1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十一月十八日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
十一月十七日
辞任 補欠選任
石橋 通宏君 三上 えり君
木村 英子君 天畠 大輔君
十一月十八日
辞任 補欠選任
山本 香苗君 塩田 博昭君
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出席者は左のとおり。
委員長 山田 宏君
理 事
こやり隆史君
島村 大君
比嘉奈津美君
川田 龍平君
山本 香苗君
委 員
生稲 晃子君
石田 昌宏君
神谷 政幸君
友納 理緒君
羽生田 俊君
藤井 一博君
星 北斗君
本田 顕子君
打越さく良君
高木 真理君
三上 えり君
窪田 哲也君
塩田 博昭君
若松 謙維君
東 徹君
松野 明美君
田村 まみ君
芳賀 道也君
倉林 明子君
天畠 大輔君
事務局側
常任委員会専門
員 佐伯 道子君
参考人
国立感染症研究
所感染症危機管
理研究センター
長 齋藤 智也君
社会医療法人同
仁会耳原総合病
院病院長 河原林正敏君
国立大学法人東
京医科歯科大学
学長 田中雄二郎君
医療法人社団裕
和会長尾クリニ
ック名誉院長 長尾 和宏君
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本日の会議に付した案件
○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に
関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/0
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001・山田宏
○委員長(山田宏君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、木村英子君及び石橋通宏君が委員を辞任され、その補欠として天畠大輔君及び三上えり君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/1
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002・山田宏
○委員長(山田宏君) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、国立感染症研究所感染症危機管理研究センター長齋藤智也君、社会医療法人同仁会耳原総合病院病院長河原林正敏君、国立大学法人東京医科歯科大学学長田中雄二郎君及び医療法人社団裕和会長尾クリニック名誉院長長尾和宏君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。
この度は、大変お忙しい中御出席を賜りまして、誠にありがとうございました。
皆様からの忌憚ない御意見を賜り、今後の審議の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、齋藤参考人、河原林参考人、田中参考人、長尾参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず齋藤参考人からお願いをいたします。齋藤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/2
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003・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) この度は、このような意見陳述の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
国立感染症研究所に二〇二〇年四月に新たに設立されました感染症危機管理研究センターのセンター長を務めております齋藤智也と申します。
本日は、主に感染症危機管理の観点から何点かお話をさせていただきたいと思います。
私は、感染研に二〇二一年一月に着任する前まで、おおよそコロナが発生する前までですが、国立保健医療科学院という機関におりまして、公衆衛生部門のパンデミック対策に取り組んでまいりました。
前回の二〇〇九年の新型インフルエンザパンデミック、このときの教訓の一つが、パンデミックでは、それぞれの地域で流行状況を分析し、対策をそれぞれ判断していかなければいけないということでした。そのために、それぞれの地域での感染症の公衆衛生対策に助言をできる専門家を育てておく必要があるということでした。
そして、それぞれの地域で、医療体制など地域が一体となって取り組まなければいけないようなことについて、ふだんから話し合う場をつくっておくということでありました。そのため、行政の、県庁などの感染症対策を行う本庁、それから保健所、そして地衛研、そして地域の指定医療機関、それから消防などの関係機関の方に集まっていただいて、参加型のシミュレーション演習というのを行って、感染症法と特措法を使って我々はそれぞれの地域でどのようにパンデミックに立ち向かっていくのかということを考えていただく、そのような取組を行っておりました。
実は、この新型コロナが現れた二〇二〇年一月の終わりまで、このような研修会を行っておりました。そして、新型コロナの発生後は、厚労省クラスター班の一員として活動しておりました。そして、感染研に着任してからは、特に感染研における感染症危機対応体制の強化に取り組んでまいりました。
正直申し上げまして、新型コロナが発生する前のパンデミック対策への関心あるいは熱意、これは非常に低かったというのが実情であります。新型コロナ前、二〇一九年の九月、内閣府の世論調査が行われました。新型インフルエンザによって感染者が多数発生する可能性があることを知っていると答えた方は半分もいらっしゃらない、そして四分の一の方はそもそも新型インフルエンザを知らないという結果でした。自治体においても、新型インフルエンザ対策あるいはパンデミック対策の専任の担当者がいるところなどほとんど見かけたことはありませんでした。
そんな中でも、特措法の第十二条に、新型インフルエンザ等対策についての訓練を行うよう努めなければならない、第十三条には、国民に対する啓発に努めなければならないという記載がありましたので、何とか毎年訓練、演習が行われたりセミナーなどが行われてきた、そういう側面がございます。
このように、法律は、今後の長期間の対策の継続性を保つという点で重要な意味を持っていると考えております。新型コロナも、いずれ、喉元を過ぎて熱さを忘れてしまう、そういうときが来るかもしれません。そうであっても、次のパンデミックは、来るかどうかというよりは、いつ来るかという問題です。予算、人員等を含めて、継続性のある取組を裏打ちするのが法律の重要な役割であり、今回の改正議論の中でもそのような法の役割の重要性を御考慮いただければと思っております。
続いて、パンデミックに対する訓練、演習を行ってきた中での反省を一点申し上げたいと思います。
それは、過去問型の危機管理をやめようということです。今回、新型コロナの教訓を基に様々な改善が進められています。これは当然重要なことです。でも、危機というのは毎回違うのです。全く同じことは決して起こらないのです。常に次に起こり得ることは何かを問いかけながら前に進んでいくことが大切です。しかしながら、新型インフルエンザ対策として進められてきたパンデミック対策は、まさに言わば過去問を解くことの繰り返しでありました。
例えば、これまでの訓練、演習でも、二〇〇九年の新型インフルエンザ発生初期、あるいは二〇一三年の鳥インフルエンザH7N9発生初期のシナリオ、これらを題材に繰り返し練習していました。そして、大抵、前回行ったところまでの対応をなぞって終わってしまっていました。例えば、一例目の患者さんを防護衣を着て指定医療機関まで搬送するであるとか、対策本部の立ち上げをするといった段階で訓練が終わってしまっておりました。
今回のように、何例も何例もクラスターの調査を繰り返す、多数の接触者のフォローアップをする、自宅待機者のサポートをする、多数の感染者を地域で受け止めていく、あるいは役割分担をしながら医療体制を維持していくというこれまで経験したことがない世界についての議論には行き着かなかったというのが実情です。
確かに、我々が想定した新型インフルエンザと新型コロナは全然違った、そういう原因はあったかもしれません。しかし、想定していたことと違うというのは、二〇〇九年の新型インフルエンザでも経験していたことです。当時は、いわゆる強毒型のH5N1型というものを想定した対策しか頭にありませんでした。しかし、実際に発生したのは、それほど重症化しやすいものではありませんでした。そのときの教訓を糧に新たに作られた特措法と行動計画、ガイドラインでは、柔軟性というのを重視しておりました。どのような感染・伝播性あるいは病原性、重症度のあるものが現れても対応ができるように、柔軟に対応することを重視した計画ではありました。しかし、過去に起きたシナリオにとらわれて、訓練、演習というところで柔軟性を失ってしまっていたというのが大きな反省点です。
今後もきっと、今回の新型コロナの発生シナリオに基づいた訓練、演習を繰り返していくことが想像されます。もちろん、今回の経験を生かすことは重要です。今回できなかったことが次もできなかったというわけにはいきません。しかし、過去問を解いて満足していてはいけません。今回の法改正で、今回の反省を踏まえた様々な基盤となるキャパシティーやツールというのがつくられていくことになります。でも、次にまた同じことが起きるわけではない。基盤となる能力を徐々に高めつつ、いざ新しいことが起きたときにそれをどのように応用していくかというところに思いを至らせられるような未来志向の危機管理、これができるようになっていく必要があると考えております。
最後に、司令塔機能について一言所感を申し上げたいと思います。
六月に、次の感染症危機に備えるための対応の方向性が示され、司令塔機能の強化という大方針が示されたところですが、感染症の危機管理の司令塔というものについて求められるものを、そして司令塔を司令塔たらしめるために必要なことを幾つか挙げてみたいと思います。
第一に、迅速な情報集約メカニズムと、集めた情報を使える知、知見に変えるインテリジェンス機能であります。
まずは情報を集めなければいけません。情報を集めるために、サーベイランス、疫学調査、これが継続的に行われていること、これは感染症対策の最も重要な基盤であり、特に地方自治体で今後も充実させていかなければいけませんが、さらに、医療機関での情報収集機能の強化が特に重要であると考えます。
新たな感染症が発生した際に、その初期のリスク評価を行うための情報は医療機関で集める必要があります。初期の症例の臨床情報、すなわち、どのような症状が出るか、どの程度重症化するのか、どのような治療が効果があるのかといったことはもちろん、感染性がある期間はどの程度かなど、どのような感染対策が必要になるかを評価するのに重要な情報は、初期の数百例を受け入れた医療機関を通じた丹念な調査研究によって初めて得られるものです。
しかし、現実的には、医療機関は診療に手いっぱいで、そのような調査研究を行う人手や余裕がないというのが実情です。せめて初期に新興感染症患者を受け入れる可能性が高い感染症指定医療機関には、そのような調査研究機能を速やかに行える機能を備えておくべきではないかと考える次第です。
そして、司令塔にこのような情報が集約される仕組みというのが必要です。今挙げたようなサーベイランスの情報、疫学調査の情報、臨床の情報に加えて、医薬品等の研究開発の情報であったり、他国の流行状況や対策の情報など、様々な情報がきめ細かく集められ、そして司令塔に集約される必要があります。今回の新型コロナの初期においても、自治体のサーベイランスや疫学調査の情報集約に苦労したことは御承知のとおりだと思います。法に裏打ちされた情報集約の権限の明確化、デジタル化による情報収集の省力化など、様々な取組が必要なところです。
情報は、集めただけでは意味を成しません。それを使える知に変えるインテリジェンス機能の実現には、専門家集団を活用した分析能力が必要です。ただし、司令塔に単にデータがたくさんあって研究者がたくさんいればよいという話ではありません。政策的な課題を分析の課題に落とし込み、研究、分析を行い、その結果を政策課題にフィードバックする、そういう政策決定者と研究者の間をつなぐ仲介プロセスが特に重要になります。これをブローカーという言葉を使いますが、ブローカー、仲介者、こういった役割を担える人材を置くことが司令塔のインテリジェンス機能には不可欠です。
続いて、強力なインテリジェンス機能に裏打ちされた素早い政策決定が可能な組織構造が必要です。
新興感染症に対しては素早い判断が求められます。良いインテリジェンスがあっても、組織が何重にも積み重なっていて判断や決断に時間が掛かるような組織構造であっては、重要な判断や決断が遅れてしまいます。それは、新興感染症対策において時に命取りとなります。司令塔は素早い政策決定が可能な組織構造を備えている必要があると考えます。言葉を換えれば、ガバナンス、統治機構が重要ということであります。
そして最後に、拡張性を備えた多機関連携のメカニズムを有していることが必要です。
今回のパンデミックのように、平時の規模とは桁違いの対応が発生することを想定した場合、平時からそのための人員を常に抱えておくことはできません。すると、今回のような事態になったときには、応援を得て組織を大幅に拡張する必要があります。適切なメカニズムを有していないと、幾ら応援を集めても、その人数に見合った機能を発揮することができません。
さらに、問題の規模が大きくなるほど多数の機関が関係することになってくるので、円滑な機関間連携のメカニズムが不可欠となります。現在も、新型コロナの政府対策本部のように、省庁間の連携メカニズムというのは存在しています。しかし、応援を得て組織を大幅に拡張したときに、それを円滑に機能させるシステムが十分ではないと感じています。例えば、米国のインシデントコマンドシステムのような考え方は、このような拡張性を考える上で非常に洗練された考えの一つであり、参考にすべきところがあるかと思います。
これらのメカニズムとシステムがあっても、上手に使いこなせなければ意味がありません。いかに運用するかというのが重要です。特に重要なことは、危機管理オペレーションの基本的な考え方について、特に政務も含め、少なくとも幹部は全て訓練を受け、このようなシステムとメカニズムを動かすことに習熟している必要があります。また、対策本部のような危機管理組織に組み込まれる方は全て基本的なトレーニングを受けている必要があります。
司令塔に求められるもの、司令塔を司令塔たらしめるものとして改めてまとめますと、インテリジェンス機能、素早い意思決定が可能な組織構造、ガバナンス、拡張性を備えた多機関連携のメカニズム、そしてこれらのシステムとメカニズムを使いこなすトレーニングが挙げられます。法改正の議論の中でも、これらの要素を御勘案いただきたいと思っております。
感染症に限らず、危機管理のほとんどの時間は対応ではなくプリペアドネス、日本語で事前準備と言われる活動に費やされています。体制づくり、計画作り、訓練、演習、備蓄、人材育成、医薬品開発などなど、課題はたくさんあります。今回の法改正はその事前準備の一つであり、また、今後の継続的な事前準備の活動を人員や予算確保という意味でも裏打ちするものであります。
準備と対応のツールをいかに充実させていくか、喉元過ぎて熱さ忘れるではなく、いかに継続的に地道に能力を高めていくことができるか、法律の役割は非常に大きいと考えます。十年単位の覚悟で、どうか長い目で見てお付き合いいただきたいと思います。
そして、最後にもう一度、過去問型の危機管理ではなく、過去問を解いて満足するのではなく、常に次に何が起こり得るかを考え続けて強固な危機管理の体制構築を図っていく、この点に御留意いただき、議論を進めていただきたいと考えています。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/3
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004・山田宏
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
次に、河原林参考人にお願いいたします。河原林参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/4
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005・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) 耳原総合病院の河原林です。
この度は、大変貴重な発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
それでは、地域の第一線で診療に当たっている一民間病院の立場から発言させていただきます。
当院は、大阪府堺市にあります社会医療法人格の病院です。堺市は大阪市のすぐ南に隣接しており、人口が八十二万人です。大阪府の人口が八百八十万人ですので、府の人口のおよそ一割を占めており、堺市全体で一つの二次医療圏となっております。
当院の許可病床数は三百八十六床で、医師百名を含め、全職員数九百名で診療に当たっております。ICUやハイケアユニットなど高度急性期病床が二十床、一般急性期病床が二百九十二床で、救急医療、急性期医療を主に担っております。そのほかに、回復期リハビリテーション病棟や緩和ケア病棟など、急性期以外の機能も持っております。
市内に五つある地域医療支援病院の一つとして地域医療を支えており、ほかにも、大阪府がん診療拠点病院、災害医療協力病院、臨床研修指定病院などの役割を担っております。また、堺市圏域における救急医療を支える病院として断らない救急を病院方針に掲げて尽力しており、年間六千件前後の救急搬送を受け入れております。
コロナ禍における当院の診療の現状についてお話しします。
当院では、二〇二〇年二月の新型コロナウイルス感染第一波のときから、地域医療支援病院として求められる役割を果たすことを第一に考え、病院内で幾度も議論を重ねながら新型コロナ患者の受入れ方針を定めて対応してまいりました。
第一波のときには帰国者・接触者外来とコロナ疑似症患者の入院受入れから開始し、第二波からは協力医療機関、第三波からは重点医療機関として軽症及び中等症の陽性患者の受入れを開始しました。
当初は確保病床五床の受入れからスタートし、直近では中等症及び重症の入院を受け入れる病院として最大二十九床の病床を確保し、ピーク時の入院患者数は確保病床を大きく超過し、疑似症を含め四十名を受け入れました。これまでに、合わせて約八百名の入院患者、約二千二百名の外来患者に対応してきました。
大阪での新型コロナの感染状況が極めて厳しいものとなったのは、二〇二一年三月から始まった第四波のときでした。感染者数が見る見る増加したため、当院では一つの病棟を新型コロナ専用病棟として確保しましたが、入院者数は確保病床数を瞬く間にオーバーしました。
第四波では、ウイルスの変異に伴い重症者の数も急増し、軽症や中等症で入院した患者が後に重症化しても、重症受入れ施設に転送することができなくなりました。その結果、コロナ以外の重症者を受け入れる病床が足らなくなり、通常の医療を相当制限せざるを得ない状況となりました。
コロナ陽性で自宅療養対応となった患者の受診依頼や、救急隊からの搬送依頼が急増しましたが、入院ベッドが確保できないばかりか救急対応するスペースの確保もままならない状況では、積極的な受入れが難しく、搬送依頼を断らざるを得ない場面も頻繁に発生しました。
救急のスタッフは日頃から救急を断らないことに誇りややりがいを感じているのですが、あるとき、心肺停止の搬送依頼をどうしても受けることができず断った際、余りの悔しさに涙を流したという場面がありました。新型コロナのパンデミックはまさしく災害だと感じた瞬間でした。
大阪では、保健所機能も府の入院調整機能も破綻し、自宅待機者が急増し、中等症のみならず重症者も入院先が決まらない、入院できたとしても、回復した後、転院ができないといった悪循環に陥りました。そして、第五波以降も、ウイルスの変異のたびに感染の様相は変化しましたが、感染者数が急増するたびに救急搬送困難事例の増加、病院や施設でのクラスター多発、入院病床の逼迫といった状況が繰り返されました。
ウイルスが変異するたびに感染力が強くなった影響で、徹底した感染対策を取っているにもかかわらず、当院では複数の病棟で予期しない陽性者が度々発生しました。いずれの病棟も陽性者が判明した時点で新規の入院受入れを一時中止し、入院予定を延期するなど、通常医療にも大きく影響しました。
また、老人保健施設や訪問診療で関わっている高齢者住宅でのクラスター発生に対して、病院から医師や看護師を派遣し、施設職員や入所者の検査、中和抗体治療、感染対策の指導など、病院スタッフが自院の入院診療以外にも協力するといった経験もしました。介護現場の極めて厳しい状況を目の当たりにしたのもこの時期です。
記憶に新しい第七波では、これまで最多となる感染者数の増加に伴い職員の感染者が増えたことが診療に大きく影響しました。第七波だけで職員の一割以上が新型コロナに感染し、ピーク時には濃厚接触を含めると職員の約五%が勤務できなかった日もありました。
新型コロナの受入れ維持、感染の発生による一般病棟の入院制限、人的体制の厳しさなどから、当院では、今年八月の一か月間、通常診療を大きく制限し、緊急性の高くない予定入院や予定手術を先送りし、新型コロナ対応を優先しました。この結果、八月一か月間で予定入院数は前年同月と比較しておよそ一割減少し、全身麻酔による手術件数は二割近く減少することとなりました。
現場での懸命の努力により、相当制限しながらではありましたが、感染蔓延期でも入院受入れや救急受入れを完全に閉じることなく、何とか維持しました。一方で、通常医療の制限は、患者が医療を受ける権利を大きく損なうことになったのではないかと感じるところもあります。そして、これまで二年半以上続く新型コロナ対応の中で職員のストレスや疲弊もずっと続いており、もはや限界に達していることを日々感じています。
それでは、これまで私たちが経験したことを基に、感染症法改正案について思うところを述べたいと思います。
改正案は、公立・公的病院、特定機能病院、地域医療支援病院に医療の確保につき義務化する内容とされています。当院は地域医療支援病院ですので、当然対象に含まれることになります。
まず、協定締結の仕組みの法制化についてです。
協定締結のプロセスでは、施設上の制約、人的体制や専門性など、個々の病院の事情やそれぞれの地域の状況に十分配慮しながら進めていただきたいと思います。
地域の状況について、堺を例に挙げます。堺では、新型コロナ第一波のときから、医師会を中心に多くの医療機関が参加して継続的に協議の場を持ちながら、地域でどう役割分担するかを話し合って対応してきました。そうした取組が一定の効果を上げていることは疑いありません。それぞれの地域でこれまで積み上げてきた連携や役割分担を尊重し、個々の病院の診療機能や役割を生かせるよう、地域で協議や調整をできるような仕組みづくりをお願いしたいと考えます。
次に、医療の確保に関して述べます。
現時点でも、新型コロナ第八波に向けて当院は確保病床の増床を求められており、院内で議論を続けているところです。
新型コロナの受入れには、個室での管理、個人防護具など感染対策を行いながら高齢者など介護を要する患者や認知症患者にも対応しなければならず、通常の入院に比較して非常に人手が掛かります。このため、新型コロナの受入れ病床を一床増やせば、少なくとも二床程度は閉鎖しないと看護体制が維持できなくなります。すなわち、感染症の受入れを増やすためには病床の閉鎖が必要になります。
当初は、個室の確保やゾーニング、すなわち感染隔離のための病棟の区分けが病床閉鎖の主な目的でしたが、今では人的体制の確保の要素が大きくなっています。おまけに、病床を多く利用する感染の蔓延期には職員の感染や濃厚接触による休務も増えるため、患者の受入れが増える時期には逆に勤務できる職員が減ってしまいます。この点からも、一定の病床閉鎖は避けられません。医療の確保については、人的体制確保の視点が不可欠であると考えます。
ここで問題となるのが通常医療の制限です。病床の確保数を増やすことにより、何よりも通常の医療に影響が出ることが問題であると考えています。これまで幾度も通常医療を制限して感染症に対応するよう要請がありました。感染症以外の医療も当然感染症と同様に重要だというのが医療者の率直な思いです。ましてや、通常医療の制限につき具体的な指針が示されることはなく、医療機関の判断に任されてきたのが実情です。通常医療の制限が避けられないのであれば、診療制限の在り方に一定の基準を設けていただきたいと考えます。
また、協定を結んだ後に万が一受け入れたくても受け入れられない状況が生じた際に、臨機応変に対応できる余地を残していただきたいと思います。義務化により、勧告、指示に従わなければ指定取消しなどの罰則が科されるとなりますと、対応能力を超える感染症の受入れに際して、救急医療や通常医療を大きく制限せざるを得ません。このことは即地域医療の崩壊につながることになるのではないかと危惧しております。
そして、財政支援についてです。
改正案では、初動対応を行う協定医療機関に対する支援が示されています。急性期医療は、元々病床稼働を上げないと経営的に成り立たない構造にあり、どこの医療機関も余裕がない中で何とか維持している状況です。この間、新型コロナ診療に対する補助を縮小する方針が示されていますが、今後も、新興感染症に立ち向かっていくに当たり、是非安心して感染症を受け入れることができるような財政支援をお願いしたいと考えます。
最後になります。
当院は、地域に根付いた急性期病院として、社会医療法人として、そして地域医療支援病院としての役割をしっかり果たしていきたいと考えております。そのためにも、これまでの新型コロナ第七波までに起こった様々な現実を見据え、是非政策に生かしていただきたいと思います。そして、これからも、感染症と闘い続ける医療・介護従事者の心を折るようなことだけは絶対に避けていただきたいと切に願っております。
以上で発言とさせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/5
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006・山田宏
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
次に、田中参考人にお願いいたします。田中参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/6
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007・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) 東京医科歯科大学の学長を務めております田中雄二郎と申します。
今日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の構成員の一人でもありましたので、その立場と、あとはまた、コロナウイルス感染症に第一波から担当させていただいた特定機能病院の開設者の立場からお話をさせていただきたいと思います。私、このような資料を御用意させていただいておりますので、このような資料に基づいてお話をさせていただきたいと思います。
元々、新型コロナウイルスの感染症の第一波においては、それに対応できた医療機関が非常に限られていたので医療の逼迫を招いたことは皆様御存じのとおりです。その後、特に肺炎の重症化が問題となったデルタ株を主体とする第五波においては、呼吸管理を必要とする重症病床の逼迫が深刻な問題となりました。その後のオミクロン株においては、感染力の強さから基礎疾患を有する高齢者の死亡者の増加が深刻となりました。
このように、同じコロナウイルスといっても、変異株により医療需要は異なっています。第八波が始まろうとしている現在も、変異株の動向を私たちは注意している状況でございます。
それでは、私の資料の二ページ目を御覧いただきたいと思います。
まず、入院・外来医療体制についてでございます。
第一波においては、先ほど申し上げたとおり、感染症発症の初期を本来は担うことを期待されていた感染症指定医療機関は、隔離を中心とした医療体制であり、重症対応の設備を有していませんでした。他方、重症に対応できる私たち特定機能病院を含む急性期病院が残念ながら十分な感染症対応の設備を有していなかったことも事実で、この二つの種類の医療機関が共に十分に受け入れられないということで混乱を招いたと考えています。
さらに、当然ですけれども、当時は補助金などの体制が全く分からない状況でありましたので、民間病院はもちろんですけれども、国立大学を含む多くの公的病院においてさえ、経営上の理由から対応をちゅうちょしたということもあったかと思います。その結果、混乱に拍車を掛けたと考えております。
また、大学病院は、本来その大学病院で診るべき患者さんがいるというような考え方もやっぱり本質的にありましたので、果たしてその感染症に対応すべきかどうかというところでちゅうちょした病院もあったかとは思います。
今回の感染症法の改正では、医療機関の役割分担を考慮していて、パンデミックという一種の災害医療としても医療資源の有効活用ができるのではないかと非常に期待しているところであります。また、パンデミックが起こる前に協定を結ぶ医療機関に財政措置が行われることがあらかじめ示されていることから、私たち特定機能病院としても感染対策の準備ができるなど、非常にそういった点でも有り難いと考えています。
また、国と都道府県と市町村の連携について配慮されていることも評価に値すると思います。都道府県と保健所を設置する保健所設置市や特別区の連携協議会の設置が考慮されていることは、そして連携協議会においてリーダーシップを取るのは都道府県と定められている点が非常に重要な点だと思います。なぜならば、この都道府県、市町村あるいは特別区の関係が、一体どこに司令塔があるのかということがはっきりしなかったことが、私たち、現場にいても非常に戸惑うところだったからでございます。今後整備されることが期待されている感染危機管理統括庁のような中央の司令塔が必要なことは言うまでもありませんが、自治体レベルの司令塔がはっきりしていないと、この中央の司令塔も有効には作用しないのではないかというふうに思います。
また、今度の改正では、人材確保や医療資源という言わばロジスティクスについても配慮があることは評価に値すると思います。
ただ、他方、今後の課題もあると考えています。
まず、協定締結医療機関の確保病床数ですけれども、確保病床数を決めることは大切なことだと思いますけれども、問題は、その確保病床数を超えた感染の拡大があったときでございます。あらかじめ拡大したときに備えて支援病院を確保していく仕組みが必要と考えます。
また、このような混乱期には一つの自治体レベルでは処理できない場合も、対応できない場合もありますので、県を越えた連携の仕組みも平時から検討しておく必要があると思います。
実際、現在のオミクロン株のような感染力が強い感染症では、医療スタッフの感染による脱落が続出する場合もあります。先ほど河原林参考人がおっしゃったとおりでございます。確保病床が十分稼働しない可能性にも十分配慮する必要があるのではないかと思います。
また、軽症患者若しくは疑い患者の立場からは、移動手段ということが問題になります。例えば、私どもの発熱外来の受診患者が陽性であった、要するにその感染症にかかっていることははっきりした、しかし軽症で入院が不要だという場合に、それではどうやって自宅に帰るんだということに苦慮している状況です。その意味でも、本来は最寄りの外来医療機関を受診できる体制の整備が必要で、できればそれこそ歩いて帰れるようなところが必要だというふうに考えます。
私の資料の三ページ目を御覧いただきたいと思います。
検査体制です。
法律に規定されている地方衛生研究所のキャパシティーを超えることは容易に想像できることです。その場合にどうするかということですけれども、やはり民間検査機関の登録と連携を行うことが重要だと思います。例えば、今回のようなウイルス感染症に限りませんけれども、PCR検査でいえば、遺伝子配列と条件設定さえ決まれば大学病院でももちろんできますし、民間検査機関でも迅速に対応できると考えています。
さらに、民間検査機関が良い点は、検体採取機関、例えば診療所等でも、そういう民間検査機関と検体を搬送するルートが平時から確立していることであります。採血した検体をどうやって外注の検査機関に運ぶかということは、既にルートが確定しているということです。これを感染拡大時も使うことが最も現実的ですが、コロナ感染症のときにはそれが非常に困難だったというのが現実です。
これを可能にするためには、厳格な密閉基準を満たした検体搬送容器をあらかじめ登録検査機関に配備するなどの平時からのシミュレーションが必要だと考えています。
次に、自宅・宿泊療養体制です。
地域に密着した保健所が司令塔の役割を担うのは合理的だと思います。ただ、保健所は、今回の感染症もそうでしたけれども、感染者の把握や必要最低限の疫学調査だけでもキャパシティーを超えてしまうことは十分あり得ることで、その際に、やはり健康観察は地域の診療所が中心となって担うべきだろうと考えています。
健康観察の中には、もちろん往診がいいわけですけれども、オンラインや電話でも対応できる部分が多いにもかかわらず関与した診療所が少なかったことは、やはり平時からのシミュレーションとか課題解析対応が必要だと考えています。
その次のページ四を御覧ください。
人材育成、確保についてです。
感染が拡大した地域や施設への派遣は、災害医療の専門家であるDMATなどとともに、感染管理の専門家、感染症専門医や感染症看護専門看護師、感染管理認定看護師などが連携して行うことが有効と考えられます。
実際には、DMATは一万五千人レベル、感染管理の専門家はせいぜい五千人レベルですけれども、実際にはDMATが主体になって、そのチームに一人感染管理の専門家が入るようなチームを組んで派遣されるのが妥当だと思いますし、そのための人材育成や研修が重要となります。
それから、いわゆるリスクコミュニケーションに関する課題もあると考えています。
パンデミックに対応する人材確保ということで考えたときに、私は国民ということを忘れてはいけないと思います。つまり、国を挙げてパンデミックに対応するときに、国民の果たすべき役割というのもあると考えています。
例えば、感染対策そのものへの理解。それから、行政の施策や医療機関の対応も、当然初めてのことになるので試行錯誤になります。その試行錯誤に対して非常にバッシングがあったことも事実ですので、そういったことが起こり得るのだという理解が必要だと考えています。また、感染者や医療者への偏見の回避。こういった偏見もやはり残念ながらあったことも事実ですので、そういったものへの回避。それから、守秘、秘密が守られることは当然ですけれども、その保証の下に、個人情報の提供への理解。こういったことが、ふだんからの理解を得るための活動が重要なのではないかというふうに思っています。
さらには、一つの災害でありますので、国民の自助によるマスク、医薬品の備蓄や、また過剰な買占めのような行為も控えていただくような、そういう理解を得る、そういう啓発活動が必要なのではないかと思っております。できればメディアと連携してそういうことができればよいと思っています。
最後のページ、資料五ページを御覧ください。
感染症の病因分析です。
新興感染症の場合は、感染患者の情報の集積と分析が重要です。そのような情報は、中央に集まり、そこで解析されるだけでなく、オープンソースとして国内外の研究者に開放されることが重要と考えます。新興感染症も含めて感染症は多様であり、今回の場合でも、我が国に本当の意味でのコロナウイルスを専門としている研究者はそんなにはいなかったというふうに考えています。匿名化したオープンソースとして世界中の英知が生きるようにすべきで、その形で今から検討されるのがよいと思います。
最後に、米国では、電子カルテから必要な情報が自動的に抽出され、必要な行政機関に送られていたと聞きました。実際に診療に当たっている医師は、どのデータがいつ行政機関に送られていたかすら意識することすらなかったということであります。このようなデジタル化が医療現場の迅速な対応に大きく貢献すると考えています。
さらに、今回の改正に伴う新たな法体系の下で新興・再興感染症に対応するシミュレーションを行うことが重要と考えています。次の感染症がコロナと同じようなものとは限りませんので、このようなシミュレーションを行うことによって、ボトルネックとなり得る制度上の新たな課題が明らかになると思います。それを踏まえて、必要な法改正があれば、是非立法府であるこちらで新しい改正をお願いしたいというふうに考えております。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/7
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008・山田宏
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
次に、長尾参考人にお願いいたします。長尾参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/8
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009・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) 貴重な機会をいただきまして、感謝申し上げます。
私は、兵庫県尼崎市で開業している一開業医なんですけれども、これまで二年半、約九千人の発熱患者さんに対応し、そしてまた約三千人のコロナ陽性患者さんに対応してまいりました。
このモットーとしたのは、開業医が、今までお話があったのは最後のとりでというかな、重症化してからの話だったんですけれども、最初から重症の人はいません。最初、発熱したその場で診断して、当初はCTスキャンで胸部の肺炎を診断していましたけど、早期診断、即治療ということで、がん医療と一緒で、そういうのをモットーにしてやってきました。そして、在宅医療をやっていますから、二十四時間管理ということをやってきました。その結果、今まで死亡者ゼロです。
これは、ダイヤモンド・プリンセス号の経過を見ていまして、感染者の八割が軽症ないし無症状、そして重症化するリスクのある人は高齢者であるということで、これ、高齢者の問題だということをダイヤモンド・プリンセス号のときに学びました。
そういったことで、ずっとかかりつけ医として発熱患者さんに普通に対応してきております。
今日は、前半は感染症法の改正に関する要望、レジュメあります、六点並べました。後半はワクチン、特にワクチン後遺症に関してちょっとお話しさせていただきます。
まず、一、順番に、レジュメの順番で行きます。保健所機能と医療機能の分離ということで、今、患者発生した場合、全て保健所に丸投げみたいな感じですけど、もう保健所に電話が掛からないということがありました。医療崩壊、保健所崩壊が問題になりました。これを、もしパンデミックを災害と、大災害と例えるならば、やっぱりトリアージが非常に大事だと思います。
東日本大震災を経験した宮城県が一番いい例だと思いますけど、トリアージ統括官みたいな医師、ベテランの救急医がいらっしゃって、ドクター・ツー・ドクターで入院とか頼めるということなんですけど、そういうことができませんでしたね、今回。
我々も、例えば第五波のときに、酸素飽和度が六〇%という非常にシビアな方、これもう保健所も電話はつながりませんし、救急隊も来ません。我々がもう最初のとりでであり最後のとりでという、こういったこともありましたけど、もう在宅で治すしかないということで、必死で訪問看護師、ずっともういろんな治療、病院でやるような治療を家でもやった、やってきたんですけどね。
そうじゃなくて、ドクター・ツー・ドクターでやっぱりこの患者さんがすぐ入院できるように、トリアージ機能をやっぱりこういうふうにすることが重要です。すなわち、保健所の機能と医療の機能を分離する法律にしていただきたいなと思います。
二番目、地域包括ケアシステムの活用です。
これ、恐らく年齢に比例して致死率が高くなることが今後も多いと思います。免疫能が年齢に比例するからです。となると、高齢者や認知症の方は入院の適応となり得ないケースが存在します。そういう病棟ではなくて、自宅や施設などで、まあ地域でですね、介護施設等で多職種で診るということが今現在もありますよね。
ですから、こういった今回のような致死率がそれほどでもない感染症の場合、やっぱり地域包括ケアシステム、国策ですね、これをやっぱり応用するために、ケアマネ、ヘルパー、訪問看護師などがしっかりふだんから訓練することが大事かなと思っています。こういうことを主導できる医師のことをかかりつけ医と定義していただきたいなと思っています。
三番目、人生会議の励行ということで、これ、二〇一七年から人生の最終段階の医療に関して人生会議をやりましょうということになりましたけど、今すっかり忘れ去られていますね。そして、だから、入院の順番が一週間目ぐらいに回ってきたけど、入院嫌だというような高齢者、認知症の方、相次ぎました。こういった場合に、緊急人生会議をオンラインでやるということをするということがございます。
やっぱり、せっかくこういう本人の意思を尊重する、リビングウイルを尊重する人生会議を繰り返そうと言っているんですから、こういったときにも限られた病床を有効に使うために緊急人生会議をやろうということを国民啓発すべきだと考えます。
四番目です。介護施設における医療提供体制の構築。
今回、現在進行形かもしれません、特養などでクラスターが発生するのは当たり前だと思います。しかし、嘱託医がいろいろ高齢などの理由で放置された結果、多数の死亡者が出た介護施設が当初はありました。入所だけじゃなくてショートステイ中の患者さんが巻き込まれることもありました。
特養は嘱託医、それで老健は管理医師と、医療は内付けになっていますが、今回のコロナ禍を教訓に、是非こういった特養、老健の医療を、外付けです、すなわち、在宅医療と同じように、サ高住や老人ホームと同様に外付けに変えるべきだと思います。そして、その在宅医と、先ほど申しましたトリアージ統括医と保健所と救急、この四者が情報共有できる仕組みを構築すべきだと思います。来年の春に介護保険改定に伴って介護サービスの何か情報共有化が予定されていますが、そこに是非医療も、先ほどからお話ありましたように、情報共有できるように進めるべきだと思います。
五番目です。死亡診断書の改定というかな、コロナでは直接亡くならなかったけど、それが老衰を早めた格好で、コロナからほぼ回復した、でも完全に回復しないまま一、二か月後に亡くなられた高齢者がたくさんおられました。これはコロナが直接死因なんでしょうか、あるいは老衰なんでしょうか。非常に医師の主観によって左右される、あるいは病院や在宅でちょっと違うと思います。死亡統計では、コロナと書いてあったらコロナ死とカウントされて、それがメディアで報道されて非常に過度な自粛につながるということがあります。
ですから、特にこういうパンデミックのときには、その感染症による直接的な死亡か、たまたま併存しただけなのか、あるいは死亡診断書の摘要欄に、その病原、病気がどれぐらい死に寄与した割合を、例えばですけど、五段階程度でいいので、医師の主観で結構ですので、推定でも記載して、やはり真のコロナ死とたまたま併存しただけのコロナ死を分けて統計を取るべきだと思います。
六番目です。感染症分類の見直し。
これ、二類、五類の問題なんですけど、これは細かいことは言いませんけれども、まず当初、一番最初の患者さん診たときに、これ、指定感染症の方を開業医が、診断まではいいとして、治療していいものだろうかという私の中での疑問もありました。それで治療したんですけれども、治療して何か罰せられることがあったら仕方がないと思ったんですけど。
例えば、指定感染症一年間という期限が適正なのか、あるいはその後の、現在の新型インフルエンザ等感染症とか、あるいはいわゆる二類から五類になった場合のときですけれども、そういう固定、永続型からもっと流動的な、もうそのときの状況に合わせて自由に変更、自由というか、議論の上ですけど、変更すべきだと思います。すなわち、流動性を担保した法体系に、感染症の法体系に変更すべきだと思います。
じゃ、ここからは後半ですけど、ワクチン後遺症についてちょっとお話しさせていただきます。
現在まで、ワクチンを接種して非常に重篤な症状に悩まされている方二百名、うちのクリニックで診ています。全員うちでワクチンを打った方じゃなくて、いろんなところで打たれた方です。
一番目、ワクチンの副反応、例えばアナフィラキシーみたいなものと、ワクチンの後遺症、これは後遺症ですから症状が固定しているイメージがありますけど、それとワクチン後症候群を区別しています。私は、接種当日から二週間以内に著明な諸症状が出現して一か月以上持続している、そして通学や就労や日常生活ができなくなった人をワクチン後遺症と呼んでいます。二百人ぐらい診ていますけれども、これは、すぐに亡くなった方よりもずっと、生きているわけですから本人の証言が得られますからね、こちらの方が因果関係の証明は容易かなというふうに思っているんですけど。実は、「記録映像 ワクチン後遺症」というドキュメンタリー映画で患者さんの証言を集めています。議員会館で上映会も行いました。もし御希望がありましたらDVDをお貸しいたします。
二番目、この症状は実に多彩です。もう本当に、千二百九十一の起こり得る症状が元々指摘されていましたけど、まさにそのとおりで、それの組合せですから、無限大、百人百様なんですね。そして、いろんな検査で異常がなしと言われるのが特徴です。症状がいつ出るか分からないということで、ランダム性が特徴です。主に、慢性疲労症候群タイプ、線維筋痛症タイプ、動悸、胸痛タイプ、胃が動かなくなって食べれない体重減少、あるいは歩行ができないタイプ、いろいろあります。それが重なる場合もあります。
三番目、ワクチン後症候群というのは、もう少し時間がたって、三か月ぐらい、二、三か月ぐらいたってからおかしくなるという方、これは因果関係がちょっとよく分からない、まあ証明できにくい。だけど、一番多いのはリウマチ、関節リウマチなどの自己免疫疾患です。これはどんどん病気、変化していきますけどね。こういった患者さんは、ワクチン後遺症の方は、亡くなられた方、死亡者の数倍、ワクチン後症候群の方は更にその数倍以上いると思います。
四番目、その最重症型はクロイツフェルト・ヤコブ病です。ヤコブ病は、年間百人程度の孤発例があって、大体余命一年というふうに言われています。全例届出制になっていると思いますけど、ワクチン接種後一か月、二か月たってから急激に認知機能が、歩行機能が悪化して、ヤコブ病と確定診断された例が十人以上いらっしゃいます。患者会もあるんですけど、こういった方々の病態解明を、あるいは補償問題、急ぐべきだと思います。最重症型です。
五番目、イベルメクチンです。これは、興和の治験によって、有効性、オミクロンに対する有効性は見出せなかったということです。しかし、厚労省が当初、適応、保険適応はないがコロナ患者に投与していいと、保険請求していい、患者負担分は公費負担するということでした。で、三百人ぐらい使いましたが、非常によく効きました。副作用はありませんでした。
現在、オミクロン株からは通達もないまま保険請求をしたものがどんどん遡って査定されている現状にあります。そして、今、元々適応がない、適応、使っちゃいけないことになっているワクチン後遺症や、ごめんなさい、ちょっとこれ間違っている、コロナ後遺症です、コロナ後遺症やワクチン後遺症の患者さん、ワクチン後症候群の方の多くはイベルメクチンを個人輸入しております。実は、これは六から七割の方に有効ということがいろんな医師の研究では明らかになっています。
そもそもこれ日本の北里大学の大村先生が発見して、でも今国内では医薬品として医療機関で使えない、だから市民が輸入しているわけですね。インド、中国のジェネリック製品なんですけど。これはコロナ後遺症、ワクチン後遺症に対しても有効ですので、是非またこの可能性について考えてください。
六番目、ワクチン後遺症の患者さんがなかなか受皿がない。大学病院や公立病院で門前払いされたり異常なしと言われて、本当、十軒以上あるいは十五軒回って異常なしと言われた方が来られます。是非、難民化しているという現状を知っていただけたらと思います。
七番目、一年以上寝たきりになっている方がいらっしゃいます。それまでは、もちろん打つまでは元気だったんですね。コロナの後遺症は労災認定、傷病手当金、受けられます。でも、コロナ感染の既往がないワクチン後遺症だけの人は何の補償もありません。みんな失職したり大変なことになっています。是非考えてください。
八番目、ワクチン後遺症ビジネスとあえて呼ばせていただきますが、非常に高額、一回の受診で何十万円、百万円、二百万円という、そういったワクチン後遺症専門クリニックチェーンができています。これに関しても、国として何らかの対応をお願いしたいと思います。
九番目、亡くなられてもなかなか解剖していただけないということで、千九百九人の死亡例のうち、解剖例は百十五例というふうに伺っています。できるだけワクチン後の死亡は全例解剖お願いしたい。
十番目、こういったワクチン後遺症の病態解明、治療法、補償を考えていただければということと、最後に、超党派の議連が川田龍平先生を会長としてできたということで、是非小児へのワクチン接種及び後遺症を考える議員連盟に多くの議員の先生が御参加していただいて、特に子供さんへのワクチン、非常に問題があるかと思います。有志医師の会のホームページというのがございます。そこを御参照いただければと思います。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/9
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010・山田宏
○委員長(山田宏君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/10
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011・石田昌宏
○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏でございます。
参考人の皆様方、貴重な御意見を、またお考えをお聞かせいただきまして、ありがとうございます。より理解を深めていくために、また順番に質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
まず、齋藤智也参考人にお伺いしたいと思います。
齋藤参考人は、今後の課題として、あらゆるタイプ、パンデミックを起こし得るあらゆるタイプの感染症のシナリオを考えておくべきだとおっしゃっていると思います。まさしくそのとおりだというふうに私も思います。
そこで、新型インフルエンザ対策をやりながら、その経験が今回のコロナ対策で必ずしも生きていなかったというお話だったと思います。例えば、資料、調査室が作ってくださった資料にもいろいろ載っているんですけども、簡易検査キットでよいと思っていたためにPCR検査に関して十分な準備がなかったですとか、先ほどおっしゃっていましたけども、訓練とか演習が一例目の対応をどうするかということに結構偏ってしまったため、広範囲で次々に医療機関に来るような状況に準備ができていなかったですとか、軽症者の方が宿泊施設や自宅で療養するということに対しての訓練が想定されていなかったとか、いろいろとあると思います。過去問というふうにおっしゃっていましたけど、確かにそうだなというふうに思いました。
今回の感染症法改正案なんですけど、私もやっぱりそういうことを思っていて、必ずしも全ての感染症に対して想定し切れなかったような気がしています。
確かに、今回の改正の中身見ても、医療機関の提供体制をどう構築していくかですとか、宿泊療養、自宅での医療の支援、さらに人材の確保や派遣の仕組みとか物資の確保とか保健所体制とか、確かに今回やってみて足りなかったなと思うことに対しての対応はしているなというふうに思っているんですけども、それはあくまでもコロナ対策で経験したことであって、未来どんな感染症が起こるか分かりません。
これはあるかどうか分かりませんけど、例えばもっと速く感染し症状も重いものもあるかもしれませんし、例えば潜伏期間が極めて長くなってしまって発症したら劇症化してしまうようなものもあるかもしれませんし、若しくは、例えば体内の方にもうずっと定着して慢性化してしまうようなものがあるかもしれませんし、様々な感染症があると思うんですけど、そういったものを予測していくために今回の感染症法改正案でどの辺りが足りないかとか、どういうことを今後考えていったらいいか、具体的にお話しいただければ有り難いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/11
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012・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) どうも御質問ありがとうございます。
まさに今回の対応は、コロナの穴埋めといいますか、学んだことを生かしていくということで、このような形で穴埋めをしていくというプロセスを続けるしかないかなというふうには思っております。なかなかその未来志向というところは難しいところがありまして、それは、先ほど参考人からのお話もありましたように、シミュレーションをやりながら次に何が足りないかというのを考えていくというところは重要だと思っております。
そのときに、要は、備えられることにはやはり限界があるので、その備えたもの、何かしらのシナリオを決めて備えたものを、じゃ、どう応用していくかという頭の体操というのをやっていくところが非常に重要だと考えております。
今回の改正案について、具体的にここというところについて、ちょっと今すぐ思い出せるアイデアがないんですけれども、原則としてはそういうようなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/12
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013・石田昌宏
○石田昌宏君 確かにそうかもしれませんね。
とすると、今ある、若しくは今考えられているものに関して様々にシナリオを考えていくということは大事だなと思ったんですけど、例えば、齋藤参考人のところで危機管理研究センターとありますので、そういった場所でやっていただけるとか、そういった機能を増やすとかということはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/13
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014・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 危機管理研究センターのところでは、まさにその緊急時対応とかクライシスコミュニケーション、訓練、演習の支援、それから検査体制の整備と、そういったところに取り組んでいるところでありまして、そこの中で、特に訓練、演習といったところの文化というのはつくっていくことに貢献していきたいというところは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/14
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015・石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。
また是非そういう形もちょっと考えていければなということを今思いましたので、検討してみたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、河原林正敏参考人にお伺いしたいと思います。
同じく調査室の作った資料や今の、今日のお話などを聞いてみて、資料の方にも、一視同仁と読めばいいんでしょうかね、誰彼なく、分け隔てなく平等に愛するという理念の下に医療を実践なさってきた参考人じゃないかなと思います。
コロナの感染症に関しても様々な発言していまして、この理念を貫いて社会に対して多くのアピールなどをなさっているなと思いました。とてもすばらしいと思います。しかもそれは、我々政治や行政に対してだけではなくて、市民、府民、国民というんですかね、に対して、自分の命をしっかり守るために、若しくは命を守ってくれる医療機関を守るためにそういったメッセージがありますし、マスコミ等に対しても、きちんとしたメッセージを添えて報道してほしいなんて様々なことを書かれていまして、その行動の広さや行動に対して敬意を表したいと思います。
そして、今なんですけど、今なかなか私自身も苦慮していまして、経済社会活動をより自由にして元に戻していこうという大きな流れがあるとともに、今第八波がどうかといった状況にもなっていますけれども、片方で感染者は増加の傾向がありますし、肌感としても医療機関の逼迫が再び始まっているなというふうに思います。ある意味で自由な行動を促進しつつ、同時にまた抑制した行動も求めていくという、この両方のメッセージを同時に出していかなければならない。まあどっちかの立場に立てば簡単かもしれませんけど、同時に出していくときに、正直なかなか苦しんでいます。
参考人の様々なこれまでの行動でしたら、例えば今だとどのようなメッセージ、若しくはどのようにですかね、メッセージを出していったらいいのか、是非ちょっとお聞かせいただいたら参考になるんじゃないかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/15
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016・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) 御質問ありがとうございます。
なかなかこのメッセージという意味では、例えば病院であれば、病院の職員に対するメッセージであるとか、あるいはその病院を利用されるような患者さんや近隣の住民に対するメッセージというのは、これは重要かなというふうに考えておりますので、外部へのメッセージに関しては、もちろん病院単独で発信するだけではなくて、医師会であったりとか行政を巻き込んでやはり市民に広くアピールするようなことを今後も取り組んでいけたらというふうに思っております。
職員に対してでは、この間、感染の初期の頃はかなり強い行動制限を強いてきたこともありまして、それが職員の疲弊にもつながっておりますので、今の感染、感染力は強いんですが重症度が低くなった最近の状況であれば、少し職員の行動制限も緩めないともう現場がなかなか回っていかないという、そういうところもありますので、そこをうまく、それ、若干行動制限は緩めつつも、ただ、感染の基本的な対策はもうきっちりやっていくということを繰り返し繰り返し説いていく必要があるかなと思っております。ですので、職員に対しては、通常よりはやはりどうしても医療機関ですので厳しめの対応にはなりますが、基本を絶対に怠ってはいけないということを指導を繰り返していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/16
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017・石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。
対象者はある程度分けながら、その状況に応じてというメッセージは要るのかなと今思いながら聞かせていただきました。やっぱり様々なメッセージをきめ細かくかなり重ねていかなければならないなと、改めてまた大変さも感じたところです。ありがとうございます。
ちょっと最後まで行くかどうか分からないので、途中で終わったらごめんなさい。
次、田中参考人にお伺いしたいと思うんですけど、今日の資料ではありませんでしたけど、調査室の作った資料で、日本版これSAGEって、SAGEでいいんでしょうかね、の話がありました。緊急時の科学助言グループをつくって科学的判断をするといったことで、また同時に、政治決断と科学的判断の分離という話もなさっています。
確かに必要かなと思いつつも、今回のコロナ対策に関しては政府の方が決断していくんですけど、同時に、厚生省に対してですけれども、新型コロナウイルス感染症対策を円滑に推進するに当たって必要となる医療、公衆衛生分野の専門的、技術的な事項をアドバイスするアドバイザリーボードというのがあって、まあ見かけはこんな形が近いのかなと思ったんですけど、この日本版SAGEとこのアドバイザリーボードの仕組みなどで違うところどこか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/17
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018・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) お答えさせていただきます。
SAGEって元々イギリスの組織を想定しているわけなんですけど、参考にしているんですけれども、一つは、日本のアドバイザリーボードよりはもっといろんな専門家、例えば経済の専門家や公衆衛生の専門家からも、臨床現場の専門家、もっと範囲が広くなっているというところが一つ違います。
それからあと、最終的にはそこから上げたものを政治が判断するという形が、日本でもその形ではあったと思いますけれども、例えば、私たちから見ると、政治が決めているのか、その専門家のアドバイザリーボードが決めているのか、どちらかちょっと判然としないというのが初期にあったような印象がありますので、そのようなことを書きました。
それからもう一つ、例えば専門家集団が意見を上げてきても、じゃ、政治決断といっても何が正しいのか分からないという場合もあると思うんですね。ですから、私は、アドバイザリーボードからはできれば複数案上げてもらって、そしてそれを、セカンドオピニオンみたいなもう一つの専門家集団が別にあって、独立した専門家集団があって、そこでこういう違いがあるというようなことをもう一度かみ砕いて政治決断する方にお伝えするのがよいのではないかというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/18
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019・石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございました。
ちょっと時間が来たので、もう一問と、あとは長尾先生にもあったんですけども、今回ちょっと時間ないということで、大変失礼しました。
以上で終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/19
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020・山田宏
○委員長(山田宏君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、山本香苗君が委員を辞任され、その補欠として塩田博昭君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/20
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021・高木真理
○高木真理君 立憲・社民の高木真理です。
参考人の皆さん、本日はお忙しい中、御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございます。順次質問をさせていただきたいと思います。
まず、齋藤参考人に伺います。
私も伺っていて、訓練が過去問ではなく未来に備える必要性、これ大変感じながら伺わせていただきました。
私、防災士でもあるんですけれども、防災訓練はいろんな災害想定をしながら、これが夜間だったらとか、冬期だったらとか、こんな規模のだったらとか、いろんなシミュレーションもされているけれども、感染症に関してはそういうものが余り、私なんかだと想像もなかなか付かないですけれども、そうした訓練が今までも過去問になってきたということなので、是非、年に一回、いろんな想定を出していただいて、全国レベルで訓練できる、そんな機会が設けられたらいいのかなというふうに思いながら伺わせていただきました。
時間が余りないので、ここについても聞きたいことあったんですけど、検査のことについて伺いたいと思います。
今回のコロナウイルス感染症を振り返ってということなんですけれども、なかなか検査が広がらず、国民も、今どんな状況、検査方針のどんな状況のどんな段階だから今こういうふうに検査が足りないのかということもよく分からない中で事態が進行していたように思います。
リスクコミュニケーションの必要性もすごくそういったところにもあったかとは思うんですが、海外で先行して感染事例がある中ではもっと検査を量をやらなきゃいけなそうなことは最初からある程度分かっていたのではないかと思われ、民間への検査をもっと早く拡大する判断とか、あるいは、積極的疫学調査で何とか封じ込めようという努力はあったんですけれども、保健所のマンパワー考えたら、この流行状況見たら無理そうだというのがもう少し何か初期の段階で判断付かなかったのかなといったような思いがあるんですけど、その辺の御見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/21
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022・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 御質問ありがとうございます。
まさに、検査能力の拡大という点については、各国、今努力をしているところで、近年の例えばサル痘のような新しい感染症が発生したときに、速やかに民間検査機関などにもこの検査機能を拡充するといった取組はアメリカなどでも行われているところで、ここは非常に今後も重要なところだと思いますが、まさに今どういう状況にあって何が求められているのかといったところをきめ細かに伝えていくことは非常に重要だと思っています。
この状況の判断ということで、積極的疫学調査の時期、どこまで続けるかという話ですが、これ、常にどういう場所で何が起きているのかというのをかなりきめ細かく行っていたことで、それに応じた対策、どこが一番今感染が広がっているところなのかといったところを知って、それに向けた対策というのはできていたところはあったと思います。
ただ、もっとこれをより効率的に情報を取る方法というのは今後考えていく必要があるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/22
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023・高木真理
○高木真理君 ありがとうございました。
次に、河原林参考人に伺います。
もう本当に現場で御努力をされて大変な診療、今も負荷が掛かっているということなんですけれども、そこを、そうした皆さん御努力いただいている中であるのに、大阪府におかれましては、残念ながら、陽性者に占める死亡者数の割合でいくと、ちょっと私が昨日までの数字で計算すると、大阪が〇・二九%で、東京で〇・一八%、埼玉は人口当たりのお医者さんが大変少なくて病床数も少ないんですけれども、〇・一九%ということだったんですが、感じていらっしゃるところで、どうして大阪はこうした死亡率が高くなってしまっていると感じていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/23
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024・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) 御質問ありがとうございます。
大阪独自の要素としてよく指摘されていることとしましては、高齢者人口の割合がやはり比較的高いという点と、あと、三世代同居率が高いという、そういった指摘もされているかと思います。
ただ、それだけが要因とはもちろん言えませんので、様々な要因が絡んでいるんだろうと思いますが、私、感じていることとしては、やはり高齢者住宅とか、やはり施設ですよね。施設の中での感染の蔓延というのがやっぱり一番大きい。そういったところで感染が起こったときになかなか転院が自由に進まない。そういったことがやはり死亡率を上げてしまった原因になっているんではないかなというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/24
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025・高木真理
○高木真理君 ありがとうございました。
高齢者の皆さんの施設内での医療のことは本当に重大な課題だというふうに思っています。
次に、田中参考人に伺います。
御提案いただいている中で、調査室の資料の方でしたかね、ビッグデータによる量的な解析と定点観測による質的な解析の両方を踏まえた医療計画を策定することが大事ではないかというふうに御提案されていらっしゃって、まさにこうした課題があるなというふうに私も感じさせていただいたんですが、どんなデータをビッグデータとしてどのように集めるかというのは、先ほどカルテから自動的に行く仕組みがアメリカにはあるという話も伺ったんですが、そうした、具体化して本当に医療計画に生かすためにはどういうことをしたらいいのかというのを具体的に教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/25
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026・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) ありがとうございます。
ビッグデータをどうやって収集するかというと、これはもう、アメリカの例を最後に御紹介させていただいたのは、ビッグデータを集めるというのは、現場にデータ収集の余裕はないということなんですね、パンデミックのときに。ですから、今から次のパンデミックが起こるまでに、是非その電子カルテから自動的に抽出できるような仕組みを考えていく必要があるんではないかということですね。
それから、定点観測について言うと、定点観測機関というのをあらかじめ決めておくということですね。一つは、特定機能病院でもいいですし、急性期病院でもいいですし、それから地域のその拠点になるような病院でもいいと思いますし、診療所でもいいと思いますけれども、あらかじめ感染症にかなり精通した機関を定点観測機関として決めておくことが重要じゃないかなと思う。で、その連携を取るということだと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/26
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027・高木真理
○高木真理君 ありがとうございました。
それでは、最後に長尾参考人に伺いたいというふうに思います。
お配りいただいた資料の②の方ですかね、七番のところに、コロナ感染既往がないワクチン後遺症だけの人は何の補償もなく泣いておられますということがあって、私、この委員会でも、コロナ後遺症の方のその後の生活支援、働けなくなっている方のことを取り上げたりしているんですが、確かにコロナ後遺症自体は傷病手当、労災認定、あるいは、まあそういったことができるとはいっても、なかなかその制度につながっている方も少なくて、どうしたらいいか分からないまま辞めちゃったりしている人も、仕事を辞めたりしている人もいます。
そういった現状から、コロナ後遺症の人もワクチン後遺症の人も救えるような、医療費の面かもしれないし、生活の面、まあ両方必要だったりもしますけれども、何かそういったことができないかなというふうに思っているわけですが、臨床で御覧になっていて、そのコロナ後遺症の方とワクチン後遺症の方の症例というのは区別して考えるようなものなのか、やっぱり見ていると同じカテゴリーに入ってくる、連続しているものだという印象でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/27
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028・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) 例えば、四回ワクチンを打って四回感染して具合が悪いという人、いるんですね。こういう方は、じゃ、まあワクチン後遺症だとは思うんですけど、実態としては。だけど、コロナ後遺症として扱ってあげないと会社では通らないということがありますね。
病態としては、コロナ後遺症は時間の経過とともに、長く掛かっても治っていきます。ワクチン後遺症の方は難治性です。で、一年たってもまだほとんど変わらない。寝たきり、元々元気です、もうぴんぴん働いていた人がワクチン打って一年以上寝たきり、在宅医療で診ている、こういった方もいらっしゃいます。
だから、まあちょっと言葉は悪いですけど、コロナ後遺症は治っていく、ワクチン後遺症はもう治りづらい、もう本当難治性というふうに考えていただいたらいいと思います。そちらの方の方の方がもっともっと手厚いいろんなことが必要なんじゃないかなということです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/28
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029・高木真理
○高木真理君 ありがとうございました。
参考にしながらこの後も対応していきたいと思います。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/29
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030・窪田哲也
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也です。今日はどうもありがとうございます。
今日は貴重な御意見を賜りました。しっかり我が国の感染対策に生かしてまいりたいと思っております。また、日頃から大変に御苦労をいただきまして、心から敬意を表したいと思います。大変にありがとうございます。
初めに、齋藤参考人に伺いたいと思います。
今のお話は、パンデミック、危機管理、過去問に答える形のそういう対策ではなくて、未来への想定してのそういう平時からの備えが大事だというお話でしたけれども、その上で、やはり柔軟性というのが一つのキーワードになっていたかなと思います。
そしてまた、未来志向の危機管理というのがキーワードだったかなと思うんですけれども、その上で司令塔の機能が重要になってくると。この司令塔の機能としては、情報、インテリジェンス能力、それから分析能力、特に政策決定の決定権者と分析者とのこの仲介、ブローカーという言葉を使われましたけれども、その仲介者の役割、さらに政策判断できる統治機構の重要性、さらに円滑な機関間連携、これを円滑に進めていくための人材の育成という、この辺について述べていただきました。
その中でも、私、特に気になったのは柔軟性のある計画ということなんですが、今回の法改正では県が医療機関と協定を結ぶと。で、この協定は、最終フェーズを想定して病床数、発熱外来、後方支援、人材派遣、これを定量的に盛り込んでいくということなんですが、この、私、柔軟性ということと定量性という、これまたなかなかかみ合いにくいなというのをちょっと感じたんですけれども、この辺はどのように捉えていったらよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/30
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031・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 御質問ありがとうございます。
今回、定量的な指標というのを使ってそのキャパシティーを確保していくことを目指していくということなんですが、往々にしてありがちなのは、そういった定量的な目標を定めると、それを何とかして形を繕って、できているように見せかけて終わってしまうというところが往々にして問題になります。
そこは非常に気を付けながら、そのキャパシティーがあったとき、そしてそれ以上のことがもしそこで起きたときに、では今あるものをどうやって使って対処していくかというところまで検討していく段階に行くことが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/31
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032・窪田哲也
○窪田哲也君 ありがとうございます。
次に、田中学長にお伺いしたいと思っております。
今日はせっかく学長として来ていただいておりますので、是非私はそのお立場として伺いたいと思うんですけれども、医療の人材を育成、輩出していく非常に大事な部分を担われていらっしゃると思うんですが、このコロナが起きて以降、私の周りでも実は、夢が将来絶たれたという、そういう高校生がいる一方で、今こそ社会に貢献するために医療の場に入っていきたいという、そういう高校生とかもいるんですね。
それで、近年のこのコロナ禍、コロナが起きてからの以降のそういった学生さんの使命感といいますか人材観といいますか、学長のお立場としてどのように今変わってきているのか、それを伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/32
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033・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) ありがとうございます。
私どもの大学は、医学部、歯学部があって、それで看護学科もありますし検査学科もありますが、総じて、やっぱりコロナに医科歯科大が取り組んだことで結構マスコミにも取り上げられましたので、受験者はそういうことをかなり意識していて、やっぱりそこに自分も何らかの貢献を果たしたいということで来る人が増えているということは実感しております。
ただ、これ卒業した後の、例えば看護師とかの方そうですけれども、一年ぐらいはまあ頑張ったんですけれども、やっぱりこのコロナだけだと自分の勉強の幅が広がらないというふうに考える人たちが結構いまして、やはり二年、三年とたつと、自分はもっと広く勉強できるはずだったのに、それが、その機会が奪われたという認識を持っている若い医療者たちがいることも現実です。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/33
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034・窪田哲也
○窪田哲也君 引き続き、社会に大切な人材を輩出していく役割がとても大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
いただいた資料の中で、田中参考人に伺いたいと思っておりますけれども、幾つか大事な点を書いていただいております。国とフロントラインを直結させることの重要性、それから政治決断と科学的判断との分離、それから非常時に備えるとどうしても過剰スペックになってしまうという、そういう問題とか、あとはメディアとの協力関係、こういったことについて述べていらっしゃいましたけれども、特に私、参考に是非していかなきゃならないなと思いましたのは、その中でも過剰スペックになりかねないという部分で、看護師についてですけれども、これを予備役としての看護師人材の確保ということについて述べていらっしゃるんですけれども、もうちょっと具体的に教えていただければと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/34
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035・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) ありがとうございます。
看護師、基本的には半分ぐらいの看護師の方が今、現役に従事していないわけですね。この方たちが、じゃ、今回のコロナ禍において貢献したいと思ったけれども自分たちは余りにも現場を離れているのでそれは無理だという、そういう声も聞きました。
このふだん離れている人たちをどうやって現場にすぐ戻れるようにするかというと、やはりふだんある程度登録して、ある程度定期的に研修をしておく。ただし、この人たちは、コロナのフロントラインとか新しいパンデミックのフロントラインにいきなり行くのは無理ですので、実際に働いている人たちがフロントを担って、その働いている人たちの穴埋めと言うと言葉は悪いかもしれませんけど、そのバックアップに入るというような形をふだんから想定しておけばよろしいんじゃないかと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/35
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036・窪田哲也
○窪田哲也君 大変重要な私は考えだと思っておりますので、引き続き議論してまいりたいと思っています。
最後に一つだけ、リスクコミュニケーションに、田中参考人に伺いたいと思います。
リスクコミュニケーションについて、メディアの果たす役割というのは非常に大事な部分があったと思うんですけれども、この情報が非常に様々な、玉石混交、いろんな情報が入り交じって国民もどうしていいのか分からないという場面が結構あったんじゃないかなと思うんですが、特に具体的に参考人が強くそのリスクコミュニケーションについて感じられた部分はどんなときがございましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/36
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037・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) ありがとうございます。
政府が出す事実というのがあると思うんですね。それと、それにいろいろな意見、批判があったりコメントがあったりするのは当然なんですけど、それが混在となって提供されるので一体何が事実なのか分からない、そのメディアごとに違うので。したがって、やはり私は、コアな事実とそれに対する意見とを分けた形で何か報道していただけるといいのではないかというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/37
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038・窪田哲也
○窪田哲也君 ありがとうございます。参考にしてまいりたいと思います。
あとお二人の参考人の方にもちょっと現場での御苦労等を伺いたいと思っていましたが、時間になりましたので、今日はこれで終わらせていただきます。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/38
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039・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
ちょっと時間が十分しかないので皆さんに質問できませんが、お許しいただきたいと思います。
まず最初に、長尾参考人の方にお伺いさせていただきます。
この二年半、約九千人の発熱患者さんを診察し、約三千人のコロナ陽性患者さんに関わってきた、これ聞いただけでもう本当に驚くんですけれども、しかも、第一波から早期診断、即治療、二十四時間管理を行った結果、死亡者は今もってゼロ。本当にすごいなと思うわけですが、これは長尾先生だからできたということなんでしょうか。これはなぜできたのか、ちょっと教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/39
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040・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) ありがとうございます。
別にそんなことではなくて、かかりつけ医は発熱を診るのが仕事だと思うんですね。だから、発熱イコールコロナとは限りませんよね、例えば盲腸でも発熱するし。だから、発熱患者さんを普通に診て、問診等をしてということで。
当初は余り多くの医師が、尼崎医師会でも参加、みんなやってるんかなと思っていたら余り多くなかったんですけど、第四波辺りからもう若手医師たちがどんどん参加して、介護施設にどんどん往診チームみたいなのもできまして、そして、医師会が保健所ともう毎日連携して、こういう方がいるからいうことで訪問診療でいろんな治療をするということも、まあ尼崎も人口十万人当たりの感染者数、多分日本一ぐらいだったと思う、二年半で。だから、そういったことが自然発生的に行われて、今現在もまだたくさん患者さんいますけれども、いうことで、私だけじゃなくて、医師会が、尼崎市医師会が取り組んでいる。
そして、先日、非常に珍しいんですが、中核都市の尼崎市と尼崎医師会が厚労省に五類にしてくれということを要望書を出したぐらいですから、市、行政もやっているということでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/40
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041・東徹
○東徹君 五類の要望書を出したということは、もう今だったら、先ほどのお話の中でもありましたけれども、流動的に変更すべきだというふうなお話だったんですけれども、この第七波が終わりかけてきた、まあこの頃だったらもう五類でもいいじゃないかというような感覚なんですか。それともまた、もうちょっと、もっと前からできるとか、そういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/41
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042・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) 私はもう第一波のときから五類をずっと言い続けていますけど、やはり、もうこれ、こういう対応していたら、例えば介護施設の面会とかですね、面会制限とか入室制限とかもあって回らない、病院も回らないということがはっきりしていますから、もう今の時期にマスクも外し、そして五類にしましょうということを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/42
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043・東徹
○東徹君 これからの第八波の中で、これはほかの先生ももし聞けたら聞きたいなと思いますけれども、コロナとインフルエンザの同時流行というふうな話があります。これ、長尾先生、コロナとインフルエンザの同時流行した場合は、どういったことを、どういう対応をしていかないといけなくなるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/43
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044・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) ありがとうございます。
それはもう普通に対応するということで、先ほど申しましたように、もう発熱患者さんは毎日たくさんいるわけですから、慎重にどういう病気なのか見極めて適切に対応していく、ただそれだけのことで、仮に同時流行しても、それは、そういうために医療機関がある、開業医がある、最初のとりでがあるというふうに考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/44
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045・東徹
○東徹君 この間、保健所の負担が物すごく大変だったというふうな話がいろいろありました。先ほどもありました積極的疫学調査もそうであったと思いますし、いろいろあったと思うんですけれども、保健所の負担を軽くするためにはどうすればいいというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/45
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046・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) 先ほど申しましたように、やはり保健所の機能は、保健所は医療機関ではないわけですけど、多くの市民は医療機関だと思っている人がいるわけで、そして保健師がいろいろ指示を、医療指示を与えているんですけど、やはりそれは、そういう感染症の把握することに専念していただいて、医療は医療でしっかり行う。すなわち、先ほど申しましたように、医療機能を分離する。だから、やっぱりドクター・ツー・ドクターのホットラインみたいなのが必要だと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/46
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047・東徹
○東徹君 齋藤参考人にもお伺いしたいと思います。
これからコロナとインフルエンザの同時流行、こういったときにはどういった対応をしていくべきというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/47
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048・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 御質問ありがとうございます。
まさにこの冬、コロナとインフルが同時に流行した場合、非常に発熱患者というのが増える可能性というのは想定して対応が必要だと思っております。
やはり、市民への、どういった症状が起きたときに受診しなければいけないのか、そして今どういう流行状況なのかというのをきめ細かく伝えていくこと、その上で、本当に心配になったとき、本当に症状が重くなってきたときにすぐに受診できる体制をずっとつくっていくこと、これが非常に重要だと考えております。
また、検査などの体制についても同様で、検査をしたいと思ったときにすぐにアクセスできる、そういった体制を備えていくことが今重要なことだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/48
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049・東徹
○東徹君 検査の体制なんですが、コロナとインフルエンザ、どういうふうに検査していくことができるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/49
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050・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 今、コロナを検査して、その後それが陰性だったらインフルを検査してという方法であったり、あるいはコロナとインフルを同時に検査するという方法であったり、幾つかそのやり方はあるかと思うんですけれども、自分で家などで検査をするということが広く行き渡るのも重要なことだと思っていますし、また、そこで本当に不安に感じたときに医療機関に行って検査をしたり、あるいは相談すぐにできるというところも重要なところだと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/50
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051・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
河原林参考人にもお伺いをしたいと思います。
当初の第一波のときと今の第七波のときと、大分病院の状況も変わってきたかというふうに思います。ちょっとその辺の、今ならやっぱりコロナの病床、受け入れることができるような状況になってきたのかとか、ちょっと現場の立場としてお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/51
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052・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) 感染が始まった当初は、まずウイルスの性質がどういうものなのかって全く分からない状況の中で対応をスタートしましたので、本当手探り状態で、いろんなところから情報を集めながら、危険性がどれぐらいあるのかとか現場でどういった対応ができるのか、感染対策もそうなんですけど、全てが手探りだったんですが、やはり波が重なるにつれて一定経験を積んできたという部分もありますし、重症化率も下がってきたり、一定そういうこと、変化してきているという部分がありますので、現場もそれなりに経験積んで対応がスムーズになってきたというところはあります。
波が来るたびに、当院でも受入れ病床を少しずつ増やしたりという対応もしてきておりますし、ただ同時に、慣れてきた分、通常診療も維持しなければいけないという課題も同時に起こってきますので、そこで今、そのジレンマで悩んでいるという、そのような状況です。
コロナ対応はそれなりに慣れてきた部分もあるけれども、同時に通常診療も維持していかなければいけないという、そういったところが今の、目下のところの悩みですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/52
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053・東徹
○東徹君 済みません、もう一点、長尾参考人の方にお聞かせいただければと思います。
長尾参考人の映画「けったいな町医者」、私も東京で映画館で見させていただきました。リビングウイルを核としたこの人生会議の励行というのが非常に大事なのかなというふうに思っております。
ただ、これ、非常に難しい、デリケートな問題でもあって、これ、啓発というのは非常にどうやってやっていくのかなと思いますが、何かお知恵があればお聞かせをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/53
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054・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) ありがとうございます。
バイタルトークというアメリカのサイトがありまして、そこにいろんな問答をするわけです。対話です。やっぱり本人の意思を尊重する。例えば百歳の方が感染した場合、在宅患者さんがね、どうするか。やっぱり本人の意思を優先すれば、皆さんと一緒に、家族と、いろんな看護師さんとかヘルパーさんと話合いをするということ、普通にやっていますけどね。でも、今保健所が、もうでもやっぱり入院ということになった場合に、嫌々、嫌々と言ったらおかしい、泣く泣く入院された方もいらっしゃいます。
そういったこと、何がその人の一番最大の利益なのかというのをやっぱりよく考えましょうという、そういうこともやっぱり言っていくべき時期だと私は思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/54
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055・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
もう一点、この地域包括ケアシステムの活用というところなんですけれども、ケアマネやヘルパーなどの役割が重大ですということでありますが、これ、地域包括ケアシステムが作動できるような法改正を望みますということですけれども、具体的にどういったところに問題があるというふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/55
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056・長尾和宏
○参考人(長尾和宏君) ありがとうございます。
当初からこれ、感染症病棟、例えば田中先生のところのような問題だと認識されていますが、これも私、地域の問題だ、地域包括ケアの問題だということを、資料であるかもしれませんけど、二〇二〇年の三月号ですね、日本医事新報という医学雑誌にも連載していますので、そういうふうに書いています。
具体的にはといいますけど、それに対応できる訪問看護師、ヘルパー等、生活支援ができる、そして治療もできるような感染予防に熟練した地域の人材を平時から育てるべきだと思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/56
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057・東徹
○東徹君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/57
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058・芳賀道也
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
四人の専門家の皆さん、先生方、本当に様々な角度から貴重な御意見、ありがとうございました。今後の政策議論にも生かしていきたいと思っております。ありがとうございます。
それでは、初めに齋藤先生にお伺いしたいんですけれども、先生はかつて国立保健医療科学院にもいらして、研究や研修を通じて国内外のヘルスセキュリティー強化に向けて取り組んでいらっしゃったと、イギリスへの留学経験も経てということですけれども、国立感染研の御関係者の中にも、田代眞人先生など、新型コロナの感染拡大当初から徹底的な検査と厳格な入国規制、軽症者を含めた隔離と治療を訴えていた方がいらしたと聞いております。
齋藤先生のヘルスセキュリティーの強化の取組も踏まえて伺いたいんですが、一般的に、未知の感染症が入ってきたときは、最初は外国からの入国など徹底的に人の移動を抑えて、その上で徹底した検査と治療で抑え込むのが本来の姿だと伺いました。過去問という表現もありましたけれども、今回の当初の対応の反省も含めてこれからの未知の脅威に当たっていくということも重要だと思いますので、我が国では、当初、中国で感染が広まっているにもかかわらず、当初は浙江省からの入国はやめるけれどもそれ以外の中国からの人の流入を止めないなど、比較的当初緩い政策が取られていました。
新型コロナが日本に入った二〇二〇年一月頃から厳格な入国規制や軽症者も含めた徹底した検査、陽性になった方の隔離が必要だったのではないかという指摘が専門家からもありますが、齋藤先生の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/58
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059・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 御質問ありがとうございます。
まさに今、今回の例えば新型コロナがまた初めから同じような状況、もう初めからやり直すとしたときにどういう方法が一番よかったのかなというのは、非常によく今でも考えるところではあります。あそこでもっと最初に徹底的な形で臨むべきだったのか、それともあれぐらいの形でよかったのかというところは、非常に今でも自分の中では結論がないところではあります。
ただ、あの状況の中で、非常に限られたリソースの中でその徹底的な隔離というのができたかというと、なかなか難しかったのではないかというのが本音です。あのときの手持ちのリソースでやる方法としては、徹底的というのはなかなか難しかったのではないかなというのが私の所感です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/59
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060・芳賀道也
○芳賀道也君 十五日の厚生労働委員会でも、検査で陽性になった方の割合を検査数で割った陽性率について質問をさせていただきました。直近の陽性率は、十月末までの一週間で三一・一%、その前の週が二八・一%、さらに前の週で二七・六%だという御答弁をいただきました。一方、アメリカの医療政策を支えているジョンズ・ホプキンス大学の新型コロナ検査に関するホームページを見ますと、陽性率が五%を二週間ほど下回っていなければビジネス活動や海外からの入国を緩めてはならないというふうに書かれています。WHOの文書でも同様のようです。しかし、日本では、陽性率が五%をはるかに超えているのに、現在、入国規制が緩和されて、全国旅行支援が実施されています。
熱帯の感染症を研究されてきた齋藤先生として、この緩和と陽性率、御見解を伺いたいんですが、陽性率五%というアメリカなどの指摘、さらには、現在、日本ではこれをはるかに上回っているんだけれども様々な緩和が行われている、この二つの点で御見解をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/60
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061・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 検査の陽性率というのは、検査の検査数ですね、きちんと検査が必要な人に提供できているのかという指標にもなりますし、また、この陽性率の上下というのは、現在の感染状況を表す指標としても重要な指標だと考えております。
その五%という数字は、恐らくもうちょっと初期のときの目安だったのではないかというふうに考えます。明らかに初期の際にはこの五%というのを目安として、検査が足りているか、流行状況を大きく、非常に大きくなり過ぎていないかというのを判断するポイントではあったと思いますが、昨今の状況においては、なかなかそのような五%というところに保つというのは、余り指標としてはちょっと昔とは違うのではないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/61
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062・芳賀道也
○芳賀道也君 では、その五%というのは少し緩めて考えてもいいという御意見でしたけれども、この状況の中で様々な旅行支援など行動の緩和が行われているというところはどう捉えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/62
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063・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 今の段階は、少しずつ、このコロナのリスクは少しずつ下がってきている中、ワクチンなども行って下がってきている中で社会をどのように回していくのかというのを広げていく段階であるというふうに思います。
その旅行支援というのが、支援までするのかどうかという議論はあるかと思いますが、その流行状況をきちんと見ながらそこは進めていくものではないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/63
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064・芳賀道也
○芳賀道也君 ありがとうございます。
もう一問、先生にお伺いしたいんですが、この国の新型コロナ対策では二〇二〇年から重症者重視の方針が取られてきて、それが現在も続いています。しかし、重症者重視の裏で軽症者や症状なしの方が軽視されて、軽症者や無症状の方から感染が広がることで感染が完全に抑えられていないのではないかという指摘が呼吸器感染症の専門家の方の中からもあります。
重症者重視のこの厚生労働省の方針について、齋藤先生の御見解はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/64
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065・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 医療の提供体制という点では、まず重症者の方に確実に医療を届けるということが非常に重要な点であると思っております。
そこで軽症者の方、無症状者の方を決してないがしろにしているわけではありませんで、初期になかなか検査が行き渡らないという状況はあったとは思いますけれども、昨今においては、その方々が早めにこの感染に気付いたりするような検査体制などは十分でき上がってきているのではないかと、また、医療へのアクセスもしやすくなってきているのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/65
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066・芳賀道也
○芳賀道也君 重症にならない方での死亡者が増えているという印象もあるんですが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/66
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067・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 以前と比べて、コロナそのもので重症化をするという方はやや少なくなってきている反面、例えば高齢者の方などで、コロナを後押しするような形でより容体を悪化させるというような状況があることは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/67
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068・芳賀道也
○芳賀道也君 ありがとうございます。
次に、田中先生にお伺いしたいんですが、先生は東京医科歯科大学の学長もお務めになっていらっしゃいます。同じく東京医科歯科大学御出身の倉持先生、インターパーク倉持呼吸器内科の院長ですが、コロナが広がった二〇二〇年から現在に至るまで政府はずっと現場の声を聞いてこなかったと述べられています。
田中先生は消化器内科が御専門と伺いましたが、呼吸器内科、呼吸器外科など、新型コロナの臨床現場の意見が政策に反映されるようにするには政策決定システムをどのように変えるべきだとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/68
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069・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) 難しい御質問だと思うんですけれども、先ほど日本版SAGEというのをお話ししましたけれども、やはり専門家の中に呼吸器内科医とかそういう方たちを入れるべきだというふうに思います。やはりどうしても公衆衛生や感染症の専門家が主体になりますけれども、実際に患者さんが診ているのは呼吸器内科医が診ていますので、そういう人たちが入ることが重要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/69
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070・芳賀道也
○芳賀道也君 ありがとうございます。
先生のお話でも、保健所機能の強化、日本版CDCもありましたけれども、特に私、山形県ですので、これまでの合理化で保健所の数が大きく減って、非常にコロナの中でも三年間疲弊していたんですが、この保健所機能の強化について最後にお願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/70
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071・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) 済みません、失礼しました。
やはり保健所機能を強化するためには、保健所のやるべきことにプライオリティーを付けるということで、先ほど申し上げたように、例えば健康観察とかはやっぱり医師に任せるというような形を取って、減らす。それから、あともう一つ、電子化を進めて、ファクスに依存する体制を早く脱却することだと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/71
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072・芳賀道也
○芳賀道也君 ありがとうございます。
時間ですので、御意見を生かさせていただきます。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/72
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073・倉林明子
○倉林明子君 今日は、本当にお忙しい中、金曜日で、いろいろなお仕事も兼務されていらっしゃる中をこうして貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
まず最初に、齋藤参考人にお伺いしたいのは、齋藤参考人が、今、国立感染研究所の感染症危機管理研究センターの長だということで、元々五人が定員の枠だったのが一気に、五人なんですかね、五人しかいなかったところが七十五人の定員に一気に十倍以上に拡充されたということで、二一年の六月時点では二十人まで確保できたということで記載されているもの見たんですけれども、現状でどうなっているのか。機能の強化ということでいうと、どこまで御説明いただくかというのあるんですけれども、ざっくりイメージできるように、何がどう変わったのかという辺りを教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/73
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074・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) 御質問ありがとうございます。
二一年六月で二十人ということは去年の夏前ということになるかと思いますが、それからおおよそ、ちょっと正確な数は覚えていないんですが、五人か六人増えていたと思います。
特に、今年の春に例えば事務官をきちんと人員として付けていただきまして、センターとしての庶務がかなり回るようになってきたということと、あと、コミュニケーション室という、クライシスコミュニケーション室というところにサイエンスコミュニケーションやヘルスコミュニケーションを専門とする人材を確保できたということで、コミュニケーションの機能拡充というのが進んでいるところです。
さらに、あと、ラボの検査体制の強化というところも私どもの使命でありますけれども、そこでも少しずつ人材の確保が進んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/74
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075・倉林明子
○倉林明子君 まだ二十五人程度ということで、定員の確保には大分まだ距離があるということで、こういう点では大いに応援していかないといけないなと改めて思いました。
そこで、河原林先生にお聞きしたいと思います。
本当に第一線で御苦労されていた話を、お話伺ってよく分かったんですけれども、救急は断らないということで取り組んできたんだけれども、コロナの下で心肺停止の方を受け入れることができなかったと。現場の人たちの悔しさというのが本当にあっただろうなと思います。
その上で、最後に先生おっしゃったのが、現場のこういう心を折るようなことは絶対避けてほしいとおっしゃいました。心を折るようなことはどういうことなのか、現場、コロナと二年、もう三年近く闘ってこられて、どういうことがやっぱり心折れることにつながっていくんだということで、もう少し踏み込んで教えていただければと思います。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/75
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076・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) 何よりも現場で奮闘しているこの医療従事者の気持ちをどういうふうに吸い上げていただくかということかなというふうに思っているんですが、どうしてもこの法案の、この法律的な縛りというのができますと、それは現場の人たちの気持ちを縛るようなことにつながっていくんではないかなというふうに思っているんです。
例えば、現場でもそうです、現場の努力もそうですし、地域の中での連携もそうですし、保健所との関係もそうなんですけれども、本当に現場で顔が見える関係の中で何とかこの大変なところを乗り越えてきたというような、そういう現実があるんですよね。それがなかなか、その法律というくくりになりますと、まあどうでしょう、非常に冷たい対応といいますか、そのように感じてしまう場面というのがどうしてもありますので、できれば現場の声を吸い上げていただく。地域での連携とか、行政や保健所、いろんなところと連携しながら現場は進めていますので、そういった取組を是非評価していただいて、これからの政策に生かしていただくような、そういった流れを是非つくっていただければなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/76
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077・倉林明子
○倉林明子君 本当に七波で深刻になったなというか、思っていますのが、コロナ病床の確保をせなあかんということで、その患者の層も変わってきて介護、ケアが必要になってくるということで非常に看護師の配置を引き上げないといけないということから、一般医療への影響というのがすごく出たと思っているんですね。
河原林先生もおっしゃっていたように、コロナを一床つくろうと思ったら、二床潰さないと確保できない。これ、大規模に通常医療の制限を伴わない限りはコロナの病床確保というのはできないんだということが七波で露呈したと思うんですね。
通常医療にどのようにやっぱり責任を持っていくのか、医療はコロナだけじゃなくて通常医療も回してこそ命を守れるという、使命果たせるということになると思うんですけど、私、本当にコロナの病床の確保の難しさというところで、もう少し現場際で御紹介いただけることあればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/77
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078・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) なかなか、その病床の確保というのも非常に苦労しながらやっているんですが、当院、元々その看護体制も決して十分とは言えない中で、厳しい中でぎりぎりのところで日常を回している。そこでコロナに対応を強いられて、コロナのために一定の病床を確保しなければいけないという、そういった二年半だったんですけれども。
その中で、コロナの病床をある程度の規模で確保して、そこを完全に使い切るということではなくて、余裕を持たさないと多分回っていかないんですね、感染症ってなかなか大変なので。でも、それ以外の、コロナ以外の病床で急性期医療を回していこうと思えば、どうしてもそのコロナの病床を少し制限せざるを得ないというのもありまして、その中で本当に現場はジレンマ抱えながら対応してきたというところではあるんです。
そこを酌み取っていただいて、その病院その病院ごとに多分その辺の役割って大分違ってくると思いますので、そこをできれば是非見ていただいて、病院病院の状況というのを聞いていただいて、それを政策に是非生かしていただければというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/78
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079・倉林明子
○倉林明子君 余裕ある医療体制をどうやってつくっていくのかという議論がやっぱり感染症法の議論でも必要なんじゃないかなという問題意識は、本当に共有させていただきたいと思います。
田中先生にお伺いしたいんですけれども、先ほどのお話の中で、課題もあるよということで御指摘がありました。協定締結医療機関の確保病床は不足する可能性があると。こういうことを前提として、やっぱり備え、備えといいますか、対応を準備していくということ、とっても大事だと思うんですね、今の医療のキャパの状況もありますので。
そうした場合、ここで考える方向性として先生指摘していただいたのは、支援病院をあらかじめ確保すると、で、県を越えた連携の仕組みを確保すると。これ確かにそうなんですけれども、第七波を経験したときに、全国的な感染拡大が起こるとちょっとなかなかこれ難しい、機能するのかという問題意識ありまして、少しその点でお考えになっていること、七波踏まえてで、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/79
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080・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) 支援病院というのは、その地域で協定を結ばなかった病院という意味でございます。実際には、七波のように感染者が医療者に広がった場合、その場合の稼働率は大体六〇%ぐらいに下がることは知られていますので、確保病床をほぼ一〇〇%で確保できた場合と六割ぐらいしか確保できなかった場合に分けてシミュレーションして、で、支援病床の数が決まると思うので、それをいろんな医療機関に割り振る、お願いするというのが大事じゃないかなと。それをあらかじめ登録しておいた方がいいと思います。確保する、しておいた方がいいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/80
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081・倉林明子
○倉林明子君 これから感染症法の議論もまだ続くんですけれども、効果的な感染防止対策というのを行動制限をやらないという下で一体どういう効果的な手が打てるのかというのは今々本当に問われていると思うんですけれども、最後、齋藤先生、御意見伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/81
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082・齋藤智也
○参考人(齋藤智也君) ありがとうございます。
非常に、行動制限を行えない中でというのはありますが、今その感染対策というのを、市民の方々、いろいろなところでいろいろな方々が生活の中でしっかりとできるようになりつつあると思っております。これをもうとにかく進めて、広く浸透させていくこと、その中で、行動制限などがない形で感染を、流行を乗り越えていくことができるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/82
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083・倉林明子
○倉林明子君 ありがとうございます。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/83
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084・天畠大輔
○天畠大輔君 れいわ新選組の天畠大輔です。代読お願いします。
参考人の皆様、本日はありがとうございます。私からは、感染症に罹患しても医療につながりにくい方や重度障害者への医療提供体制について伺いたいと思います。
まず、田中参考人と河原林参考人に伺います。
感染症の蔓延期には、感染拡大防止のため、家族や介助者など、入院時の付添いをめぐる課題が深刻化することがあります。日常動作やコミュニケーションに介助を必要とする重度障害者にとっては、介助者の付添いは必須です。しかし、この三年間、新型コロナウイルス感染症が拡大し、重度障害者が介助者の入院付添いを断られてしまうといった事例が幾つも起きました。
そこで、どのような具体的な支援や体制があれば医療機関として介助者の付添いが受け入れやすいとお考えか、教えてください。
また、河原林参考人は、コロナ禍の医療現場で介助者の付添いを受け入れられた御経験、若しくは介助者の付添い受入れが難しかった御経験などがございましたら、そのときの課題をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/84
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085・山田宏
○委員長(山田宏君) どちらでもどうぞ。
田中参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/85
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086・田中雄二郎
○参考人(田中雄二郎君) では、私からお答えさせていただきます。
介護者がどうやって付き添うことができるかということなんですけれども、まず第一は、その方も守らなきゃいけないということですね。そのために私たちができることは、その方がまずその患者さんに、重度障害者の方に接する時間を最小限にするような介護、看護側の工夫をするということです。
それからもう一つは、介護者の方に防御服を着けていただく。そういうその介護者を守るということも工夫が必要で、そのようなことがあれば実現は可能だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/86
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087・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) 臨床の現場でも、入院される方に付き添う、介護のために付き添う方に入っていただいたという経験は私記憶にはないのですけれども、やはり、なかなか感染、まあ感染防護ですね、感染防護を付添いの方に指導したりとか、それを実行していただくというのは非常に難しい問題でして、なかなか医療従事者、介護従事者ですらその感染対策が完璧に行えるのかとなると非常にこれ難しい議論で、本当繰り返し繰り返し指導をしていかないと現場の人間ですらやはり感染してしまうということが起こりますので、今現時点でなかなかこの付き添う方に感染対策、感染指導をして入っていただくというのは非常に難しい。
介護のために入っていただいたという経験はないんですが、ただ、やむを得ない事情でそばに付いていただいたりとか病室で過ごしていただいたりとか、そういった対応は極力努力はしてきたんですけれども、なかなか日常的な介護で付き添っていただいたという経験までは残念ながら今のところはありません。今後の課題ではないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/87
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088・天畠大輔
○天畠大輔君 ありがとうございました。
次に、河原林参考人に伺います。
河原林参考人は、無差別平等の理念を掲げる耳原総合病院の院長として、平時より無料低額診療を行ったり、地域医療支援病院として地域医療に貢献しておられると伺っています。
感染症蔓延期には、生活困窮により自宅療養もままならないなど、様々な課題が考えられます。生活困窮による感染症治療や治癒後の生活に困難を抱える方に対し、医療機関の関係者以外のどのような後方支援や制度の補充が必要か、御意見をお聞かせください。特に対応が難しかった事例などがありましたら、お話しいただけたら幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/88
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089・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) やはりコロナをきっかけにして収入が減ってしまったりとか、医療費を支払が非常に大変になる方というのは確かに数多く経験しておりまして、今御指摘あったその無料低額診療の利用に関しても、平時に比べるとやはり三割以上増加している、利用される方が増加しているという状況が続いております。
なかなかこれを解決する方法という、そういう経済的な困窮を解決するというのは非常に難しいとは思うんですが、我々のところでできることとしては、様々な行政が担っているそういう制度ですよね、そういった制度をうまくお示しして利用していただく、そういうふうな流れをつくっていく、決してそういったことを知らない方が受診を控えるというようなことがないようにそういったことを啓蒙していく、知らせていくということが大事なのかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/89
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090・天畠大輔
○天畠大輔君 続けて、河原林参考人に伺います。
医療ソーシャルワーカーは、患者や家族と福祉事業所やその他様々な支援をつなぐ役割を担っていらっしゃいます。感染症の蔓延に備え、医療ソーシャルワーカーの方々への研修機会や後方支援の必要性について御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/90
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091・河原林正敏
○参考人(河原林正敏君) このコロナ禍を通じて、何かしらそういう、そういった支援とか教育指導的なところ、あるいは研修みたいなものを何か特別行ったという経験はないのですけれども、確かにこの間、後遺障害のこともいろいろ御指摘されていますし、ワクチンとかコロナ後の後遺症、いろんなケースが増えてきて、当院でもやはりコロナ後の後遺障害の方もいて、増えてきたりしておりますので、そういった方々に対する支援というのはやっぱり今後必要になっていくのかなというふうに思っております。
また、それのためには、何かしらそういう研修的な機会をつくったりとか、それは研修を受けに行くあるいは研修を開催する、そういったことを広くやっていくという、そういった努力は必要なのかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/91
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092・天畠大輔
○天畠大輔君 私も含めた多くの障害者を始め、医療機関につながりにくい方がコロナ禍で大きな不安を抱いています。今日いただいた御意見をしっかりと参考にさせていただきたいと思います。
ありがとうございます。これで質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/92
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093・山田宏
○委員長(山田宏君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼申し上げたいと思います。
この度は、大変長時間にわたりまして貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。厚労委員会としてもしっかりと皆様の御意見を参考にさせていただき、審議を尽くしていきたいと考えております。最後に委員会を代表いたしまして御礼を申し上げました。ありがとうございました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後三時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121014260X00720221118/93
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