかとなり、また、三十一年一月に実施された政府統計の一斉点検では事態の発見に至らず、政策立案の根拠となる統計の信頼性が著しく損なわれたことは、極めて遺憾である。
政府は、毎月勤労統計調査の不適切事案の発生以降、再発防止策を進める中で、統計制度の根幹を揺るがす事態が再び発生し、その発見及び対応が遅れたことを重く受け止め、建設工事受注動態統計調査の不適切事案が、GDPなど他の統計等に与えた影響を究明し、同統計調査が適正に遡及改定されるよう必要な対策を講じるとともに、政府統計全体に対する信頼を確保するため、不適切事案の徹底した検証と再発防止のほか、全ての基幹統計及び一般統計を対象とした政府統計の改善施策に取り組み、必要に応じて人員を増やすなど統計行政体制の強化を図るべきである。
2 新型コロナウイルス感染症拡大に伴うマスクの品薄状態に対処するための布製マスク配布事業によって生じた大量の在庫について、有効活用されないまま九億円を超える保管費用が発生していることに加え、実際の在庫枚数が計算上の在庫枚数よりも約五十三万枚少ないことが判明したにもかかわらず、必要な記録が残されておらず原因究明ができないことは、遺憾である。
政府は、布製マスク配布事業における不適切な在庫管理により在庫枚数の差異が発生し、国に損失を与えた可能性が否定できない事態を生じさせたにもかかわらず、国会からの指摘があるまで明らかにしなかったことを真摯に反省し、緊急的に実施する事業であっても必要な記録を残すことを含め作業の進捗管理を徹底すべきである。
3 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い多くの事業者が苦しい経済状況にある中で、経済産業省の職員二名が、虚偽の申請書類により持続化給付金四百万円及び家賃支援給付金約一千百五十万円を不正に受給する詐欺行為を行い、懲戒免職処分とされた上、有罪判決を下されたことは、極めて遺憾である。
政府は、経済産業省職員が所管の制度を悪用したことは、給付金制度や不正受給対策を実施する同省に対する信用を失墜させ、国家公務員に対する国民の信頼を損なう事態であることを重く受け止め、二度と同様の事態が生じないよう再発防止に万全を期すとともに、職員一人一人が服務規律を遵守し、高い倫理観を持って業務に取り組むよう組織風土を改善し、信頼回復を図るべきである。
4 国土交通省の建築工事費調査について、令和三年一月から従来の都道府県経由ではなく同省が直接実施する方法に変更したことに伴い、調査票の配布が計画より大幅に遅れていることが明らかとなり、また、建設工事受注動態統計調査に係る不適切処理問題を受け、組織内の情報共有等の課題が指摘されている中で、同省において一年以上この事態が改善されなかったことは、遺憾である。
政府は、公的統計の信頼回復が急務となっている中、不適切な事態が繰り返されていることを重く受け止め、国土交通省において早急に業務体制を立て直し、自ら原因究明及び組織体質の抜本的な改善を図るなど実効性のある再発防止策を講じるべきである。
5 飛行中の航空機に地上からの距離等の情報を電波によって与えるタカン装置について、海上自衛隊が管理する硫黄島飛行場の既設装置を新設装置へ換装する計画に係る検討が不十分で、既設装置等が障害物となり、令和元年九月の初度飛行点検において電波障害が発生して不合格と判定され、二年以上運用できない状況となっていたことは、遺憾である。
政府は、新設タカン装置等が既設装置等を撤去しなければ所期の計画どおり運用できない事態となったことを重く受け止め、装置の換装計画はもとより、他の機材についても今般の事態を教訓として問題点の共有及び教育を徹底し、十分な検討を行った上で計画が立案されるよう再発防止に万全を期すべきである。
6 航空自衛隊のT4中等練習機等で使用するため既存の救命無線機の後継機として調達した新無線機について、調達要求事項の検討が不十分で、着水後正常に機能しない可能性があり、また、寸法が既存の無線機より大きく適切に収納できず、平成二十九、三十両年度に調達した五百十五個のうち四百九十六個が運用に支障が生じるおそれがあるとして、使用されていないことは、遺憾である。
政府は、搭乗員の生命・安全を守るための重要な装備品である救命無線機について、収納方法等を十分に理解、確認せずに二か年度調達し、大多数が使用できない状況となっていることを重く受け止め、収納方法等を改善した上で早期に使用するとともに、装備品の調達に関する確認体制を強化するなど再発防止に徹底的に取り組むべきである。
以上が議決案の内容であります。
また、議決案と併せて、委員長より二十項目から成る内閣に対する措置要求決議案を提出いたしました。
討論を終局し、採決の結果、令和二年度決算は多数をもって是認すべきものと、内閣に対する警告案は全会一致をもって委員長提出案のとおり警告すべきものと議決されました。また、措置要求決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
次に、令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書は多数をもって是認すべきものと決定し、次いで、令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書は多数をもって是認すべきものと決定いたしました。
なお、同日、国会法第百五条の規定に基づき、会計検査院に対し、検査要請を行うことを決定いたしました。
検査項目は、予備費の使用等の状況についてであります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/5
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006・山東昭子
○議長(山東昭子君) 三件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。杉尾秀哉さん。
〔杉尾秀哉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/6
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007・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
私は、会派を代表して、令和二年度、二〇二〇年度の歳入歳出決算四案と国有財産増減及び現在額総計算書に反対、また、国有財産無償貸付状況総計算書と内閣に対する警告決議に賛成の立場から討論します。
三次にわたる補正を経た二〇二〇年度の決算は、歳入百八十四・五兆円、歳出百四十七・五兆円、翌年度繰越額三十・七兆円、不用額三・八兆円と、いずれも過去最大となりました。その結果、決算のプライマリーバランスは八十・四兆円の赤字となっています。
今や国及び地方の長期債務残高は千百六十五・七兆円と、対GDP比でついに二〇〇%台に達しました。にもかかわらず、今回の決算委員会で何度も指摘された野方図に繰り返される予算の無駄遣いに改めて強烈な危機感を表明するものです。
以下、二〇二〇年度決算に反対の理由を述べさせていただきます。
まずは、巨額の予備費の計上を含め、いたずらに規模を膨らませた新型コロナ関連予算と、そのずさんな執行の結果についてです。
未曽有の感染拡大の中にあって、緊急対応が必要であったことは否定するものではありませんが、幾ら何でも無責任や場当たり、それに思い付きが過ぎると言わざるを得ません。
中でも、無駄遣いの最たるものが中小企業庁による持続化給付金事業です。電通やパソナなどが設立に関わったサービスデザイン推進協議会が事業を受託しましたが、再委託費率は何と九九・八%で、最大九次下請まで繰り返され、参加者は延べ七百二十三者にも上りました。一体どれぐらいの中抜きが行われたんでしょうか。
こうした結果、必要なところに必要な給付が迅速に行われなかった一方、チェックが甘くなり、多額の給付金が詐取される事態が起きました。これまでに判明しているだけでも、不正受給による自主返還額は実に百六十六億円、そして、巨額詐欺事件に、あろうことか経済産業省のキャリア官僚や、税の知識を悪用した東京国税局職員まで加担していた事実が判明するに至っては、まさに開いた口が塞がりません。
かかる犯罪は、国への信用を失墜させ、国家公務員への国民の信頼を大きく損なうものです。もっとも、魚は頭から腐るという言葉どおり、国のトップによる様々な不祥事が末端の行政職員のモラルにまで影響を与えている可能性は否定できません。これでどこが美しい国なんでしょうか。
その美しい国へという我が国が目指す形を説いた安倍元総理のコロナ対策も、一言で言ってひどいものでした。
科学的知見を無視した全国一斉休校に始まり、中でも極め付けは、私も再三国会質疑の中で取り上げてきた世紀の愚策、いわゆるアベノマスクと呼ばれる布製マスク配布事業です。総理側近の官邸官僚の思い付きで始まった、誰も使わなかった布製マスクの配布事業には四百六十六億円もの巨費が投じられたにもかかわらず、結局、八千三百万枚、百十五億円相当が使われないまま倉庫に山積みされ、巨額の保管費用まで垂れ流しが続けられてきました。
さらには、実際の在庫枚数が計算上の枚数より五十三万枚も少なく、異物の混入や汚れの付着など不良品は一五%にも及び、在庫管理に必要な記録さえ残されていませんでした。これが国の事業かとあきれるばかりです。
おまけに、鳴り物入りで始めたCOCOAアプリも惨たんたる状況です。
ソフトウエアに不具合があって感染者との接触を確認できていなかったことが報じられるや、使えないアプリという評価が一気に定着しました。
先週の本会議で後藤厚労大臣は、社会経済活動を維持したまま感染拡大を防止するITツールとして引き続き意義があると強弁しましたが、そんなことを信じる国民は誰もいません。私の周りでも、一回もアプリを入れたことがないか、あるいは削除してしまった人ばかりです。かく言う私も、一回も通知が来ず、結局、消去してしまいました。
そういえば、このCOCOAに象徴されるような、行政のデジタル化の遅れを取り戻すために去年秋、鳴り物入りでスタートしたデジタル庁は一体どうなったんでしょうか。
事務方のトップであるデジタル監は、就任後僅か八か月で異例の退任。さらに、職員六百人のうち三分の一を占める民間出身者が大量に辞めていると伝えられています。赤坂の超一等地に豪華なオフィスを構え、期待を一身に集めて発足したデジタル庁も、早くも迷走ぎみです。後の決算委員会で壮大な無駄遣いと指摘されないよう、組織の抜本的見直しを早く進めた方がよろしいかと思います。
次に、この間の決算審査でも厳しい論戦が行われた、二〇二〇年度、二一年度合わせた十四兆六千五百億円もの巨額のコロナ予備費の使用についてです。
そもそも、予備費は予見し難い予算の不足に充てるため、使途を定めずに計上されるものです。予算の事前議決の例外として憲法で認められておりますが、我が国では当初予算のほかに補正予算の制度もあることから、国会開会中は原則として予備費の使用は行わないことが閣議決定されています。
ところが、実際には閣議決定に反する運用が常態化しており、この問題について、我が会派の小沼議員が決算委員会で何度も何度も何度も何度も指摘してきましたが、これに対する政府の対応は、まさにのれんに腕押しでした。
その結果、一体どういうことが起きているんでしょうか。例えば、二〇二〇年度のコロナ予備費の使途の一例として、戦略的な政府広報や子供の居場所づくりなどといった経費が国会開会中に使用されています。もちろん、これらの事業内容を全否定するものではありませんけれども、元々当初予算に計上して通年で実施するような事業である上、不測の事態に対処する目的で使用されるべき予備費にふさわしい政策であるとは到底思えません。
さらに、これも予算委員会で取り上げられました、コロナ予備費が使用された地方創生臨時交付金でシャンパンタワーや公用車購入といったような事例は、まさに氷山の一角にすぎないとも言えます。大手経済新聞が「国費解剖」というシリーズ企画で行った、予備費のうち十一兆円が使途不明になっているという指摘はSNSなどで拡散し、大きな反響を呼びました。
こうした指摘や、今回の二十項目にも及ぶ措置要求決議でも取り上げられたように、予備費等の予算の執行状況に係る情報開示の在り方や透明性の向上は、もはや待ったなしの課題とも言えます。
政府に対しては、国民からやりたい放題と言われないように、予備費の使用や支出の状況を厳しく反省するとともに、これまで以上に国会や国民に対して十分な説明責任を果たすよう求めます。
最後に、我が国財政の持続可能性について申し上げます。
私は、去年十二月の本決算をめぐる本会議の代表質問で賢い支出、ワイズスペンディングの重要性を訴え、財政の効果検証の手段としてのPDCAサイクルの重要性や、国のばらまきを監視する独立財政機関、IFIの創設などを訴えました。
ところが、岸田政権では、例えば、先週閣議決定された骨太方針でも財政健全化の目標年限に関する記述が消えるなど、財政健全化に取り組む意思が後退しているのは明らかです。このままでは、我が国の財政の持続可能性について、国内外からも深刻な疑問が呈されるのは時間の問題かもしれません。
このような事態に至らないよう、国家が財政活動を行うに当たっては、国民の代表で構成される国会での議決が必要であるとの考え方に基づき規定されたのが憲法八十三条です。ですから、この財政民主主義をないがしろにするような予備費の濫用は決してあってはなりません。
しかし、これまで見てきたように、安倍、菅政権の財政民主主義軽視の姿勢は顕著であり、岸田政権もそのまま引き継いでいるように見えます。その象徴が先月成立したばかりの補正予算で、予備費の使途を当初の説明から勝手に変更した上で、その予備費の穴埋めを補正予算で行いました。こんなでたらめが許されるのなら、極端な言い方をすれば、国家予算を全て予備費にして、政府があらゆる予算を好き勝手に使うことまで許されることにつながりません。
そこで、私は、この議場にいらっしゃる全ての皆さんに問いたい。これほど議会を軽視した予算編成と執行の在り方を議会人として許していいんでしょうか。それとも、どのようなやり方であれ、自分たちもその配分方法の一端に関われれば、それでよしとするんでしょうか。
重ねて申し上げます。こうした予備費の濫用は、財政民主主義のみならず、議会制民主主義の否定にもつながりかねません。後世に禍根を残しかねないことを、決して許してはなりません。こうした強い危機感を表明するとともに、あわせて、私たちは、今般の異次元の物価上昇、いわゆる岸田インフレと徹底的に戦うことを宣言して、私の討論を締めくくります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/7
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008・山東昭子
○議長(山東昭子君) 芳賀道也さん。
〔芳賀道也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/8
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009・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
会派を代表し、令和二年度決算案外二案に反対、警告決議案に賛成の討論を行います。
国民民主党は令和二年度予算案に反対をしております。執行過程において予算案に対する反対理由を凌駕するだけの相当な工夫がなされた事実を確認できないことから、以下、反対の理由を申し述べます。
主な理由は三つです。
反対の理由、第一に、執行された施策の多くが持続可能性に欠けることです。
デフレ脱却、二〇二〇年にGDP六百兆円、一億総活躍、女性活躍、デジタルトランスインフォメーション、新しい資本主義など、大げさなスローガンが二〇一二年の第二次安倍内閣以降、発信されてきました。
しかし、我が国の政治、行政が真摯に向き合わなくてはならないのは一千兆円を超える巨大な債務です。同じ国民民主党の古川元久衆議院議員の著書によれば、GDPの二倍の政府債務を抱えるのは世界で日本とアフリカのジンバブエぐらい。昨年には財務省の矢野康治事務次官が雑誌月刊文芸春秋に寄稿して話題になりましたが、その寄稿自体への賛否又は内容の賛否には様々あったとしても、現職財務次官の指摘には耳を傾けるべきでしょう。
経済成長なくして財政再建なしの耳当たりの良いフレーズの下、その間行ってきた財政支出が、持続的な成長や我が国の深刻な課題を十分に解決するに至っていないことは事実です。その結果、直ちに財政再建を目指すことは困難かつ非現実的な状況にまで追い込まれています。
今回、決算委員会で審議した令和二年度決算でも、予算案の段階から成長にも財政健全化にも道筋が付いていません。そして、政府予算とは別に、政府は日銀に財政ファイナンスを実行させて国債を爆買いさせ、株式やETF、上場投資信託を爆買いさせて株価を支え、J―REIT、不動産投資も爆買いさせ地価を支えてきました。
歴史を見れば、戦後のハイパーインフレでは、日銀作成の東京小売物価指数で見ると、一九四五年、昭和二十年から一九五一年、昭和二十六年までの六年間に東京都内の小売物価が百倍になりました。年金の支給額が今年四月から〇・四%下がりましたが、それどころではない塗炭の苦しみを今後、国民全員が経験させられるかもしれない潜在的な危険性は高まっています。
少子化、人口減少の対策も効果が出ていません。住む人がいなくなれば、ほかの国からミサイルが飛んでくる前にこの国は滅びてしまいます。全国あちこちに限界集落があり、耕作放棄地があり、誰も住まなくなった集落があります。人口減少と少子化は、男性中心の長時間労働文化を改めるなど、考え得るあらゆる政策を実施して対処しなければなりません。
そして、日本の次の産業をどう育てるのか。かつてこの国を支えてきた電機産業や半導体産業は既に中国やアジア各国に追い抜かれ、輸出産業は自動車一本立ちのようになっています。自動車産業を更に強くする必要があるのと同時に、次の日本を支える産業を興す必要があります。経済成長を目指すべきは当然ですが、それと同時に、財政再建や少子化対策、人口減対策、次の産業づくりについて、長期的な計画を立ててじっくりと、そして本気で取り組まなければなりません。
反対の理由は、第二に、情報開示をおろそかにし、予算執行状況の透明性に欠けている問題です。
今年の決算委員会では、ここ十年間で最も多い二十件の措置要求決議がありました。この措置要求決議では、国会審議なしに政府が使い道を決められる予備費について問題の指摘が複数あります。二〇〇七年、平成十九年に、国会開会中の予備費使用については時間的に対処し難いと認められる緊急な経費などを除いて行わないと閣議決定していますが、緊急の経費以外にも、令和二年、三年度の新型コロナ対策予備費から支出がありました。
そもそもこの新型コロナ対策予備費は、令和二年度と三年度の予算合わせて十四兆六千五百億円も計上されたことが問題です。憲法第八十三条では、国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならないと、財政民主主義の基本原則を定めています。これに反する巨額の予備費は到底容認できません。
さらに、当初予算、補正予算、予備費の財源別に予算執行されていないため、予備費による執行額を切り分けて把握できない問題も措置要求決議で触れられました。国民の血税がどんな使い道をされているか、国民の代表たる国会議員が細かく把握できない現状は、民主主義国として深刻な問題と言わざるを得ません。
さらに、その間に行われていたのが統計不正です。決算委員会の警告決議でも、国土交通省による建設工事受注動態統計調査で二重計上がされていたことが指摘されました。この二重計上により、結果として、建設工事受注統計の数字が水増しされました。二〇一九年、令和元年の決算委員会そのほかで厚労省の毎月勤労統計の不正が指摘されたことも記憶に新しいところです。
反対の理由は、第三に、コロナ対策の予算執行過程において専門的な知見や客観的な現状分析が生かされていなかったことです。
新型コロナの感染拡大対策として、不織布マスクなら一定の効果があるが、布マスクでは効果が少ないという科学的な指摘があったにもかかわらず、一千四十四億円もの予算を掛け、布マスクのアベノマスクを全世帯に郵送する愚策が行われました。今年の決算委員会の警告決議では、アベノマスクの不適切な在庫管理について、有効活用されないまま九億円を超える保管費用が発生している問題や、在庫枚数が約五十三万枚不足していたのに必要な記録が残されていなかった問題が指摘されています。
同じ会派の足立信也議員は、三月二十八日の決算委員会で、まん延防止等重点措置の効果が少なかったという大阪大学の北村准教授の指摘を取り上げました。足立信也議員は、この日の決算委員会で、新型コロナ感染拡大対策を保健所主導の公衆衛生から医師主導の医療にシフトすべきだと、ほかの専門家からの御提言も踏まえて提案しています。
二〇二〇年のダイヤモンド・プリンセス号での新型コロナ感染拡大の頃から、専門家の知見を無視したコロナ対策が随所で見られました。
新型コロナの検査が少ないことも専門家から依然として指摘されています。アメリカで新型コロナ対策をリードするジョンズ・ホプキンス大学によれば、新型コロナの検査について陽性率が五%というのは高過ぎる、陽性率が五%より下がるよう検査を増やせとのこと。しかし、厚生労働省調査によれば、六月十日時点で全国の陽性率一七・四%。陽性率が高過ぎます。検査を更に増やす必要があります。
専門家の知見が軽んじられているということについては、学術会議のメンバー六人を政府が任命拒否したことで欠員が続いていることも忘れてはなりません。
以上、第一に、執行された施策の多くが持続可能性に欠けていたこと、第二に、予算執行状況の透明性にも欠けていたこと、第三に、新型コロナ対策で専門的な知見や客観的な現状分析に基づいた予算執行がなされなかったこと、以上三点を踏まえ、決算案に反対いたします。
国民民主党は、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求しています。予算においても、決算においても、その視点から真摯に向き合うことを申し上げ、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/9
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010・山東昭子
○議長(山東昭子君) 梅村みずほさん。
〔梅村みずほ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/10
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011・梅村みずほ
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほでございます。
私は、会派を代表して、令和二年度決算の是認に反対、令和二年度国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、令和二年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に反対、内閣に対する警告決議案には賛成の立場から討論をいたします。
決算等に反対する第一の理由は、これまでずっと指摘されてきた税金の無駄遣いや不適切な会計処理が一向に後を絶たない点です。
会計検査院が指摘した令和二年度決算検査報告書によれば、不当事項、意見表示、処置要求事項等の記載件数は二百十件、指摘金額は二千百八億円に上ります。令和元年度の記載件数は二百四十八件。件数こそ減少していますが、指摘金額は令和元年の二百九十七億円に比して七倍にも跳ね上がっています。
令和元年度は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により会計検査の実地検査が抑制され、例年より指摘金額が少なかったという理由はあるでしょう。しかし、結局このような結果に戻ったのは、いつもどおりの無駄遣いが改善されてはいないことを示しており、まあこんなもんだろうという緩み、おごりが目に見えています。
令和二年度も、新型コロナは変異株の蔓延を繰り返し、コロナ対策としての補正予算が三回組まれました。未曽有の事態の緊急対策ということでイレギュラーな支出が様々認められる時期ではありましたが、無駄遣いが許されてよいわけではありません。我が家でも結局二枚ほど手付かずのまま残っておりますが、アベノマスクについてはあしき教訓として後世に残すべき事例です。国民から負託された税の使途への監視の目は、今回のようなときであればこそ強めなければならないと考えます。
決算等に反対する第二の理由は、歳出における不用額と歳入の上振れが非常に巨額であるという点です。
歳出の不用額は三兆八千八百八十億円、このうち新型コロナウイルス感染症対策予備費の不用額は五千七十九億円と、一三%にすぎませんでした。新型コロナ対策予備費以外で三兆円以上の予算が執行されずに不用になったということです。令和二年度は、確かに新型コロナにより様々な事業やイベント等が延期や中止となりました。しかし、それにしても三兆円もの未執行分があるのは大き過ぎはしないでしょうか。
次に、歳入についてです。
税収は五兆六千九百六十六億円の増加、税外収入は五千百四十六億円の増加、合わせて六兆二千百十二億円の増収があり、その結果、四兆円の公債の発行が抑えられました。税収の増加は経済が回っていることを示しておりますので好ましいことではありますが、六兆円を超える税収の上振れが起きたということは、政府の経済財政見通し、政策実現の能力に疑問符を付けざるを得ません。歳入歳出共に査定が甘く大きな差異が生じた、予算が余ったから良かった良かったという結果オーライの姿勢はいかがなものでしょうか。
決算等に反対する第三の理由ですが、これは令和二年度一般会計、特別会計予算に日本維新の会が反対した理由でもありますが、政府の国民負担を増やす姿勢に対する疑問です。
政府は、令和元年十月に消費税率を一〇%に引き上げました。社会保障の負担も徐々に引き上げられてきています。租税負担率と社会保障負担率を合計した国民負担率の令和二年度の実績は四七・九%にまでなりました。国民の収入の半分近くが国庫に入っているということです。国民負担率が開示されている昭和四十五年以降において最も高い負担割合です。ちなみに、昭和四十五年の国民負担率は二四・三%、今の半分ほどであり、現代人が働いても働いても家計に余裕がないといぶかしむわけです。
政府の主張は、消費税率引上げ分は全ての世代を対象とする社会保障のために使うというものです。しかし、若い人たちは気付いています。社会保障の柱でもある国民年金は、自分たちが高齢者になる頃、今と同じ額を受け取れないだろうことを。また、自分の子供たちの代には、現在と比較にならないほど負担が重くのしかかるだろうことを。消費税増税、支給年齢引上げ、受給金額引下げでしか継続できない綻びだらけのこの制度を続けるのは余りに無責任ではないでしょうか。
現行の年金制度は本当に全世代型なのでしょうか。むしろ、世代間格差型社会保障ではないでしょうか。人口構成が逆ピラミッドとなっている現状を直視し、今こそベーシックインカム、最低所得保障や給付付き税額控除を検討すべきです。
自分一人の人生を自分自身で面倒を見ていくことさえハードモードの現代日本で、人の人生まで考えられないとなれば、結婚も子供も人生設計には加わりません。日本維新の会が掲げるベーシックインカムや給付付き税額控除は、必要な人に確実に届くセーフティーネットであり、制度設計によっては少子化対策にも有効な政策になり得ます。
農林水産委員会では一次産業の担い手が足りない、外交防衛委員会では自衛隊員が足らない、文教科学委員会では教職員が足りない、厚生労働委員会では医療・介護人材が足りない、国土交通委員会では職人が足りないと、どこの委員会でも今は人材難の話題に事欠きません。その大きな要因の一つは労働人口の減少であり、今後ますます深刻化していきます。
人口減少は国会の衰退と同義です。年間出生数は減少に歯止めが掛からず、今や年間八十一万人。子供がいると豊かになれる、そんなインセンティブがないとこの国は未来を描けない現状にあるということがまだ分からないのか、あるいは分かっていてもやらないのか、首をかしげるばかりであります。
かつての大阪は瀕死の状態でした。財政は逼迫し、住民サービスが低下、それでも政治家が自分の身分や地位や報酬にしがみつき、甘い汁のステークホルダーとともに政治を私物化。大阪市議会では、名前を刺しゅうで入れたテーラーメードのスーツが税金で支給されていました。今の国はその頃の大阪さながらです。国民負担率は上がっているのに無駄遣いを垂れ流し、議員定数は間もなく始まる参議院選挙でも三議席増えます。他方、結局、月百万円の文通費も、使途公開や余剰分の国庫返納を決断できず、時代遅れの金銭感覚を引きずっているのです。情けないばかりであります。
七百八十円のランチを我慢して、総菜パン三個、五百八十円で節約するような一般感覚に照らせば、私たち国会議員は、国民の代表とは名ばかりの、価値観の離れた異世界の住人に見えることでしょう。身を切る改革などきれい事だと笑われながらも、私どもは決してこの看板を下ろすことはございません。政治家自身が自分の財布や身分にメスを入れない限り、甘い汁のステークホルダーにメスを入れることなどできないからです。
甘い汁のステークホルダーとは誰か。政治家に献金をし、まとまった票をささげる業界団体もそうでしょう。チョコレートをもらったらうれしくなってお煎餅を返したいなと思うように、私たちは親切にされたら親切を返したい人の情を持っています。当選させてもらった人たちに恩返しの政治をしたくなるのも人の情。誰かがどこかの団体に大体ひも付いていたかつての日本であれば、それでも多くの国民に利益があったかもしれません。しかし、個々が多様な生き方をしている現代にそれを政治でやってはいけません。だから、私たちは、全方位の改革を断行できるよう企業団体献金を受け取らないのです。
政治家が行うべき改革と、それに続けた省庁を巻き込んでの行政改革で無駄な支出をなくす。また、大胆な規制緩和を断行し、経済成長を実現させて税収を増やす。大阪で我々が御支持をいただいている理由は、吉村知事の人気だけではございません。改革によって財源をつくり出し、教育無償化など次の世代に向けた予算を増やしてきたからです。
大阪市では、所得制限のない学校給食の無償化を継続しており、今年度からスタートした大阪公立大学では、府民を対象に、授業料、入学料を、年収五百九十万円までの世帯では全額支援、年収九百十万円までの世帯は所得に応じた支援を行っています。また、同じく所得に応じて、中学生を対象に行ってきた大阪市の習い事、塾代助成クーポンも十年目となり、来年度からは支援対象を小学生へも拡充いたします。
全ては次世代のためにという理念の下、必要なことに府民、市民の税金が使われているという実感が御負託につながっていると自負しております。
日本維新の会は、決算について厳しい目でチェックするとともに、政治家の姿勢についても厳しい目で見るべきだということを改めて主張いたします。
本日はいよいよ国会会期末でございます。我が党の片山虎之助議員を含めまして、御勇退なさる先輩方が豊富な御知見でこの国のために尽力されてきたことに心より敬意を表します。そして、夏の熱い戦いに身を投じられる先輩方が再びこの議場にお集まりいただき議論を交わせることを心より願いまして、討論を終了します。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/11
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012・山東昭子
○議長(山東昭子君) 市田忠義さん。
〔市田忠義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/12
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013・市田忠義
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
会派を代表し、二〇二〇年度決算、二〇二〇年度国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、二〇二〇年度国有財産無償貸付状況総計算書の是認に賛成、内閣に対する警告決議に賛成の立場から討論を行います。
本決算は、安倍内閣が最後に編成した当初予算に三次にわたる補正を加えた予算の執行状況です。
二〇二〇年度は、コロナ危機の下、国民の命と生活をいかに守るかが焦眉の課題でした。自粛と補償をセットで求める国民の切実な要求に耳を貸さぬ政府の対応が厳しく批判をされました。その結果、政府は、持続化給付金など野党の提案も一部取り入れましたが、自粛への補償、支援は極めて不十分でした。検査の抜本拡充、医療機関への減収補填などにも背を向け続けました。その一方、アベノマスク、GoToキャンペーンなど、不要不急の事業に多額の国費を投入しました。コロナ対策は失格と言わざるを得ません。
経済のかじ取りでも、消費税増税による不況の進行に何ら対策を打たず、社会保障費の自然増を大幅にカットし、制度の切捨てを進めました。大企業優遇税制にもメスを入れず、更なる優遇策を盛り込みました。
軍事費は過去最大の五兆三千億円。米国製兵器を爆買いし、海外で戦争する国づくりを進めています。本院は、二〇二〇年六月、米国政府との間で行う有償援助による防衛装備品等の調達について、改善を求める警告決議を上げました。しかし、政府は、第三次補正で二千八百億円を超える兵器購入の前払金を計上するなど、財政規律を無視した対策を続けています。
財政民主主義破壊の典型は、十兆円もの予備費の計上であります。安倍内閣は、この予備費により、通常国会の延長にも、憲法五十三条に基づく臨時国会の召集にも応じませんでした。議会制民主主義のじゅうりんではありませんか。
以上の点から、二〇二〇年度決算の是認には厳しく反対します。
決算審査では、行財政の問題点を中長期の視点で明らかにすることも重要であります。
私が参議院に議席を得たのは、新自由主義があらゆる分野に本格導入されるようになった時期でした。消費税の増税、健康保険の窓口負担の引上げなど、当時九兆円負担増と呼ばれた改悪への怒りを背に、一九九八年の選挙で国会議員となり、労働・社会政策委員会に所属をいたしました。
雇用の分野では、それまで通訳など二十六業務に限定されていた派遣労働が原則自由化されたのが一九九九年であります。自公政権は、その後も、労働法制の規制緩和、社会保障の削減、消費税の増税を繰り返しました。今日では、非正規雇用労働者は四割を超え、保健所は半減。それらが、格差と貧困、賃金が上がらず成長しない経済、医療、公衆衛生の脆弱化、国際競争力の低下をもたらしました。これらの矛盾はコロナ危機によって一層激化しました。
日本共産党は、新自由主義を転換し、優しく強い経済をつくる改革を提案しています。消費税五%への減税とインボイスの中止は、全ての物価を引き下げる特効薬になります。
分配重視や所得倍増は一体どこへ行ったのか。今こそ政治の責任で賃金を上げるときであります。行き過ぎた減税によって増えた大企業の内部留保に課税し、そこで得られる財源を活用して、最低賃金を全国一律時給千五百円に引き上げます。課税に適切な控除を設けることで、内部留保を賃上げや国内投資に回す流れをつくることもできます。弱肉強食の新自由主義を終わらせ、国民の命と暮らしを最優先にする政治に切り替えるために全力を尽くす決意であります。
一九九〇年代は、日米安保共同宣言や周辺事態法により、日米安保が極東からアジア太平洋に拡大された時期でもありました。その後、テロ特措法やイラク特措法で、日米同盟は地球規模に拡大されました。さらに、安倍内閣の下、歴代政権が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認と安保法制が強行され、米国の戦争に自衛隊が自動的に参戦する仕組みがつくられました。
ロシアによるウクライナ侵略に乗じ、軍事力、抑止力の強化や九条改悪の大合唱が起こっています。自民党は、反撃能力の名で、敵基地だけではなく、指揮統制機能を攻撃する能力の保有と軍事費の二倍化を提言しています。岸田首相は五月の日米首脳会談で、拡大抑止の強化、防衛費の相当な増額を公約しました。
今進められている安保法制の下での敵基地攻撃は、日本がどの国からも攻撃されていないのに、米国が軍事行動を始めたら集団的自衛権を行使し、自衛隊が米軍と一体となって相手国に事実上の先制攻撃を仕掛けるものであります。それは、相手国の反撃を呼び込み、全面戦争にもつながる最も危険な道と言わなければなりません。
これまで曲がりなりにも掲げてきた専守防衛を投げ捨て、軍事対軍事の悪循環を加速し、国民の生命、財産を脅威にさらす極めて危険な方向であります。九条改悪は、この道を突き進もうとするものであります。
ウクライナ危機について、日本共産党は、ロシアは国連憲章を守れの一点で世界が団結することを呼びかけています。米国が唱える民主主義対専制主義など、価値観で世界を二分し、力対力の対応を強化するやり方では、新興国や途上国を含めた世界の団結を困難にします。
ウクライナ侵略の責任は、挙げてロシアにあります。軍事同盟への懸念は、それを免責するものとはなりません。その上で、戦争という悲惨な結果となった背景には、NATOもロシアも双方が力対力の対応に陥った外交の失敗がありました。欧州の失敗から引き出すべき教訓は、軍事同盟の強化ではなく、地域の全ての国を包摂した平和の枠組みをつくることであります。憲法九条を生かした平和外交こそ、政治の果たすべき責任ではありませんか。
日本共産党は、ASEANとの連携を強め、ASEAN・インド太平洋構想を推進することで、東アジア規模の集団安全保障の仕組みをつくることを提案しています。軍事ブロックのような排他的な枠組みではなく、包摂的な枠組みをつくることが私たちの提案の眼目であります。
一部の政治家や政党が主張する核共有は、被爆国の政党、政治家にあるまじき暴論であります。ロシアが核の使用を公言する中、核抑止力論の破綻はもはや明らかであります。唯一の戦争被爆国である日本政府こそ核兵器禁止条約に参加すべきであります。
四半世紀の政治を振り返ってみれば、自民党政権が進めてきた新自由主義と戦争国家への道は、今、国民の生命、安全と到底両立し得ない地点に来ていると言わざるを得ません。その大本には、米国追随、財界の利益第一という政治のゆがみが横たわっています。日本共産党はそこにメスを入れて、政治の根本的転換を図ります。
最後に、私は今期で参議院議員を引退いたします。
郷土の大先輩であり、治安維持法に反対して右翼の凶刃に倒れた山本宣治は、民衆の政治運動とは代議士のみに任しておくものではない、議会における代議士の活動とともに、議会外においても大いに活動を要すると語りました。私は、議員でなくなっても、引き続き、市井にあって、日本の平和と民主主義、国民生活の向上のために生ある限り力を尽くす決意を述べて、最後の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/13
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014・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/14
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015・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第一の令和二年度決算の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。
これより採決をいたします。
まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することについて採決をいたします。
本件決算を委員長報告のとおり是認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/15
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016・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)
次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することについて採決をいたします。
委員長報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/16
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017・山東昭子
○議長(山東昭子君) 総員起立と認めます。
よって、全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。(拍手)
次に、日程第二の国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。
本件を委員長報告のとおり是認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/17
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018・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)
次に、日程第三の国有財産無償貸付状況総計算書について採決をいたします。
本件を委員長報告のとおり是認することに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/18
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019・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手)
先ほど議決されました内閣に対する警告に関し、内閣総理大臣から発言を求められました。岸田文雄内閣総理大臣。
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/19
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020・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。
政府としては、従来から国の諸施策の推進に当たって、適正かつ効率的に執行するよう最善の努力を行っているところでありますが、今般六項目にわたる御指摘を受けましたことは、誠に遺憾であります。
これらの御決議の内容は、いずれも政府として重く受け止めるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善、指導してまいります。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/20
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021・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第四 こども家庭庁設置法案
日程第五 こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
日程第六 こども基本法案
日程第七 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案
(いずれも衆議院提出)
以上四案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長徳茂雅之さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔徳茂雅之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/21
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022・徳茂雅之
○徳茂雅之君 ただいま議題となりました四法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、こども家庭庁設置法案は、こども家庭庁を内閣府の外局として設置することとし、その所掌事務及び組織に関する事項を定めようとするものであります。
次に、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、こども家庭庁設置法の施行に伴い、関係法律について、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
次に、こども基本法案は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、基本理念を定めること等により、こども施策を総合的に推進しようとするものであります。
委員会におきましては、以上三法律案を一括して議題とし、設置法案及び整備法案について野田国務大臣から、基本法案について発議者衆議院議員加藤勝信君から、それぞれ趣旨説明を聴取した後、厚生労働委員会との連合審査会を行い、参考人から意見を聴取したほか、内閣総理大臣の出席を求めるとともに、野田国務大臣及び発議者等に対して質疑を行いました。
委員会における主な質疑の内容は、子供政策の司令塔としてのこども家庭庁の在り方、教育行政を始めとした関係府省庁との連携、児童の権利に関する条約との関係、子供の意見の聴取及び政策への反映の方法、困難を抱える子供や家庭への支援に係るこども家庭庁の役割、子供に関するデータ活用の在り方、子供に関する予算の拡充及び安定財源の確保等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
なお、審査に先立ち、子育て関連施設等の視察を行いました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民の石川委員より設置法案及び整備法案に反対、基本法案に賛成の旨、国民民主党・新緑風会の礒崎理事より三法律案に賛成の旨、日本維新の会の柴田委員より設置法案及び整備法案に反対、基本法案に賛成の旨、日本共産党の田村委員より三法律案に反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
次いで、順次採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、設置法案及び整備法案の二法律案並びに基本法案に対し、それぞれ附帯決議を行いました。
次に、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案は、性行為映像制作物の出演者に重大な被害が生じていることに鑑み、被害の防止を図るとともに、被害者を救済するための措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、衆議院内閣委員長代理上川陽子君より趣旨説明を聴取した後、差止め請求権を始めとする本法律案の規定の適用範囲、被害の未然防止、救済に向けた周知啓発及び支援の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/22
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023・山東昭子
○議長(山東昭子君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、こども家庭庁設置法案、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及びこども基本法案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。塩村あやかさん。
〔塩村あやか君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/23
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024・塩村あやか
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかでございます。
私は、会派を代表し、内閣提出のこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対、衆議院提出のこども基本法案に賛成の立場から討論を行います。
冒頭、いわゆるAV出演被害防止・救済法案について一言申し上げます。
本年四月から成年年齢が二十歳から十八歳に引き下げられたことに伴い、若年層のAV出演被害が増加するのではないかという懸念から、質問主意書や委員会での質疑を通じて問題提議を行ってまいりました。
そして、各党の実務者の下、真摯な協議が行われ、年齢及び性別を問わず、AV出演による被害を防止するための法案を立法するに至りました。
本法案は、各党の実務者、支援団体と徹底的に議論を重ね、これ以上被害者を増やさないという強い決意の下、憲法や現行法との兼ね合いを踏まえ、作成されたものです。
内閣委員会で私が野田大臣に本法案について質問した際、大臣からは、AV出演契約を無力化するために、これまでにない画期的な案になったと受け止めていますとの御答弁をいただいております。本法案の成立に向けて御尽力をいただきました各党各会派の皆様に心からの感謝を申し上げ、討論に入ります。
子供を取り巻く状況は年々深刻さを増しております。二〇二〇年度における不登校の小中学生は約十九・六万人、児童虐待の相談対応件数は約二十・五万件と、どちらも過去最多となる一方、二〇二一年の出生数は約八十一万人と、過去最少を更新しております。
コロナ禍において、黒田円安、岸田インフレが進行する中、政府が効果的な対策を打ち出せずにいる現状を踏まえると、子供を取り巻く現状は今後も悪化の一途をたどり、国家として危機的な状況を迎えてしまうのではないでしょうか。まさに、我々立憲民主党が掲げてきたチルドレンファーストの政策の実現が求められています。
今回、ようやく政府から子供の最善の利益の実現のためにこども家庭庁を創設する法案が提出されました。政府・与党も、我々立憲民主党が掲げてきたチルドレンファーストの政策の必要性を理解した上で法案を提出してきたのかと期待をしましたが、その期待は見事に裏切られてしまいました。
その理由の第一は、子供の最善の利益の実現を主張しておきながら、実際には大人の都合に基づいた行政組織となってしまったことです。
我々立憲民主党は、子供に関する施策を一元的につかさどる子ども省の創設を訴えてきました。しかし、こども家庭庁においては、文科省の所掌する初等中等教育等について、それぞれの施策の専門性の向上という理路整然としない理由に基づき、こども家庭庁には移管されませんでした。私がかねがね指摘をしている放課後児童クラブと放課後子供教室の縦割りも、残念ながら残ったままです。
それだけではありません。学校飼育動物の問題も長年放置されています。
災害の多い昨今、水害時には全滅、震災時には放置で餓死。さらに、繁殖によって増加したウサギは、動物園のライオンに生きたまま捕食をさせるという生き餌にしていたことも報道で判明。予算がないことから、病気を、けがをした動物は治療されないまま。子供たちに命の軽視を教えているような現状です。
そもそも、長期の休暇や卒業のある学校で、命を最後まで責任を持ち飼育することは不可能です。多くの動物愛護団体や公益財団法人を立ち上げ動物愛護活動をしている杉本彩さんたちからも、学校飼育動物の抜本的な見直しや学校での動物飼育に疑問の声が上がっています。
こども家庭庁法案の審議において取り上げられたものの、文科省とこども家庭庁の縦割りを露呈する答弁が繰り返されました。本当に一段高い位置から司令塔機能が発揮できるのでしょうか。責任を持てないなら飼わないという当たり前の教育ができるよう、改善を強く求めておきます。
六月二日の内閣委員会で、野田大臣は、子供の立場からすると、省庁の縦割りというのは、子供の側からすると余り関係ないとの御答弁がありました。確かに、子供からすると省庁の縦割りといった事情は分からないかもしれません。しかし、縦割りにより子供の必要とする支援が抜け落ちてしまっているため、新たな省庁を創設して対応するのではなかったのでしょうか。結局、省庁間の縄張争いの結果、子供ではなく大人の都合が優先されたとしか思えません。
また、こども家庭庁という名称も、家庭という言葉に否定的な感情を持つ方々がいることを政府は承知をしておきながら、与党の一部議員に配慮したのか、変更されることはありませんでした。子供の最善の利益の実現のための組織ではなく、実態は大人の都合、政府・与党の都合のための組織となっているのではないでしょうか。
理由の第二は、子供施策に関する予算について、政府から具体的な説明がほとんど行われていないことです。
岸田総理は、将来的に倍増すると意気揚々と主張しておきながら、いつ倍増するのか、その財源はどうするのか、衆議院でも参議院でも多くの議員から質問されたものの、総理お得意の今後検討するとの答弁を連発されました。本当に実現するつもりがあるんでしょうか。総理の本気度が全く伝わってきません。
子育て政策において圧倒的なリーダーシップで実績を出している兵庫県明石市の泉市長との直接面会の提案も、泉市長はいつでもと言っているにもかかわらず、総理は機会がありましたらという社交辞令を議事録に残し、期待をする国民をがっかりさせました。
国民が待っているのは、検討ではなく決断であります。我々立憲民主党は、子供施策関連予算を対GDP比三%にするという具体的な目標を掲げており、我々と総理が向いている方向は同じであるにもかかわらず、総理の決断はついに下されませんでした。
一方で、自民党が防衛費をGDP比で二%以上と今の倍額を提案すると、総理は相当の増額との表明をされました。二%以上とは、現在にプラスをして五兆円規模となり、この予算があれば何ができるでしょうか。
まず、大学の授業料の無償化は、年一兆八千億円で実現が可能です。さらに、児童手当は、現在の中学三年から高校三年までに延長し、親の所得制限を撤廃して一人一万五千円とした場合は年一兆円。加えて、小中学校の給食無償化は、年間四千三百八十六億円で実現をいたします。これらの大学無償化、児童手当の拡充、給食無償化の全てを足し上げても三兆三千億円に収まり、防衛費のプラス五兆円と比較をしても、いかに日本は子供や保護者に厳しい国かと、こうした現実を浮き彫りにした審議だったと言わざるを得ません。
以上のとおり、真に子供の最善の利益の実現のためとなる組織が創設されるとは想定し難いことから、政府提出の二法案については反対をいたします。
衆議院提出のこども基本法案については賛成をいたします。
本法案については、当初、与野党協議の場が置かれ、共同で立法作業に当たってまいりました。立憲民主党の主張に基づき、協議の結果、児童の権利に関する条約の理念、子供から若者までの切れ目のない支援、子供に関する個人情報に対する取扱い、さらには子供コミッショナー設置の今後の検討が本法案に盛り込まれました。
特に、児童の権利に関する条約の理念については、いわゆる四原則である差別の禁止、児童の最善の利益、生命、生存及び発達に対する権利、そして児童の意見の尊重に相当する内容を規定しており、一歩前進です。子供に関する政策の基盤となる基本法を制定し、各府省庁にまたがった子供政策に横串を刺す必要があると考え、賛成をいたします。
一方で、基本理念に、子供の養育について、家庭を基本とし、保護者が第一義的責任を有することや、子育てに伴う喜びなど主観的な内容が含まれている点は懸念される事項であり、引き続き見直しを求めてまいります。
我々立憲民主党は、生まれ育った環境や経済的理由に左右されず、誰もが同じスタートラインに立てる社会の実現を目指しています。過度に家庭に責任を負わせるのではなく、社会全体で子供の育ちを支えるという理念の下、これからもチルドレンファーストの政策を進めていくということを申し上げ、討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/24
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025・山東昭子
○議長(山東昭子君) 礒崎哲史さん。
〔礒崎哲史君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/25
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026・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
ウクライナの主権と領土を侵し、多くの子供たちを始めとする市民への無差別攻撃といったロシアの戦争犯罪が続いています。
ロシアの侵攻開始後百日がたった六月四日、キーウの聖ソフィア大聖堂にて、ユニセフ・ウクライナ事務所代表のムラート・シャヒン氏が発言した内容によれば、ロシアによる一連のウクライナ侵攻により、およそ三人に二人の子供が避難を余儀なくされているとのことです。学校、病院、遊び場、公園、そして何千もの家屋が被害を受け、多くの家族が引き裂かれてしまっているとのことで、何よりも、ほぼ全ての子供が今後何年にもわたって残り続ける深刻なトラウマと精神的苦痛にさらされているという言葉に胸が痛みます。
子供のひとしく健やかな成長のため、置かれている環境にかかわらず、その権利擁護の充実を図ろうとする法案の採決に当たり、ウクライナの子供たちにも思いを致し、討論に入ります。
私は、国民民主党・新緑風会を代表し、政府提出のこども家庭庁設置法案及び同整備法案並びに衆議院提出のこども基本法について、賛成の立場から討論を行います。
一九八九年の合計特殊出生率一・五七は、それまでの最低値であった一九六六年ひのえうまの年の一・五八を下回ったことから、一・五七ショックと表されました。そして、一九九四年、政府による初の具体的な少子化対策としてエンゼルプランが策定されました。それから二十八年間、政府は様々な少子化対策を継続してきましたが、出生率が一・五七を上回ることは一度もありませんでした。
一方、二〇一九年の統計によると、十五歳から三十九歳までの死因の第一位は自殺です。十歳から十四歳においても第二位が自殺となっています。また、厚生労働省の自殺対策白書によれば、先進七か国で十五歳から三十四歳までの死因の第一位が自殺であるのは日本だけです。
子供たちを取り巻くこうした実情を踏まえ、日本の将来を託す子供たちへのこれまでの政策をどのように振り返り、今後にどう生かすのかが今私たちに問われていると思います。
国民民主党は、子育てをする保護者への支援環境を整え、保育や教育の質に重点を置いた子育て政策を充実し実施することが、未来を担う人材を育て、結果として少子化対策にもつながると考えて政策を打ち出してきました。何よりも子供の健やかな成長を目的とする政策です。
今回のこども家庭庁設置法案、こども基本法案などの関連法案は、永田町と霞が関にいる大人の都合の子供政策から、子供と子育て世帯のための真の子供政策に向けた質の転換を図る重要な一歩であると受け止め、待ったなしの危機感を持って賛成をしたいと思います。
しかし、これらの法案は、質の転換を図っていく上で十分とは言い難い点もあることから、審議を通じて明らかになった課題を指摘し、我々の政策を提案することで残りの討論に代えたいと思います。
まず、法案審議で見えてきた主な課題を三つ指摘します。
一つ目は、教育の所管についてです。
全ての子供関連施策をこども家庭庁が司令塔となって進めることとしながら、文部科学省所管の教育に関わる部分について、多くの所掌事務、所掌施策が分かれたままとなってしまっています。子供の貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺、ハラスメントなど、対応すべき課題は山積しており、そうした子供に関わる課題に一元的に対応していくために、司令塔としてこども家庭庁を設置しようとしていることから、できるだけ早期にこども家庭庁に一本化するのが自然です。
施行後五年を待つことなく、今からでも実現に向けた検討を始めることを要望します。一本化するまでの間も、幼保連携を始め諸施策を実施する上で、文部科学省との十分な連携を図ることを改めて求めます。
二つ目は、子供が意見を表明する機会の確保と意見反映の仕組みについてです。
ウエブアンケート、対面、SNSなど、具体策について確認はしましたが、子供の意見を広く聞き、それらを子供施策に反映する仕組みが確立されなければなりません。加えて、社会全体に子供中心の意識を醸成するためにも、取りまとめ結果を世の中に公開していくことが必要と考えます。
また、意見表明権については、こども基本法案では自己に直接関係することと記載されていますが、それによって、間接的に影響を及ぼす事項について子供の意見表明の機会を奪うことがないように十分に留意するよう求めます。
三つ目は、子供コミッショナーに象徴される第三者機関の必要性についてです。
政府内に設置されるこども家庭審議会に、子どもの権利条約批准国に求められている独立した立場から監視する第三者委員会の役割を担わせることは困難です。子供政策の着実な前進を図るためにも、政府から独立した機関が設置されるべきであると考えます。
ここまで法案の中身に関わる課題の一端を指摘してきましたが、我々国民民主党として、法案が定める基本理念を忠実に具現化する上で早期に実現すべき政策を二つ申し述べます。
一つ目は、我が党の矢田わか子議員が中心となって訴えてきた所得制限の撤廃です。
児童手当、児童扶養手当、幼児教育の無償化など、多くの子供関連の給付には所得制限が掛けられています。こどもまんなか社会と銘打って政策に転換を図るのであれば、これらの公的給付は親の収入に関係なく行われなければなりません。
参考人質疑において、明石市の出生率や人口の増加を実現させた実績を持つ泉市長は、子供施策は二つあり、両方大事です、救貧施策は目の前を助ける施策で、所得制限を掛けてもよい、一方、未来施策は、所得制限を掛けず全ての子供たちを応援するベーシックサービスとすべき、本来、全ての子供たちを応援する未来施策は国が責任を持ち、子供たちや市民に近い市町村が救貧施策として臨機応変に現金を給付することが望ましい、今はお金のない地方が歯を食いしばって未来施策を実施し現金を給付していることは、立場が逆転していると思うと述べられました。今こそ、発想の転換が必要です。
国民民主党は、所得制限撤廃法案を、六月十日、参議院に提出をいたしました。政府には、今回のこども家庭庁設置法案とこども基本法案の基本理念にのっとり、早期の所得制限撤廃を求めます。
二つ目は、今申し上げた提案も包含した、国民民主党の人づくりこそ国づくりの理念に基づく子供関連予算、教育予算の倍増です。
奇しくも、人への予算を、人への投資を少なくとも倍増させると表明された岸田総理の方針も我々の予算倍増提案と合致しています。そして、子供関連法案の基本理念、こどもまんなか社会の理念とも軌を一にしています。予算を倍増すれば、今述べた所得制限の撤廃だけでなく、例えば児童手当を十八歳まで一律月額一万五千円へ拡充することや、給食費、学用品費、修学旅行費など学校に係る様々な費用も無償にすることが可能となります。
今こそ、思い切った人への投資を実行すべきです。お金と大人の都合による妥協策から脱却し、子ども・子育て支援を徹底すべきです。未来の宝である子供たちのための政策は人材育成にも直結し、中長期的な経済政策と誰もが生きやすい社会づくりにもつながっていきます。
国民民主党は、改めて人づくりこそ国づくりの理念を掲げ、粘り強く国会の場で政策提案を続けていくことを申し上げ、討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/26
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027・山東昭子
○議長(山東昭子君) 高木かおりさん。
〔高木かおり君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/27
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028・高木かおり
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
私は、会派を代表して、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案については反対、こども基本法案については賛成の立場から討論いたします。
今、我が国において国難と言われている少子化を背景に、子供たちを取り巻く様々な課題が浮き彫りになっています。課題は見えているのに改善にいまだ至っていないもどかしさを感じながら、一刻も早く全ての子供たちが幸せを感じられる国になることを目指して討論いたします。
まず、こども家庭庁設置法関連二法案に反対の理由を述べます。
第一の理由は、子供関連予算が質疑を通しても明確にならなかったことです。
岸田総理は、社会全体での費用負担の在り方をしっかり検討し、将来的に予算の倍増を目指していくと言及されました。しかしながら、一体予算規模が幾らなのか、いつまでに実現するのか、明確に示されておりませんでした。
付け加えて指摘するならば、子供に対する支援には所得制限を設けずに社会全体で支えるべきと考えます。
第二は、縦割り行政が打破されずに、四十年以上議論しながらも幼保一元化が実現しなかったことです。
教育と福祉の一元化が実現されなかった組織、すなわち今回のこども家庭庁の創設への不安は残念ながらいまだ払拭されていません。子供政策の総合調整の司令塔機能が本当に果たせるのか、甚だ疑問です。
第三は、政府が法案審議の答弁の中で何度も使用される連携の意味が曖昧であり、教育と福祉がどのように連携するのか、具体的事例が明確に示されなかった点です。
教育など文部科学省が担う学びに関わる行政と児童福祉などの育ちに関わる行政は、相互に密接に関わる部分であり、まさに一元化が求められていたのです。にもかかわらず、この教育と福祉を一元化するどころか、あえて二元化を残し、密接な連携の名の下で、果たして子供施策の充実、そして質の向上を図ることが本当に可能なのか、見通すことができません。
そして、第四の理由は、子供の性被害を防止する施策が後回しにされた感が否めないからです。
いわゆる日本版DBSについて、政府は、導入に向けた法的論点の整理や仕組みの検討等を行っていくとの答弁に終始しました。しかし、子供をめぐる性被害は後を絶ちません。今この瞬間も苦しんでいる子供たちがいるのではないでしょうか。諸外国では既に導入している国が多くあり、我が国の子供の性被害に対する施策を、導入ではなく検討段階でしかない現状は、国の怠慢と言わざるを得ません。
以上が、反対する大きな理由であります。
次に、こども基本法案に賛成する理由を述べます。
我が党では、衆議院で子ども成育基本法案を提出いたしました。その基本理念は、子供への最善の利益が優先して考慮されること、不当な差別的取扱いを受けないこと、全ての子供について適切に養育されること、子供の意見が尊重されることです。これらは、こども基本法案の基本理念とおおむね一致しており、総論としては同じ方向性を志向しているものと理解しています。
ただ、こども基本法案は、教育を基軸として、これに係る福祉施策を適切に組み合わせ一体的に行われることが確保されるべきだと考えますが、残念ながらこの規定がありません。この点については、是非引き続き検討を重ねていくべきと考えます。
さらに、施行後五年をめどとした検討規定が置かれていますが、五年を待たずに、不断の見直しに期待したいと思います。
さて、今回の法案審議を通じて、子供たちを取り巻く環境は、いじめ、虐待、不登校、ヤングケアラー、居場所づくりの実態など、まだまだ改善点があります。子供たちに寄り添い、声なき声を聞く仕組みづくりが急務です。
そして、このような問題を抱える中、我が国の出生率低下にも歯止めが掛かりません。今月三日の厚生労働省の調査によれば、一人の女性が生涯に産む子供の数が、二〇二一年は一・三〇であり、六年連続で低下したと発表されました。また、二〇二二年四月一日現在における十五歳未満の子供の数は、年々減少となり、過去最少と発表されました。これは、我が国を支える人材が失われている深刻な数字であり、まさに国難中の国難にあることを、我々は改めて認識しなければなりません。
我が日本維新の会は、次世代への徹底投資を重視し、以前からずっと教育無償化が少子化対策の重要施策と位置付け、さらに今月六月二日に出産費用の実質無償化を公約として発表いたしました。
他方、岸田総理は、先日の予算委員会において、出産費用軽減について、出産費用の明細の透明性を高めることと、出産一時金の増額の二つの合わせ技こそ現実的ではないかとの答弁がありました。しかし、出産する際、想定しなかった緊急処置が必要になる場合もあり、結局、出産費用の自己負担がかさむ結果となることも大いに想定されます。出産費用を市場原理に任せるにはもう限界があります。経済的に安心して子供を産めるサポートを国は今こそ決断すべきです。
政府への対案として、我が党は、出産費用への保険適用と出産育児バウチャー、いわゆるクーポンの支給のハイブリッド案を提案いたしました。不妊治療にも保険適用が認められ、もはや時代の趨勢に逆らうことはできません。出産費用の無償化もその一つではないでしょうか。
子供政策において重要なことは、社会全体で子供たちを育み、次世代に対してしっかりと予算措置を行い、投資していくことです。人づくりは国づくりです。全ての子供たちは国の宝です。国は、少子化を国難と捉え、子供たち一人一人の幸せと無限の可能性を最大限に引き出せる支援を行う姿勢が今こそ必要です。
日本維新の会は、この国難をチャンスと捉え、前向きかつ積極果敢に子供政策について取り組んでまいりますことをお誓いし、私の討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/28
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029・山東昭子
○議長(山東昭子君) 田村智子さん。
〔田村智子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/29
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030・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、こども家庭庁設置法案及び同法整備法案に対し、反対の討論を行います。
第一に、こどもまんなか社会の実現といいながら、子どもの権利条約にも、国連子どもの権利委員会からの勧告にも真摯に向き合わず、これまでの施策の検証や反省が岸田政権から全く示されていないことです。
日本の子供の現状について、私は法案審議で繰り返し政府の認識をただしました。G7諸国の中で最悪の自殺率、しかも十代前半での自殺の増加傾向、いじめ、不登校の実態などから、日本の子供がストレス状態に置かれているのではないかと、岸田総理、野田大臣、そして文科大臣政務官にと重ねて質問しましたが、子供の深刻な現状に対する分析的な認識は何一つ示されませんでした。
特に、学校教育について、安倍政権によって悉皆調査とされた全国学力テストが自治体と学校の平均点競争をあおっている、テスト対策のためのテスト、宿題の負担、学校は子供たちにとって楽しい場所になっているのか、子供の自己肯定感を損ねているのではないかなど、具体の問題を指摘してただしましたが、何度問うても、政府の答弁には子供の姿はありません。岸田総理に至っては、全国学力テストも子供の最善の利益を第一として行っているという認識を示しました。
国連子どもの権利委員会は、一九九八年の日本政府に対する最初の勧告で、競争的な教育システムが子供から休む時間、体を動かす時間、ゆっくり遊ぶ時間を奪い、子供の発達をゆがめているという懸念を示しました。二〇一九年にも、生命と生存の権利について、社会の競争的な性格により子供時代と発達が害されることなく、子供が子供時代を享受することができるようにすることを日本政府に求めました。ところが、この勧告に対する政府の認識は、条約上の明文規定がないから答弁困難というのが岸田総理の答弁でした。
こども家庭庁の任務には、子どもの権利条約の四つの基本原則、一、生存と発達の権利、二、子供の最善の利益、三、意見表明権、四、差別されない権利が不十分な文言ながら盛り込まれました。ならば、政府の施策、中でも文科省行政が四原則に照らして分析、評価、改革されるかどうか、そうでなければ何のためのこども家庭庁設置なのかが問われる、このことを厳しく指摘するものです。
第二に、子供施策の予算がいつ、どれだけ増えるのか、子供に関わる専門職の抜本的な増員と処遇の改善がどうなるのか、何も具体的に示されなかったことです。
政府の答弁は、まずこども家庭庁を設置して、必要な施策をしっかり議論した上で体系的に取りまとめ、さらに、費用負担の在り方を社会全体で議論するというものです。必要な施策でも、財源確保がなければできないということになります。保育関係者からは、こども家庭庁設置というなら、七十年以上見直されていない四、五歳児の保育士配置基準を始め保育の最低基準を直ちに改善してほしいと要望が出されています。保育士配置基準の改善は、消費税増税の理由とされました。ところが、その約束をいつ果たすのかという質問にも財源確保が必要というのは余りにも無責任です。
また、少子化が進行する下で、児童手当の必要額、小中学校の教員数など、人口減少をそのまま反映していますが、これを減らさずに子供施策の充実に充てる、学校の少人数学級やスクールソーシャルワーカーなどの常勤化に充てるなどは直ちにできるはずです。ところが、自然減を減らさないということさえも約束されませんでした。
一方で、先週閣議決定された骨太の方針二〇二二では五年以内に防衛力の抜本的な強化を掲げ、わざわざ、NATO諸国では国防予算を対GDP比二%以上とする基準という文言を盛り込みました。財源についての言及はありません。自民党も提言する対GDP比二%とは、五兆円以上の増額です。内閣府が所管する児童手当、保育所、幼稚園などに関する子ども・子育て支援給付、高等教育の修学支援は合わせて三・八兆円弱、これをはるかに上回る防衛予算、軍事費の増大に踏み出せば、子供施策の予算倍増など望むべくもありません。大軍拡はやめるべきです。
第三に、家庭という文言を入れたことです。
家庭で虐待を受けた経験のある方々から、家庭と入ることへの強い危惧が示されました。子供個人の尊厳や権利に目を向けてほしい、家庭だけでなく社会全体で子供を育てる国になってほしいとの声は、子供施策の立脚点は子供の権利の尊重であってほしいとの強い要望でもあります。
これまでの政治は、子育ての自己責任を家庭に重く担わせてきました。児童扶養手当は離婚件数の増大を理由として所得制限が強化され、母子家庭の母親は働いているのに貧困から抜け出せない苦しみの中にいます。高過ぎる大学、専門学校の学費は、全ての家庭と子供への重い負担となっています。低所得世帯への高等教育無償化さえ厳しい条件を課しています。こうした自己責任の政治を改め、子育ての家庭の荷を軽くすることこそ求められており、その点からも家庭の強調には問題があります。
また、政府から独立した子供の権利擁護機関、子供コミッショナーが制度化されなかったことも重大です。
子どもの権利条約の批准から三十年以上が経過しても、文部科学省は、校則の制定、カリキュラムの編成などは児童個人に関する事項とは言えないので意見表明権の対象となる事項ではないという認識を示しました。子供の意見表明権は、子供に直接関わる事項で保障されることはもちろん、その他影響ある事柄においても子供の意見の尊重が求められます。
参考人質疑では、意見表明権とは、大人が期待していない場所で言われたくないことを言える権利との指摘がありました。こうした権利を保障する仕組みがないことが問題です。日本の重大な遅れを打開するには、子供の意見を代弁し、個別事案の権利救済を行う子供コミッショナーは必要不可欠です。野党はもちろん、与党の一部からも強く求められていたにもかかわらず、自民党内の圧力に屈して法案には制度化もその検討もないことは大きな問題です。
こども基本法案についても、理念に家庭を基本とあること、また、子供のプライバシー権を脇に置き、情報通信技術を用いた子供の情報の利活用を掲げていることなどから、賛成できません。
最後に、本法案の審議を通じて、子どもの権利条約について正面から議論されたこと、また、こども基本法は教育施策も対象としており、校則や教育カリキュラムについても子供の意見表明の機会が保障されるものと解される答弁があったことは重要です。答弁にとどめず、子供が自由に、恐れることなく、不利益を受けることなく意見を言える、そして、その意見が尊重される実質的な仕組みが求められます。
日本共産党は、子どもの権利条約の全面実施へ、多くの市民の方々、そして子供たちと力を合わせ奮闘する決意を述べ、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/30
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031・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/31
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032・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
まず、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を一括して採決いたします。
両案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/32
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033・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。(拍手)
次に、こども基本法案の採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/33
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034・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
次に、性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/34
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035・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/35
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036・山東昭子
○議長(山東昭子君) 日程第八 高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長石橋通宏さん。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔石橋通宏君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/36
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037・石橋通宏
○石橋通宏君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、産業保安分野における技術革新の進展及び人材の高齢化や不足に対応しつつ、安全確保を図るため、高圧ガス保安法、ガス事業法及び電気事業法において高度な情報通信技術を活用した保安の促進に向けた認定制度の創設等の措置を講ずるとともに、気候変動問題への対応の要請、自然災害の頻発等を踏まえ、燃料電池自動車に係る高圧ガス保安法の適用除外、ガス事業者による災害時連携計画の策定の義務化、小規模事業用電気工作物に係る届出制度の創設等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、スマート保安の促進に向けた認定制度に係る立法事実の有無及び同制度における安全確保の方策、中小事業者を含めた産業保安人材の育成、確保に向けた取組等について質疑が行われるとともに、その質疑において、高圧ガス保安法の法令違反件数に係る政府資料等に度重なる誤りが発覚したことを受け、その原因や再発防止策等についても質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して岩渕理事より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して七項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/37
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038・山東昭子
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。
本案に賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/38
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039・山東昭子
○議長(山東昭子君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/39
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040・山東昭子
○議長(山東昭子君) この際、日程に追加して、
本日法務委員長及び厚生労働委員長から報告書が提出されました裁判所の人的・物的充実に関する請願外三百三件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/40
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041・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
─────────────
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〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/41
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042・山東昭子
○議長(山東昭子君) これらの請願は、委員長の報告を省略して、両委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/42
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043・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
よって、これらの請願は両委員会決定のとおり採択することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/43
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044・山東昭子
○議長(山東昭子君) この際、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
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─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/44
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045・山東昭子
○議長(山東昭子君) 本件は各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/45
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046・山東昭子
○議長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
よって、本件は各委員長要求のとおり決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/46
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047・山東昭子
○議長(山東昭子君) 議事を終了するに当たり、一言御挨拶申し上げます。
今国会におきましては、令和四年度総予算を始め新型コロナウイルス対策、ロシアによるウクライナ侵攻への対応など、国の内外における喫緊の諸課題について熱心な議論が行われました。ここに、議員各位の御尽力に対し、心から敬意と謝意を表する次第でございます。また、各会派の協議を経て、参議院改革協議会の報告書が取りまとめられるに至りました。通常選挙後においても、今回の報告書を受け、更に検討を深めていただきますようお願い申し上げます。
さて、本年は改選期に当たります。御勇退される皆様には、これまで重責を果たしてこられたことに深甚なる敬意を表します。くれぐれも御自愛の上、議会政治発展のため引き続き御支援賜りますようお願い申し上げます。来るべき選挙に臨まれる皆様には、御当選の上、改めて本院で御活躍されることを、心からお祈り申し上げております。
小川副議長におかれましては、優れた御見識と円満なお人柄により、本院の公正な運営と権威の高揚のために御尽力をいただきました。小川副議長とともに三年間議長を務めることができたことを光栄に思うとともに、改めて厚く御礼を申し上げます。
山積する内外の課題を前に、参議院がその役割を十分に果たしているか、国民は注視しております。今後とも一層の期待に応えられるよう、議員各位の御協力をお願いいたしまして、御挨拶といたします。
〔拍手〕
副議長小川敏夫さんから発言を求められております。発言を許します。小川敏夫さん。
〔小川敏夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/47
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048・小川敏夫
○小川敏夫君 副議長を退任するに当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
ただいま山東議長から大変温かいお言葉を頂戴いたしました。心より感謝申し上げます。
令和元年の副議長就任より今日に至るまで、山東議長始め議員皆様の御協力を賜り、職責を全うすることができましたことを深く感謝し、厚く御礼申し上げます。
私は、平成十年に初当選して以来、四期二十四年にわたりまして参議院に務めさせていただきましたが、この任期をもちまして退任いたします。
この間、私は、衆議院が優越する二院制の下で参議院の存在意義を高めるためには活発な議論を行うことが大切と考え、取り組んでまいりました。議院内閣制による政党主導の政治の中で参議院の存在意義を高めるのはたやすいことではありませんが、私なりに努力いたしたと思っております。
皆様方には、全ての国民が平和で安定した生活が送れるよう、社会の実現に向け、生活が送れる社会の実現に向け、そして、そのためにも参議院の活性化に向けた議論を一層深めていただきますよう念願いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/48
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049・山東昭子
○議長(山東昭子君) 山崎正昭さんから発言を求められております。発言を許します。山崎正昭さん。
〔山崎正昭君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/49
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050・山崎正昭
○山崎正昭君 甚だ僣越ではございますが、年長のゆえをもちまして、今般、任期を満了する議員を代表し、一言御挨拶を申し上げます。
ただいまは議長並びに副議長から御丁重なお言葉をいただき、誠にありがとうございます。
私どもは、今日まで、国会の一翼を担う参議院の議員として国政審議に参画し、国民の負託に応え、参議院に与えられた使命と役割を果たすため、誠心誠意努めてまいりました。この間、議長、副議長を始め先輩、同僚議員各位から、一方ならぬ御厚情と御支援を賜りました。ここに謹んで厚く御礼を申し上げます。
今日、我が国を取り巻く諸情勢は、内外共にますます多事多難と申さねばなりません。新型コロナウイルス感染症による国民生活や経済への影響、ロシアによるウクライナ侵略等を背景とする原油等の価格や供給の不安定化、厳しさを増す安全保障環境など、様々な課題、山積しております。このような中、我が国が、国家の繁栄と国民の幸せを確保し、世界の平和と地域の安定に貢献していくため、国権の最高機関である国会に課せられた使命は重みを増すばかりでございます。
引き続き在職される皆様には、通常選挙後の新たな構成においても、参議院がその独自性を発揮し、良識の府、再考の府として、国民から期待される、期待に応えるため邁進されることを願ってやみません。皆様の御活躍を心から祈念いたします。
任期を満了する議員には、来る通常選挙に臨まれる方、今期限りで議席を離れる方がおられます。私どもは、いずれの立場にありましても、これまで培ってきた知識と経験を生かし、今後とも国家国民のため力を尽くしてまいりたいと存じます。変わらぬ御厚情と御指導を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
これをもちまして、誠に簡単ではございますが、お礼の御挨拶とさせていただきます。
本当にありがとうございました。
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/50
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051・山東昭子
○議長(山東昭子君) これにて散会いたします。
午後一時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815254X03220220615/51
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