1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年三月二十五日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
清水 真人君 有村 治子君
森本 真治君 徳永 エリ君
三月二十四日
辞任 補欠選任
石田 昌宏君 藤木 眞也君
猪口 邦子君 上野 通子君
こやり隆史君 小川 克巳君
藤井 基之君 山田 俊男君
本田 顕子君 清水 真人君
松山 政司君 森屋 宏君
徳永 エリ君 水岡 俊一君
三月二十五日
辞任 補欠選任
小川 克巳君 徳茂 雅之君
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出席者は左のとおり。
委員長 青木 一彦君
理 事
青山 繁晴君
今井絵理子君
北村 経夫君
勝部 賢志君
高瀬 弘美君
大塚 耕平君
清水 貴之君
委 員
有村 治子君
上野 通子君
加田 裕之君
佐藤 正久君
清水 真人君
滝沢 求君
鶴保 庸介君
徳茂 雅之君
比嘉奈津美君
藤木 眞也君
森屋 宏君
山田 俊男君
山本 順三君
石川 大我君
羽田 次郎君
水岡 俊一君
森屋 隆君
吉田 忠智君
河野 義博君
宮崎 勝君
榛葉賀津也君
石井 苗子君
鈴木 宗男君
井上 哲士君
紙 智子君
伊波 洋一君
ながえ孝子君
事務局側
第一特別調査室
長 岩波 祐子君
参考人
H2L株式会社
代表取締役
国立大学法人琉
球大学工学部教
授 玉城 絵美君
国立大学法人琉
球大学学長 西田 睦君
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本日の会議に付した案件
○沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/0
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001・青木一彦
○委員長(青木一彦君) ただいまから政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、森本真治君、こやり隆史君、石田昌宏君、本田顕子君、藤井基之君、松山政司君及び猪口邦子君が委員を辞任され、その補欠として有村治子君、小川克巳君、水岡俊一君、藤木眞也君、山田俊男君、森屋宏君及び上野通子君が選任されました。
また、本日、小川克巳君が委員を辞任され、その補欠として徳茂雅之君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/1
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002・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、H2L株式会社代表取締役・国立大学法人琉球大学工学部教授玉城絵美君及び国立大学法人琉球大学学長西田睦君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、玉城参考人、西田参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず玉城参考人からお願いいたします。玉城参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/2
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003・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/3
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004・青木一彦
○委員長(青木一彦君) どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/4
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005・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。
それでは、私から、沖縄県の観光産業、人材育成、ICT活用による経済効率化、移住と定住について、今回の特別委員会に際しまして御説明させていただきます。
横長の資料を手元に置いていただければと思います。
一ページめくりまして、表紙をめくりまして一ページ目、現在の沖縄県の観光産業の課題について御覧いただければと思います。
観光は沖縄経済を牽引する産業として雇用の創出にも大きく貢献してきました。入域観光客数も平成三十年には初の年間一千万人を突破しております。
左下の図を御覧ください。県外の受入れの図なんですけれども、観光収益は全体の一八・五%、現在では更にパーセンテージは上がっております。沖縄の産業における観光産業の割合の大きさを御覧いただけるかと思います。
次のページを御覧ください。二ページ目です。
しかしながら、その後の世界的な新型コロナウイルスの感染症拡大により、入域観光客数は過去最大の落ち込みを見せております。個人消費や雇用情勢も、沖縄県、大きく変化しております。現在に至るまで、沖縄県の社会経済全般に大きな影響を及ぼしております。
下の図を御覧ください。この図は沖縄県の入域観光客数及び観光収入の推移を示しております。今までも、平成十四年前後、あっ、平成十三年の九・一一テロ事件、それから平成二十一年の景気低迷、新型インフルエンザの流行であったりだとか平成二十三年の東日本大震災など、様々な外的要因、外的変化によって観光産業というのは揺さぶられております。特に二〇二〇年からの新型コロナウイルスの流行、こちらに関しては、伸び率、今まで徐々に徐々に上がっていた入域観光客数というのが一気に下がりまして、三分の一以下というふうになっております。沖縄経済を牽引する観光産業は、このように外的な変化に大変脆弱な面がございます。
次のページを御覧ください。
今回、この外的な変化に対応できる体験型観光を始めとする新たな観光の形も広がりつつあります。今回の改正法の部分で、沖縄県特定免税店制度について新たにオンライン購入に対応できるようになっていたりだとか、あとはデジタル化、デジタル社会の形成に関する条文が追加されております。
例えば、これから十年において観光産業というのがどのように変化するのか、今現在行われている実証実験について下の図で、三ページ下の図でちょっと説明させてください。
例えばですけれども、遠隔地で観光を体験する、沖縄県にある観光資源をたとえ沖縄にいなくても体験できるような実証実験が今進んでおります。左の図はユーザー側、観光客側です。真ん中の図は沖縄県内に置かれたロボットです。この際は、名護市や嘉手納町の比謝川というマングローブにカヤックを置いて実証実験しております。観光客、県外にいる若しくは海外にいる観光客がパドルを動かすと遠隔地に置かれたカヤックロボットが動いて、それでカヤックロボットがさらに、感じた水の重さであったりとか揺れであったりとか景色であったりとか、そういったものを県外にいる観光客に体験してもらうと。こちらの技術、ボディーシェアリングと呼ばれる技術ですけれども、今まで通信技術が発達してこなかったせいもあり導入が進められておりませんでしたが、5Gの沖縄県の導入により、今現在、体験がより臨場感を持って、没入感を持って実施できるようになりました。
このように、観光産業にIT技術を導入することによって、たとえ外的変化によって沖縄県に入れなくても観光資源を活用できるというような形態をつくれると考えております。こちら、もう既に実証実験が、二〇二〇年に実証実験完了しておりまして、徐々に導入が進んでくるかと思います。
そのほかにも、三ページの右下の図、これはロボットなんですけれども、観光農園での摘み取り作業に関する遠隔農業体験のシステムです。こちら、更に簡便に、スマートフォンを使って観光資源を遠隔地でも体験できるというような実証実験が行われています。
このように、多数、観光の形が変わりつつある、5Gの導入であったり新しい技術の導入であったり、様々な環境変化が起こってくる中でも対応できるDX、ICT活用というのが進んでおります。こちらの法案がこのような外的変化に対応できる体験型観光、沖縄県の産業構成に強く推奨される事項となることを願っております。
次のページ、御覧ください。四ページ目です。
次は、人材育成、ICT活用による経済効率化、移住と定住についてです。
現在、沖縄は平均年収が全国的に見ても特に低く、産業発展に必須であるDX化、ICT活用のための、そもそも人材、IT人材の育成が急務でございます。一方で、離島、北部、離島と北部地域の人口減少や担い手不足の問題もあり、移住と定住の対策も求められています。
左下を御覧ください。左下の図は、各都道府県の平均年収です。一位はもちろん首都の東京でございますが、沖縄県は最下位となっております。そこの金額差にも御注目いただければと思います。また、沖縄県のこの年収の低さからなかなか子供たちが高校や大学に進学しづらい、結果として経済発展に必要であるIT人材が育たないといった、そういった問題がございます。
沖縄県だけではなく、右の図を御覧いただけると分かりますとおり、日本国内全般でもIT人材というのは需要と供給のバランスが取れていない状態になっています。そんな中、特に年収が低く進学率も低い沖縄県でIT人材が不足するのは当たり前のことかと思います。
次のページ、御覧ください。五ページ目です。
そこで、IT人材の育成を図るとともに、AIプログラミングなどソフトウエア業や情報セキュリティー業など、今後の成長可能性が見込める業種の重点的強化を図ることも重要であると。
今回なんですけれども、先ほどお話ししたとおり、新たなIT技術によって経済の効率化を図ると。先ほど御覧いただいた、観光産業もITを導入することで外的変化に強くなると。そういったところでシステムをつくったとしても、そのIT技術を更に新しくアップデートしていく、管理運用していく人材が必要となります。また、人材育成だけではなくて、移住と定住の問題、この両方がございます。これらを支援していくことで、沖縄県だけではなくて、ほかの日本国内の地域に対してもロールモデルを示せるのではないかと思います。
今回、これから十年にわたって、じゃ、それでは、大学であったりだとか、あと大学の周りのコミュニティー、そして沖縄県の人材育成、そのほかにもどうやってアプローチしていくのかということで、取組の事例を一つ紹介させてください。
こちらは琉球大学の取組で、観光型リカレント教育というものです。中段から下の部分に書かれている図、全てがそのとおりになります。北部のリゾートホテルに長期滞在していただき、ワーケーションに加えて、ITに関するリカレント教育を受けていただくと。
具体的にどのようなリカレント教育を受けているのかというと、AIに関するプログラミング、それから統計学、さらにはメタバースであったりだとかバーチャルリアリティーとか、最新のIT技術から基礎的な統計学、そういったところまで、幅広く業務に関わるところ、一般教養のところ、リゾートホテルに滞在しながら学んでいただくというもの、プロジェクトを推進しております。
こちらは、リカレント教育であるとともに、ワーケーション、スタディケーションというものがふんだんに含まれております。それによって、北部の地域の良さであったり、今後は離島の良さであったり、県外の方ですと、魅力に気付いていただいて、すばらしい人材が移住と定住していただけるのではないかと考えております。
ワーケーションに関しては、ワークとバケーションの組合せで、働きながら観光を楽しむ、お休みを楽しむ、余暇を楽しむという意味です。スタディケーションとは、先ほどと同様のモデルで、スタディーとバケーション、学習と余暇を楽しむと、両方を両立させたシステムというふうになります。また、リカレント教育に関しましては、職業上必要な知識と技術を習得するためにフルタイムの就学とフルタイムの就職を繰り返すことです。
今回のリカレント、観光型リカレント教育では、県外の研修生、あるいは県内の研修生に参加していただくことで、大学、研究機関を中心としてICT活用ができるIT人材を育てる、かつ沖縄県に定住してもらう、県内の方であればIT人材を育て、県外の方であれば移住、定住も御検討していただけるというような取組も進めております。
このように、積極的な、研究機関、大学、例えば琉球大学であったりだとか、県内のほかの研究機関、OISTであったりだとか、その周辺によって経済効率化を図れるような人材を育成するコミュニティーを形成していくというのが今後重要になるかと思われます。
そのほかにも、大学発スタートアップというのも、沖縄県では徐々にですが、増え始めております。今後、大学発スタートアップ、それから新規事業の増大によって、今、現時点の年収最下位であったりとか都道府県で見ても進学率が大変低い状況というのを改善していきながら、それで加速的にIT人材により経済効率化を図っていければ、そして、その魅力について、県外の方々、北部、離島に移住と定住していただければというふうに考えております。
また、これらのコミュニティーづくり、人材づくりによって、今後、日本国内の地方におけるIT人材育成、大学周辺、研究機関周辺のコミュニティーづくりのロールモデルになれるのではないかというふうに考えております。
私からの説明は以上となります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/5
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006・青木一彦
○委員長(青木一彦君) ありがとうございました。
次に、西田参考人にお願いいたします。西田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/6
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007・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
琉球大学学長の西田でございます。
本日は、このような意見陳述の機会をいただき、ありがとうございます。
私の生まれは京都でありますが、沖縄が復帰して八年後の一九八〇年に琉球大学理学部の助手として採用され、途中、福井県立大学あるいは東京大学での勤務もありましたけれども、合計二十二年琉球大学で過ごしてまいりました。
琉球大学は、一九五〇年五月二十二日、戦火で灰じんに帰した首里城の跡地に、沖縄県民や海外の県系人の大学設立に対する熱い思いと関係者の尽力により開学いたしました。そのような大学の学長に就任して三年になりますが、地域に貢献する大学として沖縄振興に貢献できるよう、大学運営に努めてまいりました。また、沖縄県振興審議会の会長を務めてまいりました。
本日は、お手元の資料の一ページ目に示したような内容でお話をいたします。まず、沖縄県振興審議会会長として取りまとめた答申、新たな振興計画について説明させていただきます。その後、それに関連する琉球大学などでの取組、あるいは西田個人としての思いをお話しさせていただければと思います。
一ページをめくった、A3判ですね、A3判の資料一を御覧ください。
これは、本年一月、沖縄県振興審議会会長として玉城デニー沖縄県知事に答申した新たな振興計画の概要です。資料左上の第一章、総説に、一、計画策定の意義といたしまして、(1)沖縄振興策の推進とあります。これは、特別措置法の根拠となる沖縄の特殊事情を示したものでございます。加えて、(2)日本経済発展への貢献、(3)海洋島嶼圏の特性を生かした海洋立国への貢献と、これら合わせて三つに意義を整理しております。
なお、資料には記しておりませんけれども、計画策定の意義についてもう少し説明させていただきたいと思います。
これまでの振興策の推進により社会資本の整備が進められ、この新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元年ですけれども、この年には入域観光客数が、これは玉城さんも述べていただきましたけれども、一千万人を超える、そして完全失業率は復帰後初の二%台まで低下する、そして経済成長率は全国を上回る高い伸びを示すなど、多くの成果を上げてまいりました。
しかしながら、一人当たりの県民所得は依然として全国最低水準、子供の貧困率は全国値の約二倍の水準である、そして非正規雇用率は全国一高い水準にあることなど、なお多くの課題が残っております。
加えて、離島の条件不利性、それから基幹的公共交通システムですね、これの不備等による深刻な交通渋滞、私も毎日通勤で痛感しているところですけれども、そして米軍基地問題など、沖縄県が抱える特殊事情から派生する固有課題も残されており、沖縄振興特別措置法が最終目的とする沖縄県の自立的発展と豊かな住民生活の実現は十分とは言えない現状にあります。
このため、引き続き沖縄振興策を総合的、積極的に推進することが重要であると考えます。すなわち、沖縄県が有する我が国の南の玄関口に位置するという地理的特性、それから広大な海域を確保する海洋島嶼性、アジア諸国と交易、交流の中で培ってきた歴史的、文化的特性、これらを十分に生かし発展可能性を引き出すということ、これが沖縄県振興、発展にとどまらず、我が国全体の発展につながるものというふうに考えます。
さて、お手元の資料ですけれども、A3広げていただいておりますが、その第二章では基本的課題を、そして第三章では基本方向を整理しております。第四章、これはこの資料の右半分の中段に記載しておりますけれども、基本施策では、平成二十二年三月に県民の意見を基に策定した基本構想、すなわち沖縄二十一世紀ビジョンにおける県民が望む五つの将来像ですね、一、沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島、二が心豊かで安全、安心に暮らせる島、三、希望と活力にあふれる豊かな島、四、世界に開かれた交流と共生の島、五、多様な能力を発揮し、未来を開く島のそれぞれに施策を設定しております。
このような答申を出させていただいたところでございますが、私が学長を務める琉球大学でもこれらに沿った取組を既に行っているところです。残りの時間で、人材育成という面が中心になりますけれども、幾つかの事例を御紹介させていただきます。
まず、心豊かで安全、安心に暮らせる島を目指した施策として、子供の貧困の解消に向けた総合的支援の推進があります。これに関連して、子供の貧困の負の連鎖を断ち切るための取組として、子どもの居場所学生ボランティアセンターというものがございます。詳しくは別添の資料二ですね、を御覧いただければと思いますが、このセンター、県内の子供の居場所と、それからボランティアを希望する学生とのマッチングを行っております。子供の自己肯定感の向上、子供に寄り添ったサポートを行うことで、子供の居場所への安心感が高まり、子供の自己肯定感の向上につながっております。
なお、この取組は、琉球大学だけではなくて、沖縄県内の十一の高等教育機関を構成員とする大学コンソーシアム沖縄として行っているものでありまして、私はその代表理事としてこの取組にも関わっております。
次に紹介したいのは、ICT人材を育成する取組として、数理、データサイエンス、AI教育の推進であります。詳しくは次の資料ですね、三を御覧ください。
二枚目に、受講した学生からの声がございます。データ解析の手法を学び、論理的思考力や課題発見力を身に付けた学生がこれからの沖縄で活躍してくれることを期待させてくれるコメントが出ております。元々文科系の学生なんですけれども、もうデータサイエンティストとして育ったという自覚を持ってくれております。
この取組も、琉球大学が中心ですけれども、先ほど申した大学コンソーシアム沖縄のつながりを活用して、沖縄県内の高等教育機関とも連携をして実施しております。
なお、この取組ですけれども、希望と活力あふれる豊かな島を目指した施策として、デジタル社会を支える情報通信関連産業の高度化、高付加価値化というものに関連するものであります。先ほどの子供の貧困問題も、その抜本的な解決策としては生産性向上による県民所得の改善が必要でありまして、そのような意味からも重要な取組であると認識しております。
ここからは、私個人として今後十年の沖縄振興に期待するところとして、あと二つほど事例をお話ししたいと思います。
沖縄が直面する特殊事情として、地理的事情、自然的事情などがございますが、これらは克服すべき条件不利性であると同時に、優位性へと転化する可能性も秘めたものであると考えております。今回の答申の基本施策でも、沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする島を目指してとありますけれども、そのような観点から、これからの沖縄振興策は沖縄の特色を生かした取組がより重要ではないかと感じています。
その一つの事例として、琉球大学での研究プロジェクト、資源循環型共生社会実現に向けた農水一体型サステーナブル陸上養殖のグローバル拠点を御紹介いたします。詳細は別添資料四を御覧ください。
これは、科学技術振興機構の共創の場形成プログラムに採択されたものでもあります。他大学や民間企業、地元自治体も参画するプロジェクトです。沖縄をベースに食とエネルギーの循環社会モデルの形成を目指す取組であり、閉鎖循環型陸上養殖、再生可能エネルギー、廃棄食料の資源化等をデジタル技術でうまく連携させて、最適な循環社会を実現することを目標としています。これにより、沖縄だけではなく、亜熱帯海洋性の島嶼モデルとして、東南アジアの循環社会モデルとなるのではないかと期待しております。
もう一つの事例として、世界トップクラスの豊かな自然、これを活用する事例を御紹介します。
昨年七月、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産への登録が決定されました。この地域の生物多様性等については別添の資料五を御覧いただければと思いますが、琉球大学では、この地域内に教育研究施設を有しております。そして、長年にわたってこの地域の自然の研究と教育に深く携わってまいりました。これらは、地域にある貴重な自然の価値を科学的な観点から正確に把握し、それを後世に伝えていくための大切な基礎づくりだと考えています。
一方、この地域では、観光客の増加に伴うオーバーツーリズムに対応する適正な観光管理の実現、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ等の希少種のロードキルの防止、包括的な河川再生、さらに緩衝地帯における森林伐採の適切な管理等、多くの課題も指摘されており、これらを総合的に把握し、解決していくことが不可欠です。琉球大学としても、地域社会や国際社会と協力し、教育研究を通じて、周辺地域を含む世界自然遺産登録地域の生態系や生物多様性を将来世代に引き継ぐための努力を惜しまぬ所存であります。
また、これは琉球大学の取組ということではございませんけれども、今申し上げたような取組の延長線上にあるものとして、国立自然史博物館構想がございます。詳細は別添の資料六を御覧いただければと思います。
自然史博物館を沖縄につくることは、自然史研究の観点のみならず、沖縄観光等の産業振興面、それから人材育成面、さらにはアジア地域、さらに全世界への貢献という面からも重要な取組になると確信しております。
以上、沖縄振興に関連する取組事例を幾つか御紹介してまいりました。本委員会で審議されている沖縄振興特別措置法等の一部を改正する法律案が成立し、来年度以降も引き続き国からの支援の下で県の施策が実施され、沖縄振興策が総合的、積極的に推進されることを期待しております。また、沖縄県内唯一の国立大学の長として、微力ながらその実現に貢献したいというふうに考えております。
これにて私からの説明を終わります。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/7
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008・青木一彦
○委員長(青木一彦君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/8
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009・比嘉奈津美
○比嘉奈津美君 今日は、玉城先生、西田先生、ありがとうございます。非常にうれしく思っております。
お二方とも振興審議会のメンバーであられるんですよね。実は私も、もう十何年前、仲井眞知事時代に振興審議会のメンバーで、沖縄二十一世紀ビジョンの最初の策定に私関わってまいりました。そして、今、当時は一歯科医院の院長だったのですが、現在ここにおりまして、やはりこうやって先生方が来られて地元の意見をいただけるというのは非常に大事なことだと思いますので、今日は是非よろしくお願いいたします。
まず最初に、玉城先生にお伺いしたいと思います。
今日は琉大の学長先生もいらっしゃいますが、沖縄科学技術大学院大学、OISTのことについてちょっとお尋ねさせていただきたいと思います。
OISTは、僅か十年足らずで、今ネイチャーで評価が非常に高く、世界で九位、日本では一位というような評価を受けております。論文の数は少なくても、非常に論文の質がいいということで評価が高いということでございますが、私もOISTの研究者の皆さんと何度も意見交換をさせていただいております。サンゴのゲノムの解析などは世界で初めてできて、そして、沖縄の周りで一時期、白化ですかね、サンゴの白化があったときに、私、ちょうど環境大臣政務官を拝命しておりまして、日本の有識者の皆様を集めてOISTで対策会議なども行ってきました。その他、潮の流れで発電するとか、消化が非常にゆっくりなお米を開発して血糖値を調整するなど、いろいろな研究が進んでおります。
ただ、研究は今進んでいるのですが、このOISTの研究効果から産業を生みたいなと非常に考えていくところで、この成長していく沖縄振興の中で、またこのOISTがベンチャーとつながることが我が国の経済の発展にも寄与していくものだと思いますが、そのためには企業とのマッチングが非常に重要になってくると思います。一番、その企業とのマッチングの中でどういう方法が一番いいのか、ちょっと起業家であられる玉城先生にお尋ねしてみたいなと。
OIST自体も外部資金を今六%から七%を調達していると思いますが、内閣府としては二〇%ぐらい調達してきてくださいということをお話ししているようですが、どういう形のマッチングがあればそういうイノベーションが一番起きる可能性が高いか、教えていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/9
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010・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 挙手をお願いいたします。
玉城参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/10
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011・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。御質問ありがとうございます。
比嘉先生がおっしゃるとおり、OISTは世界的に見ても、例を挙げるとするならば、東京大学が研究機関として三十五位と位置付けられるところ、OISTは八位から九位というふうに研究機関として評価されております。日本でもトップの研究機関であるのにもかかわらず、周りに、周辺地域との産業連携がまだまだ生み出されていないというのが現状です。
OISTを始めとして、沖縄県内では大学発スタートアップというものは増えてきてはいるんですけれども、おっしゃるとおり企業のマッチングができておりません。
その原因の一つとして考えられることといたしましては、沖縄県内の研究成果に関して、研究成果というのは、基本的にはTRL、テクノロジー・レディネス・レベルというレベルが大変低く、産業導入するまでレベルとして一から九までレベルが評価付けられているんですけれども、その中でもOISTの研究成果、琉球大学の研究成果というのは、一から三に当たるところになります。しかしながら、そのレベルが、産業導入、企業マッチングするためには少なくとも七から九のレベルに引上げをしなければいけません。そこは研究機関で担うことが大変難しく、どうしても大学発、研究機関発のスタートアップに対して資金投入が必要になってくるというところです。
都心部では、科学技術イノベーション、科学技術基本計画を始めとする様々な研究機関や大学に関するその産業連携のための投資促進が行われてきました。それによって大学の周囲にVCやCVCが多く設置され、十年前に比べて、大学発スタートアップの増大ももちろんですけれども、大学研究機関からのMアンドA、若しくはIPOに関する、若しくはコラボレ、企業コラボレーションに関するニュースが現在でもあふれております。その結果、大学発スタートアップから成長した企業がまた更に戻ってきて大学に投資する、研究機関に投資するという好循環が生まれております。
地方、特に沖縄県は、進学率も低く、周りのイノベーションに関する投資促進もされていない状況です。OISTを始めとする豊富な研究成果、こちらにVC、CVC導入の投資促進を行うことによって、先ほども申し上げましたテクノロジー・レディネス・レベル、TRLのレベルを上げて企業マッチングしやすい形に、そういったエコノミーシステムをつくっていくことがまず第一、そういうふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/11
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012・比嘉奈津美
○比嘉奈津美君 ありがとうございます。また今後とも御指導よろしくお願いいたします。
今度は西田先生にお伺いします。
時間がないのでちょっと早口になりますが、沖縄振興を考えるに当たって、ちょうど沖縄復帰五十周年なんですね、いい境目だと思います。
五十年前まで私はドルを使っておりました。日本円に変わって、一円は軽いなと、一セントを使っていた私としては思いました。そして、車も反対側を走っていて、バスで通学していたんですけれども、全く反対側で降りたり乗ったりする不思議な世界を見てきたわけですが、沖縄のこの歴史の背景の中で、いろいろな国際色豊かな独自の文化や生活様式があります。
そして、沖縄振興策、これまで国は一生懸命力を入れてやってきましたが、これから一番の課題は先生は何だと思われますか。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/12
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013・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 挙手をよろしくお願いします。
西田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/13
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014・西田睦
○参考人(西田睦君) はい。失礼しました。
ありがとうございます。
おっしゃるように、大きく、この五十年、沖縄は変わってきたと思います。
私、先ほど申したように、八〇年に赴任しました。二年前の七・三〇を皆さん言っておられましたが、そういう中で、今、先ほど申したように、やはり振興策で大分良くはなりましたけれども、まだまだ残っている。
一番というふうにいいますと、取りまとめたこの新たな振興計画ということ、この資料でいいますと、資料一ですね、これの左上の総説のところ、計画の目標、右側、四とありますね、この最後のアローヘッドのところかなという気がいたします。つまり、その後半ですね、県の自立的発展と県民一人一人が豊かさを実感できる社会の実現というふうになっています。その特に後半、これから、やはりその誰一人取り残さない、そして子供の貧困の負の連鎖を断ち切るという辺り、それもちょっとお話しいたしましたけど、そこ辺りにしっかりと焦点を当てた振興が大事ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/14
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015・比嘉奈津美
○比嘉奈津美君 ありがとうございます。
そしてまた、琉球大学医学部の今度移転が、軍用地の跡地に移動するということで、これは今後返還される跡地利用の非常に大事なモデルケースとなりますので、国においても着実に進めていくような形で我々も支援していきたいと思っております。
そして、先生は、一番得意分野は海洋生物学とお伺いしております。海に囲まれた沖縄で海洋資源の活用に力を入れてください。私からのお願いでございます。
乳がんの治療薬ハラヴェンなども海洋生物からできております。いろいろ勉強してきた中で、これからいろんな物質を探すのに海の中が一番可能性が高いと聞いております。
これからの沖縄、海に囲まれた沖縄のこの発展に向けて、先生方からまた御支援をいただいて我々も頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/15
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016・森屋隆
○森屋隆君 立憲民主党の森屋隆でございます。
玉城先生、西田先生、本日はお忙しいところ本当ありがとうございます。また御説明いただきありがとうございます。よろしくお願いをいたしたいと思います。
まず、玉城先生、西田先生それぞれからお答えいただきたいと思います。二点伺いたいと思います。
一点目なんですけれども、私は公共交通機関で長く働いてきた者なんですけれども、先ほど西田先生の方からも少しあったかと思います。沖縄、まあ市内を中心に自家用車、軽自動車なんかもかなり多いと思いますし、そして、観光客の方は、今特にレンタカーがかなりお店ができて、レンタカーでの移動が多いなと、こういうふうに感じております。慢性的な渋滞がありますし、この慢性的な渋滞というのは当然経済損失だと、こういうふうに思っています。
そんな中で、二〇五〇年カーボンニュートラル、これも非常に大事なテーマだと思っているんですけれども、今後、二十年先、三十年先を見据えて、沖縄のこの交通インフラ、どうあるべきかというのを少し考えを教えていただきたいと思います。これが一点目でございます。
二点目については、本土に復帰して五十年という大きな節目でありますし、この間、社会インフラがずっと整備はされてきたと当然思うんですけれども、年月がたって老朽化もしてきたものも当然あると思いますし、全般的にその更新の時期を迎えているんだろうと、こんなふうに思います。
その中で、全部一遍を交換していけるような、整備していけるようであればこれはいいことだと思うんですけど、なかなかそれ難しいと思いますので、まず社会インフラの中でこれを第一にやっていかなければいけないんじゃないかという、その優先順位みたいなものをあればお答えいただきたいと思います。
それぞれの先生方からお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/16
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017・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。森屋先生、御質問ありがとうございます。
確かにおっしゃるとおり、沖縄県内の道路状況というのは、特に渋滞というのが観光客が増えるにつれ状況が悪くなっておりました。ただし、十年前に比べるとインフラが徐々に整備され、渋滞も大分緩和されてはきております。一方で、資料にもありましたとおり、新型コロナ感染症拡大以前に関しましては、そのインフラでもフォローし切れないほど観光客が増えてきたという現状もございました。
そういった面でいうと、もちろん、おっしゃるとおり、そのインフラを今後どうしていくかというのは、優先順位というのは決めなければいけないかと思われます。インフラ整備をするとともに、例えばなんですけれども、自動運転車や水素ガス、様々なIT技術を駆使して、レンタカーや自家用車というのを使わなくても市民や観光客というのが移動できる状況というのをつくっていくというのが重要だと思われます。
つまり、インフラだけをきれいに整備して道路を広くして交通量を単純に増やすというのではなくて、人の移動を自動車以外の部分でも代用できる形に変換していくという方法が、そういうIT技術、それから水素ガスなど、エコシステムの導入というのが、エコなエネルギーによる循環というのが必要になってくるかと思います。
もう一方で、ここ十年、これから十年ですね、IT技術というのは更に促進していくと。人の、人流自体も変わってくるという意味で、先ほど資料で私の方から説明させていただいたとおり、恐らく、今、渋谷、都内で多く実施されているデジタルツインと呼ばれる、都内の、都市の情報をバーチャル世界、メタバースの中に移して、人流自体を少なくして、それでもう観光資源を流用していくというような方法も今後十年先には考えられるかと思われます。そういった先を見据えたインフラ開発というのが必要になってくるのではないかなと思います。
優先順位といたしましては、インフラ整備はもちろんですけれども、今急務で、足りなくなっている、人流に必要な、市民や観光客に必要な自動運転、水素ガスなどの導入が私は優先順位が高く、その次にインフラ、さらにメタバースやバーチャル空間のデジタルツイン技術の導入といったIT技術の導入が必要になってくるのではないかと個人的に考えております。
以上です。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/17
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018・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
二点御質問いただきました。
公共交通システムに関しては、私もちょっと言いました、私自身が実感しているところです。是非ここは改善を大きくしていく必要がある点だというように思います。
多様なシステムを組み合わせることが大事だろうというふうに思うんですね、車だけに頼るのではなくて。一番末端のところということでいえば、それこそいろんなエネルギーを使った小型のもの、例えば電動自転車なんかも、今本学でもシステムを、置く場所を幾つか地域につくって、それで通学、通勤をしてもらえるようなシステムをもう試しております。そんなふうにやるようなところ。
それからもう一つは、やはりもう少し長距離な根幹のラインというのも同時に必要になると思います。昔の、戦争の被害の前の沖縄の写真見ますと、ちゃんと鉄道が走っていますね、軽便鉄道だったようですけれども、あれ、戦争でやられてからなくなってしまっているというのが惜しいなというふうに感じているところです。
例えば、今の時代にふさわしい何らかの形でそういう根幹のものもつくり、順次、モノレール、そしてそれをつなぐバス路線、そして一番自分に近いところでは新しいレンタル電動サイクルのようなもの等をうまく組み合わせる、そして、その使い方を、今、玉城先生も何度も強調しておられますけど、AI、ITを使えばうまくシステマティックに使えるようにどんどんなっておりますので、それを活用した交通システムを構築していくということが大事かなというふうに思っております。
それから二点目は、社会インフラの更新、どこからが順番かというのは、ちょっと私自身余り専門、直接専門ではないので難しいんですけれども、本学の工学部に土木系のいろんな教員がおります。
例えば、やはり沖縄はさびが出やすいんです。橋梁等、危険なことがあってはならないので、それはしっかりモニタリングをして、直さないといけないところは大ごとが起こる前に直していくというのは、安全性という点から見て優先度高いんであろうというふうに思います。そこをカバーすれば、第一の御質問に近いような形で、交通システムをうまく構築していく中で解決していけるといいなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/18
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019・森屋隆
○森屋隆君 先生、ありがとうございます。
一つ、やはりデジタル、ITとかいうものを活用していくというのがポイントになるのかなと私も思っていますし、そしてまた、この間、歴史の中でもバスが活躍してきた中で、今、既存のバスを、交通機関を更にイノベーションして使い勝手良くしていく、あるいは、ゆいレールも観光客の方にも地元の方にも愛されていると思いますし、非常に使われていると思いますし、そこをよりグレードアップというか、していければとも思っています。またお知恵をお借りしたいと、こういうふうに思います。
最後になります、時間が来たので、一点、簡単にですね。
先ほど、沖縄の弱みが強みになるというようなことがあったのかと思います。強みということでいえば、これをやっぱり推していきたいというのがあれば、ちょっとお聞きをしたいと思います。西田先生の方でお願いします。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/19
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020・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 挙手を。
西田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/20
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021・西田睦
○参考人(西田睦君) あっ、挙手、失礼しました。
ありがとうございます。
強み、私は、先ほどは自然面を中心に御紹介いたしました。例えば生物多様性と一言で言いましたけど、先ほど比嘉先生がおっしゃった、まさにそれは資源の大本でもあります。それをしっかり研究をし、活用に向けてどうしていくかという士気を高める、それを担う人材を育てる、そこまで総合的にやることが大事かなというふうに思っております。
それで、そういうふうに考えると、いろんな分野の多様性というのが実はすごく大事だと思います。文化的な面もそうだというふうに実は思っております、それが日本全体の多様性を高めてくれていますので。多様性は、結局、イノベーションを生む大本です。一つの考え方というか一つの知識しかなければ新たなもの生まれにくいです。少し違ったものが触発することによって新しいものが生まれますので、日本にとって、沖縄が持つ多様性というのは、日本全体の多様性を増やしてくれる。だから、いろんな側面に沖縄固有の優位性というんでしょうか、あると思いますので、それをしっかりと見出して、見続けて、使っていくというところがポイントかなというふうに思っております。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/21
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022・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/22
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023・高瀬弘美
○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美です。
今日は、玉城参考人、また西田参考人、大変お忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
それぞれにお伺いをさせていただきたいと思いますが、沖縄の人材育成という観点からの質問をさせていただきたいと思います。
この三月の頭が国際女性デーということもありまして、ジェンダーギャップに関する様々な報道が新聞各紙でありましたけれども、その中に、民間の調査の結果の一つとしまして、沖縄県が全国の中で女性社長の割合がトップであるという記事がございました。一一・四%が女性の社長であるということで、もちろん、この中には県外から移住して沖縄で起業される方というのも相当数入っていて、具体的な数がどれくらいかというところまではその調査では分からないんですけれども、私自身も本土から沖縄に移住して起業している女性何名か存じておりますので、その記事読んだときに、まあそうなのかもなと思いながら読んだところでございます。
この女性の人材育成という観点から、今女性の起業家が全国一である、また増えているということは沖縄県の強みとなり得るのかなというふうに感じたんですけれども、今、例えばスタートアップの支援、国として資金繰り支援ですとか、あるいは、スタートアップの方、なかなか横のつながりがないということで、ネットワークの支援ですとか、経済産業省始めいろいろやっているんですけれども、この沖縄での女性起業家の方の支援を国として何か後押しすることができるとすれば、どのような形が一番ベストと玉城参考人がお考えになるか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/23
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024・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、沖縄県はジェンダーギャップはいまだございますが、特に科学技術に関して女性の研究者も少なく、そんな中、私自身は琉球大学で教員になれて大変恵まれているものだと思います。また、スタートアップとしての起業できたことも大変幸福なことだと思います。
沖縄県、おっしゃるとおり女性の起業家率が大変高く、私も実はパーセンテージは存じ上げておりませんでしたが、県外の起業家の方々よりも県内の起業家の方々の方が女性の比率がとても多く、女性の起業家の友達というと沖縄県内の方々ばかりを思い浮かべてしまいます。
そういったところで、一点、どのように支援したらよいのかという点につきましては、実はこれは、女性、男性に、性別に、ジェンダーに関わることではないのかもしれませんが、沖縄県内の起業した会社、なかなかスケールしづらいという、そういった側面を持っております。
具体的に言うと、シードラウンドからシリーズA、シリーズBまで進むことがほとんどございません。つまり、小さくまとまってしまうという欠点がございます。沖縄県内、都内と比べても、都心部と比べても大企業が大変少なく、中小企業が九〇%以上となっております。そんな中で、沖縄県の女性の起業家増えているという、大変割合が多いところで支援をもしするとすれば、シリーズA、少なくともシリーズBまで投資促進するというところが大変重要なところになってくるかと思っております。
以上です。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/24
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025・高瀬弘美
○高瀬弘美君 ありがとうございます。
具体的なところを教えていただきまして、感謝申し上げます。
西田参考人にお伺いをいたします。
先ほど御説明の中で振興計画のお話をいただきました。やっぱり次の世代を育てる、可能性を開くことができる環境をつくるというのはもう非常に大事だなと、お話伺いながら改めて感じたところでございます。
沖縄の子供の貧困問題、居場所づくりのところで、先ほど資料も御提示いただき、御説明をいただきました。私も沖縄の子供の居場所の現場に何度か視察に行かせていただいたこともございまして、本当に国としても、この子供の居場所づくり、貧困対策というのは力を入れてやってきておりまして、先日通過したばかりの予算案でも、ここの部分はかさを増してしっかりやっていくということ、国の方針としてあるわけでございますが。
子供の貧困問題というのは、釈迦に説法でございますが、もう本当に複雑な要因がいろいろ絡んでおりまして、いろんなデータ見ましても、先ほど参考人からも御指摘のあった県民所得の問題ですとか、また進学率、特に大学の進学率の問題、そして高校中退率の問題、また母子世帯率の高さとか、いろんな要因が絡み合ってこの貧困の状態ができているわけでございます。
これ一つ一つ全てに対応していくというのは大事なんですけれども、参考人のお立場から、特にどこに力を入れていくということがこの子供の貧困問題の解決につながっていくとお考えになるか、この点お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/25
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026・西田睦
○参考人(西田睦君) 御質問ありがとうございます。
やはりこれは二面作戦が大事かなというふうに思っております。というのは、やはり今、本当に困っている子供たちがたくさんいます。これに手を差し伸べるということはやはり不可欠です。
ただ、ずっと対症療法的にやっていればいつまでもそういう状態が続いてしまうと、これはまずいので、やはり、さっきもちょっと申しましたけど、基本的には沖縄の経済をぐっと上げることがないといけない。だから、それはやはり両面をしっかりやるのかなというふうに思っております。でも、その場合、対症療法をただ何となく回すのではなくて、しっかり効果的にやることが大事かなというふうに思っております。
私も、かなりきめ細かく子どもの居場所学生ボランティアセンターの実情等を聞いたり調べたりしておりますけれど、すごく、近くで見るといろんな問題がまだまだあります。で、こんな成果が出ているというのもよく見えます。
幾つか申し上げますと、やはり人口の多いところに居場所はやはり多くつくられます。それは効率的に見てそうなるんですが、どうしても北部地域だとか離島地域は少なくなってしまいます。でも、必要性は高いです。そこはやはり丁寧に対応していくことがまだまだ必要になるということがあります。
それから、支援員をお願いをして支援をしていただいているんですけれども、なかなか支援員の、まあ何というんですか、処遇というんでしょうかね、これなかなか十分でないところがありまして、ノウハウを継続的に高めるということがなかなか難しい。人が早く替わってしまうというのも聞きます。だから、この辺りも、人を育てるということで手当て、支援をお考えいただければ有り難いなというふうに思います。
学生ボランティアをその中でどうやってやっているかというと、これは公的資金では難しいです。民間の企業様から寄附をいただいて、それを、アルバイトせずに居場所に行ってくれますので、アルバイトする分を謝金として渡してあげると、そういうふうに回します。そうすると、学生はアルバイトせずに、でも、ちゃんと子供に触れ合う。そして、子供は本当に頼ってくれるようです、お兄さん、お姉さん、待っていたよというふうにですね。コロナの中で厳しいけれども、ぎりぎりで今年も去年も出してきました。そこでも人が両方育っています。
ですから、これはやはり、一つ一つ難しいですけれども、きちっと手当てをしていくと、やはり負の連鎖をぐっと断ち切って前向きに持っていくことが、一つ一つ事例が出てくると私は確信しておりますので、両方、両方、経済を底上げするのと、今困っているところはきちっと手当てをする、両方、両面作戦かなと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/26
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027・高瀬弘美
○高瀬弘美君 大変具体的な例も示していただきまして、ありがとうございます。
最後に、玉城参考人にお伺いいたします。
先ほどデジタル人材が不足しているという御指摘ございました。公明党としましても、このデジタル人材、特に女性のデジタル人材を増やす必要があるのではないかということで、女性デジタル人材十万人プランというのを掲げまして、今、デジタル人材を育成やっているいろんな省庁あるんですけれども、内閣府ですとか、職業訓練の側面からいうと厚生労働省、また経済産業省と、関係省庁をいろいろ呼んで協議を重ねておりまして、デジタル人材を育てていくための統一感のある政策をやっていただけるように働きかけをしているところでございます。
その中で、実際のデジタル人材の女性の皆様にもいろいろヒアリングさせていただいているんですけれども、小さいとき、小学校、中学校、高校のときに理系のロールモデルとなる女性に接する機会が大変少ないと。やっぱり理系の先生たちというのは男性が多いですし、なかなか理系で活躍している方に接するということもない中で、子供たちがなかなか理系の女性の人材というものをイメージしにくいというのがあるかなと思います。
この点につきまして、玉城参考人御自身が理系の道に進まれたわけでございますけれども、国として、本当に女の子たちが理系の道を選んでいけるような、施策に何かプラスとなるようなことが、できることがあれば教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/27
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028・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 時間が参っておりますので、簡潔によろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/28
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029・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) はい。
ありがとうございます。お話ししたかった内容なので、御質問いただき大変有り難く思います。
おっしゃるとおり、高校までの理系の女性の比率というのは、沖縄県ですとちょうど半々程度です。男女比率半々程度なんですけれども、特に工学系になりますと、学部進学いたしますと一〇%以下、大学院になりますと四%以下と、徐々に少なくなっていく傾向がございます。そんな中で、ロールモデルを高校生に、特に中学生、高校生に向けて提示するというのとともに、大学学部生、大学院生にもどのようなキャリアデザインを提示していくのかというのが重要になってくるかと思います。
ロールモデルとして私がちょっと十分かどうか分かりませんけれども、私を始めとして複数のIT人材というのを、女性のIT人材というのを、琉球大学、OIST、沖縄県内からいろいろ発信、情報発信させていただいております。その中で、支援として必要なのは、ロールモデルの提示とともに、やはり沖縄県内で就職できる、女性がIT人材として十分に就職していける環境づくりだと思います。そのためには、県内企業の起業率アップももちろんですけれども、ITの会社の起業率アップももちろんですけれども、既存企業のITプロジェクトの推進というところも重要になってくるかと思います。
そのITプロジェクトが十分にあるよということを中高生、大学生、大学院生に提示することによって女性のIT進学率も徐々に徐々に増えていって、結果的に沖縄県全体の経済活性化につながると考えられます。
ありがとうございます。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/29
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030・高瀬弘美
○高瀬弘美君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/30
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031・榛葉賀津也
○榛葉賀津也君 国民民主党の榛葉賀津也でございます。
両参考人、本日はありがとうございます。
玉城参考人と西田参考人、それぞれ、大きな質問と中ぐらいの質問と具体的な質問を三つしたいと思います。
まず、大きな質問。五十年の沖縄振興政策の歴史を振り返って、反省すべき点は何だとお考えでしょうか。
中ぐらいの質問ですけれども、沖縄振興を議論する際に、一国二制度という言葉が躍るときがございます。沖縄のために思い切った支援をという側面と、本土と切り離した、本土の制度と切り離した独自の制度を沖縄に導入するべきだという二つの議論がありますけれども、私、安全保障上、これ極めて慎重な議論が必要だと思っております。つまりは、琉球の独自の歴史を持つ沖縄と本土を切り離そうとする勢力にとって、まさに思うつぼになる可能性があるということです。このもろ刃のやいばとなりかねない一国二制度というものについて、両先生はどのようにお考えでしょうか。
そして、三つ目の具体的な質問でございますが、沖縄には百六十の島がございます。そのうち有人島は三十七。そして、三十七の離島のうち高校があるのが、石垣島、宮古島、久米島の三つだけでございます。
十五歳になって中学を卒業すると、島を出るか、時には家族共々、皆さんが島を出て本土に移るということ、沖縄本島に移るということが多々ございます。これが人口減少になって島の減退につながっていく。特に、我が国最西端の与那国島は台湾と目と鼻の先にございまして、安全保障上極めて重要な位置にあるんですけれども、この人口減少による島の減退、島の力の減退は深刻な問題になっています。
ICT等を活用した離島での子供の教育の在り方について、両先生はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/31
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032・西田睦
○参考人(西田睦君) 御質問ありがとうございます。
三つ。一つ目は、復帰五十年、反省すべき点はというんですが、なかなか、大きな課題と言われましたけれども、どういうふうにお答えしていいのか、少し迷うところですけれども。
私が感じているところで申せば、やはり振興策、非常に重要な役割をしてきた、最初も申しましたけれども。まだ残されている課題がある。特に、経済的にもっと生産性を高めることが大事というのは何度も私申しました。その生産性を高めるというときに、いろんな側面があると思うんですけれども、これがやはりいろいろ打って出る、ざっくり言えば打って出るという活動がもっと強くてもいいのかなと思うんですが、もしそこが打って出る馬力が不十分なところに関係しているとしたら、そこはむしろ支援策があるからこそ大胆に打って出るというふうに働いてくれるといいのかなというふうに感じております。
それから二点目は、これはどうなんでしょうか、余り、これも私にとっては難しい課題ですけれども、余りこの特別な扱いというよりは、やはり日本全体の中の自治体として、何というんでしょうか、余り特別扱いではなくてやっていく。ただ、大きなEEZを持っている島嶼域というようなことでいえば唯一ですから、そういう観点でしっかりと考えていく必要はあろうかなというふうに思いますが、余り極端な議論になるとちょっとどうなんだろうという感じは、私、いたしました。
それから、高校の問題、まさにそうですね。離島で、本島以外は離島といえば、先生おっしゃったように、石垣、宮古、久米島というふうに限られてしまいます。何とかこれ、IT、通信が高速になる時代ですので、やはりもう少し通信をしっかり利用して、島にとどまっていても高校教育が受けられるような、やっぱりそういう工夫をもっともっとしていく必要があるかなと思っております。本学も四年、五年前からそういう試みはしております。
これなかなか面白いのは、高校もそうですし、小中も結んで、本島、複数の学校を結んで、ITで結びますと、授業はもちろんそれでやるんですけれども、大学生をその島の方にも行ってもらって、そこで子供たちをカルティベートするというふうにすると、すごく子供が元気になります。さらに、実は、授業時間だけではなくて、休み時間にもつないでおくんですね。そうすると、子供たちがカメラの前に寄ってきて、本島の何々ちゃんと言って、そこで友達になるんです。
ですから、これやってみると思わぬ効果がございますので、それやっぱりネットをよく使ったことでいろんな問題というのは解決できるところがあるんではないかというふうに感じております。
是非、その辺は我々も頑張りますので、御支援いただくことがあればよろしくお願いしたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/32
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033・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。
三点、質問についてお答えしたいと思います。
反省すべき点としては、先ほどお話ししたとおり、観光産業に関しては年々増えてきて、沖縄県内の産業というのは大きく発展したんですけれども、やはり外的変化に対する対策が練られてこなかったというところがちょっと反省すべき点かなというふうに思います。観光産業の促進とともに、新型コロナであったりだとか、ほかにもインフルエンザであったりだとか、若しくは経済低迷であったりだとか、海外の観光客がなかなかいらっしゃれないという状況に対してどのように対策をするのかというのを事前に対応しておけばよかったのかなというふうに思います。
そういった意味でも、施策に関して、アウトプットだけではなくアウトカムの評価というのが、まあ本施策だけではなくて、様々な施策に関して評価というのが今後されていくのではないかというふうに思われております。
二点目に関してですけれども、首都圏と離れた沖縄県という地理的な状況において、県内が、沖縄県が、他の都道府県、そして首都圏と一体となるために本施策必要なのではないかというふうに個人的には考えております。
三点目、離島に関して、本当におっしゃるとおり、もう高校に上がるときに、離島、島を離れるかどうかというのを、家族全員がという、本当に私の知り合いにも多くいらっしゃいます。その中で、担い手不足が広まる中で、今現在はバーチャルリアリティーを使った学習であったりだとか、リモート高校も沖縄県内で増えてきています。そういったIT技術の活用、西田学長もおっしゃっておりましたが、導入が進められるのがよいのかと思います。
そういった意味では、過去に実施されてきましたITインフラのための通信整備といったところがすばらしく今離島に導入され始めていて、高校生のリモート教育環境というのも、少しずつですが、今やっと整い始めているところかと存じます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/33
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034・榛葉賀津也
○榛葉賀津也君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/34
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035・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。
今日は、大変お忙しい中、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
私からは、まず西田参考人、よろしくお願いをいたします。
琉球大学の学生さんについてまずお伺いしたいんですけれども、もし今お分かりになればなんですが、学生さんの中で元々沖縄出身の人がどれぐらいいて、ほかから来る人がどれぐらいいてというその数字と、あとは、大学を卒業した後に地元に残る子供たち、学生たちの割合ですね、ここも大事かなと思っています。
私、選挙区、今日、自民党の加田さんもそうですけれども、兵庫県なんですけれども、兵庫も大学たくさんありまして、二十二歳まではもう人口それなりなんですが、ここ、卒業すると同時にぐっと減って、やっぱり就職、仕事を求めて東京などに行く学生さんが多いわけですね。ここで人口が減ってしまうというのは、非常にある意味、地元からしたら残念な話です。
ですので、せっかく琉球大学で学んで、地元を好きになって、沖縄でやっぱり仕事して、自分で仕事してもいいですし、就職してもいいですしという子供たちが増えていくというのも、沖縄のその発展のためには重要なことかなと思うんですが、その辺りの数字とか、もしそこに向けて何か努力されているようなことがありましたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/35
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036・西田睦
○参考人(西田睦君) どうもありがとうございます。
お答えいたします。
琉球大学の学生、一学年約千五百です。もちろん年によって微妙に比率に違いがありますけれども、県内出身はざっと七割というふうにお考えいただければいいと思います。七割が県内、三割が県外から来ております。なので、地域の大学らしい数値です。
今度、卒業した先がどうかという、非常に重要な御質問をいただきました。実は、これも県内にとどまるのが七割、県外に三割です。
ただ、面白いというか、県外から来たのが三割来て四年後に県外に出ていくというのではないところが重要です。そこは、県内の学生も本土に、県外に出ていくのもかなりあります。そして、本土から琉大に来てそしてずっと沖縄に残るという子もかなりの割合います。これは大事な点だというふうに思っております。
それで、全国の国立大学、特に地方にある大学は、本当にみんな出ていってしまうというのを悩んでいるんですけれども、私どもとしてはその悩みは今はない、七割がとどまってくれると。
ただ、例えば、玉城先生の分野のように、ICTの高度なものを学んだのを生かそうと思っていても県内になかなか採用してくれるところはないということで、結構本土の大手にならあるというので出てしまうというのがあります。だから、これは県内でもっとそのしっかり育てた学生を雇用していただけるようになるといいなと思っておりまして、県内の産業界の方には事あるごとにそういうことを述べております。
ただ、今時代が、デジタル化をもっと進めないと、生産性を上げるのにもっとやっぱりIT、ICTの活用が必要だというふうに強く思われるようになってきましたので、割に急速に改善されていくのではないかなというふうに期待しているところです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/36
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037・清水貴之
○清水貴之君 七割、どちらも七割というのは、思っていたよりかなり高い数字だなというふうに思いまして、残られる方も、まあシャッフルはあるでしょうけれども、それだけいるということは、本当にそういう教育とか、四年間学んでいくうちにその思いが強くなっているというのは非常にすばらしいことだなというふうに感じました。
続いて、引き続き西田参考人にお願いいたします。県民所得についてお伺いをしたいと思います。
必ず、この県民所得が沖縄は残念ながら低いと、日本、全国で一番低いというこの数字、先ほども紹介されましたように、出てきます。これはもちろん数字ですし、データですから、これはもう大事なデータですし、これを改善していくというこの対策は取っていかなければいけないと思うんですけれども、その一方で、私も沖縄好きでもうしばしばお邪魔をするんですが、何かその県民所得では測れないこの沖縄の皆さんの豊かさみたいなものを感じるわけですね。
まあ空気、もう気候ももちろん暖かいので、何かのんびりした雰囲気もありますし、夜も遅くまで皆さん結構飲まれたりとかしていて、そういうところに行くとやっぱり楽しかったりするわけですね。物価の面も、タクシー料金なんかもやっぱりこの東京などに比べて大分安かったりもしますので、そういった面でやっぱり、ああ、沖縄いいな、住みたいなと思って移住される方とかも増えているんじゃないかなというふうに思うんです。
県民所得って、まあ数字でいいますとやっぱり低いんだけれども、そうじゃない部分で、例えば以前もブータンが幸福度ナンバーワンみたいな話があって、それで測れない何か満足度とか、住んでいてよかったななんという思いが、こういうのがもっと出てくるともっと何か、僕の周りでも、沖縄移住したいけど、沖縄って仕事ないでしょうとか、行きたいけどなみたいな人も結構いらっしゃるんですよね。そうじゃないところの何か沖縄の良さみたいなのがもっと前面に出た方がいいんじゃないかななんて思ったりもしているんですけれども、これについていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/37
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038・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
非常に大事なポイントだというふうに思います。全て所得の数値だけで測れないだろうというのはそのとおりだと思います。これは、国際的にもウエルビーイングというような指標、言い方をこの頃よくされるようになっていますね。それはまさに、この幸福度ということを重視するようになってきているんだと思います。その点では沖縄は結構いいところに行っているというふうに思いますので、総合的な、何というんでしょうか、生活の質の高さというのは、それも組み込んだアピールをもっとしてもいいのかなというふうに確かに思います。
ただ一方で、先ほどの子供の貧困のようなところでいくと、やっぱり絶対的な経済の力というのもありますので、やはりそこは上げる。ただ、長時間働いてぎすぎすではなくて、ICTをうまく活用して、余力を持って仕事ができるようになれば理想的です。ですから、ICTは私、強調しておりますし、玉城先生もそうですけれども、やはりそこに希望が持てるかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/38
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039・清水貴之
○清水貴之君 どうもありがとうございました。
続いて、玉城参考人、お願いいたします。
私もOISTについてお伺いをしたいなと当初から思っておりまして、比嘉委員からも話があったとおり、全く私も同じように感じていたところがありまして、以前視察もさせていただいているんですけれども、非常に本当にすばらしい施設で、研究と人の評価も高いと。ただ、もっと生かせる場面があるんじゃないかなというふうにも思うわけですよね。
先ほどは、外部からの資金の流入をもっと増やすとか、そういうお話だったと思うんですけど、それももちろん、それが本当に大事だと思うんですが、それと同様に、その施設ですね、OISTのあるあの施設、本当に立派な建物ですけど、何となく、私行ったときにやっぱり近寄り難いといいますか、周りともっと交流があっても、多数の外国からのすばらしい研究者の皆さんとか来ていらっしゃるので、もっと、何ですかね、地元と触れ合うとか、もっと外に開かれるような、そういった面があってもいいんじゃないかなと。そういうのがOIST自体の評価とか認知度につながっていくのかなとも思ったりするんですが、そこの辺り、もしお考えありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/39
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040・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) 御質問ありがとうございます。
OISTの成果であったり、研究員の方々と地域の方々が触れ合うシーンというのは一部少ないところもあり、一方で、OIST自身が努力しているところでもあります。実は、OISTだけではなくて、他の都道府県の研究機関においても、地域との交流というのはとても大きな課題となっています。
OISTは、建築物の特性上、やんばるの森に寄り添って建てられたものでして、確かにアクセスが難しいというのはおっしゃるとおりでございます。研究者自体が地域の子供であったりだとか地域の住民の皆様に対して講演会を開いたりとか、パネルディスカッションをしたりだとか、あとはワークショップを開いたりというのは、年に、特にOIST、琉球大学というのは、多数実施している研究機関の代表的なものだと思われます。
一方で、その研究者が企業と交流する機会というところですね、企業とコラボレーションする機会というのは、基礎研究の、OISTの基礎研究という研究分野のフォーカスの特性によってなかなか難しいところだと考えられます。そういった面では、近隣にある名桜大学であったりだとか琉球大学であったりとか沖縄高専といった比較的応用研究を実施している研究機関と連携して、二者、三者、さらには、更に加えて開発の部分、研究ではなくて開発の部分に入ってくる民間企業と連携することによって、更に開かれた研究機関になるというふうに考えております。
先ほどお話ししたTRL、テクノロジー・レディネス・レベルでいうと、OISTは大変低いところにあります。低いのが悪いというわけではなくて、ファンダメンタル、基礎的な研究をされているという、そこで多くの成果を上げている。一方で、琉球大学やほかの大学というのは、比較的TRLの高い部分、応用研究で研究成果を上げております。そういった面では、近隣の企業のプロジェクトと連携するために……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/40
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041・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 玉城参考人、恐縮ですが、時間の関係もございますので、答弁は簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/41
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042・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) はい。
といった面では、企業との連携という意味で、ほかの研究機関との連携というのも今後強化していく必要があると考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/42
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043・清水貴之
○清水貴之君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/43
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044・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
今日は、玉城絵美参考人、そして西田睦参考人、ありがとうございます。
五十年たって、復帰してからですね、非常に、こういう沖縄の振興についてこういう形で協議できるというのは非常に大事なことだというふうに思っております。
それで、十年前は国会において、この沖縄振興特別措置法、これ全会一致で成立をしたわけですよね。法律の目的に沖縄の自主性の尊重ということを追加をして、沖縄の振興計画の策定の策定主体を国から県に移行したというのは県民自治の観点からも非常に大事だったと思うし、計画の実施に伴う財源は政府が保障するんだと、これも我々としても必要だというふうに考えてきたわけです。
それで、玉城デニー沖縄県知事に提出をされた沖縄県の振興審議会の新たな振興計画、これに対しての答申で、この推進策について、沖縄県が有する四つの特殊事情に鑑みてというのは、先ほどもちょっと紹介ありましたよね、つまり四つの特殊事情、一つは歴史的事情、それから地理的事情、自然的事情、社会的事情と。こういうことの影響は、沖縄振興計画が進んで着実な成果が見られているとしつつも、一人当たりの県民所得は依然として最下位の水準と、それから自立型経済の構築はなお道半ばと、加えて非正規雇用の割合や子供の貧困の高さなど全国に比べて厳しい状況にあるということで、振興法が目指している方向でいうと、まだ十分というふうには言えない、まだいろいろ課題もあるということだと思うんです。
そこでちょっと御質問で西田睦参考人からお聞きしたいんですけれども、一括交付金の問題についてお聞きしたいと思うんですね。
この一括交付金というのは、振興予算の中でも県や市町村の発展に寄与する大切な交付金だというふうに思っています。近年、これ減額が続いているわけで、国から市町村に渡る事業推進費、直接じかに渡るものも導入をされてきていると。個別事業への対応に個々に予算を増額する切り張りということになると、結局は、減額された分は他の事業の予算で削って調整しなきゃいけないと、そういう問題もあるというふうに思うんですね。
西田学長は新聞報道のインタビューで、一括交付金については、地方自治体の主体性が最大限に発揮できる一括交付金制度の戦略的活用が必要不可欠だというふうに答えられています。
沖縄振興が進むためには、やはりこの一括交付金の増額というのは県も求めてきているんですけれども、国会での議論の中で、私も何回も、減らすなということで質問もしてきたんですけれども、この一括交付金のあるべき性質を考えると、やっぱり審議会の会長さんとして審議を御覧になってきた立場で、今後、一括交付金を県が戦略的に活用できるものとして交付していくということのためにどういうところが重要なのかというところをちょっとお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/44
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045・西田睦
○参考人(西田睦君) 御質問ありがとうございます。
県の振興審議会としては、法が改正され、基本計画、方針ですね、が政府によって出され、それに基づいた計画をしっかりと県が立てることのその基礎を委員の皆さんと審議をしたということでございます。
どんなふうな、何というんでしょうかね、予算の使い方というところはまさに先生方がしっかり議論をしてお決めいただくことかなというふうに思っておりまして、それが決まったところを、しっかりとこういう方向でということを我々としては一生懸命議論してまとめたということになります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/45
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046・紙智子
○紙智子君 結構、子供の対策とか、それから医療の対策とか、結構苦労してやっているんですよね。だから、その辺をもっと充実させた方がいいんじゃないかというふうに思っております。
それからもう一点、西田参考人にお聞きしたいんですけれども、沖縄の農業、水産業というのは、日本で唯一の亜熱帯地域の特性があるというふうに思うんですよね。だから、非常に国内外からも人気もあると思うし、琉球大学の農学部の研究も独自性が発揮されていて、未来の農業を考えると楽しみな部分も多いと思うんですよね。
それで、沖縄振興で考えたときに、とりわけ離島でなくてはならないというのは、サトウキビの生産というのはやっぱり大事で、ずっと長い歴史もあるんですけれども、黒糖の問題なんかも国内のシェアが九割と、基幹産業として非常に大事だし、やっぱり台風が多いところで、これは本当になくなったら困ると思うんですけれども、近年でいうと、その台風とか害虫に脅かされることなく豊作が続いていると。本来だったら喜ぶはずなんですけど、これが今、コロナ危機で観光産業が減少してきているという中で打撃を受けていて、再建に向けて非常に悩みが大きいという話も聞いています。
それで、この危機を打開するために、今回の振興法の改正の中でも、離島地域の振興としては農林水産業の産業の振興って入っている、盛り込んではあるんですけれども、このやっぱり黒糖ということでいうと、やっぱり振興にとっても役割があると思うので、今日に合ったその繁栄のために必要なことは何かなということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/46
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047・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
農業、そして琉大の農学研究、いろいろユニークにやっているというふうに言っていただきまして、ありがとうございます。まさに熱帯、亜熱帯の農業をしっかり学び、研究できる場所として学生にも一定の人気があって、熱心な学生来てくれて、教員も頑張って研究しております。
農業、県の経済全体の、あるいは日本全体で見ても、経済に占める一次産業の割合というのはそうもう高くなくなってきていますけれども、しかし、国民の食料を支える、そして、むしろ国土、県土、あるいは島嶼を支える役割というのはすごく大きなものがあります、農業にはですね。そういう視点から見たときに、単に直接お金が動く経済だけでなくて、価値が大きいと考えます。ですから、そういう視点で総合的に見たときの農業の支援というのは大事、おっしゃるように大事だというふうに思っております。
それから、離島の場合、大きな二次産業、なかなか難しいです。そうすると、やはり一次産業というのは大事になりますので、特に離島の場合、その島に応じて、黒糖だけというわけにはいかない、やっぱり島によって全然違いますので、それぞれの島に応じてしっかりと農業を支えるということがすごく大事かなというふうに私思っております。その中で黒糖の問題もあろうかなというふうに思っております。
是非そこはしっかり先生方お考えいただいて、しっかりサポートいただければというふうに思っております。
ありがとうございます。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/47
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048・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 紙智子君、挙手の上、質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/48
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049・紙智子
○紙智子君 はい。
最後になりますけれども、玉城参考人にお聞きします。
ちょっとこれ、先ほど榛葉議員の質問ともちょっと重なるところあるんですけれども、有人の離島の中でも、さっきも紹介あったように、石垣と宮古と久米島の三校ということで高校があるわけで、高校のない島の子供たちは船で通うとか、それから引っ越ししたりということで、大変な努力というか苦労をされていると思うんですけれども、玉城参考人は、第十三回の沖縄振興審議会の総合部会専門委員会の意見発表の中で、教育に関して、学力、基礎的な知識とか技術は向上傾向にあり、思考力、判断力、表現力などのことについて課題が残っていると。教員不足や専門人材不足で対応し切れないところで、そこが現在の教育現場の課題だと。教鞭を握られる、そういう立場から具体的な指摘をされているわけです。
やっぱり不利な条件を抱えた中で、その沖縄県の世帯の子供たち、生徒たちが均等に、均等に教育を受けられるためにはどのような手当てが重視する必要があるのかということを最後にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/49
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050・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) おっしゃるとおり、向上傾向にはございますが、表現力といった細かなところの教育が行き届いていないというのが離島の現状です。
そういったところで必要なところは、まずIT技術を導入するためのインフラ部分を継続的に実施、更新していくところが必要だというふうに考えられます。現在は4Gから5Gに基地局の通信方法も変わってきたところ、さらに通信方法が今後6Gに変わってくるかと思います。その中で、離島、本島、日本国内全体と、首都圏と平等な教育を受けられるシステムをつくるためには、まずITインフラ自体を強固に設置していく。
と同時に、教員自体の質も高める必要があると思います。そのためには、県内外、場合によっては海外の教員を誘致、離島に来ていただくための補助というのも必要になってくるかと考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/50
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051・紙智子
○紙智子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/51
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052・伊波洋一
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。
西田参考人並びに玉城参考人、本日はありがとうございました。
まず、西田参考人にお伺いしたいと思いますが、今日、資料一に提示されておりますような新たな振興計画の策定に当たって皆さん努力していただき、そしてこんな形で提案をしていただいて、現在、沖縄県から国に対しても同様に出ているわけでございます。
ですから、先ほど一番最初に説明されたように、目指すべき目標に向けて、今、今日は沖縄特別措置法の改正に対する法律の、これを実現するための法律の審議の一環として受け止めておりますが、是非、向こう十年間でこれらのことが実現できるように私たちとしても取り組んでまいりたいと、このように思っております。
目指すべきものとやはり克服すべき沖縄の課題、そしてまた、グランドデザインに示されておりますように、基地問題の解決がなかなか進んでおりません。二〇〇三年に返るべき普天間飛行場もいまだ返らず、それから、様々な社会インフラのまだ不十分な面もありますが、それらも含めて、ここにありますように、鉄軌道の問題も書かれておりますし、そういう意味でこれからの可能性というのはとても私は大きいと思っております。
中部圏域を中心に、いよいよ二〇二四年から沖縄の海兵隊がグアムに移転しますので、四千名がまず移転します。それから、あと残りの五千名がハワイや米本土に移転します。そこで出てくる一千ヘクタール以上の基地跡地というものが、大きな、これからの一番中心の場所で大きなエリアが空いていくと。そういう意味では、そこを埋める様々な産業施策の一番のポイントになるんだろうと思います。これは今日お話をするようなことじゃないと思いますが、是非そのためにもこの計画を生かしてまいりたいと思います。
そこで質問ですけれども、沖縄の一千万の観光客、それハワイに匹敵するんですよね。それだけの魅力があると。その魅力の源がやはり自然だろうと思うんですね。海の自然はここにありませんけれども、資料五の世界自然遺産並びに資料六の国立自然史博物館の提起についてですね、その国立自然博物館というのは、これ単に日本だけじゃなくて、アジアを見ていると。今、琉大は三百名近くの国費留学生がいらっしゃいますよね。JICAも浦添市、隣の浦添市にあるし、そういう意味では今でも人的交流の一つの場所で、南の玄関口と言われているわけですが、国立自然史博物館を提起しているその思いを少しお話しいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/52
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053・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
これは、全国の自然研究者がもう何十年議論してきて、こういうものが是非必要と言っていたんですけれども、議論を絞り込んでいく中で、いろんなところが自分の地域に地域にと言うわけですが、沖縄がいいだろうというふうに絞れたのは本当に議論が発展的に進んだなというふうに思っております。
それで、その議論の中で、今まさに御指摘いただいたように、日本のためだけではなくて、アジアあるいは世界に価値があるという議論をいたしました。というのは、大きな自然史博物館は、ヨーロッパ、そしてアメリカなんですね。それぞれアフリカや南米はそういうところが主として担当しているんですけれども、まだアジア域をしっかりと見据えた自然史博物館、その国立のしっかりしたものというのはまだないんですね。是非今のうちに日本がそれをやるべきだというふうな議論になっております。
そうなりますと、東南アジアからその辺りを射程に含むわけです。実は、ここは地球上で最も生物性の高いところなんです。サンゴの数なんかでも圧倒的に高いです。そういうところをちゃんと責任を持とうということですので、非常に価値があるというふうに考えています。
もう一点、沖縄のことを考えても非常に重要かなと思っております。それは、観光、一千万ですけれども、実はハワイと比べたときに、滞在日数違うんですね。だから、人数は追い付いたけど、まだ質が追い付いていないというところがあります。
一千万のうちのかなりの人は、美ら海水族館行きます。でも、それで終わっちゃう。やはりもっと幾つか、ここも、美ら海に行き、ここも行きとなると、やはり何百万の人が訪れるというふうなものにしていく、それによって滞在日数も延びます。
そして、自然の好きな人って世界にいっぱいいます。実は、かなり高所得者なんかにそういう人がいて、高度な質の観光をされるというのが世界ではあります。そういう人も受け入れられるようなことにしようとすると、その高いレベルの解説あるいは案内ができるというようなことも必要になる。まさに、そういうところまでここが担うということになると、沖縄県の経済の新たな発展、観光の発展ということにも重要な役割をするんではないかと思っています。
以上です。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/53
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054・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 挙手の上、お願いいたします。
伊波洋一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/54
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055・伊波洋一
○伊波洋一君 世界自然遺産になりました沖縄本島北部や、あるいは徳之島、奄美大島も入っていますけれども、西表島、やはり沖縄の自然の特異性というのが、あるということですね。その部分、いま一度御説明いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/55
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056・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
私、まさにその部分をすっ飛ばして、大きいところと小さいところをお話しいたしましたけれども、小さくはないんですが、三点目の重要な点は、まさに先生今御指摘いただいた点です。まさに沖縄自身が生物多様性の宝庫であるということです。そこにつくらずしてどうするんだということになります。
生物多様性、沖縄地域だけの生き物もたくさんいますし、それから、ある単位面積にいる生物の種類数も圧倒的に高いんです。カエルなんかは日本全体のうちのほとんどのものが沖縄にいるんですね。そういうことを考えたときに、これからのまさに資源にもなるような生き物の存在を知り、そしてどうやって守っていくのかというようなことも沖縄をモデルにして学んでいただけるという場所としても非常に価値が高いというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/56
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057・伊波洋一
○伊波洋一君 ありがとうございました。
次に、玉城参考人にお伺いします。
御専門のことを含めてですが、今、琉球大学の工学部にいらっしゃる。私の時代と違って、今はもう工学部はITの時代に入っているんでしょうけど、いわゆるそのITの時代と言われているものが、工学部の中で例えば具体的にどのような研究やあるいは学習の中で、行われているのかが、私、イメージが少しつかめないものですから、御専門を含めて教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/57
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058・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。
工学部では、特に今基本的な基礎研究に関わる部分から産業活用できる部分までのIT技術の習得に向けてカリキュラムを設置しております。
具体的には、統計学から、回路設計であったりとか、もちろんプログラミング、機械学習、まあAIと呼ばれるものですね、といったところまで学部のうちに習得できるようにして、研究分野に入るなり産業活用していただくなりといったカリキュラムを実施しておりまして、その中でも、琉球大学の工学部ではプロジェクト型のカリキュラムを組んでおりまして、一番初めの、学部一年の頃に、どうやって研究を推進する、事業を推進するためにプロジェクトを進めていく必要があるのか、それに伴ってどういうIT技術が必要なのかという目的意識を持って実施していくというカリキュラムを組んで、卒業後も皆さん活用していらっしゃいます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/58
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059・伊波洋一
○伊波洋一君 最後に、是非、若い人たちが、ここ、学んで、さらにそれを生かすことができるためにですね……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/59
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060・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/60
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061・伊波洋一
○伊波洋一君 頑張っていただきますようお願いいたしまして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/61
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062・ながえ孝子
○ながえ孝子君 碧水会という会派におりますながえ孝子と申します。
今日は、玉城参考人、それから西田参考人、大変示唆に富んだお話をいただきまして、ありがとうございました。
まず、それでは西田参考人にお聞きしたいんですが、先ほど新たな沖縄振興計画についてお話をいただきまして、これ資料拝見しますと、すごいですね、各委員から四百件の意見、県民の皆さんから五百三十件、市町村から二百三十件、いろんな各種団体から四百八十六件の意見。これは本当にいろんな方々の思いを盛り込んででき上がったものなんだなというふうに改めて重みを感じながらお話を聞かせていただきました。
その審議終わって、会見のときに西田参考人が、安定的な法制度の下で沖縄振興を強力に推進する必要があるというお話をされております。この法制度とか仕組みづくりというのは我々の仕事でございますので、具体的に何が必要なのかというような御要望ですとかお考えがありましたら、是非お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/62
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063・西田睦
○参考人(西田睦君) ありがとうございます。
私どもがやってきた作業をしっかり評価いただきまして、うれしく思います。本当に多くの皆さんの議論を経て作られたものとなっております。
それを背負って答えよということなんでしょうけれども、まさに制度、法的にしっかりした土台の上に進めることがやはり安心して前に進む基礎だというふうに思いますので、今まさにここで議論いただいている案ですね、改正案、しっかりと御審議いただいて固めていただければ有り難いというのが私の正直なところです。それがしっかり固まれば、こうやって計画したものをその上に乗っけて進めていくことができますので。そういうふうに思っております。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/63
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064・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 挙手の上、お願いいたします。
ながえ孝子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/64
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065・ながえ孝子
○ながえ孝子君 はい。
先ほど財源の話も出ておりましたけれども、これも大変、実際に事業を進めていく上ではこの確保というのも大事なことであろうと思いますので、また沖縄の自主性を尊重するようなものが推進できるように、私どもも力を尽くしていきたいと思っています。
では、続いて玉城参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、大学間の連携の問題ですとかいろんな民間企業との連携の問題とか出ておりました。
発明とか技術開発をいかに稼ぐ力に育てていくかというのがすごく大事だろうと思うんですね。そのためにやっぱり幅広い連携が力になるのは言うまでもないことでありまして、ただ、資料を拝見しておりましたら、せっかく世界ランキング九位になったOISTに琉球大学の卒業生あるいは研究者が改めて就職したりとかあるいは入学したりってする例もほとんどないというようなこともおっしゃっておられまして、これからそういった連携を進めていく上で何が必要なのか、あるいは仕組みづくりとして何かリクエストなどあれば教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/65
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066・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) 御質問ありがとうございます。
そうですね、琉球大学を始めとするほかの大学との連携について、OISTが地域産業とつながるために今後必要なこととしては、おっしゃるとおり、なかなか現在では連携が進んでいない状況です。また、人材流動性もそこまで高くないというのが現状です。
今後やらなければいけないことといたしまして、共同研究の促進であったりだとか、あとは、人材を一時的に交流させて、交換させることによって研究をお互いに促進していくという、多分野の交流を深めることによって多様性を生んでイノベーションにつなげていくというのが今後必要になってくるかと思います。
以上です。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/66
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067・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
それでは、先ほども出ておりまして、ずっと出ておりますけれども、跡地の利用の問題についてお考えを伺いたいと思います。
西田参考人も、この跡地利用というのは沖縄の新たな発展の方向性を示す重要な鍵だというようなことをおっしゃっておりますし、玉城参考人も、跡地利用を発展のチャンスにしていかなければというふうなことをおっしゃっておられて、これは大変、みんなで考えていても、将来に向かっての何か大きなビジョンを描く作業でありますので、みんなが夢を持ちながら進められることかなというふうに思っております。
ですので、今お考えのことがあれば、あるいはアイデアとか、あるいはこれの決め方についてのやり方のヒントですとか、そういったものを含めて、広く何かお考えをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/67
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068・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。
基地の跡地に関しては、基地跡地の未来を検討する委員を務めさせていただきました。その点におきまして、今現在でも、西田先生からお話があるかと思いますけれども、跡地に健康を促進するための医療機関を設置するであったりだとか、IT技術におきましてはシリコンリーフというふうに、シリコン、つまりIT技術と、リーフ、サンゴ礁でできた島で実施できることといたしまして、基地跡地に対して特区を設けることによって、今まで実証実験がなかなか難しかったIT技術の実証をするのはいいのではないかというような議論が進められております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/68
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069・西田睦
○参考人(西田睦君) 将来のある意味で大きな可能性のある問題だというふうに思います。今、玉城参考人言われたように、新たにそういうスペースができた場合に、しっかりとプランニングをして、ほかではできなかったようなことをやる、沖縄のためにやるというふうになればいいなと思っています。
そのためには、やはりしっかりと議論を積み重ねて、そういうチャンスになったときにそれを実現していくということが大事かなというふうに思っております。それに向けていくやり方というのは、それはもう先生方が御議論しっかりいただくことを期待しておりますけれども、うんと時間軸しっかり取ればそういうことは、いい跡地利用というのは可能になってくるというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/69
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070・ながえ孝子
○ながえ孝子君 ありがとうございます。
時間的に最後になるかなと思うんですけど、玉城参考人にお伺いしたいのは、私、観光型のリカレント教育というのは非常に面白い試みだなといいましょうか、ああ、なるほどなと思いながら聞かせていただきました、ワーケーションとかスタディケーションと抱き合わせていくというのは。こうやって外からの人材が来て、これはある種すごく刺激になりますし、外部圧力というのは何か改革していく上ではすごく大事なものだと承知しております。
それと同時に、その力借りながら内なる力をいかに育てて、どうつないでいくかについて、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/70
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071・玉城絵美
○参考人(玉城絵美君) ありがとうございます。
外からの人材をまず呼び込むとともに、内からの人材、観光型リカレント教育は、県外の方だけではなくて、県内の方々にも利用していただこうというふうに考えております。実は、沖縄県内の観光リゾート施設に関して県内の住民も多く利用しておりまして、それを基に、IT人材、県内の観光施設を利用しながら、県民が利用しながら、IT人材を今後も育てていければなというふうに思います。そこで、大学、そしてほかの、OISTも含めて、琉球大学も含めて、一緒、一丸となってIT人材を育てていく、中にいる学生だけではなくて、地域の社会人、学生さんたち含めて育てていくことが今後は重要になってくるのではないのかなというふうに思います。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/71
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072・ながえ孝子
○ながえ孝子君 今日はどうもありがとうございました。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/72
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073・青木一彦
○委員長(青木一彦君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/120815359X00520220325/73
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